中野一花&二乃&三玖「そうだつさばいぶ」 (187)

五等分の花嫁のss。R18。

中野二乃「こんすいれいぷ」
中野二乃「こんすいれいぷ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1543718702/)

中野三玖「だっかんじぇらしー」
中野三玖「だっかんじぇらしー」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1544619044/)

中野一花「うらはらちぇいす」
中野一花「うらはらちぇいす」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1546867467/20-)

の続き。



原作と設定がずれちゃったところは後生だから見逃してください。

 唐突だが二択だ。一つの選択肢は『遠回り』、もう一つは『見て見ぬふり』。登校時間を考慮したときに前者は遅刻覚悟になるためちと厳しく、されど後者は著しく成功率が低そうだと考えるだけで分かる。
 俺が何から逃れようとしているのかという問いに関しては、『面倒ごと』の一言で全て片付く。最近しょっちゅう襲ってくる悪い予感というやつが、今日も朝からエンジン全開だ。たまには俺を休ませてくれないものかと毒づいてみても、現実問題として設置型の爆弾が視界に収まっている以上対処しないわけにはいかない。肺を空にする勢いで長く息を吐いて神経を尖らせ、ポケットから取り出した単語帳に意識を預ける。幸いにも向こうはスマホをいじるのに必死なようだから、気づかれないうちに強引に突破するしかないだろう。
 少しでも不自然な動きを見せればこちらを注視されてしまうだろうから、ここは駆け出したい心を必死に殺して普段と変わらぬペースで優雅に歩く。あくまで視線は前に向け、横にあるものにはまるで意識が向いていないとでもいうような涼しい表情を浮かべながら。

 対象との距離が縮まるごとに表情筋が引き攣りだすのが分かったが、それでも限度いっぱいまで平静を貫く。せめて朝くらいは平穏無事な生活を送らせて欲しいのだ。
 そんな俺の願いが神様にでも通じてか、彼女の様子に変化はない。俺が血相を変えて声でもあげるだろうと高を括っていたのではないか。その油断が命取りだぜと心の中でほくそ笑み、目の前を悠々と通り過ぎる。これで俺の勝ちは揺らがないものに変わった。
 だから今急に鳴り出した俺のケータイの着信音は、きっとらいはからのものに違いない。それ以外、誰が該当するというのだ。馬鹿馬鹿しい。
 その場で立ち止まって、ディスプレイに表示された名前を確認する。まあ、なんだ。念のためというか、一応というか。いたずら電話の可能性だってあるのだし、迂闊に行動して良いこともないからな。
 そんな俺の懸念はやっぱり杞憂だったようで、コール音の主はきちんと電話帳に登録された人物だった。これでいたずらの線は消えたなとうっすら笑いながら、通話ボタンに手をかける。

「…………もしもし」
「なんで逃げ切れると思ったの?」

 自分の声があまりに苦しげ過ぎて驚いた。どうやら想像以上に肉体が絶望しているらしい。いや、確かに、最初から成功率の低い賭けだとは承知していたけれども。
 俺は律義にケータイを通して声を発したが、相手に関してはしょっぱなからそんなのお構いなしで肉声を用いてきた。漢気に溢れすぎていて、俺は今にも泣いてしまいそうだ。

「よ、よぉ。今気づいた」
「ふざけてるのかしら」
 
 左手を胸の下に回し、そこを土台のようにして右ひじを乗せる二乃。指先のスマホはもうお役御免なのか、つままれてぶんぶんと左右に揺らされるだけ。

「しゅ、集中しててな」

 手に持った単語帳を強調する。俺はすっかり勉強に没入してしまっていたから、周りのことになんかなんら意識が移らなかったのだと。

「あんたさ」
「なんだ……?」
「困った時に前髪触る癖があるわよね、そんな感じで」
「…………」

 言われて気づいたが、俺の右手は無意識のうちに親指と人差し指で前髪をいじくっていたらしい。意識下で制御できるものではないから癖と呼ばれるのだろうが、それにしたってそんな事細かなことを二乃に把握されているとは思っていなかった。故に狼狽し、単語帳を手から取りこぼす。客観的に見て、今の俺は相当に挙動不審だ。
 俺と二乃とのちょうど中間点に落ちたそれを、彼女が先んじて手にした。構図としては、奪い取られるように見えなくもなかったけれど。

