加蓮「後輩に尊敬されたい」ド-ン (36)
ここでは「【後輩】 = 【歳下】」で「【芸歴が浅い】 = 【後輩】」ではないです。
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(ある日)
李衣菜「なつきちのギター。ロックでカッコいいなぁ」キラキラ
夏樹「ははは。リーナだってちゃんと練習すりゃ弾けるようになれるぜ。頑張れよ」ワシャワシャ
李衣菜「あ、ちょっと! 髪の毛わしゃわしゃしないでよ~!」ギャ-!
ヒョコリ
加蓮「……」イイナ-
(別の日)
悠貴「大人の女性、って憧れませんか?」キラ-ン
美羽「わかる。あたし、千夏さんみたいな人になってみたい。フランス語ペラペラのシュッとしたインテリ系」グッ
悠貴「あ~、千夏さんカッコいいですよね~っ! 私もあんな風に落ち着いてる女の人になってみたいです♪」
美羽「事務所の中で誰かになれるとしたら悠貴ちゃんは誰になってみたい?」
悠貴「美波さんです! 勉強とスポーツができる上にスカート姿も似合ってます!」グッ
美羽「ポイントはスカートなんだ」アハハ
悠貴「スカートだけじゃないですけど、憧れですね。スカートの似合う女性って♪」アハハ
キャッキャッ♪
コソリ
加蓮「……」イイナ-
(別の日)
蘭子「のあさんカッコいい♪」キラ-ン
飛鳥「わかるよ」ウム
ココウナル ソラ ノ レイジン!
フッ イイタトエダネ...
キャッキャッ♪
ヒョコリ
加蓮「……」イイナ-
(事務所)
加蓮「私も後輩に尊敬されたい」ド-ン
奈緒「……」
凛「……」
加蓮「2人に問題です。いま私がされたいことは何だと思いますか?」
奈緒「さあ」
凛「肩車」
加蓮「話の意図を汲む努力をしてほしい。私のトスを拾ってほしい。2人ともちょっとでいいから私の話に興味を持ってよ」
奈緒「どうする。凛?」
凛「放っておいていいんじゃないかな」
加蓮「私を放置なんて絶対許さない!」ガシッ
奈緒「抱きつくなや」
凛「苦しいんだけど。加蓮」
加蓮「話を真剣に聞いてくれるまでは離さないよ」ギュ-
奈緒「わぁーったよ。聞いてやるから離せ」ペシペシ
凛「手短にね」フゥ
加蓮「後輩に尊敬されたいの」バ-ン
2人「「……」」
加蓮「ほら。私って可愛いだけじゃなくて、優しくて、真面目で、フレンドリーで、おしとやかで、お茶目で、誰にでも分け隔てなく接する天使みたいな人でしょ?」
凛「かな子の話?」
奈緒「藍子じゃないか?」
加蓮「イッツミー!」ビシッ
凛「うん」
加蓮「私は天使。なのに表立って私のことを尊敬してくれる後輩はいない。悲しいね。でもこれっておかしいよね?」
奈緒「天使ならささいなことは気にするな」
加蓮「ヤダ。寂しい」ムス-
凛「こんな天使いる?」
加蓮「ということで2人には私のことを尊敬してる後輩を探してきてほしいの」キラ-ン
凛「嫌だ……すごく嫌だ……」
奈緒「つーか自分でやれよ」
加蓮「自分でやっても意味ないの。『別に気にしてないけど尊敬されるなら嬉しいな』ってスタンスでいたいの」
凛「加蓮」
加蓮「何?」
凛「面倒くさい」
加蓮「後で何かおごるから」
凛「そうじゃなくてね。加蓮が面倒くさい」
加蓮「な、何よそれ!?」ガ-ン!
凛「面倒くさいです」ヘヘヘ
加蓮「な、奈緒~! 凛がゲスな笑顔で酷いこと言う~!」ヒ-ン!
奈緒「加蓮」
加蓮「何?」グスッ
奈緒「面倒くさいぞ」
加蓮「!」ガガ-ン!
