【安価】提督「俺の叢雲」【艦これ】 (414)

某スレをリスペクト。三次創作ではない

飽きたら終わる

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叢雲「司令官はどこに行ったのかしら、私一人じゃできることは限られてるのよ」


とある鎮守府の秘書艦である叢雲は不満の表情を浮かべながら提督を探す。仕事が始まる時間はとっくに過ぎているというのにまだ執務室に現れないのだ


叢雲「病気で倒れてるなんてことは無いはずよ。きっとサボってるに違いないわ」


叢雲は一つため息をつきある場所に向かう。提督が仕事に来ないときはいつも同じ場所にいるのだ


叢雲「毎回迎えに行く方の身にもなりなさいよね‥‥」





下2提督の見た目や特徴など

提督「~~♪」


叢雲「なに鼻唄なんか吹いてんのよ。もうとっくに仕事が始まってるのよ」


提督「そうは言ってもさここの景色って何度見ても最高だと思わない?疲れが吹き飛ぶというかなんというかさ」


叢雲「疲れるもなにもまだ仕事してないでしょこのハゲ」


頭皮の事について言及されると少しピクリと反応するが提督は相変わらず埠頭から水平線を眺めている。

この提督は所謂イケメンと言われる部類に入る見た目をしていて性格も陽気で温厚。多数の女性からアプローチされるようなパーツは揃っているが、残念ながらこの提督の頭皮はとても寂しいのだ


叢雲「ここは風が強いわね‥ほら、早く執務室に帰るわよ」 


提督「そうだね、うん」


海風により叢雲の長く綺麗な髪が靡く。しかし提督の髪は靡かない。焼きそばに乗せられた鰹節のように気持ち悪くウネウネ動くだけであった

叢雲「今日中にこの書類は片付けること」


提督「うへぇ‥‥」


執務室の机の上に乗せられた大量の書類を指差す叢雲。提督が机に座ってしまえばその姿が見えなくなるくらいに紙が積まれている


叢雲「アンタがサボるからこうなるのよ」


提督「30分もあそこに居なかったよ?」


叢雲「文句言わずにさっさとやりなさい」 


提督はぶつぶつと小言を言いながら机に座る。文句を言ったところでこの大量の書類が無くならないことは知っているのだ


下2 仕事中のハプニングとか行動

五月雨「お仕事お疲れ様です。お二人にお茶をお持ちしました!」 


提督、叢雲『五月雨ッ!』


五月雨が気を聞かせてお茶を持ってきてくれただけだというのに執務室に緊張が走る。それもそのはずで、五月雨は何度もドジをしてしまっているのだ

ある時はお茶を載せたお盆がひっくり返り宙を舞い、綺麗に提督の頭に着地した。熱さよりも頭皮を心配した提督の叫びは一部の艦娘のトラウマとなっているほどだ

被害に遭ったのは提督だけではない。数多くの艦娘が五月雨の餌食となっている

そんな五月雨が提督と叢雲にお茶を持って来ているのだ。この緊張は不自然なことではない


提督「ゆっくりでいいから落ち着いてこっちまで来るんだぞ?!」


叢雲「慌てなくてもいいし急かしてもないわよ!」


五月雨「はぁ~い」


ゆっくりと五月雨が近付いてくる。お盆の上に載ったお茶の水面は激しく揺れている


下2どうなった?

五月雨「あああぁぁ~~!」


やはり五月雨はこけた。しかも丁寧にお盆を投げ飛ばしながら五月雨は倒れこむ

綺麗な放物線を描きながらお茶は宙を舞う。叢雲はまるでスローモーションを見てるかのようだった

提督はこれから自分に起こる悲劇を直感で感じ取った。湯呑みが自分の頭上に来てしまっているのだ

いくら毛生え薬を使ってもダメだったし、これが毛根へのいい刺激になったらいいなぁ。提督は現実頭皮をするでも無く全てを受け入れる準備をした


提督「おあ~~~~~~~~!!」


五月雨「す、すみません!」


叢雲「私じゃないからいいわよ別に」


提督の絶叫が鎮守府に響き渡った


下2この後起こったこと

利根「なんじゃ喧嘩か?!」


叢雲「そんな大事じゃなくてまた五月雨のドジよ」


利根「そうじゃったか五月雨も気をつけるんじゃぞ」


五月雨「すみませんでした‥‥」


叢雲「ところでそのバケツは何なのよ」


叢雲は利根が持ってきていたバケツを指差す


利根「暴れておるのが居るのかと思ってな、水をかけて冷静にしてやろうと思ったんじゃ!」


叢雲「ちょうど良かったわその水はコイツの頭にかけてあげて」


利根「お、おう‥」


利根は思わず一歩引く。提督がハゲていることは知っているが、その頭皮を見る機会があるのは一部の艦娘だけなのだ

提督は利根が想像しているよりハゲていた。ハゲ散らかしていたのだ

お茶を被ったことにより帽子を脱いだ提督の頭皮。それは江戸っ子の利根を引かせるほどのものであった

提督「俺の頭は大丈夫か?髪は無事なのか?」


叢雲「ここまでハゲてたら関係ないわよ」


右手で優しく提督の頭を撫でているがその頭皮に変わりはない。水をかけたといってもハゲ石に水。髪は戻ってこない


提督「なんで俺の髪は‥」


叢雲「アンタはきっと前世で何かあったのよ。そうとしか考えられないわ」


キツイ言葉をかけながらも頭を撫で続ける。叢雲と提督はそういう関係なのだ


下2次の展開

なんとかメンタルを持ち直した提督は仕事に戻る。書類の山を片付けていると外から賑やかな音と声が聞こえてきた


提督「もう演習の時間になっていたのか」  


叢雲「そうみたいね。今日はA班とB班だったかしら」


提督達にとっては砲撃音はBGMのようなもので不快に感じることは無く仕事に集中する

書類の山が少し減った頃、あッ!!という誰かの叫び声と同時に執務室に風穴が空いた


叢雲「また流れ弾ね。この鎮守府って構造に欠陥があるわよ」


提督「演習場の移動の申請は出しているんだけどなぁ」


下2謝りにきた艦娘やセリフとか

コロラド「ベリーソーリー‥」

叢雲「別に気にしてないわよ壁に穴が空いただけだし」


執務室に風穴を開けた張本人であるコロラドは頭を下げている。普段の姿とは全く違う大人しい様子でひたすらに謝っている


提督「気にしていないのは本当だよ、ここの鎮守府にまだ慣れてないのもあるでしょ?」


提督はコロラドを庇うがそうじゃないのと彼女は首を振る


コロラド「もし叢雲に当たっていたらと考えたら謝るだけではすまなかったのよ‥」


そう言われると提督は下を向き叢雲は目を見開く。コロラドの一言で空気が張り詰める

この鎮守府の叢雲は普通ではない。両足と左腕を欠損しているのだ

義足がなければ歩くことは不可能で義腕がなければ不自由する。彼女は一人で生きていくのは困難な存在である

なぜ叢雲がこうなったのかは知らない人物の方が多い。詳しく知っているのは提督くらいだ


コロラド「いくら訓練弾とはいっても当たってしまったら大変なことになっていたわ。ソーリー叢雲」


下2叢雲の反応とかセリフとか

叢雲「じゃあお昼何か奢って頂戴、それでチャラよ」


コロラド「それくらいで済むなら喜んで受け入れるわ」   


叢雲「そういうわけだからお昼食べてくるわね」   


提督「‥行ってらっしゃい」


深く息を吐いた後、そう絞り出すのがやっとだった。提督は叢雲の過去を知っているし彼女の地雷を何度も踏んできた

今日は機嫌が良かっただけなのだろうか?それとも何かしら心の変化があったのか提督には分からなかった

叢雲とコロラドが去った提督にできることは書類を片付けることだけだったので、またため息をつき仕事に戻った


下2この後どうなったとか

菊月「みんな気を付けろ!鎮守府に変質者が侵入している!」


覗き込んできた人物を提督と認識していないようで菊月は叫ぶ。それと同時に菊月が変質者と認定した人物に向けて拳を放つ

ぐえ、というカエルを潰したような声がした後に沈黙が流れる。菊月は変質者を撃退できたと思い手で体を隠しながら箱から身を乗り出す


菊月「司令官‥‥?」


正直言って覗きこんできた顔は見えていなかった。だが自分が衣服を身に付けていないと気付いてしまったのでそれどころではなかったのだ

だがこの頭は分かる、想像ができる。この散らかした寂しい頭の持ち主は司令官だ

菊月の叫びを聞いてもうすぐ誰かがやって来るだろう。その時に何と説明すればいい?

気絶した提督と裸の菊月の運命は‥


下2どうなった

萩風「ウフフ捕まえましたよ菊月さん♪」 
 

菊月「なぁあ?!」


箱の後ろから菊月の両胸を鷲掴みにする萩風。その手つきはとてもイヤらしい


萩風「この時を待ってたんです、さあ私と楽しみましょう」


菊月「離せおい!そもそもこの状況はなんなんだ!」   


萩風「ハァ‥ハァ‥‥!」  
 
 
菊月は鼻息の荒い萩風に連れ去られてしまった。この場に残ったのは空の箱と気絶して頭が露になった提督だけである



下2この後どうなった
 

今日はここまで。シリアスかギャグを決めなければいけないかも

提督「ん‥」


鳳翔「お目覚めですか?」


提督が気がつくとそこは鳳翔の膝の上であった。いわゆる膝枕というやつである

なぜこんな状況になっているのかを思いだし菊月はどうなったか鳳翔に尋ねるが、あそこに居たのは提督だけだったという

菊月はどうしたのだろうかと心配したが、もうどうにもできないので彼女の無事を祈っておいた 


提督「ありがとう鳳翔さん、もう大丈夫ですから」


鳳翔「なにがあったのかは分かりませんが無茶はしないで下さいね」


心配する鳳翔さんを後にして食堂に向かう。そうだ提督は腹が減っているのだ


下2食堂での出来事とか

叢雲「もう入らないわ‥ウプッ‥‥」


コロラド「叢雲は案外少食なのねこれでもレギュラーサイズよ?」  


叢雲「アンタが戦艦だからでしょ‥」


叢雲の目の前にはピザやバーガーといったアメリカンな料理が並んでいる。半分くらいは食べることはできたが叢雲の胃袋はもう限界を迎えていた


コロラド「アイオワはこのセットを大盛り頼むしお代わりだってするわよ?」


叢雲「もう食べ物の話は止めて‥」


手を口で抑えながらそっぽを向く。相当限界のようだ

提督「なら残りはこっちで食べるよ」


叢雲「お願いしてもいいかしら‥」


一部始終を聞いていた提督が叢雲の隣に座る。食べ残した量を確認するとピザに手を伸ばし食べ始める


コロラド「フゥ~~ンやっぱりそうなの」


提督「んぐっ、何がかな?」


コロラド「アドミラルと叢雲ってそういう関係なのよね。そうじゃないとそんなことできないもの」 


そう言われると叢雲と提督は目を合わせる


コロラド「私ってここに来てまだそんなに経ってないじゃない?二人の話を聞かせて欲しいわ」 


下2話の内容、どっちかのセリフとか

提督「叢雲が艦娘なる前は担当医だったんだよ」


コロラド「それってアドミラルのよね?どこか体が悪かったの?」


叢雲「ハゲの治療よ」


提督を心配するように前のめりになって話しかけていたが、叢雲の言葉を聞きコロラドは静かに椅子に座る


コロラド「叢雲はドクターだったのね?」


叢雲「そんな大袈裟なものじゃないわよ」


気を取り直して再び叢雲に話しかけるが大した答えは返ってこない。どうしたものかと思っていると提督が口を開いた


下2提督のセリフ


提督「コロラドはこの頭を見てどう思うかな?」


沈黙。コロラドは何も答えることができなかった

提督の顔は良くモデルにでもなれるくらいレベルが高い。しかしこの髪が全てを台無しにしているのだ 

提督にとっては間違いなくコンプレックスなのは見て分かるのだが、そこに言及しても良いのだろうか?


叢雲「遠慮なんかいらないわ正直に言ってやればいいのよ」


コロラドが言葉に詰まっていると叢雲が助け船を出す。その言葉は有り難かったが叢雲のことも気になっていたのだ

彼女の手足を初めて見た時は絶句し、どんなことを話せばよいのか分からなかった。しかし叢雲は自身について触れることはなく今に至っている

叢雲もコンプレックスを抱えているがどう思うとは言われたことがないし、そもそもコンプレックスという軽い言葉でまとめてしまっていいのだろうか?

彼女の場合障害とかハンディキャップという言葉が正しいだろう。頭皮が薄いことと同じ扱いはいけないのだ


叢雲「あ~あ黙っちゃったじゃない」 


提督「場が和むと思ったんだけどな‥」


コロラドが別の理由で考え込んでいるとは知らず二人は会話を続けていた


下2次の展開

ギャグになりそうでならないの結構好きよ

>>59ありがとう


提督「もういっそのこと諦めて全部剃るのはどうかな」


叢雲「いいと思うわよ今日にでもそうしなさい」


場所は再び執務室。昼食を終えた二人は仕事に戻り書類の束を片付けていた。その最中に提督が髪の事について独り言のような質問をぶつけると、叢雲から即答された


叢雲「アンタの頭って見苦しいのよ。毎晩それを見てたら気が滅入るわ」  


提督「スキンヘッドの方が不味くない?」


叢雲「散らかってるよりマシよ。それに剃ればカツラを被れるじゃない」 


頭を剃ることに抵抗は無いが、今より見た目が悪くなるのを恐れて提督はこれまで薄毛に抵抗していた。しかし叢雲がそう言うのなら本当にスキンヘッドにしてもいいのかもしれない


下2次の展開

青葉「聞きましたよ司令官ついに決断されたんですね!」


バターンと大きな音を立てて青葉が執務室に乱入してくる。レコーダーのようなものを持っているということは先ほどの会話を録音していたのだろう


叢雲「まだそうと決まったわけじゃないわよ。パパラッチは自分の仕事してなさい」


青葉「ブーブー!」


最近スクープがなくてつまらないんですよと青葉は駄々をこねる。そんなものはなくていいのよと叢雲は青葉を追い返そうとするが提督が待ったをかける  


提督「もし本当に頭を剃るならどうすれば艦隊の為になると思うか教えて欲しいんだ」 
 

叢雲「アンタ頭の中までおかしくなったの?」


提督「さっきのコロラドの反応を見て思ったんだ、この髪のせいで士気が下がっているかもしれないってね」


青葉「それならとっておきのがありますよ!」 


ぬふふふふと怪しい笑みを浮かべながら青葉は笑う。果たしてそのアイデアとは‥

青葉「え~~聞こえますでしょうか青葉です。今日はゲリラ放送を行っていますよ!」 


青葉はカメラの前ではしゃぎながら語りかける。スクープがあった時などはこうやって鎮守府内でライブ放送を行っているのだ

娯楽の少ない鎮守府にとって青葉の放送はいい暇潰しで、内容はともかく多くの艦娘が見ている


青葉「今日はですね司令官の断髪式を行います!」


叢雲「本当にやるのね」 


提督「叢雲になら剃ってもらってもいいし、皆に見てもらえ場いいって青葉のアイデアも悪くないと思うんだ」   


叢雲はため息をつきながら右手で剃刀を持つ。なんだかんだ言いながらも提督と特別な関係である叢雲でしかこの仕事はできないのだ。叢雲はカメラの位置を確認すると提督の頭に剃刀を立てた


