美波・夕美「「清楚力を取り戻そう!」」文香「押忍…」ビシッ (27)

せい-そ【清楚】
[名・形動]飾りけがなく、清らかなこと。また、そのさま。「清楚なアイドル」「清楚な女子大生」「あのお姉さんたちは清楚だ」
[派生]せいそさ[名]

せい-そ-りょく【清楚力】
清楚に満ち溢れているさま。「ほとばしる清楚力」「彼女には清楚力がない」


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【ある日の道場】

美波「押忍! 清楚力を取り戻すわよ! 夕美ちゃん!」カッ!

夕美「押忍! 清楚力を取り戻そうね! 美波ちゃん!」カッ!

2人「「やるよ!!」」ガシッ!

ヒョコリ

文香「押忍…気合い充分ですね…お2人とも…」ド-ン

美波「もちろんよ。道着を着たことで身も心も引き締まっているもの」キリッ

夕美「ふふん。もう私のりりしさが溢れ出ちゃってるかな♪」フンス!

文香「凛々しさ…?」

夕美「りりしさ!」バ-ン!

美波「さて。いつものように3人が集まったところで今回の合宿の趣旨を説明するわね。よろしくお願いします」ペコリ

夕美・文香「「よろしくお願いします」」ペコリ

美波「こうして連休中に道場に集まってもらったのは他でもない。我々が遠い昔に置いていってしまった『清楚力』を取り戻すためよ!」

夕美「清楚力…!」

文香「お言葉ですが美波さん…我々は清楚すぎるほどに清楚なのではないでしょうか…清楚といえば我々…我々といえば清楚です…」

美波「甘いわね。文香さん。ここに『清楚力スカウター』を用意してあるから装着してみて頂戴」スッ

【スカウター】テテ-ン!

夕美「さも当然のようにハイテクな機械が出てきたね! 胴着に合わないね!」

美波「晶葉ちゃんに協力して作ってもらったものよ」フフフ

文香「ふむ…では早速…私が装着してみましょう…変身っ…」スチャ

美波「そんな機能はないわ」

文香「言ってみたかっただけです…さて」

ピピッ!

【新田美波】清楚力26

ピピッ!

【相葉夕美】清楚力21

文香「…美波さんの清楚力は26…夕美さんの清楚力は21…しかし、この数字が高いのか低いのかわかりませんね…」

美波「スカウターは1から100までの数値で清楚力を表示するの。ちなみに自称普通の卯月ちゃんは70よ」

夕美「じゃあ21って相当低くない!?」ガ-ン!

美波「ええ。だからまずいのよ。学校のテストでいえば赤点の補習組。私たちはアイドル留年の危機に瀕しているのよ」

文香「…ちなみに私はどうなっていますか?」

美波「スカウターを貸して頂戴…ええと…文香さんの清楚力は25ね」ピピッ

文香「美波さんたちと…目くそ鼻くそほどの差しかありませんね…」

ピピッ!

【鷺沢文香】清楚力24(-1)

美波「あっ。いま24に落ちたわ」

文香「…!?」ガ-ン!

美波「きっと『目くそ』『鼻くそ』という言葉が清楚力を弱めたのね。清楚らしかぬ言動や行動は清楚力を減少させるのよ」

文香「り、理不尽極まりないです…諺なのに…」

夕美「なるほど。そういうことなのですわね」

美波「ええ。だから振る舞いや言動には充分注意して頂戴」

夕美「かしこまりましたわ!」キラ-ン

美波「夕美ちゃん。清楚力が1下がったわよ」ピピッ!

夕美「なんでですの!?」ガ-ン!

文香「普段と違う言葉遣いをしても…パッションが際立つだけですよ…花」

(しばらくして)

美波「私たちの清楚力が著しく低い状態にあるのは理解してくれたわね? それを踏まえて、まずは『どうやったら清楚力を飛び戻せるのか』という話から始めるわ」

夕美・文香「「よろしくお願いします」」ペコリ

美波「清楚力を取り戻す方法! それは邪念を打ち払うことよ!」カッ!