凛「ね。面倒くさいよね」ウン
奈緒「なー。面倒くさいよな」ウン
加蓮「2人して酷い……蒼……たくあんまゆげ……拗ねてやる……」シクシク
奈緒「そもそもだ。加蓮。後輩に尊敬されるようなことを普段からしてるのか?」
加蓮「ううん。でも私って優しいでしょ。特別なことは何もしなくても後輩たちは慕ってくれるよ」フフン
凛「ドヤ顔で何言ってるのさ」
奈緒「あ、思い出した」
加蓮「なによ」
奈緒「先月。飛鳥が取っておいたハーゲンダッツを勝手に食べてたよな?」
加蓮「え? な、何のこと?」ギクッ
奈緒「とぼけんな。『人のものを勝手に食べるだなんて加蓮さんはどういう神経をしているんだ!』って飛鳥に詰め寄られてたろ。あの時、お前はなんて答えたっけ?」
加蓮「……」エ-ト
凛「なんて言ったの?」
加蓮「あー! あー!」バタバタバタ
奈緒「『こういう神経ですよー♪』って、飛鳥の目の前でハーゲンダッツを完食したんだ。すごく美味しそうに」
凛「うわぁ……」
加蓮「あ~! も~! その後、ちゃんと買い直したからいいでしょ~!」ギャ-!
奈緒「飛鳥は優しかったよ。拗ねてたけどちゃんと加蓮のことを許してやってたもんな」
凛「うん。飛鳥は優しいね」コクリ
加蓮「いやでもちょっと待って欲しい!」バ-ン
奈緒「何だよ」
加蓮「あれは私なりのフレンドリーなコミュニケーションだったの! 飛鳥のことを可愛がっているからこその意地悪だったの!」カッ!
奈緒「加蓮」
加蓮「な、何よ」
奈緒「あたしはお前の人間性は好きだ」
加蓮「な、奈緒……!」ジ-ン!
奈緒「でも、お前のどこに尊敬される要素があるんだ」
加蓮「奈緒なんかもう嫌い~!」ヒ-ン!
凛「加蓮」ポン
加蓮「ぐすっ。慰めてくれるの?」
凛「加蓮のどこに尊敬される要素があるのさ」
加蓮「凛も嫌い~!」ヒ-ン!
(しばらくして)
加蓮「頭きた! 私の方が2人よりも後輩に慕われてるってことを証明してあげる!」バ-ン!
凛「どうやって」
加蓮「後輩たちに直接聞く」
奈緒「面と向かって聞かれる奴は災難だな」
凛「加蓮。やめときなよ」
加蓮「うっさい。私の尊敬されてるところを見せてあげるんだから」フ-ン
カチャ
晴「おはようございまーす」
加蓮「おはよう。晴~♪」ニコ-
晴「……?」
加蓮「ほらほら。どしたの? こっち来て座りなよ。外暑かったでしょ? 冷たい飲み物飲む? コーラでもお茶でも好きなの言ってよ♪」
晴「お、おう? じゃあコーラで」
加蓮「はーい。ちょっと待っててね♪」スタスタ
凛・奈緒「「(露骨に評価上げにきてる……)」
晴「……なあ。なんか加蓮おかしくねーか。やたら甘やかしてくる親戚のおばちゃんみてーになってるぞ?」コソリ
凛「害はないから気にしないでいいよ」
奈緒「そのうち元に戻るだろうしな」
晴「?」
スタスタスタ...
