高垣楓「うぅん……」 モバP「楓さん、どうかされましたか?」 (18)


楓「あ、プロデューサー」

P「どうも。俺でよければ相談に乗りますよ」



楓「……えっ?」

P「何やらお悩みの様子だったので」

楓「……流石はプロデューサーです」

P「はは。どれだけ二人でやってきたと思ってるんですか」

楓「ふふ。プロデューサーの言う通りですね」

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P「それで、どういったお悩みが?」

楓「それは……その。プロデューサーのお気遣いはありがたいんですけれど」

P「……?」

楓「わざわざ聞いて頂くほどの悩みでは……」

P「いえいえ。そういう小さな悩みほど、誰かに話すとすんなり晴れるものですよ」

楓「……」

P「楓さんにはいつもお世話になってますから。少しは力になりたいんです」



楓「……プロデューサーは、本当に優しいんですね」

P「普通ですよ」

楓「ふふっ……そういう事にしておきましょうか」

P「それでは、どういう内容か伺っても?」

楓「その、本当に大した事ではないんですけれど……」

P「ええ」

楓「プロデューサーが私に振り向いてくれないんですよ」


P「……」

楓「……」

P「……」

楓「プロデューサー?」

P「……」

楓「どうされたんですか? 急に黙り込んでしまって」

P「……あっ、はい。ええ……ええ、はい」

楓「ふふっ……おかしなプロデューサー」

P「え、っと……えー……その……振り向いてくれない、というのは……?」

楓「はい。声を掛けても私の方へ向き直ってくれないという物理的な事象ではなくてですね」



P「……」

楓「私が何度この慕情を仄めかしても、甘い言葉の一つすら囁いてくれないということです」

P「……」

楓「意味は伝わりましたか?」

P「…………ええ」


楓「正しく伝わったようで何よりです」

P「そう…………ですね」

楓「……」

P「……」

楓「プロデューサーはどう思いますか?」

P「……」

楓「……」

P「…………あの……ですね」

楓「はい」

P「楓さんが、アイドルだから……では、ないでしょうか」

楓「あの、そういうのはもういいです」



P「……」

楓「……」

P「……」

楓「私、現役でアイドルをやっている訳ですよね」


P「……」

楓「前職はモデルでしたし、自分から言うのも何ですけれど、容姿は良い方だと思うんです」

P「……」

楓「身嗜みにはいつも気を払っていますし、プロデューサーの反応を見つつ香水を変えたり」

P「……」

楓「プロデューサーとクリスマスイヴのディナーを共にした後、何があったかご存知ですか?」

P「……」

楓「……」

P「……」

楓「プロデューサーはご存知ですか?」

P「……」

楓「何も無かったんですよ」



P「……」

楓「何も無かったんですよ」

P「……」


楓「ひょっとして、あれでしょうか。私って」

P「……」

楓「誰にでも『イヴの夜は空いていますか?』とか聞くような女だと思われてたりするんでしょうか」

P「……」

楓「……」

P「……」

楓「……空いていますか……相手、居ますか……あら。これは……」

P「……」

楓「ともかく」

P「……」



楓「何も無かったんですよ」

P「……」


楓「帰り道、ネオン街に差し掛かった辺りで『少し疲れましたね』って呟いてみたんです」

P「……」

楓「いま思えば露骨過ぎたかもしれないぐらい、はっきりとした声音で」

P「……」

楓「そしたら、プロデューサーは何ておっしゃったと思いますか?」

P「……」

楓「……」

P「……」

楓「『そうですね』って言ってました」

P「……」

楓「それで、そのまま駅まで一緒に歩いていって、お別れしました」

P「……」

楓「私、お家に帰って手も洗わずにベッドへ寝転がったの、あの夜が初めてです」

P「……」


 楓「私がこんなにアプローチしているのに、プロデューサーは応えてくれなくて」

 P「……」

 楓「もうどうすればいいんだろうって、そんな風に少しだけ悩んでいたんです」

 P「……」

 楓「……」

 P「……」

 楓「プロデューサーにばかりどう思うか聞いていては話も煮詰まらないと思うので」

 P「……」



 P「……えっ」

 楓「他の方にも意見を聞いてみようかと思います」

 P「えっ」

 楓「こんばんは。今日はよろしくお願いします」

美優「えっ……あ、はい……よろしくお願い、します……?」



 P「えっ?」


 楓「実は、プロデューサーに何度も何度も何度もアプローチをしているんですけれど」

美優「あ、はい……」

 P「……」

 楓「一向に靡いてくれる気配すら無いんですよ」

美優「そう、なんですか……?」

 P「……」

 楓「美優さんはどう思いますか?」

美優「……そう、ですね……」

 P「……」

美優「私だったら、少し……哀しいです。女としての魅力に欠けているのかしら、なんて……」

 楓「……美優さん」

 P「……」

 楓「もう一声」



美優「えっ」

 P「えっ」

 楓「もう一声」


美優「一声……え? 楓さん、あの……」

 楓「先々週の宅飲み」

美優「……!」



 楓「……」

 P「……」

美優「…………ぅ、あっ、あの」

 楓「はい」

 P「……」

美優「私、全然ダメダメなのかな……なんて、思ってしまって」

 楓「はい」

 P「……」

美優「アイドルを……辞めて、しまうかも……しれません。もしかしたら……ですけど」


 P「……」

美優「……」

 楓「なるほど。ありがとうございます、美優さん」

美優「あ……え、っと…………はい」

 楓「それで、改めて、プロデューサーはどう思いますか?」



 P「……」

 楓「……」

 P「……………………あ、の」

 楓「はい」

 P「え、っと…………」

 楓「はい」

 P「……」

 楓「……」

 P「…………その……すみませんでした」


楓「……」

P「……」

楓「…………はぁ……」

P「……!」

楓「その一言を聞けただけで良しとしましょうか」

P「なんか……ホントすみません……」

楓「本当ですよ。プロデューサーにはがっかりです」

P「重ね重ねすみません……」

楓「なので、プロデューサーの人生は私がプロデュースして差し上げます」



P「……えっ」

楓「まずはジュエリーショップですね」

P「えっ」

楓「あ、すみません。その前にまずは御挨拶に伺わないといけませんよね」

P「えっ?」

楓「さ。こっちですよ、プロデューサー」



P「あ、はい。え?」



美優「……」


美優「…………」



美優「……………………なるほど……」


おしまい。


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やっぱりほのぼのSSは書いてて癒されます

前作とか
高垣楓「本日から楓さんポイントの運用が始まりました」
( 高垣楓「本日から楓さんポイントの運用が始まりました」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1623674798/) )
神崎蘭子「高垣楓伍番勝負っ!」 (神崎蘭子「高垣楓伍番勝負っ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1620541093/) )


不死鳥垣楓さんのフィギュアがすごいのでみんなもチェックしてみてね

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 23:44:08   ID: S:RmBn14

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