「はい」
「お、おう。サンキュ」

 なんてことなく目の前に差し出され、特に思うこともないまま受け取ろうと手を伸ばす。ありきたりな善意に感謝こそすれ、この場において警戒を払うに足る要素が存在するとは思えなかった。……が、まあ、それが結局のところは俺の大いなる過失で。
 完全に気を抜いていた折にぎゅっと力強く袖を引かれ、つんのめるようにして彼女との距離が意図せずして詰まる。最近よく嗅ぐ匂いがして、状況的な類似点から、これは中野家で使用しているシャンプーの香りなのだなと理解した。身長差がそこそこあるせいで、基本的に俺の鼻の位置はこいつらの頭に寄る。
 そのままの勢いで体が触れあってしまいそうなのを脚力と指先の力とでどうにか踏みとどまり、結果的に二乃が最至近で俺の首元を眺めるような体勢になる。そしてそこには、隠しようもない淫行の痕が消えず残ったままでいて。

「昨日すれ違った時にもちらっと見えてたんだけど、これ」
「虫刺されだ」
「そう、最近多いもんね」
「ああ、ほんと多すぎて困ってる」
「で、どんな虫だったの?」
「……蚊とか」
「数字で言うと?」
「…………」

 まあそりゃそうだわなと嘆息を挟んだ。こんな分かりやすい弁明にうんうん頷いてくれる奴なんているわけがない。……いや、昨日約一名と遭遇したけども。

「教えてよ。あんたと私の仲じゃない」
「なんだその仲……すまん俺が悪かったからやめてくれ無言で腹をさすらないでくれ」
「で、誰?」
「…………言えない」
「三玖?」
「…………」
「一」
「…………」

 唐突に口に出された核心を突く数字に全身が硬直する。だがここでボロを出すわけにはいかないとどうにか関係ないように装った。

「三」
「…………」
「四」
「…………」
「五」
「…………」
「もっと露骨に反応するかと思ったけど全然ね。で、誰?」
「頼むから勘弁してくれ。これ以上拗らせると高校卒業どころじゃなくなるだろ……」

 ローラー戦法で助かった。これといった決まり手はなかったらしい。
 本音で泣き落としにかかるとそれがちょっとだけ響いたようで、二乃の眉が数度ぴくぴくと動いた。俺の本分と彼女の本願とを秤にかけたうえで検討してもらおうという寸法だ。朝から全力で脳みそを回転させているせいで、既にちょっとだけお腹が空いてきた。

「……はぁ、仕方ないから今回だけは見なかったことにしてあげる」
「すま……助かる」
 
 謝るのは何かが違う気がして、感謝の方に舵を切った。まだそこまで暑い季節ではないはずなのに、俺の冷汗はまるで引く気配を見せない。

「でもあんた、それはどうするのよ? 私以外にも気づく子がいると思うけど」
「……む」

 首筋を指さされる。確かにこれが残りっぱなしな以上、誰かに見咎められる可能性は必ずどこかに残り続ける。

「それは……困るが」

 だからといって、首の肉をこそぎ落としでもしない限り消えることはない痕だ。そしてそんなことをした暁には出血過多で即ゲームオーバーである。頸動脈のパワーを侮ってはいけない。

「消し方、教えたげよっか?」
「あるのか、そんなの?」
「女子高生はそういうの詳しいわよ。雑誌とかに特集組まれてるし」

 ティーン誌の掲載内容が年を追うごとに過激になっているという話は確かに聞き覚えがある。そんなものを世間の女子高生が知っていると考えると世も末感が目まぐるしく加速していくが、こと今に関しては渡りに船だった。見つかるとやばそうな相手に思い当たる節があり過ぎるためだ。

「かなりの力技になるからいったん人目のつかない場所に行きましょ。準備もあるし」
「ああ、頼む」

 彼女に連れられ、入り組んだ路地の方に進む。いやあそれにしても、持つべきものは物知りな友人だな!

「……あの、二乃?」
「何よ?」
「リップクリーム塗り直すのはいいから、さっさとその方法ってのを教えてくれよ」
「これもそれに必要な作業なのよ。だからちょっと待ってて」
「あ、そう……?」

 鏡と睨めっこしながら入念にメイクを整え直している二乃にやきもきして催促するも、それすら手順の一部だと言われてしまえばそれ以上強く言うことは出来なかった。悪魔的な儀式が始まるわけでもないのだろうが、正直現段階では何が起きるか想像も出来ない。

「よし、じゃあ始めるわね」
「お、頼むぞ」
「やりやすいようちょっと上向いてちょうだい」
「こうか?」
「そうそう」

 従うと、直後に首をこそばゆい感覚が襲った。ちらと覗き見ればメイク用のパフを使ってファンデーションを塗りこんでいるらしい。なるほど、こうすれば色味をぼやかせるわけだ。男には到底思いつかないし、思いついたところで道具も力量も足りないやり方なので、素直に感服する。
 だが、今俺に対して行われている施術と彼女のメイク直しに何の因果関係があるのかが分からなかった。俺をいじるだけなら、彼女の顔に手を加える必要はないのだから。

