速水「もう怒った!」プンプン!舞「たわけ」(104)

舞「怒っただと?」

舞「怒ったのはこっちだ!」プンプン!



瀬戸口「……」

中村「……」

滝川「あわわわ……」

速水「なんで舞が怒るのさ! おかしいよ!」

舞「ばかめ。おかしいのはお前の頭だ」

速水「あた……今なんて言ったの!?」カァー

舞「おかしいのお前の頭だと言った。いや、すまん間違えた」

舞「一度で理解できなかったようだからおかしいというよ悪いのだろう」フン

速水「……このっ口減らず! わからず屋! 頭でっかち!」カオマッカ

舞「なんだと!?」カオマッカ

滝川「あわわわ……」

瀬戸口「なぁ」

中村「なんね……」

瀬戸口「これやばくないか」

中村「やばいっちゅーか」

中村「死ぬかもわからんね」フゥ

滝川「ば、ばか!なに落ち着いてしゃべってんだよ!はやく二人をぐえっ」キュ

瀬戸口中村「だまれ」ギューッ

瀬戸口「静かにしろ」

中村「いまあの二人に睨まれたらこんなもんじゃスマンぞ」

滝川「」ジタバタッ 

瀬戸口「静かにしろ、わかったか?」

滝川「」コクコクッ

中村「よし」パッ

滝川「ぶはっ……し、死ぬかと思った……」ケホッケホッ

中村「いいか、次はないぞ」

滝川「わ、わかったよ」ガタガタ

瀬戸口「それよりもあれだ。なにがあった」

中村「わからん。だが芝村はともかく、あのぽややんをあそこ
まで怒らせるとは余程のこったい」

瀬戸口「お前何か知らないか滝川」

滝川「いや、俺もたまたま通っただけだから……」

瀬戸口「情報が足りないな……チッ、マズイぞこれは」

中村「俺らだけじゃどうにもならん。援軍を」

瀬戸口「多目的結晶で要請……っておい、どこへ行く」

中村「芝村はハッキングの天才。結晶は使えない可能性がある。俺が直接伝令してくるばい。……死ぬなよ」スタタタタ

瀬戸口「まて、んなわけねーだろ、ふざけんなっ……クソッあの豚覚えてろよ……」

滝川「」コソコソ

瀬戸口「コラ」ガシッ

滝川「は、はなして」ジタバタ

瀬戸口「お前さんまでおれを置いて逃げる気か?」

滝川「んなこといったって俺とお前のふたりだけじゃどうにもならねーだろっ逃げるしかねーってっ」ジタバタ

瀬戸口「……原のシャワー」ボソッ

滝川「ギクッ」

瀬戸口「覗いたな」

滝川「なんのことだか」ダラダラ

瀬戸口「証拠の写真がここに。もちろんネガは大事に保管してあるぞ」ピラピラ

滝川「なっ、どどどうしてっ」ガーン

瀬戸口「覗きはお前さんだけの特権じゃあないってことよ。お前さんは目視で、俺はカメラの望遠レンズで」

滝川「なんだよそれ、お前のほうがひでぇじゃん!むぐぅ」キュ

瀬戸口「声が大きい。いいか、罪の軽い重いの話しじゃない。証拠があるかないかだ」ギューッ

瀬戸口「これを分校も含めて、学校中にばらまく。嫌なら俺の指揮下に入れ。反逆には社会的死を与える。了解したなら瞬き三回だ」

滝川「」パチパチパチ

瀬戸口「よし」パッ

滝川「うぅぅぅぅ……」ドシャァァァ

瀬戸口「泣くなよ、男だろ。そんなんじゃモテないぞ」

滝川「泣かしてるのはだれだよっ」ウウウッ

瀬戸口「さぁ。そんなことより他の連中は何をしているんだ。ん?メッセージ?」チカッチカッ 


 避難完了。整備班、一号機パイロット、事務官、衛生官、スカウト。以上ノ無事ヲ地下緊急シェルターデ確認。健闘ヲ祈ル。
原ヨリ


瀬戸口「……あの女いつかヒィヒィ言わせてやる……」プルプル

滝川「まだ映画館のロボットアニメ見てないのに死ぬなんてやだなぁ」ウツロナメ

瀬戸口「お前さんそれ遺言にするつもりか?ったく、どいつもこいつも。……あん?シェルターに司令はいないのか?」

滝川「あ、司令と先生たちは隣の部隊と会議だって。たしか……もうすぐ帰ってくるっ」パァァァァ

瀬戸口「まだ希望はあるか。……だが」



舞「もう一度言ってみるがいい」

速水「減らず口! わからず屋! 頭でっかち! 片付け下手くそ! お父さん大好きっ子!」

舞「増やすな!……待て、いま最後になんて言った」

速水「お父さん大好きっ子って言ったのさ。ホントのことでしょ」

舞「な、なななな」プルプル

速水「あ、もしかしてお父さん大好きっ子って芝村にない言葉だった? なら フ ァ ザ コ ンって言えばわかるかな☆」

舞「」プルプルプルプルプルプル

速水「もう、舞も15才なんだからいつまでもパパ、パパ言ってるのは……」



速水「 め ー だ よ っ☆」オデコツン

舞「殺す!!!!!!」ポッケカラ ケンジュウ

瀬戸口「間に合わないかもなぁ」パンパンパンパンッ

滝川「うぉぉぉいっ撃ちはじめちゃったぞ!!」パンパンパンパンッ

瀬戸口「滝川、声……ってこんな状況じゃもう関係ないか」パンパンパンパン

滝川「せ、瀬戸口ィィィィィィッッ!!」ィィィィィィ

瀬戸口「あん?」パンパンパンパン

