永吉昴「どうしよう、お家、帰れないじゃん!」ミリP「またもや」【ミリマスSS】 (67)


ミリマスSSです。
プロデューサーはP標記。

一応、シリーズものです。
矢吹可奈「どうしよう、お家に帰れないです~!」P「・・・」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404203513
北沢志保「どうしよう、家に帰れなくなった…」P「…またか」
北沢志保「どうしよう、家に帰れなくなった…」P「…またか」【ミリマスSS】 - SSまとめ速報
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横山奈緒「ど、どうしよう、家に帰られへん……!」P「えっ、また?」
横山奈緒「ど、どうしよう、家に帰られへん……!」P「えっ、また?」【ミリマスSS】 - SSまとめ速報
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夕方 ○○駅


ザアアァァ

『現在、――線は現在運転を見合わせております。運転再開の目途は立っておらず……』

P「げえっ、電車止まってる」

昴「ツイてないなあ。天気予報でも言ってたけど、まさかこんな大雨だなんて」

P「困ったな。ここから事務所まで戻るとしても、タクシーもごった返してるし……」

Prrrr

P「ん? 音無さんから電話だ。ちょっと待っててな」

昴「うんっ。そうだ、オレ、ちょっと駅員さんに詳しいこと聞いて来るよ!」

P(今日の仕事場が俺の最寄り駅の近くってこと、音無さんも知ってるから、まさかな……?)


ピッ

P「はい、もしもし」

小鳥『あっ、プロデューサーさん。お仕事終わったんですね? ということは……』

P「ええ。○○駅に着いて、電車止まってると聞いて途方に暮れてたところです」

小鳥『それなら話が早いですね』

P「……俺の家に昴も泊めろと?」

小鳥『そういうことです♪』

P「流石にちょっと、何度も年頃のアイドルを家に泊めるというのは……。それに雨って言っても、いずれは復旧するでしょうし」

小鳥『最初に可奈ちゃん泊めた時点でもうアウトなんですから、この先何人泊めようが変わらないですよ』

P「」

小鳥『それに、今日中には多分復旧しないと思います』

P「へっ?」


昴「プロデューサー、大変だよ! さっき駅員さんから聞いたら、線路が陥没したせいでこの路線は今日もう動かないって!」

P「……マジ?」

小鳥『ということなので、帰れなくなった昴ちゃんをプロデューサーさんが泊めてあげたら万事解決! ってことです』

P「確かにそうなのかもしれないですけど……」

小鳥『それに、昴ちゃんのご両親にも連絡したのですが、プロデューサーさんの家に泊めても「全然オッケー」、とのことでした』

P「……手が早いですね」

小鳥『できるオンナですから』フンス

小鳥『ということなので、昴ちゃんとごゆっくりー!』

ピッ ツーッ ツーッ

P「ちょっ、音無さん!? もしもし!?」

P(仕方ない、今回もか……)


昴「プロデューサー、小鳥は何か言ってた?」

P「ああ、うん。えっと……」

P「どうやら昴も聞いてきた通り、今日は電車が動かないらしい」

昴「やっぱそうなんだ……。ってお家、帰れないじゃん!」

P「落ち着いて。それで、この○○駅って、俺ん家の最寄りなんだ」

昴「プロデューサーん家も、この近くなの?」

P「そういうこと。だから昴さえよかったら、……俺ん家、泊まる?」

昴「うんっ、OK!」

P(軽っ)


昴「何だよー、プロデューサーも早く言ってくれたらよかったのに! オレ、今日どうやって帰ろうかと思ってずっとドキドキしてたんだからさ!」ホッ

P「お、おう。悪かった」

昴「それじゃあ、決まり! 早くプロデューサーの家に行こうぜ!」

P「そうしようか。でも家に帰る前に色々買って帰ろう」

昴「分かった!」

P(昴の家は兄も多いし、男と過ごすことにあまり抵抗がないのかな)

P(……っていうか、どうしてアイドルとこの辺で仕事する度に電車が止まるんだ? 普通に利用してても滅多に止まらないのに)

昴(プロデューサーとお泊りか。……なんか面白そうだな♪)


