扉「いつから扉は素直に開くものと錯覚していた?」旅人「え…」(65)

最初に言っておきます
初SSです
なので、つまらないという事を前提に見てください
ペースも遅いです
他の方に迷惑がかかるといけないので、sage進行で行きます
それでも少しの方でも見て頂ければありがたいです
では、どうぞ…



~とある洞窟地下37階~

旅人「やっと…ここまでたどり着いた…」
「思えば長かったなぁ…」
「うじゃうじゃいる魔物に、当然のように散りばめられていた罠…」
「ここが開かずの扉と言われるのも無理はないよ…」
「だけど…ついに…俺は…この扉を開ける第一人者に…」

扉「いつから扉は素直に開くものと錯覚していた?」

旅人「え…」

旅人「しゃ…しゃべった…」
「扉がしゃべったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

扉「うるさいな…お前…
扉が口を聞いて何が悪い?」

旅人「大ありだよ!なんで喋ってんの?扉だよ?普通生きてないでしょ!?」

扉「さぁ?なんか長い間ここにいて、自然と」

旅人「いやいやいや…ちょっと待って
おかしいだろどう考えても」

扉「何が」

旅人「まず、どうやって喋ってんの?」

扉「鍵穴から」

旅人「」

旅人「まぁ…この秘伝の鍵があれば開くだろ…
今までもこの洞窟にあった扉を開いてきたしな…」

扉「それはどうかな?」

旅人「え?」

扉「この私がその鍵を普通に通すとでも?」

旅人「なにいってんだこいつ…
まぁいいや、鍵をこの穴に…あれ?

鍵が…入らない!?」

扉「鍵穴の形状を変えているのさ♪」

旅人「」

扉「諦めな…私はここを意地でも通さん!」

旅人「ああそうかい…だったら…粉々に砕いてやんよぉ!!!」
「俺だって伊達にここまでたどり着いた訳じゃねぇ…この実力、とくと見るがいい!!!」

ガキィィ!!!

扉「…大したことないな」

旅人「…!!!腕が…!」

扉「私だってただつったっている訳ではないのだよ」

旅人「くっ…!てめぇ一体何をした!」

扉「今までの扉の強度もこのくらいなのだぞ
扉というのは先へは進ませぬと、必死で道を守っているのだぞ
それをお前ら人間というものは、鍵などという物に頼って我々を見事にスルーしていく…
少しはそんな扉の気持ちにもなれよ!!!」

旅人「」

旅人「くそ…どうすりゃいいってんだ…
なにか…いい考えは…」

一時間後

旅人「ブツブツブツ…」

扉「いい加減諦めたらどうだ?
さっきから鍵を使ったり、石を投げつけたり、弱点はないかといろいろ触ってみたり…
それでも私は開けないんだろう?」

旅人「…無理だよ」

扉「何?」

旅人「道具も使い果たして、魔力もスッカラカンだ!!
体力だって魔物と戦ってほとんどねぇ!
そんななか、今まで来た道を引き返せって言うのかよ!?」

扉「ふむ…そりゃ気の毒になぁ…」

旅人「そう思うんなら、そこ通せよ」

扉「それは無理というやつですよ」

旅人「デスヨネー…はぁ…」

扉「…」

旅人「ブツブツブツ…」

扉「…あー、とりあえず私から少し離れてくないか?」

旅人「やだ、敵でてくるもん」

扉「そ、そうか…」

扉(近くにいられるとなんか落ち着かない…)

扉「なぁ…」

旅人「なんだよ…」

扉「そんなぶつぶつ言ってないで、私と少し話さないか?」

旅人「はぁ?なんでお前なんかと話さなきゃいけないの?」

扉「いや、そのままここにいて精神状態も不安定になられたら困るしな」

旅人「…まぁ、その通りかもな」

扉(それに、私も喋り相手が欲しかったし…)ボソッ

旅人「ん?なんか言ったか?」

扉「い、いや、何でもない」

旅人「それで、なに話せばいいの?
扉と話す話題なんて思い付かないんだけど」

扉「そう…だな…
地上とは…どんなところなのだ?」

旅人「? なんでそんなこと…」

扉「いや、私は生涯ここを守る為に生まれたからな
地上というものを見たことがないんだよ
それで、どんなところかなぁって…ダメ?」

旅人「…そんなにいいもんじゃねーぞ」

扉「…え?」

旅人「まぁ、人間がたくさんいるな」

扉「ふむふむ」

「そんで、毎日のようにくだんないことで騒いでたりしてる」
「ちょっとしたことで喧嘩して、ちょっとしたことで理不尽にいじめたりして」
「正しいことをしてるやつが嫌われて、悪い事をしてるやつが好かれていく」
「人が植物を一方的に傷つけて、人が動物を一方的に傷つけて、人が人をお互いに傷つけている」
「ま、そんなとこかね」


