いつもの薄い本シリーズです。今回は絵本風ということで、(薄い本の部分は)オール平仮名になってます
あと、ショートケーキの由来は所説ありますので、御容赦を
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『しょーとけーきのできるまで』
―あるひ、ゆきみちゃんがじむしょでほんをよんでいると、ありすちゃんがこえをかけてきました
ありす「ゆきみさん、わたしがいちごをつかったおいしいりょうりをつくりました。ぜひ、たべてください」
―いちごがだいすきなゆきみちゃんは、とってもよろこびました
ゆきみ「いちご……すき……」ニコッ
ありす「では、そこにすわってまっていてください」
ゆきみ「うん……まってる…」
―そうゆきみちゃんがこたえると、ありすちゃんはへやからでていきました
がちゃ
―とびらのあくおとがしました
―……でも、いちごのあまずっぱいかおりではなく、なんとなくあまったるいようなへんなにおいがしました
ありす「ゆきみさん、おまたせしました!さぁ、わたしのけっさく『いちごぱすた』です!」
―ゆきみちゃんは、おもっていたのとはみためもにおいもちがうものにびっくりしました
ゆきみ「で、でも……いちごりょうりだから……」
―そうじぶんにいいきかせて、ひとくちたべました
ちあき「さじょうさんしっかり!」
―ゆきみちゃんはびょういんにつれていかれました
ありす「どうしたんでしょうか?ふゆだから、あたたかいのがいいとおもったのですが……」
ともえ「こんなにうまいのに、もったいないのぅ」ズルズル
―でもありすちゃんはおもいました
ありす「きっと、ゆきみさんはしょうしょくだから、あんなにいっぱいはたべられなかったにちがいありません」
―ありすちゃんはめげません
ありす「そうだ!かなこさんたちに、おいしいいちごをつかったおかしをおしえてもらいましょう」
―そうおもい、ありすちゃんはかなこちゃんのもとへむかいました
かなこ「そうなんだ。じゃあ、いっぱいおしえてあげるね」
―こちらのやさしそうでかわいくて、おかしづくりのとくいなひとはかなこちゃんです
ありす「ありがとうございます!」
かなこ「じゃあ、まずしょーとぶれっどがあるから、それをつかおうか」
―しょーとぶれっどは、いぎりすうまれのばたーくっきーのなかまです
ありす「こんなにちいさいのに……いちごがのるのですか?」
―ありすちゃんはひとつつまんでといただしました
かなこ「おいしいからだいじょうぶだよ」サクッ
―かなこちゃんはばたーにさとうにこむぎこをつかって、あっというまにいちごがのるぐらいのおおきさのをつくりました
かなこ「あじみ、あじみ♪」サクッサクッサクッ
―ではしょーとぶれっどをつかって、いちごのおかしつくりましょう
かなこ「まず、うえにくりーむをのせていちごものせて、かさねて、またくりーむをのせるね」
―かなこちゃんはてばやくつくってしまいました
ありす「わぁ……くっきーのあいだにくりーむといちごがはさんであります」
かなこ「あとはひやしてひとばんねかせるんだよ」
あいこ「ゆるふわ~ゆるふわ~」
…………
……
かなこ「できあがったのを切ると」サクッ
ありす「わぁ、くっきーがしっとりとしてます」
かなこ「おいしいからだいじょうぶだよ」パクッ
ありす「いただきます」パクッ
ありす「しっとりとしたくっきーのきじと、つめたいくりーむといちごのさんみがあわさった、とってもおいしいおかしです!」
かなこ「じゃあ、つぎにいってみようか」ペロリ
ありす「あ、あれ?さっきの……」
かなこ「きにしない、きにしない」
かなこ「つぎはいちごのむーすをつくるよ」
ありす「わぁ、ほんかくてきですね。でもわたしにつくれるのでしょうか?」
―ありすちゃんはしんぱいそうにそうつぶやきました
かなこ「だいじょうだよ。しっぱいしても、わたしがたべてあげるからね」
ありす「それならだいじょうぶですね」
―ありすちゃんはやるきをとりもどしました
かなこ「まず、いちごとさとうをみきさーにかけて」ガガガガー
