‣前スレ
【シャニマス】灯織「それは違います!」【ダンガンロンパ】
【シャニマス】灯織「それは違います!」【ダンガンロンパ】 - SSまとめ速報
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【シャニマス】灯織「それは違います!」【ダンガンロンパ】
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「その矛盾、撃ち抜きます!」【安価進行】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1616846296/)
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※注意
・本作は「ダンガンロンパ」のコロシアイ学園生活をシャニマスのアイドルで行うSSです。
その特性上アイドルがアイドルを殺す描写などが登場します。苦手な方はブラウザバックを推奨します。
・キャラ崩壊注意です。
・ダンガンロンパシリーズ(1,2,3,v3,絶対絶望少女等)のネタバレを一部含みます。
・舞台は初代ダンガンロンパの希望ヶ峰学園となっております。マップ・校則も原則共有しております。
・越境会話の呼称などにミスが含まれる場合は指摘いただけると助かります。修正いたします。
以上のほどよろしくお願いいたします。
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1622871300
【4章現在での主人公の情報】
【超高校級の占い師】風野灯織
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・習得スキル
【一番星の魔法】
〔自由行動二回目終了時にモノクマメダル10枚を消費することで、その日の自由行動を一回プラスすることができる〕
【ポシェットの中には】
〔自由行動のある日に限り一日の終わりにコンマ判定を行い、末尾の数字の枚数分だけのモノクマメダルを獲得できる〕
【意地っ張りサンセット】
〔反論ショーダウン・PTAのコンマ値の基礎値が+10される〕
【包・帯・組・曲】
〔学級裁判の誤答時ペナルティを三回までなかったことにする〕
【HAPPY-!NG】
〔交流による親愛度上昇が+0.5される〕
【摩的・アンチテーゼ】
〔反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+15される〕
・【現在のモノクマメダル】71枚
・【現在の所持品】
【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×3
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】×2
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
【校則】
【1】生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。
【2】夜10時から朝7時までを"夜時間"とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。
【3】就寝は寄宿舎エリアに設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。
【4】希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。
【5】学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。
【6】仲間の誰かを殺したクロは"卒業"となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。
【7】生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。
【8】学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。
【9】学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、クロだけが卒業となり、残りの生徒は全員処刑です。
【10】コロシアイ合宿生活で同一のクロが殺せるのは、2人までとします。
【通信簿および親愛度】
・【超高校級の飼育委員】櫻木真乃……1.0【DEAD】
・【超高校級の占い師】風野灯織……(主人公)
・【超高校級の助っ人】八宮めぐる……0
・【超高校級の保健委員】幽谷霧子……0【DEAD】
・【超高校級のモデル】白瀬咲耶……3.5【DEAD】
・【超高校級の服飾委員】田中摩美々……12.0
・【超高校級の幸運】園田智代子……3.0
・【超高校級の応援団長】西城樹里……3.0【DEAD】
・【超高校級の日本舞踊家】杜野凛世……2.0
・【超高校級のゲーマー】大崎甜花……3.0【DEAD】
・【超高校級のスタイリスト】大崎甘奈……1.0【DEAD】
・【超高校級のギャル】和泉愛依……2.0
・【超高校級の???】浅倉透……0【DEAD】
・【超高校級のディベート部】樋口円香……6.0
・【超高校級の帰宅部】市川雛菜……12.0
・【超高校級の学級委員】福丸小糸……12.0【DEAD】
【コトダマ】
【かくれんぼ】
〔かくれんぼのルール
1.オマエラは鬼となって、オマエラの中に潜む裏切り者を探してもらいます。
2.見つけ出した裏切り者をぶっ殺します。
3.裏切り者をオマエラが殺した場合、学級裁判は行われずそのままコロシアイ合宿生活はおしまいとなります。
4.みんなで協力して裏切り者をぶち殺して仲良くなりましょう。
5.なお、このかくれんぼにはモノクマは参加しません。
以上のルールが今回の動機として設けられた。白瀬咲耶の殺害において、この条件は満たされたことにならず、学級裁判が行われることになった〕
【モノクマファイル4】
〔被害者は白瀬咲耶。死亡推定時刻は16時20分ごろ。音楽室のステージ上で殺害された模様。目立った外傷はなく、犯人と争った形跡もない。事件発生当時、現場ではスプリンクラーが作動しており、死体も頭からつま先まで全身が濡れてしまっている〕
【スプリンクラー】
〔音楽室に備え付けられているスプリンクラー。煙を感知し、火元の消化のために水を散布する。事件当時にも作動していたようで、灯織たちが現場に踏み入った際には現場は水浸しになっていた。〕
【非常電源】
〔音楽室が停電になると起動する。一台で音楽室のすべての設備を維持できるほどの発電力を有している〕
【断線ケーブル】
〔ステージ上に落ちていたケーブルの一部が、途中でちぎれてしまっていた〕
【フロアライト】
〔ライブステージ上に並べられていたライト。感暗式で、一定の光度以下になると自動で転倒する。電源は電池を使用し、それぞれ独立している〕
【薬品A】
〔音楽室の座席の下に落ちていた薬品の空き瓶。酸素と反応して気化し、無色透明な気体となる。気体を吸引すると催眠性の効果を発揮し、数分で意識を失ってしまう〕
【薬品B】
〔ステージ上に落ちていた薬品の空き瓶。酸素と反応して気化し、無色透明な気体となる。薬品Aと結合すると強い有毒性のガスを発生させ、吸引すると数分で呼吸困難になり、適切な治療を行わなかった場合死に至る。使用後のボトルは特殊な洗浄が必要となるため、使いまわしはできない〕
【ブレーカー】
〔音楽室全体の電力供給をつかさどるブレーカー。レバーを上下させてオンオフを切り替える。かなり高い位置に取り付けられており、灯織たちでは降ろせそうもない〕
【制御室のエアコン】
〔ステージ脇の制御室に取り付けられていたエアコン。16時20分になると起動するようにタイマーが設定されていた〕
【事件当時の状況】
〔愛依と雛菜は観客席の装飾、咲耶はステージ上で、摩美々は制御室で照明の調整をしていた。作業中唐突に煙があがり、咲耶の指示で全員が屈んでいると、煙を感知したスプリンクラーが作動。その直後に照明も落ちてしまう。真っ暗闇の中、咲耶を除いた三名はなぜか意識を失ってしまった〕
【燻煙剤】
〔音楽室に落ちていたもの。開封して着火するとしばらく経った後に自動で煙が発生する。害虫撃退用〕
【音楽室のエアコン】
〔音楽室のエアコンは壁に取り付けられたパネルで制御されていた。温度は18度と異常なまでに低く設定されている〕
【モノクマの証言】
〔モノクマはその部屋の中で事件が起きている場合、学級裁判に必要な場合は閉まっている鍵であっても特別に開けてくれるらしい〕
【ゴム】
〔音楽室の入り口付近に落ちていた弾力あるゴムのような何か。智代子曰く、「図工室の味がする」らしい〕
【音楽室の扉の鍵】
〔扉下部にいわゆるシリンダー式の鍵がついている。施錠できるのは外側からだけ〕
【ガスマスク】
〔音楽室の入り口付近に落ちていたガスマスク。有害な気体を吸うことを防ぐために使う〕
【ピアノ線】
〔咲耶がライブの前に予備を用意していたらしい〕
【化学室の薬品棚】
〔薬品A,Bが入っていた棚。他にも毒薬の『コトキレルX』が盗難されていた〕
【備品リスト】
〔化学室の薬品について事細かに記載されたリスト。これによると『コトキレルX』は液体の薬品らしい〕
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ひとまずスレ立てだけ。
前スレを使い切ったら学級裁判をこちらのスレで進行します。
【学級裁判 再開!】
……どうすればいい?
今の私は、何ができる?何をすればいい?
モノクマ「田中さんの筋が通らなかったとき、田中さんにはこの合宿生活の存続を妨げた罰としておしおきさせてもらうから!」
摩美々「……!!」
愛依「ちょっ……なんで、おしおき……!?」
智代子「そ、そんなのおかしいよ!摩美々ちゃんは誰も殺してないのに!」
咲耶さんの遺書。それはあまりにも信憑性がすさまじく、私は摩美々さんの推理に圧倒されるばかりだった。議論の流れを指をくわえて見守ることしかできず、気づけばここまで来た。
モノクマ「このコロシアイ合宿生活はただのデスゲームじゃないんだよ!それぐらいの責任は負ってもらわないと、みんなが納得しないんだよ!」
円香「……みんな?」
摩美々「……そのぐらいの覚悟、摩美々にないと思いましたー?」
灯織「摩美々さん……っ!」
今、摩美々さんは私たちを背負って立ち、モノクマと単身闘おうとしている。
咲耶さんの遺志を継いで、この合宿生活を終わらせるために……矛盾を叩きつけようとしている。
モノクマ「クックックッ……いいねえ、自分の命も厭わない。ライオンに噛まれたインパラみたいな目をしてるよ」
摩美々「……」
摩美々さんは、咲耶さんに倣って自分の命を懸けて戦っている。
なら、私にすべきことは摩美々さんの戦いを見守り続けること……?
モノクマ「オマエがそこまで覚悟を決めてるなら、ボクもそれに答えないとね!」
摩美々「……」
……なら、この胸のざわつきは何?
咲耶さんの自殺、それは事件の前から確定していて……摩美々さんはそれを知ったうえでこの計画を立てた。それに矛盾はない、ないはずなんだけど……
モノクマ「『白瀬咲耶は自殺をした。かくれんぼの条件を自分で自分を殺害したという形で満たした。だけどボクはそれに気づかず学級裁判を開いている』この三点を糾弾したいってことで合ってる?」
摩美々「そうですねー」
……なんで、モノクマはあんなに冷静なの?
自分自身のルール違反だなんて、そんなのモノクマが一番嫌いそうなのに……
摩美々「モノクマ自身のルール違反を指摘させていただきますー」
モノクマ「じゃあ最後にもう一回だけ確認するよ?オマエは糾弾に失敗した場合その時点でおしおき決定。それでもボクのルール違反を指摘する?」
……このまま黙っていたら、摩美々さんは本当に自分の命を懸けてしまう。
私は、それでいいの?
……これが最後のチャンスだ。
私しか、それをできる人はいない。
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【私が選ぶべきなのは……】
・異議を唱える
・異議を唱えない
↓1
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摩美々「だから、そうするって言ってるじゃ……」
【灯織「異議あり!」】反論!
摩美々「はぁ……?」
灯織「あ、そ、その今のは……学級裁判ということもあり裁判の形式に従ったと言いますか……その……」
摩美々「そんなの別にいいケド、ここに来て異議を唱えるってそれどういう意味か分かってるのー?」
灯織「……はい」
摩美々「咲耶の遺志、そして私の覚悟を否定するかもしれない……その可能性が分からないわけじゃないよねー」
灯織「……もちろんです。ですが、私もここで止まるわけにはいかないんです!」
灯織「もし、摩美々さんが無為に命を落とすことがあれば……一生悔やんでも悔やみきれません」
灯織「私があなたをここで止めて見せます!」
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【反論ショーダウン開始!】
【コトノハ】
‣【薬品A】
‣【薬品B】
‣【モノクマファイル4】
‣【ガスマスク】
‣【備品リスト】
‣【かくれんぼ】
摩美々「咲耶は自殺したんだよー」
摩美々「まず薬品Aを開封して、座席に隠しておく」
摩美々「その後で燻煙剤を焚くことで有毒な煙が発生していると思わせてー」
摩美々「しゃがむように指示して、私たちにガスを吸わせて眠らせるー」
摩美々「音楽室も密室にしておいてー」
摩美々「誰の邪魔もないままに自殺したんですよー」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「確かに自殺までの流れの論理は通っていますが……」
灯織「咲耶さんの取った自殺の方法には疑問が残っています!」
-------------------------------------------------
摩美々「何言ってんのー」
摩美々「どうやって自殺したのかももう明らかじゃーん」
摩美々「咲耶は【化学室の薬品を飲んだ服毒自殺だった】んだよー」
摩美々「化学室の棚にあった薬品が【一つ減ってた】のは灯織も確認したよねー?」
摩美々「もういいですかー?」
摩美々「咲耶は自殺だった、それは揺るがぬ真実だよー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ60以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
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摩美々「ガスマスクは薬品Aの吸引対策でしょー?」
摩美々「咲耶の死因の服毒自殺とはなんら矛盾しないと思うケド」
(……咲耶さんの服毒自殺を否定するには、毒を飲んだことを否定しないと駄目……)
(何か矛盾はないか……なんとしても見つけないと……!)
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【反論ショーダウン開始!】
【コトノハ】
‣【薬品A】
‣【薬品B】
‣【モノクマファイル4】
‣【ガスマスク】
‣【備品リスト】
‣【かくれんぼ】
摩美々「咲耶は自殺したんだよー」
摩美々「まず薬品Aを開封して、座席に隠しておく」
摩美々「その後で燻煙剤を焚くことで有毒な煙が発生していると思わせてー」
摩美々「しゃがむように指示して、私たちにガスを吸わせて眠らせるー」
摩美々「音楽室も密室にしておいてー」
摩美々「誰の邪魔もないままに自殺したんですよー」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「確かに自殺までの流れの論理は通っていますが……」
灯織「咲耶さんの取った自殺の方法には疑問が残っています!」
-------------------------------------------------
摩美々「何言ってんのー」
摩美々「どうやって自殺したのかももう明らかじゃーん」
摩美々「咲耶は【化学室の薬品を飲んだ服毒自殺だった】んだよー」
摩美々「化学室の棚にあった薬品が【一つ減ってた】のは灯織も確認したよねー?」
摩美々「もういいですかー?」
摩美々「咲耶は自殺だった、それは揺るがぬ真実だよー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ60以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
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摩美々「むしろ灯織がその備品リストをよく見直すべきなんじゃなーい?」
摩美々「薬品が減ってたことは事実でしょ?」
(くっ……このリストに書かれている薬品のうち一つ、それが化学室から無くなっていたことは事実)
(……ん?このリストを見直す……?)
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【反論ショーダウン開始!】
【コトノハ】
‣【薬品A】
‣【薬品B】
‣【モノクマファイル4】
‣【ガスマスク】
‣【備品リスト】
‣【かくれんぼ】
摩美々「咲耶は自殺したんだよー」
摩美々「まず薬品Aを開封して、座席に隠しておく」
摩美々「その後で燻煙剤を焚くことで有毒な煙が発生していると思わせてー」
摩美々「しゃがむように指示して、私たちにガスを吸わせて眠らせるー」
摩美々「音楽室も密室にしておいてー」
摩美々「誰の邪魔もないままに自殺したんですよー」
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【発展!】
灯織「確かに自殺までの流れの論理は通っていますが……」
灯織「咲耶さんの取った自殺の方法には疑問が残っています!」
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摩美々「何言ってんのー」
摩美々「どうやって自殺したのかももう明らかじゃーん」
摩美々「咲耶は【化学室の薬品を飲んだ服毒自殺だった】んだよー」
摩美々「化学室の棚にあった薬品が【一つ減ってた】のは灯織も確認したよねー?」
摩美々「もういいですかー?」
摩美々「咲耶は自殺だった、それは揺るがぬ真実だよー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ60以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
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摩美々「いや、減ってた薬は『コトキレルX』、薬品Bとは別物でしょー?」
摩美々「小手先で誤魔化そうったってそうはいかないからー」
(摩美々さんの言う通り、薬品周りの事実に矛盾はない……)
(なら、現場との間に何か矛盾はなかったかな……)
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【反論ショーダウン開始!】
【コトノハ】
‣【薬品A】
‣【薬品B】
‣【モノクマファイル4】
‣【ガスマスク】
‣【備品リスト】
‣【かくれんぼ】
摩美々「咲耶は自殺したんだよー」
摩美々「まず薬品Aを開封して、座席に隠しておく」
摩美々「その後で燻煙剤を焚くことで有毒な煙が発生していると思わせてー」
摩美々「しゃがむように指示して、私たちにガスを吸わせて眠らせるー」
摩美々「音楽室も密室にしておいてー」
摩美々「誰の邪魔もないままに自殺したんですよー」
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【発展!】
灯織「確かに自殺までの流れの論理は通っていますが……」
灯織「咲耶さんの取った自殺の方法には疑問が残っています!」
-------------------------------------------------
摩美々「何言ってんのー」
摩美々「どうやって自殺したのかももう明らかじゃーん」
摩美々「咲耶は【化学室の薬品を飲んだ服毒自殺だった】んだよー」
摩美々「化学室の棚にあった薬品が【一つ減ってた】のは灯織も確認したよねー?」
摩美々「もういいですかー?」
摩美々「咲耶は自殺だった、それは揺るがぬ真実だよー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ60以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
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摩美々「モノクマファイルには、死因の記載はなかった……」
摩美々「でもそれは薬品Bを使った殺害と錯覚させるためにモノクマが仕組んだ計略なんじゃないの?」
(流石は摩美々さんだ……理屈の練合では負けてしまう……)
(服毒自殺が不可能だった、行われていない……そういった明確な根拠をぶつけないとだめ……だよね)
(『コトキレルX』を飲むという自殺方法……薬品の特徴……?)
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【反論ショーダウン開始!】
【コトノハ】
‣【薬品A】
‣【薬品B】
‣【モノクマファイル4】
‣【ガスマスク】
‣【備品リスト】
‣【かくれんぼ】
摩美々「咲耶は自殺したんだよー」
摩美々「まず薬品Aを開封して、座席に隠しておく」
摩美々「その後で燻煙剤を焚くことで有毒な煙が発生していると思わせてー」
摩美々「しゃがむように指示して、私たちにガスを吸わせて眠らせるー」
摩美々「音楽室も密室にしておいてー」
摩美々「誰の邪魔もないままに自殺したんですよー」
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【発展!】
灯織「確かに自殺までの流れの論理は通っていますが……」
灯織「咲耶さんの取った自殺の方法には疑問が残っています!」
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摩美々「何言ってんのー」
摩美々「どうやって自殺したのかももう明らかじゃーん」
摩美々「咲耶は【化学室の薬品を飲んだ服毒自殺だった】んだよー」
摩美々「化学室の棚にあった薬品が【一つ減ってた】のは灯織も確認したよねー?」
摩美々「もういいですかー?」
摩美々「咲耶は自殺だった、それは揺るがぬ真実だよー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ60以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
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灯織「見つけた……!」
【BREAK!】
灯織「……そうだ、やっぱりおかしいですよ」
灯織「咲耶さんが服毒自殺をした……だとしたら現場には矛盾が生まれてしまいます」
摩美々「……どういうことー?」
灯織「摩美々さんも確認したと思いますが、こちらの化学室の備品リストを再度確認してもらえますか?」
灯織「ねえ、めぐる……なくなってた薬品がどんな特徴だったかはめぐるも一緒に確認したよね?」
めぐる「うん、無くなってたのは確か……飲むと全身の麻痺が最初に引き起こされて、やがて心臓も麻痺して死んじゃう液体の毒薬……だったよね」
灯織「じゃあめぐる、その薬を飲むためにはどうすればいい?」
めぐる「え?液体だから……直接ボトルから飲んだり、コップに入れたり?」
めぐる「……あっ!」
灯織「そう、現場にそんなものは残って無かったよね?」
凛世「お待ち下さい……」
凛世「ステージ上には、薬品Bの容器がありました……盗難された薬品と、薬品Bとの間で中身の入れ替えが行われた可能性はないのですか……?」
愛依「そっか……それならボトルに入れて持ち込めるし、ずっと誰が持ち込んだかナゾだった薬品Bのボトルの意味も説明できんじゃん!」
灯織「いや……その可能性はないと思うよ」
凛世「……何故、でしょうか」
【正しい選択肢を選べ!】
・ボトルの使いまわしはできないから
・薬品Bがまだ入っていたから
・毒薬が空気にさらすと固まってしまうから
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「薬品Bのボトル自体にその証拠が残ってるよ」
智代子「ボトル自体に……?」
雛菜「あ~!ラベルに書いてある~!」
雛菜「『本薬品は強い毒性があります。使用後のボトルは速やかに廃棄し、他の液体を保存するのには用いないでください』だって~♡」
灯織「咲耶さんが自殺する意思があったとはいえ、イレギュラーな事態を引き起こす恐れがある方法で毒薬を持ち込みはしないはずです」
摩美々「……そ、それはー」
灯織「現場に毒薬を入れたと思われる容器がない以上は、化学室から持ち出された毒薬を飲んで自殺したとは考えづらいんです」
愛依「えっ……!?それじゃあ咲耶ちゃんは、自殺じゃないってわけ?!」
灯織「……その可能性はあると思います」
モノクマ「あれ?これもしかして、田中さんのボクへの挑戦もお流れする感じですか?」
摩美々「……」
摩美々「いったん保留でー」
モノクマ「あれま!それなら仕方ないね!」
摩美々「でも別に私は咲耶の自殺を否定する気はないよー?」
摩美々「灯織が示したのはあくまで服毒自殺の否定であって、他にも自殺の方法はあるかもしれないしー」
(摩美々さんはあくまで自殺を譲る気はない……)
(摩美々さんだけに、咲耶さんは自身の秘密を明らかにしていた上にあの遺書……)
(私が摩美々さんでも、そうなると思う)
(でも、摩美々さんの推理を否定しないと前に進めないはずなんだ……!)
愛依「こ、これって結局どっちなん?!咲耶ちゃんは自殺だったの?!他殺だったの?!」
雛菜「でもやっぱり状況からすると他殺の方が自然じゃないですか~?」
凛世「しかし、自殺でも成立するのもまた事実です……」
めぐる「わたしは灯織の意見を信じるよっ!」
智代子「でも、化学室の薬品の盗難は見逃せないし……」
灯織「だからそれはいま説明した通り……」
円香「せっかく遺書があるのに、それを信じないの?」
摩美々「……咲耶」
【モノクマ「真実は二つに一つー!」】対立!
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モノクマ「おやおや、これはデジャブってやつじゃないかい?!」
モノクマ「咲耶さんの死について、他殺か自殺かの議論……つい先ほど見たばかり、ですが!」
モノクマ「議論とは有為無常!状況は常に変わり行くものなのです!」
モノクマ「さあ、己の真実を信じてぶつかりあえー!」
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【意見対立】
【議論スクラム開始!】
「白瀬咲耶は自殺だ!」vs【白瀬咲耶は他殺だ!】
愛依「咲耶ちゃんは密室を作って自殺を妨げられないようにしてたんだよ!」
凛世「咲耶さんは、薬品Aを用いて室内のみなさんを眠らせ……誰の邪魔も入らぬ中、その命を絶たれたのです……」
智代子「化学室で盗まれた毒薬……やっぱりあれは見逃せないよ!」
円香「咲耶さんの遺書の内容と事件はなんら矛盾していない……だったら自分の自殺を利用してモノクマに矛盾を突きつけようとしたんじゃないの?」
摩美々「今もコロシアイ合宿生活が続いてるっていうのが咲耶が自殺だったことの何よりの証拠でしょー?」
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意見スロット
【毒薬】
【かくれんぼ】
【密室】
【遺書】
【薬品A】
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【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】
↓1
愛依「咲耶ちゃんは密室を作って自殺を妨げられないようにしてたんだよ!」
【灯織「めぐる!」
めぐる「密室は咲耶じゃなくても作れたし、殺人のために利用した可能性もあるよ!」】
凛世「咲耶さんは、薬品を用いて室内のみなさんを眠らせ……誰の邪魔も入らぬ中、その命を絶たれたのです……」
【灯織「雛菜!」
雛菜「それは他殺でも成り立つ話ですよね~、目撃者を作らないため、とか~?」】
智代子「化学室で盗まれた毒薬……やっぱりあれは見逃せないよ!」
【灯織「めぐる!」
めぐる「毒薬が盗まれてるのは事実だけど、現場に毒薬を持ち込むのは困難だよ!」】
円香「咲耶さんの遺書の内容と事件はなんら矛盾していない……だったら自分の自殺を利用してモノクマに矛盾を突きつけようとしたんじゃないの?」
【灯織「ここは私が!」
灯織「遺書の内容と今回が自殺だったかどうかは直接関係しません……自殺だった明確な証拠とは言えないです!」】
摩美々「今もコロシアイ合宿生活が続いてるっていうのが咲耶が自殺だったことの何よりの証拠でしょー?」
【灯織「ここは私が!」
灯織「かくれんぼのルール、まだ抜け道があるのかもしれません!」】
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【CROUCH BIND】
【SET!】
【コンマの合計値200以上で相手のスクラムを打ち破れ!】
※スキル:意地っ張りサンセット・摩的アンチテーゼの効果は対象外です
↓直下より五回連続でコンマ判定(連投可)
【30+91+23+99+88】
【コンマ合計値331】
【全論破】
「「「これが私たちの答えだよ!」」」
【BREAK!】
灯織「……摩美々さん、今回の事件の状況は自殺でも、他殺でも成り立つ条件が多いです」
摩美々「……」
灯織「だからお願いです……もう少しだけ、議論をさせてもらえませんか?」
灯織「咲耶さんの遺志を継ぐためにも、私たち全員が納得した形で学級裁判を終わらせたい。そう思うんです」
摩美々「……仕方ないですねー」
(摩美々さん……!)
摩美々「この合宿生活を終わらせるのはもう少しだけ先送りにしてあげますー」
摩美々「その代わり、摩美々も納得できる結論にもっていってよねー」
灯織「も、もちろんです……!」
(よし、議論をつなぎとめることができた……!)
愛依「ってことは、こっから先は自殺か他殺かの話を詰めていくってことでいいんだよね?」
凛世「しかし、現場の状況はそのいずれでも成立するような条件ばかり……」
凛世「ここからどうやって導けばよいのでしょうか……?」
智代子「うーん……どっちかだと成立しない矛盾があれば、話は早かったんだけど……」
めぐる「あっ!それだったらずっと気になってることを聞いてもいいかな?」
灯織「めぐる?」
めぐる「停電だよ!」
めぐる「さっき摩美々は自殺を主張するときに、摩美々たちの行動を制限するために停電を起こしたって言ってたけど……」
めぐる「どうやって停電を起こしたのかなーって!」
凛世「電力を過剰に使いすぎたことに由来するのではないでしょうか……?」
モノクマ「言っておくけど、そんなちゃちな理由じゃ停電は起きないよ!」
モノクマ「この学園には最新鋭の設備を導入してるからね!並大抵の電力使用じゃブレーカーを落とすなんて無理無理の無理久保です!」
円香「……なら、直接ブレーカーを落とすしかないんじゃない?」
智代子「でも、煙が発生した時咲耶ちゃんはステージの上だよ?」
雛菜「代わりに制御室にいたのは~?」
摩美々「……」
愛依「ま、摩美々ちゃん?!」
灯織「……流石に、モノクマ相手に命を賭けようとまでした摩美々さんが停電を起こしたとは思い難いです」
凛世「では、摩美々さんのほかに……どなたか制御室に隠れていらっしゃったのでしょうか……」
めぐる「もしかして、円香が潜んでたんじゃないかな?!」
円香「……はぁ?」
灯織「いや、あの部屋には隠れるような空間はないし……流石に誰かいたら摩美々さんも気づいてたと思う」
愛依「ん~?だったら誰がブレーカーを落とすの?」
(そうだ……今回の犯人は何かしらの方法を使って、制御室にいない状態でブレーカーを落としたんだ)
(そのトリックを明らかにしない限り……真相にはたどり着けない……!)
(考えろ……考えるんだ……!)
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
【コトダマ】
‣【音楽室のエアコン】
‣【ピアノ線】
‣【モノクマファイル4】
‣【モノクマの証言】
‣【ブレーカー】
‣【音楽室の扉の鍵】
めぐる「停電を起こすには【ブレーカーを落とす必要がある】よ!」
めぐる「どうしてブレーカーは落ちちゃったのかな?」
雛菜「≪設備が老朽化してた≫んですかね~?」
智代子「ケーブルが切れてたこととなにか≪関係ある≫のかな?」
円香「本当はブレーカーは落ちてなくて、≪照明の電源が切られてた≫だけなんじゃない?」
愛依「ブレーカーを落とすんならその場に【絶対いなきゃなんない】し……」
愛依「もしかして……ブレーカーを落としたのは摩美々ちゃんの≪もう一つの人格≫的な?!」
摩美々「ちょっとー、変なキャラ付けはやめてよねー」
【正しいコトダマか議論中の発言で論破もしくは同意しろ!】
↓1
-------------------------------------------------
モノクマ「ちょっと!並みの電力使用じゃブレーカーは落ちないって今言ったよね!」
モノクマ「ボクの学園を悪くいうのは許さないよ!」
(……ガヤが入ってしまった)
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
【コトダマ】
‣【音楽室のエアコン】
‣【ピアノ線】
‣【モノクマファイル4】
‣【モノクマの証言】
‣【ブレーカー】
‣【音楽室の扉の鍵】
めぐる「停電を起こすには【ブレーカーを落とす必要がある】よ!」
めぐる「どうしてブレーカーは落ちちゃったのかな?」
雛菜「≪設備が老朽化してた≫んですかね~?」
智代子「ケーブルが切れてたこととなにか≪関係ある≫のかな?」
円香「本当はブレーカーは落ちてなくて、≪照明の電源が切られてた≫だけなんじゃない?」
愛依「ブレーカーを落とすんならその場に【絶対いなきゃなんない】し……」
愛依「もしかして……ブレーカーを落としたのは摩美々ちゃんの≪もう一つの人格≫的な?!」
摩美々「ちょっとー、変なキャラ付けはやめてよねー」
【正しいコトダマか議論中の発言で論破もしくは同意しろ!】
↓1
-------------------------------------------------
灯織「それは違います!」
【BREAK!】
灯織「制御室にあったブレーカーは最近では珍しいレバー式のブレーカーです」
めぐる「そうだったね!ブレーカーは上下に動かせて、上にある時にONで、下にある時にOFFなんだ!」
灯織「ボタン式ならその場にいないとブレーカーを落とすことはできませんが……レバー式なら、レバーを下に動かすことさえできれば落とすことは可能ですよね?」
雛菜「確かにそうだけど~、レバーを下に動かすなんてどうやってやるの~?」
灯織「ピアノ線だよ……!こちらをレバーに括りつけておけば、ピアノ線を引っ張るだけでレバーを下げることが可能になる!」
愛依「ピアノ線……?」
凛世「音楽室ならば、調達も容易でしょう……糸としての強度も申し分なく……」
凛世「トリックに使うにはうってつけと言って過言なきものかと……」
摩美々「まぁ、不可能じゃないと思うケド……肝心のピアノ線を使ったそのトリックはどういうトリックなのー?」
摩美々「まさか部屋の外から糸を引く、なんて言わないよねー?」
灯織「……おそらく、犯人はレバーと反対側を別のものに括りつけたんだと思います」
灯織「括りつけた先のものが勝手に作動して、ピアノ線を巻き取るように動かすことで、力を伝達させたのではないか、と」
めぐる「別のものに、括り付ける……?」
摩美々「その様子だと、その【別のもの】とやらもわかってるみたいだねー」
灯織「……はい」
摩美々「それじゃあ示してもらおっかー」
摩美々「犯人は、どうやって制御室のブレーカーを落としたのかー」
【正しいコトダマを選べ!】
>>4~6
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「制御室の空調ではないでしょうか?」
愛依「空調……?」
灯織「制御室の空調は音楽ホールとは別に動いていて、タイマーが設定されていました。16時20分に起動するように」
智代子「16時20分って……咲耶ちゃんが死んじゃった時間とおんなじだよね!」
灯織「家庭用の一般的な空調と同じ型になっているので、時間になると噴出孔が開く仕組みになっています」
灯織「その際に開くパネルにピアノ線を括り付けていれば……」
灯織「連動してピアノ線を引っ張ることも可能なのではないでしょうか!」
摩美々「……途中までブレーカーを下ろした状態で、ピンと張りつめて結ぶようにしたら確かにタイマーと共にレバーが落ちる仕掛けが作れるかもしれないですねー」
雛菜「ピアノ線は透明だから、仕掛けには気づきにくいですしね~」
智代子「この仕掛けなら……制御室にいなくてもブレーカーを落とすことが可能になるね!」
円香「……むしろ、音楽室にいなくてもブレーカーを落とすことが可能になる」
円香「空調のタイマーさえ設定してしまえば、あとは放っておくだけ。アリバイ作りにはもってこいじゃない?」
めぐる「そっか……密室の外からでもブレーカーが落とせちゃうんだ……!」
摩美々「……問題は、誰がその仕掛けを作ったのかってことだケド」
灯織「……」
(今言った仕掛けを実行するには、あのブレーカーに手が届くことがそもそもの条件)
(ただ、あのブレーカーは私たちでは手が届く高さではなく……)
(一番背の高かった咲耶さんでようやく、といった高さだった……)
雛菜「ん~、でも雛菜たちじゃブレーカーにそもそも手が届かないんでしたよね~」
めぐる「咲耶が作った仕掛けじゃなかったとしたら……」
めぐる「あっ!そうだ!制御室の椅子を使ったんじゃないかな!」
めぐる「ほら、あの椅子の上に立てば誰でも手が届くんじゃないかな?」
摩美々「残念だけど、あの椅子は床に固定されてるから動かせないんだよねー」
雛菜「もしかして、円香先輩が何かしたんじゃないですか~?」
円香「……はぁ?」
雛菜「例えば犯人を肩車したとか~」
円香「……そんなわけないでしょ、そもそも音楽室の中で私を目撃した?」
凛世「手詰まり、でございます……」
(身長の問題……これをどうにかしない限りは……トリックを証明できない……!)
愛依「そ、それじゃあ……咲耶ちゃん以外誰もできなくね……?」
智代子「うーん、制御室には他に【踏み台】になりそうなものもなかったよね……?」
(…………)
(……【踏み台】?)
灯織「待って……!もしかすると、わかったかもしれない……」
めぐる「えっ?!ひ、灯織……それホント?!」
灯織「……うん、この仕掛けを作るうえで大事なのは、身長の問題なわけだけど」
灯織「犯人はある物を【踏み台】にすることで、自分の身長をブレーカーとエアコンに手が届くまでに調節したんだよ」
摩美々「ある物……?」
めぐる「ひ、灯織!そのある物って……!?」
(犯人が踏み台に使った【ある物】は、制御室に持ち込むのを見られても誰も不審に思わないものだ)
(一定の高さと強度を持ったうえで、その要件を満たすものは……あの音楽室の中ではあれしかない……!!)
-------------------------------------------------
【ひらめきアナグラム開始!】
ボ/―/ス/ッ/ク/ラ/―/ク
【正しい順番に並べ替えろ!】
↓1
-------------------------------------------------
灯織「そうか……わかりましたよ!」
【COMPLETE!】
灯織「クーラーボックスですよ……!あの時現場で踏み台に使えたのはそれしかありません!」
愛依「クーラーボックスって……ドリンクを入れてた?!」
めぐる「クーラーボックスならある程度の強度はあるし、乗っても壊れることはなさそうだね!」
灯織「私たちがライブ中に飲む飲み物を淹れておいたクーラーボックス、あれを作業中の皆さんに配るという名目があればクーラーボックスを持ち歩いて制御室に持ち込んだとしてもおかしくありません!」
灯織「制御室で作業中だった摩美々さんにその場でドリンクを手渡した後、適当な理由をつけて部屋の外に出してしまえば後はクーラーボックスの上に立って仕掛けを作れます」
摩美々「……!!」
灯織「これで停電のトリックも実現可能だと明らかになりました!」
摩美々「……灯織」
灯織「摩美々さん……わかったんですね」
摩美々「このトリックが使われたとなると……犯人もおのずと絞られる」
摩美々「咲耶の死の真相、灯織がいなかったら気づかないままだったかもしれない……」
摩美々「灯織、ありがとう」
(……あの時真実を探ることをあきらめなかったから、ここまで来れた)
(もう真相は目の前……咲耶さんの死に残された謎はもうあとわずか)
(咲耶さんを殺害した犯人の姿は……もう見えている)
灯織「……いえ、咲耶さんの真意を知れたからこそ、私もここまで来れました」
灯織「だからこそ、今ここで!私は真実を明らかにします!」
灯織「咲耶さんを殺害した犯人は……あなたです!」
【クロを指摘しろ!】
↓1
灯織「あなたしか……いない!」
【解!】
灯織「凛世……あなた、なんだよね」
凛世「……」
めぐる「り、凛世……?」
灯織「犯人が停電のトリックに使ったクーラーボックス、あれを管理していたのは凛世」
灯織「ドリンクを配り歩いていたのも凛世だし、音楽室から持ち出したのも凛世だった」
凛世「……」
灯織「クーラーボックスを踏み台として利用できたのは、凛世だけなんだよ」
智代子「そ、そんな……そんなの……」
智代子「り、凛世ちゃん、違うよね?!灯織ちゃんの勘違いだよね?!」
智代子「だって凛世ちゃんが……凛世ちゃんが誰かを殺すなんて……そんなのあるわけがないよね?!」
凛世「……」
凛世「……はい、凛世は殺害など、しておりません……」
灯織「凛世……」
凛世「濡れ衣でございます……そんな、クーラーボックスのみで攻められようとは……了承しかねます……!」
凛世「そもそも、停電を凛世が引き起こしたとて……咲耶さんをいかに殺害するというのですか……?」
智代子「そ、そうだよ!咲耶ちゃんの死因を忘れてるよ!」
智代子「毒ガスを吸ったわけでもない、毒薬を飲んだわけでもない……だったら咲耶ちゃんはどうやって死んじゃったっていうの?!」
灯織「そ、それは……」
摩美々「灯織、落ち着いて考えればいいよー」
灯織「摩美々さん……」
摩美々「ここから先は摩美々も力を貸すから、一緒に考えよっかー」
摩美々「死体には目立った外傷もなく、凛世が現場にいなくても行える殺害方法……何があると思うー?」
(外傷をつけるわけでない、本人がその場にいなくても可能な殺害方法……)
(もう一度現場を振り返ろう……どんな殺害方法が考えられる……?)
-------------------------------------------------
【ひらめきアナグラム開始!】
し/ん/ん/で/か
【正しい順番に並べ替えろ!】
↓1
-------------------------------------------------
灯織「そうか……わかりましたよ!」
【COMPLETE!】
灯織「感電死……凛世は、咲耶さんを電気で殺害したんじゃないでしょうか」
めぐる「かんでん、し……?」
凛世「……!?」
灯織「死因としては珍しいものですが、時折テレビの報道で見かけることがあります……」
灯織「体内に高電圧の電流が流れたことにより、体組織が破壊されたり、臓器が損傷したりしてその結果死に至る……と」
智代子「か、感電死って……そ、そんなの……どうやって?!」
智代子「現場に凛世ちゃんはいなかったって、灯織ちゃんが一番よく知ってるよね?!咲耶ちゃんの体にどうやって電気を流したっていうの?!」
灯織「咲耶さんは現場にあった、ある物に振れたことによって感電したんだ……」
(感電したからには、電気を放出しているある物に振れたことが死因になったはず……)
(それはもう、今までの議論でも登場していた……あれだ)
【正しいコトダマを選べ!】
>>4~>>6
↓1
灯織「断線していた照明系統のケーブル……そこから感電したんだよ」
智代子「け、ケーブル……!?」
摩美々「これまでの議論でも何度も出て来たとおり、事件当時音楽室は停電状態で非常電源が作動してたよねー?」
摩美々「そこから直接電力を供給するケーブルの一部が何者かの手によって切断されていた……」
摩美々「つまりその切断面からは漏電しまくりだったんだー」
めぐる「事件当時は音楽室ではスプリンクラーが作動してたから咲耶も体はびしょびしょになってたし……いつも以上に感電しやすくなってたはずだよ!」
雛菜「水には電気がよく通りますからね~」
灯織「死因としてはこれまでの議論を見ても、最も有力なはずだよ」
凛世「お待ち下さい……たとえ漏電していても、それに咲耶さんが触れるかどうかは不確実でないでしょうか……」
凛世「咲耶さんの行動を、犯人は掌握していたとでも仰るのですか……?」
灯織「……」
灯織「凛世の言う通りだよ……」
凛世「ご理解いただけて何よりです……」
凛世「人の行動など、完全に掌握することはかないません……」
灯織「いや、私が凛世に同意したのは犯人が咲耶さんの行動を掌握していたという点だよ」
凛世「……!?」
灯織「犯人はある物を使って咲耶さんの行動を誘導して、断線していたケーブルに体を接触させたんだ」
凛世「そ、そんなもの……あるはずが……」
(停電状態で真っ暗闇の音楽室……)
(その状態で咲耶さんのとる行動はある程度予測がつくはず……)
(そうなると、誘導するためにはあれを使ったはず……)
凛世「論より証拠……実証していただきましょう……」
凛世「凛世が、如何様に咲耶さんを操ったのか……!」
-------------------------------------------------
【パニックトークアクション開始!】
凛世「成りません……」【防御力40】
凛世「詭弁でございます……」【防御力45】
凛世「枉惑はおやめくださいませ……」【防御力50】
凛世「凛世は潔白でございます……」【防御力55】
凛世「疑うは信ずるより易し……」【防御力60】
【盾の防御力をコンマで削り取れ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果によりコンマ値が+25されます】
↓直下より五回連続判定(連投可)
【コンマ判定 95 52 74 11 01】
【スキル効果を合算します】
【最終判定 120 77 99 36 26】
-------------------------------------------------
【パニックトークアクション開始!】
凛世「成りません……」【BREAK!】
凛世「詭弁でございます……」【BREAK!】
凛世「枉惑はおやめくださいませ……」【BREAK!】
凛世「凛世は潔白でございます……」【防御力19】
凛世「疑うは信ずるより易し……」【防御力34】
(あと少し……)
(なんとしても、凛世の防御を切り崩す……!)
【盾の防御力をコンマで削り取れ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果によりコンマ値が+25されます】
↓直下より2回連続判定(連投可)
【コンマ判定 40 01】
【スキル効果を合算します】
【最終判定 65 26】
【残り防御力がスキル効果よりも少なくなったため、自動で進行します】
-------------------------------------------------
灯織「理論武装を、打ち破る……!」
凛世「まだ、まだ……退際ではございません……!」
【凛世「凛世が、咲耶さんの行動を誘導することなど不可能です……」】
フ/ライ/ロア/ト
【正しい順番に並び替えて、コンマ値70以上でとどめをさせ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果によりコンマ値が+25されます】
↓1
-------------------------------------------------
灯織「これで終わりです!」
【BREAK!】
灯織「停電が起きて、それがなかなか直らないとき……そんな時、皆さんならどうしますか?」
愛依「うーん、うちの家はちょっと年季入ってるからたまにブレーカーも落ちるんだけど……」
愛依「そーいう時はスマホかなんかの明かりを使って、ブレーカーの様子を見に行くかな……?」
灯織「そう、明かりを頼りに電力の復旧を目指して動くはずなんです」
めぐる「明かりを……頼りに……」
めぐる「あっ!フロアライト!あれって、死体を発見した時も点いてたよね?!」
摩美々「もともとはステージ演出用だったけど、停電中は一番の道しるべになるよねー」
摩美々「ステージの床に固定されて、右から左まで一定間隔に並んでた」
摩美々「制御室はステージ脇だったわけだし、咲耶がライトを頼りに歩くことは創造に容易いんじゃないー?」
雛菜「その道中にケーブルを置いておけば、それに接触するように細工もできるかもしれませんね~」
凛世「……」
灯織「現場にすべては残されていた……私たちが咲耶さんの遺体を発見した時の状況に、凛世の犯行計画のすべてのピースが揃っていたんだ……!」
めぐる「それに今思ったら、事件現場に足を踏み入れた時のあの焦げたみたいな匂い……」
めぐる「あれも咲耶が感電した時の匂いだったんだね?!」
雛菜「電気が肉体を通ると火傷しちゃうらしいですからね~」
凛世「だ、だとしても……凛世は、凛世は……!」
灯織「……まだ、認めてくれないんだね」
智代子「灯織ちゃん……!」
灯織「わかった、それなら凛世のために、チョコのために……事件のすべてをはじめから振り返って、それで終わりにする」
灯織「事件をすべて明らかにすれば……それが可能だったのは凛世だけだってきっとわかるから……!」
(そうだ、終わりにしなくては……)
(この事件を正しい形で終えること)
(それが咲耶さんの、摩美々さんの意志に報いることになるんだから……!)
-------------------------------------------------
【クライマックス推理開始!】
【act.1】
灯織「今回の事件はかなり計画的なものでした。事の始まりは、動機提供……【かくれんぼ】の開始が宣言した日にまで遡ります。【かくれんぼ】で通達されたのは、私たちが【裏切り者】を殺害した場合にコロシアイ合宿生活をその時点で終了するというもの」
灯織「この話を聞いた、【裏切り者】の一人である咲耶さんは、自分の命を利用してコロシアイ合宿生活を終わらせる計画を思いつきます。自分の手で自分を殺す、自殺という方法を選ぶことで【裏切り者】を殺害したと主張すれば、ルールに従ってコロシアイを終わらせられると考えたんです」
灯織「その計画を思いつくや否や咲耶さんは同じユニットの仲間である摩美々さんのもとを訪ね、自分自身が裏切り者であるということ、そしてコロシアイを終わらせるための自殺を考えていることをすべて赤裸々に語りました。咲耶さんにとって、一番信用できる相手、自分の死後を託すことができる唯一の相手であった摩美々さん……彼女がその時に味わった感情は私には想像もつきません」
灯織「ですが、この夜のやり取りは間違いなく、二人の心に一つの覚悟をさせたのは疑いようもありません。だからこそ、摩美々さんはこの裁判の場でモノクマへの真っ向勝負を挑む意思を固めたんです」
灯織「……そしてその一方で、別の覚悟を抱く人間もいました。それが今回の犯人です。偶然にも咲耶さんが裏切り者であるという情報を耳にしてしまった犯人は、咲耶さんの自殺願望……そしてそれを知っている摩美々さんを盾にして犯行を行うことを思いついたんです」
【act.2】
灯織「翌日咲耶さんは私たちに対してライブの開催を提案します。自殺を考えているからこそ、最後に私たちとの思い出を作りたかったのか……今となってはわかりません。ですが彼女が【裏切り者】であったとはいえ、私たちを本当の意味で裏切っていたとは今も思えないんです……」
灯織「ライブの会場となったのは音楽室。樋口さんを除いた全員で翌日に備えてロケハンを行い、設備の確認を行うとその日はそれで解散。準備は翌日に持ち越されたわけですが……おそらく犯人の準備はこの日の晩から始まっていました」
灯織「犯人がやったのは電源ケーブルの切断です。これは停電が起きて非常電源が起動したときでも、照明だけは点かないままにするため。そして咲耶さんを感電させる凶器とするためでした」
灯織「続いて、化学室で今回の事件に持ち込む道具の調達です。犯人が調達したのは、咲耶さん以外を気絶させるための薬品A。死因のミスリードのための薬品B。そして、自殺の可能性をほのめかすための毒薬です。摩美々さんの咲耶さんの自殺に対する心構えを利用するために、服毒自殺に見せかけるための毒薬だったわけですが……結果としてそれが失敗。だって液体の毒薬を持ち込むには容器が必要なんですから」
灯織「そのことに気づかなかった犯人は、別の容器を用意することもなく中身の入っていない薬品Bのボトルだけを置いて、そのまま出て行ってしまいました。二重のミスリードを仕掛けようとした結果、見落としを作ってしまった犯人の急所になってしまったんです」
【act.3】
灯織「そして迎えたライブ当日。犯人は最初は食堂で私たちのライブ中に摂る飲食物の準備に携わりました。これはおそらく、踏み台としてクーラーボックスを利用するため。制御室でのトリックのための下準備はこの時から始まっていたんです」
灯織「団扇を作り終えた私たちと共に、犯人は一度音楽室を訪れます。クーラーボックスを肩にかけた犯人は自然な流れで準備中のみなさんにドリンクを渡していき、その流れのまま制御室に足を踏み入れます。適当な理由をつけて制御室にいた摩美々さんを追い出した後は、トリックの準備」
灯織「本来犯人の身長では手が届かない高さにあるブレーカー。ですが犯人は持ち込んだクーラーボックスを踏み台にすることで高さの問題をクリア。ブレーカーを途中まで降ろした状態にしておいて、レバーにピアノ線を括り付ける。そのままピアノ線の反対側は、ぴんと張った状態になるように長さを調節したまま、空調設備のパネルに括りつけて準備完了」
灯織「あとはタイマーさえ設定しておけば、時間が来て空調が起動するのと同時にレバーも降りる仕掛けが成立するんです。これで犯人はその場にいなくとも音楽室の電源を落とすことが可能になり、アリバイが成立するようになるわけです」
【act.4】
灯織「おそらくこれも犯人の計画の内だったんでしょう。私たちは四階の音楽室に来る際に、チュロスを持ってきていないことに気づき、急いで食堂へと戻ることになります。おそらくこれは、私たちを分断するため。そして犯人自身が現場を離れることでアリバイを作り出すため。二重の目論見があったんだと思います」
灯織「あとは退室の直前に薬品Aを開封しておいておく。空気より重たい気体を発生させるので、この段階で誰かが吸ってしまうリスクは低い。そして、タイミングを見計らって燻煙剤を点火だけすれば勝手に仕掛けが進んでいきます。燻煙剤の着火から発煙までのタイムラグで食堂へと犯人は移動。煙が出始めたところでトリックが本格的に動き出します」
【act.5】
灯織「突然の煙に動転した摩美々さん、愛依さん、雛菜さんたちは咲耶さんの指示通り煙を吸わないように身をかがめる。それと同時に煙は音楽室の消火設備に感知され、スプリンクラーも作動。そして16時20分になれば制御室の空調も起動。ピアノ線でつながれたレバーが降ろされたことで音楽室は真っ暗闇へ」
灯織「摩美々さん、愛依さん、雛菜さんは何が起きているのかもわからないままに薬品Aを吸うことになりそのまま意識を失ってしまいます。一方、ステージの上で他三人より高いところにいた咲耶さんは薬品Aを吸わずに済んだので意識があるまま。むしろ他の三人の返事が無くなったことで更なるパニックになっていたかもしれません」
灯織「一寸先も見えないほどの暗闇。そんな中で考えるのは、照明の復旧。前日のロケハンで非常電源の存在を認知していた咲耶さんは、非常電源を起動するためにフロアライトの明かりを道しるべに歩いていきます。実はこの時点で非常電源は正常に作動していたのですが……前日に犯人が照明系統のケーブルを切断していて、照明が点いていなかったがために咲耶さんはそのことに気づきませんでした」
灯織「でも、そのフロアライトは非常電源への道しるべであることに加えて、天国への道しるべでもありました。犯人はフロアライトの作るその道中、非常電源につないだままにしておいた断線済みのケーブルを置いておいたんです。暗闇の中、足取りは慎重になる。もしかすると、触角を頼りに触れるものすべてを探りながら歩いていた可能性すらあります」
灯織「咲耶さんが、ケーブルに触れてしまう可能性は誰の目に見ても高く……そして実際咲耶さんは……触れてしまったんです」
-------------------------------------------------
灯織「そうして現場にいなくとも咲耶さんを殺害できてしまうトリックを実行したのは……」
灯織「凛世……あなただったんだね……」
【COMPLETE!】
灯織「凛世……どうかな?間違ってるなら、指摘してほしい」
凛世「……」
灯織「私だって、凛世が犯人でないなら……それが一番だから」
凛世「……」
智代子「凛世ちゃん……違う、よね……?」
凛世「……すべては、決しました」
智代子「……そん、な」
凛世「凛世は……すべてを、認めます……灯織さんの、みなさんの導いた推理……」
凛世「凛世はご指摘の通りの犯行を、実行いたしました……」
灯織「……そう、だったんだね」
めぐる「で、でもどうして?!」
めぐる「なんで咲耶のことを殺しちゃったの?!」
めぐる「凛世だって、咲耶のことが大好きだったよね……?!」
凛世「……今回の、動機でございます……」
摩美々「【かくれんぼ】だよねー……」
凛世「先ほど摩美々さんも語っておられた、咲耶さんの【裏切り者】であるという自白……凛世も通りすがりに耳にしてしまっていたのです……」
凛世「裏切り者ならば、凛世がやらねば……凛世が殺害せねば……その義務感にかられたのです……」
智代子「凛世ちゃん……そんなに抱え込んで……」
凛世「ライブの話を聞いた時より、此度の犯行を計画しておりました……」
凛世「ライブの話を、咲耶さんから持ち寄られた際に、事細かに会場の情報を尋ね……」
凛世「犯行に利用可能なものを探し、計画を練りました……」
めぐる「空調の設定、燻煙剤の仕掛け、停電の仕掛け……かなり計画的だったよね……」
凛世「はい、凛世一人では……とても計画が立てられず……」
摩美々「……やっぱり、円香だったんだ」
円香「その様子だと勘づいていらっしゃったんですか?」
摩美々「……まぁねー、密室制作の最後のピース。接着剤を注入したのは円香じゃないと成立しないからー」
愛依「そっか……そん時凛世ちゃんたちは相互に監視状態だったわけだし、フリーだったのは円香ちゃんだけか……」
円香「まぁ、私が協力したのは些細なところですけど」
円香「犯行計画に助言したのはしましたけど、基本準備は凛世がやったし……」
円香「あとはせいぜい裁判中の発言ぐらい?」
(……やっぱり今回の事件でも樋口さんが関与していたんだ)
(……ん?)
凛世「凛世は樋口さんと共にこの犯行計画を企て……」
灯織「ちょっと待って!」
智代子「ひ、灯織ちゃん……?」
灯織「凛世……それっておかしいよね……」
愛依「え?ど、どしたん?」
灯織「樋口さんが凛世に協力する……それっておかしいよ……」
めぐる「え?で、でも円香はコロシアイに意欲的だったよね?!」
めぐる「二人が協力関係でもおかしくないと思うけど……」
灯織「今回に限ってはそうはいかないんだよ……!」
(今回の事件で樋口さんが協力するのが矛盾である証拠を示そう……)
【正しいコトダマを選べ!】
↓1
灯織「これです……!」
【解!】
灯織「今回の動機、かくれんぼですよ……!」
灯織「かくれんぼでは、私たちのいずれかが裏切り者である咲耶さんを殺害した場合、このコロシアイ合宿生活が終了するというルールが提示されていました」
摩美々「……それってー」
灯織「そしてそれが発表されたとき、コロシアイ合宿生活の存続を希望する樋口さんは不用意に私たちに手を出しづらくなったはずです」
円香「……」
雛菜「万が一殺した相手が裏切り者だった場合、コロシアイ合宿生活が終わっちゃうので雛菜たちを皆殺しにするチャンスが無くなっちゃいますもんね~」
灯織「だから、裏切り者を今から殺そうとしている凛世に協力する理由が樋口さんには全くないはずなんです……!」
凛世「そ、それは……」
摩美々「……これってどういうことー?」
めぐる「ほ、ホントは咲耶は裏切り者じゃなかった……とか?」
灯織「いや、流石に本人の発言が嘘だとは思いづらいよ……」
(これは……どういうこと……?)
摩美々「咲耶が裏切り者であるがゆえに生じる矛盾はもう一つ、この合宿生活自体もそうだよー」
摩美々「凛世が裏切り者の殺害に成功したのに、かくれんぼのルールが適用されてない」
愛依「ど、どういうこと?!何が起きてるわけ?!」
モノクマ「……」
(【裏切り者】をめぐる矛盾……これは一体どういうことなの……?)
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q1.白瀬咲耶は本当に裏切り者だった?
A.裏切り者だった B.裏切り者ではなかった
Q2.どうしてコロシアイ合宿生活が終わっていない?
A.咲耶が自殺だったから
B.かくれんぼによる合宿生活終了条件を満たしていないから
C.モノクマがルール違反をしているから
Q3.かくれんぼの条件の内、どれを満たすことができなかった?
A.「オマエラの中に潜む」裏切り者をオマエラの手で殺害する
B. オマエラの中に潜む「裏切り者」をオマエラの手で殺害する
C. オマエラの中に潜む裏切り者を「オマエラの手で」殺害する
D. オマエラの中に潜む裏切り者をオマエラの手で「殺害する」
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
↓1
-------------------------------------------------
灯織「推理はつながりました……」
【COMPLETE!】
灯織「そうか……そういうことだったんだ」
灯織「樋口さんの不自然な協力、コロシアイ合宿生活が終わらない理由……そのいずれも一つの仮説で説明がつく……」
めぐる「……仮説?」
灯織「もう一度かくれんぼにおけるコロシアイ合宿生活の終了条件を確認しましょう」
灯織「ここを見てわかるように、コロシアイ合宿生活を終わらせるには……『私たちが私たちの中に潜む裏切り者を殺害すること』が条件になっています」
愛依「う、うん……」
灯織「ここでは明らかに『私たち』と『裏切り者』が区別されてることがお判りでしょうか」
雛菜「ん~?それはそうですよね~」
愛依「違ったら……どうなんの?」
摩美々「……!!そ、そんな……!!」
灯織「摩美々さんもお気づきになられましたか……」
灯織「この条件を信じるのなら……コロシアイ合宿生活を終わらせずに裏切り者を殺害する方法が一つだけあるんです」
めぐる「合宿生活を終わらせずに、裏切り者を……?」
灯織「裏切り者が、裏切り者を殺害するんだよ……!」
めぐる「ふむふむ……裏切り者が、裏切り者を……」
めぐる「えーーーーーーーーっ?!」
愛依「ちょ、ちょい待ちちょい待ち!裏切り者は咲耶ちゃんなんだよね?!」
愛依「裏切り者が裏切り者を殺害って、それってつまり自殺ってことにならん?!」
灯織「いえ……必ずしもそうなるとは限りません」
灯織「そもそも私たちは前提からして間違えていたんですよ……今回の事件の犯人が凛世である以上、残された可能性はただ一つ」
灯織「凛世自身も、【裏切り者】だったんですよ……」
智代子「り、凛世ちゃんが……裏切り者……?」
円香「……」
灯織「モノクマは何も裏切り者が一人だなんて明言していない……咲耶さんだけじゃなかったんです」
智代子「そ、そんなのありえないよ……!り、凛世ちゃん……!」
摩美々「それに、さっきの凛世の話の矛盾もそれで解決できるんだー」
愛依「ムジュン……?」
摩美々「私が咲耶が裏切り者だって話を聞いたのは私の部屋での出来事だったのでー」
摩美々「個人の部屋は全部完全防音じゃないですかー、通りすがりに話を聞くなんて不可能なんですよー」
愛依「そっか……それも凛世ちゃんがもともと裏切り者だったなら解決……」
愛依「同じ裏切り者なら、立場を知っててトーゼンなんだ……!」
凛世「何から何まで、お見通しでございますね……」
智代子「凛世……ちゃん……」
凛世「灯織さんの仰る通り……凛世は、ここでの生活が始まった時より……モノクマさまと内通しておりました……」
摩美々「……」
モノクマ「ぶひゃひゃひゃひゃ!杜野さんの言う通り!」
灯織「も、モノクマ……!」
モノクマ「オマエラが仲良しこよししてた間も、オマエラの中にはボクの手先の白瀬さんと杜野さんが紛れ込んでいたんだよねー!」
モノクマ「それなのに協力だのなんだのって面白くて仕方ないよ!」
凛世「違います……!」
灯織「……凛世?」
凛世「凛世は、確かに間者としての任を受けておりました……」
凛世「ですが、凛世の心は常に皆さんと共に……決して、皆さんにコロシアイを強いりたかったわけではないのです……」
(……え?)
凛世「そもそも、裏切り者として与えられた仕事は……皆さんの動向調査、そして……」
凛世「万が一、事件が一度も怒らない場合は……モノクマさまに見せしめ代わりに殺されることの二つのみでした……」
めぐる「み、見せしめ?!」
愛依「そ、そんなのって……!」
凛世「真乃さんが、事件を起こしたこともあり……その任からは解かれることになりましたが……」
摩美々「咲耶も、同じことを言われていたんだねー……」
雛菜「でも、今の話が本当なら確かに裏切り者っていうほど裏切り者でもないですよね~」
円香「……雛菜?」
雛菜「だって、このコロシアイ合宿生活の運営に直接携わってるわけでもないし~」
雛菜「むしろ、モノクマにいいように使われてるだけみたいな~」
摩美々「……咲耶は、恋鐘と三峰を人質に取られて、従われたんだって言ってた」
摩美々「凛世も、そうだったんじゃないの」
凛世「……はい、お察しの通りです」
智代子「……えっ?!そ、それって……」
凛世「果穂さんと、夏葉さんです……」
智代子「か、果穂と夏葉ちゃんが……人質……?!」
凛世「お二人を人質に取られた凛世は無力で……ただ、モノクマさまの傀儡になることしかできず……ここまで参りました……」
灯織「凛世……」
摩美々「でも、それなら……どうして、咲耶を殺したの」
灯織「摩美々さん……」
摩美々「私たちと同じ気持ちだったっていうなら、なんでよりにもよって咲耶を……」
摩美々「同じ裏切り者の、咲耶を殺して……コロシアイ合宿生活を続ける選択をとったのー……?」
凛世「凛世が咲耶さんを手にかけたのは……摩美々さんの仰る通り……このコロシアイ合宿生活を終わらせないため、でした……」
灯織「え……?」
モノクマ「はいはい!そういう長話は投票が終わった後にしてちょーだいね!」
凛世「……!!モノクマさま……」
モノクマ「杜野さんもそれでいいよね?」
凛世「……はい」
(……?)
モノクマ「それにしても田中さんは風野さんに救われたね!あの時異議を唱えてくれなかったら、今頃田中さんは処刑台の上だったよ!」
摩美々「……そうですねー」
モノクマ「さ、一応これは形式上やっとかなきゃなんで……」
モノクマ「オマエラはお手元のスイッチで、犯人と思う生徒に投票してください!」
モノクマ「裁判の結果導き出したクロは正解なのか、不正解なのかー!さあ、どっちなんでしょうかね?」
-------------------------------------------------
【VOTE】
〔凛世〕〔凛世〕〔凛世〕
CONGRATULATIONS!!!!
パッパラー!!!
-------------------------------------------------
【学級裁判閉廷!】
というわけで4章学級裁判これにて終了です。
次回裁判終了パートへと移ります。
裁判序盤、何かと進行ガバが重なって申し訳ありませんでした。
次回更新は6/8 21:00~を予定しております。
それではお疲れ様でした。
うっかりボイスアリーナ会員になってしまったので声優さんの番組を見る都合で少し遅くなります。
すみません。
戻りました、それでは4章裁判終了パート~完結まで更新します。
モノクマ「あっぱれ!オマエラの推理は大正解!裏切り者の白瀬さんを殺害したのは同じく裏切り者の杜野さんだったのです!」
凛世「……」
モノクマ「いやはや、今回の仕込みはみんなびっくりしてくれたみたいだね!裏切り者が二人いるとは思わなかったんじゃないかな!」
灯織「どうして……どうして、こんなことを……!」
モノクマ「どうして?それって杜野さんがオマエラを裏切った理由?それともボクが杜野さんを選んで裏切らせた理由?」
モノクマ「なんであれ深い理由はないよ!まあ強いていうなら、ユニットのメンバーを人質にする仕掛け上、高校生以外のメンバーがいるユニットを選んだってぐらいかな?」
モノクマ「あとは西城さんはお構いなしに歯向かって来そうだし、園田さんはアホっぽいし、田中さんは頭がよく働くし、幽谷さんは例外だし!消去法的なところかな!」
愛依「……許せない」
智代子「モノクマ……絶対に許せないよ……!凛世ちゃんが、モノクマと内通して……毎日どれだけ苦しんでいたか……!」
凛世「智代子さん……」
智代子「凛世ちゃんは悪くないよ!果穂と夏葉ちゃんが人質に取られてたなんて……そんな人間として最低の行為、絶対に許すわけにはいかないよ!」
モノクマ「ぶひゃひゃひゃひゃ!ボクはクマなんだけど!園田さん、視力矯正した方がいいんじゃない?」
灯織「ちがう……チョコの怒りはモノクマの後ろにいる黒幕……あなたに向けられているんだよ」
モノクマ「はぁ……そんなこと言われなくてもわかってるよ。冗談が通じないなぁ」
灯織「冗談だなんて……!人の心をどこまで踏みにじれば気が済むんですか……!」
モノクマ「ぼろきれになるぐらい擦り切れるまでは踏みにじりたいと思う所存です、はい」
めぐる「ひどすぎるよ……!」
めぐる「無理やり裏切らせた上に、関わった人たちの苦しみまで嘲笑うなんて……そんなの!」
摩美々「……!!」
摩美々「もしかして、咲耶の遺書もモノクマの差し金だったんですかー?」
灯織「えっ……?」
摩美々「あの遺書の内容を鵜呑みにしてしまったからこそ、私は議論を間違った方向に導こうとしてしまった……それがモノクマの狙いだったんじゃないですかー?」
(そうだ……咲耶さんが自殺でなかった以上、摩美々さんの懐に仕込まれていたあの遺書は偽物ということになる)
(そんな非道な偽装工作……モノクマがやったに違いない……!)
モノクマ「いしょ……?」
めぐる「とぼけないでよ!裁判中も議論に出てきてたでしょ!」
モノクマ「んーと……ああ、あれか。あれのことね!」
モノクマ「多分それは杜野さんの方が詳しいんじゃないかな?」
凛世「……っ!」
智代子「そ、そんな……嘘だよ、ね……?凛世ちゃんが、あれを書いたの……?」
凛世「……はい」
灯織「り、凛世が……」
雛菜「ねえ、さっき……自分の心は雛菜たちと常に共にあって、裏切るつもりはなかったって言ってましたよね~」
凛世「……」
雛菜「でも、遺書の偽造はそれに思いっきり矛盾してませんか~?」
雛菜「アンティーカのアイドルが、勝手に勘違いして暴走するように仕向けた……明確に裁判に勝ちに来てるじゃないですか~」
(……!!)
(確かに、そうなる……あれは完全なミスリード……そんな証拠品をでっち上げた時点で凛世は、私たちを欺こうとしていたことになる……)
智代子「で、でも……生き残るためには、凛世ちゃんも仕方なかったことだし……」
雛菜「雛菜たちと協力するっていう意思表示をしてきたのに~、ここに来て雛菜たちは生きてても死んでてもいいってそれなんかおかしくないですか~?」
智代子「もうやめてよ!」
雛菜「え~?」
智代子「これ以上……凛世ちゃんを苦しめないであげてよ……!」
愛依「チョコちゃん……」
雛菜「……確かに、お友達からすれば雛菜がいじめてるように見えるのかもしれないですけど……ここを明らかにしないのは違うと思うんですよね~」
雛菜「別に雛菜もいじめてるつもりじゃないんです、ただ真実を明らかにしたいのは雛菜も同じなんですよ~」
智代子「で、でも……」
凛世「智代子さん、いいんです……凛世の口から、語らせてください……」
灯織「それって裁判の最後に語ろうとしていた……『コロシアイ合宿生活を続けようとした』ことと関係してるの?」
凛世「……はい」
めぐる「コロシアイ合宿生活を続けたかったってこと……なんだよね?どうして……?」
めぐる「わたしたちと同じ気持ちだったら、むしろ全員生き残ることを目指したかったんじゃないの……?」
凛世「凛世の気持ちが、みなさんと共にあることと……生還を望む気持ちとは、必ずしも同じでないのです……」
円香「……それ、どういう意味?」
凛世「この学園から、生きて出ていくこと……それは死するよりも、残酷なことなのでございます……」
灯織「……え?それってどういう意味……!?」
凛世「……詳しくは、語れません」
凛世はちらりとモノクマの方を見やる。
ということは、核心的なことを話すのは人質のお二人に危害が及ぶ可能性があるということなんだろう。
凛世「ただ、今コロシアイ合宿生活が終われば……これまでのみなさんの苦しみ、そして想いが……泡沫に散り果てることとなってしまうのです……」
凛世「ここで生活が終わるくらいなら、みなさんをここで……凛世の手で弔いたく、この裁判を起こさせていただいたのです……」
(死以上に苦しむことになる生還……?)
灯織「……凛世は、凛世なりに考えてこの事件を起こしたってことだったんだね」
凛世「……左様です」
めぐる「だとしてもだよ!」
凛世「……めぐるさん?」
めぐる「だとしても……なんで、なんで……わたしたちのことを頼ってくれなかったの!?」
(めぐる……)
めぐるの目からは大粒の涙が流れ落ちていた。
前回の裁判で、私たちは周りのみんなと助け合い、前に進むことを誓い合った。
それに強く賛同してくれた凛世は、私たちを頼らず抱え込んで……そして、この事件を起こしてしまった。
裏切り者であることを打ち明けることは高い高いハードルだ。
でも、もしも……私たちが凛世のことをもっと知っていれば……この事件は防ぐこともできたのかもしれない。
凛世「申し訳、ございません……」
めぐる「……うぅ」
でも、めぐるもわかっている。
人質を取られて、こんなわけのわからない事態に巻き込まれて……
人を信用していても、それを打ち明けるには勇気が……命を投げ出す覚悟も必要になる。
自分の命だけじゃない、他の人の命、大事な人の命だってかかわる問題だ。
凛世を責めることは、できない。
摩美々「ねえ、円香は今回の事件どこまで知ってたのー?」
円香「……はい?」
摩美々「凛世も言ってたけど、今回の事件にも関与してたんでしょー?」
円香「……ええ、まあ。といっても今回は大したことは。せいぜい音楽室の扉に接着剤を注入したぐらいのもので」
円香「凛世が裏切り者だとは聞いていましたけど、私が頼まれたのはそれくらいでした」
(そう、樋口さんと凛世は……コロシアイを続けるという目的が合致したがゆえに手を結んでいた)
(それなのに、今回の樋口さんの事件へのかかわり方は……思っていたより希薄だ)
灯織「凛世……もしかして、ずっと迷ってたんじゃないかな」
凛世「灯織さん……?」
灯織「というよりも、今も迷ってる……自分の選んだ道について、自分の決断について……その善悪の判断をしかねている。そんな風に見えるんだ」
凛世「……」
凛世「それは、買い被りです……凛世は、醜悪に生に縋っただけ……それ以外でも、それ以下でもございません……」
(凛世はきっとどれだけ言っても認めないだろう。彼女はそういう奥ゆかしい女の子だから)
(だから、このことは胸に刻み付けておこう。凛世がそれを望むのなら、私たちはあえて口には出さない)
(それが凛世を、私たちが信じることになるから)
モノクマ「さてと、もうそろそろいいですか?他に何か話したいことは?」
智代子「も、モノクマ!ちょっと待ってよ……まだ、まだ!話し足りないよ!」
凛世「智代子さん……」
智代子「凛世ちゃん、一緒に帰ろうって誓ったよね?!樹里ちゃんの気持ちを、命を受け継いで……一緒に生きていこうって言ったよね?!」
智代子「それで、一緒に日常に戻って……また一緒に買い物に行って、おいしいお菓子を食べて……また同じステージに立つって……!」
智代子「こんなお別れなんて……絶対嫌だよ!」
凛世「智代子さん……!」
凛世「凛世も、凛世も……一緒にこれからの時を過ごしたかった……!」
灯織「凛世……」
凛世「ですが、それは叶わない……凛世が、愚かにも……咲耶さんを手にかけてしまったから……」
智代子「……うぅ、そんなの、そんなのって……」
凛世「智代子さん……こんな凛世がお申し付けするのは、道理に沿わぬことですが……一つだけ、お聞き入れいただいても……よろしいでしょうか……」
智代子「……え?」
凛世「断じて行えば鬼神も之を避く……その心を、不惑のままでいれば……智代子さんの行く道に、障害などありません……」
凛世「どうか、うつけの凛世のように……どっちつかずの判断となるのではなく……」
凛世「皆さんを信じ、共に生きていく……その信念を、最後まで通してくださいませ……」
智代子「凛世ちゃん……!」
凛世「そして、摩美々さん……」
摩美々「……何―?」
凛世「摩美々さんにお渡しした咲耶さんの遺書、あれは完全な偽造ではございません……」
摩美々「……え」
凛世「あれは、凛世が新たに別紙に書き写したもの……遺書の原本は、こちらに……」
摩美々「な、なんで凛世が……」
凛世「咲耶さんと凛世は、双方ともに裏切り者であることを承知の上でした……」
凛世「そして、かくれんぼのルール提示のあの日……摩美々さんのもとを訪ねるより先に、咲耶さんは凛世の部屋に……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【凛世の部屋】
ピンポーン
凛世「もし……咲耶さん……?」
咲耶「……凛世、話があるんだ」
凛世「……お入りください」
~~~~~~~~~
咲耶「凛世……同じ十字架を背負ったキミにだからこそ、この話をさせてもらうよ」
凛世「【かくれんぼ】について、でございますね……」
咲耶「……モノクマはもう手段を択ばないところまで来ている。摩美々や灯織の活躍もあって、私たちの団結力はすさまじいものになっているからね」
凛世「はい……霧子さんの裁判では……胸打たれる演説を……」
咲耶「だからこそ、脱出という餌をつるして無理やり事件を起こそうとさせている」
凛世「はい、脱出などと……モノクマさまの策謀が」
咲耶「私もできることならみんなを脱出させてあげたい」
凛世「……っ?」
(このとき、凛世は悟りました……コロシアイ合宿生活【終了の意図】は、咲耶さんには伝えられていないということに)
咲耶「でも、彼女たちの手を汚すわけにはいかない……ここを出た後の人生に大きく影を落とすことになってしまう」
(ですが、そのことを咲耶さんに伝えることはできず……モノクマさまに、口止めをされていましたから……)
咲耶「だから私は……自らその命を絶とうと思っている」
凛世「じ、自害……ということですか……」
咲耶「ああ、私が自分の命を懸ければ……自分で自分を殺害すれば、裏切り者を殺害するという条件を満たすことができるはず、そう思ってね。なんたって理屈っぽいモノクマのことだ、押し切れなくはない」
咲耶「もし失敗したとしても、この動機は流れて……彼女たちが殺人に手を染める可能性は再び下げることができるはずだ」
(凛世は咲耶さんの話を聞きながら思考をしておりました……)
(咲耶さんの意志は固い、しかし……このままコロシアイ合宿生活を終わらせてしまえば、それは咲耶さんも望まない結末を迎えてしまう……)
(凛世のなすべきことは、なんなのか……)
咲耶「だから凛世、キミにこれを託したい」
凛世「こちらの書状は……」
咲耶「私の遺書だ。私が自殺を終えたその時、みんなの前で読み上げてほしい。中には私が裏切り者であったこと、そして私からみんなに伝えたいメッセージがかかれている」
咲耶「同じく裏切り者のキミにこれを託すのは、少々ずるいことだとは思うんだけどね」
(最後に見せた咲耶さんの笑顔は、もの悲しく……)
(そして、とても美しく、凛世の瞳には映りました……)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
凛世「ですから、あの遺書に書かれていたのは咲耶さんの真意でございます……」
凛世「咲耶さんは、最後までみなさんのことを……愛しておりました……」
(……咲耶さん)
摩美々「凛世……それでも私は、咲耶を手にかけた凛世のことは許せない」
凛世「摩美々さん……」
摩美々「でもきっと、天国の咲耶は今頃退屈にしてるだろうから……あっちに行ったら、仲良くしてあげてほしいかなー」
凛世「……!!」
凛世「お心遣い、感謝します……」
摩美々「多分咲耶は、気にしてないと思うからさー」
摩美々さんは、そう言って笑った。
泣きながら笑っている。摩美々さんらしい……別れ文句だと思った。
モノクマ「はいはい、これで話もひと段落かな!」
モノクマ「ふぅ~……ちょっと話させてやろうと思ったらまあまあ長話するんだもん、困っちゃうよね」
智代子「……うっ……うっ」
摩美々「……」
モノクマ「というわけで、お待ちかねのおしおきタイムだよー!」
凛世「牽衣頓足ではございますが……お別れの時です……」
灯織「凛世……」
モノクマ「今回も、超高校級の日本舞踊家である杜野凛世さんのために、スペシャルなおしおきを用意させていただきましたぞ!」
凛世「本当に、申し訳ございませんでした……」
凛世「ですが、うつけ者の凛世に……最後に一つだけ我儘を言わせてもらえないでしょうか……」
モノクマ「それでは張り切って参りましょう!」
凛世「叶うのなら、凛世の墓前には……紫苑の花を……」
モノクマ「おしおきターイム!」
凛世「紫苑の花言葉は、『あなたを忘れない』ですから……」
-------------------------------------------------
GAMEOVER
モリノさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
-------------------------------------------------
夜桜……この国が世界に誇る自然の芸術ですね。
人々が篝火を焚き、暖かな光が花弁を照らす。
月明かりの下散りゆく桜色の雪は、いつの時代も私たちの心を掴んで離しません。
しかし、桜の花が散りゆく中で、今にも散り行かんとする命が一つ。
白装束に身を包むのは杜野凛世。
目の前には台の上に置かれた短刀。
殺人という罪に手を染めた彼女、その幕引きは自分の手で引かねばなりません。
古くからこの国に伝わる、【切腹】という作法で。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
凛として散る花の如く
超高校級の日本舞踊家 杜野凛世 処刑執行
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
切腹とは文字通り自分の手で腹を掻っ捌く行為。
並大抵の覚悟では行えません。
____大きく息を吸う。
杜野さんの呼吸に合わせるように脇に控える見届け人モノクマたちが鼓を打ちます。
どうせ見送るなら盛大に。
太鼓を乱れ打ち、盆踊りを踊って、神楽の龍も空に舞う。
杜野さんを和の文化で盛大に見送りましょう。
_____頬を汗が伝う。
もう逃げ場などありません。
杜野さんの後ろには介錯人が控えています。
下手な気を起こせば即座に首を跳ねられて終わり。
震える体、浅くなる呼吸。
ギュッと目を閉じる。
_____覚悟を、せねばなりません
短刀をその手に持った!そして刃先を自らに向け……
最後に一度、深呼吸。
さらば、現世よ!
ええい、ままよ!
杜野さんがその刃を自分の腹に突き立てようとしたその時でした。
外野の見届け人モノクマたちは盛り上がり過ぎてしまったようです。
いつのまにか酔いも回ってへべれけ状態。
おっと、危ねえ危ねえ転んじまうとこだった。
どうも暗くていけねえなあ、もっと明るくしとくれや。
〽️灯りをつけましょ爆弾に
ドカンと一発 爆殺だ
五人囃子の笛太鼓
今日は楽しい おしおきだ
あーあ、せっかく覚悟を決めたのに……
杜野さんどころか桜の木まで木っ端微塵。
風流もクソもあったもんじゃないね。
-------------------------------------------------
モノクマ「ひゃっほーーーーう!エクストリーム!」
モノクマ「杜野さんみたいな物静かなインキャも、散り際ぐらいは華々しく!いやぁ、おしおきっていい文化ですね!」
智代子「……りんぜ、ちゃん」
凛世が、処刑された。
目の前で起きた凄惨で衝撃的な光景が目に焼き付いている。
彼女は死の間際、その瞬間まで裏切り者となってしまった自分のことについて責任を感じ、その想いのまま亡くなってしまった。
なんて言葉をかけるべきだったんだろうか。彼女を許してあげるべきだったんだろうか。
そこに正解なんてない。それはわかっているけど、私たちはそのループする思考を止めることができずにいた。
モノクマ「あ、そうだ!一応言っておくと【かくれんぼ】は今回の事件でもうおしまいだからね!」
モノクマ「まぁそもそも裏切り者が残ってないからそれ以前の問題なんですけどね!」
円香「……ふぅん、それ言っちゃっていいんですね」
モノクマ「別に隠すもんでもないでしょ、このコロシアイもそろそろ終盤だしね!」
めぐる「一体いつまで続けるつもりなの……?」
モノクマ「正直いつ終わってもいいっちゃいいんだけどさ……どうせならもうちょっと数を絞ろうかなーって」
灯織「……数を絞る……?」
モノクマ「それにさ、ボクは樋口さんに期待してるんだよ」
円香「……」
モノクマ「いい加減見せてくれるんだよね?キミの考える【絶望計画】をさ!」
灯織「絶望、計画……?」
モノクマ「オマエラのことを殺したくて殺したくて仕方ない樋口さんが考えた……オマエラを絶望の渦に落とし込むための計画なんだって!」
めぐる「な、なにそれ……!円香!?」
円香「……ご心配には及びません」
円香「私の方ももうすぐ準備が整いますから」
灯織「樋口さん……どういうおつもりなんですか……!?」
円香「……ふふ、焦らなくてもわかるから」
摩美々「よくこんな状況で笑えますねー……」
円香「とっくの前に宣言したはず、灯織にはね」
灯織「……!!」
円香「私は必ず誰かを殺す、その時は……もうすぐ」
愛依「そ、そんなんって……!」
円香「あなたたちの仲良しごっこも、どこまで続くのか見物ですね」
樋口さんはそうやってモノクマと二人でほくそ笑むと、また我先にと裁判場を後にしてしまった。
残されたのは凛世の死の絶望と、樋口さんの言う計画に対する不安にどっぷりと浸かってしまっている私たち。
めぐる「円香……どうして、なの……咲耶と凛世の想いも円香には届かなかったの……!?」
灯織「……本格的に、樋口さんは対策を講じなくてはいけませんね」
雛菜「……」
めぐる「……これから、どうすればいいんだろう」
この合宿生活は終わらない。コロシアイは終わらない。
そして、どうしても凛世の犯行理由も気にかかる。
ここでの生活を終わらせることもまた絶望であるのならば、私たちはどこに向かっていけばいいの?
