【バンドリ】花園たえ「なにやってるの、チュチュ?」 (27)


――商店街 電柱の陰――

チュチュ「…………」

花園たえ「あれ、チュチュ?」

チュチュ「うわぁおっ!?」

たえ「どうしたの、電柱を抱っこして? コアラの真似?」

チュチュ「な、何でもないわよ! というかそんなことしてる覚えはないわよ!」

たえ「そうなの?」

チュチュ「そうよ!」

たえ「ふーん? ……あ、パレオだ。おーい、パ――」

チュチュ「Wait! ちょっと待ちなさいタエ・ハナゾノ!」バッ

たえ「もご」

チュチュ「ここから声をかけたら私がここにいるのがバレちゃうでしょう!」

たえ「もがもご」

チュチュ「えぇい、こうなったら貴女も協力しなさい!」

たえ「もご?」

チュチュ「事情はパレオを追いかけながら話すわ!」


……………………


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たえ「なるほど、最近パレオがよく出かけるんだ」

チュチュ「ええ、そうよ。主人である私に何も声をかけずに、どこへと知らずに出かけるから……」

たえ「心配?」

チュチュ「べ、別にそういう訳じゃないわよ! ただ私は、他のことにかまけてRASが疎かになっていないかって……」

たえ「心配になったんだね。やっぱりチュチュってなんだかんだ優しい」

チュチュ「だ、か、らっ!」

たえ「大きな声出すと見つかっちゃうよ?」

チュチュ「うぐぅ……」

たえ「でも、確かにちょっと心配だね。パレオ、私がRASのヘルプやってた時もずっとチュチュと一緒にいたし、何も言わないで出かけるなんてこともなかったし」

チュチュ「そ、そうよ。パレオは言わば私の身体の一部みたいなものなんだから。それが黙ったままどこかへ行くだなんて、ありえないわ」

たえ「……あ、心配っていうより、ヤキモチ?」

チュチュ「は、はぁーっ!? どうして私が、パレオが知らない場所で知らない誰かと会ってるかもって思うだけでjealousy感じなくちゃいけないのよっ!?」

チュチュ「べ、べ、別にっ、パレオがどこで何をしていようとあの子の勝手じゃない!」

たえ「チュチュ、声大きいよ」

チュチュ「ふぐぅ……!」

たえ「事情は分かったよ。チュチュはパレオのことが気になって仕方ないんだね」

チュチュ「だっ……あーもうっ、それでいいわよ、もうっ!」


たえ「パレオの行き先に心当たりはないの?」

チュチュ「……ええ。あの子、最近は何にも言わずに私のスタジオから出て行くし」

たえ「そうなんだ」

チュチュ「最初はコンビニにでもジャーキーを買いに行ってるのかと思ったわ。けど、確かにジャーキーはいつも買ってきてくれるけど、やけに帰りが遅かったりするから……」

たえ「へぇ。あのジャーキーってコンビニのなんだ」

チュチュ「全部が全部そうじゃないわよ。大抵は通販で買ってるし。ただ、パレオが嬉しそうな笑顔で買ってきてくれたものを無下には出来ないでしょう?」

たえ「うん、そうだね」

チュチュ「それにパレオ、ふざけて『はいチュチュ様、あーん♪』とかしてくるし……そういうのにしっかり付き合うのもRASのプロデューサーとしての責務だわ」

たえ「そうなの?」

チュチュ「ええ。プロデューサーとして、メンバーのモチベーションを保つための、絶対にかかせない責務なのよ」

たえ「チュチュっていろんなこと考えてるんだね」

チュチュ「当たり前じゃない。このガールズバンド時代の頂点に立つ……そのためにやれることは全てやるのが私の流儀だわ」

