ぐだ男「アーサー王の死?」マシュ「はい先輩。」 (292)



ぐだ男「何それ?」


マシュ「15世紀の後半にトマス・マロリーさんという方が執筆したアーサー王に関する伝説ですね。
    アーサー王の出生からその最後までを記された大作ですよ。」


ぐだ子「ふーん。縁起でもないタイトルだけど、つまりアルトリアの一生が描かれているってこと?。」


マシュ「ええ、他にも円卓の騎士の皆さんのエピソードもたくさんあります。
    せっかくですし先輩も一緒に読んでみますか?ひょっとしたら、いずれ会うことになるかもしれない方のお話かもしれませんよ?」


ぐだ男「面白そうだね。えーっとなになに、ある年の聖霊降臨祭の日の朝、キャメロットは不穏な空気に包まれておりました…。」




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=====キャメロット=============



アルトリア「…ムスー」


ガウェイン「これは…」


ベデヴィエール「なんということでしょう。」


アグラヴェイン「我が王が、食べ物を前にして…」


ランスロット「朝食をお召し上がりになられようとされないとは!!」


ぐだ男「そう、その日アーサー王は、朝食を目の前にしても、一切手をつけようとされなかったのです!」



ぐだ子「…あれ?この伝説でもアルトリアって食いしん坊だったの?」


マシュ「ち、違います、これには訳がちゃんとありますから。」


ぐだ男「あ、本当だ。聖霊降臨祭の日、アーサー王が朝食を取ろうとするたびに、急な仕事が舞い込んでくるばっかりで、
    この日何かが起こると予知した際、アーサー王はその雑務を済ませてから食事をとるという習慣があったんだって。」


マシュ「そうです!それで周りの皆さんも驚いているわけですね。では先輩、続きをどうぞ」


ぐだ男「うん。えーっと…」





ガウェイン「…つまり、我が王は今日何かがキャメロットに起こるということを、予期されておられるという訳ですね。」


アグラヴェイン「ああ、そしてそれが我らに、吉となるか、凶となるか…」


ぐだ男「円卓の騎士達が困惑する中、知らせが王のもとに届きます。」


粛清騎士「失礼いたします!我が王に、謁見をしたいという者がキャメロットに…」

アルトリア「…会いましょう。通しなさい。」


ぐだ男「王は席を立ち、臣下達に命じます。その来客こそが、王が予期した今日の事案であると察知した騎士たちは、すぐに
     謁見の準備に取り掛かりました。」




=謁見の間=



マリー(?)「お初にお目にかかります、アーサー王様。」

アルトリア「よくぞ、キャメロットに参られた。」


ぐだ男「その日、アーサー王のもとに訪れたのは、背の高く、美しい若者でした。若者は従者の肩に両手を回し、
    やっとのことで立っているほど疲弊した様子でしたが、気品のある風貌や美しい両手から育ちの良さが見て取れ、
    高貴な出自であることが推察されました。」


マリ―(?)「申し訳ございませんが、私は自分の名や身分を明かすことはできません。
       そのうえで厚かましいことですが、お願いを偉大なる陛下に聞いていただく
       参りましたわ。」



アルトリア「ほう、何か事情があるのですね。わかりました。では貴公の願いを教えてもらおうか。」


マリ―(?)「それでは…どうか、食べ物を私にくださいません?」


アルトリア「…なんと?」




ぐだ男「王は、若者の願いが彼の身の丈にあっているものではないと考えましたが、そのうえで事情があることを察し、
    聞きいれることにしました。若者は要求どおり、食べ物を得るために厨房に案内され、
    そしてそのまま下働きとして働くようになりました。」



ぐだ子「えーっと、若者ってのがこのエピソードの主役?なんでマリーなの?」


ぐだ男「うーん。なんか虚月館の時みたいに、マリーのイメージが…」


マシュ「先輩のイメージ通り、ひょっとしたらこの人物はマリーさんのように周囲から愛された
    素晴らしい人柄なのかもしれませんね。」

ぐだ子「でも名乗りもしない不審者の願いをそのまま聞いて、キャメロットに住まわせるなんて、
    王様も結構大物ね。」



===厨房===============


マリ―(?)「~♪」

ベディヴィエール「結局、あれ以来そのまま厨房に住み込んでいるようですね。」

ランスロット「下働きとしてよく勤めているようだが…少し探りを入れてみるか。若者よ。少し時間をいただけぬか?」

マリ―(?)「はい。なにか御用かしら?」

ランスロット「単刀直入に聞こう。君は、どこか高貴な身の上ではないかな?それであれば、台所の下働きではない、
       もっと君にふさわしい役目がこのキャメロットにはあるだろう。」

ガウェイン「それに…私にはどうも貴方が他人とも思えないのですね。…そう思いませんか?アグラウェイン卿。」

アグラウェイン「む?とにかくとして、素性の分からないものがこのキャメロットにいることは看過しがたいものである、が。」


マリ―(?)「ふふふ、今の私は何者でもないわ。多くの騎士を志す若者は、まず従者として
       高貴なる方に側仕えをし、このような雑役をこなしながら騎士とはなにか学んでいくもの。
       そういうものでしょう?」





ランスロット「しかし…」

イアソン(?)「おいこら!何さぼってるんだ!」


ベディヴィエール「貴公は…ケイ卿。」



ぐだ子「また新キャラ…って、今度はイアソン?」


マシュ「ケイ卿はアーサー王の育ての親、エクター卿の息子です。アーサー王の義兄にあたり、司厨長を務めています。
    そのため、厨房の下働きになった若者を任されている立場になるわけですね。」


ぐだ子「イメージがイアソンってことは、性格が悪い人なのかしら。」

イアソン(ケイ)「まったく、お前たちはこいつを買いかぶりすぎだ。わざわざ城まで乗り込んで、我が王に食べ物をねだるような奴だぜ?
         こいつが本当に高貴な身の上だというのなら、それこそ相応の武具や位をねだるだろう。
          だが下賤な生まれだったからこそ、身の丈にあったこの程度のものしか願えなかったというわけさ。」




ランスロット「ケイ卿よ、言葉が過ぎるぞ。前途のある若者を粗末に扱うべきではない。」


イアソン(ケイ)「ふん。随分とかったものだな、ランスロット卿。確かにこいつのツラは立派かもしれないが、
         一年もすれば、そのきれーな手も油をすってぶくぶくになり、
         厨房の下働きにふさわしい小汚い恰好になっているだろうさ!」


マリ―(?)「まぁ!なんてことを。」


イアソン(ケイ)「なんだ、文句でもあるのか?それならば、そうだな…、
          名前が無いのも不自由だから、この俺がお前に名を与えてやる。  
          その綺麗なお手てにあやかって、今日からお前は『ボーメイン』と名乗るがいい!!」
         


イアソン(ケイ)「下働きに相応しい薄汚れた醜い手になったらその名前で今のような美しい手だったことを思い出すがいいさ。
          わかったなボーメイン。ハーッハッハッハ!!」

ぐだ男「…こうして、若者はボーメインと呼ばれるようなりました。円卓の騎士の中でガウェイン卿とランスロット卿の
    二人だけは彼の身を案じます。しかし、ボーメインは、上役のケイ卿にいびられながらも、下働きとして真面目に働きました。
    そして徐々にその人柄と仕事ぶりで、周囲から一目置かれるようになっていきました。」
    


ぐだ子「…ぼーめいん?」


マシュ「ボーメインとは、フランス語で美しい手を意味します。武器や重いものをもったこともなさそうな綺麗な手をからかっての
    あだ名という訳ですね。」


ぐだ子「それにしてもこのケイ卿って口が悪いのね。本当にアルトリアの義兄なの?」ソレトモイメージノセイ?


マシュ「確かにケイ卿は少し意地悪なところもあるようですね。ただ、その分痛い目にあったりしたり周囲を引き立てるような
    汚れ役に徹する一面もあったようですよ。」

ぐだ男「そして、ボーメインがキャメロットを訪れてから一年後、再び聖霊降臨祭の日にキャメロットにある乙女が助けを求めに訪れました。」



=キャメロット謁見の間=============



ジャンヌオルタ(?)「ああ、偉大なる陛下、どうか、私の姉をお救いください!!」



ぐだ男「乙女は、姉が赤い国の赤騎士と呼ばれる邪悪な男に見初められ、無理矢理妻にしようと居城が包囲されてしまったと訴えます。
    どうか姉を救ってほしいとアーサー王に頼み込みますが、王はこの頼みに難色をしめしました。」
    

ガウェイン「赤い国の赤騎士といえば、日中において常人の7倍の力を発揮するというおそるべき騎士ですね。」


ランスロット「となると、円卓の騎士でも精鋭でなければ荷が重いだろうな。」

アグラヴェイン「とはいえ、先の乙女、ライネット嬢の話では一体彼女の言う姉が何者なのか、赤い国の赤騎士がどこの城を襲っているのか、明瞭な
        情報を得ることはできませんでしたな。それに赤い国は我々の支配の及んでいない国。これは蛮族同士の内輪もめかもしれませんな。」


ベデヴィエール「名のある騎士が下手に介入すれば、辺境勢力を刺激してしまうかもしれません。それに、不明確な情報でも鵜呑みにして
        騎士を派遣するということが続けば、キャメロットの守りが疎かになっていく恐れもあります。」


アルトリア「…ふむ、どうしたものでしょうか?。」


ぐだ男「ライネットの救援要請について情報が断片的なものであったため、名のある騎士が出向くことに及び腰になってしまいます。
   しかし、その場でボーメインが、名乗りをあげました。」


マリ―(ボーメイン)「はーい。お話は聞かせてもらったわ!ならばその任務、この私に任せてくださらないかしら?」

イアソン(ケイ)「お、おい、厨房の下働き風情が出しゃばろうとするな!」


アルトリア「待ちなさいケイ卿。…そうだな、無名の騎士にならば任せても。」


イアソン(ケイ)「いや、それはおかしい、こいつは一年間、厨房で働いていて何か手柄を立てたわけでも、実力を見せた
         訳でもない。そんな得たいの知れない奴を王がいきなり騎士に任ずるなんてとんでもないことだぞ!」


ベデヴィエール「そうですね。危険すぎますよ。」


ランスロット「…確かに、ケイ卿の言うことももっともだな。」


マリ―(ボーメイン)「…そ、そんな。ランスロット卿まで…」

ぐだ男「しかし、なんとランスロットにはある腹案がありました。」

ランスロット「ゆえに、ボーメイン。君が確かな実力を持つというのなら、私が王に代わって君を騎士に任命しようではないか。」

ガウェイン「…確かにランスロット卿。あなたが認めたとなれば、誰も文句はないでしょうね。」

ランスロット「如何かな?」

アルトリア「ええ、かまいません。」

マリ―(ボーメイン)「はい!ありがとうランスロット卿!」



ぐだ男「こうして、ランスロット卿は、ボーメインが騎士に相応しい力があるのならば自分が騎士に任命すると宣言し、
    二人は、決闘の準備をするのでした。」


ぐだ子「単純に、ランスロットとかが出向いて終わり!って訳にはいかないのね。」


マシュ「赤騎士の悪名はキャメロットにも伝わっており、成敗するには手練れでなければなりません。
    でも曖昧な情報で敵対勢力のもとに重鎮を派遣するのは難しかったのでしょうね。」


ぐだ男「そこで、無名だけど、実力がありそうなボーメインなら、なんとかなるんじゃないかって判断したわけだね。
    まぁ、様子見にとりあえず送ってみるか、って感じもするけど。」


ぐだ子「なんか、捨て駒みたいな感じもするわねー。でも、ボーメインを騎士に任命するのは、アーサーじゃなくてランスロットなんだ。」


マシュ「はい、お話の中で、ボーメインは特にランスロット卿に騎士に任命されることを望んでいたそうですね。
    下働きをする際に、ランスロットとガウェイン卿だけが自分の身を案じてくれたということで、とても尊敬していたのでしょうね。」


ぐだ男「下働きをいきなり騎士にするってのも確かに変だし、王が変に謗りを受けるのはよくないから、あえて
    自分が騎士任命しようってのもランスロットは考えたのかな?」


ぐだ子「そういうとこランスロットって格好いいわよねー。ありそうありそう。」


マシュ「ま、まぁ…ランスロット卿は、基本的には優れた騎士ですからね。では続きをどうぞ。」



16

=決闘場===



ランスロット「ようやくあの若者の性情を知る機会が得られたが…ケイ卿、なぜ卿もここにいるのだ?」


イアソン(ケイ)「ふん、あんな小間使いに舐められてたまるか!俺が自ら叩きのめしてやる!」


ぐだ男「そうこうしている間に、ボーメインもまた決闘の場に姿を現しますが、二人は驚きました。
    ボーメインはいつものみすぼらしい姿ではなく、全身を美しい武具で身に着けた荘厳な姿だったのです。」


マリ―(ボーメイン)「お待たせしたわ。ランスロット卿。」


イアソン(ケイ)「お、おい、俺を無視するなボーメイン!誰がお前の主なのかわかっているのか!?」


マリ―(ボーメイン)「私はこれから、ランスロット卿に騎士に任じられ、あのアーサー王に仕える身。
           あなたを主と仰ぐことはありえないわ。もし、人から信頼を得たいのであれば、貴方は自分を省みることが必要よ。」

イアソン(ケイ)「う、うるさい生意気な、俺の実力を見せてやる。」サッ


ランスロット「ケイ卿も乗り気だな。もちろん私も手加減出来るほどの器用さはない。本気で参られよ。」


マリ―(ボーメイン)「うふふ、よろしくてよ。」



ぐだ男「こうして決闘が始まりました。」


マリ―(ボーメイン)「そーれ♪」 ドーン


イアソン(ケイ)「ぐはぁ!」バタンキュ

ランスロット「…!なんと。」


ぐだ男「先にケイ卿がボーメインに襲い掛かりますが、あっけなく返り討ちにあい致命傷を負ってしまいます。
    そして、ランスロット卿もまた、ボーメインにと立ち会うも、彼の強さに驚かされます。」



ランスロット「…決して、手を抜いたつもりはないが、どうやら君の実力は本物のようだ。
       約束通り騎士に任命しよう。」


マリ―(ボーメイン)「ありがとう、ランスロット卿。感激よ!」


ぐだ男「こうして、ボーメインは、無事に騎士に任命され、始めての冒険の旅に出ようとするのでした。」


ぐだ子「ケイ卿弱っ!ってここで死んじゃうの?」

ぐだ男「いや、ランスロット卿に盾を担架に運ばれてく。」

マシュ「ただ、一部始終をライネットは見ていたようで、ボーメインが厨房の下働きだったことを知られてしまいます。
    ボーメインとライネットは共に冒険の旅に出かけようとしますが、
    ライネットは下男あがりのボーメインに拒否反応を示すようですね。」

邪ンヌ(ライネット)「ちょ、ちょっとどういうこと!私はアーサー王に、姉を救うために騎士を遣わしてくださいと頼んだのに、
           なぜあなたのような厨房の小間使いが派遣されるのです!?全く冗談じゃないわよ!?」


マリ―(ボーメイン)「いーえ、今や私はあのランスロット卿に騎士に任じられた身です。
           必ずあなたのお姉さまを救って見せるわ。」


邪ンヌ(ライネット)「ふん、下男風情がまるで高貴な騎士のような一丁前の口を利くのですね。
           冗談じゃないわ。痛い目を見る前に、今すぐ元の住処にお帰りなさい。」
           

マリ―(ボーメイン)「そうはいかないわ。これはアーサー王から私に託された始めての大事な冒険。
           冒険をやり遂げるか、さもなくば死ぬことがない限り、私は貴方とともに行くわ。」ぎゅっ



邪ンヌ(ライネット)「けっ、汚らわしい、寄らないで下さい!うう…どうしてこんな、
           台所の臭いの染みついた小汚い下男を頼らなければならないのよ!…うう、姉さん…」



ぐだ男「このように、ライネットは口汚く罵りますが、ボーメインは嫌な顔をすることもなく、ニコニコと
    彼女のあとをついてゆきました。」


ぐだ子「ケイにいびられ続けて罵倒耐性がついてたのかしら?それにしても、口が悪い人ばかりね。」


マシュ「ライネットの立場からすれば、邪悪な騎士から命からがら逃げだしてやっとキャメロットに辿り着いたのに、
    アーサー王が寄越してくれたのは、下男あがりの無名の騎士…。絶望を感じるのも無理はないかもしれませんね。」


ぐだ男「そして、アーサー王が立派に統治するブリテンにおいても、辺境の地にはまだまだ盗賊が跋扈しておりました。
    ボーメインは、賊からライネットを守りつつ、彼らを蹴散らしていきます。」

21
   
マリ―(ボーメイン)「そーれ!」 ドーン


盗賊「ひぃい、強すぎる、退散だぁ!」


マリ―(ボーメイン)「どう、ライネット。私、輝いてる?」 


邪ンヌ(ライネット)「ふん。多少は心得があるようだけど、そんなことでよく浮かれていられるわね。
           満足したら、とっととお家に帰って下さいません?それで、もし私のためになりたいのなら
           自分の代わり立派な騎士を派遣してくれと貴方の王に頼みなさいな。」


マリ―(ボーメイン)「いーえ、それだけはできないわ。どうか、私にあなたを助けさせてね。」


邪ンヌ(ライネット)「本当にわからない人ね!よくお聞き!あの赤い国の赤騎士は恐ろしい男。
           特に日の昇る間は、常人の7倍の力を発揮するという怪物よ。
           それこそあのガウェイン卿やランスロット卿、ラモラック卿、それかコーンウォールのトリストラム卿
           くらいでしか敵わないでしょう!多少腕があったところで、貴方はなんか、無残に殺されてしまうわよ!」      


マリ―(ボーメイン)「…!。そう、わかったわ。」


邪ンヌ(ライネット)「物覚えの悪い厨房の雑用でも、やっと理解できたようね。まぁいいでしょう。
           これからは、身の丈にあった仕事を選んで暮らすことね…」      

           
マリ―(ボーメイン)「…ライネット、あなたは本当に、心の優しい、素晴らしい人だわ!」


邪ンヌ(ライネット)「…はい?」


マリ―(ボーメイン)「…そうやって厳しい言葉を投げかけてくるのも、私が自ら危険に近づかないようにと、
           私の身を案じてのことだったのね。確かに、今の私は頼りなく思えるかもしれないわ。
           でも安心して。あなたのお姉さまは、必ず私の手で救って見せるわ。」


邪ンヌ(ライネット)「どどど、どういう思考回路したらそんな発想になるのよ!それなら、いっそ先に
           進みなさい!貴方が死ぬことがあれば、今度こそ私は立派な騎士を頼りにできるわ!」


ぐだ子「これは…ひょっとして…ツンデレ?」

ぐだ男「アーサー王の死が書かれたのって、いつ頃だっけ?」

マシュ「15世紀の後半ですね。」

ぐだ男「この時代から、ツンデレはあったのか…ともかく、賊や川辺に潜む追剥騎士を排除しつつ、罵倒とともに二人の旅路は
    続いていきます。そして当たり一面真っ黒の土地に辿り着きました。」


==黒い国====


邪ンヌ(ライネット)「ここから先の土地を、私たちは黒い国と呼んでいるわ。」


マリ―(ボーメイン)「ここはアーサー王の支配が及んでいないようね。」


邪ンヌ(ライネット)「…ええ、赤騎士の支配地域というわけではないけれど、少なくともキャメロットの者は
           目の敵にされていますからね!本当に、逃げ帰るなら今のうちよ?」



ぐだ子「王様って、ブリテン全土を統治できてたわけじゃないのね。」

マシュ「ええ、まだまだ辺境には、残存勢力も数多く残っていたようです。」

ぐだ男「もともと敵対関係のある土地柄だったから、ライネットもお姉さんの名前を告げることができなかったのかもね。」


クーフーリン(?)「ほう、ライネットじゃないか。戻ってきたのか。」


マリ―(ボーメイン)「何者です!」


邪ンヌ(ライネット)「あ、貴方は黒の騎士ぺルカード卿!」

クーフーリン(黒の騎士)「まさかお前、あのキャメロットに出向くとはね。俺たちの土地をアーサー王って奴に引き渡そうってつもりか?
             どうやら、円卓の騎士ってのを引き連れてるようだしなぁ!」


邪ンヌ(ライネット)「ふん、それならばどんなによかったことか…。円卓の騎士の助力を求めたというのに、
           アーサー王が供してくださったのは、配膳係の食卓の騎士なんですもの!」


クーフーリン(黒の騎士)「何?ハッハッハ、こいつは傑作だ。おいどうする坊主。
            お前、本当に俺たちとやりあう気かい?命が惜しかったらとっとと失せな。
            ここは、俺たちの縄張りだ。よそ者がでかい面していいところじゃないんだぜ。」


邪ンヌ(ライネット)「ボーメイン、わかっているでしょう。この騎士たちは、今まであなたが戦ってきた賊とは
           文字通り格が違う相手、今ならまだ許してくれるかもしれないわよ。引き下がりなさい。」


マリ―(ボーメイン)「いえ、黒の騎士よ、私にはあの赤の国の赤騎士から危険の城を解放する使命があります。
           それを阻もうというのなら、私は全力をもってあなたと戦うわ。」

クーフーリン(黒の騎士)「け、中央の小僧がよく言うぜ!その心臓もらい受ける!」


ぐだ男「ライネットは相も変わらずボーメインを罵倒しますが、ボーメインと黒騎士の戦いが始まります。結果、見事ボーメインは
    黒の騎士を打ち取りました。」



クーフーリン(黒の騎士)「ぬ、抜かった……ぜ……」ガクッ

邪ンヌ(ライネット)「なっ、なっ、なんてこと、まぐれあたりとはいえ、立派な騎士が
           こんな奴に殺されてしまうなんて!」

マリ―(ボーメイン)「…ライネット。」


邪ンヌ(ライネット)「も、もうお終いよ!この辺りはみな、今あなたが殺した騎士の兄弟たちが支配しているのよ!
           これからは、周りすべてが復讐に燃え、私たちに襲いかかることでしょう!!」

ぐだ男「しかしライネットはボーメインを認めるどころかさらに罵倒し、むしろ相手の黒騎士の死を
    悼んだようでした。」


ぐだ子「ランサーが死んだ…って流石にちょっとライネットひどくない?」

マシュ「ライネット視点では地元の名士がよそ者の下男に殺される形ですからね。」

ぐだ男「それに、懸念どおり、この黒の騎士の兄弟たちと戦うことになるようだよ。」


===


マリー(ボーメイン)「ライネット、下がって、また敵襲よ。」

プロトクーフーリン(?)「へ、お前が噂のアーサー王の手のものか。」

キャスタークーフーリン(?)「よくぞ俺たちの前に姿を現してくれたじゃねえか!」



マリ―(ボーメイン)「貴方たちは、あの黒騎士の兄弟の…」

邪ンヌ(ライネット)「…(ビク)」

プロトニキ(緑の騎士)「俺は緑の騎士パートレープ!」

キャスニキ(赤の騎士)「俺は赤の騎士ペリーモンズ!兄弟の仇、取らせてもらうぜ!」

マリー(ボーメイン)「立ちふさがるなら、蹴散らすわよ!」

ぐだ男「復讐に燃える黒の騎士の兄弟たちが立ちふさがります。が、またボーメインは見事返り討ちにします。」


ぐだ子「うーん。ボーメインが強すぎるのか、あるいは彼らが弱いのか。所詮田舎騎士なのか。」


プロトニキ(緑の騎士)「ぐあっ!」

キャスニキ(赤の騎士)「ぐああっ!」」

邪ンヌ(ライネット)「うぅ…(ビクビク)」


マリ―(ボーメイン)「…」


ぐだ男「しかしなぜかボーメインは黒の騎士のように彼らに止めを刺すことはせず、ライネットに目を向けるのでした。」


マリ―(ボーメイン)「ライネット、貴方は本当に、どこまでも心の優しい方なのね。」

邪ンヌ(ライネット)「な、いきなりなにを言ってるの?私はそんな…」


マリ―(ボーメイン)「いえ、貴方は敵対関係のあった相手であっても、命が奪われるということを恐れているでしょう。」


邪ンヌ(ライネット)「…!!」


マリ―(ボーメイン)「緑の騎士に赤の騎士よ、私は、こんなに優しい心をもった乙女の心を苦しめた
           あの赤騎士の行いは許しません。しかし、貴方達が彼と無関係か、あるいは縁を切って
           悔い改めるのであれば、この場は剣をおさめるわ。」


プロトニキ(緑の騎士)「お、おい、兄者…」

キャスニキ(赤の騎士)「…ああ、こりゃどうやら完敗のようだな。わかった、これからはあんたに従うぜ。」


ぐだ男「こうしてライネットの優しさとボーメインの度量に感服した騎士たちは、ガレスに協力することを申し出ます。
    騎士たちの案内により、一行は、藍色の領地にたどり着きます。」

ぐだ子「ゆ、許された!てか、赤の国の赤騎士と、この赤の騎士は別人かい!紛らわしいわ!」


===藍色の領地===========


プロトニキ(緑の騎士)「この藍色の領地を越えりゃ、危険の城は目前だ。だが、ここは俺たちの兄が治めている。
            おーい、兄者ー!」

フェルグス(?)「はーっはっはっは。弟たちよ、どうやらこっぴどくやられたようだな」

キャスニキ(赤の騎士)「ああ、どうやら、こいつは本物ようだぜ叔父貴…じゃなくて、兄貴。」


邪ンヌ(ライネット)「藍色の騎士、パーサント卿…気をつけなさいボーメイン。彼は、このあたりの領主の中で
           もっとも名声を集めている騎士。そして強さも折り紙つきよ。」


フェルグス(藍色の騎士)「ほほう。どうやら赤騎士め、目的を果たしおったか。誘い出されたのはガウェイン卿か?
             あるいは、ランスロット卿か?」

マリー(ボーメイン)(目的?)ピクッ


マリー(ボーメイン)「いーえ、危険の城を救うのは、ガウェイン卿でも、ランスロット卿でもなくこの私です!」


マリー(ボーメイン)「それよりも藍色の騎士よ!今あなたが口にした、赤騎士の目的とは一体どういうこと?」

 
         
フェルグス(藍色の騎士)「はっはっは。そうか、貴公か。さぁ剣をとれ、騎士同士の流儀に言葉は無粋であろう!」



ぐだ男「こうして、ボーメインは危険の城への道の最後の障壁となる紫の騎士と戦います。戦いは
    2時間にも及びますが、見事ボーメインは勝利をおさめます。」


フェルグス(藍色の騎士)「うむ、降参だ。流石弟たちを倒すだけのことはあるな。」


邪ンヌ(ライネット)「ボーメイン。この紫の騎士の命を奪うことはしないでよ。」



マリー(ボーメイン)「ええ、もちろんよ。」


フェルグス(藍色の騎士)「しかし、本当にお前はあの赤騎士と戦おうというのか?
             あの男は強いぞ。無慈悲で、残酷なまでにな。」


マリー(ボーメイン)「それでも、私は必ず危険の城を救います。そのためにここまで冒険にきたのだから!」



フェルグス(藍色の騎士)「はっはっは。頼もしいことだ。
             折角だ、今日のところはこの地で休んでいけ!」


ぐだ男「藍色の騎士パーサントもまた、ボーメインの力量を認め、彼に仕えることを望みます。
    そして、二人は藍色の騎士のもとで休ませてもらうことになりました。」


==夜=========


邪ンヌ(ライネット)(いよいよ、明日にはあの赤騎士のもとに…姉さん。待っていて)

邪ンヌ(ライネット)(でも、本当にあの悪魔めいた騎士に、こんな得体の知れない奴が勝てるのかしら)チラリ

マリー(ボーメイン)「スー、スー」

邪ンヌ(ライネット)「全く、仮にも敵地の真ん中だっていうのに、よくもまぁぐっすり寝つけるものね。」

マリー(ボーメイン)「ライネット…ワタシハ…カナラズ」

邪ンヌ(ライネット)「…本当にただの間抜けなのか、大物なのか…調子を狂わせてくれるわね」

マリー(ボーメイン)「オニイサマ・・・ZZ」

邪ンヌ(ライネット)「…ZZ」



ぐだ子「それにしても、随分とカラフルな土地柄なのね。赤の騎士と赤騎士とか紛らわしいし。」


マシュ「ただ、最初の黒の騎士以外の騎士たちは、どうやらボーメインに感服し、友好的になったようですね。」


ぐだ男「うん。この藍色の騎士にいたっては、自分の娘をボーメインと結婚させようと
    夜這いさせようとしてるしね。ボーメインの方は紳士的に手を出さなかったみたいだけど。」


ぐだ子「うへー、…そんなエピソードがあったら、実はボーメインは、女の子だったとかネタにされちゃいそうじゃない!」


ぐだ男「まっさか~。ともかく二人は出発し、危険の城に向かいます。そこで彼らが見たものは恐るべき光景でした。」

===危険の城===========



マリー(ボーメイン)「これは!」

邪ンヌ(ライネット)「なんて、ひどい…!」



オリオン(朽ち果てた騎士)「ウーン。」

オリオン?(かわりはてた騎士)「クーン。」

オリオンなの?(無残な騎士)「…ヒドイ。」


ぐだ男「そう、危険の城を解放せんと赤騎士に挑み、そして敗れた騎士たちの屍が無残にも
    木々に吊るされ、辱められていたのです。」


マリー(ボーメイン)「こんな行い!許せないわ!」

ぐだ男「ボーメインは、怒りに燃え、危険の城に挑もうとします。すると囲みの近くに生えている木に、角笛が
    かけられているのを見つけました。」


邪ンヌ(ライネット)「…あの角笛、おそらく敵襲を知らせるためのものでなくて?」


マリー(ボーメイン)「あれを吹けば、きっと赤騎士を誘いだすことができるわね。」


邪ンヌ(ライネット)「待ってボーメイン。今はまだちょうど日も昇るころ、赤騎士の力が
           発揮できなくなる日暮れまで待つべきよ。」


マリー(ボーメイン)「いえ、そうはいかないわ」パフパフー!

ぐだ男「ライネットは制止しますが、ボーメインは一刻も早く危険の城を救いたいのか、
    あるいは正々堂々と赤騎士と決着をつけたいのか、角笛をすぐに吹いてしまいます。すると、包囲陣営から、全身赤ずくめの
    騎士があらわれました。」


クーフーリンオルタ(?)「…なんだ、なにものだ。」

マリー(ボーメイン)「私は貴方の暴虐を止める者よ。赤い国の赤騎士よ、なぜこのような非道を重ねるの!
           どれほどの力を誇っても、そんな残虐な男に靡くような女性はどこにもいないわよ!」

オルタニキ(赤騎士)「ふん。そもそもあの女城主が目的ではない…が、どうやら円卓の騎士を呼び寄せる
           ことも叶わなかったか。」


マリー(ボーメイン)「なにを!えーい!!」ヴゥン


オルタニキ(赤騎士)「フン!」バキッ


マリー(ボーメイン)(この騎士…強い!)