灯織「……」
めぐる「……」
摩美々「……」
もう空元気でどうにかなる話でもなかった。
前まではこんな時に率先して導いてくれた咲耶さんももういない。
……この空気は、覆らない。
そこから、何を話して、何をして、自分の部屋に戻ったのかわからない。
気が付けば私は自分の部屋のベッドに横になっていた。
もういっそ明日なんか来なければいいと思った。
生きても死んでも絶望、そんな生活ならば時計が進まないままでいい。
一生私は今だけのこの空虚な時間で、空気を吸って埃を食べて……人とも言えない状態になり果てる方がましだ。
「もう……いいよ」
-------------------------------------------------
【???】
智代子「もう、わたしだけになっちゃった……」
智代子「樹里ちゃん、凛世ちゃん……放クラ、もうわたしだけだよ……?」
智代子「どうして、こんなことになっちゃったんだろう……」
智代子「……」カサッ
智代子「……全然、味がしないや」
智代子「みんなで一緒に食べたお菓子なのに……あんなに大好きだったお菓子なのに……」
智代子「……おいしくない」
-------------------------------------------------
-------------------------------------------------
【???】
愛依「凛世ちゃんと、咲耶ちゃん……二人は裏切り者だった……」
愛依「二人とも、キョーハクされて、無理やり……」
愛依「でも、それって……人質は無事ってことじゃん……」
愛依「うちらが動機で見せられたビデオの二人も……」
愛依「あさひちゃんと、冬優子ちゃんも……きっと……」
愛依「なら、うちは……うちは……」
-------------------------------------------------
-------------------------------------------------
【???】
摩美々「……ああ、咲耶の字じゃんこれー」
摩美々「凛世、必死にまねて書いたみたいだけどこうして比較すると全然違うし……」
摩美々「……」
摩美々「ホント、咲耶もバカだよねー……摩美々に託すには荷が重すぎますってー……」
摩美々「はぁ、摩美々は悪い子だからしっかり咲耶のお願い聞くとは限らないのにねー」
摩美々「……」
摩美々「やれるだけのことはやってみてもいいかもねー……」
-------------------------------------------------
-------------------------------------------------
【???】
雛菜「……雛菜が、やらないと」
雛菜「円香先輩の暴走を止められるのは、雛菜だけ」
雛菜「だって、幼馴染なんだもんね……」
雛菜「他のみんなには、円香先輩のことはきっと……わからないから」
雛菜「雛菜がみんなを守らないと……雛菜が、ケリをつけないと……」
雛菜「雛菜は雛菜のやりたいことだけをやるから」
雛菜「見てて、透先輩、小糸ちゃん」
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-------------------------------------------------
【???】
円香「……ふふ」
円香「結局あの『コトキレルX』の所在を特定せずに裁判は終わった……」
円香「……やっと、透と小糸のために……私も」
円香「この時を、待ち望んでいた」
円香「煮えたぎるような、溶岩のような……そんな感情をもう押さえつける必要はない」
円香「想いに、殺意に身をゆだねて」
円香「_______ただ私は、獣になり果てる」
-------------------------------------------------
【???】
「……行こう」
「わたしは灯織みたいに推理したり、難しいことを考えたりはできない」
「でも、きっとそんなわたしでも……わたしだからこそ、出来ることがあるんだよね」
「……うん、決めたよ」
「少しでも悩んだり、苦しんだり、脚を止めたりしている時間があるなら……わたしはその時間で一歩を踏み出す」
「全力で動いて、全力で抗って、全力で立ち向かうんだ……!」
「それが残ったわたしにできること、なんだよね……真乃」
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【CHAPTER 04 Marionetteは絶望と眠る】
END
残り生存者数 7人
To be continued...
-------------------------------------------------
【CHAPTER04をクリアしました!】
【学級裁判クリア報酬としてモノクマメダル52枚を入手しました!】
【CHAPTER04クリア報酬としてアイテム『藁人形』を手に入れました!】
〔CHAPTER04を生き抜いた証。凛世がかつて想い人を投影していた人形は、解れてしまって見る影もない〕
【CHAPTER04クリア報酬としてスキル『水色感情』を習得しました!】
〔学級裁判で不正解時コトダマが減少して正解が導きやすくなる〕
というわけで4章完結したところでここまで。
いよいよストーリーは終盤も終盤、5章へと突入します。
現状5章はまだ書き溜めもないので、またしばらくの間お休みをいただきます。
一応ストーリーの終わりまでは考えてあるので、エタることの無いよう完走まで頑張る所存です。
それでは4章もお付き合いいただきありがとうございました。
また5章更新時にお会いしましょう。
Chapter1とEX以外のタイトルはパロディ?
Chapter2→デレステ「共鳴世界の存在論」の歌詞
Chapter3→平松愛理「部屋とYシャツと私」
Chapter4→ミリシタ「Marionetteは眠らない」
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GAMEOVER
シラセさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
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さあさあ、今年も始まりました!
モノクマガールズコレクション!
全国の女子高生が注目するこのファッションショーに、なんと!ななななんと!
あの伝説的カリスマモデル、白瀬咲耶が戻ってきたァーーーーーーッ!!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
殲夜アリア
超高校級のモデル 白瀬咲耶 処刑執行
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
流石は白瀬さん、抜群のスタイルに誰もを唸らせるクールな表情で魅せてくれますね。
ファーストルックからクールにスーツスタイルでキメッ☆
観客の女子高生たちも黄色い歓声をあげます!
このファッションショーは白瀬さんの独壇場、次々から次へとスタイルチェンジしては何度もランウェイへ。
赤に緑に青に黄、スパンコールにドレスにワンピース。
意匠を凝らした色鮮やかな美しい衣装に身を包み、回転寿司のレーンのように出ては入って出ては入ってを繰り返します。
過酷ですがこれがモデル業!
白鳥が水面下でバタ足をするように、華々しい世界の裏には弛まぬ努力があるのです!
白瀬さんも疲れが溜まってきてはいますが、表情は鉄仮面をつけたかのように崩しません。
ランウェイで表情を崩すのはタブー。笑うなんて持ってのほか。
それがモデルとしての義務であり矜持なのです!
しかし、芸能業界には大きな闇があります。
_______それは『嫉妬』。
堂々とライトを集めれば集めるほどそのライトの下にいない、暗中の少女たちは嫉妬の炎を燃やしてしまうのです。
ああ、可哀想に寸胴体系に生まれてしまったばかりにモデルモノクマはライトを浴びることはできません。
それなら嫉妬に走っても仕方ないですよね。
白瀬さんもトップモデルですしヒールに細工をされたぐらいじゃ大丈夫なはず……
……あれ?
あらら、ブッサイクに転んじゃってますね。ドレスも破けちゃってあれまあ!
そりゃ観客たちも怒り狂いますよ!
彼女たちが見たかったのはクールビューティ白瀬咲耶。こんな新喜劇みたいなのはお呼びじゃない!
白瀬さんの全身を包み込むのはランウェイのライトなんかではなく、カメラのフラッシュの好奇の光。
光の合間を縫って投げ込まれる観客からの罵声とゴミ。
埋もれるような失望に飲み込まれ、飲み込まれ……
ごみ山の中で誰にも見られることなく、
ボロ切れみたいなドレスを着たままひっそりとスーパーモデルは息を引き取りましたとさ。
というわけで大体一か月半ぶりですね。
というわけで大体一か月半ぶりですね。
久しぶりで改行の使用を忘れてShiftキーを押したまま改行してしまった……
お待たせしました、なんとか5章再開の準備ができて来たので近いうちに再開予定です。
5章書き溜めを点検などして問題なければ今週末からでも。
現状では7/22(土)21:00~を予定しています。
物語も終盤に差し掛かります、どうかお付き合いいただければ~!
>>138
章のタイトルでパロディするならするで
もっと早くからちゃんとアイマスになぞらえてやっときゃよかったですね…
1章とか3章とか浮きすぎている……
一応各章のタイトルは章の中身のニュアンスをふんわりと表している(つもり)
>>148
滅茶苦茶ガバってますね…
× 使用 →〇 仕様
× 7/22(土)→7/24(土)
予定通り5章より再開いたします。
学級裁判を跨ぎ一か月以上空いたので改めて主人公周りの情報を整理しておきます。
なお、今回の更新では自由行動まで進むことはないと思うので予めご了承を。
-------------------------------------------------
【5章現在での主人公の情報】
・習得スキル
【一番星の魔法】
〔自由行動二回目終了時にモノクマメダル10枚を消費することで、その日の自由行動を一回プラスすることができる〕
【ポシェットの中には】
〔自由行動のある日に限り一日の終わりにコンマ判定を行い、末尾の数字の枚数分だけのモノクマメダルを獲得できる〕
【意地っ張りサンセット】
〔反論ショーダウン・PTAのコンマ値の基礎値が+10される〕
【包・帯・組・曲】
〔学級裁判で不正解時のペナルティを三回まで無効化する〕
【HAPPY-!NG】
〔交流による親愛度上昇が+0.5される〕
【摩的・アンチテーゼ】
〔反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+15される〕
【水色感情】
〔学級裁判で不正解時コトダマが減少して正解が導きやすくなる〕
・現在のモノクマメダル枚数…123枚
・現在の所持品
【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×3
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】×2
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
【ここまでの親愛度】
・【超高校級の飼育委員】櫻木真乃……1.0【DEAD】
・【超高校級の占い師】風野灯織……(主人公)
・【超高校級の助っ人】八宮めぐる……0
・【超高校級の保健委員】幽谷霧子……0【DEAD】
・【超高校級のモデル】白瀬咲耶……3.5【DEAD】
・【超高校級の服飾委員】田中摩美々……12.0
・【超高校級の幸運】園田智代子……3.0
・【超高校級の応援団長】西城樹里……3.0【DEAD】
・【超高校級の日本舞踊家】杜野凛世……2.0【DEAD】
・【超高校級のゲーマー】大崎甜花……3.0【DEAD】
・【超高校級のスタイリスト】大崎甘奈……1.0【DEAD】
・【超高校級のギャル】和泉愛依……2.0
・【超高校級の???】浅倉透……0【DEAD】
・【超高校級のディベート部】樋口円香……6.0
・【超高校級の帰宅部】市川雛菜……12.0
・【超高校級の学級委員】福丸小糸……12.0【DEAD】
-------------------------------------------------
以上です、それでは第5章開始いたします。
___________一人目は不運に巻き込まれて。
一人目は不運に巻き込まれて。
突然放り込まれた状況を理解も出来ず、ただわめくうちに仲間を手にかけてしまいました。
まさかそれが、この長い長い物語の始まりになるとも思わずに。
二人目は強さに憧れて。
強さの象徴と弱さの象徴が巡り合ったのは運命のいたずらか。
不思議と引き付けられた二人はみんなが寝静まった夜中に秘密の会合。
二人で強さを語らいます。その結果、二人は強さの倒錯を知り、本当の強き者は本当の弱き者の前に散り果てました。
三人目はエゴイズムに飲まれて。
ただ己が欲求を満たすためだけに二人もの人間を手に駆けました。
想いを同じくした二人の仲を引き裂いて、わざわざ不審者の存在を作り出してまで。
混迷で煙に巻こうとするのは人間の浅ましさか。
四人目は仲間のため。
裏切り続けた罪悪感と自己嫌悪。
自分の心に打ち込まれた楔は日を重ねるごとに大きくなり、やがて心臓もろとも突き破りました。
その結果の選択は仲間を救うと信じて、大きな決断に踏み切ったのです。
五人目は……………………
………………………
………………………
………………………
………………………
………………………
………………………
………………………
………………………五人目なんか、いたか?
-------------------------------------------------
CHAPTER05
Die the sky.
(非)日常編
-------------------------------------------------
…………
……………………
…………………………………………
…………………………………………
…………………………………………
…………………………………………
…………………………………………ダメ。
灯織「……はぁ」
裁判を終えて、もう動く気力も湧かず。
樋口さんの殺意を食い止める術を考えても、答えが出るはずもなく。
思考の堂々巡りがより一層靄を濃くするばかり。
ただひたすらに夢の世界に篭りたい一心で瞳を閉じ続けてきたけどこれ以上は眠れないらしい。
灯織「……なんだか、お腹が空いたな」
動きたくもないのに、誰かと話したくもないのに。
体は私の意思とは無関係に栄養を欲する。
別に何もいらないけど、眠ることもできそうにない。
むしろ眠るためには何かを口に入れて血糖値をあげたほうがいいかもしれない。
灯織「そういえば今、何時なんだろう」
睡眠も食事もいつのまにか疎かになっていた、モノクマのアナウンスも聞いていないしこの部屋には窓一つない。
もしかしたら夜時間真っ只中なのかもしれない。
……一応、出歩きは禁止だけど。
灯織「……行こうか」
-------------------------------------------------
【寄宿舎エリア 廊下】
廊下に出ても人の気配はない。みんな寝ているのか、それとも学校エリアにいるのか。
……まあ、いいか。
食堂に行こう。夜時間なら閉鎖されてるだろうから、ダメだった時は倉庫かな。
-------------------------------------------------
【食堂】
ガチャガチャ
ダメ、閉まってる……
やっぱり今は夜時間なんだ。あの事件から、咲耶さんと凛世の死から数えて……何日めなんだろう。
……寝過ぎて頭痛すらする。
考えがまとまらない。
とりあえず、倉庫に行こうかな。
-------------------------------------------------
【倉庫】
倉庫には生活用品以外にも豊富な食料が保管されている……小糸やチョコとの交流でも確認した通り。
お菓子でもなんでも口に入れるだけならなんとかなるだろう。
大きなあくびをしながら扉を開けた。
……何も考えずに。
愛依「……えっ?!灯織ちゃん?!」
灯織「め、愛依さん?!」
倉庫の扉を開けるとそこには蹲み込んで段ボールの箱を漁る愛依さんの背中があった。
愛依「え、ひ、灯織ちゃん大丈夫なん?!病気とかじゃ……」
私の姿を確認するなり、飛びつかんばかりの勢いで側にやってきて私の手を取った。
寝起きそのままの形で出てきてしまったのに愛依さんが顔をマジマジと見てくるのでよろけてしまった。
愛依「わ、灯織ちゃん?!やっぱチョーシ悪い系?!保健室行く?!」
灯織「い、いえ!そういうわけではないので……」
愛依「そ、そうなん?でも久しぶりに灯織ちゃんの姿見れてマジでよかった〜〜〜!うちらみんな心配してたんだかんね!」
灯織「そ、そうなんですか……?」
愛依「うん!裁判の後から部屋から出なくなっちゃったから……めぐるちゃんとか毎日部屋のインターホンも鳴らしてたと思うんだけど」
そういえば何回か部屋のインターホンが鳴らされていたような気もする。
私はそれにすら耳を閉ざしてしまっていたけれど……あれはめぐるだったんだ。
愛依「ご飯とかちゃんと食べてる?!睡眠はとってる?!」
灯織「め、愛依さん……ありがとうございます、ご心配をおかけしました」
塞ぎ込んでいたのは……私だけだったみたいだ。
あれだけ周りに希望だなんだの強いて来たのに、結局足を引っ張ってしまっている。情けない限りだ。
灯織「……立ち止まってるだけじゃダメだって、みなさんに偉ぶって伝えてきたのに私が一番できてなかったですね」
愛依「灯織ちゃん……うちが言うのもおかしな話だけどさ、弱い気持ちを隠したり意地張ったりする必要って無いと思う」
灯織「愛依さん……」
愛依「うちらは友達じゃん?」
灯織「はい……すみません、友達……を裏切ってしまうような真似を……」
愛依「いや、それも違う!」
灯織「愛依さん……?」
愛依「灯織ちゃんはうちらのことを考えて考えて……その結果パンクしちゃっただけなんだから何も悪くない!自分のせいだとか考えなくてマジでいいから!」
愛依「灯織ちゃんがしょげてるなら、その分うちらが頑張る!応援するし、支えるから!」
愛依「……ね?ちょっとずつ頑張れれば、それでいいじゃん!」
愛依さんは胸を張ってそう答えた。弱り切った今の私には何より頼もしくて、なによりも嬉しい言葉だ。
ガチガチになっていた心の凝りがほぐれて、モチモチになっていくのを感じる……
私の中で大きな峠を一つ越えたんだろう。
灯織「愛依さん、私がいなかった間のことを詳しく教えてもらえないでしょうか。……許されるなら、今からでも皆さんと共に前を向いて行きたいですから」
愛依「モチ!……てゆーか、もう来てもらったほうが早いかな」
灯織「……え?」
愛依「今、みんなで体育館にいるんだよね。灯織ちゃんも来てもらったほうが早いかも?」
夜時間に体育館に集まってる……?
なんのために……?
灯織「わ、わかりました……体育館、ですね」
愛依「大丈夫?一緒に行く?」
灯織「い、いえ……大丈夫です!お手数をおかけするわけには……!」
愛依「いやいや、遠慮しなくていいから!うちもどうせ行くんだし!」
灯織「あ、あの……その……」
愛依「?」
灯織「シャワー、浴びてから行ってもいいでしょうか……?」
愛依「あっ……」
-------------------------------------------------
【体育館】
愛依さんと一旦分かれ、シャワーを浴びてから体育館の扉を開く。
何日も扉を開けていなかった右腕にはその扉は重厚に、そして威圧感を持って感じられた。
中から差してくる光の中に見たのは……
_______モノクマを解体している皆さんの姿?!?!
めぐる「灯織〜〜〜〜〜!!」
驚くのも束の間、正面から抱きついてきためぐるで遮られる。
灯織「め、めぐる……苦しいってば……」
摩美々「お熱いですねー」
めぐる「灯織、大丈夫なの?!心配したよ〜〜!!」
灯織「ご、ごめん……めぐる、もう大丈夫だから。心配かけてごめんね」
めぐる「病気はしてない?!怪我はしてない?!」
灯織「うん、そういうのとはまた違うの……ちょっとだけ、元気がなくなってたけどもう大丈夫だから」
めぐる「本当に?!無理してない?!」
灯織「してない、してないから」
めぐるの目元には涙が携えられていて、私を抱きしめる力も強く。
感情を真正面からぶつけられたような感覚だ。その両腕からじんわりと優しいものが広がるのを感じる。
私はめぐるの頭にそっと右の掌を添えて、撫で下ろした。
摩美々「ご堪能のところ申し訳ないですケド、灯織にも今の状況を説明したいんだよねー」
灯織「あ、はい!むしろこちらからお願いしたいぐらいで……このモノクマは一体?」
雛菜「あは〜?でも正直雛菜たちにもよくわかってないよね〜?」
灯織「えっ……?」
智代子「うん……凛世ちゃんの裁判が終わった後のことなんだけどね……」
摩美々「いつもと同じように、エリアの開放があってー。その探索をした後はまたいつもと変わらず生活を続けてたんだケド、今朝になって愛依がこの状態のモノクマを発見したんだよねー」
雛菜「もともとアナウンスも流れなくなってておかしいなとは思ってたんだよね〜」
愛依「うちが校内で適当に散策してるとポツンってモノクマがいてさ!マジでビビったんだよね!」
そういえば、今日は朝と晩のアナウンスを聞いてないような気がする。
モノクマがここで動かなくなっていることと無関係なわけ、ないよね……
摩美々「あ、灯織これ渡しとくねー」
灯織「え?これは……?」
摩美々「モノクマの体に入ってた爆弾だよー」
灯織「ば、ばく……?!」
摩美々「ふふー、スイッチは切ってるから大丈夫だよー」
摩美々さんのからかいを受けるのも数日ぶりだな……
それにしても爆弾がモノクマの中に……何を目的として……
……いや、目的なら知ってる。
実際私も目にしたじゃないか……この学園に来た初日、樹里が単身モノクマに抵抗したあの時。
____もう、そんな樹里はこの世にはいないんだけど。
摩美々「爆弾は置いとくにしても、モノクマの体はかなり緻密な機械設計みたいだよー。詳しいことはわからないけど、運動性能は信じられないほど高いと思う」
智代子「まあ実際あのおしおきをやってるぐらいだもんね……」
灯織「開発費用なんかもかなりかかってそうですね……」
雛菜「その結果やってるのがコロシアイの強要ってわけわかんない〜〜〜!」
摩美々「……まぁ、せっかく灯織に来てもらったことだし5階の調査報告をしとこうかぁ。モノクマに関しては摩美々たちもさっぱりですしー」
灯織「……あ、助かります」
めぐる「はいはい!それじゃあわたしが灯織に教えてあげるね!灯織のために一生懸命調べたんだよ!」
灯織「めぐる……うん、ありがとう」
モノクマのことは気にかかるけど、今はそれよりみなさんに追いつくことが先だよね。
ひとまずめぐるの報告に集中しよう。
灯織「じゃあ、聴かせてもらえる?」
めぐる「うん……あのね!」
______________
__________
______
-------------------------------------------------
【めぐるの部屋】
キーン、コーン…カーン、コーン
モノクマ『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ~!さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』
朝が来た……
凛世の事件の直後、円香の言い残した絶望計画。
それが頭から離れなくていても経ってもいられず、学校中を夜中は駆け回ってたけど円香の姿は見えず。
わたしが寝不足になっただけで終わっちゃった。
うぅ……わたしは灯織みたいに推理したりできないから、こういう時こそ力にならなきゃなのに……
ううん!だからってへこたれないよ!
諦めない限り、希望はあるって学んだから!
真乃から、みんなから受けついだ絆を果たすんだ!
とりあえずは灯織を起こすところから!
-------------------------------------------------
【廊下 灯織の部屋前】
めぐる「おはよーーーーーー!!灯織ーーーーーー!!」
インターホンを何度も鳴らしてるのに灯織からの反応はない。
こんなの初めてだよ……灯織はいつも早起きで、わたしと一緒に食堂に行ってるのに……
めぐる「まさか……事件が……!?」
ガチャガチャ!ガチャガチャ!
何度もドアノブを下ろすけど、内側からかけられた鍵が外れることはない。
廊下にはわたしのあくせくと漏らす声と耳障りな音だけが響く。
めぐる「灯織!!返事してーーー!!」
モノクマ「あーもう!ストップ、ストップだよ八宮さん!」
めぐる「モノクマ?!この扉を開けてくれる?!灯織が……灯織が中で……!」
モノクマ「はいはい分かった、分かったから!いったん落ち着いてみよっか!ほら、1から素数を数える!」
めぐる「そ、素数……?えっと、3.141592……」
モノクマ「それは円周率!全然違うよ、せめて自然数とか無理数とかでボケてよ!」
モノクマ「とにかく落ち着いてボクの話を聞くんだ、ベイビー。いい知らせと悪い知らせ、二つある。どちらから聞きたい?」
めぐる「え……?そ、それじゃあ悪い知らせ……?」
モノクマ「今日のボクは便秘なんだ、というかここ1週間ほどずっとご無沙汰でね。今朝なんか腸の働きを促進にする薬を飲んでみたんだけ_____」
めぐる「で?!?!いい知らせって?!?!」
モノクマ「圧がすごいよ圧が……入社4年目が新卒に説教するときぐらい圧を感じるよ……」
モノクマ「風野さんは無事!何も起きてないから!だからそのドアノブガチャるのやめてくれるよね?!」
めぐる「そ、そうなんだ……」
モノクマ「まあ、メンタルが無事とは限らないけどね?今みたいにガチャガチャすると逆に彼女にとって負担になっちゃうかもしれないから」
めぐる「……!?」
モノクマ「ボクとしては鍵が摩耗するような真似はやめて欲しいってだけだから!風野さんを部屋から出したいなら別の方法でも考えるんだね!」
モノクマはわたしにそれだけ注意を伝えると何処かに行っちゃった。
灯織は昨日の事件で閉じこもっちゃったってことだよね……
これまでわたしたちを引っ張ってくれてた分、やっぱり負担をかけちゃってたんだ……
灯織、ごめんね……
めぐる「……うぅ、灯織」
ドアの向こうにはきっと落ち込んじゃってる灯織がいて……体を震わせてるかもしれない。
ギュゥって抱きしめてあげて、これまでの分もいっぱい「ありがとう」って伝えたい。
でも、それをするには遅すぎたみたい。
扉は、わたしの力じゃ開けられない。
扉に沿わせた掌が無気力にずるずると落ちていく。
めぐる「……でも、わたしは……円香を止めないと」
灯織が動けないのなら、それは今わたしの役目。
灯織の想いを、願いを引き継いで……わたしがみんなを守る!
だから、今はちょっとだけ灯織のそばを離れないといけない。
めぐる「灯織、待っててね。わたしが灯織の分まで、頑張ってくる!」
わたしは最後に灯織のネームプレートにタッチした。
-------------------------------------------------
【食堂】
みんなが集まったけど、やっぱり灯織はやってこなかった。円香も変わらず。
昨日の事件で二人を失っただけでなく、中心核だった灯織がいなくなったことでいつもよりも食堂はしんみりしちゃってる。
愛依「灯織ちゃん……やっぱ抱え込んでたんだね」
智代子「……灯織ちゃんに、応援の言葉をかけて欲しかったな」
雛菜「……どんよりした空気、雛菜きらい〜」
摩美々「……」
でも、だからこそ。
今はわたしが頑張らないとダメなんだ……
この嫌な空気も丸ごとギュッと抱きしめて、大丈夫にしてあげないとダメなんだ……!
めぐる「みんな、灯織がいっつもなんて言ってたか忘れてない?!」
愛依「えっ?……ひ、灯織ちゃんが言ってたこと……?」
雛菜「……絆、ですか〜?」
めぐる「雛菜正解!そう、わたしたちが大事にしなくちゃなのは絆……それは今でも変わらないよ!」
めぐる「灯織がいないからこそ、灯織との絆を大事にしないと……ダメなんじゃないかな?!」
摩美々「なんかふんわりしすぎてよくわかんないケド」
摩美々「要は『灯織がここにいれば何をしてたか』『私たちは灯織のためにも何をすべきか』ってことだよねー?」
めぐる「えっと……うん!多分!」
智代子「灯織ちゃんのために……」
愛依「……止まってる時間はないってことだよね」
雛菜「それに、円香先輩を止めないといけないですね〜」
摩美々「まあ、そんなのめぐるにわざわざ言われなくてもでしたケド」
めぐる「……ありゃ?」
摩美々「でも、摩美々のキャラ的に言いづらい話だったのでー……頑張り賞ぐらいはあげましょうかねー」
モノクマ「はい!お話はまとまりましたでしょうか!」
雛菜「あ、来た〜!」
モノクマ「まあ、一応これもお約束というやつなのでアナウンスはしとくね?」
モノクマ「おめでとう!そなたたちはついに第四の壁を乗り越えた!その努力と成果を称えて新しき世界の扉を開こうではないか!」
愛依「5階……ってことだよね?」
モノクマ「そして大事なことなので、これも」
モノクマ「今そなたらの開いた扉は、この世界における最後の扉である!」
智代子「最後の……扉……?」
モノクマ「はやい話がこの学園は5階建てってこと!これ以上はもう無いってことだね!」
摩美々「……なるほどぉ」
5階が最後のフロア……ってことは、これが最後の手がかりってこと?
なら、なんとしても探索で成果を上げなきゃだよね!
モノクマ「それと合わせて、4階の学園長室も開放しておいたから探索はご自由に!」
モノクマ「きっと……オマエラの知りたい真相に近づくヒントが隠されてるはずだよ」
めぐる「……!!」
モノクマはそう言ってほくそ笑むと姿を消しちゃった。残されたわたしたちは、迷うこともなく一気にお互いを見合わせた。
摩美々「最後のフロアなら、気合入れなきゃですねー」
めぐる「うん!絶対に手がかりを見つけ出してみせるよ!」
智代子「……そうだね、頑張らないと」
愛依「おしっ!気合入れた!うちも本気で、死ぬ気で頑張るから!」
雛菜「円香先輩もきっともう探索してるよね……よし」
その一歩は力強く。
食堂を後にした。
-------------------------------------------------
さて、新しく開かれた五階にあるのは……武道場に植物庭園、生物室。それと教室みたい。
あとモノクマの話だと学園長室の扉も解放されたんだっけ?
灯織がいない分、いつも以上に気合を入れないと!
めぐる「よーし、がんばるぞー!」
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【探索について】
場所指定の安価と同時にコンマを判定し、末尾の数字と同じ枚数だけモノクマメダルが獲得できます。
※めぐるの獲得したモノクマメダルがそのまま灯織の枚数に加算されます
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めぐる「どこから探索しようかな……?」
1.学校エリア5F 武道場
2.学校エリア5F 植物庭園
3.学校エリア5F 生物室
4.学校エリア4F 学園長室
↓1
4 選択
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【学園長室】
4階の閉ざされていたはずの部屋。観音開きの重厚な扉は意外なほどにすんなりと開いた。
中はいかにもと言った感じな厳かな空間。
樫の木のデスクは威圧感を放っていて、壁にかけられた歴代の学園長の肖像画はわたしたちを睨みつける。
本当に通っている学園ではないのに、背筋をついつい正しちゃう。そんな雰囲気が漂っている。
摩美々「この部屋、ここまで隠してただけあって、結構色々あるねー」
めぐる「うん……摩美々は何か気になったものとかある?」
摩美々「とりあえずはあれかなー」
摩美々が指差した先にあったのは……ショーケース?中にはファイルホルダーといくつかの小物が見える。
摩美々はその一冊を手に取ると、わたしの目の前でパラパラとめくった。
摩美々「『コロシアイ合宿生活動機概要』……なんだか見覚えないー?」
目の前の書類には、見覚えどころか実際にわたしたち自身が経験したあの残酷な動機について手段からその狙いまで細かに記されている。
めぐる『一つ目の動機は【疑心暗鬼】、あえて黒幕との接点を公開することにより必要のない疑いあいに持ち込む。お互いがお互いを信じ合えない状況下でアイドルたちは信頼をどんな形で発揮してくれるのか』
摩美々「透と真乃の事件……黒幕の目論見通り、真乃が疑心暗鬼の果てに透を手にかけた」
めぐる『二つ目の動機は【焦燥】、フェイク映像による近縁者の危機を告示する。この学園から出たいという意思を一層駆り立てた上で、真のアイドルになるための決断力を養成する』
摩美々「小糸は脱出しようと意思が強まった結果、殺害以外の方法を見つけるために樹里を頼って……事故に巻き込まれた」
めぐる『三つ目の動機は【才能】、各人の才能を伸ばすためのヒントを授ける。柔軟な思考力のもと、与えられた道具をどう活用するかに着目したい。
備考:当初の予定と異なり、コロシアイがそこまで精力的に行われなかったため一部変更。後の計画の予備実験としての役割も兼ね、被験体Aに人格の移植を行う』
摩美々「霧子はモノクマに人格を植え付けられて、自我の崩壊を起こして凶行に及んだ……」
めぐる『4つ目の動機は【犠牲】、集団としての生存のために1人を切り捨てる決断を迫る。損得勘定と個人の感情との間のすり合わせを適正化し、これから先生き残っていく上での野心を研ぎ澄ますのも狙いの一つである』
摩美々「私たちに紛れた裏切り者、咲耶と凛世はそれぞれ考えを別にして……凛世は私たちのために、咲耶を殺害した」
めぐる「ここまでのわたしたちと完全に一致してるね……」
摩美々「まぁ学園長室ってだけあってモノクマの書類なんだろうねー」
めぐる「……あれ?第3の動機のところはもっと続きがあるみたいだよ?」
摩美々「……ああ、それは渡されたプレゼントの詳細についてみたい。見てみるー?」
数ページめくると、わたしたちに渡されたプレゼントが私たちの名前と才能、そしてそのプレゼントの写真付きで記されていた。
『八宮めぐる【超高校級の助っ人】ゼッケン』
『風野灯織【超高校級の占い師】水晶玉』
今生き残っているわたしたちの分は当然として、すでにあの動機が配られた段階で犠牲になっていたみんなの分も。一応用意はされていたらしい。
『櫻木真乃【超高校級の飼育委員】止まり木』
めぐる「……真乃の分」
摩美々「……ショーケースの中に入ってるケド、めぐる持って帰る?」
めぐる「うーん、流石にちょっと手で持って帰るにはおっきすぎるかな」
摩美々「……そうだねー」
『浅倉透【超高校級のカリスマ】テープレコーダー』
めぐる「あれ、透の才能ってこれ……」
摩美々「見るのは初めて……だけどある程度納得はいくよねー、カリスマってそれっぽいじゃーん」
透自身も才能のことは明かされてなかったらしいし、電子生徒手帳にも記載はなかった……
その才能が、カリスマ……
『福丸小糸【超高校級の学級委員】タスキ』
摩美々「実用性のなさそうなプレゼント、私たちの中にも渡されてる人はいたけど小糸もそのパターンだったみたいだねー」
めぐる「『あんたが主役』……パーティとかで使うやつ?」
摩美々「つくづくモノクマって悪趣味だよねー」
と、亡くなった三人のリストを見た後パージをめくって……その手が止まった。
そこにあるはずの部分が、樹里の項目がまるまるバッサリと切り取られていたから。
めぐる「あれ?!樹里のページは?!」
摩美々「落丁ってわけでもなさそうだねー……もしかして、円香……?」
めぐる「えー?!もう先に来てたのー?!」
摩美々「かもね、モノクマにも円香が気に入られてるみたいだし……その程度の加担はしててもおかしくないでしょー」
めぐる「でも、なんで樹里のページが……?」
摩美々「……樹里の、プレゼント……?」
円香の行動の意図はわからないけど、今手元にない限りは諦めるしかない……
この謎は解消しようにもできない謎だ。
【額縁】
学園長室の壁にはあんまり見慣れないおじいさんたちの肖像画。
うーん、下のプレートをよく見てみると……『希望ヶ峰学園歴代学園長』……?
ってことはこのおじいさんたちはみんな校長先生、だったのかな。
一番古いのは、これみたい。
『初代学園長・神座出流』……?
何て読むんだろう、『かみ、ざ、で、る』……?
人の名前、なんだよね……?
-------------------------------------------------
【コンマ判定81】
【末尾1】
【モノクマメダル1枚を手に入れました!】
1.学校エリア5F 武道場
2.学校エリア5F 植物庭園
3.学校エリア5F 生物室
↓1
1 選択
-------------------------------------------------
【武道場】
これは……弓道場?
人工で植えられてる桜が綺麗、その向こうには弓道の的が並んでる。
結構な奥行きはありそうだな、練習にはちょうどいいかも?
愛依「わー……すっご、マジで和風系じゃん」
めぐる「愛依!そういえば愛依は小さい頃から書道をやってたんだっけ?」
愛依「まーね♪ばーちゃんに教えてもらって、それなりには書けるんだけどさ、なんかこの武道場の雰囲気は懐かしい感じがすんね」
めぐる「そうだね、ザ・ジャパニーズスタイルって感じがするよ!」
弓道だけじゃなく鎧甲冑や掛け軸もあるし、モノクマが意匠を凝らして作ったのかな?
……とと、何か使える手がかりを見つけないと。
愛依「この部屋で気になるのは、このロッカーぐらい?」
めぐる「ロッカー……木の札を差し込んで開閉するタイプか……」
愛依「うん、それぞれのロッカーに対応した番号の札があるから……替は効かないっぽいね」
ロッカーを一つ一つ開けてみると、その一つに書類が無造作に押し込められているのを見つけた。書面には『塔和シティ大規模暴動事件』と書いてある。
めぐる「塔和シティ……?なんだろう、愛依は聞いたことある?」
愛依「いや、うちもピンとこない……どっか有名なとこなのかな?」
『この暴動は国内有数の財閥グループ、塔和グループの管理する大規模埋立居住区・東和シティで起きた子供による大人に対する反乱である』
めぐる「そもそもこの塔和グループ、って聞いたことがないんだよね……」
愛依「めっちゃ有名なカイシャみたいに書いてるけど、聞いたことなくね?」
めぐる「うん……それに子供による大人に対する反乱って……?」
『未来機関は即座に事態の沈静化のため、14支部支部長の十神白夜を中心とした部隊を派遣。その際に新開発兵器・メガホン型ハッキング銃を隊員たちには所持させた。これは新開発された兵器の実用性を試験する意味合いもあった』
愛依「み、未来機関……?なんかよくわかんない言葉ばっかで……頭こんがらがってくるんだけど?!」
めぐる「……あれ?この十神白夜って名前、どこかで……」
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『十神財閥の御曹司も確か高校生でしたよね?彼も今年デイトレードでかなり有名になりましたが』
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めぐる「……そうだ!あの時のテレビで見た第78期生の名前だよ!希望ヶ峰学園の新入生徒!」
愛依「確かにそうじゃん!なんか聞いたことあると思ったら!……あれ?でもだとしたらおかしくない?なんで十神って人は希望ヶ峰学園じゃなくて未来機関って方にいるの?」
そう、明らかにこれはおかしい……
わたしの知らない情報が多すぎる……
『メガホン型ハッキング銃にはいくつかの機能を搭載している。
専用の特殊な弾薬を使い分けることで、電子機器類を『破壊』『燃焼』『噴出』『操作』『麻痺』などさせることができる』
めぐる「なんかすごい機械だったんだね」
愛依「てかなんでメガホン型なんだろう……普通に銃じゃダメだったん?」
めぐる「でもすごい技術だよね、銃で撃つことで機械を破壊したりできるなんて!」
愛依「ハッキングってマジすごいね!」
『未来機関とレジスタンスとの攻防は長期にわたり、多くの犠牲を伴った。都市機能は完全に停止し、生き残るために暴徒化した大人たちを新たに鎮静する必要も生じ事態は混迷を極める。その際に鎮静に一役買ったのは他でもないあの【超高校級の希望】の妹の……』
めぐる「あれ?これで終っちゃってる……」
愛依「え〜?!ここからがめちゃくちゃ気になるところじゃん!」
めぐる「この暴動がどう治ったのか、きっとモノクマにとって秘密にしたいことなんだね」
愛依「う〜ん、わっかんないね……そもそもこの超高校級の希望ってなんなん?」
めぐる「希望ヶ峰学園の生徒に、そんな称号の生徒って今までいなかったよね?」
愛依「だと思う……うちも割と毎年生徒の発表は見てたけど、聞き覚えない系」
めぐる「この情報、どこかで活きてくるのかな」
武道場で得られた情報はこれぐらい。
聞き覚えのない場所で起きた聞き覚えのない事件。それを鎮静化したのもまた聞き覚えのない組織。
これって本当にあったことなの……?
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【コンマ判定64】
【末尾4】
【モノクマメダル4枚を手に入れました!】
【現在のモノクマメダル…128枚】
1.学校エリア5F 植物庭園
2.学校エリア5F 生物室
↓1
1 選択
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【植物庭園】
すごい……入った瞬間おっきな花が目に入る。
思わず目を奪われ、近づいていくと……
モノクマ「あっぶなーーーーーい!!」
めぐる「うわぁっ?!も、モノクマ?!なになに、どうしたの?!」
モノクマ「八宮さん、迂闊に近づいちゃダメだよ!それはモノクマフラワー、雑食性の食虫植物だよ!」
めぐる「ざ、ざっしょく……?!」
モノクマ「超高校級の植物学者が開発した植物でね、プラスチックだろうと鉄だろうと人だろうと、なんでもお構いなしに溶かしちゃうんだから!」
めぐる「え、えぇ?!」
モノクマ「うおォン!さながら植物火力発電所だね!」
めぐる「そ、そんな植物あり……?」
モノクマ「まあ肝心の開発者の色葉田田田くんはそのモノクマフラワーの餌z……ゲフンゲフン」
めぐる「よ、よくわからないけど近寄ると危ないんだね……?」
モノクマ「そういうこと、まあ太陽の光が出てる時だけ活性化してそうなるんだけどさ。夜時間は静かなもんだよ」
めぐる「え?た、太陽……?でもこの学園じゃ太陽なんてどこも……」
モノクマ「今まではそうでした!が!熱い要望にお応えして!ついに!」
モノクマ「この植物庭園では人工太陽を導入しているのですーーーーー!!」
めぐる「じんこうたいよう……?」
モノクマ「紫外線を含む光を放つ、文字通りの太陽だよ!植物の生育のためには暖かい太陽光が不可欠だからね!」
確かにモノクマの言う通り、植物庭園自体は他の部屋同様窓も何もない部屋だけど天井には他の部屋とは表情の違う照明がついている。
この光が多分人工太陽ってことなんだよね。
灯りだけでも外の環境を再現してるってことなんだ……
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【智代子に話しかける】
智代子「……」
めぐる「……チョコ」
チョコは咲耶の裁判で、凛世を失った。
この生活が始まった時には放クラは三人いたのに、もう2人は……
明らかにチョコの元気は無くなっている。
智代子「めぐるちゃん……ごめんね、心配してもらっちゃって。大丈夫、ちょっとだけ時間をもらえれば……立ち直れるから」
それに凛世の死を前にしてなお犯行の意思を変えようとしない円香の存在。
灯織と同じく、抱えているものは多分わたし以上……
めぐる「……」
人と人はみんな違う。似てはいても、絶対に同じものは一つとしてない。
だから不用意に踏み込むようなことをすれば、かえってチョコを傷つけちゃう。
……こんな時、真乃や灯織ならどうするのかな。
なにかわたしが、チョコのためにしてあげられることは……
智代子「……凛世ちゃんも、わたしに裏切り者だったって話はしてくれなかったし……やっぱり頼りなかったのかな」
めぐる「……チョコ!そんな風に、自分を責めちゃダメだよ!」
智代子「……でも、私がもっとちゃんとしてたらこうはならなかったんじゃないかなって……」
めぐる「チョコ……気持ちはわかるけど、それはチョコ自身が凛世の思いを反故にしてることになるんじゃないかな」
智代子「……え?」
めぐる「凛世は、最後のその瞬間までチョコのことを想ってた。わたしたちにその真意まではわからないけど、そのために事件を起こしたんだよね?」
智代子「確かに、そう言ってたけど……それは逆に私たちが凛世ちゃんを追い詰めたことになるし……」
めぐる「ちがう!追い詰めたのはモノクマの方だよ!チョコが責任に感じることじゃ……」
智代子「……」
めぐる「それに、凛世が最後にチョコに託した言葉……えっと、断じて行えば……ええっと……」
智代子「断じて行えば鬼神もこれを避く……だった、かな。信念を強く持てば、どんな障害も乗り越えられる……そういう言葉、なんだよね」
めぐる「チョコ……」
智代子「……うん、私の中でもきっと答えはもう出てるんだ。それなのに、その一歩を踏み出す勇気を寂しさが、孤独感が邪魔しちゃってたんだ……」
智代子「ごめんね、めぐるちゃん。なんだか吹っ切れたよ!泣くのはいつでもできるけど、前を向けるのは、向くべきなのは今だけだもんね!」
めぐる「……うん、頑張ろうチョコ!一緒にこの難局を乗り越えるんだよ!そのための応援なら、いつでもわたしが頑張るから!」
智代子「えへへ、そうだね!よし、それじゃあ意気込む意味も込めて……これを!」
めぐる「……?それって?」
智代子「凛世ちゃんの好きだったお菓子、なんだかもったいなくて食べれずにいたんだけど……はむっ!」
智代子「おいひ〜〜〜!!」
智代子「よーし!力が湧いてきちゃった!ここからまた、園田智代子再始動だよ!」
チョコはまだ少しだけ不安げだけど、元気を取り戻した。
無理をしているように見えるけど、今は無理をしてでも前を向くべきだってそう感じるから……それを指摘することはできなかった。
それに、チョコの意思を何よりも尊重すべき。
わたしはその側でチョコを支えることで、答えていかないと。
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【鶏小屋】
こんなところに鶏が……1、2、3、4ちょうど4羽だね。真乃がいればすごく喜んだと思うんだけど……
【倉庫】
ここには園芸用品がいっぱい詰め込まれてる。
肥料にブルーシート、芝刈り機に……ツルハシ?
ツルハシって園芸に使うのかな……?
【スプリンクラー】
入り口付近にはスプリンクラーを制御する装置。
でも管理者権限はモノクマにしかないみたい。
【毎朝7時半】に水やりをするように設定されてる。その時間に植物庭園にいると水を浴びちゃうから気をつけないとだね!
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【コンマ判定13】
【末尾3】
【モノクマメダル3枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル…131枚】
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【残り選択肢が1つとなったので自動進行します】
【獲得モノクマメダル枚数の判定のため直下のレスでコンマ判定を行います】
↓1
【生物室】
5階廊下の最奥部、のっぺりとしたグレーの扉が生物室みたい。
ゆっくりとその扉を開け……開け……
めぐる「開かない!」
結局まだ全部の部屋に行けるようになったわけじゃないんだ……がっくし。
雛菜「あ〜、やっぱりそこって入れないんですね〜」
めぐる「あ、雛菜!お疲れ様、探索は進んでる?」
雛菜「ん〜、まずまずですかね〜。この部屋も中を見てみたかったんですけど、開きませんし〜」
これまでにも閉鎖されてる部屋はあったけど、なんで生物室が?
学園長室とか情報処理室とかは重要そうなのも納得がいくけど生物室ってそこまで重要にも感じないような……
雛菜「この部屋、なんだか不気味ですよね〜……最上階のこんな一番奥でまるで隠すみたいに存在してる部屋ですし」
めぐる「うん……なんだか、他の部屋とも空気感が違うよね……」
空気感が違う、その言葉は部屋の見た目から発したものだったんだけど……
どうやら当たらずも遠からずだったみたい。
雛菜「ていうか……なんだか部屋の下から冷気が漏れ出てませんか〜?」
めぐる「え?……わっ、ホントだ!なんだか寒いと思ったら!」
雛菜「この中で何やってるんですかね〜」
めぐる「うーん……検討もつかないや……」
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【コンマ判定37】
【末尾7】
【モノクマメダル7枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル…138枚】
……さて、残すところはあと一つ。
入る前から異様な雰囲気を感じ取り、何故か先回し先回しにしてしまった教室。
_______意を決してその扉を開けた。
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【教室】
めぐる「……っ!」
明らかに異様だった。
部屋に入った瞬間鼻を刺す刺激的な匂い。
それはここでの生活を送るうちに、嗅ぎ慣れてしまった匂い。
人の命を凝縮した、想いや感情を詰め込んだものが、無残にも散り果てた時の匂い。
血の匂い……人がそこで、死んだ時の匂いだった。
円香「……」
赤黒く染め上げられた教室は机や椅子も無残に破壊されており、その退廃的な光景の中心に円香は立っている。
わたしの入室に気づくと、そっとわたしの近くに寄った。
円香「……この教室にいると、思い出すでしょ?」
めぐる「お、思い出す……?」
円香「最初の事件……透も教室で、真乃に殺された」
めぐる「……っ!」
円香「……まあ、ここまでの惨状ではなかったけど。この教室はもっと遥かに凄惨な現場のようだから」
円香はわたしの返答も待たずつらつらと言葉を綴る。
円香「殺人が起きたの事態は遥か前……それこそ私たちがここでの生活を始める前だったりするのかもしれないけど。それでもこの様子だと、死んだのは1人や2人じゃないんだろうね」
円香「……人の熱気を今でも感じるようじゃない?机に、椅子に、血痕に。手を触れただけで阿鼻叫喚の声が浮かび上がってくるみたい」
円香の言葉のままの想像が次々に浮かび上がり、胸のあたりがキュゥっとし始める。口のあたりに胃酸のような香りもする。
円香「でも、足りない」
めぐる「……え?」
円香「こんなものじゃ、私は満足しない。ただあなたたちを殺すだけじゃ満足しない。命を散らすだけじゃなく、そこに絶望を……生きる希望の一切を奪うだけの『最悪』をぶつける」
円香「灯織もめぐるも摩美々さんも愛依さんも智代子も……その瞳から希望の一切を失わせて見せる」
円香はその言葉とともに、私の胸に手を当てた。奥歯を噛みしめ、睨みつけ、そのドスの効いた声を上げる。
円香「その心臓を、潰す」
めぐる「……円香!」
わたしの制止に耳をかすはずもなく、円香は最悪の所信表明を下すとそのまま教室を後にした。
残されたのは地獄のような惨状となっている教室とわたし。
モノクマ「ふぅ〜〜〜、樋口さんたら殺気放ちすぎだよ!怖くて出てくるタイミングを逃しちゃったじゃん!」
めぐる「わ?!モノクマ?!」
モノクマ「ボクは空気が読めるクマなので!シリアスムードの時にはROM専なんだよね!だってほら、ボクってば口を開けば口説き文句が出るじゃない?」
めぐる「よ、よくわからないけど……この教室ってなんなの?!円香が言ってたみたいに、何かの事件現場なの?!」
モノクマ「良い質問ですねぇ、全くもってその通り!」
モノクマ「この部屋は、とある凄惨な殺人事件の現場そのままなのです!死体は避けてるけど、他は一切手を加えてないそのままの形だね!」
うっ……やっぱりそうなんだ。
この匂いも、熱も……全てが本物。
これなら紛い物の方がよかったよ……
モノクマ「まあこれもオマエラの知りたがってる真実の一部だったりして?」
めぐる「えっ……それってどういう」
モノクマ「はいはい!これ以上は教えないよ!お母さんにネタバレする大人にだけはなるなって育てられたからね!」
めぐる「モノクマのお母さん……?」
モノクマ「まあ、手掛かりになりそうなものも残ってたりするし……結局オマエたち次第だよね!」
モノクマがそう言って目を向けたのは、机に突き立てられたままになっているナイフ。
あれも、その事件とやらで使われたものなのかな。
モノクマ「じゃ、頑張ってその足りない脳味噌で考えるんだね!ファイト〜〜〜!」
めぐる「……行っちゃった」
結局モノクマはまだ断片的な情報しか教えてくれない。
……この合宿生活の真実に、わたしたちは本当に近づいているんだよね……?
ひとまず、モノクマも気にかけていたあのナイフが気になるな。机に突き立てられていたナイフを引き抜く。刃渡りは10cm程度で、特殊な形状。
柄の部分にはモノクマの目元みたいな装飾。
これだけじゃ何にもわからないけど……ナイフをこのままにしておくわけにはいかない、よね。
いったんわたしで回収しておこう。
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【食堂】
探索を終えたわたしたちは再度食堂に集まっていた。
目立った成果はないものの、徐々にこの学園の真相に近づくヒントが集まっていることで落胆はあまりなく、むしろ真剣な表情が並んでいる。
摩美々「この学園の全貌、少しずつ見えてきたって感じだよねー」
智代子「うん……希望ヶ峰学園、まだまだわたしたちの知らない秘密がいっぱいあったんだね!」
雛菜「というか、雛菜たちの知ってる希望ヶ峰学園と食い違う点が所々にあるような気がするんですよね〜……」
雛菜と同じ違和感をわたしも感じている。
希望ヶ峰学園の存在はずっと知っていた。日本中の憧れの学園、それは間違いないんだけど……
合宿前の記憶との矛盾も解決してないし、5階の疑問点の数々もこれと関係あるのかな……
めぐる「そうだ!探索中に円香に会ったよ!」
雛菜「……!!円香先輩は、なんて言ってました……?」
めぐる「……気持ちは変わらないみたいだよ」
愛依「……円香ちゃん、マジでうちらの誰かを殺すつもりなんかな」
智代子「め、愛依ちゃん……」
摩美々「間違いないだろうねー……」
雛菜「……」
摩美々「……でも、円香と単身交渉なんて真似はやめてよねー。誰かが相討ちなんか、そんなの望んでないので」
雛菜「……それ雛菜に言ってますー?」
摩美々「ここにいる全員だケド」
でも、これまでとは円香の話題になったときのみんなの顔は違った。
戸惑い、怯えるような顔じゃなくて……食い止めるという強い意志。
そして、それはわたしも同じ。真乃と灯織、この場にいない二人の気持ちも同じはずだから。
__________
________
______
めぐる「……って感じかな!」
めぐるの報告を聞いた一通り聞き終わった私は、まずみなさんに改めて頭を下げた。
めぐる「ひ、灯織?!」
愛依「あ、謝られるようなことじゃないって!さっきも言ったじゃん?うちらは友達だから気を使わなくても……」
灯織「いえ……これは、謝罪だけでなく感謝の意味も込めた礼なので。受け取ってもらえませんか」
雛菜「灯織ちゃん、相変わらず義理堅いよね〜」
摩美々「まぁ、灯織はこうでもしないと気が済まないんだろうし気持ちは受け取ってあげようよー。お互いに負い目とか蟠りとかない状態じゃないと結束はできないしー」
灯織「……すみません」
めぐる「灯織、大丈夫!わたしたちも灯織にはずっと感謝してるんだから!」
めぐるは私の手を取ると、そのまま上体を引き起こしてみなさんを見るように顎で指示した。
めぐる「大事なのはこれから!でしょ!」
灯織「うん……」
摩美々「じゃあこれからの話をしよっかー」
めぐる「うんうん!これからどうするかを決めなくっちゃだね!」
摩美々「灯織に渡した爆弾、これを使って情報処理室の扉を破壊しにいこっかー」
智代子「うん!そうだね!扉を破壊しにいこー!」
智代子「……え?!は、破壊?!」
愛依「ま、摩美々ちゃん?!そんなことしたら校則違反でおしおきされちゃうよ?!」
摩美々「コロシアイの首謀者……が操ってるモノクマが機能してない状態で誰が摩美々たちにおしおきを加えるわけー?」
灯織「……!!」
摩美々「今が絶好のチャンスだよー。円香が動いていない、こちらには灯織も帰ってきた。……脱出のためのヒントを得るための決死の作戦が今なら結構できるんじゃないー?」
愛依「た、たしかにそうかもだけど……」
めぐる「ひ、灯織……どう思う?」
灯織「え?」
めぐる「摩美々の言う通り、多分大きな意味がある作戦なんだと思うんだ。でも、灯織がやめておくべきだって思うなら……それにみんな従うよ」
ふと周りを見ると、みなさんが私のことを見つめている。
それは期待の視線ではなく、まして好奇の視線なんかでもない……信頼の視線。
一度逃げ出した私を、再び代表として迎え入れてくれる温かい視線だった。
摩美々「灯織はどう思うか聴かせてもらってもいいー?」
灯織「摩美々さん……」
灯織「……」
灯織「行きましょう」
めぐる「灯織……!」
灯織「もう、逃げません。足踏みもしません。目の前に進むべき道があるのなら、それが悪路だろうと、危険な道だろうと、私は絆という指針がある限り折れはしません」
雛菜「やは〜〜〜!!」
愛依「そうだよね……やっぱ、ここまできたらもう進むしかないよね!」
智代子「……よし!わたしも一緒に行くよ!勇気と一握りのお菓子を持って!」
摩美々「ふふー、そう言ってくれると思ってたケドねー」
先程摩美々さんが私に爆弾を手渡したのは、ただのからかいだけではなかった。私に戦う覚悟があるかどうかを試したんだ。私にもう一度みなさんとの絆を背負う力があるかどうかを。
なら、それに答えないと。
恐怖なんか感じている時間が勿体無い。
前へ、前へ、前へ……!!
______行くしかないんだ……!!
と、我武者羅に踏み出したのに。
__________絶望は私たちを簡単に逃そうとはしなかった。
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【情報処理室前】
灯織「なん、で……」
めぐる「うぅ……」
摩美々「……最悪」
愛依「ど、どうなってんの……!?」
智代子「そ、そんなぁ……」
雛菜「……」
モノクマ「みなさんお揃いでお散歩とは健康的ですね!新しい生活様式でもやっていけそうで何より何より!」
体育館で解体されていたはずのモノクマが私たちを待ち構えていた。
体表の毛皮には僅かなほつれもなく、挙動にもなんら不自然な点はない。完全体のモノクマだ。
摩美々「ちょっとぉ……下で解体したはずなんですケド……」
モノクマ「あー、あれね!第162代モノクマことモノトトスの死は何とも痛ましいものでした……」
モノクマ「動けなくなった隙を狙って、オマエラの手でバラバラに……小学生が蝶の羽を毟るようにそれはそれはバラバラに……」
モノクマ「そうかいそうかい!オマエラはそういう奴だったんだな!」
めぐる「な、なんで?!モノクマは、黒幕はいま動けないんじゃなかったの?!」
モノクマ「はぁ……いつの話してるのさ、確かに諸事情で動けなくなった瞬間はあったし、うっかりモノトトスはそこで手放したけどさ」
モノクマ「もう用件は済んじゃったし、普通に通常制御で元どおりなんだよね!うぷぷぷぷ!」
考えてみればそうだ。モノクマは複数体、しかもこちらで把握しきれないほどの台数がいるなんてわかり切ってたことだった。
一瞬の隙があったからって、こちらの思い通りになんか進むはずなかった。
モノクマ「それよりオマエラ何しに来たわけ?この部屋の扉は閉め切ってるので入室できませんが?」
摩美々「……」
モノクマ「ねえ、黙ってないで教えてよ!喋らないならその体に聞いちゃうよ?ぐへへへ」
雛菜「うわ〜……」
灯織「そ、それはその……」
摩美々「……別にぃ?雑談しながら校舎散歩してただけなのでー、もう帰りまぁす」
モノクマ「ん?そうなの?センブリ茶くらいなら出しておもてなしするけど?」
摩美々「結構でーす」
口籠る私を他所に、摩美々さんはまともな言い訳すらせずに踵を返してしまった。慌てて後を追う私たち。
灯織「ま、摩美々さん!?諦めるんですか?!」
摩美々「トーゼンでしょー?モノクマがいるんじゃ、扉を破壊なんかしても無駄死にだしー……」
めぐる「で、でも……!」
摩美々「まぁ収穫はあったし、とりあえず今は撤退でいいんじゃなーい?」
愛依「しゅ、シューカク?なんもなくない?」
戸惑う私たちに、摩美々さんは声を潜めてその答えを返した。
摩美々「第一に灯織が今隠し持ってる爆弾。モノクマに対しても、円香に対しても対抗策になり得るでしょー」
灯織「……!!」
摩美々「危機に迫られた時、使い道によっては状況を打破できる可能性のある代物だよねー。流石に玄関のあの重厚な扉は破壊できなくても、他の学園内設備を破壊することは容易なはずだよー」
思わずポケットに仕舞い込んでいる爆弾を強く握り込む。
そうだ、これは私たちの今持てる最高武力。これは抑止力にも、最終兵器にもなり得る。
摩美々「そして今モノクマが言った通り、モノクマには動けない瞬間が存在するっていう事実。この事実の裏を解明することができればぁ、自然とチャンスはまたやってくるんじゃないかなー」
確かにそうだ。モノクマは先程確かに、動けない瞬間があったことを認めた。
つまり摩美々さんたちで解体していたモノクマは何らかの意図があって停止していたわけではない、イレギュラーの産物だったということ。
愛依「なんか理由があって止まってたってことなんだよね?」
智代子「食事とか、トイレとか睡眠とか?」
摩美々「そこら辺をどうやってるのかはわからないケド、これまでの生活で目立ったボロはなかったからそういう整理的な要因ではないと思うんだよねー……もっと何か、別な理由が」
灯織「そうですよね……モノクマが停止するなんてこれまでになかった事態、ですもんね」
摩美々「……この学園の外で何かが起きた、とか」
智代子「け、警察が来たのかな?!」
雛菜「だとしたら遅すぎないですか〜?そろそろ雛菜たち、一ヶ月ぐらいここで住んでると思うんですよね〜」
愛依「うーわ、そういやもうそんなになんの……?」
めぐる「うーん、でも一ヶ月経ってやっと見つかったのかもしれないし可能性はないってことじゃないよね?!」
灯織「うん……それはそうだと思う、けど」
(コロシアイが始まった当初に言っていたあの言葉……モノクマは警察を恐れてすらいない様子だった)
(だとすると、警察が来たからってモノクマが離席することもないんじゃ……)
摩美々「仲間割れ、とかー?」
智代子「な、仲間?!黒幕って一人じゃないの?!」
灯織「……!!そうですね、その可能性がありました……だって、私たちは実際黒幕に加担していた人間を知っているんですから……!」
めぐる「咲耶と凛世……そっか、脅迫されてたとはいえ黒幕側の人間として動いてたのは事実だもんね」
愛依「え?!裏切り者って他にもいんの?!」
摩美々「この前の裁判でのモノクマの発言を考えるとその可能性は流石に無さそうかなぁ」
智代子「じゃあもっと、根本的な……主犯格側の存在、とかなのかな?」
灯織「あくまで可能性、だけど」
摩美々「……なにかこちらからのアプローチで再度モノクマに隙を生む余地はあるかもしれないよねー」
智代子「もしも仲間割れが起きてるのなら、その仲間割れ相手はこっちの味方になるかもしれないんだもんね!」
めぐる「そうだよね!」
黒幕の仲間割れ、じゃなかったとしても間違いなく黒幕にとっての不都合が生じた結果なのは間違いないんだ。
希望はないわけじゃない……!
摩美々「さて、とりあえずこのまま帰るとして……爆弾はそのまま灯織が持っとくー?」
灯織「……みなさんがよろしければ、預からせていただきます」
愛依「うん、灯織ちゃんなら心配ないと思う!」
雛菜「雛菜も異議なしです〜」
智代子「でも大丈夫?灯織ちゃんは怖くない?」
灯織「……ううん、これぐらい平気。むしろ武器が手元にあって心強いよ」
摩美々「うっかり爆発させたりしないでよねー」
灯織「し、しませんよ!……多分」
愛依「そこは言い切ろ?!」
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【灯織の部屋】
情報処理室の開放は一時諦めて、それぞれの部屋へと戻った。
道中体育館に再度立ち寄ったけど、モノクマの姿はもう無くなっていた。黒幕に回収されてしまったんだろう。
結果として手元に残ったのはこの爆弾のみ。
灯織「慎重に、管理しないと……」
刺激しないように、丁寧に布に包んでデスクの引き出しにしまい込んだ。部屋の鍵をかけている限りは盗まれることもないはず。
みなさんに託された希望、大事に保管しておかないと。
さて、今からはみなさんは睡眠時間をとるらしい。
動作が停止していたモノクマの監視ですっかり遅くなっていたこともあり、別れ際には欠伸が止まないぐらいだったし……しっかりと休んでほしいな。
私はというと、ここ数日ひたすらに睡眠をとって現実逃避をしていたので寝足りている。
夜時間の外出は禁じられていたけれど……流石に時間を持て余しちゃうな。
少し、散歩でもしようかな。
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【学校エリア】
コツ…コツ…
太陽光なんか微塵も入らないし、温度も空調で制御されて一定になっているから、正直昼と夜とでこの学園に違いはない。
ただそれでも昼間より無機質に感じるのは、私以外のみんなが眠っているという事実がそうさせるんだろう。
階段を上り、上の階へ。
そういえばまだ私は自分の目で5階は確認していなかったな。めぐるの話を自分で確かめて見るのもいいかもしれない。
そんなふうに考えながら一段一段登っている時だった。
……ズズ
灯織「……ん?」
(二階の男子トイレ?から、聴き慣れない音がしたような……)
灯織「……入って、確かめてみる?」
(いやいや!流石に……異性のトイレに入るのは倫理的にも問題があるし……万が一、他の人に見られでもしたら……)
灯織「……いや、なにを言い訳してるんだろう」
この学園で、そんなしがらみに囚われていたら前に進むことなんてできないのはこれまでの経験でも分かりきってること。
さっきはその一歩をモノクマに遮られたけど、今ここにはこの一歩は妨げるものはない。
灯織「……行こう!」
私は無駄に仰々しく意志を固めると、そのままお手洗いの扉を引いた。
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【2F 男子トイレ】
灯織「だ、男子トイレってこんな感じなんだ……」
よくよく考えれば男子トイレなんてこれが人生で初めての入室かもしれない。
個室以外に壁にくっつく形で設置されているのは、小便器……なんだよね。全然見慣れない。
灯織「……あれ?」
小恥ずかしさから脱せず、しばらく視線のやり場に困っていたけど冷静を取り戻すとともにあることに気がついた。
並んでいる個室トイレの一番奥、そこだけ扉が半開きになっている。
この学園にいるのは私たちだけ、利用者なんているはずもない。となるとさっきの音は……ここだ。
その個室を覗き込めば、タイルの壁があるはずの空間にはポッカリと人一人潜れるぐらいの穴が空いている。
偶然開いた風ではない、ちゃんと切り取られた空間。
灯織「……隠し通路?」
途端に心臓が破裂しそうなほどに拍動する。
聞こえるはずのないドクンドクンという音が耳元でうるさい。
緊張、不安、怯え……そういう感情がごちゃ混ぜになって体が震えだす。
だからそれは、武者震いということにした。
この穴の先に感じているのは、期待と興奮。そういうことにして。
無理やりにその一歩を踏み出した。
-------------------------------------------------
【謎の空間】
その空間は異常なまでに無機質だった。
コンクリートが打ちっぱなしの教室に、簡素な机と本棚。
照明も白熱電球で、明かりとして頼りない。
まるで独房のような、冷たくなんの匂いもしない空気が漂っている。
灯織「この空間は、一体……?」
男子トイレの最奥、明らかに人目を避ける目的で設けられた部屋だ。
この、簡素なつくりの部屋には隠しておきたい秘密があるはず。
灯織「……よし!」
……隅々まで、調べ尽くす!
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【本棚】
本棚はスカスカ。数冊の本を収めるには私の背丈以上の本棚は流石に過剰な大きさじゃないかな。
まず目についた青いファイルを手に取る。ラベリングには【希望ヶ峰学園歌姫計画】と書かれている。
『超高校級のアイドル、超高校級のマネージャーをはじめとした学園の生徒協力のもと日本のエンタメ産業を担う新時代の“歌姫”を育成する計画』
『人為的に才能を生みだす意図ではなく、環境からのアプローチで才能を伸ばすことを目的とする』
『計画には現役のアイドルに参加してもらい、学園の生徒同様のトレーニングを実施する。適宜別のメニューも考案し、“超高校級”に匹敵する実力を習得する。成功した暁には、その生徒を【超高校級の歌姫】として迎え入れる予定』
……こんな計画が行われてたんだ。
超高校級のアイドルって、あの舞園さやかさんのことだよね……もし彼女と一緒にトレーニングさせてもらえたら、大きな成長を見込めそう。
なんだか羨ましくなっちゃうな。
でも、この学園は今こんな状態なわけだし……実際には実施されたわけでもないのかな。
続いて手に取ったのは赤のホルダーファイル。
膨大な数の紙がクリッピングされている、全部に目を通すのは厳しいけど……ザッピング的に見てみよう。
図説……これは、この学園の見取り図?各階ごとに解説が纏められている。
そこには、この隠し部屋のことも。男子トイレから繋がるこの空間は意図して作られたものみたい。
それと気になるのは、自分たちでは入ることのできない部屋。
情報処理室と生物室の2部屋が気になるな。何に使われている部屋なのか、どんな間取りなのか……ある程度掴めるかもしれない。
情報処理室は……なるほど、コンピュータがいくつも並んでいる。これは図書室にあったおもちゃとは別物、だよね。
さらにその奥にはもう一つ部屋があるみたい。そっちの情報は書いてない……?
いや、情報がないということは、むしろその部屋が重要なことの証拠。他の書類と併せて見ることで考察を深めて見るのがいいかも。
そして生物室。こちらは予想と違ったな……実験台などはほとんどなく、あるのは冷凍庫?かなりの収納スペースがあるみたい。何に使うんだろう……?
うーん、具体的に新たに得られた情報はあまりないかも。でも、見取り図としては使えそうだし、有力な材料かも。
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【机】
本当に簡単な作りの木製のデスクだ。
ただ、こんなところにあるのに不思議と埃が溜まっていない。……ということは、誰かが近いうちに使っていたことの現れになる。
そして気になるのは引き出し。
物を隠すなら、この中だよね。鍵すらついていない辺り、ここに私たち生徒がやってくることは想定していないんだろう。
一つ目の引き出しを引くと現れたのは……弾薬?
ドラマとかで見るのとは少し違う角張った形だ。リボルバー式の拳銃とかじゃ使えない、何か専用の銃がありそうなものだ。
危険物には変わりないし、これも回収しておいたほうがいいかな……?
そして2つ目の引き出しを引くと現れたのは……一枚の紙切れ。
メモ用紙を破ったような簡素な一枚。
それを軽い気持ちで手にして、裏へと目を向けた。
もしかしたらただのゴミで、手がかりなんか皆無の証拠未満の品かもしれない……そんな感じで本当に、軽い気持ちだった。
『このコロシアイは浅倉透のため』
「……え?」
ガンッ
迂闊だった。
そもそも私がこの部屋に気づいたのは、物音がしたから。
なら、何者かがそこに出入りしていたということ。その【何者か】を完全に見落としていた。
突然の後頭部への強い衝撃は、一瞬で世界を揺るがせ、私を地に伏させ、意識を手離させるには十分すぎた。
犯人の姿を見ることすらなく、私はわずか数秒のうちに………………
______意識を失った。
というわけで今回はここまで。
5章ともなると全体としての話が多くなり、かなり文章量も増えてしまいましたね……
色々と考えていただければなと思います。
続きは近日中に公開します。
また更新日時が決まれば事前に告知いたします。
それではお疲れ様でした。
すみません、告知をすっかり失念していたのですが本日20:00~再開しても大丈夫でしょうか?
自由行動パートを含めて少しばかり進めることになるかと思うのですが…
……あれからどれくらいの時間がたったんだろう。
目を覚ますと私は冷たい床の下、あの白熱電球の薄明かりの中にいた。
立ち上がると後頭部がガンガンと痛む。
腫れ上がってないかな、タンコブになってないかなと摩りながら立ち上がると、衝撃的な光景を目にした。
「…………ない」
本棚に入っていた数冊の本とファイルは忽然とその姿を消し、机の引き出しを引いてもそこには何一つなくなっていた。
「……やられた」
私が意識を失っている間に、あの何者かが全て持ち出してしまったんだ。
せめて姿さえ見ることができれば、何か手掛かりになったかもしれないのに。
それすらできず、気絶してしまって……
この足元のふらつきは、気絶の反動か自分自身に対する落胆か。
ひとまず私はふらつきながらも部屋を後にした。
-------------------------------------------------
【2F 男子トイレ前】
めぐる「えぇーーーーーー?!」
灯織「め、めぐる……?」
しまった、気を失っているうちにもう夜時間が空けていたんだ。
めぐるは男子トイレから出てきた私をみて凍りついてしまった。
灯織「違う、違うのめぐる……これはそういうことじゃなくて……」
めぐる「う、うん……?」
灯織「細かいことは後で話すから、とりあえず今は落ち着いて」
めぐる「わかった、灯織のことを信じるよ……」
(どんな勘違いをされてるんだろう……)
-------------------------------------------------
【食堂】
めぐると二人で食堂に行くと、そこには誰もおらず。
私は座って他のみなさんが戻るのを待つように指示された。
昨日まで塞ぎ込んでいたこともあって、朝食に顔を出さない私をみなさんはかなり心配してくださったらしい。
私を視界に捉えると愛依さんはまた駆け寄ってきてガクガクと肩を揺すった。
灯織「すみません、またしてもご心配をおかけしてしまって……」
愛依「ううん!灯織ちゃんが無事なのがマジで一番だから!大丈夫?どうしたん?!」
灯織「そうですね、まずは何があったのかをお伝えしないと……」
めぐる「うん!灯織が男子トイレから出てきた理由を聞かせてよ!」
灯織「え」
めぐる「……あれ?」
摩美々「灯織、もしかして……」
灯織「ち、違います!もしかしてに続くものが何か分かりませんが、とりあえず違うと思います!」
灯織「私は昨晩みなさんとお別れしてから、その……眠りにつくことができず、学園の散策に向かったんです」
雛菜「灯織ちゃん、夜時間って出歩き禁止じゃなかった〜?」
灯織「それは……ごめん、申し開きもできない」
智代子「まあまあ、とりあえずはそれで夜の散策で何があったのかを聞いてみようよ!」
灯織「二階へ登っていた時、何かを引きずるような音が……男子トイレから聞こえてきたんです。昨晩、情報処理室に入ろうとしたところをモノクマに妨害されたこともあって、はやる気持ちもありました」
めぐる「それで灯織は男子トイレに入っちゃったんだね?」
灯織「うん……そうしたら、その中の一室。壁が隠し扉みたいになっている部屋があって、私はその中に入ったんです」
愛依「か、隠し扉?!マジで?!」
摩美々「……男子トイレじゃぁ、ここまで発見できなくてもおかしくないですねー」
智代子「そ、それで?!何をみたの?!」
灯織「うん……順を追って説明するね」
現物を持ち出すことはできず、何者かに持ち出されて手元にないので私の記憶の中からの話になる。
思い出せる限りで、情報の全てを伝えた。
摩美々「『希望ヶ峰学園歌姫計画』……」
灯織「みなさん、聞いたことは……?」
愛依「ううん、初耳。全然聞いたことない……」
めぐる「希望ヶ峰学園って才能の研究をやってる学園だし、やっぱり変わったことをやってたんだね!」
智代子「わたしのチョコアイドルとしての個性もグンと伸ばせたりしたのかなぁ」
摩美々「…………それより、気になるのはやっぱり紙切れの方じゃない?」
雛菜「……うん、雛菜もそっちの方が気になる」
愛依「雛菜ちゃんに心当たりは無い系?」
雛菜「はい〜、透先輩がここに来てから変わった様子もなかったですし、コロシアイなんてそれまで一言も口にしたこともないですよ〜?」
智代子「透ちゃん本人はもう亡くなっちゃってるし、謎のままだね……」
めぐる「大体コロシアイに誰かのためも何もないよ!絶対に許されないことなのに!」
(それはそう、なんだけど……何かこの言葉には大きな裏がありそうな気がしてるんだよね……)
摩美々「浅倉透のためってことはぁ、透にこのコロシアイを捧げるって意味合いだよねー」
摩美々「円香の暴走と何か関係があったりしないのかなぁ」
雛菜「円香先輩が何かを知ってるってことですか〜?」
智代子「うーん、でも円香ちゃんが変わっちゃったのは小糸ちゃんの事件が起きてからだしなぁ」
摩美々「円香が知ってたことじゃなくて、円香が暴走することまでが浅倉透のためのコロシアイ……だったりしてー」
(……え?)
摩美々「このコロシアイ、誰かの描いた絵図通りになってるような気がしてたんだよねー。まるで、あらかじめ存在していたシナリオをなぞるようなコロシアイっていうかぁ」
(ここで起きた事件が、何かをなぞっている……?いや、そんなこと……ありえない)
(真乃も、樹里も、霧子さんも、凛世も……事件が起きた理由は彼女たち自身の葛藤や苦悩から来たものなんだ)
(人の感情を予想したシナリオなんて……組めない、はず……だよね……)
灯織「すみません、現物を持ち出すことができず……あろうことか襲撃されてしまうなんて」
愛依「ううん!灯織ちゃんが無事だったことが一番なんだし気に止む必要ないって!」
摩美々「それにしても、灯織を襲ったのって誰なんですかねー」
雛菜「やっぱり、黒幕なんじゃないですか〜?雛菜たちはモノクマの監視でクタクタになってましたし、夜時間の間はぐっすりでしたよ〜?」
めぐる「うん……流石にわたしたちの中の誰かってことはないと思うな!」
摩美々「……」
摩美々「もし灯織を襲ったのが黒幕なら、灯織は警戒しておくべきかもしれないねー」
灯織「え?」
摩美々「ファイルが持ち出されていたところを見るに、その情報は黒幕にとっても重要機密。それを知ってしまっている以上、灯織の存在はかなり厄介に感じているだろうからぁ」
それもそうだ。もしかすると黒幕はあの後頭部への一撃で私のことを殺そうとすらしていたのかもしれない。そう思うとゾッとする。
……と同時に、私はあの黒幕の急所に辿り着けたのだという効力感を抱いた。
この痛みは、これまでで一番の進歩を物語っているんだ。
灯織「ご忠告ありがとうございます、でも大丈夫です。私には、信頼出来る皆さんがいますから。そう簡単に殺されはしませんよ」
雛菜「あは〜?灯織ちゃん、はじめの頃から見ると図々しくなっちゃったね〜!」
灯織「ふふ、そうかも。でもこれは本当の気持ちなんだ。ここまで一緒に生き残ってきたみなさんのお力があれば、黒幕にも負けることはないって思うから」
めぐる「うん!ぜ〜〜〜ったいに!黒幕に灯織を殺させなんかしないよ!」
摩美々「摩美々もここで灯織を殺されたら困るので、協力ぐらいはしてあげますー」
愛依「うん、何かあったらうちらにすぐ言って!いつでもどこでも助けに行くから!」
智代子「頼りないかもしれないけど、精一杯力になるよ!」
灯織「……はい!」
こうして私たちは食堂を後にした。
命がけで手にした大きな手掛かり、これが学園の真実と黒幕の正体に近づく大きな一歩なんだ……!
-------------------------------------------------
【灯織の部屋】
さて、休んでいる暇はないな。
後頭部は少し腫れちゃってるけど、このぐらい平気。
それより今は皆さんと協力して前に進むことの方が大事だよ。
絶対に真実に辿りついてみせる……!
【自由行動開始】
-------------------------------------------------
1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル138枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩
↓1
先日は申し訳ありませんでした、突発的に開始したので安価も回らず途中で放棄してしまいました。
改めて仕切り直したいと思います、明日7/30 22:00~更新でいかがでしょう。
安価で現在指定されている円香交流から再開予定です。
2 円香選択
【円香の部屋】
私があの空間で見つけた、「このコロシアイは浅倉透のため」という謎のメッセージ……
その真相を明らかにするに、どんな手掛かりでも欲しい……
そう思って歩いていると、自然と彼女の部屋の前にたどり着いていた。
樋口さん……あの裁判以降、どう動いているんだろう……
めぐるが探索の時に一度出会ったとは言っていたけどそれ以降の詳細は不明だ。
ピンポーン
出るはずも、ないか_____
-------------------------------------------------
【5章における樋口円香の交流について】
樋口円香は本章では灯織からでは出会うことすら叶わない状況下にあります。
この章においては雑談パートは発生しません。
プレゼントを部屋の前に置いておくことで渡すこと自体は可能なので、親愛度上昇の判定は発生いたします。
-------------------------------------------------
なにかプレゼントを置いておけば、反応があるかな……?
-------------------------------------------------
プレゼントを渡しますか?
・現在の所持品
【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×3
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】×2
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
↓1
【スカラベのブローチを置いておいた……】
樋口さん、今は会うこともできないけど……
私たちはずっと仲間だと思ってる、その証明としてこれを置いていくよ……
~~~~~~~
円香「……なにこれ、プレゼントボックス?」
円香「……」
円香「……ひっ」ビクッ
円香「虫をかたどったブローチ……?なにこれ、敵対の意志表明……?」
円香「……そっちがその気なら、こっちも遠慮なくいっていいってこと?」
円香「……上等」
(うっ……別のものを渡せばよかったかな……)
【親愛度が上昇しました!】
【スキル:HAPPY-!NGの効果により親愛度上昇値がわずかに増えます!】
【現在の樋口円香の親愛度…7.5】
-------------------------------------------------
【灯織の部屋】
樋口さんに渡したプレゼント、あれで釣るわけじゃないけど何かしらのとっかかりにならないかな?
……可愛いブローチだったし、喜んでもらえるといいけど。
灯織「まだ少しだけ時間はあるかな」
【自由行動開始】
-------------------------------------------------
1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル138枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩
↓1
2 雛菜選択
【植物庭園】
雛菜「ぬくぬく~~~♡」
灯織「あ、雛菜……お疲れ様、今は調査中?」
雛菜「う~ん、今はただの日向ぼっこかな~」
灯織「そ、そうなんだ……」
雛菜「円香先輩にももしかしたらどこかで会えないかな~とか思わなくもなかったり~」
灯織「……雛菜」
(そういう割にニワトリ小屋をのぞき込んだりしているのはなんなんだろう……)
-------------------------------------------------
【親愛度がMAXになっているキャラの交流について】
これ以上ないほど灯織との友情が成熟しているキャラからはもうスキルを得ることはできません。
代わりに交流の終わりにコンマ判定を行い、その末尾に応じた枚数分のモノクマメダルを獲得できます。
-------------------------------------------------
プレゼントを渡しますか?
・現在の所持品
【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×2
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】×2
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
↓1
【もちプリのフィギュアを渡した……】
灯織「雛菜、これどうかな」
雛菜「……え゛っ゛」
灯織「ひ、雛菜……?」
雛菜「灯織ちゃん、これ……もしかして、雛菜に『かわいい』ものを渡そうとしてコレ持ってきたの……?」
(そ、そんな怪訝そうな目で見ないで……)
(うっ、別のものを渡せばよかったな……)
-------------------------------------------------
雛菜「……」
灯織「……雛菜?」
雛菜「あっ、ごめん灯織ちゃん……ちょっとだけ考え事~」
(雛菜が私に心を開くようになって数日、気兼ねなくお互い話はできるようになったけれど……)
(時々こうやってどこか物憂い気な表情を浮かべることがある)
(これはきっと私に対する関わり方ではなく、樋口さんの幼馴染であることによって生じる負い目のようなものなんだろう)
灯織「雛菜、樋口さんのことだよね?」
雛菜「あは~……やっぱ灯織ちゃんにはバレちゃってる~?」
灯織「雛菜はわかりやすいから。……まあ、私も人のことは言えないんだけどね」
雛菜「だよね~、灯織ちゃんってばお腹がすいてるときって露骨に『空腹~』って顔してるから」
灯織「えっ?!そんなに分かりやすい?!」
雛菜「あは~~~~!灯織ちゃんの分かりやすいのってそういうとこだよね~~~!」
雛菜「アンティーカの子がよくからかうのも気持ちがわかるな~!」
灯織「……もう、雛菜」
1.誤魔化さなくていいから
2.雛菜、間違っても一人で抱え込まないでよ
3.自由安価
【本セリフ指定安価で同時にモノクマメダル獲得枚数のコンマ判定を行います】
↓1
2 選択
灯織「雛菜、間違っても一人で抱え込まないでよ」
雛菜「え~?」
灯織「言ったでしょ、雛菜はわかりやすいって。今、雛菜が樋口さんのことで一人で責任とか後悔とか……一人で色々と背負い込もうとしてるのが丸わかりだから」
雛菜「……」
灯織「その……雛菜は優しいし、万が一のことがあれば……私は悲しい」
雛菜「……灯織ちゃんは心配性だな~」
灯織「……なっ!」
雛菜「灯織ちゃんも知ってるよね~?雛菜は、灯織ちゃんのおかげで変わることができた、幼馴染とそれ以外のみんなとの間にあった線を飛び越えることができたって~~~!」
雛菜「それに、雛菜は灯織ちゃんが側にいてくれてることは知ってるから!灯織ちゃんが悲しむことは雛菜もしあわせじゃないし~」
灯織「雛菜……その言葉に嘘はないんだよね」
雛菜「うん~~~♡なにかあればまず相談、それがお友達でしょ~?」
灯織「……うん、信頼してるよ」
(大丈夫、今の雛菜なら間違いは起こらない、起こさせない)
(それが私たちの培ってきた、積み重ねて来た絆……)
【コンマ判定81】
【モノクマメダル1枚を手に入れました!】
【現在のモノクマメダル枚数…139枚】
-------------------------------------------------
【スキル:一番星の魔法を発動できます】
【モノクマメダルを10枚消費して自由行動を追加できます】
【現在のモノクマメダル枚数…139枚】
【スキル:一番星の魔法を使用しますか?】
↓1
【スキル:一番星の魔法を使用しました】
【残りのモノクマメダル枚数…129枚】
-------------------------------------------------
【灯織の部屋】
樋口さんのあの一言で、みんな大きく変わってしまっている。
私がふさぎ込む一方で、雛菜のように何かを考え込んでいる人もいる。
……何も間違いが起きなければいいんだけど。
【自由行動開始】
灯織「まだ、時間はあるかな」
-------------------------------------------------
1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル129枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩
↓1
2 めぐる選択
【体育館】
灯織「めぐる……?何してるの、こんなところで」
めぐる「あっ、灯織ー!えっとね、この前モノクマがここで動かなくなってたことで何かヒントが残ってないかって思ったんだー!」
灯織「そっか……どうだった?」
めぐる「うーん、手掛かりは何も……」
灯織「そっか……」
めぐる「でもでも、絶対に諦めないよ!あのモノクマの挙動……何か秘密があるはずだからねっ!」
(めぐるの底なしの明るさ……それがある限り、私はまだ戦っていける……)
-------------------------------------------------
プレゼントを渡しますか?
