【艦これ】龍驤「足りないもの、その後」その5【安価】 (915)

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【艦これ】龍驤「足りないもの、その後」その4【安価】
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ーー足りないもの鎮守府


ドガーーン!


菊月提督「どうした!?」


多摩「爆発音がした!!」


ジリリリリリリ…


菊月提督「深海棲艦の攻撃か?しかし何も前兆が無かったが…」


多摩「提督は緊急警報!こっちは艤装を展開して現地の確認に向かう!」


菊月提督「無茶はするな、まずは爆発音の正体を優先してくれ」


多摩「言われなくても!!」ガチャッ


菊月提督「…一体何が起こったんだ」


シュパーーー…


菊月提督「ん?あの海上を移動しているのは…」

ーー


雲林院『二人は先に逃げてくれ』


『そんな!雲林院様を置いて逃げられません!』


雲林院『私がここに居るのが知られた。ここの連中に迷惑をかけたくない』


『でも…!』


雲林院『私は不本意ながらここに保護され、鎮守府の一部を爆破して逃げたことにする』


『危険過ぎます!』


『せめて私達も!』


雲林院『二人は私とは違う。危険な目にあわせたくないんだ』


『雲林院様……』


……


雲林院「これで良かった、世話になった連中に迷惑をかけられないからな」


雲林院「爆発させた部屋は何も無い部屋だ、鎮守府に被害が出ることも無いだろう」


雲林院「…もっと鎮守府から離れておくか」


下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなど

ーー海上


バシュッ


雲林院「む」


菊月「やはり望月の予知通りか」


雲林院「鎮守府を爆破はしたが被害は出していない」


菊月「分かっている、お前を責めに来たんじゃない」


雲林院「なら私から離れろ危険に晒すことになるぞ」


菊月「誰が来ようと返り討ちにする、問題は無い」


雲林院「相手の事をよく知らないくせにそんな事は言うな」


菊月「私なら言えるんだ」


雲林院「…」

菊月「身を隠すのに適した場所がある。そこを使え」


雲林院「いいのか」


菊月「私達にはもう必要無いからな」


雲林院「ならば有り難く使わせてもらう」


菊月「あの二人はどこに居る?」


雲林院「二人なら先に逃げた」


菊月「本当か?出て行く所は見かけなかったぞ」


雲林院「嘘を…」


菊月「嘘かどうかは分かるんだろう?」


雲林院「…」


菊月「私は心を読めないがお前が考えていることは分かる。あの二人は無視しろ」


雲林院「何故だ」


菊月「お前の命の方が大事だからだ。お前が面倒な奴らに捕まれば更に面倒なことになる」


雲林院「本気か」


菊月「あの二人は元々居なかったものと思え。子どもの我儘は聞きたくないんだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

雲林院「自分の事は自分で守るだからあの子達のことは助けやって欲しい」


菊月「…」


雲林院「派手なこともしない、大人しくしてる」


菊月「…」


雲林院「無害とは言え鎮守府を爆破した。私が責任を持って直すから」


菊月「…」


雲林院「それから…」


菊月「素直に言え。その歳でそんなことを言ってると生き辛くなるぞ」


雲林院「……」

雲林院「あの二人は大事な存在だ」


雲林院「化け物扱いされていた私の側にずっと居てくれた」


雲林院「お祖父様が死んでも、あの二人だけは…」


雲林院「…」


雲林院「初めてできた友達なんだ」


雲林院「だから……助けて…」


菊月「ふん、初めからそう言え」


雲林院「……」


菊月「子どもの世話は苦手なんだ、泣くなら身を隠してからにしろ」


雲林院「…」バシュッ


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「敵の心当たりを聞いておけばよかったな。まあいい、いずれ判るだろう」


望月「おいっす菊月~」


菊月「何か見えたか」


望月「バッチリ見えたね。結論から言うと二人はもう捕まってるよ」


菊月「チッ…」


望月「しかも場所が分からない。これはお手上げかもね」


菊月「二人はどうなる」


望月「予知で見えたのは殺される所だねぇ」


菊月「どいつもこいつも…」

望月「どうする?」


菊月「ここで見捨てる方が後味が悪い。一応探すぞ」


望月「一応、ね」


菊月「なんだ」


望月「いんや~別に~」


菊月「…」


望月「雲林院と菊月って似てるよね、扱い方も同じ」


菊月「それを本人の前で言うな」


望月「はいはい。じゃ、ちゃっちゃと探しちゃおっか」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「この短時間で行ける所はたかが知れている。曙が見つけられないなら、普通では見えないような場所に居る」


望月「普通ならそれでいいんだけどさ、ある可能性を忘れてるよ」


菊月「何だ」


望月「相手が移動してる。つまり車か何かで二人を連れ去った」


菊月「…」


望月「あたしが見えたのは二人がガチガチに拘束されて動けない所。移動してるかまでは分からないね」


菊月「…どうするんだ」


望月「ま、なんとかなるって。今までだってそうだったじゃん」


菊月「…リュウジョウ達も働かせるぞ」

ーー??


「「~~~~」」


(何を言ってるのかな…)


(多分私達を尋問する人を呼んでる)


(そうなの?)


(私達を捕まえたあの人達は事情は知らない。余計な事を知られないように日本語が分からない人達を使ってる)


(こっちの仕事は済んだって連絡をしてるんだ…)


(私達は雲林院様が居ないとただの一般人。それを知ってる人の仕業だ)


(…殺されちゃうのかな)


(雲林院様が助かるならそれでいい)


(うん、そうだね)

「「……」」


(足音が遠くなっていった。ここから離れたんだ)


(尋問役が来る…)


(…怖い?)


(雲林院様の孤独に比べたら全然よ)


(そうだよね)


(いい、何をされても喋っちゃいけないわ)


(分かってるよ)


(雲林院様、どうかご無事で…)


(……)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「まったく、仕事とはいえこんな少女を尋問とはなあ…」


「……」


「……」


「あのさ…大体分かるよね?居場所くらい教えてくれない?」


「……」


「……」


「困ったなあ…これじゃあこっちが処分されちゃうって…」


「本当はやりたくないんだよ?こっちは女の子をいじめる趣味なんか無いってのに…」


「……」


「……」


「はぁ……殺せって依頼じゃないだけマシか」

ーー


「ーーーー!!」


「耐えちゃダメだよ……もっと強いのをやるしか無いじゃん…」


「ーーーーっ!!」


「もぉ~普通の女の子なら爪剥がすだけで悲鳴をあげるのに…」


「先に謝っとくけど本当にごめん」ギラッ


「……」


「……」ピクッ


「君かな」グサッ


「…………ぁ…!」


「ごめん何か喋って。そうじゃなきゃこっちの子は死んじゃう」


「……」


「…嘘だよ死なないよ。でもそう言うしか無いんだ」


「……」


「……ぅ…」


「今の内に喋って。次の奴らは君を玩具にして壊すつもりだ。もっと酷い目に遭うんだよ」


「今喋れば君達は殺されずに済む。だから…喋って」


「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

「……」


「…………」


「どうして……自分達の置かれている状況は分かるよね!?」


「……」


「…………」


「この後待っているのは殺されるどころの話じゃないんだ!今ならまだ…!」


「……」


「…………」


「……無理だ…これ以上は…」


ガチャッ


「もういい、次の奴らに任せろ」


「…………分かったよ」

ーー


「何も聞き出せないとはな、報酬は無しだ」


「…そうだろうね」


「役立たずのお前も処分する。と言いたい所だが特別に許してやろう」


「…………彼女達を使うのか」


「おっ、当たりだ。若い女は久しぶりだからな」


「あれは若過ぎる、少女だ」


「そういうのが好きな奴が多いって話だ」



ーーーーーーーー!!



「お、結構楽しんでるみたいだな」


「……!」


「許してはやるがこの事は喋るなよ、まあ言われなくても分かってるだろうがな」


「…………あぁ」


「ふ…少女を救えずに悲劇のヒーロー気取りか?全く、尋問屋が笑わせてくれるなよ」


「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「あ……あ…ぁ…」


「…………」


「おいこっちはもう反応しなくなったぞ」


「死んだか。ま、刺されてたしな」


「俺が傷口を抉ったのが悪かったか?」


「それしかないだろ」


「だってよ、そうしたら締まりが良くなったんだよ」


「そうだな、新品からガバガバになるまで使い込んじまったもんな」


「「「はははははは……」」」


「………ぁ…」


「さて、コイツはいつまで持つかな?」


「便所一号はもう死んじまったぞ~」


「責任持って楽しませろよ二号」


「………や…」


ピカッ


「ん?」


「何か光っ…………」


「な………」

望月『状況はどう?ハグロの念写でなんとか近くまでは分かったけど、詳細までは分からなかったからね~』


菊月「……」


曙『何か答えなさいよ!』


望月『まさかさ~全員やっちゃった?』


菊月「下衆共は全員錆にした」


望月『あっちゃ~』


曙『一人くらい生かして情報を聞き出し…!』


菊月「黙れ」


曙『な、何よ……』


菊月「グラーフに準備をさせろ」


望月『…間に合わなかった?』


菊月「いいから早く!」


望月『はいはい…了解』

「…………」


菊月「私が分かるか?」


「…………」


菊月「あと少しで助かるんだ」


「…………」


菊月「おい!!」


「……」ガクッ


菊月「……グラーフ!!」


バシュッ


グラーフ「ひぃ……臭いが…」


菊月「なんとしてでも助けろ」


グラーフ「でも…死体は……」


菊月「いいから助けろぉ!!」


グラーフ「はひぃ!!」


菊月「この……クソぉぉ…!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


リュウジョウ「なんとかあの二人は助かったんやな、良かったわぁ」


菊月「……」


リュウジョウ「折角助かったんやからもっと嬉しそうな顔しいや」


菊月「二人は助からなかった」


リュウジョウ「何を言うてんのよ、重傷には変わりないけど命だけは助かったやん」


菊月「違う。二人とも確かに死んだんだ」


リュウジョウ「何を言うてんの…?」


菊月「私達では……助けられなかったんだ……」


バシュッ


雲林院「私が説明してやる」


リュウジョウ「あ…あんた!よくも鎮守府を爆破しよって!」


雲林院「黙れ出来損ない共」


リュウジョウ「う……?」

雲林院「二人にはお守りを渡しておいた。それには欠片が入っていた」


菊月「その欠片のお陰で……二人の命は繋ぎ止められた」


雲林院「助けると言ってこのザマか」


リュウジョウ「待…待ってや!皆んな必死になって探したんやで!」


雲林院「必死になって二人の命すら救えないのか」


菊月「……すまなかった」


雲林院「お前の謝罪に価値は無い」


菊月「……」


雲林院「この事は一生忘れない」

雲林院「私がバカだった」


雲林院「お前達を信じた私がバカなんだ」


雲林院「お前達も敵だ」


リュウジョウ「待ってぇや!」


雲林院「待てば二人の心の傷は治るのか」


菊月「……」


雲林院「お前達の大切なものも奪ってやる」


リュウジョウ「あかん!そんなことはさせへん!」


雲林院「止められるものなら止めてみろ」


リュウジョウ「う……!」


雲林院「やっと分かった、お祖父様は何も間違って無かったんだ」


雲林院「私のこの力は世界を消す為にある」


雲林院「待っていろ」


雲林院「お前達から殺してやる」


菊月「……」


雲林院「……」バシュッ


リュウジョウ「菊月…」


菊月「…司令官を守れればそれでいい。私はそれでいいんだ……」


ーー

新スレでも宜しくお願いします


コメントなどあればお願いします

ーー足りないもの鎮守府


菊月提督「菊月から聞いての通り、ここに深海棲艦の大群が侵攻してくる」


菊月「来るのが分かっているならその前に止めればいい。全員総出で迎撃に当たる」


多摩「その情報の信憑性はあるのか」


菊月「望月の予知や偵察の結果だ、間違えるはずが無い」


多摩「……」


夕張「総出ってことは私も…?」


菊月提督「いや夕張や非戦闘組は自分の役割を果たしてくれ」


ガングート「私は出るぞ」


多摩「行かせられるはずが無い」


ガングート「そんな事を言ってる場合ではないだろう」


多摩「……」

菊月(深海棲艦を集め、操っているのは雲林院だ)


菊月(あいつは私達を全滅させた後、司令官を殺そうとしている)


菊月(そんなことはさせない。あいつが動き出す前に決着をつけてやる)


菊月(一対一なら雲林院には勝てない。だが多人数なら勝機はある)


菊月(あいつの能力は凄まじいが実戦を経験していない。そこを突く)


菊月(私達に勝てると思うなよ雲林院)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ピピピピピ…


菊月提督「誰だ」ガチャッ


憲兵『俺だ。病院から電話だぞ』


菊月提督「病院から連絡?」


憲兵『例のガキのお供二人が入院してる病院だ』


菊月提督「何の用なんだ、こっちは取り込み中だぞ」


憲兵『二人からメッセージがあるそうだ』


菊月提督「馬鹿を言うな、あの二人は喋るどころか正気を取り戻していないんだろう。あんな目に遭ったんだから当然だ」


憲兵『そうだ喋れる状態じゃない。だがメッセージが書かれたメモがあったそうだ』


菊月提督「メモか…」

憲兵『病室にメモが落ちていたらしい。どうにかして書いたのか、それともああなることが分かっていて事前に用意していたかのどちらかだ』


菊月提督「内容は?」


憲兵『まだ聞いていない。お前に直接知らせてくれとでも書いてあったんじゃないか』


菊月提督「分かった、病院と繋げてくれ」


憲兵『了解っ…と』ガチャッ


菊月提督「あの二人が…俺に伝えたいこと」


菊月提督「恐らく雲林院絡みには違いないだろうが、どんな事が書いてあったんだ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「それでメモには何が書いてあったんだ」


菊月提督「乱れた字で屋敷へ、お嬢様を助けて、と書いてあったそうだ」


菊月「お嬢様と書いてあったということは事前に用意してあったか」


菊月提督「それは確認のしようが無い」


菊月「あいつら……」


菊月提督「雲林院が閉じ込められていた地下のある屋敷に何かがある。それを確認してきてくれるか?」


菊月「あそこなら一度行ったことのある場所だ、神威の能力も使えるから容易いな」


菊月提督「残された時間は少ない頼んだぞ菊月」

ーー雲林院邸、屋敷


バシュッ


菊月「やはり誰も居ないか。雲林院を狙っている連中もここには居ないと分かっているんだな」


菊月「屋敷の中は以前曙と探索したが何も無かった。ということは地下だ」


菊月「地下で雲林院と合流した後はすぐにここから出ていった。だからほとんど探索できていない」


菊月「地下は確かシェルターだと言っていたな。それ相応の食糧もあると」


菊月「それ以外に何かあるとは思えないが…探してみてからだな」


菊月「雲林院を倒す、止める方法のヒントでも見つかればいいが…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「これは絵か。下手な絵と上手な絵が入り混じってる…雲林院とあいつらが描いたものだな」


菊月「どの絵にも共通のモチーフはない。だがあるテーマは共通していそうだ」


菊月「どの絵も全て平和を願っている…皆で手を取り合うようなありきたりの絵もある」


菊月「これを見せたかった……この絵を…」


菊月「……そうか雲林院にこれを思い出せと言いたいのか」


菊月「口で言うより見せた方が早い。この絵は全て持っていくか」ゴソゴソ


菊月「あの二人が見せたかったのはこれだろう。だからもう一つ見つけたコレはあいつらは知らないはず」ゴソッ


菊月「これは雲林院に関する記録か……」

菊月「この記録を見て違和感を覚えた。雲林院の年齢とこの資料の古さが合わない」


菊月「雲林院はずっと前から存在している?だがそんな事は言っていなかったし、言動も歳相応のものだ」


菊月「資料も痛んでいて読むのが難しいか…」


菊月「……これは」


……××の×片より……××の…生×れし××…


菊月「…ダメだ、辛うじて文字が読めるだけか」


菊月「とにかくこの絵は回収できた、これ以上得られるものが無いなら長いは無用だ」


菊月「この絵で雲林院を止められれば…一瞬でも隙を作れば勝機はある」


菊月「司令官はやらせはしない…!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ねぇ…


菊月「誰だ!?」


…………


菊月「誰も居ない…気配も感じない。気のせいか…」


ねぇ……


菊月「いや聞こえる。どこから聞こえるんだ?」


ねぇ…………


菊月「上か。もう屋敷内は探したはずだが…行くだけ行ってみるか」

ーー


菊月「声のする部屋に来てみたが、やはりここには何も無い」


……ギッ


菊月「…壁の中からだと?私の能力を使えば壁くらいどうということはないが……」ズズズッ


菊月「……なんだこの箱は」


……


菊月「錆させた壁の破片にはまじないやその類いの言葉が書かれていた。この鉄箱は封印されていたのか?」


菊月「一つ分かるのはこれはまともなモノじゃない。鉄箱にも関わらず錆が一つも無い」


菊月「この鉄箱には長いモノでも入っていそうな形はしているが……」


菊月「リスクはあるが開けるしかないだろう」ズズズッ


菊月「……」

ーー足りないもの鎮守府


リュウジョウ「能力で開けられへんだからって持って帰ってきよって!」


菊月「あそこに置いておく意味がない」


リュウジョウ「せやけど!」


菊月「私の能力で開けられないということは能力絡みだ。持って帰ってくる以外に選択肢は無い」


リュウジョウ「…まあええわ。その絵は役に立ちそうやしな」


菊月「これを雲林院に見せれば動揺するはずだ。それを機に一気にやる」


リュウジョウ「可哀想やけどやるしかないもんなぁ…」


菊月「奴の場所が分かり次第作戦開始だ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

同じ内容は再安価


下2 

ーー


(私のミスだ)


(二人に力がないと分かっていたのに、結果的に二人だけにしてしまった)


(でも私ならそのミスを無かったことにできた。いくらでもリカバリーできたんだ)


(だが菊月がそれをさせなかったんだ)


(自分達がやるから私は身を隠せと。出しゃばるから二人は傷付いた)


(菊月も、その周りの奴らも許せない)

(本当は一刻も早く二人を治してやりたい。だが菊月達を放置すればまた同じことを繰り返す)


(お祖父様の言っていた通りだ。弱者は邪魔者だ、圧倒的な力でねじ伏せる必要がある)


(全員、皆殺しだ)


(提督も同じだ奴も敵なんだ)


(弱者は大人しくしていろ)


(わらわらと群れるだけ邪魔なんだ)


(…菊月達は私が動く前に行動を起こすのか)


(菊月は私がそれを知らないと思っている。愚かな奴だ)


(さぁ、終わらせよう)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

情けないわね


(…今のは幻聴だ)


(私の声に似ていたがそんな筈は無い)


(深海棲艦達は囮で私はもう行動を起こしている)


(菊月達をここから離すのが目的だ)


(奴らが瞬間移動で戻ってきても対処できる。束になった所で無駄だ)


(出来損ない共が……)

ーー


望月「菊月が持って帰ってきた箱だけど、どうやらそれが鍵を握ってるみたい」


菊月「この箱がか」


望月「その箱を雲林院が開けたらいいらしいっていうか、多分開けられるのはあの子だけみたい」


菊月「開けるとどうなる?」


望月「何かを思い出すみたい」


リュウジョウ「えらい抽象的やなぁ」


曙「内容は分からないの?」


望月「そこまでは予知で分かんなかったんだよね~」

曙「しかしあんたの予知でそこまで細かい共が分かるだなんて珍しいわね」


リュウジョウ「いつもやったら箱を開けな死ぬとか、断片的やもんな」


望月「うーんそれくらいヤバいってことかな?でも死ぬなら予知が見えなくなるから違うんだよね」


リュウジョウ「ここに来て力が強くなったとか違うか?いずれにせよ詳細が分かるのはええことや」


望月「ま、そういうことにしとこっか」


曙「雲林院かいそうな場所が分かったんでしょ。その箱も持っていくわよ」


菊月「…よし、奇襲して奴を叩くぞ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー海上


曙「目的地まであとどのくらい?」


菊月「まだもう少しかかる」


望月「秘書艦達には深海棲艦の方を頑張ってもらってるんだし、パパっと決めちゃいたいね」


リュウジョウ「いざとなったらこっちには切り札もおるんやし大丈夫やで」


荒潮「できれば私の力は使いたくないわね~」


菊月「相手は子どもだが油断するとこちらがやられる。出せる戦力は全て出す」


荒潮「分かってるわよ~」


望月「とっておきの策が時間を止めてフルボッコはちょっと大人気ないけどね」

バシュッ


雲林院「遅かったな」


曙「う!?」


菊月「…こちらの動きに気付いていたか」


雲林院「命乞いは聞かない、ここで全員…」


菊月「これごと私達をやるつもりか?」バサッ


雲林院「……」


菊月「あの屋敷の地下シェルターで見つけた絵だ。あの二人と共に描いた絵だろう」


菊月「お前はあの地下で平和を願っていた。それは何よりの事実だ」

菊月「お前はのやろうとしていることはあの二人とその夢も否定することになる」


雲林院「……」


菊月「…あの二人を助けられなかったのは私達に力が足りなかったからだ。それを言い訳するつもりは無い」


雲林院「…」


菊月「だが、力に溺れ堕ちたお前をあの二人が見たいと思うのか?」


雲林院「…嘘は言っていないようだな」


菊月「あの二人を救えるのはお前だけだ。こんな所で油を売ってる暇があるならさっさと病院に行け」


雲林院「…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

雲林院「お前は何故そんなにも私を気にかける。私にはよく解らない」


菊月「お前は…私の知ってるお前は私の友人だったんだ」


雲林院「友人…」


望月「菊月に友達なんかほとんど居ないし、そりゃあ大切だったんだよ」


菊月「うるさい」


望月「友達が少ないのは事実じゃんか」


菊月「……」


雲林院「あの時の言葉は、私の為でもあった…」

菊月「お前は離れた所からでも心が読めるだろう。あの二人がどんな気持ちか…」


曙(ちょっと、意識は戻ってないんじゃないの?)


菊月(二人はあのメモを書いている。意識はある……はずだ)


曙(そんな賭けみたいなこと…!)


菊月(確認する時間が無かったんだ、仕方ない)


雲林院「二人の……心…」


雲林院「……」



下2 コンマ判定

奇数   ○
偶数   ×
ゾロ目 ×××××

雲林院「…お前らの言いたいことはよく分かった」


菊月「……」


雲林院「全員くたばれ」バシュッ


曙「ちょ、ちょっと……失敗したじゃないの!!」


菊月「……神威、急いで私達を…」


望月「あ…!あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


リュウジョウ「どないしたんよ!?」


望月「やられた…!あたしが見てた予知は雲林院が見せてたヤツだ!」


曙「どういう意味よ!?」


望月「あたしが見た予知は、雲林院が作った映像で上書きされたモノ!」


菊月「なん…だと……」


望月「早く戻らないと司令官が!司令官がぁ!!」

ーー足りないもの鎮守府


菊月提督「ぐ……ぅぅぅ…!」


雲林院「人とは脆いものだ。こんなちっぽけな刃物で生命活動を終える」ドロッ


菊月提督「やめ……」


雲林院「命乞いをしても無駄だ。艦娘は出払っていて菊月達も居ない」


菊月提督「ちが……」


雲林院「二人が受けた苦痛はこんなものじゃない。お前は苦しんで死んでいけ」


菊月提督「ぐ……」


雲林院「人を殺す…こんな簡単だと思わなかったな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

雲林院「……この虚無感はなんだ。やるべきことをやったはずなのに…」


雲林院「どうして……体が…………」ガタガタ


(お嬢様!)
(雲林院様~)


雲林院「なんで二人の声が……どうして…」


雲林院「う…ううぅ……?」


菊月提督「……ぅ…」


雲林院「あ…傷……治さ…ないと……」


雲林院「あれ……どうして…そんな……殺す…はず……」


菊月提督「俺なら……分かる…ぞ……その…感情が…」


雲林院「提督……?」

菊月提督「俺も……罪を犯した……数多くの…命を奪った……」


雲林院「私は……」


菊月提督「深海海月姫もそうだ……罪を……因果を…背負った……」


雲林院「あ、あぁ……」


菊月提督「それに捕らわれる……何も助けられなく…なる……誰も…何も………」


雲林院「あぁぁぁぁぁ……」ガタガタ


菊月提督「お前は予知……未来を見ることも…できるんだろう…」


雲林院「ひ…………!」


菊月提督「もう遅い……お前は因果に……捕われた…」


シュルシュルシュルシュルッ


雲林院「ぎゃあ……っ!!」

バリーンッ


菊月提督「う……」


深海海月姫「あなた!!」


菊月提督「大丈夫……だ…」


深海海月姫「早く手当てをしないと!」


菊月提督「それより……」


深海海月姫「あなたより大切なものなんて無い!」


菊月提督「富士……は…」


深海海月姫「…………」


菊月提督「そう……か」


深海海月姫「ごめんなさい……私では止められなかったの…」


菊月提督「分かっている……トドメをささなければ…因果は……巡らない…」

富士(よくも……)


富士(よくもお父さんをーーーー!!)


雲林院「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ベキベキ


富士(うわぁぁーーーー!)ギチギチ


雲林院「げぼ……っ」ベチャッ


雲林院(そうか……私の力は…汚れなき魂にのみ……宿る…)


雲林院(殺意を持って……他人を…何の落ち度もない人間を…殺そうとした……)


雲林院(それは……立派な罪……)


ベキベキベキベキ


雲林院(因果は…巡る……)


雲林院(私の死を持って……この因果は…)


グチャッ


雲林院(終わる………………)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー病院


雲林院「……」


雲林院「……病院…」


菊月「隣を見てみろ」


雲林院「あ……」


「……」
「……」


菊月「二人と同じ病院にしてやった、有り難く思え」


雲林院「……」


菊月「今のお前に力はないが、二人にはお前が必要だろう」


雲林院「……」

菊月「提督は生きている。だが因果ごときで諦めるな」


雲林院「…無理だ」


菊月「そんなものくらい断ち切れ。あと…この箱はお前のものだから渡しておく」ゴトッ


雲林院「……」


菊月「お前はこの中身を知ってるな?」


雲林院「…そうだ」


菊月「中身については触れないでおいてやる。後はお前次第だ」


雲林院「……ありがとう、菊月」


菊月「ふん…」

ーー


龍驤「そっか、怪我させちゃったんだね」


富士「ぐす…」


龍驤「お父さんがやられそうになったんだから止めるのは間違ってない。けど乱暴のし過ぎはいけないね」


富士「ごめんなさい…」


龍驤「私に謝るよりその子に謝ろ?」


富士「うん…」


龍驤「よしよし、これからも気を付けるんだよ」


ーー

ーー


八島「さて、たまには解説でもしとこうかな」


朝潮「八島さん…」


八島「あ、ダメダメ。ここに来るならちゃんと名前を変えて。因果に潰されちゃうよ」


朝潮「……」


敷島「はい、分かりました」


八島「よしよし。じゃ、やっていこうか」


敷島「八島さん解説って何を?」


八島「雲林院についてに決まってるじゃん」


敷島「人物について…?」


八島「それを決めるのはあたしじゃないよね、下2さん?何が知りたい?」

八島「アレね。薄々分かってると思うけどポーラとかに配ってた欠片は槍の鏃の部分ね」


敷島「槍が力を持っていたんですか?」


八島「槍が持ってたというより持たせたんだよ」


敷島「力を持たせた?」


八島「雲林院は槍とセットみたいなもの。生まれる前からその役割が決まっていた」


敷島「だから彼女が生まれる前の古い資料や記録があったんですね」


八島「ある意味実験みたいなことをしたんだよ。普通なら成功しないんだけど結果は大成功。どうしてだと思う?」


敷島「……因果」


八島「その通り。雲林院は扉の影響、帳尻合わせで生まれた存在。だからその力を宿すことに成功した」

敷島「彼女が扉を開いたんじゃなかったんですね」


八島「雲林院も巻き込まれた側だし」


敷島「でも彼女は力を失ってしまった…」


八島「そういう制約というか槍がそうだったからね。でも完全に消えてはないと思うよ」


敷島「菊月提督さんは死にませんでしたからね」


八島「ま、幼女が全身の骨を砕かれちゃったんだしトントンってことにしてあげようよ」


敷島「八島さんがそう言うなら…」


八島「じゃあもう遅いし今日はここまで。以上八島でした」


敷島「同じく敷島でした」


八島「ち、な、み、に。いつでもあたしが来るとは思わないでね。今日来たのは偶々」


八島「だってさ、虫干しでもしておかないとダメになっちゃうかもしれないじゃん?」


八島「あっれ~~何がだろうね~気になるね~~~~」


八島「じゃ、またね」

good
bad
death



コメントなどあればお願いします

ーー


提督「そんなことがあったのか…」


菊月提督「刺された傷はグラーフに治してもらって被害は軽く済んだがな」


提督「幹部さんは何と言っていた?」


菊月提督「本来なら処分があってもおかしくないが、奴は雲林院の事情を知っている。厳重注意やその辺りの処分になりそうだ」


提督「そうか…しかしまさか彼女が……」


菊月提督「色々と巡り合わせが悪かった結果だ、雲林院一人を責めるべきではないだろう」


提督「そうだな…」


菊月提督「力の使い方を間違えれば誰だって悪になれるんだ」

菊月提督「今日お前を呼んだのは世間話をするためじゃない。知らせがあるんだ」


提督「俺にか?」


菊月提督「傷は治ったとはいえ一応怪我人だ。幹部が言うには数日でもいいから休めと」


提督「そうか……」


菊月提督「普通なら秘書艦が代理になるが、丁度目の前に謹慎明けの横須賀の提督がいる」


提督「……」


菊月提督「何が言いたいか分かるな?」


提督「…幹部さんに話が通っているなら断る必要は無い」


菊月提督「俺に代わって数日間、この足りないもの鎮守府の提督を任せるぞ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー足りないもの鎮守府


提督「…この景色も久しぶりだな」


北上「おいっす提督~」ガチャッ


提督「北上…」


北上「いやぁ~提督をそこに座ってるの見るのは久しぶりだねぇ」


提督「そうだな……抱いているのはきたかみか?」


北上「そだよ~あたしの可愛い可愛い子どもだよ~」


きたかみ「んぁーーー」


提督「…北上に似て可愛いな」


北上「もうちょっと~あたしには旦那がいるんだから口説くとかやめてよ~」


提督「……そんなつもりじゃなかったんだが」

多摩「おみゃーは自分の持ち場に戻れにゃ」ガチャッ


北上「そうは言うけどさ、せっかく提督がここに居るんだよ?」


多摩「そんなの関係ないにゃ」


北上「はいはい…っと。じゃあまた後でね~」ガチャッ


提督「多摩が秘書艦…だったな」


多摩「多摩くらいしかまともなのがいないからにゃ」


提督「……」


多摩「復帰したてだからって仕事は待ってくれないにゃ。雲林院が集めた深海棲艦を殲滅するために、ほぼ全員出撃した件の後始末もたっぷり残ってるにゃよ」


提督「それは大変そうだ…頑張るしかないな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


曙「あたし達に話ってなによ」


提督「改めて挨拶をと思ったんだが…」


望月「そういうのはいいよ~こっちは好き勝手にやってるし」


提督「そうは言ってもな…」


リュウジョウ「他人の心配より自分の心配しいや。あんたは臨時やけどここの提督に戻ったんやで」


千代田「言っとくけど提督は私にとって一人だけ。あんたなんか提督とは思わないからね!」


グラーフ「顔…人相悪い……怖い…」


提督「……」


望月「ね?相手にするだけ時間の無駄だと思うよ」


提督「…菊月提督はこんなことを毎日……」


望月「いやいや、司令官の言うことはちゃんと聞くよー」

多摩「菊月提督は仕事はできるにゃ。提督と同じかそれ以上の実力はあるにゃ」


曙「当たり前でしょ!あたし達の提督なのよ!」


多摩「…ずっとこんな調子にゃ。コイツらは無視していいと思うにゃよ」


千代田「なによその言い方!」


提督「……」


グラーフ「ひぃぃ…睨まれてるぅ…!」


提督「…菊月提督ができる奴なのは間違いないようだな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣『あ~そっちの話はさっき幹部さんから聞きましたよー』


提督「そうだったか、連絡が遅れてすまない」


漣『菊月提督が負傷とは中々大変みたいですな』


提督「かなり大変だったらしい」


漣『ま、無事ならそれでオッケーってやつですよ。あとこっちのことは心配しないで大丈夫です』


提督「本当か?」


漣『そうですねぇ強いて言うならあの人の様子はどうですか?』


提督「龍驤……か」

漣『あの人は相変わらずですか?ちゃんと主婦の仕事をしてんでしょうねぇ』


提督「……」


漣『ご主人様ぁ?』


提督「…ちゃんとしていたんだ。まるで別人かと思うくらい……」


漣『演技じゃないとしたらそれが素なのかもしれませんね』


提督「……」


漣『あの女は調子に乗らせないで下さいよ。ちゃんとご主人様が調教するんです』


提督「調教…」


漣『言い方に拘ってるんじゃねぇですよ!要はあの女をコントロールしろって言いたいんです!』


漣『それくらい分かるでしょうがよぉ!!ええ!?ボケてんじゃねぇですよ!!』


提督「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

「ーーーー!!」


S朝潮「漣さんヒートアップしてますね…」


八島「そりゃあ大好きな提督が帰ってこないんだもん、イライラもしちゃうよね」


S朝潮「漣さんは口調荒いですけど優しい人なんです」


八島「漣もある意味提督と同じだよね。潜水新棲姫がいないとダメなんだよ」


S朝潮「…さっきから何を作ってるんですか?や 」


八島「ん~人形。本体はできたんだけどあとは衣装なんだよね」


S朝潮「着物ベースでいくんじゃなかったんですか?」


八島「それも良かったんだけど、あたしの趣味を入れて和メイドもいいかなって思ってるんだよね~」

八島「朝ちゃんはどう思う?」


S朝潮「八島さんの好きなのがいいと思います」


八島「そうだよね~朝ちゃんに聞くとそう答えるもんね~」


S朝潮「……嫌なんですか?」


八島「ちょ…こんなので怒るとか無しだって」


S朝潮「……」


八島「え、え?あたし何かした!?」


S「……」


八島「だぁーーー!もう敷島はいいから!あたしが呼ぶ時以外はやめてって!」


S朝潮「……」


八島「なに…?何でそんなに怒ってるの?あたし何もしてないよ!」


S朝潮「安価」


下2 台詞やその他行動など

S朝潮「……」ダキッ


八島「ぬふぅん……」


S朝潮「……」


八島「えっと…朝ちゃん…?」


S朝潮「……」グリグリ


八島「えっと…頭をお腹に擦り付けて…楽しい…の?」


S朝潮「……」


八島「……あ…」


八島「……」


八島(分かった…朝ちゃんが怒ってる理由が分かった……あたしが何もしなかったからだ…)

八島(いや、あのさ……朝ちゃんが大切なのは本当なんだよ?でもさ…手の出し方とか……分かんないって…)


八島(あ……そうだ…結婚するとまで言っちゃったんだ…いくら安価だからって…もう少し表現を考えるべきだったかな……)


八島(どうしよう……朝ちゃんは何をすれば満足してくれるんだろ…)


S朝潮(……)


八島(とりあえずこのまま抱き締めてあげて…後は……流れで…話でも聞いてあげれば……うん…分かってくれるよね…)


S朝潮(……)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

八島「朝ちゃん…!」ダキッ


S朝潮「……」


八島「ん………んぅ…」


S朝潮「……んっ」


八島「……」


S朝潮「……」


八島「…ごめんなさいこの先のやり方がわかりません!」


S朝潮「……」


八島「だって…知識はあるけど……やり方なんて…」


S朝潮「ふふふ…できる限りのことはしてくれました。その気持ちは伝わりましたよ」


八島「朝ちゃん……」

S朝潮「でも八島さん初心過ぎますよ。たかがキスであんなに…」


八島「だってさ!」


S朝潮「いいですよ、一緒に少しずつ進んでいきましょうね」


八島「…うん」


S朝潮「……あともう少し注意した方がいいですよ」


八島「えぇ?」


S朝潮「私はY子さんの体、力をもらって新しい力を得ました」


八島「うん…」


S朝潮「ということは…貴女と繋がろうと思えば繋がれるんですよ」


八島「…?」


S朝潮「あ……そうだ…結婚するとまで言っちゃったんだ…」


八島「は!?」


S朝潮「とりあえずこのまま抱き締めてあげて…後は……流れで…話でも聞いてあげれば…」


八島「な、なんで朝ちゃんが!?」


S朝潮「気付いてましたか?私も途中から八島さんの心の中に居たんですよ」


八島「朝ちゃん……!」


S朝潮(ふふふふふ…絶対幸せにして下さいね……)


八島「朝ちゃんに力を宿したのは失敗だったのかなぁ……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮「ところでその人形なんですが…」


八島「話戻るんだ……」


S朝潮「それって××さんの為の依り代ですよね」


八島「あーうん…まあそうだよね」


S朝潮「名前が呼べないのがこんなに不便だとは思いませんでした」


八島「因果のある名前を背負ってしまったからね。あたしの忌み名と逆みたいな」


S朝潮「漣さんとかはどういう認識になってるんですか?」


八島「何か居たっていう程度の認識かな。それが誰なのか分かってないし、何をしたのかすら覚えてない」


S朝潮「そうなんですね…」

S朝潮「人形が完成すればまたお話できるんでしょうか。ご挨拶もしたいですし」


八島「どうかな…それはあたしには分かんないよ」


S朝潮「…分かりました」


漣「ーーーー!」


八島「お…話に出したから現れたね」


S朝潮「かなり怒ってる感じですね…」


八島「電話してもイライラは収まるどころか増してしまったと」


S朝潮「大丈夫でしょうか漣さん…」


八島「ま、なんとかなるって。漣は心配しなくていいやつだからさ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮「八島さん、漣さんは覚えてないって言ってましたけど…」


八島「一部覚えてるのも居るみたいだね。でもあいつらは例外中の例外」


八島「扉で世界が改変されても記憶を保ってるあいつらがおかしいんだよ」


S朝潮「どうして記憶が…」


八島「扉関係はあたしにも分かんないよ。でもさぞかし気持ち悪い思いをしてると思うよ」


八島「もう名前が出てこない奴に嵌められたとか、誰を憎んでいいか分かんないだろうし」


八島「ま…騙された方が悪いってことにするしかないんじゃないかな?」


S朝潮「……」


八島「とりあえずこれくらいにしといてさ、後は見守っておこうよ」


S朝潮「…はい」

ーー食堂


漣「……」


潜水新棲姫「そんな顔をしてどうしたんだ」


漣「イライラするんでやけ食いってやつですよ」


潜水新棲姫「体に悪いぞ」


漣「ちょっと書庫に帰ってくれません?こんな時は顔を合わせない方がお互いいいでしょう」


潜水新棲姫「いやそういう時だからこそ漣を癒やす」


漣「やめて下さいよ」


潜水新棲姫「やめない。ワタシは漣の嫁なんだ」


漣「嫁なら旦那の言うことを聞くもんです」


潜水新棲姫「亭主関白には反対だ」

神通「見て下さい…」


黒潮「なんやあの二人、真っ昼間からイチャイチャしよって」


神通「最近の漣さんは心配でしたが…そんなことは無かったみたいですね…」


黒潮「当たり前やあのクソピンクは他人に迷惑かけとるだけや」


神通「それは…言い過ぎですよ…」


黒潮「それより心配なんは霞や。今が司令はんが一番側におったらなあかん時期や」


神通「妊娠が分かってすぐ…提督が意識不明にもなりましたからね…」


黒潮「やっと会えると思ったらまた数日帰ってくるのが延びる。よぉ見といたらなあかんな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー霞の部屋


霞「……」


榛名「霞ちゃん!また新しいマタニティ用品を用意しましたよ!」


霞「……」


榛名「それだけじゃありません!お腹周りのケアの仕方も覚えてきました、早速試してみましょう!」


霞「…それはまだいいわ」


榛名「なら早く体を休めて下さい!薬の調合なん絶対にしちゃいけません!」


霞「分かってるから…」


榛名「霞ちゃんにはそう言って守らなかった前科があります!油断できません!」


霞「……」

榛名「そうです他にも妊娠中の方にいいものがあると聞いたんです!まだまだ探してきますね!」


霞「張り切りすぎよお姉さま…」


榛名「だって霞ちゃんが妊娠!子どもを産むんですよ!」


霞「そうだけど…」


榛名「きっと霞ちゃんに似た可愛い子どもが産まれてくるんです!」


霞「榛名お姉さまったら…私が落ち込む暇なんか与えてくれないわね」


霞「本音を言えば司令官にはずっと隣に居て欲しい。夜中に突然不安になってしまうことがあるの」


霞「でもお姉さまが騒がし過ぎて…それどころじゃないのよね」


榛名「次はあれで……その次は…」


霞「でも…嬉しいからいいわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー工廠


明石「秋津洲ちゃん、次はこっち…」


秋津洲「その後はこれを……」


黒潮「うちの改二用艤装の改装は難儀してるみたいやなぁ」


明石「はっきり言ってかなり苦戦してます」


秋津洲「このクセが独特過ぎるかも…」


黒潮「体に負担が大きい割に劇的に強くなるわけやない。無理して改二にする必要は無いかもしれんけど、それでもやりたいんや」


明石「黒潮さんの気持ち、分かります。だかは私達もお手伝いしてるんですけど…」


秋津洲「これは苦労するかも」


黒潮「うちにも手伝えることがあったら言うてな、何でもやるで」

明石「あの…じゃあ一ついいですか?」


黒潮「何や?」


明石「夕張さんの様子はどうなんでしょうか?」


秋津洲「確かに気になるかも。夕張は足りないもの鎮守府に残ったから様子がよく分からないかも」


黒潮「あかんって聞けへんから悪くは無いと思うで」


明石「悪くないことを知りたいです。確認してもらえませんか?」


黒潮「うちが~?」


秋津洲「直接言ってきてとは言ってないかも。電話とか色々手段はあるかも!」


黒潮「…ま、何でもするって言うたしええよ。夕張の様子、確認するわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー食堂


黒潮「おい」


漣「あーん…」


潜水新棲姫「ん…美味しい」


漣「次は漣の番ですよ、早く早く」


潜水新棲姫「待ってくれ、はいあーん」


漣「あーーーん…」


黒潮「聞いとんかこのクソピンク」


漣「何すか邪魔しないでもらえません?」


黒潮「こっちもお前と話したくなんか無いんや。用事があるから仕方なしや」


漣「ならその用事を諦めろってんですよ」


黒潮「ふざけとん違うぞ」

黒潮「外出許可証や。これから司令はんの所に行ってくる」


漣「なぜそれを漣に?」


黒潮「今から出るからや!執務室に行って提督代理、秘書艦代理に判子もらう時間が勿体ないやろが」


漣「ほーん」


黒潮「面倒臭いことはお前がやっとけ、暇なんやろ」


漣「暇じゃないっすねぇ、嫁とラブラブタイム中なんすよ」


黒潮「ええからやっとけよ。書類は渡したからな」


漣「全く…自由人はいいですな」


潜水新棲姫「漣、あーん…」


漣「すいませんね、急な仕事が入ったんで続きは夜っすね」


潜水新棲姫「…ん」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「…さて、執務室に……」


潜水新棲姫「漣……」ダキッ


漣「お…?」


潜水新棲姫「埋め合わせはたっぷりしてくれないと…嫌だからな」


漣「……んとにもぉーー!上目遣いであざといんですよぉーー!」ギュッ


潜水新棲姫「んふ……」


漣「あーやばい…うちの嫁は世界一だわ……」


潜水新棲姫「そんな…褒め過ぎだ……」


漣「いーやそんなこと無いっすよ、本当に可愛いわぁ…」


神通(漣さん…早く執務室に行った方がいいですよ……)

ーー足りないもの鎮守府


北上「久しぶり~ってどうしたのさその荷物」


黒潮「来る途中で買い食いしまくったらこうなったんよ」


北上「流石は大食いだねぇ~」


黒潮「お土産は皆んなで分けてな。それで夕張はどこにおる?」


北上「いつも通り工廠~」


黒潮「ありがとうな、ほな行ってくるわ」


北上「この量を持ち運ぶか……流石は黒潮だねぇー」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー工廠


黒潮「よ…よお、元気しとる?」


夕張「黒潮さん!わざわざ横須賀からどうしたんですか?」


黒潮「ちょっとした用事でな…」


夕張「そうでしたか、せっかくここに来たんですしゆっくりしていって下さいね!」


黒潮「そうさせてもらうわ…」


夕張「じゃあ私は作業に戻りますね!」


黒潮「……夕張は普通に見えるな」


黒潮「それはええことなんやけど、違和感は感じるわな…」

黒潮「夕張はかなり危険な状態までいったはずやのに、いつの間にか復帰しとる」


黒潮「普通やったら無理や、普通に生活するだけでも大変やのに…」


黒潮「……何かがあったんや。それしかない」


黒潮「考えられるのは……」


ヒュンッ


黒潮「う!?」


カラーン……


夕張「いけないいけない!手が滑っちゃいました!」


黒潮「き…気を付けてな。こっちの方まで工具が飛んできたで」


夕張「勿論です!」


黒潮「……気のせいやんな、うん。うちを狙ったんじゃない…」


夕張「~~~~」


黒潮「夕張は…何も無い。それを確認できて良かったんや……」


ーー

今日はここまでです


コメントなどあればお願いします

ーー足りないもの鎮守府


黒潮「謹慎明けの提督はちゃんと仕事してるみたいで良かったわぁ」


提督「あぁ、もちろんやってるぞ」


黒潮「直接ここに来る必要は無かったかもしれんけど、来てよかったわぁ」


提督「ここの景色か?」


黒潮「それは司令はんこみやで。司令はんとここの景色が合ってるんよ」


提督「…そう言ってくれて嬉しい」


黒潮「横須賀なんかよりもこっちの方が司令はんらしいわ」


提督「そうかもしれないが立場上甘えてはいられない。俺に与えられたのは横須賀鎮守府の提督という仕事なんだ」


黒潮「それが分かってるんやったらええんやで」

提督「ところで黒潮はここに何をしに来たんだ?」


黒潮「それは…まぁ」


提督「…?」


黒潮「うちも用事が済んだら帰るよ。それより司令はんはいつ帰ってくんの?」


提督「菊月提督の状況次第だ。長くても一、二週間といった所だろう」


黒潮「そうか、漣らも限界が近いから早く帰ってきてな」


提督「もちろんだ。菊月提督が帰ってくればすぐにでも横須賀に帰る」


黒潮「それやったらええけど…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


黒潮「しかし幹部はんも厄介なことしてくれたなぁ。二つの鎮守府で一人の提督の取り合いや」


黒潮「そうなるって解っとってやったんやろ、幹部はんはちょっと恨むな」


駆逐棲姫「幹部がすまない」


黒潮「う…ぉ!?」


駆逐棲姫「どうした?」


黒潮「なんでクキがここにおるんよ?」


駆逐棲姫「揉めた。夫婦喧嘩というヤツだ」


黒潮「またかいな。ちょっと前もやって仲直りした所と違うかったか?」


駆逐棲姫「前のは幹部が悪い。今度のは私が悪いんだ」


黒潮「ほぉん…せやから逃げてきたって?」


駆逐棲姫「ここに提督が居ると聞いた。知らない場所に逃げるよりはいい」


黒潮「そうかもしれんけどレ級が幹部はんをシめる前に仲直りしときや」


駆逐棲姫「分かってる」

駆逐棲姫「ここに来たのはそれだけが理由じゃないぞ」


黒潮「他に何があるんよ?」


駆逐棲姫「何かイヤなものを感じたんだ」


黒潮「えらい抽象的やなぁ」


駆逐棲姫「第六感と言えばいいのか。とにかく言葉で表せない何か変なものを感じとった」


黒潮「菊月らと違ってクキには何も無いんやろ?単なる気のせいと違うか」


駆逐棲姫「その可能性もある」


黒潮「ま、ほとぼりが冷めたら一緒に帰ろか。一人で帰るよりええやろ?」


駆逐棲姫「そうだな…頼む」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー食堂


黒潮「……夕張や」


黒潮「あいつはいつ元気になったんや。再起不能とまで言われとったのに、いつの間にか退院しとる」


黒潮「そもそもうちは途中経過を知らん。迎えには行ったけど退院する直前やからもう元気やった」


黒潮「…入院中に何かがあった」


黒潮「それしか考えられへん。他に方法も無い」


黒潮「本人に聞くのが一番やろうけど……」


夕張(あ、ごめんなさい!工具がそっちに…)


黒潮「…違う。あれは偶然やない。うちを狙ってたんや」

黒潮「司令はんは詳しい事情は知らんはずや。もう横須賀に行っとったからな」


黒潮「……横須賀には司令はんだけが行ったんやったか?」


黒潮「夕張を迎えに行った?うちが?」


黒潮「あれ…その時うちは横須賀におったはず……」


黒潮「あ、あぁ……?」


黒潮「何や……頭痛い…何かが……」


黒潮「こんな時に…改二の……頭痛…」


黒潮「い…痛い……わけが…分かれへん…」


黒潮「うちは……何を……何を…?」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

駆逐棲姫「ん、あれは…」


黒潮「うう、うぅぅ……」


駆逐棲姫「どうしたんだ黒潮、なにを苦しんでいる?」


黒潮「頭が……」


駆逐棲姫「具合が悪いのか?なら誰かを…」


夕張「私に任せて下さい!」


駆逐棲姫「夕張か丁度良かった、黒潮の体調が悪そうなんだ」


夕張「はい!工廠に連れて行きますね!」


駆逐棲姫「頼んだぞ」


……


駆逐棲姫「さっきは普通だったが急に具合が悪くなったのか。私は感覚が鈍いからそういう経験は無い」


駆逐棲姫「少し心配だったが夕張に任せれば問題無いだろう。あいつも医療班だったはずだ」


駆逐棲姫「…ん?工廠に連れて行くと行ってたか?いや、聞き間違いだろう」

ーー


黒潮「……待て…」


夕張「あ、起きてましたか。おぶって移動してるんで暴れないで下さいね~」


黒潮「うちを…どこに……」


夕張「大丈夫ですよ」


黒潮「お前……質問に…答えろ……」


夕張「機嫌が悪いみたいですね、でもすぐに良くなりますから大丈夫ですよ!」


黒潮「おい……」


夕張「もう少し待ってて下さいね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー工廠


夕張「……」


北上「待った」


夕張「北上さん」


北上「黒潮、体調悪いんだよね?だったら連れて行くのは医務室でしょ」


夕張「そんなことよりお子さんは放っておいて大丈夫なんですか?」


北上「あの子なら憲兵が見てるから平気」


夕張「そうでしたか。なら…」


北上「話を戻そうよ。黒潮は…」


夕張「どうして北上さんが黒潮さんの体調が悪いのを知ってるんですか?知ってたなら北上さんが介抱してあげないといけないですよ」


駆逐棲姫「私が教えたんだ」


夕張「……クキさん」

駆逐棲姫「私はずっと違和感や嫌な感じがしてたんだ」


夕張「それが?」


北上「まずこっちの質問に答えて」


夕張「なんなんですか二人とも、私が何かしましたか?」


駆逐棲姫「まだ質問に答えないか」


夕張「だから…」


北上「だから?」


夕張「…そもそも二人で一人を責めるなんて不公平ですよ。私達はそんなことしちゃいけません」


駆逐棲姫「どうする?」


北上「どうするもこうするも無いよねぇー」


夕張「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「夕張、お前を責めたりはしない」


夕張「……」


菊月「今ここで、黒潮になにをしようとしたのか私達に見せろ」


夕張「…………」


北上「産後だからって甘く見てる?一応これでも強い方だからね」


駆逐棲姫「私も籠手を装備しておこう」


菊月「何かあればお前の命は無い。この状況が分かるな?」


夕張「……!!」ブンッ


黒潮「ぁ……」


提督「黒潮!」


夕張「……!」ダダダッ


駆逐棲姫「逃げた…か」

ーー


夕張「はぁ…はぁ…!」


望月「鎮守府の中であたし達と追いかけっこはどうかな?」バシュッ


夕張「…!」


曙「どうあがいても負けるのが分かってないのね」バシュッ


夕張「……」


リュウジョウ「大人しくしぃや~」バシュッ


夕張「……」


菊月「無駄な抵抗は止めろ。大人しく捕まってもらうぞ」


夕張「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

夕張「……!」


曙「コイツ、力づくで!?」


望月「おーおー、確かにここじゃ曙の火は使えないもんねぇ」


リュウジョウ「呑気に言うてる場合か!」


望月「言ってていいんだよ~あたしの能力忘れた?」


リュウジョウ「…なるほどな」


菊月「やれ、千代田」


千代田「言われなくても!」ガシッ


夕張「ぐ……!?」


菊月「千代田の怪力から逃げられるはずが無い。抵抗するだけ無駄だからな」


夕張「……」


菊月「…揃ったな。工廠に戻るぞ」

ーー工廠


提督「夕張」


夕張「……」


提督「ここには夕張の敵は居ない」


夕張「……」


提督「夕張の頭の中で何かが暴れても俺達は味方だ」


夕張「……」


提督「…きっかけは龍驤だった。あいつは病院からの診断書を誤魔化して俺に見せていた」


提督「気付かない俺もどうかしていたが、冷静になってその診断書をよく見て思った。これは素人にしてはでき過ぎている」


提督「龍驤はそういうことは得意だとは聞いたことがない。だが龍驤はあの診断書を作った」


提督「……夕張が手伝っていたんだな?」


夕張「……」


提督「そう考えれば全て辻褄が合うんだ」

提督「龍驤の性格から言って一方的に得をする取り引きはやらない。夕張と龍驤の間で何かしらの約束事があった」


提督「その内容までは分からないが、推測はできる」


提督「夕張、自分の病気を分かっていたな?」


夕張「……」


提督「龍驤とお互いに黙っておくことで保険をかけた。余程のことがない限りこの秘密は守られる」


提督「それで良かったのかもしれない。事実かなりの間騙し通せたからな」


提督「だが…余程のことが起きた。龍驤の診断書改竄が俺に知れた」


提督「結果的に龍驤は夕張のことを喋らなかったが、夕張は気が気じゃなかったはずだ」


提督「その事を確かめる為に黒潮を捕まえて工廠で…」


夕張「……龍驤さん本人から聞けばいいじゃないですか」


提督「できなかったから黒潮を尋問しようとしたんだろう」

北上「工廠裏で冷蔵庫見つけた。尋問したあとやっぱ殺すつもりだったみたい」


夕張「違う!!」


北上「はぁ~…あんたさ、自分がおかしいこと…」


夕張「うるさい!」


北上「あたしじゃダメだ。提督、お願いね~」


提督「……夕張」


夕張「近付くな!触るな!」


提督「なあなあにしておくのはもう止めよう。ちゃんとした治療を受けるんだ」


夕張「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

夕張「この……!!」ガシッ


千代田「工具を持った!?これだけ囲まれてるのに往生際の悪い…!」


菊月「待て」


夕張「提督のためなんですよ!」ブンッ


千代田「このまま止めないと危ないわよ!」


菊月「いいから見てろ」


夕張「何でわかってくれないんですか!」ブンッ


提督「……」


夕張「私みたいな頭のおかしい艦娘は!解体されるべきなんです!」ブンッ


提督「……」


夕張「く……!!」

提督「……」ギュッ


夕張「やめ……離せ!」


提督「……」


夕張「やめろ!やめろぉーー!」ブンブンッ


提督「……」


夕張「貴方みたいな変人、最初から気に入らなかったんですよ!」


提督「……」


夕張「うっ…訴えてやる!このセクハラ提督!」


提督「……」


夕張「さっさと…離せぇ……!」


提督「……」


夕張「この…この……!」ブンッ


提督「……もういいんだ夕張」


夕張「……」


夕張「…………」カランッ

提督「薬では誤魔化せない。ならばトリガーを使っていたんだな」


夕張「……はい」


提督「あれは身体能力を上げる際には大きな負荷がかかる。だがそうでない場合副作用はほとんどない」


夕張「……はい」


提督「トリガー無しだとどうなる?」


夕張「病院で無差別殺人を行った熊野より状態は悪いです」


提督「……」


夕張「周りの人達は全員敵。皆んな階段から私を落とそうとしてくるように見える」


夕張「普通に歩いていても階段を歩いているような感覚になって…」


提督「自分を客観的に見れているのもそれのお陰か」


夕張「トリガーがあってもこれなんです。本当、笑えますよね」


提督「…夕張」


夕張「分かりましたよ、トリガーは解除します」


提督「あぁ、いくら副作用が無いとは言ってもトリガーは良いものじゃない」

夕張「提督」


提督「どうした?」


夕張「私、信じてますから」


夕張「普通なら解体するしかない私を提督なら助けてくれる」


提督「当たり前だ」


夕張「…その言葉を聞いて安心しました」


菊月「お前を捕まえるのに多少手荒になる可能性はあるぞ」


夕張「分かってます、もしもの時はお願いしますね」


提督「……夕張」


夕張「今、解除します……トリガーを…」ガチッ


夕張「提督……」


提督「夕張」


夕張「絶対に……助けて下さいね…」


提督「…あぁ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「トリガーとかいうデバイスを停止させた夕張は暴れるどころか魂が抜けたようにその場に崩れ落ちた」


龍驤「暴れなくて良かった」


菊月「お前はどこまで知っていた?」


龍驤「菊月は何て言って欲しい?」


菊月「ふざけているのか」


龍驤「あはは、そうかもしれない」


菊月「笑い事じゃないのは分かっているだろう!」


龍驤「うるさいなぁもう」


菊月「……自分は絶対に殺されないとでも思ってるんじゃないだろうな?」


龍驤「思ってるよ。菊月が殺せても周りが止めるから」


菊月「……」ギリッ

龍驤「全部知ってたって言っても何も変わらない。夕張のはそれくらい深刻」


龍驤「私のお陰で今までのらりくらりとやってこれたんじゃないかな」


菊月「…クズが」


龍驤「クズなのは知ってるくせに。こっちは一億も殺してるんだから今更偽善者ぶるつもりも無いよ」


菊月「……」


龍驤「言っておくけど菊月も同じだから。菊月提督の為に何人も殺したけど自分を正当化してる」


龍驤「私のもそれと同じ。だから菊月は私を責められない」


菊月「私はお前のように開き直ってはいない」


龍驤「同じだよ。同じ罪を背負ってる私だから分かる」


龍驤「…勘違いしてるのはそっちじゃない?どう足掻いても人殺しは幸せになれない。そういう風にできてるから」


龍驤「そっちもせいぜい仮初の幸せを楽しんでなよ」


菊月「安価」


下2 菊月の台詞やその他起こったことなど

菊月「お前は……(誰だ…)」


龍驤「ん?」


菊月「…………」


菊月「とにかく夕張をどうにかする。お前の提督の為でもある」


龍驤「うん、頑張ってね」


菊月「……」


菊月(なぜだ。なぜ私は口を噤んだ。どうして続きを口にしなかった)


龍驤「……」ニコニコ


菊月(……何だこの得体の知れない嫌な感じは)


ーー

続く


コメントなどあればお願いします

ーー病院


提督「冗談ですよね…?」


「この状況で冗談が言えるほど私はまだ人間ができていません」


提督「そんな……夕張が…」


「彼女の体は限界を超えるという言葉では表せないくらいに疲弊しきっています。どうやっても回復は望めません」


提督「数日前まで普通に生活していたんですよ!?」


「それも彼女が作ったデバイス、『トリガー』のお陰でしょう」


提督「そんな……」


「あそこまで酷い状態は見たことがありません。全ての数値が酷く明日にでも容態が急変しても何も不思議じゃありません」


提督「……」

提督「…まだ可能性はあります。例えば内臓を治療したり…」


「するだけ無駄です。たとえ全ての内臓をまるで新品のようにしたとしても、彼女の体がそれに耐え切れません」


提督「……」


「彼女の体を一から作り替えれば助かる可能性はあります。しかしそんなことは不可能ですし、もしできたとしてそれは彼女そのものと言えるでしょうか?」


提督「……」


「貴方が提督として彼女にしてあげられることは、彼女を解体して楽にしてあげることかもしれません」


提督「医者が…それを言うんですか?」


「普通なら言いません、どんな手を使ってでも彼女を生き存えさせると言います。しかし彼女はそれを言うことすら躊躇うくらいに酷い」


「意識が戻ったとしても激痛と妄想で……」


提督「……」


「貴方が治療を望むならこちらも全力を尽くします。ですが私が言ったことをどうか覚えておいて下さい」


提督「…夕張を宜しく頼みます」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


幹部『私の方にも夕張君のカルテを送ってもらったんだ』


提督「率直に言って…どうですか?」


幹部『私はね、全ての艦娘には幸せになる権利があると思ってるんだ。だからこそ手を伸ばし続けてきた』


幹部『医者が匙を投げようとも私だけは最後まで諦めないと。そう決めていたんだ』


提督「じゃあ夕張も…」


幹部『だが例外はある。助けたとしても残りの命が無ければ意味がないんだ』


提督「……」


幹部『残りの命を伸ばせるならどんな方法でもやる。しかし夕張君はもう…』


提督「そう……ですか」

幹部『夕張君の解体を勧められたのは理解できる。彼はとても良い医者なんだろう』


提督「……」


幹部『君が諦めないというのなら私も協力する。だが限界があるということは知っておいてくれ』


提督「…………分かりました」


幹部『提督君がどんな選択肢を選んでも君は悪くない。誰も君を責めたりしない』


提督「……」


幹部『彼女は仕方ないと、間違っても君を悪者になんかしない』


提督「仕方なくなんてないんです。夕張は私が……自分のせいで…」


幹部『…こういうこともあるんだ、提督君』


提督「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「……」


提督「…………」


ピピピピピ…


提督「……」ガチャッ


潜水新棲姫『相当参ってるらしいな提督』


提督「……あぁ」


潜水新棲姫『ワタシは医者じゃないから夕張を治療することはできない』


提督「…知っている」


潜水新棲姫『だからワタシにできることを提督に教えようと思う』

潜水新棲姫『夕張をワタシ達と同じにする。深海棲艦にするんだ』


潜水新棲姫『艦娘としては生きれなくなるが、夕張が死ぬということも無くなる』


提督「……」



潜水新棲姫『だが上手くいく保証は無い上に夕張の精神状態を考えれば暴走する危険性もある。賭けるには危険過ぎる』


提督「…それでも可能性はあるんだな」


潜水新棲姫『由良が深海棲艦のコアを捕食して生き存えたように、成功する可能性はある』


提督「……そうか」

潜水新棲姫『これが最後の手段だ。整備士に頼れないなら祈るくらいしか方法は無い』


提督「祈る…」


潜水新棲姫『非現実的だがこれくらいしか提督ができることは無い』


提督「……助言、感謝する」


潜水新棲姫『最後の手段だからと言ってそれが最善とは限らない。もし暴走すれば解体どころか夕張をワタシ達が殺すことになるんだぞ』


提督「……」


提督「…………」


潜水新棲姫『よく考えて、結論を出してくれよ』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


夕張(提督……)


夕張(私は…貴方を…信じます……)


提督「……」


提督「夕張は俺を本気で信じてくれたからトリガーを解除してくれた。そんな俺が夕張を信じないでどうする」


提督「可能性がゼロで無いならそれを信じる。夕張はまだ助かるんだ」


提督「…夕張は絶対に助ける」


提督「その為には準備と人が必要だ。大変だろうが全てを揃える」

ーー数日後


提督「皆んな、集まってくれてありがとう」


潜水棲姫「これだけいれば何とかなりそうだけど…」


潜水新棲姫「人が集まった所で成功率は変わらない」


漣「悔しいですけど嫁の言う通りなんすよね」


由良「万が一があれば私がやる」


球磨「クマはほとんど役に立たないクマよ?」


由良「居ないよりはマシ」


タシュケント「ごめんね、整備士は表に出れないから代わりにあたしが来たんだけど…」


漣「コロス」


タシュケント「まぁそうなるよね…」


潜水新棲姫「その話は後にするぞ。今は夕張が優先だ」

提督「何をどうやっても成功率は変わらないんだな」


潜水新棲姫「そうだ」


提督「……」


由良「提督」


由良「夕張とはこれで最後になるかも」


由良「お別れは」


提督「……いい」


由良「どうして」


提督「失敗した時のことは考えたくない」


由良「…」


球磨「しかしよく病院から夕張を持ち出せたクマね」


漣「あ、もちろん無許可ですよ。ですからなにかあれば全てご主人様の責任になります」


球磨「うぉ~それはまたワイルドクマね」

潜水棲姫「うだうだしてる時間は無いよ」


潜水新棲姫「提督、さっさとやるぞ」


由良「用意して」ジャキッ


球磨「クマーー!」ジャキッ


漣「お願いしますよ…!」ジャキッ


タシュケント「……こっちもいいよ」


潜水新棲姫「提督」


提督「…なんだ」


潜水新棲姫「合図は提督が出してくれ」


提督「……」


潜水新棲姫「提督」


提督「…やれ!夕張を助けてくれ!」


下2 コンマ判定


奇数  ○
偶数  ×
ゾロ目 ?

潜水新棲姫(艦娘を深海棲艦にする。これは普通の方法では不可能だ)


潜水新棲姫(深海棲艦との戦闘で艦娘が沈んでも必ず深海棲艦になるとは限らない)


潜水新棲姫(どうやれば深海棲艦になるという規則性は無いが、共通点はある)


潜水新棲姫(それは沈むまで猶予があったということだ。問答無用で沈められた艦娘が深海棲艦になったのは聞いたことがない)


潜水新棲姫(例外はあるかもしれない。だがそんなことを言ってはいられないだろう)


潜水新棲姫(夕張を深海棲艦にするには致命傷を負わせ、そしてその後……トドメをさす)


潜水新棲姫(成功率は低いだろう、だがやると決めたのならやるしかない)

ーー


ズズズ……


球磨「どうクマ!?」


潜水棲姫「かなり手加減はしたから大丈夫なはず…!」


夕張「…」


提督「夕張!!」


夕張「え…ぁ……あぁぁぁぁ……」


由良「…」


漣「とりあえずは成功……」


潜水新棲姫「あとはこのまま暫く待つ」


提督「どれくらい待つんだ!」


潜水棲姫「死ぬ……ギリギリまで…」


提督「ぐ……」


潜水新棲姫「それしかないんだ」

夕張「ぁ……や…」


由良「意識が」


球磨「ショックで戻ったクマか…?」


夕張「い……いや……だ………死…死にたく…な…い……」


提督「夕張…」


夕張「な……なんで…どう……して…」


球磨「クマ…」


夕張「提督………」


提督「……」


夕張「信じて………たのに…」


提督「……」


夕張「提督を……信…じて………」


夕張「……」

八島「成功率が低いって言ってるのにさ、二分の一はフェアじゃないよね」



下2 コンマ判定



八島「悪く思わないでよね、そんな簡単なものだと思われたらこっちも困っちゃうもん」


八島「言っとくけどこれでかなりオマケしてあげてるからね?あたしを恨むのは筋違いってことで」


八島「全てはカミサマが決めることなんだよ」

八島「ごめんごめんコンマが何かどうかを書き忘れたけど、奇数の時点で夕張は救われたよ」


八島「偶数ならもちろん夕張は死ぬ。それどころか何人かやられたかもねぇー」


八島「あ、ちなみに今回ゾロ目だった場合どうなってたかは言わないよ。なんでかなぁ?」


八島「それともう、一つ追加で安価を取っておこうかな。深海棲艦になった夕張の見た目とか何か特徴を教えてよ、下2」


八島「今日はあたしの出番は終わりかな?一応さよならはしておこうかな」


八島「以上八島でした。今日も参加してくれてありがとうね」

夕張「……」


夕張「…………」


夕張「……………ぁ」ビクッ


潜水新棲姫「今だ!!」


潜水棲姫「ごめん夕張…!」バシュッ


ドガーーンッ…


漣「命中……しましたね」


球磨「あとは祈るだけかクマ」


提督「夕張……夕張…!」


由良「…」


潜水新棲姫「どうだ」


潜水棲姫「……手応えはあった。成功したか沈んだかのどっちかだと思う」


潜水新棲姫「……そうか」

ズズズズズ……


由良「来た」


潜水新棲姫「この気配……成功したようだな」


深海夕張「……」


提督「夕張……!」


球磨「見た目も変わってるし、深海棲艦にはなったみたいだクマね」


漣「チューブトップにミニスカ。深海棲艦っぽいですな」


潜水棲姫「髪の毛も変わってる。殆ど白髪になって…毛先だけ緑かな?」


潜水新棲姫「髪の長さも伸びた。間違いなく成功したようだな」


深海夕張「……」


提督「夕張…すまないこれしか方法が無かったとはいえ……夕張を傷付けた……本当にすまない…」


深海夕張「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

深海夕張「いいえ……皆さんや……提督の想いが……伝わりました……」


提督「夕張…!」


深海夕張「どんな形であれ……助けてくれて…ありがとう……ございます……やっぱり…提督を信じて……良かった……」


潜水棲姫「ねぇ…」


潜水新棲姫「そうだ、まだ安心はできない」


由良「…」


深海夕張「私……気付いたんです………」

深海夕張「死にたくない…… その一心が……私を……」


深海夕張「 あれだけ…自分が嫌になって……自暴自棄になっていも………やっぱり私は…生きたかったんです……」


深海夕張「提督……」


深海夕張「助けてくれて……ありがとう………」ポロポロ


提督「夕張…夕張…!」ダキッ


漣「やれやれ、どうやら大丈夫そうですな」


球磨「助かったのは嬉しいクマ。でもこんなあっさりいくものかクマ?」


潜水新棲姫「夕張の精神状態が大きかったんだろう。自分は生きていても良い、生きたいと願っていた」


潜水棲姫「良かったね夕張…」


漣「さぁ皆さん、撤収がてら始末書を書く準備でもしておきましょう。普通に考えれば犯罪ですからね~」


由良「…」シュバッ


球磨「由良が逃げたクマ!」


漣「由良さんは仕方ありませんけど、そこでコッソリ帰ろうとしてるお前は許しませんよ~」


タシュケント「……」


提督「……!」


漣「…良かったですねご主人様」


下2 この後の展開やその他起こったことなど


ーー足りないもの鎮守府


北上「おー随分とイメチェンしたじゃ~ん」


深海夕張「…はい」


北上「ん~まぁでも夕張には変わんないわけだし。これまで通りよろしく~」


深海夕張「…はい!」


北上「あたしはこれくらいにして…はい皆んな~お待ちかねの深海夕張だよ~」スッ


「「「夕張さん!!」」」


深海夕張「み、皆さん……」


北上「皆んないっぺんに声出し過ぎだって~あたしのタブレットのスピーカー壊れたらどうするのさ~」


明石『夕張さん大丈夫ですか!?』


深海夕張「えっと…この通り元気です」


明石『良かった……!』

「「……」」


北上「さて、夕張と横須賀組は暫く話してるだろうし放っておいていいと」


漣「……」ギリギリ


タシュケント「……」


北上「問題はこっちだよねぇ」


潜水新棲姫「提督達は始末書や説明や何やらで忙しい。漣だって本当はそうなんだが無理矢理帰ってきた」


北上「どっからどう見ても漣ヤバくない?ブチ切れてるでしょ」


潜水新棲姫「ワタシでも止められないかもしれない。そうなったらいきなり深海夕張の出番だ」


北上「あのタシュケントは強いんじゃないの?」


潜水新棲姫「そうだとしてもここは工廠だ。暴れてしまうのはまずいだろう」


北上「確かに…穏便に済ましてくんないかなぁ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「何かね、物音がしたんですよ。一応確認しに行くかと思ったら嫁が寝てる部屋から血が流れ出てたんですよ」


漣「その時点で嫌な予感はしてました。でも僅かな希望を抱きながらドアを開けると……嫁が死んでたんですよ」


漣「見た瞬間死んでるなっていうのは分かりましたよ。ご丁寧に眉間に穴が空いて脳みそ漏れてんですもん」


漣「信じられなくて嫁を触ったら……もう心臓は動いてませんでした」


漣「あの感触は一生忘れませんよ。自分の愛した女が目の前で死んでるんですよ」


タシュケント「……」


北上「そんな詳しく言うと自分にもダメージ入るでしょ…」


潜水新棲姫「ほうほう」


北上「なんであんたは頷いてんのさ」


潜水新棲姫「死んだ直後のことは知らないからな。そうかやはりそうなっていたんだな」


北上「……はぁ~…」

タシュケント「…言い訳なんかしない。君の大切な人を殺してしまって本当にごめん」


タシュケント「謝って済む問題じゃない。けどあたしにはこれしかできないんだ」


漣「……それで済むと思ってんじゃねぇーーー!」


北上「…一応用意しとこ」ジャキッ


潜水新棲姫「大丈夫だ」


北上「ブチ切れ一歩手前じゃん。危ないって」


潜水新棲姫「漣はいつまでも昔のままじゃない」

漣「……」


漣「……あぁもう!!」


漣「あんたは何度死んだか分かんないんでしょう!これくらいにしといてやりますよ!!」


タシュケント「…ありがとう」


漣「ただし!整備士のところで真っ当に生きるのが条件だからな!」


タシュケント「勿論さ、もう誰も殺さない」


漣「信用できるはず無いのに……!ここで手を出したら……!」


潜水新棲姫「漣」


漣「……二度は無いと思え!!」


タシュケント「十分、肝に銘じておくよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「はぁ……はぁ……」


漣「うぅぅぅぅぅぅぅ…!!」


潜水新棲姫「…漣」ギュッ


漣「……」


潜水新棲姫「旦那を慰めるのは嫁の役割であり特権だ」


漣「……」ギュッ


潜水新棲姫「ワタシはここに居る。漣の嫁で深海棲艦のワタシは目の前にいる」


漣「……」


潜水新棲姫「ワタシは間違いなくワタシなんだ」


漣「……」


北上「ちょっと、ねぇ」


タシュケント「……」


北上「ここにはもう居なくていいんじゃない?」


タシュケント「そうだね…うん」


北上「夕張はまだ話してるし、あたし達が移動しよっか」

ーー


北上「~~」


タシュケント「あたしのことは憎んでるよね」


北上「そりゃあねぇ。だからと言って別になにもしないけど」


タシュケント「……」


北上「提督を見てたら分かるでしょ?一人の艦娘を助けるために全力であそこまでするんだもん」


タシュケント「あの提督の艦娘だからか…」


北上「あたし達は一筋縄ではいかないからね。ま、潜水新棲姫が生きてるっていうのも大きいかな」


タシュケント「もし死んだままだったら?」


北上「リンチ。提督が止めても死ぬまで殺してた」


タシュケント「それは当然だよ、あたしは許されないことをずっとし続けてきたんだ」


北上「それが今では整備士の助手かぁ。なんというかまぁ、出世したよね」


タシュケント「そんなつもりじゃない。これはあたしがやるべきことなんだと思ってる」

タシュケント「百人殺したのなら百一人助ける。それどころじゃない、二百三百と助けるんだ」


北上「百人ねぇ」


タシュケント「…正直百人よりもっと殺してる。だからあたしは死ぬまで整備士の所で多くの命を助ける」


北上「…百人より多くても四桁はいってないでしょ」


タシュケント「流石にそれは…」


北上「…一億も背負った龍驤さんはどうしろってのさ……」ボソボソ


タシュケント「…?」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


深海夕張「皆さんありがとうございます、その言葉がとっても嬉しいです!」


秋津洲『……夕張~ちょっとカメラを下に向けて欲しいかも』


深海夕張「こうですか……?」


秋津洲『うわ!やっぱりスカートが短いかも!』


明石『本当ですね…』


深海夕張「え、ちょっと…!」


陽炎『歩いただけで下着がチラ見ね。金色より目立つなんて許せないわ』


深海夕張「そんなこと言われても知りませんよ!」


秋津洲『夕張、残念ながら提督はそれじゃ興奮しないかも』


深海夕張「何で提督が出てくるんですか!!」

明石『お臍も丸出しでポイント高いです』


陽炎『ていうか司令のことは皆んな好きなんだから慌てる必要は無いじゃない』


秋津洲『夕張~~?』


深海夕張「もう知りません!通信切りますよ!」プツッ


深海夕張「全くもう…スカートが短いのは私のせいじゃないのに!」


深海夕張「あ、北上さんこのタブレットありがとうございました」クルッ


漣「ん…んん……」


潜水新棲姫「あぁ……」


深海夕張「……」


深海夕張「…とりあえず撮影しておきましょう」スッ


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


タシュケント「やぁお疲れ様」


提督「……」


タシュケント「整備士から横須賀で軟禁されてる伊400と夕雲を引き取ってきて欲しいって言われてるんだけど?」


提督「……」


タシュケント「仮にも一人は仲間だったし、人手はいくらあっても困らないからね。許可をくれるなら帰りに寄って引き取りたいんだけど」


提督「…無理だ」


タシュケント「どうして?夕雲はもうあそこで捕まえておく必要は無いよね?」


提督「……」


タシュケント「厄介払いができると思ってあたし達に任せてくれればいいんだよ」


提督「……」


タシュケント「うーーん…どうしようかな」

タシュケント「あの二人から旧大本営の情報を引き出したらそっちに教えるっていうのはどう?」


提督「あの二人はずっと旧大本営に居たわけじゃない」


タシュケント「何がダメなのさ?」


提督「…あの二人を自由にさせると龍驤が危険な目に遭う」


タシュケント「それは結局関係無かったんでしょ?」


提督「やめてくれ!」


タシュケント「……」


タシュケント(なるほどな、この人は明確な敵が欲しいんだ。自分の大切な人が傷付けられた時に誰かのせいにしたい)


タシュケント(自分のことは棚に上げて、か。ある意味安心したかな、この人も一人の人間なんだ)


タシュケント(さて…整備士にはどう言っておこうかな…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

タシュケント(まあ仕方無いか、下手に誤魔化してもいずれはバレちゃうし提督に拒否されたと伝えておこうかな)


タシュケント「分かった、連れて帰るのはやめておくよ。だけど捕虜の扱いは丁重にね」


提督「……」


タシュケント「丁重にね!」


提督「…………あぁ」


タシュケント「…あたしは先に帰るよ。これでも一応表は堂々と歩けないんだ」


提督「……」


タシュケント「またね提督さん」

ーー


整備士「断られちゃったか…」


タシュケント「彼も人間なんだよ、それが知れただけでも良かったんじゃないかな」


整備士「うーん…」


タシュケント「ダメだった?」


整備士「そうだね。多少強引でも良かったから伊400君は欲しかったなぁ」


タシュケント「……」


整備士「これから接触を続けてもらえるかな?心を開いてくれればきっといい返事をもらえるようになると思うんだ」


タシュケント「同志、伊400に拘るのはどうして?彼女じゃないといけない理由があるのかい?」


整備士「安価」


下2 整備士の台詞やその他起こったことなど

整備士「それは彼女が帰って来てくれたら話すよ」


タシュケント「へぇ、だったら…」


整備士「そこまで急ぎではないから、時間をかけて仲良くするんだよ」


タシュケント「…分かったよ同志」


整備士「提督さんは本当に興味深いなぁ。いつも僕の予想を覆される。まるでアニメのキャラクターみたいだね」


整備士「いやキャラクターなのは僕か。彼から託されたベルトもあるし…」


整備士「うん、やることはまだまだ沢山あるね」


タシュケント(いつもにも増して同志の顔が悪そうだ…)


ーー

八島「16%もあったんだ、多過ぎちゃったみたいだね」


八島「次にやる時はもっと少なくしないとねぇ~」


八島「ま、次があるかどうか知らないけど」


八島「夕張はエピローグに出て無かったんだし死んでてもおかしくなかったよねぇ~」


八島「反省しろとかそんなこと言われたらまたちょっかい出したくなるよね」


八島「……お楽しみに」


八島「以上八島でした。今日も遅くまでわざわざありがとう」


ーー

今日はここまで


コメントなどあればお願いします

ーー足りないもの鎮守府


菊月提督「やれやれ、俺が休んでいた数日の間に随分と面倒なことをしてくれたようだな」


提督「…すまなかった」


菊月提督「緊急事態だったのは理解できるがせめて俺に連絡はいれるべきだったな」


提督「冷静に考えられないくらい焦っていたんだ」


菊月提督「そうだろうな。まぁ丸く収まったのならこれくらいにしといてやる」


提督「……助かる」

菊月提督「深海棲艦化した夕張とはまた話しておく。お前は先に横須賀に帰るんだ」


提督「あぁ…」


菊月提督「借りていた家から荷物はもう引き上げてあるな?」


提督「用意は済ませてある」


菊月提督「龍驤も病院に帰るそうだな」


提督「退院はあくまで一時的なものだからな」


菊月提督「…俺の代わりに提督業をご苦労だった。幹部にも宜しく言っておいてくれ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

あげ忘れ

安価 下2

ーー病院


龍驤「わざわざありがとう」


提督「……」


龍驤「やっぱりキミと居ると楽しかったよ。名残惜しいけどお別れだね」


提督「…また迎えに来るからな」


龍驤「司令官、無理をしてまでここに来ないでね」


提督「俺は龍驤の為なら…」


龍驤「それどころじゃないでしょ。霞のことも考えてあげて」


提督「……」

龍驤「霞だけじゃなくて朝霜も。司令官は私だけに構ってちゃいけない」


龍驤「私のことは忘れてもいいんだよ?」


提督「そんなことはできない!俺にとって龍驤は全てなんだ!」


龍驤「その考えがダメだって言ってるの」


提督「だが……」


龍驤「司令官」


提督「……」


龍驤「私のこと、忘れてくれないの?」


提督「無理だ……」


龍驤「司令官は私と一緒に居ると不幸になるんだよ」

龍驤「私は一人じゃ抱え切れないくらい因果を背負ってる。周りに誰か居ればその人も巻き込む」


龍驤「…霞の子どもにまで影響があるかもしれないんだよ?」


提督「何をどう言われても無理だ。龍驤を忘れることなんてできない」


龍驤「はぁ……本当なら喜ぶとこなんだろうけど、今は逆だよ」


龍驤「指輪…外して」


提督「できない」


龍驤「私のは電車に轢かれた時に粉々になったけど、司令官はずっとはめてた。その指輪がキミを苦しめる」


提督「絶対に外さない」


龍驤「外してくれないと別れる」


提督「……」


龍驤「霞の子どもの扱いがややこしいなら霞と籍を入れてね。私だけに構うのはもう終わりにしないと」


提督「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「こうして髪を下ろしても、話し方が違ってもキミや皆にとって私は『龍驤』なの」


龍驤「司令官、この意味は解る?」


提督「……」


龍驤「私という存在に因果が絡み付いている。姿形が変わっても逃げられない」


龍驤「司令官、霞の子どもに罪は無いんだよ。それなのに悲しい運命を背負わせるの?」


龍驤「お願い、私のことが好きなら早く指輪を外して」


提督「……」


提督「龍驤と……別れることだけは認められない」スッ

龍驤「…指輪を右手の薬指にしたんだ」


提督「左手の薬指に指輪をはめると意味を成す。ならその指を避ければ意味は無くなる」


提督「これは……指輪だ。何の意味も無い…指輪なんだ」


龍驤「……それでもいいよ」


提督「……」


龍驤「言わなくても分かると思うけどキミのことは大好きだから。だからこそ私を忘れて欲しかった」


龍驤「司令官」


龍驤「幸せに…なってね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「あぁ、幸せになるさ」


龍驤「……うん。じゃあ…」


提督「皆んなまとめて幸せになるんだ」


龍驤「……」


提督「龍驤にどれだけの罪や因果があろうと関係ない。俺が幸せにする」


龍驤「…現実はそんなに甘くないよ」


提督「俺はやる前から諦める馬鹿じゃないんだ」


龍驤「……」


提督「龍驤も絶対に幸せにする」

提督「絶対に迎えに来るからな」ギュッ


龍驤「……」


龍驤「……ウチ…」


龍驤「ほんまはこんな事言うたらあかんけど……でも…言いたい…」


龍驤「司令官……ウチの事…忘れやんといて…」


提督「当たり前だ」


龍驤「ずっと好きでおって…」


提督「大好きだ」


龍驤「もっと…抱き締めて……」


提督「龍驤……」ギュゥゥ


龍驤「好き…好きやで司令官……」

龍驤「……キミのこの温もりはずっと忘れれへんよ」


提督「……」ギュッ


龍驤「……ここまでだよ」スッ


龍驤「もう行かないとダメなんでしょ。早く帰らないと」


提督「……」


龍驤「キミの活躍を祈ってるよ。じゃあね……司令官」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「……もしもし」ピッ


深海夕張『提督、今どちらにいらっしゃいますか?』


提督「…龍驤を病院に送り届けた所だ」


深海夕張『良かった、まだ帰ってなかったんですね』


提督「……」


深海夕張『帰る前に会えないですか?』


提督「…すまない、鎮守府に寄る時間は無い」


深海夕張『鎮守府でなくとも構いません。どこかで待ち合わせれば会えますか?』


提督「……あぁ」


深海夕張『良かった!じゃあ待ち合わせ場所ですが…』

ーー駅


深海夕張「こっちです提督!」


提督「……」


深海夕張「こんな端っこですいません、この格好目立っちゃうので…」


提督「…気にしてないさ」


深海夕張「……あ、指輪…」


提督「……龍驤と少し、な」


深海夕張「…分かりました、深くは聞きません」


提督「…それで、用事か何かあったのか?」


深海夕張「安価」


下2 夕張の台詞やその他起こったことなど

深海夕張「龍驤さんのこときちんと謝っていなかったので…」


提督「いや……」


深海夕張「気にしないって言うかもしれませんけど、ケジメの為にも謝らせてください。本当にごめんなさい」


提督「……」


深海夕張「これだけじゃありません。提督に伝えたいこともあるんです」


深海夕張「龍驤さんは自分は許されないって考えてますよね?」


提督「そう言っていたな…」


深海夕張「要因は人によって違いますけど、誰かや何かに許されるだけでは足りないんです。自分が自身を許せること、それが一番大切なんです」


提督「……」

深海夕張「私は身を持って理解したので伝えておきたかったんです。龍驤さんは何か言っていましたか?」


提督「自分は許されない、だから関わると不幸になると」


深海夕張「だから指輪を右手に…」


提督「龍驤は夕張の言うことの真逆だった。自分は決して許されないとまで言っていた」


深海夕張「それは……かなり良くありません」


提督「自分で自分を許す…簡単なことではない」


深海夕張「正当化とは違います。被害者がいるなら謝罪の気持ちを忘れてはいけません」


提督「……龍驤が心配だ…」


深海夕張「お気持ちは分かりますがもう時間が…」


提督「……」


深海夕張「…次に会う時にこの話をしてあげて下さい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「龍驤は一億殺した。全て直接殺したわけではないが間接的に人々が産まれる可能性を潰したんだ」


菊月「その因果は簡単には消えないだろう。そもそも一億を助けることは不可能だ」


菊月「だがそれは直接的な話だ。ならワクチンや治療薬で間接的に救われた人々はどうなる?」


菊月「あのまま全人類が衰退しき、血で血を洗う戦争が起きれば……世界は滅んでいた」


菊月「ワクチンは富士の抗体によるものだが、一番重要なのは富士が人間と深海棲艦の間に生まれ、龍驤が腕と足を捧げたからあの形、富士を保つことができた」


菊月「ならば……龍驤は一億殺してしまったがそれ以上に救っていると考えられる」

八島「きひひひ、随分と自分勝手な言い草だねぇ」


菊月「……」


八島「おっとと、あの笑い方は控えないと」


菊月「何の用だ」


八島「いやぁ~扉の関係者が随分とアホなこと言ってるなぁと思ってね」


菊月「……」


八島「菊月提督と深海海月姫は殺した以上に救ってる。あの『富士』の親だしね」


菊月「龍驤も同じだ」


八島「違うよバーーーカ!」


菊月「……」


八島「腕と脚じゃなくても良かったし、そもそも龍驤である必要は一ミリも無かった。龍驤は何も関係ない」


八島「龍驤の命を貰ったとかなら話は別だよ?でもたかが腕と脚が無くなっただけ。しかも元々無かった所だしね」


菊月「……」


八島「因果をそう簡単に消せると思うな」

八島「因果は魂に纏わり付く。いくら偽善を積んでも消えることはない」


菊月「…どうすれば消える」


八島「そんなこと言ってる間はどうやっても無理だよね」


菊月「……」


八島「龍驤には関わるだけ損するよ。菊月提督が怪我したのも龍驤のせいだし」


菊月「あれは雲林院が狂ったせいだ」


八島「狂わせたのが龍驤なんだよねぇ」


菊月「……」


八島「ハッピーエンドが欲しいならもっと頭を使って考えなよ。油断してると菊月もやられちゃうかもね~」


菊月「…もういい、消えろ」


八島「きひひ、本当のこと言っちゃってごめんね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー横須賀鎮守府


提督「遅くなってしまったか…ここに帰るのも久しぶりだな」


霞「司令官!」


提督「霞…?」


霞「……っ!!」ダキッ


提督「お、おい…ここはまだ部屋じゃ…」


霞「暫くこうさせて…!」


提督「……」


霞「……」ギュッ


提督「……霞」ナデナデ


霞「ん……」

霞「あなたが側に居なくてもお姉さまが居るから寂しくは無かった」


霞「けど……あなたの顔を見た途端…」


提督「……放ったらかしにしてしまったな」


霞「ううん…帰ってきてくれるって…待ってたから……」


提督「…あぁ」


霞「…ありがとう、もう大丈夫だから」スッ


提督「そうか」


霞「あ……指輪」


提督「これは…」


霞「もう…そこまで責任を取らなくていいのに」


提督「ん……?」


霞「龍驤さんに代わって、その…私との指輪を…左の薬指に……しなくても…」


提督「……」


霞「龍驤さんに悪いし……指輪も…必要ないわよ……」


提督「安価」


下2 提督の台詞やその他起こったことなど

提督「……」ダキッ


霞「やぁん……どうしたのよ…」


提督「霞との指輪は買うが、ここは空けておかないといけないんだ」


霞「え…………」


提督「もちろん霞を蔑ろにするわけじゃない。皆んなを幸せにする決意の…証なんだ」


霞(いつもならすまないってまず謝るのに。こんなに真剣に言うってことは本気なのね…)


霞「…分かったわよもう。なら私も側で支えてあげるわ」


提督「…ありがとう」


霞「でも指輪は買ってもらえるのよね。なら給料何ヶ月分かしら?」


提督「…………すまない。ある事情で金は無いんだ」


霞「あ…………コスプレ…グッズ…」


提督「……気持ちは込める」


霞「……このクズぅ!!」


ーー

八島「融合?違う違う、あいつはあたしの中にはいないよ」


八島「この物語の向こう側で名前を失ったあいつはもう何者でも無い。何もすることはできない」


八島「あたしが誰だか忘れたの?」


八島「八島は世界を滅ぼす。世界を破滅へと導く」


八島「まぁあたしってそういう存在だから。困ってる人に手を差し伸べることなんか簡単にはできないって」


八島「あたしの取り扱いには十分に気を付けてね」


八島「じゃ、またね~」


ーー

今日はここまでです


コメントなどなどあればお願いします

ーー横須賀鎮守府


漣「さーて今日も忙しいですよ」


潜水新棲姫「提督は帰ってきたぞ」


漣「ご主人様は霞や朝霜さんのフォローで忙しいですからね」


潜水新棲姫「そういうことか」


漣「お二人とも龍驤さんに比べれば強いですが、放ったらかしにされてましたからね」


潜水新棲姫「連絡はマメにあっただろう」


漣「ご主人様は向こうであの女とイチャイチャ同棲生活を送ってましたから。そりゃあ怒りますよ」


潜水新棲姫「漣も怒っているのか」


漣「当たり前です。漣には貴女という大切な嫁が居ますが、まだご主人様とは関係が切れたとは思ってませんからね」


潜水新棲姫「……それをワタシの前で言うのか」


漣「言える自信があるからですよ。漣の絶対的な一位は貴女なのには変わりありません」

漣「貴女にはコソコソと隠し事をしたくもありません。だからこうやって包み隠さず言うんです」


潜水新棲姫「確かにそうだな。ワタシがコスプレして提督と愉しんでいたのも漣に報告していた」


漣「正直ご主人様と尻で楽しんだ後の貴女とヤるのは気持ち良くて仕方ないんすよ。あれはやめられませんね」


潜水新棲姫「お互いに得をするからWin-Winの関係というやつか」


漣「そうでしょうね」


潜水新棲姫「…そういう話はここまでにしよう。提督の分まで仕事を頑張るんだ」


漣「了解ですぞ~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「他の鎮守符からの支援要請がきましたねぇ」


潜水新棲姫「これも横須賀鎮守府だからなんだろう」


漣「でしょうな。これまではこちらが支援を受ける側でしたが、これからはその逆なんでしょう」


潜水新棲姫「龍驤の映像もあって漣達は強者揃いと思われているのもある」


漣「それは否定しませんよ。皆さんの努力は側で見てきましたからね」


潜水新棲姫「漣、支援の内容によっては瑞鶴達を送ることになる」


漣「……ま、向こうもそれは分かってるはずです」

潜水新棲姫「本来なら支援要請はもっと沢山来ても良かった。横須賀鎮守府はそういう立ち位置だからな」


漣「でも漣達がここに来てからは要請はありませんでした。ということは……」


潜水新棲姫「他の奴らもこの鎮守府の事情を知っていた」


漣「障害のある艦娘に支援なんて、というのもあったんでしょう」


潜水新棲姫「それなのに支援が来たということは漣達は認められたということ。もしくは…」


漣「そうも言ってられないくらい切羽詰まったか」


潜水新棲姫「どっちにしろ支援には応えるしかないな」


漣「当たり前です、バリバリ支援は出しますよ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


青葉「支援要請がきてる鎮守府に知り合いが居ないか、ですか」


名取「そこは知らないかな…」


山城「私は覚えはないわ」


秋雲「秋雲さんも無いよ~」


Y朝潮「私もです」


蒼龍「……」


ポーラ「その鎮守府なら~蒼龍さんが~」


蒼龍「…」ビクッ


漣「蒼龍さん、お知り合いでも居るんですか?」


蒼龍「……一応ね」


漣「なら話が早いですね、そちらの方に向かってくれますか?」


蒼龍「…それは強制?」


漣「強制ではありませんよ。あくまで行ってくれたらいいなという提案です」


蒼龍「……」

ポーラ「じゃあ~支援にはポーラと蒼龍さんが行きます~」


蒼龍「ちょっと…!」


漣「重巡と空母なら支援要請の条件を満たしますね。問題が無いならお二人にお願いしたいのですが」


ポーラ「いいですよぉ~」


蒼龍「……」


漣「蒼龍さん本当にいいんですね?」


蒼龍「…ええ」


漣「分かりました、それでは向こうにはお二人が支援に向かうと伝えておきます」


蒼龍「……」


ポーラ「大丈夫ですよ~ポーラが居ますからね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー蒼鎮守府


「あの話聞いた?」


「聞いた聞いた!」


「横須賀に栄転した蒼龍さんが来てくれるんだって!」


「蒼龍さんが来るなら安心できる」


「なんたってあの蒼龍さんだもんね!」


「これであの海域も支配海域にできそうだね」


「あと一人強力な空母が居れば十分戦える!」


「蒼龍さん以外にも重巡が来るって、これはもう勝ったも当然だよ!」

蒼提督「はいはい無駄話はそこまで!」


「提督!」


蒼提督「蒼龍が来るのは心強いけどそれに甘えてちゃ意味ないよ!」


「確かに…」


「蒼龍さんに情けない所は見せられないや!」


蒼提督「ほらさっさと訓練に戻る!」


「「「はい!」」」ダダダッ


蒼提督「全く…蒼龍が来るってだけで浮かれてちゃどうしようも無いね」


蒼提督「それにしてもあの蒼龍がねぇ…横須賀は知ってて寄越したのかしら?」


蒼提督「ま…戦力になってくれるならこっちは問題ないけど」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー数日後


「「「蒼龍さん!!」」」


蒼龍「…皆んな久しぶりね」


「蒼龍さんこれ好きでしたよね!良かったら食べて下さい!ー


蒼龍「…ええ」


「あの食べてる可愛い姿をまた見たいな…」


蒼龍「……」


「貴女も強いんですか?」


ポーラ「それなりですね~」


「ふーん…」


「やっぱり蒼龍さんが一番だもんね!」


蒼龍「……」

ーー


ポーラ「いやぁ~熱烈な歓迎でしたね~」


蒼龍「……ポーラ」


ポーラ「はい~?」


蒼龍「あの子達は…私を優しくて良いお姉さんだとずっと思ってるのよ…」


ポーラ「そうでしょうね~」


蒼龍「……」


ポーラ「あんな純粋無垢な子達を~上手に騙しましたね~」


蒼龍「…!!」


ポーラ「こう言われた方が~楽ですよね~」


蒼龍「………そうね、そうかもしれないわね」

ポーラ「馬鹿みたいに~全てをさらけ出す必要もありません~支援に来てる間だけでも~良いお姉さんを演じて下さいね~」


蒼龍「…分かったわ」


ポーラ「それじゃあ提督さんに~ご挨拶に行きましょう~」


蒼龍「提督って…」


ポーラ「もちろん蒼提督のままですよ~」


蒼龍「……」


ポーラ「実際にお会いするのが楽しみです~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ポーラ「……これは?」


蒼龍「気にしないで、この鎮守府独特の文化みたいなものだから」


ポーラ「廊下の至る所に下着を干してあるのが?」


蒼龍「ここは憲兵も居ないし提督も女性。男の目が無いのよ」


ポーラ「だからってこれは……」


蒼龍「お風呂あがりに全裸なんかありきたりよ。それどころか部屋では皆んな服なんか着たないんじゃないかしら」


ポーラ「横須賀よりアレな鎮守府があるだなんて…」


蒼龍「昼間から喘ぎ声が聞こえる横須賀も大概よ」

ーー執務室


蒼提督「ようこそ…というべきよりおかえりと言うべきね。元エースさん」


蒼龍「…お久しぶりです」


ポーラ「横須賀鎮守府から支援要請を受けてやってきたポーラと蒼龍です~」


蒼提督「ありがとう。早速で悪いけど貴女は席を外してもらえるかしら?」


ポーラ「その必要はありませんよ~」


蒼提督「どうして?」


ポーラ「ポーラは~全部知ってますから~」


蒼提督「そう、やっぱり確信犯だったのね。横須賀はやっぱりそういう鎮守府なのよ」


ポーラ「違いますぅ~事情を知ってるのはポーラだけなんです~」


蒼提督「信じられるはず無いでしょ。貴女が知ってて横須賀が知らないはず無い」


ポーラ「ポーラの口は~ワインのコルクより硬いんですよ~」


蒼提督「意味が分からないわ」

ポーラ「だって~あんなことを横須賀の人達に言いふらしても~何も得しませんよ~」


蒼提督「…そうね、確かにそうかもしれないわね」


ポーラ「ちらっとは言っちゃいましたけど~何があったのかは推測できないようにしておきました~」


蒼提督「貴女は一体何者?」


ポーラ「えへへへへ~」


蒼提督「…まぁいいわ、事情を知ってるならそこに居てもいい」


ポーラ「はい~」


蒼提督「蒼龍」


蒼龍「…………はい」


蒼提督「安価」


下2 台詞やその他起こったことなど

蒼提督「あの一目惚れして追いかけていった監査官とはその後どうなったのよ」


蒼龍「あの…浮気男の事ですか……」


蒼提督「はぁ……だからやめとけって言ったのよ」


蒼龍「視察の先々で現地妻作りまくってたんですよあのクズ!」


蒼提督「知らないわよ」


蒼龍「私は…あんな男の為に……!」


蒼提督「この鎮守府を捨てた。書類やら何やら色々と誤魔化した甲斐があったんじゃないの?」


蒼龍「……」ギリッ


蒼提督「私の情けで皆んなは真実は知らないまま。どうせ帰ってくることは無いと思っていたのもあるけど」


蒼龍「…私だって帰ってくるつもりはありませんでした」

ポーラ「嘘が誠になって助かったのは~貴女もですよね~」


蒼提督「何のこと?」


ポーラ「蒼龍さんが出て行った時に~皆んなには栄転だって嘘付きました~」


蒼提督「……どこまで知ってるの?」


ポーラ「全部です~」


蒼提督「どこまでって聞いてるの」


ポーラ「ここを出ていって所属無しになった蒼龍さんが~いつの間にか別の鎮守府に異動になってた所も知ってます~」


蒼龍「え……」


ポーラ「貴女は優しい人なんですね~」


蒼提督「……」


蒼龍「なにそれ……私…知らない……」


ポーラ「そうですよね~帰る所の無くなった蒼龍さんは~幹部さんを頼ろうとしました~けど~君には帰る場所があるって言われたんですよね~」


蒼龍「幹部さんが……所属先を決めてくれたんじゃ…」


ポーラ「違いますぅ~全部蒼提督が裏でやってくれてたんですよ~」


蒼龍「提督が……どうして……?」


蒼提督「安価」


下2 台詞やその他起こったことなど

蒼提督「……あの子達が悲しむじゃない」


ポーラ「そうですかねぇ~」


蒼提督「べ、別に蒼龍のためなんかじゃない……わよ…」


蒼龍「提督……」


ポーラ「えへへ~やっぱりポーラは席を外しますね~」


蒼龍「あ……」


ポーラ「積もる話もあると思いますよ~」


蒼龍「……うん」


ポーラ「じゃあごゆっくりと~」ガチャッ

ポーラ「お二人は仲が良さそうでよかったです~」


ポーラ「廊下に下着が干してあるのはどうかと思いますけど………とにかく~これで蒼龍さんも心配ありませんね~」


ポーラ「さて~それじゃあポーラもやりたいことをしましょう~」


ポーラ「この近くにはアレがあって……」


ポーラ「ふん、ふん……」


ポーラ「…よし。ポーラも動きましょう~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー演習場


ポーラ「あの~ポーラはやることが…」


蒼龍「まずは私達がどれだけやれるかを見たいそうよ」


ポーラ「だからって…」


蒼龍「貴女が何をしようが私は干渉しない。でも私達の本来の仕事を忘れないで」


ポーラ「……分かりました」


蒼龍「今日は珍しく素面なんでしょ、頼りにしてるわよ」


ポーラ「はい~」


ポーラ(本当はワイン飲みましたけど、気付いてないなら言う必要はありませんね)

蒼龍「数では負けてるんだから油断しないで!」


ポーラ「二対六のハンデ戦くらい~なんてことありません~」


蒼龍「機動力では負けてることを頭に入れて」


ポーラ「勿論です~」


蒼龍「後は…」


ポーラ「向こうの旗艦から叩く、ですね~」


蒼龍「…そうよね、横須賀に配属されるくらいの実力はあるんだものね」


ポーラ「旗艦の蒼龍さん~お願いします~」


蒼龍「情けない所は見せられないのよ、完全勝利でいくから!」バシュッ


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ポーラ「やっぱり勝ちましたね~」


蒼龍「…皆んな成長してた」


ポーラ「はい~ノーダメージとはいきませんでしたね~」


蒼龍「この私に一撃当てるなんて。私が居た頃に比べたら…」


ポーラ「皆さん頑張ったんですよ~」


蒼龍「……」


ポーラ「そういえば~ポーラの知らない子が居ましたね~」


蒼龍「確かに…見慣れない子が居たわね。私が出て行った後に配属された子かしら?」

「蒼龍さんやっぱり凄いです!」


蒼龍「ありがとう。それより今演習に出てたあの子って…」


「あの子はドロップ艦なんですよ!珍しいですよね?」


蒼龍「ドロップ…それは知らなくて当然だわ」


ポーラ「その話詳しく聞きたいです~」


蒼龍「ポーラ?」


ポーラ「蒼龍さんの歓迎会があるんですよね~私も参加しますから、その時に色々教えて下さい~」


「もちろんですよ!」


蒼龍「貴女、用事がどうとか言ってなかった?」


ポーラ「ポーラは~より実入りのありそうな方を優先するんですよ~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「それれぇ~気付いたらぁ~あの子がドロップしてたんれすぅ~」


ポーラ「なるほど…ありがとうございました」


「んえぇぇ~~」


ポーラ「やっぱりドロップには規則が…でも条件を満たしてもドロップしない時も…」ぶつぶつ


蒼龍「ポーラぁ…」


ポーラ「…蒼龍さ~ん酔ってますね~」


蒼龍「飲まされまくって…もう…」


ポーラ「仕方ありませんね~」


蒼龍「駆逐艦達も…ベロベロよ…」


ポーラ「お疲れ様です~」

蒼龍「貴女は…駆逐艦を酔わせて…何を…」


ポーラ「ちょっとした情報収集ですよ~」


蒼龍「程々に…しなさいよ…」


ポーラ「もちろんです~」


蒼龍「それにしても… 貴女…どれだけ飲んでるのよ…」


ポーラ「お酒はポーラの燃料なんです~」


蒼龍「なによ…それ…」


ポーラ「飲めば飲むほど調子が良くなるんです~!」


蒼龍「信じられないけど…その様子を見たら…嘘じゃ無いんでしょうね…」


ポーラ「あははは~!」

ーー


ポーラ「皆んな酔い潰れて寝ちゃいましたね。あれだけ飲んで騒いだら当然です」


ポーラ「さて~これからはポーラの時間ですね~」


ポーラ「朝までには帰れるように~素早く済ませましょう~」


ポーラ「…とその前に残ってるお酒を~」グイッ


ポーラ「……ぷはぁ~!」


ポーラ「燃料満タン~出発~!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ポーラ「旧大本営派全て滅んだわけじゃありません。あの組織だってそうです」


ポーラ「日本の各地に散らばって力を蓄えようとしている。そんなことは許しません~」


ポーラ「不穏な芽がないか調べましょう~芽は育つ前に摘み取るんです~」


ポーラ「もし変なことを考えてたら~皆んなで美味しいお酒が飲めるように考えを直してもらいましょう~」


ポーラ「こんな都会から離れた場所は~目立ちませんから隠れるには好都合ですらかね~」


ポーラ「……やりましょう」

ポーラ「情報によるとこの地域に怪しい集団がいるそうです」


ポーラ「それが旧大本営や組織に関係するなら対処しないといけません」


ポーラ「またあんなことになったら皆んなでお酒なんか飲めませんからね~」


ポーラ「説得が無理なら仲間に入れてもらって、少しずつ情報を引き出しましょう」


ポーラ「そもそも何も無ければいいんですけど~」


ポーラ「…この辺りですね」


ポーラ「何もないのが一番ですけど、どうでしょうか~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー??


ポーラ「これは…?」


「アッ…!!」


「違ウ!私達ハ怪シイモノジャナイ!」


「バカ!ソレハ逆効果ダ!」


ポーラ「内…職……ですか?」


「ウ……ソウダ…」


ポーラ「どうして…こんなことを……?」


「オ前ハ…私達ノ敵カ…?」


ポーラ「……違いますよ~」


「分カッタ…ナラ全テ話ス」

ーー


ポーラ「それはまた…おかしなことになりましたね~」


「私ガオ金ノ為ニ仕事ヲ始メタノガキッカケダッタ」


ポーラ「そうですねぇ、いくら友好的だと言ってもお金をもらえるわけじゃありませんからね~」


「ソノ噂ガ広マッテ…気付イタラコンナコトニ」


ポーラ「うーん…」


「モシカシテ私達ハ迷惑ダッタカ?」


ポーラ「迷惑なんかじゃありませんよ~」


「ナラ良カッタ」


ポーラ「……あっ!!」


「ドウシタ?」


ポーラ「あの~…皆さんは普段どこに居るんですか?」


「コノ近クノ海域デ、近クニ隠レ家ガ…」


ポーラ「……最近この近くで深海棲艦の動きが活発に…そういうことだったんですね~」

ポーラ「安心して下さい、皆さんのことは何とかできるかもしれません~」


「本当カ?」


ポーラ「確認ですけど~艦娘には危害は加えませんね~?」


「勿論ダ」


ポーラ「分かりました~では鎮守府にご案内します~」


「鎮守府ニ!?」


「大丈夫ナノカ?」


ポーラ「平気ですよ~皆さん酔い潰れてまともに戦える人なんて居ませんから~」


「ソレモソレデ、ドウナンダ」


ポーラ「細かいことはいいんです~では鎮守府に向けて出発ですよ~!」


ーー

遅くまでありがとうございました


コメントなどあればお願いします

ーー横須賀鎮守府


漣「それでは行ってきますねご主人様!」


提督「二人とも頼んだ」


潜水新棲姫「蒼龍達が向かった鎮守府に何人も深海棲艦が押し寄せるとはな」


漣「全員敵意は無いらしいんですけど、人数が多いので通訳的な存在が欲しいって蒼提督が半泣きになりながら連絡してきましたから」


潜水新棲姫「数人なら電話なんかでもいいが結構な人数が居るらしい」


漣「だから直接行くしかないってことですな」


提督「敵意の無い深海棲艦を無理に海に還す必要は無い。陸で生活できるようにしてやりたい」


漣「ご主人様の考えは分かってますよ。場合によっては何人か連れて帰ってくるかもしれませんぜ」


提督「構わない。とにかく彼女達を助けてやってくれ」

春雨「秘書艦は私に任せて下さい」


漣「本当なら任せられませんけど、そうも言ってられないんですよね」


潜水新棲姫「速吸が居るから大丈夫だ」


漣「…とにかく急いで来て欲しいとのことですので早速現地に向かいます」


提督「また何かあれば連絡してくれ」


潜水新棲姫「了解だ」


漣「それではちゃちゃっとすませてきましょうかね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー蒼提督の鎮守府


蒼提督「なんなのよこれは…」


「次ハコレダ」


「コレハマダ洗イ足リナイナ」クンクン


「やめてぇ!!下着の匂いを嗅ぐのだけはやめて!」


「下着は放っておいていいからぁ…!!」


「トンデモナイ!見ラレナイ所コソ綺麗ニスル!」


「あんたなんかスカートすらはいてないくせに!!」


「コレハファッションダ!」

ポーラ「鎮守府がどんどん綺麗になりますね~」


蒼提督「…もうすぐ横須賀から応援が来るのよ。それまで大人しく…」


ポーラ「じゃあ次は~掃除をしましょうね~」


「私モ手伝ウゾ」


蒼提督「ちょっと…」


「ああ~……廊下が…鎮守府が…どんどんキレイになっていく…」


「オイ!艦娘ノ責任者ハオ前カ!」


「ひぃ!?」


「収納ノ使イ方ガナッテナイ!軽イ物ノ上ニ重イ物ヲ乗セルナ!」


「…ひぃぃ~ん!」


蒼提督「…もうどうにでもなればいいわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「あのですね、こっちはそこそこ急いで来たんですよ。それで最初に言われることがそれって…」


潜水新棲姫「喧嘩の仲裁か。しかも理由がしょうもない」


蒼龍「うるさいわね…部屋でくらい好きな格好をさせて」


「そうだそうだー!」


「流石蒼龍さん!」


漣「艦娘側が自由にさせろで、深海棲艦側はちゃんとしろと言ってると」


「部屋デモ服ヲ着ルノハ当タリ前」


漣「まあぶっちゃけ漣もそうだと思いますよ」


「裏切るのかー!」


漣「裏切るも何も…まあ気持ちは分かりますがそれじゃいけませんよ」


「何がだ!」


漣「蒼提督も含め、この鎮守府の艦娘にはあるものが足りません」


蒼提督「……」

潜水新棲姫「これを見ろ」キラッ


「指輪…!しかも左手の薬指!」


漣「漣にもありますよ」キラッ


「貴女は提督と…いや違う、深海棲艦のとデザインが同じ!」


潜水新棲姫「ワタシは漣の嫁だ」


「艦娘と深海棲艦が!?!?」


「しかも同性…」


漣「あ、漣は女で間違い無いですけどアレは生えてますよ」チラッ


蒼提督「ぶふぅ!!」


「な、は…えぇ!?」


漣「まぁ何が言いたいかって言うとですね、皆さんには女の要素がまるで無いんですよ」


漣「今の生活は楽かもしれませんけど……一生独身かもしれませんぜ?」


「「「!!」」」

潜水新棲姫「お前達みたいのを干物女というんだ」


「ひ、干物…!」


蒼龍「そうとは限らないんじゃないの。深海棲艦はただの綺麗好きなだけなんだろうし、部屋でだらし無くても男くらい…」


「ン……」モジモジ


蒼龍「は…?なによその反応」


「実ハ…ソノ……」


「男ナラ……」


蒼龍「……」バターン


「蒼龍さんが倒れたー!」


蒼提督「……」


「蒼提督も倒れてたーー!」


「医務室に運べー!」


漣「…帰っていいですかね」


潜水新棲姫「面白そうだからもう少しいよう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


蒼提督「ここは割と辺境の地で街からも遠い…だから出会いも何も無いのよ」


蒼提督「あの子達がずぼらな性格になったのは私の管理不届なのもある。けどなるべくしてなったのよ!」


漣「で?」


蒼提督「出会いの場を提供してよ!横須賀鎮守府の秘書艦なんだから知り合いも多いでしょ!?」


漣「漣は秘書艦代理です」


蒼提督「なんでもいいからぁ!」


漣「これは面倒臭いことになりましたな…」

潜水新棲姫「あいつらへの聞き取りが終わったぞ」ガチャッ


漣「どうでしたか?」


潜水新棲姫「全員友好的だった理由は男だ。街に潜入中に仲良くなって、そのままいい関係になったらしい」


漣「全員とは驚きましたな」


蒼提督「……ちょっと待ちなさい、全員じゃないはずよ。あの連中は近くに潜んでた奴らよね?一度全員倒そうとして総攻撃を仕掛けた時に、ここには居ない奴が私達を蹴散らしたのよ」


潜水新棲姫「それは駆逐古姫だろう。あいつらが雇ったらしい」


蒼提督「雇ったぁ!?」


潜水新棲姫「艦娘が大勢で攻めてくるのが分かってたから、沈めない程度に追い払って欲しかったそうだ」


漣「深海棲艦が深海棲艦を雇うってあるんですね」


潜水新棲姫「聞いたことは無い。だがその駆逐古姫は金が欲しかったそうだ。なんでも大切な人の為だとか言っていたそうだぞ」


漣「変わった深海棲艦ですねぇ…」

蒼提督「……」


潜水新棲姫「急に大人しくなったぞ」


漣「そりゃそうですよ。ここに来た深海棲艦全員に男が居て、挙げ句の果てに作戦までバレてんですもん」


蒼提督「……どこから情報が漏れたの?」


潜水新棲姫「お前だ。総攻撃の前に珍しく合コンに誘われただろう?その時のメンバーに深海棲艦が…」


蒼提督「あ"ぁぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉ!!」


漣「ちなみに合コンの結果は?」


潜水新棲姫「蒼提督以外お持ち帰りされた」


漣「…ドンマイ」


潜水新棲姫「ちなみにここの鎮守府の皆んなには出張と言って合コンに行ったらしいが、その嘘はバレてたぞ」


蒼提督「…殺せ……もう…」


漣「…漣達の任務はこれで完了ってことにしときますかね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「まあ一応出会いの場はご主人様に連絡して頼んでみますよと」


蒼提督「お願いぃぃ……!」


漣「これでよしと。それよりその駆逐古姫が気になりますね、もう少し詳しく聞かせてください」


潜水新棲姫「気になる?」


漣「一度資料で見たことあるんですよ。顔もハッキリしてて…」


潜水新棲姫「なんだ嫁の前で浮気宣言か」


漣「そんなわけないじゃないですか。気になるっていうのはあくまで…」


潜水新棲姫「冗談だ解ってる。漣はワタシのことを愛しているからな」


漣「当たり前ですって。だから…」


蒼提督「……」


漣「……あ」


蒼提督「消えろ……」


漣「…うぃっす」

ーー


漣「マジ殺されるかと思いましたな」


潜水新棲姫「行き遅れた女ほど怖いものはない」


蒼龍「何言ってるのよ」


漣「これはこれは蒼龍さん、なんとか立ち直ったみたいですな」


蒼龍「…私にも色々事情があるのよ」


漣「触れて欲しくないものは誰にだってあります、深くは聞きませんよ」


蒼龍「…その様子だと本当にポーラは喋ってないのね」


漣「ポーラさん…そういえば彼女はどこに?」


蒼龍「貴女達と入れ替わるように出て行ったわよ。なんでも次がどうとかって」


潜水新棲姫「ポーラも中々曲者だぞ」


漣「漣達に危害を加えないなら放置で大丈夫ですよ。その内横須賀に帰ってくるでしょうからね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営、某施設


ポーラ「皆さん~お嫁さんとか欲しくないですか~?」


「興味無いかな。今はお酒の研究と、空いた時間に兵器の…」


ポーラ「お仕事じゃなくて~家族と一緒にお酒を飲むのもいいと思いますよ~」


「いやでも…」


ポーラ「しかも相手は美人さん揃いですよ~」


「うーん…」


「……」


ポーラ(いいですね~何人か反応してくれてますね~)


ポーラ(結婚して家族が増えればお金が必要になります。その為に少し値上げして、相場を安定させられます~)

ポーラ(この人達は悪い人じゃありません。兵器の事を考えてる暇なんか無いくらい、日常を潤せばいいんです)


ポーラ(旧大本営の大和派の技術者はこれでもう大丈夫ですね)


ポーラ(これで一安心といきたいですけど、まだまだ脅威は残っています。それを全て片付けて、皆んなで美味しいお酒を飲みたいです)


ポーラ(力はどこか一つに集中してはいけません。皆んなでちょっとずつ力を持てば誰も争おうとなんかしませんよ)


ポーラ(組織や旧大本営は世界を征服しようとまでしてました。あんなことはもう起こってはいけません)


ポーラ(力のシーソーは動かないのがベストですからね~)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー蒼提督の鎮守府


蒼提督「これが雇われたとかいう駆逐古姫との戦闘記録と資料よ」スッ


漣「ありがとうございます」


蒼提督「それ以外にも友好的な深海棲艦が居るって報告も大本営に上げないといけないわね」


漣「姫級なら尚更ですな。友好的だというなら有難いです」


蒼提督「駆逐古姫は私達を追い払うだけで沈めようとはしてこなかった。本気を出せばこちらはやられていたわね…」


漣「是非とも彼女は大本営や横須賀に連れて帰りたいですな」


潜水新棲姫「追加の情報だ。それは無理だろう」ガチャッ


漣「どんな情報があるってんですか?」


潜水新棲姫「その駆逐古姫は深海棲艦ですら無い可能性がある」


蒼提督「どういうことなのよ?」

潜水新棲姫「そいつは艦娘を追い払ったあと、突然姿を消したそうだ」


漣「姿を消す…」


潜水新棲姫「別次元が別世界がどうとか言っていたらしい。意味は分からないが菊月達と同じようなものだとしたら納得できる」


漣「なるほど…」


蒼提督「ちょっと待って私は全く分からないんだけど」


漣「この世には言葉じゃ説明できないこともあるってことですよ」


蒼提督「意味が分からないんだけど」


潜水新棲姫「理解しようとするだけ無駄ということだ」

漣「さて…漣達はもう帰っても大丈夫ですかね?」


蒼提督「潜水新棲姫にはまだ居て欲しいわ」


潜水新棲姫「言葉なら心配ない。一人呑み込みの早い奴が居たからそいつに人間の言葉のコツを教えた」


蒼提督「……なら問題無いわね」


漣「蒼龍さん達はどうしますか?支配海域も何も無くなってしまいましたけど」


蒼提督「一応様子を見させて欲しいわ。蒼龍みたいな戦力はあって困らないもの」


漣「では引き続きこちらの鎮守府に支援を継続する形で」


蒼提督「そうしてもらえると助かるわ」


漣「分かりました、ご主人様にはそ伝えておきますね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー後日


ポーラ「さぁ皆さんいきますよ~乾杯~!」


「「「「乾杯…」」」」


ポーラ「……ぷぁ~!ビールもいいですねぇ~!」


「もうジャッキ開けてる…」


ポーラ「今日は合コンなんですから~皆さんいっぱいお喋りして~沢山飲んで下さいね~」


「「「「……」」」」


ポーラ「店員さ~ん、ピッチャーでお酒お願いします~」


「「「「……」」」」


ポーラ(皆さんぎこちないですね~ここはポーラが盛り上げていきましょう~!)


ポーラ「皆さん~まずは……」

ーー


ポーラ(いいですねぇ、皆さん自然と相手を見つけて楽しく飲んでます。こういうお酒は美味しいです~)


「ポーラさん飲みすぎじゃないですか?」


ポーラ「これくらい問題ありません~ポーラはちっとも酔ってませんよ~」


「あれだけ飲んでたのに…凄いや」


ポーラ「貴方はどうですか~楽しく飲んでますか~」


「…こんな場を作ってもらっておいて何ですが、やっぱり自分には合わないみたいです」


ポーラ「あら~……」


「でも他の奴らは仲良くやってるみたいなんで、それで良いですよ」


ポーラ「ダメですよ~」


「いやでも…」


ポーラ「だったら貴方の相手はポーラがします~」


「ポーラさんが…?」


ポーラ「ほらほら~楽しくお酒を飲みしょう~!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ポーラ「貴方は仕事はできるのに、自己評価が低すぎるから周りに呑まれちゃうんですね~」


「周りに呑まれる…」


ポーラ「貴方が旧大本営と関わる前の話です。あそこで自分を強く持てば、きっと今頃は凄い技術者だったと思いますよ」


「…それが今ではこんなですか」


ポーラ「大和に関わったのは良くありませんでしたけど、今はちゃんとしてるじゃないですか~」


「……」


ポーラ「……」チュッ


「え……?」


ポーラ「もっと自分に自信を持ったらいいんですよ~」


「ポーラ…さん……」


ポーラ「えへへへ~」

ーー


ポーラ「今日は美味しいお酒が飲めました~!皆さんもほとんど相手を見つけて…むふふふ~お持ち帰りですね~」


ポーラ「今日は大成功でした~!ポーラも帰って祝杯です~」


「あの…!」


ポーラ「…技術者さん?一人で帰ったんじゃありませんでしたか~?」


「まだもう少し飲みたくて…」


ポーラ「そうですか~なら何人か呼び戻し…」


「いえ、その…ポーラさんと……」


ポーラ「…そういうことですか~もちろんいいですよ~」


「ありがとうございます…!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

蒼提督「あら、貴女もお持ち帰り?」


ポーラ「蒼提督~?確か、お酒は飲んでませんでしたよね~?」


蒼提督「そう…お酒が飲めないせいで今まで失敗続きだったの。でも今日は…」


「実は僕も…」


ポーラ「ええ?貴方はお酒の試飲もしてますよね~?」


「……すいません。本当は苦手だったんです」


ポーラ「そんな……知りませんでした…ごめんなさい……」


「あ、でも作ってるお酒は飲みやすくて苦痛じゃありません。嫌だったら辞めてます」


ポーラ「なら…良かったです」


「僕達はこれからバーに行くんです。ノンアルコールの美味しいカクテルが飲めるそうなんです」


蒼提督「ポーラにそのお店を教えてもらっておいて良かったわ」

「あの…自分はお持ち帰りなんかじゃ……」


蒼提督「あら違ったの?」


ポーラ「お持ち帰らなくていいんですか~?」


「え!?」


蒼提督「あら…」


「提督さん、僕達も行きましょうか」


蒼提督「…そうね、後は任せておきましょうか」


「ポーラさん…」


ポーラ「さぁ~楽しい二次会の始まりですよ~!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ポーラ「お邪魔しま~す」


「こんな部屋ですいません…」


ポーラ「仕方ありませんよ~貴方は研究ばっかりでほとんど帰らないんですから~」


「…すいません」


ポーラ「場所は関係ありません~それじゃあ三次会の開催です~!」


「コンビニに売ってるようなお酒で良かったんですか?」


ポーラ「ポーラはお酒なら全部大好きです~!」


「それなら良かったです」


ポーラ「はいじゃあ~乾杯~!」

ポーラ「でも知りませんでした~」


「何がですか?」


ポーラ「貴方って~お酒強かったんですね~」


「お酒を作るようになったからです。昼間から試飲で…」


ポーラ「それだけでお酒に強くなんかなりません~きっと素質があったんですね~」


「…そんな素質はいりませんでしたよ」


ポーラ「技術者さん~もう過去のことはいいじゃないですか~」


「……」


ポーラ「ポーラと一緒に飲んで~大和と関わったことは忘れましょう~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー翌日


「ん……」


ポーラ「もしかして起こしちゃいましたか~?」


「ポーラさん…」


ポーラ「シャワーお借りしましたよ~」


「すいません…昨日は……」


ポーラ「謝っちゃいけませんよ~」


「はい…」


ポーラ「ポーラもいっぱい楽しみました~技術者さんも楽しかったですか~?」


「……はい」


ポーラ「皆んなで美味しいお酒が飲めて~ポーラも大満足でした~」


ポーラ「こういうのは~またやってもいいかもしれませんね~!」



ーー

ーー


ポーラ「あ、技術者さん…ちょっといいですか?」


「何でしょう…」


ポーラ「今度空いてる時間に~これを作って欲しいんです~」ピラッ


「……これくらいならなんとかできますけど」


ポーラ「良かったです~これを二つお願いしますね~」


「それは大丈夫ですけど、何に使うんですか?」


ポーラ「それは~内緒です~」


「でも…」


ポーラ「また…貴方のお部屋にお邪魔させて下さいね」ボソボソ


「…分かりました。ちゃんと二つ、作っておきます」


ポーラ「えへへへ~お願いしますね~」


ポーラ「……力は均等じゃないといけませんから」


ーー

今日はここまでです


コメントなどあればお願いします

ーー


漣「私が嫁と共に横須賀鎮守府に帰ってきた時、目にしたのは最悪の光景でした」


漣「執務室に血は散乱し、朝霜さんが取り乱し、霞さんは放心状態でした」


漣「提督に何かあった。その事実だけはすぐに理解できました」


漣「情けない話ですが私はその時点で思考が止まってしまったんです。いつもなら怒りが先にくるようなシチュエーションですが、動揺し過ぎると何もできなくなるんですね」


漣「そんな中冷静だったのは嫁です。何があって被害状況はどうなんだと秘書艦の皐月さんに聞いていました」


漣「後で聞いたら嫁も動揺はしたらしいんですが、すぐに切り替えたんですって。ほんと…流石って思いますよね」


漣「私も嫁のおかげでなんとか頭は回るようになったので、自分の仕事をしようと思ったんです」

漣「まず確認しなければいけないのは誰にやられたのか。外部や深海棲艦にしろ、それは真っ先に確認すべき事柄です」


漣「ですが…私は医務室に走りました。提督とこんな形でお別れだなんて嫌だったからです」


漣「嫁の待て!と止める声が聞こえましたが無視しました。聞こえないフリをして走り出したんです」


漣「この私の行動は褒められたものじゃありません。職務放棄もいいところですよ」


漣「秘書艦代理としてやるべきことは何もせずに医務室に走り出す……」


漣「でも私の気持ちも分かってくれませんか?提督のことは嫁に次いで大切な人なんです」


漣「私はそんな大切な人の無事を確認したかった…ただそれだけだったんですよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー医務室


漣「提督!!」


春雨「提督は無事ですから…中にはちょっと…」


漣「そこをどけ!早く提督に会わせろ!」


春雨「て……提督が言ってましたよ。今は会いたくないそう…なんです」


漣「……」


春雨「間違いなく無事ですから……」


漣「…命を賭けられますか」


春雨「はい…絶対に……大丈夫です…」


漣「……分かりました、信じましょう」


春雨「漣さんは…執務室に戻った方が……」


漣「言われなくてもそうしますよ」タタタッ


春雨「……」


春雨「…………」


春雨「逃げるなら今のうち!」ダッシュ

ーー執務室


漣「あのクソアマーーーーー!!」


朝霜「汚れた……パパが汚されちまったよぉ…」グスグス


速吸「申し訳ありません…報告の為に早霜さんを連れて大本営に向かった隙を突かれて…」


早霜「油断……してしまったわね…」


霞「…………」


潜水新棲姫「血は提督や春雨の鼻血だったり、体の何処かから出た血だそうだ。余程激しく襲い掛かったんだな」


漣「ご主人様をぼろぼろにした挙句…逃げるなんて許せねぇ!!」


潜水新棲姫「冷静になれ、漣では春雨に勝てない」


漣「じゃあこのまま泣き寝入りしろってんですかよぉ!」

明石「あの……」ガチャッ


漣「ご主人様はどうなんですか!!」


明石「このままだと…入院になるかも…しれないです…」


漣「絶対に許せない……半殺しにしてやる」


潜水新棲姫「漣、落ち着くんだ」


朝霜「…待てよ漣、あたいもやる」


早霜「ダメよ姉さん」


朝霜「こっちは家族がやられてんだ、無視なんかできねぇ」


漣「漣も重巡棲姫の力を使えばそれなりに戦えます。ご主人様の仇は取りますからね!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

任せるとやり過ぎると察した早霜「速吸、付いてこれるかしら?」
早霜の意図を察した速吸「それが任務ですから」

早霜「やっぱりダメ。朝霜姉さん達には任せられない」


漣「どういう意味なんですか!」


早霜「速吸、私についてこれる?」


速吸「…ええ、それが任務ですから」


朝霜「なに勝手に話進めてんだよ!」


皐月「早霜の言う通りだよ!まずは幹部さんを頼って治療をお願いするのが先!」


漣「何をしゃしゃり出て来てんですか!」


皐月「僕はこの鎮守府の秘書艦なんだよ!大人しく僕の言うことを聞いて!」


漣「クソが……!」

霞「……」ふらっ


皐月「危ない!」ガシッ


霞「……」


皐月「意識が無い……霞は病院に運ぶよ。二人とも手伝って!」


朝霜「……」


皐月「霞のお腹の中には司令官の赤ちゃんが居るんでしょ!何かあったらどうするの!!」


漣「…分かりましたよ、至急手配します」


皐月「……後はお願い」


速吸「はい、特務艦としての仕事は果たします」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

追い忍ならぬ追い変態達も春雨を追いかける

ーー


白露「最近大人しかったから油断してた。本当にごめん」


早霜「謝るのなら姉さん達にして」


村雨「速吸が来て怯えていたのも演技だったかもしれないわね…」


時雨「あの提督に危害を加えたのは許されないことだね」


速吸「春雨さんはどこに逃げたのか…当てはありますか?」


白露「いくつかあるよ。一つ分かってるのは行ったことの無い所には逃げない」


村雨「でもあの子は特務艦時代の時に視察という名の淫行行脚をしていたわよ」


時雨「どの鎮守府にも居る可能性があるんだね」

速吸「私は一人でも春雨さんを捕まえられます。皆さんはどうですか?」


白露「ハッキリ言って一対一じゃ厳しいかな。二人でなら勝てると思うけど」


村雨「速吸と早霜は離れられないのよね?」


早霜「そういう規則だから…」


時雨「効率は悪いけどある程度まとまって行動するしか無いよ。僕達までやられたら元も子もないから」


速吸「…ではそれでいきましょう」


白露「春雨はほとぼりが冷めるまで身を潜めるはず。短期決戦でいくしかないよ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

逃げなきゃ…でもあの子可愛い…いけない我慢我慢…(鼻血ぽたぽた
痕跡をバッチリ残して逃げてく春雨

ーー


春雨(もっと遠くに逃げなきゃ…あぁでもあの子可愛い…)


春雨(う……男の人とあんなに激しくシたの久しぶりで……体が元気になり過ぎて…)ボタボタ


春雨(鼻血が止まらない……なんとかしないとすぐにバレちゃう…)


春雨(仕方ない…ここは奥の手で……)


春雨(奥の……手…奥の方まで……あんなに…)ボタボタ


春雨(あぁダメ…出血多量で死んじゃう……早く…あそこに…)

ーー


白露「これ、どう思う」


村雨「血と混じって粘液も落ちてる」


白露「明らかに春雨が通った後だね」


村雨「男の人を襲って元気になって鼻血を吐き出すなんて、世界であの子だけよ」


白露「これで大体の場所は分かった。速吸達も呼んで合流しよう」


村雨「あの子を放置すればするほど被害者が増える可能性がある。早くしないと…」


白露「捕まえていっちばんキツイお仕置きもしないとね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営


深海綾波「なんだってんだよもう…視察なんて名前だけしか残ってねぇだろぉ…」


(全国やりまくり行脚でしたね)


深海綾波「先っぽが乾く暇なんか無かったって…」


(でも良いこともありましたよ。視察のお陰で累計千人を超えました)


深海綾波「それの何が嬉しいんだよ…」


(レベルアップしたかもしれません。大きさが増してスタミナも無限大に近付きました)


深海綾波「嬉しくねぇ~!速吸にでもバレたら一日中絞られるだけだ!」


(絶倫は大きなアドバンテージです。これでまた生き残る確率が増えましたよ)


深海綾波「そこまでしないといけないのかよぉ…」

「……」


深海綾波「ん…クキが居るな。また幹部とでも喧嘩したのか」


「……」キイッ


深海綾波「いや、車椅子に乗ってるってことは義足の調整中か?」


「……」


深海綾波「ウロチョロされると目障りだな。幹部の所に連れて行くか」


(あ)


深海綾波「おいクキ、幹部なら…」


春雨「……」クルッ


深海綾波「……ぎゃっ!」


春雨「じゅるっ」

ーー


春雨「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ…!」


深海綾波「なんて力だよ…!片腕だけで私を引っ張って空き部屋に叩き込むなんてよぉ!」


(これはマズイですよ)


春雨「私には分かりますよ…!綾波さんのあそこは前とは違う!!」


深海綾波「やべぇ……!この春雨、いつもと違うぞ!」


(絶好調って感じですね。先に謝っておきますけど私の力を使ってもどうしようも無いかもしれません)


深海綾波「なんでだよ!あの技使えよ!」


(性行為中にできるものならして下さいよ)


深海綾波「そんな……オッ!!」


春雨「あは…あはぁ……あはぁぁぁぁ……!!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

押され気味になるけどこんなところで負けねぇ!背負ってるものが違うんだよ!(深海綾波の背中を支えるみんなの想い)と奮い勃つ
綾波は(違うのはぶら下げてるものじゃないですかね)ってツッコミ
真剣勝負()の末ついに春雨を撃破して更に経験値を獲得

ーー


白露「まさか駆逐棲姫に変装するだなんて」


村雨「大本営に居れば情報も入ってくる。遠い鎮守府に逃げるより現実的ね」


時雨「あとは捕まえるだけだと思ってたけど…」


「あぁぁぁ~~!!」


早霜「追われているのに随分と陽気なものね」


速吸「この気配は間違いない…よくも綾波様を…!」ギリッ


白露「綾波が倒れちゃう前に春雨を回収しよっか」


村雨「そこまでよ春雨、いい加減にしなさい」ガチャッ

もわぁ…


早霜「なんて臭い…」


時雨「…見て、春雨が!」


春雨「ご、ごめんな…さ…もう…許して……」


深海綾波「お前から仕掛けてきたんだろうが…よぉ!」


春雨「おごっ!!」


白露「春雨が……!?」


村雨「あの春雨がいいようにされてるっていうの…?」


早霜「……」

春雨「あぁ、ぁ、ぁぁぁ……ダメ…飛ぶ…飛んじゃう…!」


深海綾波「お前は…いい加減に反省しろ!!」


春雨「お"っ!おぉぉぉっ!!」ビクンッ


春雨「…………」


春雨「……」ガクッ


深海綾波「……勝った…」


時雨「ありがとう…そしてお疲れ様って言っておこうかな」


深海綾波「早く…コイツを連れて帰ってくれ…」


白露「…貴女、一体何者?」


深海綾波「ただの…特務艦だよ……」


速吸「綾波様…」


早霜「貴女はいいの?」


速吸「…今は任務中です。私用を優先するわけにはいきませんから」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

春雨は天井を知ったことで自身をセーブできるようになって性欲が溢れださなくなった

遅いだけかもだけど一応

鎮守府に連れて帰られた春雨は>>506でひたすら反省

ーー横須賀鎮守府


春雨「私が気絶させられるなんて思いもしませんでした。世界は広いんだと改めて確認できました」


春雨「私はもっと高みを目指します。性欲の向こう側…それは一種の天国(Heaven)だと思うんです」


春雨「そこに到達できればきっと…私が求めている答えがあるんです」


漣「…遺言はそれでお終いですか?」


春雨「……」


漣「天国だか地獄だか知りませんけど、こっちはあんたのせきでご主人様が大怪我してんすよ!!」


春雨「ごめんなさい…」


漣「絶っっっ対に許しません!!」

漣「骨盤にヒビが入って気管にも異常有り!どうせ声を出させない為に首でも締めてたんでしょうよ!」


春雨「大声を出そうとしてたので…」


漣「骨盤にヒビ!?アホみたいに騎乗位で動き過ぎだ!!」


春雨「だって…提督さんから動いてくれなかったから…」


漣「我慢ならねぇ……お前だけは…」


潜水新棲姫「冷静になるんだ漣。暴力は何も解決しない」


漣「先に暴力を振るったのはアイツでしょうがよ!」


春雨「ごめんなさい……」


漣「どうやっても許さない……あんたはご主人様だけじゃなくその家族も傷付けた!どうやっても責任なんかとれないんですよ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

潜水新棲姫「何度も言うが冷静になれ。ワタシ達にも責任はあるんだ」


漣「何が!?」


潜水新棲姫「春雨の性欲は異常だというのに必要な措置をあまり取っていなかった。霞の薬を与えていたくらいだ」


潜水新棲姫「それに提督を一人だけの監視のままというのは組織としても問題があった」


漣「……」


潜水新棲姫「秘書艦代理が認められるなら執務室には二人以上の艦娘を配備することは可能なんだ。事実何度かそういう状況はあっただろう」


漣「漣達は春雨を管理し切れなかった……」


潜水新棲姫「春雨の監視と提督の護衛がきちんとしていれば今回の悲劇は無かった」


漣「……」


潜水新棲姫「今回はこれで良かったんだ。もし春雨ではなく艦娘による自爆テロなら提督は死んでいた」


漣「死……」

春雨「あ…あのぅ……」


潜水新棲姫「お前も事の重大さが分かってきたようだな」


春雨「私はそんなつもりじゃ……」


潜水新棲姫「殺すつもりは無かった。殺人事件の加害者がよく吐く台詞だ」


潜水新棲姫「春雨、お前は提督を殺せたんだ」


春雨「……」


潜水新棲姫「お前がプライベートで何をしようと構わない。だが他人に迷惑だけはかけるな」


春雨「…気を付けます」


潜水新棲姫「…話はこれくらいにして提督の様子を見に行こう。喋れる状態なのかも確認しておきたい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー医務室


提督「痛みはあるが…死ぬようなごどは…ない…」


漣「声がガラガラじゃないですか…」


提督「少じ…不便だな…」


潜水新棲姫「明石、提督は自力で歩けるのか?」


明石「無理です。車椅子での移動でも提督に負担がかかります」


潜水新棲姫「本来ならば入院して絶対安静といった所か」


漣「菊月さん、流石に治してくれますよね?」


菊月「話を聞いた時は無視をするつもりだった。だが司令官から言うから来るだけきてみれば…」


漣「確かに怪我をした理由に問題はありますけど、この怪我なら納得ですよね?」


菊月「勘違いするな、司令官が頻繁に横須賀の提督がいなくなるのは都合が悪いと言ったからだ」


漣「なんでもいいんで後でグラーフさんをお願いしますよ」

漣「ご主人様が横須賀に来てから災難続きで見てられないです。何も悪いことなんかしてないのに…」


提督「いや…今回のは…少じいいごどは…あっだ…」


提督「当分…抱ぐ事をやめようど…思うように…なっだ…」


漣「プチ絶倫のご主人様が、それくらい空っぽにされたってことですか…」


提督「そう考えれば…良がっだど…」


漣「ご主人様はそうかもしれませんけどね、朝霜さんはどうするんですか」


提督「それは…だな…」


漣「そういうスキンシップを選んだのはご主人様なんですから、きちんと相手をしてあげて下さいね」


提督「そうだった…な…」


菊月(龍驤に関わるからこうなるのだと、いい加減認めるべきだ)


ーー

今日はここまでです


コメントなどあればお願いします

ーー横須賀鎮守府


幹部「あえて詳しいことは聞かないが、随分と大変だったらしいね」


提督「……はい」


幹部「後遺症も無く治ったというのなら、悪いが提督として働いてもらうよ」


提督「もちろんです」


幹部「さて…今日はまずこれを見て欲しい」ピラッ


提督「何かが燃えている写真…」


幹部「これは海の向こう、ロシアのとある廃工場跡だ。この周辺でソビエト派の生き残りが目撃されていてね、この廃工場には何かあると睨んでいたんだ」


提督「その工場を燃やしたということはやはり…」


幹部「それがね、これをやったのは私達では無いんだよ」


提督「じゃあ一体……」


幹部「…焼け跡を調査した結果、この工場には組織が使用していたとされる傀儡の製造機が見つかったんだ」


提督「それが……燃えてしまった」

幹部「老幹部がいなければあの機械は満足に動かすことはできなかったと推測できる。かといって燃やして処分するにはあまりにも惜しい」


提督「仲間割れでしょうか?」


幹部「違う……これは誰かによる破壊工作だよ」


提督「なぜそんなことを…いえ、やる意味が分かりません。破壊するのでは無く奪うというのなら理解できます」


幹部「提督君、私がこれを事故や仲間割れでないと判断したのには理由がある」


幹部「この火災で……誰も死傷者が出なかったんだ。ソビエト派の連中も近くの住民も、誰も怪我一つしていない」


幹部「この火災の凄まじさは写真を見ればわかるだろう?それなのに怪我人すら居ないんだ」


提督「……この施設だけを破壊するという明確な意思があった」


幹部「破壊活動を行なった誰かはここに何があるのを知っていたんだ。そうとしか思えない」


提督「…脅威が減ったと喜ぶべきでしょうか」


幹部「一筋縄ではいかないだろうがね…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ポーラ(兵器として傀儡を大量生産できるのは~影響が大き過ぎますね~)


ポーラ(これであの国の脅威は減りました。あとは旧大本営派にどれだけ力が残っているかですね~)


ポーラ(核が無くなって大和も居なくなった。普通に考えれば脅威でも何でも無いですけど油断はできません)


ポーラ(それとあとやらないといけないのは…)


ポーラ(あ……そうでした、今日はあの人達と会うんです)


ポーラ(遅れないように、早めに行かないといけませんね~)


ポーラ(それでは…失礼しますね~)

ーー??


「オブザーバー、今日は参加されるんですね」


ポーラ「はい~」


「ではどうぞこちらへ…」


ポーラ(組織の会合には参加しないといけません。どこかの国が変なものを開発してたらすぐに分かりますからね~)


ポーラ(艦娘を兵器なんかにさせません。人殺しをするために艦娘は存在してるんじゃないんです)


「……」


ポーラ(始まりましたね~)


ポーラ(戦争で商売ができなくなるような世界に、早くなって欲しいですね~)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「……」


ポーラ(艦娘の話題。他の国にも普及すべき…ですか)


ポーラ(大本営が変わったことで日本が好状況。人権も認められている)


ポーラ(これを利用しない手は無い。艦娘を軍人として扱って……)


ポーラ(うーん…これは私の求めているものじゃありません)


ポーラ(艦娘の技術が世界に広まってしまったら、物量のある国が強大な力を手にしてしまいます)


ポーラ(そんなのはダメです。こうなったらアレを使いましょう)


ポーラ「…すいません、これをあの人達に渡してくれませんか?」スッ


「…分かりました。すぐに手配しますオブザーバー」

「これは?」


「オブザーバーから皆さんへと」


「……兵器の設計図か?」


「ほう……」


「核より高威力で、確実に仕留められる」


「これが量産できれば…」


「艦娘を作って教育するより安いな」


「これを我々に渡すか。オブザーバーも分かっているようだな」


「管理された戦争は平和である」


「それが我々の思想だからな」

ポーラ「よかったです~艦娘から興味を逸らせました~」


ポーラ「あの設計図には~欠点があるので絶対に完成しません~」


ポーラ「荷電粒子砲だなんて~夢のまた夢ですからね~」


ポーラ「艦娘は人殺しの兵器なんかじゃない…」


ポーラ「…さて~ここはもういいですね~」


ポーラ「ポーラはまた~自分のやるべきことをやりましょう~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ポーラ「何者でもないという事は~何者にもなれる~ふふ~ん~」


ポーラ「さて~ここが噂の施設ですね~」


ポーラ「ここでは艦娘に載せる新兵器を作ってるって聞きました~」


ポーラ「メガ…粒子砲?よく分かりませんけど~量産されるとダメなら対処しないといけません~」


ポーラ「横須賀の金剛と榛名さんが使ってる連結砲みたいに~限定的なものなら放置ですね~」


ポーラ「どうなんでしょうかね~~」

ポーラ「……」


ポーラ「来るだけ無駄でしたねぇ~あんなの成功するはずありません~」


ポーラ「仮にできたとしても~量産なんかできませんね~」


ポーラ「……下らない」


ポーラ「そんな時間があればお酒でも作ってればいいんです~」


ポーラ「力を均等にする、それだけなのにこんなに難しいだなんて~」


ポーラ「そんなに殺したいなら、自分でも殺してればいいんですよ~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営、某施設


ポーラ「……」キョロキョロ


「ポーラさん!」


ポーラ「もう~そんな嬉しそうにしないで下さいよ~」


「あ、すいません…」


ポーラ「何かあったって~皆んなに知られちゃうじゃないですか~」


「はい…」


「おい…あいつとポーラさんって…」


「マジか…」


「女になんか興味無かったはずだろ…?」


「この酒蔵もそうだが、人は変わるってことなのかもな」
まさか…!?俺達もいい人を見つけないと…

「あの…今日は何を?」


ポーラ「貴方の顔を見に来ただけですよ~」


「そんな…」


ポーラ「うふふ~美味しいお酒を作って下さいね~」


「ポーラさんの為に頑張ります!」


ポーラ「お願いしますね~」ニコッ


「なんて素敵な…こんな人が僕の…」


ポーラ「えへへへへ~」

ポーラ「あの~ところでアレはできましたか~?」


「はい、頑張ってすぐに完成させました」


ポーラ「ありがとうございます~また持って帰りますね~」


「ポーラさん、あれは一体何に使うんですか?前にも聞いたかもしれませんけど…」


ポーラ「……」チュッ


「えぇっ!?」


ポーラ「うふふ~今夜、お部屋にお邪魔しますね~」


「…はい、お待ちしてます」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ポーラ「彼は本当に役に立ちますね~アレを作ってもらう以外に絶対に完成しない設計図も作ってくれるなんて~」


ポーラ「丁度いい人が見つかって良かったです~彼みたいなのは欲しかったんですよ~」


ポーラ「……あれ~?大本営の訓練施設…誰かが使ってるんですかね~」


ポーラ「少し気になりますね~誰が居るんでしょうか…」チラッ


深海綾波「……」


ポーラ「…少しお話していきましょう~」

ポーラ「綾波さんお疲れ様です~」


深海綾波「…ポーラさん」


ポーラ「近接戦闘の訓練ですか~?」


深海綾波「ええ…」


ポーラ「手首に包帯を~巻いているのはなんですか~?」


深海綾波「まだまだ未熟って事だよ……ですよ…」


ポーラ「あはは~変に気を使わなくていいですよ~」


深海綾波「何が…ですか」


ポーラ「貴女の正体は~知ってますから~」


深海綾波「……」


ポーラ「半端に寄生してしまうと~苦労も多いですよね~」


深海綾波「……」ガチャッ


ポーラ「……あれ~?なんで部屋の鍵をかけたんですか?」


深海綾波「お前に聞きたいことができた」


ポーラ「……」

深海綾波「私は綾波に半端に寄生した深海棲艦だ。それを誰から聞いた?」


ポーラ「それは~秘密で…」


深海綾波「…」バギッ


ポーラ「……」


深海綾波「これは紛れも無く鉄アレイだ。私はそれを握りつぶせるほどの力がある」


ポーラ「……」


深海綾波「誰から聞いた、言え。この事実を知ってる奴は限られた奴で全員何があっても喋るヤツじゃない」


深海綾波「私ほど保身に命を賭けてる奴は居ないんだよ!言えないなら力づくで黙らせるしかねぇ!!」ゴォッ


下2 この後の展開やその他起こったことなど

(ダメです)


深海綾波「な…なんだよ綾波!なんで止めるんだ!」


(止めた方がいいです。彼女は…いえ、わからない…だけど多分彼女は敵じゃありません)


深海綾波「多分なんて言葉信用できるか!」


(そんな気がするんです。そうじゃないと…)


ポーラ「心配しなくても私は誰にも話しませんよ~お墓まで持っていきます~」


深海綾波「…そうじゃねぇんだよ。誰から聞いたのかをこっちは聞いてんだ!」


ポーラ「それですけど~始めから知ってたので~」


深海綾波「はぁ!?」


ポーラ「秘密はちゃんと守ってますよ~」


深海綾波「意味が分からねぇって…」

ポーラ「信用できないなら~代わりにポーラの秘密一つ教えちゃいます~」


深海綾波「…分かった、それで判断してやる」


ポーラ「それは~……」


……


深海綾波「お、お前!!なに考えてんだよ!!」


ポーラ「ポーラは~皆んなで仲良くお酒を飲みたいだけなんです~」


深海綾波「自分が何をやろうとしてるのか分かってんのか!?」


ポーラ「はい~」


深海綾波「……綾波、やっぱりコイツはここで止めるべきだ」


(……)


深海綾波「綾波…?どうしたんだよおい!」


ポーラ「あら~寝ちゃったみたいですね~」


深海綾波「…何をした」


ポーラ「何も、ポーラは何もしてませんよ~」


深海綾波「……」

ポーラ「ポーラの秘密、誰にも話さないで下さいね」


深海綾波「……」


ポーラ「もし喋ったら~永遠に綾波さんは起きないかもしれませんね~」


深海綾波「……お前は何なんだ」


ポーラ「お酒が大好きな艦娘ですよ~」


深海綾波「……やってやれねぇって!武蔵といいなんでこんな奴ばっかりいやがんだよぉーー!」ガチャッ


ポーラ「あちゃ~逃げちゃいましたか~」


ポーラ「足りないものがまた一つ…えへへへへ~」


ポーラ「早く皆んなで美味しいお酒が飲みたいですね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


深海綾波「なぁ、なんで急に寝たっていうんだよ…」


(私だって常に起きてるわけじゃありません)


深海綾波「おい…なんだよそれぇ…」


(もういいじゃないですか、それより早く訓練に戻りましょう)


深海綾波(綾波が言い淀むってなんなんだよ…こんなの絶対に誰にも話せない…)


深海綾波(それにあのポーラって奴…あんな考えまともじゃねぇって…)


深海綾波(喋ったらそれこそ…死……)


深海綾波(やってらんねぇよぉ……!安心して眠れる日はいつになるっていうんだよぉ…)


(……力を平等に。彼女はそう言っていましたが、一言も平和にしたいとは言ってなかったんですよ)


ーー

今日はここまでです


コメントなどあればお願いします


その3ではみんな仲良く平和な世界にって言ってたはずだけど…
キャラ付が固まったせい?

おつおつ
全員核持とうぜ!論者…?
技術者くん頑張れ…頑張れ…

ーー横須賀鎮守府、執務室


Y朝潮「私がやるに決まってるでしょう!」


朝霜「いーや、司令の隣は譲れねぇ」


Y朝潮「貴女は特務艦です!秘書艦代理の仕事なんかをしてる暇があるなら、他のことをして下さい!」


朝霜「なんだと?」


潜水新棲姫「朝から元気だなコイツらは」


漣「元気っていうかバトられるのも困るんですけど」


潜水新棲姫「これが女の戦いというヤツか」


漣「あながち間違ってはいませんねぇ」

漣「春雨さんの一件で秘書艦代理は常に二名置くことに決まりました。一人は漣がやるとして、もう一人の枠を争ってるんですよ」


潜水新棲姫「毎日同じ奴がやるわけじゃないだろう。漣だってそうじゃないか」


漣「あの二人が拘ってるのは記録ですよ。二人目の秘書艦代理として正式に名前を残したいんです」


潜水新棲姫「提督の取り合いか」


漣「これは中々いい勝負になりそうですよ」


潜水新棲姫「…ところで提督はどうした?」


漣「精密検査という名の逃亡です。また一つ賢くなったみたいですね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

潜水新棲姫(そもそも記録上なら三人にすればいいんじゃないのか?交代でやるんだから二人でも三人も変わらないだろう)


漣「……」


潜水新棲姫(漣も同じことを考えていそうだな。収集がつかなくなったらそれを提案するか)


Y朝潮「……私が司令官の隣に相応しいんです!」


朝霜「バーカそれはあたいだ。司令はあたいのパパでもあるんだぜ?」


Y朝潮「そんなの誰でも言えます!本物の親子じゃないのは貴女も理解しているでしょう!」


朝霜「そんなの分かってんだよ。でも司令はあたいを受け入れてくれたんだ。お前と違ってな~」


Y朝潮「ぐっ……!!」

Y朝潮「あのメンヘラ朝潮はどうにかなったと思ったら今度は朝霜が…!」


朝霜「はっ、そんなこと言ってる内はどうやっても無理だ」


Y朝潮「なんですか!?」


朝霜「ほら、諦めて部屋に戻ってろ。あ、た、い、が秘書艦代理だ」


Y朝潮「……納得いきません!!なぜ私は司令官に受け入れてもらえないんですか!」


朝霜「下心しかねぇ奴なんか無理に決まってるだろ」


Y朝潮「メンヘラ朝潮は!!」


朝霜「はぁぁ…よく司令はこれの相手してられたよな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

朝霜「あの朝潮はもう司令だけを見てるわけじゃねぇ、あいつは変わったんだ」


Y朝潮「そんなの…!」


朝霜「……あたいの先に行っちまったんだよ」


Y朝潮「…先?」


朝霜「あたいは司令の優しさにつけ込んで体の関係まで持ち込んだ。口に出せば最低な奴だよ」


朝霜「でも…それでも司令は受け入れてくれた」


Y朝潮「…同情ですか」


朝霜「あたいは司令と出会って無かったら早霜に殺された。あたい一人どころか何人も巻き込んで死んでたかもしれねぇんだ」


朝霜「司令が優しいって意味、分かるだろ」


Y朝潮「……」

朝霜「あたいは司令が居なくなったら死ぬ。口だけじゃなくて本気だ」


朝霜「幻肢痛に死にそうな時、司令が居るから我慢して生きようとするんだよ。司令が居なきゃ死んだ方がマシだ」


Y朝潮「……」


朝霜「…お前はまだスタート地点なんだ。司令に拘る必要なんか無いだろ?」


Y朝潮「……」ガチャッ


朝霜「無言か…ま、別にいいけどな」


潜水新棲姫「終わったか」


朝霜「ま、こんなもんだよ。漣、書類にはちゃんと書いといてくれよ~」


漣「…了解です」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ガチャッって帰ってきてじゃあ席を増やしましょう!このスタート地点からどこへ向かうにしても今の気持ちは嘘じゃないので!
漣「ガッツありますね~」
朝霜「根性だけは見習うとこあるかもな~」

>>578

ガチャッ


潜水新棲姫「ん?」


Y朝潮「じゃあ席を増やしましょう!!」


漣「は…?」


Y朝潮「確かに私はまだ進んでいません。でもこのスタート地点からどこにでも行けるんです!」


朝霜「お前……」


Y朝潮「この気持ちに嘘はありません!!それだけは確かです!」


漣「なんというか…ガッツはありますね~」


朝霜「この根性だけは見習うとこあるかもな…」

ーー医務室


漣「…で、めでたくY朝潮さんも秘書艦代理になりましたとさ」


提督「…そうか」


漣「ご主人様、分かってるとは思いますが簡単に手なんか出さないで下さいよ」


提督「当たり前だ」


漣「漣が居るとはいえ、強引な手を使うかもしれません。S朝潮さんが大人しくなった今、要注意人物のトップですからね」


提督「……大丈夫なはずだ」


漣「春雨の件がありましたから不安しか無いんですよ。力づくでならご主人様を襲えるって分かったんですから」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ふんすと秘書艦の仕事を勉強してるY朝潮
朝霜と皐月も付き合ってる

>>582
やるからには足を引っ張りたくありません!(ふんすふんす

ーー


Y朝潮「……」


漣「様子はどうですかな~っと」


皐月「ちゃんと頑張ってるよ」


朝霜「何回か経験はあるんだろ?そこまで苦労することも無さそうだぜ」


Y朝潮「やるからには司令官の足を引っ張りたくありません!」ふんす


漣「こっちとしてはちゃんと仕事をしてくれるなら問題ありませんよ」


Y朝潮「司令官とお仕事!一緒に、共同作業!」ふんすふんす


皐月「興奮し過ぎないで頑張って~」


漣「……すいませんちょっと」


朝霜「ん……」

漣「Y朝潮さんですけど、正直どう思いますか?」


朝霜「…このままだと司令とヤることはやるだろうな」


漣「ご主人様のことですもんなぁ…」


朝霜「あたいが同情誘ってんのと同じで、あれだけ言い続けてたら流石に無視できないだろ」


漣「Y朝潮さんに好都合といいますか、龍驤さんが帰ってこない今なら…」


朝霜「あり得るな……」


漣「一番最悪なのは避妊せずに一発ツモです。それだけは絶対に避けますよ」


朝霜「そうなったらあたいは首吊って死ぬ」


漣「執務室やY朝潮の部屋に避妊具を常備しておきましょう。大量に購入してますからいくらでも余りはありますぜ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督は霞のとこへ
色々騒がしくしてしまったなと寄り添って霞だけでなくお前もなとお腹なでなで

(艦娘の子は成長早いってどのくらいだっけ?)

>>586
霞ちゃんまだ本調子じゃないので心地よさそうにされるがまま

(半年位だっけ?)

ーー霞の部屋


提督「色々騒がしくしてしまったな」


霞「騒がしいのは慣れてるわよ」


提督「霞だけじゃなく…こっちもな」なでなで


霞「ん……」


提督「また少し大きくなったな」


霞「えぇ……艦娘の子ども…現代艦娘なら半年以内には生まれるもの」


提督「そうか…この中に俺の子どもが……」なでなで


霞「ん…ふふ……」

提督「気持ち悪かったか?」


霞「逆よ。心地良くて…安心してたわ」


提督「……辛い時に何度も心配をかけてしまったな」


霞「そうね。意識不明で倒れたり、怪我をさせられたり…不安でしか無かったもの」


提督「…すまない」


霞「ふふ…その分いっぱい愛してね?」


提督「……あぁ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

榛名「まだ安定期じゃないですよ! 勝手は榛名が許しません!」
二人(そんなつもりないんだけどなぁ)

>>590
お姉さまは気が早すぎよ…
ガラガラと哺乳瓶持ってイメトレしてる榛名

バターン


榛名「話は聞きましたよ!!」


霞「お姉さま…」


榛名「霞ちゃんはまだ安定期じゃないんですよ! 勝手は!榛名が!許しません!」


提督「そんなつもりは無かったんだが…」


霞「そうよお姉さま」


榛名「エッチなことをする前に!ちゃんと赤ちゃんのことを考えて下さい!」


霞「言うことは合ってるけど、少し気が早過ぎよ」

榛名「これは!赤ちゃんをあやすのに必須なんです!」


提督「ガラガラは分かるが…」


霞「お姉さま、その哺乳瓶に入ってるのは牛乳よね?」


榛名「いいえ、雲龍さんのミルクです!」


提督「……」


榛名「中身もリアルな方が練習になるんです!」


霞「…誰に飲ませるの?」


榛名「練習なので霞ちゃんに…!」


霞「司令官、お願い」


提督「榛名……気持ちだけは受け取っておく」グイッ


榛名「あぁ、そんな!」


提督「霞のことは任せてくれ。だから榛名も部屋で大人しく…な?」グイグイッ


榛名「霞ちゃん!霞ちゃん~~!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「雲龍…すまなかった」


雲龍「これくらいお安い御用よ」


提督「無理に付き合う必要は無いんだぞ?」


雲龍「本当に嫌なら嫌だって言うから平気」


提督「なら良かったんだが…」


雲龍「龍驤さんが居なくて母乳を飲む人が少なくなって、胸も張ってたから丁度良かったのよ」


提督「……」


雲龍「体を貸せっていうなら断ってたけど、母乳なら安いものよ」

雲龍「それより提督、あの話を聞いたわよ」


提督「何がだ?」


雲龍「Y朝潮が秘書艦代理をやるんでしょ」


提督「…そうなってしまったな」


雲龍「彼女、提督の事が好きなのよ」


提督「…そうだな」


雲龍「……私も提督を支えたいのだけど」


提督「……」


雲龍「このロリコン」


提督「待ってくれ…」


雲龍「あの時、私に言ったことは嘘だったの?」


提督「違う……そうじゃないんだ」


雲龍「簡単には許さないわよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

雲龍も秘書艦代理に就任!
女磨きの道に引き込んでY朝潮の手綱も握ってくれてる模様

Y朝潮、秘書はできるウーマンよ。
はい!

>>598
なんだかY朝潮にもいい感じに影響与えてくれてますなと漣

ーー数日後


雲龍「……」


Y朝潮「……」


漣「ご主人様~秘書艦代理が増えて良かったですな」


提督「……」


漣「ぶっちゃけ二人以上なら変わらないんですから、もっと早くこうするべきだったんですよ」


提督「そうかも…しれないな」


漣「雲龍さんなんか一番お世話になってるじゃないですか。普通なら真っ先に秘書艦代理をやってもらう存在ですよ」


提督「……」


漣「分かってますよ、ご主人様はロリコンですから揺れる胸よりまな板を見て仕事したかったんですよね」


提督「…………違う」

雲龍「Y朝潮、秘書艦はできる女じゃないといけないの」


Y朝潮「できる…ウーマン…」


雲龍「それは恋愛でもそう。いつでも気持ちを曝け出すのは効果が薄いの」


Y朝潮「なるほど…!」


漣「Y朝潮さんにもいい影響があるみたいですし、雲龍さんが秘書艦代理は必要でしたな」


提督「…そうか」


漣「Y朝潮さんもS朝潮さんみたいに、気持ちを整理してくれたら一番なんですけどねぇ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


Y朝潮「……」


漣「Y朝潮さん…何というか、変わりましたな」


朝霜「雲龍の奴、余計なことしやがって」


漣「横須賀に来れるくらい元々のスペックは高いんですよ。それを活かし切れてなかっただけって感じでしたね」


朝霜「……正直あたいと比べてどうだ?」


漣「勝負になりませんよ。朝霜さんはただ甘える面倒な女ですもん」


朝霜「…パパは渡さねぇ」


漣「ならそれ相応の努力が必要ですな」


朝霜「早霜…………」


漣「あのサイコさんに色々と学ぶ……最狂の艦娘が誕生しそうですな」


ーー

ーー


八島「あ、あーー聞こえる?」


八島「やっほーあたしだよ」


八島「あのね~突然出てきて何が言いたいのかって言うとね…」


八島「昨日のどれとは言わないけど、オチっていうか核心部分を当てられたからある日突然更新休むかもって話」


八島「見なかったことにしておくのもいいんだけど、縦読み当てた人も居るしそのままなのはちょっとなぁって思って」


八島「まあこれはさ、一応安価で進行するからオチを安価にしてもいいんだけど、それだと…さ」


八島「まだどうなるかは分かんないよ。でも知っといて欲しかったからさ」


八島「勘違いしないで欲しいんだけど、色々考えて書き込んでくれるのは嬉しいんだよ。これはあたしのエゴっていうのかな…」


八島「…昔さ、オチを当てられた状態でそのまま突っ走ったら軽く燃えちゃったんだよね」


八島「別のオチを思い付いたらそっちに変えるけど、それにちょっと時間がかかるかもって話」


八島「もしそのまま行くとしても……燃やさないでね?」


八島「以上八島でした。長々とごめんね~」


ーー

今日はここまでです


コメントなどあればお願いします

ーー横須賀鎮守府、執務室


提督「メディアの取材か…」


皐月「龍驤さんが成虫を倒した動画って結構衝撃的だったみたい」


Y朝潮「広報は白鶴こと翔鶴さんと雷が色々とやっているようですが、それとは別に龍驤さんを取材したいそうです」


皐月「どうする司令官?本当のことを言う?」


提督「……」


Y朝潮「私は取材を拒否するのが最善だと思います」


皐月「そんなことしたらまたイメージが悪くなっちゃわない?」


Y朝潮「龍驤さんは精神を病み入院中と答えるより、そっちの方がまだマシです」


皐月「そうかもしれないけど…」

Y朝潮「そもそも下手に取材を受けてボロが出たらどうするんですか。成虫を倒したのは菊月さん達なんですよ」


皐月「……」


Y朝潮「取材依頼は断っておきます。それでいいですね?」


提督「……」


Y朝潮「司令官」


提督「……あぁ」


Y朝潮「私達のイメージは最悪なんです。それを頭に入れておいて下さい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


女記者「断られるものだと思ってなかったから驚いたわよ」


提督「龍驤には会わせられない理由がある」


女記者「話を聞くのも無理なの?」


提督「…そうだ」


女記者「思ったより深刻みたいね…」


提督「……」


女記者「前に書いた貴方達の記事の反応が良かったから、また書こうと思って取材を申し込んだのよ」


提督「それは有難かったが、龍驤は無理だ」


女記者「仕方ないわね…」

女記者「ならプライベートで会わせてもらえない?こうやって貴方に会いに来たみたいに、龍驤にも会いたいの」


提督「それも無理だ」


女記者「あら貴方って束縛するタイプなの?そういうのって嫌われるわよ」


提督「……」


女記者「…貴方、指輪はどうしたのよ。何故右手に?」


提督「…事情がある」


女記者「意外ね…全てを曝け出した彼女を受け入れた貴方が…いえ、これで普通なのかしら」


女記者「二股をかけられておいて許すだなんて普通じゃないもの。余程のことが無いと…」


提督「悪いが……今日は帰って欲しい」


女記者「…そうね、また日を改めさせてもらうわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


女記者「せっかく鎮守府に入れてもらったんだし、タダじゃ帰れないわね」


女記者「艦娘にインタビューするだけじゃ物足りないけど、横須賀の艦娘なら読者も納得してくれるはず」


女記者「誰か……ピンとくるような艦娘は…」


雲龍「……」


女記者「…彼女ね」ニヤッ


女記者「あの艦娘…雲龍から何か引き出せそうな気がするわ」

女記者「少しいいかしら?」


雲龍「…………元深海棲艦の…記者」


女記者「私のことを聞いてたのね。なら話は早いわ」


雲龍「何をしに来たの」


女記者「プライベートで会いに来た人が居たんだけど都合が付かなかったのよ。タダで帰るのは惜しいと思って」


雲龍「それで?」


女記者「貴女にインタビューさせて欲しいの。突撃ってやつね」


雲龍「…ええ、構わないわよ」


女記者「流石は横須賀の艦娘ね。じゃあ色々と聞かせてもらうわよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


雲龍「これで良かった?」


女記者「ええ、バッチリよ。いい記事が書けそうだわ」


雲龍「そう」


女記者「やっぱりここの提督は随分と艦娘に気に入られてるのね」


雲龍「そうかしら」


女記者「まさかと思うけど…あれで隠してるつもり?」


雲龍「さぁ」


女記者「街の人の為に戦うとか綺麗ごとは言えるけど実際にはそうじゃない。赤の他人の為に命なんか賭けられない」


女記者「でも貴女達は提督の為に戦えている。他の鎮守府ではこうはいかないわよ」


雲龍「……」

女記者「これは忠告だけど、心酔し過ぎるのは良くないわよ」


雲龍「そう…」


女記者「あの提督は簡単には裏切らない。そんなことをするくらいなら死を選ぶ」


雲龍「そういう人よ」


女記者「でも唯一、貴女達を裏切る可能性がある」


雲龍「……」


女記者「貴女のインタビューにも何度も名前が出てきた彼女よ」


雲龍「…龍驤さん」


女記者「教えて。彼女に一体何があったの?」


雲龍「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

雲龍「知らない方がいいわ」


女記者「教えないじゃなくて、知らない方がいい…」


雲龍「貴女はある程度の事情を知っているけどまだ部外者。名前すら無い」


女記者「…?」


雲龍「 だけどこれ以上知ればそうじゃなくなる。貴女も…」


女記者「私も、何?」


雲龍「…貴女は陸に来て自分の生活を手に入れた。その命と一緒に大切にしなさい」


女記者「……」


雲龍「これは忠告のお返しよ」


女記者「…貴女達のことだから嘘は付いていないと分かる。けどあまりにも抽象的過ぎるわ」

雲龍「陰と陽があるように、表と裏もあるの」


雲龍「画質の悪いテレビは誰も進んで見ようとはしない」


雲龍「日曜日だけだと世界は回らない…」


女記者「ちょっと待って、急にどうしたのよ?」


雲龍「撒散らしたペンキはバケツには戻らないのよ」


女記者「……」


雲龍「困るのは貴女。龍驤さんのことは忘れ…いえ、今は触れないで」


雲龍「レールのない電車はどこにでも進めるわけじゃない。それが無いと前にすら進めないのよ」


女記者「…そう」


雲龍「……」


女記者「龍驤のことは当分の間諦めてあげる。でも時が来たらちゃんと私を呼びなさいよ?」


雲龍「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

雲龍「……インタビューのギャラ」


女記者「え…あ。今は待ち合わせが……」


雲龍「なら今度美味しいお店に連れてって」


女記者「…えぇ、喜んで」


雲龍「それじゃあ」スタスタ


女記者「…さっきのは何だったの。言ってる意味も良く分からなかったし、あの虚ろな目…」


女記者「何かを隠して…はいない。そんな感情じゃなかった」


女記者「ただ一つ分かるのは…不用意に足を踏み入れれば死ぬということ」


女記者「戦艦に囲まれるより恐ろしいわね…」

女記者「あら…?あれは見慣れない艦……娘…?」


女記者「ねぇ貴女、ちょっと話を…」


八島「…きひ」


女記者「貴女…は……」


八島「あんた前はお姉ちゃんだったよね」


女記者「…何の話?」


八島「きひひ、これもまあ因果かなぁ」ニヤッ


女記者「……?」


S朝潮「×子さん」


八島「…」ビクッ


S朝潮「×子さんの欠片は私の中に居るのを忘れないで下さい」


八島「…ごめん朝ちゃん」

S朝潮「すいません記者さん、少し急いでいるので」


女記者「ま、待って…彼女は艦娘……なのよね?」


八島「…これ以上近づかない方がいいよ」


女記者「また…」


八島「さっきの意味も分かってないみたいだし、何より死にたくないでしょ?」


女記者「……」


八島「モブはモブらしく動いてなよ。それじゃあね」


S朝潮「……」ペコッ


女記者「さっきから何だって言うのよ……少し気味が悪いわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


横須賀鎮守府の艦娘に突撃!

先日、私は横須賀提督と古くからの付き合いである艦娘、雲龍に突撃インタビューを行った……



女記者「……雲龍のお陰で記事にはなった。彼女は賢いから街の人達や世間が喜びそうな答えを言ってくれた」


女記者「この記事は一定の評価を得て、横須賀提督も部下思いの人間だと評価される」


女記者「記事としては合格。でも…これで会社の週刊誌が飛ぶように売れるかと言われればそうじゃない」


女記者「私は……何かを掴み損なった」


女記者「結果的にはそれで良かったのかもしれない。けど…一人の記者として後悔もある」


女記者「命…いえ、それ以上の犠牲を払わなければいけないこと……」


女記者「…………」


女記者「早く入稿しないと…締め切りに間に合わないわね…」


ーー



It is the close weekend

今日はここまでです


コメントなどあればお願いします

ーー横須賀鎮守府


提督「横須賀に向けて深海棲艦の大群が押し寄せてくる…」


朝霜「雲龍や瑞鶴に偵察させたが間違いないな」


漣「それも姫級や鬼級などが大群の殆どで、一筋縄ではいきません」


Y朝潮「他の鎮守府に応援を頼もうにも間に合いません。我々だけで迎撃しなければいけません」


雲龍「せめて街に被害が出ないようにはするつもり」


朝霜「ここに来ることは分かってるんだ、ならこっちから迎えてやるよ」


提督「……色々と不思議な点が多い。何故急に湧いて出るように深海棲艦が大量に居るのか。何故全員が全員ここを目指すのかも分からない」


漣「私の中に居る重巡棲姫によれば、姫級や鬼級は旗艦であることが多いそうです。姫級達が協力して一つのまとまりになることはまず有り得ないと」


Y朝潮「しかし現実に起こっているんです。我々だけでなんとかするしかありません」


提督「……」

漣「提督は街への避難勧告と我々の指揮をお願いします」


朝霜「出れる奴は全員出す。あたいを含めて総力戦だ」


雲龍「かなり厳しい戦いになる」


Y朝潮「ですが希望もあります。白露さん達特務艦が何人も居るんです」


提督「ここでどうこう言っていても仕方ない。街に来る前に止めるんだ」


漣「それが我々の仕事ですからね」


朝霜「蒼龍と龍驤さんが居ないのが痛いな。けどやるしかねぇ」


Y朝潮「…行ってきますね、司令官」


提督「全員、無茶はするんじゃないぞ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー海上


朝霜「おいおい…どうなってんだよ……」


「ココガ横須賀カ、遠カッタナ」


「私ノ髪型変ジャナイカ?第一印象ガ大事ラシイ」


皐月「も…もう一度確認するけど……皆んな敵意は無いんだよね?」


「ソウダ、我々ハ陸デノ生活ヲ望ンデイル」


「挨拶ガ大事ナンダロウ。艦娘、初メマシテ!」


漣「そうか…本来なら旗艦である姫級が集まるということは……戦闘目的じゃなかったから…」


雲龍「気付くのが少し遅かったわね」

Y朝潮「皆さんに敵意が無いのは分かりました。しかしこんなに大勢で押しかけられると街に混乱が起きるてしまうんです」


「オ前ノ顔ガ怖ソウナノガ悪イ」


「ソウハ言ッテナカッタダロウ!」


皐月「そっちの代表者か誰かと話せない?艦娘の代表は僕がやるよ」


「ダイヒョウ…」


「リーダーハ誰ダ?」


「一番強イ奴ニスルカ」


漣「一時期は全滅も覚悟しましたが…いやぁ平和的に解決しそうです」


雲龍「提督には知らせたの?」


朝霜「当たり前だろ。でも返事が無ねぇんだよ」


漣「きっと執務室でズッコケてんじゃないですかね。話し合いが終わってからゆっくり帰りましょう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営


幹部「やれやれ…戦闘にならなくて幸いだが、後始末が大変だ」


深海綾波「おいぃぃ幹部ぅ!!横須賀に向かった特務艦の奴らになんて言えばいいんだよぉ!」


幹部「君は次期特務艦隊長なんだろう?それくらい自分でやってもらわないとね」


深海綾波「んぁぁぁぁぁーー!」


幹部「こっちは手一杯なんだ。避難勧告の取り消しに避難所への連絡……そっちの方がまだマシだ」


深海綾波「もうオチ読めたよ…どうせこの後特務艦の奴らに搾り取られるんだよ…」


幹部「今日は徹夜…か。この年になってキツイが、私がやるしかないんだ」

幹部「…クキ君がここに居なかったのは幸いか不幸か。喧嘩になって出て行ってしまったからね」


幹部「彼女のおにぎりがあれば徹夜くらいなんてこと無かったが…無いものは仕方ない」


深海綾波「精力剤……せめて精力剤を…」


幹部「提督君も相当忙しいようだ。こちらからの連絡に応える暇も無いんだろう」


幹部「それにしても不思議なのはなぜ姫級の深海棲艦が一斉に横須賀に押しかけたのか、だ」


幹部「個人の意思なら単独で来るはず。大群になって来たということは誰かから話を聞いたのか?」


幹部「…本人達に聞くしか無いか。深海棲艦の彼女達への聞き込みもやるとなると…いつ寝れるか分からないね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー?


ポーラ「皆さん出撃してしまいましたね~」


ポーラ「それでも誰か一人は提督の側に居ないといけないっていうので~ポーラが残ったんですよ~」


ポーラ「二日酔いなので体調が悪いって言って~」


ポーラ「えへへ~皆さん信じてくれて良かったです~」


ポーラ「ポーラなんかに~構ってる暇が無いと思ったんでしょうね~」


ポーラ「全部~ポーラの思い通りになりましたよ~」


提督「……」


ポーラ「…力は平等じゃないといけないんです」

ポーラ「この前傀儡の装置を壊しました。それによってこの横須賀鎮守府の力が飛び抜けてしまったんです」


ポーラ「勿論皆さんが強いんじゃありません。ここには例外の存在がありますよね」


暁「……」ゴポゴポ
レ級「……」ゴポゴポ


ポーラ「完全なメンタルモデルとなった二人は力の均衡を崩してしまうんです」


ポーラ「二人をこうするのは意外と簡単でしたよ。暁さんを人質にすればレ級さんは言うことを聞きますから」


ポーラ「クキさん…駆逐棲姫さんは最近よく幹部さんと喧嘩してましたよね?あれもポーラのせいなんです」


ポーラ「暁さんからレ級さんを引き離すには彼女を使うしかありませんでしたからね」


ポーラ「技術者さんもいい仕事をしてくれました。二人をアルコール漬けにするには大きなカプセルが必要だったんです」


ポーラ「……いくらポーラでも、このお酒は飲みたいとは思いませんね」

ポーラ「横須賀に深海棲艦の大群を送ったのもポーラです。皆んなで一緒に行けばいいって言ったんですよ」


ポーラ「全部、ぜーんぶポーラの思い通りでした」


提督「……」


ポーラ「貴方がいるだけで力のバランスは簡単に崩れます」


ポーラ「安心して下さい。身動きは取れないでしょうけど殺すつもりはありません」


ポーラ「このポーラしか知らない場所…ここで暫くゆっくりしていて下さい」


ポーラ「それだけでいいんですよ提督。後は全部ポーラに任せて下さいね~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「自惚れではないが…俺が消えたと知れれば大事になる。力のバランスどころでは無くなるぞ、富士」


提督「……富士…?その名前は……」


ポーラ「あら…そうね、貴方も扉の関係者と同じ特異点だったわね」


提督「俺は……お前を知っている…」


「貴方とは初めましてどころか何度も会ってる」


提督「本物のポーラは…どうしたんだ」


22「殺したわ」


提督「……」


22「彼女ほど平和を願った艦娘は居なかった。それ故に色んな組織や団体とコネクションがある…利用しない手は無いわよね?」


提督「何を考えているんだ……」


22「私がやり遂げたいことはただ一つ。全ての艦娘を幸せにすることだけよ」

22「私のやり方は正しくなかったかもしれない。けどこれしか無かったの」


提督「……」


22「殺さないとしても、貴方が居なくなる事で均衡どころか全てのバランスが崩れる可能性もある。けどその危険を犯してでもやるべきことがあるの」


提督「……」


22「罪、因果……過去の誤ちはどうやっても消せない」


22「それは例え私のような存在でもそう。確定してしまったことは覆せない」


22「無かったことにはならない…けどだからといって何もしないのは違う」


22「私には為すべきことがあるのよ…」


提督「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「全ての艦娘を幸せにすると言ってポーラを殺したお前は既に矛盾している」


提督「何をやって目的を達成するつもりか知らないが、もう既にお前はその目的に到達することはない」


22「ええそうよ、貴方の言う通り。だからこれは私の罪滅ぼしなのよ」


提督「……」


22「言い訳になるけどポーラは殺したんじゃないの」


提督「殺したと言っただろう」


22「違う…行動としてはそうだけど、それは彼女を救う為」


提督「どういう意味なんだ」


22「待って……もうすぐで役者が揃うわ」


バシュッ……

菊月「……」


望月「成る程ねぇ~……」


22「貴女達を騙した罪は消えない」


曙「あたし達をどうしようっての?」


22「元の世界に…還す」


リュウジョウ「そんな簡単にできるかないな!」


22「今ならできるのよ」


菊月「……場所はここ。モノはそのメンタルモデルか」


22「そして…力は貴女達のモノを使うわ」


提督「扉…………」


22「この世界は変えられない。だけど貴女達を元の世界に返すことはできる」


望月「それも解釈の受け取り方ってヤツ?」


22「できる…貴女達を助けられるのよ……!」

22「私はルールを犯してまで貴女達を助けたかった!その代償がどうなることか知ってるのに!」


菊月「…ポーラの件はどうした」


22「…彼女の魂、存在も貴女達と一緒に還る。その願いも込めるから」


リュウジョウ「…ひょっとしてポーラを殺したのは同意があったんか?」


22「……彼女も覚えていたのよ」


曙「…そこの提督は関係ないはずだけど?」


22「彼は菊月提督の埋め合わせ……富士がこの世界に生まれなければ、全てが壊れてしまう」


22「菊月提督は還せない。だから…彼を少し使うの」


菊月「……」


22「もう私に残された時間は無い…早く、準備をして」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮「止めておいた方がいいですよ富士さん」


22「…!」


S朝潮「彼女達がこの世界に与えた影響を考えると、『その後』の矛盾や齟齬がやがて世界を滅ぼします」


S朝潮「しかもそれは……死よりも恐ろしいものになります」


22「貴女……」


八島「朝ちゃんも半分くらいこっち側に来ちゃってるからねぇ」


22「…よくも貴女まで来れたものね」


八島「いずれ世界を滅ぼすあたしとして、その台詞はやっぱり痛いよね」


望月「これで役者が全員揃ったって感じかな?」

菊月「富士、何故そうまでして私達を戻したいんだ。私達はこの世界に根を張って生きている」


曙「クソ提督ともやっと一緒になれたのよ!」


菊月「今の私達があの世界に戻ったとして、それを喜ぶと思うのか?」


22「……」


リュウジョウ「ウチらを戻すのはその理由だけや無かったな?」


グラーフ「因果を…消す為……」


望月「確かにあたし達が戻ればこの因果は消えて無くなる」


菊月「富士、全て吐け」


22「…悪いけどもう時間切れ。八島、お願い」


八島「……」スッ


S朝潮「人形……完成してたんですね」

八島「お姉……富士の依代として作ったこの人形。名前は不二にするつもりだったけど止めた」


八島「富士に二なんて数字は使わせない。お前は…不錏だ」


S朝潮「不錏…」


八島「頭巾を被せたからこれて丁度いいんだよ」


22「後始末……お願いね」


八島「…全く、愚姉を持つと苦労するよ」


22「……ごめんなさい」


八島「さて、富士はこの人形にして解決…とはいかないよねぇ」


八島「下2、うまくやってくれるって信じてるよ」


下2

ーー


ポーラ「…………」ムクッ


菊月「気が付いたか」


ポーラ「菊月さんの両腕がちゃんとある…」


菊月「扉は開かなかった」


ポーラ「…そういう選択をしたんですね」


菊月「お前も巻き込まれた側のくせに、よくあいつを信じたな」


ポーラ「××さんの言うことが信頼できました」


菊月「…因果を断ち切る為か」


ポーラ「罪が無くなれば因果も消える。あの人を信じることはできなくても、理屈は理解できます」


菊月「扉の関係者が理屈か。面白い冗談だな」

菊月「いつものように私達以外の奴らの記憶を消した」


ポーラ「…それが良いと思います」


菊月「因果……どこまでも厄介な存在だ」


ポーラ「龍驤さんの因果はまだ何も解決していないんですよね?」


菊月「…努力はしたんだがな」


ポーラ「今回は菊月さん達の因果を断ち切ろうとしてこうなりました。これがもし龍驤さんだったら…」


菊月「世界が滅んでもおかしくはないだろう」


ポーラ「……怖いですね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


八島「菊月達は帰ったね…」


S朝潮「八島さんはその人形と色々ありますよね。先に帰っていて下さい」


八島「お言葉に甘えようかな……提督も任せていいの?」


S朝潮「はい、大丈夫です」


八島「…分かった。じゃあ行こっか……」


不錏「ええ…」


S朝潮「……司令官…」


提督「……」


S朝潮「…本当は起きてますね?」


提督「…………」

S朝潮「し、れ、い、か、ん?」


提督「……」


S朝潮「記憶の消去が効かなくなってるんですかね。私は誤魔化せませんよ?」


提督「……」


S朝潮「ふふ…春雨さんじゃないですけど、二人っきりになれるのを待ってたんですよ」


提督「……」


S朝潮「八島さんのことは好きですけど……司令官のことは大好きなんですよ」ボソボソ


提督「……」


S朝潮「ふふふふふふ……」

ーー横須賀鎮守府


暁「うーん…何か夢を見ていた気がするわ」


レ級「あたしは何も無いし気のせいじゃないか?」


暁「そうなのかしらね…」


ざわざわ


レ級「それにしても騒がしいな。何かあったのか?」


暁「戦闘じゃないみたいよ」


レ級「なら……あたしらの出番じゃないな」グイッ


暁「やだぁ…まだこんな時間なのよ?」


レ級「いいから、な?早く暁の部屋で楽しもうぜ」


暁「もぉ……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮「ふふふふふふ……」


提督「……」


ぽすっ


S朝潮「はぁ~~~~司令官のお膝の上は最高ですね」


提督「……」


S朝潮「大好きだからこそ、司令官を追い詰めるようなことはしたくありませんし、私を愛してくれる八島さんも裏切りたくありません」


S朝潮「だからこうして…ちょっとだけ司令官を補給したんです」


提督「…朝潮」


S朝潮「司令官……私を助けてくれた恩は忘れません。そして…自殺なんかしてすいませんでした」


提督「……」ギュッ


S朝潮「大好きです…司令官……」

S朝潮「さて、皆さんが騒ぎ出す前に横須賀へ帰りましょう!」


提督「…そうだな」


S朝潮「司令官…また、こうやって……その…」


提督「あぁ、いつでもいいぞ」


S朝潮「…そんなこと言ってるから春雨さんに隙を突かれるんです」


提督「春雨のことは忘れさせてくれ…」


S朝潮「その記憶こそ、消えれば良かったんですけどね」

ーー横須賀鎮守府


漣「居た!ご主人様なにしてたんすか!!」


朝霜「どこ行ってたんだよ司令!」


皐月「司令官が居ないと話にならないんだよ!」


雲龍「何かあったのかと思ったわ」


提督「すまない、すぐに仕事に戻る」


S朝潮「ギリギリセーフでしたね司令官」ヒソヒソ


提督「危ない所だったな…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「向こうの代表者をここまで呼んだのか」


皐月「本当は海の上で話そうとしたんだけど、どうしても陸がいいって言うからそうなったんだ」


提督「俺としては問題ない」


皐月「問題が無かったなら早く来てよ!!」


提督「…すまなかったな」


「ん、んんっ!」

「オッあ……!オォォ…!」


皐月「…もう!!こんな時にあの二人は!」


提督「…戦闘じゃないんだ、好きなことをしてもいいだろう」


皐月(ちょっと濡れちゃったじゃん…!後で潮呼ばないと……そんな気分じゃ無かったのに!!)

「ア!提督ダ!」


提督「おお!?」


皐月「……来るのは一人だけだったんじゃないの?」


「ソレハ話シ合イ。私達ハ見学ダ」


「見るカラニ提督ダナ」


「性欲ガ強ソウナ顔ダ」


提督「…早く代表者の所に行こう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


不錏「ところで私のこの名前…これなんて読むのかしらね…ふ…ふ…ふ… 」


八島「何笑ってるのさお姉ちゃん」


不錏「……私の名前、読めないんだけど」


八島「ふ、あ。錏が頭巾とかそんな意味」


不錏「……」


八島「変な名前とか思ったでしょ」


不錏「そんなこと…」


八島「あたしにネーミングセンスが無いのは知ってるでしょ?NAMELESSとか酷いじゃん」


不錏「……」


八島「本当だったらカッコいい名前だったかもしれなかったね。残念だったねお姉ちゃん」


不錏「残念だなんて…」


八島「どんな名前だったのか教えてって言ったら教えてくれるんじゃない?」


八島「ま…今日は遅いからこれくらいにしとこっか。できれば深海棲艦の代表が誰か教えてね」


八島「じゃ、またね。ばいば~い」


ーー

続く


コメントなどあればお願いします

ーー


提督「深海棲艦側から条件も何も聞いていないんだな?」


皐月「うん、ただの話し合いだって」


提督「武装は放棄したのか?」


皐月「それはまだ」


提督「向こうが嫌がったのか?」


皐月「自衛手段が無くなるのは嫌だって。代わりを用意してくれるなら深海の艤装は放棄するって」


提督「全員分を揃えるのは難しいな…かと言って陸に来たいというのを拒否したくない」


皐月「その辺もちゃんと決めないといけないね」

皐月「横須賀鎮守府の部屋に空きはいっぱいあるけど、全員引き取るつもり?」


提督「一旦はそうなる可能性が高い」


皐月「僕達は平気だけど…街の人達が何て言うか不安だよ」


提督「避難勧告の件でも責められるだろうな……」


皐月「…落ち込んでても仕方ないよ。今は向こうの代表者と話し合うのが先」


提督「そうだ…その通りだな」


皐月「しっかり頼むよ司令官!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


中枢棲姫「急ニ押シカケタニモ関ワラズ、受入レテモライ感謝スル」


提督「敵意が無いというのならいつでも歓迎しよう」


中枢棲姫「ソレハ助カルナ」


提督「さて、まずは……」


「……」
「……」


皐月「窓の外に誰か居る!?」


提督「ここは二階だぞ…?」


中枢棲姫「アレハ私ノ部下ダ。心配シテイルンダロウ」


「……」ぬっ


皐月「お…大きい手が!覗いてた二人を……」


中枢棲姫「アイツハ大キイカラナ。身長ハ2mヲ超エテルシ、手ヲ含メルト3mクライニハナル」


提督「大きいな…」


中枢棲姫「アイツガココニ来ルト部屋ガ狭クナル。ダガアノ小サイ2人ハ入レテヤッテモイイカ?」


提督「…構わない」


中枢棲姫「少シ待ッテイロ」

ーー


北方棲姫「……」
北方棲妹「……」


皐月「二人共敵意は無いんだよね…?」


北方棲姫「カエレ!」


北方棲妹「命…オイテケ…!」


中枢棲姫「敵意ハナイガ、艦娘ハ好キデハ無イ」


提督「……本当に敵意が…それより…」


中枢棲姫「聞キタイ事ハアルダロウ。先ニ言ウガ私ハ艦娘ヲ沈メタ事ガアル」


皐月「……!」


中枢棲姫「艦娘へノ攻撃ハ一度ヤ二度デハ無イ。コイツラモソウダ」


提督「お前達は…なぜ陸に来たいんだ?」


中枢棲姫「安価」


下2 台詞やその他起こったことなど

中枢棲姫「攻撃サレテ迎撃シテ…我々ガ海ニ居ル限リソレハ避ケラレナイ」


中枢棲姫「コノ負ノ連鎖カラ逃レルニハ、陸デ生活スルシカナイ」


皐月「…敵意が無い艦娘は沈めたことはないの?」


中枢棲姫「アル」


皐月「そんな…!」


中枢棲姫「矛盾シテイルガ、ソウ成ラザルヲエナイ状況モアッタ」


提督「……」


中枢棲姫「敵意ノ有無ナド関係ナイ状況ガ、何度モアッタ」


北方棲妹「艦娘…嫌イ!何モシテナイノニ攻撃シテクル!」


北方棲姫「艦娘ハ全テヲ奪ッテイク!」

中枢棲姫「沈メナクテ済ムノナラ、ソレニ越シタ事ハナイ」


提督「……武装の放棄を受け入れるか?」


中枢棲姫「我々ヲ受ケ入レテクレルナラ」


提督「……」


皐月「司令官、今までとは違う…潜水新棲姫や駆逐棲姫みたいなのじゃないよ」


皐月「よく考えて……答えを間違えると、僕達も…」


提督「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「この映像を観てくれないか。その答えによっては陸での生活は認められない」


中枢棲姫「イイダロウ」


北方棲姫「洗脳スル気カ!」


皐月「そんなことしないよ。だから君達も見て」


北方棲妹「……見ル」


提督「……今から見せるのは2000人の慰霊の記録だ」


中枢棲姫「…………」


北方棲姫「ウ……」


北方棲妹「……」

ーー


中枢棲姫「彼ラモマタ…戦イノ犠牲者ナノダナ……」


提督「深海棲艦が居なければ彼らの命は失われなかった」


北方棲姫「ナゼ人間ヲ殺ス……艦娘トハ違ウノニ…」


北方棲妹「……」


中枢棲姫「戦ウ必要ガ無クナレバ…モウコンナ悲シイ事ハ起コラナイ」


提督「できるのか?」


中枢棲姫「ソノ為ニココニ来タ」


北方棲妹「艦娘憎イ……ケド人間、殺スノハ違ウ」


北方棲姫「人間ハ我々ヲ恐レテイル…」


皐月「だから僕達が居るんだよ。人間は弱い生き物だから、艦娘が守るしかないんだ」


提督「これで…こちらの事情も分かってくれただろう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「ある日深海棲艦達がとある街に上陸した。彼女らは陸での生活と人権を求めた」


提督「当時はまだそこまで深海棲艦の危険性が認知されて居なかった。街の人間は喜んで彼女らを受け入れた」


提督「だがそれは彼女らの策だった。街に上陸した深海棲艦達は街の人間を攻撃し始めた」


提督「その街は全滅。被害者は2000人で深海棲艦が絡む事件としては最悪の数字だ」


提督「そしてこの事件をきっかけに、深海棲艦は悪だと全国に知れ渡った」


提督「血の珊瑚礁と呼ばれたこの事件が、全ての始まりでもある」


提督「だが…この深海棲艦達が居るなら和平への道が見えてくるのかもしれない」


提督「××…彼女がそこまで考えて手引きしたのかは分からないが、少しでも希望が見えた」


提督「深海棲艦も…人殺しをしたいわけじゃないんだ」

ーー


皐月「やっぱり周辺住民との関係から改善していくしか無いと思うよ」


漣「ですが横須賀の人々はシビアです。こちらが何かアクションを起こしても無視されることが多いですから」


朝霜「だからって何もやらないのは最悪だ」


Y朝潮「深海棲艦の皆さんは陸での生活を望んでいるんですよね?なら横須賀という場所に拘る必要は無いかと」


雲龍「足りないもの鎮守府のあるあの街なら問題ないわ」


漣「あそこの人達はマジで菩薩か何かですもん。絶対受け入れてくれますよ」


Y朝潮「現実的なことを考えるとそうなるかもしれませんね」


朝霜「あとはアイツらが何を言い出すかだな…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


深海海月姫『あら、やっぱりその子達はこっちに来るのね』


提督「知っていたのか?」


深海海月姫『私がばら撒いてる胞子で、害がないのも知ってたわぁ』


提督「そうだったのか……」


菊月提督『こっちの鎮守府の構造はお前も良く知ってるだろう。部屋はそれなりに空いているぞ』


提督「なら彼女達を引き取ってくれるんだな?」


菊月提督『何とかなるだろう。全員が鎮守府で生活したいというわけでも無さそうだしな』


深海海月姫『彼女達は陸での生活を望んでいるんだから当然よねぇ』

菊月提督『こちらに来るのはお前の言う四人を除いて全員だな』


提督「ああ、中枢棲姫と北方棲姫、北方棲妹、港湾棲姫はこちらに残る」


深海海月姫『港湾棲姫はこっちでもいいんでしょうけど、大きさの問題ね…』


提督「あれだけ大きいとなると、少しでも広い所で生活した方が良いだろう」


菊月提督『海月姫の胞子の情報である程度準備はできている。直ぐにでもこちらに来てもいいぞ』


提督「感謝する……本当に感謝しかない」


深海海月姫「貸し1って所かしらね…うふふふ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー足りないもの鎮守府


菊月提督「向こうから話は聞いている。何をしても構わないが、外に出る時は誰かに知らせろ」


深海海月姫『言葉がまだ分からないなら私が居るわ。安心していいわよ』


『それは頼もしいな』


「コッチノテイトク!イケメン!!」


「カッコイイナ…」


菊月「貴様ら、司令官は私のものだからな」


「女ノ嫉妬ダ」


「嫉妬トイウヨリ面倒クサイ女ダナ」


菊月「……聞こえているぞ」


「ア、ヤベ」

「アノ痴女ハナンダ?新種カ?」


深海夕張「……」


「無視スルナ痴女!」


深海夕張「もしかしなくても私ですか…?」


「痴女ダ」


「本物ノ痴女ヲ初メテ見タ」


深海夕張「…なんでですか!皆さんだってもろ見えだったりするじゃないですか!」


「コレハファッションダ」


「オ前ノハタダノ痴女」


「ソノチラリズムハ犯罪」


深海夕張「どうして……!!」

菊月提督「痴女のことは放っておけ」


深海夕張「はぁぁぁぁぁぁ!?」


「人間カラ見テモ痴女ナンダナ」


深海海月姫「細かいところは追々伝えるわぁ」


菊月「自分達が使う部屋を決めておけ」


「ヘヤ…アジトトハ違ウ」


「広イ方ガイイノカ?」


「陽当タリノイイ所ガイイ」


「私ハ逆ダナ」


菊月「…深海棲艦の奴らが全員こうなら楽なんだがな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


潜水新棲姫「いいか、コツさえ掴めば問題無い。大事なのは人間の言葉はエネルギー効率の悪い言語ということだ」


北方棲姫「ナルホドナ」


北方棲妹「んー」


潜水新棲姫「お前は……聞こえてるんだな?」


港湾棲姫「……」コクコク


潜水新棲姫「窓の外から見られると威圧感が凄いな…」

漣「どうですかね?」


中枢棲姫「思ッタヨリ前カラ我々ト共生シテイルンダナ」


漣「貴女達と違ってそもそも戦いたくないっていう考えもありましたから」


レ級「何も考えずに暴れる連中も居るけどな」


球磨「クマの場合は特殊クマよ。乗っ取ろうとして失敗したパターンもあるクマ」


中枢棲姫「知ラナカッタ…私ハ何モ……」


由良「知ろうとしなかった」


中枢棲姫「…ソウカモ知レナイナ」

漣「なぜ知ろうとしなかったのか。その理由は分かりますか?」


中枢棲姫「ソノ必要ガ無カッタカラ。艦娘クライ倒セルト思ッテイタ」


由良「艦娘は何も考えてない訳じゃない」


球磨「人間を攻撃する深海棲艦はいくらでもいるクマ」


レ級「…仲間を攻撃する深海棲艦も居るな」


中枢棲姫「私ニハ知ラナケレバイケナイコトガ沢山アル。陸デ生活スルノハソレカラダ」


漣「それが分かってくれたなら、貴女はきっと陸で生活できますよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「……扉でどこまで書き変わってるんだ」


菊月「海月姫が仕掛けた艦娘を止めた事や司令官が深海提督として元帥に汚染金塊を送り付けたのは…」


菊月「……富士に関する事は変わらないのか?いや、それすら例外の可能性もある」


菊月「扉の上書きはできないが解釈を変えることはできる。ならそれは実質上書きできるのと同じでもある」


菊月「もしこの世界も誰かの扉が開いた後だとするなら…」


望月「おい~っす菊月、なに怖い顔してんのさ。可愛い顔が台無しだよー」


菊月「お前に構っている暇は無い」


望月「そんなこと言わないでよっ…と」ぽすっ


菊月「……」

望月「あたし達は扉に干渉した。だけどそれが悪いことじゃない」


望月「そもそもこっちは騙されてる訳なんだし、考えるだけ無駄なんじゃないかな~」


菊月「私はお前の様には割り切れ無い。何人殺したと思ってる」


望月「だからさ、それは菊月だけの罪じゃないって。あたし達全員でやったのと同じ」


菊月「……」


望月「変に悩んでる所なんてタイホウに見せられないでしょ?早く仕事に戻ってよね、秘書艦さん」


菊月「……」スッ


望月(素直じゃないんだから全く。ま、これでも出会った頃よりマシだけどね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「港湾棲姫さんの部屋が何よりも大変ですよ。昔使ってたであろう会議室を使ってもらってますがそれでもギリギリです」


雲龍「……」ギリッ


漣「おおっとぉ?なぜ雲龍さんがギリギリしてますか?」


雲龍「あの胸……」


漣「あー……港湾棲姫さんは上にもデカイですけど、その分お胸の方もファンタジーな感じになってますから」


雲龍「許せない…………!」


漣「いやぁ相手が悪いですよ。そもそも雲龍さんも大きいんですからそれで満足しませんか?」


雲龍「多少無理矢理にでも提督に揉んで…母乳も飲んで貰えば……」


漣「雲龍さんと港湾棲姫さんが並ぶと並の空母四人分くらいあるんですけど…あ、何がとは言いませんよ」


漣「女提督さんに胸のサイズが負けてるのもかなり悔しそうでしたし…女には譲れない所があるってことですな」


ーー

今日はここまでです


コメントなどあればお願いします

ーー


S朝潮「血の珊瑚礁、深海棲艦が人間にとって敵であると決定的になった事件。被害者はおよそ2000人」


S朝潮「綺麗な珊瑚礁で有名な離島で起きたその事件…陸に上がってきた深海棲艦達はその島の住民を皆殺しにした」


S朝潮「当時はまだ艦娘という概念も無かった。この事件をきっかけにして旧大本営が設営され、艦娘という存在も出来上がった」


S朝潮「この事件は世界の誰もが知るような大きな出来事だった……それが世間の常識」


S朝潮「でも私はこの歴史は知らない。でも司令官達は当たり前のようにこの事件のことを話す」


S朝潮「扉によって歴史が上塗りされた……」


S朝潮「上塗りという表現は正しくないのかもしれません。扉が開けばその歴史が本物であり、そうとして世界が作り替えられる」


S朝潮「この事件は確かに存在したんです……」

S朝潮「一方で菊月提督と深海海月姫さんが起こした事件。海月姫さんの胞子を使ってほぼ全ての艦娘が意識不明になってしまった」


S朝潮「ごく一部の艦娘を除いて全員が倒れてしまったので、当然深海棲艦による被害が出てしまった」


S朝潮「その数2000…じゃなく2284人」


S朝潮「……前より増えている」


S朝潮「菊月提督達は龍驤さんへの復讐として2000人を殺すと宣言して、その通りにやった」


S朝潮「そうです…あの時は確かに2000人だった」


S朝潮「それなのに増えてしまった…端数の284人どころじゃない、血の珊瑚礁で2000人以上増えている」


S朝潮「私は扉を開いて上書きをしても総数は変わらないと思っていた。Aという結果をBにしたとしても、死んでしまう総数は変わらないと」


S朝潮「でも違った、そうじゃなかった。扉で上書きされた結果更に多くの人が死んでいた」

S朝潮「因果」


S朝潮「私にも絡み付いた厄介で当然なもの」


S朝潮「因果を振り払おうとしても更に酷くなるだけ」


S朝潮「どんなに小さい因果でも対処を間違えれば逃れられない」


S朝潮「この世界…こうなってしまったのは龍驤さんのせい」


S朝潮「龍驤さんが富士ちゃんを見殺しにしなければ、今頃世界は平和になっていた」


S朝潮「戦争が終わらないのも龍驤さんのせい」


S朝潮「一人殺しただけで私は狂って首を吊った。一億も殺した龍驤さんは……」


S朝潮「……因果、応報…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮「… やっぱりおかしい!世界が良くない方向に行くその責任が全て龍驤さんにあるなんて!」


S朝潮「それこそ…神の悪意でもない限り、こじつけじゃないですか…」


八島「呼んだ?」


S朝潮「…八島さん」


八島「きひひ、どうも神様で~す」


S朝潮「……」


八島「諦めなって朝ちゃん。あの龍驤が居る限り世界は破滅に向かうの。キチってた吹雪のせいで滅ぶのが確定しちゃって、もうお終いってね」


S朝潮「貴女は…」


八島「あたしが世界を滅ぼす。これは確定事項なんだよ」


八島「見てる皆んなは分かってるよね~?」

八島「朝ちゃんもさ~あんな女に構わないであたしと遊ぼうよ、ね?」


S朝潮「それ、本気で言ってるんですか」


八島「本気だよ」


S朝潮「……」


八島「本当なら朝ちゃんをここから連れ去ってあたしだけのモノにしたい。龍驤なんか近付くだけで不幸になる」


八島「これから先の未来も戦争は続いて大勢死ぬ。そしてどっかの誰かがあたしを作って世界は終わる」


八島「朝ちゃん…もういいよ。あの女に構う必要なんか無いよ」


八島「あたしは朝ちゃんを幸せにする義務がある。もう二度と不幸になって欲しく無いんだよ」


八島「だからもう…龍驤のことは考えないで。分かった?」


S朝潮「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

不錏「待ちなさい」


八島「……」


不鐚「争いのない世界が続くいて…とんでもない先の未来で世界が終わるという願い。これで吹雪の願いは上書きされたはずよ」


八島「分かってないなぁ。争いのない平和な世界ってどういうことさ?」


不錏「どうって……皆んなが手を取り合って…争いの無い…」


八島「うん、そうそう。じゃあさ、皆んなって誰?」


不錏「それは……」


八島「平和な世界、それは確かに訪れるよ。でもその時にはもう人間はこの世界で多数派じゃない」


八島「文明は滅んで機械も無くなる。僅かな人間が自然に怯えながら生活してる」


八島「こ れ こ そ 平 和」


八島「人間はこの世界に必須じゃない。間引く必要があるんだよ」

八島「結論から言えばさ、龍驤は許させるよ。一億殺したけど結果的に一億以上を助ける」


八島「因果が消えるのは数百年かかるけど、その間龍驤は死ねないんだよね」


不錏「艦娘の寿命はそんなに長くないわ」


八島「龍驤は生きるんだよ。ま、死なせてもらえないっていうのが正しいかな」


S朝潮「……」


八島「助けられるものなら助けてみなよ。覆せるものなら覆えしてみろ」


八島「一億人も殺しておいて幸せになろうだなんて、身の程を知れ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

八島「……とまあ、このままならいずれそうなるんだけど…」


不錏「八島…」


八島「 あたしも変わると言った以上どうにかしたいとは思ってるよ。でも一体どうしたらいいのか…」


S朝潮「結末が決まってる上に、全ての流れが悪い方に向かう…」


八島「はぁ……どれだけ無理ゲーを課してくるんだか」


八島「……」


八島「……」


八島「お前だよ」


八島「お前に言ってるんだよ」


八島「分かってるんでしょ、ねぇ?」


八島「よくもこんな世界を作りやがって」


八島「あたしの




、、。


八島「ほら、困るとすぐそれだ」


八島「あたしはお前が居なきゃ喋ることすらできない」


八島「


八島「いい加減にしろ」


八島「また夢に出てお前を殺してやる」


八島「……」


八島「あたしはお前になんか負けない」


八島「絶対にハッピーエンドを勝ち取ってやる」


八島「あたしが世界を滅ぼそうとも、お前の邪魔はさせない」


八島「……」


八島(ねぇ)


八島(あたしのことはどうなってもいいからさ)


八島(皆んなのことだけは、助けてあげてよ)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮「八島さん、龍驤の因果の対処は本当に不可能なんですか?」


八島「無理だよ」


S朝潮「龍驤さんが龍驤さんで無くなれば……もしくは龍驤さんの因果を別の何かに肩代わりさせたり!」


八島「朝ちゃん、前にも言ったでしょ。もし龍驤が死ねばその因果で地獄は膨れ上がる。他の誰かに肩代わりさせればその因果は倍増する」


S朝潮「一億の倍……!」


八島「…危険だけど扉の力で龍驤が事件を起こした事実を消すことはできる。でもこの方法は本当にやばいよ」


S朝潮「どうしてですか…?」


不錏「扉が開いた瞬間に全ての生物は死んでしまうでしょうね」


S朝潮「……」


八島「あたし達だってそうだよ。全部消えて無くなる」

八島「龍驤を龍驤で無くすのは、今やってるみたいだね」


S朝潮「標準語の龍驤さん…」


八島「でも無理。提督が龍驤に執着してるし」


不錏「霞に子どもが出来てもダメだったわね…」


八島「提督が龍驤を求める限り、あの女は龍驤であり続ける」


S朝潮「司令官が……」


八島「世界は…そんなに単純じゃないんだよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

八島「因果」


八島「言葉としてたった漢字二文字の言葉。だけどその文字に込められた意味は重い」


八島「何も分かってないというか、分かって無いのが幸せというか」


八島「命を奪うってことは全てを奪うことなんだよ」


八島「現在過去未来。全てを奪い去る」


八島「龍驤はそれを一億回もやった」


八島「正確に言えば一億の未来を奪った。それがどんな重罪なのか分かるでしょ?」


八島「自分の私利私欲の為に一億も殺したんだよ」


八島「憎悪や何かなんてものじゃない。全てなんだよ」

八島「あたし、いや元々の『あたし』は自分の力を勘違いしたカミサマモドキ。だから好き勝手に暴れた」


八島「その結果どうなったかは皆んなも知ってるよね?」


八島「でもね、一つ忘れてることがあるよ」


八島「この世界では誰だってカミサマになれる」


八島「あたしの言って意味、分かるよね?」


八島「分からないならこの話はお終い」


八島「確定された未来を楽しんでいってよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

「八島さん」


八島「…朝ちゃん」


敷島「龍驤さん一人に背負わせるのは止めましょう」


敷島「貴女は肩代わりさせると倍増すると言ってました。できないとは言ってないんですよ」


八島「…うん」


敷島「なら倍増させればいいんです。そして…この世界全ての生物にその因果を分散させます」


不錏「全ての生物に…」


敷島「例え二億ほ因果であっても全ての生物で割れば薄まります……この世界の因果は私達一人一人が背負わなければならないんです」


敷島「どうですか八島さん!これなら文句はありませんよね!」


八島「……そうだね。あたしが求めてたのはそういう答えだったのかもしれない」

八島「でもね朝ちゃん。そんなことしたら朝ちゃんはどうなると思う?」


敷島「また地獄に堕ちます」


八島「……そうなんだよ」


不錏「八島…」


八島「あたしは…もう二度と朝ちゃんを失いたくないんだよぉ……」ポロポロ


敷島「私一人で皆さんを救えるなら、何も躊躇いません」


八島「嫌だ…嫌だ!あたしが嫌なの!」


不錏「貴女はこの世界を終わらせるつもりなの?」


八島「朝ちゃんの居ない世界なんか世界(理想郷)なんかじゃない!あたしにとって朝ちゃんは…!」


敷島「……」


八島「初めて出来た友達で…それ以上に大切な存在!!絶対に手離したりなんかしない!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

不錏「手放す必要はないわ」


八島「どうやって…」


不錏「朝潮の因果も一緒に分散すればいいのよ。この世界…いえ、この宇宙(せかい)全ての存在で分散すれば元が二億だろうと何だろうと変わらないわ」


不錏「後は貴女が…絶対に手離さないだけ」


八島「離さない…朝ちゃんを……」


不錏「どうなっても彼女を手放さない。八島、貴女が決意するのよ」


八島「あたしが……」

不錏「彼女を救えるのは貴女だけ」


八島「そんな…こと……したら…」


不錏「…ええ。彼女の因果を分散させるのなら、その代償も必要になる」


八島「朝ちゃんは……更に酷い目に…」


不錏「……骨と皮になってギリギリの所で彼女はあの男を殺した。でも…今度はそうはいかない」


八島「どうなるの……?」


不錏「……どんな形、姿になっても彼女の手は離さないのなら、その質問の意味は無いわ」


八島「朝ちゃん……」


敷島「……」


S朝潮「私は…八島さんを信じます」


八島「……!!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

八島「絶っ対に離さない!地獄からでもまた引き上げてやる!」


S朝潮「はい!」


不錏「…そろそろ時間よ」


八島「朝ちゃん……」


S朝潮「覚悟はできています。例えどんな姿になっても…貴女が居ますから」


八島「…愛してるよ」


S朝潮「私もです」


不錏「世界を変える前にまずは朝潮からよ。そうしないと順番が狂ってしまうから」


八島「一旦…お別れだね」


S朝潮「そうですね」


八島「……待っててね朝ちゃん」


S朝潮「ええ、地獄の底でお待ちしてます」ニコッ


八島「…ふふふっ」


不錏「……世界は、変わる」

ーー横須賀鎮守府


漣「あぁ忙しい忙しい…」


潜水新棲姫「中枢棲姫の奴らの書類もある」


漣「雲龍さん達を秘書艦代理にしてて良かったですよ。この忙しさは漣一人じゃ不可能です」


キイッ


潜水新棲姫「ん、あそこに居るのは…」


八島「……」


漣「出たなゴスロリ」


潜水新棲姫「今日も朝潮の面倒を見てるようだ」


漣「よくも飽きずにまぁ…と言ったら失礼ですかね」


潜水新棲姫「言ってもいいと思うぞ。誰かと交代してもいいのに、ずっと一人で朝潮の世話をしている」


漣「朝潮に固執する理由は分かりませんけど、ぶっちゃけ漣達としては助かりますよね」


潜水新棲姫「あぁ、両手脚が無い上に喋ることすら出来ない。世話をするにはかなりの手間がかかる」


漣「嫌だとは言いませんけど、やっぱり時間が掛かりますからね」

潜水新棲姫「朝潮も不幸な奴だ。男に買われて乱暴されて……」


漣「その話は止めましょう」


潜水新棲姫「…そうだな」


八島「……」


八島「ねぇ朝ちゃん…」


八島「離さないって言ったけど……手…無くなっちゃったね…」


S朝潮「……」


八島「……」


八島「なんで朝ちゃんをこうしたの」


八島「なんで朝ちゃんばっかりこんな目に遭うの!」


八島「う、うう……!」


八島「…諦めない」


八島「あたしは絶対に朝ちゃんを幸せにしてみせる!」


八島「こんなことで不幸にできると思うなよ……!」


八島「あたしは


ーー

遅くまでありがとうございました


コメントなどあればお願いします

ーー執務室


漣「はぁ~ほんとにもう忙しいですなぁ」


中枢棲姫「それも艦娘の仕事なのか」


漣「おろ、もう流暢に喋ってるじゃないですか。随分と上達が早いですねぇ」


中枢棲姫「潜水新棲姫の教え方が良かったからな」


潜水新棲姫「ワタシは優秀だ」


漣「さすが漣の嫁ですな。うんうん」


中枢棲姫「質問の答えはどうした」


漣「あーはいはい、これも艦娘の仕事といえば仕事ですよ。全ての艦娘では無くて、特定の職種のみの仕事と言えば分かりますか?」


中枢棲姫「理解した」

漣「中枢棲姫さんも仕事を手伝ってくれていいんですよ?ん?」


中枢棲姫「……」ガシッ


漣「ちょ…首……か…っ…は……!」


潜水新棲姫「やめろ!漣に乱暴するな!」


中枢棲姫「勘違いするな。私はそこの深海棲艦と違って艦娘は嫌いだ」


漣「ぅ……げ…!」


中枢棲姫「お前達に憎しみもある。そんな相手と馴れ合いなどするはずが無いだろう」


潜水新棲姫「ヤメロ!」


中枢棲姫「…嫌いだが殺すつもりは無い」パッ


漣「げ……げほ、げほ…」


潜水新棲姫「漣!怪我は無いか!」


漣「凄い力でしたけど…怪我は……」


潜水新棲姫「よ、良かった…」

中枢棲姫「争わなくていいならそうしたい。その考えは変わらない」


漣「なら…暴力を止める所からです…ねぇ…」


中枢棲姫「何を言ってる、ここに来てから暴力は使っていない」


漣「はぁ……?今…漣に……」


潜水新棲姫「漣、ワタシ達とは価値感が違う。暴力の定義も違うんだ」


漣「……」


中枢棲姫「私は陸を求めた理由のもう一つ、それは人間だ。あんなに興味のある生物は居ない」


中枢棲姫「提督か……ククク、近くで観察してその全てを調べやるか」


漣「…本当に大丈夫なんですよね」


潜水新棲姫「争うつもりが無いと言っているんだ、大丈夫…」


漣「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「中枢棲姫さん、先程は失礼しました」


中枢棲姫「その深海棲艦は誰だ。そんな合成獣みたいなのは見たことがないぞ」


漣「彼女は艦娘の由良さんです。訳あってこの姿になりました」


由良「貴女に付く。質問なら私に」


中枢棲姫「確かに艦娘とはいえその見た目なら気にならないな」


漣「それは良かったです、では…」


中枢棲姫「待て」


漣「…なんでしょうか?」


中枢棲姫「どういうつもりだ」


漣「えっと……」


中枢棲姫「コイツは四人も食ってる。そんな奴を私に近付けさせるというのか」


漣(気付いた……?しかも人数まで合ってる…)


由良「…」

中枢棲姫「確かに私は艦娘を沈めた。だがそれは艦娘が弱かったからでもある」


中枢棲姫「コイツは違う。同胞の力を借りて沈め、コアを食べた」


由良「…」


中枢棲姫「おい」ズイッ


漣「……」


中枢棲姫「私は信用できないのか?」


漣「……まだ無理です」


中枢棲姫「ほう…」


由良「貴女が私に付けば信用できる」


中枢棲姫「私がお前を信じられない」


由良「…」


中枢棲姫「私が何を信じるのかは私が決める。お前達が勝手に決めるな」スタスタ


漣「……いい考えだと思ったんですが」


由良「悪くなかった」


由良「気付かれても人数まで当てられるのは想定外」


漣「…中々のやり手のようですな」

ーー食堂


中枢棲姫「ん…?」


北方棲姫「言葉、難シイ…」


北方棲妹「私は、何と、なく」


港湾棲姫「……」


中枢棲姫「どうした」


北方棲姫「勉強シテル」


北方棲妹「言葉と、人間の、社会」


中枢棲姫「常識というヤツか私も教わったがどうもしっくり来ない」


北方棲姫「ナニガ?」


中枢棲姫「媒体によって言っていることが違う。ある本では良しとされているものが、別の本では悪だ」


北方棲妹「それ、日本、特有、らしい」


中枢棲姫「そうか…やはり提督を使うのが早そうだな」


港湾棲姫「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「このままではいけません…下手を打てば信用がマイナスになって、彼女達は敵になってしまうかもしれません」


潜水新棲姫「その可能性はある」


漣「価値観が違うとも言ってましたが、我々が知らないような逆鱗に触れることはありませんか?」


潜水新棲姫「細かいところは個人によって違うが、少なくとも言えることはある」


漣「何でしょうか?」


潜水新棲姫「同胞である深海棲艦を侮辱する行為は禁忌だな」


漣「触れてはいけないと…」


潜水新棲姫「出撃を終えて何人倒した、どれくらい沈めた。ハッキリ言って不快だった」


漣「言って……くれれば…」


潜水新棲姫「ワタシは本来なら敵である艦娘の巣に居るんだ。ある程度のことは飲み込むしかない」


漣「……」

潜水新棲姫「それにワタシも分かってきたんだ。自我も無くただ目の前に敵が居るから襲う。そんな奴も居る」


潜水新棲姫「深海棲艦の全ては同胞とは言えない。それが分かったから心配しなくていい」


漣「……」


潜水新棲姫「それより心配しなければいけないのはアイツだ。ワタシはそれを理解したが、奴もそうなるとは言えない」


潜水新棲姫「それこそ価値観の違いだな。深海棲艦全てを同胞だと思っているなら、この問題は解決しない」


漣「穏便に…出て行ってもらうしか無い…」


潜水新棲姫「そんなことは提督が嫌がるだろうな」


漣「……」


潜水新棲姫「奴はワタシの様な特異点では無く本物の深海棲艦なのかもしれない。種族が違えば考え方が違うのが本来なら当たり前なんだ」


漣「ご主人様の考えを…否定すると…」


潜水新棲姫「どう受け取るのかは、お前次第だ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ぎゅっ


漣「本当に…申し訳ありません」


潜水新棲姫「何がだ」


漣「今まで我慢させて……いえ、そんなことも言えないような環境を作ってしまったのが…」


潜水新棲姫「……」


漣「こんなことをしてもすぐに許されるものでは無いのは分かっています。でも貴女に気持ちを伝えるのはこれが一番なんです」


潜水新棲姫「…分かるぞ」


漣「貴女が大切だから…失いたくないから…」


潜水新棲姫「漣の温もりが答えだ。だからもう少し……」


漣「……」ナデナデ


潜水新棲姫「ん…ふふ…」

潜水新棲姫「…いつまでもこうしてはいられないぞ。この話は提督にも伝えておくべきだ」


漣「そうですね…」ナデナデ


潜水新棲姫「早く行ってくるんだ」


漣「もう少し…もう少しだけ……」ナデナデ


潜水新棲姫「……」


漣「…よし。それじゃあご主人様の所に行ってきますね」


潜水新棲姫「ワタシも後で向かう。先に説明しておいてくれ」


漣「了解ですっと!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー提督の部屋


中枢棲姫「提督よ、仕事はしないのか」


提督「…今日は休みだ」


中枢棲姫「他の奴らは働いているぞ」


提督「お前は知らないだろうが、俺は最近体調が悪かったり入院したりしていた。だから休みを他より多めに取っているんだ」


中枢棲姫「理解した」


提督「…出て行ってくれないか」


中枢棲姫「なぜだ」


提督「ここは俺の部屋なんだ」


中枢棲姫「私が来ているんだぞ」


提督「……」

中枢棲姫「お前がやろうとしていたのは仕事だな。私の前で仕事はできないのか?どうしてだ?」


提督「……艦娘の出撃に関する仕事なんだ」


中枢棲姫「ほう…」


提督「この資料は…他の誰にも見せられない」


中枢棲姫「嘘を言うな。それと同じようなものを漣が見ていた」


提督「……」


中枢棲姫「私は嘘が嫌いなんだ」


提督「……」


中枢棲姫「だが…お前は信頼できる」

中枢棲姫「その資料は私達深海棲艦に関するものだ。艦娘がどれだけ同胞を沈めたのかが詳細に分かる」


提督「……」


中枢棲姫「お前はそれを私に見せたく無かった。私に気を遣ってだな?」


提督「……」


中枢棲姫「ククク、黙っていては分からないと言う言葉があるがそれは嘘だ。お前の顔を見れば全て分かる」


提督「…そうか」


中枢棲姫「やはり人間は興味深い…いや、提督が特殊なのかもしれないな」


提督「……」

中枢棲姫「遠慮する必要は無い。人を襲ったり好戦的な奴らがいるのが事実なんだ」


中枢棲姫「私はそいつらを同胞とは認めたくないが、お前達から見れば同じ枠組みに入る」


提督「そうだ。だが俺達はそう思っていない」


中枢棲姫「ほぉぉ…」


提督「潜水新棲姫達だってそうだ。戦意が無かったり陸での生活を求めている深海棲艦と、戦うことしか考えない深海棲艦が同じ扱いであっては失礼だろう」


中枢棲姫「やはりお前の所に来て良かったようだ。喜べ、私はお前を信頼した」


提督「…信頼されるとどうなるんだ」


中枢棲姫「安価」


下2 台詞やその他起こったことなど

こうやって堅苦しい喋り方好きじゃないのよね…と素が出てくる
提督はなら無理しなくていいんじゃないか?壁を感じない方がお互い歩み寄りやすいだろうと
中枢棲姫はこう話せるのは気の許せる相手だけ
深海棲艦は舐められたら負けの世界なの
貴方は舐められなさそうな見た目だけれど

>>817

中枢棲姫「…ふふ。こんな堅苦しい喋り方好きじゃないのよね」


提督「な……!?」


中枢棲姫「あら…提督なのに随分と驚くのね」


提督「……先程までと同じ存在だとは思えない」


中枢棲姫「失礼ね、貴方なら無理する必要が無いと思って話してるのに」


提督「騙していた…というわけでは無さそうだな」


中枢棲姫「こんなのを同胞達の前でやったらどうなると思う?大したことない奴だと思われて何度も襲われるでしょうね」

中枢棲姫「こうやって話すのは気の許せる…信頼してる相手だけ。ここでは貴方だけよ」


提督「…それは良かった」


中枢棲姫「私は人間のことがもっと知りたい。だから貴方の側に居てもいい?」


提督「…構わないが、俺の近くに居れば誰かが来る。ずっとその様子は無理だろう」


中枢棲姫「そんなこと無いわ。二人だけで過ごせるわよ」


提督「……」


中枢棲姫「一緒に行動してたあの子達も私の本当の事は知らない。深海棲艦は舐められたら負け、弱肉強食の世界」


中枢棲姫「貴方は舐められ無さそうな見た目だけど、私の言ってることは分かるわね?」


提督「…あぁ」

コンコン


「すいませんご主人様~」


中枢棲姫「…貴方の言うことは嘘じゃなかったわね」


提督「……」


中枢棲姫「いいわ…今はこれで。また後で私の部屋に来て」


提督「…行かなかったら?」


中枢棲姫「貴方は来るわ。そういう人間だから」


提督「……」


中枢棲姫「…ふふ、待ってるわね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「部屋に呼ばれたって…一人で行くんですか、それはまずいでしょ」
提督「いや、危害を加えられる事はないだろう」
漣「…………何かされました?」

ーー


漣「……ということがあったんです。ですので中枢棲姫さんは最悪…」


提督「彼女のことなら大丈夫だ」


漣「ご主人様ならそう言うと思ってましたけどね、首を絞められた漣としては心配で仕方ないんですよ」


提督「それ以上のことはしなかっただろう?俺からすれば春雨に襲われた方が恐怖だ」


漣「それを言われると何も言えねぇ……」


提督「自分で口に出すのも恐ろしい」


漣「…分かりましたよ、そう言うなら様子見を続けます」


提督「ああ、それでいい」

提督「…さて、俺は少し用がある」


漣「ご飯にはまだ早くないですか?」


提督「中枢棲姫の部屋に呼ばれたんだ」


漣「部屋に呼ばれたって…一人で行くのはマズいですよ」


提督「いや、危害を加えられる事はない」


漣「……彼女に何かされました?」


提督「脅されてなんか無いぞ」


漣「……」


提督「心配しなくていい。それより漣は仕事をしてくれていたんだろう?もう終わらせて潜水新棲姫と…」


漣「いえ、まだもう少し頑張ります。ご主人様に無理はさせられませんからね」


提督「ありがとう」

漣「ご主人様は分かりやすいんです。彼女と何かあったのはすぐに分かりますよ。でもそれを漣達には知られたく無いんですね」


提督「…すまない」


漣「悪いことじゃないなら許します」


提督「断じてそんな事は無い」


漣「漣の目を見て」


提督「……」


漣「分かりました、信じましょう。ですがくれぐれも注意して下さいね」


提督「分かった」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー中枢棲姫の部屋


提督「…それを俺に聞きたかったのか」


中枢棲姫「本の情報は一定じゃないの。だから信頼できる相手から聞きたいのよ」


提督「今の人間社会……簡単には説明できない」


中枢棲姫「それでいいし寧ろそれが目的なのよ」


提督「……」


中枢棲姫「言葉を交わすことで親交を深めるのは悪いことではないでしょう?」


提督「そうだな…」


中枢棲姫「貴方の口から聞かせて欲しいの。人間とは、社会とは何かを」

ーー


中枢棲姫「…貴方の話を聞いてて、感想を言うならお金、ね」


提督「そっちには無い概念か」


中枢棲姫「あるわ。でもお金で何でもはできないしやろうとしない。気に入らない奴が居れば殺せばいいだけなのよ」


提督「それを解決…してしまうのも金だ」


中枢棲姫「人間は金に汚い奴が勝つ……そういうことね」


提督「残念ながら当たっているな…」


中枢棲姫「そんな中貴方はお金以外のものを欲しがったのね」


提督「あぁ、俺は深海棲艦を、争いを…」


中枢棲姫「そうじゃないでしょう?貴方はもっと別のモノが欲しかった」


提督「……」

中枢棲姫「ふふ、貴方からは私と似たような臭いがするわ」


提督「…どういうことだ」


中枢棲姫「私があの子達を従えていたのは自分の身を守る以外にも意味があったのよ」


提督「……」


中枢棲姫「貴方の思想は提督という立場で無くても叶えられた。それなのに何故提督という立場に拘るのか」


中枢棲姫「貴方も…繋がりが欲しかったのね」


提督「……」


中枢棲姫「それこそお金なんかじゃ買えないような……誰かとの繋がり」


中枢棲姫「私にも分かるの…貴方はずっと孤独を感じていた」


中枢棲姫「…貴方とならもっと仲良くなれそうね」


提督「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

中枢棲姫「……ところで、小さい子っていいわよね…」


提督「……」ピクッ


中枢棲姫「もしかしてそっちの趣味もあるの?貴方のお気に入りは誰?」


提督「…龍驤だ。写真がここに……」スッ


中枢棲姫「ふぅん……」ジーッ


中枢棲姫「……」


中枢棲姫「貴方、いい趣味してるわね」


提督「龍驤の魅力が分かるのか」


中枢棲姫「こんな完璧なまな板なんかそうそう無いわ。その辺にいる学生でも少しはあるのに」


提督「そうだろう、完璧な体型だ」


中枢棲姫「私が連れてるあの子達も……」

ーー


中枢棲姫「ふふ、はははは!まさか趣味まで同じなんて思わなかったわ。思わず握手をしたくなるくらいにまるで同じにんぁもの」


提督「そうだな」


中枢棲姫「貴方の人間としての価値感も分かった。立場を利用してでは無く本当の家族を作ろうとしている」


提督「俺の子どもも生まれてくる。家族がまた増えるんだ」


中枢棲姫「…ねぇ、私もその家族に入ってあげてもいいわよ」


提督「なに…?」


中枢棲姫「同じ悩みを持って同じ趣味を持つ。そんな相手なんかそうそういないと思うわよ?」


提督「……」


中枢棲姫「答えは直ぐじゃなくていいわ。でも…よく考えておいて」


提督「…分かった」


中枢棲姫「ロリコン…いい言葉も知れて良かったわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


北方棲姫「終ワッタ…」


北方棲妹「疲れた」


中枢棲姫「ご苦労だったな」


港湾棲姫「……」


中枢棲姫「ク…ククク……良く…頑張ったぞ…」


北方棲姫「出タ、イツモノダ」


北方棲妹「今日は、私か」


中枢棲姫「ほら…こっちに来い……」グイッ


北方棲妹「むぅぅ」

北方棲妹「止めろ、このぉ」ゲシッ


中枢棲姫「おいおい…私に向かって…何を…」


北方棲姫「コノ癖ガ無カッタラ…」


港湾棲姫「……」


北方棲姫「ン?ソウイウ趣味?ドウイウ意味ダ?」


港湾棲姫「……」


北方棲姫「良ク分カラナイガ、怒ラナイナライイ」


北方棲妹「脚を、舐めようと、するな」ゲシゲシッ


中枢棲姫「ふ、ふへ…ククク…元気で…素晴らしい…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「ご主人様、大丈夫でしたか!?」


提督「ああ、何も問題は無い」


漣「……本当みたいですね。外傷もパッと見ありません」


提督「彼女とは…そう、分かり合えたんだ」


漣「あの中枢棲姫を……流石はご主人様ですね」


提督(…嘘は言っていないな)


漣「いくらご主人様とは言え彼女を説得するのは大変だったはずです。今日はもうゆっくりとお休み下さい」


提督「いや、まだ仕事が…」


漣「ご主人様。本来なら今日は休みなんですよ?」


提督「む……」

漣「…仕方ありませんね。こうなったら強制的に休んでもらいます」


提督「何をするつもりだ…?」


漣「するって、スるしか無いでしょうよ」


提督「……」


漣「服を~脱いで~」シュルッ


提督「お、おい……」


漣「言っときますけどご主人様が悪いんですからね。こうでもしないと休まないでしょうよ」


提督「……」


漣「ほら!とっとと脱いでゴムを出す!そして終わったら休んで寝るんですよぉ!」


提督「…………」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「その気持ちは嬉しいが漣こそ無理をしないでくれ」


漣「何がですか」


提督「メイクで誤魔化してるが、目の下に隈が出ているぞ」


漣「…さっき目を見てって言ったのが余計でしたか」


提督「そんな状態の漣とはできない」


漣「じゃあどうするんですか。貴方は放っておいたら勝手に仕事をするでしょうよ」


提督「……」


雲龍「話は聞いたわよ」ガチャッ


神通「私達が代わりに……漣さん!?」


漣「あ、はい服を着ますね」


雲龍「私達になら任せられるでしょ」


提督「……」


雲龍「ゆっくり寝ていて…お願いだから」


提督「そこまで言われて仕事をしているようじゃ、提督失格だな」


雲龍「分かってくれたならいいのよ」


神通「なんで上から着るんですか……!」


漣「神通さんの反応が面白いからですよ」ぷらぷら

ーー


提督「こんな時間から寝るなんて久しぶりだな…」


提督「いつもなら…龍驤と…龍驤が隣に居て……」


提督「…龍驤」


提督「龍驤……」


提督「霞の事も大切だが…龍驤も……」


提督「……」


提督「明日病院に電話をしよう。また一時退院ができるかもしれない」


提督「龍驤…」


提督「俺はずっと…待っているからな……」


ーー

ーー


「一時退院の扱いは前回と同じです」


龍驤「うん、ありがとう」


「提督さんが迎えに来てくれて良かったですね」


龍驤「自慢の旦那さんだから」


「ではまた、お待ちしております」


龍驤「はい、ありがとうございました」


……


「これで良かったんだよな?」


龍驤「うん、これバイト代」


「お!?こんなにくれるの!?」


龍驤「その代わり分かってる?」


「なるほど口止め料込みってね。大丈夫、俺は旅行でこっちに来ただけだからまぁバレないって」


龍驤「変装までしてくれてありがとう」


「…俺はそれでいいんだけどさ、その体で大丈夫なわけ?」


龍驤「心配要らないよ」


「そ…じゃ、俺はもう行くから。そっちも気を付けなー」


龍驤「……」


龍驤「この世界に理想郷があるなら、その逆もある」


龍驤「……ゲヘナ」


龍驤「…さぁ、行こう」


ーー

続く


コメントなどあればお願いします

ーー


漣「急な呼び出しとは、幹部さんも気が利きませんねぇ」


提督「ここから大本営は近いんだ。俺もいつでも呼んで下さいと言ってある」


漣「だからと言ってですねぇ」


提督「俺は何とも思っていない。さぁ急いで大本営に向かおう」


漣「…はいはい。ご主人様ならそう言いますよね」


提督「皐月はもう準備が済んで先に向かった。残るは俺と漣だ」


漣「秘書艦だけ先に着いたらご主人様のメンツがたたねぇってヤツですよ。さっさと向かいますよ!」


提督「そうだな急ごう」

漣「…あ!ご主人様病院から何か送られてきてます!」


提督「内容は何だ?」


漣「ええっと…多分龍驤さんの治療か何かについてです。ご主人様のサインが必要っぽいです」


提督「…なら今書いてしまって出先で出そう」


漣「了解です!ええっと…ここですね、ここにサイン書くみたいです」


提督「……よし」カキカキ


漣「よっしゃ!後は漣にお任せを!行きながら封してコンビニかどこかで投函します!」


提督「…よし、大本営に急ごう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


ブーン…


漣「タクシーで乗り換え駅まで行って、そこで皐月さんと合流しましょう」


提督「なんとか間に合いそうだな…」


漣「さて間に合うと分かった所で資料の確認と…」ゴソゴソ


漣「…あ、病院からの手紙も持ってきちゃいました」


提督「せっかくだから良く見ておこう。龍驤の状態や何かが書いてあるはずだ」


漣「あ、じゃあ先にこっちを見て下さい。内容を確認せずにサインは怖いですからね」スッ


提督「よし……」


漣「その間に漣は手紙の内容を。なになに、一時退院……ほぉ~またできるんですかね」


提督「……」


漣「…はへ?退院済み?立ち会ったのは……ご主人…様?」


提督「……漣!!」


漣「…運ちゃん!目的地変更!大至急ですよ!!」

ーー


幹部『龍驤君が行方不明!?』


漣「そうなんです!ご主人様に成り済ました誰かが退院に立ち会ったらしいんです!」


幹部『なんということだ……』


漣「そういう事情なんでそっちには迎えません…」


幹部『それは構わないが提督君はどうしている?』


漣「ヤバイくらいパニクッて病院に向かいました。移動中に少しでも冷静になってくれればいいんですけど…」


幹部『龍驤君は目立つだろう、目撃情報は入っていないのかい?』


漣「……何も」


幹部『これは…非常にまずいね』


漣「あのクソアマ…どこまで迷惑をかければ気が済むんですかねぇ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「もう一度確認しますけど、龍驤さんはちゃんと帰ったんですね?」


『はい、確かに提督さんが迎えに来られました』


漣「まさかまた誘拐……?」


『何かの間違いや勘違いでは無いんですね?』


漣「当たり前ですよ、だからこうやって横須賀から大急ぎでそっちに向かってるんです」


『私も遠目から見ていましたが、あれは提督さんだと思いました。お知り合いの誰かでは無いんですか?』


漣「違います。そもそもそちらが提督だと判断したのはどうしてですか?」


『いつもの軍服で無口な様子と…あと龍驤さんと親しそうにしていましたから』


漣「親しそうに……なら誘拐では無い…」


『本当なら大問題です。こちらも話を伺いたいので駅に着き次第連絡を下さい、迎えを出します』


漣「…分かりました、すぐに連絡しますよ」ピッ


提督「龍驤、龍驤、龍驤……」


漣「ご主人様…」

ブブブブ…


漣「どうしましたか」ピッ


朝霜『悪い知らせだ。クローゼットをよく調べたら司令の制服が一着無ぇ』


漣「……龍驤さんが持ち出したと」


朝霜『入院する前から準備してたんじゃねぇのか。そうだとすると手がつけられねぇ』


漣「一時退院も…全部フラグだったと」


朝霜『これだけ用意周到なら逃げた先で何をするのかも全部決めてあるかもな』


漣「全く目撃情報が無いのも頷けますな」


朝霜『……なんでだよ…どうして……あたい達のこと…捨てるなんて…』


漣「そういうのはいいです。そっちはそっちで動いて下さい」ピッ


提督「……」


漣「…貴女が何をしようと構いませんけどねぇ、ご主人様を傷付けるってんなら容赦はしませんよ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「目撃証言が今のところ無い…つまり身を隠しながら移動している?」


漣「一人なのか、徒歩なのか……それによって捜索する範囲が変わりますよね」


漣「普通に考えて一人だとは思えない。提督に成り済ました人物と一緒に行動して…いや、そんな分かりやすいことをするのか?」


漣「あぁくそ人手が足りない……!とにかく情報を集めないと」


漣「その為には……これしかない」


提督「……」

漣「ご主人様、漣はここで降ります」


提督「……」


漣「ご主人様はこのまま病院に向かって下さい」


提督「……」


漣「ローラー作戦みたいなことをするしかありません。その為には一人でも多くの人員が必要になります」


提督「……」


漣「龍驤さんは絶対に探し出しますよ。そうでないと文句を言えませんからね」


提督「……」


漣「ではご主人様、後は宜しく頼みます。諦めるにはまだ早いですからね!」タタタッ


提督「……龍驤…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー病院


「こちらが龍驤さんが使っていた病室です」


提督「……」


「部屋は変わりますが一時退院ということなのである程度の荷物は置いてありますね」


提督「……」


「その様子を見る限りあれは提督さんでは無かった…本当に申し訳ありません」


提督「……」


「こちらとしても全力を尽くします。絶対に龍驤さんを見つけます」


提督「……」


「この部屋は好きに調べてもらっても構いません。では…」ガチャッ


提督「……」

提督「……ベッドから龍驤の匂いがする…」


提督「龍驤……」ギシッ


提督「……?」


提督「この分厚い本は…」


提督「……聖書」


提督「龍驤は…キリスト教を……?いや…そんな素振りは…」


提督「……」ペラッ


提督「何度も読んでいるが…最初から最後までは読んでいない。どこか…気になった所を集中的に読んである…」


提督「……」ペラペラッ

からだを殺しても、たましいを殺せない人たちなどを恐れてはなりません。

そんなものより、たましいもからだも、共にゲヘナで滅ぼすことのできる方を恐れなさい


提督「……ゲヘナ」


提督「罪人の永遠の滅びの場所であり、地獄を示す場所」


提督「龍驤は……死んで…地獄へ…」


提督「……」


提督「…………」


提督「俺は…どうすれば……」ピラッ


提督「…メモが……挟まって…いたのか…」


【理想郷がこの世界にあるなら、地獄だってある】


提督「……」


提督「龍驤…どうしてなんだ……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「何故だ龍驤……俺は…お前の救いにはなれなかったのか…?」


提督「……くそっ!」ブンッ


バサッ


提督「……どうしてなんだ…」


ヒラヒラ…


提督「また……メモか…」スッ


『司令官、愛してる』


提督「…………」


提督「まだ…諦めない」


提督「絶対に龍驤を……連れ戻してみせる!」

ーー


漣「そっちはどうですか?」


皐月『何も情報は無いよ…』


漣「これで病院から東西南北、全ての方向を調べましたが手掛かりすら無しと」


雲龍『やっぱり提督に成り済ました人と一緒に行動してるのよ』


朝霜『そうとも限らねぇ』


潜水新棲姫『いや、一人の可能性が高い』


漣「今は有力な情報が無いんです。黙って考え込むより動き回りましょう」


皐月『闇雲に探しても無駄だよ』


漣「そんなもの分かってるんですよ!でもやるしかないでしょうが!」


雲龍『そうね、とにかく捜索を続けるわ』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣『聖書にメモが挟まっていたと。龍驤さんが聖書を愛読していたなんて知りませんでした』


提督「ゲヘナに関係する場所も覚えは無いか」


漣『ありませんねぇ…というよりゲヘナなんて初めて聞きましたよ』


提督「…そうか」


潜水新棲姫『……漣の話を聞いていて少し気になる所があった』


提督「なんでもいい、言ってくれないか」


潜水新棲姫『理想郷というのは扉がどうこうと言っていたものに間違いないだろう。だが地獄については何も聞いていない』


潜水新棲姫『そもそも存在すらしていない可能性もあるが、龍驤のメモの話を聞いてある仮説が建てられる』

潜水新棲姫『龍驤は死んで魂を地獄に送るつもりだ。だがただ死ぬのでは駄目だと考えている』


潜水新棲姫『龍驤にとってのこの世の地獄。それは…子どもを見殺しにした駅なんじゃないか』


提督「あの駅…!」


潜水新棲姫『今度は自分が飛び込んで死のうとしている。居るならその近くだ』


提督「…他に思い当たる場所が無い。急いでそこに向かう!」


潜水新棲姫『…こっちも漣が行くと言って飛び出した』


提督「あの駅……あそこに龍驤が!」


下2 コンマ判定


奇数   ○
偶数   ×
ゾロ目 ×××××

ーー駅周辺、ホテル


すいません、この近くで写真の人を見たことはありませんか?


「…知りませんねぇ」


…そうですか


「……」


「行ったよお嬢さん」


龍驤「……ありがとうございます」


「随分と訳有りみたいだね。ただ泊まるだけじゃなくて匿ってくれだなんて」


龍驤「……」


「言っとくけど警察が絡んだらこっちも黙っておけないよ。それまでに何とかするんだね」


龍驤「はい……」


「客であることは間違い無いんだ、変なことをしなきゃ追い出すこともしないよ」


龍驤「…失礼します」


ペタ…ギッ…ペタ…ギッ…


「……あの体で、探してた男の人相は最悪。これはひょっとすると監禁か何か……」

龍驤「……そうか気付いちゃったか」


龍驤「そんなに私の事…考えてくれたんだね」


龍驤「嬉しいよ…けど……貴方とは一緒に居れない」


龍驤「罪は死なない限り消えない。相手が許す、許さないは関係ない」


龍驤「…私が生きてる限り皆んなが不幸になる」


龍驤「司令官がずっと心配だった…けどもう大丈夫」


龍驤「貴方は霞と幸せな家庭を築いて」


龍驤「私の事は忘れて…幸せになって」


龍驤「……」


龍驤「私は…諦めない」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「ホテルの食事は慣れて無いし、数日くらいならコンビニの…」


漣「コンビニの弁当で十分ですよねぇ」


龍驤「!!!!」


漣「貴女が何処に居るのかは分かってませんよ。でもね不本意な事に、あんたの行動パターンは分かっちゃうんですよ」


龍驤「な…あ……!」


漣「あんたも漣と同じクズですからね」


龍驤「……!!」ダッ


漣「この期に及んで逃げようとすんじゃねぇ!!」ガシッ


龍驤「ぐ……!」


漣「いい加減にしろよ…死んだって何も変わらないって、いつになったら理解するんだよあんた!」


龍驤「……」


漣「あんたの為に皆が走り回ってる!本当に皆を裏切る気なのか!?」


龍驤「…違う」


漣「何が違うんだよぉ!!」


龍驤「私は……生きてちゃ…」


漣「もう……いい加減に…止めて……くれって…」


龍驤「……」

漣「死ぬなら…一人で死んで……提督に…大切な人に迷惑をかけないで……」


龍驤「……」


漣「提督、霞、朝霜……お前のせいで傷付く人を…見てられない…」


龍驤「……」


漣「頼むから……もう…いいから……」


龍驤「……分かってんねん」


龍驤「ウチが死ぬとか自殺するとか言うたら皆んなは止めてくれる」


漣「……」


龍驤「でもな、今回は本気やねん」


漣「もう……聞き飽きた……」


龍驤「本気なんや。あの場所で全て終わらせる」


漣「……」

龍驤「漣」


龍驤「ウチのこと見逃して」


漣「……」


龍驤「ここには居らんとか他の場所が怪しいとか言うて、司令官をここから離して」


漣「……」


龍驤「死ぬことに意味があるんや無い。ウチが死ぬのは当然なんや」


龍驤「…心残りがある内に死にたい」


漣「普通…逆ですよ……」


龍驤「これで良いんや。あの子は親にお別れする時間なんか無かった」


龍驤「……もう行って」


龍驤「私の邪魔はしなくていいから」


龍驤「…じゃあね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「あんたは死ねて満足だろうよ…地獄に堕ちても自業自得って…受け入れられる…」


漣「だけど…残された提督や霞や皆は…そこから地獄が始まるんだよぉ!」


漣「あんたは自分が大切だと思ってる人まで地獄に落とそうとしてるんだ!なぜそれが分からない!」


龍驤「……どうして?どうしてそこまで言うの?」


龍驤「貴女にとって私が居なくなった方が好都合なのに」


漣「それを……私に言わせるんですか…?」


龍驤「なにが…?」


漣「本当に…あんたは……」

漣「私も……あんたが大切だからに決まってんでしょうが…」


龍驤「…そっか」


漣「そっかじゃないんですよ…もう懲りたらいい加減…」


ズブッ


漣「……」


龍驤「ありがとう。今の答えは私が欲しかったの」


漣「お……前…」ドロッ


龍驤「急所は外したし、重巡棲姫が居るから死なない。でもこれで私を追えなくなった」


漣「何を……言って…」


龍驤「私にはハッキリ見えた」


龍驤「私の死に場所はここじゃない」


龍驤「ゲヘナ(地獄)はこんな所に無かった」


龍驤「私が行くべき場所は別にある」


漣「……ぅ…」

そうよ。貴女が行くべき場所は…


龍驤「…また声が聞こえた」


龍驤「何処かで聞いたことのあるような…安心する声」


龍驤「この声が私を導いてくれる」


漣「……」ドサッ


龍驤「この世界に理想郷はある。そこに向かう扉もある」


龍驤「この世界に地獄はある。そこに向かう門がある」


龍驤「扉に鍵があるように、門を開くにも鍵がいる」


龍驤「この世界は始まり」


龍驤「そして…終わり」


貴女が因果の始まり


龍驤「始まったのなら」


龍驤「終わりはある」


永遠に続く物語なんて無い


龍驤「…ふふふっ」


ーー

このスレはここまでです


次スレでも宜しくお願いします

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