扉「そう…なのか…」


旅人「正直、あんたのようにただただたっているだけのようなあんたが羨ましいよ」

扉「なんか、それお前の偏見じゃないか?」

旅人「偏見なもんかい!俺はこの目で見てきた
人の憎しみを、人の裏切りを、人の闇の部分をな!!!」

扉「…まぁ、お前の身に何があったかは触れないでおくが…」
「そんなにひどいものなのかなぁ…」

旅人「ははっ、まぁ酒だけは旨いがな」

扉「酒…?」

旅人「なんだ、喋れるくせに酒は知らないのな」

扉「あ、あぁ…して、その酒というものはなんだ?」

旅人「幸せな気分になれるとても最高な飲み物なんだ」

扉「なんと」

旅人「まぁ、酒のせいで事件に巻き込まれる奴も少なくないがな」

扉「じゃあなんでそんなのを飲むんだ?」

旅人「この嫌な現実から逃れれるから…だな」

扉「……」

扉「…なんだかんだ言って、お前も私のことが言えないんだな」

旅人「…?」

扉「お前は心の扉を全く開いてないな」


旅人「はは、よく言われる」

扉「…それじゃあ、なんでこの洞窟に来ようと思ったのだ?」

旅人「そりゃあ俺をバカにしてきた奴等を見返す為に、たくさんの宝を持ってかえる為だよ」


扉「そうか」

旅人「はは、同情してくれんならとっととそこどいて」

扉「……同情するからこそどく訳にはいかないな」

すみません、ちょっと落ちますorz

再開


旅人「…は?」

扉「お前、誰かと話したことがあるか?」

旅人「…まずないな」

扉「今、私としゃべっているよな?」

旅人「…それがどうした?」



扉「このまま私とずっと一緒に喋ってみないか?」

旅人「…なにを言い出すかと思えば」

扉「このまま帰っても、お前はその酒とやらを飲むだけだろう?」

旅人「んー、まあな、悪いか?」

扉「ああ、悪い」

旅人「そうかい、じゃあ余計なお世話だからさっさとどいてくれ」

扉「…お前なら私の気持ちも分かってくれると思ったのだがな…」

旅人「は?」

扉「正直…お前が来るまで私は孤独だったよ…」
「こんな地下深く…話す相手なんていない…意思があるものは私だけ…」
「こんな場所でたった一人ぼっちさ…」

旅人「ああそうかい」

扉「それでも私は耐えてきた…ずっとずっと…寂しかったんだよ…」
「お前ともっと一緒にいたいんだよ…」

旅人「…ふん、甘ったれてんじゃねーよ」

扉「え…」

旅人「俺はなぁ、寂しかったなんていってられなかった…常に皆の敵になるしかなかったんだよぉ!!」
「あんたなんかまだマシだ!!あんな協力な魔物に守られて、それでも皆があんたを求め続けてる!!
そしてたくさんの犠牲者を出しておきながら、そんなことを言うなんて甘ったれてるにもほどがあるわ!!」

扉「……」

旅人「はぁ…はぁ…」

旅人「…もういい、あんたと話してっと逆にイライラする
金輪際俺に話しかけるなよ
分かったか!?」

扉「…ああ、分かった
元々扉と人が話すなんて、そんな馬鹿げたことをしようとした私が間違っていたよ…」

旅人「…ふんっ」

扉「……」

旅人「……」


扉「……」



旅人「……」


扉(悪い事…したかな…)
「な、なぁ…」

旅人「うっせぇ!!!」
扉「すまない…」

旅人(はぁ…なにこんな扉に切れてんだろ、俺って…)

旅人(俺は昔からこうだ…他人の言うことにすぐ反発して、嫌われて、仲間なんて作れなくて、作ろうともしなくって、傷つけて、傷つけられて…)

旅人(ああもう思い出すだけでイライラする!)

