【十三機兵防衛圏】東雲「バレンタインデー?」 (18)

・ネタバレ注意




・各キャラの関係性は脱出時のまま進展なし
・オリジナル設定あり

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如月「っつー訳で、みんなでバレンタインチョコ、作るわよ」

薬師寺「…と言っても、合成チョコだけど」

如月「本物なんていつになったら食べれるのよ。こういうのは雰囲気よ、雰囲気」

沖野「……趣旨は理解できたけど、なんで僕まで?」

如月「え?だってあんた比治山に渡すでしょ?」

沖野「さも当然の様に言わないでくれるかな。大体僕は別に…」

如月「あーはいはいわかったわかった、どうせ作るんだから一緒にやっちゃった方が良いでしょ?」

沖野「人の話を…」

如月「つべこべ言わずに参加しなさいっての」

沖野「…やれやれ」

東雲「私は結構よ」ガタッ

南「えっ?東雲先輩?」

東雲「別に渡したい人が居るわけでもないし…」スタスタ…

如月「あー…行っちゃった」

鷹宮「あたしも止めとく」

冬坂「え?でも、網口くん喜びそうだけど」

鷹宮「……こーゆーのガラじゃねえっての」

如月(ちょっと、ナツノ)ヒソヒソ

南(う、うん)

南「ほら、ユキちゃん、せっかくだし一緒にやろ?ねっ?」

鷹宮「……ま、まあ、なっちゃんがそう言うなら」

如月(…チョロいな)

