カズマ「母性?」 (36)

カズマ「それが何だって言うんです?」

アクア「今私がカズマに抱いてるものよ」

カズマ「なぜ」

アクア「私の膝を枕にして寝っ転がってるから」


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カズマ「いやだってお前が膝使うかって聞いてくるから…」

アクア「カズマはソファーに足伸ばして寝っ転がりたい、私は普通に座りたい。これを両方満たすには私が膝枕してあげるしかないって思ったのよ」

カズマ「合理的ではある」

アクア「でしょう?」

カズマ「んで?」

アクア「素直に私の膝に頭置くあなたに私の母性がくすぐられたって話」

カズマ「と言われてもアクアに膝枕してもらったのって別に今日が初めてじゃないしな…何?膝枕する度にときめいてたの?」

アクア「状況と場合によるわね。例えばカズマさんが冬将軍に首ちょんぱされた後こっちに戻ってくるまで膝枕してあげてたけど母性は微塵も感じなかったわ」

カズマ「死んでる奴に母性感じたらダメだろ…」

アクア「そうね」

カズマ「で、母性くすぐられたアクアさんはこの後どうしたいんだ?」

アクア「んー?カズマが気の済むまで膝枕してあげようかなって思ってるわ」

カズマ「そりゃどーも」

アクア「女神の心遣いに感謝なさい?」

カズマ「しかし母性ねえ」

アクア「?」

カズマ「紅魔の里に行くときに俺が雌オークに襲われそうになったことあったろ?」

アクア「随分懐かしい話ね」

カズマ「オークを撒いた後トラウマ負って泣き喚く俺の頭撫でてくれてたよなあって思い出してさ」

アクア「あの時のカズマ凄い震えてたから女神として私が癒してあげないとって思ったのよね」

カズマ「あれは確かにアクアに母性感じた」

アクア「あら」

カズマ「普段アクアとは言い合ってばかりだったけどあの時は普段とのギャップも相まって無性にアクアに泣きついちまった」

アクア「女神の母性に感動しちゃったのね」

カズマ「まあ…」

アクア「思い出したらカズマさんの頭撫でたくなっちゃった、いいかしら?」

カズマ「むしろそれ俺がお願いする立場じゃないか?」

アクア「ふふ、細かいことは気にしなくていいのよ。じゃあ撫でるわね」ナデナデ

カズマ「おお…」

アクア「よしよし」

カズマ「…」

アクア「ところでカズマ」

カズマ「…ん?」

アクア「体の方は大丈夫?」

カズマ「んー、今日は割と調子良いな」

アクア「そうよね、ソファーに寝っ転ってて私最初驚いたもの」

カズマ「寝っ転がってるのに変わりはないけどな」

アクア「ソファーで寝てるカズマさんを見てお金がたくさん入った頃のニートっぷりを思い出したわ」




カズマ「…」

アクア「どうしたの?」

カズマ「この状態だとアクアの顔見えないなって」

アクア「胸のせいかしらね」

カズマ「胸のせいだな」

アクア「めぐみんだったら顔見えたかしら」

カズマ「めぐみんがいたら家が爆裂魔法で吹っ飛びそうな発言だな」

アクア「あの子すぐ噛み付いてくるものね」

カズマ「紅魔族は売られた喧嘩は買う云々のこと言って飛びかかってくるからな」

アクア「常に冷静沈着の女神たる私を見習うべきね」

カズマ「どの口が言ってんだ」

アクア「ところでカズマさん」

カズマ「なんだいアクアさん」

アクア「どうして顔を私の方に向けているのかしら」

カズマ「自然とこうなった」

アクア「頭撫で始めた時カズマ反対側向いてなかったかしら」

カズマ「自然とこうなった」

アクア「…」

カズマ「何か?」

アクア「開き直ってるわね…別に良いけれどね」

カズマ「わーい、ついでに耳掃除してくれ」

アクア「ぐいぐい甘えてくるわね」

カズマ「ダメか?」

アクア「良いわよ、耳かきとるからちょっと前屈みになるけど我慢してちょうだい」

カズマ「おぶっ」

アクア「えーと、これね」

カズマ「柔らかかった」

アクア「女神だもの」

カズマ「何その理屈」

アクア「さ、耳掃除するわよ」

カズマ「おう、お願いします」

アクア「あら?普通に綺麗じゃない」

カズマ「そうか?ってそういえばつい最近やったような…」

アクア「耳掃除あんまりやり過ぎなのも良くないし軽くにするわね」

カズマ「ありがとさん」

アクア「どーいたしまして」

カズマ「あーすっきり」

アクア「はいはい」

カズマ「膝枕に耳掃除のコンボで眠くなってきたな」

アクア「ベッドに行く?」

カズマ「久々にここで寝たい」

アクア「体痛くしちゃうわよ?」

カズマ「大丈夫」

アクア「わかったわ、ここで寝るならクッションでも用意する?」

カズマ「そうだな、アクアの膝の上で寝て迷惑かけるのもアレだしお願いしていいか?」

アクア「わかったわ、じゃあ頭降ろすわよ」

カズマ「そっとね?」

アクア「激しく降ろすわけないじゃない」

