【天華百剣】( ^ω^)ビンビン敏感!!乳首一本釣りのようです【ブーン系】 (67)

御華見衆の参羽鴉シリーズ

(´・ω・`) 信じられねぇくらいギチギチに三人同時に落とし穴にハマったようです
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前回の反省を活かしました。よろ乳首お願いします

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「死にたいのか?」


怒気を孕んだ蒼瞳に、自暴自棄になった自分を見透かされているようだった
お怒りは至極ご尤も。もう少しで俺は妖怪絵巻にでも出てきそうなバケモノの餌になってしまうところだったのだから


「英雄を気取って飛び出したのなら、浅はかとしか言いようがない。よもや、君の手に負える相手だとでもはき違えたか?」


その美女は尻餅をつく俺に手すら差し伸べてはくれない。鍔のない日本刀を鞘に納め、ただ静かに俺の行いを咎めている
只の女でない事は一目瞭然だ。特に目を引いたのは、恥ずかしげもなく曝け出す『脚』
筋肉の付き方を見ればわかる『土台』の凄さ。日々の鍛錬を繰り返した者だけが身につけられる代物だった


( ^ω^)「……」


「ハァ……すまない。少し熱くなった。とにかく、これからあのような怪物を目の当たりにしたのなら、一目散に逃げろ。今のように、間違っても助け舟など出さぬように」


きっと彼女は、あのバケモノとは違い『善き者』なのだろう。突き刺すような視線も、俺の身を案じてからのものに違いない
だけどその気遣いが、今の俺には、何より腹立たしい。ドロドロと煮えたぎった苛立ちは、止める間も無く口から溢れ出てしまう


( ^ω^)「贅沢やな……」

「……何と?」

( ^ω^)「足手まといやろうと何やろうと、『助け』を払いのけるその性根が」


これはただの、八つ当たりだ。『善き者』たる彼女には何の関係も
ましてや、問題の解決にも繋がらない、幼稚な行いだ


( ^ω^)「贅沢や言うてんや」


惨めな男の、遠吠えだ

「……すまない」

( ^ω^)「……」


俺の気分を害したことに対する謝罪なんかじゃないのは直ぐにわかった
強い者は、例えその気がなくとも、少なからずの『傲慢さ』を抱いている。これも、その一種だ


「君にそのような行いをさせたのは、偏に拙者の力不足に他ならない。言葉が過ぎた。どうか許してくれ」

(#^ω^)「ッ……」


見惚れるほど美しく、反吐が出るほど高潔で、憧れるほど強靭で、憎々しいほど誇り高い
『英雄』とは、そんなものなんだろう。だからこそ、凡人の気持ちなど少しも鑑みれない


(#^ω^)「……ほな」

「っ……ああ」


だが、俺の気に障ってしまったのは理解出来たのだろう。それが何故なのかまでは、未だ疑問のようだが
本当なら無様に駆け出して少しでも早くこの女から離れたかったが、残った酒がそうはさせてくれなかった


( ^ω^)「……」


こんな時、自分の意固地さが嫌になる。『長い物には巻かれろ』『郷に入りては郷に従え』
身の丈に合った生き方が出来れば、こんな嫌な気持ちになりはしない。自棄になることもない


( ^ω^)「……」


『死にたいのか?』


ああ、死にたかったよ。自分を曲げられず、圧力と理不尽を飲み込めない子供のままでいるのなら
いっそのこと、綺麗さっぱり『新しい人生』をやり直したかったよ―――――

―――――
―――




「負けてくれ」

( ^ω^)「は……?」


大棚の次男として産まれ、不自由の無い暮らしを送ってきた
両親は、家を継ぐ兄と共に店を繁盛させて欲しかったのだと思う。だけど、俺には夢があった

『お相撲さん』になりたかった

ガキの頃から親父譲りの膨よかな身体だった俺は、自分の醜い姿が嫌いだった
よく近所の子供に虐められては、歳の離れた兄貴に助けられた
兄貴は情けの無い俺に対して叱咤をするどころか、いつも『気にするな』と優しく慰めてくれた


『人には誰しも個性がある。嫌なら失くしてしまってもええが、ワシはありのままの個性を好きになってくれた方がええな』


無責任な言葉だ。今、その個性に悩まされてるガキに掛ける言葉か?
俺は癇癪を起こして兄貴の脛を蹴り飛ばし、その晩、親父にクソほど叱られてしまった
なので、深酒をして寝た親父のでっぷりとした腹に鬼の顔を描いて仕返しした。翌朝、軒先に吊るされた


兄貴はそんな俺を見て、やれやれとため息を吐くと、とある場所へと連れて行ってくれた
それが、二町ほど離れた『相撲部屋』だった

取引先の一つとして、数日に一度食料品を卸していたのだった。仕事の手伝いはこの頃からやらされていたが、初めて赴く場所だった
兄が親方と話している最中、熱気と人の肌がぶつかり合う稽古の様子を眺めた
張り手の強烈な破裂音。四股を踏む度揺れる地面、そして何より、土俵際でせめぎ合う力士の勇ましさ
俺と同じく、醜い肉の塊でありながら、その姿はまさに『力士』に相応しく、『かっこよかった』


『これも、個性を活かす道や』


兄は夢中で齧り付く俺の頭を撫でながら、優しく説いてくれた
今を思えば、腐っていた俺を立ち直らせる安易な誤魔化しだったのかもしれない。だけど、この瞬間に俺の人生の指針が決まった
『お相撲さんになろう』。ありのままの自分の『個性』を活かし、魅せ、そして好きになれる人生を歩もうと決めたのだ

齢十四になって、俺は両親と兄に頭を下げ、その相撲部屋に入門させてもらった
幸いにも、俺は家族に恵まれていた。家を継がないのは寂しいし残念だが、目一杯応援すると激励を受けた
兄貴からは厳しい言葉を賜った。『天辺を取れ。それまで家の敷居を跨げると思うな』
望むところだった。必ず、家に錦を上げて帰ってくる。そう返すと、兄貴はキツく俺を抱き締めてくれた
最後に涙を流したのは、これきりだったな。この日から俺の親は『親方』になり、俺の兄は『兄弟子』に変わった

どこの世界もそうだが、新入りの洗礼というものは苛烈極まりない。日が昇る前に目を覚まし、兄弟子の仕度や掃除、洗濯を行い、飯を炊く
事が済んだら稽古が始まり、最早『私刑』と大差のない『可愛がり』を受ける。土を舐めたのは一度や二度どころでは無く、毎日だった
稽古が済めばまた家事を行い、兄弟子達にあん摩を施す。塩梅が悪ければ張り手や蹴りが飛んできた
辛い毎日だったが、挫けることは無かった。家族の言葉……というより、『いずれ俺が天辺を取るんだから今の内にいい気になってろクソボケ』という、報復ありきの意地と野望からだ
そうして毎日を繰り返す内に、少しずつ、少しずつ、痛みや疲労が減っていき、代わりに『力』が付いていった
強くなる実感は、俺の背中をより強く後押しする。二年が経ち、三年が経ち、身体が子供から大人へと変わっていき


力士として認められ、親方から新しい名前を賜った

『武雲』。『雲』のように厚く、大きな『武人』という意味が込められた四股名
ガキの頃に憧れた存在へと、昇華した瞬間だった。あの日の誇らしさは、我が生涯の宝だ
だがこれで終わりでは無い。俺は家族に、兄貴に応えられるような力士にならねばならない

追い風は強く吹いていた。誰よりも強く、かっこいい『漢』への道を、流れる雲のように進んだ
四年、五年、六年。数多の強豪と競い、ある時は辛酸を舐めさせられたりもしたが、弛まぬ努力と持ち前の粘着質な意地で、番付を上げていった
そして遂に、名のある力士との取組にまで持ち込んだ。いよいよ、我が家に錦を飾れる時が訪れた―――――


(;^ω^)「は……え?」

「……」


高揚収まらぬ大勝負の一週間前、親方から持ちかけられた話は『八百長』であった


(;^ω^)「なん……なんでですか……?」

「……とある、デカい組が絡んでてな。巨額の銭が動くんや」

(;^ω^)「は……」


あの厳しい親方が、怯えた子猫のように縮こまる姿を見るのは初めてで
これは決してタチの悪い冗談なのでは無いと理解できた。俺は、どう反応すれば判らず、ただ意味の伴わない単音を繰り返すだけだった

「この一番だけ、手ぇ抜いてくれ。頼む、これきりや。最悪の場合、『お取り潰し』もあり得る」

(;^ω^)「……」

「意地っ張りなお前のことや。きっと納得は出来へんと思う。やけど、『こういう世界』なんや。いずれ分かる時が来る」


『ふざけた事を抜かすな』『そんなの了承できるか』。今すぐにでも激昂して、張り倒してやろうかと思った
だが、親方をこれほどまでに萎縮させる存在の恐ろしさが怒りを上回る。もしかすると、家族にまで手を出されるかもしれない
恐怖、怒り、夢、意地、家族。頭の中でゴチャゴチャと混ざり合い、吐き気と共に絞り出した答えは結局


(;^ω^)「わかり……ました……」


『安牌』なものと成った


「……これ、貰うとけ」


『ちゃり』と甲高い音を立てる巾着を握らされる。きっと、親方もいくつか『包まれて』いるのだろう
受け取ってしまった時点で、俺は『共犯者』となってしまった。『口止め料』としての意もあるだろうが、恐らく俺がバカしちまった時の為の『保険』も兼ねている


(;^ω^)「……おおきに」

「堪忍な……」

(;^ω^)「……」


部屋に戻る気も慣れず、便所へと向かって中身を確かめた
二月は贅沢が出来る額が入っている。これが、俺の意地と誇りの値段だ


(#^ω^)「……ッ!!!!」


たったこれっぽっちで、俺は俺を売った。それが許せなくて、金を糞と小便の中へと捨てようとした


巾着は、手の中から離れなかった―――――

( ^ω^)「……」


ここまでガムシャラに突っ走ってきた。誰にも頼らず、誰にも媚びず、兄貴の想いに応えようと、俺の人生に価値をもたらそうと努力してきた
結果、俺は『助け』の求め方を忘れてしまった。誰にそれを求めればいい?警察か?それとも、馬鹿正直に『組』とやらに頭を下げるか?
どれも上手く行くとは到底思えない。結局、強くなろうとも俺はただの惨めな豚に過ぎなかった

稽古も身に付かず、俺は貰った金で酒を浴びるように呑み、女を買い、博打に興じた
喉元過ぎればなんとやらと言う。たった一度、負ければそれで済む話だ。それで楽しく遊べるなら、良いじゃないかと飲み込もうとした

