双海真美13歳 趣味:メール、『ぼんさい』 (59)



真美「………」パチン パチン

千早「………」

亜美「………」

真美「………」パチン

千早「ねえ、亜美」

亜美「なに?千早おねえちゃん」

真美「………」ジーーー

千早「真美がいつになく真剣な顔で盆栽の剪定をしているのだけれど」

亜美「そうだね、ガチの顔だね」

千早「なにか体調が悪いのかしら?もしかして病気とか?」

亜美「真剣な顔しただけで病気をうたがうのは さすがにヒドくない?」


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真美「………」パチン

千早「だってあんな真剣な顔……真美じゃないもの」

亜美「真美じゃないって……千早お姉ちゃんの中の真美はどうなってるのさ?」

千早「アホ面晒して我那覇さんのパンツを舐りながら『ひびきんのパンツおいち→♪』って言ってる感じね」

亜美「どうなってるのさ?って聞いといてなんだけど聞かなきゃよかったよ」

真美「………」チラ

千早「あら、真美がこっちを見たわ……ふふ、これが欲しいのかしら?」ヒラヒラ

亜美「その、手でヒラヒラさせてる布切れってなにさ?」

千早「我那覇さんのパンツよ」ヒラヒラ

亜美「うん、また聞かなきゃよかったことを聞いちゃったよ」


真美「………」プイ

千早「あら?」ヒラヒラ

真美「………」パチンパチン

千早「無視されたわ……私を無視するなんて失礼ね、これは変態仮面の刑に処すべきかしら?」

亜美「やめなよ千早おねえちゃん。処刑方法はよくわからないけど見たくないよそんなの」

真美「……二人ともうるさいよ?……少し黙っててくれる?」パチンパチン

千早「怒られた……鬱だわ死のう……我那覇さんのパンツを……こうやって」ゴソゴソ

亜美「やめなよ千早おねえちゃん。ひびきんのパンツで首を吊ったらひびきんが可哀想だよ」


真美「盆栽の剪定はさ……」パチンパチン

千早「ふふ……私の命を吸ったパンツを我那覇さんが履くと思うと興奮するわね」

亜美「千早お姉ちゃんの狂ったセイヘキにひびきんを巻き込まないであげなよ」パシッ

真美「命を刈り取ると同時に……」パチンッ

千早「亜美なにするの、私のパンツを返しなさい!」

亜美「ひびきんのパンツでしょコレ……うわっなんかこのパンツベタベタする!」

真美「命を繋ぐための作業でもあるんだよ……」パチンパチン


真美「その神聖な作業中に……二人とも恥ずかしくないの?」フン

千早「ふんっ!!」ビリィビリィッ!