下2次の展開

叢雲は動けずにいた。提督の頭へ剃刀を立ててから全く動けなくなってしまったのだ

青葉は焦らしているのだと思い息を荒くしてその時を待つ。だがいくら待っても叢雲の手が動くことはなかった

流石に遅すぎると青葉が思い始めたころに提督は口を開く


提督「ごめんよ青葉やっぱり今日はやめとこうかと思うんだ」 
  

青葉「ここまでお膳立てしたんですよ?!」


提督「ほら、今日は仏滅だし‥」
  

訳の分からない言い訳を続ける提督と文句を言う青葉。そんな二人とは対象的に叢雲は少しも動くことができなかった

提督「間宮券とインタビューを受けてあげる約束をしたら機嫌を直してくれたね」


叢雲はなにも答えない。青葉が帰って執務室に戻ってきても叢雲は無言のままだった


提督「たかが髪の毛が無くなるだけだよって言っても叢雲には大きなことなんだよね」   


叢雲は答えない


提督「叢雲は初めて会った時から大きく変わってしまったけど、君には変わりないんだよ」


叢雲は何も答えない


提督「叢雲が嫌がることはしないからさ。もう暫くはこの薄毛と付き合って欲しいな」   


叢雲は小さく頷いた
  

下2次の展開

静まり返った執務室に突如サイレンが響き渡る。深海棲艦が空気を読まずに攻めてきたのだ


提督「今出れるのはC班かな、それとも他の班に頼むべき?」   


叢雲「私がやるわ」


呟くように言うと叢雲は執務室から出ていく。提督は何かを言っているが聞こうとはしなかった


叢雲「ちょうどいい時に攻めてきたものね。私のストレスを消すのに利用させてもらうわよ」


強気な事を言うがその表情は暗い。怒りや悲しみが混ざったような複雑な面持ちのまま叢雲は海へ向かう


下2出撃の結果とか


今日はここまで。いつまで続くかは分からない

艦隊が帰投しました  


天龍「歯応えのねぇ奴らばっかりだったな暴れ足りねぇぜ」  


提督「歯応えのある深海棲艦が攻めてきても困るからこれでいいんだよ」


緊急出撃を終わらせた天龍が帰ってくる。敵はそこまで強くなかったようであっという間に片付けてしまった   

敵は弱いといえども六隻からなる集団だったが、それを天龍と叢雲だけで沈めてしまうとうのは簡単なことではない。これも二人のレベルだからできることなのだ


提督「ところで叢雲はどうしたんだい、一緒に帰ってこなかったの?」   


そうやって天龍に話しかけていると、彼女の後ろからここに居るわよと返事が聞こえる

叢雲「これ土産よ」


ポイッと床に何かを捨てる。それは無機物のように冷たくなく、むしろ生々しくグロテスクなものであった


提督「う‥で?深海棲艦の腕かい?」 


叢雲「ネ級の腕。しつこく抵抗してきたから引きちぎってやったわ」


叢雲を見てハッとする。彼女は返り血のような液体にまみれていたのだ。深海棲艦の血だとは思いたくないが、叢雲が捨てた腕からは叢雲に付着しているのと同じ液体が滴っている


叢雲「この腕が私にくっついたらいいのに。そう思わない?」   


提督が答えられずにいると叢雲はお風呂に入ってくるからと場を後にする。天龍は何かを言いたそうにしていたが言葉をかけることはなく立ち去った


下2次の展開

明石「と言っていたので作ってみました。ネ級の腕を使った義手型の艤装です!」


提督の目の前には義手にしか見えない何かがある。明石が言うにはこれでも艤装らしい


提督「これはどんな特徴があるのかな?」   


明石「なんとこれ本物の腕みたいに動くんです!そんじょそこらの義手とは訳が違います!」


叢雲の義足は高価なもので着けている限りは歩くことに不自由しないらしい。だが腕はそうではない、むしろ義手をつけていない時もあるのだ
 
これなら叢雲は喜ぶかもしれない。そう思いながら提督は叢雲が風呂から出てくるのを待っていた


下2次の展開

明石「ぴったりですね、動かせますか?」


叢雲「動いてるわ‥」


戻ってきた叢雲に義手型艤装を着けてもらったところ、見事に左腕が動いた。試しにペンを持たせてみると掴むことも可能のようだ。この艤装は素晴らしい出来といえるだろう

その反動かは分からないが頭の艤装の色々が赤っぽくなったが大した影響は無さそうだ。仮にあったとしてもこの腕が動くことに比べれば安い


提督「よければ感想とか聞きたいかな」


叢雲「まずは驚きね。ストレス解消のために千切ってきた腕が役に立つとは思わなかったわ」


叢雲の加虐性には悩まされてきたがまさかプラスに働くとは思わなかった。これを機に彼女は少しでも変わってくれたらと思う


下2次の展開

叢雲「アンタこっちに来なさい」


叢雲に促され提督は彼女に近付く。すると提督の帽子を右手で取り艤装の左手で頭を触った


提督「いつもと何か違うかい?」   


叢雲「その感触を確かめてるのよ」


これは二人にとっては重要なスキンシップなのだ。提督の頭上の荒地を久しぶりに見た明石が笑いをこらえながら肩を揺らしているのは失礼にあたる

しかし提督の頭も悪い。少し汗をかいていたようでいつもより荒地が乱れ、頭上にはミステリーサークルのような円形の模様が出来上がっていたのである

目を瞑って頭を触る叢雲とそれを受け入れる提督。それと笑うことを必死で我慢する明石とで三人の温度は全く違っていた


下2次の展開

ウウウ~~ゥゥ~  


明石「んひッ‥‥提督、また襲撃が来ちゃったみたいですよ」  


笑いをこらえながら明石はそう告げる。先程襲撃があったばかりだというのにまた深海棲艦が攻めてきたようだ


叢雲「この腕を試すにはちょうどいいわね。私が出るわよ」


提督「連続の出撃は体への負担が大きいから簡単には許可できないよ」


叢雲「さっきのは出撃なんかに含まれないわよ。あんな弱いのを倒して疲れるはずないでしょ」 
 

アンタは指揮に入りなさいと告げて叢雲は海へ向かう。提督は彼女を心配する気持ちもあったが信頼もしている。叢雲が大丈夫というのなら平気なのだと判断し、自分の仕事へと向かう

明石「でまた深海棲艦の体を持ってきたんですか」


叢雲「今度は足よ、艦種はヲ級で多分フラグ艦」


ドチュッと嫌な音を立てて足が転がる。今度は骨のようなものが見えていることから、かなりの力強いで引き千切ったのがわかる  


叢雲「また汚れたからお風呂に入ってくるわ。後はわかってるわね?」


叢雲の眼の奥には紅い炎のような気焔が見える。ただ喋っているたけなのにプレッシャーで押し潰されそうになる

そんな叢雲からの頼みを明石は消え入るような声で了承することしかてきなかった


下2次の展開

叢雲の義足は高性能で新しく作る必要が無いのではないかと思ったので再安価

下1次の展開とか何か面白いこと

「後はわかってるわね」は作っとけって事じゃなかったのか……

>>99骨見えてるし艤装義足にするのは状態が悪いと思った。書き方が良くなかったので次から気を付ける


叢雲「あいつらの血ってちゃんと洗わないと落ちないのよね。もう全部落ちたかしら」
 

こびりついた深海棲艦の体液を落としていると誰かが風呂場に入ってきた音がする。そちらを見てみると日向がこちらに向かってきていた


叢雲「そっちはなに上がりなのよ。今日は演習も無かったわよね?」
 

日向「瑞雲」


叢雲「まさか遠征なんか行くはずないわよね。こんな時間にお風呂だなんて何か理由があるの?」


日向「瑞雲」


会話ができない日向の扱いに困っているとその後ろから最上が顔を出す。彼女が変わりに事態を説明してくれた

日向は自主的に訓練をしようとしていたらしいのだが、お気に入りを含めた全ての瑞雲が無くなっていたらしい

心当たりのある場所を全て探したが無く日向はすっかり落ち込んでしまったということのようだ

最上も一緒になって探したらしいのだが見つからず、秘書艦である叢雲に話を聞きにきたということらしい


叢雲「そんなの私も知らないわよ。さっきまで出撃もしてたんだし」 
  

最上「やっぱりそうだよねえ、瑞雲どこに行っちゃったのかな」


瑞雲の無い日向は最早日向ではないと言わんばかりの落ち込みようである


下2次の展開

最上「良かったですね日向さん、今年も子瑞雲が沢山産まれたみたいだよ」  


日向「瑞雲!」  


叢雲「これは何なの」   


居なくなったはずの瑞雲は産卵?のために大いなる海に出ていたようだ。旅から戻ってきた瑞雲は立派な子瑞雲を連れて戻ってきた、これは素晴らしいことなのだ


最上「そういえば今年もこの季節だったのを忘れてたよ。お騒がせしちゃってごめんね」


叢雲「もういいわよ、もう」      


深く考えると負けな気がする。叢雲は瑞雲に関して考えることはやめた


下2次の展開


今日はここまで。地の文はあった方がよろしい?

提督「う~~んどうしたものかな」  


唸りながら提督が眺めているのは領収書である。そこにはそこそこの金額が印字されており、ボーナスにしては大きすぎる額となっている

この大金は叢雲が関係している。ネ級の左腕を千切ってからというもの叢雲の加虐癖は深海棲艦に向けられるようになったのだ

出撃する度に深海棲艦の手や足を持って帰ってくるようになり、明石の元には四肢が貯まる一方であった

叢雲の義手のスペアは一つあれば十分なので、残りは廃棄する必要があったのだが明石はそうしなかった。腕が作れるのなら足も作れるはずと義足艤装も作ってしまったのだ

そしてそれを試しに大本営に送ってみると言い値で買おうと驚きの金額が提示されたのだ

こうして提督の元には大金が舞い込んできた。物欲は人並みはあるものの、いざとなったら何を買えばいいのか分からない


提督「これは叢雲のお陰で手に入ったお金だし彼女の為に使うのがいいかもしれないね」


一つ決心したように提督は独り言を呟いた


下2次の展開

叢雲「どう、すればいいのよ」


提督「いつも通りでいいんじゃないかな」


叢雲「いつも、通り?」


あのお金はやはり叢雲に使ってもらおうと休暇と高級ホテルスイートにディナーをプレゼントすることになった

だが時期が悪く一人分の予約が取れずペアでのみの予約ならなんとか確保することができたので、提督と二人でホテルにやってきたのだ


提督「ドレスコードもこの服なら大丈夫だったみたいだね。他にお洒落な服が無かったから助かったよ」


叢雲「ドレス、コード‥」


いつもの叢雲ならアンタの頭はこの場所に相応しくない等言われる所だがその余裕は無いようだ。叢雲は目に見えて緊張している


下2次の展開

提督「お嬢さんそんなに緊張しないで下さい」


叢雲「‥お嬢さんなんて年じゃないわよ」


提督「少しでも緊張が解れたらと思ったんだよ。うまくいったかな?」


叢雲「知らないわよもう」
 

提督はいつもと違う態度を取ると叢雲はいつもの調子で返事を返す。場を和ませるという目的は達成できたようだ

普段の調子を取り戻した叢雲は提督とディナーを楽しむことができた。味も良かったがこういう場所で食べるという行為も楽しむ要素の一つなのだ


下2次の展開

「誰かと思ったがキミか、こんな所で休暇かね」


提督に話しかけてきたのは大本営の役員とか部長だとかいう上司だった。叢雲は会ったことがあるのかどうか分からないがとりあえず会釈はしておいた

提督の反応を見る限りこの上司を知っているようだ。最近どうだとか中身のない会話を続けている


コイツらは司令官ほど苦労もしてない癖にいい身分よね。何かあったらアンタ達から死んでいくんだから覚えていなさい

表情は変えず叢雲は心の中でそんな事を思っていた


下2上司と何かあったりとか次の展開

「そうそう、キミたちのおかげで奴らについての研究が進んでね。まだオフレコだがアテッランスが深海棲艦を利用した毛根移植再生の動物実験に成功したそうだよ」
 

提督「それは素晴らしいですね!!」 


その言葉で叢雲は嗚呼と嘆き全てを理解する。そもそもただの提督が大本営の人間と面識がある時点で違和感があったのだがこういう理由があったのだ

この上司をよく見ると提督より散らかしている。提督が荒地ならばこの上司は砂漠だ。辛うじてオアシスに数本の樹が生えているだけだ

しかもよく見ると年はとっているが顔は整っており若い頃は提督よりも顔が良かったと推測できる。この頭具合から見ると提督と同じように若い頃から散らかしていたのだろう

高級ホテルのレストランでガッチリと硬い握手を交わすハゲ二人。慰めあっても髪は生えないわよという独り言は誰にも聞こえなかった   


下2次の展開

千代田「なにしてるのよ私達の席はこっちじゃないわよ」  


千歳「お知り合いの方でも居たんですか?」


上司の元に二人の艦娘が寄ってくる。二人の正体は千歳と千代田だということがなんとか分かるくらいに美しい容姿をしていた。艤装ではなく私服になっているだけでこれだけ綺麗になるのかと驚きの表情で叢雲は見る

そして二人の指を見ると綺麗な指輪がはまっていた。どちらも左手の薬指にはまっているということはこの上司は千歳と千代田と重婚しているのだ

確かに顔は悪くない、でもそっちは砂漠よ?ハゲと結婚してよかったのかしら


千代田が男(ハゲ)同士での握手を見てなんとなく状況を察しため息をついていた頃、千歳は提督の正面に叢雲が座っているのを見つける。二人をまじまじと見ていた叢雲と目が合う


下2千歳のセリフとか

千歳「私達はハゲ萌えなのよ、貴女は違うの?」 


叢雲「ハ‥‥?」


千歳が言った言葉は聞き取れたのだが理解ができない。萌えっていうのは可愛げのあるものに使うのよねと考え込む

愛らしいキャラクターや可愛いアイドルに萌えという言葉を使うのは間違っていない。だがその萌えをハゲに使うことはどうだろうか

スキンヘッドならまだギリギリ理解できる。剥いたゆで卵のような頭皮はなんとなか萌えという言葉を使っていいだろう


だがハゲは萌えるのもではない、むしろ見苦しいものなのだ。これのどこに萌える要素があるというのか


叢雲が返事をできずに固まっていると今度は千代田が話しかけてくる


下2千代田のセリフ

リスペクト元に比べて安価に頼りすぎてる気がする
あっちだと『安価「こうしました」→作者「その結果こうなりました。次は?」』って感じだけど
こっちは『安価「こうなりました」→作者「はい。次は?」』って感じ

