冨岡義勇「俺はガチホモじゃない」 (14)

しのぶ「冨岡さん、冨岡さん」ツンツン

義勇「……」

しのぶ「女の子に話しかけられているのに、無視は酷いんじゃないですか?」ツンツン

義勇「……やめろ」

しのぶ「……」

しのぶ(ツンツンするのをやめろ、という意味でしょうね。相変わらず言葉が足りない)

しのぶ「まったく。そんなだからガチホモだと思われるんですよ」

義勇「……ッ!?」

しのぶ「……なんですか、背景に『心外!!』という効果音が見えるのですけど」

義勇「……」

しのぶ「あの……まさかとは思いますけど冨岡さん、自分がガチホモだと思われていることを知らなかったんですか?」

義勇「……俺はガチホモじゃない」

しのぶ「すみません。ガチホモだと見られている自覚が無かったんですね。余計なことを言ってしまって申し訳ないです」

義勇「……なぜ、そう思われているんだ」

しのぶ「なぜも何も、冨岡さんは年頃の男性なのに女性への関心が薄すぎます。女の子にツンツンされて、つっけんどんな態度をとったりしたらいけませんよ」

義勇「……宇随だけだ」

しのぶ「柱で相手がいる人のことですか? 確かにそうですけど、周りの人が納得するかどうかは別です」

しのぶ「悲鳴嶼さんは元はお坊さんですし、不死川さんも傍から見れば鬼のことしか考えていないように見えます。煉獄さんは冨岡さんと違って女性と明るく友好的に接しますし、時透君は恋愛はまだこれからの年頃ですから」

義勇「伊黒と甘露寺は……?」

しのぶ「……はぁ」

義勇「?」

しのぶ「あの二人は宇随さんの次に問題ありません。見ていてわかりませんか?」

義勇「……?」

しのぶ「そんなだからガチホモだと思われるんですよ」

義勇(心外ッ!!)

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義勇「……胡蝶。そういうオマエはどうなんだ」

しのぶ「私ですか。私は問題ありません」ツンツン

義勇「……やめろ」

しのぶ「冨岡さんのガチホモ疑惑が払拭《ふっしょく》されたらやめてあげます」

義勇「……どうすれば?」

しのぶ「疑惑の原因は、冨岡さんがまともに話せる相手が炭治郎君ぐらいというのもあると思います。私を除いたらですけどね」

義勇「……そんなことは無い」

しのぶ「へ?」

義勇「不死川とはよく会話をする」

しのぶ「………………………ともかく、もっとまともに話せる相手を増やしましょう。それもできれば女の子と」

義勇(仲良く……女と…)

しのぶ「も、もしくは、唯一まともに話せる女の子と、もっと仲良くなるとか……」

義勇(甘露寺は俺によく話しかけてくれるが……以前伊黒に甘露寺に近づくな、かまわれるなと言われたな。何か嫌われるようなことをしてしまっただろうか)シュン

しのぶ「……冨岡さん? 聞いてますか冨岡さん?」ツンツン

義勇(甘露寺以外で周りにいる女となると……胡蝶の家の者たちか? 歳が少し離れているが、話しかけるぐらいなら問題な――)

しのぶ「ふんっ」ドンッ

義勇「……痛いぞ胡蝶」

しのぶ「不穏な気配を感じたので喝を入れました」

――こうして冨岡義勇のガチホモ疑惑は晴れないまま時は進み、柱合会議の時が来た。



義勇「あまね殿も退室されたので失礼する」

不死川「おい待てェ、失礼すんじゃねぇ。それぞれの今後の立ち回りも決めねぇとならねぇだろうが」

義勇「六人で話し合うといい。俺には関係ない」

伊黒「関係ないとはどういうことか。貴様には柱としての自覚が足りぬ。それとも何か? 自分だけ早々に鍛錬を始めるつもりなのか。会議にも参加せず」

義勇「……」ザッ

甘露寺「あっ」

不死川「テメェ待ちやがれェ!」

しのぶ「冨岡さん理由を説明してください。さすがに言葉が足りませんよ」

義勇「……俺はお前たちとは違う」


『……ッ!!?』


悲鳴嶼(俺《ガチホモ》は……っ)

無一郎(お前たち《ノンケたち》とは違う……っ!?)

甘露寺(こんなに堂々と自分をさらけ出すなんて……素敵)

しのぶ(この流れは……まずいですね)

不死川「気に食わねぇぜ……前にも同じこと言ったなァ冨岡。俺たちを見下してんのかァ?」

伊黒「……ッ!? のるな不死川! 戻れ!」

甘露寺(冨岡さんの誘いにのった……まさか不死川さんも!?)

甘露寺「け、喧嘩(♂)は駄目だよっ。冷静に……」

不死川「待ちやがれェ!!」

甘露寺「キャーッ!! (昼間からだなんて)ダメダメ!」

悲鳴嶼「……」スッ


パアアアアァァァァンッッ!!


『…………………………ッ!!?』


――こうして柱たちが見ている中で昼間からおっぱじめようとしたが、そんな二人を岩柱が制止したことで柱合会議は一応無事に終わった……かに見えた。

――しかし拭いようのない禍根(ガチホモ疑惑)が残る。

――

――――

――――――――



玄弥「ま、待ってくれよ兄貴。ずっと俺は兄貴に謝りたくて」

不死川「心底どうでもいいわ。失せろォ」

玄弥「……ッ」

玄弥「そんな……俺は……兄貴のために……ホモになったんだぜ」

不死川「…………………………は?」

玄弥「え?」

不死川「何だとォ? 今何つった? テメェ……いや本当に何つった?」

玄弥「いや……だから兄貴のために」

不死川「俺のために?」

玄弥「ホモになった」

不死川「……何でさ」

玄弥「だって兄貴は水柱の冨岡さんのことが好きなんだろ?」

不死川「…………………………はァ?」

玄弥「でも冨岡さんには胡蝶さんがいるから、俺が代わりにって思って」

不死川「…………………………はァ?」

玄弥「……兄貴?」

不死川「…………………………はァ!?」

玄弥「あ、兄貴?」





不死川([ピーーー]。冨岡)

※ ※ ※



炭治郎「良い天気だなぁ……ん?」

鎹鴉《かすがいがらす》「カアアアアアアアッ」

炭治郎(鎹鴉? 誰のだろう)

鎹鴉「オ館様カラノ手紙ダ!! 至急読ノムダ!!」

炭治郎「手紙? 俺に? わざわざ? え~なんだろう」



『炭治郎、怪我の具合はどうだい?』

『情けないことに私は動けなくなってしまってね。義勇と話がしたいんだけど、しばらくできそうにない』

『炭治郎は義勇の噂を聞いているだろうか。義勇がガチホモで、実弥とケンカップルというものだ』





『私はぎゆしの派だ』





炭治郎(ぎゆ…しの……?)


『アニメスタッフにぎゆしの派を紛れ込ませ、ぎゆしののシーンを増量させた』

『外伝の平野先生も同志だ』

『はやみんの声で、月がキレイですねと義勇に告白するシーンを何回も見直していたら、あまりのエモさに身動きができなくなってね』

『さねぎゆ派(実弥×義勇)は怨敵である童しの派(童磨×しのぶ)ほどではないが、十分な脅威だ。今回の噂で彼らの勢力が増しては困る』

『だから炭治郎。義勇がガチホモだという間違った噂を私の代わりに否定してくれないか』

『そうしないと義炭(ぎゆたん)に飛び火する可能性もあるから』


炭治郎(……何が書かれているかわからない)

炭治郎「でもお館様からの頼みだ! ええっと冨岡さんはガチホモじゃなくて! さねぎゆは怨敵……ではなくて……ケンカップルで……飛び火して……はい! がんばります!!!」

炭治郎「……でも何をすればいいかわからないから、とりあえずまずは義勇さんと会って話をしよう」


テクテク、テクテク


炭治郎(ん……?)

ワーワーッ!


炭治郎(なんだか騒がしいな。それに興奮した匂いもする)

炭治郎(こっちからだな)ヒョイッ

不死川「冨岡ああァ! 冨岡のバカはどこにいるううううぅぅ!?」


<し、不死川様落ち着いてくださいいいぃぃ!

<ひええええぇぇっ!

<うわあああ!! おっさんが暴れてんのね!!


炭治郎「これは……!?」

不死川「てめぇは……おい、冨岡のバカはどこだ!?」ズンズン

炭治郎「あっ、気をつけてください。乳房がこぼれ出そうです!!」

不死川「そんなことはどうでもいい! 冨岡だ! 冨岡のバカはどこだ! あのクソ野郎のせいで俺は……玄弥は……」

炭治郎(義勇さんのせい……? それに興奮した匂いは不死川さんからだ。ハッ!?)



義勇さんにガチホモという噂が流れている

興奮した不死川さんが冨岡さんを探している

お館様「さねぎゆを否定してくれ」



炭治郎(不死川さんは義勇さんをガチホモだと勘違いして、押し倒すつもりなんだ!!)