ガチャ

P「ふぅ、ひどい雨だったな。昴も入って」

昴「お邪魔しまーす。……ほんと、傘差しててもかなり濡れちゃったよ」

P「ちょっと待ってな。……ほれ、タオル」

昴「サンキュ、プロデューサー」ニコッ

P「適当にソファでも座ってていいぞ」

昴「わっ! 奈緒たちから話は聞いてたけど、部屋、すっげーキレイだな!」

P「そうか?」

昴「兄ちゃんの部屋とか、大掃除してもここまでキレイになってないよ?」

P「まあ、年頃の男の部屋なんてそんなもんだよ。俺も学生の頃はそうだったし。ところで昴の部屋はどうなんだ?」

昴「ここまで、とは言わないけど、一応キレイにしてるよ。部屋がごちゃごちゃしてたら、なんかムズムズするんだよな」アハハ



P「そうだ。社長と昴のご両親に電話してくるよ」

昴「えっ、オレの親にも? さっき小鳥が連絡したって言ってたじゃん?」

P「一応、俺からも連絡をな。隣の部屋で電話するから」

昴「OK」

昴「……オレも、母さんに一応L○NE送っておくか」

ピンポン

昴「早っ。……って何でピースサインなんだ?」

ピンポン

昴「おっ、百合子からも来たな。なになに?」

百合子<雨、大変でしたね? お仕事だったけど、大丈夫でした?>

昴「……」スッスッ

昴<仕事はバッチリだったぜ! でも、電車止まって家に帰れなくなったから、今プロデューサーの家に来てる>

百合子<どういうことです。なんでぷろでゆ>

昴「?」


Prrrrr

昴「うおっ!? ……百合子から電話?」

ピッ

昴「もしもし。百合子、どうした?」

百合子『どっ、どどっ、どうしたもこうしたもないですっ!!』

百合子『どうしてっ、ぷろっ、ぷろぷろっ……!』

昴「お、おい。百合子落ち着けって」

百合子『……どうして、昴さんはプロデューサーさんのお家にいるんですか!?』

昴「え? だから、L○NEにも書いたけど、この雨で家に帰れなくなったから……」

百合子『それじゃあ全然説明になってないですっ!』


カチャ

P「昴、改めてお母さんに電話しておいたぞー。……って、昴も電話してるのか」

百合子『昴さん! そこにプロデューサーさん、いるんですね!?』

昴「うん、いるけど」

百合子『代わってください!』

昴「わ、分かった。……プロデューサー、百合子が話したいって」

P「えっ、俺?」

P「もしもし?」

百合子『ぷっ、プロデューサーさんのエッチ!』

P「はい?!」

百合子『この大雨をいいことに、昴さんを甘い言葉でたぶらかして、そうやってプロデューサーさん家に連れ込んだんでしょう!』

P「んなことしません!」

百合子『そうして招き入れた昴さんは、まさに獣の檻に入れられた一匹の草食動物! その昴さんを、プロデューサーさんは一晩中ヨロシクするんでしょう!? フランス書院のように! 私、読んだことありますから!』

P「」


P「いや百合子、あのな? 実は……」カクカクシカジカ

百合子『へっ? ……あ、電車が止まっちゃって、昴さんが困ってたからやむを得ず……』

P「そういうこと」

百合子『す、すみませんプロデューサーさん。私、つい早合点しちゃって……』

P「うん。……百合子が友達思いなのは大変良いことだけど、俺の前でいろいろと大事なものを失ったぞ」

百合子『へっ?』

P「……フランス書院」

百合子『えっ? ……あ、あああああぁぁ!』

P「百合子、強く生きてくれ」

ピッ

昴「百合子、何だって?」

P「この雨だし、色々と心配してくれてたよ」

昴「ふうん。そういえば、さっき言ってた『フランスしょいん』って何?」

P「ああ、うん。……今度百合子に聞いてみたらいいよ。きっと面白い反応してくれるから」

昴「? うん、分かった」


P「よし。腹減ったし、夕飯にするか」

昴「その言葉を待ってたよ! 正直、お腹ペコペコでさ」エヘヘ

P「OK。早速作ろうか」

昴「オレに作らせて! 食べたい料理リクエストして、スーパーで食材放り込んだのもオレだし!」

P「分かった。でも、俺も食材切ったり手伝うぞ?」

昴「うんっ」


P「……キャベツとニンジンは、こんな切り方で良い?」トントン

昴「うん。バッチリ」

P「しかし、肉野菜炒めかあ」

昴「あんまり凝った料理じゃないけどさ、よく作るんだ」

P「俺もたまに作るけど、シンプルだけど何だかんだ旨いよな」

昴「そうなんだよ! 折角こういう機会だしさ、プロデューサーにも食べてもらいたいなって思って!」ニカッ

P(かわいい)


ジャアアアァァ

昴「よしっ、火が通ってきたし、そろそろキャベツを入れて、と」

P「料理は結構するって聞いてたけど、本当に手際がいいな」

昴「だろ? 両親も忙しいからさ、オレもよく夕飯作るんだ!」

P「こりゃあ、女子力だな」

昴「本当っ!?」

P「ああ。女子力の塊みたいなもんだよ」

昴「……へへっ、やった♪」

P(かわいい!)