そんな矢先に、あの女と出会った

酔いに任せてバケモノとの戦いの場に飛び出し、テメーの無力さを突き付けられ、強き者との差を思い知らされた
やっぱり、思い返しても腹立たしい。だが、一つだけ感謝すべき点を挙げるとするならば


(#^ω^)「……ああァッ!!」


燻り、消える寸前だった俺の中の『火』を、再び燃え上がらせた事だろうか

大一番の決着は一瞬だった。勝利を確信し、ニヤつく顔面に強烈な一発をお見舞いし、まわしを掴んで土俵から投げ落とした
観客は皆、名力士の秒殺にポカンと口を開き、『グル』だった行司は唇を戦慄かせながら祝儀を差し出す。それを払い除けて、俺は土俵を降りた
これが最後の取組だろう。この場所に、泥を塗らなくて良かった。俺の個性を輝かせてくれた事に感謝をし、深々と頭を下げる
親方は全てを悟ったかのように唇を固く結び、静かに手を差し出した。理不尽に屈し、理不尽に屈する事を強いた男だったが、彼も俺の『親』に変わりない


( ^ω^)「世話に、なりました」

「……早よ逃げえ。どっか遠くに」

( ^ω^)「いえ、これ以上無様は晒せまへん。ご迷惑をお掛けして申し訳ない」

「武雲……!!」

( ^ω^)「……親方がくれた名を、穢さずに済んで良かった。悔いはありません」


涙を堪え歯を食いしばった親方に笑顔を返し、騒つく会場を足早に去った
不安はある。だがそれ以上に、肩の荷が下りた清々しさが俺の胸を満たした。後は、自分の始末をつけるだけだ


「……」

( ^ω^)「ん……?」


ふと、見知った顔が通り過ぎたような気がして振り返ったが
どうやら見間違いだったようだ。そりゃ、そうだよな


『あの女』が、わざわざ俺みたいな弱者の取組を見に来るはずがないものな

『お迎え』が来るのはそう遅くはないと踏んでいたが、人生を振り返る時間は与えられたようだ
出店で団子と冷たい茶を買って、川辺でのんびりと水の流れを眺めながら、最後になるであろう食事をした
悔いは無いと言ったが、やっぱり心残りはある。家族に迷惑を掛けてしまうからだ
でも多分、あの兄貴の事だ。脅しに屈した方が余程怒るに決まっているし、許しもしてくれない
だから、やっぱりこの方法しか残っていなかったのだろう。情けの無い弟を、少しは誇りに想ってくれたら良いのだが


( ^ω^)「……」


日が赤く染まり、人の気配が少なくなっていく。徐々に薄暗くなっていく空模様は、俺の人生の終幕を表しているようだった
やがて太陽は沈み切り、辺りは遠くで聞こえる喧噪と虫の声だけが支配する。ゆっくりと食んでいた団子も、全て胃の中へと納まった


「……たぞ……探……って……」


雑草を踏み分ける音と、何人かの男の会話が近づいてくる。いよいよ『旅立ち』の時だ
しかし、死に場所が『川』とは。我ながら気が利いた場所を選んだものだ。これで彼岸花でも咲いてれば、もう少し様になっただろうが


( ^ω^)「……」


『コツリ』と後頭部に硬いものが押し当てられる。一瞬で済ませてくれるのはありがたい
不思議と、恐怖は湧かなかった。諦念もあっただろうが、汚点を背負ったまま生き永らえるよりもよっぽど気が楽だったからだ


( ^ω^)「……ハッ」


忌々しいものだ。この期に及んで頭を過るのは、『あの女』の事だとは
惚れた腫れたの情念では断じてない。ただ、叶うのならば


( ‐ω‐)「……」


一言、礼が言いたかった



( ‐ω‐)「……」


『どさ、どさ』


( ^ω^)「ん……?」


いつまで経っても引き金は引かれなかった。代わりに、何かが倒れこむ音が聞こえた
堪らなくなって振り返ると、そこには月明かりに照らされる『蒼眼』が二つ、星のように浮かんでいた


「はぁっ……間に合った、か」


強面の男を二人、当身か何かで気絶させたのだろう『あの女』は、落ちた拳銃を拾い上げると川へと投げ捨てる
そして、許可も無く俺の隣に腰を下ろした


( ^ω^)「……何のつもりでっか?」

「いや、何……その、平気か?」

( ^ω^)「見ての通りピンピンしとりますわ……俺にご入用で?」


女はバツが悪そうに頬を掻くと、真剣な眼差しで俺の目を覗き込んだ


「……少し、考えてな。何故君が、拙者の言動に腹を立てたのかと」

( ^ω^)「ほーう」

「なので、それとなく君の事を調べさせてもらった……置かれている立場も含めてな」

( ^ω^)「こーんな別嬪な追っかけが出来るとは、色男も楽やないな」

「茶化さないでくれ……その、君は、ずっと一人で抱え込んでいたのだな」


随分としおらしくなったものだ。多少の可愛げは持ち合わせているらしい


「君は拙者にこう言ったな。『助けを払いのけるその性根が贅沢』と」

( ^ω^)「売り言葉に買い言葉や。気にせんでもええ」

「生憎、拙者は不器用でな……そうもいかないのだよ」

( ^ω^)「難儀な性格やな。そんで、わざわざ死にぞこないのツラ、拝みにきたんかいな」

「……君の助けになるものは、誰もいなかったのか?」

( ^ω^)「……おったかもしれへん。ただ、それに縋り付けば俺はもう『力士』やいられんようになる」


手持無沙汰だったので、そこらの石を掴んで水面に鋭く投げつける
ぴょん、ぴょんと何度か軽快に跳ねた後、ぽちゃんと川の底へ沈んでいった


( ^ω^)「俺もな、アンタと出会って踏ん切りがついたんや。アンタのようにバケモンに敵うような力は無い」

( ^ω^)「せやけど、一寸虫にも魂と誇りはある。それを他でもない『俺自身』に証明したろうと思ったんや」

「……命を落とすことになっても、か?」

( ^ω^)「生き恥晒すよりマシや」


もう一発、石を投げようと手探りで探す。すると、石とは別の冷たさをもつ『あるモノ』を掴んだ
そういや、女が投げた代物は『一つ』だけだったな。男の数と勘定が合わない


「フフ……『武士道とは、死ぬ事と見つけたり』、だな」

( ^ω^)「んな大したもんやあらへん……おおきにな、姉ちゃん」

「ん?」

( ^ω^)「介錯はいらへんから、気にしなさんな。ほな、お先に」

「ッ!?待……」


仏さんは慈悲深い。最後の願いを叶えさせてくれるとは
これ以上の贅沢は望まない。俺を迎えに来た男たちも、これで溜飲が下がるだろう
顎下に銃口を突き付け、躊躇わずに引き金を引いた――――







(  ω )「」







「つっ……」


(  ω )「……」


どうして


(  ω )「どうして、楽にさせてくれへんのや」

目にも止まらぬ早さで銃身を掴まれ、常人離れした握力で軌道を逸らされた銃口は
火薬の音と共に、誰も貫くことなく無駄になった銃弾を夜空へと吐き出した


「死ぬ事だけが、武士道ではない!!」

(  ω )「なんやさっきから武士道やなんやて……お侍の時代はとうに終わっとんのや」

「聞け!!拙者は今日、君の取組を見た!!見事な一番だった!!拙者と形は違えど、『武道』を歩む者の矜持を感じた!!」

(  ω )「ッ……今更、何やねん……」

「拙者はっ!!惜しいのだ!!君のように真っすぐな男が、下らない八百長の始末で居なくなってしまうのが!!」

(  ω )「……」


可笑しい。彼女は片手で掴んでいるだけなのに、こうも銃口の位置が戻らないとは。これでは力士の名も形無しだ


「君は言ったな、『贅沢』と!!なら、自分の言葉に責任を持ってみろ!!」

「拙者が『助け』だ!!先に啖呵を切ったのならば、君が手本になってみせろ!!」


どうして、どうしてこの女は


(  ω )「……」


見ず知らずの俺なんかに、ここまで親身になってくれるのだろうか

:(  ω ):「ヒグッ……うぐ……」


ああ、チクショウ。家に帰るまで取っとく筈だったもんが溢れ出てくる
やっぱり、忌々しい女だ。俺が一番欲しかったものを


:( ;ω;):「……『助けて』」


何故こうも的確に、与えてくれるのだろうか


「勿論だ。我々『巫剣』は、その為に存在する」


力の抜けた手の平から拳銃が抜き取られ、それもまた、川に投げ捨てられる
見惚れるほど美しく、反吐が出るほど高潔で、憧れるほど強靭で、憎々しいほど誇り高い女は


「ふむ……だが、君の手も少々借りるとしよう。拙者もまだまだ修行の身、力不足だ。『助け』がいる時も来るだろう」


まるで暖炉で揺れる炎のように、温かかった


「さ、泣くのはそこまでにしておけ。男の子だろう?」

( うω;)「や、や、やかましいわ……ちょお待てや」


全く情けがない。まさか女の目の前で泣いてしまうとは
袖で目元を乱暴に拭うと、掌が差し伸べられる。今度は優しい視線と、微笑みを携えて


( ^ω^)「……内藤、地平。四股名は『武雲』や」

「聞き及んでいるよ。武雲、良い名だ」


掌を握り返すと、女はピクリと形の良い眉を動かし、上品に笑った


( ^ω^)「なんやねん……」

「いいや、『縁』とは面白いものだと思ってな……君とは、思っていたよりも長い付き合いになりそうだ」

( ^ω^)「さよけ。ほんで?」

「ああ、申し遅れた。拙者は『天光丸』。これから、よろしく頼む」


このけったいな名前が、源氏の宝刀だと知ることになるのはもう少し先の話だった

( ^ω^)「で、これからどないするんや?俺は……まぁ、ヤーさんらのお尋ねもんになっちまったんやけど」

「そうだな……では早速、後顧の憂いを断ちに行くとしようか」

( ^ω^)「は?」

「君に八百長を持ち掛けたとある組織は、『禍憑』と関与している疑いがある。実の所、今回の拙者の任務はその調査と討伐でな」

( ^ω^)「ちょ、待てや。展開早すぎてついて行かれへんのやけど」

「百聞は一見に如かず、習うより慣れよ、だ。キビキビと動け。置いていくぞ」

(;^ω^)「待てって!!あーもう!!」


やっぱり気に食わない女だ。だが、凛と歩く背中に着いて行くのは、不思議と悪い気がしなかった―――――

























.