「はい、鏡」
「おお……大分目立たなくなってる」
「まあざっとこんなところね」

 化粧が俺の人生の役に立つ時がくるとは思わなかった。ここは素直に礼を言って学校に――

「はい」
「…………なに?」
「だから、はい」

 目を瞑って背伸びをしてついでに唇まですぼめて、二乃は俺に何かを乞うてくる。ここは狭い路地で、だから滅多に人が来ることはない。そんなところで、こいつは俺に何を要求しているのか。

「感謝は口で伝えるって習わなかった?」
「……マジで助かった。ありがとう」
「感謝は行動で示せとも言うわよね」
「……それに関しては追い追い」
「その二つを組み合わせたときに何をするか、頭いいあんたなら分かるでしょ?」

 些か短絡的な結論だと思うんだ、それ。別個の事象として成立すべき事柄だから、強引に一つにまとめたら本来あるべき役割を失ってしまう気がするし。第一、そんな屁理屈をこねて強引に突っ込んだりしたら、場合によっては犯罪沙汰に……。

「別にいいじゃない。二度目なんて大したことないでしょ?」
「そういう話はしてないんだよ……」
「……私とあんたがそろって遅刻したりしたら、他の子はどう思うかしらね」
「うっ……」
「ここはさっさと片付けちゃうのがスマートな対応だと思うなぁ」
「…………分かった。分かったからちょっと黙れ」
「あ……」

 地獄が連鎖しないように、ここできちんと堰を設けるのだ。そう自分に言い聞かせ、彼女の顎を持ち上げた。すると、みるみるうちに紅潮する二乃の頬。……この状況になっていきなり赤面するとか本当に……その、どうかと思うぞ。うん。今更うぶっぽさを出されたところで、俺はこいつの本性を知っているわけなのだから。……だからわざとらしく震えてみたりちょっと俺の袖に縋ったりする演技程度で、騙されるなんて思わないことだ。マジで。本当に。

「んっ……」
「…………ん、む」

 二乃の舌が強引に俺の口内に分け入ろうとしたところを強引にシャットアウトする。感謝のキスなんだから、そこに性的な意味合いを帯びさせる必要はないのだ。言うなれば外国式のちょっと派手な挨拶。そのくらいの行為。そう思えば、特に問題はない。
 俺に密着しようとする二乃をどうにかこうにか払いのけて、十秒足らずでお互いの距離を離した。鼻で息を吸うと、さっきまで俺の胸の中に納まっていた彼女の香水がふんわり香る。それでちょっとだけ頭に血が上りかけたが、頬を張って正気を取り戻した。今の間に、何もやましいことなんてなかった。

 だけどどうやら、二乃は俺の対応に少なからずの不満があるようで。

「…………足りなくない?」
「何がだよ?」
「感謝の気持ち、みたいなの」
「足りてるよ。今も俺の胸の中はお前への感謝でいっぱいだよ」
「でも、それが私には伝わってないわけじゃない。それってどうなの?」
「お前の感受性の問題に俺を巻き込まないでくれ」
「いや、だからね。あんたの感謝で私の中をいっぱいにするとか、そういう方法もあるじゃない」
「ないよ。どういう意味だよ」
「セッ――」
「あーーーーーー」

 昨日も似たような方法を用いた気がする。忘れたけど。それにしたって、そんな限界ギリギリの下ネタを言うようなキャラでもないだろうに。この数日の間に、何が彼女を変えてしまったんだ。

「いいじゃない。ちょっとくらい」
「良くねえよ。ちょっとってなんだちょっとって」

 その行為はちょっととか少しとかで片付けられるものではない。付いてくる副詞はおそらく、がっつりだとか思いっきりだとか、そんなのばかりだ。

「高校生なんてみんなお猿さんなんでしょ?」
「全国の高校生に謝れ」
「少なくとも私とあんたはお猿さんだったじゃない」
「蒸し返すな。早く忘れろ」
「あんなにすごいの覚えさせて後は放置するの?」
「お前から襲ってきたんだろうが」

 なんともいたちごっこで堂々巡りな感が拭えない。今も着々と始業のベルまでの時間は近づいてきていて、このままで行くと結局そろって遅刻することになってしまいそうだ。
 それは正直困る。疑われる。もっと拗れる。
 そうなってしまえばさらに関係性の修復が困難になるのは明白で、だから俺はこの場で出せる最善策を考えなきゃいけないのだが……。

「ねえ」
「なんだよ」
「最近、あんたと話してるだけで濡れるようになっちゃったんだけど」
「そんな自己申告は要らねえよ」
「つまり今も――」
「もう勘弁してくれ……」

 こいつのスカートの下で今どんな大災害が起こっているかは知る由もないし、知りたくもない。だって、知ったところで俺にできることなんてないのだから。……いや、本当は一つ知っているけど、それはさすがに……って感じだし。
 二乃は短丈のスカートをぱたぱた振って、十代半ばの瑞々しい太ももを惜しげもなくこちらに晒してくる。まあ、今更太もも程度でなんだよって話だけど。しかしながら、それでもなお視線が引き付けられてしまうのは一体なんなんだろうな……。

