フランシュシュ「……アメリカ旅行?」 (30)

巽「は~い! フランシュシュ! GOOD MORNING! GOOD MORNING!
 『グッドモーニング』じゃのうてGOOOOOOOOOOD MORNINGゥゥゥ~~~じゃい!」

サキ「うるせえッ! 初っ端からテンション高ェ―――ンだよ毎回毎回ッ!!
   ブッ[ピーーー]ぞ!」

リリィ「リリィもうるさいのきら~~い」

さくら「まあまあサキちゃん、リリィちゃん……。おはようござ……グッドモーニング?」

愛「もう、なんなのよ一体」

純子「……」

たえ「アァァァ……オォォォ……」

ゆうぎり「なんやええことでもありんしたかえ?」

巽「おっ! ええのうゆうぎり! よ―――く聞いてくれたのうッ!!
  ………ななななんとォ~~~~~~~~……」

さくら「えっ、なに!?」

巽「なんとォ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~…………」

サキ「長ェよ! ブッ[ピーーー]ぞ!!」

たえ「アエェ……」

巽「たっからくじが1千万円当たりましたああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!」

さくら「たっ」

一同「宝くじ!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1573469335

巽「すぉ~してこれがその宝くじじゃーいッ!!!」

ピラッ

一同「オオオオオオオオオオオオオオオオオ↑↑↑↑」

たえ「ハッ!」

巽「お前らゾンビィでもうれしいじゃろううれしいじゃろう。宝くじは買わんと当たらんからのう!」

ぴらぴら

たえ「バウアッ!!」

ガバッ

巽「!?」

さくら「たえちゃん!?」

たえ「ガブゥーッ!」

リリィ「あっ! たえちゃんそれみんなの宝くじぃ!」

たえ「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ゥーーー」

愛「1千万円がっ!」

サキ「任せろーーーーーッッ!!!」バッ

純子「てりゃーーーーーーっ!」バッ

パシィ!

…………………………

………………

……

バリィッ!!

一同「あっ……」

巽「あっ」

一同「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”↓↓↓」

愛「た……宝……くじ……1千万が……」

サキ「純子!! なんしよっとかぁお前ッ!?」

純子「あ……、私のせいで……、ごめんなさい……っ!!」

リリィ「……」

愛「……」

ゆうぎり「……」

純子「ご、ごめんなさい……」

サキ「……」

たえ「……ア……」

さくら「宝くじがわややん……」

巽「ハハハ! ハーハッハッハハハハ!!!」

サキ「なに笑いよるかグラサン! 頭おかしくなりよったとか!?」

巽「フフフ……。お前らみたいなバカゾンビィは知らんだろうが」

カッ

ゴロゴロゴロゴロ……

巽「宝くじは破れていても交換できーーーーーーーるッ!」

一同「……」

巽「……なーんじゃその人をまったく信用していない目は」

愛「そういえば聞いたことがあるわ。宝くじは当たり番号がはっきり読めれば換金可能だって」

サキ「なんだよ~、大事にしまっとけよな! 焦って損したぜ」

純子「よかった……」

リリィ「やったねたえちゃん♡」

たえ「アゥゥ……」

ゆうぎり「しかしおかしいどすなぁ……」

さくら「そ、それで、その1千万円は活動資金に!?」

巽「無論、存在自体が風前の灯である佐賀の復興のために使う」

愛「具体的には何を?」

巽「復興の鍵、佐賀のご当地アイドル、お前ら『フランシュシュ』。
  そのクオリティアップに使おうと思っている」

愛「クオリティアップ?」

サキ「どうせ余計なこと考えてるんやろが」

巽「それは――『海外旅行』じゃ~~~~~~~~~~~~~いッッッ!!!