旅人(なんなんだろうな…こんな俺の人生って…意味あるのかな…?)



扉(こいつも寂しかったんだろうな…
私も、どれだけここにずっとたっているのだろう…)

扉(思えばなにも変わらない風景のなか、こんなに長い間私は誰かがが来るのを待ち続けていたんだな…)

扉(それなのに…自分の気持ちを優先してしまって…)

旅人「なぁ…」

扉「ん?なに?」

旅人「そのさ…勝手にキレてごめんな
俺って昔からこんな感じでさー」

扉「…私は別に気にしてないですよ」

旅人「実に面倒くさい、だろ?」

扉「なんで強調して言うんですか」クスッ

旅人「扉も感情があれば笑うんだな」ハハッ

扉「あなただって、笑ってるじゃん」

旅人「だってよ、喋る扉と話してるってなかなかシュールだなって思ってさ」

扉「ふふ、確かに人間から見ればそうかもね」

旅人「お前ら扉から見てもそう見えると思うぞ…て、酒も知らないのにシュールの意味分かるのなお前」

扉「そこは気にしたら負けです」

旅人「都合のいいやつだな」ハハッ

旅人「…そんでさ、ふと思ったけど」

扉「?」

旅人「あんたっていつからそんな喋れるようになった訳?」

扉「いつから…か…」

旅人「うん」

扉「…分かんない」

旅人「え?」

扉「自分がいつからここにたっていて、いつから喋れるようになったかなんてあまりにも長くて忘れちゃった」

旅人「…じゃあ、いつからここにいるか目処がつかないのか…」

扉「うん…そうなっちゃうね…」
「あ!でも」

旅人「?」

扉「ずっと昔、いろいろな人がこの扉を通っていた記憶がうっすらとある」
「なんか、けんきゅう…なんとかって言ってた気がする…」
「でも、あまりはっきり覚えてないし、夢かもしれないね」

旅人「ふーん…」

旅人「…ふぁーあ…なんだか眠くなってきた…」
扉「じゃあ寝たらどうです?」
旅人「こんなとこで寝たら、魔物に襲われるに決まって…」

扉「この階、魔物なんて来ませんよ」

旅人「え?」キョロキョロ

旅人「そういえば…他の階にはあんなに魔物がいたのにこの階はあんたの所まで来るのに全く魔物に出くわさなかったな…」

扉「ね?私の言った通りでしょう?」
旅人「最初から言えよ」
扉「すみません…」シュン

旅人「まぁいいや、じゃあ遠慮なく寝させてもらうよ」
扉「えぇ、おやすみなさい」
旅人「おやすみー」

旅人(しかし…ここだけ魔物がいないってのはおかしい…
もしや、扉の先にあるものは魔物すらも近よせない、とても恐ろしいものなのか?)
(…はは…まさかね…)




シュー…シュー…

旅人「zzz…」

扉(…結局私の前で寝るんだ…)
(人間…かぁ…
私は人間だったらどんな人間になっていたんだろうな…)
(やっぱりこうやってずっと立ち尽くしているから、辛抱強かったり?)
(それとも扉なのに喋ったりするからせわしない?)

(…私が人間だったら…)