たえ「なるほど。あ、パレオ、駅に入ってったよ」

チュチュ「電車まで使うの? 一体、どこへ行ってるのかしら……」

チュチュ「……もしもパレオを誑かそうとしている輩がいるなら、その時は全力でやるしかないわね。例えpolicemanのお世話になろうとも……」

たえ「チュチュ? 追わないの?」

チュチュ「追うわよ! 絶対に逃がさないんだから!」


……………………


――都内某所 オフィス街――

チュチュ「あそこに入っていったわね。なんの建物かしら?」

たえ「あ、ここ……」

チュチュ「知ってるの、ハナゾノ?」

たえ「うん。パスパレの事務所だよ」

チュチュ「パスパレ……Pastel*Palettesの事務所? ってことは、芸能事務所!?」

たえ「そういうことになるのかな?」

チュチュ「Shit! そういうことね、やられたわ……!」

たえ「チュチュ?」

チュチュ「そうよ、私自身が目を付けたパレオほどの逸材だもの……アイドルとしてスカウトくらいされてて当然よ……顔は隠していたとはいえ、パレオのキーボード演奏の動画は全世界に公開されていたんだし……」ブツブツ

チュチュ「私だってそれをきっかけにあの子を見出したんだから、芸能事務所が放っておく訳がなかったわ……これは、これは完全に私のmissよ……」ブツブツ

チュチュ「パレオはPastel*Palettesの大ファンだし、そのおかげであの子を見つけることが出来たのは感謝している……だけど、これは悪質な引き抜き工作よ……ここは強引に乗り込んででも引き留めて、最悪誰かを人質にして……」ブツブツ

たえ「おーい?」

チュチュ「こうしちゃいられないわ! 行くわよ、ハナゾノっ!」

たえ「あ、うん。でも、こういうところって普通に入れるのかなぁ」

チュチュ「無理は承知! いざとなれば強行突破してでも……」


白鷺千聖「あら、たえちゃん?」

たえ「……あ、千聖先輩ですか? こんにちは」

千聖「ええ、こんにちは。珍しいところで会ったわね」

たえ「はい、ちょっとチュチュと一緒に冒険してて。千聖先輩、マスクとメガネしてると、パッと見て誰だか分かりませんね」

千聖「ありがたいことに、それなりに有名な芸能人をやらせてもらっているもの。人が多い場所を歩く時は少しだけ変装をしているのよ」

たえ「やっぱり千聖先輩ってすごい人なんだなぁ」

千聖「そんなことないわ。私なんてまだまだよ」

チュチュ「チサト……ってことは貴女! Pastel*Palettesのベースよね!?」

千聖「はい? えぇと、確かあなたはチュチュちゃん、だったかしら」

チュチュ「ええ、RASのプロデューサーよ! そして、プロデューサーとして、正式に抗議させていただくわ!」

千聖「どういうことかしら?」

チュチュ「とぼけるつもり!? パレオのことよ!!」

千聖「パレオ?」

たえ「RASのキーボードです」

千聖「ああ……。あの子がどうかしたのかしら?」

チュチュ「しらばっくれて……! 貴女たちの企みは分かっているのよ!」


たえ「企み?」

チュチュ「この私が目を付けたパレオほどの逸材だもの! 歌って踊れるdancing keyboardistとして、あなたの事務所からアイドルデビューさせるつもりね!?」

チュチュ「あれだけ演奏が上手くてお茶目でトークもいけて明るく可愛いアイドルが生まれたとあっては世間だって放っておかないだろうし芸能界でどんどんパレオは頭角を現していくんだわ」ブツブツ

