姉「家族がキモい……」 (23)

母「ダルいわ」

姉「え?」

母「はー」

姉「ど、どうしたの……?」ドキドキ

母「ごはんとかさぁ……」

姉「……」ドキドキ

母「洗濯……」

姉「うん……」ドキドキ

母「かったるぅい。食器破壊したい」

姉「だい、じょうぶ……?」ドキドキ

母「いやー……ムリだね」

姉「わたし……やるよ?」ドキドキ

母「えー……ほんと?」

姉「うん……」

母「まずかったら殺すよ?」

姉「うん……」

母「じゃー……頼むわ」

姉「うん……」

姉「」ジャー

弟「ただいまー。はーお腹すいたぁ。あれ?お姉ちゃんがごはん作ってる!なんかあったの?聴かせて聴かせて!」

姉「めっちゃ喋ってくる……こわ……」ドキドキ

弟「ねぇねぇ!ねぇってば!お話しよ!あ、今度お風呂一緒に入らない?前も流すよ?」キャッキャッ

姉「おねがい……二度と話しかけないで……おねがい……」ガクガク

弟「ボクね、今日もクラスの女子に告白されたんだ!でもちゃんと断ったよ!褒めて!」

姉「なにその報告……自慢……?むしろ付き合いなよ……家出て同棲しなよ……」

弟「でもボクにはお姉ちゃんがいるじゃない?だから無理って言ったらね!『きしょ』って言うからカッターで唇剥がしちゃった!てへ☆」

姉「やだもぅこいつ……自首して……ずっと檻にいて……」

弟「えへへ!ボクさぁ……お姉ちゃんが好きだよ?胸に顔埋めたいくらい……ふふふ」テレテレ

姉「死刑にして……」

弟「じゃあお姉ちゃん!ボク部屋にいるから後でね!」フリフリ

姉「意味が分からない……会話の組み立て方が常軌を逸してる……」

母「おぉ飯わいゴラァ!?」ダンッ

姉「なんでこんな怒ってくるの……邪魔したあいつはお咎めないのに……」ビクビク

父「ほー今日のごはんは姉が作ったのか」

姉「う、うん。どうかな?」ドキドキ

父「さーどうだろうな。俺食ってきちゃったからな」

姉「あ、そうなんだ」シュン

父「ごめんな……」

姉「ううん、しょうがないよ」ニコッ

父「それにしても小腹が空いたな。カップ麺食うか」

姉「え?」

父「え?」

姉「お腹すいてるの……?」

父「おう、ぺこぺこだ」

姉「じゃ、じゃあごはん……」

父「いや、いいよ。食ってきちゃったからな」

姉「でもカップ麺……」

父「ごめんな」

姉「……」

弟「お姉ちゃん!見てて!食べるよ!瞬きしないでね!」

姉「え……こいつの食事中瞬きしちゃいけないの……?わたしドライアイなのに……」

弟「うーん!おいひぃ~!許すぅ!」モグモグ

姉「なんか許された……でも褒められてうれしい」

弟「ん~だけどなぁ。足りないなぁ。もう一声欲しいんだよなぁ」

姉「なんか一人でぶつぶつ言ってる……これ瞬きしたらダメなの……?」

弟「そうだ、お姉ちゃん!ペッてやってよ!皿いっぱいに溢れさせて!」

姉「すごい要求してきた……きもちわる」ビクビク

弟「お姉ちゃん成分足せばご馳走だよ!そしたらいっぱいおかわりするよ!」

姉「しなくていいよ……箸置けよ、お前……風呂入って寝てよもう……」ドキドキ

母「うんま!」モグモグ

姉「ほんと?」テレテレ

母「えぇ170点よ!あと1点低かったら殺してたわ!」

姉「助かった。何点中なのか分からないけど死は免れた……」

長男「てめぇ!」ダンッ

姉「ひっ!どうしたの……?」ビクッ

長男「10年前に俺のこと石で殴ってきたよな!なんなんだよ!あぁ!?」

姉「いきなり10年前のこと蒸し返してきた……しかもやった覚えない……」

長男「罰としておかわり持ってこいよ!ん!」スッ

姉「え、あ、うん」

長男「べ、別にうまかったんじゃねぇからな!勘違いすんじゃねぇぞ!」

姉「今時珍しい大胆なツンデレ……」

長男「それと……次からは気を付けろよ。4年前に俺のからあげ食ったのお前だろ」プイッ

姉「すごい根に持ってる……わたしじゃないのに……」

弟「あれ兄ちゃんのだったの?」

姉「こいつだった……」

長男「まさかお前が食べたのか!」

弟「安心して!レモンはかけてないよ!」

姉「なに言ってんだこいつ……狂ってる……」

長男「よくも俺のからあげ食ったな!どう責任取るつもりだ!」

弟「は?なにが?4年前でしょ?いつまで言ってんの?バカじゃん死ねよ」

長男「う……くぅぅ」ジワァ

弟「うっわ泣いてるよ、こいつ?きんもっ!マジうぜぇ。いくつだよ。ほんと。いくつなんだよ?」

長男「ひっ……ぐ、ぐす……」エグッエグッ

弟「かぁ~うっぜ!いい年こいて。こんなのと血が繋がってるとかありえない。お姉ちゃんへの侮辱だよ。お姉ちゃんに謝れよ」

姉「なにこいつ兄に辛辣なんだけど……あとわたしを引き合いに出さないで……」

長男「ずび!ごめん……ごめんな。兄弟に生まれて……ごべんなぁ!」メソメソ

姉「可哀想すぎる……兄の威厳とか……情けなくて同情する……」

母「はーご馳走様!明日もよろしくね!」

姉「さりげなく明日も押し付けられた……つらすぎる……」

母「みんなお風呂入っちゃいなさい」

弟「だってさ、お姉ちゃん。入るよ」

姉「寄らないで……」

長男「た、たまには俺と入るか!?」

姉「しゃべらないで……」

長男「」ガーン

弟「もー!お兄ちゃん罰として釜茹でだからね!」

長男「一言の代償が重すぎる……」

風呂場

カッポンカッポンカッポンカッポン!