拝啓、大坂の兄貴。元気にしてますでしょうか。故郷から遠く離れた地で過ごす内に、すっかり大坂なまりが取れてしまいました
俺が力士を辞めて、初めて『御華見衆』として務めを果たした時、貴方はとても驚いた顔してましたよね
志した道とは全くの別物だけど、俺は今日も誰かの『助け』となる人生を歩んでいます
いつか、『天辺』に見合うだけの務めを果たして、今度は堂々と貴方に顔向けできるように


( ^ω^)「……」


ところで兄貴、聞いてください。近くの川でヤツメウナギが異常発生して、なんでか知らんけど駆除することになったんですよ
俺らの専門、禍憑であって魚じゃないんですよ。まぁそれは良いとして、問題は方法なんですよ


( ^ω^)「……」


なんで俺、乳首丸出しのまま川の前で覚悟決めなきゃならないんでしょうか?
前世でなんか悪い事したんでしょうか?いや悪いのは前世のクソ野郎であって今生の俺じゃねーだろ前世のクソ野郎の乳首をビンビンにするべきだろ神も仏もいねーのかこの世界には


( ^ω^)「……お嫁に、行けない」


御華見衆って、朝廷直属の秘密機関の筈なんすよね。なんかすっごいあの……真面目な感じのやつなんすよね。もう意味わっかんねーよクソが死ね
どうやら、俺は堂々と兄貴に顔向け出来そうにないです。堪忍してください。汚れた弟でごめんなさい


( ^ω^)「……」


今日も『びっぷ町』は平和ですが、これなら禍憑と血で血を洗う殺し合いした方がマシです
それでは兄貴。風邪などお召しにならないよう、ご自愛ください


敬具






天華百剣 ‐参‐ 御華見衆の参羽鴉



( ^ω^)ビンビン敏感!!乳首一本釣りのようです ~ でも乳首って二つあるから二本釣りよね ~




商売に置いて、水曜日は縁起が悪いとされている。『水に流す』『水に流れる』という言葉のように、『商機を逃す』と連想してしまうのが由来だそうだ
この茶屋、参羽鴉も例外ではなく、お盆や年末年始や『本業』で店を留守にする場合を除き、毎週水曜日を定休日としている
風景を遮る暖簾は掛けられておらず、開け放たれた戸からはパチパチと算盤を弾く音と、和やかな話し声が漏れ出していた


鳥さん<チュンチュン!!!!!!!!ピーチクビーチク!!!!!!!!!!!!オボロ


天光丸「穏やかな一日だな」

( ^ω^)「あーそーねー」パチパチ

鬼切安綱「マジで言ってる系?今あの鳥の群れの中からヤバイ鳴き声聞こえたんだけど」

天光丸「徳男殿がまた可笑しな発明品でも作ったのだろう。いいじゃないか。爆発しないなら可愛いものだ」

( ^ω^)「あれ放っといたら店の前にここら周辺の鳥公全部やってくるお」パチパチパチ

天光丸「なんだって?」

( ^ω^)「いやだから、そういう発明」ジャッ

鬼切安綱「あー、あの空が黒くなってるとこ、群れっぽくない?」

( ^ω^)「やべーなオイまーた伝説作っちまったか」

天光丸「なぜ放置しているのだ!!!!」ダッ!!

( ^ω^)「あいつ、実害のある発明品に関しては天才だよな……」

鬼切安綱「本人は全く罪悪感無いのがタチ悪いよねー。それで?」

( ^ω^)「厳しい」

鬼切安綱「あらら」


参羽鴉の経理事務を担当する武雲は、算盤を手離し温くなった茶を啜った
大棚の息子であった彼にとって収支の計算は、物心ついた頃から父親や兄に叩き込まれており
力士となって長いブランクがあるものの、その技能は茶房経営において大いに活躍していた

( ^ω^)「ここ最近、本部からの依頼もねえから団子以外のアガリがほぼ無い状態だお。ドクの人形売って足しにするしかねえ」

鬼切安綱「ちょー名案だけど血が流れるやつじゃん」

( ^ω^)「ブサイク一人の飯代が浮いて一挙両得だお。天才では?」

鬼切安綱「あー、もう勝つ気満々なんだー……」

( ^ω^)「後はもうオッサンが前職の技能活かしてその辺からみかじめ料せしめるとか……」

鬼切安綱「普通の金策思いつかないの?」

天光丸「ハァ、ハァ……な、なんとか……凌いだ……」

鬼切安綱「天ちゃんおつかれー」

天光丸「アン殿……気づいていたなら直ぐに止めてくれても良かっただろう……」

鬼切安綱「えー、でも面白そうだったしぃー」

天光丸「少しも笑えないぞ……主殿」

( ^ω^)「シバくならあのブサイクにして」

天光丸「違う、小烏丸から書簡が届いている。鳥の群れの中に彼女のカラスが紛れていたのだ」

( ^ω^)「まさかと思うがクソでかいバケモノカラスじゃねーよな」

天光丸「あんなものを白昼堂々飛ばしはしないだろう……」

鬼切安綱「だったら今頃大騒動だろーしぃー」

天光丸「これだ、確認して欲しい。拙者はカラスに餌と水を」

( ^ω^)「はいお」


受け取った小さな筒を開け、中の巻物を取り出して開く凡そ三寸にも満たない紙にはびっしりと文字が書き込まれていた

( ^ω^)「うーん、毎度の事ながら達筆過ぎて読めねえお!!!!」ドンッ!!!!!!!

鬼切安綱「お婆ちゃんだもんねー」

( ^ω^)「大して変わらねえだろ……」

鬼切安綱「死にたいの?」

( ^ω^)「ドングリの背比べって知ってる?読んでくれお」

鬼切安綱「しゃーないなぁ。どれどれ……近々、ばごーちゃんが立ち寄るから面倒みてくれって」

( ^ω^)「ばご……ああ、稲葉郷かお。つとめは?」

鬼切安綱「うーん……特に無いっぽいかなー」

( ^ω^)「つっかえんわー……」

鬼切安綱「毎度思うんだけどキミら絶対に支部勤め出来ない系の巫剣使いだよね」

( ^ω^)「御華見衆二大キチガイと一緒にされるのすげえ心外」

鬼切安綱「一人は仮にもウチの主なんですけどー?」

( ^ω^)「三大キチガイ」

鬼切安綱「死に急ぎたいならそう言いなー?」スラァ

( ^ω^)「アンさん、真剣はマズい」

小竜景光「ただいま戻り……」


<この大バカ者がーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!! バチコォン!!!!!!!!!


小竜景光「……ました」

鬼切安綱「外でちょー痛そうな音聞こえたんだけど」

小竜景光「あるじがまた粗相をしたようでして……ハァ……」

( ^ω^)「まぁこうなる事見越して放置してたし」

小竜景光「そろそろ生き方を改めませぬとロクな死に方しませんよ。ショボンはいずこへ?」

鬼切安綱「奥で昼寝してるよー。なんか問題?」

小竜景光「問題……ええ、問題ではありますね」

( ^ω^)「禍t……金になるかお?」

小竜景光「禍憑は絡んでいませんが……うーん、どう説明すれば良いのでしょうか……」

鬼切安綱「とりま全員集合させよっか。話は変わるけどブーンくん、海外のおとぎ話のお姫様って接吻で目を覚ますんだって」

( ^ω^)「あら素敵。じゃあ逆に聞くけどデブがオッサンに接吻して目を覚まさせるところ見てーのかお前」

鬼切安綱「別にやれとは言ってなーいじゃーん。もしかして、したいのー?」

( ^ω^)「張り倒すぞクソアマ……」

小竜景光「はいはい、そこまでにしてください。わらわが起こして参りますので、あるじと天光丸を呼んできてください」

( ^ω^)「クソアマ……」

鬼切安綱「ごめんってば」

―――――
―――



(´⁻ω⁻`)「はい……何……?俺いる……?」

鬼切安綱「いらない」

(´⁻ω⁻`)「じゃ寝る……」

小竜景光「追い返さない」

( ^ω^)「信じられるか?ここの頭なんだぜ、こいつ」

(メ)A`)「話しかけないで。顔が痛くてオチンコ出てるところ」

( ^ω^)「は?」

(メ)A`)「間違えた。オチンコ出てるところだ」

( ^ω^)「天さんに追い剥ぎでもされたんか??????」

天光丸「するか!!ええい、話が進まん!!小竜殿、構わず報告を!!」

小竜景光「そうですね、埒があきませぬし。本日の見回りですが、霊脈関連で一つ異常が発生しておりました」

鬼切安綱「あれ?禍憑絡んでないんだよね?」

小竜景光「禍魂の気配は無かったので、それは間違いないと思うのですが……その……」

(メ)A`)「先にご年配方に一つ質問なんだが、霊脈ってのは割とこう、量?みたいなもんが増えたら生き物がブーンの乳首みたいにビンビンになったりする?」

( ^ω^)「その質問俺の乳首で例える必要あった??????」

小竜景光「あるじ、余計な二言」

鬼切安綱「もう片方の頬もパンパンにしてあげよーか?」

(メ)A`)「ブサイクになっちゃう」

(´・ω・`)「これ以上ブサイクになることなんてねえから安心しろって」

(メ)A`)⁼3「ふぅーやれやれほっとしたぜ」

( ^ω^)「なんだこのやり取り」

天光丸「ふむ……そも霊脈とは、大地を通る気の流れであるからな。例えば、豊作の年ならば多くの気が流れ、不作の年ならば気の量は少ない」

(メ)A`)「そっかぁ……天さんはブーンの乳首で俺が聞きたいことの意味をちゃんと理解したのか……」

天光丸「もう一発殴っておくべきだった……!!」

鬼切安綱「やっちゃおっか天ちゃん」

(メ)A`)「ごめんなさい」

(´・ω・`)「爆速謝罪恥ずかしくないの?」

(メ)A`)「命の方が大事」

( ^ω^)「早い話が、霊脈ドッバドバ状態って事かお?」

小竜景光「ドッバドバです」

(´・ω・`)「別に良くねぇか?今年の豊作は約束されたようなもんだろ?」

小竜景光「過ぎた栄養は根を腐らせ、水を汚します。異常には変わりませんので」

(´・ω・`)「ふーん……ようわからんな」

(メ)A`)「まぁその霊脈は小竜がパパっと調整したんだがよ、問題が『影響を受けた』方でな」

鬼切安綱「察するに、生き物が問題系?どっかで酒池肉林が開催されてるとかー?」

(´^ω^`)「そいつぁご機嫌だな!!!!!!!!乱交会場はどこでぇ!!!!!!!???????」

( ^ω^)「ほんとゲスだなこのオッサン」

(メ)A`)「案内するよ。多分今頃人だかりとか出来てるからちょうどいいわ」

(´^ω^`)「っかーーーーーーーーーーーー!!!!!!!股座がいきり勃たぁ!!!!!!!!!!!!」



鬼切安綱「……で?」

小竜景光「まぁ……ある意味では酒池肉林らしき光景ではありましたね……」

天光丸「少なくとも、所長殿が望んでいる展開では無いようだな……」

( ^ω^)「めっちゃ面白そうでワクワクすっぞ。早く見に行くお」

小竜景光「身の毛がよだちますよ?」

( ^ω^)「馬鹿野郎おめぇこちとら禍憑とかいうキモいバケモン相手しとんのや。今更何が起ころうが動じやしねえお」

【川 】リバァ……


<ビチチチチチチチチチチチチチチ!!!!!!!!!