チュチュ「そしてなんかアイドルの素晴らしい賞とか受賞するに至って彼女のライブチケットだって抽選倍率が1万倍くらいのスーパープレミアムチケットに……」ブツブツ

チュチュ「そんなことになってしまったら私は……私は……!」ブツブツ

千聖「……つまりどういうことかしら、たえちゃん?」

たえ「私もよく分からないですけど、気にしないでください。たまにこうなるみたいなんで、チュチュ」

千聖「そ、そう……。なんだか他のポピパの子から伝え聞いてたイメージと大分違うわね……」

チュチュ「こうしちゃいられないわっ! 今すぐにでもファンクラブを私設して、チケットの法外な転売が起こらないようにしないと!」


千聖「えぇと、チュチュちゃん?」

チュチュ「何かしら、チサト・シラサギ。私はこれからやらなくちゃいけないことが山積みなんだけれど」

千聖「色々と逞しい妄想をしていたところ申し訳ないけど、パレオちゃんを引き抜くとか、そういうことは一切ないわよ?」

チュチュ「……Really?」

千聖「ええ。ウチの事務所の、ちょっと……いえ、かなり不器用なスタッフたちにそんな大変なことが出来る訳ないだろうし」

チュチュ「そ、そう。それなら別に、全然、問題nothingだけど……」

たえ「ちょっと残念?」

チュチュ「そんなことないわよ!」

チュチュ「それより、じゃあどうしてパレオはここへやってきたのよ?」

たえ「イヴのファンだって言ってたし、イヴに会いに来たんじゃない?」

千聖「流石にただのファンの人を入れられるほど緩くないわよ、ここの事務所も」

千聖「でも、そうね……イヴちゃんが今日は人と会う予定があるって言ってたし……ファンではなく、同じキーボードに携わる人間として会うことはあるかもしれないわね」

チュチュ「そう……」

たえ「あ、事務所からイヴとパレオが出てくるよ」

チュチュ「えっ!? ちょ、こっち来なさいハナゾノ!」グイ

たえ「うん。千聖先輩、また学校で」ズルズル

千聖「ええ。……なんだったのかしら?」


―近くの電柱の陰―

たえ「まだ隠れるの?」

チュチュ「当たり前よ! こんなところでうっかり出会ってみなさい、intelligent&cuteなパレオよ、すぐに私の行動を見透かすわ!」

たえ「そうかなぁ」

チュチュ「そうなのよ! あの子はいつも私のことを何でも分かってくれるんだから!」

たえ「ふぅん」

チュチュ「それにしても、パレオはあのイヴっていう子に何の用があってここへ来たのかしら……」

たえ「イヴとキーボードデュオを組みたい、とか?」

チュチュ「はぁぁぁ!? そんなこと、トンヤがオロさないわよ!!」

たえ「チュチュ、発音がちょっと変」

チュチュ「なによっ、パレオが教えてくれた言葉にケチをつけるつもり!?」

たえ「静かにしないと見つかっちゃうよ?」

チュチュ「むぐぅ……!」

たえ「うーん……なんだかパレオ、すごい感激した感じの顔で千聖先輩と握手交わしてる」

チュチュ「……だって、あの子はPastel*Palettesのことが大好きだもの」

チュチュ「本人に会えて嬉しいのは分かるわよ。……悔しいし、面白くないけど」

たえ「え、なに? 最後の方がよく聞こえなかった」

チュチュ「なんでもないわよ! ほら、パレオたちがまた歩きだしたわ! 追うわよ、hurry!」


……………………


――都内某所 歓楽街――

チュチュ「また建物に入っていったわね。今度は……」

たえ「ここ、私がバイトしてるスタジオだ」

チュチュ「そうなの?」

たえ「うん。週2回くらい」

チュチュ「ということは、ここは貴女のhome groundみたいなものなのね。Greatよ、ハナゾノ!」

