菫「なあ、照」

照「なに？菫」

菫「前にインタビューで『妹はいない』みたいなことを言ってたのはなぜだ？」

照「？」

菫「いや『？』と首を傾げられても困るんだが……」

照「菫が何を言っているのかわからない。私に妹はいない」

菫「いや、この前咲ちゃんと仲良さそうにお出かけしてたじゃないか」

照「お出かけなんかしてない」

菫「いや、喫茶店に2人で入って行くのを見かけ」

照「あれはデート」

菫「は？」


照「将来私のお嫁さんになる咲とのデート」

照「咲は私がプロになったらプロポーズしてお嫁さんにきてもらう」

照「だから妹ではない」

菫「」

照「皆、大変」

尭深「どうしたんですか藪から棒に」

照「咲が…咲が……」

淡「サキーがどうがしたの？」

照「咲が……くっ！！」

誠子「？」

菫「！」

菫（あんな深刻そうな表情初めて見る。もしかして咲ちゃんの身に何か！？）

照「私のことをお姉ちゃん呼びしてくる！」

菫「……」

照「しかも強調して！！」

照「そろそろ『あなた（はあと）』って呼んでくれてもいいハズなのに！」

誠子淡「？」

尭深「あっ（察し）」

菫「解散」

照「待って！！」

久「ごめんね須賀くん。こっちの仕事まで手伝ってもらっちゃって」

京太郎「構いませんよ。今日は部活もないことですし」ｶﾀｶﾀ

久「それにしても、パソコン打つの早いわね」

京太郎「普段家でも使ってるんで結構慣れてるんですよ」ｶﾀｶﾀ

久「へえー。あっ凄い！星って打つと☆のマークが出るのね！」

京太郎「ええ。ほかにも◇とか●とかいろんな記号が出ますよ」

久「私も試してみようかしら」ｶﾁｶﾁ

久「ん、須賀くん」

京太郎「何でしょう？」

久「ア〇ルって打っても※マークが出てこないわ！」

京太郎「遊ばないでください」

龍門渕家　キッチンにて


一「最近、清澄の子がよくウチに来るよねー」

純「ああ、須賀だっけか。料理と麻雀習ってんだろ？」

一「そうそう。ボクとしてはお昼ご飯がちょっぴり豪華になるから嬉しいんだよね～」

純「まあ、確かにそれは嬉しいけどよ……」ﾁﾗｯ

一「あー……まあ言いたいことはわかるよ」ﾁﾗｯ





京太郎「今日は、何を教えてもらえるんですか？」

ハギヨシ「そうですね……先日はイタリアンだったので、和食にしてみましょうか」

京太郎「和食ですか、難しそうなイメージが……」

ハギヨシ「確かに奥は深いですが基本は一緒です。頑張ってみましょう」

京太郎「はい！」



智紀「ハアー、ハアー！」ｷﾞﾗｷﾞﾗ




一「いざというときにはお願いね純くん」

純「気が重いぜ」



京太郎「俺、女所帯に男一人なんでハギヨシさんといる時間結構楽しみなんすよ」

ハギヨシ「おや、奇遇ですね。私も実は今日を楽しみにしてたんですよ」



智紀「……っ！？ヴッ！！」

一「ちょっとともきー！立ったまま気絶しないで！」

透華「ｷﾞｬｰｷﾞｬｰ」

京太郎「ﾋｪｰ‼」


一「今日も透華張り切ってるねー」

純「麻雀ど素人だからこそ教え甲斐があるんだってよ」

智紀「……」

一（ともきー、不気味なほど静かだね）ﾋｿﾋｿ

純（そうかあ？いつも通りじゃねえの？）ﾋｿﾋｿ



ハギヨシ「お嬢様、京太郎君。そろそろ休憩なさってはいかがですか」ｽｯ

透華「いいえ！まだですわ！」

ハギヨシ「ですが……」


一「？　ハギヨシさんが透華に食い下がるなんて珍しいね」

智紀「！」ｶﾞﾀｯ



透華「ハギヨシ！私の言っていることが間違っているとでもいうの！？」