昴「よーし、できたっ!」

P「野菜炒めに加えて、さらにだし巻き卵も作ってくれたな」

昴「プロデューサーも、味噌汁作ってくれてありがとな!」

P「あれくらい、どうってことないさ」

昴「オレのことすごいすごいって褒めてくれたけどさ、包丁の使い方といい、プロデューサーも手際良いよね」

P「俺も時間があるときは自炊するからな」

昴「へえ、そうなんだ。ってことはプロデューサーも女子力……じゃないな。男子力?」

P「まあ、このご時世、男女関係なく料理できた方がいいからなあ」

昴「じゃあ、料理できても女子力関係ないってことか!?」ガーン

P「それはそれ、これはこれだよ。ともかく、昴は女子力高いぞ?」

昴「そうかな? よく分かんないけど、とりあえずOKってことで!」エヘヘ


P「そういえば、野球の中継やってるんじゃないのか?」

昴「あっ! いっけね、料理に夢中ですっかり忘れてた! テレビ点けてもいい?」

P「ああ、もちろん」ピッ

昴「よーし、勝ってる勝ってる♪」

P「今日は試合がドームで良かったな?」

昴「確かに! ホームだと中止だっただろうな」

P「それじゃあ……」

昴「うんっ!」

P昴「「いただきまーす!」」

P「パクッ……うん、肉野菜炒め、美味いな」

昴「ホントっ!?」

P「本当に美味いよ。……うん、出汁巻きも塩梅が丁度良いし」


昴「そうだ、肉野菜炒めにウスターソースかけても美味しいんだ!」

P「どれどれ。……うん、美味い。またちょっと味の雰囲気が変わるな」

昴「こうやって味変すれば、飽きずに食べられるからな」フフン

P「もしかして、こうしてソースかけることも見越して、野菜炒めもあっさり目に味付けしてたの?」

昴「ピンポン! よく分かったな、プロデューサー!」

P「いや、よく考えられてるな。……何というか、嫁力がかなり高いというか」

昴「ヨメリョク?」


P「まるでお嫁さんみたいだな、ってこと」

昴「およめさん……お嫁さん!? オレが!?」

P「ああ。こんなに料理ができる女の子がいたら、世の中の男が放っておかないぞ?」

昴「そっか。……へへっ、良かった♪」テレテレ

カキーン

『これは大きーい! 入った、ホームラン! ムラカミの一発で、スパローズ先制!』

昴「すっげー!! プロデューサー、今の見た!?」

P「いやあ、すごい一発だったな」

昴「あと少しで看板直撃だったよ! 本当、ムラカミのスイングって早いよな! どうしたらあんなスピードで振れるようになるんだろう?」

P「おーい、早く食べないと飯が冷めちまうぞー?」ペチ

昴「わ、分かったって。ごめん、ごめん」エヘヘ


P「……ご馳走様。……ふう、美味かったあ」

昴「お腹空いてたから、つい食べすぎちゃった」アハハ

ティロリン♪ オフロガワキマシタ

P「おっ。風呂もちょうど沸いたみたいだな。昴、先入るか?」

昴「そうだな。……先に貰ってもいい? 後からだと、もしかしたら野球の中継が終わっちゃうかもしれないし!」

P「はは、昴らしいや。寝巻き代わりにジャージの上下は出しておくから、それ使ってな」

昴「サンキュ、プロデューサー」ニコ


カポーン

昴「はぁ~、極楽、極楽♪」

昴「得意料理がプロデューサーに褒められて、良かったぜ♪」

昴「それに、手際がいいとか色々褒められたうえに、お嫁さんみたいだって言われて」

昴「……オレもちょっとは、女の子らしくなれてるのかな?」

チクリ

昴「ん?」

昴「何だ、今の? チクってしたけど、……胸元かお腹でも、引っ掻いたかな?」

昴「って、やべっ! 早く上がんないと試合見る時間が短くなっちゃう!」ザバッ


P「ふう、皿も洗い終わったし、一段落だな」

P「しかし、これまでにも何人かアイドル泊める羽目になったけど、今日の昴が一番安心できるというか……」

P「変に誘惑してくることもないし、やたら警戒されることもないし……」

P「人懐っこい妹がいたら、あんな感じなのかな。……弟も妹もいないから、分からんけど」

『さあカイアンツの攻撃、ツーアウトランナー無しでバッターはオカモト……』

P「しかし、今日はイシカワのピッチングがいいな」


ガララッ

昴「プロデューサー! 試合どうなってる!?」

P「」ブフォ

昴「プロデューサー?」

P「す、昴! お前、なんて格好で! 風呂入る前にジャージ渡しただろ!?」

昴「へっ? ああ、お風呂上がりだから暑いし、もうちょっとしたら着ようかなって」

P「だからって、パンツとキャミソール姿で出てくる奴があるか!」

昴「えーっ! 家だといつもこうしてるぜ?」

P「ここは俺ん家! ……頼むから、早く着なさい!」

昴「はーい。……ったく、プロデューサーも母さんじゃないんだから」ブツブツ

P(……安心だって言ったな、あれは前言撤回だ)