一同「海外旅行!?」

サキ「やったー! アタシ佐賀から出たことないけんがば楽しみー!」

リリィ「リリィも日本から出たことない~♡」

愛「なんで海外なのよ」

純子「…………」

サキ「純子、顔色悪かとぞ」

さくら「――あ」

純子「私は海外旅行は……行きません」

リリィ「なんでぇ? 海外だよ?」

純子「私……飛行機事故で死んだんです……。だから、海外なんて絶対行けません……!」

さくら「純子ちゃん……」

愛「パスポートとかはどうするのよ」

巽「1千万あれば偽造パスポートを作ることなど容易い」

愛「はぁ!? 犯罪じゃないの!」

巽「純子については問題ない。気絶させて無理矢理にでも連れて行く」

純子「ヒィ!」

巽「は~~~~~~~~い、てなわけで、ユナイテッド・ステイツに行くことになりました。
  お前ら、エンターティメントの先進国でパフォーマンスのなんたるかを
  存分に学んでくる~~んじゃいッ!!」

リリィ「結局、巽がアメリカに行きたいだけなんじゃ……」

たえ「アウアウアウー」

――2日後

――わたしたちはアメリカの大地に立っていた。

巽「来たのう~~~~~~アメリカ中西部!」

サキ「か~~でっけぇな~~~~~~~!」

愛「……」

純子「あの……、ここどこなんでしょうか……?」

愛「そもそもエンターティメントときたらラスベガスかニューヨークでしょ?
  なんでここなのよ。
  しかも、場所がざっくりしすぎだし」

巽「いかんのかーいッ! ニューヨークもアメリカ、ここもアメリカ。
  同じアメ~~~~~リカじゃい!」

リリィ「まさか行く場所を間違えたんじゃ……」

巽「はぁぅっ!!」

愛「やっぱりそんなことだと思った」

サキ「まあいいじゃねえか。ここも十分日本じゃ見られねえ光景だしな」

ゆうぎり「そうどすなあ、異国の香りがしますなあ」

巽「さあ乗れお前ら。すぐに日が暮れる。
  今晩の宿屋探し兼ガソリン補充じゃい。
  ほれゴーゴーゴーゴーゴゴーゴーゴーゴーゴゴゴー!」

たえ「ヴァウ、ヴァウ!」

ブロロロロロ……


____________
|←Racoon City|

 ̄ ̄ || ̄ ̄ ̄      ┗(^o^ )┓三
  ||           ┏┗   三
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

――2日後

――わたしたちはアメリカの大地に立っていた。

巽「来たのう~~~~~~アメリカ中西部!」

サキ「か~~でっけぇな~~~~~~~!」

愛「……」

純子「あの……、ここどこなんでしょうか……?」

愛「そもそもエンターティメントときたらラスベガスかニューヨークでしょ?
  なんでここなのよ。
  しかも、場所がざっくりしすぎだし」

巽「いかんのかーいッ! ニューヨークもアメリカ、ここもアメリカ。
  同じアメ~~~~~リカじゃい!」

リリィ「まさか行く場所を間違えたんじゃ……」

巽「はぁぅっ!!」

愛「やっぱりそんなことだと思った」

サキ「まあいいじゃねえか。ここも十分日本じゃ見られねえ光景だしな」

ゆうぎり「そうどすなあ、異国の香りがしますなあ」

巽「さあ乗れお前ら。すぐに日が暮れる。
  今晩の宿屋探し兼ガソリン補充じゃい。
  ほれゴーゴーゴーゴーゴゴーゴーゴーゴーゴゴゴー!」

たえ「ヴァウ、ヴァウ!」

ブロロロロロ……


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|←Racoon City|

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  ||           ┏┗   三
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~4時間後~