>>139安価スレの難しさを感じてる。自分で考えられる所は考えてみる


千代田「二人きりだったのに邪魔して悪かったわね。お姉も空気読んであげて」


千歳「あらごめんなさい。あとはゆっくり楽しんで」


そういうと千歳と千代田は上司を連れてどこかに行ってしまった。さっきの話からするに自分達の席に戻ったのだろう


珍しく興奮している提督から話された内容によるとあのハゲ上司はやはりハゲ友で、どの育毛剤が良いとかをよく話し合っていたらしい

よく大本営の人間と仲良くできたわねと聞くとハゲに上下関係は無いと真顔で返された。提督以外にハゲの知り合いが居ないので確認できないのだが、これ以上相手をするのが面倒で適当に返事を返しておいた

(ハゲの人が勧めてる育毛剤使っていいのか?効果がないことはその人が証明してるのでは)

叢雲「ここがスイートルームね最高級をうたってるだけあるわ」


食事を終えた二人は予約してあった部屋に入る。高級ホテルのスイートルームというだけあって部屋は広く設備も最高のものが揃っている


叢雲「この家具はアンティークだしあの時計はブランド物ね」


提督「一目で分かるだなんて流石だね」


叢雲「艦娘になる前に働いてた頃の名残よ」


叢雲の言う通りこの部屋は備品一つを取っても高級品ばかりで、ブランドに少し詳しいというレベルでも見たことのあるものが並んでいた  

ここはれっきとしたペアのスイートルームなのだが二人では有り余る程広い。この広さも含めてスイートということなのだろうか


下2次の展開

ザアアアア


提督「何を見てるんだい?」


叢雲「流石に出てくる水は普通なのね」


提督「もしかしたらミネラル水とかかもしれないよ?」


叢雲「そんなのあり得ないわよ」


叢雲から言い出したのにと嘆きながら提督は風呂場に入り、叢雲を抱き抱えながら入浴する


叢雲「普段広い風呂場を見慣れてるから少し狭く感じるわね」 


提督「鎮守府が唯一勝ってる所だね」   


叢雲「でも広さだけよ。シャンプーや入浴剤は高級品ね」


普通であればこの風呂場も広さを含めて驚くのだが、鎮守府の風呂は数十人が同時に入れるのでどうしても広さだけは驚きはしなかった

叢雲「それにしてもいい趣味してるわよね。全面ガラス張りなんて滅多に見ないわよ」   


提督「エロビデオとかならよく見るシチュエーションだよね」


叢雲「これで雰囲気を盛り上げろってことなんでしょうけど、少し低俗ね」    


普通の夫婦やカップルならガラス張りの風呂場は興奮するのかも知れないのだが、二人にとって風呂はそういう場ではないのだ

鎮守府の風呂では義足や艤装を展開していても平気なので、叢雲は一人でも入浴ができる。しかしごく普通の風呂場ではそうはいかない

体を洗うことや入浴するのも一人では不可能なのだ。両足の無い叢雲はこのバスタブに入ったお湯で溺死する

提督にとっても風呂場は気の抜けない場所で少しでも油断すれば叢雲に大事が起こってしまう
 

提督「でもガラス張りだと叢雲の手伝いがしやすいかもね。何かあったらすぐに分かるしさ」


叢雲「そう言われればそうね、いいことを知れたわ」


本来とは違う使い方でガラス張りの風呂場は使われそうだ


下2次の展開

提督「ふううぅ‥」  


叢雲「余韻に浸ってんじゃないわよ気持ち悪いわね」


提督「叢雲っていつもそうだよね‥なんでそんなに淡泊なの?」  


叢雲「こんなのでアヘアへするのは漫画だけよ。それよりアンタので汚れたからまたお風呂入るわよ」


叢雲と提督は男女の仲ではあるが、夜は基本こうである。提督が下手というわけでも叢雲が不感症ということでもない

叢雲は普段から提督に体を触られている。義足が手に入る前は移動するのにも提督を頼っていたし、トイレに行くにも提督の看護が必要だったのだ

そんな二人だから夜も特殊で普通の男女とは違う。世間話をしながら繋がり勃たなくなったら終わる。そんな情事をずっと繰り返しているのだ


下2次の展開

翌朝、ホテルで朝食を食べていると昨日会った上司と千歳姉妹と再開した。ハゲ(男)同士会話が盛り上がってしまったので艦娘だけでの会話となる


千歳「うちの人が朝からごめんなさいね。あなたの所の旦那さんに会えたのがよっぽど嬉しいみたいなの」


叢雲「旦那ってやめてくれないかしら、そういう関係じゃないのよ」


叢雲は即座に否定する。体の関係がありただの上司部下の間柄ではないことは確かだが、指輪のように二人の関係を見せつけるものは身に付けていなかった


千代田「でもやってることはやってるんでしょ?肌艶で分かるわよ」


叢雲「それとこれとは別よ」


この場にいる三人の艦娘とも昨日より肌の調子が良い。その中でも千歳がより艶があるということはそういうことだろう

千代田も叢雲に負けじと艶がある。上司は相当なものと推測できる

叢雲「私と司令官は指輪をあげたりとかもらったりとか単純しゃないのよ。この体を見れば分かるでしょ?」     


千代田「えッ!!」   


周りの視線が集まる程の大声を千代田は出してしまう。ハゲ二人はそれどころではなさそうだが千代田の声のせいで周囲の注目を浴びてしまった


千代田「あなた足‥それに左腕も!!」


叢雲「呆れたわねまさか気付いてなかったの?」   


千歳「千代田は戦闘では頼れるんだけど普段は割りと抜けちゃってるのよ」   


叢雲「これに気付かないなんて抜けてるってレベルを越えてるわよ」


こういう場で大声を出すのはマナー違反だと叢雲と千歳に注意され反省する千代田。高級ホテルに慣れているのかと思っていたがそうでも無いのかもしれない


下2次の展開

青葉「その時提督に言い寄る謎の女性が~~!」


叢雲「居ないわよ。そもそもここで何してんのよ」
 

青葉「いやあスクープの香りを聞き付けてやってきたんですよぉ!」


青葉の話によると高級ホテルのディナーに提督が叢雲を誘ったと人伝えに聞き、スクープの予感がするとわざわざここまでやってきたのだ


叢雲「ここに入るのも簡単じゃないわよ一体どうしたっていうのよ」


青葉「青葉のジャーナリズムとしてそれは答えられません!」


ジャーナリズムは関係ないわよと叢雲は呆れたように言う。叢雲が青葉に小言を言っているが無視をし千代田と千歳に自己紹介を済ませた

千歳「確かにジャーナリストさんの言うことは分かるわね。私生活がミステリアスな感じの提督とその秘書艦が高級ホテルに行くってことは怪しいわ」


千代田「私ならプロポーズでもされるかと思うわね」


青葉「そうなんですよ!そこのところはズバリどうなんですか?!」


グイイッと青葉は叢雲に近寄るがそれを右手で制し、彼女の顔を遠ざけた


叢雲「無いわよそんなの。このホテルへ来たのは私の休暇みたいなもの」


千歳「その反応を見る限りはそうみたいね」


千代田「残念だけどそうね」


叢雲「残念ってなによ。いっとくけど私は同情されるのがこの世で一番嫌いな行為だから」
  

千代田を睨み付けると千歳が謝罪し続いて千代田も頭を下げる。そして千歳が無理矢理上司引っ張る形で上司は戻っていった


提督「あれ青葉どうしてここに居るの?」


青葉「青葉のジャーナリ‥いだだだだ!!」


提督から見えない角度で青葉の臀部辺りを思いっきりツネる。これ以上なにも言うなという脅しのつもりだったがそれがうまくいったようで、青葉はそそくさと姿を消した


下2次の展開

ホテルから帰り束の間の休息を終えた叢雲に待っていたのは仲間達の妙な視線だった

あの提督が叢雲を高級ディナーに誘い叢雲がそれを了承した。二人の付き合いが長いことを知っている艦娘やそれほど知らない艦娘までも、二人はやっと目に見えて特別な関係になるのだという思考を持ってしまったのだ


これに関しては青葉は関係していない。過去に煽るような記事を書き叢雲から鉄拳制裁を食らった過去はあるが今回は皆がそう思ったのだ

叢雲もこの違和感には気付いたが訂正するのも面倒だったのでそのままにしておいた。言い訳しても謙遜だと思われる可能性もあったのでこれは悪手ではないと判断したのだ


叢雲「ごく一部が勝手に誤解してるかと思ったけどほぼ全員が変なこと考えてるのね。これは青葉に記事を書かせるしかないわね」


普段は邪魔でしかない青葉を待ち望む日がくるとは予想できただろうか。妙な気持ちになりながら青葉の帰りを待つのであった


下2次の展開

K「これより臨時集会を初めマス。議題は勿論テイトクについてデス」


A「まだKsが居ないわよ」


S「霞ちゃんはまだ遠征から帰って来てないぴゅ~ん」   


K「Sさん名前を出さないで下サイ!」


ここは鎮守府のどこかにある秘密の場所。ここでは提督に思いを寄せる艦娘達が密かに集まっているのだ

今日の議題は提督と叢雲がホテルで一泊してきたことについてということ。艦隊は二人を祝うムードだがそれに納得できないのが彼女達なのだ

IK「どうしても納得できないの、提督に相応しいのは潜水艦だと思うの!」


A「理由はなによ」


IK「海の中なら髪の毛が薄くても気にならないの!」


A「クソ提督は人間なのよそんな長時間潜ってられないわよ」


K「提督に相応しいのは戦艦デーース!」 


集会といっても自分が提督に相応しいのだと言い合うだけでいつも終わってしまうのが普段なのだが今日は事情が違う。横道には逸れたがすぐに議題に戻り真剣に話し合う


A「やっぱりもらってるわよね指輪。叢雲だから右手の薬指にはめるのよね」


IK「妬ましいの‥!」


S「それならいい方法があるぴゅう~」


K「なんですかSさん?」


S「その指輪を奪っちゃえばいいぴゃん♪」


部屋に沈黙が流れる。虫も殺さないような顔をしているこの子がそんなことを言うだなんて

乱暴ではあるがそれ以上の意見は出ず、結果叢雲の指輪を奪うという結論になった。叢雲という最大の障害のためなら彼女達は協力するのだ


下2次の展開

酒匂「ぴゅうう~~指輪はどこかな~」
 

酒匂は叢雲の部屋に侵入し机やクローゼットを漁っていた。指輪を盗むという役割は誰も立候補者が居なかったので、言い出しっぺの酒匂が担当することになったのだ


酒匂「叢雲ちゃんは出撃中で帰ってこないからゆっくり探せるし、隅々までチェックしよう!」


部屋に入り暫く経ち、ついに指輪を見つけた。お洒落で身に付けるような指輪で無いことは見ただけで分かる


酒匂「これが無くなれば叢雲ちゃんは司令のものじゃなくなるもんね!」


酒匂は力を込めて指輪を握る。


酒匂「これで司令は皆のもの!作戦は完了したし金剛さんに報告しないと♪」


意気揚々と叢雲の部屋から出て行く。その表情はとても爽やかで綺麗な笑顔だった


下2次の展開

提督「叢雲の部屋に何か用事でもあった?」


ぴゃあああ~~っと酒匂は悲鳴をあげる。叢雲の部屋を出ると提督と鉢合わせしてしまったのだ。他の誰かなら言い訳もできたのだが提督だとそうもいかない。酒匂は頭の回る方なのだが状況が最悪過ぎてなにも口から出てこない


提督「叢雲は出撃中だから着替えが必要とかじゃないよね。何の用事があったのかな」


提督は優しく声をかけるがそれが酒匂にとっては追い込まれているように感じる。普段通りの笑顔のはずなのに恐怖を感じていた
  

提督「えっと、酒匂?」


酒匂はなにも答えられない。口を開けば全てをさらけ出すことになってしまうからだ


下2次の展開

提督「なにをしようとしてたのかは分からないけどきっと叢雲の為にしてくれたことだよね」


提督は笑顔で酒匂に話しかける。その笑みが彼女を追い詰めているとは知るはずがない


提督「酒匂のことは信頼してるからね。遠征や出撃であと一人軽巡洋艦が欲しいって時はいつもお世話になってるし」


提督の言葉が突き刺さる。槍のように深く深く刺さる


提督「皆が酒匂みたいにいい子だったらいいのに、なんてたまに思っちゃうんだ。君は軽巡のお手本みたいな存在だからさ」


また槍が酒匂に刺さる。提督には悪意が無いので相手を傷付けているとは知るはずもない

言葉にトゲがあるのなら受け取る方も耐えられる。しかしトゲの無い言葉は相手に深く深く突き刺さるのだ

提督「もうすぐ叢雲が帰ってくるから後はお願いね」


酒匂「司令ッ!!」


普段の彼女からは考えられない大声。何事かと思っていると酒匂はゆっくりと右手を差し出した


酒匂「こ、れ。ゴメン、なさい‥」 


ゆっくりと手を開くとそこには金属片があった。ネジにしてはおかしいしナットの一部か何かだろうか

提督が思考を巡らせていると酒匂が泣きそうな顔になりながら口を開いた


酒匂「叢雲、ちゃんの指輪。潰し、ました‥ごめんなさい」


酒匂の手は震えていた。故意で指輪を潰したことを懺悔することなどするつもりはなかったのに


下2次の展開

提督「どうしてそうしたのかはあえて聞かないけど叢雲にはちゃんと謝っておこうね。それは叢雲が自分で買ったお気に入りらしいから」


え、と驚いた声をあげる。この指輪は提督からの贈り物ではなかった?