加蓮「お待たせ~♪」コトリ
【コーラクリームソーダ】テテ-ン
晴「おー、うまそう。ありがとな」
加蓮「どういたしまして♪ 凛と奈緒にも。はい」コトリ
【普通のコーラ】テ-ン
凛「は?」
奈緒「待て。加蓮」
加蓮「何よ」
奈緒「何よ、じゃねーよ! 格差だよ! なんで晴のコーラにだけアイスとサクランボとウエハースが乗ってんだ!」
凛「私たちのにもせめて氷を入れなよ」ブ-ブ-
加蓮「まったく。人に入れてもらったのに文句を言うなんて……2人とも何様よ」ハァ-
奈緒「そういうところだぞ」
凛「加蓮の馬鹿」
加蓮「馬鹿とは何よ!」
晴「んま」モグモグ
加蓮「美味しいでしょ。晴~♪」
晴「うん。うまい」ゴクゴク
加蓮「ところで晴はさ。事務所で尊敬してる人っているの?」
晴「尊敬してる人?」
加蓮「そ。例えば、化粧が上手だとか、ネイルが得意だとか、服のセンスがいいとか、レッスン熱心だとか。あるじゃない♪」
奈緒「(全部それとなく自分の方に誘導してるぞ)」コソリ
凛「(プライドをなぐり捨ててるね)」コソリ
晴「んー、すげーって思う奴はいるけど尊敬かぁ」
加蓮「とりあえずでいいから」
晴「じゃあ杏」
加蓮「へ? なんで杏?」
晴「あいつ。リアルのサッカーをやるのは嫌いなくせにウイイレめちゃめちゃ強いんだよ。んで最近コツとか教えてもらってんだ」
加蓮「……」
加蓮「ゲーム以外のことで尊敬してる人は誰?」
晴「まだ聞くのかよ」
加蓮「場合によってはまだまだ聞くよ。さあ答えて」ズイッ
晴「えー……じゃあサッカー上手いし、茜?」
加蓮「よろしい。ならファッションに絞ったら誰を尊敬してる?」ピッ
凛「(何が何でも自分の名前を言わせたいのね)」
奈緒「(執念がすごいな)」
晴「つっても。ファッションとかオレぜんぜんわかんねーからな」
加蓮「直感でいいから」
晴「うーん……美嘉かな」
加蓮「……」
晴「あ、もう1人いるな」
加蓮「誰」ズイッ
晴「藍子。ああいう雰囲気の着こなしってオレにできねーし。ちょっと憧れる」
加蓮「……」グスッ
加蓮「うわぁぁぁぁぁん!」ヒ-ン!
晴「はぁっ!? 何だよ急に!?」ビクッ!
加蓮「晴も嫌い~!」ヒ-ン!
凛「加蓮。ステイ」ドウドウ
奈緒「よしよし。お前は頑張ったよ」
(しばらくして)
凛「加蓮がね。後輩にどう思われてるか知りたいんだってさ」
晴「あー、それでなんか変だったのか」
加蓮「そうよ晴の馬鹿……私のコーラクリームソーダを返して……」シクシク
晴「コーラ?」
奈緒「あのコーラはな。加蓮が自分を尊敬してほしい一心で作ったコーラだったんだ」
晴「お前あんなんで尊敬されると思ってたのかよ……」
加蓮「だって子供なんて駄菓子とコーラを与えときゃ勝手に懐くでしょーが!」バン!
凛「そういうところだよ」
奈緒「まずは心根を改めろ」
加蓮「ふん。でも拓海だって駄菓子をバラ撒いて、飲み物おごってるだけなのにキッズに懐かれてるじゃん」ムス-
晴「いやいや。拓海はサッカーとか付き合ってくれるぜ?」
加蓮「それだけでしょ?」
晴「まだあるぜ。バイク乗せてくれたり、暑い日にはアイス買ってきてくれたり、からあげ奢ってくれたり」
加蓮「私もコーラフロート作ってあげた」
晴「今日だけじゃん。でも拓海は普段からそういうことしてるんだよ」
加蓮「わ、私だって普段からみんなに優しくしてるでしょ!」
晴「この前。橘が『加蓮さんにからかわれました』って愚痴ってたぞ」
加蓮「……」
凛「普段の行いって大事なんだね」
奈緒「そうだな」ウン
加蓮「晴。誰かが私のことを尊敬してるって話。聞いたことない?」
晴「悪い。ないな」
加蓮「……ひん」グスッ
(しばらくして)
晴「レッスン行ってくる。コーラサンキューな。加蓮」バイバイ
加蓮「お礼はいいから尊敬して」
晴「検討しておきます」
加蓮「その言い方絶対しないやつじゃん」
バタン
加蓮「はぁ……」ズ-ン
凛「元気出しなよ。加蓮」
奈緒「きっと誰かは尊敬してるって」
加蓮「……そうかな?」
奈緒「そうだよ。例えば、あたしたちだって『千夏さんすごいなー』とか『川島さんみたいになりたいなー』とか思っててもあんまりそういう話ってしないじゃん」
加蓮「……確かに」
奈緒「だろ。それと同じだよ。晴たちだって照れ臭くて『あの人を尊敬してます』って話をしたことないだけだって」
加蓮「確かに!」パァァァァァ
凛「元気出たみたいだね」
加蓮「YES!」グッ
凛「ちょっろい」
加蓮「凛は私を励ましたいの? それとも喧嘩を売りたいの?」
奈緒「ま、元気出たなら何よりだよ。これでこの話は終わりだな」
凛「そうだね。そろそろ帰」
加蓮「後輩たちの本音を聞きたい」バ-ン
凛・奈緒「「……」」
加蓮「というか私のことを尊敬してるって言葉を聞きたい!」グッ
凛「……どうしようか奈緒」
奈緒「……あたしはここまできたら付き合ってやるかって思ってるけど、凛は?」
凛「うん。私も付き合おうかな」
加蓮「2人ともありがとう!」ガシッ!
