海防艦について (19)


日振型 日振 から 択捉型 福江 まで


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【 日振 】


お気に入りの歯磨き粉はイチゴ味。大東はバナナ味。


日振「あ、歯磨き粉がないよ」

大東「貰ってこなきゃ」

日振「五十鈴さん、歯磨き粉ください」

五十鈴「えっ?あっ、発注忘れてた」

大東「えーっ、どうすんだよ」

日振「五十鈴さんのを貸してください」

五十鈴「うーん、アンタたちには辛くないかしら」

大東「子供扱いすんなって」

日振「何味なんですか」

五十鈴「フレッシュミント」





日振「げふぉっ!?ぶはぁっ!何これ!」

大東「何だよこれ!げふげほっ!」

五十鈴「あー、やっぱ無理かー」

大東「何でこんなの使ってんだよ!」

日振「お口がヒリヒリするよ~」

五十鈴「ゴメンゴメン、新しいの頼んどくから」

五十鈴「お詫びに何か買ってあげるわ」





日振「アイス美味しい」モグモグ

大東「チョコミント最高」ペロペロ

五十鈴「何でそれは平気なのよ」



【 大東 】


佐渡と並び悪名高い悪ガキ界のツートップ。じっとしていると死ぬ。


落ち着きのないアホの子に見えるが危機察知能力は低くなく、本当に危険な相手の前ではふざけない。



大東「神通せんせー、さよーならー」

神通「はい、お疲れ様でした。さようなら」





神通「大変な問題児と聞いていたのですが」

提督「大人しくしてた?」

神通「ええ、とっても。行儀良かったですよ」

提督「ええー?ホントに」

神通「上手く指導出来るか不安でしたけど、みんないい子で良かったです」

提督「そ、そうか」





大東「あれはヤバい。マジでヤバい」

日振「そんなに怖い人なの」

大東「ガチだ。アタイじゃなきゃ死んでたね」

佐渡「まつなんかずっと直立不動だったからな」

日振「優しそうに見えたけど」

佐渡「佐渡サマなんてちょっとチビったぞ」

大東「アタイはうんこ漏らした」


  キタネーナ! マジヤバイ! ワイワイ ガヤガヤ キャーキャー


天龍「おめーら、静かにしろ!」

阿武隈「話を聞いてくださーい!お願ーい」



【 占守 】


ロシア艦と親好深い海防艦。

ガングートとも仲が良いが、酒に強くないのでウオッカは飲まない。



占守「へー、響は四姉妹っすか」

響「姉が一人と妹が二人いるよ」

石垣「どんな娘なの」

響「みんないい子ばかりだよ」

八丈「響みたいに賑やかなのかな」

響「響みたいに、ってのはよく分からないけど」

響「そうだね、私よりは賑やかかな」

響「暁や雷は元気だし、電は大人しいけど私よりは明るいよ」

響「姉妹の中では私が一番物静かかな」

占守「えー?」

国後「みんな響よりも騒がしいの?」

占守「想像つかないっしゅ」

響「そうかい?」





響「ハラショー!」グビグビプハーッ

響「おかわりはまだかな」ゴキュゴキュ

響「暑いからパンツ脱ぐよ」スッポンポーン!

響「カニ缶があったはずだね」フラフラ

響「うわあ、転んだあーっ」ドンガラガッシャーン!

響「不死鳥の名は伊達ではないよ!」ウラウラーッ!