亜美「ああ!ひびきんのパンツを破いちゃった!?」


真美「………」パチンパチン

千早「はあ…はあ……無視も罵倒も怒られるのも我慢できるけど……蔑視されるのだけは許せないわ!」

亜美「怒るポイントが微妙にわかりにくいなあ」

真美「………」ジーーー

千早「くっ……はぁはぁ……真美にあんな目で……はぁはぁ…蔑まされたなんて……くぅっ!!///」

亜美「あれ?千早お姉ちゃんなんか興奮してない?」

真美「……うん……」


真美「剪定カンリョ→!!」

亜美「あ、真美終わった?」

真美「うん!………あれ?千早お姉ちゃん息がアラいけど……どうかしたの?」

千早「ふ、ふふふ……大丈夫よ、問題ないわ」

真美「そう?あ、真美なにかおかしなこと言わなかった?剪定中はちょっとキャラ変わっちゃうから……」

千早「ふふ、大丈夫よ、気にしないで」

真美「気にしないでって……やっぱりなんか言っちゃったの?」

亜美「いや、本当に気にしなくていいよ?うん、本当に」


千早「けど、この盆栽とても立派ね。素人目から見ても見事だと思うわ」

亜美「なにそのコメント?急に真人間にならないでよ、ビックリするじゃん」

真美「え?そ、そうかな~ありがと!」テレテレ

千早「ええ、特にこの枝分かれしてるところなんて高槻さんの股間のラインを彷彿とさせるわ」

亜美「ビックリするほどいつもの千早お姉ちゃんで安心したよ」

千早「ここの膨らんでるところなんて、あずささんの豊かな乳房をイメージくっ!」

亜美「なに自分のイメージでダメージくらってるのさ」


真美「ち、千早お姉ちゃん そんなに褒めなくてもいいよ~」テレテレ

亜美「んん?いまのセリフの中に褒めてる部分ってあったかな?」

真美「杜松はこのツンツンがカワイイよね!」

千早「そうね、ツンツンね。水瀬さんみたいで可愛いわ」

真美「え?ツンツン?いおりんの肌はスベスベしてるよ?」

千早「………ふふ、無垢な真美は可愛いわね。そうね水瀬さんはツンツンでツルピカね」

伊織「………」ジーーー

亜美「あ、いおりんおかえり~」

千早「こら真美っ!水瀬さんに対して、つるピカハゲ丸なんて言っちゃダメでしょ!水瀬さんに謝りなさい!!」


伊織「二人とも遊んでないでさっさと仕事に行くわよ」

亜美「あいよ~」

真美「りょ→かい!」ガシッ

伊織「真美、その盆栽は事務所に置いていきなさい……」

真美「ええ~せっかく持ってきたのに~」

伊織「なんで事務所に持ってきてるのよ……ともかく現場に持っていったら邪魔でしょ?」

真美「邪魔じゃないよ!それに、ボンちゃん(盆栽)も事務所に置いてかれたら寂しいよね?」

亜美「サミシクナイヨ~(裏声)」

伊織「寂しくないって言ってるわよ」


真美「本当?一人で大丈夫?」

亜美「ダイジョウブ、ヒトリデオルスバン デキルヨ~(裏声)」

真美「そっか……それなら大丈夫かな……それじゃあボンちゃん、おとなしく待ってるんだよ」

亜美「ウン、ワカッタヨ~ マミチャンモ オシゴトガンバッテ~(裏声)」

真美「うん!行ってきまーーす!」タッタッタッ

伊織「………」

亜美「………」

伊織「……毎回…こんなことしているの?」

亜美「……毎回じゃないよ、週に2~3回くらい……」


伊織「週に2~3回……」

亜美「うん……」

伊織「……………」

亜美「……………」

伊織「いい医者、紹介しましょうか?」

亜美「いや、亜美ん家 病院だし……」

伊織「……そう、だったわね……」

亜美「………」

伊織「……とりあえず、仕事に行きましょうか」

亜美「……うん」



数時間後


響「う~ん……ないなあ……」キョロキョロ

響「ここに無いとすると、一体どこに……って、千早!!」

千早「………」チーーン

響「千早が床に倒れて……大丈夫か千早!」ユッサユッサ

千早「……うっ……」

響「千早!!」

千早「が、我那覇さん……」

響「ああ、良かったあ…気がついて……」


響「千早、もう大丈夫か?」

