【からかい上手】西片「高木さんと手をつないだら…」 (13)

西片「(最近、オレは気づいてしまった…)」

西片「(高木さんってオレのことが好きだということに…)」

西片「……」

西片「(って思いながら、これから高木さんに接すれば良いんだ!)」

西片「(そうすれば、高木さんのドキっとするような仕草にもセリフにも余裕で対応できる!)」

西片「(思い返せば、高木さんにはいつもドキドキさせられて負けてきた…)」

西片「(そう…高木さんは、オレが恋愛への免疫が無いと思っている)」

西片「(だけど、そんなオレが高木さんの言動に対して余裕を見せたら…)」

西片「(きっと高木さんも、もうオレには何を言っても無駄だとわかって、からかうのをやめるはずっ!)」

西片「(よし!今日は絶対に何を言われても動じないぞー!)」

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高木「西片、おはよ」

西片「ああ、おはよう高木さん」

西片「…ってあれ?」

西片「今日、自転車は?」

高木「あー」

高木「西片と、手つないで学校行きたくて、おいてきちゃった」

西片「うん、いいよ」

高木「なーんて言うと思っ…」

高木「……」

高木「えっ?」

西片「手をつないで行こうよ」

西片「そーだ!せっかくだから遠回りしてもいいよね!」

高木「……」

西片「(どーだ!高木さん!この余裕のある返し!)」

西片「(こんなオレの姿を見たら、もう簡単にはからかえないだろう!)」

高木「……」

高木「…うんっ。つないで行く」きゅっ…

西片「…へっ?」

高木「…今日は、私の負けだね」

高木「えへへ…」

西片「……」

西片「(高木さん、耳まで真っ赤して、はにかんでる…)」

西片「(かわいい…)」

西片「…引き分けかな」

高木「えっ?」

西片「うーん…」

西片「(朝はしおらしい高木さんにドキッとしてしまった…)」

西片「(結局、校門見えることまで手をつないで登校しちゃったし…)」

真野「見てましたよー…西方君…」

西片「わ、ま、真野さん…?」

真野「いいですねー、ウチの中井くんなんか、そういう素振りどころか私と一緒に登下校すら…」

真野「高木ちゃんがうらやましい…」

西片「え、えーっと?」

真野「やっぱり、こうね!男の子の方から、ギュってね!何気なくだよね!」

真野「…中井くんには、ムリかなー」

西片「……」

西片「…あっ」

西片「(手をつないでたの見られてたのか!)」

西片「あ、朝のアレは高木さんが…!」

真野「えっ!?高木ちゃんから!?」

真野「…それは男の子として、どーなのでしょうか?」

西片「え?う、うーん…」

西片「(そう言われても、元は高木さんがオレをからかおうとして…)」

高木「どーなのでしょうか?」

西片「わっ!?」

西片「た、高木さん…」

西片「(なんかこうして見ると、いつも通りって感じだけど…)」

高木「ところで、なんの話?」

西片「へ?」

真野「んとね、高木ちゃんと西方君がラブラブーって話だったんだけど…」

西片「ら、らぶ…」

真野「もう少し男の子の方から積極的にって…」

真野「…あれ?」

高木「……」

高木「ラブラブ、かー」

高木「…えへへ」

真野「……」

西片「(か、かわいい…)」

真野「西方君っ!!」

西片「は、はいっ!?」

真野「高木ちゃん、こんなにもかわいいんだから、ちゃんと守ってあげなきゃダメだよっ!」

真野「はぁ~…私も高木ちゃんくらい可愛ければ中井君だって…」

西片「……」

西片「(な、なんかオレと高木さんが付き合ってるって勘違いされてる…)」

西片「(まぁ、高木さんと付き合ってるっていうのは前々から男子たちにも勘違いされていたんだけど…)」

西片「(…あれ?)」

西片「(ここで1つの疑問が生まれてしまったぞ…)」

西片「(真野さんにラブラブと言われて、嬉しそうに笑う高木さん…」

西片「(手をつないで、耳まで真っ赤にして照れる高木さん…)」

西片「……」

西片「(もしかして、高木さんって…)」

西片「(ホントにオレのことが、好き…!?)」

西片「(いや、まさか…そうなのか…!?)」

高木「西片っ」

西片「え、あ…」

西片「な、なんだい?高木さん…?」

西片「(お、落ち着けオレ!いつも以上に動揺してるじゃないか…!)」

西片「(で、でも…もしも高木さんがオレのことを本当に…)」

高木「私たちさ…」

高木「今までの関係から、一歩進めたかな?」

西片「…!」

真野「ふわぁ!?高木ちゃん、ダイタン…!」

西片「(こ、これは間違いなく…)」

西片「……」

西片「(ここで思い上がったりして、いつも負けてしまうんだ…!)」

西片「(余裕を…余裕を持って答えるんだ…)」

西片「今までの関係?何を言ってるのさ?」

高木「…えっ?」

西片「オレはずっと、前から…」

西片「高木さんとは、特別な関係だと思っていたよ」

高木「…!!」

高木「西片…それって…」

西片「ああ。高木さんが思っている通りだと思うよ」

西片「……」

西片「(あえて、ここでオレの言葉を止める!)」

西片「(止めることによって、オレの自惚れでも勘違いでも、からかわれることはない!)」

西片「(なぜなら高木さんは、オレの特別の意味が正確にはわからないんだから!)」

西片「(オレの…)」

西片「(…オレは高木さんのこと、本当は)」

高木「だめっ」

西片「…えっ?」

高木「ちゃんと最後まで、聞かせてよ」

高木「西片の考えを」

高木「西片の…気持ちをさ」

西片「うっ…」

西片「お、オレは…」

真野「西方君!ちんちんついてるの!?」

西片「!!」

西片「~っ!」

西片「(あーっ!もう!)」

西片「(自惚れや勘違いでからかわれても良い!!)」

西片「(今、言わなきゃ絶対後悔する気がするっ!)」

西片「お、オレは…!」

西片「オレは高木さんのことが好きだっ!!」

西片「いつもからかってくるけど、やさしくてかわいくて…だけど実は照れ屋で…」

西片「一緒にいて楽しいから!だから、これからもオレと勝負したりして…」

西片「……」

西片「(完全に告白してしまった…!)」

西片「(言わなきゃ後悔とか思ったけど…)」

西片「(これで勘違いや自惚れだったら、やっぱり後悔しそう…)」

高木「……」

高木「西片」

西片「は、はい…!」

高木「ありがとう」

高木「私も、西片のことが好きだよ」

西片「…あっ」

西片「そ、それって…」

高木「えへへ」

高木「私も、やっと…」

高木「自分の、気持ちを誤魔化さずに言えたよ」

西片「誤魔化さずに…」

西片「(確かに今までに、何度か高木さんから…)」

西片「(好きって…)」

高木「やっぱり、こーいうのは男の子の方から、ねっ」

西片「ははっ…」

西片「(勘違いじゃなかったけど…)」

西片「(結局、最後はまた高木さんに負けてしまった気がする…)」

真野「いやもうすんごいっ!」

西片「!?」

真野「この休み時間の教室!」

真野「みんながいる中で愛を確かめ合うと、ホントすんごい!」

クラス一同「ムシロ、マダツキアッテナカッタンカイ」

西片「あっ…!?」

高木「おー…」

高木「そういえば、公開告白かー」

高木「さすがにちょっと、恥ずかしいねっ」

西片「ちょっとなんてもんじゃないって!!」

西片「み、みんな今のはっ…!」

高木「…今のは?」

西片「うっ…!」

高木「じーっ…」

西片「…お」

西片「お、オレは高木さんのことが大好きですっ!!」

高木「…私も、西片が好きっ!!」

真野「きゃーっ♪」

西片「(高木さんと手をつないだら…)」

高木「えへへっ」

西片「(からかい上手のかわいい彼女ができてしまった…)」

おわり

高木さん見てると胸がせつねぇや

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