「ラブライブ×イナイレ~11人の女神の奇跡~」後半 (922)

長い間空きましたが後半スタートです

「ラブライブ×イナイレ~11人の女神の奇跡~」前半
「ラブライブ×イナイレ~11人の女神の奇跡~」前半 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524313246/)

よろしくお願いしますm(_ _)m

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すみませんエラーが出たので投稿できていないと思ったのですができていたようです
こちらで投稿していこうと思います


前作を読んでいただいた方、一応前作の決勝ぐらいから見直していただけると嬉しいです



穂乃果(本戦まであと一ヶ月……)ガサガサ


穂乃果(みんなのモチベーションも十分!)ジー……


穂乃果「なんだけど……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

海未「はぁぁぁ!!!」ドキュッ!


角間「防いだぁぁぁ!!」






雪穂【ハンターズネット!】


ドシュルルルルル……!!






雪穂「試合の時ぐらいかっこいいところ見せてよ」


ゴォォォォオォォ!!!






ツバサ【こうていペンギン2号!】ドキュッ!


穂乃果【マジン・ザ・ハンド!】


穂乃果「うわぁぁ!!」ドサッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「…………!」


穂乃果 ブンブン


穂乃果「いってきまーす!」ガララ


雪穂「待っておねーちゃん、私もいく!」


穂乃果「あれ、今日店番じゃないの?」


穂乃果ママ「今日は大事な用があるから臨時休業なのよ」


穂乃果「ずるいよ雪穂の番に!!」


雪穂「いいから行くよお姉ちゃん!」グイグイ


穂乃果「ずーるーい~!!」ズルズル


ガララ ピシャン


穂乃果ママ「まったく……」










学校


凛花陽「す、すいません!遅れました!」ハァハァ


にこ「ちょっとぉ、気が緩んでんじゃないの?」


海未「まあ時間には間に合っているのですから良いではありませんか」


にこ「10分前集合は基本でしょ?」


穂乃果「確かにそれは大事だね!」


海未「貴方は雪穂がいなければほとんど遅刻と聞いていますが」


穂乃果「凛ちゃん、花陽ちゃん!気にしなくて大丈夫だよ!」


ことり「清々しいほどの手のひら返し……」


希「流石というかなんというか……」


雪穂「いつも本当すみません……」


亜里沙「ハラショーです!」


絵里「ちょっと待って」








絵里「え、どうして亜里沙がいるの?」


亜里沙「ふっふっふ、それはね……」


監督「……絢瀬亜里沙は、助っ人としてチームに入ってもらう」


花陽「ルール上は問題ないので大丈夫です!」パラパラ


亜里沙「ツバサさんの勧めで来たんだよ!」


穂乃果「楽しくなりそうだよね!」


ことり「うん!」


絵里「なんだ、私以外知ってたのね…」


亜里沙「ごめんね秘密にしてて…」


亜里沙「それと……」


バン!


亜里沙「これ、皆さんに差し入れです!」


花陽「わぁ~!!こんなにいっ……ぱい?」


真姫「……なにこれ」


亜里沙「おでん缶です!冷えてますよ!」


絵理「……ハラショー」


雪穂(おでんは冷やして食べるものじゃない)


希(あかん、姉妹揃ってポンコツや)


絵里「あ、ありがとう亜里沙、それは練習終わりにみんなでいただきましょ!」


雪穂「そ、そうですね!!」


凛「そうにゃそうにゃ!」


にこ「必死か」


雪穂「と、ところで!」














雪穂「亜里沙のポジションはどこなの?お姉ちゃん」


穂乃果「……ふぁい?」ムグムグ


雪穂(食べてる……)


花陽(案外美味しいのかな?)


穂乃果 ゴクリ


穂乃果「キンキンに冷えてやがる!!」


凛「言いたいだけだにゃ」


穂乃果「海未ちゃんに任せた!」


海未「…………」ハァ


海未「これは私の主観ですが……」


海未「亜里沙は攻撃面でも守備面でも力を発揮できるように見えました」


真姫「つまり……リベロ?」


海未「はい、適任かと」


凛「リベロってなに?」ヒソヒソ


花陽「状況に応じて守備に回ったり、攻撃に回ったりする人のことだよ」


絵里「自由とかそういった意味があるの」


凛「……なんだかすごいにゃー」


希(分からんかったんやね」


にこ(分からなかったのね)


真姫(というかこのリベロってまさに凛がやってるのよね)


ことり(言われてみればだね)


海未(まあそれは……ねぇ?)


花陽(気にしない方向でいきましょう)


絵里「ということで、最初はDFに回ってもらいたいんだけど……」


亜里沙「うん、頑張る!」グッ


海未「きちんと挨拶をするのはこれが初めてですね」


海未「これからよろしくお願いします、亜里沙」


亜里沙「は、はい!よろしくお願い……」クルッ


亜里沙「……しま、す?」


亜里沙(この雰囲気……どこかで?)


海未「どうしました?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


MF1「どうしました亜里沙?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


亜里沙「ヤマトナデシコ!!」ガシッ


海未「は、はい!?」


亜里沙「よろしくお願いします!」


亜里沙「えーと……」アワアワ


海未「………ふふ」


海未「園田海未です」


亜里沙「……!」パァァァァ!


亜里沙「海未さん!」キラキラキラ











海未「はっ……うぐぅぅ!!」ドサッ


亜里沙「ど、どうしたんですか海未さん!」


海未「……混じりっけのない純粋な目を見たのは……久しぶりで」ハァハァ


にこ「失礼しちゃうわね」


ファサァァァ………!


にこ「ここにあるじゃな~い!」キラキラ


凛「そういうところだにゃ」


海未「あなた方ですよ」


凛「凛も!?」








穂乃果「あ!そういえば」


海未「どうしました?」


穂乃果「これで11人揃ったからヒデコたちに助っ人頼まなくて大丈夫なんだ」


ことり「なんだか寂しいね……」


「ちょぉっとまったぁ!!」


海未「な、何ですか!?」









ヒデコ「なんだかんだときかれたら!!」


フミコ「答えてあげるが世のなさけ!!」


ミカ「愛と真実と悪を貫く!!」


ヒフミ「ヒフミ三人衆、ただいま参上!!」


凛(自分たちでヒフミ三人衆って言っちゃったにゃ)


花陽(悪を貫いちゃうんだ……)


穂乃果「ど、どうしたの三人とも!」


フミコ「試合には出なくても何かサポートしたいなって」


ヒデコ「マネージャーみたいな?」


ミカ「怪我した時用の控えとか!」


穂乃果「み、みんなぁ……!」ウルウル


穂乃果「ありがとーー!!」ガバッ


ヒフミ「うわぁぁ!!!」


ドッシーン!


海未「怪我しないでくださいよまったく……」


穂乃果「えっへへ……ごめんごめん」











ヒデコ「あ、監督ー!」


ヒデコ「もうすぐ来ると思いますよ!」


監督「……そうか、助かる」


海未「まだ何かあるのですか?」


監督「お前たちを見たときまさかと思ったが……」


監督「……これが偶然か運命か」


花陽「?」


「ほーのかー!ゆーきほー!」


穂乃果雪穂「こ、この声は…」クルッ


穂乃果ママ「おーい!」ブンブン












穂乃果「お母さん!?」


雪穂「なんで!?」


花陽ママ「花陽ちゃーん!」


凛ママ「りーーん!!」ブンブン


花陽ママ「ちょっと、恥ずかしいから……!!」


花陽「お母さん!?」


凛「え、なんで?」


ことり「うちのお母さんもいる!」


海未「うちもです……」


ことり海未ママ フリフリ


にこママ「ほら、今更恥ずかしがらないで!」グイグイ


真姫ママ「だ、だってぇ……」


にこ真姫「まじか……」


絵里ママ「もう酔っ払ってるの?」


希ママ「そんらことないよ~!」


絵里亜里沙「ロシアにいるはずじゃ……!」


希「お母さん……」


海未「こ、これは一体どういうことですか?」


穂乃果「そ、そうですよ!どうしてお母さんたちが……」


穂乃果ママ「私が説明するわ!」ババン!


穂乃果「……」スンッ


雪穂「恥ずかしい……」


穂乃果ママ「実は私たち、高校時代みんな同じサッカー部だったの」


穂乃果「うそ!?」


にこ「あり得るの?そんなこと」


海未ママ「正部員は私たち9人だけ」


ことりママ「後の二人は助っ人を呼んでたわね~」


ことり「ふふ、今の私たちみたい」


希ママ「そこれ私たちは、フッロボールフロンティアでゆーひょーひたの~」フラフラ~


希「呂律呂律」


真姫「優勝……」










監督「まあそんなわけでお前たちと試合してもらうために、この9人に集まってもらったんだ」


穂乃果「もうどこから突っ込めばいいのか……」


花陽「あ、あの……」


監督「どうした?」


花陽「どうして私たち誰もこのこと知らなかったんですか?」


海未「それもそうですね、どこかから情報が入ってきてもおかしくない気が……」


監督「………」


監督「こいつらが高校生の時だぞ、なん年前だと思ってる」


母親たち「!?」ガーン


凛ママ「まだまだ現役ですよ!」


花陽ママ「そ、そうですよ!」


監督「………」


花陽凛ママ「監督ぅ!!」


穂乃果「………………?」


凛「か………」


「「「「かんとくぅぅ!?」」」」












角間「始まりましたドリームマッチ!我が子と戦う母親の心情やいかに!!」


海未「もう考えることはやめました……」


海未「疲れるので」


絵理「ここにいるみんな、優勝サッカーチームの子供なのね」


花陽「監督が運命って言ってたのはこのこと……」


真姫「ママ、サッカーできたのね…」


にこ「なんかすごい恥ずかしいんだけど」


凛「り、理事長と試合……」ガタガタ


希「もしボール奪ったりしたら退学させられるかも……!!」


凛「ヒィィ……!!」


ことり「そんなことしないよぉ!」









FW

真姫、絵里


MF

希、ことり、にこ、海未


DF

亜里沙(リベロ)、雪穂、花陽、凛


GK

穂乃果












監督「今日はこっちのチームの士気をさせてもらう」


凛ママ「うはー!なんかこの感じ懐かしい!」


穂乃果ママ「つまみ食いで体重が……」ムニムニ


ことりママ「十分細いわよ?」


海未ママ「……着物以外を着たのは久しぶりですね」


花陽ママ「似合ってますよ~」


真姫ママ「あの子と……サッカーできる日が来るなんて……!」ウルッ


にこママ「ほらほら泣かない、始まるわよ」サスサス


希ママ「あれ~?どうして二人もいるの~?双子?」ウフフ


絵里ママ「グラウンドから引きずり出すわよ」










FW

絵里ママ、真姫ママ


MF

凛ママ、希ママ、ことりママ、


DF

海未ママ、花陽ママ、にこママ


GK

穂乃果ママ

(特に関係ないので覚えなくて大丈夫です)











ピーーーーーーー





ドッ


角間「母親チームから試合開始!一体どのような試合になるのでしょうかぁ!!」


絵里ママ「まずは見せてあげたら?」


真姫ママ「私が先でいいんですか?」


希ママ「いっちゃお~!」フラフラ


真姫ママ「うーん……わかりました!」ダッ


真姫「ママでも手加減しない!」ザッ


真姫ママ「してくれなくて結構よ」フフ


クルッ


真姫「は、早い…!」


タッタッタッ


ことり「させません!」ザッ


真姫ママ「お願いします!」ドッ


ことりママ「任せて」トッ












凛「と、止めても退学にしないでください!!」ザッ


ことりママ「そんなことしません!!」ヒュッ!


クルッ ダッ


凛「そんな…!」


花陽「り、凛ちゃんがあんなに簡単に……!」


ことりママ「やっちゃいなさい!!」ドッ


穂乃果「上に蹴り上げた……!?」


海未「一体……」


真姫ママ「ふっ!」グッ


ボファァァ!!


ダンッ!


グルグルグル


真姫「うっそ……」


監督「………」











真姫ママ【爆熱スクリュー!!】


ドゴォォォォォォォ!!!











希「ど、どう見ても真姫ちゃんの強化バージョンやん……」


絵理亜里沙「ハラショー……」











穂乃果「はぁぁぁぁ!!!」


ゴォォォォォオ!!


穂乃果ママ「………」












穂乃果【マジン・ザ・ハンド!】


ドシュルルルルル!!!!


穂乃果「……つ、強い…!」ズズッ!


ことり「穂乃果ちゃん!!」


穂乃果「……はぁ!!」グッ








ドシュルルルルル……!!


穂乃果「……よし!」


角間「止めたぁぁぁぁ!!キーパー高坂、圧巻のガード力です!」


穂乃果「ことりちゃん!」ドッ


ことり「うん!」トッ


凛「ことりちゃんこっち!」タッタッタッ


ことり「り、凛ちゃん!?」ドッ


凛「いっくにゃー!」トッ


海未「あれをやるつもりですね」


海未ママ「……ただでは行かせません」ザッ


凛【アクロバットキープ!】


ザッザッ グルッ スタッ


凛「よし!」トッ


海未ママ「なかなかやりますね」


凛ママ「自慢の我が子です!」


海未ママ「知ってます」


監督「………」


真姫「いくわよ、凛!」グッ


凛「うん!」グッ







ダンッ ダンッ


グルグルグル グルグルグル


凛真姫 バッ


ドキュゥッ!!!!


凛真姫【ファイアトルネードDD!】


ゴォォォォォォォ!!!!!











にこ「止められるもんなら止めて見なさい!」


穂乃果「お母さん……」


雪穂「一体どんな技使うんだろ……」


ことりママ「頑張れー!きぃちゃーん!」


海未ママ「あなたなら大丈夫でしょう?」










穂乃果ママ「……」バッ


ゴォォォォォオ!!!!


穂乃果「あ、あの構えって……」


花陽「あり得ないです……」










穂乃果ママ【マジン・ザ・ハンド】


ドシュゥゥゥ………!!


穂乃果ママ「まあこんなものかしら」


穂乃果(【マジン・ザ・ハンド】ってあんなに強いの?)


真姫「そんな……」スタッ


凛「冗談にもなってないにゃ……」スタッ


海未「こ、これがお母様方の実りょ……」


「お前達!!」










ことり花陽「ヒィ……!!」ビクゥ


希凛(ママ)「ごめんなさい!!」ビクッ


海未ママ「もはや条件反射ですね……」


監督「いや、俺が怒ってるのは母親チームにだ」


絵里ママ「……私たちですか?」


海未ママ「一体何がいけなかったのでしょう?」


海未「その通りです、素晴らしいプレーに見えましたが……」


監督「せっかくの試合なんだ、手を抜かないでくれ」


花陽「手を……抜く?」


絵里「まさか……」


ことり「あれで……?」


凛ママ「いやでも監督ー」


真姫ママ「これはエキシビジョンのようなものですし……」


「ほ、本気でお願いします!」


穂乃果「私たちじゃ力不足かもしれませんが……」


ことりママ「……穂乃果ちゃん」


絵理ママ「……わかったわ」


にこママ「そこまで言われちゃったらね」










角間「少しトラブルがありましたが試合再開……おおっとぉ!?」


角間「これはどういうことでしょうか!」


にこ「な、なにこれ?」


花陽「こ、こんなの……初めて見ました」


絵里ママ「やっぱりこれがしっくりくるわ」


真姫ママ「心強いですよね」フフ


凛ママ「テンション上がる~!!」


希ママ「よーひ、頑張るよ~!」フラフラ


海未ママ「ほらほらしっかりしてください」


ことりママ「でも少し罪悪感を感じますね」


にこママ「……今は一人だものね」











花陽ママ「!」フリフリ


角間「ディフェンスは小泉母のみ!後のメンバーは全員上がってしまいましたぁ!!」


海未「まさかこれは……」


絵理「超攻撃的サッカー」


ことり「でもそんなことしたら守りが甘くなるんじゃないかな?」


にこ「穂乃果の母親がいるじゃない」


花陽「あのキーパー力があるから全員で攻めても試合が成立するんだね」


希「それに、花陽ちゃんのお母さんの力も未知数……」


穂乃果「さすがママちゃんズ、一味違うね!」


穂乃果「みんなーー!!!しまってこー!」


みんな「おーー!!」


ピーーーーーーー











穂乃果ママ「ほっ!」ドッ


凛ママ「よっと!」トッ


にこ「はぁぁ!!」ザッ


凛ママ「思い出すなーこの感じ」グッ











ザッ クルッ ズシュゥ!!


凛ママ【Zスラッシュ!!】ダッ!!


にこ「えっぐいわね……!」ガクッ


凛ママ「お願いします!」ドッ


絵理ママ「ええ」トッ


希ママ「おー、地球が回る~」フラフラ


絵理ママ イラァ


絵理ママ「働け酔っ払い!」ドッ


希ママ「うわったぁ!?」トッ


希ママ「パス乱暴すぎ!」


花陽「いかせません!」ザッ


希ママ「あーあ、酔いが覚めちゃった……」ザッ


ドッ


ポーン


花陽「え、くれるのか……な……!?」


グワァァァァ!!!


花陽「潰されますぅぅ!!」ヒィィ!


テンテンテン……


花陽「………あれ?」


希ママ【トリックボール】トッ


角間「立て続けに抜いた!!さっきとは勢いが段違いだぁ!!」


タッタッタッ


穂乃果「く、くる!」グッ


絵理ママ「初めからやる気を出しなさいっての」











希ママ「………!!」ムムム…


穂乃果「……?」


海未「油断はダメですよ!」


穂乃果「わ、わかってるよ!」


希ママ【まぼろしショット!】


ドキュゥゥゥ!!!!!


フッ


穂乃果「き、消えた……!?」










フッ


ドシュゥゥゥ………!!!


角間「き、決まったぁぁ!!」


穂乃果「そんな……」


海未「あの穂乃果が触るどころか反応すらできないなんて……」












海未ママ「ふふふ」トッ


海未「取り囲んでください!」


花陽凛にこ亜里沙「了解!」ザッ


海未ママ「おやおや、これでは動けませんね」


亜里沙【アイスグランド!】


ダン! パキパキパキパキ!


絵里「逃げ場のないこの状態なら……!」


海未ママ「………悪くはないです……が」


ダッ!


凛「と、跳んだ!?」


にこ「ボールを置いて行ってどうすんのよ……」ダッ


花陽「ダメにこちゃん!」


海未ママ「上がガラ空きでしたよ」


ピシピシ…!











ズァァァァァァ!!!!!


海未ママ【昇り竜!】


ゴォォォォォオ!!!!


にこ「きゃぁぁ!!」ドサッ


花陽凛「うぐぅ……!!」


亜里沙「うわぁ!」ドサッ


穂乃果「そんな手が……」


穂乃果ママ「いけーーー!」


海未ママ【伝来宝刀!】ズシュ!


ドゴォォォォォオ!!!


穂乃果【マジン・ザ・ハンド!】


穂乃果「うわぁぁ!!!」ドサッ


ドシュゥゥゥゥ……!!!


にこママ「ちょっとやりすぎなんじゃ……」


穂乃果「まだまだ!!」ムクッ


海未ママ「ふふ、いい返事です」


穂乃果「みんな!どんどんぶつかっていこう!」


穂乃果「こんなチャンス滅多にないよ!」


絵里「ええ!」











にこママ タッタッタッ


にこ【スピニングカット!】


ズシュゥゥゥゥ!


ブワァァァァァァ!!!!


にこママ「っく……やるわね!」ザザザッ


にこ「へへん!」トッ


凛「あれは…!」


ことり「習得したんだね!」


海未「私が名づけたかった…」


希「ふふん」ドヤッ


海未「ま、まさか……!?」


希「いや違うけど」


海未「なんなんですかあなた」












にこ「希!」


希「了解!」トッ


角間「矢澤、東條の連携で前線を突破したぞぉ!!残るは小泉母のみだ!!」


花陽ママ「えへへ~」ポワポワ


希「なんだかのんびりした人やなぁ……」


花陽ママ「………ふふふ」


希「……へ?」ゾクッ


フッ


花陽ママ「そう見えた?」トッ


希「うそ……いつのまに……!?」


真姫「何今の動き……」


花陽ママ【クイックドロウ】えへへ~


絵里ママ「みんな初見ではあの子の雰囲気とのギャップに驚くわよね」


花陽ママ「お願いしまーす~!」ドッ


絵里ママ トッ


絵里ママ(絵里や亜里沙の必殺技ではぬるま湯レベル……)


絵里ママ(絶対零度の恐ろしさってものを)


絵里ママ(思い知らせてあげるわ)キッ!


ブワァァァァァァ!!!












雪穂「さ……寒いぃ……!!」ガタガタ


にこ「に…にっこにっこにー……」ガタガタ


希「やめてにこっち……!!凍る!!」ガタガタ


にこ「あ、あんた……覚えてなさい……!!」ガタガタ


絵里(私や亜里沙の【エターナルブリザード】とは比べ物にならない……!)


亜里沙「ハラショー……」ブルブル










絵理ママ クルッ


絵理ママ【ノーザンインパクト】ドキュッ!!


ゴォォォォォオ!!!











雪穂「はぁぁぁ!!」


雪穂【ハンターズネット!】


パキパキパキ


バリィィィン!!!


雪穂「うわぁぁ!!!」ドサッ










ゴォォォォォオ!!


穂乃果【マジン・ザ・ハンド!】


ドギュルルルルルル!!!!


バチィ!


穂乃果「うわぁぁぁ!!!!」ドサッ


ポーーン


ことりママ「ふふ」ダッ


角間「高坂姉妹二人掛かりでなんとかはじいたボールを南母、空中で追いついたぁ!!」


にこ「降りてきたところを狙うわよ!」


海未ママ「降りてくることはありません」


海未ママ「……空があなたの領域でしょう?」


ことりママ「…なんだか恥ずかしいわね」グワァッ!









ことりママ【ファルコンウィング!!】ドキュゥ!!


ゴォォォォォオ!!!!









穂乃果「うわぁ!!」ドサッ


ドシュゥゥゥ……!


角間「決まったぁぁぁ!!」











凛「にぁぁぁぁ!!」バッ


ことりママ「おっと……!」クルッ


花陽「ここ!」ガッ!


ことりママ「ッ!……やるわね」


花陽「それほどでも………ってうわぁ!?」ガッ


海未ママ「連携なら負けませんよ」トッ


海未ママ「私たちも幼馴染ですから」ニコッ


ことりママ「……もう」テレッ


にこ「花陽と凛の連携が破られた……!」


海未ママ「決めてください」ドッ


真姫ママ「……準備はいいですか?」トッ


絵理ママ「もちろん」










ブワァァァ!! ブワァァァ!!


真姫絵理(ママ)【ファイアブリザード!】ドキュッ!!!


ゴォォォォォオ!!!!!!










にこ「一体いくつシュート持ってんのよー!!」


希「全員がエースストライカー級のシュート力……!!」


雪穂「止めるよ!お姉ちゃん!」ガッ


穂乃果「うん!」


ゴォォォォォォ!!!!!


ことり「あれは……!」


真姫「決勝で【トライペガサス】を止めた……!」


海未「【ホムラ・ザ・ハンド】です!」


花陽「あ、もうそれ決定なんだ」











穂乃果雪穂【ホムラ・ザ………】


「遅いって!!」ダダダダッ


凛「………!」


凛ママ バッ








凛ママ【マッハウィンド!!】ドキュッ!


ゴォォォォォォォォォォオ!!!!!!








穂乃果雪穂「うわぁぁぁぁ!!」


ドシュルルルルル………!!


凛「シュートチェイン……!」


海未「技を出す暇さえ……ないというのですか」












「うーー…………」グデー


花陽ママ「み、皆さん大丈夫ですか~?」


海未ママ「死屍累々とはこういうことを言うのですね」


監督「これからお前たちには攻撃は星空、守備は小泉に徹底的に鍛えてもらおうと思う」


凛ママ「厳しくいくぞ!」


花陽ママ「よろしく~」


穂乃果(ここから一ヶ月、地獄の日々が始まりました)


ことり(例えるならそう、私たちの一年生時代の山登りを一ヶ月に凝縮したような……)


花陽ママ「当然ながら、オフェンスメンバーにもディフェンスは学んでもらいます」


凛ママ「自分は守備だからといって攻撃には関係ないと思ってる人~?」


凛ママ「試合に出てる以上誰にだってチャンスは来るからな~!」


花陽(正直自分が攻撃するなんて思ってなかったので、聞くこと知ること全てが新鮮でした)


花陽(まあ攻撃なんて花陽には縁のない話だけど……)


ことりママ「ほんとはもっと早く手助けしたかったんだけど、監督がね……」


真姫ママ「自分たちだけで本戦上がるまではダメだって言うんだから」ハァ


希(ということで、みんなの母親のサポートもありながら練習を重ねていきましたとさ)


希(めでたしめでた……)


絵里(終わらないで!!)


にこ(色々あって……色々あったのよホント……)










花陽ママ「花陽ちゃんにはいち早くその人の特徴を掴む訓練をしてもらいます」


花陽「特徴を掴む?」


花陽ママ「このあいだの試合で見せた【ディフェンス方程式】、あの技の条件はわかるでしょ?」


花陽「その人の情報をできる限り持っていること……」


花陽ママ「でもいつも調べ切れるわけじゃない、データがない人もいる」


花陽ママ「そんな時のための訓練です」


花陽ママ「それと、日常での人間観察も習慣づけること」


花陽ママ「それじゃあ始めましょうか」


花陽「うん!」










真姫ママ「ねえパパみて!真姫ちゃんとサッカーしてきたの!」


真姫パパ「なに…!?それは本当か!?」


真姫「……別に、少し試合しただけ」


真姫パパ「パパともサッカーしに行こう!」


真姫「………練習があるから時間ない」


真姫パパ「あああああぁぁ!!!」ガクッ


真姫、ママ「うるさい」










真姫「そうだパパ」


真姫パパ「どうした?」


真姫「おじいさんから教えてもらって、どうしてもできなかった技があるんだけど……」


真姫パパ「……なんて技だ?」


真姫「【爆熱ストーム】っていう技なんだけど」


真姫パパママ「……!」


真姫「教えてくれない?」


真姫パパ「……すまない真姫、わたしにはわからない」


真姫「教えてもらってないの?」


真姫パパ「ああ……だがきっとお前なら完成させられるだろう、頑張れよ」ポン


真姫「……うん」










真姫「そうだパパ」


真姫パパ「どうした?」


真姫「おじいさんから教えてもらって、どうしてもできなかった技があるんだけど……」


真姫パパ「……なんて技だ?」


真姫「【爆熱ストーム】っていう技なんだけど」


真姫パパママ「……!」


真姫「教えてくれない?」


真姫パパ「……すまない真姫、わたしにはわからない」


真姫「教えてもらってないの?」


真姫パパ「ああ……だがきっとお前なら完成させられるだろう、頑張れよ」ポン


真姫「……うん」







希「お母さんはどれくらいこっちにいるの?」


希ママ「明後日には帰ろうと思ってるけど」


希「なら明日は一緒にどこか行かない?」


希ママ「いいわね!一度そういうのして見たかったのよ」


希ママ「それで今日泊まるところなんだけど……」


希ママ「希ちゃんのお部屋に泊めさせてもらおうかしら」


希「うん、大丈夫だよ!」


希ママ「久しぶりにお風呂一緒に入りましょう!」


希ママ「その膨よかな胸をワシワシと……!」ワキワキ


希「さ、触られるのは勘弁してほしいかなぁ……」


希ママ「あらあら、恥ずかしがり屋さんなのね」


希「そういう問題じゃない!」


希ママ「あ、ちょっと待ってお酒を買って……」


希「ダメ」


希ママ「い、一本だけ…」


希「ダメ」


希ママ「そ、そんなぁ~……」ショボン


希「今日は……」


希ママ「?」


希「私の友達の話、いっぱい聞いて欲しいから……」ニコッ


希ママ「ぐはっ……!!!」ガクッ


希「ちょ……だいじょうぶ!?!?」バッ


希ママ「かわいい……」


希「え?」


希ママ「うちの子がかわいくて辛い……」ガクッ


希「………」ペイッ


希ママ「いや~ん!」ドサッ












真姫ママ「あら、あなたが小悪魔ちゃんね」


にこ「こ、小悪魔?にこが…?」ソワソワ


真姫ママ「あの人の高校生時代とそっくりだわ」


真姫ママ「よく言ってたの、にっこにっこにー!ってね」


にこ「マ……お母さんも言ってたんですか!?」


真姫ママ「子供ができたら絶対にこって名付けてこれを教えるんだって」


真姫ママ「笑顔の魔法なんだって言ってね」


にこ「ママ……」

真姫ママ「あなたはきっと、お母さん以上に強くなれるわよ」


にこ「が、頑張ります!にこ!」


にこ(そういえば、ママが必殺技使うとこ見れなかったわね…)










本選まであと約一ヶ月のある日の部室


花陽「うわ~、先生に呼び止められて遅れちゃった……」ガララ


花陽「みんなもう練習始めちゃってるよね」


花陽「私も早く行かないと……」ヌギヌギ


ピキィ


花陽「うぐっ……」


花陽「……やっぱり筋肉痛すごいなぁ……」


花陽「……よし、頑張ろう!」パンッ!


ガララララララ


凛「あ!かよちん遅いにゃ~」


花陽「凛ちゃん!ごめんね、すぐ行くから」


凛「待ってるにゃ~!」


凛「えーっと……」キョロッ


花陽「どうしたの?」


凛「ちょっと足挫いちゃって……」あはは


花陽「た、大変!!早く座って!テーピング……!」バタバタ


凛「だ、大丈夫!自分でできるから!」


花陽「お菓子と…えーっと、はい!飲み物と……ゲームもいる!?」バタバタ


凛「落ち着いてってばぁ!!」











自宅


穂乃果ママ「……ねえ穂乃果」


穂乃果「なぁに?」


穂乃果ママ「穂乃果は初めて【マジン・ザ・ハンド】を出した時、どんな感じだったの?」


穂乃果「どうしたの急に……?」


穂乃果「えーっとね」うーん


穂乃果「………みんなからパワーが集まってきて、それをボールにぶつける感じ……だったかな?」


穂乃果「2回めからはなんとなくブワッと……」


穂乃果ママ(なんとなく……か)


穂乃果ママ「……ひとつだけわかってることがあるの」


穂乃果「なに?」


穂乃果ママ「あなたの必殺技、【マジン・ザ・ハンド】は………」










「まだ完成していない」


穂乃果「……え?」










穂乃果「ど、どういうこと?未完成って……」


穂乃果ママ「そのままの意味よ」


穂乃果ママ「仲間の力が集まって来て………それは間違ってない」


穂乃果「じゃあ……!」


穂乃果ママ「……本来それができるのはごく一部の人のみ」


穂乃果ママ「普通はみんな、自分の力しか使うことはできない」


穂乃果ママ「でもあなたは周りの力を自分の力に変換する、天性の才能があった」


穂乃果「天性の……才能?」


穂乃果ママ(カリスマ性かな………我が子ながらあっぱれ!)


穂乃果ママ「だからこそ落ちてしまった落とし穴」


穂乃果ママ「足りない最後の1ピース」


穂乃果ママ「それは……」


穂乃果「………それは?」


穂乃果ママ「………」


穂乃果ママ「……じゃあ頑張りなさい」スタスタ


穂乃果「ちょ…!答えは!?」バッ


穂乃果ママ「自分で考えなきゃ意味ないでしょ?」スタスタスタ


穂乃果「………」~~~!!!


穂乃果「これじゃあ今日眠れないよぉ~!!」


穂乃果(でも、お母さんの技はなんていうか……凄みがあった……)


穂乃果(私の【マジン・ザ・ハンド】には無いような……凄みが)


穂乃果「……….」


パンパン!


穂乃果「……よし!がんばる!」ヒリヒリ


穂乃果ママ(あなたならきっと、私がたどり着けなかったところまでたどり着けるわ………)


穂乃果ママ(……頑張りなさい)

タイトルつけ忘れてました……
次からつけます











1、本選までの出来事



学校放課後


キーンコーンカーンコーン


先生「それではみなさんさようなら」


さよーならー!


絵里「ん~~~……!」ノビー


希「えーりち!お疲れさん!」


希「眠たそうやけど大丈夫?」


絵里「あ、希、ごめんなさい……最近疲れがたまってて……」


希「もーしっかりしてよ?大会も近いんやから」


絵里「ふふ、わかってるわ。練習行きましょうか」


希「あー……えりち?」


絵里「なぁに?」


希「ちょっと寄り道していい?」


絵里「?」










校舎裏自動販売機前


絵里「どうしたの?こんなところで」


希「えりち………」


絵里「?」










真姫(う~~眠い……)テクテク


真姫(飲み物でも買って目覚まさないと…)テクテク


真姫(……!あれは……)ピタッ


真姫「絵里と希?」


絵里希 スタスタ


真姫「自動販売機の方に行っちゃった……」


真姫(なにかコソコソしてたような……?)


真姫「ちょうどいいしついて言って見ようかしら」


真姫「………」


真姫「海未みたいになってきてる気がする……」











真姫(居た……何か話してる……)サッ


希「えりち………」










希「氷の女王って………なに?」


絵里「……!」


真姫(………!)


真姫「…………」


真姫「氷の女王……か」









絵里「……どうして、それを?」


希「うちが知ってるのは、えりちがサッカーやってたっていうからネットで少し調べた内容だけ」


希「ロシアに突如現れた期待の新星、クールな目つきと氷の技が特徴的な将来を期待された選手」


絵里「………」


希「もしそれだけなら……」










希「亜里沙ちゃんがあんな風に言うはずない……」


絵里「……!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


亜里沙「氷の女王だったくせに……」


絵里「……昔の話よ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


絵里(試合の時……聞かれてた……?)


希「お願い……教えて、えりち」


絵里「………」フゥ


絵里「……わかったわ」


希「………」ゴクッ


希(もし……えりちの過去に暗いものがあるなら……)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


希「えりちな、氷の女王って呼ばれてたんよ」


絵里「ちょ、ちょっと…!」








希「氷の女王復活やね」


絵里「ちょっ……やめなさい!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


希(うちは……)













希(どれだけ残酷なことを悪びれもせずに言っていたのか………)










真姫(絢瀬絵里)


真姫(小学四年生からサッカーを始めるも、メキメキと才能を伸ばし、すぐに将来を期待されるほどの選手となった)


絵里「でも、ずっとバレエばかりやってきたからか、もともとの性格なのか………」


真姫(絵里は極端にチームプレイが苦手だった)


絵里「レベルの低い相手ならまだしも、強い相手にそれは致命的だった」


絵里「私は……次第にワンマンプレーが増えていった」


真姫(はじめのうちはチームはなにも言わなかった……けど)


絵里「だんだんと煙たがられるようになって……」


絵里「中学3年の夏、サッカーをやめたわ」


絵里「チームは……私のワンマンプレーのせいで負けた」


絵里「それから……」


真姫(生まれ持った鋭い目つき、自分勝手なわがままプレイ、氷の技、それらを踏まえ……)


絵里「侮蔑の意味も込めてこう呼ばれた」













絵里真姫「(氷の女王……と)」


希「……!!」










希(ウチ………最低やん……)


希(人の感情を読みとるのは得意やと思ってた……でも……)


希(なにも見えてなんてなかった……)


絵里「……」










希「えりち……ウチ……」


希「………ごめんなさい」ペコリ


絵里「希……」


希「………なにもわかってなかった」


希「ちょっとだけネットで調べただけで全部知った気になって………」


希「ほんとに………ごめん」


絵里「…………」












ふふふ


希「…えりち?」


絵里「ふふ……ふふふふ……」


絵里「あっははは!!」


希「え、えりち……!?」


希「ま、まさか………!」フルフル


絵里「ご、ごめんなさい……しおらしい希って新鮮で……!」フフフフ


希「そ、それで……さっきの話……!!」


絵里「ああ、さっき話したのは事実よ」ふふ


希「あ……そう……」シュン


絵里「ふふ……んふふふ」フルフル


希「……もう!なんで笑うん!!」


絵里「だって……あなたがいたから私はまたサッカーを始めようと思ったんだから」


希「……へ?」


絵里「あなたのおかげで………氷の女王は」


絵里「私にとって苦しいものじゃなくなった」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3年生初め


希「えりち~、帰ろ~!」トテトテ


絵里「ええ、行きましょう」ガタッ








希「さっくら~もち~、さっくら~もち~、もっちもっちもっちもっちかっしわ~もち~」テクテク


絵里「なにその歌?」クスクス


希「うちが作ったお餅の歌!」


絵里「またバカみたいなことして……」


ぐぅ~~


絵里「………」


希「………」


絵里「お腹すいちゃった…….」


希「もう、えりちってば」


希(あああ~~えりちかわいいなぁぁ~~!!!)


