-- 十数日後 --

綾瀬穂乃香「…」

喜多見柚「どしたの？穂乃香チャン？」

穂乃香「柚ちゃん…」

柚「真剣な顔してぴにゃぬいぐるみとにらめっこって、何かあった？」

穂乃香「…実は、忍ちゃんのことなんですけど…」

柚「ウンウン♪」

穂乃香「ここしばらく、同じレッスン用の靴下を履き続けてるみたいなんです」

柚「そうだっけ？」

穂乃香「ユニットでダンスの合わせをやっているんですから、自然と爪先まで目に入ってしまって…。忍ちゃん、節約を突き詰めすぎて、ついに何日も同じ靴下を履くようになっちゃったんでしょうか？」

柚「いやー。それはないと思…」

穂乃香「どうしましょう…このままだと忍ちゃんがアイドルなのに靴下を何日も同じものを履いてる女の子になってしまいます…」

柚（あっ。これ変なスイッチ入っちゃってる）

穂乃香「どうすれば…忍ちゃんに女の子らしい恥じらいを取り戻してもらえるんでしょうか…？」

柚「そだネー（適当）。お買い物でも誘ったら？」

穂乃香「お買い物！それは良い案ですね。」

柚「でも、靴下買ってあげるとか言っても忍チャン断っちゃうかも？」

穂乃香「そんな…私はどうしたら…」

桃井あずき「話は聞かせてもらったよ！あずきにいい案がある！」

穂乃香「あずきちゃん…！」

あずき「ちょうど今、フリスクでの合同レッスン中だし、今度のオフで忍ちゃんの女子力見直し大作戦だよ！」

柚「あれ？何か思ったよりあずきチャン乗り気？」

穂乃香「あずきちゃん…素晴らしい作戦です！」（ﾊﾟｧｧｯ）

柚（まぁ面白そーだからいっか♪）

-- 数日後 --

あずき「はい！みんな集合！」

忍「あずきちゃん、張り切ってるね」

柚「ここんとこレッスン漬けだったもんネ～」

穂乃香「ふふっ。今日はのんびり４人でお出かけですね」

あずき（大作戦その１！自然な流れで忍ちゃんを連れ出したよ！）

忍「今日はどこ行こっか？」

あずき「あずきお買い物行きたい！」

柚「アタシは遊園地かナァ～？」

穂乃香「意見が分かれてしまいましたね…」

忍「連日のレッスンでクタクタだし…今日はお買い物にしよっか。いい？柚ちゃん？」

柚「それもそーだネ（ﾁﾗｯ）」

あずき「やった♪（ﾁﾗｯ）」

あずき（大作戦その２！忍ちゃんからお買い物にしようって言わせたよ！）

柚（やったねあずきチャン♪）

穂乃香「お買い物でしたら、行ってみたいお店があるんです」

忍「へーどんなお店？」

穂乃香「靴下屋さんです」

あずき・柚「「え？」」

穂乃香「あっ……違いました。お洋服屋さんです」

忍「？洋服屋なら靴下も扱ってるもんね。穂乃香ちゃんオススメのお店なら行ってみたいな」

柚（良かったー。なんとかごまかせたネー）

あずき（せっかくの大作戦が台無しになるとこだったよぉ）

柚（忍チャンは穂乃香チャンに甘いからネ）

穂乃香「では、行きましょう皆さん♪」

３人「おー♪」

-- 若い女の子に人気なブランドのお店 --

あずき「わぁ♪」

柚「これ昨日発売した雑誌で見たヤツだよネ♪」

忍「そうそう。加蓮ちゃんがイメージキャラで着てたコーデだね」

あずき「あずきもこんなお仕事したいなぁ」

忍「アタシ達だってその内、きっと声がかかるよ！」

忍「それにしても、加蓮ちゃんはすごいなぁ。こんな誰もが知ってるブランドのイメージキャラになるんだもん…アタシだって頑張って…」