玉緒「私、チョコレートなんて作るの初めてだわ」

南「あー、そっか…って、実は私も初めてなんだけど」

鷹宮「な、なっちゃんはラッピングとかそっちの方を…」

冬坂「そ、そうそう、慣れないことはしない方が…」

南「う~ん…、でも三浦君に手作り渡したいし…」

如月「初めてでも大丈夫だって!メグミも居るし、あたしも手伝うからさ」

南「ウサミ…ありがと!薬師寺さんもお願いね」

薬師寺「うん」

冬坂「じ、じゃあ二人ともお願いね」

鷹宮「……頼んだぞ」

如月「?」

南「ところで東雲先輩って……どうなの?」

冬坂「どうって?」

南「恋愛とか」

冬坂「なんか、むこうで色々あったみたいだけど…」

如月「あんた、なんか知らないの?」

鷹宮「いや、別に…(あの事話す訳にもいかねぇしなぁ)」

沖野「……」

南「中学の時は郷登先輩と付き合ってたんだよね?関ヶ原くん、なんか言ってなかった?」

冬坂「あんまり話したくないみたいで、なんか、聞きづらい…というか」

如月「それにしても、よりにもよって郷登ねぇ、趣味悪いわ」

鷹宮「へぇ~、緒方だったら趣味良いってのか?」

如月「う、うっさいな!網口みたいな軽いのより良いわよ!」

鷹宮「……」

如月「あ、あれ?」

鷹宮「……正直それはあたしもそう思う」

如月「…同意しちゃうかぁ」

──────

薬師寺「南さん、だから直接火にかけちゃダメだと…」

南「あ、お湯に入れて溶かすんだっけ?」ボチャッ

如月「だからって直接入れてどうすんのよ!もう!」

南「えっ…ってうわっ!」ドンガラガッチャーン



冬坂「沖野くんの作ったチョコ、すごくキレイ!」

沖野「テンパリングは要するに温度管理だからね、ちゃんとやれば誰でも出来るさ」

鷹宮「相…玉緒さんも器用だな」

玉緒「こっちに来てからみんなに色々なお菓子を教わったけど、どれも作るの楽しいわね」ウフフ

冬坂「玉緒さんの作ってくれるお菓子、おいしいよね~」

キャッキャウフフ



如月「あいつら…知ってて押し付けやがったわね」

東雲「……」ガチャ…トコトコ

鷹宮「あれ?東雲じゃねーか」

東雲「やっぱり、私も作るわ」ドサッ

如月「作るのは良いけど…何よ、その大量のチョコは」

東雲「…嫌がらせのためよ」

鷹宮「嫌がらせ?」

──────

────

──

東雲「……」テクテク

郷登「東雲君、ここに居たのか。少し手伝ってくれ」

東雲「郷登くん、どうしたの?」

郷登「ミウラの遺したデータを調べていたところ、東雲博士の研究データと思われるファイルを発見した。閲覧するのに君の生体IDが必要だ、来てくれ」

東雲「分かったわ」

郷登「遺伝的多様性の低さは我々、そしてこの星における人類が抱える事になる重大な課題だ」

東雲「……」

郷登「遺伝子工学の研究者であった彼女の研究データならば、何らかの有用な情報が…」

東雲「…郷登くん」

郷登「どうした?」

東雲「私からチョコレートを貰ったら、嬉しい?」

郷登「……突然何を言い出すんだ、君は」

──────

郷登「……なるほど、バレンタインデーか。如月が考えそうな事だな」

東雲「で、どうなの?」

郷登「…確かに我々には文化を継承していく使命がある。そういったイベント事もその範疇だろう」

東雲「……」

郷登「だが、文化を継承する以上、本質を見誤ってしまっては意味がない」

東雲「……」

郷登「バレンタインデーにチョコレートを贈るという習慣は、日本の菓子店が始めた、言わばキャンペーンであり、非常に通俗的で商業的なイベントだ」

東雲「……」

郷登「本来のバレンタインデーからすれば異質と言っていい。そもそも聖ウァレンティウスというのは…」

東雲「……」イラッ

──────

────

──

東雲「…と、いうわけよ」

如月「うっわ、いかにもアイツの言いそうな事だ」

冬坂「貰ったら嬉しい?…って聞いてるのにその答えはちょっと…」

沖野「彼に女心を理解しろというのは無理があるんじゃないかな?」

鷹宮「それお前が言うのかよ」

如月「それでなんかムカついたから郷登に嫌がらせ、か…」

鷹宮「…なるほど」

沖野「…面白そうだね」

如月「協力するわ」
鷹宮「協力するぞ」
沖野「協力しよう」
玉緒「私もお手伝いしますね」

東雲「あなたたち……助かるわ」

冬坂「えぇっ!?……せっかくのバレンタインだし、そういう目的でチョコ作るっていうのはどうかと…」

如月「あー、気が進まないならイオリはいいよ、私達でやるし。…代わりにあっちお願い」

冬坂「あっち?」


南「あ、イオリ、これどうしたら…(謎の煙をたてるチョコ)」

薬師寺「……(助けを求める目)」

冬坂「えっ!?…ええっ!??」

南「う~ん、うまくいかないなぁ…」

冬坂「…なっちゃん、とりあえず溶かして固めるだけにしよ?」

南「でも、せっかくだし色々アレンジしてみたいというか…」

薬師寺「……お願いだから、そういうことはまずまともに作ってから言って」

南「そうだ!カレーの隠し味にチョコレート入れたりするから、逆にチョコの隠し味にカレーを入れてみるとか」

薬師寺「そんなの絶対に…」

冬坂「あ、意外とアリかも」

薬師寺「えっ??!?」

冬坂「ちょっとやってみよっか」

薬師寺「……正気?」

南「…出来た!どうかな?」

冬坂「…うん、結構いける、かな」

南「薬師寺さんも、食べてみて」

薬師寺「えぇ…(困惑)」

…パクッ

薬師寺「んぐふっ!」

冬坂「あ、あれ?ダメだった?」

南「なんかちょっと一味足りない感じかな?」

薬師寺「……そういう次元の問題じゃないわ」

冬坂「………なっちゃん、マヨだよ。バナナマヨクレープがあれだけ美味しいんだから、チョコとマヨが合わないわけ無いよ!」

薬師寺「は?!??!!?」

南「おおっ!さすがイオリ!…どうせなら他にも色々と…」

薬師寺「えぇ…」

薬師寺「……………」ジーッ

如月(なんか、背中に痛いほど視線を感じるんだけど…)ヒソヒソ

鷹宮(振り返るな、取り込まれるぞ)ボソボソ

東雲「…鷹宮さん、何をしているの?」

鷹宮「うっ…バレたか。せっかくだからトウガラシでも仕込んでやろうかと…」

如月「えっ、あんたも?私もワサビ入りのやつ作ったんだけど」

沖野「君たち、真面目にやりなよ」

鷹宮「あぁ?こんなのに真面目もクソもねぇだろ」

沖野「大量のチョコを贈りつけるっていう嫌がらせなんだから、同じ味がひたすら続く方が苦痛に決まってるじゃないか」

鷹宮「……お前はお前で考えることエグいな」

如月「てか、その理論でいくと、さっきから笑顔で大量に仕上げていく玉緒さんが一番凶悪ってことになるけど…」


南「よしっ完成~!」

鷹宮「お、おう、なっちゃん、出来たんだ」

南「へへ~、薬師寺さんのおかげだよ♪」

薬師寺「」

如月「……メ、メグミ、お疲れ~」

南「それで…これ、ユキちゃんに」

如月(見たことない色をしてる)

鷹宮「えっ!あ、あたしに!?」

沖野(喜びと戦慄が入り交じった表情をしてるな)

南「薬師寺さんから聞いたんだけど、未来には友チョコっていって、親しい友達にチョコ贈ったりするんだって」

薬師寺「……」

鷹宮(あのアマァァァァ!!!)