ぐだ男「ここまで、快進撃を続けてきたボーメインでしたが、赤騎士は今までの相手とは比べられないほどの力を
    ほこり、ボーメインは苦戦を強いられます。」


マリー(ボーメイン)「ハァ、ハァ、さすがに強いのね。」

オルタニキ(赤騎士)「多少はやるようだな。お前をこの場でお前を屠り、その亡骸を辱めてやれば、
           今度こそあの騎士たちをおびき寄せることができそうだ。」シュッ


マリー(ボーメイン)「させないわ!」ヴュン



邪ンヌ(ライネット)「…」

邪ンヌ(ライネット)「だから、だから言ったのに、いくら幸運が重なってここまでこれたとしても、
           あの恐るべき騎士にかなう訳がないのに…」

邪ンヌ(ライネット)「こんな…こんな…」

邪ンヌ(ライネット)「…ギリッ」


ぐだ男「ライネットが固唾をのんで見守る中…ボーメインと赤騎士の一進一退の攻防が続きます。
    そして、その膠着状態の中、ふいにその均衡が破られました」

邪ンヌ(ライネット)「…しっかりなさい、ボーメイン卿!!」


オルタニキ(赤騎士)「!?」


マリー(ボーメイン)「ライネット!」


邪ンヌ(ライネット)「厨房の下男にすぎないくせに、貴方は私に約束したでしょう!
           必ず姉さんを救ってくれると!あれを見なさい!」


ぐだ男「ライネットが指さす先…危険の城の窓辺で、一人の美しい女性が涙を浮かべ祈りをささげていたのです。」

ジャンヌ(?)「…」

マリー(ボーメイン)「あのご婦人が、あなたの姉の…」

邪ンヌ(ライネット)「ライオネス姉さんよ。ボーメイン卿、いくら大きな偶然や幸運と私の助力に恵まれたとはいえ、
           私たちは姉さんを救いにここまで来れたわよね。今更私との約束と、姉さんの祈りを
           裏切るようなこと、私は死んでも許さないわよ!さぁ、勝ちなさい!!」



ぐだ男「今まで、ずっと自分に悪態をついていたライネットは決戦の場において、とうとうボーメインを認め、
    檄を飛ばします。乙女の応援と、婦人の祈りが、ボーメインにさらなる力を呼び起こしました。」


マリー(ボーメイン)「ええ、今こそ、ライネット、貴方との約束を果たします。さぁ、赤騎士よ覚悟いいわね!」


オルタニキ(赤騎士)「…この力は!」


マリー(ボーメイン)「さんざめく花のように、陽のように!」ギロチンブレイカー!!


オルタニキ(赤騎士)「ぐあぁああああ!」


ぐだ男「二人の思いを込めた一撃により、とうとうボーメインは赤騎士との闘いに勝利しました。」

ぐだ子「というより長時間戦って、時間経過で赤騎士の7倍期間が切れたんじゃないの?」

マシュ「先輩!それは言わないお約束です!」


オルタニキ(赤騎士)「…何故とどめをささない。」


マリー(ボーメイン)「赤騎士さん。これほどの力を持つ騎士が一体なんのために、
           このような所業をなしたのか、私はそれを知らなければならないわ。
           お願い。どうか話してくださいな。」



オルタニキ(赤騎士)「…いいだろう。」



==========================


水着スカサハ(?)「~♪」

オルタニキ(赤騎士)「なんのようだ?湖の乙女よ。俺を呼び出して。」チッ



水着スカサハ(湖の乙女)「ああ、アイアンサイド卿。お前は私を『あ・い・し・て』いるだろう?」ニマー

オルタニキ(赤騎士)「あぁん?」ブチッ

ドバキッ

水着スカサハ(湖の乙女)「愛しているだろう?」グッ(拳ニギリー)


オルタニキ(赤騎士)「…だったら、どーした?」イライラ


水着スカサハ(湖の乙女)「これを見ろ!アイアンサイド。」サッ


メイヴ(?)  「…チーン(槍にハリネズミにされている)」


水着メイヴ(?)「…アノアマ(同上)」

オルタニキ(赤騎士)「…なんだ。その無残な死体は。」


水着スカサハ(湖の乙女)「こいつらは私の親族なのだが、見ての通りこのように殺されてしまったのだ。(ぽいっ)
             そして、この残虐な手口、どう考えても円卓の騎士ガウェイン卿か、ランスロット卿の仕業に
             違いないだろう。」トイウコトニシテオケ


オルタニキ(赤騎士)「…それを俺に告げて、お前は俺に何を望む?」

水着スカサハ(湖の乙女)「はっはっは。(ぽい)皆まで言わせてくれるなアイアンサイド。当然お前は愛する私の敵討ちのために、
             あの円卓の騎士ガウェイン卿か、ランスロット卿と命をかけて戦って、
             奴らを討ち取ってくれるのだろう?」


オルタニキ(赤騎士)「…」


水着スカサハ(湖の乙女)「どうした黙って?私のために命がけで戦えることがうれしくて
             照れているのか?カワイイヤツメ。」

ぐだ男「そう。赤騎士の真の目的は愛する湖の乙女の仇討のため、円卓の騎士を呼び寄せ討ち取ることだったのです!」


オルタニキ(赤騎士)「…というわけで俺は年齢不詳の妖怪ババア…じゃなくて、湖の乙女から、
           騎士を討ち取り彼らの亡骸を辱める度に強くなるという呪い…もとい祝福を
           賜った。これが、俺の日中7倍といわれる力の秘密だ。」


マリー(ボーメイン)「なるほど、危険の城を包囲したのも、あの兄弟達が貴方に協力したのも、円卓の騎士を
           呼び寄せるためだったのね。」

邪ンヌ(ライネット)「そのために、姉さんを苦しめて…」

マリー(ボーメイン)「赤騎士さん。遺恨があるというのなら、キャメロットのガウェイン卿とランスロット卿に、
           まず話し合いにいくべきだったわ。彼らは素晴らしい騎士。必ず真相を話してくれるはずよ。」

オルタニキ(赤騎士)「…かもな。だが今や詮無き事。さっさと[ピーーー]がいい。」


マリー(ボーメイン)「いえ、今からでも遅くないわ!キャメロットにお行きなさい。
           そして、今回のことと、真相を本人からお聞きなさい。」

           
オルタニキ(赤騎士)「なに?これほどの殺戮をした俺をお前は許すというのか?」


マリー(ボーメイン)「許すのではありません。私は貴方の話を聞いて、真実を知ったわ。
           だから貴方もまた、彼らから話を聞いて真実を知るべきよ。
           すべての処遇は、真実が明らかになってからでなければならないわ。」

オルタニキ(赤騎士)「いいだろう。俺はお前に敗れた身だから従おう。だが、一つだけ教えてくれ。」


マリー(ボーメイン)「はい?」


オルタニキ(赤騎士)「俺は、赤の国の赤騎士、アイアンサイド。どうか、俺を倒した貴方の名前を教えてくれ。」

マリー(ボーメイン)「そうね…いいでしょう。」

マリー(ボーメイン)「私の名は、ガレス。」

マリー(ガレス)「今は亡きオークニーのロット王の息子、ガレスというわ。」

オルタニキ(赤騎士)「なんだと!あの、偉大なるロット王の…!」

邪ンヌ(ライネット)「ロ、ロット王ですって!?ボーメイン、なんでずっと黙っていたの!?」

マリー(ガレス)「…フフ。そうね、だって私のこととなると、
         皆枕言葉にまずお父様がついてしまうのですもの。」


マシュ「そう!ボーメインとは、あのガウェイン卿の弟の、ガレス卿だったんですね。」

ぐだ子「ガレス?どっかで聞いたような…」

ぐだ男「確かベディがちゃん付けで読んでなかったっけ。」

ぐだ子「そういえばそれっぽい子にどこかで会ったような…ちなみにロット王って、もう亡くなっているの?」

マシュ「はい。伝説によってはアーサー王のよき協力者になるロット王ですが、
    アーサー王の死の中では、ある理由によって反アーサー王の鬼となり、ペリノア王に
    討ち取られたとされています。」

ぐだ男「こうして、赤騎士は、キャメロットに赴き、直接ガウェイン卿と、ランスロット卿と話し合います。
    円卓の騎士たちが、どのような真相を語ったのかは記されておりませんが、赤騎士は二人の話に驚愕し、
    逆恨みをしたことを詫びます。」


======キャメロット===========


オルタニキ(赤騎士)「アーサー王よ、俺は貴方の騎士に敗れた身。今後は貴方に剣を預け王と、その配下の騎士のために
           戦うことを約束しよう。」

アルトリア「アイアンサイド卿よ。その荒ぶる心を抑え、正義のために力をふるうと誓うのならば、
      我々は卿と、卿の配下のものたちを歓迎しましょう。」


ベデヴィエール「あ、あの赤騎士が、我が王に平服するとは」

アグラヴェイン「…まったく、たいしたものだな。」

ガウェイン(お見事ですね。まさかこれほどとは。)

ランスロット(ああ。)

49

ぐだ男「こうして、赤騎士達、ガレスに敗れた騎士たちは今後はキャメロットの恭順し、
    アーサー王もまた、快く受け入れたのでした、と…」

ぐだ子「えーっと、黒の騎士は死んじゃったけど、他に緑の騎士と赤の騎士、それに藍色の騎士が仲間になって…
    大手柄じゃない。」

マシュ「ええ、騎士たちの配下や領土もそのままキャメロットが併合されるわけですから、素晴らしい功績ですね。」

ぐだ子「でも、まだボーメインが何者か、アーサー王や皆は知らないのね。」

マシュ「ランスロット卿だけは、実は騎士に任命する際に教えてもらったそうですが、それでもガレスのために
    秘匿しているようですね。」

ぐだ男「読む限りだとガウェインも気をつかっているから、内心気づいてそうだけどね。
    …そしてとうとうボーメインの正体を知る人物が、キャメロットを現れました。」


===キャメロット========



アルトリア「只者ではない、ということは一目見てわかりましたが、まさかこれほどの活躍をしてくれるとは
      いささか驚きですね。」

ガウェイン「全くですね。実に喜ばしいことです。ねぇ?ガヘリス卿、アグラウェイン卿。」

サンソン(ガヘリス)「ん?まぁ確かにすごいことだが」

アグラウェイン「その口ぶり。もしやガウェイン、卿はあのボーメインが何者なのか知っているのか?」

ガウェイン「…貴方たち、ひょっとしてガチで気づいていないのですか?彼は…」

ベデヴィエール「た、たた大変です。我が王!」

アルトリア「どうしました、ベデヴィエール卿。騎士がそのように慌てたら、周囲の者まで
      動揺してしまいますよ」

ベデヴィエール「失礼、では申し上げます。オークーニーのロット王妃が、我が王にお会いしたいとおいでです!」

アグラウェイン「なっ!?」

アルトリア「なんだと!?すぐにもてなしなさい、丁重に!」

====謁見の間===========


ぐだ男「ロット王妃は、それはそれは美しいご婦人でした。」


酒呑童子(?)「~♪」

アルトリア「…」

円卓の騎士's「…ゴクリ」


酒呑童子(?)「久しぶりやなぁ。アーサー。」

アルトリア「お久しぶりです姉上。ご機嫌麗しゅう。」


酒呑童子(?)「そんな固くならんとき。姉弟なんやから、もっとざっくばらんになぁ?(ふー)」


アルジュナ(?)「…ぐ、ぐはぁ!」

金時(?)「兄弟!?」

カルナ(?)「あんちゃん!?」

アルジュナ(?)「…じゃ、弱体無効が無ければ魅了だった…」

金時(?)「…あいつが、ロット王妃のモルゴースか。」

ぐだ子「あれ?ガウェイン達のお母さんってモルガンって名前じゃないの?」

マシュ「アーサー王の死では、アーサー王には3人の異母姉。モルゴース、エレイン、モルガンがいることになっており、
    長女のモルゴースがロット王妃になっています。とても美しい女性であり、
    その気がなくても男性を魅了し、骨抜きにしてしまうほどだったそうです。」

ぐだ子「エッチな割に押しが弱そう…うーんなるほど。それで、モルガンとモルゴースは一緒くたにされたり
    するってこと?」

マシュ「伝説によっては混同されます。しかし、モルゴースの名前の語源は『オークーニーのモルガン』だという
    説もあるため、彼女はモルガンから派生して誕生した、ともいわれているようですね。」


ぐだ男「そこはなんか鶏と卵な気もしてくるね。」


アルジュナ(?)「聞きしに勝る美しさ…だが気をしっかり持たねば、
         心身とも溶かされる…そんな鬼気迫る恐ろしさまで感じさせますね。」

金時(?)「おい、しっかりしろ兄弟。なんせあの兄弟達の母上だ。おっかない奴に違いねえぞ。」


アルトリア「それで、今日はなぜわざわざこのキャメロットに?」

酒呑童子(モルゴース)「ああ、うちの息子、ガレスのことよ」


ガウェイン「…」


サンソン(ガヘリス)「!」


アグラヴェイン「ま、まさか…」

酒呑童子(モルゴース)「ガレスがなぁ、お兄様たちみたいな立派な騎士になるゆーて
            聞かんもんやからなぁ、うちも涙を呑んで送り出したんやけど…」


アルトリア「もしや…」


酒呑童子(モルゴース)「聞いた話ではまる一年も、厨房の下働きでこき使ってくれたんかい!一体どういう了見や!」


アルトリア「そうか異父姉上。彼は貴方の息子だったのですね。」


ぐだ子「ここで、ネタ晴らし!」

マシュ「はい。特に彼の兄たちは驚いたでしょうね。」


酒呑童子(モルゴース)「そして、そこの小僧ども!」

ガウェイン「はい。」

サンソン(ガヘリス)「う。」

アグラヴェイン「むむ。」


酒呑童子(モルゴース)「一年も一緒にいて、あの子が自分の弟だって気づきもしなかったんかい?」

アグラウェイン「え、ええ。しかし母上。最後にガレスと私たちがあったのはもう随分と昔で…」

酒呑童子(モルゴース)「…そうよなぁ。なんせあんたらが弟に出仕してからこの12年間一度も、
            オークーニーに顔を見せにすら来んかったもんなぁ!?」

アグラヴェイン「そ、それは(ギクッ)」

酒呑童子(モルゴース)「あー。こんな息子たちに嫌われてもうて、うち悲しいわぁ。(はぁ~)」

円卓の騎士's「うぐあっ(魅了)」


ガウェイン「…ええ、母上。確かに我が王に仕えてから、私たちはオークーニーに戻りませんでした。
      しかし、それは母上がオークーニーの地を立派に治めてくれていたからです。」

サンソン(ガヘリス)「我々が王のために力を尽くすことができているのも、
           母上に故郷を安心して任せていられているからにほかなりません。」


アグラヴェイン「そこはその…感謝しておりますとも(ボソッ)」


ぐだ子「…あれ、意外と親子仲っていいの?これ」

マシュ「アーサー王の異父姉、モルガンは邪悪な魔女として描かれていますが、モルゴースは過去にひと悶着あったとはいえ、
    アーサー王と比較的友好関係だったようですね。ガウェイン卿達もこの場では母親との再会を素直に喜んでおり、
    親子仲は悪くなかったみたいですね。…少なくともこの時点では。」


酒呑童子(モルゴース)「全く、口ばっかり達者になって…本当に、ちゃんと役に立ってるんやろなぁ?」


アルトリア「ええ、彼らには何時も助けられております。」


ガウェイン「そして母上、一つ伺いたいのですが、母上がガレスを送り出すとき、どのような準備をされましたか?」


酒呑童子(モルゴース)「そりゃあもう、今は亡きあの人に恥じないよう、金銀財宝土産にさせて…」


ガウェイン「ははは、そうでしょうね。しかし、あの子がここを訪れたとき、彼はとてもそのような姿で
      はありませんでした。ぼろぼろのように疲弊し、従者の肩をたよりやっとのことで辿り着いたような風体でした。」


酒呑童子(モルゴース)「なんやって?…それじゃあの子は。」

サンソン(ガヘリス)「金遣いが悪く、あっという間に散財してしまったか!」


アグラヴェイン「いや、人の好さが災いしてだまし取られてしまったのかもしれん!」


ガウェイン「君たち、ちょっと黙ってなさい。」


アルトリア「彼は、自分の身分も、素性も頼りにせず、あくまで独力で円卓の騎士になりたかったんでしょうね。」


ぐだ男「このように事の真相は、ガレス卿がオークニーの王子であるとい素性に頼らず騎士に
    なろうとしたからだ。とモルゴースは悟ります。」

ぐだ子「ケイやランスロットと戦うとき武装してたけど、必要なものはお母さんが実は用意していたのね。」

マシュ「他の兄たちがアーサー王に仕えてしまったため、モルゴースはとくに手元に残ったガレスを
    特に溺愛していたといわれています。だからこそ、過保護な母親から自立したいという思いも
    ガレスにはあったのかもしれませんね。」


酒呑童子(モルゴース)「ほんに、あの子らしいけど…少しはうちの気持ちをくんでくれてもええのになぁ。」


アルトリア「…姉上。」

ぐだ男「ここで聡明なアーサー王はなぜ今頃になって、異父姉が自分のもとを訪れたのか察します。
    そう、彼女は大きな手柄を上げ、今まさに円卓の一員として認められ祝福されようとする
    ガレスを一目見るためにわざわざキャメロットにやってきたのでした。」


アルトリア「…このように、私たちは、ガレスの意思を尊重しその通りに扱い、ガレスもまたそれに応えてくれました。
      そして、ついに冒険をやりとげ、今まさに我々は、彼を再び迎え入れようとしているところです。」


ベディヴィエール「そうですね。そしてガレス卿が来てから今日まで、彼を不当に扱おうとしたものはこのキャメロットに
         ただ一人しかおりません。」

ランスロット「うむ。ケイ卿だけだな。」

ガウェイン「ケイ卿だけです。」

サンソン(ガヘリス)「ケイ卿だけか。」

アグラヴェイン「ケイ卿だけだな。」

アルトリア「ケイ卿だけですね。」

イアソン(ケイ)「え?」

酒呑童子(モルゴース)「…」

イアソン(ケイ)「ちょ、ちょっと待てお前たち!」

酒呑童子(モルゴース)「…その話。ゆっくりうちに聞かせてくれる?(ニマー)」

イアソン(ケイ)「おっ、お助けー!」ダダダ

酒呑童子(モルゴース)「にがさへんよぉ?」シュ

62

ランスロット「さぁ、ケイ卿が時間を稼いでいる間に、急いでガレスをキャメロットに呼び寄せよう!」

アルトリア「時間が惜しい。ここは私が直接危険の城に行く!」


===危険の城=======


ジャンヌ(ライオネス)「ガレス卿ですか?新しい冒険の旅に出かけましたよ?」

アルトリア「なんですって?」


ぐだ男「実は、アイアンサイド卿がキャメロットに向かっている間、危険の城でもひと悶着あったのです。」

==危険の城===========

邪ンヌ(ライネット)「駄目です。認めません。」

マリー(ガレス)「何故です?私はこのために、冒険をやりとげのよ?」」

ジャンヌ(ライオネス)「ライネット。あなたは私たちの結婚を許さないというのですか!」

邪ンヌ(ライネット)「たぐいまれな幸運と私の力添えがあったとはいえ、確かにガレス、あなたは私の姉を救ってくれました。
           しかしだからといってすぐに結婚するというのは時期尚早です。いきなりすぎます。よくないです。」

ぐだ男「危険の城が解放されたあと、ガレスとライネットは、自分達の従者や、弟を通じて探りを入れあい、
    お互いの素性、気持ちを確かめ合います。しかし、それでもすぐに結婚するのは早すぎないか、という結論になっていしまいました。」


マリー(ガレス)「でも私たち、相思相愛よ?」


ジャンヌ(ライオネス)「相思相愛ですよ。」


邪ンヌ(ライネット)「いいガレス。そもそも貴方は姉と結婚するには若いです。若すぎます。今はよくてもいずれ心が変わるかもしれないわ。
           たとえば、自分にはもっと年齢相応の、若い乙女が似合うんじゃないか?とか…」

マリー(ガレス)「?」


ジャンヌ(ライオネス)「?」


邪ンヌ(ライネット)「と、ともかく、まずは健全なお付き合いから始めるべきです!結婚をするのはそれからでも遅くはないでしょう!」


マリー(ガレス)・ジャンヌ(ライオネス)「「はーい」」バタン



邪ンヌ(ライネット)「…まったく、なによ、あんなにデレデレしちゃってはしたない。ずっと
           貴方を支えていたのは、誰だと思ってるのよ(ブツブツ)」

サンタリリィ(?)「支えていた?ずっと罵倒してたの間違いじゃないですか?」


邪ンヌ(ライネット)「…うるさいわねグリンガモー!生意気な弟よ。…これはそうね、
           あのドラ〇エ5に例えれば、ビア○カじゃなくて、フロー〇を初回プレイで
           選ぶような暴挙よ!全く信じられないわ!」

サンタリリィ(グリンガモー)「でも、それがガレスさんの旅の目的だったのですよ?」ロンパデス!

邪ンヌ(ライネット)「ぐぬぬ」

ジャンヌ(ライオネス)「では、まずは健全にお茶でもしましょうか。」トクトク

マリー(ガレス)「ええ、いい考えね。」ズズー

ジャンヌ(ライオネス)「…」

マリー(ガレス)「…」

ジャンヌ(ライオネス)「…ドキドキ」

マリー(ガレス)「…ドキドキ」

ジャンヌ(ライオネス)「…ガレス♥」
マリー(ガレス)「…ライオネス♥」そー


邪ンヌ(ライネット)「なにをふしだらな!!我が騎士よ!やっておしまいなさい!」

剣ジル(騎士)「エッチなのはいけませんぞー」ジャーン

マリー(ガレス)「…きゃあ!」スパーン!(騎士の首をはねる)


=====夜===============


ジャンヌ(ライオネス)「やれやれ、昼間にはひどい目にあいましたね。今日は休みましょうか。」(寝室に引っ込む)



マリー(ガレス)「ええ、おやすみなさい。」


マリー(ガレス)「…ドキドキ」


キィー(寝室のドアの開く音)


マリー(ガレス)「…ライオネス、少しいいかしら?」ヨバーイ…

ジャンヌ(ライオネス)「ああ、ガレス!来てくれたのね!」


邪ンヌ(ライネット)「破廉恥です!!我が騎士よ!今度こそ懲らしめてやりなさい!!」

術ジル(騎士)「婚前交渉はよくないですぞー」ジャーン

マリー(ガレス)「…きゃあ!」スパーン!(騎士の首をはねる)


ぐだ男「こうして、二人は結婚を先延ばしにします。そして、結婚するまでの間二人が貞淑であるように
    ライネットは気をつかい、淫らなことをしないように配下の騎士をけしかけ、二人の貞節を守るのでした。」


ぐだ子「ひどいツンデレね。騎士たち首をはねられてるし。」

マシュ「はい、しかしこの騎士たちは、ライネットが治療をすると、すぐに息を吹き返します。
    ライネットもまた、すごい癒し手か、あるいは魔術師のようですね。」


ぐだ男「そして、エッチなことをしようとする度にライネットが邪魔してくるものだから、
    ガレスは欲求不満を晴らすために冒険に出てしまっていたのでした。」

===危険の城=======


アルトリア「それは、困ったことになりました。このままではケイ卿が骨抜きにされてしまう…。」

ジャンヌ(ライオネス)「陛下。ガレスを危険の城に呼び寄せるなら、いい方法がありますわ。
            ただ、そのために陛下の力をお借りしたいのですが…」

アルトリア「お聞かせいただきましょう。」

ジャンヌ(ライオネス)「はい。実は…」


====キャメロット===============

ベデヴィエール「なるほど、ライオネス婦人は危険の城がアーサー王の支配下になったことを記念して、
        槍試合を執り行いたいということですか。」

ランスロット「そして婦人はその優勝者と結婚をするつもりである…と。」


アグラウェイン「なるほど、それならばブリテンのどこにいたとしてもガレスは
        これを聞きつけ、危険の城に戻ってくるでしょうな。」


アルトリア「ガレスの活躍により、多くの騎士が仲間になった。彼らの実力を測り、
      また円卓の力を周囲に示すよい機会になるでしょう。」


ぐだ子「槍試合ってなに?」

マシュ「槍試合とは、騎士たちが武芸を示しあう中世騎士社会におけるビッグイベントですね。
    優勝者は素晴らしい武具を賞品にもらったり、あるいは今回のように高貴な身分の女性と婚姻を結んだりして、
    貴族達と血縁を結んだりしたそうです。名誉と地位を得るための大チャンスで、多くの騎士たちが
    命をかけて競い合ったといわれています。」


アルトリア「よって、相応のメンバーを揃えたいところです。我が甥達よ、参加してくれるか?」


サンソン(ガヘリス)「いいとも。」

アグラヴェイン「無論です。」

アルトリア「それと、ガウェイン。もし、既婚者が優勝した場合には優勝者の奥方に対して、素晴らしい賞品を用意
      されているそうだ。安心して妻のために奮闘してくれ。」

ガウェイン「勿論です。我が王のため(強調)、全身全霊を尽くします。」

アルトリア「…」

ぐだ子「ガウェインって妻帯者なんだっけ。」

ぐだ男「確かラグネルって女性と結婚してたって。」

マシュ「そうですね、アーサー王の死において、ガウェイン卿のお子さんも登場してますよ。
    ただその子たちのお母さん、どうもラグネルじゃないらしいんですけどね。」

ぐだ子「へー…結構やるのね。ガウェインも」

アルトリア「それと、若手にも活躍してもらいたいな。ド・ゲール兄弟!
      貴公らも武勇も示してもらおうか。」

金時(ラモラック・ド・ゲール)「おう!任せてくれ大将!」

カルナ(パーシヴァル・ド・ゲール)「命令とあれば。」


ぐだ男「槍試合のため、まず、アーサー王の甥であるガウェイン卿、ガヘリス卿、アグラウェイン卿が名乗りをあげます。
    そして、若いながらも優れた武勇をもつ、ド・ゲール兄弟などが、出場することとなりました。」

ぐだ子「流石によく知らない人たちもいるわね。まずガヘリスってのは?サンソンなのはマリーのつながり?」

マシュ「ガヘリス卿は、ガウェイン卿の弟騎士ですね。ガヘリス卿は優れた騎士ですが、
    一方で政敵の排除のために非道な手段も辞さない苛烈な面もあったようです。
    サンソンさんがイメージなのも、そのようなところからでないでしょうか。」


ぐだ男「うーん。はっきり言ってしまうと、無防備な女性の首を刎ねるのがうまそうな気がする。」

マシュ「先輩!」


ぐだ子「あとド・ゲール兄弟っていうラモラックとパーシヴァル。パーシヴァルは聞いたような気がするけど。」


マシュ「このお二人はペリノア王の息子とされています。お兄さんの赤の盾の騎士ラモラック卿は、若いながらもランスロット卿や
    トリスタン卿と並び評された、円卓最強と呼ばれる騎士のおひとりだそうですね。」


ぐだ男「のわりには、聞いたことないなぁ。」


マシュ「ええ…実はこのラモラック卿、若さ故のおごりか、かなり傲岸不遜な面があったようでランスロット卿や
    トリスタン卿など、多くの騎士と衝突を繰り返したそうです。しかし乱暴ですが根は正義感の強い人柄で、
    最終的には多くの騎士と友情をつちかっていくことが伝説に記るされています。」


ぐだ子「なるほど、ちょっと幼い腕白ヒーローってことね。んで、パーシヴァルが彼の弟なのね。
    配役がカルナなら、とっても高潔な騎士に違いなさそうね。」


マシュ「そうですね、弟さんの聖杯の騎士パーシヴァル卿も、円卓の騎士の中で特に素晴らしい騎士とされています。
    ただ、彼は他の騎士達とちょっと変わった経歴があるようです。」

ぐだ男「経歴?」


マシュ「はい。実はパーシヴァル卿のお母さんは、夫のペリノア王や子のラモラック卿が、いずれ謀殺されるであろうと
    予期していたんです。」

ぐだ男・ぐだ子「「え」」

マシュ「パーシヴァルまで毒牙にかかってしまってはいけない、と判断した賢母の計らいにより、
    幼少期は騎士社会から匿われ、野山を駆け巡ってパーシヴァル卿は育ちました。
    そして後に聖杯探索において重要な役割を担うことになります。」



ぐだ男・ぐだ子「「ひどいネタバレを聞いた気がする。」」


=============

アルトリア「さて、あとのメンバーとしては…」


フィン(?)「はっはっは、お困りかなアーサー!」


アルトリア「ユーリエンス王ではありませんか。」

フィン(ユーリエンス)「話は全てわかっているよアーサー。槍試合を行うのだろう?
            それならば、このユーリエンスもまた、一騎士として参加しようじゃないか!」

アルトリア「…よろしいのですか?」


フィン(ユーリエンス)「当然だ。かのアーサー王のもとに、このユーリエンス王あり!
            それを内外に示す絶好の機会!さぁ、輝いてしまおうか!!」

ディルムッド(?)「申し訳ありません。陛下。我が王がこのような…」

アルトリア「いえ、願ってもないことですよ。アコロン。」

ディルムッド(アコロン)「ありがたきお言葉です。」


ぐだ子「他の参加者に…王様?アーサー王の他にも王様っているの?」

マシュ「ユーリエンス王は、ゴールの地を治める王と言われています。最初はアーサー王をブリテンの主と認めず、
    他の諸侯たちと結託してアーサー王を苦しめたといわれています。
    しかし、戦ううちにアーサー王の力量を認め、アーサー王側に鞍替えしたそうですね。」


ぐだ子「へぇ、随分としたたかなひとね。」

ぐだ男「王を名乗ってるのは、日本的に言えば、大名織田信長に従属している別の大名徳川家康、みたいな感じなのかな?」


マシュ「うーん。ニュアンス的にはどうなんでしょうか?ただ、ユーリエンス王が、アーサー王から信頼されていたのは
    確かなようです。実は、このユーリエンス王、あの妖姫モルガンの夫なのです。」


ぐだ子「つまり、アーサー王のお義兄さん。」

マシュ「はい、ご存じモルガンは、アーサー王を憎んでいるため、様々ないじわるをして王を苦しめます。
    そのため、息子のユーウェイン卿は、とばっちりのようにアーサー王に罰せられたりもしますが、
    ユーリエンス王に対しては、特にそのようなことをしなかったそうです。」