P(兄ばかりの中で育ったせいか男に対する免疫が強い分、警戒心がなさすぎる……!)


ガラッ

昴「……着てきたよ! これでいいだろ?」

P「うん。……あの格好でいるのは頼むからやめてくれよ?」

P(目の保養、じゃなくて、目の毒だから)

昴「でも、やっぱり暑いんだよなー……」パタパタ

P「確かに風呂上がりだもんな。そうだ、エアコン入れておくよ」

昴「あれ? もう7回ウラ?」

P「イシカワが好投してるから、結構展開早いよ。今日はスパローズのペースだな」

昴「そっか。……ま、試合終わる前までには間に合ったから、よしとするか♪」

P「それじゃあ、俺も風呂入ってくるよ」

昴「はーい」フリフリ

P「そうだ、冷蔵庫に麦茶とかジュース入ってるから、飲んでいいよ」

昴「うん、分かった♪」


『……三振、ゲームセット! スパローズ連勝でこのカード勝ち越しです!』

昴「よっしゃ! 勝ったー!」

昴「9回のヤマダのダメ押しツーランは爽快だったなー。よしよし」

ピンポン

昴「L○NE? ……なんだ、また百合子か」

百合子<昴さん、そちらは大丈夫ですか?>

昴<大丈夫って何が?>

百合子<プロデューサーさんとの間で、何か大事件が起きてるんじゃないかって、心配で心配で!>

昴<大事件って……百合子は大袈裟だよ。別に、いつもと何も変わんないけど?>


百合子<だって、プロデューサーさんと一つ屋根の下で一晩過ごすんですよ? そんなこと、ちょっと想像しただけでもドキドキするじゃないですか!>

昴<そうか? だって、プロデューサーはプロデューサーだぜ?>

昴<それに、事務所でも二人きりになるときだってあるし、部屋は違うけど地方公演で泊りがけなんてこともあるんだから>

百合子<うう、それはそうなんだけど……>

昴<あ、でも、さっきお風呂上がりの時にちょっと怒られたな>

百合子<怒られた?>

昴<うん。風呂上がりにパンツとキャミソールで出て行ったら、ジャージ着ろって>

Prrrr

昴「うおっ!?」ビクッ


昴「も、もしもし? 何だよ、また」

百合子『何だよ、じゃないです!』 

百合子『もう、昴さん! そんな下着姿で人前に出たらダメに決まってるじゃないですか!』

昴「そうなのか? さっきもプロデューサーに同じこと言われたけどさ……」

百合子『ダメですっ! プロデューサーさんだって男の人なんですから、襲われるかもしれませんよ!』

昴「襲われる? そんな格闘技みたいなこと急に始まるのか?」

百合子『た、確かに一種の格闘技みたいなものかもしれないけど。……じゃなくて!』

百合子『コホン! いいですか? 昴さんはもう少し自分が無自覚に人をドキドキさせていることに気付くべきです!』

昴「は、はあ……」



百合子『私だって、昴さんの無自覚の行動に一体どれだけ心を騒がされたことか……!』

昴「わ、分かったよ。もう、みんなすぐにそうやって説教するんだから……」ブー

百合子『ちゃんと気を付けてくださいね!』

昴「分かった、分かった」

昴「あ、ところで百合子」

百合子『何ですか?』

昴「さっきプロデューサーと電話してた時に言ってた『フランスしょいん』って何なんだ?」

百合子『……へっ?』

昴「いや、プロデューサーが『百合子に訊け』って言ってたから」

百合子『…………昴さん、おやすみなさいっ』

ガチャ ツーッツーッ

昴「おい、百合子? おーい?」


昴「ったく、急に電話してきたかと思ったら急に切るしさ」ハァ

昴「百合子も考えすぎじゃないかなあ。全然知らないオジサンならともかく、プロデューサーなんだしさ」

昴「学校の仲良い友達なら、小学校のときにも泊まりで遊んだこともあるし、そんなもんだと思うけど……」

昴「いや、同級生の友達ともなんか違うな。うーん……」

チクリ

昴「あれ?」

昴(何だろう、さっきから時々胸がチクってするの)