あんなに大事そうにしまっていたのにただの指輪だった?提督の表情を見ると嘘は言っていないようだ。なら私はただ私物を壊しただけなの?酒匂は言葉を発することができなった


提督「こっちからもフォローはしておくけど、自分で謝ることが大切だからね」


そう言うと提督は立ち去っていった。酒匂がどういう目的で指輪を壊したのかは最後まで知ることは無くこの場を去ってしまったのだ

下を向く酒匂の表情は誰にも見えない。悲しんでいるのか笑っていたのかは誰も知ることはできなかった

叢雲「あいつから話は聞いてるけどちゃんと説明してもらおうかしら」
 

出撃から帰ってきた叢雲が酒匂に詰め寄る。提督からは酒匂が誤って私物を壊したと聞いていたが、鍵をかけている自室に忍び込まない限りそんなことはできないのだ


叢雲「なにが目的なのかはっきり言いなさい。正直に言えば許してあげないこともないわ」  


叢雲は酒匂の行動は自身への嫌がらせの一種だと思っていた。町へ出れば変な目で見られることも多かったし、傷付く言葉も何度も言われてきた

そういう時叢雲は本当ならやってはいけないが暴力で解決したこともある。叢雲の加虐性はそうやって高まってしまった部分もある


叢雲「どうしたのよ早く何か言いなさい。いつまでも黙ってるならサンドバッグになるだけよ」 


叢雲の眼が紅く光る。彼女は怒る寸前まできている


下2次の展開

酒匂「ごめんなさい‥全て白状します」


酒匂は全てを打ち明けた。叢雲の部屋に忍び込み指輪を見つけたこと。提督から贈られたであろうその指輪を故意で破壊したことも全て話した


その話を聞いて叢雲は何も答えない。返事も返ってこない中酒匂の話は続く

提督と叢雲のホテルでの一見はプロポーズであったことは想像できる。その指輪を叢雲が受け取っていたのでどういう返事をしたのかもわかると

私はそれに納得ができなかった。自分の方が司令を愛しているし相応しいと思うとまで言い切った

それがどういうことを意味しているのかは言葉にしなくても理解はできる。叢雲と結婚するということはその面倒を生涯みる羽目になるのだ

司令には苦労をさせたくない、私が支えるんだ!酒匂は叢雲に向かい叫ぶ

酒匂「叢雲と司令を繋ぐものはもう無いの。ほらこれ!」


酒匂は粉々になった指輪を見せる。それは提督から贈られたものではなかったが酒匂はその事実を知らない


酒匂「これで勝ったと思わないで司令は私のもの!」


ぴゅうううっと鳴き声のような威嚇のような声を出す。そんな酒匂に向かって叢雲は口を開いた


下2叢雲のセリフ

叢雲「はあ?あいつから指輪なんて貰ったことないけど?」


酒匂「ぴゃあああ?!」


叢雲「あんたも誤解してるうちの一人ってわけね。ちょうどいいから説明しておくわ」


青葉、どうせ聞いてるんでしょ!と叢雲が大声を出すと物陰から恐縮です~と青葉が姿を現す

同じ説明を何度も繰り返すのが鬱陶しいので青葉に記事を書かせるつもりでいた。スクープの香りをかぎ分ける青葉ならこの場にいるはずだと推理はできたので呼びつけたのだ


青葉「ここからは対談インタビューという形にさせてもらいますね!」


叢雲「その代わり今の会話の録音データを渡しさない」


青葉「インタビューさせてもらえるのならそれに越したことはありませんからね!」


青葉は素直に酒匂との会話の録音データを渡した

叢雲「あれはただの休暇だったのよ。いくらアンタでも理解できたわね?」    


酒匂「ぴゃあん‥」 


叢雲の説明は分かりやすく誰にでも理解できる内容だった。これを誤解することは不可能だろう


青葉「つまり酒匂さんの勘違いで叢雲さんの私物を壊したということですね!」


叢雲「大事にしまってあったのはブランド物だからよ。艦娘になる前に記念に買ったの」  


酒匂「弁償して返します‥‥」


叢雲「当たり前でしょ早く返しなさい」


酒匂が指輪を壊した件は弁償することで解決しそうだ


下2次の展開

青葉「あのぉところで酒匂さんの告白はどうしましょうか、記事にしても大丈夫ですか?」   


叢雲「どうせなら晒し者にしてやりましょう」


酒匂「ぴゃあん?!」


言い訳しようにも青葉の録音データは叢雲が持っている。否定すればするほど墓穴を掘ってしまうのだ


叢雲「あんなハゲのどこがいいのよ。これを機に普通の人間でも好きになりなさい」


酒匂「司令より素敵な人なんていないもん!」


酒匂が言い訳をすればするほど青葉の記事が厚くなる。自分でネタを提供しているとは知らずに酒匂は墓穴を掘り続ける

叢雲「しょうがないわね、酒匂手を出しなさい」    


酒匂「ぴゃ?」


叢雲「アンタと握手してる所の写真を青葉に撮らせるのよ。わかってるわね青葉」


青葉「青葉にお任せ下さい!」


酒匂とは和解したという記事を書かせる為に握手をしている場面を写真に撮らせる。しかし叢雲が出した手は右手ではなく義手艤装の左手であった


パシャパシャと青葉のカメラが音をたてる。はじめはぎこちない笑顔を浮かべていた酒匂だがその顔は時間が経つに連れて歪んでくる


酒匂「叢雲、ちゃ‥‥ん!!」 


叢雲「人のものを壊しておいて罰がないのはどうかと思わない?」


ギシッ、ペキペキと嫌な音が響く。酒匂は手を離そうにも叢雲は離そうとしない


叢雲「これに懲りたら二度とこんなことはしないことね。次は首をへし折るから」   


言葉にならない悲鳴をあげる酒匂。叢雲は酒匂の左手が変色してもその手を離すことはなかった


下2次の展開

あああぁっ!という悲鳴をあげ酒匂は倒れ込む。手の感覚は無くなっており直感で潰されたと思い恐る恐る自身の左手を見る


酒匂「え、ある?」


叢雲「冗談よ感覚が無くなったのはただのトリック」


ついでに音もそうよと叢雲は青葉を指差す。そちらを向くと青葉が再生機のようなものを持って微笑んでいた


青葉「叢雲さんお役に立てましたか?」


叢雲「十分やってくれたわ。酒匂、次はないわよ」


酒匂を睨につけると青葉と共に立ち去る。残された酒匂はその場にへたり込むことしかできなかった

青葉「記事は青葉にお任せ下さい!」


叢雲「私が細かく説明しなくていいような見やすい記事にしなさいよ」

恐縮です!と返事変わりに言ったあと青葉は自室に戻っていく。さっそく記事を書くのだろう


叢雲「顔がいいのは認めるけどあいつはハゲよ。魅力なんてどこにあるのかしら」


叢雲は愚痴りながら執務室に向かう。秘書艦としての仕事が待っているのだ


下2次の展開

叢雲「出張なんて珍しいわね」


叢雲が手に取った指令書には提督が出張する旨の内容が書いてある


提督「パスポートも取ってこないといけないね。暫く忙しくなるかあ」


叢雲「パスポート?」


提督が変な事を言うので資料をもう一度確認してみると、出先は欧州となっていた


叢雲「あ、アンタねえ!」


提督「大丈夫だよお土産は買ってくるから」


違うでしょ!!と叢雲の絶叫が執務室に響いた

叢雲「欧州なんかに出張って飛ばされる寸前じゃないのよ!」


提督「そうなの?!」


叢雲「そうだからアンタに言ってんでしょ!」


鎮守府は日本各地にあるが海外となるとその数は少ない。日本から海外の鎮守府へと赴任ということは左遷や降格を意味するのだ


叢雲「何をやらかしたのよ正直に言いなさい!」


提督「やらかすどころかむしろ褒められたでしょ。報酬金も貰ったよね?」


叢雲「じゃあなんでこんな事になってるのよ!」


叢雲の叫び声は暫くの間鎮守府内に響き渡っていた


下2次の展開

酒匂「ぴゃああああああ?!」


鎮守府内に貼られている命令書を読んだ酒匂は叫ぶ。そこには自分の名前が書いてあるのだがその内容に驚いたのだ


酒匂「なんであたしが司令と叢雲ちゃんと出張なの!」


叢雲とはあんな事があったばかりなのになぜ自分が選ばれたのか。その理由が分からず酒匂は叫ぶことしかできない


酒匂「なんで、なんで!ぴゃあああああん!」


叢雲「こんな所で叫ばれるとうるさいんだけど」 


酒匂「うびゃああああ~~!!」


この日一番の悲鳴が廊下に響いた

叢雲「アンタは人付き合いもいいし成績も悪くない。秘書艦の他に軽巡洋艦が必要な出張なら司令官が選んでも当然なのよ」


酒匂「はい‥」 


正座をしながら返事をする酒匂。提督の出張には軽巡が必要だったのだがこの鎮守府の軽巡洋艦は少々癖のある艦娘が多い

そんな中提督から見てみれば酒匂は信用できる艦娘なのだ。彼女が提督に思いを寄せ暴走することは全く知らない。だから出張の艦娘に選んでしまったのだ


叢雲「アイツはこの出張を機にアンタと私を仲直りさせようとしてるのよ。そっちが本命の理由かもしれないわね」


酒匂「ぴゃあ‥」 


叢雲「一度言ったから分かると思うけど変なことしたらどうなるか分かるわね?」


酒匂の喉を左手で掴む。酒匂は半泣きになりながら頷いた
 

下2次の展開

ポーラ「どうもこんにちわ~~私が案内させてもらいますね~」


出張先からやってきた巡洋艦のポーラが先導してくれるという。確かに艦娘が護衛してくれるなら飛行機で行くよりは早く着きそうだ


叢雲「海域の安全は保証されてるんでしょうね」


ポーラ「えへへ~~大丈夫ですよ~」


酒匂「本当に大丈夫かな?なんかお酒臭い気がするけど」 


叢雲「いざとなったら司令官を連れて逃げるわよ。アイツが乗ってる高速艇から離れないで」


息がお酒臭くなるほど飲んでしまっている艦娘に先導されながら提督達は欧州へ旅立って行った


下2次の展開


今日はここまで。改善点とかこうしたら面白いだとかあれば教えて

欧州に着いた叢雲達は熱烈な歓迎を受け、目的地に着くなり提督は男達に囲まれてしまう

そしてその男達の頭は‥‥ハゲていた


叢雲「なんで出会う奴らがことごとくハゲてるのよ!」  


酒匂「ハゲはハゲを呼ぶ?」


叢雲「ハゲはあいつだけで十分なのよ‥」
 

頭の寂しい男達に囲まれた提督を見て今回の出張の目的を悟る。きっとまた頭皮に関することなのだろう

左遷や降格が原因の出張でないと分かり安心するが、それよりハゲに関わってしまうことが新たな悩みの種となるのだった

酒匂「ところで司令ってこっちの言葉話せたの?」   


ハゲに囲まれている提督だが男達の言葉は現地のものである。通訳を連れてきた覚えがないので会話も一苦労のはずだ


叢雲「アイツはトリリンガルよ」


酒匂「鳥?」


叢雲「三か国語を話せるって意味」 


叢雲はそう言った後ハッとし、酒匂は感心する。提督業をやるには外国語は必須なのだが提督はそれ以上の言語能力がある

今回の出張もそのことが頭にあれば左遷や降格だなど騒ぐ必要は無かったのだ


叢雲「冷静になるべきだったのね‥」


酒匂には聞こえないように独り言を呟いた


下2次の展開

叢雲「またハゲが来たわね」 


提督の周りにはまた頭が寂しい男が集まってきた。だが先ほどまでの男達とは違いどこか雰囲気を感じる


ポーラ「提督さんは~~世界毛根活性化機構の~初代議事長に選ばれたんですよ~~」 


何よその団体はと叢雲は愚痴を言い酒匂はハゲ達を眺める。提督が名誉な事に選ばれたのは分かるがハゲに囲まれる司令はちょっと嬉しくない。酒匂の顔に笑顔は無かった


ポーラ「提督さんはさておき~貴女達にはして欲しいことがあるんです~~」


ポーラは二人をある場所まで案内する。そこは鎮守府ではなく演習場であった

ポーラ「ここに鎮守府は無いんです~~艦娘がそもそも少ないですから~」
 

鎮守府は無いが設備は揃っているらしく演習に不安は無いと話す。しかし叢雲は気になることがあるようだ


叢雲「鎮守府が無いってことは提督も居ないのね」


ポーラ「その通りです~~ポーラ達の所属は海軍ですよ~」


欧州には深海棲艦が少ない。地形の問題もあり大群が攻めてくるという状況が起こりえないのだ


ポーラ「今回軽巡洋艦をお呼びしたのは~~ポーラ達の仲間に軽巡が居ないからなんです~」


叢雲「つまり酒匂と手合わせしたいってことね」


ポーラ「はい~~お願いできますか~?」


酒匂「ぴゃあん!」


酒匂もやる気のようで演習の準備を始める。ポーラからは相変わらず酒の匂いがするがどこまでやれるのだろうか


下2次の展開

演習の様子は叢雲が記録係として動画を撮っていたのだが、一向に展開が進まない

互いに得意な距離である中距離で撃ち合っているのだがどちらも当たる気配が無いのだ。酒匂のレベルは高いはずなのだがポーラの不規則な動きに対応できていない

ポーラは避けながら砲撃を行うが酒匂を捉えられない。夾叉で追い詰めたと思ったら加速と減速を繰り返し逃れている


叢雲「義手艤装を使わないなら私より酒匂の方が上なのよ。そう簡単には当たらないでしょうね」


ポーラはただの酔っぱらいだと思っていたがそうでは無さそうだ。回避はともかく砲撃は一級品といえる


叢雲「出撃機会は多くないはずなのによく動けてるわね。日頃から訓練できているのね」


ポーラの動きを見て叢雲の評価は上がっていく

叢雲「はああぁ‥」
 

動画を撮っているというのに深いため息をつく。その理由は砲撃戦が行われているはずの演習場の光景にあった


酒匂「ぴゃあ!ぴゃあああああッ!!」


ポーラ「ちょええ~~い!」


主砲と魚雷を打ち切るも互いに直撃がなく演習は引き分けに終わるかと思っていた矢先、演習場で殴り会いが始まったのだ

燃料がまだ残っているから戦うということなのだろうが、なぜ海上でやっているのか叢雲には理解できない


叢雲「殴り会うなら陸でやりなさいよ‥」


酒匂の蟷螂拳とポーラの酔拳。それなりにいい勝負になっているのがまた叢雲にため息をつかせる 


下2次の展開

ポーラ「ごくごくごくごく……っプァ~演習後のワインはオイシイ!」
酒匂「ですねぇー!」
叢雲「こいつ等……はぁ……」

ポーラ「ごくごくごくごく……っプァ~演習後のワインはオイシイですね~~!」  


酒匂「ですねぇー!」


演習もとい海上での格闘技も終わりポーラと酒匂はワインを飲み交わしていた


叢雲「こいつ等……はぁ……まあ、いいわごくごくごく」


目の前で飲まれていて自分だけ我慢する必要も無い状況。もちろん叢雲も飲んでいた


ポーラ「本番のワインはどうですか~~?」


叢雲「こっちで買うよりフルーティーね。ジュースを飲んでるみたいだわ」


酒匂「うえへへへー♪」


ジュースのように飲みやすいということは酔いを自覚する前に次々飲んでしまうことになる。酒匂はあっという間に酔ってしまっていた

ポーラ「もう酔っぱらいましたか~この勝負ポーラの勝ちですね~~」
  

叢雲「アンタまさか‥」   


先ほどの演習では決着が着かなかった。燃料が切れて引き分けという結果になったのだ


ポーラ「ポーラはこう見えて負けず嫌いなんです~」


叢雲「誰だって負けるのは嫌に決まってるじゃない」


ポーラ「叢雲さ~ん、ひと勝負しませんか?」


ポーラは笑みを浮かべながらワイングラスを傾ける


叢雲「そっちはもう酔ってるみたいだけどハンデのつもり?」


ポーラ「こんなの酔ってるうちに入りませ~~ん」


いいわ、やってやろうじゃないの。そう言いながら叢雲はグラスに一気にワインを注ぐ。叢雲とポーラの勝負が始まった


下2対決の結果とか

ポーラ「ポーラの周りにはいい人が居ないんです~」


叢雲「そっちは海軍所属でしょ男なんて選りすぐりじゃないのよ」


ポーラ「オジサンしか居ないんですよ~~!」


確かにそうねと叢雲は相槌を打つ。二人はワインの飲み比べの肴として上司への不満を言い合っていた


叢雲「こっちは提督がハゲてるのよ。しかも顔が良いから見栄えが悪くて仕方ないわ」


ポーラ「確かに残念ですねえ~」


欧州の艦娘から見ても提督は微妙なのには変わらないそうだ


ポーラ「いっそのこと剃っちゃえばモテると思いますよ~~」


叢雲「そうなの?」


日本ではハゲが多くの女性から人気があるなど聞いたことはない。欧州ではそうではないというのだろうか

ポーラ「若くして頭がツルツルだと精力的だって証なんです~もちろん髪の毛が普通でもモテますけど、ハゲも人気なんですよ~~」


性行為にどこか後ろ向きな日本とは違いこっちではそれすらもオープンのようだ。確かに女としてそれは重要な要素である


ポーラ「叢雲さ~んそっちの提督はどうなんですか~~?」


叢雲は提督と親密な関係だと言った覚えがなく適当に誤魔化そうとしたが少し考える。日本から欧州への出張で親密でない艦娘を秘書艦として連れて来るだろうか?酒匂は指定された艦種の為そうとは言い切れないが、叢雲は提督の意思で連れて来ているのだ

