緒方智絵里「いいねの数でほたるちゃんに」藤居朋「いろいろなことが起きる?」 (40)


~女子寮:ほたるの部屋~


藤居朋&緒方智絵里「「せーのっ!」」

朋&智絵里「「ほたるちゃん、誕生日おめでとう!」」パーン

白菊ほたる「ふふっ……ありがとうございます……」

智絵里「あっ、今の”パーン”はビンタの音じゃないからねっ、クラッカーだから!」

朋「常識的に考えて祝いながらビンタしたらサイコでしょ」

ほたる(でもちょっとやりそうですね……)

智絵里「?」

ほたる「いいえ、なんでも……」



~~~~~~~~~~~~~~~

前作
藤居朋「新しいアイドルは」緒方智絵里「召使いと」白菊ほたる「吸血鬼?」



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朋「去年は起きぬけにほたるちゃんをびっくりさせちゃったから、今年はちゃんとお昼に訪ねたわ! びっくりしなかったでしょ!」

智絵里(びっくりしなかったでしょ……?)

ほたる「はいっ。きっとおふたりならお祝いしてくれるって、信じてましたから」

智絵里「うぬぼれだよっ」

朋「実際祝ってるくせになんでそういうこと言うの」

ほたる「うぬぼれ……ふふっ……そうかも。『自分に惚れる』で自惚れ……でしたよね? 『自分は祝ってもらえる人間だ』なんて、まさに自惚れ……うふふっ……」

朋「わ、笑うとこ……?」

ほたる「嬉しいんです。私、アイドルになるまで、自分の誕生日が嬉しいなんて、祝ってもらえるのが当然だなんて、思ったこともなかった。幸せ、なんですよね。きっとこれが。『誰か、自分を祝福してくれる人がいる』って信じられる気持ちが」

朋「うっ……うっ……」グスン

智絵里「うっ……うっ……」グスン

ほたる「わあ」


ほたる「だ、大丈夫ですか……?」

朋「これからも毎年……ヒック……祝ってあげるからね……」グスン

ほたる「は、はい……」

智絵里「こ、これは……グスッ……目に植木鉢が入っただけだから……」グスン

ほたる「重症じゃないですか……」


朋「とにかく! 今日はお祝いするわよ!」

智絵里「おーっ」

ほたる「ありがとうございます……!」

朋「しかし、ほたるちゃんももう13歳かぁ~」

ほたる「そうですね。去年13歳になったので、今日で13歳になります」

智絵里「わたしも今16歳だから、もうすぐ16歳なんですね……」

朋「いやー、時が経つのは早いわね!」

智絵里「そうですね……!」

ほたる「はい……」

朋「……」

智絵里「……」

ほたる「……」

朋「?」

智絵里「?」

ほたる「?」


朋「なんか今、変な感覚だったけど……」

智絵里「気にせずにいきましょうっ」

朋「ええと……ま、そうね!」

ほたる「それで、今日は何を……?」

智絵里「ふふっ、ほたるちゃんはせっかちさんだね……!」

ほたる「?」

朋「なんか、智絵里ちゃんに考えがあるんだってさ?」

智絵里「おふたりは、最近ついったーで流行っている『1いいねにつき〇〇する〇〇』というものを知っていますか?」

朋(ツイッターの発音が可愛い)

ほたる「相変わらず英語の発音がかわいいですね……」

朋「言っちゃうんだ」

智絵里「しゃらっぷ!(黙れ!)」