ガラッ

P「ふーっ、いい湯だった」

昴「おっ、プロデューサー。……そうだ!」

昴「ねえプロデューサー、ちょっとここ座ってよ」ポンポン

P「? ああ」

昴「……」ジーッ

P「?」

昴「……」ジーッ

昴「やっぱり、プロデューサーって、プロデューサーだよな」

P「急に哲学だな。どうしたんだ?」

昴「ううん、何でもない。サンキュ!」エヘヘ

P「??」


P「ところで、試合はどうなった?」

昴「スパローズが勝ったぜ! ヤマダのダメ押しツーランにイシカワの完封!」

P「今年は結構調子いいなあ」

ピンポン

P「ん? 百合子からL○NEだ」チラッ

百合子<プロデューサーさんのいじわる! もう知りません!>

昴「試合終わった後に百合子からまた電話がかかってきたんだよ」

昴「プロデューサーから何か変なことされてないかとか」

P「……百合子は友達思いだなあ」

昴「でも、百合子に『フランスしょいん』のこと聞いたら、急に電話切られたんだよな」

P「なるほど」

P(明日、顔を真っ赤にした百合子からきっと怒られるだろうな)


昴「そうだ、チャンネル変えていい? そろそろニュースのスポーツコーナー始まるし」

P「うん。……って、勝ったのにまた見るのか?」

昴「勝ったからこそだよ! どの選手のどこが良かったのか、改めて確認しなきゃ!」

P「もし負けた場合は?」

昴「負けたときも全部のスポーツニュース見る。どこかでは勝ったって報道してるかもしれないから」

P「そんな、博多華○の親父じゃないんだから」


P「そうだ、忘れてた」スクッ

昴「?」

P「……よいしょっと」ゴトリ

昴「アイロン?」

P「うん、ワイシャツをな。アイロンかけようと思ってたけど、時間なくて、つい何枚も溜めちゃってさ」

昴「そうなんだ。……そうだっ!」ティン

昴「オレがアイロンかけるよ」

P「え? 大丈夫だよ。俺の服なんだし」

昴「良いじゃん。オレだって今日泊めてくれたお礼に何かさせてよ。それに、アイロンもよくかけるからさ」

P「それじゃあ、お言葉に甘えようかな」

昴「OK♪」


スッ スーッ

昴「よっ……と」

P「慣れてるなあ」

昴「家でもこうやって、スポーツニュースとかテレビ見ながらアイロンがけ手伝ったりするんだよ」

P「ワイシャツって細かいところ多くてシワ残りやすいし、結構難しいだろ?」

昴「まあね。でも、父さんのをよくかけてるうちに、コツ掴んだんだ」

昴「アイロンがけとか色々家事してると、女の子っぽいなーなんて思っちゃうけどな」アハハ

P「家事してるからどうとかはよく分からんけど、……そもそも、昴は女の子だろ?」

昴「えっ!?」ドキン

P「……何驚いてるんだ?」

昴「そ、そうだよな? 何でオレ、ビックリしちゃったんだろ。あはは」

チクリ

昴「あ……、まただ」

P「どうした?」

昴「ううん、何でもないっ」


昴「よーし、終わりっ!」

P「ありがとう。本当に助かったよ」

昴「そろそろテ○朝のスポーツコーナーも始まる時間帯だよ! ほら、ピッタリ!」

アツモリッ

P「勢いあるだけに、今日のスパローズも凄かったなあ。……うおっ、このヤマダのツーランもえげつないや」

アツモリ!

昴「このダメ押しはかなりデカかったよ」 

P「ルーキーのオクガワも評判通りの活躍だし、今年は優勝もあり得るんじゃないのか?」

昴「へへん、だろだろ? 今年はかなり期待できるな♪」

アーツモリィー!



P「やっぱり今日、横浜の試合は中止だったか」

昴「この雨だもんな。全然やむ気配ないし」

P「でも、明日は朝から晴れるらしいぞ?」

昴「マジで!? こんなに降ってるのに?」

P「うん。さっき天気予報でそんなこと言ってた」

昴「なんか信じらんないけどなあ」

P「線路も今晩中に修理するって言ってたけど、大変だろうな」


昴「ふぁあ……」

P「眠いのなら、そろそろ寝るか?」

昴「うん、そうしようかな」

P「今日もスタジオで結構張り切ってたもんな」

P「それじゃあ、予備の布団を引っ張り出してくるから」

昴「うんっ」

P(また誰かが泊まるかもと思って、この前買っててよかった)

P(これさえあれば、アイドルと同じベッドに寝ることはもう避けられる! これはプロデューサーとしての最終防衛線! 絶対国防圏なのだ!)