千早「ええ、もう大丈夫よ。ありがとう我那覇さん」

響「でも、どうして床に倒れていたんだ?……もしかして体調が悪いとか?」

千早「いえ体調は大丈夫よ。病気も怪我もしていないわ」

響「それじゃあどうして?」

千早「さっき、水瀬さんにデコピンをされたんだけど……」

響「デコピン?伊織が?」

千早「ええ、つるピカハゲ丸くんって言ったらバチーンと」

響「つる……ハゲ?……よくわからないけど千早が悪そうだなあ」


千早「それでデコピンが痛くて倒れたのよ」

響「う、うん」

千早「それで倒れたままだと心配してくれるかな~って倒れたフリをし続けてたら」

響「………」

千早「無視されてそのまま仕事に行っちゃたわ。ムカつくからそのまま不貞寝を決め込んでたってワケよ」

響「真剣に心配して損したなあ……」

千早「真剣に心配してくれたなんて……嬉しい。おめでとう我那覇さんは私の知人から親友に進化したわ」

響「今まで知人扱いだったんだ……」


千早「響、これから困ったことがあれば私になんでも相談してね」

響「急に距離感が近づきすぎてついていけないぞ」

千早「ふふふ、親友なんだから遠慮はしないでよ」

響「まあ自分も千早と仲良くなれるなら それに越したことはないけど……」

千早「よろしくね、響!」

響「う、うん……あ、そうだ千早ひとつ聞きたいことがあるんだけど」

千早「なにかしら?なんでも聞いて頂戴」

響「自分のパンティ知らないか?予備のやつが無くなっちゃってさ」

千早「酷いわ!響っ!!!!」


響「え?酷い?」

千早「私にそんなことを聞くなんて!もしかして疑っている?私が響のパンツを盗んだと疑っているの!?」

響「いや、疑ってなんかないけど」

千早「じゃあなんでそんなこと私に聞くの!?聞くってことは疑っていると同義語なのよ!!」

響「でもさっき、なんでも聞いて頂戴って……」

千早「どうせ『千早って自分のパンツ舐めながら おいしー♪とか言ってそうだよな』とか思ってたんでしょ!」

響「思ってない思ってない!微塵にも思ってない!!てか何その変態怖い!」

千早「別に怖がらなくてもいいでしょ!!」

響「え?は、はい!」


千早「……私たち……もう、おしまいね」

響「なにが?」

千早「もう、親友のままではいられないってことよ……」

響「あ~……んん?」

千早「今後は前のような関係に戻りましょう……親友になる前の関係に……」

響「え~っと……呼び方が変わるだけだよね?」

千早「そうよ、我那覇さん」

響「わ、わかった……」

千早「それだけ?」

響「う、疑って?悪かったぞ……じゃあ自分はあっち探してくるな……」

千早(ふっ、勝った!なんとか誤魔化しきれたわ!)

響(やっぱり千早からは苗字呼びの方がしっくりくるなあ)


響「う~ん……やっぱり無いなあ」

千早「どうせ家に忘れてきたんじゃないのかしら?」ニコニコ

響「そうなのかなあ……」ウーン

千早(ふっ我那覇さんは御しやすいからいいわね)

やよい「響さーーーーん!!」ウッウー

響「おー、やよいー」

千早「あら、高槻さん。今日も元気一杯ね」

やよい「はい!今日も元気いっぱいです!!」

千早「ふふ、それは良かったわ」

やよい「千早さんもさっき床で寝てましたけどぐっすり休めましたか?」

千早「ええお陰様で すこぶる快調よ」

やよい「それは良かったです!」ウッウーー


やよい「ところで響さん、下着見つかりましたか?」

響「いや~どこにも無くてさ……家に忘れてきたのかも……」

千早「ええ、きっとそうよ。いえ絶対そうね!」

やよい「うっう~……そうですか……」

千早(我那覇さんはともかく高槻さんを騙すのは気が引けるわ……)

千早(許して高槻さん、私が他人のパンツを盗んで舐って破く変態だと知られるわけには行かないの)

千早(でも高槻さん安心してね、流石の私でも高槻さんパンツは盗んでないから)

千早(私もそこら辺はわきまえてるから、超えちゃいけないラインはわかってるから)