・現在の所持品
【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×2
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
↓1
【ミネラルウォーターを渡した……】
灯織「これ、めぐる。使って」
めぐる「ん?……わぁ!水だ!ありがとう灯織!わたしのために持ってきてくれたの?!」
灯織「うん、めぐるは何かと毎日走り回ったり私たちのために尽力してくれたりでエネルギーを使ってるから……水分補給をおろそかにしたら駄目だよ?」
めぐる「うん!灯織はわたしのことを気遣ってくれて優しいなぁ……ありがとう!」
灯織「ううん、これぐらいなんてことないよ」
【PERFECT COMMUNICATION】
【親愛度がいつもより多めに上昇します】
-------------------------------------------------
めぐる「灯織!灯織灯織灯織ー!」
灯織「めぐる……どうしたの?」
めぐる「えへへ、呼んでみただけ!なんだか、灯織の名前が呼びたいなーって!」
灯織「もう……なにそれ」
めぐる「灯織の名前を口に出すと、なんだかすごく力がもらえるんだよ!」
灯織「力?そんなの私がむしろめぐるから貰ってることで……」
めぐる「ちがうよちがうよ!わたしも灯織に力をもらってばっかりなんだから!」
灯織「もぅ……」
めぐる「わたしには灯織がいる、かけがえのない仲間がいる……この仲間を失っちゃダメなんだぞって!」
(めぐるの言う『力』は……真乃を失ったことに基づくものなのかもしれない)
(イルミネはもう、あのトライアングルを描くことはない……それを寂しく思う気持ちは私にだってある)
(それが無自覚なうちに、意識することなく、私への執着という形で現れたのが、今の掛け合いなのかもしれない)
1.じゃあ今度は私からめぐるの名前を呼んじゃうから
2.めぐる、手を握ろっか
3.自由安価
↓1
2 選択
灯織「めぐる……手、握ろっか」
めぐる「へ?」
灯織「私とめぐるは切っても切れない仲間、いつまでもどこまでも切れない絆を持っている。それを改めて確認したいなって」
めぐる「う、うん……」
ギュッ
灯織「めぐる……どうかな」
めぐる「……灯織の手、つめたいね」
灯織「え?!ご、ごめん……」
めぐる「ううん!ちがうの!……ほら、手が冷たい人って心はあったかいって言うでしょ?」
めぐる「それをわたしは知ってるから!この手から感じるものが、灯織の優しさの表れだって思うと……なんだか離したくなくなっちゃう!」
灯織「そ、そんな……照れるから」
めぐる「えへへっ、灯織!」
灯織「……もう」
めぐる「灯織灯織灯織ーーーー!!」
灯織「……もうったら……」
【親愛度が上昇しました!】
【スキル:HAPPY-!NGの効果により親愛度上昇値がわずかに増えます!】
【現在の八宮めぐるの親愛度…2.5】
-------------------------------------------------
【スキル:ポシェットの中にはの判定に移ります】
【直下コンマの末尾の数字と同じ枚数のモノクマメダルを獲得できます】
↓1
【コンマ48】
【モノクマメダル8枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…138枚】
-------------------------------------------------
【灯織の部屋】
ピンポーン
こんな時間に来訪者。……流石に黒幕がインターホンを鳴らしてはやってこないよね。
ある程度緊張を解いて来客を受け入れる。
扉を開くと、そこに立っていたのは……
めぐる「こんばんは、灯織!」
灯織「めぐる……どうしたの、何か用事?」
めぐる「えへへ、用事って言うか少し心配で……」
灯織「もしかして、私が黒幕に襲われないかってこと?」
めぐる「うん……灯織は今怪我もしてるから、万が一のことがあったら心配なの」
灯織「ありがとうめぐる……でも大丈夫、夜はちゃんと施錠してこの部屋に閉じこもるつもりだから」
めぐる「う~~~ん、足りないんじゃないかな。だってモノクマはいつでもどこでも出てこれるんだよ?鍵だけじゃ心配だよ~!」
灯織「そ、それはそうだけど……」
めぐる「ねえ灯織、今から一緒に護身用の武器を取りに行かない?何か自分の手で使える武器があった方が安心だよ!」
めぐるの口から武器なんてものが出てきて少し驚いたけど、めぐるの言う通りだ。
夜時間の個室は絶対安全なように見えて、その実自分を閉じ込める檻のようなもの。黒幕相手じゃ心細い。
灯織「でも、護身用の武器なんてどこに……」
めぐる「わたしにいい考えがあるんだ!体育館の前のトロフィとかの陳列スペース、あそこに立派な模擬刀があったと思う!」
灯織「模擬刀……確かに私でも使い方がわかるし、護身用にはいいかもね」
めぐる「よし、そうと決まったら善は急げだよーーー!」
-------------------------------------------------
【体育館前】
めぐる「えっと……ここにあったと思うんだけど……」
モノクマに呼び出しを食らった時など頻繁に出入りはしてたけど、そこまで注視したことはなかったな。
めぐるは品定めするように腰を曲げ、しばらく眺めたかと思うとその手に模擬刀をとった。
めぐる「これだね!本物の日本刀……じゃないから、斬れないけど緊急時は相手を叩いて使ったらいいと思う!」
灯織「うん、ありがとう……これなら私でも使えそう」
私のありがとうの言葉を満面の笑みで受け取るめぐる。本当にめぐるには助けられてばかりだな。
灯織「でもめぐる、めぐる自体は大丈夫?」
めぐる「え?」
灯織「せっかくだから、護身用の武器とかめぐるも持って帰ったらどうかな?備えあれば患いなし、っていうでしょ?」
めぐる「ううん!大丈夫!実はわたし、ナイフを持ってるから!」
灯織「え、ナイフ?」
私の問いかけにめぐるは懐からナイフを持ち出した。
そういえば、今朝のめぐるの報告でもとある教室の机に刺さっていたと言っていた。それを回収したままだったらしい。
めぐる「ナイフ自体は怖いものだけど……使い方に気を付ければ大丈夫!」
灯織「もう……大丈夫?ちゃんとそれで自分の体を守れる?」
めぐる「うん!ばっちりだよ!」
めぐるは自信満々に言うけど、大丈夫かな……
少し心配にはなるけど、狙われるなら私の方が先だ。
ナイフをめぐるが振るう機会もそうそうないだろうし、今のところはめぐるにそのまま任せておくことにした。
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【灯織の部屋】
キーン、コーン…カーン、コーン
モノクマ『えー、校内放送でーす。午後10時になりました。ただいまより、“夜時間”になります。間もなく、食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となりま~す』
モノクマ『ではでは、いい夢を。おやすみなさい…』
大きな収穫のあった1日だったな。
今に見てろ、モノクマ。このふざけた放送も、そう長くは続かせないんだから。
……っと、一応最大限の警戒はしておかないとね。
しっかりと部屋の施錠を確認して、護身用に持ち出した模擬刀も用意。これでそう易々とは殺されはしないはず。
なんとしても生き残って、この学園を皆さんと一緒に脱出するんだ……!
だから今はとりあえず、体を休めよう。
頭の傷もそうだし、昨日の晩から動きっぱなしだしね。
私は改めて固く決意をして、ベッドへと潜り込んだ。
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________
____________
【灯織の部屋】
キーン、コーン…カーン、コーン
モノクマ『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!』
モノクマ『起床時間ですよ~!さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』
素っ頓狂なアナウンスで今日も目を覚ます。両手をグーパーで確かめる、なんの異常もない。
……昨晩は襲撃を受けることはなかったな。
当然そのほうがいいんだけど、警戒していた分少しだけ拍子抜け。黒幕は私の存在をどう捉えているんだろう。
ひとまずは私の生存を示す意味合いでも食堂に行かないと。
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【食堂】
智代子「あ、灯織ちゃんだ!よかった!無事なんだねー!」
愛依「灯織ちゃんだよね?!ちゃんと灯織ちゃんだよね?!」
灯織「だ、大丈夫!私は無事ですから!」
摩美々「ひとまず何もなくぅ?黒幕に襲われもしなかった感じっぽいねー」
めぐる「うん、夜の間定期的に灯織の部屋の前を見回ってたけど怪しい人も来なかったよ!」
灯織「そ、そんなことをしてくれてたのめぐる?!」
灯織「ご、ごめん!全然気付いてなかった!めぐる、今晩は私がめぐるの部屋を見回りするから、今日はゆっくり休んで!」
摩美々「別にめぐるの部屋を見張る意味はないと思うケド……」
食堂では私の生存をみなさんが喜んでくださり、そのまま今後の体制についての話し合いに。
『希望ヶ峰学園歌姫計画』の全貌、浅倉透という人間のこのコロシアイにおける立ち位置なので目下の課題を調べるのは当然として……
円香「おはようございます」
樋口さんにも警戒をせねばならない。
摩美々「一体何の用ー?摩美々たちは黒幕対策で忙しいんだケド」
円香「……生きて帰るお仲間の頭数にもう私は含まれていないんですか?」
灯織「そ、そういうわけでは……」
円香「別にそのつもりもないのでどうでもいいけど」
愛依「円香ちゃん……そんなこと言わないでよ」
円香「……」
摩美々「で?何が目的なわけ?まさか一緒にご飯食べたいわけでもないんでしょー?」
円香「よくおわかりで。こんな雑談をしに訪れたわけではないですね」
円香「みなさんにご挨拶をと思いまして」
めぐる「あいさつ……?」
円香「皆さんとお話しできるのもあと僅かですから」
灯織「そ、それって……」
円香「あなたがたの絆をズタズタに引き裂く準備は整いつつあります」
灯織「!?」
円香「見るも無残な、絆なんて世迷言の成れの果てをお見せしますよ」
智代子「ま、円香ちゃん!考え直してよ!凛世ちゃんの想いは……円香ちゃんには届かなかったの?!」
円香「凛世の想い?……智代子こそ、凛世の想いを都合のいいように曲解してない?」
円香「凛世はただ、このコロシアイを続けたかった。それだけのことなのに、あなたがたは勝手に希望を託しただの絆を繋いだだの、お得意の理屈を並べて悦に浸っている」
円香「本当に下らない、見ているだけで反吐が出る」
めぐる「ちがうよ!凛世は、わたしたちのことを思ってくれてた……そこに間違いなんて!」
円香「だとしても、私には関係ない。私にとって大切なのは透と小糸、二人のためにこの命を懸けることだから」
雛菜「円香先輩、どうしてそうもねじ曲がっちゃったの……」
円香「あんたこそね。灯織たちのくだらない洗脳を受けて、もう同情すらできない」
雛菜「……!!そんな言い方するなんてやっぱり円香先輩おかしい〜〜〜〜〜!!」
円香「……おかしい?おかしいのはどっち?」
雛菜「そっち〜〜〜!!」
円香「……はぁ、あんたとは議論すらまともにできない」
いくら言葉を投げかけても立板に水。
樋口さんの殺意と敵意は微塵たりとも揺らぐことはなく、私たちをしっかりと睨みつけている。
円香「では、いつまでその食事を味わえるかハラハラしながらお過ごし下さい」
そしてその敵意を突き付けたまま、樋口さんは背を向けた。私たちに一頻り恐怖をばら撒いて満足し、退室するつもりだ。
でも、それを彼女は許さなかった。
摩美々「待ったぁ、このまますんなり見逃すとでも?」
愛依「ま、摩美々ちゃん?!それ……?!」
智代子「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ?!」
いつのまに厨房から持ち出していたのか、摩美々さんの手には包丁が握られていた。急速に食堂の空気が張り詰める。
円香「……へぇ、あなたがたにそんな勇気があるとは思いませんでした。てっきり平和主義を徹底するのかと思ったんですが」
摩美々「摩美々は平和主義ですよー、ただその平和を阻害する相手なら攻撃も辞さないだけでー」
愛依「わわ、わわわわ……ど、どうしよどうしよ!」
灯織「ま、摩美々さんやめてください!こんな形での幕引きは……望んでいません!」
摩美々「灯織!!」
灯織「……!!」
摩美々「灯織の言うことは間違ってないしぃ、全部その通り。こんな形で幕引きなんて、咲耶もきっと望んでない……」
摩美々「でも、円香を止めるにはこれしかない……言葉じゃ通じる相手じゃないんだよねー……」
円香「流石。よくわかっていらっしゃいますね」
摩美々「お生憎さま、摩美々も円香ほどじゃないケド悪い子なのでー」
まずい。摩美々さんをなんとしても止めないと……
この前の裁判とおんなじだ。また摩美々さんは自分の命を賭してでも、私たちを、絆を守ることに執心している。
どうやって止めるべきか、そもそも止めないべきなのか。
こうでもないああでもないとあたふたしているうちに……ことは唐突に終結を迎えた。
摩美々「……!?」
円香「……どうしました?私をここで止めるのでは?」
めぐる「ど、どうしたの摩美々…………って!?」
雛菜「ま、円香先輩その薬……!!」
円香「持ってきて正解でしたね、この前の事件でも使われた薬品A・B。既にこのボトルの中で調合済み。私は刺された瞬間ここでこれを開封しますよ」
摩美々「……」
円香「私の邪魔をすれば、即座に全員が共倒れ。さて、どうしますか?」
摩美々さんは奥歯をギュッと噛み締め、プルプルと腕を震えさせながら包丁の鋒を樋口さんの胸元から徐々に高度を下げていった。
どうしようもない、樋口さんは最強の自己防衛策を持っていた。
円香「では、失礼します」
私たちは食い入るような目で、その去り際を見送ることしかできなかった。
摩美々「……はぁ」
ガックリと肩を落とす摩美々さん。
手離した包丁が耳障りな金音を立てて床に落ちた。
灯織「摩美々さん……」
摩美々「……私は間違ったことはしていないと思ってるからぁ、謝罪も釈明もしないよ」
摩美々「ただ、無力な自分に苛立ってるだけなのでー……」
大丈夫。摩美々さんとの間に行き違いがあるわけじゃない。
想いは同じ……ただ、その苛烈さの違いなだけ。
摩美々さん自体不安なんだ、樋口さんの動向そして咲耶さんの意思を受け継ぐことに。
誰も凶行に走ろうとした摩美々さんを責めようともせず、朝礼は意図せぬ形で解散となった。
雛菜「……」
-------------------------------------------------
【灯織の部屋】
樋口さん、本当にやる気なんだ。
急がないと……急いであの部屋で知った秘密を解き明かさないと……
取り返しがつかなくなる、その前に。
【自由行動開始】
【事件発生前最終日の自由行動です】
-------------------------------------------------
1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル138枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩
↓1
雛菜が選択となったところで今回はここまで。
今週は忙しいのでなかなか時間が取れず申し訳ない。
一応アナウンスをしておくと、今章が自由行動の存在する最後の章になっています。
モノクマメダルを使用可能なのもこの章までになっているので、正直いたずらに枚数を増やすのはおすすめはしませんとだけ。
次回更新は8/4頃になると思います。
前日以前に連絡差し上げるよう気を付けます~
それではお疲れ様でした。
8/3 21:00~なら都合が合いそうです。
雛菜選択からの再開になるかと思います。
2 雛菜選択
【生物室前】
雛菜「あは~?灯織ちゃん、なんでこんなところに~?」
灯織「雛菜こそ……どうしたの?この部屋って確か入室不可能だよね?」
雛菜「ん~……なんだかこの部屋ってすごく冷たい感じがするから、円香先輩が寄ってきそうだな~って」
(樋口さんをまるで虫みたいに……)
雛菜「冷気もそうだけど~、なんだか部屋そのものから感じる冷たさがあるっていうか~……」
-------------------------------------------------
プレゼントを渡しますか?
・現在の所持品
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×2
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
↓1
【白うさぎの耳当てを渡した……】
灯織「雛菜、これどうかな?可愛らしいファッションアイテムで雛菜に喜んでもらえ_____」
雛菜「やは~~~~~~~♡これすっごくかわいいね~~~~~~!!」
灯織「わっ!?ひ、雛菜……!?」
雛菜「これ、もらっていいの~?」
灯織「……ふふ、うん。雛菜が欲しいのならぜひ」
雛菜「あは~!灯織ちゃん大好き~~~~!」
【PERFECT COMMUNICATION】
【いつもより手に入るモノクマメダルの量が増加します】
-------------------------------------------------
雛菜「はぁ~……なんでモノクマってモノクマなんだろ~」
灯織「雛菜?どうしたの、珍しいねため息なんて」
雛菜「灯織ちゃん~~~!灯織ちゃんはモノクマのことどう思う~?」
灯織「え?どう思うって言われても……」
灯織「私たちのみの安全を脅かす、危険な存在で……到底許しがたいって言うか……」
雛菜「雛菜が聞きたいのはそういうことじゃなくて~」
雛菜「……モノクマって可愛いと思う~?」
灯織「……えっ?」
雛菜「モノクマって自分の事を可愛い可愛いっていうけど~、実際のところ、黒色と白色の組み合わせはあんまりだよね~?」
灯織「そ、そう……だね……」
雛菜「目つきも可愛くない~~~!」
(突拍子もない話で面食らってしまったけど……)
(そうだよね、友人同士の会話って元々こういうものなんだ……特に意味のない話を、何の目的もなくする)
(……それを雛菜が私にしてくれているってことは喜ぶべきことだよね)
雛菜「もっと可愛いクマがよかったな~」
灯織「雛菜には大好きなクマのキャラクターがいるもんね」
雛菜「灯織ちゃん知ってるの~?」
灯織「うん、なんとなくだけど……」
1.サンダースだよね?
2.ユアクマだよね?
3.自由安価
【本セリフ指定安価で同時にモノクマメダル獲得枚数のコンマ判定を行います】
↓1
2 選択
灯織「たしか、ユアクマ……だったよね?」
雛菜「うん~~~!流石灯織ちゃんだね~!」
灯織「雛菜が普段から来てる服にもアップリケがついてたり、グッズも集めてたと思うから……」
灯織「それに、と、友達の好きなものはやっぱり、ちゃんと知っておきたいから……」
雛菜「やは~~~♡」
雛菜「雛菜ね、ユアクマカフェの店員さんをやったこともあるんだよ~?」
灯織「へぇ……お仕事?」
雛菜「うん~~~!プロデューサーが取ってきてくれた~!」
(プロデューサー、一人一人の好みや適性に合わせてお仕事を持ってきてくださるあの手腕は流石だな……)
雛菜「ユアクマカフェはね~、メニューもユアクマ仕様で食べるのがもったいなくなっちゃうぐらいなんだよね~」
灯織「コラボ商品とかって、見た目まで作りこみがすごいもんね」
雛菜「あ、そうだ~!今度灯織ちゃんも一緒に行こうよ~!」
灯織「えっ……私も?」
雛菜「灯織ちゃんにもユアクマの魅力をもっと知ってほしいし~、一緒にお出かけしたいから~~~♡」
灯織「……喜んで、私からもお願いしたいな」
(……雛菜とこんなに親しくなれるなんて、はじめは思わなかったな)
【コンマ判定00】
【末尾ゼロは10とカウントします】
【PERFERCT COMMUNICATIONにより獲得枚数が倍になります!】
【モノクマメダル20枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…158枚】
-------------------------------------------------
【灯織の部屋】
雛菜とこの学園を出た後の約束をしてしまった……
雛菜とここまで親しくなった驚きもそうだけど、
何より、ここから出ていく理由がまた一つ増えた。
____絶対に、モノクマを打倒してみんなで出ていくんだ。
【自由行動開始】
【事件発生前最終日の自由行動です】
-------------------------------------------------
1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル158枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩
↓1
2 めぐる選択
【1F 教室】
学校の散策にまた向かおうとした矢先、学校エリアの一階の教室の扉がわずかに空いているのが目に入った。
体を伸ばしてのぞき込んでみると、見慣れた美しい金髪。
……めぐるだ。
いつにもなく神妙な面持ちで、席に座っている。
深く集中しているのか、私にも気づいていない。
……声をかけようか。
-------------------------------------------------
プレゼントを渡しますか?
・現在の所持品
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×2
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
↓1
【あしたのグローブを渡した……】
めぐる「随分と年季の入ったグローブだね……!」
灯織「うん、持ち主の血のにじむような努力がつまった一品みたい」
めぐる「だね、持ってるだけでその人の熱意が伝わってくるよ……!わたしも頑張らなきゃってそう思えるような……!」
灯織「めぐるにとって、明日を頑張る活力になればいいかなって思ったんだ」
めぐる「灯織……ありがとう!灯織のその気持ちだけでもうれしいよ……!」
【PERFECT COMMUNICATION】
【いつもより親愛度が多めに上昇します】
-------------------------------------------------
灯織「……めぐる?こんなところでどうしたの?」
めぐる「……!!灯織!?も、もしかしてわたしのこと探してた?!」
灯織「あ、ううん……違うの、部屋の扉が開いてたから。……ここって」
めぐる「……うん、透と真乃の事件があった場所だよ」
灯織「……めぐる」
めぐる「真乃の言葉をそのまま守ることはできないで、今まで来ちゃった。真乃の事件の時から比べると、数もかなり減っちゃった」
めぐる「でも、今度こそ……真乃の言葉を守りたいってそう思うんだ。円香とも分かり合って、一緒に帰るんだって」
めぐる「そのための決意表明……なんてことをしてたんだ」
めぐる「……真乃、聞いてくれたかな」
灯織「……ねえ、隣に座ってもいいかな」
めぐる「灯織?」
灯織「私からも、真乃に送りたい言葉があるから」
めぐる「もう、灯織……なんだかお墓参りみたいだよ……」
(墓参りだなんて……そんなの、弔うことすらできず、今後も一生させてもらえないのにね)
灯織「ねえ、真乃……聞いてるかな」
1.今度こそ、樋口さんとの絆を証明してみせるよ
2.真乃の願い、絶対にかなえてみせるから
3.自由安価
↓1
2 選択
(真乃の願い、それは……『モノクマに負けない』『アイドルとして輝き続ける』ということ)
(命を落とすこととなった真乃の分も強く気高く生き続け、そして夢を彼女の代わりにかなえるということ)
(……その願いは、私たち全員が背負うべき義務でもある)
灯織「真乃の願い、絶対にかなえてみせるから」
めぐる「……灯織」
灯織「アイドルとして、真乃の言う輝きを手にするのはいつになるのかわからないけど……必ずその時まで、努力を続けるしみんなで支え合って生きていく」
灯織「真乃が最期に見せてくれたあの笑顔を、私はこの先も一生忘れないから」
灯織「こんなの、めぐるからすれば当たり前のことだったかもしれないけど私自身の決意表明として、ね」
めぐる「ううん!灯織の決意……すごく胸に響いたよっ!」
灯織「そう言ってもらえると嬉しいな、少し照れちゃうけどね」
めぐる「真乃、見守っててね!絶対に灯織と、みんなと、真乃の願いを叶えるよー!」
(そこに亡骸があるわけでも、遺影があるわけでもない)
(彼女自体は、地下深くの処刑場で命を落としたし、死んだ場所はこの教室ですらない)
(それでも、何故だか真乃が……私たちを見て、あの優しいほほえみを浮かべたような気がした)
【親愛度が上昇しました!】
【スキル:HAPPY-!NGの効果により親愛度上昇値がわずかに増えます!】
【現在の八宮めぐるの親愛度…5.0】
-------------------------------------------------
【スキル:一番星の魔法を発動できます】
【モノクマメダルを10枚消費して自由行動を追加できます】
【現在のモノクマメダル枚数…158枚】
【スキル:一番星の魔法を使用しますか?】
↓1
【スキル:一番星の魔法を使用しました】
【残りのモノクマメダル枚数…148枚】
-------------------------------------------------
【灯織の部屋】
あの事件が起きたのももう一か月近く前になる。
全ては、あの事件から始まったんだったよね……
……真乃。
今の私は、間違ってない、よね……
【自由行動開始】
灯織「まだ、時間はあるかな」
【事件発生前最終日の自由行動です】
-------------------------------------------------
1.購買に行ってモノモノマシーンか自動販売機を使う(現在モノクマメダル148枚)
2.交流 (人物指定安価)
3.休憩
↓1
2 愛依選択
【武道場】
灯織「愛依さん、やはりこちらにいらっしゃったんですね」
愛依「あれ、灯織ちゃん?どしたし、なんか用事?」
灯織「少し雑談でもと思ったのですが……今は取り込み中でしたか?」
愛依「ううん、大丈夫!うちも誰かと話したい気分だったからばっち歓迎~!」
(愛依さんと二人で雑談をして過ごした……)
-------------------------------------------------
プレゼントを渡しますか?
・現在の所持品
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×2
【あしたのグローブ】
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【もちプリのフィギュア】
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
↓1
【EYE GRASSを渡した……】
灯織「このメガネ、見覚えないですか?」
愛依「えっ?……あれ、これって……」
灯織「はい、結華さんがメガネメーカーとのタイアップで作ったデザイングラス……と同じものです」
愛依「うわっ!ホントだ……!これって結構レアもんじゃん?!」
灯織「愛依さん、辛いときはこれを見て、結華さんのことを思い出して元気を出してください」
愛依「……ありがとう、灯織ちゃん」
愛依「でもさ、せっかくなら……あの子に渡してあげるべきなんじゃないかってうちは思うんだけど……」
(うっ……別のものを渡せばよかったかな……)
-------------------------------------------------
愛依「……ねえ、灯織ちゃん」
(愛依さんの表情は、いつもよりも真剣だ。私に今から投げかける質問に対し、かなり慎重になっていることが分かる)
(……真剣に、答えないと)
愛依「この前の……咲耶ちゃんと凛世ちゃんの事件、あったじゃん?」
灯織「……はい」
愛依「うちさ、あの事件の後……二人の言ってたことを改めて考えてみたんだよね」
愛依「したら……二人とも、他のユニットメンバーを人質に取られてたって言ってたんだよね」
灯織「確かに、死に際の凛世の言葉を振り返ると、そう言った胸の言葉がありましたね」
愛依「……それってさ、あさひちゃんと冬優子ちゃんも無事ってことになんないかな」
灯織「……!!」
愛依「二回目の事件の時、うちが見させられたのは二人が酷い目にあうビデオ。正直、生きたままいられるとも思えないような……そんぐらい、目もそむけたくなるようなやつだった」
愛依「でも、恋鐘ちゃんとか、果穂ちゃんとか……みんな無事だったんなら……もしかして、二人も……」
(愛依さんの声は少しばかりうわずっていて、感情が露出していた)
(淡い可能性に縋るような気持ち……それはこの生活における弱みになる)
(でも、これは愛依さんにとってか細くも大切な……生きていく希望なんだ)
愛依「灯織ちゃん!……灯織ちゃんは、どう思う?!二人は、生きてると思う!?」
1.二人を信じましょう
2.残念ながら……
3.自由安価
↓1
1 選択
灯織「愛依さんの気づいた可能性……それがたとえどんな細い可能性でも、それを信じる価値はあると思います」
愛依「……灯織ちゃん」
灯織「今の私たちが、冬優子さんとあさひとのためにできるのは、二人を信じることだけ。でもそれで十分じゃないですか」
愛依「え?」
灯織「あの二人がそう簡単に命を落とすとは、私にも思えませんから」
愛依「……だよね!そーだよね!」
灯織「モノクマにどれだけの力があって、どれほどの脅威なのかはまだ完全には推し量りかねます」
灯織「でも、きっと……ストレイライトのお二人なら、それをはねのけることだって可能だと思います。常に進化を続ける、限界を超え続けるユニット……ですから」
愛依「灯織ちゃん……うちらのこと、よくわかってるね!」
愛依「ストレイライトはこんなところでくたばるタマじゃない!……これってこういう使い方で合ってる?」
灯織「ふふ、最適解だと思います」
愛依「うん、うちらは負けない……こんなとこで負けたりしないから!」
愛依「ありがと灯織ちゃん!うち、この希望を大事にする!この希望があれば、うちもまだまだ戦える!」
(愛依さん……喜んでいただけて良かった)
(ただの希望的観測に過ぎないかもしれないけど……それでも、信じていればきっとそれは叶うって……今はその言葉を信じるしかない)
【親愛度が上昇しました!】
【スキル:HAPPY-!NGの効果により親愛度上昇値がわずかに増えます!】
【現在の和泉愛依の親愛度…4.0】
-------------------------------------------------
【スキル:ポシェットの中にはの判定に移ります】
【直下コンマの末尾の数字と同じ枚数のモノクマメダルを獲得できます】
↓1
【コンマ03】
【モノクマメダル3枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…151枚】
【CHAPTER05におけるすべての自由行動が終了しました】
【事件発生パートへと移ります】
……私はきっと最初っから間違えていたんだろう。
今日という一日の最初、この1週間の最初、この学園生活の最初…………彼女と出会ってからの『最初』。
『最初』を間違えていなければ、彼女の心情を少しなりとも理解して、葛藤を少しなりとも感じ取って、決意を少しなりとも写し取って。
ちゃんととるべき対応を、しかるべき警戒をしていたはずなんだ。
(きっとまだ樋口さんは動かない)
そうやって胡座を掻いていた。
この世界は散文的な物語でもないし、まして漫画の世界、御伽話の世界でもないんだ。
一度途切れてしまった糸はもう繋ぎ止めることはできない。
彼女との間の糸がプッツリと切れる瞬間は私自身が見ていたのに、そこから目を背けてしまっていた。
_____だから、見えていた結末に気づくことができなかった。
-------------------------------------------------
【灯織の部屋】
「……なに、これ」
それは突然に舞い込んだ一枚の写真。
自室に帰った私が模擬刀を手に取り、今日こそ返り討ちにしてやるなんて子どもじみた決意を胸にしていた時にやってきた知らせ。
____光沢紙に映し出されていたのは、どこかの部屋で拘束されて項垂れるめぐるの姿。
……樋口さんだ。
樋口さんが口にしていた【絶望計画】が動き出したに違いない。
だとしたら、これが罠なのは明白。
めぐるを餌にして私をおびき出し、ひいては私を殺そうとすらしているのかもしれない。
でも、無視することなんてできない。
めぐるを見捨てるなんて、地球が滅亡しようともありえない。
私にとってはこの星なんかよりも、めぐるは大切な存在だから。
私は手元の模擬刀を改めて握り直した。
めぐると一緒に取りに行った、護身用の模擬刀。
黒幕を打ち倒すためのはずだったのに、仲間を守るために、かつての仲間を挫くために手にしている。
「……行こう」
そして、私が間違えていた『最初』がもう一つ。
この部屋に写真が差し込まれた時の、『最初』。
完全に頭に血が上っていて、冷静でなくなっていた。
この部屋に写真を入れるなんて、ドア下からしかできやしない。
私の部屋の前に直接出向かない限りできやしないのに。
……樋口さんが、【ドアの前で待っている】ことなんて想像にたやすいのに。
不用意にも扉を空けてしまった。
円香「こんばんは」
灯織「……!?ひぐっ……!?」
樋口さんが視界に入ったことを脳で処理するよりも先にその右手が伸びてきた。
右手に掴まれていたハンカチがそのまま私の口元を覆う。
薬品特有のツンとさす匂いが一瞬で脳へと到達した。
トロンと口元が開けっぱなしになるのを感じる。
どんどん全身が弛緩していく。
足元からドロドロに溶けていき、そのまま昏倒。
_____私の世界は黒に染まった。
-------------------------------------------------
【???】
???「……円香、本気なんだね」
???「それならわたしももう逃げないよ……わたしにしかできない、わたしにたくされたことがあるから」
???「もうこれ以上、誰も死なせない……殺させない」
???「それが二人と、みんなと誓った約束だから」
???「……いくよ」
-------------------------------------------------
というわけで本日はここまで。
結局購買に行かずに自由行動パートが終わってしまったので、メダルがどうしようもなく余ってしまいますね…
裁判でも効力を発揮するアイテムなど一応メダル複数枚交換で用意していたのですが……
要望があれば裁判前に買う機会を設けてもいいかもしれませんね。
次回更新は8/5 21:00~を予定しています。
死体発見→捜査パートまでやる予定です。
それではお疲れ様でした。
それでは参ります
購買については今章の裁判前に購入できるように、
捜査パートの終わりに購買のテンプレを貼っておいて
購入物の指定を皆さんに次回更新までに書き込んでもらう形にしようかなと思います。
多分今日で捜査パートは終わらないと思うので、次回更新の終わりかな…
【???】
……あれから、どれくらい経ったんだろう。
私の視界は依然として真っ黒なまま。何かアイマスクのようなもので目隠しを付けられてるんだろう。おかげでここがどこなのかもわからない。
それに加えて、耳栓までつけられている。自分の唾液の音ぐらいしか聞こえないので今が朝か夜か、アナウンスすらも聞こえない。
極め付けには後ろ手に椅子に拘束されている。脚は自由になっているけれど、手が使えないので目も耳も自由にならない。
こんな状態のまま、既に数時間の時が経った……と思う。
時間の感覚もあやふやなのは拘束の時に吸わされた薬のせい。
意識がしばらく安定せず、平衡感覚すら怪しい時期もあった。
それにこの拘束は思った以上に体力を持っていく。体も同じ姿勢を余儀なくされるので、節々が痛む。
苦痛に喘いでも助けてくれる人はいない。疲弊は加速度的に増していく。
何も出来ぬまま時間だけが過ぎていき、
何もわからぬまま時間だけが過ぎていき、
何も起きないまま時間だけが過ぎていき、
闇が晴れたのは、一眠りした後だった。
「灯織ちゃん、大丈夫〜〜〜〜〜?!」
唐突に晴れた暗闇の果て、目の前に現れたのは雛菜だった。
灯織「ひ、雛菜……?」
雛菜「よかった、無事だぁ〜〜〜!!雛菜、寂しかった〜〜〜〜〜!」
灯織「ちょ、ちょっと待って……じょ、状況が掴めてないから……まず雛菜がどうしてここに?」
雛菜「え〜?鍵が開いてたからだよ〜?」
灯織「鍵……?」
そう言われて気がついた、ここは私の部屋だ。
樋口さんに気絶させられた後、そのまま自分の部屋に監禁されていたらしい。
雛菜「鍵は開いてたけど、外からドアストッパーを噛ませてあったから内側からは開けようがなかったけどね〜」
灯織「ど、ドアストッパー……?」
雛菜の手には黒い台形状の物体が。
本来なら扉を開けっぱなしにするためのものだけど、使用用途によっては犯罪にも使いうる品だと最近ニュースで見たっけ。
雛菜「他の部屋にもいっぱい噛ませてあったから、多分みんな閉じ込められてるんだよね〜」
灯織「そ、それホント?!雛菜?!」
雛菜「う、うん……」
灯織「急いでみなさんの無事を確認しないと……!雛菜、とりあえず私の拘束を解いてくれる?!」
雛菜「わ、わかった〜!」
雛菜に拘束を解いてもらうとその勢いのまま廊下へ。
手も足も久しぶりの活動で慣れない痛みに突き刺されるけど、今はそれどころじゃない。緊急も緊急だ。
雛菜の話通り、寄宿舎の個室のいくつかには不自然にドアストッパーが噛ませてある。私以外の生存者の部屋だ。
私は片っ端から扉を開けて、みなさんを解放していく。
智代子「灯織ちゃん……!あ、ありがとう……お腹が空いちゃってたんだよ……!」
愛依「ひ、灯織ちゃん……!ありがとう、マジで怖かった……」
摩美々「灯織……これって……?」
灯織「……わかりません、恐らく樋口さんが全員を拘束していたんだとは思うんですが」
摩美々「……これで全員?」
灯織「……そういえば、めぐるの部屋にはドアストッパーが噛ませてなかった」
……嫌な予感が全身を突き抜けた。これまでに何度も味わってきたそれとはまた違う、電流にも似た寒気。
あの時、私を部屋から吊り出すために使っためぐるの写真。
この学園では画像加工なんかできっこない以上、めぐるは本当に監禁されているはず。
だとしたら、私たちと違った形で危険に晒されている……!?
灯織「……めぐるっ!?」
思わず摩美々さんに向けていた爪先を魔反対に向けて走り出したくなる衝動に襲われる。
そんな私の右手を愛依さんが掴んだ。
愛依「灯織ちゃん、待って!不安なのはわかるけど、ここで一人で走り出しちゃダメ」
灯織「……愛依さん」
雛菜「円香先輩が動き出してる以上、単独で動くのは危険だよ〜」
智代子「うん、みんな一緒に探したほうがいいよ!」
摩美々「みんなの言う通り、いったん灯織も落ち着いてー。めぐるの身に何かあったって決まったわけじゃないじゃーん」
灯織「そ、そうですね……すみません、冷静を欠いていました」
雛菜「でも、何かしらに巻き込まれてるのは間違いないし早く助けてあげないと〜」
灯織「あ、だったらこの写真……」
めぐるが拘束されている写真を皆さんにお見せした。
摩美々「……この写真、摩美々たちみたいに個室で撮影されたものじゃないねー」
雛菜「う〜ん、どこだろ〜……?」
智代子「……あ!わかったよ!多分これ、5Fの植物庭園だよ!」
灯織「植物庭園……?」
智代子「うん、植物庭園には園芸用の道具を仕舞い込んでる倉庫があるんだけどね?この端に写ってる肥料の袋に見覚えがあるんだ!」
愛依「チョコちゃんちょーお手柄じゃん!」
智代子「えへへ、結構出入りしてたから!」
摩美々「それじゃあ植物庭園に向けてしゅっぱーつ」
私たちは息を揃えて植物庭園へと向かった。
途中樋口さんからの襲撃が来る可能性も考慮し、最大限の警戒態勢。
周囲を見渡しながら、慎重に歩みを進めた。
___そして短くも長い時間の後、ようやっと植物庭園へと辿り着いた。
愛依「灯織ちゃん、大丈夫。落ち着いて。きっとめぐるちゃんは無事だから」
灯織「……はい」
摩美々「……灯織、開けるよ」
灯織「お願いします……!」
そして私たちは息を整え、観音開きのその扉を開けた。
めぐるの無事を確かめるために。
樋口さんの企てを食い止めるために。
もう誰の手も汚させないために。
誰も悲しまないで済むように。
絆の存在を証明するために。
希望が挫けないことを改めて知るために。
……もう一度絶望に向き合うために。
【植物庭園の中央には、覆面をした謎の人物の刺殺体が転がっていた】
-------------------------------------------------
CHAPTER05
Die the sky.
非日常編
-------------------------------------------------
二度見、なんて言葉があるけどあれはまやかしだ。
実際人間は理解できないものを目にした時、視線を外すことすらできないから。
凝視して凝視して、その謎を解明しようと本能が試みる。
それでも人は理解できない時、一つの反応をあげる。
「うわあああああああああ!?!?!?」
予想だにしていなかった死体を目にしたことで、理性より先に絶叫が出た。
これまでのどの死体よりも異常な光景に、思考は全く追いつかなかった。
愛依「な、なんで?!なんで、死体があんの?!」
智代子「こ、この死体って……!?」
摩美々「覆面って……これ……」
そして、混迷を極める思考は行動を律することができなかった。
気がつけば私は死体に駆け寄り、その覆面をはごうとしていた。
その死体の正体を確かめるため、その死体の正体がめぐるでないことを証明するため。
私の両手を止めることはできなかった。
____結果から言えばそれは失敗。
だって、私がここでこの選択をとったことにより……
カッ
摩美々「灯織……!!」
バーーーーーーーーン!!
瞬間、私の視界は真っ白になった。
そして次に気がついたのは無重力。
私の体は文字通り滞空状態にあり、そしてそのまま勢いに乗せられたまま地面へと打ち付けられる。
それでことは終わらない、私を吹き飛ばそう消し飛ばそうとする爆風。
それに抗うことはできずそのまま後方へ。
これだけのことがわずか1、2秒の間に巻き起こり、理解するにはその倍の時間を要した。
愛依「ひ、灯織ちゃん!?」
智代子「なんで爆発が突然?!ど、どうなってるの?!」
摩美々「灯織も心配だけど、消火しないと……死体が誰だったのかすらわからないままになるよー?」
雛菜「雛菜が火は消すから、灯織ちゃんのことはお願いします〜」
愛依「お、オッケー!」
遠くに聞こえる皆さんの声。
全身を強く打ったけど、どうやら一応無事みたい。呼吸もできる、体も動く。
愛依「灯織ちゃん、大丈夫?!うちんこと分かる?!」
灯織「愛依さん……だ、大丈夫です……それより、死体は……」
智代子「今雛菜ちゃんと摩美々ちゃんが消火してるから大丈夫だよ!……ただ、顔の付近が爆発しちゃったから、死体には損傷が……」
愛依さんとチョコの力を借りて立ち上がり、なんとか元いた場所へ。
もくもくと上がる煙、ジューという消火の音。鼻を刺す肉の焼ける匂い。
そういったあらゆる不快を詰め込んだ空間で、再度死体に向き合った。
雛菜「あ〜……これじゃあもう誰だかわかんないですね〜……」
愛依「……うっぷ」
摩美々「無理はしなくていいから、流石にこれはぁ……」
顔の部分が吹き飛んだせいで、上半身の損傷は激しい。
目も当てられないほど無残な姿になっている。
付近には発見時に死体が羽織っていた白衣の燃えかすや、突き刺さっていたナイフが転がっている。
なぜ、犯人はこれに加えて爆破なんか……
ピンポンパンポーン
『死体が発見されました!一定の捜査時間の後、学級裁判を開きまーす!』
モノクマ「はいはい!とりあえずひと段落した感じなのでアナウンス鳴らしときますね〜!」
モノクマ「いやぁ~ボクってば空気の読めるクマ!死体発見からここまでの流れ、アナウンスで茶々入れない辺り出来る大人だよね~!」
灯織「モノクマ……これは……」
モノクマ「見ての通り殺人事件発生だよ!オマエラの中の誰かが、オマエラの中の誰かを殺したってことだね!」
摩美々「……それ、おかしくないですか〜?」
モノクマ「はぬ?」
摩美々「誰かを殺したって、被害者すら教えてくれないってコト?」
モノクマ「あ〜、それね!被害者ね!今回は犯人が意図的に被害者の正体を隠してると思うので、それをボクの一存で明かすのは公平な裁判の進行に反すると思いまして!」
灯織「ということは、モノクマ自体は被害者は把握しているんですね?」
モノクマ「当たり前田のクラッカー!犯行も始めから終わりまで、おはようからおやすみまでバッチリ見届けておりました!」
モノクマ「というわけで……ザ・モノクマファイル〜〜〜!オマエラのやるべきこと自体は変わらないからね、今回もバッチリ頼みましたよ!」
モノクマはやることだけやり終えると、私たちを置き去りにしてそそくさとどこかに行ってしまった。
残ったのは、被害者すらわからないという異例の事態を前に当惑する私たち。
摩美々「……とはいえ、被害者は二択だよねー」
愛依「……え?」
摩美々「今ここにいない人物、めぐると円香。そのどちらかと見るのが普通でしょー」
智代子「……だとしたら可能性が高いのって」
雛菜「……」
灯織「……」
摩美々「ごめん、失言だったかもー」
灯織「いえ、気になさらないでください……摩美々さんのご指摘は正しいですから」
真実から目を背けてはいけない、それは真乃とめぐるとも誓ったことだから。
たとえそれが残酷な事実を映し出していようとも、それを有耶無耶にするようなのは違う。
めぐるだってそれは望まないはずだ。
でも、弱い心自体を打ち消すわけではない。
めぐるじゃなければいいのに、その心は決して樋口さんの死を望むようなものではなく……ただ純粋に友人を思う気持ち。
この気持ちにも嘘はつきたくない。
混じり気のない感情、それが私にできる精一杯なんだ。
……孤独な戦いが始まる。
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【捜査開始】
今回はめぐるが近くにいない。私一人で行う初めての捜査になる。
……大丈夫、できる。何も不安に思うことなんてない。
自分に強く言い聞かせて、モノクマに渡されたモノクマファイルを開封する。
『被害者は不明。死亡推定時刻は5時ごろ。死体は発見当時胸部にナイフが突き刺さっていた。その後覆面を剥がそうとした際に仕掛けてあった爆弾が起動。上半身の損壊は激しく、顔は判別不可』
やっぱりこっちにも被害者の記載はない。
今回の推理はそこから始めないといけないらしい。
樋口さんかめぐるか、どちらが今回の事件の被害者なのか見定めるのが前提の事件だ。
コトダマゲット!【モノクマファイル5】
〔被害者は不明。死亡推定時刻は1時ごろ。死体は発見当時胸部にナイフが突き刺さっていた。その後覆面を剥がそうとした際に仕掛けてあった爆弾が起動。上半身の損壊は激しく、顔は判別不可〕
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さて、今回の事件は調べることも多いぞ。
私が爆弾を起動させてしまったことで、おそらく変わってしまったこともある。
みなさんへの聞き込みを入念に行うことで事実確認をしないといけないな。
1.死体周辺を調べる
2.植物庭園の設備を調べる
3.倉庫を調べる
3.雛菜に話を聞く
4.愛依に話を聞く
5.摩美々に話を聞く
↓1
5
死亡推定時刻は5時のほうが合ってるのかな?
>>317 早速ミスってますね……こちら、コトダマの方の表記が正しいです。死亡推定時刻は【1時】です。
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1 選択
【死体周辺を調べる】
今回の事件の被害者の死体だ。上半身は爆弾の衝撃で損傷も激しく、焼け焦げてもいる。見た目で誰か判別するのは不可能だろう。
……ん?そういえばこの死体、上半身だけ濡れてるな。
雛菜「ん〜?ああ、それは雛菜たちが消火したからだよ〜!」
灯織「雛菜……そっか、私が爆風で吹き飛んでる間にやってくれてたんだね」
雛菜「うん〜♡だって何が起きたのかすらわかってないのに爆発が起きちゃったから、犯人の証拠隠滅の可能性もあるかな〜って!」
灯織「うん、ありがとう……欠損が上半身で済んだのはかなり大きな成果だよ」
雛菜「やは〜!雛菜えらい〜〜〜〜〜!」
コトダマゲット!【謎の死体】
〔死体の上半身は爆破の衝撃で損傷が激しい。爆弾により引火した際に摩美々と雛菜が消火したため、上半身のみが濡れてしまっている〕
……さて、どうにかこの死体から二人を判別しなくちゃいけないんだけど。
うっ……今回は今までのどの事件よりも直視しがたいな。
剥き出しになった肉がなんとも痛ましい。
損傷部位じゃないところからわからないだろうか。
爆発のあった上半身に背を向けるようにして、死体を触診していく。
下半身自体に怪しいところはなさそう。
年頃の女子高生の肉付きに、骨格。
流石に誰かまではわからないけど……
靴もご丁寧に履き替えさせられている。
倉庫で見かけた量産品のスニーカーだ。特定に至るための情報は削り取られている。
困ったものだなと腰をあげようとした時、ある違和感が私の視線を集めた。
……この手、おかしくない?
被害者がめぐるであれ、樋口さんであれ……この手はおかしい気がする。
だって、二人とも【右利き】なんだから。
コトダマゲット!【左手のペンだこ】
〔爆破された死体の左手にはペンだこができていた。めぐるも円香も右利きなので通常できるはずがない〕
一部焼け焦げて煤のようになっているけど、死体には上から白衣が被せられている。
摩美々「化学室にあった白衣ですねー、薬品調合の際に本来は用いられるやつ」
灯織「なるほど……でもなんでわざわざ白衣をかぶせたり?」
摩美々「シルエットを隠す目的じゃないかなぁ、女性ってどうあがいても胸元で特徴が出ちゃうしー」
確かに死体を最初に発見した時、白衣はだいぶゆったりとした掛け方をされていたと思う。そしてその上からナイフが刺さっていた。
ということは犯人はその状態で刺し殺したことになるのかな?
摩美々「……ナイフについてる血痕は新しい、近くに輸血パックはない……」
灯織「ですね、それならこの血痕は被害者の……」
摩美々「いや、そう考えるのは早計だよー。あっちを見てみなよー」
摩美々さんに促されるまま目を向けたのは、ニワトリ小屋?
植物庭園の一角で飼育されているニワトリたちがどうしたというのだろう。
疑問を胸にニワトリに目を向けると……
灯織「……あれ?」
摩美々「気づいたぁ?」
灯織「なんだか元気がないですね……」
摩美々「そうなんですよねー、なんか動きが鈍いって言うかぁ……それにぃ、ニワトリの数自体、1匹減ってるんだよねー」
灯織「……この事件に関係、しているんですよね?」
摩美々「まぁ、何に使われたのかも今の灯織ならすぐわかるでしょー」
コトダマゲット!【植物庭園のニワトリ】
〔植物庭園内で飼育されていたニワトリ。なんだかニワトリの元気がなく、さらには事件前後でニワトリが一体減っていた〕
死体の付近には爆風で散乱したものが転がっている。
やっぱり目につくのは……このナイフだ。
このナイフ……めぐるが教室から回収したものと同じだ。
あの夜、体育館前で私に見せてくれた武器。これがどうして……?
智代子「死体を見つけたときにはナイフが深々と刺さってたんだよね……」
灯織「うん、白衣の上から死体にまっすぐ。血痕もべったりついてたしね」
智代子「これが今回の凶器ってことになるんだよね……?だとしたら、犯人はこのナイフを持っていた人物?」
いや、それは違う……はず。
だってその理論だと犯人になるのは、なってしまうのはめぐるだ。
感情で答えをねじ曲げるわけじゃない、けど……
…………
灯織「まだ、結論を下すには証拠が足りないよ」
智代子「そうだよね!他の証拠も合わせて検討しないとだよね!」
違うんだよね、めぐる……?
コトダマゲット!【ナイフ】
〔死体に突き刺さっていた凶器と思しきナイフ。他のナイフにはない装飾がついている一品もの。事件発生前はめぐるが所持していた〕
死体の付近に落ちていて気になるものはもう一つ。
これは、木札だろうか?
愛依「あ、それって武道場のやつじゃん?」
灯織「愛依さん……これの使用用途をご存じなんですか?」
愛依「うん、武道場にはその札を使うロッカーがあって誰でも使用可能だったはず……多分それに使う系のやつだね」
灯織「なるほど、ありがとうございます」
現場に落ちていた以上、これも事件に無関係ではないはず……
ともなると、あとで確認しておいた方が良さそうかな?
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さて、死体の周りで調べるのはこれぐらいかな?
植物庭園は結構な広さだ。他にも調べるところはたくさんあるし、整理しないとね。
1.植物庭園の設備を調べる
2.倉庫を調べる
3.雛菜に話を聞く
4.愛依に話を聞く
5.摩美々に話を聞く
↓1
【雛菜に話を聞く】
灯織「そういえば雛菜、私を助け出してくれたけど……雛菜は拘束されてなかったの?」
雛菜「ん〜?雛菜も捕まってたよ〜?」
灯織「そうなの?でもだとしたら、部屋から出ることはできなかったはずだよね?」
雛菜「雛菜は灯織ちゃんたちみたいに、部屋にドアストッパーを噛まされてなかったから、手さえ解ければ自由に動けたんだよね〜」
灯織「え……?」
雛菜「でも、長い間眠っちゃってたから動けるようになったのはついさっきのことだよ〜?」
(眠っちゃってた……?)
雛菜「一度縛り付けられた後に運ばれた食事、多分樋口先輩があ〜んして雛菜に食べさせたんだと思うけど……そのあと急に眠たくなっちゃったから〜」
(それって睡眠薬が盛られたってこと?……だとすると、雛菜がこの時間に目を覚ますように調整したってことなのかな)
雛菜「それにね~、みんながみんな部屋にドアストッパーが噛まされてたわけじゃないんだよ~?」
灯織「え?そ、そうなの?」
雛菜「うん~!灯織ちゃんと仲の良かったイルミネの子の部屋、ドアストッパーがなかったけど鍵はかかってたんだよね~」
雛菜「だから雛菜じゃ開けられない、ってなったから諦めちゃったんだ~」
(めぐるの部屋だけ鍵がかかっていた……?それってどうして……?)
コトダマゲット!【雛菜の証言】
〔雛菜も灯織たちと同様に部屋に監禁されていたが、部屋にはドアストッパーは噛まされておらず睡眠薬を盛られていた。同様にめぐるの部屋もドアストッパーが噛ませておらず、鍵がかかっていたらしい〕
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1.植物庭園の設備を調べる
2.倉庫を調べる
3.愛依に話を聞く
4.摩美々に話を聞く
↓1
1 選択
【植物庭園の設備を調べる】
植物庭園の入り口付近にはスプリンクラーの操作パネルがついている。
どうやら今は朝の7時半になると一体に水が散布される設定になっているらしい。
自分で設定を変えられるか少し手を触れてみるけど……
ダメ。まるでこちらの制御を受け付けない。
モノクマ「うぷぷ……スプリンクラーを自由に操ってラッキースケベを呼び込もうったってそうは問屋が卸さないよ!」
灯織「モノクマ!?」
モノクマ「お年頃なんだから、すぐなんでも性と結びつけようとするのが悪いとこだよ!ほらそこ!童貞のことを灯織って呼ぶのやめろよ!」
灯織「し、失礼な!」
モノクマ「ボクの大事大事なスプリンクラーをオマエラの性のはけ口にしようたってそうは許さないかんな!」
モノクマの妄想はさておいても、調整が生徒側で行えないのは有力な情報だ。
事件の起きた日でもスプリンクラーは朝の7時30分の設定だった。覚えておこう。
コトダマゲット!【スプリンクラー】
〔植物庭園一体を水やりするための設備。生徒側から設定をいじることはできず、毎朝7時30分に作動する設定になっていた〕
植物庭園の中央にそびえ立つように生えている大きな花。まさかこれは事件に関係ないよね……?
と近づいていくと、またしてもモノクマが現れた。
モノクマ「フリーーーーーーズ!!」
灯織「な、なんですか……捜査の邪魔はしないんじゃなかったんですか」
モノクマ「邪魔じゃないよ、これは忠告!このまま放って置いたら風野さんは死んでたかもしれないんだからね!」
そういえばめぐるの報告にもあったモノクマフラワーってやつ……それがこれなのか。
なんだか物々しい風格はあるけど、近づくだけで本当に食べられちゃうのかな。
モノクマ「モノクマフラワー鑑賞の際は、そちらのプレートに書いてある説明に留意した上で楽しんでくださいね」
『モノクマフラワー:食虫植物
全長:約5m
食虫と書いてあるけど、人でもなんでも食べちゃうぞ!Wow wow wow 人を食え!!
※夜時間の間はおやすみしてます。
食べさせたかったらお昼においで』
……ふざけた説明文だ。でも、夜時間の間は活動を停止しているのは重要な情報。
証拠隠滅にも使える可能性のあるモノクマフラワーが動けない時間は犯人の行動にも制約を与えるはず……
コトダマゲット!【モノクマフラワー】
〔人でも金属でもなんでも食べてしまう食虫植物。全長は約5mほどで見上げる高さ。夜時間の間は活動を停止する〕
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1.倉庫を調べる
2.愛依に話を聞く
3.摩美々に話を聞く
↓1
2 選択
【愛依に話を聞く】
灯織「愛依さん、先程はありがとうございました」
愛依「ううん、いいのいいの!それより灯織ちゃんこそ大丈夫?めっちゃ吹き飛ばされて体も打ってたでしょ?」
灯織「ええ、捜査できるくらいには」
愛依「無茶はしちゃダメだかんね?……で、うちに何か聞きたいこととかそーゆー系?」
灯織「は、はい……死体が爆発したときのことなど、何か気になった点があればと思いまして……」
愛依「ん〜……うちもあん時はテンパってたしなぁ……あ!そういえば爆発が起きた時、なんかめっちゃ飛んできた布があったんだよね!」
灯織「布、ですか……?」
愛依「待ってて、確かこっちの方に飛んで行ったはず……」
愛依さんは植物庭園の端へ駆けて行き、そのまま一枚の布切れを持って戻ってきた。
愛依「これ!なんかタオル生地っぽいんだけどさ……なんかの証拠にならん?」
灯織「……なんだかこの生地、焼け煤けてるほかに何かで裂かれたような跡もついてますね」
愛依「確かに……何かで切ったのかな?」
灯織「しかし、そもそもこの布はどこから……?」
愛依「そう、それもわかんないよね!死体を発見したときにも、タオルなんかなかったはずだし……」
どこから出てきたのかすらわからないタオル……
これも事件に関係あるのかな?
コトダマゲット!【タオル】
〔事件後に愛依が拾ったタオル。焼け煤けているほか、何かで裂かれたような痕跡も残っている〕
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1.倉庫を調べる
2.摩美々に話を聞く
↓1
【植物庭園の倉庫】
チョコの話だと、めぐるが写真で監禁されていたのはここ……のはず。
だとするとそれに関係する証拠があるかもしれない。
肥料や芝刈り機といった園芸の道具を退けていくと一つ気になるものが見つかった。
灯織「……メガホン?」
どうしてこんなところにメガホンがあるんだろう。スイッチを引いて声を出してみる。
灯織「あー……」
でも壊れているのかまるで声が大きくなることすらない。
一体何に使ったんだろう……
コトダマゲット!【メガホン】
〔植物庭園の倉庫の中に置いてあったメガホン。壊れているのか声を大きくする機能が使えない〕
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【選択肢が残り一つとなったので自動進行します】
【摩美々に話を聞く】
摩美々「ねえ灯織ー、今回の事件……一つ灯織に聞いておかなくちゃいけないことがあるんだケド」
灯織「摩美々さん……?な、なんでしょう……」
摩美々「死体の上半身を吹き飛ばした爆発、あれの原因ってなんだと思うー?」
灯織「え?や、やっぱり爆弾……ですよね」
摩美々「そう、その爆弾なんだケド……この学園でそれを持ってた人って一人しかいないんだよねー」
灯織「え?…………わ、私ですか?!」
摩美々「そう、モノクマを解体したときに手にした爆弾。あれは灯織に預けっぱなしだったからさー。あの爆弾、他の誰かに預けたりはした?」
灯織「い、いえ……自分の部屋で保管していました……」
摩美々「……」
灯織「わ、私は違いますよ……?」
摩美々「……わかってるから安心しなよー」
そうだ、この爆発は爆弾を用いない限りは有り得ない。それこそモノクマを解体でもしない限りは入手不可能なんだ。
……私の部屋の爆弾、あれをもう一度確認しておくべきかもしれない。
コトダマゲット!【爆弾】
〔モノクマの内部に存在する爆弾。死体の上半身を吹き飛ばすにはこれを用いる他ない。学園内で現在所持しているのは灯織のみ〕
さて、植物庭園で調べることはこれくらいかな?
摩美々「さて、捜査を進めて行かなきゃなんだケド……ここにある死体は一つ、めぐるか円香のどちらかは生きているはずだから……そっちも合わせて捜索したいよねー」
愛依「ん、それならうちがやっとくよ!推理とかは任す!」
雛菜「雛菜にもやらせてもらえませんか〜?円香先輩が生きているのかどうなのか、雛菜自身で確かめたいので〜」
摩美々「摩美々は異論なしですー」
灯織「はい、私からもお任せします……どうかご武運を」
智代子「捜査はわたしたちに任せてよね!」
摩美々「……でも、妙なんだよねー。死体発見アナウンスはすでに学校中に流れてるはずなのに、まるで反応がないのがさぁ」
灯織「……」
ダメだ。今は捜査に集中。
私がすべきなのは愛依さんと雛菜を信じることだけだ。
摩美々「今回の事件はまるで流れが掴めてない……とりあえず時間いっぱい学園中を探すぐらいのつもりの方がいいかもねー」
灯織「……そうですね」
悩んでいる時間がもったいないぐらいだ。
まさに暗中模索、手につくところからやっていかないと……!
-------------------------------------------------
1.生物室
2.武道場
↓1
【学校エリア 5F廊下】
灯織「な、なにこれ……?!」
事件の起きた五階、どこかに他の手がかりがあるはずと思って歩いていると衝撃的な光景を目にすることになった。
生物室の扉が開いている。
しまっている筈だった扉は無防備にも開けっ放し、というよりもむしろ閉めることのできない状態。扉を破壊されているのである。
灯織「い、いったい誰がこんなことを……」
扉には真っ黒な焦げ跡が付いており、強い衝撃を受けたせいか形が歪んでしまっている。
しかし、こんな形で扉を破壊してしまって大丈夫なのだろうか?
この学園には校則があり、それを破るとモノクマによってお仕置きされてしまう筈。これは明らかにそれに抵触する行為だろう。
灯織「……一体、誰が、なんのために?」
コトダマゲット!【生物室の扉】
〔締め切られていたはずの生物室は何か強い衝撃で破壊されていた。開放した生徒は校則に抵触していた恐れがある〕
ひとまず、中に入ってこの部屋でなにが起きたのかを確かめないと……
事態を把握しないことにはなにも始まらない。
【生物室】
部屋に入った瞬間全身を包み込む冷気。まるで来るもの全員を拒むような肌を突き刺す冷たさに思わず身震い。
そういえば、男子トイレの奥の空間で見た学園の見取り図で生物室も見たんだっけ。
あのときの図説通り、壁面にはロッカーのようなものが並んでいる。
ランプが点灯しているもの、そうでないもの……この違いは?
モノクマ「うわあああああ?!?!なんで風野さんがこの部屋に侵入してるのさ!」
灯織「モノクマ……」
モノクマ「こ、校則違反だ!イカサマだ!」
灯織「校則違反になるのは施錠された扉を無理やり破壊したとき、でしたよね?誰かが開けたままの扉に入るのは校則違反にならないと思いますが」
モノクマ「ああ言えばこういう……これだから元気もりもりご飯パワー世代のガキはよぉ……」
灯織「それよりこの部屋について説明してもらえますか?今回の事件に関係しているのは明白だと思います」
モノクマ「……ノリ悪いなぁ、わかったよ、わかりましたよ。お伝えします」
モノクマ「言ってしまえばここは霊安室!これまでのコロシアイで犠牲になったみんなが保管されてるんだよ!」
灯織「れ、霊安室……!?」
この部屋で感じる冷たさは単純な気温の低さだけではなかった。
生を失った者の発する、深淵から見据える視線の冷たさだったんだ。
灯織「ってことはこの中に、真乃も……?」
モノクマ「そうだね、入ってるよ。とはいえ櫻木さんはカラスに突っつかれて死んじゃったし、グロくて死体は見れたもんじゃないけどね!」
モノクマの言葉で真乃の受けたおしおきが鮮明に蘇る。
アイドルとしての真乃を極限まで踏みにじった最低最悪の死……
今でもトラウマのように刻み込まれている。
モノクマ「死体が入ってる棚はランプがついてる、使用中の印だね!」
灯織「……なるほど」
モノクマ「まあ細かいことはこの仕様書を見てくれればOKだよ!」
モノクマに手渡された仕様書にはこの冷凍庫について詳細に書かれている。これと併せて見てみようか。
『本製品はご遺体安置を目的とした冷凍庫です。ご遺体をいつまでも美しい姿のまま保つべく、全方位から冷気を放出することにより急速冷凍を可能にしております。また、冷凍機能をオフにして使用することも可能です。冷凍機能のオンオフはランプの点灯をご参照ください』
なるほど、あのランプは冷凍機能を使っているかどうかの証明なんだ。それもそうか、収納道具なんだもんね。
じゃああのランプの数と、これまでの事件で犠牲になったみんなの数が一致すれば全員がここに保管されているということになる。
えっと、真乃と浅倉さん、樹里と小糸、霧子さんと甘奈・甜花さん、凛世と咲耶さん……で9人か。
それで点灯しているランプの数は……あれ、8?
数が合わないな……どうなってるんだろう?
コトダマゲット!【生物室の冷凍庫】
〔死体を保管するために使われているもの。これまでに犠牲になった9人に対し、ランプが点灯しているのは8つで数が合わない〕
コトダマゲット!【冷凍庫の仕様書】
〔本製品はご遺体安置を目的とした冷凍庫です。ご遺体をいつまでも美しい姿のまま保つべく、全方位から冷気を放出することにより急速冷凍を可能にしております。また、冷凍機能をオフにして使用することも可能です。冷凍機能のオンオフはランプの点灯をご参照ください〕
-------------------------------------------------
【選択肢が残り一つとなったので自動進行します】
【学校エリア5F 武道場前】
死体の付近に落ちていたこの木札。
この中のロッカーで使うものって愛依さんにお聞きしたし、中を確かめておく必要があるな。
____私はまったくもって無警戒だった。
事件は起きてしまった、捜査も始まっている。
真実に向けて目を向ける必要がある以上、感情からは目を背けて、不安や恐怖も感じることの無いように必死に努めていた。
だからこの扉を開くことにはいささかの躊躇もなかったし、
____まさかその中で更なる絶望が待ち受けていることなんて予想もしていなかった。
【武道場に備え付けられた弓道の的、そこには樋口円香の体を貫いて矢が刺さっていた】
……は?
理解という言葉はそこに『理』が存在するからこそ成立する。
完全に人が理解を放棄した瞬間、そこにあるのは無秩序と無制限の異常のみである。
私はその『無』の大波に真正面から呑み込まれ、再び思考を完全に停止することになった。
「うわああああああああああああああああああああああ!??!?」
学校中に響き渡る絶叫。他のみなさんが集まるまでに時間はそうかからなかった。
ピンポンパンポーン
『死体が発見されました!一定の捜査時間の後、学級裁判を開きまーす!』
愛依「……ま、円香ちゃん……?」
雛菜「……う、そ……円香先輩……?」
摩美々「……嘘でしょー」
智代子「そ、そんな……」
誰しもがその光景を前に言葉を失った。
だってそこで事切れているのは私たち全員を脅かせ続けた樋口円香その人だったから。
誰よりも殺意をむき出しにして、殺人予告までしていた彼女が、力なくうなだれている。
その手足には生命が全く感じ取れず、枯れた柳の葉のように風にその身を任せる。
モノクマ「いやはや、いつ見つけてくれるのか、それとも見つからないまま終わるのか!なんて心配もしちゃってましたけど杞憂でしたね!」
雛菜「……」
灯織「雛菜……」
雛菜はモノクマの言葉に耳もかさず、スタスタと樋口さんに歩み寄り、その手をとる。
雛菜「ホント雛菜はずっと円香先輩のことが分かんないままだったよ、透先輩も小糸ちゃんも他の誰かを殺せなんて言うわけないのに……円香先輩は雛菜の事なんにも聞いてくれないんだもん」
雛菜「最後まで円香先輩の事、雛菜はずっと嫌い……だと思いたかったよ」
灯織「……」
雛菜「……本当に円香先輩のことが嫌いなら、涙を流したりなんかしないよ」
雛菜に声をかけるわけにもいかず、私たちは雛菜のその背中を見守ることしかできなかった。
でも、その背中の小刻みな震え、すすり上げるような水音が微かに聞こえる所から見ても、雛菜の表情は想像できた。
雛菜「幼馴染みんないなくなっちゃったら雛菜一人になっちゃうじゃん……本当に円香先輩ってば無責任~……」
雛菜「…………」
雛菜「はいっ!終わり~~~~!!」
灯織「ひ、雛菜……?無理しなくても……」
雛菜「無理なんかしてない~~~!むしろ、円香先輩が死んじゃったからこそ、雛菜は燃えてるんですよね~~~~!」
雛菜「透先輩も、小糸ちゃんも、円香先輩も……みんなみんないなくなっちゃったから……だからこそ、雛菜が頑張らないと……絆が無駄になっちゃう、でしょ~?」
灯織「……!!」
雛菜「円香先輩からしたら絆なんてありがた迷惑かもしれないけど~、でも雛菜はちゃんと円香先輩のために戦いたいって思うから~!」
雛菜が口にしたのは私がこれまでにもなんども口にした言葉。
樋口さんの死を前にこの言葉を口にするのは、私にはためらわれた。
この言葉は樋口さんにとっては目の敵のシンボルのようなものだったから。それを口にする権利は、雛菜にしかない。
灯織「……わかった、雛菜の気持ちは受け取ったよ」
摩美々「……なら、さっさと捜査を始めた方がいいんじゃないー?被害者が増えた現在、これまで通りの捜査だと間に合わないかもしれないしー」
愛依「そ、そうだよね……急がないといけない系だよね」
灯織「モノクマ、モノクマファイルをもらえますか?」
モノクマ「あいよ合点承知!流石に事件も5回目になるとボクとも連携をとれてきたね!すごい一体感を感じるよ!今までにない何か熱い一体感を!風……なんだろう吹いてきてる確実に、着実に、ボクたちのほうに!」
私は無言でモノクマファイルを受け取った。
『被害者は樋口円香。死因となったのは腹部を矢のような形状のもので貫かれたために臓器を損傷したことに伴う失血死およびショック死。死因となった腹部以外にも、全身には同様の殺傷痕がある』
遠めに見ても樋口さんの亡骸は異様だ。
腹部に限らず全身を貫く矢が体を固定してまるで磔のようになっている。
何かに見立ててているように、残虐かつ荘厳な雰囲気を漂わせている様相はこれまでの事件のいずれとも違う。
これを、私たちの誰かが……?
コトダマゲット!【モノクマファイルEX】
〔被害者は樋口円香。死因となったのは腹部を矢のような形状のもので貫かれたために臓器を損傷したことに伴う失血死およびショック死。死因となった腹部以外にも、全身には同様の殺傷痕がある〕
さて、ここから先は植物庭園の死体と並行して樋口さんの捜査も行わなければならない。
これが同一の事件で起きたものなのか、それとも別個のものなのかもわからない。謎は広がるばかりだ……
-------------------------------------------------
1.死体を調べる
2.ロッカーを調べる
↓1
2 選択
そもそもこの部屋にやってきたのはこのロッカーを調べるためだったけど、想定外の方向に話が進んでしまったな……
樋口さんのことは気にかかるけど、こちらもしっかり調べておかないと。
もしかすると二つの事件をつなぎとめる証拠になるかもしれない。
正体不明の死体のそばに落ちていた木札を取り出し、ロッカーと確かめる。札ごとに対応するロッカーが一つずつ決まっている形みたい。
この木札が対応しているのは『伍』番のロッカーだ。
ロッカーを開けてみると、そこにあったのは……弾薬?変わった形状で一般的に見かけるような弾ではない。これって……?
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一つ目の引き出しを引くと現れたのは……弾薬?
ドラマとかで見るのとは少し違う角張った形だ。リボルバー式の拳銃とかじゃ使えない、何か専用の銃がありそうなものだ。
危険物には変わりないし、これも回収しておいたほうがいいかな……?
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……あのとき男子トイレの奥の謎の空間で見つけた弾薬だ!
襲撃を受けた際にこの弾薬も回収されていたはず。
あの時に比べると、弾数が結構減ってしまっている?
このロッカーを使用した人間が使った後にしまい込んだってことでいいのかな。
でも、その弾薬がここにあるってことは……私をあの時襲撃した犯人って……
コトダマゲット!【弾薬】
〔武道場のロッカーに残されていた弾薬。通常の銃では使用不可能な形状をしていて、専用の銃を必要とする。灯織が男子トイレ奥の空間で見つけた時に比べると弾数が減っている〕
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【選択肢が残り一つとなったので自動進行します】
【死体を調べる】
樋口さん……死んでしまったことに全く現実味がない。
私たちをここ数日監禁していたのは樋口さん自身なんだし、それに私たちが何かを仕掛けてもすぐ退けるための薬品A/Bの調合薬も常備していた。
そんな彼女が不意を突かれたとでもいうのだろうか。
智代子「ねえ、円香ちゃんを下ろしてあげない?このままなのは流石に可哀想だよ……」
愛依「うん、そーだね……ハリツケは流石にね……」
灯織「そ、その……お腹を貫いてる矢はどうすれば……」
雛菜「……抜いちゃって大丈夫だよ~」
チョコに促されて、私たちは樋口さんを解放。一旦床に降ろすことに。
お腹を貫いていた矢が姿勢を固定していた部分が大きく、なかなか降ろすのには難儀した。
灯織「こんなに深々と突き刺さって……犯人はどんな力をふるったんでしょうか」
摩美々「……夏葉でもない限り、私たちじゃ難しいと思うんだケド」
摩美々「大体この円香に突き刺さってるのは矢っていうより槍みたいな感じだよねー」
灯織「そうですね、実際この弓道場に備え付けの矢とも異なるようです」
摩美々「……この槍ってどこから来たんだろうねー」
弓道場に遺体があるから樋口さんを貫いているのも矢だと思ってしまいがちだけど、形状からして槍の方が近い。
投てき競技なんかで私も見たことがある。
でも、それを軽々と振るって人に突き刺すとなると話は別だ。ましてや相手は樋口さん。
警戒心も人一倍なのにどうしてこんな方法で犯人は殺害を試みたんだろう。
コトダマゲット!【死体に突き刺さっていた槍】
〔全身を貫き、磔のようにしていた槍。弓道場の矢とは形状が異なり、出所不明〕
雛菜「灯織ちゃん、捜査をまだ続けると思うんだけどね~」
灯織「雛菜?どうかした……?」
雛菜「雛菜と一緒に円香先輩の部屋も見に行ってもらえないかな~、きっと手掛かりがあると思うし……」
そういう雛菜の表情は強張っていて、決意と哀愁を感じさせた。
誰よりも樋口さんの側で、樋口さんを理解しようと試みていた雛菜。
最後まで改心させることは叶わず、別離の時を迎えてしまった。
向き合おうとする雛菜の勇気、答えてあげないと。
灯織「うん、一緒に行こう……私でいいなら」
雛菜「灯織ちゃんだからこそだよ~~~!」
灯織「そう言ってくれるのは私もありがたいな……それじゃあ樋口さんの部屋に行くときは声をかけるから、その時一緒に行こうか」
雛菜「うん~~~!」
樋口さんの部屋には、私自身行ってみたい。浅倉さんと小糸の死を受けて変わってしまった樋口さん、その内面に少しでも私たちは迫っておくべきだから。
____覚悟が出来たら雛菜に声をかけよう。
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まずは学園の捜査を続けよう……それがひと段落したら、樋口さんの部屋に行こう。
1.【学校エリア】学園長室
2.【寄宿舎エリア】灯織の部屋
↓1
2 選択
【灯織の部屋】
死体の覆面を取ったときの爆発……あれを引き起こせるのって、私の持っていた爆弾のほかにないよね……?
となると、私がみなさんから預かっていたあの爆弾は……
個室に入って自分の机の引き出しを開ける。
ガラガラという音とともに、本来ならあの赤い球体、爆弾が姿を現すはずだけど……
無い。
そこにあるはずの爆弾が忽然とその姿を消してしまっている。
……この部屋に足を踏み入れたのは、救出の際にやってきた雛菜のほかには、私自身と樋口さんしかいない。
となると死体に爆弾を仕掛けたのって……
コトダマアップデート!【爆弾】
〔モノクマの内部に存在する爆弾。死体の上半身を吹き飛ばすにはこれを用いる他ない。灯織がずっと所持していたが、監禁の際に円香に奪い取られたものと思われる〕
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【選択肢が残り一つとなったので自動進行します】
【4F 学園長室】
摩美々「……」
灯織「あれ、摩美々さん……?こんなところでどうしたんですか?」
摩美々「や、ちょっと気になったことがあってねー」
灯織「と、言いますと……?」
摩美々「ここ、第三の動機で私たちに渡されるはずだったプレゼントがどうしても気になってねー」
灯織「樹里の分だけ無くなっていた、あれですか?」
摩美々「うん、もしかして今回の事件の証拠品のいずれかにそれに類するものがあるんじゃないかと思って見直しに来たんだよー」
(今回の事件で見つかった証拠品……そして、樹里に与えられた【超高校級の応援団長】という才能……それを合わせて考えると、樹里に与えられるはずだったプレゼントって……)
灯織「メガホン、でしょうか……?」
摩美々「やっぱりそれっぽいよねー、でもあのメガホンが事件にどう関係しているのかも分からないしぃ、結局手掛かりにはなってないカンジ?」
(そもそもあのメガホンは故障していた……そんなものをプレゼントとして用意してたっていうの……?)
コトダマアップデート!【メガホン】
〔植物庭園の倉庫の中に置いてあったメガホン。もともとは樹里に第三の動機で渡されるはずだった物だと思われる。壊れているのか声を大きくする機能が使えない〕
【円香の部屋前】
灯織「雛菜、待たせたね。準備できたよ」
樋口さんの部屋の前では、既に雛菜が私のことを待っていた。
扉は既に開錠済み、モノクマは捜査のこととなると本当に仕事が早い。
雛菜「灯織ちゃん……うん、行こっか~」
私たちを拒み続けた樋口さん、もう部屋の主はいないというのに彼女の個室は依然として私たちを拒むような空気を放っている。
ネームプレートに触れる。肌に張り付くような無機質な冷たさを感じた。
雛菜「……灯織ちゃん?」
この扉を開けるのは、私じゃない。
この事件を解き明かすのは全員に等しくのしかかる義務の十字架だけど、彼女に最初に踏み入るのは雛菜に義務がある。
私は雛菜を一瞥すると、すぐに身を引いた。ドアノブを引くのは私の役目じゃない。
そんな私の所作を見て意図をくみ取ってくれたのか、何も言わず雛菜はそのままドアノブを掴んだ。
雛菜「円香先輩、ごめんね……雛菜は、円香先輩のことも全部知りたい、真実を確かめたいから」
______そしてその扉は開かれた。
【円香の部屋】
当然のことながら、間取りは私の部屋とも同じだ。
ベッドにデスク、もともと最低限のものしか置かれていない。
見た目の上では私の部屋とは同じ、それはそうなのに……言葉に詰まる物々しさが充満していた。
間違いない。この部屋には何かがある。
彼女が私たちに抱き続けた敵意と殺意の炎、それが灯された松明のように今もこの部屋では燃え続けている。
灯織「雛菜」
雛菜「うん、灯織ちゃん……全部、全部全部暴き出そう……雛菜はそうじゃないと満足しないから~」
灯織「……よし!」
私はその敵意の焔の中へと踏み込んだ。
【机】
消しカス一つなく、机の上は整然と整えられている。
筆記用具とメモ帳も使っているとき以外はしっかり片付ける性格なんだろう。いかにも樋口さんらしいなと思いながら、引き出しを開けていく。
一つ目の引き出しから息が止まる。これは……薬品のボトルだ。
化学室で見たパッケージが並ぶ。薬品AB、そしてそれを調合したものと思われる……あの時食堂で見たボトル。
おそらくこれを開封すればものの数秒後に転がっているのは私の屍だ。
震える手でそのままボトルをもとの場所に戻す。
続いて二つ目の引き出しへ。そこに入っていたのは赤青の二冊のファイル。
……ってこれ、あの男子トイレの奥の部屋で私が見ていたファイル!?
あの時私が見た通りのラベリング、『希望ヶ峰学園歌姫計画』と書かれた青のファイル。
学園の見取り図が入った赤のファイル。どちらも私があの日見たものと全くの同一だ。
でもどうしてこれが樋口さんの部屋に?
私をあの時襲ったのは黒幕ではなく、樋口さん……だったの……?
少なくともこの部屋にファイルがあって、こうして引き出しに入っていた以上は樋口さんがこれを見ていた可能性は高い。そしてそれは、『このコロシアイは浅倉透のためのもの』という怪しい走り書きも同様。
……樋口さんは、何を思っていたんだろう。
……
いや、感慨にふけるのはまだ先だ。ひとまずはこの事実だけを記憶しておこう。
コトダマゲット!【円香の部屋のファイル】
〔灯織が男子トイレの奥の部屋で見たのとまったく同じファイルが円香の部屋に保管されていた。ファイルの中身は詳細不明の『希望ヶ峰歌姫計画』と学園内の見取り図の二つ〕
とうとう最後の引き出しに手を付ける。
そこにあったのは、全員に支給されている裁縫道具セットそして……樋口さんの日記だ。
A4サイズのキャンパスノート、罫線の上にはつらつらとここに来てからの出来事と心情が合わせて記されている。
……私たちのことを、恨み始めるまでも。
『5日目 透が殺された。このコロシアイはただ殺せばいいってものじゃないらしい、学級裁判とやらで犯人当てをして、犯人との間で命を懸けた推理ゲームに挑まないといけない。灯織の活躍もあって犯人の真乃を特定することはできた。でも、私は透の仇を取ることはできなかった。私の目の前で真乃は処刑されて、私の行動は小糸に諫められてしまった。私は、間違ってはいない。人を恨むこと、憎しむことは人間として当然の心情。そこから逃避することは果たして正しいの?』
『9日目 小糸が殺された。殺したのは樹里。小糸が深夜に出かけるのを偶然目撃し、後をつけた結果、小糸が図書室で本棚を使って押しつぶして殺されてしまう音を聞いてしまった。その音は、私にとっての天啓のようなものにも感じられた。ぴしゃんと頬をぶたれたような気分、酔いから醒めた気分。絆なんて世迷言を掲げていても何も救えない、何も守れない。現実から逃げて縋りつく生に何の意味があるというの?くだらない、くだらないくだらないくだらない。見ているだけで反吐が出る。私は絶対に否定する』
心臓を握られているような感覚だった。
指はミシミシと食い込んでいき、この胸の痛みもずきずきと増していく。
人の敵意を浴びた事よりも、樋口さんの真意を私が甘く見積もる楽観視をしていたことに対する自責の念がこみあげてきているんだ。
どこでボタンを掛け違えてしまった、なんて言葉を使うわけにはいかない。
これはそんな小手先の問題じゃない、もっと重要な“布地”の話だ。
そのまま目で字を追っていく。
怨嗟のこもった文字は乱れたり、時には力がこもったり、樋口さんの生きたままの感情が写し取られていて……正直読むのはかなり堪える。
特に私に対しては名指しされているところもある。
そんな中でもなんとかなんとか読み進めていくと、ある一節が目に付いた。
この合宿生活の中で、人を憎しみ続けた樋口さんのもう一つの本音。それを目にした瞬間、私は雛菜を呼び寄せていた。
灯織「雛菜、樋口さんの日記なんだけど……これは雛菜が読むべきだと思う」
雛菜「へ~?」
灯織「……読んであげて」
雛菜は訝しみながらもその日記に目を落とす。
私は少し身を引いて、雛菜の様子を見つめていた。
残された者の気持ちは、私が一番わかるつもりだ。
真乃の死のとき、私は直接お別れを言うことができたから、彼女の真意にもそこで触れることができた。
最後に人が想うのは、大切な人に対する想いだ。
他の人はどうあれ、自分にとって大切な人間の無事を願う、慈しみの心。
それを失することあれば、それはもう人間とは言えない。
____樋口さんは復讐の獣になんかなっていない。彼女も最後まで『人間』だった。
『今となっては幼馴染で生きているのは私と雛菜だけ。ならせめて、雛菜だけでも。雛菜にだけは生き残ってほしい』
……大丈夫、樋口さん。私は雛菜と一緒に、生き残ってみせるよ。
キーンコーンカーンコーン……
『時は金なり、なんて言葉があるけどまるっきり詭弁だよね!時間様とお金ごときが釣り合うわけないじゃん!』
『時間は人を老いさせ、殺すこともできるけど、お金は藪医者を雇って延命処置するしかできない。時間は友情を解決してくれるけど、お金は友情を破壊する。時間は砂漠を森林に還すけど、お金は苗木を買うことしかできない』
『結局お金って時間の後追いでしかないんだよね!それなのに人は愚かにもお金のために人を殺してしまう……時間が有り余るホームレスやってる方がよっぽど有意義なのにさ!』
『なんて無駄話をしてると時間が過ぎちゃいますよね!さあさ、学級裁判の時間ですよ~~~!学校エリア1Fの、赤い扉のエレベーターホールに全員集合~~~!』
……時間だ。いつもこの時には、私の隣にはめぐるがいた。
命のやり取りをすることに怯えるお互いを鼓舞し合い、勇気を沸かせ合う時間は今回はない。
これから始まるのは生存をかけた孤独の戦いなんだ。
……めぐる、信じてるから。
めぐるは無事なんだよね……
あの死体は、めぐるなんかじゃない。そう信じてるよ。
「……よし!」
【エレベーターホール】
エレベーターホールに入るとみなさんが待ち構えていて、それでもめぐるの姿はやっぱりそこにはなくて。
惑いブレる心臓をなんとか抑え込む。
摩美々「……二人とも、大丈夫―?」
雛菜「……はい~、ご心配感謝ですけど雛菜は万全ですよ~」
灯織「私も、覚悟は決めています」
替えの効かない、大切な大切な幼馴染の全員を失った雛菜。
人生で一番の親友、その所在が分からなくなっている私。
みなさんが私たちのことを心配するのは当然のことだった。
今すぐにでもその心配に甘んじて、ここで涙で目をはらしてしまいたい衝動はあった。でも、それは奥歯をグッとかみしめて押さえつける。
めぐるの生存を信じてあげられるのは私だけ。樋口さんの敵意に向き合う義務があるのも私。この事件から私は一番逃げちゃいけない存在だ。
灯織「絶対に犯人を見つけて、生き延びてみせます……!!」
摩美々「ホント、強くなったねー」
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エレベーターに私が乗り込むと、すぐ直後に後ろで扉が閉まった。
ゴウンゴウンと音を立てて下っていくエレベーターもこれで五回目。
気づけばエレベーターの中は私を含めて5人しかいなくなっていた。さらにここから戻るときには、一人減って4人になる。
めぐるの生存は未確定で、生きていれば帰るときは5人のままだけど、数の問題なんかじゃない。
心を通わせ合った仲間は数なんかで推し量れるものじゃない。感情に、想いに、結びつきに、ぽっかりと穴が開いてしまう。
穴、穴、穴。
そして私たちはまた穴へと堕ちていく。
希望も絶望も一緒くたにして呑み込んでしまう、暗くて深い、深淵の穴。
その穴から這い出るために、この命を燃やさなければならない。
_______他の誰かの命を代わりにして。
チーン!