言い訳をするだけ無駄だと悟った叢雲はポーラへの質問に答える。その答えは彼女の想像よりも上で大いに彼女は喜んだ


話が進むと酒も進む。ポーラはソフトドリンクのようにワインを飲み干していった

ポーラ「うにゃあん‥」


既に酔っていた分叢雲が有利だったようで勝負は叢雲の勝ちのようだった


叢雲「勝ったは、いいけど、私も、飲み過ぎたわね」 


ふらつきながら酒匂を抱え移動する。酒匂はとっくに潰れてしまいイビキをかいて熟睡している


叢雲「アイツは、まだ、帰ってないの、かしら」  


危ない足取りで叢雲は宿泊施設に向かう


下2次の展開

提督「酒匂はこっちに任せて。叢雲も一人で歩くのが精一杯でしょ」


なんとか宿泊施設にたどり着くと既に提督は帰っていたようで叢雲達を出迎えた


叢雲「もう、仕事、終わったの」
 

提督「続きはまた明日だよ。今日は彼女と楽しんでくれだなんて言われちゃった。そんな関係じゃないのにね」


水を持ってくるから待っててと提督はキッチンに走る。叢雲は酔っている影響で義足にはめている靴を外せないでいた


叢雲「んう、取れ、ない」


手がうまく動かず靴を外せない叢雲は玄関から動くことができない

提督「酒匂はベッドに寝かせておいたしあとは叢雲かな。寝ちゃう前に着替えさせないと」  


叢雲「ひれい、かん」  


提督「義足はどうしたの叢雲?!」  


名前を呼ばれ振り向くとそこには義足を外した叢雲が居た。どうしても靴が外れなかったので義足の方を外して部屋まで入ってきたのだ


提督「這って移動するとアザだらけになっちゃうでしょ。お風呂入れてあげるから少し待ってて」


叢雲「みじゅ」


提督「はいはい」


コップは落とさないでと叢雲を支えながら水を飲ませる提督。既に叢雲の意識は半分以上無くなっていた


下2次の展開

酒匂「ぴゃああ‥」


落ち着け。酒匂はまず自分にそう言い聞かせる。昨日ポーラと演習後ワインを飲んでからの記憶がない。ぼんやりと誰かが宿泊地へ運んでくれたような気がするだけで他は何も覚えていない  

酒匂が目を覚ますとそこはベッドの上であった。一人で寝ていれば何の問題もないのだが、隣には提督と叢雲が寝ていたのである

まずい、これは非常事態だなんとかしなければと酒匂の頭はフル回転する


まずはここが誰の部屋か確認する必要がある。ベッドの大きさからしてここは叢雲の部屋であることが分かる

この宿泊施設は一軒家のような構造で、一つの部屋の中に個人の寝室がある。叢雲のベッドも本来なら普通の一人用だったのだが、介抱のことを考えて特別にキングサイズのベッドを入れてもらったのだ

このベッドには三人が川の字になって寝ている。こんなことができるのは叢雲の部屋だけなのだ

状況がのみ込めてきたところで次は衣服の確認をする。自分は服を着ているようだが最後に着ていた制服では無かった

自分で着替えた記憶はない、誰かに着せてもらったとしか考えられない。酒匂の顔に冷や汗が浮かぶ


本当に提督との間に行為があったのなら自分の体を調べれば分かるはずだ。しかしそれを行うのはここではない

酒匂は叢雲と提督を起こさないよう静かにベッドから出る。こんな所を叢雲に見つかれば命の保証はないのだ


地雷源でも歩くかのように物音一つ立てず叢雲の部屋を立ち去る酒匂。その姿はまるで肉食獣の巣から逃げ出そうとする小動物のようであった


下2次の展開

酒匂「ぴゃあん‥ぴゃあん‥」


酒匂は追い込まれていた。脱衣所を確認すれば自分の服があり、首元にはキスマークまであったのだ

服を汚した覚えは無かったが脱衣所に入っていた自分の服は汚れて乱れていた。それだけならまだ他に理由は考えられるのだがこのキスマークはアウトだ


酒匂「これって司令としちゃったってことだよね。ぴゅうん」


覚えていないが憧れの司令と一つになれた。そのことは嬉しいのだが問題は叢雲なのだ


酒匂「どうしよう叢雲ちゃんが起きたら殺されるんじゃないかな」


叢雲には左手を潰されかけたことがある。あれは警告だと言ったのだ、酒匂に次は残されていない

酒匂「もうすぐ叢雲ちゃん達起きちゃうよどうしよう」


酒匂は焦るがもうどうしようもない。ベッドから逃げ出すことはできたのでしらを切ればなんとかなる可溶性は残されている


酒匂「それでいこう。あたしはずっとここで寝てた!」


半ばヤケクソになりながら酒匂は自分のベッドにダイブする。起床時間まではあと少しあるので仮眠をすることは可能だ


酒匂「これは夢、夢なんだ」


現実逃避をしながら酒匂は目を瞑る。そうすることしか彼女には道が残っていないのだ


下2次の展開

起床時間になってしまったので酒匂は恐る恐る部屋を出る。提督と叢雲は既に起きていたようでリビングに入ってきた酒匂と目が合った


酒匂「おはよ‥こざいます」   


提督「ああうん、酒匂おはよう」


酒匂は全てを悟る。このぎこちない提督の態度が全てを語っていたのだ。やはり自分は司令と一線を越えたのだ、叢雲がいるのに越えてしまったのだ!

ハッとして叢雲を見る。確率はゼロに近いが叢雲の同意があったのならまだ許されるかもしれない。そう思い彼女と目を合わせるが叢雲の表情は怒りに満ちていた


叢雲「アンタねぇ‥」   


酒匂「ぴゃあああああああぁ~~!!」 


命の危険を感じた酒匂は宿泊施設から飛び出した。彼女には逃げることしかできないのだ

叢雲「あの様子じゃ全部覚えてるわね。人にゲロかけといて逃げるなんていい度胸してるわ」  


提督「また吐くかもしれなかったから一緒に寝かせたけど、途中で起きて部屋に帰ってたみたいだね」


酒匂は勝手に勘違いしてしまったが、真相はただ酒匂が吐いただけなのである

制服が乱れていたのは慌てて脱がせたからで、キスマークだと思ったのはただの虫さされなのだ


叢雲「帰ってきたらみっちり叱る必要があるわね」  


提督「普段なら止めるけど今回は彼女を庇えないかな‥」


酒匂の勘違いは暫く続いてしまいそうだ


下2次の展開

リットリオ「おはようございますゆっくりできましたか?」


提督「おかげさまでね。いい部屋を用意してくれてありがとうございます」


朝食を済ませた提督達の元を訪れたのはリットリオだった。彼女は今日の会議は午後からに変更になったという説明をしに来たのだった


提督「つまり午前中は自由ってことになるのか」


叢雲「なら寝てましょうよまだ酒匂も帰ってきてないし丁度いいわ」  


叢雲は午後までゆっくりしようと提案し提督はそれに賛同しようとする。しかし提督の言葉を遮るようにリットリオが口を挟む


リットリオ「提督さんデートをしてくれませんか?」  


提督「デート?」


リットリオ「貴方には結婚相手やパートナーが居ないと聞いています。この町を案内しながら色んな話をしてみたいんです」


突然のデートの誘いに提督は少し考えたあと答える 


下2次の展開

提督はリットリオの方を見たあとに叢雲を見ると特に反応はしていないように見えた。それならば問題ないだろうとリットリオに返事を返す
 

提督「レディの誘いを断るのは紳士にあるまじきことです、喜んでお受けいたします」


リットリオ「嬉しいです早速行きましょう!」


ぐいぐいと提督を引っ張りデートに連れ出すリットリオ。そんな提督には特に言葉をかけず叢雲は無言で見送った


叢雲「あんなハゲの何がいいのかしら」


一つ嘆いたあと叢雲は玄関に移動する。帰ってくるであろう酒匂を手厚く迎える為だ


叢雲「ツイてなかったと思って諦めるのね」


憂さ晴らしの対象に選ばれたとは知らず、酒匂の不幸は続く

リットリオ「ここの景色は凄いでしょう?」


提督「確かにこれは凄いですね」
 

二人は町のとあるカフェに来ていた。リットリオに様々な場所を引っ張られながら案内され、休憩としてこのカフェに立ち寄ったのだ


リットリオ「ここからはこの町の全てが見えるんです。あそこが私達が訓練してる所。あっちが演習場です」   


提督「本当によく見えるね」  


子どものようにはしゃぎながらリットリオは指を指しながら説明する。この町が好きなのだということは表情からもよく伝わってくる


リットリオ「この町を知ってもらえましたか?」  


提督「キミのお陰でとてもよく分かったよ。ありがとうリットリオ」


はい!と眩しい笑顔で返すリットリオ。彼女の笑みはこの景色にも負けないほど美しい


下2次の展開

カフェで景色を眺めているとどこからか子供の声が聞こえてきた

「お母さーんあのカフェに綺麗なお姉さんがいるよ!」


他の客にも聞こえているようで周りを見渡す人もいる。子供が続けてその綺麗なお姉さんの特徴を大きな声で言うので聞いてみるど、とうやらリットリオのことらしい

周りの客も気付いたのかリットリオをちらりと見ているようだ


提督「綺麗なお姉さんですか。リットリオさんの事をよく分かっていますね」


リットリオ「そんな、やめて下さい提督」


顔を赤くしながら否定するリットリオ。その仕草すら子供の瞳には綺麗と映ることだろう

「でもねーーハンサムだけどハゲなおじさんとデートしてるよ変な趣味だね!」


ブハッ!と誰かが飲み物を吹く音がする。それに続けてクスクスと笑いを堪える音も聞こえ始めた
 

リットリオ「~~!!」  


ハゲのおじさんという単語が面白かったのかハゲの隣で下を向き口を押さえるリットリオ

ちらっと提督を見てみるとハゲはいいのだがおじさんと言われたことにショックを受けた提督が変な表情をしていた。それがツボに入ってしまったリットリオは肩を揺らして笑いを堪える


「ハゲハゲハ~~ゲ~~~~♪」   


子供は満足したのか自作の歌を歌いながら走り去る。母親と思われる人物は子供を追いかけるので精一杯のようだ


リットリオ「ーーッ!」


歯が欠けそうになるほど食いしばるリットリオ。絶対に笑ってはいけないのだ


下2次の展開

リットリオ「すいません失礼します!」


提督の返事を聞く前にリットリオは提督の頭を抱き締める。このハゲを見なければいい、これさえ視界に入らなければ笑わなくて済むのだ。そう考えたリットリオの苦肉の策であった


提督(なんでこうなったのか分からないけどこれは不味い)


提督の頭は現在リットリオが抱き締めている。そう提督は顔はリットリオの胸と接しているのだ


提督(いい匂いがするし柔らかいし。このままっていうのはよくないぞ)


提督も男なのだ、いくら特別な存在がいるといっても顔を胸に埋めて無反応なわけがない

提督(うーん香水に混じって汗の匂いもしてるかなこれは本格的にまずい)


相手がただの女性なら力任せに振りほどけばいい。しかし艦娘ならそうはいかないのだ
  

提督(変に動いたら頸椎捻られちゃうし我慢するしかないか)


提督も余裕はないのだが耐えるしかない。こんな町中のカフェで主砲が起動しては大惨事だ


提督(早く気付いてくれないかな‥)


提督はただひたすらに耐えていた


下2次の展開

リットリオ(あれなんか胸の辺りがじめっとする?)