希「帰りパフェでも食べよっか!」


絵里「ええ」



~~~……



絵里「あら?何か声が……」



希「えりち、そこ職員室やで?」


絵里「いや、何か真剣な声が聞こえたから……」ソー……


絵里「……え?」


希「なになに?」グッ


絵里「ちょっ……!希、重たい!」ヒソヒソ


希「なっ…!レディに対して重たいはあかんやん!?」ヒソヒソ


絵里「レディはお餅の歌なんて歌わないわよ!!」ヒソヒソ


希「いまそれいうん!?」ヒソヒソ


絵里「……!」グラッ


希「あっ……」グラァ










ドシーーン!!


絵里「い……たたた」


希「もう、大丈夫?」よっこいせっ


「貴方達なにしてるの!!」


希「あーあ……」



絵里「ち、違うんです!たまたま通りがかったというか……」アワアワ


希「そ、そうです!盗み聞きなんて全く……」ワタワタ


絵里「そうです!廃校なんてこれっぽっちも……」


希「え」


絵里「あ」


先生 はぁ








希「はぁ~……まさか廃校なんてなぁ」テクテク


希(初めて入学から卒業までまともに終われると思ったのに……)


絵里「……まだ決定じゃない」


希「へ?」


絵里「理事長は!」


希「き、今日は用事でもう帰ってこないと思うけど……」


絵里「ぅ~~!」


希「あ、でも……」


絵里「なに!?」


希「理事長の娘さんならいるはず」


絵里「どこに!」


希「確か……サッカー部」


絵里「……サッカー」


希「あれ~?氷の女王さんの血が騒ぐ?」ニヤニヤ


絵里(氷の女王……)ギュッ……


絵里「……なんでもないわ、その子のところに行きましょうか」ザッ


コロコロ……


絵里「サッカーボール……?」


希「あの子らが使ってるやつかな」


絵里(一年生の頃から試合にも出れない人数で毎日練習してる三人組……)


絵里(……変人……)


希「えりち!少し遊んでいかん?」


絵里「……そんなことしてる場合じゃないでしょ」


希「まあまあ、いま体験入部の最中みたいやし邪魔したらあれやん?」


希「ちょうど二人とも運動靴やし」


絵里「……少しだけよ」上着脱ぎ脱ぎ


希「よーし!」上着脱ぎ脱ぎ









希「ほっ!」ドッ


絵里「……」タッタッタッ


トッ


希「あれ~?まっすぐ飛ばんなぁ……」


絵里「相手の方向に送り出すように蹴るのよ」ドッ


希「おー!まっすぐきた!」トッ ポロッ


希「おっとっと」トッ


絵里(相手の方向に送り出すように……か、どの口が言ってるのかしらね)


希「はっ!」ドッ


絵里「……!」トッ


希「まっすぐ行った!」


絵里「……ふふ、やるじゃない」


希「えっへん!」ドヤァ


絵里(パスができただけで……)









えり『えい!』ドッ


『ナイスパス!』


えり『えへへ!』







絵里「………」


「………りち」


「……えりち」


希「えりち!」


絵里「……!」ハッ


希「早くボールちょーだい!」


絵里「……ええ!」ドッ


希「……よいしょ!」トッ


希「止めれた!!」


絵里「………ふふふ」


希「あ……!今絶対バカにした!」


絵里「ふふ、ごめんなさい」


希「もー!」プンプン


絵里「………」


希「えりち?」


絵里「希」


希「?」


絵里「一緒にサッカー部入りましょうか」


希「ほ、ほんとに!?」


希(えりちの本気のサッカー見れるかも……!)


絵里「あ、やっぱりあのサッカー部の子達が、『サッカーで廃校を阻止する!』とか言いだしたら入りましょうか」


希「それどんな確率!?」


絵里(もし……もし私がまたサッカー部に入ったら)


絵里(あなたとサッカーをすることができたら……)


絵里「……ふふ」


希「絶対入る気ないやん~!!」


絵里(また……思い出せるかしら)


絵里(楽しかったあの時を)








穂乃果「よーし!穂乃果達で廃校を阻止しよう!」


絵里「!」


絵里(……神様が……やれって言ってるのかしら)


絵里(……あと隣の希がすごく腹たつ……)


希 ニヤニヤニヤニヤ








希「えりちな、氷の女王って呼ばれてたんよ」


絵里「ちょ、ちょっと!!」


絵里(……?いつものモヤモヤがない……?)


絵里(……ワクワクの方が強いみたい)







絵里(はじめてのシュートチェイン、仲間との連携………)タッタッタッ










希『えっへん!』ドヤァ


希『止めれた!!』










絵里「……ふふ」


絵里「みんなでやるサッカー、か」


絵里「……」









絵里「吹き荒れろ………」


パキパキパキパキ











希「氷の女王復活やね!」


絵里「ちょ、やめなさいよ!」


絵里(嫌な感じじゃない……くすぐったいような)


絵里「………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー









希「………」


絵里「あの日……あなたとボールを蹴りあって、私の中で何かが変わった」


絵里「今私がこうやってサッカーできてるのはあなたのおかげよ、希」


絵里「ありがとう」


希「………違うやん」


希「ウチ、謝ろうと……え?」


絵里「ふふ、今日は珍しい希がいっぱいね」


希「……もう!からかわんといて!」









真姫「………もういいかしら?」


絵里「あら、真姫じゃない、どうしたの?」


真姫「眠たいから飲み物を買いに来たの」


絵里「私たちも眠気覚ましに来たのよ、あたたかくなって来たから眠たくって……」


希「や、やんなぁ~、これだけポカポカ陽気やとどこでも寝れそう……」スヤスヤ


絵里「ちょ、ちょっと希!?練習始まるから!ちょ………起きなさい!」ググググ


希「ん~、もう食べれない」スヤスヤ


絵里「希~~!!」










真姫「………」


真姫(さっきの話の内容が全てだと思ってた……)


真姫(暇つぶしに絵里の母国のサッカーチームのブログを見るまでは……ね)トトトッ


ピッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ロシアサッカーU18代表ブログ


みなさんこんにちは、寒い日が続きますね


もうすぐ始まる世界大会、もうドキドキしっぱなしです


みなさんの期待に応えられるよう、頑張りたいと思います


話は変わりますが……


試合の日が近づくといつもある女の子を思い出します


小学校から中学3年生まで一緒だったんです


その子はとても可愛くてサッカーが上手でした


メディアにも取り上げられてたんじゃないかな?


同じチームでプレイするのはとても楽しかったのですが、少しづつ違和感を覚えて来ました


彼女があまりパスを回さなくなったのです


理由はわかっていました


彼女は、いわゆる連携が苦手でよくミスをしていました


個人技はすごかったのですがチームプレーが苦手だったようです


彼女も申し訳なさそうに私たちに相談していました


私たちは特に気にしていませんでした


彼女自身の人柄や、日頃の行動から、悪い子ではなかったからです



でも、次第に………なんというか、彼女の纏う空気が冷たくなった気がしたんです


みんな少しずつ彼女と距離を取るようになってしまいました


最後の大会、敵はとても強かったです


唯一対抗できたのがその子だけでした


その子はディフェンスとオフェンスを行ったり来たりして、何人分ものカバーをしていました


みんなボールを取るとその子に回しました


彼女は何度も倒され、傷だらけになりながらも、チームのために走ってくれました


が最終的には負けてしまいました


一点差でした


もし彼女がいなければ目も当てられないほどの結果になっていたでしょう


私たちは尊敬と感謝の意を込めてある称号を彼女に送りました


【氷の女王】と


ところが、私たちのチームの親や周りの人が、傍目にはその子のワンマンにしか見えない試合に怒りを覚え、有る事無い事を言いふらしました


チームがお前を嫌っているだの

お前のワンマンのせいで負けただの


心優しい彼女はそれらの言葉を全て真実として受け止めてしまいました


その子は中学卒業後、ロシアを発ちました


最後に聞いたことがあります


「サッカー、つづけるよね?」


彼女は


「サッカーはもうしない、迷惑かけてごめん」


とだけ返してくれました


私たちがいくら誤解だと言っても彼女は信じてはくれませんでした

ただ謝るばかり、ごめんねと


せめてこちらに怒りを向けてくれればいくらか気は楽になったのに



最後に


「一緒にサッカーできて楽しかったよ!!」


と大声で叫んでも、帰って来たのは


「……ごめんなさい」


と、一つのお辞儀だけでした


悲しかったです


彼女にこれほど他人行儀に頭を下げられたのは、小学校から思い出しても初めてでした


私たちがずっとプレイしてきたあの時間、一緒に笑いあって、喜んで、泣いて、悔しがったあの日々全てが


彼女にとっては思い出したくない過去に変わってしまったのです


彼女をそんな風にしてしまったのは私たちの実力不足が原因でした


私たちはその日から必死で練習して、今は国のU18の代表になることができました


それでも、彼女への仕打ちを考えると胸が苦しくなります


…………ところが、最近サッカーで調べていたら面白いものを見つけたんです


なんだと思いますか?


ふふふ、実はですね……


その友達が……日本に行った、我らが【氷の女王】がまたサッカーを始めていたんです!!


もう昔よりはるかに綺麗になってモデルさんのようです!


それにあの笑顔!


あの頃と何も変わっていません


今彼女は高校三年生


二年、間が空いたようですが、また戻って来てくれました!


中学時代の友達にこのことを知らせるとみんな大喜びしてました


国は違えど、同じ空の下であなたを見守っています


ハラショー!ちょっとキザだったかな?


ではこれにてさようなら!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



真姫「………」ピッ


真姫(私も……ネットで少し調べただけで全部知った気になってたみたいね)


絵里「ぜー……はぁー……」ヨロヨロ


真姫「絵里、私に任せて」


希 クカー…….クカー……


真姫 イラァ……


ツマミ


希「………ッ」


希「………」


希「…ッ!!」モゴモゴ


希「ぶはーー!!」ガバッ


真姫「おはよう」


希「死ぬやん!!」


真姫「そうね」


希「冷たい!!」


真姫「ほら練習始まるわよ」


希「もぉー……」ググググッ!


希「っはぁー……」ダラン


真姫「それと絵里」


絵里「な、なに……?」ハァ……ハァ…



真姫「たまには気晴らしにロシアのサッカーチームのブログでものぞいてみなさい」


絵里「?」


真姫「………何でもないわ」スタスタ


希「真姫ちゃんまって~!」ガバッ


真姫「ヴェェェェ!?」ググッ


真姫「重たいのよ希!」


希「レディ対して重たいはあかんやん!?」


真姫「レディは人前でぐーすか寝たりしないわよ!」


希「今それ言う!?」


絵里「………デジャブ?」



絵里宅



絵里「まったく、一体なんだっていうのよ……」カチカチ


カタカタカタカタカタカタ


絵里(ロシア、サッカー………ブログ、と)タターン!


カチカチ


絵里「あった…」スー……(スクロール)


絵里「こんなの見て何か気晴らしになるのかしら……」スー……


絵里「えーっと?」


絵里「………」


絵里「へぇ、可愛い子がサッカーをしてた……」


絵里「ワンマンが増えて……」


絵里(ワンマン……私みたいね)


絵里「最後の大会、相手チームが強くて………」


絵里(そう、あの時の相手もとても強かった……)


絵里「一点差で負け……」


絵里(もっと私が強ければ……)


絵里「………」


絵里「にしてもなんだか親近感湧いてくるわね、この子」


絵里「なになに?」


絵里(………私たちは尊敬と感謝の意を込めてある称号を彼女に送りました)


絵里(ハラショー!この子は幸せ者ね)スー……





















【氷の女王】と












絵里「…………」


絵里「は?」











絵里「え、どうして………?」


絵里「氷の……え?」


絵里「ここに書いてるの……私?」


絵里「…………」


絵里「も、もう一度初めから……!」カチカチ


絵里「…………」スー……


絵里「………」スー……


絵里「……ッ…」スー……


絵里「……ぁ……」ウルッ


絵里「……うそ……」ウルウル


絵里「うぅ………ぁあ……ッ!」ポロッ


絵里「ああぁぁ……!!」ポロポロ










私たちがずっとプレイしてきたあの時間、一緒に笑いあって、喜んで、泣いて、悔しがったあの日々全てが


彼女にとっては思い出したくない過去に変わってしまったのです









絵里(全部……覚えてる……)ゴシゴシ


絵里(ゴールを決めてみんなで抱き合ったことも……)


絵里(夏にアイスを食べながら冗談を言い合って帰ったことも……)ウルッ


絵里(試合で負けて、泣きながらみんなでご飯食べたことも………)ポロポロ










絵里(思い出したくないわけ………ないじゃない)ポロポロ










絵里「あぁ………ぅぐっ……」ヒック


絵里「みんなぁ………」グスグス


絵里「………!」


絵里「そうだ……確か…….」ガサゴソ


カサッ


絵里(ケータイを変えた時、どうしても消し切ることのできなかった……)グスッ


絵里(みんなの……電話番号)


絵里「………」グッ










ガチャ


亜里沙「おねーちゃん、ご飯冷めちゃう……」








ピッ


絵里「も、もしもし?」


『……どなたですか?』


絵里「あ、あの……」


絵里「えっと………」


『……イタズラなら』


絵里「ま、待って……!」


スゥ………ハァ……


絵里「……絵里……です」











亜里沙「………」


パタン


亜里沙「……まあいっか」


亜里沙「どれだけ冷めちゃったとしても……」










絵里「うん、うん、ブログ……読み……読んだ」


絵里「……うん、久し……ッ……!」ウルッ


絵里「うん……うん……」ポロポロ


絵里「……………」


絵里「ーーー!」ブワッ!


絵里「……あり……がとぉ……」ポロポロ









亜里沙「何度だって温められるんだから」













学校放課後


キーンコーンカーンコーン


先生「それではみなさんさようなら」


さよーならー!


希「えりち~、部活いこ~!」


絵里「え、ええ……」ゲッソリ


希「あら~、お疲れさんやね」


絵里「ちょっと昨晩……ね」


希「……なんかその言い方やらしいね」


絵里「あなたが思ってるようなことはないから安心して」


希「ん~?えりちはうちが何を思ってると思ったん?」ニヤニヤ


絵里「だから……はぁ、ダメ」


絵里「今日は本当に寝不足だったのよ……」ぐったり


希「体に気をつけてって言ったばかりやのに……」


絵里「そういうあなたこそ疲れた顔してるわよ」


希「……やっぱりわかる?」ゲッソリ












ガラララ


「希ちゃーん!校門に他校の男子がきてるよ!」


希「あぁ……うん、ありがと」


「なになに~?もしかして彼氏?」


希「もしそうならどれほどいいかなぁ……」シクシク


絵里「そんなに嫌なら断ればいいのに」


希「それができたらどれほどいいかなぁ……」シクシク


絵里「……嘘泣き」


希「……ッチ」


絵里「舌打ち……!!」ガーン












校門


絵里「……え……えぇ?」


希「………なにしにきたん?」


「なに言ってるんですか、姐さんのサポートですよ!」


希「昨日の夜もたっぷり電話したやん?」


「俺はいつでも姐さんの隣にいますよ!」


希「……はぁ」


「お疲れですか!どうぞ部室へ!案内します!」


希「君は立ち入り禁止やけどね」


「そ、そんな……!!」ガーン


絵里「ちょ、ちょっといい?」


絵里「あなた確か……」


「はい!」


幽谷「尾刈戸高の幽谷です!」


絵里「幽谷……くん?」


絵里「え、こんなキャラじゃなかったわよね?」


希「それがな……」


幽谷「姉さんはオカルトの師匠なんです!」


絵里「お、オカルト?」


幽谷「あの時感じたあの迫力……!」


幽谷「俺、一生姐さんについていきます!」


希「……」


絵里「……」


幽谷「………?」パタパタ


希絵里(尻尾が見える……)



希「とりあえず今日は帰ってね」


幽谷「そんな……!」ガーン


希「それから、電話もよっぽどの理由がない限り、かけてこないこと」


幽谷「………!!」フラフラ


希「守れるやんね?」


幽谷「………」


幽谷「姉さん……」


幽谷「姉さんは……!!!」グッ












幽谷「俺のことなんてどうでもいいんですか!?」


希「…………」


幽谷「無言!!」ゴーン














部室前


希「はー疲れた……」


絵里「お疲れ様……」ポン


~~!………!!


絵里「あら?部室がなんだか騒がしいわね」


希「なにかあったんかな?」


ガラララ












にこ「だからさっさと帰りなさいよあんたら!!」


にこ「通報するわよ!!」


「そんなこと言わないでくださいよ!」


「そうっすよ!なにか手伝える事とか……」


「「姉貴!」」


希「………なにこれ?」


真姫「もう、なに入り口で止まってるの?」


真姫「げ」


海未「おや?どなたですか、この方たちは」


「あー!真姫の姉貴!」


「お久しぶりです!姉貴!」


真姫「こんなところまで………」ハァ


真姫「あなたたち……」


真姫「さっさと帰りなさい!!」

「で、でも……」


真姫「女子校に入ってるのがバレたらあなたたち怒られちゃうでしょ?」


真姫「そんなところ……見たくないのよ」キラキラ


「あ、姉貴ぃぃ!!」ポロポロ


「眩しい……!眩しすぎて見えねぇ!!」


「今日は帰ります!」


「また会う日まで……お元気で!」ダッ









………………






希「真姫ちゃんどこで覚えたんそんなん」


真姫「あんなこと教えるのにこちゃんしかいないじゃない」


にこ「ふっふ~ん!」ドヤッ


絵里「にこ、多分褒められてないわ」


海未「それで……何者なのですか?あの方たちは」


にこ「………はぁ……」


にこ「……こないだ子供があいつらに絡まれてたから助けたのよ」


海未「にこがですか?」ジー……


にこ「当たり前じゃない」


真姫「私もいたけどね」


真姫「その時は一回追い払ったのよ」


海未「二人でですか?あのお二方、かなり体格がしっかりしてましたが……」


にこ「まあボールがあったからね」


真姫「思いっきりぶつけてやったわ」


希「はー、すごいなぁ」


海未「………」


絵里「海未……?どうしたの?」



海未「………サッカーボールを、人を傷つけるために使ったのですか」


にこ「え、ええ……」


海未「………それで、どうなったのですか?」


真姫「その時はそれで治ったんだけど、また少ししたらリターンマッチに来たのよ」


にこ「で、また返り討ちにしたってわけ」


海未「………サッカーボールでですか?」


にこ真姫「…っ……」


希「う、海未ちゃん……」アセアセ


海未「すみません、続けてください」


真姫「……倒した後は急に手のひら返したように、『姉貴!姉貴!』ってなって今に至るわ」


海未「………あなたたちが怪我をしなくて本当に良かったです……」
















海未「が」


にこ真姫「……!」ビクッ



海未「サッカーボールで人を傷つけるのだけはやめてください……」


海未「私からのささやかなお願いです……」ペコリ


希(海未ちゃんはもともと争い事は好きじゃない……)


絵里(ましてやサッカーを喧嘩に使うとなると……)


にこ「で、でも!やらなきゃやられてたし……」


にこ「海未は……」


にこ「にこたちとあいつら、どっちが大切なの……!!」キラキラ


海未「にこと真姫ですよ」


にこ「んぅ………ぉお……」モジモジ


希(相変わらず正直者の海未ちゃんには弱いなぁ……)


海未「にこたちの安全が第一です、しかし、それは最終手段にしてほしいです……」


海未「サッカーで……」


海未「誰も傷ついて欲しくないんです……」


にこ「……ごめん……」


真姫絵里希「………」


海未「しかし、二人が無事で本当に良かったです」


海未「もし破廉恥なことをされてたらと思うと……」ワナワナ


にこ「あんた想像ぶっ飛びすぎでしょ……」


真姫「ほんと……」クルクル


希「海未ちゃんはにこっちたちが大好きなんやね」


海未「え?あぁ……違いますよ」


にこ真姫「え」


希「おおぅ……」


海未「その……」モジッ


海未「わ、私は………」


海未「このチームのみんなが……」


ガラララララララ!!!!!!!










穂乃果「おっくれましたぁぁ!!!」


花陽「そ、そんな堂々と……」


凛「海未ちゃんの雷が飛んでくるにゃ~……」


ことり「ご、ごめんね~……」


海未「~~~~~!!!」ワナワナ


海未「穂乃果ぁぁぁぁ!!!」クワッ!


凛「ほら~……」


穂乃果「ち、ちが……!ちゃんと理由があるの!!」


海未「やっと来ましたか、さあ、練習ですよ」ニコッ


穂乃果「……へ?」


凛「おお……!珍しく海未ちゃんが怒らないにゃ……」


海未「そんなに嬉しいことを言ってくれる凛には特別メニューを授けましょう」


海未「まさか………断らないですよね……?」ジロリ


凛「は、はいぃ……」ガクガク


凛(終わった)


海未「……私は先にグラウンドへむかっています」タッタッタッ


穂乃果「ほえー……海未ちゃん元気だなぁ」


凛「着替えてなかったけどいいのかにゃ?」


希絵里にこ真姫「……ふふ」


ことり「?どうしたの?」


凛「みんなニヤニヤしてるにゃ……」


穂乃果「穂乃果たちがくる前に美味しいもの食べてたんだね!?」


花陽「違うと思うけど……」


絵里「なんでもないのよ……なんでもね」


絵里「さ、練習よ!!」


穂乃果凛花陽ことり「お、おー……?」












希(出て行くとき海未ちゃん顔真っ赤やったな~)


絵里(途中までしか聞けなかったけど、嬉しいこと言ってくれるわね)


にこ(自分で言って自分で赤面するなんて………)


絵里希にこ(後輩がかわいい……)


真姫「……」クルクル












海未(うぅぅ~~……////////)タッタッタッ


海未(どうしてあのタイミングなのですか……!!!)


海未(穂乃果のおばかぁぁ!!!!!)


穂乃果「………?」ゾクッ











凛「………ッ……」ピクッ


凛「えーっと……」キョロキョロ


花陽「どうしたの?」


凛「学校来る前少し足挫いちゃって……少し痛みが強くなって来たにゃ」


凛「テーピングある?」


花陽「あるよ~、はい!」


凛「ありがと~」


花陽「巻いたげるね」シュルル


凛「なんだか恥ずかしいにゃ……」


花陽「えっと……こうかな?」シュルッ


真姫「違うわ、そこの下を斜めに……」


花陽「……こう?」シュルッ


真姫「違う、まずそっちを巻いてから……」


花陽「こうか!」ギュッ


凛「っ……ぐ……!」


真姫「~~!!だからぁ~!!」


花陽「こうだぁ!!」ギュゥゥ!!


凛「ぎにゃぁぁぁぁぁ!!!!!」


にこ「代わればいいのに……」











ある日の部室


にこ「ちょ、ちょ、ちょっとこれ見て!!」


ガラララ!!














穂乃果「にふぉふぁんほーひはほ?」もぐもぐ


真姫「相変わらず騒がしいわね……」ハムッ


希「ことりちゃんこれほんまに自分で作ったん?美味しいなぁ」パクッ


凛「これ名前なんていうんだっけ?」モシャモシャ


花陽「えーっとね……」ココマデデテル


ことり「ありがとう希ちゃん!マーマレードっていうの!」


海未「さすがことりですね」もぐもぐ


にこ「あら、美味しそうなの食べてるわね、私ももらうわ」


ことり「どうぞ~」


にこ「……!」ハムッ


にこ「悔しいけど………おいしい……!」


ことり「ありがと~!」


海未「これを食べたら練習ですからね、食べ過ぎないように!」ハムッ


穂乃果「ふぁ~い!」モゴモゴ


海未「……ッ…」ゴクン


海未「あなたに言ってるんです!!」


海未「もう3個も食べてるではありませんか……」


穂乃果「いやでも……」ゴクン


海未「でもじゃありません!」ピリッ


海未「まったく……」パクッ


凛「ねえねえ、海未ちゃんいくつめだっけ……?」ヒソヒソ


希「たしか……」ゴクン


花陽「もう5個目だよぉ……」


凛「えげつないにゃ~……」


凛「あ、にこちゃんもう一ついっとく?」


にこ「もらうわ、ありがと」ピリッ


ハムッ


にこ「……おいしい」もぐもぐ



花陽「そういえば今何時だろ……ケータイ忘れちゃって」モグッ


にこ「今は15時45分よ」ムグッ


花陽「ありがとにこちゃん」ゴクン


絵里「ところで……」ゴクン


絵里「にこは何を慌ててたの?」


にこ「……っ……!!」ハッ ポロッ


希「絶対忘れてたやん」


にこ「お、おお覚えてたに決まってるじゃない!」モグモグゴクン!


にこ「これを見なさいあんたら!」ピッ


花陽「こ、これは……!」ズイッ


花陽「私も毎日更新を確認してる高校サッカー協会フットボールフロンティア杯のブログ!!」


海未「何かあるのですか?」ズイッ


穂乃果「あ!音の木坂って書いてるよ!」


真姫(……見えない)ぴょんぴょん


にこ「読んであげるわ!」


にこ『大会初出場校ながら強豪校をバッタバッタとなぎ倒し、一躍優勝候補に名乗りを上げた無名校、音の木坂学院』


『なんと予選決勝ではあのUTX高校を逆転勝利で破り、本選へと駒を進めた』


『今大会のダークホースになることは間違いないだろう』


穂乃果「ほわ~……すごい書かれようだね……」


花陽「さらにコメントも沢山です!」


真姫(見えない……)ユラユラ


にこ「順番に読むわよ?」



『マグレだろどうせww』


『今が一番楽しい時』


『本選ですぐに負けるに一票』


絵里「ふふ、ひどい言われようね」


凛「なんで嬉しそうなの?」


絵里「私たちが優勝したらこの人たちどんな顔するのかって想像するだけでワクワクしてくるわ」フフフ


真姫「あなた結構歪んでるわね……」


にこ「ここ!ここよ!」ツィー……



『正部員9人でとか化け物かよ』


『あれ、後三人いなかったか?』


『助っ人的なポジションだって言ってたぞ』


『マネージャー兼選手みたいな感じか』


『にしてもよく勝ったよな』


『中学生助っ人が強かったんじゃね?』


『言っても決めたのはみんな部員だぞ?』


『キーパーも止めてるしな』


『やべぇ俺もいける気がして来た』


『この9人まとめてなんかないか?』


『神9!』


『お前ネーミングセンスどこで落としたんだよ』


『母ちゃんの腹のなか……かな』


『μ'sでどうだ』


『なんて意味?』


『9人の歌の女神とかそんな感じ』


『[音]の木坂とかけてんのかすげぇな』


『職人現る』


『なんてよむの?』


『ミューズだよバカ』


『みゅーずがんばれー!』


『てか写真見たかよ、全員顔面偏差値高すぎだろ』


『【速報】μ'sまじで女神だった』


『誰かやると思ったwww』


『燃えてきた』


『萌えると掛けたのか』


『いいんだよそんなところ深読みしなくて』












穂乃果「おぉ……」


にこ「私たち、ネットで名前つけられるぐらい人気出てきてるってことよ!」


花陽「A- RISEみたいだね!」


凛「μ's……か」


希「雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんが入ってないね」


海未「……私は反対です」


海未「二人あっての音の木坂ですから」


穂乃果「ヒデコたちもね」


真姫「私も反対かしら」


にこ「そうね、もっと気の利いたのつけてくれればよかったのに」


花陽「でも、これで私たちを応援してくれる人がいるってわかったね!」


希「そういう人達がいるってだだけで嬉しいね」


穂乃果「よーし!バカにしてる人たちをギャフンと言わせるぞー!」


「おー!」


穂乃果「応援してる人たちの期待に応えるぞー!」


「おー!」


穂乃果「廃校救って優勝するぞーー!!」


「おーー!!」










練習


タッタッタッ


凛「はぁ……はぁ……」タッタッタッ


希「行かせんよ!」ザッ


凛「にゃぁ!!」クルッ バッ!


希「そんな動きあり!?」ガクッ









花陽「………ふっ!」ズザッ


亜里沙「うわぁ!」ガクッ


花陽「ドリブルの時一瞬足元が空いちゃうときあるからそこを気をつけて」


亜里沙「はい!」










海未「はぁ!!」ザザッ!


ことり「きゃぁ…!」ズザッ


真姫「?ぇぇ…!?」ガクッ


海未「二人とも簡単に抜かれすぎですよ!」


ことり「ひぃぃ~……!」


真姫「ディフェンスってあんまりしたことないのよね……」


海未「たるみすぎです!!」


「それじゃあこのにこにーが相手になるわよ?」ザッ











ガガッ!!


海未「…!?」ズズッ


にこ「ほらほら、どうしたのよ海未!」ガガッ!!


海未「…っく…!!」ズザザッ!


海未(ここまで懐に入られるとやりにくいですね……さすがにこです……)


海未(………が)


クルッ


にこ「んなっ!?」ガクッ


海未「もうひと押し欲しいですね」トッ


にこ「……っち、やるわね」









ことり「………ほぇー……」


真姫「……すごい……」


海未「……!」ハッ


海未「何ぼさっとしてるんですか!次はあなた達ですよ!」


ことり真姫「……はい」


ことり真姫(……レベルが違う……)














穂乃果「………みんな成長してるんだなぁ……」


ドキュッ!!


穂乃果「…………」ボーー……


「!?穂乃果!?」


穂乃果「……っへ?」クルッ


ドゴォ!!


穂乃果「ヘブチッ!!」


ドサッ


絵里「ちょ……大丈夫?」タッタッタッ


穂乃果「うぅ……だいじょばないぃ……」グズグズ


絵里「どうしてシュート練の時によそ見なんてするのよ……」


穂乃果「だってぇ……」


凛ママ「おーい!次のメニュー行くぞー!」


みんな「はーい!」


絵里「ほら、泣かないの」


穂乃果「ヴヴヴヴヴヴ…………」グズグズ


凛ママ「ちなみに今から本番な、今までのはウォーミングアップみたいなものだから」


みんな「え」










練習終わり


ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……


花陽ママ「皆さん明日はいよいよ試合ですね~!」


凛ママ「がんばれー!」


絵里「試合前に……はぁ、こんなにきつい練習……」ぜぇ……ぜぇ……


海未「明日……大丈夫でしょうか……」ハァ ハァ


穂乃果「もー!みんなどうしてそんなに弱気なの!」


穂乃果「ファイトだよ!」


穂乃果「…………はぁーー……」ガクッ


ことり「無理して強がるから……」はぁ…はぁ…


ことり「起きて~……!」ツンツン


真姫「水分は……とっときなさいよ……」フラフラ


凛「あ……あぁ……」ズズズッ


花陽「……ニンゲン……クウ……」ズズズッ


にこ「まずいわ、花陽が人間をやめかけてる……」ハァハァ


希「凛ちゃんも限界なんて珍しいね」ハァハァ


凛「秘密兵器の……特訓だにゃ…」ハァ


絵里「へー、なんて技なの?」


凛【かよちんロケット!】


穂乃果「おぉ……!カッコいい!」


凛「でもかよちんが怖がってなかなか進まないんだにゃ~」


花陽「あれは怖いよぉ……」


にこ「別にどんな技でもいいけど怪我だけはしないようにしなさいよ」


花陽「にこちゃんに私たちの技を授けます……!」


凛「【にこちゃんロケット】だにゃ!」


にこ「熨斗紙つけて送り返してやるわ」












放課後公園


絵里「っく……!」ハァハァ


真姫「はぁ……!!はぁ……!!」ぜぇぜぇ


絵里「真姫、大丈夫?少し休んで……」


真姫「もう一回よ!!」ゼェ……ゼェ……


絵里「真姫……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


絵里「真姫、ちょっといいかしら」


真姫「どうしたの?」


絵里「私と……合わせ技をして欲しいの」


真姫「【ファイアトルネード】と【エターナルブリザード】を組み合わせるんじゃなくて、二人で一つの技ってことね」


絵里「手本はあるわ」


真姫「【ファイアブリザード】でしょ?」ニヤッ


絵里「ハラショー……!さすがね」


真姫「いいわ、早速明日から始めましょう」


真姫(【爆熱ストーム】はひとまずお蔵入りかしらね)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



真姫絵里「はぁぁぁぁ!!!」バッ

ブワァァァァ!! ブワァァァァ!!



真姫絵里【ファイアブリザード!】

ドキュゥゥゥ!!!!!


ゴォォォォォオ!!!!!


ゴォォォォォオ………


シュルルルルルル………












テンテンテン ………


真姫「………!」ギリッ


真姫(ママたちにできて、私たちにできないなんて……)


真姫「………っ」ジャリッ


絵里(真姫のストレスがかなり溜まってる……)


絵里(これ以上は明日の試合に支障が出るわね………)


絵里「今日はこの辺にしておきましょう」


真姫「……!で、でも……!」


絵里「真姫、私たちは優勝を目指してるの」


絵里「そのためには、目先の一戦を甘くみてはいけない」


真姫「………わかったわ」


絵里「ふふ、大丈~夫よ」ナデ…


真姫「……!」ビクッ


絵里「私だってこのままで終わる気なんてないんだから」ナデナデ


真姫「………ならいいけど」ナデナデ


真姫「………」ナデナデ


真姫「……!」ハッ


真姫「撫でないで!」











別の公園


凛「いにゃ!?」ドサッ


花陽「うぐぅ……!」ドサッ


凛「ご、ごめんかよちん!」スッ


花陽「ううん、大丈夫!」ガシッ


凛「……かよちん、ほんとは嫌じゃない?」グイッ


花陽「……私は、凛ちゃんと一緒にできるだけで楽しいよ」ニコッ


凛「かよちん……」


凛「……!メガネ落ちてるよ」ヨイショ


凛「はい、かよちん」スッ


花陽「ありがとう凛ちゃん」スチャッ


凛「………」


花陽「凛ちゃん?」


凛「あ、いや……!……えっとね」アワアワ


凛「真姫ちゃんと一緒にここで練習したなって」


花陽「あの技の?」


凛「うん!何回も何回も大変だったにゃ~!」


花陽「………」


「あら、ひどい言いようね」


凛「にゃ!?」クルッ



にこ「……手伝うわ、人手があったほうがいいでしょ?」


花陽「にこちゃん!」パァァ!


凛「にこちゃぁん!」ガバッ


にこ「んなぁぁぁ………!!」グググッ


花陽「ぁ………」


にこ「降りなさい」ペイッ


凛「うぐっ……!」ドサッ


にこ「さ、始めるわよ」


にこ「何回も何回も……ね」パチン


花陽「うん!」


凛「にゃーー!!!やるにゃー!!」ガバッ


ガラララララララ!!!!!


「ゴラァ!!誰だこんな時間に騒いでんのはぁ!!!」


凛「………にゃ~」


「………なんだ猫か……」


ピシャリ


凛「………やるにゃー!」ヒソッ


にこ花陽「おー!」ヒソッ

[2、本戦一回戦!忍者サッカー]



試合前バス停待ち合わせ



亜里沙「ふぁ~……」コシコシ


絵里「まだ少し眠い?」


亜里沙「うん、緊張して眠れなかった……」


にこ「で、あと来てないのは……」


海未「雪穂と穂乃果ですね」


海未「大方穂乃果が寝坊したんでしょう」はぁ……


ことり「早くしないとバスでちゃうよぉ~……」


ドタバタドタバタ!


穂乃果「ぎ、ギリギリセーフ!!!」ズザザザ!


雪穂「アウトだよ……ゲホッ、ほんとすみません……」ハァハァ


穂乃果「……!ハンカチ忘れた……」


雪穂「ちゃんとあるよ、はい、ティッシュも」スッ


穂乃果「ありがとう雪穂~!」ギュッ


雪穂「次からは気をつけてよね」ヤレヤレ


海未「どちらが姉かわかりませんね……」


絵里「まったく……リーダーが遅刻なんて……」


穂乃果「ぅ……ぅえりちゃぁん……ギリギリ間に合ったから……ね?」


穂乃果「少し大目に……」


凛「10分前集合は基本だって言ってなかったかにゃ?」ニヤニヤ


穂乃果「気にしなくていいよ、凛ちゃん」


凛「自分で言うことじゃないにゃぁ!!」


ヒデコ「おーい!穂ー乃果ー!!」ブンブン


フミコ「こっちだよ~!」


海未「では行きましょうか」ヨイショ


ミカ「μ's御一行ご案な~い!」


一同「………ん?」












穂乃果「ちょ、ちょっと待って…?」


穂乃果「知ってたの!?」


ヒデコ「ふっふっふ、我らの情報網を甘く見てもらっちゃ困るよ」ドヤッ


ヒデコ「この……」


ザザザッ


ヒデコ「助っ人五人衆をね!」


亜里沙雪穂 フンス…!


絵里「亜里沙……」ハァ


穂乃果「で、でも……!μ'sは9人って……」


穂乃果「私たちは……この14人のメンバーが私たちで」


ヒデコ「とか考えてるんだろうなってみんなで話したんだよ……」


ヒデコ「………穂乃果」


ヒデコ「私たちは助っ人だよ」


フミコ「そう、いわば脇役、サポート係」


ミカ「メインの穂乃果たちが目立たなくてどうするのさ!」


雪穂「みなさんが……μ'sがどこまでいくのか見てみたい」


亜里沙「私たちは、少しでも走りやすくなる手助けができればそれでいい!」


穂乃果「みんな……」


ヒデコ「せっかく吹いてる追い風を止めるなんて真似、絶対しちゃダメだよ」


穂乃果「……わかった」


海未「穂乃果……!」


穂乃果「ただし!」


穂乃果「気持ちはみんな一緒だからね」


ヒデコ「……うん」ニコッ



にこ「……」


にこ「なんていうか私たちって………周りに助けられて活動してんのね」


希「おぉ……!にこっちらしからぬ発言……!!」


にこ「たまにはいいでしょ?こういうのも」


希「自覚はあったんやね」


にこ「はっ倒すわよあんた」


凛「μ'sか~……!」


花陽「実はちょっと気に入ってたり……なかったり…
…」

真姫「これだけ励まされちゃやるしかないでしょー?」


穂乃果「よーし!今日の試合、絶対勝つぞー!」


「おーー!!」


監督「お前ら早くしろぉ!!!バスが来てる!!」


ブロロロロロ!!!


穂乃果「や、やばっ…!」


穂乃果「急げー!」ダッ!


海未「あ、こらっ…!シューズ忘れてます!」


ことり「水筒もだよぉ~…」


にこ「急ぐわよあんたら!」グイッ


真姫「にこちゃんそれ私の荷物!」


真姫「にこちゃんのはこっちよ!」スッ


希「真姫ちゃんそれウチの!!」


花陽「あれ……!?財布どこしまったっけ!?」ガサゴソ


凛「今かよちんが手に持ってるにゃぁ!!」


絵里「ウイダー忘れた……」ゴーン















ヒデコ「……こんなんで大丈夫かなぁ……」

ミカ「もしこれで今日負けたら……」

フミコ「今の一連の流れ……」

(((恥ずかしいよね……)))

監督「はぁ……」










戦国伊賀島 グラウンド

海未「んーっ………!」ノビー


絵里「疲れがイマイチ抜けてないわね……」グイグイ


凛「にゃー!試合だにゃー!」ピョンピョン


真姫「どうしてそんなに元気なのよ……」はぁ……


花陽「ずっと練習ばっかりだったから嬉しいんだと思うよ」


花陽「あ、凛ちゃんこれ……」スッ


凛「絆創膏?」


花陽「凛ちゃん今日歩き方違和感あったから……」


花陽「足少し擦りむいてるでしょ?」


凛「あ、ありがと……」


花陽「ちゃんとケアしないと跡残っちゃうよ?」スリスリ


花陽「せっかく綺麗なんだから」ニコッ スリスリ


凛(見えないとこの怪我なのに……)


花陽「?」スリスリ


凛「って、撫ですぎにゃぁ!」


雪穂「亜里沙、頑張ろうね!」


亜里沙「もちろん!」


絵里「あんまり気負いすぎないようにね」


希「今日の相手は忍者かぁ~」


にこ「UTXに比べたら可愛いもんよ」


テクテクテク









審判「音の木坂、アップを始めてください」


ことり「は~い!」










ドッ トッ ドキュゥ! バシッ


凛「ほっ!」ドッ


花陽「よっ……と」トッ


花陽「んっ…!」ドッ


ポーン…


凛「にゃ!?」


花陽「あ、凛ちゃんごめ……」


シュバッ!








トッ


スタン……


凛「あ、ありがとうございます……」


「………」


凛「えっと……まだ何か?」


「絢瀬絵里か西木野真姫と勝負がしたい」


凛「え、えーっと……?」


凛(見ればわかる……)


凛(やばいやつだにゃー……!!)ゴーン


タッタッタッ


にこ「どうしたの?」


凛「この人が絵里ちゃんか真姫ちゃんと勝負がしたいんだって」


にこ「はぁ?……はいはい、とっとと帰りなさい、今ならなかったことにしてあげるから」


「はぁ……」


「負けるのが怖いのか?飛んだ腰抜け集団だな」


凛「そんなわかりやすい挑発に乗る人なんていな……」



にこ「はぁぁん??いいわ、やってやろうじゃない……!!」


凛「にこちゃんは平常運転だね……」トホホ…


にこ「で、あんた名前は?」


「お前に名乗るなはない」ババーン


にこ「……いい度胸してるじゃない」ピクピク…!


凛「にこちゃんの血管が持ちますように」


「じゃあ二人のうちどっちを……」


にこ「花陽よ」


………………












「……ん?」


凛「へ?」


にこ「花陽ー!出番よー!」


花陽「え?え?」タッタッタッ


にこ「あんた、こいつと勝負しなさい」


花陽「……まじですか……」


にこ「大マジよ」


「お、おい…!話が違うだろ!」


にこ「はぁぁん??あんたの要求飲んでやったんだから人ぐらいこっちで選ばせなさいよ」


「で、でも……」


にこ「はぁぁぁんんん???」


「………」


凛「あれアイドル志望の顔じゃないよね?」


花陽「凛ちゃんシーー……!!」アワアワ












海未「まったく、何をしているのかと思えば……」


真姫「……どっちが勝つと思う?」


凛「カヨちんにラーメン一杯にゃ!」


希「うちも花陽ちゃんにお米一粒!」


ことり「もう少し奮発してあげようよぉ~……」


希「米俵一俵!」


ことり「やりすぎだよぉ……」


雪穂「花陽さーん!がんばれー!」


「ルールは簡単だ」


「ドリブルで向こうのラインまで走って行って、Uターンして返ってくる、いいな?」


花陽「は、はい……」


にこ「じゃいくわよ?」


にこ「位置について……」


ジャリッ


にこ「よーい……」


グッ


にこ「……ふ……」ムズッ……














にこ「フェックシュン!!」


ダッ!


にこ「ちょ、ちがっ……ああもう!」


希「あっはははは!!!」


にこ「うるっさいのよあんた!」


希「あはははは!!!斬新すぎやんにこっち!」


ことり「ふふ……ふふふ……!」プルプル


穂乃果「ナイスくしゃみだよ!にこちゃん!」


亜里沙「ハラショーです!」


にこ「うるさい!!」












花陽「………なんか盛り上がってますね」タッタッタッ


「そうだな」


花陽(ここでUターン……)


クルッ クルッ


絵里「ここまでは互角ね」


穂乃果「がんばれー!花陽ちゃーん!」


霧隠(こいつ……遅くはないが特別速いわけじゃない……)


(ハズレをつかまされたか……)


「………ッチ」


花陽「ヒッ……!」ビクッ


(こうなったらぶっちぎって勝ってやる……!)


グンッ!!


花陽(……!格段にスピードが上がった…!)


花陽(……私だって!)グッ


グンッ


「……その程度か……」


「がっかりだ」ダッ!


花陽(追い……つけない…!!)タッタッタッ


フッ














シュバッ


「なっ……!」


花陽「だ、誰!?」


「……勝手なことをするな」


「試合前に……」


「……邪魔するな」


風磨「戻るぞ霧隠」


初鳥「すまなかった」ペコッ


霧隠「……ちっ」


ドロンッ!


花陽「え?……は、はい……」キョトン












花陽「……」トボトボ


にこ「お疲れ花陽」


希「お疲れさん、花陽ちゃん!」


海未「まったく……試合前にわざわざ疲れることをするなんて……」


花陽「ご、ごめんなさい」ショボン


審判「音の木坂ー!整列してください」


絵里「さ、行きましょう」


穂乃果「みんなー!絶対勝つよー!」


一同「おーー!!!!」













花陽「ねえにこちゃん……」


にこ「どうしたの?」


花陽「どうして……花陽を出したの?」


花陽「絵里ちゃんと真姫ちゃんが疲れないため?」


にこ「……あんた」


にこ「自分が捨て駒に使われたと思ってるの?」


花陽「………」コクリ


にこ「……はぁー…」ポリポリ


にこ「いや、説明しなかったにこが悪いわね」


花陽「?」


にこ「……向こうのエース、どうだった?」


花陽「………?」


にこ「あんたが一番得意でしょうが、情報収集」


花陽「……!は、はい!」


花陽「スピードは凛ちゃんと同じかそれ以上、近くで見た感じフィジカルはそんなに強くなく負けず嫌い」


花陽「あとは細かい癖が少々……」


にこ「ふふ、さすが花陽ね」


花陽「にこちゃん……」










凛「二人で何いちゃいちゃしてるにゃーー!!」


真姫「もう………整列よ?」クルクル


にこ「はいはいただいま~」スタスタ


花陽「ま、まってぇ~!」タッタッタッ











角間母(以後角間)「始まりましたフットボールフロンティア本選第一回戦!!」


角間「一体どちらのチームが次の対決へと駒を進めるのでしょうかぁ!!」




FW

絵里、真姫


MF

海未、希、にこ、ことり


DF

雪穂、亜里沙、花陽、凛


GK

穂乃果







角間「なぁんとぉ!!UTXの助っ人、絢瀬亜里沙が音の木坂の助っ人へと移りました!!」


角間「これからの活躍に期待です!!」







ピーーーーーーー!


角間「今、試合開始のホイッスルが鳴らされました!!」



ワァァァァァァァァァァ!!!!!












予選決勝次の日



ウィーーン


ゾロゾロゾロ


ツバサ「……なにか御用でしょうか?」


監督「……何かじゃないだろう?」


ツバサ「音の木坂に敗北したことでしたら本戦で………」


監督「俺は決勝で……」


監督「音の木坂を潰せと言ったはずだ」


ツバサ「……」


監督「それができないなら手足をもがれてでも勝てと……」


ツバサ「……はい」


監督「よくわからん助っ人も入れて結局負けるとはな……」


ツバサ「………」イラァ


監督「………」フゥ……


監督「………お前たちはもういい」


一同「……!!」


ツバサ「………用済みということですか」


監督「その通りだ」



MF2「~~~!!」


MF2「ふざけんな!!」ガンッ!


DF2「……やめーや」スッ


MF2「なんで止め……!」


DF2 ……


MF2「……っ…」


あんじゅ「今のメンバーより強い子達なんているの?」クルクル


エレナ「……考えられないな」


監督「……それはこちらで判断する」


MF1「いないのでしょう?」


MF3「いるわけないっすよね」


MF3「今から新しい子を入部させようとしても規定で出場はできないっす」


MF3「残りのメンバーでは音の木坂には勝てない」


MF3「手詰まりっすよ、監督」


DF1「自分のいうこと聞く駒が反抗的になったらやめさせるとか……」


DF1「バ~~~ッカじゃないの?」


GK「……!!……!~~!」


あんじゅ(隣からものすごくか細い声が聞こえる……)


監督「貴様ら……」ガタッ


ツカツカツカ


スッ


ツバサ「………」


監督「……誰に向かってそんな口を聞いている?」


ツバサ「あなたですよ、監督」


監督「……いいだろう、貴様ら全員……」


「はーい、ちょっとそこまで」











一同「……!?」バッ


「ここからは私が仕切らせてもらうよ」


ツバサ(いつの間に部屋に……)


あんじゅ(ドア……開かなかったんだけど……)


エレナ(……気配すらしなかった……)


(まるで……)














(突然現れたようだ………)


GKDF1「……」フルッ……


あんじゅMF2「……」スッ マエニタツ


GKDF1「……!」ギュッ スソツカミ


監督「貴様……誰の部屋に無断で入っていると思っているんだ?」


「え?えーっと……」


「私?」


監督「俺の部屋だ!!」


「?だってここ、UTX高校サッカー部の監督の部屋でしょ?」


監督「だから俺の……」


「私が監督になったから」


監督「………は?」


「みんなにも自己紹介しないとね」


コホン



「今日から監督になることになりました!よろしくね!」


一同「………」


「あれ……何か間違った?」


監督「間違いだらけだ!!」


監督「なん……なんだ?」


DF1「ぷぷ、監督テンパってる……」


MF2「やめとけバカ」


「ちゃんと理事長から許可ももらってるよ」ピラッ


監督「なっ……!」


「自分がうまくチームをまとめられないからってこの子たちに当たるのはちょっとお門違いなんじゃないかなぁ」


「このチームはまだまだ強くなる、あなたがいなければね」


「さっさと出て行きなって」


監督「………!!」ダッ


ガンッ


監督「っぐ……!」ヨロッ


ウィーーン


タッタッタッ………











「………さて、何か質問はある?」


ツバサ「なにから聞けばいいかわかりませんが……」


ツバサ「私はまだあなたを信用したわけじゃありません」


「……それでもいいよ」


エレナ「私たちはこのまま試合に出て良いんだな?」


「うん!決勝で音の木坂と戦ってもらわないと!」


あんじゅ「随分具体的ですね?」クルクル


「それが私の目的だからね」


DF1「はいはーい!名前教えてください!」


「じゃあ……おねーさんって呼んでね!」


MF1「……お名前は」


「おねーさんで」


DF2「やから名前……」


「おねーさんだよ」


MF3「必死っすね……」


お姉さん「高校生の君たちが眩しいんだよぉ……お姉さんでいさせてよ……」


MF3「なんか悲しい話になってきたっすね」


お姉さん「ま、まあそれは良いとして……」コホン


お姉さん「君たちに特別メニューを授けるよ」


一同「?」



お姉さん「一回戦勝ったらね」


ズコー!


DF1「今でいいじゃん!」


MF1「もったいぶりますね……」


お姉さん「さ、みんな!今日は帰った帰った!」


マーオオゴトニナラナクテヨカッタナー


ジュウブンナッテルトオモウケド


…….ソレモソウデスネ


お姉さん「あなたは帰らなくていいの?」


ツバサ「いえ……」テクテク


ピタッ


ツバサ「勘違いでしたらすみませんが……」


ツバサ「……どこかで会いましたか?」


お姉さん「……いや?」


ツバサ「……そうですか」テクテク


ウィーーン


ツバサ「……今日はありがとうございました」ペコリ


ウィーーン


お姉さん「………」ッ…ハァーーー……


お姉さん「ツバサさん勘鋭すぎでしょ……」フゥ……


お姉さん(私ですら怪しまれるなんて……)












戦国伊賀島vs音の木坂、試合会場


ワァァァァァァァァァァ!!!!


角間「………」


角間「後半もいよいよ大詰めを迎えておりますが…………」


角間「これは一体どういうことでしょうかぁ!!」


にこ「想像以上……ね」ハァ…ハァ…


海未「これほどとは……」ハァ…ハァ…


0-3












花陽「はぁ……はぁ……」ハァ…ハァ…


霧隠「…………」











霧隠「………」ギリッ


戦国伊賀島0-3音の木坂


角間「残り時間わずか、ここまで危なげなく進めているぞ音の木坂ぁ!!」












初鳥「霧隠!」ドッ


霧隠「ああ…!!」トッ


花陽 ザッ


霧隠「……!」ビクッ


霧隠(またこいつ……)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


花陽【ディフェンス方程式!】


シュバッ!


霧隠「……くそ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


霧隠「ッ……邪魔なんだよ!!」バッ


霧隠「伊賀島流忍法……」













霧隠【ざんぞう!】ブゥン


花陽「……はぁ、はぁ」ダッ!


霧隠「っ……!よしっ!」タッタッタッ


霧隠「うぶっ……!?」


ググググ……!ブワァ!


霧隠「ぐっ……!」ドサッ


テンテンテン……


雪穂【ハンターズネット】トッ


角間「またもや止めたぁぁ!!未だ一度もディフェンスラインを突破されていない音の木坂!!一体何が起こっているんだぁ!?」


海未「やはり今……」


にこ「ええ、花陽が意図的に相手を抜かしてコースを限定させていた」


希「そこにあらかじめ罠を張った……と」


海未「花陽がいるだけでここまで守備のレベルが上がるんですね……」


ことり「かよちゃんすごい!」


雪穂「希さん!」ドッ


希「ほいほ~い!」トッ


石川「せめて追加点は……!」バッ


希「ふふ……」ニコニコ


石川「ッ……!……笑うな!!」











石川【しこふみ!!】ドォッ!!


グラグラグラ!!


希「……もっと強いの知ってるからなぁ……」グラグラ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


DF2【スーパーしこふみ!】


ドゴォォォォォォォ!!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










希「ごめんね」ダッ


石川「くそ……!!」


希「えりち!」


絵里「ええ!」タッタッタッ


高坂「いかせるか!!」バッ















高坂【かげぬい!!】


絵里「きゃぁ!」ドサッ


テンテンテン……


高坂「初鳥!」ドッ


初鳥「霧隠!」ドッ


霧隠「……ああ!!」トッ


角間「おおっと!!先ほどとは反対のサイドから展開するつもりだ!!」


亜里沙「はぁ!」バッ


霧隠「ふん……!」クルッ


亜里沙(甘い…!)ジャリッ


霧隠「っ……ちっ…!」ピタッ


霧隠(うざったい)ジロッ


花陽「………!」ハッ



花陽(あの目……さっきまでと違う……危険な感じ……)


霧隠 スゥー……


花陽(あの動作……事故に見せかけての肘打ち……?)


亜里沙(いける!)バッ


花陽(亜里沙ちゃんは気づいてない…)


花陽「どうしよう……!」キョロキョロ


凛「………にゃ?」キョトン


花陽(ッ……もうやるしかない!)











花陽「凛ちゃん!」


凛「な、なに!?」


花陽「花陽を亜里沙ちゃんのところまで飛ばして!」


凛「え……?い、今?」


花陽「今!」


凛「で、でも……!」アタフタ


花陽「いくよ凛ちゃん!」バッ


凛「~~!よく分からないけど分かったにゃ!」バッ


花陽「ほっ!」バッ


ググググ!!!



花陽(あ、待って、めちゃめちゃ怖い)


花陽「り、凛ちゃん、そんなに全力じゃなくても……」


凛【かよちんロケットォォォ!!!!】グンッ!


花陽「ダ……」











花陽「ダレカタスケテー!!!」ピューン!









霧隠(このまま自然に……)グワッ!


「ダレカタスケテー!」


霧隠「……ん?」


花陽「亜里沙ちゃぁん!!」ガバッ


亜里沙「うわぁぁ!!」ガシッ


ゴロゴロゴロ!!


霧隠「っ……!」ブンッ


亜里沙「……!」ゴロゴロ!


亜里沙(今の動き……)


霧隠「……!」ハッ


霧隠「俺……今……」


霧隠(何しようとしたんだ……?)チラッ


亜里沙「………」


霧隠「ッ……」ダッ


角間「霧隠がついにディフェンスを突破したぁ!!」











霧隠【つちだるま!】ドキュッ




ゴロゴロゴロ!!バキィン!!


ゴォォォォォオ!!!!








穂乃果 バッ


ゴォォォォォオ!!!!


穂乃果【マジン・ザ・ハンド!】


ギュルルルルル!!!!


ドシュルルルルル……!!










穂乃果「………?」


ピッピッピーーーーーーーーーー



角間「ここで試合終了!!勝ったのは音の木坂だぁ!!!」


ありがとうございましたぁ!!











穂乃果「………」グーパーグーパー


ヒデコ「一回戦突破おめでとー!」


穂乃果「…!う、うん!やったよ!」


絵里「疲れは残ってたけど思ってたより動けたわね」


凛「それよりなんでかよちんは亜里沙ちゃんに突っ込んで行ったの?」


ことり「すごく飛んでたね」


花陽「それは……その…」


亜里沙「……?」


亜里沙(どうして言わないんだろう……)


海未「……まあ良いではありませんか、だれも怪我がなくて良かったです……ね?」パチッ


花陽「……!う、うん!」










「……その……」


花陽「あなた……!」


凛「………どうして大きなたんこぶ二つもつけてるの?」


風魔「こいつがラフプレーしようとしてたからな」


初鳥「ほら、ちゃんと謝れ」グイッ


霧隠「……すまなかっ……」


ゴチンッ!!


霧隠「ッ…!!ほ、本当にすみませんでしたぁ!!」土下座 ポロポロ


花陽「なんであんなことしたんですか?」


霧隠「つい……かっとなって……」


霧隠「止めてくれて助かった、ありがとう」ペコリ


にこ「そーよ、花陽に感謝しなさい」


絵里「大事にならなくて良かったわ」


海未「またサッカーしましょう」


花陽「みんな……気づいてたの?」


真姫「もちろん」クルクル


ことり穂乃果凛(気づかなかった……)


霧隠「次の試合……俺たちの分も頼んだ」


風魔「勝ってくれよ」


初鳥「よろしくたのむ」


ザッザッザッザッ











雪穂「ぅ~~……!!」ググーッ……


穂乃果「疲れた?雪穂」


雪穂「おねーちゃんはほとんど動いてないから疲れてないのか……」ジトー


穂乃果「今日はみんながすごかったからね!」ドヤッ


雪穂「頼むよ?おねーちゃんは最後の砦なんだから」


穂乃果「うん!まかせて!」ドンッ


雪穂「はぁ……帰ったらすぐ寝れそう……」


穂乃果「みんなー!雷雷軒いく?」


「…………」


穂乃果「あれ?どうしたの?」


絵里「穂乃果……私たちね…」


花陽「もう……限界です……」


雪穂「みんな疲れてるんだよ……」


監督「………今日は解散だな」


穂乃果「そっかぁ……じゃあみんなの荷物持つよ!頑張ってくれたお礼に!」


海未「それじゃあお言葉に甘えて………」ドサッ


絵里「ええ……」ドサッ


にこ「落とすんじゃないわよ」ドサッ


ドサッドサッドサッドサッドサッドサッ


穂乃果「お、多くない?」


ヒフミ「私たちもー!」ドサッドサッドサッ


穂乃果「むしろ手伝って欲しいんだけど!!」ゴーン














夕方鉄塔


穂乃果「ふーっ……重たかったなぁ」ザッ


穂乃果「みんな本当に持たせるんだもん……」ムゥ……


穂乃果「流石にヒデコ達は手伝ってくれたけど」フゥ…


穂乃果「………さて、やりますか」


グッ


ブンッ!


フワァ


………ゴォォォォォオ!!!


穂乃果「……っ!」グッ


ズザザザザザ!!!!!


穂乃果「………」ピタッ


穂乃果(……いや、考えたくないけど違和感がずっと頭から拭えない……)


穂乃果(認めたくない、そう思いたくないけど……)


穂乃果「………まさか」



















穂乃果「穂乃果そんなに強くなれてない?」

[3、心残り?]






凛希「はぁぁぁ!!!」バッ


凛希【たつまきおとし!】


ドゴォォォォォォォ!!!!!


ドシュルルルルル………!!!











真姫「次はこっちよ!」グッ


凛「うん!」グッ


ダンッ! ダンッ!


グルグルグル グルグルグル


ドキュッ!!


真姫凛【ファイアトルネードDD!】


ドゴォォォォォォォ!!


ドシュルルルルル………!!









凛「………はぁ~……」ドサッ


真姫「ちょっと凛、砂だらけになるわよ?」


海未「3人ともいい感じですね」


希「そうやろうそうやろう」ドヤッ


海未「すごくいい顔ですね、拳をめり込ませたくなります」


希「ひど……!?」ゴーン


希「あ、真姫ちゃんウチのベットボトルとって~」


真姫「えーっと……これ?」


希「ありがとう~」キュッキュッ


希「~~♪」ゴクッ


凛「そういえば海………」


希「ーーー!!」ブフゥーー!!!


真姫「な、なにしてるのよ希!!」


凛「にゃぁぁ………」びっしょり


希「うぇぇ……なんでキャラメルの味するん?」ウルウル


真姫「はぁ?自分のペットボトルなんだから自分が買ったんじゃ……」


凛「………」ポタポタ


海未「………凛」



凛「い、いや…!凛のせいじゃないよ!?」キョロキョロ


真姫「……目泳ぎすぎよ」


海未「りぃ~~ん~~??」ゴゴゴゴ!


凛「はぃぃ!!すみませんでしたぁ!!」


希「一体どうやって……ってあれ?」


希「これウチのペットボトルじゃないやん」


真姫「希はいつもそれ飲んでなかった?」


希「ラベルは似てるんやけど少し違うかなぁ……」


凛「ま、間違って飲んだら面白いな~って思って……ね?」あはは……


希「わざわざ買ってきたんやねぇ……」ユラァ…


凛「の、希ちゃん!笑顔だよほら!にっこにっこにー!」


希「………」


凛「………」


希「にっしっしっしっし!」ニンマリ


凛「おぉぅ……」


海未「あれほど邪にまみれた笑顔は初めて見ました」


真姫「休憩行ってるわね」スタスタ


海未「私も行きます」スタスタ











希「……んぉ」ピタッ


凛「?」


希「………まず顔洗ってきて」


凛「?……そっか!」


凛「今凛はキャラメルまみれだから…」


凛「ほっほ~ん!」ピーン!


凛「ふふふ」ジリジリ


希「り、凛ちゃん?」タジッ……


凛「ふっふっふっ」


希「…………」ダラダラ


凛「ワシワシMAXだにゃー!!」ガバッ


希「いやぁぁぁぁ!!!!」ダダダダッ!!












にこ「あいつらなにしてんの?」


花陽「さ、さぁ…」


穂乃果「おでん缶うまし」モグモグ


絵里「もはや持参する域にまで達してしまったのね」


ことり「キンキンに冷えてるんだって」


真姫「それ言いたいだけでしょ?」クルクル


穂乃果「キンキンに冷えてやがる!!」


海未「わかりましたから黙っててください」











凛「ぅ~……まだベタベタが取れないにゃ~…」バシャバシャ


希「服は着替えるとして髪はな~」バシャバシャ


凛「希ちゃんのせいだにゃ」


希「ワシワシ?」


凛「聞き間違えがヒドイ」


凛「んっ……!」ブルブル!


希「冷たっ!」


凛「よし!これで大丈夫にゃ!」


希「じゃあウチらも休憩しに……」


「あ、もしかして星空さん?」


凛「ん?」クルッ


「あー!やっぱり!今ちょっといい?」


凛「ぁ………」チラッ


希「?」


「お、希ちゃんもいる!」


希「やほ~」フリフリ


「いいかな?」


凛「は、はい、少しだけなら……」


「よかったー!こっちきて!こっち!」


希「えーっと??」


凛「さ、先みんなのとこ行ってて!」タッタッタッ


希「ちょ、凛ちゃん!?」


凛「すぐ戻るから!」タッタッタッ


「ちょっと後輩借りてくね!」


希「……も~……」











陸上部グラウンド


「みんなー!連れてきたよ!」


部員A「あー、その子がこの前言ってた凛ちゃんですか?部長」


部長「そう!」ドヤッ


部員B「なんでドヤ顔なんですかー……?」


凛「えっと……部長?どうして凛……」


部長「ちょっとだけウチの部員のために力を貸してくれないかな」


凛「??」











絵里「ちょっとー、休憩は10分よ?」


穂乃果「これだけポカポカ陽気だと……眠くなっちゃうね~」スヤスヤ


花陽「寝てる!?」


ことり「おきてー…!」ツンツン


にこ「あれ、凛は?」


海未「まだきていないのですか?」


真姫「どこ行ったのよまったく…」はぁ……


希「……ウチが呼んでくる!」タッタッタッ


絵里「あ、ちょ……希!」


絵里「行っちゃった……」


海未「先ほどのことで喧嘩でもしたんでしょうか」


真姫「もしそうだとしたら世界一どうでもいい喧嘩の理由ランキング1位ね」


海未「では2位は……」



海未「この間、にこが真姫の肩をトントンして真姫が振り返ったところをほっぺをプニっとされてしまったことで数日間にことほとんど口をきなかったあれですかね」


真姫「あれはにこちゃんが悪いのよ」


にこ「あの後膝げりからのバックドロップ食らわしといてよく言うわ」


真姫「………知らない」プイッ


にこ「……ちょっと真姫」ポン


真姫「なに……」クルッ


プニッ


にこ「……」


真姫「……」


にこ「……」…フッ


真姫「せいっ!!」ドゴォ!!


にこ「おぐっ……!?」ゴフッ…!


真姫「はぁぁぁ!!!」グワッ!


にこ「いやぁぁぁ!!」ブワァ……!


ボゴォォ……!!


真姫「……ふぅ」パンパン


にこ「に……ごぉ……」ピクピク


海未「今人体からしてはいけない音が鳴ったのですが……」ホゴォッテナリマシタヨ


真姫「さあね」


凛ママ「よーし、休憩終わり!行くぞー!」


「おー!!」


にこ「……ぉ……おぉぉ……」ガクガク














希「えーっと……確か凛ちゃんはこっちの方に……」


ザワザワ


希「?……何か騒がしい?」


「ねえあの子すごく速いね」


「陸上部にあんな子いたっけ?」


「可愛いしねぇ~!」


「わかる~!」


希「………まさか」タッタッタッ















凛「ッ…ゴー……ル……!」ダダッ!


部長「ぬわー!負けた!」タッタッタッ


部員A.B「おおー……やっばマジ速い」ダダダッ


凛「はぁ……はぁ……」


部長「すごいね……記録だけなら全国トップレベルだよ」


凛「そ、そうですか?」はぁ……はぁ…


部員A「もったいないねー」


部員B「サッカー部次二回戦だっけ?」


凛「はい!みんなで頑張ってます!」


部長「陸上部来てくれると思ってたのにな~」チラッ


凛「ご、ごめんなさい!」


部員A「ちょっと、それはダメですよ」


部長「わかってるよー」ムゥ…!


部長「でもサッカーが嫌になったらいつでも……」


「ウチの部員引き抜こうとするのやめてや~」ザッザッ



凛「希ちゃん!」


部長「やだなぁ~、冗談だよ、冗談!」


希「ほんまに~?」ジトー…


部長「ほんとだよ!この目に誓って!」キラキラ


希「……」


希「……」チラッ


部員AB「……」キラキラ


希「……はぁー、まあいいや、行こっか」スタスタ


凛「う、うん!」タッタッ


部長「私たちはいつでも待ってるからねー!」


部員AB「いつでも大歓迎」グッ


希「やっぱり本気やん!!」











希「凛ちゃんモテモテやったね~」スタスタ


凛「部活の体験入部の時に少し話すようになって……」スタスタ


凛「あんな風に走ったのははじめてだったけど」


希「……後悔してる?」


凛「そ、そんなこと……!」


希「……そっか」


凛「………」


凛「……ごめんね、練習抜けだしちゃって」


希「……いや、うん……」


希「……」


凛「……」


希「…凛ちゃん」


凛「なに?のぞ……わぷっ!」ギュウ!


希「凛ちゃんはウチの大事な後輩やからね」ギュウッ…!


希「凛ちゃんがいなくなると寂しいんよ」ギュゥッ……


凛「希ちゃん……」


希「ワシワシもできなくなるし」


凛「台無しだにゃ!!」ゴーン


希「さ、戻ろっか!みんなも待ってるし」


凛「うん!」


希「よーし、みんなの所まで競争!負けたらジュース奢り!」ダッ!


凛「いきなりはずるいにゃー!」ダッ!


希「にっししし!」タッタッタッ












凛「……」タッタッタッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


希「凛ちゃんはウチの大事な後輩やからね」ギュウッ…!


希「凛ちゃんがいなくなると寂しいんよ」ギュゥッ……


凛「希ちゃん……」チラッ


凛「!」


希「………」シュン……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


凛「………ふふ」ニヘラァ ダッ!


希「勝負する相手間違えた……!!」ゴーン










希「凛ちゃん連れてきた~!」タッタッタッ


凛「遅れてごめんなさい!!」はぁ…はぁ…


絵里「もう、どこ行ってたの?」


海未「少し休憩したら入ってください」


凛「うん!……?」ジー……


にこ「……なによ」


凛「どーしてそんなにボロボロなのかにゃ?」


にこ「そんなのあそこの赤巻き髪に聞きなさいよ」クイッ


真姫「だ、誰が赤巻き髪よ!!」


凛「?」


海未「気にしないでください、2位の喧嘩です」


凛「??」


花陽ママ「やっと来たわね~凛ちゃん」


凛「かよちんママ!」


花陽ママ「ちょっとあっちに来てほしいのよ~」ウフフ


凛「なんだろう?」


花陽ママ「それは後のお楽しみ~」


花陽ママ「あ、にこちゃんもね」


にこ「わ、私もですか?」


真姫「にこちゃん何したの?」


にこ「なんでにこが呼ばれたら悪いことしたみたいにいうのよ!」



海未「私も行きますね」スッ


花陽ママ「そうしてくれると助かるわ」


真姫「海未まで加わるなんて……」


にこ「にこやっぱり何かしてたのかも……」


にこ「真姫ちゃん……」


にこ「今までありがとう……!!」およよ…!


真姫「にこちゃん、あなたのことは忘れないわ……!」


にこ「真姫ちゃん…!」


真姫「にこちゃん……!」


にこ真姫 ガシッ


海未「もういいですか?」


にこ真姫「あ、はい」












凛「凛たち……怒られるのかなぁ……」トボトボ


にこ「今日のお昼ご飯野菜炒めだったのよ……」トボトボ


にこ「最後の晩餐にはあんまりじゃない?」


海未「あなたたちはどうしてそう悪い想像しか浮かばないのですか……?」


凛にこ「だって………ねぇ?」


海未「日頃からやましい事をしてるからそういう発想になるんですよ」


凛「やましい事なんて……ってあれ?」


凛「あれかよちんだよね?……おーい!」


花陽 クルッ


花陽「………!」パァァ!


花陽「凛ちゃぁん!」ブンブン


凛「かよちん!」タッタッタッ


花陽「も~!どこ行ってたの?」


凛「ち、ちょっとね……!」アハハ…


花陽「あ、にこちゃんも」


にこ「なんでそんな温度差あんのよ」


凛「ところでかよちんも何かしたのかにゃ?」


花陽「えぇぇ!?」



にこ「違うの?」


花陽「違うよぉ!!」


花陽「聞いてないの?」


花陽ママ「ふふ、秘密にした方が面白いかと思って」ウフフ


海未「説明をお願いします」


花陽ママ「今回はね、必殺技についてみんなに集まってもらったのよ」


凛にこ「必殺技ぁ!?」


凛「じゃあ海未ちゃんも?」


海未「私はあなたたちが遊ばないよう見張っておく係です」


にこ「なるほど、信用は微塵もないと」


凛「失礼しちゃうにゃ~」


花陽「うぅ~……そんなに悪いことしたかなぁ……」


海未「いえ、花陽は信用していますよ」ニコッ


花陽「ほんと……!?良かったぁぁ」


にこ「………」


凛「………」


海未「……」


花陽ママ「それじゃあ説明を……」


にこ凛「凛(にこ)は!?」


海未「二人は先ほど自分で言っていたではありませんか」


にこ「……面白いじゃない」


凛「完璧にやりきってぎゃふんと言わせるにゃぁ!!」


花陽ママ「それじゃあ説明するわね~」


花陽ママ(この子たちは見ていて飽きないわね~)ウフフ










説明終了



にこ凛花陽「いやいやいやいや無理無理無理無理」


海未「やると言ったではありませんか」


にこ「そ、そうだけど……」


花陽「流石にこれは……」


凛「限度があるにゃ!」


海未「次の敵の情報はこの間伝えたでしょう?」


凛「……えーっと……?」


にこ「もちろん覚えてるわよ」


にこ「圧倒的な守備力を誇る無敵のチーム」


花陽「これまでの試合では全試合無失点」


にこ「地方のチームと思って侮るなかれ」


花陽「田舎ならではのチームワークでここまで勝ち上がって来た……」


花陽にこ「千羽山高校!!」


