【艦これ】龍驤「足りないもの、その後」その9【安価】 (980)

【艦これ】龍驤「足りないもの、その後」その8【安価】
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代理です

ーー
白鶴~~まるっ!
セカンドシーズン!!


白鶴「皆さんこんにちは白鶴です」


ライ「私はライよ!」


白鶴「艦娘ラジオ局のスポンサーであり、運営していたツクオリが残念ながら業績悪化で事業縮小となってしまいました」


ライ「惜しまれつつ最終回をやったのはいい思い出ね」


白鶴「あの番組が終わるのは、私がやらかした時だと思っていたの。そういう意味では満足よ」


ライ「白鶴さんは攻め過ぎなのよ!」


白鶴「ラジオなんだから、あれくらいやった方がいいと思ってたの」

白鶴「有難いことにラジオが終わってもテレビの仕事がいくつか来て、広報として役に立てて良かったと思ってるの」


ライ「忘れがちだけど一応私達は広報っていう体でやってるのよ!」


白鶴「横須賀鎮守府や艦娘のことも知ってもらえて、これ以上嬉しいことはないわ」


ライ「でも…こうじゃないのよね」


白鶴「ええ。テレビには台本があって役割を求められる。それは悪いことではないけど違和感を感じてしまうの」


ライ「ラジオのときは私達が台本を書いてたし、そもそも台本が無いときもあったわ」

白鶴「テレビはテレビとして割り切って、私のやりたいことをしたい」


ライ「そこで動画配信よ!」


白鶴「生放送は難しいけれどこうやって収録すればいいの」


ライ「白鶴まる、のタイトルを使ってもいいって言ってくれたツクオリには、感謝しかないわ!」


白鶴「バトルドームを買いましょう」


ライ「バトルドームは買うべきね!」


白鶴「…前置きはこれくらいにしましょうか」


ライ「そうね、早速始めましょう!」


ライ『チャンネル登録してね』

白鶴「とは言ってもまだ初回だからお便りもなにも無いの」


ライ「これまで通り募集するのよね?」


白鶴「そのつもりよ」


ライ「皆んなからのお便り楽しみに待ってるわ!」


白鶴「テーマを決めるかどうかは未定だけど、楽しいお便りはいつでも募集中よ」


ライ「動画だからできることもしたいわよね」


白鶴「それはそうよね、折角の動画なんだなら」


ライ「じゃあラジオの時に来てたお便りで気になるのをやってみる?」


白鶴「いいわね、やってみましょうか」

ブーン…


白鶴「これはなにをしてるのかしら?」


ライ「電子レンジでサツマイモをチンしてるの」


白鶴「それがどうしたの?」


ライ「お便りにはサツマイモをチンしたから大変なことに~白鶴さん慰めて…って書いてあったの」


白鶴「分かったわ」


ライ「多分私と同じ考えよね」


白鶴「パサパサで美味しくなかったのよ」


ライ「それしかないわよね」


白鶴「何度か食レポの経験がある私なら、なんとか美味しそうなコメントをしてみるわ」


ライ「白鶴さん美味しくないのは変な顔するから、ヒヤヒヤするのよ」

ブーーーーン


白鶴「そろそろいいかしら」


ライ「そうね…ちょっと気になったんだけど、テレビの裏話をするのはどうかしら?」


白鶴「それはいいかもしれないわね」


ライ「局とか番組名を伏せれば、きっと怒られることもないわよ」


白鶴「どこの局のギャラが安いのか、とかいいわね」


ライ「局を伏せるって言ったばかりじゃない!」


白鶴「そうだったわね…」


ライ「白鶴さんは私が居ないとダメなんだから!」


白鶴「本当にそうだわ、私とあの番組はライちゃんが居たから成り立っていたの」

ブーーーーーーーン


ライ「これからも頑張っていきましょう…っていうのが第一回の終わりとして、相応しいんじゃないかしら」


白鶴「そうね、凄くいいスタートだと思うわ」


ライ「白鶴まるっ、セカンドシーズン」


白鶴「これからもどうぞ宜しく…」


ボンッ


白鶴「あっ!?」


ライ「れ、レンジが爆発したわ!!」


パリーン


白鶴「カメラと照明に破片が当たってしまったわ!」


ビビビビビビビビ…


ライ「燃えてる!火が!火事よ!」


白鶴「警報が止まないわ!」


「お前ら何しとんやーーーー!」


ライ「違うのよ○○さんこれは…!」


白鶴「水!水!」


ライ「ポカリなんてかけても意味ないわよ!」


白鶴「熱い!熱い!!」


サツマイモを電子レンジにかけると爆発する恐れがあります。真似しないで下さい


白鶴『チャンネル登録宜しくお願いします』


収録部屋で火災が発生した為次回配信日は未定です

少し白鶴さんを書きたくなったので

ーー


Y朝潮「説明を求めます司令官」


提督「なんの話だ」


Y朝潮「貴方の返答によっては、取り返しのつかない事態が起こります」


提督「……」


Y朝潮「誰も来ないか入念に見張り、用心に用心を重ねていましたけど無意味です」


Y朝潮「中枢棲姫さんと一緒に皐月さんの部屋に入って、なにをしていたんですか?」


提督「……」


Y朝潮「沈黙は肯定と捉えますよ?」


提督「好きにしてくれ」

Y朝潮「私があれだけ!!アプローチしたにも関わらず!!」


Y朝潮「家族がなんだ龍驤さんがなんだ!!結局司令官の好みだったんじゃないですか!!」


提督「……」


Y朝潮「あの朝潮がチラつくからですか!?顔が好みじゃないからですか!?」


提督「……」


Y朝潮「黙ってばかりじゃなくてなんとか言ったらどうなんですか!!」


提督「……」


Y朝潮「…分かりました、今夜私の部屋まで来て下さい。もし来なければ司令官にとって最悪なことが起こります」


提督「……」


Y朝潮「約束…しましたからね」ガチャッ


提督「…………」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーーY朝潮の部屋


提督「俺にどうして欲しいんだ」


Y朝潮「私のものになってください」


提督「…それは出来ない」


Y朝潮「なら皐月さんのことを龍驤さんに話します」


提督「残念だが龍驤にはもう話してあるんだ。中枢棲姫を抑える為には仕方ないと許可も取った」


Y朝潮「そうですか」


提督「…最悪なことはこれじゃないのか」


Y朝潮「当たり前ですよ」

Y朝潮「私が言っているのは司令官の娘さんですよ」


提督「家族に手を出すつもりか」


Y朝潮「はい」


提督「……」


Y朝潮「これまで私がどんなことをしてきたか、知ってますよね?」


提督「犯罪だぞ」


Y朝潮「子どもって突然死が多いんですよ、知ってますか?」


提督「……」


Y朝潮「殺すまでいきませんが、障害を負わせることはしますよ。それが嫌ならどうすればいいか分かりますよね?」


Y朝潮「妥協して朝霜さんの代わりでもいいですよ。自分の立場が分かったなら服を脱いで下さいね」


提督「安価」


下2 提督の台詞やその他起こったことなど

提督「……」


Y朝潮「黙ってないで早く…」


提督「朝潮、今の言葉は録音させてもらった」


Y朝潮「な……」


提督「放送機材に直接転送できるようになっている。俺が設定を解除しなければ、今の言葉が鎮守府の全員に伝わるだろうな」


Y朝潮「ど、どうして…」


提督「お前は言ってはいけないことを言った」

Y朝潮「あ、う…」


提督「俺を手に入れたとしてもその瞬間にお前は終わる」


提督「そもそも現代艦娘を手にかけるという事は、この俺やこの鎮守府だけの問題じゃない」


提督「現代艦娘は大本営や国にまで関係してくるんだ」


Y朝潮「いつもの司令官じゃない…」


提督「家族に危害を加えるだけでなく、馬鹿にされて黙っていられるはずがない」


Y朝潮「ご…ごめんなさい…」


提督「悪いが許すことはできない」カチッ


Y朝潮『子どもって突然死が……』


Y朝潮「ひっ!!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー独房


漣「これは解体が妥当でしょうな」


提督「……」


Y朝潮「ごめんなさいごめんなさい…」


漣「今更謝っても遅いんですよ。ご主人様があの放送をしたということは許さないということなんです」


Y朝潮「ごめんなさい…」


漣「ハッ、どうせご主人様の事を舐めていたんでしょうよ。優しいだけの甘い男だとかなんとかね」


漣「だからちょっと脅せば思い通りになる?大間違いなんですよ!!」


Y朝潮「……」

漣「ご主人様が龍驤さんのことで怒るのは、愛してるからだけじゃありません。家族だからです」


漣「ご主人様にとって家族とは命をかけて守るものであり、命そのものなんです」


漣「漣でも本気で怒らせたことは殆ど無いというのに…本当にアホなことしましたよ」


Y朝潮「解体だけは…」


漣「どうしますかご主人様。強制解体でもいいと思うんですけど」


提督「そうだな」


Y朝潮「ひいぃっ!!」


提督「…俺は甘いそうだな、だからこれをお前にやる」ピラッ


Y朝潮「これは…」


提督「異動申請書だ。ここには二度と帰ってこれない片道切符のな」


漣「強制解体かその書類にサインの二択です。よーく考えておいて下さいね~」


Y朝潮「こんなはずじゃなかったのに……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


Y朝潮「異動先はH幹部の…確かに二度も戻ってこれそうにありません」


Y朝潮「私への罰として相応しいとも言えます、けど……」


Y朝潮「本気で怒った司令官のあの顔…本当に怖かったです。もう二度見たくありません」


Y朝潮「そのはずなのに…また見たいと思ってしまっているんです」


Y朝潮「いつもは軽くあしらわれたり、他の人に邪魔されたりしてまともに取り合ってくれません」


Y朝潮「今までそうだったのに…あんな……あれだけの感情を私にぶつけてくれるなんて…」


Y朝潮「これが……司令官の愛…?」

Y朝潮「どうすればもう一度愛してくれるでしょうか…司令官の心を揺さぶるような…」


Y朝潮「……ありました」


Y朝潮「こんな異動申請書なんか必要ありません」ビリビリ


Y朝潮「解体と言われても拒否します。そうなれば残る道は一つ」


Y朝潮「艦娘にとって死刑である強制解体」


Y朝潮「最後のスイッチを司令官に押してもらうんです…それこそ究極の……愛…」


Y朝潮「待っていて下さいね司令官…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー翌日


Y朝潮「異動はしません、強制解体を希望します」


提督「そうか」


Y朝潮「……え?」


漣「では日にちを調整して近々に行いましょう」


Y朝潮「ま、待って下さい強制解体ですよ?」


提督「二択のうちその選択肢を選んだのはお前だ」


Y朝潮「あ…………」サー


漣「ではそのように」


Y朝潮「待って下さい!!」


漣「待ちません」


Y朝潮「異動で!異動でお願いします!!」


提督「なにか言っているのが聞こえるか?」


漣「いいえ聞こえませんね」


Y朝潮「あ…ああ……!!」

Y朝潮「ごめんなさい…ちゃんと謝りますから……」


提督「……」


Y朝潮「司令官のことだけでなく、その家族を脅すような真似をしてすいませんでした!!」


漣「異動申請書は破いたみたいですけど?」


Y朝潮「う…ぐ……!!」


Y朝潮「…すいませんでした。どうか…私を異動させて下さい……」土下座


漣「全く、これだけやらないと素直に謝れないとか。本当呆れますよ」


提督「漣」


漣「ええ分かってます、明日にでもH幹部の所に送りつけてやります」


Y朝潮「ありがとう……ございます…」

ーー


漣「やれやれ、なんとかなりましたね」


提督「ああ」


漣「ご主人様も相手の為になる事ができるようになりましたね」


提督「…まだまだだ。家族が絡まなければ甘いままなんだろう」


漣「昼間から盛るなっていう当然のルールを定めた時から、ご主人様は変わってます」


漣「理想的の提督に近付いていると漣は思いますね」


提督「…ありがとう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


Y朝潮「これからよろしくお願いします」


H幹部「聞いてるわよ問題児ちゃん」


Y朝潮「…そうですよね」


H幹部「提督を脅す時点でアウトなのに、よくもまあ罪を重ねたものね」


Y朝潮「……」


H幹部「これからタップリ教育してあげるから覚悟しなさい」


Y朝潮(流石は幹部…目つきや所作が違います。司令官とは違いますが、頼れる上司とはこのことなんでしょう)


朧(艦娘が増えるのは嫌だけど仕方ないよね)

ーー


提督「今回の騒動は俺の態度が中途半端だったことが原因だ。もっとハッキリと拒否するべきだった」


提督「かすみはまだ幼い、朝潮と同じことを考えられると次は止められないかとしれない」


提督「そんなことは無いと信じたいが…」


雲龍「なに?」


提督「雲龍は俺に何度も好意を寄せていると言っていたな」


雲龍「そうよ」


提督「龍驤が世話になったこともある」


雲龍「そうよね」


提督「俺のことを諦められないのか」


雲龍「私は体だけの関係でもいいの。朝潮とは違うわ」


提督「だからだな…」


雲龍「皐月がよくて私がダメな理由が分からないというのは朝潮と同じ。愛は無くてもいい、ただ提督に抱いて欲しいだけ」


提督「安価」


下2 提督の台詞やその他起こったことなど

提督「抱いたら何が得られるんだ?雲龍の欲がが満たされるだけなんじゃないのか?」


提督「それなら他にも手段がある。だが俺の場合は他に手段がなかったんだ」


提督「中枢棲姫はここから追い出すべきじゃない、悪にだってなり得る存在なんだ」


雲龍「そう」


提督「皐月を抱けるチャンスだからこれ幸い、なんて浅ましい事はなかった!これまで一度もだ!」


雲龍「提督」


提督「なんだ!?」


雲龍「本当に分かりやすいわね」


提督「……」


雲龍「自分に不利な時は饒舌になる。普段からは考えられないくらい早口で喋ってたわよ」


提督「……」

雲龍「朝霜はともかく早霜と潜水新棲姫がよくて私がダメな理由はない」


雲龍「皐月がよくて私がダメな理由はもっと無い」


提督「……」


雲龍「必死で言い訳を考えているけど思いつかない。いつもみたいになあなあで誤魔化すしか方法はない」


提督「……」


雲龍「提督はなにを恐れているの?」


提督「……分かるだろう」


雲龍「もちろんよ。でも言わせたいの」


提督「……」

提督「…子どもが産まれたのに、他の艦娘と関係を持つのは父親失格だ」


雲龍「それに?」


提督「龍驤とも離れている今、夫としての立場がない」


雲龍「それで?」


提督「……このままなし崩しに何人とも関係を持つ未来が見える」


雲龍「よく言えました」


提督「…からかっているのか」


雲龍「本気よ。だからこそこうやって話をしているの」


提督「……」


雲龍「私の後は神通が手を挙げるのは間違いないわ。その後に天龍龍田でしょうね」


提督「……」


雲龍「提督はなにを恐れているの?私たちは子どもが欲しいわけでも愛されたいわけでもないの」


雲龍「皐月だって口には出してないけど喜んでいるはず。提督は気持ちを受け入れて」


提督「安価」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「今の自分から出る言葉は、体の関係を棚に上げた発言になるだろう」


提督「だから…すまん。時間をくれないか」


雲龍「もちろんいいわよ。下手な言い訳でもしたら許さない所だったけど、正直に話してくれて嬉しいわ」


雲龍「私のことを尊重してくれてるからこそなのは分かってる、焦らずに考えて欲しい」


提督「…ありがとう」


雲龍「答えが出たら真っ先に私に知らせて。約束よ?」


提督「分かった約束しよう」

ーー


漣「まあとうとう来たなって感じですよね」


潜水新棲姫「そうだな」


提督「……」


皐月「僕も参加するんだね…」


龍驤『当たり前やで~』


漣「本来ならここに朝霜さんが~っと言いたい所ですが割愛します」


霞「改めて見ると凄い人数よね」


漣「ご主人様は絶倫ですもん。一晩に二人が余裕なんですから」


潜水新棲姫「身を持って体験しているから良くわかる」

漣「ご主人様はどう思ってんですか?」


提督「……」


潜水新棲姫「喋られる訳がないな」


龍驤『ほな皐月に聞こか。司令官と関係を持ててどう思った?』


皐月「…嬉しかったよ」


霞「そうでしょうね」


皐月「気持ちいいのもあったけど…お礼ができたって言うのかな」


提督「感謝なら言葉でもいい」


漣「言葉より重いものがあるって言ってんでしょうが」


潜水新棲姫「こんな性格なのに何人とも関係があるのは珍しいケースだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

潜水新棲姫「断るのなら今後は龍驤と霞だけの関係にせざるを得ないが?」


提督「……」


霞「黙る時点で本当はアウトよ」


龍驤『でもウチは強く言われへん…』


漣「そもそもそれが悪いんすよこのビッチーー!」


皐月「あ、あの…」


潜水新棲姫「これくらいじゃ喧嘩にすらならないから大丈夫だ」


提督「……」

潜水新棲姫「仮に提督に好意を持つ艦娘を全て受け入れ、関係を持った場合その後はどうなると思う?」


漣「その後……」


霞「雲龍は問題ないわね」


龍驤『神通も多分いけるな…むしろ喜ぶやろ』


霞「お姉さまも一度は言うでしょうね。私と間接的に繋がれたって喜ぶわ」


皐月「龍田さんはもしかしたら立ち直ったキッカケになるかもね」


漣「……あれ?これご主人様が抱いた方が良くね?」


提督「そんな簡単に言わないでくれ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「まぁ鎮守府内は問題無くとも、対外的にはそうもいきませんよねぇ…」


提督「そうだ何の為に制限を付けたのかということになる」


漣「それに誰かしら妊娠する可能性だって、ゼロではなくないですか?」


龍驤『それは…』


皐月「待って待って!雲龍さんも神通さんも一回だけって話だよね!?」


潜水新棲姫「少なくとも雲龍はそうだな」


霞「そして避妊するのは前提よ、当たり前じゃない」


漣「ん~~ご主人様に助け舟を出したつもりだったんですけどねぇ」


潜水新棲姫「否定的な意見にはとことこん賛成してるな」


提督「……」


龍驤『モテる男が旦那やと辛い…とは違うかな』


霞「殆ど一緒のようなものでしょ」


ーー

今日はここまでです

ーー


黒潮「なにアホなこと言うてんねん」


雲龍「そう思っているのは貴女だけよ」


黒潮「はあ?」


雲龍「神通は私と同じ意見よね?」


神通「…………はい」


黒潮「なにを言うてんねん」


雲龍「私達は貴女のように、体で繋がる関係に汚いというイメージを持っていないの」


黒潮「喧嘩売ってるんか?」


雲龍「貴女が価値観の違いを押し付けようとしているのよ」

雲龍「愛して欲しいわけじゃないし、愛人になろうとも思わない。ただ提督と繋がりたい」


神通「雲龍さんの気持ちは……理解できます……」


黒潮「言うとくけどあんたらの方が異常やで?」


雲龍「地獄とも呼べるあの環境は異常だったわね」


神通「提督とは……もう言葉では表せない……関係なんです……」


雲龍「貴女が異常に拒否反応を示しているのは、その後を考えているから」


神通「一度だけ……その約束を守れそうにないから……」


黒潮「…もうええ」ガチャッ


雲龍「部屋を出て行ってしまったわね」


神通「黒潮さんは…男性との関係で…うまくいってないことが多かったですから…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー食堂


漣「はいあーん」


潜水新棲姫「んぁ…」


漣「ご飯を食べる嫁をゼロ距離で見るのは最高ですなぁ」


黒潮「ちょっとええか」


潜水新棲姫「なんだ」


黒潮「あんたはどう考えてるんよ」


潜水新棲姫「なんの話だ」


黒潮「雲龍が司令はんとやりたいって言うてる話や」


潜水新棲姫「艦娘に聞くべきじゃないのか」


黒潮「……」


潜水新棲姫「分かった、ワタシの意見でいいなら言ってやろう」

潜水新棲姫「雲龍はヤるだとかそんな下品なことは考えていない」


黒潮「やることは一緒やろ」


潜水新棲姫「それは行為が同じなだけで意味が違う」


黒潮「意味…」


潜水新棲姫「ワタシと提督がしていたのはお前の言うヤっている、だ」


黒潮「……」


潜水新棲姫「言わんとしていることが少しは分かったようだな」


黒潮「なんでや…それ以外にあるやろ」


潜水新棲姫「そうだ大抵は言葉や贈り物で解決する。だがお前たちはそんな簡単なもので済むような関係か?」


潜水新棲姫「特にお前は地獄に耐えきれず首を吊ったんだろう?それを乗り切った相手に贈り物で済ませるのか」


黒潮「……」スタスタ


潜水新棲姫「どうやらワタシに言って欲しいことがあったようだが、当てが外れたようだな」


漣「当たり前のように漣のことを無視してましたね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

潜水新棲姫「しかし提督は苦しんでいるのは確かだ。龍驤の事を考えればこれ以上受け入れる訳にはいかないだろう」


潜水新棲姫「恩返しと言っても、相手が受け取りたくないならそれは押し付けだ」


漣「……なんでそれをさっき言わないんですか?」


潜水新棲姫「ワタシの言い方はキツくなるからな、改二の影響で頭に血が昇りやすい黒潮とは相性が悪い」


漣「うーーーん…これは嫁が正しい」


潜水新棲姫「ワタシが言いたいことは伝わったはずだ、後は本人がなんとかすることを祈ろう」


漣「ご主人様が覚悟を決めれば一番早いんですけどね~」

ーー


黒潮「アイツが言うてんのはヤるのは最上級の感謝を伝える手段であって、目的やないってこと…」


黒潮「腹立つけど納得してもうた。雲龍の場合処女やから余計に感謝の意味が強いわ」


黒潮「…せやけど他に方法はあるやろ。それこそプレゼントでもいくらでも工夫はできる」


陽炎「……」


黒潮「あそこにおるのは陽炎と不知火と…傀儡組か。アイツらにも聞いてみよか」


黒潮「司令はんと一番付き合いが長いのは不知火やけど隼鷹とデきてる。陽炎は次で雪風は最近や」


黒潮「あの三人やったらええ答えが聞けそうやな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

不知火「ヤケになってた自分に寄り添ってくれた、隼鷹さんの側にいられることが何よりも嬉しいんです」


不知火「司令への感謝は艦隊の一員として支えることで、恩を返そうと思っています」


黒潮「それが普通やしうちが求めてた言葉やね」


不知火「一番寄り添ってくれたのが隼鷹さんだったから、こう考えられるのだと思います」


黒潮「…陽炎は?」


陽炎「正直に言っていいなら雲龍さんと同じ意見ね」


黒潮「……」


陽炎「私のことを受け入れてくれたし窃盗癖のことも……感謝を示すのには一番いい方法だと思うわ」


陽炎「司令が嫌だって言うなら無理にとは言わない。けど受け入れてくれるなら……うん、喜んで捧げるわ」

雪風「雪風は……」


陽炎「無理しなくていいわよ」


雪風「……司令に感謝はしてます。けど…それとこれとは……」


不知火「それが雪風の意見ですね」


雪風「……」コクリ


陽炎「私達は傀儡で手術も受けさせてもらってる。雲龍さんより付き合いは短いけど同じくらいに感謝してる」


不知火「雲龍さんの意見は尊重すべきだと思います」


黒潮「……」


陽炎「あんたが反対の意見をいくら集めても雲龍さんは止まらないわよ。そういう艦娘なのは貴女の方が知ってると思うけど」


黒潮「……」


雪風「行っちゃいました……」


不知火「雪風はよく自分の意見を言えましたね」


陽炎「偉い偉い…っとたまには姉っぽいことをしておかないとね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー黒潮の部屋


黒潮(考えてみたらこれ司令はんの問題やんか、なんでうちがこんな悩まなあかんねん)


黒潮(ハーレムでもなんでも好きにしたらええんや、うちは知らん)


黒潮(……)


黒潮(投げやりになってしまうのは……)


黒潮(……)


黒潮(違うな…うちの番が回ってきた時…どないしたらええか分からへんから…)


黒潮(雲龍はんで神通はんで……うちにも絶対回ってくる)


黒潮(そうなったらうちは……)

黒潮(無理や。絶対に司令はんのこと好きになってしまう)


黒潮(雲龍と神通は経験無いからあんなことが言える。龍田は嫌な思い出しかないから司令はんに上書きしてもらえる)


黒潮(……うちにはなんもない)


黒潮(不知火みたいに戦力になるわけでも無いし、雲龍みたいに綺麗な体を差し出されへん)


黒潮(結局うちはまた自分に怒って……)


黒潮「…ああぁぁっ!!」


黒潮(もうええ知らん寝る!!雲龍も神通も勝手にせぇ!)


黒潮(司令はんを困らせて朝潮の二の舞になっとけ!!ボケが!!)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「……本当にすまない」


雲龍「残念だけど仕方ないわ」


提督「雲龍達の気持ちは分かる……だが…」


神通「私達は…提督を苦しめたかった訳じゃないんです…」


雲龍「提督の気持ちは痛い程解ったわ」


提督「ありがとう……」


雲龍「そもそもフェアじゃなかったわね。龍驤さんが居ない時に、こんな話をするもんじゃなかったわ」


神通「そうかもしれません…」


雲龍「続きは龍驤さんが帰ってからでいいかしら?」


提督「ああ、約束しよう」

ーー


提督「ふう…なんとか理解してもらえて良かった」


提督「首を縦に振れば済む話であることは知っているが…」


提督「龍驤抜きに考えることはできない。皐月の件も本来なら断るべきだったんだ」


提督「それが無理なら龍驤が帰ってくるまで、待つように交渉すべきだった。そうしなかったのは俺の甘さだ」


提督「雲龍とは…龍驤も交えてちゃんと話をしよう」


提督「……」


提督「寝る前に水でも飲んでおくか…」

ガチャッ


提督「今日は霞は榛名と一緒に寝ている。邪魔はできないな…」


提督「一人で寝るのは久しぶりだが…やはり寂しいな。龍驤に電話をしておけば良かった…」


黒潮「……」


提督「ん、あれは…黒潮か?」


黒潮「うえぇぇ…」


提督「足元がおぼつかないようだが…どうしたんだ?」


黒潮「んー…司令はん……」


提督「……この匂い、酔っているのか。黒潮がここまで飲むのは珍しいな」


黒潮「司令はん…………」


提督「黒潮の部屋は近くだな、待ってろすぐに…」


黒潮「……」チュッ


提督「は……え…?」


黒潮「雲龍はんとヤったんやろぉ……うちともぉ…」


提督「お、おい黒潮……!」


黒潮「逃がさへんでぇ……司令はぁん……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー翌朝


黒潮「……」


黒潮「ここは司令はんの部屋や。大きいベッドで寝てたから寝起きもええわ」


黒潮「……」


黒潮「…………ぅわ」


提督「起きたか黒潮、昨日は…」ガチャッ


黒潮「……」土下座


提督「おぉ!?」


黒潮「ヤってもうたぁぁぁぁ…!!ごめん司令はん!!」

提督「…どこまで覚えているんだ?」


黒潮「酔うて…司令はんにキスしたところまで…」


提督「……」


黒潮「雲龍はんとやった…やってないって言い合いして……そのまま…」


提督「…昨日は何もなかったんだ」


黒潮「……」


提督「黒潮の騒ぎ声を聞きつけた何人かが部屋から出てきて、それでも黒潮は止まらずに…と言ったところで潰れて寝たんだ」


黒潮「……」


提督「だから…なにも気にすることはない」


黒潮「…やっぱり優しいんやね」


提督「いや、黒潮……」


黒潮「今日のことは墓まで持っていくから……ほんまにごめんな司令はん」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


黒潮「司令はんとの一夜、何も覚えてない…なんて勿体ない……って違う!」


黒潮「なんてとんでもない事をしてしもたんや…もう酒は飲まないようにせんと…」


黒潮「イラついてる時の酒はあかん…泥酔するまで飲んでしまうわ…」


黒潮「……」


黒潮「唯一覚えてるのはキスした所や……あの時の気持ちも覚えてる…」


黒潮「あれが…うちの本心やったんやな……」


黒潮「それに気付かんように男を作ってたんかな…せやから振られて当然やった……」


黒潮「今更になって気付くのは…遅すぎるわ……」

黒潮「今やったら…雲龍はんの気持ちも分からなくもないな……分かってしまう…」


黒潮「ぐうううう……」


黒潮「墓まで持っていくって言うたのに…もう司令はんのこと考えてる…」


黒潮「…あかん!うちはもう司令はんとは一回ヤったんや!」


黒潮「龍驤はんにも漣にも何言われるか分からんのに!しっかりせぇうち!」


黒潮「こんなこと考える暇があるんやったら演習や!今日こそ改二を克服したる!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー演習場


黒潮「……」


不知火「射撃も回避も問題無さそうでしたね」


陽炎「それどころか絶好調じゃない」ガション


不知火「改二の弊害は克服できたのかもしれませんね」


陽炎「昨日まで苦しんでたのに凄いじゃない!」


黒潮「……」


不知火「これで出撃もできそうですね」


陽炎「どうしたの?あんまり嬉しそうじゃないわね」


黒潮「先…あがるわな」


陽炎「どうしたのかしら?」


不知火「不知火には分かりません」

黒潮「昨日までうちはいつも通り苦しんでた。満足に主砲も扱えれへんし機関も調子悪かった」


黒潮「昨日と今日で変わったことは……」


黒潮「嘘やろ……そんなことあるんか…?」


黒潮「噂では聞いたことある…提督とヤると高揚状態になって…いつも以上に力が出るって…」


黒潮「そんなん作り話やと思ってたけど……」


黒潮「……」


黒潮「司令はんに相談しよ……もしかしたら……」


黒潮「司令はんと……もう一回……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「どうも黒潮が勘違いしているようなんだ」


龍驤『それは司令官も悪いで。なんで自分の部屋に寝かせたんよ』


提督「黒潮の部屋に勝手に入るのを躊躇ったんだ…」


漣「起きてきた勢もご主人様の部屋にってなったんですよ。いいベッド使ってるの知られてますからね」


龍驤『うーん…泥酔しとったんやったらしゃあないんか』


漣「あのケースだとそうでしょうね」


提督「墓まで持っていくと言っていたから、言いふらすことは無いと思うが…」


龍驤『ウチも黒潮やったら大丈夫やと思うよ』


漣「……」


提督「漣のその顔はなんなんだ」

漣「嫌われてる奴の弱味を握ったんですよ?こんな嬉しいことはありませんぜ」


提督「おい…」


龍驤『ほどほどにしときや、追い込んだりなんかしたらあかんで』


漣「それは向こうの出方によります」


提督「…とにかく黒潮との誤解を解かないといけない」


龍驤『それやったら早い内がええよ』


提督「この後部屋まで呼び出すつもりだ。人払いもして誰にも聞かれないようにする」


漣「ほうほう」


提督「漣も絶対に近付くんじゃないぞ」


漣「いやぁ~」


提督「近付くんじゃない」


漣「…へえへえ、分かりましたよぉ~っと」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー提督の部屋


黒潮「……」


提督「黒潮、実はだな…」


黒潮「ん…」もじもじ


提督(なんだ…?目は潤んでるし、いつもよりしおらしくなっているが…)


黒潮「うちもな…話…」


提督「大丈夫か?具合でも悪いのか?」


黒潮(あかんわ…なんか司令はんが凄いかっこよく見える…)


提督(今日はいつもより長めに演習をしていたと聞いている。体調を悪くしてしまったのかもしれないな)


黒潮(司令はんも話があるって……うちのこと…)

