ひかげ『テレビ見てねーのか？』

れんげ「総理大臣が何か言ってたのん不要不急の外出は控えろ―って」

ＴＶに映る総理大臣『――以上の地域で緊急事態宣言を発令します』

一穂「まあ、仕方ないよね…」

学校

一穂「皆、しっかり手洗いうがいを怠らないようにね―それとマスクもねー」

夏海「わかってるって」

小毬「そう言うけど、夏海、いい加減に洗ってるじゃん」

夏海「ダイジョーブだって、夏海ちゃんそんな簡単に風邪ひきませーん」

小毬「自分でバカって言ってるようなものだよそれ」

宮内家

このみ『こっちはしばらく休校だって、それと外出自粛』

れんげ「そうなのん？遊べないのん？」

このみ『難しいねー』

駄菓子屋

れんげ「駄菓子屋―来たのん」

楓「れんげー悪い駄菓子は今ある分しかないんだ。
仕入れるわけにはいかなくて」

ちょっとずついつもの日常が変わっていったのん

学校


一穂「皆―今日から席を2ｍ以上離してねー」

れんげ「ソーシャルディスタンスなのん」


帰り道

小毬「あんまり密集すると『密』だよ『密』」

れんげ「うちそれ知ってるん、都知事なんな」

蛍「先輩そうは言ってもマスクしてますし…」

夏海「平気だってねーちゃんは心配しすぎだよー」

夜うちの両親が集会所から帰ってくると青い顔をしてたのん

「隣の町でどこにもいってないのに陽性の人が出た」って

ねえねえも、深刻な顔をして「かなりマズイかもねー」と言ったん

うちは…皆は…平気なん？

翌朝になると普段農作業に行ってる両親が青い顔をして咳をしてたん

ねえねえも顔色が悪いけど頑張ってお粥を作ってたん

一穂「こりゃあ休校だね―ケホケホ」

けど学校に行く時間になるとなっつんが来たのん

夏海「大変だ！！かずねぇ！！かーちゃんとにーちゃんが倒れてて！！
ねーちゃんが今看病してる―ゲホゲホ」

ほたるんも来た

蛍「先生！！ママとパパが倒れてて！！病院もどこも一杯って言われて！！ゲホゲホ」

一穂「ちょっと待っててねーうちの親たちも今朝から風邪がひどくて」

一穂「こういう時だから…うちがしっかりしないと…」

バタリ

れんげ「ねえねえ！！」

夏海「かずね―」

バタリ

蛍「せん…せぇ」

バタリ

れんげ「皆…皆…うちが…うちが…頑張らないと」

れんげ「あれ…家が傾いてるのん？」クラ

足に力が入らないのん…

胸もズキズキ痛むのん…

れんげ「ウチも…だめ、…ケホ…ケホ」



パタリ

………
……
…

ウ――――ウゥゥゥ

ピーポーピーポー

バタバタバタバタ

…………
………
……
…

？？？『――げ、――んげ、れんげ―』

誰かがうちを呼んでいるのん。

目をうっすらと開けるとテレビに誰かがうつってる

マスクとゴーグルを付けてたけど

声は聞き覚えがあったのん


れんげ「ひか姉…幻覚なのん？」

ひかげ『ちげーよ！！本物だよ！！』

東京都内某赤十字病院


ひかげ『家に連絡つかないし、夏海の家もダメでさー』

ひかげ『それで心配になって、すげー高価なマスク買って付けて帰ってきたらさー』

ひかげ『皆がさ…皆が…倒れてて』ポロポロ

ひかげ『慌てて…役場とか…いろんな所に電話してさ…』ポロポロ

ひかげ『はじめてさ、じ、自衛隊のへ…ヘリコプターに載せられて』ポロポロ

れんげ「ひか姉、うちは大丈夫なん」

ひかげ『そんなわけないだろー酸素マスク付けてる状態でよー』ポロポロ

うちはそれから二週間入院になったのん。

ねえねえたちも別の部屋で入院してたん。

退院の日には皆で一緒には帰れなかったけど

家に着いたら小さいテレビがこたつの上にあったのん

タブレットでズームという機能で皆で授業を受けるのん


そして、今日が家で授業を受ける日なのん

一穂「皆、おはよー」

夏海『おはよー』

小毬『おはよー』

卓『』コクコク

蛍『おはようございます』

久しぶりに皆に会えたのん

だからうちは元気いっぱい挨拶したのん

れんげ「にゃんぱす――！！」



新型コロナウィルス収束を願って

完