凛「おー」パチパチ


海未「久しぶりに見ましたねそれ」


花陽ママ「その圧倒的な守備力を破ろうと無我夢中で攻撃し、守備が手薄になったところを狙う」


花陽ママ「今までどれだけのチームがそれにやられてきたか……」ヤレヤレ


海未「つまり、こちらも確固たる守備力を身につけなければなりません」


海未「FWが心置きなく責められるように」


凛「でも次の試合明日だし……」


にこ「非現実的って言うか……」


花陽「た、たしかに……」












海未「何言ってるんですか!!」


凛にこ花陽「……!!」ビクッ


海未「人間死ぬ気になればなんでもできるんです!!」


海未「チームのためなら一夜で城でも建てられるはずです!」


凛にこ花陽「ひぃぃ……」


花陽ママ「花陽ちゃんがやっと自分の役割を理解し始めたのはいいんだけど……」


花陽ママ「これからのことを考えるとこっちも圧倒的な守備力が欲しいなと思ってね~?」


花陽「圧倒的……」


海未「そのためには3人が一番相性がいいと思ったので」


凛にこ花陽「………」


にこ「………二人とも」


凛花陽「……うん」コクリ


にこ「絶対成功させて海未にぎゃふんって言わせるわよ!!」


凛「おおーー!!!!」


花陽「おおー……ぎゃふん!?」


海未「ふふ、楽しみです」



にこ「見てなさい!」


海未(にこはなんだかんだで決して手は抜かず、リーダーシップも十分……)


凛「でも明日の試合に響きそうだにゃ~……」


にこ「まったく、だらしないわね~」


凛「にこちゃん最近疲れたまりやすくなってるんじゃない?」


にこ「そうそう、一回寝たぐらいじゃ疲れが……って、誰がおばあちゃんよ!!」


花陽「ふふふ」


海未(凛は文句を言ったりはしますが練習では誰よりも真面目でムードメーカー的存在)


花陽「練習終わりにラーメン行こっか!」


凛「行く!」


にこ「ほんと単純ねあんたは……」


海未(花陽は二人の中和的存在、そしてあの朗らかな雰囲気)


海未(日頃からの行動を見ていて……)


海未(あなたたちを疑ったことなんて一度もありませんよ)


海未「チームにこりんぱな、始動です!」


にこりんぱな「おー!」


海未(きっとこれからも)












凛「そうだ、凛ね~、ものマネ覚えたの」


にこ「へ~、どんなの?」


凛「いくよ?」スッ


花陽「ワクワク」


海未(また凛はおかしなことを……)フフ











凛「破廉恥です!!」キリッ


海未(………)


にこ「あっはははははは!!!!」ゲラゲラ


花陽「ブフゥ!!」


花陽「ふっ……ふふ……んぶっ!!」プルプル


海未(前言撤回です)


海未「凛ーー!!!!」クワッ!


凛「ごめんにゃーーー!!!」ヒィィ!











一人で練習抜けて部室


ガラッ!


穂乃果「えーっとタオルタオル……」ガサゴソ


穂乃果「……あった!」


ブブブブブ


穂乃果「ん?メール?」


穂乃果「誰からだろ……」トトッ


穂乃果「知らないアドレスから……?」トッ










メンバーには言わぬこと










穂乃果「……メンバーに……?」


穂乃果「動画がついてる、再生……と」ピッ


穂乃果「…………」













穂乃果「ーーーー!!」











グラウンド


海未「おや?穂乃果はどこへ行ったのですか?」


絵里「用事があるって先に帰っちゃったわよ?」


ことり「すごく慌ててたけど……どうしたのかな?」


海未「大方、ご自宅のお手伝いを忘れていたとかでしょう」ヤレヤレ


海未「さぁ!練習ですよ!」


みんな「おー!」














練習終わり帰宅後


凛宅


凛「だだいまー!」ガチャッ


凛「なんとか形になってよかったにゃ~」


凛「お風呂はいっちゃおーっと!」スタスタ


ピキッ……!


凛「痛っ……!?」グラッ ガシッ


凛「あ、危なかったぁぁ……」


凛「今日ちょっとハードだったからかにゃ?」


凛ママ「おーい!ご飯できてるぞー!」


凛「あぁ!!お風呂行こうと思ってたのに!」














穂乃果宅


雪穂「あれ?おねーちゃんまだ帰ってないの?」


穂乃果ママ「そういえば遅いわねぇ、もう練習終わってるはずなんだけど……」


雪穂「どうせ買い食いでもしてるんでしょ」


雪穂「そのうち帰ってくるよ」


穂乃果ママ「それもそうね」


穂乃果ママ「手洗ってきなさい、先にご飯食べちゃいましょ」


雪穂「はーい!」















鉄塔広場


ゴォォォォ!!!


ドゴォッ!!


ズザザザザザ!!!


「………」


「もう……いっかい……」


ブンッ!


フワッ


ゴォォォ!!


ドゴォッ!!


「うわぁぁぁぁ!!!」ゴロッゴロゴロ……!!


「うぐっ……!」ドサッ


ブラン……ブラン…


「……ゼッ……ゼッ……」ハァ…ハァ


「も………いっ……」ググッ


ドサッ


グゥゥゥ~……


「……お腹……空いたなぁ」













ゴロン


「……ハァ……ハァ……」


「………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「動画がついてる、再生……と」ピッ


穂乃果「…………」










ケータイ『UTX高校第2回戦、試合開始です!』


穂乃果(これ……!UTXの試合映像?)


穂乃果(誰が送ってくれたのかわからないけど感謝しなきゃ!)


ケータイ『FWの綺羅がボールを受け取った!!』


穂乃果(うわぁ…やっぱり迫力あるなぁ……)


穂乃果(ここからどう組み立てて……)














ダッ!クルッ トトッ ズザザッ!!


ドシュルルルルル!!!


穂乃果「………へ?」


ケータイ『……ゴ、ゴーーール!!』


ケータイ『目にも留まらぬ電光石火!!開始数分で先制点を決めてしまいましたぁ!!』


穂乃果「……うそ」


ケータイ『さぁ仕切り直して行きたいところです』


ケータイ『ピーーーーーーー!』


シュバッ ドゴォ!! ズザッ ドシュルルルルル!!


ドォォ!! ズズッ! ドゴォォ!! クルッ


ドシュルル!!!!


ズザッ ドシュルルルルル!!


ドシュルルルルル!!!


ドシュルルルルル!!!


穂乃果「ーーーーー」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「………っ」グッ


穂乃果(……キーパーの穂乃果がしっかりしないと)










[4、無敵の要塞]


千羽山高校 ベンチ


海未「もうそろそろですね」


花陽「うぅ…緊張してきました……」


ことり「ガッチガチだね……」


花陽「だってぇ…」


希「この試合も期待してるよ、花陽ちゃん!」ポンッ


花陽「ピャァァ!!」ビクゥッ!!


花陽 ガクッ


絵里「とどめさしてどうするのよ」


にこ「大丈夫よ、昨日の特訓の成果見せてやるんだから!」


にこ「ね、花陽、凛!」


花陽「そ、そうだね!」


凛「やるにゃー!」


海未「ふふ、楽しみにしていますよ」


にこ「見てなさい!ぎゃふんって言わせてやるんだから!」


海未(メンバーのやる気は十分………でも)


海未(一人、明らかに静かなんですよね……)



穂乃果「………」スゥ……ハァ……


海未(緊張しているのでしょうか……穂乃果が?)


海未(いえありえませんね、幼い頃から緊張とは無縁でしたから…)


海未(では一体……?)














穂乃果(………昨日の映像はショックだったけど……お陰でスッキリした)


穂乃果(このチームで一番出遅れてるのは穂乃果……)


穂乃果(決勝は多分UTXが来る……)


穂乃果(それまでにもっとレベルを上げないといけない……のに)


穂乃果(ヒントすらつかめてない……)


穂乃果(あるのは……)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果ママ「足りない最後の1ピース……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果(わかるかぁぁぁ!!!)ガシガシ


穂乃果(とりあえず、この試合は絶対失点しないようにしないと)


穂乃果(穂乃果一人で)パンパン!












海未「……穂乃果?」


穂乃果「なに?海未ちゃん」


海未「いえ、考え事をしていたようなので………もう直ぐ始まりますよ、お手洗いは行かなくて大丈夫ですか?」


穂乃果「うん、大丈夫!」ニパッ


凛「あ、凛ちょっと……」スタスタ


海未「直ぐですよ!凛!」


凛「わかってるにゃー!」タッタッタッ


花陽「……?凛ちゃん」


凛「にゃ?」クルッ


花陽「ぁ………えと……」


花陽「……大丈夫?」


凛「……」


凛「……うん」


海未「……?」













角間「やってまいりましたフットボールフロンティア本選第二回戦!!」


角間「音の木坂vs千羽山、優れた攻撃翌力を誇る音の木坂は鉄壁ディフェンスを破ることができるのでしょうか!!」











FW

絵里、真姫


MF

海未、にこ、希、ことり


DF

亜里沙、雪穂、凛、花陽


GK

穂乃果











ピーーーーーーー


ドッ


角間「今、キックオフです!!」







真姫(鉄壁守備……お手並み拝見ね)


真姫「ことり!」ドッ


ことり「ほっ!」トッ


炭野「いかせないっぺ!」


ことり「ふっふっふ、前の試合ではいいところなかったから」グッ


ことり「少しは活躍させてね!」ダッ!


炭野「ぬわぁ!?」


角間「抜いたぁ!!力強いドリブルだぁ!!」


ことり「絵里ちゃん!」ドッ


絵里「ええ!」トッ


角間「開始数分、早くもゴールに迫る!!」














タッタッタッ


真姫「絵里!」


絵里「まかせて!」


絵里(小細工なんていらない!)バッ!














絵里「吹き荒れろ………」パキパキパキ








絵里【エターナルブリザード!】


ドゴォォォォォォォ!!









真姫「はぁ!」ダンッ!


グルグルグル


角間「西木野が入って来ている!キュートチェインだぁ!!」


穂乃果「いっけー真姫ちゃん!」


ドキュッ!!!


真姫【ファイアトルネード!】


ゴォォォォォオ!!!!












綾野「………」


綾野「いくずらぁ!!」


牧谷塩谷 ザッ











綾野牧谷塩谷【無限の壁!】


ドシュルルルルル!!!!


テンテンテン……












ワァァァァァァァァァァ!!!


角間「止めたぁ!!これぞ【無限の壁】、最強の鉄壁ディフェンスだぁ!」


真姫「あれが……」スタッ


絵里「無敵のディフェンス…….」


にこ「面白いじゃない」


綾野「牛の糞ズラ」ホジホジ


絵里真姫「……」ピキッ


ことり「二人とも怖い顔してるよぉ~……」


希「えりちどーどー」











綾野「ずら!」ドッ


原野 バッ


海未「どきなさい!」シュバッ


原野「なっ……!」


海未「次は私です」ジャリッ











海未「………」フッ


トンッ











ズバァッ!!


海未【菊一文字!!】


ゴォォォォォオ!!!!











綾野【無限の壁!】


シュルルルルルル………!!!


テンテンテン……


海未「っく……!」


綾野「羊の鼻くそズラ」


穂乃果「次行けるよ!海未ちゃん!」


海未「もちろんです!」


綾野 ドッ!


山根「ほっ」トッ


真姫「させない!」ザッ


山根 ドッ


育井 ドッ


炭野トッ


角間「千羽山素早いパス回しです!」


にこ「掛け声なしで……」


希「なんて息のあったチームワーク…!」


炭野「今度はおいがだの番だ!」












炭野「いくっぺ!」ドッ


育井「ああ!」トッ


海未「通しません」ザッ


育井「都会っ子には負けねえっぺ!」バッ











育井【モ[ン]グラフェイント!】ボグッ


海未「っな……!?」


ボコボコボコ


ポンッ!


育井「やっぱりたいしたごどねぇな!」トッ


海未「っこの…!」











育井「原野!」ドッ


原野「んだ!」トッ


花陽「行かせません!」ザッ


原野「はぁぁ!!」


トッ ダダダダダダダッ!!!












原野【ラン・ボール・ラン!】


ダダダダッ!!!


花陽(この勢い……私じゃ止めれない……!!)ススッ


穂乃果(……ポジショニングをずらした?)


花陽「うわぁ!」ドサッ


原野「オラのとこの牛より遅いっぺ!!」


角間「立て続けに千羽山の必殺技が炸裂!!音の木坂止めれない!」












穂乃果「くるっ……!」


穂乃果(絶対に点は入れさせない…!!)グッ


原野「よし…このまま……!?」











ドッ…!!


ビキビキビキ


カキーン!


亜里沙【アイスグランド】


シャー……!


亜里沙「ハラショー!」トッ


原野「……なかなかやるっぺ」


花陽「ふふ……」ンベッ


海未(やはり安定感が違いますね)フフ


角間「止めたぁぁ!!音の木坂の危機を助っ人絢瀬が凌ぎましたぁ!!」


穂乃果「ありがとー!花陽ちゃん、亜里沙ちゃん!」


雪穂「いい感じだよ!」


亜里沙「えへへ」


亜里沙「凛さん!」ドッ


凛「うん!」トッ


凛「っ……」ポロッ


希「凛ちゃん!」


凛「だ、大丈夫!」トッ


凛「にこちゃん!」ドッ


にこ「ええ!」トッ


山根「…….」ザッ


にこ「ちょっとあんた、レディに道を開けなさいよ」


芹沢山根育井 ザッ


にこ「ちょ、ちょっと……」













「かごめ、かごめ、かーごめかごめ」グルグル


角間「こ、これは……千羽山の必殺技、【かごめかごめ】だぁ!!」


にこ(これ…….まずい…)


「かーごめかごめ」グルグル


にこ「のぞ……」


「「「たぁーーー!!!」」」バッ


ドゴォォォォォォォ!!


にこ「きゃぁぁぁ!!!」


ズザザザザザ!!


山根 トッ











角間「矢澤からボールを奪ったぁ!!」


雪穂「そんな…….!」


亜里沙「にこさんがあんなに簡単に……」


海未「!」


海未「みなさん!すぐに立て直して……」


原田「オラのとこのリクガメより遅いっぺ!」


田主丸「いくっぺ!」トッ


花陽「しまった……!」


田主丸「はぁぁぁ!」コォォォ!












田主丸【シャインドライブ!】


パァァァァァァ!!!!


穂乃果「っく…!」


穂乃果(眩しすぎて……目が開けれない…!!)


凛「カバーに……!」グッ


凛「っ……」












穂乃果(見えない……)メツムリ


穂乃果「でも!!」グッ


ゴォォォォォオ!!!


穂乃果「絶対……決めさせない!!」バッ!


にこ「目を閉じたまま……!」














穂乃果【マジン・ザ・ハンド!】


ゴォォォォォオ!!!


ことり「お願い……!!」


海未「当たってください!」


穂乃果「はぁぁぁ!!」


ーーーー!!












ドシュルルルルル………!


テンテンテン……


穂乃果「………」











角間「きまったぁ!!先取点は千羽山だぁ!!」












穂乃果「………ッ……」ギリッ


ガンッ!


亜里沙「……!」ビクッ


穂乃果(いれられるような威力じゃなかった……)


穂乃果(点を取られないようにって決めたばっかりなのに……)


穂乃果(なんで……穂乃果は……)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


海未「はぁぁぁ!!」ガッ


角間「止めたぁ!園田も先ほどの優木のように戻っていましたぁ!!」







雪穂「試合の時ぐらいかっこいいところ見せてよ」ガシッ


ゴォォォォォ!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



穂乃果「一人じゃまともに止められない……」ギュッ


雪穂「お姉ちゃん……?」


穂乃果「努力してるのに………」クシャッ……


海未「……穂乃果」


海未(こんな穂乃果、久しぶりに見ますね……)


ことり「や、やれることはできてたと思うよ?」


花陽「そうだよ!あれは仕方が……」


穂乃果「仕方がないじゃ意味ないんだよ……」ジロッ



花陽「ヒッ……!」ビクッ


凛「ちょっと穂乃果ちゃん……!」ガシッ


穂乃果「……っ!うるさい!」バッ


凛「ぃっ…!」グラッ


ドサッ


海未絵里「穂乃果!!」バッ


穂乃果「……!」ハッ


穂乃果「ご、ごめん凛ちゃん……」スッ


凛「やっ……うん」ニコッ


グイッ


凛「よっと……」



にこ「なに急に熱くなってるのかは知らないけど、一回頭冷やしなさい」ピンッ!


穂乃果「あてっ……!」ビシッ


希「はい穂乃果ちゃん、吸って~」


穂乃果「へ?……すぅーーーー……!」


希「吐いて~~~」


穂乃果「はぁーーーーー……!」


希「……落ち着いた?」


穂乃果「うん……ごめん、ね?」


凛「凛はだいじょうぶにゃー!!」


にこ「あんまり大きな声を出すとバカっぽさが目立つわよ」


凛「だからにこちゃん今日は静かなの?」


にこ「ぬぁんですってぇ!?」クワッ


凛「大きな声を出さない方がいいよにこちゃん」ニヤニヤ


にこ「だあぁぁぁ!!腹立つこいつ!」


ことり「ふふ」クスッ


海未「穂乃果」


穂乃果「ん?」


海未「私でよければ悩みの一つや二つ、聞かせてもらいますよ」


穂乃果「……!」


穂乃果「うん、ありがと」ニコッ


海未「ですからこの試合は集中してください」


海未「あなたの力が必要なんですから」


穂乃果「……そうだね」


穂乃果「ごめんみんな!取り返すよ!」


「おーー!!!」


海未「……」フーッ……


穂乃果「……」















穂乃果(……そうだ)


穂乃果(私がチームのみんなを不安にさせちゃダメだ)


穂乃果(……がんばれ、リーダー)パンッ!


雪穂(……お姉ちゃん)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



穂乃果「一人じゃ満足に止めれない……」グッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雪穂(お姉ちゃんは嫌だったのかな……)


雪穂(【ホムラ・ザ・バンド】……)


雪穂「私は嬉しかったんだけどな……」ボソッ















千羽山1-0音の木坂


ピーーーーーーー


角間「1点ビハインド音の木坂!ここから巻き返しが……」


田主丸「はぁ!!」ガッ


真姫「きゃぁ!?」ドサッ


角間「千羽山奪い取ったぁ!!激しいプレーでしたが笛はなっていません!!」


にこ「ちょっと!今のファールでしょ!?」


原野「都会っ子は細かいっぺ」ヤレヤレ


にこ「っ…こいつ……!」


花陽「雪穂ちゃん!!」


雪穂「あっ……!」


角間「音の木坂高坂雪穂、反応が遅れ侵入を許してしまったぁ!!」













穂乃果(また、あれが来る……!)グッ


田主丸「はぁぁ!!」コォォォ!


田主丸【シャイン……】














花陽「させない!」ガッ!


田主丸「なに……!?」


角間「音の木坂小泉、何というファインプレー!!」


角間「シュートを放つ前にボールを取り返しましたぁ!!」


花陽「はぁ…はぁ……」


花陽(ギリギリ…)


花陽「雪穂ちゃん!」ドッ


雪穂「……!」トッ


育井 ザッ


雪穂「いける……!」グッ



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「一人じゃ満足に止めれない……!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雪穂「ぅ……」タジッ


雪穂(あ~!もうなんでお姉ちゃんが出てくるのさ!?)


育井「はぁ!」バッ


雪穂「うぐっ……!」ズザザッ!


花陽(なんで……動きが悪い…?)


雪穂「……!」ザッ ガガッ


雪穂(取ら……れるっ……!?)ザザッ


育井「甘いっぺ!」バッ


雪穂「んっ……!」ザッ!


雪穂(誰か……!)キョロッ……


凛「っ…!」


炭野 ザッ


花陽「……!」


田主丸 ザッ


亜里沙「むー……」プクー


原野「ふんっ……!」ザッ


海未「……まずいですね」


にこ「もう一点とる気満々じゃない……!」


にこ「雪穂!一度穂乃果に……」



雪穂「うわったぁ!?」グラッ


雪穂「ととっ……!」ズザザ!


角間「どうしたどうしたぁ!?パスが出せないのかぁ!?」


雪穂(本当に…….まずいっ……!!)


花陽(どうしよう……どうする……?)


「………」スゥ……















穂乃果「雪穂ーー!!」


雪穂「!?」ビクッ




花陽ことり「び、びっくりしたぁ……」


穂乃果「ごめん雪穂!」


穂乃果「雪穂の大事にとってたアイス食べちゃった!!」


雪穂「はぁ!?」バッ


ズザザッ


角間「苦戦していた高坂雪穂、少し距離をとりました!」


雪穂「なにしてくれてんの!?あれ期間限定で最期の一つだったのに!!」


穂乃果「いやーお腹空いてたから……」


雪穂「絶対許さない……!ハーゲンダッツ3個だからね!!」


穂乃果「……ふふ」


雪穂「なんで笑ってんの!?」


穂乃果「……それでいいんだよ」


雪穂「?」


穂乃果「いつも通りの雪穂なら……」


穂乃果「なんてことないでしょ?」


雪穂「!」


花陽「穂乃果ちゃん……」


にこ「あいつ………」


にこ「アイスの罪は大きいわよ……」


花陽「そこ!?」



育井「よくわかんねぇごど言っでねぇでボールよごせ!」バッ


雪穂「……」トントン


雪穂(そうだよね、お姉ちゃんはキーパーなんだもん)


雪穂(自分の力で止めたいと思うのは当たり前)


雪穂「てやぁ!」クルッ


育井「んなっ……!」ガクッ


雪穂(私とサッカーしたくないって言ってるわけじゃない!)


花陽(動きが戻った……!)


穂乃果「いいぞー!雪穂ーー!」


雪穂(ここで負けてお姉ちゃんとサッカーできなくなる方が嫌だ!)


雪穂「凛さ……」


希「ちょうだい!」


雪穂「っ……と…!」ピタッ


雪穂「希さん!」ドッ


希「よし!」トッ












「かごめ、かごめ、かーごめかごめ」


にこ「まずい……!」


角間「またしても千羽山の【かごめかごめ】だぁ!!」













希「……ふむふむ」


希(対処法はある……でもタイミングが分からん……)


「かーごめかごめ」


希(このままやられるくらいなら……)


希「一か八か!」グッ


「2コンマ5秒ストップ!!」


希「んん……!?」ピタッ


「かーごめかごめ……」


希(……1……2……)グッ


「今!」


希「……!」バッ


「「「てやぁー!!」」」バッ


ドゴォォォォォォォ!!


希「うわぁぁぁぁ!!!」ドサッ


ズザザザザザ!!


角間「捕まってしまったぁ!!ボールは千羽山へと……?」


角間「こ、これは……」













角間「ボールはどこへ……?」


山根「……え、ボールは?」


海未「!」ダッ ダッ ダッ!


海未「ナイスパスです!」トッ


ことり「いつのまに……!」


希(あのアドバイスのおかげやね……)


希(ありがとう花陽ちゃん)ブイッ!


花陽「!」ブイッ!


原野「いくら前線までパスを繋げても、ゴールは割れないっぺ!」


海未「やってみなければ分かりませんよ」


絵里「あなたならいけるわ!海未!」


海未「……」コクリ


フッ


トンッ………













ズバァッ!!


海未【菊一文字!】


ドゴォォォォォォォ!!!


角間「再び必殺シュートが千羽山ゴールを襲います!」












綾野「無駄ズラ」


牧谷塩谷 ザッ














綾野牧谷塩谷【無限の壁!】


ドシュルルルルル!!!


角間「しかぁし!!音の木坂に巨大な壁が立ちふさがります!!」


角間「これを打ち砕く方法は…….」















グルグルグル


綾野「……ずら!?」


真姫「はぁぁぁああ!!」ドキュッ!


【ファイアトルネード】


ギリギリギリ……!!


角間「なんと西木野、ゼロ距離でのシュートチェインだぁ!!」


角間「これはいけるかぁ!?」














真姫「ふふ、驚いたかしら?」ググググッ


真姫「これなら……!」ググググッ!


花陽「UTXを打ち崩したこの方法なら……!」


にこ「やっちゃいなさい!真姫!」


綾野「……!」


真姫「はぁぁ!!」ググググッ















綾野「………フンッ」


真姫「……!」


綾野「豚の糞ズラ」


バチィッ!!


ブワァッ!


真姫「きゃぁ!!」ドサッ ゴロゴロゴロ!


絵里「真姫!」ダッ


ヒュー……


テンテンテン……


綾野「っち、弾いた……」


花陽「海未ちゃんと真姫ちゃんでもダメだなんて……」


花陽「あと残ってるのは……」


花陽(……でも)チラッ


にこ「凛、準備しときなさい」


凛「はぁ……はぁ…」


にこ「……凛?」


凛「え…!?あ、う、うん!」


にこ「……何よ、ノリ悪いわね」


凛「えへへ……」


ピッ、ピーーーーーーー


角間「ここで前半終了のホイッスル!攻撃翌力が自慢の音の木坂も鉄壁守備に手も足も出ない!!」


角間「後半はどのような対抗策を講じてくるのでしょうかぁ!!」














トイレ


はぁ……はぁ……


バシャバシャッ


バシャバシャッ


フーッ……


キュッ……


ポタッ……ポタッ……


「………」ズキッ














海未「後半、凛と真姫で速攻をかけたいと思います」


絵里「頼んだわよ、二人とも」


真姫「任せなさい」クルクル


凛 ゴクゴク


凛「がんばるにゃー!」プハァ


にこ「勝てるかどうかはあんたらにかかってるんだからね」


希「緊張してるならワシワシするよ~?」ワシワシ


真姫「ヴェェエ!?背後に立たないで!」


凛「にこちゃんしてもらったら?」


にこ「嫌に決まってんでしょ!!」


穂乃果「ん、そろそろ時間だね、みんな行こー!」


「おー!!」


ゾロゾロ


ことり「あれ、凛ちゃんどうしたの?」


凛「靴紐ほどけちゃって……先行ってて!」


ことり「待ってるよ?」


凛「だ、大丈夫、すぐ行くから!」


ことり「そう?」


凛「うん!」


希「ゆっくりでいいからね」


凛「はーい!」


ゾロゾロ


パタン














シュルルッ


グイッ


スッスッ


ペタッ


クイクイッ


トントン……


「………よし」


(あとはまた靴下をあげて隠せば……)

















ガチャッ


凛「!?」ギクッ


凛「………」



















凛「かよちん……」

花陽「ウソつき」















ワァァァァァァァァァァ!!!!


角間「いよいよ後半戦が始まろうとしています!」


角間「両者位置につきました、両者一歩も譲らず、一体どのような結末を迎えるのでしょうか!」


ピーーーーーーー


角間「ホイッスルが鳴らされましたぁ!」


ドッ


にこ「行くわよ!」ドッ


凛「任せるにゃ!」トッ


原野「オラたちの勝ちは揺らがないっぺ!」ザッ


穂乃果「いけー凛ちゃん!」














凛【アクロバット……】グッ


凛「……!?」グラッ


花陽「…っ…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


花陽「ウソつき」


凛「……」


花陽「本当にいいの?みんなに言わなくて」


凛「でも……!」


花陽「足の怪我はこじらせると大変だよ?」


花陽「今はまだプレイできててもこのまま続けると悪化以外ありえない……」


花陽「凛ちゃんが言わないなら私が…」


ガシッ!


花陽「!」


凛「それは……ダメ」


花陽「でも……」


凛「凛の仕事は……まだ残ってる」


凛「みんなと決勝に行きたい」


花陽「ならこの試合は休んで……」


凛「休んで!!」


花陽「っ……!」ビクッ



凛「もし負けちゃったら……」


凛「…………」


凛「一生後悔する」


花陽「……」


凛「凛が動けるうちはフィールドに立って、みんなと戦いたい」


花陽「…凛ちゃん…」


凛「ねぇかよちん」


花陽「……なに?」


凛「わがままいっても………いい?」


花陽「……!!」


花陽(それは……ズルイよ)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー














原野(バランスを崩した?)


原野(とにかくチャンス……!)バッ!


凛「………に……」グッ


凛「にぁぁ!!」クルッ


原野「っく……!」ガクッ


角間「抜いたぁ!必殺技と見せかけて華麗なスピンで抜きました!」


花陽「凛ちゃん……」


凛「よし!」


にこ「へぇ、やるじゃない」


凛「真姫ちゃん!」ドッ


ポーン


真姫(!少し流れてる…)


育井「いただき!」トッ


凛「ご、ごめん!」


海未「謝る暇があるなら上がりなさい!」ザッ


育井「ま~たお前か、都会っ子はしつこいっぺ」バッ
















育井【モグラフェイント!】ボグッ


ボコボコボコ


海未「この技の対処法は……」


育井 タッタッタッ


ポンッ!


海未「あなたの動きについて行くことです!」パシッ…!


育井「なっ……!?」


海未「真姫!」ドッ!











真姫「行くわよ、凛!」トッ


凛「うん!」










真姫凛 グッ


ダンッ! ダンッ!


グルグルグル グルグルグル


真姫凛 バッ!














ドキュッッッ!!!!!


真姫凛【ファイアトルネードDD!!】


ゴォォォォォォォ!!!


角間「出ましたぁぁ!!予選決勝で勝ち越しを決めた【ファイアトルネードDD】!!」



角間「これを千羽山、止めることができるのかぁ!?」













ゴォォォォォオ!!!!


牧谷塩谷 ザッ


【無限の壁!】


ドギュルルルルルル!!!
















ビキビキ………


綾野「……!!」


真姫「いけ!!」


絵里「決まって!」


バリィン!!


綾野「ズラッ!?」ドサッ


ドシュルルルルル……!!!











真姫「よし…!」スタッ


角間「決まったぁぁ!!無敵の要塞を見事打ち破りました!」


角間「試合を振り出しに戻しました!!」


真姫「やったわね、凛!」クルッ


真姫「……凛?」

















凛「うあぁぁ!!!」ドサッ


真姫「凛!!」ダッ


凛「ぐぅぅ……!」ギュゥッ


角間「おおっと……星空がシュート直後うずくまって動きません!!一体どうしたのでしょうか!」


花陽「……っ!」ダッ


ピーーーーーーー!


タッタッタッ


穂乃果「どう?真姫ちゃん」


真姫「……」クイッ


凛「うぅぅ……!!」ビクッ


真姫「………そこまで酷くはないけど、決して軽くはないわ……この試合はやめておいたほうがいいかも」


ことり「そんな……」


海未(一体どのタイミングで……)


海未(着地は別におかしくありませんでした、シュートの瞬間……?)


海未(いや……)


海未「凛、あなたまさか……」















角間「星空が抜けて代わりのメンバーが入ります!」


ヒデコ「精一杯やらせてもらうよ」


雪穂亜里沙「よろしくお願いします!」


花陽「よろしくお願いします」











海未「全く無茶するんですから……」はぁ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


海未「あなたまさか、ずっと怪我していたのを隠していたのではないですか?」


凛「……!」


にこ「たしかに……」


にこ「前半体力だけが取り柄の凛にしては随分息が切れてたわよね」


凛「だけは余計だにゃ…」


真姫「休憩の時もよく飲み物を飲んでたし……」


絵里「そうなの?凛」


凛「えと……その……」















花陽「実は凛ちゃん、試合前にちょっと捻っちゃってたの」


凛「!」


にこ「試合の前?」


海未「……!お手洗いのあとですか?」


花陽「うん、急いで行こうとした時に挫いちゃったみたいで…」


海未「そうだったのですね」


にこ「それならそうと早く言いなさいよ、こんなになるまで黙ってるなんて」


凛「ご、ごめんなさい……」


希「まあまあ、凛ちゃんもみんなに気を使って言いだせなかったんやろうし……ね?」


にこ「うぐっ……」


にこ(たしかに少し押し付けてたとこはあったかも……)


海未「……すみません、今は凛の治療が先決ですね」


フミコ「私が医務室連れてくよ!」


ことり「うん、ありがとう!」


真姫(………ついさっきできた怪我じゃなかったけど……)


真姫(まあいいか)











海未「凛、今は一刻も早く治すことに専念してください」


凛「う、うん!」


海未「そして、試合の後に話があります」ニコッ


凛「ひぃぃ……!」ガタガタ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー












花陽「穂乃果ちゃん!」


穂乃果「なに?」


花陽「あのね……」コショコショ


穂乃果「!…わかった、やってみる」














千羽山1-1音の木坂


ピーーーーーーー


角間「音の木坂は星空の代わりにメンバーを入れ替えて試合再開です!」


角間「しかしこれでもう【ファイアトルネードDD】を放つことはできません!!」


角間「あと一点、お互いに緊張が走っております!」














ドッ!ドキュ!いけー!トッ、ドキュゥゥゥ!!




真姫「はぁ!!」ドキュッ!


綾野「ずらぁ!!」バシッ


育井「よっ!」ドキュ!


穂乃果「てやぁ!」バシッ


雪穂【ハンターズネット!】


山根「……!」ドサッ


原野【ラン・ボール・ラン!】


ことり「うわぁ!!」ドサッ













角間「刻一刻と時間が過ぎていきます……」


角間「どちらも譲らぬ攻防戦……!!」


角間「一体どうなってしまうのでしょうか!?」















真姫「あれ行くわよ、絵里!」トッ


絵里「もうやるしかないわよね……!」













ブワァァァ!!! ブワァァァ!!!


真姫絵里【ファイアブリザード!!】


ドゴォォォォォオ!!!!


角間「こ、これは新必殺技かぁぁ!?」


ことり「あの技……!」


希「えりちたちのお母さんの……!」


にこ「なんでもいいわ、決まりなさい!!」


真姫絵里「お願い!!」


綾野【無限の……】………?」














ヒュゥゥゥゥ…………


テンテンテン


海未「外……れた」


角間「凄まじいシュートでしたが失速し、外れてしまいましたぁ!!」


真姫「~~……!!もうっ!」ジャリッ!


絵里「ダメ………か」
















角間「ボールは千羽山へと移ります!」


綾野 ドッ


育井「ほっ!」トッ


ブワァァァ!! ブワァァァ!! ブワァ!


絵里【スノー……】


原野「させないっぺ!」バッ


絵里「っぐ……!」


角間「千羽山原野、見事なブロックです!!」


ことり「ここで止めます!」

















育井 ボグッ


ことり(さっきの海未ちゃんで対処法は分かってる!)


ボコボコボコ


育井 バッ


ことり「ここ!」ガッ


ことり「……!?」ズシッ


ことり(え……!?これ……)


ことり「………スイカ!?」


希(どこかのヒーロー思い出すなぁ……)


ポンッ!


育井【モグラシャッフル!】


育井「都会っ子は間抜けばかりだっぺ!」


ことり「そんなぁ~……」


角間「育井がドリブルで上がっていきます!」


角間「FWの田主丸にパスが通りました、残すはディフェンスラインのみ!!」

















にこ「海未、どうすんの!?」ハッ……ハッ……


絵里「決め手が全くないわ……」フゥ……


真姫「正直……これ以上は……」はぁはぁ


海未「………」


ワァァァァァァァァァァ!!!


角間「田主丸が小泉を抜きましたぁ!!」


角間「ゴールとの距離が近い、完全にフリーだぁぁ!!」


にこ「うそ!?」


海未「ま、まずいです!」


絵里「今決められたら……」


角間「ここでの得点は勝敗を決める一点となります!!」


角間「キーパー高坂、果たして止めることが……おや!?」


タッタッタッ


角間「なんと……」


穂乃果「………」タッタッタッ


角間「高坂が田主丸に向かって走っていきます!」


にこ「なにやってんのよあのバカァ!」


海未「ああ穂乃果……ついにヤケに……」


田主丸「いくっぺ!」コォォォ!
















田主丸【シャインドライブ!!】


パァァァァ!!


穂乃果「!」


穂乃果(……ここ!!)バッ














ドゴォォォォ!!!


パァァァァァァァ!!!!!


角間「眩しくて全く見ることができません!!果たしてシュートは………」
















シュルルルルル……!


穂乃果 ニッ


田主丸「な、なにっ……!?」


角間「止めていたぁぁ!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


角間「先程は得点を許したシュートを今度は正面からガッチリとキャッチ!」


穂乃果「花陽ちゃんのおかげだね……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


花陽「ちょっといい?」


穂乃果「なに?」


花陽「あのね」コショ


花陽「もし次シュート打たれそうになったら……」


花陽「花陽が出来るだけゴール前まで惹きつけるから、穂乃果ちゃんも出来るだけゴールから出てきておいて」


花陽「ゼロ距離で止めちゃえば眩しさなんて関係ないはずだから」


穂乃果「……わかった、やってみる」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果(…さっき決められたシュート、今度は止められた……)


花陽「………」ニッ


監督(小泉はボールを取ろうと思えば取れた)


監督(だがあえて高坂に止めさせることで自信を取り戻させた)


監督(………人間の心理をよく理解してる)


















穂乃果(……)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


角間「ゴールとの距離が近い、完全にフリーだぁぁ!!」


にこ「うそ!?」


海未「ま、まずいです!」


絵里「今決められたら……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「そんなに心配しなくたっていいじゃん……」ボソッ















亜里沙「穂乃果さん!」バッ


穂乃果「……!」ハッ


穂乃果「亜里沙ちゃん!」ドッ


亜里沙「んっ…!」トッ


角間「残り時間はごくわずか……このまま延長戦かぁ!?」


亜里沙(亜里沙のあのシュートなら……いや、それはダメ)


亜里沙(……なら)


亜里沙「……一か八か……!!」


穂乃果「いっけー亜里沙ちゃん!」















亜里沙「はぁっ……!」クルッ


田主丸「っち……!」ガクッ


原野「行かせないっぺ!」


山根 ザッ


亜里沙「っ……!」ピタッ


花陽「こっち!」バッ


亜里沙「…!お願いします!」ドッ


花陽 ドッ


亜里沙「ハラショー!」トッ


タッタッタッ


角間「絢瀬亜里沙がディフェンスから上がって行く!!」


角間「絢瀬妹はディフェンダーながら強力なシュートを持っています、それに賭けようというのでしょうかぁ!?」


絵里「ダメよ亜里沙……!!」


海未「あの技は……」


亜里沙「大丈夫です……よ!」ドッ














絵里「え、私?」トッ


角間「絢瀬妹が敵を引き付け、最後はエース絢瀬にボールを託したぁ!!」


絵里(どうする……私のシュートじゃあの壁は……)


綾野「フンッ」


にこ「なんでもいいから早く打ちなさい!」


絵里(なにか……なにかないの…!?ほかにもっといい方法……)


亜里沙「お姉ちゃん!」タッタッタッ


絵里(……!亜里沙?)クルッ


バチッ(アイコンタクト)


亜里沙(………亜里沙のやりたいこと、わかるよね?)タッタッタッ


絵里(……相変わらず無茶な作戦ね)


亜里沙(お姉ちゃんは考えたことなかった?)


絵里(……少しあったわ)


亜里沙「ふふ、よかった」ニコッ


絵里「こんな土壇場でやることじゃないんだけどね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


バチッ



ねえお姉ちゃん


なに?











二人であの技を打ったら……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



亜里沙「面白いでしょ?」フフフ


絵里「……わんぱくな妹を持つ姉の身にもなりなさい」はぁ













絵里「……いくわよ亜里沙」スッ


亜里沙「うん!お姉ちゃん!」トンッ

















絵里「ふっ…!」バッ


ポーン


亜里沙「てやぁ!!」ドゴォ!


パキパキパキパキ


絵里亜里沙 ザッ













角間「こ、これは……【エターナルブリザード】の体勢ですが……!?」












絵里「はぁぁぁ!!」グルグルグル


亜里沙「はぁぁぁ!!」グルグルグル















ドキュッ!!!


絵里亜里沙「いっけぇぇぇ!!!」


ゴォォォォオォォオオオオ!!!!








ゴォォォォォォォオオオオオ!!!!


角間「出たぁぁぁぁぁ!!!!!絢瀬姉妹による強力な新必殺技です!!」


穂乃果「あ、あんなの見たことないよ!?」


希「えりちと亜里沙ちゃんの合体技……か」


希(よかったね、えりち)ニコッ


海未「………【ホワイトダブルインパクト……!】」ドヤッ


希(海未ちゃんのドヤ顔腹立つわ~)


真姫(いつのまにあんな技……)
















牧谷塩谷 ザッ


【無限の壁!】


ドギュルルルルル!!!!


絵里「……….」


亜里沙「……」


クルッ


スタスタ


綾野「……っ」タラッ ググググッ……


絵里亜里沙「………」














絵里亜里沙 ニッ


パチンッ(ハイタッチ)
















バリィン!!!


綾野「ズラァァ!!」ドサッ


ドシュゥゥゥゥ……!!!!

















角間「き………」









角間「決まったぁぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!


ピッピッピーーーーーーー!


角間「ここで試合終了のホイッスル!」


角間「準決勝へと駒を進めたのは新必殺技で決勝点をもぎ取った音の木坂だぁぁ!!」


ワァァァァァァァァァァ!!


角間「どちらもよく守り、よく攻めた!この試合はフットボール史に残ることまちがいないでしょう!」


角間「実況は角間、角間でお送りしました!!」


ありがとうございました!!















絵里「……信じてたわよ」


亜里沙「うん、亜里沙も」ニコッ


穂乃果「ぅ絵里ちゃぁーーん!!」ガバッ


雪穂「亜里沙ぁぁ!!」ガバッ


絵里「ほ、穂乃果!?ちょっと……重…!」ウグッ


亜里沙「ハラショー!雪穂、子供みたい」クスクス


穂乃果雪穂「だって……ね?」


花陽「すごい必殺技だったしね!」


ことり「うん!ゴォォォォ、ブワァァァ、ドカーンって!」


にこ「あんた語彙力どこに置いてきたのよ」


ことり「………」


ことり「母ちゃんの腹の……」


希「そこまでやことりちゃん」


真姫(……凛……)


真姫(勝ったわよ)グッ















医務室


ガチャッ


穂乃果「凛ちゃん元気ー?」


凛「見てたよみんな!勝ったんだね!」


にこ「あったりまえじゃない、私を誰だと思ってるのよ」ファサァ……!


凛「にこちゃんがアワアワしてるとこもバッチリ映ってたにゃ」


にこ「うぐっ……!」ゴンッ


真姫「それで、どうなの?具合は」


凛「そ、それが……」チラッ


医務室の女性「試合なんてダメですよ、走るのも控えてください」ブッブー


絵里「そ、それじゃあ次の試合は……!」


女性「次ってことは来週よね?」


女性「んー……ダメかな?」


絵里「そんな……」


女性「もし決勝まで行けたら治ってる頃だと思うから、それまでの辛抱よ」フフ


みんな「………」ッ……


にこ(凛無しで準決勝……)


海未(ディフェンス、オフェンス面でかなりの戦力ダウンですね……)


花陽(……私が…無理にでも止めてれば)















凛「お願いします、試合、出たいです」


海未「凛……」


花陽「凛ちゃん……」


女性「ダメよ」


凛「どうしても……ですか?」


女性「選手を守るのが私の役目、どうしてもよ」


凛「……」ギュッ


みんな「………」


「凛ちゃん」


凛「?」クルッ


凛「…!」


凛「………ことりちゃん……?」


ことり「……」


海未「ことり……?」


ことり「……メイド喫茶でした約束……覚えてる?」


凛「……なんでも言うこと聞くって言ったこと?」


ことり「うん、今使うね」


凛「……」


ことり「…………」














ことり「私たちを信じて……まってて」


凛「………っ!」


ことり「絶対勝つから」


凛「………」


凛「……うん」コクリ


ことり「ありがとう凛ちゃん」ニコッ


凛「……」


凛「みんな」


凛「………ごめんなさい」ペコッ


絵里「……凛…」


凛「みんなに怪我してたこと黙ってて……」


みんな「………」


凛「………でも」


凛「凛がいなくてもみんななら次も絶対大丈夫だろうし……」


にこ「……は?」


凛「次の試合もいつも通りみんなで……」


にこ「ねえ」


凛「凛、ベンチから応援して……!」


にこ「希」


希「あいあいさー!」ガバッ!


凛「な、なに…!?」アワアワ


希「ワシワシMAXー!!」ワシワシー!


凛「なんで!?なんで!?」


凛「いにゃぁぁぁ!!!」














凛「はぁ……はぁ……うぅん…」ビクビク


希「またつまらぬものを揉んでしまった」ワキッ


凛「ひどいにゃぁ!!」ゴーン!


にこ「あんたがバカなこと言うからでしょ」


にこ「……早く怪我治して戻ってきなさい」


にこ「みんな待ってるんだから」


凛「にこちゃん……」

















凛「何か悪いものでも食べた?」


にこ「……」イラァ


ゴチンッ!!


凛「おぐぅぅ……!!」シュゥゥゥ……


ことり「うわぁ、痛そう」


凛「頭が……頭がぁぁ!!」


穂乃果「ちょっと!凛ちゃんの頭が悪くなったらどうするの!?」


真姫「……もともとそれほど良くない……」


凛「………」ガクッ


海未「やめましょう、もう凛のライフはゼロです」















帰り道廊下


海未「……真姫」


真姫「なに?」


海未「わからなければそれで良いのですが、凛のケガについて……」


海未「あれは……」ごにょごにょ


真姫「…ええ、たしかに」ごにょごにょ


海未「なるほど、やはりでしたか」


海未「ありがとうございます」


真姫「……別に」クルクル


真姫(……凛、ご愁傷様)















帰り道


海未「この時間になってもまだ明るいですね」テクテク


花陽「夕日が綺麗だね~」テクテク


花陽「今日は穂乃果ちゃんたちとは帰らないの?」


海未「穂乃果はクレープが食べたいと一足先に帰ってしまいましたから」


凛「珍しいにゃ~、いつもみんなで食べて帰るのに」


凛「よいしょ……っと!?」グラッ


花陽「ほっ!」ガシッ


花陽「大丈夫?まだ松葉杖慣れないみたいだね」


凛「ありがとうかよちん!」


海未「凛、こちらに行きましょう」


花陽「こっち?」


凛「あ、ごめんかよちん」


凛「凛、海未ちゃんとちょっと約束があるからここで……」


花陽「……そっか!バイバイ凛ちゃん海未ちゃん、気をつけてね!」


海未「はい、気をつけて帰ってくださいね」


凛「ばいばーい!」ブンブン


凛「ぅわっ……!」グラッ


ガシッ


凛「あ、ありがと海未ちゃん…」


海未「松葉杖つきながら全力で手を振る人がいますか……」ヤレヤレ


凛「ごめんごめん……」


凛「で、どこ行くの?」


海未「すぐそこですよ」















鉄塔広場へ続く階段


海未「はぁ……はぁ……」ザッ…ザッ…


凛「海未ちゃん、やっぱり凛自分で歩くよ?」


海未「いえ、私がここにしようと言ったのですから……!」ググッ


海未「なんの……これしきぃ……!!」ググググッ













凛「っと!」スタッ


凛「ありがと海未ちゃん!」


海未「い、いえ………」ゼェ……ゼェ……


海未「それより………何か聞こえませんか?」


凛「何か?」
















バシィ!ドコォ!!ドサッ、ズザザザザザ!!





凛「聞こえる……」


凛「もしかして………喧嘩!?」


凛「ま、まずいよ……逃げないと」アワアワ


海未「……ふふ、ついて来てください」スタスタ


凛「そっちは音がしてる方だよ……!」ヒソヒソ


海未「大丈夫ですから」


凛「うぅ~~……!」












海未「ここです」


凛「……すぐ近くで音が聞こえるにゃ……」


海未「この物陰から覗いてみてください」


凛「一体何が…………」ガサッ


凛「…………え?」















穂乃果「ふんんん!!!」ズザザザザザ!!


凛(ほ、穂乃果ちゃん!?)


穂乃果「ぜっ……ぜっ………」


穂乃果「……んっ……!」ブンッ


フワッ


ゴォォォオ!!!


ドゴォォ!!


穂乃果「うわぁぁ!!」ドサッ


凛「穂乃果ちゃ……!」ガサッ


ガシッ


海未「………」フルフル


凛「……なんで……」


ブラン……ブラン………


穂乃果「はぁ……はぁ……」


穂乃果「…………」


穂乃果「………ぅ……」ウルッ


凛「!」


穂乃果「わかんないよぉ……」ウルウル


穂乃果「強くもなれないし、みんなには当たっちゃうし……」


穂乃果「もうやだぁ……」ポロポロ















凛「…………うそ」


凛「穂乃果ちゃん、今日……クレープ食べるって……」


凛「それに……あんな弱気な穂乃果ちゃん初めてみた」


海未「あそこまでは私も初めてです」


海未「最近は練習の後も暗くなるまで練習してるんですよ」


凛「でもあんな無茶な練習……」


海未「私も初めから見ていたわけではありませんが……それはひどいものでしたよ」


海未「吹き飛ばされるのは当たり前」


海未「なんども転がされて、怪我をしなかったのは奇跡だったと思います」


凛「じゃあ何で……!」


海未「昔から……口癖だったんですよ」


凛「口癖?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ほのか「やるったらやる!!」


ことり「さすがにまだむりだよぉ……」


うみ「りふてぃんぐみんなで20回なんて……」


ほのか「やるったらやるの!ほらいくよ!」ドッ


イーチ!ニーイ!











ことり「……18!」ドッ


ほのか「いけるようみちゃん!」


うみ「…はい!」タタッ


うみ「……19!」ドッ


うみことり「あっ!!」


ポーン


ことり(ボールが変なとこ飛んでっちゃった……)


うみ(あぁ……私のせいで……ごめんなさいほのか……)ウルッ













「てやぁーーー!!!」ズザザッ!


うみ「ほのか!?」


ことり「それはむちゃだよぉ!!」


ほのか(…届く!)


トッ


ほのか「うぶぇぇぇ……!」ズザザッ……

















うみ「大丈夫ですかほのか!」タッタッタッ


ほのか「えっへへ!届いたよ!20回!」


ことり「うん!できたんだね、ほのかちゃん!」


うみ「う……うぅ……」ポロッ


ほのか「う、うみちゃん!?」


うみ「よかったです~!」ダキッ


ほのか「ど、どうしたの?」


うみ「私が……へんなとこに…ヒック!……けとばしたから……うぅ……」ウルウル


うみ「ほのかがとりに……けが……あぁぁぁ!!!」ポロポロ


ほのか「??」


ことり「じぶんがけっちゃったボールをとりにいったほのかちゃんがけがするのがこわかったんだって!」


うみ「ほ、ぼのががぁぁ!!しんだらどうじようっでぇぇぇ!!!」ポロポロ


ほのか「………」


ほのか「うみちゃん!!」


うみ「……はい…?」ピタッ


ほのか「ほのかはおっきくなってもふたりとさっかーするの!かってにしなせちゃだめ!」


うみ「……ふふ、ほのからしいですね」


ほのか「それより20回だよ20回!!」


うみ「はい!すごいです!」


ほのか「えっへへへ!」


ほのか「だからいったでしょ?」


ほのか「やるったらやるって!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




(泣いてるシーンを海未ちゃんはカットして話しています)



凛「昔から穂乃果ちゃんは穂乃果ちゃんだったんだね……」


海未「あのタイヤに転がされていた時もよくいってました」


海未「やるったらやる……絶対諦めない、と」


凛「………」


海未「しかし」


凛「?」


海未「ここ最近は聞いていないんです」


海未「あの魔法の言葉を」

















凛「どうして?」


海未「わかりません、だから直接訳を聞こうかと思いまして」


海未「凛はここに居てください」ガサッ


凛「ま、まって!」ガシッ


海未「凛……?」


凛「………本当にいいの?」


凛「あそこにいる穂乃果ちゃんは多分……」


凛「みんなに見せたくない穂乃果ちゃんなんじゃないかな」


海未「……私もそう思います」


凛「なら……!」


海未「そう思って……見守って来ました」


海未「しかし日に日に……悪くなっているんです」


凛「悪く?」


海未「今日の出来事、覚えてますね?」


凛「点決められた後のこと?」


海未「はい、今まで溜まっていた元が溢れてしまったのでしょう」


凛「あの後雪穂ちゃんに声かけたりゴール止めたり、普通にプレイしてたけど……」


海未「私も踏み込むのは悪いと思い、一言言いました」















海未「相談に乗りますよ、と」


海未「私でなくても良かったんです、誰でも相談してくれれば」


凛 チラッ


穂乃果「うぅ……ぁ」ポロポロ


海未「あれほど追い込まれるまで放ってしまった……」


海未「頼ってくれると信じていたのに……」ギュッ


凛「海未ちゃん……」


海未「これは、私の責任でもあるんです」


凛「………」


海未「………行ってきます」ガサガサ

















穂乃果(どうすればいいんだろう……)


穂乃果「………」ポロポロ


穂乃果(吐き気がする……)


ザッザッ


「最近よく曇ってますが、今日は一段と曇り空ですね」


穂乃果「!?」ガバッ!


海未「……隣、いいですか」


穂乃果「海未ちゃん……」


穂乃果「……!」ゴシゴシ


海未「……….」スッ


ストンッ


穂乃果「…………!」


穂乃果(いつも砂の上になんて絶対座らないのに……)


海未「………」


海未「綺麗な夕焼けですね」


穂乃果「……さっきは曇り空って言ってなかった?」


海未「太陽が陰ってしまっていたので……」


穂乃果「?」


海未「こっちの話です」


穂乃果「ふふ、なにそれ」


海未「…………」


穂乃果「………」


サァァァァァァァ………

















穂乃果「怖いんだ」


海未「………」


穂乃果「みんなすごく上手になってる」


穂乃果「真姫ちゃんと絵里ちゃんは言わなくてもだし」


穂乃果「希ちゃんと凛ちゃんは入部してから始めたなんて信じられないくらい上手になってるし」


穂乃果「ことりちゃんなんて、ザ・女の子って感じなのにサッカーになるとすごいし」


穂乃果「にこちゃんと花陽ちゃんは……まあここも言わなくてもわかるよね」


穂乃果「もちろん海未ちゃんもだよ」


穂乃果「………」


穂乃果「みんなすごいんだぁ……」


穂乃果「どんどん走って行っちゃって」


穂乃果「穂乃果……ついていけないよ」あはは……


海未「………」


穂乃果「………ねえ海未ちゃん」


海未「………はい」


穂乃果「キーパー………」























穂乃果「穂乃果じゃなきゃダメ?」


海未「ーーーー………」

















サァァァァァァァ……………








海未(言われた意味がわかりませんでした)


海未(頭をガツーンと殴られたような、そんな衝撃でした)


海未(あなた以外に誰がいるんですか)


海未(私たちのキーパーは……)


海未(あなたですよ、穂乃果)


海未「…………」


海未(そう言ってあげたいのに……声が出ない)


海未(あ、私腕を振り上げて……)


海未(頭ではわかっているのに止まらない)


海未(穂乃果の顔に……)


海未(ーーー)
















凛「ダメに決まってるにゃぁぁあ!!!」ガサッ


海未「!?」ピタッ


穂乃果「り、凛ちゃん!?」


凛「穂乃果ちゃんが辞めたら凛もやめる!」


凛「サッカーもみんなも……大好き、だけど……っ…」


凛「穂、乃果ちゃんが……」ウルッ


凛「穂乃果ちゃんがやめるなら凛もやめる!!」ポロポロ


穂乃果「凛ちゃん……」


凛「やめるんだからぁぁ……!!」ポロポロ


海未「落ちっ……落ち着いてください凛!」

















凛「うぅぅ………」ヒック


海未「どうしてあなたが一番泣いているのですか……」ガサガサ


海未「ほら、チーンってしなさい」


凛「ふんんん!!」チーン!


穂乃果「どうして二人ともここにいるの?」


海未「あなたの相談に乗りに来たのと、凛のお説教です」


凛「にゃ!?」ガーン


海未「当たり前です」


穂乃果「穂乃果の相談はもう大丈夫だよ」


海未「……本当ですか?」ジトー


穂乃果「本当だよ!ほら、この通り!」マッスル


海未「……わかりました」


海未「そのかわり、また困ったら誰でもいい」


海未「相談してくださいね」


穂乃果「了解です!」ビシッ


海未「…」















海未「凛」


凛「ひぅ……!!」


海未「こちらへ」


凛「にゃ~……」


穂乃果「松葉杖であんなとこまで行ったんだ……早いね」


海未「逃げ足はですがね」

















凛「………」ちんまり


海未「真姫から聞いたのですが、この怪我はついさっきでできる怪我ではないそうです」


海未「正直に答えてください」


海未「怪我、または違和感はいつからですか?」


凛「………多分一ヶ月くらい前……?」


海未「多分?」


凛「うん」


凛「捻ってテーピングして治って来た頃にまた捻って……」


凛「最近はほとんど治ってたんだけど、試合前日に家に帰った時また痛くなっちゃって……」


海未「花陽は気づかなかったのですか?」


穂乃果「花陽ちゃん最近そういうところすぐ気付くよね~」


凛「………口止めしてもらったの」


海未「つまり花陽は知っていたのですね」


凛「まって、かよちんは悪くないよ!」


海未「分かってます、誰が悪いと言いたいわけではありません」


凛「よかった……」ホッ


海未「………」
















海未「私たちはそんなに頼りないですか?」


凛「え……?」


海未「あなたと真姫のお陰で同点に追いつくことができましたが」


海未「たった一試合を任せられないほど私たちが頼りないですか?」


凛「ち、違うの…!!そうじゃなくて……」


海未「なにが違うのですか?」


凛「だから……えっと……」


海未「今なら別に怒りませんから正直に言ってください」


凛「ち、違うって……」


海未「凛!!」


凛「違うんだってば!!!!」













凛「………っ」ハッ


凛「………」


海未「…………」


凛「多分………穂乃果ちゃんと同じ理由……」


穂乃果「穂乃果と?」


凛「怖くて………不安なの」


穂乃果「……!」


凛「……もし凛が……試合に出なくて……」


凛「あれ、なんだか今日試合しやすいね」


凛「なんてことになったらって……思うと」


海未「………」














海未「にこと希」


凛「?」


海未「あなたがよく軽口を叩きあう二人です」


凛「あ……」


海未「拒絶されるのが怖くて………」


海未「みんなに早く溶け込もうとちょっかいをかけていたのでしょう?」


凛「………」


海未「穂乃果も私と出会った当時、似たようなことをしていました」


穂乃果「穂乃果が?」


海未「私をわざと鬼にしたり、わざわざからかったりして」


海未「ゆっくり、確実に、みんなの輪に入ることができました」


凛「………」


海未「まああの頃の私からすればやめてほしいとしか思えなかったですが」


穂乃果「あはは……」


海未「………」
















海未「凛」


凛「?」


海未「あなたは音の木坂の……」


海未「………」


海未「μ'sの一員です」


凛「……!」


海未「あなたのいないサッカー部なんてありえません」


海未「優勝………みんなでしましょう」


凛「………」


海未「……すみません、上手く話せなくて」


凛 ブンブン


凛「………嬉しい」ニコッ


穂乃果「……凛ちゃん」


凛「?」


穂乃果「私たちは凛ちゃんとサッカーがしたい」


凛「……!」


穂乃果「あの言葉……取り消したつもりはないよ」


凛「……うん!」















穂乃果「よーし!それじゃあ今日はもう帰ろう!」


海未「練習は良いのですか?」


穂乃果「今日はもういいや!帰ろー!」


海未「……そうですね、行きましょうか」


凛「ラーメン食べるにゃー!」


穂乃果「いいね!あれしよう、アブラマシマシ~~ってやつ!」


凛「あれは強敵だよ……?」


穂乃果「今ならいける気がする!」


穂乃果「よし、凛ちゃん乗って!」


凛「穂乃果ちゃん号、発進!」ヨイショ


穂乃果「あいあいさー!」タッタッタッ


海未「走ると危ないですよ!私も行きますー!」タッタッタッ
















夜鉄塔


「…………」ウップ


「……食べ過ぎた…」


「………」グッ


ブンッ!


フワッ……


ゴォォォォォオ………!!!!


ドゴォォォォォォォ!!!!!!


ズズズズ………


「……早く……強くならないと」
















穂乃果宅


雪穂「何か冷たいものないかな~」ガラッ


雪穂「……はぁ、お姉ちゃんが私のアイス食べなかったら今頃私が食べれてたのに……ん?」ガサッ


雪穂「……こ、これ……!!私の期間限定のアイス……!?」


雪穂「なんだあるんだ……」ホッ


雪穂「なんでお姉ちゃんあんな嘘………」


雪穂「………」


雪穂「………」


雪穂「………!」ハッ


雪穂「………~~~~!」ググッ














雪穂「……バカお姉ちゃん」















[5、度重なる不安]




部室


ガラララ!!


花陽「た、たいへんですぅ!!」


にこ「ものすごいニュースよあんたら!!」


絵里「にこ、ドアは静かに開けないと危ないでしょ?」


希「いやいや、今開けたのは花陽ちゃんやん?」


真姫「花陽があんなに乱暴なわけないじゃない」


凛「にこちゃんらしい開け方だったにゃ!」


にこ「どっちでもいいわよ!!どうしてあんたらはそうすぐに脱線するのよ!!」


絵里「にこ、カルシウムが……」スッ


にこ「カルシウムブレイク!!」ブシュゥゥ!!


絵里「私のバナナオレーーー!!」


凛「あの絵里ちゃんのバナナオレが一撃で……!」


希「強い……今までとは一味違う」


にこ「もう……ああー!もう、いいのよ!!それは!」


花陽「UTX二回戦の対戦結果が出ました!」



穂乃果(!……確かその試合は……)


海未「一回戦は2-0で突破していましたが……」


花陽「結果は……UTXの勝ちです……」


穂乃果「………」グッ


凛「それは当然だにゃ~」


花陽「……対0で…」


ことり「……?」


絵里「ごめんなさい、よく聞こえなかったわ、もう一度いいかしら」


花陽「………」プルプル


花陽「9-0でUTXの勝ちです!!」


みんな「………」


みんな「へ?」
















凛「う、嘘だよねかよちん……」


海未「さ、流石にそんなものには騙されないですよ……」


にこ「ほんと、たしかな情報よ」


絵里「そんなことって………」


花陽「試合自体は見てないけど、コメントは見れるよ」スッ


希「なになに?」


『なんだよあいつら、ガチのバケモンじゃねえか』


『一体この短期間に何があったの?』


『これはUTXの一強だな』


『対戦相手が不憫すぎる』


真姫「『せいぜい怪我しないようにしろよ、嵐みたいな試合になるから』………か」


みんな「………」












にこ「……どう……する?」


海未「どうと言われましても……」


にこ(流石に海未も言葉が出ないか……)


にこ(まあこんな結果見せられたら誰でも……)


穂乃果「練習しよっか」


みんな「!?」


にこ(……穂乃果)


穂乃果「強くなれば……強くならないと始まらないでしょ?」


にこ「……簡単にいうけどどうする気?」


海未「準決勝は凛がいない上に決勝までは最長で2週間しかありません」


凛「…….」


絵里「今までと同じじゃ勝てないわ」


穂乃果「……どうするとか、勝てないとか……」


穂乃果「関係ないよ」


にこ「はぁ?あんたそれ思考放棄っていうのよ?」


希「にこっち難しい言葉知ってるなぁ」


にこ「これぐらいしってるわ!!」


穂乃果「穂乃果たちなら絶対勝てる」


穂乃果「穂乃果がやるったらやるんだよ!!」



海未「!」


ことり「!」


凛「!」


にこ「はぁー……全然根拠なんてないじゃない」


ガタッ ガタッ


真姫「……海未?」


花陽「ことりちゃん……」


海未「練習……行きましょうか」


ことり「うん!時間なくなっちゃう」


にこ「ちょ、あんたらまで何言って……」


凛「いっくにゃー!」ガタッ


凛「おおっと?」グラッ


花陽「凛ちゃん!?」ガシッ


凛「ほらかよちんと真姫ちゃんも!」グイグイ


花陽「わ、わかったから!」


真姫「ヴェェ!!引っ張らないで!」


にこ「……待ちなさい!」


花陽「…!」ビクッ


海未「………」


穂乃果「………」


にこ「………」


















にこ「……」はぁ


にこ「海未、穂乃果、あんたらはいつも通り練習仕切りなさい」


海未穂乃果「!」


にこ「花陽は私が借りるわ」


花陽「に、にこちゃん!?」


にこ「……こいつらに何を言っても無駄よ」


にこ「勝つ確率を少しでもあげるために………情報収集行くわよ」


花陽「……!うん!」


希「………最初から解決策を見つける気なんてなかったくせに…」ボソッ


にこ「なにかいった?」


希「べっつに~?」


にこ「花陽、行くわよ!」スタスタ


花陽「うん!」ダッ!
















海未(穂乃果、久しぶりにあなたのそれを聞きましたよ)


海未(信じて……よいのですね?)


穂乃果(…あの映像、見せた方がいいのかな)


穂乃果(でも見せるなって書いてたし……う~~~!)















夕方


にこ「っはー………!」ググッ…… テクテク


花陽「結局、UTXについてはほとんどわからなかったね」


花陽(あの人ゲームしながら歩いてる………あの動きは……ポケモンGOかな?)


にこ「でも次の相手の情報は収集したわ」


にこ「木戸川清修のね」


花陽「帰ってみんなに伝えないとだね!」


花陽(この辺子供多いなぁ……へぇ、近くに公園があるんだ)


にこ「ええそうね……」


花陽「……にこちゃんのいった通りになったね」


にこ「え?」


花陽「ほら、部室で……」


にこ「あぁ……」



にこ「解決策なんてあの短時間で見つかるはずないんだから」


にこ「なんとか全体を鼓舞してもらう必要があったのよ」


にこ「さすがは穂乃果ね」


花陽「やっぱりすごいなぁ……」


にこ(……たしかに想定通りの展開だったけど……)


にこ(あいつ……穂乃果ってあんなだったっけ?)


にこ(……)チラッ


花陽「?」


にこ「花陽、荷物重いでしょ?私が半分持つわ」


花陽「いやいや、これぐらい大丈夫だよ!」


花陽「それにタオルとか消毒薬とかばっかりで軽いし」


花陽(少し意地張っちゃったかな……?)


にこ「………じゃあお任せするわ」


にこ「ありがと花陽」


花陽「いえいえ♪」


花陽(よかった、怒ってないみたい)ホッ


にこ「……あ……!」ピタッ



花陽「にこちゃん?」


にこ「花陽、そのお礼にアイス買ってあげるわ」


花陽「だ、大丈夫だから!」


にこ「私が食べたいのよ、あんたのはついで」


にこ「ついでなんだから気楽に受けとんなさい」


花陽「……ふふ、ありがと」ニコッ


花陽(にこちゃんには敵わないなぁ……)チラッ


花陽「!」


にこ「それじゃあ買ってくるわね!」タッタッタッ


花陽「あ、うん」


花陽「………」


















花陽(あの子、道路の脇でボール持ってて危ないなぁ……)


花陽(注意してあげるのが一番なんだろうけど………恥ずかしい……)


花陽(あぁ……そんなに走ったら……)


花陽(ほらこけちゃった……)


花陽(あぁ……泣かないで)


花陽(ボール、道路に転がっていっちゃった……)


花陽(取りに行かなきゃだけど車の信号が青だからこっちが青になるまで待たないとね)


ブロロロロロロロ


花陽(車もきてるし………!?)サァァ……!














子供「ボール!」タッタッタッ















花陽「………ダメ」


花陽(あ……血の気が引くってこういう感じなんだ)









プップップップーーーーー!!!!!!!!





子供「?」クルッ













花陽「ダメェェェェ!!!!!」ダッ!


花陽(間に合って……!!)
















にこ「ありがとうございま~す!」スッ


にこ「ふんふふ~ん♪」


にこ(にこは~、可愛いピンクのストロベリーで…………花陽はお米味ね)


にこ(アイス食べながらまたサッカーの話でもしようかしら)


にこ「肝心の花陽は………」キョロキョロ











プップップップーーーーーー!!!!!!







にこ「な、なに!?」クルッ


にこ(なによ……ずいぶん近いところで………って)


にこ「………え?」


















花陽(間に………合って!!!)ガバッ!


カシャン……


子供「うぶっ……!」


キキキキキキーーーー!!!!
















グシャ………
















にこ「………は……」スルッ………


ベチャッ ベチャッ













にこ「花陽!!!」ダッ!













ピーポーピーポーピーポーピーポー
















学校


海未「希!もっと圧をかけてください!!」


希「了解!」


海未「真姫!パスを待つだけてなく、自分でも切り込んでください!」


真姫「?ぇぇ……苦手なのよね」

















凛「……ベンチで見学なんて退屈だにゃ~……」


凛(……そうだ!またあのサイトで動画みよっと!)


凛「……」ガサゴソ


凛「………」ピッ


ケータイ『決まったーー!!!』


ケータイ『ワァァァァァァァァァ!!!!』


凛「……」ジーーーーー
















ブブブブブ


[電話だよ、電話だよ]


凛「にゃ?にこちゃんから?」


ピッ


凛「やっほーにこちゃん!情報収集の調子は……」


凛「………」


凛「………ぇ」


凛「……かよちんが……」


凛「う、嘘だよね……?」


凛「………」


凛「……わかった」


ピッ


ザッザッ


海未「今のはにこからの電話ですね」


海未「なんと言っていたのですか?」


穂乃果「ついに弱点を掴んだとか!」