潜水新棲姫「さて、二人はどうなっている」


潜水新棲姫「漣はダメだと言われたが、ワタシは言われていない。双眼鏡で覗いて確認しよう」


潜水新棲姫「読唇術はやはり覚えておいて損はなかったな」


潜水新棲姫「どれどれ……」


潜水新棲姫「黒潮はいつもに比べてかなり大人しそうだな。もしかすると気付いたのか?」


潜水新棲姫「勘違いに気付くのは恥ずかしいことだ。特に漣には知られたくないだろう」


潜水新棲姫「やはりワタシが見ているのが正解だったな」


潜水新棲姫「……やけに二人の距離が近いな」


潜水新棲姫「黒潮が近付いているのか、どうしてだ?」


潜水新棲姫「あっ」


潜水新棲姫「黒潮が…キスしたぞ……」


潜水新棲姫「お…おおお……?なんなんだ…?なにが起こってる…?」

潜水新棲姫「そ、そうだこんな時こそ読唇術で解読だ」


潜水新棲姫「司令はんうち気付いてしもたんよ」


潜水新棲姫「待て黒潮、話を聞いてくれ」


潜水新棲姫「今度は忘れれへんようにうちからヤらせてな」


潜水新棲姫「待ってくれ黒潮」


潜水新棲姫「司令はんとシたら改二の障害も出ぇへんかった。これは運命なんやで」


潜水新棲姫「お願いだから話を聞いてくれ」


潜水新棲姫「安心してなゴムはちゃんとするから」


潜水新棲姫「黒潮頼むから話を…」


潜水新棲姫「うるさい口はこうやで」


潜水新棲姫「黒潮が提督の口を口で塞いでしまった。しかも提督を押し倒している」


潜水新棲姫「提督……」


潜水新棲姫「…一応…止めに行くか……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

決死の抵抗に黒潮も「一回も二回も変わらんやろ!」
新姫「ところがどっこい、お前は0回目だ(カットイン」

ーー


提督「……」正座
黒潮「……」正座


漣「ふぅ~~ん…ほぉ…へぇぇ…いやぁ~以外ですなぁ、あの!黒潮さんが!ほぉぉぉ…!」


黒潮「……」


漣「もちろんご主人様もアウトですよ~ぶん殴ってでも黒潮さんを止めるのが正解ですからね」


提督「……」


漣「ま、優しいご主人様にそんなことできるわけありませんけど!」


提督「…………」


漣「うちの嫁が『偶然』気が付いてなかったら大変なことになってましたねぇ~~~~?」


黒潮「……」


漣「司令はん、うち気付いてしもたんよ」


黒潮「ぎゃっ……!!」


提督「……」


漣「早速龍驤さんに報告ですね!それと雲龍さんにも知らせておきます!」


提督「……」


黒潮「最悪や最悪や最悪や…!!うちの勘違いやった上に…コイツに全部知られた…!」


黒潮「こんなん首吊った時より地獄や……もうあかん…殺してくれ……!!」


ーー

今日はここまでです

おつおつ
あぁ^~にやにや止まらん

ーー食堂


雲龍「神通」


神通「どうしましたか…?」


雲龍「これから買い物に行かない?」


神通「買い物…雲龍さんから誘われるのは…珍しいですね…」


雲龍「昔に貴女の刀収集に付き合って以来かしら」


神通「そうですね…」


雲龍「どう?」


神通「いいですね…行きましょうか…」

神通「ちなみに…なにを買いに行くんですか…?」


雲龍「下着よ」


神通「下着…」


雲龍「提督と一夜を過ごす用に新しいのを買うの」


神通「ごぶぁっ」


雲龍「お茶が勿体ないわよ」


神通「い、今なんて…?」


雲龍「黒潮がやらかしたのよ。それで龍驤さんに話がいって…」


神通「待って下さい……」


雲龍「提督は黒潮に襲われたの。提督は抵抗しなかった」


神通「……」


雲龍「黒潮とは未遂だったけど、龍驤さんがもう仕方ないって納得したのよ」


神通「提督も…ですか……?」


雲龍「そうよ」


神通「……私も…行きます……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

黒潮との出来事は夜で、提督は襲われた方なので再安価


下2 お願いします

二人共顔には表れないが内心ウキウキで出かける

ーー街


雲龍「この店ならいいと思うわ」


神通「ここですか…」


雲龍「足りないもの鎮守府に居た時もこの系列のお店で買ったの。信頼できるのよ」


神通「雲龍さんがそう言うなら…」


雲龍「私みたいな胸のサイズに合う下着もあるし、神通のサイズなら良いものも沢山あるわ」


神通「分かりました…行きましょう…」

ーー店内


「私にお任せ下さい、最高に彩ってみせます」


神通「はい…」


「あちらのお客様と同じ事情で宜しいんですよね?」


雲龍「……」


神通「…はい」


「一世一代の大舞台に私どもお店を選んでいただき感謝です。絶対に後悔させません!」


神通(たかが下着と思っていた私が恥ずかしいですね…雲龍さんを見習うべきでした…)


神通(そうですね…一生に残る思い出ですからね……)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


雲龍「どう決まった?」


神通「本当に…いいんでしょうか…?」


雲龍「怖じ気づいたの?」


神通「提督が優しくて…そして…私達に…特に雲龍さんに…負い目があるから…」


雲龍「そうかもしれないわね」


神通「……」


雲龍「提督だけじゃなく龍驤さんも許可を出したのはそういうこと。でもそれだけじゃないの」

雲龍「純粋に感謝を受け取って欲しいという気持ちもあるし、あとは…」


神通「あとは?」


雲龍「貴女と同じはず」


神通「……」


雲龍「その後を考えているのは貴女だけじゃない。けどきっかけが無かった」


雲龍「これは私が前に進む為に必要なこと。貴女も理解できるわよね」


神通「私……」


雲龍「こっちは決まったから買ってくるわ。待っているからゆっくり選べばいいわよ」


神通「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

どんなの物が好みなのでしょうか……
提督の好みばかり気になる神通

神通「提督は…どんな物が好みなのでしょうか……」


神通「やっぱり…提督の好みが気になってしまいます…」


神通「提督を慕っている…この想いに嘘をついたままでは…前に進めません…」


神通「これは雲龍さんと同じ…でも違うのは…雲龍さんは鎮守府を……」


神通「私は違います…これからも共に歩みたいから…想いを昇華する必要があるんです…」


神通「提督に想いを…体で受け取ってもらうんです…」

ーー


雲龍「いいのが見つかって良かったわね」


神通「ええ…誘ってもらって…ありがとうございました…」


雲龍「目的は果たしたし帰りましょうか」


神通「雲龍さんは…」


雲龍「今日」


神通「……」


雲龍「私は今日提督の部屋に行くわ。神通は明日にする?」


神通「……はい」


雲龍「じゃあ提督に言っておくわね」


神通「……」


神通(雲龍さんも考えがあってのこと…周りがとやかく言うことではありませんね…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


雲龍「多摩が提督になると聞いて、私は足りないもの鎮守府に戻ろうと決めた」


雲龍「あの場所は地獄を経験して忌み嫌ってもおかしくない。けど私にとってかけがえの無い鎮守府」


雲龍「私を救ってくれたあの場所を、今度は守りたい」


雲龍「いつか菊月提督達が居なくなる。そうなると艦隊をフォローをする存在が必要」


雲龍「新人にあの鎮守府は任せられない。大型艦隊も少ないし子持ちもいるから無理もできない」


雲龍「秘書艦や戦力として私が一番適してるわ」

雲龍「…提督との一夜を区切りにして私は戻る」


雲龍「この部屋の中に提督が居て……ノックすれば…」


雲龍「……」


コンコン


提督『…どうぞ』


雲龍「もう後には戻れない」


雲龍「感謝と覚悟を…提督にぶつけるのよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

雲龍、挿入の瞬間泣いちゃう
慌てる提督にこれは嬉しい方だから続けてと

>>148
そして一夜を過ごす
翌朝
散々困らせてごめんなさい…でも幸せな時間だった
これからはあなただけじゃない
皆の為に生きる事を誓うわと

ーー提督の部屋


雲龍「まさか本当にこうなるとは思ってなかったわ」


提督「…すまなかった。今まで何度も断ってきておいて…」


雲龍「その分頑張ってもらうからいいわ」


提督「……」


雲龍「私は区切りが欲しかったの。貴方に感謝を伝えたいというのもあったけど、それも目的だった」


雲龍「私は足りないもの鎮守府に戻るつもり」


提督「……そうか」


雲龍「驚かないの?」


提督「勿論驚いているが…今は緊張が優っている」


雲龍「何人も侍らしてるのに今更?」


提督「……今回のは事情が違う」

雲龍「覚悟しておきなさい。明日は神通でその後に天龍達と弥生達も待ってるんだから」


提督「弥生もか……」


雲龍「陽炎もそうだし…暫く退屈しなさそうね」


提督「……」


雲龍「…足りないもの鎮守府に戻ってもいいの?」


提督「雲龍が決めたことに反対しない」


雲龍「…そう」


提督「これが雲龍によって良い区切りになるのなら、全力で後押しする」


雲龍「一生忘れられない思い出を頂戴」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

>>150

ーー


雲龍「凄い……龍驤さんとしてる時の映像みたい…」


提督「……俺だけの為に準備したと聞けば…な」


雲龍「こんな状況で聞くのもなんだけど、依存症は大丈夫なの?」


提督「もう克服はした。だがこの体質だからな…」


雲龍「分かったわ…溜まったものは全部吐き出して」


提督「……いくぞ」


雲龍「……」

雲龍「……」ポロポロ


提督「すまん痛かったか…」


雲龍「ちが…違うの……これは…嬉しいから…」


雲龍「やっと貴方と……貴方の為に…」


提督「……続けるぞ」


雲龍「ひ……ぃ…ん…」


雲龍「提督……提督………」


雲龍「貴方に選ばれて……良かった……」

ーー翌朝


提督「……ほぼ一晩中だったか」


雲龍「噂通り…凄かったわ……一生忘れられない…」


提督「…そうか」


雲龍「貴方に感謝を伝えるだけじゃなくて…逆に感謝も受け取ったわ…」


提督「雲龍達にはいつでも感謝の気持ちを持っている」


雲龍「……やっぱり抱かれて良かった。この一夜が無いとこんな晴れやかな気持ちでこれを渡せなかった」ピラッ


提督「異動届け…確かに受け取った」


雲龍「今までありがとう。これからは貴方に頼らずに生きてみるわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


神通「本当に行ってしまうんですね…」


雲龍「ええ」


神通「頑張って下さい…」


雲龍「頑張るのは貴女の方よ」


神通「分かっています…」


雲龍「今の提督ならしっかり応えてくれる。貴女も気持ちをぶつければいい」


神通「…はい」


雲龍「じゃあ私は皆んなに挨拶をしていくから」


神通「次は私…今夜……」

ーー夜、提督の部屋


提督「雲龍がいいと言ったから大規模なものは無かったが、ちゃんと別れを言う機会はあって正解だ」


神通「そうだと思います…」


提督「それで…神通も……なんだよな」


神通「いちいち言わないで下さい…!これでも恥ずかしいんですよ……!」


提督「すまん…」


神通「雲龍さんと下着も買って……!」


提督「…雲龍から聞いている」


神通「もう……!!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

考えた末ですとまず先に雲龍と同じ書類を差し出す神通
提督と長い者程一体距離を置くべきなのではないかと話す

>>162

神通「あの…先にこれを受け取ってくれませんか…?」スッ


提督「神通も…なのか?」


神通「私はいずれ…戻ってこようと思っています…」


神通「提督とは長く一緒に居ました…ここで一度距離を置けばもっと…提督の助けになると思うんです…」


提督「雲龍の時にも言ったんだが、神通がやりたいことを止めようとは思わない」


神通「ありがとう…ございます……」


提督「そうか神通もか、寂しくなるな…」


神通「はい…でもこれで思い切って……」ガバッ


提督「うおっ!」


神通「知ってますか提督…?川内型の夜戦って…凄いんですよ……?」ペロッ


提督「お、おお……」


神通「最後に…沈めちゃいますね……」


提督「こうなるとは…予想していなかった…」


ーー

今日はここまでです

おつおつ
やっぱり川内型なんですねぇ!
それそわれの巣立ちですかねぇ…

ーー食堂


神通「……」


卯月「おっやぁ!?艦隊一のサキュバスがご飯を食べてるっぴょん!」


神通「……」


卯月「あの絶倫司令官を二日間もダウンさせた、あのサキュバスの貴重な食事シーンだっぴょん!」


神通「……」


卯月「一晩で使い切ったゴムは二箱!既に限界だった司令官を無理矢理させるのは流石としか言いようがないっぴょん!」


神通「……」


卯月「気持ち良くなるクスリを使った龍驤さんより凄い性欲!これをサキュバスとして表現する以外に無いっぴょん!」


神通「……」

死んだわアイツ

神通「……ご馳走さまでした」カチャッ


卯月「ちぇっ、つれないっぴょん。折角いいネタだったのに…」


神通「知っていますか卯月さん…」


卯月「ぴょん?」


神通「兎は…首を刎ねて…血を…抜くんですよ…」ギロッ


卯月「ひゃ」


神通「絶対に許さない……!」ガタッ


卯月「ぎぇぇぇぇぇぇーーーーー!!」


黒潮「今日はうち…とうとう司令はんとうちが…」


不知火「新型スパッツはどうですか?」


雪風「なんか履き心地が…」


飛鷹「はぁぁ……今日も清霜は可愛いわ…」


漣「突っ込みがいねぇ」


潜水新棲姫「龍驤と雲龍が居ないとこうなるのか」


漣「まあ萎縮するよりいいんですけどね…いいのかなぁ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

暫く鍛錬してあげられないのでいーっぱい卯月をしごいてあげるやさしい()サキュバス神通さん

ーー訓練所


卯月「ひぃ…ひぃん……」


神通「……」ニコニコ


卯月「も…もう……限界…」


神通「では…あともう一セット追加です…」


卯月「ぎえ……」


神通「私はサキュバスなんですよね…?それ相応の訓練をしてあげないと…」


卯月「体は…弥生だから……」


神通「今の精神は…卯月さんですから…」


卯月「……げろっ」


神通「吐いてからが…本番です…」

ーー


陽炎「随分と楽しい訓練だったみたいね」


神通「暫く…戻ってこれませんから…」


陽炎「なんかピンク色の汁の滲みが出来てたわよ?」


神通「弥生さんの体から…悪しきものが排出されたんです…」


陽炎「手は出してないわよね?」


神通「訓練は…しましたよ…」ニコッ


陽炎「…足りないもの古参組には、手を出すべきじゃないわね」


神通「ところで…私に何の用だったんですか…?」


陽炎「安価」


下2 陽炎の台詞やその他起こったことなど

陽炎「その…アドバイスして欲しいなって」


神通「貴女の場合…艤装が特殊ですよね…」


陽炎「それは分かってるの。だから訓練とかトレーニングとか、そっちでアドバイスが欲しいの」


神通「ええ…喜んで…」


陽炎「ありがとう助かるわ」


神通「私は雲龍さんほどすぐに…とは行きませんから…ゆっくり行きましょう」


陽炎「それは助かるわ」


陽炎「……」


神通「どうしましたか…?」

陽炎「もう一つアドバイスが欲しくて…あっちのほうで…」


神通「それは…」


陽炎「司令と…ね。そういうことに興味は無かったんだけど、司令に感謝を伝えるっていうなら有りだから」


神通「アドバイスも何も…」


陽炎「だって…サキュバスだって言うから…」


神通「あれは卯月さんが勝手に言ってただけです!」


陽炎「それでも私からしたら先輩になるじゃない?なんでもいいから教えて欲しいの」


神通「安価」


下2 神通の台詞やその他起こったことなど

神通「仕方ありませんね……ではまず☓☓☓☓の入り口から奥までで絞り上げると同時に☓☓☓で先っぽを優しく撫でる動き出すから……」
陽炎「???…???」
レベルが違いすぎて参考にならねぇ

神通「仕方ありませんね……ではまず××××の入り口から奥までで…絞り上げると同時に…先っぽを優しく撫でるように…」


陽炎「…?」


神通「十分硬いのを確認したら…腰を動かすんです…まずはゆっくり……形が馴染むまで…」


陽炎「……??」


神通「……要約すると…思いやりですよ」


陽炎「は、はい…」


神通「話はここまでにして…訓練をしましょうか…」


陽炎「あ、はい…お願いします……」

ーー数日後、夜


陽炎「ごめん司令…疲れたから先に少しベッドで休ませて……」


提督「無理はしなくていいぞ」


陽炎「違うの、神通さんの訓練が凄くて…」


提督「最近頑張っているそうだな」


陽炎「神通さんが居るうちに色々学んでおきたくて」


提督「いい心持ちだと思うぞ」


陽炎「神通さんもそうだけど、雲龍さんも足りないもの鎮守府に戻っていく。自分の道を見つけたってことよね」


提督「陽炎も…」


陽炎「私はここに残る…というより司令の側を離れようとは思わないわ」

陽炎「その理由、司令なら分かるでしょ?」


提督「見張り…か?」


陽炎「そうよ、司令の目が無くなったら私はまた窃盗癖が出てきちゃう。一人で街に出かけても危ないもの」


陽炎「だから司令はずーっと私を見張ってて。いい?」


提督「……」


陽炎「カウンセリングがどうとか言いたそうな顔しない!はいって言えばいいの!」


提督「…分かった」


陽炎「よしっ!じゃあ体力も回復したしアツ~い夜を過ごしましょ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


陽炎「や、やぁ…舐め……るの…」


提督「……意外だな」


陽炎「なにがぁ…」


提督「普段は金色なのに今日は随分と顔が赤いな」


陽炎「肌は…無理だから……あぁん…」


提督「…もう少し頑張ってくれ」


陽炎「ぁ……っ…凄…い……」

ーー


陽炎「これダメ……癖になりそう…」


提督「嫌な思いはしてないか?」


陽炎「むしろ最高だったわよ…熱い夜になっちゃったわね……」


提督「ならよかった」


陽炎「…ねえ黒潮とはもうシたのよね」


提督「ああ…」


陽炎「どうだった?」


提督「どう…」


陽炎「ごめんなさい聞き方が悪かったわ。黒潮はここに残るの?それとも足りないもの鎮守府に戻るか、他のことをしたいとか言ってた?」


提督「安価」


下2 提督の台詞やその他起こったことなど

それとなく聞いてみても言葉を濁すばかりではっきりした事は言わなかったな
まだ決めかねているんだろう
何にせよ焦って答えを出す必要は無いさ

>>190
陽炎「とか言っちゃって、寂しいんでしょ、よしよし」
(余裕ができた?提督の横顔にまた顔赤くなっちゃうの誤魔化すために強引に提督の頭を撫でる陽炎)

提督「それとなく聞いてみても、言葉を濁すばかりではっきりした事は言わなかった」


提督「きっとまだ決めかねているんだろう、何にせよ焦って答えを出す必要は無い」


陽炎「…とか言っちゃって、寂しいんでしょ?よしよし」


提督「……顔が赤いぞ」


陽炎「うーるーさーい!大人しく撫でられなさい!」


提督「……」


陽炎「もう…司令のこと意識してこと無かったのに、一回しちゃっただけでこうも変わるのね」

陽炎「そういえば明日は誰か聞いてる?」


提督「いや…」


陽炎「不知火と隼鷹さんらしいわよ」


提督「……」


陽炎「不知火は最初はいいって言ってたのよ。でも雲龍さんと神通さんの話を聞いて変えたらしいわ」


陽炎「その反応を見る限り、なにか思い当たることがあるのね?」


提督「そうだな…」


陽炎「じゃあまた明日ゆっくり話して。今夜はありがと、暫くは忘れられない経験をさせてくれて嬉しかったわ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

3Pは流石にまずいんじゃないかなぁと思っていたら、するのは不知火で反応や感覚を逐一確認するための隼鷹スタンバイだった
提督(と隼鷹)、流石にタイムをかける

ーー翌日、夜


不知火「ですから隼鷹さんは不知火の反応を見ていて欲しいんです」


隼鷹「ごめん不知火…全く理解できない…」


提督「まだ三人でという方が理解できる」


不知火「そうじゃないんです」


隼鷹「不知火が変な性癖を手に入れようとしてるのは分かるけどよぉ」


不知火「司令との一夜という記念すべきものを、隼鷹さんに見ていて欲しいだけです」


提督「……」


隼鷹「提督ならまだ許せるけど…不知火はそれでいいんだな?」


不知火「はい、問題ありません」

提督「…先に話をするか?これからについて話があるんだろう?」


不知火「こっちが先です」


提督「……」


隼鷹「提督~諦めてパパっとやっちまってくれ…」


提督「…そうか」


不知火「陽炎で経験しているかもしれませんが、傀儡の体ですので少しくらい激しくても問題ありません」


提督「……」


不知火「さあ早くして下さい」


隼鷹「スパッツといい不知火って変なことに拘るんだよなぁ…」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


不知火「どうでしたか隼鷹さん」


隼鷹「なにがだよぉ…」


不知火「良かったでしたか?官能的でしたか?」


隼鷹「なんでそんなこと…」


不知火「ほら見て下さい、司令はこんなに出してくれたんですよ」


隼鷹「そんなの見せるなってぇ…!」


不知火「これはさっきまで不知火に入っていたものですよ?何度も何度も出し入れされて」


隼鷹「う……!」


提督「なるほどな…ダシに使われたということか…」

不知火「ありがとうございました司令」


提督「…ああ」


不知火「まだ余裕があるのは知っています、もし隼鷹さんが…」


隼鷹「いいっていいって!!」


不知火「…だそうです」


提督「そうか…」


不知火「ではこのまま続きといきますか?今度は隼鷹さんに思いっきり見せつけてあげましょう」


隼鷹「もういいからぁ…!」


不知火「次は不知火が上になります。司令は寝て下さい」


提督「……」


不知火「あ、司令。不知火と隼鷹さんはここを出て行くつもりです」


提督「あ、え…?」


不知火「んんっ。それで、です、ね、んっ」


提督「ちょ、ちょっと待ってくれ、そんなしながら、言われてもだな」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

不知火「隼鷹さんが客船だった頃の夢で世界を色々見て回る、それに自分もお供するんです」
提督「前向きな考えを持てる様になって良かった……うっ」
隼鷹「(雰囲気とか教えないと……)」

不知火「隼鷹さんっ…が客船だった頃の…夢で…ぇ…世界を…色々見て回る…んです…」


提督「そう、なの…か……」


不知火「それに不知火も…んっ…お供するんです…ぅ…」


提督「前向きな考えを…持てる様になって…良かった……んぐっ」


隼鷹(なにを見せられてんだよぉ!!)


提督「なあ不知火…雰囲気ってもの…が…」


不知火「真面目に話すより…こっち…の方が…ぁっ…」


提督「……ぅ…」


不知火「これは…いいですね……運動になる…上…に…」

ーー


不知火「隼鷹さん二つ目ですよ」


隼鷹「だから見せんなってぇ!」


不知火「さすがは司令です、二回目なのに量が変わってませんね」


提督「なあ不知火、それに隼鷹も…」


不知火「さあ次は隼鷹さんです」


隼鷹「はああっ!?」


不知火「不知火は隼鷹さんのことを誰よりも知ってます。面と向かって言えないことも、司令と繋がれば言えますよ」


隼鷹「だからって…!」


不知火「さあ服を脱ぎましょう、司令に動いてもらいましょう」


隼鷹「なんでそんなに乗り気なんだよ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「少し待ってくれ、快楽任せの駄目な流れになってきている」


不知火「一息入れようというんですか」


提督「そもそも隼鷹が本当に望んでいるかどうかが問題だ」


隼鷹「あたしは…」


不知火「司令と話せますか?」


隼鷹「……」


不知火「不知火から言ってもいいですが、それは違いますよね」


隼鷹「そう…だけどよ」

不知火「不知火のような状況になれば自然と喋れると思ったんです」


提督「不知火にも考えがあってのことだったんだな」


不知火「もちろんです、そうでなければあんな行動はしません」


隼鷹「あたしの口から…ちゃんと言わないといけないのは分かってる…」


不知火「それが分かってくれたなら嬉しいです」


提督「また日を改めてもいいし、そもそもこんなことをしなくても喋れるのならそれでいい」


不知火「少々強引だったのは謝ります。隼鷹さんの思う通りにして下さい」


隼鷹「安価」


下2 隼鷹の台詞やその他起こったことなど

隼鷹「不知火の言うとおり世界を色々見て回りたいのは本当、だけど提督への恩返しもまだ全然出来てないのに自分だけ夢を追ってもいいのかなって……提督に相談すると絶対に夢を応援してくれると思ったから、自分で決めてから話したかったんだよ……」

隼鷹「不知火の言う通り、世界を色々見て回りたいのは本当なんだよ…だけど……」


隼鷹「提督への恩返しもまだ全然出来てないのに…自分だけ夢を追ってもいいのかなって……」


提督「それは…」


隼鷹「提督に相談したら…絶対に応援してくれると思ったから……」


提督「……」


隼鷹「自分で決めてから話したかったんだよ……」


不知火「答えは出ません」


隼鷹「不知火……」


不知火「隼鷹さんの唯一と言っていい悪い所です。他人の為なら躊躇うことはしないのに、自分のことになると結論を出せないんです」

不知火「まだここに居たいのなら残るべきですし、夢を追いかけるなら共に行きましょう」


隼鷹「でもよ…」


不知火「最後の答えを出す為に、司令に協力してもらおうとしたんです」


提督「他に方法はあったんじゃないか…?」


不知火「手っ取り早いのがこれです」


隼鷹「あたしは…」


不知火「司令と繋がれば本心が出ます。そうでなくても本心を語れるのなら聞かせて下さい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

隼鷹「不知火の決意を無駄にはしたくない…!不知火の居場所はあたしの隣だから…」


不知火「不知火を話題に出すのは禁止です」


隼鷹「え…?」


不知火「隼鷹さんが残るのなら不知火は一人でも行きます」


隼鷹「そんな…不知火……?」


提督「ちょっと待ってくれ、二人はちゃんと話し合った方がいい」


不知火「そうじゃないんです」


提督「どういうことなんだ」


不知火「不知火は隼鷹さんの本音が知りたいんです」


提督「その本音が不知火の決意を無駄にしたくないということじゃないか」

不知火「…先に不知火が話したのは失敗でした」


隼鷹「あ……違う…」


提督「…そういうことか」


不知火「分かってもらえましたか?」


提督「不知火は隼鷹について行きたいんであって、隼鷹が自分についてくるのは違う」


不知火「はい」


提督「不知火がついて行きたいのは夢を追いかける隼鷹であって、妥協する隼鷹では…」


隼鷹「妥協なんかしてない!あたしは本気なんだよぉ!」


不知火「では選択肢から不知火を外して下さい。貴女がどうしたいのかを聞きたいです」


隼鷹「安価」


下2 隼鷹の台詞やその他起こったことなど

黙っちゃう隼鷹
今日はここまでにしておいた方がいいんじゃないかと提督

隼鷹「不知火とこうなる前……あたしは戦いなんて嫌だって思ってた…」


隼鷹「世界中の海をのんびり見てみたい…でもそれはいつかとか、まだ先の話で…」


隼鷹「それにそんな事…一人で決めらんないって…」


不知火「……なるほど」


提督「今の言葉に嘘は無いと思うぞ」


不知火「私もそう思います。だからこそ隼鷹さんはお酒に溺れてしまったんですね」


隼鷹「そうだよ…一人じゃなんにも決められなくて……不知火が居たからこうやって…横須賀まで来たけど…」


不知火「…そこからでしたか」

隼鷹「言うこと聞いてるだけで良かったのに…急に自分で考えろなんか言われても…無理だって…」


不知火「お酒に溺れてしまった隼鷹さんは、足りないもの鎮守府行きとなった訳です」


隼鷹「あそこは…提督に引き取ってもらえてからは楽だった……提督に…恩を返すっていう…大義があるから…」


提督「隼鷹…」


隼鷹「分かんないんだって…自分がどうしたらいいとか…なにをしたいとか……」


隼鷹「あたしは…どうするのが良いんだよ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

申し訳ありませんでしたと不知火
少し、急ぎすぎましたね…でも自分の道を自分で決めるのはきっと隼鷹さんの力になると思ったんです。大丈夫です、傀儡でも出来るんですから

>>221

不知火「申し訳ありませんでした。少し、急ぎ過ぎたのかもしれません」


隼鷹「……」


不知火「でも自分の道を自分で決めることは、隼鷹さんの力になると思ったんです」


隼鷹「でもよぉ…」


不知火「大丈夫です、傀儡でも出来るんですから」


隼鷹「……」


提督「急ぐ必要は無いが、自分で答えを出すことは大事だ。俺を見ていても分かるだろう?」


隼鷹「……そうだよなぁ。提督だって迷いに迷って雲龍達と…だもんなぁ」

不知火「不知火はどんな選択をしても…」


提督「待て、隼鷹を急かすようなことは言わない方がいい」


不知火「そのつもりはありませんでしたが、捉えようによってはそう聞こえますね」


提督「一人で決めたいのならじっくりと考えればいい。どうしても答えが出ないのなら仲間を頼ればいい」


不知火「気分転換なら司令が手伝ってくれますよね?」


提督「…いいだろう」


不知火「不知火もまたお世話になるかもしれません。素晴らしい行為であることが確認できました」


隼鷹「一人で決めれるように…努力するから」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


不知火「そんな雰囲気でもないので、とりあえず解散ということになりましたね」


隼鷹「そうだな…」


不知火「今日は司令の平均より少なかったので、その差はまた今度埋めてもらいますが…隼鷹さんは?」


隼鷹「あたしはやっぱり…不知火だけがいい」


不知火「そうですか」


隼鷹「恩返しにしても、身体で返すだけが手段じゃないと思うし…」


不知火「なるほど、不知火がビッチのようだと言いたいんですね」


隼鷹「違うってぇ!そういう意味じゃないから!」


不知火「もちろん知ってますよ」

不知火「ですが中途半端な時間ですね。部屋に帰って…」


隼鷹「…今日は寝なくても大丈夫?」


不知火「元々そのつもりでした」


隼鷹「これからバイクで出掛けるのはどうよ?」


不知火「いいですね」


隼鷹「こんな夜は飛ばすに限るだろ!」


不知火「安全運転ですよ」


隼鷹「今日は捕まっても文句は言わねぇ!思いっ切り飛ばす!」


不知火「不知火はしっかり隼鷹さんに掴まっていますね」

ブゥゥン……


提督「あの音は隼鷹のバイクか…そんな気はしていた」


提督「隼鷹ならきっと答えは出せる。趣味もあって大切な存在も居るんだ」


提督「俺は…なにも無かった。足りないものだらけだったから歪になってしまった」


提督「…隼鷹、俺みたいにはなるな」


提督「俺は艦娘…娘も一人救えなかった男なんだ」


提督「……」ゴトッ


提督「あれからけん玉を見る度に朝霜のことを思い出してしまう、だからもう触ることはできない。これは…金庫にしまうしかない」


提督「隼鷹……間違っても…こうはなるな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

遠出して高速のSAで缶コーヒー片手に朝日を見ている二人
隼鷹「まだ決められないけどよ……こうやって不知火の隣で新しい朝を迎えたいな」
(お酒飲んでる様に見えた見えた…)

ーー某SA


不知火「綺麗な朝日ですね」


隼鷹「結局夜通しで走ってたなぁ」


不知火「こういうのも悪くないですね」


隼鷹「不知火……まだ決められないけどさ、こうやって不知火の隣で、毎日新しい朝を迎えたい」


不知火「それは不知火もです」


隼鷹「そう言ってくれるだけであたしは幸せだよ」


不知火「…隼鷹さん、ありがとうございます」


隼鷹「お礼を言うのはあたしだって。さ、そろそろ帰るか」

ブゥーーン…


不知火(隼鷹さん、ケイタイが鳴ってます)


隼鷹(そういや外出許可取ってなかったなぁ)


不知火(戻ったら怒られますね)


隼鷹(怒られるだろうなぁ…)


不知火(でも隼鷹さんと一緒なら)


隼鷹(そうだな、不知火と一緒なら大丈夫だ)


不知火(あ…今度は不知火のケイタイが鳴り始めました)


隼鷹(急いで帰るか~)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー横須賀鎮守府


漣「ほんっとにもう、心配かけさせないで下さいよ」


隼鷹「やっちまったよなぁ」


不知火「なぜ司令も怒られる側なのでしょうか」


漣「事情知ってんなら外出許可書くらい書いとけってやつです」


提督「……」


隼鷹「事情知ってんならさ」


漣「それとこれとは別です。反省文や何やら書いてもらいますからね」


隼鷹「へいへい…」


不知火「隼鷹さんと一緒なら罰も苦ではありませんね」


漣「とにかく一回部屋に戻って着替えてきて下さい」


隼鷹「分かりましたよ…っと」

漣「…さて、ご主人様はどうしますかね」


提督「今日の仕事は…」


漣「寝てて下さい」


提督「いや…」


漣「そんな分かりやすくクマ作って誤魔化せると思ってんすか?」


提督「……」


漣「なにがあったのかは知りませんけど、そんな状態で働かせません」


提督「……」


漣「言うこと聞かないなら寝かせますよ?漣の身体を使って疲れさせてやります!」


提督「……」


漣「おろ?珍しく乗り気なんすか?たまにはいいっすよねぇ」


提督「忘れさせてくれるなら…それで……いいんだ…」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

漣「ああもう察しってヤツですよ。朝霜のことを考えてたんですね」


提督「やめてくれ…」


漣「取り返しのつかないことはありましたけど、それを取り上げて過小評価はよくありませんぜ」


提督「俺は…娘も一人守れないんだ…」


漣「そんな例外一つを出されても困ります。自分がどれだけの人を助けてきたのか理解させてやる必要がありますね」


提督「……」


漣「引き続きご主人様に助けられた艦娘による感謝をやっていきますよ。せいぜい覚悟しておいて下さい!」


ーー

今日はここまでです

ーー


霞「あの人には軽めの薬を出しておけば大丈夫よ」


漣「本当にそれでいいんですね?」


霞「最近は精神的にも安定してるからそれで充分ね」


漣「空いた時間にかすみの面倒を見て、夜は日替わり艦娘と一夜を過ごす。これが良いと?」


霞「司令官は溜め込む人だから、定期的に吐き出させるのはプラスなのよ」


漣「溜まるって、ねぇ」


霞「家族が出来た安心、満足感と毎夜艦娘から感謝を伝えられる。司令官にとってはいい状況なのよ」


漣「霞が言うならそうなんでしょうけどねぇ」

霞「朝霜のことだって本来なら寝れないくらいじゃ済まないのよ」


漣「それは確かに」


霞「司令官が起きたら『家族で』対応すればすぐに元気になるわ」


漣「そうだといいんですけどね」


霞「それで、用事はこれだけじゃないんでしょ?」


漣「ええそうです。今夜のお相手からはとうとう切り札を使っていこうかと思いまして」


霞「そう…」


漣「ご主人様のお相手をするのはこっちで管理してます。手を挙げた順だと不都合がありますからね」


霞「とっておきを使うタイミングが来たっていうのね」


漣「ご主人様が落ち込んだ時や何かあった時に、すぐに元気になれる。それといったらロリしかありません」


漣「今夜は電が担当します。白露にはうまいこと言ってあるので邪魔はされません」


霞「そんなことをしなくても元気になると思うけど…一応従っておくわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー夜、提督の部屋