滝川「あ、ああああれぇ」ガタガタ ユビサシ



速水「当たんないよ!!!」シュシュシュシュシュッ

舞「動くな!!!」パンパンパンパンッ

速水「イ ヤ だ ね !!!」シュシュシュシュシュシュシュシュッ

舞「大人しく 当 た れ !!!」パンパンパンパンパンパンパンッ



瀬戸口「ああ^~」パンパンパンパン

滝川「どうなってんだよぉぉぉぉぉぉぉ」ガクガクブルブル

瀬戸口「まぁ、二人とも絢爛舞踏だしな!」パンパンパンパン

滝川「そんなんで納得できねぇよ!ってか、芝村の銃ベレッタM92だよな!?」パンパンパンパン

瀬戸口「そうっぽいな!」パンパンパンパン

滝川「二丁拳銃でいつリロードしてんの!?」パンパンパンパン

瀬戸口「自分で考えろ!俺も考えてる!」パンパンパンパン

善行「こ、これは……」

瀬戸口滝川「司令!!」パァァァァ

善行「一体何があったんです……?」

滝川「それが」

瀬戸口「不明です」

善行「いや、だって、速水くんが……あんな……」

滝川「本当にわからないんです。つか俺が知りてぇよ。死にたくねぇぇよぉぉぉ」ウワァァァァァン

瀬戸口「滝川おちつけ、司令の前だぞ」ナデナデ

善行「いえ、それはいいんですが……他のみんなは?」

瀬戸口「あそこの化け物二人と我々三人を除く、5121小隊全員が 原 副 司 令 の煽動のもと、敵前逃亡のすえ地下シェルターに立てこもりました。」

善行「あ、あぁ……」フラフラ

瀬戸口「司令。厳罰を持って対処するべきです」

善行「いや、でも……ね? 副司令も非戦闘員の避難を優先にしたと考えれば……そこまで……ね?」アセアセ

瀬戸口「司令! 何を甘い事を! あなたはこの部隊の最高責任者なんですよ!」

善行「え、でも私は……その……ほら……司令官の前に原くんの彼氏でいたいっていうか……」ボソボソ

善行「瀬戸口くんも知ってるじゃん?……最近、復縁したんだよねぼく達……だからあんま辛く当たりづらいんですよ」テレテレ

瀬戸口(クズがっ)ギリッ


善行「あ、それにきみだってののみくんを連れたままあの二人とは戦えないでしょう!? 原くんの判断は正し……ん?メッセージ?」チカッチカッ



 ノノミ、忘レテタ\(^o^)/
 急イデ保護シロ。スカウト二人ト豚ノ増援送ルカラ。
 シェルター避難者一同ヨリ



瀬戸口「」

善行「」

瀬戸口「の、ののみが……」

瀬戸口「」プルプル

善行「瀬戸口……くん?」

瀬戸口「ののみぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」ブワァッ

滝川「わ、瀬戸口っ、落ち着けって! いま出ていっても蜂の巣にされるだけたぞ」ガシッ

善行「まだののみくんは死んだと決まった訳ではありません!」ガシッ


瀬戸口「離せ! ののみを見殺しにしたあの女だけは、絶対に
許せん。あんなちいさな子を見捨てててて、あぶぶぶぶぶぶぶぶ、ころ、ころぶぅ!!!」ゴゴゴゴゴゴ

善行「こ、これは……」



ののみ「たかちゃんどうしたの?」

瀬戸口「へ」ピタッ

ののみ「どうしてないてるの?おなかいたいの?」

芳野「あら、大変。保健室いく?」

瀬戸口「ののみ、無事だったのか!」ガバッ

ののみ「あぅ、たかちゃんいたいの、めーなの」イヤイヤ

瀬戸口「ののみぃぃぃぃ」ウェーン

芳野「あらあら、こわいお兄さんね」ニコニコ

善行「まぁ、よかったと言うべきですか」

滝川「……なぁ、いま瀬戸口が……前の狩谷みたいになんなかった……?」

善行「やめなさい。……我々が知らなくてもいいことです」

滝川「もう、やだよこの学校」ポロポロ


瀬戸口「どこにいたんだ?」(:д⊂)ゴシゴシ

ののみ「んとね、芳野先生とご飯作ってたの。カレーだよ!」

芳野「悪くなってしまう食糧があったので。捨ててしまうくらいならみんなで食べようと思って、ののみさんと張り切っちゃいました。おかわりもできますよ」ニコニコ

滝川「やったぜ! なぁ、もちろん甘口だよな?」

善行「食事どころではないんですが……」



若宮「ん?カレーの匂いが」ゾロゾロ

中村「おー、豪勢なこったい! もちろん俺のぶんもあろうのね」

来栖「……」

滝川「お前らおせーよ! カレー抜きだからな!」

瀬戸口「中村……よくも顔を出せたものだな」ゴゴゴゴゴゴ

中村「さっきのはやむを得んだろ。ちっさいこと言うな。男なら阿蘇山のようにでっかい心を持たんとね」

滝川「都合のいいことばっかりだな……」

若宮「それより思ったより静かなんだな。もっと地獄を想像してたんだが」

善行「なにを。十分地獄ですよ……おや」



速水「……」

舞「……」



若宮「何もしていないじゃないか。……まぁ、落ちている薬莢の数を見れば何があったかわかるが」


滝川「……もしかして、仲直りしたのか? マジかよ! 助かった! 飯食おうぜ!」ヤッター!

