ゴルゴ13「パッショーネのボスの暗殺か……やってみよう」 (18)


ゴルゴ「用件を聞こうか……」

高官「あなたに依頼したいのは……ある犯罪組織のボスの暗殺です」

高官「パッショーネという名前をご存じでしょうか?」

ゴルゴ「近年イタリアで勢力を拡大しているギャング組織だな……」

高官「ご存じでしたか!」

ゴルゴ「話を続けてくれ……」


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高官「元々奴らの資金源は賭博やみかじめ料といったものだったのですが、近年麻薬ビジネスに手を染め始め」

高官「今やイタリア中、いえヨーロッパ全土が奴らのばら撒く麻薬で汚染されつつあるのです」

高官「街中で平然と麻薬が売買され、それに伴い犯罪件数も激増しているのです。特に少年犯罪は……」

ゴルゴ「ギャング組織の掃討など、警察に任せればいいのではないのか……?」

高官「我が国の警察組織の腐敗ぶりときたら、賄賂を受け取り犯罪者に目こぼしするのが日常茶飯事という有様で……」

高官「それどころかパッショーネ幹部の中には刑務所を私物化している者までいるのです!」

高官「もはや警察にもどうすることもできないのです!」

ゴルゴ「……」


高官「そしてもう一つ、大きな問題が……」

ゴルゴ「問題……?」

高官「パッショーネのボスの正体は謎に包まれているのです」

高官「我が政府腕利きの諜報員でも正体は掴めず、それどころか逆に消されてしまう始末なのです」

高官「もはやパッショーネはイタリア政府で太刀打ちできる相手ではありません!」

高官「奴らを滅ぼすには“不可能を可能にする”というあなたに依頼するほかないのです!」

高官「ゴル……いえ、デューク東郷、どうか依頼を引き受けて下さい!」

高官「我が国をお救い下さい!」

ゴルゴ「……」


ゴルゴ「分かった……やってみよう……」

高官「おおっ!」

ゴルゴ「スイス銀行に報酬が振り込まれ次第、行動に移る……」

高官「どうか、どうかよろしくお願いいたします!」


ネアポリスにやってきたゴルゴ13。

ゴルゴ「……」

ゴルゴ「虎穴に入らずんば、か……」

謎に包まれたボスを引きずり出すには、自らを餌にするほかない。

事実、ゴルゴ13はわざと敵に捕まる、あえて無防備で敵地に乗り込む、といった方法で正体不明だった標的に辿り着いた事が幾度となくある。

むろん、彼にはそれを可能にする自信と実力が備わっていた。



しかし、この時ゴルゴ13は二つのミスを犯していた。


その犯罪組織はすでにあまりにも完璧に構築された組織になっていたのだ。

「身長180cm前後の日系人……これに該当するテロリストは……」

「スイス銀行にハッキング……送金を確認……送金したのは……」

「並みのギャングでは太刀打ち不可能……暗殺チームに連絡を……」

パッショーネの監視網に入るや否や、ゴルゴ13の(CIAなども知るような)基本的なデータは丸裸にされてしまっていた。

これにより敵がゴルゴ13を甘く見るといった事態は全く期待できなくなった。



そして、ゴルゴ13が犯した二つ目の最も大きな過ちは……!


彼は『スタンド使い』を知らなかったッ!



美女「あら、あなた日本人……?」

ゴルゴ「……」

美女「どぉう? 今夜はイタリア女を熱くさせて下さらない……?」

ゴルゴ「……」

ゴルゴ「ガボッ!?」


ブシュブシュブシュブシュ…

ゴルゴ(なんだ、これは……)

ゴルゴ(首筋にいきなり……刃物や、カミソリが……)

ゴルゴ(敵はいったい……どうや、って……)

ザシュゥッ!

ゴルゴ「ゴボォッ!」

ドサッ…

美女「キャアアアアッ!」

チンピラ「し、死んでる……!」



プロ格闘家、特殊部隊、パワードスーツ、果てはAI、エスパー、エボラ出血熱と数多くの敵に勝利してきたゴルゴ13であったが――

『スタンド』という常識を遥かに越えた力の前にはあまりにも無力だった……!


リゾット「……」スッ

リゾット「任務……完了」

リゾット(あのゴルゴ13とやらに対する標準的な報酬はおおよそ一仕事20万ドルとのことだが……)

リゾット(これほどの男を暗殺しても、俺たちへの報酬は微々たるもの――)

リゾット「ギアッチョ、俺だ」

リゾット「ゴルゴ13は始末した。こいつに依頼をしたという政府高官の始末はお前に任せる」

リゾット(ボス……俺たちはいつまでも飼い慣らされた犬じゃあない……)


ドッピオ「ボス、たった今連絡があり、ゴルゴ13の始末に成功したそうです」

ボス『そうか……報告ご苦労』

ボス『もし私の正体を知られた上での依頼だったならば、奴の狙撃をかわすことは極めて難しかっただろう……』

ボス『ドッピオよ、忠実な部下であるお前がいるからこそ……私は絶頂でいられるのだ……』

ドッピオ「ありがとうございます、ボス」


こうして一つの伝説が幕を閉じた。

パッショーネに君臨する帝王、その玉座が脅かされる日は『ジョルノ・ジョバァーナ』という新星の到来を待たねばならない……。








END

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2021年11月12日 (金) 22:04:13   ID: S:HhwR2H

まあよくある頭の中で妄想してボツにする話だな

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