提督「どうだ?」


電「司令官さんのミルク、あったかいのです」


提督「…言い方を考えて欲しかったな。それはただのホットミルクだ」


電「はわわ…」


提督「そうか…順番は漣が手を回していたということか」


電「どうしてそう思うのですか…?」


提督「俺を元気付けようという魂胆だろう。そこまで見境の無いロリコンに見えていたのか」


電「はわ……で、でも漣ちゃんも悪気があったわけじゃないのです!」


提督「それは分かってはいるが、な…」

電「あの、電は嫌じゃないのです。むしろ司令官さんに恩を返せるのが嬉しいのです!」


提督「そうかもしれないが電には白露が居るだろう」


電「それはそうなのですけど…」


提督「一部例外はあったが基本恋人が居る相手とはそういうことはしない」


電「その例外って不知火ちゃんなのです?」


提督「知っているのか」


電「皆んなに自慢してたのです」


提督「……」


電「司令官さんに元気になってもらいたいのは電もなのです!こういう時こそ仲間を頼るべきなのです!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


電「ふう…本当にこれで良かったのですか?」


提督「ああ…」


電「手や口でするだけでは不満なのです」


提督「やはり本番となると…な」


電「むうう、もう少し電達を信頼して欲しいのです」


提督「信頼はしている」


電「じゃあもっと頼って欲しかったのです」


提督「……」

電「みんな単にしたいだけじゃないのです。助けてくれた、手を差し伸べてくれた人に感謝しているからなのです」


提督「……」


電「漣ちゃんから聞いてますし、電も分かってしまうのです。朝霜ちゃんのことで自分を責め過ぎているのです」


提督「それは…」


電「仲間が亡くなって悲しむのは当然なのです。でも引きずるのは違います」


電「悲しむのは決まった日でいいのです。月命日や周忌という言葉があるのです」


電「漣ちゃんが司令官と夜を過ごす番だと言われましたが、司令官さんから言って欲しかったのです」


電「えっちをしなくてもお話くらいできるのです。もっと電たちを信じて欲しいのです!」


提督「安価」


下2 提督の台詞やその他起こったことなど

提督「……すまない」ギュッ


電「……」


提督「電に…仲間にそんなことを言わせてしまって…」


電(本当はありがとうと言って欲しかったのですけど…)


提督「俺は……」


電(でも自分に対してだけの言葉じゃなかったのです。それが分かってくれたなら嬉しいのです)


電「よしよし、なのです」


提督「あぁ……」

ーー


漣「電がうまくやってくれたようで、ご主人様は元気になられました」


霞「良かったわ」


漣「ご主人のはあのイカ腹にタップリと癒されたことでしょうなぁ」


霞「そうじゃない…けどまぁ司令官が元気になったのは良いことね」


漣「さて次は…」


霞「もういいんじゃないの?漣が手を回すのはここまでにしておきなさいよ」


漣「うーん…」


霞「電の言葉を信じるならもう司令官は大丈夫。余計なことはしない方があの人の為よ」


漣「そこまで言うならお節介はこれくらいにしておきますかね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「電に気付かされて良かったのはそうなんだが…それにしてもだ…」


提督「感謝や恩返しと言って、まず体でとなるのは一体何故なんだ」


提督「電のような艦娘ですらそれを当たり前だと認識していたんだ。普通に考えればおかしい」


提督「普通……横須賀に来る前の俺…」


提督「……」


提督「…………」


提督「身から出た錆びだったと…いうことか…」

ーー某国


龍驤「……」


「どうしたんですか龍驤さん?」


龍驤「なんにも無いよ、今日も頑張ろな」


「はい!」


龍驤(皆んなが司令官に感謝を伝えるっていうてやってることは許せる。けど気にならんって言うたら嘘や)


龍驤(電話もしてるし不安もない。せやけど司令官が恋しいわ…)


龍驤(早く帰りたいけど焦る必要は無い。目処が立てばウチは帰れるはずや)


龍驤(ウチだけやない、この子らもなんとかしたい。なんとか横須賀に帰れたら幹部さんに頼んで手術して…うん、いけるはずやね)


龍驤(隙を見て逃げるのも考えたけど…ちょっちリスクが大き過ぎるわな)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


夕立「なんの話だっぽい」


「何だか龍驤さんの元気が無いんです」


「私達になにかできませんか?」


「教えて下さい夕立さん!!」


夕立「なんで夕立に聞くっぽい?」


「だって古くからの仲なんですよね?」


夕立「アイツとは馴れ合いはしてないっぽい」


「そうなんですか?」


「でも龍驤さんのことは知ってるって言ってましたよね?」


夕立「……」

夕立(コイツらもお人好しっぽい。自分たちがどうなるか分からないのに他人の心配なんかしてる場合じゃないっぼい)


「龍驤さんにはお世話になってて…なにか出来るならしたいんです!」


「お願いします!些細なことでもいいから教えて欲しいんです!」


「そもそも龍驤さんは帰れないんですか?」


夕立「お前らには関係の無い話っぽい」


「私達ならもう大丈夫です、龍驤さんには帰る場所があるんですから…」


夕立「もういい、お前らは仕事に戻れっぽい」


「あ、そんな……」


夕立「…ふん」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


夕立「あいつの薬になる事なんて決まっているっぽい」


夕立「鎮守府に帰せばそれで済む話…さて、あいつに利用価値が無いなら送り返すのも有りっぽい」


夕立「そもそも傀儡共を統率するのに手こずる予定だったのに、龍驤が早くまとめたっぽい」


夕立「働いたからには報いが必要…」


夕立「でもアイツをただで手放す理由が無いっぽい。なにか理由が…」


夕立「……」


夕立「これがあるっぽい」

ーー


龍驤「ウチだけ帰れやって?」


夕立「そうっぽい」


龍驤「有難い話やけど皆んなを置いて帰るわけには…」


夕立(そう言うと思ったっぽい)


夕立「…これは調査っぽい」


龍驤「調査?」


夕立「傀儡の一人が居た鎮守府におかしな動きがあるっぽい」


龍驤「そんなん聞いてないけど…」


夕立「じゃあ他のを調べろっぽい」


龍驤「そんな適当な…」


夕立「とにかく鎮守府を調べてその報告書を横須賀に持って帰れっぽい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「ついでに白露らに元気にしてるって伝えてくれって…自分で言うたらええのに」


龍驤「それにしても急やな、あの子らにお別れを言いたかったけど…」


龍驤「ん、これは…」ガサッ


龍驤「なんや…あの子らは知ってたんか。皆んなから手紙、こんなにあるわ」


龍驤「…返事書くから待っててな。皆んなのことは忘れへん、ウチらがなんとかしたる」


龍驤「帰りたい子もおるはずや、全員が納得してるわけやない」


龍驤「そうや、行くんやったらあの子の鎮守府に…うん、決まりやね」

ーー某鎮守府


「あの娘は元気なんですか?」


龍驤「向こうで元気にやってるよ」


「良かった…本当に心配してたんです」


龍驤「いきなり拐われたも同じやもんね」


「傀儡であることには驚きましたが、あの娘であることには変わりないんです」


龍驤「うんうん、その通りやと思うよ」


「元気であると分かっただけでも良かったです、ありがとうございました」

ーー


龍驤「あの娘には手術を受けてもらったら、鎮守府に戻れることは伝えた。あとはウチらの仕事やね」


龍驤「どうにかしてあの娘らをウチらの鎮守府に帰して…」


ゴゴゴゴゴ…


龍驤「ん…地震か?いやここは海上やから…海底火山か何か?」


ズズズズ…


龍驤「違う…これはそんな生半可なものやない……」


ゴオォォォォ…


龍驤「うわっ…!!衝撃波、か……!!」


龍驤「あかん…海の上で…掴まるもんが……無い…あぁぁぁ……っ!」

龍驤「う…うう………吹き飛んで…岩場に…」


龍驤「痛いけど……骨は…いける……なんとか…」


ズォォォォォ


龍驤「あ…あぁ……なんやあれ…ウチはなにを見てるんや……」


龍驤「あんな巨大なキノコ雲……なにが爆発したって言うんや…」


龍驤「核……いや違う…もしそうやったら…ウチは粉々や……」


龍驤「なにかが着弾したんやない…場所そのものが爆発してる……」


龍驤「あそこには…何が……」

龍驤「あの鎮守府から…横須賀に向かう最中で……何か…」


龍驤「まさか……あそこは…」


龍驤「そうや…方角的には合ってる……爆発してんのは…天城のおる鎮守府……」


龍驤「なんで……あそこには爆破物なんか…」


U+25U+45U+39U+25U+42U+42U+25U+39U+32U+25U+45U+33U+25U+38U+31U+25U+38U+34U+25U+45U+37U+25U+42U+46U+25U+42U+43


龍驤「そんな…嘘やろ………」


龍驤「ウチは知ってる…アイツに開かされかけたから……ウチは未遂で済んだんや…」


龍驤「皆んなに止めてもらったから……」


龍驤「なんでや……なんであんたが知っとったんや…」


龍驤「なんで…そんなことをしたんや……天城…」




ウチが見てるこの光景は夢であって欲しい。そう願いはしたけどすぐにそれが無駄であることをウチは知ることになる

続く

ーー


「ねぇ」


「ねぇ」


「ねぇったら」


天城「…」


「貴女には私の声が聞こえている。それは分かっているのよ」


天城「……」


「無視してもいいけど貴女は後悔するだけ。全てをやり直す最後のチャンスなんだから」


「天提督。惜しい人を亡くしたわね」


「彼は助かる術は無かったと言ってもいい。でもそれは過去の話」


「たった数ヶ月前に完成した新薬。これを癌が初期状態の患者に飲ませれば驚くべき効果がある」


「彼が膵臓癌だと分かってから数年も経ってないのに。医療の進歩って凄いわね」


天城「……」


「この薬を持って過去に戻れるとしたら…ふふふ、興味が出てきたわよね?今夜、弾薬庫で待ってるわ」


天城「…………」

ーー


「ふふふふふ、そうよね来ないわけがないわよね」


天城「……」


「『地獄の門』。聞いたことはないでしょうけど私は知っているの」


「深海棲艦を核にして大量の屍を捧げればその問題は開く。私はそれを以前見ている」


「門の中はどうなっているか分からない。けれど一つ確かなことがある」


「過去に帰れるのよ」


「理想郷の扉と違って世界を作り直すことはできない。だけど過去を改変すれば現在に影響が出る」


「貴女は大量殺人者になってしまうけどそれはほんの一瞬。門を開いて過去を塗り潰せばそれは消えてしまう」


「リスクはあるけどリターンが大き過ぎる。やるしかないわよね?」


天城「……」

「屍はこの鎮守府に居る艦娘で十分ね。多過ぎるくらいがちょうどいい」


「あとは核になる深海棲艦だけど……一つ提案があるの」


「貴女が核にならない?」


「貴女が失った腕は深海棲艦が関係している。深海棲艦のコアを口にすれば貴女は深海棲艦に堕ちる」


「その上でこの鎮守府の艦娘を巻き込めば余計な被害は出ないわよ」


天城「……」


「こんなオイシイ話タダで…いえ、一つやって欲しいことがあったわ。でもこれは貴女が門を開いた後の話」


「ふふふ、そういえば名乗るのを忘れていたわ。私の名前は龍飛」


龍飛「私と一緒に幸せになりましょうね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


天城「アレは悪魔か悪霊の類だ…そう分かりきっているのに……」


天城「天提督……」


天城「アイツの事……忘れられるわけないだろ…!」


天城「本当に過去に戻ったとして、その過去を変えた事の影響はどうなる?」


天城「一つ変えただけなのに、取り返しのつかない大惨事になるかも…いや、きっとなる」


天城「なのに…それなのに……!!」


天城「…天提督を取り戻したとしても、それ以上のものを失う
。映画や小説でよくあるヤツだ」


天城「でも…でもよぉ……」

天城「例えそのせいで世界が滅ぶとしても…その時にアイツが隣に居てくれれば…」


天城「天提督…」


天城「悪魔に魂を売っても…アイツが帰ってくるなら…」


天城「会いたい…会いてぇよぉ……」


天城「もう一度……会って…」


天城「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍飛「なんで自分だけが不幸になるのって思ったことはない?」


天城「やめろ…」


龍飛「片腕と片脚が無いあいつとか。あいつは好きな人の側にいて幸せになった」


天城「やめ…ろ……」


龍飛「世界で貴女が一番不幸なの」


天城「違う……」


龍飛「貴女にだって幸せになる権利はあるの」


天城「…………」

ーー


新人提督「……さん、天城さん」


天城「ん……悪い…ぼーっとしてた」


新人提督「出撃した艦隊が、変なものを見つけたそうなんです」


天城「変な…?」


新人提督「深海棲艦に見てもらったんですけど、彼女達のコアらしいんです」


天城「……」


新人提督「危険性は無いらしいんですけど扱いには困っちゃいますよね」


天城「…天城が預かる」


新人提督「本当ですか?それなら安心できます!」


天城「…………」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


天城「コアは手に入っちまった…けど……まだ…」


天城「そうだ…やるにしても、未来…今に影響しないようにするべきだ…」


天城「薬だけが存在していて…その他は今と変わらないように……」


天城「そんなこと…出来るわけ……」


天城「……」


天城「考えるだけ無駄…」


ゴソッ


天城「……ポケットに…何が…」

天城「あ……薬…」


天城「これが…新薬……これを持って…門を開けば…」


天城「……」


天城「アイツに…会える……」


天城「天提督…天提督……」


天城「これで…会える……」


天城「お前に…会えるんだな……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

天城「せめて…鎮守府の奴ら何か…最後にしてやれる事は……」


天城「は…はは…」


天城「これから生贄にしようってしてるのに…意味無いか……」


天城「そうだ…ここの奴らは全員……殺すんだ…」


天城「考えるのは…アイツの事だけでいい…」


ピラッ


天城「……なんだよこれ…」


天城「……」


天城「そうか……もう全部揃ってたんだな…」

ーー弾薬庫


深雪「姉御、もう皆んな集まってるぜ」


天城「…」


深雪「会議室…ちょうどこの真上の部屋。皆なんでこんな狭い部屋に集められたんだって不思議がってだぜ」


天城「…」


深雪「蒼龍と青葉、この新人の歓迎会はしたし、何があるか分かんないって」


天城「…」


深雪「姉御~~なんとか言ってくれよぉ」


天城「…傀儡艦娘って知ってるか」


深雪「知ってるもなにも姉御が教えてくれたんじゃん。旧大本営に作られた爆弾仕込まれたヤツ」


天城「そうだな」


深雪「それがどうかしたって話?」


天城「それはお前もなんだよ」


深雪「え……」

深雪「う…嘘だよな……?」


天城「こうなる運命だった。薬も手に入ったし効率良く殺せる爆弾まであった」


深雪「なにを言って…」


天城「青葉達がここに来ることも、それに龍飛がついて来ることも全て決まってたんだ」


深雪「姐御……?」


天城「……ぐぁっ」


ガブッ


深雪「ひ……っ!?」


天城「……」


アマギ「ミユキ」


アマギ「テイトクのタメにシネ」ズォッ


深雪「あ……」


グチャッ


下2 この後の展開やその他起こったことなど

深雪「」


アマギ「ナンダ殺シタダケナラ爆発シナイノカ」


グチャグチャッ


アマギ「コレガ爆弾カ」


「」


アマギ「艦娘モコウナレバ肉片ダ」


アマギ「ミユキ」


アマギ「次ガアルナラ、二度ト俺ニ関ワルナ」


カッ…

ーー


龍驤「あ…あぁぁ……」


龍驤「門が開かれる……天城が…開いた…」


龍驤「天提督の死を…無かったことにする為に……その為に…」


龍驤「鎮守府の艦娘を犠牲に…そんな……そんなことができるやなんて…」


龍驤「天城が…どれだけ彼を思ってたんか……知らんはずじゃなかった…」


龍驤「でも……もう遅い…」


龍驤「後の祭りでしかない……門は…開かれてしまった…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーーUnknown


「開きましたね…」


「そうだね」


「地獄の門…一体どんなものなんですか?悪魔や死者が溢れ出てくるイメージしかありません」


「それか過去を変えるといっても某作のように未来に影響するのか、それとも変えた結果だけなのか…」


「朝ちゃんはどう思う?」


「前者…ですか」


「…まずは地獄の門について行っておこうかな」

「簡単に言えば扉と対をなす物。世界そのものを変えるのが扉で結果だけを変えるのが門」


「じゃあ…」


「扉と違って門は犠牲を払ってしか開かない。しかもできるのは過去に干渉することだけ」


「扉に比べたら地獄…だから地獄の門ってね」


「そうだったんですか…」


「門は開かれた…というより開いた。そうせざるを得なかったから」


「終極は決めるのはあたしじゃないからね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど…だってさ

ーー


「これでようやく…会える…ああ…」


龍飛「残念だけど使うのは私」ズォォォ


「早く…早…く………」


龍飛「貴女の精神を汚すことなんて容易いこと。それは門の中であっても同じ」


龍飛「騙すようで悪いとは思うけれど、私も貴女と同じ。私にも何より優先するべきものがあるのよ」


「……」


龍飛「さあ帰りましょう、あの実験があった…」


天城「おい」ガシッ


龍飛「な……!?」

龍飛「なんで私に触れるの…!?」


天城「ここがそういう場所だからだ」


龍飛「あり得ない……そんな馬鹿なこと!」


天城「こっちは過去に戻るが、お前はどうなるだろうな?」


龍飛「待…待って……!」


天城「過去にも戻れず門の外にも戻れない」


龍飛「いや…嫌っ!」


天城「始まりも終わりも無い地獄に堕ちろ」ブンッ


龍飛「いやぁぁぁぁぁーーー!」


天城「……」


天城「これで…邪魔者は消えた……あとは…天提督…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー病院


天城「……はっ」


天城「ここは……病院で…手術を受けてるのは…」


天城「……」


天城「そうか…天城はやったんだ……天提督の手術は成功して…」


天城「良かっ……た…」


ドクンッ


天城「う……ぐ…!?」


天城「なん…だ……胸…が……」


天城「痛…い……痛い……」

「ねぇお姉さん」


天城「なんだ…お前……」


「わたしのこと覚えてる?」


天城「知らねぇ……よ…」


「わたしはね、自分のこと知らないんだ」


天城「う…ぐぐぐ……」


「皆んなはわたしのこと名前では呼ばないの」


天城「お前……」


「わたしには固有の形は無い。貴女と出会った時にこの姿だっただけ」

「扉は誰にでも開けるけど門って違うんだ」


「門番。皆んなは私をそう呼んでるよ」


天城「ぐ……」


「お姉さんは私と出会った。それだけじゃない」


「犠牲を払ってでも過去に戻る価値はあるのか」


「門番はそれを見極める」


「貴女は自分でどう思う?」


天城「……っ」


「うん、そうだね」


「GUILTY」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー天鎮守府


深雪「深雪スペシャルーー!」


天提督「スペシャルなのはいいけど確実性が大事だからね」


新人提督「スペ…シャル……?」


天提督「君は深雪の真似はしなくてもいいよ」


深雪「なんでだよー!深雪様は新人提督の秘書艦になるんだろ!」


天提督「秘書艦になるからちゃんとしなくちゃね」


深雪「うう…分かったよぉ」

新人提督「それにしても天提督さんはまだ現役でやれるんじゃないですか?」


天提督「手術は成功したけどいい機会だったからね。それにこんな毎日も悪くないよ」


深雪「手術が成功したのは奇跡だとかなんとかって医者は言ってたよなぁ」


天提督「癌が発生してから何故か進行が遅かったんだ。それが無かったら手遅れだって言われたよ」


深雪「いつも飲んでたサプリが効いたんだって!」


天提督「あんな薬みたいなサプリは買った覚えは無かったから、確かにそうかもね」


新人提督「そんな危ないものを飲まないで下さいよ…」


天提督「うん、普通なら飲まないんだけどね」

天提督(あのサプリはどうしても飲まなきゃいけないと思ってた。それがどうしてなのか自分でも分からない)


天提督(それに……何か忘れている気がする)


天提督(とてつもなく大切な…命を掛けるような何かが…)


天提督(それともう一つ…何かに……誰かに…裏切られたような気分も…)


天提督(誰かと約束をして…それは大事な…約束…)


天提督(この気持ちはなんだろう…寂しくて……虚しい…悲しい気持ち…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍飛「駄目…こちらから開ける事は不可能……」


「龍飛……」


龍飛「その声は……」


龍飛「ああ…そうなのね……貴方は…あの時開いた門の…向こう側に落ちてしまった…」


龍飛「会いたかった人はずっとここに居た……最初からこうすればよかったのね…」


龍飛「そうすれば永遠に……」


天城「夢見てんじゃねぇよ」


龍飛「……」

天城「門番が居るなんて聞いてなかった…ま、お前も知らなかったんだろうけどな」


天城「天城の存在は無かったことになった。ただそれだけ。世界は何も変わらない」


天城「たった一つ変わったことはアイツを助けられたということ。それで満足だ」


龍飛「認めない……貴女だけ…願いが叶うなんて!」


天城「もうやめようぜ」


龍飛「なにがよ!」


天城「龍飛ってなんだ?俺はそんなの知らないぞ」


「な…なんで…すって……」


「天城っていうのも知らないな。誰だそれ?」


「自ら存在を消そうとしてるの!?」


「なに言ってんだよバーカ」


「最初からそんなもんは存在しないんだよ」


「う…あああああああああああああああああ!!」

ーーBAR海底


葛城「この写真の人に見覚えありませんか?」


伊58「知らないでちね」


葛城「うーんそっかぁ」


伊58「なんでまたこっちで人探しをしてるでち?」


葛城「少しでも人助けが出来ればと思って…」


伊58「ノータリンの真似でちか」


葛城「だって鳳翔さんの話を聞いたら…!」


伊58「はいはい、見かけたら連絡してやるでちよ」

伊58「やれやれ…足りないもの鎮守府の前の提督なんて知らないでちよ」


伊58「こんな男に見覚えは…」


伊58「……似てるのは知ってるでちね」


伊58「この近くでウロウロしてるケンカの強いホームレスがこんな感じの男でち。でも歳が違い過ぎるでちね」


伊58「この写真の男が突然歳を取ったりしたらあのホームレスになるけど…そんなのあり得ないでちね」


呂500「ただいまですって!!」ガチャッ


伊58「お前はもう少し静かに入ってこいでち」


呂500「でっち!今そこで葛城さんとすれ違いましたって!」


伊58「分かったから早く荷物を…」


ーー

今日はここまでです

ーー足りないもの鎮守府


龍驤「これを見て欲しいんや」スッ


山雲「これは羽!!あの羽をどうして貴女が!?」


龍驤「やっぱりそうか…」


山雲「どこで手に入れたというの!?」


龍驤「青葉と蒼龍がお世話になってる天提督…今は新人提督やね。横須賀に変える前にそこに寄ったら…な」


山雲「数枚だけじゃなくてこんなに量があるだなんて…」


龍驤「…地獄の門や」


山雲「これだけあればなんだって出来る…効果を打ち消すものを作れたり…同じものを作ったり…!」


龍驤「そういう…ことなんやろうな…」

山雲「これ、その鎮守府では誰も使ってないわよね?」


龍驤「…なんやこれって手に持っただけらしいで」


山雲「それなら大丈夫…これ、もらってもいいのよね!?」


龍驤「うん、ちゃんと役立ててな」


山雲「ええ、今度は大丈夫。凄い…こんな量があるだなんて…」


龍驤「…何が起こったのかウチは知る術が無い。けどあの鎮守府に羽があったってことは…」


龍驤「いや、やめとこ。ウチには関係ないんや。この羽を山雲に届けただけで…いいんや」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「向こうにおる傀儡の子らをなんとかしてあげたいんやけど、いいアイデアは無い?」


菊月提督「国同士の交渉になりそうだな」


菊月「面倒なことには巻き込むな」


龍驤「あの子らを元の鎮守府に帰してあげたいんよ。もちろん手術はするで」


菊月提督「そうだとしてもな…」


菊月「私達に協力を求めてるのが間違ってる」


龍驤「……分かった、ウチの言い方が悪かったわ」

龍驤「あの子達の為に力を貸して下さい」土下座


菊月提督「な、なん…」


菊月「ふざけるな」グイッ


龍驤「ふざけてなんか無い。ウチは真面目なんや」


菊月「お前が裏も無しに他人の為に頭を下げる訳がない。何が目的だ」


龍驤「裏も何もない。あの子達の為に言うてるんや」


菊月「お前の言葉は信用ならない」


龍驤「信用してもらえる為やったらなんでもする」


菊月「ならここから出ていけ」


龍驤「あの子らをどないかしてくれるんやね」


菊月「しない」


龍驤「お願いや」


菊月「出ていけ」


龍驤「あの子らの気持ちを分かって欲しいんや」


菊月「消えろ」


菊月提督「落ち着くんだ菊月、それに龍驤も。感情的になってもいいことはない」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「自分のせいでもなく傀儡として産まれただけで、おるべき場所におれんのはおかしい」


龍驤「提督と離れ離れになるのは可哀想すぎるし、あの子らはもう戻れれへん覚悟してるかもしれん」


龍驤「そうならん様にウチがらできることはしてあげたいんや」


菊月提督「言っていることはマトモなんだがな…」


龍驤「今までのはウチが悪いから仕方ない。けど今回はウチの為に何かをするんじゃないんよ」


菊月提督「そもそも俺達に頼むより、自分でなんとかできるんじゃないのか?」


龍驤「それも考えたよ。でもあの子らを連れ戻す理由が無いねん」


龍驤「危険な存在である傀儡艦娘を安全に利用できる。向こうの言い分にケチを付けられへん」


龍驤「でもなにかあるかもしれん。だから力を貸して欲しいって頼みに来たんや」

龍驤「あんたらを便利屋として使いたいんやない。一人の提督も秘書艦にアドバイスを貰いに来たんや」


菊月提督「アドバイス…か」


菊月「無い」


龍驤「どんな些細なことでもええんや」


菊月「無い」


龍驤「……分かった」


菊月提督「龍驤はそれでいいのか?」


龍驤「アドバイスが欲しいって聞いて、無いって言うんやったらそれ以上何も無い。迷惑をかけたいんや無いからね」


龍驤「話を聞いてもらっただけで有難いわ。用事は済んだから横須賀に帰らせてもらうわな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「これは外交問題だ、 一軍人にどうにか出来ると思うか?そもそも土下座する相手が間違ってる」


龍驤「いや…せやからウチは…」


菊月「お前の方が国を動かせる可能性がある。勲章はどうしたんだ」


龍驤「…もうええって言うてるやろ」


菊月「なんだと?」


龍驤「ウチはアンタらの知っての通り売女のクズ女や。せやから普通やったら当たり前に知ってることも知らん」


龍驤「アンタらは修羅場を何回も潜ってる。せやからタメになる話が聞ける、力を貸してもらえるかもしれん」


龍驤「そう思ってウチはアンタらに頭を下げたんや」


菊月「…なら最初からそう言え」


龍驤「説明もさせてくれんかったのはどこのどいつや」

龍驤「自分らに迷惑がかかりそうやったら協力せぇへんのは分かる。ウチでもそうしたい」


龍驤「まあウチらの場合は司令官がお人好しやから毎回困ったことになるんやけどね…」


龍驤「その考え方は否定せぇへんし真っ当やと思う。けどアンタらは提督と秘書艦や」


龍驤「自分らのことが大切なんは分かるけど、それやったら仕事辞めり」


龍驤「ウチが何を言いたいか分かるやろ?」


菊月「……」バシッ


菊月提督「やめるんだ菊月」


龍驤「暴力でしか反論できへん時点で…」


菊月「殺される前に消えろ」ズズズッ


龍驤「……消えるんやったらアンタらの方と違うか」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「どんなに力があって強くても自分達の為だけに力を使う。それじゃなんにも変わらへん」


龍驤「そんな奴らがやる事の結果なんて知れとるんや」


菊月「それは自分のことを言っているのか?」


龍驤「あんたらには頼らへん。幹部さんに直談判でもなんなら国会に直訴でもしたるわ」


菊月「他人を頼ることしか知らない奴の言うことは浅い」


龍驤「ウチにできることとできへんことがある」


菊月提督「二人の言い分は分かった、だから…」


龍驤「帰らせてもらうわ、あの子らの為に時間が惜しいからね」

ーー


幹部『話を聞く限り彼女らを連れ戻すのは難しいだろうね』


龍驤「それでも方法が無いことはないやろ?それを教えて欲しいねん」


幹部『…ダメだ』


龍驤「なんで?」


幹部『外交問題はシビアなんだ、出来たとしてもやってしまった結果が怖い』


龍驤「……」


幹部『帰ってき次第手術ができるように準備しておく。それで許して欲しい』


龍驤「…ええよ。なんでアカンか理由も言うてくれたしね」


幹部『龍驤君、絶対に早まった行動だけはやめて欲しい。約束してくれるね?』


龍驤「ありがとう幹部さん、横須賀に帰ったらまた宜しくやで」ピッ


龍驤「……」


龍驤「国会…か。知り合いはおらんけど、殴り込みに行くだけ行くのはありかもしれんね」


龍驤「あの子らには帰る場所がある。それを知ってもらうだけでも大事なんや」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営


幹部「傀儡艦娘…彼女達はそもそも国同士の話し合いの結果、向こうに引き渡したんだ」


幹部「それをまた返してくれとは言えないだろうし、向こうがそれに応じるとも思えない」


幹部「全く、龍驤君も厄介な事に首を突っ込もうとしているね……」


幹部「さて…どうしたものか……」


幹部「…彼女達は北方の領土と交換する形になっている。交渉としては良いものだっただろう」


幹部「あの土地……うーん…やはりやろうと思えば出来てしまうのか」

幹部「土地と交換だというのに未だに渡そうとしない。それに比べて傀儡艦娘は既に向こうに渡っている」


幹部「これは不公平だ、交渉は無かったことに……」


幹部「これを主張すれば通る可能性はある。だがリスクが大きい」


幹部「土地の為に彼女らに犠牲になれと国は言っているが…ううむ」


幹部「旧大本営とは決別したといっても信頼はまだない。かつての元帥が死んでからその席も空いたまま」


幹部「組織としてまだ弱い私達が国を敵に回すことはしたくない、が……」


幹部「艦娘が不幸になってしまうことは何よりも許せない。私がこの仕事をしている意味が無くなってしまうからね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


『こちらでも話が違うという声は多少上がってはいるのですが…』


幹部「難しいという事ですか」


『ええ…やはり弱腰で向こうも手続き等あるのだろう。待つべきだという意見が大半です』


幹部「そうなるでしょうな…」


『この国は交渉事には弱いですからね』


幹部「…一つ確認しますが艦娘の扱いは、鎮守府を纏める存在である大本営にあるという認識で間違ってないですね?」


『ええ…』


幹部「では国同士ではなく大本営とロシアとで…」


『それは困ります!自国を敵に回すことになりますよ!』


幹部「やはりそうなる…か」

『そもそもあの領土は我が国のものなんです、それを持ち出した時点で話はややこしいんです』


幹部「…君にだから聞くんだが、この国を敵に回せばどうなる?」


『どうなるって…予算は切り詰められますし、一切の特別処置が無くなります』


幹部「それで?」


『それでって…正気ですか!?』


幹部「土地と引き換えになったら彼女らの気持ちが分かるかい?」


『いやそれは…』


幹部「悪いがこちらで勝手に動かさせてもらうよ。一応話をして君は必死に止めた。これなら大丈夫だろう?」


『貴方は一体…なにがしたいんですか?』


幹部「艦娘を護りたいだけさ。それ以上のことはない」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「これはマズイ…いくらこちらが止めたと言っても話が大きくなってしまったら…」


「オイ緊急事態だ!」


「こっちもだ。今大本営から電話があったんだが…」


「首相の訪問先に艦娘が乱入したらしい!」


「なんだって!?」


「養護施設の視察に向かっていた所を…ということだ」


「なんてバカなことを…クーデターのつもりだったのか」


「いやそうじゃない。艦娘は首相に暴力を振るったわけじゃないんだ」


「なんだと?」


「話がしたいと近寄って来たそうだ。SPが捕まえようとしたが、よりにもよってロシアの勲章持ちで手荒に扱うことができなかった」


「勲章持ち…幹部から聞いたあの艦娘か?」


「とにかく俺たちも現地に急ぐぞ!」

ーー


龍驤「二人だけで話してくれてありがとうな」


首相「…ご用件は?」


龍驤「まずは質問や。あの子らのこと知ってる?北方の領土と引き換えにロシアに送られた艦娘や」


龍驤「あの子らは自分達が土地と引き換えにされてるとも知らず、いつまで続くかも判らず危険な仕事をしてる」


首相「彼女らを知るのは私の仕事じゃない」


龍驤「じゃあアンタの仕事の話もしよ。待っている間にあの子らが死んでしまったら交換の話はどうなるん?」


首相「また新たな材料を用意する」


龍驤「…この交換のことは一切公表されてない。それは社会的にそこに存在していないのと同じなんや」


龍驤「存在しない約束が無くなっても主張できることは何も無い。残るのは禍根だけなんやで」


龍驤「国と国だけでなくて国と大本営、国と艦娘の間に大きな溝が残る。これじゃまた昔に戻ってしまうんや」


龍驤「向こうは土地を返す気が無い。あんたらも分かってるやろ」


龍驤「交換は無効や、直ちにあの子らを呼び戻して。あんたがやれへんのやったらウチが勝手にやる」


龍驤「ウチは捕まるやろうけどあの子らに罪は無い。そうなったらアンタらは大恥をかくやろうな」


龍驤「それでもええんやったらウチは何も言わん。この話も無かったことにしてもええで」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

首相「確かに私も気に入らんが…そうだな、傀儡艦娘の存在は少なくとも全員の手術が終わらない限り公表は出来ない」


首相「その理由は傀儡かどうか見分けがつかないから。だから下手をすれば艦娘も危険に晒される」


首相「だが…公表出来ないのなら確かに自由とも解釈できる」


龍驤「それで?」


首相「彼女らを連れ戻すことを止めることはしない。だが領土について向こうで話し合うことが条件だ」


首相「そちらが土地の受け渡しに時間がかかっているように、こちらも傀儡艦娘に書類上の問題があった。だから一度連れ戻すというシナリオだ」


龍驤「うまくいけばどうなるん?」


首相「どちらも永遠に準備中を繰り返すことになって、交換は事実上の中止となる」


龍驤「ま…それで妥協しとこか」

首相「私には理解できない。なぜそこまでして他人を助けようとする?」


龍驤「アンタは国民の為に政治をやっとるんと違うんか」


首相「それは私の立場だからだ。君は一人の艦娘に過ぎない、そんなことをする意味が無い」


龍驤「アンタは目の前に困ってる人がおったら無視するんか?」


首相「まず目に入らない」


龍驤「…模範解答やね。見たら助けなあかんもんな」


ウウウ~~…


首相「君の行動力には関心するが少々強引過ぎたようだ」


龍驤「それくらい覚悟してるよ。留置所で一泊か二泊してからロシアに向かうわな」


首相「君には絶対に政治家にはなって欲しくは無いといった所だ」


龍驤「そんなもんに興味は無いよ。ウチにはやるべきことがあるんやからね」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「パトカーって何気に初めて乗るなぁ」


「手錠はどうしますか」


「逮捕では無いが…いやそうか、そもそも彼女には通常の手錠は無理だ」


首相「ああ君、私が分かるね?」


「もちろんです」


首相「もう夜だから彼女は一泊させたら釈放しなさい、署長と長官には話を通しておく」


「は、はぁ…」


龍驤「職権乱用やんか、見かけによらずアンタもやるなぁ」


首相「目に入ったから仕方がないだろう。あと見かけによらずは必要ない」


龍驤「はいはい、ありがとうな」


ウウウ~……


首相「艦娘は物であり人間ですらないが、彼女には日本人らしさを感じる」


首相「それだけではない、多くの現代人が忘れている大切なものが彼女にはある」


首相「それは持っていたものではなく誰かの影響を受けたもの。余程の人間が側に居るのだろう、なんとも羨ましい限りだ」


ーー

今日はここまでです

ーー警察署


龍驤「一晩泊めてくれてありがとうな~っと」


龍驤「さて、司令官に連絡はいってるか分かれへんけど移動しながら電話でもしとこかな」


龍驤「横須賀鎮守府に帰らんでも、大本営とか他の鎮守府に頼んで燃料とボーキ補給すればロシアに行けるし」


龍驤「ここから一番近いのは~っと…」


龍驤「あの鎮守府か…丁度ええわ、アイツとも話せるいい機会やね」


龍驤「アポは取ってないからおらんかもしれんけど、補給はさせてくれるやろから急いで行かな」

ーーH幹部の鎮守府


H幹部「アンタ一体なにしたの?横須賀提督が大騒ぎしてたって聞いたわよ」


龍驤「首相のとこ殴り込みに行って留置所で一泊してきたんよ」


H幹部「…冗談じゃなかったらヤバいわよ?」


龍驤「ロシアに送られた傀儡艦娘の子らを取り返すためやねん。後で燃料とボーキ補給させてな」


H幹部「そんなに行動力があったなんて知らないわ」


龍驤「元々こんなんやで。ロシアに行く前にここに飛ばされた朝潮と話したいねん」


H幹部「…彼女は演習中。もうすぐ終わるから呼んできてあげるわ」


龍驤「ありがとうやで~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


Y朝潮「龍驤さんどうしたんですか?」


龍驤「近くまで来たから様子を見とこうと思ってな」


Y朝潮「そうでしたか」


龍驤(なんかえらい普通やな。それどころかウチに興味無いんと違うか?)