絵里「そううまくいけばいいけど……」


希「………?」


希(凛ちゃん………?)


凛「……かよちんが……」


















凛「事故で病院に運ばれたって」
















ドタバタドタバタ!


にこ「ちょっと、病院では静かにしなさいよ」


凛「かよちんは!!」


にこ「だから落ち着きなさいって……」


凛「答えて!!」ガッ


にこ「うぐっ……!」


穂乃果「待って凛ちゃん、とりあえず話聞こ?」


凛「かよちん…かよちんはどこ!!」


にこ「………大したことはないわ」


凛「……へ?」


にこ「私だって初めから見てたわけじゃないけど……」


にこ「子供が轢かれそうになってるところに花陽が飛び込んで、無事助けられたのよ」


希「お~、花陽ちゃんやるなぁ」


にこ「車との接触はなかったんだけど……」


凛「だけど……?」


にこ「倒れた拍子に肩を強打したのと、助けられた安心感からあの子……気絶しちゃったのよね」


凛「気絶……」


にこ「もしかしたら頭でも打ってたんじゃないかって急いで救急車を呼んだわけ」
















凛「よ……よかったぁぁぁ」ヘナヘナァ……


絵里「ずっと誰よりも心配してたものね」


凛「当たり前だにゃ!」


海未「花陽の体は大丈夫なのですか?」


にこ「もう目が覚めてるから軽く治療を受けてるわ」


ことり「花陽ちゃんまで出れないなんてことになったら……」


穂乃果「フラグだよそれ……」


にこ「………」


にこ「花陽の肩の具合も心配だけど何より……」ガタッ


希「ちょ……にこっち……!」


にこ「………」


にこ「……ごめん、にこが一番近くにいたのに……」ペコッ


にこ「こんなこと言いたくはないけど」


にこ「………一歩間違えば取り返しのつかないことになっていたかもしれない」


にこ「だから……」

















「それは違うよにこちゃん」


にこ「!あんた……!」


凛「かよちーん!!」バッ!


真姫「凛!!タイムターイム!!」グググッ


希「今飛びついたら完全にアウトやからぁ!!」グググッ


凛「よがっだよぉぉ……!!!」ダー!


花陽「ふふ、鼻水垂れてるよ」スッ


ピキッ


花陽「っ……!」


絵里「……肩、ひどいの?」


花陽「………」


「また会ったわね」


絵里「!」クルッ



凛「あー!医務室のお姉さん!!」


女性「久しぶりね、星空さん」


凛「ここのお医者さんだったんですね!」


女性「ええ、まさかまたあなたたちを担当するとは思ってなかったけど……」


女性「どう、調子は?」


凛「はい!ずっと安静です!」


女性「大丈夫、決勝までには治るわ」


絵里「すみません、少しいいですか」


女性「なにかしら?」


絵里「……花陽は……大丈夫なんですか?」


女性「………」チラッ


花陽「……」フルフル


女性「……」フゥ……


女性(まぁ、自分からは言いにくいわよね)


女性「………小泉さんは………」


みんな「…………」

















女性「1週間絶対安静です」


海未「なっ……」


絵里「ってことは……」


にこ「ちょっと………」ガタッ


にこ「あんたわざと私たちをはめようってんじゃないでしょうね!!」ツカツカ


女性「………」


海未「にこ!!」ガッ


にこ「だってそうじゃない!!凛に続いて花陽まで抜けるなんて……」


凛「………」


花陽「………」


にこ「………そんなの………あんまりじゃない……」


女性「無理をすれば小泉さんも星空さんも試合に出られるかもしれない」


にこ「!」


女性「でもそのせいで体に障害が残ってしまった時、誰が責任を取るの?」


女性「誰が一番悲しむの?」


にこ「………っ」


女性「私が担当になったからには、そんな子を絶対出させはしない」


みんな「……」


海未「………」














海未「私は凛に言いました」


みんな「!」


海未「私たちがそんなに頼りないのか、一試合を任せられないほど弱く見えるのか、と」


凛「………」


海未「私たちのするべきことは落ち込むことでも怒ることでもありません」


海未「前を向いて、決勝への切符を手にすることです」


海未「落ち込んでいたって二人の怪我は治りませんから」


みんな「………」


女性(……今時の高校生ってドラマみたいなこと言うのね……)


海未「………」


みんな「………」




















海未「……て……いう感じのこと、を……思ってるんですけど……」


にこ「……ん?」


海未「………だから……えと……」


希(おやおや?)


海未「…その……」


海未「…………」

















海未「……この空気なんとかなりませんか?/////」カァァ


みんな「………」……フ

















みんな「あっはははは!!」


海未「わ、笑わないでください!!///」


希「いいこと言ったと思ったら急に照れるんやもん、かわええなぁ海未ちゃん」ワシワシ


真姫「ヴェェ!?なんでその流れで私の胸を揉むのよ!!」


ことり「良いではないか、良いではないか」ジリジリ


真姫「いやぁぁ!!」


穂乃果「あっはははは!」


にこ「というかあれぐらいで真っ赤になる?普通」


海未「みなさんが黙ってしまうからじゃないですかぁぁぁ!!!///////」


ワーワーキャーキャー


















女性「………強いのね、あなたたちは」


花陽「伊達に準決勝まで来てるわけじゃないですからね」


女性「みんなは小さい時から一緒なの?」


凛「凛とかよちん、それと二年生3人以外は高校で知り合ったんですよ」


女性(それでこの信頼感……)


女性(事故にあったと聞いた時、みんなで駆けつけてくる思いやり……)


女性(この子たちなら本当に………なんてね)


凛「あれ?そういえばかよちんメガネは?」


花陽「事故の時に割れちゃったみたい……」


花陽「粉々になったメガネが枕元に置いてたから……」


凛「それは災難だにゃ~……」


凛「でもメガネのないかよちんもかわいいにゃ~!」


ことり「うん!すっごくかわいい!」


にこ「いっそコンタクトにしてみるのもアリかもしれないわね」


花陽「え、え?」


海未「コンタクトの方がスポーツの時楽でしょうし、悪くないかもしれませんね」


花陽「え、えーっと……?」アワワワ


凛「かよちんコンタクトデビューだにゃー!」


花陽(わ、私喋ってないのにどんどん話しが進んでいく……!)


「あの………」
















みんな「ん?」クルッ


「っ……!」ビクッ


穂乃果「……子供?」


ことり「サラサラの綺麗な黒髪だね~」


凛「どうしたのかにゃ?」


子供「……えと……その……」














スッ


絵里「ふふ、ゆっくりで大丈夫よ」


子供「……!はい!」


にこ(子供と話すときは目線を合わせる、わかってるわね)


絵里「礼儀正しくて偉いわね」ナデナデ


子供「~~!」


ことり(スキンシップを交えて警戒心を解く、さすが絵里ちゃん)


子供「あの、お名前を……」


絵里「名前?私の?」


子供「は、はい!」


絵里「んー、そうねー……」


絵里「……!」


絵里「私の名前はね………」


子供「………」


絵里「エリーチカよ」


希「ブフゥ……!!」


ことり「うわぁぁ……!」


真姫「希汚い!!」


希「だって……不意打ちは卑怯やん……」プルプル


真姫「はぁ!?」


子供「エリー……チカ……」


絵里「ええ」


子供「エリーチカ……」キラキラ


絵里「ふふ、気に入ってもらえたようでよかったわ」



絵里「それで、用事って私の名前が知りたかったの?」


子供「え、えっと……!い、妹が……」


絵里「妹?」


子供「赤い髪の………妹がここにいると聞いたので……」


絵里「……?」


花陽「あ!もしかして事故の時の?」


子供「は、はい!そうです!!」


子供「今どこに……」


「こら、勝手に歩き回ったらだめですよ」














子供「ご、ごめんなさい……」


絵里「この子のお母様ですか?」


母親「はい、この度はご迷惑をおかけしてすみません」


母親「これ、大した額ではありませんが治療費に……」スッ


花陽「いや……!本当に大丈夫です!!」


母親「こういうときは受け取っていただいた方が嬉しいものですよ」


花陽「……では、いただきます……」


母親「はい、ありがとうございます」


花陽(明らかに治療費以上入ってる……)


母親「………」


花陽「……?」


母親「本当にごめんなさい」ペコッ


花陽「えっ…えっ……?」


母親「貴方達今、大会中なのでしょう?」


花陽「!知ってるんですか!?」


母親「私個人、サッカーがとても好きなのでよく見ているんですよ」


花陽「へ~……」


花陽「ということはこの辺にお住まいなんですか?」


母親「いえいえ、今日は仕事で地方から出てきたんです」


母親「普段はケータイで観戦させていただいています」


花陽「なるほど……」



母親「私がいうのもおかしな事かもしれませんが、ずっと応援してきました、音の木坂の皆さん」


みんな「!!」


母親「そのメンバーにこんな仕打ちを……本当にごめんなさい」ペコッ


みんな「………」


花陽「……気にしないでください」


みんな「!」


母親「小泉さん……」


花陽「音の木坂は強いですから」


花陽「絶対優勝してみせます」


みんな「………ぉぉ~」


花陽「…………」

















花陽「………//////」ボンッ……!


花陽「………恥ずかしいね、海未ちゃん///」カァァ


海未「花陽、わかってくれましたか…!」


にこ「どうしてあんたらはいつもいい雰囲気で終われないのよ」


凛「凛はこんなかよちんも好きにゃ~」


穂乃果「よし!じゃああんまり長居してもあれだし帰ろー!」


みんな「おー!」


女性「病院内ではお静かに」


みんな「……おー……!」ヒソッ


絵里「妹、大事にしてあげてね」パチッ(ウインク)


子供「ぅっ……!」ドキンッ!


ゾロゾロ
















母親「……強い方々でしたね」


子供「エリーチカ……かっこよかったですわぁ……」うっとり


「お、おねいちゃぁ!!」ダダダッ


子供「!!怪我はない??痛いところは……!!」


妹「ううん、だいじょぶ……」


妹「……でも」ウルッ……


妹「怖かったよぉぉ……!!!」ポロポロ


子供「はいはい、もう大丈夫よ」ナデナデ


母親「……貴方を助けてくれた方ね、小泉花陽さんというのですよ」


妹「小泉……花陽しゃん?」


母親「覚えておきなさい、貴方の命の恩人ですよ」


妹「……花陽……しゃん」












凛「ラーメンいくにゃー!」


穂乃果「アブラマシマシー!」


海未「おやめなさい、この間も気分悪そうにしていたではありませんか」


にこ「あんなの食べたら太っちゃうわ」


希「にこっちはもう少し太った方がええんやない?」


にこ「どこ見て言ってんのよ!!」


花陽「ふふ」


花陽(………そういえばあの姉妹の瞳、綺麗だったなぁ……)


花陽(まるで……)

















花陽「宝石みたいにキラキラ輝いてた」

















ハンバーガーショップ


凛「結局ここになるよね」


海未「値段もお手軽ですし、ラーメン屋より長居ができますからね」


海未「まず、花陽と凛のいないフォーメーションを考えましょう」


真姫「二年生の人たちが入るんでしょう?」


絵里「ええ、でも雪穂ちゃんと亜里沙のポジションも変更した方がいいかもね」


花陽「今まで私が真ん中だったんだけど、二人に真ん中を固めて貰った方が安心かな」


海未「それが良さそうですね、穂乃果はどう思いますか?」


穂乃果「まって!!」


海未「?」


穂乃果「……まだ………」
















穂乃果「まだポテトが来てない」


海未「ではこれで行きましょうか」


穂乃果「冗談じゃん!!」


ことり「チキンクリスプ美味しいよね」モグモグ


希「安いのにこの美味しさは一人暮らしに嬉しいなぁ」モグモグ


凛「……共食……ムグゥ…!!!」


真姫「貴方学習しなさいよ!!」グググッ


にこ「あーシェイク美味しいにこ~」


真姫「にこちゃんはまた苺?」


にこ「そ!あまーいあまーいストロベリー!」


真姫「まあなんでもいいんだけど」


にこ「やめなさいよすぐ興味なくすの!!」
















数時間後ハンバーガーショップ前


穂乃果「みんな、二人が出られなくてもやることは変わらない」


穂乃果「絶対勝って、みんなで決勝にいくよ!!」


みんな「おー!」


穂乃果「それじゃあ解散!」


穂乃果「凛ちゃんと花陽ちゃんに誰か付き添ってあげてくれないかな」


にこ「じゃあにこが行くわ」


穂乃果「ありがと!それじゃあ今度こそ、解散!」















夜中


ドゴォォォォォ!!!


穂乃果「はぁ……はぁ……」ズズ…ズ……


穂乃果(あと少し、あと少しでイメージが掴めそう……)


ブン……!
















公園


タッタッタッ


真姫絵里【ファイアブリザード!!】


ドゴォォォォォ!!!


ゴォォォォ……!


ォォォ……













テンテンテン……


真姫「もう一回……」


絵里「ええ!」





ブワァァァ ブワァァァ


ドゴォォォォォ!!!
















別の公園


凛「……ふふ、凛たち二人とも試合に出れないなんてね」


花陽「も~、笑い事じゃないよぉ……」


凛「……あはは、たしかに」


花陽「……勝ってほしいね」


凛「違うよかよちんも」


花陽「?」


凛「勝つんだよ、みんなで」


花陽「凛ちゃん……」


凛「………」


凛「………」


凛「………//////」カァァァ


凛「………恥ずかしいね、これ////」


花陽「ようこそこちら側へ」


凛「いやだにゃ~」
















希宅


フー、フー


ズズズッ………


希「…………っはー」


希「………」


希「甘………」
















絵里宅


絵里「ただいまー」


亜里沙「お帰りお姉ちゃん!遅かったね」


絵里「……ちょっと色々あってね」


亜里沙「ふーん?」


絵里「そうだ亜里沙」


絵里「貴方次の試合、雪穂ちゃんと花陽の場所に入ってくれる?」


亜里沙「……え?」


絵里「少し不安かもしれないけど、亜里沙なら大丈夫よ」


亜里沙「じゃ、じゃなくて!………花陽さんは?」


絵里「……少し肩を怪我しちゃって出れないのよ」


亜里沙「そんな………」


絵里「私たちの後ろ、任せたわよ」ポン


亜里沙「…….うん」

















プルルルル


ピッ


亜里沙「雪穂」


雪穂「やっぱりかけてくると思った、聞いたよ花陽さんのこと」


雪穂「ほんとにびっくりだよね」


亜里沙「うん……」


雪穂「びっくりしすぎておでん缶食べちゃったもん」


亜里沙「なんで悪いことみたいに言うの?」


雪穂「え、いやぁ……えへへ」


亜里沙「ごまかした……!」


雪穂「それは置いといて、今は花陽さんのことだよ」


亜里沙「大丈夫かな……」


雪穂「決勝には出れそうだし大丈夫でしょ!」


亜里沙「そっか……」















雪穂「それより私たちの心配をしないとだよ」


亜里沙「……亜里沙、自信ない」


雪穂「今まで花陽さんについていってたけど、今度は私たちが引っ張って行かなきゃだからね」


亜里沙「……」


雪穂「大丈夫、花陽さんみたいにできるよきっと」


亜里沙「……うん」


雪穂「よし!それじゃあもう寝よっか」


亜里沙「心配で眠れないよぉ~……」


雪穂「早く寝ないとセーラー服着たおじさんが亜里沙のこと連れてっちゃうかもよ~?」


亜里沙「ヒッ……!」サァァ……!


雪穂「ほら、今も亜里沙の後ろに……」


亜里沙「あ……あぁぁ……!」ガタガタガタガタ


雪穂「……ってまあそれは冗談として」














絵里「……亜里沙?」ポン


亜里沙「うわあああああ!!!!」


絵里「きゃぁぁぁあ!!!」


雪穂「うぇああああ!!!!」キーン…!


亜里沙「いやぁぁぁ!!」ダダダダッ!


絵里「亜里沙!?亜里沙ぁ!」




プツッ



プー、プー、プー、


雪穂「…………やりすぎた」















ことり「準決勝まで1週間もなかったけど、みんな必死に練習しました」


ことり「絶対みんなで決勝に行くんだから!」


ことり「みんな、頑張ろうね!」


ことり「えい、えい、おー!」


ことり「………」


ことり「ちゅんちゅん」


海未「ちゃんちゃんみたいに言わないでください」


ことり「じゃあ海未ちゃんが言ってよ」


海未「えぇ……?」


ことり「ほらせーの!」


海未「ち…ちゃんちゃん!」


ことり「どうして変顔するの?」


海未「してません!!」















穂乃果「あれ、花陽ちゃん予備のメガネあったの?」


花陽「う、うん、コンタクトも持ってはいるんだけどメガネの方が楽だし」


凛「コンタクトのかよちんも見てみたかったにゃ~!」


花陽「ふふ、ごめんね凛ちゃん」















[6、助っ人]



試合当日


穂乃果「いやーきちゃったね、準決勝」


海未「リーダーの貴方が何を言っているのですか、しっかりしてください」


ヒデコ「私とミカが出るよ」


ミカ「よろしく!」


フミコ「迷惑かけないようにしなよ~?」


ヒデコ「あっはは、頑張るよ!」
















希「わしわしー!!」


にこ「どぉうわぁ!?」ワシワシ


にこ「やめなさいよ!!」


ことり「良いではないか、良いではないか」


にこ「ことりも悪ノリしない!」


真姫「ねえにこちゃん、どぉうわぁってアイドルには……」


にこ「誰もがみんな『きゃぁ!』なんて言えると思うなよ!……思うなよ!!」


真姫「そこまで必死にならなくてもいいじゃない」


凛「アイドルも大変だにゃ~………あっ!」(水零し)


バシャァ!


花陽絵里「きゃぁ!」びっしょり……


凛にこ真姫希「……」

花陽「だ、大丈夫、すぐ乾くから」


絵里「も~、気をつけなさいよ?」


凛「……二人はアイドルになれそうだにゃ」


希真姫 コクリ


絵里花陽「?」


にこ「ぬぁんでよぉ!!!」クワッ!


希「アイドルとは思えない顔をしているので自主規制」ピー
















雪穂「……」カキカキ


亜里沙「………」カキカキ


穂乃果「ゆーきほ!何書いてるの?」


ことり「こ、これって………」


凛「そこにあったのは……おびただしい数の……人」


真姫「何ナレーションチックにしてるのよ」


凛「雰囲気出るかなって」


海未「亜里沙、これは一体?」


亜里沙「雪穂に聞いたんです!緊張した時は人を丸呑みにしろって」


絵里「丸呑みはおかしい」


海未「亜里沙、それは手に書いて飲み込めばいいんですよ」


亜里沙「え……じゃあ亜里沙………手を食べないとダメなんですか?」


亜里沙「どうしよう……手、なくなっちゃう……」


穂乃果「そうじゃなくて、飲むフリでいいんだよ!」


雪穂「……ダメだよ」


穂乃果「え?」


雪穂「このプレッシャーは飲むフリなんかじゃ決して改善されない……」ガサガサ


雪穂「……なら!」ガサッ!


亜里沙「うん!」ガサッ!


雪穂「実際に書いて飲み込んじゃえば……」あー……


亜里沙「いただきまー………」あー……


穂乃果「こらこらこらこらぁぁ!!」バッ



穂乃果「なにしてんの!?」ガシッ


穂乃果(……!手が震えてる……)


雪穂「離して!こうでもしないと……」


穂乃果「こんなの食べたって治るわけないじゃん!」


雪穂「!」ハッ


亜里沙「!」ハッ


雪穂亜里沙「……たしかに」


ことり「人は極限状態に陥った時、突拍子もない行動をしてしまうんだね……」


にこ「雪穂まであんな風になるなんて……」


希「……それだけこの試合へのプレッシャーが強いってことかな……」


絵里「大丈夫よ亜里沙」


亜里沙「おねーちゃん?」


絵里「もし失敗しても、みんなで支えあえばいい」


絵里「私たちがついてるわ」ニコッ


亜里沙「お姉ちゃん……!」パァァァァ!


絵里「はい、元気になるおまじない」チュッ


亜里沙「えへへ…!」















にこ「姉妹でおでこにキス……さすがアメリカンね」


希「ロシア」


にこ「どっちも似たようなもんじゃない」


希「全く違う」


穂乃果「雪穂!」


雪穂「?」クルッ


穂乃果「んちゅ~!」ガバッ


雪穂「いやあぁぁぁ!!!」バッシィィン!!


穂乃果「ひでぶっ!!」ドサッ


雪穂「な、な、なにしようとしてんの!?」


穂乃果「緊張を和らげてあげようと……」


雪穂「今口狙ってたよね!?おでこじゃなくて!」


穂乃果「冗談だったのに」


雪穂「いや、目がマジだった」


穂乃果「……ふふ、手を見てごらん雪穂」


雪穂「は?………ぁ…」


穂乃果「大丈夫、雪穂は私の妹なんだから」クシャクシャ


雪穂「……なにそれ」ボサァ……


穂乃果 ニッ


穂乃果「よしみんな!」バッ


穂乃果「最初から実績なんてなにもない穂乃果たちにとって、負けて失うものなんてなにもない」


穂乃果「全力を出し切れ!」


みんな「おおぉぉぉぉおお!!!!!」

















穂乃果「………いや、割とあるか、失うもの」


海未「終わった後そういうこと言うのやめなさい!!」










勝「ちょっとまぐれで勝ち上がってきたからって調子に乗りすぎっしょ」


友「僕たちとの差がどれだけあるか、わからせてあげましょう」


努「俺たちの本命はUTXだけだしな」


西垣「………」














角間「さぁやってまいりましたフットボールフロンティア準決勝、音の木坂対木戸川清修!!」


角間「決勝へはすでにUTX高校が勝ち進んでおります!」


角間「決勝でUTX高校と戦うのはどちらのチームだぁ!?」


にこ「……UTXが幾つで勝ち上がったか知りたい?」


海未「……はい……いいえ」


にこ「6対0よ」


海未「……はぁ」




ピーーーーーーー


角間「木戸川清修ボールでキックオフです!!」



ドッ


勝「おらおらぉ!」タッタッタッ


海未「はぁぁ!!」ズザザッ!


勝「甘すぎっしょ!」バッ


勝「友!」ドッ


友「ふふ…」バッ


友「!?」


ことり「てやぁ!!」ガッ


角間「南パスボールを弾いたぁ!!ルーズボールは矢澤が拾ったぞぉ!!」


にこ「絵里、上がりなさい!」


絵里「ええ!」


にこ「ふっ!」ザッ ザザッ!


茂木「!」ガクッ


角間「矢澤抜いたぁ!絢瀬、絶好のポジショニングです!」


勝「ちょ、まじ…!?」


にこ「絵里!」ドッ













絵里「……吹き荒れろ……」パキパキパキ








絵里【エターナルブリザード!!】


ドゴォォォォォォォ!!!!!


角間「先に攻撃を仕掛けたのは音の木坂だぁ!!」


軟山「……!」


西垣「させるかぁ!!」バッ











西垣【スピニングカット!!】


ズシュゥゥゥゥ………!!


ブワァァァァァァ!!!!!!














シュルルルルルル………!


………テンテンテン


西垣「どうだ!!」トッ











ワァァァァァァァァァァ!!!!!


角間「木戸川西垣、シュートブロックで見事、ピンチを凌ぎました!」


にこ「ちょっと!人の技とってんじゃないわよ!」


西垣「うるさい!この技は元々俺が先に考えてたんだ!」


にこ「はぁ~??ニコの方が先ですぅ~」


西垣「俺だ!!」


にこ「にこ!!」


西垣「俺……」


友「いいから早くしてくれませんかね!?」


西垣「……!」ハッ


西垣「わ、悪い…」ドッ


友「全く……」トッ


西垣「………あの技は、この試合で勝った方のものってことでどうだ?」


にこ「……ふん、面白いじゃない」














友 タッタッタッ


角間「再びドリブルで上がっていく武方三兄弟!」


海未「ディフェンス!!」


雪穂(……花陽さんならこのタイミングで……!!)ダッ


亜里沙(動き出すはず!)ダッ















ゴチンッ!!


雪穂「うぐっ……!!」ドサッ


亜里沙「いっ…!?」ドサッ


穂乃果「雪穂!」


絵里「亜里沙!」


友「バカすぎでしょう……」


友「努!」ドッ!


海未「しまった…!!」















グルグルグル


穂乃果「これ……杉森さんの…!」


努【バックトルネード!!】ドキュッ


ゴォォォォォオ!!!!












海未「穂乃果!!」


穂乃果 コク……


穂乃果「はぁ……!!」バッ


ゴォォォォォオ!!!!!















パチッ………パチッ………


穂乃果「!」


穂乃果(……分かる……みんなの力がパズルみたいに集まってくるのが……)


パチッ……パチッ……












パチッ………


穂乃果(……あと一つ足りない……)


穂乃果(多分これが……足りない最後の一ピース……)


穂乃果(それがなんなのかはわからない………)














穂乃果【マジン・ザ・ハンド!】


ドギュルルルルルル!!!!


シュゥゥゥゥ…………!!


穂乃果「……よし!」


角間「止ぉめたぁぁぁ!!!!真正面から武方のシュートを受け止めましたぁ!!」


花陽「ナイス穂乃果ちゃん!!」


凛「乗ってきたにゃー!」
















希「ふふ、グラウンドの外にいるのに一緒に戦ってるみたいやね」


絵里「ほんとにね」


穂乃果「亜里沙ちゃん!」ドッ


亜里沙「ほっ…!」トッ チラッ


亜里沙(……敵が近くにいるけど……もう少し持ち込めるかな)


ミカ「亜里沙ちゃん!こっちに……」


亜里沙 ダッ!


ミカ「ちょっ……!」


花陽「!」


角間「音の木坂絢瀬、武方に向かってかけていく!!」


亜里沙「っ……ふっ…!!」スゥー……クルッ、ダッ!


友「そんな……!?」ガクッ


努「ガキのくせに……」ガクッ


角間「まとめて二人を抜いたぁ!!」


花陽(少し強引すぎる……)



海未「亜里沙!あまり無理をしては……」


勝「調子乗りすぎ………みたいなぁ!!」ガッ


亜里沙「!?」ガクッ


角間「おぉーっと!?流石に無茶だったかぁ!武方勝に奪われてしまったぁ!!」


ことり「あちゃー……」


にこ「呑気に構えてる場合じゃないでしょうが……!」


勝「まさかのチャンス到来……みたいなぁ!?」ダッ!


雪穂亜里沙「あっ……!」

















ヒデコ「みたいなみたいなうるっさい!!」ズザザッ!


勝「ぬぉお!?」ドサッ


ヒデコ「よっ!」ドッ!


角間「ここは大きくクリアしました、木戸川西垣へとボールが移ります!」


穂乃果「いいよヒデコ!」


ヒデコ「任せてよ!」


西垣「もう一度だ!」ドッ


茂木 トッ


海未「行かせません」ザッ


茂木「!」ザッ クルッ!


海未(…甘い!)ガッ!


茂木「…っち…!」グラッ……

















グイッ!


海未「!?」ドサッ!


海未(い…たた……今のはファールではないのですね……)


角間「茂木が強引にドリブル突破ぁ!!笛はなっていません!」


茂木(……前線にパスを……)バッ














ぞくっ…














茂木「!?」ドッ!


勝「まかせろ!」トッ


にこ「させないわよ!!」










にこ西垣【スピニングカット!】


ズシュゥゥゥゥ……!!!


シュゥゥゥゥ………


勝「うぉ~……!危機一髪……みたいな?」


にこ「邪魔すんじゃないわよ!」


西垣「お前が俺の技をとるからだ!!」


にこ「だからにこのだっていってんでしょうが!」


西垣「俺のだ!」


にこ「にこ!」


西垣「俺……」


友海未「それ今じゃないといけませんかね!?」


西垣にこ「……ごめん」

















茂木「………?」キョロッ


茂木(…今のは……?)













ことり「………」ジーーーーーー……

















勝「このまま先取点はいただきっしょ!」タッタッタッ


雪穂亜里沙「行かせない!!」ザッ


勝「ガキンチョなんかに負けるわけない、みたいなぁ!?」ダッ!


雪穂(……この距離なら亜里沙が先に行って……)


亜里沙(……雪穂が先に行って……)


雪穂亜里沙(私(亜里沙)は横からスライディングの形がベスト!)バッ


勝「……ん?」


タッタッタッ


花陽「………え?」


にこ「んなっ……!?」


雪穂亜里沙「あ」
















角間「……武方勝抜いたぁぁぁ!?」


角間「DFの高坂と絢瀬が左右に走り、その間を武方勝が悠々駆け抜けていく!!」


角間「ゴール前で完全にフリーだぁぁ!!」


勝「いくぜぇ!!」バッ











グルグルグル


勝【バックトルネード!!】ドキュッ!!


ゴォォォォォオ!!!!!













穂乃果「はぁぁ!!」グッ


ゴォォォォォオ!!!








パチッ……パチッ……


穂乃果(……そうだ、たとえこの最後のピースがわからなくても)


穂乃果(ほかのピースを大きくすれば、この穴を補えるんじゃ……?)


ググググッ














穂乃果【マジン・ザ・ハンド!!】


シュルルルルルル………!!!


シュゥゥゥゥ……!!


穂乃果「……少し、パワーアップした……!」


ピクッ…!


穂乃果「っ……いつもより体に負荷がかかる……か」


監督「………」


角間「またもや止めたぁ!!これは頼もしいぞ!!」


角間「前半は残り半分ほど、先取点を勝ち取るのはどちらのチームだぁ!?」


にこ「……そんなに大した差はないけど……」


海未「……一つ……課題ですかね」















雪穂亜里沙「ヒデコ先輩!」


ヒデコ「ん…んん!?」ピクッ


雪穂「右の人マークです!」


亜里沙「左の人マークしてください!」


ヒデコ「おぉっと……?」ピタッ


海未「……はぉ…」


海未「ヒデコ!目の前の方をマークしてください!」


ヒデコ「了解!」ダッ!


雪穂亜里沙「あっ……」

















雪穂「とめる!」ザッ!


勝「!」ピタッ


雪穂(よし…!この隙に亜里沙が……)チラッ


亜里沙「え、そっち!?」ザザッ


雪穂(なっ…!逆!?)


勝「何ぼーっとしてんだ、みたいなぁ!」ダッ!


雪穂亜里沙「あっ…!」


角間「どうしたどうしたぁ!?ディフェンスが噛み合ってないぞぉ!!」


希「……花陽ちゃんたちの穴は虫歯みたいなものってことかな」


真姫「……どういうこと?」


希「ぱっと見た感じはそこまで大きくないけど中身は大穴が空いてるってやつ」


真姫「……言いたいことはわかったけど虫歯って……」


希「いや~、他にいいのが浮かばなくて……」















ミカ「お願いします!」ドッ


希「了解!」トッ


茂木 ザッ


希「………いくよぉ!!」バッ!












クルッ スタッ


希【イリュージョンボール】


茂木「!?」ガクッ


角間「抜いたぁ!!ドリブルで上がっていく!」


希「真姫ちゃん!」ドッ!


真姫「ええ!」トッ















真姫「ふっ」ダンッ!


グルグルグル


真姫【ファイアトルネード!!】ドキュッ!!


ゴォォォォォオ!!!!!














西垣「させるかよ!」バッ


西垣にこ【スピニングカット!】


ズシュゥゥゥゥ……!!!


シュゥゥゥゥ………


角間「こ、これはぁ!!西垣の必殺技を相殺したぁ!?」


西垣「っち……」


にこ「いやーん!お顔が怖いにこ~」


ゴォォォォォオ!!!


軟山「………!」グッ
















軟山【タフネスブロック!!】フンッ!


シュルルルルルル!!!!


ボンッ!


角間「これもキーパー軟山、見事なブロックです!!」


勝「よっしゃー!ナイスセーブっしょ!」


真姫「……!」スタッ


ピッピッピーーーーーー


角間「ここで前半終了のホイッスル!両者無得点で前半を終えました!」















雪穂亜里沙 ズーーーン………


にこ「あそこだけ負のオーラすごいんだけど……」ゴクゴク


希「こればっかりはなぁ……」パクッ


希「すっぱぁ~!」


真姫「レモンの蜂蜜漬け……ことりのお菓子スキルには驚かされるわね……」パクッ


真姫「っ……!っ……!」スッパー……!


ことり「あ、ごめん……あんまり蜂蜜に漬かってないところだったのかも……」


真姫「み、水…!!」ゴクゴク


真姫「っ……!!」シワシワ


凛「酸っぱいの食べた後にお水飲んだら口の中キュワってなるよね」


にこ「なにそのわけわかんない擬音は」


凛「うまい擬音が出てこなかったにゃ」
















絵里「……ほら、レモンの蜂蜜漬けよ」


亜里沙「……ありがと……」しょんぼり


穂乃果「そんなに落ち込んでないで、後半も頼んだよ!」


雪穂「………うん」しょんぼり


絵里穂乃果「………」うーん……


花陽「どうしたの?」


雪穂亜里沙「!」


花陽「二人らしくなかったけど」


亜里沙「………だって…」


雪穂「……花陽さんの抜けた穴は大きかったってことですよ……」


花陽「二人とも……」












フミコ「………」


フミコ「……」コクッ


ヒデコ「……」


ミカ「……」


ヒデコミカ コクッ
















角間「いよいよ後半が始まります!」


角間「どちらも譲らぬ攻防戦、勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか!!」


希「雪穂ちゃんたち大丈夫かなぁ……」


にこ「それも心配だけど、シュートは大丈夫なの?」


真姫「……あのキーパー思ってたより堅いわね」


絵里「【ホワイトダブルインパクト】なら亜里沙に上がってきてもらわないとだけど、守備がかなり手薄になるわ」


海未「……とりあえず、プレイしながら考えましょう」


ピーーーーーーー


ドッ
















角間「始まりましたぁ!!」


絵里「ことり!」ドッ


ことり「うん!」トッ


茂木 ザッ


ことり「………!」うーん……


タッタッタッ


ことり「……!海未ちゃん!」ドッ!


海未「はっ!」ドッ!


ことり「さすが海未ちゃん!」トッ


角間「南、園田の連携で突破していく!!」


凛「いけー!」


ことり「にこちゃん!」ドッ


にこ「任せなさい!」トッ


西垣「ここで白黒つけてやる!!」ザッ


にこ「かかってきなさい!」

















西垣【スピニングカット!】


にこ(きた……!)ガッ


ことり(……これ…!)


花陽(相手が技を出す瞬間にバックパス…!)


にこ(にこしか見てないあんたならこれは止めらんないでしょ…!!)


花陽(……でも)


ズシュゥゥゥゥ……!!!!


ブワァァァァァァ!!


にこことり「うわぁぁ!!!」ドサッ


テンテンテン………

















西垣「俺を甘く見過ぎたな」トッ


にこ「……はっ!花持たせてやったのよ」


花陽(あの人はにこちゃんだけじゃない、にこちゃんの左右、後ろ、全ての可能性を考えてた……)


西垣「努!」ドッ!


花陽(どこにでもいる選手じゃない…)














努「いくぜぇ!!」トッ


雪穂「!」バッ


亜里沙「止める!」バッ


雪穂(私が先に突っ込めば亜里沙がサポートしやすいはず…!)


亜里沙(私が先に行けば……!)
















ドガァ!


雪穂亜里沙「うわぁ!」ドサッ


角間「またもや衝突…!!大丈夫かぁ!?」


花陽(自分のことに精一杯で周りが見えてない……!)


勝「いくぞ!!」バッ


友「もちろん!」バッ


努「任せろ!」バッ


にこ「穂乃果、来るわよ!!」


穂乃果「……!」グッ……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


にこ「木戸川の戦略は……ざっくり言うとUTXと同じよ」


穂乃果「UTX?」


花陽「主力、点取り屋を3人置いて後のメンバーは守備に重点を置くことです」


海未「つまり、UTX並みの必殺技を持っている…と」


にこ「その通りよ」


絵里「で、その必殺技っていうのは?」


花陽「………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















勝「てゃあ!」ドキュッ!


努「友!」ドキュ!


友「ふんんん!!」ググッ!


勝「んぐぐ……!!」ググッ!


友「はぁ!!」グンッ!










ドキュッ!!!


ゴォォォォォオ!!!!!!










クルクルクル


スタッ


武方三兄弟【トライアングルZ!!】









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


花陽「ズバリ、【トライアングルZ】です」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー














穂乃果(この技……たしかにUTXと同レベルの迫力……!!)グッ


ゴォォォォォオ!!!!











パチッ……パチッ……


穂乃果(……さっきよりもう少しパズルを大きく……)


ググググッ


ギチッ


穂乃果(…!枠の大きさは決まってるから無理やり大きくしちゃうと……)















穂乃果【マジン・ザ・バンド!!】


ドシュルルルルル!!!!


勝「いけぇ!!」


穂乃果「…っ…ぐぐ…!!」ズズッ


友努「はぁぁ!!」


穂乃果「…っ…!?」ブワッ!












バチィッ…!


勝「よっしゃぁ!!」


ガァン!


努「げっ……」


角間「高坂吹き飛ばされながらもなんとかシュートを弾いたぁ!!」


角間「ボールはゴールポストに直撃、誰がボールを死守するんだぁ!?」


花陽「ナイスセーブ!」


海未「よく止めましたね、穂乃果」


穂乃果「えっへへへ……」ムクッ


ピクピクッ…!


穂乃果(っ……さっきよりも負荷が…!)


ポーン…!
















亜里沙友「はぁ!」バッ


ガッ…!!


亜里沙「きゃぁ…!」ドサッ


テンテン……


勝「ナイス友!」


にこ(まずい……)


にこ「また来るわよ!ディフェンス固めて!!」


雪穂「はい!」ザッ


亜里沙「……はい!」ムクッ


勝「そんなザルなディフェンダーに止められるわけないっしょ!」ヤレヤレ


雪穂(……無視無視)


雪穂(この状況、花陽さんならきっとベストな判断を出せる……)


亜里沙(でも……)


雪穂亜里沙(私(亜里沙)にはもう何が正解なのかわからない……)ザッ……


花陽(二人の足が止まってる……!!)


海未「ヒデコ、ミカ!二人のカバーを……」


海未「!」
















「亜里沙は緑のモヒカン、雪穂はピンクの73をマーク!!」


亜里沙雪穂「!」


ヒデコ「こいつはわたしらに任せて!」


亜里沙雪穂「は、はい!」ダッ!


努友「……っち…!」ジリッ


海未(……私が指示を出す前に……)


勝「……なかなかやるじゃん?」


ヒデコ「あんたらのうち一人でも止めればあの大技は出せないでしょ?」


勝「でもお前みたいな素人に俺を止められるわけない、みたいなぁ!!」ダッ


ヒデコ「止めるのは私じゃないよ」


ヒデコ「ミカ!」バッ


勝「なに…!?」












ミカ「うん!」ダンッ!!


キランッ!















ミカ【シューティングスター!!】


ドゴォォォォッ!!!!


勝「ぐわぁぁぁ!!」ドサッ


角間「DF二人の新必殺技でなんとかピンチをしのいだぁ!!」


角間「しかしまだゴールは目の前、油断はできない!!」


ことり「すごい二人とも!!」


穂乃果「ヒデコー!ミカー!ナイスブロックゥゥ!!!」


ヒデコ「頑張るって言ったでしょ!」


ミカ「ふふん…!」ブイッ


雪穂「ヒデコ先輩、ミカ先輩……ありがとうございます!」


亜里沙「ありがとうございます!」


ヒデコ「二人とも焦りすぎなんだよ、ほら、ミカとボール回してるから少し深呼吸しな」ドッ


ミカ トッ















雪穂 スゥ……ハァ……


雪穂(……たしかにあの大技にはびっくりしたけど、誰かを止めれば打てないなんて簡単にわかるはずなのに……)


亜里沙(どうして気がつかなかったんだろう……)スゥ……ハァ……


雪穂(前半亜里沙と衝突したのもそう、周りが見えてれば衝突なんて回避できたはずなのに……)スゥ……ハァ……


亜里沙(花陽さんの分も……って、気負い過ぎてたのかな……)スゥ……ハァ……


雪穂亜里沙「………」


雪穂亜里沙 スッ
















ヒデコ「……ふふ、落ち着いたかな」ドッ


ミカ「助っ人同士、プレッシャーの重さはよくわかるからね」


ヒデコ「正直まだ足震えてるもん」


ミカ「私も」ドッ


ヒデコ「でもやっぱり……」トッ


雪穂「ください!」タッタッタッ














ヒデコ「後輩の前ではカッコよくいたいものなんだよ!」ドッ!


雪穂「ほっ!」トッ


花陽(……がんばれ、雪穂ちゃん)
















友「多少動きが良くなったぐらいで調子に乗らないことですね!」ザッ


雪穂「………狩の基本って知ってますか?」


友「…は?」


雪穂「決して自分は見つからないこと」フッ


友「き、消えた……!?」
















サァァァァァァァ…………









雪穂「木々のざわめきに足音を隠し」ザザッ


友「ど、どこに……!」キョロッ


雪穂「過ぎ行く風に匂いを隠し」


友(声はするのに姿が見えない……)


雪穂「決して獲物に見つかってはならない」


雪穂【ハンターズハイド】
















タッタッタッ


角間「い、一体何が起こったんだぁ!?」武方友、棒立ちのまま抜かれてしまったぁ!!」


角間「気配を消し、ディフェンダーの目を欺く新必殺技だぁ!!」


勝「なにやってんだよ!!」


友「……消えたんです……」


勝「はぁ!?」


友「……声はするのに……」


勝「…っち…!行くぞ!」ダッ


友「……」タッタッタッ













にこ「……今はあの子らの好きなようにさせるのが一番良さそうね」


希「人が成長する瞬間ってなんでこんなにワクワクするんかなぁ」


にこ「そうね」


希「……いいなぁ」


にこ「?」

















雪穂 タッタッタッ チラッ


亜里沙 コクッ


雪穂「亜里沙!」ドッ!


亜里沙「うん!」トッ


亜里沙「………」















キッ!


バチィ!


絵里「!」


絵里(……了解)ダッ!


真姫「……?」ダッ
















亜里沙(……助っ人として、チームの一員として……)


亜里沙(今、最高のボールを出してみせる……!!)ザッ!


絵里 タッタッタッ


亜里沙「………そこっ!!」ブワァァ……!


パキパキパキパキパキ
















亜里沙【氷の矢!!】


ドキュゥゥゥ!!!!!


角間「こ、これはぁ!?針の穴を通すかのようなロングシュート!!」


角間「一直線に絢瀬の元へ向かって行く!!」


海未「…亜里沙まで新必殺技を…!」


にこ「やるじゃない」


絵里「…っ…はぁ!!」トッ


絵里(あ、やばっ……!)ポーン…!


角間「おおっとトラップミスかぁ!?ポールは高くバウンドしながら木戸川ゴールへ転がって行きます!!」


軟山「……!」グッ


絵里(まずい……!一度トラップして…)


真姫「絵里!そのままダイレクトで行くわよ!!」タッタッタッ


絵里「え、真姫!?」


真姫「はやく!!」


絵里「あぁーもう!わかったわよ!!」ダッ!














絵里 ゴォォォォォオ!!!


真姫 ゴォォォォォオ!!!


フワッ………















ドキュゥゥッッッ!!!


絵里真姫「いっけぇぇぇ!!!」


ゴォォォォォォォォオ!!!!!!!

















角間「こ、これは!?前回の試合で見せた新必殺技です!!」


角間「今回は迷いなくゴールへ向かっていきます!!」


にこ「いけ!!」


希「決まって!!」


軟山【タフネス……】


ゴォォォォォォォオ!!!!!!


軟山「ぅ……うわぁぁ!!!」バッ


ドシュルルルルル………!!!!!












角間「決まったぁぁぁ!!先取点は音の木坂です!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!!


勝「そんな…….ありえないっしょ……」


友「僕たちが……先制?」


努「……このまま終われるかよ……!」
















凛「やったぁ!!一点リードだよ、かよちん!!」


花陽「うん、やったぁ!!」


凛「このままいけば……」


花陽「みんな……頑張って……!」ギュッ!


雪穂(……二人とも……)


亜里沙「雪穂、どうしたの?」


雪穂「……!な、なんでもないよ!」

















希「えりちさっすがぁ~!!」


絵里「……どうして成功したのかしら……」


希「本人がわかってないんかーい……」


真姫「………」クルクル


にこ「真姫も良くやったわ!!」ガバッ


真姫「ヴェェ!!抱きつかないで!!」クルクルクルクル


穂乃果「あの髪の毛くるくるって嬉しさに比例するんだね……」

海未「犬みたいですね」


ことり「海未ちゃん……」


ヒデコ「やったね、二人とも!」


雪穂亜里沙「ありがとうございます!」


穂乃果「穂乃果は鼻が高いよ!」


雪穂「お姉ちゃんは関係ないけどね」


穂乃果「……雪穂がイジワルする……」


絵里「ごめんなさい亜里沙……せっかくのパスをキャッチミスしちゃって……」


亜里沙「ううん、大丈夫!」


亜里沙「次はもっといいパス出して見せるから!」ニコッ


絵里「あぁぁぁもううちの妹ハラショォォォ!!」ナデナデナデ


にこ「戻ってきなさい」


穂乃果「よし、後半残りもこの調子で行くぞー!!」


みんな「おー!」



海未「そういえば穂乃果」


穂乃果「ん?」クルッ


海未「……ナイスセーブ」スッ


穂乃果「…!」


穂乃果「………」


穂乃果「…まあね」スッ、


コツン……!
















雪穂「あ、ヒデコ先輩!」


ヒデコ「どうしたの?」


ミカ「?」


雪穂「私たちから見て先輩たちはいつだってかっこいいですよ!」


ヒデコミカ「……」


亜里沙「左に同じです!」


雪穂「逆かな」


亜里沙「逆?」


雪穂「まあいいや、それじゃあ!」タッタッタッ


亜里沙「待って雪穂~!」タッタッタッ


ヒデコミカ「………」


ヒデコ「………もしかして聞かれてたのかなあの時」


ミカ「……だね」


ヒデコミカ「……………………」


ヒデコミカ「ハッズイ……」


タッタッタッ


ヒデコ「……あれ?雪穂たちが戻ってきた」


雪穂「あの!やりたいことがあるんですけどいいですか!?」


亜里沙「ですか!」


ヒミ「?」











角間「さあ後半まだ時間は残っております!」


角間「木戸川清修が同点ゴールを決めるか、音の木坂が追加点を決めるか、ひと時も目が離せません!!」
















木戸川0-1音の木坂


ピーーーーーーー


ドッ


勝「こんな新参校に負けなんて……」トッ


友「僕たちのプライドが許しません!!」


努「俺たちのトライアングルZは無敵だ!!」


にこ(一度止めてるんだから無敵じゃないけどね)


ことり「このまま逃げ切らせてもらいます!」ザッ


勝「俺たち三兄弟の連携を見せてやる!」ドッ


ドッ、クルッ 、ザザッ!


ことり「さ、3人が入り乱れて何が何だか……」


海未「はぁぁ!!」ズザザッ


努「ふんっ!」ドッ
















ククッ、トッ、クルッ


にこ「こいつら……さっきまでと動きが違う……!」


希「さっきまでは個人技中心だったのに急に連携重視……!」


花陽「……この急激な変化に対応しきれなければ、一気にピンチになる……」


勝「西垣!」ドッ


西垣「おう!」


角間「一度西垣へとボールを戻したぁ!」


にこ「……また会ったわね」


西垣「悪いが相手をする気は……無いんでね!!」ドッ


にこ「なっ……!」


海未「しまった!!」


角間「これは西垣見事なパスだぁ!!敵の意表を突き前線の武方勝へと一直線にボールが向かう!!」


勝「ドンピシャァ……!みたいなぁ!!」トッ


努「いくぜぇ!」


友「覚悟してください!」


にこ「ディフェンスの隙間を……!」


ヒデコミカ雪穂亜里沙「………」















ニヤッ


勝「よっしゃー!!【トライアングル……】」


ピピーーーーーー!!


勝「なっ……?」


審判「オフサイド」バサァ!


三兄弟「はぁ!?」


角間「少し攻め急いだか武方三兄弟!!」


勝(いや……この感じは……)


友「やられましたね」












凛「おふさいどとらっぷ?」


花陽「うん、パスの直前、ディフェンスラインを少しあげることによってオフサイドを誘う高等テクニック」


花陽「一歩間違えると相手のチャンスに変わるし、何よりタイミングが難しいの」


凛「へ~、なんだかすごいにゃー!」


花陽(わからなかったんだね、凛ちゃん……)















真姫「いつの間にそんな作戦………」


絵里「前半の堅さは完全に取れたみたいね」


ヒデコ「ナイスタイミングだったね、雪穂」


雪穂「接客業のお手伝いで、花陽さんほどじゃ無いけど人間観察はしてきましたから」


雪穂「成功してよかったです!」


亜里沙「雪穂、ハラショー!」


雪穂「ふふ、ありがとう亜里沙」


角間「音の木坂ボールで試合再開です!」
















観客席


ツバサ「はやく!試合終わっちゃうわ!」


エレナ「まあそう焦るな、まだ試合時間は残ってる」


ツバサ「でももうほとんど残って無いじゃない!」


あんじゅ「それはツバサが外の屋台でたこ焼きとかアイスとかいっぱい食べてたからじゃない」


ツバサ「そんなことないわ!」(両手にたこ焼き、コーンのアイス、焼きそば)


エレナ「浮かれすぎだろう」


ツバサ「だ、だって前の監督の時は…お祭りとか全然行けなかったから……」


エレナ「……ふぅ…で、試合はどうなんだ?」


ツバサ「そ、そうよ!ええっと……」バッ!


ツバサ「………」


あんじゅ「……ツバサ?」


エレナ「…まさか、負けているのか?」


ツバサ「……1-……0」


ツバサ「勝ってるぅぅ……」ふにやゃぁ…



エレナ「ふふ、よかったなツバサ」


ツバサ「もちろんよ、絶対リベンジするんだから!」


あんじゅ「試合時間もそこまで残ってないしこれで決まりかしら?」


エレナ「……いや、こういう時こそ最後の一発が怖いんだ」


ツバサ「全く……穂乃果さんたちがそんなのにやられるわけないじゃない」


エレナ「もちろん私もそう信じてるよ……おや?」


あんじゅ「どうしたの?」


エレナ「小泉花陽と星空凛がいないな……」


ツバサ「ほんとね、どうしたのかしら……」


エレナ「……」


















勝「今度こそ!」ダッ!


雪穂「止めます!」


亜里沙「ます!」


勝「……来たなザルディフェンダーが…!!」


雪穂(2対1……)


亜里沙(他に味方はなし……)


雪穂亜里沙(花陽さんなら……)


勝「おらぁ!」ダッ!


雪穂亜里沙「……いや」グッ……
















雪穂亜里沙「亜里沙(雪穂)なら!!」バッ!


勝「なっ…!」


雪穂「はぁあ!!」ズザザッ


勝(スライディング……こんなの跳べば)バッ!


ドッ! ビキビキビキ


勝「……!?しまっ……」












カキーン


シャー……!


雪穂【アイスグランド!】トッ


ワァァァァァァァァァァ!!!


角間「前半噛み合わなかったディフェンスがようやく形になって来ました!」


穂乃果「よーし!このまま押し切るよ!」


みんな「おー!」















角間「……さあ、残り時間も少なくなってまいりました……」


角間「一点の重みが増す中、選手たちはどのようなプレイを見せてくれるのでしょうか!」


勝「……もう時間もない……覚悟を決めるしかないみたいだな……」


友「全力の攻撃……絶対とりますよ!」


努「このまま試合終了なんてさせねぇ!!」トッ

海未(……この攻撃が最後の攻撃)

海未「気を抜かないように!!」

ディフェンス陣「はい!!」

勝「おらおらおらぁ!!!」ダッ!

雪穂「止める……!!」ザッ















雪穂【ハンターズネット!!】


ブワァァァァァァ!!!


勝「うわぁ!!」ドサッ


雪穂「よし…!」


テンテン……


友「次は僕の番です!」トッ


亜里沙「行かせません!」ザッ


友「…っ!」


亜里沙「はぁ!」ガガッ!


友「ふっ!」ザザザッ


ガッ ザザッ トトッ ザッ


雪穂「亜里沙!」ダッ


友(…!来ましたね…!!)


凛「……!」ピクッ


花陽「ダメ雪穂ちゃん!!」


友(二人をこれだけ引き付ければ……)チラッ


勝努 コクッ


友「……これが僕たちの、全力の攻撃です!!」ドッ!


雪穂亜里沙「…しまった……!」


穂乃果「っ……!!」グッ


エレナ(……小泉花陽と星空凛がいれば今の隙は生まれなかっただろう……)


エレナ(彼女たちの穴は大きすぎる……)















勝「おりゃぁ!!」ドッ!


努「……っらぁぁ!!」ドッ


友「これが僕たちの……!!」グンッ!













ドキュゥッ!!!


ゴォォォォォォォォオ!!!!!













クルクルクルッ


スタッ


武方三兄弟【トライアングルゼェェット!!!】















ゴォォォォォォォォオ!!!!


ツバサ「……この技……」


エレナ「……私たちのトライペガサスと同等……いや、それ以上だな」


あんじゅ「最後の攻撃ほど怖いものはない、まさにその通りね」


ツバサ「穂乃果さん……」














にこ「こいつら……どこにこんなパワーを…!!」


希「最後の最後に…」


海未「穂乃果!!」















穂乃果「………」スゥ………


穂乃果「………」ハァ………


穂乃果(……怖いけど……)


穂乃果(みんなと決勝に行くため……)


穂乃果(UTXと戦うため……)


ゴォォォォォォォォオ!!!!














穂乃果「やれることは全部やるんだ!!」バッ


パチッ………パチッ……


穂乃果(……みんな今日までずっと頑張ってきた……)


ギチッ…!


穂乃果(みんなを決勝に連れてってあげるんだ……!!)


ギチチッ……!


穂乃果「穂乃果は……リーダーだから!!」グググッ!!












ピシィ……!











花陽「………」


凛「…?どうしたのかよちん?」


花陽「わからない……わからないけど……」












花陽「……嫌な感じ」















穂乃果「ぅ……あぁ……!!」グググッ


穂乃果(結構きつい……けどこれで)グググッ


穂乃果「戦える!!」バッ











穂乃果【マジン・ザ・ハンド!!】


ドギュルルルルルル!!!!


武方三兄弟「いけぇぇぇ!!!」


みんな「とまれぇぇーー!!!!」


穂乃果「はぁぁ!!」グググッ


ズズズッ!


穂乃果(押し……こまれる……!)


武方三兄弟「らぁぁぁ!!!」


ギュルルルルル……!!!


穂乃果「……っ…!ああああぁぁ!!!」グッ!














ッシュゥゥゥゥ………!


穂乃果「………」


みんな「………」


角間「………」


シーーーン…………












角間「………?」


角間「……っ」ハッ













角間「止めたぁぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!!!


角間「武方三兄弟の渾身のシュートを見事、完全に受け止めましたぁ!!」


勝「……冗談っしょ……」


ピッピッピーーーーー!!


角間「ここで試合終了のホイッスル!!決勝へ進出したのは音の木坂だぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!















穂乃果「はぁ…はぁ……」


穂乃果「あっはは……膝が笑ってる……」ガクガク


穂乃果(……少し亀裂が入っただけでこのダメージ……)


穂乃果(完全に壊れるとどうなるんだろう……)チラッ……


穂乃果「……ありがとう、穂乃果のマジンさん」ニコッ


マジン「………」


ドロッ


穂乃果「……え」















海未「穂乃果ぁぁ!!」ガバッ


穂乃果「うぶっ……!」


ことり「穂乃果ちゃん!」ガバッ


穂乃果「か、体がぁぁ!!」ミシミシィ…!


希「いやー何だかんだ勝ったね~」


真姫「…当然よ」クルクル


希「もー素直じゃないな~真姫ちゃんは~」ワシワシ


真姫「当たり前のようにワシらないで!!」


絵里「今日は助っ人メンバーがMVPね」


穂乃果「そうだよ!すっごい良かった!!」



雪穂「そ、そんな……前半迷惑かけちゃったし……」


亜里沙「ありがとうございます!」


ヒデコ「うん、すごく良かった!」


穂乃果「ヒデコとミカもだよ!」


ヒデコ「え?……わぷっ!」ガバッ


穂乃果「日頃からサポートしてくれたり……」


穂乃果「ヒデコたちが助っ人で本当に良かった…!!」


ヒデコ「……も~、なにそれ?まだ決勝残ってるんだよ?」


穂乃果「わかってるよ!でもとにかく伝えたかったの!」


ヒデコ「はいはい、ありがとう」ヤレヤレ


穂乃果「ひどい…!!」ゴーン


海未「それではみなさん、戻りましょうか」


みんな「はーい!」
















人気のない場所


ヒフミ「……っふー……」ドサッ


フミコ「いやー勝てて良かったね~」


ヒデコ「最後は少しひやっとしたけどさすが穂乃果だよね~」


ミカ「わかる~」


ヒデコ「今日穂乃果にお礼言われたんだ、私たちが助っ人でよかったって」


フミコ「あーそれ私も言われたよ、試合出てなかったのに」


ミカ「普段から支えてくれてありがとうって……ね?」


ヒデコ「穂乃果たちといるだけで毎日刺激的なんだから、こっちこそありがとうだよね」


フミコミカ「ねー」


ヒデコ「あぁ……今になってて震えて来た」フルフル


ミカ「うわ、めちゃくちゃプルプルしてる!」あはは!


フミコ「遅すぎでしょ」


ヒデコ「………」


フミコ「ヒデコ?」
















ヒデコ「……今日、さ……試合出るってわかってたけどすごい緊張しててさ」


フミコ「………」


ヒデコ「もし私のミスで負けたらどうしよう……とか、足引っ張っちゃったらどうしよう……とか」


ヒデコ「嫌な想像ばっかり浮かんでてさ……」


ミカ「……」


ヒデコ「でもいざ試合となったら普段試合に出てる後輩の方が空回ってるんだもん」


ヒデコ「それに気づいてからは緊張なんかより何とかしなきゃって気持ちの方が強くなって……」


ヒデコ「試合が終わってみれば」


ヒデコ「後輩からかっこいいって言われて、みんなからもお礼を言われて……」


ヒデコ「私は……物語の脇役、なのに……」




















ポタポタ………


ヒデコ「こんなに幸せでいいのかなぁ……」ポロポロ


ミカ「……うん…いいんだよ、それで」


ヒデコ「ぅ……っ!ズズッ……」ポロポロ


ヒデコ「すっごい……幸せなんだぁ……」ポロポロ


フミコ「友達なんだから助けて当然って思ってたけど、やっぱり……感謝されると嬉しいもんね」ナデナデ


ヒデコ「…っ……わた、し…!」ポロポロ


ヒデコ「っ………」


ヒデコ「このチームの助っ人でよかったぁ!」
















にこ「ちょっとお手洗い行ってくるわ」


希「更衣室で待ってるな~」


にこ「ええ」


凛「アイドルはトイレしないんじゃなかったの?」


にこ「……お化粧直しよ」


凛「でもにこちゃんいつもお化粧してないにゃ~」


にこ「うぐっ……!」


希「やめとき凛ちゃん、アイドルにも色々あるんよ……」


凛「アイドルの闇は深いにゃ~」


バシッ!


凛「いにゃ……!?」


希「凛ちゃんが逃げられへんのをいいことに……」


にこ「すぐ戻るわ」スタスタ
















にこ「えーっと……あ、ここね」スタスタ


にこ「混んでなくて助かったわ……」


「………ちょっといいか?」


にこ「…なによ、今取り込み中……」クルッ


にこ「!」


にこ「……あんた」


西垣「……さっきの試合、俺たちの負けだ」


西垣「約束通り、あの技はお前のものだ」


にこ「……」


にこ「たしかに、私たちが試合に勝ったけど……」


にこ「私はあんたに一度も勝ってない」


西垣「!」


にこ「一勝一敗って事で保留にしといてあげるわ」


西垣「お前……」


にこ「ありがたく思いなさいよ」


西垣「………」














西垣「それだと俺の勝ちでよくないか?」


にこ「はぁ!?あんたそういうこと言うの!?」


西垣「だって個人では勝ってるわけだし……」


にこ「あんたがルール決めたんでしょうが!!」


西墻「そうだけど……」


にこ「そうなのよ!!」


西墻「……まあいいか、今日のところは引き分けだ」


にこ「……ええ」


西墻「決勝、頑張れよ」


にこ「任せなさい」


西墻「それじゃあ」スタスタ


にこ「………」


西墻「……やっぱり俺の勝ちで……」クルッ


にこ「早よ行け!!」














更衣室外


監督「おーい!邪魔にならないように早く行くぞー!」








更衣室


ヒフミ「はーい!」


真姫「ちょっとにこちゃん!私のシーブリーズ勝手に使ったでしょ…!!」


にこ「なによそれぐらいケチくさいわねー、減るもんじゃあるまいし」


真姫「がっつり減ってるから言ってるのよ!!」


希「あ、あれ?胸がきつい……」ググッ


海未「それは私のです!返しなさい!!」バッ


希「ご、ごめん……」


海未「どうせ私は……胸も何もない人間ですよ……」シクシク


希「そこまで卑屈にならなくても……」


絵里「亜里沙、私のマトリョーシカ知らない?」


亜里沙「知らなーい」

















ことり「ほ、穂乃果ちゃん大丈夫?」


穂乃果「ひ、疲労感が…………」ダルー……


雪穂「まぁ……今日は頑張ったからね、手伝ってあげるよ」


穂乃果「ゆぅぅぎぃほおぉ!!!」ダー…!


雪穂「鼻水汚い」


花陽「あれ…ねえ凛ちゃん、あれって……」


凛「どれ?……あーー!!」


穂乃果「どうしたの凛ちゃん?」


凛「あれ!」


穂乃果「あれ?」


凛「あれ!」


穂乃果「あれれ?」


凛「あ……んふふ………ふざけないで!」


穂乃果「ごめんごめん……って……」


穂乃果「えええええ!?」


「!」クルッ


タッタッタッ

















ツバサ「久しぶりね」


穂乃果「どうしてここに……」


ツバサ「あなたたちの試合を見に来たに決まってるじゃない」


穂乃果「………やっと……ここまで来れました」


ツバサ「あとで少し、向こうで話せないかしら」


穂乃果「は、はい!今すぐにでも……!!」バッ


ツバサ「……その格好で出るつもり?」


穂乃果「え?……あっ……////」


海未「穂乃果!!なんという格好でそんなところにいるんですか!早く中に戻りなさい!!」


穂乃果「ご、ごめんなさ~い!!」


穂乃果「それじゃああとで…!」


ツバサ「ええ」フリフリ















穂乃果「えーっと……」キョロキョロ


ツバサ「こっちよ」フリフリ


穂乃果「す、すいません待たせちゃって……」


ツバサ「いいのよ、こっちが急に言い出したんだから」


ツバサ「とりあえず……」スッ


ツバサ「試合お疲れ様、これは私からのプレゼントよ」コトッ


穂乃果「コ、ココア……すみませんまたお奢ってもらって」


ツバサ「ふふ、謝ってばかりね、穂乃果さんは」


穂乃果「あはは……たしかに……?」


穂乃果「穂乃果……さん?」


ツバサ「………?」


ツバサ「………」


ツバサ「……」


ツバサ「…」


ツバサ ハッ
















ツバサ(あああああああやっちゃったぁぁ!!!!!)


ツバサ(いつもエレナたちの前では穂乃果さんって呼んでたからつい癖で……!!癖で…!!)


ツバサ(絶対気持ち悪い先輩と思われた……うわなにこの人急に下の名前で呼んでんのこわっって思われたぁぁ!!)


穂乃果「………」
















ツバサ(その沈黙をやめて!!)


ツバサ(あなたはいつも明るいみんなの太陽高坂穂乃果さんでしょ!?どうしてそんなに静かなのよぉぉ!!)


穂乃果「あの………ツバサ……さん?」


ツバサ(ほらーもう私の名前呼ばれてるーーー!!!)


穂乃果「あのー……ツバサさん?」


ツバサ(ほらもう穂乃果さんが呼んでるじゃない私の名前を!!………?)


ツバサ(……私の……名前?)


ツバサ「……え」


穂乃果「やっと反応してくれた」


ツバサ「あ、その……ごめんなさい、急に名前で呼んだりして」


ツバサ「嫌だったら別に……」


穂乃果「う、嬉しかったです!!」


ツバサ「へ?」


穂乃果「なんだか……少し距離が近くなった気がして……」


穂乃果「私もツバサさんって呼んでいいですか?」


ツバサ「…ええ……もちろんよ」

















ツバサ(えんだぁぁぁぁぁ!!!!)


ツバサ(穂乃果さんと名前で呼びあうことに予想外のタイミングで成功したわ!!)


穂乃果「やったぁ!!嬉しいですツバサさん!」ニコッ


ツバサ(はいはいハラショーハラショー、ベリーハラショーよ、もうなにも思うことはないわ)


ツバサ「…それで話は変わるんだけど……」


ツバサ「小泉さんと星空さんは怪我をしていたの?」


穂乃果「……はい」


穂乃果「でも決勝には出られるので大丈夫です!」


ツバサ「よかった、リベンジするのにメンバーが欠けてたんじゃどうしようもないものね」


穂乃果「リベンジだなんてそんな……」


ツバサ「少なくとも、私たちはそのつもりでここまでやって来たわ」


穂乃果「……」


穂乃果「…試合のスコア、見ました」


ツバサ「試合?」


ツバサ(ああ、私たちのか)


穂乃果「どうやって……あれほど急激に強くなったんですか?」


ツバサ「…………」
















ニコッ


ツバサ「すごく優秀な監督が来てくれたのよ」


穂乃果「監督?」


ツバサ「ええ、その人は……」


「あ、いた……おーい!ツバサさーん!」


ツバサ「……噂をすればね」


穂乃果(あれ?この声……)


お姉さん「こんなところにいたんだ、エレナさんたちが探してたよ」


ツバサ「えぇ~……」


穂乃果(どこかで聞いたような………?)


お姉さん「ほら、早く行って来なよ」


ツバサ「……わかりました」スッ


ツバサ「ごめんなさいね穂乃果さん、決勝、楽しみにしてるわ」


穂乃果「は、はい!こちらこそよろしくお願いします!綺羅さん!」


ツバサ「………」


穂乃果「……?」


穂乃果 ハッ


穂乃果「ツバサさん!!」ブンブン


ツバサ「ええ、また来週」フリフリ


ツバサ(ここで流したら次からまた綺羅さんに戻る上に気まずさから二度とツバサさんと呼ばれることはない…)


ツバサ(危なかった………)
















穂乃果「………」


お姉さん「ごめんね、話の途中だったのに」


穂乃果「いえ、あの……」


お姉さん「なに?」


穂乃果「どこかで会ったことありましたっけ?」


お姉さん「……」


お姉さん「……ふふ」ニコッ


穂乃果「!」


お姉さん「タイヤのトレーニングは順調?」


穂乃果「タイヤ……?」


穂乃果「………!」ハッ















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「ん~…どうすればキーパーの実践的な練習ができるんだろう…」テクテク


???「鉄塔広場のタイヤを使ってみて」ボソッ


穂乃果「へ!?」クルッ


穂乃果「……だれもいない……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「あの時の!!」


お姉さん「やっと思い出してくれたかな」ニコッ


穂乃果「お姉さんのおかげで強くなれました!次の試合、よろしくおねがいします!」ペコッ


お姉さん「まって、これあげる」スッ


穂乃果「これ……チョコ?」


穂乃果(なにか見覚えがあるような……)


お姉さん「食べてみて」


穂乃果「い、いただきます……?」パクッ


お姉さん「あんこ入りだけど」ニヤッ


穂乃果「…!」ムグッ


穂乃果「あんこあきたぁぁ!!」ブンブン


穂乃果「……!」ハッ


穂乃果「……あ、あれ?」キョロキョロ


穂乃果「……どっか行っちゃった……」
















夜の公園


真姫 ブワァァァァ!!


絵里 ブワァァァァ!!


ドキュッ!!


シュルルルルルル……!


テンテンテン……









真姫絵里「………??」


真姫絵里(……わからない)
















夜の公園


真姫 ブワァァァァ!!


絵里 ブワァァァァ!!


ドキュッ!!


シュルルルルルル……!


テンテンテン……









真姫絵里「………??」


真姫絵里(……わからない)















凛宅


凛「………」


凛「……」ピッ


『さぁ始まりましたーーーー世界大会!世界一の称号は一体誰が手に入れるのでしょうか!!』


『ワァァァァァァァァァァ!!!』


凛「………」ジーーーーー


凛「……こう……いや、こんな感じ……?」ブツブツ















[7、繋がり]




試合まで後6日


海未「穂乃果、起きてください、練習行きますよ」


穂乃果「やったぁぁテスト100点~」ムニャムニャ


海未「それは間違いなく夢ですから早く起きてください」


穂乃果「うぅ~……海未ちゃんがいじめる……」


ことり「ほ、穂乃果ちゃん、今日のテストは何点だったの?」


穂乃果「………100点…」


ことり「え!?すごい……!!」


穂乃果「……中の22点……」


ことり「あぁ……」ガクッ


海未「早く支度してください」


穂乃果「はぁ~~い……」ノソノソ
















ピンポンパンポーン!


『校内に残っている生徒に連絡いたします』


『現在、全国大会決勝を迎えている、音の木坂学院サッカー部についてですが……』












海未「……?何か聞いてますか?」


穂乃果「いや?」


ことり「なんだろう……」














『サプライズで全校生徒で応援に行くといっていた件について』


3人「……んん……!?」


『今、全員の出席意志が確認できたこと、チケットが確保できたことをここに報告……え?』


『やばいって……!まだ穂乃果たち教室にいるって……』


ことり「あちゃー……」


『えぇ!?いつもならグラウンドにいる時間じゃ……』


海未「ええ、その通りです」


『絶対穂乃果が寝ぼけてたとかだよ!今日も眠そうだったし!!』


穂乃果「正解」


『ど、どうする?』


『~~!!もういいや!言っちゃえヒデコ!』


『…そうだね!』


『………こほん………穂乃果』


穂乃果「……はい!」


『ごめんね、サプライズのつもりだったけど……』


『でもね穂乃果、穂乃果達はすごい、本当にすごいよ』


『メンバーも足りない、試合にも出られない、誰も見向きもしなかった……そんなサッカー部が……』


『全国のトップにまで上り詰めたんだから』


3人「……」


『もう頑張ってるのは知ってるから、頑張れなんて言わない』


『………』スゥ……


















『思いっきり暴れてこい!!』


3人「…っ……」













ワァァァァァァァァァァ!!!!!


穂乃果「わっ…!」


海未「学校中から歓声が……」


ことり「すご……」


穂乃果「…………練習行きますか!」


海未「ええ」


ことり「ふふふ」















グラウンド


海未「それでは練習を始めたいと思いますが……」チラッ


凛ママ「凛と花陽ちゃんは別メニューな」


凛「えー!?」


花陽ママ「治りたてで無理しちゃうとまたすぐ怪我しちゃうからね~」