凛「あとで何かおごってよ」ハァ
奈緒「あたしにもな」
加蓮「もちろん!」グッ!
(こうして不毛なポテトインタビューが始まった)
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース1、橘ありす
ありす「……加蓮さんですか?」
奈緒「うん。本音で言っていいから」
加蓮「♪」ニコニコ
ありす「……」
ありす「レッスンは真面目ですし、上を目指す姿勢はすごいと思います」
加蓮「!」パァァァァァ
ありす「でも私に意地悪をするので尊敬はしてません」フン
加蓮「!?」ガ-ン!
ありす「凛さんは尊敬してます。優しくてカッコいいです♪」ガシッ
凛「ち、ちょっとありす?」
加蓮「リィィィィィンッ!!!」グォォォォ!
凛「待って。誤解!」
加蓮「そうやって凛は私の求めていたものを奪っていくのね!」ギャ-!
凛「誤解だって! ちょ! 痛い! 私のお腹を掴まないでよ! まっ! あははははは! ひぃあはははははははは! くすぐったいからくすぐらないで!」ジタバタ
加蓮「うわぁぁぁぁん!」コショコショコショ
凛「あはははははははは!」ジタジタ
奈緒「泣きながらくすぐるなよ……」
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース2、的場梨沙
梨沙「加蓮のことをどう思うか?」
凛「正直にでいいからね」
加蓮「……」ドキドキ
梨沙「いつか追い抜いて私の影に隠れさせてやろうと思ってるわ」フン
加蓮「ま、まあライバルだと思ってくれているのかしらね?」ヒクッ
凛「(顔が引きつってる……)」
奈緒「ちなみに凛のことはどう思ってる?」
凛「待って。それ聞く必要ある?」
梨沙「凛は……うん。まあ、ダンスの参考にたまにしてるし。追いつけたらなって」
奈緒「憧れはある?」
梨沙「……ちょっとだけ」
加蓮「リィィィィィンッ!!!」グォォォォ!
凛「待ってまた誤解!」
加蓮「なんで私は足蹴にされようとしてるのに! 凛は憧れられてるのよ! ずるい!」ギャ-!
凛「知らないって! ちょっと! ほんとにもうくすぐるのはやめてっての!」パチ-ン!
加蓮「あぷっ!」パタリ
奈緒「スナップの効いたいいビンタが入ったな」
凛「自業自得だって」フン
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース3、森久保乃々
乃々「か、加蓮さんは……もりくぼなんかの服を選んでくれますし……水着も選んでもらいましたし……優しい人ですけど……」
加蓮「乃々!」パァァァァァァ!
乃々「で、でも……ちょっとだけいぢわるです……」
加蓮「……」クッ
奈緒「凛のことはどう思う?」
凛「そ、その質問いる?」
乃々「り、凛さんは……その……優しくて……カッコよくて……頼りになって……歌もダンスもできて……も、もりくぼなんかにもよく話しかけてくれて……///」テレテレ
加蓮「もういいわ! こんちくしょうどいつもこいつも凛、凛、凛、リィィィィィンッ!!!」グォォォォ!
凛「偶然だって!」
加蓮「もう凛なんか嫌い〜!」ヒ-ン!