「おーい、一緒に遊ばない?」ザザー
「なぁ、一緒に帰らない?」ザザー
「俺はお前のことが…」ザザー

「なんでだよ…なんでいっちまうんだよお!!
返事してくれよ…なぁ…おい!!!」ザザザーザーーー

「私…あなたと…離れたく…な…い…のに…」
「なんで…なんで…」


扉「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

すみません、今日はここまでにしたいと思いますです
いろいろつまらないですが、のんびりと書いていきたいと思いますです
それではありがとうございましたです

そんなことより何でキャラ変わってんだよw
男×女に路線変更しやがったなw

お待たせしました(待ってた人なんていないでしょうが)
また書いていきます


>>26
すみません…後々の展開に合わせてこうせざるを得なかったというか…

扉「ハァ…ハァ…」
「…なんだったんだろ…今の…」
「…あんまり考えないでおこう…」


扉「あれ…あの人は…?」
「おーい?どこいったんですかー?」

シーン…

扉「まさか…この洞窟を出ようとして…」

扉「……」

扉「…私がそんなに嫌だったのかな…」

扉「……」

扉「大丈夫かな…一人で…」

旅人「ふぅ…なんとか戻ってこれた…」

扉「…え?」

旅人「あーあ、まーた体力がなくなっちまったよ…」

扉「あ…戻ってきた…」

旅人「なんだ?戻ってきちゃ悪いのかよ閉まってるくせに口うるさいドアさんよ」

扉「な…」

旅人「どうした?喋れてもそこから一歩も動けない可哀想なお人よ
足でもつけて俺にのしかかってみなさいよw」

扉「そんな風に言わなくても…て、なんか袋が膨らんでますが…なにが入ってるの?」

旅人「魔物の死骸」

扉「え…そんなのなにに使うんですか…」

旅人「なにって…喰うんだよ」

扉「!?」

旅人「ほら…生き物っていうのはさ、なにか食べていかないと死ぬじゃん?」

扉「まぁそうでしょうけど…」

旅人「だからこれから食べるの」

扉「…人間って皆そんな風に魔物を食べるの…?」

旅人「ああ、魔物の肉はなかなか旨いからな」

扉「」

旅人「…まぁ俺みたいなやつは少ない方かな
普通は人が育てた食べ物を食べているな」

扉「あぁ、びっくりした」

旅人「…俺にとっては扉が喋る事の方がびっくりだよ」

扉「デスヨネー」

扉「それで…その魔物、そのまま食べるんですか?」

旅人「そんなわけあるか
焼いて食うんだよ」

扉「焼くって…」

旅人「ああ、文句ないだろ?」

扉「…え、ええ…」
「でも、火なんて起こせないんじゃないですか?」

旅人「俺は呪文で火を出すことができるんだよ」

扉「へ、へぇ~…」

旅人「それじゃあ…いくぞ!」
ボゥ!!

旅人「よし!これで魔物を焼く事ができる!」

扉「これが…火…?」

旅人「あぁ、扉だから火なんて見たことがないのか」

扉「へぇー…綺麗…ですね…」
「……」

扉(なんだろう…これを見てるとなんだか…)

旅人「ん?どうした?急に黙って…
そんなに火が珍しいか?」
扉「…あ、まぁ…はい…」

旅人「ふぅん…まぁいいや」
扉「……」


旅人「よし、そろそろ焼けたな!
上手に焼けました~!ってな!!」
扉「なんですかそれ…」フフッ
旅人「ちっちゃい事は気にすんな」
扉「だって、いきなりそんなテンション高くなって…」

旅人「お前も食うか?」
扉「いや、私は食べられませんので」
旅人「はは、それもそうか」



旅人(…私は食べられませんので…てか…)

(…ちょっと…懐かしいな…)





(あいつ…なにしてんのかな…)

旅人(…はは、駄目だな俺って…
いつまでももういない奴の事を考えてたって…仕方ないのに…よ)




扉「あの…」

旅人「…ん?なんだ?」

扉「いや…食べないんですか?手が止まっていたようですけど…」


旅人「…ん、いや、ちょっと考え事をしていただけだ…」

扉「…?」

旅人「なんだ?これ欲しいのか?食い意地がはったやつだなお前は」
扉「別にそんな目的で聞いた訳じゃないですよ」
旅人「じゃあなんのために聞いたんだよ
食べたいんだろ?そうなんだろ?」

扉「なんなんですか、もう…」

旅人「あっはっは!」



旅人(ああ、こんなに俺から話すのっていつ以来だろう…)
(こんなに楽しく話してるのって、本当にいつ以来だろうな…)

扉「…そういえばまだ名前を聞いてなかったな」

旅人「んあ?そうだっけ?」
「俺の名前は旅人だよ」

扉「そうか
これからもよろしくな、旅人」


旅人「…あーあ、何が悲しくて俺はこんな扉に名乗ってんだろうな」

扉「よいではないか」フフッ

旅人「そうかい」ハハ



扉(旅人…その名を聞いて、なんだか懐かしい感じがするのは…気のせいかな…?)
(…有り得ないか
私は扉、ただの扉…喋ってる時点でただの扉とは言えないけど…)
(でも、ずっとここで一人でいたからな…懐かしいなんて、きっと気のせいだな…)