かなこ「あ、ありすちゃん。ぜらちんをとかしてひやしたらくりーむとよーぐるとといっしょにまぜておいてね」
ありす「あ、はい!」
―ひをつかうさぎょうです。がんばって
あいこ「ゆるふわ~ゆるふわ~」
プヨン
ありす「わぁ……おいしそうですね」
かなこ「これのうえに、さらにほいっぷといちごをそえて」
―それはそれは、とても……いちごそのものをつめこんだような、きれいづおいしそうなむーすができました
ありす「わぁ……すごい……」
―ありすちゃんはかんどうしました。もちろんみためもですが、これをいちぶだけとはいえじぶんのてでつくったのですから
かなこ「じゃあ、ししょくしようか」
ありす「はいっ!」
―すうふんご、ありすちゃんがひときれをたべおえるまでに、かなこちゃんはぜんぶたべてしまいました
ありす「あ……あの、そんなにたべてだいじょうぶですか?」
かなこ「おいしいからだいじょうぶだよ」ケロッ
―そういうかなこちゃんのえがおはやさしくてあたたかくて、まるでめがみさまをみているようでした
かなこ「じゃあ、つぎにいくよ」
ありす「え……まだあるんですか?」
かなこ「うん、いちごのおいしいおかしをたくさんおしえたいからね」
―そういって、おーぶんからとりだしたのは、しふぉんけーきていうやわらかいけーきと、ぱうんどけーきというしっとりとしたけーきでした
―そう、かなこちゃんはありすちゃんといっしょにさっきのむーすをつくっているさいちゅうに、これらのけーきをつくっていたのです
ありす「わぁ……おいしそうです」
かなこ「これをよこからきって」サクッ
かなこ「あいだに、なまくりーむとすらいすしたいちごをいれて、うえにさっきのきったのをのせてふたをしちゃうんだ」
かなこ「じゃあ、あじみしてみようか」
ありす「はいっ!」
―おあじはどうでしょうか?
ありす「こっちのしふぉんけーきは、やわらかくて……でもおなかにたまります」
ありす「こちらのぱうんどけーきはばたーのふうみがよくて、しっとりとしておいしいです」
かなこ「うんうん。でも、しょうじきにいうと、けーきだけでもうかんせいされているあじだよね」
ありす「は、はい……でも」
かなこ「だいじょうぶ!ありすちゃんがいちごにかけるじょうねつは、わたしにじゅうぶんにつたわったからね」
ありす「かなこさん……」
かなこ「では、いままででいちばんむずかしい、すぽんじけーきのきじでいちごのけーきをつくります!」
ありす「いちばん……ですか」タジッ
―すこしありすちゃんはおどろきました。いままでよりむずかしいといわれたのです
―でもありすちゃんはまけません
ありす「ぜ、ぜひ、つくりかたをおしえてください!」
かなこ「うん、わたしのいうことをちゃんときいて、ざいりょうのぶんりょうと、やくじかんとかをまもればだいじょうぶだよ」
ありす「はいっ!たちばなありす、がんばります!」
―こちらまでつたわるありすちゃんのじょうねつに、ばたーもとけそうです
かなこ「じゃあ、たまごをふんわりととくからね」シャカシャカ
ありす「はい!」シャカシャカ
あいこ「ゆるふわ~ゆるふわ~」
…………
……
かなこ「くりーむをまんべんなくぬって、あとはかざりつけにうえにもくりーむをのせるよ」
ありす「こ、こうですね」ヌリヌリ
―いよいよ、さいごのしあげです
ありす「いちごを……のせて……で、できました!」
かなこ「おめでとう!じゃあ、これをゆきみちゃんにもっていってあげてね」
ありす「はいっ!」バタン
かなこ「さて……つくりすぎたむーすのざいりょうと、しょーとぶれっどをくだいたのをかためてやいたのにのせてひやして」
かなこ「かんたんれしぴ!いちごむーすたるとのかんせい!」
あいこ「わーい!」
タッタッタッ
―ありすちゃんははしって、びょういんにたどりつきました
ありす「ゆきみさんっ!」
ゆきみ「ありす……?どうしたの…」
―ちょうど、びょうしつからでようとするゆきみちゃんにであいました
ありす「ご、ごめんなさいっ!まさかにゅういんするなんて……」