奈緒「凛の人気はすごいなぁ」
凛「奈緒。もう私のことは聞かないでよ」ムスッ
奈緒「ごめん」
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース4、城ヶ崎莉嘉
莉嘉「加蓮ちゃんのこと?」
凛「うん。正直にね」
加蓮「莉嘉ちゃん……!」キラキラキラ
莉嘉「加蓮ちゃんは大切な友達だよ☆」ニコ-
加蓮「」
凛・奈緒「「……」」
莉嘉「あ、あれ? もしかして友達だと思ってたのは……アタシだけだったかな……?」シュ-ン
加蓮「ぢがゔの゛〜! 莉嘉ちゃんのことは大好きなんだけど〜! 友達だけれども〜!」ヒ-ン!
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース5、神崎蘭子
蘭子「薄氷の小悪魔!(ちょっとだけ意地悪です)」
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース6、棟方愛海
愛海「尊敬してます! 濃密なスキンシップを取ればもっと尊敬しちゃうかも! うひひひひ♪」ワキワキ
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース7、姫川友紀
友紀「うーん、加蓮ちゃんかぁ。部屋を汚くしてると小言を言われそうなんだよね。どうせ養ってもらうなら優しそうな奈緒ちゃんがいい! 毎朝お味噌汁作ってくれそう!」
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース8、高垣楓
楓「甘えさせてくれなさそうなのは……介護ポイント的にはマイナスですね。トライアドプリムスの中なら、朝起こしてくれそうなので凛ちゃんでしょうか♪」
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース9、市原仁奈
仁奈「カッケー!」
Q.北条加蓮さんのことをどう思っていますか?
ケース10、結城晴
晴「カッケー」
(しばらくして)
加蓮「なんで凛の方が尊敬されてるのさ!」カッ!
凛「大変ありがたいことです」ペコリ
加蓮「ま、千枝とか悠貴に『カッコいいです』って言ってもらえたからいいけどさ……」ハァ
奈緒「だから言ったろ。ちゃんと加蓮のことを尊敬してる奴はいるって」
加蓮「うん」
凛「まだ続ける?」
加蓮「ううん。もういいや」フルフル
奈緒「やっと終わったか……」ノビ-
凛「疲れた……」クゥ-
加蓮「2人とも付き合ってくれてありがとう」
凛「帰りおごり」
加蓮「わかってるって」
加蓮「ところで2人はさ。私のことあーだこーだ言ってたけど後輩に尊敬されたいっていう欲はないわけ?」
凛「うん」
奈緒「ないなー」
加蓮「ほんとぉ〜?」ジト-
凛「ワタシウソツカナイ」
奈緒「なんでカタコト?」
凛「カレン。トモダチ。ホンネデハナス」
加蓮「凛……!」ジ-ン
凛「……」スッ
加蓮「……」スッ
凛・加蓮「「E.T.」」ピキュ-ン
奈緒「尊敬されたいって思ったことはないけどさ、人によく思われたいなーって時はあたしにもあるよ」
加蓮「というと?」
奈緒「例えば、プロデューサーがみんなにケーキ買ってきたとするじゃん」
加蓮「うん」
奈緒「あたし。ショートケーキが好きで毎回食べたいなーって思うんだけど、先選んじゃうと小さい子がショートケーキ食べられないかもしれないだろ」
凛「そうだね」
奈緒「で、本当はショートケーキを食べたいのに『あたし何でもいいから好きなの選べよー』って言っちゃう。心の広い先輩的な雰囲気を醸し出す」
加蓮「なにその可愛いエピソード」
凛「加蓮はちびっ子に混じってショートケーキ争奪戦のジャンケンに参加する派でしょ」