あっ!!と何かに気付いたリットリオは慌てて提督の頭を解放する。笑いを我慢するために頭を抱き締めていたとは気付いていなかったのだ。無意識だったとはいえかなり恥ずかしい行為をしてしまっていた


リットリオ「ごめんなさい‥」


消え入りそうな声で謝るリットリオ。提督は気にしていないというがあと数分あのままなら警察を呼ばれていたかもしれない


提督「そ、そういえばそろそろ会議の時間ですね」


リットリオ「はいすぐにご案内します!」


気まずさからか素早く席を立ちカフェをあとにしようとするリットリオ。その胸の谷間には提督の頭を経由した汗が付着しているとは誰も思いもしないだろう

リットリオ「こ、ここが今日の会場です!」


提督「ありがとうございます‥」 


リットリオとはギクシャクしながら会場まで移動することになってしまったが、無事に目的地にたどり着くことはできた。あとは今日の会議を終わらせるだけだ


リットリオ「会議の内容は知りませんが提督さんは議長なんですよね。頑張って下さい!」


世界毛根活性化機構の議長なんです、と言ってしまえばリットリオはまた笑ってしまうだろう。そんなことをさせるのは可哀想なので提督は笑顔でリットリオに手を振る


会場に入る前に自分の頭を撫でる。触っているとリットリオの感触がまだ残っているような気がした


提督「リットリオさんの凄かったな‥」


決して何がとは言わない。しかし確かに凄かったのだ


下2次の展開

議会は無事に終わり提督は部屋に帰ろうとしていた。議会中おっぱいが‥リットリオの‥と口に出てしまったのだが、日本語だった為大事になることは無かった

人前で失言をするような人物ではないので、リットリオとの一件はかなり印象的だったといえる


叢雲達は明日ポーラやリットリオ達との公開演習が予定されている。本来なら提督としてその場に参加すべきだが、ポーラ側に指揮官が居ない中こちらだけ存在するのは公平ではないと提督が言い出したのだ。紳士的な対応に欧州側は喜び、明日の演習は艦娘だけで行われることになった


提督「今日は訓練をしてたのかな明日は頑張って欲しいな」


演習は勝負ではないので勝つ必要はない。精一杯やってくれたらそれでいいと思いながら提督は部屋に帰っていく


下2次の展開

提督「ただいま‥‥?」


扉を開けると違和感を感じる。空気はピリついたように乾いており何かあったのだとすぐに理解できる

恐る恐る部屋に入っていくとそこには椅子に座り酒匂を睨み付ける叢雲と、床に正座している酒匂が居た

酒匂の表情は今にも泣き出しそうで小刻みに震えている。一体なにがあったのだろうか


提督「状況を説明してくれないかな?」
 

無言。叢雲は何も答えず酒匂を睨み続けている。暫く待っても返事はなかったので次は酒匂へと話しかける


提督「酒匂‥」


酒匂「ごめんなさい~~~~!!」


話しかけると同時に酒匂が謝罪する。訳がわかっていない提督はただうろたえるだけであった

謝り続ける酒匂からなんとか話を聞き出すと、提督とえっちをしてしまいましたととんでもない事を言い出した

もちろん提督に覚えはなかったが、自分が寝ている間に何かをされた可能性は排除できないのだ

昨日は提督が左端に寝て真ん中に叢雲、右端に酒匂という順でベッドに寝た。普段なら叢雲の寝返りを補助するために夜中に起きることが多いのだが、今日は朝までぐっすりと寝てしまっていた。つまり夜中の記憶が全くないのだ


酒匂は嘘を言うような子ではない。注目されたいが為に嘘を言う類いの人種は存在するが酒匂はそうではないのだ

叢雲の態度から分かるように酒匂は嘘は言っていない。なら本当に酒匂と一線を越えてしまったというのだろうか


ついに涙を流しながら謝る酒匂。叢雲の睨みはまだ続いていてその側には何も言えないでいる提督。事態は好転することなく悪戯に時が過ぎていくだけであった


下2次の展開

ポーラ「提督さ~ん明日の演習がうまくいくように前夜祭しましょうよ~~!」


リットリオ「ポーラはお酒が飲みたいだけですよね?」


ワイン片手に提督達の部屋に乱入してきたのはポーラとリットリオだった。明日の演習が成功するようにと交流を兼ねてお酒でも飲もうと部屋を訪ねたのだが、様子がおかしいことに気付く


リットリオ「もう寝てしまっているんじゃないですか?」


ポーラ「鍵もかけないで寝るなんてありませんよ~~」


そういえばそうですねとリットリオは返す。ポーラはお酒が入っていてもいなくても物事を冷静に見ることができるのだ

リットリオ「あのえっと」    


ポーラ「あらら~~」


部屋に入ってきてポーラ達が見たのは明らかに修羅場だと分かる光景だった

提督の秘書艦である叢雲が酒匂を睨み付け酒匂は泣いている。提督はどうしようもできずに両者を交互に見ているだけだ


ポーラ「よくわかりませんけど飲んで明るくなりましょ~~秘蔵のお酒も出しちゃいますよ~!」


ポーラはどこからか酒を取り出す。一升瓶をどこに隠し持っていたのかは分からないが、高級そうな酒であることは分かる


ポーラ「提督さんも叢雲さんも~酒匂さんも飲んで飲みましょ~~」


人数分のグラスに酒を注ぐポーラ。リットリオは狼狽えながらもポーラの行動を止めることはしなかった


下2次の展開

提督から事情を聞き出すと予想を越える答えが返ってきた


リットリオ「はわわ‥でも提督さんにパートナーはいないんじゃ?」


ポーラ「実は叢雲さんと提督さんはむふふ~です」


リットリオは信じられないという表情で提督を見るが首を横に振ったり否定の仕草はなかった。つまりポーラの言っていることに間違いはないのだ


リットリオ「正妻じゃない女の人と関係を持つ。これが噂に聞くNTR!」


興奮しながら話すリットリオを睨む叢雲。彼女の視線に気付いたリットリオは口を抑えそっぽを向く

私は司令官の正妻なんかじゃない。そう言おうとしたのに言葉が出てこなかった


提督と体の関係はあるがそれは自分の性欲処理という役割でもある。右腕しかない体だと性的欲求を満たすことも難しくストレスを溜めていく一方なのだ

自分の介護で世話をかけている提督になら体を預けられるし、提督へのお礼として体を貸している。そう割り切って抱かれていたはずだった


酒匂が提督と関係があったと言われた時自分はどうした?なんで怒ったのだろう

提督から指輪をもらったこともないし要求したこともない。叢雲と提督を結び付けるものは何もないので酒匂に怒ること事態不自然なはずなのだ

自分は何を怒っているのだろうか。その答えは出そうになかった


下2次の展開

どうにか叢雲達を落ち着かせポーラが用意してくれた酒を飲もうという話になった。提督やリットリオは酒を飲み始めるが酒匂はグラスに触れようともしない


ポーラ「このお酒はお嫌いでしたか~~?」


酒匂「またやらかしちゃうかもしれないので飲めません‥」


そうですか~とポーラは引き下がる。先ほどの話を聞く限り酒匂の失態はお酒が絡んでのことだということが分かる。そんな彼女にアルコールを勧めるポーラは何を考えていたのだろうか   


リットリオ「ポーラに悪気はありません、お酒で解決できない問題は無いと思ってるんです」


提督達に向けてリットリオは謝るが軽く頷くだけで誰からも返事は無い。そんな中でポーラだけが次々に酒を飲んでいく

ポーラ「やっぱり美味しいですね~もう一本開けちゃいましょ~~」 


あっという間に一升瓶を飲み干し次の酒を取り出す。リットリオが小声で制するが最早彼女には聞こえていない


ポーラ「お酒を飲めばみんな笑顔~ほら笑って下さい~~」   


笑顔で酒を勧めながら自分で飲んでいく。新しい酒瓶もこのペースならすぐに空になってしまうだろう


ポーラ「提督さん達と飲めてポーラ幸せです~」


彼女は楽しそうにお酒を飲む。だが笑顔でいるのは彼女だけだ


下2次の展開

あの後ポーラは持ってきたアルコール類を全て飲み干すと帰って行った。リットリオは頭を下げ謝罪をしてから帰ったが結局提督達の間で会話は無かった


そして翌日の公開演習の日を迎える。どちらにもとって大切な日であるにも関わらずまだ会話は無い

提督は演習を頑張ってきてと励ますが返事は無い。酒匂の方を向いても目をそらし下を向いてしまった


このままではいけないと分かっているがどうすることもできない。どんな言葉をかけても叢雲に届く気がしないのだ

提督も会議の時間が迫っているので先に部屋を出る。再度頑張ってと声をかけるもやはり返事は無かった


下2次の展開

よくわからんので再安価、下1お願い

酒匂「叢雲ちゃんごめんなさい‥」


落ち込んだ声で叢雲に謝罪をするが答えずポーラ達に向かって歩き出す。落ち込んでいるのは叢雲も同じはずなのだが彼女はもう別の事を考えていた


叢雲「終わったばかりで悪いけどもう一回頼めるかしら?」


リットリオ「酒匂さんはあんな事になってますけど‥」


リットリオが指摘するように酒匂は意気消沈してしまいすぐに動けそうになかった


叢雲「ならタイマンでいいわよ、あんなのじゃ納得できないのよ」


負けたのは自分のせいでは無い。それをはっきりとさせるために叢雲は再戦を申し出たのだ

ポーラ「いいですよ~ポーラがお相手します~~」


叢雲「さっきみたいに手加減はいらないわよ全力でかかってきなさい」


もちろんです~とポーラは答え演習の準備を始める。一方で叢雲も先程とは違う装備を身に付ける


叢雲「私一人で十分なのよ‥」


叢雲の目が紅く光る。義手艤装を演習で使うつもりのようだ


叢雲「演習弾なら怪我はしないはずよ。私を本気にさせたアンタ達が悪いんだから」


頭の艤装も叢雲に応えるように紅く発光する

下2次の展開

叢雲‥大丈夫かい叢雲‥‥


叢雲は自身への呼び掛けで目を覚ます。辺りを見回してみると全く見に覚えのない場所であった


提督「ここは病院だよ叢雲は演習中に行動不能になってここに運びこまれたんだ」   


演習で怪我をするなんて聞いた事がない。自分が倒れた理由は戦闘でないなら何なのだろうか。思考を巡らせてみると一つ思い当たるものがあった


叢雲「あの義手艤装ね‥」


提督「詳しい結果は検査中だけど多分そうだと思うよ。ポーラさんとの演習中に中破してからおかしくなったって」


倒れてしまったという事実もあったが、あの艤装を使ったのにポーラに勝てなかったということが叢雲にとってかなりのショックだったようだ

叢雲「ポーラはどうだったのよ」
  

提督「向こうは、その」


叢雲「アンタの反応で分かるからもう何も言わないで‥」


ポーラとの一対一の演習は叢雲の惨敗であった。義手艤装を使ったことにより攻撃力は増していたが当たらなければ意味がない。全ての攻撃を回避され近距離に潜り込まれ主砲で一発中破。ポーラの見事な動きで叢雲は敗北していたのだ

とっておきまで使ったのに負けた。メンタル面で不安はあったがもっと不安定な時に出撃をこなしていたのだ、言い訳にすらならない

悔しい。その感情が叢雲を押し潰そうとしていた 



下2次の展開

悔しい悔しい悔しい。悔しさで一杯になろうとしたまさにその瞬間、提督が叢雲の手を握った


叢雲「なにしてるのよ」


提督「こうしたかったから?」


叢雲「なんで疑問系なのよ‥」


提督は叢雲の右手を握っている。ただそれだけなのに叢雲は不思議と安心感を覚えていた

普段の介護では体を触られたり裸を見られたりしているというのに、手を繋がれているだけでこんなに心が落ち着くものなのだろうか。叢雲は自分に何が起こっているのか分からないでいた

提督「どこか痛いの大丈夫?」


いきなり何よ、と返事をしようとしたその瞬間に自分に起きている異変に気付く


叢雲「なに、なんで、こんな」


叢雲の目からは涙が溢れていた。自分の意思とは関係なく勝手に流れている


叢雲「いや、人前で、泣きたくなんか、ないのに」


涙を拭おうにも叢雲にはそれができない。右手は提督が握っているから叢雲は何も自分ですることができないのだ


義足がなければ歩けない、義手がなければ自由に動けない。改めて自分の置かれている状況を自覚してしまった叢雲の涙は止まることは無かった


下2次の展開

提督「もう一度やらないかい?」  


叢雲「なにが、よ」


提督「こっちで叢雲達の指揮を執るよ。非公式になっちゃうけど負けちゃうことは無いはずだよ」


艦娘は本来提督の指揮があって動くものだ。出撃に関して全てを提督が命令するわけではないが、いざというときに頼るのは提督である。艦隊の人数が少なければ提督を頼る機会は必然的に多くなる


提督「リットリオさんはともかくポーラさんのレベルは凄いみたいだね。でも叢雲も酒匂もレベルは低くない、負けないよ」


叢雲「あん、た、なに、言って」


提督は叢雲の手を強く握る。落ち着かせるようにじっと目を見つめ、両手で叢雲の右手を握った

提督「その涙は色んなものが混ざっているんだと思うよ。叢雲は少し頑張り過ぎたんだね」


叢雲「な、なにが、なに言って」


提督「背負ってるものが重いなら少し渡してくれてもいいし、一緒に持って欲しいって言うなら喜んで手伝うからさ」


叢雲「あ、あ、アンタ、勝手に、言うな」


提督「そうだよこっちが勝手に言ってるだけ、趣味みたいなものだと思ってくれたらいいかな。だから勝手に叢雲を助けるんだ」


提督は優しく微笑みかけていた


下2次の展開

提督「話しかけても大丈夫かな?」


酒匂「少しなら‥」


部屋に戻った提督は酒匂とどうしても話がしたいと説得し、なんとか話はできるようになった


提督「先に業務連絡をしておくね。明日ポーラさん達と演習をすることになったんだ」


酒匂には提督が指揮を執りもう一度演習を行うことを伝えた。非公式ではあるがポーラ達は手を抜かず真面目にやってくれるという約束も取り付けたのだ


提督「ポーラさんを倒すには叢雲だけじゃ無理なんだ。酒匂の力も貸して欲しいんだ」 


酒匂は返事をせず俯いてしまった。提督と叢雲への罪悪感はまだ薄れていないようだ

提督「どうしたら元の酒匂に戻ってくれるかな?」  


酒匂「無理です、あたしは提督と叢雲ちゃんの仲を壊しちゃったんです」   


提督「そんなこと‥」  


酒匂「じゃあ昨日の叢雲ちゃんの態度はなんだったんですか!!」


酒匂が提督と関係を持ったと打ち明けた瞬間の叢雲の反応は分からない。だが提督は酒匂を睨み付けて一言も話さない叢雲を見てしまっている。酒匂にそう言われて提督は何も返すことができない 

 
酒匂「あたしだって司令が好き、それだけだったのに、思ってるだけなら、こんなことにはならなかったのに」


酒匂は涙を流しながらそう告げる。どれだけ後悔しても起きてしまったことは覆ることはないと更に涙を流す


下2次の展開

提督「叢雲も酒匂も受け入れる、責任は取るつもりだよ」 


酒匂「そんな事を、しても、叢雲ちゃんは、喜び、ません」


酒匂の涙は止まるどころか増してしまう。酒匂が求めていた答えとはかけ離れたことを言ってしまったようだ


酒匂「司令は、よくても、叢雲ちゃんは、喜び、ません。叢雲ちゃんには、司令しか、居ないん、ですよ」


酒匂の言葉を聞きハッとする。先程の叢雲の涙は自分が思っているものとは違ったのではないか?叢雲が弱音を吐くところなど見たことが無かったから自分は勘違いしていたのではないのか?

