猫「ふざけんな!」シュレーディンガー博士「すまぬ…すまぬ…」(23)



猫「やめろ!ちょまじやめろ!押すな馬鹿!」

博士「すまん…すまん…」グイグイ

猫「テメー!ふざけんなコラ!殺す気かオイ!」

博士「実験のためなんだ……実験の……パラドックスを実証するんだ……」グイグイ

猫「お前がこの生きるか死ぬかの地獄の箱に入ればいいだろうが!なんで俺なんだよ!」

猫「ちょまじやーめーろ!このハゲ!ツルッパゲ!」

博士「ハゲじゃねーし!ハゲって言った方がハゲだし!」ポイ

猫「ぎゃーーーーーッ」

ピュッ ダダダダッ

博士「あっ こら!!待てゴルァ!!」



猫「もしもし!動物愛護団体ですか?助けてください!殺されます!」

博士「やべっ」ガチャン

猫「もしも……あーっ!」

博士「電話線も切らなきゃ!」ブチッ

猫「わーーーっ これ本格的にピンチ!まじやべえ!マッドサイエンティストに殺される!!」

博士「いや、安心しろ。ちょっと50%の確率で作動する青酸ガスの発生装置が入った箱に入れるだけだから」

猫「ちっとも安心できねーよ!!完全に殺しにかかってるだろうが!!」

博士「この実験によって、量子力学の確率解釈を容易な方法で巨視的な実験系にすることができることを示し、そこから得られる結論の異常さを示して批判するのが目的なんだ」

猫「wiki乙!」

博士「さあ観念してこっちに来なさい!」

猫「やーめーれ!首根っこ掴むのやーめーれーや!」



猫「うわーーーーーん!だれかーーー!」

博士「大丈夫大丈夫」

猫「大丈夫じゃねぇーーー!呪い殺すぞこのコンコンチキ!!!アバダケダブラ!!」

博士「お辞儀をするのだ!!」

猫「なんでもするからーーー!お辞儀でもなんでもするからーーー!!」


バリーン


野良猫「おい相棒、こりゃどういう状況だ?」

猫「の、野良!!ヘルプ!この狂ったジジイに毒殺されちまう!!」

博士「な、なんだこの薄汚い猫!?窓が…」

野良猫「おうおうなにやってんでぃ!」ガブッ

博士「あっ イタァー!!痛い痛い!!あっこれまじ痛い!」



野良「無事か猫!」

猫「野良、助かったぜ……」

野良「いいってことよ」


博士「うっぐっぅぅ……許さんぞ猫風情が!二匹とも箱に入れてやる!」

猫「もう実験もへったくれもなくなってんじゃねーかよ!お前本当に学者!?」

野良「お前の飼い主どうしちまったんだ?」

猫「わからん!わからんが、こいつをどうにかしないと俺の未来はない!」

野良「協力するぜ、相棒!!」


シャーッ!
 うおおおおおお!



博士「うわあああああああ!おさないで!押さないでくれえ!!」

野良「おらっ さっさと箱に入れや!」

猫「放射性物質のラジウムを一定量と、ガイガーカウンターを1台、青酸ガスの発生装置を1台入った箱にさっさと入れや!!」

野良「もし箱の中にあるラジウムがアルファ粒子を出れば、それをガイガーカウンターが感知して、その先についた青酸ガスの発生装置が作動する箱になぁ!!」

博士「お前ら詳しいな!?」ギュウギュウ

博士「あーっ!猫用の箱だからおじさん入るときっつい!腕折れるわコレ!!」

猫「ふう。やっと入ったな」パタン

野良「お疲れーい」

箱「--!-----!!」



猫「今から一時間後に、博士が生きている確立は50%、死んでいる確立は50%。いま箱の中では生きている状態と死んでいる状態が重なってるわけだ」

野良「なるほど。つまりコペンハーゲン解釈の量子力学において粒子は、様々な状態が重なり合った状態で存在しうるけど」

猫「ああ、俺たちは今の箱の中の博士みたいに、重なり合った状態を観測することはできない。この思考実験がその量子力学の確立解釈に対する批判になるということだな」

野良「ザッツライト。wiki乙」

猫「イグザクトリー。wiki乙」


箱「---!!!」



1時間後


博士「ぜはーっ ぜはーっ 生きてる……私生きてる……」

猫「チッ」

野良「はー、クーラー涼しいー」

博士「この猫どもぉぉぉぉ……絶対許さん……」

猫「アーン?いいから黙ってモンプチ開けろやコラァ」

野良「やべえ……ルンバ乗るの超楽しい」ウィンウィン

博士「こうなったらな!100%青酸ガスでる装置を箱の中にいれちゃるわい!!」

猫「それもう実験じゃなくてただの殺戮じゃね!?なにこのジジィこわい」

博士「覚悟しろーーーー!」


シャーッ!
  うおおおおおお!!



