【とある】ノウリョクロンパ~異能の学園と別条の相補性~ (309)

とある×ロンパのクロスss

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1581068360


※これはとあるシリーズのキャラがダンガンロンパ風のコロシアイをする作品です。

※両作品でなんらかのネタバレがある可能性があるため、注意してください。

※キャラ崩壊というか、色々設定が異なってるキャラもいるかもしれません。

※トリックや謎のクオリティは低いはずです。

※暗い展開、鬱展開あり

以上の注意書きを見て大丈夫ならば、↓へゴー!

メンバーは他のスレで決まったメンバー?
それならせめてアリサだけ設定追加安価して欲しい

>>3 違いますね。あれも使いたいですけど、謎考えるのにかなりかかりそう、あっちは


~プロローグ~


 あまりにも長い意識の混濁があった。

 それは永遠にも思えて、いやもしくは本当に永遠だったのかもしれない。

 螺旋を登る足はそこで止まった。

 暗闇の中に、一筋の光が差す。


「……ここは」

 目を開けると、そこは科学的な空間だった。

 SF世界を彷彿とさせる通路が横に広がっており、これまた近未来的な扉が横目にあった。

 記憶が定まらない。

 頭を押さえながら考えるが、いまいち何も分からない。

 何かが床に落ちていることに気づく。

(これは……)

 学生証と生徒手帳……だ。

 そこには、『垣根帝督』と書かれている。何もおかしいところはない。

 そこで何処からか声が聞こえた。

『ピンポンパンポーン! 生徒の皆様は至急、中央エリアにお集まりください!』

 掠れた音に違和感を覚え辺りを見回すと、スピーカーがあった。

???「あなた…大丈夫?」

 いつの間にか誰かが近くに来ていたらしい。混乱していたためか気付かなかった。

「お前は……」

 振り返ると、そこにはドレス姿の少女がいた。綺麗な顔だちをしていたが、やや派手めの格好が目につく。

ドレスの少女「自己紹介は後にしましょう…? 今はアナウンスに従ったほうが良さそうだからね」

「そうだな…」

 見慣れない機械やシステムに触れながら、目的の部屋へと向かった。

食事いってきます。どろん


 そこは一面、白と銀の空間だった。

 格調高い白の机が辺りに並らんでいる。白塗りの装飾品の中に、ところどころ優雅さを醸し出す黒色があった。

 広さはかなりある。天井もかなり高い。大聖堂を彷彿とさせるほどだ。

 異質なまでに不釣り合いな空間の中に、唯一、垣根と釣り合いの取れそうなものがあった。

 それは人間だ。

 俺含めて十人以上いる。誰もかれもが、全く違った見た目、雰囲気を醸し出しており、その一体感のなさが逆に面白かった。

ツンツン頭「まだ他に生徒がいたのか…」

白髪「オイオイ、何人いるんだよォ」

年増「いつまで待たせるのよ」

さらしの女「集められたは良いけど、結局何なのかしら?」




「よくぞ聞いてくれました!……今から説明するよ!」

 


???「ボクは研究長のゲコクマ!」

 どこからか飛び出してきたマスコット?らしきヤツは、壇上部分に飛び降りた。

 白と緑のツートンカラー。

 クマのような半身と、カエルのような半身を持った奇妙な人形だ。

三下「何だこの人形ッ!」

ツンツン頭「こいつは機械なのか…?」

ゲコクマ「やだなぁー! 機械じゃないよ! ゲコクマだよ! 研究長には礼儀を尽くしなさい!」

ゲコクマ「と、言いたいところなんですが……特別に許してあげる!」

ゲコクマ「みんな今の状況について忘れちゃってるから、こうなるのはしょうがないよねぇ」

白髪「忘れてるだァ…? 記憶は朧げだが、オレは長点上機学園から推薦されて入学したはずだが」

短髪「私もそう…!…ていうか、アンタ…その姿、ゲコ太のつもり? もしそうなら怒るわよ…」

ゲコクマ「ひぃぃ!! ゲコ太なんて関係ないよ! ボクはゲコクマだよ!」ガタガタ

「いいから、さっさとさっきの話の続きをしてくれ」

 俺は話が流れるのを見かねて、そう言った。


ゲコクマ「君たちはね、あるプロジェクトを受けてるんだ。その名も『絶対能力者到達計画』……まぁ、簡単にいうと君たち能力者の能力開発をする計画だね」

アロハグラサン「それが今の状況とどう関係あるんだにゃー?」

ゲコクマ「それはね! この状況が、この場所が『絶対能力者到達計画』の実験場ということだよ!……だから、今、記憶が安定しないのはその実験の弊害なんだ」

エセ関西「どういうことかいまいち分からんけど……ゲコクマさん、詳しく説明してくれへん?」

ゲコクマ「しょうがないなぁー。あのね、君達はあることをこの実験場で行ってもらう上で、ある制限をかけたんだ」

ゲコクマ「それはひとつ『能力の制限』……そしてふたつ『記憶の制限』」

ゲコクマ「正直言うと、記憶のほうは副次的なものでね……君達も知っての通り、超能力って演算が必要不可欠なんですよ。だから能力の制限と記憶の制限って同義なんだ。まぁ、君達の中には『原石』もいたから、そういった例外だけはこちらから手を出したけどね」

白髪「つまり、オマエの言ってることはこうか? ①オレたちは能力開発を受けた ②その能力開発の実験には能力を制限する必要があった。記憶の混乱は能力の制限によって付随して起きたもの ③ここではあることをやってもらう……」

三下「要約助かる」

ゲコクマ「さすがだよ! やっぱり君は優秀な能力者だね!」


おでこ「それで、あることって何?」

ゲコクマ「よくぞ聞いてくれました!」

 そこでゲコクマはニヤりと──どういう原理で表情を作っているのか分からないが──笑いながら、声を溜めて言った。





ゲコクマ「君達にはコロシアイをしてもらいます!」

 俺はおそらく目を見開いていたと思う。


 それからゲコクマは色々なことを語った。もしコロシが行われた場合、人を殺した人間は“クロ”と呼ばれ、その“クロ”を裁判で、ヒトゴロシをしていない“シロ”が見つけなければならない、と。

 クロとなりシロから逃げることができればクロの能力開発は終了し、一人で外の世界に出ることができる。逆にシロが誤った人間を殺したら、シロ全員がオシオキという名の処刑を受ける、と。

 その他にも、色々なことをペラペラ喋っていたが、全く頭に入らなかった。なぜかというとゲコクマの言っていることが嘘には思えず、取り乱してしまったからだ。

 皆が唖然としている中、ゲコクマは能天気に笑った。

ゲコクマ「とまぁー、説明はこの辺で! 詳しくはお手元の生徒手帳を見てちょうだい! さよならクマー!」

 そう言って、何処かに消えた。

 残ったのは、疑ってかかるヤツと長年の感から、これが真実だと理解してるヤツの二分だった。

 そこで一人が口を開く。

おでこ「取り敢えず、あのクマの言ってることはおいといて……自己紹介しましょう? 交友を深めておくほうがコロシアイは起き辛いと思うわ」

 最もな意見だった。ここにいる人間は誰もが初対面のようだった。コロシアイが頭を過るが、それは隅において一回話すべきだ。

 その女に従いように、話しやすいように全員があたりに散った。


校則

1.生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。

2.夜10時から朝7時までを"夜時間"とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。

3.就寝は各エリアに設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。

4.生徒達は全員、超能力を持っています。様々な制限がされています。また学級裁判中と研究長が禁止にした時間は発動できません。使い方は各自におまかせします。

5.研究長ことゲコクマへの暴力を禁じます。

6.死体が発見された場合、一定時間後に、学級裁判が開かれます。

7.学級裁判で正しいクロを指摘できればクロだけが処刑となりますが、
指摘できなかった場合は、クロ以外の全員が処刑されます。

8.生き残ったクロは、島から脱出する権利を与えられます。

9. 3人以上の人間が死体を最初に発見すると、“死体発見アナウンス”が流れます。

10.監視カメラやモニターなどを許可なく破壊することを禁じます。

11.この建物について調べることは自由です。特に制限は課せられません。

12.裁判に関する詳しいルールは、適宜説明します。

13.コロシアイ能力開発実験で同一のクロが殺せるのは、2人までとします。

14.全生徒の中に、一人クロマクがいます。クロマクの目的は一つ、自分以外の生きている生徒を減らすことです。クロマクは特殊な権利を持っています。

15.能力開発実験でのルールは順次増えていきます。


 俺はさっと手帳を見た。目につくものがいくつかあったが、今は他のやつらと話そう。

 とりあえず、近くにいるやつから声をかけてみるか。


ドレスの少女「近くにいたし、これも何かの縁ね……私は心理定規」

「お前、それ本名か?」

心理定規「まさか……能力名よ」

「へぇ、どういう能力なんだ…?」

心理定規「“私の能力は他の人の能力がどんなものか見ることができる能力よ”」

「能力を見る能力……?」

心理定規「そう……だから私がいる以上、皆は自分の能力を隠すことができないわ」


超高校級の精神能力者 心理定規


(なんか変なテロップと画面出た……)

 しかし、能力を見る能力か。

 俺は記憶が混濁していて、自分の能力が分からないが、こいつなら分かるのか?

「なぁ、俺、記憶がぐちゃぐちゃで自分の能力が分からないんだが、見れたりするか?」

心理定規「お安いご用よ…」

「……」

心理定規「……見れないわ。そういうタイプもいるのね」

「困ったな……」

心理定規「まぁ、気長に待ちましょう」

「気長に待ってたら、殺されちまうよ」

心理定規「それもそうね……」

 ドレスの女は、何が面白いのか微笑んでいた。


「なぁ、心理定規。……どうせなら他のやつの能力も見たい。だから、ついて来い」

心理定規「あら、強引ね」

 次は横にいた、この変なやつに話しかけてみるか。

「なぁ」 

ゴーグル「はいっす」

「俺は垣根帝督。お前の名は?」

ゴーグル「誉望万化っす。難しい漢字なんで何て呼ばれても気にしねぇっす」

「確かに珍しい漢字だな。……なぁ、誉望、お前は何の能力者なんだ?」

ゴーグル「俺は念動力者っすねー」


超高校級の念動力者 誉望万化


(またか……)

「念動力者かすげぇな…」

誉望「まぁ、今は…そんなに色々出来ないみたいっすけどね……垣根さんは?」

「俺は覚えてねぇ……これ嘘じゃなくて、まじでな」

誉望「なるほど。俺もそういって隠しておけば良かったっす」

「それなら無駄みたいだぜ。コイツは能力の詳細を見ることのできる能力者らしい」

心理定規「コイツはやめてちょうだい」

誉望「へぇ、それなら嘘つかないで良かったっす。変に嘘ついて疑われた日には最悪っすからね」

「確かにな」

はじめてコロシアイスレを書いたなう。

ちなみに>>1のスレは緩いので、予想とか色々書いてもらって全然大丈夫です。

というか、そっちのほうが面白いだろうしね。


「あのゴーグルの能力の詳細は?」

心理定規「“一日に二回まで透明になれる。"、ね」

「透明…? 念動力で、そんな応用が出来るのか?」

心理定規「彼は嘘はついていないから、そういうことになるわね」

「ふーん……何やってるんだ?」

 心理定規は紙をペラペラめくっていた。

心理定規「能力をまとめてリスト化しようと思っててね。多分だけど、こういうのは共有したほうが良いんじゃない? 私とあなただけが知ってるのも、変でしょう?」

「確かに……」

心理定規「私が書いている間、あなたは他の人にどんどん話しかけてきて。後ろから、ちゃんと能力見ておくから」

「分かった」


「あ…?」

白髪「は…?」

 なんだこの顔面凶器。子どもが見たら泣くレベルの顔してやがる。

「お前名前は…?」

白髪「オイオイ、よく今の睨みから自己紹介に入れると思ったな」

「お前の顔面が凶器だったから、ちと身構えちっただけだ許せ」

白髪「煽るか謝罪するか、どっちかにしろなァ?」 

「いいから名乗ってくれよ、俺は垣根」

白髪「チッ……一方通行だ」

「一方通行?…能力名か……お前は何の能力者なんだ?」

白髪「あァ?…オレは解析能力者だ」


超高校級の解析能力者 一方通行


(もう慣れた…)

「解析能力者?」

一方通行「そうだ。構造の把握から、詳細まで分析することができる……はずだ。…テメェは?」

「俺は記憶がなくて分からん」

一方通行「そんな嘘が通用すると思ってンのかァ?」

「嘘じゃねぇよ」

一方通行「証明してみろ」

「神の存在を疑うのか?」

一方通行「うぜぇ……決めたわ、最初にお前コロスわ」

「好戦的なやつだな…」

一方通行「元からテメェらと慣れ合うつもりなんざねェっての。今は、ただ最低限の情報を手に入れるために腰を下げてるだけだ……その気になりゃ、いつだってやれるぜ」

(ヒョロい癖によく言うぜ)


「どうよ、あの白髪は?」

心理定規「彼の能力は“あらゆる仕掛けを解析し、解くことができる”…だそうよ」

「言っていた通りだが、漠然としてるな」

心理定規「そうね」

「まぁ、いい……次、言ってくるわ」


アロハグラサン「……にゃー」

「何だお前…」

 何がにゃー、にゃー言ってるのかと思ったら、目の前のグラサン男が言っていて、びっくりした。

アロハグラサン「俺は土御門元春だぜぇ。よろしく頼むんだにゃー」

「垣根帝督だ」

アロハグラサン「珍しい名前だにゃー」

「よく言われる…」

 なぜ語尾ににゃー、をつけるのか物凄く気になったが、聞いてはいけない気がした。

「お前は何の能力者なんだ…?」

 代わりに、それを聞くことにした。

アロハグラサン「俺は再生能力者なんだぜー」


超高校級の再生能力者 土御門元春


「再生能力者…?」

土御門「ご存知の通り、回復能力なんだぜー……垣根は何なんだにゃー?」

「俺は分からん……」 

土御門「あ、そういうのは良くないぜぇ?」

「本当なんだよ…」

土御門「怪しいにゃー……もしかして垣根がクロマクとか言うやつなんじゃないのか?」

「んなわけあるか…」

土御門「ははっ、冗談だぜー」


心理定規「どうだった?」 

「どうも何もねぇが……しいて、いうならニャーニャー言ってるのに引いたくらいだ」

心理定規「にゃーにゃー…?」

「もうちょい可愛く」

心理定規「……にゃあにゃあ」

「不合格」

 直後、心理定規の蹴りが飛んできた。変なとこに打撃が入った気がする。痛みで腹を俺は抱えた。

「なっ…何すん…だよ」

心理定規「不合格って何よ。誰がどう見たって可愛かったでしょうが」

「怒るなって……ああ、そういやアロハの能力の詳細は?」

 心理定規が不機嫌そうだったので、話を先程のグラサンに戻した。

心理定規「はぁ……彼の能力は“オシオキ以外で殺されたら一度だけ生き返ることができる”というものよ」

「生き返る…だと? 再生能力とかいうレベルじゃねぇじゃねぇか」

 あのグラサンに、そんな秘められた力がアルとは思わなかった。せいぜいアロハシャツを量産する超能力とか、グラサンが本体になる超能力かと思っていただけに意外だった。

心理定規「練度が高いと、そういうケースにも鳴るのでしょう」

誤字が酷い…


 次、行くか。

「お前の名前は…?」

さらし女「結標淡希よ。よろしくね」

 口調は普通だが、見た目が露出魔の格好だった。

 上半身はさらし一枚に、上から学生服を腕を通さずに羽織っているだけ。

 こいつ、ビッチか?

「俺は垣根帝督。……お前の能力は?」

さらし女「私は空間移動能力者よ」


超高校級の空間移動能力者 結標淡希


(空間移動能力者……テレポーターか)

結標「って言っても、現状全然便利じゃないのよね。本当なら、もっと便利なんだろうけど」

「へぇ……俺はお前よりも酷いぜ? 自分の能力が分からないんだ」

結標「それが本当だとするならば、滅茶苦茶不利なんじゃ…」

「かもな」

結標「健闘を祈るわ」

「おう」


(……これで五人と喋ったのか)

(全員、変なやつだったな…)

「さらし女のはどうだった?」

心理定規「彼女の能力は“自分以外のテレポートができる。二人まで飛ばせる”…ね。制限とか他にあるみたいだけど、これより詳細のものは後で見せるわ」

「分かった……」 


とりあえず、ここまで。

お疲れ様でしたー


うさんくさい男「おはようございます……今日は良い天気ですね」

「良い天気って…外の様子なんか見えねぇぞ?」

うさんくさい男「おっと、そうでした。ついつい、セールストークで言ってしまいますね……これは失礼しました。…自分は海原光貴といいます、あなたのお名前は?」

「垣根帝督だ」

うさんくさい男「垣根さんですか……これからよろしくお願いしますね。自分みたいな小心者には、こんな実験向いてないので内心震えてますよ」

「うさんくせぇな……」

うさんくさい男「なぜか、よく言われますね」

「だろうな……そういや聞いてなかったが、お前の能力はなんだ?」

うさんくさい男「自分は変身者です」


超高校級の変身者 海原光貴


「変身……?」

海原「そうです。…他の人に化けることができる……ということですね」

「便利なのか、それ?」

海原「悪用しかできませんよ…正直なところ」

「だよな……」

海原「垣根さんの能力はどんなものなんですか?」

「記憶がねぇ……理由は分からん」

海原「それは……困りましたね」

「信じるのか?」

海原「もちろん。自分みたいな人間にできることと言えば、周りの皆さんを信頼することくらいなので」

(良いこと言ってるんだが胡散臭い…)

「まぁ、話が早くて助かるが…」

海原「お互い生き残れるよう頑張りましょうね」


「六人と会話が終わった」

心理定規「まだ半分も終わってないじゃない……私はメモりながらも話してるわよ」

「器用なやつだな……あの胡散臭いやつの能力は?」

心理定規「それで思ったんだけど……毎回毎回こっちくるのも、面倒臭いでしょ? 三人ごとに教えてあげるわ」

「おう。じゃ、あと二人と会話してくるわ」


年増「…疲れるわね」

「年か…?」

年増「あ? テメェ今なんて言った?」ギロッ

 適当にからかったつもりだったが、一方よりも恐ろしい顔つきで睨んできたため、一瞬たじろいだ。

「いや、何でもない…」

年増「そう……ていうかあんたは?」

「俺は垣根帝督」

年増「垣根…ね。私は麦野沈利よ。まぁ、適度によろしく頼むわ」

「おうよ」

年増「あんたの能力って何よ? ホストっぽい格好してるからか、全く予想できないんだけど」

「わからん」

年増「はぁ? わからんって何よ。記憶がないってこと?」

「みたいだ」

年増「嘘はついてなさそうではあるけど……信じがたいわね」

「その内、信じることになるさ……お前は?」

年増「なんか私だけ言うの嫌だにゃーん」

(うわ……こいつも猫かよ。…年考えろババア)

年増「コロス」

「え」

年増「なんでもないわ。…まぁ、私の能力は電子使いってところよ」


超高校級の電子使い


「電子使いか…」

麦野「って言っても、ほぼ使い物にならないレベルだけどね」

「へぇ。まぁ、あるだけマシなんじゃねぇの?」

麦野「言えてるわね……まぁ、元気出しなさいよ」

「落ち込んでねぇわ」

麦野「あら…そのなりで豆腐メンタルだったら面白かったのにね」

「想像したくもねぇな…」

超高校級の電子使い 麦野沈利


ショートのガキ「おはようございます。 超はじめましてですね」

「おうよ……俺は垣根帝督だ」

ショートのガキ「垣根ですか、超よろしくお願いします。私は絹旗最愛です」

「絹旗ね……」

(この中にいるやつで1番小せぇが……一方が言ってた長点上機だっけか? そこは歳とか関係なく受け入れる学校だったってわけか)

(どうも他の奴らと齟齬があるな…)

ショートのガキ「垣根は超ホストみたいですね。もしかして超超高校級の超ホストなんですか?」

「能力じゃねぇじゃねぇか……俺はあいにく自分の能力がわからねぇんだ」

ショートのガキ「そんなことあるんですか?」

「俺に言われてもな…」

ショートのガキ「ま、とりあえず話半分に聞いておきますよ。何度も何度も、それについて説明するのも面倒でしょうし」

「助かる…」

 案外、物分りの良いやつだな。

「俺が言わないで言うのもなんだが、お前の能力は何だ…?」

ショートのガキ「私の能力は窒素ですね」


超超高校級の超窒素使い


(なんか超が多い…)

「窒素?」

絹旗「窒素を操る超窒素使いなんですよ」

「超窒素使い…?」

絹旗「超超窒素使いってことですね」

 ダメだ。

 話がこんがらがってきた。会話が成り立っていない。

 しかし、窒素使いって何が出来るんだ?