「この下、気になる?」
「たくし上げるな。さっさと下ろせ」

 視線がバレたようで、俺を煽るように二乃がスカートの裾を大きく持ち上げた。咄嗟に目を逸らすも何か白系の布のようなものが見えてしまった気がする。しかしまあ、気のせいだということにしよう。
 彼女は俺の要求に思いのほか従順で、そのままスカートを元に戻した。
 ……そこまでなら、良かったのだが。

「待て。下ろすな」
「? あんたが言ったんじゃない」
「スカートは下ろせと言った。だがその下の布に関しては何も触れてない」
「布の下にはこの前触ったじゃない」
「そういう話はしていない」

 揚げてもいない足を取られた。ここまでくると完全に屁理屈のレベルで、だから俺はもうどうやって対応して良いのかも分からない。
 それよりも目下一番の問題となっているのは、彼女が意気揚々と自身のショーツをずりおろしにかかっていることだった。お願いだから誰かこの暴走機関車を止めてくれ。

「私、自分で思ってたより性欲強かったみたいでね」
「だからそんな自己申告は要らないんだよ……」
「あんたとした時のことを思い出そうとして色々試してみたんだけど」
「聞きたくねえよ……」
「でも、ほら……ね?」
「『……ね?』じゃないんだよ『……ね?』じゃ」
「……指だと、届かないじゃない」
「顔を赤らめるな。その羞恥はもっと早い段階で発動させろ」

 もじもじと体をくねらせる二乃に、割とガチなトーンで説教をしそうになる。これが今どきスタンダードな女子高生なのだとしたら、きっとこの国に未来といったものは用意されていないのだろう。というか、用意されていない方がいい。ここらへんで滅んでおく方が長い視点で見たときに有益だとすら言える。

「……でも、私にもプライドがあるから、道具には頼りたくなくて」
「捨てちまえそんな誇り」

 男子と猥談する口で何を言ってるんだこいつは。守りたいものが全般的におかしいって自覚はないのか。

「で、そうなったらもう、あんたに頼るしかないじゃない」
「……馬鹿か?」
「知らなかったの?」

 知ってたわ、そういえば。

「性欲の処理なんて自分でなんとかしてくれ。他人に頼むようなことじゃないだろ」
「……いいの?」
「何が?」
「私、性欲強いのよ?」
「だから何だよ?」
「大したことない刺激でちまちまやってたら、勉強なんか手につかなくなるわ」
「マジでお前人として……」
「それを、あんたがちょこっと力添えしてくれるだけで満足するって言ってるの。こんなのもうメリットしかないでしょ」
「ガバガバ理論……」

 俺のメリットはどこだそれ。……ああ、一応卒業までの障害をはらえるから完全無意味ってわけでもないのか。だけど、論調が無茶苦茶過ぎてどこから突っ込めばいいか分からないというのが正直な感想。それこそ、その行為自体にハマってしまったら全てがご破算ではないか。

「分かったら早くズボンを下ろしなさい」
「止めろ。俺はまだ何も理解してない!」

 正面突破で俺のベルトに手をかけてくる二乃。生まれながらに強姦の業でも負っているのかこいつは。しかし待って欲しい。今そこに触るのはちょっと……。

「……なぁんだ」
「…………」

 二乃が意地の悪い笑みを見せる。それはまるで、鬼の首でも取ったようで……。

「やっぱり、体の方は正直じゃない」
「仕方ないだろ……」

 いつの間にか血液を集めていた海綿体を憎らしく思う。俺の体なんだから、もっと主の意図にそって動いて欲しいものだ。
 二乃は少し盛り上がったそこを、鮮やかに彩った付け爪でカリカリいじりながら、

「……いいでしょ、一回だけなら」

 なんて、耳元で一言。
 

 しかし、俺は知っているのだ。『ちょっと』とか、『一回』とか、『これだけ』とか、そういう何かを制限する言葉が最近まともに機能しなくなってしまっていることを。情動に任せて全てをかなぐり捨てるのが当たり前になってしまって、その場において後先を考えられなくなる。そして全部終わって悔いる。馴染みの流れだ。
 だから、俺はもうその類の言葉をすんなり受け入れない。信じない。自分の流されやすさを過小評価しない。二乃の言う通り俺はお猿さんで、だからすぐ誘いに乗ってしまう馬鹿だ。それをきちんと理解した上で、頭をしっかり回してから、胸をちょっぴり張って、俺はこう言い放ってやった。

「…………一限には遅れないようにだぞ」

掲示板の作法をさっぱり知らんので読みやすいって言ってもらえると助かります。
ここからラストまで投下。

「お前の優先順位はどうなってるんだか、ひとまず教えてくれ」
「…………」

 二の腕を人差し指でちょんちょんと触られた。……えぇ?