扉「そういえば、旅人はこれからはどうするつもりなのだ?」

旅人「んー、持ち物もほとんど残ってないから引き返す訳にもいかないし…寝れさえすれば回復はするし、魔物もなんとかすれば倒せるからここにいるつもりだよ」
「あんたもそこを通す気はさらさらないんだろ?」
扉「当然!」

旅人(それに…その先にあるものはなんなのか…皆目見当がつかねえしな…)
(一応自分自身を鍛えておくに限るね…)

扉「…?どうした?」
旅人「いや、なんでもねぇ…」

旅人(この扉に余計な事を言ったら、更に通してもらえなさそうだしな…)

扉「変なやつだなぁ…」
旅人「あんたにだけは言われたくないね」
扉「なんだとぉ!?」
旅人「お?来るか!?動けねぇのに!!?」
扉「うぐぅ…」
旅人「仕方ないやつだな…と」
扉「ふんっ!」
旅人「扉がキレてるww」
扉「うるさい!!」
旅人「はっはっは!!」

旅人(それに…こんな楽しそうな奴に余計な心配をかけたくもないし…な…)

~一週間後~

ガリガリガリ…

扉「あの…旅人さん…?」ガリガリガリ…

扉「そのー…」ガリガリガリ…

扉「この一週間、なんでそんなに一生懸命地面を掘っているんですか…?」ガリガ…ピタッ

旅人「…知りたいか…?」

扉「え!?いや…まぁ…」
旅人「俺は…今な…」







旅人「風呂を作っている」




扉「…は?」

旅人「なんだ、風呂は知らないのか」 扉「いや、知ってます」 旅人「なんで知ってんだ」
扉「何を今さら」旅人「まぁそれもそうか」

扉「でも、なんでまた…
大体、なんで地面を掘っているんです?」

旅人「だってよ、俺しばらくずっとここで生活するわけだろ?」
扉「まぁ…」

旅人「だったら、自分の生活環境整えたくなるじゃん?」
扉「はぁ…」

旅人「そんで、まず食料に関しては魔物がうじゃうじゃいるからいい」
扉「はい」
「排泄に関しては排泄物を燃やせばいい」
扉「そういえば陰でなにか燃やしてる音がしましたね」
旅人「…とまぁ、一応こんな感じで最低限の事はできる…が」
扉「…が?」
旅人「風呂に入れなかったら不潔で病気になってしまうかもしれない!」

旅人「今こんな状況で、病気になってみろ、誰が俺を看病してくれる?」
扉「誰もいませんね」

旅人「そこはお世辞でも『私が看病します!』て言うところだろうが…」
扉「そんなこと言っても、私扉ですし」

旅人「うん、そうだね
でも少しは情けってものをだなぁ…」
扉「そんなこと言っても、私扉ですし」

旅人「…はぁ、お前さんは体だけでなく心も冷たいんだな…」
扉「そんなこと言っても、私t(略」

旅人「…分かった、俺が悪かった」
「それでな、俺が病気になっても看病してくれる人がいないから俺の病気は悪化、魔物も倒せなくなって、食料もなくなる!」
「そうなってしまったら俺はゲームオーバー、この世からおさらばだね」
扉「なるほど…」
旅人(まぁ別におさらばしてもいいんだけど…よ)



(私の…分まで…生き…て…)



旅人(死ぬ訳には行かないし…な…)

扉「……?」

扉「でも、なんでそこらじゅうの地面を掘っているの?」

旅人「ふん、そんなの決まっている」




旅人「温泉を掘っているんだよ」



扉「」



旅人「…?どうした、こんな地下で風呂に入るには、それぐらいしかないだろ?」


扉「…旅人さん、重々失礼だと承知しながらも言わせてもらいます…」

旅人「?」




扉「あなたはアホでございますか?」


旅人「」

旅人「なんでそんなこと言うんだよ!?」

扉「はぁ…こんな地下深くで温泉が出ると思いますか?」

旅人「だから温泉出るまで掘るの!分かる?」

扉「いや、無謀かと」

旅人「…ふん、でも俺のやり方にいちいちケチつけるなよ!」

扉「はぁ…大体呪文使えるんですよね?
それで水を自分で出して飲んでるじゃないですか」
「その水でお風呂を作るのは駄目なんですか?」


旅人「……」ポンッ

扉「その発想はなかったって顔になるのやめてください…」

旅人「…よっし、風呂作るぞ」
扉(…全く、分析力が高いんだか低いんだか…)

旅人「とりあえずさっきまで掘っていた穴を利用するか…」
扉「また手で掘るんですか…?」
旅人「それしかないだろ」
扉「…はぁ」

旅人「…いや…風呂を作るんだし、どうせなら水で掘ろう」
扉「え?」

旅人「オラアアアアア!!!」
ブシャァァァァァァァ!!!