思考。髪は少ないが中身は詰まっている頭で必死に考える。そうだ、叢雲は‥

酒匂「あたしの、ことは、いいんです。早く、叢雲ちゃんの所へ」


酒匂は泣きながら叢雲の元へ戻るように言う。酒匂はこの状況を利用すれば提督をものにできたのかもしれない。しかし提督には、好きな人には幸せになって欲しいという気持ちもある


酒匂「指輪も、何もないけど、叢雲ちゃんと、司令は」


提督「ありがとうお陰で目が覚めたよ。留守番お願いね!」


提督は走って返事を飛び出す。酒匂はそんな提督を見て何か一言呟いたがその嘆きは誰にも聞こえなかった


下2次の展開

提督「叢雲!」


提督が慌てて病室に飛び込むと叢雲はベッドで寝ていた。提督に背を向けて寝ていたので起きているのかどうかは確認できなかった


提督「そのままでいいから聞いて欲しい。どうしても言いたいことがあるんだ」


叢雲は反応しない


提督「叢雲は俺とは割り切った関係でいようってずっと言ってたよね。でもそれじゃ駄目だ、叢雲を守れないんだ」


叢雲は何も答えない


提督「ごめん、ずっと叢雲の言葉に甘えてた。この関係が壊れるのが怖かったんだ。叢雲は同情されるのが一番嫌いなのは知ってたから」  


叢雲は何もしない


提督「同情なんかじゃない本気で叢雲を守りたい。君の世話だって喜んでやる。だから叢雲、日本に帰ったら指輪を受け取ってくれないかい?」


叢雲は‥


下2次の展開

叢雲「うるさいわね起きちゃったじゃないの」  


わざとらしく体を動かし叢雲は提督に背を向けたまま答える


提督「もし聞いてなかったら最初から言うから、叢雲‥」   


叢雲「同じことを二度も言わなくていいわよ」


提督の言葉を制し叢雲は答える。じゃあ、と提督が叢雲に問い掛けると深いため息をつく


叢雲「バカね、そこまで言われたら断れないじゃない」


提督「本当に、いいんだね?」


叢雲「同情されるのも嫌いだけど優柔不断なのも嫌いよ」


そう答えると提督は慌てふためく。今の言葉は聞かなかったことにして欲しいと言うが叢雲は特に反応しなかった

叢雲「わかったから、もう寝たいのよ。何時か分かってる?」 


そこまで遅い時間ではなかったが叢雲にそう言われてしまうと返す言葉がなく、提督はまた明日と帰ろうとするが再び叢雲の方を向く


提督「少しでもいいから顔を見て話せないかな?せめて手を握るとか‥」


叢雲「お休みなさい」


右手だけで器用にカーテンを閉めてしまい叢雲の姿は見えなくなった


提督「‥また明日ね」


提督は諦めたようで病室を後にする。焦る必要は無い、気持ちは伝えてそれに答えてくれたのだから


叢雲「なによあのハゲこっちは寝ようとしてた所だっていうのに」


叢雲はベッドの中で文句を言っていた。提督への愚痴はいくらでも浮かぶので次から次へと独り言は止まらなかった

だがその顔はとても嬉しそうであった。艦娘として生まれ変わってから初めて、心からの笑みが浮かんだ


下2次の展開

翌日、提督達は病院から戻ってきた叢雲を加えて演習に向けての作戦会議を行っていた


提督の意見を真剣に聞く叢雲と酒匂。しかし二人の様子は真逆であった

叢雲はいつもより機嫌も良くオーバーフローで倒れ病院の世話になっていたとは思えないほど元気そうだ

一方酒匂は目にクマができていてとても元気そうには見えない


これから行われるのは演習で命の危険は無い。多少コンディションが悪くても問題は無いが、勝つ確率は低くなってしまう

酒匂には負担をかけない作戦でいこう。提督はそう決めて会議を進める


下2次の展開


今日はここまで

提督達の会議中に電話がかかってくる。よほどのことが無い限り連絡はないと思っていたのだが、何かあったのだろうか?

恐る恐る電話に出てみると日本の鎮守府からで、かなり緊急を要するという内容だった


青葉「大本営がお怒りみたいなんですけど、何か心当たりありますか?」


提督「変なことはしてないよ。不祥事なんか起こらないし」


叢雲「それってあれじゃないの」


酒匂「ぴゃあん‥」 


二人の様子を見て気付く。昨日の公開演習の内容を大本営は知ったのではないだろうか?

公開ということは誰かが動画を撮っていてもおかしくないし、何かの記事になったかもしれない。あんな一方的な演習の内容を知った大本営がどういう反応をするか想像は容易だ

提督「青葉、これからどうなるかな?」


青葉「もう帰ってくるなというパターンやそのままクビという可能性がありますねえ」


青葉の情報網は広い。鎮守府に話が広まる前に提督に知らせてくれたのは混乱を避けるためだろう。彼女の取材に困ってしまうことも多いが艦隊を思う気持ちは本物なのだ


青葉「大本営から何かしらの処分がある前に、司令官から連絡するべきだと思います」


提督「そうだね、うん。後で大本営には連絡するよ」


青葉「今すぐにして下さい!」


提督「ごめん青葉どうしてもやらなきゃいけないことがあるんだ」


強引に電話を切りふぅ、とため息をつく。酒匂は心配そうに提督を見つめるが気にしないで会議に戻ろうと答える  


叢雲「アンタ‥」  


提督「叢雲も気にしなくていいよ。大本営なんかよりこれからの演習の方が大事だからね」


叢雲に対し笑顔で答える提督。叢雲は不安を覚えたがそれを気のせいだと思うことしかできなかった


下2次の展開

ポーラ「いやあ負けちゃいました~凄く強かったです~~」


リットリオ「完敗でした流石は提督さんですね」


提督が指揮を執った演習では見事勝利という結果になった。リベンジを果たすことができた叢雲は満足そうな表情をしていたが、酒匂は逆に落ち込んでいた


酒匂「ごめんなさい司令あたし大破しちゃって、足引っ張ってばかりで」


提督はそんな事はないと励ます。事実酒匂は大破してもデコイとしての役割を果たし、決して悪い内容ではなかった

だが酒匂は大破したことが許せないと提督の言葉に耳を貸さない。そんな酒匂に叢雲が近寄る

叢雲「アンタいい加減にしなさいよ」


酒匂「ひッ!!」


右手で酒匂の胸ぐらを掴む。慌てて提督が止めようとするがアンタは引っ込んでて!と一蹴されてしまう


叢雲「アイツがいいって言ってるならそれでいいのよ。それとも司令官の気を引こうとでもしてるってわけ?」


酒匂「そんな、違う、よお」 


酒匂は否定するが叢雲は続ける


叢雲「私はもう司令官の物なのよ。アイツに纏わり付く害虫は駆除しても問題ないわよね?」


恐怖の中酒匂の目が見開き叢雲と提督を交互に見る


叢雲「アイツを襲ったことはまだ許してないから。これからアンタはどうなると思う?」 
 

叢雲は半笑いになりながら酒匂を見ているが、その目は笑っていなかった


下2次の展開

酒匂「ごめんなさい、演習には勝ったからもうなにも言いません‥」


叢雲「及第点ってところかしら」


叢雲は手を離し酒匂は解放されるがその場でへたり込んでしまう。提督が慌てて駆け寄るが、酒匂の所にではなかった


提督「あんな言い方しなくても良かったんじゃないかな?」


叢雲「アンタのお陰で勝ったのにそれを邪魔しようとしたからよ。本当なら司令官が注意することなのよ」


酒匂は違和感を感じていた。提督と叢雲の言い合いはいつも見ていたが今日のはなんだか違う。言葉にトゲが無いし提督を庇うような言動は聞いたことがなかった

私はもう司令官のもの、叢雲の言葉が頭の中に響く。叢雲の指には指輪は無いが、その約束をしていたらどうだろう?いやきっとそうに違いない、そうとしか思えない


酒匂は二人の仲が変化したことを実感してしまう。昨日提督を叢雲の元に行くように説得したのは自分だが、まさか本当に親密な仲になるなんて。酒匂の目からはまた涙が溢れる


提督「そうだ酒匂は平気‥って泣いちゃったじゃないか叢雲」


叢雲「ふんッ」


叢雲がごめんと提督は謝るが酒匂は違うんですと否定する。その涙の意味は酒匂にしか分からない


下2次の展開

大本営との電話が終わった提督は大きく息を吐く。その様子を見ていた叢雲が話しかける


叢雲「大本営は何だって言ってるのよ」


提督「予想してたのとほとんど変わらなかったかな」


あははははと呆れながら笑う提督。予想というのは提督の左遷や進退に関わることだった。それがその通りだったということは悪い方向に向いているということになる


叢雲「アンタはクビだって?」


提督「そこまでは言われてないけど急いで帰ってきて事情を説明しろとは言われたかな」


そうじゃないと‥そこで提督は黙ってしまう。大本営の納得のいく説明がなければ提督の進退が危ないということなのだろう

ワセダ「お前、今の自分の立場を自覚しているのか?」 ヤマイ「愚問ですね」フッ
ヤマイ「数々の試験を潜り抜けた選りすぐりの荒くれ者たち……」
ヤマイ「その『闇の選民』共を集めて行なった灼熱の中のサドンデス……」
ヤマイ「血で血を争う闘い……いや、もはや闘いと呼ぶにはあまりにも残酷な生存競争」
ヤマイ「その中を生き抜いた、たった1人の女」
ヤマイ「いや、女なのかどうか定かではない……あるいは、すでに人間ですらないのかもしれない」
ヤマイ「さいじょ『最凶の世代』と名高い第36期生の──そのトップに君臨する存在」
ヤマイ「序列『No.1』:コードネーム【ヤマイ】」
ヤマイ「出自はアルターニャ王国とドラゴニア王国のハーフ、ドラゴニア王国のアーチャーとしてかつて名を馳せたが下界への転生後あえてその能力を封印し──」

ワセダ「山本」
ワセダ「先生の投げたボールで勝手に玉乗りを始めるな」
33 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage saga]:2019/08/16(金) 22:07:49.00 ID:3Eo7N3On0
女子無駄ssもっと増えろ

34 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[]:2019/08/16(金) 23:02:10.88 ID:qRAVGhiU0
VIPがお送りします :2019/08/13(火) 02:36:33.04 ID:RjxVtfqg0

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13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/13(火) 02:38:26.91 ID:RjxVtfqg0
https://youtu.be/9wCtuPy1v3A
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/14(水) 02:01:52.92 ID:3kKgh9i20

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608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 07:58:23.30 ID:Q6EP/5ilo
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609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 08:10:22.51 ID:PsFc2yRA0
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610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 08:11:41.11 ID:PsFc2yRA0
すみません、4に変えていいでしょうか
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 11:19:21.43 ID:BBoeIOZj0
>>610 大丈夫ですよこれで2と4が1票ずつですね
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 14:07:57.55 ID:UiGaDfEe0
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613 : ◆jsS2VhSFvXss :2019/08/15(木) 17:21:20.58 ID:BBoeIOZj0
支援 アイク
VIPがお送りします :2019/08/13(火) 02:36:33.04 ID:RjxVtfqg0

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13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/13(火) 02:38:26.91 ID:RjxVtfqg0
https://youtu.be/9wCtuPy1v3A
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/08/14(水) 02:01:52.92 ID:3kKgh9i20

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608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 07:58:23.30 ID:Q6EP/5ilo
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609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 08:10:22.51 ID:PsFc2yRA0 2
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 08:11:41.11 ID:PsFc2yRA0
すみません、4に変えていいでしょうか
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 11:19:21.43 ID:BBoeIOZj0
>>610 大丈夫ですよこれで2と4が1票ずつですね
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 14:07:57.55 ID:UiGaDfEe0 4
613 : ◆jsS2VhSFvXss :2019/08/15(木) 17:21:20.58 ID:BBoeIOZj0
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すみません、4に変えていいでしょうか
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>>610 大丈夫ですよこれで2と4が1票ずつですね
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>>610 大丈夫ですよこれで2と4が1票ずつですね
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ヤマイ「数々の試験を潜り抜けた選りすぐりの荒くれ者たち……」
ヤマイ「その『闇の選民』共を集めて行なった灼熱の中のサドンデス……」
ヤマイ「血で血を争う闘い……いや、もはや闘いと呼ぶにはあまりにも残酷な生存競争」
ヤマイ「その中を生き抜いた、たった1人の女」
ヤマイ「いや、女なのかどうか定かではない……あるいは、すでに人間ですらないのかもしれない」
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ヤマイ「数々の試験を潜り抜けた選りすぐりの荒くれ者たち……」
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ヤマイ「血で血を争う闘い……いや、もはや闘いと呼ぶにはあまりにも残酷な生存競争」
ヤマイ「その中を生き抜いた、たった1人の女」
ヤマイ「いや、女なのかどうか定かではない……あるいは、すでに人間ですらないのかもしれない」
ヤマイ「さいじょ『最凶の世代』と名高い第36期生の──そのトップに君臨する存在」
ヤマイ「序列『No.1』:コードネーム【ヤマイ】」
ヤマイ「出自はアルターニャ王国とドラゴニア王国のハーフ、ドラゴニア王国のアーチャーとしてかつて名を馳せたが下界への転生後あえてその能力を封印し──」

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酒匂「あたしも一緒に謝ります、叢雲ちゃんと変なことになったから演習には負けちゃったんです!」


酒匂も一緒に大本営に説明すると言うが提督は結果は変わらないと断る。演習をしたのはあたし達なんです!と酒匂は引かないが提督は言葉を濁し酒匂の提案に頷くことはない


叢雲「察しが悪いわね大本営が説明しろって言ってるのはそこじゃないのよ」


酒匂「じゃあなんなんですか?!」
 

叢雲「アンタ私を見てなにも思わないわけ?」


叢雲にそう言われハッとする酒匂。彼女も大本営の言わんとしていることが理解できたようだ


叢雲「格下の欧州の艦娘に負けるだけでも問題なのに、よりによってこんな体の艦娘を使ったことが問題なのよ」


叢雲には両足と左腕が無い。だからといって出撃には問題は無いまでレベルは上がっているのだが、そんな事実を大本営は知らない


叢雲「司令官は左遷かクビで、私は解体。そんな処分になりそうね」


格下相手に負けても原因である提督と艦娘を消せば大本営の落ち度は最小限で済む。非道ではあるが大本営が生き残る為には間違ってはいない選択なのである


下2次の展開

とにかく大本営に説明しなければならない。予定を繰り上げて帰国し大本営に向かおうと荷物をまとめていると、ポーラ達が慌てて部屋を訪ねてくる


ポーラ「提督さん大変です~~!」


リットリオ「日本が大変なことになってますよ!」


ポーラ達にそう言われテレビをつけるとそこには信じられない光景が広がっていた


酒匂「深海棲艦が各地の鎮守府を襲ってる?!」


叢雲「こんな大がかりな攻撃見たことないわよ」


テレビでは日本の各鎮守府が襲われている様子が繰り返し放送されていた。欧州のテレビでこれだけ報道されているということは、日本ではもっと凄まじい事になっているのだろう

酒匂と叢雲には焦りが見えるが提督だけは冷静にテレビの画面を見ていた

提督「これは陽動だね」


リットリオ「どういうことですか?」


提督「どの鎮守府にもギリギリ倒せる量の深海棲艦が攻めてきてる。本命は別の所だよ」


各地を攻めている深海棲艦は捨て駒で艦娘をそこから動かさないのが目的だと提督は言う。そう言われてみれば攻めている深海棲艦の数に違和感がある。一つの鎮守府にまとめて攻めればその鎮守府は落とせるほどの量は遥かに越えているのだ。そうせずに各地に分散させている理由があるに違いない