夕美「邪念を打ち払う?」

美波「要するに浅ましい心を捨て去るのよ。例えば、プロデューサーさんのベッドにダイブしてみたり、シャツに顔を埋めてこっそりハスハスしてみたり、フラワーパークにデートに誘ったり、一緒にアイスを食べたり、そういう心を一切捨ててもらうわ!」

夕美「美波ちゃん! 美波ちゃん! ピンポイントで私を非難してないかな!」

美波「気のせいよ。夕美ちゃん」

文香「ふむ…しかし、浅ましい行動を控えるだけで清楚力は上がるものなのでしょうか…低下を防ぐことはできても…向上には繋がらないのでは…?」

美波「いい質問ですね〜」グッ

夕美「(…池上彰?)」

美波「文香さんの言う通りよ。単なる節制だけでは清楚力は上がらない。清楚力を上げるためには節制と同時に『清楚トレーニング』をしなければならないわ!」

夕美「また愉快な名前の造語が出てきたね」

美波「シャラップ。夕美ちゃん、気を引き締めなさい。清楚トレーニングは過酷なものよ」キリッ

夕美「はい」

文香「押忍…清楚を取り戻すためなら何でもやります…」ド-ン!

美波「ふふふ。それじゃあ清楚トレーニングの講師を呼んであるから。みんな挨拶を!」

ガラガラガラ

慶(ルーキートレーナー)「押忍! 先生の青木慶です!」カッ!

夕美「わー、慶さんだ。よろしくね♪」パチパチパチ

慶「よろしくお願いします♪」ニコ-

文香「…」

美波「どうかしたの? 文香さん?」

文香「…」スチャッ

ピピッ!

【青木慶】清楚力25

文香「美波さん…このささみは我々の指導者として適当な人選とは思えません…リコールを要求します…」ピッ

慶「いきなりの解任要求!」ガ-ン!

文香「ええい…いかにも清楚そうな顔をしても無駄なのですよ…その仮面の裏に…浅ましい末っ子の顔があることを私は知っているのです…この意識高い系のファッション清楚…」

慶「な、なんてことを言うんですか! 私は清楚です! 皆さんよりも頭一つ抜けて清楚ですよ! 見てください! この滲み出るおしとやかさを!」バ-ン!

夕美「わー♪」パチパチパチ

ピピッ

【青木慶】清楚力24(-1)

文香「…」

美波「…」

慶「文香さん! 美波さん! 憐れみの目を向けるのはやめてください!」

文香「…どうします?」コソリ

美波「そうね。私が呼んでおいて何だけど、帰ってもらおうかしら」コソリ

慶「それは嫌です! 断ります! 私も清楚を取り戻しに来たのですから! 私も清楚力が最近失われつつあることを自覚しているのですから! 回復せねばならないのですから!」

慶「絶対に帰りませんから!」ドシッ!

美波「教師役で呼んだのに…」

文香「仕方ありません…教師としては扱いませんが…共にトレーニングをする仲間であれば歓迎しましょう」

慶「美波さん…文香さん…!」パァァァァァ

夕美「一緒に頑張ろう。慶さん!」

慶「はい! 頑張りましょう! 夕美さん!」

文香「全体のパッション成分が増してしまいましたが…大丈夫でしょうか?」

美波「心配ないわ。知将・新田美波。これくらいの困難は乗り越えてみせます」グッ!

文香「頼もしい…」

(しばらくして)

美波「それでは改めて…押忍! トレーニングを始めたいと思います!」ドン!

3人「「「押忍!」」」ドン!

美波「まずこちらの清楚表を見て頂戴」ペラッ

(清楚表)

【100】清楚の化身

【90】見る人すべてに幸福感を与える清楚

【80】心が豊かになる清楚

【70】手の届かない清楚(事務所平均値)

【60】憧れの清楚

【50】素敵な清楚

【40】清楚

【30】欠点が悪目立ちする清楚

【20】残念な清楚(清楚組の現在)

【10】モブ

【0】まだ見ぬポテンシャル

美波「これは清楚表。清楚力の指標となるものよ。今のところ私たちは全員『欠点が目立つ残念な清楚』。かろうじて清楚ではあるものの、限りなくモブに近い清楚というわけね」

夕美「0は何なの?」

美波「まだ清楚力が覚醒していない子が当てはまるものよ。晴ちゃんとかありすちゃんとか柚ちゃんとか。大雑把な分け方だけど『お姉さん』扱いされない子は清楚力0になるわね。決して非清楚というわけではないわ」

夕美「なるほど」

文香「先生…質問です」ピッ

美波「どうぞ。文香さん」

文香「仮に目標を70だとして…我々はどれくらいの期間で清楚力70に達することができるのでしょうか…?」

美波「ダラダラと時間をかけてはいられないわ。5日よ」バン!