H幹部「一応こっちに来てから変なことはしてないわね」


Y朝潮「H幹部さんの前でそんなことはしません!」


龍驤「…ははぁん」

龍驤(朧の表情がなんか暗かったんはこれか。朝潮は違うターゲットを見つけたって話し合うやな)


Y朝潮「今日も演習を頑張りましたよ!」


H幹部「わかったからそんな大声で言わないでちょうだい」


龍驤(コイツ、略奪愛しか興味無いんと違うか。他人のもんやから興味があるんや)


龍驤(体売ってた時に覚えたけど自覚がある奴は厄介や。でも自覚のない奴はもっと厄介や)


龍驤(こんなこと言うたらあれやけど厄介払いできたって思っとこか。Y朝潮はウチらでは無理やった)


龍驤(…ついでの用事は終わったし、ロシアに向けて出発やね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「Y朝潮を押し付けた手前、出来る限りフォローしとかなあかん…と思ったけど」


朧「……」


龍驤「病まんように話くらい聞いておこうかなって…あの……」


朧「……」ぶつぶつ


龍驤「朧…大丈夫か……?」


朧「取られる…H幹部が取られるんです…」


龍驤「既に結構キてたみたいやね…」

朧「H幹部は私のことを別に好きじゃないんです…」


朧「Y朝潮が来てから男漁りも再開しちゃって…」


龍驤「そんな風には見えへんかったけどなぁ」


朧「Y朝潮で溜めたストレスを男の人で発散してるんです」


龍驤「それは…」


朧「アタマがオカシクなりそうです」


龍驤(これはちょっちあかんかもしれんね。司令官に電話するついでに朧のことも伝えといたろ)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「なぁ… 言ったらなんやけどH提督はそっちの人なんやろ?Y朝潮に取られるっちゅう事は無いんとちゃう?」


朧「…誰があのチビに取られるって言ったんですか」


龍驤「あ……」


朧「お気に入りの男の子を見つけたみたいで…その人にH幹部を…」


龍驤「ごめんなウチ勘違いしてたわ。Y朝潮のせいでH幹部が男漁りをやり始めたのが嫌なんやな」


朧「言葉にしないで下さい、殺しますよ」


龍驤「…あんたが言うと洒落にならんで」

龍驤「男漁りも一時的なもんや。アンタの良さを思い知らせたり」


朧「…H幹部の机にあるものが入ってたんです」


龍驤「ん?」


朧「見てもすぐ気付いたんです。H幹部の手から私の送った指輪が外れてました」


龍驤「嘘やろ…?」


朧「机の中に放置されてました。あれだけH幹部のことを考えて送った指輪だったのに」


朧「愛してたのに」


朧「大好きだったのに」


朧「Y朝潮が来て全てが狂ったんです。貴女に八つ当たりをする前に消えて下さい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「指輪外すって何を意味してるか分かっとんの?」


H幹部「カムフラージュとはいえマズったわね…まさか気付いてるとは思わないじゃない」


龍驤「あのな、女の子にとって指輪ってただの輪っかや無いんやで。それこそ気が狂ってもおかしくないんや」


H幹部「私だって本気じゃなかったのよ。外で遊んでいるように見せれば、Y朝潮の行動が鈍くなったし」


H幹部「その間に対策をねろうとしたけど…朧の心労になっちゃたわね」


龍驤「心労どころかもう手遅れかもしれん。今すぐ病院行きのレベルやで」


H幹部「貴女が言うんだから間違いないんでしょう…分かったわ病院を手配しておきましょう」

「……」


龍驤「なあ、なんか聞こえれへん?」


H幹部「なにかってナニよ?」


龍驤「なんか息を殺して、苦しそうな…」


「シー…っ……ぃ…」


H幹部「隣は物置のはずよ、誰も居ないわ」


龍驤「これ…ウチ知ってるかもしれん。一緒に来てくれたら分かるで」


H幹部「まさかあの子、Y朝潮が変なことシてるんじゃないでしょうね」


龍驤「変なことには違いないね。一緒に見に行こか」

ーー


H幹部「アンタ一体なにしてるのよ!?」


朧「……」


龍驤「艦娘の体でも艤装を展開せんかったら、リストカットでも死ねるわな」


H幹部「この跡の数…一回や二回じゃないわね」


朧「……」


龍驤「切るのが目的やから血はそんなに出てない。でもこの傷痕は消えへんやろね」


H幹部「アンタ……」


龍驤「言っとくけどH幹部が悪いんやで。たった一つの指輪でここまでになってしまうんや」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

H幹部「私が悪い…?」


H幹部「そうね、朧がこうなったのは私の責任かもしれない。けどY朝潮が来なければこうはならなかったのよ」


龍驤「それは…」


H幹部「龍驤、悪いけどうちでもあの子はもて余すわ。 このまま私に任せるなら…」


龍驤「…分かった、責任持って連れて帰るわ」


朧「……」


H幹部 「ごめんなさい朧…貴女のことをもっと大切にすべきだったわね」スッ


龍驤「ええ病院はいくらでも紹介できるから…」


H幹部「……」スタスタ

ーー


Y朝潮「急に荷物をまとめろなんてどうしたんですか」


龍驤「ウチと一緒に横須賀に帰るんや」


Y朝潮「…謹慎が解けたというんですか」


龍驤「違う。ここでもアンタを持て余すからや」


Y朝潮「H幹部さんと離れるのは残念ですが、また司令官に会えるなら大歓迎です」


龍驤「……どないしたもんかなぁ」


龍驤「司令官と言い合いになるやろな…喧嘩せぇへんように気をつけやなあかんね」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー横須賀鎮守府


提督「昨日なにがあったのかは龍驤の説明を聞いて分かった」


龍驤「心配かけてごめんな」


提督「その件はまたじっくり話すとして、やはりY朝潮はここでは面倒は見れない」


龍驤「やっぱりそうやんな」


提督「もう解体しか道は…」


龍驤「道はまだあるよ。とりあえずこのままロシアに向かうから、また電話するわな」


提督「ああ…」

ーー


龍驤「ちょっと目を離した隙にどこ行きよったんやY朝潮は」


龍驤「ウチらの近くにおってもあかんのやったらロシアに連れて行くしかない。解体は可哀想やもんな」


龍驤「人手はあって損は無いし、夕立もおるからなんとかなるやろ」


龍驤「…しかしどこに行ったんや、おらんで」


龍驤「また余計なことしとるん違うやろな…ほんまにアイツは」


龍驤「早いとこ捕まえてさっさと向こうに行こ…」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

Y朝潮と龍驤は一旦横須賀に帰ってます


再安価下1

Y朝潮「龍驤さんの話を盗み聞きしてましたが…ロシアなんて行きたくありません」


Y朝潮「どんな扱いを受けるか分かりませんし、無事で済む保証もありません」


Y朝潮「かといってここにも居られません……どうすれば良いのでしょうか」


Y朝潮「もう艦娘を辞めるくらいしか…退役扱いなら少なくとも死ななくて済みます」


Y朝潮「ただ司令官が退役させてくれるかどうか……」


Y朝潮「こうなったら逆転の発想です。退役せざるを得ない状況を作るしかありませんね」

ーー


龍驤「Y朝潮がおったって……これ、なんやねん」


Y朝潮「か…は………」ピクピク


霞「私の部屋に忍び込んで金庫を壊して、この有り様よ」


Y朝潮「ぎ…ひひ……ぃぃ…」


龍驤「泡吹いて倒れとるってことは薬を飲んだんか」


霞「…自殺未遂で処理されそうね」


龍驤「……そこまで嫌か、どこまで迷惑かけたら気が済むんやコイツは」


霞「良くて更生施設送り、悪くて解体。朝潮にとって損は無かったんじゃないかしら」


龍驤「コイツこそ精神科に連れて行くべきやった。その可能性を考えるべきやったんや」


霞「執拗に司令官を狙っていたから仕方ないわよ。気付くのが遅れても仕方がないわ」


龍驤「そうや無い、選択を間違ったせいで関係ない他人まで傷付けた。ウチはなにをしてるんや」

霞「司令官が言われてたことをそのまま言うと、もっと仲間を信用しなさいってね」


龍驤「…その言葉はウチにも刺さるわ」


霞「首相に殴り込みは良かったと思うわ。けどその後すぐに知らせてくれて良かったじゃない」


龍驤「その通りやね…」


霞「一人でなんとかしようとしないで。龍驤さんは人より出来ることは少ないの」


龍驤「だからこそ一人で頑張ろうとしたんやけど、一人でやっていいこととあかんことがあったんや」


霞「…また薬出してあげましょうか?」


龍驤「頼むわ霞。冷静になる意味でも霞の薬を頼らせて」


霞「はいはい、すぐに用意するから待ってて」


ーー

今日はここまでです

ーー


夕立「どうして戻ってきた」


龍驤「あの子らを放ってはおけれへん」


夕立「これは国同士の決まりごとだ」


龍驤「こっちは首相と話して来てんねん」


夕立「嘘を言うな」


龍驤「ちょっち強引やったから留置所で一泊してきたよ」


夕立「……理解できないっぽい」

夕立「アイツらは利用されるだけマシ、本当なら処分されるべき存在っぽい」


龍驤「手術を受けたら問題は無いんや、何回も言うてるやろ?」


夕立「……内容は」


龍驤「あの子らを元の鎮守府に返す」


夕立「無理っぽい」


龍驤「悪いのはそっちやで?あの子らがこっちに来てからどれくらい経つ?それやのに一向に土地は返ってけぇへん」


夕立(そのことを知ってるなら、首相と話したのはハッタリじゃなかったっぽい)


龍驤「ならこっちにも考えがある。あの子らについて書類の不備があったから臨時に帰国させるんや」


龍驤「そっちも書類の上でまごついてるから土地はまだ返せれへん。土地の権利がちゃ~んと戻ってきたらあの子らも返したるわ」


夕立「…どうなるか分かってるぽい?」


龍驤「喧嘩上等や、いくらでもかかってこい…とは言うてへんだけど、筋は通っとるから拒否はできへんで」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「ふぅん、あの子らは既にそっちの艦娘として登録されとるんか」


夕立「下手に連れて帰ることはできないっぽい」


龍驤「やることが早くて尊敬するわ」


夕立「それに安全上の理由があるから、少なくとも今の作業が終わるまでは返せないっぽい」


龍驤「それはいつ終わるんや?」


夕立「夕立の知ることじゃないっぽい」


龍驤「なるほどなぁ、これは最初からそのつもりやったな」

龍驤「最初から土地も返す気無かったやろ?」


夕立「知らないっぽい」


龍驤「そっちがその気なんやったらこっちも考えがあるで」


夕立「余計なことはするなっぽい」


龍驤「この交渉は非公開のもんや。こんな話は表にできへんし、原子力列車なんかまだ知られたくないやろ」


夕立「やめろっぽい」


龍驤「とりあえずあの子らの所属はこっちに返してもらわなあかんな」


夕立「そんな簡単にはいかないっぽい」


龍驤「ほんならこの事実をマスコミにばら撒くだけや。みんな喜んで群がるで」


夕立「どういう意味か分かってるのか」


龍驤「分かってるよ、傀儡艦娘の存在を認めることになる。でも手術さえすればあの子らも普通の艦娘なんや」


龍驤「どういう方向で傀儡艦娘の存在を理解してもらおうか考えてたけど、丁度ええ機会やわ。利用させてもらうで」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「傀儡の存在を知って一番睨みを効かせ始めるのは社会じゃないで、海の向こうの大国や」


夕立「……」


龍驤「ちなみにウチをどうこうすれば止めれる話やないで。さっきの話を実行できる人がおるやろ」


夕立「夕立を…使うのか」


龍驤「そうや、大事に使ったるでぇ?」


夕立「……調子に乗るなよ」


龍驤「そんな怖い顔せんといてや。あの子らの未来の為に協力して欲しいだけやで」

ーー


『傀儡艦娘を返すというのか』


夕立『そっちの方が得をするとアイツが言っている』


『どういう理屈なんだ?』


夕立『傀儡艦娘のデータは回収した。それを基に傀儡を改良すれば傀儡艦娘達に用は無くなる』


夕立『そうなればあの領土を差し出す意味が無い。こちらにとって損しかない取り引きだと言っている』


『ほう……』


『傀儡艦娘のデータは回収済みなのか?』


夕立『原子炉を扱う上で細かな検査を頻繁に行っている。そこで必要なデータは回収済みだ』


『それなら良い』


『こちらが損をするからか。やはり彼女に勲章を渡して正解だったようだ』


『恩を返すというヤツだろう。向こうの国では良くあることらしい』


夕立「なんで夕立がアイツを持ち上げる……ぽい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


夕立「なんでアイツらにそこまでするっぽい」


龍驤「あの子らは書類上はモノ扱いでも、感情があって心配してる人達がおるんや」


龍驤「このままシベリアで朽ち果てるなんて、ほっとけるわけ無いやろ」


夕立「自分を犠牲にしてもやることじゃないっぽい」


龍驤「それは考え方の問題やわ。ウチの側におる人がずっと自分を犠牲にしとるからね」


夕立「お前はあの提督じゃない」


龍驤「真似くらいしてもええやろ?ウチなりにできることはしていくねん」

夕立「身の丈にあったことをするべきだったな…」


龍驤「なにを言うてんのよ」


夕立「アイツらは帰れるだろうがお前は暫く帰れない」


龍驤「なんやそれくらい、問題無いで」


夕立「……」


龍驤「こっちは元々数年は覚悟しとったんや。それに比べてあの子らは帰られへん、それはおかしいやろ?」


龍驤「ウチ一人であの子らを助けられるんやったらそれでええ。いらん忠告感謝やで」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「リュウジョウ」


「リュウジョウーー」


「リュウジョウ帰ってきたー」


龍驤「帰ってきたで~また暫く一緒やで~」


「やったぁ」


龍驤(三つ子の世話がペナルティなぁ…あのおっちゃんほんまに孫好きやね)


龍驤(夕立もおっちゃんも毎日忙しい。ベビーシッターに頼もうにも立場的に…ってヤツやね)


龍驤(現代艦娘の子は成長が早い。この子らが一人でウロウロできるようになるまで面倒を見るって感じかな)

龍驤(司令官に会われへんのは寂しいけど、毎日電話したらええ)


龍驤(アッチの方も電をはじめ色んな子がおるし安心や)


「ロボー」


龍驤「リュウジョウやって言うてるやろ」


「Locket Punch」


龍驤「発音ええな…一回だけやで」


龍驤「…おりゃっ!」バシュッ


「うらー!」


龍驤「やっぱり一番ウケるのはこれなんやね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー数日後


龍驤「結構早くに帰れるようになって良かったやん。皆んな気を付けてな」


「龍驤さんは…」


龍驤「ウチはええって、皆んなには待ってる人がおるんやから」


「それは龍驤さんもです!」


龍驤「ウチは旦那がおるから」


「待ってる人じゃないですか!」


夕立「お前らさっさとしろっぽい」


「嫌です…龍驤さんが帰らないなら私も残ります」


「私もです」

龍驤「それはあかん。ウチのことを考えてくれるんやったら素直に帰って」


「私達と引き換えなんて嫌です!」


龍驤「大人になったら分かる、どっちもなんか無理なんよ。そういう時は一番人数の少ない選択肢が最善や」


夕立「いい加減行くぞっぽい」グイッ


「嫌だ龍驤さん!」


「私達そんなつもりは無かったのに…!」


龍驤「あの子らはほんまにええ子や、傀儡かどうなかんて関係ない。あの子らこそ守らなあかん」


龍驤「…うん、これで良かったんかもしれん。どうもウチは司令官とずっと一緒やとダメになってしまう。適度に離れることが大切やったかもしれん」


龍驤「会いたい、会いたいって毎日思うくらいが丁度ええ。甘えられる人がおったらウチはあかんのや」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


長門(そうか傀儡艦娘が帰ってくるのか。向こうに居たままなら見逃すつもりだったがな)


長門(傀儡をこの国に入れるつもりは無い、纏まっているなら好都合だ)


長門(全員捕らえたのちに処分、これは必要なことだ)


長門(傀儡は艦娘では無い。それを分かっていない連中を正す)


長門(この長門がやろうというのだ、艦娘にとってこれ以上の正義はない)

ーー海上


「夕立さん…!」


夕立「長門ぉぉ!!」


長門「……」


「た…たすけ……て…」


「私達も援護を…!」


夕立「余計なことをするな!足手まといになるだけだ!」


「う…」


「悔しいけどその通りね、夕立さんを信じるしか…」


ドガッ


「あっ!」


夕立「く…そ……!」


長門(腕が鈍っているようだな。そんな状態で私に勝てると思ったか)


夕立「子どもを産んでから…力が……思う通りに…!」


長門(消えろ)


夕立「ぎゃっ……ぁ…」


「あ、あぁ…!」


長門(さあ全員大人しくついて来てもらおうか)


下1 この後の展開やその他起こったことなど

キィィィ…


「なにこの音?」


夕立「お前…ら……合図をしたら…」


「喋らないで下さい!」


夕立「艤装を解除して……海に…潜れ…」


「海の中に…?」


夕立「アイツは…耳が聞こえない…こっちを見て……話せ…」


「それでどうにかなるんですか!?」


夕立「音が…聞こえた……」

キィィィィィン…


長門(トドメを刺す気はない。お前は邪魔をするな)


夕立「……」


長門(…なんだこの目は。まだ諦めていないというのか)


イィィィィン…


長門(空気が震えている?)


夕立「今だ……!」


「!」


「どうにでもなれー!」


「夕立さん!」


長門(全員艤装を解除しただと?一体なにが…)


カッ

ドゴォォォン…


(がぼぼっ!)


(水中でも爆発の衝撃が!)


(あれは対艦ミサイル…戦闘機から発射されたんだ)


(空中から艦娘を狙えるなんて、エースパイロットに違いない)


(それって夕立さんの…)


夕立(……)


(ヤバイ!夕立さん意識が無い!)


(早く陸地に向かわないと!)


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「こっちよ!」


「た、助かった…」


「ロシアから連絡を受けて私達特務艦が動いたのよ」


「あの、夕立さんが!」


夕立「」


深海綾波「意識が…いや、息もしてねぇな」


「そんな!」


深海綾波「だからって死んだわけじゃねぇ。夕立はこっちで預かるからお前らはコイツらについていけ」

ーー大本営地下


夕立「……」


整備士「やぁお目覚めかな」


夕立「……」


タシュケント「頑丈なのは流石といった所かな」


整備士「でも話で聞いているより弱くなった…自覚もしてるんじゃない?」


夕立「……」


タシュケント「その理由が分からないんだよね。同志がある仮説を立てたんだけど良かったら聞いて欲しい」

整備士「君は昔、女の子を殺しているんだよね」


夕立「その話はするな!」


整備士「する必要があるんだ。その女の子は普通の子じゃ無かったからね」


タシュケント「どう殺したのかは知らないけど返り血は浴びたよね?」


夕立「黙れ…!」


整備士「それが大事なんだ。その女の子は超能力…不思議な宝を持っていたんだよ」


タシュケント「能力者を殺して捕食すれば能力を引き継げる。早霜から学んだことだね」


整備士「捕食しなくても血を体に入れるだけで良かった。君はその日を境に強くなった」


タシュケント「早霜を食いちぎったのも能力が関係してるんだと思うよ」

整備士「さて、君が弱くなってしまったことの答え合わせだね」


タシュケント「血を体に入れる。これはどんな方法でも構わない」


整備士「君は三つ子を産んだそうだね」


夕立「まさか…!」


タシュケント「夕立の能力は子へと受け継がれた。能力者が子を産めば必ずそうなるかは分からないけど、夕立は三つ子という特殊な状況だった」


整備士「君の未来を考えても知っておいて損はなかったと思うよ」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ゴポ…


長門(そうか沈むか、この長門が)


長門(元より拾った命。いつでも捨てる覚悟はあった)


長門(私の考えは間違っていた。だから負けたのだろう)


長門(生き残るのは常に正しいもの。私が正しいのならどんなことが起きても生き残っていた)


長門(後悔もなければ恐怖もない。ただ…一つだけ)


長門(艦娘として海で最後を迎えられるのは満足だ)


長門(あの光ではなくちゃんと艦娘として…最後を…)


長門(…………)


長門(……)

ーー


龍驤「オヤツの時間やで~」


「やった」


「早く早く」


龍驤「食べさせたるからちょっち待ってなぁ」


「待ちきれない」パクッ


龍驤「いででっ!ウチの指ごと噛みよったな!乳歯でも痛いんやで!」


「……」


龍驤「はいお待たせっと」


「美味しい美味しい」


「Yummy」


龍驤「まだあるからゆっくり食べやぁ」


「リュウジョウも…美味しいんだ……ふぅん…」


ーー

今日はここまでです

ーー大本営


深海綾波「傀儡艦娘の手術はどうなってる?」


幹部「準備ができ次第、次々に行っているよ」


深海綾波「アイツらが帰ってきたのはいいが、無駄に情報を与えただけだったな」


幹部「ソビエト派とは違う。手に入れた傀儡の情報を悪用することはないはずさ」


深海綾波「平和ボケな考えしてんな」


幹部「技術はどんなものでも軍事利用できる。彼らのモラルに期待しよう」


深海綾波「するだけ無駄だと思うけどな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


幹部「準備ができ次第やっているとは言っているが、時間がかかっているのは事実」


幹部「果たしてどれくらいの時間がかかるのか…想像はできない」


幹部「傀儡艦娘は全部で12人。一人一人手術しかないがこれは時間との勝負だ」


幹部「手術を受けさせずに返すことはできない。元いた鎮守府に早く返してあげたいが難しいね」


幹部「手術も簡略化されてきてはいるがこれ以上の短縮は難しい。彼女達には我慢してもらうしか無さそうだ」

ーー


「ねぇ聞いた?」


「傀儡艦娘には秘められた力があるって話?」


「秘められた力っていうより傀儡の力だって」


「それを使いこなせれば戦力になれる」


「それどころか特務艦だってあり得る」


「それって手術を受けた後でも大丈夫なの?」


「爆弾を取るだけで傀儡じゃなくなるわけじゃないもん」


「そっか…」


「せっかく大本営にいるんだし試してみない?」


「やるだけやってみよっか」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

再安価

下2

ウギャァァァァ!


特務艦「なになにどうしたのよ!?」


特務艦「これは…」


傀儡艦娘「あ、あの!突然暴れ出しちゃって!」


特務艦「見たらわかるわよ!」


特務艦「これは傀儡の力が制御できてない」


特務艦「私達でも止めれるか分からないわよ」


特務艦「一対一じゃ無理よ、囲んで各個撃破!」


特務艦「撃破していいの?」


特務艦「…無効化して捕獲!」


特務艦「りょーかい」

ーー


特務艦「イタタタ…でもなんとかなったわね」


特務艦「ギリギリだった?」


特務艦「この私にかかれば大したことないわ!」


傀儡艦娘「……怖い…」


傀儡艦娘「私達にこんな力が…」


特務艦「使い方を間違えてなければいいのよ」


特務艦「横須賀にも使いこなしてるのはいるし」


傀儡艦娘「そうは言われても…」


傀儡艦娘「やっぱり私達は艦娘じゃないんだ……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

整備士「やぁ、皆んな揃ってるみたいだね」


傀儡艦娘「貴方は?」


特務艦「出たわね変態科学者」


整備士「僕は整備士なんだけど…まあやってることはそんな感じかな」


傀儡艦娘「私達に何の用で…?」


整備士「話を聞いてたんだけど、手術とは別に処置が必要だけど、傀儡の力を除去する事は出来るよ?」


傀儡艦娘「そんなことができる…」


整備士「そうなると普通の艦娘程度の力しか残らない けどね。どうする?」


傀儡艦娘「どうする……」

整備士「僕はどっちでもいいよ。手術とは違ってすぐに処置は終わるから」


傀儡艦娘「じゃあ…」


整備士「君達にしかできないことはあると思うけどね」


傀儡艦娘「それって…でも制御できなかったら皆んなを傷付けるかも…」


整備士「制御しようとしてすら無いのに、できなかった時のことを考えるのはどうかな?」


傀儡艦娘「それは…でも……」


整備士「一度処置をしてしまったら元には戻せないからね」


傀儡艦娘「もう少し…考えます」


整備士「したい時はいつでも言ってね」

特務艦「変態、なにしに来たのよ」


整備士「さっきから酷いなぁ。幹部さんを探してたんだよ」


特務艦「今の時間なら書斎じゃないかしら」


整備士「そっか、教えてくれてありがとうね」スタスタ


特務艦「あんなモヤシのどこがいいのかしら」


特務艦「頭の中は凄いことになってるんだろうね」


特務艦「紛いなりにも大本営所属…素人ではないんでしょうよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー書斎


整備士「いつも仕事で忙しそうだね」


幹部「これでも大本営を預かっている身だからね」


整備士「…あんまりこういうの得意じゃないんだけどなぁ」


幹部「おおよその察しはつくが言葉にして欲しいね」


整備士「吹雪が……建造されたら僕の所に回して欲しい」


幹部「ほう」


整備士「そろそろ僕も自分の罪と向き合う頃かもしれないと思ったんだ」


幹部「吹雪君だけが君の罪ではない」


整備士「それは考え方だよ。でも吹雪のことだけはどうやっても言い訳できない」

幹部「君の言いたいことは分かるが、建造ドックがどうなっているか知ってるだろう?」


整備士「僕なら直せる」


幹部「……」


整備士「魂の依代が必要なら用意すればいい」


幹部「それは命の冒涜というものじゃないのかい?」


整備士「そうなれば艦娘という存在がそうなってしまう。恒久的に動かすつもりがないならせめて…吹雪だけは」


整備士「僕が作る吹雪じゃ意味が無いんだ。建造された吹雪に意味がある…気がするんだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

幹部「建造ドックに関する詳細な資料は失われてしまっている。 依り代といってもどういったものが必要なのか…」


整備士 「彼女達は物じゃない。心を持った存在なんだ。依り代、つまり何をベースにしているか考えなくてもわかるよね?」


幹部「まさか…」


整備士「人だよ」


幹部「君は…そこまでしようというのかい」


整備士「建造ドックは動かさないといけない。頻繁である必要はないけど、放置していいものじゃない」


整備士「建造ドックが全世界に広がってしまえば、命の価値は無くなってしまう」


整備士「僕が禁忌を犯す。僕一人に責任を押し付けていいんだ」


幹部「その見返りに吹雪を…ということかい」

整備士「深海棲艦にはコアがある。それと同じ原理を使おうと思うんだ」


整備士「建造の時に艦娘のコアを混入させる。そうすれば艦娘が建造されるよ」


幹部「そのコアは…なんなんだい?」


整備士「それは企業秘密さ」


幹部「…君の言うことはとても理解できる。あの建造ドックは他国に渡せない」


幹部「ただの鉄屑でないことを示す為に、定期的な建造は必須だ」


整備士「交渉成立かな?」


幹部「認めたくはないがね…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー建造ドック


吹雪「はじめまして吹雪です、宜しくお願い致します!」


幹部「本当に建造された…しかも吹雪君が…」


吹雪「貴方が私の司令官ですね!」


幹部「いや…君は彼の元に行くことになる」


吹雪「彼って……アレ…ですか?」


整備士「嗚呼…吹雪だ……この声…間違いない……」


幹部「そりゃあ引くのは当然だろう。君を見た瞬間から号泣しているからね」


吹雪「あの…なにが……?」


幹部「話せば長くなるが、彼の所にはかつて吹雪君が居たんだよ」


吹雪「私じゃない吹雪…ですね」

幹部「先の吹雪君は彼のせいで狂ってしまったんだ」


吹雪「……」


幹部「今度は間違えない。その覚悟で君を作ったんだが…感情的になりすぎているようだ」


整備士「吹雪……会いたかった…」


吹雪「……」


幹部「吹雪君には出撃より彼の補佐がメインになると思う。覚えることは多いだろうが頑張って欲しいね」


吹雪「安価」


下2 吹雪の台詞やその他起こったことなど

吹雪「はいっ!よろしくお願い致します!ええっとお名前は…」


幹部「彼は整備士君だ」


吹雪「整備士さん、宜しくお願いします!」


整備士「吹雪…」


吹雪「私でない吹雪の代わりにはなれません。でも私という吹雪としてお支えします!」


整備士「ありがとう……今度こそ道は間違えない」

夕立「お……い…」


幹部「夕立君!?」


吹雪「凄い怪我…動いたらダメですよ!」


夕立「アイツは……あの…軽空母……」


幹部「軽空母…?龍驤君のことかい?」


夕立「連絡…を……」


幹部「どうしたというんだい?」


夕立「手遅れに……なる…前に……」ガクッ


幹部「しっかりするんだ夕立君!」


吹雪「整備士さん、出番なんじゃないですか!?」


整備士「…そうだね、彼女はとても動ける状態じゃなかったんだ」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「「「ううぅ~~」」」