アクア「ほら、布団かけて」

カズマ「サンキュー」

アクア「起きたら呼んでちょうだいね、おやすみなさい」

カズマ「おやすみ」

アクア「ふー」

アクア「カズマもそろそろよねえ…」

アクア「…色々悲しくなるけど、人である以上仕方ないわよね。私も準備だけはしておかないとね」













カズマ「…ん、あれ?俺何でソファーで寝てるんだ…」

カズマ「…ああそういえばアクアと一緒にいたんだっけ…」

カズマ「アクアー」

アクア「起きたのねカズマ」

カズマ「起きた起きた」



アクア「どう?体調は」

カズマ「んー…」

アクア「?」

カズマ「何となく、何となくだけどさ」

アクア「ええ」

カズマ「自分の体のことだから何となくわかる」

アクア「…」

















カズマ「俺ももう寿命だな」

アクア「…そうね」












カズマ「アクアに膝枕と耳掃除してもらった後寝たのが朝で今はもう夜だろ、で、またすぐ寝るんだろうな。いつもは寝たきりでベッドにいたけど今日は調子良くてソファーまで自分で行けたけどさ」

アクア「カズマがベッドにいなくて驚いたわ、もう年寄りなのにいきなり姿が見えなくなったから慌てちゃったもの」

カズマ「そりゃすまんね、まあ年寄りの割には普通に喋ってるけどな…日本だと高翌齢者ってもう死期が近いと喋る元気もなくてほとんど寝てばっかで起きてる時間もあまりないだろ?」

アクア「年寄りになってもある程度話せているのはカズマが若い頃培った経験値のおかげね」

カズマ「だな…冒険者のステータスって凄えよなあ、ちょっとだけだったらまだ歩けるし」

アクア「体の方はちゃんと弱ってるんだからある意味残酷ね…ダクネスもめぐみんもそうだったけれど」

カズマ「とうとう、この世界での生活も終わりか」

アクア「…」

カズマ「アクア」

アクア「なあにカズマさん」

カズマ「16の頃にお前とこの世界に来てさ、めぐみんとダクネスと一緒にパーティ組んでからというものの色んなことあったな」

アクア「そうね」

カズマ「異世界ってことでワクワクしてたのに借金背負わされた時は元の世界に帰りたくて仕方なかったが」

アクア「…デュラハンの人を倒した時かしら?懐かしい、思い出ね」

カズマ「今じゃ懐かしい思い出で片付けられるけどお前が起こした洪水のせいでどんだけ苦労したか」

アクア「ごめーんね」

カズマ「はいはい…まあでも来てよかったよ、アクアと一緒にこの素晴らしい世界に」

アクア「私も、女神としての生の中でこの数十年が1番楽しかったわ」

カズマ「そりゃ良かった」

アクア「私だけ見た目が変わらないままみんな歳をとって老いていくのを見て女神であることを恨んだくらいには楽しかったわ」

カズマ「…あー眠い。起きたばかりなのにまじか…多分、ここでお別れな気がする」

アクア「お別れではないわよ」

カズマ「え?」

アクア「私もカズマがいなくなった瞬間から契約が終わって天界に帰るもの」

カズマ「契約って…」

アクア「魔王を倒した時に持っていけるモノを指定できたあの契約よ」

カズマ「ああ…」

アクア「所有者がいなくなるもの、ここにはもういられない」

カズマ「え?じゃああの時からアクアって天界では俺の所有物的な扱いだったの?」

アクア「…いいえ」

カズマ「あ、そう…」

アクア「で、ここからが本題よ。亡くなった後カズマはエリスの元へ行くわ」

カズマ「そうだな、何度も死んでてその度にエリス様と会ってたけどこれが最後になるんだよな…」

アクア「そのエリスに頼んであの場でもう1度私と会えるようにしてもらっているの」

カズマ「そうか…じゃあここでお別れってわけじゃないんだな」

アクア「でね、あの2人の魂を置いてもらっているの」

カズマ「…あの2人って」

アクア「めぐみんとダクネス」

カズマ「…ああ、そうか…また会えるのか…」

アクア「そうよ、また4人で集まれるの」

カズマ「そうか…」

アクア「だからお別れなんかじゃないのよカズマ。また向こうで会うんだから」

カズマ「なら、この眠気に身を任せてもいいんだな…」

アクア「そうよ」

カズマ「…なあアクア」

アクア「なあに?」

カズマ「添い寝…してくれないか」

アクア「ええ、いいわよ…ならベッドに移動するわね」

アクア「…眠い?」

カズマ「すっごく」

アクア「…もっと体寄せるわね」

カズマ「んぅ」

アクア「ふふ、頭擦り寄せて甘えんぼさんねえ…母性がくすぐられるわ」

カズマ「…」

カズマ「…」

アクア「おやすみ、カズマ」

カズマ「…」

アクア「…」


アクア「さようなら、カズマが連れて来てくれたこの素晴らしい世界」

おわりです
書いていくうちにスレタイから内容が乖離していった(死んだ目)

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