ぐだ子「記述がないだけかもしれないけど…それで、アコロンってのは?」


マシュ「アコロン卿はゴールの騎士です。よって厳密には円卓の騎士でありません。
    しかし、それでもアーサーの覚えのよい騎士だったようですね。」

ぐだ男「つまり、太閤豊臣秀吉(アーサー)と、戦国大名上杉景勝(ユーウェイン)、そして執政官直江兼続(アコロン)の関係・・・!」


マシュ「…か、どうかはわかりませんが、アコロン卿はとても心の優しい騎士だったそうです。
    アーサーを憎む妖妃モルガンと、アーサーを信頼する王ユーリエンス。
    二人の関係は冷え切ってしまっており、アコロン卿はそれをなんとかしようと努力し、
    特に心をいためているモルガンを献身的に、心身ともに支えていたそうです。」


ぐだ子「そう。つまりモルガンの愛人なのね。」

マシュ「…ええ、そうともいいます。」

ぐだ男「ぶっちゃけ、この配役だと嫌いな妻を腹心の部下に押し付けてるようにすら見える。」

==================


アルトリア「ふむ、大体メンバーが決まってきましたね。そうだ、ランスロット卿はどうです?」

ランスロット「…申し訳ありませんが、この試合、優勝するほどの活躍は私には…
      (もし、優勝してしまったらライオネス婦人と結婚することになってしまう。
       しかし、私には愛するあの方が・・・)」


アルトリア「!ああ、そういうことですか。」

ランスロット「ぎくっ」

ぐだ子「…そっか、ランスロットはギネヴィア王妃が大好きだから、他の女性と結婚したくないのね。」

マシュ「もし優勝しておいて、結婚を拒否するようなことをすれば、顔に泥を塗ることになりますから。」

アルトリア「ガレス卿こそ、誰よりもライオネス婦人と結ばれたいと願っているはず。
      卿はそれを邪魔したくないということですね。大丈夫ですよ。
      いつものような活躍をしてくれなくても構いません。
      ただ参加してくれるだけでも私は十分です。」


ランスロット「…ハハハ」

ガウェイン「…」

アグラヴェイン「っち。」

ぐだ子「ぶっちゃけ、王様ってランスロットとギネヴィアの関係、どこまで知ってるんだろう?」

マシュ「…」

アルトリア「それと、ベデヴィエール卿。」

ベデヴィエール「はい、我が王。槍試合の準備は私にお任せください。
アルトリア「何を言っている?裏方ではなく、貴公にも騎士として出場してほしいのだ。」

ベデヴィエール「な、私のような隻腕の騎士が、この晴れ舞台によろしいのですか?」

アルトリア「そのような舞台で円卓の古参衆が力を見せないでどうするというのです?
      それとも調子がすぐれないのですか?」

ベデヴィエール「いえ王の望みとあらば、私は全身全霊を尽くします!」

ぐだ男「…このように、円卓の騎士のえりすぐりのメンバーが槍試合に出場することになるのでした。」

ぐだ子「なーんだ。ベディったら自分は手柄なんてないって言ってたけど、ちゃんと試合
    とかに選ばれているのね。やるじゃん」

ぐだ男「…まぁ、結果が出るかは別だけど。それと一方危険の城では…と。」

===危険の城======

邪ンヌ(ライネット)「ちょっと、どういうことよ姉さん!槍試合を行って、しかもその優勝者と結婚するだなんて!」

ジャンヌ(ライオネス)「そのままの意味よ。他にガレスをここにすぐに呼び寄せる方法はないでしょう。」

邪ンヌ(ライネット)「だけど、他の誰かが優勝したらどうするのよ!彼を愛しているのでしょう?
           もしガレスが負けたら…あれ?」

邪ンヌ(ライネット)「そうよ…もし負けたら…」

===妄想==========


ガウェイン「この剣は太陽の現身。あらゆる不浄を清める焔の陽炎…」

ガウェイン「エクスカリバー・ガラティーン!!」ゴォォオ

マリー(ガレス)「きゃあああ!」

アルトリア「見事です。優勝はガウェイン卿です。」

ジャンヌ(ライオネス)「流石ガウェイン卿、素晴らしいです!」

ガウェイン「ははは、これも貴方を思ってのことです。レディ」

マリー(ガレス)「ああ…負けてしまったわ。…ライオネス行ってしまうのね。(しくしく)」

邪ンヌ(ライネット)「全く、無様ですね。ガレス卿」

マリー(ガレス)「ライネット…貴方も私を笑いにきたの?」

邪ンヌ(ライネット)「ふん、情けなさすぎて、笑う気にもなれないわ。
           ガレス。あなたは確かに苦難を乗り越えて、姉さんを救ってくれました。
           でも、あくまであなたは一つの冒険を乗り越えただけにすぎないわ。
           それなのに、歴戦の騎士たちと渡り合おうなんて、笑止千万。もっての他よ。」

マリー(ガレス)「…そうね。確かに私は天狗になっていたかもしれないわ。」

邪ンヌ(ライネット)「…ただそれでも私は貴方がいずれ、歴戦の騎士をしのぐようになる素質がある
           ってことは認めているわ。」

マリー(ガレス)「…え?」


邪ンヌ(ライネット)「何よ、ずっと貴方と一緒に冒険をしてきた私の目を疑うというの?」


マリー(ガレス)「いえ、貴方が私をそんなに評価してくれていたなんて、嬉しくて…」


邪ンヌ(ライネット)「調子に乗ってはいけません。貴方はまだまだ半人前で、これから経験を積んでいかねばならないのだから。」


マリー(ガレス)「そうね、もう一度心を改めて、精進することにするわ。立派な騎士になるために。」

邪ンヌ(ライネット)「ええ、そうすべきです。た、ただその、わ、私はまぁ、貴方のことさっき言ったように評価してあげてるわ。
           だ、だから…」

マリー(ガレス)「…?だから?」

邪ンヌ(ライネット)「わ、わたしは、あ、貴方が本当に立派な騎士になれるように!一緒についていっても…構わないのよ!」

マリー(ガレス)「…ライネット…」

邪ンヌ(ライネット)「何よ!私は、貴方のその、ぱ、パートナーとして不服だっていうの?」


マリー(ガレス)「…そんなことないわライネット!ありがとう。本当に愛すべき人はこんなに、身近にいたなんて
         私は本当に愚かだったわ!!(ぎゅうー)」(抱きつく)


邪ンヌ(ライネット)「そ、そこまで言うなら仕方ありませんね。貴方が本当に素晴らしい騎士に
           なるように、ずっと、ずっと一緒にいてあげるわよ。もう!」ぎゅー

===妄想終わり=======

邪ンヌ(ライネット)「うえっへっへへ…」

ジャンヌ(ライオネス)(我が妹ながら、考えていることが透けて見えます。)

邪ンヌ(ライネット)「そういうことなら仕方ないわ!さぁ、ブリテン中に、この槍試合の開催を
           知らしめるわよー!」(城から飛び出す)

ジャンヌ(ライオネス)「ふふふ。もう大丈夫のようですよ。ガレス」

ひょい。

マリー(ガレス)「うふふ。計画通りね。これで槍試合で私が優勝できれば、誰にも文句がつけようがなく、
         貴方と結婚できるわね。」


ジャンヌ(ライオネス)「ええ、頑張ってくださいね。ガレス卿」


ぐだ男「こうして、ガレスとライオネスの思惑通りに槍試合が開催されることとなりました。」

ぐだ子「この槍試合、ガレス達がとっとと結婚するための策謀だったのね。」

マシュ「なかなかライオネス婦人も強かですね。しかし、ライネットが調子にのって宣伝を
    しまくったせいか、この槍試合はブリテン中に知れ渡ってしまいます。」

ぐだ男「そして、いよいよ槍試合が開かれることとなりました…」


===試合会場==========


ワーワー ギャーギャー

ベディヴィエール「物凄い歓声ですね。一体どれほどの参加者がいるんでしょう。」

子ギル(?)「我々アーサー王の騎士たちと肩を並べて試合をするというだけでも
       これ以上にない名誉になりますからね。
       まして、活躍をすれば円卓の騎士の一員となることも夢ではない。
       ブリテン中の騎士が集っているといっても過言ではないでしょう。」

アーラシュ(?)「観客たちの数もすごいな。ベデヴィエール。空気にのまれず頑張って来いよ!」

アルトリア「ベデヴィエール。期待していますよ。」

ベディヴィエール「はい!頑張ります!」

イアソン(ケイ)「お、おい、古参組からは俺も参加してるからな!」


フィン(ユーリエンス)「ふむ。絶好の試合日和。私の力を存分に輝かせそうだ。」

マタハリ(?)「はぁーあ。馬鹿々々しい。」

ディルムッド(アコロン)「モルガン様そのようなこと…って、貴方この場面では登場しておりませんよね。」

マタハリ(モルガン)「それなら本来貴方はこの時点では(ピー)じゃない。今更よ。」

ディルムッド(アコロン)「…」

ぐだ子「そういえば、本のその章にのってないわよね?この二人。なんで出てきてるの?」

ぐだ男「…なんでかな?」


酒呑童子(モルゴース)「本当にガレスは来るんか?」

ガウェイン「間違いありませんね。ライオネス婦人のいる危険の城方に
      ついて我々と戦うことになるでしょう。」

サンソン(ガヘリス)「しかし危険の城の陣営も、すごい数の騎士がひしめいているようだ。」

アグラヴェイン   「先に我らの軍門に下った赤騎士達が中心のはずだが、
           はたしてガレスは、あれだけの騎士の中で名をあげることができるかな?」

酒呑童子(モルゴース)「あの子、槍試合の経験なんてないやろうしねぇ。」

ガウェイン「母上。そこは初陣でこのような大きい試合に臨めるのですから
      冥利につきる、というものですよ。」


ぐだ男「一方、アーサー王の騎士と肩を並べて戦おうと多くの騎士が参陣したように、
    危険の城側にも多くの騎士がはせ参じていたのです。しかもその中には、
    円卓の騎士に匹敵するような騎士も混ざっていました。」



==危険の城=====================


フェルグス(藍色の騎士)「はっはっは、この盛況ぶり。流石は円卓の騎士ども。
             まさかこれほどの試合に参加できるとはな。」

オルタニキ(赤騎士)「だが、ガレス卿が我々とともにある以上敗北は許されない。必ず勝つ。
           優勝の栄誉を受けるのはガレス卿だ。」

プロトニキ(緑の騎士)「大丈夫だって、なんせガレス卿だけじゃなく、あの有名な騎士もこっちについてくれたからな。
            勿論、俺もガレス卿以外の騎士負けるつもりはねーけどよ。」

キャスニキ(赤の騎士)「まぁ、そういこったな。だが頼りにしてるぜ?先生」

???「…ええ」









トリスタン「お任せください。」

ぐだ男「そう、その騎士とは、あの名高いコーンウォールのトリスタン卿、そしてサラセン人の王子パロミデス卿が
    危険の城側について試合に参加したのです!」


ぐだ子「えー?トリスタンがなんで危険の城についているの?円卓の騎士でしょ!」

マシュ「はい。ただし、トリスタン卿はもともとコーンウォールのマーク王の甥で、
    この時点ではまだ円卓メンバーにはなっていなかったのですね。」


====ちょい過去=====================


エミヤオルタ(?)「おい、トリストラム。聞いたか?あの話」

トリスタン「危険の城の槍試合の話ですか。パロミデス卿。」



エミヤオルタ(パロミデス)「そうだ、それでお前も参加するつもりか?」

トリスタン「勿論ですとも。あのアーサー王の騎士と肩を並べて戦えるんですから。」

エミヤオルタ(パロミデス)「そうか。だがトリスタン。ここはあえて危険の城側につくのはどうだ?」

トリスタン「何故ですパロミデス?まさか、自分だけアーサー王の騎士側について、私を槍試合で討ち取ろうという
      つもりですか?」

エミヤオルタ(パロミデス)「ふん。わざわざかのアーサー王の御前でお前と決着をつけるつもりはない。
              俺がいいたいのは、あえて危険の城側について、アーサー王直属の円卓の騎士達を
              倒して見せた方が、より名誉が得られるのではないか?ということだ。」

トリスタン「ふむ。それは確かに…なにより、円卓の騎士と直接戦うというのも、実に面白そうですね!」

ぐだ子「まーた、濃い騎士が出てきたわね。」

マシュ「円卓騎士パロミデス卿。サラセン人の騎士と言われています。」

ぐだ男「トリスタンのライバルっぽい。」

マシュ「はい。彼らの因縁は、武者修行中のパロミデス卿がコーンウォールを訪れたことから始まります。
    パロミデスは、マーク王の妻であるイゾルデに一目惚れをして、お琴のコーチとしてコーンウォールの宮廷に
    転がりこむそうです。」

ぐだ子「人妻に一目惚れって…どっかで聞いたような気が」

マシュ「そして、レッスンの最中にイゾルデ(人妻)に向けられる情熱的なパロミデスの視線にトリスタンは
    不思議な感情をいただいていきます。そしてその感情が嫉妬に似たものであり、自分もまたイゾルデ(人妻)
    を愛していると気づきます。そして、トリスタンとパロミデスは、イゾルデ(人妻)の恋のライバル同士として
    争うようになり複雑な三角関係に発展し…」


ぐだ子「はい、この話はやめましょう!」



ぐだ男「トリスタンはもともと別の伝説から、アーサー王の伝説に組み込まれた騎士。
    当然他の騎士とは特別な扱いがされており、彼が登場したことで非常に会場は盛り上がります。」


パツシイ(観客)「見ろよ!あれはコーンウォールのトリスタン卿だ!」

ラヴィニア(観客)「トリストラム卿だわ…!」

トリスタン「ニコッ」(観客に手を振る)

ゲルダ(観客)「きゃー、こっちを向いてくださったわ!」

セルハン(観客)「おい、隣にはあのパロミデス卿までいるじゃねえか!」

ワー ワー
 トーリーカースー! トーリーカースー!


イアソン(ケイ)「あ、あれはコーンウォールのトリスタン!あいつが危険の城についたってのか?」

ガウェイン「む、予想外のヒーローの登場で、危険の城側が盛り上がっている。これはよくない流れですね。」

ベデヴィエール「…」

ルトリア(ベデヴィエール。期待していますよ。)


ベデヴィエール「…ならば、私が相手になりましょう!いざ勝負!」ダッ


パツシイ(観客)「おい、円卓のベデヴィエール卿がトリスタン卿に仕掛けたぜ!」

ラヴィニア(観客)「い、いよいよ始まりね…!」


ぐだ男「こうして、戦いの口火が切られました。円卓の騎士ベデヴィエール卿が
    トリスタン卿と勝負を始めます。」


トリスタン「ほう、左片手で大槍を…いや、その右腕はまさか…義手?」ヒョイ


ベデヴィエール「…」キィン


トリスタン「…隻腕の槍闘士!貴方が円卓に名高き、恐るべき膂力のベディヴィアか!」シュッ


ベデヴィエール「!まさか、かの高名なトリスタン卿が、私のことを存じておられるとは」カン


トリスタン「…騎士を志すもので貴方の名を知らぬものなど、このブリテンの地におりますまい!」チャキッ


ぐだ子「ベディとトリスタンって仲がいいけど、ファーストコンタクトって試合だったんだ!」


マシュ「ファーストコンタクトかどうかはともかく、この槍試合では、戦われたようすね。」


ぐだ男「そして、他の騎士達も戦いをはじめます。」



ガウェイン「ベデヴィエール卿め、やってくれましたね。私たちも遅れはとりませんよ!」

エミヤオルタ(パロミデス)「そうか、ならば俺の相手をしてもらおうか!」バキュン

ガウェイン「なっ貴公は、パロミデス卿か!」ザッ

エミヤオルタ(パロミデス)「アーサー王の甥にして側近中の側近ガウェイン卿。打ち倒せばこれ以上の名誉はあるまい。」ジャキッ

フェルグス(藍色の騎士)「さてガレス卿の話では、彼を騎士に任じられたのは貴公らしいな。湖の騎士ランスロット卿。」

ランスロット「卿は藍色の騎士、パーサント卿か。」

フェルグス(藍色の騎士)「我らの主が尊敬する騎士、一体どれほどの強さなのだろうな。(ニヤァ)」

ランスロット「いいだろう。円卓の騎士、アーサー王の武をここに示す!」



オルタニキ(赤騎士)「ガレス卿の敵はすべて排除する…が、大物はほとんど戦いをはじめたか。
           おいそこのガキ。お前、力だけなら上位の奴らに匹敵するんだったか?」

金時(ラモラック)「あん?さんざん女の子を泣かせてきたっつーお前にバカにされる筋合いはねぇぞ。
          いっちょ地獄を見ていけや。」ダンッ




フィン(ユーリエンス)「ふむ、少し出遅れてしまったか…ん?」


ぐだ男「アーサー王の義兄ユーリエンス王は、危険の城側に、一人異彩を放つ騎士がいるのに気がつきます。」

謎の騎士「…」

フィン(ユーリエンス)「わかる。わかるぞ。君は大そうな実力を隠し持っているだろう。
            ちょうどいい、この私が相手になってやろう!」タタッ

謎の騎士「…えーい!」ドーン!

フィン(ユーリエンス)「ぐはっ、なん…だと?」

ぐだ男「そして、ユーリエンス王はその騎士に勝負を挑みますが、なんと簡単に倒されてしまいました!」


アルトリア「なにっ?」

観客’s「ユ、ユーリエンス王がっ!?」


ディルムッド(アコロン)「わ、我が王!?」

マタハリ(モルガン)「やったー!♪」


パツシイ(観客)「なんてこった、あのユーリエンス王が一発でのされちまったぞ。何者なんだ?」

ラヴィニア(観客)「これは…新しいヒーローの登場だわ。」

ワーワー

マタハリ(モルガン)「ねぇ、見た?見たアコロン?あの無様な負けっぷり。
           よし、あの宿六はここで死んだってことにして、貴方が代わりに…」

ディルムッド(アコロン)「いえ、試合ですから!生きてますから!」

謎の騎士「…(うふふふ)」


マリー(謎の騎士)「…(作戦成功ね)」


ぐだ男「そう、この謎の騎士こそ、また正体を隠しているガレス卿だったのです。」



===ちょっと前==================


オルタニキ(赤騎士)「ガレス卿。できれば貴方に主将として、槍試合を仕切ってほしいのだが。」

フェルグス(藍色の騎士)「そうだな。卿がわざわざ戦わずとも、我々が手足となり活躍すれば、
             それも立派な貴方の功績になるだろう。」

マリー(ガレス)「いいえ!私も一人の騎士として戦いたいわ!
         それにまだ私より、オークーニーの王子としての名前の方がずっとずうっと重いのよ。
         だから私はまだ名を伏せて戦わなければならないの。お願い。どうか協力して。」

フェルグス(藍色の騎士)「そこまで言われたら仕方ない。わかった。お好きなように存分に戦われよ。」


マリー(ガレス)「ありがとう、パーサント卿、アイアンサイド卿。
         ではライオネス、私もいってくるわ。」

ジャンヌ(ライオネス)「お待ちになってガレス卿、どうかこの指輪をお持ちになってください。」 アマデウスマスクー


マリー(ガレス)「この指輪は…」



ジャンヌ(ライオネス)「この指輪には、貴方の正体を秘匿する魔法が込められています。あなたの
            助けになりますよ。」


ぐだ男「ライオネスからもらった魔法の指輪によって、ガレス卿は自分の正体を隠しつつ、
    槍試合に参加していたのでした。」


ぐだ子「ガレスったら、まだ正体を隠してるのね。」


マシュ「はい。それにガレスはキャメロットにお母さんが来ていることもしらないですからね。」


ぐだ男「そして、激しい試合が行われる中、とうとうトリスタン卿と、ベデヴィエール卿の戦いに
    決着がつきました。」


ベデヴィエール「…私の負け…です。流石はあのトリスタン卿。…お見事…です。」ハァハァ

トリスタン「いえ、私もここまで死を覚悟したのははじめてでした。流石は円卓の騎士、ですね。」フゥ


ぐだ男「トリスタン卿が見事勝利し、お互い讃えあいました。そして、その他の戦いはというと…」


ガウェイン「受けていただく!」ギャン!

エミヤオルタ(パロミデス)「甘いな!」シュリン



ぐだ男「実は、危険の城側に参加した騎士たちもまた、ほとんどが後に円卓の騎士として活躍する勇者ばっかりだったのです。
    そのため、多くの試合でなかなか決着がつかず、拮抗してしまいます。そんな中、危険の城側の謎の騎士、ガレスだけが
    たやすく円卓の騎士達から勝利をつかみ取っていきました。」


マリー(謎の騎士)「どうかしら?」ドォーン!

ダビデ(?)「うわ、きいたー!」バタリ

ゲルダ(観客)「御覧なさい!あの騎士様、また円卓の騎士を圧倒しましたわ!」

セルハン(観客)「あのメリアガーント卿までああもたやすく倒すとは、こりゃ全く驚きだぜ。」

ワーワー

===アーサー王陣営==========


アルトリア「まずいですね。円卓の騎士が、正体の不明の騎士に立て続けに敗れてしまうとは。
      円卓の沽券に関わります。」

子ギル(?)「どうします?ランスロット卿を呼び戻しますか?」


アーラシュ(?)「…いや、ちょうど今、あの藍色の騎士に勝利して戻ってきたようだな。」

アルトリア「それはちょうどよい。ランスロット卿、お疲れのところ少しよろしいですか?」



ランスロット「ふむ。あの謎の騎士と戦え…という話ですか?」

アルトリア「そうです。あの凄まじさ、卿ほどの騎士でなければ相手はできないだろう。」

ランスロット「いえ、私の見込みが正しければ、私は、あの騎士と戦うことは許されないでしょう。」

子ギル(?)「…ああ、そういうことですか。」

アーラシュ(?)「なるほど、当初の目的はそうだったな。」

アルトリア「どういうことです?ですが、卿がそういのなら…」


ぐだ子「ひょっとして、王様当初の目的忘れてる?」

マシュ「戦いが熱狂して、ガレスのことはみんなすっかり忘れてしまっているようですね。」


ぐだ男「そうして、ガレスは多くの円卓の騎士達を倒していきますが、インターバルの際に、あるミスをしてしまいました。」

マリー(謎の騎士)「ふーう。これであと一息ね。」オミズゴクゴク

デオン(従者の小人)「…(我が主は、これほどの活躍をしているのに、誰も主の名前を知らないでいる。
          もう正体を隠す必要もないだろう。)」

デオン(従者の小人)「…よし。」ひょい

ぐだ男「なんと、いつまでも正体を隠す主に、とうとう従者の小人は我慢できなくなり、なんと魔法の指輪を
    とってしまったのです。そうとは知らない、ガレスは競技場に戻ってしまいます。」


マリー(ガレス)「さぁ、もうひと頑張りよ!」



==観客席==================

パツシイ(観客)「あれ…?さっきまで気づかなかったけど、よくみたらあの騎士、兜になにか書いてあるぜ?」


ラヴィニア(観客)「本当ね。ちっとも気づかなかったけど、何かしら?自分の名前でも書いているのかしら。」


ゲルダ(観客)「えーっと、あれは、が…レ…す?」

セルハン(観客)「ガレス…、ガレスだって!それはあの、オークーニーの王子様の名前じゃねぇか!!」

ワアアアアアアアアアアアアアア!!!

マリー(ガレス)「え、何何?」


ぐだ男「そう、お母さんが用意した兜だったからか、あるいは育ちがよいため自分の持ち物にちゃんと
    名前を書く習慣があったのか…ともかく、なんとガレスの兜には彼の名前が彫られておりました。」

パツシイ(観客)「すげぇぞ!あの多くの円卓の騎士達を倒していった謎の騎士は!」

ラヴィニア(観客)「ガレス卿よ!」

マリー(ガレス)「え?」

ゲルダ(観客)「自分たちの正体を秘匿する乙女の情報を信じて、冒険に赴く勇気を持ち合わせているという!」

セルハン(観客)「ガレス卿だったのか!」

マリー(ガレス)「ええ?」

アーノルド(観客)「そして、救援を求める城を目指し、敵対勢力の地をものともせず突破したという!」

マーブル(観客)「ガレス卿だったのね!」

マリー(ガレス)「ええええ?」

シドゥリ(観客)「さらに城を救うだけでなく、敵対した騎士たちを説得し、許す寛大さを持つオークーニーの王子である…」

ランドルフ   「ガレス卿というわけか!」


ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

マリー(ガレス)「なぜ!なんでばれてるのぉ?」


パツシイ (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」

ラヴィニア(観客)「ガーレースー!ガーレースー!」

ゲルダ  (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」

セルハン (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」

アーノルド(観客)「ガーレースー!ガーレースー!」

マーブル (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」

シドゥリ (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」

ランドルフ(観客)「ガーレースー!ガーレースー!」

松平伊豆守(観客)「ガーレースー!ガーレースー!」

スルト  (観客)「ガーレースー!ガーレースー!」


ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

マリー(ガレス)「い、いやぁ、恥ずかしいわ!!」ダダダ



ぐだ男「正体不明のヒーローがガレス卿とばれてしまい、槍試合は凄まじい盛り上がりと
    なってしまいます。それに驚いたのか、なんとガレスはその場から逃げてしまいました。」


イアソン(ケイ) 「あー、もうめちゃくちゃじゃねぇか!どうしてくれるんだこの状況!」


ベデヴィエール  「まずいです。結局試合はどうなるんだと、観客たちが暴徒になりそうです。」


アグラヴェイン  「くそ、とりあえず混乱を抑えるぞガヘリス卿!」


サンソン(ガヘリス)「…いや、まってくれアグラヴェイン。」
 

アグラヴェイン   「どうした?」


サンソン(ガヘリス)「いつの間にか、ガウェインもいなくなっているぞ。」



ぐだ子「とうとう正体がばれましたと。…さんざん皆を振り回しておいて、いざ自分に想定外なことが
    起きると逃げ出すなんて、まだまだ子供ね」

ぐだ男「ちなみにこの危険の城、やっぱりまだ周囲に敵対勢力は残ってるんだけど、
    ついでとばかりにガレスは城を攻め落としたりしてる。」

ぐだ子「完璧な八つ当たりね。」


==とある森====================


マリー(ガレス)「ああ、どうしましょう。最後の最後に失敗してしまったわ。
         これから一体どうしましょう…あら?」

謎の騎士「…」


ぐだ男「そして、とある森を抜けようとしたときに、ガレスは謎の騎士と遭遇します。
    異様なまでに殺気を放つ騎士に、ガレスは警戒します。」

マリー(ガレス)「貴方、なにもの!?」

謎の騎士「真っ向勝負と参りましょう。」チャキッ

マリー(ガレス)「戦う気ね!」サッ

ぐだ男「こうして、謎の騎士はガレスに決闘を挑みます。ガレスもそれに応じ、戦いがはじまります。」

ぐだ子「ここにきて、謎の騎士?一体誰なんだ…」


謎の騎士(ふむ)ギン

マリー(ガレス)「…強いわね。」ビュン

謎の騎士(なかなかの腕前。しかも彼の強みはそれだけではない。)゙

マリー(ガレス)「でも負けないわよ!」

謎の騎士(これほどの強さがあり、また、敵対した者たちを引き込む心を持つのであるならば)゙


マリー(ガレス)「さぁ、受けてみなさい!」」チャキ

謎の騎士(仮に私や、他の兄弟が魔道に堕ちたとしても、この子さえいれば…)カチッ


謎の騎士「お見事、私の負けです。ガレス卿。」

ズバァ!

マリー(ガレス)「…え?」

ぐだ男「戦いの結果、ガレスは致命傷ともいえる一撃を謎の騎士に与えます。しかし、その結果
    謎の騎士の兜が割れ、その正体が明らかになりました。」


マリー(ガレス)「そ、そんな!」

ガウェイン「…」

マリー(ガレス)「お、お兄様!何故どうして、こんなことを!」

ガウェイン「ははは、やっと昔のように、私を兄と呼んでくれましたね、ガレス。」

マリー(ガレス)「な、何を言っているのよ、こんな、こんなぁ!!」グスー

ガウェイン「…貴方と同じですよ。ガレス。私は貴方と同じことがしたかったのです。」

マリー(ガレス)「え…?」

ガウェイン「私も、純粋に貴方の力を計りたかったのですよ。だからガレス。すべてが私の望んだことの結果。
      この敗北も私に責任があることですから、貴方が気に病むことはありません。」

マリー(ガレス)「え…あ…。」

ガウェイン「…」

マリー(ガレス)「…ごめんなさい。」

マリー(ガレス)「…ごめんなさい。ごめんなさい!私、私…」

マリー(ガレス)「こんな風にずっと、心配をかけてきてしまったのね!お兄様に、お母様に、
         そして周りのみんなに!、ごめんなさい!私、そんなつもりじゃ…」

ぐだ子「まぁ、ガレスも正体を欺いて危ない橋を渡ったりもしてきたからね、
    ここでガウェインの行いは責められないよね。」

マシュ「結果は残しておりますが、自分の都合で奇行に走っていた側面は否定できませんからね。
    良くも悪くも、周囲を振り回してしまいましたから。」

ぐだ男「ただ、そこは流石キャメロット、そういう未熟な若者の暴走を受け入れる
    寛容があったんだね。」


ガウェイン「…大丈夫ですよ。ガレス」(むくり)

ガウェイン「確かに私も、母上も、我が王もずっとあなたを案じていました。
      しかし、あなたは今そのことを反省できたから、皆それを許すでしょう。」

ガウェイン「さぁ、帰りましょうガレス、我が王のもとに。」

マリー(ガレス)「…はい。ありがとうお兄様!これからはずっと、ずうっと一緒に行きましょう!」ズビー

ガウェイン「…。ええ、そうでありたいものですね…。」



====アーサー王陣営========

ワイワイ
    ワイワイ

アルトリア「多少混乱は落ち着いてきましたね。」


イアソン(ケイ)「ったく、あのクソガキめ。本当に迷惑ばっかかけやがって。ブツブツ」


ベデヴィエール「おまけにガウェイン卿まで、どこかに行ってしまったようですよ?」


アーラシュ(?)「いやまった、向こうの森から誰か来るぞ、あれは、ガウェイン卿と…
         ガレス卿だ!二人が戻ってくるようだぞ!」


パツシイ (観客)「おーい、皆!今日の主役、ガレス卿が、ガウェイン卿と一緒に戻ってきたぞ!」

セルハン (観客)「はっはっは本当に大した小僧だぜ。よーしみんな!英雄様のご帰還だ。
          準備はいいな!」


ワァァァァア  ガレスー! ガレスー! ガレスチャーン!




