未央「プロデューサーに告白された」 (14)
未央「らどうする?」
卯月「どうするって。プロデューサーさんからですか?」
凛「告白って? 罪の告白?」
未央「プロデューサーってインサイダー取引に加担してそうだよね。じゃなくて! そのまんまの意味! しまむー。どうよあの人?」
卯月「えっと、それはその……私なんかでいいんでしょうか」
凛「逆じゃない。あの人って付き合うとしたら有りなの?」
未央「仕事以外を知らないからね。レンタルビデオ店の中身を勝手に入れ替えるのが趣味だとか」
凛「私は底辺YouTuberの動画コメント欄で煽るのが趣味って聞いた」
卯月「そんなにひどい人じゃないと思いますけど」
凛「わからないよ卯月。あの人案外善悪の判断苦手っぽいし」
未央「そこら辺は直接聞いた方がいいかな。どうなのプロデューサー?」
P「いいたい放題だね君ら」
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凛「機嫌悪いね」
P「人の執務室で菓子袋広げて、俺を貶めるようなこと言ってるの聞いたら内心穏やかじゃないわな」
卯月「すみませんプロデューサーさん。プチシューどうぞ」
P「ありがとう卯月。お前はいい子だな」
未央「で、実際どうなの?」
P「ふざけろ。そう言う考えは一切ない」
未央「え? リアルアイドルJKと付き合いたくないの? ほら見て。しまむーの頬っぺたこんなに柔らかいんだよ」
凛「ほんとだ。柔らかい」
卯月「うえぇ。引っ張らないでください」
P「プロデューサーを何だと思ってるんだ。せめてそういうのは川島さんとか美優さんレベルの色気つけてから言うんだな」
凛「それはレベルが高いね」
卯月「うーん……暇ですね」
未央「でも私たちはアイドルであり女子高生。暇さえ絵になっちゃうんだ」
凛「ビジュアルが商品なんだからそうかもね」
未央「でも、何かをしたらさらに商品価値が高まるってもんよ! しまむー! これやろ!」
卯月「綿棒ですか?」
未央「綿棒タワー作ろう! 作業開始!」
10分後
未央「ふぃー。あんまり高く積めなかったかな」
卯月「意外とキレイに立つんですね」
未央「わはは! どうよしぶりん!」
凛「えい」
卯月「うわー! おやつカルパスが飛んできました!」
未央「私たちの10分の結晶が崩壊したー!」
卯月「私たちの頑張りは一体何だったんでしょうか……」
未央「鬼! 悪魔! アンタからは事務員の匂いがするわ!」
凛「いや、そこまで言う?」
未央「プロデューサー! 何か言ってやってよ!」
P「えー……凛。封を開けてないとはいえ食べ物を投げるのは感心しないな。後二人」
卯月「はい、なんですか?」
P「なんですかじゃねーよ。お前ら何備品無駄遣いしてんだ! 二箱も開けやがって! お前ら三人、出てけ!」
凛「追い出された」
卯月「すっごい怒ってましたね」
未央「まさに怒髪天を衝くって感じだった。謝った方がいいよね。誠意の一品も持ってった方がいいかも」
P「ったくあの三人は何で集まると馬鹿になるんだ。ん?」
卯月「あのープロデューサーさん。入っていいですか」
凛「まだ怒ってる?」
P「……怒ってないよ。ただお前らにはもうちょっと物を大事にしろと言いたいんだけど……何これ」
未央「お詫びの品と言っちゃなんだけど。開けてみて」
P「お詫びの品って仰々しいな。これ……すごろく?」
卯月「一緒にやりませんか?」
P「……よっしゃ! すごろくやろーぜ!」
三人「ワァー!」
凛「うん。準備できたよ」
P「俺が一番な。俺が一番だかんな!」
卯月「プロデューサーさん、私、未央ちゃん、凛ちゃんの順で回しましょう」
P「じゃあ俺から! 3! え~っと止まったマスは……『次の人を目覚めさせる』」
未央「目覚めさせるって、プロデューサーがしまむーを起こすってこと?」
P「よし卯月! アメコミ映画に目覚めろ! コレ! MCU全23作のBlu-rayboxセット貸してやるよ!」
卯月「え? 何ですかコレ?」