花陽「そんなぁ~……」


凛ママ「残りのメンバーはいつものメニューをした後、好きな練習してていいよ」


海未「わかりました」


凛ママ「よし、それじゃあ練習開始!」


みんな「おー!」
















ザッ ザザザッ


海未「ことり、もう少し強引でも構いません」


海未「絶対に取るんだという勢いで来てください」


ことり「で、でもぉ……」


海未「まったく……ことりは優しすぎるんですよ」ヤレヤレ


ことり「うぐっ…!」グサッ


海未「できる限りでいいです、やってみてください」


ことり「う、うん…!」


ことり「………はぁ!」ガガッ!


海未「…!いいですよ、もっとです!」















絵里「真姫、希知らない?」


真姫「さあ、どうせお手洗いとかじゃないの?」


真姫「すぐ戻ってくるわよ」


絵里「……それもそうね、練習続けましょうか」


真姫「ええ、だんだんよくなって来てるし」












自動販売機前


希「………」トッ


トントントーン


希「……」トントン


希「……ほっ!」トトン!


ポーン


希 フワッ


希「………」トッ


希「………」


希「……戻ろ」















穂乃果(……パズルの最後の1ピースの意味がようやくわかった)


穂乃果(けど問題はそこからだね……)ウーン


穂乃果(その最期のピース自体が一体何なのかがわかんないし)


穂乃果(ほかのピースじゃ代わりにはなれない、その歪みはそのまま穂乃果に反映される……)


穂乃果(穂乃果はいったいどこまで耐えられるのかな?)


穂乃果「………」


にこ「ちょっと!もういい?」


穂乃果「ご、ごめんにこちゃん!」アワアワ


にこ「全く、このにこにーがシュートを打ってあげるのよ!ありがたく思いなさい!」


穂乃果「うん!ありがと!」


にこ「…んぐぅ……!」


にこ(海未といい穂乃果といいなんでこんなに素直な奴が多いのよ……!)


にこ(調子狂うわね……)


穂乃果(にこちゃんなんだかんだ言ってすごく丁寧にシュートしてくれるからね~)


にこ「いくわよ!」ザッ


穂乃果「こい!」グッ















練習終わり


海未「穂乃果は今日もあそこですか?」


ことり「みたいだね~」


ことり「お店のお手伝いって言いながら反対方向に走っていっちゃったから…」


ことり「せっかくだし飲み物でも差し入れに行かない?」


海未「いいですね、あそこのコンビニで何か買って行きましょうか」


ことり「やったー!」


海未(おや…前からガラの悪い方達が……)


海未(出来るだけ避けて……)スッ


ドンッ!


海未「!?」ドサッ


ことり「海未ちゃん……!」バッ


海未(今わざと…!!)















チンピラ1「痛ってぇ~!」


チンピラ2「うわこれ折れてんじゃね?」


チンピラ1「うわーまじ折れてる……うぉ!?」


海未(私一人なら逃げられますがことりがいるこの状況では……)


チンピラ1「なにこいつめちゃめちゃ可愛いじゃん!」スッ


海未(…!顎に手を……)


チンピラ2「うわーまじだ!!今からカラオケ行かね?」ガシッ


海未(……肩を馴れ馴れしく……)


海未(せめてことりだけでも……)















「……ねぇ」


チンピラ1「なんだよ……ってうぉぉ!!連れも可愛いじゃん!」


チンピラ2「やっべーやっべー!」


ことり「………」


海未(……!?)ゾクッ


海未「…………こと、り?」


ことり「……ぶつかっちゃってごめんなさい」ペコッ


チンピラ1「いやいや、謝っても腕は治んねーし?」


チンピラ2「いいから俺ら4人で……」




















ことり「ごめんなさい」ニコッ















チンピラ1.2「……っ…」ビクッ


海未「……」


チンピラ1「……し、白けちまったな、行こうぜ」


チンピラ2「あ、ああ……」


タッタッタッ













海未「………こと……」


ことり「怖かったよ~海未ちゃーん!!」ガバッ


海未「ことり!?」


ことり「早く穂乃果ちゃんのとこ行こ?海未ちゃん」


海未「……そうですね」ニコッ
















夕方凛宅


凛ママ「りーん!ご飯だぞー!」


………………


凛ママ「りーん!」


………………


凛ママ「?」
















スタスタスタ


ガチャ


凛ママ「凛!さっきから読んでるの聞こえて……?」


凛「………」(イヤホン)


凛ママ「………」


グイッ ピンピンッ


凛「あっ……ちょっと!」


凛ママ「なに聴いてたんだ?」


凛「聴いてるんじゃなくて見てたの!」


凛ママ「……!それ……」


凛「かっこよくない!?」


凛ママ「………」


凛ママ「…ご飯できてるぞ」


凛「すぐ行く!」バッ


タッタッタッ











凛ママ「………へぇ」


凛ママ(面白いところに目をつけたな、凛)


ケータイ『最後まで余裕の表情です!!!』
















穂乃果宅


穂乃果「ちょっと待っててー」


穂乃果ママ「あんたそれ何度目よ!ご飯冷めちゃうじゃない!」


穂乃果「今行くからぁ!!」


ケータイ『圧倒的な実力差を見せつけたUTX高校ですが……』


穂乃果(……本当に、勝てるのかな……)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


マジン「………」


ドロッ


穂乃果「えっ……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「……!」ブンブン


穂乃果(決勝が近いから不安になってるだけ!大丈夫!)パンパン


穂乃果(みんなに迷惑はかけられないからね)


穂乃果(リーダーらしく、みんなを引っ張っていかないと)


穂乃果「やるぞー!」オー!


雪穂「オーはいいからご・は・ん!!」バンッ!


穂乃果「……はい」
















試合まで後5日


凛「はぁ……はぁ……」


凛(もう少し……捻るのかな?)


凛「……もう一回!」













穂乃果「ふんんん!!!」


ズザザッ!!!


穂乃果「……はぁ……はぁ……」


穂乃果「…もう一回!」


ブンッ!











真姫 ブワァァァ!!


絵里 ブワァァァ!!


真姫絵里【ファイアブリザード!】


ドゴォォォォォォォ!!!


ォォォ………


テンテンテン……


真姫絵里「……もう一回!!」















試合まで後3日


練習後帰り道正門


凛「今日も疲れたにゃ~……」トボトボ


花陽「もう動きたくない……」とぼとぼ


絵里「……私たちより復帰組の方が疲れてるんだけど……」テクテク


凛「もうスパルタなんてもんじゃないにゃ!」


花陽「練習……練習……エヘヘ」


真姫「大丈夫よ、二人の母親がついてるんだから」テクテク


絵里「明らかに大丈夫じゃないのが約1名ね」


海未「そういえば明日から三連休ですね」テクテク


絵里「強引な話題転換嫌いじゃないわよ」


ことり「あーそういえばそうだね!………ってあれ?」


海未「……はい、普段は開いている学校も、長期休みを除いた三連休以上の場合はずっと閉まったままなんです」


穂乃果「じゃあ試合までの三日間は河川敷かな?」


海未「はい、それがいいかと」


花陽「ちょ、ちょっと待って…」ピタッ


みんな「?」ピタッ


花陽「それじゃあ……」


花陽「このメンバーが音の木坂で練習できるのって、今日が最後なんじゃ……」


みんな「……ぁ……」

















海未「……決勝戦が終われば実質三年生は引退になりますし、ここでは最後ということになりますね」


花陽「そんな……」


にこ「何言ってんのよ、ちょくちょく顔出すに決まってるじゃない」


希「えー?でもにこっちにそんな余裕……」


にこ「あるわよ!」


花陽「で、でも……」















穂乃果「学校で合宿だよ!!」


みんな「………は?」


穂乃果「外から入れなくなるなら中にいればいいんだよ!」


海未「……穂乃果、あなたは本当に……」ハァ















絵里「……天才ね」


海未「……はい?」


海未「絵里、今なんと……?」


絵里「外から入れないなら中にいればいい……!!パンがないならお菓子を食べればいいじゃない!!」


海未「あの……絵……」


絵里「やりましょう合宿!!」


海未「絵里ぃぃぃ……」ガクッ


希「ごめんな海未ちゃん、たまにおかしくなるんよこの生徒会長」


凛「合宿だって!かよちん、真姫ちゃん!」


花陽「う、うん……!」


真姫「どうしてわざわざ合宿なんて……」クルクルクルクル


海未ことり「……!」フフ


穂乃果「もちろん嫌だったらこの話はなし!」


穂乃果「無理やり合宿してもつまんないしね!いつも通り河川敷で練習だよ」


真姫「……!」


穂乃果「それじゃあ行くよ!」


穂乃果「やりたい人!」バッ


バババババババッ!

















みんな「………」


真姫「………」


スッ


穂乃果「……満場一致ということで合宿決てーい!」


みんな「いえーい!」


にこ「あっれー?真姫ちゃんは反対だったんじゃなかったのー?」


凛「出た……!久しぶりの親戚のおじさんモード」


絵里「何度見てもしっくりくるわね」


花陽「あわわわ……!」ハラハラ


にこ「ほらほら、教えなさいよ~」


真姫「……」
















真姫「……にこちゃんともっと一緒に居たかったから……ダメ?」


にこ「?……?ぇぇ!?/////」カァァ!


凛「あー!にこちゃん顔真っ赤だにゃー!」


希「にこっちに照れてるー!」


にこ「う、うるさい!見るな!」バッ













真姫 ドヤッ…!


穂乃果「真姫ちゃんもにこちゃんの扱い上手くなったね……」


ことり「役者だね~」


花陽「真姫ちゃん……」


絵里「照れてるところ申し訳ないけど、にこ」


にこ「照れてない!」クルッ


絵里「合宿の申請、どうしましょう」


みんな「あ」















数分後


ことり「うん、うんわかった!!ありがと!!」


ピッ


絵里「どう?」


ことり「申請は1週間前には出さないとダメだったんだけど……」


ことり「もしかしたら自分が確認ミスをしていたかもしれないからって特別に許可してもらえた!」


海未「……ふぅ、さすが理事長ですね」


絵里「ほんとにね……」ヤレヤレ


凛「確認ミスだなんておっちょこちょいだにゃ~」


希「凛ちゃん違う」


穂乃果「それじゃあ一度家に帰ってからまたここに集合!」


みんな「おー!」


穂乃果「2日分の用意持ってきてね!」


穂乃果「最終日は自分の家でゆっくりするとして……」


穂乃果「晩御飯とお風呂は初日だし済ませてよっか!」


希「てことは今日はもう寝るだけやね♪」


穂乃果「そゆこと!」


穂乃果「それじゃあ解散!」


穂乃果「ヒデコたちには私が連絡しとくね!」
















解散後、帰宅途中二年生


ことり「合宿楽しみだね~!」テクテク


穂乃果「うん!いっぱい遊ぼうね!」テクテク


海未「練習です!!」


穂乃果「わかってるよう……」


ことり「それにしても……」


穂乃果海未「?」


ことり「最近の練習ハードだよねぇぇぇ……」ガクッ


穂乃果「あはは……追い込みどきだからかな……」


海未「しかし、確実に力がついているのがわかります、この調子ですよ!」


ことり「ふぇぇ~~ん……!ことりはもっと女の子らしくなろうと思ってたのに……」


海未「今でもことりは十分女の子らしいですよ?」


ことり ブンブン!


ことり「足とか腕には生傷が絶えないし筋肉もついて……」


ことり「もっと女子高生っぽいことしたいよぉ~~~………」


海未「例えばどんなことですか?」
















ことり「みんなで放課後クレープ食べたり…」


海未「してますね」


ことり「学校でおかし食べながらおしゃべりしたり……」


海未「してますね」


ことり「あとはマカロンとかマカロンとかマカロンとか……」


海未「何ですか急に病的なマカロン押しは………」


ことり「ねえねえ、穂乃果ちゃんはどう思う?」


穂乃果「え~?穂乃果はー……」


穂乃果「………」



















穂乃果「結構楽しいよ」
















海未ことり「…………」


海未ことり「……ふふ」ニコッ


海未「私もです」


ことり「ことりも~!」


穂乃果「ほらほら!早く準備しないと遅刻しちゃうよ!」


海未「はいはい、そんなに慌てないでください」
















「お!今帰りかい?」


海未「?」クルッ


穂乃果「あー!八百屋のおばちゃん!」


おばちゃん「もうすぐ決勝戦でしょう?頑張んなよ!」


穂乃果「うん!頑張る!」


おばちゃん「海未ちゃんとことりちゃんもね!」


海未「はい、もちろんです」


ことり「頑張ります!」


おっちゃん「おぉ……!穂むらさん家の子か!大きくなったなぁ!」


穂乃果「おっちゃんは変わらないね!」


おっちゃん「あっはは!口が上手いねぇ!」


おっちゃん「サッカー頑張ってるんだってな、商店街じゃその話で持ちきりだよ!」


穂乃果「もうすぐ決勝なんだ!応援よろしくね!」


おっちゃん「任せろ!商店街のジジババ集めてみんなで行ってやる!」


穂乃果「それは賑やかそうだね……」アハハ……


穂乃果「……っと…時間詰まってるんだった」


穂乃果「それじゃあまたね!おっちゃんおばちゃん!」


「「「頑張れー!」」」


穂乃果「ありがとー!」


海未ことり ペコリ
















学校


穂乃果「みんなお待たせ!」


雪穂「すみません!今日は私のせいで遅くなりました……」ペコッ


絵里「みんな来たところだから大丈夫よ」


亜里沙「雪穂!お泊まり会だよ!お泊まり会!」


雪穂「えへへ……!楽しみだね亜里沙!」


亜里沙「うん!」


穂乃果「ヒデコ達は来れないって~」


海未「用事があるなら仕方ありませんね」


ことり「それじゃあ鍵開けるね~」ガチャッ
















空き教室


絵里「この部屋を主に寝泊まりする部屋にします」


海未「各自荷物をまとめてあそこへ置いてください」


穂乃果「置いた人からみんなの布団を運んでね!」














海未「……っふう」ドサッ


絵里「海未は荷物少ないわね」


海未「ええまあ、自分に特別な手入れは何もしていないので」


海未「最低限の着替えだけです」


絵里(……手入れなしでこんなに肌も髪も綺麗なのね)


海未「絵里?どうしましたか?」


絵里「い、いや…!なんでもないわ、布団敷きましょうか!」


海未「ええ」ニコッ















希「よいしょ……っと!」ドサッ


ポロッ


希「……あっ…」


花陽「……?……!」


花陽「可愛いぬいぐるみ!」


にこ「なにあんた、その年にもなってぬいぐるみと一緒じゃないと寝られないの?」ニヤニヤ


凛「希ちゃんも可愛いところあるにゃ~!」


希「二人も可愛いところあるよ?」ワシワシ


希「あ~!かわいい!」


にこ「この野郎?いでやる!!」ガバッ!


凛「搾り取ってやるにゃぁ!!」ガバッ!


希「ああああ痛い痛い痛い!!」ギリギリギリ


花陽「……痛そう」
















真姫「ことり……あなた枕なんて持って来たの?」


ことり「うん♪これじゃないと眠れないんだぁ」


ことり「触ってみて!」


真姫「いったいどんな……」フニッ


真姫「……!なんだかいい感じね」


ことり「超低反発なの!」


真姫「持参する気持ちもわかるわ」


ことり「でしょ~!」えへへ
















穂乃果「ゆ、雪穂!穂乃果のアレが……」


雪穂「はい歯ブラシ」スッ


穂乃果「さっすが雪穂!」


雪穂「おねーちゃんのやりそうなことはだいたいわかるからね」


穂乃果「いやーそんなに言われると照れちゃうよ?」


雪穂「悪い意味でだけどね」


穂乃果「ゆぅきほ~~!」ガクッ


亜里沙「……ふふ」


穂乃果「あー!今亜里沙ちゃん笑った!?」


亜里沙「ご、ごめんなさい!」アワアワ


亜里沙「雪穂は穂乃果さんの事、本当に大好きなんだなって思って」


雪穂「は、はぁ!?なんで私がおねーちゃんなんか……」


穂乃果「その通り!雪穂はおねーちゃん子だったんだよ?」


雪穂「余計なこと言わなくていいから!」


亜里沙「だから少し雪穂が羨ましいんです」


雪穂「亜里沙には完璧な絵里さんがいるじゃん」


亜里沙「だからなの!」


穂乃果雪穂「?」



亜里沙「おねーちゃんはなんでも一人でできちゃうから…」


亜里沙「穂乃果さんみたいに少し抜けてるおねーちゃんが羨ましいなって!」


雪穂「……」


穂乃果「……」


雪穂「……まぁ、ドンマイ」


穂乃果「ノーガードで右ストレートもらったような衝撃だったよ」


雪穂「上げて落とされたからね」


穂乃果「亜里沙ちゃん……恐ろしい子…!!」


亜里沙「?」キョトン


海未「貴方達いつまでそうしているのですか!」


海未「布団を運んでください!」ドサッ


絵里「……数が凄いわ……」ヨイショ


穂乃果「やっば……!」アワアワ


穂乃果「行くよ!雪穂!亜里沙ちゃん!」


雪穂亜里沙「うん(はい)!」















数分後


凛「これで……最後!」ドサッ


穂乃果「すごーい!」


絵里「流石にこれだけ並べると壮観ね」


穂乃果「………」ウズウズ


花陽「……穂乃果ちゃん?」


穂乃果「~~!もう我慢できない!」バッ


ドサッ
















穂乃果「くるくるくるくる~!」ゴロゴロ


海未「な、何をしているのですか!」


にこ「にこも!」バッ


凛「凛も!」


花陽「り、凛ちゃん…!怒られるよ……!」ガシッ


凛「かよちんもやるにゃー!」ガシッ


花陽「……へ?」


穂乃果「ぐるぐる~!」ゴロゴロ


にこ「あ~~~~!」ゴロゴロ


凛「にゃ~~~!」ゴロゴロ


花陽「ダレカタスケテー!」ゴロゴロ


海未「今すぐやめなさい!穂乃果!」


穂乃果「海未ちゃんも来なよ!気持ちいいから!」


海未「絶対に行きません!」
















数分後


穂乃果「あー楽しかった!」


にこ「子供に戻った気分ね」


希「にこっち見た目はずっと子供痛い痛い痛い」ギリギリ


絵里「ほら、凛と花陽も起きて」


凛花陽「………」


絵里「?二人とも?」


ことり「……!」


ことり「しー……!」

















凛花陽「……んぅ…」スゥ……スゥ……


ことり「…寝ちゃったみたい」ヒソッ


絵里「二人とも疲れてたのね……」


海未「復帰してからは遅れを取り戻すために頑張っていましたから」


凛花陽「……くぅ……」スピー


海未「……私たちも寝ましょうか」


ことり「そうだね!」


真姫「……二人が真ん中で寝てるせいで布団に入れないんだけどどうするの?」


穂乃果「雑魚寝しかないでしょ!」


真姫「……本気?」


穂乃果「本気と書いてマジ、だよ!」


真姫「はぁ…」


海未「……今回は仕方ありませんね」


海未「それではみなさん各々好きな場所で寝てください」



亜里沙「やったー!」


亜里沙「おねーちゃん一緒に寝よ!」


絵里「ええいいわよ」


ことり「ことりは穂乃果ちゃんの隣~!」


穂乃果「えへへ~!久しぶりだねこういうの!」


海未「………」


穂乃果「あれ~?海未ちゃんも来たいの?」


海未「そ、そんなわけないじゃないですか!!」


穂乃果「ほらここ空いてるよ?」ホラホラ


海未「………そこまでしつこく誘われては仕方がありません、私も一緒に寝てあげます」


穂乃果「一回誘っただけなんだけど……」


ことり「海未ちゃん…」


海未「全く仕方ありませんね」ニコニコ


穂乃果ことり(すごく嬉しそう)















真姫(……ここでいいかしら)ゴソッ


真姫(………)スヤァ














にこ(真姫は一年二人に紛れ込んだか……)


にこ「あと残ってるのは……」チラッ
















希「やーん♪そんなに見つめられたら照れるやん!」


雪穂「……っ…」アセアセ


にこ「雪穂、一緒に寝ましょうか」


雪穂「は、はい!」


希「ちょっ…!ウチは!?」


にこ「あんたは草の上で寝てなさいよ」


希「いや誰が牛や」


にこ「あれ、今日は鼻に輪っかつけてないのね」


希「だから誰が牛や……!」


にこ「今日の乳搾りの出来は……」


希「だから誰が牛やぁぁ!!!」ガーッ!


にこ「………」


希「やめぇやピンポイントで乳牛いじりするの!」


希「ウチだって傷つくし……傷つくんやぁ!!」


にこ「……」


希「なんで黙ってるん!?そっちから仕掛けて来たのに!?」


希「仕掛けたけど思った以上に絡んで来たからめんどくさくなったんやろ!?なぁ!」


にこ「……ねぇ」


希「なに!」
















にこ「もう寝ない?」


希「……もういいよ、にこっちはそんな人やったんやね……」


にこ「えぇ……?」


希「……はぁ、離婚前の夫婦ってこんな感じなんやろね」


にこ「いや知んないわよ」


希「おやすみ二人とも、風邪ひかんようにね」


雪穂「お、おやすみなさい……」


にこ「おやすみ~」


三人「……………」


希「あ、そうやにこっち」


にこ「ん?」


希「寝る前に腰痛に効くストレッチしなくて大丈夫?」


にこ「あー、それをやらないと明日がしんどい……って」


にこ「誰がおばあちゃんよ!!」


希「………」


にこ「めんどくさがるな!!」


雪穂「寝ましょうよぉ…」
















試合まであと2日





穂乃果「……んぅ……」ムクッ


穂乃果「………?」シパシパ


穂乃果「……あそっか……合宿……」ボー……


穂乃果「………」キョロキョロ


穂乃果(……みんなまだ寝てる……ってあれ?)


穂乃果「海未ちゃんがいない?」
















ガラッ


海未「おや穂乃果、今日は珍しく早いですね」


穂乃果「どこ行ってたの?」ふわぁ~…!


海未「朝の稽古代わりにランニングをしてきました」


穂乃果「うぇ~……」


海未「穂乃果も行ってきてはどうですか?」


穂乃果「……おやすみなさぁい」スヤァ


海未「おきなさい……!!」ギリギリ


穂乃果「起ぎる起ぎる起ぎるがらぁ…!!」ギリギリ
















絵里「……もうなに?騒がしいわね」ムクッ


海未「絵里、おはようございます」


絵里「おはよう」ふぁ……!


絵里「……!」クンッ


絵里「なんだかいい匂いがするわね」


海未「気づきましたか、実は凛のお母様が朝食を作ってくれているんですよ」


絵里「凛のお母様も来てくださってたの?」


絵里「手伝わなくて大丈夫かしら……」


海未「それより他のメンバーを起こしていただけると助かります」


絵里「わかったわ」


絵里「…んー……!」ノビー















絵里「……どうしてにこは顔にキュウリを貼り付けてるのかしら」


海未「おそらく美容のためでしょう、にこらしいです」


絵里「にこから起こして行くことにするわ」















ニコー、オキナサーイ!アサヨー


海未「………それでは私は……」チラッ


穂乃果「ふひぃ……」スヤァ


海未「このラスボスを攻略しましょうか」














食堂


凛「お腹すいたにゃ~」ふぁ~…!


花陽「スンスン……この匂いは……!」


花陽「魚沼産こしひかり……!!」


にこ「え……?あんた朝からそのテンションで行くつもり?」


花陽「寝ぼけた状態でお米を食べることは失礼に値しますから」キリッ


凛「さっすがかよちんだにゃ~」


にこ「……はぁ、意味わかんない」


希「にこっちアイドルは朝そんなテンションで大丈夫なん?」


にこ「プロはオンとオフがはっきりしてるのよ」


真姫「にこちゃんはいつもオフじゃない」


凛「プロでもないにゃ」


にこ「やめなさい痛いとこ突くの」



ことり「穂乃果ちゃん顔痛くない?」


穂乃果「……うん、らいひょうふ」ヒリヒリ


海未「一体どうしたんでしょうね」


穂乃果「夢で両方のほっぺをつねられる夢を見たよ…」


雪穂「おねーちゃん二度寝するとなかなか起きないからね」


亜里沙「雪穂、このネバネバしたの何?」


雪穂「それは納豆って言って、大豆でできてるんだよ」


亜里沙「ハラショー…!日本には不思議な食べ物があるんだね~」


凛ママ「よーし!みんな揃ったな!」


みんな「はい!」


凛ママ「それじゃあ手を合わせて!」


みんな パンッ!


凛ママ「いただきます!」


みんな「いただきます!」
















朝食終了


凛ママ「ごちそーさまでした!」


みんな「ごちそーさまでした!」


凛ママ「30分後、グラウンド集合!」


みんな「はーい!」













30分後


凛ママ「それじゃあ練習を始める!」


みんな「はい!」
















ハァ…!! ザザッ


テヤァ! バッ


タッタッタッ


ザザッ ガッ!
















お昼


凛ママ「おーい!お昼ご飯にするぞー!」


凛「おにぎりだ!」


凛ママ「時間なかったから手抜きで悪いけどな」


穂乃果「お、美味しそう……」グゥ~~……


凛ママ「手を洗ってこい!」


みんな「はーい!」


穂乃果「ひ、一口だけでも……!!」


海未「はいはい行きますよ」ガシッ


穂乃果「一個だけでもぉ~~……!!」ズルズル


海未「何さりげなく量を増やしているのですか!!」














みんな「いただきまーす!」


凛ママ「そういえばひとつだけ激辛の奴入れておいた」


海未「なんという事してくれたのですか」


凛ママ「遊び心遊び心!」


凛「……はぁ」
















絵里「これ頂こうかしら」スッ


絵里「海苔を巻いてなくてよかったわ」


希「えりち海苔あかんもんなぁ」


ことり「へぇ~、絵里ちゃんにも苦手なものがあったんだ!」


絵里「苦手というか……血筋的に海苔を消化できないのよ」


ことり「あー……お腹壊しちゃうんだね」


絵里「そうなのよ、みんな美味しそうに食べるから食べたいんだけどね……」パクッ


ことり「ほかに苦手はものはないの?」


希「あとは確か……梅干し?」


ことり「ザ、日本って感じのものばかりだね……」


希「日本食は独特なのが多いからなぁ」


希「……って、えりちどうしたん?」


絵里「……うえおいあ…」


ことり「え?」



絵里「梅干しがぁ……」ウルウル


希「あちゃー……」


ことり「よく引き当てたねこの中から……」


希「まだ食べてないしうちのと交換する?」


絵里「あ、ありがと……」パクッ


絵里「………」ピタッ


ことり「今度はなんだったの?」


絵里「………海苔の佃煮」


希「……ブフッ…!」


ことり「ふふ……!」クスッ


絵里「なんでこうなるのよぉ~……」シクシク


希「まさかうちのが海苔の佃煮やったとはなぁ……」


ことり「ことりのは天むすだったからことりのあげる!」


絵里「ごどりぃぃぃ!!」ダーッ!


ことり「………おむすびを譲ってここまで感謝されたのは生まれて初めてかなぁ……」


希「まぁそうそうないやろなぁ……」


絵里「美味しい……!美味しいわ……!!!」モグモグ
















花陽「美味しいです!美味しいです!」パクパクパクパク


海未「は、花陽!?そんなペースで食べていたらみんなの分が……」


花陽「美味しいです!美味しいです!」パクパクパクパク


海未「だ、誰かー!」ガシッ


凛「かよちんあるあるだにゃ」


海未「こんなことが頻繁にあってたまりますか!!」















真姫 モグモグ


にこ「………」ジーッ……モグモグ


真姫「……何よ」パクッ


にこ「あんたって……一口めちゃめちゃ小さいわね」


真姫「悪い?大きく開けるの疲れるのよ」


にこ「いや、それはいいんだけど……」チラッ


穂乃果「あー……ん!」バクッ!


穂乃果「……おいひぃ!」モグモグ


にこ「正反対だなぁって」


真姫「そんなこと言ったらにこちゃんなんて二つしか食べてないじゃない」


にこ「にこは小食だからぁ~!そんなにいっぱい食べれないっていうかぁ~!」


ぐぅ~~~……!


にこ真姫「……」


真姫「……で、本当は?」


にこ「……だってご飯って糖質だし……太るし……」


真姫「ここに最後のおにぎりがあります」スッ


にこ「あっ…….」


真姫「欲しい?」


にこ「…っ…!」ハッ


にこ「…べ、別に欲しくなんて……!!」


真姫「あっそ、じゃあ私が……」あー……



にこ「あー………」


にこ「……!」ハッ


真姫「……」ジトー…


にこ「……フンッ!食べたかったら食べればいいじゃない!」


にこ「別ににこはお腹なんて……」


ぐぅ~~キュルルル……


にこ真姫「……」


真姫「……はぁ」スッ


にこ「……いいの?」


真姫「私はもういっぱい食べたしね」


にこ「……ま、まぁお腹空いてるわけじゃないけど……」


にこ「真姫がどーしてもっていうから私が最後の一つを……」


穂乃果「じゃあ穂乃果がもらっていい!?」パァァ!


にこ「………」


バクッ!


穂乃果「あー!そんなに仕方なく食べるなら穂乃果に頂戴よぉ!」


真姫「一口で………」


にこ「…………」モグモグ


凛「そういえば結局激辛のおにぎり出なかったね」


にこ「……」モグモグ


海未「誰も被害に遭わなかったのならそれに越したことはありませんよ」


にこ「……っ」モグ……モグ……


凛ママ「あっれー?たしかに入れたんだけどなぁ……」


にこ「………っ…!」モグッ……















にこ「……ゴフッ……!」ブフッ


真姫「にこちゃん!?」


にこ「……~~~!!!」ブワァッ!


にこ「ん~~~!!!ん~~~~!!!!」ジタバタ


凛「にこちゃん大当たりだにゃー!」あはは!


海未「よりによって最後の一つに入っていたとは……」


凛ママ「あっははははは!!!」ヒーヒー…!


にこ「っ……!!っ…!」ゴクッゴクッゴクッ


希「にこっち持ってるなぁ!」あはは!


絵里亜里沙「……フフ」クスッ


花陽「……ん……んふっ…!」プルプル


穂乃果(……横取りしなくてよかったぁぁ……)


にこ(……え、エグい……!!)ヒーヒー















凛ママ「よーし!みんな準備はいいか?」


花陽「……にこちゃん今何食べたい?」


にこ「ジェラート」ヒリヒリ


花陽「だよねぇ~……」あはは


凛ママ「練習再開!」


みんな「はい!」















ことり「はぁ!!」ザッ


雪穂「ふっ!」シュバッ!


ことり「あっ…!」


にこ「ことり!!もっとあたり強く!!」


ことり「は、はいぃ~……!」













絵里 ブワァァァァ!!


真姫 ブワァァァァ!!


ドキュッ!!


絵里真姫【ファイアブリザード!】


ゴォォォォォオ!!


ォォォ………


テンテンテン……


絵里真姫「……」はぁ……はぁ……


絵里(これは……)


真姫(本格的にまずいかもしれないわね……)














夕方


カァー!カァー!


凛ママ「これにて練習終わり!」


海未「まだ少し早くないですか?」


絵里「あと1時間は出来そうだけど……」


凛ママ「実はこれから用事があって……夜ご飯作れないんだよ」


花陽「……と、いうことは……」


凛ママ「そう!これぞ合宿の醍醐味!」















凛ママ「みんなでご飯作ってくれ!」


みんな「えぇぇ!?」


海未「……用事とあれば仕方がありません」


海未「お任せください」


凛ママ「いやーごめんね……」


凛ママ「それじゃあ頑張って!」タッタッタッ


海未「………」


みんな「………」


海未「……どうしましょう」


ズコーッ!


穂乃果「あんなに自信マンマンだったじゃん!」


海未「だ、だって引き止めるわけにはいかないじゃないですか!!」


真姫「作りに来て貰えば?」クルクル


ことり「作りにって……誰に?」


真姫「シェフに決まってるじゃない」クルクル


凛「とりあえず真姫ちゃんは論外ということで……」


真姫「なっ……!?一番現実的じゃない!」


希「非現実の中での現実的やんなぁ……」


花陽「ご飯……ご飯が……」















「しょーがないわねー!」


花陽「…にこちゃん………?」シクシク


にこ「私が作ってあげようじゃない!」


海未「ほ、本当ですか!?」


絵里「ハラショー!これで安心ね亜里沙!」


亜里沙「うん!」


雪穂「……はぁ、無事にご飯にありつけそう……」ホッ


真姫「私ゲテモノはNGなんだけど」


凛「嫌な予感しかしないにゃー」


にこ「あんたらホンットーに可愛げないわね……!!」


海未「ではにこ、お任せしてよろしいですね?」


にこ「まっかせなさい!」ドンッ!














調理室


にこ「花陽、これでご飯炊きなさい」ドンッ


花陽「こ、これは……!!」


にこ「あんたにしか頼めない大仕事よ」


花陽「……命に代えても成功してみせます……!!」


にこ「いや重いわ」


にこ「あとはひき肉をレンジでチンして豆腐と豆板醤と……」テキパキ














物陰


穂乃果「ほぁ~……なんだかすごいね」


希「にこっちは下の子が多いからね、家事は手慣れてるんよ」


穂乃果「へぇ~」


海未「こら凛!自分の分のサラダだけ少なくしない!」


凛「海未ちゃんお母さんみたいだにゃ~……」


海未「……今日のメインは焼き魚にしましょうか」


凛「ごめんにゃー!」


花陽「あはは……」














1時間半後


ガラッ


にこ「できたわ」


凛「いい匂いだにゃ~!」


にこ「にこにー特製麻婆豆腐よ!」


海未「にこ……すみません私刺激物は……」


にこ「大丈夫よ、甘口で作ったから」


海未「にこぉぉぉ…!!」


にこ「花陽、例のブツは?」


花陽「ふっふっふ……」スッ














花陽「完璧だよ!」パカッ…!


ホカホカ……!


穂乃果「わぁぁぁ!」


凛「美味しそうだにゃー!」


絵里「これ……土鍋?」


にこ「ええ、せっかくだからこれでご飯炊いてみようと思ってね」


花陽「おこげも綺麗にできてて……自信作です!」フンッ!


海未「ふふ、楽しみですね」


希「おこげって炊飯器と違って少し工夫がいるんやったっけ?」


花陽「うん!何度も練習して、成功したのを記録してやっと作れるようになったんだぁ!」


絵里真姫「……!」


絵里(成功の……!!)


真姫(記録……!!)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


絵里 ゴォォォォォオ!!!


真姫 ゴォォォォォオ!!!


フワッ………










ドキュゥゥッッッ!!!


絵里真姫「いっけぇぇぇ!!!」


ゴォォォォォォォォオ!!!!!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー













ことり「すごいなぁ……」


穂乃果「一体お米の何が花陽ちゃんをここまで駆り立てるのか……」


ガシッ


花陽「……聞きたい?」


穂乃果「へ!?」


花陽「今夜は寝かせないよ」


穂乃果「ひ、ひぃぃ……!」


凛「凛はこんなかよちんも……好きだよ」


にこ「何よ今の間は」















ドタバタ!


にこ「どうしたの?」


絵里「に、にこ!私たち今からちょっと出かけてくるわ!」


にこ「はぁ!?」


真姫「ご飯は後で食べるから!」


にこ「ちょっ…!待ちなさいっての!」ガシッ


絵里「いいえにこ、今の私たちは何を言われようと止められないわ」


真姫「その通りよ」


にこ「………デザートはチョコレートケーキ」


絵里「……」ピクッ


にこ「サラダには新鮮なトマト」


真姫「……」ピクッ


にこ「……ま、あんたらがそこまで言うなら仕方ないわね~」


にこ「私たちがあんたらの分まで美味しく……」


ガシッ


絵里真姫「………」

















絵里真姫「ごめんやん?」


にこ「うわ腹立つ」


希「二次被害」














夕食後


凛「ごちそーさまだにゃー!」


花陽「おこげ……美味しかった……」ホロリ


海未「にこ、ごちそうさまでした。とても素晴らしい料理でしたね」


ことり「美味しかったぁ♪」


にこ「あったりまえじゃない!このにこにーが作ってるんだから」


希「お風呂はどうする?」


海未「シャワーしかないので浴びたい人から浴びていきましょう」


絵里「全員分はあったわよね?」


海未「はい、ですから順番は気にすることはありませんよ」


穂乃果「ゆぅーきほー、お茶~!」ダルン


雪穂「ちょっとおねーちゃん!家じゃないんだから自分で行きなよ!」


穂乃果「ぶぅー……!」ムクッ


海未「穂乃果はどこにいてもだらしがないのですね……」ハァ


絵里「それじゃあシャワー浴びて、寝たい人から寝ましょう」


穂乃果「それじゃあとりあえず解散!」


みんな「はーい!」














就寝


海未「結局みんな同時に寝るんですね」


にこ「はーい、電気消すわよ~」


凛「ププ……!にこちゃん顔にきゅうりついてるにゃ」


花陽「お腹が空いた時用の非常食かな?」


真姫「花陽以上の食いしん坊ね」


花陽「流石にあんなことしないよょ!!」


にこ「誰が食いしん坊よ!!」


にこ「美容のためのパックよパック!」


真姫「はいはい、電気消してもらえるかしら?」


にこ「ぐぬぬぬぬ……!!」


パチッ


海未「それではみなさん、おやすみなさい」


みんな「おやすみ~」














深夜


スゥ……スゥ……


穂乃果「……ん」モゾッ


穂乃果「……何時…?」


穂乃果「…ぅえ~……まだ1時じゃん……」


穂乃果「みんなも寝て……?」


穂乃果「何人かいない?」


穂乃果(トイレかな)


穂乃果「………穂乃果も行こっと」ムクッ












ジャー……!


穂乃果「うーん?誰もいないや、別のトイレかな」ガチャ


穂乃果「……目が冴えちゃったし屋上でも行くとしますか」テクテク


穂乃果「開いてるかな~」ルンルン















屋上へのドア前


穂乃果「…?ちょっと開いてる?」


穂乃果(誰かいるのかな)ソー……


穂乃果(……にこちゃん?)















にこ「………」


穂乃果「……っ!」ドキッ


穂乃果(………綺麗)


にこ「……!」クルッ


にこ「穂乃果……なにしてんのよこんな時間に」


穂乃果「えへへ……目が覚めちゃって」


穂乃果「にこちゃんは?」


にこ「……眠れなかったのよ」


穂乃果「そっか……隣、いい?」


にこ「ええ」


ストン……
















にこ穂乃果「…………」


にこ「……いよいよ明後日……いや、もう明日か」


にこ「私たち三年生にとっては最後の大会」


穂乃果「……」


にこ「短かかったけど……色々あったわよね」


穂乃果「にこちゃんが初めはひねくれてたりね」ニヒヒ


にこ「ほじくり返すんじゃないわよ」ピンッ!


穂乃果「あでっ…!」ピンッ!



にこ「………私が一年生の頃、サッカー部やってたのは知ってるわよね?」


穂乃果「え?……うん、希ちゃんから聞いた」サスサス


にこ「その頃はこんなに大ごとに………学校のみんなから応援されるなんてこれっぽっちも思ってなかったのよ」


にこ「あり得なかった」


穂乃果「……」


にこ「私たちだけで始まって、誰の記憶にも残らないまま終わって行くんだろうなって思ってた」


にこ「今のメンバーが集まった時も、それは変わらなかった」


にこ「女子校でサッカーなんて流行らないしね」フフ


穂乃果「…….ふふ、そうだね」クスッ


にこ「でもね、気づいたの」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『思いっきり暴れてこい!!』


ワァァァァァァァァァァ!!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


にこ「気づかせてくれた」



にこ「あぁ…….これはもうにこ達だけの物語じゃないんだって」


穂乃果「………」


にこ「このチームも、学校のみんなも、先生も、監督も……」


にこ「一人残らず……この物語の一部なんだって……」


穂乃果「………そっか」


にこ「……ありがと穂乃果、今の私があるのはあんた達のおかげよ」


穂乃果「……え~?にこちゃんどうしたの?深夜テンション?」


にこ「こういうのは素直に受け取りなさい、バカ」


穂乃果「えへへ~」


穂乃果「………」


にこ「………」


穂乃果「……頑張ろうね」


にこ「とーぜんでしょ」


穂乃果「ニヒヒ…!」















深夜、屋上


にこ「ふぁ~、夜更かしはお肌に良くないのよね」


穂乃果「にこちゃんはお肌モチモチだね、なにか秘密があるの?」


にこ「洗顔とかは気をつけてるけど…やっぱりきゅうりかしらね」


穂乃果「きゅ……きゅうり?」


にこ「あれをし始めてからお肌の調子が良くなったのよね」


穂乃果「きゅうり、おそるべし……!!」


にこ「そういえば……」


にこ「にこがここに来る前に絵里と真姫が起きて出て行ったけど、どこに行ったのかしら」


穂乃果「さぁ……知らな





















ドゴオオォォォォォォオオオ!!!!!!


ビリビリ……!!


穂乃果「な…なに!?」


にこ「グラウンドの方よ!」ダッ!


穂乃果「待ってよにこちゃん!」ダッ!















タッタッタッ


にこ「……はぁ…!なんなのよ一体!!」ザッ


穂乃果「にこちゃ……!速い……」ハァ、ハァ


モクモクモク


「ゴホッ、ゴホッ」


二人「!」


「エリー、大丈夫?」


にこ「真姫……?」


真姫「ゴホッ…!……げ、にこちゃん……」


にこ「何よ、げ……って」


絵里「ご、ごめんなさいにこ、穂乃果、起こしちゃった?」


にこ「いや、そうじゃないんだけど……」


穂乃果「二人でなにしてたの?」


絵里「練習したりなかった分をちょっとだけしてたのよ、もう終わるわ」


穂乃果「夜更かしはダメだよ二人とも!」


絵里「ふふ、ごめんなさい」


真姫「シャワー浴びに行きましょう」


絵里「ええ」


スタスタ


穂乃果「ふぁ……穂乃果も寝よーっと」スタスタ


にこ「……」


にこ(……この焦げ跡……)


スッ


にこ「冷たっ……!」ビクッ
















絵里真姫「…………」ピタッ


グッ……!















試合まであと1日


海未「それでは各自自宅に戻って、明日に備えてください」


希「終わってみればあっという間やったなぁ~」ノビ~!


凛「ねぇねぇ、昨日の夜なんだか大きな音鳴らなかった?」


絵里真姫「……」ギクッ


にこ「寝ぼけてたんでしょ」


凛「そうなのかにゃ~?確かに寝起きだったけど……」


花陽「私は聞こえなかったかな…」


凛「じゃあ気のせいだねきっと!」


にこ「信用の差がひどい」


穂乃果「もうこのまま解散にしちゃう?」


海未「はい、練習しようかと思ったのですが、疲労も溜まっているでしょうし」


絵里「明日は万全な態勢で戦えるように、今日はしっかり休みましょう!」


穂乃果「了解しました!」ピシッ!


海未「では穂乃果、お願いします」


穂乃果「コホン……」














穂乃果「……今日までいろんなことがあったけど、やっとここまで来た」


穂乃果「明日は三年生が最後の試合……いや…」


穂乃果「このメンバーで戦う最後の試合だよ」


みんな「………」


穂乃果「……後悔の残らない、最高のプレイをしよう」チラッ


希「……!」ビクッ


穂乃果「………」スゥ……















穂乃果「勝つよ!!!」


みんな「おおお!!!」バッ


穂乃果「海未ちゃんことりちゃん!クレープ食べて帰ろ!」


海未「はいはいわかりました」


ことり「いこー♪」


雪穂「ほどほどにしないと太るよ~」


凛「真姫ちゃんかよちん!ラーメン行くにゃー!」


真姫「……朝から?」


凛「アブラマシマシ~♪」


花陽「……朝から………」ゾッ


亜里沙「おねーちゃん!ファミレスいこ!」


絵里「ええいいわよ、希も行くでしょ?」


希「……」


絵里「のーぞーみ!」


希「…!う、うん!行くよ」


絵里「それじゃあ行きましょうか」


亜里沙「やったー!」


希「……」















決戦前夜


にこ宅


にこ「こころー、ここあー、もう寝ちゃいなさい」


こころ「……はい」


にこ「どうしたの?」


こころ「……い、いえ!なんでもないです……」


にこ「……こころ、言ってくれないとわからないわよ?」


ここあ「なになに?なんの話?」


にこ「あんたはいいから、早く歯磨いて来なさい!」


ここあ「はーい……」シブシブ


にこ「……で、どうしたの?」


こころ「……本当に、自分勝手なわがままなのですが……」


にこ「うん……」


こころ「明日、私たちは初めてお母様とお姉様方の試合を見に行きます」


にこ「……ええ」


こころ「そこで………」
















こころ「……お姉様がシュートを決めるところを……見たいな……と」


にこ「ーー!」


こころ「い、いえ!なんでもないです!」


こころ「は……歯を磨いて来ますね!」タッタッタッ


にこ「………こころ」


にこ(普段から……我が家の家計状況を知ってか知らずか、欲しい、やりたい、食べたい、行きたい……)


にこ(そんな要求をなに一つしてこなかったこころが………)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


こころ「……お姉様がシュートを決めるところを……見たいな……と」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


にこ「………」















凛宅


凛「…………」


凛 トトッ


ケータイ『決まったぁぁ!!!』


凛「……」ジーーーーー


凛「……こう……いや……」ブツブツ……


凛「…!こうか…!」バッ















穂乃果宅


穂乃果「………」


穂乃果(明日は絶対、激しい戦いになる)


穂乃果(……どんな無茶をしてでも、勝ってみせる)


穂乃果「…穂乃果は……リーダーなんだから」














希宅


希「………」スッ


ズズッ


希「……ふぅ」コトッ


希「………」


希「……悔いのないように……か」


………ピンッ!


希「どう思う?ぬいぐるみさん」


ぬいぐるみ「………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


小学校の友達、Aちゃん「のぞみちゃん!これお互いに買って交換しよ!」


Aちゃん「このぬいぐるみ!」


のぞみ「え…えぇ?どうしてわざわざ……」


Aちゃん「その方が思い出になるでしょ、私の宝物にするんだから!」


のぞみ「……!」


のぞみ(宝物……)


Aちゃん「ほら早く!」


のぞみ「……う、うん!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


希「……呪い……やんなぁ」

















[8、最終決戦]



穂乃果宅


穂乃果ママ「雪穂ー、穂乃果起こしてきてー」


雪穂「もう……こんな大事な日まで寝坊するなんて…!!」スタスタ


ガチャッ!


雪穂「おねーちゃん!今日は大事な決勝戦………ってあれ?」


雪穂「いない……」


雪穂「でも荷物はあるし……どこ行ったんだろ」














鉄塔


ザッ


穂乃果「こんなに早起きしたのいつぶりだろ」


穂乃果「……っんー!」ノビー


穂乃果「……はぁぁぁー」ダラン……


穂乃果「ここもだいぶ馴染みの場所になってきたな~」


穂乃果「このタイヤがきっかけだったんだよね」ナデ……


穂乃果「今日が終われば三年生は引退……」


穂乃果「……寂しいなぁ……」


穂乃果「……!」ブンブン!


穂乃果(ダメダメ!こんな気持ちじゃ!)


穂乃果「……頑張れリーダー!」オー!















にこ宅


にこママ「にこ、今日ぐらいはゆっくり寝てていのに……」ジュー……!


にこ「これはにこのルーティーンなの」ジュー……!


にこ「ママこそ仕事で疲れてるんだから寝てていいわよ」


にこママ「娘の大事な決勝戦に寝坊したらどうするの!」


にこママ「今日のために仕事詰めてやっと勝ち取った有給……!!」


にこママ「にこ達なら絶対決勝戦まで来てくれると信じてたわ!」


にこ「それは良かったわね……よっと!」カカッ!


にこ「はい、卵焼きの完成!」
















こころ「おはようございますお母様、おねー様!」トテトテ


にこ「おはよ」


にこママ「おはようこころ、顔洗っていらっしゃい!」


こころ「はい!」スタスタ


にこ(……こころ)ジュー……!


にこママ「……!?」


にこママ「にこ!卵焼き!」


にこ「へ?……あぁ…!!」カチッ!


にこ「………ギリギリセーフ」フー……


にこママ「珍しいわね、にこがぼーっとするなんて」


にこ「……」















花陽宅


花陽「………」メガネ


カチャッ


花陽(……コンタクトがあるのにメガネを使うのは、めんどくさいからじゃない)


花陽(他人との間に一枚透明な壁があるような気がして、気が楽だから)


花陽「……でも、もうそんな自分とはさよならしなきゃ」


カチャッ









ペリペリ……


スッ















希宅


希「………よし、こんなもんかな」


希「あとは……」チラッ


ぬいぐるみ「………」


希「……この子も持っていこうかな」スッ
















穂乃果宅


穂乃果「雪穂ー!行くよー!」


雪穂「なんで今日はそんなに早いの…!ちょっと待ってて!」















穂乃果宅前


海未「……時間より早く来すぎましたかね」


ことり「あれ?海未ちゃん早いね~」


海未「ことりも随分と早いですね」


ことり「えへへ~、なんだか落ち着かなくて!」


海未「少し話し相手になってくれませんか?」


ことり「いいよ~♪」


ガラッ!


穂乃果「……あれ?2人とも早くない!?」


海未「ど、どうしたのですか穂乃果、こんなに早くに……」


穂乃果「ふっふーん!穂乃果にだって早いときぐらいあるんだよ!」


雪穂「胸はって言われても……」


海未「まさか熱でも…!?それとも天変地異の前触れ……」


穂乃果「海未ちゃん朝から失礼だね」


雪穂「日頃の行いでしょ」


穂乃果「なにおう!」


ことり「ふふ、それじゃあ行こっか!」


穂乃果「うん!」


雪穂「はい!」


海未「雨が……いや隕石が降るかも……」ブツブツ


穂乃果「心配しすぎ!!」















絵里宅


絵里「………」シュルッ


スッスッ キュッ(ポニーテール結び)


絵里「……よし」


ガチャッ


亜里沙「おねーちゃん!準備できたよ!」


絵里「そう、私ももうすぐ終わるわ」ニコッ


亜里沙「………」


絵里「どうしたの?」


亜里沙「………おねーちゃん、試合行きたくないの?」


絵里「どうして?」


亜里沙「バレエの時と同じ顔してる…」


絵里「………!」


絵里「……まぁ」


絵里「行きたくないといえば行きたくないわね」


亜里沙「……!!」


絵里「……本当に楽しかった、この数ヶ月」


絵里「今日が終わると全て終わる」


亜里沙「……」


絵里「……なんてね!」


絵里「行きましょうか」スッ


亜里沙「………ぁ……」















亜里沙「亜里沙は!!」


絵里「…!」ビクッ


亜里沙「……おねーちゃんと一緒に試合に出られる最後のチャンスだから……」


亜里沙「楽しみ……だよ?」


絵里「……ふふ、ごめんなさい」ナデ…


絵里「もちろんわたしも楽しみよ」


亜里沙「……!」パァァァァ!!


絵里「ほらほら、時間に遅れちゃうわよ」


亜里沙「うん!」タッタッタッ


絵里「……」


絵里「……最後……か」















にこ宅


にこ「それじゃああんたら、ママの言うことちゃんと聞くのよ?」


こころ「お任せください!」


ここあ「多分~」


コタロウ「ん~」


にこ「……こころ」


こころ「?」


にこ「……行ってくるわね」ナデナデ


こころ「え……?は、はい…」


ここあ「ずるいこころばっかり!わたしも!」ガシッ!


にこ「わ、わかったから抱きつかないの!」ナデナデ


にこママ「ふふ、すっかりお姉さんね」













ピンポーン


にこママ「あら?誰かしら」


にこ「……まさか」スタスタ


ガチャッ


希「やっほー!」


亜里沙「お、おはようございます!」


絵里「最後ぐらい一緒に行きましょう!」


にこ「………」ジトー……


希「いやーん!そんなに熱い視線注がれたらウチ火傷してまうやん!」


ギィィィ……!


ガッ!


にこ「……っ足どけなさいよ!」グググッ


希「いいやん最後ぐらいみんなで行きたい!!」


にこ「………!」ググッ……


絵里「にこ……」


にこ「……はぁ」


クルッ


にこ「行ってきます」


にこママ「行ってらっしゃい、私たちも後か向かうわね」


こころ「お気をつけて!」


ここあ「行ってらっしゃーい!」


コタロウ「しゃーい」ピコッ















テクテク


希「相変わらずにこっちは素直じゃないなぁ」


にこ「あんたがしつこいから仕方なくよ仕方なく」


絵里「……ふふ」


にこ「何笑ってんのよ」


絵里「いや……」















絵里「もっと早くから一緒に行けばよかったなぁって」


にこ「………」


希「………」


絵里「……?2人ともどうしたの?」


にこ「……朝からしんみりさせんじゃないわよ」


希「そんなことを言うにこっちにはワシワシの刑が」ワシワシ~


にこ「亜里沙ガード」スッ


亜里沙「……え?」


希「っく……卑怯な!」


にこ「あっはっは!勝つためならどんな手でも使って見せるわ!」


希「さて、茶番はこの辺にして行こっか、えりち、亜里沙ちゃん」


絵里「ええ」


亜里沙「は…はい!」


にこ「ちょ……!ここで終わったらにこがただの悪者になっちゃうじゃない!」


希「はー緊張するなぁ今日」


亜里沙「それなら人という字を……」


絵里「手に書くのよ?」


亜里沙「わかってるよ!もうっ!」プクーッ……!


希「あはは!プニプニ~」プニプニ


絵里「ほんとね」プニプニプニプニプニ


にこ「話を聞けー!!」















真姫宅前


凛「真姫ちゃん遅いにゃ~」


花陽「いつも早いのにね」


凛「緊張で家から出られなくなったりして」ニシシ


花陽「流石にそれはないと思うけど……」


ガチャッ


真姫「……おはよう」


凛花陽「おはよう!」


凛「真姫ちゃん遅かったにゃ~」


花陽「その手に持ってるのは……?」


真姫「2人にってママが」


凛「なになに!食べ物?」


真姫「………ッ……ょ」ボソッ


凛花陽「?」


真姫「~~~!!」


真姫「カツサンドよ!」バッ


凛花陽「………」ポカーン……


凛「………ダジャレ?」


真姫「ーー/////」カァァッ!



花陽「……わ、わー!すごく美味しそう!」


花陽「頂いちゃっていいの?」


真姫「え……ええ」


花陽「いただきまーす!」パクッ!


花陽「……っ!」モキュッ!


真姫「……どう?」


花陽「………お」


花陽「おいひぃ……」パァァァァ!


真姫「……と、当然じゃない!うちのママが作ってるんだから」クルクル


凛「凛も凛も!」バッ


真姫「ちゃんとあるからあわてないの」


凛「早く!早く!」


真姫「……というか花陽、あなたメガネ……」


花陽「う、うん……変……かな?」


真姫「……に、似合ってるわ」


花陽「……!えへへ」へニァ


真姫「………////」カァァ…!


凛「おいしーにゃー!」
















集合場所


穂乃果海未ことり雪穂「……!」ピタッ


絵里希にこ亜里沙「!」ピタッ


凛花陽真姫「!」ピタッ


監督「………お前ら仲良いな」


ヒデコ「3グループ同時だったね…」


フミコ「さ!このバスだよみんな!」


ミカ「乗り遅れないようにね~」


穂乃果「……よし!行こう!」


みんな「おー!!」











ブロロロ


穂乃果「あーーー!!!花陽ちゃんコンタクトだ!!」


ことり「かわいい!」


花陽「えへへ…!ありがと!」















決勝戦スタジアム


ワァァァァァァァァァァ!!!!!


角間「さーついにこの日がやってまいりました!!」


角間「フットボールフロンティア決勝、UTX高校vs音の木坂高校!!」


角間「この組み合わせは地区予選決勝での組み合わせと全く同じですが……」


角間「その際は音の木坂が見事勝利を掴みました!……がしかし、それから両チームがどれほど腕を上げたのかが気になるところです!」


角間「優勝という栄光を手にするのはどちらのチームだぁ!?」















音の木坂ーー!!!がんばれー!!


生徒会長ー!!


ワーーーーー!!!!


穂乃果「すっご……!」


希「エリチ人気者やん」ニヤニヤ


絵里「お堅い生徒会長がサッカーしてるって物珍しさでしょ」


にこ(え?こいつファンクラブあること知らないの?)


希(前に言ったら「はいはい、そんなドッキリには引っかからないわ」って流された)


にこ「……はらしょー」


おっちゃん「穂乃果ちゃーん!!!がんばれよぉ!!」


おばちゃん「負けんじゃないよ!!」


穂乃果「商店街のみんなも!」


海未「ふふ、賑やかですね」


ことり「人……人……人……」スッスッ


雪穂 ゴクゴクゴク…!


穂乃果「みんなーー!!!!応援よろしくぅ!!!」


ワーーーーー!!!!!


真姫(……人)ゴクッ















音の木坂サイド


穂乃果「………」スゥ……ハァ……


海未「穂乃果、大丈夫ですね」


穂乃果「……うん!」


希「……?向こうに知らない子がいる」


絵里「髪が長いし……女の子かしら」


にこ「なに、助っ人呼んでるの?」


花陽「それについてはこっちはなにも言えない気が……」アハハ…


真姫「わざわざ決勝戦に出すぐらいだから実力はあるわよね」


ことり「……うん、どうしよう」


穂乃果「それについては前回と同じ!」


穂乃果「今は考えても仕方ないよ!目の前のことに全力を尽くそう!」


みんな「おーー!!!」


海未「…………」


海未「真姫、凛、ちょっといいですか?」


真姫「?」


凛「にゃ?」















監督「リーダー、試合前に一言頼む」


穂乃果「はい!」


穂乃果「みんな聞いて!」


バッ!


穂乃果「………」


みんな「………」












穂乃果「えーっと……」


海未「……穂乃果?」


穂乃果「えへへ、ごめんね、なんて言えばいいのか………」


にこ「久しぶりに頭使うから錆びついてんじゃないの?」ニヤニヤ


凛「にこちゃん錆止め使う?」


にこ「にこじゃなくて!!」


希「凛ちゃん、錆止めじゃ故障してるものは治らんよ?」


にこ「だぁれが故障よ!!にこはバリバリの受験生!!」


凛「あーそっかぁ……!さすが希ちゃん!」ハッ…!


にこ「納得してんじゃないわよ!!」クワッ!


穂乃果「……ふふ、そうだね、そうしよう」クスクス


みんな「?」















穂乃果「みんな」


穂乃果「特別なことは何もいらない」


穂乃果「いつも通り、悔いの無いよう全力を出しきろう」


希「………」


穂乃果「勝つよ!!」


みんな「おー!!」















UTXサイド


ツバサ「あぁ……!待ちに待ったこの試合!」


エレナ「浮かれすぎだバカ」


あんじゅ「エレナは楽しみじゃないの?」


エレナ「……楽しみだ」


あんじゅ「ふふ、正直でよろしい」















MF3「…えぇ!?これ買うためだけに朝早起きしたんっすか!?」


MF1「紅茶などコンビニで買えばいいではないですか」


DF2「……!」ジュゥゥゥ……!!


プハァッ


DF2「わかってへんなー2人とも」


DF2「あのお店にしか出せへん味っていうのがあるんよ」


MF2「でも朝早起きして買うほどじゃなくないすか?」


DF2「そんなん買ってみんとわからんやん」


DF2「やらずに後悔するよりやって後悔した方が気持ちええやろ?」


MF1「……一瞬でもかっこいいと思ってしまった自分を殴りたいです」


DF2「おうおう、ようやくウチの良さがわかってきたか」


DF1「うわー……すごくわかりやすく調子に乗ってる……」


MF2「お前はどう思う?」トントン


GK「………!」ペラッ


みんな「……」ジッ


GK「……ぁ……えと……」ビクッ


GK「……か、カッコいいです……」


DF2「さっすがかわええ後輩や!!」ワシャワシャ!


GK「あわわわわ……!」ボサァッ















あんじゅ「みんな、準備はいいかしら?」


ツバサ「あの日のリベンジを、今日果たすわよ」


みんな「おお!!」


???「ボクは初めから出てもいいのかな?」


ツバサ「あなたは途中からって言ったでしょ」


ツバサ「くれぐれも、油断しないこと」


???「神の前には全て無力さ」


ツバサ「………」ハァ……


DF1「高校に入る前にはそれ治しなよ?アフロちゃん」


アフロちゃん?「……アフロではない!」















アフロちゃん?「ボクの名前はアフロディだ!!」


MF2「はいはいアフロ」


MF1「アフロさん大人しくしていてくださいね」


MF3「アフロちゃん!」


DF2「アフロ」


GK「………アフロ」


アフロディ「アフロじゃない!!」


お姉さん「…………」


お姉さん(さぁ、どうなる……)













FW

絵里、真姫


MF

海未、ことり、にこ、希


DF

凛、花陽、雪穂、亜里沙


GK

穂乃果














ザッ


ツバサ「………」


穂乃果「………」


角間「両者向かい合い、言葉を交わさず見つめてっています!!」


角間「もはや言葉など不要!!語るならばボールで語り合おうということでしょうか!!」


ツバサ穂乃果(いや普通に緊張してるだけ……)


角間「コイントスの結果、UTX高校ボールでスタートいたします!」


ツバサ「………よろしく」 スッ


穂乃果「………よろしくお願いします」ガシッ!















観客席


穂乃果ママ「ほら!みんなこっちよ!」


海未ママ「もう始まりますね」


ことりママ「どんな試合を見せてくれるのかしらね」


にこママ「こら!ここあ、じっとしてなさい。こころはコタロウのことお願いね」


希ママ「ん~……お酒足りるかなぁ…」ガサゴソ


絵里ママ「……没収」ガサッ


希ママ「そ、そんなぁ~……!!」


凛ママ「勝てるかな~」


真姫ママ「大丈夫よ、カツサンド差し入れてあげたから」


花陽ママ「……ダジャレ~?」


凛ママ「ちょっと寒いな」


真姫ママ「なによ!」


穂乃果ママ「ほらほら!もう始まるみたいよ!」



角間「両者配置につきました!因縁の対決を制すのはいったいどちらのチームだぁ!?」



ベンチ


ヒデコ「あれ…?このぬいぐるみ何?」


ミカ「あー、それ希先輩のだよ」


ミカ「カバンから落ちてたからそこに置いてるんだ」


ヒデコ「なんでぬいぐるみ?」


フミコ「わかんないけどご利益ありそうじゃない?」


ヒデコ「それもそうだね!置いとこう!」














ザッ


ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……


穂乃果「…………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ツバサ「どうも、音の木坂の皆さん」


ツバサ「リーダーの綺羅ツバサよ」










ヒフミ「ウワァァ!!!」ドサッ


凛「あぁぁ!!!」ドサッ


花陽「きゃああ!!」ドサッ


ことり「ふぐぅ……!!」ドサッ














ツバサ「お願い……今更私たちが言えることじゃないかもしれないけど……信じて」


穂乃果「……」


穂乃果「わたしたち、決めたんです」


穂乃果「綺羅さんたちに本当のことを聞くまで信じようって!」












ツバサ「この前とは違う、正々堂々な勝負を!」スッ


穂乃果「よろしくお願いします!」ガシッ
















あんじゅツバサ「はぁぁぁぁ!!!」バッ


ドキュルルルルルル!!!


あんじゅ「絶対に……!」ググググ


ツバサ「止める!」ググググ


角間「綺羅と優木がフォローに走っていたぁ!!」














穂乃果「……勝った?」


「「「「「……………」」」」」」


凛「ぃ~~~~!!!」


「「「「ぃやったぁぁぁぁ!!!!」」」」


海未「やった!やったんですよ穂乃果!」ガッ


穂乃果「い、痛い痛い!」


ことり「穂乃果ちゃぁん!」ガッ


穂乃果「ぎゃぁぁぁ!!!」ガクッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















角間「今……!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ツバサ「決勝で会いましょう!」スッ


穂乃果「は、はい!」ガシッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「………」ブルッ……!














ピーーーーーーーーーー!!!!


ドッ


角間「試合開始で……」


海未「ことり!右サイド……」
















ドキュッ!!!


ドシュルルルル………!!!















海未「………」


海未「…….は?」クルッ















シュルルルルルル………!












ズズッ……!


穂乃果「……っぐ……!」シュゥゥゥゥ……


角間「…………」


角間「…………な」















角間「何というスピードだぁぁ!!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


角間「目にも留まらぬ電光石火、シュートを放つもキーパー高坂見事にキャッチ!!」


角間「これは宣戦布告かぁ!?」


花陽「い、一瞬でゴールまで……」


絵里「面白いじゃない」
















ツバサ「さぁ………始めましょう」ニッ


穂乃果「……っ」ゾクッ















絵里ママ「……敵は随分厄介みたいね」


希ママ「そうよぉ~、ボール3つ使うなんて反則よぉ~!」ヒック…!


絵里ママ(いつのまに……)
















穂乃果「海未ちゃん!」ドッ!


海未「はい!」トッ


角間「不意打ちを食らいながらも音の木坂、すぐさま反撃の体制!!」


海未「凛!真姫!」ドッ!


真姫「ええ!」トッ


凛「まっかせるにゃー!」タッタッタッ


ツバサ「……!これは……」


角間「ディフェンス陣営から星空が飛び出していましたぁ!!奇襲を読んでいたのかぁ!?」


真姫「凛!いくわよ!」


凛「うん!」
















グッ グッ


ダンッ!ダンッ!


グルグルグル グルグルグル


バッ…!















ドキュッ!!!!


真姫凛【ファイアトルネードDD!!】


ゴォォォォォォォォォ!!!!
















角間「鮮やかなカウンタァァァァ!!!」


角間「前回決勝ゴールを決めたこのシュート、止めることができるのかぁ!?」


GK「………」


あんじゅ「前回だって」クスッ


GK「……」スゥ………ハァ…………















ギラッ……!










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


他人と関わるのが苦手だった


嫌いではない


ただ………一人の方が楽だった
















GK「……今なんて……」


お姉さん「だからさ」















お姉さん「君をこのチームから外してもいいかなって」


GK「……嫌です」


お姉さん「でも力不足でしょ?」


GK「……っ」


お姉さん「……ほら、止めてみなよ」ザッ


ドキュッ!!















GK【フルパワーシールド!】


ギュルルルルル!!!!


バリィン!


GK「きゃぁ!!」ブワァ……!


ゴロゴロゴロ……ドサッ!


シュルルルル………!


テンテンテン………
















お姉さん「……じゃ、新しいキーパー探しとくね」スタスタ


GK「……っ待ってください……!!」ズズッ……


お姉さん「……」スタスタ


GK「待って!!」ズズッ


お姉さん「……」スタスタ














他人と関わるのは苦手だ


相手が何を考えてるのかわからないし、気を使うのは疲れる


…………でも


『あなたの目、隠れて見えないわ』


『同じ一年生同士、もっと私にも頼ってよ!』


このチームは、不思議とそれを感じさせない


ここ(GK)は………私の居場所


ここ(GK)が………私の居場所


私の………



















居場所(ナワバリ)












ゾクッ……!


お姉さん「……!」クルッ


GK「……あと一本だけ、お願いします」ムクッ


お姉さん「……負けたら?」


GK「二度とこのチームのキーパーはしません」


お姉さん「……いいね」ジャリッ















お姉さん「はぁっ……!!」ドキュッ!!


ゴォォォォォォォォオ!!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
















ゴォォォォォォォォオ!!!!!


凛真姫「決まれ!!」


穂乃果「いっけー!!!」


GK「………」


GK(私の居場所を侵すのは、何であっても許さない)


DF1「止めちゃえー!」


GK「………」バッ…!
















GK【ビーストファング!!】


ガブゥッ……!!















シュルルルルルル………


GK「……」パシッ


角間「……と、止めたぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!


角間「さすがはUTX!!前回の借りをしっかりと返してきました!!」


あんじゅ「ふふふ」ニコニコ














真姫「……完璧に……」スタッ


凛「……止められた……」スタッ


絵里「……!二人とも切り替えて!ディフェンス!」


真姫凛「……!了解!」ダッ!


GK「お願い……します!」ドッ


ポーン……!














トッ


角間「ボールは統堂が抑えました!」


エレナ「さぁ、攻守交代だ」


花陽「…!」


花陽(まさか…前回の借りを返すためにわざとシュートを……?)


にこ「ことり!」ダッ!


ことり「うん!」ダッ!


にこ(……こころ、見てなさい)チラッ


エレナ「よそ見などしていていいのか?」


にこ「……お気遣いどうも!」バッ











にこ【スピニングカット!】


ズシュゥゥゥゥ………!!!


ブワァァァァァァ!!!!


エレナ「……甘いな」ダッ


ブワァァ……!


角間「なんと統堂、必殺技をものともしない正面突破ぁ!!」


にこ「……」ニヤッ















ことり「はぁぁ!!」ズザザッ!!


エレナ「ほぅ……!」


角間「矢澤の必殺技が目隠しになり反応が遅れたかぁ!?本命は南のスライディングだぁぁ!!」


にこ「獲った……!!」


凛「いっけー!」


エレナ「……だが」















エレナ「惜しいな」フフ


希「…!!にこっち!ことりちゃん!違う!!」


にこことり「え?」














MF1「ほっ…!」トッ


角間「技を突破する前にバックパスを出していました統堂!!味方にパスが通ります!」


にこ「なっ…!?あの一瞬で……」


エレナ「目隠しはお互い様だろう?」クスッ


にこ(なんて判断力の速さ……)