瀬戸口「やれやれ、まったく困った坊やとお姫様だ」ホッ

善行「まったく……あぁ、うちのプレハブだけでなく隣の分校まで弾痕が……補修金は免れませんね。……また書類が増えた」

若宮「今夜は徹夜ですな」

来栖「違う」

全員「へ」


来栖「まだ終わっていない」

来栖「呼んでいる……精霊が騒いでいる……」

滝川「へ?」

若宮「精霊ってなんだ」

善行「呼んでいるって、なにをです」

来栖「……」ユビサシ

瀬戸口「ん?…………おいおい」



士翼号「」ガショ-ンガショ-ン



全員「」

若宮「誰が乗ってるんだ」

善行「いや、登録してないので誰も乗れないはずなんですが……そういえば新型はパイロットなしでも自立行動できましたね……」

来栖「二人が呼んだ」

滝川「え、あいつら喧嘩に新型使っちゃうの? ダメじゃね?」

瀬戸口「本当に化け物だなあいつら……」

士翼号「」ガションガション


舞「来たか」

速水「こっちこっち!」

舞「止まれ」

士翼号「」ピタッ

舞「私は少々疲れた。私のかわりにこの馬鹿を懲らしめよ。武装はN.E.P以外の使用を許可する」

速水「穴掘るの手伝って欲しいんだ。わがままな子をお仕置きしないとね。そうだな。50メートルは欲しいね」

舞「まだわからぬようだな」ゴゴゴゴゴゴ

速水「そっちこそ」ゴゴゴゴゴゴ

士翼号「……」アセアセ

中村「これは学校がなくなるかもわからんね」

若宮「どうにもならん!」ニカッ

滝川「カレー食ってきていいかな。最期くらい好きにさせてよ」アハハ

瀬戸口「だからお前さん遺言それにするのかって……もういいや」

善行「士気が低下しきっている。いや、冗談でもシャレでもないんですが。……ん?メッセージ?」



 ドウスレバ、イイ?
 士翼号

滝川「すげーな新型」

中村「こっち向いてるぞ。しかもなんか困っとるように見えるんだが」

瀬戸口「戦車が困るとかどんだけだ、あの二人。……しかし、これはマズイぞ」

善行「どちらの味方をしても我々はここで死ぬでしょうね」ドヨーン

若宮「難しいことは任せた。俺はスカウトだからな!」

滝川「あ!ずりぃぞ、オレだってパイロットだ!」フンス

瀬戸口「お前さんと滝川はもう帰れよ……」

イイ、スゴクイイ!!期待!!
あと来栖じゃなくて来須な
この指摘するのも何年ぶりだろうww


来栖「のぞみ」

ののみ「なぁに?」

来栖「できるか」

ののみ「んー。うん。じゃなくて、はい!」タッタッタッ

瀬戸口「お、おい!」

中村「まずかろうが、なにしよるかお前」

来栖「見ていろ」

>>32
やっちまった(´;ω;`)痛恨の極み



ののみ「こらー!」タッタッタッ

速水「ののみ?」

舞「なんだ」

ののみ「あっちゃんもまいちゃんもけんかしちゃ、めー!」プンプン!

ののみ「しよくごうちゃんもこまってるの!」プンプン!

士翼号「……」ウンウン

ののみ「なかなおりして、ごめんなさいしなさい!」プンプン!

舞「それは……」

速水「だけど……」

ののみ「めーったら、めー!!」ナミダメ

舞「……」

速水「……」


舞「……私も大人気ないことをした。許すがいい」

速水「……ごめん。反省しているよ」

 明るい雰囲気になった!

瀬戸口「お、おぉ……」


滝川「ののみすげーな」

若宮「うむ。見直した」

来須「……」フッ

善行「驚いた。いや、当然というべきか」

若宮「怒った子供には誰も勝てませんな」

善行「そのようです。子供にまたも助けられるとは、我々も情けないことこの上ないが」

芳野「まぁまぁ。良かったじゃないですか」

士翼号「」ヤレヤレ


舞「そなたにも随分酷いことを言った。……許せ」

速水「ううん。ぼくも女の子に対して失礼なことしちゃったね。ごめん。大好きだよ、舞」

舞「ばばばばばかめっ、……場所を考えよ」テレテレ

速水「あはは、うん。はい。イエス」テレテレ



滝川「なんなのあいつら……」

中村「ほっとけ」


若宮「絢爛舞踏のカップルとは迷惑なものだ」

瀬戸口「あれはバカップルじゃなくて……なんていうんだろうな」

善行「知りませんよ。それより、まずはこの惨状をどうにかしないと。……ええ、私です。終わりました。安全が確認されたので出てきてください。みんなで掃除です」ピッ

ののみ「カレーさめちゃう。がんばってつくったのに」ウルウル

瀬戸口「ごめんな。ここをキレイにしたら一杯おかわりするから」ナデナデ

ののみ「ホント?……うん!」パァァァァ

芳野「箒もってきましたよ」ヨイショヨイショ

来須「持とう」ヒョイ

士翼号「」ゴミバコ ガショ-ンガショ-ン

滝川「んで喧嘩の原因はなんだったんだよ」サッサッ

中村「おい、もうよかろーが」サッサッ

舞「いや、大した理由ではない」サッサッ

速水「ちょっと恥ずかしいけどね」サッサッ

善行「お聞きしても?」

舞「かまわん。……猫の名前だ」

瀬戸口「へ」

速水「この前、白い子猫を拾ったんだ。で、その名前をどうするか舞と相談してたんだよ」

舞「そうしたら、この男がふざけたことを言い出してな」フン

速水「なんでよ。いい名前だと思うけど」ムッ

若宮「もうやめてくれ。で、なんて名前にしたんだ?」

速水「マイ」

舞「待て、まだ決まってないぞ!」

全員「……」

舞「なんで私と同じ名前なんだ!」

速水「だって、舞の指みたいに真っ白できれいな猫だから」

舞「なっ、たたたたたわけたこと、を……」テレテレ

全員「……」


ののみ「ねーねー、まいちゃんはなんておなまえにしようとしたの?」

舞「う、うむ。わ、私は……その」

滝川「あ、俺わかった」

瀬戸口「言うな……」

舞「……あ、アツシだっ」

速水「なんで」

舞「それは、私は猫に嫌われるのに、アレはよく擦り寄ってくるから……その、ベタベタしてくるところが、あ、あああ厚志みたいだと……」

全員「……」

速水「舞……」テレテレ

舞「ち、近いぞ!……そのなんだ。あ、暑いな。自然休戦期も近いかもしれん」テレテレ

全員「……」


中村「あ、あほくさ……」

若宮「まったくだ」

善行「同情の余地がありませんよ、それは……」ハァ


森「とんだバカップルですね」ゾロゾロ

原「あら、もうキレイじゃない」

新井木「あー、ホントーだー。滝川ご苦労!」

滝川「ふざけんなっ、おっせーよお前ら!」

遠阪「まぁまぁ。おや、今日はカレーですか」クンクン

茜「ママンの以外は食べたくないんだが」

芳野「さっ!キレイになったし、ご飯にしましょう!」パンパン

壬生屋「私、お皿出してきますね」タッタッタッ

石津「待って……。清潔は……大事……テーブル、拭かなきゃ……」タッタッタッ

岩田「イィ!食事はバランスよくが大事イィ!!!」

田代「うるせぇよ。でも、サラダもつけたほうがいいかもな」

田辺「あ、それなら私つくります。校庭の端っこに菜園つくったんです」

狩谷「それいいのか?まぁいいか。……おっと」フラッ

加藤「なっちゃん、無理はあかん。まだ立てるようになったばっかりなんやから……ほら、つかまって」ニギ



ブータ「人族は騒がしいのぉ」

士翼号「」コクコクッ

白い子猫「ニャー」ウトウト


■尚敬高校 校長室

校長「またかね……」

本田「はっ、その、申し訳ありません」

校長「仮にも熊本を代表する……いや、日本が世界に誇るべき英雄殿が、こんなことでは……」ハァ

坂上「ごもっとも。ですが、事態はすでに収束しております」

教頭「そういう問題じゃない。そもそも、きみ達の教育が」

 ドゴーーーーーーーーーーーーン!!!

校長「な、なんだっ」アワアワッ

本田「まさかっ」ガラッ

舞「ふざけるな!!!」

速水「そっちこそ!!!」

舞「ラッキョウだと? 馬鹿め、カレーには福神漬けだ!」

速水「舌が悪いんだね……ラッキョウで一度、口の中をリセットするからサラダが美味しく食べれるというのに。福神漬けとか(笑)」

舞「なんだと!?」

速水「なにさ!!」

 チュドーーーーーーン!!!

瀬戸口「馬鹿野郎! 精霊手はやめろ!」

 ワー キャー ワー キャー


本田「あ、あの馬鹿ども……」ワナワナ

校長「あ、あれが。え、英雄……うーん」バタンキュ-

教頭「校長ぉぉぉぉぉっ! 貴様らっ、査定は覚悟しておけ!」

本田「\(^o^)/オワタ」

坂上「……」

介入者坂上(なんでこんな時に介入しちゃったんだろう……)

