穂乃果「雨があがったら」 (14)

-放課後の教室-

穂乃果「今日も一日長かったなぁ~」

ことり「穂乃香ちゃん、6限目すごい眠そうだったもんね」

穂乃果「ことりちゃんは?眠くなったりはしないの?」

ことり「わたしはまぁ平気かな」

海未「どうせ昨日、夜更かしでもしたんでしょう。屋上で練習ありますよ、さあ早く行きましょう」

穂乃果「海未ちゃん...」

海未「...なんですか?」

穂乃果「数学の時さ、眠そうにしてたよね?」

海未「はい?」

穂乃果「こんな風に...こっくり...だめ、先生の話聞かなきゃ...こっくり...って」ガタッ

海未「そんな感じじゃなかったですし、第一穂乃果に言われたくありません」

ことり「まあまあ2人とも...」

海未「行きますよ、ほら」

穂乃果「よーし、行こっ」


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穂乃果「(なんかパッとしない天気だなぁ)」

海未「なんだか怪しい天気ですね」

ことり「練習中に雨降らないか心配だね」

穂乃果「ねえ、みんなは晴れの日と雨の日どっちが好き?」

海未「なんですか、唐突に」

穂乃果「まあなんとなく」

海未「わたしは晴れです。洗濯物が乾きやすいですし...」

穂乃果「なんだかお母さんみたい」

ことり「梅雨に入ってから、雨ばっかりだもんね」

穂乃果「ことりちゃんは?」

ことり「わたしもどっちかっていうと晴れかな。天気の良い日にお散歩するの気持ちいいから」

海未「髪がまとまらないのもやっかいですしね」

ことり「そうだねー」

海未「穂乃果はどっちなんですか?」

穂乃果「わたしは...どっちだろ?」

-屋上-

絵里「...じゃあ、今日の練習はここまで。みんなお疲れ様」


穂乃果「お疲れ様、花陽ちゃん」

花陽「お疲れ様。なんだか寒いね」

穂乃果「ねー、上着持ってきて良かったよ、わたし」


絵里「海未、振り付けのことでちょっと相談があるんだけど...」


花陽「最近振り付けのことでよく相談してるよね、海未ちゃんと絵里ちゃん」

穂乃果「期末試験近いし、練習で屋上使えなくなるまえに直せるところは直しておこうって」

花陽「ことりちゃんも衣装作り忙しそうだもんね」

穂乃果「そうだね」

海未「...あ、穂乃果、話し合いがあるので今日は先に帰っててもらえますか?」

穂乃果「私に手伝えることない?」

海未「いえ、大丈夫ですよ。花陽も今日はお疲れ様でした」

花陽「お疲れ様、海未ちゃん。また明日」

-帰り道-

穂乃果「(ん?今何か当たったような?)」

パラパラ...