「……マジで言ってんの?」
「マジで言ってるの……」
「おま、お前なぁ……」

 ここは正確には「お前らなぁ」だったかもしれない。彼女視点ではどちらでも構わないかもしれないが。

「自分で言うのもあれだけど、絶対男の趣味悪いぞ」
「それは薄々勘づいてたよぉ……」

 勉強より仕事、仕事より俺ってか。なんだそれ。無茶苦茶だ。俺は最低限の好感度を担保しようとしたことはあっても、惚れられる程のことを為した覚えはないのに。
 振り返ってみても、好かれる要素がどこにあるかが分からない。これは二乃や三玖にも通じることだが、こいつらは男に対する免疫が低すぎるんじゃないのか。
 一花は机に突っ伏して、ぶつぶつ何かを語り始めた。……聞きたくねえなあ。

「あんなにしつこく世話を焼こうとする人、初めてだったんだもん……」
「いや、それは言ったろ。借金があるからだって」
「どんなに言っても諦めようとしないし……」
「それも金のためだって」
「……そのくせ、自分は勝手にいなくなるしさ」
「いや、あれは、その。俺以外に適任者がたくさん」
「だと思うなら言ってくれればみんなちゃんと否定したのに。って言うか、この時点でもうお金のことどうでも良くなってるじゃん」
「…………」
「今だってほとんどボランティア状態だしさ……」
「後からもらうって言ったろ」
「今のフータロー君を見てると、それすら反故にしそうなんだもん……」
「うっ……」

 確かになあなあで終わらせてしまいそうな気がする。俺らしくもなくかっこつけて。
 でも、言ってしまえばそれだけだ。俺は職務を全うしようと奔走し、紆余曲折の末に彼女たちがそれに応えようとしただけ。確かにただのビジネスパートナーというには密接に関わり過ぎてしまったが、俺は別に彼女たちにいいところを見せようと意図していない。それが、どうしてこうなった。

「顔あっつい……」
「どうせなら耳も隠しとけ」

 ショートヘアのせいで真っ赤な耳が丸見えだ。彼女はそれについて失念していたようで、即座に両手で頭を覆い隠す。
 口に出す気はないが、俺、たぶんそれの万倍は恥ずかしいもの見てんだけど。本当に恥ずかしがるポイントがずれている。もしかして遺伝だったりするのだろうか。

「フータロー君に迷惑かけてるのは分かっても、さすがにこの気持ちを抑えつけとくのは無理だよ……」
「そこをなんとか出来るから人間がここまで繁栄してこれたんだろ」
「でも、好きなんだもん……」

 彼女の体がこちらにすり寄ってきて、腕と腕がぴたりと密着する。一花は基本薄着なので、体温の伝わりが早い。

「ドキドキする……」
「なぜ口に出す……」

 黙ってればいいのに、そんなの。実際、俺は言ってないし。心臓が忙しなく動いていたからなんだと言うんだ。
 なおも一花は密着具合を高めてきて、男の硬くてごつごつした体ではどうやっても実現できない柔らかさを俺に与えてくる。もうちょっと骨ばってくれているくらいの方が、かえって俺には優しかったかもしれない。
 
「フータロー君さ」
「なんだよ」
「二乃とも、そういうこと、したの……?」

 ここで聞くのかと頭が痛くなった。聞かれるのは覚悟していたけれど、上手い返しはまだ思いついていない。本当に、どうしたものか。
 正直、隠しようが無いとは思っている。どこかでばれるのは必定で、なら正直に話してしまう方が負う傷は少なくて済むのではないかと。なんなら、俺が三玖とあんなことをしていた原因がそもそも二乃にあるのだと。
 だけど、どうだろう。打ち明けたからと言って何かが変わる未来は見えない。ずっと行き止まりの前で立ち往生させられている気分になる。
 
「たとえばだぞ」

 だから、どうしても確かめたくなる。逃げ道を用意するために、彼女が何を地雷にしているかを確認したくなる。
 

「たとえば、そうだって言ったらどうなるよ?」
「……どうにも」
「どうにもって?」
「だって私、二乃がフータロー君のこと好きなの知ってるし」

 それが日頃の態度で察したものか、それとも二乃自身が申告したかは判然としない。あいつの性格的に牽制目的で言いふらすのはありそうだとも思ったが、再三に渡って羞恥心のバグを見せられているので、変なところで恥ずかしがって言っていない可能性も大いに考えられる。
 だからここは「ああそう」と流した。そこまで大々的に話を広げるポイントではないように思ったし、こんな箇所で拘泥していたら、一向に会話が進まない気がしたから。