3人「「「5日…!」」」

美波「もちろんトレーニングは厳しいものになるわ。でも、その分清楚力の大幅な向上は期待できるはずよ」フフフ

慶「具体的には何をするのですか。先生」ピッ

美波「本来、それを慶さんに教わろうと思っていたんだけど…まあ非清楚とわかってしまったから仕方ないわ」

慶「ごめんなさい」

美波「私たちのトレーニングはこの本を参考にしながら進めるわ!」

【清楚のすゝめ】ドン!

文香「誰が書いたのですか…この本は…?」

夕美「著者:桑山千雪(監修 283プロダクション事務員・P)って書いてあるよ」

文香「桑山千雪…確か283プロのアイドルでしたね…おのれ…このような自己顕示欲にまみれた本を出して知名度アップを狙うとは…なんたる卑しさ…」クワ-

慶「ええ! 救いようがなく心が卑しいですね! おまけに身体も卑しいです! あの肉付き! あの尻! あのバスト! タレ目に加えて母性キャラ! 手の施しようがない卑しさです!」

文香「そうですね…こういう手合いは『私は書くつもりはなかったのですが。事務員さんとプロデューサーさんに強く押されてつい…///』というような言い訳でもするのでしょう…まったく…卑しさがとどまることを知りませんね…」

夕美「ふん! 卑しい! 卑しいよ! 私とおしとやかなお姉さんキャラが被ってるし!」

文香・慶「「おしとやかなお姉さんキャラ?」」

夕美「?」

ピピッ

【青木慶】清楚力23(-1)

【相葉夕美】清楚力19(-1)

【鷺沢文香】清楚力23(-1)

美波「3人とも。清楚力がまたダウンしたわ」

3人「「「なにゆえに!?」」」ガガ-ン!

美波「過度な他者批判は清楚力ダウンの原因になるのよ」

文香「批判をすることさえ許されない世の中なんて…」グヌヌヌ

夕美「私の清楚力が下がり続けちゃってるよ…」ションボリ

慶「こんな世界間違っています!」

美波「でも、本当に清楚力を取り戻したいなら我慢しなきゃダメよ。節制と前向きな努力こそが清楚になれる唯一の道なの。わかるでしょう?」

3人「「「…はい」」」

美波「それじゃあ、この本を教科書代わりにすることにも異論ないかしら?」

夕美「その人は本当に清楚なの? 信用できるの?」

美波「前に収録現場で見かけた時に清楚力を測ったら85あったわ」

慶「は、85…!?」ガ-ン!

文香「け、計測ミスでは…?」

美波「いいえ。私も認めたくはなかったけど、何度計測しても結果は同じだったわ」

夕美「…」

夕美「でも他の事務所の人の本を読むのはなんかヤダ。悔しい…」プク-

文香「同感です…」

美波「気持ちはわかるわ。でも考えてみてちょうだい。敵の強さを認めて、清楚の秘訣を学び盗めば私たちも同じかそれ以上の清楚になれる。いまは己の弱さを受け入れるしかないの。最上級の清楚になるためにも。いまは安いプライドは捨て去る時なのよ!」カッ!

ピピッ!

【新田美波】清楚力29(+3)

文香「み、美波さんの清楚力があがりました…」

慶「す、すごいです! リーダーシップを発揮すると清楚力があがるのでしょうか!」

美波「ふふふ、どうかしらね。それよりもみんな。特訓はどうするのかしら。私は1人でもこの本を参考に進めるつもりだけど、抜けたいなら構わないわよ?」

3人「「「…」」」

文香「私は…参加します…いまさら恥も何もありませんからね…」

慶「私もです! すでに醜態を晒していますから! 失うものなどありはしません!」

美波「夕美ちゃんは?」

夕美「…」

夕美「やるよ! 私も参加します! どんな手を使ってでも清楚に戻るんだから!」カッ!

美波「決まりね! それじゃあビシバシ行くわよ!」

3人「「「押忍!」」」

(しばらくして)

パラパラパラ...

美波「それじゃあ第1章から読んで追っていきましょう…第1章はえーと…『清楚力を身に付けるためにはいかなる時も心を落ち着かせるべし』ですって」

夕美「ふふん。なら私は大丈夫だね。落ち着きがあるもん♪」フンス

美波「自己肯定感の塊ね。この花は。どこからその自信が湧いて出てくるのかしら」

文香「夕美さんはさておき…私はどうでしょう…自分で言うのも何ですが…人並み以上には落ち着いているのでは…?」

慶「確かに夕美さんよりは落ち着いているとは思いますけど…文香さんが落ち着いた人間であるかと言われると…」ウ-ン

夕美「2人とも待って」

美波「そうね。夕美ちゃんはともかく。文香さんが落ち着いているというのも違和感があるわ。言い方は悪いけど、文香さんは『ローテンションではしゃぎ回るキッズ』だもの」

文香「本当に言い方が悪いですね…が、私もそれは自覚しています…心を落ち着かせるとはどうすればできるのでしょう…」

夕美「ねえ! みんな! 待ってよ! おかしくないかなっ!」ピョ-ン! ピョ-ン!