■九州軍 高級将校私室

準竜師「そうか。まぁ、いい息抜きだったと思えばいい」

善行「……お咎めなし……ですか」

準竜師「なんだ。罰が欲しいのか。とんだマゾヒストだな。だが、残念ながら私はサディストではない。相方は自分で探せ。……以上だ」

善行「はっ」

 プツン

準竜師「……くくくっ」

 地下シェルター、か。換気扇もまともに付けられてない所に、何時間も閉じこもっていれば──

準竜師「さぞ臭うだろうなぁ…………靴下が」

 今夜、久方ぶりの『狩り』に行くとするか。

準竜師「くっくっくっ」

 カタン


準竜師「」バッ

更紗「……」

準竜師「」ダラダラ

更紗「閣下、これを」ヌギヌギ

準竜師「あ」ストッキングファサ-

更紗「冥土の土産です」

準竜師「ごめんなさい。もうしないか」

更紗「死ね」チャキ

 ターーーーーーーーーーン



 めでたし。めでたし。

おしまい。

初めてのSSでした。
様子がおかしいところあったらごめんなさい。
あと、来須の名前まちがえてごめんね。大失敗でした。

こんなに古いゲームでもまだ好きな人がいてくれて嬉しい。
初めてレスもらったのもすごく嬉しかった。

見てくれた人、ありがとう。

ほんとそう思う
どうか没シナリオがプレイできるリメイクが発売されますように

上のとは全然違う話だけど
何個もスレ立てするのは申し訳ないのでここで。


「鬼のねがいごと」


芝村A「今夜、出てもらおう」

瀬戸口「……薬は?」

芝村A「わかっている。機体を運ばせた奴に持たせてある」

瀬戸口「もっとよこせ。あの量では足らない。最近、あの子の具合が悪い事が多くなった」

芝村A「無茶を言うな。製造に時間がかかると言っておいただろう?」

瀬戸口「……」


芝村A「それに、適量というものがある。量を間違えば死ぬこともありえる。まぁ、安心してもいい、死んだら新しいクローンを貴様に送ってやる」

瀬戸口「黙れ! 幻獣の前にお前を殺してやろうか」

芝村A「おお、怖い、怖い。絢爛舞踏に喧嘩を売るつもりはない。今のは善意で言ったのだ」

瀬戸口「二度とくだらないこと言うな。あの子の代わりなんていない」

芝村A「覚えておこう。……出撃は一時間後だ。迎えの車を送った、戦果を期待している」

 この世の誰よりも憎い顔が消えた、自宅の通信機を乱暴に切る。


瀬戸口「クソッ」

 ふざけやがって。あの芝村だけは、かならず殺してやる。

 だが、今はやつに従うしかない。薬だけはなんとしても手に入れなければ。そうじゃないと、あの子は……。
 ののみは、薬を飲み続けなければ死んでしまうのだから。

 溢れ出す悔しさと、芝村への憎しみを拳を握り締めることで堪える。
 
 ピピピ

 左手の多目的結晶が着信を伝える。
 迎えが来たらしい。返信はせずに自宅を出る。玄関のドアを開けると、忌々しくも顔見知りになった、運転手役の男が立っていた。

男「お急ぎを。出撃は一時間後です」

瀬戸口「なら、とっと連れて行け。いちいち出迎えなんかするな」

男の脇を通り過ぎ、自宅前に止めてある車に乗りこむ。
 間もなく男も運転席に乗ってきた。
 その後は会話することもなく、車は猛スピードで戦場へと向かう。

 やはり人間はクズだと思った。滅びるべきだとも。
 いまから幻獣を殺しに行くのに、幻獣の到来を待ち望む。
 矛盾しているとは思わない。俺は仕方なく戦うだけ。本心では、幻獣に蹂躙される人類の姿を心待ちにしているのだから。

 だけど、ののみは?

 何度も浮かべた疑問が脳裏をよぎる。
 人類が、というよりあの子供ばかりの小隊の連中が死ねば、ののみは悲しむだろう。
 
 俺が探し続けた、遠き日の愛しい人。シオネ・アラダの生まれ変わりかもしれない、あの子を悲しませるわけにはいかない。
 あの小隊の連中だけは生き残るようにしてやってもいい。あそこは俺にとっても居心地が悪いわけではない。


 人気のないところで車が止まる。車の外に人の気配がする。
                
男「着きました」
 
 俺は無言で車を降りる。
 外には直立不動で敬礼している女がいた。

秘書「お待ちしておりました。お着替えはこちらで」

 ウォードレスへの着替えを促す女を無視して、問う。

瀬戸口「薬は」

秘書「もちろんございます」

瀬戸口「終わるまで大事に持っていろ」

秘書「かしこまりました。……おい、ご案内しろ」

整備士「はっ、こちらです」


 案内された簡易テントの中で、整備士に手伝われながら服を脱ぎ、全身にゴムを塗布された後、ウォードレスを身につけていく。

整備士「武装はいつも通りでよろしいですか」

瀬戸口「ああ」

 短くそう返事すると、俺はテントを出て、用意された士魂号へと向かう。
 目の前で鎮座する機体を見上げる。
 漆黒のペイントを施された、通常の士魂号M型ではあり得ない分厚い装甲と、髑髏を模した仮面を身にまとう巨人。
 士魂号重装甲西洋型。
 芝村に操られる愚かで醜い絢爛舞踏の為に、ただ一機だけ製造された士魂号。
 これに乗り、今夜も俺は幻獣と踊るのだ。死の踊りを。


秘書「時間です。敵は20を超えるようです」

 言われなくともわかっている。女に腹立ちまぎれの言葉をぶつける事にする。

瀬戸口「何処かに隠れていたらどうだ。外した弾がどこへ飛ぶかわからんからな」

 機体へと乗り込みながら脅し文句を告げる。だが女は怯える様子もなく笑みをこぼすだけだった。

秘書「ふふふ、ご武運を」

 やれるものならやってみろ。
 そう言われたような気がした。
 操り人形に、そんなことできるわけがないとわかっているのだ。

 どこまでも忌々しい! なんと忌々しい!


 呪詛の言葉も虚しいだけだとわかっている。
 だが、抑えることなどできない。
 なによりも憎いのは。餌に釣られ、人に弄ばれる醜い鬼。
 つまり、自分のことが殺したいほどに憎かった。