ほたる「So Cute(とても可愛いですね)」

朋「煽っちゃうんだ」

智絵里「ゆーとぅー!(お前もな!)」

朋「デレちゃうんだ」


朋「はいはい、ケンカはそのくらいにして、そろそろ本題にね」

ほたる「一方的に恥をかいている智絵里さんを気遣って『ケンカ』だなんて……朋さんの優しさに感謝しなければですね……?」

智絵里「わたしの方が”お姉さん”だからっ。これくらいにしておいてあげるね? ほたるちゃん」

ほたる「年齢が見た目に表れにくいんですね。大丈夫です、年相応でなくても智絵里さんは可愛いですよ」

智絵里「?」

ほたる「?」

朋「はい余ったクラッカーをパーン!!!」パーン!!!

智絵里&ほたる「わひゃあ!?」


朋「そろそろ本題にね……?」ゴゴゴゴゴ

智絵里「は、はいっ!」

ほたる「は、はいっ!」

智絵里「え、えっと、さっき言ったみたいなのが最近は流行ってて、例えば『1いいねにつき1円、明日の昼食代が貰える女の子』とか『1いいねで1センチ、背が伸びる男の子』とか」

朋「へえ、そうなんだ」

ほたる「知らなかったです……」

智絵里「そうして集まったいいねとかの数に対応した絵を描いて、また次の日まで集計して……っていう感じなんです」

朋「なるほどね」

智絵里「というわけで、それを真似しようと思うんですっ!」

ほたる「真似を?」

朋「?」

智絵里「ここからは急な展開になるので、お気を付けくださいっ!」

ほたる「?」

智絵里「例えば、わたしがこうツイートします」

『1いいねにつき1歳、ほたるちゃんが若返ります』

智絵里「送信っ!」ポチッ

朋「それで?」

智絵里「10分待ちますっ!」

ほたる「?」


~10分後~


朋「経ったけど……」

智絵里「さっきのツイートを確認しましょうっ」

いいね:2000

朋「こんな意味わかんないツイートでも2000って……すごいわね智絵里ちゃ」

ボンッ!!!!!!!!!!!

朋「きゃっ!? な、何の音!? ほたるちゃん、大丈夫!?」

シーン……

朋「あれ? ほ、ほたるちゃん!? い、いない!?」キョロキョロ

智絵里「落ち着いて、ほたるちゃんが座ってたところを見てくださいっ」

朋「へ? 座ってたとこって……あ!!!!!」

「オギャァ……オギャァ……」

朋「なんか赤ちゃんいるんだけど!?!?!?」

智絵里「ほたるちゃんですっ!」

朋「なんで!?!?!?」


朋「えっ、な、なんで!?」

智絵里「えっと、上限の13を超えてしまったので、0歳のほたるちゃんですねっ」

朋「なんで!?」

智絵里「そ、そういうものなので……」

朋「なんで!?」

智絵里「ご、語彙が……」


朋「い、意味わかんないんだけど!!! これがほたるちゃん!? いや赤ん坊の顔なんてわかんないし!!!」

「オギャァ……!! オギャァ……!!」

朋「あ、ああ……と、とりあえず抱っこすればいいのかしら!?」ダキッ

朋「!!!!!」

智絵里「?」

その時……朋は確かに感じていた……。その腕に抱いた謎の赤ん坊……。そもそも人生において、このように赤子を抱いたことなどない。しかし、それでも、赤ん坊ながら隙を感じぬその気配……! 腕から伝わる、確かな体の頑丈さ……! さらに、しっかりと通った体幹……! 首も完全にすわっている……! これは、間違いなく……