「まぁ、よろしく頼むわ」

絹旗「はい。よろしくお願いしますね」


「どうよ?」

心理定規「バッチリよ……まず海原光貴の能力は“直前の死者の見た目、体格、声に変化することができる。三回のみ”…ね」

心理定規「次に、麦野沈利の能力は“扉を電子の阻害により開かなくすることができる。両側から開かなくなる”」

心理定規「絹旗最愛は“薄い窒素を常時纏う。また付随して重いものを持てるようになる”」

心理定規「……以上よ」

「……」

 ぱっと聞いただけなら、海原のヤツの能力が一番厄介だが……麦野の扉ってのは何だ?

 絹旗に関しては、窒素を纏っているらしいがどれくらいの強度なんだ?

 場合によっちゃ、良い防御になるのかもしれない。

心理定規「まぁ、さっきも言った通り、触れてない部分あるから、まとめ終わったら皆に配布するわね」

「ああ…」

休憩


隠れ巨乳「……」ジー

「なんだよ…」

 視線を感じたと思ったら、そこにはぼーっとしている女がいた。

 これは俺を見てるのか? いやどこ見てるんだ?

隠れ巨乳「ホストっぽい…」

「……は?」

 一言目に、口開いて出てきたのがそれかよ。

隠れ巨乳「私は滝壺理后……あなたは?」

「垣根帝督……」

隠れ巨乳「垣根、よろしく…」

「おう…」

隠れ巨乳「……」ジー

「何をそんなに見てるんだ…」

隠れ巨乳「特に何も見てるわけじゃない…」

「そうか……話は変わるが、お前の能力教えてもらえないか?」

隠れ巨乳「能力。…分かった。私は……追跡者」


超高校級の追跡者 滝壺理后


 追跡者…? これまた奇妙なものが出てきたな……。

「追跡って、誰かを追いかけまわすときの追跡か?」

滝壺「うん。私は…それ以外の追跡知らない…」

「俺もそうだが……いまいちパッとしなかったから聞いた」

滝壺「……」ジー

 また黙りこみやがった。

 こいつは俺に能力のこと何も聞いてこない。……新しいタイプだな。

「他のやつと話してくるわ。……また後でな」

滝壺「ばいばい」


 俺が滝壺と会話を終えると、何かが上から降ってきた音がした。

???「いてっ!」

 音のした方を見ると、ウニ頭が顔を痛みで歪ませていた。

 ……足元には、電球の破片らしきものが落ちている。

「……お前、ツイてないな」

ツンツン頭「はぁ……いつものことだから、特に驚きもないというか……上条さんは不幸なんですよ……お前は?」

「垣根帝督……しかし、何だ? お前の能力は不幸か何かかよ」

ツンツン頭「まぁ、間違いではないけど……正確には、俺は外れ者だ…」


超高校級の外れ者 上条当麻


 外れ者? いよいよ何か分からないのが出てきやがった。

「なんだそりゃ…」

上条「俺の右手にはある力があってさ……能力を打ち消す能力みたいな。不幸なのは、その副産物なんだ」

「へぇ…ぺらぺら喋るじゃねぇか……」

上条「まぁ、コロシアイなんかする気ないし……隠す意味もないだろ」

「お前みたいなのが他にいればいいな」

上条「そうだな……。ここいる皆に、俺は絶対にコロシアイなんて馬鹿げたことはして欲しくない」

 熱いやつだな。

 お人好しってやつなのか?

「また後で話そうぜ」

上条「ああ、楽しみに待ってる…」


エセ関西「……いやぁ、レベル高いんとちゃいますかぁ」

 横にいた青髪がジロジロ周囲を見ながら。 

──というより女子を見てか、ボソリとつぶやいた。

「何してんだよ」

エセ関西「何って索敵してるんですよ」

「索敵…?」

エセ関西「だって、見てください。皆めちゃくちゃ可愛ないですかあ? ほんまこれは滾るで!」

「中学男子かよ…」

エセ関西「おっと、一緒にしてもらっちゃ困るでー。なんたって僕は男の子もいけるんやから……君とか全然イケるで」

「初対面から気持ち悪いことを言うな、お前」

エセ関西「はは、さすがに冗談やでー。……50%くらい」

 50%は余計だ。

 身の毛がよだつのを押さえながら、青髪に尋ねた。

「お前名前は?」

エセ関西「僕は青髪ピアスやで……君は?」

「垣根帝督。……青髪ピアスって本名かよ」

エセ関西「さぁなー。僕はそんな自分の名前とかどうでもいいからなあ」

「変わったやつもいたもんだ……お前、能力は?」

エセ関西「お?…聞いちゃうんやな兄さん。ええで、特別に教えてあげたるで」

「他のやつには言ってないのか?」

エセ関西「言ってるで」

 特別とはなんだ?

エセ関西「僕の能力は模倣やでー」


超高校級の模倣者 青髪ピアス


 模倣者? 名前から察するに何かを模倣するものなんだろうが。

「模倣者か……何を模倣するんだ?」

青髪「まぁ、それは後でのお楽しみってことで……君の能力はなんなん?」

「俺は自分の能力が分からない……記憶が微妙でな」

青髪「へぇ……だとしたら夢広がりじゃないですかー。透視とか手に入れられるかもしれへんよ?」

「いらねぇよ」

青髪「とか言っちゃって、あったら悪用するんじゃないん?」

「ちょっと黙れ」

青髪「お、怖いなぁー……僕、怖いの苦手だからやめて欲しいなぁ」

「はぁ……」

 こいつと話すとペースが崩される気がする。

 切り上げて、他のやつらと話そう。


心理定規「もう少しで全員と話し終わるわね」

「ああ…」

心理定規「……滝壺理后の能力は“指定の人物が何処にいるかわかる”」

心理定規「上条当麻の能力は……分からないわね」

心理定規「…青髪ピアスの能力は“直前の死人の能力を模倣する”…よ」

心理定規「…以上よ」

 分からないってどうゆうことだ?

 あいつは能力を打ち消すとか言っていたが……その右手のせいで心理定規の能力が効いていないのか?

「分からないってのは…」

心理定規「あなたとは少し違う感覚ね……あなたの場合は見えないって感じだけど、上条くんの方は効果がないような感じ」

「なるほどな…」



おでこ「何だ、その服装は……」

「あ?」

 誰かに話しかけられたと思ったら、皆を動かした気の強そうな女だった。

おでこ「あ?、じゃない。風紀を間違いなく乱しているでしょう。その服は…」

「オイオイ、俺なんかよりよっぽどヤバい露出魔がいるだろうが…」

おでこ「結標さんは厚着すると死ぬ病気にかかっているらしいから、免除したわ」

 は?

 そんな病気あるわけないだろうが。

 こいつ真面目に見えてアホなんじゃ。

「そういや名前聞いてなかったな…」

おでこ「名前よりも先に服装を正せ」

「分かった……直しとくから、後で」

おでこ「言質とったわよ?……私の名前は吹寄制理」

「吹寄な。……俺は垣根だ、よろしくな」

おでこ「ええ、よろしくね」

「早速聞くが……お前の能力は何だ?」

おでこ「いきなりね……まぁ、いいわ。…私は命令者よ」


超高校級の命令者 吹寄制理


 ……命令者?

 この女らしい響きだが、字面だけ聞くと厄介そうだな。

「命令者ねぇ……ちなみに俺はなんもない、というか覚えてない」

吹寄「へぇ、そういうこともあるのね」

「お陰で殺されるとしたら、俺が一番先に狙われそうな気がするぜ」

吹寄「安心してちょうだい。私がいるからには風紀を乱す、コロシアイなんてさせないわ!」

 コイツも上条と同じタイプなのか?

「頼もしい限りだぜ。…期待してるわ」

吹寄「任せなさい」


 話すのも大分疲れたな。

 あと少しの辛抱か。

「なぁ…」

 吹寄の隣にいた短髪の女に声をかける。

短髪「何?」

「まだ話してなかったよな?」

短髪「そうね……私は御坂美琴よ。よろしくね」

「御坂か。…俺は垣根帝督だ。…まぁ、よろしく頼む」

短髪「垣根さんはまともそうね。他とは違って…」

「それはこっちの台詞でもある。…他の奴らは変態、露出狂、不審者グラサンとヤバいやつのオンパレードだったからな」

短髪「それは怖いわね……」

「俺の後ろは魑魅魍魎だ……で、本題だが…お前はどんな能力者なんだ?」

短髪「魑魅魍魎って……私は電気使いよ」


超高校級の電気使い 御坂美琴


 電気使い。

 ここにきて、わりとポピュラーなのが出てきたな。

「へぇ、便利そうじゃないか…」

御坂「って思うでしょ? 実際は全然使い物にならないわ。外の世界なら万能だったのかもしれないけどね」

「ふーん……ちなみに俺は無能力者だ」

御坂「無能力者? どういうこと?」

「何の能力だったか分からん。……何かしか持ってた気はするんだがな。まぁ、だから無能力者みたいなものだ」

御坂「それは災難ね…」

「まぁ、またそれについては話そう…」

御坂「ええ」


???「そこのあなたぁ…」

「……俺か?」

 声がしたほうには金髪の目がしいたけの女がいた。

しいたけ目「そうよぉ…話しましょう?」

「そうだな…」

 見れば見るほど目がしいたけに見えてくる。これは本当にしいたけなんじゃないか?

しいたけ目「?……人の顔じろじろ見てどうしたのかしらぁ」

「い、いや何でもない」

 危ないな。くそくだらないことで怪しまれたら最悪だ。しいたけから目を逸らす。

「俺は垣根帝督だ」

しいたけ目「私は食蜂操祈よぉ……よろしくだぞ☆」

「お、おう」

 ウインクしてきやがった。何だコイツは……

 ギャルってわけではなさそうだし、また変なやつと話しちまったのか。

「そういやお前能力は……?」

 相手するのが面倒だったので、話を変えた。というより、こちらが本題だが。

しいたけ目「私は精神能力者よぉ」

自己紹介で時間がかかるの巻。どろん


超高校級の精神能力者 食蜂操祈


 精神能力者…?

 確か心理定規も精神能力者だったよな?

 同じ能力系統もいるのか。

「精神能力って……心理定規と同じ能力じゃねぇか」

食蜂「心理定規さんとは、さっき話したけど……彼女と私は違ったわぁ。能力名だけ同じってところね」

「なるほどな。そういうパターンもあるのな、勉強になったわ」

食蜂「あとあなたの能力が分からないというのも心理定規さんから聞いたから説明不要よぉ」

「話が早くて助かるぜ」

食蜂「いえいえ……せっかくだから仲良くしましょうねぇ」

 食蜂はしいたけを光らせながら言った。

「そうだな…」

 ……今日はしいたけ食べたい。


心理定規「あと三人みたいね…」

「…らしいな。ってことはここにいる奴等は十八人ってことか」

心理定規「これだけいるなら誰かしかが殺人を犯してもおかしくはないわ」

「かもな……で、どうよ?」

心理定規「えーと……吹寄制理の能力は“指定の人物に命令することができる。この命令は具体的でなければならない”」

心理定規「御坂美琴の能力は“電気を供給できる。他の用途に使用可能”」

心理定規「食蜂操祈の能力は“指定のキャラがクロマクかそうでないか分かる能力”ね」

 吹寄のも強力そうな力だが、食蜂……コイツの能力は……。

 まぁ、いい。

 先に話してないやつを片付けて、この時間を終えよう。

「よし、最後行ってくる…」


脳筋「そこの男!…筋肉が足りんぞ!!」

「今度は何だよ…」

 突如現れた男が、よく分からないことを言ってきた。

 筋肉が足りない?

──パワー系かよ。

脳筋「そんな軟弱じゃ、いつ殺されてもおかしくない! だからこそ、俺と訓練だ!」

「待て待て……まだ俺はお前について何も知らねぇ。筋肉つけろってなら、名前と能力教えろ。……ちなみに俺は垣根だ。」

脳筋「そういえば言ってなかったな、垣根!! 俺は削板軍覇!! 超筋肉級の超筋肉だ!」


超高校級の筋肉 削板軍覇


 超筋肉級の超筋肉…?

 絹旗よりも何言ってるか分からないぞ、この男。

「超筋肉って何だよ?」

削板「筋肉だ!」

「……」

 会話不成立。

 こいつと話すのは無理な気がする。いや間違いなく無理だ。

 かなりの脳筋野郎じゃないか。

削板「垣根!…筋肉を鍛えるぞ!」

「……あ、後でな」


カチューシャ「……一通り話し終わったかい?」

「誰だお前は…」

 削板の陰からカチューシャの目立つ黒髪の女が現われた。

カチューシャ「私は雲川芹亜。…君は垣根帝督」

「!……なぜ知ってる?」

 こいつまさか読心能力者か?

カチューシャ「残念だけど、心を読まれたと思っているなら、その予想は間違っているけど。私は心理定規から聞いただけ…」

 だとしても、こっちの考えをナチュラルに推測するだけの力がコイツにはある……。

 用心したほうが良いのかもしれない。

「一々聞いてるのかよ…」

カチューシャ「いや、それは会話してる時に小耳に挟んだだけだよ」

「そうか…」

カチューシャ「そういえば君の能力は何だい…?」

「俺は分からねぇ……能力についての記憶がないんだ。…いや他もぐちゃぐちゃではあるんだけどな」

カチューシャ「!!……それは奇遇ね」

「…奇遇?」

カチューシャ「実は、私も自分についての能力が分からなかったところだよ……私以外にも、そんな人間がいるとは思わなかった」


超高校級の??? 雲川芹亜


 能力不明のやつが、自分以外にいるとはな。

「お前も記憶が定まらないのか…?」

雲川「おそらくだけど……たぶん君と似た感覚だと思うわ」

「そうか……お互い不幸だな」

雲川「いや、そんなことはないわ……。案外、能力を持っている方が悲惨な結果になるかもしれない……と私は思うけど」

「……て、言うのは?」

雲川「それについては後で話しましょう……今はゆっくり休みたいから」

「そうだな…」

 コイツは何か只者ならない雰囲気を醸し出している気がする。


「これで全員か……?」

三下「おっと、俺を忘れてるぞ!」

「お前は……」

三下「俺の名は浜面仕上、よろしくな!」

「浜面三下?」

三下「そうそう俺は浜面三下で……って、おい! 全然違うだろ!」

「超高校級のノリツッコミか……」

三下「いや、違うからな? 能力じゃねぇだろ、それ」

「『原石』ならありうる」

三下「そんなレアものはゴメンだ……お前、名前は?」

「垣根帝督だ……」

三下「垣根か。俺は浜面仕上、よろしくな!」

「何回言うんだよ」

三下「いや、忘れそうだから……ちょっと強調しとこうかな、と」

「ふーん……能力は?」

三下「俺は機械操作能力者だ…」


超高校級の機械操作能力者


 機械操作か。

 確かにそっち系に強そうな顔してる。

「楽しそうな能力だな…」

三下「ここでは全く使い物にならないけどな……まぁ、元から知識はあるから、あんまり関係ないけど」

「へぇ、じゃあこの実験場はお前に有利なんじゃねぇの?」

三下「有利って……俺は殺しなんかしたくねーよ」

「というよりかは、精神的に出来なそうだが…」

三下「そ、そんなことないっての! 俺はやる時はやれる男だぜ!……あ、殺しはしないけどな」

(絶対ビビリだ……)


心理定規「削板軍覇の能力は“強靭な肉体を持つ”」

心理定規「雲川芹亜の能力は……分からないわね」

心理定規「浜面仕上の能力は“逆方向から扉を開け、通ることができる”」

心理定規「……以上よ。これで全員分ね、あとはまとめるだけ」

「仕事お疲れさん……いくら万能でも上条と俺と雲川の能力は分からないんだな」

心理定規「分からないってことが分かったのってデカいと思わない?」

「ああ、大分な…」

心理定規「なら、よかった……」


 しかし、これで全員との会話が終わった。長かった気がするが、これからのコロシアイ生活を考えれば大したものじゃないのかもしれない。

 その後は吹寄の意見により、今日は疲れを休めて、また明日の朝八時にここの中央エリアに集まるようにした。

 吹寄は完全に発言力を確保したみたいだ。

 この建物はかなり広くかったが、手元の電子手帳を見れば自分の帰るべき場所が簡単に分かった。それに中央エリアから全ての区間に繋がっているようで、すぐに自分の部屋に帰ることができた。

 部屋は素朴だったが、家具やアメニティは高そうなものばかりだった。

 シャワールームに、洗面所、トイレ、全てきちんとあるし、きちんと作動した。

 部屋の中には勉強机が隅にあり、机の上を指でなぞったが、埃は指にまったくつかない。

 きちんと掃除が行き届いてる証拠だった。

 机の上には、やや大きめのデスクトップのパソコンが置いてある。

(使えるのか……?)