P「……よし、と。これで全部下ろしたな」ドサッ

昴「サンキュ、プロデューサー。オレが布団敷くよ」

P「ああ、分かった」

P「ちょっと待ってな。リビングのテーブルとか片付けて、布団敷きやすくしておくから」

昴「えっ、寝室じゃダメなの? プロデューサーのベッドの隣、ちょうど布団敷けるスペースあるよ?」

P「えっと、それは……」

昴「その方がお泊り会っぽいしさ、いいだろ?」

昴「……ダメ、かな?」

P「……分かった」

昴「へへっ、じゃあ早速準備するよ♪」

P(一緒に寝るわけじゃないから、うん。隣だから……!)


P「……それじゃ、電気切るぞー」

昴「OK」

パチッ

昴「今日はサンキュな、プロデューサー。こうして泊めてくれて」

P「今日は電車も止まって帰れなかったわけだし、いいってことよ」

昴「こうやって暗がりの部屋で喋ってると、昔のことを思い出すなあ」

P「昔のこと?」

昴「うん。昔は兄ちゃんと一緒に寝ることもあったしさ。小学生の頃の話だけど」


昴「そうだ!」ティン

昴「よいしょ、っと」ギシッ

P「あの……昴さん? 一体どうして俺のベッドにやって来たんですか?」

昴「んー……何となく?」

P「いや、何となくで同じベッドに潜り込まれるのは……」

昴「それに、兄ちゃんたちとこうして同じ布団で寝ることもあったよなーって思って」

P「いやそれは、きょうだいだから良いわけで」

昴「可奈と志保と、あと奈緒はOKだったのに?」

P「」

P「……た、確かに一緒に寝たけどさ」

昴「だろ?」


P「でも、昴も女の子なんだから、その辺もう少し意識してくれた方がいいかなーって」

昴「女の子、か」

P「俺を信頼してくれてるのは嬉しいけどさ」

昴「……なあ、プロデューサー」

P「どうした?」

昴「オレってやっぱ、女の子っぽい女の子じゃないのかなあ?」

P「えっ?」

昴「さっき百合子と電話した時にふと思ったんだ。百合子って女の子だよなって」

昴「下着姿で風呂から出るなんてとんでもないって考えてるし、そもそもプロデューサーの家に泊まることも、百合子は考えただけでドキドキするって言ってたんだ」

昴「それが女の子らしい女の子の考えることなのかなって」

P「……ふむ」


昴「それに、アイドルの女の子ってみんなかわいいだろ? それなのに、オレみたいなのがアイドルになって本当によかったのかなって」

昴「自分のことを「オレ」なんて呼ぶのも、オレだけだしさ」

P「昴……」

昴「へへっ、なんだろな。ほら、カイアンツ時代のオオタ・タイシがスラッガーなのに当てに行こうとしすぎて、打撃フォームが段々こじんまりしてくるような……」

P(あれはムラタが悪いというか何と言うか……)