穂乃果「(傘持ってない!急がなきゃ!)」

ガラッ
穂乃果「ただいまー!」

雪穂「おかえりー、お姉ちゃん」

穂乃果「雪穂、洗濯物取り込んでくれた?」

雪穂「え、雨降ってるの?」

穂乃果「取り込んでよ~!濡れちゃうっ」タタッ

シトシト...
穂乃果「あちゃー...濡れちゃったな...」

穂乃果「お風呂場に干しておこう」


穂乃果「...そういえばお母さんは?」

雪穂「買い物」

穂乃果「そっか」

雪穂「なんかお姉ちゃん、今日遅かったね」

穂乃果「うん、ちょっと練習が長くなって...」

雪穂「お米ならもう研いどいたよ」

穂乃果「うん、ありがと」

-部屋-

穂乃果「雨に~唄えば~♪」

穂乃果「あれ、絵里ちゃんからメールきてる」

穂乃果「...『テスト期間が近いから屋上練習は今週で終わり』...」

穂乃果「『覚えられるところは家で覚えてきて』か...」

穂乃果「よーし、頑張らなくちゃね」

Prrr...
穂乃果「...あっ、海未ちゃん?」

海未「穂乃果?どうしたんですか」

穂乃果「なんとなく、今何してるんだろうなって思って」

海未「そういえば、今日の朝も天気の話題になったときになんとなくって言ってましたね」

穂乃果「まあね」フフッ

海未「いま家に帰ってきたところですよ」

海未「少し休んでから、宿題するつもりです」

穂乃果「もうすぐテストもあるもんね」

海未「穂乃果はちゃんと宿題手につけてますか?サボっちゃダメですよ」

穂乃果「今からやるとこだよ」アセアセ


-夜-

「穂乃果―そろそろお風呂入っちゃいなさい」

穂乃果「はーい分かった-」

穂乃果「(眠い...宿題はまたあとでやろう)」

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穂乃果「あ、まずい!寝ちゃってた!」ガバッ

穂乃果「あれ...?さっきお風呂入ったあと宿題終わらせて...」

穂乃果「10時か...いつの間に寝ちゃってたんだろ...」

穂乃果「...水でも飲んでこようかな」


穂乃果「(もうみんな寝ちゃってるなんて珍しいなぁ...)」

穂乃果「(...いや、おかしい)」

穂乃果「(いつもはまだみんなリビングでくつろいでる時間だし)」

穂乃果「(何かあったんじゃ...?)」

タタタ...
穂乃果「お父さん!?お母さん!?」

穂乃果「...雪穂!!」

穂乃果「みんないなくなってる......」

穂乃果「外も街灯点いてないし、どうなってるの...?」


テクテク...
穂乃果「(真っ暗...どの家見ても明かりついてないし)」

ピシャッ...
穂乃果「わっ!?」

穂乃果「なんだ、水たまり踏んだだけか...」

穂乃果「向こうでぼんやり光ってるのは...提灯?」

穂乃果「おっきな影が見える」

穂乃果「もしかしてあれって...」


穂乃果「...ふう、疲れたぁ」ハアハア

希「おーい、穂乃果ちゃん」

穂乃果「希ちゃん?」

穂乃果「どうして...ていうかここどうなってるの?真っ暗で何も見えないし」

希「こっちおいで。少し歩こう」

希「だいぶくたびれてるようやね」

穂乃果「階段きつくて...」

希「ふふっ」

穂乃果「歩いてたら提灯が見えて、それで神社が浮かび上がってきて...」

穂乃果「ひっそりとしててまるで人がいないみたいだった」

希「それはここがウチのつくった世界やから。なんでも思う通りになるんよ」

穂乃果「へえ...」

希「だから今この街はウチと穂乃果ちゃんの二人だけ」

希「ほら、見てて」

穂乃果「なになに?」

希「こんな風に人差し指を小さく回してつぶやく」クルッ

希「雨よ降れ」

ピチャ...

ザーッ

穂乃果「わっ、すごい」

希「どう、すごいやろ」

希「穂乃果ちゃんは、雨は好き?」

穂乃果「うん、好きだよ。雨の中で提灯が灯ってるのってなんだかきれいだね」

希「雨って不思議やね。雨の降るザーっていう音、ピチャって跳ね返る音に耳を澄ませてると落ち着くんよ」

希「深い海の底にいるような感覚...」

希「いちからこの世界作るの大変だったんよ?」

希「...穂乃果ちゃんには夢はあるの?」

穂乃果「...え?」

希「ごめんな、突然こんなこと訊いて」

穂乃果「うーん...私の今の夢は、みんなでラブライブ優勝することかな。そのために今まで頑張ってきたから」

希「ウチも。これまで乗り越えてきたぶん、全力でぶつかっていこうと思ってる」

希「何もかも終わって、みんな違う道を行くことになったとしても」

希「悔いの残らないように、な」

穂乃果「...そうだね」

シトシト...
穂乃果「あれ、雨小降りになってきた...」

穂乃果「あっ、あれ、向こうの空がだんだん明るくなってきてるような?」
 
穂乃果「(雲の切れ間から光が...)」

希「ずっと降り続けさせることはできないんよ。いつかは止んじゃう」

希「さてそろそろお別れやね。穗乃果ちゃん」


希「行ってらっしゃい」

チュンチュン...

シャッ!
穂乃果「わ、まぶしい」

雪穂「お姉ちゃん!朝だよ!」

穂乃果「ん...雪穂?」

雪穂「学校遅れちゃうって!」

穂乃果「希ちゃんは?...」

雪穂「私、先行ってるね!」ガチャッ


穂乃果「朝...」

穂乃果「夢だったんだ」

穂乃果「でも晴れてよかった」


雪穂「お姉ちゃーん!海未さんたち来てるよー!」


穂乃果「今行くー!」

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