【安価】魔姫「お父様が勇者とやらに討たれてしまいました」 (117)



―――魔王が討たれて半年―――


【エルフの里】


魔姫「あぁ~めっちゃ退屈ですわね~」ポリポリ

エルフ「うっわぁ……」

魔姫「人の顔見るなり引くとか失礼ですわよ」

エルフ「いやだって……状況とか立場とか鑑みて、だらだらしてるのが信じられないっていうか」

魔姫「逆に訊きますけど、今私が何をしてれば満足ですのよ」

エルフ「えっ?それは……仮にも魔族のお姫様なんですし、>>2とか?」


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お父様を殺された恨みを晴らすべく復讐ですわ!!!!的な

エルフ「そう、『お父様を殺された恨みを晴らすべく復讐ですわ!!!!』みたいな」

魔姫「エルフ族だけあって価値観古いですわね~。今時復讐なんて流行りませんわよ」

エルフ「いや流行りとかそういんじゃないでしょ。あと何気にエルフをディスりましたね!」

魔姫「復讐は何も生まない、切ないだけですわ」フッ

エルフ「それ前に貸した小説のセリフなんですけど!」

魔姫「感銘を受けましたわ」

エルフ「いやいや!自分のパパや配下の人達殺されて悲しいとか、苦しいとかはないんですか!?」

魔姫「あれなら放っておいても数百年したら復活しますわよ」

エルフ「えぇ……それじゃあ……勇者って人間にも、特に何も思うところはないんですか?」

魔姫「そうですわね……あえて言うなら……>>4でしょうか」

彼の職務を果たしただけの人

魔姫「彼の職務を果たしただけの人、でしょうか」

エルフ「えっ、それだけ?なんか反応が塩ですね……」

魔姫「評価はしてましてよ。よくがんばりましたと花丸くらいは差し上げてもいいでしょう」

エルフ「なんか、魔王討伐が子供のお使いみたいに思えてくるんですけど……」

魔姫「あっ、その認識結構近い」

エルフ「いやいやいやいや……偉業ですからね。一緒じゃないですからね」

魔姫「成し遂げたことに、大きいも小さいもない。大事なのは積み重ねていくこと。そうではなくて?」キリッ

エルフ「小説の台詞はもういいです」

魔姫「ていうか貴女、私に何か用があって来たんじゃないんですの?」

エルフ「そうだった! なんか魔姫さんを出せって里の入口で叫んでる人がいて」

魔姫「私に?よく居場所が分かりましたわね……。他に何か言ってまして?」

エルフ「えっと、>>7とか言ってました」

友達になってください

エルフ「友達になってください、とか言ってました!よかったですね、ぼっち卒業ですよ!」

魔姫「追い返してくださいな」

エルフ「ええっ!?」

魔姫「何で信じられないみたいな目をしてますのよ。当然でしょ」

エルフ「だって友達ですよ!?魔姫さんが喉から手が出るほど欲しい友達ですよ!」

魔姫「これでも私、友はいましてよ。スケルトンとかグールとかゴーレムとか」

エルフ「ぶぶー!自分で召喚した死体や無機物は友達にはカウントされません!残念でしたー!」

魔姫「あなただって植物とばかりお話ししてる癖に。エルフ女王が嘆いてましたわよ」

エルフ「ぐはっ!ま、ママの事持ち出すのは反則です!」

魔姫「いい気味ですわ」

エルフ「ぐぬぬぬ……」

エルフ「……ていうか、ほんとに会わないんですか?」

魔姫「魔族の姫と友達となりたい?よく考えなくてもヤバい人ですわよね、それ」

エルフ「えっ、そうなんですか?」

魔姫「馬鹿ですの?」

エルフ「酷い!」

魔姫「魔王の残党である私、しかも姫である私が潜伏してる里をつきとめ、あげく友達になりたいだなんて」

魔姫「何か企みがあると考えるのが自然でしょうに」

エルフ「うーん……そう言われると武装してたような……」

魔姫「ほら見なさい。おびき寄せて捕えるか、それかその場で抹殺する気なのでしょう」

エルフ「じゃあ追い返しちゃっていいんですね。後悔しませんね」

魔姫「しつこいですわよ、さっさと……あら?」

エルフ「どうし……ちょっとぉ!? なに勝手に里に入ってきてるの!?」



?「……」


誰が来た?>>10

勇者の幼馴染の村娘(勇者を片手でいなす程度に強い)

村娘「ごめん。でも、あそこで待ってても会えそうになかった」

エルフ「警備の人はなにやってるんですか!?」」

魔姫「エルフの里に無断侵入してまで会いたいだなんて、光栄ですわね。それで、どちら様ですの?」

村娘「ボクは村娘。貴女が、魔族のお姫様?」

魔姫「ええ。何かご用かしら。 見ての通り私はとても忙しいのだけれど」

エルフ「いや退屈って言ってたじゃいひゃいいひゃい!?」グニー

村娘「うん。そうだね、まず手始めに」スッ

魔姫「っ!ゴーレム召喚!」


村娘「勝負!」ドカァッ!