 どうにもならない激情を幻獣へとなすりつける。
 目に入った幻獣から殺していく。
 殺して、殺して、殺して殺す。
 動く敵がいなくなるまで、剣を振るい続けて。

 その夜、俺は、28の幻獣を死体に変えた。


 翌日。

本田「おっと、時間か。おーし、授業はここまでだ。お前ら飯食って来い!」

 チャイムを聞いた本田が教材を持って教室を出ていく。

滝川「昼飯だー!」

 さっきまで死ぬほど退屈そうに机に突っ伏していた滝川が叫びながら立ち上がる。

滝川「味のれんまってろよー!」

 たくっお子様は何をするにもうるさいな。


 騒々しく走り去っていくお子様を苦笑しながら見送りながら、ののみに声をかける。

「ののみ一緒に飯を食べよう」

「うん、いいよー!どこでたべる?」 

「そうだなー。天気がいいから屋上はどうだ?」

「うん!えへへ、はやくいこうよー」 

 にこにこと楽しそうに笑いながら俺の袖を引っ張る。
 その姿に自然と笑みがこぼれてしまう。


「そう引っ張るなって! 弁当持ったか?」

「ちゃんともってるってばー。いこいこー」

 結局、引っ張られながら屋上に向かう。
 なにをするにも、ののみのすることを止めることなんて俺には出来ないんだから好きにさせることにした。

「あ、瀬戸口くん……」

 誰かに呼ばれたような気がして振り返る。だけど階段の途中にいるため、廊下に誰がいるのか見えなかった。一度降りようとするとののみが声を上げた。

「たかちゃん! はーやーくー!」


 そう言いながら力一杯、袖を引っ張るののみを見て違和感を感じる。さっきの声が誰かはどうでも良くなった。

「わかったって。ほら、あんまりふざけ過ぎると転ぶぞ!」

 渋々、はーい。と返事をしながら歩くののみ。しかし、数歩も歩けば今度は鼻歌を歌いだしていた。

「ふふふ、すごくいい天気だねー。おくじょうにしてせいかい!」

 ののみはそういいながら、屋上の端に置いてあったゴザを広げ、その上に靴を脱いで座った。俺もそれに習いゴザに座る。


「きょうのお弁当はなにかなぁ」

 うきうきしながら弁当箱を開き、ののみは驚いた声を上げた。

「すごい! たかちゃん、みてみて!」

「どれどれ、……これはすごいな」

 ののみの弁当箱を覗いてみると、その中は白飯に色とりどりの野菜、卵焼き、うさぎ型のリンゴ。そして一際目を引くミートボールが入っていた。

 
 基本的に、俺達が配給で得られる食料は主食の米とジャガイモのみ。クローン第六世代である、俺達はそれでも体を維持、成長させることができるので問題はないが、いくらなんでも毎日それでは味気ない。なので、その他の食材はそれぞれが自費で購入することになる。
 
 しかし戦時中の、このご時世。米とジャガイモの次に、国が積極的に生産する鶏の卵や、ある程度放っておける果物や野菜以外の物はかなり高い。その中でも肉は最も高い食材と言ってもいいほどだ。


 こんな弁当は一学兵が用意できるものではない。元々、ののみの食事は教師の芳野が面倒を見ていたはずだが、一食でこれは明らかに金がかかり過ぎている。

 疑問に思い、ののみに聞いてみる。

「なぁ、いつもこんな弁当なのか」

「ううん。芳野せんせいのお弁当はいつもおいしいけど、お肉ははじめて!」

 誕生日みたい!と喜ぶ、ののみを見て保護欲に駆られ抱き寄せてしまいたくなるが、今はそんなことをしている場合ではない。ののみを喜ばせてくれたことは感謝するが──


 正直、警戒心が先立った。
 何が狙いだ、と。
 いい飯を食わしてなにかさせようとしている?ののみの強い同調能力を利用するつもりか、そこまで考えていると。

「あ、でも最近はかわりばんこなの」

「かわりばんこ?誰と」

「あっちゃん!あっちゃんはねー、サンドイッチとかシュークリームくれるのよ」

「シュークリーム!?」


 速水が料理好きなのは聞いていたが、菓子まで作るとは……。
 いや、驚いたのはそこではない。菓子の、その価値だ。
 俺は料理の類については門外漢なので聞いた話しか知らないが、クッキーを一袋作るのに必要な量の砂糖で二万円以上かかると聞いた。
 
 おそらく、握りこぶしの隙間に入る量ぐらいで二万円。肉など及びもしない金額だ。それがシュークリームとなるとどれほどの……。
 芳野も速水も何故そんなことをするのかまったくわからなかった。


「なんで……」

 いつの間にか漏れた言葉にののみが返す。

「あのね、ののみが元気ないからって」

 なんだそれは。なんなんだ。

「ののみちゃんは笑っていてねって芳野せんせいが」
                      
 俺は、混乱した。
 よくわからない感情が胸を渦巻く。

「あっちゃんが、疲れたら言ってねって、甘いの食べなって」

 なんなんだよ、これ。これは。俺は。

「たかちゃん、どうしてなくの?」

 わからなかった。ただ辛かった。何故かこのお人好しの集まりである、この小隊を裏切っているような気がしたのだ。
 また、人間を信じていいのだろうか、とも。

しまったー!!名前つけ忘れたー!!!
わかり辛いけど
女の子ぽい喋り方→ののみ
男ぽい喋り方&字の文→瀬戸口です。

ごめんなさい


ののみ「なかないで」


 ののみが泣きそうな顔をしてしまった。
 そんな顔させたくない。


瀬戸口「……いや、俺のサンドイッチ、マスタード効き過ぎてな」


ののみ「ほんと?」


瀬戸口「本当だよ。ほれ、喰ってみるか? そのかわりミートボール貰うけど」


ののみ「やー! めっ! めー!」


 ののみの弁当箱からミートボールを取る真似をするが、ののみはそれを身をよじって避ける。
 気づけばののみは笑顔になっていた。
 

 遊ぶのもそこそこに、二人で食事を始める。もぐもぐとほっぺたをリスのように膨らませて食べるののみを注意したり、水を飲ませたり、ミートボールを一個だけ俺にくれたり、また少し笑いあったりして昼飯を食い終えた。


ののみ「ふぅ。おなかいっぱい。もうなんにもはいりませんよー」


瀬戸口「うまかったか?」


ののみ「うん! すごーく、すごーくおいしかった!」


 顔を見れば、心の底からそう思っていることがわかる。芳野も喜ぶだろう。ただ、芳野の財布だけは気になったが、俺がとやかく言う話でもないか。


ののみ「ねー、たかちゃん」


瀬戸口「んー?」


 ののみの薬をポケットから出すのに苦戦しながら空返事した。


ののみ「ののみは元気なさそう?」


 ののみを見た。笑おうとして、失敗したような顔だ。


瀬戸口「……いや、元気そうだよ」


ののみ「ならなんで」


 言い募るののみを遮って言う。


瀬戸口「元気すぎるんだよ、最近のお前は」


 そう、階段で感じた違和感はこれだった。はしゃぎ過ぎているのだ、ののみは。


 この子は強力な同調能力を持つ人間だ。テレパシーといった他人との声以外のやり取りができる。それは時に、幻獣とすら意志の疎通を可能にしてしまうほどの力。それゆえに、心の中身まではわからなくとも、ののみが注目した者の感情や周りの人間の雰囲気に敏感に気づいてしまう。


