果穂「ミッション・フルコンプリート!!!」 (43)

※このお話は放課後クライマックスガールズのイベントコミュ『ミッション・コンプリート!』の続きです。そちらをご覧になってから見てください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1620105354

果穂「え?『STEAL TH』の新作ゲームですか!?」

P「あぁ、何でも前回のコラボ企画で放クラが大好評だったらしくてな、次の新作でもPRを依頼されたんだ」

果穂「凄いです!!!」

樹里「それで?今回はどんなゲームなんだ?」

P「今回は満を辞してVR体感型ゲームだ」

夏葉「なるほどね…VRにすることで銃撃戦がよりリアルになるわね…」

智代子「それじゃあゴーグルとかつけるのかな?」

P「いや、今回はよりリアルな体験をしてもらうためにゴーグルだけじゃなく、専用のカプセルに入ってもらう」

凛世「カプセル…ですか…?」

P「今回は没入型の新感覚ゲームでな。視覚以外にも触覚、聴覚を繋いでよりリアルなバーチャル世界に入ってもらう」

夏葉「バーチャル世界に…入る?」

P「つまり意識ごとバーチャル世界に飛ばされるってことだ。バーチャル世界の中で、この前のようにミッションに挑んだり、対人戦をしたりできるようになる」

果穂「す、凄いです!!!未来のゲームです!!!」

凛世「意識を…手放す…」

樹里「おいおい、なんか怖くないか?大丈夫なやつなんだろうな?」

P「あぁ、その辺の安全性は万全だ。テストもばっちりだ」

智代子「それなら安心だね」

夏葉「えぇ、今回も存分に楽しみましょう」

智代子(その時、私たちは知らなかった)

夏葉(この仕事が…)

樹里(まさか、あんなことになるなんて…)

凛世(思いも…しなかったのです…)

PR当日

果穂「夏葉さん!ちょこ先輩!」

夏葉「…」

智代子「…」

果穂「そんな…樹里ちゃん!!凛世さん!!」

樹里「…」

凛世「…」

P「くそっ…まさか…こんなことになるなんて…」

果穂「嫌…嫌です!!!どうして…どうしてこんなことに…」

P「機材トラブルだ…かれこれ三十分以上、みんなの意識が戻ってこない…」

果穂「そんな…」

P「果穂だけが事前にインタビューを受けていて、ログインするのが遅れたのが不幸中の幸いだった…」

果穂「…全然…全然良くないです!!!」

P「果穂…」

果穂「何にも…何にも幸いじゃないです…凛世さんが…ちょこ先輩が…夏葉さんが…樹里ちゃんが…みんなが…」

P「…すまない、不謹慎だったな」

夏葉(ちょっと、大丈夫なのこれ…)

凛世(少し…やりすぎのような気も…)

P(そう、お察しの通りこれは…)

P(ドッキリなのである)

P(ことの始まりは前回のコラボ企画でのドッキリが大好評だったことを受けてだった)

智代子(そこで今回も、ドッキリ形式でPRを行うことが決まったんだけど…)

樹里(流石に前回からの変化は欲しいっていうことで、全員じゃなくて誰か一人をドッキリにかけることになって…)

凛世(前回のドッキリで…特に天真爛漫さが、好評だった果穂さんが…選ばれました…)

夏葉(もちろん、果穂を騙すなんてという罪悪感もあるけれど…受けた以上はプロとしてしっかりと仕事をしたい…)

P(だから綿密に話し合って、ドッキリの内容を決めたんだが…)

果穂「うぅぅ…みんな…みんな…」

樹里(…この時点で罪悪感が凄い)

智代子(うわぁぁあ!もうネタバラシして抱きしめたいよぉ!)