たえ「グレートよりパーフェクトがいいなぁ」

チュチュ「さぁ行くわよ!」カランカラン

たえ「はーい」カランカラン

スタジオスタッフ「いらっしゃいま――って、たえちゃんじゃない」

たえ「どうも、こんにちは」

スタッフ「どうしたの? 練習?」

たえ「いえ、ちょっとこっちのチュチュが用事あって」

スタッフ「あら、小さくて可愛らしい女の子ね」

チュチュ「こ、子供扱いしないでくれるかしら!?」

スタッフ「おっと、ごめんなさいね」


たえ「あの、さっきイヴとパレオがここに来たと思うんですけど」

スタッフ「さっき……ああ、あの可愛い子たち」

チュチュ「そのふたりの隣のスタジオ、空いているかしらっ!? そこを使いたいんだけど!」

スタッフ「空いてるわよ」

たえ「じゃあすいません、そこお願いします」

スタッフ「はーい。じゃあこれ、鍵ね」

たえ「どうもー」

チュチュ「さぁ行くわよ、ハナゾノ!」

たえ「あ、待って。エレアコも借りてくから」

チュチュ「後にしなさい!!」グイ

たえ「わー」ズルズル

スタッフ「元気な子ねぇ」


……………………


――スタジオ内――

チュチュ「…………」

たえ「チュチュ、壁に耳を当てても何も聞こえないと思うよ?」

チュチュ「うっさい。もしかしたら聞こえるかもしれないでしょっ」

たえ「そんなに気になるなら見てこようか?」

チュチュ「そんなことしたらバレちゃうじゃない」

たえ「大丈夫、エレアコ借りに行くふりして扉の窓からチラッて見てくるだけだから」

チュチュ「……それ、ただ単に貴女がギター借りに行きたいだけじゃなくて?」

たえ「気のせいだよ」

チュチュ「それなら私が……」

たえ「チュチュ、扉の窓に背が届かないんじゃない?」

チュチュ「ぐっ……」

たえ「それにほら、私なら見つかっても、ここでバイトしてるんだって言えばきっと怪しまれないよ」

チュチュ「そ、そうね……この場は仕方ないし、ハナゾノに任せるわ」

たえ「やった。じゃあちょっと行ってくるね」

たえ「ふんふんふーん♪」ガチャ

チュチュ「……やっぱりギター弾きたいってだけじゃないのかしら、ハナゾノ……」


―しばらくして―

――ガチャ

たえ「ただいまー」

チュチュ「おーそーいっ! どこで油売ってたのよ、もう10分も経ってるわよ!?」

たえ「どれにしようか迷っちゃったんだ。あ、ちゃんと隣は見てきたから安心して」フフン

チュチュ「それが目的だったでしょ!? なんでそんなドヤ顔してるのよ!」

たえ「まぁまぁ。それで、パレオとイヴだけど……」

チュチュ「……ええ」

たえ「私がエレアコ取りに行く時は、ふたりで一緒にキーボード弾いてたよ」

チュチュ「そ、そう。ということは、あれかしらね。RASでのperformanceを向上させるために、イヴ・ワカミヤとlessonしていたってところかしら」

チュチュ「まったく、RASの、ひいては私のためにそういうことをしてるなら隠さなくたっていいのに。仕方のないパレオね、もう、ふふ……」

たえ「で、ギター借りて戻ってくる時は、抱きつき合ってたよ」

チュチュ「っはぁぁぁ――!?」


たえ「ふたりとも楽しそうだった」

チュチュ「Why!?」

たえ「さぁ?」

チュチュ「くうぅっ、こうしちゃいられないわっ!」ダッ

たえ「どこ行くの?」

チュチュ「隣に殴り込みに行くに決まってるじゃない!!」

たえ「それはマナー違反だよ、チュチュ。注意事項にもそう書いてあるでしょ?」

チュチュ「だからってこんな、こんなぁ!!」ダンダンダン!

