モバP「番組スタッフから苦情が来ております」  小梅「わ、私に・・・?」 (36)


モバP(以下、P)「正確には小梅とあの子に来てる」

小梅「あの子にも・・・?」

幸子「あの子って番組スタッフさん公認なんですね」

P「毎年お世話になってる心霊番組のスタッフさんからだ。今から読むぞ」

小梅「うん・・・」

P「『小梅ちゃんのお友達というあの子さんですが、毎度心霊スポットでロケ許可を取りに行くのを止めて頂きたいです』との事だ」

P「・・・ダメだろ。幽霊に許可取りに行っちゃ」


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小梅「でもPさん、人のお家にお邪魔する時は許可を貰わないとって・・・」

P「それは人間の場合な。いや幽霊だからいいってわけじゃないけども」

P「とにかく、あの子が心霊スポットの幽霊に許可を貰いに行くもんだから全く怪現象が起きず画にならなくて困るそうだ」

P「それに聞いたぞ? 去年の廃病院での話」

小梅「あ・・・」

P「自覚はあるだろ?」

小梅「う、うん・・・スタッフさん凄く困ってた」

幸子「何があったんですか?」


P「久々の客に廃病院の幽霊たちが盛り上がったらしくて、そこら中の物は浮くわ、肉眼で見える患者達の大行進が始まるわ・・・最終的には院内放送で『またの御来院をお待ちしております』と言われたそうだ」

幸子「楽しそうでいいじゃないですか」

P「そんなの完全なヤラセに見られるだろ。テーマパークじゃないんだぞ」

幸子「でも怒って変な事されるよりはいいと思いますけどね」

P「まぁ俺個人としてもそう思うし、多分スタッフさん達もその気持ちは多少なりあるだろうな・・・でも撮れ高に命をかけてるような人達ばかりだから危険なんて二の次なんだよ」

小梅「ごめんなさい・・・」


P「今あの子もここにいるんだろ?」キョロキョロ

小梅「うん・・・あっちでソファに座ってる友紀さんの肩の上に乗ってるよ」


友紀「あーやっぱしー? なんか肩重いと思ったんだよねー」


P「そういうところもだぞっ!!!」

小梅「え?」
幸子「うわっ!? 何ですか、突然大声出さないで下さいよ!」


P「ウチの事務所のアイドル達はあの子という存在のせいで幽霊への抵抗が無さすぎる」

幸子「へ?」

P「その事に関しても苦情、頂いております」ピッ

P「『心霊スポット巡りのロケバスで怖い話や心霊スポットで起きた事件などを話すのですが、346さんのアイドルは全く動じないので困ります』との事だ」

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番組D『次に向かう心霊スポットですが、ここでは昔事故で亡くなったと言われる女性の霊が現れるそうです』

芸人『うわぁ~! ちょっと勘弁して下さいよ!』

タレント『ほんと止めて下さい~!』

小梅『次のスポットは本物だから楽しみ・・・♪』キラキラ
紗枝『じゃあ、あの子はんの新しいお友達が出来るかもしれへんね』フフッ
友紀『野球チップス食べる?』

D『・・・』

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幸子「そう言われてみればボクもおばけとか苦手でしたけど、いつの間にか恐怖心が薄くなっているような・・・」

P「そうだろ? 俺だってホラー映画とか苦手だったけど今なんてピクリともしないからな」

小梅「そ、そうだよね・・・」

P「というわけで今後の心霊番組ではあの子を連れて行くのを禁止にします!」

小梅「えっ・・・!」


「!」バッ!
友紀「あ、軽くなった」


パッ!

P・小梅・幸子「?」

テレビ『お昼のニュースです―――』

幸子「テレビが勝手につきましたよ」


『私も――』パッ!

『こ――』パッ!

『うめぇー!―――』パッ!

『ちゃんと――』パッ!

『一緒に行き――』パッ! 

『タイ~!』パッ!


幸子「器用ですねぇ」
P「ダメです!」


「」ヒュッ!

P「今後一切ロケ先での小梅との行動は・・・・・・・肩おっもっっっ!!!!!!」ズシッ!

P「うぐぐっ!!! 今乗ってる!? 絶対肩の上に乗ってるよね!?」

小梅「う、うん・・・Pさんの肩に全体重かけてる」

P「よりによって最近コリの酷い右肩にっ・・・! でも絶対に撤回しないからなっ!!! 絶対に連れていきません!!!!」

ズシッ!

P「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」

幸子「・・・ぷっ」

P「笑うなぁぁぁぁ!!!」


幸子「す、すみません・・・でも、大人が右肩だけ下げながら叫んでいる姿見たら面白くて・・・ふふっ」プルプル

ズッシーン!!!

P「ヤバいヤバイ!!! これ肩外れるって!!!!!!」

小梅「Pさんが可哀想だから止めて・・・・ね?」

幸子「Pさんが認めてあげればいいじゃないですか」

P「ダメだっ! ただでさえウチの事務所は変わった子が多いと噂されてるのにこれ以上変な噂が立ったら・・・事務所はもちろんお前達にも不憫な思いをさせる事になるっ・・・!!!」グヌヌ

幸子「個性豊かで良いと思いますけどね」


P「良くないっ! 実際、共演者はあの子の事を気味悪がって小梅との共演NGを出したり、番組を降ろされた事だって・・・・はっ!?」

小梅「そう・・・なの?」

P「ち、違う! 今のは・・・!」

「」ヒュッ

P「肩が軽く・・・?  お、おい! 待ってくれ!」

ガチャン! バターン!!!

P「っ!」

幸子「飛び出して行ったんでしょうか・・・?」

小梅「うん・・・すごく悲しそうな顔してた」

P「くそっ・・・!」


小梅「さっきのお話・・・本当?」

P「・・・あぁ。本当の話だ」

小梅「!」

幸子「そんな酷いです! あの子さんは小梅さんと一緒にいたいだけなのに」

P「実は以前、小梅が誰かに弄られたり罰ゲームをする時に限って照明やカメラが突然壊れたり、小梅より先にあの子が他の共演者たちに楽屋挨拶をしに行って大騒ぎになった事があったんだ」

幸子「・・・ん?」


P「それから小梅の仕事は徐々に減り始めて、夏の心霊特集か特番にたまに呼ばれる程度・・・そんな小梅を見てると不憫でな。つい口走ってしまった」

幸子「待って下さい。そうなってくるとちょっと話が変わってきますけど」

P「あの子はいつも皆の事を見守ってくれていた優しい幽霊なのに・・・それなのに俺は気味が悪いだなんて言ってしまった」

幸子「話聞いてます?」

P「・・・―――――」

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――――――


=====================

P『小腹減ったな~。でもカップ麺の買い置きは終わっちゃったし、コンビニ行くのも面倒なんだよな』

ガサガサ・・・コトンッ

P『ん?』

コロコロ・・・

カップ麺『』

P『おっ、カップ麺! なんだこんな所にまだ残ってたのか』

デスク『』ガタガタガタ!

P『ん? そうか、お前が見つけてくれたのか。ありがとな』ニコッ

デスク『』ガタッ

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P『このクソ暑い中営業に行かないといけないなんて・・・めっちゃやむ』

ちひろ『皆さんのお仕事のためです! 頑張って下さい♪』

P『はぁ・・・んんっ!?』ゾクゾク!

ちひろ『どうかしましたか?』

P『いえ、急に身体が涼しくなったというか悪寒が・・・まさかあの子か?』

小梅『うん・・・一緒に行ってあげるって♪』

P『すごくヒンヤリしてていいわぁ。これぞ天然のクーラーってやつだな』

ちひろ『それ天然って言うんですか?』

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P『』ブルッ

P『うぅ~、トイレトイレ・・・』

シーン・・・・

P『夜の会社ってちょっと怖いよね』

P『いやいや、いい大人が何言ってんだ・・・っと!?』ズシッ

P『・・・一緒について来てくれるのか?』

ずしっ・・・

P『そ、そうか! 別に怖いわけじゃないけど、一緒に行きたいならついて来てもいいぞ?』ワハハ!

P『・・・』

P『みんなには内緒だからな!?』

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P「―――っ!」バッ!

小梅「あ、Pさん・・・!」


バタン! タッタッタッタ・・・・

小梅「Pさん・・・」

幸子「このノリについて行けないのはボクだけなんでしょうか」

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―――――――――――――
――――――

~屋上~

P「晶葉から借りた【あの子ちゃんレーダー】によると、この辺のはずなんだが・・・」ピコーン・・ピコーン・・・

P「おーい、いるんだろー?」スタスタ


ベンチ「」

P「」ピコンピコンピコン!

P「・・・そこにいるのか?」

ベンチ「」ギィ・・・

P「その、さっきの事なんだが・・・あれは誤解と言うか」

ベンチ「」

P「・・・いや、ダメだな」

P「正直に言う。お前が気味悪がられているのは事実だ」

ベンチ「」ガタタッ!


P「き、聞いてくれ! これは大事な話なんだ! これはお前の・・・小梅の今後にも関わってくる事だから」

ベンチ「」・・・・ギィ

P「ありがとな」

P「最近のお前は、うちのアイドル達に慣れ過ぎて他の一般人との距離感がおかしくなっている」

P「共演者の楽屋のテレビに映りこんで挨拶したり、機材を運ぶのを手伝おうと宙に浮かせてみたり・・・お前なりの善意なんだろうが、そもそも幽霊は人間にとって怖い存在であるという事を改めて自覚して欲しい」

P「厳しい言葉かもしれないがこれが現実なんだ」


「・・・」

P「でもな、例外もある」

「?」

P「『公表していませんが私も小梅ちゃんと同じく霊感があります。普段のテレビ局からは色んな負のオーラや霊が飛び交っているのですが、小梅ちゃんのそばにいる女の子の霊がいる日はそういうものが一切ないのでとても気持ちよく仕事ができました!』・・・とある女優さんからだ」


P「それともう一つ・・・これは小梅がお世話になってる心霊番組のスタッフさんから」

P「『以前ADとして心霊スポットに行って霊に取り憑かれてしまったのですが、小梅ちゃんとあの子ちゃんが説得してくれたおかげで事なきを得ました。そんな私も今月からディレクターとなり色々な番組を受け持つまでになりました。これもお二人のおかげです』」

「!」

P「一部ではあるがお前に感謝している人間もいる。これも事実だ」


P「つまり俺が言いたいのは幽霊としての自覚をもう少し持って行動して欲しいという事であって、仕事に付いてくるなっていうのは少し言い過ぎだったかもしれない・・・ごめん」

「」ヒュン!

P「うおっ!?」ズシッ

P「・・・許してくれるのか?」

あの子「うん・・・私の方こそごめんね」ボソッ

P「!」

P「」フッ・・・

P「さ、早く小梅のところへ戻ろう。きっと心配してるからな」

あの子「うん・・・♪」


~向いビルの屋上~

< アハハ!


男A「・・・」

男B「何見てるんだ?」

A「今346の屋上に人がいたんだけど、誰もいないはずなのに一人で喋ったり笑ったりしてたからさ」

B「電話だろ?」

A「いやー・・・そんな感じに見えなかったけどなぁ」


B「まぁ346プロにはやばい噂が色々とあるからな」

A「噂って?」

B「所属アイドルに本物のサンタクロースやドバイの石油王の娘、神様の生まれ変わりがいるらしい。他にも346プロのビルが夜な夜な変形していたりなんて話も」

A「なんだそりゃ、学校七不思議じゃあるまいし」
B「ま、単なる噂話だからな」アハハ

B「で、その中でも一番有名な噂が346プロのアイドルプロデューサーだな」

A「プロデューサー?」


B「346には200人近くのアイドルが所属しているんだけど、たった一人のプロデューサーが全員分のプロデュースやマネージャー業をこなしているって噂」

A「・・・」


A「なんだよそれ。めちゃくちゃ怖いな」
B「だろ?」


A「てっきり幽霊が出るとかそう言う話かと思ったわ」

B「幽霊も出るらしいぞ」
A「何でもありだな」


B「でも幽霊なんかよりそのプロデューサーの方が怖くね?」

A「そんな化け物が本当にいればな」

――――――――――――
――――――――
――――

P「うぇーーっくしッ!!!」

あの子「風邪?」


― 数日後 ―
~ 事務所 廊下 ~

幸子「結局あれからどうなったんですか?」テクテク


小梅「ちゃんと仲直りして前より仲が良くなったみたい・・・」エヘヘ

幸子「へぇ! 良かったじゃないですか」

小梅「うん・・・好きな人同士が仲良くしていると私も嬉しいな・・・♪」

幸子「小梅さん・・・」

小梅「だから今度は幸子ちゃんも・・・ね?」

幸子「ぼ、ボクですか!? 確かにあの子さんには慣れてきましたけど、一対一はまだちょっと厳しいといいますか・・・」


「まてぇぇぇ!!!」


小梅・幸子「?」



   小梅「わっ!」

杏「待てと言われて待つ人間がどこにいるのさ!」ピューン!

   幸子「うわぁっ!?」




   小梅「・・・」

P「これから仕事だって言ってんだろ!!!!」シュバババ!

   幸子「・・・」


P「くっ、こうなったら・・・! 頼んだ!!!」

ヒュン!


杏「今日はぐーたらデーと決めたもんねー! だから仕事なんt・・・・あ、アレ?・・・・身体が・・・・・動かな・・・」グギギ・・・!

P「つーかまーえた♪」ガシッ!

杏「ヒィっ!? こ、これは一体・・・!」

P「一時的にお前に金縛りをかけた。俺から逃げられると思ってるのか?」ゴゴゴゴ・・・

杏「あわわわわ・・・!」



< ウワァァァァァァァ!!!!

小梅「ね、仲良いでしょ・・・?」フフフ♪
幸子「ポケ○ンか何かですか?」


終り


~おまけ~

P「もちろん幸子にもクレームが来ております」

幸子「もちろんってどういう事ですか!」

P「どんなクレームだと思う?」

幸子「え? そうですねぇ・・・」フム・・・


幸子「ボクが可愛すぎて仕事が手につかない、とか?」

P「幸子のそういうところ俺は大好きだよ」


P「でも違います。これはバラエティ番組スタッフから」

P「『罰ゲームでのバンジージャンプやスカイダイビングをして頂く際に、あまりにも場慣れしすぎてるせいかリアクションに初々しさが感じられません』との事だ」

幸子「当たり前じゃないですか! あんなに何回も絶叫系ばかりやらされれば嫌でも慣れますよ!」

P「だとしても怖がる演技とかさ・・・話によるとスカイダイビングとかの同意書もノールックでサインするらしいじゃないか」

P「それと芸人さんの嫌がるリアクションをよそに率先してハーネス装着しに行くのを止めてもらいたいそうだ」


幸子「あれは早く終わらせたかったから・・・そんな事言うならもう絶叫系のお仕事は今後一切やりません!!!」

P「・・・」

P「なんで急にそんな事言うの~、幸子ちゃ~ん」

幸子「そんな甘え声使っても無駄ですからね」

P「ごめん俺が悪かった! そうだよな、幸子だって色々考えてやってるのに勝手なことばかり・・・スタッフさんには俺が話を通しておくから!」

幸子「絶叫系をやらせない。とは言ってくれないんですね」ジトー

P「うっ! そ、それは・・・こうは言われてもやっぱ幸子のリアクションは凄く人気があるから・・・でも幸子が本当に嫌なら・・・」ゴニョゴニョ


幸子「はぁ・・・仕方ないですね。分かりました」

P「え、やってくれるのか!?」

幸子「ファンの皆さんが求めてくれるなら」

P「さちこぉぉぉぉ!!!」

幸子「ただ一つ条件があります」

P「え?」

―――――――――――――――
――――――――――
―――――

幸子「―――というわけで、絶叫系のお仕事をする度にオフの日どこか遊びに連れて行ってもらうという約束を取り付けました」フフーン♪

小梅「幸子ちゃん逞しいね・・・」



終り

以上になります
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