(´゚ω゚`)「」

('A`)「ほら、お望みの乱交会場だ。飛び込め」

天光丸「か……川の中で何が蠢いているのだ……?」

小竜景光「ウナギですね。正確にはヤツメウナギです」

( ^ω^)「想像を遥かに上回ってきた」

鬼切安綱「ちょ、マジ無理ちょーキモい。ウチもう帰る」

小竜景光「天光丸、ブーン」

( ^ω^)「はいお」ガシッ

天光丸「観念しろ。これも御華見衆のつとめだ」ガシッ

鬼切安綱「放して!!無理なものはむーりぃー!!」


びっぷ町からやや離れた、普段は緩やかな流れの川
そこに夥しい数の長細く滑りのある魚が狭い生簀の中にすし詰めにされているかのように蠢いている
この異常事態を聞きつけたであろう民衆が続々と集まり、仕事を潰された船乗りは半ば諦めたかのようにタバコをふかしていた
流石に無視できぬと踏んだのか、警官が人員の退避と現場の警備に当たっている。その中の一人、参羽鴉の常連が近づいてきた


(;゚∋゚)「貴様ら……今度は何をやらかした?」


びっぷ町警察巡査部長

( ゚∋゚)  『小鳥遊 九々郎』(たかなし くくろう)
年齢:三十一
経歴:西日本警察剣道大会三位入賞。昨年度『このお巡りさんが凄い』コンクール十一位入賞。参羽鴉への肉体指導多数(エッチなのではない)
特徴:剛腕巨躯。唇と同じくらい正義感に厚い性格。指摘するとちょっと落ち込む
呼名:とっつぁん クックル 妖怪唇オバケ 妖怪唇ビラビラオバケ 妖怪大陰唇顔に付いてるぞオバケ
好き:市民の笑顔 焼き鳥
苦手:何度指導しても一向に奇行を止めない参羽鴉の連中

('A`)「いや誤解だってとっつぁん。俺ら事態の収拾に来ただけだし。それに俺が絡んでるならもっとエグい事態にする」エッヘン

(;゚∋゚)「胸を張って言うことでは無いわ!!」

( ^ω^)「具体的には?」

('A`)「街が滅ぶ」

(#゚∋゚)「おい!!ここの三馬鹿を連行しろ!!ご婦人は丁重にお送りしてやれ!!」


<どうせすぐ帰すじゃ無いっすかー


('A`)「酷い男女差別を見た」

( ^ω^)「俺なんもしてねーだろ」

(´;ω;`)「乱交会場……」

(;゚∋゚)そ「なっ……ぜ泣く?ら、乱交?」

天光丸「無視してくれ。徳男殿の素行に問題があるのは重々承知だが、彼の言葉に嘘はない。この問題は我々の領分だ。任せて貰ってもよろしいだろうか?」

(;゚∋゚)「むぅ……天光丸殿がそう仰るなら……」

('A`)「日頃の行い」

小竜景光「自覚があるなら天光丸を見習って落ち着きのある生活をしてください」

('A`)「あー、近づいてもよろしいかな?巡査部長殿」

( ゚∋゚)「やや不服だが、仕方があるまい。参羽鴉の連中だ!!通せ!!」


<本当に大丈夫っすかー?


( ゚∋゚)「ダメなら男連中だけ撃ち殺しても構わん!!」

( ^ω^)「職権を乱用するな」


御華見衆は秘密機関ではあるが、禍憑、禍魂に関わる事件発生時の円滑な解決の為、軍や警察の一部関係者にはその存在を公表している
中には得体の知れない組織を快く思わない者もいるが、少なくとも参羽鴉とこの小鳥遊という警官の関係は、軽口を叩き合う程度には良好と言えた


(´・ω・`)「もうウナギでもいいや」

( ^ω^)「この大勢の観衆に一生残る心の傷を残そうとすんな」

('A`)「そういう春画あるぞ」

( ^ω^)「なんで持ってんだよきめえよ」

(´・ω・`)「帰ったら貸して」

('A`)「いいよ」

( ^ω^)「引く」

鬼切安綱「やーーーーーめーーーーーて!!!!ウチ帰るってばーーーーーーー!!!!!」

天光丸「近づくだけだ!!飛び込めなんて無茶は言わん!!」

( ゚∋゚)「小竜殿」

小竜景光「あ、あはは……いざとなれば皆さん頼りになる方々ですので……」

('A`)「とっつぁん。一応、人払いしてくんねーか?」

( ゚∋゚)「それは勿論だが……禍憑が絡んでいるのか?」

('A`)「今回ばかりは無関係だが、発展しねーとも限らねーからな」

( ゚∋゚)「それはいかんな。よし、直ぐに遠ざけよう」


小鳥遊は部下に指示を出し、群衆の退避誘導へと向かう
徳男は川岸に近づくと、義手である右手を水の中へ突っ込み、一尾のヤツメウナギを掴み取った


('A`)「ご立派ァ!!」

天光丸「確かに……これは大きい」

(´・ω・`)「ガバガバになっちゃう」

( ^ω^)「やめろって」

('A`)「小竜、どう見る?」

小竜景光「そうですね……まず、ヤツメウナギの生息地は北に位置します。誰かが生きたまま名古屋へと持ち込み逃したものが繁殖したか……霊脈の影響で新種として発生したかが考えられますね」

鬼切安綱「よりによってどーしてそのキモい魚なのー……」

('A`)「一晩でこれだけドッと湧いたのについては?」

小竜景光「恐らく、霊脈による影響が繁殖力の増大と成長の促進だったのでしょう。他の魚も例外では無かったとは思いますが、生存競争の結果としてこれらが頂点に立ったのではないかと」

鬼切安綱「だーかーらぁ!!」

('A`)「まぁ人間に影響が無かっただけ良かったじゃねえか。春画みてーな展開になってた所だぞ」

( ^ω^)「なんでもかんでも春画に例えんなお」

(´・ω・`)「それを望んでたのに」

( ^ω^)「オメーご老人もお子さんもエラい事になる光景見てーのか?」

('A`)「そうだぞ。せめて十八以上じゃないと発刊出来ねーんだからな」

( ^ω^)「そういう事言いてーんじゃなくて」

天光丸「問題は処理だろう?これだけの量だ。我々巫剣でも一筋縄ではいかんぞ」

('A`)「毒でも流すか……」

天光丸「駄目に決まっている!!どうしてそう短絡的な発想に至るのだ!!」

('A`)「じゃあ他に名案があんのかよ天光丸さんよぉ。春画みたいに谷間にヤツメウナギ潜り込ませて捕らえるか?」

天光丸「主殿、私闘の許可を」

( ^ω^)「……」

天光丸「何を『それはそれで……』みたいな顔をしている!?」

('A`)「まぁエッチな展開はさて置き、他に案がある者は?」

鬼切安綱「帰る」

('A`)「却下」

鬼切安綱「なーんでー!?」

(´・ω・`)「はい」

('A`)「はいオッサン」

(´・ω・`)「お前が仕切ってんのすげえ腹立たしい」

('A`)「そうか。俺もアンタを所長に担ぎ上げたのを毎日後悔してるよ」

(´・ω・`)「は?」

('A`)「は?」

小竜景光「犬も食わない喧嘩をなさらないでください」

(´・ω・`)「食わない……?あっ、私に良い考えがある」

( ^ω^)「駄目そう」

(´・ω・`)「食おうぜ、これ」

鬼切安綱「えっ、キモ……マジあり得ない……」

小竜景光「と言うと?」

(´・ω・`)「いや一度機会があって蒲焼き食ったことがあってよ。ウナギとは食感が違うが、そこそこ美味くてな。滋養強壮にもなる」

( ^ω^)「ほぅ……」デブゥ……

鬼切安綱「あ、なんだちゃんと料理するんだ……てっきりそのままいくのかと思ったー……」

(´・ω・`)「誰がウナギの踊り食いしようなんて言ったよ?」

鬼切安綱「ショボンならやりかねないなって」

(´^ω^`)「上下の口にウナギぶち込むぞ?お?」

鬼切安綱「サイッテー……」

('A`)「おいエッチな話すんなよ」

( ^ω^)「エッチか?想像したら結構エグいお?」

('A`)「エッチな妄想すんなよ」

鬼切安綱「ブーンくんサイッテー……」

( ^ω^)「待て、俺が悪いのか?」

天光丸「コホン!!食すという方法は悪くないが、どう捕えるかは解決していないぞ」

(´・ω・`)「んなもん人海戦術だろ。漁師捕まえて投網でもすりゃあ入れ食い状態だぜ?」

小竜景光「となると……調理師も必要になりますね」

( ^ω^)「……これ人払いしない方が良いんじゃねーかお?」

鬼切安綱「どうしてって……ブーンくんまさか」

( ^ω^)「うん、売る」

鬼切安綱「マジで言ってる系?」

( ^ω^)「商売の好機は逃すなって親兄弟に叩きこまれてんだお。大坂人の銭に対する意地汚さ舐めるな」

('A`)「おーーーーいとっつぁーーーーーーーーーん!!!!!!!!人払い中止ーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


<なんだとーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!?????