やよい「それじゃあ響さん、私の予備のパンティを使ってください!」

千早「んんんんん~?」


やよい「洗濯したばかりなのでキレイですよ。はい!」

響「ありがとなやよい、ちゃんと洗って返すからな」

千早「駄目よ我那覇さん!そのラインは超えちゃ駄目!!」

響「は、はあ?ライン?」

千早「高槻さんもそんな大事なものホイホイと人に貸しちゃ駄目よ!
   世の中には、他人のパンツを盗んで舐って破く変態だっているのくっ!!」

やよい「う、うぅ?」

響「なんで自分のセリフにダメージを受けてるんだよ?」

千早「わかったわ……こうしましょう……高槻さんの予備のパンツを我那覇さんに」

やよい「は、はい」

千早「そして高槻さんが いま履いているパンツを私が受け取るということでどうかしら?」

響「なんでだよ!」


やよい「あ、あのあの……千早さんはパンティはいていますよね?」

千早「ええ、黒のスケスケなのを履いているわ」

やよい「うぅ~それなら私のパンティは必要ないと思うんですが……」

千早「それは違うわ!高槻さんのパンツは股間じゃなくて顔面に被るから必要なの!!」

響「だからなんでだよ!!」

やよい「ち、千早さん………」

響「ほら、やよいもドン引き……」

やよい「千早さんは変態仮面さんだったんですか!!?」キラキラキラ

響「あれ~?」


千早「そうよ!私が変態仮面なの!!」

響「いや肯定するなよ」

やよい「うわ~スゴイです!私大ファンなんです!お、お体を さわってもいいですか?」

千早「ええ構わないわ!私の体を高槻さんの手垢でベタベタにして頂戴!」

響「なんだこれ」

やよい「うわ~うわ~スゴい筋肉ですぅ~特にこの胸のあたりの筋肉なんてカチカチのコリコリで」

響「いやそれただの肋骨じゃないか?」

千早「………」シュン

響「ほら、千早も凄いダメージ受けてるし」


やよい「さわらせてもらってありがとうございました!」ガルーン

千早「ふふ、いいのよ」

響「千早、涙拭けよ」

やよい「それじゃあ私のパンティをお渡ししますね」ヌギヌギ

響「止めろ!やよい脱がなくていいから!!」

やよい「え?で、でも私のパンティがないと千早さんが変態仮面さんになれませんよ」

響「千早はパンツを頭に被らなくても既に変態だからいいんだよ!」

千早「さすがに面と向かって変態と言われると心にクるものがあるわ」ドキドキ


やよい「でも、でも!」

響「だ、だったら千早、こっちを使ってくれ!」サッ

やよい「それは……さっきお貸しした私の予備のパンティ?」

響「スカートのやよいをノーパンにさせるわけにはいかないさ!」

千早「我那覇さん……」

響「なんだよ、千早もこれなら文句ないだろ?」

千早「人から借りたものを他人に又貸しするなんて……人としてどうかと思うわ……」

響「なんで千早が引いてるんだよ!!」


千早「まあ、私は高槻さんのパンツを貰えるならなんでもいいんですけど」パシッ

響「なんだその言い草は!」

やよい「でもそれがないと響さんが困るんじゃあ……」

千早「ふふ、こんな人でなしを心配するなんて高槻さんは本当に優しいわね」

響「人でなしに人でなし扱いされたぞ……」

千早「安心して高槻さん、我那覇さんには……んっ」ゴソゴソ ヌギヌギ

千早「……これを提供してあげるわ」ヒラヒラ

響「いま千早が脱いだパンティで自分は何をすればいいんだ?」

やよい「なるほど、それを響さんがはけば解決しますね!」ウッウー

響「即座に理解したやよいは賢いなあ」


やよい「私の予備のパンティが千早さん、千早さんのパンティは響さん、これで全部解決ですね!」

千早「ええ、これ以上ない見事な解決方法よ」

響「ただ面倒にしただけなような……というか千早、一つ聞きたいんだけど」

千早「なにかしら?高槻さんのパンツは渡さないわよ?」

響「いや、この千早から貰ったパンティ……三浦あずさってネームタグが付いてるんだけど、どういうことだ?」