「あの子、やるとなったら周り見えなくなっちゃうから。だから、そういうことをしていたとしても不思議ではないなって思っちゃう」
「まあ、そういう奴ではあるな……」
「って言うか、そんなことを聞くって時点で半分自白だよね」
「…………まあ、うん」

 黙っていても肯定に取られるのだから、いっそ自分の口で事実だと認めることに決めた。遅いか早いかの違いになるだけなのだから、さっさと諦めた方が良い。
 

「今日が初めて……ではないんでしょ?」
「……おう」
「三玖とどっちが先?」
「……二乃だな」
「良いなぁ」
「何が」
「フータロー君の初めては二乃に捧げたわけでしょ。その特別感が羨ましいなあって」

 童貞をありがたがられる日が来ることを予期してはいなかった。別に大事に取ってきたわけでもないが、価値あるものだとは思っていなかったし。
 使いどころを考えるべき代物だったのかもしれないなあと考えつつ、視線を横の一花に送る。彼女は顔を俺の腕に埋めてしまって、だから表情を窺い知ることは叶わない。

「私は処女を献上したのに、フータロー君はそうじゃないんだもん」
「…………」
「気まずそうにするってことは、三玖にも似たようなこと言われた?」
「見抜くな」
「やっぱ姉妹なんだね」

 あいつはもっと嫉妬の鬼みたいになっていたが、それは捨て置く。黙っていても支障がないことをわざわざ詳らかにする必要性が見えないからだ。
 

「姉妹そろって変な男の子に引っかかっちゃった」
「おい」

 否定できないのが苦しい。俺がまともな人間ならこんな泥沼人間関係を構築することはなかったんだし。だが、その類の誹りをなんでもなく受け流すスキルは俺になく、自然、食って掛かる形になる。

「……まあ、それがフータロー君でよかったなあとは思うけどね」
「変な男の中でもマシな方だと?」
「うん。楽しい人だったから」

 真摯とか、誠実とか、そういう美辞麗句からは遠い存在となってしまった俺をそれでもどうにか褒めるにあたって、彼女は『楽しい』なんて単語を引っ張り出してきた。もうちょっと他に言いようがあるだろとも思ったが、彼女の持つボキャブラリの中で最適に思えたのがそれなら否定は出来まい。どうやら俺は、楽しい人間らしいから。

「まあ、好きになっちゃったら全部が良く見えちゃうからどうしようもないね」
「ダメ男に引っかかる未来が見えまくるぞお前」

 俺自身、そのダメ男という分類にくくられるかもしれないけれど。でも一花からは『妻が内職で稼いだ金で博打を打つ男』に吸い寄せられそうな空気を感じる。少なくとも俺はそこまで堕ちるつもりはないから、ぎりぎり水際でセーフって感じか。
 俺がかなり失礼な所感を述べたせいか、一花が腕を引っ張る力が強まった。どんな言葉で非難されるか、今のうちからヒヤヒヤものだ。

「…………フータロー君が今のうちに確保しておいてくれれば、そんな心配ないのにね」
「…………」

 「正気か?」と口にしそうになって、寸前でどうにか引っ込めた。なぜこんな情緒も風情もない場所でプロポーズ紛いのことを言われているんだ俺は。お願いだからもっと先を見据えてものを言ってくれ。お前、馬鹿は馬鹿でも成績を除けばそこそこクレバーに立ち回れる奴だったはずだろ。
 

「……ちょっと考えたでしょ」
「何を」
「私をお嫁さんにした未来」
「考えてねえよ。なんでそうなる」
「……………………私は考えたことあるからじゃない?」
「自爆するくらいだったら最初から言うなよ……」
「ちゃんとお部屋は掃除するよ?」
「当たり前だそんなの」

 汚部屋の自覚があるならぜひとも自分でなんとかしてくれという話。それは人としての最低ラインだ。
 しかしまあ、とんでもない爆弾を落としてくれやがる。結婚を意識するのが交際すらしていない段階と言うのは、世間的にどう評価されるのだろうか。

「ってかお前マジで顔熱いぞ。熱でもあるんじゃないか?」
「演技だもん」
「無茶を言うな」

 熱に浮かされた演技で本当に熱が出るなら、そりゃあ未来の大女優様になれるだろうが。でも、そんな強がりはあまりにも明け透けで。
 手も、腕も、さっきから微細に震え続けているのに、それを覆い隠す論拠にはなり得ない。

「演技ってことにしないと、いくらなんでも重すぎるでしょ……」
「自覚があるなら自重しろ。俺はちょっとお前が怖いよ」
「……私を選ぶって約束してくれるなら、喜んでそうするけど」
「ほんとお前そういうところだぞ」