姉「はぁ……鹿威しがうるさくて落ち着かない」

姉「今日はどこから洗おうかな」シャワシャワ

姉「やっぱり……髪、かな」カァァ

姉「ん!あ……目、開けられない……こわい」シャー

姉「シャンプーが目に入る恐怖……でもわたし……がんばらなきゃ」

姉「すーっはーっ。勇気を出して目を開け……」パチッ

弟「」ジー

姉「……」

弟「」ジー

姉「なに……なんで……?」ゾクッ

弟「」ジー

姉「なんか言って……こわい……」ブルブル

弟「」ジー

姉「こわい……」ガクガク

弟「」ジー

姉「なんか言ってよぉ……」ウルウル

弟「」ジー

姉「こわすぎる。絶対になにも言ってくれない……せめて出ていってほしい……」

リビング

姉「さっぱりしたぁ。テレビ見よう」

長男「おい!」

姉「え?なに……?」ビクッ

長男「お前6年と4ヶ月前にも見てただろ!今日は俺の番だぞ!」

姉「6年以上前の話でチャンネル争ってくる……正気じゃない……」

父「お、どうした、二人とも喧嘩か」

姉「助けてお父さん……お兄ちゃんがチャンネル奪おうとしてくる……」

父「そうなのか?」

長男「う……で、でも前世でそいつが」モゴモゴ

父「黙れ。レディファーストだ。諦めて姉に譲りなさい」

長男「ぐ、う……ふぐぅ……俺だって……ひん、見たいのに……ひっく!」ボロボロ

姉「すぐ泣く……情けない通り越してあざとい……」

父「ほら、早くリモコンを寄越しなさい」

長男「うぅ、くそぅ……来年は絶対渡さないからな……!覚えてろ!」ダッ

姉「来年までチャンネル独占し放題じゃん……うれしい……」

父「さてと、ゴルフでも見るか」ピッ

姉「え?」

父「ん?どうした?」

姉「レディファーストじゃ……」

父「なんだそれは?早いもの勝ちに決まってるだろ?」

姉「この人が一番分からない……」

姉の部屋

姉「はぁ……今日も疲れた」

姉「家族が頭おかしいせいで安らげない……」

姉「ベッドだけが唯一無二のリラクゼーション……」ヌクヌク

姉「」ハッ

姉「」ビリビリ

姉「枕カバーに盗聴機仕込まれてた。ヤバい……」

姉「」ハッ

姉「」ビリビリ

姉「推しメンのポスターが弟のフルヌード写真に張り替えられてる……」

姉「」ハッ

姉「」ガシッ

姉「目覚まし時計に小型カメラが取り付けられてる……」

姉「」ハッ

姉「」ヌギヌギ

姉「べちゃべちゃしてると思ったら……わたしの下着……」サァァ

姉「……独り暮らししなくちゃ」

母「独り暮らし?ダメダメ!」

姉「どうして……?わたしもう22だよ……?」ドキドキ

母「歳なんか関係ない!」

姉「大いにあると思う……」ドキドキ

母「それより大学はどうしたの?遅刻するわよ!」

姉「え……わたし大学入ってない」

母「あ!間違えた!仕事よ!仕事はどうしたの?」

姉「仕事もしてない……」

母「そうだったわね。そういえば彼氏とデートじゃなかったの?」

姉「いたことない……」ウルッ

母「ぷ」

姉「なんで意地悪言うの……?」ウルウル

母「ニートのくせに独り暮らしとかほざいてっからだよバーカ!」

姉「ニートでも実の娘だよ……?」ウルウル

母「知るかバカ!死ね!バイトしろ!」

姉「ひどい。こんな家出てく!」ダッ

母「夕飯には帰ってくるのよー」フリフリ

公園

姉「ていう事があったの……」イジイジ

友子「へー」

姉「ひどいよね。うちの親……?」