鬼切安綱「待って待って決断早い」

('A`)「いや名案だって。川に毒流して下手に水汚すより大勢で食い尽くせば金は稼げるわ死体腐らせずに済むわ美味しいご飯にも出来るわで無駄がねえ」

小竜景光「ヤツメウナギの被害で稼業が行えない方の救命処置にもなりますしね」

(´・ω・`)「大量に生ゴミも出るが、それはどうする?」

('A`)「ちょうど巫魂を使って生ゴミをたい肥に作り替える機械が完成したから、農家に売ろう」

天光丸「常々思うのだが、巫魂を何にでも使える万能燃料と捉えていないか?」

('A`)「実際そうだろ」

天光丸「くっ……腹立たしいが、役に立ちそうな分文句も言えない……!!」

( ^ω^)「噛み合いまくりじゃねーか」

(´・ω・`)「完璧か……?」

('A`)「大量のヤツメウナギを退治するために御華見衆に加入したと言っても過言ではないな」

鬼切安綱「過言じゃん……」

小竜景光「七星剣あたりが聞きつけた日には大きな雷が落ちますね……ではショボン、ご指示をどうぞ」

(´・ω・`)「よし、俺とアンは知り合いの飯屋に片っ端から当たってみる。ドクと小竜は機械と調理場所の用意、ブーンは必要経費と儲けの算出。天さんは漁師に声を掛けてくれ」

('A`)「なんかこう可愛く『がんばるぞいっ☆』ってしとく?」

(´・ω・`)「お前そんなもん……」


(´・ω・`)「……」


(´・ω・`)「やるだろ」

('A`)「せーのでいこうぜ」

(´・ω・`)「せーのっ」


(^A^)(´^ω^`)「「がんばるぞいっ☆」」キャピッ


( ^ω^)「お前らが遊んでる間に巫剣連中みんな行ったお」

('A`)「ノリ悪いよな」

(´・ω・`)「な」

( ^ω^)「冷静で的確な判断力だと思う」

【参羽鴉準備中……】



※本当はここに超人血盟軍の『なんという冷静で的確な判断力なんだ!!』のAAを載せたかったんだけど、ゆでたまごの嶋田先生がAA嫌いだって目にしてやめておいた



【参羽鴉準備中……】

(´・ω・`)「……スゥーーーーーーーーッ」


(#´゚ω゚`)「ヤツメウナギをォォッ!!!!!!!!!!捕まえたいかァァァーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」


漁師さん達<うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!


(#´゚ω゚`)「ヤツメウナギをォォッ!!!!!!!!!!!調理してぇかァァァーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」


料理人さん達<うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!


(#´゚ω゚`)「ヤツメウナギをォォッ!!!!!!!!!!!食いてえかァァァーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!」


集まった血気盛んな皆さん達<うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


(#´゚ω゚`)「食物連鎖の頂点はァァッ!!!!!!!!誰だァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!」


集まった血気盛んで腹ペコな皆さん達<俺だ俺だ俺だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


(#´゚ω゚`)「参羽鴉主催ッ!!!!!!!ヤツメウナギ食い倒れ大会のォォォ……」


(#´゚ω゚`)「開催じゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」カイサイジャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!




\うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!/ ドゥッワァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!




.

( ^ω^)「ど う し て こ う な っ た」

('A`)「こ の 規 模 は 想 定 し て な か っ た」

鬼切安綱「アレにこの手の催し事任せちゃダメだって言ったじゃん……扇動力の化け物だよー?」

天光丸「ま、まぁ……迅速に解決しそうで良かったじゃないか……」

小竜景光「ある意味、禍憑退治より骨が折れそうですね……我々も気張っていきましょうか」


<オイ!!本当に大丈夫なんだろうな!?警備と誘導で人員倍に増えたんだぞ!!


小竜景光「……警察の方々の為にも」

('A`)「悪ぃとっつぁーーーーーーーん!!めっちゃ頑張るから頼むわーーーーーーーーーー!!」


<クソ……終わったら一杯奢れ!!!!!!


('A`)「ブーン、経費で落ちるか?」

( ^ω^)「接待費として本部から全額下りる」

('A`)「とっつぁーーーーーーーーん!!!!!!部下連れてきていいぞーーーーーーーーーー!!!!!」


<聞いたな!!人の金で酒が飲める好機だ!!


('A`)「チョロいな」

小竜景光「全くもう……御華見衆の懐にも限度があるのですよ?」

('A`)「どうせ華族出身のクソ無能上層部がたんまり抱えてんだからちょっとは還元して貰わねえとな」

鬼切安綱「タダで飲めるならなんでもいいし……早くこの悪夢忘れたーい……」

天光丸「いつになく弱っているなアン殿……」

( ^ω^)「そんじゃ、がっぽり稼ぐとするお」

天光丸「儲けはちゃんと公平に分配されるのだろうな?」

( ^ω^)「仕事仕事仕事ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」ダッ!!

天光丸「あっ、こら!!まずは帳簿を見せろ!!地域の信用問題に発展してしまうぞ!!」

【ヤツメウナギ食い倒れ大会の様子をダイジェストでお送りします】※LIVE


漁!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


(;^ω^)「いや重っめえええええええええええええええ!!!!!!本来こんな捕え方想定してねえだろこの投網!!」グググ……

天光丸「フンッ!!!!!」ドゴッワァ!!!!!!!


<凄いぞあの姉さん!!

<あの量のナツメウナギをたった一人で!?

<それに比べてあのデブは……

<根性のねえデブだ……

<痩せろデブ

<デブは国土を狭くする


(#^ω^)「おい聞こえてんだぞ漁師連中ゥ!!!!!だぁって手ぇ動かせボケ共ォ!!!!!」



調理!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


(´・ω・`)「どうだ?」

「お前さんの言った通りだ。『傷物』が多すぎて売りモンにゃならん。この場で捌いて食っちまう分には問題ねえが」

(´・ω・`)「やっぱりそうか……」

「それとだな……恐らくこいつぁ……」ボソボソ


(;´・ω・`)そ「んなっ……マジか……?」


<ショーボーン!!遊んでないで早く作ってよー!!提供間に合ってないんだからー!!


(;´・ω・`)「あ、後で対処する。今は料理に集中しよう」

「頼むぜ……俺ァ『餌』になんかなりたくねえんだからな……」

配膳!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


<ねーちゃんまだかぁーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!

<早く食わせろーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

<酌じゃあ!!!!!!!!!酌をせんかぁ!!!!!!!!!!


小竜景光「はーい、ただいまー!!」

鬼切安綱「はいこちら二人前ね!!おじさん悪いんだけどここそういう店じゃないから!!」

('A`)「アンお姉ちゃーん、巫魂切れたー」

鬼切安綱「あーもー!!なんでウチの巫魂なワケ!?そっち生臭くて普通に最悪なんだけど!!」

('A`)「炎属性で天下五剣に匹敵する実力と巫魂容量を持つアンお姉ちゃん早くー」※秘密機関情報

鬼切安綱「わかったわかった後で行くからー!!」


<酌じゃあ!!!!!!!!!!!


('A`)「はい」トポポイ


<あ、これはどうもご丁寧に。ではご返杯っと


('A`)「おっとっと」


小竜景光「遊んでないで働いてください!!!!!!!」



警備、誘導


「最後尾は此方でーす!!」

「列通りまーす!!」

「はいもうちょっと詰められます!!半歩前、半歩前進んでください!!」


( ゚∋゚)「……」

(・∀ ・)「……あの、年に二回くらいある祭りの経験が役に立ちますね」

( ゚∋゚)「暴動の一つや二つ起きるものかと思ったがな……」


<すいませーん!!新刊二部!!

<し、新刊?あるじ、何か別の物まで売ってません?

<俺の恋人レビュー本 ※人形


(・∀ ・)「これ別の客もごく一部混ざってるっすね」

(;⁻∋⁻)「あのバカ共が……」

―――――
―――



<食った食ったー!!ごっそーさんー!!


(#´゚ω゚`)「こっちはくったくたじゃボケェ!!!!!!毎度ォ!!!!!!!!」

( ^ω^)「客にキレんな」


真上に位置していた太陽が深く西に傾いた頃、ヤツメウナギの数と同じように集まった客も満腹の腹を撫でながら減っていく
落ち着きを取り戻した河流の中では、辛うじて逃げ延びた生き残りが伸び伸びと身体を畝らせ泳いでいた


('A`)「やっぱ地域の繋がりって大事。改めてそう思った」

鬼切安綱「も……もう無理……足腰立たない……」

小竜景光「接客に加えて巫魂の提供もしてましたから、無理はありませんね……後片付けはお任せください」

(´・ω・`)「ブーン、アガリの方はどうだ?」

( ^ω^)「ちょっと待てお……えー、人件費にショバ代、材料費差し引いて、堆肥の売り上げ足せば……おっ、黒字だお!!」

(´・ω・`)「やったぜ」

('A`)「今夜は飲み放題だ」

天光丸「災い転じて福と成すとはこの事だな……拙者も今日は些か疲れた。早く切り上げよう」

(´・ω・`)「あー、その事なんだがな……」

鬼切安綱「やめて、もうウナギの話聞くのもマジ無理」


(´・ω・`)


(´^ω^`)「俺らが捕まえて捌いて食ってたの全部稚魚でーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


鬼切安綱「もおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」


('A`)「痴女……?」

( ^ω^)「なんで急に獅子貞宗(変態)の話を……?」

小竜景光「稚魚と仰ったのですよ……疲れで頭が回っていないようですね」

天光丸「いや、いつもこんなものだと思うが……所長殿、誠か?」

(´・ω・`)「ああ、鰻屋の大将が言ってたから間違いねえ。大きさこそ成長済みのウナギだが、皮膚の模様が稚魚のそれだとよ」

( ^ω^)「そんじゃあアレか?これ以上のデカさに成長するかも知れねえって事かお?」

(´・ω・`)「うん」

鬼切安綱「ねえええええええええええええええええええええ!!!!!!もう泣きそうなんだけど!!!!!!」

(´^ω^`)「泣かないで!!!!!!!!!!!!!!!」

鬼切安綱「うっさいバーカ!!!!!!!」

小竜景光「模様ですか……盲点でしたね。もっとしっかり調査すべきでした……」

('A`)「いやどっちにしろ乱獲と大量消費はしなきゃならなかったから過程は同じだろ。だからこそオッサンも今まで黙ってたんだろうし」

(´^ω^`)「その顔が見たかった……キショい生き物に絶望するその顔が……」


(´^ω^`)「ダーーーーーーーーーッハッハッハッハッハッハ!!!!!!!!!!!」


小竜景光「……本当にそうでしょうか?」

('A`)「違うかも知れない」

( ^ω^)「アレでよく関係続けてられんな」


<フンッ!!

<あああああああああああああ眉毛がああああああああああああああああ!!!!!!!