ゴーレム「」


村娘「一瞬でこの強さのゴーレムを召喚。さすが魔族のお姫様」

魔姫「素手の一撃で破壊しといて、よく言いますわね」ジリッ

エルフ「ま、魔姫さんの超硬質のゴレームが粉々に……」

魔姫「いい加減目的を聞かせて欲しいですわね」

村娘「友達になりにきた」

魔姫「なるほど」

エルフ「そこで納得!?襲いかかって来たんですよ!? 暗殺者ですよこの人!」

魔姫「はぁ……あなたって本当に馬鹿ですのね」

エルフ「また馬鹿って言った!えっ、なにっ、私がおかしいんですか!?」


魔姫「はぁ……いいですこと? 強敵と書いて!」グッ

村娘「友と読む!」グッ


エルフ「いやいやいやいやいいや!おかしい!絶対におかしい!」

魔姫「まぁ冗談はこれくらいにして」

エルフ「よかった、冗談だった……」

魔姫「なぜ私とお友達になりにきたのか、諸々の事情を聴かせてほしいですわね」

村娘「うん。それはね。>>15

実はあなたと母親違いの姉妹だから

村娘「実はあなたと母親違いの姉妹だからだよ」

エルフ「な……なんだってーーーーぇ!?」

村娘「幼い頃、亡くなった母さんよく聞かされた。あんたの父親は魔王なんだよって」

魔姫「へぇー、そうでしたの」

村娘「だから……会いたかったお姉ちゃん!」ズバッ

魔姫「気安いですわ」ヒラリ

エルフ「そこで避けっ!? って痛い痛い痛いちょっとーー!」

村娘「もう離さない!」ミシミシミシミシ


魔姫「とんでもない馬鹿力ですわね」

エルフ「死ぬかと思った……」

村娘「あっごめん……ねぇ、もしかして信じてない?」

魔姫「あのお父様ですもの。遊び呆けて人間の一人二人、孕ませてても驚きはしませんけど」

エルフ「うっわぁ……そういうのちょっと幻滅」

魔姫「それで私とお友達になりたいとか言われても、過程が意味不明ですわ」

村娘「……うん、一から説明する。まず、ボクには幼馴染がいて」

エルフ「うんうん」

村娘「村の教会で神託を授かって、勇者である事が判明したんだ」

エルフ「うんう……はっ?」

エルフ「ゆ、勇者って、あの勇者!?」

村娘「ボクも魔王の娘だし、世界って狭いなぁって思ったよ」

魔姫「話を続けなさいな」

村娘「最初は凄いって思ったんだけど、よくよく考えたら勇者の使命は魔王を討つ事じゃないか」

エルフ「うーん……そうなるのかな」

村娘「ボクは自分が魔王の娘であることを村の皆に明かして、お父さんを殺さないで!って頼んだんだ」

エルフ「それまでは黙ってたんだ」

魔姫「そりゃ魔王の娘だんて吹聴してたら村八分待ったなしですわよ」

村娘「そう、村の皆はボクの頼みをきかないどころか、襲いかかってきたんだ。だから僕は彼らを八つ裂きに……」

エルフ「!?」

村娘「気が付いたら血の海に沈む村人を踏みつけてボクは立っていた……ボクは怖くて怖くて……村から逃げ出したんだ」

エルフ「いや怖いのはあんただよ!」

魔姫「勇者もそこにいたのでしょう。彼の者に止められませんでしたの?」

村娘「なんか知らない間にワンパンしてた」

エルフ「!?」

魔姫「あら、経験を積んでなければ勇者もただの人なのですね」

村娘「そして半年前……魔王討伐の知らせと、魔族のお姫様……魔王の娘がいまだ健在って噂を聞いて」

エルフ「あぁ、身寄りがないから唯一のお姉ちゃんを頼って……」

村娘「うん。お姉ちゃんなら勇者と仲直りするのを手伝ってくれると思って、まずはお友達になる事にしたんだ!」

エルフ「話の内容が理解出来ないのは私が馬鹿だからなのだろうか」

村娘「お願い!助けてお姉ちゃーーーん!」ズバァッ


魔姫「そうですわね、とりあえずあなたの処遇は……」


村娘の処遇
>>21

そこのエルフにでも世話させておきましょう

魔姫「そこのエルフにでも世話させておきますわ」ヒラリ

エルフ「ちょっーーー!?いたたたたたたーーー!」

村娘「あぁお姉ちゃんの香り……ハーブの臭いがするよぉ……」クンクン

エルフ「なに嗅いでるんですか変態! 強姦魔! 大量殺人鬼ぃぃぃ!!」

魔姫「早速仲が良いですわね。後は任せましてよ」スタスタ

エルフ「ちょっと待てぃ! 何私に押し付けてるんですか! 魔姫さんの妹ちゃんでしょ!?」

魔姫「仲裁の為の友達作りなら、役割的に姉だろうがエルフだろうがドラゴンだろうが誰でもいいじゃありませんの」

エルフ「無理です嫌です関わりたくないですまっぴら御免ですっ!」

エルフ「そもそもエルフの里は人間の立ち入りを全面的に禁止しているんですよ!」

魔姫「ならあなたが人里に下りればいいのではなくて?」

エルフ「なんでそうなるんですかっ!第一この人指名手配とかされてそうですしっ!」

魔姫「我が儘ですわね。なら貴女はどうするのがいいと思いますのよ」

エルフ「そりゃもちろん>>23ですよ!」

聖騎士団に引き渡し

エルフ「人間の聖騎士団に引き渡してきます!それがいい!一番いい!」ズルズル

魔姫「全面的にお任せしてますし、意義はありませんでしてよ」

村娘「あぁ~お姉ちゃ~ん」スリスリ

エルフ「ていうかいつまで勘違いしてるんですか!離れろこのぉ~!」

魔姫「ゴーレムに仕掛けた時限式幻惑魔法が功を為しましたね」

エルフ「あんたの仕業ですか!」

魔姫「ほらほら、早く送って差し上げないと正気に戻ってしまいますわよ」

エルフ「きぃぃぃーー! あぁもう! 転移魔法!」ビュィン



シーン……



魔姫「……本当にヤバい人でしたわね。さすがの私も軽くビビりましたわ」

―――次の日――――


チュンチュンチュン


魔姫「んん~っ……清々しい朝ですわね」

エルフ「つーーーん」

魔姫「ちょっと、朝からなに拗ねた顔見せてますのよ」

エルフ「昨日の一件、魔姫さんは私に何か言う事があると思います」

魔姫「はて、なんの事かし」

エルフ「……」ジロッ

魔姫「ふぅ……。ごめんなさい、昨日は迷惑を掛けしましたわ」

エルフ「……むぅ、分かればいいです」

魔姫「それで、あの後どうなりましたのよ」

エルフ「それがですねぇ、なぜか罪状が食い逃げという事になって暫く檻に入る事に」

魔姫「なんですのそれ。何がありましたのよ」

エルフ「……じ、実は聖騎士団の駐屯地前に美味しそうなお菓子の店があってですね」

魔姫「つい使えるお金もないのに村娘と二人で馬鹿食いした、とか言いませんわよね」

エルフ「……」

魔姫「あなたって人は……」

エルフ「だ、だって見た事ないお菓子だったんですよ!?真ん中に穴が開いてる不思議なお菓子で美味しくて!」

魔姫「言い訳しないの。村娘は食い逃げで捕まったのに、あなたは何故ここにいますのよ」

エルフ「転移魔法で逃げてきちゃいましたーー!てへっ!」

魔姫「エルフ女王に言いつけてきますわ」スタスタ

エルフ「いやーーーっ!それだけは許してくださいーーーっ!」

エルフ「……うぅ。大事に育てたハーブが全部お菓子代になって消えるだなんて……」

魔姫「自業自得ですわ。エルフ女王の耳に入る前に事が片付いてむしろ幸運でしたわね」

エルフ「もとはと言えば魔姫さんのお客さんだったのに……」ブツブツ

魔姫「それを言うならエルフの里の守りがザルだったせいですわよ」

エルフ「ぶー……」

魔姫「……はぁ。まぁいいですわ。迷惑かけたのは確かですし、私からご褒美でも差し上げましょう」

エルフ「ご褒美!? えっ、本当に!?」

魔姫「勿論私に出来る範囲の事で、ですけど」

エルフ「えっと、えっとそれじゃ……>>28とかはありですか!?」

街のおもちゃ屋さんで好評発売中!勇者の剣DX(9800G(税別)


――――― 勇者の剣DX!(9800G(税別) ―――――  
                  
―――  街のおもちゃ屋さんで好評発売中! ―――

              
   

魔姫「なんですのこのチラシ」

エルフ「お菓子屋さんの隣のおもちゃ屋さんで売ってたんです!私これ欲しい!」

魔姫「あぁ、玩具ですの」

エルフ「『光る!回る!そして喋る! これで君も勇者に!』もう一目見てから気になって気になって! 」

魔姫「今更あなたの趣味にとやかくは言いませんけど。いいんですの、こんなので」

エルフ「もちのロンです!」

魔姫「そう。では、はいこれ」ポイッ

エルフ「ありがとうござ……ってお金じゃないんですけど……石ころ?」

魔姫「魔石ですわ。私もお金は持ち合せていないので。それを売却して買ってきなさいな」

エルフ「わーーい! じゃあ早速行ってきまーす!転移魔法!」ビュィン

魔姫「まったく、やれやれですわね」


――――数時間後――――


エルフ「うわーーーん! 魔姫さーーーん!」ダダダダ!

