高垣楓「介抱で快方に」 (32)


モバマスSSです。
プロデューサーはP表記。

最近の楓さんガチャのあれです。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1554216135


昼ごろ 事務所


P「ただいま戻りました~……」

ちひろ「お帰りなさい、プロデューサーさん」

P「お疲れ様です、ちひろさん」フラー

ちひろ「?……プロデューサーさん、ふらついてる気がしますけど大丈夫ですか?」

P「そうですか? あ、確かに何か熱っぽいような……」フラッ

ちひろ「ち、ちょっと!?」

ちひろ「とりあえず熱を測ってください! 熱!」


P「かなり熱があった……」

ちひろ「プロデューサーさん、本当に大丈夫ですか?」

P「正直かなりキツイですね……ゴホッ、ゲホッ……」

ちひろ「病院行った方がいいでしょうけど、今は昼休みでしょうし……」

P「近くの病院って、開くの2時半でしたよね?」

ちひろ「そうです。それまで横になっておきますか?」

P「はい。……しかし、こんな急に体調おかしくなるなんてなあ」

ちひろ「ここずっと遅くまでお仕事してましたよね。……もう少し、ご自身の体を労わってくださいよ?」

P「……面目ない」


P「でも、すみません。俺の残ってた仕事をちひろさんに押し付けちゃって」

ちひろ「それはもう、困ったときはお互い様ですから」

P「治った後も俺の仕事やってくれません?」

ちひろ「そんな軽口叩けるなら、今すぐお仕事もできますよね?」ニッコリ

P「うそですごめんなさい今働いたら本当に気失って倒れちゃう」

ちひろ「まったく……。今は病人なんですから、黙って仮眠室で安静にしててください」

P「はい……」

ちひろ「何か食べられそうですか?」

P「いや、今はあんまり……。ゼリーとかなら食べられるかも」


P「あ、そうだ。楓さんに連絡しておかないと」

ちひろ「楓さんですか?」

P「ええ。レッスン終わったら迎えに行くって言ってたんですけど、ちょっと迎えに行けそうにないので……ゴホッ!」

ちひろ「もう、今は仕事のこと考えないでください。連絡は私が代わりにしておきますから」

P「ちひろさん……、ありがとうございます」

P(天使かな)

ちひろ「治ったら、今度飲みに連れてってくださいね? もちろんプロデューサーさんのおごりで」ニッコリ

P(やっぱり悪魔やな)

ちひろ「それじゃあ、しばらくゆっくり休んでください」

P「ありがとうございます」

パタン


P「うー、頭ガンガンする......俺、死ぬんじゃないかな......」

P(やっぱ、しばらく事務所に住み込んで仕事してたのが体に堪えたかな......)

P(時期的にインフルじゃないと思うけどなあ)

P(体が休めって言ったのかもしれないな......)

P「......うん、ちょっと休もう」

P(楓さん、大丈夫かな......)

P(何だかんだしっかりしてるし、大丈夫か)

P「……zzz」スゥ


・・・・・・・・・・

同じ頃 レッスンスタジオ


トレーナー「それじゃあ、お疲れ様でした!」

楓「ありがとうございます。また来週もよろしくお願いします」ペコリ

楓「ふぅ......」

楓(あ、プロデューサーが迎えに来るから、早く支度しなきゃ)

楓(お昼だから、お腹すいたな)グゥ

楓(そうだ、この近くにイタリアンのお店があるから、そこでプロデューサーとランチなんていいかも)

楓(イタリアン......イタメシ......試し、イカ飯......「イタリアン」でダジャレって難しい)

楓「イタリー......イタリアンで言い足りんこと話し合う......」ブツブツ

~♪

『着信 ちひろさん』

楓(電話? ちひろさん?)