天光丸「しかし、漁師も調理師も帰してしまったぞ。我々だけで残りのウナギを捕らえられるのか?」

('A`)「やっぱ毒か……」

天光丸「だから!!」

(´・ω・ )「その点に関しては心配するな。私に良い考えがある」

( ^ω^)「ダメそう」

小竜景光「あらあら、眉毛がごっそり」

(´・ω・ )「人のやる事じゃない」

鬼切安綱「ウチ巫剣だしー……」


(´・ω・`)←炭で書いた


(´・ω・`)「数が減った以上、網放り込んで捕らえる方法は非効率だ。だからやり方を切り替える」

('A`)「毒か!!」

天光丸「毒から離れろ!!」

( ^ω^)「h 小竜景光「あるじから遠ざかるという小ボケはいりませぬよ?」大坂人に流れるお笑いの血を速攻で鎮めんな」

(´・ω・`)「お前らも薄々勘付いているだろうが、大量発生によって餌となる魚は殆ど食い尽くされてる。その証拠に、ヤツメウナギ同士の共食いが発生していた」

鬼切安綱「ウチ耳塞いでて良い?」

(´^ω^`)「嫌でもねじこむぞ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」

小竜景光「つまり、ヤツメウナギは飢餓状態にある、と」

(´・ω・`)「その通り。そこに新鮮な餌を放り込めばどうだよ?」

('A`)「春画みたいになる」

(´^ω^`)「正解!!!!!!!!!」

( ^ω^)「正解じゃないが」

天光丸「竿釣りに切り替えるというワケだな。しかし、数が激変したとはいえチマチマと釣り上げるには途方もない時間が掛かるのではないか?」

(´・ω・`)「だーれが竿なんてかったるい方法取るかよ。ヤツメウナギだぜ?」

('A`)「小竜、人道的な方法だと思うか?」

小竜景光「義理人情に厚い任侠の男を信じましょう」



(´^ω^`)「生きた野郎を放り込んで吸い付かせようぜ!!!!!!!!!!!!!!!!!!あっ、俺以外な!!!!!!!!!!!!!!」



('A`)「義理人情が裸足で逃げ出したな」

小竜景光「期待はしていませんでしたが」

鬼切安綱「ブーンくーん」

( ^ω^)「よし来た」ガシッ

(´^ω^`)「えっ、なんで俺の帯を掴むの?」


(#^ω^)「ドスコイ!!!!!!!!!!」グワッ!!!!!!


(´^ω^`)「えっ」ブワァッ


(´・ω・`)「えっ……」フワァ


\ドボォン!!!!!!!!!!!!!/


<ビチチチチチチチチチチ!!!!!!!!!!

<おぎゃああああああああああああああああああああああああ吸引力の変わらないただ一つの生命体ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!


( ^ω^)「おーおー、食いつく食いつく。たまにはオッサンの言う事も正しいお」

('A`)「まぁ初っ端は乗り気だったし本望だろ」


<早く助けろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!


鬼切安綱「血の気多いんだからちょっとは減らしてもらったらー?」

天光丸「薄情にも程があるぞ!!所長殿、この縄を掴め!!」バッ!!




:(;´゚ω゚`):「ハァ……ハァ……」


(;^ω^)「うわっ……気持ち悪っ……」

('A`)「お嫁に行けなくなっちゃう」


凡吉の予想通り、飢えたヤツメウナギは飛び込んできた新鮮な『餌』に傍目も振らず食いついた
腕や足、中には頬など、露出した肌を覆い隠す程の『黒い滑り』が彼の身体に張り付いている
その姿はまるで、深海より現れし忌まわしき怪物を思わせる様であった ※SANチェック案件


(;゚∋゚)「おい何の騒g……嘘だろ……そこまで性癖を拗らせていたか……?」

:(;´゚ω゚`):「ど、ど、どうみても拷問だろ……叫ぶ気も失せるわ……」

小竜景光「アン、軽くでいいので火縄を出して貰えますか?ヒルと同じく炙れば簡単に取れると思いますので」


鬼切安綱「」


小竜景光「アン?アn……失神してる……?」

天光丸「アン殿の容量を超えてしまったようだな……拙者も、うぷ、少々厳しい……」

('A`)「馬鹿野郎おめえこんなもんで気持ち悪がってたら性癖異常者用の春画なんて読めねえぞ」

天光丸「ああ、それで構わない……今後一生読む機会も、ない……」

( ^ω^)「天さん休んでていいお。ほれ、火」


芯まで真っ赤に燃える炭を火ばさみで掴み上げ、次々とヤツメウナギに押し付ける
重力に負けじと吸い付いていたそれらは、火傷の痛みと驚愕で呆気なく凡吉から離れ地面をのた打った


('A`)「持ってきててよかったシュッとするやつ」※前話参照

(´・ω・`)「お前ら今更取り繕っても後でシバき回すからな」

('A`)「えっ?俺関係なくない?」

( ^ω^)「俺もアンさんに言われて従っただけで悪くなくない?」

(´・ω・`)「腹いせ」

('A`)「ブーン、投げ込め。十回くらい繰り返せばこの件は解決だ」

(´^ω^`)「冗談だってぇ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!俺ら盃交わした兄弟分だろ~~~~~~~~~~~~~~~~???????????喜びは倍に、苦しみは分け合おうぜ~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」

('A`)「死ね」

( ^ω^)「ヤクザはすーぐ人をいい様に扱うよな。人間クズ」

(・∀ ・)「兄貴達なーに遊んでんすかー?さっさと飲みに行きましょうよー」


びっぷ町警察巡査

(・∀ ・) 『斎藤 又貫』
年齢:二十一
経歴:駆け出し警察官。実家は槍術道場。びっぷ町民が選ぶ弟分が似合う警官第一位
特徴:人懐っこく明るい性格。お調子者の側面がある。最近、彼女が出来た。良かったね
呼名:又貫、まーくん、またぬきの『ぬ』を『ん』に変えて逆から読んだらきんたまになるよな。じゃあお前またんきで
好き:彼女。じーちゃん。クックルパイセン。傍目に見てたら面白い参羽鴉の兄貴達
苦手:マジギレした彼女。マジギレしたじーちゃん。マジギレしたクックルパイセン


('A`)「きんたま」

小竜景光「あるじ」

(・∀ ・)「又貫っす。まーだなんか仕事残ってんすか?」

( ^ω^)「なんかこれ稚魚だからクソカスになるまで減らさないと後々大変なことになる」

天光丸「ざっくりしすぎだろう……」

( ゚∋゚)「それで文字通り身体を張って捕まえているのか……大h……変態だな……」

(´^ω^`)「これから大変なのはお前らだけどな!!」

(・∀ ・)「え、俺泳げないんで無理っす」

( ゚∋゚)「一度食われてしまえば何度食われても同じことだろう。骨と皮になるまで繰り返せ」

(;´^ω^`)「なぁ~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!ここまで地域貢献してんだからさぁ~~~~~~~~~~!!!!!ちょっとは労ってくれてもいいだろうが~~~~~~~~~~~!!!!!?????」

( ゚∋゚)「見逃してやった余罪をここで読み上げてもいいのだぞ?」

(´^ω^`)「やっぱおまわりってクソだわ」

(・∀ ・)「元ヤーさんが言うと説得力ダンチっすね」





小竜景光「……」


小竜景光「くじで決めましょうか」




( ^ω^)「お前の愛刀だろ早く説得しろよ」

('A`)「ああ、伝わってくるぜ。もう疲れたから多少非人道的でも早く終わらせたいっつー巫魂のため息が」

( ^ω^)「もう無理じゃん」

小竜景光「それでは……この何の変哲もないくじを引いてください」

('A`)「ぜってー種と仕掛けあるだろそのくじ」

( ゚∋゚)「……小竜殿」

小竜景光「何か?」

( ゚∋゚)「何故……五つもあるのだ……?」

小竜景光「はい?ひーふーみー……ちょうどだと思いますが?」

(・∀ ・)「俺らもっすか?」

小竜景光「え?はい」

( ^ω^)「ビビってんのかオェーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!!」

(´^ω^`)「ヘイヘイヘイヘ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~イ!!!!!!!!!」

('A`)「今宵も参羽鴉と地獄に付き合ってもらう」


(・∀ ・)「面白そうだし良いっすよ」キンタマァ!!!!!!!!!!


(;゚∋゚)そ「ばっ、おま……!!」

小竜景光「宜しければ一斉にお引き願えますか?暗くなる前に終わらせたいので」

(;゚∋゚)「く……わかったわかった!!私はこれだ!!」

( ^ω^)「恨みっこなしだお」

('A`)「当たり前だ」

(´^ω^`)「俺達ズッ友だよ!!!!!!!」

(・∀ ・)「当たり引いて逃げた人は射殺していいんすよね?」

(´・ω・`)「いやいやいや」

('A`)「いやいやいや」

( ^ω^)「いやいやいや」

( ゚∋゚)「いやいやいや」

天光丸「早く引け」

(´・ω・`)「せーのっ!!」バッ!!


('A`)「はずれ」

(´・ω・`)「まぁそこまでくじ運の神様も酷じゃねえよな」

(;゚∋゚)「フゥー……肝を冷やす……」

(・∀ ・)「俺も何もなしっすね。っつーことは……」




( ^ω^)「」




(・∀ ・)「ブーン兄貴っすね。つーかくじがお花に変わってるじゃないっすか!!すげえ!!」

小竜景光「フフッ。奇術師たるわらわにとってはこの程度、造作もございません♪」

('A`)「奇術で人を笑顔にするどころか絶望に突き落としてんじゃねーか」

小竜景光「この場で『当たり』をもう一つ増やしても良いのですよ、あるじ?」

('A`)「おうお前ら拍手せんかい。笑え。爆笑しろ」

(´^ω^`)「\ドッワハハ!!/」

('A`)「何それ?どんな笑い方したらそうなんの?」




( ^ω^)「」




(・∀ ・)「一瞬でも逃げる素振り見せたら撃ち殺して良いっすよね?」

天光丸「拙者が困る。やめてくれ」

( ゚∋゚)「やれやれ、サッサと飛び込んでくれ。そろそろ酒クズの部下共が痺れを切らすのでな」


<酒ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!ピギィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!


( ゚∋゚)「ほらな」

(´・ω・`)「飲めないだけであんな取り乱し方する?お前の部下こわ……」

( ^ω^)「」


天光丸「その……主殿?急を要する事態でも無い。拙者から再考を申し立てて……」

( ^ω^)「天さんは」

天光丸「う、うん?なんだ?」

( ^ω^)「俺がヤツメウナギに身体中吸い尽くされても……」


( うω;)「うっ……愛刀、辞めないでくれるかお……?」


天光丸「あ、ああ……勿論だ!!逃げないで立ち向かう君を、拙者は誇りに思う!!」


(´・ω・`)「俺もあれくらい褒められて然るべきなんだけど」

小竜景光「人に押し付けず自主的に行動を起こしていれば、アンを含む全員が拍手を送っていたのですよ?」

('A`)「まぁそれはそれで気味が悪いけどな……つーか泣くなよ……」

( ;ω;)「じゃあ先にお前行って」ガシッ

('A`)「は?」


(#^ω^)「死ねドスコイ!!!!!!!!!!!!!!!」グワッ!!