そしてエレベーターは、穴底に到達した。
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モノクマ「やあやあ!よく来てくれましたね!準備はバッチリ整ってますよ~!」
摩美々「……内装、なんかいつも以上にごちゃついてますねー」
モノクマ「うん!コロシアイ合宿生活もそろそろ佳境だからね!人間の命のやり取りといえば戦争でしょ?だからそれを模したトラジェディックな内装にしてみたんだ!」
灯織「……」
モノクマ「……うぷぷ、今日は流石に風野さんもいつもと表情が違いますね!」
モノクマの言葉に耳なんか貸さなくていい。
私には、私のやるべきことがある。
めぐる……今どこで何をしているの?
めぐるは死んでない、生きているって私は信じているから。
めぐるが帰ってくるその時まで、私は一人で戦い続けるよ。
戦って戦って、生き残って……きっとめぐるを迎えに行くから。
だから……待っててほしい。
樋口さん……最後まであなたとは和解できなかった。
でも私はずっとあなたとも一緒に生きて還りたいと思っていました。きっとまた前のように笑い合える日が来ると、そう信じていました。
でも、そんな日はもう戻ってこない。
……なら、私にあなたのために戦わせてもらえませんか。きっと樋口さんははた迷惑だというでしょう、それでも……あなたとの絆を手放すのは嫌だ。
樋口さんとの間の絆も、私に背負わせてください。
私には、闘う理由がある。
私には、生き残る理由がある。
だから私は……この裁判でも絶対に勝ってみせる。
_______この『理由』のために。
というわけで本日の更新はここまで、なんだかんだ捜査パートはすぐ終わっちゃいますね。
次回更新から学級裁判に入ります。
この三連休でやってしまいたい……早めに更新の連絡は書き込ませていただきます。
そして次回までに購買が利用できるように、後でテンプレを貼っておきます。
次回更新までに購入したい商品を書いていただき(複数個可能)、裁判に持ち込めるようにしておきます。
メダルの利用先ももうなくなるので、直下とかじゃなく書き込まれたやつで先行順で買えるところまでぐらいで大丈夫ですかね。
念のため、事件の確信に関わるネタバレ考察などは書き込みを控えていただけると助かります。
それではお疲れ様でした。
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【購買】
灯織「さて……せっかくだし何か買っておこうかな?」
【以後交流の時間が無くなるため、お役立ち品購入推奨です】
【一部アイテムの効果が変更になりました】
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【自動販売機】
※【贈答用】
『メダル10枚で購入可能』
・希望のパーカー
・最高にカッコいいネックレス
・即席ちゃんぽん
・無銘の巾着
・ジャスティスV変身ベルト
・ダンベル君主論
・冬優子ちゃん育成キット
・デウス・エクス・翁
・ノロマ号
・にちかちゃん人形
・柄入りブルゾン
・カミサマの憤懣
・親愛のお守り
【お役立ち品】
・ロボット掃除機 30枚…生活が豊かなものになるかも?
・283プロのタオル 30枚…裁判で有利に働くかも?
・サイリウムブレード 40枚…裁判で有利に働くかも?
・虹の羽 50枚…裁判で有利に働くかも?
・はじまりのメッセージカード 50枚…裁判で有利に働くかも?
・敏腕記者の名刺 60枚…交流がやりやすくなるかも?
・※アイドルコミュの鍵 60枚…新しい力が手に入るかも?
・スーパーはづきさん人形 99枚…?????
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【現在のモノクマメダル枚数…151枚】
【購入したい品物があれば次回までに書き込んでください、相談などもご自由にどうぞ】
【複数購入可能なものは※がついています】
購買ははづきさんを買いたい方が多そうなので、はづきさん+虹の羽でよさそうですかね。
異論がなければこの二つ購入で次回更新時に確定します。
さて、肝心の更新日なのですが明日8/7の21:00~で現状考えています。
しかし、明日ワクチンを接種する都合上、副反応等で更新できない可能性もあることをあらかじめご了承ください…
少し遅くなりましたが予定通り再開します。
購買での商品購入もはづきさん人形+虹の羽で確定します。
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灯織「よし、これとこれで……学級裁判も乗り切れるかな?」
・虹の羽
〔輝く羽は希望を語る。ロジカルダイブで誤答した時、どこの選択肢があっていてどこが違うのかがわかる〕
・スーパーはづきさん人形
〔どんな事務仕事もたちどころに終わらせてしまう伝説の事務員を模した人形。反論ショーダウンでコンマ値をあげるスキル・アイテムがパニックトークアクション、議論スクラムでも適用されるようになる〕
【モノクマメダルを149枚消費しました】
【残りのモノクマメダル枚数…2枚】
【コトダマ】
‣【モノクマファイル5】
〔被害者は不明。死亡推定時刻は1時ごろ。死体は発見当時胸部にナイフが突き刺さっていた。その後覆面を剥がそうとした際に仕掛けてあった爆弾が起動。上半身の損壊は激しく、顔は判別不可〕
‣【謎の死体】
〔死体の上半身は爆破の衝撃で損傷が激しい。爆弾により引火した際に摩美々と雛菜が消火したため、上半身のみが濡れてしまっている〕
‣【左手のペンだこ】
〔爆破された死体の左手にはペンだこができていた。めぐるも円香も右利きなので通常できるはずがない〕
‣【植物庭園のニワトリ】
〔植物庭園内で飼育されていたニワトリ。なんだかニワトリの元気がなく、さらには事件前後でニワトリが一体減っていた〕
‣【ナイフ】
〔死体に突き刺さっていた凶器と思しきナイフ。他のナイフにはない装飾がついている一品もの。事件発生前はめぐるが所持していた〕
‣【スプリンクラー】
〔植物庭園一体を水やりするための設備。生徒側から設定をいじることはできず、毎朝7時30分に作動する設定になっていた〕
‣【モノクマフラワー】
〔人でも金属でもなんでも食べてしまう食虫植物。全長は約5mほどで見上げる高さ。夜時間の間は活動を停止する〕
‣【雛菜の証言】
〔雛菜も灯織たちと同様に部屋に監禁されていたが、部屋にはドアストッパーは噛まされておらず睡眠薬を盛られていた。同様にめぐるの部屋もドアストッパーが噛ませておらず、鍵がかかっていたらしい〕
‣【タオル】
〔事件後に愛依が拾ったタオル。焼け煤けているほか、何かで裂かれたような痕跡も残っている〕
‣【爆弾】
〔モノクマの内部に存在する爆弾。死体の上半身を吹き飛ばすにはこれを用いる他ない。学園内で現在所持しているのは灯織のみ〕
‣【生物室の扉】
〔締め切られていたはずの生物室は何か強い衝撃で破壊されていた。開放した生徒は校則に抵触していた恐れがある〕
‣【生物室の冷凍庫】
〔死体を保管するために使われているもの。これまでに犠牲になった9人に対し、ランプが点灯しているのは8つで数が合わない〕
‣【冷凍庫の仕様書】
〔本製品はご遺体安置を目的とした冷凍庫です。ご遺体をいつまでも美しい姿のまま保つべく、全方位から冷気を放出することにより急速冷凍を可能にしております。また、冷凍機能をオフにして使用することも可能です。冷凍機能のオンオフはランプの点灯をご参照ください〕
‣【モノクマファイルEX】
〔被害者は樋口円香。死因となったのは腹部を矢のような形状のもので貫かれたために臓器を損傷したことに伴う失血死およびショック死。死因となった腹部以外にも、全身には同様の殺傷痕がある〕
‣【死体に突き刺さっていた槍】
〔全身を貫き、磔のようにしていた槍。弓道場の矢とは形状が異なり、出所不明〕
‣【弾薬】
〔武道場のロッカーに残されていた弾薬。通常の銃では使用不可能な形状をしていて、専用の銃を必要とする。灯織が男子トイレ奥の空間で見つけた時に比べると弾数が減っている〕
‣【メガホン】
〔植物庭園の倉庫の中に置いてあったメガホン。もともとは樹里に第三の動機で渡されるはずだった物だと思われる。壊れているのか声を大きくする機能が使えない〕
‣【円香の部屋のファイル】
〔灯織が男子トイレの奥の部屋で見たのとまったく同じファイルが円香の部屋に保管されていた。ファイルの中身は詳細不明の『希望ヶ峰歌姫計画』と学園内の見取り図の二つ〕
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【学級裁判 開廷!】
モノクマ「まずは学級裁判のルールの確認から始めます」
モノクマ「学級裁判では皆さんの中に潜むクロを探していただきます」
モノクマ「議論の結果指摘されたクロが正解ならクロのみがおしおき、不正解ならクロ以外の全員がおしおきとなります」
摩美々「……ねえ、あれってどういう意味ー?」
モノクマ「と言いますと?」
摩美々「円香はまだしも、めぐるの席に建てられた写真付きの看板……他のみんなと違った装飾になってますよねー?」
モノクマ「深い意味はないよ!樋口さんは死亡が確認されたけど、八宮さんは未確定だからね!死亡を断定するわけにはいかないんだよね!」
(……めぐるの死は、未確定)
雛菜「じゃあこの裁判で生死も明らかにしなきゃダメってこと〜?」
モノクマ「そうなりますね!これは八宮めぐるさんの生死を明らかにした上で樋口円香さんの死の真相を解き明かすための裁判ですので!」
智代子「う〜、今までと勝手が違うから難しそうだね……」
灯織「大丈夫、やるべきこと自体は変わらないよ。徹底した議論を行なって、その中で答えを見つければいいんだから」
摩美々「ま、とりあえず議論を始めよっかー」
摩美々「まず最初に明らかにすべきなのは植物庭園の死体が誰だったのかってところだよねー」
愛依「うーん、それなんだけどさ……今この場にいるのがうち、灯織ちゃん、摩美々ちゃん、チョコちゃん、雛菜ちゃんの5人でしょ?」
愛依「だったら……消去法でめぐるちゃんってことになるんじゃないの?」
(そう……普通に考えれば、数の上ではそうなる……)
(でも、あの死体はきっとめぐるではない……!!)
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【ノンストップ議論開始!】
【コトダマ】
‣【モノクマファイル5】
‣【謎の死体】
‣【タオル】
‣【ナイフ】
‣【雛菜の証言】
‣【左手のペンだこ】
‣【円香の部屋のファイル】
摩美々「めぐるは生きているのか、死んでいるのか、まずはその議論から始めましょー」
智代子「めぐるちゃんはきっと生きてるよ!」
智代子「モノクマは生死を明かさないんじゃなくて、【明かせない】んだよ!」
愛依「でも、今この裁判上にはめぐるちゃん以外の全員がいるしさー」
愛依「結局【あの死体はめぐるちゃん】ってことになんない?」
雛菜「円香先輩はまた別に死んじゃってますしね〜」
摩美々「死体の数の上では、めぐるになっちゃうのは仕方ないケド」
摩美々「死体の数の帳尻を合わせる方法はないわけー?」
愛依「ちょ、チョージリ……?」
雛菜「もしかして、この学園には≪雛菜以外の学生もいた≫ってことですか〜?」
智代子「16人目の高校生……?!」
【正しいコトダマで矛盾する発言を論破もしくは正しい発言に同意しろ!】
↓1
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灯織「それは違います!」論破!
【BREAK!】
灯織「確かに死体の数、生存者の数を参照するとあの自体は自ずとめぐるということになるかもしれません」
灯織「でも、なによりも……あの死体自体がめぐるじゃないという証拠があればどうでしょう?」
愛依「え?そ、そんなショーコがあんの?!」
灯織「はい、死体の左手……その指にはペンだこが付いていたんです」
智代子「ぺ、ペンだこ……?」
摩美々「色々物を書いてたりするとできるタコのことだけどー……考えてみてよー」
摩美々「めぐるの利き手って、右だったよねー?」
雛菜「あは〜!右利きなら左手にタコができるはずないね〜!」
灯織「そう、あの死体はめぐるのものだとは考えづらいんです……!!」
愛依「ちょ、ちょい待ちちょい待ち!だとしたら今度はあの死体は誰だった、っていう疑問が湧いてくんだけど?!」
雛菜「それこそ雛菜の言ってた16人目の高校生って奴ですかね〜?」
灯織「いや、わざわざ別の人物を想定しなくても解決する方法はあるよ」
灯織「あの死体は私たちのよく知る人物、あの人だったんだよ」
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【怪しい人物を指摘しろ!】
↓1
灯織「あなたしか、いません!」
【解!】
灯織「霧子さん……数少ない左利きだよ」
愛依「き、霧子ちゃん?!」
智代子「ひ、灯織ちゃん?!霧子ちゃんは、その……もう事件が起きる前に死んじゃってたんだよ……?」
灯織「うん、わかってる。だからこそ、犯人はその死体を使ったんじゃないかな?」
雛菜「死体を〜?」
智代子「ね、ネクロマンス?!」
愛依「まぐろだんす……?」
摩美々「ほらそこ、ややこしくしないー……」
摩美々「まぁ話を戻すけどあの左手の正体を考えるとおのずとそうなるよねー、この合宿生活参加者で左利きは霧子と凛世の二人だけなんだしー」
智代子「ま、待ってよ!死体を再利用したって言ってもどうやって?!おしおきされた後の死体がどこに行ったのかなんて聞いてないよ?!」
灯織「うん……コロシアイ合宿生活で犠牲になった方々はみんなあの部屋にいたんだ」
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【正しいコトダマを選べ!】
>>377~379
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「生物室、私たちは入室不可能だったけど……あそこの部屋は実質的に霊安室になっていたんだ」
智代子「そ、そうなの?!」
灯織「備え付けの冷凍庫、あそこには死体を収容して保管する設備が備わっていた。つまり死体の再利用自体は可能だったんだよ」
摩美々「ということはー、犯人はわざわざ生物室の中の死体を引っ張り出して改めてナイフを突き立てた後に爆発させたことになりますねー」
摩美々「わざわざ左利きの死体をチョイスした理由はわかんないケド」
摩美々「凛世はおしおきで爆散しちゃってたから、再利用可能なのは霧子の死体だけだっただろうしー、あの死体は霧子って考えるのが自然かなぁ」
灯織「犯人は霧子さんの死体を生物室から持ち出して、あたかも新しい死体だと誤認させたんです!」
【智代子「その推理は甘すぎだよ!」】反論!
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智代子「待って灯織ちゃん!今の推理では大事なことが抜け落ちてるよ!」
灯織「ち、チョコ……?」
智代子「死体の再利用、それは本当に行われたのかな!」
灯織「だからそれは左手のペンだこが証拠で……」
智代子「確かに左手のペンだこは不自然だけど、死体を再利用したとなるとそれ以上に不自然な点が出てくるよ!」
智代子「この不自然を解消しない限り、死体の再利用は認められないと思うんだ!」
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【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【モノクマファイル5】
‣【生物室の冷凍庫】
‣【スプリンクラー】
‣【植物庭園のニワトリ】
‣【死体に突き刺さっていた槍】
‣【謎の死体】
智代子「めぐるちゃんは右利き」
智代子「死体には左手にペンだこがあった」
智代子「これは確かに大きな矛盾だけど」
智代子「あの死体がめぐるちゃんであることを否定するには弱いよ!」
智代子「めぐるちゃんがたまたま左手にタコを持っていた可能性だってあるよね?!」
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【発展!】
灯織「それを言い出したらキリがないよ……!」
灯織「この合宿生活に来てから物を書く機会は圧倒的に減っていた」
灯織「だからあの死体はやっぱり霧子さんだよ……!」
-------------------------------------------------
智代子「ううん!やっぱりおかしいよ!」
智代子「だってあの【死体の血痕はまだ新しかった】んだよ?!」
智代子「霧子ちゃんはそもそも冷凍庫の中で保存されていたから……」
智代子「出血量も抑えられるはずだよね?!」
智代子「死体を再利用したならあんな風にはならないんじゃないかな?!」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
灯織「その矛盾、切らせてもらうよ!」論破!
【BREAK!】
灯織「死体にはあった新しい血痕、あれも偽造された物だと思う」
智代子「え……?!」
灯織「植物庭園ではニワトリを飼育していたことをチョコも知ってると思うけど、事件後には鶏が一体減っていたんだ」
愛依「ま、まさか……?」
雛菜「ジェノサイド〜〜〜♡」
灯織「……新鮮な血液なら使用可能だったんだよ」
智代子「む、惨いね……」
摩美々「今回の事件はこれまでとまた違った悪意を感じるよねー、私たちに対する敵意っていうかー」
(敵意……樋口さんからずっと感じ続けていた感情もそうだったな)
愛依「でも、なんで犯人はわざわざそんなことをしたんだろ」
愛依「霧子ちゃんの死体を使うことで、何がしたかったの?」
灯織「……おそらく、犯人の狙いはあれなんじゃないでしょうか」
(今この場にめぐるがいないこと、霧子さんの死体を使ってまで殺人事件をでっち上げたこと。併せて考えると狙いはそれしかない)
-------------------------------------------------
・霧子が死んだ事実を受け入れられないから
・アリバイ工作のため
・死んだのがめぐるだと誤認させるため
【正しい選択肢を選べ!】
↓1
灯織「アリバイ工作のためだったのではないでしょうか?」
愛依「ん?アリバイ……?」
雛菜「雛菜よくわかんない~」
摩美々「……まぁ、今の話の流れして違うんじゃないのー」
(しまった、別のことを話せばよかったな……)
(あの左手の偽装、死体の血痕の偽装合わせて考えればその可能性は一つに絞られる……!)
-------------------------------------------------
・霧子が死んだ事実を受け入れられないから
・アリバイ工作のため
・死んだのがめぐるだと誤認させるため
【正しい選択肢を選べ!】
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「やはりあの死体をめぐるのものだと誤認させることこそが狙いだった、と考えるのが自然でないでしょうか?」
摩美々「まあ明らかにそういう意図だよねー。今回の犯人が誰にしろめぐるの存在を隠匿している中で死体だけ見たら、誰でもあれがめぐるだと思うしー」
智代子「ってことはつまり……めぐるちゃんは生きてるってこと?!」
灯織「……私は、今のところそう思うかな」
愛依「うーん、だとしたらめぐるちゃんは今どこにいんの?学園の中は隅々まで捜索したと思うけど……」
雛菜「もしかして、まだ監禁されてたりします〜?」
智代子「監禁って……そっか、めぐるちゃんもわたしたちと同じで円香ちゃんに捕まって?!」
灯織「……その可能性は案外高いかも。学校エリアで踏み入れられる場所は全て愛依さんと雛菜が捜索してくれていた、二人体制だから不正は起こり得ない」
灯織「だとすると私たちが入れない場所って個室ぐらいのものだから」
摩美々「……本当にそうかなぁ」
摩美々「仮にめぐるが個室で監禁されてるままで、生きてるんだとしたら……モノクマがここに連れて来ないのって不自然じゃないのー?」
愛依「た、確かに言われてみればそうかも……?」
摩美々「モノクマ、その辺の認識ってどうなってるのー?」
モノクマ「えーっとね、冒頭にも言ったけどこの事件では明らかに八宮さんの生死が謎の一部として組み込まれています。だからボクの一存で彼女の生死を明かすのはフェアじゃない」
モノクマ「例え今の推理通りだったとしても、最終的な結論が出るまではボクは八宮さんを部屋から出しはしないだろうね!」
摩美々「要は教える気はないってことねー」
灯織「……今は今までの推理を前提に議論を進めていきましょう」
智代子「えっと、霧子ちゃんの死体を生物室から持ち出してめぐるちゃんに偽装したんだったよね?」
愛依「そっから議論を進めていくとしたら……」
雛菜「どうして円香先輩の死体は偽装しなかった、とかですかね〜?」
(……え?)
雛菜「だってそうじゃないですか〜?円香先輩はむしろ見せつけるように殺してるのに、こっちは死体の偽装だなんてなんだかチグハグですよね〜」
灯織「……確かに」
愛依「んん〜〜〜?円香ちゃんの死は隠さなくても良かったってこと?」
摩美々「じゃ、今度はそこを話し合ってみよっかぁ」
摩美々「どうして犯人がめぐるの死を偽装して、円香の死は偽装しなかったのかー」
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【ナイフ】
‣【弾薬】
‣【モノクマファイル5】
‣【雛菜の証言】
‣【冷凍庫の仕様書】
‣【植物庭園のニワトリ】
‣【生物室の扉】
摩美々「犯人が霧子の死体を使ってめぐるの死を偽装した目的を話合おっかぁ」
智代子「めぐるちゃんが死んだと思わせることで≪犯人には何かメリットがあった≫んだよ!」
智代子「モノクマと何か約束をしてたんじゃないかな!例えば何か特典がもらえるとか!」
愛依「うーん、めぐるちゃんが≪生きてる場合何か不都合があった≫んじゃん?」
愛依「犯人のアリバイに関わるとか」
雛菜「≪自分自身が犯人だった≫から、死体を偽装したんじゃないですか〜?」
雛菜「死んでると思われたら容疑者からそもそも外れちゃいますし〜」
智代子「もしかして、≪霧子ちゃんの死体を使うことこそが目的だった≫とか?!」
智代子「何か霧子ちゃんの死体には秘密があったんだよ!」
【正しいコトダマで正しい発言に同意しろ!】
↓1
智代子「灯織ちゃん?同意してもらえるのは嬉しいんだけど……それってどういう意味なのかな」
智代子「い、いやごめんね?!わたしが分かってないだけかもなんだけど!」
灯織「う、ううん!私の方こそ……」
(しまった、別のことを話せばよかったな……)
(死体を偽装する、つまりめぐるがあそこで死んでいると私たちに誤認させることが目的だった)
(だとするとそれで得するのって……?)
【スキル:包・帯・組・曲の効果で誤答ペナルティが無効化されました】
【スキル:水色感情の効果でコトダマの数が減少します】
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【ナイフ】
‣【弾薬】
‣【モノクマファイル5】
‣【雛菜の証言】
‣【冷凍庫の仕様書】
‣【生物室の扉】
摩美々「犯人が霧子の死体を使ってめぐるの死を偽装した目的を話合おっかぁ」
智代子「めぐるちゃんが死んだと思わせることで≪犯人には何かメリットがあった≫んだよ!」
智代子「モノクマと何か約束をしてたんじゃないかな!例えば何か特典がもらえるとか!」
愛依「うーん、めぐるちゃんが≪生きてる場合何か不都合があった≫んじゃん?」
愛依「犯人のアリバイに関わるとか」
雛菜「≪自分自身が犯人だった≫から、死体を偽装したんじゃないですか〜?」
雛菜「死んでると思われたら容疑者からそもそも外れちゃいますし〜」
智代子「もしかして、≪霧子ちゃんの死体を使うことこそが目的だった≫とか?!」
智代子「何か霧子ちゃんの死体には秘密があったんだよ!」
【正しいコトダマで正しい発言に同意しろ!】
↓1
雛菜「え~?確かにストッパーがなかったのは不自然だけど、それだからって犯人になるの~?」
灯織「……うーん、推理の筋としてはそう間違っていないような気もするんだけど」
(しまった、別のことを話せばよかったな……)
(……雛菜の推理に何か活路がありそうな気がするのは確か)
(今のは少し飛躍があった、のかもしれない。もっと物証としてわかりやすいものはなかったかな……)
【スキル:包・帯・組・曲の効果で誤答ペナルティが無効化されました】
【スキル:包・帯・組・曲の効果を使い切りました】
【スキル:水色感情の効果でコトダマの数が減少します】
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【ナイフ】
‣【弾薬】
‣【モノクマファイル5】
‣【雛菜の証言】
‣【冷凍庫の仕様書】
摩美々「犯人が霧子の死体を使ってめぐるの死を偽装した目的を話合おっかぁ」
智代子「めぐるちゃんが死んだと思わせることで≪犯人には何かメリットがあった≫んだよ!」
智代子「モノクマと何か約束をしてたんじゃないかな!例えば何か特典がもらえるとか!」
愛依「うーん、めぐるちゃんが≪生きてる場合何か不都合があった≫んじゃん?」
愛依「犯人のアリバイに関わるとか」
雛菜「≪自分自身が犯人だった≫から、死体を偽装したんじゃないですか〜?」
雛菜「死んでると思われたら容疑者からそもそも外れちゃいますし〜」
智代子「もしかして、≪霧子ちゃんの死体を使うことこそが目的だった≫とか?!」
智代子「何か霧子ちゃんの死体には秘密があったんだよ!」
【正しいコトダマで正しい発言に同意しろ!】
↓1
愛依「めぐるちゃんが生きてるってうちらが思ってたら生じる不都合……」
愛依「いや、うちが言ったことだけど……なんなんかな?」
(しまった、別のことを話せばよかったな……)
(めぐるの生死を私が誤認した時……めぐるは既に死んでいる者として私たちは議論を進めることになる)
(それってつまり……)
【スキル:水色感情の効果でコトダマの数が減少します】
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【ナイフ】
‣【弾薬】
‣【モノクマファイル5】
‣【冷凍庫の仕様書】
摩美々「犯人が霧子の死体を使ってめぐるの死を偽装した目的を話合おっかぁ」
智代子「めぐるちゃんが死んだと思わせることで≪犯人には何かメリットがあった≫んだよ!」
智代子「モノクマと何か約束をしてたんじゃないかな!例えば何か特典がもらえるとか!」
愛依「うーん、めぐるちゃんが≪生きてる場合何か不都合があった≫んじゃん?」
愛依「犯人のアリバイに関わるとか」
雛菜「≪自分自身が犯人だった≫から、死体を偽装したんじゃないですか〜?」
雛菜「死んでると思われたら容疑者からそもそも外れちゃいますし〜」
智代子「もしかして、≪霧子ちゃんの死体を使うことこそが目的だった≫とか?!」
智代子「何か霧子ちゃんの死体には秘密があったんだよ!」
【正しいコトダマで正しい発言に同意しろ!】
↓1
正解以外のコトダマは適当に入れ込んでるのですが、これはこれで通っちゃいますね……
すみません、書き溜め外のルートを書く技量はないので今回ばかりは×にさせてください……!
-------------------------------------------------
智代子「うーん、モノクマファイルの記載に何か関係あるかな……?」
智代子「ごめんね!ちょっとわからないかな……」
(しまった、別のことを話せばよかったな……)
(めぐるが死んだと私たちが認識すれば、まず間違いなく容疑者から外れる)
(それは雛菜も言った通り……なら、めぐるが犯人だと断定できるような物証)
(めぐると強い結びつきのある証拠品がなかったかな……)
【スキル:水色感情の効果でコトダマの数が減少します】
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【ナイフ】
‣【弾薬】
‣【冷凍庫の仕様書】
摩美々「犯人が霧子の死体を使ってめぐるの死を偽装した目的を話合おっかぁ」
智代子「めぐるちゃんが死んだと思わせることで≪犯人には何かメリットがあった≫んだよ!」
智代子「モノクマと何か約束をしてたんじゃないかな!例えば何か特典がもらえるとか!」
愛依「うーん、めぐるちゃんが≪生きてる場合何か不都合があった≫んじゃん?」
愛依「犯人のアリバイに関わるとか」
雛菜「≪自分自身が犯人だった≫から、死体を偽装したんじゃないですか〜?」
雛菜「死んでると思われたら容疑者からそもそも外れちゃいますし〜」
智代子「もしかして、≪霧子ちゃんの死体を使うことこそが目的だった≫とか?!」
智代子「何か霧子ちゃんの死体には秘密があったんだよ!」
【正しいコトダマで正しい発言に同意しろ!】
↓1
灯織「いや、そんなはずは……」同意!
【BREAK!】
灯織「……死体発見時、覆面の死体にはナイフが突き刺してありました」
灯織「あのナイフについていた装飾は特殊で、ほかに同じものはこの学園にも存在していません」
智代子「そういえばあんまり見たことないナイフだったよね。わたしはよく厨房に出入りなんかしてるんだけど……そこでも見たことなかったかも!」
灯織「あのナイフは、めぐるが5階の調査の途中で確保していたものです」
智代子「……え?!」
愛依「めぐるちゃんが?!」
灯織「雛菜の言うように、めぐるが犯人だとは私には思い難い……」
灯織「でも、死体偽装の一端を担っているあのナイフが存在する以上はめぐるの関与は濃厚なものかと」
摩美々「円香を殺害した後にめぐるも連続殺人に巻き込まれた」
摩美々「そういう筋書きを想定していた、ってことなのかなー?」
愛依「そ、そんな……」
雛菜「実際雛菜たちははじめ被害者を誤認していたわけですし、左手のミスさえなければ気付かなかったんじゃないですかね〜」
智代子「あ、あのめぐるちゃんが……?」
(……)
(……違う、そんな裏切りが真実なわけない)
(確かにあのナイフはめぐるのものだけど、だからといってめぐるが犯人になるわけじゃない)
(今の推理はきっと大きな矛盾を孕んでいる……それを打ち破って真実を引っ張り出すんだ……!)
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【モノクマファイル5】
‣【冷凍庫の仕様書】
‣【タオル】
‣【植物庭園のニワトリ】
‣【生物室の扉】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
愛依「死体の偽装に使われたナイフは【めぐるちゃんのものだった】」
愛依「ってなるとめぐるちゃんが犯人?!」
智代子「円香ちゃんを殺害しためぐるちゃんは」
智代子「【生物室から霧子ちゃんの遺体を持ってきて】」
智代子「それに覆面をかぶせて【ナイフとニワトリの血を使って】新しい死体だと見せかけた」
智代子「被害者を誤認させることが目的だったのかな……?」
雛菜「【左手のペンだこ】がなかったら雛菜たちは多分気付いてなかったですしね〜」
摩美々「……灯織はどう?」
摩美々「めぐるが犯人だと思う?」
【正しいコトダマで矛盾する発言を論破しろ!】
↓1
灯織「それは違います!」論破!
【BREAK!】
灯織「いや、やっぱり前提からしておかしいですよ……!」
愛依「ひ、灯織ちゃん?前提がおかしいって……どこの部分?」
灯織「死体偽装ですよ……!そもそも生物室はみなさんもご存知の通り、鍵が閉まっていた。私たちには部屋に入ることすらできなかったんですよ」
智代子「そ、それはそうだけど……でも事件の後に行ったら扉は開いてたよね?」
灯織「あれは何者かによって破壊されたからだったんだよ!ほら、思い出してみて」
灯織「扉はひどく歪曲して、表面には焦げ跡のようなものもついていた。これって意図的に破壊されたものだよね?」
愛依「そういえばそうだったかも……」
灯織「そしてこの合宿生活における校則……鍵のかかったままの扉を意図的に破壊する行為は校則違反にあたるんだよ」
灯織「校則違反はモノクマによっておしおき処分が下る、死体を偽装しようとすればかえって自分自身が命を落とすことになるんだよ!」
智代子「ほ、ホントだ!自分だと思わせたい死体を用意する段階で自分が死んじゃったら意味ないよ!」
摩美々「ねえ、モノクマー。この校則のおしおきって学級裁判のおしおきと同義、処刑って捉えていいのー?」
モノクマ「そうだね、人間が犬にやるみたいに殺処分って考えてくれれば!」
灯織「この時点で、めぐるが死体を偽装したとは思い難いんじゃないでしょうか?」
愛依「うーん、そんな気がしてきた……」
智代子「待ってよ!それならあの生物室を開けたのって誰になるの?開けること自体が校則違反なら誰も開けられないよ?!」
摩美々「……ホントにそうー?」
(……え?)
摩美々「開けた人間が必ず死ぬ、それなら死んだ人間の中に開けた人がいるんじゃないのー?」
灯織「ま、摩美々さん……それって」
摩美々「ここまでいえば分かるよね、灯織ー」
摩美々「生物室の扉を開けたのって誰なのー?」
(死んだ人間の中に生物室の扉を開けた人間がいる……?それってつまり……)
-------------------------------------------------
【怪しい人物を指摘しろ!】
↓1
灯織「あなたしか、いません!」
【解!】
灯織「樋口さん、ですか?」
摩美々「ピンポーン、だいせいかーい」
摩美々「だよね、モノクマー?」
モノクマ「……」
摩美々「そもそも生物室は凛世の事件の後に行けるようになった場所、その時点で候補は絞られて……」
摩美々「生き残っているメンバーを除けば残るのは円香だけ、円香があの扉を開けたのは明らかだよー」
智代子「待ってみんな……!ま、円香ちゃんが開けた可能性が高いのは分かったけど……そもそも円香ちゃんはどうして、生物室に死体が保管されてるって知ってたの?」
智代子「わたしたちの誰も、そんな事実は知らなかったよね?!」
雛菜「そうですよね~、雛菜たちが探索してた時って確か生物室は閉鎖されてたはずですし~、中身は誰も知らなかったはずです」
摩美々「摩美々もこの事件が起きて初めて知りましたねー」
(……樋口さんがどうして生物室に死体があることを知っていたのか、その答えは明らかだ)
【正しいコトダマを選べ!】
>>377~>>379
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「雛菜、一緒に樋口さんの部屋に行ったときのこと覚えてる?」
雛菜「へ~~~?」
灯織「あの時雛菜には樋口さんの日記帳を渡したけど、同時に引き出しにはファイルが入ってたんだ」
愛依「ファイル……?ってことはなんかの資料、とか?」
灯織「その通りです。中には重要な情報の収められた資料……以前みなさんにもお伝えした情報が入っていました」
摩美々「それってまさかー」
灯織「私が2階男子トイレ奥で確認した書類と全く同一でした」
愛依「ま、マジで?!」
灯織「【希望ヶ峰学園歌姫計画】と【学校内見取り図】……今回重要になるのは後者ですね。私たちでは現状立ち入りの出来ない教室についても三次元的な図説である程度中を知ることが可能でした。生物室もその中には含まれます」
智代子「そっか……そのファイルで円香ちゃんは生物室の死体を利用する方法を思いついたんだね!」
愛依「そ、そっかぁ……あれ?でもそのファイルってさ、灯織ちゃんが襲われたときにごっそり無くなってたやつじゃなかったっけ。なんで円香ちゃんがそのファイルを持ってんの?」
灯織「……それの答えは、単純です」
灯織「樋口さんが、私をあの部屋で襲った犯人だったんです」
摩美々「まぁ、そうなるよねー……」
愛依「円香ちゃんが……」
灯織「……いろいろと思うところはありますが、今はもっと他に議論すべきところがあります」
智代子「そ、そうだよね……円香ちゃんが生物室の扉を破壊したっていう事実が大事なんだよね」
愛依「んー、でもさ」
雛菜「ん~?また何か引っかかるところでもあるんですか~?」
愛依「うん……円香ちゃんが死んでたのって武道場じゃん!おしおきを受けたんなら生物室で死んでなきゃおかしくね?!」
(それは……そうだ)
(モノクマの口ぶりからして、おしおきは基本的に即実行。校則違反の後には大した猶予もないと思う)
愛依「そ、そっかぁ……あれ?でもそのファイルってさ、灯織ちゃんが襲われたときにごっそり無くなってたやつじゃなかったっけ。なんで円香ちゃんがそのファイルを持ってんの?」
灯織「……それの答えは、単純です」
灯織「樋口さんが、私をあの部屋で襲った犯人だったんです」
摩美々「まぁ、そうなるよねー……」
愛依「円香ちゃんが……」
灯織「……いろいろと思うところはありますが、今はもっと他に議論すべきところがあります」
智代子「そ、そうだよね……円香ちゃんが生物室の扉を破壊したっていう事実が大事なんだよね」
愛依「んー、でもさ」
雛菜「ん~?また何か引っかかるところでもあるんですか~?」
愛依「うん……円香ちゃんが死んでたのって武道場じゃん!おしおきを受けたんなら生物室で死んでなきゃおかしくね?!」
(それは……そうだ)
(モノクマの口ぶりからして、おしおきは基本的に即実行。校則違反の後には大した猶予もないと思う)
摩美々「……それに関してはモノクマに話を聞こっかー。ねえ、モノクマ」
摩美々「例えば摩美々がここで校則違反をした時、『これから事件を起こして、偽装工作を終えた後にちゃんとおしおきをするので待っててもらえますー?』なんて聞いたらどうしますかぁ?」
モノクマ「……」
摩美々「この情報、フェアな学級裁判の進行には必要だと思うんですケド」
モノクマ「……えぇー、非常に取り扱いの難しい問題なわけですが、流石にそれは認めないかな」
摩美々「……!?」
モノクマ「流石にそれはクロに加担しすぎ!言ったよね、ボクはフェアな進行を約束するってさ!」
モノクマ「校則違反が確認されればその場で直接ボクの手で断罪させていただきます!」
摩美々「……そ、そっかぁ」
(……もしかして、今の反応からして摩美々さんの想定と違った?)
(確かに、事件が面白くなるならって理由でモノクマが加担することはあり得そうだし、摩美々さんの話にはある程度納得できた)
(しかし、それが違うとなれば……死体の偽装をしたのって誰なんだろう……)
智代子「ど、どういうこと……?円香ちゃんでもないなら、誰が生物室の扉を壊したの……?」
(……樋口さん以外は生きている、この時点で候補にはなり得ない)
(摩美々さんの言うように、直後のおしおきを免れるような方法でもない限り、生物室の扉が破壊されていたことには説明がつかない……)
(……でも、そんなのどうやって)
(モノクマは絶えず学園内を監視しているんだ……その視界から逃れられる瞬間なんて)
(…………)
(……!?)
(そうだ、その瞬間なら一度だけあった……!モノクマが学園内の監視をしていない瞬間が、一度だけ……!)
灯織「摩美々さん……まだ可能性はあります、思い出してください……モノクマの監視を逃れる方法は存在するんです、そしてそれを私たちは実際に目にしています……!!」
摩美々「えっ……」
摩美々「……」
(私の手で示そう、モノクマの監視を逃れる方法を……!!)
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q1.生物室の扉を開けた直後、犯人はおしおきされた?
A.されていない B.された
Q2.灯織たちの見た、モノクマの監視から外れた瞬間とはいつのこと?
A.灯織たちの監禁前夜
B.灯織たちが監禁される二日前
C.灯織たちが監禁される三日前
Q3.生物室の扉を開けた時、モノクマはどんな状態だった?
A. 他の生徒にかかりっきりになっていた B.眠っていた C.黒幕の制御から外れていた D.監禁されていた
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
↓1
-------------------------------------------------
(……いや、そうじゃない、これだと推理はつながらないよ)
【虹の羽が輝き、行く道を照らす……!】
【どうやらQ2で選んだ道が異なるようだ……】
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q1.生物室の扉を開けた直後、犯人はおしおきされた?
A.されていない B.された
Q2.灯織たちの見た、モノクマの監視から外れた瞬間とはいつのこと?
A.灯織たちの監禁前夜
B.灯織たちが監禁される二日前
C.灯織たちが監禁される三日前
Q3.生物室の扉を開けた時、モノクマはどんな状態だった?
A. 他の生徒にかかりっきりになっていた B.眠っていた C.黒幕の制御から外れていた D.監禁されていた
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
↓1
-------------------------------------------------
灯織「推理は繋がりました!」
【COMPLETE!】
灯織「私たちが監禁される二日前、愛依さんと倉庫で私が再会した晩のことを覚えていますよね?」
愛依「え?あ、あの時?……めっちゃ嬉しかった!ずっと心配してた灯織ちゃんに会えたからもう、安心して!」
灯織「そ、それは大変ありがたいんですが……重要なのはそこではなく」
灯織「あの時、愛依さんを含め私と樋口さん以外は体育館でモノクマを解体していましたよね?」
摩美々「……モノクマが突然停止したとかで、愛依に呼び出しを食らったんだよねー」
灯織「それから情報処理室でモノクマに再会するまで、私たちは完全にフリーでしたよね?」
智代子「た、確かに……コロシアイを管理するモノクマ自体が停止してたから……」
摩美々「だからこそ、情報処理室に直接乗り込んで爆弾で扉を開けようとしたわけだしねー」
灯織「あの時と同じように、モノクマの機能を停止させることができれば、その隙に生物室の扉を開けること自体は可能です!」
愛依「な、なるほど……」
雛菜「でもどうやって〜?」
雛菜「モノクマって雛菜たちより遥かに素早くて強いし〜、無力化なんて難しいと思うけど〜」
(……そう、問題はそこだ)
(あのモノクマを無力化なんてどうやったらできるんだろう)
灯織「……」
(……ダメ、そんな方法……知っていたなら脱出のために使っている)
(どうすれば、どうすればモノクマを封じられる……?)
(……)
(…………)
(………………)
愛依「……塔和シティ大規模暴動事件」
灯織「……愛依さん?」
愛依「いや、前に一度めぐるちゃんと一緒に見たことがあって……ちょっと思い出したんだけど」
雛菜「なんですかそれ〜」
愛依「いや、関係ないかも……ごめん」
灯織「愛依さん、話してください。今は些細なことでも情報が欲しいんです、詳細に聞かせてもらえませんか」
愛依「う、うん!えっとね……大規模な埋立地の塔和シティって街があって……そこでは子供が大人に対する反乱を起こしたんだって!」
摩美々「……何かのSF小説ですかぁ?」
愛依「こ、細かいことはわかんないんだけど、そこで活躍した未来機関って組織が、メガホン型ハッキング銃ってのを使って活躍したらしいんだよね!」
愛依「もしそんなのがあればモノクマも無力化できんのかなーって……ごめんね!ふと思っただけだから!」
摩美々「……灯織、これって」
灯織「……はい、摩美々さん」
灯織「愛依さん、おかげで謎が解けましたよ。モノクマのおしおきを回避しながら扉を破壊する方法、答えが出ました」
愛依「ま、マジで?!」
灯織「おそらくこの道具を使って、おしおきを回避したはずです……!」
【正しいコトダマを選べ!】
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「はじめ私はこれの使用用途がわからず、悩んでいましたが……そういうことだったんですね」
智代子「それって……メガホン?」
愛依「ってまさか……?」
灯織「そう、今の愛依さんの話に出てきたメガホン型ハッキング銃……その可能性があります!」
摩美々「トリガーを引いてもまるで拡声機能が使えないから壊れてるのかと思ったけどー、そういう目的のものじゃなかったんだねー」
灯織「これにどこまでの機能があるのかはわかりませんが、ハッキングと題している以上はモノクマの行動に制限を加えるのには十分すぎる品なのかと」
雛菜「ん〜、でもそんなものがあるのに、どうして雛菜たちはそれを知らなかったんですか〜?」
雛菜「脱出に役立ちそうなものだし、誰かしらが情報共有しそうなものですけど〜」
灯織「うん……このメガホンは学園内の設備として設けられたものではないんだ」
雛菜「え〜?」
灯織「そして、これの本来の持ち主はすでにこの場にはいない人物……」
愛依「この場にいない……?」
灯織「樹里に渡されるはずだった、3つ目の動機だったんだよ」
智代子「じゅ、樹里ちゃんの……動機?」
灯織「才能に応じたプレゼント、あれで【超高校級の応援団長】に渡されるはずのものがこれだったんだ」
愛依「確かにメガホンなら応援でもよく使うもんね!」
灯織「そして摩美々さん、この品は……」
摩美々「うん、摩美々たちが調べるよりも先に円香が回収してたやつだよー。だから使うこともできたのは円香のみー」
灯織「となると生物室の扉を開けたのは樋口さんと見て間違いないんじゃないでしょうか!」
愛依「じゃあ円香ちゃんが生物室の扉を開けて死体の偽装もしたんだ!」
灯織「めぐるにこれは不可能……めぐるがクロで追求を逃れたという推理はここで破綻します!」
【雛菜「今の推理きらい~~~~~!」】反論!
雛菜「灯織ちゃん、今の本気で言ってる~?」
灯織「……雛菜」
雛菜「流石にハッキング銃とか言われても信じられないし、大体そのメガホンが同じものだっていう証拠が無いよね~?」
(……このメガホンがハッキング銃である可能性は非常に高い)
(樋口さんが生物室の扉を破壊したと仮定すれば、矛盾はない。私たちが確証を持つためにも、ここは譲るわけにもいかない!)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【左手のペンだこ】
‣【スプリンクラー】
‣【弾薬】
‣【生物室の扉】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【植物庭園のニワトリ】
雛菜「確かにそのメガホンがハッキング銃ならうまくいくかもしれないけど~」
雛菜「そもそもそのハッキング銃っていうのも嘘くさいし~」
雛菜「モノクマにもその銃が通用するのかもわからないよね~?」
雛菜「推測で進めるには流石にリスクが高すぎる主張じゃないかと雛菜は思いまーす」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「確かにこれまでの議論では、あくまで仮定の上で進めて来た」
灯織「でも、実質的な証拠があれば雛菜も納得してくれるんだよね?」
-------------------------------------------------
雛菜「証拠があるなら、ね~?」
雛菜「ハッキング銃なんて存在がそもそも誰かの記憶だよりなものなんだし~」
雛菜「この【現実世界に存在するかどうかすらも怪しい】んじゃないの~?」
雛菜「このメガホンを起動して使えるなら確かめられるかもしれないけど~」
雛菜「それもできないなら、【もっと現実的な手段を他に考えるべき】だよ~!」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
雛菜「聞こえませ~~~ん!雛菜の反論を食い止めたいなら灯織ちゃんも全力で来てほしいな~!」
(くっ……今の反論じゃ切れ味が足りないか……)
(指摘する点はあっている、後は切れ味を研ぎ澄ますだけ……!)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【左手のペンだこ】
‣【スプリンクラー】
‣【弾薬】
‣【生物室の扉】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【植物庭園のニワトリ】
雛菜「確かにそのメガホンがハッキング銃ならうまくいくかもしれないけど~」
雛菜「そもそもそのハッキング銃っていうのも嘘くさいし~」
雛菜「モノクマにもその銃が通用するのかもわからないよね~?」
雛菜「推測で進めるには流石にリスクが高すぎる主張じゃないかと雛菜は思いまーす」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「確かにこれまでの議論では、あくまで仮定の上で進めて来た」
灯織「でも、実質的な証拠があれば雛菜も納得してくれるんだよね?」
-------------------------------------------------
雛菜「証拠があるなら、ね~?」
雛菜「ハッキング銃なんて存在がそもそも誰かの記憶だよりなものなんだし~」
雛菜「この【現実世界に存在するかどうかすらも怪しい】んじゃないの~?」
雛菜「このメガホンを起動して使えるなら確かめられるかもしれないけど~」
雛菜「それもできないなら、【もっと現実的な手段を他に考えるべき】だよ~!」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
今度こそコンマが70を超えたところで今回はここまで。
次回論破より再開いたします。
コトダマの選択肢でもどかしい思いをさせてしまったかもしれませんね、すみません……
ストーリー進行上正解に定義できるのは一つだけなので、ご了承ください。
次回更新は一日開けて8/9 21:00~を予定しています。
またよろしくお願いします、それではお疲れ様でした。
灯織「見切った!」論破!
【BREAK!】
灯織「雛菜、それならちょうどいいものがあるよ」
雛菜「え~?」
灯織「この弾薬だよ。もともとは私が男子トイレの奥の謎の空間で見つけたものなんだけど、この弾薬は形状が特殊で素人目にも通常の拳銃では使えない弾だったんだ」
灯織「これを……そのメガホンで試してみない?」
摩美々「そんな弾、どこで見つけたのー?」
灯織「武道場の木札を使うロッカーの中です。植物庭園に落ちていた伍番の木札、あれで開錠してみたところ入っていたのがこちらの弾でした」
灯織「さっそく、入れてみますね」
私はみなさんが注目する中、弾薬をメガホンに装てんすることにした。
メガホンを四方八方から観察すると……あった。
通常電池を入れる所はマガジンのようになっていて、ここに弾薬をつめることができる。
カチャ……カチッ
灯織「……入った」
愛依「マジで……?!本当にそれがハッキング銃だったん……?」
灯織「それを証明するためには……こう!」
モノクマ「え?」
『壊れろ!』
トリガーを引くと同時に『壊』の字を模したバーチャルの銃弾、電磁波パルスがモノクマめがけて飛んでいく!
突然のことでモノクマも反応できず……左目に着弾。
灯織「ど、どう……?」
モノクマ「……な、なにさ!なにするのさ!」
智代子「こ、これどうなったの?」
雛菜「銃弾は当たったように見えましたけど~」
モノクマ「ぷ、ぷひゃひゃひゃひゃ!な、なんだよ!ビビらせやがって!なんでもないお遊びじゃん!」
摩美々「ねぇ、モノクマー」
モノクマ「ん?」
摩美々「モノクマ、もう死んでるよー」
摩美々さんが指を刺した丁度そのタイミング。
モノクマの体はガクガクと震えだし高と思うと、その節々からカッと閃光。
モノクマ「……ひでぶぅ!?!?!?」
ドカーン
醜い断末魔と共に、モノクマの体は爆発四散した。
智代子「え、ええええええ?!」
愛依「も、モノクマが死んじゃった?!?!」
雛菜「あは~?」
灯織「……本物、ですね」
愛依「そ、それどころじゃないっしょ?!も、モノクマが……モノクマが……」
摩美々「……愛依、落ち着いてー。モノクマはいくらでもスペアがいるって、知ってるでしょー?」
愛依「そ、そっか……」
モノクマ「オレッチを呼んだクマか?!」
雛菜「あ、戻ってきた~~~~!」
智代子「あ、あれ……猫耳に二股のしっぽって……これって地縛霊の猫のあのキャラ……」
モノクマ「あのね、風野さん!試し打ちにしてもなんでボクに打つのさ!しかもよりによって『壊』のコトダマだなんて!まぁ、今回は意図的じゃなかったみたいだし大目に見るけどさ……」
摩美々「……『壊』のコトダマ?」
灯織「ハッキング銃は実在した……対人ではなく、対機械用の武器として」
灯織「モノクマ、このメガホンについて詳細に教えてくれませんか?どうしてあなたは自分にとって不都合な武器をわざわざ用意したんですか?」
モノクマ「はぁ、生き返って早々に質問攻めですか。行き着く暇もない、取り付く島もないとはこのことですね」
モノクマ「そちらのハッキング銃はこれまでの議論でも登場したとおり、もともとは超高校級の応援団長である西城樹里さんのためにご用意したものになります!お渡しする際にはハッキング銃とはお伝えしますが、弾は学園のどこかに隠したから見つけてねのスタンスの予定だったけど……その前に死んじゃったからさ」
モノクマ「学園長室に置いておいたらソッコー樋口さんが回収してたよね!そりゃそうか、ハッキング銃なんていくらでも使い道があるんだもんね!」
摩美々「樹里にはどこまで伝える予定だったわけー?私たちが学園長室に来たときには既にその銃と説明文が無くなってたから知ってる情報に開きがあると思うんだケド」
モノクマ「うーん……それぐらいは教えてあげてもいっか。この学園内に用意した弾は『壊』『観』『痺』『接』の四種類をそれぞれ用意しています。『観』は消費エネルギーも少ないので半永久的に使用可能ですが、『壊』『痺』『接』は持ち弾を消費しないと駄目なんだ!」
愛依「いや、全然わかんないんだけど……そのコトダマってなんなん?」
モノクマ「さっき見た通りだよ、風野さんがボクを爆破したのが『壊』のコトダマ、ボクを完全に痺れさせて暫く行動不能にするのが『痺』のコトダマ、ボクの制御を一定時間乗っ取ることのできる『接』のコトダマ。ここいらを覚えておけばとりあえずは大丈夫かな!」
摩美々「半永久的って言ってたやつはー?」
モノクマ「んー、まああんま関係ないんだけどさ。要はブラックライトみたいなもんなんだよ」
摩美々「了解ですー」
灯織「今の説明でもあったように、『接』のコトダマを使えばモノクマを乗っ取れる。ついさっき校則違反の話になったときも、モノクマは直接出向いておしおきを下すって言っていたからそのタイミングで撃ち込めば……一時的に回避できると思う」
智代子「そんな抜け道があったんだね……」
愛依「でも待って!だとしたら、どうして円香ちゃんは死んじゃったの?!だってモノクマのおしおきは回避したんだよね!?」
灯織「……完全な回避ってわけじゃなかったのかも」
愛依「え……?」
灯織「おしおきをしに現れたモノクマを操るために『接』のコトダマをぶつけると一時的に操作権は奪えても、おしおきをしに現れた状態は維持されたままになって……」
灯織「『接』の効果が切れたタイミングでおしおきが実行されたのかも……」
摩美々「その辺どうなの、モノクマー」
モノクマ「もう、さっきからボクに対する質問ばっかりじゃない?」
摩美々「だって摩美々たちの知らないシステム周りの話とかが今回の事件じゃ多いのでしょうがないじゃないですかぁ」
モノクマ「……まあ、そうだね。ボクがお仕置き状態で呼び出されて、『接』のコトダマを撃たれたら切れたタイミングでおしおきを発動するだろうね」
雛菜「じゃあ円香先輩は、生物室を破壊した分のペナルティを時間をずらして受けたってことですか〜?」
灯織「多分、そうなると思う……だって、その証拠も残ってたから」
雛菜「あは〜?」
(樋口さんはおしおきで殺された……それならあの不自然な死に方にも説明がつく……)
-------------------------------------------------
【正しいコトダマを指摘しろ!】
>>377~>>379
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「死因でもある、全身の槍の刺し傷。あの槍ってどこから来たものだったんでしょうか」
愛依「え?あれって弓道場で使う弓矢の矢じゃなくて?」
灯織「場所が場所だけに紛らわしいですが、形状が違います。鞭のような尾もついているし……矢というには長すぎます」
摩美々「あんなの、この学園の中でも見たことない……しかも一本や二本じゃない数あるし、それが出どころ不明って怪しすぎでしょー」
智代子「そういえば死体を下ろすときに槍に触ったけど、めちゃくちゃに重たかったよね……!あれをわたしたちの誰かが振り回して殺害したとは思いづらいよ!」
灯織「モノクマ、樋口さんを殺害したのはあなたなんじゃないですか?」
モノクマ「中部地方の山間部に広く伝わる郷土料理といえば?」
灯織「は?」
モノクマ「五平餅だよ!五平餅!粒が残るぐらいに米を潰して作ったお餅で、タレとか味噌をつけると絶品なんだよね!」
モノクマ「大崎さんが生きてたら郷土料理トークに花を咲かせてたところなんだけど、それも叶わない……寂しいもんですな」
摩美々「話聞いてたぁ?円香をおしおきしてモノクマが殺したんじゃないかって訊いてるんだけどぉ?」
モノクマ「だから言ってるじゃん、ゴヘイだって!」
灯織「はぁ……」
モノクマ「ボクは樋口さんを殺したんじゃなくて、校則違反なので制裁を加えただけだよ!オマエラみたいなエゴイズムで手にかけたと思われるのは心外!だから“語弊”なんだよ!」
摩美々「要は認めたってことだねー」
愛依「じゃあ今の推理は正しかったんだ!」
灯織「樋口さんが生物室の扉をこじ開け、おしおきはハッキング銃で回避。その後偽装工作の末に『接』のコトダマが時間切れになってしまいおしおきが武道場で執行された」
灯織「これが今回の事件の全容です!」
愛依「よっしゃ!今回も解決じゃん!」
智代子「よかったー!愛依ちゃんがハッキング銃の話を覚えてくれてたおかげだよ〜!」
愛依「いや、それを拾ってくれた灯織ちゃんの方がマジですごいっしょ!」
(……そう、これが事件の真実)
(死体は霧子さんで偽装したものだから、めぐるも生きている)
(樋口さんの思惑を打ち破ったんだ……!)
【雛菜「円香先輩のことなんにもわかってない〜〜〜〜〜〜!!」】反論!
-------------------------------------------------
灯織「え……?雛菜……?」
……ちがう。
みんなは、円香先輩のことをわかってない。
円香先輩はそんなんじゃない。
雛菜たちのことが大好きでたまらない円香先輩が、復讐に走ってこんなので終わるわけない。
雛菜たちのことを本当に恨んでいるなら、こんな絶望で終わらせるような円香先輩じゃない。
________円香先輩は本当に子供っぽいから。
雛菜「灯織ちゃん、今のが灯織ちゃんの到達した結論なの〜?」
灯織「う、うん……今の推理で矛盾はないと思うんだけど……」
雛菜「確かに今の推理はあってると思うけど〜、円香先輩がこれで終わりだと雛菜には思えないんだよね〜」
灯織「そ、それってどういう意味……?」
雛菜「ん〜……わかった!雛菜が灯織ちゃんに教えてあげるね!円香先輩の悪意ってやつ〜!」
-------------------------------------------------
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【ナイフ】
‣【雛菜の証言】
‣【モノクマファイルEX】
‣【死体に突き刺さっていた槍】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【モノクマファイル5】
灯織「今回の樋口さんの狙いは、被害者の誤認と自分自身の死を不透明なものにすること」
灯織「まず最初に生物室の扉をした樋口さんは」
灯織「ハッキング銃でモノクマを無力化、お仕置きを一時的に回避」
灯織「その間に生物室から霧子さんの死体を持ち出して」
灯織「その後に武道場で銃の効果が切れたモノクマにおしおきで殺される」
灯織「ここまでが事件の流れだよ」
-------------------------------------------------
【発展!】
雛菜「それ自体に矛盾はないけど〜」
雛菜「被害者の誤認の部分について詳しく聞かせてもらえる〜?」
-------------------------------------------------
灯織「霧子さんの死体で偽装したのはめぐるの死だよ」
灯織「めぐるを【私たち同様に個室に閉じ込めて】おいて」
灯織「その状態で死体を目撃すれば私たちは自然とめぐるだと勘違いしただろうし……」
灯織「【めぐるのナイフを使った】のもその一端なんじゃないかな」
灯織「めぐるの事件への関与をあれで印象付けたんだよ」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
【コンマ 12+25<70】
灯織「……雛菜、死体の偽装に間違いなんかないよ。だってこれまで雛菜も一緒に議論してきたでしょ?」
(う~ん、案外灯織ちゃんも手ごわいんだな~……)
(もっと刃を研ぎ澄まさないと、負けちゃうかもね~……)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【ナイフ】
‣【雛菜の証言】
‣【モノクマファイルEX】
‣【死体に突き刺さっていた槍】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【モノクマファイル5】
灯織「今回の樋口さんの狙いは、被害者の誤認と自分自身の死を不透明なものにすること」
灯織「まず最初に生物室の扉をした樋口さんは」
灯織「ハッキング銃でモノクマを無力化、お仕置きを一時的に回避」
灯織「その間に生物室から霧子さんの死体を持ち出して」
灯織「その後に武道場で銃の効果が切れたモノクマにおしおきで殺される」
灯織「ここまでが事件の流れだよ」
-------------------------------------------------
【発展!】
雛菜「それ自体に矛盾はないけど〜」
雛菜「被害者の誤認の部分について詳しく聞かせてもらえる〜?」
-------------------------------------------------
灯織「霧子さんの死体で偽装したのはめぐるの死だよ」
灯織「めぐるを【私たち同様に個室に閉じ込めて】おいて」
灯織「その状態で死体を目撃すれば私たちは自然とめぐるだと勘違いしただろうし……」
灯織「【めぐるのナイフを使った】のもその一端なんじゃないかな」
灯織「めぐるの事件への関与をあれで印象付けたんだよ」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
【コンマ 31+25<70】
灯織「雛菜、樋口さんの事件の真相にたどり着くためだから……お願いだから雛菜も協力してほしい」
(え~?これでもダメ~?)
(なかなか反論って言うのも難しいんだね~……正面から斬り合うんだから、もっと力込めなきゃだね~)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【ナイフ】
‣【雛菜の証言】
‣【モノクマファイルEX】
‣【死体に突き刺さっていた槍】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【モノクマファイル5】
灯織「今回の樋口さんの狙いは、被害者の誤認と自分自身の死を不透明なものにすること」
灯織「まず最初に生物室の扉をした樋口さんは」
灯織「ハッキング銃でモノクマを無力化、お仕置きを一時的に回避」
灯織「その間に生物室から霧子さんの死体を持ち出して」
灯織「その後に武道場で銃の効果が切れたモノクマにおしおきで殺される」
灯織「ここまでが事件の流れだよ」
-------------------------------------------------
【発展!】
雛菜「それ自体に矛盾はないけど〜」
雛菜「被害者の誤認の部分について詳しく聞かせてもらえる〜?」
-------------------------------------------------
灯織「霧子さんの死体で偽装したのはめぐるの死だよ」
灯織「めぐるを【私たち同様に個室に閉じ込めて】おいて」
灯織「その状態で死体を目撃すれば私たちは自然とめぐるだと勘違いしただろうし……」
灯織「【めぐるのナイフを使った】のもその一端なんじゃないかな」
灯織「めぐるの事件への関与をあれで印象付けたんだよ」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
【コンマ 99+25>70】
雛菜「やは~~~~♡」論破!
【BREAK!】
雛菜「灯織ちゃん、自分自身が監禁されてた時のことは覚えてる〜?」
灯織「え……お、覚えてるけど……」
雛菜「あの時、どんな状態で閉じ込められてた〜?」
灯織「目隠しと耳栓、手を椅子に拘束されてた……」
雛菜「それともう一つ、ドアストッパーがあったよね〜?」
灯織「……うん」
雛菜「どうして円香先輩がそこまでしたかわかる〜?」
灯織「……?」
雛菜「鍵を奪ってそれぞれの個室に監禁したところで、鍵は内側から解錠可能だからだよ〜!ドアストッパーなら鍵の有無にかかわらず出入り不可能にできるから、それを狙ってたんだろうね〜」
摩美々「廊下側から固定してしまえば扉が動きようがないもんねー」
智代子「そこまでのことをやってたんだ……」
雛菜「でも、全員が全員その監禁方法をされてたわけじゃないんだよね〜」
愛依「え、そうなん?」
雛菜「一人めは雛菜だよ〜!円香先輩は雛菜に睡眠薬を盛るぐらいしかやってなくて、多分他のみんなを助ける役割をさせたかったんだと思うんだよね〜」
灯織「実際私を含め、ここにいる全員が雛菜に救われています……」
雛菜「そして、ドアストッパーが噛ませてなかった部屋がもう一室……今回の被害者の部屋だよ〜」
灯織「めぐるの部屋……」
雛菜「しかも鍵はかかったまま……これっておかしくないですか〜?」
雛菜「他の部屋は鍵をかけられないからドアストッパーを代わりに噛ませてるのに、この部屋だけかけることができたんですかね〜?」
愛依「めぐるちゃんの部屋だけ……?な、なんでそんなことが起きんの?!」
(めぐるの部屋だけ鍵がしっかりかかっていた理由は……一つしかない)
-------------------------------------------------
・鍵がオートロックだったから
・鍵を閉めたのがめぐる本人だから
・円香がマスターキーを持っていたから
【正しい選択肢を選べ!】
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「個室の鍵を閉めることができるのはその本人のみ……となると閉めたのはめぐる以外に考えられません」
雛菜「円香先輩は鍵が使えないからこそドアストッパーを噛ませるなんて方法を取ったんだしね〜」
摩美々「ドアストッパー自体は倉庫で手軽に入手可能……ホントあそこの倉庫って殺人道具の見本市って感じだよねー」
モノクマ「げへへ……褒めても何も出やしませんぜ姉御」
愛依「いや褒めてないっしょ!?」
智代子「じゃあ個室にめぐるちゃんが閉じ込められてる可能性はないってこと……?」
愛依「だとしたら今度こそめぐるちゃんはどこにいんの?!霧子ちゃんの死体を偽装して、生死を誤認させたっていうあのトリックは?!」
灯織「……」
(そうだ、結局めぐるはどこに行ってしまったのか……その議論に終始する)
(この学園内で他に密室にできるようなところはない……)
(他に生きた人間をそのまま収容できるような場所はないのかな……)
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【爆弾】
‣【雛菜の証言】
‣【スプリンクラー】
‣【円香の部屋のファイル】
‣【謎の死体】
‣【モノクマフラワー】
‣【弾薬】
智代子「めぐるちゃんは結局どこに行っちゃったの?!」
愛依「めぐるちゃんの個室にいないのなら……」
愛依「これまでに≪犠牲になった誰かの部屋に閉じ込められてる≫とか?!」
雛菜「≪生き残ってる誰かの部屋≫でも隠せるスペースがあったのかもしれませんよ〜?」
愛依「それこそ≪円香ちゃんの部屋≫はどうなん?!」
摩美々「≪愛依と雛菜の知らないところ≫に隠してるとかー?」
愛依「いやいやいや、うちらは学校の全ての部屋を見てきたよ!?」
雛菜「学校エリアで≪雛菜たちじゃ調べられないところ≫でもあるんですか〜?」
摩美々「案外、まだ摩美々たちじゃ≪入れない部屋の中≫にいたりしてー」
摩美々「寄宿舎エリアの二階とか、誰も足を踏み入れてませんよねー」
【正しいコトダマで正しい発言に同意しろ!】
↓1
灯織「そ、そんなはずは……」同意!
【BREAK!】
灯織「……ひとつだけ、学校エリアの中で愛依さんと雛菜でも捜索できない場所があると思います」
愛依「え、マジ?……あ、男子更衣室とか?!」
灯織「いえ、それは私たち全員も同じ……仮にめぐるを閉じ込めるとしても犯人にも不可能ですから」
灯織「私が不可能だと言っているのは物理的に不可能だからなんです」
愛依「ぶ、ブツリ的……?」
愛依「ごめん!うち理科系の科目はマジで全くでさ〜!」
摩美々「や、そういう物理じゃなくてー……」
灯織「みなさんは植物庭園に入った際に何か気になるものを見ませんでしたか?というか見ざるを得ないものがあったと思うんですが……」
智代子「もしかして、モノクマフラワー?!」
愛依「え……あ、あれってさ……ザッショクの植物とか言ってなかったっけ……」
灯織「……」
灯織「あまり考えたくはないんですが……可能性としては考慮すべきものではないかと。モノクマフラワーに食べさせた、とすれば物理的に発見は不可能になります……」
【摩美々「それは違うよー」】反論!
摩美々「はいストップー。灯織、妄想はそこまでにしてもらえるー?」
灯織「摩美々さん……?」
摩美々「モノクマフラワーにめぐるを食べさせる?そうすれば私たちの誰も発見不可能かもしれないけどー」
摩美々「そんなのできっこないんだよねー」
(いや、モノクマフラワーを利用すること自体は私たちにも可能だったはずだ)
(……摩美々さんにその方法を示すんだ!)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【モノクマフラワー】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【爆弾】
‣【モノクマファイル5】
‣【タオル】
‣【左手のペンだこ】
摩美々「めぐるの姿は学園内のどこにもなくー」
摩美々「監禁されていた事実もないー」
摩美々「この謎を解消するのには確かにモノクマフラワーはうってつけだけどさぁ」
摩美々「流石にモノクマフラワーはあり得ないっていうかぁ」
摩美々「妄想の域を出ないって言うかぁ……」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「いえ、妄想ではありません……!」
灯織「突飛な発想ではありますが、それを可能にする方法だってあります……!」
-------------------------------------------------
摩美々「いやいや、だって考えてもみなよー」
摩美々「モノクマフラワーは全長にして5mもあるんだよー?」
摩美々「めぐるを食べさせるにしても、捕食部まで持っていくことができないでしょー」
摩美々「植物庭園には梯子の類もないしー」
摩美々「投げるにはめぐるの体は重すぎるしー」
摩美々「【モノクマフラワーに食べさせることがそもそもできない】んだよねー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
灯織「摩美々さん……モノクマファイルに死体が何者だったかの記載はありません、ともすればモノクマフラワーに食べさせた可能性も否定できないのでは?」
摩美々「や、それはそうだけど……摩美々が欲しいのは、モノクマフラワーに食べさせることが可能だった証拠なんですよねー」
摩美々「それはあくまで可能性じゃーん」
(うっ……別のことを話せばよかったな)
(摩美々さんの言う通りだ……私が摩美々さんに示すべきは可能性じゃなくて証拠……何か無かっただろうか……)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【モノクマフラワー】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【爆弾】
‣【モノクマファイル5】
‣【タオル】
‣【左手のペンだこ】
摩美々「めぐるの姿は学園内のどこにもなくー」
摩美々「監禁されていた事実もないー」
摩美々「この謎を解消するのには確かにモノクマフラワーはうってつけだけどさぁ」
摩美々「流石にモノクマフラワーはあり得ないっていうかぁ」
摩美々「妄想の域を出ないって言うかぁ……」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「いえ、妄想ではありません……!」
灯織「突飛な発想ではありますが、それを可能にする方法だってあります……!」
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摩美々「いやいや、だって考えてもみなよー」
摩美々「モノクマフラワーは全長にして5mもあるんだよー?」
摩美々「めぐるを食べさせるにしても、捕食部まで持っていくことができないでしょー」
摩美々「植物庭園には梯子の類もないしー」
摩美々「投げるにはめぐるの体は重すぎるしー」
摩美々「【モノクマフラワーに食べさせることがそもそもできない】んだよねー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
灯織「摩美々さん、爆弾を用いたのならどうでしょうか」
灯織「爆風で死体を打ち上げればモノクマフラワーに捕食させることも或いは……」
摩美々「発想は面白いけどさー、そんなことしたらそもそも死体がバラバラになっちゃわないー?」
(うっ、別のことを話せばよかったな……)
(爆弾でも不可能ではなさそうだけど、もっと確実な方法がないかな……?)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【モノクマフラワー】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【爆弾】
‣【モノクマファイル5】
‣【タオル】
‣【左手のペンだこ】
摩美々「めぐるの姿は学園内のどこにもなくー」
摩美々「監禁されていた事実もないー」
摩美々「この謎を解消するのには確かにモノクマフラワーはうってつけだけどさぁ」
摩美々「流石にモノクマフラワーはあり得ないっていうかぁ」
摩美々「妄想の域を出ないって言うかぁ……」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「いえ、妄想ではありません……!」
灯織「突飛な発想ではありますが、それを可能にする方法だってあります……!」
-------------------------------------------------
摩美々「いやいや、だって考えてもみなよー」
摩美々「モノクマフラワーは全長にして5mもあるんだよー?」
摩美々「めぐるを食べさせるにしても、捕食部まで持っていくことができないでしょー」
摩美々「植物庭園には梯子の類もないしー」
摩美々「投げるにはめぐるの体は重すぎるしー」
摩美々「【モノクマフラワーに食べさせることがそもそもできない】んだよねー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
※すみません、ちょっとおひとりの方の連投で
片っ端から回答している感じになってきたので連続で回答いただいてる方は10分ほどお待ちいただいてもよろしいでしょうか
その間に他の方の回答がなければ10分後に回答していただけると幸いです
-------------------------------------------------
摩美々「……タオル?なにそれ、それで死体をぶん回すってコトー?」
灯織「いえ、流石にこれは自分でも突飛すぎると思いました……」
(うっ……別のことを話せばよかったな……)
(うーん、発想から変えてみるべきなのかな……?)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【モノクマフラワー】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【爆弾】
‣【モノクマファイル5】
‣【タオル】
‣【左手のペンだこ】
摩美々「めぐるの姿は学園内のどこにもなくー」
摩美々「監禁されていた事実もないー」
摩美々「この謎を解消するのには確かにモノクマフラワーはうってつけだけどさぁ」
摩美々「流石にモノクマフラワーはあり得ないっていうかぁ」
摩美々「妄想の域を出ないって言うかぁ……」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「いえ、妄想ではありません……!」
灯織「突飛な発想ではありますが、それを可能にする方法だってあります……!」
-------------------------------------------------
摩美々「いやいや、だって考えてもみなよー」
摩美々「モノクマフラワーは全長にして5mもあるんだよー?」
摩美々「めぐるを食べさせるにしても、捕食部まで持っていくことができないでしょー」
摩美々「植物庭園には梯子の類もないしー」
摩美々「投げるにはめぐるの体は重すぎるしー」
摩美々「【モノクマフラワーに食べさせることがそもそもできない】んだよねー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
【コンマ 37+25<70】
摩美々「そんな太刀筋じゃかなわないって今までの経験で学ばなかったのー?」
摩美々「摩美々は手加減するほどいい子じゃないのでー」
(くっ……さすがは摩美々さん、手ごわい……)
(矛盾を突き崩す策は見つかった、後は切り伏せるだけ……!)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【モノクマフラワー】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【爆弾】
‣【モノクマファイル5】
‣【タオル】
‣【左手のペンだこ】
摩美々「めぐるの姿は学園内のどこにもなくー」
摩美々「監禁されていた事実もないー」
摩美々「この謎を解消するのには確かにモノクマフラワーはうってつけだけどさぁ」
摩美々「流石にモノクマフラワーはあり得ないっていうかぁ」
摩美々「妄想の域を出ないって言うかぁ……」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「いえ、妄想ではありません……!」
灯織「突飛な発想ではありますが、それを可能にする方法だってあります……!」
-------------------------------------------------
摩美々「いやいや、だって考えてもみなよー」
摩美々「モノクマフラワーは全長にして5mもあるんだよー?」
摩美々「めぐるを食べさせるにしても、捕食部まで持っていくことができないでしょー」
摩美々「植物庭園には梯子の類もないしー」
摩美々「投げるにはめぐるの体は重すぎるしー」
摩美々「【モノクマフラワーに食べさせることがそもそもできない】んだよねー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
【コンマ 30+25<70】
摩美々「ふふー、まだまだだねー」
摩美々「摩美々を黙らせたいなら、全力を出しなよー」
(くっ……さすがは摩美々さん、手ごわい……)
(あと少し、あと少しでいいのに……!)
-------------------------------------------------
【反論ショーダウン開始!】
コトノハ
‣【モノクマフラワー】
‣【謎の死体】
‣【メガホン】
‣【爆弾】
‣【モノクマファイル5】
‣【タオル】
‣【左手のペンだこ】
摩美々「めぐるの姿は学園内のどこにもなくー」
摩美々「監禁されていた事実もないー」
摩美々「この謎を解消するのには確かにモノクマフラワーはうってつけだけどさぁ」
摩美々「流石にモノクマフラワーはあり得ないっていうかぁ」
摩美々「妄想の域を出ないって言うかぁ……」
-------------------------------------------------
【発展!】
灯織「いえ、妄想ではありません……!」
灯織「突飛な発想ではありますが、それを可能にする方法だってあります……!」
-------------------------------------------------
摩美々「いやいや、だって考えてもみなよー」
摩美々「モノクマフラワーは全長にして5mもあるんだよー?」
摩美々「めぐるを食べさせるにしても、捕食部まで持っていくことができないでしょー」
摩美々「植物庭園には梯子の類もないしー」
摩美々「投げるにはめぐるの体は重すぎるしー」
摩美々「【モノクマフラワーに食べさせることがそもそもできない】んだよねー」
【矛盾する発言を正しいコトノハでコンマ70以上で論破しろ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
【コンマ 55+25>70】
灯織「その矛盾、切らせてもらいます!」
【BREAK!】
灯織「確かに私たちの手ではめぐるをモノクマフラワーに食べさせることは難しいかもしれません」
灯織「でも、食べさせるのが私たちでなかったらどうですか?」
智代子「わたしたちじゃ、ない……?」
雛菜「あは〜!雛菜わかった〜〜〜!モノクマを使ったんでしょ〜〜〜〜〜!!」
灯織「うん、雛菜の言う通りだよ。メガホン型ハッキング銃、これを使えばモノクマの操作権を得ることが可能になるのは確認した通り」
灯織「モノクマの身体能力は並外れている……それこそモノクマフラワーの捕食部の高さにまでめぐるを連れて行くこともできるんじゃないかな」
愛依「そっか……そのためにメガホン型ハッキング銃を使ったんだ……!」
智代子「でもたとえモノクマでも、そんな高いところに手は届くのかな……?」
摩美々「モノクマー」
モノクマ「できます」
愛依「即答?!」
モノクマ「質問に答えんのもカロリー使うんだからいい加減にしてよね、もう……今回の犯人に後で請求しちゃうんだから」
智代子「でもこれで明らかになったね!モノクマフラワーを利用して食べさせることができれば、めぐるちゃんの失踪にも説明がつく!」
智代子「……あれ、でもそれって……?」
灯織「…………」
摩美々「灯織……」
(……見えてきた、樋口さんが今回の事件で狙った“絶望”の全貌が……!)
灯織「明らかにしましょう……樋口さんが今回の事件で狙ったものを……!!」
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q1.植物庭園にあった死体の正体は?
A.めぐる B.霧子 C.円香
Q2.死体の偽装はなんのため?
A.時間を稼ぐため
B.めぐるが死んだと誤認させるため
C.円香
Q3.めぐるの死体役に霧子を選んだ理由は?
A.体格が似ていたから
B.霧子とめぐるでは利き手が違うから
C.霧子の死体は損傷が少ないから
D.犯人と仲が良かったから
Q4.めぐるは事件で結局どうなった?
A.爆破された
B.現在も生きたまま監禁されている
C.モノクマフラワーに捕食された
D.おしおきされた
Q5.円香が狙った“絶望”とは?
A.八宮めぐるを殺すこと
B.めぐるの生存の可能性を見せた後にそれを潰すこと
C.犯行後におしおきされることでクロ不在の状況を作り出すこと
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
↓1
-------------------------------------------------
【BBCCC】
(……いや、そうじゃない。樋口さんの犯行の意図はそうじゃない)
(私たちをいかに絶望させるか、そのためにこの犯行は計算しつくされている……!)
【虹の羽が輝き、行く道を照らす……!】
【どうやらQ3とQ5で選んだ道が異なるようだ……】
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q1.植物庭園にあった死体の正体は?
A.めぐる B.霧子 C.円香
Q2.死体の偽装はなんのため?
A.時間を稼ぐため
B.めぐるが死んだと誤認させるため
C.円香
Q3.めぐるの死体役に霧子を選んだ理由は?
A.体格が似ていたから
B.霧子とめぐるでは利き手が違うから
C.霧子の死体は損傷が少ないから
D.犯人と仲が良かったから
Q4.めぐるは事件で結局どうなった?
A.爆破された
B.現在も生きたまま監禁されている
C.モノクマフラワーに捕食された
D.おしおきされた
Q5.円香が狙った“絶望”とは?
A.八宮めぐるを殺すこと
B.めぐるの生存の可能性を見せた後にそれを潰すこと
C.犯行後におしおきされることでクロ不在の状況を作り出すこと
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
↓1
-------------------------------------------------
【BBBCB】
灯織「推理は繋がりました!」
【COMPLETE!】
(……ここまで見通した上で、あえてだったんですね)
(樋口さん、その執念には恐れ入ります)
(……ですが)
(それに報いる……!!報いてこその絆なんだから……!!)
灯織「すべて見えました……樋口さんがこの事件で狙ったものを、この事件の最中考えていたことが」
愛依「灯織ちゃん、それって……!!」
智代子「全部分かったんだね?!」
摩美々「灯織、聴かせてもらえるー?」
灯織「はい、順を追って説明させていただきます」
灯織「まず、この事件において私たちが直面することとなった謎の死体……そこから全ては始まりました。当時行方知れずになっていた樋口さんとめぐる、その二人のいずれかであると私たちはまず推定することになる」
灯織「その後に武道場で樋口さんを発見。ともなると植物庭園で見たのは当然めぐるの死体だと私たちは誤認します」
灯織「でも、樋口さんはあえて……めぐるの死体役に霧子さんを選んだ。それは左手の矛盾にあえて気づかせるためだったんです」
灯織「そうなると私たちはめぐるが生きている、その希望を持つことになります。だからこそ、寄宿舎の個室や学校エリアでの監禁などの可能性を考えることになる……」
灯織「でも、実際は違う。その可能性の全てに潰れるだけの理由が存在する。となると残ったのは最後、モノクマフラワー。めぐるが食べられてしまったと言う無情な結末のみ」
灯織「ここで私たちの抱いた希望は一転、絶望へと変わる……生きていると信じた仲間の死によって」
灯織「……樋口さんは事件が全て暴かれることまで織り込み済みで、この偽装工作をしたんだと思います」
灯織「それはある種の信頼で……ある種の私たちとのだったのかもしれない」
(それこそ、私に対する意趣返しだったのかもしれない。【遺される人間に託される思い】、樋口さんはそれを最後の最後まで【敵意】にし続けたんだ……)
灯織「これがこの事件の真実だよ……どうかな、雛菜」
雛菜「はぁ〜……円香先輩、本当に最後まではた迷惑だよね〜」
私の推理を一通り聞いた雛菜は、大きなため息をついて樋口さんの席を一瞥。
かと思うと、私の目を見て正面から向き合った。
雛菜「灯織ちゃん、いくら謝っても足りないって雛菜も思う……けどごめんなさいをさせてもらえないかな〜……」
灯織「ひ、雛菜?!」
雛菜は深々と頭を下げて、謝罪の意志を見せた。
いや、謝罪なんて並一通りの言葉で括れるようなものではない。
自省、贖罪、慙愧……そんな複雑な感情がにじみ出ているような、重たい辞儀だった。
雛菜「雛菜が、雛菜が……雛菜が止めないといけなかったのに……円香先輩を止めなきゃいけなかったのに……!」
灯織「……雛菜」
雛菜「雛菜のせいで……灯織ちゃんの大切な友達を……雛菜にとってかけがえのない仲間を……めぐるちゃんを失うことになっちゃった……」
(雛菜、今めぐるの名前を……!?)