朋「ほたるちゃん……!?」

智絵里「!?」


智絵里「えっと……抱いたらわかるものなんでしょうか……?」

朋「わかんないけど! でもこれはほたるちゃんだって、直感でわかるの!」

智絵里「ま、まあ、信じていただけたなら……」

朋「仕組みはわかんないけど、まあ、そういうものなのよね……?」

智絵里(この状態のほたるちゃんになら勝てるかな……)ジー

朋「変なこと考えてない?」

智絵里「い、いいえっ!!!」


朋「でも、こうやって赤ちゃんを抱いてると……なんというか……あたしの中の母性みたいな何かが、目覚めていく感じがあるわね……!」

智絵里「ままともさんですねっ」

朋「……聞いてください」

智絵里「へ?」


こもりうた

~作詞・作曲・歌:藤居朋~

ねんねん ころりよ おころりよ
ほたるは 良い子だ ねんねしな

ほたるの おもりは どこへ行った
あの鉢 避けて 里へ行った

里の みやげに なにもろた
四つ葉の 飾りに 虹の鉢


朋「……ありがとう」ドヤ


智絵里(歌詞の8割が原型な上にメロディにいたっては全く同じなのに作詞・作曲を名乗るのはどうかと思いますっ!!!)ビシッ


朋「どうだったかしら……?」ファサァ……

智絵里(ファサァってするほど朋さんの髪は長くないような……)

朋「?」

智絵里「あっ、えっと……と、朋さんらしくて……よかったかと……」

朋「ありがと!」

智絵里「ほ、ほたるちゃんは……」

「……zzz」スピー

智絵里(いいんだ……)


智絵里(朋さん、母性に目覚めてもちょっと空回りしちゃうタイプなんですね……)

朋「~♪ そうだ! 使わなくなったレインボーパジャマをリサイクルして、ほたるちゃんの服を」

智絵里「わ、わぁ~、とってもいいと思いますが、そろそろ戻しましょうかっ!」

朋「む……名残惜しいけど、そうね……。どうやって戻すの?」

智絵里「さっきのツイートを消せば……」ポチッ

ボンッ!!!!!!!!!!!

朋「わっ!!!」

ほたる「んん……ここは……」

朋「あ、ほたるちゃん、おはよー!」

ほたる「おはようございま……えっ、なっ!? なんで朋さんに抱っこされてるんですか!?」

朋「あれ? これ、記憶は残らないの?」

智絵里「みたいですね……」

ほたる「???」

朋「残念……」

ほたる「えっと……?」

朋「ね~ん~ね~ん~♪」

智絵里「も、もう歌わなくてもっ」

ほたる「……zzz」スピー

智絵里(安心しすぎだよっ!)ビシッ


智絵里「それじゃあ、次は……」

朋「ち、智絵里ちゃん? 別にいいけど、これ、目的は……?」

智絵里「あとで説明するので、もう少しだけ(遊びましょう)っ!」

ほたる「?」

智絵里「次はこれですっ」

『1いいねにつき1ミリ、ほたるちゃんの身長が伸びます』

智絵里「送信っ!」ポチッ

ほたる「あの……そういえばさっきの若返るやつはどうなったんですか……?」

朋「ま、まあまあ! 過去は振り返らない!」

ほたる「はぁ……」


~10分後~


いいね:2500

朋「ええと……2500ミリってことは、250センチだから……えっ、2.5メートル」

ボンッ!!!!!!!!!!!