扉「すごい勢いで手から水が…」

旅人「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!!!!!!!!!」

扉「…大丈夫で「オ”ウ”ク”ル”ル”レ”ル”リ”ル”ラ”ラ”ラ”ラ”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!!!!!!!!」




扉「…はなさそう…かな?」

~10分後~


旅人「ぜー…ぜー…」
「魔力を…ほとんど使ってしまった…」

扉「…かなり疲れてますね…当たり前なんだけど…」

旅人「今日は…もう…食料を調達…するのは…無理だな…」ゼー…ゼー…

扉「…大丈夫なんですか?」

旅人「…余分にある…食料でなんとか…なる…」ゼー…ゼー…

扉「…で、でも、これでお風呂はできましたね…!」

旅人「ああ…なんとか…な…だけど…沸いてないから…入るのは…無理…」ゼー…ゼー…

扉「だったら、早く火を…」


旅人「…どうやって沸かすか…考えてなかった…な」ヒー…ヒー…

扉「……」


旅人「……」


扉「……」


旅人「……まーなんだ…」
「とりあえず…疲れたから休む…」ドサッ


扉「……あのさぁ…」


旅人「あー言うな、皆まで言うな!これでも頑張ったのは俺なんだからな!?誰かにとやかく言われる筋合いはないね!」


扉「……はぁ…」

旅人「…」ムシャムシャ…

扉「…あの…」

旅人「…」ムシャムシャ…

扉「…聞こえてますかー…?」

旅人「…」ムシャムシャ…

扉「…おーい」

旅人「…」ムシャムシャ…

扉「食べてばかりいないで、なにか反応してくださいよー…」

旅人「…」ムシャムシャ…

扉「…このお風呂、どうするつもりですかー…?」

旅人「…」ムシャム…バリッ!

旅人「ゲホッ!ゴホッ!」

扉「ボーッとしてるから骨までかじる事になるんですよ」

旅人「うるせぇ!!」

旅人「さて、そろそろ寝るか…」

扉「…結局、これはどうするんですか?」

旅人「明日になったら考えるよ」

扉「心配だなぁ…」

旅人「俺は今、魔力がない
それでどうしようかって悩んでても仕方がないの」

扉「わざわざ呪文に頼らなくてもいいじゃないですか」

旅人「それでも今は眠いから寝るの
分かったらもう寝かせてくれ」

扉「もう…」

~翌日~


扉「……」

旅人「あぁ~、いい湯だなぁ~
極楽、極楽…」

扉「…昨日とはまた大違い…ですね…」

旅人「火の呪文を1時間ほど唱え続けてたら風呂が沸いたんだよ」

扉「…そこまでして風呂に入りたいものなの…?」

旅人「もっちろん!!風呂は気持ちいいからな!!」

扉「……」

旅人「まあ扉には理解しがたいよな、風呂の素晴らしさなんて」

扉「そんなに魔力を使って、今日は魔物を倒せるんですか…?」

旅人「今日の食料分ぐらいは間に合うだろ」

扉「無理しないでくださいよ…」

旅人「そんじゃあ行きますか!」

扉「頑張ってね…」

タッタッタッタッ…





扉(なんだろうな…胸騒ぎがするような…)












シュー…シュー…

…………


旅人「ふぅ…今日も結構狩ったな…」
「そろそろ帰る…!?」

ゴゴゴゴゴゴゴ!!

旅人「な…地震!?」

『オオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!』
(いや…上になにか…いる!?)