 そんな疑問が浮かんだが、今は身体を休めることにした。

 布団の中に入り、天井を見上げる。

──コロシアイ、能力、記憶、シロ、クロ、クロマク。

 そして、自分の能力についてのこと。

 今は何も分からないが、俺はこんな不条理な場所で死んでやるつもりなんかない。

 ゲコクマだか、なんだか知らないが、コロシアイなんて馬鹿げてる。

 そんなことを考えながら、いつの間にか眠りについた。

やっと全員終わったー

要望などあれば可能な範囲で応えます

というわけで、どろん


『プロローグ』終了

女キャラはなるべく殺さないでほしい


Chapter1 機械仕掛けの研究施設 (非)日常編


 目覚めが悪い……。

 俺は早起き苦手なはずじゃないが……。

 すぐに原因に気付いた。

 窓がない。いや正確には、窓らしき部分はあるが、外の景色など見えない。

 そのため日差しを浴びることはない。それが眠りを深くさせてるのだろう。

 こういう環境に身を置いてはじめて、日の光のありがたさを知る。

「行くか…」

 時刻は七時五十分。悪くない時間ではあった。


~中央エリア~


吹寄「……集まったみたいね」

 ……どうやら俺で最後だったみたいだ。

 皆で中央の机を囲むように立つ。

吹寄「色々、皆で話していきましょうか……私からは最後に話すとして、何かある人いない?」

浜面「ちょっと意見というか質問みたいなものなんだが……コロシアイなんて本当に起きるのか?」

心理定規「…というと?」

浜面「いやさ……周りの奴等殺したって何も得るもんなくないか? 人殺して得られるのが外に出ることだぞ。無理して外に出る必要なんてなくないか…?」

吹寄「それは私も思う……だが、皆がそう一枚岩にいくとは思えない。…どうしても外に出たい、元の世界に出たいという人もいると思うわ」

浜面「……そうなのか?」

「少なくとも一方通行のやつは足並み揃える気ねぇよ」

浜面「一方通行…」 

一方通行「慣れ合いなんざする気はねェんだよ……プライドの問題だ」

吹寄「ね……。私達はお互いのことを知らなすぎる。だからこそ交流は絶やさない方がいい。少なくとも……自室に一人で籠もってるよりはマシだと思うわ」

吹寄「最後に言おうとしてたことと被ってるから、そのまま喋るけど……私から一つ提案があるわ」

上条「提案…?」

吹寄「そう……毎朝八時にここに集まりましょう、っていうね。何か新しい発見や知識があるかもしれないじゃない? だから、この場で共有がてら交流を深めましょうよ、っていうね」

絹旗「超良いと思います!」

青髪「可愛い子と合法的に喋れるなんて最高のイベントじゃないですかー」

誉望「良いっすね!」

一方通行「……」

吹寄「賛成ありがとう……ただ一つ注意点があってね。別にこれはみんなに強制しないわ……だから一方通行、あなたも不満はないはずよ」

一方通行「そうかァ……なら構わねェ。オレは自分の気分で動く。気が向いたら行ってやるよ」

吹寄「ならオーケーね。……他に何かある人いるかしら?」

心理定規「私から良い?」

吹寄「もちろん」

心理定規「皆も知ってる通り、私の能力は“能力を見る能力”……ということでね、皆の能力をまとめたんだけど、これを配布していいかしら?」

雲川「配布するのが賢明だろう……隠しておきたい派とて、他の能力者について知ることができるメリットがある」

土御門「その方が良いにゃー」

滝壺「……良いと思う」

雲川「ただ一つはっきりとさせておかなきゃいけない点がある。……それは『そのリスト』の信憑性だ」

心理定規「!」

一方通行「丁度、オレも考えていたとこだ…」


「……なるほどな」

浜面「つまり、どういうことなんだ!」

「あいつらが言いたいのは、心理定規は能力を確かめることができるが、心理定規の能力を確かめることができるやつは誰もいないってことだ……だから、嘘を混ぜることもできるし、心理定規の能力自体がそもそも違う可能性がある」

誉望「だとしても、嘘つかれた側は自分の能力分かってるんすから、見破れないっすか?」

雲川「一般的にはな……だが、仮に心理定規がクロマクで嘘をつかれた側が潜在的クロだった場合はどうなる?」 

青髪「そんな非現実的な…」

結標「他にも可能性はあるわ……例えばだけど、共犯のクロだった場合とかね。いずれにせよ、心理定規については疑惑は払拭したほうが良いでしょうね」

吹寄「せっかく、そうやって自分の知ったことを共有しようとしてくれてるのに悪いけど……私も心理定規の立ち位置について明確にしておくべきだと思うわ」

心理定規「確かにそうね……だとしたら、少し私も考えがあるんだけど、これを見てくれない?」

 心理定規はテーブルの上に紙を置いた。

心理定規の御手製リスト


超高校級の??? 垣根帝督
『不明』

超高校級の精神能力者 心理定規
『対象の能力を見ることができる。また回数制限のある能力の使用回数を見ることができる。発動には近くにいる必要がある』

超高校級の念動力者 誉望万化
『一日に二回まで透明になれる』

超高校級の解析能力者 一方通行
『あらゆる仕掛けを解析し、解除することができる』

超高校級の再生能力者 土御門元春
『死んだ時、一度だけ蘇ることができる』

超高校級の空間転移能力者 結標淡希
『自分以外のテレポートができる。二人まで飛ばせる。飛ばされる人物が一度行ったエリアのみ。具体的にテレポート場所を指定することはできない』

超高校級の変身者 海原光貴
『直前の死者の見た目、体格、声に変化することができる。三回のみ』

超高校級の電子使い 麦野沈利
『扉を電子の阻害により開かなくすることができる。両側から開かなくなる。一日三回のみ』

超高校級の窒素使い 絹旗最愛
『薄い窒素を常時纏う。また付随して重いものを持てるようになる』

超高校級の追跡者 滝壺理后
『指定の人物が何処にいるか分かる。一日三回のみ』

超高校級の外れ者(?) 上条当麻
『能力を打ち消す右手を持っているらしい(?)』

超高校級の模倣者 青髪ピアス
『一度だけ直前の死人の能力を模倣する。発動するまで、誰が死んでいるか分からない』

超高校級の命令者 吹寄制理
『人物に抵抗不可の命令をすることができる。この命令は具体的でなければ効果をなさない。また声が聞こえていなければ効果はない。二回まで使用可』

超高校級の電気使い 御坂美琴
『電気を供給or流すことができる。この電気は別の用途としても使用可能。またこの能力を使うと体力も消費される』

超高校級の精神能力者 食蜂操祈
『指定の人物がクロマクかそうでないか分かる。一日一回のみ。またコロシアイ生活、初日は使用不可。発動には近くにいる必要がある』

超高校級の筋肉 削板軍覇
『一般人の何十倍もの強靭な肉体を持つ』

超高校級の??? 雲川芹亜
『不明』

超高校級の機械操作能力者 浜面仕上
『逆方向から扉を開け、通ることができる。また解放済の小部屋に簡易的なロックをかけることができる(外側から)』


 そこには十八人の人物の名前、才能、詳細が書かれていた。

心理定規「これがさっき言っていたリストなんだけど、食蜂さんの能力を見てちょうだい…」

海原「『指定の人物がクロマクかそうでないか分かる。一日一回のみ。またコロシアイ生活、初日は使用不可。発動には近くにいる必要がある』……ですか」

心理定規「そう。この能力を使って私がクロマクかそうでないか、それを見てもらえれば多少は払拭できないかしら?……もちろん、それでも私と食蜂さんが手を組んでるとか、どっちも嘘をついてるとか、そういう可能性はあるけど……指針が何もない以上、それが1番マシな選択じゃない?」

「確かにな……それに仮にどちらも嘘だった場合でも、片方が嘘と分かれば、もう片方も嘘と分かる」

雲川「それに食蜂は心理定規よりも先に私と話していた。その時、話していた能力像といまリストに書いてある能力像のギャップは小さい。二人が話し合って、手を組んでる可能性は著しく低い。食蜂が心理定規に能力を使えば、かなり信憑性が生まれると思う」

食蜂「私が心理定規さんに能力使えば良いのぉ?」

吹寄「ああ、お願いしたい……みんなも異論はないよね?」

 全員が何も言わなかった。

食蜂「使うゾ☆……結果は……心理定規さんはクロマクではないわぁ」


御坂「良かった! 心理定規さんがクロマクだったらどうしようもないからね」

削板「おお! 心理定規は漢だな!」

心理定規「漢かどうかは分からないけど、これでとりあえず一段落ね……」

吹寄「よし……他何かないかしら?」

青髪「……ちょい質問良いですかー?」

吹寄「どうぞ」

青髪「心理定規ちゃんに質問なんやけど、上条くんの能力のところの(?)は何なん?」

心理定規「それは……彼の能力を見ることは出来なかったんだけど、垣根や雲川さんと違って、本人が能力を知っているらしいわ。だから、そこに書いてあるのは彼が言っていたことをそのまま書いただけ」

上条「ついでに付け加えると…不幸だ」

青髪「ふーん……なんかそれ怪しない? いや心理定規ちゃんの言ってることは本当なんやろうけど、上条くんは能力偽ることできるしなぁ」

「なら試してみりゃ良いんじゃねぇか? 適当に誰かに能力使ってもらって、効果があれば上条の能力は真に迫るだろうよ」

麦野「そうね」

土御門「実験だにゃー」

吹寄「誰にやってもらいましょうか」

御坂「なら私でどう? ちょっと疲れるけど回数制限とかないし、打ち消したの分かりやすいだろうし」

吹寄「じゃあ、御坂さんお願い」

>>77 死人は、ほぼ決まってるんですよね。

とりあえずここまで。どろん

御坂「流れなくなったわね…」

 御坂は能力を発動し、彼女の手の周りがバチバチと電気を浴びていた。

 だが上条が手に触れた瞬間、それらは消えたように見えた。

上条「どうだ?」

雲川「不自然に消えた……上条の証言は真と見て良いかもしれないな。あと少し試したいことがあるんだがいいか?」

吹寄「何かしら?」

雲川「心理定規の能力が通じない理由はおそらく、その右手が理由なんだろう。……となると、当然の推論として滝壺の能力や食蜂の能力も効かない可能性が高い」

「そうだな…」

雲川「滝壺。お前の能力を使って上条が何処にいるか見てくれないか?」

滝壺「分かった……追跡開始。上条当麻の居場所は……Not found」

雲川「やはりか…」

「心理定規。滝壺の能力回数は減っているか?」

心理定規「ええ、きちんと三回から二回に減ってるわ」

海原「となると、上条さんの能力は、彼の証言と間違っていないようですね。もちろん、彼が言っていること以外のものを隠してる可能性はありますけど」

上条「上条さんは不幸なだけで……何もないですよ」

吹寄「だそうよ、青髪くん。何かまだある?」

青髪「いや大丈夫やで……上条くんは疑って悪かったなー、ごめんやで」

上条「いや気にしてないぜ」

食蜂「そういえばなんだけど皆さんはご飯食べたのぉ?」

吹寄「いや食べてない人の方が多いと思うわ」

誉望「でも、さすがにお腹空いたっすね!」

吹寄「なら朝食にしましょうか……料理は自分達で作らないといけないみたいし、ね」

一方通行「……オレの部屋の近くに店みたいなのあったぞ」

吹寄「ああ、そうなの。まぁ、どちらにせよ今は作って食べましょう?」

一方通行「まぁ、今日くらいはいい……しかし、誰が作るんだァ?」

吹寄「それは……私が作ろう。…後は誰かできる人はいるかしら?」

結標「私はできるわよ」

滝壺「私も……」

吹寄「よし、じゃあ朝食にしましょうか……」


 それからは朝食を食べ、各自の部屋に戻った。心なしか他の奴らは昨日よりも元気そうだった。

 吹寄の方針で、その後は施設内を各自で見て回るようことに決まった。

(まずはマップを見てみるか……)

 電子生徒手帳を取り出す。

 この施設のマップは以下のようだった。

 七つのエリアがあり、中央エリアを囲むように六つのエリアがある。時計回りにエリア1、エリア2、エリア3……といった具合にだ。

 外側の六つはエリアとエリアの間に細長い通路がある。中央エリアはディナー会場もしくは議論場のようになっており、他のエリアは様々な特色があった。

 中央以外の六つのエリアには小部屋がたくさんある。例えば先程一方通行が言っていた売店なども小部屋の一つだ。

 エリアとエリアを繋ぐ通路部分の外側に生徒達の部屋がある。

 俺の部屋はエリア6とエリア1を繋ぐ部分の通路にある。

 そして、マップの横に注意書きでこう書かれていた。

『この施設は時計回りの一方通行。逆方向に進むことは原則出来ません』

(厄介なシステムだな……)

 つまり、俺が横にあるエリア6に行くには、エリア1、エリア2、エリア3と回って行くしかないらしい。各エリアには中央エリアに繋がるドアがあるが、エリア1から中央エリアに入り、中央エリアからエリア2に行くことはできない。

 何故かというと学生証で認識が行われるようで、エリア6~1の生徒はエリア1からしか中央エリアに入れない、といった具合に入れる箇所が決まってるらしい。

 マップの確認は終えた。この施設を見てみよう。部屋の扉を開けた。


本当ならマップ作りたかったんだけど……この説明でマップの構造や仕組みを理解できますか?

http://dotup.org/uploda/dotup.org2058898.png

画像あげるのなんてはじめて。見れるかな?orこれでわかるかな?

マップ作成する前に作ったやつだから合うように修正。

超高校級の??? 垣根帝督
『不明』

超高校級の精神能力者 心理定規
『対象の能力を見ることができる。また回数制限のある能力の使用回数を見ることができる。発動には近くにいる必要がある』

超高校級の念動力者 誉望万化
『一日に二回まで透明になれる』

超高校級の解析能力者 一方通行
『あらゆる仕掛けを解析し、解除することができる』

超高校級の再生能力者 土御門元春
『死んだ時、一度だけ蘇ることができる』

超高校級の空間転移能力者 結標淡希
『自分以外のテレポートができる。二人まで飛ばせる。飛ばされる人物が一度行ったエリアのみ。具体的にテレポート場所を指定することはできない』

超高校級の変身者 海原光貴
『直前の死者の見た目、体格、声に変化することができる。三回のみ』

超高校級の電子使い 麦野沈利
『扉を電子の阻害により開かなくすることができる。両側から開かなくなる。一日三回のみ』

超高校級の窒素使い 絹旗最愛
『薄い窒素を常時纏う。また付随して重いものを持てるようになる』

超高校級の追跡者 滝壺理后
『指定の人物が何処にいるか分かる。一日三回のみ』

超高校級の外れ者(?) 上条当麻
『能力を打ち消す右手を持っているらしい(?)』

超高校級の模倣者 青髪ピアス
『一度だけ直前の死人の能力を模倣する。発動するまで、誰が死んでいるか分からない』

超高校級の命令者 吹寄制理
『人物に抵抗不可の命令をすることができる。この命令は具体的でなければ効果をなさない。また声が聞こえていなければ効果はない。二回まで使用可』

超高校級の電気使い 御坂美琴
『電気を供給or流すことができる。この電気は別の用途としても使用可能。またこの能力を使うと体力も消費される』

超高校級の精神能力者 食蜂操祈
『指定の人物がクロマクかそうでないか分かる。一日一回のみ。またコロシアイ生活、初日は使用不可。発動には近くにいる必要がある』

超高校級の筋肉 削板軍覇
『一般人の何十倍もの強靭な肉体を持つ』

超高校級の??? 雲川芹亜
『不明』

超高校級の機械操作能力者 浜面仕上
『原則通れない扉を開け、通ることができる。また解放済の小部屋に簡易的なロックをかけることができる(外側から)』

浜面の部分のみ修正


~エリア6からエリア1までの通路~


 ここには生徒の部屋が三つ。

 6に近い方から浜面、結標、俺の部屋の順になっている。

 ここには俺達の部屋以外には扉しかない。そして6に繋がる方は先程の注意書きの通り、びくともしなかった。

 エリア1に近い方の扉は、横のスイッチのようなものを押すと勝手に開いた。

 通路一つをとっても近未来的だ。

 俺はエリア1に向かった。

こういう質問って答えるか悩む

当たり障りのないところ最低限答えます。

一方通行は基本的に誰かの能力に対して何か出来ることはない。
心理定規は単純に名前に馴染みがなさすぎて、誰?ってなる人がいないように。
麦野の扉封じは効果時間あり。ミスって書き忘れたので後で加筆。
青ピは模倣した後は、ずっとその能力。その後、右手で触れられたら消える→無能力者になる
基本的に制限とか書いてない限りは何回でも使える。
誉望は、そうじゃないと服だけまぬけに見えることになってしまう。

以上

気になったんですけど、特定のキャラの交流とかそういうの話?
安価は完全にない?

>>107 ちょうど安価とるタイミングなう。普通にありますよー


~エリア1~


(エリア1……まぁ、昨日通ったけどな)

 だが改めてこのエリアを見渡すと広い。恐らくだが野球のスタジアムくらいの大きさはある。

 このエリアの中にはちょっとした小部屋や施設などがある。ここも色々あるように見える。

 昨日は気付かなかったが、この部屋は……というよりエリア全体には窓があるようだ。

 触ってみると開けることはできないものの、確かに窓だった。だが空は見えない、天井のようなものに覆われている。全てのエリアを東京ドームのような建物が内包している。

 真反対のエリア4以外のエリアを窓から視界にいれることができた。

 下を見るとかなりの高さがあることが分かる。

──どうやら、ここから外に出ることはできないみたいだ。

 エリア1の探索に戻ろう。

 このエリアには浜面と結標がいるみたいだ。


選択肢

1、結標に話しかける

2、浜面に話しかける 

下2でコンマの高いほう


「なぁ、露出女」

 結標に声をかけることにした。こいつの方が浜面より、頭が回る気がする。

結標「露出女!?」

 結標は急に自分の服装を気にしたが如く、身体を手で隠した。

「気になるなら最初から服着ろよ」

結標「これは……色々と訳有なのよ」

「訳有?」

結標「ええ…海より深い、ね」

 直感だが、多分大した理由じゃないだろう。あるいは本当に露出狂なのかもしれない。

「俺もエリアを回っているわけだが……何かここにはあったか?」

結標「まぁまぁ、あったわよ……ただ一部は入れないように鍵がかかっているわ」

「へぇ……じゃあ、少し探索してくるわ」

結標「なら私もついていきましょう……二度目に見たら新しい発見があるかもしれないからね」

「そうか」

 結標が後ろから付いてきた。


結標「このエリアには四つの小部屋があるわ。他にはそうね……パソコンというか、液晶パネルみたいなのが中央エリア側にあって……逆側に謎のボックス型の置物があるわね」

「へぇ……部屋は入れるのか?」

結標「二箇所はね……他二つは入れないわ」

「そうか。空いてるのはどれだ?」

結標「目の前の二つよ」

 結標が示した方を見ると、『トレーニングルーム』と『結標淡希の能力開発室』といった風に液晶パネルは光っていた。

「能力開発室……? しかも結標、お前のものみたいじゃねぇか」

結標「どうやらそうみたいね」

 俺は先に気になった結標の開発室の扉を開けた──というより、ここの扉は自動で開いた。

 中を見ると、そこには研究机と様々な書物が入った本棚があった。

 机の上はきちんと整理されている。紙やペンはもちろん、いくつもの懐中電灯が何故か置いてある。しかも、普通の懐中電灯じゃない。というより、これは警棒なんじゃないか?

 本棚には『空間転移』について書かれた本がたくさんあった。結標なら分かるのかもしれないが、俺にとっては全く分からない。

「難しそうな本ばかりだな……」

結標「そうね……私にとってもかなり難しい者ばかりだったわ」

「そりゃ分からないわけだわ……」

 とりあえず、この部屋を見るのはこの辺にしておこう。

超高校級の??? 垣根帝督
『不明』

超高校級の精神能力者 心理定規
『対象の能力を見ることができる。また回数制限のある能力の使用回数を見ることができる。発動には近くにいる必要がある』

超高校級の念動力者 誉望万化
『一日に二回まで透明になれる』

超高校級の解析能力者 一方通行
『あらゆる仕掛けを解析し、解除することができる。一日一回のみ』

超高校級の再生能力者 土御門元春
『死んだ時、一度だけ蘇ることができる』

超高校級の空間転移能力者 結標淡希
『自分以外のテレポートができる。二人まで飛ばせる。飛ばされる人物が一度行ったエリアのみ。具体的にテレポート場所を指定することはできない』

超高校級の変身者 海原光貴
『直前の死者の見た目、体格、声に変化することができる。三回のみ』

超高校級の電子使い 麦野沈利
『扉を電子の阻害により開かなくすることができる。(効果は10分間) 両側から開かなくなる。一日三回のみ』

超高校級の窒素使い 絹旗最愛
『薄い窒素を常時纏う。また付随して重いものを持てるようになる』

一方と麦野修正


 トレーニングルームは一般的なものだった。ダンベルやバーベル、ランニングマシーンなどがあった。

 削板のバカなら気に入るだろう。

 特に目ぼしいものもなかったため、部屋を出た。

「で、後は液晶パネルと謎の箱か?」

結標「そうね」

 液晶パネルは画面がついてなかった。スイッチらしき部分を押すがつかない。コードが後ろから伸びており、壁の電源装置に?がっている。

 また液晶パネルの横には固定電話の受話器らしきものがついている。

──何でここだけアナログっぽいんだ…?