さくら「着いた~!」

サキ「ここがラコーンシティか」

さくら「『ラクーン』だよサキちゃん」

愛「ずいぶん静かね……」

純子「静かどころか様子がおかしいですよ……?」

ガチャッ

ゆうぎり「ほんまどすなあ、誰ひとりおりゃあせん」

リリィ「みんな早寝早起きなのかなあ?」

たえ「ヴヴヴ!! アヴア”ア”ア”ア”ア”! フーッフーッ!」

さくら「どうしたのたえちゃん」

リリィ「たえちゃん何を見て――あっ、第一村人発見!」

??「ウウ……アァ~……」

リリィ「すみませ~ん、この辺りで泊まれるホテルありませんかぁ~?」

??「ア”ヴェェ……」

さくら「あの~、どうしたんですか? 体調でも悪」

くるっ

ゾンビA「ヴア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッ!!」

一同「……」

一同「うわああああああああああああああああああっっ!!」


ゾンビA「オ"ア"ーーーーッッ!!」

ガバァッ

サキ「は、走れみんな!!」

純子「なんですかあれ!?」

ゆうぎり「なんやふつうじゃありゃあせんなあ」

愛「のんきなこと言ってないで逃げるわよ!」

さくら「あっ、あそこにも人がいるよ!」

??「……」

さくら「助けてくださああああああああああああああい!!」

ゾンビB「アアア……!」

一同「!?」

ゾンビB「ウガァアアア!!」

一同「こっちもだあああああああああああッッ!」

ゾンビC「ウゴァアアアアア!!」

ゾンビD「エ”ア”……オ”エ”エ”エ”エ”エ”」

純子「たくさん出てきましたよ!」

さくら「どやんす?どやんす?!」

愛「みんなこっち!」

タタタッ

たえ「ハッハッハッ!」

タッタッタッタッ

さくら「はーっ、はーっ、はーっ」

愛「はあっ、はあっ、はあっ、……ここまでくれば……」

ゆうぎり「あれはいったいなんどす?」

たえ「アアウー」

純子「見当もつきませ……あ」

たえ「アウアウアー」

リリィ「あ」

さくら「たえ……ちゃん……」

たえ「ヴ~」

サキ「もしかして……」

たえ「アウ?」

一同「ゾンビィ!?」

愛「なんでこんなところにゾンビィがいるのよ」

さくら「アメリカに……ゾンビィ?」

サキ「いっちょん分からんなぁ……」

リリィ「ねぇねぇ、そういえば巽がいないよ!」

サキ「グラサンどこいった?!」

さくら「幸太郎さんを探さなくちゃ!」

愛「あいつなら自分で何とかするでしょ」

サキ「そうだな」

純子「私も……そう思います」

さくら「えぇ……」

愛「とりあえずは私たち自身の安全の確保。あいつを探すのはそれからよ」

さくら「う、うん……」

ゆうきり「それにしても……不思議なもんどすなぁ」

リリィ「アメリカにもゾンビィがいることが?」

ゆうぎり「いや……、たえはんのことどす」

さくら「たえちゃん?」

たえ「ヴ?」

ゆうぎり「ここに来る前、たえはんが宝くじを破ったでありんしょう?
     まるで、ここの惨状を知っていてやったかのようでありんすなあ」

リリィ「たしかに、たえちゃんやたら凶暴だったもんね」

たえ「ア”~~」

純子「警告を与えてくれてたんですね……」

サキ「たえ、そういう第六感的なとこあるよな」

愛「ちょっと! 今置かれてる状況考えてんの?」

ゆうぎり「そうでありんすなあ。ここから何とか脱出する方法を考えないとあきまへん」

さくら「でも――」

リリィ「脱出っていっても、どこに?」

愛「とりあえず車に戻って――」

サキ「アタシが運転するばい! 二輪も四輪も大差なか!」

愛「決まりね」

サキ「とりあえず武器だ武器! あいつらをぶっ殺さんと話にならん!」

愛「うーん、武器になりそうなもの……」

リリィ「あっ、ここに金属バットがあるよっ」

サキ「よしっ! これでぎっちょんぎっちょんにしてやるぜ!」

たえ「バウアー」

純子「……はっ」

サキ「どうした、純子?」

純子「それよりも、いい方法があるんじゃないでしょうか」

