田中「なんなんだよぉ！おれだってさぁ、毎日毎日炊事洗濯その他いろいろ頑張ってるんだよぉ！？疲れてるのはお互いさまなのにさぁ！なんでこんくらいのお願い聞いてくれないんだよぉ！もぉう！なんなんだよぉ！」ポロポロ

山根「あ、お母さんが泣いてる」

俺「わかった、わかったから泣くなよ田中。それじゃあ３人でどっか出かけようか。な？」

田中「え……ほんとぉ！？」ぶんぶん

俺「うんうん」

山根「お父さん、おれジャスコ行きたい」

俺「そうか。それじゃあジャスコ行こうか」

田中「うえぇ！？ジャスコぉ？この間行ったばっかじゃあん！……まぁ別にいいけどさぁ」ぶんぶん

俺「あのさ、どうでもいいんだけど腕をぶんぶんするのやめて」

田中「うえぇ？なぁにぃ？」ぶんぶん

俺「腕をぶんぶん振り回すのをやめろって言ってんだよ！」バシッ

田中「いたぁい！ちょ、やめてぇ！ドメスティックバイオレンスやめてぇ！」ぶんぶん

山根「ねえねえ、お父さん。ドメスティックバイオレンスってなに？」

俺「ほぉら、そんなこといいから準備しろ山根。俺は車出してくるから」

田中「ちょっとぉ！無視とかやめてよぉ！傷つくじゃんかぁ！」

――ジャスコ

俺「着いたぞー」

山根「うぉ、ジャスコだ」

田中「ねえねえあなたぁ？おれ新しい服が欲しいんだけどさぁ、洋服売り場行こうよぉ」ぶんぶん

俺「えぇー……この間も服買ってたじゃん。それにそんなもん買ったっておまえは変わり映えしないって」

田中「ちょ！ひどぉい！なんでそんなこと言うのぉ！？自分はキルミーベイベーのブルーレイとかしょうもない物ばっかいっぱい買ってるくせにさぁ！なんなんだよぉ！くそう！くそぉう！なんなんだよぉ！」ぶんぶんぶんぶんぶんぶん

俺「ああ、もう！わかった！わかったから公共の場でぶんぶんするなって！それじゃあまず服屋行くかい」

――服屋

田中「ねえねえ、あなたぁ！このズボン素敵じゃなぁい？このストライプ柄すげえかっこいいんだけどぉ！」

俺「うんうん、そうだね、そうだね。山根もそう思うよな」

山根「うぇ？あ、えっと、うん」

田中「ちょっとぉ！なにそのやる気の無い感じぃ！？これに合いそうな服を選んでくれるとかもうちょっとやる気と家族の絆を見せてくれてもいいんじゃないのぉ！？もぉう！」

俺「え？ああ、うん……そうだな、このストライプ柄のシャツとかいいんじゃないの」

田中「はあぁぁ！？ストライプ柄のズボンにストライプ柄のシャツ着たらただでさえおれひょろ長いのに目の錯覚でさらにひょろ長く見られるじゃんかあ！真面目に選んでよぉ！なんでそんな」

山根「お父さん、おれゲーム欲しい」

俺「おう、ゲーム売り場行こうか山根」

田中「うえええええ！？ちょ、無視やめてぇ！傷つくからぁ！おれを残して行かないでえぇ～！」ぶんぶんぶんぶん

店員「あの……お客様……恐れ入りますが他のお客様の迷惑となりますので……あまり大きな声を出すのは……あと腕をぶんぶんするのも……」

田中「え？あ……あぁ……すみません……」

――フードコート

俺「腹減ったな。適当に昼ごはんでも食べようか」

山根「あ、お父さん。ゲーム買ってくれてありがと」

俺「ああ、でもゲームばっかやってないで外でも遊ぶんだぞ。あと勉強もがんばれよ」

山根「うん」

田中「ねえねえ！さっき買った服にさっそく着替えてみたんだけどさぁ！見て見てぇ！」

俺「結局上下ストライプ買ったのかよ……」

田中「だってあなたが選んでくれたから……」きゅん

俺「ふぅん。あ、それよりもすき屋で飯買ってきて。ほい、お金。俺ねぎ玉牛丼並で」

山根「あ、おれチーズ牛丼大盛」

田中「はぁぁ！？もうちょっと気の利いた感想とか言えないわけぇ！？」ぶんぶん

俺「いいから行ってきて」

田中「くそぅ！くそぅ！」ダッ

――
―

俺「遅いな田中……まあ、この混雑っぷりなら仕方ないか」

山根「あ、見てお父さん。お母さんこっちに来たよ」

田中「おっと……おっと……」フラフラ

俺「大丈夫かあいつ……お盆持ってめっちゃフラフラしてるけど」

田中「おっとっと……う？うげえ！？」ガクンッ

ガッシャアアアアン

俺＆山根「！」

キャー　ワーワー　コケテルヨー　ワーワー

俺（あいつコケやがった……牛丼ぶちまけやがった……）

俺「行くぞ山根」

山根「え？お母さんは？」

俺「いいから！」ダッ

山根「うぉ」ダッ

ワーワー　ダイジョウブデスカー？　ワーワー

田中「ちょ、ちょっとぉぉぉ！あなたぁぁぁ！山根ぇぇぇ！おれを置いて行かないでぇぇぇ！あなたぁぁぁぁ！！」ぶんぶんぶんぶんぶん

俺（すまぬすまぬ……）タッタッタッタッ

――帰り道の車内

ブロロロロ……

俺「うぇっぷ……楽しかったな。山根」

山根「うん。楽しかったねお父さん」

田中「ねえねえ、ちょっとぉ！なんでおれが運転なわけぇ！？」

俺「だって俺ビール飲んじゃったんだもの」

田中「いつの間に飲んでたんだよぉ！おれがフードコートで恥かいてるときもどっか行っちゃうしさぁ！ちょっとひどくなぁい！？もうちょっと気遣いスキルを身に着けてくれてもいいんじゃないのぉ！？それからさあ」

俺「……そうかそうか。山根はさやかちゃん派なのか」

山根「うん。あ、三村君と大竹君はマミさん派なんだって」

俺「お父さんもマミさん派だぞ。三村君たちはわかってるな」

田中「また無視するぅ！おれの話聞いてよぉ！なんなんだよぉ！」ぶんぶんぶん

俺「バカ！運転中にぶんぶんはやめろ！」

――その日の夜

田中「あなたぁ……山根は寝たみたいだよぉ」

俺「そうか」

田中「……今日はありがとぉ。楽しかったよぉ、おれも山根もぉ」ぶんぶん

俺「ああ、俺も楽しかった……あのさ、田中」

田中「うえぇ？なにぃ～？」

俺「いつもありがとな……こんな俺だけどこれからも家族３人で仲良くやっていこうな……」

田中「ちょ、ちょっとぉ！なんなのぉ？あらたまっちゃってぇ！照れるじゃんかぁ！」ぶんぶん

俺「俺なりの感謝の言葉だよ……さぁ、寝るぞ。明日は仕事だ」