 その次は、謎のボックスを見た。90cmくらいはある金属製の箱だ。上部には蓋らしき部分があった。そこにはこう書かれている。

『この仕掛けは、二者の能力者の証により、開くパンドラの箱。この箱の中には特殊な凶器が入っている』

「凶器…?」

結標「さっきは気づかなかったけど、横にカードリーダーみたいなものがあるわね。……もしかすると学生証を通せ……ということかしら?」

 結標の言うとおり、先程の文の両脇にカードリーダーらしき部分があった。

「まぁ、開けるわけねぇよな」

結標「当然ね…」

「大体、ここは見たか……じゃ、俺は次のエリアに行く。……お前は?」

結標「私はもう少しここにいるわ」

「あいよ、じゃあな」

 結標とは、そこで別れた。


 エリア1からエリア2までの通路には特に何もなかった。部屋は近い順から吹寄、土御門、絹旗だ。

 エリア2への扉を開ける。


 エリア2に入ると、また同じような部屋の構造が俺を迎え入れた。

 小部屋に、謎のボックス、液晶パネルと先程見たものがたくさんある。

 この部屋には吹寄、土御門、絹旗がいるみたいだ。

 誰に話しかけるか。


選択肢

1、吹寄

2、土御門

3、絹旗

下2まででコンマ高いほう


「オイ、お前」

絹旗「お前じゃないですよ! 超絹旗です!」

「じゃあ超絹旗…。俺は今このエリアにはじめてきたとこだが…ここには何かあったか?」

絹旗「ここのエリアは、4つの小部屋と変な箱と液晶があります。小部屋は一つしか空いてないです」

「どれだ…?」

 そう聞くと、超絹旗はひとつの部屋を指指した。

「これは……『電気室』?」

 部屋名を表す液晶パネルにはそう書かれていた。

「お前は中を見たのか?」

絹旗「超見ましたね」

「ふーん」

 俺はその部屋に入った。先程と同じように自動ドアが開く。

 中には様々なよく分からない機械があった。

 中央エリアだとか、エリア1だとか書かれているのが分かる。その下にはレバーがいくつもある。

絹旗「このレバーおろすと、電気切れるんですかね?」

 そう言いながら絹旗がレバーを掴んだ。少し違和感があったような気がした。

「分からんが……たぶんそうだろうな。下ろすなよ? フリじゃねぇぞ」

絹旗「超分かってますよ」

 絹旗はレバーを離した。

──ん?

「お前もしかして能力発動してるか?」

 そう考えたのもレバーに触れる手が直接触れてないように見えたからだ。

 確かこいつは窒素を纏うとかだったよな?

絹旗「あー、超分かりますか?……まぁ、というよりはこれが普通の状態なんですよね。ですから私の場合は意図的に能力を切るって感じなんです。じゃないと、シャワーとか浴びれませんからね」

「なるほどな。全身を薄い空気──もとい窒素が覆っているわけか」

絹旗「ですね」

 そんに話をしながら部屋を出た。


 他の三つの部屋は開いてないみたいだ。部屋名すら表示されていない。

 あとは液晶パネルと箱だが、パネルの方は先程と同じだった。

 ボックスの方は先程とは色が違う気がする。

 また上部の蓋の部分に文字が書いてある。

『この仕掛けは、二者の能力者の証により、開くパンドラの箱。この箱の中には一度のみ能力を一定時間無効化する装置が入っている。』 

──能力を一定時間無効化?

絹旗「変なものもありますね…」

「困ったもんだな…」

 この部屋はこれだけみたいだ。次に向かおう。


 次はエリア2からエリア3の道を通った。

 ここは順に海原、御坂、誉望の部屋がある。

 他にはやはり何もない。あるのは前と後ろに扉だけ。そして、後ろの扉はこちら側から開かない。

 さて、次のエリア3に行こう。


 エリア3に到着した。

 やはり四隅に部屋が四つあり、またパネルとボックスがある。

──ここも同じか。

 と、考えると残りの3エリアも同じなんだろう。

 ここには海原、御坂、誉望がいるようだ。

 誰かに話しかけてみよう。



 選択肢

1、海原

2、御坂

3、誉望


下2まででコンマの高いほう


誉望「あ、垣根さんじゃないっすか。ここの探索っすか?」

「おう」

 誰かに話しかけようとする前に、誉望に話しかけられた。

──こいつもこいつでよく分からない格好をしてるな。中身はまともそうだから良いが。

「ここについて軽く教えてくれ…」

誉望「ここは特に何もないんすよね……部屋は四つあるんすけど、開いてるとこ一つしかないっす」

「そうか……」

 誉望に案内してもらい、その部屋の前に行った。『化学室』と書かれている。

 やたらと変な薬品があるが、詳しく見てる時間はなさそうだ。

 目についたものだけ見ることにする。

──硫酸、青酸カリ、クラーレ、ムッシモール。ろくなものがない。

 危険なものばかりだから、あんまりここには人を入らせたくはないな。

誉望「こういう薬品とかって怖いっすよね。これを考えちゃうと、食事とかも怖いっす」

 確かに食事に毒を混入させられたら、たまったものではない。その点も考える必要がある。

 色々考えながら、外へ出た。


 パネルはやはり他の部屋と違いはなかったが、ボックスの方は違ったことが書かれていた。

『この仕掛けは、二者の能力者の証により開く、パンドラの箱。この箱の中には何かがつまっている。ただし二人以上の死者がいない限り、開くことはできない。仮に開けることができても爆発する』

誉望「何かってなんなんすかね?」

「分からん……ただ一つ言えるのは、俺達がこれを開ける日が来た時は、殺人が起こってるってことだな」

誉望「それは困ったっすね」

 このエリアは他に目ぼしいものはない。次に行こう。

 ゴーグルとその場で別れた。


 エリア3から4の通路も、特にこれといった特徴はない。

 生徒の部屋は食蜂、一方通行、麦野の順だ。どうやら男、女、男……といった順になっているようだ。

 調べるものはここにはない。次の部屋に進もう。


 エリア4もやはり他と変わらない。何度も見たからか、部屋の研究施設感にも大分慣れた。

 ただ売店らしきものが目についた。あれが一方通行が言っていたやつか。

 この部屋には食蜂、一方通行、麦野がいる。

 誰かに話しかけてみよう。



選択肢

1、食蜂

2、一方通行

3、麦野


下2まででコンマの高いほう


「なぁ、しいた──食蜂」

食蜂「あら垣根さん。今、何か言いかけなかったぁ?」

「いや気にするな……それより、このエリアの目ぼしいところあったら教えて欲しいんだが」

食蜂「…ここは売店と麦野さんの能力開発室?…があるわぁ」

「売店ねぇ……見てみるか」

食蜂「あ、奢ってくれるの?」

「言ってねぇ……ていうか、金なんてないが…」

食蜂「専用の通貨があるみたいよぉ。あと食料品は無料みたい」

「そうなのか…」

 とりあえず売店を見てみよう。


ゲコクマ「いらっしゃいませー!」

「テメェが店員なのかよ…」

 店に入るなり、不細工面の人形が現れた。

ゲコクマ「そう! ボクは研究室長にして、この店の店長でもあるのです!」

「知らねぇ…」

 ゲコクマを無視して中を見て回る。

 売店というよりかは、百円ショップだった。

「ん…?」

 変な機械が目にとまった。

 何だこれは? 大きいガチャガチャ?

ゲコクマ「うぷぷ……さすがは垣根くん! これが気になっちゃったんだねぇ」

 ゲコクマは笑い(?)ながら、そう言った。

「説明しろ…」

ゲコクマ「これはゲコゲコマシーン! 中には色々なものが入ってて、ゲコクマメダルを使えば引けるよ!」

「ゲコクマメダル……それがこの国での通貨ってことか」

ゲコクマ「ゲコクマメダルは色々な場所に隠れてるからがんばって見つけてみてねー!……と、言いたいところなんですが、初回だから二枚プレゼントしてあげる!」

 そう言って、半ば無理やりゲコクマが、センスのないメダルを渡してきた。

──悪いものではなさげだし、引いてみるか。

封入率
1~5 浜面
6~10 結標
11~15 吹寄
16~20 土御門
21~25 絹旗
26~30 海原
31~35 御坂
36~40 誉望
41~45 食蜂
46~50 一方通行
51~55 麦野
56~60 削板
61~65 滝壺
66~70 上条
71~75 心理定規
76~80 青髪
81~85 雲川
86~95 レアアイテム
96~00 特殊イベントアイテム

↓2までのコンマでゲコゲコマシーンの結果

一方通行にあげると喜ぶアイテム

↓で良さげなもの

レアアイテム表
浜面(高級スパナ)
結標(美少年の写真)
吹寄(正露丸)
土御門(月刊いもうとパラダイス)
絹旗(超サイヤ人伝説)
海原(怪人二十面相)
御坂(ゲコ太のぬいぐるみ)
誉望(金属探知機)
食蜂(洗脳装置)
一方通行(ウォーキング・デッド)
麦野(小顔ローラー)
削板(俺より強いやつに会いに行くTシャツ)
滝壺(遠隔感受アンテナ)
上条(幸運のお守り)
心理定規(アドラー心理学)
青髪(世界の美男・美女リスト)
雲川(すべてがFになる)

誰向けのものが出たか
↓2まででコンマの高いほう


「あ…?」

 ゲコゲコマシーンなるガチャガチャを回すと、出てきたのは奇妙なものだった。

──正露丸と道路標識のシールブック。

「これどうやって使えってんだよ」

ゲコクマ「誰かにあげると仲良くなれるかも!」

──あげるだと? これあげて喜ぶやついるのか?

 とりあえずポケットにしまった。

ゲコクマ「お買い上げありがとうございましたー」

 気が向いたら、また来てみよう。


 次は麦野の能力開発室に入った。電子や電磁、そこから派生して量子についてまで書かれた本が大量にあった。

 部屋自体にこれといった特徴はない。

 だが辺りによく分からない部品や光学系の材料があった。

 知識のある人間なら、色々作れるかもしれない。

食蜂「こういう系は全く分からないわぁ……垣根さんは分かるの?」

「少しだけ分かる…」

 食蜂は感心してるのかしてないのか、よく分からない顔で、そうなのぉ、と言って、また辺りをきょろきょろと見回した。

 この部屋はこんなものだろう。

 俺は部屋の外に出た。


「で、ここには……」

 次は、謎のボックスに書かれている文字を読む。やはり書かれていることは他と違う。

『この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には極上のアイテムがはいっている。』

食蜂「極上のアイテムねぇ……何が入ってるのかしらぁ」

「ろくなものじゃねぇと思うが……」

 何にせよ、これでこの部屋は全て見回った。後は二つのエリアだけだ。

 食蜂とここで別れ、次の部屋に向かう。


 エリア4からエリア5への通路にも何もない。

 生徒の部屋のみが新しい情報だ。削板、御坂、上条の順に部屋が並んでいる。

 それだけ確認して、次の部屋に向かう。


 エリア5に到着する。

 ここまで来るのに大分歩いた。一周しようとするとならば大分体力を使うかもしれない。

 ここには削板、御坂、上条がいる。

 誰かに話しかけてみよう。



選択肢

1、削板

2、御坂

3、上条

↓2まででコンマの高いほう


「なぁ、御坂」

御坂「あ、垣根さん。さっきぶりね……探索?」

「そうだ……ここは何があったよ?」

御坂「ここの空いてる部屋は『削板さんの能力開発室』と図書室ね」

「あの筋肉バカのか……」

 横目で脳筋の方を見ると、削板はスクワットをしていた。

御坂「でも、あそこまでストイックなのは凄くない?……ちょっとバカかもしれないけど」

「まぁな……良い意味でバカってやつだ」

 御坂に案内され、削板の能力開発室に入った。

 そこには本の類はほとんどなかった。あるのはプロテインだの、筋肉を増強させるサプリなどだ。

 机の上には、一枚の紙がある。

『削板軍覇
パンチ力1t
100m走5秒
 力の制御に苦労している様子』

御坂「これ、削板さんの身体能力かしら?……だとしたら、相当凄いけど」

「脳筋ってコイツのためにある言葉なんじゃないか?」

御坂「そうかもね……」

 そんな雑談を話しながら、部屋を出た。


 図書室は本が大量にあって見てる余裕はなかったから、後回しにした。

 謎のボックスを見て、次の部屋に行こう。

御坂「これ、何なのかしら…」

「さぁな…」

 文字を見る。

『この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には全ての扉を一時停止させるボタンがはいっている。』

「……こりゃ、本当にろくなもんじゃねぇな。悪用される前提の品じゃねぇか」

 だからこそ尚更開けるべきじゃない。触らぬ神に祟りなし、だ。

 このエリアは大分見終わった気がする。次に進もう。
 
 御坂とそこで別れた。


 エリア5からエリア6の通路は他と変わら──

──ん?

 違う。

 ここは他と違う。

 部屋が四つある。

 心理定規、青髪、雲川と並んで、その次にもう一部屋ある。

 部屋名はない。

──ここについては他三人に聞いてみるか。

 エリア6に進む。


 エリア6も同じだった。

 一つくらい違った配置があるかと思ったが、全て部屋の構造は同じだった。

──まぁ、そっちの方が分かりやすくていいか。

 ここには心理定規、青髪、雲川がいる。

 誰に話しかけよう。



選択肢

1、心理

2、青髪

3、雲川


↓2まででコンマ高いほう

ミスった… 

エリア2から3の方

海原、滝壺、誉望で


「おい」

心理定規「…何かしら」

「お前らの部屋がある通路に、よく分からねぇ部屋があったが、ありゃ何だ?」

心理定規「さぁ……私も知らないわ。仲見たけど、普通の部屋って感じ。空き部屋じゃない?」

「そうか……」

 空き部屋か。

 まぁ、実際使われてないなら、そうなんだろう。

「話は変わるが、このエリアには何かあったか?」

心理定規「特に……小部屋が4つあるけど、どこも空いてないわ」

「どこも空いてないってのは新しいな……あと、箱はどうなってる?」

心理定規「あの金属のやつのことかしら?……それなら何も書いてないわよ」

 心理定規の言う通り、パンドラの箱が云々と書いてある部分に何も書かれていなかった。

 どうやらこの部屋は本当に何もないらしい。

 心理定規と別れ、自分の部屋の通路に戻る。


(あと、きちんと見ていないのは中央エリアだけか……)

 探索はほぼ終わった。中央エリアのみ、ろくに調べていない。あそこでしたのは話し合いだけで、見る時間はなかった。

 一見ディナー会場のようだったが、何かあるだろうか?

 俺はエリア1に入り、再び中央エリアに向かった。



↓1 中央エリアに居た人物一人(心理、御坂、絹旗、結標、誉望、食蜂以外)

エリア1からエリア6-1間の個室通路には戻れますか?


 中央エリアに着くと、そこには一方通行が居た。

一方通行「……」

「何だよ」

一方通行「あ?…自意識過剰か? テメェのことなんざ見てねェよ」

「チッ、そうかよ……」

 一方通行を無視して、エリアを探索することにした。

 ここは先程見た通りのディナー会場だが、興味深いものがあった。

──エレベーターだ。

 ボタンが横にあったため試しに押してみるが、反応はない。

 あとは厨房を見てみよう。

 そちらに足を向けると──

一方通行「オイ、待て」

──一方通行に止められた。

「何だよ」

一方通行「オマエが料理に毒物を混ぜる可能性がある。……オレが見張ってる」

「あぁ、そうかよ……勝手にしやがれ」

一方通行「言われなくても勝手にする」

 何なんだコイツは。疑うのも無理はないかもしれないが、いくらなんでも敵対心剥き出しにしすぎだろう。

 一方通行が後ろでこちらを見張ってるのにイライラしながら、厨房を調べた。

 食材が大量に入った冷蔵庫と冷凍庫、食器の入った棚。普通の家庭と比べても特に変わった点はない。違いは厨房の規模がデカいくらいだ。

 このエリアには他にもう何もない。そろそろ自分の部屋に戻ろう。ここに居ても一方通行しかいない。こいつから得るものはない。

>>167 戻れません


「と、調べ終わったわけだが……」

 自分の部屋に帰って来た。そういえば、ここはまだあまり調べていなかった。

 机の上のパソコンを見る。

──使えるのだろうか?

 電源スイッチを押して見る。

 すると、パソコンの起動の音がした。

 どうやら使えるらしい。

 しばらく待つと、起動し終わったようで、デスクトップ上にひとつのファイルが現れた。

 ファイル名は『G(ゲコクマ)メール』。

 これ以外のファイルは存在しないし、検索機能も使えない。設定など弄ろうとしたが、何も出来ないようだ。

素直にGメールを起動させる。

 デスクトップ上に黒い小ウィンドウが出てきた。

 しばらく仕様や、どういうものか理解しようとして手を動かした。

 結果わかったのは、これはLINEのように他の生徒に連絡をすることが出来る、ということ。また、掲示板のような複数人でメッセージのやり取りが出来る機能もあることが分かった。

──これがあれば部屋にいながら連絡しあうことができる、ということか。

 中々に便利だな。

 友達リストなどはないが、最初からpc名で他の生徒の送信先も登録されている。

 掲示板の方は自由に書き込めるようになっている。さっそく誰かが書いているようで、通知のようなマークが出ている。


pc01:1は俺がもらった!