 周りの人間が自分を心配していると、ののみにはわかってしまうのだ。
 だから、ののみは気を遣い、それを隠す。体調が悪くても駆け回り、倒れてしまいそうになっても笑う。全ては俺達に心配をさせない為に。


 俺達が一番いやなことを、この子はしてしまう。


瀬戸口「みんな、なんとなくわかっちゃうんだよ」


ののみ「ぶー」


 不貞腐れた声を出した。


ののみ「ピーマン、ちゃんとたべてるのになぁ」


 ののみはピーマンが嫌いだ。苦いから。今から飲ませる薬なんてもっと苦い。また泣くかもな。


速水「あ、ここにいたんだ」


 階段の方から声が聞こえて、振り返る。


ののみ「あっちゃん!」


 速水だった。弁当を持ちながらこちらに向かってくる。


速水「こんにちは、ののみ、瀬戸口くん。お邪魔していい?」


ののみ「いいよー、こちらにどうぞ!」


 まるで、おままごとみたいだ。
 ゴザの上に弁当を抱えて座る、幼いののみと女の子みたいな少年、速水。絵的に見れば、まさにおままごとだ。
 だが、この男の見た目と中身は全く一致していない。


 速水厚志。騎魂号の、通称、士魂号複座のパイロットの片割れ。同乗者の芝村舞と共に戦場の敵を殺し回る、5121小隊きってのエースパイロット。
 二人で稼いだ撃墜スコアは225。たった二ヶ月あまりでこのスコアに達するのは前例がない。


 今、人類で最も絢爛舞踏章に、人を超えた化け物に近い二人。
 その内の一人がこの男だ。


 そんな男を前にしても、ののみは怖がらない。安心しきった顔で速水と楽しそうに話をしている。俺自身もこいつの事は信頼している。なにか隠していることがあるのは知っているが、少なくとも悪意の類は感じない。
 芳野には悪いが、先ほど感じた警戒心も速水の差し入れの話を聞いた時には、それが霧散した。


ののみ「あっちゃん、いまからお弁当なの?」


速水「ううん。これはちがうんだ、はい」


 ならなんで持っているんだ? と思ったら、速水から包みの一つを手渡された。


瀬戸口「なんだこれ」


速水「食べて欲しいんだ」


瀬戸口「お、おお? なんだー、バンビちゃん。俺に差し入れなんて、惚れたか?」


 からかいがてらに速水の頭を抱え込み、癖のある髪を撫で回す。


速水「わー! やめてよ瀬戸口くん!」


ののみ「きゃー!」


 少し顔を紅くしてバタバタと暴れる速水。何もされてないのに速水の膝の上でゴロゴロするののみ。
 二人とも、とてもかわいい。もっとこうしていたいと思うが、どうやったのかいつの間にか俺の腕から抜け出して、ののみを抱えた速水が俺に文句を言ってきた。