魔姫「帰って来て早々慌ただしい娘ですわね」

魔姫「例の玩具は買えましたの?」

エルフ「買えはしたんですけど酷いんですよ! 見てください!」


勇者の剣DX


魔姫「玩具にしてはよく出来てるじゃないの。何が不満ですのよ」

エルフ「これボタンを押すと喋るって聞いてたのに、内容があんまりなんですっ!」ポチッ


勇者DX『俺の新しい脇を見せてやる!』


エルフ「脇ってなんですか!? そんなん見たくないですよ!」

魔姫「知りませんわよ」

エルフ「他にも格好よく必殺剣を放つときの台詞とかも!」ポチッ


勇者の剣DX『まそっぷ!』


エルフ「まそっぷってなんだ―ーーー!まそっぷってーーーー!」

魔姫「だから知りませんわよ」

エルフ「説明書には『新必殺音速火炎斬!』って喋るって書いてるのにっ!」

魔姫「読み方がまそっぷなのではなくて?」

エルフ「そんな読み方あってたまるかーーーっ!!!」

エルフ「あげくの果てには!」ポチッ


勇者の剣DX『彼女が出来ましたー☆』


エルフ「これもう怒っていい案件でしょ! 詐欺ですよ詐欺!」

魔姫「落ち着きなさいな。いいじゃありませんの、お金を出したのは私ですし」

エルフ「よくない!お金は元より私のワクワクドキドキを返してほしい!」

魔姫「たかが玩具に心をときめかせすぎですわよ」

エルフ「むー! 私おかしい事言ってないですもんっ!」

魔姫「それにしても、喋る玩具というは中々新鮮ですわね。他には何を喋りますの」ポチッ


勇者の剣DX『>>34

ドラゴン娘召喚!

勇者の剣DX『ドラゴン娘召喚!』


魔姫「あらっ、まともっぽい台詞もあるじゃないですの」

エルフ「それも説明書にない台詞ですけ『ボン!』

エルフ「ええっ!? ちょっ、勇者の剣DXが爆発したーーっ!?」

魔姫「最近の玩具は過激ですわね」

エルフ「そうじゃないでしょ!? 欠陥商品にも程がありますよこれっ!」



?『わーーっはっはっはっ! 我を呼び求める声に応じ参上したのだ!』

ドラゴン娘「我こそはドラゴン娘! 天空を統べる偉大な竜帝の一人娘なのだ!」


エルフ「もう決めたっ!私、出るとこ出て訴えてやります!」

魔姫「止めときなさいな。時間と労力の無駄ですわ」


ドラゴン娘「まずは忠告するのだ!誇りある龍種を手懐けなれるとは思うななのだ!」


エルフ「止めないでください!まず、あのおもちゃ屋をしばいてやります!」

魔姫「隣のお菓子屋で食い逃げしたの忘れましたの。正面の聖騎士団からの印象悪くしてますのに、絶対話が拗れますわよ」


ドラゴン娘「まずは我に相応しき供物を捧げるのだ! さすれば話くらいは聞いてやるのだ!」


エルフ「あーもうちょっとうるさい! これあげるんで黙っててください!」ポイッ


ドラゴン娘「むっ!? こ、これは!?」


>>37

メイド服

ドラゴン娘「この服はなんなのだ! 誇りある竜帝の娘である我にまさかこんなものを着せる気かっ!」つメイド服


エルフ「ぎゃーぎゃー!」

魔姫「手に負えませんわね」


ドラゴン娘「……」

ドラゴン娘「……」ドキドキ

ドラゴン娘「……」ゴソゴソ


メイドラゴン「……」テッテレー!