pc18:2番の方が私は好きだ

pc04:さっそく堪能してるわね


 恐らく推察するに、浜面と雲川と吹寄なんだろう。俺のpc番号が03っていうのを考えると、な。

 とりあえず使いみちは分かったし、電源を切る。

 これで本当に現状、全ての探索は終わったんじゃないだろうか。

 もっとも浅くしか見ていないから、まだまだ何かあるだろう。

 そう考えていると、夜になっていたことにようやく気付いた。

 外の世界がないから、時計の時刻を見ない限り夜だと気付かない。

──少し早いが、そろそろ寝るか。

 布団に入り、また天井を見上げる。

 本当にコロシアイなんて起きるのだろうか? 全く俺には信じられなかった。

 思考はすぐに途絶えた。それは疲れからか、唐突な睡魔に襲われたためだ。

こんかいはこの辺でー


「七時四十分か……」

 集合時刻は八時。悪くない時間だが、やはり目覚めが悪い。

 外の世界の様子が見れないのは腹立たしい。

「とりあえず向かおう……」


吹寄「おはよう諸君」

上条「おはよう」

浜面「朝って感じがイマイチしないけどな…」

結標「なら朝食を食べて、朝の実感を得なさい」

絹旗「おお! これは超美味しそうですね!」

 結標がテーブルに置いた品々は、焼き鮭や味噌汁、漬物とThe朝食といった感じだった。

「昨日も思ったが料理上手いな」

滝壺「だいたい吹寄がやってる…」

結標「悔しいけど、それは事実よ……吹寄の手さばきには敵わないわ」

吹寄「多少慣れてるだけよ」

青髪「謙遜してるところもええと思いません、土御門くん」

土御門「うーん、俺は妹属性以外はNGだから……全くダメだにゃー。どっちかっていうと吹寄は姉なんだぜよ」

吹寄「オイ貴様ら! くだらない話してないで手伝え!」

青髪「ひぃ」

土御門「はい! だにゃー!」

麦野「まったく…男は能天気で良いわね…」

海原「あちらと同じくくりにされるのは心外です…」


「そういや見ねぇ顔があるな……一方の野郎はやっぱりいないが…」

吹寄「削板くんが居ないわ……トレーニングルームで見かけたけど、彼曰く『会話がさっぱり分からん! よって筋肉!』って言ってたわよ」

絹旗「超意味分からないんですけど…」

御坂「会話より筋トレってことなんでしょうけど…」

「二人もいねぇのか……困ったもんだ」

吹寄「愚痴は言いたくなるけど、それよりも各自で探索してもらった結果を共有しましょうか」

誉望「そうっすね」

吹寄「では、何かある人いるかしら?」

心理定規「私が気になったのは、あの『パンドラの箱』とかいうやつね」

雲川「…だな」

心理定規「あそこには二者の能力者の証とか書いてあったけど……あれって何のことかしら?」

「それは……」


↓1

超高校級の解析能力者 一方通行
『あらゆる仕掛けを解析し、解除することができる、三回のみ』に修正で


「二人分の学生証じゃないか?」

心理定規「学生証…?」

「ああ、俺達が最初から持ってる……この学生証だ。こいつを使えばあれをあけられるんじゃないかと思ってる」

結標「私もそう思うわ……証って漢字が、学生証には入ってるし、カードリーダーみたいなのが横についてたからね」

吹寄「なるほど……。試してみれば分かること、と言いたいところだが、開けるにしても中身はろくなものじゃないわよね?」

雲川「極上の凶器、能力無効化アイテム、不明、極上のアイテム、扉一時停止ボタンの5つだ……不明のやつは実質開けられないに等しいが…」

吹寄「やっぱり…」

浜面「でも、二人いなきゃ開けられないんだよな? だったら、誰も開けないんじゃないか? そんな危険なものをわざわざ出すなんて」

麦野「二人とは限らないわ……学生証がニ枚あれば開けられると思うわよ」

浜面「だとしても、皆学生証はちゃんと持ってるだろ? だったら、放っておくのが一番じゃないか?」

「いや……一人だけ開けられそうなやつがいる……」

浜面「一人? 誰だよそいつは…」



↓1


「一方のヤツなら、学生証がなくても開けることができるんじゃねぇかな」

浜面「一方通行…?」

「あいつの能力は『あらゆる仕掛けを解析し、解除することができる』っていう能力だった……よな? 心理定規」

心理定規「そうね……これ、ゲコクマに頼んでコピーしてもらったから皆にリスト配るわ」

浜面「確かに書いてあるな…」

結標「でも、だからといってそういった凶器やら危険なアイテムを出して、管理するとなると色々問題がある気が…」

雲川「それなら良い案がある……一つ空き部屋があるのは知っているかい?」

御坂「あ、雲川さんの隣の部屋のこと?」

雲川「そうだ……あそこは無人の部屋だろう? あそこに『パンドラの箱』の中身をしまうというのはどうだ?」

「鍵はどうする…?」

浜面「あ、俺なら外から鍵かけられるぞ」

雲川「それだけではダメだ……なにせそれじゃ君だけが入れるからな」

食蜂「だったら、どうするのぉ?」

 雲川はそこでコーヒーをわざとらしく飲み、口を開いた。

雲川「……塞いでしまおう」


誉望「え! 塞ぐって、扉を、っすか?」

雲川「なに、埋め立てするわけじゃない。単純に大きな物体を扉の前に置くということだよ」

土御門「にゃー」

「絹旗か削板なら出来るが……それじゃ、結局そいつらだけは入れるんじゃないか?」

雲川「だから、『それだけでは』と言ったんだ」

海原「つまり、浜面さんの能力との合わせ技……ということですね?」

雲川「そうだ。まず浜面に扉に鍵をかけてもらう。その後に、扉の前に遮蔽物を置く。……こうすれば単身では中に入ることができないだろう?」

吹寄「良い考えね……だけど、一気に全ての『パンドラの箱』の中身を入れる必要はないんじゃないかしら?」

麦野「ていうのは?」

吹寄「まず明らかに『特殊な凶器』は危険って分かるけど、『能力を無効化するアイテム』とかは使い道ある気がするのよね」

雲川「それに私が言っておいてなんだが、このプランが完全に機能するとはまだ確証がない。というのも、私達は与えられた情報から判断しているに過ぎない。もしかしたら、先程の案を使ってもなお入ることができる人間がいるかもしれない……そういった点で、まずは凶器だけを封印することを提案するよ。他は要相談といった感じでね」

吹寄「良い意見ね……他の皆はどう思う?」

青髪「注意深くいくのはええと思うよー」

麦野「なにもしないよりは遥かにマシ……問題ないわ」

吹寄「ありがとう……それじゃ、エリア1に皆で向かいましょうか」

 席を立ち、各々がエリア1に向かう。


青髪「パンドラの箱なあ……僕もさすがに箱では興奮できませんわ」

上条「お前は何言ってんだ」

土御門「青髪は守備範囲広すぎて何処までいけるか挑戦中らしいぜよ」

 全員が集まったのはかなり時間がかかった。

 というのも、エリア1とエリア2の間の部屋のやつらは一周しないと、ここにこれないからだ。

 その点、俺と浜面と結標は一番近い部屋だったので楽できた。待つのは退屈だったが、トレーニングルームで一人で騒いでる削板を見てたら時間が過ぎた。

 皆は順にエリア6のやつら、エリア5のやつら、と順にやってきた。当然、一方通行の姿はない。

吹寄「よし、皆集まったわね……早速開けましょうか」

土御門「一体、なにが入ってるんだにゃー?」

吹寄「ちょうど近いとこにいるから言うけど、あなたの学生証を貸してくれない?」

「おうよ」

 俺は吹寄に学生証を渡した。

吹寄「じゃ、やるわよ」

 そう言って吹寄はカードリーダーに学生証を通す。

 するとガチャ、と音がした。

御坂「空いた……のかしら?」

海原「外からは変化がありませんが……」

吹寄「どれどれ……」

 吹寄は蓋を掴んだ。

 すると、どうやら開いてることが分かったらしく、こちらに顔を向けた。

吹寄「開けるわよ」

 吹寄はゆっくりと蓋を開けた。

 一同がそこを覗き込むように集まる。

浜面「これは……」

──中にはサイレンサー付きの拳銃と手榴弾があった。


絹旗「っと、これで良いですか…?」

 絹旗がデカイ棚を扉の前に置いて、言った。

吹寄「ええ、バッチリよ……これでだれも入れないんじゃないかしら」

浜面「ふー、ちょっと疲れたぜ……それにしても、あんなもんが入ってるとはな…」

 仕事を終えた浜面がそうつぶやく。

 拳銃と手榴弾。

 拳銃はリボルバー型で弾薬が六発入っていた。手榴弾は特殊なラベルが貼ってあり『ゲコクマ特製二十倍手榴弾』と書かれていた。

 どちらも野放しにしておくには恐ろしいものだ。

「でも、これでこの凶器は封印された……」

誉望「そうっすね」

吹寄「一歩前進よ……コロシアイなんて、私がいる限り起こさせないわ」

海原「これはこれは……頼もしいですね」

土御門「吹寄リーダーだにゃー」

吹寄「なにそれ…」

結標「良いじゃない、似合ってるわよ吹寄リーダー」

吹寄「もう、結標さんまで…」

 少しだけ友情が芽生えつつあった気がした。

 こんな状況だからこそ皆で協力しようとする意思が俺達の中から生まれた。

 この調子で交流を深めていけばコロシアイなんて起きないだろう。

 そう思っていた矢先、悪魔の声が鳴り響く。

『えー、研究室にいる皆さんに大事な連絡があります。至急、中央エリアにお集まりください』

 嫌な予感しかしなかった。

最終更新版

超高校級の??? 垣根帝督
『不明』

超高校級の精神能力者 心理定規
『対象の能力を見ることができる。また回数制限のある能力の使用回数を見ることができる。発動には近くにいる必要がある』

超高校級の念動力者 誉望万化
『一日に二回まで透明になれる』

超高校級の解析能力者 一方通行
『あらゆる仕掛けを解析し、解除することができる。三回のみ』

超高校級の再生能力者 土御門元春
『死んだ時、一度だけ蘇ることができる』

超高校級の空間転移能力者 結標淡希
『自分以外のテレポートができる。二人まで飛ばせる。飛ばされる人物が一度行ったエリアのみ。具体的にテレポート場所を指定することはできない』

超高校級の変身者 海原光貴
『直前の死者の見た目、体格、声に変化することができる。三回のみ』

超高校級の電子使い 麦野沈利
『扉を電子の阻害により開かなくすることができる。(効果は10分間) 両側から開かなくなる。一日三回のみ』

超高校級の窒素使い 絹旗最愛
『薄い窒素を常時纏う。また付随して重いものを持てるようになる』

超高校級の追跡者 滝壺理后
『指定の人物が何処にいるか分かる。一日三回のみ』

超高校級の外れ者(?) 上条当麻
『能力を打ち消す右手を持っているらしい(?)』

超高校級の模倣者 青髪ピアス
『一度だけ直前の死人の能力を模倣する。発動するまで、誰が死んでいるか分からない』

超高校級の命令者 吹寄制理
『人物に抵抗不可の命令をすることができる。この命令は具体的でなければ効果をなさない。また声が聞こえていなければ効果はない。二回まで使用可』

超高校級の電気使い 御坂美琴
『電気を供給or流すことができる。この電気は別の用途としても使用可能。またこの能力を使うと体力も消費される』

超高校級の精神能力者 食蜂操祈
『指定の人物がクロマクかそうでないか分かる。一日一回のみ。またコロシアイ生活、初日は使用不可。発動には近くにいる必要がある』

超高校級の筋肉 削板軍覇
『一般人の何十倍もの強靭な肉体を持つ』

超高校級の??? 雲川芹亜
『不明』

超高校級の機械操作能力者 浜面仕上
『原則通れない扉を開け、通ることができる。また生徒達の部屋や一部の部屋に簡易的なロックをかけることができる(外側から)』


ゲコクマ「はい! よくぞみんな集まってくれました!」

一方通行「御託はいい……さっさと話せ」

ゲコクマ「もう…一方くんは冷たいなぁ……えー、今回はみなさんにプレゼントを持ってきました」

結標「プレゼント…?」

ゲコクマ「そう、プレゼントだよ」

「内容は…?」

ゲコクマ「うぷぷ……それはねぇ、なんと! ここの生徒達の秘密だよ!」

「秘密だと…?」

ゲコクマ「詳しくは部屋に帰ったらのお楽しみー! て、いっても未だ自分の秘密しかないから安心してね」

ゲコクマ「……ちなみに明後日の夜00:00になった瞬間、電子生徒手帳に全員分の秘密を乗せる予定です!」

ゲコクマ「ただね。中にはどうしても秘密を言われたくないって人もいると思うから、秘密公開時間までに殺人が起きたら、この秘密公開をやめます!」

「なんだと…」

絹旗「超ふざけないでください!」

浜面「本当だよ! 理不尽すぎんだろ!」

ゲコクマ「うるさいなぁー! 悪いのは君たちなんだよ! 早くコロシアイ起こして欲しいのに仲良くなっちゃってさぁー。そんなの許せないよね! ていうかコロシアイ起きないとボクの給料が出ないんです!」

雲川「…なんだその理由は」

結標「自己中ね…」

ゲコクマ「とにかく起きなかったら秘密はバラまくからね! では、さらばー!」

 それだけ言うと、ゲコクマは勢い良くどこかに消えていった。

 皆は沈黙している。

 思い当たる自分の秘密、というものを考えているのだろうか。

 急に不穏な空気があたりを包んだ。

吹寄「みんな……少し落ち着きましょう。ゲコクマの罠にはまってはいけないわ」

浜面「あ、ああ……そうだよな」

御坂「そ、そうよね……冷静になりましょ」

 やはり何か各々後ろめたいところがあるようで、戸惑っている様子が伺える。

 動じていなかったのは一方通行や雲川くらいだった。


食蜂「あのぉ……話を遮って悪いのだけど、私の能力、今日は誰に使えば良いかしらぁ?」

「そうだった……一日に一回使えるんだったな」

食蜂「ええ、さすがに私が勝手に使うよりは、皆さんに話し合ってもらった後のほうが良いでしょう?」

土御門「意外に考えてるんだにゃー」

海原「ですね」

食蜂「意外は余計よぉ!」

吹寄「どうしましょうか……皆、誰に能力使ったほうが良いとか何か案ある?」

青髪「うーん…」

「そうだな……」

心理定規「私はあまり顔を出さなそうな人が良いと思うわ。一方くんは、本人が朝の会議に顔を出さないかもしれない、って言ってるから……。食蜂さんの能力は近くにいないと発動できないし、そういう人、優先が良いんじゃない?」

一方通行「あ? オレを疑ってるのかァ? だったら、それはお門違いだぜ」

吹寄「私はランダムで良いんじゃないか、と思う。部屋順とかで、ね。…ていうのも、疑われたりするのは、この極限状態じゃストレスにもなると思うし」

海原「自分は逆に食蜂さんに全てお任せして良いんじゃないか、と思ってます。毎回毎回、朝の貴重な時間を取られるのは痛いですし、他に話し合うことはたくさんあるでしょう?」

「そうだな……」



誰に賛成するかor別の意見

↓2まででコンマの高いほう


「心理定規に賛成だ…」

雲川「私もそれが良いと思う」

誉望「そうっすね」

 雲川はペン回しをしながら、どこを見ているのか分からないが俺の意見に賛同した。

 誉望もわざとらしいほど頷いて、賛同の意を見せた。

 他のやつらもコクリと頷いている。

一方通行「クソが…」

吹寄「みんなの意見なら異論はないわ……海原くんは?」

海原「自分も問題ないですよ」

 吹寄と海原はあっさり下がった。何か企みがあったわけではないことを、それは表している。

吹寄「じゃあ、一方くん……申し訳ないけど、食蜂さんの能力の対象になってもらうわよ」

一方通行「勝手にしろ……だがテメェら覚えとけ」

 一方通行は歯ぎしりを立てながら言った。

浜面「こ、怖くなんかねぇからな!」

絹旗「超震えてますよ」

 浜面はそう言うが、足がガタガタ震えていた。

土御門「初期微動継続時間だにゃー」

食蜂「じゃ、一方さんに使うわよぉ……えいっ」

一方通行「……」

 皆が黙り、食蜂の結果を待つ。

 一方通行は怪しいやつだ。コイツがいきなりクロマクだった。

 そういうパターンは全然ありえる。

食蜂「……」

 三十秒ほど経っても、食蜂は無言だった。

「おい、どうした…」

 まさか、一方通行が本当にクロマクだったのか?

 いきなりクロマクが出たから食蜂は唖然として、何も言えなくなってるとか?  

 そういった考えが頭に浮かんだが、次の言葉が俺たちに混乱を与えた。





食蜂「能力が……使えないわ……」



「は……?」

 皆が驚いた顔をしていた。

 それも当然だ。能力が使えないということが意味してるのは…

雲川「待て……食蜂以外は能力が使えるか? ゲコクマが禁止しているのかもしれない」

絹旗「超使えてますね…」

 そういうと、絹旗はあたりのものを適当に持ち上げた。

 手と物の間に不自然な空白が見える。

 窒素の装甲が正常に機能している証拠だ。

上条「どういうことだ…?」

「食蜂だけが使えないところを見ると、あの箱が開けられたってことだろ…」

誉望「箱……それって…」

心理定規「そう、あの『パンドラの箱』とかいうやつの中には、『能力を無効化する装置』があった。それが使われたってことでしょうね」

上条「一体誰が……」

麦野「それはクロマクでしょう。それは誰か分からないけど、今現状から考えれば──」

 そう言って、麦野は一人の人間に視線を向けた。

 当然だ。

 何せ、あの箱を開けることができるのは『二枚の学生証を持った人間』か『この男』だけなのだから。

麦野「一方通行、アンタがクロマクなのかしら?」

一方通行「……はっ」

 一方通行は鼻で笑った。

一方通行「だったらどうするんだァ? オレがクロマクだからってテメェらには何もできねェだろ?」

浜面「やっぱりお前がクロマクか…!」

 一方通行は否定も肯定もしなかった。

 だが暗に自分がクロマクと言っているような、そんな振る舞いをした。

──コイツが本当にクロマクなのか?

(いや、待て……アイツの能力を使えば、一方通行がクロマクかどうか分かるんじゃないか?)


参考>>184 >>185 人物指名↓1

心理定規

>>193

「いや、心理定規の能力を使えば分かるんじゃないか?」

誉望「え?」

「心理定規の能力は他の生徒の能力を見るだけじゃない。『回数制限のある能力の使用回数を見ることができる』ってのもあるらしいじゃねぇか」

青髪「うーん……つまりどういうことなん?」

雲川「もし一方通行が『箱』の解除に能力を使ったなら、心理定規には分かるということだ」

一方通行「チッ…」

浜面「じゃ、じゃあ……心理定規! 一方のやつは能力を使ったのか? 使ってないのか? どっちなんだ?」

心理定規「使ってないわね……一度も」

土御門「なんでにゃー!」

麦野「それは……どういうこと?」

心理定規「もしかしたらだけど、嘘をついたんじゃない? 理由は分からないけど…」

一方通行「……」


「何とか言ったら、どうだよ」

一方通行「はっ、うっせぇな……嘘ついちゃ悪いかァ?」

浜面「はぁ!?」

上条「お前! なんでそんなことを!」

一方通行「なんでって、そりゃテメェらが疑心暗鬼に陥るようにだよォ……オレはお前らみたいに仲良しこよしやるつもりはねェんだよ」

吹寄「……貴様!」

 吹寄が勢い良く近づいた。

 怒りたい気持ちも分かる。なにせ吹寄とは真逆の男なのだから。

一方通行「おっと、殴る気か? だが気をつけろよ。殴るってことはテメェの嫌いな殺人と何ら変わりねェ。それとも正義を掲げれば、正当化できるのかァ?」

吹寄「くっ……」

 吹寄はギリギリのところで手を止めた。

結標「やめましょう、吹寄。構うだけコイツの思う壺よ」

滝壺「喧嘩はよくない…」

吹寄「……そうね。ごめんなさい」

 二人に感情を抑えられたのか、吹寄は一方通行に背を向けた。 

一方通行「あーあ、つまんねェの。良いところだったのによォ……」

 そう言って、一方通行は中央エリアから立ち去った。

上条「何だったんだあいつ……」

浜面「顔と一緒でクソ野郎だな」

削板「一方通行は漢じゃないな!」

吹寄「色々言いたいところはあるかもしれないけど……とりあえず、能力を無効化するアイテムのあるエリア2に行きましょうか」

「ああ…」


 皆がエリア2に集まったのは大分時間が経ってからだった。

 やはり時計回りにしか進めないというのは弊害だ。

 浜面だけは好きなところに行けるみたいだが、他の生徒は隣にそのエリアがあったとしても時計回りでなければ入れない。

吹寄「みんな、集まったわね…」

 『パンドラの箱』の周りに、皆が集まる。

「よし、確認するぞ」

吹寄「ええ」

 吹寄は蓋部分を触った。

 すると、どうやら軽く触っただけでも上に蓋が動く余地があるようで、吹寄は顔をしかめた。

吹寄「……完全に開いてるわね」

 そう言いながら、蓋を豪快に開く。

 全員がまた一時間前と同じように、箱の中を覗きこんだ。

麦野「何か入ってるわ!」

 だが箱もかなりの大きさがあるためかよく見えない。

「吹寄。危険なものかもしれないから、お前が手をいれるのはやめとけ。……そうだな、削板! お前、こんなかに手を突っ込んでみろ」

削板「根性!」

 どうやら、それは了承、ということらしい。

 削板は勢い良く、箱の中に手を突っ込んだ。

削板「ん?」

 何かに触れたようで、削板はあっさりとそれを引き出し、蓋を閉じて、その上に置いた。

 それは写真のようだった。

 そこには黒髪の巫女服姿の女が写っている。

誉望「誰っすか、これ?」

 誰もその人物について、知らないようだった。

吹寄「待って! 裏に何か書いてあるわ!」

 皆の視線が一箇所に集まる。

 そこには──







──『超高校級の空気 姫神秋沙』と赤いインクで書かれていた。


「超高校級の空気、だと?」

削板「姫神秋沙。……誰だ、こいつ?」

雲川「見たところ、学生のようだが」

吹寄「それよりも疑問なのは、なぜこれがこの中に入ってるか、ということよ」

浜面「それは……最初から入ってたんじゃないか?」

「それもありえるが……誰かが入れた可能性もある」

誉望「一体、誰がいれたっていうんすか?」

吹寄「……やめましょう。ただでさえ、秘密のことで疲弊してるのに、これ以上決着のつかなそうな話をしても意味ないわ。それについては今日各自で暖めておいて、また明日の朝、話しましょう?」

「そうだな……」

 俺含めて一同は吹寄の意見に賛同した。

 分からないことだらけだったが、少なくとも今はそれが賢明に思えた。

結標「あ、言い忘れてたけど……昼食も勝手に私達で用意するから、食べたかったら中央エリアに来てちょうだい」

削板「おお! それは最強だな!」

絹旗「超行きます!」

 何だかんだ半数くらいが中央に向かい、残りの半数が自分の部屋に戻った。

 俺は自分の部屋に戻って、少し休憩することにした。


 部屋に帰ると、机の上には茶封筒があった。

──もしかして、これが『秘密』というやつだろうか?