たえ「イヴはよくハグしてくるし、いつものことだよ」

たえ「ほら、地団駄踏むよりバスドラム踏んだ方が楽しいよ。私もギター弾くし」

チュチュ「ぬぐぐ……今はそうするより他ない……わね……!」

チュチュ「パレオ、一体どういうつもりなのよ……っ」

たえ「かくーごはきめーてきたんだー♪」シャラーン


……………………


――都内某所 路地裏――

たえ「今度は小さな……カフェ? かな」

チュチュ「……みたいね」

たえ「なんだかすごい仲良さげに話しながら入っていったね」

チュチュ「……みたいね」

たえ「流石にここに入ったら、ふたりにバレちゃうかなぁ」

チュチュ「……みたいね」

たえ「チュチュ?」

チュチュ「……なによ」

たえ「あ、起きてた? さっきから同じことしか喋らないから、立ったまま寝てるのかと思った」

チュチュ「そんな器用なことできないわよ、私は」

たえ「そっか。でもなんだか元気なさそうだね」

チュチュ「……別に」

たえ「そこのカフェで休憩してく?」

チュチュ「入ったらふたりにバレるって言ったのは貴女じゃない」

たえ「けど、チュチュ、さっきから暗い顔してるし」

チュチュ「ふんっ、別にどうってことはないわよ。パレオがどこで誰とfriendlyに過ごしてても、あの子の勝手じゃない」

チュチュ「別に、私がどうこう言わなきゃいけないことじゃないし。気にしてないわよ。ふんだっ」


たえ「フレンドリー……あ、確かに。こういう隠れた喫茶店って、有名人がお忍びデートとかで使いそうだね」

チュチュ「……むぅ」

たえ「イヴは友達だから全然そんな気がしてないけど、アイドルだもんね。千聖先輩もマスクとメガネで変態してたし、やっぱりそういう人たちがよく使うお店なのかな」

チュチュ「む~……!」

たえ「あれ? じゃあイヴはパレオとこっそりデートしてたのかな? あんまり誰かに見られないようにって、いろんな場所で」

チュチュ「ううううう……!!」

たえ「それじゃあ私たちはお邪魔虫だね。そろそろ退散した方が――」

チュチュ「乗り込むわよっ、ハナゾノ!!」

たえ「え? でもそれじゃあ」

チュチュ「No ifs, ands, or buts!! もう我慢の限界なのよ!!」グイッ

たえ「わっ、チュチュ、今日一番のすごい力」ズルズル

――カランコロン

店員「いらっしゃいませ。2名様ですか?」

チュチュ「No! 失礼するわよ!」ズカズカ

店員「え、あの、お客様?」

たえ「あ、友達が先に入ってるので、気にしないでください」ズルズル

店員「は、はぁ……?」


―テーブル席―

若宮イヴ「……という風に私はいつも心がけていますね!」

パレオ「なるほどなるほど……」メモメモ

チュチュ「パァレオーっ!」

パレオ「はい? ……えっ、チュ、チュチュ様!?」

イヴ「おや、あなたはRASの……それにタエさん!」

たえ「やっほー、イヴ」

パレオ「ど、どうしてチュチュ様がここに……!?」

チュチュ「どうしてもこうしてもないわよ!! 貴女こそなんでこんな、私に黙ったままいろんなことしてるのよ!!」

パレオ「え、えぇっと、それには深い、ふかーい理由がありまして……」

チュチュ「どーいう理由よ!?」

パレオ「そ、それは……」

チュチュ「言えないの!? ご主人様である私に言えないってことはやましい気持ちがあるんじゃないかしら!?」

パレオ「そ、そんなことありませんよぉ!」


たえ「今日はパレオとふたりで何してたの?」

イヴ「共にケンサンしていました!」

パレオ「あ、い、イヴさんっ、だめです!」

イヴ「……? なにがですか?」キョトン

パレオ「あああ、いつもテレビの向こう側にある純粋なキョトン顔が目の前に……かわいい……」

チュチュ「パーレーオー!?」

パレオ「あ、ち、違うんですチュチュ様ぁ!」

たえ「ケンサン?」

イヴ「はい。前にタエさんがRASのヘルプをやっていた時に、マヤさんやカスミさんたちと一緒にステージを見に行ったんです」

イヴ「そこでパレオさんのパフォーマンスに感じ入りまして、是非、共にセッサタクマしたい所存でした」

イヴ「それで、マヤさんがスタジオミュージシャンの伝手でマスキングさんに連絡を取ってくれて、今日に至りました!」

たえ「そうだったんだ」

イヴ「はい、そうだったんです! 一緒に練習して、とても素晴らしい経験が出来ました!」


たえ「だって、チュチュ」

チュチュ「ふーん……」

パレオ「うぅ……全部筒抜けになってしまいました……」シュン

イヴ「おや……? パレオさん、どうしてそんなに浮かない顔をされているんです?」

パレオ「え、えぇっと……その……」

イヴ「さっきまであんなに楽しそうにされていたのに」

チュチュ「ふぅーん……!」

イヴ「パレオさんは笑顔でいる方がずっと素敵ですよ!」

パレオ「そ、そうですかっ? イヴさんにそんな風に言われてしまうと……えへへ、ありがとうございますっ」

チュチュ「ふぅーん!!」

イヴ「やっぱり、とても素敵な笑顔です! ふふ、その方がチュチュさんもきっと喜ばれますよ!」

チュチュ「What?」

パレオ「あっ」


イヴ「パレオさん、練習してる時からずーっと『チュチュ様のために』って仰ってましたし、やっぱり演奏の基本は楽しそうな笑顔です!」

パレオ「ちょ、ちょー! イヴさん、それ言っちゃダメですぅ!」

イヴ「え?」

チュチュ「……パレオ?」

パレオ「あ、え、えーっとぉ……」

たえ「そっか。パレオ、チュチュに喜んでもらいたくてイヴと一緒に練習してたんだね」

たえ「こっそり上達して、びっくりさせて、ついでにたくさん褒めてもらおうっていう風に」

パレオ「は、花さんっ!?」

たえ「分かるなぁ。私もポピパのみんなのためならそういう気持ちになるし」

イヴ「そ、そうだったんですね……。ごめんなさい、パレオさん……今日、ずっとチュチュさんのことばかりお話していたので、てっきりご本人にもお話してあると思ってました……」