メイドラゴン「こ、これが我……なのだ……?」キラキラ

エルフ「ならまず聖騎士団の駐屯地から先に……」

魔姫「いい加減物騒な事を言うのはって、あら」

メイドラゴン「こ、こんな服を着せてどうする気なのだ……」モジモジ

魔姫「ちょっとエルフ。見慣れない方がそこにおりますわよ」

エルフ「へっ?ってあーーー! それ私が勇者の剣DXと一緒に買ってきた服ーー!」

メイドラゴン「もうお嫁に行けないのだ……」モジモジ

エルフ「ちょっとちょっと! 魔石が思ったより高値で売れたからこっそり買った服を勝手にー!」

魔姫「勝手な事してるのはあなたの方ですわよ」

エルフ「いひゃいいひゃいごめんなひゃいーーー!」グニー


メイドラゴン「我はドラゴン娘なのだ……」モジモジ

魔姫「玩具の勇者の剣DXに召喚魔法の機能。驚きですわね」

エルフ「そんな機能、説明書のどこにも書いてないんですけど」ペラペラ

メイドラゴン「確かに呼ばれたのだ……。嘘は言ってないのだ……」モジモジ

魔姫「……ところで、さっきからなにモジモジしてますのよ」

メイドラゴン「こ、こんな服着たのは初めてなのだ……恥ずかしいのだ……」

エルフ「勝手に着といて何言ってるんですか! 返してくださいよー!」ギャーギャー

メイドラゴン「断るのだ! これは我が供物に受け取ったものなのだー!」ギャーギャー

魔姫「ちなみにその衣装、家政婦とか使用人とかが着るものでしてよ」

メイドラゴン「な、なに!? そうなのか!?」

魔姫「それでもよければ差し上げまけど」

メイドラゴン「わ、我は誇りある竜種なのだ! 誇りある我が着ているという事は、この服はそれに相応しいということなのだ!」

エルフ「それって詭弁だと思います!」

魔姫「このお馬鹿さんの言う事は気にしなくて結構ですわ。大事になさってくださいね」

メイドラゴン「ありがとうなのだ!」ニヘー

エルフ「ぶーぶー!」

メイドラゴン「よし! では供物の代価として、望みを言うといいのだ!」

魔姫「望み?」

メイドラゴン「我が何でもきいてやるのだ! そうだな、>>42とかでもいいのだ!」

異世界に移動するワームホールを作る

魔姫「異世界。この世界とはまた異なる、別の世界の事ですわね」

メイドラゴン「そうなのだ!太古より竜種に伝わる、この世界と異世界を繋げる究極の魔法なのだ!」

魔姫「驚きですわね」

エルフ「ですよねですよね。 脳筋って言われる竜種が魔法に精通してただなんて」

メイドラゴン「わーーっはっはっはっ!もっと我を褒め称えるといいのだ!」

エルフ「よっ!空の無法者!爬虫網!有鱗目!蜥蜴唖目!」

メイドラゴン「わーーっはっはっはっ!わーーっはっごほっごほっ!」

エルフ「卵せいひゃいれす!」グニー

魔姫「いい加減になさいな。確認ですけど、ちゃんと戻ってこれますのよね」

メイドラゴン「勿論なのだ! 危険を感知したら自動的に帰れるよう設定しておくのだ!」

メイドラゴン「渦巻ク道ヲ為セ!竜穴招来!」カッ!


旅の扉『ヨウコソ ミノホドシラズノ バカヤロウ』


魔姫「へぇ、これが異世界へと続く道ですの。なにやら渦巻いてますわね」

エルフ「なんか馬鹿って聞こえたんですけどそこはスルーですか」

メイドラゴン「では気を付けてな!我はここで扉を制御しておくのだ」

魔姫「分かりましたわ。ではエルフ、行きますよ」

エルフ「えっ、私は別に異世界なんて興味ないんですけど。胡散臭いし」ボソッ

魔姫「胡散臭いだなんて失礼ですわよ。見て御覧なさい」

エルフ「見ろって何を――ってなにあれっ!?」


旅の扉『ツウコウリョウ……ツウコウリョウ……』ウネウネ


エルフ「なんか黒い手が沢山伸びてきたーーー!? ちょっ、どこ触ってんですか変態ーーー!」ズルズル


旅の扉『ツウコウリョウ……ツウコウリョウ……』ウネウネ


魔姫「ではこの魔石で」


旅の扉『トウカコウカン…クリア…オトウリクダサイ』


魔姫「さて、異世界ってどんな所なのでしょうね」スタスタ



―――――――――――

―――――――

――――

……


扉を抜けた先で最初に見えたのは >>46

自分の数倍の背丈の人間達が闊歩する巨大都市

【異世界・巨大都市】


ズシン…… ズシン……



魔姫「あら、なかなか壮観ですわね」

エルフ「な……なななな……なにこれ……いったいここって……!」

魔姫「異世界ですわ」

エルフ「んな事は分かってんですよ! 訊きたいのは目の前のアレやコレやの事です!」

魔姫「アレやコレとは」

エルフ「なんですかあのデカいの! しかも沢山いるし!」

魔姫「この世界の住民でしょう。巨人族かしら。ここまで繁栄してるのは見た事ありませんけど」

エルフ「そう!巨人族っていったらボロ布纏ってバカみたいに棍棒振り回すような種族ですよ!? それなのに!」

魔姫「そうですわね。服装は勿論、建ち並ぶ建築物から見ても彼らには高度な知能と技術、そして理性が……あら?」

エルフ「どうしたんで……ふぉぉぉ!?」



ブォォォォオンン!