 俺はそれを手にとり、封筒の中から紙を取り出した。

「これは……」

 そこに書かれていたことを見て、唖然とした。

 紙にはこう書かれていた。

『厨二病で、セルフBGMをかけながら教室に入ってきた時期があった』

 思わず顔を枕に埋める。

 これはバレたら不味い。

──ああ、最悪の気分だ。

 こんな恥ずかしい過去、人に言われたくない。

 それを忘れるように、仮眠についた。

 良い夢がせめて見れることを祈ろう。


 それから目が覚めた後は、色々なことを考えた。

 だが考えても、結局分からないことだらけだった。

 まずどう開けたのかもわからないし、中身も分からない、姫神秋沙が誰なのかも分からない。

 分からないことしかなかった。考えれば考えるほど、謎が生まれた。

 時刻は十五時。気分転換に何処か行くとしよう。


どこに行こうか?(キャラ指定で)

中央エリア(吹寄、麦野)

エリア1(雲川、滝壺、誉望)

エリア2(一方、御坂、海原)

エリア3(青髪、土御門)

エリア4(絹旗、上条、削板)

エリア5(心理、浜面)

エリア6(食蜂、結標)

↓2まででコンマの高いほう


 エリア4にやって来た。

 ここには絹旗、上条、削板がいる。

 なんとなくだが、絹旗に話しかけてみるか。


絹旗「売店には超色々なものがありますね…」

「…なぁ、超絹旗」

絹旗「あ、垣根さんも売店談義したいんですか?」

「ちげぇよ。ちょっと雑談したかっただけだ……売店はどうでもいい」

絹旗「なるほど…」

 絹旗と共に時間を過ごした。


「そういや何でお前は長点上機にやってきたんだ?」

絹旗「何で……とか言われても、特に強烈なバックボーンとかあるわけじゃないんですよね」

「そうか……まぁ、普通はそうなんじゃねぇの?」 

絹旗「普通ですか。…それは超嫌ですね」

「嫌?」

絹旗「ええ…だって普通ってつまらなくないですか?」

「つまらない…?」

絹旗「超つまらないんですよ、普通って……。どうせなら、ちょっと異端なくらいが超丁度良い……。そう思いませんか?」

「分からなくもねぇが……。だからって変人の方が良いのか?」

絹旗「もちろん。その変さが癖になる人続出です。垣根ももうちょっと変人になってください」

「はぁ…」

 “理解できたような、できないような”

絹旗「本当に分かってるんですか?」

「も、もちろんだ」

絹旗「じゃあ、聞きますけど……ドラゴンボールからで……。悟空、クリリン、ベジータ……この三人の中だったら私は誰が1番好きでしょうか?」

(……普通に分からねぇぞ)


選択肢

1、悟空

2、クリリン

3、ベジータ


↓1


「クリリンか…?」

絹旗「ぶぶー! 超違います!」

「チッ……正解は?」

絹旗「孫悟空ですよ。あんな主人公だから忘れがちですけど、ナチュラルサイコパスです彼は」

「はぁ…」

絹旗「ベジータは王道過ぎますし、普通にしっかりしすぎてます。そして、クリリンは超普通で、ただの良い人ですよ」

「普通じゃねぇ、鼻がねぇだろ」

絹旗「…外面的特徴は超知らないです」

「よくわからねぇ…」

絹旗「ふふふ……私と仲良くなりたかったら超覚えておいてくださいね」

 絹旗と仲良くなれたのだろうか……?


 その後は、すぐ部屋に帰った。

 一応、Gメールの掲示板を確認する。


pc16:ここでやり取りできるの便利ね。

pc17:クソリプしまくるでー

pc02:害悪よ


 と、くだらないやり取りがされていた。

 “見る必要もなかったな”

 そう思いながら、布団に潜る。

 モノクマが秘密をバラまくと言ったのは二日後。

 いくら他人に言われたくない秘密があるからって、コロシアイが起きるわけないよな?

 輪を乱そうとしているのは一方通行だけだ。あいつにさえ注意しておけば大事だと、今は信じるしかなかった。

他スレもそうですが、最近忙し目です。
悪しからず


 朝になった。この場所に来てから四日目の朝だ。

 生活が変わったからか、少し肌が荒れている気がする。

 気にしてるわけではないが、そういうのに 敏感なのだ。

 だが今はそんなのどうでも良いと言わざるをえないが。

 皆の待つ中央エリアに向かう。


吹寄「一方通行以外は集まったわね……」

 中央エリアにつくと、食欲をそそるような香ばしい匂いが鼻腔に絡みついた。

結標「今日は色々試してみたわ…」

土御門「美味しそうなんだにゃー!」

上条「おぉ!…ろくなもの食べてこなかった上条さんにとっては最高ですよ」

絹旗「超最高です!」

 食事の時だけは、皆が生き生きしているように感じる。

吹寄「食事も良いけど……昨日のことについて話し合いましょうか。あんまり食事をしながらっていうのもよろしくないんだけど、今は仕方ないわ」

心理定規「じゃあ、まず話を少し整理しましょうか」

「頼む」

心理定規「まず昨日、食蜂さんに一方くんに対して能力の使用をお願いしたのよね」

青髪「そうやねー……一方くんは会議に出席しないから先にクロマクか見とこうってなあ」

心理定規「そうね。で、使おうとしたわけだけど、彼女は使えない、と言ったわけだわ」

食蜂「そうよぉ……使えなかったわぁ」

心理定規「で、食蜂さん以外は能力を使えて、彼女だけが使えなかった」

雲川「それはつまり、『パンドラの箱』が開けられた、ということを意味してる」

心理定規「ええ。何故かというとあの箱のひとつに、能力を無効化する装置が入っているものがあったからね」

吹寄「そして、私達はその箱を確認した」

心理定規「そしたら中から、姫神秋沙の写真が出てきた……。と、以上ね。みんな理解できたかしら?」

削板「おお! なんとなく根性で理解できた気がするぞ!」

(整理しても、結局分からない。……なら、ありえる可能性を模索するべきなのか?)


吹寄「一つずつ、片付けていこう。まずあの箱を開けたのが誰かだ」

誉望「少なくとも俺らにはできないっすよね?」

(……誉望の言う通りで、可能性があるとするならば、それは……)


下1で自由記述


「姫神秋沙なんじゃないか…?」

御坂「え…!」

上条「ひ、姫神秋沙って、さっきの写真の人物だろ? なんでそいつが出てくるんだよ」

結標「いや、そこまでおかしい話じゃないと思うわ」

上条「結標まで……。どういうことだよ……」

雲川「……ならば聞こうか上条当麻。一体、誰が被験者は十八人と言ったのか。もちろんゲコクマはそんなこと言ってない」

 そういって雲川は回していたペンを止め、上条にビシッと向けた。

上条「ま、まさか……」

雲川「そのまさか……十九人目だよ」

滝壺「もう一人…いるの?」

誉望「だとしたら、この施設の中にもう一人いるってことっすか!」

吹寄「そうなるわね…」

青髪「じゃあ、その十九人目は自分の写真を箱の中に突っ込んだん? 何のためにそんなことするんよ?」

麦野「分からないけど、自分という存在を知らしめるため、とか?」

吹寄「ありえなくはないわね……。次にいきましょうか、あのパンドラの箱はどうやって開けられたのかしら?」

御坂「一方通行の能力か……、学生証を二つ使わなきゃ開けられないのよね?」

(御坂の言うことは間違ってない。だからこそ……姫神秋沙が容疑者だとすれば、それは……)


自由記述(正解複数あり)

下1

姫神はミスリードかもしれない
二重の封も箱も複数人なら解除できる 
共犯も視野に入れてまずは封印の仕掛けを解除できると思しき人物に話をきく

>>216姫神とクロマクの共犯

>>215はこの後
>>217

「学生証を使って開けられた……のは間違いないだろ」

浜面「で…でも、二枚なきゃ使えないんだろ! 姫神だって一枚しかないはずだ」

「いや、クロマクと姫神が手を組んでたって考えるのはどうだ? あるいは逆の可能性もあるが」

浜面「クロマクと姫神…?」

海原「しかし、そうなると姫神さんがクロマクに協力する理由が分かりませんね」

雲川「それについては色々つけようがある……。脅されていた、とかな。……しかし、垣根、こういう考えもないか?」

「あ?」

雲川「『超高校級の空気』。この能力が使われている可能性もゼロではない」

「それは…」

雲川「この能力はどんなものだと思う?」

雲川「ここにいる十七人と一方通行の能力名はある共通点がある。……姫神秋沙の能力を考える上で、参考になる人間が一人いるだろう?」

土御門「そ、それは誰なんだにゃー!」

(超高校級の空気。名前からしてよく分からん能力だと思ったが……“共通点”があるとすれば)


下1で人物指名


「そうか……“超高校級の筋肉”だ」

削板「俺を呼んだか垣根!!! 超高校級の筋肉とは、まさに俺のことだ!!!」ガタッ

麦野「声デカッ」

滝壺「座ろう削板…うるさいのはダメだよ」

削板「お、おう……そうだな、漢じゃなかった……すまん」

浜面「滝壺強いな」

雲川「本題に戻ろうか……。垣根の言う通り、削板だけ姫神秋沙との関連が見られる」

雲川「ここにいる能力者達は、~能力者、~者、~使いの三通りがいる。能力の分からない私と垣根、……そして、削板を除いてな」

青髪「そっかー。削板くんだけ、そのパターンにあてはまってないんやね。超高校級の筋肉は漠然とした名詞がくっついてるだけ……姫神さんの空気と一緒ってわけかあ」

「つまり、削板から類推すれば大体の予想はつく……。つまり名詞そのものってことだろ? 削板を見りゃ分かる通り、The超高校級の筋肉って感じだろ?」

誉望「つまり空気そのものってことっすか?」

雲川「可能性としてはかなり高いだろう……。ここでの空気がairなのか、それともnot existなのか」

上条「悪い。何言ってるか分からない…」

麦野「周囲の空気っていう意味か、存在が目立たないとか、地味っていう空気か、ってことね」

上条「なるほど、わかったぜ。サンキュー」

「どちらにせよ……。言えるのは誉望みたいな能力ってことだろうな」 

誉望「え、俺っすか? それって透明になるとか?」

心理定規「ええ。もしくは存在を消すことができるとか、ね。本当に姫神秋沙がいるとすればだけど……」

誉望「ていうと?」

「姫神じゃなくて、この中にいるやつらが二人手を組んで開けた可能性もあるって言いたいんだろう」

心理定規「そうよ」

海原「でも、そうなると納得がいかない点があります。……なぜ食蜂さんの能力を無効化する必要があるのか、という点です」

吹寄「その場合でもクロマクが絡んでるんじゃない? もう一人を脅して」

(おそらく、ここが限界だろう……。これ以上先には情報がなさすぎて進めない)

「もうやめにしよう。現時点では、これが限界な気がする。色々煮詰めて、また明日話そう」

雲川「それが賢明だな…」

吹寄「そうね。これでもかなり進歩したほうでしょう……。じゃあ、この話については終わり。他何かある?」

浜面「あ、一ついいか?」

吹寄「何かしら?」


浜面「えっと……各エリアにさ、なんか固定電話みたいな液晶パネルがあるだろ?」

「あぁ、あの動かないやつな」

 思い出す。

 あれは動作しない液晶パネルで、両脇に受話器がついていた。そこから伸びるコードは壁に伸びており、電源部分に繋がっていた。

浜面「あれなんだけど、もしかしたら直して使えるようにできるかもしれねぇ……御坂の協力があれば、だけど」

御坂「え、私…?」

浜面「そうだ……。あの機械はぶっ壊れてるのに加えて、電気が通ってない。電気室の電源とは別で独立してるみたいだ。だから、あれを直したあとに電気を通してもらう必要がある……。御坂ならできるよな?」

御坂「うん、多分だけどできると思う」

吹寄「じゃあ、二人には悪いけど……その機械の復旧お願いするわ」

浜面「ああ…」

吹寄「あとは…」

「そういや食蜂の能力は今使えるのか?」

食蜂「使えないわねぇ…」

結標「最初に食蜂が能力使ってからまだ二十四時間は経ってないわ、今はだいたい二十時間くらい」

雲川「なら今日だけは食蜂のタイミングで使えるときが来たら、適当に誰かに使ってもらう……で、どうだ?」

吹寄「それでいきましょうか……結果分かり次第パソコンにあげてもらう感じで」

吹寄「それと私からなんだけど……定期的に私が見回りするから、各々秘密を見たと思うけど変な気は起こさないように、ね?」

絹旗「吹寄さん、一人だと危ないですから、私が超ついてきますよ!」

吹寄「ありがとう、絹旗さん……。じゃあ、今日はここまでで解散しましょうか。あ、一方通行には私からメッセージ送っておくわ」

 そこで各々は自分の行動に戻った。


ちなみにゲコクマメダルは勝手に溜まります。売店に行った日から一日経つごとに三枚溜まります。(それ以外にも入手方法あるかも)

【現在】六枚


ゲコクマの売店に行きますか?

下1

1、はい

2、いいえ


 売店にやってきた。

ゲコクマ「いらっしゃいませー! ゲコゲコマシーンをやりにきたんだね、垣根クン」

「ああ…」

 ゲコクマに適当に返事をし、奇妙なガチャガチャを回す。

封入率
1~5 浜面
6~10 結標
11~15 吹寄
16~20 土御門
21~25 絹旗
26~30 海原
31~35 御坂
36~40 誉望
41~45 食蜂
46~50 一方通行
51~55 麦野
56~60 削板
61~65 滝壺
66~70 上条
71~75 心理定規
76~80 青髪
81~85 雲川
86~95 レアアイテム
96~00 特殊イベントアイテム

下6まで。いなさげなら連投あり


適当にアイテム作ります

上から順に

空間製図×1

関西弁図鑑×1

初心者マーク×1

漆黒の学ラン×1

脳筋プロテイン×1

レアアイテム表
浜面(高級スパナ)
結標(美少年の写真)
吹寄(正露丸)
土御門(月刊いもうとパラダイス)
絹旗(超サイヤ人伝説)
海原(怪人二十面相)
御坂(ゲコ太のぬいぐるみ)
誉望(金属探知機)
食蜂(洗脳装置)
一方通行(ウォーキング・デッド)
麦野(小顔ローラー)
削板(俺より強いやつに会いに行くTシャツ)
滝壺(遠隔感受アンテナ)
上条(幸運のお守り)
心理定規(アドラー心理学)
青髪(世界の美男・美女リスト)
雲川(すべてがFになる)

誰向けのものが出たか
↓2まででコンマの高いほう


(なんか色々変なの出てきたな…)

 “こんなんあげて喜ぶやつらいるのか?”

ゲコクマ「また買いきてねー!」

 よくわからないものをしまい、俺は売店から出た。

 “この後は何処にいこう…?”

どこに行こうか?(キャラ指定で。浜面、御坂不可)

↓2まででコンマの高いほう


 何となく歩いていると、エリア3にいつの間にか来ていた。

 ここには心理定規、削板、吹寄がいる。

「なぁ、心理定規」

心理定規「何?」

「今、暇か?」

心理定規「まぁ…」

「釈然としないな…」


心理定規「私と会話したいのね?」

「…なんとなくだよ」

心理定規「良いでしょう、付き合ってあげるわ」

「何で上から目線なんだよ…」

心理定規「そういうものよ、世の中」

「はぁ…」

心理定規「話は変わるけど、私ね、他人が何考えてるか考えるのが好きなのよ」

「へぇ……俺が考えてること分かるか?」

心理定規「あなたは……『ホットドッグ食べたい』、そう考えてるでしょう」

「え…」

 実際、ホットドッグを今頭に浮かべてただけにびっくりした。

心理定規「ふふ……当たったみたいね」

「お前、その力使ってクロマク見つけろよ」

 素直にそう思わざるをえなかった。

心理定規「残念だけど、そんな万能じゃないわ。有効な相手は限られてるし、さすがに何でも分かるわけないわ」

(じゃあ、俺って分かりやすいのか……?)

心理定規「分かりやすいというか…」

「!」

 また考えてることが読まれた。

心理定規「ふふ、驚いたかしら」

「まさかお前…」


選択肢

1、超高校級の精神能力者だな

2、超高校級のクロマクだな

3、超高校級のエスパーだな


下1


「超高校級のエスパーだな…」

心理定規「あら、バレちゃったかしら……。私はエスパーなのよ。精神能力者であることに加えてね」

「片方無能力者の俺に分けろよ」

心理定規「嫌よ」

「ケチだな」

心理定規「節制が上手といってちょうだい」

(よし、かなり楽しませられたようだ……)



プレゼントを渡しますか?(アドラー心理学所持)

下1


 心理定規にアドラー心理学を渡した。

心理定規「!……へぇ、私の好きなものが分かってるのね。……やるじゃない」

(どうやら、かなり喜んでるようだ)

「まぁ、精神能力者だから、そういう本好きかなって……」

心理定規「安直ね。でも、嫌いじゃないわ。現に良いものを運んできてくれたし」

「その本の何が良いんだよ」

心理定規「嫌われる勇気よ……。あなたはそれを持ち合わせているかしら?」

「はぁ…」

 なかなか掴めない心理定規と話しながら過ごした。

 心理定規とかなり仲良くなった気がする。

書いてないけど、一緒に過ごすと無条件に希望の欠片がもらえます


 時刻は午後十五時。食事してるやつらも帰ってきたところだった。

(さて、次はどうするか……)


誰と過ごそう?(キャラ指定で)

下2まででコンマの高いほう


 そう考えてると、エリア3に滝壺がやって来た。

滝壺「何してるの…?」

「何もしてねぇ……ぼうっとしてただけだ」

滝壺「私と…いっしょ」

 確かにこいつはいつもどこ見てるか分からないくらい、ぼうっとしてるが。

 何か一緒にされるのは嫌だった。

「一緒にするな。俺は何も考えてないわけじゃない」

滝壺「私も考えてる…」

「何をだよ…」

滝壺「何だと思う…?」

「そうだな…」



選択肢

1、夕食のこととか?

2、コロシアイのこととか?

3、宇宙のこととか?