ガラガラガラガラガラガラ!!!!!!!
旅人「ちっ、下への階段が岩で…」

ズズズ…ズン!
旅人「…!」ザッ
「…来る!」


バゴオオオオオオン!!!!!!!
ガラガラガラ…ズン!!!
『オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

旅人「……ちっ、今までに見たことがないような巨大な岩の怪物だぜ…」

『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!』
旅人「…へ、いくっきゃねーだろ!!!」
ダッ!

ゴゴゴゴゴゴゴ!!!
扉「!?なに…?」

扉「今の揺れ…尋常じゃなかった…」
扉(まさか…旅人さんの身になにか…?)

扉(…大丈夫…だよ…ね…?)




ズガァァン!!
旅人「うぐぁ!!」

ガラガラガラ…ドサッ

『オオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!』
ビリビリビリビリビリッッッ!!!


旅人(…くそ…俺は…もう…駄目か…?)
(いや…俺の…為に…約束…してくれた…)
(あいつの…為に…生き…なきゃ…)
(最後の…約束ぐらい…守らなくちゃなぁ!)

~回想~


旅人「ぁぁ、やっと新しい町に着いたよ…」
「さて、酒場はどこかな…ん?」

人さらいA「ようねえちゃん!こんなところで何やってんだぃ?」ニヤニヤ
人さらいB「アニキィ、こいつは上玉ですぜぃ」ニヤニヤ

「いや…やめて…誰か助けて…」

旅人(はぁ…この町もか…どこでもあの手の輩はいるもんだねぇ…ま、俺には関係無いがな
さ、酒場酒場っと…)

人さらいA「へっへっへっ、いくら助けを呼んでも無駄さ!」
人さらいB「そうそう!俺達は人さらい集団『蛇の使い』なんだからよう!」

旅人(なに…?)

人さらいA「皆びびってしまって知らんぷりする奴ばかりなんだよ…くくく、そのおかげでこうして大っぴらに人さらいができるんだがな!」
人さらいB「さぁて、アニキ!そろそろずらかりましょう!」
人さらいA「おぅ!さっさと親分の所に連れてく…!?」

ズバッ!

人さらいA「うぎゃぁぁぁぁ!!手がぁぁぁ!!!」
人さらいB「アニキィィ!!」
人さらいA「うう…くそ、誰だ!?」

旅人「まさかあんたらにこうしてまた出会う時が来るとはねぇ…」

人さらいA「あぁん!?俺はお前なんか知らねぇぞ!?」

旅人「そっちにはなくてもこっちには大有りなんだよなぁ…」

人さらいB「アニキ!あんな生意気なやつ、俺が「ス キ あ り」ヒュッ

人さらいB「な…」

旅人「おらよっと!」
ドゴッ!

人さらいB「うぐ…ぉお…」

人さらいA「く…てめぇ、いつまでもなめてんじゃねぇぇぇ!!」ブンッ!!
旅人「…遅いよ」バッ

人さらいA「な…」

旅人「ほっ!」バキッ!!

