中野二乃「すみませーん。本日は閉店でーす」上杉風太郎「はあ? まだ真っ昼間だろ」 (43)

店先から店内に戻ると、焼きついた日差しが視界に影を落とす。その"夏影"の明暗の差はくっきりはっきりしていて、溜息が溢れた。

結局、フーくんは正しかったのだ。

あの日、一花を選んでいても、三玖を選んでいても、五月を選んでいても、私を選んでいても……きっと上手く行かなかったと思う。

四葉だけが。四葉じゃないといけないのだ。

それを認めるのは癪だし、悔しいけれど、認めざるを得ない事実なのだ。だから認める。
フーくんと上手く付き合えた四葉はすごい。

一花は不安定で怖いし。
三玖はちょっと重いし。
五月は物理的に重いし。

そして私は、たぶん付き合えたら満足する。

四葉だけが、その先の関係を築ける。
その先って言ってもよくわからない。
付き合って、そのあとどうなるのか。

さっぱりわからない。だからダメなんだ。

今でも好きだし、それが全てだと思ってる。
だけどきっと、好き同士の関係は別なんだ。
好きなだけじゃいけない。それ以上の何か。

「三玖はなんだと思う?」
「肉体関係」
「あんたね……」

訊いた私がバカだったわ。無論冗談らしく。

「なんだろうね」
「なにかしらね」

皿を洗いながらぼんやりと私たちは考える。

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「そもそもフータローの性格からして、私たちが考える恋人関係とは違う気がする」
「もっと夫婦みたいな?」
「そう。でも夫婦とは何かがわからない」

夫婦というものを私たちは知らない。お母さんが居なくなってから育ててくれたあの人も独身のまま。夫婦を間近で見たことがない。

「漠然とした想像だけど、恋愛感情以上の絆で繋がっている男女が夫婦だと思う」
「抽象的ね。具体性に欠けるわ」
「具体的に言うならば、共有財産」
「……現実的過ぎるわよ」

一緒に家のローンや車のローンや子供の養育費を稼ぐことが夫婦なんて、夢がなさすぎ。

「お互いにお互いのことが必要だと思えなければ夫婦でいる意味がない。そこは重要」
「だからってそんなビジネスみたいに……」
「金銭以外にも、共通の目標を目指せる」

共通の目標かぁ。なんだか近づいてきたわ。

「目的意識の一致はたしかに重要かもね」
「最終的には同じお墓に入る仲」
「それは目的じゃなくて結末じゃないの」

それで言うなら旦那を看取りたくはないな。

「二乃、泣いてるの?」
「別に……しんみりなんてしてないわ」
「別れは必ずやってくる。だからこそ、限られた時間の中で共通財産を沢山作るべき」
「お金なんかいくら遺ったところで……」
「ううん。一番の共通財産は……思い出」

なるほどね。それはたしかに恋よりも素敵。

「つまり日々の積み重ねを大切しなさいってことね。いかにも四葉の得意分野だわ」
「私たちは劇的を求め過ぎている」
「そんなことは……」

ないとは言い切れない。だからダメなんだ。

「でも仕方ないじゃない……夢を見たいわ」
「私たちは乙女」
「やっぱり女に生まれたからには叶えたいことがあるじゃない? 運命的な何かとか」
「たとえば?」
「たとえば、そうね。今まさにフーくんがお店に現れて」

カランコロンと来店を告げる鐘の音が響く。

「邪魔するぞ。二乃、三玖」
「フータロー、ほんとに来た」
「フーくん!?」

心臓が飛び跳ねる。なんて、運命的な邂逅。

「フータロー、ひとり?」
「ああ。たまたま近くを通りかかってな」
「そ、そう。偶然そんなことがあるのね」

ドキドキする。恋だけでいっぱいいっぱい。

「フータロー、何か食べてく?」
「いや、目的は別にある」
「へ?」

いきなり見つめられて、赤面。なんなのよ。

「二乃」
「な、なによ。そんな真剣な顔で詰め寄るなんて……あんたには四葉というお嫁さんが」
「そこを退いてくれ」
「……は?」
「店の奥のトイレが借りたいんだ」

ああ、そう。なるほどね。これがウン命ね。

「すみませーん。本日は閉店でーす」
「はあ? まだ真っ昼間だろ」
「まあまあ、フータロー。落ち着いて」

乙女心を踏み躙られた私が意地悪をすると、三玖が取りなして彼にお茶を差し出した。

「悪い三玖。ごちそうさん。美味かったよ。トイレ借りたらちゃんと金を払うから……」
「いいの。そのお茶は下剤入りだから」
「は?」

ぐりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅぅ~っ!