雛菜「まだ生きてる、きっと生きてるって……そう思ってた、思いたかったのに……」
灯織「……うん」
今にも泣きそうな程に震える雛菜の背中。
雛菜はこの裁判に、いろんなものを背負い込んでいたんだ。
自分の幼なじみが犯行に手を染めたこと、自分の幼なじみが仲間に対して敵意を抱き続けてそれをついに爆発させたこと、
そしていつしか事務所のアイドルに友愛の感情を抱くようになっていたこと、線引きが曖昧になりつつあったこと……
普段は飄々としている彼女も、他の誰とも変わらない一人の女の子なんだ。
希望も絶望も一緒くたにしてしまうには、あまりにもその体は小さく、その力はか細い。
_____だから私は、彼女を抱きしめた。
雛菜「灯織ちゃん……?」
灯織「……めぐるがね、よく真乃や私のことを抱きしめてくれたんだ。めぐるはただ仲良しを確認するため、友情を感じるためだったのかもしれないけど、私はそんなめぐるに救われてた」
灯織「ほら、こうしてるとあったかい気持ちが伝わるような気がしてくるでしょ?」
雛菜「……」
灯織「雛菜、辛かったんだね。ここまで雛菜は一人でよく頑張ったよ。幼なじみと向き合って、私たちとも向き合って……すごく大変だったと思う」
灯織「私なんて、きっとまだまだ頼りないと思うけど……雛菜の気持ちを、私にも担がせてもらえないかな」
雛菜「……灯織ちゃん」
(……大丈夫、立ち向かえる)
(樋口さんが私たちにもぶつけてきた絶望)
(……めぐるの死、という絶望)
(今でも正直血相を変えて叫び出したいぐらい、足元から崩れ落ちて地面を両手で叩きたいぐらい……絶望的な感情の渦は感じている)
(でも、私たちには絆がある、友情がある)
(樋口さん、この勝負は私たちの勝ちだよ……!)
摩美々「でも、これで結論にたどり着いたんだよねー?」
摩美々「円香がめぐるをモノクマフラワーに放り込んで殺害して、円香自身は校則違反のおしおきで死亡……」
愛依「ってことは、今回は円香ちゃんに投票すればいいカンジ?」
智代子「よかった……わたしたちの間に犯人はいなかったんだね」
灯織「はい、これで間違い無いと思います」
灯織「モノクマ、投票タイムを……」
モノクマ「ふわぁ〜……眠たい、眠たくなってきちゃったよ」
モノクマ「5章にもなって未だにお寒い友情談義してるだけでも眠くなるってのに」
モノクマ「こんな時間までクソ長い裁判してりゃ眠くもなるよね……ふわぁ〜……」
摩美々「……!」
智代子「もー!なんで学級裁判を主宰してるモノクマが眠くなってるの?!」
モノクマ「そんなこと言ったってしょうがないじゃないかぁ!元来クマはよく眠る生き物なんだよ、寝るクマは育つっていうじゃん?」
愛依「モノクマに育つも何もないんじゃん……?」
灯織「モノクマの茶番に付き合ってる暇はありません、さっさと投票タイムを」
摩美々「待ったぁ」
灯織「……!?ま、摩美々さん……!?」
摩美々「……灯織、もしかすると私たちは重大な見落としをしてるかもしれないよー」
灯織「み、見落とし……ですか?でも、今の推理にはなんら矛盾はなかったかと思うんですが……」
摩美々「そう、矛盾じゃなくて見落としなんだよ……しかも超重大な、ね」
愛依「ちょージューダイな見落とし……?」
摩美々「もう一度今の灯織の推理を見直してみよっかぁ、そうすればきっとその見落としにも気づくはずだよー」
(……今の推理に存在した見落とし?)
(何が……何を私は見落としているというの……?)
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【死体に突き刺さっていた槍】
‣【モノクマフラワー】
‣【生物室の扉】
‣【メガホン】
‣【モノクマファイルEX】
‣【スプリンクラー】
‣【冷凍庫の仕様書】
智代子「えっと……円香ちゃんはまず最初に【生物室の扉を破壊】して」
智代子「【おしおき自体はハッキング銃で回避した】んだよね?」
愛依「生物室から【霧子ちゃんの死体を取り出して】、それで偽装コーサクして……」
愛依「めぐるちゃんは【操ってるモノクマを利用】して」
愛依「【モノクマフラワーに食べさせた】んだよね?」
雛菜「モノクマの操作にはタイムリミットがあるから〜」
雛菜「それが切れた瞬間に【おしおきされて円香先輩は死んじゃった】んだよね〜?」
摩美々「……今の推理には明確な見落としがあるよねー」
摩美々「灯織、ここまで言えばわかるよねー?」
【正しいコトダマで矛盾する発言を論破しろ!】
↓1
雛菜「え~?円香先輩の体に刺さってた槍って出所不明なんでしょ~?」
雛菜「あんなに重たい槍を振り回せる人もいないし、やっぱりあれはおしおきじゃないかな~」
(うっ……しまった、別のことを話せばよかったな……)
(摩美々さんの言う見落とし、それっていったい……?)
【スキル:水色感情の効果でコトダマの数が減少します】
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【死体に突き刺さっていた槍】
‣【モノクマフラワー】
‣【生物室の扉】
‣【メガホン】
‣【スプリンクラー】
‣【冷凍庫の仕様書】
智代子「えっと……円香ちゃんはまず最初に【生物室の扉を破壊】して」
智代子「【おしおき自体はハッキング銃で回避した】んだよね?」
愛依「生物室から【霧子ちゃんの死体を取り出して】、それで偽装コーサクして……」
愛依「めぐるちゃんは【操ってるモノクマを利用】して」
愛依「【モノクマフラワーに食べさせた】んだよね?」
雛菜「モノクマの操作にはタイムリミットがあるから〜」
雛菜「それが切れた瞬間に【おしおきされて円香先輩は死んじゃった】んだよね〜?」
摩美々「……今の推理には明確な見落としがあるよねー」
摩美々「灯織、ここまで言えばわかるよねー?」
【正しいコトダマで矛盾する発言を論破しろ!】
↓1
灯織「見つけた……!!」論破!
【BREAK!】
灯織「そうか……完全に見落としていました……!」
摩美々「その調子だと気付いたみたいだねー、灯織。今の推理に欠けていたポイント、教えてもらえるー?」
灯織「【時間】ですよ……モノクマフラワーには、使用不可能になる時間が存在するんです」
智代子「ん〜〜〜……そういえば、夜時間の間はモノクマフラワーは活動を停止するって最初に聞いた気がする!」
愛依「マジで?!……あれ?でも今って日中じゃないの……?」
灯織「いえ、今が日中かどうか、なんて情報はこれまでに一度も出てきていません……それにこの学園には窓なんか一つもついていない、昼と夜を錯覚させるには十分すぎる条件が整っています」
愛依「で、でもそれってやっぱおかしくない……?捜査中にみんな教室を何度も移動して時計は見てるはずだよね……?」
摩美々「時計自体は見てるよー?でも、教室の時計って全部アナログ時計じゃーん」
摩美々「1~12の数字盤だけじゃ午前と午後の区別はできないしねー」
灯織「そして、今が夜時間だという根拠なら存在している……それがスプリンクラーなんです」
灯織「スプリンクラーは午前7時30分に決まって放水する設定。しかもこれはモノクマにしか制御権がありません」
灯織「スプリンクラーとこの証拠品を合わせて考えると……今の時間が見えてくるはずです」
-------------------------------------------------
【正しいコトダマを選べ!】
>>377~>>379
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「死体そのもの……あの死体が濡れてたのって上半身だけでしたよね?」
雛菜「雛菜たちが消火したときは、上半身が燃えちゃってたからそっちに水をかけたけど~」
雛菜「下半身には基本的にかけてないよ~」
摩美々「スプリンクラーが作動していれば当然全身にまんべんなく水がかかる……下半身が濡れていないってことはつまりそういうことだよねー」
摩美々「植物庭園に死体が置かれてから、朝7時30分は跨いでいない……」
摩美々「室内環境だから、そう簡単に自然乾燥はしないはずだよねー」
灯織「モノクマファイルを見ると死亡推定時刻は1時ごろ。これが昼間の一時なら寝そべった死体の水を吸った衣服はまだ乾いていない筈」
灯織「全く死体の下半身の衣服が濡れていない以上は、この死亡推定時刻は午前一時ということになりませんか?」
雛菜「ってことは夜時間だから~、モノクマフラワーも使えないね~?」
智代子「待って灯織ちゃん!ハッキング銃を使えばどうかな?」
智代子「モノクマの制御権を奪えばそのままスプリンクラーを調整できるんじゃない?」
灯織「……どうだろう、そこまでして調整する意味があんまり」
摩美々「それならもういっそ、ここでビシッと今が何時なのか決めちゃってのはどうかなぁ」
灯織「え?」
摩美々「灯織も知ってるはずだよー、この学園生活で唯一正確な時間を教えてくれるものがあるってー」
(正確な時間を教えてくれるもの……?)
(それって一体……)
-------------------------------------------------
【ひらめきアナグラム開始!】
/め/い/ど/ま/ざ/け/し
【正しい順番に並べ替えろ!】
↓1
灯織「そうか、わかりましたよ!」
【解!】
灯織「めざまし時計……!あれは確か、電波時計でしたよね?」
愛依「めざまし時計って最初に透ちゃんの事件で出てきたやつ?!」
-------------------------------------------------
灯織「あれ?こんなところに目覚まし時計?」
愛依「あーそれ、うちが止めたやつ!」
灯織「そういえば、死体発見の時にも鳴ってた……」
めぐる「えっ、それわたしの持ってるやつにそっくりだよ?!」
灯織「め、めぐるの?!」
真乃「ううん、めぐるちゃんだけじゃなくてわたしもあるよ……モノクマに希望すれば誰でももらえたみたいっ」
-------------------------------------------------
モノクマ「学校内の時計はすべて、電波時計を採用しております!」
モノクマ「寸分たりとも誤差なく正確な時刻を刻む時計だよ、オマエラに渡した目覚まし時計も同様にね!」
-------------------------------------------------
智代子「確か希望者は誰でももらうことができる、正確な時間の時計……だったよね?」
灯織「現在この場所で持っている人はいないと思いますが……誰でも受け取れることのできる品なら、今ここで用意してもなんら問題ありませんよね?」
モノクマ「むー、今回の裁判やたらボクを酷使してない?まぁそのぐらいいいですけど!ていうか既に用意済みですけど!」
モノクマは少し不服そうにしながらも、私に目覚まし時計を手渡した。
デジタル盤で、今の時刻が正確に文字に起こされる。
灯織「……やっぱり、この時計デジタル表記なのでAMとPMの区別がつきますが……今の時間は午前の2時過ぎになってます」
愛依「あ、朝の二時……?!」
智代子「そうなると今は夜時間ってことだよね!?そういえば事件が起きた時間って……」
摩美々「モノクマファイルの記載は1時としか書いてない……意図的に午前と午後の情報を伏せてるわけだねー」
智代子「事件当時も今と同じ夜時間だとみて基本的には間違いないハズだから……」
雛菜「じゃあやっぱりモノクマフラワーは使えないね~!」
愛依「よし、それじゃ今の情報を踏まえてさっきの灯織ちゃんの推理を振り返ろっか!」
愛依「えっと……個室に監禁されてる可能性は無くて、学校エリアでもなくて、モノクマフラワーでもないから……そこ以外のところにいる系なんだよね?」
愛依「うんうん、なるほど~!」
愛依「……って今度こそもうめぐるちゃんが隠れる場所無くね!?」
(……めぐるの居場所として想定されたモノクマフラワーが使用不可だと分かったことでめぐるに生存の目がまた出て来た)
(でも……だとしたら、めぐるはどこに……?)
摩美々「愛依と雛菜は私たちの入れる全ての部屋に入って調べたって言ってたよねー?」
雛菜「あは~?そうですよ~?」
摩美々「それってどこまでー?ロッカーとかも全部調べたー?」
愛依「大体は!自分で開けられる部分は全部開けたと思う……」
(……愛依さんと雛菜の捜査に見落としがあるとも考え難い……)
(……見落とし?)
(そういえばさっきも、時間という重大な見落としがあって前提が覆った)
(めぐるの隠れ先も、前提が覆ったらどうだろう……)
摩美々「……灯織?」
灯織「なんでしょう……あと少しで答えが、めぐるの隠れているところが分かりそうな気がするんですが……」
雛菜「それじゃあ雛菜たちの出番だね~?」
灯織「え……?」
愛依「うん!餅とカツレツって言うもんね!」
智代子「……持ちつ持たれつ、かな?」
雛菜「灯織ちゃんが困ってるなら、雛菜たちでお手伝いする~!それが仲間の絆って奴でしょ~?」
摩美々「そういうコト、私たちで灯織のひらめきを助けていきましょうかー」
灯織「皆さん……!」
(あと少しのところまで来ているんだ……!)
(めぐるが隠れている場所、それさえ分かれば、めぐるを救うことができる……!)
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【植物庭園のニワトリ】
‣【雛菜の証言】
‣【メガホン】
‣【謎の死体】
‣【モノクマフラワー】
‣【冷凍庫の仕様書】
‣【モノクマファイル5】
摩美々「はい、それじゃあめぐるの隠れ場所を当てようのコーナー開始―」
愛依「【寄宿舎エリアの個室、学校エリアの教室は無い】って考えていいんだよね?」
雛菜「雛菜たちの捜索に≪見落としがあった≫なら話は別だけどね~?」
智代子「事件の前後で≪入れなくなった場所≫は無い?」
智代子「めぐるちゃんを隠した後に≪入室不可能になった部屋≫とか!」
摩美々「そこにいるはずないと思って無視してるとことかないー?」
摩美々「≪人間が普通は入れないところ≫とかー」
愛依「≪モノクマを使わないといけないとこ≫とかはどう?!」
愛依「ハッキング銃を持ってる人じゃないと隠せない、隠れられない場所はない?」
雛菜「ホントは≪この裁判場にいた≫りして~!」
雛菜「モノクマが協力してたらこれも可能性はあるよね~?」
【正しいコトダマで矛盾する発言を論破もしくは正しい発言に同意しろ!】
↓1
灯織「それに賛成です!」同意!
【BREAK!】
灯織「……摩美々さん、それです、それですよ!」
摩美々「えー?」
灯織「愛依さんと雛菜、二人が捜査の段階で【そこにいるはずがない】と見逃した可能性のあるところが存在します……!」
雛菜「え~?雛菜しっかり全部調べたよ~?」
愛依「う、うちもそう思う!人が入れるところは全部……」
灯織「そう、二人は【人の入れるところは】全部調べたんです……逆に言えば、人が入るはずのないところは調べていない!」
雛菜「それどういう意味~?それじゃあ隠れることもできないんじゃないの~?」
灯織「二人とも、生物室の冷凍庫は調べましたか?」
愛依「生物室の……」
雛菜「冷凍庫~?」
愛依「ちょ、ちょっと待って!あそこって死体を安置してるレーアン室なんでしょ?!めぐるちゃんがいるわけないし……いても凍えちゃうじゃん!」
灯織「それは思い込みなんです……あの冷凍庫は、冷凍機能のオンオフの切り替えが可能なんですよ」
愛依「ま、マジで……!?」
灯織「確かに通常あの冷凍庫は死体の状態を保持するために使われるものですが、それを使わずただの収納具としても使用可能になっていたんです。それこそ引き出し一つ単位で切り替えて」
愛依「じ、じゃあめぐるちゃんは……?」
灯織「今もあの冷凍庫の中で息をひそめている可能性があります……!」
智代子「で、でも……そんなのって……」
灯織「基本的に冷凍庫は内側からは開けることができない作りです……この隠れ場所なら樋口さんの狙いにも説明がつく!」
(樋口さんの言う絶望計画、その真の狙いを私たちは読み違えていた……!)
(私たちに絶望を味合わせるなら、こんなところで済むわけないんだ……!)
摩美々「円香の狙いー?」
灯織「樋口さんが私たちに味合わせようとしていた絶望とは……」
-------------------------------------------------
・生きていたと思われた仲間が本当は死んでいた絶望
・仲間を救うことができず、そのまま仲間が死んでしまう絶望
・犯人を間違えて全員が死んでしまう絶望
【正しい選択肢を選べ!】
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「私たちはめぐるの隠れている場所に生物室の冷凍庫なんて見当もしてきませんでした……それこそ、この気づきが起きるまで」
灯織「それまでの私たちの想定だとめぐるは樋口さんに殺された前提で進み、犯人の投票も樋口さんに入れていた。おそらくこれでも裁判自体は無事に終わったはずです」
灯織「でも樋口さんはそれも読んでいた、おそらくモノクマフラワーまで到達することは読んでいたうえの計画。そのうえで、私たちに更なる絶望を与えようとした。それが……無力感です」
智代子「無力感……?」
摩美々「生きている仲間を救うことができない、救うことができたのにー……ってことだよね」
愛依「そっか……今こうしてる間にもめぐるちゃんは冷凍庫の中に閉じ込められたまま……うちらがあの冷凍庫には死体しか入ってないと思い込んだままだと、誰も助けてくれないし……」
雛菜「そのまま衰弱死しちゃうよね~……」
灯織「だから、敢えて樋口さんはモノクマフラワーの結論に至るまでの推理の導線を残しておいた。植物庭園の倉庫にメガホンを置いたままにしたり、死体の偽装を行ったり……私たちの推理そのものを利用した計画を組み立てたんです!」
智代子「円香ちゃんの執念というか……憎悪と言うか……」
智代子「ここまでのものだったんだね……」
雛菜「円香先輩の部屋に灯織ちゃんと一緒に行ったとき、雛菜は円香先輩の日記を読んだんだけどね~……」
雛菜「目をつぶりたくなるぐらい、そむけたくなるくらい……みんなを恨む言葉が書いてあったんだよ~……」
摩美々「……」
摩美々「でも、これで今度こそ結論に到達できたよねー?めぐるは今も生きていて、生物室の冷凍庫に閉じ込められている……」
摩美々「モノクマ、真相にたどり着いたわけだし、めぐるをさっさと助けてもらえるー?まさか救命活動はシロ側への加担になる、とか言わないよねー?」
モノクマ「……そうだね!今の推理なら八宮さんは命の危機に置かれているわけだし、助けてあげないと駄目だよね!」
智代子「うん!だから早く助けに行って!」
モノクマ「……今の推理なら、ね」
(……え?)
雛菜「へ~~~~~?」
雛菜「今の、どういう意味~?」
モノクマ「うぷぷぷ……風野さんの着眼点は非常に面白いと思いました!先入観の裏をかこうとする、斬新な発想!でもね、風野さんには重大な見落としがあります!」
灯織「……え?」
愛依「ま、また見落とし……?」
モノクマ「というか、風野さんが知らない情報があるんだよね。まず第一に、あの冷凍庫はボクの集中制御下にあります。死体を出したり仕舞ったりはある程度自由にやってもらえますが……」
モノクマ「冷凍機能のオンオフは生徒じゃ切り替えできないよ?」
灯織「そ、そんな……!?」
智代子「それじゃあつまり、めぐるちゃんは生きたまま急速冷凍されちゃってるってこと……?そんなの、死んじゃうよ……!!」
摩美々「いや、それは違うよー。冷凍庫は使用中の引き出しはランプが点く、生物室の冷凍庫はランプが8個点灯していた……霧子を抜いて、めぐるを入れたんなら9個点灯してないとおかしいよねー?」
愛依「じゃあ、冷凍庫は関係なかった系……?」
愛依「冷凍庫じゃなかったらどこにめぐるちゃんは……?モノクマフラワーもダメ、冷凍庫もダメ……ホンカク的に隠れる場所なくなっちゃうよ?!」
(……何が起きているの……?)
(樋口さんの意図を読み解こうとすればするほど、行き着く先にその推理をつぶす因子が現れる)
(樋口さんの言っていた『絶望計画』……その全貌が見えなくなってきた)
摩美々「……こうなってくると一度発想自体を変えるべきかもしれないよねー」
灯織「……摩美々さん」
摩美々「めぐるに隠れられそうな場所は残っていない、そうなると……めぐるが『隠れているのかどうか』の根底の発想から変えた方がいいかもしれないねー」
灯織「発想の逆転、ですか?」
愛依「ギャクテン……ギャクテン……つまり、どーゆーこと?」
(……発想の逆転)
(めぐるも何度も私に掛けてくれたアドバイスだ。凝り固まった考え方をしていては、真実を逃しかねない)
(一度発想を切り替えなくては……!)
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q.1 八宮めぐるが隠れているのは?
A.寄宿舎の個室の中
B.モノクマフラワー
C.生物室の冷凍庫
D.この中にはない
Q2.八宮めぐるは今どこにいる?
A.裁判場
B.植物庭園
C.生物室
D.学園の外
E.学園内未開放エリア
Q3.灯織の推理で根底から間違えているのは?
A.死体偽装
B.犯人
C.犯行時刻
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
↓1
(いや、そうじゃない……めぐるが隠れているかの議論を根底から見返すとはいえあくまでめぐるも私たちと同じ一生徒)
(常識の範疇で、常識を疑う……そういう塩梅が必要なんだ)
【虹の羽が輝き、行く道を照らす……!】
【どうやらQ2とQ3で選んだ道が異なるようだ……】
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q.1 八宮めぐるが隠れているのは?
A.寄宿舎の個室の中
B.モノクマフラワー
C.生物室の冷凍庫
D.この中にはない
Q2.八宮めぐるは今どこにいる?
A.裁判場
B.植物庭園
C.生物室
D.学園の外
E.学園内未開放エリア
Q3.灯織の推理で根底から間違えているのは?
A.死体偽装
B.犯人
C.犯行時刻
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
↓1
【DBC】
(いや、そうじゃない……めぐるが植物庭園にいるのだとしたら、それに伴ってあのトリックについて見返す必要が出てくる)
(それってつまり……覆るのは……)
【虹の羽が輝き、行く道を照らす……!】
【どうやらQ3で選んだ道が異なるようだ……】
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q.1 八宮めぐるが隠れているのは?
A.寄宿舎の個室の中
B.モノクマフラワー
C.生物室の冷凍庫
D.この中にはない
Q2.八宮めぐるは今どこにいる?
A.裁判場
B.植物庭園
C.生物室
D.学園の外
E.学園内未開放エリア
Q3.灯織の推理で根底から間違えているのは?
A.死体偽装
B.犯人
C.犯行時刻
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
↓1
DDA
DBA
>>535は私の>>534とほぼ同時の書き込みなので無効として、>>536の安価を採用して正答したとみなします。
本日の更新はここまで。5章の学級裁判も佳境に入りました。
次回更新で学級裁判もラストまで行けるはずです。
毎回基本2時間で更新ペースは考えているのですが、次回は最後まで終わらせたいので
時間が多少伸びたり短くなったりすると思いますがどうかご容赦を。
いつもよりも学級裁判の参加者さんが多かったので今回特別に連取10分ルールを急遽採用させていただきました。
次回更新時にも同様に、連取の書き込みは10分間無効とするルールで行こうと思います。
ご協力のほどよろしくお願いします。
明日続けて更新予定、8/10 21:00~より学級裁判ラストまで駆け抜けます。
それではお疲れ様でした。
灯織「推理はつながりました!」
【COMPLETE!】
灯織「……一つ、可能性があります」
雛菜「灯織ちゃん、わかったの~?」
灯織「うん、何となくだけど……」
摩美々「なんとなくでもいいからさぁ、とりあえず話してみてよー。今はめぐるがどうなったのか、どこにいるのか。その手がかりすらもつかめてないしさー」
灯織「……めぐるは最初っから隠れてなんかいなかったのではないかと」
愛依「え?」
愛依「いやいやいや?!それはおかしいっしょ?!実際今もめぐるちゃんは見つかってないからこそ、これまで議論してきたんじゃん?!」
灯織「その前提からしてはき違えていたとすればどうでしょうか」
愛依「ゼンテーから……?」
灯織「めぐるは、すでに見つかっていたんです。……覆面の死体として」
智代子「覆面の、死体……え、ええええええっ?!」
智代子「ちょっと待ってよ!それはおかしいよ!だってあの死体って左手にペンだこがあって……左利きだから、めぐるちゃんじゃなくて霧子ちゃんだったって話じゃなかったの?!」
智代子「めぐるちゃんってもしかして、両利きだったの?!」
摩美々「いや、両利きなのは事務所でもあさひだけだったはずだよねー?利き手の問題は解決できな……」
摩美々「……!!」
灯織「摩美々さん、気づきましたか……?」
摩美々「利き手が問題なら、利き手の問題だけ解決すればいい……それさえなければあの死体がめぐるでもなにもおかしくないってことだよねー?」
雛菜「それってつまりどういうことですか~?利き手の問題ってどうあがいても解決できなくない~?」
(死体の利き手を解決する方法ならある……)
-------------------------------------------------
・左手をつぶしてタコを模した痕をつくる
・死体の左手のみを挿げ替える
・死体を霧子のものに入れ替える
【正しい選択肢を選べ!】
↓1
灯織「例えば……左手をつぶしてタコによく似た痕跡を作るんです!」
摩美々「え、なにそれ……ていうかそんなのどうやるワケー?」
智代子「何か熱した棒とかあればできなくもなさそうだけど……」
摩美々「そんな器用な真似、素人にできるものなのー?」
(うっ、しまった……別のことを話せばよかったな)
灯織「死体の利き手を解決する方法は……これです!」
-------------------------------------------------
・左手をつぶしてタコを模した痕をつくる
・死体の左手のみを挿げ替える
・死体を霧子のものに入れ替える
【正しい選択肢を選べ!】
↓1
(……いや、それはさっきまでの推理の軌道上の話)
(死体を霧子さんのものと入れ替えるのでなく【あの死体はめぐるだった】と考えるのがこの推理の大きな転換点)
(ともすれば、あの左手の謎を解明するのはこの方法だけ……!)
【選択肢が一つになったので自動で進行します】
-------------------------------------------------
灯織「これです!」
【解!】
灯織「左手だけ、左利きの方のものと入れ替えてしまえばいいんですよ」
愛依「左手だけ入れ替える……?そ、それって……どーゆー意味なん?」
灯織「めぐるの左手を切り離して、左利きの人間の左手に付け替える……」
(こんなの、口にもしたくないけど……この方法なら、死体の数の辻褄も合う……!)
智代子「そ、そんな残虐な方法……円香ちゃんが……!?」
摩美々「左利きの手だけ現場に残せればいい、むしろそれ以外の死体のパーツは必要ないってことだよねー」
摩美々「それに、この方法なら霧子よりももっと都合のいい【左利きの人間】がいるはずだよー。死体の後処理が霧子に比べて圧倒的に楽なもう一人の人間、がねー」
(それはきっと、あの人のことだ……)
灯織「樋口さんはめぐるの死体をめぐるだと思わせないように……あの人の死体を使ったんです!」
-------------------------------------------------
【正しい人物を選べ!】
↓1
灯織「あなたしか、いません!」
【解!】
灯織「凛世……ですよね?」
智代子「凛世ちゃんの死体を?!」
摩美々「みんなも見たよね、凛世のおしおきー……凛世は文字通りの爆殺で殺された、それこそ灯織が今回の事件で体が吹っ飛ばされたのなんか目じゃないくらいの大爆発でねー」
摩美々「凛世の死体は……四肢がばらばらになって、ほとんど残ってなかったはずだよ……わざわざ円香が死体の部位を切り離す手間をかけずとも、左手のパーツだけなら手に入ったかもねー」
摩美々「反対に霧子の死体は欠損はほとんどない、新しく左手を用意しようと切り離していると……それこそハッキング銃の時間切れになるかもしれない」
摩美々「凛世は、ダミーとしてうってつけだったんじゃないかなぁ」
智代子「……凛世ちゃん」
愛依「……ダメ、うちこの話これ以上聞くのきついかも……」
灯織「愛依さん、無理はなさらないでください……その、これまでの事件とは全く異なる毛色のものですから……」
(樋口さんの悪意、何を分かった気になってたんだ……私の想像で推しはかれる範疇なんかじゃなかった……!)
(樋口さんは、ここまでの展開をすべて読んでいたんだろうか……)
雛菜「じゃあ結局円香先輩はめぐるちゃんを殺した後に、死体の左手を凛世ちゃんの左手にすることで二重三重にめぐるちゃんの生死を偽装したってことですか~?」
智代子「……めぐるちゃん、今度こそ生きてるって……そう思えたのにね」
(めぐるの生と死、それが議論の中で二転三転することで私たちを揺さぶりつくす……)
愛依「もう、これ以上めぐるちゃんの死はひっくり返んないのかな……?」
摩美々「これ以上めぐるの所在の候補がない以上は覆りようはないんでー」
摩美々「……めぐるは本当に死んだってことになるんじゃないかなぁ」
(そしてたどり着くのが、めぐるの死という結末)
(…………)
灯織「……」
(……めぐる)
-------------------------------------------------
樹里「灯織……大丈夫じゃねえだろ、無理すんなって」
灯織「無理しますよ!……じゃないと真乃が報われませんから」
めぐる「そうだよ!わたしたちは、頑張らないといけないよ!」
灯織「……めぐる?!」
めぐる「ごめんね灯織……わたし、やっぱり真乃のことは受け止めきれなくて……」
めぐる「でも、それでも前に進まないと真乃に悪いもんね!」
灯織「めぐる……」
めぐる「みんなで明日からも頑張ろう!頑張って頑張って……絶対にコロシアイなんか二度と起きないようにしようよ!」
円香「……頑張るって具体的には?」
めぐる「具体的……えへへ、わかんないや……」
樹里「……へへっ、なんだよそれ」
めぐる「でも、こうやって現実に目を背けて立ち止まるってことじゃないのはわかるよ!」
-------------------------------------------------
めぐる「わーーーーーーーー!!!」
めぐる「……えっと、今から言うのは……全部わたし自身に向けてなんだけど……」
めぐる「いつまで怖がってるんだ、八宮めぐるーーーーー!!」
灯織「え……?」
めぐる「そんなの、お前らしくないぞーーーーー!!」
雛菜「あは〜?」
めぐる「お前は元気なのが取り柄なんじゃないのかーーーー!!」
めぐる「不安で、怖くて、泣きたくて……そんなのみんな一緒だよ!!」
めぐる「お前だけじゃない、みんな同じ気持ちなんだよ!!」
めぐる「一人で被害者ぶってる暇があったら、隣の人と手を繋いで前に進めーーーー!!」
めぐる「それがいつもの八宮めぐるでしょ!!」
めぐる「だから負けるなーーーー!!」
めぐる「へこたれるなーーーー!!」
めぐる「どうしても辛くなったら、その時は無理やり笑っちゃえ!!」
めぐる「だって笑顔は無敵……だよね、灯織!!」
-------------------------------------------------
(私たちを底なしの明るさで、あの笑顔で……ずっとずっと、この合宿生活中引っ張って、励ましてくれためぐる)
(そのめぐるが…………本当に、死んだ)
(議論をし尽くした末の結論、もうめぐるの死はひっくり返らない)
愛依「灯織ちゃん……大丈夫?」
智代子「……灯織ちゃん」
(あんなにずっと一緒にいたのに、お別れの言葉すらいえないままに迎えてしまった死別)
(それどころか、めぐるの死体と真正面から向き合うこともできないままにめぐるの死体は爆破されてしまった)
(めぐるは最後に、どんな表情をしていたんだろう……)
(めぐるの最後は、どんな気持ちだったんだろう)
(……今となっては、それを知るすべはない)
摩美々「……ひとまず今は私が議論を先導するねー、これまでの議論で」
灯織「いえ、大丈夫です摩美々さん」
(……だから、無理やりにでも前を向く。進み続ける。諦めない)
(めぐるならきっと見てくれてる、『フレフレガンバレ!』の応援の声を上げながら、私の背中を押してくれるはずだ)
摩美々「……!や、今は無理する必要なんか」
灯織「……無理ではありません。もちろんめぐるの死は到底受け入れられるものでないですし、この世界が現実じゃなく夢ならばいいのに……そう思う気持ちは否定できません」
灯織「でも、めぐると決めましたから。辛いときこそ笑うって……笑顔は無限のエネルギーなんですよ」
引き攣った笑顔だったのは間違いない。視界は歪んでいるし、頬には涙が撫でる感触があった、鼻孔もぐずりかけている。それでも無理やりに笑顔を作って、声を上げた。仲間の死を引きずり、縺れる脚で沼の中を漸進する。
泣きじゃくってる暇はない。
灯織「めぐるのために、この裁判を私はやり遂げてみせますよ……!」
雛菜「雛菜もおんなじって言っていいかはわからないけど~……樋口先輩が起こした事件なら、最後までそれに向き合う~!」
雛菜「事件にかかわる人間として、幼馴染としてそれが責務だよね~~~!」
灯織「うん、雛菜……一緒に頑張ろう」
灯織「あと少し、この事件のすべてを明らかにするんだ……!」
-------------------------------------------------
【クライマックス推理開始!】
【act.1】
灯織「今回の事件のはじまりは、樋口さんによる監禁から。一人一人個室にいる隙を狙って訪問、何かしらの方法で部屋から引っ張り出したところを襲撃。意識を失ったところにアイマスクと耳栓をしたうえで部屋の中の椅子に校則。加えてドアにはドアストッパーを廊下側から噛ませることで部屋からの脱出を不可能にしました」
灯織「私、愛依さん、チョコ、摩美々さんの四人はその拘束方法でしたが……めぐると雛菜だけは違いました。雛菜は私たち同様に襲撃はされましたが、拘束は甘く、代わりに睡眠薬を投与されていました。薬で目を覚ます時間を調整して、他の全員を密室から解放する役割を雛菜には与えられていたからです」
灯織「めぐるはと言うと、はじめ植物庭園の倉庫で監禁されていました。それは私が見た写真、めぐる捜索の際に皆さんにお見せした写真からも明らかです。めぐるは部屋を出たままに拘束され、自分の部屋に戻るタイミングがなかったからこそドアストッパーを噛ませてなかったんです」
【act.2】
灯織「私たちの行動に制限を加えた樋口さんは準備に取り掛かります。重要になるのがモノクマ対策のハッキング銃。これは本来樹里が第三の動機で渡されるはずだった物です。銃弾は二階男子トイレ奥の空間から調達しており、これを使えば校則違反を起こしてもしばらくの間はおしおきが執行されず行動が可能となります。制限時間を超過してしまえば、その瞬間おしおきは執行されてしまいますが、樋口さんはそれも織り込み済みでした」
灯織「樋口さんは私の部屋から持ち出した爆弾で生物室の扉を破壊。鍵のかかった扉を破壊するのは校則違反、当然モノクマが出てきますが……そこにハッキング銃を射出。モノクマを『接』のコトダマで制御下に置いているうちに、敵意に満ちた犯行計画を実行に移したのです。
灯織「めぐるの死体を別の人間だと思わせるために左利きの人間の左手が必要になった樋口さんは冷凍庫を操作して、収められていた凛世の死体を取り出しました。霧子さんの死体は欠損がないほぼ完ぺきな状態で残っていること、凛世の死体は爆殺されたことによりばらばらになっていたこと。合わせてみれば偽装工作にうってつけなのは凛世なのが明らかでした」
【act.3】
灯織「生物室から凛世の死体を持ち出した樋口さんはそのまま植物庭園での作業に移ります。なにせモノクマのおしおきには制限時間があるので……かなりスケジュールとしては逼迫したものだったのではないでしょうか」
灯織「まず、めぐるの死体の左手と凛世の死体の左手を挿げ替える。もしかすると、挿げ替えるというよりも、爆破に巻き込まれない位置に置く……ぐらいだったのかもしれません。実際私たちが確認したのは上半身が損壊した状態で、左手のみを発見したので……左手さえ見つかれば私たちは否が応にも別人だと思い込みますからね」
灯織「凛世の死体のほかの部位ももしかしたらあの爆発に巻き込まれていたかもしれませんね。既におしおきで一度四肢バラバラになった体。白衣の下に紛れ込ませていてもおそらく気づかなかったはずです」
灯織「あとは覆面をかぶせて、白衣を羽織らせた上にめぐるから奪ったナイフを突き刺す。そしてニワトリの血をたらせば偽装工作はおしまい。正体不明の左利きの人間の刺殺体が完成するというわけです」
【act.4】
灯織「そして死体の偽装工作を終えた後は武道場へ。おしおきの方法をおそらく樋口さんは先に聞いていたんでしょう。槍で串刺しにされるという状況を弓道の矢と誤認することを想定し、自らの死に場所を弓道の的の前に選んだのです」
灯織「その結果あの磔にも似た怪しい死体が完成。私たちは大きくかき乱されることになりました」
灯織「これまでの偽装工作をしたのは、めぐるの生死をめぐって議論が二転三転することを見越した樋口さんの敵意……私たちの感情を揺さぶることを目的とした、議論の末にたどり着くめぐるの絶対的な死」
灯織「……これが樋口さんの『絶望計画』の全貌だったんです!」
【COMPLETE!】
灯織「樋口さんが実際どこまで見通していたのかはわかりません、しかし意図的に撒かれたような手掛かりそしてミスリード……私たちを徹底的に揺さぶる目的だったのは間違いないです」
智代子「実際何度も希望と絶望を味わされて、ジェットコースターみたいだったよ……」
愛依「……めぐるちゃん、ホントに死んじゃったんだね」
灯織「……はい」
雛菜「円香先輩が本当にすみませんでした~……」
愛依「ううん、雛菜ちゃんが謝ることじゃ……」
愛依「いや、それも違う……よね。大事なのは雛菜ちゃんがそれをどう背負うか、これからどう向き合っていくか、なんだよね」
雛菜「これを絆って呼んでいいのかはわからないけど~……雛菜は雛菜のしたいことを、やるべきことをやっていくつもりだよ~」
智代子「うん!それが一番だよ!」
灯織「……」
(そう、これで終わり……樋口さんの計画の全貌は明らかになった)
(……私たちを絶望に染め上げる計画の全貌が)
智代子「よし、それじゃあ投票タイムだよね?今回は結局、円香ちゃんに入れればいいんだよね!」
雛菜「ですね~、円香先輩に引導を渡しちゃって下さい~」
愛依「オッケー!円香ちゃんにインドを渡すね!よくわからんけど!」
摩美々「……」
灯織「……摩美々さん?」
摩美々「や、なんでもない……なんでもない、ケド……」
灯織「何か気にかかることなら聞かせてもらえませんか?学級裁判はチームプレイ、全員での勝利を目指しているのは摩美々さんもよく知るところですし……」
摩美々「今の推理に矛盾は無いし、見落としもないと思うケドさぁ……」
摩美々「ここまでミスリード仕掛けてるのに結局結論円香が犯人になるんだなーって」
智代子「……でも、円香ちゃんの狙いってめぐるちゃんの生死に関しての誤認誘発でしょ?クロは円香ちゃんでも問題ないんじゃないかな?」
(…………)
(……なんなんだろう、この喉に小骨が引っ掛かったような感覚は)
(今の推理が間違ってはいない、と思うんだけど……)
摩美々「……円香の狙いを私たちは一度読み違えてる」
摩美々「そのことで少しだけ慎重になっちゃってただけ……かも……」
灯織「……少しだけ、時間をもらえませんか」
雛菜「灯織ちゃん~?」
灯織「今の私たちの推理、それの違和感を明らかにするまで議論を続けたいんです」
智代子「違和感……言われてみれば、何か引っかかるような気もするような……?」
(考えろ……考えるんだ……)
(これまでの議論で明らかにされていない謎はないだろうか……?
-------------------------------------------------
【ひらめきアナグラム開始!】
し/ぐ/る/い/の/め/ん
【正しい順番に並べ替えろ!】
↓1
【めぐるの死因】
灯織「そうか、わかりましたよ!」
【解!】
灯織「めぐるの生死を議論の中核に据えてここまでやってきたばかりに蔑ろにしていた点がありました……」
摩美々「推理の欠落点ってことだよねー?」
灯織「はい、それは当たり前すぎて……他の部分が印象的過ぎたがゆえに盲点になってしまっていた要素……」
灯織「めぐるの死因、だったんですよ……!」
愛依「めぐるちゃんの、死因……?」
智代子「あれ?でもめぐるちゃんに刺さってたナイフが死因なんじゃなかったっけ?」
雛菜「ううん~?モノクマファイルを見ても、死体発見時にナイフが刺さっていたとしか書いてないよ~?」
愛依「確かにそれしか書いてないけど……でも、それ以外に死因とか無くない?」
愛依「だってうちらが見付けた時にはもう死んでたんだしさ?死体発見アナウンスも、覆面をしていてニンソーが分からんかったら死体を発見していないって判定だっただけだし……」
灯織「……そもそもあれってナイフは本当に刺さっていたんでしょうか」
雛菜「え~?」
智代子「で、でもわたしたちが死体を発見した時には実際にナイフが刺さってたよね?!」
灯織「確かにナイフは刺さっているように見えましたが……死体は爆発の影響で損傷が激しく、傷跡はわかりませんでしたし……」
摩美々「……死体に刺してるように見せかけてただけって言いたいのー?」
灯織「……その可能性はあるかと」
智代子「そ、そんなのどうやって?」
(死体にナイフを刺したように見せかける……)
(他の何かに刺していたとしたらどうだろう……)
-------------------------------------------------
【正しいコトダマを選べ!】
>>377~>>379
↓1
灯織「植物庭園のニワトリに刺していたのではないでしょうか?」
智代子「うーん、ニワトリの数は減ってたけど……ナイフをニワトリに刺してたんだとしたら、爆発した時にニワトリの死骸も散らばらないかな……?」
灯織「それもそうだね……」
(うーん、違ったか……)
(ニワトリの頭数が減ってはいたけどあれは血液を誤魔化すため……めぐるの死体に工作するより先に前もって仕込んでたのかもね……)
(死体にナイフを刺したように見せかける……)
(他の何かに刺していたとしたらどうだろう……)
-------------------------------------------------
【正しいコトダマを選べ!】
>>377~>>379
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「愛依さん、死体発見直後……現場で変なものを拾いましたよね?」
愛依「え?あー……もしかして、タオルのこと?」
灯織「はい、死体に刺す代わりに、白衣の下に仕込んでいたタオルに刺していたとしたらどうでしょう」
愛依「いやいや!タオルなんて薄すぎるし誤魔化せないっしょ!?」
雛菜「折れば解決だよ~!」
雛菜「それに一枚に限らなくても、何枚か重ねるように折っちゃえばナイフを刺してもある程度安定すると思うんだよね~」
愛依「た、たしかに……?」
摩美々「それに、あの死体がめぐるだって結論に至った今……にわとりの血の偽装工作が完全に浮いちゃってるんだよねー」
摩美々「あれって死体が霧子の可能性があった、冷凍された直後の死体では出血するはずないからこその偽装工作のはずなのに体温の変わってないめぐるの死体でやるのはおかしいでしょー」
灯織「そうか、それも狙いだったのかもしれない……!あれをみれば誰もが刺殺体だと思い込むから……!」
智代子「ま、待って、二人とも!!そうなると、めぐるちゃんってどうやって死んじゃったことになるの?!」
摩美々「……正直なところ、死体は爆破で損壊が激しいからめぐるが円香に何をされたのかはわからない」
智代子「そんな……!!」
摩美々「……」
摩美々「一つ、考えられうる限り最悪のシナリオがある……ケド……」
(……摩美々さん)
(……やっぱり、そういうことなんですね)
(正直なところ、ずっとその可能性はあるんじゃないかと思っていました)
雛菜「いや、でもやっぱりめぐるちゃんは刺殺されたんじゃないの~?だって、他に凶器は現場に……」
愛依「タオルが本当に白衣の下にあったのかどうかなんてわかんないしさ?!可能性はもっとシンチョーに検討した方が良くない?!」
(おそらく、この場にいる全員がうっすらと勘づいている)
(でもそれを口にしないのは……みなさんの優しさであり、弱さだ)
(……私が言うしかない)
(摩美々さんの言う最悪のシナリオは、きっとそういうことだから)
灯織「……みなさん、一つ聞いてもらえますか」
摩美々「……っ!」
灯織「私、わかってしまったんです。この事件の犯人が」
智代子「は、犯人……?」
雛菜「そ、そんなの円香先輩って結論だったよね~?」
愛依「そ、そーだよ!この裁判に結論はもう出てるじゃん!」
灯織「この事件でめぐるの命を奪った犯人は……」
摩美々「灯織……っ!」
灯織「摩美々さん……」
摩美々「……っ!」
灯織「お願いします、この事件の幕を私に引かせてもらえませんか」
摩美々「……」
灯織「それがめぐると樋口さんに対する、これまでに犠牲になったみなさんに対する私なりの誠意なんです」
摩美々「灯織……本当に強くなったよねー。ホント、この学園に来たときは大違いー」
摩美々「……なんで、強くなっちゃったの」
灯織「……すみません、摩美々さん」
灯織「でも、アイドルは日々成長……ですから」
摩美々「……ホント、最悪―」
(……さあ、覚悟を決めよう)
(この事件の犯人を、私の手で指摘するんだ……!)
灯織「この事件の犯人は……!」
-------------------------------------------------
【クロを指摘しろ!】
↓1
(……ううん、雛菜は犯人じゃない)
(あの樋口さんなんだもん、幼馴染の手を汚させるような真似はしないよ)
(彼女なら、手を汚させるなら……憎しみを向け続けた相手を選ぶはず……)
(そして、その憎しみをぶつけた相手は……)
(……さあ、今度こそ覚悟を決めよう)
(この事件の犯人を、私の手で指摘するんだ……!)
灯織「この事件の犯人は……!」
-------------------------------------------------
【クロを指摘しろ!】
↓1
灯織「これが私の覚悟……!」
【解!】
『5日目 透が殺された。このコロシアイはただ殺せばいいってものじゃないらしい、学級裁判とやらで犯人当てをして、犯人との間で命を懸けた推理ゲームに挑まないといけない。灯織の活躍もあって犯人の真乃を特定することはできた。でも、私は透の仇を取ることはできなかった。私の目の前で真乃は処刑されて、私の行動は小糸に諫められてしまった。私は、間違ってはいない。人を恨むこと、憎しむことは人間として当然の心情。そこから逃避することは果たして正しいの?』
『それに、灯織は必死に取り繕っていたけど……真乃の犯行を見てよくあんなことが言える。真乃は自分自身が生き残るために、他の誰かを罠にはめようとした。その事実は覆るものじゃない。私は灯織の言う絆に、仲間の想いというものに、疑問を感じざるを得ない』
『もし灯織は……自分自身が同じ目に遭っても、同じことが言えるの?』
灯織「私たちが植物庭園で見つけた時……めぐるは、死んでなんかいなかった。まだ生きていたんです」
灯織「でも、私は一人で焦ってしまって覆面の下がめぐるでないことを確かめたくなってしまった」
灯織「だから、みなさんの制止を聞く間もなく、覆面を取ってしまったんです」
灯織「あの覆面の下には、爆弾が仕掛けられていたにもかかわらず」
愛依「もうやめて!!」
灯織「……愛依さん」
智代子「灯織ちゃん、ちがう、ちがうよ……!灯織ちゃんの推理は全部全部……的外れだよ!」
灯織「チョコ……」
雛菜「円香先輩がめぐるちゃんを殺したに決まってるじゃん!灯織ちゃんは、なにもしてない、何も悪くないよ~~~!!」
灯織「雛菜……」
摩美々「灯織、それ以上見当違いな推理を続けるようなら摩美々も許さないから」
灯織「摩美々さん……」
灯織「皆さんの気持ちはありがたいです、ありがたいですが……それを受け取るわけにはいきません。受け取ってしまえば、それこそ皆さんに対する裏切りですから」
摩美々「生意気だね、灯織―」
灯織「やっぱり、摩美々さんはそう簡単に引いてはくれませんよね」
摩美々「当たり前じゃん、灯織が言ったんじゃーん。学級裁判はチームプレイだって」
摩美々「そんなくだらない作り話で裁判を操作しようとするなんて、灯織はめちゃくちゃ悪い子じゃーん」
灯織「……悪い子、そうかもしれませんね」
摩美々「はぁ?」
灯織「なら、摩美々さんの胸を借りてもいいですか」
灯織「どっちが本当に悪い子なのか、今ここで決めませんか?」
摩美々「……っ!ホントに、生意気―……!!」
摩美々「認めない、絶対に認めない……灯織のそんな論外な推理、認めるわけない……!」
灯織「私と勝負してくれますよね、摩美々さん」
摩美々「……いいよ、それなら摩美々も全力出しちゃいますからぁ」
摩美々「灯織を正面から捻りつぶしちゃいますねー」
-------------------------------------------------
【パニックトークアクション開始!】
摩美々「私悪い子ですからー」【防御力50】
摩美々「そんなの生意気だよねー」【防御力55】
摩美々「認めない、認めない、認めないからぁ」【防御力60】
摩美々「いい加減怒りますよー?」【防御力65】
摩美々「灯織も悪い子だよねー」【防御力70】
摩美々「推理の撤回を要求しますー」【防御力75】
【盾の防御力をコンマで削り取れ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓直下より六回連続判定
【コンマ判定 58 91 54 93 91 15】
【スキル効果を合算します】
【最終判定 83 116 79 118 116 40】
-------------------------------------------------
【パニックトークアクション開始!】
摩美々「私悪い子ですからー」【BREAK!】
摩美々「そんなの生意気だよねー」【BREAK!】
摩美々「認めない、認めない、認めないからぁ」【BREAK!】
摩美々「いい加減怒りますよー?」【BREAK!】
摩美々「灯織も悪い子だよねー」【BREAK!】
摩美々「推理の撤回を要求しますー」【防御力35】
(あと少し……)
(ここで引くわけにはいかない、これが皆さんを守ることにもなるんだから……!!)
【盾の防御力をコンマで削り取れ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓直下
【コンマ判定 81】
【スキル効果を合算します】
【最終判定 106】
-------------------------------------------------
【ALL BREAK!】
灯織「正々堂々、勝負してもらいますよ!」
【摩美々「死体発見当時既にめぐるは死んでいた、そうじゃないと覆面を取るときに反応がないとおかしいでしょー」】
や/ん/A/ひ/く
【正しい順番に並び替えて、コンマ値80以上でとどめをさせ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
(いや、正しい並びはそうじゃない……)
(ラベリングは前回の咲耶さんの事件の時に確認した通り……意味としては同じだけど)
(それに、摩美々さんを打ち破るには力が足りない……)
(もっともっと……相手の論理を打ち破る、その力を……!!)
【摩美々「死体発見当時既にめぐるは死んでいた、そうじゃないと覆面を取るときに反応がないとおかしいでしょー」】
や/ん/A/ひ/く
【正しい順番に並び替えて、コンマ値80以上でとどめをさせ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果が発動します】
【コンマの数値が+25されます】
↓1
灯織「真実から目を背けないでください!」
【BREAK!】
灯織「たとえ生きていたとしても行動を封じる方法なら摩美々さんもご存じなはず」
摩美々「……っ!」
灯織「化学室には山ほど薬品があります。前回の事件でも薬品Aを用いて気絶させるトリックは使われましたよね?」
摩美々「ち、ちがう……」
灯織「薬品Aは空気よりも重たい気体、それを吸引すれば意識を失ってしまう。覆面を私が剥がそうとしたところで反応はできないですよ」
摩美々「ちがうちがう……!!」
灯織「そしてそれは、植物庭園のニワトリたちも意識不明になってたところからも明らかです」
摩美々「ちがうってばぁ……!!」
灯織「断言します、めぐるを殺した犯人は、覆面の下の爆弾を起動した……」
雛菜「わ~~~~~~~~~!!!」
灯織「ひ、雛菜?!」
雛菜「ちがう!ちがう!絶対に円香先輩が殺したんだもん!」
雛菜「ぜ~~~~~~~~ったいに灯織ちゃんなんかじゃない!」
愛依「うちも絶対に認めない」
愛依「灯織ちゃんが犯人なわけない……めぐるちゃんを殺しちゃったなんて……あるわけないんだかんね!」
智代子「それ以上は灯織ちゃんでも許さないよ!」
智代子「こんな推理……これ以上聞きたくない!」
(…………)
(……みなさん、本当に優しいなぁ。私にはもったいないくらい)
(でも)
(優しい皆さんだからこそ、今はここで戦わないといけない、打ち負かさないといけない)
(正しい方向に導けるのは__________今は私だけなんだ)
灯織「……モノクマ!」
【モノクマ「今こそ雌雄を決するとき!」】意見対立!
-------------------------------------------------
モノクマ「あいよ、お待ちしておりましたぁ!」
モノクマ「風野さん、思う存分論破しちゃってちょーだいな!」
モノクマ「命を懸けた究極の全論破、見せてちょーだいな!」
モノクマ「最期の大花火、打ち上げてちょーだいな!」
(わざわざモノクマに言われなくても、だ)
灯織「……行きます!」
-------------------------------------------------
【意見対立】
【議論スクラム開始!】
「風野灯織は無実だ!」vs【風野灯織は犯人だ!】
雛菜「そもそもあの死体がめぐるちゃんだって証拠はないよね~~~?他のところにめぐるちゃんはいるはずだよ~!」
愛依「めぐるちゃんは発見した時にはもう死んでたんじゃん?!だから覆面を取るときにも抵抗しなかったし……」
智代子「めぐるちゃんの死因は刺殺だよ!あの爆発は証拠隠滅のためだけ!」
摩美々「犯人は円香だって結論は出てたじゃーん」
雛菜「灯織ちゃんがいたから、雛菜は変われたんだよ……?雛菜を一人にしないでよ~!」
摩美々「灯織はこれまで私たちを引っ張ってきたのに……こんなところで終わらせる気なのー……?」
-------------------------------------------------
【意見スロット】
【薬品A】
【犯人】
【絆】
【ナイフ】
【仲間】
【隠れ場所】
【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】
↓1
【隠れ場所】
【薬品A】
【ナイフ】
【犯人】
【仲間】
【絆】
>>597
-------------------------------------------------
【隠れ場所】
【薬品A】
【ナイフ】
【犯人】
【仲間】
【絆】
-------------------------------------------------
【灯織「私の手で……導いてみせる!」】
雛菜「そもそもあの死体がめぐるちゃんだって証拠はないよね~~~?他のところにめぐるちゃんはいるはずだよ~!」
【灯織「他の隠れ場所はすべて検討した……めぐるに隠れる場所はもう残ってないんだよ」】
愛依「めぐるちゃんは発見した時にはもう死んでたんじゃん?!だから覆面を取るときにも抵抗しなかったし……」
【灯織「薬品A、あれを使えば意識を奪うことは容易なはずです!気体は空気より重たいので、寝転がっためぐるはずっと吸い続けていたはずですよ!」】
智代子「めぐるちゃんの死因は刺殺だよ!あの爆発は証拠隠滅のためだけ!」
【灯織「あのナイフは死体には本当は刺さっていなかった……タオルを挟み込んでいたんです!」】
摩美々「犯人は円香だって結論は出てたじゃーん」
【灯織「樋口さんが行ったのは偽装工作まで、本当の犯人はあの罠にかかった私なんです!」】
雛菜「灯織ちゃんがいたから、雛菜は変われたんだよ……?雛菜を一人にしないでよ~!」
【灯織「一人になんかしない……雛菜には、仲間がいる。そのことに雛菜も気づいてくれたよね?」】
摩美々「灯織はこれまで私たちを引っ張ってきたのに……こんなところで終わらせる気なのー……?」
【灯織「終わりになんかしません。私の想いを、絆を……みなさんに引き継いでもらいますから!」】
-------------------------------------------------
【CROUCH BIND】
【SET!】
【コンマの合計値300以上で相手のスクラムを打ち破れ!】
【スキル:意地っ張りサンセットと摩的・アンチテーゼの効果によりコンマ値が+25されます】
↓直下より六回連続でコンマ判定
【コンマ判定 70+53+62+76+29+76】
【スキル効果でさらに+25されます】
【コンマ合計値 315】
【全論破】
灯織「真実から目を背けないで!」
【BREAK!】
灯織「……もう、結論は出てるんです」
灯織「めぐるの居場所も、死因も、樋口さんの策略も……これが議論の行き着く先、たった一つの真実なんです。だからこそ、その真実から目を背けないでほしいんです」
灯織「たとえ辛い、残酷な真実であっても……それが真実である限りは、私たちにはそれを選ぶほかないはずです」
灯織「……そして、みなさんならそれができるって私は知ってますから」
摩美々「そんなのって反則だよ、灯織―……」
雛菜「灯織ちゃんにそんな風に言われたら……」
愛依「うぅ……なんで、なんで灯織ちゃんが……」
智代子「……やだ、いやだよ、やっぱり」
灯織「……最後までご一緒できず、すみません」
灯織「みなさんなら、きっと生きて還れると信じてますから。めぐると、真乃と、みなさんと一緒に見守ってます」
灯織「モノクマ、始めてくれますか」
モノクマ「ラジャ―!それでは議論の結果も出た様子なので、投票タイムと参りましょう!」
摩美々「……」
モノクマ「オマエラはお手元のスイッチで犯人と思う生徒に投票してください!」
灯織「みなさん、投票をお願いします。もちろん、投票先は私で」
愛依「……押せないよ、うちには」
智代子「わたしも、押したくないよ……」
雛菜「雛菜も、こんなのやだ……」
摩美々「………………」
摩美々「灯織、化けて出ないでよー?」
灯織「……!!摩美々さん……!!」
摩美々「灯織ってば寂しがりだから、死んじゃっても枕元に出てきそうで心配って言うかぁ……幽霊になってもねちっこいかもしれないですよねー」
灯織「わ、私ってそんなに粘着質ですか?!」
摩美々「ふふー、冗談ですよー」
灯織「もぅ……摩美々さんったら……」
摩美々「灯織はホント、からかいがいがありますねー」
愛依「摩美々ちゃん……?これって……」
摩美々「そんなんだから円香にもいいように騙されちゃうんだよー?」
灯織「うっ……それは言わないお約束でしょう……」
智代子「いつもの二人の、からかい合い……」
摩美々「それに灯織ってば鈍感だからぁ、現場にあったダイイングメッセージにも気づいて無かったよねー?」
灯織「そ、そんなのあったんですか?!それなら早く言ってくださいよ!」
雛菜「雛菜たちの、日常……」
摩美々「ほら、すぐ騙される―」
灯織「なっ……!!また嵌めましたね、摩美々さん……!?」
それは、摩美々さんの決意の表れ。
私に別れを告げるために、私に私の意志を継いだことを伝えるために、
絆がそこにあることを証明するために、別れを決してつらいものにしようとする摩美々さんの気位だった。
これまで積み重ねて来たいつも通りの日常をこの場所に持ってくることで、その場に居合わせた全員に伝播させたメッセージ。
雛菜「……」
雛菜「あは~♡灯織ちゃんってば、いっつも面白いよね~!」
灯織「ひ、雛菜まで……!?」
愛依「……」
愛依「アハハ、ちょいちょい!灯織ちゃんも困ってるって!」
灯織「め、愛依さんの言う通りですよ!少しは控えてください!」
智代子「……」
智代子「まあまあ、議論のし過ぎで疲れちゃったよね!お菓子持ってきてるんだけど、ちょっとここで休憩にしない?」
摩美々「お、気が利くじゃーん」
愛依「うちももらっていい?」
雛菜「も~らい!」
灯織「あ、それ私の分だよ雛菜!」
智代子「あはは、しっかり灯織ちゃんの分もあるから大丈夫だよ!」
そして私たちは同時に口の中に一口大のチョコを放り込んだ。
クラスの中の良い同級生と昼休みを過ごすときのように顔を見合わせ、笑みを浮かべてちょっとばかしの涙も滲ませて。
頬からはじんわりとほぐれていく。
別れの味がほろ苦いなんて、そんなの嘘っぱちだ。
私にとってお別れは、こんなにも優しく、温かい……
______甘い味だ。
摩美々「それじゃあ、そろそろ観念しますー?」
雛菜「だね~、名残惜しいけど、それが灯織ちゃんの望んだことだもんね~」
愛依「ごめんね、灯織ちゃん……何度も逃げちゃって。でも、うちももう逃げないよ!」
智代子「うん!わたしも覚悟を決めたよ!灯織ちゃんのために……わたし自身のために!」
灯織「……ありがとうございます、それが一番うれしい言葉です」
モノクマ「……えーっと、もう流石にいいんだよね?いいよね?」
モノクマ「投票の間近になってこんな遅延行為をされると思わなくて正直びっくり仰天だったんだけど……ボクは空気が読めるクマなので!」
モノクマ「それでは気を取り直して、改めてお手元のスイッチで投票しちゃってくださーい!」
モノクマ「裁判の結果導き出したクロは正解なのか、不正解なのかー!さあ、どっちなんでしょうかね?」
-------------------------------------------------
【VOTE】
〔灯織〕〔灯織〕〔灯織〕
CONGRATULATIONS!!!!
パッパラー!!!
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【学級裁判 閉廷!】
というわけで本日の更新はここまで。
5章の学級裁判は灯織がクロで幕を下ろします。
事件発生時からなんとなく分かっていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このまま一気に5章を明日で終わらせてしまうつもりです。
灯織のおしおき~5章完結まで、明日8/11(水) 21:00~で予定しています。
それではお疲れ様でした。
……もし、透と小糸が今でも生きていたなら。
私がこれからすることをどう評しただろう。
自分の命を懸けてまで、怨恨と憎悪の計画を実行する私を馬鹿にするだろうか。叱りつけるだろうか。
小糸はきっと必死に止めようとする。
私の袖を引いて、必死の表情で額に汗を滲ませながら説得を試みるはず。
透は多分何も言わない。
切なそうな表情で、手を伸ばすこともせず。名前を呼ぶくらいはするかもしれないけど、きっと踏み込んではこない。
……わかってる。
私のこの感情はいつしか二人の想いからも逸れかけていたことは重々承知。
灯織に同調するわけじゃないけど、二人が心から復讐を望むことは考え難い。でも、それは私が辞める理由にはならない。
私はただ仇討ちのために動いているんじゃない、大義名分なんか関係ない。
幼馴染を奪った甘言を許せないから、幼馴染を守ることのできなかった自分を許せないから、このくだらないゲームを許せないから……
全部全部、エゴイズムだ。
人間なんて行き着く先はそんなもの。
思いやりや滅私奉公なんて言ったところでそこにはエゴイズムが透けている。
聖人君主なんか存在しないし、存在するべきじゃない。
もしそんな人間が存在するなら、私のように復讐の獣のその身を堕とした人間はどこまでも惨めで軽蔑されるべき存在になってしまう。
だから私は、もう戻れない。
_____戻ることなんて、許されないから。
「……私は」
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モノクマ「ひゅー!今回の見事に大正解だぜブラザー!」
モノクマ「樋口さんの計画に嵌って犯人に仕立て上げられちまった哀れな英雄、風野灯織さんに餞の拍手をお送りください!いよーっ!」
投票を涙ながらの笑顔で終えた私たちだったけど、流石に拍手は誰も行わなかった。
何も黒幕の非道な考え方に染まったわけじゃない、皆さんは私に純粋な優しさを向けてくれただけだったから。
私のクロが確定した今も、必死に涙を見せまいとしてくれている皆さんの顔を見ると、自然と言葉が口を継いで出た。
灯織「投票してくれて、ありがとうございました」
摩美々「ホント、結構覚悟要ったんだからぁ」
愛依「灯織ちゃんを信じてたからだかんね!」
智代子「うん!最後に迷いはなかったよ!」
雛菜「いつかスイーツでも食べに行こ~!灯織ちゃんの奢りね~!」
灯織「雛菜……うん、それぐらいなら」
いつもと変わらない日常をずっと演じ続けてくれる皆さん。
灯織「皆さん、本当にありがとうございました。…………でも、そろそろ本当の別れに向けて、私からの言葉を素の、この学園で生きていく皆さんで聞いてもらえませんか」
摩美々「……はぁ、灯織はやっぱ真面目だよねー」
灯織「すみません、がこれは通しておきたい義理ですので」
でも、いつまでも今のままというわけにはいかない。
別れを辛いものにしないための演技で、最後の想いまで覆いつくしてしまうのはそれまた辛いものになる。
……最期くらいは、本音で語り合いたい。
智代子「……」
愛依「……」
雛菜「……」
摩美々「……」
_____皆さんに、自分自身の言葉で伝えるんだ……!
灯織「チョコ、樹里と凛世……二人とおしおきという形で別れることになったチョコにこれを言うのは心苦しい部分もあるんだけど、できれば私のおしおきからも目を背けないでほしいかな」
智代子「そんなの、無理だよ……!灯織ちゃんが死ぬ瞬間を見ちゃったら……それを認めないといけなくなっちゃうよ……!」
灯織「樹里も凛世も、チョコに辛い現実でも向き合ってもらうことを望んでいた。どんな苦境でもへこたれず前を向ける、私なんかよりよっぽど強くてエネルギッシュな……唯一無二のアイドルが園田智代子だよ」
智代子「……わたしは灯織ちゃんが言うほどすごいアイドルじゃ、ないよ」
智代子「でも……それを目指すことは、わたしにも出来ることだもんね……!」
灯織「うん、期待してる」
智代子「任せて!頑張る、頑張るよ……!」
灯織「愛依さん……いつも私が挫けかけた時でも明るく励ましてくれてありがとうございました。愛依さんがいなければ、私は凛世の裁判と樋口さんの計画で完全に折れていたかもしれません」
愛依「うちは何もしてない、灯織ちゃんについていこうと必死なだけだったし……」
灯織「自分がどう思っていても、他人からの評価では全く違う側面が見つかることがある。私も人のことは言えないんですが、愛依さんももっと自分自身を評価すべきだと思います。愛依さんも他の誰にも負けず劣らず魅力的で……私にとってあこがれのお姉さんですから」
愛依「アハハ、お姉さんってば照れんね……うち、そんなにホスピタリティ?があるのかはわからないけど……灯織ちゃんがいなくても、みんなが折れないように、がんばって励まし続ける……!それが灯織ちゃんの願いなんじゃん?!」
灯織「はい、身勝手なお願いだとは思いますが……お願いできますか?」
愛依「もちろん!うち、頑張るから!」
灯織「雛菜、この合宿生活で大きく変わった雛菜ならもう心配はないと思ってるよ。心の中に無意識に作っていた線引きを踏み越える勇気を手にして、私たちも本当の意味で仲間になれた」
雛菜「でも、その仲間から灯織ちゃんがいなくなるなんて……雛菜は嫌だよ~~~~!」
灯織「最後まで一緒にいられなくて、ごめんね。雛菜を無理やり引っ張り出したのは私なのに、無責任だよね……でも、私たちはずっと一緒、でしょ?」
雛菜「その言葉、ずるいよ~……雛菜、諦めるしかなくなっちゃうじゃん」
雛菜「も~~~~!灯織ちゃんのバカ~~~~~!……そういうところが雛菜は嫌いで、大好きだったよ」
灯織「私も、雛菜のことが好きだったよ」
雛菜「雛菜の方が灯織ちゃんのこと、好きだもん~~~!灯織ちゃんが死んじゃっても、これは譲らないから~~~!」
灯織「……摩美々さん」
摩美々「……」
灯織「私がここまで皆さんと来れたのは、生き延びてこれたのは間違いなく摩美々さんのおかげです。裁判で行き詰ったときに動かしてくれたのはいつも摩美々さんですし、摩美々さんがいらっしゃらなければたどり着けなかった真相ばかりです」
摩美々「……」
灯織「不穏な流れになったときでも、私と一緒に対策を考えてくれた。聡明で、機転が利いて、そして誰よりも仲間想い。そんなあなただからこそ、私も安心して背中を任せられた……摩美々さん、私亡き後も皆さんを引っ張って行ってくれますか?」
摩美々「……はぁ」
摩美々「咲耶と同じで自分勝手。自分は先に死ぬからって後に色々託し過ぎじゃないー?摩美々の体は一つなんですケド」
摩美々「……ま、やるだけやってはみるよー」
灯織「ふふ、そう言ってくれると信じていました」
……言えた。死の間際になって、やっと思いが伝えられるなんて、我ながら情けない。
でも、悔いはない。皆さんに私のすべてを託す準備は、委ねる覚悟ができた。
摩美々「……」
摩美々さんと自然と目が合い、お互い示し合わせたわけでもなく頷きあった。
私はいつの間にか図々しくも皆さんを率いるような立場に就かせていただいていた。
私なんて推理も一人じゃできないし、誰かを鼓舞するにも仲間の力を借りてようやくといった頼りないリーダーだったはず。
だから、そんなリーダーがいなくてもきっとやっていける、私なんかよりも立派なリーダーが、私の意志を受け継いでくれるだろうから。
真乃、めぐる……私、やりきったよね?
モノクマ「ま、今回はうっかりクロになっちゃったってだけだしそう長話することもないでしょ?もうおしおきしちゃっていいっすか?」
灯織「……モノクマ、その前に一つ聞いてもいいですか?」
モノクマ「ん?どうしたよ、風野さん。なぜなに期?」
灯織「めぐるが最期に、樋口さんとどんな会話を交わしていたのか教えてもらってもいいですか?めぐるのことです、きっと最期まで樋口さんの説得を試みたんじゃないかと思って」
モノクマ「あー、まあそれくらいならいっか。ちょっと待っててね、すぐに監視カメラの映像を映してあげるから!」
私の申請を存外すんなりと受け入れたモノクマはすぐにコードを繋ぎ、モニターに映像を映し出す。
映像は植物庭園の倉庫の中だろうか、ぼんやりとした暗い空間に見なれた金髪の少女が両手足を拘束された状態で言葉を投げかけている。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
めぐる『円香……本当に、やるの……?わたしを殺して、灯織たちに絶望させるつもりなの……?』
円香『……そうだけど』
めぐる『これ以外の方法はなかったの?……どうしても、みんなはわかり合えなかったの?』
円香『……しつこい、言ったでしょ。分かり合うとか分かり合えないとかの次元じゃない。国籍が変われば言葉は通じないのと同じ、そもそも別の種類の人間だったってだけ』
めぐる『ちがうよ』
円香『……は?』
めぐる『言葉が通じなくても、気持ちは通じ合える……円香が別の種類の人間だって思っても、心を通わせることはできるはず……!灯織たちは、円香が思うような悪い子たちなんかじゃ……!』
円香『やっぱりわかってない。灯織たちの掲げる絆とやらの崇高さ、美徳は十分に理解してる。……そのうえで、それを掴む権利が私には無いってだけ』
めぐる『そんなことないよ!』
円香『……もういい?めぐると雑談している間に邪魔が入っても困るから』
めぐる『……わかった、でも最後に一つだけ円香に聞いてもらってもいいかな』
円香『……何?』
めぐる『わたしも、灯織も、摩美々も愛依もチョコも雛菜も……これまでに犠牲になったみんなも……全員が、円香のことを大好きだから!』
円香『……今からその相手に仲間を殺す道具として使われても?』
めぐる『円香のすることは許せないよ。確証のない計画で仲間の命を巻き込んで……でもね、円香という一人の女の子が元々すごく優しい子だってことは知ってるから』
円香『……罪を憎んで人を憎まずってわけ?お涙頂戴でも狙ってるの?』
めぐる『円香、助けてあげられなくてごめんね』
円香『……うるさい』
ブツンッ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
モノクマ「うぅ……泣けますね、涙の説得に全く耳を貸そうともしない樋口さん。いったいいつから道をたがえてしまったのか……」
……やっぱり、めぐるはめぐるのままに死んでいったんだな。
私だってめぐると気持ちは同じだ。あれほど敵意を向けられようとも、樋口さんのことを憎んだり恨んだりはできなかった。
他の誰とも変わらない仲間の一人、事務所で一緒に過ごしただけの時間があったから。
私もやっぱり、樋口さんのことが好きだったから。
灯織「ありがとうモノクマ、最後にめぐるの気持ちに触れることができてよかったです」
モノクマ「……やめてよ感謝の言葉なんか!耳が腐っちゃうじゃないか!ボクはそういう感動ポルノが世界で1番嫌いなんだよ!」
摩美々「そうですかぁ?摩美々は結構好きだったりしますケド」
愛依「……うん、うちも刺さった。めぐるちゃんの気持ち、絶対大事にする!」
モノクマ「はぁ~、流すんじゃなかったよこんな映像。後でさっさとこんなの消しとこ、ハードディスクの容量の無駄。深夜帯のエッチな番組が撮れなくなっちゃう」
……さて、そろそろ潮時かな。
もうこれ以上は死から逃れる猶予もない。
私は改めて皆さんの方へ向き直る。これで見納めとなると、流石に寂しさは感じるけど贅沢も言ってられない。
モノクマ「ま、これで用件も済んだでしょ!今度こそお待ちかねの時間と行きましょうかね!」
智代子「……そん、な」
雛菜「……おしおきタイム、なんだよね」
灯織「大丈夫、私は覚悟はもうできています」
摩美々「……はぁ、見送る側もしんどいんだよー?」
愛依「……泣かない、泣かないから、うち……!」
モノクマ「うぷぷぷ……これまでみんなを引っ張ってきた風野さんのおしおき、思わず興奮してきちゃいますね!」
……残り最期のわずかな時間。
その終わりのコンマ一秒まで、私は命を賭して言葉を紡ぐ。
灯織「……樋口さんの仕掛けた計略、それに私はかかってしまいました」
灯織「樋口さんはきっとあの状況ならば私が真っ先に覆面を外しに行くことも見越していたんでしょうね。めぐるが目の前からいなくなって、実際冷静を欠いていましたし」
灯織「そこで覆面の下に爆弾を仕掛けておけば、起爆するのは十中八九私。犯行にはもともと無関係だった人間が、罠に引っかかって最終的なトリガーを引いてしまう」
灯織「その結果、犯人になってしまうのは……私」
モノクマ「惨たらしく、みじめな死にざまを風野さんにお届けできると思うとオラワクワクしてくっぞ!」
灯織「でも、これってもともとは真乃が浅倉さんの事件で、最初の事件で愛依さんに仕掛けた罠と同じなんです」
灯織「絆を、仲間を、想いを……訴え続けて来た私にそれと同じことをすることで、仲間自身が足を引っ張り死へと引きずり込むことで、意趣返しの目的があったのでしょうね」
灯織「きっとそうして、絆というものの脆弱性を示そうとしたんだと思います。幼馴染という繋がりを失ってしまった樋口さんだからこそ、その繋がりの希薄さを証明することで……自分自身を宥めようとしていたのかも」
灯織「樋口さんの目論見は、その意味では途中まで成功していましたね」
灯織「事実罠にかかったのは私、めぐるを手にかけることになったのは私。見事狙い通りに私にクロを押し付けることに成功したんです」
モノクマ「じゃあそろそろ始めちゃいましょうか!」
灯織「……でも、樋口さんにとってきっと今の私たちは完全に目論見通りではないはず」
灯織「だって私は、折れてなんかいませんから」
灯織「自分自身がクロとなって、死を目前に控えた今、私はかえって皆さんとのつながりを、絆を強く実感しているんです」
モノクマ「今回も、超高校級の占い師である風野灯織さんのためにスペシャルなおしおきを用意させていただきましたぞ~~~~!!」
灯織「私のことを思って涙を流してくださる……私との間の絆を、大切に思ってくださっている」
灯織「それはある意味では悲嘆、絶望になるのかもしれません。永遠の別れを前にその感情を抱かない人間はいませんから」
灯織「でも、その絶望は希望を奪い去る深い闇のような絶望なんかではなく……むしろ前に進むための力になる、バネにすることのできる前向きな絶望なんです」
灯織「ふふっ、樋口さんもまさか『絶望計画』で与えた絶望の先に希望があるとは思っていなかったでしょうね」
灯織「だから……みなさん、諦めないでください。負けないでください」
モノクマ「それでは張り切っていきましょう!おしおきタイム~~~!」
灯織「挫けそうになったら、辛くなったら……よろしければ私のことを思い出してください」
灯織「絆を掲げて、絶望に抗おうとした直情的なアイドルのことを、忘れないでいてくれると幸いです」
灯織「さようなら……!」
________私が最期に見た景色は、みなさんの涙交じりの笑顔だった。
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GAMEOVER
カザノさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
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風野さんが教室でポツンと独りぼっち。
黒板に向き合うように教室の椅子にお行儀よく座っています。
でも、体が強張ってしまっているのか机椅子から離れようにも離れられません。
え?どうして体が強張るのかって?無粋だねぇ、彼女は今から『卒業』を迎えるんですよ?
卒業、それは誰しもに訪れる別れと成長の時。
教育者としては、教え子が一つの区切りを迎えることほど感慨深いこともありませんね。
卒業生はほんの少し寂しさと希望と夢を胸に、新天地へと旅立つのです。
ま、風野さんが胸に抱いているのは絶望ですけどね!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
卒業
~graduate~
超高校級の占い師 風野灯織 処刑執行
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さあ、この学園を旅立つ風野さんのために私たちもできることをしてあげましょう。
この学園で過ごしたという、楽しい楽しい思い出、忘れたくとも忘れられない思い出を、
その体に刻み付けちゃいましょう!
思い出強制マシンが作動!
教室の中央の床が一気に抜けたかと思うと、大きなカメラが姿を現します。
カメラは旧式のシャッターカメラ。眩いばかりのフラッシュと共にシャッターが下りて、思い出の一瞬を写真に焼き付けます。
床の中央が抜けたことで、教室の床全体があり地獄のように傾く形に。風野さんの座っていなかった机椅子は次々に落下。
落ちてきたのと同時にシャッターが下りる!
バキッバキバキッ
カメラのシャッターが無慈悲に机をかみ砕きます。
うんうん、これもまた思い出だね。
教室のみんなで書いた書初めも。
バキッバキバキッ
ロッカーに押し込められた学生カバンの数々も。
バキッバキバキッ
全部全部思い出として刻み込みましょう!
教室の傾斜はどんどん増していくばかり。
風野さんも座ったままではいられなくなり、
立つことも危うくなり、
柱にしがみつかないといけなくなり、
その柱も折れてしまうので窓枠にしがみつき、
最終的には、そのフレームまで剥がれてしまい、
シャッターチャーンス!
おおなんということでしょう、卒業生の風野さんが素敵な素敵な卒業写真になってしま……あれ?
ガシュゥゥゥゥッゥ プスプス
巨大カメラが謎の緊急停止。シャッターは降りることなく、風野さんはそのまま窓枠と一緒にカメラを通過。
カメラは地下のゴミ捨て場と直通になっています。そりゃそうでしょ、思い出なんかくっだらない写真も所詮はただの紙だしゴミと変わらないもの。
そ、そんなことより風野さんは……思い出を刻み付けられることもなく……
___おしおき、失敗?
-------------------------------------------------
モノクマ「……は?」
智代子「ひ、灯織ちゃん……!?」
愛依「おしおきが、失敗した……?」
モノクマ「……いやいやいやいや!何が起きてるのさ、な、なんで……!?」
摩美々「……な、なにが起きてるんですかぁ?」
モノクマ「こっちが聞きたいよ!なんでこんな大事な局面でおしおき装置が停止するの!?オマエラが何かした……わけはないし、まさか……!!」
雛菜「心当たりでもあるの~?」
モノクマ「……畜生、あいつらめ……とうとう邪魔してきやがったか……!もう怒ったぞ、もう怒ったからなァーーーーーッ!!!」
摩美々「や、怒ってるのは分かったケド、これって扱いとしてはどうなるわけー?摩美々たちはこれからどうすればいいの?」
モノクマ「風野さんのおしおきは不完全燃焼だけど、しょうがない。それは諦めることにするよ。あのままゴミ捨て場に真っ逆さま、出てくることなんかできるわけないしどうせそのまま死んじゃうからほっとけばいいや」
モノクマ「だから学級裁判はここでお開き!閉廷だよ閉廷!」
雛菜「あは~、滅茶苦茶ですね~」
モノクマ「滅茶苦茶だよ!滅茶苦茶を超えてドチャクチャだよ!あ~、もう!ボクは今からやることができたから、オマエラはさっさと自分の部屋に戻ってくださーい!」
愛依「……行っちゃった」
智代子「ど、どうしよう……灯織ちゃん、どうなっちゃったのかな」
雛菜「モノクマが言ってたことを信じるとゴミ捨て場に行っちゃったみたいだよね~?ゴミ捨て場ってことはトラッシュルームの地下かな~?」
摩美々「……もしかして、灯織はまだ生きてるかもしれない」
愛依「えっ……!?」
摩美々「ゴミ捨て場にあるごみの種類によってはクッションみたいになってる可能性もあるから……無事を信じて助けに行くことができる、かも……?」
愛依「ま、マジ……!?」
雛菜「モノクマも今回のことは想定外だったみたいだし、助けに行くなら今の内かもしれないよね~」
智代子「そ、それなら早く行こうよ!灯織ちゃんを助けてあげないと!」
摩美々「ちょっと落ち着いて―……可能性があるってだけだし、準備をしてから助けに行かないと困るのはこっち……共倒れになってもダメでしょー」
愛依「そ、そっか……」
摩美々「ひとまず学校に戻って対策会議と行こっかぁ」
智代子「うん!絶対灯織ちゃんを助け出そうね!」
摩美々(……灯織、少しの辛抱だから待ってて……!絶対、助けるから……!)
摩美々(この希望を、摩美々も絶対に絶やさないから……!)