朋「ほ、ほたるちゃ」

ほたる「わっ!? き、きゃああああ」ズモモモモモモ

智絵里「す、すごい勢いでほたるちゃんの背がっ!!!」

ゴツンッ!!!!!!!!!

朋「て、天井に頭が……!!!」

ほたる「……」サスサス

智絵里「お、おさまったみたいですね……?」

ほたる(身長4メートル)「……」ドーン(体操座り)

朋「わあ……」

智絵里「わあ……」


ほたる「ええと……ふたりとも、小さくなりました……?」

朋「ほたるちゃんがでっかくなってるのよ……!!!」

智絵里「細長いですね……」

朋「体重は据え置きなのね……体が棒みたいになってるわよ……」

智絵里「体操座りでもわたしたちよりおおきい……」


ドタドタドタドタ


朋「ん? 足音?」


ドンドンドン!!!!!


ほたる「ど、どなたでしょうか……?」


「ほ、ほたるちゃん!? 上の階の部屋の久川颯です!!! なんかすごい音したけど大丈夫!? ごめんなさい! ドア開けるね!!!」


ガチャ!!!


久川颯「ほたるちゃん!」


ほたる(身長4メートル)「あ、颯さん……」

颯「……」

ほたる(4メートル)「……」

颯「……」

4メートル「……」

颯「……きゅう」バターン

朋「颯ちゃん!!!!!」


智絵里「新人さんには刺激が強すぎましたね……」

朋「し、新人さんでなくてもビックリすると思うけど……! ごめんね颯ちゃん……!」

五十嵐響子「あ、あの……何か大きな音が……わ! 颯ちゃん!? どうしてそんなところで倒れて……」チラッ

4メートル「……」

響子「うわあ」

4メートル「……」

響子「……え、ええと」

4メートル「……」

響子「び、備品は壊さないでくださいね……? 颯ちゃんは部屋に寝かせておくので……よいしょ……それでは……」ガチャ

朋「……」

智絵里「……」

4メートル「……」

朋「響子ちゃん、肝っ玉母さんね……!」

智絵里(ほたるちゃんの名前がもはや4メートルになってるのには誰もツッコミを入れないんですね……)


智絵里「ツイート削除っ」ポチッ

ボンッ!!!!!!!!!!!

1.56メートル「ふぅ……戻りました……」

朋「よかったわね……!」

智絵里「名前が戻ってないっ!」ガーン


ほたる「どうかしましたか……?」

智絵里「う、ううん……」

朋「?」

ほたる「でも、本当にいいねの数で影響が起きるんですね……」

智絵里「次はこれですっ」

朋「ペース上がってない!?」

『1いいねにつきほたるちゃんのボーカル値が1上昇します』

智絵里「送信っ」ポチッ

朋「また可視化するのが難しいやついったわね……」

智絵里「明確になってないものでも効くのかなって……」

ほたる「これは……どうなるんでしょう……?」


~10分後~


いいね:2700

朋「まあ、普通ね」

ボンッ!!!!!!!!!!!

ほたる「……」

朋「ほたるちゃん、調子はどう?」

ほたる「ええと……自分ではあまり……」

智絵里「何か、サビだけでいいから歌ってもらってもいい?」

ほたる「はい……」

智絵里「ボーカル値2700ってどれくらいなんでしょう……?」

朋「さあ……? たとえば普通が100点満点なら、相当すごいことになりそうだけどね?」