ピッ

楓「もしもし」

ちひろ『もしもし、楓さん? レッスンは終わりました?』

楓「はい。今ちょうど終わったので、支度してプロデューサーのお迎えを待つところです」

ちひろ『実はそのプロデューサーさんが寝込んでしまって、迎えに行けなくなったんです』

楓「えっ、寝込んだ? 大丈夫なんですか?」

ちひろ『今は仮眠室で横になってます。おそらく、日頃の激務がたたったんじゃないかと』

ちひろ『ということなので楓さん、お手数かけますが......』

楓「分かりました。ひとまず、私一人で事務所に戻りますね」

ちひろ『すみません、ありがとうございます』


楓「何かプロデューサーに買って来た方が良いものとかありますか?」

ちひろ『そうですね、食欲無いって言ってましたし。......そもそも今寝ちゃってますからね』

ちひろ『でも、ゼリーなら食べれるかもって休む前に言ってましたよ』

楓「それじゃあ、ゼリーと、あと他に食べやすそうなものを見繕って買ってきますね」

ちひろ『ありがとうございます。お代はプロデューサーさんの給料から天び、ゲフンゲフン、経費で落としますので』

楓「天引きはメッ、ですよ?」

ちひろ『冗談ですよ、もう』

楓「スーパーにスッと寄ってパッと色んなもの買ってから事務所に向かいますので、1時間後に着くと思います」

ちひろ『はい、分かりました』

ピッ

楓「.....」


・・・・・・・・・・


1時間半後 事務所


P「......ん」モゾモゾ

P(大分寝てたかな......)

P(でも、まだかなり熱っぽいな。頭もまだボーっとするし)

ガサゴソ

P(......ん? 何の音だ?)

楓「~♪」

P(なんだ、女神か。......俺、このまま天国に行くんかな)

P(……じゃなくて!)

P「楓さん!?」ガバッ

楓「あ、プロデューサー。起きました?」


P「『起きました?』じゃないですよ。何やってるんですか……」

P「俺、風邪引いてるんですよ?」

楓「分かってますよ。だから私、仮眠室にやって来たんです」

P「へ?」

ガサゴソ

楓「じゃん、みかんゼリーです。お見舞いに来ちゃいました♪」テッテレー

P「ありがとうございます……?」

楓「はい。どういたしまして」ニコ


P「……いや、やっぱり良くないですよ。風邪がうつると大変なんですから、部屋から出た方がいいですって」

楓「プロデューサー」

P「はい」

楓「メッですよ?」

P「はい?」

楓「体が悲鳴を上げた結果が今のプロデューサーの状態なんです」

P「うっ、そう言われると……」

楓「私に風邪をどうとか、そんな気を今は遣わないでください」


P「お気持ちはありがたいですけど、それでもですね……」

楓「それとも、私なんかに病気の世話をされたくない。……そういうことですか?」

P「え、いや、そういうことでは」

楓「……」ウルッ

P「い、いや! むしろお世話されたいっていうか! 楓さんに介抱していただいたら、病気なんて一瞬で治っちゃうかもしれないし、もし良かったらお願いしたいなーって!」

楓「ふふっ、そうですか。じゃあ任されました♪」ケロッ

P(この人は……!)