炭治郎「不死川さん!!」

不死川「あァ、なんだ? さっさと吐きやがれ」

炭治郎「義勇さんはしのぶさんのことが好きなんです!!」

不死川「……? 突然何を」

炭治郎「だから義勇さんのことは諦めてください!!」


『……』


ザワ……ザワ……


不死川「……」

<冨岡様のことを諦めてって……え? じゃああの噂は本当だったんだ

<それに冨岡様と胡蝶様は

<あ、ふざけんなよ? あんな美人さんと付き合うなんて俺が許さんからな


不死川「……」ピクピク

炭治郎「大丈夫です不死川さん。努力精進を怠らず誠実に生きていけば、いつかそれに気づいて認めてくれる素敵な男性が現れ――」


ボギャッ


炭治郎(お空……きれい……)


『炭治郎おおおおおおぉぉぅ!!』





――炭治郎が天高く吹き飛ばされたことが問題となり、二人は接触禁止。さらに不死川は自宅謹慎となり、謹慎中に新たな噂が流れていった。


 曰く、風柱は水柱に失恋した。

 曰く、水柱は蟲柱に恋をしている、と。 


玄弥「兄貴いいいいいいいいいいぃぃ! 冨岡さんはノンケでも、俺が相手をするからあああぁぁ!」

不死川「俺はノンケだって言ってるし、テメエぇは俺の弟じゃねええええええええぇ!」

玄弥「兄弟じゃないなら問題無いよな!?」

不死川「性別の問題があるだろうがぁ!!」


――百年経ってもなお伝えられる『スマッシュブラザーズ事件』の詳細は以上である。

※ ※ ※



しのぶ「聞きましたよ冨岡さん。私のことが好きなんですってね」ツンツン

冨岡「……違う」

しのぶ「あら? じゃあ冨岡さんは炭治郎君が嘘をつく子だって言うんですか?」

冨岡「……」

しのぶ「ふふ。でも良かったじゃないですか」

冨岡「……?」

しのぶ「冨岡さんがガチホモだという噂が、今回の噂でかき消されました。誰ももう冨岡さんのことをガチホモだとは思っていません」

冨岡「それは……良かった。しかし」

しのぶ「どうしましたか?」

冨岡「……迷惑では」

しのぶ「……私のことですか?」

冨岡「……」コクリ

しのぶ「ふふ……ふふふふ」

冨岡「……?」

しのぶ「そうですねえ! 冨岡さんみたいな嫌われ者に好かれるなんて、これは人によっては迷惑かもしれませんねえ! 私は冨岡さんとの付き合いが長いですから気にはなりませんけど、言われてみればお詫びぐらい必要かもしれませんねえ!」

冨岡「……詫びか。何をすればいい」

しのぶ「この前おいしそうな居酒屋を見かけたんです。連れて行ってもらえますか」

冨岡「……」

しのぶ「品書きに鮭大根もありました」

冨岡「おごらせもらおう」

しのぶ「よろしくお願いします♪」

冨岡「……ところで胡蝶」

しのぶ「はい」





冨岡「俺は嫌われてない」





~おしまい~

お・ま・け



縁壱「兄上。ホモになるということはそれほど大《たい》そうなものではない」

縁壱「ただ同じ腹にいた肉の片割れに、身も心も任せればいいだけだ」

縁壱「もちろん兄上にも懸念はありましょう。兄上はまだ私としていない。つまり初めてです」

縁壱「初めてで私のDX日輪刀を受け入れるのは無理があります。そこでこれです」


つ 笛


縁壱「兄上に頂いた日から、肌身離さず温め続けております」

縁壱「まずはこれを入れてほぐしましょう」

縁壱「我らの思い出の品が、我らが一つになる架け橋となる」

縁壱「浮きたつような気持ちになりませぬか、兄上」

縁壱「……兄上?」

縁壱「兄上いずこに? 兄上!?」





巌勝( 気 味 が 悪 か っ た )





巌勝(何が面白いというのだ)

巌勝(当たり前のように男同士で、それも兄弟で交わる話をするお前に、気味の悪さと苛立ちで吐き気がした)

巌勝(少しでもお前から離れようと、昼も夜も走り続けた)

巌勝(そうしてあのお方に出会った)

無惨「ならば鬼になれば良いではないか」

無惨「鬼となれば無限の刻《とき》を生きられる」

無惨「お前は弟から逃げたい。弟が寿命で死ぬまでどこかに隠れていればいいだろう」

無惨(300/1800)「私もそうする。お前の弟はおかしい」

黒死牟(……こうして私は無限の刻を生きることで、弟の魔の手から逃《のが》れることができた)

黒死牟(これでようやく、男が背後に立っても怯えることのない、安息の日々が――)



――

――――

――――――――



猗窩座「お前もホモにならないか?」

黒死牟「」





~おしまい~

最後まで読んでいただきありがとうございました。

初めて書いた鬼滅のSSがこのような内容で申し訳ありません。
竈門炭治郎及び鱗滝左近次、冨岡義勇のケツを掘ってお詫び致します。

余談ですが炭治郎が年上のお姉さんに「あんなことやこんなこと」をされるイラストが見たくて「#炭治郎総受け」で検索しました。
そしたら年上のお兄さんに「あんなことやこんなこと」をされるイラストがたくさん出てきました。

俺は泣いた。





普段はモバマスでこんな感じのSSを書いています。


【モバマスSS】凛「プロデューサーにセクハラしたい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446375146

武内P「女性は誰もがこわ……強いですから」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486799319

武内P「ノンケの証明」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1602379126

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