【バンドリ】有咲「素直になっちゃった!?」 (11)

放課後、廊下

香澄「……」タタタッ

こころ「あら? 香澄じゃない! そんなに急いでどうしたの?」

香澄「あっ! こころん! あのね、実は……」

遡ること朝……質屋 流星堂

香澄「あーりさ! 一緒に行こう!」ピンポ-ン

有咲「ああ、香澄か……ちょっと静かにしてくんね?」ガラガラ

香澄「あれ? 顔色悪いよ? どうしたの?」

有咲「風邪こじらせちゃってさ……今日は休むから。みんなにも言っといてくれ……」

香澄「えっ!? 大丈夫?」

有咲「だから……いちいちリアクションと声がでけえ! 頭に響くから……」

香澄「あっ……ごめん」

有咲「そういう訳で、今日は練習も行けないから。ごめんな」

香澄「ううん、しっかり治してね!」

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時は戻り、現在

こころ「そうだったのね! それならこれを持ってってちょうだい!」

香澄「なにこれ?」

こころ「黒服さんたちに渡されたのよ! なんでも『飲むとたちまち笑顔になる』ドリンクらしいわ!」

香澄「へぇ……ありがとう! これで有咲も元気になるよ!」

こころ「もちろんよ!」

有咲の家、自室

香澄「はい、おかゆ作ったから食べて!」

有咲「おう、悪いな……」モグッ

有咲「……これ、美味いな」

香澄「もっちろん! 私が愛情込めたからね~」

有咲「~!///ば、バカ!」

香澄「あー、有咲照れてる?」

有咲「う、うるせえ!」

香澄「そうだ! あとこれ!」

有咲「……ん、ありがとう」

有咲(スポーツドリンクか……普通に美味しいな)

香澄「これ飲んで早く元気になってね!」

有咲「お、おう……//」

翌日

沙綾「有咲大丈夫かな……」

りみ「昨日メッセージで、熱は下がったから明日は来られるって言ってたけど……」

たえ「大丈夫、有咲は強いから」

沙綾「おたえ、それどういう意味?」


香澄「おはよー!」

りみ「あっ、香澄ちゃん! 有咲ちゃんも一緒だね!」

沙綾「おはよう、香澄。有咲ももう大丈夫なの?」

有咲「お、おう……心配かけてごめんな」

たえ「ところで有咲。なんで香澄と腕組んでるの?」

沙綾「え? あー、そう言えば」

りみ「ほんとだね。有咲ちゃんってあんまりそういうことしないよね」

香澄「迎えに行った時からずっとだよ! なんだか嬉しいけど恥ずかしいなぁーなんて」

有咲「っ……。嫌か?」

香澄「いやいや!? 全然! で、でも……歩きにくいかなーって……」

沙綾「ほら有咲、あんまりがっついちゃ駄目だよ~」

有咲「……やだ。こうしてたい」ムギュッ

たえ「……すごい。引き剥がそうとすると強くなる」

香澄「有咲~!」

沙綾「いつもと逆だね、これは」

りみ「なんかちょっと珍しいかも……」カシャッ

昼休み

香澄「有咲! 卵焼きちょーだい!」

有咲「もちろん。ほらかすみ、あーんして」

香澄「えっ!? あ、あーん……」パクッ

有咲「ふふ、美味いか?」

香澄「美味しい~! でもあーんは恥ずかしいよぉー!」

沙綾「……なんかすごいね。あの二人」

りみ「私たちが入る隙もないね……」

たえ「……バカップルだ」

有咲「ふふふ、かーすみっ」

香澄「え? どうしたの?」

有咲「呼んだだけー!」ギュッ

香澄「うっ! 有咲! 食べたばかりだから苦しいよ……!」

美咲「あー、やっぱりここかー! ほら行くよ! こころ!」

こころ「あら、香澄!」

香澄「こころんと美咲ちゃん? どうしたの?」

美咲「ねえ、体。なんともない?」

香澄「え? 大丈夫だけど……」

美咲「そっか……間に合っ……ん? 市ヶ谷さん?」

有咲「あ、奥沢さん。どうした?」ギュッ

美咲「いや、市ヶ谷さんから戸山さんにべったりなのは珍しいなーと……って、もしかして!?」

有咲「?」

美咲「あーと……戸山さん? 昨日こころから変なジュース貰わなかった?」

香澄「もらったよ? 元気になるドリンクでしょ?」

美咲「それ、どうした?」

香澄「有咲にあげたよ。元気になるかなーと思って」

美咲「マジか……。それ『元気になるドリンク』じゃなくて『飲んだら素直になるドリンク』だから!」

こころ「みんなが素直になったらきっと笑顔になれるわ! だから、元気になるドリンクよ!」

美咲「そういう意味じゃないから!」

沙綾「なるほどね。その『素直になるドリンク』を飲んだから……」

りみ「有咲ちゃんが素直になってるの?」

たえ「香澄に一途だね」

こころ「有咲も笑顔ね! よかったわ!」

美咲「いや、これっていいの……? 戸山さんにずーっとべったりだけど」

有咲「私は別にいいけど。つか、いつも通りじゃね?」ギュッ

香澄「なんかさっきより強くなってない?」

美咲「自覚なしと来たよ……こころ、元に戻る方法とかないの?」

こころ「元に戻る? どうしてかしら? 有咲もいつも以上に笑顔なのよ?」

美咲「ダメだこれ……黒服さーん!」

黒服たち「ハッ!」

沙綾「えぇー……」

たえ「美咲、すっかり黒服さんたちを使いこなしてるね」

美咲「なるほどね……ありがとうございます」

沙綾「それで、なんだって?」

美咲「薬の効果が大体一日から二日くらいだから、明日には元に戻ってるだろってさ」

りみ「よかったぁ……有咲ちゃんこのままなのかと思ったよ……」

美咲「というわけだから……うちのこころがすみません」

香澄「いや、全然! 有咲が素直になってくれて私も嬉しいよ!」

有咲「元から素直! もう一生離さないからなー!」ギュッデイ

香澄「一生!? く、苦しいよ!」

たえ「これは……大スクープだ!」カシャッ

沙綾「あはは! こんな機会なかなかないから私も写真撮っちゃおうかなー」カシャッ

有咲「むぅ……」

放課後、蔵

ジャ-ン!

香澄「……ふぅ、今の結構よかったんじゃない!?」

沙綾「うん、タイミングバッチリだったね」

たえ「今日は有咲の音、すごく跳ねてた!」

有咲「もちろん! あー疲れた。香澄補給しねーと……」ギュウ……

りみ「練習の間は普通だったのに……」

沙綾「あはは……終わった途端これね」

香澄「有咲~! 暑苦しいよー!」

有咲「やーだ。離れねえ!」ギュギュギュ……

たえ「すごいね。香澄依存症だ」

沙綾「有咲ー、ほどほどにしなよー」

香澄「みんな止めてよ~!」

有咲「そうだ。うち泊まってっていいぞ。香澄。つか泊まってけ。決定」

香澄「ほんと? やったー! ……ってそうじゃなくて!」

沙綾「あはは! 諦めな香澄。今日は寝れないかもね」

香澄「そんな~!」

りみ「寝れないって?」

たえ「大人の階段を一歩上がるんだね」

有咲「香澄と、夜……っ!!//」

香澄「あー、有咲赤くなってるー?」

有咲「あ、当たり前だろ!? す、好きな人とお泊まりなんて、頭が沸騰しそうだよ!」

沙綾「感情の起伏が激しいなー……」

夜、市ヶ谷家自室

香澄「ねえ有咲、一緒の布団じゃ暑くない?」

有咲「いや? むしろ香澄の温もりに触れられて嬉しいぞ」

香澄「そ、そう……」

有咲「……なぁ、香澄」

香澄「ん? どうしたの? 有咲」

有咲「……ありがとな。私を連れ出してくれて」

香澄「どういうこと?」

有咲「私さ、ずっと引きこもってただろ。そん時はそれで楽しかったし、学校なんて、行っても楽しくねーと思ってた。だけどさ、香澄と出会って、学校通い始めてバンド始めてさ……そういう日々がすごく楽しいんだ」

香澄「有咲……」

有咲「香澄が連れ出してくれなかった、私は今でもあの狭い蔵の中に独りでこもって、きっと腐ってたと思う。だからさ……」

有咲「あー、上手く言えねーけど……これからも、ずっと一緒にいてくれ。私にいろんな世界を見せてくれよ」

香澄「……もちろんだよ。有咲」

有咲「もちろん、りみやおたえ、沙綾も一緒にな。みんなで、もっといろんな景色を見たいんだ」

香澄「うん。私も同じ気持ちだよ!」

有咲「なぁ、手。繋いでいいか?」

香澄「手……いいよ。有咲」ギュッ

有咲「……あったかいな。香澄の思い、感じるよ」

香澄「有咲……私も、有咲の気持ち、分かるよ」

有咲「……そろそろ寝るか。おやすみ」

香澄「うん、おやすみ……」


翌朝、薬の効果が切れた有咲は恥ずかしさとともに声が枯れるまで盛大に叫び続けたことは言うまでもなかった

短いけどおわり

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