千早「高槻さん、そろそろ仕事の時間じゃないかしら?」

やよい「あ、そうですね、もう出ないといけません」

千早「それなら途中まで送っていくわ」

やよい「ありがとうございます!ところで千早さんはなんで私の仕事のスケジュールを知っているんですか?」

千早「ふふ、私は高槻さんのことならなんでも知っているのよ?さっ行きましょう」

響「お~い自分の質問にも答えろ~」


響「って二人とも本当に行っちゃったし……」

響「こんな黒いスケスケなのどうしろっていうんだよ……」

響「そもそもこれが本当に あずささんのだとしたら……」

響「この状況じゃあ自分が盗ったことになるんじゃあ……」

響「………」

あずさ「響ちゃ~ん~」

響「うぎゃああああああああああああ!!!」


あずさ「あらあら~どうしたの?」

響「ああああずささん!?」

あずさ「そんなに大きい声を出して~?」

響「い、いや別に……なんでも……」

あずさ「まるで、下着ドロの冤罪をかけられそうになって叫び声を出している響ちゃんのような声ね~」

響「ピンポイントで当ててきた?見てた?いまの一連の流れ見てた?」

あずさ「うふふ~とりあえず私のパンティー返してくれるかしら」

響「は、はい」サッ


あずさ「ありがとう~これ私のお気に入りだったから帰ってきて嬉しいわ」

響「お気に入り?ああ、だからネームタグを付けてたのか」

あずさ「いえ、最近私の下着が頻繁に無くなるからネームタグを付けてたの~」

響「犯人はもうわかったんで次無くなったら容赦なく通報してください、自分証言するんで」

あずさ「あらあら~?響ちゃんは千早ちゃんの親友じゃなかったの?」

響「ただの知人です」

あずさ「響ちゃんの、時たまドライになるところ嫌いじゃないわ~」


雪歩「あ、あずささ~ん……」

あずさ「あら~どうしたの~雪歩ちゃん」

雪歩「この前私のスコップに付けてもらったネームタグの件で、お話があるんですけど……」

響「スコップに?雪歩。そんなの付けてもらったのか?」

あずさ「そうよ~やっぱり大事なものには持ち主の名前を付けないとね~。で、どうしたの~?」

雪歩「ここの『萩原』の部分が『荻原』になっているんですぅ」


あずさ「あ、あら~?」

響「ああ、よく間違えるやつだな」

あずさ「ごめんなさいね、雪歩ちゃん」

響「あはは、あずささんはおっちょこちょいだなあ」

雪歩「あと『雪歩』の部分が『霪歩』ってなってて……」

あずさ「あら~よく間違えるやつね~」

響「いやそれは間違わないやつ」

雪歩「最後に年齢の部分が23歳ってなってるんですけど?」

あずさ「あらあら、雪歩ちゃん一気にお姉さんね~」

響「この人さり気なく雪歩を765プロ最年長にしようとしてるよ」

雪歩「とりあえず書き直してください」サッ

あずさ「書き直すのはいいんだけど~頼むときにスコップを振り上げるのはよくないと思うわ~
    まるで脅しているように見えるから」

雪歩「すみません間違えました、よろしくお願いしますぅ」ニッコリ


あずさ「書き直したわよ~」

雪歩「ありがとうございますぅ」

響「うん、『萩原 雪歩』って書いてあるな」

あずさ「うふふ~今度は間違えないわよ~」

響「名前の後に『運命の人募集中☆』って書いてあるのはなに?」

あずさ「サービスよ~」

響「誰に対してのサービス?」


雪歩「……ふんっ!!」ブンッ

響「のわ!?」

あずさ「雪歩ちゃん、急にスコップを投げるなんてどうしたの?」

雪歩「ご、ごめんなさい急にスコップが汚らわしく感じてしまって……」

あずさ「それは大変ね、スコップで犬の糞でも掘り当てたのかしら?」

響「どうみても、あずささんの余計な言霊のせいだと思うなあ」

雪歩「うぅ~長年愛用してきたスコップなのに……も、もう一度」ガッ

響「雪歩、無理に触ろうとするな」

雪歩「でええええぇぇいい!!」ブゥンッ!!

響「ぎゃあああああ!!」サッ!


