私、赤城には誰にも言えない秘密があります。
「んっ…ふぅ…」
誰もいない部屋で、カーテンを閉め切って電気も消して、私は一人ベッドの上で悶えていました。この発情しきっただらしない身体は、まだ触れていないのに蕩けきっています。
「あっ…ああっ!」
ゆっくりと服の上から陰部に触れました。その弱く、僅かな刺激でも、淫らな私は嬌声が出てしまいます。
「(ダメ、我慢しないと…せっかくこれを手に入れたんだから)」
私は青の弓道着を手に取り、自分の顔へ押し付けました。こうすると、私の鼻腔や肺は、加賀さんの汗の匂いでいっぱいに満たされます。
「はっ…んっ、くちゅ」
餌を前に『待て』をされた犬みたいに、唾液が湧いてきました。私はそれを一度口内で溜めてから、舌を使って服へ擦りつけました。
「えろ…れろお」
そして、それが十分に浸み込んでから、服を咥えて啜りました。ちょっとしょっぱいけど、加賀さんの味がします。
「んっ…ああぁ…」
それはまるで媚薬のように、私の理性を融かして火を付けました。自然と手が股間へ伸びて、ぐちゅぐちゅに濡れた穴を弄り始めます。
「あっ…ダメ、加賀さん…私、それをされると…」
彼女の匂いを嗅いで、彼女の服を押し付けて、彼女の汗を味わって、彼女に指で犯される妄想をして、自分の身体を慰めています。
『もうこんなにして…恥ずかしくないの?』
妄想の加賀さんが呆れた声で言いました。それでも手を休めずに、私をいじめ続けています。
「だって、凄く気持ちいいから…」
『気持ちいい? 何を言っているのかしら。私はただ、服を盗んで自慰にふける変態に、罰を与えているだけよ』
加賀さんの指が、私の中の気持ちいい部分をぐりっと押しました。
「あっ、あああっ!」
たったそれだけで、快感のスイッチを押されたみたいに反応してしまいました。加賀さんがせせら笑っています。
『淫らね。とてもやらしいわ。一航戦の誇りは何処へ行ったのかしら?』
そう言って、さらに激しく指を動かしました。指を曲げて膣壁をなぞり、私の愛液を掻きだすように責めてきました。その巧みな指使いに、私はあっという間に快感の波が高まって、身体がビクビクと震えました。
「駄目…加賀さん、手を止めて。じゃないと、もう…」
私は涙目になって加賀さんに懇願しました。加賀さんは意地悪く笑うと、指を止めて私に訊ねました。
『達してしまうのね?』
「…はい」
ああ、とても恥ずかしい。
『許してほしいなら、私にこう言いなさい』
加賀さんがそっと耳打ちをしてきました。それは、信じられないような淫らなセリフでした。
「…え?」
驚いて聞き返す私に、加賀さんは平然と言いました。
『言えるかしら?』
私は呆然として、言葉を忘れてしまいました。加賀さんは、それを私が拒否したと判断したみたいです。
『言わないと、ずっと続けるから』
そう言って、また手を動かし始めました。ちょっと休憩して落ち着いた分も、あっという間に高まっていきます。
「ああっ!? だめぇっ!」
気が緩んでいる時にされたのもあって、私は心の準備ができていないまま、絶頂を迎えようとしていました。あと少し、もうちょっとでイってしまう――その瞬間、加賀さんはまた手を止めました。
『言えるかしら?』
加賀さん、私が言うまで寸止めを繰り返すつもりみたいです。私の身体はイク寸前で止められて、ずっと痙攣しています。凄く気持ちいのに、苦しい…。
『言う?』
加賀さんが意地悪そうに聞いてきます。私はもう我慢できませんでした。涙目のまま、唾を飲み込んで、加賀さんに言いました。
「…赤城は、お仕置きで気持ちよくなってしまう変態です。…わ、私のエッチなおま○こをイかせて、罰を与えてくださいっ…」
私がそう言った瞬間――加賀さんの表情が、ぞくりとするような笑みに変わりました。
『――そう、よく出来ました』
そして、ゆっくりと顔を近づけて、私に口づけをしました。
「んんっ!?」
加賀さんの舌が、私の唇を舐めて濡らしました。そのぬるっとした感触に驚いて、ほんの少しだけ口が開いてしまったんです。
「んんっ、むぅ…ふううぅ……」
加賀さんはその一瞬を逃さず、私の口へ舌を押し込みました。自分のとは違うぬるりとした肉が、舌に絡みついて口内を舐めまわしています。
『ふーっ、ふーっ、ふーっ』
いつの間にか、加賀さんは息が荒くなっていました。熱い吐息が私の顔に当たっています。それで、私はやっと気が付きました。――ああ、興奮しているんだ。私を虐めて気持ち良くなってるって。
「はあっ…んっ、じゅるる」
私も加賀さんとの真似をして、彼女の口へ舌を伸ばしました。私よりもずっと熱い粘膜が、舌に触れています。
「はあっ、んっ、ふーっ…んんっ!?」
その時でした、今まで動いていなかった加賀さんの指が、突然私の膣内で暴れはじめたんです。さっきよりもずっと激しく動いて、私の脳に強い快感を送り込んできます。しかも、口内責めも同じように激しくなりました。
「ふーっ!? んんんんっっ!!」
もちろん、口を塞がれているので喘ぎ声は出せません。私、この時まで知りませんでした。声を出せない状態で攻められると、下から湧き上がる快感がどんどん身体に溜まっていくんですね。気持ちいいときに喘ぎ声が出るのは、快感が漏れていたからなんだって気が付きました。
加賀さんは手も舌も休めずに、私の粘膜を蹂躙してきます。私の頭の中は快感で一杯になって、今にも破裂しそうでした。
その時でした、加賀さんの指が――たぶん、親指でしょうね。私のクリトリスに当たって、弾いたんです。
「―――っ」
視界がふっと真っ白になって、すぐに暗くなりました。その後にチカチカと明滅して、一気に快感が襲ってきました。
「あっ、ああああああっ! ああああああぁぁっ!!!」
私は加賀さんから口を離してしまいました。だって、あまりの快感に、身体が弓なりに仰け反ったんですから。蓄積していた快感が爆発して、脊髄を伝わって、全身の神経の隅々まで広がりました。その強烈な快感に、意識が一瞬飛んで、またすぐに戻ってきました。その度に、頭がおかしくなるくらい気持ちいいんです。もう喘ぎ声ではなく、絶叫して何度もイっちゃいました。
「はあっ、はあっ、はーっ」
まだ全身に残る快感に震えながら、私は自分の口に押し込んでいた指を抜きました。ねっとりとした涎が透明な糸を引いていやらしいです。下の方は…もっと大変なことになってました。
「…加賀さん」
愛しい人の名前を呼んで、彼女の服を抱きしめたまま余韻に浸る。――今日、新しい姿になる貴方を想いながら。
私、赤城には誰にも言えない秘密があります。
それは、同じ一航戦である加賀さんへ、劣情を抱いているという事。
彼女の私物を無断で借りて、それで自慰に耽っているという事。
……とてもじゃないですけど、本人には言えません。
もしもこの事を知ったら、加賀さんはどんな反応をするんだろう?
動揺する? 軽蔑する? 激怒する? どちらにせよ、加賀さんの表情は変わるでしょう。
あの冷たく色のない瞳に押し込めた感情が露わになる。一航戦の私だけが知る、加賀さんの素顔。
あぁ、貴方がそんな目をするから――
「んっ♡」
――私はもう、止められない
終わりです
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