下1


「宇宙のこととか…?」

滝壺「!……かきねはエスパー?」

「実はそうなんだ…」

(とか、言っておこう……心理定規じゃねぇけど)

滝壺「それはすごい…」

「宇宙好きなのか…?」

滝壺「うん。だって不思議… この建物の外の外の外の外に行けば宇宙がある。つまり、私達は宇宙だよ」

「よく分かんねぇが、好きなのは伝わった……」

滝壺「宇宙に限らず、不思議なものは好き…他には…」

(どうやら、かなり喜んでるようだ)

 色々よく分からないことを聞きながら、数時間過ごした。

 滝壺と仲良くなった気がする。

 滝壺の希望の欠片を手に入れた。


 俺がエリアをぐるぐる回っていると、エリア6~エリア1の通路で疲れきった御坂と浜面の姿を見つけた。

「仕事終わりか…」

浜面「…そうそう。御坂ほどじゃないが、俺もかなり疲れたぜ」

御坂「ほんとそれ。…私の能力って使うとかなり体力取られるからね……。皆のためだから頑張ったけど」

「作業は終わったのか?」

浜面「もちろん! この優秀な俺にかかればお茶の子さいさいだ!」

「元気じゃねぇか…」

浜面「おっと、つい声がデカくなっちまった」

御坂「でも、さすがにエリア6個分はしんどかったわよ」

「そりゃお疲れ様だな。……で、あの機械は使い物になるのか?」

浜面「おうよ。まぁ、それについては明日の朝話すぜ」

「…まぁ、期待してるわ」

 そこで浜面と御坂と分かれ、エリア1の方に向かった。


 エリア2を見回していると、エリア1の方から吹寄と絹旗がやって来た。

 どうやら見回りの最中らしい。

「見回りしてるみたいだな…」

吹寄「もちろん。物騒なことになって欲しくないからね」

「当のお前が巻き込まれないようにな」

絹旗「ふふ、その心配は超不要ですよ。私が超居ますからね!」

 そう、絹旗は胸を張って言った。

 その姿から、俺は不安しか覚えなかった。

(能力的には問題ないが、性格的に問題ある気が……)

 吹寄と絹旗はすぐにエリア3の方に向かった。

 
 エリア3に来ると、ここには結標と滝壺が居た。

 何でも今日は人の行き来が多いから、ここでテレポートと人探しの手伝いをしているらしい。

 俺は特に誰か探してるわけでもないし、ぐるぐる回っているだけなので、すぐに彼女らと別れた。


 エリア3に来ると、さっきはなかった簡易的な休憩スペースみたいなのが増設されていた。

 丸机と椅子が並んでいる。

 いつ、誰が持ってきたのか考えていると、近くにいた食蜂が声をかけてきた。

食蜂「それは雲川さんが、削板さんに頼んで作らせたものよぉ」

 何でも、各エリアには小部屋の中を別にして座るところがなかった。

 そのため雲川の計らいで作られたものらしい。

 二人は売店で材料を調達して、次々と他のエリアに休憩スペースを作成しているらしい。

 食蜂曰く、『この先近くにいるのじゃないかしらぁ』だそうだ。

 食蜂と別れ、エリア4に向かう。


 エリア3~4を繋ぐ通路に来ると、そこには上条と海原がいた。

 こいつら二人も疲れているような気がした。

「何やってるんだ?」

上条「ちょっと仕事終わりで休んでたところだ」

「お前らは何やってたんだよ」

海原「自分達は今の今まで、雲川さんの頼みで色々材料運んでました」

 どうやらこいつらも仕事に駆られたらしい。上条がぜぇぜぇ言ってるところを見ると大分こき使われたであろうことが分かる。海原も表情こそ変わってないが、汗が頬を伝っていることが分かる。

上条「そういえば、各エリアにエアコンあるらしいぜ。あたりに行こうぜ、海原」

海原「ですね…」

「エアコン…?」

上条「あぁ……。部屋広いから皆気づいてないらしいが、エリアの隅にエアコンの電源あるらしいぞ。…御坂が言ってた」

「へぇ、そりゃ快適だな……俺は知らなかったぜ」

 そんな話をしながら、エリア4に三人で向かった。


 エリア4に来ると、そこには一方通行と心理定規がいた。

 二人は無言で座り、何かをテーブルでやっている。

「何やってるんだ…?」

一方通行「ジェンガだ…」

 ジェンガ…?

 しかも、なぜこの二人が?

一方通行「そんなに不思議かァ?……オレはこういうゲームの類が好きだからやってるだけだっての。裏も表もねぇぞ」

心理定規「そうそう……。一方通行がゲームに自信あるって言ったから、興味があって勝負してるのよ。そしたら、ほんとうに強くて困っているとこだわ」

 一方通行が無言でジェンガに興じているのは不思議な光景のように見えた。

 そんな風に話していると、上条達はエアコンの電源を探していた。

上条「あれ? どこの端なんだっけ」

 電源を探すのに苦労しているようだ。

一方通行「オイ、そこのウニ頭ァ…」

 大きめの声で一方通行が声を荒げる。

上条「え……ウニ頭って、上条さんのことですかね?…何でしょう?」

一方通行「涼しさにあたりたいなら先に行け。……俺は寒いのも暑いのも苦手だ。ここではエアコンつけんな」

上条「あ、はい…」

 そう説教されると、上条と海原は顔を合わす、とぼとぼとエリア5に向かっていった。

 話を終え、俺もそれを追うように進む。


 エリア5につくと、そこには誉望と麦野が居た。

 二人とも休憩スペースに座って、アイスを食べていた。

 だが、それよりも──

「──冷えすぎだろ」

 どうやらここはエアコンがガンガンついてるらしい。

 何でも仕事で疲れたもの達のエリアだそうだ。さきほどまで削板と雲川も居たらしい。

 上条や海原は「生き返るなぁ」などと言っていたが、俺からしたら寒いくらいだ。

「寒くないのかよ、お前らは」

 そう麦野達に尋ねる。

誉望「まぁ、俺らさっきまで働いてたっすからね」

麦野「そうね…」

 どうやら、こいつらも雲川の作業に付き合わされていたらしい。

麦野「アンタも食べる…?」

 そう言って、麦野はアイスを差し出してきた。

 これは……

「Doleか。良いセンスだ……」

 ありがたくちょうだいした。だが、アイスを口にいれると美味かったが余計に寒くなった。

麦野「暇だし、アンタ達も遊ばない?」

「遊び?」

「色々使えそうなもの売店で買ってきたのよ」

 そう言って、麦野は色々床下の袋から取り出した。──計り、ストップウォッチ、割り箸。

「これで何ができるんだ?」

麦野「ちょうど100グラム乗せるゲーム、ちょうど5秒で止めるゲーム、女王様ゲーム…とかよ」

 しれっと、最後恐ろしいものがあったような。

 遊んでみたい気持ちはあったが、寒さに勝てず、別の部屋に行くことにした。

 麦野が残念そうにしていたが、仕方あるまい。

 そこで上条達とも別れ、一人でエリア6の方に向かう。


 エリア5から6の通路には、青髪と土御門が居た。

 二人はこちらに気づいておらず、何かをボソボソと話している。

 何を話しているのか気になり、近づくと、さすがに気付いたようで、こちらに顔を向けた。

土御門「きょ、今日は良い天気だにゃー」

青髪「お、垣根くん。おはようやねぇ」

 なんかよそよそしいし、怪しかった。しかも、今は朝じゃない、夕方だ。

「何か話してたろ…」

土御門「な…全然何も話してないぜよ!」

 珍しく、というか初めて土御門が声を荒げた。

青髪「土御門くん、別の場所に行かん? 僕、散歩したいんよ」

土御門「そ、そうだにゃー。散歩するぜい」

 そう言って、二人はエリア1の方に向かって行った。

(一体何なんだ…?)

 俺も後に続くようにエリア6に向かう。


 エリア6につくと、ようやく雲川と削板に出会えた。別に探していたわけではないが、他の生徒には会ったため、そんな感じだ。

 削板はせっせと机を組み立てていた。釘を素手で殴っている。

 だが上手く刺さらないのか、今度は力強く殴るが、すると板が凹む。

雲川「またスランプか……。さっきまで上手くいっていたじゃないか」

削板「む、すまん……」

 どうやら力の制御に苦戦しているらしい。

「何でトンカチとか使わないんだよ?」

雲川「売ってないんだよ……。恐らくだけど、凶器の類になりそうなものは除外されてる。売っていても、せいぜい、その釘くらいだ」

「なるほどな…」

 二人は作業に勤しんでいたため邪魔だろう、と思い、自分の部屋に戻ることにした。

──色々整理して、早めに寝るのもありだ。

 俺は、通路に向かった。


 その後はわりとすぐに布団に入ったと思う。

 色々と考えが錯綜したが、やはり望む答えは見つからない。

 ゲコクマが秘密を暴露するのは明日の二十四時。

 後一日秘密を言われることに耐えれば、また一歩平和に近づく。

 そんな風に希望を抱き、目をつぶった。

4日目終了

〈アイテムリスト〉
正露丸×1
空間製図×1
関西弁図鑑×1
初心者マーク×1
道路標識シール×1
漆黒の学ラン×1
脳筋プロテイン×1


 ──目を覚ます。

 昨日と変わらない朝だ。

 とはいうが、朝なのか今一実感がない。それを知ることができるのは時計だけだ。

 俺は顔を洗い、身支度を整えて、中央エリアに向かった。


吹寄「みんな揃ったわね? これから話し合いを始めるわ。何か議題あるかしら?」

 やはり、というか何というか一方通行の姿はなかった。

浜面「あ、俺から良いか?」

吹寄「ええ」

浜面「昨日言った機械についてなんだが、苦闘の末、何とか使えるレベルになった」

絹旗「おお! それは超浜面です。でかしましたね!」

削板「浜面は漢だな!」

浜面「御坂も頑張ったから、褒めてやってくれ」

御坂「わ、私はいいわよ…」

削板「御坂も漢だったか!」

御坂「お、漢ではないわよ…」

結標「…で、あの液晶は何に使えるの?」

浜面「ふふふ……それはだな、なんと…電話ができます!」

「……」

雲川「……そうか」

浜面「いや、反応うすっ!」

食蜂「まぁ、何となく分かってたしねぇ…」

誉望「受話器ついてるっすからねぇ。まぁ、予測できるっすよ」

浜面「だが聞いて驚け、ビデオ通話も出来るんだぞ!」

上条「おお、それは凄いな!」

雲川「確かに」

浜面「ふふ…見直したみたいだな」

今日はこのへんで。どろん

「使い方は…?」

浜面「あぁ、それなら俺か御坂に聞いてくれ……俺は、今日一日、自室か電話機械の前に居ると思うからよ」

御坂「私も適当にぶらぶらしてると思うわ」

吹寄「それは助かるわ。じゃあ、次、食蜂さんの能力について話しましょうか……。昨日は結局能力使えるようになった?」

食蜂「いいえ、使えなかったわぁ……。そして、さっき一方さんにすれ違ったんだけど、その時も無理だったわぁ」

「マジかよ……」

麦野「だとしたら、二日くらい封じられてるってことよね?」

海原「自分の記憶が正しければ、一定時間封じる、と書かれていましたが……。だとしたら一定期間の方が正しいのでは?」

心理定規「わざとそう書いてるのかもね。私達の予想を裏切ってくるように…」

麦野「悪趣味なヤツね…」

ゲコクマ「むむ…誰が悪趣味なのさ! ボクは聖人クマだよ!」ヒョコ

「うおっ」

 急にゲコクマがどこからか現れた。

浜面「カエルなのかクマなのか人なのかはっきりしろよ。……それで、そうムキになるってことは事実ってことか?」

ゲコクマ「そ、そんなわけないよー!」

御坂「下手くそね、コイツ」

ゲコクマ「むむ……まぁ、能力無効化装置は一日以上持つとだけは言っておくよ。……ていうか、そんなことはどうでもいいんだった」

 そう言ってゲコクマはどこからか封筒を取り出した。

 “あの封筒は…”

 見覚えはもちろんある。一昨日、部屋に戻った時にあった秘密の入った封筒。

 ああ、思い出すだけでも忌まわしい。


ゲコクマ「うぷぷ……。そんな身構えないでよ。ボクはねぇ、もう一度、警告しに来ただけなんだ」

 ゲコクマは不敵に笑う。

ゲコクマ「平和なんてありえないよ。秘密がバレたら周りから幻滅されるよ? 絶望されるよ? だったら…、遅かれ早かれそれが訪れてしまうなら……、コロシテ一人だけ抜け出そうよ!」

吹寄「貴様ッ!…余計なことを言うな!」

 吹寄が叫ぶ。

 だがゲコクマはニタニタと不敵な笑みを浮かべた、それは、こちらを嘲るかのような顔だ。

ゲコクマ「うぷぷ……。ま、これだけは言ったから、じゃあねー」

 そう言って、また何処かに消えた。

滝壺「気にするのはやめよう、ふきよせ……」

吹寄「ええ、分かってるわ。……みんな、他に何かある? なければ今日は朝食作ってないから、作り始めたいんだけど」

「特にないな…」

 俺以外の人間も話し合うことはないようだった。謎の姫神秋沙についても進捗はないから、話してもあまり意味がない。

 そうして会議は終わり、吹寄達が厨房に行った。

 やっと落ち着いて食事が出来るか、と肩の力を抜くと、厨房から驚嘆の声が聞こえた。

結標「包丁がない…!」

まだ(非)日常編なのに300レス付近


「どうゆうことだ…?」

 思わず、そう言わずにはいられなかった。

結標「昨日はあった包丁がなくなってるのよ」

海原「待ってください。自分の記憶が正しければ、削板さんが使っていたと思いますよ」

吹寄「それは本当?…削板くん」

削板「おう! ちょいと作業するのに借りたぞ!」

吹寄「借りたぞ、じゃないわ。……その後どうしたの?」

削板「あー…どうしたんだっけか」

結標「ダメね……。何処かに置き忘れた、とかなら良いんだけど。…削板、包丁を最後に使ったのは何処?」

削板「えっと…確か……」

雲川「…エリア4だろう」

結標「え?」

雲川「知ってると思うが、私は削板と一緒に居た。……だからそれくらいは覚えてる。もっともナイフを置き忘れてしまったことには気付かなかった。……うっかりしていたよ、すまない」

 雲川はわざとらしく、そう言った。

削板「そうだ! エリア4で使っておきっぱなしだ!」

吹寄「分かったわ…。探してくる」

削板「忘れるとは漢じゃなかった! すまない!」

吹寄「もうやってしまったことは仕方ないわ……。次からは気を付ければ良いわよ」

 そう言って、吹寄は中央エリアの外へと向かった。

吹寄「……結標さん、滝壺さん。料理は頼むわ」

滝壺「ふきよせは?」

吹寄「私は少し包丁探してくる……。料理は適当に食べててちょうだい」

滝壺「分かった…」

麦野「じゃ、代わりに私が手伝うわ」

浜面「お前料理出来るのか」

麦野「そりゃできるわよ。それとも何…? そんな出来なそうな見た目してるかしら?」ゴゴゴ

浜面「イヤソンナコトナイッス」

 こうして波乱の朝は終わった。


 その後は部屋に戻った。

 最近、早起きしていたから疲労がたまっていた。

 五日しか経っていないのに、ここから出る進展は見られない。

 ゲコクマが用意しているコロシという選択を使うのは、論外だ。

 俺は殺人鬼じゃない、普通の人間だ。

 そして、気がかりなのは未だに分からない自分の能力。

 これはゲコクマの仕業なのか、はたまた別の理由なのか……。

 そんなことを考えながら、この五日間に手に入れた情報を手当たり次第メモする。

 記憶はないが、記憶力には自信がある。

(こんなもんか……。)

 情報を記す作業が終わった時には、正午から三時間が過ぎていた。

 達成感は全くない。

 それよりも外の様子が気になる思いが勝った。

──吹寄や消えた包丁の行方はどうなったのだろうか?

 自室から通路に出る。

 

何となく歩いてると、部屋の中を落ち着きな気なく、うろうろしている吹寄と絹旗に出会った。

 その顔からは焦りのようなものが伺える。

「何してんだお前ら…?」

吹寄「不審な人物が居たのよ…」

 不審な人物?

 そのワードに胸がドキりとする。それはまさか姫神秋沙か?

絹旗「多分、あの超不審者が包丁盗んだ犯人ですよ! さっきは逃してしまいましたが、次こそは……」

「姫神なのか…?」

吹寄「真っ黒なローブ被ってたから分からない……。ただ言えるのは、よからぬことを考えているのは間違いない、ということね」

 また探さないと。そう言って、絹旗と共に吹寄は次のエリアに向かおうとした。だが、その時、予想外の音に動きは止められた。

「この音は……」

 電子音。

 心地よいとも、不快とも言えない音が広大な部屋に響く。

 それの発生源は液晶パネルからだ。

──これが浜面が言ってた電話か?

undefined


吹寄「……でてみましょう」

「そうだな…」

 吹寄に言われるまま、俺は画面の前に立った。

 操作はまだ教わっていないが、何となく分かる。何せ応答するだけだ。

 それらしきボタンを押すと、ようやく着信音が収まる。

 受話器を手に取ると、代わりに空気が擦れるようなノイズが聞こえた。

誉望『吹寄さんっすか…?』

「垣根だ……まぁ、吹寄もいるが」

誉望『なら良かったっす! 今すぐエリア5前の扉前に来てくれないっすか?』

『あ? どうしたんだよ?』

誉望『エリア5に入れないんですよ! 扉が開かなくて!』

「麦野が能力なにがしかの理由で使ったってことだろ? そんな焦ることか?」

誉望『いや、確かにそれだけなら焦ることじゃないっすよ! でも……血がたれてるんですよ! 扉の前に!』

「何…だと…?」

 唖然とした。

 血から連想することなんて一つしかなかった。

 “だが今はそれよりも……!”

「……クソッ! すぐ行くから待ってろ!!」

 受話器を放り投げ、エリア5の方へ飛び出す。

 吹寄も何となく状況を理解したらしく、俺の後ろに続く。

 5日間の中で、最も早くエリアを走り抜けた。

 幸い、そこまで離れてなかったのもあって、二分程で着いた。

誉望「垣根さん…!」

 エリア4~5の通路に着くと、そこには誉望、御坂、食蜂が居た。

 後ろから、吹寄、絹旗、そして別の場所から駆けつけた上条、御坂の姿があった。

上条「悪い! 遅れた!」

誉望「俺が上条さんと御坂さんも電話で呼びました!」

「上条の能力を使えば、麦野の能力は無効化できるのか?」

上条「分からねぇけど、やってみるしかねぇよ!」

 そう言って、上条は扉を殴りつけた。

 その瞬間、奇妙な音が鳴る。

御坂「これは…能力が発動したの…?」

「多分な…」

 すると吹寄は前に出て、皆に注意を促す。

吹寄「みんな身構えて…! 中に入るわよ! もしかしたら襲われるかもしれないから、絹旗さん戦闘態勢に移って!」

絹旗「超了解です!」

 吹寄、絹旗に続くように俺も前に出る。

吹寄「じゃあ、ボタンを押すわよ…!」

 心なしか吹寄の手が震えていた気がした。

 それもそうか。

 気が付けば、俺も心臓の鼓動が止まらなかった。

 この時には、もうこの先の世界になにがあるのか分かった気がした。

 そうして、俺達は地獄のエリア5への扉を開ける。 


そこには誉望、御坂、食蜂が居た。

→そこには誉望、食蜂がいた


 血を辿ると、その先には二人の人間が倒れていた。

 傷口から垂れたであろう血は、時間が経ったためか固まりつつあったように見える。

 手前の扉近くに結標淡希。

 奥の扉近くに浜面仕上。

 二人は向かい合うようにうつ伏せに倒れており、加えて、浜面仕上の脇腹からは、吹寄達が血眼になって探していた品──






──厨房の包丁が顔を覗かせていた。

Chapter1 機械仕掛けの研究施設 非日常編


「は……」

 俺は言葉すら、口から出てこなかった。

 恐怖しているのか、悲しんでいるのかすら分からない。

 ただ目の前の光景が、俺には目を背けたい現実だったがために、俺はなんとも言えない感覚に襲われた。

 放心のような状態だったが、非常なまでの悪魔の声が、皮肉にも俺を現実に引き戻した。

「死体が発見されました。一定時間後に学級裁判を行います」

御坂「う、嘘よ……」

 なんとか一歩踏み出す。現実から目を背けるわけにはいかない。

 俺は手前の結標の様子を見るため、片膝をついた。

 吹寄は奥の浜面の方に無言で近付いた。

吹寄「……浜面くんはナイフで一刺し、みたい」

 吹寄は浜面に近付き、淡々と述べた。誰よりもコロシアイに反対してきた女だから、俺には何となくお前の気持ちが分かる。

 何か不平を言いたいのを、抑えてるんだろう、ということが。


 結標の額を触ると、暖かさがあった。首には何かで締められたような傷があるが、もしかしたら……

「結標は生きてるかもしれない…」

誉望「そ、それは本当っすか!?」

 慌てて誉望が駆け寄ってくる。

吹寄「待ってちょうだい!……それも大事だけど、血の跡が…このエリアの外の方にまで続いてるわ!」

「なに……」

 そこで俺は立ち上がった。

「お前ら結標のこと頼む…! ただ、誰にもこの現場をいじらせるなよ」

 “もしかしたら、まだ犠牲者がいるかもしれない”

 悪い予想しか今の俺の頭にはなかった。

吹寄「絹旗さんも付いていってあげて!」

絹旗「あ……ちょ、超分かりました…!」

 そこで五人と別れ、次のエリアの扉を開けた。


 エリア5~6の通路に入ると、血の垂れた跡は一人の生徒の目の前で止まっていた。

 また、人が倒れている。

 同じようにうつ伏せになっている彼女は左肩の後ろ側から血を出していた。

 何かで刺されたような跡があり、恐らくだが鋭利な刃物で刺されたのか服もその部分だけ大きく穴が空いている。

 顔は見えなかったが、服装で分かった。




 倒れている彼女は麦野沈利だ。

操作パートはわりと早めに進むかも


絹旗「…麦野さん!」

 絹旗が勢い良く近づく、俺もそれに続いた。

 麦野の額を触る……。

 こいつも暖かい。

 死後そこまで経ってないか、それとも……。

 傷口は見たところ一箇所だけ。ただ左肩からは中々血が出ており、恐らくだがエリア5前通路から、ここまでの血の跡は麦野のものではないだろうか?

