【モバマス】時子「時(子)そば」 (36)

~一日目・朝(事務所)~


P「……」カタカタカタ

時子「……」ペラッ…ペラッ

P「時子さん」

時子「……」

P「……」

時子「何よ」

P「これからしばらくの間、飯行くときはそばだと思う」

時子「……あぁん?」

P「今そんな気がした」

時子「この愚図は、また訳の分からないことを言い出して……。仕事より先に病院に行くべきじゃないのかしら」

P「あっはっは、辛辣ぅ~!」



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~一日目・昼(富士そば前)~


時子「──朝言ってたこと、本気だったのね」

P「ん? どうした?」

時子「普段の軽口ではなく、真面目に忠告するけれど……女性と外食するときは店選びに気を遣いなさいな」

P「あはは、悪いな。そういうの疎くって」

時子「疎いとかそういう次元かしら……まぁいいわ、入るわよ」

P「あっ時子さん、先に食券買わないと」

時子「……あぁ、そうなの」


時子(雑多で狭い……こんな店初めてだから新鮮ね)

P「お冷や持ってきたぞー、それじゃ頂きます!」

時子「……頂きます」

P「時子さんはかき揚げそばかー。いいね」

時子「こんな店じゃ何食べても変わらないわよ。貴方は──ヴッ、何よそれ!」

P「これか? コロッケそばだよ」

時子「コロッケ……そば……!?」



時子「う……正気なのかしら」

P「年に数回あるんだよなぁ」ズルズル

時子「……な、何が」

P「しばらくはコロッケそばしか食べたくない。っていう時期が」

時子「っ!! 貴方まさか今朝言ってたのって──」

P「しばらくは、富士そばに通うぞ」ニヤァァ

時子「!!!!」


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


つかさ「へー、時子さん富士そば行ったのか? 意外だな。ふふふ……」

時子「何が可笑しいのかしら? 悪いけど今機嫌が良くないのよ」

つかさ「いいじゃんか! ギャップって消費者にもウケるぜ?」フフ

時子「……ハァ」



~一日目・夜(撮影所)~


スタッフ「本日の撮影は以上になります! お疲れ様でしたー」

時子「お疲れ様、ありがとう」

P「時子さんお疲れ様! 良いの撮れたじゃないか」

時子「当然よ、世辞を言うのならもっと語彙力を磨くことね」

P「精進しますとも。もう遅いし飯済ましてから帰るか?」

時子「そう……ね。一応聞くけれど……」

P「よし、富士そばだな」ニッコリ

時子「!!!!」



そば屋「はいいらっしゃい、肉ね! うどんとそば選べますが」

時子「蕎麦で」

そば屋「あいよっ」

P「流石だなぁ時子さん。2回目でもう慣れてる」

そば屋「はい肉そばお待ち!」

時子「嬉しくないわよ……あっ、ありがとうございます」



時子「頂きます」

P「頂きます!」

時子「本当に、2食続けてそれ食べるのね」

P「コロッケそば? 当たり前だよ」ズルズル

時子「信じられないわ……何よその組み合わせ」

P「かーっ、分からんかぁ」

時子「……」

P「かーっ、分からんかぁぁぁ」

時子「……」ゲシィィッ

P「いてぇっ、食事中に足踏むなよ!」

時子「食事中だからそれで済んでるのよ。感謝なさい」モグモグ



◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


のあ「そう……富士そばに行ったの。その高みに登り詰めたのね」

時子「笑えない冗談よ全く……というより、貴女もあの店のこと知っているのね。意外だわ」

のあ「コロッケそばは……至高。」

時子(こいつもそちら側かっっ!!)