加蓮「勝手に決めつけないでよ」
奈緒「譲るのか?」
加蓮「ううん。食べたい時はジャンケンで勝ち取る」
凛「だよね」
加蓮「で、凛は?」
凛「そういう話なら……まあ、あるかな」
加蓮「あら浅ましい」
凛「正直さ、自分には合わない仕事をすることってあるじゃない。具体的に何とは言わないけど」
加蓮「あるね」コクコク
奈緒「ある」コクコク
凛「そういう時でも私は『全力で楽しんでいこう!』ってみんなと掛け声を合わせるんだけどさ。内心では『早く帰りたいなぁ』って思ってます」
加蓮「この人でなし!」
奈緒「最低だな。凛!」
凛「途中まで頷いてたよね。いまのは『わかる』って同意してくれる流れだったよね。ひどすぎる。2人とも」
加蓮「私も実はよく見せたいことがあるよ」ド-ン
凛「だろうね」
奈緒「聞かせてよ」
加蓮「1つ。ソファでダラけてても、プロデューサーが来ると慌てて姿勢を直しちゃう」
凛「へぇ」
奈緒「……」
加蓮「2つ。水着撮影中にプロデューサーがくると慌ててパーカーを羽織っちゃう」
凛「うんうん」
奈緒「……」
加蓮「3つ。他の子がプロデューサーと話して盛り上がってると気になってチラチラ見ちゃう」
奈緒「待て」ピッ
加蓮「何よ」
奈緒「それは誰の話だ」
加蓮「奈緒の話」
奈緒「なんであたしの話を加蓮がするんだよ!」
凛「4つ。プロデューサーが出かける前は『ちゃんとハンカチ持ったか?』とか聞いちゃう。自分もよく忘れるくせに」
奈緒「だーかーらー! 自分の話をしろ! 自分の話をー!」ギャ-!
加蓮・凛「「まだまだあるのに」」
(帰り道)
加蓮「なんで私は後輩に尊敬されないんだろうなー」ブ-ブ-
奈緒「まだ言ってんのかよ」
加蓮「尊敬される凛が妬ましい」
凛「へっへっへっ」
加蓮「何勝ち誇ってるのさ!」カッ!
トテトテトテ...
拓海「おーっす。凛、奈緒、加蓮。いま帰りかよ?」
奈緒「おー、拓海」
凛「拓海はいま撮影終わったの?」
拓海「いや撮影自体は早く終わったんだけどよ。一緒に撮影してた雪美たちがゲーセンに行きたいっつーから面倒見て、家まで送り届けたとこだ」
凛「加蓮。これだよ。これ」ピッ
奈緒「このナチュラルパパさんムーブをすれば尊敬されるぞ」ピッ
加蓮「ふん!」プイ-
拓海「何の話だよ?」
凛「かくかくじかじか」
奈緒「こういうわけなんだ」
拓海「はー」
加蓮「何よその『馬鹿らしくして声も出ねーな』みたいな気の抜けた返事は!」キッ
拓海「馬鹿らしくて声も出ねーな、って思って」
加蓮「拓海の馬鹿!」ガシッ!
拓海「抱きつくな」
加蓮「あ、やっぱ大きい」モミモミ
拓海「どさくさに紛れて揉むんじゃねーよ!」バシッ!
加蓮「痛い!」
拓海「も。離せや」
加蓮「待って。私は尊敬されない女。この悲しみを癒してほしい」シクシクシク
拓海「ったく……凛も奈緒も大変そうだな」ハァ-
凛・奈緒「「大変だよ」」
加蓮「ぐぅぅぅ……悲しい……」ガシ-
拓海「……」
拓海「しゃーねーな。駅前の通りにタコスの店ができたの知ってんだろ? 今からあそこ行こうぜ。奢ってやるから」
凛「え、いいの?」
拓海「ああ。食えば加蓮も元気出るだろ」
奈緒「だってよ。行くか加蓮?」
加蓮「拓海大好き!」グリグリグリ
拓海「頭擦り付けんじゃねー! 犬か!」
奈緒「それあたしも時々やられる」
凛「私も」
加蓮「私を甘やかしてくれる人へのマーキングなの♪」グリグリグリ
奈緒「はた迷惑なマーキングだな……」
拓海「じゃ、行こうぜ。あと加蓮そろそろ離せ」グイ-
加蓮「あん。いけずぅ♪」
(後日)
美嘉「かれーん。週末にさ、この前話してた新作の化粧品試しにいかない?」