 紛うことなきヤンデレの素質。こいつの将来が心配で仕方ないぞ俺は。……そんなことを言うと、「なら――」と提案されるのが明白だから黙るけれども。

「でも、好きなんだよ」
「聞いた」
「ここ最近、好きで好きでおかしくなりそうなの」
「抑えろ」
「それが無理だから、一昨日みたいになっちゃったの」
「えぇ……」

 強姦を最終手段にするのは、いかに顔の良い女と言えどレッドゾーンだ。手順を踏んでくれお願いだから。
 マジで体を許す敷居が低すぎる。自己肯定感でも高めてやればどうにかなったりしないだろうか。ではそれをどうやって向上させるかとなった時に、俺が彼女を選択するという身も蓋もない解答がやってくるわけなんだが。もちろんこれは邪道も邪道なので、選べるはずもない。

「正直、今も……」
「お前もそのパターンかよ」

 うっかり口を滑らせてしまったのに気付いたのは、一花の唇が脇目も振らずに俺の唇を捉えた直後。妹二人の行動に思うところのありそうな姉貴は、半分暴走でもするみたいに、俺の体に食らいついてきた。
 一瞬、火傷を疑った。
 と言うのも、一花の口の中があまりにも熱すぎたから。舌も歯茎も燃えているのかと勘違いするレベルの熱を保有していて、触れる俺を全力で焼き焦がしてくる。
 ……というか、それよりも。

「……んっ、んぅ」

 明らかに上手になっていらっしゃるのですが……。

 ここで思い当たる。さっき俺は相手がいないと練習できない行為だと断言したが、恥を忍べば疑似的にそれに近い体験は可能だと。古来から言われている、サクランボのへたを口の中で結ぶとか。……そういや、弁当にそんなフルーツが入っていたような。
 しかし、この行為の魔力はいったいなんなのだろうか。さっさと引き剥がしたいのに、体がそれを許してくれなくなる。脳が神経を麻痺させて、肉体の抵抗を禁じてくる。
 システム、なのだろうか。人間が保有する動物的な側面としての。種を継がないことには始まらないというのが、二重螺旋に深く刻まれているのだろうか。
 だって、もうそれ以外では説明がつかない。俺は自分の置かれている立場を理解していて、取るべきではない行動を把握している。そして現状、一花の舌さばきに応えているのは、明確な最悪手だ。
 唾液を取り換えたところで状況は打破できない。舌の根をねぶったところで状況は好転しない。それを全て知ったうえで、俺は一花の誘いに乗っかっている。
 性欲の斯くも恐ろしき……とふざけたスタンスに立てば、なんとかなるだろうか。分からないけれど、もっと悪いことになりそうで、大人しく思考のペースダウンを決めた。
 こうなったら、どうせ最後までしないと収まりがつかない。そんな事実は、とっくに知っているんだから。

 片手で一花を胸に抱き寄せ、もう片手はスカートにくぐらせた。そこいら一帯が蒸されたように水気を持っていて、こんなにしながら俺と話していたのかと半分呆れ、半分感じ入る。
 俺とて男だから、自分をそういう対象に見てくれる相手に何も感じないなんてことはない。ありがたくも思うし、ほんのちょっとだけ愛おしくも思う。相手が俺のそういう思いを望んでくれているのならなおさら。

 慣れた手つきでベルトを外して、閉所に苦しんでいたものを放り出す。今日だけで相当酷使しているのに、まだまだ折れることは知らないらしい。性豪もここまでくると称賛モノだ。
 
「…………っ」

 一花が逆手でそこを掴んだ。思えばこれまでは一も二もなく挿入することばかりで、前戯は蔑ろにしていたっけ。
 上下に擦られて、腰が浮きかける。自分でしようと思ったらそりゃあ順手だから、これは未知の感覚だ。しかも力加減が絶妙なせいで、射精までの最短経路を辿りかけている。
 情けなく達してしまうのも癪だから一花の秘部をかき回すと、彼女もそれに応じて握力に意識を振った。これはもう無理だなと思いながら絶頂を迎える寸前、今まさに精子がせり上がってくる亀頭を彼女の口がぱっくりと咥えた。そのあまりに想定外な刺激に驚愕して、若干の嬌声を伴いながら射精。それらすべては一花の口に吸いこまれ、そしてそのまま彼女の喉が大きく動いた。
 
「おいし……」

 そんなわけはないと思う。生活習慣は終わっているし。だけど、くだらないことに拘っていられる余裕はなかった。
 一度吐精したというのにまだ硬さも大きさも衰えることなく、俺は彼女を欲していた。あの圧で、包みこんでもらわずにはいられなかった。