雪歩「はあはあ……」

響「あっぶなっ!いま当たりそうだったぞ!」

雪歩「あっ ご、ごめんなさいぃ……そこに置いてあった盆栽に当たりそうだったね、大丈夫だった?」

響「え?そっちの心配?自分は?」

あずさ「ちょっとカスったけど、盆栽は大丈夫だと思うわ~」

雪歩「良かったぁ~、あっ響ちゃんも無事で良かったね」ニッコリ

響「うん……ありがと」


あずさ「でも、雪歩ちゃんがこのスコップに触れなくなったのは問題ね~」

響「問題を起こした張本人がなにを……」

雪歩「はいぃ~どうしましょう……」

あずさ「ふふ、ここは私に任せて。私が雪歩ちゃんの新しいスコップを買ってあげるわ~」

雪歩「え?で、でもそんなの、あずささんに悪いですぅ」

あずさ「いいのよ~私が原因の一端かもしれないんだから~」

雪歩「あ、あずささん……」ジーン

響「一端?全部じゃないのか?」

雪歩「あ、ありがとうございますぅ、私嬉しいです!」ダキ

あずさ「気にしないで雪歩ちゃん、大切な後輩のためだもの~」ダキ

響「凄いなあ、加害者のくせに感謝されてるよこの人」


あずさ「さあ、雪歩ちゃん響ちゃんさっそく買いに行きましょう」

雪歩「はいっ」

響「え?自分も?」

あずさ「そうよ~、一緒に行きましょう」

響「なんで自分も?」

あずさ「また雪歩ちゃんが暴走した時に~体を張って私を守ってくれないと~でしょ?」

響「またなんかやらかすつもりか!?」

あずさ「うふふ、リスクマネジメントは大事でしょ~」

響「なんでそのリスクを自分が引き受けないといけないんだ?」

雪歩「そうですよね、リスクマネジメントは大事ですよね!さすがあずささんです」

あずさ「ありがとう雪歩ちゃん、さあ響ちゃん行きましょうか」ガシッ

響「い、いやだ~~~~!!」ズルズルズル



??「………」


??「………」


??「………」


??「………」


??「………」


盆栽「」 ピシッ ピシッ



<ガチャ


春香「たっだいま戻りました~」

貴音「ただいま戻りました」

春香「って、誰もいませんね……みんな出払ってるんですかね?」

貴音「そうですね……おや?こんなところに盆栽が」

春香「あ、本当だ。こんなの昨日まで無かったですよね、誰かの私物かな?」

貴音「ふむ、盆栽には疎いのですが……これは松のようですね」ジロジロ

春香「私もよくわからないですけど、綺麗にまとまってますねえ」

貴音「はい、素人目にも見事な物だと感じます」


貴音「松といえば、こんな話を知っていますか?」

春香「どんな話ですか?」

貴音「昔松の木は非常食として利用されていたそうです」グゥ~

春香「へぇ~」

貴音「日本のお城に松の木が多かったのは、いざという時の食用だったとか」グゥ~

春香「マジですか?」

貴音「今でも松皮餅というものがありましてね、非常に美味とのことです」グゥ~グゥ~

春香「そうなんですか、一度食べてみたいっていうか貴音さんのお腹の音すごいですね」


貴音「というわけで一口くらい齧っても」

春香「どういうわけか全然わからないので止めてください」

貴音「むう、いけずですね」

春香「食用じゃないんですから……」

貴音「ではどうすれば?」

春香「こういうのは鑑賞してですねえ、それっぽいこと言っとけばいいんですよ」

貴音「それっぽいこと?」

春香「例えば……この枝のラインが千早ちゃんの胸部みたい~とか」ジーー


<ポキッ


春香「ん?」


貴音「………」

春香「え?んん?あれ?枝が折れ……て……」


盆栽「」ポッキリ


貴音「……折れてますね」

春香「あ、あれれ~?おかしいぞ~?な~んて………あはは、はは……」

貴音「春香、貴女には失望しました」

春香「いや違いますからね!?私触ってませんから!勝手に折れたんですから!!」

貴音「言い訳はお止めなさい!他人の盆栽を勝手にへし折って……恥を知りなさい!」

春香「囓ろうとしてた貴音さんに言われたくないです!」


貴音「恐らく春香が顔を近づけた際、鼻息が荒々しくそのせいで折れたのかと……おお、恐ろしい!」

春香「そこまで鼻息荒くないですよ!」

真「ただいま戻りました~」

春香「ほら聞いてください私の鼻息!ほぼ無音でしょ?」スーフー

貴音「故意に静かに吹いているだけでしょう!?いつもみたいに昔の掃除機のような音を出しなさい!」

春香「そんな音どうやって出すんですか!?」

真「なにやってんの二人とも?」

春香「ああ、真いいところに!私の鼻息を聞いて!すっごく静かだよね!?」フン!フン!

真「いや、すっごく荒いけど?」

貴音「ほら見なさい!やはり私の言うとおり!」フンスー!フンスー!