さくら「いい方法?」

純子「私たちもゾンビィのふりをするんです。というかもうゾンビィですから……」

さくら「でも純子ちゃん、私たちさっき襲われて――」

純子「それは、私たちが話しかけたり、逃げ回ったりしたから……。
   ゾンビィはお互いに襲いあったりしていませんでした」

さくら「そっかぁ! 私たちもゾンビィ! 本当は襲われることはないんだ!
    純子ちゃん頭いい~!」

愛「たしかに……それなら安全に車まで行けるかも……」

リリィ「お化粧は落とした方がいいかなあ?」

純子「そこまではしなくていいんじゃないでしょうか」

愛「そうね、というかアメリカに来る時に念入りにやったから簡単に落ちないよ」

サキ「せからしか! あのゾンビはアタシがみんなぶっ[ピーーー]!」

ゆうぎり「うちはバット一本に女手、ゾンビィのふりをした方がよさそうどすなあ」

たえ「ヴォー」

サキ「姐さんがそう言うなら……。ま、このバットは一応持ってくけどな」

愛「車まで約500メートル。いくよ!」

さくら「うん!」

純子「はい」

たえ「バエー」

サキ「おうっ!」

ゆうぎり「あい」

リリィ「うん♪」

ゾンビF「ヴォアアアア……」

ゾンビG「ア"ーーーー」

さくら「アバ~(バレないようにバレないように……)」

てくてくてく……

さくら「ヲエ~(バレてないバレてない。よしっ、あの角を曲がれば……)」

てくてくてくてく……

さくら(あと少し、あと少し……)

たえ「ゥ?」

ゾンビH「ヴア"?」

ゾンビI「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッ!!!!」

サキ「やばいっ!」

リリィ「気づかれたぁー!?」

ゾンビJ「ア"ーーーーーッ!」

さくら「どやんす!?どやんす!?」

サキ「ここはアタシが!」

純子「ひぃ!」

ゾンビJ「グア"ア"ア"ア"ーーーーッ!」

さくら「ひぃええええええええええええええ!!!」

パンッパンッパンッ!

ゾンビJ「ウガァッ……ヴアアア~……」バタッ

一同「!?」

??「あんたたち、こっちだ! 援護するから逃げろ!」

パンパンパンパンッ!

サキ「よく分からんけど、とりあえず逃げよう! 逃げようぜ!」

一同「うん!」

タッタッタッタッタ

バンッバンッバンッ!

??「そこをまっすぐ走れば警察署がある! そこに逃げ込め!」

さくら「はぁっ、はぁっ、はあっ!」

リリィ「もう疲れたぁ~!」

サキ「みんな、あとちょっとだ! がんばれ!」

愛「あ、あれがそうじゃない!? 警察署!」

タッタッタッタッタ

純子「見て下さい、門があります!」

サキ「逃げ込め逃げ込め~~!!」

ギィ……

愛「みんな大丈夫?」

リリィ「リリィは、はぁ、はぁ、大丈夫だよっ♪」

ゆうぎり「わっちも、平気でやんす」

純子「はい!」

さくら「みんな入って入って!」

??「よし! 全員入ったな! 門を締めるぞ!」

ギギ……

??「念のため警察署に入ろう!」

一同「はい!」

~警察署内~

さくら「ふぃ~~~」

サキ「間一髪だったぜ」

??「ふぅ……ここまで来れば安心か……」

純子「助けてくださってありがとうございました」

さくら「あなたは……?」

??「ああ、紹介が遅れたな。俺はレオン、レオン・スコット・ケネディ。警官だ」

さくら「警官……?」

レオン「ああ、新米だけどな。君たちは……?」

愛「私たちは旅行中にラクーンシティに来て、それでかくかくしかじかで……」

レオン「そうか……それは不運だったな……」

たえ「アウー」

レオン「はっ!」

たえ「ヴヴー」

チャッ

レオン「こいつ、ゾンビなのか!?」

サキ「違う違う! こいつは、あの~~~……、そう、言葉! 言葉が話せないだけだ!」

レオン「挙動がゾンビそのものなんだが……」

さくら「た、たぶんゾンビのマネをしてるだけです、ハハハ」

純子「レ、レオンさん、他の警官さんはどこに?」

サキ(ナイスフォロー純子!)