柚（忍チャンのやる気スイッチ、入ったカナ？）

穂乃香「よかった。加蓮ちゃんに相談した甲斐がありましたね」

あずき「穂乃香ちゃぁん！」

忍「え？加蓮ちゃんに相談？」

穂乃香「そうです（ﾆｺﾆｺ）。オススメのブランドを聞いたら今日からここで雑誌と同じコーデを展示するって聞きまして。」

忍「そうなんだ。そう言えば穂乃香ちゃんのイメージとはちょっと違うブランドだもんね」

柚（忍チャンが穂乃香チャンに甘くてヨカッタ～）

あずき（忍ちゃんは穂乃香ちゃんの言うことは何でも好意的に解釈するからね）

柚「それじゃ、皆で思い思いのコーデを試着しちゃったりしない？」

あずき「さんせー！」

忍「でも、せっかくだけど試着してもアタシは買う余裕ないよ？」

穂乃香「それなら私が…」

柚「穂乃香チャン、ストップ」

あずき（今、買ってあげるって言おうとしたよね？）

穂乃香（え？ダメなんですか？）

柚（忍チャン断るに決まってるヨー？）

あずき（今回の大作戦の目的とも違うよ～）

忍「どうしたのみんな？」

あずき・柚「「ナンデモナイデス」」

穂乃香「…ごめんなさい忍ちゃん」

３人「え？」

穂乃香「忍ちゃんのお財布事情はわかっています。でも、どうしても忍ちゃんにお洒落な格好をしてもらいたくて…」

忍「穂乃香ちゃん…」

穂乃香「何日も同じ靴下を履いている忍ちゃんが見るに忍びなくて…」

柚「忍チャンだけにネ」

あずき「そういうことじゃないよ？もーばらしちゃったー！」

忍「そういうことなんだ…アハハ♪」

穂乃香「忍ちゃん？」

忍「ゴメン、おかしくってさ。あれはレッスン用に何組も同じデザイン同じ色でまとめ買いしてたんだ。」

穂乃香「そうなんですか？」

忍「普段用とは違うよ？今日もほら」（足元指差し）

あずき「ほんとだーオシャレなヤツだ！」

忍「昨日までは合宿所だったからレッスン用で過ごしてたし、ちゃんと毎日洗濯してるからね」

柚「そーいえば毎日同じ色のが干されてたネー」

忍「柚ちゃん、気づいてたんじゃないの？」

柚「ナンノコトカナー？」

穂乃香「そうなんですね…（ﾎｯ）」

あずき「じゃあ忍ちゃんの女子力に問題はなかったんだね！」

忍「そんな話になってたんだ」

穂乃香「私もう、忍ちゃんが心配で…（ｳﾙｯ）」

忍「穂乃香ちゃん…（そっと肩に手を置く）」

柚（なにかはじまった）

あずき（ナニかはじまったね）

忍「それじゃ、さ！」

忍「こうやって４人で来たのも縁だし、４人で靴下のプレゼント交換しない？」

柚「おっ！何か良い感じだネ」

忍「自分以外の３人に似合いそうな靴下を買ってさ。」

あずき「プレゼント交換大作戦だね♪」

穂乃香「すごく、素敵です（ﾊﾟｧｧｯ）」

忍「良かった。穂乃香ちゃん嬉しそうで♪」

穂乃香（こうして、私の勘違いではじまった一騒動は柚ちゃん、あずきちゃんの協力と忍ちゃんの機転で賑やかに幕を閉じました。）

穂乃香（４人共、お互いにぴったりな靴下を選んでいて、こんなところでも息がピッタリなんだなって。ふふっ）

穂乃香（ただ、プレゼント交換した３足３組の靴下は、しばらくはお互いで大切にしまっておこうという話になりました。）

穂乃香（いつか４人で、大きな舞台に立った時に、思い出話としてお話できる日まで…）