智絵里「常人の27倍の歌唱力……?」

ほたる「すみません、いきなりなので、少しだけ発声を……」

朋「あ、もちろんいいわよ!」

ほたる「では……ゴホン、ら~、ら~♪」

朋「!!!!!!」ゾクゾクッ

智絵里「!!!!!!」ゾクゾクッ

ほたる「ど、どうかしましたか?」

朋「な、なんでもないわ(発声だけでこの迫力!?)」

智絵里「つ、続けてっ(ど、どうなっちゃうんだろう……!?)」

ほたる「はぁ……」


ほたる「では……歌います。『印象』」

ほたる「……スゥ」


『赤、青、黄色、白 知りたいよあなたの 色彩をすべて……』

それは、不思議な感覚であった。
ほたるが、色の名前を唄う。一色ずつ、丁寧に、繊細に。
その度に、三人がいるこの部屋が、その色に染まっていく。ゆっくりと、まるでキャンバスに色が塗られていくように。

『笑顔の温かさ 透明な涙 隠し持った弱さも全部』

「温かい」という感覚。「透明」という心地。
目に見えるものではない。だけれど確かに、”それ”が目の前の、ほたるの声から生み出されていた。
視覚的な色だけではなく、この空間の全てが、歌詞に沿って、雄大に、かつ、繊細に。
混ざりあうように、確かめるように。

『あなたのこと、描くよ』

歌は終わった。
しかし、残響は消えない。
観客は、しばしの間、――まるで美術館の帰りに立ち寄ったカフェで、その日見た芸術を反芻するかのように――動くことができなかった。


ほたる「ええと……終わりましたよー……?」

朋「……ブラボー」

智絵里「……ぶらぼー」

ほたる「へ?」

朋「ブラボー!!!」パチパチパチパチ!!!

智絵里「ぶらぼー!!!」パチパチパチパチ!!!

ほたる「えっ、そ、そんなに……!?」

朋「ブラボー!!!」ギューッ

智絵里「ぶらぼー!!!」ギューッ

ほたる「お、落ち着いてくださいぃ……!!!」


朋「いやあ、危険すぎるわ……!!!」

智絵里「これは違法ですね……」

ほたる「そんな麻薬みたいな扱い……」

智絵里「削除っ」ポチッ

ボンッ!!!!!!!!!!!

ほたる「戻った……みたいですね」

朋「……」

智絵里「それじゃあ、遊びはここまでっ! そろそろ本題に……」

朋「あ、あの……!」

智絵里「?」

ほたる「どうかしましたか?」

朋「あ、あたしもそれ、やってみてもいい……かな?」

ほたる「と、朋さんまで……」

智絵里「どうぞっ」

朋「ありがとー! ええと……」

ほたる「まあ、朋さんなら変なことは……」

『いいねの数×1色にほたるちゃんが光る』

ほたる「!?」

智絵里「!?」

朋「送信っ!」ポチッ

ほたる「!?」

智絵里「!?」


ほたる「と、朋さん……!?」

朋「お願い! すぐ消すから!」


~10分後~


いいね:1800

朋「むー……ちょっと少なくない?」

智絵里「ファンの方々もいきなりすぎてよくわからなかったのでは……」

ボンッ!!!!!!!!!!!

1800色に発光するほたる「……」ペカー

智絵里「うわぁ……」

朋「すごい!!! レインボーほたるちゃんね!!! 運気上がりそう!!!」ギューッ

智絵里「目が痛いです……」

ほたる(抱きつかれるのは嬉しいけど、複雑です……)ペカー