速水「瀬戸口くん、ふざけ過ぎ! 舞に見られたらどうすんのさ」


 なにやらご立腹のようだ。でも見られたからって問題もないだろうに。


瀬戸口「まぁそれは置いておくとして。ののみ、おいで」


ののみ「んー? うん」


 なんだろう、と近づいてくるののみが俺の手のひらにあるものを見つけ、動きを止める。


ののみ「やだ」


瀬戸口「だめだ。来い」


ののみ「やー」


瀬戸口「だめだ。ほら、座れって」


 むずがる、ののみを無理やり座らせて、粉薬の封を切る。


速水「瀬戸口くん、それなに?」


瀬戸口「ののみの薬だ」


速水「え? じゃ本当にののみ病気だったんだ」


瀬戸口「やっぱり気づいてたのか。さっき、ののみから聞いたよ、菓子を食わしてやったんだってな。ありがとう」


速水「ううん、気にしないで。お菓子の味を見てもらってるんだもん、こっちが感謝しなきゃ」


 このお人好しめ。そんなことを思っているとののみがまだ抵抗していた。 


ののみ「やだー、苦いくすり、やだー」


瀬戸口「ののみ」


 ぐずる、ののみの正面に行く。ののみの目を見据え、出来るだけ真剣に言う。


瀬戸口「飲んでくれ、お願いだ。」


ののみ「……うん。じゃなくて、はーい」


 なんとか思いが通じたのか、嫌々ながらも薬を口にしてくれた。すぐに牛乳で流し込ませる。


速水「え、牛乳と飲んで平気?」


瀬戸口「ん?大丈夫だろ。なんでだ?」


速水「いや、薬と牛乳ってあんまり聞かないから。お医者さんはなんて? 注意とかなかったの?」


瀬戸口「特には聞かされてないな」


速水「病名は」


瀬戸口「なんだよ、一体。病名も聞いたことのないやつだったな。遺伝病だそうだ」


速水「……僕も小さい時によく薬を飲んでたからさ。んー、そっかー」


 速水が変な顔をしていると思ったら、ののみが薬を飲み終えたようだ。


ののみ「……にがーい」


 やはり涙目になってしまった。飴か何かあればよかったのだがあいにく手持ちにない。ジュースでも買ってきてやるかと腰をあげると、速水が持っていた包みを広げていた。


速水「じゃあ頑張った、ののみにご褒美。アップルパイだよ」


ののみ「わぁ、美味しそう!」


瀬戸口「なんだ、まだ食べれるのか。さっき、もう何も入らないって言ってたじゃないか」


 苦笑しながらそういうと、ののみに睨まれた。なんだよ。


速水「あはは、食べさしても平気だよね?」


瀬戸口「いいとも。喰わしてやってくれ」


速水「だって。どうぞ召し上がれ」


 いただきます、と律儀に声に出してからアップルパイを頬張るののみ。うまいらしい。


速水「瀬戸口くんも、どう?」


瀬戸口「いや、ありがたいが俺はこれで十分だよ。オレの分があるならののみにやってくれ」


 速水から貰った包みを掲げて見せる。


速水「そっか。それ、ちゃんと食べてね」


瀬戸口「ああ、もちろん。……なぁ、ののみ任せていいか」


 多目的結晶から新着メッセージが届いたのを感じた。


速水「ん?いいけど。どうしたの?」


瀬戸口「俺の愛が欲しいと訴える女性に愛に行くのさ」


速水「もう、ののみの前で! 授業サボって先生に怒られても知らないからね」


 へいへい、と手のひらを振って階段へ向かう。


速水「ねぇ、瀬戸口くん」


瀬戸口「なんだ?」


 振り返ると速水は少し真剣な顔をしていた。


速水「ののみに薬を飲ませ始めたのはいつ?」


瀬戸口「なんだよ、お前さんもしかして医者を疑ってるのか?」


 呆れた。心配してくれるのはありがたいが度を越すのは、何事も馬鹿がすることだ。


瀬戸口「診断に間違いはないぞ。日本で最も優秀な医者のはずだからな」


 嘘ではない。ののみを診たのは日本の全てを操る、かの芝村一族お抱えの医師なのだから。誤診などありえない。もし、誤診などあれば比喩ではなく、その医師の首が飛ぶ。死ぬ気でののみを診察したことだろう。


速水「ごめんごめん。ののみの事だと、どうしても気になっちゃうから」


瀬戸口「どうしようもないな……丁度、一ヶ月前だよ。そんなことより、ののみをあんまり甘やかすなよ」


速水「そっか。わかった。いってらっしゃい」


ののみ「たかちゃん、いってらっしゃーい」


 二人に見送られ、俺は今度こそ階段を降りた。
 すると、廊下で女が立ち止まっていた。


舞「瀬戸口」



瀬戸口「……何か用ですかね、お姫様」


舞「その呼び方はやめろといったはずだ。気色悪いぞ」


 そいつは願ったり叶ったりだな。わざと言ってんだよ。


 俺は、こいつが苦手だ。
 嫌いといってもいいかもしれない。
 芝村舞。芝村一族の末姫。
 士魂号のパイロットとしての腕は確かだ。
 撃墜スコアは嘘をつかない。
 物言いが正に芝村、といった相手が誰であろうと高圧的な態度を取る。


 だが、ののみはこの女によく懐いている。
 まぁ、ののみが嫌うやつなんて、善行と岩田、あとなぜか狩谷ぐらいなものだが。
 前までは小隊の全員が芝村に嫌悪感を隠そうとしなかったが、ののみと、速水は違った。
 ののみは何かにつけ、芝村にまとわりつき、速水は誰の忠告も聞かずこの女に近づいていった。



 その後、速水の人柄とその笑顔が加味された発言力による訴えによって、芝村に対する嫌悪感は薄れていった。
 そして決定打となったのが熊本城攻防戦だ。
 あの凄まじい戦いの中で速水と芝村は一日の内に67体もの幻獣を狩ったのだ。
 俺ですらおそらく、無理だろう戦果だ。


 間違いなく歴史の教科書に乗る。
 みんな口を揃えて言うほどだ。
 それらのおかげで今この小隊では芝村を敵視するものはいない。
 皆、あの女を芝村は芝村でも、いい芝村だなどという。 


 俺もマシな芝村だとは思う。
 だが、認めない。
 芝村には違いないのだ。この女も、あの準竜師も芝村だ。
 あの、同族の子供の治療することを渋り、辛い思いをさせるクズと同じ一族なのだ。


 そんなやつらが『いい人間』な訳がない。
 速水もどうかしている。こんなヤツと一緒にいるなんて。


舞「言いたいことがあるのなら、口で言うがいい」


 知りぬ間に睨みでもしていたらしい。
 芝村はこちらを敵意のこもった目で見ていた。


瀬戸口「バカを言え。芝村なんぞに言いたいことなんかない。そもそも用があったのはそっちじゃないか?ないなら俺行かせてもらう」


舞「待て。なにやら気に入らんが、まぁいい。そなた昨日の夜どこにいた」


 なんだ、こいつ。
 死にたいのか。


舞「昨日だけではない。女子校の生徒が噂するあの」


瀬戸口「おい」


 何を考えているのか知らないが、黙らせる。


瀬戸口「なんのことだかわからないし、俺は昨夜、自宅にいた。一緒にいた奴もいる。これから会いにいく女だ」


舞「なななっ」 


瀬戸口「何をしていたか知りたいか? 一緒に来いよ、今から見せてやる」


舞「けけけ結構だ! ……ちっ、もういい。行くがいい!」


 芝村は顔を真っ赤にして屋上に向かっていった。
 なんだあれは、やはり芝村だな。
 全く理解できない。
 俺の事を調べているようだが、データに残るようなことは消してない。
 
 消えたデータを調べる事が、なにを意味するか。
 芝村ならわかるだろうに。


瀬戸口「まぁ、一度は止めた。あとは好きにしろ」


 捕らえられるなり、殺されるなり。

だめだどんどん書く文章がうざくなってくる
改行も読みやすくしてんだか読みにくくしてんだかわかんなくなってきた

オ○ニーしよっと

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