-------------------------------------------------
【???】
モノクマ「あ~もうクソ!ここまで邪魔してきやがって!いい加減にしろ!がっつきすぎる男子は嫌われるんだぞ!」
モノクマ「……これか、学園内の施設設備を管理するシステムにハッキングを受けた後がある。これでボクのおしおきを邪魔したんだなぁ~!?」
モノクマ「……そうか、そう来るんだな。だとしたらボクが僕自身の手で見せてやるよ!ボクは間違ってない、ボクが何よりも正しい!」
モノクマ「ボクの生み出す絶望、そして希望がこれまでのどれよりも正しく、深く、輝いている、真理だって証明してやる!」
モノクマ「見てろよ……ボクをコケにしたことは、絶対に許さないからな!」
▶activating the file 【希望ヶ峰歌姫計画】
▶now loading…
モノクマ「クックックッ……これで全部整うんだ」
モノクマ「ボクの追い続けた理想が叶い、ボクの夢が成就して、ボクの復讐がやり遂げられて、ボクの計画が完遂されて……」
モノクマ「全部全部きっちりがっちりしっかりねっとり……整うんだ」
モノクマ「そして新しい時代がやってくる……すべてのアイドルが過去になる、エンタメとしても、人類としても新しい時代」
モノクマ「人類としての次のステージがね!」
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……ザザ………ザ……
ザザ……ザザザ………
「……絶対に、止めてみせる」
【???】
「……絶対に、止めてみせる」
「こんなの、間違ってる……これが正しい筈がないだろ……!」
「もう、遅いのかもしれない。それでも、だからといって逃げる理由にはならない」
「守らないと……絶対に……救わないといけないんだ」
「彼女たちを誰よりも近くで見て来た、誰よりも彼女たちのことをよく知る俺だからこそ」
「このイかれたコロシアイを、俺が止めなくちゃいけないんだ……!」
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【CHAPTER 05 Die the sky】
END
残り生存者数 4人…?
To be continued...
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【CHAPTER05をクリアしました!】
【学級裁判クリア報酬としてモノクマメダル41枚を入手しました!】
【CHAPTER05クリア報酬としてアイテム『星のヘアゴム』を手に入れました!】
〔CHAPTER05を生き抜いた証。めぐるが生前着用していたヘアゴム。かつて夜空に輝いた星は墜ち、やがて燃え尽きる〕
【CHAPTER05クリア報酬としてスキル『アップ・トゥ・ユー』を習得しました!】
〔学級裁判中任意のタイミングで発動可能。モノクマメダルを消費することで回答を導く。要求枚数は回数ごとに増加〕
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というわけで5章もこれにて終了です。
事件自体はそう難しくはないものでしたが、物語のキーとなる灯織めぐる円香を絡めた事件の構図を考えるのに結構時間がかかりました……
さて、物語は佳境も佳境、次の章が文字通りの最終章となります。
第六章では前にもお伝えした通り自由行動も発生せず、最初っから非日常編の捜査パートになりますね。
灯織たちがどんな謎と向き合うことになるのか、楽しみにしていただければ幸いです。
ここまでお付き合いいただいてる方の中には流石にいないとは思いますが、
最終章はこれまで以上にダンガンロンパシリーズ原作のネタバレが含まれて参りますので、未プレイな方は先にプレイすることを強く推奨いたします。
また暫くは書き溜めのためにお時間をいただきます。
流石に最終章ともなると規模感が違うので5章の時と同じかそれ以上にお待たせする可能性もあると思います。
物語の終結まではやり遂げるつもりですので、どうか温かい目で見守っていただければと思います。
更新が再開した際には、どうか最後まで見届けてやってください。
それでは5章もお疲れ様でした!
またよろしくお願いします!
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GAMEOVER
ハチミヤさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
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運動神経抜群の八宮さん、本当に人気者ですね!
彼女はスタイルも抜群、愛嬌も満点、嫌いになる人なんかいるはずもありませんとも!
今日もあっちこっちで運動部の助っ人。
お友達のためならなんのその!
か〜っ!スポーツで描く汗は一際爽やかですよね!
さあ、今日も青春に汗を流しましょう!
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HANAREBANARE‼️
超高校級の助っ人 八宮めぐる処刑執行
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次から次へと運動部連中が押し寄せて参ります。
バスケ部、バレー部、サッカー部、野球部、水泳部……さらにはカバディ部なんてマイナー部活まで。
八宮さんはその全てに嫌な顔一つせず力を貸していきます。
流れるようなレイアップシュートを決めたかと思うと、
冴えわたるようなマイナステンポスパイクで一撃。
かと思うと今度は華麗なエラシコでごぼう抜き!
快音響かせホームランを打った後には、バタフライで新記録を塗り替える!
最後のおまけにドゥッキで相手の死角を突く!
いやはや……八宮さんの卓越したスポーツセンスには舌を巻くばかりです。
そんな八宮さんの活躍を見ていた観客たちもどんどんヒートアップ!
「もっと彼女の活躍を見たい!」「別のスポーツではどうなんだ?!」
そんな声が聞こえてくるようです。
そして八宮さんはそんな声にもどんどん答えていきます。
卓球部、テニス部、バトミントン部、柔道部、レスリング部……さらには相撲部にも力を貸してくれるそうじゃないですか!
ああ、なんと心優しき八宮さん!
チキータで高速の返球を行い、
スライスでたたきつけるように得点を奪うと、
ヘアピンでテクニカルなポイントもゲット。
大外刈りも堂に入ってますね!
アンクルホールドで自分の体も顧みない激しい戦いっぷりを見せた後は、
威風堂々の一本背負い。
すごい!すごすぎるぞ!八宮めぐるーーーーーッッッッッ!
お前にできないスポーツはないのかーーーッッッ?!
そんな彼女の素晴らしいパフォーマンスに次々とスポーツのオファーが舞い込みます。
八宮さんの力を借りるために水球部にセパタクロー部、アルティメット部にペサパッロ部。ヤールギュレシ部もやってきました。
文字通りの引く手数多、引っ張りだこ!
彼女の運動センスを前に黙っていられる部活などあるはずもありません!
八宮、お前の力を貸してくれ!
めぐるちゃん、私たちの部活を手伝ってよ!
___あっ、ちょっとちょっと! 八宮さんってば体は一つしかないんですよ!?
___そんなに一気にお願いされても無理なものは無理でしょう?!
めぐる、お前ならうちでもやっていけるぞ!
ミス・ハチミヤ、ともに世界を目指しましょう!
___引っ張らないで! 引っ張らないで!
___順番に、順番に、ね?!
でもでも、運動部の底なしの体力とちっぽけな脳みそは暴走を止めません。
人気者の八宮さんはその手足をそこら中の運動部全員から四方八方に引っ張られ、引っ張られ……
____ブチィッ!!
運動部といえばしゃらくさいミサンガをつけて、
千切れたら願いが叶うだなんてほざいていやがりますけど体そのものが千切れた場合はどうなんですかね。
ま、願いどころじゃないか! ガハハ!
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GAMEOVER
ヒグチさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
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本当に樋口さんは軽やかにステップを刻みますね。
複雑なステップだって目立って手こずる様子はありません。
指先まで伸びやかで、一挙手一投足のそのすべてが洗練されています。
見ているこちらが思わず目を奪われてしまう、
彼女のパフォーマンスは天性のアイドルの才能というやつでしょう。
きっと彼女は今日、ここに至るまで____
大した苦労もしてこなかったんでしょうね。
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心臓を握る
超高校級のディベート部 樋口円香処刑執行
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薄明りのステージの中央で、彼女は歌い、踊り続けます。
それはもう軽やかに、音もたてることなく、悠然と。
ただ、その自分自身の軽やかさが樋口さんにとっては痛みであり憎しみでもありました。
樋口さんが見てきたアイドルたちはみんなその足取りが鈍重で、
彼女たち自身の存在を、努力、その歩みをステップの音に響かせていたのです。
その音を聞くうちに、樋口さんは自分自身の靴が奏でる音の空虚さに胸を押さえて悶えるようになりました。
ステージの音で響き渡る、ほかのアイドルたちの……靴の音。
ステップが刻まれるたびに、その何もかもが自分とは違っていて。
___私たちはこんなにも苦労してきた
聞こえない幻聴がうるさい。
___私たちはすべてを詰め込んでパフォーマンスをしている
靴の音は木槌の音。私の心臓に杭を打ち付ける、拷問の音。
___それなのに、私たちはあなたのようにはなれない
それは深く深く突き刺さって、私の心臓を蝕んでいく。
___あなたは恵まれている
私という人間を、蝕んでいく。
___あなたは私たちのことを憐れんでいるの?
樋口さんはその場に倒れこんでしまいました。
動悸が収まらず、呼吸も浅くなるばかり。
苦しみ悶える中でその視点も定まらなくなっていき、ほかのアイドルたちの姿が蜃気楼のように歪んでいき、そして消えていきます。
ステージに残されたのは、吹けば飛ぶような空虚なアイドルただ一人。
彼女には何もありません。
はじめからほかの人よりも多くのものが揃っていた彼女には、後から詰め込むようなものなど、何も。
彼女の軽やかさはその身軽さからくるものだったのです。
……でも、彼女にもかつて“重みのあるもの”がありました。
それは遠い昔、いつからかクローゼットの隅に押し込んで、忘れてしまっていたもの。
彼女自身の心をえぐるもの。
丁寧に宝石箱の中に押し込んで、鍵をかけてしまいこんでいたもの。
……いや、そうじゃない。
ステージの向こうに、きれいな宝石箱が見えます。
それに向かって手を伸ばす。
かつて自分からかなぐり捨てたそれを取り戻すために、元あるべき場所に戻すために。
その、【オルゴール】に手を伸ばす。
___ズシーン! グチャ…グチャ…
でも、遅かった。
オルゴールに指先が届くこともなく、もっと大きくて、重たいものに彼女の体は押しつぶされてしまいました。
ステージを揺るがすほどの大きな衝撃と音を伴って落下したそのプレス機。
樋口さんは死の間際にゾウの足みたいだと感じたんですって。
うーん、ポエミーな感性でございますわね!
というわけでお久しぶりです。
なんとか九月中に帰ってまいりました。
最終章である6章更新の準備が整いましたことのご報告になります。
完成間際にPCが水没してデータが一部吹き飛ぶアクシデントに見舞われ、
一時心が折れかけましたがなんとか意地で最後まで書き溜めを作って参りました。
はっきり言ってボリュームは過去最大になります、おそらくこのスレだけでは完結できず次スレに少しだけかかってしまうと思います。
色々書いてたら収まらなくなってしまいましたが、それだけ読み応えのあるものに仕上がったと思いますのでどうかご容赦を!
どうか完結までお付き合いいただけたらなと思います。
更新はすぐにでも、今週来週で一気に駆け抜けるつもりでいます。
直近は明日9/30の21:00~より、非日常編から更新予定です。
捜査パートが長く続きますので安価のご参加お待ちしております。
それではまた暫くの間よろしくお願いします!
PCが水没って水害でもあったんか?と思ったけどノートならあり得るか
全裸正座待機してる
>>661
ノートPCですね……
がっつりコーヒーをこぼしてそのままデータが消えてしまいました
皆様はお気を付けください
本日より再開予定でしたが、22:00~で予定が入ったので
すこし前倒しで20:00~からの再開にいたします。
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【6章現在での主人公の情報】
・習得スキル
【一番星の魔法】
〔自由行動二回目終了時にモノクマメダル10枚を消費することで、その日の自由行動を一回プラスすることができる〕
【ポシェットの中には】
〔自由行動のある日に限り一日の終わりにコンマ判定を行い、末尾の数字の枚数分だけのモノクマメダルを獲得できる〕
【意地っ張りサンセット】
〔反論ショーダウン・PTAのコンマ値の基礎値が+10される〕
【包・帯・組・曲】
〔学級裁判で不正解時のペナルティを三回まで無効化する〕
【HAPPY-!NG】
〔交流による親愛度上昇が+0.5される〕
【摩的・アンチテーゼ】
〔反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+15される〕
【水色感情】
〔学級裁判で不正解時コトダマが減少して正解が導きやすくなる〕
【アップ・トゥ・ユー】
〔学級裁判中任意のタイミングで発動可能。モノクマメダルを消費することで回答を導く。要求枚数は回数ごとに増加〕
・現在のモノクマメダル枚数…43枚
・現在の所持品
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×2
【あしたのグローブ】
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【もちプリのフィギュア】
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
・特殊アイテム
【虹の羽】
〔輝く羽は希望を語る。ロジカルダイブで誤答した時、どこの選択肢があっていてどこが違うのかがわかる〕
【スーパーはづきさん人形】
〔どんな事務仕事もたちどころに終わらせてしまう伝説の事務員を模した人形。反論ショーダウンでコンマ値をあげるスキル・アイテムがパニックトークアクション、議論スクラムでも適用されるようになる〕
【ここまでの親愛度】
・【超高校級の飼育委員】櫻木真乃……1.0【DEAD】
・【超高校級の占い師】風野灯織……(主人公)【DEAD?】
・【超高校級の助っ人】八宮めぐる……5.0【DEAD】
・【超高校級の保健委員】幽谷霧子……0【DEAD】
・【超高校級のモデル】白瀬咲耶……3.5【DEAD】
・【超高校級の服飾委員】田中摩美々……12.0
・【超高校級の幸運】園田智代子……3.0
・【超高校級の応援団長】西城樹里……3.0【DEAD】
・【超高校級の日本舞踊家】杜野凛世……2.0【DEAD】
・【超高校級のゲーマー】大崎甜花……3.0【DEAD】
・【超高校級のスタイリスト】大崎甘奈……1.0【DEAD】
・【超高校級のギャル】和泉愛依……4.0
・【超高校級の???】浅倉透……0【DEAD】
・【超高校級のディベート部】樋口円香……7.5【DEAD】
・【超高校級の帰宅部】市川雛菜……12.0
・【超高校級の学級委員】福丸小糸……12.0【DEAD】
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……どうもこんにちは!
私、都内のある企業で勤続12年ほどになるサラリーマンなのですが、
こうして皆さんの前でお話しさせていただく機会はそうそうなく……
お恥ずかしながら現在少々緊張しております、何分普段は表に出る仕事ではありませんので。
そういったわけですので自己紹介なんかも今回は割愛させてもらいますね。
ええ、まあ私という人間なんて本当につまらないものですよ。
生まれた時から日陰暮らし、小中高大……いずれの学生生活でも目立った活躍なんて全く。
部活に入ったはいいもののレギュラーはもらえずずっとスタンド応援。
成績も並みで、そこそこの大学に入って研究もせずに遊び惚けて。
やっとつかんだ就職先では毎日頭を下げて日銭を稼ぐ毎日。
日々のノルマをこなすうちに、
いつの間にかこんなに年数も経ってしまい、家庭も築いてしまっておりました。
ええ、まあ……幸せは幸せでございます。
この不況の時代に、手に職をつけて一応は安定した収入をいただいておりますから。
ですがやはりストレスというものは溜まってしまいます。
職場のストレスなんかはその代表ですね。
取引先のパワハラ、上司からの理不尽な要求、後輩に対する気回し……どうしても窮屈に感じる場面は多々ございます。
白状しますと妻のご実家に帰るのもかなりストレスですかね。
お義父さんが厳格な方でいらっしゃって、おちおち目の前で携帯を触ることもできないんです。
それにお義母さんには庭の草取りを頼まれますし、断るわけにもいきませんから……
それに最近は娘も反抗期に入りましてね、洗濯物は私と別にしてくれなんて言うんです。
同じ血を引いているというのに、どうにも心苦しいものですよ。
愛した妻だって、若いころの面影はもうすっかりありませんよ。
ゴミ出しぐらいは手伝いますが、少しは感謝の言葉をかけてもらいたいものです……
お酒でも飲んで気晴らし……若いころはそうでした。
ですがもう私もそれなりの年、だんだんと胃にたまるものもございます。
……ガス抜きのための何かを、ずっと探しておりました。
_____そんなときです、私が出会ったのは。
ええまあ、出会ってからというもの、世界はガラッと変わりましたとも!
しょうもない言いがかりをつけてくる営業先のジジイも、
加齢臭のしみ込んだ産業廃棄物じみたシャツを着ている上司も、
いっちょ前に権利だけを主張するでくの坊の若手社員も、
傲慢不遜な態度しか生き甲斐のない枯れ木のような義父も、
申し訳なさそうな態度さえしておけばすべてが許されると思い込んでいる義母も、
産んでもらった恩を忘れて文句を垂れる娘も、
不細工な肉付きをして加齢の色も隠せなくなった妻も、
全部全部、どうせ死ぬんですから!
そう思ったら随分と楽になりましてね!
ああ、こいつはどれほど惨めに死ぬんだろう。
どんな醜悪な辞世の句を並べ立てるんだろう。
そう思うとなんだか滑稽ですらありますよね!
……え?
あはは、そんな直接手を下すなんてするはずないじゃないですか。
人が人を殺すなんて、そんなのフィクションですよ。
______ええ、フィクションですよ。
______私たちとは縁遠い世界のお話なんです、人の生き死になんて。
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CHAPTER06
なんどでも祈ろう
非日常編
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…………
……………………
…………………………………………
…………………………………………
暗く、昏く、深い地の底。私の体は重力に導かれるままに、堕ちていく。
耳元では風がゴウゴウと吹き上がり、私の体の逆をいく。
全身に感じる強く引力が死というものを強く感じさせる。
おしおきは消化不良なまま終わった。
ただ、この落下速度と落下時間。
言うまでもなくその末路は悲惨なものになるはずだ。
私は諦観にも似た感情を抱き、目を瞑っていた。
瞼の裏には走馬灯のように、これまでにめぐると過ごした記憶が流れていた。
めぐると出会った頃のぶっきらぼうな反応をしてしまった私、体調を崩して看病に来てくれためぐる。
思えばあの時から心を開くことができたんだっけ。
この学園に来てからも、めぐるは常に私の傍にいて、依代であり支えになってくれていた。
……そのめぐるを、私が殺した。
自分の掌を見た。
おしおきの最中、抜けていく床と残された柱とに何度もしがみついたその手にはいくつもの擦り傷。
ただ、それを上塗りするかのように私の目には赤黒い染みが見えるのだ。
それは言うまでもなく、罪の証。
めぐるが最後に残した、生命の息吹。
覆面を外した時のあの瞬間、あの感触が染み付いている。
焦燥から私の手は手汗に塗れていて、掴んだ布地は妙に重たかった。
……ただ、めぐるは私のことを恨んではいないと思う。
傲慢ではなく、これは親友だからこそわかる確信だ。
きっとめぐるは誰にどんな理由で殺されたとしても、それを受け入れてしまう。
そんな彼女の寛容さに私自身ずっと甘えてきた。
だからこの掌の赤い染みは、めぐるの怨恨ではなく私が私に課した、重責なのだ。
……まだ数秒、死までは時間があるらしい。
最期の最期に、私はもう一度目を閉じた。
死の間際に見る光景は、この学園の無情さではなく美しい記憶の残響がいい。
最期くらい、我儘を言っても許されるかな。
……ただ、私は忘れていた。
この学園は、私たちの覚悟や決意、そして道理をも裏切って嘲笑う。
死を前にして行った私の葛藤の全ては……
___徒労に終わった。
ドサッ
「痛っ……?!」
全身を襲う鈍い痛み。
急速に異常なまでの滞空時間で落下した私の骨という骨は見るも無惨に砕け散り、
臓物はぐちゃぐちゃに掻き乱されて虫けらのような骸と化す……はずだった。
その痛みは死というにはあまりに優しく、まるでプールの飛び込み台から正面落下したような“打ち身”だったのだ。
「助かった……?」
そしてそれと同時に襲ってくるのが……
「な、なに……この匂い……」
臭気。
夏の終わり、三角コーナーに溜め込んだ野菜が放つような鼻を刺す刺激臭。それがあたり一体に立ち込めている。
どうやら私の鼻の感覚はそれなりに信頼できるらしい、
つい今し方“夏の終わりの三角コーナー”と評したその臭いは、その比喩と当たらずも遠からずだったのである。
私の死を打ち身にとどめた緩衝材の正体は、ゴミ袋。
文字通りに山積みになったゴミ袋が私の体を優しく受け止めて、あたり一体に残飯を撒き散らしている。
中には数日前に食堂で見かけた食材なんかもある。
どうやらここは“ゴミ捨て場”、その終着点のようである。
学園にはトラッシュルームが存在し、手頃なものなら焼却処分ができるが、そうでないものは全てここに押し込められているようだ。
故障したクローゼットや怪しい機材なども投棄されており、手付かず。
臭いものには蓋をする、煩わしいものは目の届かないところに押し込む。
なんとも杜撰な処理の形だ。
ただ、今回ばかりはそれに助けられたのも事実。
暫く打ち身に身を捩っていた私も、その身を起こしてあたりの散策を始めた。
つい先ほどまで死を覚悟していたというのに、いざ生を掴んだからといって縋るのは醜いだろうか。
ただ、どれほど醜くても生に縋らないのは不誠実だと思う。
それはこの学園で生きてきた私だからこそ、犠牲になった皆さんの思いを引き継いだ私だからこそ。
真乃とめぐるとも約束をしたんだから。
……生きないと。
強い決意と共に、手当たり次第にそこら中のゴミ袋に手をつけた。
食べられるもの、飲めるもの。
とにかく食いつなげるものを探した。
見上げた天井は目視できないほど遠く、そして暗い。ここから助けなしに脱出することは不可能だろう。
なら、摩美々さんたちを信じてなんとか生き延びる他ない。
「……うう、これも腐ってる」
だが、事はそううまくはいかなかった。ゴミ袋は、”ゴミ“が入っているからこそゴミ袋なのであり、実用性のあるものはそもそも入らない。
まして、口に入れていいものなんかは。
「……お腹空いたな」
空間の隅から隅まで、目につくものは一通り調べ尽くした。ただ、どれほど探そうとも成果を上げる事は出来ず。
体力を消費して汗をかいただけの骨折り損。腹の虫も癇癪を起こして煩い。
このままでは、まずい。
せっかく掴んだ生、それを繋げていくに必要なものが見当たらなかった私は……
____ひたすらに眠った。
全ての体力消費を抑えて、空腹や喉の渇きを体に感じさせる時間を削った。
目が覚めるたびに無理矢理に瞳を閉じて再度眠りにつく。
それを何度も繰り返し、数時間、数日……ただ、絆を信じて眠り続けた。
___ドサッ
そして、その時は来た。
いつもより鈍い音を立てて何かが落下した、その衝撃からか自然と目が覚めた。
硬い床に何も敷かずに長時間横になっていた全身がバキバキと聞いたことのない軋みを立て、痛みを伴う。
そんな満身創痍な体で落下した何かに向かって近づいていくと……
「……え?」
モゾモゾとその“何か”は動き出す。
内側から蹴破ろうとしているのか、あちらこちらから内側で暴れている痕跡が浮き上がる。
そこから暫く、まるで蛹から蝶が孵化するかのように彼女は姿を表した。
「……ふー、やっと出れたぁ」
「ま、摩美々さん?!」
◆◇◆◇◆◇
摩美々さんは首や肩をポキポキと鳴らしながら立ち上がると、私の顔を見ていつものほくそ笑みを披露した。
摩美々「お久しぶりです、覚えてますかぁ? 田中摩美々と申しますー」
灯織「覚えてますよ、当然じゃないですか!」
摩美々「おー、ツッコむ元気があるぐらいには健康そうでなによりー」
開口一番に揶揄いから入るあたりやっぱり摩美々さんだ。
数日間一人っきりで悪環境に置かれていたこともあり、いつも以上にコミュニケーションが心に沁みる。
そんな会話に思わず目頭が熱くなりかけたのだけど……
灯織「……あの、摩美々さん」
摩美々「んー?」
灯織「その、頭にカップヌードルの容器が」
摩美々さんの頭に載っているそれがどうも目について涙は引っ込んでしまった。
摩美々「……」
本人はどうやら気づいていなかったらしい。
無言で後ろを向いて、頭のカップヌードルの容器を払うとすぐにこちらに平然と向き直った。
……ただ、その耳は真っ赤に染まっている。
摩美々「それよりお腹空いてないー?」
(なかったことにするんだ……)
灯織「ええ、まあ……食べるものどころか飲むものすら無くて今も息絶え絶えです」
摩美々「だと思ったのでー……じゃーん、摩美々からのプレゼントだよー」
摩美々さんが懐から取り出したのは水に入ったペットボトルとあんパン。
これまた数日ぶりに目にする文化的な食事。何も口にしていなかった体は、それを目視した瞬間に一気に口に涎を充満させた。
摩美々「その前に、ちゃんと手、拭いてからねー。今の灯織ってば手がネチャネチャだよー」
灯織「え」
久方ぶりに掌を見ると、成る程摩美々さんの言う通り。
食い繋ぐためにゴミ袋を漁ったその掌はこれまでに経験したことのないような感触の膜が貼られている。
……このまま食べたらお腹を壊すどころじゃ済まなさそうだ。
摩美々さんから除菌ティッシュを譲り受け、ちゃんと清潔にしてから食事を口へと放り込んだ。
栄養が枯渇状態にあった体にはほんの一口でも染み渡るようで、思考が冴え渡り、肉体の疲労が吹き飛んでいくのを感じる。
なんとか私は、【生】を守り抜いたんだ。
摩美々「数日ぶりの食事はどうだったー?」
灯織「大変美味しかったです……ありがとうございました」
摩美々「その調子だと本当に何も口にしてなかったんだねー、口元が緩みきってるよー」
灯織「め、面目ないです……」
摩美々「ま、仕方ないでしょー」
食い意地の張った私を一頻り揶揄い終えた摩美々さんは、近くに腰掛けて私に向き直る。
つい数瞬前とは異なる、真剣な面持ちだ。
摩美々「……ねえ、灯織」
灯織「……摩美々さん?」
その声色も、これまでと違った熱を帯びている。
胸を抑えながら声を絞り出すような、これまでに見たことない摩美々さんを前に思わずこちらも襟を正す。
摩美々「ごめんね、中々助けに行けなくてー……ずっと一人で大変な思いをさせて……辛かった、どころじゃないと思うしー」
灯織「い、いえそんな……」
摩美々「おしおきが失敗した瞬間、なんとか灯織を助けなきゃって……みんなでどうにかここまでくる方法を考えて考えて、でも糸口が見つからなくて……なんとかチャンスを見つけ出して……」
摩美々「もしかして、こうしてる間にも灯織は死んじゃってるんじゃないかって……それでまた焦って……」
摩美々「本当に、生きてくれててよかった……生きてて、良かったよ灯織」
灯織「摩美々さん……」
初めての表情だった。
揶揄いや悪巧みで誤魔化していない、素のままありのままの摩美々さんの表明した【安堵】。
いつもなら取り繕うだろう頬の綻びもそのままに、優しい言葉をかけてくれる摩美々さんを前に、私の目頭は再度熱を帯び始めた。
灯織「私も……生きて、再度会うことができて……本当に良かったです……」
摩美々「……!! も、もぅ……泣かないでよー」
灯織「ふふ……摩美々さんこそですよ」
摩美々「え……はぁ、摩美々の涙なんかレア物なんだから、光栄に思いなよー」
摩美々さんは照れくさそうにしつつも、その涙を隠そうとはしなかった。
私のために流してくれているその涙、それを思うとより一層私の視界も滲む。
暫く、感情に身を委ねて泣き続けていた。
何か再会を喜んだり、励ましたり、言葉を交わすわけでもない。
ただかけがえのない友人との再会、その間のある絆を噛み締めて、身を浸していると自然とそれ以外の選択肢が消えていた。
これまでに過ごした時間や感傷が何度も何度も浮かび上がり、その度にピークを迎えて収まる余裕はなく。
落ち着くまでのどれほどの時間を要したのかはわからない。
ただ一言言えるのは全てが収まった時には私の服の裾はすっかり水に浸されていたということだけだ。
摩美々「……さて、ようやく収まったわけだけど」
灯織「ええ、なんとか落ち着きました」
摩美々「そろそろ、脱出と行こうかぁ。いつまでもこんな臭いのするところにいるわけにもいかないし、いい加減にはねー」
そうだ、元々摩美々さんはそのためにわざわざやってきてくれたんだ。
摩美々さんが指さした先は、壁に取り付けられた簡易梯子。
私も落ちたすぐ後にそれを登ろうかと考えたが、
登った先に出口があると言う確証もない、無駄なリスクを踏む事は避けたかったので放置していたものになる。
摩美々「ここに落ちてくる前に、上で扉の鍵は開けておいたのでここを登れば元の生活に戻れるはずだよー」
灯織「なるほど……しかし、かなり長そうですね」
摩美々「まぁねー……何せ学園の本当の意味での地の底なんだしー」
灯織「でも、行きましょう……なんとしても、生きて戻らないと」
摩美々「覚悟は出来てるみたいだねー、それじゃ行こっかぁ」
灯織「はい!」
摩美々「……」
灯織「……」
灯織「…………摩美々さん?」
摩美々「何やってるのー? 灯織が先に登るに決まってるじゃーん」
灯織「え……わ、私ですか……?」
摩美々「だって、ほら。摩美々ってばスカートだしー」
(私もそれはそうなんだけど……)
摩美々さんの言い分には釈然といかない部分もあったけど、ここでごねていても仕方ない。
ひとまず飲み込むことにして、鉄の梯子へと手足をかけた。
__
____
_______
カンッ カンッ カンッ
それから暫く。鉄と靴とが奏でる無機質な音だけが響く時間が流れた。
音が耳に届けば届くほど、自分はここまで奥深くまで落下していたのかと驚かされる。
上を見上げても暗闇が続くばかり、まだまだ終わりは見えなさそうだ。
摩美々「ねえ、灯織ー」
灯織「摩美々さん、どうしました?」
摩美々「登りながらでいいからさぁ、脱出した後のことを話しとこうかぁ」
灯織「そうですね……私がいない間の学園の事情なども伺いたいですし……」
摩美々「まぁそれも大事なんだケド……」
摩美々「多分灯織は、ここを出た瞬間モノクマに命を狙われると思うんだよねー」
灯織「ええ?!」
摩美々「しょうがないよー……だって灯織はおしおきが失敗して偶然命を拾った形……モノクマとしてはちゃんと殺すところまでやっておきたいはずでしょー?」
灯織「そ、それはそうかもしれませんが……」
摩美々「出た瞬間その場でおしおき、なんてこともあり得なくはないと思うよー」
灯織「そ、そんな……なら、脱出なんてしたところで……」
摩美々「まぁ落ち着きなってー……それをどうにかするために私が来たんでしょー」
灯織「どうにかすると言われましても……」
摩美々「灯織がおしおきを回避する方法はひとつだけ……あのクロ判定が不適切なものだったと証明することだよ」
灯織「……え?」
摩美々「要は、灯織がクロじゃなかったことを証明しておしおき自体を不当なものだったと指摘するんだよー」
灯織「え、ええええ?! 摩美々さん、めぐるの命を奪ったあの爆弾は私の行動が引き金になってですね……?」
摩美々「もう一度、その議論をやり直そうよー。私たちは灯織に死んで欲しくないんだよー」
灯織「し、しかしですね?!」
摩美々「それに、あの議論は……まだ完全じゃないと思うんだー」
灯織「……議論が、完全じゃない……? でも、すべての証拠品を検討しましたし、あらゆる可能性はつぶしたと思うんですが……」
摩美々「確かに摩美々たちの知る証拠品と状況証拠はすべて検討したケド、それがすべてじゃないと思うんだよねー……」
灯織「……」
摩美々「それに、灯織自身はどうなのー?」
灯織「私、ですか……?」
摩美々「めぐるを殺したのが自分で、納得できるのー?」
___納得なんかできるわけない。それは、当然の心理だ。
後にも先にもこれ以上はない親友を手にかけた事実、否定できるのなら私だって否定したい。
でも、その否定をしてしまうことは、めぐるの死から目を背ける以上に不義理だと思う。
自分自身にかかる責任を放棄する、最低最悪の身勝手。
灯織「……だとしても、受け入れるしか」
摩美々「はぁ……灯織ってば相変わらずいい子過ぎー……もっと自分の気持ちに素直になりなよー」
灯織「そうは言いますが……私はめぐるの死においては何よりも事実を尊重したいんです。それがめぐるに対しての誠意であり、義務だと思うんです」
摩美々「……灯織、この前の裁判の最後に見た映像、覚えてるよねー?」
灯織「映像、ですか……?」
(おそらくそれはきっと、めぐると樋口さんが事件の直前に交わした会話の映像……)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
めぐる『円香……本当に、やるの……? わたしを殺して、灯織たちに絶望させるつもりなの……?』
円香『……そうだけど』
めぐる『これ以外の方法はなかったの?……どうしても、みんなはわかり合えなかったの?』
円香『……しつこい、言ったでしょ。分かり合うとか分かり合えないとかの次元じゃない。国籍が変われば言葉は通じないのと同じ、そもそも別の種類の人間だったってだけ』
めぐる『ちがうよ』
円香『……は?』
めぐる『言葉が通じなくても、気持ちは通じ合える……円香が別の種類の人間だって思っても、心を通わせることはできるはず……! 灯織たちは、円香が思うような悪い子たちなんかじゃ……!』
円香『やっぱりわかってない。灯織たちの掲げる絆とやらの崇高さ、美徳は十分に理解してる。……そのうえで、それを掴む権利が私には無いってだけ』
めぐる『そんなことないよ!』
円香『……もういい?めぐると雑談している間に邪魔が入っても困るから』
めぐる『……わかった、でも最後に一つだけ円香に聞いてもらってもいいかな』
円香『……何?』
めぐる『わたしも、灯織も、摩美々も愛依もチョコも雛菜も……これまでに犠牲になったみんなも……全員が、円香のことを大好きだから!』
円香『……今からその相手に仲間を殺す道具として使われても?』
めぐる『円香のすることは許せないよ。確証のない計画で仲間の命を巻き込んで……でもね、円香という一人の女の子が元々すごく優しい子だってことは知ってるから』
円香『……罪を憎んで人を憎まずってわけ? お涙頂戴でも狙ってるの?』
めぐる『円香、助けてあげられなくてごめんね』
円香『……うるさい』
ブツンッ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
摩美々「あの映像の内容を振り返ってみると、一つだけ【不自然な点】があるよねー?」
灯織「不自然な点……ですか……?」
摩美々「めぐるの言葉、『確証のない計画で仲間の命を巻き込んで』……これってめぐるの視点から見ると不自然だよねー?」
灯織「……どういうことでしょう」
摩美々「確かにめぐるは今から自分自身が殺されることはわかってる、でも円香の計画まで知ってるのはおかしくないー? 覆面をかぶせて、薬品Aで全身を麻痺させて最終的に灯織に爆殺させる……そんな計画をめぐるは知ってて受け入れたってワケー?」
灯織「で、でも……あのめぐるは拘束されていましたし、受け入れざるを得ない状況だっただけなんじゃ……」
摩美々「……灯織、よく思い出して。八宮めぐるっていう女の子のことを、灯織の一番の親友のことをよく思い出してよー」
(めぐるのことを……?)
摩美々「自分の動きを封じられたぐらいで諦めるような女の子だったぁ? 仲間の命が危険にさらされる計画を聞かされて、黙っていられるような女の子だったぁ?」
灯織「……!!」
(……違う)
(……めぐるはきっと、そんな状況下なら自分の命も顧みずに食ってかかるような……誰かのために動ける人間だ)
(もし、樋口さんの『絶望計画』を聞かされていたなら……もっとそれに抗った痕跡があったはず)
(でも、あの映像のめぐるは……衣服の乱れすら見えなかった。まるで計画そのものに賛同しているかのように)
摩美々「……ねえ、灯織。あの映像で二人の言っていた計画って、本当にこの前の裁判の話だったのかなぁ」
灯織「……え?」
摩美々「めぐるはもっと別の何かを知っていて、それであの事件で命を落とすことを……受け入れたんじゃないかなぁ」
灯織「めぐるが……?」
摩美々「ま、あくまで私の想像でしかないんですけどねー。それでも、あの映像に違和感を感じたのは事実だよー」
(……)
(……もし、仮に。もし仮に……あの事件の真相が違っていて、私がめぐるを殺害したのでなかったのなら)
灯織「……摩美々さん、我儘を一つ言ってもいいでしょうか」
摩美々「んー?」
灯織「……もう一度、私と一緒に戦ってはもらえませんか?」
摩美々「……ふふー、望むところですよー」
__
____
_______
カンッ カンッ カンッ
そしてまた暫くの時間が流れた。
鉄の足場を掴んでは離して下へと送り、また上から足場が降りてきてそれを掴む。
何度も何度も同じ作業を繰り返すだけの時間、視界の一切も変わらない時間は妙に長く感じられた。
その長い長い単純作業の繰り返しは……今ようやく終わりの時を迎える。
灯織「……摩美々さん、着いたみたいです」
摩美々「ふー、もう腕も足もガクガクだよー」
灯織「天井の扉、こちらを押し開ければいいんですか?」
摩美々「そうだねー、降りてくる前に鍵は開けといたから押せば開くんじゃないかなぁ」
灯織「わかりました……それでは、いきます……!」
グッと体重を乗せて押し上げた。
分厚い鉄板を切り出したような扉は想像以上の重量で、気を抜くと押し負けそうなほどだ。
奥歯をぎゅっと噛みしめて、飛び上がるようにして一気に押し込んだ。
ガコンッ
その力にこたえるかのようにして鉄板は押しあがり、一気に視界には光が飛び込んできた……!
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【トラッシュルーム】
……帰ってきた。
見慣れたような、見慣れないような、そんな不和に充満したこの空間は私もよく知るあの学園の一部屋だ。
灯織「着いた……」
地の底からの生還を喜ぶより先に、その場に倒れこんでしまった。
全身を襲うすさまじいほどの疲労感。手も足ももう棒のようで感覚がおかしい。
(確実に後々筋肉痛になるな……)
摩美々さんも私の後に継いで出てきたものの、むしろ私以上にぐったりした様子だ。床に溶けるように寝そべる様子がなんだかかわいらしい。
灯織「……帰ってこれたんですね」
摩美々「なんとかねー、できればもう地の底にはいきたくないかなー……」
ただ、休む暇など与えてはもらえない。私たちが疲労感に浸り、手足をそこらに伸ばしていたのもつかの間。
見慣れたような、見慣れないような、そんな最悪な存在はすぐにその姿を現した。
モノクマ「こらー! なんで生きてんだタコこらー!」
摩美々「うわぁ……もう来た……」
モノクマ「なんだその言いぐさは! ボクだってね、これが仕事なんだよ! 決して学園内の女子高生濃度が上がったからそれをかぎつけてきたとかそういう話じゃないんだからね!」
灯織「はぁ……」
モノクマ「それより! 風野さん、キミもわかってるよね? キミは本来ここにいちゃいけない人間、生きてちゃいけない人間なんだよ」
灯織「……っ!」
(摩美々さんの言ってた通りだ……モノクマはここに私がいることをただ嗅ぎつけただけじゃない……)
(私のことを、殺しに来てる……!)
モノクマ「おしおきは一時失敗しましたがね、今度こそきっちりしっかり執行させてもらいますよ! そうじゃなきゃトッチラケだからね!」
摩美々「灯織、わかってるよね。覚悟を決めるんだよー」
(覚悟……)
(……よし)
灯織「モノクマ、私をおしおきする前に一ついいですか?」
モノクマ「ん?」
灯織「本当に、あのクロ認定は正当だったと思っているんですか?」
モノクマ「……なにそれ、どういう意味さ」
摩美々「言葉通りの意味だよ、あの事件は本当に灯織がクロだったと思ってるわけー?」
モノクマ「思ってるも何も、オマエラの推理で導き出した答えがそうなんでしょ! 急に無責任なことを言い出さないでもらえる?」
摩美々「だとしてもだよ、それに考えなしに便乗して灯織をおしおき……まぁ未遂だったケド、それまでしちゃって不正解でしたーなんて、絶対にあっちゃならないよねー?」
モノクマ「うぐっ……で、でもあの事件は状況からみても風野さんがクロで間違いない……」
摩美々「本当にそう? あの爆発の瞬間までめぐるが生きていたかどうか、モノクマは確かめたの?」
モノクマ「うぐぐぐ……」
(さすがは摩美々さんだ……交渉力というか、理で詰めていく凄みは摩美々さんには敵わないな……)
灯織「もし、モノクマがクロをしっかりと把握していない状況下で私を自己判断でクロとして処刑したのであれば……それはルールとして破綻していませんか?」
モノクマ「……オマエラ、自分たちが何言ってるのかわかってるの?」
モノクマ「今オマエラが口にしてるのはボクへのボートク、この合宿生活の管理体制への反発だよ? 特に田中さんはその意味をよく分かってるはずだよね?」
(……!!)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
モノクマ「でもさ、今オマエが口にしてるのってこの合宿生活の存亡にかかわる話なわけじゃん?」
モノクマ「ボクのミスだって指摘するんだったら、それに見合うだけの覚悟とリスクを背負ってもらわないと!」
灯織「覚悟と、リスク……?」
モノクマ「田中さんの筋が通らなかったとき、田中さんにはこの合宿生活の存続を妨げた罰としておしおきさせてもらうから!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
摩美々「それはモチロン誰よりも、ねー」
モノクマ「ふーん……ヨユーはシャクシャク。リスクも何もかもわかったうえで、ってことなんだね?」
灯織「もちろんです!」
(……そう、きっとこれはめぐるが私たちのために残してくれた道)
(あの映像の中に見た違和感は、嘘じゃないはず……!)
モノクマ「……よし、わかりました! それならオマエラの上告をボクも受理してあげよう!」
灯織「……!!」
モノクマ「ただし、白瀬さんの事件でも言った通り……もし、この指摘が間違いで、本当に風野さんがクロだと認定されたときにはその責任をとって」
モノクマ「二人、いや……全員におしおきを受けてもらおうかな!」
灯織「……えっ?」
(全員に、おしおき……?)
灯織「ちょ、ちょっと待ってください! なんでほかの人も巻き込むんですか?!」
モノクマ「だってオマエラの言ってることって学級裁判の否定どころか、ボク自身の管理責任にもかかわる話でしょ? それぐらいのリスクは背負ってもおかしくないよね?」
……めちゃくちゃだ。
そもそもこんな生活に無理やり引きずり込んでいる時点で非は間違いなくあちらにあるというのに、なぜこんな責任まで背負わされねばならないんだ。
不条理を極限まで煮詰めたような理不尽に、一気に血の気が引いていく。
一度振り上げた拳の、その感覚がどんどん遠ざかるような悪寒が全身を襲う。この拳に、全員の命がかかっている……?
そんなの、私は……
摩美々「了解でーす」
灯織「ま、摩美々さん?!」
摩美々「いいよー、裁判の結果を否定できなければ摩美々たち全員その場でおしおきねー」
モノクマ「うぷぷぷ……随分と思い切りがいいんだね。赤信号、みんなで轢き殺されれば怖くないって?」
摩美々「お生憎ですケド、轢き殺されるつもりは毛頭ありませんのでー」
灯織「摩美々さん、そんなその場の勢いだけで啖呵を切るような真似……」
摩美々「灯織、さっきも言ったケド、“私たち”は灯織に死んでほしくないんだよー? これぐらいのリスク、全員背負う覚悟はしてるんだよねー」
灯織「……!!」
(まさか、私を助けると決めたその時から……?)
モノクマ「やれやれ、勇敢でございますこと! でもそれってさ、蛮勇って言うんだよ? 向う見ずで自分の命を顧みない、さながらギャンブル狂いのようだよね」
摩美々「ギャンブル? ふふー、それだったらむしろ好都合ですねー、摩美々は負ける賭けはしないでおなじみですからー」
摩美々「これが賭けなら、摩美々は勝っちゃいますねー」
(摩美々さん……すごい、モノクマ相手に一歩も譲らない……!)
モノクマ「クックックッ……面白い、面白いクマ! オマエラがそれほどの覚悟を持っているというのならボクもそれに答えてやるクマ!」
モノクマ「ボクとオマエラの最終決戦! 次の裁判で雌雄を決すクマーーーーーー!!」
灯織「最終決戦……!!」
モノクマ「風野さんのクロ判定を覆せなきゃおしおき……どうせそれで終わるんなら、もっと大々的なお祭りにしたいじゃない? だからもう一つとっておきの楽しみも用意しておこうかなって!」
摩美々「それってどういう……」
モノクマ「この学園の真実だよ!」
(……この学園の真実……!!)
モノクマ「オマエラはなぜこの学園にいるのか、なぜコロシアイをしているのか、なぜこの学園には他に誰もいないのか、etc…そういう一切合切の謎を全部ここで解き明かしちゃおうよ!」
モノクマ「ビバ! 希望ヶ峰学園・真相編! これは忙しくなるぞーーーー!!」
(な、なんだかすごいことになってしまった……)
(この学園のすべての謎を、この裁判で解き明かす……なんて!)
摩美々「灯織、なんだかすごいことになってきちゃってるケド……」
灯織「……」
摩美々「ま、その顔を見ればどうするかなんて聞くまでもないかぁ」
モノクマ「決戦の日は明日! 今日は疲れてるだろうし、ひとまずは体調を万全にしておくことだね! オマエラがどこまでボクに迫れるか楽しみにしてるクマ!」
灯織「……はい」
灯織「モノクマ、いえ……黒幕のあなたこそ覚悟をしておいてください。すべて白日の下に晒されて、己が失態の下にすべてを台無しにする……その覚悟を!」
モノクマは私の言葉を誹りもせずに聞き入れ、そのまま姿を消した。
残された私たち、その体は妙に火照っている。
啖呵を切ったことで血が上っているのはモチロンだけど、それ以上に……
私以外の皆さんが、私のために命をもかける覚悟でいてくれている。その実感が生の熱気を高めてならないのだ。
摩美々「やっぱりこういう展開になったねー、おおむね予想通りだケド」
灯織「やっぱりわかってたんですね……」
摩美々「ひとまず合流しよう、明日の作戦会議もしなきゃだしー」
灯織「は、はい!」
-------------------------------------------------
【食堂】
摩美々さんに連れられ食堂に踏み入ると……
智代子「灯織ちゃんだ! 本当の本当に、灯織ちゃんだ!」
雛菜「あは~~~~~! 無事だった~~~~~~!」
愛依「だいじょーぶ?! ケガしてない?!」
すぐに皆さんが駆けつけてくれた。
どうやら摩美々さんを地下に見送った後はここで待機する手はずだったみたい。
でも、今この瞬間まで気が気でなかったらしい。机の上のお茶が手付かずでぬるくなっている。
私たちはすぐにここに至るまでの経緯を説明した。
地下でなんとか食いつないだこと、私の命をモノクマが狙っていること、そしてそれを跳ね除けるための裁判が行われること。
その裁判では学園の真実をも解き明かさねばならないこと。そして、皆さんの命もかかっているということ。
だけど、やっぱり摩美々さんの言っていた通りらしい。
そんなリスクは織り込み済み、だったようだ。
チョコ、雛菜、愛依さん……誰一人としてそのリスクを前にして震え上がるような素振りはなく、むしろ決意を新たにしたような面持ちだった。
智代子「いやはや……とうとうこの時が来ましたかって感じだね!」
雛菜「これで勝ったら雛菜たちも学園から出られるんでしょ~? なら頑張るしかないよね~~~!」
愛依「おっし、うち、なんか燃えてきた!」
摩美々「お、頼もしいじゃーん」
智代子「えへへ、摩美々ちゃんが地下に行ってからわたしたちも色々話してたんだ。この学園に来てからのこととか、外の世界のこととか」
雛菜「やっぱり、雛菜たちは外に出なきゃだめだよ~。それが雛菜たちにみんなが託した願いでもあるんだしね~」
愛依「それに、灯織ちゃんを守るためって思うとなんか勇気が湧いてくるし!」
灯織「皆さん……」
智代子「だから大丈夫! わたしたちの命がかかってるからって、変に気負わなくていいからね! 同じリスクを背負って一緒に戦う者同士、結束を高めて参りましょう!」
(すごいな、この学園で過ごすうちに、皆の表情もだいぶん様変わりした……)
(戸惑うばかりだった私たちも、今こうして武器をとれるようになった。これは成長といっても差し支えないんだろうか)
雛菜「ね~、それより~」
灯織「……雛菜?」
雛菜「灯織ちゃん、なんだか臭いよ~?」
灯織「えっ」
摩美々「ずっと地下にいたから匂いが染みついてるんじゃないー? ふふー、案外自分じゃ気が付かないものですしねー」
愛依「……摩美々ちゃん、言いにくいんだけど……摩美々ちゃんもちょっとだけ匂う……的な」
摩美々「えっ」
智代子「くんくん……ホントだ! 二人とも雨の中散歩した後のマメ丸やカトレアみたいな匂いがするよ!」
雛菜「この匂い雛菜好きじゃない~~~……」
灯織「ご、ごめん……」
摩美々「……とりあえず、私たちはお風呂にでも入ろっか」
灯織「そうしましょうか……」
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【灯織の部屋】
それから私たちはそれぞれの部屋に分かれ、ひとまず今晩はゆっくりと休むことにした。
明日はモノクマとの対決、どんな展開になるのかわからないし、きっと長丁場になる。
耐え忍ぶだけの体力はしっかりと回復させておかないとだめだろう。
……正直、怖い。
これまでの学級裁判だってずっと命はかけてきたし、合宿生活そのものだって殺されるリスクはあった。
でも、今回はそんな単純な生死のやりとりじゃない。
一度確定した結論をひっくり返し、そのうえですべての謎を解き明かすという難易度の高い要求が為されていて、その上に私たちの命がある。
私に本当にできるのだろうか、その自信があるかといわれると疑問符が浮かぶことは否定できない。
私は弱い人間だ。
もう引くことができないこの状況下で、まだ意志と覚悟とを固めることができないでいるんだから。
引っ張ってくださる皆さんにおんぶにだっこ。
以前摩美々さんは私のことをリーダーだと評してくれたけど、そこに自信が備わっているかといわれると不安はある。
____だから、もう少しだけ私には助けが必要だ。
私は自分の部屋の引き出し、そこにしまい込んでいた“それ”を取り出して、ある場所へと向かった。
__
____
_______
「……よし、誰もいない」
別に見つかってもよかったのだけど、この期に及んでまだこれに頼るのかと思われると少しだけこっぱずかしい。
道中誰にも出会わなかったのは幸運かな。
音をたてないように扉を閉めて、ゆっくりと近くの席に腰かけて、そのディスプレイの電源をつけた。
真っ暗な部屋に青白い光が仄かに浮かび上がる。
私がやってきたのは【視聴覚室】。
小糸の事件が起きるきっかけとなった動機ビデオ、それを見たのはこの部屋だった。
ほかには甜花さんの用意したゲームをあのモニターにつないで、ゲーム大会なんかもやったんだったっけ。摩美々さんに勝ったのは我ながら驚いたな。
もうそれも、少し前の記憶。この学園で過ごした時間もかなりになるのが物悲しく感じられてしまう。
そんな悲嘆を押し込むように、DVDプレーヤーに自室から持ち込んだものを読み込ませた。
少しばかりの機械音とともに装置は作動し、画面上にもぷつりぷつりと波が生まれだす。
そして、それは始まった。
『大人気のアイドルユニット、イルミネーションスターズ。かわいらしく、華やかな彼女たちにはアイドルのステージが本当によく似合いますね』
画面上に浮かび上がるのは、私たち。
真乃とめぐると私、もう二度と揃うことのない私たちがステップを刻み、必死に歌っている。
そう、これは【動機ビデオ】だ。
私たちのパフォーマンスの映像ののち、プロデューサーの身に危険が迫る映像が流れ、私たちの動揺を誘ったあの映像。
実際この映像の真偽はいまだにわかっていない。
ここに流れている出来事を前にすると心がざわつくことは否定できないけど、今私がここで映像を見ている理由は、そこじゃない。
私は必死に耳を澄ました。
モノクマの悪趣味なナレーションを他所において、その向こうに聞こえる私たちの歌声に耳を澄ませる。
それは確かな厚みと存在感があって、ナレーションを上乗せしたところで打ち消せるようなものじゃない。
真乃とめぐるの確かな“命”がそこに存在している。
≪ひらひら 織り重ねている
頭の中 今日までのキセキを
ふわふわ 舞い上がってゆく
幸せが溢れてしまいそう≫
今となっては随分と昔に感じられる、レッスンの日々。
ずっと隣で聞いてきて、自分の声を重ね合わせて作り上げてきたその全てが鮮明に呼び起こされる。
努力に葛藤、そして歓喜。共に過ごしたどの時間も他に代えがたい大切な宝物だ。
……でも、私はその感傷に浸るために来たわけではない。
≪ひとつのココロは些細なことで
潰されそうにもなるけど
重ね合わせれば 強くなれる そう教えてくれた≫
私はやっぱり弱い人間だ。
一人でモノクマに立ち向かう勇気なんて全く持っていないし、いざそうなっても膝はガクガクで体の震えも止まらないだろう。
今だって、逃げ出したい思いを必死に抑え込んでいる。
≪大丈夫 泣いたりしないよもう
ちゃんと胸に 刻まれてる
あなたの優しい笑顔≫
それでも、折れたりなんかしない。
絶望がどれほど押し寄せようとも、不安がのしかかってこようとも、私たちには絆がある。
お互いを信じて、背中を託せる仲間がいる。私たちに思いを託してくれた仲間がいる。
……だから、戦える。戦わなきゃ、いけないんだ。
≪奏でるよ 私が 貰ってきた
輝きのハーモニー
ほら スマイルシンフォニア≫
「……真乃、めぐる。ありがとう」
最後まで聞き遂げた私はプレーヤーの電源を落として、部屋を後にした。
本当は、もっとずっと見ていたいし、聞いていたい。思い出の中の記憶に浸っていたい。
でも、二人はそんなことを望んでいないはずだ。
夜空を彩る星が二晩として同じ位置に出ることがないように、私たちの行く道に停滞はない。
星座ごと、夜空ごと、ゆっくりとでも着実に進んでいかなくちゃいけないんだ。
_____最高の輝きは、その行きつく先でこそ生まれる。
___
_____
_______
【灯織の部屋】
キーンコーンカーンコーン……
モノクマ『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ~!』
モノクマ『今日、ついにオマエラとの共同生活も終わる……クックックッ、今日の晩酌が勝利の美酒になるか、敗北の苦汁になるか……ボクもドキがムネムネだよね!』
……ついに最後の朝が来た。
それは間違っても最期ではなく、【最後】。この学園で過ごす上での最後の朝だ。
昨晩は不思議とよく眠れた。寝る前に二人を見たからか自然と心臓の鼓動も穏やかで、むしろ落ち着いてすらいた。
やっと終わらせられるという安堵感のほうが強かったのかもしれない。
「……よし」
鏡の前で身だしなみを整え、大きく息をついた。鏡に映る私は顔色も悪くない、体調は万全みたいだ。
ただ、少しばかり表情は硬い。
眉はセメントで固まったのかと思うぐらいに動かず、口元はへの字のアーチがかかっている。
「……これじゃだめだよね」
両の指で口元を吊り上げた。
無理やりに押し上げられた頬はニィっと不器用な微笑みになって、それが自分でも少し滑稽で思わず吹き出してしまった。
「……大丈夫、落ち着いていこう」
信じるべきものを信じて、疑うべきものを疑うだけ。
ちょっとばかり疑うことは苦手だけど、それを補ってくれる“仲間”だっている。
この合宿生活で犠牲になった皆さんの遺志を継ぐためにも立ち向かわないといけない。
その遺志をダイレクトに受け取り、前に進む覚悟を決めた“仲間”だっている。
学園の謎に迫ることで、不安や緊張にかられる場面だってあるかもしれないけど、逃げたりしない。
いつだって皆を気遣って精神の支えになってくれる“仲間”だっている。
協力して謎に挑めば、解けない謎なんてない。
私たちのことを認めてくれて、全幅の信頼を寄せてくれた、そんな勇気ある選択をしてくれた“仲間”だっている。
そんな仲間たちと挑む、いつも通りの戦いだ。何も身構えることはない。
「行こう……!!」
最後に鏡で確認した私の表情は、ほぐれていたと思う。
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【食堂】
摩美々「さて、裁判に備えて作戦をしっかりと固めておこうかー。今回の目的は二つ、灯織の無実の証明と学園の謎の解明だよー」
智代子「だったらめぐるちゃんの事件を改めて調べる必要があるよね?」
雛菜「でももう死体も全部片づけられちゃってるよね~?」
摩美々「だから別の方向性で捜査をしていくしかないねー。例えば円香の部屋を調べるとか、そういうのでー」
灯織「可能性はわずかでも拾い集めなくちゃいけませんしね……」
愛依「学園の謎はどーすんの? これまでにも結構学園自体は調べてきたけどあんま手掛かりはなかったよね?」
摩美々「うーん……一応まだ未解禁なエリアはいくつかあったと思うケド……」
モノクマ「はいよ! もちろん解放してあげますよ!」
灯織「モノクマ……!!」
智代子「相変わらず突然だね……」
モノクマ「せっかく最終決戦をやるならフェアにいかないとね。お互い全力を尽くした勝負だからこそ、カタストロフィってあるわけじゃん?」
愛依「肩ローストロフィー……?」
モノクマ「だから情報の出し惜しみはしないよ! この学園の謎を最後まで解き明かしてもらうため、それに必要なものは全て調べられるようにしてあげます!」
雛菜「ってなると~、寄宿舎エリアの2Fが開くの~?」
灯織「あとこの学園で調べてないのはそれぐらいだよね……」
モノクマ「チッチッチッ、それだけではございませんよ!」
摩美々「えー? でもこの学園って5階建てって話でしょー? もう階段もなかったし、ほかにどこを調べるっていうのー?」
モノクマ「その認識が間違ってるんでございますな! この学園は確かに地上5階建てですが……地下はまだまだあるんですぞ!」
灯織「え!? 裁判場だけじゃないんですか?!」
モノクマ「そういうわけでございますな!」
雛菜「え~? でも地下に行く階段なんかないよ~?」
(そうだ……地上にある階段は上に上るもののみ……地下階になんかどうやって行けば……)
モノクマ「ま、それは各々頭を働かせてよね! さすがにそこまでは面倒見切れないからさ!」
摩美々「えー……なにソレ、ケチくさー……」
灯織「……となると、当面の方針としては寄宿舎エリアの二階、学校エリア地下階の捜索……ですか?」
摩美々「だねー、特に地下階はこれまでに情報がないから見つけたらすぐに共有するコトー」
智代子「承知しました!」
モノクマ「ま、せいぜい頑張ってチョーダイ! ボクはオマエラをおしおきするための準備を進めておくからさ!」
モノクマはそう言い残すと姿を消した。最後に脅しを入れたつもりだろうか、おしおきなんて文言をわざわざ持ち出して。
ただそれに怯むはずもなく、私たちはお互いの目を見合わせて深くうなずいた。
摩美々「……これが正真正銘最後の戦いになるから、出し惜しみなんかしたら承知しないからねー」
雛菜「は~い! 全力で行きま~す!」
智代子「あはは、なんだか雛菜ちゃんが言うと気が抜けちゃうかな」
灯織「ふふっ、でもそれぐらいリラックスしてやったほうがいいかも。変に肩の力を入れると、逆に視野が狭くなっちゃうかも」
愛依「あっ、それ急がば回れってやつ?!」
摩美々「多分違うと思うー……」
灯織「……皆さん、頑張りましょう。絶対に……生きて帰りましょうね」
さあ、ここからが正念場だ。
泣いても笑っても……いや、生きても死んでも、これが最後。
ありとあらゆる可能性を拾い集め、どんなに小さな疑問であってもそれを昇華する。
この学園にあるすべてのものを検討し尽くした果てに残るもの。
_____それが私たちに残された道、黒幕の首筋に突き付けられる唯一の武器になるはずだから……!
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【捜査開始】
今回は捜査の労力もいつも以上だ。
すぐに私たちは個人で別れてそれぞれ別に調査することになった。
そうでもしないとこの学園のすべてを調べ尽くすのは困難だろう。
「ただし、危険を感じた場合はすぐにほかの人の助けを求めるコトー」
摩美々さんはそれだけ釘を刺していた。
もし、万が一ということがあれば私も他の皆さんを頼ることにしよう。
……さて、ひとまずは【寄宿舎エリアの2F】の捜査に、【学校エリア地下階】の捜索をしないとだよね。
寄宿舎エリアの2Fは今すぐにでも調べに行ける。
食堂からも近いし、これまでに一度も踏み入れてない場所。
地下階に関しては特に今のところ手掛かりはないから……とにかく調べ回らなきゃいけない、かな?
でも、地下に行けそうな場所って言うと一つぐらいしか思いつかないような……
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☆最終章における捜査パートについて
最終章は非日常編から開始いたしますが、
新しい調査エリアに踏み込むたびに行動指定安価でコンマ判定を行い、
末尾と同じ枚数のモノクマメダルを手に入れることができます。
自由行動がないのにメダルだけ手に入れても意味がない?
……ん?それでは前回の裁判で手に入れたメダルの使い道がないのでは?
ご安心を、前回の裁判同様開始前に購買パートを挟む予定です。
購買パートで各種裁判を有利に働かせるアイテムを購入することもできますし、
前回習得した八宮さんのスキル【アップ・トゥ・ユー】でもメダルは使うことができます。
メダルの持ち腐れなんてことはございません、じゃんじゃん集めてくださいませ。
-------------------------------------------------
1.寄宿舎エリア2F
2.エレベーターホール
↓1
【コンマ判定 38】
【モノクマメダル8枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル…51枚】
-------------------------------------------------
【エレベーターホール】
愛依「あっ、灯織ちゃん! お疲れ~!」
灯織「愛依さん……もしかして、地下階に行く方法を探して?」
愛依「せーかい! 学校の地下に行くと言ったら、やっぱりここしかないと思ってさ! でもショージキ全然手掛かりもなくて困ってたんだよね……」
灯織「……ぱっと見では何もなさそうですね」
愛依「でしょ? なんか謎解きとかならうちは割とお手上げだしさぁ……」
灯織「まあまあ、ここはひとつ諦めずに調査を続けてみましょう。案外発見があるかもしれませんよ」
普段は閉まっている空間ということもあり、私たちが日常生活で偶然に地下階に行ってしまうこともない。
黒幕が存在を隠すならこの上なくうってつけの場所だ。
でも、エレベーター自体は裁判場に行く機能しか私の知る限りでは存在しない。
……ほかに、なにか方法が?
もう一度この部屋を隅々まで調べてみよう……何か新しい手掛かりがあるかもしれない!
1.観葉植物を調べる
2.エレベーターのパネルを調べる
3.置物を調べる
↓1
2 選択
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【エレベーターパネル】
壁に取り付けられたこのボタンを押せば、すぐに扉が開いて裁判場への道が開ける。
でも逆に、それ以外の用途は見えないように思えるけど……?
愛依「……あれ? 灯織ちゃん、こんなところにタッチパネルなんかあったっけ?」
愛依さんの指さした先、そこには彼女言うとおり見覚えのないパネルが鎮座していた。
私たちがこれまで見てきたパネルがスライドしてその下にあったパネルが姿を現しているらしかった。
灯織「モノクマなりの譲歩ということでしょうか……私たちが地下階を見つけやすくなるようにした、とか」
愛依「せっかくならもう直接行けるようにしてくれたら早かった系なんだけど……」
灯織「それはそうですね……」
どうやらこのパネルはパスワード入力式らしい。
今の私たちの状況を見るに、差し詰め『地下に行きたいならこのパスワード』を解いてみろってところかな。
そっちがそのつもりなら私たちだって引くつもりはない。
この程度のパスワード、すぐに解いて地下への道をすぐに暴き出してやる!
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☆学校エリア地下階について
学校エリア地下階に行くためにはパネルにパスワードを入力する必要があります。
パスワードは数字四桁、このエリア内にそれを特定する手掛かりが隠されております。
簡単な謎解き、ショートショート脱出ゲームのようなものとお考え下さい。
学校の謎という真実を解き明かす前に、このささやかな真実を明らかにしてウォーミングアップと参りましょう!
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【謎解きパート開始】
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる
3.置物を調べる
4.愛依に相談する(ヒント)
↓1
※パスワード入力を安価指定する際には合わせて四桁の数字も記載する形でよろしくおねがいします
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる
3.置物を調べる
4.愛依に相談する(ヒント)
再安価↓1
2 指定
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【観葉植物】
部屋に置かれたあまり見なれない観葉植物だ……。
葉っぱには極細い産毛のようなものが立っていてなんとも薄気味悪い。
あまりこれまで触れてこなかったけど、なにか手掛かりがあるのかも……
愛依「もしかして、その植木鉢を調べる感じ?」
灯織「ええ……もしかすると、なにかあるかもしれませんし……」
愛依「オッケー! それじゃあうち、こっち側持ち上げるわ!」
灯織「ありがとうございます、それじゃあいっせーのーでで行きましょう……いっせーのーで!」
思い切ってその鉢を持ち上げてみると……あった。
これは……暗号だろうか?
『ABJRQIA DCKLTSKLD EMU HGOWXPO』
灯織「不規則な文字の並び方ですね……」
愛依「んー……なんか意味ありげなスペース、ここが区切りってことなんかな?」
灯織「となると、四つのブロックに分かれていることになりますね」
愛依「4……4……四文字熟語?!」
灯織「そもそも漢字じゃないですね……」
愛依「ありゃりゃ、そりゃそうか……」
でも、重要なキーワードであることは間違いないはず。
しっかりと覚えておいたほうがよさそう。
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1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる
4.愛依に相談する(ヒント)
↓1
3 選択
-------------------------------------------------
【置物】
どこまでも自分のことが好きなんだなと思わずため息が出る。
これ見よがしに置かれたモノクマの銅像は気色の悪いセクシーポーズを決めている。
しかたない、これも捜査のためだ……
自分にそう言い聞かせて四方八方から見つめると……銅像の碑文に見せかけたプレートが実はそうではないことを発見した。
これはきっと……地下階に向かうために必要な手がかりだ。
『問26 8×3 余りは切り捨て』
灯織「これは算数の計算式……でしょうか……」
愛依「あちゃー……うち数学とか苦手だなぁ……」
灯織「愛依さん、落ち着いてください。数学じゃなくて算数です、できないと困るレベルの問題ですよ」
愛依「ホントだ! うち、これならわかるよ! 答えは24! ……ってあれ? 余り……?」
灯織「……どういうことなんでしょうか、掛け算に余りなんか生じないはずですが」
愛依「それに、問26って何? うちら、そんなに問題解いてきたっけ?」
……こうなったら、これは算数としてみない方がいいのかも?
何か別のメッセージでもあるのかな……?
-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(ヒント)
↓1
4 選択
灯織「愛依さん、どうでしょう……地下に行くためのパスワード、わかりますか?」
愛依「うーん……現状はサッパリかなぁ……観葉植物と置物、これ以外に調べるものは特にないし、【材料はそろってる】系だと思うんだけど……」
(愛依さんの言うとおり、この部屋でほかに目につくものはない)
『ABJRQIA DCKLTSKLD EMU HGOWXPO』
『問26 8×3 余りは切り捨て』
(この二つでパスワード自体は導き出せるんだろう……)
愛依「でも、この暗号意味わかんないんだよね……よく家族で見るクイズ番組だと、問題文を別の見方すると新しい意味になる……とかありがちなんだけどね」
(別の見方……)
(算数の問題……これって本当に問題なのかな……)
-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(ヒント)
↓1
4 選択
愛依「ねえ、灯織ちゃん? ここまでで算数の問題なんか解いたことってあった系?」
灯織「い、いえ……特に身に覚えはないですが……」
愛依「じゃあ、なんでこの問題【26問目】なんだろう……ほかに問題なんかないのに……」
(26問目……そう、それが妙なんだよね……)
(1問目や2問目じゃダメだったのかな……? なにか26という数字に意味があるんだろうか……?)
(身近にある、26という数字から考えてみるのがいいかも……)
愛依「てか、8×3のケーサンも割と答えは26に近いよね」
灯織「……確かにそうですね、24ですからその差は2……」
(もしかして、余りって……?)
-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(ヒント)
↓1
申し訳ない、突然の電話がかかってきて応対しているうちに10時になってしまいました……
大変区切りの悪いところで申し訳ないのですが一時中断いたします。
明日21:00~よりまた再開予定です、すみません……!
昨日は申し訳ありませんでした、謎解きの最中に電話が来るとは思わず……
愛依のヒントより再開しますが、一日経ちましたしもう皆さん答えは分かったかもしれませんね。
-------------------------------------------------
4 選択
愛依「あっ!うち、分かったかも……26って、アルファベットの総数と全く同じなんじゃん?!」
灯織「Aから数えてZまで……確かに全部合わせると26ですね」
愛依「問26って、アルファベットを使う問ってことなんだ!」
(アルファベットを使う問……!)
灯織「それと先ほども話したような、8×3に対する考察を含めると……」
愛依「アルファベットの総数との差は2……これが余りなんだとしたら、最後の二個を切り捨てる……的な?」
灯織「アルファベットの順序で言えば、YとZ、ですかね……?」
愛依「YとZ……YとZ……あれ?! よくみたらこっちの暗号にもYとZが出てきてないよ?!」
『ABJRQIA DCKLTSKLD EMU HGOWXPO』
灯織「……どうやらここまでの推理は間違っていないようですね……!」
-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(ヒント)
↓1
4 選択
灯織「……8×3、これが計算式でないのは薄々感じていましたが……」
愛依「列と行にしろってことだったんだ……!」
AIQ
BJR
CKS
DLT
EMU
FNV
GOW
HPX
愛依「うーん、でもこれじゃまだよくわかんないよね……」
灯織「愛依さん、算数の基本です! 掛け算は左右を入れ替えても問題ない、ですよね!」
愛依「そっか……!」
AB CD EF GH
IJ KL MN OP
QR ST UV WX
愛依「あ、こっちのほうが……なんか、見えてきそう……!」
灯織「アルファベットを8×3(3×8)に整列させて、あまりのYとZはないものとして考える……プレートのメッセージはそれを指していたんです!」
愛依「てなると……あとは、あの暗号だけだね!」
『ABJRQIA DCKLTSKLD EMU HGOWXPO』
-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(ヒント)
↓1
30分が来たので一部修正
ヒントとしてもさっきのが出せるのは最後になるかなといった形なので
4を自動進行にして再安価
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1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(自動進行)
↓1
1 選択
【1234】
灯織「とりあえず入れてみましたが……」
ブブー!
灯織「さすがに違いますね……」
愛依「まぁこれで通ったらセキュリティがガバいって感じだよね……」
(うーん……あと少しまで、出かかってるんだけどな……)
-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(自動進行)
↓1
1 選択
【1331】
ブブー!
灯織「これも違うみたいですね……」
愛依「うーん、さっきの暗号をやっぱ読み解かなきゃいけない系だよね……?」
灯織「8×3で作った表、あれにも意味があるはずなんですが……」
-------------------------------------------------
1.パスワードを入力する【数字4桁】
2.観葉植物を調べる(済)
3.置物を調べる(済)
4.愛依に相談する(自動進行)
↓1
1 選択
『0816』
ピピッ
よかった、正解みたいだ。
なんとか導き出したパスワードを入力するとその液晶は緑色に光り、部屋のそこら中から駆動音が聞こえてくる。
これでようやっと、この学園最後のエリア・地下階に行けるようになる……!
愛依「灯織ちゃんスゴ! なんでパスワードわかったん?!」
灯織「いえ、そう難しいものではありませんでしたよ。あの算数の問題を、別の形のものだと捉えなおすとすぐに結論にたどり着けました」
愛依「算数の問題を……?」
灯織「3×8の計算式。あれは計算式ではなく、集合の形式を現していたんです」
愛依「シューゴー……?」
灯織「……ほかのところから説明いたしますね。問26、あれは問題番号が26なのではなく、『26』という数字がまつわる問いだという意味なんです。身近なもので26というと何か思いつきませんか?」
愛依「んー……?」
灯織「……アルファベットです。AからZまでその総数は26。これを3×8の形式で並べなおします」
愛依「……あっ! 余り2ってそっから?! 26個のものを3×8で並べなおすから!」
(よかった、なんとかついてきてくださっているようだ)
『アルファベットは26個存在しているが、これを無理やり3×8で並べなおす。その時発生する末尾のあまり2個の文字、YとZは【切り捨て】=【なかったもの】とする』
灯織「この規則に従って並べなおすとこのようになります」
AB CD EF GH
IJ KL ML OP
QR ST UV WX
愛依「……あれ、この並びって!」
灯織「そうです、ちょうど四分割すると、それぞれのブロックと重なるような並びになって植木鉢下の暗号と合致するんです。あとはあの暗号の通りにアルファベットをなぞっていくと……」
『ABJRQIA DCKLTSKLD EMU HGOWXPO』
愛依「……あっ、『0816』!」
灯織「そう、ちょうどその軌跡が数字を現すことになるんです。デジタル時計と同じ要領ですね。それに従ってパスワードを入力すれば、無事解決といったところです」
愛依「は~……すっご、よく考えつくわ」
灯織「そんな……大したことないですよ」
べた褒めする愛依さんを前に謙遜していた、その時だった。
ついに準備が整ったらしく、地下階への入り口が開かれた。
……想定外の形で。
ドッカーーーーーーーン!!
愛依「え、えええええ?! か、壁が崩れ落ちたんだけど?!」
灯織「み、見てください愛依さん! あそこ、階段が見えます……下に下る階段が!」
てっきりエレベーターの行く先に地下階が追加されるものだとばかり思っていたけど、当てが外れた。
いや、モノクマならこういう意味のない裏の掻き方をしてくるものだとわかっていたのに。
すっかり騙されてしまったことが少し腹立たしい。
愛依「うち、みんなを呼んでくるね! 地下に行く階段が見つかったって!」
灯織「あっ、愛依さん……行っちゃった」
愛依さん、すっかり張り切って……制止する間もなく行ってしまった。
まだ崩れ落ちたばかりの壁からは砂煙が舞い上がっている。
……でも、私も愛依さんほどではないがどこか体が舞い上がっているようで落ち着かない。
この砂煙が収まるまで、なんて待っていられないのだ。
「……よし」
私ははやる気持ちを抑えることも知らず、そのままその中へ飛び込んでいった。
-------------------------------------------------
【学園地下階】
突如として現れた階段を下っていくと、ついにこの学園の最後のエリア・地下階にたどり着いた。
学園の地上階は一応は学園としての体裁を守ってはいた。
教室然とした教室に、実際学校といえばで名前の挙がる専門教室の数々。
希望ヶ峰学園という高次元の尺度でそれらが再現されていた。
……にも拘らず、地下階はそれらを鼻で笑うような。
「……なに、これは」
形容するなら研究所とでも言おうか。
あの目にどぎつい発色の電灯は廊下にも点灯していない、白を基調とした清潔感すら漂う内装。
それでいてどこかゴージャスな雰囲気もある装飾が為されている。正直地上とはまるで同じ建物とは思えない、こちら側が黒幕の趣味ということなのだろうか。
そんなこれまでにない雰囲気に気圧されながら、私は地下階の探索を開始した。
さて、どこから調べようか……
-------------------------------------------------
1.中央制御室
2.モノクマプライベートルーム
3.おしおきメンテナンスルーム
4.トレーニングルーム
5.技術開発室
↓1
【コンマ判定25】
【モノクマメダル5枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…56枚】
-------------------------------------------------
【中央制御室】
地下階の文字通り中央に構えているのがこの大きな部屋。
円柱状のその間取りをはじめ理解しがたかったが、実際に足を踏み入れてみると即座にその意味を理解する。
この部屋は、学園の中枢なのだ。
私が十人以上縦に並んでも足りないだろう巨大な発電機が堂々と鎮座し、そこから枝分かれするような無数のケーブルが壁に接続している。
この学園の設備ははっきり言って規格外だ。
高校、大学、研究施設……そんなどころの話ではない、下手すれば一自治体レベルの電力が必要になるやもしれない。
それをこの発電機一つで賄っているんだろう。
モノクマ「どう? すごいでしょ、これがこの学園の心臓……中央制御室だよ!」
灯織「……やっぱりそうなんですね、この学園の設備はすべてここで?」
モノクマ「うん! 原動力となる電力はこいつが生み出してるし、ここから機械も制御できるよ? 試しに空気清浄機を暴走させて学園を真空にしてみようか?」
灯織「や、やめてください!」
(……まったく、油断も隙もありゃしない)
ひとまずこの学園にいるうちはこの部屋で暴れたりはしない方がよさそう。
巨大な発電機からは一度離れて、周囲を調べることにした。
-------------------------------------------------
【ジェネレーター】
部屋には中央の発電機から直接電力を引いている機械が置いてある。
これまた規格外のサイズ……だけど操作するモニターはかなり小さなものだ。触っては見たけど反応はない。
何かライセンス的なものが必要みたい。
「……あれ?」
操作はできないものの、ある程度いじることはできる。
手の届くところには透明なフィルター、その取っ手を引くとすんなりと開き……見覚えのあるそれが姿を現した。
これは……【思い出しライト】だ。
私たちがこの学園に踏み入る際にモノクマに奪われていた希望ヶ峰学園と第78期生の記憶。
それを取り戻すきっかけになった機械なんだけど、なぜこんなところに?
モノクマはここからこのライトを持ち出したのだろうか、と改めて機械を観察すると操作盤とは別にまたモニターを見つけた。
しかもこっちは点灯していて、何か文字を読むことができる。
『LOG:希望ヶ峰学園 78期生』
……これって?
コトダマゲット!【思い出しライト】
〔照射した相手の記憶を呼び起こす不思議なライト。中央制御室の一角に落ちており、その近くの装置のモニターには『LOG:希望ヶ峰学園 78期生』とあった〕
-------------------------------------------------
【マザーコンピューター】
正直なところ、触れるか触れまいかずっと悩んでいたんだけど……
この部屋には明らかに異質なものがもう一つ。
それはなんなら超巨大発電機よりも存在感を放っていて……今にもこちらに話しかけてほしそうに視線を寄せているのだ。
『巨大なモノクマの頭部』、そうとしか形容のできない物体がコードに繋がれている。
『おーい! いい加減ボクにもかまってよ! ここに人が来るなんてめったにないんだしさ、お話の相手ぐらい……ねえ、いいでしょ?! ウサギとモノクマは寂しいと死んじゃうんだよ?!』
灯織「うさぎが孤独だと死ぬなんてデマカセですよ……ただ病気が他の動物に比べてわかりづらいから飼い主が放っておくと死んでしまうケースが多くて、そこから誤解されたそうです」
『おっ! やっとこっち向いてくれたね! お話、お話ししようよ!』
(……しまった、ついマメ知識を披露してしまった……)
(まあ、いいか……どうせこれも調べる予定ではあったんだし)
灯織「……雑談の相手をしている暇はありません、我々の調査に協力していただけるなら少しの間聞き取りということで応じることはできますが」
『チェー、なんだか事務的だなぁ……風野さんって、情報通りの人なんだねー』
灯織「……情報?」
(今、何か気になることをこぼしたような……)
(というか、このモノクマ……なんだか様子がおかしい、私たちが普段接するモノクマとまるで人格が違うような……そこまで不快感のない人懐っこさがあるというか……)
『うん、ボクはオマエラコロシアイ合宿生活の参加者全員のデータはインプットされてるけど、逆に言えばデータでしかオマエラのことを知らないんだ』
灯織「……あなたは黒幕とはまた別の存在、ということですか?」
『うーん……まあ、そういうことになるのかな? いや、でも黒幕って言えば黒幕なのかな……』
灯織「なんだか随分と歯切れが悪いですね……」
『うん、風野さんの言う黒幕の定義が今の文脈からではわからないんだ。ボクはこの学園の管理系統を指揮している、その意味合いでは黒幕ともいえるけど……コロシアイ合宿生活に招集した張本人ではないから、その意味合いでは黒幕ではないんだよ』
灯織「……え?」
『うーん、せっかくこの部屋に来てくれたお客さんだから正確な回答をしたいんだけど……なんだか難しいなぁ』
灯織「ちょ、ちょっと待ってください!? い、今あなたは……この学園を管理している、そう言ったんですか?!」
『うん、そうだよ。なんたってボク、モノクマはこの学園の学園長なんだからね!』
(それって……黒幕がすべてを管理していたわけではないってこと……?)
灯織「すみません、あなたの言う学園の管理、もう少し詳しくうかがえますか?」
『うぷぷぷ……興味津々って感じだね。いいよ、なんだかボクも話すのが楽しくなってきたところだから!』
『このコロシアイ合宿生活の黒幕は当然だけど風野さんと同じく人間だからね。どうしても体力には限界があるし、休憩が必要になるタイミングがあるんだよ。だからそういうときに学園の監視を行っていたのはボクになるね!』
灯織「……! それはつまり、深夜などのタイミングなどは黒幕本人は監視していなかったってことですか?!」
『そうだね……一応、事件や異常が起きたら報告するプログラムになってるけどね。それ以外の情報は基本的にボクが預かる形かな。誰かが誰かを殺したり、脱出のために学園設備を破壊したり、そういうのはすぐに緊急事態として報告することになってたんだ』
(……それって、深夜なら一部黒幕の監視を免れることができたってことなんじゃ)
『あとはどうしても人間の力じゃ難しい物資の補給とかかな。黒幕の正体がうっかりばれてしまうリスクもあるし、ボクの管理のもとオートメーション化されてたんだよ、エッヘン!』
(……よくよく考えてみたら当然のことだ。もうここでの生活は一か月にも及ぶ。それを人間一人で管理しきれるはずがない)
(なら、必然的にそこに付け入るスキは生まれるはず……!)
コトダマゲット!【コロシアイ合宿生活の運営】
〔コロシアイ合宿生活の運営はすべてがすべて人力で行われていたわけではない。物資の搬入などはオートメーション化されており、深夜の監視は黒幕自身は行わずAIに任せていた〕
灯織「ありがとうございます、大変有意義なお話が聞けました……でも、いいんですか? あなたは黒幕の側のコンピューターなのでは……?」
『大丈夫大丈夫! ボクは別にどっちの味方でもないんだ、だってそうでしょ? 完全に黒幕の側ならこんな情報を話しもしないし、キミたちの味方ならとっくにこの学園系統をすべて停止させて玄関ホールの扉だって開けてる』
『ボクはただ、このコロシアイ合宿生活を観測し続けるだけのAIなんだよ。本当にそれだけさ』
灯織「……なるほど」
なんだか不思議な体験をした気分だ。自立思考するAIとの会話なんて、テレビの中でしか見なかった……それでいえば貴重な体験なのかもしれないけど。ただ、このAIは本人が言う通り私たちにとって敵でも味方でもない。
私がすべきなのは、この体験に歓喜することでもAIに同情することでもない。
得た情報を使うべき使い方をするだけのことなんだ。
……だって、ほら。振り向いたらマザーコンピュータは黒幕と全く同じ笑みを浮かべているんだから。
-------------------------------------------------
この部屋で調べられるのはこれくらいかな……?