ブォォオオオオン……――――


エルフ「な、なにさっきの化物……!?」

魔姫「凄い勢いでしたわね。内部に巨人の姿が見えたので、恐らくは乗り物の類」

エルフ「の、乗り物ぉ!? 馬車とかそういうのってことですか!?」

魔姫「輓馬の姿は見えませんでしたけど。さて、悪目立ちする前に移動しますわよ」

エルフ「そ、そうですね。巨人に捕まったら何されるか分かったものじゃ……ヒエッ!?」


「……」

エルフ「あの、急に暗くなったんですけど、夜になったからですよね……?」フルフル

魔姫「陽はまだ高いですわよ。背後に立つ何かの影に入ったのでしょう」

エルフ「な、何かってなんですか……?」ジワッ

魔姫「後ろを見れば分かりますわ」

エルフ「み、見たくないですっ!」

魔姫「あらそう。では気にするだけ無駄ですわ」

エルフ「いや無駄とかじゃないでしょ!? もしかしたら私達今とってもピンチ――」クルッ




背後を向いたら……>>50

子供が目をキラキラさせながら覗いている

子供「わぁぁ……」キラキラ

エルフ「きょ……きょきょきょきょっ、きょじぐえっ!?」

子供「すごーい! 喋るお人形さんだー!」バシッ

エルフ「ひぇええええええーーーーっ!」

魔姫「あらあら、見つかってしまいましたわね。見た所子供のようですけど」

子供「かわいいー!」

エルフ「ま、魔姫さん助けてーーーーっ!」

子供「ねぇねぇ! 私ともお話ししよー!」ギュー

エルフ「ちょっ、本当にくるし……!」

魔姫「仕方ない子ですわね。ちょっとあなた、そんな雑な扱いをしては壊れてしまいますわよ」

子供「えっ……あっ……」

エルフ「まじで死んじゃう5秒前……」ブクブク

子供「ご、ごめんなさい!」パッ

エルフ「た、たすかっ、って今度はいやーーーーっ!落ちるーーーーっ!」ヒュー

魔姫「手間がかかりますわ」ダキッ

エルフ「きゅう……」

魔姫「ほら、しっかりなさいな」

エルフ「死ぬ前にお菓子が……お菓子が食べたい……」ウーン

子供「だいじょうぶ?」

魔姫「問題ありませんわ。彼女も見た目ほど柔じゃありませんもの」

子供「よかったぁ……」

魔姫「……」ジー

子供「?」

魔姫「敵意は無し、と。子供の戯れでも洒落にならないのは流石ですわね」

子供「ねぇねぇ、お人形さん」

魔姫「あら、私にも何か? 先程のような扱いならお断りですわよ」

子供「えっとね、>>54

私の作った水着着て

子供「私の作った水着を着て欲しいのー!」

魔姫「み、水着?」



【異世界・子供宅】


エルフ「ふっふ~ん! どうですか~。似合いますか~?」ヒラヒラ

子供「うん、かわいいー!その水着ね、パレオっていうんだよー!」カシャカシャ

魔姫「何かと思えば。着せ替え人形にされるだなんて」

エルフ「いいじゃないですか~! 私こういう可愛いの好きですよ!」

魔姫「調子がいいですわね。先程までビクついたというのに」

エルフ「それはそれ! これはこれ! そんな事よりも!」

魔姫「なんですの」

エルフ「なんで魔姫さんは水着着てないんですか! せっかくこの子が用意してくれてるのに!」

子供「これとかこれとか着てほしいー!」

魔姫「露出の多い服は好みじゃありませんの」

エルフ「ええい問答無用! 無理やりにでも着せてやらー!」ガバッ

魔姫「ちょっ!あなたっ!」


魔姫が着せられた水着>>56

白スク


E:白スク


魔姫「エルフ、後で覚えておきなさい」

エルフ「おおう……。いつも気怠そうな魔姫さんが、ほんのり顔を赤らめていらっしゃる……」

子供「いいよー! 実にいいよー!」カシャカシャカシャカシャ

魔姫「どこがいいんですのよ。パレオとかいうのに比べても簡素ですし」

エルフ「分かってませんねぇ! 簡素だからこそ素材の味が引き立ってるんですよこれは!」

子供「私の自信作なんだよー!」カシャカシャカシャカシャ

エルフ「更に更にぃ! この装備を加えれば鬼に金棒、勇者に聖剣だーーーーーっ!」


E:長手袋

E:白スク

E:ニーソ

エルフ「キターーー! これは犯罪的ぐふぉっ!」

魔姫「私でも怒るときは怒りますのよ」

エルフ「」ピクッピクッ

子供「ねぇねぇ、次はこれ着てー!」

魔姫「お断りしますわ。というか、何故自分では着れない服を作ってますのよ」

子供「趣味!」

魔姫「言い切りましたわね」

子供「それにね、写真をアップすると、いいねを沢山貰えるのー! ほらっ!」

魔姫「なに訳の分からない事を……!?」



『完成度やばい』『まるで生きてるみたい』『表情がリアル』『神』『CG?』

『これは欲情を禁じ得ない』『言い値で買わせて』『マニアックな。だがそれがいい』

子供「えへへー! 大好評!」

魔姫「い、いつの間に私の姿絵を……」

子供「世界中の人達が見てくれてるんだよー!」

魔姫「世界中!? 嘘か真か知りませんけど冗談じゃありませんわ」パチン


メイドラゴン『おおっ? お主か、どうしたのだ? もう帰るのか?』


魔姫「ええっ、大至急お願いしますわ」


メイドラゴン『任せるのだ!竜穴招来!』


旅の扉『オカエリハ コチラデス』

魔姫「ということで、そろそろお暇しますわ」

子供「えー! もう帰っちゃうのー!」

魔姫「当然ですわ。こんな姿を晒した世界に長居は無用ですもの」

子供「かわいいのにー! じゃぁお土産あげるねー!」

魔姫「人の気も知らないで……ほらエルフ、帰りますわよ」

エルフ「う、うーん……ふわっ!? なんかまた黒い手がーーー!?」ズルズル


旅の扉『ツウコウリョウ……ツウコウリョウ……』ウネウネ


子供「おおーーー!いいねのチャンスーー!」カシャカシャ


魔姫「それでは。ごきげんよう」スタスタ


―――――――――――

―――――――

――――

……


【エルフの里】


メイドラゴン「お帰りなさいませなのだ!」クイッ

魔姫「ただいまですわ。動作が様になってますわね」

メイドラゴン「我は誇りある竜種だからな! この程度は朝飯前なのだ!」

エルフ「酷いです魔姫さん! いきなりアレはびっくりします!」

魔姫「あなたのせいで私は恥をかきましたのよ。いい気味ですわ」

メイドラゴン「うむうむ!楽しかったようで、何よりなのだ!」

エルフ「ぶー……もっと可愛い服着たかったのにー……」

魔姫「お土産なら貰いましてよ。それで我慢しなさい」


お土産の中身>>62

見たことない金属で作られたクソデカコインとクソデカクッキー

エルフ「でかっ! なにこれっ!」

魔姫「見れば分かるでしょう。コインとクッキーですわ」

メイドラゴン「おおー! 我の竜形態くらいあるのだ!」

エルフ「さすが食べ物も規格外……てかどこから出したんですかこんなの」

魔姫「企業秘密ですわ」

エルフ「え―……」

メイドラゴン「誇りある竜種である我に相応しき大きさなのだ。いただきますなのだ!」ガブッ

エルフ「あっ!抜け駆けはずるいですっ!」パクッ

魔姫「あなた達食い意地張りすぎですわよ」


エルフ・メイドラゴン「「もぐもぐ……こ、これは……!」」


魔姫「あら、どうしましたの」


>>64

体の一部分が大きくなる

メイドラゴン「わ、我の角が! 我の角が大きくなったのだ!?」

魔姫「ああ、その頭の突起って角でしたの」

メイドラゴン「この角は誇りある竜種であることの証なのだ! そ、それがこんな……」

魔姫「このクッキーを食べたからでしょうね。妙な効能もあったものですわ」

メイド「うぅ~……頭が重いのだ……」ズシッ

魔姫「一先ずじっとしてなさいな。さて、エルフの方は……」


エルフ「ま、魔姫さーん……わ、私の>>66が大きくなっちゃいました……」

頭(2頭身化)