にこ「海未!」















MF1「……!」ピタッ


海未「……あなたには前回の借りがありましたね」ザッ


MF1「……あの頃から互いにどれほど変わったのか………」ジャリッ……


MF1「楽しみですね」ダッ!


海未「そうです……ね!!」ダッ!


ガッ! ザザザッ トトッ


海未「…くっ…!やはりそう簡単にはいきませんか」ガガッ


MF1「ふふ、あなたも前とは違いますね…!」トッ


MF1(間合いの取り方が上手くなっている……)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


UTX高校


ツバサ「……で、話って何かしら」


エレナ「自主練習の時間がなくなってしまう」


あんじゅ「そんなに焦らなくたっていいじゃない」まったく……


MF1(三年生)「………」


MF3DF2(三年生)「……」















MF1「………もう、私たちにパスを回してくれなくて大丈夫です」


あんじゅエレナ「!!」


ツバサ「……訳を聞いても?」


MF1「音の木坂との試合、ボールを奪取されたのはほとんど私たちでした」


MF3「ツバサさんたちがいくら強くても、自分たちが迷惑をかけてちゃ勝てないっすよ……」


DF2「……」


ツバサ「………」


MF1「そういうわけでこれからは……」


ツバサ「なるほど」















ツバサ「嫌だけど」ズバァッ


エレナ「ほら、もう戻ってもいいだろう?」


あんじゅ「ええ、大したことじゃないみたいだし」


MF1「なっ…!私たちは真剣に……!!」バッ


ツバサ「私はこのメンバー全員で優勝を目指す」


MF1「ですからそのために……」


ツバサ「力が足りないと思うなら、死に物狂いで強くなればいい」


ツバサ「私たちもそのつもりよ」


MF1「……」


ツバサ「何より……」


MF1.3DF2「?」



















ツバサ「つまんないじゃない、そんなサッカー」ニコッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
















ザッ ガガガッ トッ


海未(押しすぎるといなされるので一度少し引いて……)ザッ


MF1(………ここ!)ドッ


海未「……へ?」トッ


希「!!」


角間「おおっとこれはぁ!?激しいせめぎ合いの最中、一歩距離をとった園田の胸元へ優しくパスを出しましたぁ!!」


角間「これを丁寧にトラップで……」


海未(なっ……これ……まずっ……!)ビクッ!


MF1「落とさないでくださいね?」クルッ


希「海未ちゃん!!」
















MF1【ジャッジスルー!】ドガァッ!!










海未「うぁぁ!!」ドサッ


角間「これは痛烈!!強力な必殺技が園田を襲います!!」


絵里「あの技は……!!」


希「海未ちゃん大丈夫!?」ダッ!


海未「……?痛く……ない?」ムクッ


希「へ?」


MF1「この技は本来敵を痛めつけるためのものではありません」


MF1「敵の重心を崩すのに効果的な[技術]です」


あんじゅ「くしゅっ…!」


海未「……やりますね」


MF1「どういたしまして」ダッ!


角間「UTXが攻め上がります!」















花陽「敵の動きに合わせて流すのではなく、崩す……」


雪穂「ということは……」


希「押しても引いても、全て対処されるってことやね……」


希(あんちゃんとは桁違いのキレ……こっちが本家か)


MF1(よし……このまま持ち込んで……)
















ゾクッ……!


MF1「……!」バッ!


ことり「………」ジーーーーーー


ことり(海未ちゃんを傷つけるのは許さないよ?)ジーーーーーー


MF1(……全く、人は見かけによりませんね)ブルッ……!


タッタッタッ















角間「ぐんぐん攻め上がっていくぞぉ!!この勢いを止めることが………」


亜里沙「はぁあ!!」ガッ!


MF1「ぐっ…!!」グラッ…


角間「絢瀬が敵の侵入を防ぎましたぁ!!」


MF1「亜里沙…!」


亜里沙「えへへ……!」トッ


亜里沙「希さん!」ドッ!















希「うん!」トッ


MF3「おおっと、行かせないっすよ!」ザッ


DF2「抜いてみぃエセ女!」ザッ


希「……っ!」


角間「すかさず2対1の状況へと持ち込みました!!」


希(対応が早い……!)


希(【イリュージョンボール】も警戒されてる……なら!)


希「にこっち!」バッ















にこ「!?」ズザザッ!


希「…なっ…!」ピタッ


希(なんであんなところに……)


絵里「にこ!上がりすぎよ!」


にこ「ーーわかってるわよ!」ダッ!


花陽(……にこちゃんが上がりすぎていたおかげで中盤に隙ができてる)


花陽「……!希ちゃん危ない!」


MF3「もらったっす!!」バッ


【クリエイション……!】















ドガァッ……!!!!


希「……!!」


MF3【ザ・マウンテン!!】


海未「こ、これは……!」


絵里「この間までとレベルが違う……!!」


お姉さん(もともと素質のある子だったけど、ようやくイメージと実力が追いついたって感じかな)


穂乃果「希ちゃん!!」


希「…っぐぐ…!!」ズザザッ!















希「雪穂ちゃん!」ドッ


雪穂「よし…!」トッ


角間「ギリギリのところで高坂雪穂にボールを戻します!」


雪穂(ここは一度落ち着いて……)トトッ


にこ「後ろ!すぐ来てるわよ!!」


雪穂「……へ?」クルッ













あんじゅ「あらぁ?少し見ない間に随分顔つきが変わったみたいね」


雪穂「っ…!?」バ ッ…!


雪穂(いつのまに近くに……!!)


花陽(展開が早すぎて後手に回っちゃってる……!!)


あんじゅ「ボールちょうだい♪」バッ


雪穂【ハ、ハンターズハイド!!】


スゥ……!












ドクドクドクドク


雪穂(び、びっくりしたぁ……)ドキドキ


雪穂(優木さんは……)チラッ


雪穂「…!!」


雪穂(ゆ、優木さんがいない!?)


雪穂(いったいどこに……)キョロキョロ


「………」ニヤッ


















あんじゅ「みーつけた」


雪穂「後ろ……!!」クルッ















シュバッ!


雪穂「そんな……っ」ガクッ


ワァァァァァァァァァァ!!!!


穂乃果「雪穂!」


角間「UTX優木、高坂の必殺技を破ったぁ!!」


あんじゅ「相手が悪かったわね、高坂さんの妹ちゃん♪」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あ!君が妹ちゃんか~」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雪穂「……っ!」


ツバサエレナ ダッ!


海未「しまった……!」


角間「綺羅と統堂も前線へ上がります!」














ツバサ「ふふ、そろそろ仕掛けさせてもらうわよ」タッタッタッ


花陽「させません!」ザッ


ツバサ「あら、コンタクトにしたのね。よく似合ってるわよ」


角間「音の木坂最後の砦小泉、3対1というこの状況、止めることができるのかぁ!?」


花陽(ここで止める……!!)グッ…!















花陽【ディフェンス方……】


ツバサ「あんじゅ!」ドッ


ドッ トッ


ツバサ「悪いわね」ふふ


海未「なっ…!?」


花陽(全然間に合ってない……)


ツバサ「いくわよ!あんじゅ!エレナ!」


あんじゅエレナ「了解!」バッ















ツバサ「……穂乃果さん」


穂乃果「!」グッ


ツバサ「先取点は頂くわ」


エレナあんじゅ ダッ!












タッタッタッ


ズシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!


ゴォォォォォォォォオ!!!!













花陽「【トライペガサス】……」


絵里「最初から飛ばしてくるわね……!」


凛「大丈夫にゃ!穂乃果ちゃんなら……!」


ことり「…待って……これ……」


希「……何かおかしい」















ツバサ「ペガサスは今、不死鳥となって蘇る」


ボファアァァァァァァァァ!!!!!











ドッドッドッ


ツバサエレナあんじゅ【ザ・フェニックス!!】


ドゴォォォォォォォォオ!!!!!!












角間「出たぁぁぁ!!!!UTX高校の究極奥義【ザ・フェニックス】!!序盤から飛ばしていきます!」


にこ「【トライペガサス】を進化させて……!!」


絵里亜里沙「ハラショー………」


海未「穂乃果!!」


穂乃果「……任せてよ」















穂乃果「………」スゥ……


穂乃果「………」ハァ……


穂乃果「…………」













キッ……!!


ゴォォォォォォォォオ!!!!


パチッ………パチッ………


穂乃果「パズルのピースを……」


穂乃果(……もっと……もっと大きく……)


グググッ


穂乃果(………もっと!)














ピシィ…!!


穂乃果「……っぐぐ……!!」ミシィ……


穂乃果【マジン・ザ・ハンド!!】















バチィッ……!!


穂乃果 ドサッ


ドシュルルルルル………!!!


凛「………え」













角間「………き、決まったぁぁぁぁ!!!!」


角間「UTX高校の進化した必殺技に高坂手も足も出ず!!」


角間「先制点はUTXだぁぁ!!」


ツバサ「やっぱりこの技は体力の消耗が激しいわね」ハァハァ


あんじゅ「でもスタートダッシュは切れたんじゃない?」ハァハァ


エレナ「とりあえず及第点だな」ハァハァ
















海未「だ、大丈夫ですか穂乃果?」ガシッ


穂乃果「……う、うん……」ググッ……!


穂乃果「ごめんみんな、粘ることもできなかった……」


穂乃果(これ以上は……)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


マジン「………」


ドロッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「………」ブルッ…!


ことり「ううん、今のは仕方ないよ」


にこ「【トライペガサス】と比べてどうだった?」


穂乃果「正直……比べ物にならないくらい強かった……」


穂乃果(それなりにリスクを犯しても手も足も出ないぐらい……)


絵里「でも攻撃も守備も思っていたほどの差じゃないわ!」


海未「ええ、これならば勝機は十分にあります」



凛「海未ちゃんさっきの……大丈夫?」


海未「ええ、本当に痛みがないのでびっくりしました、すごい方ですよ」


凛「……そっか、よかった」ホッ


にこ「なーによ凛、今日は随分としおらしいじゃない」


希「変なものでも食べたんやない?」


凛「………知らない知らない知らないにゃー!!」ダッ!


にこ希「逃げた」


穂乃果「よーし!それじゃあみんな!まだまだこれから、張り切っていこー!!!」バッ!


みんな「おー!!!」バッ!


凛(……だってこのメンバーで試合できるのは今日で最後だから………)


凛(誰も欠けて欲しくないから………)


花陽「凛ちゃーん!始まるよー!」


凛「今いくにゃー!」ダッ!


凛(………なんてね)フフ


穂乃果「………」ギュッ……















角間「ここでUTXメンバーチェンジです!助っ人のアフロ照………アフロディ?が加わります!」


アフロディ「ふふ、ようやく僕の出番か」ザッ














絵里「ここであの子が出るのね」


ことり「なんだか強そうだね~」


穂乃果「みんなー!まだまだこれからだよー!」


みんな「おー!」















UTX高校1-0音の木坂


ピーーーーーーー


ドッ


角間「1点ビハインドで音の木坂ボール!!いったいどのように展開していくのでしょうかぁ!!」


ツバサ「はぁ……はぁ……」


ことり(綺羅さんまだ息が切れてる……)トッ


ことり(これなら……)ザッ


タッタッタッ


角間「後衛から誰かが上がって行きます!一体……」


ことり「お願い!」ドッ!















亜里沙「はい!」トッ


角間「絢瀬だぁぁ!!」


ツバサ「……亜里沙」……ふぅ


真姫絵里 ダッ!


角間「西木野と絢瀬が上がっています!一体何をするつもりだぁ!?」


亜里沙「はぁ…!!」バッ


パキパキパキ














亜里沙【氷の矢!!】ドキュッ!!


ゴォォォォォォォォオ!!


角間「ボールはフィールドを縦断し一直線に前線へと向かいます!!」


花陽「よしっ…!」


凛「いっけー!」


ツバサ「……そこまでお人好しじゃないわよ」















クルクルクル


ボファァァァァァァァ!!!!!


亜里沙「っ……!?」


DF1【フレイムダンス!】














ジュゥゥゥゥ………!


テンテンテン………


角間「勢いを完全に止めたぁ!!」


絵里真姫「!」ズザザッ……!


DF1「へっへーん!」ブイッ!


タッタッタッ


DF2「……ちょっ……!前見ぃ前!!」















にこ「どらぁ!!」ガッ!


DF1「うわぁ!」ドサッ


角間「これはナイスプレー!矢澤、見事ボールを奪い返しました!」


凛「にこちゃんすごいにゃー!」


花陽「うん……すごすぎるぐらい……」


MF2「お前ホント変わってねーなぁ……」


DF1「うぅ~~……!!!」プルプル


にこ「……はぁ……はぁ」














絵里「にこ!こっちに……」


にこ「とりゃあ!」ドキュッ!!


真姫「に、にこちゃん!?」


角間「これは矢澤思い切ったプレー!シューとしたボールはまっすぐゴールへと向かっていきます!」















GK「……!」バッ!


パシッ


にこ「……ちっ」


角間「これをキーパーがっしりとキャッチしました!」


ツバサ「……珍しいわね、矢澤さんがシュートなんて」ハァ……ハァ……


エレナ「ああ、初めて見た」ハァ……ハァ……


絵里「ドンマイにこ、惜しかったわよ」


真姫「全く……どういう風の吹き回し?」


にこ「……ごめん」タッタッタッ


絵里「……にこ?」














凛ママ「だー!!惜しかったなぁ!」


にこママ「どうしたのかしら、らしくないわね……」


こころ「お姉様………」















DF2「よっしゃ!」トッ


海未「いかせません!」ザッ!


DF2「………」ジッ


海未「……?」ペターン


DF2「……ちっさ」ボソッ


海未 カチン…!


海未「どこの話をしているのですか!!」バッ


DF2「……はぁ」トッ……ザザッ!


海未「……っ…!!」イラァッ…!


海未「なぜ!あなたに!!ため息を!!つかれなければ!!ならないの!!ですか!!」ガッ!ガガッ!ザッ!


DF2 プッ…!


DF2「動揺しすぎやろ」クスクス


クルッ ダッ!


海未「……っく!」ガクッ


DF2「……!」チラッ


DF2「頼んだ!!」ドッ















花陽「なっ……!」


角間「こ、これは!中盤から前線へのミドルパスです!空高く上がったボールがゆったりと前線へ向かいます!」


にこ「っち…!」ダッ!


希「にこっち!」


希(さすがに深追いしすぎじゃ……)














海未「このボールを取られてはまたシュートチャンスに……」


花陽「!?」


ツバサエレナあんじゅ「はぁ……はぁ……」


海未(A-RISEの三人は動いていない……!?)


花陽(まさか…!!)















MF1「任せましたよ、アフロさん」


ツバサ「しっかりと決めなさいよ、アフロちゃん♪」


アフロディ「ア・フ・ロ・ディ・だ!」ダッ


角間「アフロディがシュート体勢!!音の木坂完全に裏をかかれたぁ!」


花陽(疲れてあまり動けない綺羅さんたちの代わりの攻撃翌要員……少し考えれば分かる事だったのに……!!)


アフロディ バッ!


花陽(そんな位置からシュートを……!!)ダッ!


アフロディ「いくよ」


穂乃果「こい!!」















アフロディ「天使の羽ばたきを聞いたことがあるかい?」


バサァ……!


バッ!











アフロディ【ゴッドノウズ・インパクト!!】


ドキュッ!!!












ゴォォォォォォォォオ!!!!!


角間「助っ人アフロディの強烈な必殺技ぁ!!高坂止められるかぁ!?」


穂乃果「………」グッ……















パチッ……パチッ……


穂乃果(……もう少しだけ大きく……)ググッ










ピシィ…!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


マジン「………」


ドロッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「っ……!?」ビクッ


シュゥゥ………


穂乃果(やばっ……びっくりしたせいで力が……!)


ゴォォォォォォォォオ!!!!


穂乃果「……っやるしかない…!!」バッ!















穂乃果【マジン・ザ・ハンド!】











ギュルルルルル!!!!


ズズズズ………!


穂乃果「そ…なっ……!?」グググッ


角間「高坂押されている!!追加点を許してしまうのかぁ!?」


絵里「うちのリーダーを舐めないでもらいたいわね」


海未「あなたなら大丈夫です!!穂乃果!!」


ことり「いけーー!!!」


穂乃果「ぬぐぐぐぐ……!」グググッ














バチィッ


穂乃果「ーーーーッ……」
















海未「………穂乃……果?」


ドサッ


角間「ーーーー……っ!」


角間「高坂破れたぁぁぁ!!!ボールは無情にもゴールへ向かって……」


にこ花陽「はぁっ!!」バッ!


ギュルルルル!!!!


ドキュッ!!


にこ花陽「うぐっ……!!」ドサッ















希「にこっち!」


雪穂「花陽さん!」


角間「ここは小泉と矢澤のファインプレー!なんとかピンチを凌ぎました!」


穂乃果「………」


にこ「穂乃果!!早く起きなさい!!切り替えて!!」はぁ……はぁ……


穂乃果「……うん」ムクッ


花陽(……穂乃果ちゃん?)


ポーン……!













凛「っと…!」トッ


角間「こぼれ球は星空がおさえました!」


凛「よし!」


凛(はじめにシュートを打ったのは凛たちなのに、流れを持っていかれてる……)


花陽(凛ちゃんがボールを持ってる、敵は……)


真姫「凛!すぐ来てるわよ!」


アフロディ「神の前には全て無力さ」ザッ


花陽(あ~もう!考える時間をください!!)


凛「っ…!」グッ















凛【アクロバットキープ!】


ダッ グゥン クルッ!


アフロディ「……ふふ、神をも凌ぐとは大したものだ」


MF2「お前よくそんなセリフが出てくるな」


凛「よし!」


角間「星空抜いたぁ!!」














MF1「あなたには前回の借りが残ってましたね」ザッ


凛「……!」ピタッ


ことり「凛ちゃん!こっちに……」


DF2「させへんよぉ~」バッ


ことり「……っ!」
















MF1「さぁ……お相手願います」


凛(……今までの【アクロバットキープ】じゃダメ……)


凛「なら……!」











凛ママ「………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


凛ママ「………これは…!」


ケータイ『タイムアーーーーップ!!!』


ケータイ『見事時間内逃げ切り成功です!!』


凛ママ(……アクロバット鬼ごっこ……か)


凛ママ「………面白いところに目をつけたな、凛」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


凛ママ「行け凛!!」


凛 ニコッ


MF2(……来る!)グッ


凛(凛が流れを………変えるんだ!)
















凛【アクロバットキープ……】


バッ!バッ!ダッ!クルッ……シュバッ!


凛【パルクール!】


MF1 「ーー…!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


角間「星空またも抜いたぁ!!乗ってきたぞ音の木坂!!」


凛ママ「よっし!!」


にこ「あの動き……!」


絵里「いいわよ凛!」


凛「えへへ…!」


MF1(一見めちゃくちゃに見えますがどこか規則的な動き……)


MF1「さすが……と言いたいところですが」


MF1「前回からのあなたの成長がこれなら……」












MF1「少々期待はずれです」


花陽「凛ちゃん危ない!!」


凛「!」ビクッ
















ガガガッ……!!


凛「!?」グラッ!


角間「おおっとぉ!?抜かれたかに見えたMF1、粘り強いディフェンスで食らいつきます!!」


凛(なんで……!?抜いたはずじゃ……)


MF1「規則的ということは読みやすくなったということ、簡単には抜かせません……よ!!」ガガッ!


凛「ふぐっ……!」グラァ…!


花陽「凛ちゃん!!」















ザッ……クルッ!……トッ……!


MF1「………は?」


角間「………へ?」















凛【アクロバットキープ・カポエイラ】


凛「簡単には止めさせないにゃ~!」トトッ


角間「星空粘り切ったぁぁぁ!!!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


凛ママ「………そういうことか、凛」















監督(1つの種目にこだわらず、雑食に他スポーツの動きを取り入れる)


監督(しなやかな筋肉と身軽な身体、ボディバランス……)


監督「……凛にしか出来ない芸当だな」


監督「……」チラッ


希「………」















角間「星空軽やかな動きで一気に抜き去ったぁ!!流れを手繰り寄せます!」


MF1「……前言撤回です、やはり侮れませんね」


凛「どういたしましてにゃ!」


絵里「凛!」タッタッタッ


凛「お願い!」ドッ!















ポーン!


テンテン……!


角間「前線へパスを出すが少し強いかぁ!?」


絵里「真姫!」


真姫「ええ!」


角間「音の木坂シュート体勢!!」


絵里(強すぎなんかじゃない、最高のパスよ、凛)


凛 ニッ





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


合宿夜中


絵里「真姫もわかったんでしょう?」


絵里「なぜ私たちがあの技を完成させられなかったのか」


真姫「ええ」













絵里「私たちはお母様方に比べてキック力が弱い」


絵里「それを補うためには……」


真姫「あのときまぐれで起きたシチュエーション」


真姫「それこそが大切な要素の1つだった」


絵里「……もう説明なんていらないわよね?」ジャリッ……


真姫「ええ」ジャリッ……
















凛「……ふぁぁ」ムクッ


凛「……トイレ行こ」キョロッ


凛「ん?あれって……」














絵里(いままでの練習とマグレで成功した時との違い……)


真姫(それは……)


凛「………!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



絵里 ダッ!


真姫 ダッ!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


絵里真姫(助走の有無!!)ダッ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















絵里 ブワァァァァァァ!


真姫 ブワァァァァァァ!











フワッ………












ドキュッ!!!!


絵里真姫【クロスファイア!!】


ゴォォォォォォォォオ!!!!















角間「前回よりはるかにキレが増しております!!」


海未「完成したんですね……!」


絵里ママ「へぇ……!」


真姫ママ「真姫ちゃん大きくなったわね……!!」ダーーッ!













ゴォォォォォォオォォ!!!!!


GK「……!」


GK(……その技は準決勝の……)


絵里真姫「いけ!!!」


GK「……止める」スッ















GK【ビーストファング!!】


ガブゥッ……!!









ギュルルルルル!!!!!


GK「……!あの時より……威力が!」ズズズズ……


真姫「あんな未完成品と比べないでほしいわね!」


絵里「今度こそいただくわよ!」


ギュルルルルル!!!!


GK「……っぐ……!!」ズズズズ!!














ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


GK「わたし……私!」ポロポロ


ツバサ「ごめんなさい、勝たせてあげられなくて」ナデナデ


GK「ごえ……ごめんな、さい…!!」ギュッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


GK「……!」ググッ……!


GK(もう二度と……あんな思いはしたくない!!)バッ!















バチィッ!


絵里真姫「なっ…!」


角間「こ、これはぁ…!?上手く力を上に流し弾いたぁ!」


ツバサ「へぇ…!」


あんじゅ(とっさの判断で……危なかったわね)


希「惜しかったよ!次行ける次行ける!」


GK「まだまだぁ!!」ザッ


あんじゅ「……!」フフ


ツバサ(あの子のあんな声……聞いたことないわね……)チラッ
















GK(……早く次のシュートを………次は止めるから……!)ウズウズ……


ツバサ「……っ」ブルッ…















ポーン!


角間「上空へ上がったポールは一体どちらがキープするのでしょうかぁ!!」


真姫「絵里!」タッタッタッ


絵里「ええ!」タッタッタッ


角間「こ……これはぁ!?」


ポーン……!















真姫(どれだけ悩んだと思ってるのよ……!)


絵里(私たちの力は…!)


テンテンテン………!















ブワァァァァァァ!!!


ブワァァァァァァ!!!










フワッ……












絵里真姫「こんなものじゃない!!!」バッ!
















ドキュッ!!!


絵里真姫【クロスファイアァ!!!!】


ゴォォォォオォォ!!!!!!













ゴォォォォオォォオオオオ!!!!!


角間「再度シュートを放ってきました音の木坂ぁ!!」


DF2「アッ………ホかこいつら……!!」ゴーン……!


MF3「あんなシュートを連発するなんてえげつないっすね~……」


にこ「やるじゃないあの子ら…!」


凛「決まれー!!」















ゴォォォォオォォォォォオォオ!!!!!!


ツバサ「さっきよりも威力が……!」


お姉さん(……さすがは絵里さんと真姫さん……)


ツバサお姉さん「でも」
















GK「………」グッ


ツバサお姉さん「………そう」
















「「あなたの力はこんなものじゃない」」















グルルルルル………!


GK「…………っ!!」ググググッ……!!


GK(もっと……もっと感覚を研ぎ澄ませ……!!)カッ……!!
















一度敗北を知ったものは、勝利に飢える














ダラン……



















飢えは加速する














バッ!











ガブゥッ……!!!!


シュルルルルルル………!


パシッ


絵里真姫「……なっ…!」はぁ……はぁ……


GK【ハイビーストファング】
















角間「先ほどよりも威力をあげた【クロスファイア】を今度はがっしりとキャッチィ!!!」


真姫「………どうする?」


絵里「……どうしましょうか」


GK「………」ドッ!


ポーン…!















ツバサエレナあんじゅ「……すぅ……はぁ……」


……スッ


花陽(……っ!呼吸が戻った……!)


海未(ここからが本番ですね)


凛「急いで戻らないと!」ダッ!














角間「攻撃の連続で音の木坂は敵陣に寄ってしまい、非常にディフェンスが手薄になっています!!」


角間「このピンチ、凌げるかぁ!?」


海未「希!」ザッ


希「うん!」ザッ


ツバサ「……凌ぐ?」
















ヒュッ……!


ツバサ「そんな時間は与えない」トッ


海未希「なっ……え?」クルッ


角間「綺羅、あっという間に二人を抜き去りました!」


花陽(この勢いにパスまで加わったらいよいよ止められない……)


花陽(なら…!)















花陽「亜里沙ちゃんは統堂さん、雪穂ちゃんは優木さんのマーク!」


亜里沙雪穂「はい!」ダッ!


ツバサ「あら、あなたが相手をしてくれるの?」ザッ


花陽「……ここから先はいかせません!」ザッ


ツバサ(あんまり対峙すると余分なデータを取られかねない…)


ツバサ「……」チラッ















ツバサ「……あんじゅのこと、どう分析してる?」


花陽「……へ?」


ツバサ「のんびりしてそうだけどすごいのよ彼女」フフ


花陽「……知ってます」


花陽(隙を見せちゃダメ……)ジリッ…


ツバサ「A-RISEって一纏めにされてるけど、誰もあんじゅがすごいって言ってくれないのよ」トントン…


花陽「セクシー担当って言われてますね」


ツバサ「そんな簡単なものじゃないのだけど……」ジャリッ……


花陽(……くるっ!)グッ















ツバサ「ほっ」ドッ


花陽雪穂「………なっ…!?」


角間「こ、これは!?完全マークされている優木にパス!?高坂雪穂の真正面だぁ!!」


花陽(一体……何考えて……)グルグル……


花陽「………っ雪穂ちゃん!取って!」


雪穂「は、はい!」バッ


角間「高坂雪穂、当然パスカットの体勢!」


ツバサ「……だから言ってるじゃない」















ツバサ「そんなに簡単なものじゃないって」


あんじゅ「ーーーー……」















彼女は幼い頃から魅力的だった


男性「私、こういったものですが」


「……子役スカウト?」


男子中学生「俺と付き合ってください!!」


「ごめんなさい」


芸能人はオーラが違うと言われるが、彼女がまさにそうだった


ただ、そのせいで嫌な目にあうことも少なくはなかった


女生徒「いいよねあんたは、生れつきそんなに可愛いんだから」


(……私の苦労も知らないくせに……)


街を歩けばスカウト、ナンパ


ひどい時にはストーカーに付きまとわれたことさえあった


ある人に言われた


「いやー!君は他の子と違って色があるんだよね!」


彼女は憧れた


誰の目も引かない無色の女の子に















パシッ


雪穂「……へ?」


あんじゅ「マーク、とっくに外れてたわよ?」トッ


角間「ゆ、優木にパスが通りましたぁぁ!!!」


あんじゅ「じゃあね、妹ちゃん♪」ダッ


雪穂「ちょ……え?」















花陽「なんで気づかな……!」ハッ


花陽「………気づこうとしなかった?」


ツバサ「あなたは街ですれ違う人の顔をわざわざ覚えないでしょ?」


ツバサ「あんじゅは意識の隙間に入り込む」


あんじゅ「ツバサ!」ドッ!


ツバサ「存在感を自在に操ることができる」トッ


花陽「しまっ……!」クルッ














ピューーーーーーイ!!


ドシュドシュドシュドシュ


ギュォォォォォオオオオ!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ハァ……ハァ……


ツバサ「あと……少しなのに…」


あんじゅ「何がダメなのかしら……」


エレナ「時間から考えて次がラストだな」


3人「………」














ガタッ


3人「!」クルッ


MF3「ヒッ…!」ビクッ


あんじゅ「どうしてそんなに怯えるのよ」


MF3「いや~……!」にへへ……!


ツバサ「どうしたの?こんな時間に」


MF3「そ、その……練習を見てて、違和感というか……」


エレナ「改善点か?」


MF3「そんな大それたものじゃないっす!」アワアワ


ツバサ「ぜひ教えてくれないかしら」


MF3「でも……」


あんじゅ「おねがぁい♪」


MF3「うぅぅ……わかったっすよぉ……」


MF3 「えーっと……その……」


3人「……」コクッ


MF3「その必殺技には………」














MF3「ーーーーーーーー……」


3人「あ」















ザッ


3人「………」


ツバサ「最後、合わせるわよ」


あんじゅエレナ「ええ「ああ」!!」


ダッ!














ツバサ(……言われてみれば簡単なことだった)ダンッ!


ピューーーーーーイ!!


ドシュドシュドシュドシュ


ツバサ(横のつながりと縦のスピード、今までのこうていペンギンが二次元だとすれば!)


エレナ(さらなる進化を遂げるためには!)


あんじゅ(そこに高さを加えて!)















ギュォォォォオオオオ!!!!


ツバサ「三次元にすればよかったのよ!!」


バッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















ドキュッ!!!!


ツバサエレナあんじゅ【こうていペンギン3号!!】















ゴォォォォォォォォオオオオオ!!!!!



角間「【こうていペンギン2号】を進化させた必殺技、【こうていペンギン3号】が音の木坂ゴールを狙います!!」


希「また新技……!!」ブルッ


海未「穂乃果!!」


MF3「いけるっす!」


DF1「追加点いっただきー!」


穂乃果「………」


ツバサ「………?」


ツバサ(何か……様子が……)


穂乃果ママ「………」















雪穂(強力なシュート……!!)タッタッタッ


ズザザッ!


雪穂「行くよおねーちゃん!」ガシッ


角間「高坂姉妹【ホムラ・ザ・ハンド】の体勢!!」


穂乃果「………」















穂乃果「離れて」グイッ


雪穂「…へ?」グラッ……















トサッ


穂乃果「………」


雪穂「……お姉……ちゃん?」
















パチッ………


あぁ、何を悩んでたんだろう


パチッ………


チームを勝ちに導くのが私の仕事なんだから


グググッ……!


怖がってる暇なんてないよね?


ピシィ……!


















穂乃果「頑張れリーダー」


バキィッ!!!


花陽「………」


凛「……かよちん……」













花陽「……また………嫌な感じ」


凛「……うん」















ゴォォォォォォォォオ!!!


角間「さぁ高坂!これを止めることが……」














メキョォッ……!!


シュルルルルルル………!


穂乃果「…………」パシッ


「……………………」















「……え?」


にこ「と……止めた…の?」


絵里「……なんだか……すごく簡単に」


ことり「す、すごい……」


ツバサ「まさか……あなたがその道を選ぶなんてね」















穂乃果「………………っはぁ……!」プルプル


穂乃果「……と、止め……!」


ミシミシミシミシ……!!


穂乃果「……っ……ぐぅぅぅぅ!!」ガクッ


穂乃果ママ(パズルの枠を壊せば限界以上の力を出せる反面、当然リスクもある)


穂乃果(か、身体が………軋む)ギチィ……


角間「見事シュートを受け止めた高坂!」


花陽(あの技、ただの技じゃない……)


亜里沙「……穂乃果さん 」


角間「音の木坂の反撃です!!」


穂乃果「ゆ……雪穂!」ドッ


雪穂「……」トッ


雪穂(……おねーちゃんに聞きたいことは山ほどあるけど、まずは試合に集中しなきゃ…!)


雪穂(そのためにはボールを……)


雪穂「はぁ!!」ドキュッ…!!


角間「これは高坂大きくクリアしました!」


エレナ「いい判断だ」















ポーン……!


角間「ポールはUTX陣営奥深くまで飛んで行きます!」


にこ「ふっ!」バッ


DF2「てやぁ!」バッ


にこ(…!小さいのになんてジャンプ力…!!)


ガッ


DF2「よし!とっ……」


「ごめんなさいにこ、ほんの少しの辛抱だから」















プワァァ!!ブワァァァ!!プワァァ!


ドッ ピキピキピキ……カキーン!


絵里【スノーエンジェル】


DF2「くっそ……!」カキーン


にこ「にごぉぉ……」カキーン


ポーン!


角間「ボールを弾いたぁ!!」


絵里「海未!」















海未「はい!」バッ!


DF1「させない!」


クルクルクル


ブワァァァァァァ!!


DF1【旋風陣!】


ギュォォォォォォォ!!!


ヒュルルルル………パシッ















海未「……そう簡単にはいきませんか」


にこ「回転が止まったとこをを狙うわよ!」


クルクルクル……!
















ツバサ「………」ニッ


ツバサ「左サイド、上がるわよ!」


みんな「おぉ!」


タッタッタッ


海未「……作戦をあんなに堂々と……」


ことり「ことりたちもいこう!海未ちゃん!」


海未「え、ええ……」


花陽(何か裏が……でも実際にメンバーは移動してる)


花陽「右サイドには優木さんしかいないし……」


花陽「………」


花陽「………」


花陽「………」


















にこ「花陽!!右サイド!!!」


花陽「……!!優木さん!!」


ツバサ(気づいた…思ったより早かったわね)


ツバサ「でも遅いわ!」


クルクルクル!!


にこ「回転が加速して……!」


DF1【フレイムダンス!】


ボファァァ!!!


海未「炎の道が…!!」


DF1「あんじゅさん!」ドキュ!













角間「こ、これはぁ!!必殺技を味方へのパスへと繋げましたぁ!!」


角間「フリーの優木へとボールが渡ります!!」


雪穂亜里沙「行かせな……!」


クルッ フワッ!


あんじゅ「おっ先~♪」スタッ


角間「ディフェンダーをものともしていません!ゴールまでがら空きだぁ!!」


角間「残り時間わずか、これが前半最後のチャンスだぁ!!」















ダンッ!


ピューーーーーーイ!!


ドシュドシュドシュドシュ


ギュォォォォォォォオオオオ!!!!















にこ「まずい……」


ことり「お願い穂乃果ちゃん!!」














クルッ


ツバサエレナあんじゅ【こうていペンギン3号!!】


ドゴォォォォォォォォオ!!!!!















にこ「もう一度止めちゃいなさい!」


穂乃果「………っ」グッ


ドロドロドロ………


ズズズズズ………!


絵里「……紫の……」


真姫「マジン……」


監督「……」


海未「……何でしょう」








海未「このなんとも言えない胸騒ぎは」


花陽「………!」ゾワッ


花陽(これ……!さっきよりも……)














ミシミシミシ……!


穂乃果「……っ!」











海未ママ「………懐かしいですね」


ことりママ「ええ、さすが親子ね」


穂乃果ママ「………」


穂乃果ママ(その強大な威力と引き換えに、主にすら牙を剥く)


穂乃果ママ「名付けるなら……そうねぇ」


穂乃果「はぁぁ!」バッ

















【魔王・ザ・バンド】















ギュルルルルル!!!!


穂乃果(…!どんどん調子を上げてきてる……でも!)ググッ


ギュルルル……!!


穂乃果「今の穂乃果には関係ないよ!」グッ!














ッシュゥゥゥ………!


角間「……ま、またもや止めたぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


にこ「よしっ!」


海未「……気のせいだったのでしょうか」


亜里沙「穂乃果さん……」















エレナ「いいのかツバサ」


ツバサ「……何が」


エレナ「壊れるぞ」


ツバサ「……手を抜けと?」


エレナ「そうじゃない、ただ……」















ドシャッ……


ツバサエレナ「ッ……!」クルッ


海未「………穂乃果?」


ことり「穂乃果ちゃん……?」


真姫「……?なに?」


凛「え…?え?」















ピーーーーー!!


海未「穂乃果!!」ダッ!


ことり「穂乃果ちゃん!」ダッ!


角間「どうしたのでしょうか、シュートを止めた直後倒れてしまいました……」


角間(前回もこんなことあったような……)
















「……やり……ます」ムクッ


海未「…!!穂乃果!!」バッ


ことり「大丈夫なの!?」


穂乃果「う、うん……少しよろけちゃっただけだから」


監督「できるのか?」


穂乃果「や、やります!」


穂乃果「まだ試合……終わってない!!」


監督「………お前……」
















「再起不能になるぞ」


みんな「!」


亜里沙(……そこまで)


絵里「……」


ツバサ「………」


監督「それでも………」













穂乃果「どうでもいい!!」


監督「!」


海未「ーー……」


トトッ














穂乃果「今日の試合は特別なの……!!今日最後まで戦えるなら……」


監督「……」


穂乃果「これからなんてどうでも……!!」
















「歯ぁ食いしばりなさい、穂乃果」


穂乃果「……へ?」クルッ












ズバァッ!!


ゴォォォォォォ!!!


穂乃果「なっ…!?」


ドカァッ!!!


穂乃果「あぐっ……!!」ゴロゴロ……!!


ドサッ!


花陽「海未ちゃん!?」















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


海未「サッカーで……」


海未「誰も傷ついて欲しくないんです……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


絵里(………海未が)


希(………サッカーボールで)


真姫(……人を傷つけた)














ことり「……」


穂乃果「……っな……なにするのさ!!」ムクッ


海未「……ふざけないでくださいよ」ザッ
















海未「もう…………忘れてしまったかもしれませんが……」


海未「まだ私たちが幼かった頃」


海未「サッカーのルールもよく知らない、まだそんな頃に」


海未「あなたは私に言いました」


穂乃果「……」


海未「大きくなっても私たちとサッカーをしようと」ジャリッ……!


穂乃果「……!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ほのか「ほのかはおっきくなってもふたりとさっかーするの!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


海未「……そんなあなたが……」
















穂乃果『どうでもいい!!』












穂乃果「………」


海未「あなた………」






















海未「最低ですね」















穂乃果「………」


みんな「………」


パン!


みんな「!」


監督「とりあえず医務室へ行ってこい」


監督「試合に出るか出ないかはそこにいる人が教えてくれる」


穂乃果「教えてくれる?」


監督「いいから」


穂乃果「は、はい……!」















角間「………」ポカーン


ピーーーーー!!!


角間「……!」ハッ


角間「ここで前半終了です!!倒れてしまった高坂は、少しふらついただけで後半も出場できるようです!!」


角間「ここまで両者一歩も譲らない試合運び、UTXリードで前半は幕を下ろしました!」


ワァァァァァァァァァァ!!!












ベンチ


穂乃果「……」


凛「穂乃果ちゃん、医務室付いて行こうか?」


穂乃果「……大丈夫」


凛「……わかった」


凛(……試合終了の瞬間、穂乃果ちゃんがゴールに立ってないなんて………)


凛(凛ヤだからね)タッタッタッ













穂乃果「………」フゥ……


ツバサ「ため息?」


穂乃果「!?」バッ


ツバサ「……私たちは後半も手は抜かない」


ツバサ「それだけ言いに来たわ」


穂乃果「……ありがたいです」


ツバサ「ただ……」

穂乃果「?」

ツバサ「………いえ、なんでもないわ」スッ


ツバサ「それじゃあ」クルッ


スタスタ


穂乃果「……」









チクンッ……















控え室


監督「後半はメンバーを少し変える、異論は認めない」


凛「でもまだ穂乃果ちゃんと希ちゃんが来てないにゃ」


監督「大丈夫だ、あとで伝えててくれれば」


監督「…それでは発表する」















通路


希「トイレ~トイレ~」テクテク


タッタッタッ


ドンッ


希「うわぁ!」ドサッ


「きゃっ!」ヨロッ ポトッ


希「いっ……ててて」


「ご、ごめんなさい!」スッ


希「いやいや、ウチもよそ見してたしごめんなぁ」よいしょっと


希「何か落として……」


希「!」ビクッ


「気づかなかった……ありがとうございます!」


希(……これ……このぬいぐるみ……)


「……?どうしました?」


希「………A……ちゃん?」


「え……?なんで名前……」


「ってああああああ!!!!」


「希ちゃん!!」


希「……今日は応援にでも来てくれたの?」


Aちゃん「ネットで希ちゃんがサッカーしてるって知ったから……」


Aちゃん「……あの時のこと、謝りたくて」


希「…………」


















希「私は謝ってほしいことなんて何もない」


Aちゃん「……!のぞ……」


希「それじゃ、試合始まるから」クルッ


Aちゃん「待って……!希ちゃん!!」


希「……」タッタッタッ











高校生になる前


東條希の人生には、重要人物が二人いる


一人は東條希の心に傷を負わせ


一人は東條希が再び前を向くきっかけを与えた
















医務室


穂乃果「失礼します」ガラッ


女性「お、やっときたね」


穂乃果「あの……ここに行けって監督が……」


女性「こっちにきて、テーピングだけ巻いてあげる」


穂乃果「は、はい…!」
















マキマキグルグル


女性「……」マキマキ


穂乃果「………」チラッ


女性「………なに?」


穂乃果「へっ…!?いや……その……」


穂乃果「怒らないのかな……って」


女性「どうして?」


穂乃果「だって……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


女性「でもそのせいで体に障害が残ってしまった時、誰が責任を取るの?」


女性「誰が一番悲しむの?」


女性「私が担当になったからには、そんな子を絶対出させはしない」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


女性「……怪我の影響が残ることが、必ずしも苦しいことじゃない」


穂乃果「…え?」


女性「中には途中退場したことを一生引きずってしまう人もいる」


女性「多分あなたはそういうタイプだと思ったから」


穂乃果「………」


女性「……似てるわね」


穂乃果「え?」


女性「私の両親はね、今の私と同じ仕事をしていたの」


穂乃果「そうなんですか!?」


女性「まだ物心ついたかついてないかって頃、何度か両親の仕事についていったことがあってね」


女性「他のことはなに1つ覚えてないんだけど、あることだけはずっと覚えてるの」


穂乃果「何かあったんですか?」


女性「………」フフ















女性「居たのよ、あなたみたいな子が」


穂乃果「!!」


女性「その人もボロボロになりながら、でも退場はしたくないって言って戦い続けた」


女性「結局そのチームは優勝、その人は大会最優秀GKとして大会史に名前を残した」


穂乃果「…すごい」


女性「さてここで問題です!」


穂乃果「えぇ…!?」















女性「ボロボロのその人を退場させることは本当にその人のためになったのでしょうか」


穂乃果「それは……」


女性「……ね?答えは1つじゃないんだよ」


穂乃果「……」


女性「……あなたもきっと、ここで退場した方が後悔が残るだろうから」キュッ


女性「はい!これで終わり!」バシッ


穂乃果「……ありがとうございます!」グッ


女性「もうすぐ時間だから急いで控え室に向かった方がいいかもね」


穂乃果「うわっ…!ほんとだ……」


穂乃果「それじゃあ医務室のお姉さん!いってきます!」


女性「うん、いってらっしゃい」ニコッ


ガララ ピシャン

















女性「……ほんっと……似てるなぁ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


20年近く前、サッカー場医務室


「こんな状態で試合なんて出られるわけないだろう!!」


「嫌だ!!こんなところで退場なんて、絶対しない!!」


「ちょっ…暴れちゃダメだってば」


「落ち着いてください…!」


「うるさいうるさい!!試合に出る!!」


「ダメだ、行かせない」ガシッ


「離してってば!」グッ


ピキッ…!


「っぐ…!」ビクッ……!



「………」


「……なんで……」ジワァ…


「……あんなに頑張ってきたのに……」ポロポロ


「……」サスサス


「……どうにも…ならないのですか?」


「………」ハァ……


「……どうしても出たいか?」


「うん……」


「………そこに座りなさい、できるだけの処置をしてあげよう」


「……試合……でていいの?」


「その結果、君の体がどうなろうと私は保証できないが」


「出たい!!」


「……即答か」


「よし、時間もない、急ごう」


「はい!」














シュルッ……マキマキ、キュッ


「よし、これで終わりだ」


「やった……!できる……試合が……!」グッ


「もう……強引なんだから…」


「言い出したら聞かないのはいつものことですよ」


「…すぐ小言……」


「何か言いました?」


「いえべつに……」


「処置はしたがこれはあくまで応急処置だ」


「あまり過信はしすぎないように」


「はーい!」


「ほら、行きますよ」


「全く……ほんと強引ね」


「それじゃあ医務室のおっちゃん!いってきます!」


「……無茶はするなよ」


「はーい!」


ガララピシャッ















「パパ優しいね!」


「…………」ギュゥッ……!


「??苦しいよぉ、パパ~…!」


「……すまない、もう少しだけこうさせてくれ」


「……?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


女性「……父さんもこんな気持ちだったのかな」


女性(神さま、どうか彼女に不幸が訪れませんように………)ギュッ
















[9、悔いのないように]



角間「さあ、いよいよ後半が始まります!!」


穂乃果「う~~……」ヒリヒリ


ツバサ「……穂乃果さん顔腫れてるわね~」


エレナ「散々やられたんだろうな」


ツバサ「そうみたいね」フフ


穂乃果「いてて……みんな手加減なしなんだもん……」


凛「当然にゃ!」フンス!


花陽「あ…はは…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


控え室、


海未「今の穂乃果の状態と亜里沙の体感から考えるに、もう穂乃果にあの必殺技を出させるわけにはいきません」


絵里「紫のマジン……」


真姫「どういうこと?」


亜里沙「おそらく使えば使うほど体を酷使してしまう、わたしの【パンサーブリザード】と同じような感じです」


凛「そんな……」


花陽(やっぱり……)


亜里沙「ひとつ違うのが、私は脚だけでしたが穂乃果さんは全身を酷使しているというところです」


にこ「はー?あいつなに馬鹿なことしてんのよ、一発引っ叩いてやるわ」ガタッ


監督「……」


ことり「にこちゃん!」


海未「落ち着いてくださいにこ」


絵里「そうよ、まず海未の話を聞きましょう」


にこ「……わかった」ストッ


海未「ありがとうございます」


にこ「で、どうするの?」


海未「はい、まず穂乃果に使わないよう伝えます」


花陽「でもあの技、普通とは違う嫌な感じがして………そんなに簡単にいくかな……」


凛「凛もやな感じしたにゃ…」


海未「分かっています、もしどうしてもあの技を出してしまう場合は……」


海未「ーーーーー……」


















みんな「………」


絵里「……私はやるわ」


花陽「わ…私も!」


凛「凛もやるにゃー!」


海未「あくまで最終手段ですが」


にこ「……そっーー!」


にこ「……っ」グッ


監督「……」


海未「そして今、穂乃果が戻ってきたときにやりたいことがあります」


みんな「?」


海未「……」















海未「ほっぺたを力一杯引っ張ってやりたいんです」














みんな「………」パチクリ


みんな「………ぷっ」













アッハハハハハハハハハハ!!!


真姫「いいわね、それ」


絵里「なんだかワクワクしてきたわ!」


亜里沙「楽しそう!」


凛「はー…!はー…!」


花陽「凛ちゃんがアップを始めました」


ことり「ことりはつんつんしてあげよーっと!」


雪穂「……日頃の恨み、晴らす時……!!」


監督「……話はまとまったみたいだな、後半のメンバーを発表する」


みんな「はい!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















ツバサ「後半、暴れるわよ」


エレナ「ああ」


あんじゅ「……ん?」ジッ


ツバサ「どうしたの?」


角間「……おや!?音の木坂は二人、メンバーチェンジのようです!」















ムッスーーー………!!


監督「いい加減機嫌直せ」


「……ぬわぁんで……」プルプル















にこ「なんでにこがベンチに下げられるのよ!!!」


にこ(こころのためにもグラウンドにいなきゃいけないのに……!!)


希「まあまあにこっち」


にこ「あんたも怒りなさいよ!自分も下げられたんでしょうが!!」


希「ん~……まぁ……」














希「なんとかなるんやない?」


にこ「~~~~ッああああああ!!!!!」ガー!


監督希「うるさい」


にこ「……ふんっ!」


監督「………どうして下げられたか分からなければ、お前はずっとそこにいることになるぞ」


にこ「……!」


監督「グラウンドの中にいては気づけないこともある、ベンチからチーム全体を見てみろ」


にこ「………」















角間「今大会特別ルールとして一人につき一度までなら交代した選手も再交代が認められております!」


凛「本当になんであの二人が……」


ヒデコ「まぁ……理由を聞いたらわからなくもなかったけど」


雪穂「なんだったんですか?」


ヒデコ「それは私の口からも言えないよ~」


ミカ「大丈夫、それに気づけばまた戻ってくるよ」


花陽「それ…?」












穂乃果「……よしっ!」パンッ!


穂乃果「痛っ…!?」ヒリヒリ


クスッ……


穂乃果「……!」チラッ


ツバサ「………」ハッ…!












ツバサ「………」ニコッ


穂乃果「………」ニッ














角間「前半は激しい戦いを見せた両チーム!」


角間「後半はどのような戦いになるのでしょうか!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


角間「一点ビハインドの音の木坂から試合開始です!!」


UTX1-0音の木坂


ピーーーーーーー!


絵里「ことり!」ドッ!


アフロディ「……ふふ」
















アフロディ「甘いな」ガッ!


絵里ことり「あっ!」


角間「いきなりパスカットをしてきましたアフロディ!!音の木坂隙を突かれたかぁ!?」


海未「早速ですか……!」














エレナ「よこせアフロ」


アフロディ「全く、人使いが荒いな」


ドッ!


エレナ「……」トッ


ドキュッ!!












角間「おおっと!?仲間が誰もいないところにパスを出しました!パスミスかぁ!?」


凛「にゃ~?」


にこ「……!凛!!気ぃぬいてんじゃないわよ!!」


ツバサ「……!」















あんじゅ「よっ!」トッ


角間「ボールの先には優木!見事パスが通りました!」


凛「なっ…!いつのまに…」


にこ「ああもう…!」


ツバサ(……今……)


監督「……」












花陽【ディフェンス方程……】


あんじゅ「ほっ!」ドッ!


花陽(……っどうして遅れ……)













にこ「花陽!!パスじゃない!!」


花陽あんじゅ「!!」


MF1「…!」ドッ!















花陽「はぁ!!」ガッ!


角間「音の木坂小泉、敵のワンツーを見事見破りボールを弾いたぁ!!」













にこ「よし!」


フミコ「にこ先輩今のよく気づきましたね……」


にこ「見りゃわかるわよあんなの」


監督「……」


ツバサ(あんじゅの特性とワンツーの合わせ技が破られるなんてね……)














角間「ギリギリでピンチをしのいだ音の木坂ぁ!!しかし以前ゴール前!」


エレナ「そうやすやすとチャンスは逃さない」ザッ


花陽「っ…!」ピタッ


花陽(一度下がって……)ジャリッ……


エレナ ジリッ……


花陽「……逃してはくれませんか」


エレナ「当然だ」


花陽「………」フゥ……


エレナ「……!」


花陽(……エレナさんのディフェンス時のクセ、反応速度、戦い方……)















エレナ「体重移動のタイミング、目線の動きと行動の関連性」


花陽「……へ?」


ヒュッ…!















トッ……


花陽「……なっ…!?」ガクッ


エレナ「………【ディフェンス方程式】……だったか?」トトッ


花陽「うそ……」ドサッ…!


角間「~~~!!」














角間「統堂見事小泉からボールを奪いましたぁ!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!


にこ「そんな……」


海未「花陽が………読み負けた…」


監督(………ディフェンスの要、小泉にとどめを刺しにきたか)


凛「かよちん!」














花陽(フィジカルで負けてる分、読み合いでここまで戦って来た……のに……)


花陽(……それすら勝てないなら……)










花陽「私……私は……」


エレナ「………」クルッ タッタッタッ


花陽「……っ…!」ギリッ
















花陽「ああああああ!!!」バッ!


角間「ボールを取られても諦めない小泉!!粘り強いディフェンスだぁ!!」


エレナ「………」















クルッ


花陽「あぐっ…!」ドシャッ……!


エレナ「……悲しいな」


タッタッタッ


花陽「……っ…ぅぅ…」ギリッ…!!














エレナ「ツバサ」ドッ


ツバサ「ええ」トッ












ピューーーーーーイ!!!


ドシュドシュドシュドシュ


ギュォォォォォォォオオオオ!!!
















ツバサエレナあんじゅ【こうていペンギン三号!!】ドキュッ!









ゴォォォォォォォォオ!!!!!


角間「UTXの必殺シュートが音の木坂ゴールを狙います!!」


海未絵里「……穂乃果……!」


ことり凛「穂乃果ちゃん……!」















パチッ… パチッ…


穂乃果(そうだよ、いつも通り……やれ、ば……?)


ググググッ……!


ドロドロドロ………


穂乃果「そんな…どうして……!」


海未「穂乃果!!」


にこ「っち……!海未の悪い予感が当たった……!」















穂乃果ママ(……パズルの枠とはいわば、あなた自身の器)


穂乃果ママ(限界を超えるために枠を壊したということは、今までの自分を否定したと同義)


穂乃果ママ(…………魔王の支配からは逃げられない)















ゴォォォォォォォォオ!!!!


角間「凄まじいシュートが音の木坂ゴールへと向かいます!!」


ドロドロドロ……


穂乃果(……ごめん海未ちゃん……)スッ














穂乃果「はぁぁ……!」グッ…!


ズズズズズズッ………!!!!!


角間「高坂構えました!止められるかぁ!?」


穂乃果(たとえ海未ちゃんに嫌われても、ここで入れられるわけにはいかない……)


穂乃果「絶対……決めさせない!」バッ!















海未「いけますか、凛!!」ザッ


凛「まっかせるにゃー!」ザッ


穂乃果「……なっ…!?」


ドカァッ!!


海未凛「うぁぁぁ!」ドサッ


角間「園田、星空がシュートブロックに入るものの吹き飛ばされてしまいましたぁ!!!」


穂乃果「な…なにして……」


海未「これが……私たちの答えです」ググッ…!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


海未「まず穂乃果に使わないよう伝えます」


花陽「でもあの技、普通とは違う嫌な感じがして………そんなに簡単にいくかな……」


凛「凛もやな感じしたにゃ…」


海未「分かっています、もしどうしてもあの技を出してしまう場合は……」












海未「私が盾となります」


凛「それじゃあ海未ちゃんが……!」


絵里「穂乃果を助けるために、あなたが怪我をしたんじゃ本末転倒よ?」


海未「……私一人の力では足りないことも分かっています……なので……」


ペコッ


絵里「う、海未…!?」


海未「力を貸してください」












海未「穂乃果のために」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















ゴォォォォォォォォオ!!


角間「ボールは威力を削がれながらも依然ゴールへ向かっていきます!!


穂乃果「!…穂乃果が……!」グッ


花陽(……武器を奪われた今の私に出来ること……!)タッタッタッ


花陽「はぁぁぁ!!」バッ


ギュルルルルル!!!!


バチィッ……!


角間「小泉止めたぁ!!!音の木坂ディフェンスを固めてきたかぁ!?」


花陽「うぐっ……!」ゴロゴロ……ドサッ!


凛「かよちん!大丈夫?」ゴホゴホッ


花陽「うん…!平気!」ググッ


穂乃果「……なんで……」


亜里沙(………)















ワーワーキャーキャー!


トッ


角間「再びUTXがボールを押さえました!!」


花陽「行かせません!」ザッ!


ツバサ「……!」


花陽【ディフェン……】


ツバサ「ほっ!」ドッ!


花陽「っく…!」はぁ…はぁ…


花陽(さっきより遅れてる……)


角間「ここは安全にパスが通りました!」


にこ「……」














エレナ「はぁ!!」ドッ!


角間「統堂ミドルシュート!!コーナーギリギリを狙います!!」


穂乃果「……っ!」グッ














絵里「ふっ!!」ガッ!


テンテンテン……!


角間「FWの絢瀬がDFに戻ってきていました!ナイスセーブ!!UTXのコーナーキックです!!!!」


穂乃果「絵里ちゃん……」


絵里「……なんて顔してるのよ、リーダー」ポンッ


亜里沙(……穂乃果さん)















角間「UTXのコーナーキックです!」


MF2「よっ!」ドキュッ!


真姫「……ふぐっ…!」ガッ!


角間「これを西木野ナイスクリア!」


絵里「いいわよ真姫!」


凛「ナイスにゃ!」


亜里沙(………見て……)














ポーン!









トッ


ツバサ「……いつまでこんなことを続けるつもり?」ジャリッ……


穂乃果「…っ!」


亜里沙(……チームを見て)















ピューーーーーーイ!!!


ドシュドシュドシュドシュ!


ギュォォォォォォォオオオオ!!!!














穂乃果「……わ……私は……」











ツバサあんじゅエレナ【こうていペンギン三号!!】


ドゴォォォォォォォ!!!!!!!














ゴォォォォオォォ!!!!


角間「強力な必殺技が音の木坂ゴールを襲います!!」


海未「……っぐ…!させま……せん!」ダッ!


絵里「そんなボロボロで行かせるわけないでしょう!!」バッ!


ドガァ!!


絵里「っぐ……!!」ドサッ


海未「絵里!!」


亜里沙 タッタッタッ


亜里沙(……穂乃果さんを想ってくれてる人が、こんなにたくさん……)


ダッ……!



















亜里沙(勝ち負けよりも大切なものが、目の前にありますから)
















ブワァァァ……!!ブワァァァ……!!


ギラン……!











ツバサ「……っ!」


絵里「亜里沙!!」














亜里沙【パンサーブリザード!!】















ドギュルルルルルルルルル!!!!!!!


亜里沙「……っぐぐぐ……!!!!」ギリギリ…!


角間「絢瀬亜里沙がシュートブロック!!激しいぶつかり合いだぁ!!!!」


海未「亜里沙!!」


穂乃果「亜里沙ちゃん!!!」













亜里沙(……穂乃果さん)チラッ


穂乃果「……!」














(に)





(げ)





(ちゃ)





(だ)





(め)





(で)





(す)





(よ)












穂乃果「ーーーー……」


亜里沙 ニコッ















ギュルルルルル!!!


バチィッ!!!!


亜里沙「きゃぁぁ!!!!」ブワァ!!


穂乃果「亜里沙ちゃん!!」バッ


パシッ!


穂乃果「うぐっ…!」ドサッ


ゴォォォォオォォ!!!


ガァン!


角間「絢瀬姉妹による賢明なシュートブロックによってボールはゴールポストへ!」


角間「UTXのコーナーキックです!!」















穂乃果「だ、大丈夫!?亜里沙ちゃん!!」


海未「亜里沙!」


亜里沙「……うぅ……は、はい、大丈夫です……」ムクッ


穂乃果「よかった……」ホッ


亜里沙「ありがとうございます穂乃果さん、受け止めてくれて」ニコッ


穂乃果「……っ」チクン……


ヒデコ「本当に大丈夫なの?」


亜里沙「はい!ギリギリまで抑えましたから」


ミカ「よかったぁ」















ベンチ


監督「………どうした、さっきから黙って」


にこ「……どうして今日はこんなにみんなバラバラなのよ」ボソッ


監督「……」


にこ「試合はできてるけどなにかがおかしい………足りない?……いや、でも……」ブツブツ


にこ「………………………噛み合ってない」


監督「……なにか思い当たることがあったみたいだな」


にこ「!」パッ


監督「グラウンドで周りを気にせず自分勝手にプレイしてたら気づけなかっただろ?」


にこ「………はんっ!」


監督「行ってこい、矢澤部長」















ピーーーーーーー!!


角間「ここで音の木坂メンバーチェンジです、矢澤がMFに復帰しました!」


にこ「……」ザッ


凛「にこちゃん!」パァァ!


絵里「やっと戻ってきたわね」


海未「にこ、何か手はありますか?」


にこ「…………」















にこ「……にっこにっこにー」


海未「……はい?」


にこ「ほら復唱!」


にこ「にっこにっこにー!」


みんな「……」


海未「………すみませんにこ、今はそういう場合では……」


にこ「じゃあどういう場合なの?」


みんな「!」


にこ「全国の決勝、相手はUTX、観客は満員っていう最高の舞台」


にこ「そして……」














にこ「後半開始数分、一点ビハインド、敵のコーナーキックから試合再開」


みんな「……」


にこ「思ってるほど絶望的じゃないはずよ」


海未「にこ……」


にこ「はい、わかったらにこにこにー」


海未「どうしてそうなるのですか!」


にこ「いいから!はい!」パン!


海未「……に、にっこにっこにー……」


にこ「みんなも!」


「………にっこにっこにー……」












絵里「にっこにっこにー……」


花陽「にっこにっこにー…」


海未「にっこにっこにー……」


凛「……にっ………ブフゥ…!!」


花陽「凛ちゃん!?」


ことり「ふふ……ふふふふ…!」プルプル


真姫「………」クスッ















あっはははははは!!


凛「なんでみんな……ふっ…!真顔で……あっははは!!」


ことり「すっごくシュールだよぉ~」プルプル


花陽「た、確かに……ンプッ…!」


絵里「し…!仕方ないじゃない!そんなテンションじゃなかったんだから!」


凛「はいはーい!海未ちゃんのモノマネ!」


凛「………にっこにっこ……ブフゥッ!!」


海未「りーんー!!」


凛「無理無理!思い出すだけで………あっはははは!!!」


海未「黙りなさい!」ギリギリ…!


凛「にぎゃぁぁぁぁああ!!」ギリギリ…!















にこ「……あと1時間もすればこの時間は終わる」


みんな「!」


にこ「ここにきてよかったって心の底から思いたい」


「……」コクリ


にこ「勝つわよ!」


みんな「おおおおおお!!!」


穂乃果(………すごいなぁにこちゃんは)















ミカ スタスタスタ


にこ「あ!ちょっと!」


ミカ「!」クルッ


にこ「……ここまでありがと」スッ


ミカ「……お願いします」ニッ


パンッ!














DF2「……あんのアホォ………!」


MF1「亜里沙には毎回ヒヤヒヤさせられますね……」ヤレヤレ


ツバサ「……」


エレナ「亜里沙が心配か?」


ツバサ「……それもだけど……」チラッ


ツバサ「ちょっとめんどくさくなるかもしれないわね」


あんじゅエレナ「?」














角間「UTXのコーナーキックから試合再開!!両者配置につきます!!」


にこ「……花陽」


花陽「どうしたの?」


にこ「…………」ボソボソ


花陽「……!」


にこ「………」ボソボソボソボソ


花陽「……っ!」グッ


にこ「……返事は?」














花陽「はい!」ニコッ


にこ「……よし」ニコッ















穂乃果(……)チクン……チクン……


にげちゃだめですよ


穂乃果「…………逃げてなんか……」















「ほんっと今日は天気悪いわね~!」


穂乃果「に、にこちゃん!?」


にこ「何よ、幽霊でも見たような顔して」


穂乃果「いきなり目の前にいたからびっくりしてるの!」


にこ「あっそ」


穂乃果「対応が冷たい!!」


にこ「……ねぇ穂乃果」


穂乃果「?」















にこ「あんたはさ……なんでサッカーやってんの?」


穂乃果「……は?」


にこ「だから、なんでそんなにこの試合に勝ちたいの?」


穂乃果「急にそんな……」


にこ「いいから」


穂乃果「……」
















穂乃果(廃校を救うため……?いや、それもだけど……)


穂乃果(バカにしてた人たちをギャフンと言わせるため……?いや、それは成り行きで……)