博士「馬鹿押すな馬鹿 マジで今度は死んじゃうから!死ぬから!やめて!!」

猫「因果応報だろ」グイグイ

野良「自業自得だ」グイグイ

猫「天網恢恢疎にして漏らさず」グイグイ

野良「因果の小車」グイグイ

博士「ごめんごめん!謝るから本当に許して?ね?ね?」

猫「見返りは?」

博士「毎日モンプチ」

猫「よし」



博士「と見せかけてーー!!」

野良「ほっ」ドン

博士「あ」

猫「はい」パタン

博士「ちょっ」



箱「-------------!!!!」バッタンバッタン

猫「うるせー!予想以上にうるせー!」

野良「このままじゃ部屋が半壊するぞ!いい年こいてこのジジィ!いい加減にしろ!」

猫「しょうがねえなー。出すか」



博士「えぐえぐ……ひっくえぐえぐ」

猫「オッサン泣くなよ……かなりみっともねえぞ」

野良「大丈夫かオッサン、涙拭けよ。ほら」

博士「ありがとう… でもこれ雑巾だよね…」


猫「もう実験なんてやめようぜ。疲れちまったよ」

野良「オッサンももうこれ以上暴れないでくれ」

博士「そうだな……私も久しぶりに運動したら、腰が」

猫「俺ももう昼寝の時間だから眠いよ」



博士「ていうかさ?いま思ったんだけど、これ思考実験だからわざわざ装置作って猫入れなくてもよかったかも」

猫「今更?」

野良「もっと早く気付いてほしかったところだな」

猫「博士って、前から思ってたけど、馬鹿だよな?」

博士「よし、そうと決まればさっそく論文を書いて学会に提出してやるぞ!おー!!」

猫「なんか盛り上がってら」

野良「じゃあまたルンバに乗って遊ぼっと」ウィンウィン



しばらくして


博士「もう少し、もう少しで論文が完成する…」カタカタカタッ

猫「よー博士、なにしてんのー?」ゴローン

博士「ちょあああああああ!キーボードにいきなり乗っからないでええええ!」

猫「え?なに?」ゴロゴロ

博士「あああああああああ!デリートボタンのところに頭乗っけないでえええええ!私の1時間分の文章消えたああああああああ!」

野良「だーからバックアップはこまめにとっとけっつの」

博士「お前は電源ボタンにピンポイントで乗るんじゃないよ!!!!!完全にわざとだよね!?ええ!?」

野良「この四角いのあったけぇー」

猫「zzzzzzzz」



博士「くそっ 何回書き直せばいいんだ私は……」カタカタッ

猫「博士ー」

博士「来るなよ!!絶対来るなよ!!!来たら泣くよ!!!」

野良「どんな脅しだし」

猫「その『シュレーディンガーの猫』ってまずいんじゃないの?」

博士「な、何故だ」

猫「いまさー動物虐待とかいろいろ言われる時代だぜ?博士訴えられるかもよ」

博士「馬鹿な!これは思考実験だぞ?ものの例えだ、こんなもの」

野良「実際にやろうとしてたけどな。殺しにかかってたけどな」

猫「やばいんじゃねーの?」


博士「む……確かにそうか。しかし、そうすると犬も鳥もだめだな。いっそゴキブリにするか?」

猫「『シュレーディンガーのゴキブリ』か。なかなかシュールだな」

博士「いや、そんな実験が私の功績として名を残すのはいやだ!ふむ」

博士「それなら私が箱の中に入る設定にするか……」



* * *

学生「……なあ、今日の講義の内容だけどさ」

学生「ああ、なんかすごかったな」

学生「『シュレーディンガーのシュレーディンガー』……か」

学生「箱の中のオッサンは生きてる状態と死んでる状態が1:1で重なり合ってる状態……」

学生「……なんか、気持ち悪いよな」

学生「大のオッサンが箱の中に1時間も閉じこもってること想像すると、なんか……くるよな」

学生「な……」

学生「そもそも観測者が自分で箱に入っちゃだめじゃねっていうツッコミはしちゃだめかな……」

学生「命はってんだろ……察しろよ……オッサン頑張ってんだよ……」

学生「そ、そっか……」


おわり

おつ
野良可愛いな


何かギャグ漫画日和っぽいな

なんか勉強なったわ

すげえ疾走感wwww

おもしろかったw

博士wwwwwwww

わろたww乙

>>17
確かにギャグ漫画日和の絵で漫画化してほしい

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