【ぼく勉】小美浪あすみ「わりぃ、後輩。アタシ、また落ちたわ」 (12)

成幸「えっ……」

あしゅみ先輩「えっ、じゃねーよ。不合格は不合格だ。ジタバたしてもしょーがねえよ」
あしゅみ先輩「やっぱり医大の門は高ぇなー。親父にどう言おうかな、はは」
    成幸「先輩……」
あしゅみ先輩「そんなしょっぱい顔すんなよ」
あしゅみ先輩「合格おめでと。あいつらも受かったんだってな。」
あしゅみ先輩「もうアタシ、“先輩”じゃなくなったな。アタシの分までキャンパスライフ、満喫しろよ?」
あしゅみ先輩「じゃーな」

    成幸(あしゅみ先輩……。なんでだよ、あんなに頑張ってたのに……)
    成幸(あんなに世話になったのに……、俺はなにもできないのか?)
    成幸(このまま別れたら……、もう二度と会えないんじゃないか……?)
    成幸(そんなのいやだ。なにかあるはずだ。俺にできることが……!)

五分後

あしゅみ先輩「くしゅん!」
あしゅみ先輩「……あー、くそ。寒いなっ」
あしゅみ先輩「あーあ。二浪はさすがにきついな…」
あしゅみ先輩「なんだかんだ、この半年、楽しかったからな…」
あしゅみ先輩「………また、アタシはひとりか――」
    成幸「先輩!」
あしゅみ先輩「…………!」
あしゅみ先輩「……なんの用だ。後輩はあいつらとお祝いでもしてこいよ」
あしゅみ先輩「それに、アタシはもう“先輩”じゃ……」
    成幸「じゃあ、あすみさん!」
あしゅみ先輩「…………!?」
    成幸「あすみさんにお願いがあります!」
    成幸「俺、あすみさんの家庭教師になります!」
    成幸「絶対にあすみさんを医大に合格させますから!」
    成幸「一緒に頑張りましょう!」
あしゅみ先輩「お、おう………」

4月

成幸「──だからここはこの公式を使って……」

あすみ「ふむふむ、じゃあここは?」

成幸「ああ、ここはこの証明を使う流れですね」

あすみ「はぁ、なるほどなぁ。
相変わらず教え方がうまいな、さすが後輩!」

あすみ「・・・いや、いまはもうお前が先輩か」

成幸「先輩・・・」

あすみ「だーかーらー、先輩じゃねえだろ?」

あすみ「なんなら、あすみちゃんって
呼んでくれてもいいんだよ、ダーリン?」

成幸「ぶっ・・・!」

あすみ「ひひひ、そーゆー反応はやっぱり後輩だな♪」

成幸「もう!からかわないでください!」

あすみ「わりーわりー!つい、いままでのノリで、な?」

あすみ「・・・ま、お前には家庭教師までしてもらってんだ。
もうしくじるわけにはいかねーよな」

成幸「・・・俺にとっては先輩はずっと先輩です」

成幸「だから一緒に頑張りましょ。
俺も全力でサポートしますから!」

あすみ「さんきゅ。頼りにしてるぜ、な・り・ゆ・き!」

成幸「ぶっ!!」

成幸「だから先輩!!」

あすみ「ははははは!!」

小美浪(父)「頑張ってるな。ところで成幸君は今日は泊まっていくのかい?」

成幸「えぇ、な、何言ってるんですか!」

小美浪(父)「なにを遠慮している。君はもう家族みたいなものじゃないか」

成幸「いやいや!それは早過ぎですから!」

小美浪(父)「…えっ、もう高校も卒業したんだし。まさか本当は付き合ってないのかい?」

あすみ「お、親父!い、いまは勉強中だから!そういうことは・・・」

小美浪(父)「もしかして…別れた、のか…?」

あすみ「ダーリン!今夜はトコトン勉強教えてもらうぜ!」

翌日

あすみ「熱い夜だったな、後輩」

成幸「いやいや勉強しかしてないですよね!?誤解招くような言い方はやめてください!」

あすみ「そんなに恥ずかしがんなって!あいつらには秘密にしといてやるからさ☆」

成幸「当たり前ですよ!そもそも先輩は言っちゃって大丈夫なんですか!?」

あすみ「まあ…アタシは別に構わないけど?」

成幸「うっ…。もういい加減、そうやってからかうのもやめてくださいよ…」

あすみ「…ちょっとくらいいいじゃねぇか。こうやって軽口叩けるのは後輩しかいないんだし…」

成幸(先輩…やっぱり二浪はかなり堪えてるんだな…)

成幸(先輩…やっぱり二浪はかなり堪えてるんだな…)

あすみ「おい、後輩。へんな気ぃとか使うんじゃねーぞ」

成幸「一緒に頑張りましょう!絶対次はいけますよ!」

あすみ「…当たり前だろ。後輩も厳しく指導してくれよ?」

成幸「任せてください!先輩のために誠心誠意尽くしてみせますから!」

あすみ「尽くすって?後輩は一体何をしてくれるのかな?」

成幸「そうですね…まずは理科3科目の重点特訓カリキュラムを作ってるんで明日はそれをやりましょう!」

あすみ「おう。…しかし後輩は大学のほうはいいのか?サークルの新歓とか誘い来てんじゃねーの。よく知らねーけど」

成幸「そんな時間ないですよ。家ではカリキュラム考えてるし、それ以外ではこうして先輩といっしょにいますし」

あすみ「あー…なんだ、別にそこまでしてくれなくてもいいんだぜ?夢のキャンパスライフだろ?家庭教師してもらってるアタシが言うのもあれだけど、もっと楽しめよ」

成幸「いえ、こっちの方が性に合ってるんですよね。こうやって誰かに勉強を教えるのが、俺にとっては楽しくて…」

あすみ「そっか。後輩は先生になるんだもんな。なら全力で教わってやるよ!」

あすみ「でもサークルとかやりたくなったら言えよ?」

成幸「はい…先輩は大学行ったらやりたいことあるんですか?」

あすみ「あー…。そうだな…。あ、あれとかねーかな。メイド研究同好会」

あすみ「そうだ。後輩今から作っといてくれよ。インカレとかあるんだろ?」

成幸「それ俺と先輩の2人だけになりませんか!?」

あすみ「おっ、なんだ後輩。小妖精(ピクシー)メイドあしゅみぃみゃんを独り占めしたいってか、このむっつりめ。…そういや衣装、この辺にしまってたな…」

成幸「ここで着替えるつもりですか!?駄目ですよ!」

あすみ「着替えさせてくれんのか?」

成幸「んなわけないでしょ!……って、なんで服を脱ごうとしてるんですか!?」

あすみ「そんなこと言って期待してんだろ?」

成幸「返答に困るからそういうのはやめてください…ほら、勉強再開しますよ!」

あすみ「ほい!小妖精(ピクシー)メイドあしゅみぃで~すっ!今日もダーリンと勉強めいっぱい頑張りましゅみ~♪」

翌日

成幸(先輩ちょっと元気ないのかと思ったけど、結局いつも通りだったな。しかしメイド研究同好会か。そんなのあるのかな)

理珠「成幸さん、難しい顔してますよ。悩み事ですか?」

成幸「なぁ、緒方。メイド研究同好会ってどう思う?」

理珠「なんですかそれは?」

成幸「いや、俺もよくわからないんだが…先輩が大学に入ったらやりたいらしいんだ」

理珠「それは成幸さんがからかわれてるだけなのでは?」

成幸「やっぱりそうなのかな。とりあえずうどん食べながらもう少し考えてみるよ」

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