【R-20】遊び人「異世界からいつか来る、キミのために」 (7)



遊び人「へえ、つまりそれってあれかい? この世界とは別に、違う世界があるっていうのかい?」

司書「そういう創作だと言われています」

司書「古くから伝わる詩のひとつ。歌い手たちが紡いで来た夢想の物語ですね」

遊び人「なるほどねぇ! やっぱり僕らとは違う新しい世界に昔の人達も憧れたんだ!」

司書「ふふ、そうですね」

遊び人「面白くて楽しいお話をどうもありがとう! また来るよ司書さん」

司書「はい。我等が王の書庫はいつでもあなたをお待ちしておりますわ」














遊び人「たーらったった~ら~ら~♪」タンッタンッ

遊び人「たーらったった~ら~ら~♪」タッタンッ


遊び人「素敵な素敵な隣人さん♪」

遊び人「素敵な、すてきな、お隣さん♪」

遊び人「隣の芝生は青いかい? 売れ残った果実のほうが甘そうかい?」

遊び人「すてきな、すてきなご近所さん♪」

遊び人「神様に愛されたキミはどうして訪ねてくれたのかな?」

遊び人「キミは、僕を迎えに来てくれるのかな?」

遊び人「愛しい君。異世界のキミ」タンッ


< チャリンッ


遊び人「うふ。ありがとぉ」ニッコリ


衛兵「見ろよ、またやってるぜアイツ」

衛兵B「遊び人か。つくづく哀れな奴だよ」

衛兵「同情はするがな、だがそれもああなっちゃ……おいおい、投げ銭してるやついるぞ」

衛兵B「物好きな奴だ」

衛兵「ちょっと声かけとくか」


衛兵「おーい。そこのお前!」

修道女「はい? なんでしょうか」

衛兵「すまないシスター。見ない顔だな、近くの教会に配属されたばかりか?」

修道女「ええ。先日、第四区の教会から移ってきた所です」

衛兵「そうか、主神のお導きに感謝を」

衛兵「実は話がある。こちらに来てくれ」

修道女「はあ、私は構いませんが」

衛兵「すまんな。この町にきたばかりで何も知らないだろうに……ッ!?」くるっ

遊び人「♪」ニッコリ




衛兵「……そこを通してくれ」

遊び人「素敵な素敵な素敵な隣人さん♪」

遊び人「素敵な、すてきな、お隣さん♪」

遊び人「ようこそ僕らの町へ♪ どうぞお越しください僕らの家へ♪」

衛兵「やめろ」

遊び人「すてきな、すてきなご近所さん♪」

遊び人「神様に愛されたキミはどうして訪ねてくれたのかな?」

遊び人「キミは、僕を迎えに……」

< ガシッ!

衛兵「止めろ」

遊び人「く、ふぅ」

修道女「何をするのですか! おやめください!」

衛兵「……」

遊び人「うぅ、苦しい……」

衛兵「……半刻すれば噴水広場で紙芝居が始まる。紙芝居が終われば、露店がそこで開かれるらしい」

衛兵「行け」ぱっ

遊び人「おー! ホーッ! はぁ、ふぅ、苦しかった」

修道女「大丈夫ですか?」

遊び人「ありがとぉ、衛兵さん! 僕は行ってくるよ!」タッ

修道女「あの……っ」

遊び人「またねお姉さん。これから僕は噴水広場に行くんだ、シスターも良かったらおいでよ!」



< たったったっ


修道女「……今の方は、どういう?」

衛兵「あいつに関する話だ」

修道女「彼の?」

衛兵「何も知らないのは仕方ない。着いて来てくれ、離れるなよ」

修道女「ええ、はい」


修道女(……この町の治安の良さは、王都でも有数の地区だと聞きます)

修道女(それなのに、この衛兵の様子は一体? なぜこんなに警戒を強めていられるのでしょう)

修道女(先ほども道化師の方をあんな風に扱われて……どういう事情があるのかは知りませんが、少し怖いです)


衛兵「……」ゴソゴソ

衛兵(●の月の、八の陽。第二区の大通りで接触)カキカキ・・・サラサラ……

衛兵(愛する妻と子に、主神のお導きがあらんことを)サラサラ



遊び人「やあ!」

遊び人B「やー、来てくれたのだね」

遊び人「紙芝居が始まるって聞いたからね」

遊び人B「そうとも。今日は自信作なんだ」

遊び人「楽しみにしてるよ!」


子供「道化師さんがふたりだー」

子供B「紙芝居ー」

子供達「「きゃっきゃ」」


遊び人B「それでは始めるよー、今日の物語はこれさ」

遊び人B「『古の魔王と太陽の勇者』」




修道女「…………」

修道女「それ、は。真実なのですか?」カタカタ…

衛兵「すべてな」

衛兵B「悪い事は言わないから、奴と関わるのはやめておけ」

修道女「しかし。私は主神の教えに従う義務が……」

衛兵「これはあんたの為に言ってるんだ、そして俺達は町に住む者全員の為にすべきことはする義務がある」

修道女「……けれど」

衛兵「わかってくれシスター」

修道女「……」

修道女「申し訳ございません……私はそれでも、同じ神に愛されし民の一人として。彼に手を伸ばさないわけにはいきません」

衛兵B「……」

衛兵「……」


衛兵B「おい、押さえてろ」

修道女「!?」

衛兵「ああ」ガシッ

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