南「やっぱりユキちゃんは、その、特別だから…」

鷹宮「あ、ありがと、気持ちは本当に嬉しいよ…」

南「ね、食べてみて?」

鷹宮「………………うん」

鷹宮「……」パクッ

コリッ…グニッ…モチャモチャ…ペソッ…

南「ど、どお?」

鷹宮「あ、ああ、とっても…おい…し───」バタッ

南「ええっ!ちょっ、ユ、ユキちゃん!?」

如月「…うわぁ」

薬師寺「トミ。」

如月「は、はいっ!」ビクッ

薬師寺「あなたの分もあるのだけど」

如月「任せっきりにしてすみませんでしたっ!許して!」

──────

────

──

──当日──

冬坂「瑛くん、これ…」

関ヶ原「俺にか?…ありがとう」

冬坂「えへへ////」


薬師寺「十郎、これ、あなたに」

十郎「恵…ありがとう、嬉しいよ」

薬師寺「十郎…」

十郎「恵…」

如月(ま~た二人の世界に入り込んでる…)


網口「ユキちゃん、俺には?」

鷹宮「あ?んなもんねぇよ」

網口「またまた~、後ろに持ってるじゃない」

鷹宮「これは、その、ついでに作っただけだ。……まぁ、欲しいってんなら、くれてやってもいいけど」

網口「ユキちゃん、ありがと♪」

鷹宮「…ちっ、そんなに喜ぶなよ」

網口「来月にはちゃんとお返しするからさ、それまでに返事、考えといて」

鷹宮「は!?ちょっ、へ、返事ってなんの事だよ!おい!////」

南「三浦くん、はい、これ」

三浦「私に?…いただけるのですか?」

南「うん、もちろん!……実は、こういうの作るの初めてで、うまく出来てるかあんまり自信ないんだけど…」

三浦「とんでもない、ありがとうございます」

南「えへへ//// ね、食べてみて」

三浦「いただきます」

ゴリ…ブニッ…モニュモニュ…ペソッ…

南「ど、どうかな?」

三浦「…い、いえ、…その、と、とても美味しいです…」

南「良かった~♪」

沖野(鷹宮を一撃で昏倒させたアレを耐えたのか…すごいぞ、三浦慶太郎)

沖野(…おや?)

比治山「……」ウロウロ

比治山「……」チラチラ

沖野(……)

沖野「比治山君、どうかしたかい?」

比治山「い、いや、べ、別に…」

比治山「……」ソワソワ

沖野(……面白いからしばらく放っておこう)

如月「はいこれ、あんたの」

緒方「え、俺に?」

如月「何よ、いいから受け取りなさいよ」

緒方「お、おう…」

如月「……あんた、前に『甘い物苦手』って言ってた時の事、覚えてる?」

緒方「いや?俺、甘いもん好きだぜ」

如月「…知ってる。はぁ、やっぱり覚えてない」

如月「……あの時のチョコレート、いつか返そうって思ってたから…」

緒方「いったいなんの話だよ」

如月「……もういいわよ」

緒方「ウサミ」

如月「…何よ」

緒方「ありがとな」

如月「……バカ////」

郷登「……東雲君、これはなんだ?」

東雲「バレンタインチョコよ」

郷登「…質問の仕方が悪かったか。私のデスクとその周辺を埋め尽くした大量のチョコは何事かと聞いているんだ」

東雲「あなたの為に心をこめて作ったの(大嘘)」

郷登「……」

東雲「全部食べてね」

郷登「……………」



その後郷登は…


関ヶ原「……」

郷登「……」モグモグ…


何故か関ヶ原に睨まれ…


緒方「おめぇそんなに食べて大丈夫かよ」

郷登「……」モグモグ…


緒方に心配され…

比治山「貴様…すごい量だな。だが、こういうものは数ではない、いかに真心がこもっているかだろう」

比治山「いや、べ、別に沖野からもらった物がそうだという訳ではないぞ!」

比治山「……そうだ、男からもらって嬉しい訳があるか!!」

比治山「……だが、まあ、旨かった…というのは認めざるをえまい………やきそばパンの次くらいには旨かった」

郷登「……」モグモグ…


比治山からよく分からないノロケを聞かされながらも数日かけてどうにか完食し…


東雲「え?本当に全部食べたの?(ドン引き)」

郷登「ああ」

東雲「そう…」

郷登「……美味しかったよ」

東雲「……」


東雲さんの中で、少しだけ株を上げましたとさ

めでたしめでたし

玉緒「ところで、私も作ってみたのだけど…」

玉緒「いったい誰に渡したらいいのかしら?」


─end─

以上になります


このゲームでメシマズ枠は(居るとすれば)恐らく冬坂になるんでしょうが(バナナマヨクレープの件)、沖野くんのセリフが使いたかったのでなっちゃんにメシマズになってもらいました。なっちゃんすまん

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