ガウェイン   「全くすごい歓声ですね。心の準備は大丈夫ですか?サー・ガレス。」

マリー(ガレス)「だ、大丈夫よ!お兄様こそその傷、浅くはないのですからしっかりと。」

ぐだ男「周囲の人間が一様になって祝福する中、ガレス卿はガウェイン卿と馬を並べて行進します。」


フィン(ユーリエンス)「…ふむ、あのロット王の息子だったというわけか。そしてこの歓声、
            いずれ、あのような若者が世を支えていくことになるのだろうな。」

マタハリ(モルガン) 「老害に居場所なんてあるわけないわよねー。」

フィン(ユーリエンス)「…そういう意味でユーリエンス王は、今日新時代の若者礎として
            重要な役目を担ったということだな。」

マタハリ(モルガン) 「あーら、それなら素直におっ死んでさっぱり消えてしまえば
            サマになるのに」

フィン(ユーリエンス)「そう思うだろう?アコロン。」 ハハハ

マタハリ(モルガン) 「そう思うでしょう?アコロン。」フフフ

ディルムッド(アコロン)「二人とも、そんなにギスギスしないでください!」

アルトリア「見ておられますか?お聞きですか?姉上。ガレスはこのとおり、立派な騎士になりましたよ。」

酒呑童子(モルゴース)「…ええ、そうやねぇ(くらっ)」


バタン


アルトリア「あ、姉上!大丈夫でせすか、」

酒呑童子(モルゴース)「あかんなぁ…かなわんなぁ。うちの汚れた身には、ほんに…あの子は…
            あの子はまぶしすぎるわぁ…。(ツー)」

アルトリア「…姉上。お疲れのようですね。誰か!
      姉上を休める場所に。」

粛清騎士「はっ!」


金時(ラモラック) 「…」

金時(ラモラック) (なんだよ、あの王妃、泣いていたのか?…調子狂うじゃねえか。)

カルナ(パーシヴァル)「どうした?あんちゃん。ぼーっとして」

アルジュナ(?)「何かありましたか?兄上。」

金時(ラモラック) 「な、なんでもねぇ!なんでもねぇったらよ!」ギクッ



ぐだ男「歓声の中アーサー王の元に赴くガレス卿はとても立派な姿でした。それを見たロット王妃は喜びのあまり
    気絶してしまうほどでした。そして、アーサー王はこの槍試合で、ガレス卿がもっとも活躍したことを認め、
    ガレスとライオネルは無事に結婚するのでした。…めでたしめでたし。」

ぐだ子「ちょっとまって、結局ライネットはどうなっちゃうの?」


ぐだ男「ガヘリスと結婚するみたい。」

ぐだ子「えー、なんか可哀想。」

マシュ「フフフ、実は先輩と同じ感想を持った人もいたのか、19世紀半ばにかかれた国王牧歌という伝説では、
    なんとガレスの結婚相手は、ライネットに変更されているそうですよ。」

ぐだ男「それにしてもガレスって、ガウェインと本当に仲がよさそうなんだね。」

マシュ「とても大切にされていたようでしたね。少しネタバレになりますが、アーサー王の死において、
    ガウェイン卿は必ずしも善良なだけの人物と描かれているわけではなく、謀略を仕掛けるところもあったりします。
    ただ、ほかの兄弟達はガウェイン卿に同調するものの、ガレスだけは一切かかわらなかったとされています。」


ぐだ男「ひょっとしたら、ガレスはかかわらなかったじゃなくて、
    ガウェインが関わらせようとしなかったのかもしれないね。」

マシュ「ええ…年の離れた弟で、周囲の皆に愛された騎士だったので、自分や他の兄弟達が
    悪に堕ちたとしても、ガレスだけはアーサー王のもと、正しき道を歩んで行ってくれる…。
    そんな期待がガウェイン卿にあったのかもしれないですね。」


ぐだ子「そっかー。まぁ、ランスロットともめちゃくちゃ仲がいいみたいだしこのガレスちゃん。きっと
    さぞや立派な死に方をしたんだろうねー。」

マシュ「…あの先輩、それは…」


ぐだ子「?」


  完

またいずれ淡々と投稿していきたいと考えております。


ぐだ男「それじゃ、またお話を読んでみようか。」


ぐだ子「そうねー。今回はランスロットのところを見てみましょう。」

マシュ「え?」

ぐだ子「不倫関係なのに、このまえのガレスちゃんから尊敬されたり、王様から
    信頼されたりって、不思議じゃない?こう、みんなが納得するような格好いいエピソードとか…」


マシュ「うーん。気が進まないですけど、ランスロット卿とギネヴィア妃の関係はどうでしょうか。」


ぐだ男「了解…えーっと、パラパラ。話は聖杯探索の終わりまで飛んで…と。」


ぐだ男「ランスロット卿は、アーサー王のお妃さま、ギネヴィア王妃が大好きです。
    また、ギネヴィアもランスロットが大好きなので、二人はよく会ったりしていました。」


=====王妃の部屋============


天の衣(?)「いつもありがとね。ランスロット卿。次はいつお会いできるかしら?」

ランスロット「…ギネヴィア様。」

天の衣(ギネヴィア)「どうしたの?そんな顔をして。」

ランスロット「…私は、少しキャメロットを離れようと思っております。」

天の衣(ギネヴィア)「…え?」


ぐだ男「しかしある日ランスロットは、ギネヴィア王妃にキャメロットから距離をおくつもりであると告げます。」


ランスロット「…知っての通り、今円卓は弱体化しつつあります。原因は外敵との戦いだけではありません。
       ラモラック卿が謀殺され、トリスタン卿が王のもとを去り、
       また先の聖杯探索により、我が息子ギャラハッドやパーシヴァル卿をはじめ、
       多くの騎士が離脱しました。」

天の衣(ギネヴィア)「ええ、そうね。だからこそあなたがいてくれないと困るでしょう。」

ランスロット「…しかし最近、アグラヴェインとモルドレットが、私のことをよく監視する
       ようになりました。」

天の衣(ギネヴィア)「ガウェイン卿の弟の?」


ランスロット「…あの二人は、私を失脚させれば自分たちの天下とばかりに、悪い噂を流しています。
       私はこれまでギネヴィア様に、わずかばかりでもお力になれるようお傍に仕え尽力してまいりましたが、
       この行動をも不貞ではないかと中傷してきています。このままでは、王妃の、
       そして我が王の名誉まで傷つけてしまいます。」

ランスロット「…彼らには邪悪な面もありますが我が王の甥であり、円卓の中心にあるべき騎士です。
       円卓の力が弱まりつつある今、彼らと対立するわけにはいきません。
       故に一時この身を引き、ギネヴィア様とも距離を置くつもりでございます。」


ぐだ男「ランスロット卿は、王妃とこっそり会うことを繰り返していましたが、アグラヴェイン卿やモードレット卿が、
    次第に監視してくるようになったので、一度王妃と距離をおき、潔白を証明しようと考えていたのです。」


ぐだ子「なんだ、ランスロットってばちゃんとしてるじゃない。」

マシュ「違います先輩!それは、先輩の解釈が著しく好意的にされているからにすぎません!」


ダヴィンチちゃん「聖杯探索の後ランスロット卿と王妃は、より頻度をあげて会うようになったといわれている。
         まぁ、つまり…ギャラハッド卿が、天に召されてからタガが外れたように、とも
         いえるかもしれないかな。」


マシュ「そして、アグラヴェイン卿が、ランスロット卿の監視をするようになったというのも、
    二人がよく逢瀬をするようになったからです。」

ぐだ男「うーん。息子がいなくなったとたん、主君の妻とよく会おうとする騎士…。」

マシュ「普通に考えれば本当に、最低です!」

ぐだ子「まぁ、まちたまえナスビちゃん。(ぐいっ)ランスロット卿も大切な仲間なんだし、
    なるったけこう…いいところもある!って感じに見ていこうじゃない。」

マシュ「ま、まぁ先輩がそういうのなら…」

ぐだ男「んじゃ、続き続き…」


天の衣(ギネヴィア)「…」

ランスロット「ギネヴィア様?」

天の衣(ギネヴィア)「…そう。私のことなんて、どうでもよくなったのね。」

ランスロット「…いえ!そのような…ことは決して!」

天の衣(ギネヴィア)「もうあなたのことなんて、知らない!出ていきなさーい!」


ぐだ男「が、王妃は、ランスロットは自分のことを嫌いになったのだと怒り、
    ランスロットはキャメロットから叩き出したのでした。」


小次郎(?)「それで叩きだされ申したか。」

ランスロット「違う!…ギネヴィア様は、素晴らしいお方だ。
       少しでも未練をみせたら、私の覚悟が揺らいでしまうとみて、
       あえて強いお言葉で拒絶してくださったのだ。」

小次郎(?)「え~本当でござるか~?」

ランスロット「…。」

ランスロット「うっ、うっ、うっ…ギネヴィア様…」

小次郎(?)「難儀な御人よなぁ。」

ランスロット「ボールス…。私が不在のあいだギネヴィア様の力になってくれ…」

小次郎(ボールス)「心得た…が、無論貴公程とはいかぬ故、ほとぼりが冷めたら
          またお戻りくだされよ。」

ランスロット「ああ…。ぐすん。」

ぐだ子「結構、気が強いのね。王妃様。」

マシュ「ここは自業自得とはいえ、ちょっとランスロット卿がかわいそうかもしれませんね…。」

ぐだ子「そうそう。そんなかんじよ。」

ぐだ男「さて、それから、ギネヴィア王妃は円卓の騎士達の晩餐会を開くことになりました。」


====キャメロット============


アルトリア「ふー…。」ドサッ

ベディヴィエール「お疲れですか?我が王。少し休まれた方が…」


アルトリア「いえ、いくさや先の聖杯探索で、円卓の騎士達にも大きな被害が出てしまいました。
      その補填、復興ののためにも、今は休んでいられる場合ではありません。」おしごとおしごと


イリア(?)「それでも、今日くらいは羽を伸ばされてもいいのではないですか?」


アルトリア「なぜです。コンスタンチン?」

ベディヴィエール「ギネヴィア様が功のあった円卓の騎士達を招き、晩餐会を催されて
         おります。」


アルトリア「ああ、今日でしたね。ギネヴィアにも本当に力になってもらっています。彼女や騎士達が
      安心してくつろげるためにも、もうひと頑張りしないといけませんね。」

イリア(コンスタンチン)「…ランスロット卿がキャメロットを離れられて…ギネヴィア様は
              アーサー様にこそいらしてほしいのに…」ボソッ


=====晩餐会会場==========


マリー(ガレス)「今日もランスロット卿はおいでになられていないようね。」

アグラヴェイン「ふん。殊勝なことではないか。ようやくあの男も己を立場をわきまえるように
        なったのだからな。」

モードレット「そーそー。これでキャメロットに俺たちに対抗できるやつは
       いなくなったじゃねえか。」


ガウェイン「いずれ戻ってくるにせよ、ランスロットに頼りきるわけにもいきません。
      我々だけでもキャメロットを支えていけるくらい、頑張っていきますよ。」

アグラヴェイン「うむ。」

茨城童子(?)「…ギリッ」

ぐだ男「しかし、その晩餐会に参加した騎士に、邪なことを考える騎士がいました。」


茨城童子(?)(忌まわしきガウェインめ、今日こそ吾が従兄ラモラックの仇をとってやる!)

茨城童子(?)(本来ならば、吾が手で血祭にあげてやるところではあるが…)

茨城童子(?)(誇り高きラモラックは我が王の甥を手にかけることをよろしくとせず、
        死ぬその時まで彼奴らへの怒りを己の中に抑え込んだ男…)

茨城童子(?)(だのに、吾が直接手にかけては、面目たたぬ。)シュン

茨城童子(?)(…。)

茨城童子(?)(故に…暗殺をする。)キリッ


ぐだ男「ピネル卿は、敬愛する従兄ラモラック卿がガウェイン卿とその兄弟達に嬲り殺しにされたため、
    この晩餐会で復讐をしようと企んでいたのです。」

茨城童子(ピネル)「ふっふっふ」(リンゴを取り出す。)

ぐだ男「さて、ガウェイン卿は、林檎や梨が大好物。そのため、ギネヴィア王妃も彼のために
    果実をたくさん山盛りにして準備しておりました。」

ぐだ子「果物?じゃがいもじゃなくって?」

マシュ「果物がごちそうで、ジャガイモが主食だったんでしょうね。」



茨城童子(ピネル)(この果実の山に、この毒林檎を混ぜてやる。ククク己の強欲さを悔い、地獄に落ちるがよい!」(ひょい。)

ぐだ男「ガウェイン卿のために、用意された果実の山に、ピネルは毒林檎をまぜてしまいました。しかし…」


アタランテ(?)「おお…たわわな果実が山積みに!」

アタランテ(?)「一つくらいいただいてもよいだろう。いっただっきま~す。」ぱくっ

ぐだ男「晩餐会に参加したアイルランドの勇士パトリス卿が、毒林檎を食べてしまいました。」


アタランテ(パトリス)「…!ぐ、ぐはぁっ!」

茨城童子(ピネル)(な、なにっ!)

アキレウス(?)「お、おいどうしたパトリス!!しっかりしてくれ!」

アグラヴェイン「何だ?何があった?」

アタランテ(パトリス)「ぐっ、り、りんごが…ぐふっ」

エミヤオルタ(パロミデス)「林檎…これは、毒入りか?」

サンソン(ガヘリス)「晩餐会の馳走は、すべてギネヴィア王妃が用意されたものだが…」

茨城童子(ピネル)「そ、そしてこの果物の山は、ガウェイン卿のために特別に用意されたものであろう!!」

アキレウス(?)「ってことは…王妃がガウェイン卿の暗殺をたくらんだんだな!それでパトリスが犠牲に…
         許せねぇ!」

天の衣(ギネヴィア)「え、ええ?」

アキレウス(マドール)「このマドール卿が、ギネヴィア王妃!あんたを暗殺の罪で告発するぜ!!」

天の衣(ギネヴィア)「そ、そんな!」


ぐだ男「毒林檎によりパトリス卿は死んでしまいました。
    晩餐会を準備したギネヴィア王妃が暗殺をしくんだとして、マドール卿が王妃を告発します。」

ぐだ子「山とつまれた果物をガウェインは一人で全部食べるつもりだったのかしら?」

ダヴィンチちゃん「まさか。ゴリラじゃあるまいし。」


ぐだ男「アーサー王は暗殺事件を聞きつけ、すぐに駆け付けました。そして事情を聞き、
    王妃の弁護をしてくれるよう期待し、円卓の騎士達に問いかけます。」

==========

アルトリア「残念なことが起きてしまった。何者かが暗殺を企み、パトリス卿が犠牲になりました。
      そして卿らは、晩餐会を開いたギネヴィアが犯人だと考えているようだが、私は
      ギネヴィアは無実と考えています。どうか我が妃の無実を訴えてくれる騎士は名乗りをあげてくれまいか?」


イアソン(ケイ)「…」

サンソン(ガヘリス)「…」

マリー(ガレス)(ねぇ、パーサント卿、アイアンサイド卿…王妃様がお兄様の命を狙う理由があるかしら?)

オルタニキ(赤騎士)(理由か。あるといえば…あるだろう。)

マリー(ガレス)(やっぱり、ランスロット卿関係かしら?)

フェルグス(藍色の騎士)(もしガウェイン卿がいなくなれば、さすがにランスロット卿を
             キャメロットに呼びもどさざるをえなくなるだろうな。)

オルタニキ(赤騎士)(あるいは、ランスロット卿不在のうちに、彼の政敵となりうるガウェイン卿を
           排除したかったか。)

マリー(ガレス)(…王妃様。本当にそこまでランスロット卿を?)


アグラヴェイン(…ありえなくは、ない。)

モードレット(とはいえ、口にはできない。王の御前で王妃とランスロットの関係に言及すれば
       父上の名誉をも傷つける。)
       
モードレット(いっそ擁護するか?王妃は対ランスロットのカードになるぞ?)


アグラヴェイン(…いや。どういった形であれ、ランスロットと王妃の繋がりが立たれるのであれば、
        いっそのこと…。)

モードレット(たとえ真実でなくてもこの場で処刑されてくれりゃ、それが一番父上の顔が立つ、か?)

アルトリア「だ、誰も擁護する気はないということですか?」

エミヤオルタ(パロミデス)「…」

ぐだ男「円卓の騎士達は、お互いを庇いあい、一様に口をつぐみました。王妃が無実であると主張するものは
    誰一人としておりませんでした。」

アルトリア「ああ…、もしここにランスロットがいれば、誰よりも早く妃の名誉のため名乗りをあげてくれたのに。」

アグラヴェイン(またあの男を頼りに…)


ぐだ子「うーん。王妃様って嫌われていたの?」

マシュ「そういうわけではなかったと思いますが、同胞に暗殺者がいるという事実を、円卓の騎士達
    は認めたくなかったようですね。」


===================


天の衣(ギネヴィア)「お願いボールス、力を貸して!」

小次郎(ボールス)「拙者が、でござるか?」

ぐだ男「ギネヴィアはランスロットの甥、ボールスの力を借りることにしました。」

小次郎(ボールス)「…ランスロット殿より、王妃殿に力を貸すように申し付けられております故。」

小次郎(ボールス)「真に王妃殿の潔白をはらさんという騎士が現れぬ限りは、お力になりましょうぞ。」

天の衣(ギネヴィア)「ありがとう。でも…私の力になってくれる騎士なんていないわよ。誰も私を擁護してくれないし…」

小次郎(ボールス)「…かつては、ござったはずでありますなぁ」

天の衣(ギネヴィア)「ううう…わかってるわよ。意地悪ね。」

ワイワイ

アルトリア「…」コソッ


アルトリア「…ボールスが引き受けてくれるか。ならばひとまずは安心ですね。」

イリヤ(コンスタンチン)「本当にいいの?アーサー様。ギネヴィア様のため…
             アーサー様が直接擁護すればいいじゃないですか!」

アルトリア「前にもいったはずです。王は訴えに対し裁きを与える立場。妻といえども、
      個人の擁護に回ることはできません。」


イリヤ(コンスタンチン)「だからってギネヴィア様のこと、ずっとランスロット卿に任せっきりで…
             ランスロット卿がいなくなってもほったらかしで、それでこんなことが起きて!
             いいんですか!こんなの!!」

アルトリア「コンスタンチン!あなたもいずれ王となる立場です。
      王たるものが私情に任せて判断をあやまってはなりません。」


ぐだ男「王様はボールスが、ギネヴィアの力になってくれると安心し、裁判を開くことにするのでした。」


====裁判会場================


アキレウス(マドール)「さぁ、ボールス、決着をつけようぜ!」

小次郎(ボールス)「あいや、またれい。」

アキレウス(マドール)「何だと。臆したか?」

小次郎(ボールス)「貴殿の望みは、暗殺犯の処刑であろう、決闘するにせよそれを整えてからでも遅くはないであろう。」

アキレウス(マドール)「…それもそうか、よし」テキパキテキパキ

ぐだ子「決闘?裁判ではなくって?」

ダヴィンチちゃん「決闘裁判といって、被告と原告が決闘をすることで判決を決めていたのさ。
         王妃は決闘できないから、その役目をボールスに頼んだということだね。」

ぐだ子「物騒ね…。」



サンソン(ガヘリス)「火刑の準備はできたぞ。」

アキレウス(マドール)「さあ、ボールス、これでいいな!いくぜ!!」

小次郎(ボールス)「折角だし、決着と同時に、すぐ執行できるようにもしておくべきでござろう。」

アキレウス(マドール)「それもそうか?…じゃあ王妃、こっちへ!」

天の衣(ギネヴィア)「えー…」

サンソン(ガヘリス)「恐ろしいですか?」

天の衣(ギネヴィア)「死を恐れはしないわ。恐れるのは真実が闇に葬られてしまうことよ。」

ガウェイン「流石は、王妃。ご立派な覚悟です。
      あ、猿轡をどうぞ。」

天の衣(ギネヴィア)「…」ぎゅー


アキレウス(マドール)「よし、これでいつでも執行できるな。さぁ…」

小次郎(ボールス)「待たれよ。腹が減っては決闘ができぬゆえ。今弁当を食っておる」もぐもぐ

アキレウス(マドール)「お前さん、いい加減に…」

小次郎(ボールス)「貴殿の分もあるぞ?」もぐもぐ

アキレウス(マドール)「お、おう…」ムシャムシャ



アキレウス(マドール)「…さぁ、これもうやり残したことはないな!」


小次郎(ボールス)「うむ。潮時よな。では…拙者は身を引くとしよう。」

アキレウス(マドール)「!」

アルトリア「なっ…!」

天の衣(ギネヴィア)「むー!むー!(ちょ、ちょっとどういうことボールス!)」


ぐだ男「決闘するにあたり、ボールスはマドールを待たせておいて、辞退することを宣言します。」

小次郎(ボールス)「王妃殿、最初に申したはず。真に王妃殿の潔白をはらさんという騎士が現れば拙者は身を引くと!」

天の衣(ギネヴィア)「むむー!(な、なんですって!)」

ぐだ男「そう、自分が王妃のために戦うと謎の騎士が裁判の場に乱入したのです。」


??(謎の騎士)「Arrrrrrrrr!」

アキレウス(マドール)「ほう、お前が王妃の代わりに戦うということか、相手をしてやろう!」

??(謎の騎士)「oooooa!」ダダダダダダダダ


アルトリア「そこまで!!」

アキレウス(マドール)「ま、負けた、この俺が!!」

??(謎の騎士)「Arr…」

天の衣(ギネヴィア)「ぷはぁっ…あ、あなたは…一体誰?。まさか…」

ぐだ男「敗北により、マドールは王妃の無罪を認めます。それに喜んだアーサー王と、ギネヴィアは
    謎の騎士に何者か問うと騎士はおもむろに兜を外しました。」


アルトリア「ランスロット!!」

ランスロット「肝心な時にお傍にいることかなわず、申し訳ございませぬ。」

天の衣(ギネヴィア)「そんなこと!むしろ私は、あの時ひどいことを言ってしまったのに!」

ぐだ男「そう、騎士の正体は、一度キャメロットを叩きだされたランスロットだったのです!」

アキレウス(マドール)「しかし、王妃が犯人でないとすると、パトリスは一体誰に…」

スカサハ(?)「知りたいのならこの場を見渡してみるがいい。」

アルトリア「ニュミエ?」

スカサハ(ニュミエ)「都合が悪いのか、決着と同時に逃げたものがいるようだ。」

モードレット「(きょろきょろ)そういえば、ピネルがいないぞ。」

アキレウス(マドール)「あの野郎!逃げやがったか!よくも!!」ピュー

ガウェイン「お見事です。ランスロット卿。私達は無実の王妃を処刑してしまうところでした。」

マリー(ガレス)「流石ランスロット卿だわ!」

ランスロット「いや、君らは先にギネヴィア様に詫びをいれなさい。」

アルトリア「いえ、私からも礼いいます。ランスロット卿。」

ランスロット「我が王!」

アルトリア「今後も、どうか我妻の支えになってくれないか。」

ランスロット「そ、それはその…もちろん。」

天の衣(ギネヴィア)「本当にありがとう!ランスロット!」

アグラヴェイン(…どうしてこうなった!)

ぐだ男「そして、真相が判明し犯人のピネルは逃げ出しました。ギネヴィアは窮地に陥ったなか、円卓の騎士達が
    誰も味方になってくれない状況でランスロットだけが、ひどい仕打ちを受けたのにも関わらず駆け付けてくれた
    ことに深い後悔と感謝の念ををもち、二人の絆はより一層強化されたのでした。めでたしめでたし?。」

ぐだ子「文字通り、実に古典的なヒーローね。ちなみにギネヴィア王妃の扱いが悪かったけど、
    日常的に味方はいなかったのかしら?」

マシュ「日常的にどうだったかはともかく、アーサー王は、マーリンの反対を押しのけてまで、
    ギネヴィア王妃を妻として迎えたといわれていますから大事に思っていたのは間違いないはずです。」

ダヴィンチちゃん「もちろん結婚する際に、マーリンからいずれランスロットと不倫することも予言されているよ。」

ぐだ子「そこまでいわれても、アーサー王はギネヴィアを王妃に迎えたのね。」

ダヴィンチちゃん「そしてギネヴィアは王に信頼されたよ。例えば、アーサー王がローマに遠征する際には、
         ブリテンのことは王妃ギネヴィアに託された。ギネヴィアをアーサー王の後継である
         コンスタンチンと、老臣ボードウィンが補佐する体制になっていたようだからね。」


ぐだ子「プライベートはともかく、公的な面では頼りにされていたのね。どっちかというとキャリアウーマン?」

マシュ「アーサー王がギネヴィア王妃と結婚する際に、誰よりも立派な女性と評価していますので、能力のある方だったんでしょう。
    しかし、そのプライベートにおけるランスロット卿とのことで、円卓は崩壊に向かっていきます。」


ぐだ男「モーさんが何かするんだっけ。えーっと(ペラペラ)ある日、アーサー王のお部屋で
    ガウェイン卿が、兄弟達とおしゃべりしていました。」


===アーサー王のお部屋=========----


アグラヴェイン「卿らはランスロットとギネヴィア王妃は不倫をしていることと、それを我が王が
        黙認されていることをどう考えている。」

マリー(ガレス)「我が王が黙認されておられるのなら、そこまでの関係ということでしょう。
         王妃が、王が最も信頼する騎士から奉公を受けることも、
         騎士が、敬愛する王の妻から祝福を受けることを至上の喜びとすることも、
         それにとどまることなのであればなにも恥じることはないわ。」


アグラヴェイン「…」


サンソン(ガヘリス)「まぁ、実際どうなのかは本人達しか預かり知らぬことだ。」

モードレット「知ろうとした者もいるだろうに誰も知らないということなら、それは
       そういうことだろうがよ。」


ガウェイン「その話題をするということはアグラヴェイン卿。あなたは王の名誉を守りたいのですか?
      それとも醜聞を理由にランスロット卿を排斥したいということですか。」


アグラヴェイン「先のガウェインの暗殺未遂事件。そしてメリアガーントによる誘拐事件。
        二人の関係がガレスの言以上になるという懸念は十分にある。故に
        奴を失脚させる必要がある。」

サンソン(ガヘリス)「馬鹿を言うな。ランスロットは国を保つ上で、重要な男だ。
           それがわからぬお前ではあるまい。」

マリー(ガレス)「そうよ。なんて乱暴なことをおっしゃるの!アグラヴェインお兄様は
         ランスロット卿を信用できないの?」

アグラヴェイン「王の妻と密通するような男を、なぜ信用できる!」

ガウェイン「…面白いものですね。」

モードレット「あん?」

ガウェイン「アグラヴェイン卿。ランスロットは逆にあなたを信用していなさそうですからね。」

アグラヴェイン「…何?」

ガウェイン「私の見る限り、ランスロット卿とアグラヴェイン卿は、同じくらい王に忠誠を誓っています。
      しかし二人の王に対する思いが100であっても、ランスロット卿は周囲の人間…いや、
      見知らぬ民草相手であっても80くらいはある騎士。一方でアグラヴェイン卿は、
      よほど仲良くなければ限りなく0に近い…といったところですね。」

アグラヴェイン「…」

ガウェイン「だから、ランスロット卿は、周囲や目下の人間にすら愛をもって接することのできない
      アグラヴェイン卿が、どうして主君である王を敬愛することができるかと疑っています。」

アグラヴェイン「だが、奴は…!

