四葉「私は如何にして心配するのをやめて水爆を愛するようになったのか」 (32)

五等分の花嫁のssです
雑誌の内容を含むのでコミックス派はネタバレ注意です

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風太郎「四葉、話がある。放課後、他の連中に内緒で屋上に来てくれないか」

朝、通学路でばったりと彼と遭遇したときかけられた誘いの言葉はこの日の私をだめにした。

他の姉妹に内緒 放課後二人きり 屋上

鈍感な私でも、これらのキーワードが意味することを期待してしまう。
上杉さんが私に今日、告白をするんだ。

風太郎「四葉、君のことが好きだ」
風太郎「四葉、月がきれいだな」
風太郎「四葉、愛している」
風太郎「四葉、京都で初めて出会ったときからお前に俺は惹かれていた。ずっと好きだった」
風太郎「付き合ってくれ、四葉」
風太郎「お前を絶対に幸せにするから」

どうしよう。想像するだけで43.195km全力疾走したあとのように心臓が止まらない。


6年前の運命的な出会いを経て、奇跡的な再開を果たし、お互い惹かれ合って結ばれる、なんて素敵なんだろう。
風太郎君は私にとって白馬の王子様だった。
そんな彼から今日告白されるんだ。ううん、告白されると決まった訳じゃないのはわかっていたけど、一度想像したらもう止まらなかった。

でも懸念はあった。
一花や二乃、三玖が彼のことを好きだということ。
私なんかがOKの返事をしてお付き合い始めてもいいのかな。

一花「おめでとう、二人の幸せ、お姉ちゃんは応援しているよ」
二乃「上杉!四葉を泣かせたら承知しないわよ!」
三玖「今まで応援してくれた四葉だもん、私もこれからの二人の仲を応援するよ」
五月「四葉、お幸せに!私にもいつか、運命の出会いがあるんでしょうか」

って感じで、みんなが祝福してくれればこの上ないけど、そう上手くことが運ぶだろうか。


前の学校を退学になって、今の学校にみんなで転校することになったのは私の責任だ。
一花も二乃も三玖も、前の学校に友達がいたし、名門な女子校だったからそのままエスカレーターで大学へ進めば将来は安泰だった。
それらを全部捨てて、落ちこぼれの私に付いてきたんだ。
姉妹の中で特別になろうとして、お母さんの忠告を踏みにじり、他の子達を不快にさせる言動をとった駄目な私を見捨てないでいてくれた。
だから今、私はこうして学校生活を楽しく送れているし、上杉さんに勉強を教えてもらうなんていう身に余る光栄を享受して、充実した日々を過ごしている。

それなのに、その転校先で、私がみんなの好きな男の子と付き合うことになって、幸せを独占することなんて、許されるんだろうか。
この思いはずっと封印していた。五月にも手伝ってもらって、6年前の特別な思い出は捨てたのに。

私だけが幸せになっちゃいけない。
だから、上杉さんからの告白は断らなくちゃ。
何度もシュミレーションしたけど、この時点での私の結論はこれだった。

でも、こんなチャンスない。それにきっと、この告白を受けたら私は救われる。
ずっと大好きだった男の子と、残りの高校生活を過ごして、卒業後も一緒に成長して、晴れてゴールイン……花婿姿の風太郎君と、花嫁姿の私……教会での誓いのキス……

