-???-
空を覆っていた紫色の雲は次第に晴れ、隙間から青空が見えていた。
魔王「勇者…お前はその手でいくつもの命を奪った…」
勇者「…」
消えていく魔王を勇者は眺めていた。
魔王「ただ魔族というだけで…罪もない者を殺したのだ…」
勇者「…」
魔王「お前は―――」
勇者「…」クルッ タッタッタ…
言い終わらないうちに、魔王は消えた。
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-中央王国城下町-
勇者「…だから、仲間になってほしい」
魔女「あんた自分が何言ってるのかわかってるの?」
勇者「?」
勇者「君は…魔法職だよね?」
魔女「見ての通り。魔女よ。」
勇者「世界を救う旅に出るから、仲間になってほしい」
魔女「阿保なの?」
勇者「どこかおかしかったかな…」
魔女「全部よ。今のあんたの発言の、最初から最後まで。」
勇者は自分の発言を振り返ってみる。
勇者「……」
魔女「冗談なら他を当たって頂戴。私忙しいの。」
勇者「具体的に言うと、魔王と平和交渉しに行く」
魔女「その冗談、まだ続くの!?……」
魔女は思わず立ち上がった。
魔女(……って、あれ?)
魔女「今、魔王と平和交渉って……」
勇者「う、うん。」
魔女「………それ、本気なの?」
勇者「本気だけど…あの、膝に乗っけてた本落ちたよ?」
魔女「……ちょっと」グイッ
勇者「え、え?いきなりどうしたの?」
魔女はおもむろに勇者の腕を掴むと、もう片方の手に魔導書を持って歩きだした。
魔女「ちょっとついてきなさい」
勇者「え?どこに行くの?」
魔女「うちよ。ちょっと用があるから来なさい」
勇者「え、じゃあ仲間に…!?」
魔女「違う。…いいからほらっ」グイッ
勇者「え、え、じゃあ何で…?」
魔女「あーもうめんどくさい!腕力強化!!」グイッ
勇者「あ、ちょ、わわわわっ」ズルズル
勇者(何だろう…怒らせちゃったかなあ…)
勇者(…腕痛い…)
勇者はそのまま魔女に引きずられていった。
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