ちあき「たちばなさん。たちばなさんがさじょうさんをおもって、いちごりょうりをつくったのはわかってますよ」
ちあき「ねっ」
ゆきみ「うん……ただ、すぱげてぃは……」
ちあき「おいしゃさまも、あたたかいぱすたとなまくりーむがからだによくなかったといってらしたから、もうだいじょうなのよ」
―くろかわさんはやさしそうにありすちゃんをさとします
ちあき「もうだいじょうぶだから、たいいんするところよ」
ありす「よかった……で、ではこれを」スッ
ゆきみ「これは……?」
ありす「かなこさんにおしえてもらってつくった……」
ありす「しょーとけーきとなづけたおかしです!」
ちあき「まぁ、みむらさんと……」
ゆきみ「おいしそう……」ジュルリ
ちあき「まぁ……ふふっ」
―じむしょにたどりついたさんにんは、てーぶるでけーきをきりわけて、あったかいこうちゃといっしょにいただくことにしました
ちあき「それじゃあ」
ゆきみ「いただきます……」
ありす「はいっ!」
―ゆきみちゃんはひとくち、さきのほうをくちにしました
ゆきみ「ん……」
ありす「……」ドキドキ
―ありすちゃんはかたずをのんでみています
ゆきみ「これ……おいしい……」パァッ
―けーきのおいしさに、しぜんにゆきみちゃんはえがおをだしました
―それにはくろかわさんもえがおでこたえます
ちあき「そうよかったね……じゃあ、わたしもごしょうばんにあずからさせて」
―すうふんご、さんにんともえがおになりました
―おいしいおかしがあるとこころはゆたかになり、おもわずえがおになれるのです
―ひとはこのあまいおかしをあまいこいをするように……とのいみから『すいーつ』となづけました
めでたしめでたし
~~~~~~~~~~~~ホワンホワン
~~~~~~~~~~~~ホワンホワン
由愛「ど、どうでしょうか?」
杏「ねぇ、かな子ちゃん?」
かな子「(ドキッ)な、何かな?」
杏「……由愛かむつみか乃々かな?何かあげたでしょ。でなければ、一人だけあんな表現なんかされないよね」
智絵里「や、優しいのはたしかだよ……」
凪「いえ、凪は何ももらっていません。ただ、シュークリームがおいしかっただけです」
颯「カスタードが濃厚だったよね」
杏「ほほぅ」
かな子「るーるるるー♪」
杏「……まぁ、いいか。じゃあ、これをクリスマスコンサートの時に一人ずつ配るんだね」
由愛「は……はい。ちひろさんがそうしろって……」
むつみ「今回は堂々と配布できます!」
杏(よくあの金の亡者がロハで配る気になったな……それとも広告費扱いか?)
杏「まぁ、今回はいいんじゃない?」
智絵里「いいアイディアだと思うな……うん」
乃々「あ、ありがとう……ございます……」(///)
由愛「で、でも、今回は冬の原稿が……」
むつみ「だから、コピー本で冒険に挑みます!」
杏「はぁ、頑張るねぇ……杏はとても付き合いきれないよ」
―その頃
比奈「ふぅ……原稿はあと少し。休みになれば裕美ちゃんが手伝ってくれるっス」カチャカチャ
比奈「という訳でTwitte○でも。ん……訃報?」
比奈「あー、百合や背徳系の作家さんっスか」
比奈「この時期なら、人事じゃないかもしれないっスね」アハハハ
(……)
(……タ)
比奈「ん?誰か呼んだっスか?」
―そして
裕美「じゃあ、ちょっと比奈さんを手伝ってくるね」ガサガサ
奈緒「ん……じゃあ、比奈センセが落とさないようよろしくお願いするか」
小梅「(魂が)お、落ちる?」ワクワク
奈緒「違うって」ビシッ
小梅「あふっ」
ガチャ
裕美「あ、比奈さん。原稿を今から……」
比奈「『原稿ハ終ワッテル』……」
みんな『っ?!』ビクッ
比奈「『邪魔ヲスルナ』」
バタン
裕美「な、何……?」
奈緒「今の、本当に裕美サンか?」
小梅「……いるよ」
奈緒「え?」
小梅「比奈さん……何かに憑かれているよ……」
続く
さて、比奈センセはどうなる
詳しくはまた次回!
……年内に書けたらいいな
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