穂乃果(三年生たちにいい思い出を残してあげたいから?……いやそれだけじゃ……)


穂乃果(………………)















穂乃果「………リーダーだから」


にこ「……そ、わかった」ザッ


にこ「じゃ、行くわね」スタスタ


穂乃果「………っ」ドクン……


穂乃果(なんとなくわかる、多分ここだ)


穂乃果(ここが分かれ道なんだ……)















穂乃果「………っ穂乃果!どうすればいいのかなぁ!」バッ!


にこ「……」ピタッ


穂乃果「みんな……頑張ってきたから……!」


穂乃果「穂乃果が迷惑かけるわけにはいかなくて……」


穂乃果「だから無理してでもって……なのにそのせいでまた迷惑かけちゃって……」


にこ「……」


穂乃果「穂乃果はリーダーなんだよ……!!」


にこ「…!」ビクッ…!


穂乃果「みんなを元気付けたり、プレーで引っ張ったりしなきゃいけないのに……なのに……!」


穂乃果「……何もできてない」


にこ「……」


穂乃果「……思ったよ」


穂乃果「さっきみんなを元気付けたのがどうして穂乃果じゃないんだろう」


穂乃果「どうして落ち込ませたのが穂乃果なんだろうって」















にこ「………」


にこ「それで全部?」


穂乃果「……うん」


にこ「……はぁ……」


穂乃果「……こんなのがリーダーでがっかりした?」


にこ「いーや全く」


にこ「強いて言うならそれを誰にも相談してないことにがっかりした」


穂乃果「うぅ……」



にこ「私たちも人間だから全部察するなんてできない、海未あたりに言われてたんじゃない?相談しろって」


穂乃果「当ったり~……」


にこ「いっつもバカやってるくせに肝心なとこでは一人で抱え込みすぎなのよあんたは」ワシャワシャ


穂乃果「あわわわわ…!」ワシャワシャ


にこ「あんたは立派にリーダーやってる、頼りにしてるわよ、これでも」


穂乃果「にこちゃん……」ボサァ……


にこ(……みんなで穂乃果を守ろうってなった時、正直あんたに嫉妬した)


にこ(リーダーに必要な素質、そして……)















ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「そんなにやりたいなら一人でやればいいじゃん」


「そだね、私たちは退部するから」


にこ「ちょ…それじゃあ人数が……!」


「頑張れ~」フリフリ


ガラガラ…ピシャッ!


にこ「そんな……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


にこ(私が最後まで持ち得なかったものだから)


穂乃果「……?」


にこ「……というか」


にこ「そもそもあんた以外にリーダーは考えらんないのよ」


穂乃果「……監督にも言われた、それ」


にこ「しっかりしなさい、リーダー」バシッ!


穂乃果「いたっ!」


にこ「どれだけつまづいたって立ち止まったっていい、ただ道を踏み外さなければ」


穂乃果「……もし踏み外しそうになったら?」


にこ「何言ってんのよ」















にこ「そのために私たち(チーム)がいるんでしょうが」


穂乃果「……!」


にこ「あんたはいっつも先頭走って後ろを振り返らないんだから」


にこ「たまには先輩の背中を黙って見てなさい」ザッ


穂乃果「にこちゃん………」
















穂乃果「先輩禁止だよ?」


にこ「空気読め」














海未「こっそり全て聞かせていただいていたのですが……」ヌッ


穂乃果にこ「……!!」ビクッ


海未「私にしなかった相談をにこには随分簡単にしたものですね?穂乃果」ギリギリギリギリ……!!


穂乃果「アゥ……アイアンクロゥゥゥゥ……!!!!」メキメキメキメキ


にこ(海未の嫉妬怖……)ゾッ……











穂乃果「うぅ~……!痛いよぉ……」


海未「自業自得です」


にこ「うぇ……」


海未「……にこ」


にこ「んあ?」


海未「にこはなぜサッカーをしているのですか?」


にこ「は?なにそれ」


にこ「好き以外にないでしょ」


海未「……ふふ、にこらしいです」


にこ「あんたは?」


海未「……わかりませんか?」


にこ「まぁ、あんたは穂乃果だもんね」


海未「ええ」


海未「危なっかしくて見れられませんから」クスッ


にこ(過保護…)














ピーーーーーーー!!


角間「後半開始数分!まだまだ時間はたっぷり残っております!」


角間「一点ビハインドの音の木坂!!このピンチをしのげるかぁ!?」


にこ「……フー……」トントン


MF1 ドキュ!


エレナ「はぁっ!」バッ!


角間「統堂ヘディングの体勢!!」


にこ「……!」ザッ


エレナ「…っく…!」


海未「せやぁ!!」ドキュ!


角間「統堂間に合わず!園田が大きくクリアしました!」


凛「海未ちゃんさっすがー!」


エレナ「……やるな」


にこ「どういたしまして」ニッ













ミカ「?今統堂さんどうして飛ばなかったんですか?」


監督「……コーナーキックで全員がボールを見ている中、あいつだけがポジションを取ることだけに専念していた」


フミコ「それって……」


監督「どうせ跳んでも届かないからな」















ツバサ「こっち!」


DF1「は、はい!」ドッ!


ツバサ「よし」トッ


花陽「……」ザッ


ツバサ「……」ジャリッ……















ダッ!クルンッ!


ツバサ「悪いわね」タッタッタッ


角間「小泉を抜いたぁ!!」


花陽「……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


にこ「……花陽」


花陽「どうしたの?」


にこ「あんたは守備の要なの」


花陽「……!」


にこ「あんたがやられちゃったら私たちのディフェンスは崩壊する」


花陽「……花陽だって頑張ってる!!」


にこ「そんなことわかってるわよ」


花陽「へ?」


にこ「もう一度言う、あんたは守備の要なの」


花陽「……?」


にこ「最後の砦じゃない、要なのよ」


花陽「…!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


花陽「……凛ちゃん!」


凛「うん!」ザザッ!


ツバサ(小泉さんを囮に本命は星空さんのヘルプ……)


ツバサ「……この程度で」


あんじゅ「ツバサ!!後ろ!!」


ツバサ「…っ!?」クルッ















花陽「はぁぁ!!」ズザザザ!!


ツバサ(…っ!囮は星空さんで本命はこっち……!)バッ!


角間「UTX綺羅!!見事ジャンプで避け……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


にこ「私たちの一人一人の力は強くない」


にこ「でも……あんたがいればどんな強敵にだって立ち向かえる」


にこ「あんたがいなきゃダメなの」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















ツバサ「うぐっ…!」グググッ


ツバサ(こ、これは……!)


ツバサ「きゃぁ!」ドサッ


テンテンテン……トッ


雪穂【ハンターズネット】


角間「小泉、星空、高坂の3人で綺羅の攻撃を止めましたぁ!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!!















ツバサ「……めんどくさいわね」


花陽「私は………守備の要ですから」


花陽(3人でなんとか止めたこの人を花陽は一人で止めようとしてたんだよね)


花陽(……過信してたんだなぁ、自分の力を)














監督「小泉は優れた分析力を持っているが故に、少しずつチームを頼るということを忘れていた」


ミカ「頼る………」


監督(……少しずつ、ズレを、歪みを整えろ)


にこ「次!来るわよ!」はぁ…はぁ…















ワーワーキャーキャー!


ドッ! トッ ドキュッ! トッ


ツバサ「エレナ!」ドッ!


花陽「亜里沙ちゃん!」


亜里沙「はい!」バッ!


エレナ「…っ…!」トッ ザザッ…!


角間「先ほどよりもディフェンスに勢いがついてきました!簡単にはパスを通させません!」


エレナ(矢澤にこによって小泉花陽が元のプレイを取り戻したか……)


エレナ(………確かにめんどくさいな)


ツバサ(そして何より……)















あんじゅ「……」スゥ……


タッタッタッ


にこ ズザザッ!


あんじゅ「くっ…!」ピタッ


角間「優木を矢澤が徹底マーク!これではパスが出せません!!」


あんじゅ「あなたどうして……」


にこ「このにこにーが可愛い子を見逃すはず無いでしょうが」


角間「音の木坂ボールを奪えない!!しかしUTXもシュートまでいけなくなってきました!」













MF1「とんだ伏兵ですね……」


エレナ「ああ、だがそれならそれで打つ手はある」


エレナ「アフロ!」ドッ!


アフロディ「ア・フ・ロ・ディ・だ!!」ダッ!


花陽「あっ……!」















バサァ……!











アフロディ【ゴッドノウズ・インパクト!!】


ドゴォォォォォォォォオ!!!!













ゴォォォォオォォオオオオオオ!!!!


角間「膠着状態の中、UTXがゴールを捉えました!!」


穂乃果「……!」グッ


海未「私が止めます!」ダッ!


にこ「あんたはここにいなさいってば」ガシッ


海未「にこ…!?」


にこ「……」スゥ……















にこ「行くわよあんたらぁ!!」ダッ!


花陽凛「了解!!」バッ!


角間「矢澤、星空、小泉がUTXのシュートに立ち塞がります!!!」


エレナ「何をするつもりだ…?」















凛(……千羽山戦では凛のせいで……)ザッ


花陽(木戸川清州戦では花陽が……)ザッ


にこ(決勝ではにこのせいで……)ザッ














ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


花陽ママ「今回はね、必殺技についてみんなに集まってもらったのよ」


凛にこ「必殺技ぁ!?」














にこ凛花陽「いやいやいやいや無理無理無理無理」


海未「やると言ったではありませんか」


にこ「そ、そうだけど……」


花陽「流石にこれは……」


凛「限度があるにゃ!」















海未「人間死ぬ気になればなんでもできるんです!!」


海未「チームのためなら一夜で城でも建てられるはずです!」


凛にこ花陽「ひぃぃ……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















にこ(……やっと揃った)チラッ


花陽凛 コクッ

















にこ「にこ!!!」


凛「りん!!!」


花陽「ぱな!!!」


海未「……!」















クルッ……


スタッ!


ドドン……!!


にこりんぱな【一夜城!!】















ギュルルルルルルルルル!!!!!!


角間「こ、これはぁ!?矢澤、星空、小泉によるシュートブロックゥゥゥゥゥ!!!」


にこ「……ッググググ…!!」グググッ


凛花陽「はぁぁぁぁ!!!」グググッ















バチィッ!!


アフロディ「何……!?」スタッ


角間「止ぉめたぁぁ!!アフロディのシュートをまさかの完全ブロックだぁ!!」


にこりんぱな「っらぁぁぁぁ!!」グッ















花陽ママ「あらぁ~♪」フフフ


海未「……ぎゃふんですよ、3人とも」フフ


ことり「海未ちゃん嬉しそうだね」クスッ


海未「ええ、とっても」フフフ


にこ「ほらほらぁ!ボールいったわよ!」


穂乃果「ーーー…」










どうしてだろうか


この日、初めて自分より小柄な先輩を


「……カッコいい」


と感じた















にこ「まだまだ時間残ってんのに足止めてんじゃないわよ!」


凛「わかってるにゃー!」


普段、おちゃらけてぶりっ子な一面もあるその先輩は


サッカーに対してはいつも真剣だった















弱い自分と向き合いたくなくて、みんなに迷惑をかけた


無意識のうちに逃げていた


後輩に言われるまでそのことにすら気がつかなかった


本当に……


「………かっこ悪い」















『お遊びでやるならさっさとやめなさい!』













何処からか、初めて先輩にかけられた言葉が聞こえた気がした















ポーン!


ヒデコ「オーライ!」


ツバサ「ふっ!」シュバッ!


ヒデコ「あっ…!」


角間「はじいたボールは綺羅がカット!!」


にこ(……穂乃果、あとはあんた次第よ)














ピューーーーーーイ!!!


ドシュドシュドシュドシュドシュドシュ


ギュォォォォォォォオオオオ!!!!


クルッ










ツバサエレナあんじゅ【こうていペンギン3号!!】


ドゴォォォォォォォ!!!!!














ツバサ「……!」


角間「おおっと!ここまでなんとかシュートブロックでゴールを防いだ音の木坂!!」


角間「しかし誰もブロックに入りません!!キーパーに全てを託しました!!」


穂乃果「………」


ツバサ「……穂乃果さん」















ツバサ「あなたの答え、見せてもらうわよ」


穂乃果「……」グッ…













ドロドロドロ……


ズズズズ……!!


ツバサ「……」


海未「……」


にこ「………」















みんなに助けられて


カチッ……










今まで積み上げてきたもの踏みにじって


カチッ…











かっこ悪い、情けない、頼りない


カチッ……カチッ……カチッ……















穂乃果「…….でも」グッ……


カチッ……!

















穂乃果「それが穂乃果(私)だ!!」バッ!!!


ゴォォォォオォォ!!!!


ツバサ ニッ


海未「穂乃果……!」パァァ……!


ことり「穂乃果ちゃん……!」パァァ……!


にこ「……ったく……ほんと世話がやけるんだから」


穂乃果(弱い自分を受け入れて、前を向け!!)バッ…!

















穂乃果【マジン・ザ・ハンド!!】


ギュルルルルルル………!!!


……ッシュゥゥゥゥゥ……!


パシッ















角間「~~~~!!!」


角間「止ぉめたぁぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!!


角間「防戦一方の中、ついにUTXのシュートを掴みました!!」














穂乃果「~~~!」ジンジン…!


穂乃果(……普通にキャッチするのがなんだか懐かしく感じる……)


穂乃果「あぁ……やっぱり楽しいなぁ」ポツリ














ツバサ「………さ、ここから忙しくなるわよ」クルッ


エレナ「少しは隠す努力をしないのか?」


あんじゅ「ニッコニコじゃない」















穂乃果ママ「パズルの枠とは自身の器」


穂乃果ママ「弱い自分を受け止め、あなたは人としてひとまわり大きくなった」


穂乃果ママ(まあまだ最後のピースは分かっていないようだけど)


穂乃果ママ「ようやくスタートラインに立てたわね、穂乃果」















穂乃果「みんなー!!!」


穂乃果「謝るのは試合終わったらたくさんするから!!!試合終了までしまってこーー!!!」バッ!


みんな「おーーー!!!!」バッ!


角間「音の木坂が気合を入れ直します!」


海未「野球ではないのですから……」マッタク…


ことり(嬉しそう……)フフフ















希「はぁー……すごいなぁ」


監督「……リーダーになるには何が必要だと思う?」


希「んー……チームを引っ張れること、どんな時も諦めないこと、それとー……」ンー…


監督「そいつが困っていたらつい助けたくなることだ」


希「!」


監督「どれだけ問題を起こしてもつい許してしまう、悩んでいたら手を差し伸べたくなる」


監督「そんなやつがリーダーになるんだ」


希「……」













角間「音の木坂の反撃です!!」


穂乃果「よーし!攻めよー!」ドッ!


ポーン!
















パシッ


穂乃果「あっ…」


海未「なっ…!?」


アフロディ「僕のことを忘れてもらっては困るな」トッ


角間「ア、アフロディのパスカット!!音の木坂全員虚を突かれたぁ!!」


花陽「凛ちゃん!!」


凛「うん!」ザッ


角間「これは素早い対応!アフロディどうする!?」


アフロディ「ふふ、神の力を見せてあげよう」スッ













アフロディ【ヘブンズタイム】パチンッ…!


ピタッ















スタスタスタ


パチンッ…!


凛「……?あれ?」キョロキョロ


ブワァァァァァァ!!!


凛「へ?へ?……うわぁぁぁ!!」ブワァ!


ドサッ


アフロディ「ふふ、どうだい?神の力は」


角間「こ、これほ……アフロディのドリブル突破!!星空抜かれたぁ!」


にこ「凛!」














アフロディ「さぁ……」トッ


ツバサ「アフロ!」タッタッタッ


あんじゅエレナ タッタッタッ


アフロディ「後は任せたよ」ドッ!


花陽「しまっ…!」


花陽(対応が早すぎる……!初めから狙われてた!?)


ツバサ「進化したのは、こうていペンギンだけじゃない」


穂乃果「!」















ダンッ


グルグルグル!!


ヒュォッ……!














ツバサエレナあんじゅ【ラストデスゾーン!!】


ドゴォォォォォォォォオオ!!!!!













ゴォォォォォォオォォァァァアア!!!!!


角間「ま、またもやUTXの新必殺技だぁぁ!!音の木坂凌げるのかぁ!?」


にこ「うっはぁ~……!」ゾクゾクッ…!


花陽「敵なのに、ピンチなのに、感動しちゃいます…!」ゾワァッ……!















穂乃果「させない!!」グッ…!


ゴォォォォォォオォォ!!!!!


角間「高坂も正面から受けて立ちます!!」


にこ「止めなさい!穂乃果!!」















穂乃果【マジン・ザ・ハンド!!】バッ!


ギュルルルルル!!!!!


穂乃果(……っ!もう驚かないって思ってたのに……いっつも想像を超えられる……!!)


ズズズズ……!!


穂乃果「っぬぬぬぬ……!!」ググッ…


角間「少しずつ、しかし確実に押し込まれる高坂!!耐え切れるかぁ!?」


海未「………心配はしませんよ、穂乃果」


穂乃果「………」ニッ


タッタッタッ















ズザザッ…!


ガシッ


穂乃果「………遅いよ雪穂」


雪穂「……さっきのまだ怒ってるからね」


穂乃果「うぅ……」














にこ(……そう、メンバーに頼ることは、情けないことでも、かっこ悪いことでもない)


にこ(頼れる仲間がいるってことは、すごい事なのよ穂乃果)


穂乃果「………任せたよ、雪穂」グッ


雪穂「うん!」グッ














メキメキメキ……!!


ツバサ「……!」ゾクッ













穂乃果雪穂【ホムラ・ザ・ハンド!!】


ギュルルルルル!!!!!!


穂乃果雪穂「はぁぁぁぁ!!!」グググッ














ッシュゥゥゥ……!!


角間「……とっ……止めたぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!


角間「二度のピンチを見事に凌ぎましたぁぁ!!」


ツバサ「……はー」


穂乃果(……体に異変はなし……!)グッ


穂乃果「よーし!今度はディフェンスも攻撃だー!みんな攻めるよー!!」ドッ!


角間「今度こそ!音の木坂の反撃だぁ!!」















雪穂「いこ!亜里沙!」


亜里沙「うん!」


海未「行きますよことり!」


ことり「ゴーゴー!」


花陽「凛ちゃん!私たちも……」


凛「真姫ちゃんいくにゃー!」グイッ


真姫「わ、わかってるわよぉ!」ダッ!


花陽「あ……」


凛「にゃー!!」タッタッタッ


真姫「………」チラッ


花陽「……!」














花陽 ポツン……















行かせないっす!

はぁ!!

うわぁ!!ドッ!

そっち!

まだまだぁ!

おりゃあ!!



角間「これは激しいぶつかり合い!!主導権を握るのはどちらのチームだぁ!?」














花陽「……!」ハッ


花陽(何ぼーっとしてるの!せっかくチャンスなのに……)パッ…!













真姫「次は決めるわよ!凛!」タッタッタッ


凛「もちろんにゃ!」タッタッタッ













キュウッ……!


花陽「……っ」ギュッ…


花陽(なんで、今更……大丈夫、もう乗り越えた……)


花陽(……せっかく穂乃果ちゃんが戻ってきたのに……いらない、こんな感情……)


花陽(そんなんじゃない……そんなんじゃ……)


花陽(……………………嫉妬なんか)


















本当に?


花陽「……!」ビクッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


?花陽「凛ちゃん!真姫ちゃん!」ガシッ! ??


凛「ウブブブ!……ップハ!かよちん苦しいにゃぁ!」ググッ ??


真姫「あはは!」ググッ


??花陽「やったよぉぉ!!」………















凛「真姫ちゃんと一緒にここで練習したなって」


凛「何回も何回も大変だったにゃ~!」


花陽「………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















花陽「ーーっ…!」ザワッ…!


花陽「……なんで……こんな……」はぁ…はぁ…


嫉妬してるんでしょ?


花陽「……もう克服した」


否定はしないんだね


花陽「……うるさい」


ほら、あれを見て


花陽「?」















いーち!にーい!さーん!パシッ

あーあ、引っかかっちゃった!


花陽「あれは……子供の頃の凛ちゃんと……真姫ちゃん……?」


みんなから外れて一人で座り込んでる子は誰かな?


花陽「……私」


大きななわとび、怖くて入れない


花陽「……運動苦手だから」


凛ちゃんをとられたくないんでしょ?


花陽「…!」


新しい事始めるのは怖いくせに凛ちゃんはとられたくない


花陽「……うるさい」


傲慢だね、わがままだね、醜いね


花陽「……」


キャー!ほら!もう一回!


はなよ「……」















……楽しそうだね


花陽「……うん」


……はなよは一人だね


花陽「……うん」


『私もやりたい』


花陽「……」


そんな一言が怖くて言えない


花陽「……やっぱりあなた」


……そう、私は怖がりな花陽


私がいたからあなたは小さな頃から大きな怪我もなく健康に育った


花陽「……挑戦する前に諦めてたから」


正解


でもあなた、少し変わったね


花陽「みんなが変えてくれたのかな」


変わらない方が良かったかも


花陽「そうかもね」


今まで通り凛ちゃんと2人で……


花陽「それは無理だよ」


なんで?


花陽「……だって」















花陽「みんなといる楽しさを覚えちゃったから」


……でも、私がいたら凛ちゃんとられちゃうよ?


花陽「縄跳び怖いもんね」


新しい事を始めるのがでしょ


花陽「……」フフフ


クスクス


凛ちゃんと並ぶために、花陽も挑戦しなきゃ


………怖いけどね


花陽「いつまでも子供じゃいられないよ」


私はもういらない?


花陽「だーめ、何があっても一緒だよ」


でもそれじゃああの子はずっと……


はなよ「………」


花陽「大丈夫だよ」


どうして?


花陽「私がいるから」ザッ


















花陽「………ねぇ」


はなよ「!」ビクッ


花陽「こんなところでなにしてるの?」


はなよ「………」


花陽「……みんなの中に入っていくのが怖いんだね」


はなよ「……りんちゃんは……はなよとなかよしなのに……」


花陽「りんちゃん取られちゃったの?」


はなよ「……」コクッ


花嫁「仲間に入れてって言うのは?」


はなよ「……なわとび(新しいこと)……怖い」フルフル


花陽「……じゃあ私と行こっか!」


はなよ「え?」


花陽「二人なら怖くないでしょ?」


はなよ「……うん」


花陽「じゃあほら、手を繋いで……」ギュッ


はなよ「……」ギュッ


花陽「せーの!」


はなよ「……っ…!」
















いーれーてー!














ワァァァァァァァァァァ!!!!


角間「先ほどとは一転!音の木坂がペースを掴みますがあと一歩、押し切れません!!」


海未「ほっ!」トッ


ツバサ「あなたとの1on1懐かしいわね」


海未「……!」ザッ


海未(対峙しただけで伝わってくるこの威圧感……!)ゾクッ


ツバサ「いただくわよ」バッ!


ザッ ガガガッ! ザザッ


海未「……っ!?」グラッ


海未(速……すぎま……!!)


ことり「海未ちゃん!」


海未(なんとか奪われるのだけは…)


あんじゅ「隙あり♪」ガッ!


海未「っぐ……!」


角間「優木、ボールを蹴り出したぁ!!」


海未(いつの間に後ろに……)


にこ「はぁ……はぁ……」


エレナ(元々の身体能力はあんじゅの方が上だ、正攻法なら矢澤にこのマークは怖くない)


あんじゅ(よし、このまま流れを……)


テンテンテン……















シュバッ…!


あんじゅ「なっ…!」


花陽「よし!」トッ


角間「DFの小泉が上がってきていました!!見事ボールを奪取です!!」


にこ「いいわよ花陽!」


凛「さっすがかよちんにゃ!」















タッタッタッ


花陽(サッカー部に入るのを迷ってたとき、凛ちゃんが私の手を引いてくれたように)


花陽(何かを始めるときはいつも凛ちゃんが連れて行ってくれた)


角間「小泉ここからどう展開するつもりだぁ!?」


タッタッタッ


花陽(……けど、初めてのUTXとの試合、私は凛ちゃんの背中を押した)


花陽(前を走る勇気もないくせに凛ちゃんを押し出した)


花陽(………だから)















パシッ パシッ


花陽「凛ちゃん!真姫ちゃん!いくよ!」


真姫「……遅いのよ、全く」クスッ


凛「ぅ~~~!!テンション上がるにゃー!」


花陽(今度は私が、2人の前を走る番…!!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



凛ママ「自分は守備だからといって攻撃には関係ないと思ってる人~?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















タッタッタッ


グッ ダンッ……!!


グルグルグル グルグルグル


角間「これはぁ!【ファイアトルネードDD】かぁ!?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


凛ママ「試合に出てる以上誰にだってチャンスは来るからな~!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















花陽「ふっ!」ダンッ!


クルクルクル


ググッ……ギュフッ……!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


花陽(正直自分が攻撃するなんて思ってなかったので、聞くこと知ること全てが新鮮でした)


花陽(まあ攻撃なんて花陽には縁のない話だけど……)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


はなよ(今までと違うことをするってとっても怖いの)


でももっと怖いものがあるよね


花陽はなよ(うん)
















ダメな自分から変われないこと















ドキュッ!!!


真姫凛花陽「いっけぇぇぇぇ!!!!!」


ゴォォォォオォォオオ!!!!!













ゴォォォォォォオォォオオオオ!!!!!


角間「小泉が加わりはるかにパワーアップした【ファイアトルネードDD】いや……新必殺技だぁ!!!」


ことり「かよちゃぁぁあん!!!」


にこ「花陽ぉぉぉ!!!」


海未「…【ファイアトルネードTC】……」


あんじゅ「スッゴ……」


穂乃果「いっけー!」














GK「……!」ググググッ……!


ダラン……











バッ……!












GK【ハイビーストファング!!】


ガブゥッ……!!!


ギュルルルル!!!!


GK「ッググググ………!!」ズズズッ……!


真姫凛花陽「はぁぁぁ!!!」


GK「っ……!」ググググッ……!















バチィッ……!!


GK「きゃぁぁぁあ!!」ドサッ


シュルルルルルル!!!















真姫凛花陽 スタッ


真姫凛花陽「………よし!!」グッ


角間「決まったぁぁぁ!!!!後半残り半分、音の木坂遂に同点!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!!


角間「試合を振り出しに戻しましたぁ!!」















凛「やったにゃー!かよちん真姫ちゃん!」ギューッ


真姫「……当然でしょ!」クルクル


花陽「えへへ……!」はぁ……はぁ……


花陽(や……やった……!)はぁ……はぁ……


海未「ええ、素晴らしかったです」


花陽「海未ちゃん!」


海未「そしてシュートの前、にこ、凛、花陽、雪穂………」


海未「……穂乃果」


にこ凛花陽雪穂穂乃果「!」


海未「最高のプレーでした」


みんな「……!」


凛「にゃ……!?う、海未ちゃんが褒めるなんて……」ゴクリ……!


にこ「縁起でもないわ……」ブルッ…!


海未「どうしてあなたたちは素直に褒められてくれないのですか?」


花陽「あ…はは……」















海未「穂乃果」


穂乃果「?」


海未「……笑って終わりましょう」スッ…


穂乃果「……もちろん!」トンッ……!


海未「……」フフ


海未「ついでに聞きたいのですが穂乃果」


穂乃果「どうしたの?」


海未「私ってそんなに恐いですか?」


穂乃果「……エ」フイ……


海未「穂乃果、どうして目をそらすのですか」


穂乃果「……」


海未「穂乃果」















GK「………」


ツバサ「気にしないで、次集……」


GK「次は止めます」


ツバサ「!」


GK「ゴールは任せてください」


ツバサ「……もちろん」ニコッ















UTX1-1音の木坂


ビーーーーー!


角間「UTXボールから試合再開です!」


ツバサ「いくわよ!!」


みんな「おお!!」













凛ママ「みんな上がってきてるなぁー!」パタパタ


真姫ママ「流れが戻ってきたわね~」


凛ママ「だなー!」パタパタ


絵里ママ「パタパタしない」


凛ママ「は、はい!すいません……」ピタッ


絵里ママ「あっ……」


凛ママ「も、もうしませんから!」ピシッ


絵里ママ「……そう」


凛ママ「………」シュン…


絵里ママ「…………」














絵里ママ(あああぁぁぁ………!!せっかく楽しんでるのに何小言言ってるのよ!!)


絵里ママ(そうじゃないのよ星空さん、あなたを悪く言いたいわけじゃないのよ……!)


絵里ママ(現役の頃からそう……絶対怖がられてるわね)ハァ……


凛ママ「……!」ビクッ


凛ママ(た…ため息……!)ビクビク…….!


凛ママ(また怒らせたかぁ?)


凛ママ(……恐い)ハァ


絵里ママ(ため息……!)ビクッ


絵里ママ(めんどくさい先輩と思われたかしら!?思われた!?)


絵里凛ママ「………はぁ」


絵里凛ママ ビクッ


希ママ(二人の考えてることが手に取るようにわかって面白いわね~)


花陽ママ(ね~)















ワァァァァァァァァァァ!!!


ドッ!


凛「いっくにゃー!」トッ


角間「星空がボールを受け取ったぁ!!勝ち越しの起点となるかぁ!?」


DF1「いっかせないよー!」ザッ


MF2「たまにはいいとこ見せろよチビっ子!!」


DF1「あーもう、ほんと外野がうるっさいです!!」バッ















クルクルクル


ボファァァアァァァアアア!!


DF1【フレイムダンス!!】


角間「DF1が星空を捉えたぁ!!」


凛「あっまあまにゃー!」バッ!














クルクルクル……バッ!クルンッ……


バババッ……!


凛【アクロバットキープ・ブレイクダンス!!】


ワァァァァァァァァァァ!!!


角間「星空捕まらない!!圧巻のキープ力です!!」


DF1「むぅー……」プクー……!


にこ「よっし!!」


凛「海未ちゃん!」ドッ!















海未「はい!」トッ


角間「園田にパスが通りました!確実にゴールへとボールを進めていきます!」


MF3「させないっす!!」バッ


ガガッ……!トッ、ザザッ……ジャリッ……!


海未「っ……!あなたもなかなかやりますね」トッ


海未(キープするのがやっと……!)


MF3「褒めても何も出ないっすよ!」ガガッ…!


MF3(特徴があるわけじゃない、シンプルに強いタイプ……めんどくさいっすね)


角間「これは激しい鍔迫り合い!!両者一歩も引きません!」


真姫「海未!こっちに!」


DF2「させるか並乳」ザッ


真姫「並……!?」ゴーン














MF3(……このままじゃラチがあかないっすね)バッ!


海未(……?距離をとった?)
















【クリエイション……!】










ズズズズズズ……!


海未「……!?分かれ道……」


MF3「さあ、どっちが安全な道っすかね~?」


海未「……」


海未(何か罠が……いや、ない方が不自然ですね)


MF3「正解は………」















ズザザッ!!! ズザザッ!!!


海未「!?」


ことり「海未ちゃん!!」















MF3「どっちも大外れっすよ!!」


ドガァッ……!!


DF1、MF2【ハーヴェスト!!】


海未「うぐぁぁぁ!!!」ドサッ


ことり「ーーー……」


角間「園田からボールを奪ったぁぁ!!」


MF1「………あーあ」
















MF1「私は知りませんからね」


MF2「よっし!!」トッ


DF1「先輩!ツバサさん達に……」









ゾクッ……















MF2、DF1「……っ」ビクッ…!


ことり「……海未ちゃんを傷つけないでって……」














ことり「言ったよね?」


MF2「……言われてねぇよ!!」ザッ


DF1「初耳だよ!」ザッ


ことり「……」













ことり【アングリーバード】















MF2「……?何を……」


あんじゅ「上よ!」


DF1「上…?」バッ


キラン…!


MF2「こ、これは……!?」バッ!













ズガン!!


DF1「うわぁぁ!!」ドサッ


MF2「大丈夫か……!」トトッ


ことり「……外した」


MF2(……今一瞬だけ見えた……あれは…)














ことりママ「猛禽類、例えば鷲なんかははるか上空から獲物を捕捉し、襲いかかる」


MF2「鳥型ミサイル……ってことか…!」ジャリッ……!


ことり「あと3発!」バッ……!


MF2(……まぁ)バッ















……ズガン!!


海未「ことり……」グググッ…!


にこ「あんな攻撃的なことり……初めてみたわね」ググッ…!ヨイショ


凛「恐いにゃ~……」


ことり「……あと2発!!」バッ!


MF2 バッバッ!


ズガンズガン!!


ことり「……!」


海未「そんな……!」















MF2「……」ニィッ


角間「MF2 避け切ったぁぁ!!」


DF1「うっわすっごく悪い顔してる」


海未(連続であの攻撃を避けきるとは……何という体捌き……)


ことり「ちょこまかと……!」


MF2「残念だったな」ニシシ


ことり「海未ちゃんにひどいことする人は、私が許さない!」


海未「ことり……」













ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『うぅー……っ』グスッ


『あはは!こいつすぐないておもしろいな!』


『ほのかぁ…ことりぃ……』グスグス


タッタッタッ


ザザッ!


『こらー!うみちゃんをいじめるなー!』


『ほのかがあいてだよ!!』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


海未(……昔はよく……こんな風にことりたちが助けに来てくれましたね)














MF2「許さないとどうなるんだ?」


ことり「……やる」ボソッ


MF2「あ?なんだって?」


ことり「…-……ことりの……」


















「おやつにしてやる」


ゾッ……


MF2「……へ」













バクッ……!











テンテンテン ……


トッ


ことり【ハングリーバード】














ワァァァァァァァァァァ!!!!!


角間「み、南止めましたぁ!!一度は破られたかの様に見えたが見事敵の進行を防ぎましたぁ!!」


ことりママ(まるで餌を待つ雛鳥の様に下から……)


ことりママ「……いつの間にそんな好戦的な子になったのかしらね」フフ














ことり ダッ!


海未「……すごい」


ことり「………」タッタッタッ















海未ちゃんが傷つけられたのを見てついカッとなっちゃった……


今までどれだけ頑張ってもあんな風にできなかったのに


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ザッ ザザザッ


海未「ことり、もう少し強引でも構いません」


海未「絶対に取るんだという勢いで来てください」


ことり「で、でもぉ……」


海未「まったく……ことりは優しすぎるんですよ」ヤレヤレ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


優しいんじゃない、ただ弱いだけ















MF2「くっそ……!」ムクッ…!


MF2(上に注意を引いて、本命は下か……やられた)


ことり タッタッタッ


角間「そのままドリブルで敵陣へ切り込んでいきます!!」


海未(敵にすら気を遣っていたあのことりが……)















海未ちゃんを傷つけられたのは激おこちゅんちゅん丸だけど


そのおかげで気づけた


ことり、強くなりたいよ


まだほんの一歩だけど、もっともっと


そのためなら……














アフロディ「行かせないよ」ザッ


ことり「どいて!!」ダッ!


ガッ!ガッ!ググググッ…!!


角間「これは激しいぶつかり合い!どちらも譲りません!」
















こんな弱さ(優しさ)、いらないよね?















ことり「っ……はぁぁぁ!!!」ガッ!


アフロディ「くっ……!」ドサッ


角間「南競り勝ちましたぁ!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


凛「ことりちゃんすごいにゃー!」


穂乃果「いっけーことりちゃん!」


海未「ことり!!」















ーーーーーーーーーーーーーーーーーー??


ことり「私は……何もないから」 ??


穂乃果「何もない?」


??ことり「穂乃果ちゃんや海未ちゃんたちと違って……何も…」 ?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そしたら












グッ…!


ことり「……ふっ!」ダンッ!


バサバサバサ!

















私もみんなみたいに、《何か》を見つけられるかな















ドキュッ!!!


ことり【シャイニングバード!!】


ゴォォォォォォォォ!!!!!!












ゴォォォォォォオォォオ!!!!


角間「み、南の必殺シュートです!!なんと鮮やかなシュートでしょうかぁ!!」


ツバサ「……悪いけど、気合ではどうしようもないこともある」


GK「……」グッ


ことり「……自分の実力ぐらい……わかってる…!!」


ツバサ「……!」


ことり「お願い!!」















真姫「………任された」


グッ……


ダンッ!


ツバサ「………っち……!」












ディフェンス、ドリブル、シュート


西木野真姫はディフェンス、ドリブル、どちらも得意とは言えなかった


幼少期から一人で特訓していたため、対人センスがまるで磨かれていなかったからである


代わりに……












グルグルグル!


ボフォォォォォォオオ!!!!!


角間「西木野のシュートチェイン……いや、これは……!?」

















シュートセンスだけは、チームの誰よりも磨きこまれていた
















真姫「はぁぁぁぁぁ!!!!!」バッ!!










ドキュッ!!!!


真姫【爆熱ストーム!!】


ゴォォォォォォオォォオオオオ!!!!!














ゴォォォォォォオォォオオオオ!!!


角間「西木野と南のオーバーライドだぁ!!!」


西木野ママ「!」


穂乃果「いっけー真姫ちゃん!!」


にこ「決まれ!!」


MF2「意地でも止めろ!!」


GK「……!!」グッ















ダラン………












バッ……!








ガブゥッ…!!


GK【ハイビーストファング!!!】


ギュルルルルル!!!!!!!


GK「っぐぐぐぐ……!!!」ズズッ……!


ことり真姫「決まれ!!」


DF2「止めてまえ!!!」


ギュルルルルルルル!!!!


GK「……!」ズズッ……!


GK(この人たちは……なんで、こんなに……!!)













GK(試合の中でっ……強くなれるの……!?)グググッ……!


ことり真姫「いけ!!!」


GK(……っ!……もう……限界……!!)ググッ…!


ギュルルルルル!!!!


GK「…………」











GK「………」グッ…!


ことり真姫「!」


GK(……使えるものはなんでも使う)


バチィッ……!


角間「キーパー弾かれたぁ!!」


GK「……腕がダメなら」バッ


ツバサ「!」













GK「顔で!!」


バキィッ……!!!


GK「ブッ……!!」


ブワァ……!!


ゴロゴロゴロ! ドサッ…!


ポーン……!テンテンテン……















シーン……


角間「……………し」


角間「凌いだぁぁ!!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!!


イイゾーー!!ナイスガッツ!!


角間「UTXGK、体を張ったセーブで見事逆転を凌ぎました!!」


DF2MF2「よっし!!」


ことり真姫「なーー!?」ゴーン…!


角間「音の木坂のコーナーキックで………おや?」


あんじゅ「……!」ダッ!















ポタポタ……


GK「ゴフッ……!」ポタポタ…!


あんじゅ「大丈夫!?」バッ


ピーーーーーーーー!!


角間「おおっと?UTX高校GKがゲガをしてしまったようです」


ナンダ?ハナジダッテ、ダイジョウブカナ


ザワザワ……ザワザワ……


GK「うぅ……」ダラダラ……


あんじゅ「上むいちゃダメ、鼻血は下を向かないと」


お姉さん「交代の前に軽く止血しちゃうよ」ザッ!


MF1「落ち着いて、ゆっくり呼吸してください」


DF1「痛いの痛いの~……飛んでけー!」


MF2「そんなので治りゃ苦労しないっての」


お姉さん「…」ガサゴソ


お姉さん(この血の出方……結構深く傷ついてる可能性もある)


お姉さん(試合時間はあと15分ぐらい………もうグラウンドには帰ってこれないかも)


ガシッ……!


みんな「!」














GK「………っ」グググッ……


お姉さん「………」


みんな「……」


GK「……」グググッ














フッ……


GK「………」


GK「代わりのキーパーは……誰ですか?」


お姉さん「………」


みんな「………」














「私が変わろう」


お姉さんみんな「!」


GK「……エレナさん?」


エレナ「私がキーパーに入る」














ことり「だ、大丈夫かなぁ……」


真姫「あれを顔で止めるなんて……考えたくもないわね」ゾッ…


タッタッタッ


穂乃果「すっごかったよ!!ことりちゃん!真姫ちゃん!」


花陽「うん!バサバサって!」


海未「ことり……一体いつの間に」


ことり「分かんない!」


海未「……ことりらしいですね」フフ


絵里「真姫もよ!!あんなの隠し持ってたなんて!」わしゃわしゃ!


凛「そうやって真姫ちゃんは最後にいいとこ持ってこうとするんだにゃー!」わしゃわしゃ!


真姫「?ぇぇぇぇぇ………!!!!」ボサァ…!


にこ「出し惜しみなんてするんじゃないわよ」


真姫「……ふんっ」


にこ グリグリグリ……!!


真姫「?ぇぇぇぇぇ!!!!」














真姫(……【クロスファイア】はキック力を補うために助走を入れた)


真姫(だから【爆熱ストーム】も、何かがあればできると思った)


真姫(ここまでうまくいくとは思わなかったけど……)


真姫「……ことりに感謝しなきゃね」フフ















希「ことりちゃん……真姫ちゃん……」


監督「成長できるのは、かっこ悪くもがき続けたやつだけだ」


希「……言いたいことがあるなら言ったほうがいいですよ」


監督「言う必要があるか?」


希「……!」


監督「お前は全て分かってるはずだ」


希「……」


監督「それに」


監督「俺は二度同じことを言うのは嫌いだ」


希「……そ、ですか」














ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


監督「凛!!」


凛「は、はい!?」ビクッ


監督「今グラウンドの中で全力で戦っていないのはお前だけだ!!」


監督「やる気がないならグラウンドから出ろ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


希(……分かってるよ、そんなの)


希「って……んん!?」バッ


監督「……面白いことになったな」















角間「負傷したGKはベンチへと運ばれていきます!」


パチパチパチ!


ヨクヤッタ!!カッコヨカッタゾー!!


角間「………おや…!?」


角間「な、な、何と言うことでしょう!!怪我で抜けたキーパーのポジションに統堂が入りましたぁ!!」


ナンダ?トウドウガキーパー?


マジカヨ!デキンノカ?


角間「残り時間も迫る中、この采配が吉と出るか凶と出るかぁ!?」


オモシロクナッテキタナ!!ガンバレ!!


監督「………」チラッ


穂乃果「はぇ~……びっくりだねぇ」


にこ「うそ……」


花陽「あり得ないです……」


角間「音の木坂のコーナーキックで試合再開です!」


海未「絶対とりますよ!!」


みんな「おおお!!!」


エレナ「………」コキコキ


音の木坂1-1UTX


ピーーーーーーーー!


ドッ















絵里あんじゅ「はぁぁ!!」バッ!


角間「絢瀬と優木が飛びついたぁ!」


あんじゅ「ふっ!」ガッ!


角間「優木競り勝ったぁ!こぼれ球は音の木坂が押さえます!」


真姫「凛!花陽!」


凛花陽「了解!!」バッ!














グッ……ダンッ!


グルグルグル グルグルグル


ギュフッ……!


バッ!















ドキュッ!!!!


真姫凛花陽【ファイアトルネードTC!!!】


ゴォォォォォォオォォ!!!!!














角間「音の木坂がゴールを捉えたぁ!!交代直後の隙を突かれたかUTX高校!!」


エレナ「……」


GK「エレナさん……」


エレナ(……まさかまた、ここに戻ってくるとはな)














スッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


幼少期(小学生)


「みんなー!サッカーしよー!」


「いいよー!」


えれな「……私もいい?」


「えー……統堂さんサッカー下手じゃん」


えれな「でも……やりたい」


「キーパーならいいんじゃない?」


「うん!それなら!」


えれな「……ありがと」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















グッ……!


バリバリバリ!!!


コォォォォォォォオォオオ……!!!














エレナ【王家の盾!!】












ギュルルルルル!!!!


角間「統堂の必殺ワザです!!」


トメローー!!


ガンバレーー!!


エレナ「っぐ……!!」ズズッ……


GK「エレナさん!!」


エレナ「……!」ググッ……
















エレナ「はぁぁぁ!!」グッ


バチィ!!


ポーン……!


真姫凛花陽「なっ……!」


エレナ「うぐっ……!」ゴロゴロ……ズザザ!


角間「は、弾いたぁぁぁぁ!!!」


海未「そんな……!」


絵里「3人とも!まだまだこれからよ、すぐに……」


ワァァァァァァアァァァァアア!!!!!


音の木坂「……!」ビクッ…!














ヨクトメターー!!!イイゾートードー!!!


ガンバレUTXーー!!!


ソウダ!!マケンナヨ!!


ユーティーエックス!!ユーティーエックス!!
















穂乃果「な……なにこれ……」


UTX!!UTX!!UTX!!UTX!!


海未「会場が……」


UTX!!UTX!!UTX!!UTX!!


にこ「……っち……」


にこ(GK捨て身のブロック……からの統堂エレナのキーパー交代、セーブ)


UTX!!UTX!!UTX!!UTX!!


にこ(観客全部持っていかれた……!!)


花陽「っ……!」ぜぇ……ぜぇ……


花陽(しん………どい……!!)ゴホッゴホッ














エレナ「……っ」フラッ…………グッ!


エレナ(……次は……まずいかもな)


ポーン……!


真姫「凛!花陽!!」タッタッタッ


凛「うん!」


花陽「りょ、了解……!!」ハァ……ハァ……


エレナ「!?」


花陽(……弱音は試合が終わってから好きなだけ吐けばいい)ハァ……ハァ……















グッ


ダンッ!! ダンッ!!


グルグルグル グルグルグル


ギュフッ


バッ……!















花陽(今…!!目の前のボールに全力を尽くす……!!)


ドキュッ!!!


真姫凛花陽【ファイアトルネードTC!!】


ゴォォォォォォォオォォオオオオ!!!!














角間「攻撃意思はどこにも負けない音の木坂!!残り時間も迫る中、失点は避けたいUTX高校!!凌げるかぁ!?」


DF2「……っのアホーーーーー!!!!」ゴーン…!!


エレナ「……はは……馬鹿だろ」タラッ……


トメロートードー!!キメラレンナヨ!!


エレナ「……っ…簡単にいってくれる」グッ


GK「エレナさん!!」















ツバサ「あら、あなたが弱音を吐くなんて珍しいわね」ザッ


あんじゅ「熱でもあるんじゃないの?」ザッ


エレナ「……!二人とも……」


ツバサ「……私ね、意外と負けず嫌いみたい」


海未「!!」















ピューーーーーーイ!!!


ドシュドシュドシュドシュ


角間「これは【こうていペンギン】かぁ!?」


あんじゅ「ツバサにばかりいい格好はさせないわよ?」


ピューーーーーーイ!!!!


ドシュドシュドシュドシュ















ツバサあんじゅ【こうていペンギン……】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


?あんじゅ「約束を破ると……怖いわよ~?」


??フードの子「で、でも!ツバサさんたちも禁止してるワザもってますよね?」 ??


エレナ「もってはいるがそれも同じだ」 ??


ツバサ「一発が限度………わかったかしら?」 ??


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


















ツバサあんじゅ【1号!!】


ドギュルルルルルルルルル!!!!!!


角間「綺羅と優木によるシュートブロックです!!」


海未「1号……!?」


穂乃果「こうていペンギンは2号と3号だけじゃ……」


亜里沙「これが……ツバサさん達が禁止していた必殺技……!」














ギュルルルルル!!!!!


ツバサ「……っ……あの日の悔しさは……!」


あんじゅ「1日だって……忘れたことはない…!」


ビキビキ……!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー??


あんじゅツバサ「はぁぁぁぁ!!!」バッ


??ドキュルルルルルル!!! ??


あんじゅ「絶対に……!」ググググ ??


ツバサ「止める!」ググググ ??


角間「綺羅と優木がフォローに走っていたぁ!! ????????」










ギュルルルルル!!!


??ツバサ「…….っぐ…!」ググッ ??


あんじゅ「……なんて……威力なの!」グッ


?あんじゅツバサ「きゃぁぁぁ!!!」ドサッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


















ツバサあんじゅ「はぁぁぁぁ!!!!」ドキュゥッ!!!!


ゴォォォォォォォオォォオオオオ!!!!!












角間「はじき返したぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!!


真姫「うっそ……」


海未「ディ、ディフェンス!!」


ゴォォォォオォォオオオオ!!!!


海未「……!」


角間「全員攻撃を仕掛けていた音の木坂!!誰もブロックには入れません!!」


穂乃果「……!」グッ















雪穂「私がいる!!」ザッ


穂乃果「雪穂!」


雪穂【ハンターズネッ……!!】


ゴォォォォオォォオオオオ!!!!


ドガァッ……!!


雪穂「うわぁぁぁ!!!」ブワァッ……!


角間「高坂吹き飛ばされてしまったぁ!!」


穂乃果「雪穂!!」


穂乃果「……!!」ハッ…!
















穂乃果(雪穂、飛ばされ………ポスト、ぶつかっ…危)


穂乃果(ゴール、入っちゃう……でも雪穂、が)


ゴォォォォオォォオオオオ!!!


雪穂(やっばい、体制が……!)ブワァッ……!


穂乃果「ーーーー……!!」















穂乃果「雪穂!!」バッ!!


雪穂「っ…!」パシッ


海未「!」


希「あ」


ドシュルルルルル……!!!


角間「………は……」












角間「入ったぁぁぁ!!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!


角間「残り時間10分!!UTX勝ち越し!!!」


角間「連続攻撃のツケが今!回ってきてしまいました!!」


角間「音の木坂にとっては手痛い追加点だぁ!!!!」













穂乃果「……雪穂!大丈夫!?」バッ


雪穂「……………なに、やってんのさ!!」ガッ!


穂乃果「…っ…」


雪穂「亜里沙の時とは違う……入っちゃったんだよ!!ゴールが!!」バッ!


雪穂「お姉ちゃんはキーパーなんだから……!!今の失点がどれだけ重いか……」


穂乃果「………」















海未「よく受け止めましたね穂乃果」ザッ


雪穂「……海未さん……皆さんも……」


穂乃果「……ごめん、ゴール決められちゃった……」ニヒヒ…


海未「あなたはなにも間違ったことはしていませんよ」


海未「仲間を見捨てて得た勝利で喜ぶ人なんてこのチームにはいませんからね」


にこ「今のでもし、穂乃果が雪穂を見捨ててたらあんたのこと軽蔑してたわよ」ハンッ!


凛「あ、これは照れ隠しのにこちゃ痛い痛い痛い」ギリギリギリ……!


雪穂「でも……!」


雪穂(そもそも私がでしゃばらなかったら……)


亜里沙「コウカイアトサキニタタズ!だよ雪穂!」


雪穂「亜里沙……」


亜里沙「終わってないよ!試合!」フンスッ!


雪穂「……………………だめだ私、いつもすぐ弱気になって」ブルブル……!!












パンパン!


雪穂「切り替えます!!!」キッ


亜里沙「ハラショー!」


海未「ふふ、その調子です」


ことり「うん!頑張ろう!」


亜里沙「ドウジョウスルナラカネヲクレ!だね!」


絵里「違う、誰亜里沙に変な言葉教えたの」















希「……」スッ


監督「いくのか」


希「……ウチ……」


監督「まだ迷いが見えるが、行きたいと言うのなら止めはしない」


希「……後悔、したくないから」


監督「……そうか」















希「フミコちゃん」


フミコ「はい!」


希「このぬいぐるみ、捨ててきてくれんかな」


フミコ「へ……大事なものじゃないんですか?」


希「……お願い」


フミコ「………わかりました」


希「ふふ、ありがとう」ニコッ


タッタッタッ















ツバサ「……不本意だけど、あの時の借りは返したわよ」


あんじゅ「カラダ、バキバキ、マッサージ」


エレナ「わかったわかった、終わったらしてやるから」


MF3「やったっすねツバサさん!!あんじゅさん!!」


MF2「シビれました!!」フンスッ!


DF1「エレナさんもすごかったです!」フンスッ!


DF2「FWもGKもできるとかほんまに同じ人間かって話やんなぁ……」


MF1「ですが本当に恐ろしいのはここからです」


ツバサ「音の木坂は追い詰めれば追い詰めるほど強くなる」


ツバサ「………げ」


あんじゅ「……ん?………うぇ」
















角間「ここで東條がMFに復帰だぁあ!!」


角間「残り時間10分弱!!試合にどのような影響を及ぼすのでしょうか!!」


希「やほ~!」フリフリ


絵里「希……!」パァァァァ!


希「残り時間も少なくなってきちゃったけど、最後まで頑張るやん!」グッ


海未「ふふ、頼もしいですね」


凛「うん!ね、かよちん!」クルッ















花陽「ゴホッゴホッ……!!………え?」ゼェ……ゼェ……


凛「か、かよちんどうしたの!?」


花陽「はは……ちょっと……頑張り……過ぎ、ちゃったみたい」ゼェ……ゼェ……


凛「……試合始まるまでまだあるから、少し休んでおくにゃ!」


花陽「あり……がと……!」ゼェ……ゼェ……














希「……迷惑かけたね」スッ


ヒデコ「……やっぱり私は、この11人が好きです!」スッ


パチッ!


角間「追加点を許した音の木坂!!残り時間も気になる中、どのような攻めを見せてくれるのでしょうか!!」


音の木坂1-2UTX


ピーーーーーーーー!!!


ドッ!


ワァァァァァァァァァァ!!!















希「………」チラッ


希「!」バチッ










Aちゃん「……!」ビクッ










希(……Aちゃん……)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


Aちゃん「のぞみちゃんおさいほーできるのー!?すっごーい!」


のぞみ「う、うん、なんとなくだけど」


東條希は、幼い頃から器用な少女だった















Aちゃん「のぞみちゃん絵すっごく上手だね!」


のぞみ「そ、そんなことないよ~…!」テレテレ


東條希はあらゆる方面で器用だった













先生「よーし、今日はバスケットの授業をするぞー!二列に並べ!」


のぞみ「バスケット……?」


Aちゃん「のぞみちゃんしたことないの?」


のぞみ「うん、初めて!」


Aちゃん「じゃあ私が教えてあげる!実は私、バスケットクラブに通ってるんだ!」


のぞみ「すごい……!」キラキラ


先生「じゃあ誰か試しに……そこのおしゃべりしてる2人!出ておいで!」


Aちゃん「はい!」スッ!


のぞみ「え、えぇ~……」スッ……















パスッ……!


ワァァァァァ!!


スッゴーイ!アンナノムリダヨォ……


先生「Aは5本中3本か!すごいな!」


Aちゃん「えっへへ!」


先生「次、東條!」


のぞみ「えぇっと……」アワアワ














先生「東條は持ち方からだな、こうやって……」スッ


のぞみ「……こう?」スッ


先生「そうそう!上手いぞ!」


東條希は器用だった















先生「で、こう!」ヒュッ


……パスッ!


のぞみ「わぁ……!」パァァァァ!


先生「さ、やってごらん!」


のぞみ「はい!」


東條希は器用だった















のぞみ(たしか、こうやって………)ググッ


先生「おっ!いいぞ!」


Aちゃん「がんばれー!」


のぞみ「……こう!」ヒュッ!


東條希は………

















パスッ……!


器用すぎた
















放課後


希「ど、どうして怒ってるの……?」ビクッ


Aちゃん「……バスケット、嘘ついてたの?」


のぞみ「嘘なんかじゃ……」


Aちゃん「初めてじゃないならそう言えばいいのに……!」


のぞみ「ほんとに初めてで……」


Aちゃん「じゃあ………!」














Aちゃん「5本全部なんて入るわけない!!」


のぞみ「それは……」


Aちゃん「心の中で私のことバカにしてたんでしょ!」


のぞみ「し、してない!!」


Aちゃん「……もういい」


Aちゃん「のぞみちゃんとはぜっこうする!!」


のぞみ「……!」


Aちゃん「もう話しかけてこないで!!」ダッ!


のぞみ「まっ……!」


Aちゃん「のぞみちゃんなんかだいっきらい!!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー














希(それからすぐに親の転勤が決まって、本当に離れ離れになっちゃったっけ)


希(あの日からうちは……)















「希!!」


希「……!」ハッ……!


パシッ!


角間「交代直後の東條にボールが回りました!」


DF2「勝負やエセ女ァ!!」ザッ


希「っ……!」














DF2【スーパーしこふみ!!】


ヒュッ……!


希(……ここで奪われるわけには……)ダッ!















ガッ……!!


DF2「うぐっ…!」ドサッ


角間「東條強引にディフェンスを抜い……」


ピッ!


希「あ…」ピタッ


角間「おしい!これはファウルになりました!!少し強引すぎたかぁ!?」














DF2「いってて……」


希「ご、ごめんなさい…!」スッ


DF2「んぉ…?ああ、悪いな」スッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ご、ごめんなさい………」オズオズ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


DF2(………あれ?この感じどっかで……)


希「……?なにか?」


DF2「あ、いや、なんもない」ガシッ


グイッ スタッ


DF2「……負けへんからな!」タッタッタッ


希「……」















パシッ!


希「いっ…!」


絵里「ほら!シャキッとする!」


希「……わかってるよ!」


にこ「休みすぎて体なまってんじゃないの?」ハッ!


希「……にこっち」


にこ「なに?またおばあちゃんって……」


希「勝とうね」


にこ「……?あんた大丈夫?」


希「もーひどいなぁ……」プクー


希「うちにも真面目な時ぐらいあるんよ?」ポヒュー


にこ「……初耳ね」


希「ワシワシ?」


にこ「悪意がすごい」















ピッ!


ドッ!


角間「UTXボールとなりました!一刻も早く点を取り返したい音の木坂!!どうする!?」


ツバサ「上がりなさい!!」トッ


ザザザッ!


海未「くっ……!」


角間「あくまで追加点を狙いに行くUTX!!」


凛(かよちんを少しでも休ませてあげないと……!)ザッ


角間「綺羅の前に星空が立ちふさがります!」


ツバサ「……」タッタッタッ


凛「行かせないにゃー!」バッ!














ヒュッ…クルッ


トッ


海未「……は?」


凛「……え」


ツバサ「ごめんなさいね」


角間「星空をものともしない綺羅!!圧巻のドリブル突破です!」


凛「そんな……!」















花陽「私……が!!」ザッ


ツバサ「……ふふ」トトッ


ザッザッ!クルッ!


花陽(フェイントからのターン…!)グッ














カクッ


花陽「……っ……!?」ドサッ


ツバサ「体力のご利用は計画的に……ってね?」


角間「小泉足がもつれたぁ!!疲労がたまってきているのかぁ!?」


花陽(考えろ……私で終わりじゃない、私が抜かれた後、誰が……誰を……えーっと……)ゼェ……ゼェ……


花陽(ーーーーーーー…)ハァ……ハァ……


にこ(慣れないシュート3本、プラス、花陽はこの試合中ずっとフルで頭を働かせてた………)


海未(そのツケが今……)


花陽「……っ」ゼェ……ゼェ……


ツバサ「……!」ブルッ


ツバサ(体も頭も限界のはずなのに……)


花陽 キッ…!


ツバサ「……」フフ


角間「ディフェンスラインを突破したぁ!!」















ツバサ「あんじゅ!!」バッ!


あんじゅ「ええ!」


にこ「来るわよ穂乃果!!」


穂乃果「…!」グッ















バッ!


ツバサあんじゅ【ユニコーンブースト!!】


ドゴォォォォォォォォオオオオ!!!















角間「シュートを放ったのはUTX高校!!音の木坂凌げるかぁ!?」


にこ「ここに来て新必殺技……!?」


花陽「……でもこれ……」ハァ……ハァ……















穂乃果【マジン・ザ・ハンド!!】


ギュルルルルル!!!!!


角間「高坂正面から立ち向かいます!!」


海未「穂乃果!!」


雪穂「お姉ちゃん!」


穂乃果「……はぁぁぁ!!!」グッ















シュルルルルルル………!!


穂乃果「……よし!」


角間「とぉめたぁ!!」


ツバサあんじゅ「……くっ…!」


穂乃果「みんなー!!まだまだ行くよー!!」


みんな「おー!!」


角間「音の木坂の守護神高坂、頼もしいプレーでチームを引っ張ります!」


海未(よし、統堂さんが抜けたおかげで攻撃翌力が下がってますね。これなら……)















アー!オッシイー!


海未「…!」クルッ


ドンマイドンマーイ!ツギイケルゾー!!


にこ(そこは「ナイスセーブ!」でしょうが……!!)イラァ…!


穂乃果「……っ……希ちゃん!!」ドッ!















希「……!」トッ


角間「東條へパスが通りました!!」


花陽「の、希ちゃん!……きて…ます!」ハァ……ハァ……


希「くっ…!」ピタッ


DF2「行かせへんぞエセ女ぁ…!」ザッ


希「……通してくれんかなぁ」


DF2「エセには刺激が強すぎるもん見せたるわ」


希「?」














ダンッ!


DF2「はぁぁぁぁ!!」ググッ


ゴゴゴゴゴゴ……!!!


希「…こ、これは…!!」












ドドーーン!!


DF2【道頓堀・ウォール!!】


希「…!!」グラッ


角間「なななぁんとぉ!!グラウンドに道頓堀が出現いたしましたぁ!!」


にこ「エセVS本家……見ものね」


凛「希ちゃーん!負けちゃダメにゃー!」














希(もうやるしか……!)グッ











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「のぞみちゃんなんかだいっきらい!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー











希「ーーーッ……!」ビクッ


バチィッ!


希「うわぁ!!」ドサッ


角間「東條止められたぁ!!」


DF2「うちの勝ちやエセ女!」トッ


希「……くっそ……」


角間「東條プレーに精彩さがありません!」













希「大丈夫、大丈夫やから……!」ブツブツ



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


中学校


あの一件以来、東條希は周りの目を気にするようになった


周りより飛び抜けていないか、出しゃばっていないか


ただ………東條希は器用だった













ドガァ……!!


希「いっ…!」ドサッ


モブヤン1「……あんたのその済ました態度、なんか腹立つんだよね」


希「……気のせいじゃない…?」ゴホッ


モブヤン2「気のせいじゃないから言ってん……の!」ドゴォッ!


希「?ぇ…!」













周りに合わせた態度が逆に反感を買ってしまうこともあった


希(……私に……どうしろって……)ゴホッゴホッ















「うっわ、2対1とかえっぐ」


希「!」


モブヤン1「あ?………ぷっ!小学生かよお前」


モブヤン2「用がないなら帰りなチビちゃん」シッシッ


「……」イラァ…!


「……今うちに言った暴言は100歩譲って許したる」


「でもな……」スッ


モブヤン「!?」













ドゴォッ…!!


モブヤン1「ガハッ……!」ドサッ


「目の前のイジメスルーできるほどできてないんじゃボケェ!!」


モブヤン2「こいつ…!!」ドゴッ!


「いっ……」グラッ…!


「………オラァ……!!」バキィッ……!!


モブヤン2「ブッ……!」ドサッ


「……さっさとどっかいけや」


モブヤン1「……行くぞ…!」タッタッタッ


モブヤン2「っち……!」タッタッタッ















「………っはー、痛った……」サスサス


希「あ、あの……!」


「んあ?」


希「ご、ごめんなさい……私のせいで…」


「おー気にすんな、1発だけやしなもらったの」ニシシ!


希(関西弁……)


希「……どうして……助けてくれたの?」


「……多分帰ってから、「あの時行っとけばよかったなぁ」ってなると思ったから」


希「?」


「やらずに後悔するより、やって後悔した方が気持ちええやろ?」


希「……!」


「ウチ好きやねんこの言葉」


希「……やらずに後悔するより……やって後悔……?」


「そ!ただし、全部自己責任でな!」


希「……私は……」

















『だいっきらい!!』











希「……そんな勇気、ないかなぁ……」


「………」


希「でもありがとう!少しスッキリ……」











モニュッ……!


希「………」


「んー、発展途上といったところやなぁ」モミモミ


希「………」ペシッ!


「いけず!」















「……それじゃあウチは帰るけど、あんま考えすぎんよーにな」


希「うん、今日はありがとう」フリフリ


「……さっきよりマシな顔んなったな」


希「……ちょっとだけ勇気もらえたからかなぁ」


「そっか、じゃあな発展途上」


希「発展途上……!?」ゴーン