「……掴まれ」

 他に人がいないのをいいことに、一花を長机に乗せた。高さの都合上、彼女がそこで開脚すれば、びっくりするくらいにぴったりと俺の体と接合されることになる。
 我ながら弩級の変態だと思うが、ここまで来たら止まれない。指二本で彼女の具合を整え終えて、息もつかせぬまま、いきり立ったソレを彼女に飲み込ませる。
 うねり、絡めとられる。
 スキーン腺液だかバルトリン腺液だかが潤滑油として欲される以上の量分泌されて、彼女の体外に漏れ出し、机に染みを作る。
 内臓としての精巧さが男のものとは段違いだから丁寧な扱いを心掛けなければとは思うけれど、思考で行動を制御できる段階は脱した。それゆえ、俺の体はもう快感を求めて荒々しく本能的に動くだけだ。

「っ、フータローくん……」
「…………」
「どう、きもちいい……?」
「……………………」

 この状況におけるその類の確認は、殺し文句になると知ってくれ。そう窘めてやりたいところだったが、思いが声になることはなかった。彼女からそんなことを言える余力すら奪い取ってしまおうと、体が加速するだけだった。

「あっ、あっ……」

 漏れ出す喘ぎは艶っぽく反響する。この姿を俺が独占できるという事実に脳みそのヒューズがトびかけるが、そこは溢れる情欲が俺をどうにかつなぎ留めてくれた。乱れる彼女の表情を、動きを、見逃してしまうのは人生における大いなる損失だと本能が訴えている。
 
「……………………ぁ!」

 彼女の両足が、何かに耐えかねるように大きく開いた。直後、強烈な締め付けでもって、俺が貯蔵する限りの精子が根こそぎ搾り取られる。一滴も残さないくらいの勢いならまだマシで、これは一匹も残さないレベルの勢い。腰が抜ける一歩手前の快感に全身をがんじがらめにされて、みっともなく身悶えする。

 そんな俺を見て、一花は。

「…………おわり?」

 揺れる瞳は次なる快感を心待ちにしているようで、それを察してしまった俺のボルテージが、最大から更に加速した。

「んなわけ……」

 覆いかぶさって、出鱈目な調子で体を打ち付け合う。ここで壊してしまうくらいの勢いで、ここで不能になっても構わないくらいの動きで、彼女を俺の色で染め上げていく。
 直後、また絶頂。が、それを無視して体を動かす。ここまで来たら、限界の先くらい拝んでおかないと、損得の収支が合わなくなると思うのだ。

「あのさ」
「なに、フータロー君?」
「今は誰も選ばないって約束したら、こういうの、終わりに出来るか?」

 汗やら何やらでべちゃべちゃになったお互いの体をティッシュで吹きつつ、切り出す。相変わらず、タイミングを間違っている気はするけれども。

「お前を選ぶわけじゃないけど、他の誰かに決めることもない。そう誓ったら、元通りの関係性に戻れるか?」

 彼女の不安要素はそこだった。俺の帰属先がいったいどこになるのだと。だから、前もって自分はどこにも属さない旨を伝えておけば、なんとかなるかもしれないと思った。

「いつまで保留する気?」
「…………卒業までには、どうにか」
「どういう基準で決めるの?」
「成績順じゃねえかな」

 半分冗談で告げると、一花の顔が青ざめる。今以上に勉強する未来を想像したからかもしれない。
 もちろんそんな風な選出基準は設けないけれど、ひとまずそれで沈静化が図れるならありがたい。他の連中にもそう言って多少の安堵を与えれば、今より酷くなることはないだろう。……いや、選ぶ選ばないなんて言える立場なのかな俺……。

「抜け駆けがないなら、お前は安心だろ」
「まあ、うん。そうかも」
「だったらそれで頼む。いつかちゃんとけじめはつけるから」

 ここまでして責任の所在を有耶無耶にするのは人間として終わっている。だから、どんな形であれ結末ははっきりさせるつもりだ。……刺されそうだな、いつか。

「……あの、フータロー君」
「なんだ」
「…………っ」

 そこでまた、唐突に唇を塞がれる。交渉が一瞬で決裂したかと肩を落とす俺に、一花は一言。

「これは抜け駆けに入る……かな?」
「…………好きにしろ」

 やっぱりどこまで行っても詰めが甘い。だけどこれで、どうにか活路が見いだせた気がする。初期の目標を達成できるだけの道筋をなんとか作れた。

「…………あぅ」
「ただし、一日一回までな」

 またまた迫ってきた一花を片手で制する。俺に欲されていたのは、この鋼の精神だった。
 家庭教師業務の明日は、俺が自分で作るのだ。


おしまい。長々と申し訳ない。 
一レスあたりの適正文章量が分からないのとコピペの手間がかかるのとで、かなり雑に区切ってる感がどうにも。
自分の技量の及ぶ範囲での指摘とかは極力聞いて行きたいと思うので、何かあったらよろしくです。
やっぱり続きは未定ですが、どうせ書くと思います。だけど残り二人がどうデレるか一ミリもわかんねーや。

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 04:53:00   ID: S:kGXY44

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