P(くっ…まさかこれほどまでにこちらにダメージがあるとはな…)

果穂「何か…何か無いんですか!?みなさんを助ける方法は…!」

P「一つだけ…ある…」

P(そう、この一つだけある『みんなを助ける方法』こそが今回のドッキリ企画の目玉)

P「同じバーチャル世界に入って、中にあるメインサーバーの緊急停止ボタンを押して動きを止める。それがゲームのクリア条件だ。そうすればゲームクリアになってみんなの精神をこっちに戻せる」

果穂「それなら、私が…」

P「だけど、見ただろう?このゲームの安全性は最早保証されていない。最悪の場合、助けに入った人も同じように出て来れなくなる」

果穂「で、でも…」

夏葉「きゃぁぁぁぁあ!?」

果穂「夏葉さん!?」

樹里「ぐぁぁぁぁぁあ!?」

智代子「やめてぇぇぇえ!?いやぁぁぁぁあ!?」

凛世「くっ…がっはっ!?」

果穂「樹里ちゃん!?ちょこ先輩!?凛世さん!?」

P「くそっ…帰って来れないばかりか、精神にまで…」

果穂「そんな…そんな…」

P(もちろんこれは果穂に危機感を抱かせるための演技だが…)

果穂「大丈夫です!私が…私がついてます!」ギュッ

夏葉(きゃぁぁぁあ!?果穂がぁぁぁぁあ!?手を!手を!)

樹里(ぐぁぁぁぁあ!?罪悪感がぁぁあ!?)

智代子(やめてぇぇぇえ!?いやぁぁぁぁあ!?罪悪感に押し潰されるぅぅう!?)

凛世(くっ…がっはっ!?まさか…これほどまでとは…)

P(みんなこれ、マジでダメージ受けてないか?)

果穂「プロデューサーさん…私、行きます!」

P「いや、しかし、危険が…」

果穂「危険なのはわかってます!!でも…でも…みなさんが苦しんでるんです!!」

P「果穂…」

果穂「他の誰でもない…放クラのみんなが…だから…助けるのは私じゃないとダメなんです!!!」

P「…わかった、くれぐれも気をつけてな」

果穂「はい!!!絶対に皆さんを助けてきます!!!」

P「…お前は本当にかっこいいよ、果穂」

P(ここで、機械のスイッチを入れる。他のメンバー四人もここでようやく本当にバーチャル世界に入る)

果穂「ここが…新作の『STEAL TH』の世界…」

P『果穂、聞こえるか?』

果穂「プロデューサーさん!?」

P『良かった。まだそこのエリアには、こっちの声が転送できるみたいだ』

果穂「えへへ、プロデューサーさんが居てくれると安心です!!!」

P『そう言ってくれるのはありがたいけどな…この先…つまり、サーバーがあるエリアでは通信が取れない』

果穂「そうなん…ですね…」

P『加えて、あの四人があんな状態になったのは、そのサーバーがあるエリアで一斉にゲームオーバーになってからだ』

果穂「ゲームオーバーになったら…」

P『あぁ、みんなと同じ状態になってしまうと考えた方が良さそうだ』

果穂「…絶対に成功させます!!!もう一度みんなと一緒に笑うんです!!!」

P『…あぁ、行ってこい!』

果穂「はい!」

ナレーション「エリアを移動します」

果穂「…行きます!」

サーバーエリア

果穂「あれが…メインサーバー…あれを止めれば…みんなを…」

凛世「果穂…さん…」

果穂「え?り、凛世さん!?」

樹里「果…穂…?」

智代子「果穂だ…」

夏葉「…」

果穂「樹里ちゃん!ちょこ先輩!夏葉さん!みんな無事だったんで…」

ナレーション「バトルステージ、展開」

果穂「え?」

夏葉「…」パァン

ビ-ビ-
ヒダンシマシタ

果穂「そんな…どうして…」

夏葉「どうして?私たちは仲間でしょう?」

果穂「そんなの!当たり前で…」

樹里「なら、果穂もこっち側に来ないとな」

果穂「樹里ちゃん?」

智代子「そうだよ、みんなでこっちで楽しく過ごそうよ」

夏葉「ええ、ここでなら…精神だけの世界なら疲れることもなく、みんなずっと一緒に暮らせるわ」

果穂「ちょこ先輩…夏葉さん…みなさん…操られて…」

智代子(もちろんこれも操られた演技…)

夏葉(私は…私は…果穂に引き金を…)

樹里(おい!夏葉!しっかりしろ!)