叢雲「深海棲艦の狙いは横須賀の鎮守府ね。あそこを落とせば大本営が落ちるのも時間の問題よ」


叢雲の読みは当たっていた。かつてない規模の深海棲艦の大軍が横須賀に攻め入ろうとしていたのだ


酒匂「どうするの司令?」


提督「高速艇を飛ばせばまだ間に合うはず。自由に動けるのは叢雲達だけだから横須賀の援護に向かおう!」


ポーラ「提督さん~ポーラ達も居ますよ~~」


リットリオ「お手伝いさせて下さい」


二人での援護では焼け石に水であるが、四人なら状況が変わるかもしれない。提督はポーラ達の協力を受け入れ日本へと急ぐ


下2次の展開

酒匂「間に合ったまだ横須賀は無事だよ!」


叢雲「それでも時間の問題ね。どれだけいるのかしら」


叢雲達の前方には数え切れない程の深海棲艦が横須賀に攻めいろうとしていた


ポーラ「主砲を撃てばどこかに当たりそうですね~~」


リットリオ「この数の相手をするんですか‥」


リットリオの顔に冷や汗が流れる。実践経験は数えるほどしかないリットリオ達にとってこの戦場は酷でしかない。だが横須賀を救うにはやるしかないのだ

提督「作戦は伝えた通りだから無理はしなくていいよ」


高速艇を運転しながら叢雲達に指示を出す提督。その内容は弾切れを気にすることなく全火力を出すというシンプルなものであった


提督「弾薬と燃料はたっぷり積んできてるから撃ち尽くしたらこっちまで戻ってきて。リットリオさんはこっちで曳航するから支援をお願い」


戦艦は駆逐艦や軽巡洋艦に比べると速力が低い。それを高速艇で補いながら支援砲撃をしてもらうようだ


酒匂「司令も無茶しないで下さいねそっちが危険になったら逃げて下さい!」


わかっているよと提督が答えるとぴゃあああっ!と気合いの入った声が返ってくる


叢雲「この状況は弾切れが無いようなものなのよ。思う存分暴れさせてもらうわ」


たった四隻での戦い、不利であることには変わりないはずだが叢雲は笑った


下2次の展開

叢雲「最初は押してたのに何よあの数!」


酒匂「ぴゃああああ~~!」


ポーラ「全然減りませんね~」 


叢雲達は三回目の補給を終えて再び深海棲艦と対峙する。後ろからの奇襲は想定していなかったようで初めは優位に立っていたが、数が圧倒的過ぎたのだ


リットリオ「このままじゃやられちゃいます‥」


リットリオはそう嘆くが提督は絶望していない。それどころか余裕すら見える


提督「作戦通りだね。これはからはもう少し楽になるよ」


どういうことですか、と言いかけたリットリオだったがこの海域に何かが近付いてくるのを目撃するのだった

叢雲「ヘリコプター?通常攻撃は深海棲艦には効かないわよ」


ヘリは深海棲艦に向けて攻撃するのではなく叢雲達の真上で静止し、扉が開くと中から艦娘が飛び降りてくる


酒匂「ぴゅわあああ~~?!」


ポーラ「ザラ姉様~~!」


ヘリで運ばれてきたのはザラ、ローマ、アクィラの三隻で叢雲達に合流する


リットリオ「ローマまで呼んでいたんですか?」


提督「会議で仲良くなった人に海軍さんのお偉いさんが居てね。協力して欲しいって言ったら彼女達を派遣してくれたんだ」


これで七隻。四隻でなんとかなっていたのを考えると勝機すら見えてくる


提督「まだまだ弾薬も残ってる。遠慮はいらないから派手にやっていいよ!」


提督の言葉を聞き叢雲は魚雷を放ち、負けてはいけないと酒匂も魚雷を撃つ。圧倒的に不利な状況でも誰も負ける気などないのだ


下2次の展開

大淀「謎の友軍艦隊の正体が判明しました」 


続けろと横須賀鎮守府の大提督は言う。大淀は無人偵察機が撮影した動画をキャプチャーした静止画を大提督に見せる


大淀「ここに映っている叢雲と酒匂はトアル鎮守府の艦娘です」


「そんな鎮守府は聞いたことがないぞ」


大淀「地方の鎮守府ですから提督が知らないのも当然です」


大提督は指揮を執るだけではなく人脈を築くのも仕事である。呉や舞鶴といった主要な鎮守府のことは知っていたが、地方の鎮守府とは付き合いがなかった

なぜならそんな人脈は必要ないからである。地方と仲良くしたところで横須賀にメリットはなく、そんな時間があるなら他の主要な鎮守府と交流すべきなのだ


大淀「そしてこっちに映っている艦娘はポーラとリットリオです。高速艇を操作しているのは提督自身だと思われますね」


そう言われ大提督は深いため息をつく。地方の鎮守府に助けられるだけでなく格下である欧州の艦娘にも助けられることになるのだ

大淀「更にトアル鎮守府の提督について調べましたが、大本営からの呼び出しがかかっています。恐らく降格や左遷の命令が下るものと想像できます」


大提督は黙り込む。ここまで下の提督にこの横須賀が助けられるというのか


大淀「このままではトアル鎮守府の提督と艦娘は勲章ものです。叢雲に至っては手足が欠損している欠陥品です」


大提督は喋らない


大淀「ご決断をお願いします。トアル鎮守府の手柄を無くすにはこの鎮守府を放棄し艦娘を全滅させるしかありません。提督はその隙に大本営に避難をお願いします」


大提督は大淀からの提案を黙って聞いている


大淀「自身の保身か艦娘を守るのか。もう猶予はありません」


大提督の出した答えとは


下2大提督の行動とか

「横須賀を放棄できるわけがないだろう。それに艦娘を全滅させるなどという馬鹿なことは口にしないように」


大淀「提督ならそうおっしゃっても不思議ではないと思ったからですよ。貴方のやり方をずっと側で見ていましたから」


ほざけ、と大提督はいい放つが大淀はとくに気にせず部屋を後にする


「これで俺も出世コースからは外れるか。これまでが上出来過ぎただけなんだがな」


大提督は帽子を机に置き煙草に火を付ける


「これが執務室での最後の一服になるな。この景色は好きだったんだがな‥」


大提督が見ている水平線の向こうではその時丁度、叢雲達が深海棲艦の大軍を全て沈黙させていた


下2次の展開

横須賀を攻め立てていた深海棲艦を全て排除し、叢雲達が横須賀の艦娘から救世主と称えられていた頃、提督は高速艇の中で通信を行っていた


大淀「大提督が手を回してあなた達が救援に来たと言うことにしてくれませんか。もちろん待遇に関しては相応のものを用意します」


通信相手は大提督の秘書艦である大淀で、提督の行動は大提督の指示であったということにしたいと提案してきたのだ


提督「その条件を飲んだとしてこっちにメリットはあるのかな?」


大淀「ですから相応のものを用意すると言いました」


提督「具体的なことを言ってくれないと分からないな」


ギリッという歯ぎしりのような音が聞こえてくる。大淀が発した音に間違いはないだろう。たかが地方の鎮守府が偉そうに言うな!言葉にはしないがそういう意思は感じられる


大淀「もう一度言います大提督が手を回して貴方達が支援に来てくれたと証言して下さい」


提督「そうすることでこっちのメリットは何があるのかな?」


ああッ!と苛立つ声が聞こえる。通信機を口元から離したのだろうがそれでも聞こえてしまうほど大きな声だった


大淀「横須賀がカタワの艦娘に救われたなんて末代までの恥なんですよ‥‥!」


吐き捨てるように大淀は言う。提督は言い返すことはなく黙ったまま受信機を耳に当てている


大淀「さっきのが最後のチャンスだったのに残念です。これから貴方達の支援は大提督の指示であったと発表します。拒否権はありませんからね」


一方的にそう告げる大淀。彼女は誰よりも横須賀鎮守府の重要性が分かっているからこそこんな行動をとったのだ


下2次の展開

大淀「以上で横須賀鎮守府からの発表を終わります」


ここは大本営にある会見場で深海棲艦の大規模侵攻について大淀が発表を終えた

各地の鎮守府で被害は出たものの本土への攻撃は食い止め、横須賀への大進軍も全て蹴散らしたという内容だった

中でも横須賀への進軍は大提督が予見しており予備戦力を回すことによって被害を最小限に食い止めたという発表は各社マスコミを驚かせた


提督達の活躍は無かったことになったのだ。全ては横須賀の大提督のお陰という筋書き通りに話が組み立てられ、主要鎮守府の防衛も大提督の指示だっというおまけまで付いた

大淀の発表を誰も疑うことは無く記者はペンを走らせる。これで全て終わったのだと大淀は安堵のため息をつく

あとはいつも通りマスコミの質問に答えるだけでいい。大淀は各社マスコミが喜びそうな答えになるよう事実を過大解釈し伝える。いつもそうやってきたのだ、今回もそうやっていれば問題ない


いくつかのマスコミの質問に答えたあと、見慣れない記者が手を挙げていた。その記者は日本人離れした顔だったので外国の記者だというのが分かった。今回の大侵攻は海外でも大きく取り上げられていたのを思い出した大淀は海外向けの回答マニュアルを取り出す。勿論その紙は誰にも見られないように


飛んでくる質問もある程度は予想できる。そう思っていた大淀だったが実際にきた質問は予想とはかけ離れたものだった


「横須賀への支援は大提督のものだと発言されたが、動画サイトに投稿されたものと内容が違うのはどういうことか」


大淀は理解ができなかった。動画サイト?投稿?彼女の頭の中にいくつも疑問が沸いていた時、大本営の役員が会見場に飛んできた

「今すぐ会見を中止しろ!」


大淀「なぜですか!全ては大提督の指示だったんです!」


「これ以上墓穴を掘るんじゃない!!」


役員達が強引に会見場から連れ去ろうとするが大淀は激しく抵抗する。その場面をマスコミに撮られているとは考えが回らず失態を晒し続ける


抵抗する大淀が記者の方を見るとある記者が持っていた端末が目に入る。その端末では驚きの動画が再生されていた


青葉「どうも恐縮です青葉です~~!これから司令官の支援に向かいますよ~!」

その動画はヘリコプターの中から始まり、提督が操縦する高速艇でのやり取り全てが記録されていた

そう、青葉はザラ達が乗ってきたヘリに同乗しておりそのまま高速艇に同乗したのだ


青葉が艦隊に入ると八人になってしまうので提督の指揮は困難になる。なので青葉はカメラを回し続けますと宣言する


動画には全て記録されていた。叢雲達が提督の指示で動き、横須賀の艦娘から感謝される場面。そして大淀からの通信が‥


大淀「それ以上見ないでえええええ!!」


大淀の絶叫が会見場に響く。だがもう取り返しはつかない


下2次の展開

「貴様がトアル鎮守府の提督か」


提督に話し掛けるのは元横須賀鎮守府の大提督だ


「大淀が済まなかったなアイツなりに精一杯やろうとしたことだ」


提督「だから許してくれということですか?」


「この俺にそんな口がきけるのは貴様ぐらいだぞ」


怖いものはありませんからと提督が答えると度胸があるのか馬鹿なのか、と呆れたように返す。深海棲艦の大規模侵攻で二人の立場は大きく変わることになったのだ


「大淀がやらかす前なら減給程度で済んだものを。この俺が欧州送りとはな」


本来なら大提督は左遷され提督という仕事も失うはずであった。しかし提督と欧州側の提案により欧州の指揮を執ることになったのだ

「俺を助けて恩を売ったつもりか?」


提督「もちろんですそれ以外ありません」


提督は即答する。大提督は諦めたように深く息を吐く


「貴様は何を見てきた、その年でどうしてそこまで腹が据わっている?」   


提督「もっと修羅場を経験してますから」


今から言うのは例え話しですと前置きをして、大提督に話をする


提督「自分がとてもお世話になってる人がある日突然両足と左腕を失ってしまったらどうしますか?」


「ク‥‥ハハハハハ!!」


大提督は高らかに笑いもういいと提督を制する


「負けだ負け!貴様にはどうやっても勝てないようだ!」


提督「まだ話は続くんですよ?」


「もういい俺と貴様は雲泥の差があるということだ!」


手で顔を覆いながら大提督は大笑いする。提督は話はこれからが本番なのに、と残念そうに俯いた


下2次の展開

叢雲「結局私達はいつも通りの日常に戻っただけなのね」


横須賀を救った武勲と艦娘の実戦動画を動画サイトに投稿するという軍事機密漏洩が相殺された結果、提督達は今までと変わらない生活に落ち着いた


提督「青葉には感謝しないとね彼女のお陰でマイナスにはならなかったんだ」


もしヘリに青葉が乗ってこなければ提督達の武勲は消え、提督は左遷されていた。それを救ったのは彼女が撮影した動画だったのだ


叢雲「よく言うわねヘリに青葉を乗せたのはアンタでしょ」


提督「何のことか分からないなー」


わざとらしくとぼける提督。確かにヘリは不可解なルートを通って横須賀まで来ていた。事実を知っているのは提督だけである

提督「でも一つだけ変わったことがあるよ」


叢雲「なにが?」 
 

提督「指輪」


叢雲の右手の薬指には綺麗なリングが光っていた。提督に指輪と言われた叢雲は右手を上に掲げる


叢雲「やっぱり右手って見栄えが悪いわよね」 


提督「あの義手艤装は危ないし叢雲にはそっちの方が似合ってるよ」


馬鹿、と叢雲は吐き捨てるがその顔は嬉しそうだ


提督「変なこと聞いちゃうけどさどこが良かったのかな」


下2叢雲のセリフ。多分最終安価

叢雲「ありのままでいられるとこと安心できるところかしら」


提督「ありのままって叢雲は誰に対してもそうじゃない?」


叢雲「そう思ってるのはアンタだけよ」


そうかなぁと提督は首を傾げる。その仕草は気持ち悪いわよハゲ、と叢雲に言われ項垂れてしまう


提督「アンタはこんな体になった私を拒絶するどころか前と変わらず接してくれた。アンタはそんなだから、それがどれだけ嬉しかったか伝わらないでしょうね」


やれやれと叢雲は呆れてしまう。提督は相変わらず項垂れたままだ

叢雲「いつまで凹んでんのよハゲ、仕事に戻りなさい」


今日のはダメージが大きかったようで復帰するまでに時間がかかっているようだ


叢雲「仕方ないわね‥キスでもしたらやる気が出る?」


え、という提督の声と執務室の外からの物音が同時に聞こえた


叢雲「やっぱり聞いてたわね。青葉、アンタだけは許さないわよ」


青葉「青葉のお陰で司令官の左遷は無くなったんですよ~~!」


叢雲「動画サイトに投稿する馬鹿のせいで昇進が無しよ!」


叢雲は勢いよく執務室を飛び出し青葉との追いかけっこが始まる。この光景もいつも通り。

提督の頭が寂しいのは変わらない俺と叢雲が少しだけ素直になった。俺と叢雲のそんな話


END

完走できてよかった。あと書いててあのスレの作者は異常だとも再確認できた。これを五時間続けて週五でやるとか頭おかしい
感想とかあったら嬉しいですぜ

あと願わくば足りないものの作者に届きますように

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