男「もし死んだ後『自分の葬式を見る?』って聞かれたらどうする?」 (16)

男「こないだ幽霊物のドラマ見てたら、死んだ奴が自分の葬式を見て」

男「自分はこんなに愛されてたのか……ってなるエピソードやってたんだけど」

友「へえ~」

男「みんなはもし死んだ後『自分の葬式を見る?』って聞かれたらどうする?」

友「うーん……」

女「そうねえ……」

不良「自分の葬式か……」

オタク「どうしようかなぁ……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1546164400

男「お前は?」

友「んー、見ない!」

男「どうして?」

友「だって、俺が死んだら俺の親絶対泣くし……親が泣いてるところは見たくないもん」

友「そういうの見ちゃうと未練できちゃって、成仏できなさそう」

男「なるほど」

男「君は?」

女「見る!」

女「友達があたしが死んだらどういう反応するか気になるし!」

男「でも、もしかしたら悪口いってるかもしれないよ?」

女「それならそれで、しょうがないかなって」

女「それに葬式で死んだ人を悪くいう人ってそうそういないでしょ」

男「たしかに」

男「不良は?」

不良「俺も見る派だな」

男「なんで?」

不良「だって、せっかく見られるんだから見なきゃ損じゃねーか!」

不良「どうせもう死んでんだし、自分のことを悪くいわれててもどうってことねーや!」

不良「ていうか、散々悪くいわれるようなことしてきたんだしよ!」

男「お前らしい答えだな」

男「オタクは?」

オタク「見ない! 絶対見ない!」

男「理由は?」

オタク「悪口いわれてるのが怖いってのもあるけど……」

オタク「葬式に誰も来てくれてなかったら……ってのも怖い」

男「あー……たしかに。そういうのも怖いな」

オタク「だろ? もし知り合いが誰も来てなかったら、絶対立ち直れないよ」

男「とりあえず、俺はお前の葬式行くから安心しろ」

友「お前はどうなんだよ?」

男「え、俺?」

女「自分の葬式見るの? それとも見ないの?」

男「どうしようかなー……」

男「うーん……」

男「死ぬまでには決めとくよ!」

不良「なんだそりゃ!」

オタク「自分だけ答えないなんてずるい!」

……

……

男「……ついに俺も死んでしまったか」

案内人「あなたは新しく来られた死者の方ですね」

案内人「死者は受付で所定の手続きをした後、いわゆる“あの世”に向かうことになります。こちらへどうぞ」

男「どうも」

ズラッ…

案内人「受付のために、この行列にお並び下さい」

男「うわー、結構並んでるね」

案内人「世の中、これだけ多くの人が日々死んでるということです」

案内人「しかし、あなたはもう死んでるので疲れることもありません。気長にお待ち下さい」

男「分かりました」

ペチャクチャ… ペチャクチャ…

死者「あなたはどうやって死んだんです?」

男「それがよく覚えてないんですよ」

死者「私もです。気づいたらここにいて」

男「死ぬ時ってのは、みんな案外こんなもんかもしれませんね」

男(前後に並んでる人と雑談してるうちに、いよいよ俺の番が近づいてきたな)

受付人「あの世に行く前に、ご自分の葬式をご覧になられますか?」

「見ます!」

受付人「では、あちらのルートへどうぞ」

受付人「次の方どうぞー」



男「え」

男(まさか、本当にあんなこと聞かれるなんて……)

男(死ぬまでには決めとくって言ったけど、全然決めてなかったぞ。どうしよう)

受付人「ご自分の葬式をご覧になられますか?」

「見たいです!」

「やめときます」

「結構です」

「見る見る!」



男(やっぱり意見が割れるもんなんだな。あの時とおんなじだ)

男(俺はどうしようかな……自分の番になるまでに決めないと)

男(よし……見るか見ないか決めたぞ!)

受付人「では、こちらに名前をお書き下さい」

男「はい」カキカキ

受付人「それでは、こちらのルートにどうぞ」

受付人「係員が待機しているので、指示に従って下さい」

男「ん!?」

男「ちょっと待ってよ。なんで俺には葬式を見るかどうか聞かないの?」

受付人「だって、あなたは……」

受付人「人に殺されて、死体は山奥に埋められて、今もまだ見つけてもらってません」

受付人「ですから、あなたの葬式が開かれることはないんです」

男「あちゃー……」





このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom