緒方智絵里「徹底検証っ!」白菊ほたる「朋さん、虹色のモノなら何でも嬉しい説」 (33)



コメディです。


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緒方智絵里「……あれは、3人でファーストフード店にお昼を食べに行った時の話です」

智絵里「わたしたちは、レジに並びながら、メニューを見て何を頼もうかと話していました」

智絵里「”ポテトが安いね””こっちのセットはクーポンで安くなるから”など、軽い意見交換をして、それぞれが何を頼むか決まった、その時です……」

智絵里「メニュー表の端に、朋さんの目が留まったんです」

智絵里「”ハッピーセット”」

智絵里「……そうです、お子様向けのメニューで、量の少ない料理におもちゃがついてくるセットです」

智絵里「……そのおもちゃでした。その日のラインナップは、”開運! レインボーチンアナゴ!(全5種)”」

智絵里「……は?」

智絵里「知っていますか? チンアナゴ。……いえ、とっても可愛いんです。ありすちゃんも水族館のお仕事の時にぬいぐるみを抱えていましたし……」

智絵里「ただ、レインボーです。……なぜ? これくらいの……手に乗るサイズのチンアナゴのフィギュアが、七色に塗られていて……」

智絵里「それが5種……!? 違いが全然わからなくて……」

智絵里「ガチャガチャの景品とかならまだしも……。結果的に、わたしとほたるちゃんが止めたので朋さんがそれを頼むことはありませんでしたが……あの目は本気で買おうとしていた目でした……」



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前作
緒方智絵里「ほたるちゃんの」藤居朋「日常不運辞典」


白菊ほたる「……あれはまた別の日……、いつもは利用しないスタジオでお仕事があって、3人で電車移動をしていた時です」

ほたる「慣れない移動でしたし、何かトラブルがあるといけないので、少し余裕を持って、駅のホームで立ち話をしながら、電車を待っていました」

ほたる「その時です。私たちが乗ろうとしている1番線ではなく、反対側の2番線に電車が入ってきました」

ほたる「いえ、それ自体は珍しいことでも何でもありません。目的の電車ではないのですから、気にも留める必要はないのですが」

ほたる「ふと、朋さんを見ると、その電車に目が釘付けになっていて……」

ほたる「どうしたんだろうって、思ったんです。そうして、私もその電車を見てみると……」

ほたる「……よく、企業と鉄道会社がタイアップすること、ありますよね? その場合に何をするかと言えば……そうです、ラッピング車両というものです」

ほたる「その車両は、どうやらどこかの企業のラッピングがされたものだったらしく……航空会社……だったでしょうか? 詳細は忘れてしまいましたが……」

ほたる「そうです。虹色に……車両が……」

ほたる「別に、釘付けになっていただけならいいんです。しかし、次の瞬間、朋さんがその車両にふらふらと……!」

ほたる「そしてそのまま、ドアの中に……は、阻止しました。私と智絵里さんで」

ほたる「そのまま乗っていたら逆方向……! 遅刻は確実でした……」

ほたる「朋さんは”じ、冗談よ!”と仰っていましたが……そうは見えず……」


智絵里「朋さん、普段はすごく頼りになるお姉さんなんです……けど……」

ほたる「こういう、運勢がらみの話になったり、ラッキーカラーを全部網羅できる”レインボー”という概念が絡むと……なんというか……ポンコ……お茶目さんに……」

智絵里「そこで、わたしたちは考えたんですっ」

ほたる「それがこちらです。智絵里さん、フリップを……」

智絵里「はいっ」トンッ


『朋さんの誕生日プレゼント、虹色のモノなら何でも嬉しい説』ババーン


智絵里「朋さんとずっと一緒にいるわたしたちだからこそ、こういう攻めた検証ができるような気がします」

ほたる「はい。どう思いますか?」

智絵里「どう思いますか?」


ほたるの元先輩で現在はカフェの店員さん「……は?」


~カフェ~


ほたる「どう、思いますか?」

店員「私、あんた達の注文を取りに来たんだけど?」

智絵里「やっぱり、先輩さんも同意してくれますか……!」

店員「話を聞け」

ほたる「私たちの気持ち、わかってくださいましたか?」

店員「むしろ注文票を片手に構えてたらいきなり回想が始まった時の私の気持ち、わかる?」


店員「もう一度だけ言うわ。ご注文をどうぞ」

智絵里「なんと、今日が朋さんの誕生日なんですっ。検証にはぴったりですよねっ」

店員「もしかしてあんた達、耳ついてない?」

ほたる「こちらの紙袋には、私たちがいろんな場所で集めたレインボーの商品がたくさん入っています」ガサッ

智絵里「この後、ここに朋さんを呼んでいます。そこで、これらのレインボーのものを渡して、どこまでなら喜んでくれるのか、調べますっ」

店員「追い出されるのと自分から出てくの、どっちがいい?」

ほたる「では先輩に1つだけ先行してお見せしましょう……」ガサゴソ

店員「別に興味ないし……」

ほたる「虹色のトカレフです」コトッ

店員「序盤からデスゲームの様相を呈すな」


店員「銃刀法違反か威力業務妨害かどっちで起訴されたい?」

ほたる「も、もちろんモデルガンですので……」

店員「……騒ぎだけは起こさないでよね」

智絵里「……」

ほたる「……」

智絵里「……はいっ」

店員「なんで間が空くの?」

ほたる「ではカフェオレを2つ……いえ、そろそろ朋さんも来る時間ですし、3つ頼んでしまいましょうか」

智絵里「うんっ」

店員「かしこまりました。……騒ぎだけは」

ほたる「信頼されてないですね……」


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店員「お待たせしました、カフェオレ3つ……」

カランコロン

藤居朋「あ、いたいた! ふたりとも、お待たせ~」トコトコ

ほたる「朋さん!」パァァァァァ

智絵里「朋さん!」パァァァァァ

店員(……いい笑顔ね)

朋「あっ! 先輩もこんにちは!」

店員「別に藤居さんの先輩ではないですけど……」


朋「あ、あたしの分も頼んでおいてくれたんだ! ありがと!」

店員「ごゆっくりどうぞ」トコトコ

朋「ありがとうございます!」

ほたる「……と、いうわけで……!」

智絵里「いうわけで……!」

ほたる智絵里「朋さん、お誕生日おめでとうございます!」パチパチパチパチ

朋「ありがとー!」

ほたる「本来ならもっと大きくお祝いしたいところだったんですが……」

智絵里「この後は3人別々のお仕事があるので、仕方ないですね……」

朋「ま、でも、お仕事があるって素敵なことよ! こうやってちょっと会えただけでも嬉しいし!」

ほたる「朋さん……」キュン

智絵里「朋さん……」キュン


店員(ちょろいわね……)←気になって厨房からチラ見してる


ほたる「その代わり……と言うべきかはわかりませんが、プレゼントをたくさん持ってきました……!」

朋「え! ホント!? そんな気を遣わなくていいのに~」

智絵里「わたしたちの気持ちですからっ」

朋「そう言われると無碍にはできないわね~」ワクワク

ほたる「ではまず……」ガサゴソ

朋「わくわく!」

ほたる「レインボートカレフを……」コトッ

店員(初手でいった!!!!!)

朋「わー! 欲しかったのよこれ!」

店員(欲しかったのよこれ!?!?!?)


朋「朝の占いでたまに拳銃って出てくるんだけど~」

店員(物騒な占いもあったものね……)

朋「赤い拳銃とかなかなか用意できなくて! これで捗るわ~」

ほたる「よ、よかったです……」

店員(なんでアンタが若干引いてるのよ)


智絵里「ええと……続いてわたしからっ!」

朋「お! 楽しみね!」

智絵里「わたしからはこの……」

朋「何かしら?」ワクワク

智絵里「レインボー忍び装束ですっ」ピカピカ

店員(忍べや!!!!!)


店員(悪目立ちの極みじゃないの!!! 忍者に謝りなさい!!!)

朋「わー! 欲しかったのよこれ!」

店員(嘘でしょ?????)

智絵里「もうなんか逆に忍びって感じですよねっ」

店員(そんな適当な感想ある?)

智絵里「わたしの出身は三重県で、伊賀の里があるんですよっ」

店員(ああ……一応、ゆかりはあるのね……全然納得できないけど……)

朋「いやー、今まで朝の占いで忍者のコスプレが吉って言われた時に対応できなくってねー」

店員(その番組見るのやめなさいよ)

智絵里「あ、あはは……」

店員(だからアンタが引くならそもそも渡すな)


ほたる「さらに、私からはまだあります……!」

朋「え! 豪華ね~!」

ほたる「こちらの……」ゴソゴソ

朋「うんうん!」

ほたる「スターを取って無敵になったマリオのフィギュアです」

店員(回りくどいけど単に虹色のマリオだ!!!)

朋「わー! 欲しかったのよこれ!」

店員(それ以外のリアクション用意してないの!?)


朋「やっぱりマ○オは虹色になってこそよね!」

店員(いや通常状態でも大活躍してると思うけど……ってか伏せ字遅っ! 手遅れでしょ!?)

ほたる「さらに今なら、スターを取って無敵になったメタルマリオもプレゼント……!」サッ

店員(いや見た目変わんないし!!! そもそも銀になったのがメタルマリオなんだからそっから色変えたらアイデンティティ完全消失じゃないの!?)

朋「欲しかったのよ~」

店員(うるさいな!!!)


智絵里「わたしからもまだありますっ!」

朋「ホント!?」

店員(どんだけ用意してるのよ……)

智絵里「こちらの……」ガサゴソ

朋「こちらの……!」

智絵里「レインボー奈緒ちゃんフィギュアですっ♪」サッ

店員(うっわ本当に全身虹色の神谷奈緒じゃない!!! 何あれキモッ!!!)


朋「こ、これは……」

店員(そりゃ流石に藤居さんでも引くでしょ……)

朋「伝説の奈緒ちゃんフィギュア、”虹色橋掛けちゃいました”バージョン!?」

店員(そんな甘栗むいちゃいましたみたいなテンションでフィギュア虹色にする???)

店長「あ、○○さん、これ、3番テーブルさんにお願い!」

店員「今いいとこなんです!!!」

店長「いや仕事してくれないかな?」


店員(どんなノリで作ったのよアレ……)

朋「本人すら持っていないこれをどこで……!?」

店員(本人、普通にいらなかっただけじゃ?)

智絵里「事務所の倉庫に1つだけ残っていたんですっ……! それをこっそり……いえ、しっかりと許可を取ったり取らなかったりしながら……!」

店員(それでいいの?)


朋「いやー! こんなにたくさんもらっちゃって、なんだか悪いわね!」

ほたる「い、いえ、喜んでもらえて……なによりです……」

智絵里「はい……」

朋「?」

ほたる(結局、全部喜んでくれましたね……)

智絵里(そうだね……)

朋「どうかした?」

ほたる「い、いえ! そ、それにしても朋さんは本当に、虹色のものに目がないんですね……」

朋「虹色? あ、確かに貰ったもの、全部レインボーね! 運気上がっちゃうかも!」

智絵里「……え?」

ほたる「虹色だから喜んでたんじゃ……」

朋「へ? そりゃ好きな色ではあるけど、あたしはほたるちゃんと智絵里ちゃんがくれたものなら、何でも嬉しいわよ? だってあたしのために選んでくれたんでしょ? それだけで十分よ!」ニコッ

店員(!!!)

ほたる「……」

智絵里「……」

朋「?」

ほたる智絵里「と゛も゛さ゛ん゛〜〜〜〜〜!!!」グスグスグスッ

朋「なんで!?!?!?」


~事情説明中~


朋「もー! そういうことだったのね!」

ほたる「すみません……」

朋「いくらあたしだって、虹色のものなら何だって喜ぶわけじゃ……」

朋「……」

朋「……」

朋「……」

朋「……ないわよ」ボソッ

店員(声ちっちゃ)


ほたる「で、でも、ちゃんとしたプレゼントも買ってあって……!」

朋「え! そうなの?」

智絵里「はいっ。ふたりで選んだんですっ」ガサゴソ

ほたる「はい、どうぞ……!」

朋「何かしら! 開けていい?」

智絵里「もちろんですっ」

朋「これは……メガネ……?」

智絵里「はいっ! 変装にも、オシャレにも使える伊達メガネですっ」

ほたる「これから世界的に大人気になっていくことが予想される朋さんが少しでも静かな生活を送れるように……!」

朋「期待が重い……」


朋「でもオシャレね! どう? どう?」スチャッ

ほたる「似合ってます……!」

智絵里「とっても素敵ですっ……!」

朋「えへへ……」

ほたる「これからも、私たちをよろしくお願いしますね?」

智絵里「ね?」

朋「もちろん! お姉さんについてきなさい!」ドーン

ほたる「わー」パチパチ

智絵里「わー」パチパチ


店員「……お待たせしました」

朋「へ? 何か頼んでたっけ?」

ほたる「いいえ……」

店員「こちら、サービスになります」

朋「サービス……はっ!!!! これは……!!!!!!」

ほたる「虹色の……」

朋「(この前食べ損ねた)レインボーパフェ!!!!!」

智絵里「こ、これは……?」

店員「だから、サービスです。お誕生日、おめでとうございます」

ほたる「せ、せんぱい……!」

智絵里「せ、せんぱい……!」

朋「せ、せんぱい……!!!」

店員「さっきも言ったけどそっちふたりの先輩じゃ……まあいいか……」


朋「で、でもどうして……」

店員「別に……そのふたりと活動するのは大変だと思うので、差し入れみたいなものです。お代は取らないので……」

店員(ほたるに良くしてくれてありがとうなんて、私が言う資格はない、わね)

ほたる「はっ! まさか……」

店員「な、なによ……」ギクッ

ほたる「先輩も朋さんを狙って……!?」

店員「……はあ、そんなわけ」

智絵里「ええっ!? 先輩も朋さんを狙って……!?」

店員「違うって言ってるでしょ! 被せるな!」

朋「ええっ!? あたしを!?」

店員「藤居さんも乗んないで!!!」


朋「いやー、ありがとうございます! ……これは食べてもいいわよね?」

ほたる「流石に好意を受け止めないのはよくないかと……」

朋「やったー♪」モグモグ

朋「んー! 別に美味しくはないけど運気上がりそー!」

店員「それ店員の前で言います……?」

智絵里「そ、そのっ、悪気はなくてっ!」

ほたる「ただ評価軸の頂点に”運気”があるので、全てを貶しても運気が上がりそうなら褒め言葉になるみたいで……」

店員「めちゃくちゃ擁護するじゃない……」


朋「時に先輩……!」

店員「どうしたんですか……」

朋「アイドル、もう一度やってみませんか……?」

ほたる「!」

智絵里「!」

店員「……」

朋「……」

ほたる「……先輩」

店員「現役アイドルにそう言ってもらえるのは嬉しいけど、遠慮しておきます」

朋「そう……ですか」

店員「私の分まで、頑張ってください。ほたるも、諦めたら承知しないわよ」

ほたる「……はいっ!」

朋「ま、(ツッコミ上手の先輩が入ってくれればあたしとか未央ちゃんとかの負担が減りそうだなって思ったんだけど本人がそう言うなら)仕方ないわね!」

店員「含みがありませんでした?」


ほたる「では、そろそろお仕事なので、失礼しますね」

店員「はいはい。頑張んなさいよ」

朋「ありがとうございましたー! お代は……」

店員「ああ、飲み物の方も結構ですよ。お仕事、頑張ってください」

朋「え! で、でも……」

ほたる「流石に……」

店員「その代わり、お店の宣伝、よろしくね。売り上げが上がれば給料も上がるわよ」

ほたる「先輩……」

智絵里「その場合は広告費をいただくことになりますが……」

店員「人の心がないの?」


~カフェの外~


朋「いやー、本当にありがとね! ふたりとも!」

ほたる「喜んでいただけたならうれしいです……!」

智絵里「はいっ!」

朋「じゃ、あたしはここから歩いて行けるスタジオだから! 行くわね!」

ほたる「お気をつけて……」

朋「じゃーね!」トコトコ

智絵里「いってらっしゃいですっ」フリフリ

ほたる「ふふっ、朋さん、あんなに手を振って……」

智絵里「ね。かわいいなあ……」

ほたる「……あれ?」

智絵里「なんだか……話しかけられて……?」


ファンA「も、もしかして、藤居さんですか?」

朋「え? そ、そうですけど……」

ファンA「ファンなんです! 握手お願いできますか!?」

朋「え! ホント!? もちろん! ありがとね!」

ファンB「わ! 朋ちゃんだ!」

ファンC「本当だ!」

ファンD「サインください!」

朋「わ! お、落ち着いて!」

ファンE「そう言えば朋ちゃん、今日誕生日じゃ……!?」

ファンF「!」

ファンG「こうしちゃいられねえ!」

朋「え? え?」

ファンH「胴上げだ!!!」

ファン's「「「おう!!!!」」」

朋「え? ええ???」

ファン's「「「わーっしょい!!! わーっしょい!!!」」」

朋「きゃぁぁぁぁ!?」

ファンI「スタジオまで送るぞ!!!」

ファン's「「「おう!!!」」」

「わーっしょい!!! わーっしょい!!!」

キャァァァァァァァァ……


ほたる「……」

智絵里「……」


ほたる智絵里「「朋さん!!!!!!」」





おわり




ありがとうございました。
朋ちゃん誕生日おめでとう!


直近の過去作


緒方智絵里「ほたるちゃんの」藤居朋「日常不運辞典」

渋谷凛「未央のシンデレラガールを」島村卯月「祝いたい?」(pixivのみ)

夢見りあむ「なんでぼくにお悩み相談のお仕事がくるのさ!悩んでるのはぼくだよ!!」

橘ありす「花嫁修業フレデリカ?」

双葉杏「改頁病?」(pixivのみ)


などもよろしくお願いします


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