龍驤「噛み癖ついたらあかんよ!美味しい?それは変態のやることやで!」


「ヘンタイってなにぃ」


龍驤「変態は…あかん大人や!そんなになりたいんかアンタらは!」


「ううん…」


龍驤「もうウチを噛んだらあかんよ!約束やで!」


「わかった…」

「怒られた」


「怒られちゃった」


「噛んだら美味しかった」


「うん」


「まだ歯が硬くないから千切れなかった」


「見て」


「歯が」


「硬い歯が生えてきた」


「次は食べれる」


「うん」


「兎は美味しかった」


「鳥も」


「獣も」


「リュウジョウの右手、美味しそう」


「美味しそう」


「食べよう」


「うん」


「今度は噛まない」


「噛みちぎる」


「美味しそう」


「美味しそう」


「美味しいよ」


ーー

今日はここまでです

ーー横須賀鎮守府


漣「大本営からの呼び出しですか」


提督「ロシアから帰ってきた傀儡艦娘についてだろう」


漣「雪風さんに続き引き取ってくれって話ですかね?」


提督「彼女らには帰る場所があるし、全員の手術は終わっていない。恐らく傀儡艦娘について確認したいことがあるんだろう」


漣「電話で済むと思うんですけどねぇ」


提督「そうは言っても幹部さんから呼び出されたのだから仕方ない。断る理由もないしな」

漣「じゃあ付き添いで漣が…」


黒潮「なぁ司令はん、話…聞いてたんやけど」


漣「出たな勘違い女」


黒潮「うちを…連れて行ってくれへんかな…?」


提督「黒潮を…か」


漣(黒潮はご主人様のこと気になってるらしいですぜ。断るのが無難です)ヒソヒソ


提督「…断る理由がない、一緒に行こう」


黒潮「あ、ありがとうな!」


漣「全く…どうなっても知りませんよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

移動中も腕を組んだりと距離が近い黒潮

>>504
漣も負けじと反対側で密着

ーー


提督「…距離が近くないか?」


黒潮「気のせいやで司令はん」ギュッ


漣「腕まで組んでまあはしたないですこと。じゃあ漣も負けてられませんね」スススッ


提督「漣は…当たってるぞ」


漣「小さいお胸を当ててんですよ~」


黒潮「……」ググッ


提督「黒潮は俺の腕を胸に持っていこうとしないでくれ」

漣「やれやれY朝潮が片付いたと思ったら次は黒潮とはねぇ」


黒潮「司令はん、大本営までもう少しかかるなぁ」


漣「漣を無視しても無駄ですよ~ご主人様にとっては逆効果で~~す」


提督「……」


漣「二番目の女は漣です。あんたはそれ以下なの分かってますぅ?それでも良いなら分けてやってもいいですよ」


黒潮「司令はんはアンタの物やない」


漣「やっと漣と喋った!ご主人様この話題を出せば黒潮と会話できますよ!」


黒潮「お前…」


漣「今更なんのつもりか知りませんけど遅すぎるんですよ。潔く諦めた方が身のためですからね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

黒潮「そんなことくらいわかっとるわ」


漣「ほぉん?」


黒潮「そもそも司令はんの嫁は龍驤さんと霞だけや。せやからうちは…たまに側におれたらええ」


漣「そうとは思えませんけどねぇ。夜だってご主人様とお楽しみは日がありますよね?」


黒潮「それはうちなりの気持ち、恩返しや。司令はんのおかげで改二も安定したのは凄いことなんや」



黒潮「あれだけ苦労しとったのに司令はんの……ほんまに感謝してるんやで?」


提督「あぁ、よく伝わってくる」


漣「自分の立場が分かってんならいいですけどね」

ーー大本営


黒潮「司令はんは幹部さんの所に行ってしもたな」


漣「残念でしたね~」


黒潮「で、アンタは何しに来たんや」


漣「黒潮の見張り~」


黒潮「そんなわけ無いやろ。それだけの為に来るはずない」


漣「まあそりゃそうですよ」


黒潮「うちも手伝ったるから案内し」


漣「足手まといになるなら捨てていきますからね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

整備士のところへ
また怪しいことをしていないか

>>512

ーー大本営地下


漣「話で聞いてた通りみたいですね」


吹雪「貴女達は?」


黒潮「うちらは横須賀鎮守府の艦娘やで」


吹雪「横須賀の…!」


整備士「僕に話があるのかい?」


漣「話というよりチェックです。怪しいことでも企んでないかってね」


タシュケント「ここ最近同志は大人しいよ」


黒潮「うちらもそれを確認させてもらおか」

漣「ロリコンは悪い奴が多いですからね」


整備士「それって僕のこと?」


漣「吹雪に執着してる貴方がロリコンでないと?」


整備士「そういう目で見たことはなかったなぁ」


タシュケント「同志って性欲ある?」


整備士「うーん…」


黒潮「男はみんな下半身のことしか考えてへんのや」


整備士「そんなこと無いと思うけどなぁ」


漣「じゃあここで漣が裸になったら?」


整備士「解体していいの?」


漣「……コイツは例外かもしれねぇ」


黒潮「そんなはずない、絶対そんなことを考えてるはずなんや」


整備士「安価」


下2 整備士の台詞やその他起こったことなど

整備士「うーん、確かに子宮には少し興奮するかも」
黒潮「ほれ見てみぃ!……子宮?」
整備士「うん造形や機能はとても興味深いよね進化の神秘を感じるよ初めてお腹を開いて見た時はちょっとした感動ものだったなこんなに小さな卵巣が生涯で400個~500個も卵子を生み出すんだよいやーどうなってるのか分解して調べ尽くしたなぁそれとーー」
黒潮(思てたんと違う……)

整備士「うーん、確かに子宮には少し興奮するかもしれないね」


黒潮「ほれ見てみ……子宮…?」


整備士「うん、造形や機能はとても興味深いよね。進化の神秘すら感じるし…そうだ初めてお腹を開いて見た時はちょっと感動したよ」


整備士「こんなに小さな卵巣が生涯で400個~500個も卵子を生み出すんだよ。凄いと思わないかい?」


黒潮(思ってたんと違うんやけど)ヒソヒソ


漣(なんか饒舌になってます、責任とって下さいよ)


黒潮(こんなことになると思わんやろ!)

吹雪「あの……調べたん…ですか?」


整備士「もちろんだよ。解剖して隅々まで調べ上げたよ」


吹雪「調べた相手は…?」


タシュケント「前の吹雪を解体したよね」


整備士「そうだね、沈んだあとの体がどうなったのか気になって解体したなぁ」


タシュケント「吹雪本人は知らなかっただろうけどね」


整備士「中途半端なコアも見つけて…うん、役に立つ知識をいっぱいくれたよ」


整備士「解体はして全身を調べたけど、吹雪とは性行為はしたことがなかったよ」


吹雪「安価」


下2 吹雪の台詞やその他起こったことなど

吹雪「そんなモルモットみたいな…」
整備士「モルモットなんかじゃないさ。二度と間違えないように調べ尽くしたんだ。僕にはそれくらいしかできないからね」

吹雪「そんなモルモットみたいなこと…」


整備士「モルモットなんかじゃないさ、二度と間違えないように調べ尽くしたんだよ。僕にはそれくらいしかできないからね」


タシュケント「それくらいで出来ることが凄いよ」


整備士「そうなのかなぁ」


漣「…ま、変なことをしてたらその時は覚悟して下さい」


整備士「するつもりは無いから大丈夫だよ」


黒潮「忠告ってやつや、大人しく受け入れとき」


整備士「うーん、じゃあ分かったよ」

吹雪「……」


タシュケント(同志、ここは吹雪の頭を撫でておく所だよ)ヒソヒソ


整備士「なんで?」


タシュケント(なんでって…分かるだろう?)


整備士「さっぱり分からない」


タシュケント「同志…君は学ぶことが多いね」


整備士「当たり前だよ、僕は死を乗り越えたけどまだ次がある。やるべきことは山のようさ」


タシュケント「やれやれ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

複雑そうな表情ではあるものの撫でられるがままの吹雪
タッシュはやれやれといった様子

吹雪「あの…聞こえているんですけど……」


タシュケント「だろうね…」


整備士「吹雪…こっちに来てくれるかい?」


吹雪「はい……」


整備士「こう…かな……?」ナデナデ


吹雪(ぎこちない手つき…でも心地いいと感じてしまう)


吹雪(それにこの感情…これは整備士さんに好意があるということ?まだ出会って間もないのに)


吹雪(私と同じ吹雪が子宮まで調べられていた…この事実にもある種興奮してしまっている)


吹雪(コア…コアってなんなんだろう。それに私は建造されたばかりで何も知らない)

吹雪(出会ったばかりなのに好意を抱くのは普通じゃない。これは私が特別だからじゃない)


吹雪(コア……私の中にある何かがそうさせている?)


吹雪(この人を好きになるように仕組まれている。それを否定することは…できない)


整備士「吹雪……」


吹雪(艦娘をモルモットにするなんてまともじゃない。こんな人を好きになるはずない)


吹雪(人間は艦娘を使おうとしている……)


タシュケント(なんだかよくない目をしている。ちゃんと見ておかないといけないみたいだ)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

女子会しようかと吹雪にタシュの提案
傀儡艦も誘ってナイトガールズトーク

吹雪(でも整備士さんが彼女達を救おうとする姿は真剣そのもの…遊んだりなぶったりする様子はありません)


吹雪(あの話は何だったんでしょうか、一体……)


タシュケント「ねぇ吹雪」


吹雪「…なんでしょうか」


タシュケント「女子会をしよう」


吹雪「女子会……」


タシュケント「面子は揃えておくから、是非参加して欲しいな」


吹雪「…分かりました」

ーー


傀儡艦娘「話ってなんですか…?」


タシュケント「女子会だよ」


吹雪「……」


タシュケント「ずっと大本営に居て気が参ってしまうといけないからね」


傀儡艦娘「でも…」


タシュケント「そんな畏まらなくていいから、気軽に話そうよ」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

タシュケント「そうだな…例えばスイーツの話なんかどうかな?」


傀儡艦娘「スイーツ…甘いもの……」


タシュケント「ある所にあるスイーツ屋なんだけど、開いてる間は常に行列ができているんだ」


タシュケント「並ぶ価値はあったね。とても繊細な味で甘さも抑えられていたよ」


タシュケント「仕事で向かった場所だけど、プライベートでも行きたいと思えるくらい美味しかったな」


傀儡艦娘「へぇー…」


タシュケント「場所を教えてあげるよ。手術が終われば大切な人と行けばいい」

吹雪「私はなにも知りません」


タシュケント「これから知っていけばいいんだ」


吹雪「スイーツを食べれば良いことがあるんですか?」


タシュケント「幸せな気分になれる」


吹雪「それは艦娘にとって…」


タシュケント「必要なことさ。休息も癒しも必要なんだ」


タシュケント「あたし達は機械じゃない。人間に利用される存在ではあるけど自由はある」


タシュケント「これから先、艦娘は人間社会で生きていくことになる。全て必要なことなんだよ」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

タシュケント「理解するのが難しいと思うけど、同志もその為に頑張ってるのさ」


タシュケント「同志は艦娘の為に技術を身に着けて、多くの艦娘を救った。あたしもその一人なんだ」


吹雪「でも…」


タシュケント「でも同志は大切な存在を失ってしまった。それで危ない時はあったけど…道は踏み外さなかったよ」


吹雪「……」


タシュケント「だから彼を支えてあげたいし、今話したような一般的な楽しみも教えてあげたいんだ」


タシュケント「だから手術が終わって暇ができたら、皆で楽しい事をすればいいんだ」


傀儡艦娘「そっか…傀儡でも楽しんでもいいんだ…」


吹雪「納得はできません…けど結論を出すのはまだ先にします」

ーー


提督「本当ですか?」


幹部「今すぐにという話ではないがね」


提督「幹部さんが元帥に…」


幹部「旧大本営の事件があってから元帥は空席のままだった。そろそろトップを置いた方がいいと意見が出た」


幹部「他の誰かに任せるくらいなら自分がやった方がいい、ということなんだ」


提督「自分に手伝えることがあるなら言って下さい」


幹部「提督君ならそう言ってくれると思っていたよ」


提督「ということはなにかあるんですね?」


幹部「あぁ…どうしても手伝ってもらわなければいけないことがあるんだ」


ーー

今日はここまでです

ーー


漣「傀儡技術の公表と深海棲艦との共存ですか」


提督「深海棲艦との和平は実質無理であることは確かで、旧大本営のイメージが強い」


黒潮「菊月提督が一方的に和平って言うて、えらいことになったしなぁ」


提督「深海棲艦にも自我のない個体が存在する。そんな状態で和平を結ぶことは不可能だ」


漣「ですからあくまで共存と。幹部さんの言うことはまともですな」


黒潮「共存っていうても嘘ついて陸にくる深海棲艦もおる。血の珊瑚礁みたいに街が壊滅してしまう可能性もあるんや」


提督「そこで俺に協力をして欲しいということなんだ」

提督「陸への上陸を希望する深海棲艦は一度最寄りの鎮守府で預かる。その後どうするかを本人に決めてもらう」


提督「こうすることにより全国の鎮守府の存在意義を示すことになる。艦娘だけが居ればいいという話を封じ込める」


漣「ですがいちいち大本営に確認なんて取ってたら対応は遅れまくり。そこでご主人様の出番だと」


黒潮「深海棲艦の保護に関しての組織を立ち上げて、司令はんはその代表者になって欲しいなんてなぁ」


提督「大本営に様々な業務が集中するのは良い状況ではない。仕事を分散させるのはいいことだと思う」


漣「でも横須賀鎮守府の提督と兼任って言われたら難しいですよね」


提督「組織が立ちがり幹部さんが元帥の座についたタイミングで、俺は提督をやめることになる」


漣「…それでいいんすか?忙しいのは変わりないと思いますけど」


黒潮「その前に提督を辞めなあかんやん。うちはそこがまだ納得いってないわ」


提督「俺以外に適任が居ないと幹部さんは言っていた。断るつもりはないが、あれだけ世話になっていて頼み事は断れないだろう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

黒潮「二人は先に帰っといて。うちは聞き込みしてみるわ」


漣「点数稼ぎですか?」


黒潮「好感度は上げといて損はないやろ?」


漣「…そう返されるとなんも言えねえ」


黒潮「大本営で司令はんが動き回るのはよくないやろ?うちが適任やから任せとき」


提督「別に必要はないんだが…」


黒潮「騙されとったらどないすんねん。司令はんにはキツい仕事はして欲しくないんよ。せやからうちに任せといて」

ーー


駆逐棲暇「私に聞き込みか」


黒潮「幹部さんから話聞いてるやろ?」


駆逐棲姫「必要に応じて協力してもらうかもしれないと言われている」


黒潮「そりゃそうやろうなぁ、陸に上がってきて人間と結婚までしとるんや」


駆逐棲姫「聞きに来たということはある程度予測はしているな?」


黒潮「そうやなぁ」


駆逐棲姫「仕事は今より大変だろう。責任も重大になる」


黒潮「それを司令はんにやらせようとしとんか」


駆逐棲姫「他に適任が居ない。提督にしかできない仕事だ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

黒潮「あのな、司令はんにはキツい役目とか重い責任は負えられへんと思うねん」


黒潮「これまで何度倒れたか知ってるし心配やねん。メンタルかってそれほど強いわけやないし…」


駆逐棲姫「お前は側で遊んでるつもりか?」


黒潮「遊ぶって…なにを言うてんのよ」


駆逐棲姫「必然的に戦闘が減るのだろう。仕事は補佐が増えるとは思わないのか」


黒潮「そんなこと……」


駆逐棲姫「思わなかったようだな」


黒潮「いきなり…言われても無理や」

駆逐棲姫「誰だって最初は無理だ。それをなんとかしろ」


黒潮「司令はんの為やったら…頑張れる」


駆逐棲姫「横須賀鎮守府の秘書艦は皐月で秘書艦代理は漣。新しい組織の秘書艦的なポジションは空いているぞ」


黒潮「…その通りや」


駆逐棲姫「提督の替えはきかない。それを助けるのが提督の為であり本当の意味の恩返しになる」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー横須賀鎮守府


漣「おらおら正確に書きやがれってんですよー!」


黒潮「こんな細かいの…」


潜水新棲姫「あれはなにをしているんだ?」


神通「書類仕事を…覚えようとしているそうです…」


潜水新棲姫「漣が黒潮に教えているのが信じられない」


神通「漣さんに頼るしかないと…黒潮さんは頭を下げたようです…」


潜水新棲姫「それだけ黒潮は真剣だということなのか」

神通「普通に教えてもいいのに…漣さんは警戒もしてるようです…」


潜水新棲姫「そうか黒潮もライバルの仲間入りだからな」


神通「漣さんが警戒するのも…わかります…」


潜水新棲姫「ならワタシはお前を警戒しておこう」


神通「どうして…?」


潜水新棲姫「お前は近いうちに足りないもの鎮守府に戻る。それまでにもう一度提督を襲わないとは限らない」


神通「襲うことなんてしません!」


潜水新棲姫「同意があればヤるんだな」


神通「……」


潜水新棲姫「黒潮もお前も分かりやすくなったものだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

神通「大体あなたは夫……漣さんが雌にされてるのをなんとも思わないんですか?」


潜水新棲姫「ああなんとも思わない」


神通「どうして…」


潜水新棲姫「漣は絶対にワタシの所に帰ってくる。どれだけ寄り道をしたとしてもそれは変わらない」


潜水新棲姫「むしろ寄り道をしたあとの漣は貴重だ。そそるものがあると言える」


神通「変態…」


潜水新棲姫「サキュバスがなにを言う」


神通「次にそれを口にしたら特訓です。引き摺り回してでも特訓です」


潜水新棲姫「ふ、神通の正体を知ったあとだと怖さは全く感じないな」


神通「……」

潜水新棲姫「ハッキリ言うが神通がそうなったのは拗らせたからだ。あれで発散させていたつもりかもしれないが全く足りなかったんだ」


潜水新棲姫「自分を慰めているつもりでも欲は溜まる一方。そんな状態で絶倫の提督と交わればそうなる」


潜水新棲姫「足りないもの鎮守府に戻る前に提督に発散させてもらっておけ。溜まる一方はいいことがない」


潜水新棲姫「自分で慰めるにもコツがある。その辺も提督と何度かすれば気付くだろう」


潜水新棲姫「お前は強いが精神面が弱い。提督も強くはないが夜の精神は凄い」


潜水新棲姫「ワタシの役目は神通がサキュバスにならないように監視だな。精々気を付けることだ」


神通「安価」


下2 神通の台詞やその他起こったことなど

神通「心当たりは無くはありません…気を付けます」


潜水新棲姫「それでいい」


神通「それはそれとして…特訓をしましょう」ニコッ


潜水新棲姫「甘いな」


神通「私から逃げられるとでも…?」


潜水新棲姫「神通だから逃げられるんだ」

ーー鎮守府近海、海底


潜水新棲姫(潜水艦でない限りここまで追ってくるのは不可能だ)


潜水新棲姫(演習場から海底を沿ってここまで逃げる。ワタシにしかできないこと)


潜水新棲姫(神通は対潜が得意じゃない。普通なら気になる短所だが、長所を伸ばし短所は気にならなくなった)


潜水新棲姫(それだけじゃない神通は陸でも強い。理性を削り暴走のような状態になることで更なる強さを発揮する)


潜水新棲姫(まだ完全にコントロールはできていないようだが、神通にとって強力な武器だ)


潜水新棲姫(…こうやってからかうことができるのもあと少しか)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


神通(多少の問題はありましたが潜水新棲姫さんが言うことは筋が通っていました)


神通(自分を見つめ直すいい機会だったと…認めざるを得ません)


神通(潜水新棲姫さんに感謝しなければいけないんでしょうが…)


神通(サキュバスは言い過ぎです…!夜戦が得意なのは川内型の特徴なんです!)


神通(少し我を失ったくらいでそんなことを言われるなんて心外です!)


神通(これは証明する必要がありますね……)

神通(私は提督の部屋の前に居ます。提督にも手伝ってもらってサキュバスなんかじゃないと証明するんです)


神通(今夜は誰も提督の部屋に入っていません。じっくりと夜を過ごせます)


神通(提督に証明してもらったあと、潜水新棲姫さんと特訓です)


神通(海底に逃げるのは想定外でしたが次は対処できます)


神通(汚名を残したまま足りないもの鎮守府に帰れません。自分を見つめ直してちゃんとするんです)


神通(私は以前とは違います…!)


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー提督の部屋


提督「な、なあ神通…俺とは話がしたかったんだよな…?」


神通「むふ、むふぅ…そうです…よ……んふぅ…」


提督「とりあえず一旦落ち着こう、な?」


神通「なにを言って……え…」


神通「私…いつの間に裸……に…?」


神通「それだけじゃなくて…提督に跨りながら……こ…腰を…振っ……て…」


提督「大丈夫だ神通、ちゃんと落ち着こう」


神通「わ……わぁぁぁぁぁ!」

バターンッ


神通「違うんです!私はサキュバスなんかじゃないんです!」ダダダッ


提督「待て神通!服を着るんだ!」


神通「違うんですーーー!」ダダダッ


提督「……行ってしまった」


提督「裸のまま…走り去ってしまった……」


提督「服はたたんでおいて……部屋に持っていくか…」


提督「…これは?」スッ


提督「これはもしかしなくとも神通の下着…それが部屋の前に落ちていた」


提督「部屋に入る直前に……?」


提督「俺はとんでもないモンスターを…眠りから覚めさせてしまったのかもしれない……」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


神通「うう、私、そんなつもりじゃ、なかったのに…!」


白露「裸で走ってるからそういうのに目覚めたかと思ったけど」


村雨「どうやら違うみたいね」


時雨「大事になる前に僕達が見つけて良かったよ」


白露「それで、どうする?」


村雨「話を聞く限り無意識っていうのが良くないわね」


時雨「春雨は自覚してるダメなパターンだけど、無自覚なのも厄介なんだ」

白露「いっちばん性欲の強い提督と初めてだったのが良くなかったかな」


村雨「訓練で気を紛れさせても無駄でしょうね」


時雨「そもそも神通って性欲が強いんでしょ?」


白露「それなのに慰め方が間違ってた。そりゃあ溜まってばっかりって話か」


時雨「一人で満足できるように色々と教えてあげる?」


村雨「もしくは提督に協力を頼むしかないわね」


神通「ううう…」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


神通「ぐ……ぃ…ク…!」


白露「やっぱり神通の弱点はここだね」


村雨「提督も協力してもらった甲斐があるわ」


提督「……」


時雨「お陰で神通の弱点が分かったもんね。開発すれば中に入れなくてもお腹の上から…っと」グリッ


神通「っいぃぃぃん!!」ビクッ


白露「明石に玩具を作ってもらえば大丈夫じゃないかな」


村雨「提督も危なかったわね。これで済んでマシな方なんだから」


提督「…危ないところだった」


ーー

今日はここまでです

ーー大本営地下


整備士「うーん」


吹雪「どうしたんですか?」


整備士「夕立君がなにを伝えようとしていたのか気になるんだ」


吹雪「あの大怪我をしてた駆逐艦ですよね」


整備士「手遅れになるとかなんとか言ってたはずなんだけど、あれから目を覚まさないなら詳細は分からない」


吹雪「放っておくと手遅れなことになるかも…」


整備士「その可能性があるんだ。でも心当たりが無くて困ってるんだよ」


吹雪「夕立さんは重体で意識が戻りません。峠は越しているので容態が急変することは無いんですよね?」


整備士「それは無いと言い切れるよ」

吹雪「関係者の人に確認していけばどうですか?」


整備士「夕立君はロシアに住んでいるんだ。所属も向こうだから詳しいことはよく分からない」


吹雪「もしかして国が絡むような何かが…」


整備士「否定できないね」


吹雪「幹部さんには話しているんですよね?」


整備士「もちろん話したけど別のことで忙しいみたいなんだ。このことは後回しになってるみたいだね」


吹雪「なにかあってからでは遅いのに…」


整備士「幹部さんも忙しい人だから仕方ないのかもしれないよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


吹雪「本当にやるんですか…?」


整備士「幹部さんに聞いたから嘘ではないと思うよ」


吹雪「血を飲んで回復するなんて吸血鬼じゃないんですから…」


整備士「科学では解明できない何かはあるものなんだ」


吹雪「それを貴方が言うんですか」


整備士「色々と見てきたからね。それじゃあやってみようか」


吹雪「…輸血パックです」スッ


整備士「ありがとう」

夕立「……ぅ…」


吹雪「本当に意識が…!」


整備士「気分はどうかな?」


夕立「起こし方は……気に入らない…」


整備士「急いでたから仕方なかったんだ」


夕立「でも……一応…感謝……して…おく……」


吹雪「夕立さん!手遅れになるって話はなんなんですか!?」


夕立「そう…だ……!」ググッ


整備士「起きなくてもいいから話を聞かせて欲しいんだ。僕達で対処をするから」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

夕立「お前は… 能力が受け継がれたと……言ったな…」


整備士「君の子どもにだね」


吹雪「え…?」


夕立「ガキ共は……まだ歯も生えない時から……色々なものに…噛み付いていた…」


夕立「それだけじゃない……隠れて…なにかと……口にしていた…」


整備士「止めなかったのかい?」


夕立「何度も…止めさせようとした……効果が…無かった…」


吹雪「歯が生えてもまだ乳歯ですから大丈夫ですよね?」


整備士「普通ならそうさ。でも現代艦娘の成長速度は早いんだ」

夕立「あの女……龍驤が…」


整備士「彼女がどうしたんだい?」


夕立「向こうで…ガキの……面倒を…」


整備士「そん…な…?」


吹雪「どうしたんですか?」


夕立「手遅れに……」


整備士「大急ぎで確認するよ。吹雪は夕立君を看ていて」ダダダッ


吹雪「え、ちょっと!急にどうしたんですか!?」


下2コンマ 


奇数  ○
偶数  ×
ゾロ目 d

ーー


龍驤「ぁ……え…」


「どこ行った?」


「遠くに行けない」


「脚を食べた」


「外に出てない」


「探す」


「探そう」


「美味しい龍驤」


龍驤(なにが起こったんか分からんかった…けど……今やったら分かる…)


龍驤(あの子ら……ウチの…脚……食べよった…)


龍驤(痛みはあるはずやけど……それより…ショックが上回ってる……)


龍驤(早く…ここから逃げな……次は…腕も…)

龍驤(右脚は……あかん…動けへん……形は残ってるけど…神経が…)


龍驤(右腕だけで……ここから逃げるんや…)


龍驤(あの子らは絶対………傷付けられへん…)


龍驤(偵察機を飛ばして…誰かに気付いてもらうしか……これしか…ない)


龍驤(周りに民家は無いけど……きっと誰かが…見てる………)


龍驤(頼むで……ウチを…助けて…)ビシュッ


龍驤(……偵察の)


「居た」
「居た」
「居た」


龍驤「あ……あぁ……」


「外だった」


「影に隠れてた」


「中じゃなかったね」


龍驤「ごめん……司令官………」

ーー


軍人『わざわざ俺に行けということは何かあるということか?』


軍人『夕立は怪我をしたというのに見舞いよりも先に確認しろとは…なにがある?』


軍人『勲章をもらっていた艦娘が子どもの面倒を見ているのは知っているが、それがどうしたんだ?』


軍人『夕立のことだから無駄なことは考えていないと思うが…』



ギャァァァァァァァァーー!!



軍人『今の声は…!?』


軍人『うちの子どもじゃないが家の方から聞こえていた。何があったというんだ!』

軍人『……外に居たか!おいお前達……ぐ!?』


「パパ」


「これ美味しいよ」


「うまうま」


龍驤「げ……ぇ…」


軍人『なんということだ……これは悪夢だ…そうに違いない……』


「とりにく?」


「腕はそうだね」


「脚より美味しい」


龍驤「ぁ…………」


軍人『神よ……俺が何かしたというのか…?この子達は悪魔の子だと言うのか……』


「美味しい」


「腕と脚」


「両方美味しいね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「……」


龍驤「全部夢やった…」


龍驤「そうや……全部幻なんやで…」


龍驤「あの子らは道を踏み外せへんだし…ウチの手足も食べられへんかった…」


龍驤「ちゃんと躾て…夕立にも喜ばれる……それが正しいんや…」


龍驤「せやから……ウチがベッドに寝てるのも…夢から覚めただけや…」


龍驤「起き上がろうと思えばすぐに起きれる……そうや…なにも難しいことは無い…」


龍驤「なにも……無いんやで……」

龍驤「……なんでやろ…起き上がられへんなぁ…」


龍驤「脚に力…入れへん……」


龍驤「腕にも……力…入らへんよ…」


龍驤「おかしいなあ……全部夢のはずやのに…なんでやろうなぁ…」


龍驤「……」


龍驤「もし夢やなくてもウチは受け入れる」


龍驤「両手足が無くても命はある」


龍驤「ウチの罪がこれで少しでも軽くなればそれでええ」


龍驤「……ええんやで」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「うう」


「龍驤死んじゃうの?」


「そんなつもり無かったのに」


夕立「兎を食べた時はどうなった?」


「死んじゃった」


「でも美味しかったのに…」


「艦娘は食べちゃダメなの?」


夕立「艦娘も人も食べるものじゃない」


「豚も鶏も牛も食べるのに…」


「食べちゃいけないものがあるなんて知らなかった」


「龍驤…」


夕立「アイツは死んでない。だがやったことは忘れるな」


「ごめんなさい…」


「龍驤に謝らないと」


「美味しかったけど…もうやっちゃダメ」

ーー


龍驤「……」


整備士「気分はどうかな?」


龍驤「…夢や無かったんやね」


整備士「……記憶も消しておこうか?」


龍驤「ええよ、忘れたくないんや」


整備士「自分の腕と脚を食べられたことが?」


龍驤「あの子らを躾けられへんかったことや。こんなんで親になれるわけ無かった」


龍驤「いきなり三つ子の世話が大変っていうても、世の中には初めての子育てが三つ子の人もおる」


龍驤「ウチが食べられただけで済んで良かった。あの子らを傷付けへんだのが唯一の救いや」

整備士「あの子達の心は傷付いてしまったね」


龍驤「……そうや、大失敗や」


龍驤「怪我させてもええから逃げるべきやった。あの子らに食べられることは仕方ないと思った」


整備士「多分それだけじゃないよね?」


龍驤「殺されるんやったら……それでええと思ってしまったんや」


龍驤「ほんまにウチはあかん…まだ心のどこかで死にたがってる自分がおる」


整備士「その辺は提督さんと話した方がいいんじゃないかな」


龍驤「そうさせてもらうわ、これからのウチのことについて……」


龍驤「あ…腕と脚ありがとうな。全部治すんやなくて右腕と右脚だけ治してくれて」


整備士「左腕と左脚が無いのが普通だって言ってたからね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

整備士「思うんだけどそろそろ全部治してもいいんじゃないかい?」


龍驤「なんで?」


整備士 「もう禊も済んだ頃合じゃないのかな?」


龍驤「残念やけどそれは無いで。ウチはこれを一生背負っていく」


整備士「提督さんもそれを望んでいるのかい?」


龍驤「ウチのやることは認めてくれる。拒否はしてへん」


整備士「自分の大切な人が五体満足で居てくれれば嬉しいはずだよ」


龍驤「ほんならウチは司令官と別れる。このことを受け入れてくれる人やないと一生一緒におられへん」


整備士「よほど強い思いがあるみたいだね」

整備士「…僕はここまでかな。お客さんが来たみたいだ」


提督「龍驤……」


龍驤「忙しいのに来てくれたんやね。ありがとう」


提督「……」


整備士「もし何かあったらすぐに呼んでね。ボタンを押してくれればすぐに駆けつけるから」バタンッ


提督「生きていて……良かった…」


龍驤「心配かけてごめんな。迷惑もかけてばっかりや」


龍驤「詳しくは聞いてないけど忙しいみたいやね。妻として嬉しい限りやわ」


龍驤「あのな司令官…ウチ艦娘辞めようかと思ってんねん」


龍驤「解体するわけやないけど…ここまでかなって思ってんねん。あの子らに教えてもらったかもしれんわ」


下2. この後の展開やその他起こったことなど

提督「詳しく話してもらえるか…?」


龍驤「そりゃそうやでな」


提督「いくら龍驤の決めた事を尊重するといっても、二つ返事というわけにはいかない」


提督「解体ではなく艦娘を辞めるとはどういう事なんだ?」


龍驤「鎮守府から離れるってことやね」


提督「それは…」


龍驤「司令官と別れるってことやないよ。でも鎮守府におれへんから頻繁には会えれへんようになるかな」


提督「それで…なにをするんだ?」


龍驤「実はな、鎮守府を離れるのは前から考えてたんよ。ロシアに行ってたのはいい機会やったかもしれん」


龍驤「やりたいことが…できた。子どもを育てる。かすみはウチが育てる」

龍驤「家庭に入るって言えばいいんかな?」


提督「解体しないということは、いずれは戻るのか?」


龍驤「その選択肢を残しておきたい…というよりウチの意地かもしれん」


龍驤「艦娘であるウチに価値があると思ってる。安易に解体なんかしたらウチはすぐに首でも吊ると思う」


龍驤「艦娘であることは誇りであり枷であるんや。司令官やったら分かってくれるやろ?」


提督「……」


龍驤「あの子らで学んだ失敗はウチの財産や。それを司令官の為に、未来の為に活かしたいんよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「霞はどうなるんだ?本当の母親から子どもを引き離す事になるんだぞ」


提督「俺としては今のまま、皆で育てていくのが最善だと考えていたが…」


龍驤「それは司令官の考えやろ?ウチはこう考えてる」


提督「かすみと鎮守府を離れるなら霞と相談しなければいけない。俺達のことよりかすみのことが優先されるべきなんだ」


提督「こんなことは言いたくないが……その身体でかすみを一人で守れるのか?」


龍驤「命に替えて守るよ」


提督「それはダメだ。俺はかすみも龍驤も全て大切にしたい。全てが揃って家族なんだ」


提督「龍驤の学んだ事や決意を否定するわけではないが、かすみを育てることが何かの手段になってはいけない」


龍驤「……非の打ち所がない正論やね」

提督「本気で考えていたのか?」


龍驤「霞のことはともかく鎮守府を離れるのは本気やった」


龍驤「あのな…ウチは多分自然には妊娠できへんと思うねん。整備士に中身治してもらったけどそういう問題やない」


龍驤「ちょっと前に聞いたんや。傀儡艦娘の爆弾取り除く手術の他に不妊治療もできるかもって」


龍驤「ウチは傀儡やないけど臓器に違いはない。臨床試験が必要やったらウチを使ってもらおうと思ってた」


提督「それは…つまり……」


龍驤「司令官との子どもを作りたい。その準備をしたかったんや」


龍驤「かすみを育てながらでもできるん違うかと思ったけど、ちょっと頭足りてなかったかもしれんね」


龍驤「ほんまやったらまだこっちに戻ってこれてなかったし…あんなことあって混乱もしてたかもしれん」


龍驤「でも子どもを作りたいのはほんまやで。司令官の家族を増やそな?」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「そうか幹部さんからの話はそんな内容やったんか」


提督「今より仕事は忙しくなるだろう」


龍驤「それはウチらが支えるよ。肝心なのはキミがやりたいかどうかや」


提督「提督という仕事に誇りはある。だがその仕事は俺にしかできないものだとも思う」


龍驤「皆とは離れ離れになってまうで?」


提督「それに後任の提督の問題もある…」


龍驤「それでも?」


提督「…やりたいと思える仕事だ」


龍驤「ほんならやったらええ。臨床試験のこととキミに任される仕事のこと。幹部さんに知らせよな」


提督「あぁ、そうだな」


龍驤「ウチらの…家族の為やからね」


ーー

death ×
double ○

今日はここまでです

ーー大本営


幹部「龍驤君が率先して臨床試験をしてくれるという提案は、正直凄く嬉しいと思う」


幹部「傀儡艦娘に対してだけでなく、艦娘への不妊治療のデータも取れる。これ以上喜ばしいことはない」


幹部「ただ…失敗する可能性がある。そうなると子どもを宿すどころか二度と妊娠できないんだよ?」


龍驤「全部分かってるよ。失敗したらその時はその時やから」


幹部「……提督君との話し合いも終わっているんだね」


龍驤「司令官も納得してくれた。ウチは自然に妊娠するのはほぼ無理やから、これにかける価値はある」


幹部「龍驤君が自然に妊娠できないということは無いと思うんだがね…」

龍驤「ウチの身体のことは自分がよく分かってる。人工的にどないかするしかないねん」


幹部「…臨床試験に参加するということは様々なデータをこちらが記録することになる」


龍驤「なんでも控えてええよ。好きにやって」


幹部「本当に…いいんだね?」


龍驤「ウチらに二言は無い、すぐにでも初めてええよ」


幹部「…分かった。数日中に龍驤君はこちらが用意した施設に入ってもらうことになる」


龍驤「話はちゃんと聞くけど司令官にもちゃんと言うといてね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー?