~二日目・早朝(時子宅)~


ピンポーン

時子「んんっ。誰よこんな早くから……」ガチャッ

P「おっす、おはよう時子さん」

時子「」

P「?」

時子「……おはよう……ございます」

P「うん。おはよう」


時子「……今日の撮影は11時からだったわよね?」

P「おう、それで合ってるぞ」

時子「……」

P「……」

時子「──えっ、何で?」

P「ほら朝飯食べないといけないし」

時子「は? 自分でその位済ますわy……えっ!!」

P「富士そば、行かないとな」ニッコリ

時子「!!!!」




時子「……」ズルズル

P「……」ズルズル

時子「朝にそばも、悪くないわね」

P「……」

時子「……何か言いなさいよ」

P「……」ズルズル

時子「……そんなに美味しいの、コロッケそば?」

P「……」ズルズル

時子「私を無視するなんて良い度胸してるじゃない。それとも只の馬鹿なのかしら?」

P「……」ズルズル

時子「……何よ。そんなゲテモノばかり食べてるから馬鹿になるのよ」


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


法子「そんなこと言いながら、時子さんも付き合ってあげるんだから、優しいですよねぇ」アハハ

時子「……違うのよ、法子」

法子「えー? どういうことですか?」

時子「気付いたら店にいるの……気付いたら勝手に『きつねそば、ワカメ抜きで』って言ってるのよ……!!」

法子(時子さんも大概おかしいよね……)