P「自分がよく分からなくなってる、ってことか」

昴「そんな感じ。ちょっと迷走してるなーって、自分でも思うんだよな」


P「昴は、女の子らしくなるためにアイドルになったんだよな?」

昴「そうだよ」

P「昴の思う、女の子らしいアイドルってどういうのを想像してる?」

昴「それは、かわいいアイドルだよ。そういうかわいいアイドルこそ、女の子らしいアイドルだろ?」

P「昴は、可愛いアイドルになりたいの?」

昴「うーん……。それがちょっと、分かんない」

P「じゃあ質問を変えようか。昴は可愛いアイドルにはなりたくない、というワケではないんだよな?」

昴「そう、かな。……うん、そんな気がする」

P「なら、俺は昴が可愛いアイドルにも、そうじゃないアイドルにも、そのどっちにでもなれるように応援するよ」


昴「ど、どういうこと? そうじゃないアイドルって?」

P「可愛いだけが女の子らしいアイドルじゃないってことだよ。カッコいいアイドルもいるし、元気ハツラツなアイドルもいるだろ?」

昴「……あっ、本当だ」

P「だから、少しずつ答えを出していけばいいさ。昴が答えを出したアイドル像こそ、昴の魅力が一番詰まった女の子らしいアイドルだよ」

昴「!……へへ、そっか」

P「昴はカッコいいアイドルにも、元気なアイドルにも、可愛いアイドルにもなれる素質があるんだから」

昴「オレがかわいい!?」

P「何言ってんだ。めちゃくちゃ可愛いぞ」

昴「ふぇっ!?」

P「可愛いと思うところ、色々言ってこうか?」

昴「いっ、いい! いいから! 多分そんなこと言われ続けたら、ハズくてムズムズするしっ!」バタバタ


P「それに女の子っぽくないって気にしてたけど、昴はすごく女の子らしい女の子だぞ?」

昴「……そうなの?」

P「だって、昴が女の子らしくなりたいって考えてる時点で、もう女の子らしいじゃないか」

昴「なんかJ○J○っぽいな……。そういうもの?」

P「そういうもんだよ」

昴「ふうん……。よく分かんないけど、そっか」

P「俺はプロデューサーとして、昴が素敵な女の子になれるよう、全力で応援するよ」

昴「本当に?」

P「ああ、約束する」ワシャワシャ

昴「あ……。へへっ♪」

昴「家族以外に頭を撫でられたことなかったけど、何だか不思議な気分」

P「嫌だった?」

昴「ううん、嫌じゃないよ。むしろ何だろう、ホッとするっていうか……あ」

P「どうした?」


昴「もしかしたら、プロデューサーだから、かも」

P「どういうこと?」

昴「へへっ、ナイショ♪」

昴(プロデューサーだから、オレもちょっぴり幸せな気持ちになるのかな)

昴(……うん、今日ときどき胸に感じてたチクってするやつの正体、分かったかも)

昴(学校の男友達とか兄ちゃんとは違う男の人なんだよな、プロデューサーって)

昴(だから……)

昴「なあ、プロデューサー。オレがどんなアイドルになっても、一番最初にプロデューサーが見てくれる?」

P「ああ、もちろん。目一杯褒めてやるやら、任せときな」

昴(自分の一番ステキな姿をプロデューサーに見てほしい、って思っちゃうのかも)

昴(一番ステキな自分を見せたくなるような、そんな人)


昴(こうしてプロデューサーと同じベッドで一緒に寝てるのって、多分めちゃめちゃハズいことなんだろうな)

昴(プロデューサーのこと意識しはじめたら、なおさら)

昴(でも……なんだか不思議と落ち着くかも)

昴「プロデューサー」

P「なに?」

昴(恥ずかしい気持ち以上に、嬉しさとか心地よさとか、幸せな気持ちがいっぱいあるから、なのかな)

昴「おやすみ」ニコ

P「ああ、お休み」

_________
______
___


明け方

昴「」ムクッ

P「zzz」

ギシッ

昴「トイレ……」

テクテク

ガチャ パタン


ジャアアァァ

ガチャ パタン

昴「……」

テクテク

昴「ムニャ……ジャージ、あつい……」

ヌギヌギ パサッ

P「zzz」

ギシッ

昴「ムニャ……zzz」

P「zzz」


___
______
_________

pipipipipiyopiyopipipi

カチッ

P「う~ん……もう6時半か」ムクッ

P「本当に晴れてるや。すごいな、天気予報って」

P「しかし、体が痛い……」

昴「zzz」

P「昴も同じベッドに寝てたおがげで、寝返りが打てなかったからかな……」


P「おーい、昴。朝だぞー、おきr」

P「」

昴「zzz」

P(見えてる……。キャミソールの片方の肩ヒモが外れてるせいで……!)

昴山「Good morning!」プルン

P(昴の右のお山が……! 頂が……!)


P「おおお、おちち、落ち着くんだ。こ、こういう時はなんか数字を唱えて」

P「3.141592653589793238462643383279……」

P「だあぁ! これもパイじゃないか!」

昴π「Buon giorno!」プルルン

P(とりあえず俺の視界から見えないようにしなきゃ。毛布を掛けて……!)

P(っていうか、なんでキャミソール姿なの? 寝る前までジャージ着てただろ?)

P(夜中に起きて、寝ぼけてジャージ脱いだのか……?)