真「貴音も荒いけどね」


真「っで、どうしたのさ?」

春香「実は、かくかくしかじかで……」

真「へぇ、盆栽を……」ピッピッ

貴音「こちらが今回被害をうけた品です」

真「うわ~これは……見事にポッキリ折れてるね」

春香「私なにもしてないのにぃ……」

真「春香、今調べてるんだけど」

春香「う、うん」

真「盆栽ってモノによっては1億円のもあるんだって」

春香「今調べるところそれ!?」


春香「極端な例を持ち出して不安を煽るのはやめてよ!!」

真「ご、ごめん。でも春香が折ってないとしても、この盆栽はどうするのさ?」

春香「どうするって……木工用ボンドとかでくっつけられないかな?」

貴音「でんぷん糊ならありますが?」

春香「うわ、この丸い黄色い容器懐かしいですね。この独特な匂いも懐かしい」

貴音「はい、食用ではないと知りつつも ついつい食べそうに」

春香「食べないでくださいね」

真「僕の学校は緑のチューブだったなあ……え~っと、『折れた枝 修復方法』っと」ピッピッ


真「ん~、どうもここまで完璧に折れた枝を治す方法はないっぽいかな?」

春香「そっか~、残念だけど仕方ないね」

貴音「ええ、真に残念です」ジュルリ

真「貴音、折れた枝を見ながらヨダレ垂らすの止めてくれない?」

貴音「すみません、でんぷん糊の匂いのせいで食欲が刺激されて……」グゥ~

真「だとしても枝を食用と認識してるのはおかしいよね?」

春香「とりあえず、折れた枝と盆栽をリボンで巻きつけとこうか」クルクル


春香「よし、巻きつけ完了!」

真「見た目には元通りかな?枝にリボンが巻かれてるけど」

春香「うん、というわけで盆栽さん、ここまでやったので私を恨まないでね!」

貴音「そうですね、恨むなら春香の鼻息を恨んでください」

春香「それ結局私が恨まれているんですよね!?私は無罪です!」

貴音「犯人は皆同じことを言うのです」

春香「それでも私はやっていません!」

真「はいはい、もう二人とも仕事に行くよ」



数時間後


<ガチャ


亜美「ふぃ~今日もちかれた~」

真美「たっだいま→ボンちゃんいい子にしてた~?」

盆栽「」

真美「……あれ?ボンちゃん静かだね」

亜美「……ボンちゃんも亜美と一緒で疲れてるんじゃない?」

盆栽「」

真美「そうだよね、一人は寂しかったよね。ごめんね帰ったらいっぱいお水あげるからね」

亜美「妹の話を聞いてよ……」

真美「さあ、家に帰るYOっと」ガシッ


真美「よいしょよいしょっと、ボンちゃんまた大きくなったね→」

亜美「ん?枝になんか布切れが巻いてある?」

真美「あ、ホントだ」

亜美「なんだろこれ……」シュル

盆栽「」ポトン

真美「………」

亜美「………」

真美「……ボンちゃんの枝が……」

亜美「……折れ」

真美「ちゃった……」


真美「ぼぼぼぼぼぼボンちゃあぁぁぁぁん!?」

亜美「ちょっ真美、落ち着いて!」

真美「だって枝がポトンて枝がポトンってぇ!!きゅっきゅーきゅーしゃーーー!!きゅうきゅうしゃ!!」

亜美「盆栽相手に救急車は動いてくれないよ!」

真美「じ、じゃあ霊柩車でも呼べっていうの!?ボンちゃんは死んだっていいたいの!?ヒドイよ!!」

亜美「落ち着けって言ってるの!!」

真美「こここいうう時どどうすれば……木工用ボンドでくっつくかなかな!?」