友子「姉ちゃんが全部悪いよ。働いてないのに独り暮らししようとするから」

姉「でも……娘だし、独り暮らしの資金と生活費と家具代と遊ぶお金くらいはなんとかしてほしい……」イジイジ

友子「なんていう贅沢……姉ちゃんの甘ったれは底が知れないよ」

姉「だいたい弟キモいし……長男はなんかいろいろ根に持ってるし……お父さんは無関心だし……ゃだもぅマヂムリ……」

友子「まぁ……姉ちゃんが言っても説得力が、ね」

姉「なんでさっきからそんな突っかかるの……つらたん」

友子「だって……ニートのくせにたまの休日を謳歌してる社会人を公園に呼び出すから」

姉「いいじゃん……そんなインスタ映え気にしなくても……」

友子「別に公園がインスタ映えしないから怒ってるんじゃないよ?くだらない要件で呼び出されたから怒ってるの」

姉「は……?くだるし……くだってるし……」

友子「もう帰っていいかな?」

姉「ダメだし……責任取るまで帰さないし……」

友子「これ以上はあたしも警察呼ぶけど……いい?」

姉「帰れし……絶交だし……」

友子「うん、ありがとう。もう連絡しないでね。それじゃ」

姉「するし……毎日するし……」

自宅

姉「ただいま……」

母「あら、おかえり。早かったわね!不動産の人なんて言ってた?いい部屋あるって?」

父「ニートなのにいつから独り暮らしの資金なんて貯めてたんだ?ニートのくせにえらいなぁ姉は!ニートでも元気でやってくんだぞ!たまには帰ってこいよ、ニート!」

姉「ものすごく煽ってくる……実の娘に対して……」

母「あ、今日は父さんと外食してくるから!ごはんは適当に作りなさい!じゃ!」ダッ

父「おいおい母さん慌てすぎだよ!じゃ、そういうことだ!またな!」ダッ

姉「こんだけ傷付けといて勢いよく出かけてった……病む……」

弟「今夜は二人っきりだね!なにしよっか?とりあえずDVDでも見る?ホラー系とかさ!あ、電気消したら気分出るよ!怖かったらくっついてもいいんだからね!」

姉「ひっ……わたしの意思を聞かずに計画してる……」ゾクッ

長男「DVD見るのか!俺も見るぞ!」

弟「え?どうしてお兄ちゃんが見るの?」

長男「なんだよ!ダメなのかよ!」

弟「へ……?そりゃそうでしょ。どうかしてんじゃないの?」キョトン

長男「な、なんだよ。意味わかんねーよ」アセアセ

弟「どうして分かんないの?そんなことも分からなかったら社会人として恥ずかしくない?今までなにを学んできたの?」

長男「そ、それは……国語とか……理科とか……」モゴモゴ

弟「語彙力ねぇな(笑)胎児からやり直せよ(笑)」

長男「うわあああああん!」ダッ

姉「なんでそんなお兄ちゃんに厳しいの……?」

トイレ

長男「ひっ……ひんっ!あいつなんだし……マジぜってぇゆるさねぇし……8年後にはぎゃふんと言わせてやるし……」グスッ

コンコン

長男「わああ入ってるよバカタレ!ノックすんな!引っ込んじゃうだろ!」オロオロ

「大丈夫?」

長男「その声は姉……?驚いた。9年前から変わらないな」

「ごはんできたけど食べれそう?」

長男「お、おう!俺の胃腸ナメんな!お米空っぽにしてやんよ!」

「お米空っぽ……?日本語なのそれ……?」

長男「よぉしパンツ履くから待ってろ!待ってろよ?すぐ履くからな!」アセアセ

「別に急がなくていいからね……じゃあ用意しとく……」スタスタ

長男「ふぅ……しかしまいったな。あいつ、俺のこと好きすぎるだろ。いくらなんでも」