レオン「それは俺にも分からない。ここに着いたらもうすでに誰一人いなかった。
    それで、街で生き残りを探していたら、君たちに会ったってわけだ。
    出会えたのは、君たち以外はゾンビだけだったけどな」

愛「それで、どうしたら街の外に出られるんですか?」

レオン「それを考えてる。今は警察署を拠点にして生存者を探すのが先決だしな」

リリィ「えー! 頼りなーい!」

レオン「返す言葉もないよ」

愛「八方塞がりじゃない。どうするのよ」

純子「まずは生き延びる道を考えましょう」

リリィ「こっちにPCがあるよっ!」

レオン「警察署の端末だな……。なにか分かるかもしれない。
    ん……それにこれは……」

サキ「なんだ、マッポの手帳か?」

レオン「ああ、見ろ、ここのページに面白いものが書いてある」

サキ「これは……、地図?」

レオン「警察署から地下を通じて別の出口に行くルートがあるみたいだ」

さくら「そこからなら外に出られるとですか?」

レオン「ああ……、この地図に従えば、な」

さくら「じゃ、じゃあ、ここに行けば……」

サキ「アタシは反対だ」

さくら「えっ?」

サキ「その出口は街の外につながってんのか?」

レオン「いや、あくまで警察署から外に出るだけだ」

サキ「それなら、来た道を戻って車で逃げる方が確実ばい」

愛「そうね。私もそう思う」

純子「私は手帳の出口に行く方に賛成です。あの道をもう一度戻るのは不安ですし……」

リリィ「リリィも~♪ 戻るのは危険すぎるよ~!」

レオン「意見が割れたな。あんたはどうしたい? ええと――」

ゆうぎり「ゆうぎりどす。……ここはひとつ、たえはんに決めてもらうのはどうでありんしょう?
     たえはんの直感は頼りになりんす」

さくら「そ、そうだね。
    たえちゃん、どっちに行ったらいいかな?」

たえ「アウー……」

一同「……」ジィ~

たえ「アウッアウアウッ!」

さくら「出口のほうを見てるね」

愛「これは私の直感なんだけど、手帳の方に行くのは嫌な予感がするの。
  とてつもない危険が待ちかまえてそうで……」

サキ「決まりだな! 愛、道覚えてるか?」

愛「任せて」

レオン「君たちはそれでいいのかい?」

純子「……そうですね……
   ここまで生き延びられたのもたえさんのお陰というところというのもありますし……。
   もう死んでますけど」

レオン「死んでる?」

リリィ「あ! えーっと! リリィも平気だよ! どっちも危ないには違いないもんね♪」

サキ「よし! 絶対に生き延びるばい!」

ゆうぎり「さすがリーダー、頼りになりんすなあ」

レオン「フッ……、あんたたち、強いな」

サキ「だてに特攻隊長はっとらんと!」

レオン「トッコウ……? 日本空軍か?」

さくら「わたしたち、日本でアイドルグループをしてて……」

レオン「そうだったのか。ずいぶんガッツのあるアイドルグループだな、ははは」

サキ「気合なら誰にも負けんばい!」

レオン「よし、そのキアイで切り抜けるぞ!」

さくら「はい!」

サキ「おうよ!」

愛「うん!」

純子「はい!」

ゆうぎり「はいどす」

リリィ「うん♪」

たえ「アア"ー」

レオン「そこでなんだが、まず、これを見てくれ」

さくら「これは、パソコンの……ラクーンシティの地図?」

レオン「ああ、今俺たちがいるのは、ここだ。君たちの車までの経路を決めておこうと思う。
    なるべく大きい道を避けて、ゾンビたちに挟まれないようにしておきたい」