楓「熱はどんな感じですか? 寝ているうちに多少は楽になりました?」

P「さっきのやり取りのおかげでもっと悪化した気がしますよ」

P「……ってのは冗談です。倒れたときよりは楽ですけど、まだ熱はかなりありそうですね。頭もボーっとしますし」

楓「どれどれ、ちょっと確かめてみましょうか。……えいっ」

コツン

P「!?」

楓「あら、かなり熱が高いですね。プロデューサー、本当に大丈夫ですか?」

P「か、楓さん、何やってんすか……」

楓「何って、おデコで熱を測ろうと……」


P「デコで熱確かめなくてもテーブルに体温計置いてますから、それ使えばいいじゃないですか……」

楓「あら、置いてたんですね」

P「もう……」ハァ

楓「でも、こういうのって良くありませんか?」

P「そりゃあ、最高ですけど」

楓「あら」

P「コホン!……じゃなくて楓さん、あなたアイドルなんですから、そういう軽率な行動はよしてください」

楓「ふふっ、すみません。でも軽率ではないですよ?」

P「はい?」

楓「どういう意味なのかは、秘密です♪」


楓「プロデューサー、何か食べられそうですか?」

P「喉通りの良さそうなものなら、食べられるかもしれません」

楓「じゃあ、みかんゼリーですね。えっと……あら、みかんゼリーがみっかんない」ガサゴソ

P「さっき袋から取り出してませんでした?」

楓「そうでしたね。うん、ありました」

楓「アイスも買ってきてます。冷凍庫に入れてますよ」

P「ありがとうございます」


楓「そ、れ、と……じゃん♪」

P「……酒ですか」

楓「体を温めるのも重要ですし、じゃあ卵酒ではないかと」

P「カップ酒、2つありますね」

楓「余れば私が処理すればいいですし」

P「しかも初孫と真鶴のカップですか。いいチョイスですね」

楓「流石はプロデューサー、お目が高いですね。折角だからと思って、アンテナショップで買ってきました♪」

P「……飲みませんよ?」

楓「そんな……」シュン

P「……俺の風邪が治ったら、飲みましょう」

楓「!」パアァ

P(ああもうかわいいなちきしょう)


P「それじゃあ楓さん、ゼリー頂いてもいいですか?」

楓「ええ、もちろん」

P「そうだ。折角だし、楓さんに食べさせてもらいたいなーって」

楓「まあ」

P(さっきから楓さんに振り回されてるから、こっちも何かし返しをしないと)

P「……なんて冗だ「いいですよ」

P「へっ?」

楓「ちょっとスプーン取ってきますね?」


楓「はい、あーん」スッ

P「ち、ちょっと、楓さん?」

楓「良いんですよ、プロデューサー。恥ずかしがらなくったって」

P「えっ」

楓「いつも私がお世話になってるんですから、それをどういう形であれ、あなたにお返しするのは当然です」

P「……ありがとうございます」

楓「だから、今日くらいは何にも気にしないで甘えてください」

P「楓さん……」

楓「だから、今日は私がナースとして介抱しますから。ほら、遠慮なんていらナース♪」

P「楓さん……」



楓「それじゃあ改めて。はい、あーん」スッ

P「あ、あーん」アムッ

楓「どうですか?」

P「美味しいです」

P(正直味分からん。こんな綺麗な人に食べさせてもらって、やっぱ恥ずかしい)

P(でも、それ以上に嬉しいな)

楓「はいっ」

P「あーん」アムッ

楓「♪」


P「……ふう、ご馳走様です」

楓「お粗末様でした。全部食べられましたね」

楓「どうですか、熱は?」

P「まだまだ熱っぽいですね。かなり頭がボーっとしてますし」

楓「そうですか……。病院が開くまで、もう少し時間ありますし、それまでは辛抱ですね」

P「でも、楓さんが介抱してくれたおかげで、少し楽になった気がします。ありがとうございます」

楓「そう言ってくださると、嬉しいです」ニコ


楓「そうだ、新しい氷枕持ってきます」

P「ありがとうございます」

楓「あと何かあれば、遠慮なく言ってくださいね?」

P「はい」

カチャ パタン

P(……ヤバイな)

P(風邪引いて弱ってるときに、あんな風に介抱されるとかなり心にグッと来る)

P(熱のせいかポロっと本音が出ちゃうし)

P(……ってダメだろ。俺と楓さんはプロデューサーとアイドルの関係なんだから。理性と秩序をもって接しないと)

P(でもなあ……、惚れるなっていう方が無理なんだよなあ……)