少しでも真相に近づけているならいいんだけど……
1.モノクマプライベートルーム
2.おしおきメンテナンスルーム
3.トレーニングルーム
4.技術開発室
↓1
【コンマ判定13】
【モノクマメダルを3枚獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…59枚】
-------------------------------------------------
2 選択
【おしおきメンテナンスルーム】
部屋の名前を見た時から、背中に悪寒が走っていた。
真乃、樹里、霧子さん、凛世、そして私。
5人の人間に牙をむいて、私を除いた全員の命を奪ってきた最悪の存在。
それを管理し、維持するためだけに存在する空間。
今すぐにでも爆弾を放り込んでめちゃくちゃにしてやりたくなる。
この部屋にいる限り、彼女たちの死が心臓を内側から刺してならないから。
でも、この痛みをぐっとこらえて調査を進めるしかない。
私には武力も、黒幕を凌駕する知力もないから。
____それが彼女たちの死に報いる唯一の筋道だ。
-------------------------------------------------
【おしおきセット】
「…………」
真乃が命を落としたステージセットだ。
私たちがこの学園で最初に目撃することになった、『おしおき』……その光景は今でも焼き付いている。
おしおきの進行とともにステージと衣装とが華やかになっていき、最終的にはカラスに目をつけられて、その輝きごと啄み殺される。
私の目の前にある衣装セットにも真乃の流したであろう血液の赤黒いシミがついたままになっている。
「…………」
樹里のおしおきに使われた放クラの皆さんのお面だ。これをつけたモノクマたちに樹里は袋叩きにされて、その結果……
彼女が最期の最期、その一瞬まで仲間のことを思って戦い続けていたことを私たちはこの先一生忘れることはない。
「…………」
霧子さんを絞め殺した巨大なモーターだ。先端に取り付けられた棒にその体を拘束され、高速回転で帯を巻き取り、最終的には窒息死。
霧子さんは、人格を破綻させて事件を起こしてしまったし、おしおきの最中でさえもそれは変わらなかった。彼女は最後に、何を思っていたんだろう。
「…………」
凛世が切腹に使おうとした短刀だ。
彼女は事件に踏み切るうえでとてつもない覚悟をしていたというのに、モノクマはそれを一蹴して、踏みにじるようなおしおきを行った。
あのとき、頬を撫でた爆風の冷たさがまだ感触として残っている。
「…………」
そして、私を裁断して殺そうとした巨大なカメラのシャッター。
もはやシュレッダーにも近しい鋭利な切断面、もしこれをまともに受けていたら私は骨一つとしてまともに残ってはいなかっただろう。
こうして遠目に見ているだけでも寒気が押し寄せる。
……この部屋には、この学園でこれまでに起きた事件がそのままに写し取られている。
この機械に命を奪われた彼女たちの苦悶と葛藤、それが空気中に漂い、呼吸をするだけでむせ返るような思いだ。
だけど、それに目を背けてはいけない。
死の証というのは裏を返せば彼女たちの生きた証でもある。
彼女たちの流した血は、彼女たちの味わった苦しみは、彼女たちの抱え込んだ絶望は、彼女たち自身を形作る要素の一つであることは否定できないのだ。
今ひとたび、そんな彼女たちに触れたことで一つ想起されたものがある。それは、【コロシアイの動機】だ。
彼女たちが事件を起こすきっかけ、命を落とすきっかけとなった事件の動機。
思えばモノクマはあの手この手でコロシアイに精力的でない私たちを無理やりに動かしてきた。
あれには、ただ動機としての意味以上のものを感じてしまう。ただコロシアイをさせたいだけなら食料を取り上げたり、睡眠を奪ったりしてしまえばいい。
そうではなくあくまで私たち自身の葛藤の中から殺意を引き出したことには何か目的意識があったのではないだろうか。
……もう一度、【動機】は確認しておいたほうがいいかも。
-------------------------------------------------
【捜査パートの行先に学園長室が追加されました!】
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【管理者コンピュータ】
おしおきセットはいずれもケーブルのようなものと繋がっており、この一つのコンピュータで制御されているようだ。
専門的な装置なのだろうか、妙に仰々しい設備で触るのが少し気が引ける。
少し操作してみたけど、基本は私たちの良く知るコンピュータと相違はない。
インターネットには接続していないようで、データの保管とこれらおしおきセットの管理が目的のものらしい。
……流石におしおきセットをいじる気にはならない、保管されているデータを確認することとした。
中で確認できるデータは、一つのファイルのみ。しかも中身が暗号化されていて読むことができない。わかるのはそのファイルの名前のみだ。
暗号化されたファイルにも一応の目は通す。
データ自体は解析不可能、特殊な操作やパスワードが必要みたい。現状わかるのは、そのファイル名のみ。
ファイルの名前は……『方舟計画』。
方舟と聞くと、神話の『ノアの方舟』をすぐにイメージするけど、これって一体……?
コトダマゲット!【方舟計画】
〔おしおきメンテナンスルームのパソコンに隠されていた謎の計画のファイル。詳細は一切不明〕
-------------------------------------------------
この部屋で調べられるのはこれくらいかな。
……あんまりここに長居はしたくない、ほかのところに行こう。
1.モノクマプライベートルーム
2.トレーニングルーム
3.技術開発室
↓1
【コンマ判定24】
【モノクマメダル4枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…63枚】
-------------------------------------------------
【技術開発室】
機械の駆動音が響き渡る中鼻を刺すのは化学薬品の香り。
かと思えば窓の向こうには手術台の姿が見える。一体ここは何を研究している場所なんだろうか、ジャンルがまるで分らない……
摩美々「とにかく詰め込みましたって感じだよねー……あんなたいそうなロボットアームじゃ手術なんかできないでしょー……」
灯織「摩美々さん……いらしてたんですね」
摩美々「まあねー、灯織が地下階見つけてくれたんでしょー? お手柄じゃーん」
灯織「い、いえ……そんな……」
摩美々「この部屋にも何かしらの手掛かりはあるだろうし、とりあえず協力してあそこでも漁ろうかぁ」
摩美々さんが指さした先は研究設備とはまた別の区画。
どうやらここで行われている研究について詳細に記した報告記録が集積されているらしい棚だ。
パラパラとめくっていくとどこか見覚えのある内容がちらほら。
摩美々「科学室の薬品ってここで作られてたんだねー、薬品A・Bの調合記録なんかもあるよー」
灯織「空気清浄機の整備記録もありますね……ロボットに改造した時の記録まで」
摩美々「……あれ、なんだったんだろうねー」
こちらの報告記録も化学も物理もないまぜになっていてまるでまとまりがない……
頭痛がしそうな記録を眺めているうちに、あるページに行きついた。ここに書いてあるのは……どちらかというと“生物”の内容みたい。
『我々の開発も一定の成果をあげた。マウスによる生体実験も無事に成功、いよいよ続いての段階に遷移することとした。本実験の最後では全被験者への適用が予定されているが、特に適正値の高い被検体αに先行して適用した。彼女はもとより性格面で類似性があったためか、特に拒絶反応も発生することなく実験も成功した』
摩美々「『神経系統に基づく移植実験』……?」
灯織「これって一体……?」
摩美々「……なんだか変な記述だよねー、マウス実験の後の臨床実験っぽいケド」
灯織「はい……【性格面】だなんて、精神科の診断か何かでしょうか?」
摩美々「【全被験者への適用】……【性格面で類似性】……」
摩美々「なんか、藪蛇な気分だよー……なんか嫌な予感がする……」
(……なんなんだろう、この報告書は)
(摩美々さんの言うとおりだ……書いてあることはまるで理解できないのに、なぜか胸のあたりがざわつくような……)
コトダマゲット!【被検体α】
〔我々の開発も一定の成果をあげた。マウスによる生体実験も無事に成功、いよいよ続いての段階に遷移することとした。本実験の最後では全被験者への適用が予定されているが、特に適正値の高い被検体αに先行して適用した。彼女はもとより性格面で類似性があったためか、特に拒絶反応も発生することなく実験も成功した〕
-------------------------------------------------
この部屋で調べられるのはこれくらいかな。
なんだか情報が得られたような、そうじゃないような……
1.モノクマプライベートルーム
2.トレーニングルーム
↓1
1 選択
【コンマ判定07】
【モノクマメダル7枚を手に入れました!】
【現在のモノクマメダル枚数…70枚】
-------------------------------------------------
【モノクマプライベートルーム】
学園内でも異質な地下階、その中でもさらに異質な部屋がある。
というよりもこれは場違いといったほうがいいだろうか。
胃もたれがしそうなほどにゴテゴテの装飾が為された扉にはへたくそな字で『モノクマの部屋』と書かれている。
これ一つで雰囲気ぶち壊しもいいところだ。
「……はぁ」
その残念なデザインセンスに対する失望なのかなんなのか。自分でもよくわからないため息とともにその扉を開けた。
「……うわぁ」
中に入ると更にどぎつい。床、壁、天井。360度すべてを覆い尽くすモノクマの顔。
世界一のナルシストでもなかなかこうはいかないだろうに、よくやるものだ。
モノクマ「ようこそ! ボクの勝負部屋へ!」
灯織「……はぁ」
モノクマ「はぁって何さ! なんなのさ! この部屋でボクがどれほど激しいプレイをしてきたと思ってるんだ!?」
灯織「ぷ、プレイ……って……やめてください、そういうの……」
モノクマ「ん? ボクはプレイとしか言ってないよ? ただちょっと格闘ゲームの“プレイ”が熱くなりがちだって……そういうお話なんだけど?」
灯織「……」
モノクマ「むきー! なんだよ、冷たいな! せっかく人がセクハラ弄りしてやってるのに!」
(……地獄だ)
ガチャ
雛菜「あれ~? 灯織ちゃんだ~!」
灯織「雛菜……雛菜も捜査の途中?」
雛菜「うん~! 地下室がいけるようになったって聞いたから~、それでこの部屋に来たんだけど~?」
モノクマ「市川さん、ようこそボクのしょ___」
雛菜「なにこれ~! この部屋気持ち悪い~~~~~~!」
(……あっ)
雛菜「なんだかこの部屋に長くいたくないかも~、雛菜もう行くね~……」
灯織「えっ、ちょっ……雛菜?!」
モノクマ「」
(……二人きりにされてしまった)
なんとも気まずい思いだけど、モノクマが精神崩壊している今のうちに調べさせてもらおう。
モノクマの個人部屋だというなら、何か手掛かりはあるかもしれないし……
モノクマ「」
モノクマ自身に話を聞くのもありなんじゃないかな……
-------------------------------------------------
【アルバム】
手に取ってまず後悔した。部屋の節々から感じてはいたけど、ナルシストとかいうレベルの話ではなく自分に酔っている。
幼稚園のスモックを着ているモノクマ、サッカー部のユニフォームを着ているモノクマ、成人式でがちがちの袴を着ているモノクマ、マイクロビキニを着ているモノクマ……
どれも悪趣味な写真ばかり。あまり人の思い出に文句を言うものではないけど、深いという言葉をつけずにはいられない。
それでもこれも調査のうちと自分に言い聞かせてページをめくると……
助かった。ちゃんと有益な情報だ。
モノクマの写真の数々はカモフラージュ。木を隠すなら森の中、写真を隠すならアルバムの中。
モノクマの醜悪な写真には途中から私たち自身の写真が混じるようになっていた。
「……なに、これ」
しかし、その写真の悉くに見覚えがない。
恋鐘さんと屋外で料理をしている写真、果穂と川で草の船を浮かべて遊んでいる写真……樋口さんと一緒にバーベキューを食べている写真。
それは何も私だけではない、めぐるがあさひと一緒に木登りしている様子なんかこれまでに見たこともない。
ほかにも摩美々さんが冬優子さんにいたずらを仕掛けている写真なんかもあるし、283プロの全員が写真に登場しているのだ。
特に加工や編集がされたような痕跡も残っていない、この写真は素人目に見ても本物。それなのに、当の本人に記憶がないというのもおかしな話だろう。
そして、最後に見つけた写真は……
「真乃と、小糸の写真……これって」
-------------------------------------------------
灯織「写真……?誰が撮ったんだろう……?」
そう、純粋な興味で私はその写真を手に取った。
この学校に関係するものだろうか、外の世界に関係するものだろうか。ただそれだけの興味だった。
でも、そこに残されていたのは。
(……え?)
_______真乃と小糸が二人で料理をしている写真だった。
(……な、なんで?)
めぐる「こ、これって……?」
モノクマ「わーーーーー!!なに見てるのさーーーー!!」
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あの時、美術倉庫でモノクマに回収された写真そのものだった。
コトダマゲット!【キャンプの写真】
〔灯織を含む283プロ全員が登場しているキャンプの写真。加工編集がされたようには見えないが、灯織たちにその記憶は全く存在しない〕
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【モノクマ】
……この合宿生活を引き起こした諸悪の根源。
私たちの命をそのエゴで奪い去り、人生そのものを勝手に踏み荒らしてきた憎き存在。
だが、この学園で唯一すべての真相を知る存在でもある。
それなら、話を聞かない理由はない。私たちが真実に少しでも近づくため、勝利をもぎ取るためにも……なんとしても有効な証言を引き出してやる!
灯織「モノクマ!」
モノクマ「」
灯織「話してもらいますよ……この学園の真相について……少しでも!」
モノクマ「……は!? しまった、センスを否定されたショックで思わず三途の川を反復横跳びしてしまっていた……!」
灯織「死にかけてるじゃないですか……そ、そんなことより! あなたにお伺いしたいことがこちらは山ほどあるんですよ!」
モノクマ「だろうね、ボクの魅力的なボデェを前にしたら質問の一つや二つや三億ぐらいは湧いてくるよね!」
灯織「モノクマ自身のことはどうでもいいです、それより学園生活についてです!……どうしてあなたは私たちをこの学園に集めてコロシアイをさせたんですか?! なぜ私たちを選んだんですか?!」
モノクマ「なんだよ、どうでもいいってさ。いじけちゃうよね、チェッ!」
灯織「誤魔化さないでください、今回ばかりは逃がしませんよ!」
モノクマ「むむむ……シリアスモードの風野さんはいつも以上にノリが悪いぜ……」
(モノクマの小ボケにいちいち反応している暇はない……!)
(一歩も引くな、風野灯織……!)
モノクマ「……はぁ、しょうがないね。核心的な部分は教えてあげれないけどさ、オマエラを選んだことには確かに明確な理由が存在するよ!」
灯織「……! もちろん、聞かせてもらえるんですよね?」
モノクマ「いいかい? コロシアイ合宿生活に参加できるのはあくまで現役の高校生のみなんだ。だからオマエラ283プロダクションの人間でもお姉さん方やお子さん連中は参加できないんだよね」
灯織「それはこの生活が始まるときにも言っていたことですよね?」
モノクマ「うん、宣言したね。そしてこれこそがオマエラを参加者に選んだ理由でもある。オマエラが現役の高校生で、かつ283プロダクションのアイドルだったから……これ以上でもこれ以下でもないよ!」
灯織「……え?」
モノクマ「だからこの15人でなくてはならなかったってことだね! ほかの人間では替えが利かないんだよ!」
灯織「ちょっと待ってください、これじゃ前に伺ったのと何も変わらな……!」
モノクマ「まあもっといろいろ知りたいって言うんなら図書室の書庫でも調べればいいんじゃないかな? 現役の高校生アイドルにこだわった理由を推理するヒントになるかもね」
灯織「と、図書室の書庫……ですか……?」
モノクマ「今ボクからいえるのはこれぐらいのもんだよ、こっから先はモロに答えになっちゃうからね~!」
灯織「あっ……ちょっと……!」
(だめだ……摩美々さんのようにはうまくはいかないな……)
モノクマはすぐにその場を立ち去ってしまった。
聞き出せたのは、以前にも確認したとおりの内容。私たちが現役の高校生で、アイドルだなんてわかりきっていることだ。
灯織「……はぁ」
仕方ない、モノクマから情報を引き出すのはほかの方にお任せしよう。
……ん? ちょっと待って。
今回モノクマに改めて質問して、全く同じ内容が返ってきた。
……それってつまりは、それだけその情報に意味があることの証明にならないかな。
モノクマにとって、よっぽど【現役の高校生】で【アイドル】であることに意味があるっていうことなんじゃ……
大丈夫、自信を失うな風野灯織。
今の問答にだって、きっと意味があったに違いない……!
コトダマゲット!【モノクマの証言】
〔今回のコロシアイ合宿生活の参加者は、283プロの現役高校生アイドル15人のみ。そしてこのコロシアイはこの15人でなくては意味がなかったらしい〕
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それに、モノクマは去り際に興味深い一言も残していた。
【図書室 書庫】、知りたければそこを調べなくてはならないらしい。
小糸の事件以来だ、ほこりのかぶった空間には悪趣味な事件資料の数々が収められていたと思うけど、そこに何か手掛かりが……?
余裕があれば向かうようにしよう。
【捜査パートの行先に図書室 書庫が追加されました!】
-------------------------------------------------
この部屋で調べられるのはこれくらいかな……
モノクマという存在、ますますわからなくなってしまった気がする……
【選択肢が残り一つになったので自動進行します】
【モノクマメダル獲得のためのコンマ判定を行います】
【直下レスのコンマ末尾と同じ枚数だけ獲得できます】
↓1
【コンマ判定40】
【モノクマメダル10枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…80枚】
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【トレーニングルーム】
この一角は黒幕のプライベート用なのだろうか。
学校エリアの2階にもプール前の更衣室でトレーニングのできる空間はあったけど設備が段違いだ。
ルームランナーにベンチプレス、その他もろもろトレーニング器具が一通りそろっているし、壁は鏡張り。
肉体を仕上げるにはもってこいの設備が整っている。
智代子「ひゃ~~~! なんだかここにいるだけでカロリーを消費しちゃいそうな部屋だね!」
灯織「チョコ、捜査の進捗はどう?」
智代子「うん、順調かな! ……それにしても、すごい部屋だよね! トレーニングジムが丸ごと一個入ってるみたい!」
灯織「うん……シャワーもロッカーもあるみたいだし、なんなら冷蔵庫にプロテインまで完備されてるよ」
智代子「……ん?」
(どうしたんだろう、チョコ……何か引っ掛かってるみたいだ)
(深く考え込んでる、ひとまずはそっとしておこう)
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【ポスター】
部屋の一角には一枚のポスターが飾られている。
華々しいステージの上でパフォーマンスを披露するアイドルの写真、そのアイドルはこの国の人間ならだれもが知っている往年の伝説的なアイドルだ。
智代子「あっ、それって【VERTEX】のポスター?」
灯織「うん……どうしてここに……」
【VERTEX】、この業界の人間なら知らない人間はいない最高規模のオーディションだ。
最高とは文字通りの最高、優勝して得られる恩恵は並大抵のものではない。
アイドルはモチロン事務所も一気に注目が集まり、それだけで芸能の歴史に名を刻むことになるとまで言われる代物。
実際優勝者はいずれもアイドルを引退した後でもいわゆる“大御所”としての椅子を用意されて一生くいっぱぐれることはない。
だが、それゆえに優勝の道は険しく、審査員の判定も厳しい。開催は定期的に行われるものの、基本的に優勝者を出さないことのほうが多いのだ。
智代子「やっぱりアイドルになったからには一番の夢だよね、VERTEX優勝!」
灯織「うん……まだまだ私たちには遠い道のりだけど、いつかあの舞台で歌ってみたいな……」
智代子「やっぱりコロシアイ合宿生活の参加者がわたしたち283プロのアイドルだからこのポスターも貼ってあったのかな? 世間的にVERTEXは知名度はあるといっても、わざわざこんなポスターを貼るなんて……」
灯織「うーん……どうなんだろう、そもそもこの地下階ってもともとは隠されていた場所なんだし、私たちのために用意したのなら学校エリアの地上階に貼りそうなものだけど……」
智代子「そ、それもそうか……! あれ? それじゃあこのポスターは……?」
灯織「黒幕が、黒幕自身のために貼った……?」
コトダマゲット!【VERTEX】
〔アイドルのオーディションとして別格の規模を誇る最高峰のオーディション。これに優勝すればアイドルとその所属事務所は至上の名誉を得られると言われている。そのポスターがなぜか地下一階のトレーニングルームに貼られていた〕
さて、地下階での捜査もひと段落かな。
少しずつだけど、黒幕の正体や学園の真実に近づけているような気がする。
まだ時間は少し残っている、悔いのないように最後まで調べ尽くさないと……!
【地下階の捜査が終了しました】
【別のエリアの捜査に移行します】
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1.寄宿舎エリア2F
2.学園長室
3.図書室 書庫
↓1
2 選択
【コンマ判定90】
【モノクマメダル10枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…90枚】
-------------------------------------------------
【学園長室】
おしおきメンテナンスルームを調べた時から気になっていた。
なぜモノクマは回りくどい動機を渡してコロシアイを強いるんだろうか。
人の生き死にが見たいだけなら、いくらでももっと強制する方法はある。
あくまで私たちが自分の手で殺害を選ぶことに意味があるといわんばかりの動機の数々……
改めて検討して、モノクマの真意を探らないと……!
ショーケースを開けて、そのファイルを手に取った。
『コロシアイ合宿生活動機概要』、モノクマがわたしたちにぶつけてきた動機のその全てが収められている一冊だ。
『一つ目の動機は【疑心暗鬼】、あえて黒幕との接点を公開することにより必要のない疑いあいに持ち込む。お互いがお互いを信じ合えない状況下でアイドルたちは信頼をどんな形で発揮してくれるのか』
『二つ目の動機は【焦燥】、フェイク映像による近縁者の危機を告示する。この学園から出たいという意思を一層駆り立てた上で、真のアイドルになるための決断力を養成する』
『三つ目の動機は【才能】、各人の才能を伸ばすためのヒントを授ける。柔軟な思考力のもと、与えられた道具をどう活用するかに着目したい。
備考:当初の予定と異なり、コロシアイがそこまで精力的に行われなかったため一部変更。後の計画の予備実験としての役割も兼ね、被験体αに人格の移植を行う』
『4つ目の動機は【犠牲】、集団としての生存のために1人を切り捨てる決断を迫る。損得勘定と個人の感情との間のすり合わせを適正化し、これから先生き残っていく上での野心を研ぎ澄ますのも狙いの一つである』
こうやって改めて見直すとやはり殺意を抱かせる動機としては異質なものを感じる。
動機にそれぞれ題されたものはもちろんのこと、文章の結びにあるのは黒幕から私たちに対する期待や狙いといった記述なのである。
まるでこの合宿生活で私たち自身に成長を促しているかのような、教育者ぶった顔がよぎってしまうような書き方だ。
(……もしかして、このコロシアイって……)
いや、さすがに考えすぎだ……
このコロシアイで私たちはあまりにも多くのものを失いすぎている。その失ったものと引き換えに、何かを手にするなんて……そんな……
黒幕は、私たちに何をさせたいの……?
コトダマゲット!【コロシアイの動機】
〔これまでの事件の引き金となったモノクマ提供の動機の数々。
①【疑心暗鬼】黒幕が事務所の仲間内にいるという情報
②【焦燥】身近な人物の身に危険が及ぶフェイク映像
③【才能】それぞれに与えられたさいのうにかんれんする物品
④【犠牲】裏切り者の暴露
そのいずれにおいても黒幕には何かしらの期待や狙いが存在していると思われる〕
-------------------------------------------------
1.寄宿舎エリア2F
2.図書室 書庫
↓1
【コンマ判定89】
【モノクマメダル9枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…99枚】
-------------------------------------------------
【寄宿舎エリア 2F】
「……っ!?」
踏み入れた瞬間に言葉を失った。学園内の他のエリアの中でも異質……このエリアは、荒らされている?
壁面は崩れかけ、鉄筋は剥き出し。床にはそこら中にコンクリ片が落ちている。
倒壊寸前だと聞いても信じてしまうだろう。
下手に捜査を行ってケガをしないようにしないと。
慎重な足取りで捜査へと向かった。
どこから調べようかな……?
1.ロッカールーム
2.学園長の個人部屋
↓1
1 選択
【コンマ判定27】
【モノクマメダル7枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…106枚】
-------------------------------------------------
【ロッカールーム】
壮観な光景だ。部屋の右から左、所狭しと配置されているのは金属製のロッカー。
見上げるばかりの背丈のロッカーにはそれぞれカードリーダーが備え付けられていて、セキュリティも万全といった感じ。
……誰かのこじ開けようとした痕がなければ。
しかし、人の力でこんなことになるだろうか。
まるで鉄球をぶつけられたように歪曲した鉄の箱は言い知れぬ不気味さをにじませる。
まるで人よりもはるか大きな怪物が暴れたような……そんなことはあり得ないんだけども。
入室時にも確認したとおり、この部屋のロッカーにはすべてカードキーがついている。
つまりは持ち主本人でなくては開錠できない仕組み。
……【今の私では調べることは出来なさそうだ】。
-------------------------------------------------
【選択肢が残り一つになったので自動進行します】
【モノクマメダル獲得のためのコンマ判定を行います】
【直下レスのコンマ末尾と同じ枚数だけ獲得できます】
↓1
【コンマ判定39】
【モノクマメダル9枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…115枚】
-------------------------------------------------
【学園長の個人部屋】
寄宿舎エリアの二階ということもあり、誰かの部屋がまた存在していることはある程度予想していた。
ただ、まさかここまでの部屋があるとは……
私たちの部屋とは大違い、部屋のサイズも倍以上で家具も一通りは整っている。
部屋の雰囲気もあの悪趣味な目につく刺激的な配色ではなく、落ち着いた大人な雰囲気すら漂っている。
摩美々「まるでホテルの一室だよねー……」
灯織「摩美々さん……いらっしゃってたんですね」
摩美々「寄宿舎エリアの2Fで一番目に付くのはここだからねー……ったく、私たちにあんなタコ部屋押し付けておいてこんな部屋にいた人間って何様なんでしょうねー」
灯織「タコ……?」
摩美々「……なんでもなーい」
さて、この部屋にも手掛かりは結構ありそうだ。
念入りに調べることにしよう。
1.パソコン
2.デスクの引き出し
3.ブックラック
↓1
3 選択
【ブックラック】
木造シックなブックラックにはギチギチに教育書やビジネス書といった書類が詰め込まれている。
『経営者目線の学園運営』『褒めちぎり教育』……どれも字が小さくて、挿絵や図も見当たらない。読んでいたらかなりの時間がかかりそうだ。
摩美々「灯織、そんなの読んでても仕方ないでしょー? 将来の夢学校の先生だったりした感じー?」
灯織「あ、いえ……すみません」
摩美々「んー……ぱっと見重要そうなのは、これですかねー……」
私の脇から顔をのぞかせた摩美々さんが手に取ったのは白いファイル。ほかのファイルとは違って、ラベリングやタイトル付けがされていない。
摩美々「露骨に怪しいですねー」
パラパラとめくっていくと、目についたのは数々のスライドが小分けに収録されたページ。
わかりやすく大きな文字のタイトル付けで、文字の説明は最小限。何かの発表で使う、プレゼン用のスライドだろう。
『新時代のアイドルを生み出す革新的発想』
『希望を新たに生み出す新・希望ヶ峰的アプローチ』
『成功すればどんなに凡庸なアイドルでもトップアイドルへ』
『見違えるような成果』
『無から有を生み出す発想』
『アイドル…新しい自分との出会い』
『すべてのアイドルを過去にするアイドルの創造』
灯織「新時代の、アイドル……」
摩美々「希望ヶ峰学園といえば才能の研究……それを利用してアイドルの育成を行うってのはありそうな話ですよねー」
灯織「摩美々さん、これって……前に話した『希望ヶ峰学園歌姫計画』の話なんじゃ……」
摩美々「え、それって確か男子トイレ奥のファイルで見たやつー?」
灯織「はい……あのファイルは、樋口さんによって回収されてしまったんですが……」
摩美々「ふーん、その計画に希望ヶ峰学園の学園長も絡んでたんだったら、やっぱり歌姫計画ってのは公認だったのかなぁ……」
灯織「……あれ? 摩美々さん、これって少し変じゃないですか?」
摩美々「んー?」
灯織「希望ヶ峰歌姫計画とこのプレゼン資料……似てるようで、矛盾があるような気が……」
摩美々「摩美々はそっちの計画のファイルを見たわけじゃないから滅多なことは言えないなぁ……」
(そうだ……実際にあのファイルを自分の目で確認した私だから気づいた違和感)
(これは、改めて確認しておくべきかもしれない……)
(いけるタイミングがあれば【樋口さんの部屋】を改めて調査しよう……!)
コトダマゲット!【プレゼン資料】
〔寄宿舎2Fの学園長の個室にあったプレゼン資料。新時代のアイドルを作り出すための計画について、プレゼンのスライドがまとめられている〕
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【捜査パートの行先に円香の部屋が追加されました!】
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1.パソコン
2.デスクの引き出し
↓1
2 選択
【デスクの引き出し】
デスク脇には私の腰よりすこし低いぐらいのキャビネットが備え付けられている。
実際にここで過ごしていた人間がいるのなら、何かしらの痕跡が残っているだろう。
一番上の引き出しから慎重に見ていくことにした……
うーん、一番上の段にあったのは【娘さんとの家族写真】、ぐらい?
紫髪の女の子が嬉しそうに高い高いをされている。
ほほえましい一枚だけど、手掛かりにはならなそうかな……?
合宿生活の黒幕はあくまで私たちと同じ事務所の人間だったはずだ。
こんな親族がいるなんて話は聞いたこともない。
続いての段は……黒いノート?
でも、特に何も書いてないな、人の名前ぐらい?
どれも見たことも聞いたこともないような名前……『渋井丸』……?
変わった苗字だな……
最後の段にようやく一定の成果が出た。
これはカードキーだろうか。私たちの電子生徒手帳によく似ている。
摩美々「……それって、マスターキーなんじゃないー?」
灯織「マスターキー、ですか!?」
摩美々「学園長の部屋に意味ありげに保管されていたあたり、重要なものっぽいし……これなら今までにいけなかった部屋とか、閉まってる部屋とかにも入れるんじゃないかなぁ」
灯織「寄宿舎のそれぞれの個室なども調べられそうですね……」
摩美々「うわぁ……プライバシーゼロ発言、今言質とったからねー」
灯織「え、ええっ?!」
摩美々「冗談ですよー、多分灯織の言った通り……誰かの部屋を調べたりするのも重要、今回ばかりは手段も選んでられないでしょー」
(こんなところで思わぬ武器を手に入れちゃったな……)
(この学園の真実に近づく重要なカギだ、大切に扱おう)
(これがあれば、【ロッカールーム】も調べられるかな……?)
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【選択肢が残り一つになったので自動進行します】
-------------------------------------------------
【パソコン】
やはり調べるべきはパソコンだろう。
この部屋の持ち主が希望ヶ峰学園の学園長だというなら、それ相応の価値ある情報がこのパソコンには入っているはず……!
そう思ってキーを押したけど……だめだ、パスワードロックがかかっている。
摩美々「まぁ、そりゃそうだよねー……今時そんなセキュリティが甘いことなんてないかぁ……」
灯織「【7文字のパスワード入力】……」
摩美々「はぁ……しょうがない、ここはいったん諦め……」
灯織「……いえ、摩美々さん、やりましょう」
摩美々「えぇー?」
灯織「パスワードの解除、そのための糸口はどこかにあるはずです……ここで立ち止まるわけにはいきません!」
摩美々「……なぁんかカロリー使いそう……」
(つい先ほど地下階を解放するためのパスワードを私は明らかにしたばかり……)
(このパソコンのロックだって……なんとかなるはずだ……!)
というわけで次回は二つ目のパスワード解除の謎解きより再開いたします。
今からやるとさすがに遅くなりそうなのでここで今日は終わらせていただきますね。
謎解きパート、回答がしにくいなどあれば安価の方法を変えたほうがいいですかね。
暗号など考えたのも初めてのことで難易度調整などよくわからず手探りでやってるので……
今回の捜査パートでだいぶんお話としては進んだ気がしますね、次回で非日常編の捜査パートも終われるかな……
次回更新は10/2 21:00~予定です。またよろしくお願いします。
再開少し遅れます。
所用で少し遅れてしまって申し訳ありません。
学園長の個人部屋、パソコンのパスワードキー開錠謎解きパートより再開いたします。
【パスワードロック開錠】
摩美々「じゃあまずは状況の確認からしようかー、このパスワードは【7文字】入力するシステムになってるみたいだねー」
灯織「アルファベットか……数字でしょうか?」
摩美々「何か手掛かりが少しでもあるといいんだケド……」
(摩美々さんはガサゴソのデスクの上を漁っている……)
摩美々「あ、これっぽいねー。パソコンの裏側に貼ってあったよー」
灯織「パスワードを示したメモ……でしょうか?」
『たえそふえちく』
摩美々「うーん……これだけじゃ意味はわかんないかなぁ……」
灯織「何かの言葉なのでしょうか……?」
摩美々「机の上には他にも気になるものがあるし、それを踏まえて検討したほうがいいかもねー」
(これ一つで完結しない謎の可能性もあるってことか……)
摩美々「謎解きはここからって感じだねー、基本は灯織にお任せするケド、私も私なりに考えてはみるからぁ……相談したければ声をかけてよねー」
(なんとしてもこのパスコードロック……開錠して見せるぞ……!)
-------------------------------------------------
【開錠開始】
『たえそふえちく』
1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる
3.カレンダーを調べる
4.机の上を片付ける
5.摩美々に相談する
↓1
2 選択
【パソコン】
さっき摩美々さんがこのメモ用紙を見つけてくれたんだし、何か他にも隠されたヒントがあるかも!
そう思って自分でもあちこち見てみたけど……特に変わった様子はないかな。
普通のノートパソコンで、モニターと【キーボード】があるだけ。
外付けの設備なんかもない、ごく最低限のものだ。
うーん……
最終的にはこのパソコンでパスワードを入力するんだけど、新しい手掛かりはなさそうかな……
『たえそふえちく』
1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる
4.机の上を片付ける
5.摩美々に相談する
↓1
3 選択
【カレンダー】
卓上カレンダーだ。月が替わるごとにめくる形式のものらしいけど、これも特に変わった様子はない。
日付が一定の区間ごとに区切られて色が変わっているけど、これは【12星座】に基づく色分けみたいだ。私の誕生日は3月4日でうお座。
……うん、2月19日から3月20日の区間で着色されているあたり間違いない。
他には特定の日付にマークがされているような様子もないし、特に予定表なんかも書き込まれていない。
うーん、ここにヒントは特にないのかな?
-------------------------------------------------
『たえそふえちく』
1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる
4.机の上を片付ける
5.摩美々に相談する
↓1
別に大きな意味で違いはないですが……
一応誤解を生まないように修正して再安価
-------------------------------------------------
『たえそふえちく』
1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける
5.摩美々に相談する
↓1
4 選択
【机の上】
さっきからなんだか気になっていたけど、この机はなんだかごちゃついている。
ペンやメモが出しっぱなしだし、紙がくしゃくしゃに丸められたまんまなのも目につく。
……仕方ないので整理することにした。
ゴミを除けて、鉛筆やペンはあるべき場所へ。
よし、これでパソコン周りもきれいに……あれ?
さっきは気づかなかったけど、ペンケースの中に押し込められたぐしゃぐしゃの紙がある。
急いで取り出してその場に広げると……
『しか…1→
ふさ…5←
てい…□□』
こ、これって……何かしらのメッセージだよね……?
パスワードを読み解くうえで必要になるものに違いない……ちゃんと覚えておかないと……!
-------------------------------------------------
『たえそふえちく』
『しか…1→
ふさ…5←
てい…□□』
1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける(済)
5.摩美々に相談する(ヒント)
↓1
5 選択
灯織「摩美々さん……とりあえず材料はそろったみたいですが何か思いついたことなどは……」
摩美々「えー、さっそく摩美々頼りですかぁ……?」
灯織「す、すみません……摩美々さんの頭脳が必要なんです……!」
摩美々「……まあ、一つ言えるのはあのカレンダーもこの意味深な暗号も全部全部無関係なはずはないってコトだよねー」
灯織「ええ、おそらくは……特にこちらの暗号はパスワードを求めるうえでは大きな役割を果たすのではないでしょうか……」
『しか…1→
ふさ…5←
てい…□□』
摩美々「……この左辺の二文字と繋がれた右辺の【数字と矢印】には何かしらの意味があるよねー、となるとこの左辺の二文字が何を指すのかを考えたほうがいいカモ……?」
灯織「確かに、クイズ番組などでもありがちですよね……意味不明に見える文字列が実は何かの頭文字だった、のように……」
摩美々「NEWSで北東西南……みたいなことだねー」
(……なにか『しか』『ふさ』『てい』が頭文字になるような組み合わせはあるだろうか……)
1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける(済)
5.摩美々に相談する(ヒント)
↓1
5 選択
摩美々「……灯織、わかったかも」
灯織「摩美々さん、本当ですか?!」
摩美々「今摩美々たちの身近にあるキーワードで、ちょうどこの二文字ずつが頭文字になる組み合わせ……それって12星座なんじゃないかなー」
灯織「……!」
摩美々「わざわざこんな予定も空白な卓上カレンダーおいてる辺り妙だと思ってたんだよねー。このカレンダーの特徴ってば12星座ごとに色塗りされてることぐらいのものだしー」
灯織「となると……『しか』は『しし座』と『かに座』。『ふさ』は『ふたご座』と『さそり座』。『てい』は『てんびん座』と『いて座』……ですか?」
摩美々「多分ねー。で、そうなると、右辺の数字と矢印の意味も見えてこないー?」
灯織「……! もしかして、関係性、ですか……?!」
摩美々「そういうコト、かに座はしし座の一つ後。さそり座はふたご座の5つ前。……ほら、右辺の数字と矢印、それに一致するでしょー?」
灯織「となると『てい』の右辺に来るのは……二つ前、つまり『2←』なんですね!」
摩美々「……でも、問題はそれが何を意味するかってこと……この暗号の答えを、どこかで使うとは思うんだケド……」
-------------------------------------------------
『たえそふえちく』
『しか…1→
ふさ…5←
てい…□□』
1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける(済)
5.摩美々に相談する(ヒント)
↓1
5 選択
灯織「うーん……」
摩美々「……灯織、何を迷ってるのー?」
灯織「え? いや、先ほどの暗号の答えはわかっても、それを当てはめる先が……」
摩美々「シーザー暗号」
灯織「え?」
摩美々「シーザー暗号、聞いたことないー? 意味不明の文章でも、ある一定の文字数前または後ろにずらすと意味のある文章になるっていうやつだよー」
灯織「は、はぁ……」
摩美々「いま、摩美々たちの前には謎の暗号がひとつありますよねー?」
灯織「……!!」
摩美々「それを二つ前にずらす、ただそれだけの簡単なことじゃないかなぁ」
灯織「な、なるほど……」
摩美々「……まあ、それがパスワードとして正しいかは別として、ねー」
(……え?)
-------------------------------------------------
『たえそふえちく』
『しか…1→
ふさ…5←
てい…□□』
1.パスワードを入力する【パスワード7文字指定】
2.パソコンを調べる(済)
3.カレンダーを調べる(済)
4.机の上を片付ける(済)
5.摩美々に相談する(自動進行)
↓1
正確には微妙に正解ではないのですが、時間の都合もあるので正解ということにします。
-------------------------------------------------
私は一文字一文字、丁寧に丁寧に入力していく。
先の暗号二つで明らかになった、『せいすはいそか』
これは、これこそが、本当のパスワード……
……を入力するための手順だ。
『PERECT』
灯織「いけました……!」
摩美々「ナイス灯織ー、よくできましたー」
灯織「いえ、ほとんど摩美々さんのおかげですよ……摩美々さんの言う通りに暗号を解いていっただけですから」
『しか…1→
ふさ…5←
てい…□□』
灯織「12星座の二つを取り出した組み合わせ、その頭文字から関係性を割り出して……」
『たえそふえちく』
↓
『せいすはいそか』
灯織「それをそのままシーザー暗号の解法として適用する。でもこれだけではまだ、意味として通りませんから」
摩美々「あとはその平仮名に合わせて【キーボード入力】ってことなんだねー」
灯織「はい、パソコンのキーボードのかな入力でこの七文字を入力する際に経由するアルファベットキー。それが一つの単語になるんです」
摩美々「【PERFECT】……随分なメッセージだねー」
【開錠成功】
暗号化されたパスワードに隠していた情報、そこには何かしら重要な意味があるのは間違いないはず。
宝物を見つけた冒険家のように、モニターに飛びついて一つ一つ入念に確認していく。
灯織「……どうやら、このパソコンの持ち主はこの学園の学園長のようですね」
摩美々「みたいだねー、摩美々たちがこの学園に来る前に見ていた【希望ヶ峰学園第78期生】についての情報もあるしー」
灯織「……これ、なんでしょう……【絶望の残党】……?」
摩美々「あんまり聞きなじみがない言葉……ちょっと開いてみてー」
灯織「は、はい……」
『絶望の残党と呼ばれる人間たちがついに我が希望ヶ峰学園への襲撃を始めた。絶望に心酔する彼らが希望の象徴を憎しみ目の敵にする道理はわかる。だが、なんとしてもこの一線を彼らに譲るわけにはいかない。希望を守り、はぐくむ者の宿命として、この身を賭してでも、なんとしても彼らを守ってみせる』
摩美々「いや、結局何にもわからないんですケドー……」
灯織「でも、どうやらこの絶望の残党と呼ばれる人たちは希望ヶ峰学園を襲っていた……それって私たちの状況と何か関係があるのではないでしょうか……?」
摩美々「うーん……そもそも【絶望】って何―? なんだか抽象的な話ばっかりでつかめない感じー……」
(……まるで具体的な情報はないけれど、見過ごしていい情報ではない気がする……)
コトダマゲット!【絶望の残党】
〔希望ヶ峰学園を襲っていたとされる集団の俗称。正体素性に関する情報はまるでない〕
摩美々「それと見逃せないのがメールだよねー、そっちのアイコンクリックしてよー」
灯織「は、はい……!」
摩美々「……結構数あるねー、全部見てる時間はなさそうだケド……」
摩美々さんに促されるままクリックするとメールリストがポップアップ。
上から下までずらりと表示され、私たちはそれを流し流しで確認していく。
その一つ一つに目を通すことは難しかったけど、俯瞰的にとらえていると一つ感じるところがあった。
____それは明確な違和感。
灯織「……摩美々さん、これ、少し変じゃないですか?」
摩美々「灯織も気づいたー? このメールのやり取り……全部一方的なんだよねー」
メールは特定の相手とばかり為されている様子で、しかもこちらからはほとんど返信がされていない。
一方的に向こうが送り付けている様子、このコンピュータの持ち主はものぐさな人物なのだろうか。
こちらにメールを送り付けている何かプロジェクトに携わっているかのように見えるその人物は、
はじめは穏やかな口調の文面だったが、一向に返信しないとみるやその様子は変わっていく。
最終的には、かなり冷淡な口調となってしまっていた。
『A、君のこれまでの功績は評価に値する。我々は実際君に高い期待を寄せていた。だからこそ、今回の独断での行動は看過することはできない。即座に計画を打ち切ってほしい、我々の要求に応じない場合立場を追われることも覚悟しておいてくれ。理解ある行動を我々は望む』
摩美々「これ、どういう関係性なんだろうねー」
灯織「どうなんでしょう……これだけでは見えてきませんが、『これまでの功績』『立場』などといった言葉からしても同一の組織に属する人間であることは間違いなさそうに思います」
摩美々「……希望ヶ峰学園の管理者団体……?」
灯織「にしては文面に違和感を感じてしまいますね……」
まるで明確な情報はそこにはない。
だけど、何か不吉な空気が漂っているという確信だけは抱かせるような不気味な違和感が声高々に主張しているのだ。
……これは、一体……?
コトダマゲット!【Aへのメール】
〔A、君のこれまでの功績は評価に値する。我々は実際君に高い期待を寄せていた。だからこそ、今回の独断での行動は看過することはできない。即座に計画を打ち切ってほしい、我々の要求に応じない場合立場を追われることも覚悟しておいてくれ。理解ある行動を我々は望む〕
-------------------------------------------------
この部屋で調べられるのはこれくらいかな。
結局、この部屋の持ち主は本当に希望ヶ峰学園の学園長、だったのかな……?
でも、収穫は大きい。
何よりこの【マスターキー】だ。これがあれば、今まで行けなかったところもいけるようになるし、開けられなかったところも開けられるようになる!
まずは【ロッカールーム】の調査のやり直しだけど……ほかにも使えそう!
樋口さんの部屋を見るのもそうだし……
なにより、これまで一度も踏み入れることのなかった、【あの部屋】だ……!
【捜査パートの行先に情報処理室が追加されました!】
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【ロッカールーム】
壮観な光景だ。部屋の右から左、所狭しと配置されているのは金属製のロッカー。
見上げるばかりの背丈のロッカーにはそれぞれカードリーダーが備え付けられていて、セキュリティも万全といった感じ。
……誰かのこじ開けようとした痕がなければ。
しかし、人の力でこんなことになるだろうか。まるで鉄球をぶつけられたように歪曲した鉄の箱は言い知れぬ不気味さをにじませる。
まるで人よりもはるか大きな怪物が暴れたような……そんなことはあり得ないんだけども。
入室時にも確認したとおり、この部屋のロッカーにはすべてカードキーがついている。
つまりは持ち主本人でなくては開錠できない仕組み。本来なら捜査なんて全くできないんだけど……
つい先ほど学園長室で手に入れた【マスターキー】。
これならすべてのロッカーを開けられるはず!
私は目につくロッカーを片っ端から開けていくことにした……
___
____
_____
いくつかの収穫はあったな。
どうやらこのロッカーはこの学園の生徒のもの……だけではないらしい。
科学の実験に使うような白衣、しかも着古されたような痕跡のあるものがいくつも入っていた。学園の職員の備品なのだろうか?
白衣の入っていたロッカーには他にも興味深いものが入っていた。
【候補者リスト】と題されたノートだ。複数人で使いまわされている様子で、筆跡も異なる記述がいくつも入っている。
そして何より重要なのが、その記述は【私たちの名前】であることだ。
『櫻木真乃:【超高校級の飼育委員】【超高校級の調教師】【超高校級の獣医】
風野灯織:【超高校級の占い師】【超高校級のうたのおねえさん】【超高校級の料理人】
八宮めぐる:【超高級の助っ人】【超高校級のチアリーダー】【超高校級のバスケ部】』
この合宿生活に参加している16名全員の名前、その横には【超高校級の才能】が書き添えられている。
今現在割り当てられている、才能の他にもいくつか。
もとより身に覚えがない才能では有るけども、こうも沢山書かれているとどうしても気になってしまう。
そして、一番気になったのは……浅倉さんの記述だ。
『浅倉透:【超高校級のカリスマ】【超高校級のクライマー】【超高校級の■■】→風野灯織』
才能のうち一つが黒塗りされて、そこから延ばされた矢印の先には私の名前があるのだ。
学園長室で浅倉さんの才能は確認した、あの時は確か【超高校級のカリスマ】だったはずだ。
なのに、なぜ……割り当てられていない才能をわざわざ隠すような工作が?
何が意味があるのは間違いない。
このリストは後に何か重要な意味を持つはずだ……!
コトダマゲット!【候補者リスト】
〔灯織たちコロシアイの参加者全員の名前と共に、謎の候補が書き添えられている。なぜか透の候補だけ黒塗りされ、矢印で灯織にその候補が切り替えられた旨が記されている〕
そして、それとは別に気になるものがもう一つ。
これは学園の関係者のロッカーとはまた別のロッカーのようだ。
ほかのロッカーとは異なり、それ以外のものが何も置いていない。あったのは【手帳】ただ一つだけ。
人の目をはばかるように置かれたその手帳には、どこか見覚えがあり、親しみすら覚えるほどだ。
思わず手に取り、手帳を開いた。
ページの上から下まで隅々に至るまで緻密な記述がある、書きなぐった様子でもなく、整然とした字体だ。
誰かに見せるもの、といった様子ではないし、持ち主は余程几帳面な人間だったのだろう。
そんな持ち主の方にはすこし申し訳ないけど、今は手掛かりが少しでもほしい。遠慮がちに目を落とした。
『灯織とともにここまで歩んできて、彼女自身の変化を時折感じることがある。はじめはアイドルとしての自分自身に対するとらえ方も定まっていなかったけど、自分に向けられる行為と興味のベクトルをしっかりと受け止めらるようになった。自分自身の力で、ファンの期待に応えるような発信をできるようになったことを、彼女自身はまだ気づいていないのかもしれないが確かな成長だ。しっかりと伸ばしていけられるように、俺がそのすぐ側で見守っていきたい』
……これって。
そこに書いてあったのは疑いようもない私の話、しかもそれは私をプロデュースする側の、目線から書いてある話だ。
間違いない、この手帳の持ち主は……『プロデューサー』だ。
コトダマゲット!【プロデューサーの手記】
〔プロデューサーによる灯織を始めとした283プロのアイドルのプロデュース録。出会ってから今日に至るまでの記録に加え、これからの方針まで書き漏らしなく彼の所感と共に記されている〕
寄宿舎エリアの2階はこれで調査し終えたかな……?
ひとまずの大きな収穫としてマスターキーがある、これを使えば今まで入れなかった部屋にも入れるようになるはずだ。
【樋口さんの部屋】にも一度入っておきたいな、私が二階男子トイレ奥の空間で見つけたファイルを樋口さんが持ち出していたはず。
再度そのファイルの検討はしておくべきだ。
そして何より【情報処理室】。学校エリアで唯一いまだに入ることができなかった部屋、黒幕にとっても重要な意味を持つ部屋だろう。
これから先は、その二部屋も捜索の対象に入れておくべきかな。
-------------------------------------------------
1.図書室 書庫
2.円香の部屋
3.情報処理室
↓1
【コンマ判定 40】
【モノクマメダル10枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…125枚】
-------------------------------------------------
【情報処理室前】
……いよいよといった感じだ。
この部屋はやはり異質。今までずっと開かなかったその扉は見た目以上の威圧感を感じるというか、何もしていないのに心臓の音がうるさくなってしまう。
一応は学園の見取り図で中を確認はしている。
電気設備が充実しているいわゆる情報教室なのだけど、
黒幕がここまでひた隠しにしてきた部屋ということもあって嫌な予感というものを色濃く感じてしまうのだ。
流石に一人で入る勇気は持てず、皆さんに声をかけて回った。
調査中でいらっしゃったのにすぐに皆さんは首を縦に振ってくださり、全員が集まった。本当に快い方々ばかりだ。
愛依「だ、大丈夫かな……バクハツとかしないよね?!」
智代子「め、愛依ちゃん……怖いこと言わないでぇ……」
摩美々「そんな心配しなくてもー、部屋の扉を開けるのは灯織なんだしー」
灯織「わ、私ですか?!」
雛菜「がんばれ~! 灯織ちゃん~~~~!」
(うう……そんな殺生な……)
皆さんは廊下に散り散りになって私だけが扉の前に。
……うう、これでは皆さんを招集した意味が……
ピピッ
意を決して、開錠。
爆発は……起きなかった。
灯織「……はぁ」
ほっと胸をなでおろす。
こんなところで私たちをみすみす爆殺するようなことはないとは頭ではわかっているものの、
この学園で過ごしているとどんな行動にもリスクが付きまとって感じられてしまうのが嫌なところ。
摩美々「それじゃあ探検開始―」
灯織「少しくらいねぎらいの言葉をかけていただいても……」
摩美々「……そうだねー、灯織の尊い犠牲のおかげで私たちは前に進めるわけだし、敬礼ぐらいしとくー?」
灯織「この学園だと笑えませんよ……」
(うぅ……世知辛い……)
-------------------------------------------------
【情報処理室内部】
実際に踏み込んだ情報処理室は、思っていたよりもさらに近未来的な空間だった。
壁面一帯はモニターで覆い尽くされ、テレビの報道で目にするようなスーパーコンピューターが我が物顔で部屋の一角を占拠している。
デスクトップパソコン……なんだろうか、やたらと厚みあるモニターにはよくわからない設備も付属している。
智代子「いかにも飲食厳禁って感じの部屋だね……」
愛依「やば……ウカツに触れないカンジ……?」
摩美々「まぁ専門的な話はわからないケドさぁ、手掛かりになりそうなものだらけじゃーん?」
情報機器がこれだけ多いというのは文字通りそれだけの情報があるということ。どこまで引き出せるかはわからないけど、調べないことには始まらない……!
-------------------------------------------------
【テレビ】
部屋には薄型の大きめなテレビが置いてある……
とくにテレビ自体に変わったところはない、よくある市販品のものだ。
摩美々「電源にもつながってるし、スイッチを押せば見られそうだねー」
愛依「こっちにリモコンもあるし、押してみる?」
雛菜「もしかして、外の世界のニュースとかも見られるかも~~~~!」
……と、思ったのだけど。
智代子「あれ……?! 電源を入れてもつかないね?!」
灯織「……うーん、アンテナと繋がってないのかな……?」
摩美々「……ただの電源コードであくまでここら辺のパソコンと同期するためだけのものって感じだねー」
雛菜「なーんだ……テレビが見れればいろんな情報が手に入ると思ったのになぁ……」
(そう易々とは情報はつかませてはくれないか……)
-------------------------------------------------
【モニター】
壁面には無数のモニターが取り付けられており、その全てが異なる映像を流している。
だが、そのいずれにも見覚えがある……というよりもむしろ。
摩美々「この学園の監視カメラ映像だよね、明らかにー」
脱衣所などを除いたほぼすべての部屋と廊下の監視カメラ映像がライブ映像で流れている。
それは勿論私たちの今いる情報処理室も含めて。
愛依「これって……黒幕はこの部屋でうちらを監視してたってことなん?!」
雛菜「なるほど~、これだけたくさんのモニターがあればどこで誰が何をしてたかもすぐにわかっちゃうね~!」
智代子「だからモノクマは事件の犯人もそのトリックもわかってたんだ……」
思わず歯ぎしりしてしまう。黒幕はこの部屋からすべてを見ていた。
それはつまり、すべての事件について被害者を見殺しにしていたことに他ならないのである。
……コロシアイ合宿生活の黒幕に人の心を求めるなんてお門違いなことだとはわかっている。
ただ、私の中の良心が叫びだしそうになってしまうのは止めることもできやしない。
摩美々「でも、あくまで黒幕にわかるのはこのモニターに映る範囲のことだけ……なら、灯織を救い出す道はまだあることの証明でもあるよねー」
灯織「……摩美々さん」
摩美々「めぐるの体は覆面にタオルに凛世の左手にいろいろと工作がされていたからねー、こんな俯瞰視点だけじゃ全部は把握しきれないでしょー」
愛依「あっ、それじゃあうちらで円香ちゃんが事件を起こした時の映像を見るのはどう?! そしたらこれまでの調査で分からなかったことも見えたりするかもしんないじゃん!?」
摩美々「このモニターの操作方法もわからないしー、その映像は黒幕もしっかりと調べてはいるだろうし……あんまり新しい情報のあてにはならなそうじゃないー?」
愛依「そ、そっか……」
(うーん……このモニター映像、手掛かりの一歩手前までは迫れそうなんだけど……)
___
____
_____
しばらく調査をしたものの、目立った成果としては上げることはできなかった。
ここは黒幕にとって重要な部屋であることこそ間違いないが、この学園の核心に迫るものとはまた別だ。
実際操作の仕方もわからない機器を前にして攻めあぐねているところもあり、無為な時間ばかりが流れてしまった。
せっかくこれまで開かなかった部屋に入れたのに……その焦りの念ばかりが押し寄せる。
ここまでの努力が徒労に終わる、そう思いかけた時だった。
『……ザザ……ザ……』
智代子「……あれ?」
雛菜「チョコちゃんどうしたの~?」
智代子「……今、そこのパソコンから何か音がしたような……」
すぐにチョコの指摘の下にパソコンモニターの前に集まる。
つい先ほどはファイルを開こうとしてもパスワードに阻まれ匙を投げたのだが、改めて向き直ると何か通話アプリのようなものが起動している。
暗闇の中に白い線が不規則に流れていく砂嵐。
____画面の向こうに、何者かの存在が感じ取れた。
『……ザ……ザザ……るか……聞こ……か……』
音声は乱れていて、声の持ち主はだれかはっきりとわからない。
だが、その何者かは間違いなく、リアルタイムで私たちに呼びかけている。
灯織「あの……! もしかしてこの学園の外の方ですか……!?」
『……りか……ザザ……無事……ザザ……』
摩美々「……電波障害が激しくて、何言ってるかはほとんどわからないねー」
『……す……ザザ……もっと……けに……行……な……ザザ……』
智代子「だ、だとしてもこっちからの声は聞こえてるかもだよ! た、助けを呼ぼうよ、この人が助けてくれるかも!」
愛依「そ、そうじゃん! あの、ケーサツ! ケーサツに電話して!」
『……でに……ごい……ザザ……る……ザザ……』
雛菜「うーん……こっちの声が届いてるのかどうかも怪しそうだけどな~」
『……す……ザザ……ん……ザザ……』
画面の向こうの人物の声のトーンが少し下がったような気がする。
おそらく私たちの状況をある程度分かった上の通信なんだろう、私たちを救出できないことに責任を感じているような、そんなニュアンスを感じ取れる。
しばらくこちらとの通信を取り図ろうと四苦八苦している様子だったが、砂嵐はやむこともなく、むしろ一層激しくなろうかという勢いだった。
摩美々「うーん……せっかくチャンスだと思ったんだケド……」
____と、その時。
智代子「……あ、あれ!」
灯織「チョコ? どうかした……?」
智代子「あのモニター、見て! なんか、変だよ……!?」
今度は壁のモニターに異変が起きたのだ。
学園内の監視カメラ映像をリアルタイムで映しているはずのモニター、その一つが突然に急速巻き戻り始めた。
その映像は……寄宿舎エリアの【大浴場前】の監視カメラ映像だ。
『……れでは……ザザ……で精……ザザ……』
灯織「こ、これはもしかしてあなたが……!?」
『……ザザ……ああ……』
画面の向こうの人物は確かに肯定した。
首を縦に振るのが見えたわけでも、まして『ああ』の二文字以上の言葉が聞こえたわけでもない。
だが、意思伝達というのはそれ以上を必要としないこともある。
私たちには、このモニターの巻き戻りがこの人物によってもたらされた千載一遇のチャンスであることが、即座に確信できた。
そこに理由はない、本能にも近しい“勘”というやつだ。
摩美々さんもその勘に従ってすぐに動いた。近くにあったメモリーカードをすぐにつかみ取り、コンピューターにつないだ。
摩美々「もしもしー? あのモニター映像、何か意味があるのならこっちに移してもらえますー?」
(す、すごい……摩美々さん、即座に反応したぞ……)
『……ザザ……』
パソコンの画面にはまた別のウィンドウがポップアップ。
データの授受が行われている表示だ、どうやら画面の向こうの人物もまた摩美々さんの行動を“勘”で理解したらしい。
摩美々「とりあえずデータはこれで手に入る、その内容は自分の目でも見ておくべきだよー」
摩美々さんは迅速に対応したかと思うと、これまた迅速に私たちに指示を出した。
モニターを注視しろ、その指示通りにすぐに私たちはかじりついた。
映像はなおも巻き戻り続け、数時間、数日前……めぐるが命を落とした事件の前夜にまで戻ると、再生を始めた。
愛依「こ、これってうちらが円香ちゃんに監禁されてた時の映像……?」
雛菜「し~~~! だれか出てきたよ~?」
画面の手前側の死角から歩いて出てきたのは……【樋口さん】そして【めぐる】の二人だ。
事件の首謀者と被害者その関係性は明らか……なのに、だからこその違和感を感じる光景だ。
めぐるの歩き方があまりにも自然すぎるのだ。自分の意志で歩いていて、迷いがない。
今命の危機にさらされている状態のはずなのに、怯えたり不安に駆られたりしているときの体の揺らぎのようなものもほとんどない。
加えて、樋口さんも何も脅しているような素振りすらない。
武器を手に持っているわけでもない、めぐるの手は拘束されてはいるものの、足は全くの手付かず。
突然走り去って逃げてしまうリスクもありそうな状態なのに、樋口さんは何も手を打つ様子がない。
そんな不自然な散歩をしている二人は、そのまま脱衣所へと入ってしまった。
灯織「こ、この映像は……?」
摩美々「めぐるが命を落とす直前の映像……二人が大浴場に入った映像……」
愛依「こ、これがうちらにとって重要な意味を持つの?」
智代子「最期の晩餐ならぬ最期の入浴……なわけ、ないよね……?」
雛菜「わざわざ雛菜のためにこの映像を見せてくれてることを考えても、二人でお風呂に行った以上の意味があるのは間違いないよね~」
摩美々「まあ、お風呂に入ったんじゃないみたいだよー?」
摩美々さんの指摘通り、映像の中の二人は大浴場からものの数分で出てきてしまった。
衣服が乱れた様子も特になく、何事もなかったようにそのままスタスタと歩いて学校エリアへとその姿は消えていった。
灯織「……行ってしまいましたね」
智代子「……行っちゃったね」
正直、これだけでは何が何だかわからないといったところだ。
目に見えて大きな何かが起きたわけでも、新しい登場人物が出てきたわけでもない。
『……きっと……ザザ……くも……ザザ……らな……』
ただ、この映像を私たちに見せるために動いてくれた人物がいるという事実がある以上、これは黙って見過ごせるものでないのも事実。
きっとこの謎が私たちを真相に近づけさせる大きな一手になるはず……
コトダマゲット!【脱衣所前の監視カメラ映像】
〔めぐる殺害の事件の発生前夜のカメラ映像。円香とめぐるが二人で脱衣所に入り、物の数分で退室、学校エリアに向かうまでが記録されている〕
摩美々さんはメモリーカードにデータを移し終えたことを確認すると、丁重にポケットにしまい込んだ。
摩美々「とりあえず、ありがとうございましたー。あとは私たちでまた調べてみますー」
灯織「あ、ありがとうございました!」
満足に意思疎通が取れている相手ではないにしろ、この人物が私たちのために動いてくれたのも事実。
それに対するお礼はしっかりと自分の口で述べておきたい。私は摩美々さんに続いて慌てて頭を下げた。
『……ザザ……らこそ……ザザ……ない……』
私たちのお礼を受け取るような拒むようなそぶりをしたかと思うと、砂嵐はにわかにその勢いを増した。
どうやら電波障害がさらに激しくなってきたようで、これ以上の通信は難しくなりそうだ。
『……ザザ……れ……たすザザ……』
声はどんどん雑音に飲み込まれていき、もうほとんど聞き取れない。
『……ザザ……ひお……ザザ……』
だが、その断片的に聞こえてくる声を拾い集めていくと、何か意味のある言葉のようにも聞こえてくるのだ。
『待……ザザ……れ……ザザ……』
灯織「あ、あの……!!なんとお礼を申し上げたらいいか……!!私の命を救ってもらっただけでなく、裁判に挑む準備まで手伝ってもらって……」
『ザザ……おをあげ……くれ……俺は……ザザ……無事なら……れでいい……ザザ……大丈……対助け……るからな……ザザ』
灯織「あの……あなたは……もしかして……」
完全に通信が途絶えるその僅か数コンマの時間。一瞬にも満たないその刹那に、言葉と思いとが通った瞬間があった。
『灯織、待っててくれ』
それが聞こえたわけではない。画面の中でうねる人影と砂嵐に飲み込まれた音と声とが織りなした奇跡ともいうべきか。文章を読んでいるかのように鮮明に脳内にそのメッセージが浮かび上がったのだ。
____プツン!
その浮上とともに、通信は途絶えた。
愛依「切れちゃった……ね」
雛菜「う~ん、結局何言ってるのかは全然わかんなかったね~」
智代子「それでも何かしら意味のある情報が得られたのは事実だよね!? 大浴場に入っていく二人、これまでになかった情報だもん!」
摩美々「だねー、今はその意味は分からないケド、調査していけばモノクマののどに突き付けるナイフになるかもしれないしー……」
灯織「そうですね……後であの監視カメラ映像に映っていた脱衣所は調査しておくべきかもしれません……」
-------------------------------------------------
【捜査パートの行先に脱衣所が追加されました!】
というわけで少しキリが悪いですが今回はここまで。
もうパスワードの謎解きも無いので次回更新で今度こそ捜査パートは終われるかなと思います。
次回更新は10/3 21:00~を予定しています。
またよろしくお願いします、それではお疲れさまでした。
突然の外部との通信をし終えた私たちは情報処理室の調査にひと段落をつけた。
自分たちの手でできることには限界もある、そろそろ先に進めないとだめだろう。
……ともなると、いよいよここを調べるタイミング。
この部屋に踏み入れた瞬間から目についていた扉。
監視カメラモニターと同じ壁面に取り付けられた扉には、なぜかモノクマの顔がそっくりそのまま描かれている。
これは学園の見取り図でもその存在を確認していた【奥の部屋】の扉だと思われる。特に鍵のかかっている様子もない。
雛菜「悪趣味な扉だね~~~~!」
摩美々「この学園でモノクマの顔を模した扉ってだけでその部屋の持つ重要さが隠せてないよねー……この部屋、絶対やばいでしょー」
愛依「こ、今度こそバクハツとかすんのかな?!」
摩美々「じゃあ灯織の出番だぁ」
灯織「ま、またですか?! というか私はいつから爆発物担当になったんですか!?」
智代子「ふ、ファイトだよ灯織ちゃん!」
(うぅ……世知辛い……)
すぐに皆さんは部屋の隅へと引っ込んでしまった。残された私は一人で扉を開けるしかない。
……意を決して開錠。
ガチャ
扉は意外なほどにすんなりと何事もなく開いてしまった。
-------------------------------------------------
【???】
手前の部屋である情報処理室も大概なフィクションだったけど、この部屋においてはレベルが違う。
ロボットアニメでしか見ないような立体的な360度にも近しいモニター、
それと接続しているのはこれまたロボットアニメでしか見ないようなレバーとボタンの並んだ操縦桿。
そう、一言で言うならそこにあったのは【コックピット】だ。果穂やあさひがここにいたら目を輝かせていただろうな。
愛依「すっご~~~! マジでかっこいい~~~~!」
摩美々「えー? そうー?」
愛依「うちの弟がこういうのマジで好きでよくアニメとか見てんの! 銀河で撃ち合ったりするやつとか、ダンボールの中で戦ったりするやつとか!」
智代子「スケールの差が激しいね……」
雛菜「でも、何を動かす設備なのかな~? ロボットなんかこの学園にいたっけ~?」
愛依「もしかして、学校が変形してロボットになるんじゃ……!?」
智代子「変形ボタンがどこかにあるのかな!?」
摩美々「自爆ボタンもあったりしてー」
皆興味津々といった様子でコックピットへと駆け寄る。
まるで操作方法のわからないそれを嘗め回すように見つめてはああでもないこうでもないと首をかしげる人もいれば、
手当たり次第にボタンを押そうとする人もいて、さすがに止めようとしたんだけど……
灯織「ちょ、ちょっと皆さん……あんまり下手に触らない方が……」
雛菜「へ~~~~?」
ポチッ
____間に合わず。
灯織「ひ、雛菜……今何か押した?」
雛菜「あは~?」
智代子「……な、何も起きないね?」
とりあえず自爆ボタンなんかではなかったと胸をなでおろした、その瞬間。
背後からなんだか妙な音が聞こえてきた。何かが勢いよく射出されたような音ののちに、クッションのように柔らかいものが落下したような音。
灯織「い、今のは……?」
愛依「なんか……情報処理室から聞こえたよね?」
雛菜「そう~? 雛菜気づかなかったな~」
摩美々「灯織、出番だよー」
灯織「わ、私ですか!?」
摩美々「だってホラ、爆発するかもしれないしー」
灯織「だからいつから私は爆発物担当になったんですか!?」
(うぅ……世知辛い……)
やたら非情な摩美々さんに押し切られるままに、不安を抱いたまま私は一人情報処理室に戻ることになった……
-------------------------------------------------
【情報処理室】
摩美々さんの意地悪さと世間の世知辛さとを噛みしめている私を待ち受けていたのは、爆発物なんかよりよっぽど危険で凶悪なものだった。
モノクマ「……」
灯織「も、モノクマ……!?」
堂々たる態度で無駄に姿勢よく仁王立ちして部屋の中央に立ち尽くすモノクマ。
この学園で嫌というほど見てきた絶望の象徴が突然に姿を現したのである。
(……しまった、この部屋を調べていることをかぎつけて姿を現したんだ!)
最初に考えたのはそのリスク。
私たちが今踏み入っているのは黒幕がひた隠しにしていた暗部ともいうべき一室。私たちを部屋から追い出すためにやってきたのだと思った。
だけど、モノクマが口にしたのは驚くべき一言だった。
モノクマ「ガオー! お菓子よこせー!」
灯織「……え?」
モノクマ「お菓子くれなきゃロボットパンチをお見舞いするぞー!」
灯織「……チョコ?」
モノクマ「ええっ!? なんでわかったの!?」
これまで私たちが接してきたモノクマとは全くの別物。
いや、正確にはガワは同じだ。モノクマの中にいる人、操縦している人間が違うんだ。
あの聞き覚えのある濁声でチョコのかわいらしいお菓子のおねだりが為されているのがなんとも素っ頓狂。
ともなると、さっきの部屋は……
モノクマ「モノクマのコックピットだったってワケだねー」
灯織「摩美々さん……そのようです、学園内に姿を見せていたモノクマはおそらくその部屋から操縦していたものかと」
モノクマ「マジで!?キョーダイもとぐらしってやつ!?」
灯織「新しい都のほうですね……」
モノクマ「ここからモノクマが出る部屋とかも選べるみたいだね~、灯織ちゃんの部屋にも出したげよっか~?」
灯織「……なんとなく遠慮しておこうかな」
やっぱりこの情報処理室とその奥の部屋は黒幕にとって要ともいうべき部屋だったんだ。
モノクマの操作を行う部屋なら私たちの侵入をこれまで拒み続けたのも納得がいく。
この部屋は、実質的にコロシアイの運営部屋なんだから。
灯織「とりあえずは何の部屋かはわかりましたね……私もそちらに戻りますので調査を再開しましょう」
モノクマ「おいで~! モノクマの操作、難しいけど楽しいよ~!」
灯織「い、一応モノクマの体には爆弾も入ってるし気を付けてね……」
モノクマ越しに通信し終えた私が部屋に戻ろうとしたその瞬間だった。
『ブー!!ブー!!』
モノクマのスピーカー越しに聞こえてきたのは耳鳴りがするほどのブザー音。さらには皆さんの慌てふためく声もそれに交じる。
灯織「な、なにが起きてるんですか!?」
モノクマ「ひ、灯織ちゃん! 逃げて! こ、この部屋……バクハツするって!」
灯織「え、えええええっ!?」
モノクマ「自爆ボタンとか押しちゃったんじゃないのー?」
モノクマ「雛菜何にも触ってないよ~?」
モノクマ「そ、それどころじゃないよ二人とも!?」
モノクマ「へ、部屋がブザーとランプでめちゃくちゃなんだけど!?」
灯織「み、皆さん落ち着いて……ひとまず身の安全の確保を……近くに机などは……!?」
突然の出来事にパニックになるばかり、事態を冷静に見極める余裕などあるはずもなく、
私たちは全員で警告に従うままに情報処理室から急いで逃げ出してしまった……
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【情報処理室前】
愛依「はぁ……はぁ……なんとか、間に合った……?」
雛菜「も~、嫌な汗かいちゃった~……」
灯織「ひ、ひとまずは全員無事でよかったです……」
摩美々「……慌てて全員出てきちゃったケドさぁ……」
ガチャン
摩美々「……だよねー」
灯織「……!? こ、これって……」
慌てて教室から飛び出した私たちを待っていたのは爆発の轟音ではなく、背後の扉の鍵が閉めなおされる小さな音。
慌ててマスターキーをかざしなおすも無反応。だめだ、設定から変えられている。
摩美々「黒幕にとってあのコックピットは行動拠点、なんとしても摩美々たちを追い出したかったんだろうねー……」
智代子「じゃ、じゃああのブザーは全部嘘だったの!?」
モノクマ「ぶひゃひゃひゃひゃ! 引っかかってやんのー!」
そして私たちを嘲笑いながらモノクマはその姿を現した。
今度はその中身も元通り、私たちが散々かき乱され、憎しみをぶつけてきた黒幕そのもの。
摩美々「はぁ……やっぱりモノクマの仕業だったんだー」
モノクマ「そりゃあね、ボクの灰色の脳細胞をフル稼働させてオマエラを追い出しましたとも!」
智代子「すっかり騙されちゃった……」
モノクマ「しっかし惜しかったね! 僅か数メートルの距離までボクに近づいちゃってたっていうのに、オマエラったらあんなフェイクに踊らされちゃってさ! ケッサクだよ、ケッサク!」
雛菜「へ~?」
モノクマ「だから、あのコックピットにはボクもいたんだよ! オマエラの足元にね!」
(……!?)
そういえば、床があのコックピットだけ他と少し違っていた。
鉄製の金具で固定されていたけど、あれってもしかして床下空間に通じる扉だったの……?
モノクマ「せっかくボクの正体を見る大チャンスだったのにね! 真実は案外すぐそばにあったんだね!」
愛依「まさにキューダイもと暗しだったんだ……」
灯織「なんだかさっきより西に行ってませんか……?」
雛菜「む~~~~! せっかくのチャンスだったのに~~~~!」
モノクマ「まあこればっかりはしょうがないね! 時間というのは不可逆ですから! せいぜい電子レンジでもこねくり回すこったね!」
智代子「行っちゃった……」
真実まで一歩手前というところでとんだ邪魔が入ってしまった。
知らなかったとはいえ黒幕をあと少しのところで取り逃すとはなんとも歯がゆい。
思わず地団太を踏みそうになったが、摩美々さんはこの状況でも冷静だった。
摩美々「ま、いいんじゃないですかぁ? 黒幕の弱点を掴んだのは間違いないんだしー」
愛依「へ……? ジャクテン……?」
摩美々「脱衣所前のカメラ映像、あれはこれ以上ない手掛かりでしょー」
灯織「そ、そうですね……脱衣所を改めて調べると何かわかるかも……」
摩美々「それに加えて、外部の人間と連絡が取れた。これだけで大きなアドバンテージじゃーん」
雛菜「でもまともにお話しできなかったよ~?」
摩美々「でも意思疎通は出来た、おそらくあっちは摩美々たちの状況もある程度わかってるはずだし……プラスに働くとみていいんじゃないかなぁ」
(……!!)
『灯織、待っててくれ』
あの時浮かび上がってきたメッセージ。
何か確証があるわけでもない、状況から証明するなんてたいそうなことをしたわけでもない。
でも、それとは無関係に確信を抱いていた。
私たちのために動いてくれる人が、あの方が私たちのために動いてくれている。
いつだって私たちのそばで、誰よりも私たちのことを考えてくれた【あの人】が、今も。
それなら……信じる以外の道はない。
灯織「……状況は大きく好転したと私も思います。モノクマが私たちを慌てて締め出したのもその証拠です。黒幕も焦っているんですよ、私たちが真実に迫りつつあることに」
愛依「そ、それはそーかも……」
雛菜「まぁ雛菜たちはもう立ち止まってる時間もないしね~!」
摩美々「よくわかってるじゃーん、この部屋がだめならまた別のとこ、それもだめならまた別のとこ……その繰り返しだよー」
智代子「そっか、そうだよね! コツコツは勝つコツ!」
灯織「うん、何か別のアプローチを模索しよう。絶対に黒幕の正体を暴いてやろう!」
摩美々さんの言うとおりだ、私たちは一歩ずつ着実に真実に迫っているのは間違いない。
それならこの足が疲れ果てようとも、千切れようとも、歩み続けるのみ……!
【捜査パートの行先に脱衣所が追加されました!】
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1.図書室 書庫
2.円香の部屋
3.脱衣所
↓1
【コンマ判定06】
【モノクマメダル6枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…131枚】
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【大浴場前】
私たちが調査の中で手に入れた新事実。
『めぐると樋口さんは事件の前夜に一緒に大浴場に向かっていた』
あの監視カメラ映像に隠された本当の意味合いは今の私にはまだわからない。
ただ、あの映像を手に入れさせてくれた、あの人物の思い。そしてあの映像の中にいためぐるの振る舞い。
……それらを含めると、見過ごすわけにはいかない重要なパーツとなる確信があった。
愛依「あ、灯織ちゃん! やっぱ気になっちゃったカンジ?」
灯織「愛依さん……ええ、あの映像に隠された事実……自分の目で確かめなくてはいけませんから」
めぐると樋口さんの行動、その全てを明らかにしないことには私の判定は覆らない。
皆さんが私の無実を信じてくださるというのなら、それを現実にすべく私も尽力しないと……!
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【脱衣所】
愛依「……とくに、なんもないね」
だけど、脱衣所の中自体に違和感は特にない。
大きく何かが乱れたり、新しいものがあったりといったこともない。それもそのはず、あの動画でも二人はものの数分で退室していたのだから。
灯織「……二人がここに立ち寄ったこと自体は間違いないはずなんですが」
二人がこの脱衣所で何をしたのかを明らかにする手掛かり、どんな些細なものでもいいんだ……!なんとしても見つけ出さないと……!
愛依「……ありゃ?」
灯織「愛依さん、どうかしましたか?!」
愛依「灯織ちゃん……何か踏んでない?」
灯織「えっ」
愛依さんに促されるまま元居た場所、【簀子】の上から降りるとそれは姿を現した。
灯織「こ、このシミは……!?」
簀子にはこれまでに見たことのない青紫色の変色痕が浮き上がっていたのである。
人の血ではこうはならない、何かしらの成分が木目に作用しない限りはこんな色には変わらない。
(……!?)
そんな特殊な成分のものなんて限られている。まして私たちの知る中でとなると、もはや可能性は一つに帰結するだろう。
灯織「なにか、化学薬品がここで使われたのではないでしょうか……科学室から持ち出された薬、それこそ毒薬かもしれません……」
愛依「ど、毒薬!?」
……そういえば、ずっと所在が分からなくなっている薬品があったんだっけ。
頭の中で点と点とが結びつき、線になろうとしている。一直線にひかれたこのラインの行きつく先、それはきっと……
コトダマゲット!【変色した簀子】
〔事件前夜、めぐると円香が寄っていた脱衣所では簀子の一部が変色していた。何かしらの液体がそこにこぼれたことを意味しているようだ〕
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1.図書室 書庫
2.円香の部屋
↓1
【コンマ判定16】
【モノクマメダル6枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…137枚】
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【円香の部屋前】
雛菜「あ、灯織ちゃんだ~~~!」
灯織「雛菜……捜査はどう? 進んでる?」
雛菜「ん~、ぼちぼちかな~。それより、今から円香先輩の部屋に入るんだよね~? 雛菜も一緒に行ってもいい~?」
(なるほど、摩美々さんから話を聞いてきたのか……)
(そうだよね、幼馴染なんだもん……雛菜からすればもう一度彼女のいた部屋には立ち入りたいよね……)
灯織「うん、それじゃあ捜査を手伝ってもらえるかな?」
雛菜「やは~~~~~♡ うん、雛菜も頑張るね~~~~~!」
私は雛菜を連れて樋口さんの部屋に改めて踏み込んだ……
【円香の部屋】
樋口さんの部屋は相変わらず必要最低限のものしか置いていない。
なのに、ここで感じるのは彼女自身の敵意と殺意。それが立っているだけの私の肌をひりつかせる。
ただ、それに臆しているような時間はモチロンない。
私は雛菜と顔を見合わせ、再度彼女の敵意の中へと進んでいく。
調べなおすべきなのは、私が男子トイレ奥の空間で目撃したファイルの数々。
たしかそれらはすべて、デスクの中だったっけ……
灯織「雛菜、デスクを開けてもいいかな?」
雛菜「ん~? ……あ~、灯織ちゃん、別に遠慮するコトなんかないのに~。円香先輩だって、変に気使われるほうが嫌だったりすると思うよ~」
灯織「そ、そっか……」
雛菜に促されるままにデスクを開けた。といっても前回の事件でも一度改めたものになる。
相変わらず一段目には薬品A・Bの空き瓶が鎮座。人の体に害性を持つ薬品のお出迎えは否が応でも身構えてしまうな。
雛菜「ホントこの前の事件の時は大変だったよね~、確かこの薬品Aを使ってめぐるちゃんを昏倒させてたんだよね~?」
(そうだ……それで身動きの取れなかっためぐるを、私は……)
(いや、違う……雛菜たちも、みんな……今は私がクロじゃない可能性を探ってくれてる、その本人の私がここで立ち止まるわけにはいかない……!)
雛菜「この二つの薬品を調合すると強い毒性を持つ気体が発生しちゃうから、それを円香先輩は身に着けて自己防衛に使ってたんだよね~」
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円香「……どうしました?私をここで止めるのでは?」
めぐる「ど、どうしたの摩美々…………って!?」
雛菜「ま、円香先輩その薬……!!」
円香「持ってきて正解でしたね、この前の事件でも使われた薬品A・B。既にこのボトルの中で調合済み。私は刺された瞬間ここでこれを開封しますよ」
摩美々「……」
円香「私の邪魔をすれば、即座に全員が共倒れ。さて、どうしますか?」
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灯織「さらにその前の事件、凛世が咲耶さんを殺害した事件にもこの薬品は絡んでいた……樋口さんはそれにも関与していた」
雛菜「その時からこの薬を持ち出していたんだよね~?」
(……あれ?)
雛菜「ん~? 灯織ちゃん、どうしたの~?」
灯織「いや……ごめん、雛菜。そういえば咲耶さんの事件の時って、使われた薬品はこのA・Bだけだったけど……もう一つ持ち出されてた薬があったよね?」
雛菜「……そういえばあったような気がする~、確か【コトキレルX】だったっけ~?」
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灯織「そして、個数が合わないものがもう一つ。毒薬の『コトキレルX』、これが無くなってるよ」
めぐる「備品リストによると、コトキレルXは液体の薬みたいだね」
灯織「犯人が持ち出したものとみて良さそうだけど……どうなんだろう」
めぐる「うーん、やっぱり事件に関係はあるよね……」
灯織「うん、しっかり覚えておこう」
-------------------------------------------------
灯織「飲用の毒薬が科学室の薬品棚からなくなってたんだよ。でも実際に事件には使われていない、咲耶さんは感電して亡くなったからね。ともすれば……」
雛菜「そのお薬が行方不明なままなんだ~~~!」
(そういうことになる……事件の流れからして樋口さんが薬を持ち出していたとみて間違いはないはず。ただここにもその【コトキレルX】は存在していない)
(一体、この薬はいまどこにあるんだろう……)
コトダマゲット!【コトキレルX】
〔液体型の遅効性の毒薬。咲耶と凛世の事件以降その所在がわからなくなっており、化学室に補充されることもなかった〕
続いて二段目の引き出しを開けた。確かここにあのファイルたちは収められていたはず。
内容をしっかりと検討しなおさないと。
雛菜「こっちが希望ヶ峰学園歌姫計画で~、こっちが学園の見取り図だね~?」
灯織「まずは希望ヶ峰学園歌姫計画から見てみようか……」
(つい先ほど学園長の個人部屋でみたプレゼン資料。そこに感じた違和感を確認しておきたい……)
(きっと希望ヶ峰学園歌姫計画と決定的な矛盾が存在するはずだ……!)