亜美「ああ……もう……マミチャンオチツイテ ボクハ ダイジョウブダヨ~(裏声)」

真美「亜美!ボンちゃんが危険で危ないのに なに変な声出して遊んでるの!?」

亜美「え?……それ言っちゃう?」


??「むぅ~……うるさいの~」

真美「え?だ、誰?」

??「も~さっきからうるさいの、せっかく気持ちよく寝てたのに~」

亜美「え?寝てる?……姿がどこにも見えないんだけど?」

真美「あ……もしかしてこの声……」


真美「ボンちゃん!!」

亜美「いや、その発想はおかしい」


真美「ボンちゃん無事だったんだね!」

??「無事~?言ってることがよくわからないの」

真美「枝が折れちゃったからもうダメかと思ったよ」

??「エダ?あふぅ~よくわからないからもう寝ていい?」

真美「なんて余裕……さすがボンちゃん枝の1本くらいじゃ動じないんだね!」

??「なんでもいいから静かにするの」

真美「わかったYO……ゆっくり休んでね(小声)」

??「おやすみなの~zzz~」

真美「おやすみボンちゃん(小声)」

亜美「相手は話を全く合わせようとしてないのに、なんで納得するのかなこの姉は」


??「zzz~zzz~」

真美「亜美、このままボンちゃんを起こさないようにして帰るよ(小声)」

亜美「あいよ→」

真美「声が大きい!(小声)」

亜美「ぁぃょ→」

真美「よし、ボンちゃん帰ったらキレイに整えてあげるからね→(小声)」ソロリソロリ

亜美「………」


亜美(今度いおりんにいいお医者さんを紹介してもらおうかな……)



その後


??「zzz~zzz~」

??「……美希」


??「zzz~zzz~」

??「起きて……」


??「zzz~zzz~」

??「美希」


??「zzz~zzz~」


律子「美希、起きなさい!」

美希「へぶっ」ビクッ


律子「やっと起きた……おはよう美希」

美希「あふぅ、おはようなの律子……さん」

律子「ほら、さっさとソファの下から出てきなさい」

美希「は~い、なの……よいしょっと」モゾモゾ

美希「ん~電灯の光がまぶしいの~」

律子「まったく、なんでこんなソファの下で寝てるのよ……」ハァ

美希「ん~とね、千早さんが床で寝てたの」

律子「なんで床で?」

美希「知らないけど、真似して寝てみたら意外と悪くなかったの」


律子「どこでも寝られるのね、ある意味羨ましいわ……真似はしたくないけど」

美希「えっへんなの」

律子「それでなんでソファの下で?」

美希「さあ?多分一番寝やすい場所だったからじゃないかな?体が勝手に動いたの」

律子「猫のような娘ね……」

美希「えっへんなの」

律子「……まあいいわ。ほら、送っていくから帰るわよ」


美希「え?送ってくれるの?」

律子「もうこんな時間だからね、中学生を一人で帰宅させられないわよ」

美希「あは☆さすが律子さん、ありがとなの!」

律子「はいはい、それじゃあ出るわよ」

美希「ラジャー」

律子「そういえば今日はずっと事務所で寝てたの?」

美希「そうだよ」

律子「今日は事務所でなにか変わったことなかった?」

美希「うん、なにも変わらない、平和な一日だったの」




おわり


終わりです
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