~~~~~~~~~~~~~~~


智絵里「落ち着きましたか?」

朋「うん! 大満足! 削除っと……!」

ボンッ!!!!!!!!!!!

ほたる「戻りました……」

朋「じゃ、次は~」

ほたる「朋さんが一番楽しんでませんか……!?」

朋「これ!!!」

『1000いいねにつき1回、ほたるちゃんが智絵里ちゃんに「大好き」って言う』

ほたる「!?」

智絵里「!?!?!?」

朋「送信っ♪」ポチッ

智絵里「とっ、朋さん……!? 何を……!?」

朋「ふたりとも、もっと素直にならなきゃっ♪」

ほたる「言わされるの、私なんですが……」

朋「だいじょうぶだいじょうぶ! これまでの傾向的に、多くても3000いいねくらいだから、3回くらいよ!」


~10分後~


朋「どうなったかな~?」

いいね:50000 

朋「需要」



ほたる「ご、50回……」

智絵里「な、なんてことを……!!!」

朋「てへぺろ!!!」

ボンッ!!!!!!!!!!!

ほたる「……」

智絵里(お、落ちついて……)

智絵里「ふ、ふんっ、こんな、強制的に言わされるようなセリフなんて、わたしの心には響かないんだからっ」

ほたる「智絵里さん……大好きですよ」

智絵里「はひぅ……」プシュー

朋「よわい」


ほたる「大好きですよ」

智絵里「ほへぇ……」プシュー

ほたる「大好きですよ」

智絵里「ひふぁ……」プシュー

ほたる「大好きですよ」

智絵里「へほぉ……」プシュー

朋「じゃ、あたしマンガ読んでるから! 終わったら教えてね!」ペラッ

智絵里「は、はくじょうもの……」

ほたる「大好きですよ」

智絵里「ふはぃ……」プシュー


~~~~~~~~~~~~~~~


ほたる「終わりましたよ、朋さん」

智絵里「」プシュー

朋「うわあ溶けてスライムみたいになってる」

ほたる「回復するまで、少し待ちましょうか」

朋「そ、そうね!」

ほたる「……朋さん」

朋「へ?」

ほたる「朋さんも、大好きですよ」

朋「……っ!!!」

ほたる「……強いですね」

朋「ギリギリすれすれよ!!! ホントに13歳!?」


智絵里「うう……」

朋「あ、智絵里ちゃん!」

ほたる「まだ顔が赤いですよ……?」

智絵里「誰のせいだと……っ!」

朋「ま、まあまあ、じゃ、本題とやらにいきましょ!」

智絵里「そ、そうですね……傾向も見えましたし……」

朋「傾向?」

智絵里「本題は、これですっ」

『1いいねにつき1日、ほたるちゃんが若返ります』

朋「へ? これ、さっきと同じ……あ、ちょっと違う」

智絵里「2回目なので少しファンも慣れて、2200くらいが目標ですっ」

ほたる「?」


~10分後~


いいね:2150

朋「2150日ってことは、だいたい……6年くらい前?」

ボンッ!!!!!!!!!!!

白菊ほたる(7歳)「え……だ、だれですか……?」ビクビク

朋「え……」

智絵里「あ……」

ほたる「?」

朋「かわいい~~~~~!!!!!」

智絵里「か、かわいい……!」

ほたる「???」キョトン


朋「ちょっとだけ今より、髪が長いのね?」

智絵里「たしか、危ないから切ったと言っていました。それより前なんですね」

ほたる「ここ……どこ……?」

朋「だいじょうぶ! 怖くないわよ!」

ほたる「……」

朋「で……智絵里ちゃん、どうしてこれくらいの年齢のほたるちゃんを?」

智絵里「はい……えっと、ほたるちゃんって、普段からあんまり、他人に何かを求めない気がしていて……」

朋「ふむふむ」

智絵里「どこに遊びに行くかとか、何を食べに行くかとか、ぜんぜん自分の意見を言いませんよね? 何がしたいとか」