愛「えーっと、たしかここからこう来たから、私たちの車はこの辺りね」

レオン「そう離れていないな。これなら十分到達可能だろう」

サキ「エモノがバットだけじゃ不安とね」

レオン「なるべく戦闘を避けるから身軽な方がいい」

リリィ「やっぱり頼りになるじゃん♡」

レオン「はは、じゃあ早速行くとするか」

~警察署前~

ゾンビK「ヴヴガアアア……」

レオン「まず、ここから武器屋まで走る。店で弾薬を補給したい。
    裏通りから店内に入ったら、正面から大通りに出て、そのまま走って車に入る。いいな?」

一同「……」コクッ

レオン「よし、走れ!」

タッタッタッタッ……

~一方その頃:ラクーンシティ近くのガソリンスタンド~

巽「危ないところでしたね」

??「ええ……。まさかガソリンスタンドで急に襲われるなんて……。
   しかもあいつらは一体……?」

巽「ガソリンがなくてよかったですよ。あなたを助けることができた」

??「ええ、ありがとう。私はクレア、クレア・レッドフィールド。あなたは?」

巽「巽幸太郎です。巽とお呼び下さい」

クレア「ありがとう、巽。……ところで、聞きたいことがふたつあるの」

巽「?」

クレア「私たちは今どこに向かってるの?」

巽「ラクーンシティです。置いてきたというか、置いてかれた奴らがいるので」

クレア「よかった! 私も兄を探しにそこに行こうと思っていて」

巽「お兄さんを?」

クレア「行方不明なの」

巽「そうだったんですか……」

クレア「ラクーンシティで手がかりをつかめればいいんだけど……」

巽「きっとつかめますよ」

クレア「巽、これは聞きにくい質問なんだけど」

巽「なんでしょう?」

クレア「なんでこの車こんなに臭いの?」

巽「ははははは、これはゾンビィよけのお香です」

クレア「なんでそんなものを……」

巽「これでも、ゾンビィには詳しいんですよ!」

クレア「そ、そう……」

~一方その頃:ラクーンシティ武器屋~

レオン「ここが武器屋だな」

愛「なんとかみんな無事でたどりついたわね」

サキ「『GUN SHOP KENDO』? ミョーな名前だな」

さくら「いいから入ろ!」

ガチャッ

??「動くな!」

レオン「撃つな! 俺たちは人間だ!」

武器屋の親父「悪かったな……。化物が入ってきたのかと……」

レオン「一体この街はどうなってんだ?」

武器屋の親父「俺にもさっぱり分からん。気が付いたら化物だらけさ」

レオン「ここにある弾薬をもらっていっても?」

武器屋の親父「ああ、こんな事態だ。構わんよ」

レオン「ありがとう」

武器屋の親父「ずいぶんと若いお嬢ちゃんたちだな」

さくら「ははは……」

純子「年齢的にはもうオバさんですけどね」

ゆうぎり「もう百歳越えどす」

武器屋の親父「?」

さくら「まあまあ、あっ、こっちにドアが」

レオン「地図のとおりならここから表通りに出られるはずだ。いくぞみんな」

武器屋の親父「レオンとかいったな。こいつを持っていけ」ポイ

レオン「これは……?」

武器屋の親父「ないよりマシだろう。
       事情はよく分からんが気をつけてな。生きるんだぞ」

レオン「ああ、ありがとう」

ガチャッ

レオン「ここから先はより危険になる。なるべく固まって動いてくれ。
    俺は後ろから援護しながら行く」

愛「車まであと少し、みんな、落ち着いていこう」

純子「は、はいっ」

ドガンッ!!

サキ「ん?」

さくら「なん?」

リリィ「壁をぶち割ったみたいな音がしたよ……?」

武器屋の親父の声「止まれ!」

一同「!!」

武器屋の親父の声「止まらんと撃つぞ!」

ドンッ

武器屋の親父の声「うわあああ! うわあああああああ!!!」

ドンッ ドンッ

ガシャーン!!

レオン「なんだ!?」

愛「なんだかヤバそうね! みんな急いで!」

たえ「フゴー!フゴー!」

??「……」

レオン「こ、こいつは……!?」

T-103 タイラント「……」

ドスンドスンドスン

サキ「向かってくるぞォーーーッ!!」

レオン「そこのトレンチコートの男! そこで止まれ!!」

T-103 タイラント「……」

ドスンドスンドスン

リリィ「こっちに来てる、来てるよー!!」

レオン「くっ!」

パンパンパンッ!