いろいろな思いが錯綜しつつ、放課後、私は屋上へ向かった。


風太郎「よぉ。遅かったな」

四葉「……話って……何?」

風太郎「日の出祭の時の告白、覚えているか?」

四葉「!」

風太郎「激動の初日だったが、あのときよく全員集まってくれたな。そこで俺は、お前たち5人全員が好きだと告白した」

四葉「うん」

風太郎「6人でずっと楽しい時間を過ごせればいいと思っていた。その気持は今でも変わらない」

四葉「うん、私も同じ気持ちだよ!」

風太郎「だが、どこかで結論は出さないといけない。とうとう俺も年貢の納め時って訳だ」


風太郎「祭りが終わるまで時間をくれと言って」

風太郎「結局あの3日間、いろいろなことがあり過ぎて、俺はお前らにその返事の続きをできていなかったよな」

四葉「急がなくていいって言ったのは、私達だから!」

風太郎「それから色々考えた。祭りのあと、気持ちを整理する時間もあったし」

風太郎「それを踏まえて、四葉に相談があるんだ」

四葉「う、うん……」

風太郎「俺、五月のことが好きだ」


四葉「……え?」

風太郎「おい、そんな顔するなよ。俺、めちゃくちゃ恥ずかしいこと、今言ったんだから」

四葉「上杉さんが、五月……のこと、好き……」

風太郎「改めて他の人に言われると穴に入りたい気分だ」

風太郎「俺たち相性最悪だったからな」

告白を期待していた自分が恥ずかしいとかそういうのではなく、上杉さんが五月のことを好きという事実が私の頭に衝突して、その波が頭の中を二周、三周と駆け巡っていた。

四葉予想では本命は三玖、対抗は二乃で単穴が一花だった。
そもそも私と五月はレースに参加していないから勝ち目どうこうの話じゃない。
そして私は彼に何もアプローチしていなかったし、彼に私の秘めたる思いが伝わっているとは思っていなかったから。
そんな私を彼が、あんな魅力的で可愛くて熱心にアプローチする3人と比べて選ぶはずがないと思っていた。

それでもなお期待していたのは、私が馬鹿だから。
いや、違う。心のどこかで、彼が、6年前のあの出会いを覚えていてくれて。
あの頃、瓜5つだった私のことを、6年後に見分けてくれたのだと信じたかったんだ。


四葉「あはは、意外ですねー。で、五月はなんと答えました?」

風太郎「まだ、五月には伝えていない。お前に伝えるのが最初だ」

四葉「そうですか」

風太郎「実際、五月にどう伝えたものか。あと、一花や二乃、三玖にも。なんて伝えたらいいのかわからん」

四葉「モテる男は辛いですねっ、このこのっ」

風太郎「からかうなよ……それで四葉に協力して欲しくてだな」

そうか。上杉さんは、私のことを 友達として 頼ってくれているんだ。

四葉「うーん……」

三玖のことがまず頭をよぎった。私は、修学旅行まで三玖のことを応援していた。
旅行のあとは有耶無耶になって、応援を要求されなくなったけど、三玖は私がまだ自分のチームにいると思っているかもしれない。


四葉「協力の前にですね、上杉さんに聞きたいことがあります。五月にふさわしい男性なのか、四葉チェック!あなたはなぜ五月が好きなんですか?」

風太郎「うっ……改めて聞かれると……笑わないか?」

四葉「変な理由だったら協力はできませんっ。例えば、おっぱいが一番大きいからとか」

風太郎「断じて違う!俺が五月のことを好きなのはだな……零奈が……ああ、零奈といってもわからないか」

四葉「零奈……」

風太郎「どうやら、俺と五月は6年前に一度会っているみたいなんだ」

四葉「えっ……あっ」

それから上杉さんは6年前の私との思い出の話をした。
盗撮犯扱いされたところを助けたこと、一緒に清水寺で遊んだこと、夜の神社でお賽銭を投げ捨てたこと。一緒に、勉強を頑張って、誰からも必要とされる立派な人間になると誓いあったこと。
これらの思い出は全部、五月でも零奈でもなく、私と風太郎君の思い出だった。


風太郎「去年、五月と二乃が大喧嘩して、俺が無力感に打ちのめされていたとき」

風太郎「またあいつが俺の前に現れて、俺を救ってくれた。俺は何度もあいつに救われていたんだ」

風太郎「あいつはあの頃の誓いどおり、ずっと勉強を続けていた。バカみたいに効率が悪いやり方だから成績は伸び悩んでいたがな」

風太郎「俺は幸運にも恵まれて、勉強だけは上手くいっていたが、家庭教師の仕事なんてのは上手くいかないことだらけ。教え子一人救えない。結局自分は勉強はできても人の役に立つことなんて到底かなわないだめな人間だと思い知らされたんだ」