朋「それは確かに……そうね」

智絵里「でも、ほたるちゃんにもきっと、小さい頃に夢見ていて、今までに封印しちゃった夢とか、やりたいこととか、あるんじゃないかなって……」

朋「……」

智絵里「でも、本人に聞いても言ってくれませんよね? だから、本当に小さい頃のほたるちゃんに聞いてみようって!」

朋「智絵里ちゃん……!」ギュッ

智絵里「わっ! ほ、本人に説明するのは恥ずかしいので、言わないでくださいね……?」

朋「もちろんよ! でも、ごめんね……てっきり、ほたるちゃんで遊ぶためだけに集まったのかと思っちゃって……」

智絵里「実際、遊ぶのは楽しかったですっ」フンス

朋「ドヤ顔で言われても……」


智絵里「じゃあ早速……」

朋「ほたるちゃん?」

ほたる「は、はい……」

朋「あたしたち、ほたるちゃんのおかあさんのお友達なの! ほたるちゃんと遊びたいなって!」

ほたる「わたしと……?」

智絵里「ほたるちゃん、何がしたい?」

ほたる「えっと……やめたほうが……いいとおもいます……」

朋「なんで?」

ほたる「なにか……けがとか……しちゃうかも……」

朋「だいじょうぶよ! あたしたち、とっても強いの!」

ほたる「つよい……?」

智絵里「そうだよっ!」

ほたる「うえきばちより……?」

朋「この時から降ってるの???」


ほたる「でも……」

朋「ほらほら!」

ほたる「……」

朋「……じゃあ、質問を変えるわね? ほたるちゃんの、夢はなあに?」

ほたる「夢……」

智絵里「なんでもいいよ? やりたいこと、なりたいもの……」

ほたる「わらわない……?」

朋「もちろん!」

ほたる「……わたし……アイドルになりたいの」

朋「!」

ほたる「わたしのちかくにいるとね。みんな、ケガしたり、悪いことがおきたりして……」

智絵里「……」

ほたる「でもこのまえ、テレビでアイドルを見て、すごいなーって……見てるだけでしあわせなきもちになれるなんて、すごいなーって」

朋「ほたるちゃん……」

ほたる「わたしも、みんなをしあわせにしたいの。あのアイドルみたいに……!」

朋「……なれるよ」

ほたる「え?」

朋「きっと、アイドルになれるよ。ほたるちゃんなら」

ほたる「ほんとう……?」

智絵里「もちろんっ!」

ほたる「そのまえに死んじゃったりしない……?」

朋「えげつない人生観の7歳もいたものね……」


ほたる「じゃあ……その……」モジモジ

朋「どうしたの?」

ほたる「おねえちゃんたち、えっと……歌、聞いてくれる……?」

智絵里「歌?」

ほたる「うん……わたしね、ほんとうは、みんなに歌を聞いてほしいの。でも、お母さんもお父さんも忙しいし、おともだちは……悪いことに巻き込みたくないから、あんまり……」

朋「ほたるちゃん……」

ほたる「でも、ほんとうは、歌を聞いてほしい……おどりはできないけど、歌を聞いて、上手じゃないかもしれないけど、『楽しかったよ』って、言ってほしいの……! 笑ってほしいの……!」

ほたる「だめ……かな?」

朋「ほ゛た゛る゛ちゃ゛ん゛……」ダバー

智絵里「ほ゛た゛る゛ちゃ゛ん゛……」ダバー

ほたる「わっ……!?」


朋「それがほたるちゃんの望みね!!! しかと聞き入れたわ!!!」ギュー

智絵里「いくらでも聞くからねっ!!!」ギュー

ほたる「く、くるしい……」

朋「じゃあ、歌ってもらえる?」パッ

ほたる「い、いいの……?」

朋「当然じゃない!」

ほたる「じゃあ……」

ほたる「……スゥ」


ほたる『~♪ ~♪』


朋「……」ジーン

智絵里「……」ジーン