凛世「ほら…果穂さんも…こちらへ…」

果穂「凛世さん…ごめんなさい…それはできません…」

夏葉「あら…それは何故かしら?私たち、仲間でしょう?」

果穂「皆さんが教えてくれたからです…」

樹里「…アタシたちが?」

果穂「いつもの夏葉さんなら、簡単で楽なだけの道なんて選びません!」

夏葉「っ…」

果穂「ちょこ先輩は、誰よりも今を楽しもうとする人です!そんな人が!現実の楽しいことから目を背けるわけがありません!」

智代子「果穂…」

果穂「樹里ちゃん…どうしちゃったんですか?私の知ってる樹里ちゃんは、見せかけじゃない、『本当の優しさ』を誰よりも知っている人だったじゃないですか…」

樹里「果穂…」

果穂「凛世さん…私がお兄ちゃんと喧嘩した時に教えてくれましたよね?いつだって、凛世さんは、正しい道を教えてくれましたよね?」

凛世「果穂さん…」

果穂「みなさんは、私にたくさんのことを教えてくれました…だから…今度は私の番です!!!」

凛世(果穂さん…)

夏葉(いつの間に…こんなに…大きくなって…)

樹里(ちくしょう!泣かせやがって!)

智代子(くぅぅ!ごめんねぇぇえ!果穂、これドッキリなんだ…)

果穂「今度は私が…皆さんを助けます!」

果穂(これが前までの『STEAL TH』と同じなら、六発撃てば動きが止まるはず…みなさんを撃つのは気が引けるけど…)

果穂「ごめんなさい!」パァン

ビ-ビ-
ヒダンシマシタ

夏葉「きゃぁぁあ!?」

果穂「え?嘘…痛みは無いって…私も痛くはなかったのに…」

樹里「ぐぁぁぁあ!?」

智代子「痛いぃぃい!?」

凛世「くっ…」

果穂「そんな…夏葉さんに撃ったのに、他の方にまで…」

智代子(もちろんこれもドッキリなんだけど…)

凛世(現実世界の演技と合わせて…果穂さんは撃つことを躊躇うはず…)

果穂「これじゃあ…撃てない…」

凛世(その間に…)

樹里「…」パンパン

夏葉「…」パァン

ビ-ビ-
ヒダンシマシタ
ビ-ビ-
ヒダンシマシタ
ビ-ビ-
ヒダンシマシタ
ビ-ビ-
ヒダンシマシタ

果穂「くっ…このままじゃ…」

凛世(後一回、弾を撃ち込んで…)

智代子(みんなで果穂を囲んでネタバラシなんだけど…)

樹里(うわぁぁぁあ!?すまねぇぇぇえ果穂ぉぉお!?)

夏葉(ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!)

智代子(その前に罪悪感に殺されないかな?)

凛世「これで…最後です…」パァン

ビ-ビ-
ヒダンシマシタ

智代子(ラスト一回、これで果穂を囲んでネタバラシを…)

果穂「ぎゃぁぁぁああ!?」

智代子「え?嘘!?」

凛世「果穂さんに痛みが?」

夏葉「そんなはずは…!?」

樹里「果穂!?」

果穂「…ありがとうございます!」

パァン

夏葉「え?」

樹里「な!?」

智代子「何!?何!?」

凛世「もしや…」

ナレーション「メインサーバーの緊急停止ボタンが押されました。おめでとうございます。ミッション・コンプリート」

果穂「えへへ、やっぱり、みなさん、止まってくれました」

夏葉「まさか…わざと…?」

果穂「はい、ごめんなさい。嘘をついちゃいました…みなさんなら…例え操られてても、みなさんなら、私が苦しんだら止まってくれると思ってましたから…」

樹里「アタシたちが止まった僅かな隙をついてスイッチを狙うなんてな…」

果穂「へへ、皆さんを信じてましたから!」

智代子(ドッキリのネタバラシよりも先にゲームをクリアしちゃうなんて…)

凛世「凄まじい…集中力です…」

ナレーション「ログアウトします」

果穂「みなさん!正気に戻ったんですね!」

樹里「あー、それについてなんだけどよぉ…」

智代子「私たち、果穂に謝らないといけないことがあるんだ…」

果穂「え?」

 その後、現実世界に戻ってネタバラシされた果穂は安心のあまり泣き出してしまい、放課後クライマックスガールズに『果穂へのドッキリはNG』という決まりができたが、それはまた別のお話。

終わり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom