【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」清霜「その9!」【安価・コンマ】 (1000)

提督と艦娘達が学校生活を送る何番煎じか分からないスレです。
艦娘の設定は安価で決める為、原作設定と著しく異なる場合があります。その為、キャラ崩壊注意です。

前スレ

【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」【コンマ・安価】
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【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」U-511「その2……!」【安価・コンマ】
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【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」矢矧「その3!」【安価・コンマ】
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【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」羽黒「その4です!」【安価・コンマ】
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【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」加賀「その5ね」【安価・コンマ】
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【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」衣笠「その6!」【安価・コンマ】
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【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」舞風「その7!」【安価・コンマ】
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【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」那珂「その8!」【安価・コンマ】
【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」那珂「その8!」【安価・コンマ】 - SSまとめ速報
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★1周目:高校生編
雷:友人の妹
神通:学校のクラスメイト
五月雨:未来から来た娘
U-511:最近海外から近所に引っ越して来た子

U-511END

★2周目:大学生編
羽黒:幼少時に引っ越してその後大学で再会した元幼馴染
加賀:ゼミの教授
阿武隈:家が隣同士の幼馴染
矢矧:セフレ

矢矧・羽黒・加賀END

★3周目:教師編
衣笠:同僚
伊168:性奴隷
山城:弱みを握った調教相手で高校3年生
伊13:学生時代の恩師の娘(双子の姉の方)

衣笠END

★4周目:高校生編
時津風:飼ってた犬が変化した
舞風:ダンス部の後輩
潮:近所に越してきた新婚の幼妻
漣:性処理メイド(借金のカタで売られて強制されて嫌々やってる感じ)

舞風END

★5周目:大学生編
浜波:引きこもり中の妹
朝雲:家庭教師バイトの教え子で小学生
那珂:大学の同級生で風俗嬢(風俗で身体を売ってるのを提督に見つかっちゃう)
清霜:元気印の妹で、朝雲と同い年

那珂・清霜END

★6周目:教師編
霞:町の平和のために夜な夜な戦ってる魔法少女
如月:実は初心な見習いサキュバス
熊野:学校の理事長の娘&子供のときからの友人
瑞鶴:虐められてクラスの肉便器に(教師である提督も使用してる)

瑞鶴・熊野END

★7周目:高校生編
夕立:街で出会った不良少女
漣:生まれる前から家に使えているメイドで、筆下ろしをしてもらって以降性処理をしてくれるようになった
ジェーナス:提督家が雇っているメイドの一人娘
青葉:提督のストーカー兼写真部員

漣END

★8周目:大学生編
大井:同居する兄の嫁で提督の性奴隷兼托卵相手。チン堕ちして托卵された子供を夫との子供として産んでも愛情だけは夫に向けている。元は結婚を誓い合った幼馴染みで、初キスも処女童貞も互いで失った

暁:3000年の時を経て現代に転生した最強の魔王様(現代においては学生)
大和:失恋したが、諦めきれずに時間を遡って提督と結ばれようとしに来た
アブルッツィ:学生にまぎれてる潜入捜査官

暁・大和END

★9周目:教師編
朝風:身体は堕ちてるけど心までは堕ちてない提督のおまんこ奴隷。口では嫌がってもちんこ入れられただけでイキまくって提督に逆らえなくなるチョロチョロおまんこに調教済み

ウォースパイト:紅茶の国のお姫様。パンジャンドラムとマーマイトをこよなく愛する英国人で ロイヤルな血筋の家に生まれた次女。幼少期に提督とした婚約を果たすために諸々の反対を押し切って無理やり来日してきた。得意料理はスターゲイジーパイとウナギのゼリー寄せ(ちゃんとおいしい)

対馬:両親(提督の姉夫婦)を亡くした姪。提督が引き取って育てていたが、ある日媚薬を一服盛られ理性を失わされた状態にされ、処女を捧げられる。その一部始終を撮影した動画をネタにされて肉体関係を継続中。脅しているのは対馬で脅されているのは提督

弥生:オナニー依存症の妹。提督の精液を子宮に入れることで疼きが収まる。罪悪感を覚えながらも提督との禁断のセックスがやめられない

朝風END

★10周目:高校生編
ビスマルク:借金漬けで売られた良家の令嬢。提督に買われて性処理肉便器として生きている。提督を殺したいほど憎んでいるが犯されて感じたくないのに惨めにイき狂わされてプライドがズタズタに傷付けられる毎日。同級生なので学校でも犯され家でも犯されもはや提督専用の形になるぐらい犯されまくってる。勿論肉便器らしく避妊なし危険日中出し当たり前で妊娠の恐怖に怯えてる

迅鯨:提督の妻を騙る担任教諭
不知火:元カノ。提督曰く『その日まではごく普通の彼氏彼女だったがある日突然別れを言い渡された。その時の顔は今までの笑顔溢れる彼女とははまるで違った"全てを諦めた"ような顔だった』とのこと。実は大和の時空魔法の間接的な被害。彼女はその時代ではとても珍しい特殊な体質だった。そのため大魔導士だった大和の行使した巻き戻しの影響を中途半端に受け、大和と同じ回数のループを経験することになる。 何度あらがおうとも気付けばすべてなかった事になる恐怖に晒され続けた結果、自分と提督が作る未来はどこにも存在しないのだと諦めてしまい、別れを伝えてしまった。皮肉にもそれは大和が魔翌力を封じられ、形は違えど思い人と結ばれる周だった

大井:提督の幼馴染みで相思相愛で共依存なセフレ。お互いに告白はしたものの、恋人として付き合っていない(50にならないと恋人として付き合えない)

※システムについて
★読むのが面倒な人は『提督orヒロインの行動を安価で指定し、コンマ判定でヒロインの好感度を上げていく』と考えていただければ大丈夫です。

・期間が入れ替わる(例:4月1週→4月2週→4月3週……)ごとに反転コンマでどのヒロインと交流するかを決めます。最大値のヒロインと交流します。

・交流相手を決めた後は、提督とヒロインが何をしているかを安価で募集します。
 ただ、提督やヒロインの設定次第では、取っていただいた安価の内容を若干アレンジさせていただくか、進行形式を変更することがあるかもしれません。
 また、提督の行動を安価で決める際、そのヒロインからの評価が下がりかねない内容の場合も若干アレンジさせていただくか、安価下にさせていただく場合があります。

・好感度上昇率・好感度上昇判定も全て反転コンマを使用します。

・好感度がMAX50まで貯まった状態で、交流相手を決める際にそのヒロインが最大値になれば無事HAPPYENDです。


・好感度が40に到達した場合は『リーチ』状態となり、ヒロインが提督に対して恋愛感情を抱いている、あるいは恋愛感情をはっきり自覚した状態となります。
 進行そのものは通常時と変わりませんが、この状態で他のヒロインがENDを迎えてしまうと、そのヒロインは失恋してしまいます。

・ただし2番手以降のヒロインが好感度50に到達した場合、正妻による妨害判定が入ります。
 好感度上昇判定の次に妨害判定を行い、そこで妨害された場合は好感度が49で打ち止めとなります。

・2番手以降かつ好感度49で打ち止めとなったヒロインは、交流相手を決める際に最大値になった場合、すぐに妨害判定を行います。


・ヒロインを決める際の安価でR-18系の内容にしていただくことは大丈夫ですが、本編作中における提督やヒロインの行動については基本的にR-18系の内容は安価下とさせていただきます。
 理由としましてはエロ描写を毎回書くことになってしまった場合、更新スピードが非常に遅くなってしまう為です。申し訳ございません。
 その為、エロが関わらない設定のヒロインにつきましては、R-18系の内容は余程のことが無い限りは安価下と考えていただければ幸いです。
 
・ただしR-15程度の内容や、ヒロインの設定がエロと密接に関わっていた場合はその場限りではありません(例:セフレ)。しかし、その場合も描写はかなり簡略化させていただきます。

・R-18G系の内容は余程のことが無い限り全て安価下とさせていただきます。ただしこれもヒロインの設定次第では一時的に解禁する場合もあります。


※その他注意事項

・ヒロインの設定を決める際、基本的には何でもありです。ただし、あまりにもぶっ飛んだ設定や飛躍し過ぎた設定は再安価or多数決にさせていただく場合があります。

・提督とヒロインの行動を決める際の安価も、あまりにも飛躍し過ぎた内容の安価や、脈略が無さすぎる内容の安価は若干アレンジさせていただくか、安価下とさせていただきます。

・コンマ判定(反転含む)時、00もしくは0は最大値(10もしくは100)とします。

・交流相手を決める際のコンマや、好感度上昇判定時(上昇度小~大を決める部分)は反転コンマとします。
 好感度上昇コンマは一の位で判定します(例:18:00:00:93の場合、好感度の数値上昇は3が適用されます)。

・提督とヒロインが何をしているかの安価や、ヒロインを決める際の安価での連取りは基本的にNGです。交流相手を決める際や好感度上昇コンマ判定等、数字のみが関わる場合はOKです。

・高校生編→大学生編→教師編→高校生編……このサイクルを繰り返していきます。

・ヒロインから提督への呼称は、基本的に『提督』で統一させていただきます。


※小ネタ安価について

・本編終了後や本編開始前に小ネタ安価を取ることがあります。採用条件等は基本的に以下の通りですが、場合によってはこちらで追加条件を指定することがあります。

・あまりにも支離滅裂な内容は安価下とさせていただきます。また、小ネタの内容は『本編の設定を踏まえた世界観』が主軸となるようにしていただけると幸いです。
 パラレルワールドに分岐させるかどうかはこちらで判断させていただきます。その時に周回指定が無ければ、こちらで小ネタにあった周回を決めさせていただきます。

・同一ヒロインの似たような内容の小ネタor前回と同一周での連続エロ小ネタは、最低でも小ネタ5回分以上間隔を空けていただければ幸いです。
(例:前回『○○とお花見』→今回『○○とピクニック』、前回『□□とエッチ』→今回『□□と▽▽エッチ』等はNGとさせていただきます)

・似た内容の小ネタが範囲内に複数含まれていた場合、その中で1番先に書かれている小ネタの反転コンマのみ判定対象とし、残りは安価下とさせていただきます。

・エロ小ネタにつきましては、本編で1度でもヒロイン安価で選ばれたことがある艦娘でお願いします。ENDを迎えたか否かは問いません。

――夜・ビスマルクの部屋


提督「………」ギュッ!

ビスマルク「痛っ!もう少し優しくしなさい!」

提督「黙れ肉便器。自分の立場を分かってるのか?」ギロッ

ビスマルク「くっ……」

ビスマルク(こんな、椅子に括りつけて……また、この前みたいなことを……)

提督「………」

晩飯を食べ終えた直後、こいつを椅子に拘束した。理由はもちろん、日頃のストレスをこいつで発散する為だ。

だが、これだけでは足りない……相手は肉便器だ。こいつに僅かに残ったプライドをぶち壊すには……

提督「……ほら」ズイッ

ビスマルク「……毒でも飲ませる気?」

提督「馬鹿かお前。自分で買った肉便器を自分で殺す奴がどこにいる?」

ビスマルク「自分で?全部貴方の親が稼いだお金じゃない」

提督「チッ……いいから飲めよ」グイッ

ビスマルク「んぐっ!?」

減らず口を塞ぐように、懐から取り出した媚薬を強引に押し込む。

手足を塞がれている以上、こいつには媚薬を飲む以外の選択肢は無い。

ビスマルク「ぷはっ!?な、何を飲ませ……っ!?///」ドクンッ…

ビスマルク(か、体が、熱い……それに、お腹の奥がジンジンして……まさか、私が飲まされたのって……!///)モジモジ

提督「……ははっ、流石即効性だな」

ビスマルク「貴方……んうっ……///」モジモジ

提督「そのままじゃ辛いだろ?こいつも挿入れてやる」スッ…

ビスマルク「なっ……!?///」

俺が手に持っているのは、自分のチンコの形を模したバイブとアナルバイブ。

こいつに使う為だけに俺が作らせた特注品だ。そこそこ金がかかったが、そんなことはどうでも良い。

ビスマルク「や、やめてっ!そんな物を挿入れられたら、私……!///」

提督「お前に拒否権があると思うか?」

ずぷぅっ!ずぶぅっ!

ビスマルク「ひぃぃんっ!?///」ビクビクッ

ビスマルク(お、お腹とお尻の奥にっ、バイブがぁっ!?///)

提督「すんなり入ったじゃないか。俺が散々開発したお陰だな」カチッ

ヴヴヴヴヴヴッ!

ビスマルク「んぎぃっ!?あっ、んぐぅっ!?///」ビクビクッ

提督「最大パワーに設定しておいた。そのまま一晩中喘ぐだけ喘げ」バタン…

ビスマルク「ちょっ、このまま……んにゅぅっ!?ひょ、ひょっとっ、待ちにゃさ……んあぁっ!?///」ビクビクッ

ビスマルク(媚薬を飲まされて、おまけにバイブを2つも……それが一晩中!?そんなの、頭がおかしく……っ!///)

――翌朝・ビスマルクの部屋


提督「……畜生、また熟睡出来なかった……いや、それよりも……」

提督(あいつはどうなってるか……防音が完璧だから、俺の部屋からだと喘ぎ声が聞こえないんだよな……)ガチャ…

ビスマルク「へぁ……ふあぁ……///」ガクッガクッ

ヴヴヴヴヴヴッ!

提督「あ~あ、思いっきり椅子と床汚しやがって」

肉便器は見事に白目をむいていて、股と尻から粘液を漏らしながらイき続けていた。

こんなのがかつて令嬢だったと思うと、笑えて仕方が無い。いや、別にこいつに対して恨みは無いが。

提督「おい、生きてるか?」

ビスマルク「あひゃぁ……んふぁぁ……///」ガクッガクッ

提督「……完全に意識トんでるな。でもまぁ、憎まれ口を叩かれるより……」

ビスマルク「はぁ……はぁ……///」ガクッガクッ

提督「こっちの方がストレス溜まらないけどな」

にゅぽっ!

ビスマルク「ぇひぃっ!?///」

プシャアアアアアアッ!

提督「うっわ、こいつバイブ抜き取っただけで潮吹きやがった。どれだけイき続けたんだよ、この変態が!」

ずぶぅっ!

ビスマルク「ん゛お゛っ゛!?///」

どじゅっどじゅっどじゅっ!ずぶっずぶっ!

ビスマルク「へぁっ、あひっ、おごぉっ!?///」

こいつの膣内はトロトロに滑っていた。一晩中絶頂したせいか、一突きする度に俺のチンコを包み込んで来る。

ヌチョヌチョと下品な音が響くが、伝わる快感は一級品だ……不知火には到底及ばないが。

じゅぶっじゅぶっじゅぶっ!ばちゅっばちゅっ!

ビスマルク「あっ、あぁっ、ひあぁっ!んごっ、おぉっ!///」

提督「まるで女を捨てたかのような野太い喘ぎ声だな……もう喉も枯れたか?」

じゅぼっじゅぼっじゅぼっ!ぐちゅっぐちゅっぐちゅっ!

ビスマルク「んぎゅっ、いぎぃっ!あっあっ、んぉぉぉっ!?///」

腰を動かせば動かすほど、強烈な快感が俺の脳に飛び込んで来る。

並行して、こいつの声が更に大きくなっていく。恐らくまた絶頂しそうになっているんだろう。

提督「んじゃ、お望み通り膣内でぶちまけてやる。全部腹で受け止めろよ」

ブビュルルルルルルッ!ドプッドプッ!ビュクビュクッ!

ビスマルク「んひぃ……っ!?あっ、んあぁっ……!?///」ガクッガクッ


調教度上昇率判定:この後どうなる?

01~49:ビスマルク、途中から正気を取り戻していた
調教度上昇:小 ×1.0
50~98:ビスマルク、そのまま気を失う
調教度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:ビスマルク、途中から正気を取り戻していたが……
調教度上昇:大 ×2.0

直下

調教度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

77:未練タラタラ 3×2.0=6 6+3=9/50


提督「………」

ビスマルク「……っ///」ガクッガクッ

ビスマルク(貴方、は……どれだけ、鬼畜なのよ……一晩中放置して、朝から犯して来るだなんて……)

ビスマルク(お陰で、こっちは……寝不足と、絶頂し続けた疲労で……さっきまで、意識が飛んでたのに……)

提督「……はぁ」

ビスマルク「は……ぃ、ぁ……///」ガクッガクッ

ビスマルク(ダメ、ろれつが回らない……一言くらい、文句を言ってやりたいのに……)

提督「こんなことしたところで、何の意味も無いのにな……」

ビスマルク「……?」

提督「ヤケクソだったのもあるが……結局、自分を更に歪ませるだけだったんだ……」

ビスマルク「………」

ビスマルク(な、何?急に静かになったかと思えば……変なことを言い出して……)

提督「………」チラッ

ビスマルク「………」

提督(どうせ気を失ってるんだろうな、こいつ……)

提督「……これでも、悪いとは思ってるんだよ」

ビスマルク「……!」

提督「だけど、こうでもしないと……俺は、俺はっ……!不知火への未練で、頭がおかしくなりそうで……っ!」ギリッ

ビスマルク「………」

提督「……いや、何言ってんだ俺は。出してスッキリすると、いつもマイナス思考になるな……」

ビスマルク「………」

提督「………」シュルシュル…

ビスマルク(あっ……拘束が解けて……)

提督「……部屋の後始末は任せたぞ」スタスタ…

ガチャ バタン…

ビスマルク「………」

ビスマルク(な、何よ……あれだけ酷いことをしておきながら、今更……罪悪感でも感じてる訳……?)

ビスマルク(それに……不知火?未練?今まで、そんなこと言ってるのは聞いたことないけど……いや、絶頂してたせいで聞いてなかっただけかも……)

ビスマルク「……はぁ」

ビスマルク(とりあえず、この液体塗れの部屋を何とかしなきゃ……うっ、足腰がフラフラで、上手く立てない……)ガクガクッ…

ビスマルク(やっぱり腹が立って来たわ。貴方の事情なんて、知ったことじゃないわよ……自分の都合で、私にこんな仕打ちを……!)

~ 6月1週 ~

――10周目提督家までの道


提督「………」スタスタ…

提督(あぁ、不知火……どうして……)

1人でいると、孤独と絶望で潰れそうになってしまう。

そのせいで、思考もどんどん不知火への未練で埋め尽くされて行く。

提督「………」スタスタ…

提督(今日も大井で慰めて……あぁ糞っ!不知火のことを引きずってる癖に、こんなことを考える自分に嫌気が……)

「……それだけ繰り返して、よく発狂しなかったわね」

「いや、1度だけ我を忘れてしまったわ」

「1度で済んだのか……」

提督「………」スタスタ…



暁(8周目)「凄いしゅーねん……」

大和(8周目)「……どうしても、提督さんを手に入れたかったから」

8周目提督(……真顔で言われると、反応に困るな)

暁「じゃあ、もしまだ時を遡る魔法が使えたら……」

大和「もちろんやり直すわ」

暁「即答!?」

8周目提督「だけど、大和の魔法って……」

大和「……はい。それはもう、使えなくなりましたから」

暁「アブルッツィのお陰でね!」フンス

大和「何で暁が威張るんだか……」



提督「………」

提督(魔法?時を遡る?何言ってんだか……あのチビはともかく、残り2人は良い歳して子供染みた妄想か?)

バカバカしい。そんなものが存在すれば、すぐにでも俺は不知火との関係をやり直すに決まってる。

だが、それが出来ないから悩んでるんだよ。それが出来ないから……苦しいんだよ。

提督「チッ……」スタスタ…

提督(他人の聞きたくも無い話が嫌でも耳に入って来る。不知火と一緒にいた時は、そんなこと気にならなかったのに……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:9/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:8/50
↓3不知火のコンマ      未練度:60.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:71/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

今回はここまでです。深夜までお付き合い頂きありがとうございました!
次回は本編の更新はお休みし、その代わり前スレにて埋めネタを投下していきたいと思います。
今後は『小ネタ安価』を『埋めネタ安価』として募集させて頂き、スレが残り僅かになったタイミングで投下するという方式に変更させて頂きます。

次は本日の夜か、明日以降に更新予定です。それではまた次回の更新でお会いしましょう。

21:30~22:30頃、前スレにて埋めネタ安価を投下します。
投下後はこちらで新しい埋めネタ安価を行う予定です。詳しくは前スレをご参照下さい。

ここからは埋めネタ安価を募集します。

提督やヒロインの行動を決める安価と同様に、指定範囲内における反転コンマ最大値の安価を採用します。
安価を取っていただく際は、基本的に『提督orヒロインが〇〇する』等の形でお願いします。
例:『阿武隈が提督達の関係を親に密告する』、『潮が全てを捨てて提督と結ばれるIFルート』etc

それ以外の注意点につきましては>>4をご参照下さい。また、前スレにて連絡しましたが、今回はR-18系の安価はNGです。
ただしR-15やR-18GはOKです。ややこしい説明で申し訳ございません。

埋めネタ安価
23:05以降から先着10個までで反転コンマが最大の安価を採用
ただし23:10の時点で10個まで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

2周目提督がヒロインたちと一対一でそれぞれデートする

採用対象:>>39 (87→78)
これは本編設定(矢矧・羽黒・加賀の3人)でしょうか?それともパラレルワールド設定(阿武隈を含めた4人全員)でしょうか?
安価を取って頂いた方がいらっしゃれば、ご意見・ご指摘等を頂けると幸いです。特にご指摘等が無ければ、4人全員√でプロットを組んでいこうと思います。

今回はここまでです。お付き合い頂きありがとうございました!
スランプ等の理由で投下が遅れてしまい、リクエストを中々消化出来ず申し訳ございませんでした。

改めて1周目の埋めネタ(小ネタ)を書いてみると、既にご指摘がありましたが、この周は修羅場等が一切無く本当に平和だったことを再確認しました。
1周目提督とU-511をどこまでイチャイチャさせるかで少し迷いましたが、この2人ならこれくらいのイチャつき具合になるだろうと考え、このような展開にしました。
お気に召さない展開でしたら申し訳ございません。

次の更新は未定です。早ければ明後日ですが、もしかすると明々後日以降になるかもしれません。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。

乙です
言葉足らずで申し訳ありません
>>39については本編設定でENDになった3人のつもりでした

>>42
ご返答ありがとうございます。
それでは本編設定(矢矧・羽黒・加賀の3人)でプロットを組ませて頂きます。

そもそも俺らが変なの投げなきゃええんちゃうか
これまで無いパターンとしては好感度上昇途中での
エロ解禁とか正直見てえですよ

>>49
前スレ71で無理って言われてるよ

エロ書くの大変だからだっけ?もし負担が少ないなら、例えば他3キャラ健全で1キャラだけ>>49みたいなパターンならワンチャンいけないかな

23:00~0:00頃開始予定です。通常とは違い事前予告無しの安価募集ですので、募集開始時間を長めに設定します。

不知火は何をしている?もしくは提督と不知火は何をしている?

21:45以降から先着3つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし22:15までに3つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます


>>49>>53
ご意見ありがとうございます。
既に>>52の方が説明して下さいましたが、前スレ(8スレ目)>>71をご参照下さい。
こちらが至らず安価募集時の自由度を下げてしまう形となってしまい、申し訳ございません。

始めます。

提督『………』スタスタ…

不知火『……♪』スタスタ…

目の前には、2年前に卒業した母校が広がっている。

周りを見回してみても、初夏だったはずが桜が満開になっている。

忘れるはずが無い。俺がまだ、不知火と交際していた頃の光景だ。

提督『……綺麗だな』

不知火『……はい』

俺と不知火は手を繋ぎながら、ゆっくりと歩いて行く。

お互いが確かに隣にいることを、いてくれることを体感しながら。

提督『……なぁ、不知火』

不知火『……何でしょうか?』

提督『俺のこと……好き、だよな?』

不知火『……えぇ、もちろんです』

何故時間が巻き戻っているのだとか、どうして俺は"裏切られた"はずの不知火と歩いているのだとか、この際そんなことはどうでも良い。

何より、俺にとって1番嬉しいのは……魔法でも、超常現象でも、あるいは神の力だとしても……

提督『………』ギュッ

不知火『……♪』

提督(今度こそ、やり直してみせる。あんな未来、絶対にお断りだ……!)

再び、不知火との関係が元に戻ったこと。それだけで、他のことは気にならない。

不知火、あぁ、不知火……俺はもうこの手を離さない。今度こそ、2人で幸せに――――

――放課後・教室


提督「ぬ……ぃ……」

不知火「………」

不知火(提督君が、嬉しそうな……それでいて、どこか切なそうな顔で眠って……)

提督「……だ」

不知火「………」

不知火(それに、さっきから寝言も……不明瞭で、ろれつが回っていないから……上手く聞き取れないけど……)

提督「し、ら……ぃ……る……」

不知火「………」

不知火(本当なら、すぐにでも提督君から離れなければいけない。こうして、提督君を見つめる資格なんて……無いのだから)

不知火(あんなことを告げておいて、未だに未練を抱いているだなんて……許される、はずが……)グッ…

提督「し、らぬ……い……」

不知火「……え?」

不知火(今、私の名前を……)

提督「今度、は……ずっと、一緒……」

不知火「っ!」

不知火(て、提督……君……)

提督「……ん、んんっ……」

不知火「ぁ……」

提督「………」

不知火「そ、その……これ、は……」

不知火(さっきの言葉は、確かに……私の耳に、脳に、心に……届いた。届いてしまった)

不知火(今の私の顔は、きっと酷いものだと思う……自業自得の寂しさと、この期に及んでまで抱いてしまう嬉しさと……)

不知火「………」

不知火(提督君への、未練が……入り交じって……)

提督「………」


未練度上昇率判定:この後どうなる?

01~49:不知火、慌てて帰宅してしまう
未練度上昇:小 ×1.0
50~98:提督「……起こしてくれたのか」
未練度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:提督、まだ寝ぼけており……
未練度上昇:大 ×2.0

直下

未練度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

17→71:諦めるのは、まだ早いかもしれない 8×1.5=12 12+60.5=72.5/100


提督「………」

提督(4時過ぎ……放課後か。俺、随分とうたた寝してたみたいだな……)

提督「………」チラッ

不知火「………」

不知火(ど、どう説明すれば……まさか『未練を捨て切れず、つい寝顔を見つめてしまった』なんて、言えるはず……)

提督「……起こして、くれたのか?」

不知火「……え?」

提督「"ただ1人"、俺が教室で居眠りしてしまうことになるのを……防いでくれたのか……?」

別れを告げた男に、未だ失恋を引きずる男に……不知火は、まだ情けをかけてくれるというのか。

何故?どうして?俺は不知火に捨てられた男だ。不知火にとって、俺は顔も見たくない人間のはずだ。

それなのに、俺が"孤独"にならないよう……手を差し伸べてくれたのか?

不知火「い、いえ、その……」

提督「………」

不知火「………」コクリ

提督「……そうか」

たったこれだけのことで、どうしようもなく喜びを感じた。感じてしまった。

むしろ、まだ不知火に本当の意味で見捨てられた訳じゃない。

その事実が、俺の不知火への想いを強くし……同時に、未練を強くしてしまう。

不知火「………」

提督「……な、なぁ」

不知火「……っ!」クルッ

提督「……!」

不知火「………」スタスタ…

提督「……は、はは」

提督(そうだ、何を勘違いしているんだ……不知火はただ、あまりに俺が哀れだったから、見ていられなくなっただけじゃないか)

俺はどうしようもない男なんだ。失恋から立ち直れず、肉便器や幼馴染に手を出した糞野郎だ。

そんな人間に対して、不知火のような素晴らしい女性がよりを戻したいと思う?思うはずが無いだろ。

提督「……っ」ギリッ…

提督(それでも、俺は……やっぱり、不知火がいないと……)

不知火「はぁっ……はぁっ……」スタ…スタ…

不知火(……私は、どこまで心が弱いのかしら)

提督君が、何かを言おうとした時……私は怖くなって、逃げ出して来てしまった。

もし、拒絶されたらどうしよう。今更どういうつもり等と軽蔑されたら、どうしよう。

そんな考えばかりが浮かび上がって、心が締め付けられそうになった。

不知火「………」

不知火(……いつまで未練を抱いているの、私。もう、提督君の隣にいる資格なんて……無いのに……)

不知火「……っ」ズキッ…

提督君の顔を見る度に、これまでの思い出がフラッシュバックする。

思い返そうとしなくとも、脳が勝手に楽しかった日々の出来事を反復する。

いつのことだっただろうか……彼と"初めて"出会ったのは。

自分の幼少期の頃なんて、もはや忘れかけているほどだから。何故なら……

不知火(……"体感時間"では、自分でも把握していないほど遠い昔の記憶だもの)


――約10年以上前・公園の砂場


幼児「おやま、おやま……」ポンポン

不知火(2)「………」スタスタ…

幼児「……ふぇ?」チラッ

不知火「あの……しらぬいも、いれて……」

幼児「ヒッ!?や、やぁっ!こわいよぉっ!」ダッ

不知火「あっ……うぅ……」シュン…

私は昔から表情が固いせいで、周囲の人と馴染むことが出来なかった。

それどころか、場合によっては相手に怖がられてしまうこともある始末。

こんな状況では、友人なんて出来るはずが無い。その結果、私はいつも家で家族に遊んで貰うしかなかった。


――不知火家・リビング


不知火祖母「ほ~ら、良い子良い子……」ナデナデ

不知火「ん……♪」

不知火母「……貴方に似ちゃったのね」

不知火父「……すまない。僕のせいで、娘が辛い思いを……」

不知火母「ううん、責めている訳じゃないの。ただ、このままだと、不知火には友達が……」

不知火父「……僕達で何とかするしかない」

お母さんが言うには、私は父親に似たらしい。確かに、お父さんは私とよく似ている気がする。

口数が少なくて、あまり笑うことが無い。ただ、お父さんは決して人から嫌われる人間という訳でも無い。

むしろ、私のことをよく気にかけてくれた。例え表情は硬くても、お父さんが良い人なのは私や家族の全員が知っている。

もちろん、お母さんとおばあちゃ……母方の祖母も、いつも私の傍にいてくれた。

特に祖母は、よく世話を焼いてくれた記憶がある。あの頃、私に聞かせてくれていた話は今でも鮮明に思い出せる。


――不知火家・祖母の部屋


不知火「……おはなし」クイクイ

不知火祖母「ふふっ、分かったよ。じゃあ今日も話してあげようね……『古の魔法使い』の話を」

不知火「……うんっ」

不知火祖母「ぬいちゃんと、お母さんと、私と、そのまたおばあちゃん……私達のご先祖様はね?魔法使いだったんだ」

不知火「まほうつかい……」

不知火祖母「こうやって手を出せば、そこから熱い炎や寒い雪、恐ろしい雷鳴が飛び出して来るのさ!」

不知火「おぉ……!」キラキラ

不知火祖母「そんな魔法使いが、人間と結婚して……その子供さんが、また人間と結婚して……私やお母さん、そして……」ポフッ

不知火「んっ……」

不知火祖母「可愛い可愛い、ぬいちゃんが生まれたんだよ?」ナデナデ…

不知火「……♪」

不知火母「……お母さん、また例のおとぎ話?」

不知火「あっ、おかあさん……」

不知火祖母「おとぎ話なものか。先祖代々語り継がれて来た、大事な大事なお話だよ?アンタも昔は信じてたじゃないか」

不知火母「それはそうだけど、流石に大人になってからだとね……夢がある話だとは思うけど」

不知火祖母「ふぅ……まぁ、確かに私も両親に聞かせられただけだから、証拠を出せと言われれば無理だけどね」

不知火「………」

不知火祖母「それでも、私はそのお話を信じているのさ。何となくだけど、嘘だとは思えなくて」ナデナデ

不知火「ん……♪」

私の先祖は魔法使いという話。恐らく、こんな話を一般人にしたところで、嘘や作り話だと笑われるだけ。

実際、私も"一時期"は信じていなかった。もっとも、当時の私や完全に信じていた。祖母の話を聞く度に、魔法使いという存在に心を踊らされた。

そして、"今"の私は……その話を嘘だとは思えない、本当ではないかと本気で考えてしまっている。

ただ、どうして私がそう考えているのか、どうしてそう考えるようになったのかは……もう少し先の話になる。

私は結局、同い年の友人は出来なかった。話しかけようとしても、相手が怖がったり泣き出してしまったから。

平日はもちろん、休日も基本的に家族に遊んで貰うことが多かった。

それが災いして、私は小学生になってからも一向に友人が出来なかった。理由は幼少期の頃と同じ。


――約数年後・小学校


不知火(8)「………」

モブ子「ね、ねぇ、不知火さん。良かったら、一緒に縄跳びして……」

不知火「……縄跳び?」ギロッ

モブ子「ヒッ!?ご、ごめんなさいっ!」ダッ

不知火「それなら、私も……あっ……」

不知火(……また、逃げられちゃった。私の顔、そんなに怖いのかな……)シュン

虐められることは無かったものの、私はクラスで孤立した。

いくら私が声をかけようとしても、逆に向こうから声をかけてくれたとしても……いつも最後には相手が逃げ出してしまう。

この頃は、まだ提督君とは違う小学校に通っていた。故に私は、孤独だった。

家に帰れば家族がいてくれたから、荒んでしまうことは無かったけれど……それでも、学校に親しい人が誰もいない状況は辛かった。

そんな日々が続いている内に……私は、諦めてしまった。


――約数年後・教室


ワイワイ ガヤガヤ

不知火(11)「………」

不知火(……仲良くなろうとするだけ、無駄よね。どうせ、私が声をかけたところで……)

モブ「あ、あの、不知火?これ、先生からのプリント……」スッ…

不知火「……ありがとう」ギロッ

モブ「うっ!い、いや、そんな大したこと無いって!」ダッ

不知火「………」

不知火(こうなってしまうから。こんな私に、友人なんて……出来るはずが無いもの……)

新たに友人を作ろうとしても、どうせ怖がられてしまう。逃げられてしまう。

そう考えた私は、もう諦めることにした。孤独のまま過ごすことを受け入れてしまった。

もちろん、孤独が辛くない訳が無い。出来ることなら、仲良く話せる友人の1人くらい欲しいと思っていた。

それでも、当時の私は……友人なんて、絶対に出来ないと思い込んでしまった。































――――けれど、そんな私に運命の出会いが訪れることになる。





























今回はここまでです。深夜までお付き合い頂きありがとうございました!
不知火のプロットについてですが、8周目の大和や大井と同様に、回想パートを3回(20・30・リーチ)に分けることにしました。
大和の時間跳躍魔法が絡むとなると、どうしても回想が長くなってしまうので……(白目)

ただ、現在少しスランプ気味で、回想パートだけでなく通常パートの文章も中々思い浮かばない状況が続いています。
その為、申し訳ございませんが、場合によっては他のヒロインの回想パートも不知火と同様の措置(3回に分割)を取ることになるかもしれません。

次は本日の夜か、明日以降に更新予定です。それではまた次回の更新でお会いしましょう。

21:00~22:00頃開始予定です。

始めます。不知火の回想パートのとちゅからです。

友人がいなかった私は、学校では勉強するしかなかった。

休み時間はもちろん、それ以外の空き時間も、孤独から逃げるように勉強を続けた。

皮肉にも、そのお陰で成績だけは優秀だった。両親や祖母も評価してくれたけれど……

いくら勉強が出来ても、やはり学校での孤独による辛さが無くなることはなかった。


――不知火家


不知火父「……不知火」

不知火「……何?」

不知火父「無理、していないか……?」

不知火「………」フルフル

不知火母「本当?」

不知火「……えぇ」

不知火父「………」

不知火父(僕達に心配をかけまいと、気丈に振舞っているようだけど……)

不知火母(どう考えても、無理してるわよね……この子、学校で1人ぼっちみたいだから……)

不知火「………」

もちろん、ただ勉強を続けるだけで好成績を維持出来た訳じゃない。

私は性格だけでなく、能力も遺伝していたのだと思う。話を聞く分には、お父さんは敏腕のエリートだったらしいから。

けれど、友人に恵まれたかった私にとって……いくら成績が良かったとしても、寂しさは埋まらなかった。

不知火父(……この成績なら、十分……いや、十二分に……)

不知火「……お父さん?」

不知火父「……不知火が良ければの話だが」

不知火「……?」

不知火父「私立中学校、受験してみないか……?」

不知火「……!」

お父さんは、私に公立中学ではなく……有名私立中学への進学を勧めた。

理由は『人間関係をリセットすることで、不知火に改めて友人を作って欲しい』とのことだった。

決して安くない学費も、両親は『お金の心配はしなくて良い。その為に、しっかり蓄えて来た』と言ってくれた。

けれど、私としては……どちらでも良かった。既に友人なんて、私には出来ないと諦めきってしまっていたから。

私はそのままお父さんの提案通り、小学生ながら受験生となった。

勉強ばかりしていたこともあって、合格そのものは難しくなかった。


――約数年後・有名私立中学校


ワイワイ ガヤガヤ

不知火(13)「………」

不知火(案の定、1週間足らずで大方のグループが出来上がったか……私には無縁だけれど)

私は、私自身が想定していたように……1人だった。

入学早々、クラスメイトの大半に怖がられてしまい……その瞬間、私は自分の今後を察した。

結局、私はどこへ行っても孤独なのだと。私に友人なんて、出来るはずが無いのだと。

不知火「………」

不知火(今の内に、覚悟を決めるべきね……小学生の時と同じように、黙々と勉強するだけの日々を……)

友人が出来ない。私立中学校入学。ふと教室を眺めようと考える。

様々な要因が重なり、私は見つけた。見つけ出した……出会うことが出来た。

不知火「……?」

提督(13)「………」

不知火(あの男子生徒、未だに誰とも会話していない……)

私と同じ、孤独に苦しんでいた人。私の辛さを理解してくれる、唯一無二の人。

提督(……最悪だ。大井と違うクラスになるなんて……この先、どうやって過ごせば……)

不知火(それに……私と同じ目をしている……?)

10周目提督君……私が心から愛した人。彼がいてくれたから、"かつて"の私は……救われた。

失礼な言い方になるけれど、彼は今までいなかった……友人がいない人間。

私は彼に興味を持ち、それからはいつも彼を遠巻きに眺めていた。


――数週間後・休み時間


ワイワイ ガヤガヤ

提督「………」

不知火「………」ジー

不知火(どうして周りの人に話しかけないのかしら……私と違って、目を合わせただけで怯えられることもないのに……)

彼は孤独だった。暗い表情を浮かべながら、他者と積極的に関わることをしなかった。

私と同じように、彼も淡々とした灰色の日々を過ごしていた……と思う。

提督(……大井)

不知火「………」ジー

不知火(……いや、もしかすると、他に理由があるのかもしれない。どちらにしても、彼は私と同じ……)

不知火(クラスで孤立して、いつも1人で……そこから脱却することが出来ないままで……)

いつしか、私は彼に対して仲間意識が芽生えていた。今思えば、馴れ馴れしいことを考えていたと思う。

相手の事情を知らない癖に、勝手に自分と同じだと決め付けるなんて……失礼にも程がある。

でも、仕方なかった。何故なら、自分と似た境遇の人を初めて見つけて……どうしても、嬉しさを感じてしまったから。

不知火「………」

不知火(彼となら、友人……いや、せめて、たまに話す仲くらいには……)


――更に数週間後


提督「………」

提督(早く、大井と過ごしたい……1人は、孤独は嫌なんだ……)

不知火「……っ」ドキドキ…

不知火(い、いざ話しかけようと考えると……動機が止まらない……)

私は意を決して、彼に話しかけることにした。

緊張、恐怖、期待……様々な感情が織り交ざり、心臓の鼓動が激しくなる。

不知火「……!」フルフル

不知火(ここで怖気づいてはダメ……この機会を逃せば、下手をすると一生……!)

それでも、私は前に進むことを選んだ。もしかすると、今まで通り怖がられてしまうかもしれない。

いや、それどころか、拒絶されることもあり得る。けれど、それ以上に……現状を変えられる可能性に賭けたかった。

不知火「あ、あの……」

提督「……何だよ」

不知火「………」

提督「………」

不知火「……えっと」

提督「……何も無いなら話しかけるな」

提督(どうせ、お前達には理解出来ないだろ……俺の辛さなんて……)

不知火「………」

この時点で、私の心の中には僅かな希望が宿っていた。

普通のクラスメイトなら、私が話しかけた時点で……露骨に怯えているはずだから。

不知火「……の?」

提督「……え?」

不知火「怖がらないんですか……?」

提督「何がだよ……」

不知火「その、私を見て……」

提督「……馬鹿にしてるのか?」

不知火「いや、そうじゃなくて……他の人は、私が目を合わせただけで……怯えるので……」

提督「……別に。何の変哲も無い女子としか思えないが」

提督(確かに目つきは鋭いかもしれないが、それがどうした。俺にとって、そんなことどうでも良いんだよ……)

不知火「あ……!」パァッ

嬉しかった。私の顔を見ても怯えないどころか、普通の女子と言ってくれた。

こんなこと、人生で初めてだった。家族以外の人と、普通に会話出来たことに……興奮を抑えられなかった。

不知火「……貴方だけです」ギュッ

提督「なっ……!?」

不知火「私を見ても、怯えなかった人は……貴方だけなんです……!」

提督「ちょっ、おい!?何で手を握るんだよ!?」

不知火「え?あっ!す、すみません!つい……」スッ…

不知火(やってしまった……!あまりに感激したせいで……)

提督「………」

提督(何だ、こいつ……でも『怯えなかったのが俺だけ』って……)

提督「……なぁ」

不知火「は、はい……」

提督「もしかして、お前……友達いないのか?」

不知火「………」グサッ

不知火(事実とはいえ、いざ指摘されると……心にくるというか……)

提督「あ、すまん。別に馬鹿にしようとした訳じゃない。ただ、引っかかったんだよ……さっきの言葉が」

不知火「……さっきの、言葉?」

提督「怯えなかったのは俺だけ……それって、他の奴らはお前を怖がってたってことか?」

不知火「………」コクリ

提督「………」

不知火(……引かれたか、それとも嘘つきだと思われたかしら。でも、本当のことだから……)

提督「………」

不知火「あ、あの……」

提督「……1つ、聞いても良いか?」

不知火「……え?」

提督「お前は……1人でいることの辛さ、孤独の辛さを……知っているか?」

不知火「……!」

提督「………」ジッ

不知火「………」

不知火(さっきまでとは違って、真剣な眼差し……それだけ、重要な質問ということよね……それなら、私も真剣に返答しなければ……!)

不知火「……孤独の定義がどこまでを指すのか、何を持って孤独と断定するかは、私には測りかねます」

提督「………」

不知火「ですが、私は幼稚園から小学校卒業まで……1度も友人が出来たことはなく、常に1人で過ごしました」

提督「………」

不知火「その間、私は孤独に苦しみました。幸い、家族は傍にいてくれましたが……学校では、誰も傍にいませんでした」

不知火「ですから、私の答えとしては……学校生活における孤独については、普通の生徒より身に染みて理解しているつもりです」

提督「………」

不知火「………」

自分の意見を、自分が感じ続けて来たことを正直に、嘘偽り無く打ち明けた。

彼は口を挟まず、ただ黙って私の話を聞いていた。内心、どう考えているかは……私には分からない。

提督「……そうか」

不知火「………」

提督「悪かったな、言いづらいことを問い詰めるような真似をして」

不知火「いえ……」

提督「………」

不知火「………」

不知火(これでダメなら、もう諦めるしかないか……でも、折角見つけたのに……私と普通に会話してくれる人を……)

提督「……どうやら、お前となら気が合いそうだ」

不知火「……え?」

提督「お前の話、表情、声色から……確かに感じた。孤独を経験した人間にしか分からない、心の痛みを」

提督(大井だけだと思っていたが……まさか、こんな身近にいたとはな。視野を狭めていたせいで、全く気付かなかったが……)

不知火「あの……」

提督「………」

提督「……お前は、どうして俺に話しかけた?」

不知火「……!」

提督「いや、理由は大方想像つく。俺だって、お前の立場なら……同じことをしたかもしれない」

提督「だが、所詮は想像に過ぎない。だからこそ、お前の口から伝えて欲しい……正直な気持ちを」

不知火「………」

提督「………」

不知火「……友人」

提督「……!」

不知火「貴方と、友人に……いえ、そこまでの贅沢は言えません。せめて、軽く雑談する程度の仲に……なりたいと思って……」

提督「……そうか」

不知火「………」

提督「……俺も同じだ」

不知火「え……?」

提督「寂しかったんだよ。このクラスに、孤独の辛さを味わったことがある人間が誰もいなくて……」

提督「だから、同じ苦しみを理解する者同士……話し合える人が傍にいて欲しかったんだ」

提督(唯一の理解者である大井は、クラスが離れてしまったせいで……学校にいる間、孤独に耐えるしかないと思っていたからな……)

不知火「そ、それって……!」

提督「……10周目提督だ」スッ…

不知火「……!」

不知火(右手を差し出して……)

提督「これからは、友人として……仲良くしてくれないか?」

不知火「……は、はい!えっと、わ、私は、不知火と言います……こちらこそ、よろしくお願いします……!」ギュッ

不知火(つ、ついに……ついに私に、人生初の友人が……!)パァッ

あの日のことは、今でも忘れない……私が"初めて"、彼と友人になった日だから。

彼は、提督君は……私にとっての救世主。私の、暗闇の学校生活に……眩く、それでいて温かい光を灯してくれた人。

これからは、学校で寂しい日々を過ごさなくても良い……そう考えただけで、天にも昇れそうな心地だった。

それ以来、私と提督君はほぼ毎日行動を共にしていた。

それこそ、男女が別々になっている体育以外の全ての時間を、提督君と過ごしたと言っても過言では無い。

友人と、他愛も無い話が出来る……恐らく一般人にとってはごく普通のことでも、私にとっては幸せを感じられる時間だった。


――1ヶ月後・10周目提督家までの道


提督「さっきの小テスト、どうだった?」スタスタ

不知火「一通りは解けました」スタスタ

提督「そうか……俺は半分くらい分からなかった。不知火は頭が良いんだな」

不知火「いえ、そんな……昔から、学校では勉強しかすることが無かったので……」

提督「………」

不知火「……ですが、今は違います」ギュッ

提督「……!」

提督(俺の手を握って……)

不知火「こうして、友人がいつも傍にいてくれますから」

提督「……不知火」

不知火「………」

不知火(す、少し重い発言だったでしょうか……)

今まで友人がいなかった私にとって、提督君との距離感を測ることは想像以上に難しかった。

友人とは、どんな会話をするのだろうか。どのような態度で接するのがベストだろうか。

もしかすると、引かれてしまってはいないだろうか……そんな考えばかり、頭に浮かんでしまう。

けれど、同時に……ようやく出来た友人だからこそ、私は提督君との仲を大切にしたかった。

提督君が望むことなら、何でもしてあげたい……本気でそう考えていたほどだったから。

提督「……ありがとうな」ギュッ

不知火「あ……」

提督「俺は、自分が馬鹿だと思う。こんなに素晴らしい人がいたことを知らずに、自分が孤独だと思い込んで……」

不知火「……私こそ。提督君という素晴らしい方を知らないまま、1人で塞ぎ込んで……」

提督「……これからも、俺と友人でいて欲しい」

不知火「……!」

不知火(提督君……)

不知火「……もちろんです。提督君も、どうか私の友人でいて下さい……」

提督「当然だ。唯一無二の友人だからな」

不知火「……はい」

私の心配は杞憂だった。提督君は、私との距離感を……心地良く感じてくれていた。

『俺と友人でいて欲しい』……その言葉が、私にとって何よりも嬉しかった。

今思えば、この瞬間だったかもしれない。私が提督君に対して、友人以上の感情を抱き始めるようになったのは。











大井「………」

大井(……誰よ、その女)

そして、彼女から提督君を……結果的に、"奪う"ことに繋がったのは。

数ヶ月も経つ頃には、放課後になるとお互いの家へ遊びに行くことも珍しくない程に親しい関係になった。

この時点では、少なくとも私は……既に提督君とは、親友と呼べる仲になっていると考えていた。

直接言葉で確かめたことは無い。でも、私と提督君は……そんな確認さえ必要無いほど、お互いを信頼していたもの。

そして……今でも忘れない、いや、忘れられない日がやって来る。

"体感"では、もう何年前の話だっただろうか……"あの日"は確か大雨が降っていて、提督君の家へ遊びに行った時のことだった。

私は、提督君への想いが募りに募っていた。友人より進んだ関係になりたいという気持ちが、膨れ上がってしまっていた。


――1年後・10周目提督家


提督(14)「相変わらず、何も無い部屋だけどな……」ガチャ

不知火(14)「いえ、そんなことは……提督君の部屋、居心地が良いですから」

提督「……そう言ってくれるのは、本当に数えるほどしかいない」

不知火「………」

不知火(数えるほど……"私だけ"では無いんですね……もっとも、もう1人が誰なのかは検討がついていますが)

提督「どうして休みの日に限って、こんな大雨が降るんだろうな……昨日の天気予報では、晴れるはずだったのに」

不知火「………」

提督「で、何しようか。幸い家だけは無駄に広いから、別の部屋なら遊び道具が沢山……」

不知火「……提督君」

提督「ん?」

不知火「私達の関係って……何だと思いますか?」

提督「そりゃ、友人……いや、親友だろ?」

不知火「………」

提督「……ま、まさか違うのか?」

不知火「………」

提督「し、不知火……?俺、もしかして気に障るようなことをしたとか……」

不知火「……っ」ギュッ…

提督「……!」

提督(不知火が、抱き着いて来た……!?今まで手を握って来ることはあったが、こんなことは……)

不知火「……親友。そう言ってくれて、凄く嬉しいです」

提督「……え?」

不知火「ですが、そこから立ち止まり続けるのは……もう、耐えられないんです……」ギュウッ

提督「………」

不知火「……更に先の関係へ踏み出したい。提督君と、より親密になりたい。ずっと、貴方の傍にいたいんです……!」

提督「………」

提督(不知火……それって……)

ザーザーと雨粒が落下する音だけが響き渡り、電気がまだつけられておらず……それでいて、私達以外に誰もいない部屋。

そこの男女が抱き合っている。中学生ともなれば、これがどういう意味を指すかは……誰もが察するはず。

私は、告白したのだ。提督君のことを、異性として慕っていると。友人や親友では無く、恋人になりたいと。

不知火「………」

提督「……そんなこと言われたら、勘違いするぞ」

不知火「………」ギュウッ

提督「……!」

不知火「それはきっと、勘違いではありません……それとも、やはり直球で言った方が良いですか……?///」

不知火「恥ずかしいと言いますか、慣れないことだったので……つい、遠回しな言い方に……///」

提督「……いや、いい。今ので十分伝わった」

不知火「……重い上に、面倒な女で……ごめんなさい」

提督「馬鹿言うな。重いのは俺の方だ」ギュッ

不知火「あ……///」

提督「俺だって、不知火と……その、そういう仲になりたいと考えたことはある」

不知火「……!」

提督「でも、怖かったんだ。もし俺が告白して、今の関係が壊れてしまったら……」

不知火「………」

提督「断られるだけなら良い。でも、もし絶交なんてことになってしまったら……俺はまた、孤独になる」

提督「情けないことを言っている自覚はあるが、それでも……不知火との仲に亀裂が入るのが、怖くて堪らなかったんだ……」

不知火(提督君……)

彼は同じだった。私も、提督君と恋人になりたいと考えていても……1歩を踏み出すことが出来なかった。

今の関係が壊れてしまえば、私は再び孤独に戻ってしまう。そのリスクばかり考え、身動きが取れずにいた。

けれど、恐怖や不安以上に……提督君と恋仲になりたいという気持ちが、私に勇気を与えてくれた。

不知火「……情けないなんて、そんなことありません。私も、同じでしたから」

提督「………」

不知火「それに、凄く……嬉しいです」

提督「え……?」

不知火「提督君も、私と……親友以上の関係になりたいと、考えてくれていたなんて……///」

提督「……!」

不知火「ふふっ……///」

提督「……何だ、出来るじゃないか」

不知火「……?」

提督「表情が固いって言ってたけど、今の笑顔……柔らかくて、自然で……凄く、綺麗だった」

不知火「あっ……え、えっと、そう……ですか……?///」

提督「……俺の彼女として、自慢したくなるくらいにはな」

不知火「……!///」

初めて褒めて貰えた。家族以外の人に……私の表情を。

今まで怯えられたり、引かれてばかりだった表情を……私のコンプレックスだった表情を。

それを、提督君に……友人で、親友で、恋人になりたい相手に……綺麗だと、言って貰えた。

提督「いや、自慢する相手なんてゼロに等しいけどさ……」

不知火「……っ!///」グイッ

提督「うわっ……!?」ポフッ

不知火「……提督君のお陰です///」ギュッ

提督「いや、あの……///」

不知火「提督君が、私の強張った表情を……和らげてくれたんですよ……?///」

提督「……し、不知火。この体勢はまずいって……///」

不知火「……///」

不知火「……良いんですよ?///」ボソッ…

提督「うぁっ///」ビクッ

不知火「私だって、分かってて……やってますから……///」ボソボソッ…

提督「ちょっ、耳にささやくのは……///」

あまりに感激してしまい、私は提督君をベッドに押し倒してしまった。

もちろん、"そうなる"ことは覚悟の上で。彼の耳元で呟くのも、彼を刺激する為。

提督「……本当に、良いのか?///」

不知火「……///」コクリ

提督「不知火のような、美人で可愛い女の子が……俺なんかで……///」

不知火「"なんか"ではありません」

提督「……!」

不知火「提督君"でないと嫌"、なんです……///」

提督「……不知火っ!///」

不知火「あっ……///」

この日、私と提督君は身も心も1つになった。お互いに心を通わせ、肌も重ね合わせた。

私の人生で、1番幸福を感じた瞬間だったと思う。あの一時は、今でも強く記憶に残っている。

提督君に求められて、私も彼を求めて……時間を忘れて、ただひたすら行為に励んだ。


――数時間後


提督(全裸)「……///」

不知火(全裸)「……///」

提督「……一線、超えちまったな///」

不知火「……///」コクリ

提督「まさか、恋人同士になって……その日の内に、とはな……///」

不知火「……///」

提督「しかも、こんな時間に……どうする?俺、不知火の両親に謝りに行った方が……///」

不知火「……いえ、私がLINEで連絡しておきます。この時間を、誰にも邪魔されたくありませんから///」

提督「そ、そうか……///」

不知火「……///」ギュッ

提督「……!///」

不知火「今夜は、一緒にいて下さい……もっと、提督君を感じさせて下さい……///」

提督「……分かった///」ギュッ

不知火「……♪///」

結局、この日は提督君の家に泊まることになった。

一緒に入浴したり、同じベッドで眠ったり……2人きりの時間を過ごすことが出来た。

当然、翌日帰宅した時には両親から叱られてしまったけれど……正直、話は頭に入って来なかった。

提督君と、恋人同士になれた。身も心も1つになった。それだけで、私の心は幸福で包み込まれていたもの。

けれど、提督君と付き合う以上……どうしても避けては通れぬ道があった。

彼女への……大井さんへの報告だ。提督君の幼馴染である以上、黙っている訳にはいかなかった。

当時の私は、提督君の話でしか彼女を知らなかった。同じ学校だったけれど、顔を合わせる機会もほとんど無かったから。


――数日後・大井家


大井「………」

提督「その、さ……俺達、付き合うことになったんだ」

不知火「………」ペコッ

大井「………」

提督「決して隠してたわけじゃない。ただ、中々話す機会が無くて……すまん」

大井「………」

不知火「………」

提督「でも、これからも俺と大井は幼馴染だ。遠慮せず、これまで通り過ごしていこう」

大井「……そうね」

不知火「………」

不知火(……き、気まずい。何か話しかけなければと思っても、私は大井さんとほとんど接点がありませんし……)

提督「突然邪魔して悪かったな。それじゃ……」

不知火「………」ペコリ

ガチャ バタン…

不知火「……すみません。私、何も言えないままで……」スタスタ…

提督「いや、気にしなくて良い。俺だって、不知火の立場なら……どうすれば良いか分からなかったから」

提督「でも、隠すのもどうかと思ってさ……俺の方こそ、無理言ってついて来させて悪かった」

不知火「そんな、提督君が謝ることではありません!私がもう少し、しっかりしていれば……」アセアセ

不知火(……あの、まるで信じられないものを見たかのような表情。もしかして、大井さんも……提督君のことを……)チラッ

不知火「……っ!?」

提督「……どうした?」

不知火「い、いえ、何でもありません」

提督「……?」

見てしまった。見えてしまった。窓の向こう側、家の中で……大井さんが、大暴れしていた様子を。

部屋中の物を破壊して、衝動のままに怒り狂っていた様を。

けれど、それを提督君に伝えることは出来なかった。出来るはずが無かった。

彼女がそうなってしまったのは、紛れも無く私のせいだから……少なくとも、"この時点では"そう考えていた。

もっとも、"繰り返す"内に……そんな考えも、無くなってしまったけれど。

それから私と提督君は、学校内でも有名なカップルになった。

平日はもちろん、休日も常に一緒に過ごした。私が提督君の家に泊まっては、肌を重ね合った。

時折、大井さんから睨まれることもあった。最初は気まずさを感じていたけれど、徐々に慣れていった。

受験生になる頃には『大学を卒業したら結婚しよう』と約束するほどになっていて、両親達からは呆れられつつも応援して貰えたことを覚えている。

そして、提督君と2人で受験勉強もこなし……無事にお互いの志望校である10周目高校へ進学することになった。

ここでも私と提督君は運命の糸で結ばれていたのか……3年間同じクラスになることが出来た。


――"本来の"現在・10周目高校


迅鯨「ではHRを終了します。今日習ったことは、しっかり家で復習して下さいね?」

提督(17)「ふぅ……ようやく終わったか」

不知火(17)「はい。提督君、今日の授業は理解出来ましたか?」

提督「何とかな。ただ、数学は正直……」

不知火「そう言うと思いました。今日"も"教えましょうか?」

提督「頼む。先生より不知火の説明の方が分かりやすいんだよな」

不知火「……そう言って貰えると、嬉しいです///」

提督「で、その後は……」

不知火「……///」コクリ

提督「分かった。じゃ、早速帰ろうぜ」スッ…

不知火「はい……///」ギュッ

スタスタ…

迅鯨「………」

迅鯨(まさか、提督君に恋人が出来ていたなんて……いや、何を考えてるの私は!?)フルフル

迅鯨(確かに私はその、提督君と親しくなって……恋人とか家族になりたいと考えることもあったけど……)

迅鯨(提督君が既に幸せを掴んでいるのなら……私が横入りして良いことじゃない)

迅鯨(そもそも、提督君が"あの日"のことを覚えているとは限らないもの……)

迅鯨「……応援、してるからね?」ボソッ

迅鯨(だから、私はあくまでも教師として……提督君の幸せを祈らなきゃ。今の私に出来ることは、それくらいしかないわよね……)

不知火「……提督君。私、幸せです……」スタスタ…

提督「……俺もだよ、不知火」スタスタ…

――現在・10周目高校


不知火「………」

不知火(……今の私に、当時の思い出を懐かしむ資格は無い)

自分の心の弱さが原因で、提督君に別れを告げた。提督君を傷付けてしまった。

それなのに、私は提督君へ強い未練を抱いてしまっている。

こんなこと、許されるはずが無い。本当なら、私は恨まれても仕方ないことをしてしまったのだ。

不知火「……っ」ギリッ…

不知火(その癖、私は結局……)

どうして、もう少し早く"あの現象"が止まらなかったのか。

どうして、私が己の弱さに負けてしまった後で……今更、"現象"が止まったのか。

考えれば考えるほど、自分への苛立ちと"現象"への怒りで狂いそうになる。

不知火「………」グッ…

不知火(どうして……どうして、私は……後少し、耐えられなかったの……)ググッ…!

"何度も戻された"?そんなものは言い訳だ。

提督君にとっては、初めて私と付き合ったことになっているのだから。

それなのに、私は一方的に別れを切り出してしまった。

そんな酷い行いをしてしまった私のことを、提督君は……今でも、気遣ってくれる。

不知火「……ッ!」ググッ!

不知火(今更、こんな仕打ちだなんて……そんな、ことって……!)ツー…

ポタッ…

不知火「………」

あまりに強く握り締めてしまったせいで、手のひらから血が垂れてしまっている。

けれど、提督君が感じた痛みは……きっと、この程度のものじゃない。

さっきの、提督君の寝言……夢の中でも、私がいた。私は未だに、彼を苦しめてしまっていた。

そして、提督君は『もう1度、不知火とやり直したい』と言っていた。

不知火「……提督、君」ジワッ…

不知火(ごめんなさい……弱い私で、ごめんなさい……貴方を傷付けてしまって、ごめんなさい……)ウルウル…

それでも……私は、彼と元の関係に戻ることは出来ないだろう。

今は止まっているとはいえ、再び"あの現象"が起こらない確証は無い。

あの地獄を、もう1度繰り返されることを考えると……提督君と関係を深めるのが、怖い。

また、無に帰されてしまう辛さを味わわされることを想像するだけで……正気を保っていられなくなる。

不知火「………」スタスタ…

不知火(提督君……)

~ 6月2週 ~

――10周目高校・教室


家政婦「……本日はよろしくお願い致します」ペコリ

迅鯨「あっ、は、はい!こちらこそ……」ペコッ

迅鯨(去年も、家政婦さんが来てくれたのよね……やっぱり、提督君のご両親は……)

家政婦「本来なら、10周目提督様も同席して頂かなければならないのですが……」

迅鯨「………」

迅鯨(予想はしていたけれど、提督君は無断欠席か……)

家政婦「お恥ずかしながら、私で良ければ10周目提督様について答えさせて頂きます」

迅鯨「……ありがとうございます。じゃあ、えっと……提督君は、去年と比べて……」

家政婦「………」フルフル

迅鯨「そう、ですか……」

家政婦「……10周目提督様のご様子がおかしいことは、何年も前から分かっていました」

迅鯨「え……?」

家政婦「それでも、家政婦という立場上……出過ぎた真似をすることは出来ません」

迅鯨「………」

家政婦「その結果、10周目提督様は……心を閉ざしてしまったのです」

迅鯨「………」

家政婦「私が未熟なばかりに、こんなことになってしまって……本当に、何とお詫びを言えば良いことか……」

迅鯨「……そんなことありません。私こそ、提督君に……全然、教師らしいことをしてあげられないままで……」

家政婦「………」

迅鯨「………」

迅鯨(……そうよね。家政婦さんだって、辛くない訳が無い……ご両親以上に、提督君を傍で見て来たらしいから……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:9/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:8/50
↓3不知火のコンマ      未練度:72.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:71/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

不知火は何をしている?もしくは提督と不知火は何をしている?

23:47以降から先着3つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし23:51までに3つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

今回はここまでです。お付き合い頂きありがとうございました!
まさか回想パートその1でここまでの量になってしまうとは思いませんでした(白目)。
更新頻度が安定せず申し訳ございません。もしかすると、場合によっては深夜に更新を行うことになるかもしれません。

次の更新は未定です。上手くいけば数日以内に更新出来ると思います。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。

19:00~19:30頃開始予定です。

始めます。

――放課後・10周目提督家までの道


提督「………」スタスタ…

不知火「………」スタスタ…

不知火(……私は一体、何をやっているのかしら。未練がましく、提督君の後をつけるような真似をするなんて……)

不知火(この前の『やり直したい』という言葉に影響されたから?それとも、単に私が情けないだけ?)

提督「………」スタスタ…

不知火「………」スタスタ…

不知火(……両方か。私は、どこまで愚かなの……?自分の心の弱さが原因で、彼を傷付けて……)

不知火(その癖、"例の現象"が起こらなくなれば……こうしてまた、彼との復縁を望むだなんて……)

提督「………」スタスタ…

不知火「……っ」スタスタ…

不知火(自分で自分が、憎くて……堪らない。どうして、提督君は……こんな私のことを、今でも……)

不知火(『やり直したい』と、言ってくれるんですか……?)

提督「………」スタスタ…

不知火「………」スタスタ…

不知火(私は貴方の隣にいる資格はありません……あんなことを、告げてしまったのだから……)

不知火(それなのに、どうして……どうして、なんですか……?)

不知火「……提督君」ボソッ…

不知火(どうして……)

提督「………」


未練度上昇率判定:この後どうなる?

01~49:提督、そのまま自宅へ戻る
未練度上昇:小 ×1.0
50~98:不知火が引き返した直後、背後から気配を感じた提督が振り向き……
未練度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:提督「……不知火?」
未練度上昇:大 ×2.0

直下

未練度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

09→90:もう少し気付くのが早ければ…… 2×1.5=3 3+72.5=75.5/50


不知火「………」フルフル…

不知火(……こんなことをしたところで、無駄よね。例え、提督君が復縁を望んでくれていたとしても……)

不知火(私の方が、きっと……それを受け入れられない。かつて別れを告げてしまった罪悪感と……)

不知火「………」クルッ…

不知火(また、"例の現象"が起こるかもしれない……その恐怖と絶望が、私の心を締め付けてしまうから……)

不知火「………」スタスタ…

提督「……?」

提督(さっきから、誰かが俺を……いや、流石に自意識過剰か。そんな物好きがいる訳……)クルッ

提督「……えっ」

不知火「………」スタスタ…

提督(不知火……?)

背後から気配を感じ、振り返ってみれば……最愛の人がいた。

しかし、どうして不知火がここにいるかが分からない。理解出来ない。

不知火の家は、この道では無かったはずだ。途中で曲がるのだから、この道を通ることはまずあり得ない。

提督「しらぬ……」

提督(……待てよ、俺。声をかけたところで、どうするって言うんだ)

不知火が何故この道を歩いているのか、その理由は問題じゃない。

俺は既に、不知火に"裏切られている"。別れを突きつけられている。

そんな奴が、不知火に話しかければ……迷惑極まりないじゃないか。

提督「……っ」クルッ

提督(……帰ろう。これ以上、不知火に軽蔑されれば……俺の心は、きっと……持たないだろうから)

不知火へ声をかけたい、話しかけたい、また他愛もない話をしたい。

そんな、強烈な未練と欲求を無理矢理抑え込んで……俺は家へ向かう。

出来ることなら、今すぐにでも駆け寄りたい。力の限り、優しく抱き締めたい。

提督「………」スタスタ…

提督(でも、それは叶わないんだ……)

~ 6月3週 ~

――夕方・10周目提督家への道


提督「………」スタスタ…

大井「………」スタスタ…

大井がこうして隣にいるだけで、俺は誤魔化すことが出来る。目を背けることが出来る。

不知火がいないことによる孤独や、肉便器に手を出したことへの後ろめたさを。

最低なのは分かっている。だが、大井も俺を求めているのだから、別に構わないだろう?

提督「……なぁ、大井」

大井「……えぇ」

提督「……すまん」

大井「だから、謝らなくて良いのよ。お互い様なんだから」

提督「………」

「きゃっきゃ♪」

提督「……ん?」

大井「あ……」



8周目娘「でぃた!」

大井(8周目)「……立派な砂のお城ね」

8周目娘「うんっ!」ニパッ

大井(8)「………」ナデナデ…

8周目娘「えへ~♪」



提督「……いつ見ても瓜二つだな。本当に……」

大井「……赤の他人よ。間違い無く」

提督「………」

公園の前を通りがかると、それなりの頻度で彼女を目撃する。

大井とは双子の姉妹と言われても信じてしまうほどに、そっくりな彼女。

大井「ただ、男との関係で揉めたのは似てるかも……」

提督「……確か、元カレに浮気されたんだっけか」

大井「えぇ。あくまで噂だけどね……私の場合、立場が逆かしら」チラッ

提督「……そう、だな」

大井に似た彼女が浮気"された"奴なら、大井は浮気"相手"に近い存在と言えるだろう。

もっとも、不知火とは既に破局してしまっている以上、これが浮気に当てはまるかは知らないが。

何にせよ、俺と大井には無関係だ。彼女がどんな人生を歩もうが、心底どうでも良い。


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:9/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:8/50
↓3不知火のコンマ      未練度:75.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:71/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

ビスマルクは何をしている?もしくは提督とビスマルクは何をしている?

20:15以降から先着5つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし20:19までに5つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※R-18系安価の場合、『提督やビスマルクが社会的・物理的に死ぬ内容』、『提督とビスマルクの関係が周囲にバレてしまう内容』、『大井を含めた3P』等はNGです。

――10周目提督家・ビスマルクの部屋


ビスマルク「………」

ビスマルク(『風呂入ったら、部屋で待ってろ』か……どうせまた、酷いことをされるのかしらね……)

ビスマルク(それに、私も……あいつに襲われれば、体が反応してしまって……)

ガチャ…

ビスマルク「……!」

提督「………」

ビスマルク「……随分と待たせるじゃない。やるならさっさとやりなさいよ」

提督「チッ……相変わらず、肉便器の癖に生意気だな」

ビスマルク「ふん……」

提督「………」

大井はストレスを忘れる相手。それに対し、こいつはストレスや性欲をぶつける相手だ。

我ながら、最低な物言いだとは思う。そもそも、こいつを買うと決めた時も……半ばヤケクソだったからな。

提督「………」

ビスマルク「……何黙って突っ立ってるのよ。いつもみたいに、私を凌辱するんじゃないの?」

提督「………」

そうだ。俺はこいつに、風呂を済ませたら部屋で待機しろと命令しておいた。

理由はもちろん、学校で感じたストレスをこいつで晴らす為だ。

提督(……そう、思っていたはずなんだが)

ビスマルク「………」

提督「……っ」

提督(……いや、ヤる前から賢者になってどうするんだ。そういうのは、ヤってから後悔すれば良いだろ)

頭では分かっていた。こいつで性欲とストレスを発散したとしても、孤独は埋まらないことに。

それどころか、自分が人としての道をどんどん踏み外し……戻れない領域まで突き進んでしまうのではないかという、漠然とした不安さえある。

それを、無理矢理かき消して……いつもなら、こいつの体を貪っていた。そうすることで、罪悪感を忘れようとした。

ビスマルク「……?」

ビスマルク(何か、様子がおかしいような……いつもなら、もっと容赦無く私を嬲るのに……)

提督「……糞っ」

提督(相手は肉便器だぞ?人間の尊厳も糞も無い奴なんだ……それなのに、俺は……)

ビスマルク「……ちょっと、本当にどうしたのよ。いつもの貴方らしくもない」

提督「うるさい……黙れ……」

ビスマルク「覇気が無い言葉で凄まれたところで、ちっとも怖くないわ」

提督「くっ……」

ビスマルク「………」


調教度上昇率判定:この後どうなる?

01~49:提督「……今日はやめだ」
調教度上昇:小 ×1.0
50~98:ビスマルク「……何かあったの?」
調教度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:提督「……今から話すのは独り言だ。お前は黙って聞け」
調教度上昇:大 ×2.0

直下

調教度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

少し休憩します。22:00~22:30頃再開予定です。

再開します。

43→34:決して後ろめたさが無い訳じゃない、が…… 4×1.0=4 4+9=13/50


提督「……やめた」

ビスマルク「え?」

提督「そんな気分じゃなくなったってことだよ。言わないと分からないのか」

ビスマルク「………」

提督「……チッ」

こいつ、露骨に怪しんでるな……いや、それとも驚いてるだけか?

どっちにしろ、今日はもうこいつを犯す気分にはなれない。

襲った後ならまだしも、襲う前からこんな調子じゃ……恐らく、このまま続けようとしても途中でやめるのが目に見えてる。

ビスマルク「……それは何に対する言い訳かしら?」

提督「は?」

ビスマルク「本当は、別の理由があるんじゃないの?」

提督「……どういう意味だ」

顔には出さず、態度にも出さない……そう心がけていても、僅かな動揺を隠し切れない。

まるで、心の中を覗かれているような……待て。こいつは俺がいないと路頭を迷うしかない肉便器だ。

所詮は金持ちから落ちぶれた可哀想な女に過ぎない。そんな奴に、俺の真意を見抜くことなんて出来るはずが無い。

ビスマルク「さぁね。そんなこと、私が知るはず無いじゃない」

提督「………」

ビスマルク「ただ、少し気になっただけ。いつもの貴方なら、有無を言わさず私を犯す癖に……」

ビスマルク「突然それをやめるだなんて、私には話せない理由があるとしか思えないわよ」

提督「………」ガチャ…

ビスマルク「………」

提督「……そんな訳、無いだろ」

ビスマルク「………」

ビスマルク(見え透いた嘘ね。貴方、気付いてないの?普段、私を襲う時より……酷い顔をしていることに)

バタン…

言えるはずが無かった。どうせ、お前を襲ったところで不知火は戻って来ないだなんて。

そんなことを言えば、ますますあいつが調子に乗るだけだ。

俺があいつの主人、いや、持ち主である以上……弱みを見せて、舐められるような真似は出来ない。

提督「……畜生」

提督(肉便器如きに、迷いを見抜かれちまうなんて……明日、大井で心を落ち着かせるか……)

~ 6月4週 ~

――不知火家


不知火「………」スタスタ…

不知火(宿題は終えたし、夕食も入浴も済ませた。後は寝るだけね……)

不知火父「……ただいま」ガチャ

不知火「……!」

不知火父「………」

不知火「……お帰りなさい」

不知火父「……不知火」

不知火「………」スタスタ…

不知火父「……はぁ」

不知火父(最近、娘が目に見えて元気を無くしている……決定的なのは、やはり"提督君と別れた日"か……)

不知火父(理由を尋ねようにも、これはデリケートな問題だ……場合によっては、人の心に土足で踏み込むことになりかねない)

不知火父(そう思って、娘が立ち直るのを黙って待ち続けたが……その兆しは一向に見えない)

不知火父(やはり、拒絶されてしまうのを覚悟した上で……踏み込むしかないのだろうか……)

不知火祖母「……父君」

不知火父「っ、お、お義母さん……ただいま、帰りました」

不知火祖母「えぇ、お帰り……ぬいちゃんのことかい?」

不知火父「……はい」

不知火祖母「あの子、本当にどうしちゃったんだろうね……話を聞こうとしても『大丈夫』としか言わないから……」

不知火父「……お義母さんにも、話さないんですか?」

不知火祖母「………」コクリ

不知火父(不知火……一体、どうして……)


――不知火の部屋


不知火「………」

不知火(……馬鹿ね、私。両親のことを、自分より年下かもしれないと考えてしまうなんて……)

不知火「………」

不知火("今まで"のことを話したところで、信じて貰えるとは思えない。仮に話そうと思っても、どう伝えれば良いか分からない……)

不知火(そう考えている内に、家族との距離感さえ……って、この葛藤自体、何度も……)

不知火「……っ」


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:8/50
↓3不知火のコンマ      未練度:75.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:71/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

大井は何をしている?もしくは提督と大井は何をしている?

22:34以降から先着5つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし22:38までに5つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※R-18系安価の場合、『激しいプレイやアブノーマルなプレイ』、『コンドーム不使用のセックス』、『ビスマルクを含めた3P』等はNGです。
基本的に『お互いを物理的・精神的に傷付けない穏やかなセックス』のみと考えて頂ければ幸いです。
また、セックスする場所も提督もしくは大井の自宅、ラブホテル等に限定させて頂きます。

ビスマルクの分を大井に叩きつけるようにヤル

相合い傘で帰る

>>159は連取りになるので、今回は>>163を採用させて頂きます。

――放課後・10周目高校

ザーザー…

大井「……嘘」

提督「………」

俺にとって無意味で苦痛な授業を終え、ようやく家へ帰れると思った矢先にこれである。

確かに、天気予報では午後から小雨が降るかもしれないとは言われていたが……土砂降りじゃないか。

大井「何で、よりによって傘を持って来てない日に……」

提督「……傘、持ってないのか」

大井「えぇ。まさかこんな大雨が降るとは思わなかったもの。全く、ついてないわ……」

提督「………」

提督(……そんなことも、あったっけな)

大井「雨宿りするか、ずぶ濡れ覚悟で走り抜けるか……」

提督「……ほら」スッ…

大井「え?あっ……」

提督「家政婦から、傘を持たされてたんだよ。大井さえ良ければ……これで、一緒に帰らないか?」

大井「………」

提督「………」

大井「……私が、提督からのお誘いを断ると思う?」

提督「……いや」

提督(一応、確認しただけだ……他意は無い)

――10分後・10周目提督家までの道

ザーザー…

提督「………」スタスタ…

大井「………」スタスタ…

提督「……肩、濡れてないか?」

大井「……大丈夫。提督こそ……」

提督「心配無い。無駄に金かけてる傘だし、2人入っても十分だろ?」

大井「………」

提督「………」

2人で1本の傘を使う、所謂相合傘だ。もっとも、俺達の関係を考えればカップル等という甘いものじゃないが。

今も、俺と大井の間には……どこか心地良く、それでいて、どこか気まずい無言の時間が流れている。

ピシャピシャと濡れた地面を踏む足音に、今も振り続ける雨の音だけが……ただひらすら鳴り響く。

提督「………」スタスタ…

大井「………」スタスタ…


依存度上昇率判定:この後どうなる?

01~49:提督、不知火との思い出が……
依存度上昇:小 ×1.0
50~98:大井「……まるで、世界に2人だけしかいないみたいね」
依存度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:提督、この時間に安らぎを感じてしまう
依存度上昇:大 ×2.0

直下

依存度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

今回はここまでです。お付き合い頂きありがとうございました!
次は大井の回想パートその2からです。不知火同様、今回とリーチ時で回想パートを2分割(前回を合わせると合計で3分割)することになりそうです(白目)。

次の更新は未定です。上手くいけば数日中に更新出来ると思います。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。

22:30~23:30頃開始予定です。今回は回想パートの投下のみになると思います。

始めます。

37→73:それはそれで、良いかもしれない 7×1.5=10.5 10.5+71=81.5/100 


大井「………」スタスタ…

提督「………」スタスタ…

あれから、俺達はほとんど会話をしないまま……ただひたすら、家へ向かっている。

俺にとっては、寂しさを埋めてくれるに値しない人間しかいない場所へ。

大井にとっては、自分を迎えてくれる人間が誰もいない場所へ。

飴に濡れないよう、お互いの身体を寄せ合いながら。だが、そこに青春なんてものは存在しないが。

大井「………」スタスタ…

提督「………」スタスタ…

雨が降っているせいか、周囲に人影はいない。それでいて、俺達の間に会話も無い。

沈黙の時間が続くのは少し居心地が悪いとは思うものの、この場に相応しい話題なんて持ち合わせていない。

大井で心を慰め、肉便器でストレスを発散する……そんな日々を送る俺に、健全な会話など出来るはずが無いだろう。

提督「………」

大井「……不思議ね」

提督「……ん?」

大井「誰もいない道を、2人で歩いていると……世界には、私達だけしかいないように感じるわ」

提督「………」

大井「それだけじゃない。普段の私達も、きっと……そうなのかも」

提督「普段……」

大井「提督も私も、自分を理解出来る人としか関わろうとしない。そのせいで、見える世界が狭くなっていって……」

大井「結果的に、2人しかいない世界に取り残されてしまうの。もちろん、厳密には2人"だけ"という訳じゃないんだろうけど」チラッ

提督「………」

大井「今の状況は、そんな私達の心情を……的確に表してると思わない?」

提督「……そう、だな」

否定出来なかった。確かに俺は、自分で自分の視野を狭めてしまっている。

現に、不知火という素晴らしい女性と巡り会ったことで、それを自覚したほどだからな。そしてそれは、大井も同じなのだろう。

こいつの孤独の辛さを理解出来るのは……少なくとも、周囲には俺しかいないのだから。

大井「………」

大井(……本当は、私の世界は狭いなんてものじゃない。提督しか"いない"んじゃなくて……提督しか"見えない"から)

大井「………」スタスタ…

提督「………」スタスタ…

狭い世界、とは言ったけれど……この状況、当時の私の精神状態と似てるかもしれない。

提督が、あの女に奪われたと知った時……生きる希望を失ったと考えたから。

何なら、この孤独な世界で生きている意味さえ分からなくなってしまったほどだから。

大井「………」

大井(あの頃の私は、本当に酷いものだったわね……今も大して変わらないけど、あの頃よりはマシだと断言出来るもの)

思い出したくもない嫌な記憶というものは、忘れようと思っていても脳にこびりついてしまう。

今だって、こうして……思い出そうとしてしまっている。私にとって、記憶から抹消したいほどに辛かった日々を。


――数年前・有名私立中学校


大井(13)「………」ハイライトオフ

大井(提督……提督……)

あの女が提督を奪って行った"あの日"以来、私は生きたまま死んでいた。

誇張表現なんかじゃない。本当に、生きる屍のような状態になっていた。

大井(提督……提督……)

焦点があっていない視線。青白い顔。ただうわ言のように、心の中で提督の名前を呟くだけ。

はっきり言って、周りから見れば異常者だったのかもしれない。

もっとも、私にとって赤の他人などどうでも良かった。私を癒してくれるのは、提督だけだったから。

大井(提督……提督……)

その提督が、あの女に奪われてしまった。私の隣から、引き離されてしまった。

提督に孤独を消してもらおうにも、あの女はいつも提督の傍にいた。私の居場所を独占していた。

それだけで、私の心は殺されたも同然だった。故に私は、生きながらにして死ぬことしか出来なかった。

大井「……っ」ギリッ…!

大井(あの女さえ、いなければ……)

当然ながら、あの女を殺すことも考えた。始末してしまえば、居場所を取り戻せると考えたから。

だけど、それはどうしても出来なかった。

大井「……でも」

大井(そんなことをすれば、きっと……提督に嫌われる。そうなってしまえば、私はもう……)

提督に嫌われたくない。拒絶されたくない。その気持ちだけが、私を辛うじて人の道に引き留めてくれた。

仮にも依存し、片思いしている相手に拒絶されてしまえば……ただでさえ限界を超えていた私の心は、完全に壊れてしまう。

後は孤独と絶望で潰れてしまい、自ら命を絶つだけ。自分の末路ながら、ここまで鮮明にイメージ出来るのが恐ろしい。

逆に言えば、提督が私を拒絶しないという確信さえあれば……きっと私は、躊躇なくあの女を殺していたでしょうけどね。

そんな状態の私だったけれど、実は……あることに気付いていた。

普通の人間なら『微笑ましいカップル』と思うか『自分ばかり恋人を作って悔しい』と思うだけかもしれない。

でも、それは違う。あの女が、提督と過ごしている時の態度に……既視感を抱いたもの。


――約1年後・10周目提督家までの道


大井(14)「………」スタスタ…

こんな、ストーカー紛いのことをしたところで……あの女に夢中になっている提督が、振り向いてくれるはずがない。

それでも、こうでもしなければ……私の心は耐えられなかったかもしれないから。

大井「………」

大井(……あっ)

だけど、そのお陰で気付いたことがある。提督の隣にいる、あの女は……

提督(14)「なぁ、今日も一緒に勉強しないか?」スタスタ…

不知火(14)「………」スタスタ…

提督「……不知火?」

不知火「……良いですよ」

提督「……!」

不知火「勉強ですよね……予定なら大丈夫ですから」

提督「そ、そうか……ならこの後、俺の家で……」

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(この会話も、"何度目"でしょうか……もう、一字一句反復出来てしまうほどに……)

大井「………」

大井(……"同じ")

私と"同じ"顔色だった。この世の全てに絶望して、希望を見失ってしまい、生きながらにして死んでいる顔。

まさに今、私が浮かべている表情と"同じ"。一般人は気付かなくとも、私は瞬時に理解した。

理由は分からないし、知りたくもない。ただ、私にとって……これは朗報だった。

大井(……提督が、戻って来るかも)

あの女が提督と歩いている時、"同じ"表情を浮かべているということは……もしかすると、提督と過ごすのが苦痛なのかもしれない。

そうすれば、あの女が提督に別れを告げるかもしれない。そして、提督が……再び、私のことを見てくれるかもしれない。

大井「………」ギュッ…

私は、僅かな希望を見出し……それに縋ることしか出来なかった。提督とあの女が別れることだけを望み続けた。

そして、その望みは……私の予想は、見事的中することになる。

――約1年後・10周目提督家までの道


大井(15)「………」スタスタ…

大井(あの女が提督と別れることを祈りつつ、提督を遠巻きに眺めるだけの日々……)

大井(一体、いつになったらあの女は提督から離れるのよ……あんなに嫌そうで、辛そうな顔をしてる癖に……)

提督(15)「………」トボトボ…

大井「……?」

大井(……提督?いつもなら、あの女と一緒に歩いてるはずなのに……)

大井「………」スタスタ…

提督「………」トボトボ…

大井「……ね、ねぇ」

提督「………」トボトボ…

大井「提督……ちょっと、聞いて……っ!?」ビクッ

提督「……大井、か」ハイライトオフ

大井「………」

大井(……何かあったわね。確実に……)

私やあの女と同じか、それ以上に……死相が見えている、提督の顔。

それだけじゃない。今にも消えてしまいそうな、か細く掠れ果てた声。

むしろ生きているのが奇跡とも言えそうな、憔悴しきった表情。そんな状態の提督を一目見た瞬間、私は察した。

もちろん、それが正解とは限らない。思い込みで決め付けて、提督を傷付けてしまうことだけは避けないといけない。

だから私は、慎重に……出来る限り、言葉を選んで探ることにした。

大井「……どうしたの?1人で歩いてるなんて」

提督「………」

大井「もしかして、彼女と喧嘩でもしたとか……」

大井(流石に『別れた』なんて言えないから、まず『喧嘩』の線を疑う。あの女が関係することなら、きっと何かしらの反応があるはず……)

提督「………」

提督「……た」

大井「え?」

提督「……裏切られた」

大井「裏切られた……?」

提督「……不知火に」

大井「……!」

提督「はは……俺、不知火に"裏切られた"んだ……捨てられたんだ……」

大井(やっぱり……ついに、ついに提督が……あの女と……!)

不謹慎だとは思うけど、正直に言ってしまえば……飛び上がりたくなるほどに嬉しかった。

提督が、あの女と決別した……いや、実際にはあの女から別れを切り出されたみたいだけど。

とにかく、私は感激した。これでまた、提督と一緒にいられる……既に死んでいた心が、蘇っていくのを実感した。

大井「………」フルフル

大井(いけない、今は落ち着いて提督の話を聞かないと……)

提督「何がいけなかったんだろうな……自分で考えても、分からなくてさ……」

提督「もちろん、不知火にも理由を聞いたけど……全然、答えてくれなくて……」

大井「………」

提督「俺、馬鹿だよな……恋人が出来て、1人で舞い上がって……そのせいで、捨てられて……」

提督「ようやく、孤独から抜け出せたと思ったんだけどな……実際には、俺の勘違いだったなんてな……」

提督「謝罪したくても、不知火は俺を避けようとするし……やっぱり俺、救いようの無い馬鹿だよな……」

大井「て、提督……?ちょっと、大丈夫……?」

提督「はは……」トボトボ…

提督(やっぱり、俺は孤独なんだな……好きな人さえ、俺から離れて行くんだもんな……)

提督(俺なんかが、人の温もりを求めようとしたのが……いけなかったのかもな……)

提督「………」トボトボ…

大井「……っ」ギリッ…!

落ち着こうとするまでもなく、私の心は急速に冷え込んでいく。

提督をあの女から取り返すことが出来た喜び以上に……怒りが込み上がってくる。

大井(どうして提督を傷付けた?どうして提督に別れを告げた?そもそも、どうして提督と付き合った?)

大井(提督が何をしたというの?あんなに幸せそうだったのに、どうして……何が不満だって言うのよ……!)

今思えば、当時の私も提督と同じくらい……情緒不安定だったのかも。

歓喜の気持ちはいつの間にか消え失せ、すっかりあの女への怒りと失望で思考が埋め尽くされていく。

――数日後・正門前


大井「………」

トボトボ…

大井「……!」

提督「………」

大井「て、提督……その、良かったら、一緒に帰……」

提督「………」トボトボ…

大井「………」

大井(今日もダメ、か……提督、あれから何度声をかけても……まともに取り合ってくれないというか……)

毎日、正門前で提督を待つ。そして、校舎から出て来たところで声をかけても……無視されてしまう。

いや、もしかすると、本当に私の声が耳に届いていないのかもしれない。

それほど、あの女に別れを告げられたショックが深かったんだと思う。むしろそうとしか考えられない。

トボトボ…

大井「……!」

不知火「………」トボトボ…

大井「……っ」

大井(あいつのせいで……あいつのせいで、提督は……)

我ながら矛盾していると思う。提督と別れることを望んでおきながら、いざ破局すると苛立ちを感じるなんて。

それでも、好きな人を傷つけた相手を好意的に見ろというのは無理に決まってる。

いや、それだけじゃない。私はあの女を見て、更に憎しみを抱いていた。

不知火「………」トボトボ…

大井「……どうして」

大井(どうして、アンタがそんな辛そうな顔してるのよ……本当に辛いのは、提督なのに……!)

自分が提督に別れを切り出した癖に、さも被害者のような面をしているのが気に食わなかった。

未だに"同じ"顔をしているのが、腹が立って仕方が無かった。

だからこそ、私はあの女から事情を聴くことはしなかった。あんな奴の話なんて、聞きたくもなかったから。

それからというものの、提督があの女と別れたことは……私にとって、状況が好転するものでは無かった。

以前より塞ぎ込んでしまった提督は、私の声にほとんど反応しなくなってしまったから。

ただ、提督が誰とも付き合っていないという事実は、ほんの少しだけ私の心を軽くしたけれど……所詮は気休めにしかならない。

孤独に苦しみながら、ただひたすら放課後の時間を待つだけの日々を過ごすしかなかった。


――約半年後・教室


大井「………」カキカキ

モブ子a「ねぇ、志望校どこにした?」

モブ子b「私は○○高校かな?家から近いし」

大井(……くだらない)カキカキ

私の居場所は提督の隣だけ。それ以外の場所は、孤独に耐えるしかない地獄。

学校にいる間は、勉強して気を紛らわせることしか出来なかった。

まぁ、仮に提督と同じクラスだったとしても……1人で勉強するのが、2人に変わるだけだったとは思うけどね。

大井「………」カキカキ

大井(……大丈夫。私の成績なら、油断さえしなければ……)カキカキ

提督は依然として心ここにあらずだったから、彼の担任から無理言って聞き出した。

提督の志望校は10周目高校だったから、私も同じ高校を受験した。理由はもちろん、少しでも提督の傍にいたいから。

そして無事に合格したものの……私の生活は、中学校時代と何ら変わらなかった。

――約1年後・大井家


大井(16)「……ただいま」バタン…

シーン…

大井「………」

大井(相変わらず、誰もいない家ね……受験日も、合格発表の日も……そして、今も……)

大井(子供の気持ちを考えず、仕事ばかり……いくら私が寂しいと言っても『もう少しだけ我慢して』としか言ってくれなくて……)

大井「……っ」ズキッ…

提督と同じ高校に進学したは良いけれど、それ以外は今までと同じ。いや、むしろ悪化した。

私自身は彼と違うクラスになって、放課後まで勉強して耐えるだけ……でも、提督は違った。

大井(……提督、また無断欠席するなんて)

今まで、体調不良以外の理由で学校を休まなかった提督が……高校生になってから、急に無断欠席を繰り返すようになった。

もちろん、これは直接確かめた訳じゃない。廊下を歩いている時、先生が話している内容を偶然聞いただけ。

それでも、私にとっては心配だった。あの女と別れたショックで、変なことをしてしまわないか。

それほどまでに提督が追い詰められているとしたら、すぐにでも何とかすべきではないのかと。

大井「………」ガチャ バタン…

スタスタ…


――数分後・10周目提督家


大井「………」

大井(こうして、ここを訪れるのは……何年振りかしらね)

私は提督の家にやって来ていた。万が一、彼が自殺でも考えていたらどうしようかと思い、いてもたってもいられなかった。

徒歩で行くことが出来る距離にもかかわらず、あの女が提督を奪い取って以来……1度も来ていない。

大井「………」スッ…

大井(出て、くれるかしら……そもそも、家にいるかどうかさえ分からないけど……)

きっと、提督にはまだ私の声が届かないと思う。話しかけても、ほとんど相手にされないと思う。

それでも、彼が変な気を起こしていたら……死ぬ気で食い止めないといけない。

私が初めて好きになった相手で、私が唯一……心の拠り所にしている人だから。

――現在・10周目提督家までの道


ザーザー…

大井「………」スタスタ…

大井(あの日、私が提督の家へ行っていなかったら……今の、この状況は無かったのかもしれない)

提督「………」スタスタ…

大井「……ねぇ」

提督「……ん?」

大井「今日も……良い?」

提督「……あぁ」

大井「………」ポスッ…

提督「………」

提督(大井が、俺の肩に寄りかかって……)

大井「………」

提督は私で心を癒し、私は提督で心を癒す。そこにあるのは、お互いを利用し合うだけの関係。

ずっと孤独を味わうくらいなら、今の関係の方が良い。

もちろん、理想は恋人同士だけど……今の提督に、そこまで求めるのは酷な話だと思うから。

大井「………」ギュッ

大井(でも、私は提督から離れられない……だから、もしこのまま今の関係を続ければ……)

提督も孤独に飢えているはずだから、きっと……私から離れられなくなる。

今は心を癒し合う関係だったとしても……いずれは提督も、私だけしか見えなくなるはず。

現に私がそうだから。提督があの女に奪われた時から、貴方しか見えないもの。

孤独に加えて、失恋という地獄を味わった提督なら……私を逃したくないと考えるようになる。

そしてそのまま、2人で一緒に沼に嵌っていけば良い。底の底まで、戻れないところまで沈んで行けば良い。

大井(ふふっ……♪)ハイライトオフ

提督「………」

提督(……大井は俺を理解してくれる。そして俺も、大井を理解することが出来る)

提督(だからこそ、こうして……お互いの心の傷を舐め合うことも出来る。いや、出来てしまう……)

提督(本当なら、こんな関係を続けてもお互い破滅しか待っていない。頭では、そう分かっていても……)

提督「……っ」

提督(孤独によるストレスが、苦痛が、痛みが、大井を求めてしまう。その癖、俺は大井を心から信用出来ていない……)

提督(もう、あんな思いをするのは耐えられない……だから、今の関係に余計な感情は挟まない。お互い利用し、利用されるだけの関係で良い)

提督「………」

提督(……それでも、大井は幼馴染だ。赤の他人よりは、信用しても良い。だからこそ、こんな関係になったんだ……)

提督(後ろめたい気持ちはある。この状況が問題なことも自覚している。でも、今の俺にとって……唯一の心の支えが、大井しか……)

今回はここまでです。お付き合い頂きありがとうございました!
次回は本編パートからです。回想パートが長くなりがちで、そして更新頻度が下がってしまい申し訳ございません。

次の更新は未定です。上手くいけば本日の夜に更新出来るかもしれません。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。

21:00~22:00頃開始予定です。

始めます。

~ 7月1週 ~

――


提督(小学校中~高学年)『……ただいま』ガチャ…

家政婦『お帰りなさいませ、10周目提督様』ペコリ…

提督『……お父さんとお母さんは?』

家政婦『………』フルフル

提督『……うん。分かってた』

提督(今日も、家にいないことくらい……)

提督『………』スタスタ…

家政婦『お荷物をお持ち……』

提督『ううん、いい……』

家政婦『……申し訳ございません』

提督『………』トボトボ…

提督(家政婦さんは……お父さんでも、お母さんでもない……)ガチャ

バタン…

提督『………』

提督(お父さん……お母さん……)

提督『……っ』ジワッ…

提督(何で、帰って来てくれないの……?)

提督『うっ……うぅっ……』ポロポロ…

提督(寂しいよ……会いたいよ……)ポロポロ…

提督『ひっく……うわぁぁん……』ポロポロ…

提督(他の子は皆、お父さんやお母さんと仲良しなのに……何で、僕と大井だけ……)ポロポロ…

提督『お父さん……ぐすっ、お母さん……えうっ……』ポロポロ…


――早朝・自室


提督「………」

提督(……またかよ、この夢)

提督「………」グシグシ

提督(この夢を見た時は、いつも……寝ながら泣いてるせいで、最悪の目覚めだ……)

提督「……はぁ」

提督(不知火と付き合っていた時は、この夢に悩まされることもなかったのに……)

提督("裏切られて"からは……孤独に戻ってからは、余計に悪化して……畜生……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:8/50
↓3不知火のコンマ      未練度:75.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:81.5/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

迅鯨は何をしている?もしくは提督と迅鯨は何をしている?

21:42以降から先着3つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし21:46までに3つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

――休日・繁華街


提督「………」スタスタ…

提督(ちゃんと仕入れとけよ、糞ったれが……)

肉便器に負の感情をぶつけてやろうとしたら、必要な物が売り切れていた。

しかもネット通販では入荷待ち。結局、自分の足でアダルトショップへ行く羽目になっちまった。

提督「………」スタスタ…

スタスタ…

提督「………」スタスタ…

スタスタ…

提督「………」クルッ

迅鯨「っ!?」ビクッ

提督「……尾行してるのがバレバレなんだよ」

迅鯨「い、いや、そうじゃなくて……ぐ、偶然!偶然なんです!たまたまここに用があって、それで提督君を見かけたから……」アセアセ

提督「………」ジトー

迅鯨「ほ、本当だから!前に1回怒られたでしょう?だから、尾行なんて……」アセアセ

バレバレの嘘ついてんじゃねえよ。

途中、いや、家を出て10分も経った時点で、お前が尾行していることには気づいてたんだぞ?

提督「……チッ」

迅鯨「うぅ……」

迅鯨(や、やっぱりバレてるのかな……でも、それだけ心配ってことだから……)

迅鯨(仮にも私の教え子だし、場合によってはそれ以上の関係……じゃなくて!)フルフル

迅鯨(何としてでも、提督君を助けたい……悩みや不安があれば、解決してないといけないから……!)

提督「………」

そこまで狼狽える癖に、よく人にものを教える職業に就いたな。

俺じゃなくとも、配属された学校によっては……絶対、生徒から舐められるタイプだろ。

しかも、俺は前にも『干渉するな』と言っただろうが。まだ分からないのかよ。

提督「………」

迅鯨「………」オロオロ


信用度上昇率判定:この後どうなる?

01~09:無視
10~49:予定変更して大井の家へ
信用度上昇:小 ×1.0

50~98:迅鯨「お昼ご飯奢ります!」
信用度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:提督「……いい加減にしろよ」
信用度上昇:大 ×2.0

直下

信用度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

51→15:大井「やったぜ」 10×1.0=10 10+8=18/50 


提督「………」クルッ

迅鯨「……!」

提督「………」スタスタ…

迅鯨(提督君が、こっちに向かって来てくれた……!ひょっとして、私と話し合ってくれる気に……)

提督「………」スタスタ…

迅鯨「……え?」

提督(こんな状況じゃ、アダルトショップなんて入れる訳無いだろ……)

今日は本当についてない。朝から悪夢に魘されて、肉便器とヤる時に必要な物は品切れ。

おまけに店へ出向けば、顔も見たくない教師に尾行される……もう嫌だ。

迅鯨「ちょ、ちょっと提督君!」

提督「……何だよ」

迅鯨「私に悩みを話してくれるんじゃないんですか!?」

提督「誰がそんなこと言った?」

迅鯨「じゃあ、どうして急に反対方向へ……」

提督「………」スタスタ…

迅鯨「あっ、提督……君……」

鬱陶しいストーカー教師を相手にせず、俺は心を癒せる場所……大井の家へ向かう。

これ以上、俺に干渉しようとする奴と関わっていたら……ストレスでどうにかなりそうだ。

提督「……っ」スタスタ…

提督(孤独の辛さを知らない奴に、俺の気持ちなんて……分かってたまるかよ……)

不知火に別れを告げられてしまった今、俺の気持ちを理解出来るのは大井しかいない。

ストレスをぶつけるような真似は出来ないが……大井といれば、例え僅かな間だとしても、嫌な現実を忘れられる。

ストーカー教師に干渉された苛立ちも……多少なりとも、誤魔化すことが出来るからな。

迅鯨「………」

迅鯨(今日も、ダメでした……どうして上手くいかないんでしょうか……)

迅鯨(私はどうしても、提督君の力になりたいのに……いや、むしろその考えがいけないのかも……)

迅鯨(提督君は『干渉するな』って言ってたから……でも、このまま放っておくなんて……そんなこと……)

迅鯨「………」

~ 7月2週 ~

――10周目高校・プール


ビスマルク「………」

モブa「おい、あの子去年よりデカくね?」ボソッ

モブb「お前もそう思うか。あっちの子も中々……」ボソッ

ビスマルク「………」

モブ子a「……男子の奴、またスタイル良い子を凝視してるんだけど」ヒソヒソ

モブ子b「露骨に胸ばっかり見ちゃってさ。はぁ……」ヒソヒソ

ビスマルク「………」チャプ…

ビスマルク(……胸を見られたくらいで、何を嫌がってるのよ)

モブa「見ろ!背泳ぎしてるから水面に胸が……!」

モブb「………」ゴクッ

モブ子a「………」ペターン

モブ子b「………」ストーン

モブ子ab(巨乳が何よ!貧乳の何がいけないのよ……畜生……!)

ビスマルク「………」バシャバシャッ

ビスマルク(こっちなんて、水着の裏に……色々な跡があるんだから……)

ビスマルク(他人に見られたら、ドン引きされてしまうような……痛々しい"跡"が……)

ビスマルク「………」バシャッバシャッ

ビスマルク(……出来るだけ深く潜る。長い時間、肌を晒すのは避けたいから)

ビスマルク(いくら水着で隠れているとはいえ、もし水着が少しでもズレてしまえば……)

ビスマルク「……っ///」ゾクッ…

ビスマルク(って、見られた時のことを想像するのはダメ!ただでさえ私はあいつに嬲られて……そのせいで……)

ビスマルク「……っ!」バシャバシャバシャッ!

ビスマルク(泳いで気を紛らわさなきゃ……!これも全部、あいつのせいよ……!)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:18/50
↓3不知火のコンマ      未練度:75.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:81.5/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

大井は何をしている?もしくは提督と大井は何をしている?

22:46以降から先着5つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし22:50までに5つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※R-18系安価の場合、『激しいプレイやアブノーマルなプレイ』、『コンドーム不使用のセックス』、『ビスマルクを含めた3P』等はNGです。
基本的に『お互いを物理的・精神的に傷付けない穏やかなセックス』のみと考えて頂ければ幸いです。
また、セックスする場所も提督もしくは大井の自宅、ラブホテル等に限定させて頂きます。

――昼休み・屋上


大井「………」モグモグ

提督「………」モグモグ

大井「相変わらず、誰もいないわね……」

提督「でも、その方が落ち着くだろ?」

大井「……えぇ」

俺と大井は屋上に来ていた。本来は立ち入り禁止だが、そんなことはどうでも良い。

別に停学になったところで、少なくとも俺は痛くも痒くも無い。

そして大井も、停学のリスクを承知の上で……こうして、俺の隣にいる。

大井「……美味しそうね、そのお弁当」

提督「……家政婦お手製だからな。大井は確か、自分で……」

大井「手作りと言っても、そんな出来の良いものじゃないわ。親が作ってくれる料理と比べたら……」

提督「………」

俺も大井も、お互いの"心の痛み"を理解している。身に染みて分かっている。

だからこそ、こうして一緒に昼飯を食う……理由は当然、お互いの孤独を埋め合う為に。

提督「………」

だが、少し前までは……俺の隣には、彼女がいた。最愛の人が座っていた。

俺の心の痛みを理解してくれた人。そして……俺を愛してくれた人。

提督「……っ」

大井「……提督?」

提督「………」

大井「……また、思い出したの?」

提督「……悪い」

大井「ううん、気にしないで……」

提督(……畜生)

大井と過ごしている時でさえ、俺は不知火への未練を忘れられずにいる。

その癖、俺はその未練を大井で誤魔化そうとしている。

こんな屑野郎じゃ、不知火に見捨てられて当然だ。愛想を尽かされて、当たり前なんだ……

大井「………」

大井(提督……)


依存度上昇率判定:この後どうなる?

01~49:2人共、そのまま黙々と昼食を食べ続ける
依存度上昇:小 ×1.0
50~98:大井「……私は、見捨てない」
依存度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:大井「……夏休みは、私と一緒に暮らしましょう?」
依存度上昇:大 ×2.0

直下

依存度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
次の更新は未定です。上手くいけば明日の夜に更新出来るかもしれません。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。

21:30~22:30頃開始予定です。

始めます。

93→39:静寂に包まれた時間 4×1.0=4 4+81.5=85.5/100


提督「………」モグモグ

大井「………」モグモグ

話すことも無くなり、俺達は無言で弁当を食べる。

だが、思考は留まることを知らない。目を背けたい現実が、頭の中で反復される。

提督「………」モグ…

提督(不知火……)

忘れられない。立ち直れない。考えずにはいられない。

かつて傍にいてくれた人。俺から離れて行ってしまった人。

俺は彼女を今でも愛している。それは断言しても良い。

大井「………」チラッ

提督(……何が愛してるだよ。まさに今、大井と飯を食ってる癖に……)

大井「………」

大井(……あの女は、どこまで提督の心に刻み込まれているのかしら)

大井(提督は未だに、失恋の絶望から抜け出せずにいて……そして、私とこんな関係に……)

提督「………」ハイライトオフ

提督(最愛の人なんて、よくそんな都合の良いことを言えるよな……)

大井「……っ」ギリッ…

大井(提督は、人一倍孤独で苦しんでいて……あの女は、恐らくそれを知った上で……提督と交際して……)

大井(それなのに、提督を捨てておきながら……自分も苦しいと言わんばかりの態度で……)

大井「………」グッ…

大井(……だから、私があの女の傷を埋めないといけない。提督のことを理解してあげられる、私でなければならない)

大井(そして、提督にも……あんな女なんかと違って、私は裏切らないということを信じて貰わないと……)

~ 7月3週 ~

――10周目高校・教室


迅鯨「次は提督君」

提督「………」スタスタ…

迅鯨「……もう少し頑張らないと」スッ…

提督「黙れ。お前には関係無いだろ」

迅鯨「あぅっ」

提督「………」スタスタ…

提督(……予想通り赤点か。勉強なんてろくにしてなかったから、当然と言えば当然だな)

ストーカー教師から答案を奪い取り、それを眺めながら席へ戻る。

こいつの科目に限ったことじゃない。どの科目も全滅だ。

かつて不知火と勉強していた時は、安定して平均点以上の成績を叩き出していたものだが。

今となっては、成績なんて何の価値も無い。留年しようが、知ったことでは無い。

提督「………」チラッ

不知火「………」

提督(……流石不知火だ。満点とはな)

俺なんかとは違い、不知火は勉強をちゃんと続けているらしい。

その証拠に、後ろから覗き込んだ答案には『100点』と書かれている。

提督「……っ」

提督(それに比べて、俺は……いつまでも不知火のことを引きずって……不知火のように、立ち直れなくて……)

迅鯨「………」

迅鯨(落ち込むくらいなら勉強しなきゃダメでしょう?やっぱり、何とかして提督君としっかり話す機会を作らなきゃ……!)

不知火「………」

不知火("同じ"テストを何度も受けていれば、嫌でも答えを覚えてしまう……)

不知火(こんなテストに、何の意味があるのかしら……これなら、初見の問題を間違える方が余程……)

不知火「……っ」ズキッ…

不知火(……でも、その考えのせいで……私は取り返しのつかないことをしてしまった。提督君に、あんな……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:18/50
↓3不知火のコンマ      未練度:75.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:81.5/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

大井は何をしている?もしくは提督と大井は何をしている?

22:56以降から先着5つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし23:00までに5つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※R-18系安価の場合、『激しいプレイやアブノーマルなプレイ』、『コンドーム不使用のセックス』、『ビスマルクを含めた3P』等はNGです。
基本的に『お互いを物理的・精神的に傷付けない穏やかなセックス』のみと考えて頂ければ幸いです。
また、セックスする場所も提督もしくは大井の自宅、ラブホテル等に限定させて頂きます。

大丈夫だとは思うけど>>243に上昇分が反映されてぬいね

>>252
またミス……度々申し訳ございません。『81.5』→『85.5』です。

――休日・繁華街


提督「……糞が」スタスタ…

提督(何で今日に限って電車が止まるんだよ……お陰で大遅刻じゃねえか……)

昨夜、俺は大井とデート……と呼べるほど綺麗なもんじゃないか。

2人で会って、目的も無く街をうろついた後……高級ホテルに泊まる約束をした。

提督「チッ……さっきより暑くなってやがる……」スタスタ…

集合時間は昼間の12時だったが、電車の故障だの、不備が発覚しただの……理由はどうでも良い。

そのせいで、約束の時間を2時間近くオーバーしてしまったのだ。

運転手や駅員に文句の1つでも言ってやろうと思ったが、その時間が無駄だと考え、急いで待ち合わせの場所へ向かうことにした。

提督「………」スタスタ…

提督(『どこかの店で時間を潰しておいてくれ』と連絡は入れたし、既読もついてるから大丈夫だよな……)

この糞暑い時期に外で待たせるのは馬鹿のすることだ。30分待たされた時点で、俺はLINEで大井に連絡しておいた。

恐らく待ち合わせの場所に大井はいないだろうから、着いたらもう1度連絡しないと。

提督「………」スタスタ…

提督(そろそろ着くはずだ……ここは今まであまり来たことが無いせいで、油断すると迷っちまう……)

吹き出る汗をタオルで拭きつつ、俺は待ち合わせ付近の場所までやって来た。

後はLINEして、大井にどの店で休んでいるかを教えて貰えば……

提督「……ん?」

提督(向こうにいるのって……いや、まさか……)

ふと待ち合わせ場所を見ると、予想していなかった光景が目に入る。

ちょっと待て。俺は確かに連絡したはずだ。なのに、一体あれは……どういうことだ?


依存度上昇率判定:提督が見た光景は?

01~49:大井が不知火の胸倉を掴んでいる状況
依存度上昇:小 ×1.0
50~98:大井が待ち合わせ場所で佇んでいる状況
依存度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:大井が待ち合わせ場所で佇んでおり、その直後……
依存度上昇:大 ×2.0

直下

依存度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

※ただしリーチ突入時は、上昇率が『小』だった場合も『中』と同じ展開になります(上昇する数値は『小』と同じです)

29→92:この暑さでそれはまずいですよ 1×1.5=1.5 1.5+85.5=87/100


大井「ふぅ……」

大井(提督、まだかしら……さっき、電車が動いたって連絡はくれたけど……)

提督「………」

大井「あ、提督……随分遅かったじゃない。大丈夫?電車の中は、ちゃんと冷房が効いてた?」

信じられなかった。大井は建物の中にいるどころか、待ち合わせ場所で突っ立っていた。

いや、流石にあり得ないだろ。この暑さで馬鹿正直に外で待つなんて、正気の沙汰とは思えない。

提督「……お前、何してるんだ」

大井「何って、待ち合わせ場所で待ってたんだけど」

提督「今、気温が何度か分かってるのか?」

大井「確か、34度は超えてたかしら……それがどうかしたの?」

提督「どうかしたの、じゃないだろ。どうしてわざわざここで俺を待ってたんだよ」

大井「………」

提督「この暑さじゃ、1歩間違えれば熱中症や脱水症状になってたかもしれないんだぞ」

大井「水分補給はちゃんとしてるし、時々日陰に入って涼んでるから大丈夫よ」

提督「そういう問題じゃない!万が一のこともあるだろ!何で俺がLINE送った時点で……」

大井「……信じて貰いたかったから」

提督「は?」

大井「私は、"彼女"と違って……貴方の信頼に値する人だと、思って貰いたかったから」

提督「……!」

大井「………」

大井(連絡を貰ったとはいえ、私が提督を"裏切らない"ことを信じて貰うには……行動で示すしかなかったから……)

提督「……大井」

"信じて貰いたかった"。この言葉が何を意味するかは、すぐに理解出来た。

だからって、こんな……場合によっては、命にかかわるようなやり方で……

提督「………」

提督(……いや、馬鹿は俺の方かもな)

大井からの真っ直ぐな気持ちをぶつけられた俺は……叱らないといけない気持ちより、嬉しさが勝ってしまった。

言葉だけでなく、行動で"裏切らない"ことを証明しようとしてくれた。

それを、赤の他人よりは信用している大井がやってくれたんだ……嬉しくないはずが無い。

提督「……とにかく、そういうことを夏にするのはやめてくれ。大井の体も心配だが、俺の心臓が持たない」

大井「……ごめんなさい」

提督「でも……その気持ち、嬉しかった」

大井「……!」

提督「ほら、こうして合流したんだ。さっさと涼しい店へ入るぞ。かき氷でもアイスでも、冷たい物なら何でも奢ってやるから」

大井「……えぇ」ギュッ

大井(これで、少しくらいは提督の信頼を掴めたかしら……ただ、まだ足りない。心の底から、提督に信じて貰わないと……無意味だもの)

大井(それだけ、あの女が提督の心に残した傷跡は……計り知れないほどに、大きいみたいだから)

短くて申し訳ありませんが、今回はここまでです。お付き合い頂きありがとうございました!
次の更新は未定です。上手くいけば明日の夜に更新出来るかもしれません。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。

22:30~23:30頃開始予定です。

始めます。

~ 7月4週 ~

――10周目高校・校庭


校長「夏休みだからとハメを外し過ぎず、しっかり勉強を……」

提督「………」チラッ

不知火「………」

提督「……っ」ズキッ…

校長のどうでも良い話を聞き流しながら、俺は内心動揺していた。

明日から夏休みということは、少なくとも1ヶ月は不知火と顔を合わせることが出来なくなる。

今までは不知火と会いたいが為に、学校へ通っていた俺にとって……地獄とも言える期間だ。

提督(……どうすれば良いんだよ)

学校へ行っても不知火はいない。だからと言って、不知火と過ごすことも出来ない。

俺は"裏切られた"から。不知火に捨てられた男だから。そんな奴が会いに行けば、一層軽蔑されるかもしれない。

提督「………」

提督(……大井と肉便器だけで耐えるしかないのか)

孤独や不知火と会えないことのストレスを、肉便器にぶつける。

同時に、大井と過ごすことで孤独や不知火への未練から目を背ける。

だが、それはあくまでもその場しのぎに過ぎない。それほどに、俺の中での不知火の存在は大きいのだから。

大井「………」チラッ

提督(……畜生)

大井(夏休みになれば、いつもより提督と一緒にいられるわよね……)

大井(この期間を利用しない手は無い。提督には、早く心から信頼して貰えるようにならないと……)

大井(そして、提督が『大井しか信じられる人がいない』と考えるようになれば……ふふっ)ハイライトオフ

迅鯨「………」

迅鯨(夏休みとなると、提督君と顔を合わせづらくなっちゃう……)

迅鯨(何とかそれらしい理由を付けて、提督君と会えるようにしたいところだけど……)

不知火「………」

不知火(夏休みが始まれば、提督君と顔を合わせられなくなる……)

不知火(恐らく提督君は、その間……大井さんと過ごすことになるはず……大井さんに、提督君を……)

不知火「……っ」ギリッ…!

不知火(何を考えているの、私は……嫉妬する資格なんて、無いのに……未だに、そんなことを……!)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:18/50
↓3不知火のコンマ      未練度:75.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:87/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

不知火は何をしている?もしくは提督と不知火は何をしている?

22:44以降から先着3つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし22:48までに3つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

★現在は夏休みですので、高校関係以外のシチュエーションでお願いします。

――繁華街・水着売り場


提督「………」スタスタ…

提督(正直、着られれば何でも良いんだがな……)

夏休み初っ端から、俺は糞暑い中水着売り場まで足を運んでいた。

大井と海で過ごす約束をした為、どうしても水着が必要になったからだ。

本音を言えば学校指定の水着で十分だが、大井に悪い気がして、仕方なく店まで選びに来た。

提督「はぁ……」

提督(つっても俺、ファッションには疎いからな……とりあえず、変に奇抜なやつを避ければ大丈……)チラッ

不知火「………」スタスタ…

提督「……っ!?」ビクッ

提督(えっ、し、不知火……!?)

他の水着を見ようと思い振り向いてみれば、視界に映るのは出会えないと思っていた愛しい人。

こんな、嬉しくも辛い偶然があって良いのだろうか。まさか鉢合わせすると思っていなかった。

不知火「……あっ」

不知火(……やはり、ここへ来たんですね)

提督「……き、奇遇だな、うん」

不知火「……はい」

提督「その、水着を選びに……?」

不知火「………」コクリ

提督「だ、だよな。ここに来るってことは、それしかないよな……はは……」

提督(ダメだ、上手く話せない……)

ただでさえ不知火と出会うことは想定外で、しかもこんな店先でバッタリ会ってしまったんだ。

頭が回らない。呂律も回るはずが無い。混乱し過ぎて、馬鹿みたいな会話しか出来ない。

不知火「………」

不知火("かつて"一緒に来た店だったから、こうなることは予想していたけれど……)

提督「えっと……」

不知火「………」

提督「……家族と、海水浴か?」

不知火「……はい」

提督(あぁ、くそっ!そうじゃなくて……)

落ち着いた思考が出来ない。話そうとしても、言葉が上手く出て来ない。

不知火の顔を見られた嬉しさと、決して彼女の隣に立てない悲しさ。

これらが同時に襲って来るせいで、頭が働かない。そんな自分が情けなさ過ぎて、反吐が出る。


未練度上昇率判定:この後どうなる?

01~49:結局、お互いそのまま別れてしまう
未練度上昇:小 ×1.0
50~98:気まずいながらも、成り行きで一緒に水着を見ることに
未練度上昇:中 ×1.5

ゾロ目(奇数):提督「……でも、嬉しかった」
ゾロ目(偶数):不知火「……貴方に似合う水着、選びましょうか?」
未練度上昇:大 ×2.0

直下

未練度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

94→49:ただ別れるだけ、かと思いきや……? 8×1.0=8 8+75.5=83.5/100


提督「それで、さ……」

不知火「……では、私はこれで」

不知火(これ以上、提督君と関わると……私の未練、いえ、醜くて酷い気持ちが増すばかり……)クルッ

提督「あっ……」

提督(このまま、黙って見ているだけか?本当に、それで良いのか……?)

未だに未練を抱く情けない俺だが、ただそれだけなのか?

不知火ともう1度、元の関係に戻りたいという気持ちは……その程度のものなのか?

例え自分がどうしようもない糞野郎だとしても……不知火に対する気持ちは、本物なんだろう?

提督「……っ」グッ…!

提督(言え、俺……何か、気の利いたことを……不知火に、好印象を残せるようなことを……!)

提督「……ま、待ってくれ!どうしても言いたいことがあるんだ!」

不知火「………」ピタッ…

提督「その水着、凄く可愛いと思う……何というか、不知火の魅力を引き出してくれるような……」

提督「今までの不知火とはまた違った、新たな魅力を与えてくれると言うか……とにかく、似合うと思う!」

不知火「っ!」

提督「………」

提督(……いや、水着を褒める以外にもっとこう他に言うことがあるだろ俺!)

やっぱりダメだ。暑さと不知火への未練のせいで、まともな思考が出来ない。

別れを告げた男から『その水着、似合うと思うぞ』などと言われたところで……逆に引かれるじゃないか。

不知火「……こんな」

提督「……え?」

不知火「こんなところまで……"同じ"、なの……?」ジワッ…

不知火(私は既に、提督君と酷い別れ方をしてしまっているのに……それなのに……)ウルウル…

提督「し、不知火……?」

不知火「っ、あ、ありがとうございます……」スタスタスタ…

提督「………」

提督(……やっちまった。俺の馬鹿野郎……!)

絶対に引かれた。いや、下手をすると軽蔑されたかもしれない。

もうダメだ……俺は2度と、不知火とは口を聞いて貰えなくなるんだ……畜生。

こんなことなら、何も言わない方がマシだったじゃないか……もう、最悪だ……!

大井「……1度は提督を捨てたんでしょう?だったら潔く諦めなさいよ」

不知火「……私の苦しみを何も知らない癖に、好き勝手言わないで下さい」

大井「……負け犬が」

不知火「……この泥棒猫」

大井「………」

不知火「………」











迅鯨「あの2人、今にも爆発しちゃいそう……」

ビスマルク「放っておきなさい。あんな男に惚れてる時点で、どっちも救いようが無い馬鹿だから」

迅鯨「提督君のことを悪く言わないであげて下さい!あの子は確かに素行は問題かもしれませんけど、決して悪い子じゃ……」

ビスマルク「うるさいわね。あいつのことを何も知らないなら黙ってなさい」

迅鯨「ビスマルクさんこそ!提督君が元々どういう子だったかを知らないでしょう?」

ビスマルク「………」

迅鯨「………」



短くて申し訳ありませんが、今回はここまでです。お付き合い頂きありがとうございました!
次回は不知火の回想パートその2からです。恐らくまた長くなるかと思います(白目)。

次の更新は未定です。上手くいけば数日以内に更新出来るかもしれません。
回想パートはどうしても長くなりがちなので、更新が滞りそうな場合、その時点で書き進めた分を少しずつ(1度の更新で1~2レス分前後)投下するかもしれません。
その場合は事前予告無しの投下になります。本編再開時、もしくはまとめて投下する場合は今まで通り事前予告を致します。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。

――店の外・8周目大学周辺


不知火「はぁっ……はぁっ……」タタタ…

こんなこと、想定していなかった。想定出来るはずが無かった。

まさか、"この状況"で"同じ"ことを言われるなんて……誰が予想出来ただろうか。

不知火「……っ」ウルウル…

感情が爆発しそうになってしまい、咄嗟にあの場から逃げ出してしまった。

今でも、油断すれば涙が溢れ出そうになってしまう。

不知火(どうして……提督君は、まだ……そんな言葉を、投げかけてくれるんですか……?)ウルウル…

あれほど酷い別れ方をしてしまったのに、提督君は私の水着を褒めてくれた。

それどころか、"かつて"私が嬉しいと感じた言葉を与えてくれた。

不知火「………」グシグシ…

けれど、その言葉を聞いて喜ぶ資格は私には無い。あってはならない。

自分で彼を傷付けておきながら、彼と気持ちを通わせようだなんて……許されることでは無いのだから。

不知火「……っ」ギリッ…

不知火(ちょうど、この辺りだったような……私の人生が、時間が、心が……全てが狂い出したのは……)


――"現在"から約2年後・8周目大学周辺


提督(18)「……そろそろ桜が咲く季節か」スタスタ

不知火(18)「そうですね……雪ももう、とけ始めて来ていますし……」スタスタ

私と提督君が交際を始めた後、そのまま2人で同じ大学へ通うことになった。

あの頃の時間は、まさに夢のようだった。最愛の人と、充実した人生を歩むことが出来ていたから。

こうして、彼と手を繋ぎながら……雪解けが始まる道を歩くことが出来たのだから。

提督「なぁ、不知火」

不知火「……何ですか?」

提督「本当に良かったのか?不知火の成績なら、もっと……」

不知火「………」フルフル…

提督「……!」

不知火「何度でも言います。私が自分で選んだことです。提督君が責任を感じることはありません」

提督「………」

不知火「それに、私には……提督君がいない日々なんて、考えられませんから///」ギュッ

提督「……!」

提督(腕に抱き着いて……)

不知火「……愛しています、提督君///」

提督「……俺もだよ、不知火」ギュッ

不知火(あぁ、幸せ……こうして、提督君の傍にいられれば……私の身も心も、満たされて……///)































――――しかし、その幸せが続くことは無かった。





























「はぁはぁ……どうして、なの……!」タタタッ…!

提督「……ん?」

不知火「……?」

大和(※ループ1回目)(1年前なら、恋人になってくれると思ったのに……もう、彼女と交際していたなんて……!)ウルウル…

今にも泣き出しそうな女性が、私達の傍へ駆け寄って来る。

もっとも、相手はかなり錯乱していたせいか、私達の存在には気づかなかったけれど。

提督(何だ、あの女……彼氏と喧嘩でもしたのか?)ヒソヒソ

不知火(さぁ……ただ、激しく取り乱しているように見えますが……)ヒソヒソ

大和「………」グッ…

大和(こうなったら、更に1年前……いや、もっと前に遡れば……1度不正してしまった以上、もう……)

提督(何にせよ、俺達には関係無いな……)ヒソヒソ

不知火(はい。絡まれでもしたら面倒ですし、早く行きましょう……)ヒソヒソ

彼女が何故、あれほど狼狽えていたのかは今でも分からない。

ただ、"あの現象"が"最初"に起こったのがこのタイミングだったせいで、妙に印象に残っている。

提督「………」スタスタ…

不知火「………」スタスタ…

大和「……迷うことは無い、か」パァッ…

大和(こんな便利な魔法を、使わない手は無い……好きな人と結ばれる為なら、このくらい……!)

不知火「……ぅ」フラッ…

提督「……どうした?」

不知火「い、いえ、何だか、眩暈……が……」

不知火(おかしい……急に、体が浮かぶような……沈むような――)

突然意識が朦朧としてしまい、妙な感覚に襲われる。

それと同時に、提督君が私の体を支えてくれていた温かさが失われていく。

世界が裏返る。全てが無へと変化する。そんな、言いようの無い感覚に呑まれ――









パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!































――――私は"閉じた世界"に閉じ込められてしまった。そこで私は、気が遠くなるほどに長い間……地獄を見せられることになった。





























――"1回目"

――3年前・不知火家


不知火「う……」

不知火(ここ、は……実家……?私、今、気を失って……)

意識が覚醒すると、私は実家の自室の部屋で座っていた。

もしかして、提督君が私をここまで運んでくれたのだろうか。

不知火「………」

不知火(いや、それだと不自然よね……普通なら病院か、私達が住むマンションに運ぶはず……)

私と提督君は大学へ入学してから、高級マンションで2人だけの生活を送っていた。

それなのに、わざわざマンションから少し離れた実家へ私を運ぶだろうか。

私が提督君の立場だとすれば、まず救急車を呼ぶか、あるいはマンションへ運ぶことを考えるもの。

不知火「……?」

不知火(それだけじゃない。この部屋、物の配置や家具が微妙に変わって……いや、"戻って"……)

一見すると実家の自室だが、私はある違和感に気付いた。

机に置かれている物や、高校卒業までに取り替えたはずの家具が……全て、高校時代の頃に"戻っている"。

不知火「………」ゴソゴソ…

不知火(とにかく、まずは私が気絶してからどれほどの時間が経ったかを調べなければ……)

不知火「……なっ!?」

手元にあるスマホを確認した私は、思わず思考が停止してしまう。

何故なら、あり得ない日付が表示されていたのだから。

不知火「……3、年前?」

不知火(私が、高校へ入学した直後……?そんな、ことって……い、いや、そんなはず無い。きっと、スマホの時計が狂っただけ……)スッスッ…

混乱した私は一先ず現実的な解釈で自分を落ち着かせようとし、同時に提督君へ電話した。

私が倒れる寸前まで傍にいてくれた提督君なら……最愛の人なら、私が望む答えを告げてくれると考えたから。

提督『もしもし。どうしたんだ?』

不知火「あっ、て、提督君……」

不知火(……声が僅かに高い?いや、きっと気のせいですよね……)

不知火「今日って、何年の何月何日でしたっけ……」

提督『何日って、随分当たり前のことを聞くんだな。何かあったのか?』

不知火「……?」

不知火("何かあった"……?まるで、さっき私が気を失ったことが"無かった"かのような……)

不知火「い、いえ、その、スマホの時計が狂ってしまったみたいで……その……」

提督『それならカレンダーを確認すれば……いや、やっぱり良い。俺としても、不知火に頼りにされるのは嬉しいからな」

不知火「………」ゴクッ…

不知火(お願いします、提督君……どうか、私が納得出来る答えを――)

提督(15)『201×年4月○日だろ?』

不知火(15)「――っ!」ドクン…

不知火(嘘……そんな……)

提督君の口から告げられたのは、やはり3年前の日付。

こんな、すぐバレるような嘘を提督君がつくはずが無い。それは恋人である私が1番理解している。

つまり、ここは……今、私が立っている場所は……間違い無く、3年前の世界ということになる。

不知火「………」

提督『……不知火?』

不知火「………」

不知火(嘘、よね……こんなことって……)

脳が理解を拒否していた。信じようとしなかった。

こんな、漫画やアニメでしか起こり得ない現象が……現実の、それも自分の目の前で起こるなんて。

提督『おい、どうしたんだよ。さっきから様子がおかしくないか?』

不知火「………」

提督『……まぁ、何だ。悩みや相談があるなら、学校へ行きながら聞くからさ』

不知火「……学校?」

提督『いや、入学式も終えて、今日から正式に通うんじゃないか。10周目高校に』

不知火「あ……」

不知火(そう、でした……この日は、確か……)

忘れるはずが無い。提督と手を繋ぎながら、初めて10周目高校へ登校した日。

高校受験を乗り越え、提督君と新たな生活が始まることを喜んだ……懐かしい日。

それを、また過ごすことになるとは思いもしなかった。

不知火「……うっ」ギューッ

不知火(頬をつねってみても、やはり痛い……これが現実だというの……?意識を失った私が見ている夢、という可能性は……)

提督『不知火』

不知火「え……」

提督『電話で話している間に、もう不知火の家の前に着いたぞ。俺はここで待ってるから、支度を終えたら降りて来てくれないか?』

不知火「……は、い。少し、待っていて下さい……」

不知火(とにかく、まずは現状を把握しなければ……色々と、不明瞭なことが多過ぎて……)

――数十分後・10周目高校までの道


提督「不知火と同じ高校へ通えるだけでも嬉しいのに、同じクラスになれるとはな……」スタスタ

不知火「………」スタスタ…

不知火(周りの光景も、やはり3年前……)

既に潰れてしまっているはずの店はまだ開いていたり、新しく出来たはずの店はまだ建物が建設されていない。

周囲を見回すほど、現在とのズレを嫌でも認識させられる。

そして、自分が3年前の世界へ戻ってしまったことが徐々に現実味を帯びてくる。

提督「……それで、何があったんだ?」

不知火「………」

提督「さっき電話して来た時、明らかにいつもより混乱してたよな」

不知火「……提督君」

提督「ん?」

不知火「私は、さっき……いえ、昨日でも、一昨日でも良いので……提督君の目の前で気を失ったり、急に倒れたりしませんでしたか?」

提督「急に何を言い出すんだ?俺が知る限りそんなことは無いはずだが」

不知火「……そう、ですよね」

不知火(この提督君も、やはり……3年前の……)

いきなり『私の周りだけ時間が3年前に戻った』と話したところで、まず間違い無く信じて貰えない。

せめて提督君も3年後の記憶を持っていれば、一緒に現状を考えることが出来たかもしれない。

しかし、この提督君は記憶も3年前に戻っている。つまり未来の記憶を持っているのは、私だけということになる。

不知火「………」

不知火(一体、どうすれば……まさか、また同じ3年間を過ごすことに……?)

グニャリ…

不知火「うっ……!?」フラッ…

不知火(この感覚……さっきと、同じ……ま、まさか……!?)

先程感じた強烈な違和感が、体と意識が切り離されるかのような不快感が、再び私を襲う。

世界が回っているかのような錯覚さえ感じ、まともに立っていられなくなる。

提督「……不知火?おい、大丈夫か!?」

不知火「ぐっ……はぁっ……」

不知火(だ、ダメ……もし、この感覚がそうだとしたら……また、時が巻き戻って――)









パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!

――"2回目"

――3年前(※不知火の主観では6年前)・不知火家


不知火「うっ……くっ……」

不知火(また、実家に……戻って……)

予想通り、私は実家の自室へと戻っていた。やはりさっきの感覚は、時が巻き戻る前触れだったのだろう。

どうしてこのような常識を超えた現象が起こるのかは分からないが、流石に2度目となれば状況はすぐ把握出来た。

不知火「………」

不知火(今ので、どれほど過去に戻ったのかしら……とにかく、まずは時刻を……っ!?)ビクッ

不知火「えっ……こ、この部屋って……」

周囲を見回していると、私はある可能性に気付いてしまう。

先程はせいぜい、物の配置や家具が少し"戻る"だけに済んでいた。

だが、今回は違う。"戻った"物の数が、私の想定を上回っていた。

不知火(あの机、高校へ入学した時に買い替えたはず……それに、あの鞄って……)

不知火「……っ!」ゴソゴソ

家具も、文房具も、制服も……全てが先程の更に前まで"戻っていた"。

嫌な予感がした私は、急いでスマホを取り出して日付を確認しようとした。

でも、それが私に更なる衝撃を与えることになってしまう。

不知火「………」

不知火(12)(このスマホ……私が中学生の頃に使っていた、古い機種……)

日付を映し出すまでもなく、私は察してしまった。

先程の現象で、私の周囲の時間が……更に3年前、いえ、現象が起こる前のことを考慮すれば、6年前まで戻ってしまっていた。

それだけではない。6年前ということは、私がまだ中学校へ入学したばかりの時期ということになる。それはすなわち……

不知火「……まさか」スッスッ…

不知火(い、嫌……それだけは嫌……!お願い、どうか私の勘違いで……)

不知火「………」

スマホの画面を見た私は、ショックのあまり言葉を失った。

頭をよぎった最悪の可能性は、見事に的中していた。

不知火(提督君の、連絡先が……どこにも、見当たらない……)

私の心の拠り所とも言える、最愛の人……提督君の連絡先が、全て消失してしまっていた。

より正確には、"まだ存在していない"と言うべきなのかもしれない。でも、そんなことはどうでも良い。

重要なのは、私がまだ"提督君と交際する前"、いや、"提督君と知り合う前"まで戻ってしまった事実だ。

不知火「………」ヘナヘナ…

不知火(そん、な……)

私が提督君と連絡先を好感したのは、中学生になって数か月ほど経った後のこと。

それより前に戻ったということは、私は……提督君とは、赤の他人同士の関係になってしまったことを意味する。

残酷な現実が私の心にぽっかりと穴が空け、そこへとてつもないショックと悲しみが押し寄せて来る。

すみません、名前欄に入力し忘れました。今回はここまでです。
1回目の時間跳躍は>>303の通りで、2回目は8周目大学の入学式で大和が8周目提督に告白しようとして失敗したタイミングです。

不知火「……っ」フルフル…

不知火(……落ち着け、落ち着くのよ、私。まだ、全てを結論付けるのは……)

私がまだ意識を失っていて、悪夢に魘されている可能性を完全に否定することは出来ない。

頬をつねったところで、仮に明晰夢なら痛みを感じても不思議ではないかもしれない。

半ば現実逃避とも言える強引な理屈だけれど、そう考えるしか……心が持たないと思ったから。

不知火「……っ!」グッ…!

震える手を握り締めながら、私は固く決意する。

悪夢だろうと、本物の怪奇現象だろうと……この際、それは関係無い。

提督君との関係がリセットされてしまったというのなら……もう1度、恋人になれば良いのだから。

不知火「提督君……」

不知火(絶対に、元の関係に戻ってみせる……!)


――数日後・有名私立中学校


不知火「それで、あの……」

提督(12)「………」

提督(何だ、こいつ……入学して以来、ずっと話しかけて来やがって……)

私はまず、"最初"よりも積極的に提督君と交流しようと考えた。

あの時はしばらく眺めているだけで、話しかける勇気が出なかった。

けれど、今は違う。1度は提督君と恋仲になったことによる自信が、私に勇気を与えてくれたから。

提督「……なぁ」

不知火「……何ですか?」

提督「どうして俺ばかりに話しかけるんだよ。同性の奴らは無視してまでさ……」

不知火「……貴方には、理解して貰えると思ったからです」

提督「……?」

不知火「孤独の辛さを」

提督「……っ!」

不知火(……私には、数年分の"思い出"がありますから)

"当時"、いえ、この時期なら"今"の出来事か。とにかく、私は提督君から色々な身の上話をして貰った。

そのお陰で、"今"の提督君の心理状態なら……本人と同じくらい把握している。

提督君がどうすれば心を開いてくれるかは、おおよそ判断がつく。

提督「………」

不知火「………」

提督「……お前も、孤独だったのか?」

不知火「……はい。昔から目つきが悪いせいで、人々から怖がられ避けられて来ましたから」

不知火「貴方だけだったんです。私の顔を見ても、普通に接してくれたのは……」

不知火("当時"も、"今"も……本当に、凄く嬉しくて……)

時が巻き戻った"今"でも、やはり提督君は私を見ても驚く素振りさえ見せなかった。

それが私にとっての希望だった。提督君が"あの時"と変わっていないだけでも安心出来た。

後は私の行動次第で、元の関係に戻れる可能性が高いことが分かったから。

提督「………」

提督(こいつの表情、声色……これは、孤独を経験した人間にしか分からない……)

提督「……そうか。俺と同じなんだな」

不知火「………」

提督「実は、俺も……」

不知火(よし、このまま上手くいけば、再び提督君と友人に……)

グニャリ…

不知火「う……」フラッ…

不知火(ま、また……!?どうして、このタイミングで……)

提督「……おい、大丈夫か?」

ついさっき感じた不快感が襲い掛かり、私は立っていられないほどの眩暈を感じる。

視界が歪み、まるで私だけが世界から引き剥がされるかのような感覚さえ抱く。

不知火(どう、し……て……)

目の前で、私を心配そうに見つめてくれる提督君が……ぼやけて見えなくなっていく。

五感さえまともに働かなくなり、それでも何とか提督君へ手を伸ばす。

彼から離れるのが嫌だったから。また戻されるのが嫌だったから。それだけは避けたかったから。

不知火「ぅ、ぁ……」スッ…

不知火(提督、く――)

けれど、あの怪奇現象……あるいは、この忌々しい悪夢は……無慈悲に、私へ牙を剥いた。









パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!

少し心身の調子を崩してしまいました。
申し訳ございませんが、回想を含めた本編の更新はしばらく難しくなりそうです。
それでも、出来そうだと思った場合は少しずつ投下するか、無理そうな場合も定期的に連絡致します。
長らくお待たせしてしまい、重ねてお詫び申し上げます。今しばらくお時間を頂けると幸いです。

それからというものの、提督君との関係を深めようとする度に例の眩暈が起こり、その度に時が巻き戻された。

数時間前や数日前なら良い方で、酷い場合は1年近く前まで巻き戻ってしまうことも珍しくなかった。

ある時は提督君と友人になれたタイミング。ある時は提督君に"初めて"声をかけたタイミング。

まるで神が私をあざ笑うかのように、何度も時が巻き戻されてしまう。


――"XX回目"

――不知火家


不知火(12)「………」

不知火(どうして、なの……提督君と仲良くなろうとすれば、必ずと言って良いほどに……)

私だけが記憶を継承した状態で時が巻き戻る日々。

そして、どれだけ提督君と交流しようとしても……その努力を水の泡にされてしまう。

20回を超えた時点で、私はこの状況が自分の悪夢である可能性を捨てた。

これほど長い間、明晰夢を見続けるはずが無い。すなわち、この忌まわしい現象は……現実ということになる。

不知火「………」

不知火(あり得ない……でも、実際に何度も起こっている以上……そう、考えるしか……)

時が巻き戻る度に、私の精神はすり減っていった。すり減らないはずが無かった。

『次は時が巻き戻らないかもしれない』と信じ、苦労して提督君と仲良くなったとしても、現象が起これば他人の関係に戻ってしまう。

毎回、提督君から『こいつは誰だ?』という目を向けられるのが……辛くて、悲しくて、堪らない。

不知火母「……不知火?」

不知火「………」

不知火母「学校で何かあったの?最近、家の中でも顔色が……」

不知火(……この問いかけも何度目かしらね)

不知火「……大丈夫」スタスタ…

不知火母「あっ、不知火……」

不知火(こんなこと、相談するだけ無駄に決まってる……)

何度も時が巻き戻ってしまう。その原因を突き止めて、未来へ歩みたい。

こんなことを告げれば、良くて学校でのストレスを心配されるだけ。

最悪の場合、心の病気を疑われてしまう。もっとも、その事実さえ無かったことになってしまうけれど。

不知火祖母「……ぬいちゃん、どうしたんだろうねぇ」

不知火母「私にも分からないの。何度聞いても『大丈夫』としか言わなくて……」

不知火祖母「ふむ……」

――1時間後・不知火の部屋


不知火「………」

不知火(一体、どうすれば……)

こうして自室で頭を抱え込んだのも、もう何度目だろうか。

いくら1人で頭を巡らせたところで、打開策等出るはずもないだろうに。

不知火「提督区……提督君……」

コンコンコン…

不知火「………」

不知火(どうせまた、お母さんが様子を見に来ただけ……このパターンは、何度も……)

不知火祖母『ぬいちゃん、入って良いかい?』

不知火「……え?」

不知火(お、おばあ……ちゃん……?嘘、こんなこと、今まで1度も……)

"今まで"なら、私の様子を見かねたお母さんが部屋を訪ねて来るはずだった。

そして、今まで通りの会話をして……何も進展せず、時間が巻き戻る恐怖に怯えながら眠るだけだったはずなのに。

不知火祖母『それとも、今は誰とも話したくない?』

不知火「……そんなこと、ない」

ガチャ…

不知火祖母「……ぬいちゃん」

不知火「………」

不知火祖母「……私達には、話せない悩み?」

不知火「………」

"今まで"の私なら、適当に返事をして会話を終わらせただろう。

話したところで、理解なんて得られるはずないのだから。

不知火(……でも、おばあちゃんなら)

今でも魔法の存在を信じているおばあちゃんなら、非科学的な超常現象の話でも……真剣に聞いてくれるかもしれない。

もちろん、全てを打ち明けることは出来ないけれど……それでも、話してみる価値はあるかもしれない。

不知火「……実は」

不知火祖母「………」

不知火「最近、悪夢ばかり見て……」

不知火祖母「悪夢……?」

不知火「どう、言えば良いか分からないけれど……時間が、巻き戻る夢……」

不知火祖母「……!」

不知火「新しい友達が出来て、仲良くなれたと思ったら……時が戻って、その人と初対面になってしまって……」

不知火祖母「………」

怪奇現象のことは話せなかったけれど、今の私の現象をほぼそのまま告げた。

一応、怪しまれないよう……咄嗟に、悪夢に魘されているということにした。

こんな方法がすぐに思いつくということは、やはり私はまだこの状況が悪夢という可能性を捨て切れていないのかもしれない。

不知火祖母「時が巻き戻る夢、ねぇ……ふむ……」

不知火「………」

不知火(やっぱり、怪しまれたかしら……)

不知火祖母「……昔聞いた、魔導師の話に似てるかもしれない」

不知火「……!」

不知火(魔導、師……)

おばあちゃんの口から告げられた、"魔導師"という単語。

"これまで"の私なら、その話を迷信で片付けていたかもしれない。

けれど、今は……全てが嘘だと、断定することは出来ない。

実際に、超常現象を何度も体験してしまっているから。

不知火「それって、昔よく話してくれた魔法使いのこと……?」

不知火祖母「そうだよ。遠い昔、それはそれは偉大なる魔導師様がいらっしゃったらしい」

不知火祖母「その魔導師様は、時を司る魔法を得意としておって……その力で、人々を災いから守って下さっていたんだよ」

不知火「………」

不知火「それが、関係しているの……?」

不知火祖母「いやいや。あくまで昔、そういうお方がいらっしゃったと言い伝えられて来ただけだよ」

不知火「………」

不知火祖母「ただ、私らもその魔導師様……魔法使いの子孫にあたるから、もしかすると……」

不知火「……!」

不知火(まさか、私に……時を巻き戻す能力が……)

実際、そう考えるだけの現象を嫌というほど経験してきた。経験させられた。

だとしたら、私にそんな能力が眠っていた……等という、出鱈目な話も信ぴょう性が出て来る。

不知火祖母「この時代にも、魔導師様……いや、魔導師様の子孫が生きていて……その魔法の影響を、受けているのかもしれない」

不知火「……え?」

不知火(魔法の影響を、受けている……?)

不知火祖母「これは私のばあさん……ぬいちゃんにとっては、遠いご先祖様に当たる人の話になるかな」

不知火祖母「ばあさんは、かつてこう言っていたんだ。魔法使いの末裔は、魂が共鳴することもあるって……」

不知火「……!?」

不知火(魂が、共鳴……そんな、ことが……)

おばあちゃんの仮説が事実だとすれば、私の身の回りに魔法使いがいて……時を巻き戻す魔法を使用したことになる。

そして、私はその魔法の影響を受けて……いや、魂が共鳴?して……その魔法の余波を、受けているということに……?

不知火祖母「もっとも、私もばあさんも、実例を見たことはないんだけどね」

不知火「………」

不知火祖母「ただ、もしかすると……魔導師様の子孫が、この時代を生きているのかもしれないね」

不知火祖母「そして、ぬいちゃんの魂と少しだけ共鳴して……悪夢という形で、魔法が反応しているのかもしれない」

不知火「………」

不知火祖母「………」ナデ…

不知火「……!」

不知火祖母「何にせよ、辛かったんだね……」ナデナデ…

不知火「………」

不知火祖母「でも、大丈夫。ぬいちゃんには、私やお母さん、お父さんがついてるから」ナデナデ

不知火祖母「悪夢に魘されても、学校で辛いことがあっても……私達が、いつも傍にいるからね」ナデナデ

不知火「……おばあちゃん」

嬉しかった。私の話を、真剣に聞いてくれて……少しだけ、すり減った心が癒された気がした。

同時に、今の出来事も無かったことにされてしまうと考えると……寂しくもあった。

不知火「………」グッ…

不知火(例え、今の話が仮説に過ぎなかったとしても……信ぴょう性のある、可能性を掴めただけでも……)

暗闇だった世界に、ほんの少しだけ……光が差したような気がした。

もし、魔導師が魔法を使っているのなら……いつかは終わりを迎える時が来るはず。

その時まで、諦めずに提督君と親しくなる努力を続ければ……いずれ、また2人で未来を歩める日が来るかもしれない。

不知火「……ありがとう。少し、気が楽になったわ……」

不知火祖母「それなら良かった……」ナデナデ

不知火「……提督君」ポツリ…

不知火(待っていて下さい。私は、諦めません……何度、時が巻き戻ったとしても……)

不知火(もう1度、提督君と仲良くなって……恋人になって、そして……2人で過ごせる未来を、掴んでみせます……!)

先が見えない不安はあった。いつこの地獄が終わるかが分からない恐怖もあった。

それでも、おばあちゃんの話を聞いたお陰で……幾分か、気持ちに余裕が出来た。

私の心に、希望が宿った。現象、いえ、魔法に負けず、提督君との幸せな日々を取り戻すことを誓った。

すみません、名前欄に記載し忘れました。今回はここまでです。

ぬいは大和の血縁者だった……?

それからも、例の現象は何度も私を襲った。

提督君との関係を進展出来たかと思えば、無慈悲に時が巻き戻ってゆく。

けれど、私は決して諦めなかった。挫けそうになる度に、おばあちゃんの話を思い出した。

"いつか、この現象が終わりを迎える時が来る。その時まで耐え続ければ、私の勝ち"。

そう考えるようにしながら、私は幾度と無く提督君と交流した。そして……


――"XX回目"

――10周目提督家


不知火(14)「私達の関係って……何だと思いますか?」

提督(14)「そりゃ、友人……いや、親友だろ?」

不知火(……ここまで、長かった)

体感で、もう何週間……何ヶ月、いえ、何年過ごしたかさえ……分からない。

けれど、私は諦めなかった。何度も提督君に忘れられる辛さを、歯を食いしばって耐え抜いた。

提督「……ま、まさか違うのか?」

不知火「……っ」ギュッ…

提督「……!?」

不知火(本当に、長かった……!)

何度、心が折れそうになったことか。

何度、心が壊れてしまいそうになったか。

不知火「……親友なんかじゃ、嫌なんです」

提督「え……」

不知火「もっと、先の関係に……恋人に、なりたいんです……!」

提督「……!」

それでも、私は……提督君と元の関係に戻りたい一心で、ここまで頑張って来た。

提督君と、もう一度触れ合いたい……その想いが、私の心を絶望から守ってくれた。

提督「こ、恋人って……」

不知火「……返事」

提督「……!」

不知火「返事を、聞かせて欲しいです……」

本当なら、今すぐにでも提督君を押し倒したかった。

でも、ここで私が誤った行動を取ってしまえば……取り返しのつかないことになりかねない。

だから、私は"あの日"と同じように……提督君からの答えを待つ。

提督「………」

不知火「………」

提督「……正直に言うと、怖かったんだ」

不知火「……!」

提督「もし俺が告白して、今の関係が壊れてしまったら……」

不知火(これは……)

提督「断られるだけなら良い。でも、もし絶交なんてことになってしまったら……俺はまた、孤独になる」

提督「情けないことを言っている自覚はあるが、それでも……不知火との仲に亀裂が入るのが、怖くて堪らなかったんだ……」

不知火("あの日"と、同じセリフ……ということは……!)

不知火「……っ!///」ガバッ

提督「うわっ!?」ポフッ

不知火「……嬉しいです///」ギュウッ

提督「お、おい、不知火……?」

不知火「私達、相思相愛だったんですね……!///」

提督君が私に好意を抱いてくれていることが確認出来た瞬間、私の理性は決壊した。

彼を抱き締めつつベッドへ倒れ込む。もう我慢する必要は無い。

早く提督君の体に包まれたい。提督君の温もりに包まれたい。提督君の愛を……全て、注いで欲しい。

不知火「あぁ、長かった……ようやく、提督君と……"また"、こうして……!///」シュルッ…

提督「っ、ま、待て!それ以上は、本当に……!///」

不知火「私の全てを、受け取って下さい……!///」

提督「う、ぁ……///」

それは、私がずっと求めていたものだった。ずっと欲しかったものだった。

まるで欲望のままに動く獣のように、激しく提督君を貪った。

最初は困惑していた提督君も、途中からは私に身を委ねてくれた。

あぁ、この時をどれほど待ち侘びたことだろうか。もう、まともな思考さえ出来なかった。

提督君と肌を重ね合わせる、この幸福感は……思いつく限りの、他の何よりも勝っている。

例の現象のせいで、限界まですり減った心が……提督君で満たされていく。

行為を終える頃には、今度こそ……提督君との未来を、この手で掴み取ることが出来たのだと確信した。


――数時間後


提督(全裸)「すぅ……」

不知火(全裸)「………」

不知火(少し、やり過ぎたかしら……提督君、行為を終えてすぐに眠ってしまって……)

不知火「………」ギュッ…

提督「ん……」

不知火(でも、久々だったから……こうして、提督君と1つになれることが……)

私の隣で安らかな寝息を立てて眠る提督君。私のことを好きになってくれた提督君。

彼の幸せそうな顔を見ているだけで、私も同じ気持ちになる。

不知火「……提督君」

提督「………」

不知火「……///」チュッ…

提督「んぁ……」

彼を起こさないよう配慮しつつ、頬にそっと唇を軽く触れさせる。

もう、二度と離さない。絶対に、この未来を……提督君との関係、時間を……死守してみせる。

不知火「愛しています……この世の、誰よりも……何よりも……///」スリ…

提督「………」

提督(不知火……そこまで、俺のことを……)

あれ以来、例の現象は一切起こらなかった。

最初こそ、今の状況が再びふりだしに戻ってしまったらどうしようと不安に思うこともあった。

けれど、"以前"のように提督君と共に過ごしている内に……その不安も、徐々に無くなっていった。


――約1年後・10周目提督家


不知火(15)「ここは、こうすれば……」

提督(15)「……出来た。やっぱり、不知火の教え方は凄く分かりやすいな」カキカキ

不知火「いえ……」

不知火("かつて"解いたことがある問題ですし……)

受験生になった私達は、"以前"のように提督君の家で勉強した。

ただ、高校卒業レベルの学力を身に付けていた私にとって、高校受験の勉強は比較的楽だった。

そのお陰で、自分の勉強を後回しにして……提督君に勉強を教える余裕が出来たほどだから。

提督「……うっ」

不知火「ここは、この単語や文法に注目すれば……」

提督「あ、そういうことか……よし、こうだな?」カキカキ

不知火「正解です」

提督「よし。この調子なら、俺も不知火と同じ高校へ通えそうだ……!」カキカキ

不知火「……提督君なら、大丈夫です。"必ず"受かりますから」

断言出来るのは、結果を知っているから。"以前"と同じようにやれば、不合格になるはずがない。

まして、"今回"は"以前"よりも提督君の勉強をしっかりと見ている。

これなら、落ちてしまう方が難しいと言えるかもしれない。

不知火「………」グッ…

不知火(不合格になんて、させるものか……提督君は、必ず合格させてみせる……2人で、未来を歩む為に……!)

やがて、私達は中学校を卒業した。私はもちろん、提督君も無事に合格した。

そして、"以前"と同様に……私と提督君は、10周目高校へ入学した。

そういえば、大井さんもいたような気がするけれど……そんなことはどうでも良い。

提督君と歩む時間以外、私にとっては……取るに足らない存在だから。


――約1年後・10周目高校


提督(16)「………」スタスタ…

不知火(16)「………」スタスタ…

目覚めてすぐに準備を整え、提督君の家へ向かい……そのまま、彼と手を繋いで登校する。

それだけで、私はとてつもない幸福に包まれていく。

ついに、私は勝ったのだ。魔導師なのか、その子孫なのか……今となっては、どちらでも良い。

無限とも言える、ループ地獄から……ようやく、抜け出すことが出来たのだから。

不知火「……桜、散ってしまいましたね」

提督「そろそろ初夏だからな……」

こうして、提督君と他愛もない話をすることが出来る。

こうして、提督君と同じ時間を……未来へ続く道を、歩むことが出来る。

提督「……不知火」

不知火「……何ですか?」

提督「今年の夏は、思いっきり遊ぼう。去年は受験で忙しかったからさ」

不知火「……喜んで」ニコ…

不知火(あぁ、これが私の望んだ日常……もがき続けて、足掻き続けて……ようやく、掴めたのね……)

こうして、提督君と"二度目"の青春を謳歌出来るようになった私は……確信していた。

あの現象に悩まされることなく……"本来の時代"まで、時が進んでくれるだろうと。

そして、今度こそ……提督君と"新たな未来"を過ごすことが出来るだろうと。































――――けれど、その認識は甘かった。





























グニャリ…

不知火「……え?」フラッ…

提督「……不知火?」

不知火(う、嘘……この、感覚って……)

提督「お、おい、不知火!?大丈夫か!?」ガシッ

不知火「はぁっ……はぁっ……」

視界が裏返る。世界が不気味なほど歪み、気持ち悪い浮遊感が襲い掛かる。

おかしい。今まで、一度も起こらなかったのに。もう起こらないと、信じていたのに。

不知火「うっ、ぁ……」

不知火(どう、して……い、嫌……そんな、ここまで来て……)

提督「しっかりしろ!不知火!まずい、どうする!?とにかく救急車を……」

提督君の声が小さくなっていく。提督君の顔が、急速にぼやけていく。

提督君から感じていた温もりが無くなっていく。体の感覚が無くなっていく。

不知火「て、て……い、と……く……く――」

彼を手放したくない。また赤の他人に戻るなんて、そんなことは耐えられない。

その一心で、私は手を伸ばした。提督君の手を、顔を、体を掴む為に……とにかく、彼から引き離されない為に。

けれど、現象は無慈悲に私を地獄へと叩き落した。また、あの先が見えない迷宮へと引きずり込んでいった。

















パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!

――現在・8周目大学周辺


不知火「……っ」ギリッ…

不知火(あれ以来、私は……ずっと……!)

"あの時"は、高校入学直後に戻っただけだった。だからこそ、少しだけ安心してしまった。

"提督君と恋人になってさえいれば、まだ何とかなる"。

"この程度なら、まだ十分やり直せる"……そう考えたのが間違いだった。

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(やり直すどころか、前より悪化して……)

ようやく掴んだと思った希望を、瞬く間に打ち砕かれてしまった。

むしろ、赤の他人まで戻された方が……マシだったかもしれない。

不知火「………」スタスタ…

不知火(私が経験した絶望なんて、誰にも理解されない……されるはずがない……)

現象だけでなく、私自身の考えが甘いことを嫌というほど理解させられた。

結局、私は負けたのだ。魔導師に、そして……自分の心の弱さに。

不知火「………」スタスタ…

その癖、狙ったかのように……今は、こうして……時が進んでいる。

今まで、何度も私を地獄に閉じ込めておいて……今更、こんな……勝手過ぎる。

不知火「………」ピタッ…

さっき、提督君が私の水着を褒めてくれた台詞も……"最初"と同じ。

こんなところで、"かつて"の思い出を掘り返されたくなかった。

不知火「……うっ」

けれど、同時に……提督君に褒めて貰えた嬉しさを、感じてしまった。

自分の心が、歓喜と絶望で入り交じって……吐き気さえ催してしまう。それ以上に、未だ彼の言葉に影響される自分が嫌になる。

私が提督君の隣に立つ資格は無い。あんな酷いことを言い放ったような女が、彼の傍にいるなんて……許されるはずが無い。

不知火「………」

不知火(提督、君……)

今回はここまでです。ようやく回想パートその2が終わりました。次回からは本編に戻ります。ただ、更新頻度や速度は以前より少なく(遅く)なりそうです。
時系列としましては『不知火が提督と再び交際~高校入学後に時間が巻き戻ったタイミング』は『大和が大井を殺害した後、8周目提督と暁が交際している様子を見て絶望して再びループしたタイミング』です。

>>341
ややこしい説明及び描写になってしまい申し訳ありません。
不知火祖母の話はあくまでも『不知火は魔法使い(=魔導師や魔法使いを含めた魔族全般)の子孫』というだけで、大和の子孫という訳ではありません。

18:30~19:00頃開始予定です。

始めます。

~ 8月1週 ~

――10周目提督家・庭


ビスマルク「……はぁ」

ビスマルク(今日1日、あいつがいないというだけで……気が休まるわね)

ビスマルク(まさか、水着を持って海水浴だなんて……信じられない)

ビスマルク「……相手は想像つくけど」

ビスマルク(よくもまぁ、あんな男と一緒に……私なら、死んでもお断りよ。全く……)

「無理だけはなさらないで下さいね?」

「分かってる。でも……」

ビスマルク「……?」

ビスマルク(この声って……)チラッ


7周目提督「このままあいつを……糞親父を放っておけば、また罪の無い企業が倒産させられる」スタスタ…

漣(7周目)「……ご主人様が責任を感じることはありません」スタスタ…

7周目提督「分かってる。僕は別に、潰された企業や失業者を救う為に猛勉強している訳じゃない」

漣(7)「………」

7周目提督「ただ、あいつのやり方が気に入らないだけなんだ。競争で振るい落とされる企業が出てしまうのは、絶対に避けられないことではあるが……」

7周目提督「わざわざ潰す必要の無い企業まで喧嘩を売って、叩き潰すのは……どう考えても、あいつの方針が狂ってるとしか思えない」

漣(7)「………」

7周目提督「だからこそ、僕が変えてやる。あいつの腐り切った方針を、僕の手で正さないと……気が済まない」グッ…!

7周目提督「それ以上に、姉さんやジェーナスを苦しませた奴に……7周目企業の社長なんて、やらせてたまるか……!」

漣(7)(ご主人様……)


ビスマルク「……っ」ギリッ…!

ビスマルク(7周目企業……忘れるはずが無い。その企業のせいで、私は……)

ビスマルク「……それだけじゃない」

ビスマルク(どうしてあの子が、この前とは違う男を『ご主人様』と呼んでるのよ……)

ビスマルク(まさか、メイドの掛け持ち……?いや、でも隣の男はあの子を『姉さん』って……)

「あっ、こんにちは!」

ビスマルク「……!?」


漣(4周目)「奇遇ですね!こんなクッソ暑い道端で出会うなんて!」

漣(7)「奇遇って、一昨日も会ってるんですがそれは」

漣(4)「こまけぇこたぁいいんだよ!7周目提督さんもどもです!」

7周目提督「……どうも。相変わらず不気味なほどそっくりだな、2人共」

漣(7)「禿同」

漣(4)「だから古いですって」


ビスマルク「……嘘でしょ」

ビスマルク(メイドの掛け持ちだった方が、まだ現実味があったわね……ここまで姿形が似てる人間が存在するなんて)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:18/50
↓3不知火のコンマ      未練度:83.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:87/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

不知火は何をしている?もしくは提督と不知火は何をしている?

18:55以降から先着3つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし18:59までに3つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※現在は夏休みですので、高校関係以外のシチュエーションでお願いします。

――繁華街・アイス屋の前


提督「チッ……」スタスタ…

例によって、肉便器に使う道具がネット通販で売切れてやがった。

肉便器に買いに行かせようにも、アヘ顔で何を言っても反応しないときた。

だからこうして、俺が直々に買いに行く羽目になってしまった。糞が。

提督「にしても暑過ぎるだろ……油断すると熱中症になりかねないな……」

一応、家政婦から持たされた水分補給用のスポーツドリンクはある。

だが、正直あの味は苦手なんだ。出来ることなら飲みたくない。

提督「あぁ……」

提督(でも、このままじゃ暑さで参っちまう……仕方ない。その辺の店でアイスでも食って……)チラッ

不知火「………」モグ…

提督「……!」

提督(あ、あそこにいるのって……)

不知火「………」モグ…

不知火(……味なんて感じない。冷たいという、無意味な感覚だけが伝わって来る)

不知火(家族から『家に籠りがちでは気を病んでしまう。一緒に出掛けよう』と誘われ、そのまま同行したは良いものの……)

不知火(外にいようが、中にいようが……私の心が晴れるはずが無い。結局、私は家族とは別行動を取ることにした)

不知火(心配してくれる気持ちは理解している。けれど、それが返って辛い……どうせ、私の苦しみなんて……)

提督「……不知火?」

不知火「……っ!」

不知火(え、て、提督……君……どうして、ここに……この前も、水着屋で出会って……)

提督「えっと……ぐ、偶然だな。その……」

まさか、また不知火と鉢合わせするとは思わなかった。

水着屋の時と同じで、頭がパニックで上手く回らない。上手く言葉が出ない。

不知火の顔を見られた嬉しさと、不知火への未練が同時に俺の心を締め上げて来る。

不知火「……は、はい」

提督「……アイス」

不知火「え……」

提督「アイス、食べてたのか……」

提督(ダメだ、話そうとするだけで声が震えて……)

不知火「………」

不知火(な、何か言わないと……けれど、私が提督君と話すこと自体……許されることでは……)

不知火(とはいえ、無視する訳にも……あぁ、どうすれば……不意打ちで、頭が働かない……)

提督「……っ」

何でも良いから不知火と話したい。しかし、拒絶されるのが怖い。

思考の板挟みで、嫌な汗が噴き出て来る。暑さどころか、冷や汗さえかいている。

提督「……ミント」

不知火「……!」

提督「あ、アイスって、たまにミントが付いてるよな……あれ、不知火は食べる派か?」

不知火「………」

提督「………」

提督(またやっちまった!何聞いてんだ俺は!)

こんな状況でミント!?もっとマシな話題があっただろうが!これでドン引きされたらどうするんだよ!

ただでさえ不知火からの低い評価が、更に最底辺まで下がったら……もう、俺の心が持たないかもしれないのに。

提督「あっ、い、いや、今のは……」

不知火「………」


未練度上昇率判定:この後どうなる?

01~49:不知火の家族が戻って来て……
未練度上昇:小 ×1.0
50~98:不知火「……"昔"は、食べていました」
未練度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:不知火、涙を流す
未練度上昇:大 ×2.0

直下

未練度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

.::::::::::::::::::::
  ...::::::::::::::::
 . ......::::::::::::

    Λ_Λ...::::::
   /彡ミヽ )ー、::::
  /:ノ:ヽ \::|.::: <長い回想をようやく終えて本編再開出来ると思った矢先に、一気にリーチだなんて……

  /:/::  \ ヽ|.:::
 ̄(_ノ ̄ ̄ ̄\_ノ ̄ ̄


今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
これまで通り、回想パートは少しずつ投下していく予定です。お待たせしてしまい申し訳ございません。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。

36→63:遥か昔の話 6×1.5=9 9+83.5=92.5/50 《-- リーチ --》


不知火「……"昔"」

提督「……え?」

不知火「"昔"は、食べていました」

提督「……そう、なのか」

不知火「……はい」

不知火(気が遠くなるほど、"昔"…提督君と、一緒にアイスを食べた時も……こんな、会話を……)

提督「………」

不知火は、俺の変な質問にも答えてくれた。

怪しむ素振りや嫌悪感を見せることもなく、普通に話してくれた。

それだけで、俺はやはり胸の内から喜びが湧いて来るのを感じてしまう。

不知火「………」スクッ

提督「ぁ……」

不知火「………」スタスタ…

不知火(アイスも食べ終えたから、もうここにいる意味は……)

提督「ま、待って……くれ……!」

不知火「……っ」ピタッ

提督「ど、どうして……」

あぁ、俺は何と無様で情けないのだろう。何と未練がましいのだろう。

未だに、不知火と元の関係に戻れるかもしれないという浅はかな思いを捨てられないなんて。

提督「こんな俺に、まだ……話しかけて、くれるんだ……?」

不知火「………」

そんな考えだから、俺は咄嗟に不知火を呼び止めてしまった。

別れを告げた男に言い寄られるなんて、不知火にとって……凄く、嫌だろうに。

それでも、我慢出来なかった。不知火が俺なんかと口を聞いてくれる理由が、知りたかったのだ。

不知火「……提督君、こそ」

提督「え……?」

不知火「どうして、こんな私なんかのことを……」

提督「し、不知火……?」

不知火「……っ!」ダッ

提督「あっ、ま、待ってくれ!不知火……」

今の言葉は、一体どういう意味なんだ?どうして私"なんか"なんて言い方をしたんだ?

これじゃあまるで、不知火が俺に悪いことをしているみたいじゃないか。実際には逆なのに。

俺が惨めに、不知火へ付き纏っているに過ぎないのに……

提督「……っ」

提督(不知火……)

――数分後・繁華街


不知火「はぁっ、はぁっ……」タタタッ…

不知火(どうして……どうして、なんですか……?)

私は提督君に別れを告げた。酷い別れ方をしてしまった。

それなのに、提督君は私に失望するどころか……以前までのように、話しかけようとしてくれる。

そのことが、凄く嬉しくて……同時に、凄く辛い。

不知火「……っ」ズキッ

不知火(この期に及んで、私は……)

あんなことを言ってしまったのに。あんなことをしてしまったのに。

私は、自分の行いを棚に上げて……提督君と、もう一度元の関係に戻ることを望んでしまっている。

不知火(そんなこと……許される、はずが……)

頭では、そう考えていても……感情は違う。

今すぐにでも、提督君に"あの日"のことを謝罪したい。

そして、提督君に……今の気持ちを打ち明けたい。

不知火「………」

不知火(最低ね、私……あんなことがあった後、だというのに……)


――"XX回目"

――約2年前・有名私立中学校までの道


提督(15)「俺達もとうとう受験生か……」スタスタ…

不知火(15)「………」スタスタ…

不知火(どうして、なの……?もう、あの現象は……終わったはずでは……)

幾多のループを耐え抜き、提督君と再び高校へ通うことになったあの日……また、時が巻き戻ってしまった。

最初は入学直後に戻るだけだったから、油断していた。

不知火(あれから、何度も……短い周期で……)

"今回が例外で、流石にまたあのような日々が続くはずがない"。

そう考えていた、自分の考えの甘さを……思い知らされてしまった。

提督「でも、不知火と一緒なら……面倒な勉強だって、耐えられる自信がある」

不知火「………」

不知火(この会話も、もう5回目……)

以前ほど遠い昔へ戻ることはないものの、数週間から数ヶ月の範囲で時が巻き戻ることが多い。

そのせいで、私は提督君と何度も同じ会話を交わすことになってしまっている。

不知火「……っ」ゾクッ…

不知火(ま、まさか、このまま……いえ、流石にそんなことは……)































――――"次こそは、時が巻き戻らないまま新しい日々を過ごせるはず"。


――――そう信じていたけれど……何度も同じ日々、同じ会話、同じ出来事を繰り返させられる。


――――何度も。何度も何度も何度も。


――――数えることを諦めてしまうほどに、何度も。


――――そんな日々を繰り返している内に、私の心は……少しずつ、死んでいった。


――――今までとは違う、短い周期での現象は……私の正気を、じわじわと奪っていった。





























――"XXX回目"

――10周目提督家・自室


提督「不知火……不知火っ……!///」

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(この行為も、何度目……だったかしらね……)

どれほど提督君と仲を深めようとしても、無かったことにされてしまう。

どれほど提督君と肌を重ね合わせても、無かったことにされてしまう。

どれほど、提督君を感じようとしても……提督君にとって、それは無かったことになってしまう。

提督「はぁっ……はぁっ……!///」

不知火「………」

私ばかりが、想いや苦痛を募らせていく。地獄のような苦しみを味わい続ける。

けれど、提督君はそんなことを知るはずもない。何故なら、時間と共に記憶も巻き戻ってしまうから。

私がどれほど提督君を深く愛しようとしても、提督君にとっては……

不知火「……"付き合い始めたばかり"」ボソッ…

提督「……不知火?もしかして、嫌だったか……?」

不知火「……いえ」

提督「……その、ごめん」

不知火「気にしないで下さい。ほら、膣内で出すんでしょう……?」

提督「いや、流石にそれは……」

不知火「安全な日ですから、お構いなく」

"今まで"なら必ず避妊をしていたが、今はもう……そんなことはどうでも良い。

どうせ、次の瞬間には時が巻き戻るだろうから。避妊をしたところで、無意味なのだから。

提督「……良いん、だな?///」

グニャリ…

不知火「う……」

提督「な、なら……このまま、膣内で……!///」

不知火(ほら、また……行為中に戻るのも、これで……何度目、だったかしらね……)

提督「うぅっ……!///」









パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!































――――最初こそ、提督君と赤の他人の関係に戻るよりはマシだと考えていた。


――――けれど、それは大きな間違いだった。


――――折角恋人同士になっても、すぐに時間が戻されてしまう。


――――それはすなわち、最愛の人との思い出を一切作れないことを意味する。


――――それが私にとって、何よりも辛く、苦しかった。


――――何度も同じ会話を聞かされ、何度も同じ出来事を体験させられる。


――――それが何十回、何百回と繰り返され……私の精神は、既に限界を超えていた。


――――私はいつしか、"今まで"以上の絶望に呑まれていた。





























――"XXX回目"

――10周目提督家までの道


不知火「………」スタスタ…

提督「……なぁ、不知火」スタスタ…

不知火「………」

提督「最近、元気が無いみたいだけど……何かあったのか?」

不知火「……大丈夫です」

提督「っ!?」ゾクッ

提督(な、何だ!?今の、不知火の声……抑揚がない上に、冷え切っていて……)

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(この会話も、何度目かしらね……)

提督「……俺で良ければ、話くらい」

不知火「……大丈夫です」

提督「いや、でも……」

不知火「何度言えば分かるんですか?」

提督「……っ」ズキッ

不知火「私のことは、放っておいて下さい……」

不知火(どうせ、話したところで無駄だもの……)

不知火「………」スタスタ…

提督「………」

提督(不知火……)

――10分後・不知火家


ガチャ バタン…

不知火「………」

不知火(……また、やってしまった)

提督君との会話は、その全てを一字一句暗記してしまった。

私が会話内容を大幅に変えない限り、提督君が話す内容から単語まで全てが同じ。

壊れたDVDやBDの映像を見ているかのように、延々と同じ出来事が繰り返される。

不知火「………」

それだけでなく、"毎回"しつこく食い下がる提督君に……私は、苛立ちを感じてしまった。

恋人が、自分のことを心配してくれているというのに。

不知火(提督君は、何も……悪く、ないのに……)

自分でも恐ろしいほどに、冷たい声が喉から出てきてしまった。

今の言葉で、提督君を傷付けてしまっただろう……間違いなく。

不知火「……最低ね、私は」

何の罪も無い恋人相手に、八つ当たりしてしまうなんて。

それがいけないことだと分かっている癖に、我慢することさえままならない。

何度も戻されていたとしても、決してそれだけは……やってはいけないことだと言うのに。

不知火「……っ」ギリッ…

不知火(でも、どうせ今の出来事も……)

何度後悔したとしても。何度罪悪感を抱いたとしても。

例の現象は、容赦なく私を閉じた世界へ叩き落す。

今のような苦痛も、既に数え切れないほどに経験している。

不知火「………」

不知火(こんな酷い私だからこそ、地獄に落とされたのよ……最愛の人へ、理不尽な怒りをぶつけるような奴だから……)

絶望。自己嫌悪。罪悪感。後悔。その全てが、私の心へ蓄積されてゆく。

そして、とうとう私は……この永遠とも言える時間から、"逃れる"ことを考えてしまった。

今回はここまでです。
時系列としては、大和が8周目提督の弱点や好みを研究する為に何度もやり直しているタイミングです。

――"XXX回目"

――深夜・不知火家


不知火「………」ギュッ…!

不知火(……これだけ強く縛っておけば、大丈夫よね)

両親達が寝静まった深夜。私は自室に籠り、ある準備をしていた。

天井に縄を取り付け、それを自分の首に巻き付ける。

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(後は、椅子を蹴り飛ばすだけ……)

これ以上、耐えられない。もう、こんな地獄を見せられたくない。

生きることを許されないというのなら……自ら、命を絶ってしまえば良い。

そうすれば、少なくとも……この閉じた世界から、抜け出すことが出来るから。

不知火「……っ!」ガッ!

ググッ…!

不知火「ぐ、ぅ……ご、ぉっ……」

不知火(お父さん、お母さん、おばあちゃん……親不孝な娘で、ごめんなさい……)

不知火(そして、提督君……こんな、弱くて醜い私で……本当に、ごめんなさい……)

遠のく意識の中、脳裏に浮かぶのは謝罪と罪悪感ばかり。

しかし、同時に……この地獄のような日々から解放される、安堵の気持ちさえ湧いていた。

不知火「……っ」ピクピク…

不知火(ごめん……なさい……)

息苦しささえ感じなくなっていく。目の前が真っ暗になっていく。

自分の命が消えゆくことを、嫌でも認識させられる。

けれど、怖くはなかった。むしろ、生き地獄を味わわされてきたからこそ……早く死んでしまいたかった。

不知火「」ピクッ…ピクッ…

そして、私は……その生涯に、自分の手で幕を――――









パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!































――――下ろすことさえ、許されなかった。





























――"XXX回目"

――有名私立中学校・教室


不知火「………」

提督「それで、さっきの授業の話なんだけどさ……」

不知火「………」

提督「……不知火?」

不知火「……何、で」

提督「え?」

不知火「そん、な……嘘……」

不知火(私は、確かに……首を吊って……)

気がつくと、私は教室の席に座っていた。

それどころか、提督君と共に……昼食を取っていた。

自殺したはずなのに、私は……それを決行する、数日前まで戻っていた。

不知火「あ……あぁっ……」ガクガク

提督「おい、大丈夫か?」

不知火「……っ!」ダッ

提督「し、不知火!?」

不知火(こんなの、あり得ない……!嘘、絶対に嘘よ……!)

あまりの絶望で、私はその場から衝動的に立ち去ってしまった。

この地獄にいる限り、例の現象が発生する限り……私は、死ぬことさえ許されない。

その事実を突きつけられた私は、当然錯乱した。もう、何も考えたくなかった。

不知火(自殺さえ出来ないの!?どうして!?このままずっと、永遠に地獄を生き続けなきゃならないの!?)

不知火「……ああああああああああッ!」

あらゆる負の感情が混ざり合い、私は思わず絶叫してしまう。

廊下にいる生徒が何事かと振り向くが、そんなことを気にする余裕なんて無い。

私は大声をあげながら、無我夢中で学校から……提督君から、離れたかった。

彼を見れば見るほど、自分がこの世界に閉じ込められていることを……嫌でも認識させられてしまうから。

それからというものの、何度自殺を試みようとしても……その度に時間が巻き戻り、私は強制的に蘇生させられた。

痛く苦しい思いをして、意識を手放しても……次の瞬間には、数日前から数週間前まで戻っている。

ただでさえ限界を迎えていた私の心は……これがきっかけで、ほぼ壊れ切ってしまった。


――"XXX回目"

――不知火家


不知火「………」ハイライトオフ

体はもちろん、思考さえ上手く働かない。何かを考える気力さえ浮かばない。

しばらくの間、私は生きたまま死んでいた。何もせず、ただ自室に籠ることしか出来なかった。

両親や祖母に心配されたが、そんなことさえどうでも良いと思っていた。

不知火「………」

何をやっても無駄。努力しても無駄。自殺しようとしても無駄。

上手くいったとしても、即座に無かったことにされてしまう。

もはや、私は全てを諦めていた。生きるどころか、死ぬことさえ。

不知火「………」

このまま、例の現象が発生し続ける限り……私に未来は無い。

提督君と愛を深めようとしても、その全てが徒労に終わる。

不知火「………」

不知火(……こんなことなら、恋人にならない方が良かった)

赤の他人なら、まだ割り切れたかもしれない。

すぐに諦めがついて、ありもしない希望に縋ろうともしなかったかもしれない。

けれど、恋人だからこそ……私は、ずっと苦しみ続けた。

次こそは、提督君と未来を歩めるかもしれない……新たな思い出を作れるかもしれない、と。

その考えが、私にとって……壮絶なストレス、絶望となり……私の心を壊し続けてきた。

不知火「………」スクッ…

不知火(……もう、終わらせてしまおう)

途方もない時間、苦痛、絶望に打ちのめされた私は……とうとう、最後の希望を捨ててしまった。

提督君と、恋仲でいられること……私がこの地獄で生きる意味を見出していた、唯一の希望を……自ら断ち切ることにした。

いや、もはや私にとって……希望でも、何でもなかった。むしろ、地獄に囚われる鎖に過ぎなかった。

……"当時"の私は、馬鹿なことに……そう考えてしまった。

――翌日・校舎裏


不知火「………」

ザッ…

不知火「………」

提督「……不知火」

提督(わざわざ、こんな人が少ない場所へ呼び出すなんて……それほど、深刻な話が……)

不知火「………」クルッ…

提督「……っ!?」ゾクッ

不知火「………」ハイライトオフ

提督(え、し、不知火……?何で、そんな……やつれ果てて、真っ青な顔を……)

提督(こんな言い方は、どうかと思うけど……まるで、生きたまま死んでいるかのような……)

不知火「……来て、くれたんですね」

提督「……不知火からの頼みだぞ?断る訳がない」

不知火「……っ」ズキッ…

不知火(やはり、そうですよね……提督君なら、そう言うと思っていましたから……)

不知火(……"今まで"なら、ここで考え直したかもしれません。でも、もう……)

不知火「……そう、ですか。では、今から私が話すことも……」

提督「何でも言ってくれ。お前の為なら、どんなことでも……!」

提督(金が関わることならどうにでもなるし、それ以外のことだって……)

不知火「………」

提督「………」

不知火「……提督君」

提督「……あぁ」

提督(どんなことを言われても、冷静さを失うな……きっと、不知火は俺を信頼してくれているからこそ、大事な話を――)































「……別れましょう」


「――え?」





























提督「……は?し、不知火……今、何て……」

不知火「もう、疲れたんです……」

提督「疲れたって……俺、何か気に障るようなことを……」

不知火「………」

提督「じょ、冗談だよな……?」

不知火「……っ」

提督「……!」

提督(な、何で……そんな、辛そうな顔するんだよ……)

提督(それじゃあまるで、意を決して……俺に別れを告げたみたいじゃないか……!)

不知火「………」

提督「お、俺に何か悪いところがあるんだったら、すぐになおすから!」

不知火「………」

提督「なぁ、不知火……そんなこと、言わないでくれよ……俺達、ずっと……愛し合って……」

不知火「………」クルッ

提督「ま、待ってくれ!」ガシッ!

不知火「………」

提督「せめて、理由を……不知火、頼むから……!」

不知火「………」バッ!

提督「……っ!」

不知火「………」スタスタ…

提督「ぁ、い、行かないでくれ……不知火……!」

提督(言ってくれたじゃないか……!俺のことが、好きだって……!)

提督(その言葉は、嘘だったのか……?全部、まやかしだったのか……?)

不知火「………」スタスタ…

提督「う、うぅっ……」ジワッ…

不知火(頼むから、俺を置いていかないでくれよ……俺を、1人にしないでくれよ……)

不知火「………」スタスタ…

提督(そんな……)ポロポロ…

提督「………」ポロポロ…

提督(不知火に、"裏切られた"……あんなに、愛していたのに……あんなに、好きだったのに……)ポロポロ

提督(お前まで、俺から離れて行ってしまうのかよ……あの時の言葉は、嘘だったのかよ……)ポロポロ

提督「うぐっ……こんなの、あんまりだろ……!」ポロポロ

不知火「………」ピタッ…

提督(不知火……何で……くそっ、くそぉっ……!畜生っ……!)ポロポロ…

不知火「……っ」スタスタ…

――数分後・不知火家までの道


不知火「………」スタスタ…

不知火(これで、良かったのよ……)

ありもしない未来に対し、希望を抱くのは無駄だと分かり切っている。

だからこそ、私は提督君に……別れを告げた。自分から赤の他人の関係に戻した。

こうすれば、私も諦めがつくと思ったから。その方が、お互いの為だと思ったから。

不知火「………」

不知火(提督君には、私なんかより……相応しい女性が、いますから……)

自分の心の弱さに負け、八つ当たりをするような人間なんて……孤独がお似合いだ。

提督君にとっても、何もかもを諦めてしまった私と一緒にいない方が良い。

不知火「……っ」ジワッ…

不知火(いけない……私に、涙を流す資格なんて……ない、のに……!)グシグシ

こんな自分が惨めで、情けなくて、本当に嫌になる。

自ら別れを切り出しておいて、今更未練を抱いてしまうなんて。

これまで、提督君への罪悪感で苦しんできた癖に、この体たらくな自分が許せない。

不知火「………」スタスタ…

不知火(どうせ、今の出来事も無かったことになる……でも、その度に……)

中途半端に希望を信じていたからこそ、私は苦痛を強いられてきた。

この先、何度も時間を巻き戻されたとしても……私はその都度、提督君に別れを告げようと思う。

恋人同士の関係を続けることの方が、全てを諦めて受け入れるより……辛いから。

不知火「………」スタスタ…

不知火(……さようなら、提督君)

これからは、私のような人間のことなんて忘れて……新しい相手を見つけて下さい。

閉じた世界から逃れられない私より、共に未来を歩める相手を探して下さい。

不知火(いつか、提督君が未来という名の幸せを掴めることを……祈っていますから……)

――数日後・有名私立中学校


不知火「………」チラッ…

提督「………」ハイライトオフ

提督(不知火……不知火……)

不知火「………」

不知火(今回は、長い方ね……いつもなら、もう……)

提督君に別れを告げてから、数日が経った。

これまでなら、既に時が巻き戻っているはずなのに……未だ現象が起こらない。

けれど、どうせ魔導師の気まぐれだろう。こんなことは、"今まで"に何度もあったから。

提督(不知火……不知火……)

モブa「ん?提督、今日は不知火さんと一緒じゃないんだな」

提督「………」

モブa「おーい、聞いてるか?」

提督「……うるさい」

モブa「え?」

提督「お前には、関係ないだろうが……」

モブa「っ!?」ビクッ

モブa(な、何だ、こいつ……今にも、死にそうな顔して……)

モブa「……そ、そうか。ごめん……」スタスタ…

提督「チッ……」

提督(どうせ、俺のことなんてどうでも良いんだろ……他人如きが、俺に関わろうとするんじゃねえよ……)

提督(もう、誰も信用出来ない……いや、信用しない……俺はもう、ずっと……孤独なんだ……)

不知火「……っ」ズキッ…

あの日以来、提督君はクラスメイトや担任に話しかけられても、まともに対応しなくなってしまった。

私のせいで、提督君は……誰に対しても、心を閉ざしてしまった。

その様子を見るのは、心が痛い。かつて恋人"だった"人が傷付く姿を見て、辛くないはずがない。

不知火(……でも、どうせ無かったことになる)

こうして、提督君が苦しんでいることさえ……私の記憶の中だけの出来事になる。

次の瞬間には、また私が提督君と交際している時に巻き戻る。

今は、今だけは……提督君を苦しめてしまった後悔と罪悪感を背負うしかない。

それでも、"今まで"のように……あるかも分からない未来を目指し、足掻く苦痛よりは……マシだから。

不知火「……っ!」グッ…

不知火(そんなことを考えてしまう、自分に嫌気が差す……でも、どうしても……"これまで"の辛さより、全てを諦めた今の方が……)































――――しかし、私の予想は大きく外れることになってしまう。


――――私は、自分の行いを……犯した罪を、深く後悔することになる。


――――自分の浅はかさと、心の弱さと……もう"取り返しがつかない"ことに、絶望することになる。





























今回はここまでです。上手くいけば、次回~その次の更新で回想を終えられそうです。

――1ヶ月後・有名私立中学校


教師「来週は予定していた通り進路相談だ。ご両親と一緒に、志望校や成績についての相談を……」

提督「………」ブツブツ…

提督(不知火……不知火……)

不知火「………」

不知火(……おかしい。一体、どういうこと……?)

私が提督君に一方的に別れを告げて以来、例の現象が起こる気配が無い。

いや、正確に言えば、数十分から数時間ほど時間が巻き戻る現象は時折起こっている。

けれど、これまでのような……それこそ、数週間から数年単位で巻き戻る現象が全く発生しない。

不知火「……っ」ゾクッ

不知火(まさか……)

今更、魔導師が魔法の使用をやめたとでも言う気だろうか。

そんなはずはない。私は散々、あの現象に地獄を見せられてきた。

こんな、提督君と破局した後に……狙ったかのように、現象が止むだなんて。

不知火(……信じられない。いや、信じたく……ない)

教師「1年なんてあっという間だぞ?自分の将来に関わることだから、真剣に考えるようにな」

提督「………」ブツブツ…

提督(不知火……不知火……)

不知火「……っ!」フルフル

不知火(いや、どうせ……その内、また……巻き戻る、はず……)

頭に浮かぶ恐ろしい可能性から必死に目を逸らす。

もし、何かの間違いで、このまま現象が起こらないままだったとすれば。

私がやったことは、やってしまったことは……全て、無駄になる。

それどころか、自分で自分の首を絞める結果になってしまうのだから。

不知火「………」

不知火(ありもしない可能性なんて、考えるだけ……心配するだけ、無駄だもの……)
































――――――しかし、時間は残酷にも未来へ進み続けた。


――――――どうせ現象が起こるだろうと考えていた、私が愚かだった。


――――――数日、数週間、数ヶ月……時代が前に進めば進むほど、私は恐怖に支配されていった。





























――半年後・不知火家


不知火「………」ハイライトオフ

不知火(……あり得ない。こんな、ことって……)

私は、なんて自分勝手なのだろうか。

あれほど憎んでいた現象を、あろうことか……今は望んでいるだなんて。

不知火(このままでは、私は……提督君と、破局したまま……)

月日が経つにつれ、最悪の可能性ばかりが思考に広がってゆく。

未来を歩めないと諦めた私が、提督君と決別する選択をしたこと。

どうせ時間が巻き戻るからと、全てを投げ出す決断を下したこと。

不知火「……っ!」クシャクシャ

不知火(どうして……どうして、今更……ッ!)

自分の誤った判断のせいで……自分がより一層、苦しむ結果になってしまうなんて。

何故、魔導師は今頃になって現象を起こさなくなってしまったの?

あれほど好き勝手に時間を巻き戻した癖に……何故、このタイミングで魔法を使わなくなってしまったの?

不知火「うっ……ぐぅっ……!」ジワッ…

不知火(どうして、なの……!?じゃあ、私がやったことって……っ!)ポロポロ

枯れ果てていたと思っていた涙が、とめどなく溢れ出す。

"今まで"は、どうせ何をしても時が巻き戻ると考えていた。

故に、取り返しのつかない失敗をしてしまっても……いずれリカバリー出来ると考えていた。

その考えは……甘かった。どうして私は、現象が無限に続くだなんて思い込んでいたのだろうか。

魔導師も人間……いや、確か別の種族だっただろうか。いや、今はそんなことどうだって良い。

魔導師が魔法を行使している以上……いずれは使用を止めるであろうことを、どうして想定出来なかったのだろうか。

不知火「っ、ぁ……うぅっ……!」ポロポロ

声にならない声をあげながら、私は……絶望と悲しみに呑まれ、ただ泣くしかなかった。

自分の心が弱かったせいで、提督君を傷付けて……離れ離れになってしまうなんて。

不知火「うぐ……あぁっ……!」ポロポロ

不知火(提督君……ごめんなさい……ごめん、なさい……っ!)ポロポロ

結局、私はその日……ただ1人、部屋の中で泣き続けることしか出来なかった。

魔導師のことも、情けない自分のことも、とにかく憎くて堪らなかった。

滅茶苦茶になってしまった心を整理するには……こうして、感情を吐き出すしかなかったから。

――数ヶ月後・10周目高校正門前


不知火「………」

不知火(……本当に愚かで、無様で、情けないわね……私は)

あれ以来、大きく時が巻き戻る現象は全く起こらなかった。

提督君との関係をやり直そうとも考えたが……出来なかった。

あれだけ酷いことをしておいて、今更「よりを戻しましょう」だなんて……

不知火「……っ」ギリッ…

不知火(そんなこと、言えるはずが……)

教室でも、死んだような表情で俯く提督君を眺めることしか出来なかった。

声をかけようと思っても……自分自身への失望と、提督君に拒絶されるかもしれない恐怖ばかりが浮かび上がる。

不知火「………」ギュッ…

それでも、私は未練を捨て切れず……志望校は、"以前"と同じにしてしまった。。

握り締めた受験票にも、10周目高校の名が記されている。

理由は当然、提督君と同じ高校へ進学しようと考えたから。

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(自分で別れを突きつけておいて、こうして……未だに、提督君の後を追いかけるなんて……)

何度、やり直したいと考えただろうか。

そして、その度に……何度、それほどまでに情けない自分のことが嫌いになっただろうか。

こんな人間では、私が何もしなくとも……提督君に嫌われて、当たり前だというのに。

不知火「………」チラッ…

提督「………」スタスタ…

提督(不知火は、確か……ここに行きたいと、先生に……)

提督君の志望校は、座席の位置を利用して……進路希望用紙を覗いておいた。

すると、やはり"以前"と同じように10周目高校と書かれていた。

だからこそ、私は志望校をここに固定した。せめて、同じ高校に通いたかったから。

不知火「………」

不知火(提督君……未だに、貴方に付き纏うような真似をして……本当に、ごめんなさい……)

不知火(それでも、私は……どうしても、貴方のことを……)

――約半年後・不知火家までの道


不知火(16)「………」スタスタ…

"三度目"の受験となれば、ほぼ全ての問題を時間内に解き終えてしまった。

そして、私はもちろん……提督君も、無事に合格することが出来た。

不知火「……っ」ズキッ…

けれど、"一度目"や"二度目"の高校生活とはまるで違う。

私は、遠巻きに提督君を眺めることしか出来なかった。

何故なら、私が彼に話しかけるなんて……言語道断だから。

そして、提督君から罵詈雑言を投げかけられてしまえば……生きていけなくなってしまうから。

「……今日も、良いか?」

「……えぇ」

不知火「……ぁ」

不知火(今の声って……)

いつもはこうして、1人で静かに自宅へ帰るけれど……どうやら、今日は提督君が先に下校していたらしい。

ただ、最愛の人の声と共に……記憶の彼方へ消えかかっていたけれど、辛うじて聞き覚えのある声も耳に入ってくる。

大井(16)「………」ギュッ

提督(16)「……!」

大井「手を繋ぐくらい、別に良いでしょう?例え、カップルじゃなくても……」

提督「……そう、だな」

提督(……右手が温かい。今だけは、不知火への未練から……目を背けられそうだ……)

不知火「………」

不知火(……大井、さん)

声の方向へ振り向くと、提督君と大井さんが手を繋いで歩いていた。

大井さんの言葉を聞く限り、2人は付き合っている訳ではないらしい。

ただ、そうだとしても……今の私には、この光景はどんな拷問よりも残酷だった。

不知火「……ッ!!」ダッ

――10分後・不知火家


ガチャ バタンッ!

不知火「はぁはぁはぁはぁ……うぐっ、ひぐっ……!」ジワッ…

不知火(そんな……提督君が、私以外の人と……)ウルウル…

私は、この期に及んで……どこまで甘ったれていたのだろう。

私から別れを告げられた提督君が、他の女性と親密にならないとは限らないのに。

不知火「……っ」ポロポロ

不知火(しかも、よりにもよって……)ポロポロ

でも、私が本当にショックだったのは……提督君が、別の人と歩いていたことじゃない。

その相手が、提督君の幼馴染である……大井さんだったから。

かつては私が提督君を"勝ち取った"とも言える相手に……私は"奪い返された"。

最愛の人を、よりにもよって……彼と元から親交があった女性に、奪い取られてしまった。

不知火「どうして……どうして、なの……!?」ポロポロ

不知火(私が、何をしたというの……!?どうして、こんな思いをしなければいけないの……!?)ポロポロ

前世で何か大罪でも犯してしまったのだろうか。

そうでもなければ、どうして私がここまで理不尽な目に遭わなければならないというのか。

考えれば考えるほど……辛くて、苦しくて、そして……憎くて堪らない。

不知火「………」ポロポロ

不知火(……いや、私にはお似合いの末路、か)

最愛の人を傷つけておいて、未だに彼に未練を抱くなんて……最低にもほどがある。

これはきっと、私に対する……罰なのだろう。自らの弱さと、提督君を苦しめてしまった……重い罰。

私がすべきことは、例えどれほど辛くとも……提督君の幸せを願うことである。

不知火「……私は、もう……大井さんに、何かを言えるような立場じゃ……ない……」ポロポロ

不知火(それどころか、大井さんに……提督君のことを……)ポロポロ

不知火「……っ!」ギリィ…ッ!

けれど、それは無理だった。頭では理解していても、感情は誤魔化せなかった。

やはり私は、提督君のことを愛している。未だに、彼のことを引きずってしまっている。

自分で彼を傷付けておきながら、それでも……もう一度、彼とよりを戻したいと思ってしまっている。

不知火「うっ……くっ……」

不知火(私は……一体、どうすれば、良いの……?)ポロポロ

――現在・繁華街


不知火「………」

不知火(提督君……)

これまで、私は提督君のことを忘れられなかった。

出来る限り、提督君とは関わらずにいようと思ったけれど……無理だった。

やはり私は、提督君がいなければ……これから先の未来を、歩めそうにない。

不知火「……っ」グッ…

不知火(それが、人として最低な考えだということは……分かっていても……)

既に全く起こらなくなってしまった現象に、今更期待などしていない。

ここから提督君との関係を修復するには……自分で動くしかない。

自らの手で、新たな未来を掴む努力をするしかないのだから。

不知火「……けれど」

不知火(もし、提督君に拒絶されてしまったら……)

"今更どういうつもりだよ。馬鹿にしてるのか?"

"自分から別れを切り出しておいて、都合が良すぎるだろうが"

もし、提督君からそんなことを言われれば……生きる目的や意味を、見失ってしまう。

それが怖くて、未だに動き出せない。最後の一歩を踏み出すことが出来ない。

不知火「………」

提督君が私を許してくれるというのなら。もう一度恋人になってくれるというのなら。

提督君と元の関係に戻れるというのなら……私は、何だってするつもりだ。

土下座でも、行為でも……それこそ、一般人なら嫌がるようなことだとしても。

不知火「……っ」

不知火(それでも、私自身が怖がっていては……どうしようも、ないのに……)

提督君、どうか……こんな私のことを、もう一度助けて下さい。

"あの頃"のように……その優しい笑顔を、また見せて下さい。

不知火(提督君……提督君、提督君……提督君……)ハイライトオフ

こんな、どうしようもなく身勝手な私に……貴方との関係をやり直す、勇気を下さい。

お願いします、提督君……私はもう、貴方無しでは……生きていけそうに、ないんです。

今回はここまでです。ようやく不知火の回想パートが終了しました(白目)。
次回の更新から本編に戻ります。

19:30~20:00頃開始予定です。

始めます。

~ 8月2週 ~

――10周目高校・職員室


迅鯨「はぁ~……」

迅鯨(提督君の成績表……何度見ても、やっぱりほとんどの科目が赤点で……)

迅鯨「このままだと、卒業どころの問題じゃ……」

迅鯨(人にはそれぞれ将来の道があるから、決して大学受験だけが全てと言うつもりはないけど……)

迅鯨(提督君の場合、卒業以前に……留年さえ視野に入ってきてしまうのよね……)

迅鯨「………」

同僚「……また提督君のことで悩んでるの?」

迅鯨「うぅ……」

同僚「うわっ、相変わらず酷い成績ね……よくこれで2年生になれたものだわ」

迅鯨「……必死に説得して、補修を受けてもらったから」

同僚「にしても、どうしてそこまであの子のことを気にかけるのよ?」

迅鯨「………」

同僚「……あー、何かワケアリ?だったら無理に聞かないけど」

迅鯨「いえ、そういう訳じゃないけど……」

同僚「ただまぁ、私としては……不知火さんの方が気になるかな」

迅鯨「不知火さん?あの子は特に素行に問題は……」

同僚「……アンタ、本当に提督君のことしか頭に無いのね」

迅鯨「………」

同僚「確かに不知火さんは成績こそ優秀だけど、普段からずっとクラスで孤立してるでしょう?」

迅鯨「……それは」

同僚「仮にも教師なんだから、1人だけに固執せず……生徒全体に目を向けること」

迅鯨「……ごめんなさい」

同僚「………」

同僚(偉そうなこと言っちゃったけど、私も提督君のことは心配してるのよね。あの様子だと、いずれ退学とか言い出しかねないから……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:18/50
↓3不知火のコンマ      未練度:92.5/100 《-- リーチ --》
↓4大井のコンマ       依存度:87/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

迅鯨は何をしている?もしくは提督と迅鯨は何をしている?

19:47以降から先着3つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし19:51までに3つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

★現在は夏休みですので、高校関係のシチュエーションの場合は提督が学校に呼び出される形にして頂けると幸いです。

――10周目高校・教室


迅鯨「………」

提督「チッ……」

提督(どうして休み中に、しかも不知火もいない学校なんかへ来なきゃならないんだよ……)

何もする気が起こらず、部屋のベッドで横になっていたら電話がかかってきた。

当然相手にしなかったが、家政婦が電話を取ってしまったせいで、こうして学校へ呼び出された訳だ。

いくら赤の他人とはいえ、家政婦はいつも世話になっている以上……無視は出来なかった。

迅鯨「……どうして私が提督君を呼び出したか、分かりますか?」

提督「……知るかよ」

迅鯨「……っ」ズキッ

そんなことどうだって良い。知りたくもない。

いい加減、俺に干渉してくるのをやめろって言ってるだろうが。

赤の他人如きが、俺の何が分かる?俺の気持ちなんて分かるはずないだろうが。

さも、そうやって『君のことを理解している』風に装われると……反吐が出るんだよ。

迅鯨「………」フルフル

迅鯨(ここで落ち込んでちゃダメ……何としてでも、提督君に……心を開いて貰わないと……!)

迅鯨「……成績についてです」

提督「……っ」ギリッ

提督(そんなことでわざわざ呼びつけたのかよ、こいつは……)

迅鯨「ただ、それは表向きの理由で……本当の理由は、違います」

提督「……は?」

迅鯨「私が、その……個人的に、提督君が心配で……」

提督「………」

迅鯨「その、提督君、見ていられないほどに……辛そうだったから」

迅鯨「何か、私に出来ることがないかなと思って……私で良ければ、力になってあげたくて……」

迅鯨(変な言い方になっちゃったけど、嘘をついてはダメ……ちゃんと、提督君と向き合わないと……!)

提督「………」


信用度上昇率判定:提督の反応は?

01~09:無言で立ち去る
10~49:「何が個人的だよ、教師の癖に」
信用度上昇:小 ×1.0

50~98:「……話すことなんて、無いって言ってるだろ」
信用度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:「……どうして、そこまで俺に関わろうとするんだよ」
信用度上昇:大 ×2.0

直下

信用度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

08→80:無意識の内に、少しずつ…… 1×1.5=1.5 1.5+18=19.5/50


提督「……だろ」

迅鯨「え……?」

提督「話すことなんて、ないって……言ってるだろ」

迅鯨「……!」

相手はただの教師……赤の他人だ。そんな奴に、俺が悩んでいることを話すと思うか?

こいつに話すくらいなら、大井に慰めて貰うに決まってるだろ。

迅鯨「……本当に、何もないんですか?」

提督「しつこいんだよ」

迅鯨「で、でも……」

提督「………」ギロッ

迅鯨「う……」

こんなことで学校に呼び出されたと思うと、腹が立ってくる。

何が悲しくて、教師のお悩み相談の為に……クソッタレが。

提督「……話は終わりか?なら帰るぞ」スクッ

迅鯨「ま、待って……!」

提督「ふん……」スタスタ…

迅鯨「私は、本当に……提督君のことが、心配なんです……!助けてあげたいんです……!」

提督「………」ピタッ…

迅鯨「教師としてだけじゃない!その、"前"に……」

提督「………」ガラッ…

提督(……うるせえんだよ。これ以上、俺の心に……踏み込んで来るな)

何が"助けてあげたい"だよ。お前にどうにか出来る問題じゃねえんだよ。

むしろ、こんなことを話せば……畜生。何を考えてるんだ、俺は。

まともに取り合わず、さっさと家へ……いや、大井の所へ行こうか。嫌な気分を、癒さないと……やっていられない。

バタンッ!

迅鯨「……うぅ」

迅鯨(また、ダメだった……でも、今回は……決して、悪い結果ばかりじゃない)

迅鯨(さっき、私の質問に……内容はどうであれ、答えようとしてくれた)

迅鯨(それに、今だって……一瞬だけ、足を止めてくれた。私の話を、聞こうとしてくれた)

迅鯨(少しずつでも、提督君に歩み寄れてるはず……大丈夫、この調子でいけば……きっと……!)

~ 8月3週 ~

――大井家・浴室


提督「………」チャプ…

大井「………」チャプ…

2人で入るには広過ぎる浴槽に浸かりながら、お互いを抱き締め合う。

ただ、こうしているだけで……嫌なことや辛いことを、誤魔化せる。

一時的に目を逸らすだけに過ぎなかったとしても……そんなこと、分かった上でのことだ。

提督「………」ギュッ…

大井「んっ……」

提督(……不知火とも、こうして風呂に入ったことがあったっけな)

ダメだ。大井で心を誤魔化そうとしても……どうしても、不知火のことを考えてしまう。

俺はなんて女々しくて、情けなくて、気持ち悪い奴なんだ。

別れた相手のことを、未だに自分の心の中で決別出来ないだなんて。

大井「………」ナデ…

提督「……!」

大井「余計なことは考えなくて良いの。今は何もかも、忘れましょう?」ナデナデ…

提督「……ごめん」

大井「もう、謝らなくて良いって言ったじゃない」ナデナデ…

提督「………」

大井「それとも……何か、凄く嫌なことがあったとか?」

提督「……当たらずとも、遠からずだ」

大井「そう……」ナデナデ…

不知火のこと。肉便器のこと。あのストーカー教師のこと。

それら全てがストレスとなり、俺の心を常に締め付けてくる。

肉便器については自業自得とはいえ、特に辛いのは……やはり不知火のことだ。

そこに追い打ちをかけるように、あの教師がやたらと干渉してきやがる。

提督(糞っ……)

大井「………」ナデナデ…

大井(提督、可哀想に……私以外の人を信用出来ないから、今でも苦しみ続けて……)

大井(でも、私は……私だけは、彼の苦しみを分かってあげられる。彼を、ストレスから救ってあげられる)

大井(だから、提督……早く気付いて?貴方にはもう、私しか……いないということに……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:19.5/50
↓3不知火のコンマ      未練度:92.5/100 《-- リーチ --》
↓4大井のコンマ       依存度:87/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

不知火は何をしている?もしくは提督と不知火は何をしている?

20:52以降から先着3つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし20:56までに3つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※現在は夏休みですので、高校関係以外のシチュエーションでお願いします。

――郊外・草原


不知火「………」

不知火(……また、ここへ来てしまった。隣に提督君は、いないというのに……)

不知火「……はぁ」

不知火("かつて"、提督君と……"何度"も、ここへ来て……)

不知火(その度に、ここにシートを敷いて……そよ風に当たりながら……)

不知火「……2人だけの世界を、満喫したのよね」ポツリ…

不知火(草花以外、何もない。あるとすれば、遠くに見える町の光景と、広大な空と雲だけ……)

不知火(だからこそ、私や提督君にとって……最高の場所だった)

不知火(他人の目を気にすることなく、誰にも邪魔されず……最愛の人との時間を、過ごすことが出来たから)

不知火「………」

――

不知火(14)『ここ、は……』

提督(14)『……最近、見つけたんだ。周りには草花しかないから、静かな場所が好きな奴以外は遊びに来ない』

提督『だからこそ、不知火と2人で……弁当でも食べながら、ゆっくり過ごすには丁度良いと思ってさ』

不知火『………』

提督『景色も悪くないだろ?雨上がりには、虹が見えることだって……』

不知火『………』

提督『……ごめん。地味過ぎたか?』

不知火『……そんなこと、ありません』ギュッ

提督『あ……』

不知火『むしろ、こんな素晴らしい場所を紹介してくれて……ありがとうございます』

不知火『ここで、提督君と2人きりで過ごせると思うと……嬉しさのあまり、言葉を失っていました』

提督『不知火……喜んでもらえて良かった』

――

不知火「……っ」ズキッ…

不知火(そんな日々を、私は……自分から、手放してしまっただなんて……)

不知火(後少し耐えていれば……後少しだけ、私の心が強ければ……こんなことには……)

不知火「……提督、君」

不知火(それなのに、私はこうして……提督君との思い出が残る場所を、訪れて……)

不知火(こんなことをしても、提督君との関係は戻らないのに……現実から、目を背けることにしかならないのに……)

不知火「………」


未練度上昇率判定:この後どうなる?

01~49:不知火、そのまま無言で帰宅する
未練度上昇:小 ×1.0
50~98:不知火、その場で泣き出してしまう
未練度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:提督「……不知火?」
未練度上昇:大 ×2.0

直下

未練度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

※50到達時はゾロ目とほぼ同じ展開になります

少し休憩します。22:30~23:00頃再開予定です。

再開します。

96→69:自らつけてしまった傷は深い 4×1.5=6 6+92.5=98.5/100 《-- リーチ --》


不知火「………」

不知火(ここにいるだけで、提督君との思い出が蘇って……)

不知火(でも、その思い出は……もう二度と、戻って来なくて……)

不知火「……っ」ジワッ…

不知火(……私が泣いて、どうする……1番辛いのは、提督君なのに……)ウルウル…

不知火(そう、思っていても……失ったもの、いや、手放してしまったものが……大き過ぎて……)ウルウル…

不知火「うっ……うぅっ……!」ポロポロ

不知火(どうして、私は……途中で、諦めてしまったの……?)

不知火「提督、君……っぐ、ぁ……!」ポロポロ

不知火(どうして、最愛の人との未来を……自ら、捨ててしまったの……?)

不知火(私が弱かったせいで……今、ずっと……あの時のことを、後悔し続けて……)

不知火「ひっく……うぁっ……!」ポロポロ

不知火(それなのに、こうやって……悲しんでいる自分が、嫌になって……)

不知火(例え、現象が原因だとしても……未来を放棄したのは、紛れもなく私の意志で……)

不知火「……っ」ポロポロ

不知火(でも、忘れられない……今だって、こうして……昔の思い出に浸れる場所を訪れて……)

不知火(そこで、後悔ばかり募らせて……もう、自分で自分が分からなくなって……!)

不知火「うぐっ……」ポロポロ

不知火(提督君……ごめんなさい……私のせいで、ごめんなさい……!)

~ 8月4週 ~

――10周目提督家・自室


提督「………」

提督(来週から、また学校か……)

夏休みも残り1週間。大井の家と、自分の家を往復する日々ももう終わりだ。

週が明ければ、また……不知火の顔を見る為だけに、煩わしい場所へ通うことになる。

不知火がいなければ、あんな場所……死んでも行かないだろうな。

提督「………」ゴロン…

提督(……ベッドから起き上がるのも億劫だ)

肉便器でストレスを発散する時や、大井と会う時以外は……一歩も家から出ていない。

教師から呼び出しを受けた時や、肉便器に使う道具を買いに行った時は例外だとしてもだ。

何が悲しくて、あんな……得体の知れない、裏で何を考えているか分からない奴らの元へ出向かなければならないんだ。

提督(……つっても、家の中にいるのも苦痛だがな)

不知火と大井以外の奴に、俺のことを理解して貰おうだなんて思っちゃいない。

それどころか、誰もが拒絶するに決まってるだろ。そんなことくらい、分かってるんだよ。

家にも外にも、俺には味方がいない。どこにも、俺の居場所なんて……ないんだ。

提督「……我ながら、糞みたいな人間性だよ。チッ……」

こんな自分に嫌気が差すし、他の奴らも信用出来ない。

大井とは互いを利用し合うだけで、不知火は……別れを告げられた。

提督「……っ!」クシャクシャ

提督(畜生……部屋にいても、嫌なことばっかり考えちまう……!)

大井で嫌なことから目を背けようか。

それとも、肉便器でストレスだけ発散して不貞寝してやろうか。

そう考える度に、より一層自己嫌悪を拗らせる。

提督「……不知火」ポツリ…

提督(どうして、俺を裏切ったんだよ……どうして……お前さえいてくれれば、俺は……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:19.5/50
↓3不知火のコンマ      未練度:98.5/100 《-- リーチ --》
↓4大井のコンマ       依存度:87/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

???「こっちへおいでぇ・・・おいでぇ・・・」

アカン

一割ちょいの確率でNTRれる

大井は何をしている?もしくは提督と大井は何をしている?

22:55以降から先着5つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし23:59までに5つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※R-18系安価の場合、『激しいプレイやアブノーマルなプレイ』、『コンドーム不使用のセックス』、『ビスマルクを含めた3P』等はNGです。
基本的に『お互いを物理的・精神的に傷付けない穏やかなセックス』のみと考えて頂ければ幸いです。
また、セックスする場所も提督もしくは大井の自宅、ラブホテル等に限定させて頂きます。

※現在は夏休みですので、高校関係以外のシチュエーションでお願いします。

ゲーセンでプリクラ撮ってる

――高級住宅街


不知火「………」スタスタ…

不知火(部屋に引き籠っていると、どうしても……提督君のことばかり考えてしまう……)

不知火(そう思ったから、重い足を動かして散歩に出たは良いけれど……)

不知火「……っ」スタスタ…

不知火(こうして、道を歩いているだけでも……"かつて"提督君と出かけた思い出ばかりが蘇ってきて……)

「……ごめんなさい。急に……」

「……気にするな」

不知火「……!」チラッ

不知火(聞き間違えるはずがない。今の声は……)

大井「どうしても、提督に……会いたかったから……」

提督「……そうか。俺も……ちょうど、お前に会おうと思ってたところだ」

結局、俺は大井で現実から目を背ける選択をしてしまった。

俺という人間は、どこまで卑劣で心が弱いのだろうか。

そんな嫌悪感さえ、大井と共にいる時だけは和らいてしまう。

不知火「……っ」ギリッ…

不知火(提督君、だけじゃない……大井さん、まで……)

提督「今日はどうするんだ?そのまま……」

大井「………」フルフル

提督「……分かった。どこが良い?」

大井「えっと…………っ!?」

不知火「………」

大井「………」

提督「……大井?」

大井「……そうね。まずは……」

大井(あいつ、どうしてここに……いや、提督が言うには、家が近いんだっけ。ただの偶然かしら……)

不知火「……っ」

大井(しかも、私達を尾行してるみたいだし……ちょうど良いわ。この際だから、あいつに……)ニヤッ

――30分後・繁華街


提督「……冷たくて美味いな」

大井「でしょう?この店、季節に合わせた期間限定スイーツが……」

不知火「………」ジー

不知火(提督君が、誰と仲良くしようと……今の私は、それをとやかく言える立場ではない)

不知火(そう、分かっていても……どうしても、胸の奥から……黒い感情が湧き上がって来る)

不知火「……っ」ギリッ…

不知火(どうして、よりによって……大井さんが……!)

大井「………」チラッ

不知火「………」

大井(悔しそうね……でも、アンタに悲しむ資格なんて無い。これっぽっちもね)

大井(アンタのせいで、提督は……今でも心の奥に、深い傷を残してしまっているんだから)

大井「……提督」

提督「ん?」

大井「こっちも美味しいわよ?はい、あーんして?」スッ…

不知火「っ!?」

不知火(なっ……お、大井さん、何を……)

提督「……そういうのはカップルがやることだろ」

大井「カップル以外の人がしちゃいけない理由も無いでしょう?」

提督「はぁ……分かったよ。やれば良いんだろ……あむっ」

不知火「ッ!!」ギリィ…ッ!

不知火(それは、本来……私だけの、特権だったのに……それを、大井さんが……っ)ググッ…!

提督「……こっちも美味いな」

大井「でしょう?この店に外れは無いもの」チラッ

不知火「……っ!」プルプル…

大井(辛い?苦しい?でも、それはアンタが自分で蒔いた種。私はアンタの代わりに、提督を支えてあげた)

大井(むしろ感謝して欲しいくらいよ。アンタのせいで心が壊れそうだった提督を、私が繋ぎ止めてあげたんだから)

提督「………」

提督(大井、さっきから何かを気にしているみたいだが……何かあったのか?)


依存度上昇率判定:この後どうなる?

リーチ未到達:不知火、我慢出来ず提督達の前に現れ……

リーチ到達(100未満):大井、そのまま提督を連れて自宅へ……

100到達:提督、大井を草原へ連れて……

01~49なら依存度上昇:小 ×1.0
50~98なら依存度上昇:中 ×1.5
ゾロ目なら依存度上昇:大 ×2.0

直下

依存度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

阿??「こっちへ・・・オイデェ・・・」

大井「……どうして邪魔するのよ」

不知火「人の彼氏を奪おうとしておいて、よく言えますね」

大井「その彼氏を捨てたのはどこのどいつかしら?」

不知火「………」ギロッ

大井「何睨んでるのよ、事実でしょうが。全く、誰のせいで提督があんなことに……」

不知火「……一度は私に提督君を奪われた癖に、よくそんな偉そうなことが言えますね」

大井「………」ギロッ

不知火(貴女には……貴女だけには……!)

大井(提督は、渡さない……絶対に……!)







迅鯨「……せめて、20台にはいきたいかなぁ」

ビスマルク「やめた方が良いわよ。まさか、本気であいつと結ばれたいと思ってる訳?」

迅鯨「いや、回想とか抜きにしても……今の提督君、見ていられないから……」

迅鯨「出来ることなら、私が助けてあげたい……そして、教師としてではなく……こ、恋人や奥さんとして支えてあげられたら……///」

ビスマルク「………」

ビスマルク(全然聞いてないわね。全く、どこがいいのかしら、あんな奴……)



今回はここまでです。お付き合い頂きありがとうございます。
次は上手くいけば明日の夕方~夜に更新出来そうです。それではまた次回の更新でお会いしましょう。

フフフ、乙い

20:00~20:30頃開始予定です。

始めます。

12→21:不知火「……そうはさせません」 2×1.0=2 2+87=89/100


大井「提督のも、一口食べて良い?」

提督「良いぞ。ほら」スッ…

大井「……私がやったようには、してくれないのね」

提督「だから、俺達はカップルという訳じゃ……」

大井「………」ジー

提督「……分かった。だから無言で凝視するのはやめてくれ」

今日の大井は、いつにも増して……俺に甘えてくる。まるで、俺の彼女とでも言いたげなように。

決して不快ではない。だが、それでも……大井を、恋人として見ることは出来ない。

もし、また裏切られてしまえば……どうしても、そう考えてしまう。

不知火「っぐ……!」ギリギリ

不知火(これ以上、耐え切れない……!)ズカズカ

大井「……!」

提督「……ん?大井?どうかし……あっ……」チラッ

不知火「……ま、また会いましたね、提督君」

提督「し、不知火……」

提督(この店では、前も……いや、それより……)

どうして、よりによって……大井と一緒にいる時に、不知火がやって来たんだ。

もちろん、不知火は何も悪くない。彼女を責めるなど、俺に出来るはずがない。

俺が苛立ちを感じているのは、今の状況……嫌な偶然そのものだ。

不知火「………」チラッ

大井「………」

不知火「大井さんと、ここで……?」

提督「あ、あぁ。ちょっとな……」

大井(……どうして出しゃばって来るのよ。さっきみたいに、指を咥えて見ていれば良いものを)ギロッ

不知火「……っ」グッ…

不知火(……貴女には、貴女だけには……提督君を、渡したく……いえ、本当は、私にそんなことを言える資格は無いけれど……)

不知火(それでも、あんな光景を見せ付けられれば……嫉妬で、頭がおかしくなりそうで……)

提督「………」

提督(不知火は、さっきまでの俺と大井を……見ていたんだろうか)

俺と大井は決して交際している訳ではない。だが、先程までの光景は……誰がどう見ても、カップルのそれだろう。

だとすれば、不知火は……俺が新たに、大井を彼女として迎え入れたと思ったのだろうか。

しかし、俺達の本当の関係を話すのは無理だ。そんなことをすれば、今度こそ……不知火に、失望されてしまう。

提督「……っ」ズキッ…

大井「………」

大井(提督を傷付けた分、こいつを苦しめてやろうと思ったけど……加減を間違えたかしら。次は上手くやる必要があるわね……)

大井(私達の前に現れたということは、まだ提督を諦めていないのかもしれない……だったら、完璧に心をへし折ってやらないと)

大井「………」ギロッ

不知火「………」

大井(私はアンタを許すつもりはない。例え、提督が許したとしても……絶対に、許すものか……!)

~ 9月1週 ~

――大井家・自室


大井「……ん」パチッ…

大井(もう、朝か……こうして、誰もいない家で寂しく起きるのも……何度目かしらね……)

大井「………」つスマホ スッスッ…

大井(とりあえず、提督に……聞かないと。休み明け前のように……)トゥルルルルル…

提督『……大井か、おはよう』

大井「おはよう。今日は始業式だけど、どうするつもり?」

提督『………』

大井「……やっぱり、サボるの?」

提督『……起きた時は、そうしようかと考えた』

大井「………」

提督『でも、今日は行こうと思う』

大井「……そう」

大井(きっと、あいつと会えるからよね……)

提督『今から準備する。15分でそっちへ行く』

大井「えぇ、待ってるわ」つスマホ スッ…

大井(……あいつは、いつまで提督の心の中に居座り続ける気よ)

大井(提督と別れておいて、傷付けておいて……その癖、私と提督の関係に嫉妬して……)

大井「………」グッ…

大井(あいつがいる限り、提督はずっと不幸なまま……だからこそ、私が……忘れさせてあげないと……)

大井(私は……提督のことを、裏切ったりしない。あんな奴とは、違って……!)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:19.5/50
↓3不知火のコンマ      未練度:98.5/100 《-- リーチ --》
↓4大井のコンマ       依存度:89/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します

大井は何をしている?もしくは提督と大井は何をしている?

20:15以降から先着5つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし20:19までに5つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※R-18系安価の場合、『激しいプレイやアブノーマルなプレイ』、『コンドーム不使用のセックス』、『ビスマルクを含めた3P』等はNGです。
基本的に『お互いを物理的・精神的に傷付けない穏やかなセックス』のみと考えて頂ければ幸いです。
また、セックスする場所も提督もしくは大井の自宅、ラブホテル等に限定させて頂きます。

申し訳ありませんが、少しアレンジさせて頂きます。

――10周目提督家までの道


提督「………」スタスタ…

大井「………」スタスタ…

俺にとって無価値な始業式を終え、大井と岐路につく。

律儀に学校へ出向いた理由は、もちろん……不知火の顔を見る為だ。

それ以外の理由など無い。不知火がいなければ、あんな場所へ通う理由なんざ一切存在しない。

大井「………」チラッ

提督「……っ」ズキッ…

だが、例え不知火の顔を見ることが出来たとしても……俺の気持ちが晴れることはない。

むしろ、不知火と元の関係に戻れないという現実に……胸が痛むばかりだ。

それでも、俺は不知火のことが忘れられない。そんな自分に反吐が出る。

大井「……ねぇ」

提督「……今日もか?」

大井「ううん、そうじゃなくて……このまま、ずっと不知火さんのことを引きずるつもり?」

提督「………」

提督(急に何を言い出すんだ、大井……そんなこと、俺が一番悩んで……)

大井「その、責めるつもりはないの。ただ、ずっと傍で見ている身としては……」

大井「好きな人が辛そうな顔をしていると、どうしても……心配で……」

提督「……大井」

"好きな人"、か。以前も、そんなことを言われたことがあった。

でも、俺は……不知火に振られて以来、歪んでしまった。

人を心から信用することが、出来なくなってしまったのだ。

提督「……ごめん。でも……」

大井「……出来ることなら、不知火さんへの未練を……断ち切って欲しい」

提督「……!」

大井(あいつの反応を見て、確信した。あいつはまだ、提督のことを……諦めていない)

大井(だとしたら、あいつには……あいつだけには、提督を……渡したくない)

大井(今の関係を続けて、もしあいつと提督がよりを戻してしまえば……私の末路なんて、想像に難くない)

大井(それならば、一刻も早く……提督を私に、依存させないとダメ……今まで以上に、私から離れられないように……)

提督「………」


依存度上昇率判定:この後どうなる?

100未満:提督(……俺は、大井のことも……そういう目で、見ているのか?信頼、しているのか……?)
100到達:大井「私を見て。私だけを、見て……!」

01~49なら依存度上昇:小 ×1.0
50~98なら依存度上昇:中 ×1.5
ゾロ目なら依存度上昇:大 ×2.0

直下

依存度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

※リーチ確定です。

短くて申し訳ありませんが、今回はここまでです。お付き合い頂きありがとうございました!
ここからはしばらく大井の回想パートその3が続きます。不知火の時と同様に、少しずつ投下していく予定です。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。

64→46:停滞したままではいられない 5×1.0=5 5+89=94/100 《-- リーチ --》


提督「………」

大井「………」

提督「……それは、難しい」

大井「……っ」ズキッ…

大井("まだ"、ダメなのね……でも、そうだとしても……!)グッ…!

大井「………」ギュッ…

提督「……!」

提督(俺の手を握って……)

大井「私は、何があろうと……貴方のことを、裏切ったりしない」

提督「あ……」

大井「それだけは、覚えていて欲しいの……」

提督「………」

提督(……赤の他人なら、月並みな言葉だと思ったかもしれない。それどころか、苛立ちを感じたかもしれない)

提督(でも、大井の言葉だと思うと……他人より、信用している大井からの言葉だと思うと……)

提督「……そう、か。そう言って貰えるだけでも、俺は……だいぶ、救われるような気がするよ」

提督(すんなりと、信じようとすることが出来る俺がいる……大井の言葉が、心に染み渡るのを感じる)

提督(俺は、大井のことを……そういう目で、見ようとしているのか……?)

提督(他人を信用出来ないと、拒絶し続けてきたのに……俺はまた、人を信じようとしているのか……?)

大井「……良かった」

私は、あんな奴とは違う。私は、ずっと貴方のことを想っていたから。

たかが数年の付き合いの人間に、提督のことが……理解出来るはずがない。

大井「……っ」ギリッ…

あろうことか、恋人を切り捨てるような奴に……提督を渡すものか。

少しずつ、提督の心を私に向けようと思っていたけれど……先に私が限界を迎えてしまった。

もう、慰め合う関係のままでいたくない。私が傍で、彼のことを支えたい。

大井「………」

大井(あんなに歪んで、それでいて苦しんでいた提督を癒せるのは……私だけだもの)

――約1年前・10周目提督家


「あっ、あぁっ……」

「どうした?もっと喘げよ。無様で下品な声を出してみろよ」

大井(16)「……?」

大井(今の声って、提督……?)

インターホンを押そうとした直前、敷地内から声が響いてくる。

聞き間違えるはずのない、大好きな人の声と……知らない人間の声。

それも、どこか様子がおかしい。不自然なほど、声や息が荒い。

大井(まさか、何かあったのかしら……)

状況を怪しんだ私は、外から敷地内の様子を伺うことにした。

すると、私が予想していなかった……衝撃の光景が飛び込んでくる。

ビスマルク(16)「っぐ、やめ……!///」

提督(16)「黙れ。肉便器の分際で、俺に指図するんじゃねえよ」

ビスマルク「ふぁっ!んぎゅぅっ!///」

大井「……え?」

提督が、見知らぬ女を強姦していた。

まるで、その手の道具のように……女を凌辱していた。

提督「………」

ビスマルク「んっ、あっ、ひぎぃっ!?///」

大井「………」

でも、私にとって……襲われている女のことは、心底どうでも良かった。

提督以外の人間なんて、私にとって……何の興味も湧かないから。

私が気になったのは、提督の言動。ただそれだけだった。

提督「……出すぞ。全部受け止めろ」

ビスマルク「あぁっ!?な、膣内はダメっ!ダメ、なのにぃっ……!///」ガクガク

大井(……おかしい)

強姦される側ならともかく、強姦する側が……あんな、死んだような目をするだろうか。

あれほど虚ろな表情を浮かべるような人が、異性を物のように扱う気力があるだろうか。

私が疑問に思考を巡らせていると、行為を終えた提督は……決定的な言葉を口にした。

提督「……畜生」

大井「……?」

提督「こんなことをしても、無駄なのに……こいつは所詮、金を払って買った肉便器に過ぎない……」

提督「どれだけヤっても、不知火に"裏切られた"寂しさは……埋まらないのにな……」

大井「……!」

提督「……後片付けはお前がやれ」スタスタ…

ビスマルク「ひっ、ぁ……///」ガクッガクッ

大井「………」

大井(……そういうこと、だったのね)

提督の言葉を聞いて、私はおおよそ何があったのかを察した。

彼はきっと、あの女の未練を別の女で紛らわせようとして……それが無意味だと悟ったのだろう。

1人の人間を購入するという行動には驚いたけれど、それほどまでに……提督は追い詰められていた。

大井「……っ!」ギリッ…

大井(あの女のせいで……あいつのせいで、提督は……あんなに、歪んで……!)

この程度のことで、私は提督を軽蔑なんてしない。

むしろ、私が感じたのは……あの女に対する、更なる嫉妬心と怒り。

あの女が、提督を悪い方へ変えてしまったのだ。大好きな人を、狂わせてしまったのだ。

大井「………」グッ…

大井(どうすれば、提督の苦しみを……和らげることが出来るかしら……)

それと同時に、提督を支えたいという気持ちが一気に込み上がってくる。

元はといえば、今日は……無断欠席を繰り返す提督を心配して、ここへ来たのだから。

ここまで追い詰められてしまった提督を見てしまった以上、私が何とかしなければならない。

大井「……提督の寂しさを埋められるのは、私しかいない」ポツリ…

勝手に好きになっておいて裏切った女や、単なる肉便器とは違う。

私は、これでも提督の幼馴染。他の人間よりは、彼に信頼されている自信がある。

それだけじゃない。私自身、提督と疎遠になってしまったせいで……孤独に苦しんでいた。

だとすれば、私が何をすべきかは……決まっている。

――数日後・10周目提督家


大井「………」スッ…

ピンポーン…

大井「………」

家政婦『……お久しぶりでございます、大井様』

大井「ご無沙汰しています。提督はいますか?」

家政婦『はい。もしかして、10周目提督様に会いに来て下さったのですか?』

大井「………」コクリ

家政婦『……今、開錠致します』


――数分後・自室前


大井「………」

大井(この家に来るのも、数年振りね……)

提督から、あの女との交際を告げられて以来……ここを訪れたことはなかった。

そして、提督があの女と破局した後も……ここへ足を運ぶ勇気が出なかった。

大井「………」グッ…

大井(でも、もう……悩んでばかり、いられない……!)

提督は既に歪んでしまっている。取り返しのつかいほど、狂ってしまっている。

そんな状態の彼に、第三者がとやかく言ったところで……恐らく、その声は届かない。

けれど、私は違う。かつては彼と共に過ごした、いや、共に"依存"していた私なら……!

大井「………」コンコンコン…

提督『……だから、今日は学校へ行く気分じゃないって言ってるだろ』

大井「……私よ、提督」

提督『……は、え?その声……まさか、大井……なのか……?』

大井「えぇ。入っても良いかしら?大事な話があるの」

提督『………』

大井「………」

部屋に入れて貰えない可能性は全く考えていなかった。

自惚れかもしれないけど、それ以上に……提督なら、きっと私を拒絶しないと信じていた。

ガチャ…

大井「……!」

提督「……入れ」

大井「……ありがとう」

むしろ、その程度のことも信じられないようでは……彼の気持ちに寄り添えるはずがない。

――自室


提督「………」ハイライトオフ

大井「………」

大井(……とても、女を無理矢理凌辱する醜い男の表情とは思えないわね)

この前、偶然情事を目撃した時よりも……提督の顔はやつれ果てていた。

その瞳も濁り切っていて、まるで今までの私のように……死人とさえ呼べる様相だった。

いや、仮に強姦魔そのものの顔をしていたとしても……事情を聴かず、彼を一方的に責めるような真似はしないけど。

提督「……さっさと話せ」

大井「……!」

提督「話があるんだろ?それを話したら、早く帰ってくれ……」

提督(不知火には"裏切られ"、肉便器に手を出すような俺には……どうせ、誰も……)

大井「………」

大井(……毒にも薬にもならない、慰めや励ましの言葉はいらない。私の気持ちを、しっかりと伝えれば良い)

大井「……単刀直入に言うわ」

提督「………」

大井「私には提督しかいないし、貴方には私しかいない。不知火さんがいなくて寂しいなら、私で寂しさを紛らわして貰って構わないわ」

提督「……は?」

大井「………」

提督「……揶揄ってるのか?」

大井「冗談やおふざけで、こんなことを言うと……いや、そうね。確かに、冗談にしか聞こえないかもしれない」

大井「でも、私は本気よ。貴方の心が少しでも癒されるなら、喜んでこの身を捧げるわ」

傍から見れば、私は異性に肉体関係を望む淫乱な女に見えるかもしれない。

でも、こうでもしなければ……提督の心は、きっと……近い内に、本当の意味で壊れてしまうかもしれない。

そして、私も……このまま、孤独に苦しみ続ければ……いずれ、心が死んでしまうかもしれない。

提督を癒したいという気持ちは紛れも無く本物だけど……同時に、自分の心も満たしたいと考えていた。

例え、それが周囲から軽蔑される関係だとしても……彼の温もりが恋しかったのだ。

提督「……どうして今、このタイミングで……そんなことを言うんだ」

大井「………」

提督「それに、俺しかいないって……勘違い、しかねないようなことを……」

大井「………」ダキッ

提督「っ!?」

大井「……そのつもりで言ったのよ」

提督「なっ……」

大井「それとも、もっと直球で言った方が良い?」

提督「……いや、いい」

提督(抱き締められて、そこまで言われれば……分からないはず、ないだろ……)

大井「そう、良かった」

提督「……いつからだ。その、俺を……」

大井「ずっと昔から。小学校の頃からね」

提督「嘘、だろ……」

提督(当時の俺は、大井のことを……そんな風には……)

大井「………」

案の定、提督は驚いていた。まぁ、無理もないでしょうね。

貴方は昔、私のことを異性として見ていなかったみたいだから。

ただ、それでも……幼馴染として、私のことを信頼してくれていた。

そのせいで、いや、お陰で……私は、貴方に"依存"してしまったけれど。

提督「……ダメだ」

大井「………」

提督「俺は、もう……不知火に振られてから、人を……特に、異性を信用出来なくなってしまった」

提督「どうせ、俺のことを裏切るに決まってる……そうとしか、考えられなくなってしまった」

大井「………」

提督「それだけじゃない。俺は、そんなことを言いながら……ある女を金で買い、肉便器にしている糞野郎だ」

大井「………」

提督「他人を信用出来ない癖して、自分に逆らわない奴を犯してストレスを発散する……最低のクズなんだよ」

大井「………」

今回はここまでです。上手くいけば次の更新で回想を終えられるかもしれません。

提督「だから、俺は……お前の気持ちには答えられないし、関係を持つことも……」

大井「………」

提督は、私に拒絶されることを分かった上で……それこそ、通報されることを覚悟の上で、正直に話してくれた。

隠し続けて、私と関係を持つという選択を取ることも出来たのに……それでも、打ち明けてくれた。

つまり、提督は私のことを……嘘をつきたくないと思える程度には、大事な存在と考えてくれている。

大井「……知ってる」

提督「は……?」

大井「提督が、金髪の綺麗な女性を強姦していたことなら……とっくに知ってるわよ」

提督「なっ……!?ど、どうして……」

大井「この前、庭でその女性を襲っていたでしょう?あの日、私はこの家を訪ねたから」

提督「……っ」

提督(迂闊だった……ヤケになって、青姦なんてやっちまったから……)

大井「もちろん、このことを公にするつもりはない。むしろ、バレないよう協力するつもり」

提督「……!」

大井「だから安心して。私は絶対に、提督を"裏切らない"から……」ニコ…

提督「………」

提督(大井……)

提督を安心させたいと考えていると、自然に笑みが浮かんだ。

私が笑顔を見せるなんて、いつ以来だっただろうか。もはや記憶にない。

ただ、その笑顔が普通でないことは……自分でも分かる。

きっと、今の私は……歪で、不気味な笑顔を浮かべているのだろう。

提督「………」

提督(俺、は……)

提督「……本当、なのか?」

大井「………」

提督「その言葉……信用しても、良い……のか……?」

大井「………」コクリ

大井("信用"、ね……)

提督「………」

提督(……畜生。本当なら、ここでどう返答すべきかなんて……分かり切っているのに……)

提督(こんな、セフレのような関係なんて……絶対に、ロクなことにならない……肉便器で、それを知ったはずなのに……)

提督「……っ」グッ…

大井「………」ギュウッ

提督「……!」

大井「貴方が金髪の女性と関係を持っていることなんて気にしないし、それを周りに言いふらすつもりもない」

大井「例え、恋人になれなくても良いから……私の孤独を、癒して欲しい」

提督「ぁ……」

大井「寂しさを、埋めて欲しいの……そして、私も……貴方の寂しさを、埋めてあげたい」

大井「肉便器にしている女性に飽きた時でも構わないわ。だから……」

提督「………」

大井「………」

提督のことだから、きっと……いえ、間違いなく迷っているのだと思う。

私だって、逆の立場なら……突然こんなことを言われれば、困惑するだろうから。

でも、私の意志は揺るがない。だからこそ、提督の心を揺さぶれるであろう言葉を……ダメ押しのつもりで呟いた。

大井「……不知火さん」

提督「っ!?」ビクッ

大井「不知火さんに振られて、辛いでしょう?悲しいでしょう……?」ナデ…

提督「う、ぁ……」

大井「何度でも言うわ。不知火さんに未練を抱いているなら……私で誤魔化してくれても良い」ナデナデ…

大井「寂しさも、憎しみも……全部、受け止めてあげるから……」ナデナデ…

提督「……っ」プルプル…

提督(不知火……あぁ、糞っ……俺は……俺、は……っ)プルプル…

大井「………」

あの女の名前を告げただけで、提督が露骨に狼狽えだした。

さっきは私の突然の告白に驚いて、それどころじゃなかったのかもしれない。

だからこそ、こうしてもう一度……私の気持ちを打ち明ける。

そうすれば、提督の心を揺さぶって……少しでも、私に向けることが出来ると思ったから。

提督「俺は……お前のことを、憎からず思ってるが……」

大井「………」

提督「それは、あくまでも……幼馴染としてだ。恋愛感情があるかと言われると……」

提督「いや、それどころか……異性に、そういう感情を抱くこと自体……無理、だと思う……」

大井「………」

提督「それでも、お前は……俺の寂しさを、埋めてくれるのか……?」

提督「俺のことを、本当に……"裏切らない"のか……?信用、しても……」

大井「……えぇ」

提督「……!」

大井「私も、提督で……寂しさとか、孤独の辛さを埋めるから」

大井「お互いを利用し、慰め合う関係……分かりやすくて、良いでしょう……?」

提督「……っ」ポフッ…

大井「……!」

提督「大井……大井……」

大井「……もう。胸に顔をうずめるなんて……子供みたい」ナデナデ…

提督「うっ……うぅっ……」

大井「………」ナデナデ…

恋人になろうと迫れば、提督がより辛い思いをしてしまう。それだけは絶対に避けなければならない。

だからこそ、提督を私に"依存"させる。そして、私がいなければ生きられないようにしてしまう。

そうすれば、あの女のせいで空いた心の隙間も……私への依存心で、埋まってしまうはず。

大井「ふふ……」ハイライトオフ

提督を癒せるのは、私しかいない。あの女のせいで傷付いた心を治せるのは、他でもない私だけ。

幼馴染であり、提督から一定の信用を得ている私でなければ……彼に歩み寄ることは出来ない。

そして私も、提督がいなければ生きていけない。もう少しで、孤独で潰されてしまうところだった。

提督「………」

大井「………」ナデナデ…

例え恋人ではなかったとしても、互いに依存し合う関係であれば……一緒に生きていくことが出来る。

周りからどう思われようが、何を言われようが……そんなことはどうでも良い。

私には提督しかいない。そして提督にも、私しかいない。

この狭い世界を、二人だけで歩めるのなら……これほどの幸せが他にあるだろうか。

提督「大井……うぅ……」

大井(……このまま、共依存になってしまえば良い。そうすれば、提督と……)

その日から、私と提督は歪んだ肉体関係になった。

孤独やストレスに耐えかねた時、相手の温もりに触れ、その苦痛を誤魔化す。

けれど、そこに恋人のような甘い時間は存在しない。お互いを"利用"し合うだけの関係に過ぎないから。

決して、愛し合うことが目的ではないからだ。


――数日後・大井家


大井「んんっ……あっ……」

提督「……痛く、ないか?」

大井「え、えぇ、何とか……」

提督「……痛みが引いたら言ってくれ。ゆっくり動く」

大井「……意外」

提督「え……?」

大井「てっきり、乱暴にすると思ったから……」

提督「……出来る訳、ないだろ。お前は肉便器なんかじゃなくて……俺を慰めてくれる相手なんだ」

大井「……!」

提督「恋人じゃなかったとしても……ただ、肌を重ねるだけの関係だとしても……」

提督「お前を傷付けるようなことは、したくない……お前の信用を、裏切りたくない……」

提督(……何を偽善者染みたことを言ってるんだ、俺は。肉便器を買って、凌辱するようなクズの癖に……)

提督(大井のことは、傷付けたくない……?こんな言葉が、自然に口から出て来る自分に反吐が出る……!)ギリッ…

大井「………」

大井(提督……)

"信用を裏切りたくない"。その言葉が、全てを表しているのだと思う。

私のことが大切だからではなく、辛い現実から目を背けてくれる相手を失いたくないだけ。

普通の人間なら、その言葉の真意に気付かないか……あるいは、気付いたことで怒り出すだろう。

大井「……大丈夫」ギュッ…

提督「……!」

大井「言ったでしょう?私にも、貴方しかいないって……だから、余計なことは考えなくて良いの」

提督「……ごめん。俺は……くっ……」

大井「………」

けれど、私は違う。そんなことは分かり切った上で、今の関係になることを望んだ。

むしろ、このまま提督が私に依存してくれれば良いとさえ思っている。

提督と二人で過ごすことが出来るのならば、過程はどうだって良い。大事なのは結果だ。

大井(もっと、私を感じて欲しい……そして、私から離れられなくなって欲しい……)

二人で一緒に、底なし沼へ沈んでしまえば良い。堕ちるところまで落ちれば良い。

提督の苦しみを理解してあげられる存在。その苦しみを、癒してあげられる存在。

それは、あの女でも、金髪の女でもない。私だけ。私さえいれば良いのだから。

――現在・10周目提督家までの道


大井「………」

大井(そう思って、この関係を続けてきたはずなのに……)

提督の温もりを、何度も感じたせいで……私は、割り切ることが出来なくなってしまった。

共依存の関係より、恋人として……彼を支えてあげたい。

あの女でさえ、それが出来たのだから……私にも出来るはずだと、考えるようになってしまった。

提督「……大井?」

大井「………」ダキッ

提督「……!」

大井「……しばらく、こうさせて」ギュッ

提督「……あ、あぁ」

大井(やっぱり、私は……)

あの女が諦めていない素振りを見せていることを知って、私は焦っているのかもしれない。

だけど、それ以上に……純粋に、提督に心から愛して貰いたい。

今まで、その想いから目を逸らし続けてきた。意識しないよう努めてきた。

大井(提督のことが、どうしようもなく……)

深い深い沼の底で、提督と寄り添え合えれば良い。それ以上は、望まないつもりだった。

それなのに……胸の内に秘めていた想いが暴走して、私だけを沼の上へ叩き出してしまった。

大井「……っ」ギュウッ

大井(好き、なのね……)

提督は未だに苦しんでいるのに。あの女のことを忘れられないのに。

私ばかり、彼への気持ちを募らせて……そのせいで、彼に負担をかけてしまう。

そんなこと、あってはならないのに。そんなこと、分かっていたはずなのに。

大井(なんて女々しいのかしら、私は……自分から、今の関係を切り出しておいて……)

大井(やっぱり満足出来ないから、恋人にして欲しい……?そんなこと、言ったところで……提督を、苦しめるだけなのに……)

提督「………」

提督(俺は……あぁ、糞っ……)

今回はここまでです。ようやく大井の回想パートが終了しました。次回からは本編に戻ります。

19:30~20:00頃開始予定です。

始めます。

~ 9月2週 ~

――10周目高校・教室


提督「………」モグモグ

不知火「………」チラッ

不知火(提督君……今日も、最低限の栄養を補給する食事しか……)

モブ子a「わぁ~!可愛いキャラ弁!」

モブ子b「そうでしょ?お母さんが作ってくれたの!」

提督「………」ピタッ…

不知火「……!」

不知火(提督君の、手が止まって……)

モブ子a「でも、これだけ細かく作るのは大変そう……」

モブ子b「それは私も思った。それで聞いてみたんだけど……どう言ったと思う?」

モブ子a「実は手作りじゃなくて市販品とか?」

モブ子b「そんな訳ないでしょ!お母さん、勉強頑張ってる私の為なら、これくらい苦じゃないって!」

提督「………」

不知火「………」

モブ子a「お~!愛されてますな~!」

モブ子b「えへへっ、自慢のお母さんですから!」

提督「……っ」ブヂッ

不知火「……!」

不知火(て、提督君……食品を、握り潰して……)

提督「………」スタスタ…

提督(クソッタレが……)

不知火「………」

不知火(本当なら、今すぐ追いかけたい。提督君のことを、慰めたい……)

不知火(でも、私には……そんなことをする、資格なんて……でも、やっぱり……)

不知火「……っ」グッ…

不知火(提督君……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:19.5/50
↓3不知火のコンマ      未練度:98.5/100 《-- リーチ --》
↓4大井のコンマ       依存度:94/100 《-- リーチ --》

反転コンマが最大のヒロインと交流します

不知火は何をしている?もしくは提督と不知火は何をしている?

19:52以降から先着3つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし19:56までに3つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

文化祭の出し物を決める話し合い

申し訳ありませんが、少しアレンジさせて頂きます。

――郊外・草原


提督「………」

ピークを過ぎたとはいえ、まだ夏の日差しが照り付ける。

だが、ここは比較的涼しい。汗ばんだ体を、そよ風が優しく包み込んでくれる。

提督「……っ」

提督(馬鹿じゃねえのか、俺は……)

ここへ来れば、ますます不知火への未練が大きくなるばかりだと言うのに。

ここへ来たところで、不知火から"裏切られた"事実は変わらないと言うのに。

提督「……なぁ、不知火。俺、やっぱり……」

ザッ…

提督「……!?」クルッ

不知火「………」

提督「し、不知火……?」

提督(どうして、お前がここに……)

不知火「……いると思いましたから」

提督「………」

一体、どういうことなんだ?何故不知火がここにいる?

不知火にとって、ここは……俺との黒歴史が蘇る、嫌な場所じゃないのか?

いや、考え込んでいる場合じゃない。とにかく、何か……言わなければ。

提督「……ら、来客が来るとは思わなかった。こんな辺鄙な場所にさ」

提督(クソッ!やっぱりダメだ!慌ててるせいか、また変なことを……!)

不知火「……苛まれているんです、未だに」

提督「……?」

提督(苛まれて……?それって、どういう……)

不知火「憎いんです、こんな……愚かな私が……それだけじゃない……」

不知火「こうして、提督君のことを忘れられず……貴方に会えると思い、ここへ来てしまう私が……」

不知火「反吐が出るほどに、憎い……気持ち悪い……!」

提督「い、いや、別に憎いだなんて……違、俺は何を言って……」

さっきから何を言ってるんだ、俺は。それに、不知火の様子もおかしい。

苛まれている?自分のことが憎い?どうしてそんなことを言うんだよ。

それに、俺に会えると思った……?ますます、訳が分からない。

提督(その言い方じゃ、まるで……)

不知火「………」

不知火(ここに来れば、提督君がいるかもしれないと思っていたけれど……まさか、本当にいてくれたなんて……)

不知火「………」グッ…

不知火(……覚悟を決めろ、私。きっと、こんな機会……もう、無いかもしれない……)

不知火(これ以上、自分の気持ちに蓋は出来ない……ここで怖気づいていたら、一生後悔することになる……)

不知火「……提督君」

提督「……!」


好感度上昇率判定

99.5:不知火、ここにきて恐怖心が勝ってしまう
100到達:不知火「……もう一度、恋人になってくれますか?」

01~49なら好感度上昇:小 ×1.0
50~98なら好感度上昇:中 ×1.5
ゾロ目なら好感度上昇:大 ×2.0

直下

好感度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

24→42:不知火、勇気を出す 6×1.0=6 6+98.5=104.5 → 100/100 《-- END開放 --》


不知火「……っ」スタ…スタ…

不知火(足が、震えて……それに、拒絶されてしまった時のことばかり、頭に浮かんで……)

不知火「くっ……!」スタ…スタ…

不知火(だとしても……ここで、逃げれば……本当の意味で、取り返しがつかなくなる……!)

提督「………」

不知火が、少しずつ……俺に向かって、歩み寄って来る。

その真意は分からないが、表情を見る限り……今にも泣きそうだ。

まさか、俺に『いい加減目障りだから関わらないで下さい』と告げる気だろうか。

不知火「はぁっ……はぁっ……!」スタ…スタ…

提督「……っ」ズキッ…

提督(そう、だよな……別れた相手に、未だ未練を抱くような奴なんて――)

不知火「……っ!」ダキッ

提督「――え?」

不知火「んっ……!」チュッ…

提督「んむっ……!?」

不知火「ぷはっ……」

提督「……え?あ、し、不知火……い、今……あっ、え……?」

不知火「……っ」ギュッ

頭が回らない。思考がまとまらない。気が動転して、ただでさえ拙い言葉が更に詰まる。

不知火は今、俺に何をした?抱き締めた?そして、キスをした?

何故?どうして?不知火は、俺に愛想を尽かしたんじゃなかったのか?

不知火「……提督君」

提督「あ、や、その……」

不知火が潤んだ瞳を向けながら、俺を見つめて来る。

その意味を図りかねていると、不知火が静かに口を開き……消えそうなほど儚い声で、俺の耳に語り掛けて来た。































「やっぱり、私は……貴方の傍から、離れられません。どうか、もう一度……私と、付き合ってくれませんか……?」





























提督「……は、はぁっ!?」

不知火「………」

提督「あ、ぁ……え、と……」

理解が追い付かなかった。不知火の口から告げられた、衝撃の言葉。

俺が一番待ち望んでいて、なおかつ……一番あり得ないと思っていた言葉。

キスの時点で混乱していたのに、そこへ立て続けにそんな言葉を贈られれば……

提督(こ、これは夢か?だって、こんな……あり得ないことが……)

不知火「………」ススッ…

提督「……え?」

提督(俺から、離れて……)

不知火「……ごめんなさい」スッ…

提督「っ!?し、不知火……何、を……」

不知火「あの時は、心にもないことを言って……ごめんなさい……」ジワッ…

不知火「これまでも、そして今も……提督君のことを、愛しているんです……!」ポロポロ

不知火「それなのに、自分の心の弱さに負けて……あんな、酷いことを……!」ポロポロ

不知火「ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……!」ポロポロ

提督「………」

不知火は俺のことを抱き締めていたかと思えば、今度は涙を流しながら土下座した。

しかも、"あの日"のことを謝罪しつつ……俺のことを『愛している』と言ってくれた。

つまり、俺は……不知火に嫌われていない?"裏切られて"いない、のか……?

提督「……なら、どうして」

不知火「……!」ポロポロ

提督「"あの日"、どうして不知火は……俺に、別れを……」

不知火「それ、は……」ポロポロ

提督「……俺に愛想を尽かし」

不知火「違いますッ!!それだけは、断じて……違うんです……!」ポロポロ

提督「……!」

嬉しかった。俺のことが嫌いになった訳ではないと、力強く言い切ってくれた。

それだけで、ボロボロだった心に……生気が戻っていくのを感じる。

だからこそ、気になったのだ。それならば、何故不知火は"あの日"、俺を拒絶したのだろうか。

不知火「……突拍子もなく、それでいて……長い話になります。凄く、長い話に……」ポロポロ

提督「……全部聞く。ゆっくりで良いから、話して欲しい」

不知火「は、い……」ポロポロ

不知火(例え、信じて貰えなくとも……全てを、打ち明けなければ……誠意を、見せなければ……)ポロポロ

――数時間後


不知火「……それで、私は……ずっと、後悔し続けて……」ポロポロ

提督「………」

にわかには信じ難い話だった。時間が巻き戻る地獄を、ずっと味わい続けていただなんて。

だが、それを作り話と断定することも……出来なかった。

不知火「ごめんなさい……私が、弱かったせいで……」ポロポロ

提督「………」

不知火は終始、涙を流しながら語ってくれた。

それも、俺の目を見ながら……言葉を詰まらせながらも、真剣に話してくれた。

俺には、不知火が嘘をついているとは……到底、思えないのだ。

提督「………」

不知火「………」ポロポロ

もし、その話が事実だとすれば……不知火は俺の為に、必死に足掻いてくれたことになる。

俺と過ごす未来の為だけに、心をすり減らしながら……時が巻き戻る現象、いや、魔法か?

とにかく、そんな得体の知れない状況に……抗い続けてくれたのだ。

提督「………」ギュッ

不知火「ぁ……」ポロポロ

提督「その、まだ色々と整理出来てないんだけどさ……」

提督「不知火は、俺の為に……そこまで、頑張ってくれたんだよな……耐えて、くれたんだよな……」

不知火「……!」ポロポロ

提督「……ありがとう」ナデ…

不知火「……ぐすっ、うぐっ……あぁっ……!」ポロポロ

提督「俺の為に……ありがとうな……」ナデナデ…

不知火「うあぁぁっ……!えぐっ、ひっく……ぐしゅっ……ああぁぁっ……!」ポロポロ

不知火(ただ一言、最愛の人から『ありがとう』と言って貰えただけで……今までの苦労が、報われた気がした……)

不知火(提督君に、話を聞いて貰えて……辛さや苦しさを、知って貰えただけで……こんなに心が楽になるとは、思わなかった……)

――数分後


不知火「……お見苦しい所をお見せしました」グシグシ

提督「……良いんだよ。むしろ、弱い部分を見せてくれる方が……嬉しいから」

不知火「……提督君」

提督「………」

不知火は、俺に全てを打ち明けてくれた。ならば、次は俺の番だ。

ただでさえ辛い思いをした不知火を、更に追い詰めてしまうことになるかもしれない。

だが、黙ったままでいる訳にはいかない。最愛の人だからこそ、絶対に……話さなければならない。

提督「……きっと、不知火と比べれば……大したことじゃないのかもしれないけど」

不知火「……?」

提督「俺も、不知火がいない時間は……不知火が隣にいない日々は、凄く……辛かった」

不知火「……!」

提督「頭に思い浮かぶのは、不知火のことばかり……寂しさと苦しさばかり、募り続けて……」

提督「……俺は、人として……許されないことを、してしまったんだ……」

不知火「……許されないこと、ですか?」

提督「……っ」グッ…

言うのが怖い。不知火との関係を、自ら完全に壊すことになるかもしれない。

だが、全ては俺が蒔いた種だ。ここで話さなければ、きっと……バレるまで、言い出せなくなる。

そんなことになって、不知火を傷付けてしまうなら……今、打ち明けておくべきだ。

提督「……不知火と別れてから、俺は二人の女性と肉体関係を持っている」

不知火「……!?」

提督「片方は大井で、もう片方は……金を出して買った女だ。人身売買に手を染めてしまった」

不知火「………」

提督「不知火がいない寂しさで、俺は狂ってしまった。その二人と肌を重ねることで、孤独を誤魔化そうとした」

提督「だけど、無理だった。大井も、その女も……不知火の代わりにはならなかった」

提督「この期に及んで、俺は不知火のことが忘れられなかったんだ。別れた人のことを引きずり、他の女に手を出す情けない糞野郎なんだ……」

不知火「………」

提督「……っ」

きっと、軽蔑されただろうな。呆れられただろうな。

不知火は、一途に俺のことを想い続けてくれたというのに……俺はこの体たらくだ。

不知火「………」スタスタ…

提督「………」

罪悪感と、後ろめたさと、自分への嫌悪感で……不知火の顔を見られない。

しかし、不知火の足がこちらへ近づいて来る。ビンタか、それとも殴るつもりだろうか。

どちらにせよ、俺はそれを受け入れて――

少し休憩します。22:30~23:00頃再開予定です。

旦乙ごっとひんが

再開します。

不知火「………」ダキッ

提督「――え?」

不知火「私のせいで、ごめんなさい……それほど、思い詰めていただなんて……」ギュウッ

提督「………」

不知火「これも全て、私が原因です……本当に、ごめんなさい……」

提督「……何、で」

不知火「え……?」

提督「何で、責めないんだよ……何で、怒らないんだよ……!」

提督「俺は、許されないことをしたんだぞ……!?不知火に未練を持ってる癖に、あんな……」

不知火「………」フルフル

提督「……!」

不知火「提督君は、何も悪く……いえ、人身売買については、確かに褒められたことではありませんが……」

不知火「貴方が私に対して、責任を感じることはないんです。元はと言えば、私のせいですから……」

提督「そんな、ことは……」

不知火「私は、提督君を責められる立場ではありません。それほどのことを、してしまったんです……」

提督「………」

不知火「……ただ、提督君が大井さんと一緒に歩く様子は、何度か目撃しました」

提督「……!」

不知火「それに加えて、提督君が大井さんからスイーツを食べさせられている所を見た時は……凄く、嫉妬して……」

不知火「自分で提督君を傷付けておいて、それなのに……大井さんを妬む自分に、嫌気が差して……」

提督「………」

不知火「むしろ、責められるべきなのは……私の方です。貴方のことを苦しめた癖して、自分勝手なことを考えていましたから……」

提督「………」

提督(不知火……)

提督「……っ!」ギュッ

不知火「あっ……」

提督「……自分勝手なもんか」

不知火「……!」

提督「むしろ、嬉しかったくらいだ。不知火が、俺のことを……嫉妬するほど、考えてくれてたんだなって……」

不知火「……提督、君」

大井や肉便器に手を出してしまった、俺なんかとは違う。

不知火は、ずっと……俺のことを、一途に想い続けてくれた。

時が巻き戻り、一時的に諦めたとしても……それでも、俺のことを好きでいてくれたんだ。

提督「……やめる」

不知火「え……?」

提督「大井や、もう一人の女との関係を……やめようと思う」

不知火「……!」

提督「不知火さえ傍にいてくれれば、俺は……もう、他に何もいらないから」

不知火「………」

提督「自分でも最低なことを言っている自覚はある。いや、これからより一層最低な野郎になる……」

手を差し伸べてくれた大井や、自分で買った肉便器と決別する。

大井を悲しませることになるかもしれない。あいつには、訴えられるかもしれない。

だが、それでも……俺のことで、不知火に苦しい思いをさせたくない。

俺の為に、文字通り……死ぬような苦労をしてくれた不知火に、これ以上……不誠実な真似はしたくない。

提督「こんな、糞みたいな人間だが……どうか、俺の傍にいてほしい」

不知火「………」ギュッ

提督「……!」

不知火「むしろ、私からお願いしたいほどです……提督君こそ、ずっと……私の傍にいて下さい……」

提督「……あぁ。もう、離さない……別れると言っても、絶対に離さないからな……!」

不知火「………」ギュウッ…

不知火(あぁ、私は夢でも見ているのかしら……こうして、また……提督君と、恋人に戻れるなんて……)

不知火(……大丈夫。もう、起こらないはず……あれ以来、全くと言って良いほどに……だから、心配する必要は……)

不知火「……っ」

提督「……不知火?」

不知火「………」

もう一人の女「」

不知火「……怖いんです」

提督「……?」

不知火「また、時間が戻ったらと思うと……この出来事さえ、無かったことにされたらと思うと……」

提督「……!」

提督(不知火、今……一瞬、"あの日"のような表情に……)

不知火「………」

提督「………」

俺には、不知火がどれほどの苦痛を味わったかは……想像することしか出来ない。

励ますだけなら、当たり障りのない言葉をかければ良いだろう。

ただ、それでは……不知火の不安が、完全に晴れるとは考えられない。

提督「……不知火」

提督(なら、俺が不知火に言うべきことは……)

不知火「………」

提督「俺は、何度でも……お前のことを好きになる」

不知火「……!」

提督「例え、その現象とやらが起こったとしても……俺の、不知火への想いが消えることはない」

提督「実際、不知火に別れを告げられてから……ずっと、未練を抱いてたくらいだからな」

不知火「………」

提督「それに、俺達が出会う前まで戻ったとしても……俺にはもう、不知火しかいない。お前以外、考えられないんだ……!」

不知火「……!」

自分の率直な気持ちを、不知火の目を見ながら伝える。

時間が巻き戻ってしまえば、俺の記憶も消えてしまうことだろう。

だからこそ、今……不知火に告げる。彼女の心に、俺からの想いを注ぎ込む。

不知火のことを、どうしようもなく愛しているという……俺の全てを。

不知火「……っ」ジワッ…

不知火(提督、君……)ウルウル…

不知火(……心の中から、不安が消えてゆく。同時に、充実感で満ち溢れてゆく……)ポロポロ

不知火(提督君からの、温かい言葉を受け取って……胸の奥が、彼への想いで埋め尽くされて……)ポロポロ

不知火「……伝わりました」ポロポロ

提督「……!」

不知火「提督君が、私のことを……愛してくれているという、熱い気持ちが……!」ポロポロ

提督「……その、恐怖は……消えたのか?」

不知火「……はいっ」ポロポロ

提督「そう、か……なら、良かった……」

不知火は、再び涙を流しながらも……かつて、俺に見せてくれた表情を浮かべた。

そこには、"あの日"のような絶望に満ちた死者の顔はない。

あるのは、年相応で……俺がこの世で一番愛している、少女の笑顔だ。

提督「………」

不知火「………」ポロポロ

提督「……いつの間にか、夜になっちまったな」

不知火「……そう、ですね」ポロポロ

不知火の話を聞いている間に、すっかり太陽が沈んでしまっていた。

見渡す限りの星空が広がっていて、俺と不知火だけが世界の中心にいるような錯覚さえ覚える。

それどころか、夜空に輝く星さえ……俺と不知火のことを、祝福しているように感じてしまう。

提督「……折角だし、もう少しここにいないか?」

不知火「……!」ポロポロ

提督「久々に、ここへ来たからさ……二人で夜空を眺めるのも、悪くないだろ?」

不知火「……はい」ポロポロ

不知火(この先、何が起こったとしても……私は、決して提督君から離れたりしない)

不知火(提督君が、私に伝えてくれた言葉……その言葉に宿る、私への想い……)

不知火「………」ギュッ

不知火(それが心の中にある限り、私は……もう、折れることはない)

不知火(このまま、提督君と歩む未来を……掴んでみせる。必ず……!)

提督「……不知火」

不知火「……はい」ポロポロ































「……愛してる」


「……私も、愛しています。これまでも、そして、これからも……!」





























――不知火END・開放

??「おかしい、こんな事は許されない」

~ 9月3週 ~

――10周目提督家・自室


不知火「……ここに来るのも数年振り、ですね」

提督「……不知火の体感でもか?」

不知火「はい。提督君に別れを告げた後は、時が巻き戻ることはありませんでしたから……」

提督「そうか……」

俺と不知火は、お互い手を握りながら……ベッドに座っている。

肌を重ねることも考えたが、今の俺にそんな資格はないと踏み止まった。

不知火と愛し合うなら、大井や肉便器との肉体関係をやめてからだ。

提督「……しかし、魔導師の仕業とはな」

不知火「……私も最初は信じられませんでした。ですが、実際に時が巻き戻る現象を経験した以上は……」

提督「……ん?」

提督(そういえば、いつだったか……)

不知火が話してくれた過去と、似たような話をしていた奴らがいたような気がする。

確か、通りすがりに耳に入ってきて……バカバカしい話だと、切り捨てた覚えがある。

不知火「……提督君?」

提督「いや、だいぶ前に……そんなことを話してる奴らがいたような……」

不知火「え……」

提督「何か、時を遡る魔法だとか、繰り返して我を忘れたとか……」

不知火「っ!?そ、その人の顔は覚えていますか!?」ズイッ

提督「いや、それは……ごめん。ただの妄想話だと思って、聞き流してたから……」

不知火「……そう、ですか」

提督「でも、ひょっとしたら……そいつらも、不知火と同じ被害者なのかもしれないな」

不知火「………」

不知火(その人物は、本当に被害者なのでしょうか……もしかすると、その人物こそが……)

不知火「………」フルフル

不知火(……いえ、もう過去のことを引きずるのはやめましょう。これからは、提督君との未来を歩むことに集中しなければ……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:19.5/50
↓3不知火のコンマ      好感度:100/100 《-- END開放 --》
↓4大井のコンマ       依存度:94/100 《-- リーチ --》

反転コンマが最大のヒロインと交流します
ただし不知火が最大値の場合はその場で終了です

ふんが

大井は何をしている?もしくは提督と大井は何をしている?

23:58以降から先着5つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし0:02までに5つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※R-18系安価の場合、『激しいプレイやアブノーマルなプレイ』、『コンドーム不使用のセックス』、『不知火及びビスマルクを含めた多人数セックス』等はNGです。
基本的に『お互いを物理的・精神的に傷付けない穏やかなセックス』のみと考えて頂ければ幸いです。
また、セックスする場所も提督もしくは大井の自宅、ラブホテル等に限定させて頂きます。
★現在、提督は大井との関係をやめようとしている為、大井から提督に行為を持ち掛ける展開になります。

なんでもするから捨てないでと縋る大井

提督から別れを切り出される大井っち

大井が文化祭でどこを回るか相談しに来る

00二つとか怖え

同数なのでもう一度判定……しようかと思いましたが、ご指摘の通り両方を混ぜても違和感がない内容で驚いています。どういうことなの……
ただ、公平性を重視すれば今まで通り再判定すべきなのですが、今回は例外として両方を混ぜて採用するという意見も分かるので、どうすべきか……

そこからコンマ取るとかどうか

どっちが採用されても展開的には両方拾ったみたいな書き方になりそうな気もするけどどうだろう。一応判定してどちらかの案を選択した体にする?

とりあえず再判定で今回は特例で選ばれなかった方の要素も可能な限り取り入れればいいんじゃない
あんま例外増やしてもあれだし形式上はいつも通りで

様々なご意見を下さりありがとうございます。
私の方でも考えた結果、今回は>>674の方と>>678の方の意見を参考にさせて頂きます。

という訳で、どちらの内容をメインにするかを判定します。

↓1縋り付く(>>650)のコンマ
↓2別れを切り出す(>>652)のコンマ

反転コンマが高い方を中心に書いていきます

――大井家


大井「……どうしたの?いつもなら、家に入ったらすぐ……」

提督「………」

俺は大井に連絡し、今までと同じように大井の家へ出向いていた。

しかし、今日はセックスが目的じゃない。というより、それをやめる為に来たと言っても良い。

不知火との約束を果たす為。言い換えれば……大井を傷付けることをする為に。

提督「……大井、ごめん」

大井「だから、謝らなくて良いっていつも……」

提督「この関係を……やめようと思う」

大井「……え?」

提督「………」

"今の関係を続けていたら、お互いの為にならない"。

こう言えたなら、まだ楽だったかもしれない。だが、それではダメなんだ。

今まで俺を繋ぎ止めてくれた大井だからこそ……本当の理由を話すべきだ。

大井「い、今、なんて……」

提督「……大井との肉体関係を、やめようと思う」

例え納得してくれなかったとしても。軽蔑されたとしても。

せめて、俺が大井に出来るのは……嘘偽りなく、正直に伝えることだけだ。

大井「……どうして?」

提督「それは」

大井「いや、やっぱり言わなくて良い。不知火さん、でしょう?」

提督「……っ、あ、あぁ」

大井「……よりを戻したのね」

提督「……ごめん。勝手なことを言っている自覚はある。だけど……」

大井「………」

提督「……っ」ズキッ

胸が痛む。罪悪感で苦しくなる。だが、それは俺への罰だ。

大井を傷付けてでも、不知火と添い遂げる道を選んだ俺が……背負わなければならない、罰だから。

大井「………」

大井(……どう、して)

提督「………」

大井(どうして、今更……)

提督「……大井?」

大井「……っ」ジワッ…

提督「……!」

大井「……本気、なの?」ウルウル…

大井(私が、提督を諦められなくなってから……)

提督「……あぁ」

大井「……っ!」ズキッ

大井(そんな、酷いことを言うの……?)

提督「………」

忘れるな。俺は不知火を選ぶ為に、大井の気持ちを踏みにじったんだ。

自分がかつて経験したことを、大井にやってしまったんだ。

それを、絶対に忘れるな……記憶に、心に刻み付けろ。そして、その罪を背負い続け……

大井「………」ダキッ

提督「……!」

大井「……嫌」ポロポロ

提督「………」

大井「絶対に、嫌っ……!」ポロポロ

提督「……っ」

大井「私が提督に向ける気持ち、知ってるでしょう……?今更、離れられると思う……?」ポロポロ

提督「……幼馴染の関係に戻るだけだ。二度と、顔を合わせないという訳じゃない……」

大井「お願い、捨てないで……!私には、提督しか……いないの……!」ポロポロ

大井(貴方がいてくれないと、私は……生きていけない……!)ポロポロ

提督「………」

提督(大井……糞っ、俺のせいで……俺が、弱かったせいで……!)


依存度上昇判定

100未満or100到達するも妨害判定突破せず:不知火から電話がかかってくる
100到達:大井「愛人でも良いから、私を愛して……」

01~49なら依存度上昇:小 ×1.0
50~98なら依存度上昇:中 ×1.5
ゾロ目なら依存度上昇:大 ×2.0

直下

依存度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2

これは………うぁ

94→49:不知火「……提督君には私がいますので」 4×1.0=4 4+94=98/100 《-- リーチ --》


提督「……大井、俺は」

トォルルルルル…!

提督「っ!?」

大井「………」ポロポロ

提督「……もしもし」ピッ

不知火『もしもし。提督君、今、大丈夫ですか?』

提督「いや、その……実は今、大井の家で……」

不知火『……なるほど。伝えようとしたんですね』

提督「……分かってくれてたんだな」

大井「……っ」ギリッ

大井(提督の素振りだけで、通話相手が分かる……分かってしまう……)

大井(彼が、あんな風に警戒を解いて話せるのは……私を除けば、あの女だけ……!)

不知火『すみません。立て込んでいる時に連絡してしまって……』

提督「いや、大丈夫。一旦切るぞ、後で連絡する」ピッ

大井「………」ポロポロ

提督「……その」

大井「………」スッ…

提督「……!」

大井「……"彼女"からでしょう?行ってあげなさいな」ポロポロ

提督「いや、でも……」

大井「しばらく、一人にして……」ポロポロ

提督「……分かった。ごめん……」スタスタ…

大井「……っ!」ギリィ…ッ!

大井(あの女、どうして……今更、私から提督を……!)

大井「………」

大井(もう少し前だったら、諦めがついたかもしれないのに……どうして……どうして……)

大井「………」ハイライトオフ

大井(私はもう、提督から……離れられないほど、依存してしまっているのに……)

~ 9月4週 ~

――10周目高校・教室


迅鯨「では、昨日の課題を提出して下さい」

モブ1「一応全部やったけど、答えが合ってる自信はないな……」

モブ2「確かに、結構難しかったもんな……」

迅鯨「………」

迅鯨(提督君、やっぱり今回も……)

提督「………」スタスタ…

迅鯨「……え?」

提督「………」スッ

迅鯨「あ、あの……これは?」

提督「課題ノートだろ。見て分からないのか?」

迅鯨「!?」

迅鯨(う、嘘!?提督君、今日も未提出だと思ってたのに……)

提督「早く受け取れって」

迅鯨「あっ、は、はい!」

提督「………」スタスタ…

迅鯨「……提督君」

迅鯨(もしかして、私のことに気付いてくれたのかしら……?ひょっとして、あの時のことも……)

不知火「……迅鯨先生」

迅鯨「えへへ……はい?」

不知火「早く受け取って下さい。後ろの列がつかえて……」

迅鯨「あぁっ!?ご、ごめんなさい!」アセアセ

提督「………」スタスタ

提督(……不知火と一緒なら、勉強も悪くないかもしれない。ストーカー教師は相変わらず鬱陶しいけどな……)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:19.5/50
↓3不知火のコンマ      好感度:100/100 《-- END開放 --》
↓4大井のコンマ       依存度:98/100 《-- リーチ --》

反転コンマが最大のヒロインと交流します
ただし不知火が最大値の場合はその場で終了です

いっそ美しいとも言える流れ……

oh…

>>723
ありがとう…ありがとう…
ゴトランド
存在しないはずの幼馴染
で良ければお願いします
おやすみなさい

不知火「……これで失恋でもしていれば、魔導師を一生恨むところでした」

迅鯨「後少しで20台だったんだけど……」

ビスマルク「私なんて10台前半よ?まぁ、あぁなるくらいなら蚊帳の外だった方がマシだろうけどね」チラッ

















大井「」

大井「」

大井「」

大井「」

大井「………」ハイライトオフ

大井「何で……今まで、ずっと提督を支えてきたのは……私だったのに……こんなことって……」

大井(8周目)「……分かるわよ、その気持ち」ポンッ

大井「……!」

大井(8)「今だけは、思う存分泣くと良いわ……胸なら貸してあげるから」

大井「……うっ、うぅっ……ひっぐ……!」


え、え~っと……ということで、ほぼ不知火と大井の一騎打ちだった10周目が終了です。回想書くのしんどかった(小並感)。
深夜になってしまいましたが、見たところ人も多そうですし、このまま11周目に登場するヒロイン及び設定安価へと移りたいと思います。

※このレスではまだ安価は取りません。まずは注意事項を投下し、単発回避のタイミングについても説明します。

注意事項です。


※今回ENDを迎えたヒロイン(不知火)はNGです。

※今回登場したヒロイン(ビスマルク、迅鯨、大井)はNGです。

※今までの周で既にENDを迎えたヒロインはNGです。>>3をご参照下さい。

※浦風・日進・深海棲艦は安価下にします。申し訳ございません。

※名前が違う同一艦は、同じ周に2人登場させることは出来ません(例:大鯨と龍鳳)。
 ただし周を変えれば登場可能です(例:2周目でU-511、4周目で呂500)。
 また、連続で登場させることも出来ません(例:響が出た次の周でヴェールヌイを登場させる)。

※反転コンマで判定します。

※基本的にはどんな設定でもOKですが、あまりにもぶっ飛んだ設定や飛躍し過ぎた設定は、申し訳ありませんが多数決or再安価させていただくかもしれません。

※今までに登場したヒロインを、過去の周と同一人物として登場させることは出来ません(例:阿武隈が2周目と同一人物であり、失恋を引きずった教師として登場させる等)。

※ただし、設定によってはこちらで過去の周で登場したヒロインと関連付けることはあります(例:6周目の霞と8周目の大和等)。

★★1度でもヒロイン安価を取っていただいた場合、申し訳ございませんが、以後の連取(ヒロイン2人分以上の安価取得)は安価下とさせていただきます。

★提督は大学生設定です。


単発回避については、1:50前後から回避開始のアナウンスを行います。
その後、2:00頃に締め切りのアナウンスを行い、その次のアナウンスにて安価募集をスタートさせていただきます。

わくわくタイムはじまた

そういやR18ヒロインの人数は制限かけなくても平気そう?書くの結構大変らしいから一応確認

このレス以降から2:00までに一度でも書き込んだIDのみ有効とします。
それ以降の単発ID及び単発回避範囲に含まれないIDは安価下とさせていただきます。

>>737
今回はそのまま(人数制限なし)で大丈夫です。

単発避け

ほい

2:00になりましたので、単発回避を締め切らせていただきます。
>>740-773の範囲内に含まれるIDのみ有効とし、それ以外は申し訳ございませんが安価下とさせていただきます。

それでは次に私が行うアナウンスにて募集を開始します。

さていくどー

1人目

↓1~↓35で反転コンマが最大の艦娘を採用

提督との関係(例:幼馴染、親友、妹etc)、もしくはヒロインの設定そのもの(例:未来人、宇宙人etc)を書いて下さい。

※同数の場合は再び反転コンマで最終判定します。
※2:07までに↓35まで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大のヒロインを採用させていただきます。

ゴトランド
提督以外が提督の幼馴染み扱いするが提督に心当たりの無い自称提督の幼馴染み
周りが「大会で結果出せたのも受験が上手くいったのも全部ゴトのおかげだろ?」とか言っちゃうヤツ

>>727と被るけど知らん

夕雲
幼い頃に死んだ姉(霊体)
実は悪霊化している(本人自覚無し)

1人目
阿武隈(69→96):提督の幼馴染。提督に脅されて性処理オナホをやってる

幼馴染の阿武隈……えっと、どうしても2周目の悪夢が蘇りますね。しかも今回は性奴隷……悪化してるじゃないですかヤダー!


2人目
↓1~↓35で反転コンマが最大の艦娘を採用

提督との関係(例:幼馴染、親友、妹etc)、もしくはヒロインの設定そのもの(例:未来人、宇宙人etc)を書いて下さい。

※同数の場合は再び反転コンマで最終判定します。
※2:14までに↓35まで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大のヒロインを採用させていただきます。

夕雲
幼い頃に死んだ姉(霊体)
実は悪霊化している(本人自覚無し)

ゴトランド
提督以外が提督の幼馴染み扱いするが提督に心当たりの無い自称提督の幼馴染み
周りが「大会で結果出せたのも受験が上手くいったのも全部ゴトのおかげだろ?」とか言っちゃうヤツ

山雲かな
ほっこり

2人目
山雲(39→93):提督の家の畑を出口としてやってきたお野菜の国の姫君。植物と会話が出来る

子供向けアニメに出てきそうな明るい設定……これは癒し枠ですね、間違いない!

3人目
↓1~↓32で反転コンマが最大の艦娘を採用

提督との関係(例:幼馴染、親友、妹etc)、もしくはヒロインの設定そのもの(例:未来人、宇宙人etc)を書いて下さい。

※同数の場合は再び反転コンマで最終判定します。
※2:20までに↓32まで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大のヒロインを採用させていただきます。

武蔵
絶対裏家業してると思われる人

ゴトランド
提督以外が提督の幼馴染み扱いするが提督に心当たりの無い自称提督の幼馴染み
周りが「大会で結果出せたのも受験が上手くいったのも全部ゴトのおかげだろ?」とか言っちゃうヤツ

3人目
夕張(100):寮に住んでいる工学部の紅一点兼性処理肉便器。学部ぐるみで夕張を肉便器にしてる
男しかおらず肉欲に飢えている環境で唯一の女である夕張が毒牙に掛けられるのは必然だった。
寮という逃げられない閉鎖的環境で強引に男どもの性欲を一身に受け続ける内にだいぶ開発され今では夕張の意思関係なく身体が常時発情状態に

に、肉便器2人目追加……11周目提督も中々のクズになりそうな気がします(白目)。

ラスト4人目

↓1~↓32で反転コンマが最大の艦娘を採用

提督との関係(例:幼馴染、親友、妹etc)、もしくはヒロインの設定そのもの(例:未来人、宇宙人etc)を書いて下さい。

※同数の場合は再び反転コンマで最終判定します。
※2:27までに↓32まで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大のヒロインを採用させていただきます。

夕雲
幼い頃に死んだ姉(霊体)
実は悪霊化している(本人自覚無し)

ゴトランド
提督以外が提督の幼馴染み扱いするが提督に心当たりの無い自称提督の幼馴染み
周りが「大会で結果出せたのも受験が上手くいったのも全部ゴトのおかげだろ?」とか言っちゃうヤツ

けっこういい数字出たが足りない悲しみ

4人目
明石(79→97):提督の願いを叶えた対価として悪事を強要してる悪魔

ということで、以下の4人が11周目ヒロインとして登場します。

阿武隈:提督の幼馴染。提督に脅されて性処理オナホをやってる
山雲:提督の家の畑を出口としてやってきたお野菜の国の姫君。植物と会話が出来る
夕張:寮に住んでいる工学部の紅一点兼性処理肉便器。学部ぐるみで夕張を肉便器にしてる。男しかおらず肉欲に飢えている環境で唯一の女である夕張が毒牙に掛けられるのは必然だった。寮という逃げられない閉鎖的環境で強引に男どもの性欲を一身に受け続ける内にだいぶ開発され今では夕張の意思関係なく身体が常時発情状態に
明石:提督の願いを叶えた対価として悪事を強要してる悪魔

こ、これは……明石さんに全責任なすりつけてしまえというコンマ神&読者の皆様からのご通達でしょうか?
それとも、提督が明石さんと馬が合ってしまい悪事の限りを尽くす外道ルートを書くのだというご通達でしょうか?
しかし、肉便器2人と悪魔と野菜の国のお姫様……8周目や10周目と比べたら、まだプロットを組み立てやすい方でしょうか(グルグル目)?

今回はここまでです。深夜までお付き合い頂きありがとうございました!
オープニングはもちろんのこと、今回はエピローグの構想も全く出来ていません。その為、しばらくお時間を頂くことになるかと思います。
必ず完成させますので、それまでお待ち頂けると幸いです。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。

おちゅ

深夜までありがとうございました!
いや今回も纏るのかという面々ですが8や10を超えた>>1はしっかり極めてきそうで頼もしい
お疲れ様でした!

皆様もおつです、明日に支障出ない事祈ります…

ガッサさんがスマートに持っていってそんな下衆を感じなかったけど改めて見ると3周目はほぼ素面で168飼ってたもんなあ

エピローグが完成しました。
ですがスレが残り僅かなので、念の為に先に次スレを立ててきます。

立ててきました!

【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」瑞鶴「その10……ふふっ」【安価・コンマ】
【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」瑞鶴「その10……ふふっ」【安価・コンマ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1613914399/)

それではここからエピローグを投下していきます。

――エピローグ

――10周目高校・教室


迅鯨「では、HRを終わります。今日学んだことは、家でしっかり復習して下さいね?」

提督「……帰るか」スクッ

不知火「……はい」スクッ

迅鯨「………」チラッ

提督「………」スタスタ

不知火「………」スタスタ

迅鯨(……最近、目に見えて提督君の授業態度が改善しつつあるのよね)

迅鯨(ついこの間まで、不良と言っても差し支えない状態だったのに……一体、何が……)

提督「………」ガラッ…

迅鯨「……あ、あの、提督君っ」

提督「……何だよ」

不知火「………」

迅鯨「う……」

迅鯨(お、思わず呼び止めちゃった……いや、この際だから、はっきりさせておきたい……)

迅鯨(提督君がどうして、態度を改めるようになったのか……その理由を、知りたい……!)

提督「……用が無いなら」

不知火「提督君……」

提督「……!」

不知火「先生の話は、聞いておいた方が良いと思います。私としては、提督君に留年して欲しくありませんから」

提督「……分かった。不知火がそう言うなら」

迅鯨「………」

迅鯨(不知火さんの言うことは、ちゃんと聞くだなんて……この2人、もしかして……)

迅鯨「………」

迅鯨(……そうだとしたら、ちょっと嫉妬しちゃうかな。いや、まだそうと決まった訳じゃ……)

提督「それで、何で俺を呼び止めたんだよ」

迅鯨「えっと……最近、真面目に授業を受けるようになったから……何かあったのかなって」

提督「………」

迅鯨「悩みが解決したとか、頑張る動機が出来たとか……」

提督「……お前には関係ないだろ」

迅鯨「う……」

迅鯨(やっぱり、教えてくれないか……)

提督「……話はそれだけか?」

迅鯨「ま、待って!後一つだけ……!」

提督「はぁ……何だよ。手短に言えよ」

不知火(提督君、迅鯨先生にやけに辛辣ですね……何かあったのでしょうか?)

迅鯨「………」

迅鯨(……もしかして、という可能性に期待してる私がいる。正直、聞くのが怖いけど……)

迅鯨「……その、提督君」

迅鯨(でも、せめて……私が考えていることが正しいかどうかだけでも、知りたいから……!)

迅鯨「私のこと、ううん、"あの日"のことを、思い出していたりは……」

提督「思い出す?」

迅鯨「………」ゴクッ…

提督「ストーカーの次は妄想かよ。お前と会ったことなんてない」

不知火(す、ストーカー……?)

迅鯨「……っ」ズキッ…

迅鯨(やっぱり、そうよね……思い出してくれていたら、こんな言い方……しないはず……)

提督「もう良いか?さっさと帰りたいんだが」

迅鯨「……はい。時間を取らせて、ごめんなさい……」

提督「……行こう、不知火」

不知火「………」コクリ

スタスタ…

迅鯨「……はぁ」

迅鯨(結局、提督君は思い出してくれなかったな……この学校で貴方と再会出来た時は、凄く嬉しかったんだけど……)

迅鯨(だって、提督君は……私の恩人だから。全てを投げ出そうとしていたところを……助けてくれたから)

迅鯨「………」ギュッ…

迅鯨(そして、貴方は……私のことを肯定してくれた。貴方がかけてくれた言葉は、今でも心に残ってるもの……)

迅鯨「……お嫁さんになりたい」ポツリ…

迅鯨(この言葉があったから、私はここまでやってこられた。夢を目指す勇気を貰ったから)

迅鯨(……まぁ、幼い子供が言った言葉を、未だに信じている私は……客観的に見て、ちょっと変だと思うけど)

迅鯨「………」

迅鯨(それでも、私は……提督君に救われた。だからこそ、こうしてこの高校で再会して……恩返しをしようと思ったの)

迅鯨(あの時は私が助けて貰ったから、今度は私が貴方を助ける番。ただ、あんなに歪んでしまっているのは想定外だったけど……)

迅鯨「……でも」

迅鯨(まだ、恩返し出来ていない……まぁ、流石に奥さんとして支えるのは無理だとしても……)

迅鯨(教師として、提督君を支えていきたい。貴方が忘れてしまっていたとしても、私はずっと……覚えているから)

迅鯨「……忘れた日なんて、一度もないもの」

迅鯨(せめて、貴方が卒業するまでは……私が気にかけてあげないと。恩人であり、大事な教え子だから……!)

――数分後・高級住宅街


不知火「……そんなことが」スタスタ…

提督「あぁ。いきなり恋人とか奥さんだとか言い出した時はドン引きした」スタスタ…

不知火「………」

提督「ったく、あれでよく教師になれたもんだ……」

不知火「………」

不知火(迅鯨先生のやり方にも問題はあると思いますが、提督君がここまで歪んでしまったのは……やはり、私が原因で……)

提督「……そんなことより、もっと重要な話がある」

不知火「……!それって……」

提督「あぁ、例の女の件だ。何とか"交渉"成立した」

不知火「……それを聞いて安心しました。警察沙汰や裁判沙汰になってしまったら、提督君と一緒にいられる時間が減ってしまいますから」

提督「……まぁ、我ながら、相手の弱みに付け込む酷いやり方だったけどな」

不知火「………」

提督「……幻滅したか?」

不知火「まさか。むしろ、私の方こそ……貴方にそのような手段を取らせてしまって、ごめんなさい。元はと言えば、私のせいで……」

提督「……だから、不知火は悪くないんだって。ヤケになった俺がしでかしたことで……」

不知火「………」

提督「………」

不知火「……なら、それ"も"背負いましょう」

提督「……!」

不知火「私達は、既に"彼女"を……」スッ…

提督「……あぁ。だからこそ、二人で背負って行こうと決めたんだ」

不知火「………」スタスタ…

提督「………」スタスタ…
















大井「………」ジー

大井「………」スタスタ…

――数日前・10周目提督家


提督「………」

提督(昨日、丸一日考えたが……まともな解決方法なんて、全く思い浮かばなかった)

提督(むしろ、考えれば考えるほど……自分がいかにクズ野郎かを自覚するだけだった)

提督「……っ」

提督(このまま、あいつとの関係を続ける訳にはいかない。不知火の信頼を、裏切ることになってしまう)

提督(……畜生、自分で言ってて反吐が出る。ほんの二、三日前……"あいつ"に、酷い仕打ちをしておいて……)

提督「………」グッ…

提督(だが、それでも……不知火を選ぶと決めた以上、やるしかないんだ……!)

ガチャ…

提督「……!」

ビスマルク「………」

提督「……夜遅くに呼び出して悪いな」

ビスマルク「ふん。どうせまた、私に酷いことをする気でしょう?」

提督「違う。お前に大事な話があるんだよ」

ビスマルク「大事な話、ね……新しい道具でも試すつもりかしら?」ギロッ

提督「………」

提督(予想通り、警戒されてるな。俺が今までやったことを考えれば、当然の反応だが)

提督「……結論から言う。お前を強姦することを、いや、肉便器として扱うことを……今日限りでやめようと思う」

ビスマルク「……は?」

提督「これからは、お前を家族……いや、元からあいつらの養子ということにはなってるか。とにかく、お前をこの家の一員として扱う」

ビスマルク「………」

提督「それだけじゃない。慰謝料の代わりになるかは分からないが、今後の生活を保障することを約束する」

提督(どうせ、俺では使い切れないほどの資産があるんだ。ビスマルクが一人増えたところで、何ら生活に支障はない)

ビスマルク「………」

提督「今まで悪かった。許してくれとは言わないが、せめてこれで手を打ってくれないか?」

ビスマルク「………」

ビスマルク「……何が目的よ」

提督「………」

ビスマルク「そんな話をされて、簡単に信用すると思う?今まで、私が貴方にどんな目に遭わされてきたか……」

提督「………」

ビスマルク「油断させておいて、後から追い打ちをかけて私を懐柔する気?その手には乗らないわ」

ビスマルク(例え体は調教され尽くしても、心は……心だけは、貴方に屈しないんだから……!)

提督「……話が上手過ぎると思うのも無理はない。だが、今のは俺の本心だ」

ビスマルク「……仮にそうだとしても、謝罪する態度とは到底思えないわね」

ビスマルク「あれだけのことをしておいて、お金を出すから水に流せだなんて……人のことを、何だと思って……!」ギリッ…

提督「……っ」ズキッ

提督(……ビスマルクの言う通りだ。俺は今、人として……最低な態度を取っている)

提督(だが、俺も今更善人面するつもりはない。どうせ、堕ちるところまで堕ちたんだ……)

提督「……あぁ、そうだな」

ビスマルク「結局、何もかもお金のせいよ。私がこんなことになったのも、全部お金のせいで……」

ビスマルク(そんな醜くて、下衆で、最低な物で誠意を示そうだなんて……!)

提督「でも、ビスマルク……お前は、自分の立場を理解しているのか?」

ビスマルク「……え?」

提督「ここで俺が『条件が飲めないなら、お前を"例の場所"へ強制送還する』と言えば……後は分かるな?」

ビスマルク「っ!?」

提督(……最後まで、クズを貫き通すしかない。まともに解決するなんて、俺のような糞野郎に……出来るはず、ない……)

ビスマルク「きょ、強制送還って……」

提督「……そのままの意味だ。下手にお前を家から叩き出して、通報されても困るからな」

ビスマルク「くっ……」

提督「元々、お前は売りに出された存在なんだ。そして、お前を買ったのは……この俺だ」

提督「そんなお前を、これからは肉便器扱いをやめて……しかも、この家で贅沢させてやるって言ってるんだぞ?」

ビスマルク「………」

提督「お前にとっても、悪くない話だと思わないか?」

ビスマルク「……本当に最低ね、貴方」

提督「………」

ビスマルク「私に断る選択肢がないことを、知った上で……!」

提督「……っ」ズキッ

提督(……耐えろ。今、感じている罪悪感は……俺が背負わなければならない罪だ)

提督(それだけのことを、俺はしてしまったんだ……辛くても、苦しくても……受け入れるしかない……)

ビスマルク「……っ」ギリッ

提督「………」

ビスマルク「……本当に、もう犯される心配はないのね?」

提督「……あぁ、約束する」

ビスマルク「……分かったわ、その条件をのむ」

提督「……!」

ビスマルク(惨めで、悔しくて堪らない……でも、あの地獄へ戻されれば、今以上に辛い日々が待ち受けている)

ビスマルク(それなら、こいつが言った条件で……この家に住み続ける方が、まだマシだもの。本当は、嫌で仕方ないけどね……)

提督「……そうか。なら、これからは家族としてよろしくな」

ビスマルク「誰が家族よ、全く……」

提督「………」

提督(……これで良かったんだ。せめて、これからはビスマルクに贅沢をさせてやるという形で……償っていきたい)

提督(それがただの自己満足で、独りよがりに過ぎないことは理解している。でも、こうする他ないんだよ……)

――部屋の外


家政婦「………」

家政婦(10周目提督様が、人身売買に手を出してしまった時……それを止められない自分を、情けなく思いました)

家政婦(私はあくまでも雇われの身である以上、ご主人様や10周目提督様に逆らうことは許されません)

家政婦(それに加え、ご主人様からの愛を受け取れず……悲しみに暮れる10周目提督様を、私は眺めていることしか出来ませんでした)

家政婦「……っ」

家政婦(ビスマルク様を凌辱し、大井様と行為に及ぶ10周目提督様……その顔には、陰りばかりが見えていました)

家政婦(苦しみ続ける10周目提督様に対し、自分は無力なのかと悩んでいると……突如、10周目提督様は変わられました)

家政婦(ビスマルク様、そして大井様との間に続いていた歪な関係を……断ち切る選択をなさったのです)

家政婦(それを聞いた時、私は……10周目提督様が自らの苦しみを乗り越えたのだと、嬉しく思いました)

家政婦「……ただ、全てが丸く収まった訳ではありません」

家政婦(ビスマルク様のことは、10周目提督様も悩んでいました。和解は絶望的である以上、"交渉"するしかないと)

家政婦(それだけではありません。数日ほど前には、大井様との話し合いで拗れてしまったらしく、帰宅なさった後も思い悩んで……)

家政婦「………」

家政婦(……私に出来るのは、微力ながら10周目提督様とビスマルク様のお世話をすることだけです)

家政婦(少しでも、お二人の苦痛を和らげられるよう……全身全霊をかけて、サポートをさせて頂きます)

家政婦「………」ギュッ…

家政婦(そして、不知火様……お願いします。どうか、10周目提督様を……お願い致します)

家政婦(情けない話ですが、私では10周目提督様を本当の意味で支えることは出来ませんから)

家政婦「………」
















――同時刻・10周目提督家の外


大井「………」ジー

大井(提督……)ハイライトオフ

――更に数日前・不知火家


提督「……正直、嫌な顔されることは覚悟してたんだけどな。まさか、普通に迎え入れて貰えるとは」

不知火「家族には、提督君と喧嘩別れしてしまったこと……伝えていませんでしたから」

提督「……!」

不知火「あくまでも、些細なことですれ違ってしまい……しばらくの間、疎遠になっていただけと話していたんです」

不知火「……いえ、これは結果的にそうなっただけですね。本当は、怖かったんです。提督君と元の関係に戻れないことを、ずっと悔やんで……」

不知火「もし『別れた』と告げてしまえば、提督君と元の関係に戻れる可能性を……完全に捨ててしまう気がして……」

提督「………」

不知火「……結果的に、正解でした。こうして、提督君を……また、私の家に呼ぶことが出来るようになりましたから」ニコ…

提督「……不知火」

不知火「………」ギュッ…

提督(……そうだ。不知火は、どこまでも俺のことを愛してくれる。こんなどうしようもない俺のことさえ、受け入れてくれるほどに)

提督(だからこそ、俺は……大井やビスマルクとの関係をやめることを決意した。今日は、そのことを不知火と相談する為に……ここへ来たからな)

提督(俺の家に呼ぶことも考えたが、出来れば不知火とビスマルクを会わせたくなかった)

提督(例え事情を知ってくれていたとしても、気が進まなかったから……)

提督「……っ」

提督(何が『気が進まなかった』だよ。こんな状況になったのは、俺のせいだってのに……)

提督「………」フルフル…

提督(いや、自己嫌悪に陥るのは後回しだ。まずは本題に入らないと……)

提督「……俺がここへ来たのは他でもない。大井と、もう一人の女のことだ」

不知火「……!」

提督「もう一人の女については……近い内に、今の関係をやめることを切り出そうと思う」

不知火「……大丈夫ですか?その、提督君が、罪に問われたりは……」

提督「……一応、それを防ぐ術は考えてある」

提督(もっとも、それは……脅すようなやり方になってしまう。こんな方法しか思いつかない自分が、本当に嫌になる……)グッ…

不知火「そう、ですか……あの、私がこんなことを言っても、余計なお世話かもしれませんが……あまり、思い詰めないで下さい」

不知火(元はといえば、私のせいで……)ズキッ…

提督「いや、大丈夫だ。それに、余計なお世話なもんか……そう言って貰えるだけでも、嬉しいからさ」ギュッ…

不知火「提督君……」

提督「……それより、問題は大井だ」

不知火「……!」

提督「不知火も知っている通り、あいつには……既に、別れを切り出している」

不知火「……この前、私が電話をかけた時ですよね」

提督「あぁ。ただ、大井はまだ……納得していない」

不知火「え……」

提督「あれ以来、俺は大井と学校以外で顔を合わせていないが……何度も連絡が入って来るんだよ」

提督「『捨てないで』、『元の関係に戻るなんて嫌』……そんなLINEばかりが、毎日な」

不知火「………」

不知火(大井さんは、提督君のことを……諦めていないのね。でも、当然か……私だって、逆の立場なら……)

不知火(それに、提督君と大井さんの関係が拗れてしまったのは……紛れもなく、私のせい。それなのに、私は彼女から提督君を奪い返して……)

不知火「……っ」ギリッ…

不知火(だとしても、今更……提督君を、大井さんに渡したくない。彼女に対してだけは、罪悪感より……嫉妬心が勝る)

不知火(私の目の前で、提督君と手を繋いだり……スイーツを食べさせたり……それを見て、自分でも抑えられないほどの怒りが……)

提督「その度に、俺も返信してるんだが……あいつ、こっちの話を全然……」

不知火「……私も説得します」

提督「……え?」

不知火「私も一緒に、大井さんを説得します。これは提督君だけでなく、私の問題でもありますから」

提督「いや、それは……」

不知火「お願いします」

提督(……やっぱり、責任を感じているのか。これは、俺が犯した罪なのに……)

不知火(……嘘だ。本当は、自分がしたことの始末ではなく……恋敵を、少しでも提督君から遠ざける為)

不知火(無論、人として恥じるべき行いであることは重々承知している。それでも、私は……)

ピンポーン…

提督「……!」

不知火「……!」

提督「……誰か、来たみたいだな」

不知火「……はい。よりによって、家族が私達に気を利かせて出かけてくれた時に……」

不知火(……嫌な予感がする。この、狙いすましたかのような訪問……これは、もしかして……)

不知火「………」スクッ

提督「不知火?」

不知火「私が応対します。提督君は、ここで待っていて下さい。すぐ戻りますから」スタスタ…

提督「……分かった」

提督(まぁ、それが妥当か。ここは不知火の家だからな……俺が出るより、不知火が出た方が良いだろう)

不知火「………」ガチャ

バタン…

不知火「………」スタスタ…

ピンポーン…

不知火(……急かさなくとも、居留守なんて使わない。むしろ、好都合だもの……)

不知火「……やはり、貴女なのね」

不知火(インターホンに映し出されていた相手は、私の予想通りだった)

不知火(私が最も憎い相手。私から提督君を奪い取っていった相手……そして……)

不知火「今もなお、提督君に縋りつく……厄介な女……」グッ…

不知火(目が虚ろで、顔に生気が感じられない。"かつて"の私のように、生きながらにして死んでいる……)































大井『………』ハイライトオフ


不知火(……大井、さん)





























――不知火家・玄関前


不知火「………」スタスタ…

不知火(大方、私から提督君を取り返しに来たのだと思う。むしろ、そうとしか考えられない)

不知火「………」スッ…

不知火(でも、そのお陰で……こちらから、大井さんの元へ出向く手間が省けたわ)

不知火「………」ガチャッ…

不知火(提督君……貴方だけに、辛い思いはさせません……!)

大井「………」

不知火「……何の用ですか?」

大井「………」

不知火「わざわざここへ来たということは、私に言いたいことがあるのでしょう?」

大井「………」

不知火「それとも、提督君に会う為に……」

大井「………」スタスタ

不知火「……え?」

大井「………」グイッ!

不知火「うっ……!?」

不知火(む、胸元を掴まれて……!)

大井「……お前のせいで」

不知火「……!」

大井「お前のせいで、私と提督は……ずっと、苦しんで……!」ググッ…!

不知火「っ、ぐ……!」

大井「お前が提督を振ったせいで……お前のせいで、提督は……歪んで……!」

大井「それだけじゃない……!人としての道を踏み外して、私のことも完全には信用してくれなくなって……!」

不知火「お、大井……さ……」

不知火(苦しくて、上手く……言葉が、出ない……!)

大井「その癖、私が提督と一緒にいる時は……お前、見苦しく嫉妬してたわよね?一体どういうつもりよ……!」

大井「自分で提督を傷付けておいて、提督が私と過ごしていたら嫉妬……?ふざけんじゃないわよ……!」

不知火「……っ!」ズキッ

大井「誰のせいで提督が苦しんだと思ってるの!?誰が提督をずっと支えてきたと思ってるの!?」

大井「それなのに、今更私から提督を奪うなんて……そんなの、許さない……絶対に、許さないから……!」

大井「返しなさいよ……提督、返してよ……前みたいに、提督に別れを告げて……私に返しなさいよぉッ!!」ググッ!

不知火「あっ、が……うっ……!」

不知火(大井さんの言葉が、私の胸に突き刺さる……彼女の言っていることは、全て事実で……)

不知火(先程まで抱いていた嫉妬心が、罪悪感で押し潰されそうになって……)

不知火「……っ」ググッ…

大井「なっ……!?」

不知火「……それ、でも」

不知火(……私だって、分かっている。自分が何をしてしまったかを、提督君をどれほど傷付けてしまったかを……)

不知火「提督君、は……私を、選んで……くれました……!」

大井「……ッ!!」ズキッ

不知火「貴女と、同じように……私、だって……提督君を、渡したく……ない……!」

不知火(だとしても、大井さんには……大井さんだけには、渡すものか……提督君が選んでくれたのは、私なのだから……!)

大井「ぐ、うぅっ……!」ギリィ…ッ!

大井「ふざけるなッ!!」バキィッ!

不知火「がふっ……!?」バタッ

大井「お前のせいで……お前のせいで、私は……私はぁッ!!」ガスッ!

不知火「あがっ……!」

大井「殺す!殺してやる!お前だけは絶対に許さない!殺してやるッ!!」ドガッ!

不知火「うぐっ……!」

大井「どうしてお前のようなクズ女が提督に選ばれるのよ!?お前なんて、一生孤独がお似合いなのに!」

不知火「……っ」

大井「こんな我儘で自分勝手で最低な奴より、私の方が提督のことを理解してるのに!提督のことを支えてあげられるのに!」

大井「何でよりによって、こんな女なんかを選んだのよ……!提督はこいつのどこに、そんな魅力を……!」

不知火「……ない」

大井「はぁ!?何よ!?この期に及んでみっともない言い訳でも……」

不知火「お前にだけは……言われたくないッ!!」バキィッ!

不知火「あがっ!?」バタッ

不知火「黙って聞いていれば、良い気になって……!お前に私の何が分かる!?」

不知火「私がどれほどの間、苦しみ続けたか……何も知らない癖に、勝手なことばかり言うな……!」

不知火(一方的に殴られ、蹴り飛ばされ、暴言を吐かれた私は……思考が怒りで染まり切ってしまった)

不知火(先程まで感じていた、こいつへの罪悪感など……完全に消え失せた。もう、自分でも感情を制御出来ない……!)

大井「ぐっ……逆ギレしてんじゃないわよ!誰のせいで提督が……!」

不知火「それくらい分かってるッ!!」

大井「……っ!」

不知火「自分が提督君に、何をしてしまったかなんて……痛いほど理解してるに決まってるでしょう!?」

不知火「お前には、好きな人に忘れられる辛さが……思い出をなかったことにされる辛さが分かるというの!?」

大井「な、何を言って……」

不知火「どう足掻いても、好きな人と新しい明日を迎えられない辛さなんて……分かるはずがない!」

不知火「そもそも、お前は所詮ただの肉体関係!これまで告白さえ出来なかった意気地なしが、今更提督君に縋りつこうとするなッ!!」

大井「っ、お、お前……!言わせておけば……!」

提督「お、おい!一体何の騒ぎだ!?」ドタドタ

不知火「……!」

大井「あっ……」

提督「二階まで聞こえてきたぞ!まさか不審者が……えっ、お、大井……?」

大井「……っ」ズキッ…

提督「……何があったんだ。二人共、玄関で倒れ込むだなんて……」

提督(いや、それだけじゃない。よく見ると、二人の頬が腫れて……まさか、お前達……)

不知火「そ、それは……その……」

大井「……っ!」ダキッ

提督「……!?」

不知火「あっ……!」

大井「……捨てないで」

提督「……っ」ズキッ

大井「お願い……私を、捨てないで……!貴方がいないと、私……」ギュウッ…!

提督「……大井」

不知火「……提督君から離れ」

大井「お前は黙ってなさい!」

不知火「ぐっ……」

大井「こんな、貴方を一度捨てた女より……私を……」

提督「………」チラッ

不知火「………」

提督(不知火が、苦虫を噛み潰したかのような顔を……まさか、さっきの騒ぎは……)

大井「提督……」

提督「………」

提督「……ごめん、大井」

大井「え……」

提督「前にも言ったが、お前とは……もう、そういう関係には戻れない」

大井「……あの女が、いるから?」チラッ

不知火「………」

提督「………」コクリ

大井「どうして……あいつは、提督のことを……」

提督「……それでも、愛してるから」

大井「ッ!!」ズキッ

提督「やっぱり、俺は……不知火じゃないと、ダメなんだ」

不知火「……!」

不知火(提督、君……)

大井「………」

提督「………」スッ…

大井「ぁ……」

提督「……ごめん」

大井「………」ジワッ…

提督「……っ」ズキッ

提督(ここで流されてはダメだ……俺は、大井やビスマルクとの関係をやめて……不知火を選ぶと、決めたんだ……!)

大井「そん、な……」ポロポロ…

提督「……本当に、ごめん」

大井「………」ポロポロ…

不知火「……これで、分かったでしょう?」

大井「………」チラッ

不知火「提督君は、私を選んでくれました。貴女には、もう……出る幕はありません」

大井「……ッ!!」ギロッ

不知火「……っ」ゾクッ

大井「うぅっ……!」ダッ…!

提督(大井……)

提督「………」

不知火「……ようやく、帰ったみたいですね」

提督「………」

提督(こんなことを、自分で考えるのも気持ち悪いとは思うが……不知火と大井は、恐らく……俺のことで、言い争っていたんだろう)

提督(それこそ、お互いを殴り合ったり……大声で罵倒し合うほどに……)

提督(そうでもなければ、二人が倒れ込んでいたことや、頬の傷の説明がつかない……)

提督「……糞ッ!!」ダンッ!

不知火「っ!?」ビクッ

提督「俺は、最低だ……クズだ。糞野郎だ……!今まで、散々……大井に世話になっておいて……!」

提督「なのに、その恩を……こんな、仇で返すようなことをして……!」

不知火「………」

提督「だが、俺が愛しているのは……不知火、ただ一人だ」

不知火「……!」

提督「俺には、こうするしか……」

不知火「………」

不知火(……私にとっては恋敵でも、提督君にとっては……私がいない穴を、埋めてくれていた存在)

不知火(それなのに、提督君は……苦しみながら、胸を痛めながら……大井さんを拒絶してくれた)

不知火(私を、選んでくれた……大井さんを傷付けてまで、私のことを……)

提督「畜生……」

不知火「………」ギュッ…

提督「ぁ……」

不知火「……自分を責めないで下さい。全て、私の責任ですから」

不知火(事実、大井さんは提督君に憎しみを抱いているようには思えなかった。私と言い争っている時だけでなく……)

不知火(走り去る直前にも、私に殺気が籠った顔を向けながらも……提督君には、最後までそれを見せなかったほどだから……)

提督「……違う。不知火のせいじゃない……俺が悪いんだ……」

不知火「いえ、私のせいです。提督君は、何も悪くありません……」

提督「そんなことない!俺のせいで、こんなことに……」

不知火「ですから、それは私の心が弱かったことが原因で……」

提督「………」

不知火「………」

提督「……あくまでも、自分が悪いという主張を曲げないつもりか?」

不知火「……提督君こそ」

提督「………」

不知火「………」

提督「……なら、二人で罪を背負うしかない」

不知火「……!」

提督「俺は、大井やビスマルクを傷付けてしまった罪……」

不知火「……私は、提督君を傷付けてしまった罪ですね」

提督(そして、大井を犠牲にしてでも……)

不知火(私達が共に過ごすことを選んだ、罪を……)

不知火「辛いことや、苦しいことは……お互い、分け合いましょう。そうしないと、自分の罪の重さで……潰れてしまいますから」

提督「………」コクリ

不知火「……っ」ズキッ

不知火(私は、また……提督君の優しさに、甘えてしまった。本当なら、全ての罪を……私が背負わなければならないのに……)

不知火(けれど、二人で同じ罪を背負えることに……嬉しさを感じている私がいる。こんなことを考えてしまう自分が、嫌になって……)

不知火「………」フルフル

不知火(……いえ、そんなことでは、また大井さんに提督君を奪われてしまいます。これからは、提督君に選ばれたことに……自信を持たなければ)

不知火(それでいて、自分の犯した罪を忘れず……提督君と背負いながら、生きていく。彼も、それを望んでいるはず……)

提督「……不知火」

不知火「……はい」































「俺にはもう、お前しかいないんだ。どうか、最後まで……俺の傍にいてくれ。俺を、愛してくれ……」


「……もちろんです。私にも、提督君しかいませんから……どうか、私の傍にいて下さい。そして、愛して下さい……」





























――同時刻・10周目提督家


大井「はぁっ、はぁっ……!」タタタッ…!

大井(どうして……どうしてぇっ……!)ポロポロ

大井「うっ……うぅっ……!」タタタ…

大井(私は、あんな女なんかより……ずっと、ずっと……提督のことを、愛してるのに……!)ポロポロ

大井「………」ポロポロ

大井(……それこそ、無意識の内に……提督の家の前まで、走って来てしまうほどに……)ポロポロ

大井「………」ハイライトオフ

大井(どうせ、家に戻ったところで……誰一人、いないもの……)ポロポロ

大井(それどころか、唯一の心の拠り所だった提督さえ……私から、離れて行って……)ポロポロ

大井(ねぇ、提督……貴方は『幼馴染の関係に戻るだけ』と言ってくれたけど……)ポロポロ

大井「……あはっ」ポロポロ

大井(そんな関係で、今更……私が納得出来ると思う?身も心も、貴方で染まってしまったのに……)ポロポロ

大井「くふっ……あはははっ……」ポロポロ

大井(自分でも驚くほど、掠れ果てた笑い声が……涙と共に漏れてくる。おかしくもないのに、どうして……)ポロポロ

大井「あはははははっ……」ポロポロ

大井(いや、違う……もう、笑うしかないほどに……絶望しているから)ポロポロ

大井(誰も、私のことを救ってくれやしない……この世界に、私の絶望と孤独を癒してくれる存在はいない……)ポロポロ

大井「………」ポロポロ

大井(その、救ってくれる存在は……あの女が、私から奪い取って行った)ポロポロ

大井(一度は提督を傷つけておいて、性懲りも無く……また、提督に近付いて……)ポロポロ

大井「……殺してやりたい」ポロポロ

大井(提督を傷付けた罪を、身をもって味わわせた後に……ぶっ殺してやりたい……)ポロポロ

大井(でも、そんなことをしても……提督の心は、あの女から離れることはない……)ポロポロ

大井(私がどれだけ尽くしても、提督は……結局、あの女のことばかり考えて……)ポロポロ

大井「………」ポロポロ

大井(いや、それ以上に……もう、提督の悲しむ顔を見たくない。あの女を殺せば……また、提督が傷付くから)ポロポロ

大井(あの女と同レベルのクズに落ちぶれるなんて……絶対に、嫌だもの……)ポロポロ

大井「ぐすっ……うぅっ……」ポロポロ

大井(提督がいない世界に、生きる意味なんて……でも、自殺するのも……怖くて……)ポロポロ

大井(そんなことをして、提督が存在すらしない世界に落とされでもしたら……絶対に、耐えられないから……)ポロポロ

大井「提督……えぐっ、提督……」ポロポロ

大井(結局、私は中途半端だったのね……最初から、依存させることなんて考えず……もっと、提督に尽くすべきだった……)ポロポロ

大井(体で癒すなんて、歪んだ手段じゃなく……常に傍にいて、献身的に支えるべきだったのよ……)ポロポロ

大井(今更、後悔しても遅い……提督はもう、私の元へ……返って来てくれないのだから……)ポロポロ

大井「………」ポロポロ

大井(……でも、無理よ。提督がいない、この地獄のような世界を……どうやって生きていけば良いの……?)ポロポロ

大井(提督から離れられない。それなのに、恋人になることは許されないなんて……そんな、ことって……!)ポロポロ

大井「……提督」ポロポロ

大井(提督……提督……)ポロポロ

大井(提督提督提督提督提督……提督、提督……提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督――――)

――――提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督――――

――現在・草原


提督「………」

不知火「………」

提督「……また、ここに来てしまったな、俺達」

不知火「……はい」

提督(静かで、それでいて心地良い風が優しく吹き渡る……)

不知火(ここに、提督君と座っているだけで……心が、安らいで……)

提督「………」ギュッ

不知火「……!」

不知火(提督君が、手を……)

提督「……俺は、大井を犠牲にしたことを背負うと決めた。それを撤回するつもりはない」

不知火「………」

提督「自分で、そう決めておいて……大井の想いを、踏みにじっておいて……」

提督(それだけじゃない。ビスマルクのことだって……あんな、強引な方法で……)

不知火「……罪悪感で胸が痛い、と」

提督「………」

不知火「……私も、似たようなものです」ギュッ…

提督「……!」

不知火「大井さんのことや、"かつて"私が提督君を深く傷付けてしまったこと……そして……」

不知火「私のせいで、提督君や大井さん達を歪んだ関係にしてしまったことを……引きずっていますから」

不知火(ただ、大井さんについては……罪悪感より、提督君を取り返せたという嬉しい気持ちが勝ってしまうけれど……)

提督「………」

不知火「……提督君の苦しみを理解出来るのは、私だけです」

提督「………」

不知火「そして、私の苦しみを理解してくれるのも……提督君だけです」

提督「………」

不知火「きっと、この罪悪感や胸の痛みは……一生続くと思います。それでも……後悔だけは、してはいけません」

提督「……あぁ、そうだ。その通りだ……後悔するということは、俺や不知火の気持ちを否定することになる」

提督「自分で決めた選択なんだから、どんなに苦しくても……それを背負わなければならない」

不知火「………」ダキッ…

提督「ぁ……」

不知火「何度でも言いますが、提督君には……私がいます。貴方の苦しみも、私が半分背負いますから」

提督「………」

提督(不知火……あぁ、やっぱり俺には……お前しか……)

提督「……っ!」ギュウッ

不知火「んっ……」

提督「俺の方こそ……不知火の苦しみを、背負わせて欲しい。俺に、不知火を……支えさせて欲しい」

不知火「……提督君」

不知火(この温もりがあるだけで、私は……どんな苦しみにも、耐えられる。例え、また時間が巻き戻ったとしても……)

不知火(もう、絶望なんてしない……貴方が私を愛してくれる限り、絶対に……!)
















<●><●>














提督「……っ!」ゾクッ

不知火「……どうかしましたか?」

提督「いや、今……どこからか、視線を感じたような……」

提督(それも、ただの視線じゃない。突き刺さるような、それでいて全てを見透かされているような……)

不知火「……ここには、私と提督君しかいません。きっと、心が疲れていることによる錯覚です」

提督「……そう、だな。わざわざ、こんな場所へ来て……そんなことをする物好きは、流石にいないよな……」

提督(あの教師ならやりかねないが、俺が授業態度を直し始めた頃からは……あいつが付き纏うことはなくなったし……)

提督(ただ、最近……どこにいても、その視線を感じることがある。だが、そんなことあるか?四六時中、俺を見続けるだなんて……)

不知火「……不安な時や、辛い時は私を頼って下さい。どんなことがあっても、私だけは……貴方の味方ですから」

提督「……ありがとう。不知火の方こそ、辛い時は……俺を頼って欲しい。何があっても、お前を見捨てたりはしない」

提督(……余計なことを考えるのはやめよう。不知火が傍にいてくれれば、俺は……どんな苦しみも耐えられる。得体の知れない視線なんか、どうだって良い……)

――同時刻・提督達からやや離れた場所


大井「………」ジー

提督が感じていた視線は、気のせいではなかった。

彼らの背後、およそ数m離れた場所からは……大井が、彼を凝視していたからだ。

大井(提督提督提督提督提督提督……)

彼女の心は、既に取り返しのつかないほどに壊れてしまっていた。

自殺することも出来なければ、恋敵を殺害することも出来ない。

そして、最愛の人から見放され……彼に依存した彼女は、孤独の世界へ置き去りにされてしまった。

大井(提督提督提督提督提督提督……)

そのような仕打ちを受ければ、誰が正気を保つことが出来るだろうか。

提督という希望を失い、絶望に呑まれた彼女の心にあるのは……彼の傍にいたいという想いのみ。

それを、歪んだ形で……彼女は現実にした。その結果が、御覧の通りだ。

大井(提督提督提督提督提督提督……)

光を失い、濁り切った瞳に映るのは……最愛の人の姿だけ。

他のものは、彼女にとって……全てがどうでも良い存在なのだ。

それは、自分自身とて例外ではない。彼女は、常に彼をストーキングしている。

大井(提督提督提督提督提督提督……)

自分の時間の大半を、彼のストーキングに充てるほどだ。

生きる為に必要な、最低限の生活を除けば……それ以外の全ては、彼を視界に入れる時間に費やしている。

大井(提督提督提督提督提督提督……)

彼への未練を断ち切れず、自らが離れることも出来ないとなれば……

彼女には、いつまでも彼に縋るという選択しか残されていなかった。

大井(提督提督提督提督提督提督……)

彼女は孤独だ。この行動を咎める者も、彼の代わりに彼女を支える者もいない。

無論、こんなことを続けたとしても……彼と恋敵の仲睦まじい姿を見せられ、彼女の心はより疲弊するだけだ。

大井「……うぐっ、おえぇっ……!ゲホッ……!」

例え、最愛の人が恋敵と愛し合う様子を見せ付けられ、その苦痛に耐えられなかったとしても。

彼女は、こうすることでしか……生きる意味を見出せなかった。

否、"生きる"意味というのは、少し語弊があるかもしれない。































(提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督……)


彼女の心は、彼に別れを告げられた時点で……既に"死んでいた"のだから。





























――不知火 HAPPY END!

本編で提督が既に大井に別れを告げていたこともあり、今回のエピローグは本当に苦戦しました。
悩みに悩んだ結果、最終的に『不知火と大井の修羅場』に焦点を置くことにしました。
大井が不知火を刺し殺そうとする等の展開も考えましたが、回想ならまだしもエピローグでそれはやり過ぎだと考え、没にしました。
また、今回は時系列が少し特殊で、不知火と大井の修羅場→(数日経過)→ビスマルクとの交渉→(数日経過・現在)→迅鯨との対話→提督と不知火が草原で語り合う~失恋パートという順になっています。

プロット等につきましては次スレに投下します。こちらのスレは埋めて頂けると幸いです。

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