あ「……」


龍飛「ちくしょう……!」


門番「まだ自我があるんだね」


龍飛「私は認めない……!こんな結末…!」


門番「門の中でどれだけ足掻いても無駄。存在しないものが騒いでも何も変わらない」


龍飛「ふざけるな…!」


門番「自我が消えないと地獄に送れないし早く諦めてよ」


龍飛「永遠に足掻き続けてやる…!もう一度門が開く時まで…!」


門番「諦めが悪いなあ」

門番「地獄に堕ちれば輪廻転生の輪から外れる。お前みたいな魂は永遠に現世に帰ることはない」


「……」


門番「彼女は門を開いたことで満足して自我が消えた。これで地獄に送ることができる」


門番「サヨウナラ」ザシュッ


門番「…貴女も早く諦めてよ」


龍飛「もう一度……現世に…!」


門番「残業代出ないのが辛いなあ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

門番「さっきの子は自らの運命を受け入れた。その覚悟があって門を開いたから当然」


門番「でもお前は違う。自分の欲望の為に人を陥れる者には相応の末路がある」


龍飛「あ…嫌……!」


門番「お前はただの地獄じゃない。無間地獄に堕ちる」


「そんな……私……は…」


門番「サヨウナラ」ザシュッ


門番「…終わった終わった」


門番「あとはこの魂を地獄に堕とせば仕事は終わりっと」

ーー


ギャアアアァァァ…


イギャァァーー…


門番「地獄はいつ来ても賑やかですねっと」


「」


門番「貴女はここ。ただの地獄でよかったね」


門番「さて残るはコイツ。ここから無間地獄は遠いけど、門を開けられたから自分で行くしかない」


門番「……面倒くさいなあ」

ーー


……


門番「無間地獄にまで来ると途端に静かになる。叫ぶ余裕すらないんだろうね」


「ああ、あ……」


門番「形を保ったままここに居るのは珍しい」


「パパ……ママ…あたい……」


門番「へえ、自分じゃなく身内の業を背負ってるんだ」


「パパ……ママ…………」


門番「身内せいで無間地獄行きなんて何したんだろ。ただの門番には関係ないけど、仕方ないよね」


門番「はい、お前はここで苦しみなさいっと」ポイッ


「」


門番「これで終わり…業務に戻りましょうっと」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー横須賀鎮守府


龍驤「これで準備は終わりやね。あとは…」


漣「お、間に合ってよかったですな。龍驤さんにお手紙ですぜ」


龍驤「わざわざ手紙やなんて誰からよ?」


漣「見たら分かりますよ~」


龍驤「……あの子らか」


漣「軍人さんからもバカ丁寧な手紙をもらってます。龍驤さん個人ではなく横須賀鎮守府に宛てて来てました」


龍驤「なんて書いてあった?」


漣「とりあえず謝罪と…どうしても知りたいですか?」


龍驤「やっぱり良くない内容やったか…」


漣「子どもは施設に預けるとか夕立とは別れるかも…そんなことが書いてありましたよ」


龍驤「ウチのせいでまた迷惑かけてしまったんやね」


漣「こうなるなら三つ子を爆撃して無理矢理止めておけばよかったですねぇ」

龍驤「あの子らには幸せになって欲しい。この手紙を見たら余計にそう思うわ」


漣「辿々しい字ですけど、ちゃんとごめんなさいって書いてありますね」


龍驤「…なんとかしてあげたいわ」


漣「他人の夫婦間にまで入ろうとしないでください。今は臨床試験に備えてろっつうんですよ」


龍驤「もし…夕立から連絡来たらウチのおる場所教えといてな」


漣「それくらいはやりますぜ」


龍驤「ありがとう、ほな行ってくるわな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


整備士「やあまた会ったね」


龍驤「そりゃアンタが責任者やでな…」


整備士「こんなことができるのは僕くらいだしね。協力感謝するよ」


龍驤「失敗しやんといてや…?」


整備士「大丈夫だよ僕に任せて。それと言っておかないといけないんだけど、同室の艦娘がいるんだ」シャッ


夕立「……」


整備士「夕立君は身体の検査をしてるんだ。能力は殆ど残っていないけど色々とデータが欲しいからね」


整備士「怪我もまだ全快じゃないから暴れたりしないで大人しくしててね」ガチャッ


龍驤「言うだけ言うて行ってしまいよった」

夕立「……」


龍驤「あー夕立…ちゃんと話すのは久しぶり?」


夕立「……」


龍驤「気まずいのは分かるけど他にすることも無いし、ゆっくり喋ろうや」


夕立「……」


龍驤「ごめんな……あの子ら…躾けられへんで」


夕立「お前は悪くない」


龍驤「もっと強く言うてたらとか、ほんまはアカンけど手を出して止めてたらとかずっと思ってんねん」


龍驤「あの子らからの手紙読んだ…反省してたみたいやからそんなに怒ったらんといてな?」


夕立「……」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

夕立「軍人とは……別れるつもりっぽい」


龍驤「それはアカンよ、あの子達はどうなるん?」


夕立「全員…施設に入れるっぽい」


龍驤「自分で産んだ子やろ?それやのに…」


夕立「あの国は現代艦娘なら喜んで欲しがる。夕立の所に居るよりいい教育が受けられるぽい」


龍驤「それはそうかもしれんけど、あの子らが幸せになるとは限らへん」


龍驤「子どもと親は一緒におらなあかん。離れ離れは辛いんやで」


夕立「それはお前に子ども達を押し付けていた嫌味か」


龍驤「そうや」


夕立「……」


龍驤「なんて言うわけないやろ。ウチが面倒見てたのはある程度あの子らが育った後や。一番大変な時期はアンタがちゃんと育ててあったね」

龍驤「でもな、大事な時期が終わっても子どもから離れたらあかんよ。確かにウチが面倒見てたけど、いつでも帰ってこれたやろ?」


龍驤「施設なんかに預けたらあかん。二度と会えれへんようになる」


龍驤「それに軍人さんと別れるのもあかんよ。よっぽどのことが無い限り一緒におった方がええ」


夕立「腕と脚を食べたのはよっぽどの問題っぽい」


龍驤「それは受け取り方次第や。退院したら軍人さんと話し合わなあかんで?」


夕立「もう……いいっぽい」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「よくあらへん。よっぽどの問題やと思うんやったら、ウチの意見も汲み取ってもらわなあかん」


龍驤「ちゃんの責任とってあの子らの成長を見守るんや。 それがウチに対しての責任やで」


夕立「……」


龍驤「いつもやったら部外者だとか言えるけど今回は言われへんわな。ウチは思いっきり当事者や」


龍驤「…あの子ら脚を食べた時は骨はそのままやった。脚の骨は太いから噛み砕けれへんかったんや」


龍驤「それに比べて腕の骨は細い。噛み付いたと同時にベキッて音が鳴って噛み砕かれたんよ」


龍驤「血があんまり出ぇへんと思ってたけどあの子らが啜ってたんやな。神経もブチブチいいながら千切れていってたわ」


龍驤「記憶は消してもらってないから鮮明に覚えてるよ。自分の一部が食べられていく様子は忘れられへん」


夕立「やめろ……やめてくれ…」


龍驤「それやったらちゃんと三つ子ちゃんを育てり」

龍驤「あの子らはウチを美味しそうに食べてた。ご馳走を食べるみたいに罪悪感なんて無かった」


龍驤「あれは夕立が元々持ってたもんなんやろ?それやったら責任持ってちゃんと教えたって」


龍驤「軍人とも別れたらあかん。それはあの子らにとっていい選択肢やない」


龍驤「軍人か子どもに原因があるんやったら仕方ない。けどそのどっちでもないんや」


龍驤「うんって言わへん限り、三つ子に食べられた様子を永遠言い続けたるからな。覚悟しときよ!」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

夕立「わかった…わかったからもうやめろ!」


龍驤「よーく軍人さんと話し合うんやで」


夕立「……おい、血を啜ったって言ったぽい?」


龍驤「言うたけど?あの子らは美味しそうにジュルジュルウチのを…」


夕立「お前は何ともないのか?何かしら無くなったような感覚は?」


龍驤「今のところは無いけど?」


夕立「なら捕食だけを受け継いだ…?でも夕立からは能力は殆ど消えていた……」


龍驤「何か難しいことを考えとるみたいやけど、能力関係の話はよぉ分からんわ」


ーー

今日はここまでです

ーー


整備士「龍驤さんにやる臨床試験の内容は体外受精だね。精子と卵子を取り出して人工的に受精させる」


整備士「受精卵を龍驤さんに着床させて…っていう話なんだけど資料は読んでくれた?」


提督「ああ」


整備士「ならそれでいいよ。僕からはそれ以上の説明はできないから」


提督「成功率はどうなんだ?」


整備士「全く分からない。傀儡艦娘に準備してた技術を使うし、艦娘と人間は妊娠率も違う」


整備士「一つ言えるのは、失敗しちゃうと龍驤さんは二度と妊娠はできないだろうね」


提督「やはりそうなのか…」

整備士「僕が居るなら子宮を作り直せばいいって話になるけど、この方法は何度やってもダメだと思う」


整備士「艦娘が子どもを産めるのがおかしいっていうのが、自然の摂理なのかもね」


提督「……」


整備士「受精させる前に提督さんの精子を調べさせてね。もう一人妊娠させてるから問題無いのは分かってるけど、念の為にね」


整備士「もし龍驤さんの卵子に異常があるならすぐに知らせるから。それじゃあお願いね」


提督「龍驤と俺の子ども…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ピピピピピ…


提督「どうした…?」


整備士『ああごめん龍驤さんに異常は無かったよ。連絡したのは報告って感じかな』


提督「龍驤に異常は無かったんだな、それならいい」


整備士『異常は無かったんだけど気になることがあった。それは提督さんだよ』


提督「俺……?」


整備士『凄いよ提督さんのは。相手が艦娘じゃなかったら確実に妊娠しちゃうくらいだったよ』


提督「そんな報告はいらない……」


整備士『いやぁ本当に凄いよ、これは誇っていいよ』


提督「……」


整備士『避妊してても手についたり、脚にかかっただけで妊娠しちゃうかもしれないから気をつけてね』


提督「緊急の用じゃないならもう切るぞ。客人が来ているんだ」ガチャッ

提督「野暮用は終わった、話し合いをしようじゃないか」


幼女提督「……」


提督「そっちが言う通り人払いは済んでいる、この部屋には俺と幼女提督しか居ない」


提督「いっておくがもう交渉はできない。下着は全て返しているしな」


提督「認めたくはないが暫定処理として幼女提督の存在は認められた。これ以上求めるものは無いはずだ」


幼女提督「……」


提督「祝辞なら受け取ってやるが…なにをしに来たんだ?」


幼女提督「安価」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

幼女提督「勉強……教えてくれ」


提督「どういう風の吹き回しだ?」


幼女提督「……」


提督「いっておくが俺は忙しいんだ。教えさせてやると言うならこちらから断る」


提督「ハッキリ言ってお前とは関わりたくないのが…」


幼女提督「提督の勉強……教えて…下さい……」


提督「…毒でも食べたのか?」


幼女提督「……」


提督「教えてくれというのなら教えるが……気味が悪いな」

ガチャッ


漣「もう入っていいんすよね?」


幼女提督「……」


漣「ほう、とうとう誘拐しましたね」


提督「状態は幼女提督だけにしてくれ」


漣「なにが目的なんすか?」


提督「提督として学びたいことがあるらしい」


漣「ほぉん…信用できませんな」


提督「俺もだな」


幼女提督「……」


漣「常に見張りをつけとくんでご主人様は安心してて下さいね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー書庫


幼女提督「……」


潜水新棲姫「なんだか今日は人が多いな」


漣「勉強するのは悪いことじゃありませんからね~」


潜水新棲姫「あの幼女は要注意なんだな」


漣「よーく見張ってないといけないヤツですね」


潜水新棲姫「ふーむ…しかしこの光景はあれだな」


漣「漣もそう思ってました」

漣「ここだけ切り取ると小学校みたいですな」


提督「……」


潜水新棲姫「提督とのプレイ用に買ったランドセルを背負ってくるか?」


漣「まだ処分してなかったんすか?」


提督「下手に茶化すのはやめてくれ」


潜水新棲姫「興奮するからか?」


提督「……」


漣「ご主人様は良い意味でも悪い意味でも変わりませんなぁ~」


潜水新棲姫「ロリコンの治療法の本が無いか探しておくか」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「幼女提督について報告です」


提督「どうだった?」


漣「別人かと思うくらい真面目に勉強してました」


提督「むう……」


漣「なにか心当たりはありますか?」


提督「何も無いから困っている」


漣「なにかあったんでしょうけど、できればこっちを巻き込んで欲しくはないですね」


提督「そうだな」


漣「幼女提督はこのまま監視しつつ放置でいいですね?」


提督「頼む」


漣「ガッテンですっと」

提督「龍驤のことだけを気にしていたいが、そうも言ってられないか」


提督「幹部さんに打診されている次の仕事のこともある……ここにきてストレスが増えてきたな」


提督「霞に会いに行って……といいたいがまだ仕事が残っている」


提督「これくらい楽にこなせないと次の仕事はもっと忙しくなる。龍驤に合わせる顔がない」


提督「子を産むことはなによりも大変な仕事で…」


提督「いや気が早いか。まだ妊娠すらしていないんだ」


提督「今は整備士に任せるしかできないというのがもどかしいな…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

コンコン


提督「…どうぞ」


神通「提督……」


提督「…」ガタッ


黒潮「構えんでも大丈夫やで司令はん」


提督「……ふう」


神通「私…まだ警戒されてるんですか…!?」


黒潮「あんだけ司令はんを搾り取ったんやからしゃあないわ」


神通「うう…!!」


黒潮「身体で癒すのもええけど今日は違うねん。忙しいんやったらうちらを頼り」


神通「……そうです」

黒潮「うちは司令はんについていくんやで、勉強も一緒にしよな」


神通「私も…お手伝いさせて下さい…」


提督「…そうだな。甘えさせてもらおう」


黒潮「司令はんにしかできへん仕事もあるけど、それ以外は任せたらええよ」


神通「幼女提督の監視も…任せて下さい…」


提督「ならこの仕事は神通に。この資料は黒潮と共有しておこう」


黒潮「その調子やで司令はん、一緒に頑張ろなぁ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ピピピピピ…


神通「え…?」


提督「哨戒中の艦娘から緊急通信だ!状況はどうなってる!?」ガチャッ


隼鷹『敵さんがお出ましだね~中程度の規模で空母は無し』


提督「潜水艦はどうだ?」


隼鷹『……不知火によると感度無し。戦艦の数が多いから引き上げるけどまずい?』


提督「いや全速力で帰港してくれ。あとはこちらの仕事だ」


隼鷹『はいよ~』


提督「こんな時間に敵襲とはな…急いで編成を考えるか」

バタンッ


幼女提督「……」


提督「なんだ邪魔をしないでくれ」


幼女提督「指揮を…見せて」


黒潮「あのなぁ遊びと違うんやで?」


提督「いや、いいだろう」


黒潮「ほんまに?」


提督「彼女は指揮の経験が紛いなりにもある。それに指揮が見たいだけなら拒否する必要もない」


神通「提督……私が出ます…」


提督「最適な編成を考える。神通は一旦待機をしていてくれ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「秘書仕事で身体が鈍ってるんで出撃したいですねぇー」


黒潮「うちも改二の実力を実戦で試したいわぁ」


瑞鶴「たまには私達にも出番が欲しいんだけど?」


提督「わかった、瑞鶴と加賀には出てもらう」


加賀「やりました」


提督「瑞鶴を使うなら同型艦は使えない…やはり神通を使うか」


提督「相手は戦艦数隻…現状の最大戦力のアイオワは出せない。それを考えると……」


幼女提督「……」

幼女提督(強い相手には強い艦娘を使っとけばいいもんじゃないのか…温存する理由はなんなんだ?)


提督「予備戦力は残しておく必要がある。それを考えるとやはり…」


幼女提督(予備…戦力……?考えたこともなかった…)


幼女提督(自覚はしてたけど足りないものが多過ぎるな。いつまでも艦娘頼りじゃ無理だ)


幼女提督(ゴリ押しの指示を出してあとは現場の艦娘が上手い具合に倒す。これじゃ提督の意味がない)


幼女提督(白雪が変な病気にかかって現場の作戦指揮がボロボロ。深海棲艦の動きが大人しいうちに技術をパクりまくってやる)


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣『戦闘終了です!こちらに被害はありません!』


提督「油断せずソナーに気を配りながら帰港してくれ」


漣『アイアイサー!』


幼女提督(あっという間に倒しやがった。うちの鎮守府ならそこそこ苦戦する規模だっていうのに)


幼女提督(練度の違いはあるがコイツが艦娘にどれだけの力があって、どこまでなら実行できるのかを理解してるのが大きい)


幼女提督(それに艦娘は指示を聞いて即座に行動してやがる。よっぽど信頼されてんだなこのロリコン)


幼女提督(信頼……お互いの関係が作戦を実行させる鍵になるとは思いもしなかった)


幼女提督(覚えただけの知識じゃあ意味がない。まず基本がなって無かったってことか)


幼女提督(こっちが艦娘を信じない限り向こうも提督を信じない。言葉にすれば当たり前のことか)

幼女提督「……分かった」


提督「なにがだ?」


幼女提督「世話になった。とりあえず帰る」


提督「もう夜中だ今から帰るのはやめた方がいい」


幼女提督「……」ぬぎぬぎ


提督「……」


幼女提督「おら、脱ぎたてだ。これが欲しかったらタクシー呼べ」


提督「……」


幼女提督「タクシー代は前払いしとけ。店で脱ぎたて買うより安いもんだろ」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

提督「そんなものはいらない」


幼女提督「お前正気か?ヒトケタ幼女の脱ぎたてほかほか下着だぞ?」


提督「そうだ幼女を夜中に一人で帰らせるわけにはいかない。たとえタクシーでもダメだ」


幼女提督「おい……どうしたんだよ…?」


提督「幼女提督は一応提督として認められたんだ、極力危険を避ける義務がある」


幼女提督「違う…コイツは知ってる提督じゃない……使用済み下着を貰ってぶっかけたあと、律儀に返してきたロリコン野郎
じゃねぇ……」


提督「同じ提督として忠告しているんだ」


幼女提督「もういい…なんだか気分が悪くなってきたからもう寝る……こんなことって…あり得ねぇ……」


ーー

今日はここまでです

ーー


龍驤「ウチにも司令官にも問題はなかったんやね」


整備士「だから臨床試験を始めていくね。やることは人間とほとんど変わらないよ」


整備士「ただ艦娘の子宮は極端に着床し辛いんだ。そこで新しい技術を君で試す」


整備士「子宮の一部に外科的な処理を施して、受精卵をそこに持っていく」


整備士「考え方によっては子宮を傷付けることになるけど、治療として確立できると思う」


整備士「とは言ってもまだ証拠はないから何か不具合が出るかもしれない。それも含めて臨床試験だけどいいんだよね?」


龍驤「このタイミングで妊娠できれへんかったらもう無理やと思ってる。最後のチャンスにかけるよ」

整備士「受精卵は準備できてるからあとはそっちのタイミングだけど、どうする?」


龍驤「いつでもええよ」


整備士「なら麻酔をするから暫くゆっくりしててね」


龍驤「…これが最後や。ウチは自然には妊娠できへんからこれしかない」


龍驤「そんな身体にしてしまったのはウチや。男遊びを繰り返したからそんな身体になってしまうんや」


龍驤「でもこれやったら望みはある。これなら司令官との子どもを…」


龍驤「絶対司令官の子どもは産むからな…待っててな司令官……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「ん……」


整備士「終わったよ。結果が出るのは一週間後かな」


龍驤「一週間…」


整備士「それまでは安静にしててね。激しい運動なんかは特にやめておいて」


龍驤「うん……」


整備士「龍驤さんの場合、移動するだけで体に負担がかかっちゃうから気をつけてね」


龍驤「わかった……」


整備士「今日はこのまま寝てていいよ。また明日に迎えに来てもらって」


龍驤「そうするわ…」

龍驤「まだ麻酔でボーッとするし…実感ないわ…」


龍驤「でもウチの中に司令官の…入ってるんやね…」


龍驤「絶対……うまくいく…司令官との子ども…」


龍驤「失敗は…考えれへん……考えへんよ…」


龍驤「ウチに罪はあっても…司令官にはない……司令官が苦しむはずないんや…」


龍驤「待っててな司令官…ちゃんと子ども……産むから…」


龍驤「せやからもうちょっと……待ってて…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


整備士『龍驤さんへの手術は成功したよ』


提督「そうか…よくやってくれた」


整備士『結果が出るのは一週間後だから、彼女は安静にさせてあげてね』


提督「もちろんだ」


整備士『龍驤さんは歩くだけでも身体の負担になるからね。できるだけ移動は控えてね』


提督「移動する時は車椅子を使う予定だった」


整備士『それなら大丈夫。完全に動かないのは無理だからね』

整備士『龍驤さんはどうしても身体を治したくないみたいだし、ちゃんと気を使ってあげてね』


提督「……」


整備士『どうしたの?』


提督「仮の話なんだが、身体を治した時とそのままにした時。妊娠や出産に差は出るか?」


整備士『顕著に出るよ』


提督「……」


整備士『具体的な数字を出すなら三割は違ってくるかな』


提督「そう…か」


整備士『思うことがあるなら話し合った方がいいよ。迎えに来てあげた時にでも言ったらいいよ』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「お迎えありがとうやで司令官」


提督「ああ…」


龍驤「一週間後が楽しみやなぁ」


提督「……」


龍驤「どなしいたん?なんか変な顔しとるけど」


提督「俺は龍驤の思いは最大限尊重したいとは思ってる」


龍驤「ありがとうな」


提督「左腕と脚を治すつもりはないか?」


龍驤「……」

提督「龍驤のとの子どもの為には治して欲しいと思っている」


龍驤「親が障害艦娘やと嫌?」


提督「そうじゃない。このままだと三割もお腹の子に影響が出るそうだ」


龍驤「……」


提督「俺は龍驤と子どもの両方を大切にしたい。決してどっちかじゃないんだ」


龍驤「この腕と脚を治すのはウチを否定することになる」


提督「そうは言って……言ったのも同じなのか」


龍驤「この腕と脚があってウチなんや。それは譲られへん」


提督「……」


龍驤「治せへんかったせいで子どもがあかんようになったら……司令官に任せるよ。司令官の子どもやったら誰でも産みたいって言うやろし」


龍驤「簡単には治すつもりはないよ。それだけは知っといてな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「……」


龍驤「……」


提督(結局龍驤とは帰る道中で一言も会話をしなかった。命に関わる問題なのだから簡単に済む話じゃない)


提督(授かった命に対して最善を尽くさず、駄目だったら代わりがなんて話は本来は無い)


提督(子どもの命は親の物じゃない。今回がダメだったから次なんてもっての外だ)


提督(龍驤にも譲れないものがあるのは分かるし、言いたいことも理解できる)


提督(そもそも失った手足が元に戻ることがおかしいんだ。整備士に頼り過ぎている)


提督(本当なら整備士は居ない。そう思えば腕と脚を治すだなんて…)

龍驤(…言わへんとか思っとる顔やなこれは。ウチが言いたいのはそこじゃないねん)


龍驤(そもそも今は義手や義足の技術が発達しとる。今よりいい義手なんかお金を出せば手に入るねん)


龍驤(北上との約束もある。ウチはアイツの作った義足しか使えへん)


龍驤(司令官…多分その約束忘れとるやろうな。北上は一生ウチの義足作るとかって話)


龍驤(司令官はやっぱり子どもに固執し過ぎとる……妊娠してんのが分かったら姿くらましたろかな)


龍驤(霞がやってたみたいに少しの間だけマンション借りて…明石の力も借りたろかな。あいつアパートか何かに逃げとった時あったやろ)


龍驤(何人かには事情を話しとく必要はあるけど誰にするかやな…今から悩まなあかんわ)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー霞の部屋


霞「うーん……」


かすみ「だぁ」


霞「司令官も龍驤さんも、お互いに考えてることが噛み合っていないわね」


霞「厄介なのはどっちもある程度筋が通っていること。こうだって思い込んでるから修正は難しいわね」


霞「こう考えると私の妊娠と出産はスムーズにいったわね……」


霞「そりゃ多少揉めたり問題は起こったけど解決の糸口はあった。けど今回はそうはいきそうに無い…」


霞「どうすればいいのかしら…司令官に寄ると龍驤さんは良い顔しないし、龍驤さんに寄れば司令官が落ち込む」


霞「これは困ったわよ……」


かすみ「んだぁ」

霞「……一か八かしかないかしら」


霞「私が二人目を妊娠したかも……って騒げば二人の注意は私に向く」


霞「でもハイリスクよね…それなら龍驤さんは三人目はいらないって言って、平気で堕ろしそうだし」


霞「司令官も落ち込むどころの騒ぎじゃないわよねぇ…」


かすみ「だ、だぁ」


霞「よしよし……さて、どうしましょう」


霞「正攻法でいくなら司令官から話して次に龍驤さん。逆は良くないわ」


霞「ハイリスクハイリターンなのは私の妊娠騒ぎ……うぅぅぅん…」


霞「一週間以内にこれを決めないといけないのね…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「……」


龍驤「……」


霞(二人には私の考えを話した上で会話の場を作ろうと提案したわ。とりあえず来てくれたから事態は進みそうね)


霞(一時凌ぎじゃ根本的な解決にならない。結論を先延ばししても結局同じこと)


霞(司令官が龍驤さんを思う気持ちは嫌というほど分かる。家族に固執して拘るのも同じ)


霞(それに比べると龍驤さんは……あくまで司令官の為に子どもを作りたいと考えてる。そんな状態で子どもに愛情を注げるの?)