ガウェイン「ランスロットのように周囲に分け隔てなく接するような男であれば、敬愛の対象もいつか王から
      別の誰かにうつるかもしれない、と怖がっているのでしょう。」

アグラヴェイン「…ああ、そうだ。だから奴は危険すぎる。」


ガウェイン「はぁ。いいですか?あっくん。考え方からして水と油のあなた達に、今更わかりあえとは
      言いません。あなたとて、ランスロットの必要性は理解できているでしょう。それを劇薬と
      とらえるかもしれませんが。」


アグラヴェイン「…いや、しかしだな。」

モードレット「…ばかばかしい。ランスロットの何が危険だだって?問題はそこじゃないだろう。」

マリー(ガレス)「どういうこと?」

モードレット「ランスロットの王に対する忠誠は本物かもしれない。
       だが、それはブリテンに対しての忠誠ではない。決してな」

アグラヴェイン「…そうだ。そのとおりだ。」

モードレット「それこそ、お優しいランスロットがブリテンの在り方そのものに対して
       異議を唱えたら、父上は果たしてどうされるかね。」

ガウェイン「…」


ガウェイン「アグラヴェイン卿、モードレット卿。分をわきまえるのであるのならば、
      ランスロットがあなた達をどれほど非難しようとも私はあなた達を守ります。
      しかし、彼を排斥しようとするのならば、その報いを受けることになるでしょうね。」


サンソン(ガヘリス)「そもそもお前ら如きがランスロットをどうこうできるとでも思っているのか?」


ぐだ男「すると、そこにアーサー王が戻ってきました。」

アルトリア「おや、卿達はここで一体何を話し合っているのです。」

ガウェイン「いえ、話は終わりました。失礼します。」

サンソン(ガヘリス)「…ふん。あいつらが馬鹿をしたら、円卓も終わりだな。」


ぐだ男「ガウェイン達は退室し、残ったアグラヴェインに対しアーサー王は尋ねます。」


アルトリア「ランスロット卿と、ギネヴィアの件について、ですか。」

アグラヴェイン「はい。二人は不貞の関係にあり、我が王が黙認されていらっしゃいます。
        私はこれを由々しき自体だと考えております。」


アルトリア「面と向かって妻を侮辱されると私も穏やかではいられぬが。」

アグラヴェイン「故に私も死を覚悟して申し上げます。」

アルトリア「当然、今の円卓においてランスロットが失脚した場合大きな混乱…下手をすれば
      崩壊につながりかねないということも理解していますか?」

アグラヴェイン「逆に言えば、瑕疵を正すには今しかないと考えております。」

アグラヴェイン「不義を黙認することは、我が王の理想とかけ離れていると理解しております。
        黎明期では、確かにそのようなことも必要だったでしょう。しかし、ブリテンが形作られつつある今
        永遠にそれを内包することがあってはなりません。」      


アグラヴェイン「円卓を再建しなければならない状況です。
        今黙認されてきた過ちを排除することができれば、より我が王の
        理想にそった形で再び築き上げることができるでしょう。」

アグラヴェイン「王よ、お願いがございます。一度だけで構いません。どうか私に機会をお与えください。」


アルトリア「そこまでの覚悟があるなら、いいでしょう。今度狩猟でその日は帰らないと
      ギネヴィアに伝えましょう。」

アグラヴェイン「…感謝いたします。」


ぐだ男「アグラヴェインは、アーサーにランスロットとギネヴィアの不貞について、
    訴えます。そしてアーサーは訴えを認めアグラヴェインにチャンスを与えるのでした。」

ぐだ子「…アグラヴェインは嫌な奴だったけど、ガウェイン達と相談しているし、ちゃんと
    王様に訴えているし、独断専行はしていないのね。」

マシュ「暗殺事件の時のように、決闘裁判を申し付けることもできたはずですが、
    この伝説では、アーサー王も現場をおさえるよう協力しているようですね。」

ぐだ子「決闘裁判だと、相手が間違いなくランスロットになるものね…。」


ぐだ男「チャンスを得たアグラヴェインは、モードレットとともに浮気現場を取り押さえる準備をします。」


モードレット「父上はどうだった?」

アグラヴェイン「訴えは認めていただけた。今度、我が王に狩猟に出かけた晩、浮気現場を抑えるぞ。」

モードレット「上々。こっちも協力してくれそうなやつを募っといたぜ。」


メカエリチャンⅠ(?)「いよいよです。外様の不倫男を排除して、正しき円卓を取り戻します。」
メカエリチャンⅡ(?)「まったくです。そもそも王の親族がよそ者の機嫌を伺うようなことあってはなりません。」

アグラヴェイン「ラヴェルにフローレンス!ガウェインは承知しているのか?」

メカエリⅠ(ラヴェル)  「お父様は反対しましたが、この機を逃すことはできません。」
メカエリⅡ(フローレンス)「お父様は甘いところがありますので、私たちでなしとげます。」


ぐだ男「アグラヴェイン達は、ガウェインの息子等、10名程の仲間とともに、武装して王妃の
    部屋まで向かいました。」


====王妃の部屋======


天の衣(ギネヴィア)「ランスロット…」
ランスロット「王妃様…」

天の衣(ギネヴィア)「先の暗殺事件の時、あなただけが私を信じてくれた。
           このまえ誘拐されたときも、貴方が私を助けてくれた。
           …もう私にはあなたしかいないのかもしれない…」

ランスロット「ギネヴィア様…」


モードレット 「様子はどうかな…と」じー
アグラヴェイン「どうやら話をしているようだ。」じろり

モードレット 「言い逃れのできない状況で、確保するってことでいいな。」
アグラヴェイン「うむ。まだ決定的ではない。」

モードレット 「…」
アグラヴェイン「…」

モードレット 「…」
アグラヴェイン「…」

モードレット 「…!!」
アグラヴェイン「…!!!」


モードレット 「…そこまでだ!!」
アグラヴェイン「…そこまでだ!!!」



ぐだ男「とうとうランスロットとギネヴィアは、現場をおさえられてしまいました。」


アグラヴェイン「ランスロット…そして、王妃!!やはり我が王を裏切っていたな!
        この、不埒物が!!」


天の衣(ギネヴィア)「わ、私は…」

ランスロット「…裏切り…?不埒物…だと?」ブチッ

ランスロット「王妃が今までどれだけ王に尽くし、また心を痛めてきたかも知らずに侮辱する気か!」

ランスロット「ほざくなアグラヴェイン!」


ぐだ男「ランスロットは、現場を取り押さえた騎士達と戦い、やっつけました。
    しかし、モードレットだけは重傷をおいつつも逃げることに成功し、このことを王に報告しました。」

ぐだ子「えーっと。MINAGOROSHI?ガウェインのお子さんも?」

マシュ「はい。」


アグラヴェイン「む、無念」ガクッ

ランスロット「…ギネヴィア様。お怪我はありませんか?」

天の衣(ギネヴィア)「平気よ。…でも、これからどうするの?」

ランスロット「王の騎士を殺めた以上、私は王に裁かれなくてはなりません。
       …ギネヴィア様、いそぎボールスをお頼りください。彼ならあなたを
       フランスまで逃がしてくれるでしょう。」


天の衣(ギネヴィア)「いえ、アーサーに裁かれなければならないのは私の方よ。
           王妃として、私はこれ以上あの人を裏切れないわ!
           だから、ランスロットあなたは逃げて。」


ランスロット「…申し訳ございません!」


ぐだ男「ランスロットは逃げようと提案しましたが、王妃はアーサー王の裁きを受けなければ
    ならないといい、ランスロットは一人で逃げました。」


ランスロット「いずれアグラヴェインとは、こうなるかもしれない予見があったが、
       ガウェイン卿の息子まで手にかけてしまうとは…」トボトボ

ぐだ男「そして、ランスロットは甥のボールスと再会を果たします。」


小次郎(ボールス)「やぁランスロット殿。此度の件。おどろかしてくださいますな。」

ランスロット「ボールス…!すまぬ。」

メディア(?)「全く、滅茶苦茶するんだから。」

ランスロット「不甲斐なき叔父を許してくれ、ライオネル」

エミヤオルタ(パロミデス)「ふっ、それにしてもうまくやったものだな。」

ランスロット「…パロミデス。卿も一緒か。どうか皮肉を言ってくれるな。」

メドゥーサ(?)「兄様…本当に大変な騒ぎになっていますよ。」

ランスロット「そうだろうな。エクター。」


ランスロット「このような大罪を犯し、許されぬ身だ。
       身内や友に捕縛されるのならば、それも運命かもしれんな。」

メディア(ライオネル)「…はい?」

小次郎(ボールス)「…この御人はなにを言っておられるのだ?」

ランスロット「卿らは、王の騎士を殺めた私を捕縛にきたのだろう。」

メドゥーサ(エクター)「えーっと…いや、その…
            すみませんこれ、どういうことなんです?」

エミヤオルタ(パロミデス)「貴様自分がおかれている状況をわかっていないようだな。」

ランスロット「…なぜだ。話がかみ合わぬ。」


メディア(ライオネル)「…いや、ランスロット卿。あなた、王に取り巻く奸臣を
            成敗したんじゃないの?」

ランスロット「…何を言っている!私はギネヴィア様との…その逢瀬を…抑えられ」

メドゥーサ(エクター)「義兄様、だから、今はもうそんなこと言っている場合じゃないんです!」


エミヤオルタ(パロミデス)「…こういうことだ。ランスロット。」

ランスロット「?」


===楽しいブリテン一家====

アナタスシア(領民)「ああ、ひもじい。貧しいわカドック。どうして
           こんなに生活が苦しいのかしら。」シクシク

カドック(領民)「それは、あのアーサー陛下の甥たちが、偉大なる王を欺いて好き勝手にしている
         からに決まっているさ。」

アナタスシア(領民)「ガウェイン卿とその兄弟達ね。でも彼らは立派な騎士達でないの?」シナ

カドック(領民)「とんでもない。奴らは、王の甥の立場を利用して、邪魔になる立派な騎士を
         ころしたりしているんだぞ。」

アナタスシア(領民)「まぁ、信じられないわ。」スリスリ


カドック(領民)「それだけじゃない。陰謀ばっかり企んで、騎士として研鑽を怠り、
         王の御前で、サラセン人相手に兄弟まとめて敗北してしまったりしたじゃないか。」

アナタスシア(領民)「あれは本当にひどかったわ。混迷する暗黒の時代に、守るべき教えを
           くれたアーサー王の甥が、それを汚すなんてあってはならないわ。」ギュー

カドック(領民)「それに、このまえ聖杯探索で円卓の騎士達が大勢なくなったけど、
         あれもガウェイン卿が真っ先に手を挙げたらしいんだ。」

アナタスシア(領民)「まぁ!王の甥が手をあげるのであれば、ほかの騎士達は、それがどんな危険な任務で
           あっても甥にならって手をあげざるをえないじゃない!」チュ

カドック(領民)「アーサー陛下もそれに苦言を呈したらしいからね。よっぽどさ。」


ベリル(領民)「おい、大変だカドックどん!」ガラッ

カドック(領民)「何があったベリルどん!」

ベリル(領民)「あのガウェイン卿の弟、アグラヴェイン卿とモードレット卿が、ランスロット卿を
        失脚させようと謀略をしかけたそうだ!」

カドック(領民)「なんてことだ、円卓一素晴らしいといわれているあのランスロット卿をか!」


ベリル(領民)「おう。しかもそれなんだが、ランスロット卿ってギネヴィア王妃と不倫しているって噂があるじゃないか。
        奴ら、それを告発しようとしたらしいぜ!」

アナタスシア(領民)「信じられないわ。そんなゴシップを?王妃様や、王様の名誉を著しく傷つけるような
           謀略を企てるなんて、本当にあの立派な王の甥だというの?」


ベリル(領民)「ああ、だが、そこは流石のランスロット卿だ。見事アグラヴェイン達を返り討ちにしてやっつけたらしい!」

カドック(領民)「流石あのランスロット卿だ!…だがベリルどん、ランスロット卿が王の甥を倒したってことは…」

ベリル(領民)「そうだ、ついにあのランスロット卿が、これからは俺たちのために立ち上がってくれるんだよ!」

ベリル(領民)「ランスロット卿は立派な騎士だったが、それゆえ、今までは悪い奴らでも王の甥たちを
        ないがしろにはせず、ずっと我慢して顔を立ててきた…」

カドック(領民)「だが、とうとう堪忍袋の緒が切れて誅殺したんだ!これからランスロット卿は、
         王をとりまく悪い奴らをやっつけてくれるに違いない!」

ベリル(領民)「ああ、俺たちも応援しなきゃな!」

アナタスシア(領民)「ラーン―スー!ラーンースー!」


ランスロット「…」

エミヤオルタ(パロミデス)「…」

ランスロット「…あの、これは。」

メドゥーサ(エクター)「はい兄様。残念ながら民衆はこんなかんじです。」

小次郎(ボールス)「ほれランスロット卿。あちらをご覧くだされ。」

粛清騎士の群れ ザッザッザッ 

粛清騎士「ウェールズから来ました。」

兵士「コーンウォールから来ました。」

エミヤオルタ(パロミデス)「はっきり言う。国中の反ガウェイン派の連中がお前を旗頭にと集まってきている。」

ランスロット「…。」

メディア(ライオネル)「…何を呆けているの。チャンスでしょう。王妃様がどうなるかもわからないのよ?」

ランスロット「そ、そうだ。ギネヴィア様は、我が王の裁きを待つ身…。」

エミヤオルタ(パロミデス)「そして、万が一の際王妃を救うにあたり、平身低頭で許しを請うのと、
              ある程度の対抗勢力を率いて交渉するのと、どちらが有効か」

ランスロット「むむ…やむを得んか。」

エミヤオルタ(パロミデス)「先手を打って示威行動に出てもよいと思うが。…どうだ?」

ランスロット「それはできん!我が王に弓引く真似は決して行わない!」

ぐだ男「ランスロットはボールスと会い、味方を探しました。すると、円卓騎士のパロミデスなど、
    多くの騎士が仲間になりました。」

ぐだ子「…この場面で、アグラヴェインって別に悪いことはしてないわよね。」

マシュ「はい。」

ぐだ子「言い逃れのしようもない状況だけど、ランスロットのもとにも仲間が集うのは…ちょっと意外ね。
    日頃の行いかしら?こっちの方のアグラヴェインとモーさんって少なくとも
    人の理解を得ようするタイプじゃなかったけど、嫌われていたのかもしれないわね。」

ダヴィンチちゃん「あるいは、ランスロット卿を見殺しにできなかったのか。じゃ、王様の方を見てみようか。」



=====キャメロット======


アルトリア「…」


イアソン(ケイ)「身内であるボールス、ライオネル、マリスあたりは
         あっち側か。他に情報はあるか、グリフレッド。」

子ギル(グリフレッド)「パロミデス卿と…弟のサフィアもランスロット卿についたようですね。
            それと今は亡きトリスタンとラモラックの旧臣もランスロット卿のもとに集っているそうです。」


アーラシュ(?)「ランスロットが王を裏切っただの、ランスロットが王のために立ち上がっただの
         民衆には混乱が広がっている。諸侯も混乱を抑えるのに手いっぱいだな。」

子ギル(グリフレッド)「ですが少なくとも、我が王を中傷し、これに弓を引こうというような
            愚かな反乱は誘発しておりません。」

イアソン(ケイ)「対処を誤らなければ、穏便に抑えられるだろう。」


ベデヴィエール「…それとギネヴィア様の件ですが」

アルトリア「結果として、アグラヴェインをはじめ、多くの騎士が犠牲なりました。
      また、不貞が白日のもととなった今、ギネヴィアの死刑は免れないでしょう。」

イアソン(ケイ)「おい、本気か?」

子ギル(グリフレッド)「ギネヴィア様を処刑すれば、ランスロット卿との和解は絶望的になるでしょう。
            王は、今回の騒動をすべて、力によってのみ解決を図るおつもりですか?」

ガウェイン「…我が王。私もギネヴィア王妃の処刑には反対します。」

アルトリア「…なぜです。アグラウェインが死に、モードレットも重症を負い、あなたの子供たちも
      ランスロットに殺されました。引き金になったギネヴィアを許すというのですか?」

ガウェイン「いえ、なぜならば今回の騒動の原因は我が兄弟にあるからです。ご存知のとおり我々が謀略をもって
      同胞排除を試みたのは、今回が初めてではありません。」


アルトリア「…。」

子ギル(グリフレッド)「あぁ、そうでした。あの悲しみの子が、あなた達を恐れてキャメロットに近寄らなく
            なったのもその頃でしたね。」


ガウェイン「私達兄弟は、我が王とブリテンのために全力を尽くしてまいりました。しかし、その過程で、
      騎士道に反する行いもありました。時に我が王の甥という立場を利用し、不満を押さえつけました。」

ガウェイン「王の威光と成果により、悪しき行いを覆い隠しておりました。」

ガウェイン「今回、ここまでブリテン全土に渡る混乱に発展したのは、今までの我ら兄弟が関わったブリテンの統治が、
      ランスロット卿の働きにより完璧でなかったことが暴かれたからにすぎません。」

ガウェイン「我が兄弟のやり方に、皆が不満を持っていた。今回の件でそれがはじけた。我々兄弟の不徳のなすところで
      ある故に過ちを認め、彼らに寛大に接しなければなりません。」


ガウェイン「だからランスロット卿との和解は可能です。いえ、和解しなければなりません。
      そのためにどうか、王妃の処刑だけはご再考ください。」


イアソン(ケイ)「ふん。わかってたのかよ。」ボソッ

アルトリア「…ガウェイン卿。そなたの考えはわかりました。
      しかし、王妃の件は、また不義の件。この騒動とは別に、ケリをつけねばなりません。」

ベデヴィエール「そんな!」

イリヤ(コンスタンチン)「この非常時に、まだこだわるんですか!」

アルトリア「…グリフレッド。執行に関しては任せます。近日中に。
      ガウェイン卿も立ち合いを。」

子ギル(グリフレッド)「…はい。」

ガウェイン「…我が王よ。」

マリー(ガレス)「いえ、立ち合いは私のやらせて。」

ガウェイン「ガレス…?」

マリー(ガレス)「王妃様が処刑されるとなれば、必ずランスロット卿は助けにくるわ。
         その時、ランスロット卿を私が、説得します。」

サンソン(ガヘリス)「…まて、ガレス。僕も行く。」

マリー(ガレス)「…兄様。」

サンソン(ガヘリス)「今回の件、多少なりとも、僕も責任は感じている。」

ぐだ男「王様は、王妃様を処刑することにしました。ガウェイン卿は反対しましたが、
    王は考えを改めず、逆にガウェインに立ち会いを命じました。でもガウェインは、
    嫌だったので、ガヘリス・ガレスの兄弟に代わってもらいました。」

ぐだ子「…うーん。緊急事態なのにちょっと固くないかな?王様。
    でも、子供まで殺されても、ガウェイン卿は冷静ね。覚悟が決まっているというか、
    なんというか…」


=====キャメロット==========


アルトリア「…まだ何かありますか?グリフレッド」

子ギル(グリフレッド)「…あなたは、本当に妻を殺したいのですか?」

アルトリア「…指示なら先ほど示したはずです。」

子ギル(グリフレッド)「偉大なる王、アーサー・ペンドラゴンには聞いておりません。
            かつてのわが友、アーサーに聞いています。」
アルトリア「…」

子ギル(グリフレッド)「…最近偶に思います。もしあなたが石に刺さった剣を抜く前のように
            友のままでいれたのなら、少しはあなたの苦しみを背負えたかもしれないと。」


アルトリア「あなたは騎士になることを望み、私はそれを認めた。それが嫌になったというのですか?」

子ギル(グリフレッド)「もちろんそのつもりはありません。今の僕は騎士ですから。
            王の望みを果たすことに、全身全霊を尽くしましょう。」

子ギル(グリフレッド)「ただ少し、騎士というものの無力さが情けなくなります。どんなに勤めても、
            周囲から助言者ともてはやされても、最後に決断を下すのは王であり、その苦悩を少しも
            背負うことができないのですから。」

子ギル(グリフレッド)「…もしあなたにまた、友と呼べる存在ができたのであれば、
            その時こそ、その方に本心をお話いただけることを切に願います。」 (ぺこり)


子ギル(グリフレッド)「…」スタスタ

イアソン(ケイ)「耄碌したか、グリフレッド?」

子ギル(グリフレッド)「…なんですか、ケイ卿。」

イアソン(ケイ)「お前のかつての友達ってのは、一度意地を張りだしたあとに、本音を吐いたことが
         ただの一度でもあったっていうのか?」

子ギル(グリフレッド)「…!ああ、そうでしたね。まったく忘れていました。本当に、歳はとりたくないものですね。」

子ギル(グリフレッド)「ケイ…アーサーのこと、頼みますね。」

イアソン(ケイ)「…馬鹿が。」


====ランスロット陣営==========

ランスロット「大変だ!我が王は、やはりギネヴィア様を処刑なされるおつもりのようだ!」

エミヤオルタ(パロミデス)「じゃ、頑張ってこい。」

小次郎(ボールス)「健闘を祈るでござる。」

メドゥーサ(エクター)「あ、お弁当もっていきます?」



ランスロット「…ま、待てい!なんで卿らはそんなに冷静なんだ?」

メディア(ライオネル)「何でって…、どうせあなたは王妃様を助けにいくんでしょう?」

ランスロット「だ、だが、王も襲撃に備えているはず、おそらく円卓の騎士達が…」

小次郎(ボールス)「これはまた、ランスロット殿らしからぬ弱音よなぁ。」

メディア(ライオネル)「アグラウェインの一党を倒しといて今更何いってるのよ。」

ランスロット「な、何より王妃を救おうというのは我が王に対する反逆、それを黙認するのか?」

メドゥーサ(エクター)「我が王に対する反逆って…兄様は、本当に我が王が奥様を処刑したいと思っているのですか?」

ランスロット「いや、勿論我が王も苦しくも決断されたであろうが…」

メディア(ライオネル)「なら十分じゃない。王が立場上できないことを代わりにかなえることも騎士の役目でしょ。
            騎士の役目は王の望みを果たすことなのだから」


ランスロット「む、いや王の為を考えれば当然王の決断を尊重し…」

エミヤオルタ(パロミデス)「余計なことを考えられるな。ランスロット。お前が何をしたいのかだけ考えろ。」

ランスロット「そ、それは、もちろん、ギネヴィア様を救うことだ。」

エミヤオルタ(パロミデス)「なら、とっとと行って来い。単純にお前はお前のやりたいと思ったことをなせ。
              それが一番ためになるのだから。」

ランスロット「・・・どういうことだ?」

エミヤオルタ(パロミデス)「じきにわかる。籠城のための準備は整えといてやるからさっさといってこい。」


ランスロット「・・・ええい、わかった。ではいってくるぞ!」

メドゥーサ(エクター)「…全く。あれも天然なんでしょうか?」

小次郎(ボールス)「見ている分にはあれほど愉快な方もおるまいて。」


=========処刑場================


プロトニキ(緑の騎士)「おいガレス、なんだよその恰好は!」

キャスニキ(赤の騎士)「いつランスロット卿が来るかもしれないのに、武装もせずに!」

マリー(ガレス)「だからこそよ、ペリーモンズ。ランスロット卿と私達は和解しなければならないわ。
         話し合いに武具は不要よ。」

キャスニキ(赤の騎士)「捨て身の信頼かよ…危険すぎるぜ。もし何かあったら…」



アルジュナ(?)「…ふん。本当にあの兄弟達は…む」

アルジュナ(?)「…来ましたね、ランスロット卿!!」


ドォン!!




マリー(ガレス)「な、なに?」

プロトニキ(緑の騎士)「下がってろガレス!敵襲だ!」

マリー(ガレス)「ランスロット卿…!」

ランスロット「アグロヴァル卿…立ちはだかるなら、容赦はせんぞ。」

アルジュナ(アグロヴァル)「…ふふ。ランスロット卿、あなたなら私の立場は理解してくれるはずでしょう。」

アルジュナ(アグロヴァル)「父と兄を謀殺され、弟パーシヴァルもまた騎士であることから退き、我が家系の
              武名は地に落ちた!そして、今ようやく、汚名を晴らせる最高の機会を得られたというわけだ!」

ランスロット「それが、貴公の騎士道というわけか。」

アルジュナ(アグロヴァル)「ああ、そうだ。最強の騎士が本気で殺しにかかってくる戦いだ。
              命を懸けるのにこれ以上の場面は二度とあるまい。…実にすばらしい!」


ぐだ男「ギネヴィア王妃が処刑されそうになるところ、ランスロット卿が、助けにきました。それを
    妨害しようと、円卓の騎士達との激しい戦いが始まります。」


プロトニキ(緑の騎士)「逃げろガレス!ランスロットは本気だ!話し合いが通じる状況じゃねえ、
            戦いに巻き込まれるぞ!!」

マリー(ガレス)「離してパートレープ!仲間同士でこんな、争いあってはいけないわ!」

ランスロット「騎士は徒手にて死せず!!」ダダダダダダダダダ!

バスッ

マリー(ガレス)「えっ…?これは、私の血?ランス…ロ…」ガクッ

プロトニキ(緑の騎士)「ガレス!そんな、流れ弾に当たって…!」

キャスニキ(赤の騎士)「ランスロット!てめぇえええ!」

ランスロット「貴様、ペリーモンズか!」ダダダダダダダダダ!


ぐだ男「激しい戦いの末、ランスロット卿は円卓の騎士達を倒しました。アーサー王が王になり、最初に
    騎士に任命したグリフレッド卿、パーシヴァル卿の兄のアグロヴァル卿など、多くの騎士が犠牲になりました。」


ランスロット「よし、片付いたな、ギネヴィア様、今まいります!」

サンソン(ガヘリス)「…ぐっ…」

サンソン(ガヘリス)「ごほっ…ガ…ガレス。…ガレス。目を開けてくれ…」

マリー(ガレス)「…。」

サンソン(ガヘリス)「ふっ、…ははは、これが因果…か。」

サンソン(ガヘリス)「かあ…さ…」(ガクッ)


ぐだ男「また、ガウェイン卿の弟のガヘリス卿、ガレス卿は、武具を身に着けていなかったため、戦いに巻き込まれる
    形で死にました。ランスロット卿は、残念ながら彼らを手にかけたことに気づくことすらありませんでした。」


ぐだ子「ああ、そんな。ガレスちゃんまで。」

マシュ「…あまりに激しい戦いだったのか、ランスロット卿は気づきもしなかったそうです。
    これが、あの皆に愛されたガレス卿の最後とすると…悲しいですね。」


ぐだ男「さて、ランスロット卿は、ギネヴィア王妃を連れて、喜びの城に向かい、
    仲間の騎士達とともに籠城しました。」


====喜びの城==========


小次郎(ボールス)「愛する者を救うために過去の同胞と厭わず戦い、見事救出する…
          全く、絵にかいたような英雄でござるなぁ。」

ランスロット「やめてくれ、ボールス。もはや私は反逆者にすぎぬ。」

メドゥーサ(エクター)「ただ…困ったことにもなりましたね。外を見てください。」


~外~

ガウェイン「出てこい!臆病者め!その首、必ずこの手で叩き落してやるぞ!」


エミヤオルタ(パロミデス)「ガウェインめ、随分とご立腹のようだな。」

メディア(ライオネル)「はぁ、ランスロット卿、あなたガレスを殺したんですって?」

メドゥーサ(エクター)「残念ですね。あの子、兄様が説得したら多分味方になってくれましたよ。」

ランスロット「…すまない。まさか、あの場にガレスにいたことすら、気づくことができなかったのだ。」

アルトリア「…」

イアソン(ケイ)「どうする気だアーサー?連中、亀の子みたいに引っ込んじまってるぜ。」

ベディヴィエール「あくまで、我が王に弓引くつもりはない、ということでしょうか。」

アルトリア「…力攻めは無謀です。包囲を固めしめあげていきます。」

アーラシュ(?)「…間違いなく、長期戦になるな。」

イアソン(ケイ)「落としどころは考えてるんだろうな。」

ガウェイン「ここまでの騒動をしでかしたのです。ランスロットを討ち取り、首をさらす以外にはないでしょう。」

イアソン(ケイ)「お前には聞いていない。そんなに戦いたいなら、挑発の一つでもして
         奴らを誘い出してこい!」

ガウェイン「ふん。」

アルトリア「…」

ぐだ男「円卓の騎士達が殺されたことに、アーサー王とガウェインは悲しみ、ランスロットのいる
城を包囲し、戦いを挑みます。ランスロットたちを城の外におびき出そうと、ガウェインは
    外からランスロットの悪口をいいました。」

メディア(ライオネル)「流石にこうも挑発されっぱなしってのはよくないわね。
            士気が下がりつつあるわ。」

小次郎(ボールス)「うむ。ここは一つ、うってでるべきでござる。」

ランスロット「戦うしかない、か。」

エミヤオルタ(パロミデス)「当然だな。交渉するにしろ、まず相手から敬意を勝ち取らねばなるまい。
              騎士が敬意を勝ち取るのは、当然武勇を示すことによってだ。」

ランスロット「…我が王と、ガウェイン卿の命を奪うことはないようにな。」

メディア(ライオネル)「はいはい。」


ぐだ男「ランスロットは戦いたくなったのですが、とうとう出撃することにしました。
    アーサー王たちは、迎え撃とうとします。」


アーラシュ(?)「ライオネルがうって出たぞ!」

ガウェイン「よし、ランスロットめ、今こそ討ち取ってやる。」

ベデヴィエール「…我が王、どうされます?」

アルトリア「当然、私も出ます。続きなさい。」

ベデヴィエール「…はい。」


ぐだ男「激しい戦いになり、アーサー王は乱戦に持ち込まれ、
    ランスロットの甥ボールスに追い詰められてしました。」


小次郎(ボールス)「心、ここにあらず…といった具合でござるか?」

アルトリア「…くっ。」

小次郎(ボールス)「全力の我が王と戦うことがかなわぬのは残念至極…が、
          ここでこの無益な戦を終わらすというのも、乙なものよな?」

アルトリア(ここまでか…みんな、すまない…)

??「待てい!!」


ぐだ男「ボールスが、アーサー王の首を落とそうとすると、誰かがそれを止めました。」


小次郎(ボールス)「これはこれは」

アルトリア「ランスロット!」

ランスロット「…言ったはずだ、ボールス。我が王を[ピーーー]ことは許さぬと。
       どうしてもというのならば、この場で私を倒してからにするのだな。」

小次郎(ボールス)「…ふむ。」

小次郎(ボールス)「ご無礼仕った。」チャッ

アルトリア「礼は言わぬぞ、ランスロット。」

ランスロット「…は。いずれ此度の戦い、卓を挟んで解決できることを願っております。」

アルトリア「…。」

ぐだ男「ランスロットは、敵になったのにアーサー王を助けたのでした。
    アーサー王は、ランスロットと戦わなければならないことを、とても悲しく感じました。そして…」


===喜びの城=========

メディア(ライオネル)「いったたた…」

小次郎(ボールス)「流石に、ガウェイン卿を五体満足で抑えきるのは無理な話よな。」

ランスロット「…すまぬ。私の覚悟が足りぬ故、このような大けがを負わせてしまった。」

小次郎(ボールス)「いえ、相手の方にもしっかり深手を与えてやった故。」

メディア(ライオネル)「強硬派のガウェインが動けなければ、しばらく戦いは避けられるわ。
            作戦は成功よ。…い、いたた。」


===アーサー王陣営========-


ガウェイン「まさか、ボールスめ。ここまで腕をあげていたとは…」

ベディヴィエール「しばらくは、戦いには出れそうもありませんね。」

ガウェイン「これしきの怪我…ぐっ。」

アルトリア「万全な状況でなければ勝てぬ相手とはわかっているはず。治療にあたりなさい。」



イアソン(ケイ)「…しばらくガウェインが動けない。今がチャンスだな。おい、ルーカン。」

アーラシュ(ルーカン)「わかった。任せておけ。」


ぐだ男「また、その後の戦いで、両軍の主力であったガウェイン卿、ボールス卿の双方が
    深手を負い、お互い戦い避け、またにらみ合うようになりました。」

ぐだ子「あんなにランスロットと戦うのが嫌だったガウェインが、
    こんなになっちゃって悲しいわね。」

マシュ「弟、息子を失ってなお抑えていたのですが、ガレス卿が殺されてしまい…
    本当にガレス卿のことを大事に思っていたんでしょうね。」



ガウェイン「もう、怪我は大丈夫です。さぁ王よ。戦いを再開しましょう。」

アルトリア「…ええ。」

ベディヴィエール「…。」

イアソン(ケイ)「ちょっと待った!クックック。そうはいかなくなったようだ。」

ガウェイン「…なぜです?」

アーラシュ(ルーカン)「我が王に、お客さんだ。」

アルトリア「客?」

ガウェイン「何?この戦時下に一体…」

アーラシュ(ルーカン)「このお方だ!」

ロムルス(?)「…!」ドォーン


ガウェイン「…?」

アルトリア「…誰です?」

ロムルス(?)「ローマである!」

ガウェイン「ロ、ローマだと!なぜ?」

イアソン(ケイ)「まーった!教皇だ。ローマ教皇からの、使者だ!」

アルトリア「ローマ教皇?…和睦の仲裁ですか?」

ガウェイン「…紛らわしい。」

ロムルス(司祭)「それもまたローマである。」

ガウェイン「だまらっしゃい!」

ぐだ男「両軍のにらみ合いは、ヨーロッパにも伝わりました。事態をおもくみた
    ローマ教皇は、勅使を派遣して和睦の仲裁を試みました。」

ぐだ子「よそから助け船がきたのね。これで解決するのかしら?」



アルトリア「ケイ卿、ルーカン卿。あなた達の差し金ですか?」

イアソン(ケイ)「さーって、な。」

アーラシュ(ルーカン)「どちらにせよ、ランスロットと和睦する機会だろう。」

アルトリア「これほどの混乱をよび、犠牲を出し今更ランスロット卿と和睦することが許されると
      卿らは思っているのですか?」

イアソン(ケイ)「決めるのはお前だ。いつだってな。
         グリフレッドもいってたじゃないか。俺たちは、無力だ。」

アルトリア「…。」

イアソン(ケイ)「そもそも何を迷っている?。この騒乱も予想していなかったわけではないだろう。」

アルトリア「どういうことです?」

アーラシュ(ルーカン)「…アグラヴェインが告発に動いたとき、ランスロットが王妃を守りきらないかと
            期待しなかったか?
           ギネヴィアを処刑するときに、ひょっとしたら、ランスロットが彼女を救ってくれる
          かもしれないと心のどこかで甘えていなかったか?」