~~~~~~~~~~~~~~~


ほたる「どうだった……?」

朋「100点……いや、1000点!!!」

智絵里「はいっ!」

朋「とっても”楽しかった”わ!」ニコッ

ほたる「! えへへ……」

朋(かわいい)

智絵里(かわいい)


朋「でもごめんね。そろそろお別れなの……」

ほたる「え……」

朋「智絵里ちゃん、この記憶って……」

智絵里「多分、どこにも引き継がれないかと……」

朋「ま、そうよね」

ほたる「?」

朋「ほたるちゃん。これから、たくさん辛いことがあるかもしれないけど……諦めないで! きっと、夢は叶うわ!」

ほたる「……うんっ」

朋「……じゃあね! ”待ってる”から!!!」フリフリ

智絵里「”またね”っ!」フリフリ

ほたる「うんっ、うんっ!」ブンブン


智絵里「……ツイート、消しますね」

朋「……うん」

ポチッ

ボンッ!!!!!!!!!!!

ほたる「……ん……あ……おはようございます……? 年齢操作系は、やっぱり記憶が残らないんですね……」

朋「……」ウルウル

智絵里「……」ウルウル

ほたる「へ?」

朋「ほたるちゃーん!!!」ギュー

智絵里「ほたるちゃーん!!!」ギュー

ほたる「今日、抱きつくの多くないですか……!?」


朋「よし! 目的地は決まったわ!!!」

智絵里「はいっ!!!」

ほたる「あ、そうなんですね……どちらへ?」

朋&智絵里「「カラオケ!!!!!」」

ほたる「そ、そんなに大きな声で言わなくても……でも、いいですね、カラオケ」

朋「ちなみに、歌う比率は[ほたるちゃん:あたしと智絵里ちゃん]で[90:10]だからね」

ほたる「なぜっ……!?」

朋「いくらでも聞くって約束したんだもん!!!」

ほたる「???」


朋「じゃ、どこのカラオケに行こっか?」

智絵里「あそこにしましょうっ!『カラオケボックス・大炎上』!」

朋「うっわ懐かしっ! 確かあたしの誕生日の時に行ったとこよね?」

ほたる「あの時、内線が爆発したお詫びとして、クーポンをもらっていたんです」

朋「そ、そうだったのね……」

智絵里「でも、空いてるかな……?」

朋「あれ? 前に行った時は普通に空いてなかった?」

智絵里「いえ、あの時は少し業績が危なかった大炎上ですが、最近は大人気なんですっ」

朋「へえ? どうして?」

智絵里「CMキャラクターにりあむさんを抜擢するという起用が大当たりみたいで」

朋「でっけえ博打に出たものね!?」


智絵里「『SNSで燃えるより、マイクを片手に燃え上がれ!』ってフレーズで見事、若者の心を掴みましたっ!」

朋「それは確かに、りあむちゃんにしかできないけど……」

ほたる「たしか、それに合わせて独自機種を導入して、アイドルソングのラインナップを強化したとか……」

朋「なるほど……優秀な広告担当に目を付けてもらったのねりあむちゃん……」

智絵里「ちなみにりあむさんは、他のカラオケ店の前を歩いているのをファンに見つかって炎上しました」

朋「歩いてただけで!? かわいそうじゃない!?」


~女子寮:玄関前~


朋「ん~! いい天気!」

ほたる「それでは、行きましょうか」

智絵里「あっ、ちょっといいですか?」

ほたる「?」

朋「?」

智絵里「わたし、ついったーの個人最大いいねがどこまで伸ばせるか、試してみたいんですっ」

ほたる「へ?」

智絵里「協力してくれますか……?」

朋「別にいいけど、なんでこのタイミング?」

智絵里「外でしかできないので……」ポチポチ

朋「?」

智絵里「えいっ! 送信っ!」ポチッ

朋「何を投稿したの?」

『1000いいねにつき1個、ほたるちゃんに植木鉢が落ちてきます』

朋「綺麗に終わりそうだったのに智絵里ちゃん!!!!!」

ほたる「まあ、50000いいねでも50個なので……」

朋「それでも多いけどね!?」


~10分後~


いいね:888000 ババーン

朋「はちじゅうはちまんはっせん!?」

智絵里「888個! 末広がりだねっ!!! ラッキー!!!」

朋「智絵里ちゃん」

ボンッ!!!!!!!!!!!

ほたる「」ガガガガガガガガガガガガガガガガガシャァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!

朋「ほたるちゃん!!!!!」

智絵里「ハッピーバースデーっ♪」

朋「緒方ァ!!!!!」



おわり


おまけ



颯「うう……はっ!」

颯「……あれ? はーの部屋……?」

颯「じゃあさっきのは……」

颯「夢……だよね……?」

颯「……ぷっ! ふふっ! あはははは!」

颯「そうだよね! ほたるちゃんがあんなに細長くなるわけないもん! ヘンな夢~!」

颯「あーおかしい! 後でなーにも話そっと!」

颯「ふう……うん、今日は何をしよっかな~? とりあえず、カーテンと窓を開けて……」


ガガガガガガガガガガガガガガガガガシャァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!

「ほたるちゃん!!!!!」


颯「……」

颯「……」

颯「……きゅう」バターン



おわり




ありがとうございました。


直近の過去作


久川颯「えっと……”常識キャリブレーションミーティング招待状”……?」(pixivのみ)

浜口あやめ「珠美殿に宿りし!」道明寺歌鈴「武の神髄……?」

田中摩美々「放クラなんてやかましいだけじゃないですかぁ」

久川凪「チキチキ、はーちゃん萌え萌えシチュエーション妄想対決~」


などもよろしくお願いします


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