霞(私は…違った。子どもは司令官との繋がるための道具だと思ってたけど……)


霞(いざ産んでみるとそんなことは無かった。気が付いたらどんな時でも子どもを優先するようになってた)


霞(龍驤さんも同じことが起こるかもしれないけど…希望的観測かしら)

龍驤「……腕と脚は治さんよ」


提督「子どもと龍驤のことを思えば…」


霞「はいはい勝手に話すの禁止!全く噛み合ってないんだから永遠に結論は出ないわよ!」


提督「……」


霞「まずは私が二人に言いたいことを言っていくからそれの答えを考えて。すぐに答えられなくてもいいから」


霞「これは司令官と龍驤さんだけの問題じゃないの。結論ありきで話し合いは進まないわよ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

霞「龍驤さん。貴女の過去への負い目や北上との約束がある事はよくわかってるわ」


霞「でも全く妥協しないことが、新しい命を見殺しにする可能性に気付いてる?」


龍驤「……」


霞「守るべき存在を危険に晒して取り返しの付かない事になる……どこかで聞いた話じゃない?」


霞「次は司令官ね。腕と足が無いことは不妊の原因にはならないのは分かってる?」


提督「もちろんだ、俺が言ってるのは…」


霞「リスクの問題でしょ。三割だって言ってるけどなにを根拠にした三割かちゃんと聞いたの?」


提督「……」


霞「身体への負担の話ならもっと良い義肢で内臓への負担を減らすことはできるわよ」


霞「ねぇあなた、整備士の言葉だけに流されてない?冷静な判断はできてる?」


霞「今まで流されるままになった結果はどうだったか言える?」


提督「……」


霞「二人とも結論ありきで話を聞く気が無いのよ、まずはそれをやめて」


霞「このままじゃ子どもを作るのはまだ早いって言われるのがオチよ。お互いによく考えて!」


ーー

今日はここまでです

ーー


整備士『三割っていうのは義足と義手のままならってことだよ』


霞「なにがどう違うの?」


整備士『義足で歩くと内臓への負担が増える。これは僕が実験して得たデータだから間違いないよ』


霞「仮に脚だけ治すとどうなの?」


整備士『それだと二割かな。腕がない分バランスが悪いから身体には良くないよね』


霞「義手をつけるのよ?」


整備士『24時間付けるわけじゃないでしょ?もしそんなことしたら身体へのストレスが凄いことになっちゃうからね』


霞「そう……」

整備士『起きてる間は高性能の義足と義手を付けて過ごしたとして…良くて一割かな』


霞「完璧に治す以外にはリスクがあるのね」


整備士『もちろんだよ。そもそも出産に耐えられるか分からないし』


霞「え…」


整備士『まあお腹を開いて取り出せば問題無いけどね。そこは大きな問題じゃない』


整備士『僕が協力するんだから治した方がいいとは君にも言っておくよ。もし不幸なことがあれば彼女は二度と立ち直れないと思う』


霞「その心配はしてないわ」


整備士『そうなの?』


霞「もし子どもが流れたりしたら……死ぬと思うから」


整備士『ふーん大変なんだね』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

整備士『ところでそっちにタシュケント君を派遣してもいいかな?龍驤さんに何かあった時に役立ってくれると思うよ』


霞「何かあってからじゃ遅いと思うけど…」


整備士『応急手当でなんとかなるかもしれない。実はもうそっちに向かってるからお願いね』


霞「用意がいいわね…」


整備士『臨床試験は成功して意味がある。つまらないことで失敗なんかしたくないんだ』


整備士『概要はタシュケント君も知ってるから彼女に任せるといいよ。じゃあ頑張ってね』


霞「本当に大丈夫なのかしら…」

ーー龍驤の部屋


タシュケント「霞から聞いてるよね?あたしも手伝うよ」


龍驤「ん……」


タシュケント「ついでだからって教えてもらったんだけど、腕と脚のことで揉めてるみたいだね」


龍驤「他人が入ってこやんといて…」


タシュケント「あたしも関係者だから首を突っ込むよ。普通なら治すと思うけどな」


龍驤「ウチのことを知ってる…あんたでもか」


タシュケント「だってそれとは関係ないでしょ?あたしは人や艦娘を殺してた過去はあるけど、この治療とは関係ない」


タシュケント「なんでもかんでも関連付ければいいとは思わないけどなぁ」


龍驤「……勝手に言うといて」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「あんたにやったら言える…… 五体満足になってしまったら…喉元過ぎればで……」


タシュケント「昔の自分に戻るかもって話だね」


龍驤「……そうや」


タシュケント「これは自分の心の強さじゃないかな。あたしはどんなことがあっても、もう殺そうとは思わない」


龍驤「ほんまか?」


タシュケント「え?」


龍驤「この先自分の大切な人が出来て、その人が惨殺されても同じことが言えるか?」


タシュケント「……」


龍驤「ウチが言うてるのはそういうことなんや」

龍驤「子どもの世話がひと段落して自由な時間ができたら…ウチは同じ過ちを繰り返すと思う」


龍驤「ウチには目に見える枷が必要なんや」


タシュケント「自分の都合で子どもを危険に晒すんだね」


龍驤「そうや」


タシュケント「開き直りは感心しないよ」


龍驤「司令官の為に子どもを産むんや、少しくらいウチのわがまま聞いて欲しいわ」


タシュケント「君には子どもを産む資格は無いんじゃないのかな?」


龍驤「……うるさい」


タシュケント「子どもは夫婦のどちらも欲しいと思わないと作る意味がないと思うんだ」


龍驤「欲しいよ子ども。司令官の子やったら産めるだけ産みたいわ」


タシュケント「……相変わらず難しいね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


タシュケント「龍驤さんがこんなことを言ってたんだ」


提督「…そうか」


タシュケント「自分の都合の為に誰かを危険に晒すなんて。同じことを繰り返さない為に、また同じことを繰り返すのは矛盾してると思うよ」


提督「俺もそう思う」


タシュケント「なら止めるべきだよ。彼女の腕と脚を再生させないと」


提督「それは…難しい……」


タシュケント「どうしてだい?」


提督「龍驤の言う枷が……分かってしまうんだ」


提督「俺も龍驤もまだ未熟だ、目の前に誘惑があれば乗ってしまう」


タシュケント「子どもが生まれてもかい?」


提督「自信が…無い……龍驤が浮気すれば別れればいいんだろうが…それができない……」

提督「左腕と脚が元に戻っても龍驤を愛せる。だが龍驤はそうは思わないかもしれない…」


タシュケント「信じられないの?」


提督「信じたい!信じる自信はあるが……」


タシュケント「百人以上と遊んでた緩い女は簡単には信用できないよね」


提督「俺は龍驤を…」


タシュケント「…やっぱり子どもは早かったんだよ。今の二人が子育てという壁を乗り越えられると思わない」


タシュケント「周りが支えたとしてもいつか終わりが来る。そうなったら提督は全てを失うよ」


タシュケント「霞との間に既に子どもはいるし…そっちに集中した方がいいっていうアドバイスをしたくなるよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

タシュケント「とはいえ既に施術はしてしまったからね。自分たちができる範囲のことはしなければならない」


タシュケント「君は彼女をどうしたいんだい?」


提督「龍驤は大切な存在で…家族で……俺の全て…」


タシュケント「彼女との子どもは必須じゃないんだね」


提督「子どもは…欲しい……」


タシュケント「どっちもは無理なんだ。彼女は腕と脚を治すつもりは無い、だからそのつもりで生きなきゃいけない」


タシュケント「無事に妊娠できたとしても今の身体じゃ危険なまま。でもそれを受け入れるしかない」


タシュケント「彼女が信頼できないから枷を付けたまま。これでいいじゃないか」


提督「……」


タシュケント「もちろん成功する可能性もあるよ。そうなったら一番いいんだけどね」

タシュケント「第三者から言わせてもらえるなら、あんな女を選んだ時点でこうなるのは分かっていたんだよ」


タシュケント「改心したとしてもそれは一時的なもの。本質までは変わらないんだ」


タシュケント「何人も殺したあたしだから分かる。クズはどうやってもクズなんだ」


タシュケント「クズには生きる価値が無い」


提督「龍驤は…違う」


タシュケント「違うなら信用できるでしょ」


提督「それは…」


タシュケント「彼女から枷が無くなれば終わってしまう。ならこのまましか選択肢はない」


タシュケント「君が折れるしかない。彼女との駆け引きは最初から勝てないんだよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

タシュケント「じっくり…といっても一週間しかないけどね。『しっかり』考えるといいよ」ガチャッ


提督「……」


「君はどう思う?良かったら直接言ってあげたらどうかな」


バタンッ


漣「ご主人様」


提督「……聞かせてくれ」


漣「今のようにごっこならともかく、本当の母親になる資格はあの女には無いと思います」


提督「……」


漣「あんな女に育てられた子どもはロクな大人になりませんし、不幸になるに決まっています」

漣「それでもご主人様が望むのなら、全力でサポートはするつもりです」


提督「……そうか」


漣「ご主人様…龍驤さんと別れませんか?家族のことを思うなら大事な選択肢だと思うんです」


漣「その代わりに漣をなんて言いません。ご主人様は既に理想の奥さんを捕まえています」


漣「霞ですよ」


漣「霞ならご主人様を受け止めることができますし、子どももまだ産めます。ご主人様が思い描いていた家族像に近いんです」


漣「霞にも危なっかしい所はあります。でもそれはカバーできる範囲内なんです」


漣「あの女は……無理です。抱えている闇も廃れた本質もご主人様の手には負えないんです」


漣「鎮守府にいる間は今まで通りでいいんです。ご主人様が次の仕事をやるにしても霞と龍驤を連れて出て行けばいい」


漣「だだ違うのは正妻、籍を入れるのが霞であること。こうすればご主人様は幸せになれるんですよ」


提督「安価」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「ここまで来て龍驤を捨てるという事は…俺のこれまでの全てを否定する事になる」


提督「龍驤は俺の全てだ…俺の…全てなんだ……」


漣(そうか…同じなんだ……提督も龍驤も…)


漣(旧大本営とやり合って勝利した。でもそれを改めて思い返すと絶対に勝てない試合だった)


漣(外から不思議な力でも働かない限りどうやっても無理…それを可能にしたのが……)


漣(提督と龍驤が居たから不可能が可能になった。どちらかが欠けていれば全て終わっていた)


漣(この二人は離れられない…離れた瞬間……終わってしまう…)


提督「龍驤……」


漣(共依存なんて可愛い言葉でしかない。この二人は複雑に絡み合ってほどけることがない)


漣(これを解消しようとするなら……根元から…二本とも切るしか無い)


ーー

今日はここまでです

ーー


整備士「さて、あれから一週間になるけどどうかな?」


龍驤「うん…」


整備士「色々あったみたいだけど安静にはしてたみたいだね。話は聞いてるよ」


龍驤「早く検査して…」


整備士「そうだね龍驤さんはその為に来てくれたんだ。急いで調べるよ」


龍驤「……なあ整備士さん。ウチの腕と脚…」


整備士「その話はまた後にしよう。今は妊娠してるかどうかを調べるのが優先だからね」


龍驤「……」

龍驤(子どものことを思うんやったら腕と脚は治すしかない。けどそうなったらウチは…)


龍驤(いや…考えるのはやっぱり後回しや。妊娠してなかったらもうこれで終わりなんから)


龍驤(司令官は霞と出会えてほんまに良かった。霞にはどう足掻いてもウチは勝たれへん)


龍驤(死にたがる癖はあるけどウチと比べたら大したことはない。司令官の奥さんに相応しいやろうな)


龍驤(……潮時なんかなぁ)


龍驤(司令官のことやからこれからずっと面倒はみてくれる。ウチも司令官を支えることはできる)


龍驤(でもそれは司令官にとって幸せなんかウチには判断できれへん。責任を取るだけなんかもしれん)


龍驤(何も言わずに出ていくんやなくて、ちゃんと話し合って司令官から離れていけば……みんな幸せになると違うんかなぁ)


龍驤(とにかく今は妊娠してるかどうかや。それによって話も変わってくる…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


整備士「おめでとう。着床が確認できたから無事に妊娠してたよ」


龍驤「……」


整備士「これで臨床試験は成功だね。身体に負担がある龍驤さんで成功したんだから、かなり信頼度はある」


龍驤「…ありがとうな」


整備士「こちらこそ協力してくれて感謝だよ。さて、龍驤さんはこれからのことを考える必要が出てくるね」


龍驤「そうやね…」


整備士「妊娠したのが嬉しくないのかい?」


龍驤「腕と脚のことから…ウチと司令官の関係で悩んでんねん」


整備士「僕としては腕と脚は治したい方がいいとしか言えないよ。龍驤さんにも事情はあるだろうから強制はしない」

龍驤「司令官と話し合うわ…子どものこととこれからのこと」


整備士「やっぱり別れるのかい?」


龍驤「…やっぱりってなに?」


整備士「提督さんも龍驤さんも精神疾患を抱えているよね。そういう夫婦は長続きしないんだ」


整備士「どちらかが治ればいいらしいんだけど、龍驤さんには幻肢痛もある。提督さんを支えるには力不足かなって思ってたんだ」


龍驤「……」


整備士「何事も例外はある。二人がいい夫婦であり続けられるかもしれないから頑張ってね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


伊400 「ふーん…あの龍驤が妊娠とはな」


タシュケント「分かってると思うけど何かしたら駄目だよ」


伊400「なあ、こっちは直接謝られてもいないのに恨むのも許されねぇのかよ。夕雲だって未だにトラウマ抱えてんだぞ?」


タシュケント「恨むのは勝手にすればいいよ。でも復讐をするのはまた別の話さ」


タシュケント「あたしが居る限りそんなことはさせない。どうしてもっていうなら…分かる?」


伊400「お前をどうにかできるわけないだろうが。ふざけたこと言いやがって」

伊400「アイツらは絶対に幸せになれねぇ」


タシュケント「なぜそう言い切るんだい?」


伊400「偽善者は地獄に落ちるんだよ」


タシュケント「彼らは偽善者なんかじゃないよ」


伊400「正義の使者だって言うつもりかぁ!?」


タシュケント「ただの人間と艦娘さ。正義のことなんか考えてなかった」


タシュケント「やるべきことの延長線上に正義があっただけ。たったそれだけなんだよ」


伊400「……認めねぇ。龍驤のガキは流産してアイツらも不幸になるんだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

タシュケント「まあ君が自分の事を棚に上げて他人を恨む限り、何も成すことはないと思うよ」


伊400「なんだと」


タシュケント「あたしは自分に起きたことは報いだと割り切ってるから。いくつもの身体で死に続けてやっと気づけた間抜けだよ」


タシュケント「それに比べれば君のは子どもの癇癪みたいなものだよね」


伊400「殺すぞ…」


タシュケント「あたしは子どもじゃない。たがらこうやって罪滅ぼしをやってるのさ」


伊400「舐めたことばっかり言いやがって…ぶちのめしてやるからな」

ーー


夕雲「それは…!!」


タシュケント「見ての通り彼女の首だよ」ポタ…ポタ…


夕雲「ひぃ……!!」


タシュケント「襲いかかってきたから仕方ないんだ。同志に言って彼女を作ってもらわないと」


夕雲「もう…嫌……!」


タシュケント「君達は幸せだよ。何度も死ねるからいくらでも罪を償える」


タシュケント「地獄なんて生易し過ぎる。共に生き地獄を味わおう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


整備士「彼女の身体か出来たよ」


タシュケント「ありがとう同志」


吹雪「こんなに簡単に身体ができるだなんて…」


整備士「しかし彼女もよくよく妊婦に対して攻撃的だね。羨ましく感じているところでもあるのかな?」


タシュケント「妊婦に対してというより、幸せそうな艦娘に対してだと思うよ」


整備士「なるほど…妊娠ということは殆どの場合が幸せだろうからね」


タシュケント「自分は悪くないと悔い改める気が無い。このままじゃ彼女は一生変わらないよ」


整備士「うーんだったらちょっと弄っちゃおうか」

タシュケント「どうするんだい?」


整備士「両腕を無くすよ。他人の力を借りないと食事もなにもできなくなる」


タシュケント「トイレにすらいけなくなるね」


吹雪「そんなの…ダメですよ……整備士さんは…神様じゃないんです…」


整備士「僕は僕だよ。できるからそれをするだけさ」


タシュケント「彼女にも分かってもらえる時がくるよ」


吹雪(純粋な感情…狂気とも言える…こんなの…間違ってます)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


吹雪「整備士さんお茶です!休憩しましょう!」


整備士「そんなことしなくても、倒れたら新しい身体を作るよ」


吹雪「適度な休憩は効率を高めるんですよ!」


整備士「そう言われてもなぁ」



吹雪「整備士さん…私の淹れたお茶……飲んでくれないんですか…?」ウルウル


整備士「うん飲むよ。休憩にしようか」


吹雪(整備士さんは悪い人じゃありません。感性が少し…かなりおかしいのでまずは普通になってもらうんです!)

整備士「美味しいお茶菓子だね」


吹雪「流行りのものを買ってきたんです!」


整備士「艦娘の内臓をオヤツに食べたことはあるけど、市販品はやっぱり美味しいなぁ」


吹雪(整備士さんは私、吹雪に固執しているのは知ってます。それを最大限に利用します!)


整備士「…さてそろそろ仕事に戻ろうか」


吹雪「私もお手伝いしますね」


吹雪(吹雪、頑張ります!)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


夕雲「私は旧大本営を利用しようとしてたの…でもそれは結果的に間違っていた…」


夕雲「私は死ぬのが怖かった……死にたくなかったから…旧大本営を…」


吹雪「あんな組織に所属した時点で間違っています」


夕雲「そう……今ならそう思えるけど…当時はそこまで頭が回らなかったのよ」


夕雲「強い者の仲間になれば死ぬことはないと思っていた……相手がどれだけ悪であっても、強ければ問題ないと…」


吹雪「今なら間違っていると言えますか?」


夕雲「言える……断言できるわ…」


吹雪「そう思えることが大切だと思いますよ」

夕雲「ありがとう……話をしてくれて…」


吹雪「これくらい普通です!あの…今まで会話もさせてもらえなかったんですか?」


夕雲「違うの……会話はしてたけど…あの人達は普通じゃない…」


吹雪「あぁ……」


夕雲「好き勝手に身体を作るマッドサイエンティストと元殺し屋に頭の狂った潜水艦!これのどこが普通なのよ!?」


吹雪「気持ちは分かります」


夕雲「懺悔しようにも相手が……!一人で考えても殺されない立ち回りで頭が一杯なのよ!!」


吹雪(伊400さんはともかく夕雲さんはまだなんとかなっていた…?でもここの環境のせいでそのチャンスすらなかった)


吹雪(早く整備士さんを普通の感性にしないと…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


吹雪(整備士さんは人生を送ってきたのか、それが知れたらプラスになると思って幹部さんに話を聞きました)


吹雪(幹部さんが教えてくれた話はとても真実とは思えませんでした。整備士さんには倫理もなにも無いんです)


吹雪(彼は死を超越した。幹部さんの言っていることを理解したくはありませんでした。でもこれが真実なんです)


吹雪(たとえ明日隕石が落ちてきて整備士さんが死んだとしても、身体を再生して記憶を引き継いだ整備士さんが作られる。こんなのおかしいです)


吹雪(命は一つだけだから尊いのに…その前提がなければただの物です)


吹雪(コップを落として割ってしまったくらいに命が軽いものになってしまう。そんなのは間違ってます)

吹雪(整備士さんは認めたくはなかったようですが、彼は『吹雪』という存在に執着している。ならそれを利用するしかない)


吹雪(私が死ぬと言えば整備士さんは止めるはず。なぜ止めるのか理解する前に反応してくれる……)


吹雪(でもいきなり死にます!なんて言っても変に思われるだけだし…)


吹雪(少し危険だけど…事故にみせかけて死ぬようなことを整備士さんの前でやってみる?)


吹雪(タシュケントさん達が居ない隙を狙ってやれば整備士さんはきっと…)


吹雪(大丈夫、分かってくれます。今すぐじゃなくてもきっと分かってもらえる日が来るんです!)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


整備士「幹部さんに僕のことを聞きに行ったっていうのはどういうことなんだろう」


タシュケント「覗き見は感心しないよ同志」


整備士「これは必要なことなんだよ。吹雪を失わない為には常にモニターしていればいいんだ」


タシュケント「彼女にもプライベートはある」


整備士「覗き見がしたい訳じゃ無い。GPSは勿論だし体調や精神状態も観測してるからね」


タシュケント「そんなに吹雪が好きなのかい?」


整備士「彼女はどんなことがあっても失いたくないんだ」


タシュケント「吹雪のことになると同志らしく無くなってしまうね」

タシュケント(とはいえあたしも吹雪がなにをしようとしてるのか分からない。過去を知って何になるんだろう)


タシュケント(親密になりたいなら直接聞けばいい。でも幹部さんに聞きに行ったということはそうじゃない)


タシュケント「同志、彼女の精神状態はどうなんだい?」


整備士「安定しているよ。なにかをしたいっていう決意に溢れた状態かな」


タシュケント(吹雪はなにかをしようとしている。一体なにを?)


タシュケント(夕雲達とは違うだろうけど同志を利用しようとしている可能性がある。僅かでも可能性があるなら潰しておこう)


タシュケント(少し脅せば分かってくれる。力じゃどうやってもあたしを止められないのが分かればいいんだ)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

伊400「くくくくく…」


タシュケント「変な笑い方だね」


伊400「殺されて両腕が無くなった?最高過ぎんだよ!」


伊400「退屈する暇も無ぇよ!流石はボスだよなぁ!」


整備士「え?」


伊400「ボスが居るなら龍驤もあいつらもどうでもいい!もっと興奮させて濡れさせてくれよ!」


タシュケント「ふぅん…これはちょっと面白くなりそうだね」

ーー


夕雲「本当にやるの…?」


吹雪「これしか無いと思うんです」


夕雲「失敗したら怪我じゃ済まないのに……」


吹雪「整備士さんに分かってもらうにはこれしかありません!」


夕雲「クレーンに紐をわざと引っかけて首吊りみたいなことを…」


吹雪「きっと大丈夫です。準備を手伝ってもらってありがとうございました!」


夕雲「気を付けて……」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


整備士「何を考えてるのか知らないけど止めなきゃ…」


タシュケント「あたしの方が速いから任せてよ」


整備士「うん…お願いできるかな?」


タシュケント「怪我もさせずに終わらせるから大丈夫だよ」タタタッ


整備士「それにしても吹雪にあんな癖があったとは…誰の影響を受けたんだろう」


整備士「死ぬことに快楽を覚える……どこかで聞いたことがある気がするんだけどなぁ」

タタタッ


吹雪(よし、向こうから整備士さんが来ました!あとはこの紐をクレーンに…!)


タシュケント「…」シュッ


吹雪「あぇっ!?」


タシュケント「……」


吹雪(整備士さんじゃなくてタシュケントさん…!?それに今どうやって紐を切断したんですか…?)


タシュケント「余計なことはしない方がいいよ」


吹雪「あ……」


タシュケント「分かったね?」


吹雪「は……はい…!」


タシュケント「やれやれ、世話が焼けるよ」


吹雪(私…頑張れるかなぁ……)


ーー

今日はここまでです

ーー龍驤の部屋


霞「おめでたらしいわね。心から嬉しいわ」


龍驤「ありがとうな」


霞「その割には元気が無さそうね」


龍驤「司令官のことや。霞とは話したいと思ってたからちょうどええわ」


霞「どうしたのよ」


龍驤「長々と説明するより単刀直入に言うわ。司令官のこと頼むで」


霞「……」


龍驤「ウチと司令官は別れれへんよ、ウチらのどっちかだけが離れることはない。あるとすれば二人いっぺんに死ぬしかない」


龍驤「ウチらは絡み合い過ぎたんや。どうやっても解けることはないし、そのつもりもない」


龍驤「こんな女は司令官の奥さんに相応しくはない。あの人を支えられるのは霞なんやで」

霞「私を侮辱するつもりなの?」


龍驤「気分悪くしたらごめんな。でもこれが司令官にとって最善なんよ」


龍驤「霞は司令官に抱いてもらう時に好きって言われてる?」


霞「ふざけたこと言ってないで…」


龍驤「ウチはもう言ってもらえれへんのよ」


霞「……」


龍驤「子育てで忙しい司令官を支えなあかん。一番大変な時に側におられへんかった」


龍驤「霞は違う、司令官を妻としてこれ以上ないくらいに支ええくれた。ほんまに感謝してるんや」


龍驤「わざと離れたんと違うけど結果的にそうなってしもた。こういう運命やったんよ」


龍驤「子育てがひと段落したら戻ってくる…こんな女は都合の良い女で十分なんや」


龍驤「ウチらの関係はこれからも変わらへん、ただ正妻の座が霞になるだけや。霞にやったら司令官を任せられるから」


龍驤「あの人の理想の家族になったって。ウチも手伝うから幸せになろな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

霞「まったく… 別れるとか出ていくとか言わないだけまだマシなのかもしれないけど、また一人で勝手に決めてるわね」


霞「ちゃんと司令官と話し合いなさい。話はそれからよ」


龍驤「……それこそウチを侮辱してるわ」


霞「なにがよ」


龍驤「もうウチのことは好きやないよねって…ウチが言うん?」


霞「……」


龍驤「頼むわ……話は霞からしたってよ」


霞「そんなつもりじゃなかったけど…分かったわ、私からしてみるから」

ーー執務室


提督「二人で話したいということはかすみ絡みか?」


霞「あの子はあまり関係ないわ、龍驤さんについてよ」


提督「……」


霞「龍驤さんは正妻の座を私に譲るらしいわよ。司令官と私と龍驤さんの関係はそのままでそれだけが違う」


霞「あなたの理想の家族には私が必要…龍驤さんが妻である必要は無い」


霞「自分は都合の良い女で十分…それが龍驤さんの意見らしいわ」


霞「それについてあなたはどう思う?」


提督「安価」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「どういう答えを言っても誰かが傷つく問いだな…」


霞「……」


提督「どうした?」


霞「前の司令官ならそんなことはないって、即答してたわよね」


提督「違うそれは…」


霞「司令官の中で龍驤さんの順位が下がったのか…私が上がったのかよね」


霞「正直に言って司令官、私の言ったことに間違いはあった?」


提督「いや……」


霞「その答えで十分よ」

霞「そういえば榛名お姉さまとも随分と仲良くなったわね。子どもが産まれてから特にそうよ」


霞「『家族』が増えて嬉しかった?」


提督「そうじゃない…違うんだ……」


霞「私は龍驤さんのおこぼれをもらうつもりは一ミリも無かった。龍驤さんが辞退するから代わりに、なんて死んでも嫌」


霞「でも司令官が私を一番にしてくれるなら…」


提督「なあ霞……」


霞「龍驤さんも言ってたけど関係を切る必要なんて無いの。ただ順位が変わるだけ」


霞「それ以外は何も変わらない。それが分かったならそれでいいの」


霞「さあ…そろそろかすみが起きる時間よ。一緒に部屋まで行って子守りをしましょうね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー霞の部屋


かすみ「ぱ…ぱ……」


提督「よしよし…」


霞「言葉が話せるようになってきてるわね」


提督「……代わりは居ない。それが本当の答えなんだ」


提督「誰が一番とかではなく、自分にとって龍驤は龍驤しかいないし霞は霞しか居ない。かすみだってそうなんだ」


提督「全員が唯一無二の存在で等しく愛する存在になった…これは都合のいい考え方なのだろうか」


霞「そう思うわ」


提督「……」


霞「この国の法律では愛する人は一人。籍を入れられるのは一人。そう決まっているの」


霞「司令官はそれに反いて皆を愛そうとしている。ルールからは離れるけど私はそれでいいと思うわ」


霞「あなたにその覚悟と甲斐性があればだけど…ね」

提督「誰かを愛さないのは家族を手放すことと同じだ。甲斐性は無いかもしれないがそんなことはしない」


霞「はぁ…ファミコンでロリコンだと本当に困ったことになるわね」


霞「私も龍驤さんも一人だけを選んで、なんて言うつもりは無い。でもいつ言われても大丈夫なように心掛けておいて」


提督「そうだな、それが俺にできることになる」


霞「この子の親はあなただけど家族は龍驤さんも皆を含んでる。これでいいの?」


提督「そう…そうだ」


霞「なら愛想を尽かされないように頑張りなさい。私も龍驤さんもよーく見てるから」


提督「肝に銘じておこう…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

霞(全員を同じだけ…ね。それが出来る司令官ならそもそもこういう事にはなってない気もするけど)


霞(司令官のキャパシティ的には三人くらいが限度よね。三人にはもちろん子どもが含まれる)


提督「現代艦娘の成長は早いな…」


かすみ「ま…ま……」


霞(愛情というのは実際は有限なのよ。使い切ってしまえばきっと…)


霞(龍驤さんが子どもを産んで家族が増える。それを機に龍驤さんが少しずつ離れていくとする)


霞(そうすれば司令官が壊れずに皆を愛せる。龍驤さんと完全に離れることは無くなるけど家族ではある)


霞(龍驤さんは将来的にこうなろうとしているのね…それが悪いのかどうかは、これから決まる)

ーー


龍驤(愛って何なんやろうな)


龍驤(あれだけ司令官に執着してたのに、今はその気持ちが無い)


龍驤(もうウチを手放せへんのが分かったから安心してんのかな?どうなんやろ)


龍驤(幸せか……なにが幸せなんやろ)


龍驤(男相手に股開いてた時も正直幸せやった。あんなに優越感に浸れることは無かった)


龍驤(司令官に愛されて横須賀鎮守府まで来た。これを幸せと言わずに何と言うんや)


龍驤(……よく分からへんわ)


龍驤(この子を産めばなにか変わるんかな?まだ妊娠してるって実感は無いけど確かにウチの中におる)


龍驤(頼むから…ウチみたいなクズにはなったらあかんで)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「……お腹空いたし、ちょっと…」ムクッ


龍驤「司令官はもう食べ終わってるやろし…一人で……」


グラッ


龍驤「あ…っ!!」


龍驤「う、うう……危…な……こけ…る…とこやった…」


龍驤「いつもやったら……受け身とか…踏ん張ってたのに……なんで…お腹…庇ったん……」


龍驤「なんで……そんな…なんでなんよ……」

「愛とは形を変えるものなんだって」


龍驤「やめて……誰が喋ってんのよ…」


「愛は激しく燃え上がるものだけじゃなくて、他者を温めるものでもある。ふーん」


龍驤「そんな…違うよ……」


「求める者ではなく与える者へ。お前は母親になったんだからその責任を果たせ」


龍驤「愛……この子にウチの全てを…」


「提督に捨てられてもそれは既定路線。足掻くより子どもを愛しろ」


龍驤「子ども……ウチの子………」


「甘えるのもいい加減にしとかないとね~」


龍驤「甘え……ウチは…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー執務室


ガチャッ


龍驤「なあ司令官……」


提督「な…どうしたんだ?要があるなら言ってくれれば良かったんだ」


龍驤「助けて……」


提督「何があった…?」


龍驤「幻聴が……また……聞こえて…」


提督「……」


龍驤「愛ってなんなん……?ウチは司令官と…司令官はウチを……?」


龍驤「なにをすれば良かったん……?どうすればいいん……教えて…」


提督「俺は……愛を求めて誰かを愛そうとしていた」


提督「それが愛するための愛に変わっているんだ。強要されるものでも無く、責任でも無く……これは自然な変化だと思う」


龍驤「変化……?」

提督「龍驤が不安なら今の様にしていればいいんだ」


龍驤「ええの……?」


提督「俺も誰かを頼っている様に龍驤も頼って良い。それは甘えなんかじゃない」


龍驤「甘えやないの……?」


提督「人は、龍驤は独りで生きているんじゃない。誰かに頼り、頼られるものなんだ」


龍驤「そうなん……そうなんやね…」


「……」


龍驤「幻聴が……聞こえへんようになった…ウチの…」


提督「幻聴は俺も何度も経験している。思い込みやこうしないといけないと強く思うことが良くないんだ」


龍驤「あ……ありがとうな…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー龍驤の部屋


霞「先輩達の話はどうだった?」


龍驤「うん……母親になるって想像以上に大変で忙しいんやなぁ」


霞「北上もガングートもちゃんと母親なのよ。電話越しでもいいアドバイスが聞けたわよね?」


龍驤「榛名もそうや…いつの間にあんなに精神的に成長してるるんよ…」


霞「甲斐性は無いかもしれないけど、やっぱりあの人は司令官ね。口下手なのを自覚してるからこうさせてるのよ」


霞「司令官を選んでよかった………かすみもそう思うわよね?」


かすみ「りゅ…じょ……」


龍驤「ウチの名前……覚えてくれたんやね…」

龍驤「皆んな充実してて幸せそうやけど、同じ形は一つも無かった……北上なんて特にそうや…」


龍驤「こうあるのが幸せなんやって…ウチが思い込んでたから気付けれへんかったんか…」


龍驤「ウチには司令官も霞も子どももおって…それでええんや……それが良かったんや…」


龍驤「良かった……この子を産む前に気付けて…」


霞「そうね、産んでからは想像以上に大変よ」


龍驤「楽しそうに…言うんやね…」


霞「だって楽しいのよ。司令官が居てお姉さまも居て…龍驤さんも居る。こんな未来想像できなかった」


霞「これは私の幸せ。龍驤さんとは違って当たり前だけど私はこれで満足してるのよ」


龍驤「霞…色々と教えてくれてありがとう……」


ーー

今日はここまでです

ーー足りないもの鎮守府


菊月提督「あれからどうだ」


多摩「必死に勉強してるにゃあ」


菊月提督「なら楽しみだ」


多摩「なにが楽しみなんだにゃ?」


菊月提督「来週にお前の課題であるペーパーテストがある。まずはそれで合格点を出さなければお前が提督には…」


多摩「来…週…?」


菊月提督「……」


多摩「……」


菊月提督「……」


多摩「こっちを見ろ」


菊月提督「…………」

多摩「提督になる話はまだ先のことなんじゃなかったのか」


菊月提督「それはそうだがすぐに提督になれるわけじゃない。資格を取っておかなければその準備にすら入れない」


多摩「そんな大切なテストが来週にある?」


菊月提督「あるな…」


多摩「なぜ教えなかった?」


菊月提督「いや…誰かに知らせたはずなんだが…」


多摩「多摩に直接言ったのか?」


菊月提督「それは言ってないな…」


多摩「秘書艦でずっと仕事を共にしているのに、直接言わなかったのか?」


菊月提督「そうなるな……」


多摩「ぶん殴られるのと爪で引っ掻かかれるの。どっちがいい?」


菊月提督「じゃ…じゃあ……」


多摩「答えは両方だにゃ!!」


菊月提督「!!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

頬に紅葉もみじと浅ーい引っかき傷をつけて試験対策することになる菊月提督

ーー


菊月提督「つまりだな…この問題ができないと話にならないんだ」


多摩「…??」


菊月提督「基礎から説明するしかないのか…」


多摩「誰かさんのせいだにゃ」


菊月提督「お前の理解力が足りないのが悪い」


多摩「にゃあぁぁ!!」


菊月提督「二発目はやめてくれ…」


多摩「平手打ちと浅い引っ掻きで許してやっただけ有難いと思うにゃ」

菊月提督「お前がそこまでバカだったとは予想外だ…」


多摩「艦娘に勉強は必要無かったにゃ!」


菊月提督「提督になるには豊富な知識が必要になるんだ」


多摩「うぐっ……」


菊月提督「艦娘から提督になるのは、普通に提督になるより優しい。いくつもの工程を飛ばすことができる」


菊月提督「これでもマシな方なんだ、諦めて勉強しろ」


多摩「偉そうに言うにゃ!時間があればもっと勉強してたにゃ!!」


菊月提督「む……」


多摩「もし落ちたら一生恨んでやるにゃ…!!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月提督「……お前が旗艦だったとして、提督の指示は南だが北東に敵影が見える。どうするのがベストだ?」


多摩「空母がいるなら偵察機を飛ばして索敵。居なければ進軍せず指示を仰ぐ」


菊月提督「お前は旗艦ではなく護衛の駆逐艦だ。回避行動をしつつ気を付けなければいけないことは?」


多摩「ソナーの確認を怠らない」


菊月提督「対空は?」


多摩「防空駆逐艦以外では最優先ですべきことじゃない」


菊月提督「…全て合っている」


多摩「にゃあ…?」


菊月提督「お前らからすればなんて事はない。当たり前のことを小難しい言葉で言い換えているだけなんだ」

菊月提督「戦場で当たり前だった事を思い出せば良いと分かったな」


多摩「問題文も悪いにゃ!なんでこんな分かりにくく書くんだにゃ!」


菊月提督「資格のかかった試験で砕けた表現なんか使うはずないだろう」


多摩「でもこれで光が見えたにゃ!試験まで問題文がなにを言ってるか解読するのに集中すればいいにゃ!」


菊月提督「そうだろうな」


多摩「だからってお前のことは許さないにゃ」


菊月提督「……また手伝う」


多摩「にゃーーー!!」


菊月提督「手伝わせて…もらう」


多摩「分かればいいんだにゃ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「彼奴等ふたりきりで…」
海月姫「あのねぇ…猫ちゃんが試験に合格しないと困るでしょ」
菊月「だがしかし…」
海月姫「駄菓子も案山子もないわよ。というか幹部やってたなら貴女も教えればいいじゃない」
菊月「その手があったか!」

菊月「多摩め…二人きりでなにをしているんだ」


深海海月姫「猫ちゃんが試験に合格しないと困るのは貴女でしょう?」


菊月「だがしかし…」


深海海月姫「駄菓子じゃないのよぉ」


菊月「許せん……」


深海海月姫「……というか貴女は元幹部よね?なら貴女も教えればいいじゃない」


菊月「そうかその手があったか!」


深海海月姫「気付きなさいよもぅ」

ーー


多摩「お前は入ってくるにゃ」


菊月「ふざけているのか?」


多摩「ふざけているのはお前にゃ。そんな高圧的に言われて捗ると思うのかにゃ?」


菊月「教えてやるだけ有難いと思え」


多摩「おみゃーに教えて欲しいと言った覚えはないにゃ」


菊月「浮気か」


多摩「は?」


菊月「面食いの軽巡洋艦はここで沈める」


多摩「頭までおかしくなっかたにゃ」


菊月「覚悟…!」


多摩「!!」ガタッ


菊月「逃げるということはやましいことがあるからだ!」


多摩「殺意を振り撒きながら近付くな!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー先生のマンション


多摩「……とか言いながら菊月が襲ってきたんだにゃ!」


先生「かなりお酒を飲んでるみたいですね…」


多摩「浮気なんかするはずないにゃあ~!」


先生「可愛い猫ちゃんになっちゃってますね」


多摩「にゃぉ~ん」


先生「勉強の為とはいえ男の人と二人きり…」


多摩「んにゃ?」


先生「分かっていても少し焼いちゃいますね」


多摩「にゃっ!?」


先生「ふふっ」


多摩「にゃぁぁぁ…にゃぁ~~」

ーー翌日、足りないもの鎮守府


多摩「おみゃーが教えるのを許してやるにゃ!」


菊月「昨日のやり取りは何だったんだ…」


多摩「文句を言うにゃ!そもそもは菊月提督のせいだからにゃ!」


菊月「誰にだってミスはある」


多摩「菊月提督のことになると甘々にゃ!!」


菊月「悪いか?」


多摩「…もういいにゃ。早く教えてくれにゃ」


菊月「仕方ない、特別に教えてやるとしよう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

艦娘→士官になった菊月が教えると多摩にとってはとてもわかり易かった様子

ーー


多摩「菊月提督より分かりやすかったにゃ」


菊月「当たり前だ」


多摩「これで試験はなんとかなると思うにゃ」


菊月「ふんっ」


多摩「……どこに行くんだにゃ?」


菊月「何の話だ」


多摩「多摩がここの提督になるということは、菊月提督は…」


菊月「為すべきことがある、それだけだ」


多摩「何をするんだにゃ?」


菊月「言う必要は無い」

多摩「死にに行くなら全力で止める」


菊月「無理だ」


多摩「無理じゃない」


菊月「お前たちには関係のない…関われない話だ」


多摩「関われない?」


菊月「私達が住む世界は本来ならここじゃない」


菊月「いや、この表現は正しく無いな。『世界』は同じでもお前たちに干渉してしまったことでおかしくなった」


多摩「なにを言ってるんだにゃ?」


菊月「物語が崩壊したとしても私達には関係ない。本棚から落ちた本を元に戻すだけなんだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

本が落ちる本棚なら落ちない本棚を作らなきゃいけないにゃあ
本は大切にしないとにゃ

>>872
元に戻すだけじゃまた傷んじゃうにゃ

多摩「元に戻すだけじゃまた傷んじゃうにゃ」


菊月「どういうことだ」


多摩「戻しても本が落ちるような本棚なら意味無いにゃ。もう二度と落ちない本棚を作らなきゃいけないにゃあ」


菊月「黙れ」


多摩「本は大切にしないといけないにゃよ」


菊月「言ってる意味が分かるのか、お前は…」


多摩「ある程度は分かるにゃよ」


菊月「…」


多摩「超能力なんて普通は無いにゃ。世界が違うっていうのはそういうことにゃ」


多摩「多摩が言ってる本を戻すだけじゃまた傷むだけっていうのは分かるにゃ?」


菊月「お前は全てを知らない。解釈もなにもかもが違う」


多摩「知らないから言えることがあるにゃ」

多摩「おみゃー達が居たから助かったことは一度や二度じゃないにゃ。でも多摩達なら乗り換えられてたはずにゃ」


菊月「無理だ」


多摩「やってみなきゃ分からないにゃ」


菊月「お前は関係ない。下手に近付けば不幸になるだけだ」


多摩「朝霜みたいにかにゃ?」


菊月「違う……いや、違わないことはないが」


多摩「本棚を作って落ちた本をハードカバーで覆うところから始めるべきゃ」


菊月「…もうそんな時間は無い。あと100ちょっとと1スレしか…」


「喋り過ぎ」


菊月「……ゃ



下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月(傷だらけの世界からの来訪者を食い止める、それが成すべきこと)


菊月(この世界の為にあの世界の自分達がやらなくてはいけない)


菊月(その結果、私達が消えても仕方ない。そもそもこの世界に存在することがイレギュラーなんだ)


菊月(その後はこの為に存在している。それは間違いない)


菊月(深海棲艦の成虫を倒して終わりでは都合が悪かった。私達の存在は異質過ぎた)


菊月(八島)


菊月(いつまでもお前に震えていると思うな。来訪者はお前にとっても…)


(そんなのとっくに知ってるけど?)