風太郎「そこで零奈が、五月がまた現れて、俺を助けてくれた」

風太郎「それから時間も随分立って、他の姉妹から認められるようになって、好意を向けられて光栄だった」

風太郎「誰を選ぶか、なんてなんて上から目線で贅沢な悩みだと思うかもしれないが」

風太郎「俺の心にはずっと五月が隣にいたんだ。自分の気持に向き合ったら、答えは決まっていた」

風太郎「俺は五月のことが、好きだ」


四葉「五月と、6年前に、会って、いたんですね」

上杉さんの告白。零奈との6年前の思い出は、私と風太郎君のかけがえのない思い出。
でも、それを五月に押し付けた。五月は何も悪くない。五月は心配してくれさえいたと思う。
上杉さんの中で、大事な女の子が、四葉じゃなくて五月にすり替わってしまうことを。

無理もない。上杉さんは責められない。5年前に1日だけ過ごした女の子を、5年後に全く同じ顔をした5人の中から選べというのは無理な話だ。
そうなれば、零奈として目の前に現れた五月を零奈と、京都の子と勘違いするのも仕方のないことだ。誰が彼を責められるだろうか。
それは、私なのに。私が、6年前の京都で風太郎君と誓いあったのに。

じゃあ、あのとき、零奈として、彼の前に出たのが私だったら、私が彼に選ばれていた。
どす黒い色をした後悔が私の心の中にインクの染みのように広がっていく。
あの時の私は、他の姉妹のために、幸せを手放したんだ。



風太郎「キモいよな……そんな昔の思い出と結びつけて、五月のこと好きなんて」

四葉「ううん。すごいロマンチックですっ」

風太郎「じゃあ」

四葉「四葉チェック合格!応援しますよっ、上杉さんと妹の仲を!しししっ」

風太郎「四葉……!」

四葉「それじゃあ早速、五月にこの想いを伝えましょー」

風太郎「待て。待て待て。いきなり、それはまずいだろ……」

四葉「どうしてですか?」

風太郎「五月、俺のこと、どう思ってるかな……あいつには昔ひどいこと言って傷つけちまったし」

風太郎「今じゃ家庭教師としての有用性を認められているとは思うが」

風太郎「一時期は追い出されたり、他の姉妹にとりつく悪い虫扱いされたりしたし」

四葉「自覚あったんですね」

風太郎「というわけで、まず四葉には、五月が俺のこと、どう思っているか、確認して欲しいんだ」

風太郎「頼んだぞ!」


四葉(という訳で、上杉さんに頼まれちゃったけど)

四葉「なんでも安請け合いするの、私の悪い癖だなぁ……はぁ」

上杉さんに告白されると思って、一人かってに舞い上がった結果、私は脈なしで、五月と彼を結ぶのをまさか彼に頼まれるなんて。

五月「ため息すると幸せ逃げますよ。で、話って何ですか?」モグモグ

五月「ここのスイーツ美味しいですね。勉強大変だから糖分しっかり補給しなきゃ」モグモグ

四葉「受験勉強、ホント大変だよね」

五月「はい。でも今日は息抜きです。しかし四葉が誘ってくるなんて珍しいですね」

四葉「ここ、私の奢りでいいよ」

五月「ほ、ホントですか!でも、なにか嫌な予感が……四葉の奢りは要注意ですが、奢りならこのモンブランケーキ追加注文しても構いませんかね!?」

四葉「うん。かわりに聞きたいことがあるんだけど、五月って今好きな人いる?」

五月「ごほっ!す、好きな人!?ごほ、ごほっ」

五月は口いっぱいに頬張ったケーキをむせこんだ。


五月「どういう意味ですか……」

四葉「好きな男の子、今いるの?」

五月「……!」

五月の顔が真っ赤になった。多分、五月も彼のことが好きだ。それくらいは姉妹だからわかってしまう。

五月「今は勉強に集中中なので!好きな男の子とか、お付き合いするだとか考えている暇ありませんからっ。それに高校生のうちから男女交際なんて不純ですっ!話はそれだけですか?」

四葉「実はね、五月のこと好きな男の子がいて、五月との仲を取り持ってほしいと頼まれたんだ」

五月「!」

四葉「どうする?その人にそのこと、伝えておく?」

五月は勉強が忙しいのは知っている。彼だって、五月の事情を知れば諦めてくれるかもしれない。
そういう淡い期待がこのとき私にあったのは事実だ。


五月「一応聞きますが、その男の人は、私に告白とか、考えているんでしょうか」

四葉「多分。脈ありだったら告白すると思う」

五月「その人に伝えてください。四葉を介してじゃなくて、自分の言葉で真剣に伝えるなら、私は考えますと」

五月「その結果、振ることになるかもしれない。でも、その真剣な気持ちは、一度しっかり検討してみたいと思います」

四葉「いいの!?その男の人、上杉さん……じゃないかもしれないのに、お付き合い考えるの?」

五月「まああまり変な人は嫌ですが……検討だけなら」

五月「彼は、きっと一花や二乃、三玖から選ぶでしょうし、いつまでも甘える訳にはいきませんよね」

五月「もちろん、これはあなたにも言っているんですよ、四葉」

五月は少しだけ寂しそうにケーキを口にした。その姿に少しだけ、在りし日のお母さんの面影が重なった。


続く


風太郎「で、どうだった?」

放課後、二人きりで作戦会議。
大好きな人と妹の恋のキューピッドになるのは複雑な気分だけど、こうして一緒に過ごせる時間が作れるのは少し嬉しいかも。

風太郎「五月、なにか言ってた?」

四葉「勉強忙しいって」

風太郎「そうか……」

四葉「落ち込まないでくださいっ。脈なしと決まったわけじゃないですから」

四葉「勉強は忙しいけど、相手によってはお付き合いするとも言ってましたから!」

風太郎「本当か!?で、俺は……」

四葉「話の流れでその日は聞けませんでしたが、脈はありそうですよ、上杉さん!」シシシ

風太郎「そうか」

彼は努めてクールに答えたが、頬を赤らめていた。


風太郎「ここのパフェ、好きなの頼んでいいぞ、四葉。今日は俺の奢りだ」

あの上杉さんが財布の紐を緩めるとは、相当な事態です。

風太郎「でも、勉強が忙しい、か……なら、俺と付き合う代わりに、全国模試上位の俺が特別に無料で個人レッスンを毎日するっていう取引はどうだろうか」

四葉「個人レッスンってなんだかいやらしいですね。勉強以外のことも五月に教えちゃうつもりですかっ」

風太郎「……!そ、そんなつもりじゃないっ!決してやましい気持ちは……」

四葉「若い男女、二人きりでの勉強会、何も間違いが起こらないはずもなく」

風太郎「あー、もう、やっぱりナシだ!俺が五月を好きなのは、そういう気持ちがあるわけじゃなくてだなっ」

やっぱり上杉さん、恋愛に関してはピュアみたい。少しからかっただけで顔をトマトのように真っ赤にしている。
前にらいはちゃんに聞いたけれど、恋愛指南書で勉強しているレベルだから仕方ない。
五月も同じようなレベルだからある意味お似合いだけど。

風太郎「しかし受験勉強で忙しい五月に、この時期に負担をかけるのは良くないよな。配慮が足りなかった」

四葉「でも、五月も女子高生ですから、勉強忙しくても好きな男の人とお付き合いくらいしたいと思ってるけどなー……」


風太郎「五月に好きな男がいるのか!?」

四葉「ものの例えです!でも、上杉さんと付き合ったら、勉強も恋愛もいい方向に回りだすと思うんですよね、あの子の場合。勉強だけに偏ると、ドツボにハマってしまいそうですからっ」