('A`)「クッソ~~~~~~~~~~~~~~!!!!!油断したぜぇ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」フワブサァ……


(・∀ ・)「すっげ!!空飛ぶブサイクだ!!」



\ドボォン!!!!!!!!!!!!!/


<ビチチチチチチチチチチ!!!!!!!!!!

<ああああああああああああああああああああああああああああああああああああヤバい右手切り落とされた時よりも辛ぇえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!



(´・ω・`)「満足か?」

( ^ω^)「何も満足しねえよ死ね」

天光丸「君らはお互いを災難に巻き込まないと気が済まないのか……?」

('A`)「あっでも案外イケるかもしれない」ザパァ!!

天光丸「うわぁ!?普通に泳いで戻ってくるな!!」

小竜景光「ショボンほどじゃないですが、そこそこ噛みつかれているのによくもまぁ……」

('A`)「春画読んでて助かったぜぇ~~~~~~~~~~~~~~い……」

(;゚∋゚)「大量のヤツメウナギに噛まれつつも岸まで自力で泳ぎ切る方法が載っている春画があるのか……」

(・∀ ・)「それもう専門書じゃないんすか?」

('A`)「じゃあデブ、行け」

(;^ω^)「とほほほ~~~~~~~~~~~~い……今日は散々な一日だお……」

小竜景光「数は減っていますよ!!ブーン、ふぁいとです!!」

天光丸「う、うむ……武運を祈る」

(´・ω・`)「送り出して貰えるだけ俺らの数倍恵まれてるよ」

('A`)「そうだぞ」

(;゚∋゚)「お前はいつまでウナギをくっつけたままでいる気だ!!正気の沙汰じゃないぞ!!」

('A`)「なんか頭がふわふわしてきた。そういう効果とかあるんかな?凄いなヤツメウナギ」

(・∀ ・)「いや、顔色悪いんで血の吸われすぎっすね」

('A`)「どっひゃー!!道理で寒気がすると思ってたんだー!!小竜、墓には『ヤツメウナギに愛されすぎた男、ここに眠る』と刻んどいてくれ」

小竜景光「泣いていいのか笑っていいのか判らない亡くなり方を受け入れないでください……はい、火です」

('A`)「サンキューコッリュ」

(;^ω^)「死……死ぬのかな、俺……死にたくない……ヤツメウナギで死にたくない……」

天光丸「大丈夫……と言って励ましてやりたいが、こればかりは拙者も気休めを言えない……」

( ^ω^)「強めの酒ある?」

(´・ω・`)「みりんなら残ってるぞ」

( ^ω^)「くr……いや流石にみりんはキツいわ。よっしゃもうシラフで行くかァ!!やったるかァ!!」

('A`)「ぜーーーーーんーーーーーーら!!!!!ぜーーーーーーーんーーーーーーーら!!!!!!!」

( ^ω^)「褌は履かせろ」


腹を括った武雲は渋々といった様子で服を脱ぐ
引退したとは言え、力士よりも遥かに強大で凶悪な禍憑と対抗する為に鍛錬と体格維持を続けている彼の肉体には横綱を凌ぐ貫禄があった
そして乳首の色は綺麗な桃色であり、小指の先で突いただけで嬌声を上げるほど敏感であった。乳輪も、赤子の拳ほどの大きさを誇っている
彼の性癖は至って正常なものであり、開発を繰り返したり謎の機械装置によって感度を三千倍にされたわけでもない。ただ、先天的に乳首の神経が敏感なだけなのだ

過去には一度、薬師である巫剣『牛王吉光』にどうにかならないか相談したが、意地悪な笑みと共に『へぇ』と答えられた瞬間、その場から全力で逃走し、以後この話については触れていない
武雲の性感帯に詳しい御華見衆名古屋駐在所長『大潮 凡吉』は後にこう語ったと言う


(´・ω・`)「オチが読めてるから今の段階で笑い堪えるの必死」


と。彼らの名誉の為に追記しておくが、別に閨を共にしたわけではない


( ^ω^)「笑い殺してやる……絶対に笑い殺してやるからな……」

('A`)「覚悟決めたお前、すげえかっこいい……ぜ!!」

( ^ω^)「うるせえ死ねブサイク」

天光丸「い、意地になって長く身を晒さない方が良い。拙者も、無理だと感じたら直ぐに縄を引くからな」

( ^ω^)「わかってる。一生涯苦しむほどの心の傷を奴らに刻み込んでやるお」

天光丸「わかってないじゃないか!!」

( ^ω^)「それじゃあ……逝ってくる!!」

身体に縄を結びつけた武雲は、意を決して川へと飛び込む


(#^ω^)「内藤家式脂肪水泳法!!!!!!!!!!!!!!!」ダバババババ!!!!!!!


御大層な名前を付けられているが、ただのバタ足である。豪快に水しぶきを撒き散らすが、速度は伴っていない
川の中程まで進むと、既に足が底に着かないほど深い。バタ足から立ち泳ぎへと切り替えると、真新しい餌目掛けて『水』が蠢いた


(;^ω゚ )そ「あっふ!!!!!」


余程目立ったのだろうか。それとも、突起している部位だからだろうか。ご期待に添えるかのように、ヤツメウナギが乳首へと噛み付いた
ヤツメウナギの口は非常に特殊な構造をしている。『円口類』という分類名の通り、顎の無い丸い口なのだ
獲物に寄生し、血を吸って糧にする種族のため、咀嚼の為に必要な『歯』は無く、代わりに無数の鋭い歯状突起がある
そして激しく暴れられても逃がさないように、非常に強力な『吸引力』を有している。つまり


:(; ゚ω゚ ):「ひぃんひいいいいいいいあっひいいいいいいいいいい!!!!!!!???????」


武雲の乳首は今、いくつもの鋭い針に突き刺されながら、強烈に吸い付かれている状況下にあるのだ
後に、新種ヤツメウナギと彼の敏感乳首について論文を書き上げた徳男はこう語ったという


('∀`)「アッヒァヒwwwwwwwwwうえっwwwwwwwww」





:(´^ω^`):「アフッゴホッwwwwwwwwwwwwwwwwwwwヒッwwwwwwwwwwwwい、息wwwwwwwwww死ぬwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

(・∀ ・)「なんか三者三様って感じでマジ飽きないっすよね。尊敬するっす。ところでパイセン」

( ゚∋゚)「部長と呼べ。なんだ?」

(・∀ ・)「これ取り締まり案件じゃないっすか?下手……下手しなくても拷問っすよこれ」

( ゚∋゚)「確かにそうだ。だが……」



( ゚∋゚)「おもろいから良し!!!!!!!!!!」クックドゥドルドゥ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



小竜景光「この町にしてこの警官ありですね……天光丸、可笑しな噂が立つ前に引き上げましょう」

天光丸「……」

小竜景光「天光丸?」

爆笑と嬌声が響く中で、最初にその存在に気付いたのは天光丸だった
続いて傍らの小竜景光も、武雲に近づく『異質な水の動き』に息を飲む


:(; ゚ω゚ ):「フゥアッフンンンごぼぼぼごぽんんんっふんふぅ!!!!!!!!!???????????」


武雲はヤツメウナギに対する疑似授乳プレイでそれどころではない。左の乳首も吸い付かれて思考回路はショート寸前であった


天光丸「主殿!!」


:(; ゚ω゚ ):「んひぃぎぃ!!!!!!!!!?????????」


愛刀である天光丸の呼びかけに答える余裕もない。この瞬間、武雲の脳内には様々な思いが錯綜していた






         恥ずかしい      乳首痛い                             死にたい

                                         恥ずかしい
  死にたい            あいつら殺す          
                                             そして母になる
           泣きたい                        恥ずかしい              乳首感じるんでしたよね?

                            :(; ゚ω゚ ):<ブギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!
               貯金使い切ればよかった
                                                          飲みたい
もう泣く                                           死にたい     
                           お嫁に行けない
             兄貴                                       恥ずかしい     





痛みと屈辱、そして羞恥に支配された彼を正気に戻したのは――――




天光丸「『親玉』だッ!!!!!!」



(;^ω^)「えっ……?」



水の膜を突き破り、鎌首をもたげた『超巨大ヤツメウナギ』であった

(;゚∋゚)そ「うおおおおおお!!??なんじゃありゃあああああああああああ!!!!!!」


『稚魚』と知った時、その場の誰もがこの存在を念頭に置いただろう。だが、それを誰一人として口にしなかったのは『信じたくなかったから』
遠目から見れば、あるいは大蛇とも龍とも呼ばれただろう。外気に露出した部位だけで凡そ二丈
その口も、巨漢であるブーンの上半身をすっぽりと覆いつくせそうなほど大きく、歯状突起も杭のように太く長い

巫剣や、巫剣使い、そして彼らの事情を知る関係者が各々の驚愕を見せる中で、唯一この男だけは


(´^ω^`)「いやっほーーーーーーーーーーーーーーーーーう!!!!!!!読み通りだバーーーーータレーーーーーーーーイ!!!!!!」


拳を振り上げ、大いにはしゃいだ


鬼切安綱「う……何……うるさっ……」


これに反応した鬼切安綱が目を覚ますが


鬼切安綱「気分わる……どうsキュウ」バターーーーーーーーーーン!!!!!!!!!


視界に『それ』が入った瞬間、再び意識を失った


天光丸「所長殿!?どういう事だ!?」

(´^ω^`)「いやぁ、こいつらの『親』がいるのは間違いねえと踏んでたからよぉ!!ちょいとデカい餌で釣り上げようってな!!こんな上手くいくたぁ思ってなかったがよ!!」

天光丸「外道にも程がある!!貴様それでも御華見衆か!?」

(´^ω^`)「大丈夫だって!!!!!!!!!ブーン頑丈だもん!!!!!!!!」

天光丸「本当に救いようがない巫剣使いだな君は!!!!」

('A`)「禍魂の反応は?」

小竜景光「ありません……純粋な生命体ですが、この大きさは看過できません!!天光丸、縄を!!」

天光丸「わかっている!!でぇいッ!!」

(; ゚ω゚ )そ「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!ごえっふ!!!!!!」グンッ!!