菊月(……)


(向こうが早いかこっちが早いか。決着がつくならそれしかない)


(ちなみにこっちの準備は全然できてないよ。十個のうち一つしか確定で埋まってない。もう一つは実質埋まってるようなもんだけど…)


(きひひひひ、まさに神のみぞ知るって感じかもね)


菊月(…私は信じるしかない)


ーー

今日はここまでです

ーー


望月「司令官を探して奪い返すのが目的で動いてた。それが達成された瞬間に戻っても良かったんだよね」


アケボノ「残念ながらその選択肢は無かったみたいね」


菊月「本来交わることの無かった世界が混ざり合ってしまった。どうやっても悪影響しか出ない」


望月「そもそもあたし達が異端だしね。こっちの世界とあっちの世界のことを知ってるってさ」


アケボノ「『扉』もそうよ。偶然開かれるものをアイツに開かされたからこうなったのよ!」


菊月「やはり全ての元凶はアイツということか」


望月「そして今回のラスボスもアイツと。まあ正確に言えばあたし達の世界のアイツだけどね」

望月「あたし達の居た世界ってどうなってると思う?」


菊月「世界の形を保っていないだろう」


望月「だよね~」


アケボノ「『世界の中』に居る時はこんな事に気付けない。けどこうやって自分たちの世界の外側に来ると気付けることがある」


アケボノ「あたし達は世界の中心だった。どんな困難が待ち受けていてもそれを乗り越えることができたはず」


菊月「滅ぼしたい側からすれば私達の存在は邪魔でしかない」


望月「そこで別の世界に送っちゃいましょう~似たような世界があるからちょうどいい!……はぁぁぁ」


アケボノ「甘い言葉に騙されたあたし達も悪いわよ。だから決着は自分達で付ける!」


菊月「奴が全てを終わらせる前にこちらがアイツを終わらせる」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「どうやっても三日月がキーになる。だが奴は簡単に姿を現さない」


望月「そこが厄介なんだよねぇ~」


アケボノ「今は大本営の地下で実験してるんじゃないの?」


菊月「確認しに行ったが姿は無かった」


望月「行動が早いねぇ~」


アケボノ「どうにかできればいいんだけど…」


菊月「考えが無い事もない」


望月「お、いいね。教えてよ~」

ーー


朝霜「ギ……ギギ…」


望月「薬が隠されてた部屋で監禁してた朝霜をねぇ」


菊月「三日月はこれを欲しがっている。棺の中に入れたいそうだ」


アケボノ「残りカスはもう棺の中に入ってたわよね」


菊月「棺は10個ある。それに対して中身は1つしか入っていない」


望月「そりゃ朝霜は欲しいって話だ」


菊月「これを餌に三日月を釣る」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


三日月「確かに朝霜さんは欲しいですけど、そんな見え見えなトラップに引っかかるほど馬鹿じゃありません」


三日月「菊月達は私の力が欲しい、会いたがっているのはとっくに気付いてましたから逃げ続けていたんです」


三日月「菊月達を倒すのは難しいですが逃げるのは簡単なんですよ。予知は行動が起こらないとそれが見えないし、千里眼は場所が分からないと意味がない」


三日月「逃げ続けるだけならいくらでもできますが…そうも言ってられなくなりました」


三日月「あの世界はあと少しで完全に滅びます。そうなれば次はこの世界の番」


三日月「あの人を止めるには10個の棺を埋める必要がある……全員まとめて棺の中に入れる方法を探さないと」


三日月「そうしなければこの世界も滅んでしまう…せめてそれだけは回避したいです」

三日月「棺に入れて用事が済んだ後…菊月達が生きているとは思えません。命と引き換えにあの人を止めるんです」


三日月「棺の中に入れるのはただの人間や艦娘では意味がありません。力、業、縁。何かを持っていないといけません」


三日月「菊月達はもう元の世界に帰ることはできない…なら生きていても意味は無い……」


三日月「そもそもこの世界に居るべきじゃないのは自覚しているはず。説得して…いや、多分無理です」


三日月「やっぱり無理矢理…力を使うしかないんでしょうか。暴力は避けたいんですが仕方ないのかもしれません」


三日月「一番楽なのはハグロですね…でも望月の予知があるし迂闊に近付けばアケボノに見つかってしまう」


三日月「時間に余裕は無いのに…困りました…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

三日月「まだあちらの世界の存在は感じます…いっそあの世界そのものを牢獄として…あれを隔離出来るなら…」


三日月「うーん…何をするにも結局一人では限界がありますね」


三日月「やはり会うべきでしょうか……」


三日月「ですがあの鎮守府…向こうの懐に飛び込むのは得策じゃありません。何か策が必要です」


三日月「手荒な方法ですがこれしかありませんね…」

ーー


菊月「私宛ての荷物と聞いてピンと来た。何も頼んでいないのは確実だったから詐欺の類いを普通なら想像するだろう」


菊月「しかしこちらは餌を撒いている状態だ。そんな時に私への荷物とくれば…」ゴソゴソ


三日月「……ふぅ」


菊月「やはりお前か」


三日月「朝霜さんを貰いに来たのではありません。貴女と話がしたかったんです」


菊月「お前はなにも語らなくていい」


三日月「もうすぐ何が起こるのか貴女も知っているはずです。それについての話なんです」


菊月「少しでも怪しい動きをすれば、どうなるか分かるな?」


三日月「それで大丈夫です。本当に話がしたいだけなんですから」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「生き残りは居ないのか。人間というのは存続の為ならなんだってする」


三日月「生き残っているのは確かに存在するけど、もう時間の問題。あの兵器が世界を荒廃へ導いた挙句、ウイルスで僅かな人間も死んでいく」


菊月「艦娘はどうしたんだ」


三日月「兵器として使われて……全て死んでしまった。深海棲艦も同じ、もう生物は殆ど残っていません」


菊月「本当に世界が滅ぶのか」


三日月「滅びます」


菊月「それは…」


三日月「菊月達が居れば防げたんです」


菊月「そうなるのか」


三日月「そうなってしまったんです」

三日月「あの人は世界を滅ぼした後、こちらの世界に来ます。この世界も滅ぼす為に…」


菊月「止められるのは私達だけなのか」


三日月「はい…棺を全て埋めれば、100パーセント止められます」


菊月「全て埋まらなければ確実ではないんだな」


三日月「そして棺の中に入った人は、アレを起動したあと…命を失います」


菊月「私達に死ねというのか」


三日月「これしか方法は無いんです!私が棺の中に入っても意味がありません!協力者が絶対に必要なんです!」


三日月「貴女達が居るべき世界は滅びます…帰っても仕方ないじゃないですか!」


三日月「この世界に来た時点で菊月達にはハッピーエンドは存在しないんです!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「ハッピーでなくともベターは勝ち取って見せる。棺が埋まると何が起こる?」


三日月「私の八島が起動します」


菊月「お前が想定していた本来の八島か」


三日月「力を持った人型を触媒に八島を使って、向こうの世界の富士を倒します」


菊月「棺の数は出力に影響するのか」


三日月「そうです、棺が全て埋まれば絶対に勝てるんです。今のままじゃ勝率は一割なんです」


菊月「お前の言いたいことは分かった。ここからは奴にも意見を聞く」

ーー


如月「私の見てきた世界……その中では八島は負けることが無かった…」


菊月「どうやってもか?」


如月「富士ですら勝てない……必殺の兵器…その威力は世界を滅ぼす…」


三日月「認めたくありませんが、私の兵器は抑止力として一切働かないんですね」


如月「どの世界でも……悪用されていたわ…」


菊月「八島を使えば富士をやれる。それは確かなようだな」


三日月「八島が起動した時…なにを使って八島は動いていたんですか?」


如月「能力を持った人や艦娘…人工的に作られた人も居たわ…」


菊月「燃料にする為に人と艦娘を使う。想像の範囲内だな」


三日月「使われた人達は…」


如月「全員…死んだわ……」


三日月「触媒にされる人はどうやっても助からない…」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「起動した八島はその後どうなる? 八島が世界を滅ぼすのでは本末転倒だ」


三日月「それは大丈夫です…多分」


如月「多分って貴女……」


三日月「本人が言ってたんです!アイツを倒せばそれでなんとかなるって!」


菊月「八島の言うことを信じるのか」


三日月「だってそれしか無いじゃないですか…」


如月「そんな世界は見たことが無い……けど…この状況も見たことが無かった…」


菊月「本当か?」


如月「ええ…三日月の偶然のタイムスリップといい……こんなに世界が…交わることは一度も無かった……」


三日月「ならなんとかなるかもしれません!」


菊月「私はアイツを信用できない。私が触媒になるのなら発射後に壊すことができない」


如月「富士に滅ぼされるか……八島で滅ぶのかの……二択になるだけよ……」

ーー


八島「きひひひひ、ようやく出番が来たね」


八島「世界が違っても愚姉には変わりない。クソ姉を殺せるなら大歓迎!!」


八島「富士を誘き出す道具はもうこっちの手の中にあるんだよねぇ」スッ


八島「この手鏡…本当なら苦労して手に入る予定だったけど、思わぬ形で手に入った」


八島「この時点であたしの勝ちは…いや、まだだ。出力が100パーセントじゃなきゃ、勝てるかは運次第」


八島「なんで棺が10個なのか。賢い人なら分かってたでしょ?」


八島「10分の1でコンマを引けるならそれでいいよ。負けたら終わるだけ」


八島「犠牲無くして勝利なし…だっけ?便利な言葉だよね」


八島「一人しか殺せなかったのはどう影響するのかな?それともしないのかな?以上八島でした~」


ーー

今日はここまでです

ーー横須賀鎮守府


提督「多摩は試験に合格したらしい。とりあえず最初の壁は乗り越えたということだ」


龍驤「多摩が提督とはなぁ…でも足りないもの鎮守府を率いるっていうのはよく分かるわ」


提督「医者である先生の為に、鎮守府の敷地内に病院を作れないか検討しているそうだ」


龍驤「近い方がええやろうけど、敷地内に出来たら最高やね」


提督「一般人が簡単に鎮守府の敷地に入れてしまう問題もあるが、監視や警備を増やせば問題無い」


龍驤「憲兵さんの仕事が増えて喜ぶんと違うか」


提督「嫌な顔をしながら文句を言いそうだ」


龍驤「違いないやろうね」

龍驤「ほんで…菊月らとは連絡取られへんの?」


提督「ああ。菊月提督は事情を知っているようだが、何も教えてくれない」


龍驤「やるべきこと…色々と事情はあるんやね」


提督「こちらが助けられるのならいいんだが…」


龍驤「多分無理やで。関わるなとか言われて終わるやろ」


提督「一応準備はしてあるが…果たしてどうなるかだな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


S朝潮「八島さん」


八島「どうしたの朝ちゃん」


S朝潮「今の私達で向こうの世界の相手に、勝つまでも行かなくても対処はできませんか?」


S朝潮「例えばこちらへ来ないよう押し込めたりとか、です」


八島「やろうと思えばできるよ」


S朝潮「じゃあ…」


八島「放置したらどうなるか分かんないもん。こっちに来るのが分かってるなら倒した方が良くない?」


S朝潮「でも今のままじゃ倒せませんよね」


八島「倒せるけど菊月達は死ぬ。それで済むなら安いものじゃん」


S朝潮「それは…」


八島「たった十人の犠牲で世界は救われる。どう考えてもそっちの方がお得じゃん」

八島「何十億というモブを救うのに主要キャラを十人も使う。これをどう見るかだよ」


S朝潮「なんとかならないんですか?」


八島「ここはそういう世界だから無理。登場人物を殺せば殺すほどクリアが近付く世界なんだもん」


八島「これは正史なのかそうじゃないのか。それすら分からない」


S朝潮「全ては富士さんを倒せるかどうかにかかっているんですね」


八島「世界が混じり合ってる混沌を突かれたからね。菊月達を消すという荒技でしか特効薬が無いんだよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「八島を使えば勝てるのは解ったがそれは最後の手段だ。私達はまだ死ぬつもりは無い」


三日月「でも方法がありません」


菊月「向こうの世界の滅びを止めるんだ」


三日月「そんなのは不可能です」


菊月「このまま何もしなければ滅ぶなら、試してみても構わないだろう」


望月「さっき言ってたウィルスってタチの悪いやつ?」


三日月「死の病と言われているもので毒性が強いものです」


菊月「対処法は無いのか」


三日月「あの世界ではもうありません」


望月「もう無いっていうのが気になるけど。詳しく聞かせて~」

三日月「放射性の何かなのか分かりませんが、兵器として開発されたウイルスではありません」


三日月「ワクチンを作れれば死の病…ウイルスをなんとかできるかもしれません」


望月「でもその人間が居ないと」


三日月「作る人間も残っていません…」


菊月「特効薬も無いのか」


三日月「本当だったら作れたんです、でも……もう無理なんです」


三日月「戦争で艦娘は使われ残っていた艦娘も処分されました。深海棲艦も滅んでしまっています」


三日月「もし艦娘が生き残っていれば……死の病は防げたんです…」


菊月「……」


三日月「艦娘の血液があればそこから簡単に血清を作れたんです。でもあの世界に艦娘はもう存在しません」


三日月「こちらからあっちの世界に行くことは不可能…そんな力はこっちにはありません」


三日月「あの人だけが世界を行き来できる…全てを滅ぼした後にこちらに来ようとしているんです」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「とりあえず血清はこちらで作る。今のあちらの世界の事をそこまで詳しく把握出来るのは観測可能だからだろう」


望月「つまり隔絶はされていないっと」


菊月「それに元々は私達の居た世界だ、知らない場所じゃない。神威の力を使えば…」


三日月「もうあの世界は知らない場所と言えるくらいに、荒廃してしまっています」


望月「世界は変わらないでしょ?」


三日月「場所は変わりませんけど…」


菊月「ならどうにかなる。神威達の力を集めれば血清の一つくらい送ってやる」

三日月「無事に送れたとしても、向こうの人がどう扱うかは分かりません」


菊月「だからといって何もしない馬鹿じゃない」


望月「血清は専門家に頼むしかないとして…神威が本当にできるのかって話になるね~」


菊月「アケボノの力も使う。私達の能力も直列で繋いでいけばいい」


望月「ハイリスクだね~」


菊月「自分達が死ぬかどうかなんだ。命より軽いものは全て使うのは当たり前だ」


下1 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営地下


整備士「僕が世界を救うなんて、腕が鳴りそうな仕事だね」


菊月「大和から作られたウイルスのワクチンを作ったお前なら任せられる」


整備士「どうやるかは知らないけど、君達が居た世界に送るなら元いた艦娘の血液をベースにするがベストだね」


菊月「血くらい協力する」


整備士「ありがたいよ、血をもらったら早速作っちゃうね」


菊月「富士…お前の思う通りにはならない」


整備士(彼は新しい世界を創造した。僕は再構築をしようとしている。ひょっとして彼はこの為に僕にアレを託したのかな?)


整備士(それは考え過ぎかもしれない、けどそう思ったっていい。受け取った力はどう使っても自由だからね)


ーー

今日はここまでです

ーー


菊月「血清が出来上がった。これで物は揃ったということになる」


アケボノ「あとはそれをあたし達が居た世界に送ればいいって話ね」


望月「本当にそんなことできるの?」


菊月「やるしか無い。そうしなければあの世界は滅ぶ」


神威「瞬間移動の要領で物を異世界に飛ばす…」


菊月「異世界とは違う、私達が居た世界だから知らない場所じゃない」


アケボノ「そうは言っても世界が違うのは事実じゃない」

望月「それにさ、無事に送れたとして向こうの人がそれを使う?あたしなら怪しさ全開のそんなの使わないけど」


アケボノ「血清が何か分からない人間が拾うかもしれないわね」


菊月「そんなことは分かっている。だがこのままでは私達は死ぬしかない」


望月「お、八島の燃料になる気はあるんだ」


菊月「私達の命でこの世界が守れるのなら安い」


グラーフ「死にたいなぃぃ…!」


菊月「そうなった時は諦めろ、元々アイツに騙された時点で死んでいてもおかしくなかったんだ」


ハグロ「しぬ?」


アケボノ「ハグロは助けてあげたいけど……」


千代田「失敗した時の話なんかしても意味ないでしょ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「……どうだ」


神威「血清は…送れた……?」


アケボノ「目の前からは消えたわね…」


千代田「疲れた……もう一回やれって言われても…無理よ……」


グラーフ「……」


菊月「しれっと自分を回復しているグラーフがいることを忘れるな。もう一度くらいすぐにできる」


グラーフ「バレた…!?」


望月「ふぃ~ダルいよ~~」


菊月「後はどうなったか……その結果を待つ」


望月「とりあえず解散でいいんじゃない?もう一回できても血清が無いし」


菊月「…そうだな」

ーー


『ギャァァァァァ…!』


八島「おー苦しんでる苦しんでる。そりゃ自分の存在が消える瀬戸際だもんねぇ」


八島「この手鏡を通して向こうの様子は見れる。前からチラチラは見てたけどこれは決まったかな?」


八島「艦娘の血でしか直せないのにその艦娘が居ないから不治の病、即ち富士。死の病って言ってたのに軽~くバレちゃった」


八島「血清はまだ誰かが受け取ったわけじゃない。けど世界に特効薬が存在できた事実そのものが富士という概念を消そうとしている」


八島「名前を呼んだら存在が確定する、その逆ってとこかな~」


八島「素直におめでとうと言えるのかな?それともまだ早いのかな?」


八島「それこそまさに、神のみぞ知る…ってね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

『ギ…ィ……!』ギロッ


八島「は……?こっち…見た?」


八島「向こうは世界を滅ぼすまでこっちの存在すら知れないのに?」


八島「鏡は世界を繋ぐ道。それが煉獄を通じてA島の残骸にあったのは納得できる」


八島「向こうの世界がどれだけ荒廃してもA島だけは無事。だからこの手鏡を通じてこの世界に来れる」


八島「チッ……まさかこっちを見てるとは思わなかった。これじゃあ無理矢理にでも世界を渡ってくる」


八島「直接あたしの所に出てくるはずがない。自分が消えかけている事実を消す為には……」


八島「あの艦娘を消すしか無い」

ーー


荒潮「そうよねぇ~私を殺せば時間は巻き戻るのよ~」


荒潮「いま私を殺せば血清が送られる前に戻る。じゃあ殺すしかないわよね~」


荒潮「無理矢理世界の扉をこじ開けるのだから~向こうは万全ではないわ~」


荒潮「それでも神様くらい凄い相手だから~どうかるか分からないわ~」


荒潮「うふふふ~どうなるのか楽しみね~」


荒潮「神のみぞ知る…なんて便利な言葉よね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

書き方が悪かったです、荒潮は死んでません


荒潮を殺すために富士は動いたのか、動けかなったのか


それとも別な方法をとったのか、とれなかったのか


もう一度安価を出してみます
下2

ーーーー


「ギ……ギギィ…!」


「お嬢さんやどうしたんじゃ」


「こんな……はずじゃ…!」


「…これはもう間に合わん。何があったのか知らんが既に手遅れじゃ」


「荒病にかかったわけじゃ無さそうじゃな。もしそうならこの薬で治せたんじゃが」スッ


「がぁぁ…!!それ…は……!」


「突然現れた血清。死に至る病に効くと書いてあったがとても信じられるものでは無かった」


「じゃが容器に付着していた錆…これがどうしても気になってのう」


「信じるしかないと使ってみたところ、大当たりじゃった。まさに神からの贈り物だったのかのぉ」


「黙れ……!カミサマは……この…私……!」

「そうじゃな…お主はカミサマじゃったな」


「ぐ……っ…!」


「世界を滅ぼさねば異世界へ行くことは出来ん。無理矢理やっても力を浪費するだけじゃ」


「この……死に損ない…!」


「……ぎひ」


八島´「きひひひひひひひひ」バッ


八島´「お姉ちゃぁ~~ん~よくもあたしを殺してくれたねぇ?」


富士´「ふざけるな……!」


八島´「愚姉が消えかかったんで無事復活と。ほんとにバカだよね~」


富士´「お前だけは……許さない……!」



八島´「勝手に言ってれば?死にかけのクソカミサマ」

八島´「お前の敗因は向こうの世界を見たこと。見たから色々と考えて余計な行動をした」


八島´「あの血清を壊せばこうはならなかったのに。本当にバカで救いようがないよね」


富士´「ぎぃ……!」


八島´「残念ながらこの世界が滅ぶことは無くなりました。あたしが復活したから自由に八島も使えなくなったしね」


八島´「さーてお姉ちゃん?楽しい楽しい地獄行きだよ~」


富士´「やめろ……!私を…誰だと……!」


八島´「カミサマモドキの勘違いした出来損ない」


富士´「ぁ……!」


八島´「そっちのあたし~見てる見てる?こっちからは分かんないから見てる前提でやっちゃうね~」


八島´「八島の名において……」


富士´「あぁぁぁぁ……!!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


八島「見てたよ。ま…そっちの世界はもうかなり滅んじゃってるよね。艦娘も深海棲艦も居ないし」


八島「この先復興出来るかは人間次第で、あたし達にはもう関われないかな」


八島「さ、て、と。使わずに終わったこの棺だけど中身はどうしよう」


八島「結局朝霜は入れてないし、入ったのはアイツだけ」


八島「うーん……とりあえず起こしとこっか」


「……」


八島「おーい!残りカス起きろー!!」バゴッ


芙蓉「へぁっ!?」


八島「やーい残りカスのクセに体張ったからだって、間抜けなツラで起きてやんの」


芙蓉「……その様子だとなんとかなったみたいね」


八島「冷静ぶっても事実は変わりませーん」


芙蓉「ぐ……!!」

芙蓉「…八島を使わない結果があるとは思わなかったわ」


八島「あたしもそう思ってた」


芙蓉「これからどうなるの?」


八島「さぁ?その後は10人殺せばハッピーエンドの世界だったから、もう役目は終わったのかもね」


芙蓉「この世界は貴女が作ったの?」


八島「そうそう。向こうの富士が来ることが分かったから、それに対抗しようとしたんだよ」


芙蓉「役目が終わるということは世界が終わることを意味する…」


八島「それを決めるのはあたしじゃないから。ね?」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


三日月「…どうやら終わったようです」


菊月「わかるのか?」


望月「あたし達は実感は無いけどね」


千代田「あんたまた騙そうとしてないわよね!?」


三日月「大丈夫です。菊月さん、棺とアレを処分しておいて下さい」


菊月「もう必要ないんだな」


三日月「はい。貴女の能力で全てを錆にしておいて下さい」


菊月「分かった、やっておく」

三日月「うまくいったかどうか…分かりやすいものがあります」


千代田「なによ言ってみなさいよ」


三日月「……」スッ


千代田「どこを指差して……ぇ!?」


如月「あら?」


菊月「誰だ」ジャキッ


如月「如月よ、身体が崩壊して魂だけの存在だったはずだけど……」


望月「これが成功した結果?」


三日月「そうとしか思えません」


如月「地上を歩くなんて久しぶりねぇ」


グラーフ「お化け…じゃない!?」


菊月「とにかく一度鎮守府に戻る。細かい話はそれからだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー足りないもの鎮守府


菊月 「朝霜の中身が居ない…?何処へ行った」


菊月「何処にも行けないはずだというのに、何をしようとしているんだ」


早霜(……まだ姉さんを諦めきれないの)


早霜(普通の魂では無間地獄には行けない。だけど私の魂の重さなら降りていけるかもしれない)


早霜(きっと私は帰っては来られない……けど姉さんだけでも)


早霜(お願い……姉さんを…)


(……)

ーー


早霜(姉さん……どこ…何処に居るの…)


早霜(ここには姉さんが居るはず……そうじゃなければ…)


「うううう…」


早霜(あ……)


「パパ……助けて…あたい……」


早霜(姉さん……私のせいで…)


「ママ……あたいが…」


早霜(お願い……せめて…姉さんだけは……)


下1 この後の展開やその他起こったことなど

門番「自分からここに来るやつは初めてだよ、何しに来たの?」


早霜(私は…)


門番「ああ言わなくていいよ、罪人共の事情なんて知った事じゃないからね」


早霜(姉さんは罪人じゃない…!)


門番「ん?なにその力。そんなの残してここに来れるわけ…」


門番「ふぅんそっか、ここに来れるわけだ。引いちゃうくらい業が深いね」


早霜(姉さんは私の代わりに地獄に落とされたの…)


門番「それで?」


早霜(お願い……どうか姉さんだけは…)


門番「勘違いしてもらったら困るんだけど私は門番。そんな権限無いから」


早霜(姉さん……姉さん…)


門番「勝手に地獄に来て騒がれるとか凄い迷惑…勝手に帰れないだろうし、放置しとくしかないかな」


ーー

今日はここまでです

ーー


白鶴「白鶴まるっ、セカンドシーズン。本日は生配信でお送りしています」


白鶴「急な配信にも関わらず見て下さっている方には本当に感謝です…ああ早速コメントをいただきました」


『そこは何処ですか?』


白鶴「ここは関西の方のキャンプ地です。明日の収録に向けて前乗りをすることになっていたんですか…」


白鶴「スケジュールミスで私だけがこちらに来てしまったんです。ホテルも取れていませんしライちゃんも居ません」


白鶴「ビジネスホテルにでも泊まることを考えたんですが、折角だからとキャンプをすることになったんです」

白鶴「こう見えてキャンプは得意なんですよ。昔ホームレスの時には虫をよく食べてましたし」


『それはキャンプじゃなくてサバイバルでは?』


白鶴「サバイバルかキャンプか。人によって答えは違っていいと思います」


『配信は何時までですか?』


白鶴「何時までは考えていません。私とゆっくりとした時間を過ごしましょうね」


白鶴「食べ物は近くのスーパーで購入したので心配ありません。それではまず、火を付けていきましょう」

白鶴「炭で火を付けるのは簡単です。着火剤を使えばもっと簡単ですよ」


『白鶴さん火起こし上手い』


白鶴「ありがとうございます、褒めてもらえると嬉しいですね」


『艦娘は出撃する時にキャンプとかするんですか?』


白鶴「うーん基本的にはしませんね。やるとしてもサバイバルの意味合いが強いかもしれません」


白鶴「もちろん趣味でやられている方は大勢いらっしゃると思います。普段は海で過ごしている艦娘ですから、山に行きたくかるのかもしれません」


パチパチ…


白鶴「火もいい具合になってきたので…お肉を焼いちゃいましょう!」


白鶴「うーん美味しそうなお肉とお魚!今から楽しみです!」

ジュー


白鶴「こうやって肉を焼いているとある花を思い出します。横須賀に来る前の鎮守府で、ある軽巡洋艦さんが大きな獣を狩ったんです」


白鶴「それが地元のテレビ局に知れて取材をさせて欲しいということで、その軽巡洋艦さんにインタビューをしたんですが…」


白鶴「その時の話が何度聞いても……ふふっ」


白鶴「すいません笑ってしまいました。勘違いから起きた騒動なんですが…」


白鶴「あ、スーパーチャットありがとうございます。えーと忍びさんからですね」


『名前を出したらどうなるか分かる?』


白鶴「すぅ……ふぅぅ」


白鶴「……」


白鶴「さて、お魚も焼いていきましょうね」

白鶴「美味しかったです、大満足の夕食になりました」


ポツ、ポツ


白鶴「あ……雨ですね。天気予報では今晩は持ち堪えると言ってたんですが、外れたみたいです」


白鶴「せっかく火を起こしたのに消えてしまうのは勿体ないですね。七輪のように移動できるタイプですのでこのままテントの中に入れましょう」


白鶴「もちろんカメラも持っていきますよ。配信はまだ続きます」


『やめろ』


白鶴「いえいえやめろだなんて言われても配信はまだまだ続きますからね」


『やめろって!』
『白鶴さん気付いて!』


白鶴「大丈夫ですよ皆さんのコメントは読めています……あら、随分と騒がしくなってきちゃいましたね」

白鶴「……あ!私としたことが…!テントの中にあった下着が丸見えに…!」


白鶴「皆さんがやめろって騒がしかったのはこれだったんですね、ありがとうございました」


白鶴「今日は過激なものは持ってきていなかったので不幸中の幸いでしょうか」


『違う違う違う!』


白鶴「……」


白鶴「うーん…?なんだか急に眠たくなってきたような……?」


白鶴「おかしいですね…今日はお酒は飲んでいないんですけど……」


白鶴「うぅん……」


白鶴「もうコメントも読めなく…なってきちゃいましたぁ……」


白鶴「明日…早くないんですけど……今日は…ここまで…」


白鶴「……」ドサッ


『え』
『白鶴さーーーん!』
『起きて!起きて!』
『キャンプ場特定して電話しろ!』


白鶴「……」

シュバッ


由良「居た」


白鶴「……」


由良「換気」


白鶴「……」


由良「…」バチンッ


白鶴「んぃ…」


由良「意識はある」


由良「病院に」


由良「…」


由良「テントの中で炭」


由良「死ぬ気?」


白鶴「……」


由良「…」


ブチッ


このチャンネルはご覧になることはできません。詳しくはホームページを確認し……

本当にこれでBANされるかは知りませんが、白鶴さんなら垢BANです

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月19日 (火) 20:00:24   ID: S:DRUul6

今夜セックスしたいですか?ここに私を書いてください: https://ujeb.se/KehtPl

2 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 04:19:07   ID: S:1ts-5v

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