人さらいA「うぐ…ぉお…」

旅人「やられるときの訓練でもしてんのか、お前ら反応がまったく一緒だな」

人さらいA「くそ、覚えてやがれ!」
人さらいB「アニキィ、待ってくださいよぉ!」

旅人「…ふぅ」

「あ…あのぅ…」

旅人「ん?」

「助けてくれてありが「近づくんじゃねーよ」

「…え?」

旅人「あんたもあいつらの仲間だったとしたらと考えたら、油断するわけにゃいかねぇな」

「そんな!違います!」

旅人「どっちみち、あんたがなんであろーと、俺はさっさとこの町を出る」

「さっきの人達から逃げるため…ですか?」

旅人「いや、違う」



旅人「あいつらの根城をぶっ潰しに行くんだよ!!」

ザワッ…


「ちょ!?何いってるんですかそんな大きな声で…!?」

旅人「なんだよ、文句ある?」

「文句もなにも…相手はあの『蛇の使い』の連中ですよ!?」


旅人「ああ、だからこそだよ」

旅人「元々、この時の為に旅をしてきたようなもんだしな」


「…そうですか」

「…なら、私も連れていってくださいよ…」

旅人「…君、なにいってんの?」

「…私もあの人達に復習したいんです
どうか、お願いします…!」

旅人「…君、名前は?」

「女…ともうします…」

旅人「ふーん…君、これは遊びじゃないんだよ?」

女「そんなこと、分かってます…でも、私のお母さんを誘拐して、そしてお母さんを守ろうとしたお父さんを殺したあいつらに復習がしたくて…!」

旅人「…でもねぇ…さっきあんなに簡単に捕まってた人を連れていってもねぇ…」

女「……」

旅人「まぁとにかく、そういう事なら俺にまかせておいていいしさ、な?」

女「…そうですよね…すみません…」

旅人「…んじゃ、さいなら」

女「……」

>>56訂正
復習×
復讐○

人さらいA「すまねぇ…親分、こんな情けねぇ姿を見せちまって…」

親分「はっはっは、心配せずとも許してやろう…私は慈悲深いからな…」

人さらいB「ありがてぇ親分…」

親分「しかし…お前らを傷付けたそいつを許す訳にはいかないなぁ…
よし、これからそいつのいた町を焼き払いに行こう…
もしかしたらのこのこと出てくるかもしれないしなぁ…」


旅人「その必要はないがな」

親分「…?」

人さらいA「あ、てめぇは!」
人さらいB「親分、こいつです!こいつが例の!」



親分「ほう、君だったのかね…」


旅人「……」

人さらいA「親分、こいつ知ってるんですかい!?」

親分「まぁな…こいつは俺がある町で一人の女をさらおうとしたときに、私の身代わりに子供を連れていけって言ってきたんだよ…」

旅人「……」

親分「それで俺はこいつを代わりに連れてきたんだ…なんせ俺は慈悲深いからな…」

旅人「……」

親分「それで、奴隷として働かせてたんだが、しばらくした時に脱走してねぇ…」
「まぁ、その顔は頭の隅に置かせてもらっていたよ」


旅人「…解説は終わりかい?なら、とっとと始めさせて欲しいが…」


親分「…くっくっく、飛んで火に入る夏の虫とは、まさに今の君の事だな…」

旅人「…なに?」

「へっへっへっ…」ニヤニヤ
「ひひひ…」ニマニマ
「フヘヘへ…」ニタァ
ぞろぞろ…ぞろぞろ…


親分「…まぁ、ざっと30人はいるだろう…」
「この人数相手に、どこまで生き延びられるかな?」


旅人「…ザコが集まって何ができる」

親分「ふふ、ずいぶん強気だね…いつまでもつかな?」

親分「…やれ」



ウオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!!




旅人「…消えろ」

「うらあ!!」ブンッ
旅人「……」ヒョイ

ズバァ!!

「うああああああ!!!」


「ちきしょう、なめやがって!」
「俺たち『蛇の使い』に刃向かったこと、後悔させてやるぜ!」

旅人「さっさと失せろ…」ズドッガスッ

「う…」「ぎゃああ!」


旅人「さあ、てめぇら全員まとめてかかってこいよ!」

「こ、こんにゃろぉぉぉ!!!」「ふざけるなぁぁぁ!!!」



旅人「業火よ、この者達を燃やし尽くせ!!」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!



「うぁぁぁぁぁぁ!!!!!」「助けてくれぇぇぇぇ!!!」「まだ死にたくねえよぉぉぉぉぉ!!」「ちくしょおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」




旅人「……」

親分「あれまぁ…ずいぶんと派手にやってくれましたねぇ…」ヒュン!

旅人(くっ…!)タッ!

親分「遅い」ガシッ

旅人「…!」

親分「…私のアジトをこんなにも燃やしてしまって…ただですむと思ったら大間違いですよ?」ギリギリギリッ

旅人「うぐ…!」

親分「ふふふ…私をみくびってもらってはいけませんね…」ギリギリギリギリッ!

旅人「く…はな…せ…」

親分「許す訳がないでしょう?あなたのことを…」ギリギリギリギリッ

旅人「…く……そ……」ポタ…ポタ…

親分「まぁ……私も鬼ではありません…あなたが私の忠実な下僕としてまた我々のもとに戻ってくれるなら命だけは助けましょう…」


旅人「……こと……わ……る…」ポタ…ポタ…


親分「そうですか…それは残念です」


親分「それでは……さようなら」





ザスッッッ!!!

親分「……………」



旅人「……………」



バタッ……





ハァ……ハァ……






旅人「………遊びじゃないって……言った……よな……?」





女「………はい……!」

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