 絹旗が息があるか確認する。

絹旗「息は……あります!」

 どうやら幸いにも、まだ生きているようだ。

「よし!……だが、これ以上出血させるわけにはいかねぇ」

 俺は自分の服をかなり強引に破き、麦野の左肩部分に巻きつけた。

絹旗「これで止まれば良いんですが……」

 そこで、俺はある考えが浮かんだ。

「オイ、ゲコクマ! 見てるなら出てこい!」

 案の定、すぐにゲコクマが出てきた。

ゲコクマ「もっー! 何かなー!」

「オイ、麦野はまだ生きてる……。こういう場合はお前が治すべきじゃねぇか? こんだけデカいんだ。別室に治療室くらいあるだろ?」

ゲコクマ「えー? でも、ボク昼ドラの録画見ないといけないからなあ」

「…室長なら、それくらいやるべきじゃねぇか? それとも仕事さぼってんのかテメェ」

ゲコクマ「ぐぐぐ……痛いとこつくなぁ……しょうがない……。垣根くんのために応急治療してあげます!」

 そう言うと、どこからかゲコクマが大量に現れた。

 “こいつらは量産品なのか?”

 すぐに麦野を担架らしきものに抱え、また何処かへと消えていった。

 そして、いつの間にか、さきほど話していたゲコクマも消えていた。

 変な風にされなきゃいいが……。


 俺と絹旗はエリア5に戻った。

 そこに戻ると、俺達と負傷者以外の全員の姿があった。

吹寄「どうだった…?」

「……麦野が左肩から血を流して倒れていた。まだ息はあったからゲコクマに頼んで応急処置してもらってるが……。結標はどうなった?」

 すると、人混みから彼女が現れた。

結標「…何とか生きてるわ」

吹寄「結標さんは首の傷以外、目立つ傷はなかったわ……。だから生きてたんだと思う。不幸中の幸いね」

「そりゃ良かったぜ……」

 不覚にも安堵した。

 浜面は死んでるというのに、まだマシだな、と思うしかなかった。

 でも、悲観的に立ち止まるよりは、そうやって思った方がマシだよな、浜面。

 正直言えば、この中に浜面を殺した人間が居るなんて信じられない。

吹寄「みんな! これから各々浜面くんを殺した相手について調べてちょうだい! ただ一人での行動は禁止……。いいわね?…一方くんもよ」

一方通行「しゃあねェなァ……」

 そう言って、各々がそれぞれ動き出した。


↓2でコンマの高いほう、捜査のパートナー(結標、麦野怪我のため不可、会話上削板、一方通行不可)

 


~エリア5~


(ここから捜査を始めよう……適当に誰か連れてこう)

「食蜂、ちょい付き合え」

食蜂「捜査ねぇ……いいわよぉ」

 このエリアには他に誉望、吹寄、結標がいる。

 話しかける前に今までメモしたことを振替ってみよう。

『校則』
 内容は>>15に書かれている。

『クロマク』
 全生徒の中に、一人いる存在。なんらかの権利を持っているようだ。

『研究室のマップ』
 時計回りにしか進めない。また中央エリアには、各生徒一箇所からしか行き来できない。

『中央エリア前の通路』
 学生証がないと、入れない(?)。

『空き部屋』
 エリア6の最後、雲川の部屋の隣にある部屋。

『各エリアの窓』
 窓部分から、エリアの外面と窓の前に立っている人程度なら見ることができる。窓の下は見えないくらい高さがある。開けることもできない。

『エリアを繋ぐ扉』
 ボタン式の自動ドア。

『小部屋の扉』
 完全自動ドア

『自室の扉』
 普通のドア。手動。

『封鎖された研究施設』
 外の景色も空も見ることができない。唯一の時間を把握する手段は各エリアや自室にある時計だけだ。

『トレーニングルーム』
 エリア1にある部屋。筋トレ道具がたくさんある。ここにはやたら凶器になりそうなものがたくさんある。

『結標の能力開発室』
 空間転移についての本がある。

『懐中電灯』
 警棒のような懐中電灯。6本ある。

『エリア1のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には特殊な凶器が入っている」と書かれている


『エリア2のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には一度のみ能力を一定時間無効化する装置が入っている。」と書かれている。

『エリア2のパンドラの箱①』
 何者かにより箱が開けられた。中には姫神の写真。

『電気室』
 エリア2にある部屋。各エリアの主電源なのか?

『エリア3のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開く、パンドラの箱。この箱の中には何かがつまっている。ただし二人以上の死者がいない限り、開くことはできない。仮に開けることができても爆発する」と書かれている。

『化学室』
 エリア3にある部屋。目についた危険物は、硫酸、青酸カリ、クラーレ、ムッシモール。

『売店』
 色々なものが売っている。ゲコゲコマシーンとかいう機械がある。

『麦野の能力開発室』
 エリア2にある能力開発室。電子や電磁、量子について書かれた本が大量にある。

『よく分からない部品や材料』
 麦野の能力開発室にあった品々。知識ある人なら使えるかもしれない。

『エリア4のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には極上のアイテムがはいっている。」と書かれている。

『削板の能力開発室』
 エリア5にある部屋。プロテインや筋肉増量のサプリがある。

『削板についての紙』
 「削板軍覇
  パンチ力1t
  100m走5秒
  力の制御に苦労している様子」と書かれている。

『エリア5のパンドラの箱』
 「この仕掛けは、二者の能力者の証により開くパンドラの箱。この箱の中には全ての扉を一時停止させるボタンがはいっている。」と書かれている。

『図書室』
 エリア5にある部屋。かなり広いらしい。

『エリア6』
 唯一、空いてる部屋がない。液晶パネルはある。

『エリア6のパンドラの箱』
 あるが蓋部分に何も書かれていない。

『中央エリア』
 主に厨房とディナー会場に分かれている。

『厨房』
 大量の食材の入った冷蔵庫と冷凍庫。そして、料理道具がある。

『エレベーター』
 厨房の陰にあるエレベーター。ボタンを押しても反応はない。

『パソコン』
 自室にあるパソコン。G(ゲコクマ)メールが使える。 

『G(ゲコクマ)メール』
 掲示板型の集団チャットがメインにある。名前表示ではなく、pc番号表示で、垣根はpc03だった。集団チャットで発言してる人物に対して、個人チャットも送れるようだ。


『エリア1のパンドラの箱の中身』
 弾が六発入ったリボルバー型の拳銃と「ゲコクマ特製二十倍手榴弾」と書かれた手榴弾が入っていた。いずれも空き部屋に封印。

『空き部屋①』
 拳銃と手榴弾を詰め込んで浜面の力で外からロックをかけて、絹旗が障害物を置いて塞いだ。障害物は絹旗か削板しか恐らく動かすことができない。

『食蜂の能力無効化』
 一方通行の能力を見ようとして使えなくなった。現在も無効化中。

『姫神秋沙の写真』
 表に巫女服姿の女性。裏に赤インクで姫神秋沙、「超高校級の空気」と書かれている。

『姫神秋沙の正体』
 19人目以上の存在?

『エリア2のパンドラの箱①』
 現状、一方通行の能力か、二人分の学生証でしか開かない。雲川曰く『超高校級の空気』という能力が使われた可能性がある、とのこと。

『超高校級の空気』
 空気のような能力と予想される。誉望と同じ能力?

『○○の能力(垣根と雲川の以外)』
 各生徒の能力について

『上条の能力①』
 彼の能力は本人の自己申告。滝壺の能力、御坂の能力、心理定規の能力は効かなかった。

『絹旗の能力①』
 常に能力が発動している。周りを窒素が覆っている。

『二日目の食蜂の能力の結果』
 心理定規はクロマクじゃない。


『液晶パネルの修理』
 浜面と御坂は液晶パネルの修理をしていた。

『液晶パネル』
 通話やビデオ通話ができる。

『吹寄と絹旗』
 二人は連日見回りをしていた。

『結標と滝壺』
 他の生徒のために能力を使用していた。

『雲川と削板』
 休憩スペース作りのため、各エリアで作業をしている。材料は売店で調達。

『海原と上条』
 雲川と削板の手伝いをした。

『エアコン』
 御坂曰く、各エリアにはエアコンがあるらしい。事実、エリア5にはあった。

『一方通行と心理定規』
 二人で、ジェンガで遊んでいた。

『ジェンガ』
 ポピュラーかどうか分からないラインの遊び。

『一方通行について』
 本人曰く、「暑いのも寒いのも苦手らしい」

『麦野と誉望』
 削板と雲川の仕事終わりにエリア5で休んでいた。

『青髪と土御門』
 なにやら怪しい話をしていた。こちらに気付くと動揺していた。

『雲川の証言』
 「売ってないんだよ……。恐らくだけど、凶器の類になりそうなものは除外されてる。売っていても、せいぜい、その釘くらいだ」とのこと。
 そのため削板が不器用ながら休憩スペース作りを頑張っていた。

『消えた包丁』
 厨房の包丁。数本あるようで料理上の支障はない。削板が作業のため持っていったようだが……

『包丁の行方』
 雲川曰く、エリア4で最後に使ったとのこと。


 “こんなもんか……”

ゲコクマ「おっと、待ったー!」

「あ…?」

ゲコクマ「これをあげるよ…!」

『モノクマファイル』を手に入れた。

「なんだこりゃ……」

ゲコクマ「被害者の死因や状態について乗ってるよ!」

「そうか……」

ゲコクマ「もっー! もっと感謝するべきだよ!」

「帰れ…」

ゲコクマ「ショボーン……」

 ゲコクマはやっと消えた。

 あいつと話してるとイライラする。

『モノクマファイル』

→『ゲコクマファイル』

今日はここまでで


食蜂「この部屋は念入りに調べる必要がありそうねぇ」

「そうだな…」

 まずは浜面の死体から見てみよう。

 あまり見たくないが、目をそむけてはいられない。

 最初見たとおり、脇腹に包丁が突き刺さっている。

 ……ゲコクマファイルを見るに、死因はこれで間違いないみたいだ。

 麦野の血が垂れてる経路上に浜面の死体はある。

 “しかし、この死体の状況、何か変じゃないか?”

食蜂「垣根さん、これ何かしらぁ?」

 そう言って、食蜂は紐のようなものを見せてきた。

「これは……」

食蜂「近くに落ちてたわぁ」

「そうか……」


コトダマ
『包丁』

『浜面の死体の状況』

『近くに落ちていた紐』

『死体の下』

を手に入れた!


「結標……体調は大丈夫か?」

結標「ええ、私は軽症だったからね」

「それなら、詳しい話を聞かせてくれないか? 倒れる前の状況とか…」

結標「いいわよ。…えっと、まず何から話そうかしら……。そうねぇ、私と麦野で食後に散歩してたんだけど……エリア5の前で、急に麦野が唸り声出してね。何が起きたのか振替ってみると、腕から血を垂らしてて……正面から見た分には何も異変なかったけどね。で、麦野は誰かにやられたって言うから、私達怖くなってエリア5に逃げたのよ」

「なるほどな。…で、その後、麦野が能力使って扉を塞いだってわけか」

結標「そうね。姫神秋沙のこともあるし、流石に扉を塞いどけば入ってこれないだろうって。……で、その後、すぐに私は気を失ったと思う」

「もう少し詳しく頼む」

結標「えっと、その後に武器になりそうなものを探したのよ。確か麦野の能力は10分だったわよね? だから、その間に武器を集めて、戦う準備をね。麦野と私は削板の能力開発室に入ったわ、図書室には何もなさそうだしね」

「ふむ…」

結標「で、私達はそこであるものを見つけたのよ」

「あるもの?」

結標「ええ。それは黒い服よ……。しかも脱いですぐっぽい奴。……多分だけど麦野は驚いてたと思うわ。私も驚いたし、怖かったわよ。……もしかしたらこの部屋に誰かいるのかもってね。そしたら気のせいかロッカーが動いた気がしたのよ。で、それを調べようとしたら気を失ったわ」

「どうやって気を失った?」

結標「何かで殴られたのかしら?……強い衝撃を受けたのは覚えているわ……。その後、すぐに麦野の悲鳴が聞こえて……意識を失ったわ」

「首を締められたんじゃないのか?……」

結標「この首の傷?……それなら知らないわね」

「どういうことだ……」

結標「首締めて止めを刺そうとしたのかしら?……多分だけど」

「そうか……。分かった、お陰で色々知れたぜ」

結標「いえいえ、お安いご用よ」


コトダマ

『気絶の理由』

『麦野の唸り声』

『結標の証言』

『結標の証言(1)』

『黒い服』

『動いたロッカー』

を手に入れた!


「食蜂、俺と絹旗が他の部屋に行ってるときはどうだったんだ?」

食蜂「どうだったって?」

「不思議なことや、怪しいこととかだ」

食蜂「あ!……そういえば怪しい人がいたわぁ」

「怪しい人…?」

食蜂「ええ。だいたいの人がエリア4の方から来たんだけど、二人だけ別の場所から来たわぁ」

「二人?……誰と誰だ?」

食蜂「土御門さんと雲川さんよぉ……。土御門さんは削板さんの能力開発室から。雲川さんは図書室から出てきたわ」

「そうか……分かった」


コトダマ

『食蜂の証言』

を手に入れた!


「吹寄、少し聞きたいことがある」

吹寄「何かしら…?」

「お前の今日の行動を教えてくれないか?」

吹寄「私は昨日と同じく見回りをしたわ。…ただ包丁を探すのに色々部屋回ってたけど……何周もしたけど結局見つからなかったわね」

「朝の会議の後、ずっとやってたのか?」

吹寄「そうね。途中から絹旗さんが着いて着てくれたわ」

「そうか。…そういや、黒服がどうとか言ってたが、あれは何なんだ?」

吹寄「私と絹旗さんで見回りしてる最中に変な黒服がこっちを見てるのに気付いてね。思いの外、すばしっこくて逃しちゃったけど…」

「黒服って……この施設の中でそんな格好したらバレそうだが…。そいつの大きさはどれくらいだった?」

吹寄「うーん、一瞬だったから分からないけど、少なくとも絹旗さんや御坂さんよりは間違いなく大きいわ」

「なるほど。ちなみにそいつを見たのはどこだ?」

吹寄「エリア1よ。…あなたとエリア3で会う少し前ね」

「そうか…」


コトダマ

『黒服について』

『吹寄の行動』

『黒服発見場所』

を入手した!


誉望「はぁ…、なんか暑くないっすか」

「なに…?」

 言われてみれば確かに暑い。汗もかなりかいてる気がする。

 こんな暑いってことは…

「……なるほどな」

 エリアの端を見ると、暖房がついていることが分かった。

「オイ、誉望。…お前はここに居たわけだが、浜面の死体を発見した後に、エアコンつけたやつはいるか?」

誉望「え、エアコンついてるんすか?……うーん、目立った行動してる人はいなかったんで、多分いないっすよ」

「そうか…」


コトダマ

『暖房』を手に入れた!


「…削板の能力開発室を見るか」

食蜂「結標さんの言ってた通り、麦野さんのものらしき血が続いてるわねぇ」

 足元にはまばらに血が続いている。血の量はあまり多くない。

 削板の能力開発室に入ると、そこには一方通行と御坂が居た。

 目立つものは机の上にある黒いローブ、床の血、開けっ放しのロッカーだ。

「オイ、お前ら…。最初から、この部屋はこの状態か?」

御坂「ええ」

一方通行「そうだ…」


「そうか…」

 まずは黒ローブを見る。だが調べても手がかりはない。

 床の血は先程と同じようにまばらに散っている。

 そして、ロッカーの中には、何かが落ちていた。

「これは……」

御坂「それは…恐らくカメラよ」

 御坂が後ろから覗き込みながら、そう言った。

食蜂「カメラ…?」

 そんなものがあるとは思わなかった。いや、これが手に入るとすれば…。

「売店か…?」

御坂「そうかもしれない…。あそこはわりと何でもあるから…」

 だとしても、このカメラの中身は何だ?

 まさか風景を撮ってる能天気がいるってわけじゃないだろう。

 カメラを拾い上げ、調べる。

「……電源つかねぇな。こりゃ、ぶっ壊れてやがる。それも強い衝撃か何かで…」

食蜂「地に接していた部分に傷や凹みがあるから、これは多分落下による故障じゃないかしらぁ?」

「中を見る方法はねぇのか?」

一方通行「SDカードぐらいささってんだろォ? そいつがあれば部屋のパソコンで見れるだろ」

「部屋に戻ってる時間はあるのか?」

一方通行「だったら、売店でカメラをまた買えば良い。……そうだなァ、オレが買っとくからテメェがSDカードは管理しておけ」

「は…?」

 一方通行がそんなことを言うとは思わず、素で驚く。

一方通行「そんな驚くことはねェだろォ…。オレは慣れ合うつもりはねェし、オマエらの味方じゃねェが、今回の事件は色々分からないことが多い。……ただ、それが知りたいだけだ」

「そうか…。そういうやつだよな、お前は…」

 逆に安心した。

 改心したなんて言われた日には、どう反応して良いか分からなかったから。


 一方通行と御坂は部屋を出ていった。一方通行は売店に向かったみたいで、御坂はその付き添いにいったらしい。

「まだ調べるところがあるな…」

食蜂「床に怪しいものが落ちてるわね…」

 先程から、その存在に気付いてはいたが、カメラに気を取られ、後回しにしていた。

 そこにあったのは、見覚えのある品。

 黒く長い武器のようで、それでいて電灯のような物品。

 ──これは結標の能力開発室にあった警棒懐中電灯だ。

食蜂「先にほんの少し血が付いてるわぁ…」

「結標はこれで殴られたんだろう…」

食蜂「そうねぇ…」

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