エルフ「私の頭が大きくなっちゃいました……なんなんですかこれー!」

魔姫「どちら様でしょうか」

エルフ「ちょっ、頭が大きくなっちゃいましたけど私ですよ私!」

魔姫「頭部が身長の半分を占めてる方に知り合いはいませんわ」つ鏡

エルフ「そんな酷っ……ってなぁーーーっ!?」 

魔姫「ふぅ……どうやら頭部だけでなく、身体全体までも変質してしまったようですわね」

エルフ「あ、悪夢ですよこれは……」ワナワナ

魔姫「ええ、その姿ではエルフの里の非公認キャラとして生きていくしかありませんわ」

エルフ「そんな生き方いやーーーーっ!」



―――そして次の日―――


チュンチュンチュン


魔姫「んん~っ……今日も清々し―――」

エルフ「嫌だ嫌だ嫌だ非公認キャラなんて嫌だ……」ブツブツ

魔姫「――くはありませんわね。ドンよりしてますわ」

エルフ「こんな体じゃ可愛い服も……」ブツブツ

魔姫「ほらエルフ、朝ですわよ」

エルフ「―――はっ!? 朝ですかっ! 鏡っ、鏡はどこですかっ!」キョロキョロ

魔姫「落ち着きなさいな。はい、どうぞ」つ鏡


エルフ「……顔、よし! 身体、よし! やった! 元に戻ってるーーーーー!」

魔姫「効果が一過性で良かったですわね。それとも毒消し草の自棄食いが功を奏したのかしら」
 
エルフ「もう、魔姫さん変な物貰ってこないでくださいよ!」

魔姫「問題はあなたの食い意地の方にあると思いますけどね」

エルフ「ぶー……」


――――同時刻――――――


【竜の渓谷】


メイドラゴン「わーーっはっはっはっ! やはり我の角は元の大きさが一番なのだー!」

魔姫「問題が片付いたところで、お土産はもう一つありましたわね」

エルフ「こっちも大きいですねぇ……このコイン、巨人のお金とかなんですかね」

魔姫「用途は置いとくとしても。材質がまるで分かりませんわ」コンコン

エルフ「うーん。金とか銀とかじゃなさそうですし……どうするんですかこれ」

魔姫「そうですわね。あなたの家の庭石にでも」

エルフ「いや邪魔ですってこんな大きいの。ママに叱られちゃいます!」

魔姫「なら、他にいい案を出してくださいな」

エルフ「ええっ……うーん……>>71とか?」

道具屋に売る

エルフ「道具屋に売るとか?」

魔姫「あら、意外とまともな案が出ましたわね。お利口ですわよ」

エルフ「えへへ~……なんて言わないですよ、褒めてませんよね」

魔姫「貴重な金属のようですし、欲しがる者もいるしょう。ではお任せしますわ」スタスタ

エルフ「いやちょっと!任されても困―――」

魔姫「これはあなたの案なのですから。あなたが責任持つのは当然の事でしょう」スタスタ

エルフ「確かに!―――っていやいや! お土産貰ったのは魔姫さんじゃ―――」

魔姫「スースー」

エルフ「寝てるしっ! 面倒になっただけじゃん!いつものぶん投げじゃん!」



エルフ「こんな大きいもんどうやって道具屋に運べってんだちくしょー!」


【人間の町・道具屋】


エルフ「というわけで買い取ってください。高値で」デデーン

道具屋「いやあのねエルフの嬢ちゃん。こんなでかいもん買い取れる訳ないだろうに」

エルフ「道具屋ならゴミでも馬糞でも買い取ってくださいよ」

道具屋「道具屋はゴミ捨て場じゃないからね。てかどうやって運んできたの」

エルフ「転移魔法で無理やり一緒に飛んできました」

道具屋「こんなでかい荷物と一緒に転移って、エルフの魔力は底無しだね」

エルフ「そう見えますか?」

道具屋「見えないね。顔が土気色だね」

エルフ「分かってるじゃないですか。この店で死人が出る前に早く買い取りやがった方が身の為ですよ」コヒューコヒュー

道具屋「脅迫の仕方が斬新で言葉も出ないね」


エルフ「とにかく品定めくらいしてくださいよ! それでも天下の道具屋ですかっ!」

道具屋「ここはそんな大層な道具屋じゃないけどね。まぁ言ってる事は一理あるよ」

エルフ「ならはやくしろーーーっ!!! 間に合わなくなってもしらんぞーーーっ!!!」バンバン

道具屋「こんな迷惑なお客さん初めてだね。どれどれ……ほぅ」

エルフ「で、どうなんですか売れるんですか勿論売れますよねそうに決まってますよね」

道具屋「落ち着きなエルフの嬢ちゃん。このコインはあれだね」


道具屋「>>77だね」

偽物

道具屋「偽物だね」

エルフ「偽物ってどういう事ですか薄ら禿。残りの髪毟って坊主にしてやりましょうか」ギュー

道具屋「痛たたたたた!ぼ、暴力は反対だね!」

エルフ「こんなデカコインの偽物があってたまるかーーっ!」

道具屋「まずは話をき痛たたたた!」ブチブチブチ

エルフ「言ってみてくださいよーーーっ! なにをもって偽物なのか言ってみてくださいよーーっ!」

道具屋「そ、それは>>79!」

ここに本物があるねん(ドヤ顔)