ハギヨシ「いえ、滅相もない。ただ、京太郎君は私の客人として招いています」

智紀「ハア”－！ハア”－！」ｷﾞﾗｷﾞﾗ


透華「うっ、それはまあ……」

ハギヨシ「確かに、お嬢様に麻雀を教えていただくことは大変身になると思います。」

ハギヨシ「ですが、私も京太郎君とお喋りをすることを楽しみにしていたのです」

透華「ハギヨシ……」

ハギヨシ「私の数少ない同性の友人と過ごす時間を分けてはいただけませんか？」

透華「……もうっ、そういわれては何も言えませんわ！」

ハギヨシ「ありがとうございますお嬢様」ﾁﾗｯ

京太郎「？」

ハギヨシ（にこっ）ｳｨﾝｸ



智紀「……ッ！！！？ｱｯ‼」ｶﾞｸｯ

一「ちょっとまた！？」

純「もう意味わかんねーよ」ﾊｱ

ｸﾞﾗｸﾞﾗｸﾞﾗ

久（むっ、大きめの地震ね）

久「皆！訓練通りよ！窓際の人はガラスが割れるかもしれないから注意して！」

久「ドア付近の人は戸を全開にしておいて！」

久「それから……」



まこ「久よ。今日はかっこいい姿を見せていたらしいじゃないか」

久「そんな。先輩として、会長として当然の行動をしたまでよ」

まこ「校内では、そんな久を毛深い」

まこ「間違えた」

まこ「気高い先輩と有名になっとるぞ」


久「有名なのは後者だけよね？」

久「ねえ！？コッチ見なさいまこ！！」

透華「今日は皆でお寿司ですわ！」

一「いやー外食でお寿司なんて久しぶりだなー」

純「俺は回る方でも良かったんだがなー」

智紀「透華がなんでも良いといったから私がリクエストした」

一「そうだったんだ」

衣「皆で食事をするのなら衣はどこでも構わないぞ！」

一「ふふっ、そうだね」

透華「では、大将！おまかせで！」

衣（は！衣はワサビ抜きでないとお寿司が食べられない……！）

衣（でもワサビを抜いてほしいと頼んだら子供っぽいと思われるだろうか）

衣（ん～～～～～！）

大将「へいお嬢ちゃん！ハンバーグ寿司おまち！」

衣「完全に思われてた！！」

照「咲、なぜ部屋のドアを開けてくれない？」

咲「お姉ちゃん、私聞いちゃったの」

照「何を？」

咲「お姉ちゃんが私の貞操を狙っているということを」

照「ははっ、そんなまさか」

咲「ねえお姉ちゃん、最近私の下着が消えたんだけど知らない？」

照「唐突にどうしたの」

咲「洗濯籠に入れといたはずなのに、今日洗濯物を取り込むとき無いことにきづいたの」

照「なっ！下着泥棒か！？許せん……よくも咲の下着を……」

咲「白々しいよお姉ちゃん……（部屋干しだったし）」

照「まさか私を疑っているの？私は可愛い家族の」

咲「じゃあどこ行っちゃったんだろう、あの水玉模様のショーツとブラ……」

照「何！？アレは純白だったハズ！！」




咲「へえ……」

照「しまッｔ「菫さん！！」



菫「お縄についてもらおうか！！」ｽﾊﾟﾝ




照「ぐっなぜ菫がここに！」

菫「咲ちゃんにヘルプを貰ってな。昨日から乗り込んでいた。さあ東京に戻るぞ」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

照「くそ、咲！私は諦めないからな！！必ず！先の全てを手に入れてやる！」

照「うおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！！」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