八丈「これよりも騒がしいとか」

国後「想像つかないわね」

占守「暁型、恐るべしっしゅ」



【 国後 】


幼くとも軍属の端くれ。

羽目を外し過ぎる事もなく、規則正しい日々を送っている。



国後「……」ゴロゴロ

国後「……」モゾモゾ

国後「……眠れない」


にも関わらず、数日置きに訪れるこの不眠の症状。

原因が分からない。





占守「クナ、今日は何にするっしゅ」

国後「今日はコーヒー牛乳かな」

占守「じゃあ占守はイチゴ牛乳ー!」

八丈「ハチもイチゴにしようかな」

佐渡「ガッキーもイチゴかー?」

石垣「今日はフルーツ牛乳の気分」

佐渡「おー、フルーツ牛乳もいいよなー」

松輪「松輪は……普通の牛乳で」

佐渡「えー?甘くないじゃん」

国後「……」コクコク

択捉「あれー?フルーツ牛乳売り切れですか?」

八丈「イチゴならまだあるよ」

国後「……」ケフ



眠れるか、眠れないか。毎日回るルーレット。

結末は布団に入るまで分からない。

原因は分からない。



【 八丈 】


ガングート「ウオッカハラショー」

タシュケント「ボルシチハラショー」

響「ロシアハラショー」


ウオッカを飲みボルシチを食べ雪を眺め静かに暮らす。

退屈な日々のロシア艦を、沖縄に連れてきた。


八丈「慰安旅行!」

石垣「石垣島!」

響「ウラーッ!」





ガングート「泡盛サイコー」

タシュケント「ソーキそばサイコー」

響「沖縄サイコー」


泡盛を飲みソーキソバを食べ海を眺め静かに過ごす。


石垣「あんまり変わらないね」

八丈「この人たちブレないな」

響「海ぶどう採ってきたよ」



【 石垣 】


ガングート「大変だ!浜辺で寝てたら顔が黒くなったぞ」

石垣「日焼けですね」

八丈「沖縄の日差しは強いから」

タシュケント「知ってる!これオハグロって言うんだよ」

ガングート「おおっ、これが噂の」

タシュケント「昔はシブーヤに沢山いたらしいよ」

ガングート「なるほど、ビビンバーというやつだな」

タシュケント「オハグロー」キャッキャ

ガングート「ビビンバー」キャッキャ



八丈「楽しそう」

石垣「イメージ変わるね」

八丈「どこで間違えて覚えたんだろ」

響「足てびち貰ってきたよ」



【 御蔵 】


御蔵型の制服は他の海防艦と比べて少しだけ凝っていて、少しだけ可愛い。



マエストラーレ「着させてー」

日振「取り替えっこしようよー」

御蔵「だ、ダメだよぅ……」

大東「いいじゃん、ちょっとだけ」

グレカーレ「ミクラー!お願ーい」

ジャーヴィス「ミクラ、プリーズ!」

御蔵「は、はうぅ…… ///」





提督「龍驤」

龍驤「着んから」

提督「だってすごい人気だぞ」

龍驤「知ってた?ウチ軽空母やねん」

提督「似合うと思うんだけどなー」

龍驤「空母ってな、大人やねん」

提督「あれはマジでオシャレだよな」

龍驤「そもそもサイズが入らんから」

提督「いや、絶対似合うんだけどなー」

龍驤「なあ、話聞いてる」

提督「龍驤なら絶対可愛いんだけどなー」

龍驤「いや、だからキミなぁ」

提督「見たいなー、龍譲の可愛いの見たいなー」

龍驤「着んから!ウチは絶対着んからー!」







龍驤「……」


龍驤「あー、キミ。ちょっとええかな」

御蔵「あっ、はい」

龍驤「あんな、ちょっち相談なんやけど……」

御蔵「はい…?」



【 屋代 】


おひさま燦々、洗濯日和。


海防艦には力がなく、毛布やタオルケットを干すだけで精一杯。

けれどお姉ちゃん(駆逐艦)は違う。

一人でも濡れた布団を抱えて干せる。お姉ちゃんはすごい。



提督「おっ?暁、布団干してんのか」

暁「し、しし司令官!?」

提督「大変だな、手伝おうか」

暁「だ、だだ大丈夫よ!ひとりで平気なんだから!」

提督「遠慮しなくていいぞ、ほら」

暁「来ないで!来ちゃダメ!司令官!」




屋代「暁ちゃん、また布団干してる」

御蔵「毎朝干してるね」

大東「すげーなー、偉いなー」

日振「よっぽど綺麗好きなんだね」



【 択捉 】


強くならなくてはならない。立派にならなくてはならない。

自分はネームシップなのだから。

みんなを、妹たちを引っ張っていくような、勇気ある艦娘にならなくてはならない。


生真面目な一番艦は、強い決意で今日を迎える。



択捉「今日からシャンプーハットは使いません!」

福江「えーっ?」

佐渡「マジかよ」

日振「そんなの無理だよ」

択捉「もう大人だから、大丈夫です」

択捉「お姉ちゃんの背中を見ていてください」

松輪「択捉ちゃん……」





択捉「あああああぁぁーーっ!」