アルトリア「それは…」

イアソン(ケイ)「ランスロット本人が意識しているのかは知らないが、
         あいつは、何時だってお前が本心で望んだことをやってきた。…違うか?」

アーラシュ(ルーカン)「だからこそ、ランスロット卿を友のように愛し、尊敬していたんだろう。」

アーラシュ(ルーカン)「…ケイもグリフレッドも友のままでいられなかった。俺もランスロットにはなれなかった。」

イアソン(ケイ)「だから、奴はお前が王であるために必要なはずだ。それじゃあな。」

アルトリア「…。」

子ギル(グリフレッド)(…もしあなたにまた、友と呼べる存在ができたのであれば、
            その時こそ、その方に本心をお話いただけることを切に願います。)

アルトリア「グリフレッド…すまない。」



=====和睦会場===============


ランスロット「和睦の条件は二つ。第一にギネヴィア様の助命嘆願をします。これは譲れません。」
 
アルトリア「わかりました。」

ガウェイン「私としても異論はありません。」


ランスロット「もう一つは、私に協力した騎士たちにどうか寛大な処置を。
       我が王に弓引くために集ったものはございません。」

 
アルトリア「いいでしょう。」

ガウェイン「当然。彼らには今後ともブリテンのため力を発揮していただく必要があります。」


アルトリア「では、最後に貴殿の処遇についてです。」

ランスロット「…王のお望みのままに。」


アルトリア「ならばもし私が卿に死を命じれば、おとなしく処されますか?」

ランスロット「…。」

アルトリア「卿が死ぬことにならば、ギネヴィアも自ら命を絶つでしょう。
      それを命じれば最初の条件を破ることになります。」

アルトリア「ランスロット、再び私の力になるつもりはありますか?」

ランスロット「私は贖いきれぬほどの大罪を犯しました。あなたの妻と密通し、
       また、あなたの甥をはじめ、多くの騎士達を殺めました。」

アルトリア「今回の件は貴殿だけの責任ではない。
      …いや、責任は私にあります。ランスロット卿」

ランスロット「何をおっしゃられる、すべては、私の弱き心によるもので…」


アルトリア「そもそもです。ランスロット卿、あなたがギネヴィアと不義をなしたことすら、
      それは私の咎にすぎません。」

ランスロット「…馬鹿な!なぜそのようなことをおっしゃられますか!」

アルトリア「私は王になるにあたり、誓いました。私情を捨てこのブリテンのために己の全てを捧げると。」

アルトリア「そして、そんな在り方を私は妻に対しても押し付けてしまった。
      本来求められるべき、正しい在り方で妻と接することができなかった。」

アルトリア「言ってしまえば、私の都合にギネヴィアを巻き込んでしまった。私の勝手で彼女を苦しめ続けてしまった。
      私は己が幸せになるということは放棄した故、それを妻にまで強いたことを後悔していました。」


ランスロット「…馬鹿な!ギネヴィア様は、そんな我が王のことを理解されていた!
       理解されたうえで、それが王妃の役目と受け止め精一杯あなたに尽くし、あなたの愛を受け止められておられました。
       ただ少し…そこに、あった心の小さなわだかまりに、愚かな私がつけいってしまったのです。」


アルトリア「そうか。しかし、私は貴方とギネヴィアの関係を知ったとき、安心してしまいました。」

アルトリア「ランスロットならば私に代わって、正しい形でギネヴィアを幸せにしてくれるだろうと。
      愛する妻を、親愛なる友に託せると」

アルトリア「私がやらなければならないことを、貴方におしつけてしまいました。
      許してくれ、ランスロット卿」


ランスロット「そんなことは、ございません!貴方のためでなく、自分のために私はギネヴィア様を愛したのです。
       むしろ、私は…、ギネヴィア様について、時に我が王に憎しみに近い感情すら…」

アルトリア「そうか。やはり貴方はいつもそうやって、私が本当にやりたかったことを、自らの本心でやってきて
      くれたのですね。」

ランスロット「…そのようなこと、おっしゃらないでください。私は裏切り者です。あなたの大切な甥や
       騎士達を自らの意思で殺めた不忠ものです。どうか、私を罰してください!」

アルトリア「あれも私に責があります。私はギネヴィアを処刑するかにあたり、私情を捨て己の立場に固執してしまった。
      私が私情を捨てたからこそ、あなたは私情に固執しなければならなかった。私が立場に固執したからこそ、
      あなたは己の立場を捨てざるをえなかった。本当に、罪深き役割を与えてしまった。」

アルトリア「全ては私が理想の王であろうとしたがゆえに歪みが発生した結果。
      その歪みをランスロット、今までずっとあなたに押し付けてしまいました。
      ランスロット許してくれ。そして、もしあなたがまだ私を王として認めてくれるなら、
      友と思ってくれるのならまた力を貸してください。」
      
ランスロット「…私こそ愚か者です!いつも己のことばかりを考え、王に自分の理想を押し付け、
       挙句己の名前ばかり高めてしまい、王の名誉すら傷つけ…こんな不忠者であっても、
       本当に我が王が、必要だとおっしゃられるのなら…」

アルトリア「ランスロット卿…ランスロット―!」

ランスロット「…我が王ー!」

ぐだ男「和睦として、ギネヴィア王妃を助命すること、ランスロット一味の喜びの城からの安全な城外退去が認められました。
    そして、アーサー王とランスロット卿はお互い仲直りをしようとしました。」


ガウェイン「そんな愚にもつかぬオチが許されるとでも思っているのですか?」


ランスロット「…」

アルトリア「ガウェイン…」

ガウェイン「貴様はガレスを殺めた。あんなに貴様を慕っていたあの子を。」

ランスロット「…ガウェイン卿。私とてガレス卿を[ピーーー]つもりはなかった。
       せめて武装していてくれれば…」

ガウェイン「あの子は、話せばきっと貴様と分かり合えると信じていた。」

ランスロット「私とて、後悔している…今後、一生を王への奉公とガレスの弔いのために費やしてもよい。」

ガウェイン「ほんの少しでも申し訳ないと思うのなら今すぐ直接あの子に詫びを入れにいきなさい。」

ランスロット「死は恐れぬ…しかし、ギネヴィア様のためにも、命を絶つわけにはいかぬ。」

ガウェイン「…ランスロット。もしギネヴィア様が処刑されたら、我が王と和睦しようなどと考えますか?」

ランスロット「…!それは。」

ガウェイン「そういうことだ。もう貴様は私の生涯の敵だ。」

ぐだ男「しかし、ガウェイン卿が癇癪をおこしたので、アーサー王とランスロット卿は、
    仲直りできませんでした。ランスロット卿とその一味は、喜びの城から退去し、
    フランスに去っていきました。」

ぐだ子「これはまぁ、ガウェインからしたら、仕方ないわよね?」

マシュ「ええ。」


=====ウェールズ=======


イアソン(ケイ)「それで、ランスロットのいるフランスまで派兵するのか?」

アルトリア「そのつもりです。」

アーラシュ(ルーカン)「先の内戦で、とても遠征なんてできる状況じゃないぞ。」

アルトリア「和睦できなかった以上、このまま捨て置くこともできないでしょう。」

イアソン(ケイ)「なら、最低限の兵をつけ、ガウェインを大将にして出立させろ。
         どうせ、あいつの意見だろ」

アルトリア「それでは、みすみすガウェインを死なせるようなものです!」

イアソン(ケイ)「…聞き分けないガキは死んでもらうしかないだろう。」

アルトリア「ケイ卿、なんてことを!」

イアソン(ケイ)「あの怒り、在りし日のロット王に瓜二つだ!ペリノアだって、あの憎しみがお前の滅びにつながると
         言っていただろう。」



アーラシュ(ルーカン)「それに、ブリテンで厭戦感情が高まっているのはわかっているだろう。」

アーラシュ(ルーカン)「今までずっと王はブリテンを立派に統治し、戦い続けてきた。
            ウーサー様が亡くなってからの暗黒の時代から、随分と世の中をよくしてきた。」

イアソン(ケイ)「だが、よくなるにしても変化には違いない。古くからの因習との決別は
         ある種の負担になることは避けられない。」

アーラシュ(ルーカン)「そして俺たちは戦い続け、勝利の上に勝利を重ねることによって
            その負担から目をそらさせ続けてきた。が、今回の件で
            とうとうそれに陰りがでてしまった。」

アルトリア「これから、今までのツケが一気に跳ね返ってくるかもしれない、と?」

イアソン(ケイ)「そうだ。下手をすれば今まで積み上げてきたものが、一気に崩壊するかもしれないぞ。」



イアソン(ケイ)「それに今までの戦い…壁にぶつかることがあっても、必ずお前は乗り越えてきた。
         だが、今回ばかりはランスロットとどう決着をつけるか落としどころがみえていないだろう。」


アーラシュ(ルーカン)「先の見えない戦いが続けば間違いなく民は動揺するだろう。
            だからこそ、アーサー王は今回に限り戦ってはいけない。
            ブリテンの中央で民を安んずることを優先すべきだ。」


アルトリア「…それは、できません。」


イアソン(ケイ)「なぜだ?今更メンツにこだわっているのか!
         もうこれ以上落ちる余地があるとでも思っているのか…!?」


アルトリア「違う!私は…私は甥を、ガウェインを見捨てたくはない!!」

イアソン(ケイ)「…」

アーラシュ(ルーカン)「…」

アルトリア「…」

イアソン(ケイ)「意地を張ったお前が本音を吐くなんていつ以来だろうな?」

アーラシュ(ルーカン)「…わかったよ。それならいい。とことん付き合うよ。アーサー。」

アルトリア「すまないルーカン。…兄さん。」

イアソン(ケイ)「…ふん。」

ベディヴィエール「我が王、すみません。急ぎご報告したいことが。」

アルトリア「どうしました。ベディヴィエール?」

ベディヴィエール「…コンスタンチン卿が出仕を拒否しました。」

アルトリア「…なんですって?」

ベディヴィエール「今回の騒動、ギネヴィア王妃に近しい間柄なのに、防げなかったので
         責任とって謹慎する…と。」

イアソン(ケイ)「あてつけか、あの小僧!」

ベディヴィエール「それに他のギネヴィア派の者もそれに倣っています。」

アーラシュ(ルーカン)「…それじゃ普段の遠征時の留守役はほとんどボイコットってことか?」

アルトリア「…ボ、ボードウィンは?」

イアソン(ケイ)「ちょっと前に引退したぞ。あの爺さん。」

ベディヴィエール「となると国の統治、誰を宰相に任せましょうか?」

アルトリア「えーっと…」


アルトリア「…ユーウェイン?」

イアソン(ケイ)「モルガンの子にブリテンを託す気か!」

アルトリア「」ガクッ


ぐだ男「ガウェインがうるさいので、王はランスロットのところに戦いにいくことをきめますが、
    本当は仲良くなりたいランスロット卿と戦わなければならないことを悔やみ、
    王様は気を失ってしまうでした…と。続く!」


マシュ「アーサー王と仲直りしたいランスロット卿
    復讐にに燃えるガウェイン卿
    ランスロット卿に未練をもちつつも、ガウェインを放っとけないアーサー王
    複雑な関係になってしまいました。」

ぐだ子「ランスロット卿、こっちだとアーサー王伝説の負の象徴っていうけど、
    この伝説でも、王であるがためアーサーが本心で望みつつもできなかったことを
    担っていたって感じなのね。それにしてもやりすぎだけど。」

マシュ「だからこそ、アーサー王もランスロット卿のその部分に、ある種の
    敬意を感じていたのかもしれませんね。彼だからこそ、託したいというように。
    それでも甘すぎると思いますが!」

ぐだ男「逆に、この伝説におけるアグラヴェインはそれが許せなかった。ランスロットが憎かったというよりは、
    王にはあくまで完璧な存在でいてほしかった。理想の王であってほしかったように見えるね。」


マシュ「どちらも、騎士としての在り方として間違っていないかもしれません。
    だからこそ、円卓は崩壊に向かっていてしまいました。」

ぐだ子「…明確な悪者がいないというのも悲しいわ。」


マシュ「…ええ。ではこの争いは果たしてどのような結末を迎えるか、楽しみですね
    先輩!」

ぐだ男「いや、オチはもうわかってるけど。」

マシュ「先輩!」

モードレット「へくしっ…?」


1

ぐだ子「このあと、アーサー王達がフランスに戦争に出向いている間に、留守を任された
    モーさんが反逆するのよね?」

マシュ「そうですね。では、今回はアーサー王の死において、モードレット卿が
    どのように誕生されたかから読んでいきましょうか。」

ぐだ男「うん。えーっと、円卓が成立する前まで遡るね。むかしむかし、まだアーサー王が諸侯達から認められてすら
    いなかったある年の夏至の日のこと…」

====キャメロット===========


粛清騎士「ヒソヒソ…」

兵士「フムフム…」

プロトアーサー(…なんだろう、この感じ?)

アーラシュ(ルーカン)「おいどうした、アーサー。怪訝な顔をして。」

プーサー「ルーカン。皆の様子がおかしくないか?どうも浮足だっているような。」

アーラシュ(ルーカン)「ああ、今ある噂でもちきりのようだぞ。」

プーサー「噂?」

アーラシュ(ルーカン)「なんでもだ、城下町にものすごく美しいご婦人がいらしてるんだってよ。」


ぐだ子「るーかん?そういえば前の話でも出てきてたわね。」

マシュ「ルーカン卿はベデヴィエール卿のお兄さんです。円卓成立以前からアーサー王に
    仕えていた騎士の一人です。」


ぐだ男「ベディって弟キャラだったんだ。…そして、キャメロットにとても美しい婦人が
    訪ねてきたと評判になっていたのです。」



プーサー「…うーん。どこかの間者だったりしないか?」

アーラシュ(ルーカン)「もちろんその線もあるだろうな。だが、そのご婦人は4人の子供をつれているそうだ。
            従者も大勢連れているようだし密偵だとしたら、随分と悪目立ちしすぎな気もするな。」


プーサー「ちょっと気になるな。僕自身の目で確かめてこよう。」


ぐだ子「4人の子供?そして美女?ここから導かれる結論は…」

====城下町=========



ガウェイン「…ここが、キャメロット。随分と活気のあるようですね。」

酒呑童子(モルゴース)「せやなぁ。これも王様の努力の賜物かしらねぇ。」



ぐだ子「やっぱり、モルゴースかー。家族旅行?それとも留学とか?」

ぐだ男「いや、そんな穏やかなものじゃなさそうだね。」


====少し前のオークニー===============-


槍ウラド(?)「クックック…。」

酒呑童子(モルゴース)「ロットはん?どうしたん?」

槍ウラド(ロット王)「我が妻よ。異民族共の侵略もようやく対処できたところだ。
           今度こそあのアーサーなる小僧と決着をつけてみせよう。」

酒呑童子(モルゴース)「せやねぇ。…でもこういう時こそ、みんなで仲良く協力せんとあかんやないの?」

槍ウラド(ロット王)「そうはいかん。そもそもあの子倅めはフランスの王達と結び、彼らを
           ブリテンの覇権争いに介入させておるではないか。あのヴォーディガンのように外国の兵を
           引き入れ、己のものであるはずの民を手にかけさせているようなものだぞ。断じて捨て置けん。」

           
酒呑童子(モルゴース)「そないゆうたら、あんさんやってゴールの妹の旦那と組んどるやんけ。」

槍ウラド(ロット王)「…ユーリエンスは我が義弟。力を借りるのはおかしくあるまい。」

酒呑童子(モルゴース)「あの子もうちの弟よ。」

槍ウラド(ロット王)「そうだ。そして実の父親の仇の子であろう。」

酒呑童子(モルゴース)「…」


ぐだ子「父の仇?」

マシュ「ウーサー・ペンドラゴンは、モルゴースやモルガンの父親、コーンウォール公の妻イグレインを妻にしようとして、
    そのために侵略したといわれています。そしてコーンウォール公は争いの中で死亡し、
    イグレインはウーサーの妻になったそうです。」

ぐだ男「略奪婚ってわけか…」


酒呑童子(モルゴース)「…それが世のならいやろ?」

槍ウラド(ロット王)「だからこそ、世を正せねばなるまい。無論、俺自らの手でな。」


酒呑童子(モルゴース)「あんさんの人生なんだからまぁえーけど。
            …覚悟決まっとるんならうちも一肌脱がんとなぁ。」

槍ウラド(ロット王)「うむ…感謝するぞ、妻よ。」

ぐだ男「モルゴースは、ロット王のスパイとして、派遣されてきていたのです。」


ぐだ子「正義か、野心か、仇討か…でもべつにロット王も悪人ってわけでもないのね。」

マシュ「ウーサー・ペンドラゴンは死の直前、アーサーを正式な後継とされていましたが、諸侯達にも
    譲れないものがあったのでしょうね。」


====城下町=========


酒呑童子(モルゴース)(この子らがアーサーを気に入ってくれたら、あの人も無理に
            対抗しなくなるやもなぁ)

サンソン(ガヘリス)「ははうえ。ははうえー。」

酒呑童子(モルゴース)「あら、どないした?」

マリー(ガレス)「あっちに、りっぱなきしさまが、おはなししたいって。」

酒呑童子(モルゴース)「なんやって?」

プーサー「ごきげんよう。ようこそキャメロットにお越しくださいました。」

酒呑童子(モルゴース)「あらあら、ご丁寧に(この感じ…間違いあらへん。この子こそ、弟の…)」

   
ぐだ子「モルゴースと一緒に来た4人の子、明言はされてないけど多分ガウェイン達よね。」


マシュ「そうかもしれませんね。ただアーサー王は即位後、さっそく治安維持に努め、
    人事を整え、数年のうちに領土を広げ堅持しました。ガウェイン卿達が幼い頃にその姿を
    目の当たりにしていたら、さぞ尊敬されたでしょうね」

ぐだ子「王が亡くなり、混迷する世に突然現れた正統な後継者たる若き英雄だもんね。こんなん惚れてまうやろ~。」

マシュ「ええ。」

ぐだ男「そして、アーサー王は、モルゴースがスパイと気づかず王宮まで招き入れ、なんとエッチなことをしてしまうのでした…と。」


ぐだ子「…」

マシュ「…」

ぐだ子「台無しじゃん!」

マシュ「…ええ。この時できた子こそ、モードレッドさんである。とアーサー王の死においては記されています。」

ぐだ男「えーっと、4人の子がガヴェイン達だとして…その裏でお母さんとってなると…」

ぐだ子「うっわあ…」

マシュ「…も、もちろんアーサー王は、モルゴースが異父姉と、この時点では知らなかったはずです。」

ぐだ子「そういう問題じゃないと思う。」

ダヴィンチちゃん「さて、ではなぜこのようなことが起きてしまったのかな?」

ぐだ男「ダヴィンチちゃん!」


マシュ「…そうですね。一説によると、モルゴースとアーサー王が出会った日の巡りが関係しているといわれています。」

ぐだ男「えっと、夏至の日だっけ。」

ダヴィンチちゃん「夏至の日は、一年のうち最も昼の時間が長く、またこの日を境に
         昼が短くなっていく日だね。風水的に言えば、陽の気がもっとも高まるが、
         この日を境に減退していく。縁起のいい日でもあるのだが、あらゆるものが
         不安定になり、揺さぶられる日だからね。特に北半球ではある変化が人々に起きやすいとされている。」

ぐだ子「ある変化?」

ダヴィンチちゃん「性欲をかきたてる。」

ぐだ男「…」


マシュ「モルゴースは、非常に美しい女性でした。特に情報を引き出すためにアーサー王にも
    その…相応のかたちで接したのではないでしょうか。夏至の日の衝動もあって、さしもの
    アーサー王も…というのが、この伝説でのきっかけと推察されます。」

ダヴィンチちゃん「まぁ、その日にモードレッドくんが宿ったというのも
         後々意味をなしていくことになるからね。」


ぐだ子「日の巡りね…運命かぁ。」


ぐだ男「…そして、案の定モルゴースは妊娠してしまいました。」


===オークニー==============

酒呑童子(モルゴース)「うぅ…!(あかん、これは…)」


槍ウラド(ロット王)「これはいったいどういうことだ。妻よ。」

槍ウラド(ロット王)「腹の中の子は…、まさか、あの子倅めか!」

酒呑童子(モルゴース)「あっ…あんたぁ…」

槍ウラド(ロット王)「おのれ…おのれ、おのれぇぇ!」

酒呑童子(モルゴース)「ひっ」

槍ウラド(ロット王)「あの小僧め!!よくも我が愛する妻に、このような業を背負わせてくれおったなぁ!!」



ぐだ男「こうして、ロット王は、アーサー王を以前にもまして、とても憎むようになりました。」

ぐだ子「虚月館の時もそうだったけど、近親(ぴー)って悪いこととされているのよね。」

マシュ「深く妻を愛していたロット王の憎しみは推して知るべし。といったところでしょう。」

12

ぐだ男「モルゴースの一件で、ロット王は怒り、アーサーと以前よりもまして、激しく争います。
    ブリテンをめぐって、アーサー王は、諸侯との戦争は続いていきますが、
    そして、ついに決着をつける時がやってきます。最後の戦いではマーリンの策略により敵軍の分断に
    成功し、アーサー王は戦いを有利に進めていきました。」


====戦場===================-


イアソン(ケイ)「クックック…ハーッハッハッハ!いける!いけるぞ!
         これでお前の天下だ、アーサー。」
                
プーサー「いやまて敵方の援軍が来ているぞ!先頭を走るのは…ロット王か!」

イアソン(ケイ)「ちっ、マーリンのうすのろめ、抜かったな。
         合流されると、厄介だぞ。」

プーサー「仕方がない、僕が出る。」

ベオウルフ(?)「待て、アーサー。俺が行く。お前はベイリン達とともにこのまま敵の主力を叩け。」

イアソン(ケイ)「ペリノア王。」



プーサー「ロット王とは、何度も戦ってきたが、彼の僕に対する憎悪と執念は、凄まじいものだ。
     僕の手で直接決着を…」


イアソン(ケイ)「アーサー。ここはペリノア王に任せるべきだ。ロット王の妻が
         お前の姉ってことは知っているだろ。」

プーサー「ああ。どんな人かは知らないが。」


イアソン(ケイ)「ロット王の子供たちは、つまりお前の甥になる。将来的に味方につけることも
         できるだろう。だが、お前が直接ロット王を屠ってしまえば、遺恨が残るぞ。」


プーサー「…ペリノア。お前がそれを受けるというのか?」


ベオウルフ(ペリノア)「ああ。なぜならだ、ロット王のあの怒りはお前のほろびと必ずしも
            無関係でないからだ。」

14


プーサー「なんだと?」


ベオウルフ(ペリノア)「いずれお前はあの憎悪と向き合うことになるから、今は俺が代わりに遺恨を背負う。
            その時がきたらアーサー、絶対に目をそらすんじゃねえぞ?」タッ

プーサー「待て、ペリノア!どういうことだ!」


ぐだ男「敵対する王たちの中で特に武勇に優れるロット王は、アーサー王陣営の中でも腕利きのペリノア王が
    戦いました。そして、戦いのすえ、ペリノアはロット王を見事討ち取りました。」


ぐだ子「ペリノア王って顧問監督官だっけ。この話だとガウェイン達が子供のころからアーサー王と一緒にいたのね。」


ぐだ男「そして、戦争は終わり、アーサー王の勝利に終わりました。そして、戦死した偉大なる王たちの葬儀も行われました。
    ロット王の葬儀にはモルゴースと4人の子供たちも参加しました。」




===墓地================


酒呑童子(モルゴース)「あんたぁ…」

プーサー(…あの婦人。まさか…!)

マリー(ガレス)「おとうさま…おとうさまぁああ!!」(ウェーン)

アグラヴェイン「ガレス、なくな。ちちうえはりっぱにたたかわれたんだ…ぞ。」(グスン)


サンソン(ガヘリス)「…ガウェイン。あいつだ。あいつが父上の仇だ。」

ガウェイン「ええ…覚えておきましょうね。」

ベオウルフ(ペリノア王)「…ふん。」

16

===オークニー====


モードレッド「なぜだ、なんでだよ!!」

粛清騎士「申し訳ございません、部屋から出すなと…」

モードレッド「ちちうえはしんだんだろ!どうしておれだけほうっておくんだよ!」

兵士「あの方を同行されないということは…やはり父親は」

粛清騎士「しっ、めったなことを言うな。」

モードレッド「どうして…おれだけ、のけものにするんだよ…」


ぐだ子「…こどもが一人増えているはずなのに4人。モーさんは連れて行ってもらえてないのね。」


マシュ「ええ。しかし、モードレッドの受難はまだこれからです。」


ぐだ男「アーサーとモルゴースとの間の不義により、ロット王は非常にお怒りになりましたが、
    じつは、もう一人この件をおもく受けたものがいました。」

17


???「いやー。まさか、こんなことになるとはね!」

???「さすがにびっくりだぞう!うん。」
















マーリン「僕が手塩にかけて育て上げた王子様が、あんな虫に汚されるなんてね。」


ぐだ男「そう。魔術師マーリンは、二人の子がアーサーの国を滅ぼすことを知っていたんです。」


====キャメロット==========


プーサー「…ふー。」

マーリン「やぁアーサー!統一戦争の勝利おめでとう。しかし、随分と
     お疲れのようだね。それとも…最近悪い夢に悩まされていたりするのかな?」

プーサー「…マーリン。君は本当になんでもお見通しだね。」

マーリン「もちろんさ。というわけで君に大切な予言をあげるとしよう。」

マーリン「5月1日に生まれた子が君の国を滅ぼすだろう。」

プーサー「…なんだって?」




ぐだ男「マーリンは滅びの予言をアーサーに告げます。
    それを聞いたアーサーは思い切った手をうつことになりました。」

19

=======キャメロット=======


イアソン(ケイ)「正気か?アーサー。」

プーサー「…僕は予言を受けて未来を知った。未来を知った以上
     現在を生きるものとしてなさねばならない。」

子ギル(グリフレッド)「それで考えた結論が…随分とまた乱暴ですね。
            仮に予言のいう未来が変わったとしても、我が王の名誉は著しく傷つくでしょう。」


アーラシュ(ルーカン)「人心が離れ別の問題に発展するかもしれない。より悪い方向に転がるかもしれない。
            それでも改める気はないのか?」


プーサー「勿論だ。」

イアソン(ケイ)「…ちっ」

子ギル(グリフレッド)「はぁ。」

アーラシュ(ルーカン)「わかったわかった。任せておけ。」


ぐだ男「5月1日に生まれた子供をすべて船にのせ、追放する。それがアーサー王の結論でした。」


===港===================

モードレッド「ははうえ、ははうえー!」

酒呑童子(モルゴース)「これは一体どういうつもりや!」

イアソン(ケイ)「5月1日に生まれた子供が、この国を滅ぼす旨の予言があった。
         該当する子どもは例外なく追放する!」


酒呑童子(モルゴース)「なんやって…アーサー王の騎士は、そんな命令に従うんか!」

アーラシュ(ルーカン)「ああそうだ。国に…王に仕えるということは、こういうこともひっくるめて、だ。」

酒呑童子(モルゴース)「犬どもめっ!」

子ギル(グリフレッド)「はい。どうぞお恨みください。それで直接王を恨むものが少しでも減るのなら、
            これほどうれしいことはありませんよ。」

モードレッド「ははうえー!」

酒呑童子(モルゴース)「メドラウトッ!」


プーサー「…」

ベディヴィエール「…我が王、何もわざわざご覧にならなくても…」

プーサー「…これは僕の選択だ。眼をそらさず見届けなければならない。」

ベディヴィエール「…。」

21

ぐだ子「うーん。この伝説だと、モーさんがらみって、ガチで王様の黒歴史ね。」

マシュ「多くの子供が犠牲になったようです。生まれて4か月くらいの赤子や、もっと幼い子も
    連れていかれ、国中が悲しみに包まれたとありますね。」


ぐだ子「年齢判定なのに、ガバガバやん。」


ダヴィンチちゃん「無関係の子供も大勢巻き込まれて犠牲になったということだろうね。」


ぐだ男「子供たちを乗せた船は、ある島に向かっていきましたが、途中で船は難破し、
    海の藻屑となりました。」

ぐだ子「わお。」


===ウェールズの浜辺===========


オジマンディアス(?)「嵐は去り試練の時はすぎさった。」

モードレット「…。」

オジマンディアス(?)「…。」

オジマンディアス(?)「よかろう。」ひょい。

ぐだ男「乗っていた子供たちはほぼ死に絶えましたが、ただ一人モードレットだけが
    浜辺に流れ着きました。そこで、ウェールズのよき人に拾われ、育まれることになりました。」

ぐだ子「出エジプト記のリスペクトかな?」

マシュ「一命をとりとめたモードレット卿でしたが、14歳になると旅に出てオークニーに戻り、
    モルゴースの子としてアーサー王の元に出仕します。」


ダヴィンチちゃん「ちなみに…キケロの占星術に曰く、夏至の日に母親の体内に宿った子は、
         水によって害されることがないそうだ。」


ぐだ子「運命が、モーさんを生かしたのね。
    うーん。うちのモーさんもたいがいだけど、この伝説もモーさんも結構
    不憫なのね。」


マシュ「さて、モードレッドさんの出生はこんな感じで記されていましたね。
    では、話をランスロット卿がフランスにもどったところに戻りましょう。」


ぐだ男「うん。アーサー王は、フランスまでランスロットをやっつけに行かねばならないとして、
    甥のモードレット卿にブリテンを託すことにしました。」

23
===キャメロット==========



モードレッド「遠征にでる間、オレを宰相に?」


イアソン(ケイ)「ガウェインが遠征を主導する以上、お前以外に任せられる奴はいない。
         引き受ける気はあるか?」


モードレット「見当違いの信頼がこんな事態を招いたってことを王は理解しておられるのか?」


イアソン(ケイ)「さてな。…だが、お前にとっても都合がいいだろう。」

モードレッド「…あん?」

イアソン(ケイ)「ガウェインもコンスタンチンもあの様だ。王の信頼にお前だけがこたえることができれば、
         将来的に王の後継はどうなるだろうかね?」

モードレッド「…わかった。オレはオレの役目を果たす。」

モードレッド(父上は…オレのことをどう考えているんだ?)