法子「ま、まぁまぁ。とりあえずドーナツ食べましょ? ほら」

時子「……ありがとう、頂くわ」



~二日目・昼(撮影所)~


スタッフ「それではお昼休憩ですー、再開は1時間半後でお願いしまーす!」

時子「お疲れ様」

P「お疲れ様ー、よくあそこのアドリブ対応したな」

時子「予想の範疇よ。見くびらないで頂戴」

P「はっはっは、流石だな。さてお昼だけど……」

時子「今日は私が出すわ」

P「えっ? 別に良いのに」

時子「時折飴を与えるのが良い主人よ。何でも良いわ、貴方の好きなものを……」

P「富士そば」

時子「いや、貴方こういう時くらい」

P「──富士そばから、逃げるな。」

時子「!!!!」




時子「……」ズルズル

P「……」ズルズル

時子「いや……『逃げるな』っていうのは可笑しいんじゃないかしら」

P「……」ズルズル

時子「貴方本当に大丈夫なの? こんな生活してたら身体壊すわよ」

P「……」ズルズル

時子「病院。行ってみた方がいいんじゃないの」

P「……」ズルズルズルズルズルズル

時子「……」



◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


くるみ「はぅぅ……時子しゃん、何でくるみの胸に顔を埋めてるんでしゅかぁ?」

時子「くるみ、私は頭に栄養のいってないような女は嫌いよ」

くるみ「うぐっ、ご……ごめんなしゃいぃぃ」グスッグスッ

時子「胸が揺れるわ、五月蝿く泣くのを止めなさい」

くるみ「んぐっ……くるみ泣かないもんっ。だから意地悪しないでぇ」

時子「……ごめんなさい。これじゃあ八つ当たりね」

くるみ「ふぇっ? げ、元気出して下しゃい時子しゃぁん!」

時子「……ハァ」

心「なんだこの状況☆」



~二日目・夜(帰り道の車内)~


P「いやー無事クランクアップしたなぁ! 良い作品になったと思うぞ」

時子「貴方その仕事では普通に話すの、逆に気持ち悪いのだけれど……どこでスイッチ切り替わってるのよ」

P「今日は折角だし、何か美味しい物食べに行くかー。何か食べたい物あるか?」

時子「っ! ……そ、そうね。そこまで言うなら付き合ってあげるわ。ワインの揃っているフレンチにでも連れて行きなさい」

P「うーん。そしたら富士そばと富士そばと……あと富士そばとかもあるなぁ。時子さんはどれが良い?」

時子「………そしたら……富士そばが……いいわ」



時子「……」ズルズル

P「……」ズルズル

時子「いや、いい加減にしなさいよ!!!」

そば屋「あの、お客様お静かに……」

時子「すみません」

P「……」ズルズル


時子「貴方頭おかしいんじゃないのっ!?」

そば屋「あの、他のお客様もいらっしゃるので……」

時子「すみません」

P「……」ズルズル


時子「そのズルズルするのやめなさいよ!! ズルズルやめなさいっ!!!」

そば屋「お客様、本当にそろそろ……」

時子「うるっっさいわね! 会話のテンポが悪くなるのよ、口を挟まないで頂戴!!」

そば屋「えぇぇ……」


P「……」ズルズル

時子「私が悪いのかしら? 何か怒っているのなら話しなさい」

P「……」ズルズル

時子「そのズルズルするのやめなさい!!」

P「……」ズルズル

時子「ね? 病院行きましょう? きっと何かの病気よ」

P「……」ズルズル

時子「無理矢理でも連れていくわよ、ほらっ立ちなさい!」グイグイ

P「……」ズルズル

時子「なんっなのよ……何よこの力! びくともしないじゃない」グイグイ

P「……」ズルズル

時子「あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!! 頭がおかしくなるわ!!」

P「……」ズルズル



◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


小梅「ふふっ……サイコホラー、かな?」

涼「あー。見なかったことにしようぜ二人とも……時子さんの為にも」

奏「事実は映画よりも奇なり、って所かしら。うふふ」

──────────
──────
──


~七日目・朝(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズル



~十八日目・昼(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズル

P「……」ズルズル

時子「……コロッケそば。意外と悪くないわね」


~二十四日目・夜(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズル


~四十三日目・朝(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズ…

時子「はっ!」

時子「……ここ、ポイントカードとかないのかしら」ズルズル


──
──────
──────────
~七十二日目・昼(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズル

そば屋「……」

時子「うふっ……うふふふふ……」

そば屋「!?」

時子「あっはははははは!!!」

そば屋「お、お客様……?」


P「……」ズルズル

時子「ときこ! わたしときこ!!」

そば屋「……そうですか」

時子「ときこ! ときこポークソテーたべたい!」

そば屋「うちはその……そば屋なので」

時子「ときこおそばもすきだよ!!」

そば屋「あ……ありがとうございます」

P「……」ズルズル

時子「ときこです! よろしくおねがいします!!」

そば屋「こちらこそ……いつもご贔屓にして頂いて」

時子「でもときこ、ポークソテーもたべたいなあ!!!」

そば屋「あの本当……勘弁してもらえませんか」

P「……」ズルズル


◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


乃々「ひ、ひぃぃぃぃっ!!!」

乃々「何か、見てはいけないものを見た気がするんですけど……!!」

乃々「あばばばば……時子さんのこんな姿見たと知られたら……」

乃々「もりくぼは……デスくぼにされてしまうぅぅ!!」ガクガク

乃々「うぅぅ、怖いぃ……。た、助けて美玲ちゃん……輝子ちゃん……」ガタガタ


~??日目・朝(時子宅)~


時子「蕎麦が来るぅぅっ!!!」ガバァッ

時子「……あら?」

時子「……」

時子「──ふ、ふふふ」

時子「そりゃあ、夢よね。×ヶ月も蕎麦しか食べない生活なんて……人間に出来るはずがないわ」

時子「……」

時子「蕎麦まみれにされる夢だなんて。私疲れてるのかしら」ハァ


ピピッ、ピピッ


時子「もうこんな時間。支度して事務所へ行かないと」


~事務所~


ガチャッ

時子「お早う」

ちひろ「おはようございまーす♪」カタカタ

P「おはよう、時子さん」カタカタ

時子「様を付けなさい。学ばない豚ね」

P「よし、恒例のやり取りもオッケー!」

時子「チッ……全く」

ちひろ「相変わらず仲が良いですねぇ」

時子「もし本気で言ってるのなら、眼科を紹介するわよ」

ちひろ「ふふふふふ♪」



P「……」カタカタカタ

時子「……」ペラッ…ペラッ

P「──時子さん」

時子「……」

P「……」

時子「何よ」

P「これからしばらくの間、飯行くときはそばだと思う」

時子「……あぁん?」

P「今そんな気がした」

時子「この愚図は、また訳の──はっ!」

P「……」ズルズル

時子「!!?」




【終わり】

なんだこれ、俺は何を作ったんだ

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