長男「でもダメだ!俺達は兄妹だってしっかり伝えないとな!」

長男「よぉし伝えるぞ!」メラメラ

トイレ

長男「ひっ……ひんっ!あいつなんだし……マジぜってぇゆるさねぇし……8年後にはぎゃふんと言わせてやるし……」グスッ

コンコン

長男「わああ入ってるよバカタレ!ノックすんな!引っ込んじゃうだろ!」オロオロ

「大丈夫?」

長男「その声は姉……?驚いた。9年前から変わらないな」

「ごはんできたけど食べれそう?」

長男「お、おう!俺の胃腸ナメんな!お米空っぽにしてやんよ!」

「お米空っぽ……?日本語なのそれ……?」

長男「よぉしパンツ履くから待ってろ!待ってろよ?すぐ履くからな!」アセアセ

「別に急がなくていいからね……じゃあ用意しとく……」スタスタ

長男「ふぅ……しかしまいったな。あいつ、俺のこと好きすぎるだろ。いくらなんでも」

長男「でもダメだ!俺達は兄妹だってしっかり伝えないとな!」

長男「よぉし伝えるぞ!」メラメラ

リビング

弟「お姉ちゃん今日のごはん唾液薄いよ?」モグモグ

姉「薄いもなにも入れてないし味みたいに言わないで……」

長男「おい姉!お前、俺が好きだからって唾液入れちゃダメだよ!兄妹なんだぞ!」

姉「ひぇ……なに言ってんのこいつまで……」

弟「ちょっとお兄ちゃん!ここで食べないでよ!ちゃんと外に小屋作ってあげたでしょ?」

長男「だ、だって寒いから」

弟「もー!わがまま言わないの!ハウス!」プンプン

長男「くぅん……」トボトボ

姉「あれお兄ちゃんのだったんだ……ペットもいないのにおかしいと思ったら……」

弟「ふふ?やっと二人っきりだね!」ニコニコ

姉「おやすみ……」

弟「も、もう……?お姉ちゃんてば大胆……!」カァァ

姉「なにが……?」

弟「しゃ、シャワー浴びてくるよ」モジモジ

姉「? 浴びてくれば……?」キョトン

弟「念入りに洗わなきゃ……ひぃぃティッシュついてる」スタコラサッサ

姉「寝よ……」

姉の部屋

姉「ふああ」

姉「んぅぅむにゃむにゃ」

ドンッドンッ

姉「!?」

ドンッドンッ

姉「うるさ……なによ今度は……」

ドンッドンッ

姉「はいはい……どうしたの?」

「開けて?今夜は寝かせないよ?」

姉「おやすみ……」

ドンッドンッ ドンッドンッ

姉「無視無視……」

姉「……」

ドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッ

姉「ああああうるっせぇぇぇ!!」

姉「うるせぇんだよ!しつけぇな!殺すぞ!死ねよ!」

ドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッドンッ

姉「ぎゃあああああああああああ!!!」ワシャワシャ

弟「う、うぅ!朝起きたら……お姉ちゃんは発狂してたんだ」グスッ

父「そりゃ一晩中ノックされちゃなぁ」

母「長男も庭で凍死してるし」

弟「なんでこうなったんだろう。ボクが二人を守っていれば……無力なこの手が腹立たしい!」ググッ

父「そうだな。たしかに腹立たしいなぁ」

母「まぁニートが二人減るくらいどうってことなくない?」

父「そうだなぁ。わっはっは」

母「わっはっは」

弟「わっはっは」

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