『超高校級のアイドル、超高校級のマネージャーをはじめとした学園の生徒協力のもと日本のエンタメ産業を担う新時代の“歌姫”を育成する計画』
『人為的に才能を生みだす意図ではなく、環境からのアプローチで才能を伸ばすことを目的とする』
『計画には現役のアイドルに参加してもらい、学園の生徒同様のトレーニングを実施する。適宜別のメニューも考案し、“超高校級”に匹敵する実力を習得する。成功した暁には、その生徒を【超高校級の歌姫】として迎え入れる予定』
雛菜「へ~、こんな計画があったんだ~」
灯織「……やっぱり」
雛菜「灯織ちゃん~? どうかしたの~?」
灯織「……! ご、ごめん雛菜……こっちの話」
雛菜「む~、仲間に隠し事は無しでしょ~?」
灯織「い、いやその……ちゃんと確証を持ってから話したいことだから……後でちゃんと話すよ」
雛菜「……灯織ちゃんがそういうなら、雛菜は信じるけど~……」
(……うん、間違いない。あのプレゼン資料と希望ヶ峰学園歌姫計画は……同じものじゃなりえない)
(こんなに大きな矛盾を抱えているんだもん)
(……なら、あのプレゼン資料は一体……?)
コトダマゲット!【希望ヶ峰歌姫計画】
〔二階男子トイレ奥の空間に隠されていたファイルに記されていた、希望ヶ峰学園のシステムを利用したアイドル育成計画。『超高校級のアイドル、超高校級のマネージャーをはじめとした学園の生徒協力のもと日本のエンタメ産業を担う新時代の“歌姫”を育成する計画。人為的に才能を生みだす意図ではなく、環境からのアプローチで才能を伸ばすことを目的とする。計画には現役のアイドルに参加してもらい、学園の生徒同様のトレーニングを実施する。適宜別のメニューも考案し、“超高校級”に匹敵する実力を習得する。成功した暁には、その生徒を【超高校級の歌姫】として迎え入れる予定。』〕
雛菜「じゃあもう一個のファイルを見ておこっか~、学園内の見取り図~!」
雛菜は目の前でパラパラと図を確かめる。
特にこの前確認したのと相違点はない。この学園内のほぼすべての部屋と廊下とが三次元的な図で詳細に示されている。
灯織「……相変わらず情報処理室の奥の部屋の情報はないね」
これは自分の手と足で調べないといけなさそうだ。幸い私の手にはマスターキーがある。部屋に入ること自体はたやすいだろう。
そして、これまで入ることができなかった寄宿舎エリア2Fと学校地下室の情報も仕入れておきたい。……そう思って、隅々まで読み込んだのだけど。
雛菜「情報ないね~……」
灯織「うん……どうやら意図的に秘匿されているみたい。これ以上これを調べても新しい情報はなさそうかな」
実際、このファイル自体は早い段階から入手は可能だった資料。
モノクマもそれを認識していたのなら、みすみす重要な情報を渡すことはしないだろう。
新しい収穫はなかったけど、これもどこかで使う機会があるかもしれない。
しっかり情報として押さえておこう。
コトダマゲット!【学園内の見取り図】
〔二階男子トイレ奥の空間に隠されていたファイルに記されていた、希望ヶ峰学園内における見取り図。寄宿舎エリア2Fと学校エリア地下1Fの情報はない〕
そして最後の引き出し。ここにあるのは、彼女の日記だ。
私たちに敵意と殺意とを抱くようになった心中の変化、そしてどんどんと煮詰まっていく憎悪の念とが克明に残されている。
流石にこの日記を再度検証するのは心にずっしりとのしかかるものがあった。
彼女から向けられる敵意だけじゃない、彼女がここでの生活で感じていた悲嘆と重責ともすべてがないまぜになった感情が私に伝播するのだ。
灯織「……」
雛菜「……」
気づけば言葉を失っていた。
私も真乃とめぐるという心のよりどころを失っては来たものの、幼馴染を失うという感覚のその全てを理解は出来ていない。
心臓を握りつぶされる感覚、そう形容せざるを得ないだけの衝動が押し寄せる。
胸にこみあげるものをぐっと押し込んで沈黙の中文字を送った。
きっとこの中にも手掛かりがあるはず。私たちは彼女のことを信じたのだ。
そしてその信用は、ある種実を結んだ。
『意味が分からない』
彼女自身の考え、思いはその一言で完結していた。ただ、その字の乱れとうねりとが雄弁に彼女自身の動揺を現してならなかった。
この記述のその真上、そこには一枚のメモが貼付してあったのだ。
『このコロシアイは浅倉透のため』
……男子トイレ奥の空間で私が目撃した、あのメモだった。
雛菜「……これ、前に灯織ちゃんが教えてくれたやつだよね~」
灯織「うん……雛菜にも心当たりはないんだよね?」
雛菜「だよ~……円香先輩と全く同じだな~、意味が分からないって感じ~」
(やっぱり、この謎に帰結するのか……)
(私たちがこの学園でコロシアイをしている理由、その謎の答えは、いったい……)
コトダマゲット!【2F男子トイレ奥の空間に存在したメモ】
〔このコロシアイは浅倉透のため〕
樋口さんの部屋の調査を一通りし終えて私は立ち上がった。
かがみこんでいただけに少しだけ腰が痛み、思わず弱弱しい声を上げる。
ただ、雛菜はそんな私の声にピクリとも反応はしなかった。
真剣に、改めて樋口さんの日記を読み込んでいる。
……邪魔をすべきじゃないな。
私は雛菜の集中を乱さないように、慎重に、静かに部屋を後にした。
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【選択肢が残り一つになったので自動進行します】
【モノクマメダル獲得のためのコンマ判定を行います】
【直下レスのコンマ末尾と同じ枚数だけ獲得できます】
↓1
【コンマ判定81】
【モノクマメダル1枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル枚数…138枚】
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【図書室 書庫】
相変わらずの萎びた空間だ。長く収められた本のカビたような匂いが鼻を刺す。
ぎゅうぎゅうに押し込まれた本は埃をかぶって、誰かが取り出したような痕跡すらない。
おそらく凛世が亡くなってからはこの部屋に立ち入る人間もほとんどいないんだろう。
……口元をハンカチで抑えるようにしながら捜査を開始した。
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【書架】
モノクマが調べるように言っていたのはやっぱりここに並べられている本のこと、だよね……?
書架にはどこかで聞いたことのあるような事件の名前がずらりと並ぶ。
『連続殺人』やら『強盗致傷』やら物騒な響きの言葉ばかりだ。小糸の事件で登場した『日本殺人鬼大観』と『世界殺人鬼名鑑』も変わらず。
手掛かりを探して気分が沈むような背表紙の文字列を右から左へどんどん送っていく。私たちが今ここにいる理由、コロシアイをさせられることになった理由。その答えを求めて流す視線は、ある一点で止まった。
『人類史上最大最悪の絶望的事件』
それはあまりにも大げさすぎて、馬鹿馬鹿しくて、フィクションか何かと疑ってしまうような文字列。
子供が考えってひねり出したような響きの文言、これだけを見るときっと笑ってしまう人だっているだろう。
……でも、私はこの事件の名前を見て笑うことは出来ず、むしろ押し黙ってしまった。
荒唐無稽で非実在的な名前なのに、その一冊はほかのどの事件よりも分厚くて、存在を否定させないだけの威圧感があったから。
『人類史上最大最悪の絶望的事件とは、超高校級の絶望が引き起こした同時多発的世界規模のテロリズム行為およびそれに感化された人間たちが引き起こした各種事件を総称した呼称である。まさに人類史に類を見ない規模の事件であり、犠牲となった人間の数は正確に観測することは適わず、一国二国の総人口は優に超すとみられている』
『どこか発端だったのかは研究者たちでも把握しておらず、超高校級の絶望・江ノ島盾子は超高校級のギャルとして入学する前からその工作を行っていたとみられる。学園の内部崩壊を起こしたかと思うと政府要人を巻き込んだテロリズム的な事件を起こし、この国の実ならず世界中を震撼させた。コロシアイ学園生活が起こるまでの二年のうちに、既に絶望の伝播はその土台を盤石なものにしていたのである』
『大きく事件が動く契機となったのは超高校級の絶望自身の引き起こした【コロシアイ学園生活】である。世界中から才能ある高校生を集めていた研究学園施設・希望ヶ峰学園の第78期生を監禁して仲間同士でのコロシアイを強要。その一部始終を世界中にリアルタイム配信した。超高校級の絶望はこのコロシアイの最後に自死したが、希望の象徴である彼らがコロシアイを行う様子は人々を絶望させる材料としては十分であり、彼女の目論見は成功したといえる』
『もはや政治の力でかじ取りをすることもかなわない状況に陥ったことにより、事件の連鎖は加速した。警察という組織は機能しなくなり、防衛のための武力もいつしか暴力のための道具として使われるようになり、人々の倫理観というものはほとんどその意味をなさなくなった。抑止力を失った暴走はとどまるところを知らず、事件は終結を見ないままに人類の文明そのものを壊滅させるほどになった』
『超高校級の絶望というシンボルを失った今現在でも、彼女を信仰するものは後を絶たない。鎮圧のために動く未来機関との間の抗争は激化するばかりである。絶望の残党と呼ばれる彼ら崇拝者は、仲間を増やすことに躍起になっており拉致監禁および洗脳行為を行っていることも確認されている。彼らには単一の指導者は存在しておらず、それぞれが江ノ島盾子の意志を継ぐものとして行動している。それゆえに叩く拠点も存在しないため未来機関の対滅作戦は難航しているというのが実情だ』
そして最終的に行きついたのは、先の記述でもあった世界に絶望が伝播する発端、『コロシアイ学園生活』であった。超高校級の絶望が引き起こしたとされるそれは後のページでもっと事細かに描かれており、その当事者の名前と顔写真、さらにはだれが命を落として、だれが生き残ったかまでが詳細に書かれていた。
『コロシアイ学園生活の参加者に選ばれたのは希望ヶ峰学園第78期生の15名。超高校級の絶望・江ノ島盾子とは同期に当たる面々である。コロシアイの舞台となったのは彼らの通っていた希望ヶ峰学園そのもの。かつて机を並べてともに学んだ学友たちはペンを凶器に持ち替えて、己のエゴイズムのために次々と仲間内でコロシアイを始めた』
……一気に血の気が引いた。
今の私たちの状況は、あまりにもこれに酷似しすぎている。
コロシアイに参加している人間の数、コロシアイの舞台……そして、参加者の間柄。学園に通う生徒ではないにせよ私たちは長い時を共に過ごした仲間同士。
私には偶然の符合には思えなかった。何かしらの意図がこの合致を引き起こして、それを私に噛みしめさせている。この学園裏で回る歯車機構がミシミシと耳元で軋んでいるようだ。
嫌なもの同士が、がっちりと嚙み合った。
コトダマゲット!【人類史上最大最悪の絶望的事件】
〔超高校級の絶望が引き起こした、彼女と彼女に魅せられた者たちによる世界的なテロリズム事件。世界の文明は彼女らによって一度崩壊したと書いてある。代表者たる超高校級の絶望は既に死亡したが、彼女を崇拝する絶望の残党はなおも仲間を増やそうと暗躍しているらしい〕
コトダマゲット!【コロシアイ学園生活】
〔希望ヶ峰学園第78期生を集めてのコロシアイ。開催場所、参加人数はどちらも灯織たちの今参加しているコロシアイ合宿生活と一致している〕
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【新聞】
書庫には各社新聞を保管しているラックも収められている。
といっても私たちがこの学園に来てからは更新されていない。一番新しい日にちで私たちが合宿に出る当日の分までだ。
もうこの学園に来てから一か月ほどの日にちが経つ、情勢も随分と変わってしまっているだろう。
大した期待もせずに一部を手に取った。見開きで大々的に報じられているのはどこかの国で行われた首脳会談。
関税やら協定やら……重要な話であるのは間違いないんだけど、今の私たちにとっては必要な情報ではない。
やっぱり期待するだけ無駄か、そう呟きながらも淡い期待はやっぱり持っていて。漫然と一面、二面、三面とめくった。
「……ん?」
隅っこにあった、大して大きく取り扱われてもいない記事。刺身のツマのように、ほかの記事に添えられていたその記事が妙に目についた。
『未成年者失踪再び』
どことなくその事件は自分たちと重なっているように思えた。
この学園に集まっているのも未成年者だし、外の世界では今頃私たちも失踪者として同じように記事になっているかもしれない。
でも、この記事と私たちとでは決定的ともいえる相違点がある。
それは、この記事で失踪している人たちは全員その直前にある【闇サイト】とやらにアクセスした痕跡があるらしいのだ。
インターネットの深層で、通常ではたどり着けないようなサイトのことをそういった呼び方をすると以前聞いたことがある。
勿論私はそんなサイトにアクセスした覚えもないし、かかわったことすらない。
……流石に私たちとは関係なさそうかな。
コトダマゲット!【新聞記事】
〔未成年の連続失踪事件を取材した記事。全国的に発生している事件であり、犠牲となった人数も少なくない。失踪者の全員が直前に闇サイトにアクセスしていた痕跡がある〕
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キーンコーンカーンコーン……
『ラストエリクサー病って知ってる? RPGとかで道中手に入る一品限りのアイテムを大事にしすぎるあまり最後まで使えないおまぬけさんのことを指した言葉なんだけどさ』
『それって本当にもったいないことだよね! どうせゲームなんて一回やったらそれっきり、だったら一回のプレイで100%、いや300%は堪能しないと元が取れないと思わない?』
『だからさ、オマエラにもそういう気分でいてもらいたいって思うんだよね。この学園にやってきて、せっかくコロシアイをしてるんだから……』
『人生のラストエリクサー病にかかってもらって、真実を知ることなく無駄死にしてもらいたいんだよねー! ぶひゃひゃひゃひゃ!』
『最後の戦いでも舞台は同じだよー! 裁判場ですべての決着つけちゃいましょうね! 学校エリア一階の赤い扉の向こう側に全員集合~~~~!』
________プツン
大きく深呼吸した。
ついに、その時が来てしまった。もう泣いても笑っても、生きても死んでも……これが最後。
今モノクマが言った通り、この裁判で真実を解き明かさないことには、待っているのは……破滅。
それもこれまでにない最低最悪の絶望的な破滅だ。
……毎回、裁判の前になると逃げだしたくなる気持ちだ。
クロとシロとでお互いの命をかけて騙しあい、裏切りあい、暴きあう。
自分の命を懸けていることもそうだけど、なにより仲間内で疑心暗鬼に陥らざるを得ないその状況が嫌だった。
何度経験しても、胸からこみあげてくる胃酸のようなものが不快だった。
でも、今回は違う。
私たちは全員仲間で、モノクマという共通の敵に立ち向かう。黒幕が隠し続けた真実を暴くための戦いだから。
もう逃げ出したいなんて弱音は吐かない。むしろ、今は戦いたい。戦って、勝って、証明したい。
私たちの絆はそんな絶望なんかには引き裂けない、負けないんだとその鼻を明かしてやりたい。
ピンチの時ほど笑ってみせろ。
昔そんなことを言っていた人がいたような気がする。
……本当に、その通りだ。
【エレベーターホール】
これから始まる戦いを前に、その表情がこわばるのは当然のことだった。
口元には力がこもり、背筋も妙に張ってしまう。それは私だけではなく、その場に居合わせた全員がそうだった。
愛依「すぅ…………はぁ…………」
智代子「すぅ……………はぁ……………」
摩美々「深呼吸はいいケド、あんまりやりすぎると逆効果だよー?」
智代子「うぅ……そうはいっても心臓がバクバクうるさいんだよぉ……」
雛菜「さすがに緊張しちゃうよね~……これで全部決まっちゃうんだし~」
摩美々「まぁ、無理もないケドさぁ……」
(呆れたふりをしているけど、摩美々さんの声もいつもみたいな余裕はなさそうだな……)
モノクマ「お集まりですね!」
灯織「モノクマ……」
モノクマ「どうよ、オマエラ! めぐるさん殺しの真犯人とやらは見つかったのかな?」
摩美々「……ノーコメント」
モノクマ「学園の真実とやらはわかったのかな?」
灯織「……ノーコメントです」
モノクマ「うぷぷぷ……いいよいいよ、そんななれない真似しなくてもさ! 表情を見ればまるっとすりっとお見通しだからね!」
正直なところ、そのどちらも現段階では明確な回答は持ち合わせてはいない。
でも大丈夫、回答にたどり着くための証拠品……その道筋は見えているはずだ。
あとはそれを繋いでいくだけ、この工程はこれまでの学級裁判でも何度もやってきた推理という工程。
仲間と協力して成し遂げてきた工程だから、きっと今回も。
灯織「モノクマ、その調子でいられるのも今のうちだけです」
モノクマ「お、言うねぇ……まぁ楽しみにはしておくよ、結果がどうあれこれが文字通りの最後なんだからね。せいぜい楽しませてちょ!」
雛菜「あは~? むしろこっちのセリフだよね~!」
愛依「あはは、雛菜ちゃん頼もしすぎ~!」
私たちはエレベーターに乗り込む。
黒幕に対する絶対的な憎しみをもって。
真実への絶対的な渇望をもって。
仲間たちへの絶対的な信頼をもって。
勝利に対する絶対的な確信をもって。
____その一歩を、踏み出した。
-------------------------------------------------
【エレベーター】
ゴウンゴウンと音を立てて下っていくエレベーター。
ズッシリと響く低音が臓器を揺さぶるこの感覚にももう慣れてしまった。
ただ慣れないのはこのエレベーターの中の空白。
かつてぎゅうぎゅうに乗り込んでいたこの部屋も、もはやそれぞれが隅に立つのみ。
随分と広くなってしまったものだ。
この裁判が終わるころ、このエレベーターはどうなっているのだろう。
同じ頭数でまた地上に上っていけるだろうか。二度と上がらないなんてことは起こりはしないだろうか。
そんなどうしようもない思考が浮かんでは消え、浮かんでは消え。
「……ねぇ」
口を開いたのは誰だったか。
エレベーターの轟音は不思議とその刹那に聞こえなくなり、やけに通った彼女の声だけが響いた。
カクテルパーティ効果という奴だろうか、私の耳は自然と音を瞬時に取捨選択して、絶望ではなく希望を拾い上げたのである。
「絶対、生きて帰ろうね」
急激に代謝が激しくなるのを感じた。血液が循環し熱を帯びていき、鼓動が激しくなる。
これは緊張とはまた別、鼓舞のためにおこった作用だ。
「生きて帰る」それだけの言葉なのに、仲間の口から発せられた音として聞くとすさまじい効用を発揮した。
「生きて帰ろう」
そして、代謝はなにも私だけに起こったものではなかったらしい。
また別のところからその声が上がった。そしてまたそれに呼応するように声が上がる。
生還を誓う宣誓がそこら中から上がりだし、いつしか私も口を開いてその言葉を口にしていた。
「生きて帰ろう」
気づけばエレベーターの駆動音は大合唱にかき消され、
チーン!
あっという間にその終着駅にたどり着いた。
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【地下裁判場】
モノクマ「ようこそいらっしゃい! ここが天下分け目の関ケ原、希望と絶望の裁判場でございますよー!」
智代子「なんかこれまた仰々しい内装……コンクリートが打ちっぱなしだよ……」
雛菜「無機質な感じがなんだか冷たいね~」
灯織「大丈夫、こんな冷たさなんかに私たちの熱は負けないから」
摩美々「ふふー、熱血プレイって感じかなぁ」
愛依「絶対、生きて帰ろうね!」
私たちはすぐにそれぞれの証言台へと立つ。
……この期に及んで体が震える自分が嫌いだ。
不安を感じているのなんか自分だけじゃない、何を一人だけ被害者ぶっているんだ。
摩美々さんも、愛依さんも、チョコも、雛菜も……みんなみんなこの不安と緊張とを必死に抑えて立ち向かっているというのに。
でも、ここで体が震えなきゃ自分じゃないと思う。
自分の命を危険にさらす、そのことに恐怖する気持ちが自分自身の生を証明している。
その弱さを持っている自分だからこそ、皆さんとの間に絆を築くことができた。
……だから。
パァンッ!
自分の頬を両手でたたいた。
気合を入れろ……歯を食いしばれ……!
震えながらでも泣きながらでも、どれほど惨めになったっていい。
それでも、進むことだけは絶対に止めちゃだめだ。皆さんとの間にあるこの絆を裏切るような真似だけはしちゃいけない……!
私たちは絶対にこの裁判ですべての真実を暴き出す。
そのうえで黒幕を引っ張り出して、思いのたけのダンガンをすべてぶつけて、思惑を正面からロンパしてやるんだ。
その末にある勝利、希望の行く道、私たちの絆が目指す未来を絶対につかみ取って見せる……!
この、最後の【学級裁判】で______!
というわけで最終章・捜査パートはここまでになります。
次回よりとうとう最後の学級裁判に移ります。
めぐるの死、灯織のクロ判定の逆転に始まり、学園の真相を明らかにするまでの最後の戦いを描きます。
どうかご期待ください。
裁判が始まるに先立って購買購入パートを後でコピペしますので、次回更新までにメダルの使用先など書いていただけると次回反映してから再開いたします。
今回は前回の裁判で獲得したスキルと合わせて使用量などお考え下さい。
今週中に本SSは最後まで駆け抜けるつもりです、
次回更新は10/4 21:00~より、どうかよろしくお願いします。
それではお疲れさまでした。
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【購買】
灯織「さて……せっかくだし何か買っておこうかな?」
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【自動販売機】
【お役立ち品】
・ロボット掃除機 30枚…生活が豊かなものになるかも?
・283プロのタオル 30枚…裁判で有利に働くかも?
・サイリウムブレード 40枚…裁判で有利に働くかも?
・はじまりのメッセージカード 50枚…裁判で有利に働くかも?
・敏腕記者の名刺 60枚…交流がやりやすくなるかも?
・※アイドルコミュの鍵 60枚…新しい力が手に入るかも?
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【現在のモノクマメダル枚数…138枚】
【購入したい品物があれば次回までに書き込んでください、相談などもご自由にどうぞ】
【複数購入可能なものは※がついています】
※前回裁判で習得したスキル
【アップ・トゥ・ユー】
〔学級裁判中任意のタイミングで発動可能。モノクマメダルを消費することで回答を導く。要求枚数は回数ごとに増加(5→10→15→...)〕
今晩の更新に備えて早めに購買の購入指定を確定させておこうと思います。
特になにも無ければこのまま鍵とサイリウムとタオルを購入する形になりますがよろしいでしょうか。
なお、鍵は追加で安価指定が必要になるアイテムですのでまた八時ごろにその安価も取らせていただきます。
【283プロのタオル・サイリウムブレード・アイドルコミュの鍵を手に入れました!】
【283プロのタオル】
〔ライブで流した汗は宝石の輝き。アイドルを応援する気持ちを吸ったタオルはそれだけ重くなる。反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+10される〕
【サイリウムブレード】
〔二つに折れば開戦の合図。アイドル各色の明かりは星々の輝き。反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+20される〕
【アイドルコミュの鍵】
〔あるかもしれなかった未来への分岐をこじ開ける不思議な鍵。アイドルを一人指定することで、そのアイドルから本来手に入るはずだったスキルを獲得できる〕
灯織「ふぅ……結構色々買っちゃったな。これで裁判がうまくいけばいいけど……」
【アイドルコミュの鍵の使用先の指定に移ります】
【これまでで親愛度がマックスになっていないアイドルを指定することでスキルを獲得できます】
真乃・めぐる・霧子・咲耶・智代子・樹里・凛世・甜花・甘奈・愛依・透・円香から一人選んで指定
円香選択
【アイドルコミュの鍵が光り輝く……!】
【樋口円香の閉ざされたロックが解放されたようだ……】
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【アイテム:髪留めを手に入れました!】
〔円香にもらった髪留め。飾りっ気のないシンプルなデザイン、それ以上のものは必要ないでしょ?〕
【スキル:ギンコ・ビローバを習得しました!】
〔反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+15される〕
【スキル】
【意地っ張りサンセット】
〔反論ショーダウン・PTAのコンマ値の基礎値が+10される〕
【摩的・アンチテーゼ】
〔反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+15される〕
【スキル:ギンコ・ビローバを習得しました!】
〔反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+15される〕
【アイテム】
【283プロのタオル】
〔ライブで流した汗は宝石の輝き。アイドルを応援する気持ちを吸ったタオルはそれだけ重くなる。反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+10される〕
【サイリウムブレード】
〔二つに折れば開戦の合図。アイドル各色の明かりは星々の輝き。反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+20される〕
以上合算して今後コンマ判定では+70されます……なんだこのインフレ
それではコトダマの羅列より裁判開始いたします。
【コトダマ】
‣【思い出しライト】
〔照射した相手の記憶を呼び起こす不思議なライト。中央制御室の一角に落ちており、その近くの装置のモニターには『LOG:希望ヶ峰学園 78期生』とあった〕
‣【キャンプの写真】
〔灯織を含む283プロ全員が登場しているキャンプの写真。加工編集がされたようには見えないが、灯織たちにその記憶は全く存在しない〕
‣【コロシアイ合宿生活の運営】
〔コロシアイ合宿生活の運営はすべてがすべて人力で行われていたわけではない。物資の搬入などはオートメーション化されており、深夜の監視は黒幕自身は行わずAIに任せていた〕
‣【モノクマの証言】
〔今回のコロシアイ合宿生活の参加者は、283プロの現役高校生アイドル15人のみ。そしてこのコロシアイはこの15人でなくては意味がなかったらしい〕
‣【Aへのメール】
〔A、君のこれまでの功績は評価に値する。我々は実際君に高い期待を寄せていた。だからこそ、今回の独断での行動は看過することはできない。即座に計画を打ち切ってほしい、我々の要求に応じない場合立場を追われることも覚悟しておいてくれ。理解ある行動を我々は望む〕
‣【VERTEX】
〔アイドルのオーディションとして別格の規模を誇る最高峰のオーディション。これに優勝すればアイドルとその所属事務所は至上の名誉を得られると言われている。そのポスターがなぜか地下一階のトレーニングルームに貼られていた〕
‣【コトキレルX】
〔液体型の遅効性の毒薬。咲耶と凛世の事件以降その所在がわからなくなっており、化学室に補充されることもなかった〕
‣【被検体α】
〔我々の開発も一定の成果をあげた。マウスによる生体実験も無事に成功、いよいよ続いての段階に遷移することとした。本実験の最後では全被験者への適用が予定されているが、特に適正値の高い被検体αに先行して適用した。彼女はもとより性格面で類似性があったためか、特に拒絶反応も発生することなく実験も成功した〕
‣【絶望の残党】
〔希望ヶ峰学園を襲っていたとされる集団の俗称。正体素性に関する情報はまるでない〕
‣【プレゼン資料】
〔寄宿舎2Fの学園長の個室にあったプレゼン資料。新時代のアイドルを作り出すための計画について、プレゼンのスライドがまとめられている〕
‣【プロデューサーの手記】
〔プロデューサーによる灯織を始めとした283プロのアイドルのプロデュース録。出会ってから今日に至るまでの記録に加え、これからの方針まで書き漏らしなく彼の所感と共に記されている〕
‣【候補者リスト】
〔灯織たちコロシアイの参加者全員の名前と共に、謎の候補が書き添えられている。なぜか透の候補だけ黒塗りされ、矢印で灯織にその候補が切り替えられた旨が記されている〕
‣【希望ヶ峰歌姫計画】
〔二階男子トイレ奥の空間に隠されていたファイルに記されていた、希望ヶ峰学園のシステムを利用したアイドル育成計画。『超高校級のアイドル、超高校級のマネージャーをはじめとした学園の生徒協力のもと日本のエンタメ産業を担う新時代の“歌姫”を育成する計画。人為的に才能を生みだす意図ではなく、環境からのアプローチで才能を伸ばすことを目的とする。計画には現役のアイドルに参加してもらい、学園の生徒同様のトレーニングを実施する。適宜別のメニューも考案し、“超高校級”に匹敵する実力を習得する。成功した暁には、その生徒を【超高校級の歌姫】として迎え入れる予定。』〕
‣【学園内の見取り図】
〔二階男子トイレ奥の空間に隠されていたファイルに記されていた、希望ヶ峰学園内における見取り図。寄宿舎エリア2Fと学校エリア地下1Fの情報はない〕
‣【2F男子トイレ奥の空間に存在したメモ】
〔このコロシアイは浅倉透のため〕
‣【脱衣所前の監視カメラ映像】
〔めぐる殺害の事件の発生前夜のカメラ映像。円香とめぐるが二人で脱衣所に入り、物の数分で退室、学校エリアに向かうまでが記録されている〕
‣【方舟計画】
〔おしおきメンテナンスルームのパソコンに隠されていた謎の計画のファイル。詳細は一切不明〕
‣【新聞記事】
〔未成年の連続失踪事件を取材した記事。全国的に発生している事件であり、犠牲となった人数も少なくない。失踪者の全員が直前に闇サイトにアクセスしていた痕跡がある〕
‣【人類史上最大最悪の絶望的事件】
〔超高校級の絶望が引き起こした、彼女と彼女に魅せられた者たちによる世界的なテロリズム事件。世界の文明は彼女らによって一度崩壊したと書いてある。代表者たる超高校級の絶望は既に死亡したが、彼女を崇拝する絶望の残党はなおも仲間を増やそうと暗躍しているらしい〕
‣【コロシアイ学園生活】
〔希望ヶ峰学園第78期生を集めてのコロシアイ。開催場所、参加人数はどちらも灯織たちの今参加しているコロシアイ合宿生活と一致している〕
‣【変色した簀子】
〔事件前夜、めぐると円香が寄っていた脱衣所では簀子の一部が変色していた。何かしらの液体がそこにこぼれたことを意味しているようだ〕
‣【コロシアイの動機】
〔これまでの事件の引き金となったモノクマ提供の動機の数々。
①【疑心暗鬼】黒幕が事務所の仲間内にいるという情報
②【焦燥】身近な人物の身に危険が及ぶフェイク映像
③【才能】それぞれに与えられた才能に関連する物品
④【犠牲】裏切り者の暴露
そのいずれにおいても黒幕には何かしらの期待や狙いが存在していると思われる〕
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【学級裁判 開廷!】
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モノクマ「それでは早速始めようか。オマエラとボクとの最終決戦」
モノクマ「最後の学級裁判をーーーーーーーー!!」
灯織「……モノクマ、条件は事前に確認した通りです」
灯織「めぐるを殺害した犯人が私でなかったことが立証でき、この合宿生活の破綻を証明すればモノクマは私たちの脱出、この学園からの卒業を認める。……よろしいですね?」
モノクマ「オマエラこそそれでいいの?こんな荒唐無稽な、おしおきを前提から覆すなんて無謀な挑戦に命を懸けてさ」
愛依「トーゼン!呉越ドウシュ―って言うじゃん?」
智代子「それ使い方あってるのかな……?」
摩美々「ま、今更でしょー、ここでビビるほどメンタル弱くもないのでー」
雛菜「あは~!雛菜もむしろワクワクしてる~~~~!」
モノクマ「ふーん、その無謀な勇気がどこまで続くのか確かめさせてもらおっか!……さてと」
モノクマは私たちの意気込みを鼻で笑うと、そのまま裁判長席を下りた。
とてとてと歩いて行き着く先は、私たちの横。証言台の一席にモノクマが並んだのである。
モノクマ「今回はボク自身にもかかわる話だからね!当然議論にも参加させてもらうよ!」
摩美々「下手な証言でかき乱したりとかはしないでくださいよー?」
モノクマ「その点は安心しなよ!いつだって僕らはリベラルな立場からお話しさせてもらうからね!」
(……何がリベラルだ)
モノクマ「それじゃあまずは問題の八宮さん殺しについて整理をするところから始めよっか!」
(前回の裁判、投票の段階では私自身犯人は自分だと確信していた)
(自分の命をなげうってでも、皆さんを守る。そのためにした覚悟……それは無駄なんかじゃない)
(今ここで、改めて立ち向かうための力になる……!)
灯織「……そうですね、そこではっきりさせましょうか」
灯織「めぐるを殺したのが本当は誰だったのかを!」
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【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【候補者リスト】
‣【モノクマの証言】
‣【コロシアイ学園生活】
‣【コトキレルX】
‣【プロデューサーの手記】
‣【コロシアイ合宿生活の運営】
‣【絶望の残党】
‣【方舟計画】
モノクマ「それじゃあ早速八宮さん殺しについて振り返ってみよっか!」
愛依「基本は【円香ちゃんが全部仕掛けを作った】んだよね?!」
智代子「まずわたしたち全員を監禁して、【めぐるちゃんだけ植物庭園で拘束しておいた】んだよ!」
雛菜「後は雛菜たちが推理を間違えるように【ミスリードを生物室から用意】して~」
摩美々「死体の覆面に【爆弾をトラップとして用意した】んですよねー」
モノクマ「後はその覆面を剥いだことで爆弾が作動!」
モノクマ「覆面を剥いだのは風野さん!やっぱり【犯人は風野さん】なんだよ!」
モノクマ「あの爆弾で死んじゃったんだもんねー!」
モノクマ「うぷぷぷ!大親友を自分の手で殺しちゃった気分はどう?!」
【正しいコトダマで矛盾する発言を論破しろ!】
※スキル:アップ・トゥ・ユーの効果を任意のタイミングで一度使用可能
↓1
灯織「それは違います!」
【BREAK!】
灯織「確かにあの状況だけ見れば、めぐるの死因として有力になるのはあの爆発でしょうね。胸に刺さっていたナイフは実際、タオルを刺していただけで刃も届いていませんでしたし、他に外傷もない」
灯織「でも、外傷はなくとも殺害は可能ですよね?」
摩美々「それをモノクマも含むこの場の全員が一度は頭に入れた知識ですよー」
智代子「それってもしかして咲耶ちゃんと凛世ちゃんの事件の時の……!?」
灯織「そう、毒薬だよ。咲耶さんの事件以降、化学室からは危険な薬品である『コトキレルX』が消えたまま……その所在がずっとわからないままだった」
灯織「貴重な材料を用いる薬品だったために化学室の薬品棚にも長い間補充されることがなかった、そうですよねモノクマ」
モノクマ「そうだけど……だったら余計にダメじゃん?所在不明の薬なんでしょ、それでどうやって人を殺すのさ」
摩美々「所在不明……確かに表面上はそう……でも、誰がその薬を隠し持ってたかなんて自明でしょー。見た目の上での状況に託けて誤魔化そうったってそれは許さないのでー」
雛菜「そっか、円香先輩がずっと持ってたんだ~!円香先輩の机の引き出しには薬品ABが入ってたし、他の薬が入っててもおかしくないよね~?」
愛依「てゆーか、他のみんなが持ち出すとは思えないしね……」
モノクマ「ふ~ん……?じゃあその薬で樋口さんが八宮さんを殺したって言いたいんだね?」
モノクマ「でもさ、そんなのいつ飲んだか証明できる?証明ができないならそれこそ机上の空論、砂上の楼閣だよ!」
灯織「もちろん証明だってできます」
モノクマ「ハァ?」
(そう、これは私たちも今まで知らなかった情報)
(というか、本来得ることのできなかった情報なんだ)
(あの人が私たちに託してくれた希望、これでモノクマの急所を突く……!)
【正しいコトダマを指摘しろ!】
>>871~873
↓1
880ずれて881を採用
(いや……違う、簀子は確かに二人がコトキレルXを使った証拠にはなりうるけど、今モノクマに問われているのは使った【タイミング】)
(時間を示す証拠なら、別にあるはず……)
【スキル:包・帯・組・曲の効果で誤答ペナルティが無効化されました】
-------------------------------------------------
モノクマ「ふ~ん……?じゃあその薬で樋口さんが八宮さんを殺したって言いたいんだね?」
モノクマ「でもさ、そんなのいつ飲んだか証明できる?証明ができないならそれこそ机上の空論、砂上の楼閣だよ!」
灯織「もちろん証明だってできます」
モノクマ「ハァ?」
(そう、これは私たちも今まで知らなかった情報)
(というか、本来得ることのできなかった情報なんだ)
(あの人が私たちに託してくれた希望、これでモノクマの急所を突く……!)
【正しいコトダマを指摘しろ!】
>>871~873
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「いつ飲んだか……それはこれを見れば一目瞭然ですよ」
モノクマ「なにそれ?メモリーカード?そんなの何に使うっていうのさ」
摩美々「メモリーカードの使い道なんて一つしかないでしょー」
灯織「この中には事件が起きる直前、二人で行動している樋口さんとめぐるの姿が残されています。この彼女たちの行動が、コトキレルXを飲んだ可能性を示唆しているんですよ」
智代子「みんなで情報処理室に行った時に手に入った映像だよね!この学園の外にいる人がわたしたちのためにモニターの監視カメラ映像をハッキングしてくれて手に入れることができた映像!」
愛依「確かこれって、二人が一緒に脱衣所に入っていく映像だったよね……」
モノクマ「ちょ、ちょっと待ちなよ!なにさ、その映像……そんな映像……ボクは知らないんだけど!」
雛菜「え~?なんで監視カメラの映像なのにモノクマがびっくりしてるの~?」
雛菜「モノクマはこの動画も知ってるはずじゃないの~?」
灯織「この映像は、モノクマを操っている人間である黒幕が知らなくても何ら不自然じゃないよ」
雛菜「ん~?」
(黒幕の監視カメラによる監視は完全なものでは無かった……それは間違いない)
【正しいコトダマを指摘しろ!】
>>871~>>873
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「このコロシアイ合宿生活を運営してる黒幕、モノクマの裏にいる人物も私たちと同じくあくまで一人の人間です」
灯織「監視カメラの監視もここまでの毎日、24時間全て把握するなんてことは物理的に不可能、事実モノクマ自身の証言でもありましたから」
灯織「この学校の運営は一部オートメーション化されている、監視カメラも深夜はAIによる監視がされているって」
摩美々「まぁ入退室のログぐらいは取ってるのかもしれないケド、わざわざ事件も起きてない脱衣所のログを確認はしてなかったのかもねー」
智代子「深夜にふとお風呂に入りたくなる……そういうことがあってもおかしくはないもんね!」
智代子「うん、きっとそうだよ!深夜に倉庫で夜食を漁るのと同じようなものだもんね!」
モノクマ「……」
灯織「そうなると、この映像はモノクマにとっては感知できなかった弱点……急所になりうる証拠なんですよ!」
モノクマ「……急所?オマエラの世界ではこんなものを急所って言うの?」
モノクマ「こんな取るに足らないくだらない証拠未満の映像で?」
愛依「ちょい待ち!モノクマだって見てんじゃん!二人が脱衣所に入っていく映像……こんなんどうみても事件に関係してんじゃん!」
モノクマ「ええ、ええ。ボクもしっかり確認しましたよ?二人が仲良くお風呂に入ろうとしている映像をね」
摩美々「あくまで認めない気ぃ?」
モノクマ「認めるも何も、風野さんたちが持ち出したのはあくまで可能性、しかも吹けば飛ぶような脆弱極まりないやつだね」
モノクマ「こんな不確定要素しかないような映像、証拠としては受理できませんよー!」
灯織「不確定要素、ですか……それなら裏付けがあればいいってことですよね?」
雛菜「灯織ちゃん、そんな裏付けがあるの~?」
灯織「……多分」
モノクマ「ビッグマウスもいい加減にしなよ!そんなに口が大きくてもマスクからはみ出ちゃうでしょーが!」
摩美々「や、どうみても灯織は小顔じゃーん……」
灯織「あ、ありがとうございます……」
智代子「い、言ってる場合?!」
(可能性のピースを集めて行けば、たどり着くポイントは必ず存在する)
(黒幕にこれ以上言い逃れさせる隙を与えるわけにはいかない……!!)
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
【コトダマ】
‣【脱衣所前の監視カメラ映像】
‣【モノクマの証言】
‣【プレゼン資料】
‣【方舟計画】
‣【コロシアイ合宿生活の運営】
‣【変色した簀子】
‣【コトキレルX】
‣【学園内の見取り図】
摩美々「円香とめぐるが二人で脱衣所に入っていく映像はどうみても有力な証拠じゃーん」
モノクマ「有力?何をもって有力だって定義するの?」
モノクマ「情報処理室には高度な設備が整ってるからね!≪オマエラが捏造した≫かもわからないじゃん!」
愛依「うちらってばシロートじゃん!捏造なんか無理っしょ!」
モノクマ「大体脱衣所の中で何が行われたのかなんてわからないじゃん!」
智代子「だ、≪脱衣所の監視カメラ映像≫を確認すれば……!」
モノクマ「≪コトキレルXが脱衣所の中にあった≫?無いよね?」
雛菜「≪ロッカーの中に入ってた≫かもしれないですよ~?」
モノクマ「大体映像の樋口さんも八宮さんも薬を持っているようには見えないけど?」
摩美々「……隠し持ってる可能性はあるでしょー」
モノクマ「【薬を中で飲んだ証拠がない】以上は」
モノクマ「ぜんぶがぜーんぶ可能性どまりなんだよー!」
【正しいコトダマで矛盾する発言を論破もしくは正しい発言に同意しろ!】
※スキル:アップ・トゥ・ユーの効果を任意のタイミングで一度使用可能
↓1
(いや、簀子はあくまでコトキレルXが垂れて変色したと思われるもの……)
(これが脱衣所にあったからと言って、脱衣所に今もコトキレルXが存在する……わけではない)
(でも、これがモノクマにとどめを刺す切り札になる証拠なのは間違いないはず……)
(議論の流れを見極めろ……風野灯織!)
【スキル:包・帯・組・曲の効果で誤答ペナルティが無効化されました】
【スキル:水色感情の効果でコトダマの数が減少します】
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
【コトダマ】
‣【脱衣所前の監視カメラ映像】
‣【モノクマの証言】
‣【プレゼン資料】
‣【コロシアイ合宿生活の運営】
‣【変色した簀子】
‣【コトキレルX】
‣【学園内の見取り図】
摩美々「円香とめぐるが二人で脱衣所に入っていく映像はどうみても有力な証拠じゃーん」
モノクマ「有力?何をもって有力だって定義するの?」
モノクマ「情報処理室には高度な設備が整ってるからね!≪オマエラが捏造した≫かもわからないじゃん!」
愛依「うちらってばシロートじゃん!捏造なんか無理っしょ!」
モノクマ「大体脱衣所の中で何が行われたのかなんてわからないじゃん!」
智代子「だ、≪脱衣所の監視カメラ映像≫を確認すれば……!」
モノクマ「≪コトキレルXが脱衣所の中にあった≫?無いよね?」
雛菜「≪ロッカーの中に入ってた≫かもしれないですよ~?」
モノクマ「大体映像の樋口さんも八宮さんも薬を持っているようには見えないけど?」
摩美々「……隠し持ってる可能性はあるでしょー」
モノクマ「【薬を中で飲んだ証拠がない】以上は」
モノクマ「ぜんぶがぜーんぶ可能性どまりなんだよー!」
【正しいコトダマで矛盾する発言を論破もしくは正しい発言に同意しろ!】
※スキル:アップ・トゥ・ユーの効果を任意のタイミングで一度使用可能
↓1
灯織「それは違います!」論破!
【BREAK!】
灯織「薬を脱衣所の中で飲んだ証拠なら存在しますよ」
モノクマ「う、嘘だッ!ボクはそんなの知らないぞ!」
灯織「ええ、だってこれもまたモノクマの見ることができないところ……監視カメラのない、脱衣所の中にあった証拠なんですから」
灯織「この簀子を見てください。形状、大きさ……特徴はどれも他の簀子と同じですがこの一部分だけ明らかに変色してますよね?」
愛依「ホントだ……運動会で転んだ時の弟の脛みたいな色じゃん……!」
摩美々「通常濡れただけじゃこんな色にはならない、酸性やアルカリ性に傾向のある液体でも滴り落ちない限りはねー」
モノクマ「ぶふぉう!!!」
(よし、モノクマに手痛い一撃を与えられたはず……!!)
灯織「たとえ薬品が今この段階で発見できずとも、樋口さんとめぐるがなんらかの形でからんでいたことは今更疑うべくもありません!」
モノクマ「……ぐ、ぐぎぎ」
灯織「なんなら今この場で簀子の染みについて成分調査にかけてもらいましょうか!」
モノクマ「……ぐ、ぐぎぎぎぎぎ」
モノクマ「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎ……」
これは、全員で見つけた細い細い可能性。
この学園で生きる私たち、犠牲となった樋口さんとめぐる、そして外の世界の協力者。
それぞれの持ち寄ったか細い可能性と可能性とをより合わせて……強固な一本の糸となる。
前回の裁判の結論をその糸が引っ張りあげてひっくりかえす。
シロとクロとが裏返る、その瞬間がいま目前に……
モノクマ「ぐーっぎっぎっぎっぎ!笑っちゃうね!」
摩美々「……はぁ?ど、どういうコトぉ?今って悔しさで歯ぎしりしてたんじゃ……」
モノクマ「歯ぎしりって『ぐぎぎ』のこと?やだなぁ、ボクのエキセントリックな笑い声じゃないか」
智代子「笑い声にしては独特過ぎるよ!?」
モノクマ「あのねぇ、そんな簀子が何になるって言うのさ。確かになにかの液体が滴ってついた染みみたいだけどさ。それがなんなの?」
モノクマ「たとえ成分を調べてコトキレルXだったからって、この映像の前後でついた染みだって証明できる?」
灯織「……!!」
モノクマ「コトキレルXが簀子に滴る瞬間をとらえた映像でもない限りは無理だよね?なんだよ、やけに自信満々に言ってくるから確証があるのかと思ったけどとんだ拍子抜け!」
モノクマ「これもあくまで可能性の範疇での議論に過ぎなかったね!ぐーっぎっぎっぎっぎ!」
雛菜「む~!そんなの屁理屈だよ~~~~!」
モノクマ「屁理屈大いにケッコウ!」
(……くそ、悔しいけどモノクマの言う通り。あの簀子はあくまであの場所で薬品が使われたことを指し示す証拠)
(時間までの情報は内包していない……!!)
愛依「ど、どーしよ!これじゃ裁判の結果が覆んないし……灯織ちゃんが殺されちゃうよ!」
摩美々「それどころか私たち全員の命だよー」
智代子「わわわ、そ、その簀子にもっと情報はないのかな?!」
雛菜「ちゃんとした設備があれば染みが出来た時間まで調べられるかもだけど~、この状況じゃモノクマに揉みつぶされちゃう情報かもね~」
(……考えよう、考えるんだ)
(あの映像に映っていた時間時刻でめぐるが薬を飲んだのは間違いないはず……なら、あと必要な情報は時間の情報だけ)
(時間と薬とを紐づける何か……それを思いつけば事態は拓けるはず……!!)
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q1.めぐるの本当の死因は?
A.爆殺 B.刺殺 C.毒殺 D.絞殺
Q.2コトキレルXが脱衣所で服用されたことを示す証拠は?
A.監視カメラ映像 B.薬品ボトル C.簀子 D.めぐるの死体
Q3.円香とめぐるの映像が撮られたときに薬が服用されたことを証明するのに必要な情報は?
A.事件前に簀子は汚れていなかったこと
B.簀子の出どころ
C.コトキレルXが簀子に滴った場合にできるシミの特徴
D.コトキレルXの薬効
Q4.それを証明するために必要なのは?
A.映像前の脱衣所の中の写真
B.簀子のスペア
C.脱衣所の入退室のログ
D.脱衣所内の監視カメラ映像
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
※スキル:アップ・トゥ・ユーの効果を任意のタイミングで一度使用可能
↓1
-------------------------------------------------
【CBDC】
(いや……違う。この事件において、あの簀子の持つ意味合いは大きい)
(あの簀子に起きた変色がコトキレルXの使用があったという事実そのものなんだ)
(となると、あの前後でそれが起きたことを証明する必要がある……)
【スキル:包・帯・組・曲の効果で誤答ペナルティが無効化されました】
【スキル:包・帯・組・曲の効果を使い切りました】
【虹の羽が輝き、行く道を照らす……!】
【どうやらQ2とQ3とQ4で選んだ道が異なるようだ……】
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q1.めぐるの本当の死因は?
A.爆殺 B.刺殺 C.毒殺 D.絞殺
Q.2コトキレルXが脱衣所で服用されたことを示す証拠は?
A.監視カメラ映像 B.薬品ボトル C.簀子 D.めぐるの死体
Q3.円香とめぐるの映像が撮られたときに薬が服用されたことを証明するのに必要な情報は?
A.事件前に簀子は汚れていなかったこと
B.簀子の出どころ
C.コトキレルXが簀子に滴った場合にできるシミの特徴
D.コトキレルXの薬効
Q4.それを証明するために必要なのは?
A.映像前の脱衣所の中の写真
B.簀子のスペア
C.脱衣所の入退室のログ
D.脱衣所内の監視カメラ映像
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
※スキル:アップ・トゥ・ユーの効果を任意のタイミングで一度使用可能
↓1
-------------------------------------------------
【CAAD】
(いや、脱衣所は唯一黒幕の監視から逃れている場所……)
(あの中には監視カメラはなかったはず……となると、簀子が映像の前後で変化したことを示すのに必要になるのは)
(……常識にとらわれていちゃたどり着けない)
(一見突拍子のない発想でも、それが活路になるかもしれない……!)
【虹の羽が輝き、行く道を照らす……!】
【どうやらQ4で選んだ道が異なるようだ……】
-------------------------------------------------
【ロジカルダイブ開始!】
Q1.めぐるの本当の死因は?
A.爆殺 B.刺殺 C.毒殺 D.絞殺
Q.2コトキレルXが脱衣所で服用されたことを示す証拠は?
A.監視カメラ映像 B.薬品ボトル C.簀子 D.めぐるの死体
Q3.円香とめぐるの映像が撮られたときに薬が服用されたことを証明するのに必要な情報は?
A.事件前に簀子は汚れていなかったこと
B.簀子の出どころ
C.コトキレルXが簀子に滴った場合にできるシミの特徴
D.コトキレルXの薬効
Q4.それを証明するために必要なのは?
A.映像前の脱衣所の中の写真
B.簀子のスペア
C.脱衣所の入退室のログ
D.脱衣所内の監視カメラ映像
【正しい道筋を選んで推理を組み立てろ!】
※スキル:アップ・トゥ・ユーの効果を任意のタイミングで一度使用可能
↓1
-------------------------------------------------
【CAAA】
灯織「推理は繋がりました!」
【COMPLETE!】
灯織「めぐるが毒薬“コトキレルX”を服用して死んだ……それが事実だとすると、あの映像に映っていた脱衣所の中で飲んだと考えるのが自然。というか他にめぐるが口にするタイミングはありませんからね」
灯織「その途中でめぐるが手を滑らせたのか、それとも私たちがここまでたどり着くことを見越してのことだったのか……簀子に零した薬で簀子の色が変わってしまった」
灯織「でも、モノクマの主張はその簀子がいつ汚れていたのかがわからない以上は可能性は無効だということ。それなら、今私たちが証明すべきなのは、あの映像の直前まで簀子が汚れていなかったこと……!」
モノクマ「ぐっぎっぎ!そんなの悪魔の証明だよ!簀子が汚れた証明は簡単でも、汚れてなかったことなんて証明できないんだ!」
智代子「大浴場に直前で行ってた人とかは……都合よくはいない、よね……」
摩美々「基本はシャワーで済ませる事が多かったしねー」
灯織「一つ、それを証明できるかもしれない物があります」
愛依「えっ!?マジ!?そんなんあったっけ!?」
……あの監視モニターの映像を見た時から引っ掛かるところがあった。
そもそも、彼女が【めぐるに毒薬を盛る必要がない】という点。
これまで通りの行動なら、私の手でめぐるを殺させさえすればそれで目的は果たされる、めぐるを気絶させてしまえばそれでいいだけなんだ。
そして二つ目に、【なぜわざわざ脱衣所に行ったのか】。監視カメラのないところを彼女が選ぶ理由は別段ない。
むしろあそこまで私たちの推理の裏をかく計画を立てた樋口さんなら、黒幕に監視カメラで毒殺を見せつけた方が私たちの誤答を導きやすくなるし効率的だ。なのに彼女は、むしろ黒幕の目を避けるようにして毒薬を飲ませた。
最後に、【あの樋口さんがここまでわかりやすいミスをするだろうか】。
簀子に薬をこぼさせたまま、なんてのがまず考えづらい。
私の知る限り樋口さんは入念な準備に、慎重な姿勢でわずかな油断ものぞかせない、そんな人物だったはず。それは脱衣所を出た時の映像もそう。
めぐるにわざわざ口元を拭かせて、今この部屋で毒薬を飲みましたよ、と証言しているよう。
そう、ここまで行動をまとめて振り返れば振り返るほど、彼女の行動原理はブレてくる。
私たちに対する復讐なら、こんな面倒を踏む必要性はない。
ともすれば、これは私たちに対する何かのメッセージ……?
『私の仕掛けた謎に気づいてみせろ』、樋口さんはそう言っているんじゃないの……?
灯織「……皆さん、樋口さんに監禁されたときのことを覚えていますか?」
雛菜「覚えてるよ~?確か雛菜は、部屋に一人でいた時に灯織ちゃんの監禁されてる写真を見せられて、慌てて部屋を出ようとしたところで意識を奪われちゃったんだよね~」
摩美々「摩美々も一緒でしたね、あの時は冷静じゃなくなってたしー」
灯織「……その写真ってどこから来たものだと思います?」
智代子「えっ……?あれ、そういえばそうだよね……写真なんか撮れるものって……」
愛依「あっ!【凛世ちゃんのカメラ】!ほら、霧子ちゃんの事件の時にデビ太郎の写真撮ってなかったっけ?!」
雛菜「あのカメラを円香先輩が~?」
摩美々「可能性は結構ある……だって、咲耶殺しの時に凛世と円香は協力関係だったわけだし、そこに取引があった可能性もないわけじゃ……」
愛依「で、でもさ!?カメラを円香ちゃんが持ってたとしてもさ、そんな自分の首を絞めるみたいな……うちらに有利な情報なんか残さないっしょ!?」
灯織「……今一度、樋口さんを信じてみませんか」
雛菜「……!!」
灯織「本当に、彼女が私たちのことを殺したくて殺したくて仕方なかったのか……」
灯織「モノクマ!おそらくですけど……脱衣所のロッカーのどれかに凛世のカメラが入っているものと思われます。捜査をしてもよろしいでしょうか」
モノクマ「ちょ、ちょっと待ちなよ!そんなの……そんなの……あり得ないって!」
モノクマ「オマエラ何を見てたのさ!樋口さんはオマエラ全員をぶっ殺したくて、ぶっ殺したくてあそこまでの凶行に至ったんじゃん!?そんな都合よく簀子の写真を撮ってるとか思うわけ!?イかれてるよ!!」
灯織「それならそれで構いません」
灯織「狂気的なまでの仲間に対する信頼……それが私にとっての武器です」
モノクマ「ぐぎぎぎ……」
智代子「ま、また笑った!?」
摩美々「……これはどうやら、文字通りの歯ぎしりみたいだよー」
モノクマ「ああああああ!もういい!ほらよ、お探しのブツはこれですか!?」
モノクマはイライラが噴出したのか、裁判場内に響き渡るぐらいの叫び声のと共に私に向かって何かを投げ飛ばしてきた。
なんとか間に合わせてのギリギリのキャッチ。
間違いない。確かに凛世がアンティーカのみなさんから譲り受けた結華さんと同モデルの【デジタルカメラ】だ。
摩美々「……モノクマ、もしかしてここまで裁判が始まる前に把握してたのー?」
モノクマ「ぷんすこぷんすこ!これ、ずっと隠したままにする気だったのにな!」
愛依「ひ、灯織ちゃん!?中身どうよ!?」
灯織「ま、待ってください……今確認します!」
皆さんにせかされて慌てて操作。背面の小型液晶に内蔵メモリの画像が表示される。
デビ太郎の事件の時の不審者もそのまま残っていたし、凛世が撮影した私たちの合宿生活の思い出も残っている。
それを眺めたい感慨から必死に目をそらし、どんどんどんどんスクロール。
灯織「この辺りですね……」
徐々に画像に私たちの監禁の画像が混じりだす。アイマスクに耳栓をされて無防備にうなだれる私。私をおびき出すために使われためぐるの監禁写真。そんな悪意の写真をめくってめくって……
……ついに行き着いた。
灯織「……あった、ありましたよ!」
脱衣所の写真は撮影日時もあの監視カメラ映像と同じ。
それなのに、そこに写りこんでいる簀子には、微塵も汚れなどついていない。ましてやあの、ビビットな色合いのシミなどは皆無だ。
灯織「モノクマ、認めてもらえますよね?」
灯織「間違いない……めぐるは事件が起きる前に、脱衣所で既にコトキレルXを服用済みだったんです!」
ついに突き付けた人差し指。先端はモノクマを刺して揺るがなかった。
間違いない。この結論が真実、これこそがすべて。
私はついに樋口さんの謀略を看破したんだ……!
いや、正確にはそうじゃない。
さっきも回顧したばかり、樋口さんがこんな毒殺を……まるでモノクマに一杯食わせるためのような毒殺を行ったという事実。
これが出てきた以上は、私たちの彼女に対する認識を改める必要がある。
……樋口さんの私たちを憎しむ心は偽りはない。あの日記にもない、敵意としては純度の高いものだった。
でも、そこに一切の混じりっ気がなかったとは言い切れないんじゃないのだろうか。
私の手を汚させるためのめぐる殺し、私にめぐるを殺したと思わせるためのダミー計画。
完璧に成し遂げたはずのそれに、わざわざ自分でほころびを加えたこと。
それを考えたなら、彼女は______________________
-------------------------------------------------
「……まずい」
私がこの隠し部屋に入ろうとした瞬間に、誰かが近づいてくるのに気づいたので咄嗟に入口とは別の個室に隠れた。
私と入れ違いになった人物は、そのまま素通りして隠し部屋へ。中で私が隠していた書類を読み漁り始めたらしい。
……別にあの情報は私が占有しようとして占有していたものでもなかったけど、
あの中の一部には……彼女たちに希望を与えうる、私に揺らぎを与えたものも混ざっている。
『このコロシアイは浅倉透のためのもの』
あのよくわからない怪文書のメモ書きの向こう側、隠し引き出しの中には彼が何かしらの形で隠したであろうボイスレコーダー。
……あれを聞かれるとまずい。
だから私はなんとか手ごろな武器はないかと捜索し、やっとで手に取ったトイレ用モップの柄の部分で思いっきり灯織の後頭部を叩きつけた。
打ち所が良かったのか一発で意識を奪うことに成功。
「……はぁ……はぁ……」
興奮と不安であがる息。慌てて書類の数々、そしてボイスレコーダーも回収。隠し引き出しには手を付けた痕跡もない。一応は大丈夫みたい。
……でも、私以外の人間が初めてここに足を踏み入れた事実が何と話に不安を掻き立てる。気が付けば私はそのレコーダーの音声を再生していた。
『……ザザ』
『……これを聞いているのが誰かはわからないが、黒幕でないことを祈る。もう声で分かったか?俺は君たちをプロデュースしている_____』
ああ、変わらず覇気のある誠実そうな声。いやでも聞きなれてしまった、【あの男】の声だ。
『もう遅いのは分かってる、それでも謝らせてくれ。俺はあの人を……コロシアイ合宿生活を止めることができなかった、みんなの身を危険にさらしてしまった』
もうそれどころじゃない事態になっているだろ、とこの音声を聞くのも初めてでないのに突っ込んでしまう。
『……いや、そうじゃないよな。俺が伝えるべきなのは……』
『俺が必ずみんなを助け出す。だから俺のことを信じて、自分自身のことを信じて生き残ってほしい。必ず助けは来る、それまで仲間たちでお互いを支え合って生き延びてほしい。たとえ警察や機動隊が無理でも、俺一人でも助け出して見せるから』
『……なんて、口だけじゃ信用ならないよな。大丈夫、行動で証明する』
私じゃなければ、灯織たちであれば、このメッセージを聞けばさぞ奮い立って結束も強固なものとなったことだろう。
でもおあいにく様、お涙頂戴感動のこもった熱いエールは私にしか届かない。
生き残ることなんか考えず、仲間の足を引っ張ることしか考えていない私にしか。現実とはつくづく皮肉なものだ。
それに大体、こんな学園設備を乗っ取ってしまうようなのが相手なのに個人で立ち向かうなんてそれこそ絵空事。できるはずがない。
≪高望みしようよ≫
……相変わらず夢物語がお上手ですね、ミスター・ストーリーテラー。
弁舌巧みに口八丁で人を動かしてしまうのだからあなたの恐ろしいところ。
きっとあなたは私にも他の子に向けるように期待をしているのでしょうね。
ですが、私はそうはならない。この犯行計画を止めるつもりはない。
あなたが望むのとは摩反対に仲間とやらの命を奪うことに躊躇は無いし、そのうえで私は自分の手も仲間の手も汚す。
でも、あなたの言葉をすべて無為にするのでは面白くない。
あなたへの反抗の意志表明をするのなら、少しだけ譲歩する方がお誂え向き。
あなたが信じてやまないアイドルなら、そのわずかな希望をつかみ取ることだってできるんでしょう?
きっと灯織なら_______
_____あなたの期待にこたえてくれますよ。
-------------------------------------------------
モノクマ「なんで樋口さんがそんな証拠を握ってるのさ……!彼女は絶望計画で風野さんたちを絶望させようとしてたんじゃないの……!?」
灯織「……それはある分では真意で、ある分では真意じゃなかったんですよ」
灯織「樋口さんは私たちのことを憎しむ一方で、助け出したい気持ちも持ってくれていた。それは殺意に比べれば些細な感情だったのかもしれません」
灯織「でもその揺らぎがこの突破口を開いたんです……!!」
摩美々「さて、これでどう見てもめぐるが脱衣所に入ったタイミングでコトキレルXを服用したのは明らかなワケなんですがぁ」
摩美々「これでも灯織をおしおきするのー?」
モノクマ「ぐぐぐぐぐ……」
灯織「これが樋口さんとの間に築かれた絆……!!樋口さんの力で私たちはモノクマを打ち破りますよ!!」
モノクマ「ぐぐぐぐぐ……」
モノクマ「認めない!認めるもんかーーーーーーー!!」
愛依「はぁ!?ちょ、モノクマ、今の話聞いてたん!?」
智代子「そうだよ!もう認める認めないの範疇の話じゃなくなってるんだよ!?」
灯織「ええ、樋口さんの残したカメラの写真。これが動かぬ証拠____」
モノクマ「うるさいうるさい!それだって確実な証拠じゃないでしょ!もしかしたら薬を飲まずに垂らしただけかもしれないし!」
雛菜「ぶ~~~~!そんなの屁理屈じゃないですか~~~~~!」
モノクマ「あのね、八宮さんを消し飛ばしたあの爆発。あれを起こしたのが風野さんなことは動かぬ事実なの!不確かな証拠と動かぬ事実、どちらを取るべきかは明白でしょ!」
愛依「や、でもこの証拠だってほぼ百パーの証拠じゃん!そんなにユーレツつかんって!」
灯織「モノクマ……あくまで認めないつもりですか」
モノクマ「ふん!ボクの了見で確認した限りは風野さんがクロで間違いないんだよ!だからあのおしおきも何も問題なし!」
智代子「き、聞く耳を持たないって感じだね……」
愛依「ど、どどどどーすんの!?こんなんじゃ、いくら議論しても仕方な____」
摩美々「じゃあ攻め方を変えてみよっかぁ」
灯織「摩美々さん?」
摩美々「こういうのは摩美々の得意分野なので、ちょっと見ててくれればいいよー」
そう言うと摩美々さんは舌なめずりしてから、モノクマに向き直る。
摩美々「ねぇ、モノクマぁ。摩美々たちはモノクマの言う通り自分の了見でおしおきして済ませるとしてさぁ」
摩美々「それってこの“世界”で許されることなのー?」
モノクマ「……は?なにさ、それってどういう意味―?」
摩美々「樹里の事件の時に言ってたよねー、この“世界”ではプログラミングなんか意味がないって」
摩美々「あの時からずっと気になってたんだよねー、“この”世界なんてまるで別の世界があるみたいじゃないー?」
モノクマ「ちょ、ちょっと待ちなよ!その時も言ったけど、それはただの言葉の綾で!」
摩美々「んー、でも摩美々たちは知っちゃってますからねー」
摩美々「この学園の外の世界に、摩美々たちのことを見ている人がいるって」
灯織「……!!」
(それってきっと……『あの人』、のことだよね)
摩美々「大体モノクマ自体が気づいてることでしょー、モノクマの緊急停止におしおきの失敗。そのいずれも外部からの干渉の結果だと思ってるんですケド」
愛依「そういえばそうだよね……あんなんどうみてもモノクマのミスとかじゃないし……」
摩美々「大体これだけの規模でコロシアイをしておきながら、ただモノクマの趣味とかで終わるとは思えないじゃーん」
雛菜「ん~、確かに漫画とかだとお金持ちがワイン片手に見てたりするイメージですよね~」
摩美々「普通、何かしらの目的があって開くんですよねー、こういうデスゲームって」
(そして、その目的ならなんとなく見当がつく……)
灯織「摩美々さん、その目的の説明は私がしても?」
摩美々「……!!そっか、任せたよー」
灯織「モノクマ、あなたはこのコロシアイ……これが目的なのではないですか?」
【正しいコトダマを指摘しろ!】
>>871~>>873
↓1
灯織「……」
【解!】
灯織「あなたに言われて図書館でこの学校について調べさせてもらいました。無人になってしまっているこの学園で何が起きているのか、そしてこの世界で何が起きているのか」
(あまりにも荒唐無稽な話だけど……モノクマの行動を説明するのなら、それしかない……!!)
灯織「皆さん、『人類史上最大最悪の絶望的事件』という言葉に聞き覚えはないですか?」
愛依「え、ええ?!な、なにそれ……そんな漫画みたいな……」
智代子「全然、聞いたことないよ……」
灯織「私も正直なところ、図書室で見るまでは一度も聞いたことすらありませんでした……事件の名前も出たらめなものですし、規模だって非現実じみている。でも、ここに書いてあることは……あまりにも身に覚えがあるんです」
摩美々「どういう意味―?」
灯織「見ていただいた方が早いですね……」
私はみなさんに改めてその馬鹿げた規模の、ありえない存在してはいけない、現実に実際起こった事件について説明した。
世界の文明が一度滅んでいること、世界が絶望で満たされていること、そして江ノ島盾子という一人の少女がそれを引き起こしたこと。
江ノ島盾子が、私たちの状況にあまりにも酷似したコロシアイ学園生活を開いたこと。
そんな非現実じみた現実を聞いた皆さんの反応は……
摩美々「そんなの……あるわけないじゃん……こんなの、どうみてもフィクションでしょー」
愛依「ないないないない!だってうちら、この学園に来るまでの記憶とかしっかりしてるけど、こんな事件聞いたことも見たこともないって!」
智代子「流石にちょっと信じがたいと言いますか……冷静になった方がいいかも?」
雛菜「だよ~?」
____拒絶。
私だってそうだ、理性の半分以上は今でもこの情報を理解できずにいるし、呑み込めていない。
でも、このコロシアイ学園生活の文字列は……無関係だとは到底思えない。
それに、この情報を持ち出したモノクマが
モノクマ「うぷぷぷ……」
不敵に笑いだしたんだから。
灯織「……私もまだ、そこに書いてることは信用はできていません。ですが、そこに書かれている『コロシアイ学園生活』、それは嫌気がするほど私たちのコロシアイ合宿生活と合致しているんです」
灯織「場所に参加人数、参加者が高校生に限られていることもそう……」
灯織「もし仮に、このコロシアイがそれに準えて行われていたのだとしたら、モノクマの目的とはつまり……」
摩美々「絶望を振りまくコト……?」
灯織「……摩美々さんの推理とも合致します、モノクマは今の私たちのコロシアイを中継で放映して絶望を世界中に波及させようとしている……そんな可能性だって」
愛依「いやいやいや!待って灯織ちゃん!そんなん無理だって!」
愛依「世界中に放映ったってめちゃくちゃお金かかるよ!?そんなんいくらモノクマが馬鹿げた力を持ってっからって……」
雛菜「____でも世界が滅んでたら関係ないですよね~?」
智代子「ひ、雛菜ちゃん!?」
雛菜「別にこの事件のことを信じたわけじゃないけど~……」
雛菜「かれこれ一か月も監禁されてるのに一切助けも来ないし、こんなにおっきな学校を丸々一つ占拠したりするなんてそうじゃないと説明付かない部分があるなってふと思ったんですよね~」
摩美々「……それはそうだけどー」
(いや……でも……そんな、世界が滅んだなんて、そんなわけ……あるはずない、あっていいはずない)
愛依「で、でもさ!?だとしたらうちらがそれを知らないなんて、おかしくない!?」
灯織「……愛依さん、これまた馬鹿げた話なんですが一つ可能性としては考えられるものがあります」
愛依「え……!?」
(……というよりも、私たちはそれに伴う体験も一度経験している)
(私たちは人類史上最大最悪の絶望的事件を、知らなかったわけじゃなく……)
(きっと……)
-------------------------------------------------
【ひらめきアナグラム開始!】
つ/く/し/お/き/そ/う
【正しい順番に並べ替えろ!】
※スキル:アップ・トゥ・ユーの効果を任意のタイミングで一度使用可能
↓1
-------------------------------------------------
-------------------------------------------------
【記憶喪失】
-------------------------------------------------
灯織「そうか、分かりましたよ!」
【解!】
灯織「……人類史上最大最悪の絶望的事件、それを私たちは知らなかったわけじゃない」
灯織「……忘れてしまっていたんです」
智代子「わ、忘れてた……?」
灯織「ここに居合わせている全員が揃って記憶喪失に陥っているということです……この事件に関する記憶を抜き取られて」
摩美々「……頭が痛くなってくるような話なんだケド」
灯織「私だってこんなのあり得ない、馬鹿げてるとは思いますよ!……でも、それなら、他にも説明がつくこともあるんですよ」
愛依「ほ、他にも……?」
(捜査中に見つけた身に覚えのないものはこれだけじゃない……)
(確かにそこに存在している情報なのに、私自身にまるで記憶がない……)
(きっとこれも……)
【正しいコトダマを選べ!】
>>871~873
↓1
灯織「これです!」
【解!】
灯織「前に一度、捜査中に私がある写真を見たという話をしたのを覚えていらっしゃいますか?」
智代子「そういえば……真乃ちゃんと小糸ちゃんの二人の写真があったんだっけ?」
雛菜「小糸ちゃんがそんなに仲良しだったのかぁってその時は雛菜も思いましたけど~」
雛菜「今ここで持ってくるってことは灯織ちゃん、そういうことなんだね~?」
灯織「うん……雛菜と一緒に確認した通り。この写真は、一枚で終わるものでは無かったんです……」
愛依「え……?こ、これって……うち……?」
摩美々「随分と楽しそうにしていらっしゃいますねー……」
愛依「い、いやいや知らない!こんなの、うちマジで知らないよ!?」
灯織「私もそうです……ここに映り込んではいますが、記憶はない……それは、全員がそうなんじゃないですか?」
智代子「うん……まるで覚えてないや」
智代子「こんなキャンプ、参加した覚えも……あれ?このキャンプ場って……」
摩美々「希望ヶ峰キャンプ場……摩美々たちが本来合宿で行くはずだった場所じゃないですかぁ?」
愛依「え?!で、でも合宿の途中でうちらはこのコロシアイに巻き込まれてるしさ……」
雛菜「その前提からおかしいんだよね~」
雛菜「発想の逆転、でしょ~~~~~?」
灯織「雛菜の言う通りです。私たちは、この写真にあったことを忘れている」
灯織「合宿に行った記憶を、喪失しているんです……!」
智代子「そ、そんなの……そんなのおかしいよ……」
愛依「うちらが集団で記憶喪失……?」
(困惑するのも仕方ない、非現実を非現実で煮詰めたような奇怪な事実……)
(でも、これを突き付けないことには、前に進めない……)
-------------------------------------------------
【ノンストップ議論開始!】
コトダマ
‣【人類史上最大最悪の絶望的事件】
‣【キャンプの写真】
‣【新聞記事】
‣【絶望の残党】
‣【Aへのメール】
‣【脱衣所前の監視カメラ映像】
‣【方舟計画】
‣【思い出しライト】
愛依「うちらが集団で記憶喪失!?そんなのってあり得るん!?」
摩美々「バスで気絶した時に、≪何か薬を飲まされた≫……とかぁ?」
雛菜「記憶を飛ばすなんてそんな都合のいい薬あるんですか~?」
愛依「うちらはバスで合宿に行く途中だったんでしょ?」
愛依「だったら途中でもしかして≪事故った≫んかも!そのショックで記憶が飛んだとか!?」
摩美々「や、だとしたら摩美々たち無傷なのがおかしいでしょー」
智代子「い、一旦落ち着こうよ!」
智代子「そ、そんな【人の記憶を弄るなんてできっこない】よ!」
智代子「写真はきっと加工した写真で……」
智代子「人類史上最大最悪の絶望的事件とかも、【後付け設定】なんだよ!」
智代子「だから……今までの話は……」
【正しいコトダマで矛盾する発言を論破もしくは正しい発言に同意しろ!】
※スキル:アップ・トゥ・ユーの効果を任意のタイミングで一度使用可能
↓1
灯織「それは違うよ!」論破!
【BREAK!】
灯織「人の記憶に干渉する技術なら、私たちは知ってるよ」
智代子「え?」
灯織「チョコ、忘れた?希望ヶ峰学園に関する記憶、第78期生が今年の入学者に選ばれたっていう記憶……あれは思い出しライトを使うことでやっと思い出せた」
灯織「むしろそれまでは忘れてしまってたんだよ」
智代子「……そ、それはそうかもだけど」
灯織「黒幕は意図的に私たちに与える記憶、失う記憶を操ることができる……そう考えた方がいいのかも」
灯織「だから、合宿の時の記憶は残ってないし人類史上最大最悪の絶望的事件も今の今まで忘れてた」
摩美々「……本当に、そんな事件があったって言うのー?」
愛依「う、うちらは……世界が滅んだ記憶を失ってる……?」
智代子「そんなの、そんなのあり得ないよ……だって、つい一か月前まで変わらない日常を送ってたんだし……」
雛菜「でも、状況証拠から考えると、それが一番すんなり通りますよね~?」
摩美々「や、でも流石に……そんな常識はずれな……」
灯織「この学園では常識なんて通用しない……それは私たちがここでの生活で学び取ったものです」
【モノクマ「事実は小説より奇なり!」】意見対立!
モノクマ「うぷぷぷ……これはこれは面白い議論で白熱していますね」
灯織「モノクマ……」
モノクマ「自分たちの記憶をめぐる議論、存在しない記憶が本当に実在したのか、そうでないのか……現実対非現実の対決と言い換えてもいいかもしれないね」
モノクマ「アイドルなんて幻想の世界の住人たちがこんな議論をするなんて、ああなんてファビュラス!」
雛菜「灯織ちゃん、ここはみんなになんとか納得してもらうしかないみたいだよ~」
雛菜「まあ、雛菜も納得してはないけどね~」
(……やるしかないんだね)
(悲痛極まりない可能性を、現実のものに変えるための対決を……!)
-------------------------------------------------
【意見対立】
【議論スクラム開始!】
「人類史上最大最悪の絶望的事件はフィクションだ!」vs【人類史上最大最悪の絶望的事件は現実に起きた!】
智代子「狙ったところだけ、全員記憶喪失にさせるなんてそんな技術……存在するわけないよ!」
摩美々「摩美々たちの住んでた世界ってそんなに脆い存在だったのー?映画や小説みたいに、そんな簡単に崩壊してしまうものだったのー?」
智代子「この合宿写真だって加工したもので……そんなの、いくらでも捏造可能だよ!」
愛依「うちらとこの事件とじゃあまりにも規模感が違いすぎて、自分の身に近しい話って感じられなくない?こんなんマジで無関係だって!」
摩美々「文明が摩美々たちの知らない内に滅んでたなんてそんな非現実的な話、本気で言ってるわけー?」
-------------------------------------------------
【意見スロット】
【技術】
【第78期生】
【世界】
【写真】
【現実】
【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】
※スキル:アップ・トゥ・ユーの効果を任意のタイミングで一度使用可能
↓1
「人類史上最大最悪の絶望的事件はフィクションだ!」vs【人類史上最大最悪の絶望的事件は現実に起きた!】
【灯織「これが……現実!」】
智代子「狙ったところだけ、全員記憶喪失にさせるなんてそんな技術……存在するわけないよ!」
【灯織「ここは私が!」
灯織「思い出しライト、全員がその身をもって体験したよね?人の記憶に干渉する技術を黒幕は有しているんだよ!」】
摩美々「摩美々たちの住んでた世界ってそんなに脆い存在だったのー?映画や小説みたいに、そんな簡単に崩壊してしまうものだったのー?」
【灯織「雛菜!」
雛菜「でも現に雛菜たちを助けに警察も来ませんし~、こんなコロシアイが成立してること自体おかしなことじゃないですか~?」
智代子「この合宿写真だって加工したもので……そんなの、いくらでも捏造可能だよ!」
【灯織「雛菜!」
雛菜「それならもう一回ちゃんと見る~?雛菜には本物の写真にしか見えないけどな~!」】
愛依「うちらとこの事件とじゃあまりにも規模感が違いすぎて、自分の身に近しい話って感じられなくない?こんなんマジで無関係だって!」
【灯織「ここは私が!」
灯織「希望ヶ峰第78期生によるコロシアイ、私たちによるコロシアイとの間の類似点を無視することはできません!」】
摩美々「文明が摩美々たちの知らない内に滅んでたなんてそんな非現実的な話、本気で言ってるわけー?」
【灯織「ここは私が!」
灯織「現実か非現実かなんて我々の主観だけで判断するものじゃありません……たとえ受け入れがたい非現実でも!」】
-------------------------------------------------
【CROUCH BIND】
【SET!】
【コンマの合計値500以上で相手のスクラムを打ち破れ!】
【スキルとアイテムの効果によりコンマ値が+70されます】
↓直下より5回連続でコンマ判定
【コンマ 23+23+86+18+58+70×5>350】
【全論破】
「「「これが私たちの答えだよ!」」」
【BREAK!】
灯織「……こんな現実、受け入れようったってそう受け入れられるものでもないです。それでも、もうこれを否定できるものでもないんです」
灯織「……私たちは、記憶を失っている。この世界が滅んでしまった、その記憶を」
摩美々「……はぁ、気が狂いそう」
智代子「もしかして……凛世ちゃんがおしおきの直前に言ってた、わたしたちを守るためって言葉はそういう意味だったのかな……」
智代子「外の世界の現実を、凛世ちゃんが知ってたからこそ……滅んだ世界に私たちが出会わないように……咲耶ちゃんを……」
愛依「じゃあ、うちらは本当に二年の記憶を失ってるの……?」
愛依「だとしたら……兄弟たちは今、どうなってんの……?」
場内に漂う陰鬱とした空気。外の世界は滅んでいる、そんな言葉は受け止めようとして受け止められるものでもない。
視線を落としてしまうのも致し方ないこと。
そんな空気の中、モノクマは不敵に笑う。
モノクマ「うぷぷぷ……うぷぷぷ……」
灯織「モノクマ……これが、狙いだったんですか……私たちをこの局面で絶望させて、糾弾を退け____」
モノクマの笑い声に食って掛かろうとしたその時だった。
モノクマは懐から何かリモコンのようなものを取り出し、そのボタンを押す。すると同時に場内のモニターにスイッチが入る。
すぐにその液晶には……信じがたい映像が流れだす。
「……は?」
そこに写っていたのは単純な暴力。暴力が暴力を呑み込み、更なる暴力が暴力を破壊する。
私が図書室で見た、あの写真よりもはるかに凄惨な、生きたままの暴力が映像として流れている。
モノクマ「その両目をかっぴらいてご覧あれ!これがオマエラの知りたがってた、その世界の真実だよ!」
その輝かしいステージに立つことを夢見てきたスタジアムは人々の血にまみれ、座席も破壊され見る影もない。
空は立ち上る煙と火柱に照らされ、橙色に染め上がる。がれきにまみれた街を行くのは、ぼろきれのような服をまとう子供たち。
大人の亡骸を引きずりながら、楽しそうに歌を歌っている子供たち。
「……!!」
_____その歌は、私たちの歌だ。
愛依「ゆ、夢だって……こんなの、悪夢っしょ……」
摩美々「…………っ!」
モノクマ「あはははははは!オマエラが帰りたがってた世界なんてもう、この世には存在しないんだよ!オマエラが夢見たステージも、一緒にレッスンした場所も、第二の家と言うべき事務所も!」
モノクマ「ぜーんぶぜんぶ木っ端みじん!何一つ残っちゃいないんだよー!」
視界の焦点が合わない、手足からは力が抜けていき、証言台を握っていないと崩れ落ちてしまいそう。
世界が滅びた映像のもたらした衝撃が、今まさに私の脳内を破壊していく。思い出という思い出が、爆撃を受けているよう。
____記憶の中の景色は、もはやどこにもない。
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真乃「ごめんね、最後まで一緒にいられなくて……アイドルの夢を追い続けられなくて」
真乃「でも、私二人なら頑張れる……アイドルとしてもっともっと輝けるって信じてるよ……っ!」
真乃「灯織ちゃん……めぐるちゃん……負けちゃダメだよ!むんっ!」
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真乃に託された夢を叶えられる場所もない。
モノクマ「おやおや?どうしたのみんな、急に黙りこくっちゃってさ!」
摩美々「……モノクマ、この映像は」
モノクマ「いうまでもなく本物、なんならリアルタイム映像でんがな!この学園は核シェルター並みの強度を誇っているから安全だけど、外の世界はそうはいかない。毎日そこらこちらでミサイルと手りゅう弾が飛び交って、人間の頭も飛び交うそんな賑やかな状態なんだよね!」
灯織「……」
雛菜「……」
愛依「……」
智代子「……」
摩美々「……」
モノクマ「やれやれ、みんなこんなんになっちゃったら議論が進まないじゃない!しょうがないなぁ、このままだんまりじゃつまらないし無理やりにでも議論を進めさせてもらうよ!」
モノクマ「さて、人類史上最大最悪の絶望的事件が実在したと明らかになったわけですが、これによって一つ証明できることがありますね?風野さん」
灯織「証明……?」
モノクマ「さ、学級裁判はまだまだ止まらないよー!むしろここからが本番なんだから……」
モノクマ「絶望のその先に行こうよ」
というわけで本日はここまで。
ダンガンロンパでは割とおなじみの流れになって参りましたね。
さて、このスレも残り少なくなってきました。
変なところで切れ目を迎えるのも嫌ですし、明日以降の再開は次スレを立ててそちらに場を移して行おうと思います。
こちらのスレの残りは後で適当に埋めてしまう形にします。
今章裁判パートを残すのみですが、どうか次スレでもお付き合いください。
それではお疲れさまでした。
新スレを立てました。
学級裁判はこちらのスレで続きをやる予定です。
本日20:30より再開予定、スマブラ生配信はリアタイしたいので本日の更新はそれまでですかね。
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「これが私たちの答えです」【安価進行】
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「これが私たちの答えです」【安価進行】 - SSまとめ速報
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