「ぐあっ!?」
「よくやったわ、三玖」
「ここからは懺悔の時間だよ、フータロー」

ハイタッチをして蹲るフーくんに攻撃開始。

「ちょっと、床掃除の邪魔よ」
「は、早くトイレに……」
「フータローはそこで漏らすんだよ」

脂汗を流すフーくん。何故かドキドキする。

「た、頼む。 もう我慢の限界だ」
「トイレ貸してあげる代わりにキスして」
「……それはちょっと」
「じゃあ、一緒にする?」
「い、一緒に……?」
「二乃がお腹に乗って、私がフータローの顔に乗る。それで3人一緒にぶち撒けるの」
「正気か……?」

三玖。なかなかやるわね。でもどうかしら。

「私がフーくんの顔に乗るわ」
「二乃のおしっこは臭いから」
「あんただって臭いでしょ!」
「じゃあフータローが決めて」
「いや、もうその必要はない」

何故か清々しいフーくん。漂う劇的な臭い。

「臭いのはたった今漏らした俺の下痢便だ」

汚い。臭い。それなのに私はドキドキする。

「……ごめんね、フータロー」
「……さすがに悪かったわよ」

2人して照れて顔が見れない。恥ずかしい。

「はっ……お前らとは老後を過ごせないな」

言われて気づく。シモの世話こそ夫婦だと。

「……フーくんはさ」
「ん? なんだ、二乃」
「四葉の……その、お世話出来るの?」

恐る恐る訊ねると、彼は真顔でこう答えた。

「当たり前だろう。むしろご褒美だ」
「……やっぱり敵わないわね」

負けた。敵わない。四葉は、愛されている。

「フータロー」
「なんだ、三玖」
「私、フータローのうんちなら食べれるよ」
「フハッ!」

なんで悦ぶのよ。四葉一筋でしょ。よーし。

「私も食べるからあんたも私の食べなさい」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

劇的を求め過ぎるから私たちはダメなんだ。
だけどそれでも求めてしまう。乙女だから。
フーくんの哄笑で思わず漏らしそうになる。

「悪いが食うのも食われるのも四葉だけだ」
「それは四葉が1番困ると思うよフータロー」
「四葉を困らせるんじゃないわよ駄目亭主」
「フハッ!」

漏れてゆく遥か糞も。渡るフハッの流れも。
飛行機雲みたいなうんち。ふたり分の愉悦。
フーくんの嗤った顔は私に"懐影"を落とす。


【ふたり分のフハッな嫁】


FIN

どうも。今日は早かったですね
ちなみに五つ子は誰派ですか?

こんばんは
五つ子は誰推しです?

勇気を出して声をかけてみたのですが、会話は難しそうですね
二次創作物についてはそれぞれ思うところがあると思いますので、原作の魅力について語りたかったですが……
今度は原作について楽しくお話しできたら嬉しいです

それでは、また

作品やキャラへのリスペクトを一切持たないヒトモドキ
こりゃ死ぬまで治らんな

>>11
こんばんは!
五等分の花嫁についてお話しませんか?

ワンピースの映画を見もせずにクソ垂れ流したガイジ

>>13
ワンピースはちゃんと観ましたよ
もう1回観にいこうと思ってます

映画をちゃんと見ているのに
あんなゴミしか書けないんですか?
日本語ちゃんと理解できますか?

>>15
二次創作物はともかく、映画はどうでした?
どこが面白かったですか?

おつおつ
毎回スカまでのしっとり具合とスカ後の落差に笑うんだ

二次創作物についてはそれぞれの考えがあっていいと思っておりまして、読みたいものを読んで、書きたいことを書くだけだと考えております
好き嫌いの問題ですので、自分が好きなお話しを書けばいいのではないでしょうか?
あなたの作品を是非読ませてください

ルール違反している時点で
各自の考えや好き嫌い以前の問題なんですよねえ
それすら理解できないヒトモドキ

>>20
ありがとうございます!
汚いと綺麗のコントラストは自分自身常に意識して書いてますので、そこに着目して頂いて嬉しいです

>>23
自分にはあれしか書けませんでした
あなたの書いた二次創作物を是非読ませてください

Rで延々とコナン書いてるのもこいつだよな
この前も「文句言うならこれより面白いもの書いて」ってイキろうとして
実際に1レスで面白いもの書かれて敗走してた情けなさったら

>>29
R板には一度も書き込んだことはありません

無視しているつもりはありません
それぞれ好きなものを読んで、好きなものを書く
こちらが書いたものが不満なら、自分好みの作品を書けばいいと初めに申し上げた通りです

R板では書いておりません
個人的には美しい作品や甘い作品が大好物です
でもそれを自分では書けません
自分にはこれしか書けないので、他の方がそういう作品を書いてくれると嬉しいです

今日は色々お話し出来て楽しかったです
次は原作メインでお話しましょう
原作あっての二次創作物ですので

それでは、おやすみなさい

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