24

======カーディフ=========



プーサー「それで、モードレッドは?」

イアソン(ケイ)「引き受ける気はあるそうだ。」

ベディヴィエール「モードレット卿は、政治工作に秀でている方です。
         彼が目を光らせれば、大きな騒動は抑えられるでしょう。」

イアソン(ケイ)「問題は、あいつ自身が野心家なことだな。そして何より欲深い。
         全く、一体誰に似たんだろうな?」

プーサー「…ここは甥の手腕に期待するしかない。物資も余裕はないし兵は一体どれくらい出せるか?」

アーラシュ(ルーカン)「そうだな、国内の治安維持や防衛にもまわさなきゃならんし…」

ガウェイン「兵については問題ありません。すでに、6万の軍勢を準備しております。」

プーサー「ガ、ガウェイン!?」

ガウェイン「此度の戦はブリテンの命運をかける決戦。多少は無理をしてでもなしとげねばなりませんからね。」

イアソン(ケイ)「…六万か。維持するだけの物資があるか?」

アーラシュ(ルーカン)「当然、長引けば長引くほど負担のしわ寄せは、ブリテンにかかるな。」

ガウェイン「ええ、だからこそ早期に決着がつけられるよう頑張りましょう。」

プーサー「…ああ。」


ぐだ男「ランスロット征伐のため、アーサー王は6万の兵を率いて、艦隊で出発しました。」


ぐだ子「戦争って、お金ばかりかかってむなしいものなのね…。」




====フランス==========

ランスロット「我が王は大艦隊にて、こちら側に向かっているようだ。兵数はおおよそ数万規模といったところか。」

メドゥーサ(エクター)「とてもそんな大軍を出す余裕はないはずですが、無理をされるものです。」

ランスロット「全くだな。軍を維持するためにも、このフランス全土で彼らが略奪が行われる可能性も0ではない。
       故に、諸君らは私の代わりにこの領地を治めてほしい。王と和睦できなかったのは、私ただ一人なのだから、
       卿らの支配地となれば我が王も手出しはできないはずだ。」


エミヤオルタ(パロミデス)「それは願ってもない話だな。」

小次郎(ボールス)「有難い話ではある。されど拙者はランスロット卿におともしますぞ。」

ランスロット「頼りになるが、…あまり好戦的にならぬようにな。」

ぐだ男「一方でフランスを支配するランスロットは、自分の領地を協力してくれた騎士達に譲り、
    守備を任せます。そして、一部の仲間とともに、アーサー王が攻めてくれるのを待ちました。」



プーサー「さて、いよいよフランスに到着するな。」

アーラシュ(ルーカン)「情報によると、ランスロットは自領の大部分を協力した騎士達に譲ったようだ。」

ガウェイン「殊勝なことですね。では未だランスロットを主と慕う愚か者共を殺し、奪い、焼き尽くしましょう。」

イアソン(ケイ)「…おい、ガウェイン。」

ガウェイン「軍を維持するためにも必要です。それに臆病なランスロットは、
      いまだ女々しく我が王と和睦しようなどと考えているかもしれません。
      もう我々は相容れることはないということを、知らしめましょう。」

プーサー「…やむをえないか。」


ぐだ男「そして、フランスについたアーサー王は、ランスロットの支配下にある町を焼き尽くして
    荒廃させていきました。」

ぐだ子「余裕がないとはいえ、王様も体裁を気にしなくなってるわね。」

マシュ「本心で行っているわけではないでしょうが、ここは悲しいですね。」

ガウェイン「…ふっふっふ」

ガウェイン「ハハハハハ。ここまで己の領地を荒らされればランスロット卿も戦わざる
      を得ないでしょう。」

プーサー「…そうだな。」

===一方====

小次郎(ボールス)「このような乱暴狼藉、黙っているわけにはいきませぬな。」

メディア(ライオネル)「待ちなさい。領民たちも覚悟のうえよ。連中に居座り続ける余裕はないのだから、
            こちらは籠城していればそのうち引き上げるでしょう。」


小次郎(ボールス)「では、我らがランスロット卿はどうされるかな?」

ランスロット「…よし。」


ぐだ男「自領を荒らされたランスロット卿ですがやっぱり王と仲直りしたいので、使者を送ることにしました。」

アーラシュ(ルーカン)「おーい。我が王、ガウェイン卿。ランスロットから和睦したい
            って使者がきているぞ」

ガウェイン「斬りましょう。」

プーサー「…待て、ガウェイン。お通ししろ。」

29

三蔵(使者)「今回のことで、ランスロットは自分に責任があるって認めているわ。」

三蔵(使者)「だから、あなた達がその…領地の人たちにひどいことをしたのも、
       仕方がないって言っているわ。」

三蔵(使者)「これ以上あなた達にも無駄に血を流してほしくないの。
       お願い、和平して。」

プーサー「ランスロットはそこまで…」

イアソン(ケイ)「懲罰的な意味合いで焼き討ちをしたわけだし、ここらで手打ちにしても
         十分、面目は立つんじゃないか。」

三蔵(使者)「!それじゃ、和睦してくれるのね!」

ガウェイン「ダメです。」

プーサー「ガウェイン、その…」

ガウェイン「ダメ。」

三蔵(使者)「…そんなぁ。」


ぐだ男「アーサーは、和平を望むランスロットに感激しますが、ガウェインはどうしても
    それに同意してくれなかったのでした。」

ぐだ子「それにしても、ここまでくるとガウェインも意固地ね…」


ぐだ男「交渉の決裂を受け、とうとうアーサーの軍勢はランスロットの居城を包囲し、
    戦いを挑みます。」


小次郎(ボールス)「さて、ガウェイン卿、先の戦いの決着をつけようでないか!」

ガウェイン「なめるな、未熟者が!」

ズバッ

小次郎(ボールス)「グハッ」

メディア(ライオネル)「ガウェイン卿、いい加減しなさい!こんな無益な
            戦いを望んでいるのは貴方だけよ!」


ガウェイン「黙れ裏切り者!!」

ドスッ

メディア(ライオネル)「きゃあ!」



32

ぐだ男「ガウェイン卿は、ランスロット卿の甥のボールス卿や、ライオネル卿など、
    多くの騎士と毎日戦い、倒していきました。」

小次郎(ボールス)「やはりガウェイン卿は一筋縄ではいきませぬぞ」

メディア(ライオネル)「特に日が上っている間は、とてもじゃないけれど太刀打ちできそうになかったわ。」

ランスロット「…ここに至っては、この私が戦わざるを得ないか。」

ぐだ男「ランスロット卿は、とうとうガウェインと直接立ち会うことにしました。」


ランスロット「ガウェイン卿よ!これ以上無益な戦いはよせ!」

ガウェイン「とうとう出てきたな裏切り者め!弟の仇、取らせてもらうぞ!」

ランスロット「まて、何度でも言うが私は卿とは戦いたくない。どうか許してはくれないか?
       卿が取り合ってくれれば、私と我が王は和解することができるだろう。」

33


ガウェイン「この期に及んで世迷い事を!」ギィンッ

ランスロット「私が卿や弟たちの窮地を救ったことは一度や二度ではないだろう?私に貴公等を
       害する思いはないのはわかっているはずだ。」ヒョイ

ガウェイン「貴様になくとも私にはある!覚悟しろ!」バッ

ランスロット「ガレス卿の件は、本当に申し訳ないと思っている。しかし、あれはギネヴィア様を
       お救いするためであり、また自分が生きるための戦いだったのだ。わかってくれ。」ヴン

ガウェイン「だから、仕方なかったとでも言うつもりか?」ペコ


ぐだ男「ランスロット卿はガウェイン卿を説得しようとしますが、ガウェインは許してくれませんでした。
    そこで、ランスロットはとうとう戦うことを決心します。」

ランスロット(やはり戦うしかないか…だが、仮に勝利できたとしてもガウェイン卿を殺めるようなことがあれば王との和解は絶望的だ。
       しかしガウェインは心に隙がある状況で勝てるような相手ではない。)

ランスロット(…ならば!!)

34

ランスロット「そもそもガウェインよ。卿はこの私に勝てると本気で思っているのか?」

ガウェイン「何?」

ランスロット「はっきり言っておく。卿は弱い。」キッパリ

ランスロット「貴様の活躍など、所詮その日中3倍になるという神秘の力によって勇敢な騎士達を欺くことで
       なしとげられたにすぎん。」

ガウェイン「な…!裏切り者が!この私を侮辱する気か!!」

ランスロット「侮辱しているのではない、卿の不甲斐なさを指摘してやっているのだ。(よし、冷静さを失ってきたな)」

ランスロット「私は自分が最強であることを理解している。」ドヤァ

ランスロット「ただ唯一トリスタン卿だけが私に匹敵し、またラモラック卿があの若さで私に匹敵しうる素質をもっていた。
       だからこそ私はどのような戦いであれ、相手には敬意をもち、欺くことなく正々堂々と戦ってきた。」

ランスロット「謀略をもって仲間を排除したり、集団で襲撃をするような卑怯な真似は
       決してしなかった。非力さ故に手段を選べぬ貴公と違ってな!」ブンッ


ガウェイン「…!ラモラックのことを言っているのか。確かにあの騎士は
      私が殺したが、なぜこの場で引き合いにだす?」ガンッ


ランスロット「…はぁ。まったくガウェインよ、どうしてこの期に及んで見栄を張るのだ?」

ランスロット「『私が殺した』ではなく、『私達が殺した』だろう。そうでなければ、
       貴様如きがあの立派な騎士を倒すことはできなかった。」

ランスロット「研鑽を怠り、神秘の力と姦計をもってしか戦えぬ愚か者が、
       王のことも顧みずただの私怨でこの私に挑むとは、恥を知れ!!」ブンッ

ガウェイン「」ブチィ


ぐだ男「ランスロット卿はガウェインの力を恐れ、あえて彼の過去の失敗をネチネチと繰り返し挑発します。
    怒ったガウェイン卿は、ランスロット卿に襲い掛かりますが、それはランスロット卿の巧妙な罠でした。」



===数時間後===========


ガウェイン「ゼーハーゼーハー…まだだ、まだ終わらぬ…」

ランスロット「いや、決着はついた。ガウェインよ。」

ボコー

ガウェイン「ぐはっ!」

ランスロット「ここまでだ。少しは頭を冷やすのだな。」くるっ


ガウェイン「ま…待てランスロット…ころ…せ…私を…早く…とどめを刺せ…」

ランスロット「倒れた騎士を手にかけることはできぬ。」

ガウェイン「ふざける…な。ランスロット…逃げるな…臆病者…め…」ハァハァ

ランスロット「なんとでも言え。だが私は決して貴公を殺めることはしない。
       卿が納得するまで私は何度でも受けて立つ!」

ガウェイン「ま…て…ランス…いく…な…」


ぐだ男「そしてランスロットは防戦に徹することにより怒り心頭になったガウェインの猛攻を防ぎ切り、日中3倍の時間が切れ
    へとへとになったところを死なない程度にボコボコにするのでした…と。」


ぐだ子「ガウェインがガチで気の毒になるんだけど…ちょっと扱い悪すぎない?」

マシュ「うーん。アーサー王の死では、悪しざまにかかれていることが否定できません。」

ぐだ男「作者に嫌われたのかな?」

ダヴィンチちゃん「いや、どちらかというと、当時の宗教事情がかかわっているともいわれている。」

ダヴィンチちゃん「ガウェインくんは、ケルト的な性格が強すぎるんだ。」

ぐだ子「けると?」

ぐだ男「そういえば、ガウェインのスキルの説明にケルトの数字って書いてあるね。」

マシュ「はい。アーサー王の伝説が成立しはじめた頃は、ケルト神話などとうまく融合されている面が見られました。
    しかし、時代が進むに従いキリスト教的な価値観が浸透する中で、そのような土着の神話的要素は邪魔なものと
    なっていき冷遇され描かれるようになったといわれています。」

ダヴィンチちゃん「アーサー王の死が書かれたのは初期の伝説から3百年もたったあとだからね。
         ケルト神話における太陽信仰による加護だったものが、聖人の祝福に変更されるように、
         古い伝説のエピソードを新参に奪われたり、いろいろ割りをくっているということさ。」


ダヴィンチちゃん「まぁ、これはガウェインくんに限った話じゃないけどね。
         特に一番ひどい扱いになっているのは、モルガンとかになるのかな?」


ぐだ子「アーサー王のお姉さんだっけ?」

ダヴィンチちゃん「そうだ。モルガンの名前の由来は、ケルト神話の女神モリガンといわれている…
         というよりも、スカサハ=スカディのように同一視されているといった方が正しいかな?」


ぐだ子「え?神様なの?」


マシュ「初期の伝説ではモルガンはブリテン全土における守護女神的な存在として描かれています。
    ブリテンのために様々な試練を騎士達に課していき、最後の戦いのあと瀕死になった
    アーサー王を、再び世界が必要とする時まで治療するという役割を担っています。」

ダヴィンチちゃん「アーサー王の死では、異教の女神みたいなものだから、勇敢な騎士を弄ぶのが大好きな
         意地悪おねえさんになっているけどね。」


ぐだ子「こっちのモルガンはどんな人なのかしらね?いずれあうことになるのかしら。」



ぐだ男「さて、話がちょっと横道にそれたけど…ガウェイン卿は敗れた後に治療を受け、
    再度ランスロットに挑みますが、やっぱり負けてしまいました。」


====アーサー陣営======

プーサー「…ガウェイン」

ガウェイン「まだです…まだ、私は戦います。双方が生き残ることは決して…」

イアソン(ケイ)「た、大変だアーサー!この報せを見ろ!!」

プーサー「どうした、ケイ卿?…こ、これは!」

ガウェイン「一体どうしたと…(ひょい)。な、なんだと!」


======ランスロット陣営==========

ランスロット「はぁ、ガウェイン卿とはいつになったら分かり合えるのか」

小次郎(ボールス)「ランスロット卿、敵軍の陣営に動きが…」

ランスロット「!!我が王らが撤退している!何かあったのか?」


ぐだ男「ガウェインとランスロットの戦いは、中々終わりが見えませんでしたが、
    ブリテンから、ある報せが届き、アーサー王達は撤退をすることにしました。」


===少し前のキャメロット=================-


モードレッド「父上が、出征してはや半年…いつまでかかるんだ?諸侯や、民をなだめるにも限度があるぞ。」

マタハリ(モルガン)「ガウェインばかりやる気みたいだけど、他の連中はもう飽き飽きみたいね。」

モードレッド「いくらランスロットが理不尽に強いとはいえ、父上とガウェインがいて討てないって
       ことはないだろうよ。」

マタハリ(モルガン)「なりふり構わずランスロットを[ピーーー]ようなことがあれば、フランスの民に
           どれほどの遺恨が残るかしらね?」

マタハリ(モルガン)「フランスとの国交が断絶したら…今のブリテンの自給率で交易が途絶えたら干上がっちゃうわよ?」

モードレッド「現在進行中で止まってるんだよ!教皇庁が和睦の仲介をしたのにすぐに戦争したって
       諸外国から総スカンくらってるし…大陸のブリテン領はあてにできねえか?」


マタハリ(モルガン)「えーっと、無理ね。ゴールの宿六もなんとかしようとしてるけど、
           周辺諸侯に封鎖されてて弟に合流するのも不可能よ。」

モードレッド「はぁ。どっちにしろランスロットと和睦しなけりゃ詰んでるじゃねぇか。」

マタハリ(モルガン)「でもガウェインはランスロットを決して許さないでしょうし…いっそのこと
           あの子が討ち取られれば…」

モードレッド「そうなったら、それこそ父上はランスロットを許すことができなくなるだろうが」

マタハリ(モルガン)「でしょうね。それで延々とぐだぐだ消耗しつづけていると…」


モードレッド「あー!!戦果もねぇ!吉報もねぇ!補給の要請だけはある!ふざけんな!!」


モードレッド「…この状況で国の体裁を保ってんだから、俺って結構才能あるんじゃね?」


マタハリ(モルガン)「はいはい。…でも実際、あなたが弟の立場だったらどうする?」

モードレッド「あー?…少なくともランスロットとの和睦は絶対。これだけの惨事を引き起こした以上、
       どこか拳の振り下ろし先がいる。戦果も必要だし武威を知らしめなきゃならねぇ。となると…」

42

モードレッド「ランスロットと速攻で和睦して、今回の出兵はブリテンとフランスと教皇庁との策略で、本当は
       教皇庁の要請で悪しきローマ帝国を懲らしめるためだったって宣伝するか。」


マタハリ(モルガン)「へぇ。」


モードレッド「…んで、悪逆非道のローマ帝国をボコボコにして、仲直りにおともだち料をたっぷりせしめて、
       教皇庁からお礼をもらって凱旋するかね。」

マタハリ(モルガン)「ローマもいい迷惑ね」

モードレッド「だいじょうぶだいじょうぶ。悪だくみしてないローマがローマなわけねぇし、
       認めるまでぶん殴れば認めるだろ。」


マタハリ(モルガン)「もし負けたらそれこそブリテンは世界の敵になるわね。」

モードレッド「黒幕は教皇庁ってことにするからへーきへーき。」

マタハリ(モルガン)「アッティラもびっくりな蛮族っぷりね」

モードレッド「力を示して戦果をだしゃ、文句はでねぇだろ…って、冗談はともかく、
       そもそも、このブリテンの自給率の低さはどうなってんだ?」

マタハリ(モルガン)「…それが弟の方針なんだから、仕方ないわよ。」


モードレッド「あん?父上に何か落ち度があるみたいに言うじゃねぇか。」

マタハリ(モルガン)「あの子のやってきたことを振り返ってみなさいよ。」

モードレッド「なんだと?父上は先王ウーサーが崩御し、内乱状態になり荒廃しきったブリテンを正統な後継者として
       統一なされ、蛮族やローマのような侵略者からこのブリテンを守り切った英雄だろう。」

マタハリ(モルガン)「まぁ、そうね。」

モードレッド「父上は統治だって素晴らしいだろ。思想を異にするような異教徒であっても
       功を認めれば円卓の騎士として認めたり公平、公正に統治されている。それに民衆に対しても守るべき教え
       を説き教化し決してないがしろにしたりしねぇ。だからこそ、国中の誰もが父上を敬ってるじゃねぇか。」

マタハリ(モルガン)「あんた達の神の教えの是非はともかく、民衆が教化されれば治安は維持されたり、
           衛生環境が向上し、インフラは整備され民力が強化されたわね。そこのところは認めてあげるわ。」

モードレッド「加えてフランスとのツテで大陸との関係を強化させたのも偉大だったな。」
              
マタハリ(モルガン)「大陸と交易できて食べ物が供給されれば当面の問題は解決できるわ。
           でも何時までたってもブリテンはうだつがあがらない。そうよね?」

モードレッド「…確かにな。インフラが整って、食い物を余所から調達できてるんだから、
       ブリテンの人口は増加する。人口が増加すればそれだけブリテンはより開発することができ、
       国は豊かになっていく。…はずだった。」


モードレッド「何時まで経っても、ブリテンの生産性はろくにあがらない。目を光らせてるが中間搾取があるわけでも
       民がサボってるわけでもない。…この原因はなんだ?気候か?土地柄か?」


マタハリ(モルガン)「ふーん。あんたでも知らないのね。原因は神秘よ、し・ん・ぴ。」

モードレッド「しんぴぃ?なんだそりゃ。」

マタハリ(モルガン)「魔術的なアレよ、あれ。」

モードレッド「父上の剣がピカピカ光ったり、ガウェインが日中力持ちになったりするあれか?」


マタハリ(モルガン)「そう、それよ。この星から神秘の力が失われつつあるのよ。」

モードレッド「その神秘とやらがなくなったから作物がとれなくなっているってことか?」

マタハリ(モルガン)「逆よ。世界から神秘が失われつつあるというのに、このブリテンにおいては
           未だ神秘が存続してしまっている。その歪みゆえ、ブリテンの地はどんどん
           朽ちてきてしまっているのよ。」


モードレッド「ブリテンが時代の流れから置いてけぼりになっているってことか。
       …でも、なんで余所じゃ神秘ってのが失われてるんだ?」 


マタハリ(モルガン)「そんなの、必要なくなったからに決まってるでしょ。
           例えば、虫けらや畜生に神秘の力は必要かしら?」


モードレット「そりゃ、そんな奴らにはいらないだろ。」


マタハリ(モルガン)「じゃあ。虫や獣ですら必要としないものに、なぜ人間は必要とするのかしら?」

モードレット「…人間には道理がある。だが世には善が悪に蝕まれるような理不尽なことはあるだろう。
       人が人として真理を守るために無力であってはならない。だから神秘は必要だ。」


マタハリ(モルガン)「そうね。だけど人は文化を築き種としての成長を重ねてきた。もはや神秘に頼らずとも
           自分たちの力で人理を守れる時代になりつつあるのよ。」


モードレッド「だとしたら、ブリテンが時代の流れに取り残されているってことか?
       どうやったら解決できる?」


マタハリ(モルガン)「そうね。ようするに、ある意味で世界と隔絶しているところがあるから、移民を
           受け入れたりして、外部から人を受け入れるのを活発化させればいいわ。」

モードレッド「いや、それは無理だろ。ブリテンの混乱の発端はヴォーディガンが
       サクソン人を引き入れたことが発端だ。」


モードレッド「ブリテンの民は異民族の入植に関しては否定的だ。父上でも二の足を踏むだろう。」


マタハリ(モルガン)「できないからやらないなんてと、あの子にあり得るかしら?
           むしろ、時代の流れに逆らっても神秘を維持したいと考える方が自然じゃない?」

モードレッド「…それはそれで間違っちゃいない。今はそうなるべきであっても、いずれ神秘の力に頼らなければ
       ならないことが将来起きるかもしれねえ。ブリテンが神秘の最後の砦になってるのなら、
       時代の流れに逆らってもそれを維持するのは正しいことだろう。」


マタハリ(モルガン)「ふーん。あなたでもそう思うんだ?」


モードレッド「…どういう意味だ?」

マタハリ(モルガン)「マーリンは全ての未来を見通すわ。だからこそ、あの子も将来的にどのような禍が
           来るか知っている。」


マタハリ(モルガン)「そして、その悪しき未来が来ることを防ぐためには、より多くの善のために、
           あの子は本来自分が今守らなければならないものを犠牲にすることもいとわないわ。」


マタハリ(モルガン)「そうでしょう?メドラウト。生き残った男の子。」

モードレッド「…!!」

モードレッド「…その名で俺を呼ぶんじゃねえ。俺は円卓の騎士モードレッドだ。」

マタハリ(モルガン)「…フフフ」

8

=====ブリテン領内==========



アナタスシア(領民)「ああ、今年もめっきり収穫が減ってしまったようね。」シクシク

カドック(領民)「…アーサー様も、フランスでつらい戦いを強いられているんだ。それを思えば
         これくらい我慢しなきゃだめだ。アナタスシア。」

ベリル(領民)「一番つらいのは、友と戦わなければならない王様だもんな。」

カドック(領民)「それに、モードレッド宰相の統治は、思ったよりも穏やかなものだ。。
         今回も戦争が続いているが、俺たち民に、無理に税を取り立てたり、賦役を課したりはしていないじゃないか。」


ベリル(領民)「そうだな。邪悪な騎士といわれていたが、案外、俺たちのことを思ってくれているのかもな。」


アナタスシア(領民)「あとはアーサー様とランスロット様が仲直りをしてくれれば、
           少しは楽になるわよね?カドック。…あれ?あちらにいる方は…」      

モードレッド「…」

カドック(領民)「…こ、これは宰相様!なぜこのようなところにお越しくださるとは?」


モードレッド「…つらいか、生活は?」

ベリル(領民)「いーえ、いえ!我らが王様と、ブリテンを思えばこれくらいへっちゃらですよ!ヘヘヘ」

ヒナコ(領民)「私もアーサー様がお若いころから知っているけど、あのお方は本当に、
        このブリテンと私達のために、働いてくださってるわ。」

ヒナコ(領民)「…そのためにつらいであろう決断をしなければならないこともあったわ。
        だから私たちも苦しいからって弱音を吐いていられないわ。」

ヒナコ(領民)「いつか、きっとブリテンは豊かな国になるわ。未来のためになるとを思えば
        まだまだ私達は頑張らないと。」

モードレッド「…そうか、すまないがもうしばらくは皆にも負担を強いることになる。
       だが、ブリテン宰相として、いずれ必ず貴公らの奉公に報いることは約束する。
       どうか、今しばらく努めてくれ。」

カドック(領民)「ええ、勿論ですよ。」

アナタスシア(領民)「宰相様もご立派にお勤めくださいませ。」



===キャメロット==========


モードレッド「…」

マタハリ(モルガン)「民衆ってのはかわいいものよねぇ。よくもまぁあんな子を信じて頑張れるわね。」

モードレッド「…黙れ。」

マタハリ(モルガン)「本来ならば、とうに神秘は失われ、神話の時代から人の時代にと移行しているはず。
           運命に逆らってまでして、あの子はどこにいくつもりなのかしら?」

モードレッド「…いい加減にしろ!だいたい、魔女のお前がなぜそんなことを口にする!」


マタハリ(モルガン)「見くびらないで。私にとってはこの大地こそが全てよ。この島に住むすべてが
           神秘に頼らず生きていけるレベルに到達したのなら、私はその生命の成長を喜ぶわ。」

マタハリ(モルガン)「ケルトの神が去り聖杯も天に還った今、ただブリテンなんていうこの地に住まう人間たちの
           集団の都合で、この島が捻じ曲げられているなんてことの方が馬鹿げているわ。」

51

モードレッド「…ちっ、てめえは、お前の力の源だったケルトの神がいなくなったように、俺たちの神の威光も
       失われちまえばいいってだけだろうが!」


マタハリ(モルガン)「なんとでも言いなさい。でもこれだけは覚えておいて。今のブリテンは本来
           あるべき運命から外れつつあるわ。ただあの子の意思によってね」

マタハリ(モルガン)「多分。あの子も間違ってはいないでしょう。悪しき運命を知りえたのなら
           それを防ごうとするのは理想の王としては当然ですもの」クスクス

マタハリ(モルガン)「過去にもあったでしょう?アーサー王は滅びの子を葬るために
           子供たちだけの船を送りだしたわ。」

マタハリ(モルガン)「だけどその時、アーサーは運命に勝てなかった。他の子供は全て死に絶えたけど、
           滅びの子は生き延びた。」

マタハリ(モルガン)「今度こそは、弟は運命に勝てるかしらね?まぁ、どちらに転んでも
           ブリテンの民たちには、同じことでしょうけどね!」

モードレッド「…」

=====ブリテン領内==========



ベリル(領民)「お…おい、大変だカドックどん!あの話を聞いたか!」


カドック(領民)「ああベリルどん!なんてことだ、アーサー王様が、ランスロット卿に
         討ち取られてしまったって話じゃないか!」

アナタスシア(領民)「ああ、こんなことになってしまうなんて!悲劇だわ!」シクシク

ベリル(領民)「一体この国はどうなってしまうんだ…」

カドック(領民)「なんでも、宰相のモードレッド卿が王になるそうだ。」

アナタスシア(領民)「モードレッド卿…アーサー様が離れられてからは立派に国を治めていたけど、大丈夫かしら?」

ベリル(領民)「それに、アーサー様がころされたなら、やはり敵討ちの戦争になるんじゃないか?」


カドック(領民)「いや、モードレッド様は、先の戦いは教皇庁の和睦案を退けたうえの無謀な戦いの連続であるとして、
        これ以上民に負担をかけたくないという理由で、出兵する気はないそうだ。」


ベリル(領民)「そうか…、素直に喜べはしないが…それならこれ以上生活が苦しくなることはないか。」

カドック(領民)「しばらくは民力の回復につとめたいとおっしゃっているそうだし、
         期待はできるかもしれないぞ。」

アナタスシア(領民)「そうね。否定的なことを言いたくないけれど…アーサー王様の時は、常に戦いの連続だったものね。」

ぐだ男「そう。なんと宰相を任されていたモードレット卿は、アーサー王がランスロットに討ち取られてたという
    書簡を偽造し、ブリテン中に流言を流しました。そしてだまされた諸侯たちは、
    モードレットをブリテンの王に任命されてしまいました。」


ぐだ子「アーサーとランスロットのぐだぐだに乗じて、ここでモーさんが動くのね。」

マシュ「はい。なぜモードレット卿が、謀反をしたのかは不明ですが、書簡を偽造し諸侯達を欺いているあたり、
    綿密な計画を立てていたと考えられますね」

ぐだ男「少なくとも周りから祭り上げられた、とかではなく自分の意思っぽいね。
    果たして、それに大義はあったのだろうか…。」


ダヴィンチちゃん「モードレットとアーサー王の対立については、王の後継は姉の子供がふさわしいというケルトの風習をとなえる
         モルガンと、近親相姦故にキリスト教的価値観によってそれを拒むアーサー王という対立軸である、とする
         説もあるそうだよ。」


===一方=====

天の衣(ギネヴィア)「はぁ、今もあの人とランスロットは争っているのね。心苦しいわ。」

イリヤ(コンスタンチン)「た、大変ですギネヴィア様!」

天の衣(ギネヴィア)「コ、コンスタンチン!どうしたのよ、こんな私に会いに来るなんて…」


イリヤ(コンスタンチン)「いいから、聞いてください!アーサー様が、ランスロット卿に討ち取られた
             という書簡が届いたんです!」

天の衣(ギネヴィア)「な…なんですって!そんなことはありえないわ!」

イリヤ(コンスタンチン)「はい。私もそう思います!ただ、諸侯達はこれをすっかり信じてしまっていて、
             モードレット卿をブリテンの王と認めてしまったの!」

天の衣(ギネヴィア)「あの子ったら…とうとう、本性を現したわね。」

イリヤ(コンスタンチン)「それだけじゃないです!モードレッド卿は、その…」

天の衣(ギネヴィア)「?」

イリヤ(コンスタンチン)「王になるあたりに、ギネヴィア様を妻とすると表明したんです!」


天の衣(ギネヴィア)「じょ、冗談じゃないわ!」

55

ぐだ男「王になったモードレッドは、なんとアーサー王のお妃さま、ギネヴィアを妻にすると宣言します。
    しかし、そのことを知ったギネヴィアは、ロンドン塔に逃げ込み籠城しました。」

ぐだ子「アーサー王の奥さんと結婚しようだなんて…お母さんみたいなものよね?
    こっちのモーさんもコンプレックスがありそうだけど、かなりこじれてそうね。」

マシュ「以前ギネヴィアが処刑されかけたとき、モードレットはその場に居合わせながらも、擁護しなかった
    ので、愛情があったかは疑問が残ります。むしろ、アーサー王を上まわらんとする野心の表れのように見えますね。」


====ロンドン=======

モードレッド「ちっ、厄介なとこに逃げ込みやがって…」

天草(?)「やれやれ一体なんということをなさるのです。モードレッド卿」

モードレッド「カンタベリーの司教か、坊主は引っ込んでろ」


天草(カンタベリー大司教)「王の死を捏造して王の座を簒奪し、あまつさえ実父の妃を妻にしようだなど…
      とても見過ごせません。悔い改めなさい。」


モードレッド「ふん。民衆と諸侯を手懐けるには、ギネヴィアを王妃にするのが一番手っ取り早いだろうが。
       オレはオレのすべきことをするだけだ。」

天草(カンタベリー司教)「愚かな…しかしここにいたっては仕方ありません。」

天草(カンタベリー司教)「ベルとブックとキャンドルを。」

天草(カンタベリー司教)「鐘書燭破門式を執り行います。」



ぐだ男「モードレットはギネヴィアの対応に手をこまねいている間に、不穏を察知した
    カンタベリー司教の手により、破門されてしまいます。そして、とうとうアーサー王の軍勢も
    ブリテンに向かっていることを知り、ドーヴァーで迎え撃つことにしました。」