昴「ムニャ……うう~ん……」パチッ

P「!!」


昴「ん。……あ、おはよう、プロデューサー」

P「あ、ああ、おはよう。昴」メソラシ

昴「なあ。何でこっち見ないで、壁の方見てんだ?」

P「……昴。とりあえず、ジャージを着るか、キャミソールを正すかした方がいいと思う」

昴「へっ? どういうこと……きゃっ!?」バッ

P「」

昴「……見た?」

P「……ごめん」


昴「と、とりあえず! 顔洗ってくる!!」

P「あ、ああ」

ダダダ

『だあぁー! 流石にめっちゃハズいよー!!』

P「ベッドから起き上がれない。立てない……」

p『綺麗な桜色でしたね、旦那』ビンビン

P「別のところが起き上がってるおかげで……」

p『でも旦那、さっきの昴の『きゃっ』って叫び声、すごく可愛くなかったですかい?』ビンビン

P「はははこの愚息め、ははは」

_________
______
___


事務所 午前9時


ガチャ

P昴「「おはようございます!!」」

杏奈「あ……おはよう、ございます」

ロコ「プロデューサー、スバル! グッドモーニングです!」

瑞希「おはようございます、プロデューサー、永吉さん。……一緒に来るなんて、珍しいぞ」

P「おはよう、みんな」


昴「実はさ……」

百合子「!」シュバババ

百合子「おはようございます昴さん! プロデューサーさんっ!」ニュッ

昴「うおっ!? 百合子か、おはよう。でもびっくりした~」

百合子「昴さん、昨日はあの後、プロデューサーさんとの間で何事もなかったですか? 気になって気になって、しばらく寝れなかったんですから!」

瑞希「プロデューサーと永吉さん、昨日は何かあったんですか?」

昴「え? ああ。昨日オレ、プロデューサーん家に泊まったんだ」

ロコ「ふむふむ、なるほど。昴はプロデューサーのお家にステイホーム……えええぇっ!?」


杏奈「プロデューサーさん……どういう、こと?」

P「実は、雨がすごくて……」カクカクシカジカ

瑞希「なるほど。横山さんたちが以前泊まったという、あれですか。……いいな、ちょっとうらやましいぞ」

ロコ「それでユリコは、スバルがプロデューサーに何もされてないか、ウォーリーしてるのですね?」

百合子「そうですっ! 雨の日の夜、一つ屋根の下に一人の少女と、獣と化した男が一人……! 何も起こらないはずがなく……!」

P「おー? 人を獣やオオカミ扱いする悪い子はここかー?」ムニー

百合子「い、いふぁいいふぁい!」

杏奈「百合子さん……えっち」

百合子「わ、私はえっちじゃないってばあ!」///


瑞希「ところで、お二人は昨晩、どのように過ごされたのですか?」

P「どのようにって、いたって普通だよな、昴?」

昴「うん。野球見ながらご飯食べて、お風呂入って、おしゃべりして寝たくらいだぜ?」

昴「そうそう! オレ、プロデューサーのおかげで女を知ったんだよ!」

百合子ロコ杏奈瑞希「」

P「」


百合子「お、おお、女を知った!?」

P「ちょっと待て! その言葉は基本的に男が主語だぞ!?」

瑞希「ということは、プロデューサーが昴さんの味を知った、と。……わお」

P「だから違うからな!?」

昴「それに、一緒に寝たときにオレのことかわいいって褒めてくれたり、頭も撫でてくれたりしてくれてさ」テレテレ

P百合子「」

杏奈「……事後、かな」

P「」

ロコ「プロデューサーの、えっと……スケコマシ!」

P「」


昴「あれ? みんなどうしたんだ?」キョトン

百合子「昴さん! 本当に大丈夫ですよね!? 昨日もお風呂上がりにキャミソールと下着一枚で過ごそうとしてたって言ってましたし!」

昴「へ? うん、大丈夫だって。プロデューサーからも注意されて、あの後ちゃんとジャージ着て過ごしてたから! 明け方ちょっと暑いから脱いじゃったけど、それで……」

昴「あ」ボフン

ロコ「スバル? どうしましたか?」

瑞希「いったい何が……ドキドキ」

昴「ええっと、その……」///

昴「だあぁー! 今朝のヤツは無理ー!!」ダダダ


ロコ「スバル!? エスケープしないでくださいー!」

百合子「こうなったら、プロデューサーさんを問い詰めて! ……あれ?」

瑞希「プロデューサー、生きてますか? ……おーい」

P「」

杏奈「へんじがない、ただのしかばねのようだ」

P「」


その後、しばらく昴の態度がちょっとよそよそしくなってその度にプロデューサーが悶えたり、百合子が昴に「フランス書院」のことを再び問われ、プロデューサーを涙目でポコポコ叩いたり、やたらとキャミソールを着るアイドルが増えたり、何かにつけて家に帰れない口実を作って、プロデューサーの家に泊まろうと画策したアイドルがまたまた続出したのは、こりゃまた別の話。


おわり

すばるんかわいいよすばるん。昴のような妹のいる人生を送りたかったです。

ミリオン女学園の昴は私個人的に好きです。

ミリシタも3周年ですね。おめでとうございます。

あと、華〇のお父さんは、贔屓球団が試合に負けてる途中、「他所のチャンネルだと勝ってる試合を流してるかもしれないから」とチャンネルを変えていた、というエピソードでした。間違えて覚えてました、すみません。

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