加蓮「行く行く。奢ってよ美嘉おねーちゃん♪」
美嘉「あんたも稼いでるでしょーが」
凛「……」
(別の日)
加蓮「美優さーん……レッスン疲れた……癒されたい……」パタリ
美優「ふふふ、お疲れ様です。加蓮ちゃん、いまお茶を淹れてあげますね」
加蓮「ありがとうございまーす。美優さんの淹れてくれるお茶美味しいから好き〜♪」ニコニコ
奈緒「……」
(別の日)
加蓮「わー、あいさんのサックス。すごくカッコいいですね♪」パチパチパチ
あい「ありがとう。褒めてもらえると嬉しいよ」フフフ
加蓮「アンコール、アンコール♪」キャッキャッ♪
凛・奈緒「「……」」
(別の日)
カチャ
瑞樹「あら加蓮ちゃん。お疲れ様。いまレッスン終わったの?」
加蓮「ええ。今日はもう予定もないのでご飯を食べて帰ろうかなーって思ってたとこです」
瑞樹「そう。だったら今日のお昼イタリアンのお店のランチ一緒に行かない? 楓ちゃんと一緒に行く予定だったんだけど風邪でダウンしちゃって……もちろんご馳走するわよ♪」
加蓮「いいんですか! 行きます! 行きまーす!」パァァァァァ
凛「……」
奈緒「……」
加蓮「ね! 凛と奈緒も行くよね! ……って何よ、その目は?」
凛「いや。加蓮は末っ子だなって」
奈緒「歳上からは可愛がられるよなぁ」
加蓮「?」
終わり
おまけ
(ある日)
涼「李衣菜。今からちょっとボイトレ付き合ってくれないか?」
李衣菜「はーい。いいですよ」ハイ!
ヒョッコリ
凛「……」イイナ-
(別の日)
拓海「お、李衣菜。今から帰るんだろ? よかったら寮までバイク乗ってくか?」
拓海「いいの! 乗る乗る〜!」キラキラキラ
ヒョッコリ
凛「……」イイナ-
(別の日)
菜々「レッスンお疲れ様です。クッキー焼いたのでよかったら食べていきませんか?」ニコ-
李衣菜「わぁ。ありがとう菜々ちゃん。食べる、食べる〜♪」
ヒョッコリ
凛「……」イイナ-
(別の日)
凛「先輩に可愛がられるコツを教えて欲しい」ズイッ
李衣菜「へ?」
終わり
おまけ
(外撮影・休憩中)
奈緒「あっつぅ……」グデ-
加蓮「日陰でもヤバいね……」ハァ
奈緒「だなぁ。早くクーラーの効いた部屋に戻りたいなぁ……」グデ-
加蓮「だらしないよ。奈緒」
奈緒「いいんだよ。スタッフさんも見てないし。今くらい仰向けに寝させてよ……」ベタ-
スタスタスタ
P「お疲れ様。差し入れ持ってきたぞ」
加蓮「お疲れ様。プロデューサー。今日、撮影来れないんじゃなかったの?」
P「その予定だったんだけど時間が空いたんだ。ほれジュース」スッ
加蓮「ありがと。ほら奈緒も」
奈緒「おう。サンキュー」ピシッ
加蓮「……」
P「暑い中なのに奈緒はシャッキリしてるな」
奈緒「まーな」フフン
加蓮「……」ジト-
終わり
おまけ
りあむ「エゴサ、エゴサ、楽しいエゴサ〜♪」ポチポチ
【りあむ 尊敬】
検索結果
・あのヤバさ逆に尊敬するわ
・悪い意味で尊敬できるアイドル
・尊敬から最も遠い人間
・尊敬できない本能寺
etc……
りあむ「だよね!」バ-ン!
P「涙拭けよ」
終わり
以上です。
お読みいただきありがとうございました。
性格的に言葉よりも結果で語るタイプの凛は歳下から慕われ、不満や欲求をはっきり言葉にする加蓮は歳上に可愛がられ、歳上と歳下をあまり意識しない奈緒はどちらとも友達になっていくイメージを持ってます。僕のイメージです。
中身は異なっていても欲求の方向性は同じなので、もしも今回の凛が「歳上に可愛がられてみたい」と言っていたら、加蓮も「何言ってんだ?」的な反応になってたはず。
このSSまとめへのコメント
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