パレオ「い、いいえっ、イヴさんは何も悪くないです!」

パレオ「……悪いのは、花さんの言う通り……こっそり練習してチュチュ様に褒められようと思ってたパレオですから……」

イヴ「パレオさん……」

チュチュ「…………」

パレオ「その、チュチュ様……ごめんなさい。黙って勝手なことをやってしまって……」


チュチュ「…………」プイッ

パレオ「チュ、チュチュ様……」

チュチュ「……つに」

パレオ「え……?」

チュチュ「……別に、いいわよ」

パレオ「え、ほ、本当ですか……? 怒ってないですか?」

チュチュ「怒ってないわよ。まぁ、私に黙って色々やってたことはちょっと頷けないけど……でも、RASの、ひいては私のためにやったことなんでしょ?」

パレオ「もちろんです! パレオはいつだってチュチュ様とRASのためにいますから!」

チュチュ「……そ。それなら、別に、とやかく言うようなことはしないわ」

チュチュ「パレオのそういう気持ちは、まぁ、えぇと、その……私だって……嬉しいし」

パレオ「チュチュ様……!」


チュチュ「けど、今度からはちゃんと声をかけてからにして頂戴。……黙ったままあなたがいなくなると……心配になるんだから」

パレオ「はいっ! ご心配、ご心労をおかけしてごめんなさい!」

チュチュ「……謝ってるくせになんでそんなに笑顔なのよ」

パレオ「そういうチュチュ様も、なんだか嬉しそうなお顔ですよ♪」

チュチュ「私はいいのよっ」

パレオ「私もチュチュ様が嬉しいならそれで大満足ですっ」

チュチュ「まったくもう、仕方ないパレオなんだから」

パレオ「ふふっ、ごめんなさーい」

チュチュ「これからは、私に黙って勝手なことをしたら駄目なんだから」

パレオ「はい! チュチュ様には何一つ隠し事をしません!」

チュチュ「それならいいのよ。……けど、私ももっと貴女のことを信頼しないといけないわね」

パレオ「え? なんですか、チュチュ様?」

チュチュ「な、なんでもないわよっ」

パレオ「えー? 今なんだか、パレオのことをもっと信頼する、みたいなすっごく嬉しくなることを言っていたような気がするんですけどー……」

チュチュ「聞こえてるじゃない!!」

パレオ「えへへ~♪」


たえ「すごくイチャイチャしてるね」

チュチュ「はっ!?」

イヴ「ふたりの世界、というものですね!」

パレオ「えへへ、そうですよ。私とチュチュ様だけの世界です♪」

イヴ「仲良きことは美しき哉、ですね!」

パレオ「はい♪」

たえ「パレオの後をつけてる時は怒ったり落ち込んだりってしてたけど、よかったね、チュチュ」

チュチュ「う、うううるっさーい!!」

パレオ「……あれ? そういえばチュチュ様、今日のことをずっと見ていたって口振りでしたけど……私とイヴさんの後をついてきてたんですか?」

チュチュ「えっ、え、えぇと……」

たえ「そうだよ。パレオのことが気になって気になって仕方ない、みたいな感じで、私も途中から一緒にむぐ」

チュチュ「Shut up ハナゾノ!!」

たえ「もごもご」

パレオ「……ふふふ、そうだったんですね。私のことが気になって気になって仕方なくて、尾行していたんですね」