択捉「目が!目がああぁぁーーっ!」

福江「ムスカ!」

松輪「ムスカちゃん!」

日振「ムスカちゃん頑張って!」

択捉「目があぁぁ!いだああぁぁああーーいっ!」



【 松輪 】


生まれたての小鹿より繊細で臆病。

愛宕が大声でぱんぱかしただけでショックで死ぬ。





大好きな司令と遊んでもらえるのは、積極的な大東や佐渡ばかり。

大人しく待っているだけではいけないと、松輪は勇気を振り絞る。


佐渡「一緒に遊んでほしいのか」

松輪「でも、何て言えば」

佐渡「そのまま普通に言えばいいじゃん」

松輪「普通に……」



松輪「司令、あたしと遊ばない」

提督「」





佐渡「抱っこしてほしいのか」

松輪「失礼じゃないかな」

佐渡「何言ってんだよ、みんなしてもらってるぞ」

松輪「何て言えばいいのかな」

佐渡「普通でいいんじゃねえか」

松輪「普通に……」



松輪「司令、抱いて」

提督「」



【 佐渡 】


ベストオブ悪ガキ。

行く先々で騒動を巻き起こすトラベルメーカー。


車内放送「停車時間は三分です」

佐渡「司令!売店でアイス買ってこようぜ」

提督「間に合わないからじっとしとけ」

佐渡「ダッシュで行けば大丈夫だって」

提督「いや、お前絶対乗り遅れるからやめとけ」

佐渡「佐渡サマに任せとけって、司令はバニラでいいな」

提督「おい!?マジで行くのか」





提督「あ、転けた」

大淀「転けましたね」

提督「ヤバい、泣きそう」

大淀「半泣きですね」

提督「お、こらえた、偉いぞ佐渡」

大淀「頑張りましたね」

提督「アイス拾ってる」

大淀「時間ロスですね」

提督「また転けた」

大淀「顔からいきましたね」

提督「あー、無理か」

大淀「いえ、立て直しました」

提督「ギリいけるか」

大淀「佐渡ちゃん頑張って」





佐渡「司令ーっ!買ってきたぞーっ!」ニカー

提督「偉いぞ佐渡。よくやったな」

佐渡「ほらな!余裕だったぞ」

提督「よし、とりあえず鼻血拭こうな」





車内放送「次は横浜駅です」

佐渡「司令ー!シウマイ買おうぜ!」

提督「いいからじっとしとけ」



【 対馬 】


ワンピースにするか大胆にビキニにするか、悩ましく

試着室での葛藤はまだまだ続く。




提督「えっ?対馬だよな」

五十鈴「あのくらいの歳なら普通よ」

提督「だって海防艦だろ」

五十鈴「アンタ、本当に女を知らないわね」

提督「女って、おい」

五十鈴「もうすぐ見せにくるから、ちゃんと誉めなさいよ」

五十鈴「適当に見てると分かるんだからね」

提督「マジかよ」



【 平戸 】


平戸「トラベルじゃなくて……その、トラブルです」

提督「えっ」

平戸「えっと、トラブルメーカーが正解です」

提督「えっ?マジかよ」

提督「『行く先々』で大騒動だからトラベルじゃねーの」

平戸「あの、その……行く先々で『大騒動』だから……トラブルです」

提督「えーっ、そうなのか」

平戸「申し訳ありません.。差し出がましくて」

提督「いやいや助かったよ。さすが平戸だ、頼りになるな」

平戸「そ、そんな……平戸は、別に」

提督「いやー勉強になるなー」

提督「また間違ってたら教えてくれよな、平戸」ナデナデ

平戸「は、はいっ。平戸にお任せください ///」



五十鈴「扱い上手いわね」

大淀「基本的に女たらしですから」



【 福江 】


初見で正しく読める者は、おそらく一人もいないであろう最難読名艦娘。

自分の名前は嫌いじゃないが、これだけ読み間違われるとやっぱり辛い。



択捉「女の人は大人になると名前が変わるみたいです」

福江「!」

日振「え、何それホントに」

択捉「テレビで言ってました」

国後「じゃあ、あたしは五十鈴」

大東「アタイは天龍がいいな、カッコいいし」

択捉「勝手には変えられないようです」

占守「じゃあ、どうやるっすか?」

択捉「好きな人の名前に変わるようです」

福江「!!」

対馬「好きな人……」

八丈「えっ、ちょっと待って」

八丈「それじゃあ あたしたち、みんな同じ名前になっちゃわない」

平戸「 ///」

松輪「……うん ///」

石垣「そうなるね ///」

佐渡「……?」キョトン

佐渡「なあだい、どういう意味だ」

大東「アタイが分かる訳ねーだろ」

佐渡「何だよバカだな」

大東「佐渡だって分かってねーじゃんバカ!」

佐渡「何だとー」

大東「やるかー」

八丈「あの二人また喧嘩してる」

国後「ホント仲いいわね」

福江「好きな人…… ///」ポー



以上です。





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