カチャ

楓「氷枕、持ってきました」

P「ありがとうございます」

楓「ちょっと頭上げてくださいね。……よっと」

P「ああ、ヒンヤリする……」

楓「あと何かできることはありますか? ……そうだ、頭を撫でましょうか?」

P「そんな、子供扱いしないでくださいよ。俺だっていい大人なんですから」

楓「ふふっ、ごめんなさい。でも、なんだか嬉しいんです」

P「嬉しい?」

楓「こうして、私からプロデューサーに何かしてあげることって、少ないですから」


P「そんなことないですよ。俺だっていつも楓さんから助けられてます」

楓「いえいえ、いつもは私がプロデューサーにお世話になってます」

P「いえ、俺の方が……」

P楓「「……ふふっ」」

P「すみません、何だか可笑しくなって」

楓「私の方こそ、ごめんなさい」

P「楓さん」

楓「どうしました?」

P「好きです」



楓「……」

P「……」

P「あっ! 違います、これはちょっと熱のせいで理性が、じゃなくて、頭が……!」

楓「はい、知ってますよ」

P「え?」

楓「私も好きです」


P「」

楓「プロデューサー、何が違うんですか? もしかして私のこと、好きではないですか?」

P「い、いえ、そうじゃなくて……!」

楓「……」ジーッ

P「……はい。俺は、楓さんのこと、好きです」

楓「それは、アイドルとしてですか? それとも?」

P「……い、一女性として、です」

楓「それなら、両想いですね。ふふっ♪」ニコッ


楓「これで、やっと恋人同士ですね?」

P「ああ、そうなるのか。やった、めっちゃ嬉し……じゃなくて」

P「コホン、楓さん。とはいえ、俺たちはアイドルとプロデューサーの関係ですから」

楓「もちろん、分かってますよ。ある程度節度をもった関係ですよね?」

P「はい」

P「でも、こんな俺みたいな男でいいんですか?」

楓「プロデューサーだからこそ、良いんです」

P「そうですか」

楓「はい」


楓「私だってプロデューサー、あなたが大切な人だから、こんな風に介抱しているんですよ?」

P「そ、それは、男冥利に尽きるかなーって」

楓「それに、両想いだって分かったのですから」ズイッ

P「えっ? 楓さん、ちょっと近いです」

楓「プロデューサーの熱が早く治るように、私から特別な治療です♪」

P「治療? それっていったiむぐっ!」

チュッ

楓「ふふっ♪ ちゅー射はいかがでしたか?」

P「」

楓「あら、また眠っちゃいましたね。病院の時間になったら、また起こします」

P「」

楓「……早く治ってくださいね、プロデューサー♪」

チュッ

P「」

P「」


・・・・・・・・・・


その後、何とか意識を取り戻したプロデューサーは病院へ向かい、薬やらエナドリやらで何とか風邪を治しました。
無事、プロデューサーと結ばれた楓さん。しかし、献身的な看病と特別な「治療」のせいか、翌日……。


P「……だから言ったじゃないですか。うつるかもしれないから、看病はやめた方がいいって」

楓『ケホッ……ごめんなさい』

P「まったく、今日は丁度オフだったからよかったですけど……」

楓『でもお陰様で、好きな人から告白もされて結ばれることになりましたから、嬉しい気持ちの方が勝ってますよ?』

P「……」

楓『どうしました?』

P「いえ、なんでもないです」

P(めっちゃドキッとした)



楓『それで、一つお願いがあるんです』

P「何でしょう?」

楓『寂しいです』

P「……」

楓『愛する人からの献身的な看病がほしいです』

P「……分かりました。今から向かいます」

楓『ありがとうございます。しっかり介抱してもらいたいので、しばらく解放しませんよ?』

ピッ

P「ちひろさん、ちょっと楓さんの看病に行ってきます!」ヒュン!

ガチャ バタン

ちひろ「えっ。ちょっ、待ってください!」

ちひろ「……あの野郎、昨日はともかくとして、今日も仕事すっぽかしやがった!」


おしまい


楓さんに看病してもらいたい人生でした。


今日は春香さんの誕生日ですね。おめでとうございます。

追記
はしがきシンデレラ#02参加中です!

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