バタン！


咲「今の方が魔物っぽいよお姉ちゃん……」



咲「あ、下着！」

久「スマホを買い替えたわ！」

まこ「おー、新しい機種かー。羨ましいのう」

久「ね、ね、誰かにかけてみてもいい？」ｳｽﾞｳｽﾞ

京太郎「どの機種でかけても変わらんでしょうに」

優希「だったら部長！私にかけてみるといいじぇ！」

久「こういうのは気持ちの問題なのよ！」



とぉるるるるるる



優希「はい、もしもし片岡です」

まこ「！？」

久「お嬢さん……今何色の下着履いてるの……？」ﾊｱﾊｱ

京太郎「！！？」

優希「履いてないじぇ！」

まこ「！！！？」

優希「くおらー！！京太郎！！私のタコスを買い忘れるとはどういうことだ！！」

京太郎「だから悪かったって」

優希「いーや！許さないじぇ！そこになおれ！」

京太郎「はいはい…」

優希「どりゃあ！」

京太郎「ぐっ」ｶﾞｯ

優希「ガードすんな！」

京太郎「いやだって受けたら痛えし」

優希「京太郎気を付け！」

京太郎「おう」ﾋﾟｼ

優希「フン！！」

京太郎「ぬ」ｶﾞｯ

優希「だからガードすんな！」



優希「ぐぬぬ、こうなったら……部長！！」

久「おうとも！！」ｶﾞｼ

京太郎「っ！？」ﾄﾞｷｯ

優希「これならガードもできまい！覚悟するじぇええええ！！！」ﾏﾜｼｹﾞﾘ‼

京太郎「えい」ｸﾙｯ

ドゴ！

久「いったああああああああああああああい！！！！お尻がああああああああああああああああああ！！！」

お昼休み　部室

京太郎「ご馳走様でした」

咲「午後から体育で着替えるのでお先に失礼しますね」

優希「午後は日が高くなるからげんなりするじぇ」

まこ「種目は何をするんじゃ？」

和「女子はバレーボールです」

京太郎「男子はサッカーっすね」

まこ「この時期でも暑くなってきたけえ、水分補給はしっかりとな」

咲「はい！」

久「金的には気を付けてね」

京太郎「いらん配慮はせんでいい」

衣「智紀が変だ」

一「そんなの前からでしょ」

純「妄想するのは勝手だけどよ、生モノは勘弁してほしいよな」

衣「？　生モノとはなんだ？」

一「へえ～、純くん詳しいんだ？」ﾆﾔﾆﾔ

純「っ！？」

衣「？？？」

純「俺のことはいいーんだよ！！今は智紀の話だろ！！」

一「はいはい」

一「それで、その変な智紀の話題をなんで急に？」

衣「さっきまで智紀にな、絵本を読んでもらっていたのだ」

一（かわいいなあ）

衣「しかし、ハギヨシの友人が訪ねてきた途端何も言わずにどこかへいってしまった」

衣「絵本途中だったのに……」

純（かわいい）

衣「というわけで、智紀が何しに行ったのか突き止めようと思う！」

一「えっ」

衣「いざ！」ﾀﾞｯ

純「やべえ!」ﾀﾞｯ

一「衣に変なもの見せられない！！」ﾀﾞｯ

智紀「……」




透華「ハギヨシは幼いころからずっとこの家に仕えていましたわ」

透華「でも、友人といっても家のメイドがほとんど」

透華「だからこそ、唯一と言ってもいい同性の友人ができたことを本当に嬉しく思いますわ」

ハギヨシ「お嬢様……」

透華「当主の娘としてのお願いです。これからもハギヨシと仲良くして頂けますか？」

京太郎「むしろこっちからお願いしたいくらいです」

ハギヨシ「京太郎さん……」

京太郎「なんか照れ臭いっすね」

ハギヨシ「はい。でもそれ以上に嬉しく思います」




衣「ハギヨシ……」ﾎﾛﾘ

純「ちょっぴりいい話だな」

一「透華のあんな優しそうな顔久しぶりに見たよ……」

一「って肝心のともきーは！？」




智紀「」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

衣「に、仁王立ちで泣いておる」

純「ええ……」

智紀「無形文化遺産……」ｼｸｼｸ

一「台無しだよ」