=======ドーヴァー=======

モードレッド「奴らを上陸させるな!迎え撃て!!」

ガウェイン「モードレッド…!裏切ったのは本当のようですね。
      何故こんな馬鹿なことを…!」

モードレッド「ガウェインか。そうだな。
       …本当に、なんでだろうな?」

モードレッド「本来ならば、お前がこうしていても可笑しくはないんだからなぁ?」

ガウェイン「貴様、狂ったか?」

モードレッド「おかしいのはお前だよ。ガウェイン。一体なんで王の甥の中で最も王に近しいテメエが
       王の代理たる宰相に任じられずに前線に出て、父親も定かじゃねぇ、本来
       前線で使い潰されるに相応しいオレがブリテンを任されたんだろうなぁ?」

57


モードレッド「今お前がいる場所が本来オレのいるべき場所だった。そうだろうが。」

ガウェイン「…!!」

モードレッド「テメェはアグヴェインや自分のガキを抑えることができなかった。」

モードレッド「ガヘリスやガレスを守ることすらもできなかった。」

モードレッド「挙句オレの場所まで奪っておきながら、てめぇこそ一体何がしたいんだ?」

モードレッド「…オレは別に王に疎まれ続けて、目の届く範囲で死ぬまで飼い殺されたとしても、
       それならそれで構わなかったよ。これでも自分の邪悪さは理解してるからな。」

モードレッド「だが、もう手遅れだ。結局人間はやるべきことをやらなきゃならねぇってことだろう。」ジャキン

ガウェイン「…くっ」

モードレッド「…最後の最後弟の役に立てたんだ。喜んで地獄に落ちろ!」

58

===数時間後======


ガウェイン「…ぐふっ」

イアソン(ケイ)「ガウェイン!しっかりしろ!本隊は無事に上陸できたんだ。死ぬんじゃねぇ!」

ガウェイン「…この傷ではもう持ちません。治療は不要です。だが、最後にまだ…やるべきことが…」

イアソン(ケイ)「なんだ?言ってみろ!」

ガウェイン「紙とペンを…ランスロットに…手紙…を…」


ぐだ男「ドーヴァーで戦いが始まります。アーサー王は無事に上陸することができましたが、
    ガウェインは、モードレッドにランスロット戦で追った古傷を抉られて戦死しました。」


ぐだ子「ガウェイン…ちょっと暴走しすぎたけど、ここまでなのね。」


====ブリテン======


プーサー「…そうか、ガウェインが…」

アーラシュ(ルーカン)「ああ。…それで王よ、領民たちがお前に会いたいそうだ。」

カドック(領民)「…」

アナタスシア(領民)「…」

プーサー「諸君らが、モードレッドに欺かれていたことは承知している。それゆえモードレッドに
     与したのも仕方がないことだ。だから、私は君らを罰するつもりはない。安心してくれ。」

カドック(領民)「王よ、貴方が不在の間、モードレッド卿の統治は、穏やかなものでした。」

プーサー「!」

アナタスシア(領民)「むしろ、私達はアーサー様がご存命を聞き、ある恐れが沸いてきました。」

アナタスシア(領民)「アーサー王様のもとでは、常に戦いと、争いのつづく生活が強いられるのではないか、と。」


ヒナコ(領民)「このブリテンのために、最も働かれ、戦われ、そして来るしんでいるのがアーサー王様だったということは
        理解しております。だから私達も、今は皆が未来のために、苦しくても、働き続けなければならない。
        それは、理解しております。…理解しておりますが…」

ベリル(領民)「それでも、俺たちは…疲れちまった。モードレッド様のもとでなら、
        無理に戦い続けることもなく穏やかに、生きられるんじゃないかって…だから、俺たちは
        本気でモードレッド様を応援した。」

ベディヴィエール「…そんな!あなた達は、本気で王を裏切ったと認めるのか!」

プーサー「待て、ベディヴィエール!」

アナタスシア(領民)「申し訳ありません!それでも、私達は貴方様のように強い人間ではないの!」

カドック(領民)「こう思っている人たちは少なくない。ブリテンの民は多くがモードレッド卿を支持しております。
         どうか、ご容赦ください。」

ヒナコ(領民)「本当に申し訳ありません。誰よりもアーサー王様がブリテンと私達民のことを思われているのに…」

プーサー「…違う、僕は…」ボソッ

ヒナコ(領民)「?アーサー様?」

イアソン(ケイ)「ほらほら、わかったわかった。甥が死んで我らが王もお疲れなんだ。お前たちには絶対悪くはしないから
         とっとと家に帰った帰った!!」

プーサー「…」


ぐだ男「無事ブリテンに帰還したアーサー王でしたが、民たちの間では、モードレッド卿は穏やかな暮らしを約束してくれるが、
    アーサー王のもとでは、常に戦いの連続である苦しい生活を強いられるという世論が巻き起こっており、多くの者が
    モードレッドを支持していたのでした。」

ぐだ子「うーん。民衆に見放されて不憫だけど、アーサー王の統治にやっぱり不満を思っていた人も
    いたのでしょうね。」

マシュ「当時のブリテンの状況から、戦いと争いがあり、老いも若きも苦しい生活を強いられるのは仕方ないことだったと
    思います。ただ、アーサー王が誰よりも働き戦ったが故に、民がそれに倣おうとして無理がたたり、
    ある種の厭戦感情が高まっていたとしても無理らしからぬことです。」

ぐだ男「そして、アーサー王の死のモーさんはその感情にうまくつけいった、と。
    こっちとは違った意味でやり手ではあるね。」


ぐだ男「そして、アーサー王はモードレッド卿と戦いを始めます。」



=====バラムの丘========


プーサー「モードレッド!何故だ!何故裏切った!!」

モードレッド「アンタこそ一体どこに向かっているんだ?落ち着いて回りを見てみろよ。
       もうアンタを王と頂く者はこの地にはいやしない。」

モードレッド「諸侯は俺を王と認めた。そしてブリテンの王は破門された。
       新しいブリテンの主は神秘を能動的に放棄した。
       この地は呪われ、神秘は失われる。…いや、神秘から解放されるというべきか?」
       

プーサー「なんてことを!貴様、自分が何をしでかしたかわかっているのか!
     この地から神秘が失われれば…」

モードレッド「勿論だ。ブリテンは取り残された時代から世界に合流することだろう。
       捻じ曲げらた大地は元に戻る。そのために、アンタのたくらみが潰れたとして
       なんの問題があるというんだ?」

プーサー「ふざけるな!終わらない、終わらせはしない!」


モードレッド「立派なもんだな…そのために、自分の民をも苦しめても構わなかったのか?」


プーサー「神秘を維持しつつとも、世界ととの繋がりを上手くすれば管理すれば、ブリテンの繁栄は可能だった!
     貴様が余計なことをしなければ…!」

モードレッド「それは運命に逆らってまでもすべきことか。」

プーサー「いずれそれが世界を救うことにに繋がるのなら、私は運命にいくらでも抗おう。」


モードレッド「そうか。クックック…ハーッハッハッハ!
       そうだ、それが、アンタの本音だ。アーサー王!!」

プーサー「…!?」


モードレッド「世界を救うためなら運命を乗りこえようとする、さぞ立派なことだろうさ!
       そして、自分がそうであるように、民にもそれを強いるのだろう!」


モードレッド「だからこそ我が子にも、お前も運命を乗り越えるためこの場で[ピーーー]と
       命じられたんだなぁ!!」

プーサー「モードレッド、貴様、一体何を言っている?」

モードレッド「ハハハ。今更俺をその名で呼ぶなアーサー王。モードレッドはあくまで
       円卓の騎士としてのオレの名だ。国は滅び、円卓は崩壊した今それはふさわしくはない。
       それとも忘れちまったのか?」

モードレッド「メドラウトの名に覚えはないか?」

プーサー「…!まさか、そんな…!!」


ぐだ男「モードレッドも食い下がりますが、アーサー王に退けられます。
    双方多くの犠牲者を出したため、お互い、次こそ決着をつけるべく準備に入りました。」


65


===夜======

プーサー「うーん。うーん。」

??「我が王…我が王…私の声が聞こえますか?」

プーサー「うぅ…その声は…ガウェインか?生きていたのか!」

ガウェイン「いえ、しにました。今の私は亡霊です。」

プーサー「そうか…すまない。私が不甲斐ないばっかりにお前まで…」

ガウェイン「王に落ち度などありません。私が愚かでした。
      自分の立場をわきまえず、申し訳ないばかりです。」

ガウェイン「ただしぬ寸前といはいえ、愚かさに気づけたのは幸いでした。
      最後に一つだけ、自分の役割を果たせました。」



===フランス=======


小次郎(ボールス)「ランスロット卿、ガウェイン卿からお手紙でござる。」

ランスロット「なに…おお、この内容は!モードレッドめが、謀反を起こした故、
       援軍を頼むだと?これは、急がねば、ボールス。すぐに出陣するぞ!」

小次郎(ボールス)「御意に。」


メドゥーサ(エクター)「…ってことだそうです。」

メディア(ライオネル)「…置いてけぼりくらったわね。いくらなんでも急ぎすぎよ。」

メドゥーサ(エクター)「はやく追いかけましょう!」


プーサー「ランスロットに手紙をだって!」

ガウェイン「はい。ランスロットと合流できれば、我が王に敵はおりません。
      …ただ、モードレッド卿のことなのですが…」

ガウェイン「一度、和睦していただきたいです。」

プーサー「…彼を許せということか?」

ガウェイン「それは、王がお決めになることです。それにランスロットが援軍にくるまで
      時間がかかるはずですし、今の状態のまま戦えば、恐らく皆しに絶えることになるでしょう。
      合流するまでの間でも構いません。どうか、奴に一度だけ機会を与えてください。」

プーサー「…。」

ガウェイン「私が自分の間違いに気づいたときは、遅すぎました。だからこそ、我が王には
      同じことをしてほしくない。」

プーサー「わかった。」

ガウェイン「ありがとうございます。それではこの国を…弟を、頼みます。」

ぐだ男「決戦を前にして、ガウェイン卿の亡霊がアーサー王の夢枕に現れます。話によると、
    ガウェインはいまわの際にランスロットに援軍要請をしたということだそうで、
    それまでの間、停戦してくださいということでした。」

ぐだ子「なんだかんだで、ガウェインも立派な忠臣よね。」

68

======モードレッド陣営========



モードレッド「おい、てめぇら!これは一体どういうつもりだ!」

アーラシュ(ルーカン)「何って…停戦協定を結ぶための条件だ。これで不満か?」

ベディヴィエール「コーンウォール、そしてケントの地を我が王は卿に任せるご意向です。」

モードレッド「そこじゃねぇよ!王の死後…王は、我が子に領地をすべて相続させるだと!何考えてんだ!」

アーラシュ(ルーカン)「おいおい。王の生前から全てを手中に収めなければ気がすまないのか?」

モードレッド「ふざけるな。俺の母親を、一体誰だと思っている!我が王の実の姉だぞ!」

モードレッド「ブリテンの王が、ブリテンの教えに反する罪を犯していたと、世界中に知らしめる気か!」

ベディヴィエール「破門されたあなたがそれを言いますか?…ブリテンの教えは、贖い…万能なる神と
         人との和解についても説いています。」



アーラシュ(ルーカン)「今になってだが、王はかつての過ちから目をそらさず、認めるつもりだ。
            そのうえで、罪を償い、全てをやり直しになさる。だからお前にもう一度機会を与えられたいそうだ。」
 
アーラシュ(ルーカン)「そのためならば、内外からの全ての批難をも身に受ける覚悟だが…お前はそれを受け、どうする?」

モードレッド「ぐ…が…!」


ぐだ男「アーサー王は、ルーカンとベデヴィエールの兄弟と司祭をモードレッドのもとに派遣し、休戦協定の
    交渉をします。そして、モードレッドはまずコーンウォールとケントを統治し、王が崩御したら改めて
    ブリテンの全てを引きつぐという内容に決まりました。」

ぐだ子「ランスロットと合流するまでの時間稼ぎのはずだけど結構思い切った条件なのね。
    結局、はごにするのかしら?」

ぐだ男「そして、協定の調印のため、カムランでアーサー王とモードレッド卿は会談します。
    両軍の兵が向かいあう中、話し合いが始まります。」


====カムラン=========


プーサー「モードレッドは罪を犯した。だが私にも大きな過ちがあり、それを償うためにも
      私はモードレッドに対しても、その機会を与えねばならない。」

モードレッド「王は道を誤った。しかし、王は自身の否を認められた。それをやりなおしたいと
       いうのであれば、私もそれに応じなければならない。」

プーサー 「だが、知っての通りモードレッドは邪悪な騎士だ。」

モードレッド「存じているとおり、アーサー王は非情なる王だ。」


プーサー・モードレッド「「会見の場で、誰かが剣を抜けば、それは和睦の失敗を意味する。
             速やかに戦いにうつるように」」


両軍「「おー。おー。」」


ぐだ男「アーサー王とモードレッドは、緊張感が高まる中、会談の場で誰かが剣を抜けば、
    速やかに戦えと兵士に伝え、交渉が始まります。その結果、無事和睦しました。」


ぐだ子「え、あの条件で和睦できたんだ。」


モードレッド「この和睦は、ランスロットが来るまでの時間稼ぎか?」

プーサー「そうなるかもしれないが、それはお前の態度次第だ。」

モードレッド「あとになってオレを血祭にあげたとしても…オレを自分の子と認めた事実は 
       変わらない。わかっているのか?」

プーサー「…偽りの土台の上に、平和を築きあげたとしてそれになんの価値がある?」

プーサー「ランスロットの一件だってそうだ。僕が理想の王であろうとしたことがゆえに、
     目をそらしつづけたことが発端だった。」

プーサー「どれだけ批判され侮辱されることになっても構わない。
     僕は過ちをすべて認め、最初から全てをやり直す。」

プーサー「…モードレッド、協力してくれるか?」

モードレッド「…ひとつ条件がある。」

プーサー「なんだ?」

モードレッド「…これからは…その…父上、と呼んで構わないか?」

プーサー「…ああ。もちろんだ。我が子よ。」


藤丸立香(?)「ふー。よくわからないけど、これでブリテンは平和になるのかな?」

清姫(?)「ふふ」もそっ

清姫(?)「ふふふふふっふふふふふふふふふふふふふふふふっふふふふふふふ」シュルシュル

藤丸立香(?)「わー、蛇だー。」

スパァン

清姫(蛇)「きゃあ」


プーサー「…え?」

モードレッド「…な?そこの、騎士、お前…」

藤丸立香(騎士)「あ、俺剣抜いちゃった。」



両軍「「うおー、和睦は決裂したー。戦うぞー」」

プーサー「…くそっ、今日は最悪な日だ!!」

モードレッド「・・・ハハ。そうか。やはり、こうなるか。そうだろうな。
       ハーッハッハハ!」


藤丸立香(騎士)「アーサー王も、モードレッド卿も、はじかれるように自分の陣営に戻った!
         俺も戻らなきゃ…って、あれ?俺どっちの陣営だっけ?」


ぐだ男「会談の場に、蛇が迷い込みある騎士の足にまとわりつきました、騎士は驚き、剣を抜き、
    蛇を切ります。しかし、それに両軍は和睦が決裂したと思い、戦いがはじまってしまいました。」

ぐだ子「あー、結局和睦はダメになるとおもったけど、どっちの意向でもなかったのね。」

マシュ「はい。ただ一触即発の場であったことは推察できますし、ある意味で必然。運命といえるかもしれません」

ダヴィンチちゃん「蛇とはキリスト教における悪魔の象徴でもある。」

ぐだ子「和睦したまま解散した場合、ランスロットがブリテンにやってきたら、
    アーサー王はどうするつもりだったのかしらね。」

マシュ「…。」


====カムラン============


プーサー「…あ…あ…」

死体の山「…」

プーサー「ああああああああああ!!」

ぐだ男「両軍は激しく戦い。アーサー王とその配下の騎士ルーカンとベデヴィエール。そして
    モードレッドの4人以外は皆死にました。」

ぐだ子「そういえばケイ卿は?」

マシュ「恐らくこの戦いで亡くなります。」

モードレッド「…へぇ、あんたでもそんな顔をするんだな。」

プーサー「モード…レッド…!」

モードレッド「…やれやれ。一体何を悲しんでいるんだか。どいつもこいつもブリテンを思って
       覚悟を決め戦い、しんでいったんじゃないか。王ならば、悲しむんじゃなくて、ねぎらってやれよ。」

モードレッド「誰であろうと死ぬ。国もいずれ滅ぶ。全てを見通す邪悪な夢魔を従えても、運命は変わらない。」

モードレッド「運命には勝てないし、勝つ必要もない。
       運命を変えようとすること自体人の領分を越えたことなのだから。」

モードレッド「だからこそ今日ここに集った騎士達は幸せ者だ。そんなちっぽけな人間の身で、
       運命を悟り、そのうえ全うしたんだ。全く素晴らしい話じゃないか。」


モードレッド「自分の運命を理解する以上の幸せがあるか?自分の役目が、
       国を滅ぼすような邪悪なものであったとしてもだ。」
 
モードレッド「子供たちが、ただ滅びの子と同じ日に生まれたというだけで理不尽な力で、
       なんの意味もわからず死んでいったのに比べれば。」

モードレッド「本当に…オレは、オレはなんて幸せ者なんだろうなぁ?父上。」


プーサー「モードレッド!呪われた子め!槍をよこせルーカン!!
     今この場で決着をつけてやる!」

アーラシュ「待て、アーサー!!この場は引け!」
 

ぐだ男「アーサー王は、モードレッドが死体の山のうえで剣を杖に休んでいるのを見つけると、ルーカンが
    止めるのも聞かず槍を彼からひったくりモードレッドに襲い掛かりました。アーサー王はモードレッドを
    槍で貫きますが、モードレッドの迎撃も止まらず、兜を剣で叩きつけられました。」

ぐだ子「モーさんガッツがないのが不思議なくらいタフね。」


アーラシュ(ルーカン)「…王よ、王よ!返事をしてくれ…!」

プーサー「…」

プーサー「…僕は…恐れた…」

アーラシュ(ルーカン)「…王?」

プーサー「あの子を恐れていた。滅びの運命を…僕は…知っていた。あの子がいずれ国を滅ぼすと。
     だから僕は追放した。遠ざけたかった。過去の自分の失敗から…目をそらしてしまった。」

プーサー「…最初から…あの子から目を離さず向き合っていれば…こんな、仮にそれが滅びにつながったとしても、
     仲間同士の争いでない…もっと…穏やかな滅びを迎えることが…できたんじゃないか?」

アーラシュ(ルーカン)「…ハハハ。まるで神様にでもなったような口をきくのは、お前の悪い癖だぞアーサー」がしっ


プーサー「…まて、ルーカン。そんな傷だらけの体で僕にかまうな。傷口が開くぞ!」

アーラシュ(ルーカン)「黙ってろ。俺の頑丈さはよく知っているだろ。」

アーラシュ(ルーカン)「…なぁアーサー。一体だれがお前を馬鹿にできる?確かにお前は、後になってみれば、間違った選択をしてしまった
            こともあっただろう。だがそれでも、俺はお前が王である前に、一人の人間として、常に悩み、決断をしてきたことを
            ずっと見てきた。そんなお前を、どこの誰が批判する資格がある?後の世でお前が誰に何を言われようが知らないが、俺は
            今この場で言ってやる。」              


アーラシュ(ルーカン)「お前は、間違っちゃいない!!」


プーサー「…!ルーカン。…ルーカン!!」ガシッ

アーラシュ(ルーカン)「…!!」ズキッ

プーサー「…?どうした、ルーカン?」


アーラシュ(ルーカン)「はは、なんでもないさ。さぁ、帰ろうぜ。アーサー。」にかっ

ぐだ男「ルーカンとベディヴィエール卿は、王を連れ撤退します。」

79

===浜辺の礼拝堂=======


プーサー「…?ここは?」

ベデヴィエール「…!王よ。お目覚めになりましたか!よかった。」

アーラシュ(ルーカン)「…」

プーサー「…ああ。私はまた気を失って…、そうかここに運んでくれたのか。
     ありがとうルーカン。ベデヴィエール。」

ベデヴィエール「…いえ、そんな恐れ多い。」

アーラシュ(ルーカン)「…」

プーサー「本当に今まで苦労をかけ…おい、ルーカン。どうした…。」

ベデヴィエール「…我が王。兄上は…もう…」

プーサー「…!そうか。すまない。」

ぐだ男「円卓成立以前から仕えた騎士ルーカンは、カムランの戦いの直後に亡くなります。死因はアーサー王を
    担いだ際に傷口が開いたためとも、悲嘆にくれるアーサー王に抱きつかれ絞められたたからだとも言われています。」

マシュ「死因の逸話ですがアーサー王の名前が羆に由来する点からとられています。」


ぐだ子「槍トリアの絆礼装ね。」


プーサー「…もう、ここまでだな。ベデヴィエール。僕の剣を水にお返ししてくれ。」


===水辺=========

ベデヴィエール「我が王の剣…これはいわば、今ブリテンに残った最後の神秘の欠片…これが失われれば、
        王は…本当に死んでしまうのでは…」

ぐだ男「ベディヴィエールは、剣を捨てることができませんでした。」

プーサー「剣を水に投げ入れたとき、君は何を見たかな?」

ベデヴィエール「我が王…それは…」

プーサー「お願いだ。ベデヴィエール。」

ベデヴィエール「…はい。」

81

…その後…

プーサー「また。できなかったんだね。」

ベデヴィエール「…はい。」

ベデヴィエール「カムランの戦いで、皆…皆死んでしまった。
        そのうえで…もしも…我が王が死に…そして剣までなくなれば…王の生きた証が…痕跡すら失われる…
        それが、私には耐えられません!!」

プーサー「大丈夫だ。僕がしに、国がほろびようとも、国の中で生きた民たちがいる。
     それは、必ず未来につながっていく。それこそが、何よりの僕の生きた証なんだ。」


ぐだ男「ベデヴィエール卿は、王に3回頼まれ、やっとのことで、エクスカリバーを投げ入れました。」

82


スカサハ(?)「キャッチ!!」


ベデヴィエール「…という感じでした。」

プーサー「…そ、そうか。では、僕をそこまで運んでくれ」


ぐだ男「アーサーを背負い、水辺に向かうと、貴婦人が乗った小舟がありました。」

マタハリ(モルガン)「あら?グリフレッドではないのね?まぁ、構わないけど。
           出航の準備はできてるわよ。」


ベデヴィエール「…モ、モルガン!あ、貴方は、我が王をどうするつもりです。」

マタハリ(モルガン)「…それを聞いてどうするの?どちらにしても貴方にとっては同じことよ?」


マタハリ(モルガン)「アーサーは永遠の王。もし傷が癒えて生きながられたとしても、その頃にあなたは
           生きてはいないでしょう。はっきり言っておくわ。貴方はもう二度とその子にあうことはない。」

マタハリ(モルガン)「だけど、最後まで貴方の手で看取るのであれば、貴方はアーサーと確かな決別を迎えることが
           できるわよ。」

ベデヴィエール「…!」

マタハリ(モルガン)「もし、私の手に引き渡すのであれば、貴方はこの子の騎士の中で、最も苦しい一生を送ることになるわ。
           決めるのは貴方よ。さぁ、どうするの?サー・ベディヴィエール?」

プーサー「ベディ…」

ベディヴィエール「剣を返したときに決めたことです。モルガン。王をお頼みします。」

84

プーサー「…民が僕を覚えている限り、僕は必ず戻ってくる。だが、もし誰もが僕を忘れてしまったのなら、
     仕方がない。その時は、僕のために祈ってくれ。」

マタハリ(モルガン)「全く…馬鹿な弟ね。こんなに待たせてくれるんだから。
           ま、そこがかわいいんだけどね。」


ぐだ男「そして、船はアーサー王を乗せ、出航しました。ベディヴィエール卿は船が見えなくなるまで眺め、涙するのでした。」

ぐだ子「この貴婦人ってモルガンなの?」

マシュ「伝説によってはモルガンなのですが、例によってケルト臭いのでアーサー王の死では名前は記されていません。」

====洋上=====


プーサー「ぐっ…」

マタハリ(モルガン)「痛みくらい我慢しなさい。それとも水に飛び込んで、あんたの神のもとに召された方が楽になるかしらね。」

プーサー「そもそも、これはどういう風の吹き回しだ姉上。ずっと僕の邪魔ばかりしたじゃないか。」

マタハリ(モルガン)「生意気。」ペシッ

マタハリ(モルガン)「貴方が馬鹿をやるからよ。あなたは未来を知ったがために、運命を乗り越えようとした。
           現在だけでなく、未来をもすべて自分の手で支配し、未来の可能性を否定した。」

マタハリ(モルガン)「だから私は貴方から不死を奪った。貴方が本当に人の領分を超えることがないように。」

プーサー「アコロンの件か。あの時は、僕を殺して、王位を奪おうとしたんじゃないのか?」

マタハリ(モルガン)「ええ。もちろんよ。もしも貴方の望み通りになっていたら、どうなっていたことかしら?」


マタハリ(モルガン)「世界から切り離され、永遠の王によって、統治される神秘の国。」

マタハリ(モルガン)「きっと、人々は神に祈るのではなく、アーサー王こそが神であるとして
           あんたに祈りをささげることになるでしょうね。」
86

マタハリ(モルガン)「貴方の存在そのものが、貴方の理想の最大の妨げになるかもしれないなら、やっつけてでも
           止めるわよ。」

プーサー「…むぅ。」


マタハリ(モルガン)「ま、本来の伝説ならば、アルトリウスとメドラウトはカムランでしぬはずだった。
           だけど、運命は貴方を生かすことにした。」

マタハリ(モルガン)「だから、いずれ世界がまたあなたを必要とする日がくる。あなたとの決着は、その時に
           つけてあげるわよ。」

プーサー「…そうか。ありがとう。姉さん。」

ぐだ男「一説によれば、アーサー王はまた世界が彼を必要とするときに、戻ってくるそうです。」

====礼拝堂======

天草(カンタベリー司教)「おや、お客様ですか?」

ベデヴィエール「…はい。司教様は、お祈りの最中ですか?。」

天草(カンタベリー司教)「ええ、昨晩、ご婦人方が、ある方の埋葬をしてほしいとやってまいりましてね。」

ベデヴィエール「ま、まさか!我が王は、やはりお亡くなりになったのか!?」

====お墓======

ベデヴィエール「…やはり、モリガンでも駄目だったのか。いや…違う!」

マタハリ(モルガン)(もし、私の手に引き渡すのであれば、貴方はこの子の騎士の中で、最も苦しい一生を送ることになるわ。
           決めるのは貴方よ。さぁ、どうするの?サー・ベディヴィエール?)

ベデヴィエール「…我が王が亡くなっていても、生きていても私にとっては同じことだ。
        そして、私にはやらなければならないことがある!」


ぐだ男「ベディヴィエールは礼拝堂で高貴な人が埋葬されたことを知り、それがアーサー王であると思い落胆しますが、
    そのまま修道士になることにしました。」

========庵============

ランスロット「久しいな。ベディヴィエール」

ベディヴィエール「…ランスロット卿!なぜこのようなところに?」カリカリ

ランスロット「我が王と、モードレッドの戦いに結局私は間に合わなかった。罪深き身故、
       これからは信仰の世界にて暮らそうと思う。」

ベディヴィエール「…しかし、ギネヴィア様は…」カリカリ

ランスロット「ギネヴィア様も、同じく尼僧院に入られた。もう、私も、あの方も
       二度と会うべきではないと、話し合い。納得したのだ。」

天草(カンタベリー司教)「いいでしょう、歓迎しますよ。」


ぐだ男「その後、ランスロットが庵にやってきて、一緒に修道士になりました。」

ぐだ子「結局、ギネヴィアとは別れたのね。ランスロットは。」


89

========庵============

小次郎(ボールス)「しばらくぶりでござる。」

ベディヴィエール「ボールス卿!貴方まで」カリカリ

小次郎(ボールス)「ランスロット殿を探していたのだが。まさか修道士になられていたとは。
          せっかく故、拙者も世話になろうか。」

天草(カンタベリー司教)「賑やかになってきましたね。」


その後

小次郎(ボールス)「…」

ベディヴィエール「…」カリカリ

ランスロット「…」

天草(カンタベリー司教)「ギネヴィア様が、お亡くなりになられたそうですね。」

ランスロット「…我が王の墓の隣に…埋葬しましょう。」

ベディヴィエール「…ええ。」カリカリ

さらにその後



イリヤ(コンスタンチン)「お久しぶりね。ベディ。」

ベディヴィエール「コンスタンチン卿…いえ、今は王になられたのでしたね。
         ギネヴィア様の葬儀以来でしょうか?」カリカリ

イリヤ(コンスタンチン)「ええ。あの後…ランスロット卿も亡くなられたわ。
             ギネヴィア様が亡くなられてから、食事を一切取らなかったとか」

天草(カンタベリー司教)「彼が亡くなった時、天使が迎えにこられたくらいでしたね。そういえば。」

ベディヴィエール「そして、ボールス卿もランスロット卿が亡くなって、やはり自分は
         戦いの中に生きるといって、俗世に戻られましたね」カリカリ

イリヤ(コンスタンチン)「うん。それで、ベディヴィエール卿。あなたも還俗してくれないかしら?
             この地を、アーサー様が愛した国の力になってほしいの。」

ベディヴィエール「…申し訳ありませんが、それはできません。私にはやるべきことがある。」カリカリ

ベディヴィエール「いつか、何時の日か、我が王は、必ずこの地に戻ります。だからそのために私は
         記されなければならない。この地に住まうものが、決して王のことを忘れないように!」カリカリ

ベディヴィエール「アーサー王の伝説を!!」カリカリ

91


ぐだ男「修道士となったベデヴィエール卿は王となったコンスタンチンからの勧誘を拒み、修道士の修行の傍ら
    かつて仕えた王と、騎士達の伝説を記します。彼の手記とその他の伝説をまとめたのがこの
    アーサー王の死なので、ある。byトマス・マロリー」

ぐだ子「アーサー王の死…出典はベディだったの。まぁ考えてみたらカムランの戦いを知っていて生きているのは
    ベディだけだしね。」

ぐだ男「こっちのベディは、聖剣を返せないから、何年も何年もさまよった。だけど、結局会うことはできた。
    アーサー王の死のベディは…結局、アーサーとまた会えたのかな?」

ぐだ子「会えなかったんでしょうね。」

マシュ「…ベデヴィエール卿は、いつも、重い役目を負われますね。」

ぐだ子「でも、面白かったわね。勿論こっちとは違う話ではあるけれど、アーサーとモードレッドが和解したりするとか。」

ぐだ男「こっちのアルトリアとモーさんは仲が悪いけど、別の話で理由はどうであれ
    和睦できているのなら、いつか、こっちでも分かり合えるかもしれないしね。」




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