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー













希(結局また転勤でその人とはそれから一度も話してない)


希(あの人みたいに強くなれたらって……ずっと思ってた)


希(あの人みたいに……周りの目を気にせず、自由に……)
















あの日から関西弁は、[わたし]にとって勇気の象徴となっていた















「勇気、出しきれてないよね?」


希「……!」ビクッ


「ふふ、びくってしたね」


希「君は……?」


「わたしはあなたの悩み、のぞみだよ」


希「悩みなのか望みなのかはっきりしてほしいなぁ」


のぞみ「望みじゃなくてのぞみ!」


希「ふふ、はいはい」クスクス


のぞみ「大事な事なのに!」


希「……のぞみちゃん、話の続き」


のぞみ「あ、そうだね!」コホン


のぞみ「……あなた、サッカーは全力でやってるよね」


希「……うん」


のぞみ「でも」















のぞみ「隠してることがあるよね?」


希「………」


のぞみ「どうするの?試合終わるよ?」


希「……無理やん」


のぞみ「……?」


希「このチームに嫌われたらウチ、ホントに立ち直られへん」


のぞみ「だからこの悩みは閉じ込めておくって?」


希「……うん」ニコッ


のぞみ「………」














のぞみ「今までわたしは何回もあなたに話しかけた」


希「へ?」


のぞみ「何回呼びかけても見向きもされなかった…………」


希「……!」


のぞみ「どうして今聞こえたんだと思う?」


希「……さぁ」


のぞみ「どうしてあなたはぬいぐるみを捨ててって頼んだの?」


希「……さぁ」


のぞみ「どうして今更になってあの日のことを思い出してるの?」


希「………」














のぞみ「あなたが特別なんじゃない」


希「?」


のぞみ「みんな、大なり小なり心に抱えてるものがある」


希「………」


のぞみ「穂乃果ちゃんや花陽ちゃんやことりちゃん、他のメンバーだって悩んでる」


のぞみ「それを乗り越えたから、また前を向けてるんじゃないかな」


希「でも……」















のぞみ「しっかりしなさい!」


希「……!」ビクッ


のぞみ「このチームはそんなに簡単に離れていくような人たちばかりなの?」


希「……違うよ」


のぞみ「なら……!」














希「そんな子達だからこそ、離れてしまうのが怖いんよ」


のぞみ「………」


鍵穴がある、鍵もある、あとは回す勇気だけ


『だいっきらい!!!』


幼い頃のたった一言


その一言が今でもこの子を縛り付けている


あぁ、確かにこれは………

















呪いだ















ワァァァァァァァァァァ!!!!


希「……!」ビクッ


角間「綺羅にパスが回りましたぁ!!ロスタイムまでの時間も残り少ない中、完全にUTXペースだぁ!!」


UTX!!UTX!!UTX!!UTX!!


穂乃果「時間ないよ!!ぶつかって!!」


みんな「おぉぉ!!!」


ツバサ タッタッタッ


雪穂「亜里沙!私たちで!」ザッ


亜里沙「うん!」ザッ


雪穂亜里沙「はぁぁ!!」バッ!














ヒュッ……クルン……ダッ!


亜里沙雪穂「ぐっ……!」


角間「綺羅再び抜いたぁ!!」


にこ「くっそ……!」


海未(攻撃の糸口が全く掴めない……このままでは……!)


希「っ……」















「頑張れー!!音の木坂ー!!!」


みんな「……!」クルッ


希「……………Aちゃん………?」


アノコダレ?サァ……


Aちゃん「ほら!!音の木坂の子達も!」


音の木坂観客「………!」ハッ……!














角間「さぁ、試合の流れはUTXが握っております!このままUTXが……」


音の木坂!!音の木坂!!音の木坂!!


角間「こ、これは……」
















音の木坂!!音の木坂!!音の木坂!!


Aちゃん「音の木坂!!」


音の木坂観客「音の木坂!!!」


おばちゃんおっちゃん「音の木坂!!!」


角間「音の木坂の応援が会場に響き渡っております!」


ザワザワ……


ソウダ、オトノキモガンバッテルジャン


オトノキザカガンバレー!!


音の木坂!!音の木坂!!音の木坂!!















ナニイッテンダ!コレカテバサンレンパダゾ!!


ガンバレー!!UTXーー!!!


音の木坂!!UTX!!音の木坂!!UTX!!


音の木坂!!音の木坂!!音の木坂!!


UTX!!UTX!!UTX!!UTX!!















にこ「…遅いのよ、まったく」


真姫「すご……」


凛「うー!!テンション上がるにゃー!」


DF2「こんなに盛り上がったん、初めて見た……」


MF1「いつもワンサイドゲームでしたからね」


MF3「はぁ~……!」ゾクゾクッ













花陽「…はぁ……はぁ……」ゼェ……ゼェ……


ツバサ「……?」トッ












耳を塞いでいても聞こえるほどの声援


だが、小泉花陽の耳には何一つ届いていなかった


考えていたのは


花陽(疲れた……ご飯食べてお風呂に入ってあったかいお布団でぐっすり眠りたい……)


試合とはまったく関係のないことだった


ツバサ「……行くわよ!」ダッ!














花陽(………来た…綺羅さんのクセ……えっと……)


花陽(なんだっけ?タイミング?……じゃなくてクセ…えーっと……)


花陽(だめ、思考がまとまらない……)


ツバサ タッタッタッ


花陽(あーもう………)



















花陽「………めんどくさいなぁ」ボソッ


ツバサ「ーーっ……」

















トッ……!


ツバサ「…………………………は」


あんじゅ「…え?」


ことり「うそ……」


花陽「………」タッタッタッ


角間「こ、小泉綺羅からボールを奪い取ったぁぁ!?」


ワァァァァァァァァァァ!!!


凛「カヨちーーーーん!!」


海未「【ディフェンス方程式】とは比べ物にならない速度、正確性………」


エレナ(ここに来て……まだ成長するか、小泉花陽……!)ゾクッ


両チームが戦慄する中、当人だけが冷静だった














タッタッタッ


花陽(……?私、取ったの?誰から?綺羅さん?)ゼェ……ゼェ……


角間「~~!!~~……!」


花陽(解説の人……何言ってるんだろ……)ゼェ……ゼェ……


ハァ……ハァ……


MF2「いかせねぇよ!」ザッ!

海未(まずいです……今の花陽では……!)

海未「花陽!こちらに!」

花陽「…ぜぇ……ぜぇ……!」

海未(聞こえていない……!)

花陽「………はぁ……はぁ……!」ザッ

MF2「おらぁ!!」バッ!

花陽「……っ…!」















何度も繰り返し見た憧れのチーム、対戦経験あり、試合終盤


データは完璧に揃っていた


花陽「はぁ……はぁ……!!」


極度の疲労状態の中、思考をやめた小泉が行ったこと


それは………













MF1「はぁ!」バッ!


花陽(………多分……右…)バッ!













勘だった


MF2「っ……!」


ただの勘ではない


これまで蓄えたデータを無意識下で分析、選択


それが小泉を最善のルートへと導いていた


花陽「……あああああ!!!」バッ!
















【オフェンスコマンド】















シュバッ……!!!


MF2「くっ……そ…!」


MF2(動きが速いわけじゃないのに……追いつけねぇ…!!)


角間「小泉抜いたぁ!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


花陽「ぜぇ……!!ぜぇ……!!」タッ……タッ……!


イイゾーー!!コイズミーー!!ハナヨチャーン!!


花陽(観客の声、聞こえる)


花陽「ぁっ……」フラッ


ギリギリまで張り詰めていた糸が切れた瞬間だった















ポスッ……!


花陽「……希……ちゃん?」ハァ……ハァ……


希「……なんで……そんなになってまで……」


希(穂乃果ちゃんだってそう、なんでそんなに……)


花陽「……後悔……したくないから…」


希「……」


あぁ……嫌だ


花陽「このメンバーで、勝ちたいから……!」ギュッ!


またあの言葉を思い出す















『やらずに後悔するより、やって後悔した方が気持ちええやろ?』


Aちゃん「希ちゃん!!」


希「ーーーっ……」
















カチリ………!















ワァァァァァァァァァァ!!!


角間「残り時間もごくわずか!!」


角間「小泉により勢いを取り戻した音の木坂!!追いつけるかぁ!?」


希「………少し休んどき、花陽ちゃん」


花陽「へ?」ハァ……ハァ……


希「うちに任せて」トッ


花陽「希ちゃん?」ハァ……ハァ……
















角間「東條にボールが渡りました!」


MF3「逃げ切らせてもらうっす!」ザッ!


角間「UTXの素早いマーク!プレッシャーをかけてきます!」


希「………」ジャリッ……
















希「……フーッ……」トントン


ドクン……ドクン……


希(………お願い)


ドクン……ドクン……


希(どうか[私]を………)


ドクッ……!















希「……嫌いにならないで」













MF3「はぁぁ!」バッ!


海未「希!来てますよ!」


凛「希ちゃん!!」


希「………」











「尾刈戸高校、幽谷」











希【呪い】


ズズズズズ……!


MF3「こ、これは……!」


ことり「あれは……尾刈戸高校の……!」


海未「なぜ希が……」


希「……」












昔から、一度見たことはなんでもできた


意識しなくても、努力しなくても


なんでもできた


できてしまった













幽谷「姐さん……」











ズズズズズ……!!


希「……人を呪わば穴2つ」


花陽「希……ちゃん!」ハァ……ハァ……


希「……ずっと苦しかった……辛かった……」


ズズズズズ……!













希「これ以上呪えるなら呪ってみろ…!」バッ…!


MF3「うわぁぁぁああ!!」ドサッ


角間「東條抜いたぁ!!しかし今のは尾刈戸高校の……?」


希(……みんなの顔を見るのが怖い)


希(でも……もう戻れない)ダッ!


ツバサ(さっきまでの東條さんじゃない…)


あんじゅ(嫌な予感がする……!)


あんじゅ「ディフェンス!」


DF1「行かせない!」ザッ


希「御影専修農業高校、山岸」















希【スーパースキャン】










ザッザッ……ダッ!


DF1「そんな……!」ガクッ…!


角間「今度は御影専農の必殺技だぁ!!東條止まらない!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


希「はぁ……はぁ……!」タッタッタッ













花陽「ど、どういうこと?」ハァ……ハァ……


海未「わかりません……が、今は希が頼りです」















DF2「エセ女ぁぁ!!」ザザッ……!


希「……!」


DF2「なんや変なことしてるみたいやけど、うちは絶対通させへんぞ……!」


……ダンッ!


ゴゴゴゴゴ……!!!












ドドーン!


DF2【道頓堀・ウォール!!】


角間「再びDF2のディフェンスが立ちふさがります!!」


希「……ウチ、決めたん」


DF2「……?」


希「もう……」ジャリッ……















希「[私]に嘘はつかないって…!!」ダッ!!


DF2「ーーっ…」













『……みんなと全力で……サッカーがしたいなぁ……』













パリンッ……!!!


ブワァッ!!!


DF2「……っ!」ブワッ……!


DF2「………強なったなぁ」


希「……え?」


ドサッ……!


角間「~~~……!!!」















角間「抜いたぁぁぁ!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!


角間「東條止まらない止まらない!!怒涛の3人抜きだぁ!!」


あんじゅ「……っはぁ……!はぁ……!」ザザッ…!!


希「…っ…!」ピタッ


角間「今の隙に戻ってきていましたUTX優木!」


希(どうする……ここで止まるわけには……)














「「希!!」」


希「…!」バッ


ドッ!


ドッ!


パシッ


角間「東條と矢澤のワンツーだぁ!!優木も抜いたぁ!!」


あんじゅ「なっ…!」


こころ「お姉様!」


希「にこっち……」タッタッタッ


にこ「……ふん」タッタッタッ


絵里「ちょっと、私も呼んだんだけど」


希「エリチ……」


角間「残すは統堂のみ!ロスタイムに入る前に同点に追いつきたいところ!!」


希「……えりち、にこっち、力貸してくれん?」


にこ「……はぁ?あんたふざけてんの?」


希「……っ」ビクッ














にこ「いちいち遠慮してんじゃないわよ」


希「…!」


にこ「っとに……あんたがこんなことできるならもっと作戦だって立てれたのに……」ブツクサブツクサ


絵里「ふふ、私は嬉しいわよ?また一つ希のことを知れたしね?」


希「ごめん二人とも、訳は後で話すから…….」













希「うちに力を貸して!」ザッ!


にこ「ぶっつけ……」ハァ…… ザッ


絵里「私は楽しいわよ?強引な希なんて初めてだもの」ザッ


にこ「あんたのそれなんなのよ!!」


希「……ふふ」ニコッ


エレナ「……!」


絵里(……本当に初めてだもの)













希「行くよ!」


にこ「ええ!」


絵里「任せて!」


こころ「……!」


絵里(希が自分から無茶を言うなんて)















ガキンガキンガキン!!


アオーーーーーン!


希「ふっ…!!」ドッ!


希(……不思議やなぁ)












にこ絵里「はぁぁ!!」ドキュッ!」


にこ(打ち合わせなんて何もしてないのに……)


絵里(二人の考えてることがわかる……)


ゴォォォ!!!












角間「こ、これは………」


エレナ「本当に……なんなんだ彼女達は……!」ブルッ……!


希「はぁぁぁぁ!!!」バッ!















ドキュッ!!!!


希にこ絵里【グランフェンリル!!】















ゴォォォォォォオォォオオオオ!!!!!


角間「ここまで温存していたのかぁ!?音の木坂の新必殺技だぁぁ!!」


凛「え…!?え…!?すご…!!見てかよちん!あれ!」


花陽「……希ちゃん」ハァ……ハァ……


ことり「あ、頭が追いつかない……」プシュー……


穂乃果「いっけー!希ちゃん!にこちゃん!絵里ちゃん!!」


ツバサ(ここまで温存……?)


ツバサ「……違う」


あんじゅ「……とっさの思いつきで……こんな……」


GK「エレナさん!!」


エレナ「……あぁ……!!」スッ















グッ……!


バリバリバリバリバリ!!!


コォォォォォォオォォ………!!!!!













エレナ【王家の盾!!!】


ギュルルルルルルルルル!!!!!


エレナ「……っぐぅぅ!!」ズザザザッ……!!


角間「激しい技のぶつかり合い!!この一球を制すのはどちらのチームだぁ!?」


ツバサあんじゅ「エレナ!!!」


「「「エレナさん!!」」」


希にこ絵里「はぁぁぁぁ!!!!」


穂乃果「いっけー!!」


ギュルルルルル!!!!!


エレナ「くっ……そ……!!」ズズズッ……!!















ポタポタッ……!


お姉さん「ちょ…!あなた鼻血……」


GK「………っ……エレナさん!!!」














ギュルルルルル!!!!


エレナ「……っ……!!」ズ…ズ…!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


GK【ハイビーストファング!!】


ガブゥッ……!!!












GK(顔で……!!)


GK「ブッ…!!」


ゴロゴロ……ドサッ…!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















エレナ(あと少し……あと少しなんだ……!!)


ツバサ「……!」


希にこ絵里「いけぇぇぇ!!!」


エレナ(止めて………!)


グググッ……!














エレナ「勝つんだ……!!」















バチィッ……!!!


ブワァッ!!














エレナ「ーーーーーークソ……」ドサッ















ドシュルルルルルル…………!!!


テンテンテン………












角間「…………は………」


角間「入ったぁぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!!!


音の木坂「らあああああああああ!!!!!」


角間「最後の最後に追いつきました音の木坂!!残すはロスタイムのみとなりました!!」


角間「ロスタイムは………7分です!!」














こころ「ここあ!こたろう!見て!お姉ちゃんが!すごいすごい!!」ピョンピョン!


ここあ「わぁぁ…!」キラキラ


こたろう「…ねーちゃん…!」ピコッ


こころ「おねーさまー!」ピョンピョン!


にこママ(……仕事で遅くなってもいつも礼儀正しく待っていたこころ)


にこママ(こんなにはしゃいでるのを見たのはいつぶりかしら……)ウルッ…!


にこママ(……ありがとう、にこ)グッ…















エレナ「……」


スッ


エレナ「……?」パッ


ツバサ「……大丈夫?」


エレナ「責めてくれ、惨めになる」


みんな「……」


エレナ「……これでは何のために代わったのかわからないな」ハハ…


ツバサ「………あんじゅ」


あんじゅ「了解!」バッ!


エレナ「?」















あんじゅ「希直伝…!!ワシワシワシワシーー!!!!!」


エレナ「なっ…ちょ……やめ!!うわぁぁぁぁぁ!!!!!」


DF2「ええ筋してるな……」フム…


MF2「フム……じゃねーんすよ」















エレナ「……!!…っ……!!」ビクンビクン


あんじゅ「……案外小さいのねエレナ」


エレナ「……!!」ゴーン


ツバサ「まあお遊びは置いといて……」


ツバサ「みんな!」















MF1「気落ちなどしていませんよ」


ツバサ「!」


DF2「あったりまえや!あのエセ女絶対倒す!!」


MF3「やるっす!!」


DF1「あと7分で終わりかー!」


MF2「体は疲れてんのに、まだまだできそうだな~」


DF1「……体力馬鹿なだけじゃないですか」ボソッ


ゴチンッ!!


DF1「いっ……!?」














ツバサ「貴方達……」


MF1「私たちは……信じてますから」


ツバサ「……任せなさい」


あんじゅ ナデナデ


エレナ ベシッ















にこ「はぁ……はぁ……」


にこ(……こころ、やったわよ……!!)グッ…!


こころ「…!」グッ!


凛「3人ともすごいにゃー!!」


海未「ええ、首の皮一つ繋がりました」


穂乃果「希ちゃんもすごかったよー!ごぼう抜きってああいうことなんだね!」


希「うん、そのことで……」


ことり「それはマラソンとかで使う言葉だよ穂乃果ちゃん……」


穂乃果「えー?」


希「えっと……少しいいかな…」


真姫「ちょっと、まだ試合終わってないんだけど?」


希「あの………」


穂乃果「わかってるよーだ!」


真姫「なっ…!何よその言い方は!」


穂乃果「ふんだ!今日大活躍してるくせに!」


真姫「だったら何なのよ!してるならいいじゃない!」


穂乃果「あーほら!またそうやって……」















希「……ねぇ……!!!」


ビクッ…!


………シーン


絵里「希……」


希「なんで……誰も詮索してこーへんの?」


海未「………」


希「ウチ……隠してた…!……他の子の技、見ただけで真似できるの……黙ってたのに……!」















凛「だって希ちゃん辛そうだにゃ~」


希「……へ?」


ことり「何か訳があるんだろうなってわかってるから誰も怒ってないよ」


穂乃果「後悔、しなくて済んだね!」


花陽「ナイスプレイです!」


希「………」


『みんな、大なり小なり心に抱えてるものがある』


『それを乗り越えたから、また前を向けてるんじゃないかな』


希「……はは、敵わんなぁほんと」ヘナヘナッ…


トサッ


絵里「ちょ、希!?」


にこ「腰抜かしてんじゃないわよ、まったく……」


希「にこっち~、おんぶして~!」


にこ「じゃぁかしい!!あとちょっとなんだから最後まで頑張りなさい!!」


希「ぶぅ……」プクー……


穂乃果「……さ、みんな!準備はいい?」


みんな「……!」バッ















穂乃果「いくぞ!!!!」バッ!


「「「おおおおお!!!!」」」バッ!















穂乃果(……ただ……)


ことり(希ちゃんが私たちに合わせていたことに、誰も気づかなかった……)


海未(あの花陽ですら)


希「……」














角間「敗色濃厚の中、なんとか踏みとどまった音の木坂!!このまま逆転勝利となるか……」


角間「はたまた!!前回の雪辱を果たし、王者としての貫禄を見せつけるかUTX!!」


角間「泣いても笑ってもこれで最後!いよいよ運命のキックオフです!!」


UTX2-2音の木坂


ピーーーーーーーー!


ツバサ穂乃果「勝つ「わ」よ!!!」


「「「おおおおおおお!!!!」」」


ドッ!















お姉さん「ほら、ちゃんとティッシュ詰めて」


GK「ご、ごべんなざい」詰め詰め


お姉さん ガタッ


GK「…?もうすぐ試合終了ですよ、どこ行くんですか?」


お姉さん「ちょっと……ね」















廊下


お姉さん「……うん、順調だよ。そっちは……」


お姉さん「うん、任せて………うん」


ピッ















ワァァァァァァァァァァ !!!


ことり「くっ……!」ガクッ


タッタッタッ


にこ「止めて!!」


海未「ディフェンス!!!」


角間「先に攻撃を仕掛けたのはUTX!!」


MF2「頼んます!!」ドッ!


あんじゅ「ええ!」トッ


花陽「雪穂ちゃん!!」


雪穂「行かせない!」ザッ


角間「DFの高坂が立ちふさがります!」


雪穂(時間もない、ここで止めないと…!)


あんじゅ「悪いけどここは譲れないわよ、妹ちゃん?」


雪穂「……っ」


あんじゅ「ふっ…!」ダッ!













雪穂「……っ!」バッ!


ガガガッ!


雪穂(………妹ちゃん妹ちゃんって……)


ザッ! ガガッ…!


花陽(…?雪穂……ちゃん……?)ハァ……ハァ……















私がサッカー部に入ると、みんなは私をお姉ちゃんの……


[高坂穂乃果の妹]として接してきた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あ、君が穂乃果ちゃんの妹ちゃんか~!」


雪穂「あ……はい」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雪穂(悪気がないのはわかってるけど、それが本当に嫌だった)


雪穂(だから高校ではサッカーをするつもりはなかった)


ガッ!ガガッ!


あんじゅ「…っ」トトッ


雪穂(でもお姉ちゃんとサッカーはしたかった)


角間「音の木坂高坂!驚異の粘りを見せます!!」


穂乃果「………雪穂……」














雪穂(高校に入る前の、最後の思い出にしようとこのチームに入った)


雪穂(覚悟してた、また[妹]として見られるって)


雪穂(……でも違った)


ガガッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


凛「雪穂ちゃんいっくにゃー!」


花陽「頑張ろうね、雪穂ちゃん」


真姫「……雪穂ちゃん」


絵里「ふふ、あなたが雪穂ちゃんね」


希「雪穂ちゃんは将来有望やね~」ワキワキ


にこ「やめなさい、雪穂怖がってんでしょうが」


ヒデコ「雪穂!」


フミコミカ「雪穂ちゃん!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















穂「ーーーーっ……!!」バッ!


あんじゅ(….来る…!)


雪穂(私のことを[お姉ちゃんの妹]じゃなく[高坂雪穂]として見てくれた)


雪穂(………嬉しかった)















雪穂 ブワァッ!


あんじゅ(【ハンターズネット】……?)バッ!


角間「おおっと?ここで優木が距離をとりました!」


雪穂(逃がさない……!!)バッ!


あんじゅ「こ……のっ…!!」バッ!


海未「雪穂!」


にこ「今までのが設置型だとすればこれは……」


あんじゅ(追尾型捕縛ネット……!!)


雪穂「はぁぁ!!」バッ!
















【ハンターズ・ホーネット!!】
















パシュッ…!!


あんじゅ「うぐっ…!」ドサッ


ツバサ「あんじゅ!」


エレナ「…!」


角間「高坂止めたぁぁ!!助っ人の意地を見せつけました!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!


穂乃果「雪穂やるぅ!」


あんじゅ「……やってくれるわね、妹ちゃん」


雪穂「高坂雪穂……です」














角間「さあ音の木坂一刻も早く追加点を狙いたいところ!」


雪穂(時間、ない、攻める、誰にパスを……)


タッタッタッ……パシッ!


雪穂「!!」














亜里沙「もらうよ雪穂!」トッ


雪穂「亜里沙!?」


ザッ……!















亜里沙「………はぁぁぁ!!!」バッ!


パキパキパキパキパキパキ……


ツバサ(……【氷の矢】)チラッ


DF1 コクッ!













パキパキパキ……!


亜里沙「……まだ……もっと……!」ググッ


雪穂「亜里沙!」


海未(……性格もプレイスタイルもまるで違う二人、それでもなぜか無視できない、意識し、刺激し合う)


海未(これを俗に……)


パキパキパキ……!!!

















海未「ライバルと呼ぶのでしょうね」


カキィィン……!!!


亜里沙「はぁぁぁ!!!!」ドキュッ!!!















【氷の槍……!!】















ゴォォォォォォオォォ!!!!!


角間「絢瀬亜里沙のロングパスだぁぁ!!!!」


DF1「させないよー!」バッ!












クルクルクル


ボファアアアア!!!!!


DF1【フレイムダンス!】


ジュゥゥゥゥゥ……!


DF1 「なっ……ぐっ……!!」


DF1(威力が上がってる……!)


亜里沙「いっけぇぇぇ!!!」


ジュゥゥゥゥ………!!














ブワァッ……!


ゴォォォォォォオォォ!!!!!!


DF1「きゃぁぁぁ!」ドサッ


亜里沙「よっし!」


角間「ディフェンスを突破したぁぁ!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!


ツバサ(ここに来てまた……!!)


あんじゅ(どんどん後手に回っていく……)


希「あっはは……すっごいなぁ…」


絵里真姫 タッタッタッ


角間「絢瀬と西木野が走り込んでいます!!」


穂乃果「いっけー!」
















パシッ


絵里「えっ……」


真姫「なっ……!」


エレナ「……すまない、リスクを負わずに君たちに勝利しようというのが間違いだった」


ダッ!


角間「と、統堂だぁぁ!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!


エレナ ダッ!


GK「エレナさん!?」


MF3「えぇえ!?」


角間「統堂がペナルティエリアを飛び出し攻め上がっている!?」


花陽「あ、あり得ないです……」ハァ……ハァ……


にこ「あの堅実な統堂エレナが……」


絵里「みんな戻って!!」


海未「にこ!ぼーっとしない!!ディフェンス!!御三方をマーク!!」


にこ「…!わかってるわよ!!」


ディフェンス「はい!」















エレナ タッタッタッ


UTXメンバー ダッ!


花陽(他のメンバーにとっても予想外なことのはずなのにすぐ切り替えた…!)


ツバサ(でもまだ完全には切り替えきれてない…)


花陽ツバサ(この勝負……)















((対応しきれなかった方が負ける……!!))















ことり「はぁぉ!!」ズザザッ!


エレナ「…ふっ…!」バッ!


エレナ「……」チラッ


MF2「……!」ギクッ


エレナ(まだ準備できていないか)トッ


海未(…!隙ができた…!)ガッ!


エレナ「…ぐっ…!」チラッ


ツバサ コクッ


にこ「……!」


エレナ「ツバサ!!」ドッ!














にこ「させない……!!」ダッ!


角間「矢澤読んでいたのかぁ!?絶好のタイミングだぁ!!」


花陽(……無理だよにこちゃん…)















ギュゥゥゥゥン…!!


海未「……!ボールが曲がって……」


エレナ「来ると思っていたよ、君なら」


角間「おおっとこれは厳しい!ボールは矢澤から遠ざかるように弧を描いていく!!」


にこ「ぐっ……!」タッタッタッ


花陽(前回と同じ……パスカットじゃ統堂さんには敵わな……)













にこ「なーんていうわけないでしょうが!!」ダッ!


エレナ「!?」


花陽「にこちゃん!?」ハァ……ハァ……


にこ「凛!!」


凛「にゃ!?」


にこ「私を飛ばしなさい!!」


凛「……?………!」ハッ


凛「おまかせにゃ!」バッ!


花陽「あれは……!」ハァ……ハァ……


にこ「ふっ…!」バッ!















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


凛「秘密兵器の……特訓だにゃ…」ハァ


絵里「へー、なんて技なの?」


凛【かよちんロケット!】


穂乃果「おぉ……!カッコいい!」


にこ「別にどんな技でもいいけど怪我だけはしないようにしなさいよ」


花陽「にこちゃんに私たちの技を授けます……!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















にこ凛「ぬぐぐぐぐ……!!」グググッ…!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


凛「【にこちゃんロケット】だにゃ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















凛「いっけぇぇぇ!!!」ドッ!


にこ「にごぉぉぉぉぉ!!!」ピューン!


【にこちゃんロケット】


エレナ「くそっ……!」


エレナ(小泉花陽は警戒していたが矢澤にこがあの技を使うのは想定していなかった……!)


ギュゥゥゥゥン!


ピューーー!!


エレナ(追いつかれる……!)


にこ(よし…!これなら……)バッ!


花陽「にこちゃん……!!」パァァァァ…!















あんじゅ「ナイスパス?」トッ


にこ「……なっ…」


エレナ「あんじゅ…!」


花陽「そんな……」


角間「これは統堂見事な策略!音の木坂の虚をついたぁ!!」


にこ「クッソ……!」ゴロゴロ……ズザザ!















あんじゅ「……まったく…」チラッ


エレナ(助かった…)ゴメン


あんじゅ「ツバサ!」ドッ!












ツバサ「……やっぱりあなたが立ちふさがるのね」トッ


花陽「私だけじゃ…はぁ、ないです…!」ハァ……ハァ……


雪穂 ザッ!


ツバサ「あら奇遇ね」


【クリエイション!】


ズズズズ……!!


花陽「雪穂ちゃん!」


雪穂「花陽さん!」


ズズズズ……!ガコンッ…!


ツバサ「私も仲間がいるのよ」ニコッ


花陽「っ…」


エレナ(ツバサは派手に見られがちだが、基本は堅実だ)


エレナ(詰め将棋のようにじわじわ相手の選択肢を奪っていく………ヤラシイ奴だ)


角間「小泉と高坂を分断したぁ!!綺羅と小泉の1on1だぁ!!」


ツバサ「いくわよ…!」ダッ!


花陽「……っはぁぁ!!」バッ!















花陽【ディフェンスコマンド!!】


シュバッ!


ツバサ(……!!一瞬で懐に……)


花陽(まだ動ける……最後の一滴まで振り絞れ…!!)


ツバサ(警戒してたのに……動き出しが速すぎる)


花陽(綺羅さん反応しきれてない…)


ツバサ(重心を移した瞬間に……!バランスが……)グラッ…!


花陽(取った……!!)バッ!


ツバサ(取られ……!!)フッ…!















ツバサ「ああああ!!!」クルンッ!


花陽「はぇ……!?」スカッ…!


花陽「うぶっ…!!」ドサッ


角間「綺羅抜いたぁぁ!!!間一髪!!」


DF2「よっしゃぁ!!」


花陽(あの体勢から無理やり重心を引き抜いた……!?)ゼェ……ゼェ……


ツバサ「危……ないところ、だったわ…」ハァ……ハァ……


ツバサ(あの一瞬でここまで読み込まれるなんて……)


花陽「人間技じゃ……ない……」ハァ……ハァ……


ツバサ「……あなたもね」ダッ!


角間「ゴール前はガラ空き、完全にフリーだぁぁぁ!!!」


穂乃果「……!」グッ















タッタッタッ


ズシュゥゥゥゥ……!!


ボフォォォォォォォオオオオ!!!!!












角間「UTX【ザ・フェニックス】の体勢!!勝ち越しを決めるかぁ!?」


穂乃果(前半のリベンジ……!)グッ


ツバサ「……試合の中で成長する」


穂乃果「…?」


ツバサ「あなたたちからは学ぶことが多いわね」ニコッ


穂乃果「…っ…!!」ゾクッ…!















ツバサ「アフロディ!!」


アフロディ「ふふ、本当に人使いが荒い人達だ」タッタッタッ


穂乃果「まさか……!」


角間「アフロディが走り込んでいます!!一体……」


アフロディ バサァッ…!!


ツバサ「いくわよ!!」グッ…


エレナあんじゅ「おお!!」グッ…


ダンッ…!!


雪穂「嫌…嫌……!!」


ことり「……待ってよ」















ツバサエレナあんじゅアフロディ「はぁぁぁぁぁ!!!!!!」バッ!
















ドキュッ!!!!!


【ゴッド・フェニックス!!!】


ゴォォォォォォォオオオオ!!!!













ゴォォォォオォォオオオオ!!!!!


角間「残り時間はもう残っていません!!音の木坂万事休すかぁぁ!?」


音の木坂「………っ………」


海未「何ですか……これ………」


花陽「こんなの、止められるわけ……」














穂乃果「さっ…………こぉおぉぉぉおぉぉぉい!!!!!!!!!」バッ!


ツバサ「……!」


真姫「穂乃果……」


ことり「穂乃果ちゃん…」


穂乃果「勝利の女神は………!!」















穂乃果「最後まで諦めなかった方に笑うんだよ!!」グッ


ツバサ「……面白いじゃない」ニッ


海未(……そうでした、あなたはそういう人でしたね)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


真姫「シュートへの流れですが……絶対の前提条件は敵のシュートを止めることです」


穂乃果「!」


凛「あんなシュートを……?」


ことり「いくらなんでもそれは……」


穂乃果「無理?」


ことり「い、いや!そういうことじゃ……」


海未「できますか?」


穂乃果「……確証はないよ、でも……」グッ


穂乃果「止めなきゃ気が済まない!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー















海未(どれほど絶望的な状況でも、あなたは私たちに勇気をくれた)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「……….」ズキズキ


穂乃果「それは任せて」


穂乃果「穂乃果が止めるから!」


海未「穂乃果……」


穂乃果「ファイトだよ!」グッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


海未(ならば私たちのすべきことは一つ……)スゥ……














海未「お願いします!!!穂乃果!!」


海未(あなたに全てを託します)


にこ絵里真姫「穂乃果!!!」


凛花陽希ことり「穂乃果ちゃん!!」


雪穂亜里沙「お姉ちゃん!!」「穂乃果さん!!」


穂乃果「……!」ブルッ……!














穂乃果(この感じ……懐かしい……)


穂乃果(初めて【マジン・ザ・ハンド】を出した時みたいな……)


穂乃果「……不思議な感じ……」


穂乃果ママ「………」














ゴォォォォォォオォォ!!!!!


穂乃果「………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果ママ「足りない最後の1ピース……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果(なんとなくわかるんだ)


穂乃果(きっと答えは……そう遠くないところにあるって)

















トプン……















海未『……ようやく気づきましたか』


穂乃果「う、海未ちゃん!?」


海未『はい、私です』ニコッ


穂乃果「なんで……え?」


凛『凛達もいるにゃー!』


穂乃果「みんなも……どうして?」


海未『パズルのイメージの延長線上のようなもの……ですかね』


穂乃果「??よくわかんない……」


海未『難しく考えず、いつものように、私たちの力を使ってください』スッ


パチッ


穂乃果「……!」















ことり『ことりもー!』スッ


パチッ


花陽『ご、ごめんなさい…!花陽のはみんなよりとっても小さいんです……』


海未『しかし、その形に合うのは花陽だけですよ。引け目を感じることはありません』


花陽『う……うん!』スッ


パチッ


希『希パワーちゅーにゅー!はーいプシュ!』


パチッ


絵里『全く希ったら……』


パチッ


にこ『にこの力貸してあげるんだからありがたく思いなさいよ』


パチッ


真姫『ナニソレ、イミワカンナイ』


パチッ


凛『にこちゃん今日も絶好調だね』


パチッ














穂乃果「……!」グッ


角間「守護神高坂の代名詞【マジン・ザ・ハンド】VS UTX最高の必殺技【ゴッド・フェニックス】!!」


角間「一体どちらに軍配が上がるのでしょうかぁ!!!」


海未「穂乃果!!」


穂乃果「……っ…」


この瞬間、穂乃果の脳内にある映像が流れた


UTXの必殺技に手も足も出ず吹き飛ばされた、自分の未来の姿が















穂乃果「……みんな………ありがと……」


穂乃果「でもほら、あと一つ……わかんないんだ」


みんな『………』


穂乃果「みんなが力を貸してくれてもこれじゃ……」


穂乃果「やっぱり穂乃果、リーダーなのに情けないね」アハハ……













海未『………一度……リーダーということから離れてみてはどうですか?』


穂乃果「へ?」


海未『リーダーのあなたは素晴らしいと思います』


海未『チームのために、みんなのために戦う姿はあなたがなんと言おうと立派なリーダーです』


穂乃果「海未ちゃん…」


海未『しかし私は……』














海未『あなた自身、[高坂穂乃果]としての気持ちが聞きたいです』


穂乃果「私自身……?」


海未『リーダーでもGKでもないあなたに聞きます』


海未『あなたはこの試合、どうしたいのですか?』













ゴォォォォオォォオオオオ!!!!


監督「……」


監督(…お前が初めて俺に見せた【マジンザハンド】)


監督(仲間がいない中、お前は一人で【マジンザハンド】を出した)


監督(ピースは揃っているんだ、気づいていないだけで)















穂乃果「……勝ちたいよ」


海未『……[リーダーとして]ですか?』


穂乃果「それは……」


海未『例えばですが』


海未『あなたをリーダーから解任して私がリーダーになったとしましょう』


穂乃果「えぇ!?」


海未『仮にですよおバカ』


穂乃果「うぅ…」


海未『…リーダーを解任されたあなたは、もう勝利を目指さないのですか?』


穂乃果「へ?」


海未『そうでしょう?リーダーだからチームのために勝ちたい、と言うのであれば』


海未『リーダーではなくなったあなたはもう勝ちなどどうでも……』















穂乃果「そんな訳ない!!」


海未『……』


グググッ…!


穂乃果「勝ちたいに決まってるよ!」


ググググッ…!


穂乃果「リーダーなんて関係なく……」


グググググッ…!
















穂乃果「穂乃果がこの試合に勝ちたいんだよ!!」















……………ポンッ…!


穂乃果「…!これ……」


海未『……ふふ、それがあなたの……最後のピースですか』


穂乃果「………これが……穂乃果の……」


海未『リーダーだから、チームのために、誰かのために、立派だと思います。すごく』


海未『責任感の強いあなただから、普段はだらしがなくとも私はあなたを信頼してきました』


穂乃果「海未ちゃん……』


海未『しかし、今はそんなものは余計なものでしかありません』


海未『様々な雑念、責任、プライド、余計なものをそぎ落とし、最後に残った純粋な想い』


海未『それこそがあなたという最後のピースです』


穂乃果「……」スッ


キラキラ…!















ゴォォォォォォオォォオオオオ!!!!!


角間「さぁ…!!運命の一瞬です!!」


穂乃果「………」


穂乃果「……ありがとう海未ちゃん、みんな」スッ


海未「……!」


穂乃果「……はぁぁぁぁ!!!」グッ


ゴォォォォォォオオ!!


角間「高坂構えたぁ!!」


















海未『一度、リーダーということを忘れて』


海未『あなたのワガママを想いの限りぶつけてください』


パチッ……!















穂乃果【………マジン・ザ・ハンド………】


ズズズズズズ………!!


穂乃果ママ「……!」ゾワッ…!
























穂乃果【焔(ホムラ)】
















ボフォォオォオォォォォオオオオ!!!!!


ジワァァ……!


絵里「……!穂乃果のマジンが……」


真姫「紅に染まっていく……」













穂乃果 ニッ


ツバサ「…!」ゾクッ…!















MF1「…………」


MF1「彼女は一体……何者なのですか?」


海未「……彼女は高坂穂乃果」



















海未「私たちの太陽ですよ」















ボフォォォォォォオォォオオオオ!!!!


ツバサ「…っ…今更驚かないわよ穂乃果さん…!」


エレナ「ああ……!望むところだ!!」


あんじゅ「勝つのは私たちよ!!」


アフロディ「ふふ……」


穂乃果「はぁぁぁ!!!!!」バッ!














ギュルルルルルルルルルル!!!!!!


穂乃果「………!!!」グググッ……!!!


角間「前半とは違い高坂踏みとどまっている!!!リーダーでありGK!!その重圧は重く、重くのしかかっていることでしょう!!」


穂乃果(……そんな大層なものじゃないよ)


グググッ…!!!


穂乃果(ただ……)















穂乃果「勝ちたいだけ!!」グググッ!!


ブチブチッ…!!


ハラリ……


凛「…!テーピングが……」


MF3「いけるっす!!!」


DF2「入ってまえ!!!」


ツバサエレナあんじゅ「いけぇぇ!!!」


穂乃果(……全力でぶつかってくれる好敵手[ライバル]がいる)















ギュルルルルルルルルル!!!!!!


海未「………っ……!」













海未「穂乃果ぁ!!!」


ことり「穂乃果ちゃん!!!」


「「「「穂乃果(ちゃん)!!!!」」」」


穂乃果「………!」グググッ…!!


ズザザッ!


穂乃果(……応援してくれる仲間がいる)















雪穂「お姉ちゃん!!」


ガンバレー!!イケルゾー!!


穂乃果「………っ」ズザザッ……!!


穂乃果(……あぁ、穂乃果)グッ…!


ギュルルルルル!!!




















穂乃果「幸せ者だなぁ……」ポツリ

















ギュルルルルル!!!!


ギュルルル……!!!


シュルルルル……


ルルル……


ルル…


パシッ…















角間「………」


音の木坂「………」


UTX「………」


観客「………………止めた」


角間「……!」ハッ
















角間「止まったぁぁぁぁ!!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!!!


音の木坂「よぉぉぉっし!!!!!」


UTX「はああああああ!!??」















エレナ「~~~!!」ガシガシ…!


あんじゅ「うそ、でしょ……」ゼェ……ゼェ……


ツバサ「……」チラッ


ツバサ「……!!エレナ!」ハァ……ハァ……


穂乃果「…!」トッ!


音の木坂に感化されたUTX


それによって行われたキーパー統堂のドリブル突破


その統堂エレナの予想外のプレーによって全員の頭からあることが抜け落ちていた


いつもなら絶対に見落とさない至極当たり前のことを


角間「の、残り時間は………」















角間「5秒だぁ!!!」


穂乃果「いくよ!海未ちゃん!!ことりちゃん!!」ダッ!


海未「任せなさい!!」ダッ!


ことり「いけいけー!」ダッ!


角間「音の木坂カウンタァァァァァァァァ!!!!」


ツバサ「戻って!!ディフェンス!!」ゼェ……ゼェ……


エレナ「くっ……!」ダッ!


MF3「早く戻るっす!!」ダッ!


MF1「わかってますよ!!」ダッ!


角間「高坂ボールを持って駆け上がる!!両チーム共全員サッカーで勝ちを狙います!!」


試合終了間際なら、時間を使い切ってシュートを打つのがセオリー


しかし、忘れていた


ツバサ「……はぁ…はぁ…」タッタッタッ















ツバサ「……ふふ」ハァ……ハァ……


いつぶりだろうか


試合時間を気にする暇がないほど[今]に熱中したのは


ツバサ「楽しいわね、あんじゅ」ハァ……ハァ……


あんじゅ「……否定はしない」ハァ……ハァ……















角間「ここで残り時間終了!!正真正銘ラストアクションだぁぁ!!」


絵里「穂乃果!こっちに……」


にこ「待って!」バッ!


絵里「にこ?」


にこ「……やらせてあげましょう」


絵里「?」















穂乃果「付いてきてる!?二人とも!!」タッタッタッ


ほのか『わーーー!!!』タッタッタッ


海未「お待ちなさい穂乃果!」タッタッタッ


うみ『ま、まってください~!』タッタッタッ


ことり「二人とも元気だよ~……」タッタッタッ


ことり『はやいよふたりとも~!』タッタッタッ















MF2「いかせてたまるかよ!!」ザッ


角間「ディフェンスが立ちふさがりま……」


ドッ!トッ……クルッ!ザザッ…ダッ!


トッ…!


MF2「はぁ!?」ガクッ…!


穂乃果「止まるなー!いくぞー!」タッタッタッ


海未ことり「おー!」タッタッタッ


角間「こ、これは鮮やかな……連携プレイ…?」


エレナ「……はは」


あんじゅ「まるで………公園で遊んでるみたい……」


ツバサ「楽しそう……」フフ














ほのか『おそいよふたりとも!』


うみ『まけませんー!』


ことり『ふぇぇ……うみちゃんまでぇ……』















ドッ…!ザザッ クルッ…!トトッ


DF2「なんっ……やこいつら…!?」ガクッ!


MF3「くっ……!」ガクッ!


穂乃果「まだまだー!」タッタッタッ


海未ことり「おーー!!!」タッタッタッ


凛「あ、あんな海未ちゃん初めて見た……」


花陽「はっちゃけてるね……」アハハ…


角間「独特なリズムで敵を寄せ付けない!!高坂、園田、南、共に敵陣へ切り込んでいきます!!」


角間「息のあったコンビネーションで的を絞らせません!!」


真姫「多分あの3人の頭には、止められたら終わりなんてこと、これっぽっちもないんでしょうね」


希「すっごい……楽しそう」ふふ
















穂乃果「はぁ……はぁ……」タッタッタッ


穂乃果(誰かに言っても、信じてもらえないだろうなぁ……)


海未「もうバテているのですか穂乃果!」タッタッタッ


穂乃果「ま、まだまだぁ!!」タッタッタッ


穂乃果(一年生の頃は部員3人しかいなかったのに……)


ことり「海未ちゃん元気だね~……」タッタッタッ


穂乃果「ね~…」タッタッタッ


穂乃果(今はこの大舞台であのUTXと競い合ってるなんて)















エレナ「……っ来い!!高坂穂乃果!!」ザッ!


角間「統堂ゴールまで戻りきったぁぁ!!」



MF3「ギリギリ……間に合ったっすね…!」ハァ…ハァ…


穂乃果「はぁ…!はぁ…!」ザッ!


海未ことり ザッ!















穂乃果(ここまで長……いや、あっという間だったなぁ)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ジキル「マーレーマーレーマレトマレ!!」


幽谷「ゴーストロック!!」


「「「にっこにっこにーーー!!!」」」


パァァァァァァァァァァァァ!!!









海未「もう必殺技は諦めてしまうのも一つの手ですが……」


にこ「……いやよ!にこは諦めない……」


凛「希ちゃん!凛と一緒に飛んで!」


希「え……えぇ!?」











穂乃果「サッカーは……もっと、こう……心の底から熱くなれるものなんです」


穂乃果「どうして杉森さんたちは、ゴールを決めても笑顔にならないんですか」


杉森「そんなものはサッカーに必要ないだろ」


穂乃果「……!」














漫画家「どんな手を使っても……僕たちは勝たなければいけないんだ!!」


ノベル「勝てばいいのだよ勝てば!!」


ことり「月に変わって、お仕置きです!」


「「グフゥ……!!」」











亜里沙(これが……お姉ちゃんを越えるために編み出した、私だけの必殺シュート…!!)


亜里沙【パンサーブリザード!!!】


パンッ!


ツバサ「……っ…」ヒリヒリ…


絵里「…ごめんなさい」


ツバサ「……いえ、むしろ叩いてくれてホッとしたわ」ニッ


絵里「……」スッ


ツバサ「……敵わないわね」


パンッ!















霧隠「……すまなかっ…」


ゴチンッ!!


霧隠「す、すみませんでしたぁぁ!!」


海未「誰も怪我がなくてよかったですよ」


霧隠「俺たちの分も、勝ってくれよ」


穂乃果「任せてよ!」











海未「私たちはそんなに頼りないですか?」


凛「え……?」


海未「たった一試合を任せられないほど私たちが頼りないですか?」


凛「ち、違うの…!!そうじゃなくて……」


海未「なにが違うのですか?」


凛「だから……えっと……」


海未「今なら別に怒りませんから正直に言ってください」


凛「ち、違うって……」


海未「凛!!」


凛「違うんだってば!!!!」













女性「無理をすれば小泉さんも星空さんも試合に出られるかもしれない」



にこ「!」


女性「でもそのせいで体に障害が残ってしまった時、誰が責任を取るの?」


女性「誰が一番悲しむの?」


にこ「………っ」


女性「私が担当になったからには、そんな子を絶対出させはしない」











友「これが僕たちの…!!」


クルクルクル……スタッ!!


【トライアングルゼェェェット!!!】










にこ「その頃はこんなに大ごとに………学校のみんなから応援されるなんてこれっぽっちも思ってなかったのよ」


にこ「あり得なかった」


穂乃果「……」


にこ「私たちだけで始まって、誰の記憶にも残らないまま終わって行くんだろうなって思ってた」


にこ「女子校でサッカーなんて流行らないしね」フフ


穂乃果「…….ふふ、そうだね」クスッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー














穂乃果「……そっか」


穂乃果(あの時は茶化しちゃったけど、今ならわかるよにこちゃん)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『思いっきり暴れてこい!!』


ワァァァァァァァァァァ!!!!!













おばちゃん「もうすぐ決勝戦でしょう?頑張んなよ!」


おっちゃん「サッカー頑張ってるんだってな、商店街じゃその話で持ちきりだよ!」


おっちゃん「商店街のジジババ集めてみんなで行ってやる!」


「「「頑張れー!」」」













音の木坂ーー!!!がんばれー!!


生徒会長ー!!


ワーーーーー!!!!


穂乃果「すっご……!」


おっちゃん「穂乃果ちゃーん!!!がんばれよぉ!!」


おばちゃん「負けんじゃないよ!!」


穂乃果「商店街のみんなも!」


穂乃果「みんなーー!!!!応援よろしくぅ!!!」


ワーーーーー!!!!!












にこ「あぁ…….これはもうにこ達だけの物語じゃないんだって」


穂乃果「………」


にこ「このチームも、学校のみんなも、先生も、監督も……」


にこ「一人残らず……この物語の一部なんだって……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















穂乃果(……これは……みんなで叶える物語)


穂乃果(……みんなで叶えてきた物語)チラッ


海未ことり「……」コクッ


にこ(……色々な人に支えられて、色々な人のおかげでここまできた)


穂乃果(応援してくれる人、冷やかす人、味方、敵……)


にこ(楽しかったこと、腹が立ったこと、悔しかったこと、不安だったこと)


穂乃果(全部全部……糧になってる)


にこ(私たちだけじゃここまで来れなかった)


にこ(……でも……)
















にこ「でもね穂乃果」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


海未「うぅ……クモさん……」


穂乃果「よーし!私たちの伝説はここから始まるんだ!!」


穂乃果「音の木坂サッカー部!始動!!」


ことり「おー!」


海未「おぉぉ……」















にこ「……ばっかみたい」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


にこ「あんたらがいなかったら、何も始まってなんかいなかった」















角間「残すは統堂だけだぁぉ!!」


穂乃果(これは……)


にこ(……っ…!)


スゥ……!















にこ「あんた達が始めた物語よ!!あんたらで決着つけなさい!!」


穂乃果「………おう!!」グッ


ギュォォォォォォォ……!!!














海未ことり「…っ……!」ゾワゾワッ!


海未ことり(メンバーの……みんなの気持ちが一つに集まって……)


海未(これが……穂乃果がいつも感じている世界)


穂乃果「……海未ちゃん」


海未「?」
















穂乃果「あの時穂乃果を真剣に叱ってくれてありがとう」


海未「穂乃果……」


穂乃果「ことりちゃん、今日まで穂乃果の無茶にずっとついてきてくれてありがとう」


ことり「穂乃果ちゃん……」


穂乃果「……叶えよう、私たちの……みんなの夢を!!」


海未ことり「ええ「うん」!」グッ!















ギュォォォォオオオアアアア!!!!!













ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

花陽「こ、小泉花陽です」













希「ウチたちも……」


絵里「チームに入れて!」













にこ「あんたたち面白い子捕まえたわね」


にこ「いいわ、入ってあげる」













真姫「しょ、しょうがないから入ってあげるのよ!!」


真姫「勘違いしないで!!」クルクル













凛「これからかける迷惑は自分で取り戻すから……」


凛「メンバーの一人にしてください…!!」バッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















グッ…


ダンッ……!!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雪穂「姉がいつもお世話になってます!」


雪穂「助っ人に入らせていただく、妹の高坂雪穂です!」














監督「……絢瀬亜里沙は、助っ人としてチームに入ってもらう」


花陽「ルール上は問題ないので大丈夫です!」パラパラ


亜里沙「ツバサさんの勧めで来たんだよ!」














フミコ「試合には出なくても何かサポートしたいなって」


ヒデコ「マネージャーみたいな?」


ミカ「怪我した時用の控えとか!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















コォォォォオォオオオ………!!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ことり「それにしても……」


穂乃果海未「?」


ことり「最近の練習ハードだよねぇぇぇ……」ガクッ


海未「しかし、確実に力がついているのがわかります、この調子ですよ!」


ことり「足とか腕には生傷が絶えないし筋肉もついて……」


ことり「もっと女子高生っぽいこともしたいよ~……」


海未「例えばなんですか?」


ことり「ーー……」


海未「……ーー…!」


穂乃果「……」


サァァァァァァァ……!


ことり「……ねぇ」














ことり「穂乃果ちゃんはどう思う?」


穂乃果「え~?穂乃果はー……」


穂乃果「………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















にこ「………いけ」


おっちゃんおばちゃん「いけ……!」


音の木坂「いけぇぇぇぇ!!!!!」
















ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「……結構楽しいよ」ニッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















ドキュッ!!!!


穂乃果海未ことり【ジ・アース!!】


ゴォォォォォォオォォオオオオ!!!!














ゴォォォォォォオォォオオオオ!!!!!


角間「音の木坂勝ち越しのシュートを放ったぁぁ!!!凄まじいパワーだぁぁ!!これで決まってしまうのかぁぁ!?」


エレナ「……」


DF1「……っ」フルッ…


MF2「……」ギュッ…!















ツバサ「ほら、そんなに不安そうな顔しないの」ザッ


あんじゅ「ポーカーフェイスはどこにいったのよ」ザッ


エレナ「二人とも……」


ツバサ「……あなたって全然人に頼らないわよね」


エレナ「……」


ツバサ「こういう時ぐらい頼りなさいよ、友達でしょ」ザッ


エレナ「!」


あんじゅ「全く、世話がやけるんだから」ザッ


エレナ(ーー………)
















ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いけー!パスパス!


えれな「………」ポツーン


しゅーと!


えれな「あ……!」


パシッ


えれな(…と、とれた…!)


はやくボールだして!


えれな「え…あ、うん……」


ドッ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー














エレナ(私はただ……[友達と]サッカーがしたかったんだな……)



ツバサ「準備はいい?エレナ」


あんじゅ「ぼーっとしてたら置いてくわよ」


エレナ「何か手があるのか?」


ツバサ「いや?」


あんじゅ「なんとかなるんじゃない?」


エレナ「……はっ、なんだそれ」ニッ


GK「エレナさん!!」


エレナ「……信じてるさ、二人とも」グッ















ゴゴゴゴゴゴ………!!!!


穂乃果「…!」


海未「そう簡単には終わらせてくれませんか…!」


ことり「……負けない!」


エレナツバサあんじゅ「はぁぁぁぁ!!!」

















ガコンッ……!


エレナツバサあんじゅ【王家の神殿!!】













ギュルルルルルルルルル!!!!!!


エレナツバサあんじゅ「ぐっ……!!」ズズッ…!


穂乃果海未ことり「いけぇぇぇ!!!」


ギュルルルルル!!!!


にこ「決まれ!!」


希「入って!!!」


GK「破られ……ない!!」


DF2「負けるかぁ!!」


ギュルルルルル!!!


角間「最強と謳われたUTX高校!!今音の木坂が、その喉元まで迫り寄っています!!」


ツバサ「……最強……か」















ツバサ(……中学の頃、私たちはあの人(前監督)に拾われた)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お前の才能を俺が引き出してやる」


ツバサ「私の……才能?」













「おい、そこのお前」


あんじゅ「……スカウトですか?それなら……」


「スカウトだ、サッカーのな」


あんじゅ「………はい?」














「お前、キーパー楽しいか?」


エレナ「……知らない大人とは話さないようにしてるんだ」


「FWやってみないか?」


エレナ「……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー














あんじゅ(言われた通り、私たち三人は天才と言われるほどに成長した)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お前たちは俺の最高傑作だ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


エレナ(私たちは、私たちこそが最強と疑わなかった)















ツバサ「彼女たちが現れるまでは」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【デスゾーン!!】


穂乃果「はぁぁぁ!!!」バッ!


ギュルルルルル!!!












シュゥゥゥゥ……!


ツバサ「……!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















ツバサ「……ねぇ二人とも」ググッ…!


あんじゅ「っ…あ"?」プルプル


エレナ「……っなんだ…」ググッ…!!


ツバサ「………」














ツバサ「私、あなたたちとチームメイトでよかったわ」


あんじゅエレナ「……は」


ツバサ「楽しかった」ニッ















あんじゅ「………」ググッ


エレナ「……」ググッ


ツバサ「………」ググッ















エレナ フッ


あんじゅ ハァ……
















バチィッ………!!
















ブワァッ……!!!

















私も[だ]よ、ツバサ














ドシュルルルルル……!!!


ツバサ(ーーー………)スッ















角間「………き」













角間「決まったぁぁぁぁ!!!!!」


ワァァァァァァァァァァアアアア!!!!!


UTX「…………………」………


音の木坂「……………」













ピッ、ピッ、ピーーーーーーーー!!!!


角間「ここで試合終了のホイッスル!!」


角間「長い長い戦いを制し、2年連続王者の座に君臨するUTX高校を破ったのは!!」


角間「今大会本選初出場の………」













角間「音の木坂高校だぁぁぁぁ!!!」


ワァァァァァァァァァァ!!!!


ヨクヤッターー!!オツカレサマー!!


パチパチパチ……!















穂乃果「………」ハァ…ハァ…


ツバサ「………」ハァ…ハァ…


スタ…スタ…スタ……














ガシッ…!


海未エレナ「……」ガシッ…!


ことりあんじゅ「……」ガシッ…!















ハァ…ハァ…


テクテク……


MF1「ツバサさん……」


ツバサ「………みんな、ごめんなさい」


あんじゅ「…負けちゃった」テヘペロッ


エレナ「……」


MF3「……終わっちゃったんっすね」


MF1「…今の一年生に、優勝をさせてあげたかったですね」


DF2「ツバサさんたち抜けるから来年からはきつなるぞ~」ニヒヒ


MF2「そういうこった、ちんちくりん」ポンッ


DF1「……なんで……」















DF1「どうしてみんな悔しがらないんですか!!」


みんな「……」


DF1「強がっちゃってばっかみたい!!悔しいなら悔しいって言えばいいのに!!!」


MF2「……」


DF1「来年だとか、これからなんてどうでもいいんですよ!!私は、先輩たちと……!!!」ジワァッ……!















ギュッ…!


DF1「うぅぅ…!」ポロポロ


MF2「……やめとけ馬鹿」ギュッ


DF2「……三連覇を逃した……とか、そんなんやなくて……」


MF3「あぁ、[終わり]なんだ、って」


MF1「………楽しかったですよね」


MF3「……はい」


MF1「もっと……みんなで……」


MF3「……そのくだり、前も…したじゃないっすか」


MF1「2回目は……寒いですか?」ズズッ….


MF3「……はい、寒いっす」ズズッ…


MF1.3「あっはは…!」ポロポロ



タッタッタッ


エレナ「!」


GK「……エレナ、さん」ハァ…ハァ…


エレナ「……すまなかった、君の努力を無駄にしてしまった」


GK「エレナさんがGKできるなら、もっと……もっと教えてもらいたいことがたくさんありました」


エレナ「……」


GK「もっと早く……知ってれば……!」ジワァ…!

エレナ「……君はわたしにないものをたくさん持ってるよ」


GK「でも……!!」バッ!


エレナ「居なくなる奴の影ばかり追いかけるな」


エレナ「これからのUTXは任せた、UTXの正ゴールキーパーさん」ポンッ


GK「ーーー…っ…!!」ブワァッ…!















穂乃果「……はぁ…はぁ…」テクテク


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「今年の入部は穂乃果たちだけかぁ…」


海未「仕方ありませんよ、来年期待しましょう」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















海未「……」ハァ…ハァ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


穂乃果「海未ちゃん!今年は!?」ガラッ…!


海未「……0人……ですかね」


ことり「……ま、まだ迷ってるのかも……」


海未「一応夕方まで待ってみましょうか」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー















ことり「………」ハァ…ハァ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カァー、カァー


ことり「……来ないね」


穂乃果「……」


海未「……今年もまた、3人ですかね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー














「おーい!」


穂乃果海未ことり「!」


凛「こっちこっち!」ブンブン!


穂乃果「……」














誰に言っても、誰も信じないだろう


一年前まで3人だった部員が















にこ絵里希花陽真姫凛雪穂亜里沙

「お疲れ様[です]!」ニッ















これほど素晴らしい仲間に囲まれているということを


穂乃果「っ……」ジワァ…


海未「………」グッ


ことり「うぅぅ……」ポロポロ















ワーワーキャーキャー!


団体から抜け出し感動に浸る人物が一人


にこ「……はぁーーー……」


プルプル…!


にこ(……にこ……にこたち……やったのよね。夢じゃ……ないのよね)ムニー


期待に胸を膨らまし入部したサッカー部


待っていたのは苦しい現実


仲間に出ていかれ、一人途方にくれた一年生


意地を張り、しかし諦めきれなかった二年生


もう一度、仲間を信じようと駆け出した三年生


その先に待っていたのは……



















ワァァァァァァァァァァ!!!!!


音の木坂ーー!!!!優勝おめでとー!!!


ピューーーイ!!!!イェーーイ!!!


にこ「………っ…」ポロポロ
















穂乃果「ありがとー!」ブンブン!


凛「ありがとにゃー!」ブンブン!


真姫「どうしてあの二人あんなに元気なのよ……」


角間「えー、これにてフットボールフロンティアを終了したいと思います!!」


角間「30分後に表彰式が行われますので選手の皆さまは一度、控え室にお戻りになるようお願いいたします」


海未「ほら、戻りますよ穂乃果」


穂乃果「えー…もっとこの雰囲気味わってたいよぉ~…!」


希「あぁ~……気持ちはわかるかなぁ」


花陽「人生で滅多にない経験だもんね」エヘヘ…!


ゾロゾロ


海未「ほら、UTXの方々も戻っています!私たちも行きますよ!」


穂乃果「はぁ~い…」シブシブ















ブワンッ……!


穂乃果「……へ?」


海未「な、なんですかあれは……」


空間を割いて現れたのは……まるでSFの世界から飛び出してきたかのような大きな乗り物だった


角間「な、な、な……」


『マインドコントロールモード』





ありがとうございました、これにて後半は完結とさせていただきます


詳しいことは


ラブライブss イナイレパロ 技募集

ラブライブss イナイレパロ 技募集 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518886800/)


>>332に書かせていただきました


感想などあればどなたでも書いてくれたら嬉しいです


拙い作品でしたがありがとうございました


ありがとうございますm(_ _)m

ホントにめちゃくちゃ嬉しいです



訂正です

角間さんが「勝ったのは音の木坂高校だー!」って言っていますが正しくは「音の木坂学院だー!」ですね

続きは今のところ書くつもりです!
あとこの作品見た方本当に一言感想ください!
寂しくて寂しいです!!

一応本編に書きたかったけど流石に長くなりすぎるのでカットしたモブメンバーの生い立ち?載せていきます
よければ

ありがとうございます!頑張ります!

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