【神様になった日】鈴木「先輩達から貰った日常」 (15)

陽太「今日もバスケする?」

阿修羅「そうだな」

鈴木「たまには違う遊びをしませんか?伊座並先輩も混ぜてあげないと」

阿修羅「…それもそうか。いつもバスケばっかじゃ杏子ちゃんも退屈か」

伊座並「私は気にしてないわよ」

陽太「でもせっかく鈴木君がいいタイミングでアイディア出してくれたんだし他の遊びしよう…何して遊ぶ?」

阿修羅「んー、たまには室内で遊ぶとか?」

鈴木「じゃあ、せっかくだし頭を使った刺激的な遊びしましょうよ!」

陽太「頭を使う…刺激的な…そんな遊びあったっけ?」

阿修羅「…あっ、陽太。あれなら頭使うし刺激もある、なにより杏子ちゃんも退屈せずに楽しめるだろ」

陽太「………ああ!あれか!」

鈴木(国宝先輩の方が気付いた感じか。まあいいや。あくまでも成神先輩にあの夏を巡って貰うのが目的だから今はこれくらい鈍くても構わない)

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【成神家】

阿修羅「いやー、やっぱ皆で遊ぶゲームって言ったらこれだよな!」

鈴木(あ、あれぇ…?テレビゲームの用意をし始めたよ…しかも古いやつ…)

阿修羅「なつかしのスポーツゲームだぜ!」

陽太「種目に野球あるから伊座並さんも一緒にプレイ出来ると思うよ」

伊座並「じゃあやってみるわ」

阿修羅「そらっ!」

パカーーーン!

阿修羅「うげ!?打ち取られた!」

アウッ!

伊座並「なぜ今打ったランナーは動かなかったの?なぜ今の内野ゴロで二塁に投げなかったの?なぜゲッツーではなくアウト1つだけを取りに行ったの?」

陽太「え、えっと…」

阿修羅「まあ野球知ってたら疑問だよな。でもこれ野球も収録されたスポーツゲームであって野球専門のゲームじゃないんだ。これはあくまで野球を知ってる人向けじゃなくて家族や友人達と楽しむことを第一としたゲームなんだ」

阿修羅「それに、なによりこのリモコンの振動と音が臨場感出してくれるからゲーム性でカバーできるんだよそこんところは」

伊座並「なるほど」

阿修羅「うっし、交代しようぜ。ほい杏子ちゃん」

伊座並「ありがとう国宝君」

阿修羅「こっちのボタン押しながらリモコン振ればカーブ、こっちのボタンはシュート、両方のボタン同時押しとリモコン振ればフォーク投げられる。んで、十字のボタン使ってコースと高さ決められるかんな」

伊座並「わかったわ」

鈴木「……あのー、なんでテレビゲーム?」

阿修羅「テレビゲームも案外頭使うぞ。配球考えて、抑えたり打ったりしたら気持ちいいし打たれたり打ち取られたら悔しかったりって刺激もあるし、なによりこれなら杏子ちゃんも一緒に遊べるからな」

鈴木(…伊座並先輩を混ぜようって先に言ったのは僕だ。変に噛みつく訳にもいかない。それに、まだチャンスはある。今日無理に、という必要もないか)

鈴木「…じゃあ次は僕にもプレイさせて貰っていいですか?」

陽太「いいよ。この試合終わったら僕と交代しよっか」

ストライッ

伊座並「なるほど。腕の振りの強さで球速も変えられるのね。しかも違う球速なのに腕の振りは同じと…中々高度なことが出来るのね」

陽太「多分そこまで考えられてないだけかな…」

ストライッ
バッタ-アウッ

カーーン…

鈴木「嘘っ!?」

阿修羅「ほいアウトー」

鈴木「あー、なに来るかはわかってたのに!」

阿修羅「裏の裏、だな」

カーーン…

ファウルボ-ル

鈴木「球速は正義なんですよ!160があれば変化球なんていらないんです!」

ファウルボ-ル

阿修羅「やっべはえ~…」

鈴木「…」

ヒュッ

阿修羅「っああしまったフォークぅ!」

ストライッ
バッタ-アウッ

鈴木「ふふっ、騙されましたね国宝先輩」

阿修羅「くっそー、だがまだだ!3回を抑えて裏の攻撃でサヨナラだ!」

鈴木「それっ!」

カンっ…

ファ-ルボ-ル

阿修羅「じゃあ次はこれだ!」

バシーーーーン!

ボ-ル

阿修羅「っと、ストライクからボールになる変化球の見極めが出来る様になってきたな」

鈴木「散々バットくるくるさせられましたからね。慣れましたよ」

阿修羅「なら、これはどうだ?」

鈴木「っ!」

パカーーーン

ファ-ルボ-ル

ファ-ルボ-ル
ファ-ルボ-ル
ファ-ルボ-ル

伊座並「あっ、ピッチャー汗出てきたわ」

阿修羅「うぇぇ…めちゃくちゃ粘るじゃんキッツ……」

陽太「ピッチャーへばってきたよ!粘れ鈴木君!後一息!」

鈴木(……もしかしたらこの先、成神先輩のこの鈍さに、アクションを起こすかもしれない。さらにそれでもなにも気付かない鈍さなら…もしかしたら本気で怒るかもしれない)

鈴木(逆に、突然鋭さを発揮して僕の正体に気付いて…冬を迎える前にこの日常が終わるかもしれない)

鈴木(……わかってる。この日常が、いつかは終わる短いものだって。でも今は、全てを忘れて…この先輩達と全力で遊んでいたい)

阿修羅「ああああっ!?ど真ん中行ったああああああっ!!!」

鈴木「それっ!」

パカーーーン!!!!

伊座並「飛距離は完璧ね」

阿修羅「クッソ打たれたー…だがまだ裏の攻撃が残ってる!ぜってー逆転してやるぜ!」

鈴木「…完封してやりますよ、国宝先輩」

阿修羅「いいや、ぜってー逆転してやんよ!」

伊座並「1点差で裏の攻撃は十分ミラクルは起こる可能性がある。何があってもおかしくないわ!」

陽太「伊座並さんが凄い盛り上がってる!ゲーム選んでよかった~」

鈴木(…必ず贖罪はする。だから、だからせめて今だけは、この瞬間を楽しむことを許してほしい。君が滅びの瞬間まで一緒に居て、愛したこの楽しい先輩達と…日常を過ごすことを)






鈴木「先輩達から貰った日常」





このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 04:35:31   ID: S:j0iteg

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