道具屋「ここに本物があるねん!そこ見てそこそこ!」

エルフ「本物ぉ!? このデカコインに本物も偽物もあるわけ―――って何これぇ!?」

道具屋「ドヤァ」

エルフ「デカコインがもう一つ!?」

道具屋「これこそが本物のデカコインだね。そんな訳で、お嬢ちゃんのは偽物だね」

エルフ「いやいや! さっきまでそこにデカコインなんてなかったよ!?」

道具屋「それがあったんだね。お嬢ちゃんが見落としてただけで」

エルフ「こんなでかいもん普通見落とさないでしょ!」

道具屋「お嬢ちゃん息絶え絶えだったから、そういう事もあるんだね」

エルフ「そ、そんなーーーっ!」

エルフ「おかしい……なにかがおかしい……」ブツブツ

道具屋「エルフの嬢ちゃん、それでどうするんだね」

エルフ「ど、どうするって何がですか……」

道具屋「買い取れない以上は、持ち帰ってもらう事になるわけだけど」

エルフ「はっ! そうだ、もうこんなデカコインを転移魔法で運ぶ余力なんて……」

道具屋「仕方ないね。それなら、タダで引き取ってあげてもいいんだね」

エルフ「へっ!?タダでですか!?」

道具屋「責任をもって処分してあげるよ。これも、何かの縁だからね」

エルフ「う、うーん……確かにこんなのあっても邪魔なだけだし、タダなら処分してもらったほうが……」ブツブツ


道具屋「どうするんだね?」


>>82

コインの金属を鋳潰して売れないか試したいので、工房を貸してください

エルフ「じゃあ工房を貸してください」キリッ

道具屋「なんでそうなるの」

エルフ「デカコインを鋳潰します。地金にした金属なら売れるかもですし」

道具屋「ちっ」

エルフ「今舌打ちしましたよね」

道具屋「気のせいだね。その熱意には負けたんだね」

エルフ「なんかもう、ここまで来たら引けないかなって」

道具屋「お嬢ちゃん何と戦ってるの。まぁ、奥の部屋を使うといいんだね」

エルフ「ありがとうございまーす!」スタスタ


道具屋「……」


【エルフの里】


魔姫「……」ペラッ

エルフ女王「退屈そうねー」

魔姫「読書中に声をかけないでくださいな」ペラッ

エルフ女王「うーん。『いつからそこにっ!』みたいなリアクションが欲しかったわ」

魔姫「気配だだ漏れにしといてよく言いますわ」ペラッ

エルフ女王「これでも御忍びで来てるんだけどなー」ツンツン

魔姫「……」ペラッ

エルフ女王「反応が無いと寂しいぞー。私、泣いちゃうぞー」

魔姫「……」ペラッ

エルフ女王「つんつーん。つんつんつーーん」

魔姫「……」ペラッ

エルフ女王「それ、犯人はヤスよー」

魔姫「」イラッ

エルフ女王「そして主人公とヤスは幸せなキスをして……」

魔姫「はぁ――要件はなんですの」

エルフ女王「んー。特にないかなー」

魔姫「お帰りはあちらですわ」

エルフ女王「うそようそー。お茶でもしようかなーって思って来たのよ」

エルフ女王「美味しい?」ニコニコ

魔姫「悪くはありませんわ」

エルフ女王「素直じゃなーい」ツンツン

魔姫「いい加減、突くのを止めてほしいですわね」

エルフ女王「とっておきのハーブティだもの。感想はちゃんと聞きたいなー」

魔姫「お茶の感想だけ聞いて満足して帰るなら答えますわよ」

エルフ女王「ならずっとつんつんの方がいいかなー」ツンツン

魔姫「もう勝手にするといいですわ」

エルフ女王「魔姫ちゃんは変わったわね。お茶会にもこうして付き合ってくれるようになった」ツンツン

魔姫「私ではなく、あなたのお誘いがどんどん強引になってるんですのよ」

エルフ女王「そして、あの子も変わったわ」

魔姫「……」

エルフ女王「あの子はね、いつも肩肘を張って生きていたの」

魔姫「そう」

エルフ女王「眉間にも皺を作っていたわ」

魔姫「想像できませんわね」

エルフ女王「日記帳をこっそり読んだら物凄く怒って」

魔姫「それは今でもそうでしょうね」

エルフ女王「ふふっ。今は毎日とっても楽しそう。親として嬉しいわ」

エルフ女王「半年前、娘がボロボロになったあなたを見つけたその日から―――」

魔姫「そろそろ読書に戻らせてもらいますわ」スタスタ

エルフ女王「あら残念。それで、あの事は考え直してくれた?」

魔姫「あの時も言いましたけど、謹んでお断りします」

エルフ女王「んー。そんなに嫌?」

魔姫「エルフのお城になんて住みたくないですわ。この場所で充分」

エルフ女王「一緒に暮らせばいつでもお茶会出来るのにー」ブー

魔姫「だからですわよ」スタスタ

魔姫「……」ペラッ


エルフ女王『ふふっ。これからも娘をお願いね』


魔姫「エルフ族の思考は理解出来ませんわ」ペラッ

魔姫「……」ペラッ

魔姫「……」パタン

魔姫「接吻どころか身体を重ねるところまでいきましたわね」


魔姫「続きの巻は」ゴソゴソ

エルフ「うわーーーん! 魔姫さーーーん!」ダダダダ!


魔姫「別に探してないですわ」

エルフ「へっ?」

魔姫「こちらの話ですわ。それで、どうしましたの」

エルフ「そうだ! 聞いてくださいよ酷いんですよー!」

魔姫「あなたが人里から戻る時はいつも何かありますわね」


エルフ「―――という訳でデカコインを鋳潰してたんですけど」

魔姫「……」

エルフ「あの、まさか笑ってませんよね」

魔姫「邪推は感心しませんわね」

エルフ「……そしたらあの道具屋、なんと聖騎士団を連れてきたんですよ! そして――」


道具屋『このエルフの娘が私のデカコインを勝手に鋳潰してるね! あと髪毟られたね!』


エルフ「――とか言いだしやがったんですよっ!」

魔姫「食い逃げの前科もあって完全に犯罪者扱い。泣く泣く逃げて来たと」

エルフ「うわーーーん! どうなってるんですかこれーーー!」

魔姫「話を聴く限り、あなたは幻惑にでもかけられたのでしょうね」

エルフ「幻惑!?」

魔姫「デカコインの幻を見せ、口八丁でデカコインを掠め取ろうとしたのでしょう」

エルフ「そ、そうか! やっぱりあそこにデカコインなんて無かったんだ!」

魔姫「魔法か、あるいは魔道具か。いずれにせよ――ってどこ行きますのよ」

エルフ「あの道具屋の髪の毛全部毟りに行ってきます」スタスタ

魔姫「落ち着きなさいな」ガシッ

エルフ「止めないでください。これは私の名誉の問題なんです」

魔姫「食い逃げも、髪を毟ったのも、本当にしでかした事じゃありませんの」


エルフ「デカコインは私たちのものじゃないですか!」

魔姫「もともと必要のない物ですわ」

エルフ「高値で売れたかもしれないのに!」

魔姫「あなたが大金を手にした所で碌な事に使わないでしょうに」

エルフ「うっ……」

魔姫「第一証拠もありませんわ。迷惑料兼、勉強料だと思って諦めなさいな」

エルフ「うわーーーん!」ドサッ

魔姫「あら、それは」

エルフ「ううっ……地金にしたデカコインです……これだけしか持ってこれなかった……」シクシク


――――真夜中―――――


ホーホー ホーホー


魔姫「とは言ったものの」


エルフ『今日はもう家帰って寝ます……』シクシク


魔姫「さすがに可哀そうに思えてきましたわ」


エルフ女王『ふふっ。これからも娘をお願いね』


魔姫「そんな事を言われても困りますのに」


ヤス『覚悟は出来てます。僕は甘んじてその懲罰棒を』


魔姫「仕方ありませんわね」

魔姫「ドラゴン娘召喚!」カッ


メイドラゴン「ぐがー……なのだーzzZ」


魔姫「あら、あの玩具が無くてもなんとかなるものですわね」

メイドラゴン「我は誇りあるぅ……zzZ」

魔姫「真夜中にごめんなさい。起きてくださいな」ユサユサ

メイドラゴン「もえもえきゅ……おおっ?」パチッ


魔姫「ちょっと手伝ってほしい事がありますの」


―――次の日―――


チュチュン チュン チュチュン チュチュン チュン チュチュン


エルフ「はぁ……昨日は散々だったなぁ」トボトボ

エルフ「ああいうの慣れっこになったと思ったけど、久々に会心の一撃――あれっ」


メイドラゴン「ぐがーなのだーーーzZZ」


エルフ「なんでこんな所で寝てるのこの人。いや竜か」

エルフ「うーん。真面目に里の守り見直した方がいいのかな……」スタスタ

エルフ「魔姫さーん。外の竜って魔姫さんが呼んだんで―――」ガチャ




エルフ「なに、これ……」




魔姫の手紙『エルフへ』




エルフ「っ―――!」ダッ


メイドドラゴン「ぐがー……いってらっしゃいまぐえっ!?」

エルフ「ドラゴンこらーーっ! 起きろこらーーーっ!」ブンブン

メイドラゴン「なななっ!? なんなのだっ!?」

エルフ「あなた何か知ってるんでしょ!」

メイドラゴン「はっ!? いきなり何のことなの」

エルフ「大人しく吐けやーー!」グワングワン

メイドラゴン「ややや止めるのだーー!!頭が揺れて気持ち悪っ」ウップ


メイドラゴン「は、離すのだ! 誇りある竜種である我に向かって何を――」


エルフ「っ――!」


メイドラゴン「――我に、何を訊きたいのだ」


エルフ「魔姫さんはっ! 魔姫さんはどこに行ったんですかっ!」


メイドラゴン「魔姫? あやつなら確かエルフの城に行くとか言って」

エルフ「お城ですね! 分かりましたっ!」バッ

メイドラゴン「ちょっ急に離――あいったーーー!」ゴォン


エルフ「魔姫さん―――!」ダッ


メイドラゴン「っ~~! なんなのだ一体……我に向かって無礼にも程があるのだ」ヒリヒリ


エルフ『っ――!』


メイドラゴン「―――ま、でも今日の所は無礼講にしといてやるのだ」

メイドラゴン「おろろろろろ……」オエー


エルフ「魔姫さん、何でお城なんかに……!」ハァハァ


エルフ「私やママがいくら招待しても絶対来てくれなかったのに……!」ハァハァ


エルフ「おかしいじゃないですか……!」ハァハハァ


エルフ「手紙なんか残して……!」ハァハァ


エルフ「何も言わずに……!」ハァハァ


エルフ「こんなのっ――!」ビリィッ



【エルフの城】


エルフ女王「そう。行ってしまうのね」

魔姫「お邪魔しましたわ」

エルフ女王「お邪魔だなんて。私はあなたにずーっといてほしかったのに」

魔姫「そういう訳にもいきませんわ。そろそろ彼女が――」


バンッ―――!