3人「「「?」」」

夕美「私! 落ち着いてるよ!」ピョ-ン! ピョ-ン!

美波「そうね。花」

文香「落ち着いていますね…花」

慶「花ですね」

夕美「私の扱いが雑だよ〜!」ヒ-ン!

美波「はいはい。可愛いわよ夕美ちゃんは」ヨ-シヨシヨシヨシ

夕美「でしょ〜♪」ニコニコ

ピピッ

【相葉夕美】清楚力17(-1)

美波「でもこれが現実よ。数字を直視なさい。夕美ちゃんはアイドルにあるまじき低レベルの清楚だわ」ピッ

夕美「嫌ァァァ。また下がったァァァ」

文香「この浅ましさ…むしろ私は好意を持ちますが…」

慶「私も人間性は大好きですよ。ただ清楚ではないですよね」

夕美「うるさいよ! こんちくしょう! 絶対清楚になってみんなを見返してやるんだから!」カッ!

【こうしてポンコツたちの特訓は幕を開けた】

美波「さあ! まずは走りなさい! 何より走りなさい! 身体を追い詰め、心も追い詰める! 清楚はその先にあるのよ!」カッ!

慶「うぉぉぉぉぉっ!!!」ダッタッタッタッ!

夕美「ヒィィィィィッ!」ダッタッタッタッ!

文香「」←1km走った辺りで倒れた

【5日という短い期間の中、4人は己をいじめ抜き】

美波「おしとやかウォーク!」

慶「うっふん」クネクネ

文香「あはん…」シュタ-ン

夕美「ふふん」キラ-ン

【何やかんや頑張った】

美波「みんな。5日間の特訓お疲れ様でした。これで全行程は終了よ」パチパチパチ

文香「まるで一瞬のように感じてしまうほど厳しい特訓でしたね…」パチパチ

夕美「もうやりたくない…」パチパチパチ

慶「でも、あれだけのことをしたのですから清楚力に反映されているはずですよ!」

美波「そうね。さっそくスカウターで計測してみましょう」スチャ

3人「「「お願いしまーす」」」

ピピッ!

【新田美波】清楚力54

ピピッ!

【青木慶】清楚力43

ピピッ!

【相葉夕美】清楚力37

ピピッ!

【鷺沢文香】清楚力46

夕美「あるぇー!? 思ったより伸びてない!?」ガ-ン!

慶「まあ、たった5日の特訓ですから」

文香「ふむ…標準ラインは超えているものの…清楚を売りにしたアイドルとしてはまだまだ物足りないですね…」

美波「そうね。でも5日で20も伸びているのよ。上出来じゃない。目標達成は出来なかったけどみんな頑張ったわよ」

慶「ええ。あとは各々で伸ばしていくのがいいのではないでしょうか。清楚になりたいという心構えがあればきっと元に戻れますよ」

文香「そうですね…5日で20上がったということは1日4清楚…50日で200…365日で1460の清楚力があがる計算になります…」

慶「最大100ですよ。計算ガバガバですね」ハハハ

文香「冗談です…」フフフ

美波「もう文香さんったら」フフフ

キャッキャッ♪

夕美「(んー…あれだけ頑張っても清楚力があがらないなんて…もっと手っ取り早く清楚力を上げる方法はないのかな…)」ウ-ン

美波「どうかしたの? 夕美ちゃん?」

夕美「う、ううん。何でもないよ」

ガラガラガラ

藍子「こんにちは。みなさん明けましておめでとうございます♪」ニコ-

美波「あら、明けましておめでとう藍子ちゃん」

文香「明けましておめでとうございます…」

慶「明けましておめでとうございます!」

夕美「明けましておめでとう♪」

藍子「はい♪ ところで皆さん。ここ数日、道場にこもっていたようですが何をしていたんですか? 仕事とレッスンが終わるなりそそくさと帰っていたのでプロデューサーさんも心配していましたよ?」

美波「あら、そうだったの。実はみんなで集まって清楚力を上げていたのよ」

藍子「…清楚力?」

文香「個人の清楚さを数値化したものです…」

藍子「なるほど」

藍子「(よくわからないけど。また愉快なことをしてるなぁ…このお姉さんたち…)」

美波「ほら。このスカウターで清楚力を測るのよ。ええと…藍子ちゃんの清楚力は、っと」

ピピッ

【高森藍子】清楚力87

4人「「「「87ァ!?」」」」ガ-ン!