チュチュ「な、ち、ちが……!」

イヴ「チュチュさんはパレオさんのことがとっても大切なんですね!」

チュチュ「イヴ・ワカミヤ! 貴女も黙ってなさい!」

たえ「もごもごもご」

チュチュ「ハナゾノも口塞がれてるのに喋ろうとするなぁっ!」

パレオ「もう、チュチュ様も仕方のないお方です。……でも……」


チュチュ「いーい!? 私は、RASのプロデューサーとして、パレオが何か間違った道を歩んでいるんじゃないかって……!」

パレオ「チュチュ様、チュチュさまー? お店であんまり騒いじゃうと、ご迷惑になりますよー?」

チュチュ「むぐっ……」

パレオ「さぁさぁ、尾行してたこととかパレオのことをとーっても心配してくれていたこととか、そういうのは抜きにして……みなさんでお茶しましょう♪」

チュチュ「……なんだか引っかかる言葉だけど、まぁ、そうね」

イヴ「パレオさんだけでなくチュチュさんともお茶が出来て、とても嬉しいです!」

パレオ「あぁぁ……純粋無垢な笑顔がやっぱりかわいい……推せる……推すしかないです……!」

チュチュ「パ、パレオーっ!!」

たえ「もごもご~」

パレオ「ふふっ。ごめんなさい、チュチュ様。やっぱりパスパレさんはパスパレさんで、とても特別なので♪」


チュチュ「ぐ、ぬぬぅ~……! こうなったら勝負よ、勝負!」

イヴ「勝負……? 一騎討ちですか?」

チュチュ「そうよ、イッキウチよ!」

たえ「ぷはぁ。チュチュ、一騎討ちってなにか分かってないでしょ」

チュチュ「うるさい! いーから勝負しなさい、イヴ・ワカミヤ!!」

イヴ「一騎討ちの誘いを断るは武士の恥……フショウ、若宮イヴ! その挑戦、受けて立ちます!」

チュチュ「それでこそよ! Tea timeが終わってからが始まりよ!!」

イヴ「いざ尋常に勝負っ、ですね! お茶が終わってから!」

たえ「じゃあ、お茶し終わったらみんなでカラオケにでも行こっか」

チュチュ「Very well!」

イヴ「望むところです!」

パレオ「はい♪ 頑張ってくださいね、イヴさん、チュチュ様♪」


パレオ(……けど、確かにイヴさんもイチオシですが……私はチュチュ様が一番ですよ)

パレオ(仕方のないチュチュ様と、仕方のないパレオ)

パレオ(仕方ない同士、とってもお似合いですね♪)

チュチュ「負けないわよ……!」

イヴ「点数勝負ですね! 腕が鳴ります! ……あれ? この場合は喉が鳴る、でしょうか?」

たえ「バチバチのオーバーフレンズだね」

パレオ「……ふふふ♪」


このあと、こんな感じで日が暮れるまで4人で遊びましたとさ


おわり


英語が苦手なので、チュチュをそれっぽく話させようとするとルー語っぽくなる不具合がよく発生します。
バンドリのライブチケットの抽選を毎回外す不具合も発生しています。どなたか直し方を知っていたらどうか教えてください。

そんな感じの話でした。

HTML化依頼出してきます。

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