P「流石アベンジャーズシリーズって聞けばJKでもわかるだろ! 2008年のアイアンマンから始まってファー・フロム・ホームまでの一連のシリーズだ! 確かに全23作品を見るのはそれだけで一見様お断りってところがあるけどやっぱ11年の歴史があるだけに最後の盛り上がりは去年の映画界でも最高の物になったんだぜ。5月1日にフェーズ4の始まりとしてブラック・ウィドウが公開されるから今のうちにおさらいだ!」
卯月「あの、ちょっと」
P「特にウィンターソルジャーをお勧めしたいけど、マーベル以外からならアクアマンもおすすめだ。分かり易くていい! でも今俺の中で推したいのはヴェノムから始まるSUMC! 最初は独立性の高い独自のユニバースかと思ったんだけど次回作のモービウスの予告を見るとMCUのスパイダーマンと密接にかかわっているのがわかる。それでいてまだヴェノムの1作品だけだから今のうちに見るのも」
卯月「待ってください! 流石にちょっと」
凛「気持ち悪いよプロデューサー。アニメを熱く語ってる奈緒みたい」
未央「確かにかみやんみたいだった」
P「なんだよ目覚めさせるためなのに。奈緒とはMCU全作品一緒に見たんだけどな」
凛「二人で?」
P「いや、奈緒と菜々さんと荒木先生とゆりゆりで見た」
凛「ふーん」
卯月「次は私ですね。6。マスは……『次の人に二つ名をつける』」
凛「未央の二つ名。あんまりいいものにはならなさそう」
未央「いいじゃん二つ名。かもんしまむー! どんとこい!」
卯月「二つ名をつけるって言われても。うーん。ポジティブパッションでいいんじゃないですか」
P「ポジティブパッション本田未央……普通だな」
未央「そうだよ! もちょっといい感じの二つ名をつけてもいいんでない?」
卯月「でもつけろと言われてすぐには思い浮かびませんよ」
凛「じゃあネットの二つ名メーカーをやってみたらどう」
卯月「そんなのがあるんですか。じゃあ本田未央で……えっと『完全無欠の戦人暗黒の執行人』」
P「ぶふっ。いいんじゃないそれ」
未央「完全無欠? すっごい厨二チックになったけど、流石にちょっと度が過ぎんじゃない?」
凛「そお? カッコイイと思うけど」
P「凛はそうだろ」
未央「次は未央ちゃんの番だーっ! ずりゃあ! 4! 4は『ものまねをする』。はっ! ものまねマスターの未央ちゃんにそのネタを振ってきますか」
凛「言っとくけど私のものまねは無しだよ」
卯月「凛ちゃんのものまねは定番ネタになっちゃいましたからね」
P「バラエティでもとりあえず体傾けてふーんって言っとけばウケが取れるからな」
未央「わかってるって! 新作ものまね! 威嚇するザリガニ! ……! どうよ!」
P「適当すぎる。3点」
凛「ピースしてバンザイしてるようにしか見えない。1点」
卯月「ダブルピースは私の方が似合います。0点」
未央「厳しいなぁ。じゃあ次のものまね! 威嚇するカマキリ! ……! どうよ!」
P「造詣が深い。9点」
凛「蟷螂拳を極めている。9点」
卯月「方正さんのマー。10点」
未央「君らの基準がわかんないな」
凛「次は私……1。マスは……てかこのすごろく完全にバラエティ用だよね。えっと『卑猥なことを言う』。卑猥なこと?」
未央「おーっとしぶりん! とんでもないマスを引いてしまった今の心境を一言」
凛「ロクでもないすごろくだねこれってやめてプロデューサー。スマホこっちに向けないで。録音して記録に残そうとしないで」
卯月「凛ちゃん。無理しなくていいと思うよ」
P「卯月甘やかすな。すごろくの目は絶対だ。ほら、セーイ」
凛「わかったって。言うよ……ス」
未央「ん? 今何て?」
凛「……ックス」
P「んー? 聞こえんなぁ。ワンモアセーイ」
凛「……レックス! がおー!」
卯月「凛ちゃんががおーってしました! 写真撮らないと」パシャパシャ
未央「すごい。これが夢にまで見たレックス渋谷!」パシャパシャ
P「よーしネットにあげてバズらせるぜ!」パシャパシャ
凛「うぅ……」
未央「一巡してまたプロデューサーの番だね。ん?」