藍子「?」キョトン

美波「ぐぅぅぅっ!! な、何なの! この清楚力は!?」シュゥゥゥゥ...

文香「浄化されていく…ゆるふわの清楚エネルギーに…身も心も浄化されていく…」シュゥゥゥゥ...

夕美「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」シュゥゥゥゥ...

慶「何という清楚力なんでしょう!」シュゥゥゥゥ...

藍子「え、ええっ!? みなさん一体どうしたんですか!?」オロオロ

美波「くっ…新年早々、低清楚の私達を嘲笑いに来たのかしら!」カッ!

文香「浅ましい…浅ましいですよ…」クワ-

夕美「藍子ちゃんがそんなひどい後輩だったなんて知らなかったよ!」

慶「藍子ちゃんはぺったんこまな板仲間だと思っていたのに! もうささみを分けてあげません!」

藍子「反応に困るのでいわれのない罵倒はやめてください!?」ガ-ン!

美波「ふん。清楚力を鍛えるために頑張っていた私たちのモチベーションを下げる藍子ちゃんなんてもう…あら?」

夕美「どうかしたの? 美波ちゃん?」

美波「ふ、文香さん!? 清楚力が上がっているわ!」

文香「…?」

ピピッ!

【鷺沢文香】清楚力55

文香「い、いきなり10近くも上昇しています…これは一体…?」

美波「よく見たら夕美ちゃんも慶さんも上昇しているわ!」

ピピッ!

【相葉夕美】清楚力48

ピピッ!

【青木慶】清楚力53

夕美「ホントだ! やったあ!」

慶「なぜでしょうね!」

文香「恐らく…藍子ちゃんの影響でしょう…いうならばこれは清楚浴…森林浴の清楚版です…ほとばしるほどの清楚オーラにあてられたことで…我々の清楚力も呼応して上昇したのでしょう…」

3人「「「なるほど!」」」

藍子「(もう帰っていいのかな)」

美波「駄目よ。もう少しここにいてちょうだい」

藍子「心を読まないでください」

(しばらくして)

ピピッ

【新田美波】清楚力65

美波「…やっぱりそうね。藍子ちゃんに近づけば近づくほど、そして近づいていた時間が長いほど清楚力が上がっていくみたいね」

慶「ええ。ですがその反面…」

【高森藍子】清楚力76

文香「朱に交われば何とやら…藍子ちゃんの清楚力も下がってしまうようです…」

藍子「未だに何のことかよくわからないのですが、もう帰ってもーーー」

夕美「ダメ!」ギュ-

藍子「むぐっ! 抱きつかれると暑苦しいです」

夕美「ふふん。こうして抱きついてれば清楚力があがるんだもん! 天啓とみたり! こんな手っ取り早い方法があるなら最初からそうすればよかったよ!」

ピピッ

【相葉夕美】清楚力57

ピピッ

【高森藍子】清楚力75

慶「藍子ちゃんの清楚力がどんどん吸収されてますね」

美波「花どころか、もはや寄生植物ね」

文香「私も…清楚力をあげたいことには変わりませんが…清楚浴はしょせん一過性のものでしょう…藍子ちゃんから離れればすぐに数値は下がっていきます…努力をしなければ身に付かないということですね…」

美波「そうね。もう呼び戻しましょう。夕美ちゃん、清楚浴はあまり効果がないからそろそろ藍子ちゃんを解放してあげて…」

夕美「閃いた! 事務所にいる清楚な子をどんどん拉致してエネルギーを吸収すれば、簡単に清楚になれるよ!」カッ!