レオン「先に行け! ここは俺が食い止める!」

パンパンパンパンッ!

愛「さくら、なにやってんの! 早く!」

さくら「あわわわわわ、腰が抜けて動け――」

T-103 タイラント「フンッ……!」

ゴアッ

さくら「ブッ!?」

リリィ「さくらちゃん殴られて吹っ飛んだぁ!」

サキ「首だけもげよると!」

レオン「さくら!? くっ、こいつ! 銃がきいてないのか!?」

パンッパンッパンッ!

愛「純子! さくらの体をお願い! 私は頭を取ってくる!」

純子「はいっ!」

T-103 タイラント「……」

レオン「おいデカブツ! こっちだ! こっちに来い!」

パンッ!

T-103 タイラント「……」

ドスンドスンドスン

レオン「よし、いい子だ……」

サキ「レオン!」

レオン「ここは俺に任せろ! 早く先に行け!!」

愛「言われたとおり、私たちは先に行こう!」

レオン(とは言ったものの――)

パンパンパンッ!

レオン(銃がきかない相手にどう戦う?)

T-103 タイラント「フンッ……!」

ゴアッ

レオン「ぐあっ!」

T-103 タイラント「……」

レオン(どうする? どうすれば――はっ!)

リリィ「なんかレオンさんがやばいよ!」

愛「私たちじゃ足手まといになるから、今は逃げよう!」

さくら「その角を曲がれば車の通りじゃなか?」

サキ「急げ急げ急げ~ッ!」

レオン「さっき、武器屋の親父からもらった――」

レオン(閃光手榴弾……ッ! これでダメなら止めようがないッ!)

カチン

レオン「これでもくらえ!」

パリィン!

レオン「どうだ!?」

T-103 タイラント「グウウ……」

レオン「や、やったぞ!」

純子「ありました、車!」

リリィ「巽は~?」

愛「中に乗ってるのがそうじゃない?!」

巽「なにをー! なにをやってたんじゃいバカゾンビィ~!
  この巽幸太郎さんを置いてけぼりにしよってからに!」

ガチャッ

サキ「細けえことはいいから早くここから脱出すんぞ!」

たえ「アウー!」

愛「みんな! はやく乗って!」

ダダダッ

クレア「なになに?!」

リリィ「なにこの車臭っ!」

さくら「レオンさん、こっちへ!」

純子「レオンさん!」

レオン「……悪いが、俺は、いけない……」

さくら「なんでです? みんなでいっしょに逃げましょう!」

レオン「俺は、君たちみたいな人を守るために警官になったんだ。
    まだ街には生存者がいる。俺を必要としてる人がいるんだ。
    だから俺はいけない。
    ――君たちは助かってくれ」

クレア「……じゃあ、私も降りるわ」

ガチャッ

巽「!?」

クレア「私も兄の消息を掴むためにこの街に来たの。
    どんなに危険だろうと、手がかりを得るまでは帰れない」

サキ「全員乗ったぞォ―――ッ!!」

レオン「じゃあな! みんな! 生きるんだぞ!」

純子「そんな……! せっかく……、レオンさん……!」

T-103 タイラント「グウウ……」

レオン「早く行け!」

巽「なんだかよー分からんが、発進じゃーーーーいっ!!」

ブロロロロロロッ!

レオン「ゆっくり自己紹介と行きたいところだが、俺たちも急ぐぞ!」

クレア「そうした方が良さそうね」

~1週間後~

――こうして、私たちのアメリカ旅行は終わった。

サキ「さくら? 練習始まるとぞ?」

さくら「あ、うん!」

――しかし――

さくら「サキちゃん」

サキ「ん?」

さくら「レオンさん、どうしよるとかな?」

サキ「レオンか……。まったく分からん!」

さくら「サキちゃん……」

サキ「ばってん、絶対に生きちょるばい!
   あれだけ大口たたいておいて死ぬわけがなか!」

さくら「うん!」

――私は信じてみようと思う。

さくら「……」

――この世界で、きっとまた会えることを。この世界にはまだ、希望があるということを。

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