みく「Pチャーン。そろそろ約束の時間だけどって、何してるの?」
P「あ、みく。もうこんな時間か。あー……別の部屋に行くか」
卯月「何か用事ですか?」
P「仕事の話よ。本当はこの部屋でやるつもりだったけど、散らかってるから別の部屋でやろう。お前らも適当に切り上げてレッスンにでも行けよ」
凛「ちょっと待ってよ。途中で放棄する気?」
P「そりゃこっちは仕事だからな。一回だけ付き合ってやったんだから満足だろ。あとは三人で遊べばいいだろう」
未央「えー。残されたコマがかわいそうじゃーん。プロデューサーのコマは永遠にあがれないまま一生を終えてしまうんだね」
P「知らんよそんなの。だったら誰かに俺の代わりを頼めよ。そうだ。ロビンマスクが暇して壁に向かってぼやいてたな」
卯月「ロビンマスク?」
凛「確かキン肉マンのキャラだよね。主人公と蒼の衝撃(ブルーインパルス)って名前でタッグを組んだ」
P「いるじゃないか。総選挙三位で鳥取でバトルして負けた経験があって炎上が得意技で奇行が目立つアイドル超人が」
未央「ウチらアイドル超人じゃなくてアイドルなんだけど……誰?」
りあむ「何でぼく呼ばれたの?」
P「ようロビンマスク。悪いがこいつらの暇つぶしに付き合ってあげてくれ」
りあむ「ぼくがロビンマスクって何? やむ」
P「じゃあ、これ以上は物を散らかすなよ」
みく「行ってくるね。凛チャンたちも遊びすぎてたら駄目だよ」
未央「ほいほーい」
みお「ねえちゃんみおちゃん。ぼくは何で呼ばれたの? 何かした?」
凛「実はかくかくしかじか」
りあむ「う゛ぇ。ニュージェネとすごろくで遊べるって、ヤバくない? ファンからしたら垂涎物だよ! 前世でどれだけ徳を積んだらできるんだろう」
卯月「ならりあむさんはいっぱい徳を積んだんですね」
りあむ「う゛あ゛。なんて天使な発言。卯月ちゃんマジ天使! 尊すぎてやむ。しかも顔もいいって、完璧か!」
凛「とりあえず。プロデューサーの代わりだからりあむからだね」
りあむ「ニュージェネとっしょに遊べるなんて本当に勝ち組。えいっ! 5! えっと……前の人を口説く?」
未央「前の人ってことはしぶりんか。りあむん。やっちゃってください」
りあむ(口説けって……どうするぼく!? いいところを褒めるとかそんな感じ? でもしぶりんちゃんのいいところは一つや二つでは収まり切らない、それこそ一晩語ったって足りないくらいだよ! どうするぼく!? そもそもダメダメなぼくが語るとドン引きされない? どうするぼく!? うぅ、胃が痛い。めっちゃやむ!)
りあむ「……凜ちゃんはやっぱりクールで子供らしさもありながら大人っぽさも感じられる雰囲気に惹かれるところがあると思います」
卯月「何で急に敬語になったんですか?」
凛「ふふ、なんだかこそばゆい口説き方だね」
りあむ「ネットじゃくんかーとか重い女とかいろいろ言われてますけど違うんです。違うんだよ! 実際に目の前にしたらそんなこと言えないよ! 確かにちょっと真面目だけどそんなものをものともしない渋谷凛と言う像が完成されてるんだ! よ! ぼくはそう言ったオタク共に」
未央「ちょちょちょちょりあむん。待って。余計なことは言わなくていいよ。後半から余計な情報が付随してるから。落ち着こう。リテイク」
卯月「り、凛ちゃん?」
凛「大丈夫だよ。それくらいじゃ怒らないって」
りあむ「う、む。えっと次は……凜ちゃんって顔もいいけどやっぱりスタイルがいいよね! 身長も高いし、ぼくと違って胸もそんなに大きくないから体のラインが綺麗に見えてさ! ストーンって感じ! 本当ににうらやま」
未央「もういい! りあむんはもうしゃべらなくていい! しぶりんも怒っちゃダメだよ! りあむんは宇宙一カワイイとか言っといて茶を濁すだけでいいからね!」
幸子「カワイイと言えばボクですね!」ガチャ
未央「うわなんか来た」
唐突に終わり!
はっちゃけニュージェネが大好き
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