美波「老魔女みたいなことをすごくいい笑顔で言っているわ。あの花」

文香「夕美さん…そのような浅はかな考えは長く続きません…オチがもう見えていますよ…」

慶「はい。そろそろやめましょうね」

夕美「ええと、事務所にいる清楚なアイドルは〜、っと♪」ニコニコ

3人「「「聞いちゃいねぇ」」」

藍子「…あの。私もう帰ってもいいですか?」コソッ

美波「ええ、ごめんなさいね。あとでケーキ買ってきてあげるから。今日の分の埋め合わせはそれで許してちょうだい」コソッ

藍子「わぁ。ありがとうございます♪」ニコ-

文香「…さて、我々は夕美さんを最後まで見守りましょうか」

慶「ですね」

(しばらくして)

夕美「捕獲! ぴちぴちの清楚ゲット!」ガシ-

ゆかり「いきなり抱きつかれてしまいました…これは新手の挨拶なのでしょうか♪」ニコニコ

夕美「うん! そうだよ!」


夕美「また捕獲! 新しい清楚を捕まえたよ!」ガシ-

茄子「あらあら〜。どうかしたのですか?」

夕美「何も聞かずにこのままハグさせててください!」


夕美「清楚!」ガシ-

肇「?」キョトン


夕美「私に力を分けてください!」ガシ-

詩織「?」ニコニコ


夕美「ふんぬらば!」ギュ-

聖「ちょっと苦しいです♪」


夕美「にゃー!」ガシ-

星花「ふふふ。情熱的な抱擁ですわね♪」


夕美「どっせーい! いい香り!」ガシ-

久美子「?」

(そして)

ワイワイワイ...

夕美「たくさんの清楚が集まりました! これだけの人数に囲まれれば私の清楚力もうなぎのぼりだよ! がははは!」

美波「もう末路が見えているわね」

慶「ロウソクの火って消えかけが1番激しく燃えるんですよ」

文香「最後の輝きですね…」

ピピッ!

【相葉夕美】清楚力90

夕美「ほら来た! ついに清楚力が90を突破だよ! このまま100を目指してアイドル界最強の清楚に…」

ゆかり「すみません。そろそろ用事があるので失礼しますね」スタスタ

夕美「え?」

茄子「私もそろそろ♪」スタスタ

夕美「え、ちょっ、ちょっと待っ」

肇「それでは。今年もよろしくお願いします」スタスタ

詩織「失礼しますね♪」スタスタ

聖「ハグされて嬉しかったですよ♪ では」スタスタ

星花「今度はわたくしからハグさせてもらいますわね」スタスタ

久美子「じゃ、またね」スタスタ

夕美「み、みんなァァァ!!! 待ってェェェ!!!」

シュゥゥゥゥゥ...

夕美「…」

ピピッ

【相葉夕美】清楚力60

夕美「ああ…」

ピピッ

【相葉夕美】清楚力42

夕美「あ、あれ? ちょっと減りすぎ…」

ピピッ

【相葉夕美】清楚力25

夕美「一気に下がっちゃってる!?」ガガ-ン!

美波「『がははは』なんて笑い方をしてればそうなるわよね」

文香「同情の余地なしですね…」

慶「当然の帰結ですよ」

夕美「うわぁぁぁぁぁん!!」ヒ-ン!

(後日・事務所)

夕美「…」プルプルプル

P「…なあ美波」

美波「はい?」

P「さっきから夕美は何をしてるの?」

美波「清楚トレーニングです」

P「?」

夕美「…」←正座中

夕美「…っ! もう無理! 脚が痺れるー!」バタ-ン!

慶「あ! 夕美さん! 正座を崩してはいけません! まだ5分しか経ってませんよ! さあ! まだまだ続けますよー!」パシ-ン!

文香「自分から厳しくして欲しいと言ったのでしょう…頑張ってください…」ツンツンツンツン

夕美「足の裏を突くのは嫌ァァァ。やめてェェェ」ビリビリビリ

P「新年から楽しそうね」

夕美「プロデューサーさん! 助けてェ!」

終わり

以上です。
お読みいただきありがとうございました。

そして明けましておめでとうございます。
新年早々卑し浅まし擬音まみれのSSです。
勢いだけで駆け抜けていくスタイルなのは変わりありません。今年も変わらずこんなテンションの作品をぶん投げていこうと思っています。

ちょうど1年ほど前に書き始めたこの清楚シリーズ。元々のテーマは「普段お姉さんとしての役割を担うことの多い大学生組に年相応にはしゃいでもらう話」でした。
ちょっとした開放感を楽しんでもらうだけの話にするつもりが、いつのまにか全員歯止めのきかないパーリーピーポーになっていたのは未だに謎です。いったいどこで道を踏み外したのでしょう。

昨年と同じように隔週投稿、月2本くらいのペースでSSを書いていく予定です。改めましてコンゴトモヨロシクお願いします。

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