猛烈な勢いで引かれた縄は、武雲の恰幅の良い腹肉にズブズブと埋まっていく。身体は水中から浮き上がり、水切りの石のように水面を跳ねた


(; ゚ω゚ )「おぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!!!!!!!!」ズバババババ!!!!!


('A`)「草」

小竜景光「面白がってる場合ですか!!」

('A`)「いや、良い誘導だ。天さん、速度落とさず岸まで引っ張れ」


稚魚が飢えている。即ち、その何千倍もの大きさである親も然り
でっぷりと肥えたご馳走を逃がすまいと、大口を開けて武雲を追った


天光丸「策はあるのか?」

('A`)「策?爆弾ならあったんだが、こうもビショビショのビショだと使いモンにならねえからな。出たとこ勝負だ」

天光丸「何故持っているのだ!?」

(・∀ ・)「常に持ち歩いてんすか?」

('A`)「いや、こういう事もあろうかと……デブの所為で台無しだが」

(;゚∋゚)「後で話がある!!」

小竜景光「皆さん、下がっていてください!!万が一衝突などしてしまえば、一溜まりもありませぬよ!!」

(・∀ ・)「はーい」

(´・ω・`)「とっつぁん、アンの脚持ってくれ」

(;゚∋゚)「は、い、いや、しかし、意識のないうら若き乙女の身体に触れるのは……」

(´^ω^`)「バーローおめえ巫剣なんて殆どが数百年生きてるおばあちゃんだぞこんなもん介護だ介護!!!!!」

(;゚∋゚)「それでよく愛想を尽かされないな!?クソ、致し方ない!!」


凡吉達はぐたりと力無い鬼切を抱えその場から退避する
人の中で唯一留まっていたのは徳男だけであった


('A`)「小竜、一撃でぶった斬れるか?」

小竜景光「期待に応えたいところではありますが、わらわはそれほど力強くはありませぬので……」

('A`)「じゃあやっぱ天さんだな。隙を作るから後は頼む」

天光丸「任せておけ!!そらっ!!」


(; ゚ω゚ )そ「お゛!? お゛ぉ゛!?」


天光丸が一際力強く縄を引くと、武雲の身体は完全に水面から浮き上がる
それに釣られるように、巨大ヤツメウナギもまた上半身を持ち上げる。地獄に通じているかのような口が、爪先に触れようとした


('A`)「やれ!!」

小竜景光「はいッ!!」


小竜は懐から護符を取り出すと、そこから巫魂による『怪電波』を発射する。紫色の輪が連なった光線が、ヤツメウナギの頭部へと直撃した
本来、暴漢や禍憑を混乱させ無力化させる攻撃であるが、巨大であろうと生物である事には代りないヤツメウナギにも効果はあったようで


小竜景光「今です!!天光丸!!」


猛烈な食欲を一瞬忘れたかのように、動きが緩やかになった

(; ゚ω゚ )・'.。゜「すどっバァ!?」ズシャアアアア!!!!


岸に滑り込んだ武雲と入れ替わりに、天光丸が柄を手に高く跳躍する


天光丸「ぜっ……やァッ!!」


気合の雄叫びと共に、鞘から抜き放たれた刀がヤツメウナギの柔らかな首筋へと食い込む
磨き抜かれた刀身は分厚い皮膚を容易く斬り裂き、勢いよく噴出した鮮血が彼女の身体を汚した
天光丸は瞬き一つもせず、そのまま骨肉を断ち、そして―――――


天光丸「ふっ……っ!!」


両断面を踏み台に、空中で一回転。川に飛び込む事なく、岸へと着地
遅れて、ヤツメウナギの頭が焚火へと落下し、香ばしい匂いと共に火を圧し消した
川の中へと取り残された身体は、失った頭を探すかのように激しくのたうち回った後、力なく倒れ込んだ


('A`)そ「わぁ」


多量の水飛沫が、大雨のように降り注ぐ。天光丸が被った血は、すぐさま洗い流されていった


天光丸「主殿ッ!!」

:(; ゚ω゚ ):「い、い……生きてる、俺……?」

天光丸「ああ、ああ!!すまない、やはり止めておくべきであった!!」

:(; ゚ω゚ ):「いやもう終わったから良いけど……ち、乳首……」



\乳首もげるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!/



本日一番の大絶叫は街の方まで届いたという―――――

―――――
―――



('A`)「さーって、どう報告したもんかな……」


その日の晩、馴染みの店である大衆居酒屋『ますだや』は、より一層の盛り上がりを見せていた
話題はやはり、ヤツメウナギについて。御伽噺を連想させる今日の珍騒動は、酒の肴としても大いに役立っていた


小竜景光「隠し立てするような事はありませぬし、ありのままで宜しいのでは?」

('A`)「乳首情報いる?」

小竜景光「いりません」

( ^ω^)「シュッとするやつ使ってもまだ痛いんだぞ」

('A`)「今日一日で無くなったんだけど」

( ^ω^)「知らんわ」

天光丸「貴重な薬を使いすぎだ……それとアン殿、飲みすぎだぞ」

鬼切安綱「まだ足りない……記憶飛ぶまで飲まないと……」

天光丸「やれやれ……」

('A`)「しかし、不思議なもんだな。あの巨大ウナギをぶっ殺した途端、他の魚がワラワラ寄ってきて餌にしちまうなんてよ」

天光丸「あれほどいた稚魚も鳴りを顰めたからな。まるで泡沫の夢の出来事であった」


一番の大仕事になると予想された超巨大ヤツメウナギの死体の処理は、どこからともなく現れた他の川魚が請け負っていた
これまでの恨みを晴らすかのように、あるいは『川』そのものが、元の生態系へと戻ろうとするかのように、巨大な肉の塊は食べられ続けている


('A`)「『霊脈の影響でしたー』で片付けて良いもんかな……」

小竜景光「後の予防策を講じる為に調査は続けますが、やはり禍魂の気配がない以上、追記する情報も無いとは思います」

鬼切安綱「いーんじゃないのー……結局、『食べ物』だったんでしょー」

小竜景光「と言うと?」

鬼切安綱「ほら……各地にも逸話があるじゃん。飢饉の時に神仏の思し召しで沢山の食料が得られて村は救われたってやーつー……今回はそれ系じゃない?」

天光丸「しかし、飢饉など発生していないぞ?」

鬼切安綱「確かにー、今は農耕技術も発達してってるけどさーあー……昔は食うのに困る年もあったわけじゃん?詳しいことはわかんないけど、誰かが一定の周期で霊脈がドッバドバになるように調整したって線もあり得るくない?」

小竜景光「なるほど……その名残が今になって発動して、今回の件に繋がったとも考えられますね。あるじ、明日また霊脈の調整に赴きましょう」

('A`)「了解道中膝栗毛」

鬼切安綱「だからってさぁー!!なんであのキモい生き物が選ばれたワケ!?マジ意味わかんないんだけど!!ブーンくんもそう思うよね!?」

( ^ω^)「マジそれ。今夜は浴びるほど酒を飲むお」

('A`)「今夜は飲み放題だって言え」

( ^ω^)「今夜もだろ」

天光丸「明日に差し支えない程度に抑えてくれ……だが、二人とも今日は災難だったな」

( ^ω^)「結果的に稼ぎは出たから良いんだけど」

天光丸「図太さとがめつさは変わりないようで何よりだ……その、主殿?」

( ^ω^)「何だお?」

天光丸「そろそろ……許してやっても良いんじゃないか?」

( ^ω^)「天さんのそういう優しいところ、数多い美点だと思う。けど悪い、俺すっげえ根に持つ性格だから」

天光丸「全く……まぁ、自業自得ではあるのだが……」

天光丸が開け放たれたますだやの玄関に目を向けると、ちょうど事後報告を終えた小鳥遊達が入店した
その表情は、困惑したような、それでいて面白いものを見たかのように引き攣っている


(;゚∋゚)「あれは貴様らの仕業か?」

( ^ω^)「そうだよ。文句あるか?」

(;゚∋゚)「いや……ますだやの店主に許可は?」

( ^ω^)「快諾してくれたお」

(・∀ ・)「この街、マジイかれてて最高っすよね。お姉さーん!!注文いいっすかー!!」


ますだやが盛況の理由はもう一つある。表で揺れる赤提灯の側に、一風変わった『客引き』が置いてあるからだ


(´・ω・`)「シテ……コロシテ……」


上半身を露出し、柱にキツく縛り付けられている凡吉である
足元にはご丁寧に、『乳首つねり放題。無料』と書かれた看板が立てかけられていた


「おっ、今日はまた面白い遊びしてんな。参羽鴉の大将!!」

「タダたぁ気前が良い!!いっちょ抓ってみるか!!」

(´・ω・`)「コロシテ……」

「そらっ!!」


<ひぎぃぃぃいいいいいいいいいいいいいん!!!!!!!!!


シラフならいざ知らず、酔っ払い達が往来する飲屋街である。一見すれば酷な仕打ちだが、酒の入った頭からしてみれば只のオモチャだ
ここで彼はかれこれ一時間乳首を抓られ続けていた。乳首と乳輪の色は赤提灯と同じく真っ赤であった

鬼切安綱「ブーンくんも優しいよねー。あんな軽いお仕置きで済ますなんてさぁー」

( ^ω^)「だっるぉおおおおおおお??????」


散々な目に遭った二人は、凡吉の悲鳴を聞いてご機嫌にお猪口を打ち鳴らす
その様子を見て、徳男と斎藤は声を上げて笑い、小竜と小鳥遊は溜息を吐き


天光丸「頭が痛い……」


真面目な天光丸は、酔いの所為ではない頭痛に苛まれた


天光丸「……」


武雲を含む三人には、御華見衆として人々の手本となる生き方をしてもらいたいと常々考えてはいるし、指導を怠った日は一度もない
しかし、彼らと毎日を過ごすに連れ、武士道の『武』の欠片もない面白半分な報復行為を許してしまう自分がいる事も確かだ


天光丸「甘くなったな……拙者も」


それでも、彼らは各々の方法で事態の収拾に努め、市民の平和と安全を守った
それもまた、一つの武士道なのかもしれない。貶し貶され合う友情も、確かにあるのかもしれない


天光丸「ハァ……」


なんて、頭に過ぎった世迷いごとを洗い流すかのように、天光丸は辛口の酒を一息に呷ったのであった




おしまい

示し合わせたわけでは無いのですが、艦これクソSSシリーズの三話目も乳首回でした
あれから四年が経過していますが、僕は何一つ成長していません。乳首で頭がいっぱいおっぱいでした

お疲れさまでした

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