風太郎「ふむ……恋愛と勉強の相乗効果をアピールするのもありか……」

四葉「そういえば、上杉さん、他の子のことはどうするんですか?」

五月のことの前に、上杉さんには課題があった。
二乃や三玖は明確に上杉さんに好意を持っていることを伝えているはず。この点はしっかり整理しているのだろうか。

私の問いかけに上杉さんは固まった。

四葉「上杉さん、正直に答えてください。誰かに今、告白されていたりしませんか?」

風太郎「ああ」

上杉さんは目を伏せながら頷いた。


風太郎「二乃にははっきりと告白されている。三玖や一花も、俺のことが好きだ、と思う」

四葉「告白までされているんですね……で、返事は?」

風太郎「……まだ、していない」

四葉「ええっ!?じゃあ彼女たちの気持ちに答えないまま、五月に自分の気持を伝えるつもりだったと」

風太郎「違う!そんなつもりじゃない」

風太郎「俺は……俺にとって、5人全員が好きなのは、事実だから」

それは私も含むの?そう言いたいのをぐっと堪えた。

風太郎「でも、俺にとって特別なのは、五月なんだ……だから……」

四葉「その状態で、もし五月に振られたら上杉さんはどうするんですか?」

風太郎「うっ」

四葉「ひょっとして、二番目に好きな子のところに行こうって腹ですか」

四葉「そういうの、女の子はよく見てますよ。五月だって、3人が上杉さんのこと好きだってことくらい知っています」

四葉「そんな状況で、突然上杉さんに告白されても、多分、五月は断ると思いますよ」


これは多分、的を得たアドバイスだと思う。
一花、二乃、三玖がアプローチしている状況で、上杉さんに告白されても、私だったら断る。
五月もきっと同じ考えだと思う。女の子は自分のことだけを見てほしい。
なんの因果か同じ男の子を好きになってしまった私達五つ子だけど、その男の子からは自分は特別扱いされたいという想いはみんなあるはず。
だからこそ、私は上杉さんの特別になってはいけない。彼と再開してこの1年、その思いが私の心をずっと縛り付けていたのだから、誰よりも上杉さんに特別扱いされたい、という気持ちはわかっているつもりだ。

風太郎「なら俺はどうするべきだろうか……」

上杉さんは葛藤していたんだと思う。
5人の中から誰かを選ぶ決心をしても、結局まだ他の4人を捨てる決意はできていないんだ。

四葉「五月に告白する前に、三人ともしっかり振るべきだと思います」


振り返ってみれば彼女たちから恨まれても仕方のない助言だった。
それでも、この時の私は上杉さんと五月の仲を応援していた、と天国のお母さんの名前に誓って私は言うことができる。
そう。五月が迷うことなく、上杉さんの告白を素直に受ける環境を整えること。
それが、恋のキューピッド・中野四葉にとっての大仕事だ。
その結果、誰に恨まれようと後悔はない。
上杉さんが誰のことを好きになろうと、私は全力で応援します、とあのとき私は誓ったのだから。

四葉「いつまでもその気はないのに待たせるのって、酷いことだと思いませんか?」

四葉「それに、もしですよ。五月に振られたあと、例えば三玖と付き合おうとしても」

四葉「三玖にとっては上杉さんの二番です。それで三玖が喜ぶと思いますか?」

四葉「結局、五月と決めたなら、三玖のことも、二乃のことも、一花のこともしっかり整理しないと」

四葉「結局、色々こじれて面倒なことになります」

四葉「もし、上杉さんが、その結果、三玖達を泣かせるようなことをしたら」

四葉「いくら私でも許せませんっ」


風太郎「そうだよな。五月に振られたから、じゃあ三玖と付き合うって、ありえない」

風太郎「すまん、甘えてた。そんな状態で、告白なんて、五月にも失礼だ」

風太郎「一旦考えてみる。あいつらの関係、しっかり整理したあと」

風太郎「その時、もう一度五月のこと、相談させてくれ」

上杉さんはまっすぐ私の目を見てそう言った。
これで良かったんだ。

四葉「上杉さん。安心してください。一花も二乃も三玖も、想像しているよりもずっと強い娘たちです。なんたって、私のお姉ちゃんですからっ」

四葉「もちろん、振られたらショックは受けると思います。でも、私が精一杯。みんなのフォローします」

四葉「だから、私は……上杉さんは自分の心に正直に……選択して、行動して欲しいんです」

私が、正直に生きられなかった分も、あなたは幸せに。


続く

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