エルフ「私が―――私がなんだって言うんですか……魔姫さんっ!」ハァハァ


エルフ女王「あら、帰ってきちゃったわね」

魔姫「みたいですわね」



エルフ「っ……」スタスタスタ バチーン!

魔姫「――いきなり平手は酷いのではなくて?」ヒリヒリ

エルフ「酷いのは魔姫さんですよ……」

魔姫「――そう。良かれと思ったのですけど。怒らせてしまったようですわね」

エルフ「当たり前ですよ……。こんな事、怒らないほうがおかしいですよ!」

魔姫「難しいものですわ。これでも心というものを……いえ、言い訳はよくないですわね」


エルフ「お別れくらいっ! 直接会ってしてくださいよっ!」


魔姫「―――はっ?」



エルフ「手紙でお別れなんて、納得出来る訳ないじゃないですかっ!」バッ


手/糸/氏「」


魔姫「はぁ……。破いたんですのね。中身も読まずに」チラッ

エルフ女王『そのまま続けてっ!』グッ!

魔姫「」イラッ


エルフ「手紙に心なんて込められても、私馬鹿だから分からないもんっ!」


魔姫「はぁ……それで?」



エルフ「これでも! 魔姫さんとの毎日が楽しかったのにっ!」


魔姫「ええ」


エルフ「ふたりで変なおもちゃ見つけて、おかしな人たちと話して面白かったのに!」


魔姫「そうでしたのね」


エルフ「基本ぞんざいな扱いしてくるけど、極まれに優しい魔姫さんの事が、大好きだったのにっ!」


エルフ女王「ねぇ、もう少し優しくしてあげてほしいかなーって」

魔姫「やかましいですわね」


エルフ「友達だって! 思ってたのにっ!」


魔姫「……」


エルフ「手紙でお別れなんて寂しすぎますよ……」


エルフ「また明日って、言わせてくださいよ……」


エルフ「もっとふたりで……退屈なんて感じないくらい楽しく過ごしましょうよ……!」


魔姫「あなたって子は……」


エルフ「うわーーーーーん!」


エルフ「ひぐっ……ひぐっ……」

エルフ女王「よしよし。そうね、魔姫ちゃんは悪い子ねー」

魔姫「私一人が悪者なんですのね」

エルフ女王「ここは母親ポイントの稼ぎ処ですものー」

魔姫「いい性格してますわ。ほらエルフ」

エルフ「ひぐっ……わ、我が儘言ってごめんなさい……でも私……私――!」

魔姫「はぁ……。こういうの柄じゃないですわね―――」ダキッ

エルフ「ふえっ!?」

魔姫「これで落ち着きまして」ポンポン

エルフ「……うん」ギュー

魔姫「まったく、呆れて物も言えない」

エルフ「……うぐっ」

魔姫「本当に、お馬鹿さん」

エルフ「……いいもん、馬鹿だもん」

魔姫「エルフ。はっきり言いますけど」

エルフ「……っ」

魔姫「勘違いですわよ」

エルフ「……へっ?」


エルフ「っ~~~~~~~!!!!」バンバンバンバン

エルフ女王「あらあら。エルフちゃんの顔、真っ赤ねー」

魔姫「私はただ本を借りにきただけ。手紙にもちゃんとそう記してましたのに」

エルフ「だ、だって今まで何度誘ってもお城に来てくれたことなんて!」

魔姫「ここに来れば女王に拘束されるのが分かり切ってたからですわよ」

エルフ女王「お茶会以上は駄目って言うんだもの。もっと色々経験して欲しいのにー」

エルフ「じゃあママがさっき、『行ってしまうのね』とか言ってたのは……」

魔姫「お食事会、お風呂会、パジャマパーティー……。付き合ってられませんわね」

エルフ「ええ……」

エルフ「ていうか本くらい別に私に頼めば……」

魔姫「……続きが早く読みたかったんですのよ」

エルフ「……そ、そんな理由で」ヘナヘナ

魔姫「わ、私にだってそういう時くらいありますわ」

エルフ「うぅ……私の誘いって本以下なの……」

魔姫「――その様子だと、贈り物の方には気付かなかったようですわね」

エルフ「へっ、贈り物?」

魔姫「ええ、ほんのささやかな物を。あなたが持ち帰ったデカコインの地金で作らせてもらいましたの」



エルフ「ええっ!? 魔姫さんが私にお手製のプレゼントですかっ!?」

魔姫「お手製といっても、手伝ってもらってですわ」

エルフ「あ、あの外でごろ寝してたドラゴン……」

魔姫「最初はてっきり、それが気に入らなくてぶたれたのだと思いました」

エルフ「……あっ!ご、ごめん!ごめんなさい! 私の勘違いで酷い事……」

魔姫「別に気にしてませんわ」

エルフ「……ほんと?」

魔姫「直後にあんな恥ずかしい告白を受けたんですもの。何でも許せるというものですわ」

エルフ「っ~~~~~~~!!!!」バンバンバンバン


エルフ「で、でも何で急にプレゼントなんて。誕生日とかでもないし」

魔姫「それは……」

エルフ女王「ふふっ」ニコッ

魔姫「ただの気紛れですわ」

エルフ「ふーん……。あっ、もしかして友情の証とか!」

魔姫「どう受け取ってくれても構いませんわよ」


エルフ「そういう事なら急いで取りにいかないとっ!」 

魔姫「急がなくても無くなったりしませんわ」

エルフ「いえ、魔姫さんお手製ならありえなくも……」

魔姫「ありえませんわよ」

エルフ「ふっふ~ん~!魔姫さんの真心こもったプレゼント~!」タタタッ

魔姫「まったく、本当に調子のいい子ですわね」

エルフ「ほら魔姫さん早くっ!」

魔姫「ええ、今行きますわ」



魔姫「退屈が懐かしくなるような毎日へと」




おわり

無理やり終わらせた自覚はある。すまんかった
安価捌いてss書くのって難しい…

ここまで読んでくれた方はありがとうございました
依頼出してきます

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